(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-17
(54)【発明の名称】DSS用の干渉防止方法、装置、電子機器及び記憶媒体
(51)【国際特許分類】
H04W 52/24 20090101AFI20240110BHJP
H04L 27/26 20060101ALI20240110BHJP
H04L 27/00 20060101ALI20240110BHJP
H04B 17/345 20150101ALI20240110BHJP
H04W 28/18 20090101ALI20240110BHJP
H04W 72/0453 20230101ALI20240110BHJP
【FI】
H04W52/24
H04L27/26 300
H04L27/00 Z
H04B17/345
H04W28/18 110
H04W72/0453 110
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023539885
(86)(22)【出願日】2021-12-27
(85)【翻訳文提出日】2023-06-28
(86)【国際出願番号】 CN2021141652
(87)【国際公開番号】W WO2022143528
(87)【国際公開日】2022-07-07
(31)【優先権主張番号】202011578563.0
(32)【優先日】2020-12-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】511151662
【氏名又は名称】中興通訊股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】ZTE CORPORATION
【住所又は居所原語表記】ZTE Plaza,Keji Road South,Hi-Tech Industrial Park,Nanshan Shenzhen,Guangdong 518057 China
(74)【代理人】
【識別番号】100112656
【氏名又は名称】宮田 英毅
(74)【代理人】
【識別番号】100089118
【氏名又は名称】酒井 宏明
(72)【発明者】
【氏名】沈少武
【テーマコード(参考)】
5K067
【Fターム(参考)】
5K067AA03
5K067EE02
5K067EE10
5K067GG08
(57)【要約】
本願は、DSS用の干渉防止方法、装置、電子機器及び記憶媒体を開示する。
DSS用の干渉防止方法は、リアルタイムの無線周波数性能パラメータ及び通信性能パラメータを取得するステップと、無線周波数性能パラメータ及び通信性能パラメータに基づいて、ダイナミック周波数スペクトルの共有DSSの干渉が存在するか否かを判断するステップと、干渉が存在する場合、無線周波数性能パラメータ及び通信性能パラメータに基づいて、干渉を分類するステップと、分類結果に基づいて、異なるタイプの干渉に対して対応する干渉防止処理を実行するステップと、を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
リアルタイムの無線周波数性能パラメータ及び通信性能パラメータを取得するステップと、
前記無線周波数性能パラメータ及び前記通信性能パラメータに基づいて、ダイナミック周波数スペクトルの共有DSSの干渉が存在するか否かを判断するステップと、
干渉が存在する場合、前記無線周波数性能パラメータ及び前記通信性能パラメータに基づいて、前記干渉を分類するステップと、
分類結果に基づいて、異なるタイプの干渉に対して対応する干渉防止処理を実行するステップと、
を含むDSS用の干渉防止方法。
【請求項2】
前記無線周波数性能パラメータ及び通信性能パラメータに基づいて、前記干渉を分類する前記ステップは、
第1の通信ネットワーク及び第2の通信ネットワークの周波数点情報と無線周波数性能パラメータに基づいて、前記干渉を分類するステップを含み、
前記干渉のタイプは、高調波干渉、相互変調干渉、スプリアス干渉、チャネル干渉のうちの1つ又は任意の組合せを含み、前記第2の通信ネットワークのネットワーク速度は、前記第1の通信ネットワークのネットワーク速度よりも大きい
請求項1に記載のDSS用の干渉防止方法。
【請求項3】
異なるタイプの干渉に対して対応する干渉防止処理を実行する前記ステップは、
チャネル制約アルゴリズムに基づいて、共有チャネルを制約調整するステップと、
DSSにおけるダイナミックパワーを調整するステップと、
5G新規ポートNRのサブキャリア間隔SCS、変調及び符号化戦略MCS、リソースブロックRB、スロットSLOT、シンボルSYMBOLのうちの1つ又はそれらの任意の組合せを含む適応変調パラメータを調整するステップと、における1つ又はそれらの任意の組合せを含む
請求項2に記載のDSS用の干渉防止方法。
【請求項4】
DSSにおけるダイナミックパワーを調整する前記ステップは、
前記第1の通信ネットワーク及び前記第2の通信ネットワークの現在の送信パワーを検出するステップと、
前記第1の通信ネットワークの現在の送信パワーと前記第1の通信ネットワークの最大の送信パワーとの差が所定の第1閾値より小さい場合、前記第1の通信ネットワークの現在の送信パワーを低減し、前記第2の通信ネットワークの現在の送信パワーを向上させるステップと、
前記第2の通信ネットワークの現在の送信パワーと前記第2の通信ネットワークの最大の送信パワーとの差が所定の第2閾値より小さい場合、前記第2の通信ネットワークの現在の送信パワーを低減し、前記第1の通信ネットワークの現在の送信パワーを向上させるステップと、
を含む請求項3に記載のDSS用の干渉防止方法。
【請求項5】
前記分類結果に基づいて、異なるタイプの干渉に対して対応する干渉防止処理を実行する前記ステップは、
前記分類結果に基づいて、相関係数に従って、異なるタイプの干渉に対して対応する干渉防止処理を実行するステップを含み、
前記相関係数は、前記干渉防止処理に基づいて、前記異なるタイプの干渉の処理結果をリアルタイムで更新する
請求項1~4のいずれか1項に記載のDSS用の干渉防止方法。
【請求項6】
リアルタイムの無線周波数性能パラメータ及び通信性能パラメータを取得する前記ステップの前に、
前記第1の通信ネットワークと前記第2の通信ネットワークとに現在共有の周波数スペクトルが存在するか否かを検出するステップと、
前記第1の通信ネットワークと前記第2の通信ネットワークとに現在共有の周波数スペクトルが存在し、且つ、前記第1の通信ネットワークと前記第2の通信ネットワークに前記共有の周波数スペクトルにおいて周波数スペクトル間隔が存在しない場合、リアルタイムの無線周波数性能パラメータ及び通信性能パラメータを取得する前記ステップを実行するステップと、
を含む請求項2に記載のDSS用の干渉防止方法。
【請求項7】
リアルタイムの無線周波数性能パラメータ及び通信性能パラメータを取得する前記ステップは、
試験アルゴリズムを通じて、前記リアルタイムの無線周波数性能パラメータ及び通信性能パラメータを自発的に取得するステップ、
を含む請求項1~6のいずれか1項に記載のDSS用の干渉防止方法。
【請求項8】
リアルタイムの無線周波数性能パラメータ及び通信性能パラメータを取得するための取得モジュールと、
前記無線周波数性能パラメータ及び通信性能パラメータに基づいて、ダイナミック周波数スペクトルに共有DSSの干渉が存在するか否かを判断するための判断モジュールと、
干渉が存在する場合、前記無線周波数性能パラメータ及び通信性能パラメータに基づいて、前記干渉を分類するための分類モジュールと、
分類結果に基づいて、異なるタイプの干渉に対して対応する干渉防止処理を実行するための処理モジュールと、
を含むDSS用の干渉防止装置。
【請求項9】
少なくとも1つのプロセッサと、
前記少なくとも1つのプロセッサと通信接続されるメモリと、を含み、
前記メモリは、前記少なくとも1つのプロセッサによって実行可能な指令を記憶し、前記指令は、前記少なくとも1つのプロセッサが、請求項1~7のいずれか1項に記載のDSS用の干渉防止方法を実行できるように、前記少なくとも1つのプロセッサによって実行される
電子機器。
【請求項10】
プロセッサによって実行される際に、請求項1~7のいずれか1項に記載のDSS用の干渉防止方法を実行するコンピュータプログラムが記憶されるコンピュータ可読記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、出願番号が「202011578563.0」であり、出願日が2020年12月28日である中国特許出願に基づいて提出され、該中国特許出願の優先権を主張し、該出願の全ての内容は引用をもって本願に併せられる。
【0002】
本願の実施形態は、通信分野に関し、特に、DSS用の干渉防止方法に関する。
【背景技術】
【0003】
モバイルブロードバンドネットワークサービストラヒック需要の増加に伴い、周波数スペクトルが密集し、且つ現在の低周波数帯域スペクトルリソースはほとんど2/3/4Gで占有され、2/3/4G、特に4Gでは、5Gと長期間共存するため、これらの良質な低周波数帯域リソースをすべて再利用できない。事業者は、2G/3Gネットワークを4Gに再耕し、4Gから5Gに再耕することは、すでに大勢であり、如何に事業者の既存のスペクトルリソースからより多くの潜在力をマイニングするかが業界で一般的に注目されている。スペクトル共有技術は、同一の周波数帯域において周波数スペクトルリソースをオンデマンドで動的に割り当て、事業者となる必然的な選択を実現できる。ダイナミック周波数スペクトル共有(Dynamic Spectrum Sharing、DSS)は、
図1に示すように、4Gロングタームエボリューション(Long Term Evolution、LTE)と5G新無線(New Radio、NR)とが同じ周波数スペクトルを共有し、時間周波数リソースを4Gと5Gユーザに動的に割り当てることを可能にする。DSS技術を採用すると、スペクトル効率を向上させることができ、4Gと5Gとの間のスムーズな進化に有利であり、古い4Gの低周波数帯域リソースと基地局を利用できるだけでなく、4Gから5Gへのスムーズな進化も実現でき、5G投資コストを大幅に低減させる。
【0004】
DSSは事業者にとって非常に魅力的であるが、技術的には少なからず挑戦に直面し、主にチャンネル間の干渉問題である。4G/5GのDSSを例として、4Gはブロードバンドシステムであり、チャネル構成は相対的に粗く、制御チャネル、パイロットなどはいずれも全周波数帯域マッピングであり、5Gも広帯域システムであり、同様に各種類の物理チャネルが存在し、いくつかの例では、予約バッファによって2種類の技術間の様々な物理チャネルの干渉を解決するが、バッファバンドを予約する方式によって、サービスチャネルのDSSの過程における全体スペクトル利用率を低下させる。
【発明の概要】
【0005】
本願の実施形態は、リアルタイムの無線周波数性能パラメータ及び通信性能パラメータを取得するステップと、前記無線周波数性能パラメータ及び前記通信性能パラメータに基づいて、ダイナミック周波数スペクトルの共有DSSの干渉が存在するか否かを判断するステップと、干渉が存在する場合、前記無線周波数性能パラメータ及び前記通信性能パラメータに基づいて、前記干渉を分類するステップと、前記分類結果に基づいて、異なるタイプの干渉に対して対応する干渉防止処理を実行するステップと、を含むDSS用の干渉防止方法を提供する。
【0006】
本願の実施形態は、リアルタイムの無線周波数性能パラメータ及び通信性能パラメータを取得するための取得モジュールと、前記無線周波数性能パラメータ及び通信性能パラメータに基づいて、ダイナミック周波数スペクトルに共有DSSの干渉が存在するか否かを判断するための判断モジュールと、干渉が存在する場合、前記無線周波数性能パラメータ及び通信性能パラメータに基づいて、前記干渉を分類するための分類モジュールと、前記分類結果に基づいて、異なるタイプの干渉に対して対応する干渉防止処理を実行するための処理モジュールと、を含むDSS用の干渉防止装置をさらに提供する。
【0007】
本願の実施形態は、少なくとも1つのプロセッサと、前記少なくとも1つのプロセッサと通信接続されるメモリと、を含み、前記メモリは、前記少なくとも1つのプロセッサによって実行可能な指令を記憶し、前記指令は、前記少なくとも1つのプロセッサが、上記のDSS用の干渉防止方法を実行できるように、前記少なくとも1つのプロセッサによって実行される電子機器をさらに提供する。
【0008】
本願の実施形態は、プロセッサによって実行される際に、上記のDSS用の干渉防止方法を実行するコンピュータプログラムが記憶されるコンピュータ可読記憶媒体をさらに提供する。
【0009】
1つ又は複数の実施形態は、それに対応する図面における図によって例示的に説明し、これらの例示的な説明は、実施例を限定するものではなく、図面において同じ参照番号を有する素子は類似の素子として表され、特に断らない限り、図面における図は、比率制限を構成しない。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本願の背景技術におけるダイナミック周波数スペクトル共有の概略図である。
【
図2】本願の第1の実施形態によるDSS用の干渉防止方法のフローチャートである。
【
図3】本願の第1の実施形態による干渉発生原因の概略図である。
【
図4】本願の第1の実施形態による干渉自己試験の概略図である。
【
図5】本願の第1の実施形態によるダイナミックパワーを調整する干渉防止処理の概略図である。
【
図6】本願の第2の実施形態によるDSS用の干渉防止方法のフローチャートである。
【
図7】本願の第2の実施形態によるDSS用の干渉防止方法のモジュールの概略図である。
【
図8】本願の第3の実施形態によるDSS用の干渉防止方法の装置の概略図である。
【
図9】本願の第4の実施形態による電子機器の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本願の実施形態の目的、技術案及び利点をより明確にするために、以下では、図面を参照して本願の各実施形態を詳細に説明する。しかしながら、当業者は、本出願の各実施形態において、読者が本願をより良く理解するために多くの技術的詳細が提示されていることを理解できる。しかしながら、これらの技術的な細部及び以下の各実施形態の様々な変形及び修正に用いられていなくても、本願が請求する技術案を実現することができる。以下の各実施形態の分割は、説明の便宜上、本願の具体的な実現方式を何ら限定するものではなく、各実施形態は、矛盾しない限り互いに組み合わせて相互に引用することができる。
【0012】
本願の実施形態における用語「第1」、「第2」は、単に説明するためのものであり、相対的な重要性を指示又は暗示する、又はそれが指す技術的特徴の数を暗黙的に示すものと理解できない。よって、「第1」、「第2」と限定された特徴は、明示的又は暗黙的に少なくとも1つの当該特徴を含んでもよい。本願の説明において、用語「含む」及び「有する」及びそれらの任意の変形は、非排他的な包含をカバーすることを意図する。例えば、一連の部品又はユニットを含むシステム、製品又は装置は、既に挙げた部品又はユニットに限定されず、選択的に、既に挙げていない部品又はユニットをさらに含み、又は選択的に、これらの製品又は装置に固有の他の部品又はユニットをさらに含んでもよい。本願の説明において、「複数」は、特に明記しない限り、少なくとも2つ、例えば、2つ、3つなどである。
【0013】
本願の第1の実施形態はDSS用の干渉防止方法に関し、様々な5G端末、クライアントフロントデバイス(Customer Premise Equipment、CPE)、基地局及び5G技術を用いた製品などを含む電子機器に応用され、具体的なフローは、
図2に示すとおりである。
【0014】
ステップ101、リアルタイムの無線周波数性能パラメータ及び通信性能パラメータを取得する。
ステップ102、無線周波数性能パラメータ及び通信性能パラメータに基づいて、ダイナミック周波数スペクトルの共有DSSの干渉が存在するか否かを判断し、存在する場合、ステップ103に進み、存在しない場合、ステップ101に戻る。
ステップ103、無線周波数性能パラメータ及び通信性能パラメータに基づいて、干渉を分類する。
ステップ104、分類結果に基づいて、異なるタイプの干渉に対して対応する干渉防止処理を実行し、処理後、ステップ101に戻って判断検出を行う。
【0015】
以下では、本実施形態のDSS用の干渉防止方法の実現詳細について具体的に説明するが、以下の内容は、理解を容易にするために提供される実現詳細にすぎず、本発明を実施するために必須なものではない。
【0016】
ステップ101において、DSS機能をサポートする電子機器は、電子機器に内蔵された試験アルゴリズムにより、電子機器のリアルタイムの無線周波数性能パラメータ及び通信性能パラメータを取得する。即ち、リアルタイムの無線周波数性能パラメータ及び通信性能パラメータを取得する際に、外付けの試験メーターに依存せず、付加的な無線周波数モジュール及び装置、例えば、ワーカー、コンバイナ、カプラ、カップリングボックス等に依存せず、無線周波数試験ケーブルにも依存せず、自己試験アルゴリズム及び指令のみによって実現され、該自己試験アルゴリズムは電子機器プログラム内にある。例えば、端末は、内蔵された試験アルゴリズムにより、リアルタイムのパワー、ベクトル幅誤差(Error Vector Magnitude、EVM)、隣接チャネル抑圧比(Adjacent Channel Leakage Ratio、ACLR)の3つの送信指標を収集するとともに、参照信号受信パワー(Reference Signal Received Power、RSRP)及び推定感度(Sensitivity、SEN)の2つの受信指標を収集する。ここで、無線周波数性能パラメータは、例えば、EVM、ACLR、RSRP及びブロック誤り率(Block Error Rate,BLER)等であり、通信性能パラメータは、例えば、上下スループット、ビット誤り率、変調及び符号化戦略(Modulation and Coding Scheme、MCS)及び多入力多出力(Multiple-In Multiple-Out、MIMO)データストリーム数などである。
【0017】
ステップ102において、上記で取得されたリアルタイム無線周波数性能パラメータ及び通信性能パラメータと、予め設定されたDSS無干渉下の無線周波数性能指標及び通信性能指標閾値との比較に基づいて、DSSの干渉があるか否かを判断する。例えば、収集された上下スループット、MCS及びビット誤り率などの指標と、予め設定されたDSSの無干渉状態における指標閾値とを比較し、所定の範囲を超えると、現在の電子機器の動作モードに干渉があることを示す。異なる通信チャネルが重なり、又は関係が隣接する状態にあるため、干渉が発生し、例えば、
図3に示すように、01状態で100%重複干渉が発生し、02状態で20%重複帯域内干渉が発生し、03と04状態で隣接帯干渉が発生し、05状態で高調波干渉、クロストーク干渉又はスプリアス干渉などが発生する。
【0018】
一例において、無線周波数性能パラメータ及び通信性能パラメータにおける送信指標で自己試験を行う場合、自己試験アルゴリズムは、端末がアイドル又は待機スロットで制御指令を送信し、取得したリアルタイム送信指標に基づいて、リアルタイムに取得したリアルタイム送信指標と同じEVM及びACLR指標値を呼び出し、端末の送信機が自発モードに入るように制御し、閉ループが送信機の送信指標EVM及びACLR指標をフィードバック収集し、予め設定された送信指標EVM及びACLRの閾値とを比較し、例えば、閾値EVMが3%であり、閾値ACLRが-35 dBcであり、閉ループフィードバック装置が送信機の送信指標EVMが3%を超え、又はACLRが-35 dBcを超えることを検出した場合、現在DSSの干渉があると判断する。ここで、自己試験用の送信指標EVM及びACLRは、同相直交信号(In-phase Quadrature、IQ)サンプリング計算によって推定することもできる。
【0019】
別の例では、無線周波数性能パラメータ及び通信性能パラメータにおける受信指標で自己試験を行う場合、自己試験アルゴリズムは、送信機の送信が共有スペクトル周波数点と同じとなるように制御し、且つ信号はレベルが同じである単一キャリア(Carrier Wave、CW)参照信号を受信し、例えば、-70 dBのCELL POWER信号レベルを送信する連続シングルトーン波形信号であり、当該信号は、共有周波数スペクトル周波数点と同じ周波数信号であってもよく、共有周波数スペクトル周波数点に一定の周波数オフセット(例えば、500Hz)を付加した信号であってもよく、送信機がCW波を送信した後、受信機は、当該CW波を収集し、復調及び端末側で受信した信号強度指示(Recieived power、RX)/基地局側で受信した信号強度指示(Received Signal Strength Indication、RSSI)計算を行い、読み出したRSRP信号と送信されたレベルCELL POWERとを比較し、差分値を判断し、予め設定された閾値(例えば、3dB)と比較し、3dBより大きい場合、現在の共有周波数スペクトルに干渉があると判断でき、NRの周波数スペクトル周波数点から干渉がない位置まで調整する必要があり、3dB未満又は0に近い場合、現在の共有周波数スペクトルに干渉がない又は許容できると判断でき、周波数スペクトル周波数点を調整しなくてよい。ここで、無線周波数性能パラメータ及び通信性能パラメータにおける送信指標及び/又は受信指標を自己試験する模式図を
図4に示す。
【0020】
また、システムソフトウェアアルゴリズムによって上記IQサンプリング値、システム間のNF(Noise Factor、ノイズ係数)値及び熱雑音値を取得し、さらに端末システムの送受信機からアンテナ端までの間のC/Nキャリアノイズ比を計算し、最後にSEN値に換算し、上記受信機が読み出したRSRP値と換算後のSEN値を、予め設定されたDSSの無干渉状態に対応するRSRP値とSEN目標閾値と比較して、現在干渉があるか否かを判断することもできる。予め設定されたDSSの無干渉状態におけるN3の目標閾値RSRPは-70+/-2 dBであり、対応する限界SENは-93 dBm/BWであり、N3が共有スペクトルモードにある場合、検出されたRSRP値が-65dBであり、算出されたSENが-89 dBm/BWである場合、現在は4-5dBの共有干渉であることを示す。
【0021】
ステップ103において、上記判断を経た後、結果として干渉が存在する場合、リアルタイムに取得された無線周波数性能パラメータ及び通信性能パラメータに基づいて、干渉を分類する。一例では、第1の通信ネットワーク及び第2の通信ネットワークの周波数点情報及びACLRに基づいて、干渉を分類し、第2の通信ネットワークのネットワーク速度が前記第1の通信ネットワークのネットワーク速度よりも大きく、例えば、第2の通信ネットワークは5G NRであってもよく、第1の通信ネットワークは4G LTEであってもよい。
【0022】
一例において、DSS干渉には、高調波干渉、相互変調干渉、スプリアス干渉などがある。NRがLTE周波数の周波数スペクトルを占有するため、LTEと非常に近接し、又は重複している場合もあり、DSS干渉が発生し、LTEとNRの周波数点情報を計算するとともに、ACLR共存分散値を監視することにより、干渉タイプを識別する。例えば、B1及びN28の周波数点のように、3倍周波数である場合、高調波干渉であり、3逓倍、即ち、高調波干渉、B 1及びN 1が同時に動作する場合、高調波干渉であり、B1とN1が同時に動作している場合、周波数点が近く、且つACLR共存分散値が目標閾値より大きければ、即ちスプリアス干渉である。
【0023】
ステップ104において、分類結果に基づいて、異なるタイプの干渉に対して対応する干渉防止処理を実行する。異なる干渉タイプに対して対応する処理を行うことで、干渉防止の実行プロセスをより正確且つ効率的にする。
【0024】
異なる調整パラメータにおいて、上記閾値を超えた指標のパラメータが明らかに変化した場合、相関性があることを示し、その相関の大きさを相関係数として記録し、メモリに記憶し、干渉と調整パラメータとの関連性により、対応する又は関連性の高い干渉対策を呼び出す。また、相関性のAI学習プロセスが存在し、そのステップは一回の有効調節が完了した後である。即ち、措置及びパラメータのモデル確立プロセス、即ち、DSS干渉防止パラメータモデルベースの自己学習プロセスを効果的に調整し、各回又は最終的な調整措置又はパラメータと、所定の目標との関連係数を構築し、有効である場合、関連係数に1を加算し、無効である場合、関連係数を1減少させ、継続的な蓄積と学習により、相関性のモデルベースを完備し、それにより、後続のより正確な干渉防止調節を行う。
【0025】
一例では、以下の説明を理解しやすくするために、ダイナミックパワーにおける送信パワーを調整し、干渉防止処理を行う。
【0026】
NRがLTEスペクトル範囲内で動作する場合、LTE又はNRのスプリアスは、上下ビット誤り率(Symbol Error Rate、SER)が異なり、さらにスループット性能が悪化するため、スプリアスを除去する必要がある。スプリアスパラメータ異常の顕著な表現形式は、リアルタイムに取得された無線周波数指標におけるLTE又はNRの送信パワーが高く、最大の送信パワーに到達又は接近したことであり、この際、該パワーにおけるACLRの残量が小さく、EVM又はスプリアスが臨界範囲にあり、送信パワーを調整してACLR、EVM及びスプリアスに影響を与えることができ、スプリアスの干渉に対して干渉防止処理を行うことができる。具体的には、LTEの現在の送信パワーとその最大の送信パワーとの差が所定の第1閾値より小さいことを検出した場合、LTEの現在の送信パワーを低減し、NRの現在の送信パワーを向上させ、NRの現在の送信パワーとその最大の送信パワーとの差が所定の第2閾値より小さいことを検出した場合、NRの現在の送信パワーを低下させ、LTEの現在の送信パワーを向上させる。一方の送信パワーを低減する場合、他方の送信パワーを上昇させて補償することにより、
図5に示すように、スプリアスを抑制しながら、総送信パワーに影響を与えない。例えば、LTE及びNRのリアルタイム送信パワーを検出し、NRの送信パワーが23 dbmであり、最大の送信パワーに達し、LTEの送信パワーが5 dbmであり、この時、送信パワーを調整し、NRの送信パワーを20 dbmまで低下させ、LTEの送信パワーを8 dbm(又は他の良好なパワー範囲内)に向上させ、送信パワー調整を行った後、さらにリアルタイムACLR、EVM、SER又はスループット性能を検出することで、スプリアス干渉に対する干渉防止処理が完了したか否かを検証することができる。
【0027】
一例では、適応変調パラメータを調整することにより、干渉防止処理を行う。前記変調パラメータは、例えば、MCS、開始リソースブロック(Resource Block start、RB start)、リソースブロック数(Resource Block number、RB nub)、Rank、サブキャリア間隔(Sub-Carrier Spacing、SCS)などである。
【0028】
SCSを例として、LTEは、固定された15 kHzのSCSを採用し、NRは、異なるパラメータセットの混合使用をサポートし、即ち、例えば、15 kHz、30 kHz、60 kHzなどの異なるSCSの配置を許容する。NRは、直交周波数分割多重化(Orthogonal Frequency Division Multiplexing、OFDM)信号のwindowing/filtering技術によってシンボル間干渉を低減したが、LTEにwindowing/filtering技術がなく、NRとLTEとの周波数スペクトル共有を行う場合、NR配置が15 kHzのSCSと異なる時、LTEに干渉が生じ、LTEの性能損失を引き起こす。従って、まず、現在のSCSが直交しているか否かを検出し、直交していなければ、NRのSCSをLTEのSCSに直交するように調整し、NRのSCSが調整できず、SCSを直交に調整した後も干渉があるか又は調整されていないSCSが直交状態にあることが出現する場合、検出されたリアルタイム無線周波数指標が予め設定されたDSS無干渉での閾値要件を満たすまで、他の適応変調パラメータを調整する。
【0029】
一例では、チャネル周波数点の重なり又は近接が検出される場合、チャネル制約アルゴリズムに基づいて共有チャネに対する制約調整を行う。干渉に対する処理を行う前に、LTE又はNRのチャネルが利用可能な範囲リスト内にあることを制限し、チャネル限定を行うことにより、干渉を低減又は解消することができる。例えば、無線周波数駆動プロファイルを修正することにより、モジュールのソフトウェアにチャネル制限メカニズムを導入する。具体的に、現在の電子機器がNRのDSS動作モードにあることを検出した場合、LTE-NRのチャネル制約アルゴリズムにより、LTEとNRの共存チャネル動作範囲又はリストを限定し、制約範囲内又は指定の使用可能リスト内のチャネルのみで共有可能であり、制約範囲を超え又は指定リスト内のチャネルが使用不可であり、制約範囲又は指定リスト内のチャネルへ調整する必要がある。ここではホワイトリスト又はブラックリスト方式によって制約されてもよく、ホワイトリスト方式である場合、LTEとNRの共有周波数スペクトルチャネル値を指定し、ブラックリスト方式である場合、LTEとNRが同時に使用できない周波数スペクトルチャネル値を指定する。ここで、チャネル制約アルゴリズムは、出荷前の研究開発収集値からのものであり、大量のデータモデルに基づくスキャン収集値であり、スキャン範囲は、対応する周波数帯域のLTE全チャネルとNR全チャネル組合せであり、異なるチャネル組合せにおける無線周波数指標値、例えばEVM/ACLR/RSRP/BLERなどを収集することによって、予め設定されたDSS無干渉での閾値要件を満たすチャネル列を利用可能なチャネルとする。
【0030】
ここで、チャネル制約は静的ではなく、動的に調整可能であり、LTEチャネルが変化する場合、それに伴ってNRのチャネルも変化する。チャネル制約アルゴリズムにおけるチャネル組合せは、さらにリアルタイム更新機能を有し、新しいチャネル組合せと条件が発生し、このチャネルで干渉があると、当該チャネル組合せ及び条件も自動的にチャネル制約アルゴリズムに追加して記憶され、即ち、自律的にリアルタイムで補充を学習することができ、同時にユーザが入力した利用可能なチャンネル組合せと使用不可チャンネル組合せを受信してマークし、リアルタイムに更新することができる。
【0031】
一例では、一部の非複雑な無線周波数性能パラメータ及び通信性能パラメータの変化に対して所定の処理方式が予め記憶されており、即ち、無線周波数性能パラメータ及び通信性能パラメータにより干渉判断を行う時、予め記憶された干渉状況であると識別された場合、予め記憶された該干渉に対応する干渉防止方式を呼び出し、非正常閾値範囲内のパラメータを動的に計算し、干渉防止の処理効率を向上させる。
【0032】
また、記憶空間に予め設定されたデータは、NRとLTEとの異なる周波数スペクトル重複モードにおける無線周波数性能パラメータ及び通信性能パラメータと、異なるチャネル範囲内のNR無線周波数指標値と、をさらに含み、例えば、NRチャネルを高中低HML 3段に分割するか、又は、ENDCにおける干渉劣化度に基づいて、ABCDEF多段に分割する。
【0033】
本実施形態において、ダイナミック周波数スペクトル共有プロセスで発生した干渉に対して、無線周波数指標に基づいて干渉を分類し、分類結果に基づいて対応する処理を実行し、周波数スペクトル利用率を低下させることなく、干渉防止処理により指向性を持たせ、干渉防止処理効率を向上させるとともに、無線周波数性能パラメータ及び通信性能パラメータがリアルタイム取得値であるため、干渉防止処理を行った後にリアルタイムフィードバックを取得することができ、依然として干渉が存在するか否かをチェックし、干渉防止処理の完成度を保証できる。つまり、本願の実施形態は、現在の5G端末のDSSプロセスにおける自己干渉問題を解決することができ、2/3/4G及び5G NRのスペクトル干渉防止性能を向上させ、ダイナミック過程における衝突又は干渉による送信指標の劣化を防止し、大きなエラーコードを受信し、さらに端末5Gピークアップロード及びダウンロードスループットの性能効果を向上させることができる。
【0034】
本願の第2の実施形態はDSS用の干渉防止方法に関し、具体的なフローは
図6に示す通りである。
ステップ201、ダイナミック周波数スペクトルの共有の周波数帯域組合わせを識別する。
ステップ202、識別されたダイナミック周波数スペクトルの共有の周波数帯域組合せに基づいて、ダイナミック周波数スペクトル共有DSSの干渉が存在する可能性があるか否かを判断し、DSSの干渉が存在する可能性がある場合、ステップ203に進み、ダイナミック周波数スペクトル共有DSSの干渉が存在する可能性がない場合、フローを終了する。
ステップ203、リアルタイムに検出された無線周波数性能パラメータ及び通信性能パラメータに基づいて、干渉が存在するか否かを判断し、存在する場合、ステップ204に進み、存在しない場合、ステップ203に戻る。
ステップ204、無線周波数性能パラメータ及び通信性能パラメータに基づいて、干渉を分類する。
ステップ205、分類結果に基づいて、異なるタイプの干渉に対して対応する干渉防止処理を実行し、処理の後に、ステップ203に戻る。
そのうち、ステップ203から205は、第1の実施形態とほぼ同じであり、重複を避けるため、ここでは説明を省略する。主な違いは、ステップ201とステップ202であり、以下では、実施の詳細について具体的に説明する。
【0035】
ステップ201において、リアルタイムの無線周波数性能パラメータ及び通信性能パラメータを取得する前に、さらに電子機器システムソフトウェアにより共有報告情報を収集して、ダイナミック周波数スペクトル共有の周波数帯域組合せ、即ち、NRとLTEのどの周波数帯域が周波数スペクトルを共有しているか、例えばB1-N1、B3-N3、B28-N28、B66-N66、B71-N71などを識別することができる。
【0036】
また、電子機器が現在独立したスタンドアロン(Standalone、SA)であるか、それともノンスタンドアロン(Non-Standalone、NSA)モードであるか、単一NRモードであるか、それとも5Gキャリアアグリゲーション(New Radio-Carrier Aggregation、NR-CA)モードであるかを識別する。NSAモードである場合、LTEとNRとのデュアルコネクティビティ(E-UTRA-NR-Dual Connectivity、EN-DC)におけるLTEとNR周波数帯域ポイント情報を収集する必要があり、NR-CAモードである場合、NR-CAの周波数帯域周波数ポイント情報、例えばN3-N78が必要であり、4Gロングタームエボリューション(Long Term Evolution-Carrier Aggregation、LTE-CA)プラスDCモードである場合、LTE-CA及びNRの周波数帯域周波数ポイント情報、例えばB1-B3-N3-N78などを同時に収集する必要がある。認識結果をメモリに記憶し、さらに干渉認識及び分類を実行する補助参考値とする。
【0037】
ステップ202において、識別されたダイナミック周波数スペクトル共有の周波数帯域組合せに基づいて、ダイナミック周波数スペクトル共有DSSの干渉が存在するか否かを判断する。認識結果が、ダイナミック周波数スペクトル共有の周波数帯域組合せが存在しないというものである場合、DSSの干渉が存在しないことを意味し、本フローを直ちに終了し、ダイナミック周波数スペクトル共有の周波数帯域組合せが存在するというものである場合、DSSの干渉が存在する可能性があることを意味し、ステップ203に進み、リアルタイムに検出された無線周波数性能パラメータ及び通信性能パラメータに基づいて、干渉が存在するか否かを判断する。
【0038】
一例では、リアルタイムの無線周波数性能パラメータ及び通信性能パラメータを取得する前に、第1の通信ネットワーク及び第2の通信ネットワークが現在共有の周波数スペクトル状態を検出し、ここで、第1の通信ネットワークはLETであってもよく、第2の通信ネットワークはNRであってもよい。LTEとNRに現在共有周波数スペクトルが存在しない場合、後続のDSS用の干渉防止処理を行う必要がなく、LTEとNRが現在共有している周波数スペクトルが同時に動作していないか、又は、周波数スペクトル間隔(例えば、それぞれ高低チャネル範囲にある)が存在する場合、干渉状態は既知であり、予め設定された干渉防止パラメータを呼び出して処理すればよく、リアルタイム無線周波数性能パラメータ及び通信性能パラメータを取得して判断、分類及び対応する干渉防止処理に用いる必要がない。LTE及びNRに現在共有の周波数スペクトルが存在し、且つLTE及びNRが現在共有する周波数スペクトルに周波数スペクトル間隔が存在する場合、即ち、LTE及びNRに干渉が存在する可能性があり、且つ該干渉状態が既知でなく、制御不能であるため、リアルタイムの無線周波数性能パラメータ及び通信性能パラメータを取得し、後続の判断、分類及び対応干渉防止処理を行う必要がある。該ステップにより、所定の制御可能な干渉を識別することができ、制御可能な干渉に対する処理は、計算プロセスを減少させて、処理効率を向上させ、ユーザ体験を向上させることに用いられる。
【0039】
本実施形態におけるDSS状態でのシステムブロック概略は
図7に示す通りであり、そのうち、共有検出モジュールL1は、共有報告情報に基づいて、ダイナミック周波数スペクトル共有の周波数帯域組合せ及び動作モードを識別するために用いられ、DSS干渉検出モジュールL2は、無線周波数性能パラメータ及び通信性能パラメータに基づいて、DSSの干渉が存在するか否かを判断するために用いられ、DSS干渉分類モジュールL3は、無線周波数性能パラメータ及び通信性能パラメータに基づいて、干渉を分類するために用いられ、予備干渉調整モジュールL4は、予め設定された干渉防止パラメータ処理が既知の比較的簡単な干渉状態を呼び出すために用いられ、リアルタイム計算調整モジュールL5は、取得されたリアルタイム無線周波数性能パラメータ及び通信性能パラメータに基づいて、計算分析を行うとともに、対応する干渉防止処理モジュールを呼び出して対応処理を行うために用いられ、共有チャネル制約干渉防止モジュールL6は、チャネルに対して制約調整を行い、ダイナミックパワー制御干渉防止モジュールL7は、スプリアス干渉を処理するために用いられ、変調パラメータ調整干渉防止モジュールL8は、高調波干渉及び相互変調干渉を処理するために用いられ、同時に、パラメータ記憶モジュール(図示せず)は、各演算判断モジュールに接続され、干渉防止処理のプロセスにパラメータサポートを提供する。
【0040】
具体的には、パラメータ記憶モジュールは、NRとLTEとの異なる周波数スペクトル重複モードにおける異なる無線周波数送受信指標値及び電界測定指標値、即ち、ダイナミック周波数スペクトル共有モードにおける指標パラメータ値と、NRチャネルを高中低HML 3段に分割し、又は、ランダムアクセス4G 5Gデュアルコネクティビティ(EUTRA-NR Dual Connectivity、ENDC)における干渉劣化度に基づいて、ABCDEF多段に分割するような異なるチャネル範囲内のNR無線周波数指標値と、非ダイナミックパワー共有モードにおける、異なる目標送信パワーの送信指標値、及びダイナミックパワー共有モードにおける送信指標値と、異なるRB数、MCS、タイムスロットSLOTにおける送信指標値、及び異なる受信ゲイン及び受信レベルにおけるスループット及びビットエラー値等の異なる変調係数と、を含む。予備干渉調整モジュールL4、共有チャネル制約干渉防止モジュールL6、ダイナミックパワー制御干渉防止モジュールL7及び変調パラメータ調整干渉防止モジュールL8は、パラメータ記憶モジュールに記憶されたパラメータに基づいて、干渉防止処理を行うことができる。
【0041】
予備干渉調整モジュールL4は、主にダイナミック共有が複雑でない状況での干渉防止調整に用いられる。NRが使用する周波数スペクトルのように、同じ時間帯に使用されるLTEは同時に動作せず、他のLTE周波数帯域で動作し、例えば、N3が動作する場合、B3は動作せず、B1のみが動作する。次に、B3とN3は同時に動作するが、異なる周波数スペクトル範囲にあり、B3は低チャネル範囲にあるが、N3は高チャネル範囲にあり、両者の間に一定の周波数スペクトル間隔が存在する。これらの間の干渉状態は既知であり、即ち、予備干渉調整モジュールL4を呼び出し、LTEとNRを異なる周波数スペクトル範囲内に制限し、又はL6~L8の干渉防止処理モジュールを呼び出して調整最適化を行う。
【0042】
リアルタイム計算調整モジュールL5は、L4、L6からL8の各干渉防止処理モジュールに接続され、主にダイナミック共有の状況での干渉防止調整を計算するために用いられる。NRとLTEが同じ周波数帯域インターリーブでの周波数スペクトル共有である場合、位置する周波数点はダイナミック変化するものであり、分割及び予備処理が困難であり、この場合、リアルタイムの計算調整モジュールを呼び出し、現在の干渉に対してリアルタイム監視計算を行い、計算結果をパラメータ記憶モジュールにリアルタイムに更新し、同時にL6~L8の干渉防止処理モジュールも呼び出して調整最適化を行う必要がある。
【0043】
本実施形態において、先ず、第1の通信ネットワーク及び第2の通信ネットワークに現在共有の周波数スペクトルが存在するか否かを検出し、周波数スペクトル共有が存在すると判断した後、さらにリアルタイムパラメータを受信して干渉が存在するか否かを判断し、及び干渉防止処理を行う。無用な受信DSSパラメータ及び干渉判断を行うプロセスを回避し、装置が干渉防止処理のためのシステムリソース占用を減少させることに用いられる。
【0044】
上記の各方法のステップ分割は、明確に説明するために過ぎず、実現時に1つのステップに統合したり、又はいくつかのステップを分割して、複数のステップに分解したりすることができ、同じ論理関係を含む限り、本特許の保護範囲内にある。アルゴリズムにおいても又はプロセスにおいても、重要ではない修正を追加したり、又は、重要ではない設計を導入したりできるが、アルゴリズムやプロセスを変更しないコア設計は、いずれも該特許の保護範囲内にある。
【0045】
本願の第3の実施形態は、
図8に示すように、DSS用の干渉防止装置に関し、
リアルタイムの無線周波数性能パラメータ及び通信性能パラメータを取得するための取得モジュール301と、
無線周波数性能パラメータ及び通信性能パラメータに基づいて、ダイナミック周波数スペクトルに共有DSSの干渉が存在するか否かを判断するための判断モジュール302と、
干渉が存在する場合、無線周波数性能パラメータ及び通信性能パラメータに基づいて、干渉を分類するための分類モジュール303と、
分類結果に基づいて、異なるタイプの干渉に対して対応する干渉防止処理を実行するための処理モジュール304と、を含む。
【0046】
取得モジュール301に対して、一例において、リアルタイムの無線周波数性能パラメータ及び通信性能パラメータを取得する前に、第1の通信ネットワーク及び第2の通信ネットワークに現在共有の周波数スペクトルが存在するか否かを検出し、第1の通信ネットワーク及び第2の通信ネットワークに現在共有の周波数スペクトルが存在し、且つ第1の通信ネットワーク及び第2の通信ネットワークが共有の周波数スペクトルに周波数スペクトル間隔が存在しない場合、リアルタイムの無線周波数性能パラメータ及び通信性能パラメータの取得を実行する。
【0047】
判断モジュール302に対して、一例において、無線周波数性能パラメータ及び通信性能パラメータに基づいて、予め設定されたDSS無干渉での無線周波数性能指標及び通信性能指標閾値を比較して、DSSの干渉が存在するか否かを判断する。
【0048】
分類モジュール303に対して、一例において、第1の通信ネットワーク及び第2の通信ネットワークの周波数点情報及び臨界チャネル抑圧比ACLRに基づいて、干渉を分類し、ここで、干渉のタイプには、高調波干渉、相互変調干渉、スプリアス干渉が含まれ、第2の通信ネットワークのネットワーク速度は、第1の通信ネットワークのネットワーク速度よりも大きい。
【0049】
処理モジュール304に対して、DSSにおけるダイナミックパワーを調整し、例えば、第1の通信ネットワーク及び第2の通信ネットワークの現在の送信パワーを検出し、第1の通信ネットワークの現在の送信パワーと第1の通信ネットワークの最大の送信パワーとの差が所定の第1閾値より小さい場合、第1の通信ネットワークの現在の送信パワーを低減して、第2の通信ネットワークの現在の送信パワーを向上させ、第2の通信ネットワークの現在の送信パワーと第2の通信ネットワークの最大の送信パワーの差が所定の第2閾値より小さい場合、第2の通信ネットワークの現在の送信パワーを低減して、第1の通信ネットワークの現在の送信パワーを向上させる。
【0050】
適応変調パラメータを調整する際、例えば、現在のSCSが直交しているか否かを検出し、SCSが直交していない場合、第2の通信ネットワークのSCSを第1の通信ネットワークのSCSと直交するように調整し、ここで、SCSの調整が失敗、又はSCSが直交に調整されても干渉がある場合、第2の通信ネットワークの適応変調パラメータを調整する。
【0051】
前記干渉がチャネル干渉である場合、チャネル制約アルゴリズムに基づいて、共有チャネルに対して制約調整を行い、前記チャネル干渉は、チャネル周波数点と重複又は隣接する。
【0052】
本実施形態において、ダイナミック周波数スペクトル共有プロセスによって生じた干渉に対して、無線周波数指標に基づいて干渉を分類し、分類結果に基づいて対応する処理を実行し、周波数スペクトルの利用率を低下させない前提で、干渉防止処理をより的確にし、干渉防止処理効率を向上させる。同時に、無線周波数性能パラメータ及び通信性能パラメータがリアルタイム取得値であるため、干渉防止処理を行った後にリアルタイムフィードバックを取得することができ、依然として干渉が存在するか否かをチェックし、干渉防止処理の完成度を保証する。つまり、本願の実施形態は、DSSプロセスにおける現在の5G端末の自己干渉問題を解決することができ、2/3/4G及び5G NRのスペクトル干渉防止性能を向上させ、ダイナミック過程における衝突又は干渉による送信指標の劣化を防止し、大きなビットエラーコードを受信し、さらに端末5Gピークアップロード及びダウンロードスループットの性能効果を向上させることができる。
【0053】
本実施形態は、上記実施形態に対応するシステム実施例であり、本実施形態は、上記実施形態と相互に協力して実施することができることを理解するのは容易である。上記実施形態で言及された関連技術の詳細は、本実施形態において依然として有効であり、重複を減少させるために、ここでは説明を省略する。相応に、本実施形態で言及される関連技術の詳細は、上記の実施形態にも適用され得る。
【0054】
なお、本実施形態に係る各モジュールは、いずれも論理モジュールであり、実際の応用において、1つの論理ユニットは、1つの物理ユニットであってもよく、1つの物理ユニットの一部であってもよく、さらに複数の物理ユニットの組合わせで実現されてもよい。また、本発明の新規部分を強調するために、本実施形態では、本願で提出された技術問題を解決するのにあまり深く関係しないユニットを導入していないが、これは本実施形態に他のユニットが存在しないことを示すものではない。
【0055】
本願の第4の実施形態は電子機器に関し、
図9に示すように、少なくとも1つのプロセッサ401と、前記少なくとも1つのプロセッサ401と通信接続されるメモリ402と、を含み、ここで、前記メモリは、前記少なくとも1つのプロセッサによって実行可能な指令を記憶し、前記指令は、前記少なくとも1つのプロセッサが、上記のDSS用の干渉防止方法を実行できるように、前記少なくとも1つのプロセッサによって実行される。
【0056】
メモリとプロセッサはバス方式で接続され、バスは任意の数の相互接続されたバス及びブリッジを含み、バスは1つ又は複数のプロセッサとメモリの各種回路を接続する。バスは、周辺機器、レギュレーター、及び電力管理回路などのような各種の他の回路を接続してもよく、これらはいずれも本分野で公知であるため、ここではそれらについてさらに説明しない。バスインターフェースは、バスと送受信機との間にインターフェースを提供する。送受信機は、1つの部品であってもよく、複数の受信機及び送信機などの複数の部品であってもよく、伝送媒体上で各種の他の装置と通信するためのユニットを提供する。プロセッサで処理されたデータは、アンテナを介して無線媒体で伝送され、さらに、アンテナはデータを受信してデータをプロセッサに伝送する。
【0057】
プロセッサは、バス及び通常の処理を管理し、タイミング、周辺インタフェース、電圧調整、電源管理及び他の制御機能を含む様々な機能を提供してもよい。メモリは、プロセッサが動作を実行するときに使用されるデータを記憶するように構成されてもよい。
【0058】
本願の第5の実施形態は、プロセッサによって実行される際に、上記方法の実施形態を実行するコンピュータプログラムが記憶されるコンピュータ可読記憶媒体に関する。
即ち、当業者であれば、上記実施形態の方法における全部又は一部のステップは、プログラムによって関連するハードウェアを指令することによって完成することができ、当該プログラムは、1つの記憶媒体に記憶され、1つの装置(ワンチップマイクロコンピュータ、チップなどであってもよい)又はプロセッサ(processor)に本願の各実施形態に記載の方法の全部又は一部のステップを実行させるためのいくつかの命令を含むことを理解できる。前記記憶媒体は、USBディスク、モバイルハードディスク、読み取り専用メモリ(ROM、Read-Only Memory)、ランダムアクセスメモリ(RAM、Random Access Memory)、磁気ディスク又は光ディスクなどのプログラムコードを記憶できる各種の媒体を含む。
【0059】
上記各実施形態は、本願の具体的な実施例を実現するものであり、実際の応用において、本願の精神及び範囲から逸脱しない限り、形式上の及び詳細な変更が可能であることを当業者であれば理解するであろう。
【国際調査報告】