(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-17
(54)【発明の名称】操作されたT細胞
(51)【国際特許分類】
C12N 15/23 20060101AFI20240110BHJP
C12N 15/11 20060101ALI20240110BHJP
C12N 15/12 20060101ALI20240110BHJP
C12N 15/13 20060101ALI20240110BHJP
C12N 15/62 20060101ALI20240110BHJP
C12N 5/10 20060101ALI20240110BHJP
A61K 35/17 20150101ALI20240110BHJP
A61P 37/06 20060101ALI20240110BHJP
A61P 37/02 20060101ALI20240110BHJP
A61P 1/04 20060101ALI20240110BHJP
A61P 19/02 20060101ALI20240110BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20240110BHJP
A61P 17/06 20060101ALI20240110BHJP
A61P 25/00 20060101ALI20240110BHJP
A61P 3/10 20060101ALI20240110BHJP
C12N 5/0783 20100101ALN20240110BHJP
【FI】
C12N15/23 ZNA
C12N15/11 Z
C12N15/12
C12N15/13
C12N15/62 Z
C12N5/10
A61K35/17
A61P37/06
A61P37/02
A61P1/04
A61P19/02
A61P29/00 101
A61P17/06
A61P25/00
A61P3/10
C12N5/0783
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023539978
(86)(22)【出願日】2021-12-29
(85)【翻訳文提出日】2023-08-15
(86)【国際出願番号】 US2021065524
(87)【国際公開番号】W WO2022147133
(87)【国際公開日】2022-07-07
(32)【優先日】2020-12-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518196169
【氏名又は名称】インテリア セラピューティクス,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100131990
【氏名又は名称】大野 玲恵
(72)【発明者】
【氏名】ルドゥリエ,クリストファー
【テーマコード(参考)】
4B065
4C087
【Fターム(参考)】
4B065AA90X
4B065AB01
4B065AC14
4B065BA02
4B065CA24
4B065CA25
4B065CA44
4C087AA01
4C087AA02
4C087BB37
4C087BB65
4C087NA14
4C087ZA01
4C087ZA68
4C087ZA89
4C087ZA96
4C087ZB07
4C087ZB09
4C087ZB15
4C087ZC35
(57)【要約】
本開示は、IFNGをコードする内在性核酸配列の修飾(例えば、ノックダウン)、TNFAをコードする内在性核酸配列の修飾(例えば、ノックダウン)、及び調節性T細胞促進分子をコードする配列(複数可)の挿入を含むように操作されたT細胞、ならびにその組成物及び使用に関する。
【選択図】
図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作されたT細胞であって、
i)プロモーター配列の制御下にある調節性T細胞促進分子をコードする異種核酸と、
ii)インターフェロン-ガンマ(IFNG)をコードする内在性核酸配列の修飾であって、前記IFNGの発現をノックダウンする、前記修飾と、
iii)腫瘍壊死因子アルファ(TNFA)をコードする内在性核酸配列の修飾であって、前記TNFAの発現をノックダウンする、前記修飾とを含む、前記操作されたT細胞。
【請求項2】
前記調節性T細胞促進分子が、インターロイキン-10(IL10)、細胞傷害性Tリンパ球関連タンパク質4(CTLA4)、形質転換成長因子ベータ1(TGFB1)、インドールアミン2,3-ジオキシゲナーゼ1(IDO1)、エクトヌクレオシド三リン酸ジホスホヒドラーゼ1(ENTPD1)、5’-ヌクレオチダーゼエクト(NT5E)、インターロイキン-22(IL-22)、アンフィレグリン(AREG)、インターロイキン-35(IL35)、GARP、CD274分子(CD274)、フォークヘッドボックスP3(FOXP3)、IKAROSファミリージンクフィンガー2(IKZF2)、家族性好酸球増加症(EOS)、インターフェロン調節因子4(IRF4)、リンパ系エンハンサー結合因子1(LEF1)、ならびにBTBドメイン及びCNCホモログ2(BACH2)から選択される、請求項1に記載の操作されたT細胞。
【請求項3】
前記調節性T細胞促進分子がIL10である、請求項1または2に記載の操作されたT細胞。
【請求項4】
前記調節性T細胞促進分子がCTLA4である、請求項1~2に記載の操作されたT細胞。
【請求項5】
前記調節性T細胞促進分子が第1の調節性T細胞促進分子であり、プロモーター配列の制御下にある第2の調節性T細胞促進分子をコードする異種核酸をさらに含む、請求項1~4のいずれかに記載の操作されたT細胞。
【請求項6】
前記第1及び前記第2の調節性T細胞促進分子がIL10及びCTLA4である、請求項5に記載の操作されたT細胞。
【請求項7】
インターロイキン17A(IL17A)、インターロイキン2(IL2)、インターロイキン6(IL6)、パーフォリン1(PRF1)、グランザイムA(GZMA)、またはグランザイムB(GZMB)をコードする内在性核酸配列の修飾をさらに含み、前記修飾が、それぞれ前記IL17A、前記IL2、前記IL6、前記PRF1、前記GZMA、または前記GZMBの発現をノックダウンする、請求項1~6のいずれか1項に記載の操作されたT細胞。
【請求項8】
内在性T細胞受容体(TCR)をコードする内在性核酸配列の修飾をさらに含み、前記修飾が前記内在性TCRの発現をノックダウンする、請求項1~7のいずれか1項に記載の操作されたT細胞。
【請求項9】
プロモーター配列の制御下にある標的化受容体のための異種コード配列をさらに含む、請求項1~8のいずれか1項に記載の操作されたT細胞。
【請求項10】
前記標的化受容体が、粘膜血管アドレシン細胞接着分子1(MADCAM1)、腫瘍壊死因子アルファ(TNFA)、CEA細胞接着分子6(CEACAM6)、血管細胞接着分子1(VCAM1)、シトルリン化ビメンチン、ミエリン塩基性タンパク質(MBP)、MOG(ミエリンオリゴデンドロサイト糖タンパク質)、プロテオリピドタンパク質1(PLP1)、CD19分子(CD19)、CD20分子(CD20)、TNF受容体スーパーファミリーメンバー17(TNFRSF17)、ジペプチジルペプチダーゼ様6(DPP6)、溶質輸送体ファミリー2メンバー2(SCL2A2)、グルタミン酸デカルボキシラーゼ(GAD2)、デスモグレイン3(DSG3)、及びMHCクラスI HLA-A(HLA-A*02)から選択されるリガンドに対し標的化される、請求項9に記載の操作されたT細胞。
【請求項11】
前記標的化受容体が、キメラ抗原受容体(CAR)またはT細胞受容体(TCR)を含む、請求項9または10に記載の操作されたT細胞。
【請求項12】
前記標的化受容体をコードする前記異種核酸が、発現コンストラクトに組み込まれている、請求項9~11のいずれか1項に記載の操作されたT細胞。
【請求項13】
標的化受容体をコードする前記異種核酸が、調節性T細胞促進分子をコードする核酸を含まない発現コンストラクト内にある、請求項9~12のいずれか1項に記載の操作されたT細胞。
【請求項14】
前記第1の調節性T細胞促進分子をコードする前記異種核酸が発現コンストラクトに組み込まれ、前記第2の調節性T細胞促進分子をコードする前記異種核酸が発現コンストラクトに組み込まれている、請求項5~13のいずれか1項に記載の操作されたT細胞。
【請求項15】
前記第1の調節性T細胞促進分子をコードする前記異種核酸及び前記第2の調節性T細胞促進分子をコードする前記異種核酸が、別々の発現コンストラクトに組み込まれている、請求項5~14のいずれか1項に記載の操作されたT細胞。
【請求項16】
前記第1の調節性T細胞促進分子をコードする前記異種核酸及び前記第2の調節性T細胞促進分子をコードする前記異種核酸が、単一の発現コンストラクトに組み込まれている、請求項13または14に記載の操作されたT細胞。
【請求項17】
前記発現コンストラクトが、標的化受容体をコードする核酸をさらに含む、請求項12または14~16に記載の操作されたT細胞。
【請求項18】
少なくとも1つの異種コード配列が、エピソーム発現コンストラクト内にある、請求項12~17のいずれか1項に記載の操作されたT細胞。
【請求項19】
少なくとも1つの異種コード配列が、ゲノム内に挿入されている、請求項1~17のいずれか1項に記載の操作されたT細胞。
【請求項20】
前記ゲノムへの前記挿入が非標的挿入である、請求項19に記載の操作されたT細胞。
【請求項21】
前記挿入が標的挿入である、請求項19に記載の操作されたT細胞。
【請求項22】
前記標的挿入が、TCR遺伝子座位、TNF遺伝子座位、IFNG遺伝子座位、IL17A遺伝子座位、IL6遺伝子座位、IL2遺伝子座位、アデノ随伴ウイルス統合部位1(AAVS1)座位から選択される部位内への挿入である、請求項21に記載の操作されたT細胞。
【請求項23】
前記TCR遺伝子座位がT細胞受容体アルファコンスタント(TRAC)座位である、請求項22に記載の操作されたT細胞。
【請求項24】
遺伝子の発現をノックダウンする前記修飾が、挿入、欠失、または置換のうちの1つ以上を含む、請求項1~23のいずれか1項に記載の操作されたT細胞。
【請求項25】
請求項1~24のいずれかに記載の操作されたT細胞を含む、細胞の集団。
【請求項26】
前記集団の細胞の少なくとも30%、好ましくは少なくとも40%が、プロモーター配列の制御下にある調節性T細胞促進分子をコードする異種核酸配列を含み、
前記集団の細胞の少なくとも50%、好ましくは少なくとも70%が、IFNGをコードする内在性核酸配列の修飾を含み、
前記集団の細胞の少なくとも50%、好ましくは少なくとも70%が、TNFAをコードする内在性核酸配列の修飾を含む、請求項1~24のいずれか1項に記載の操作されたT細胞の集団。
【請求項27】
挿入または修飾を含む細胞のパーセントが、次世代シークエンシング(NGS)によるリードのパーセントによって決定される、請求項26に記載の操作されたT細胞の集団。
【請求項28】
前記調節性T細胞促進分子が、インターロイキン-10(IL10)、細胞傷害性Tリンパ球関連タンパク質4(CTLA4)、形質転換成長因子ベータ1(TGFB1)、インドールアミン2,3-ジオキシゲナーゼ1(IDO1)、エクトヌクレオシド三リン酸ジホスホヒドラーゼ1(ENTPD1)、5’-ヌクレオチダーゼエクト(NT5E)、インターロイキン-22(IL22)、アンフィレグリン(AREG)、フォークヘッドボックスP3(FOXP3)、IKAROSファミリージンクフィンガー2(IKZF2)、家族性好酸球増加症(EOS)、インターフェロン調節因子4(IRF4)、リンパ系エンハンサー結合因子1(LEF1)、ならびにBTBドメイン及びCNCホモログ2(BACH2)から選択される、請求項26または27に記載の操作されたT細胞の集団。
【請求項29】
前記調節性T細胞促進分子がIL10である、請求項26~28のいずれか1項に記載の操作されたT細胞の集団。
【請求項30】
前記調節性T細胞促進分子がCTLA4である、請求項26~29のいずれか1項に記載の操作されたT細胞の集団。
【請求項31】
前記調節性T細胞促進分子が第1の調節性T細胞促進分子であり、プロモーター配列の制御下にある第2の調節性T細胞促進分子をコードする異種核酸をさらに含む、請求項26~30のいずれかに記載の操作されたT細胞の集団。
【請求項32】
前記第1及び前記第2の調節性T細胞促進分子がIL10及びCTLA4である、請求項31に記載の操作されたT細胞。
【請求項33】
インターロイキン17A(IL17A)、インターロイキン6(IL6)、インターロイキン2(IL2)、パーフォリン1(PRF1)、グランザイムA(GZMA)、またはグランザイムB(GZMB)をコードする少なくとも1つの内在性核酸配列の修飾をさらに含み、前記細胞の集団が、前記細胞の集団の少なくとも70%、好ましくは前記細胞の集団の少なくとも80%において、それぞれ前記IL17A、前記IL6、前記IL2、前記PRF1、前記GZMA、または前記GZMBの少なくとも1つの修飾を含み、前記修飾が、それぞれ前記IL17A、前記IL6、前記IL2、前記PRF1、前記GZMA、または前記GZMBの前記少なくとも1つの発現をノックダウンする、請求項26~32のいずれか1項に記載の操作されたT細胞の集団。
【請求項34】
前記細胞の少なくとも50%、好ましくは少なくとも70%がTCRのノックダウンを含む、請求項26~33のいずれか1項に記載の操作されたT細胞の集団。
【請求項35】
前記細胞の少なくとも30%、好ましくは少なくとも40%が標的化受容体の核酸コード配列の挿入を含む、請求項26~34のいずれか1項に記載の操作されたT細胞の集団。
【請求項36】
前記標的化受容体が、粘膜血管アドレシン細胞接着分子1(MADCAM1)、腫瘍壊死因子アルファ(TNFA)、CEA細胞接着分子6(CEACAM6)、血管細胞接着分子1(VCAM1)、シトルリン化ビメンチン、ミエリン塩基性タンパク質(MBP)、MOG(ミエリンオリゴデンドロサイト糖タンパク質)、プロテオリピドタンパク質1(PLP1)、CD19分子(CD19)、CD20分子(CD20)、TNF受容体スーパーファミリーメンバー17(TNFRSF17)、ジペプチジルペプチダーゼ様6(DPP6)、溶質輸送体ファミリー2メンバー2(SCL2A2)、グルタミン酸デカルボキシラーゼ(GAD2)、デスモグレイン3(DSG3)、及びMHCクラスI HLA-A(HLA-A*02)から選択されるリガンドに特異的に結合する、請求項35に記載の操作されたT細胞の集団。
【請求項37】
前記標的化受容体が、キメラ抗原受容体(CAR)またはT細胞受容体(TCR)を含む、請求項35または36に記載の操作されたT細胞の集団。
【請求項38】
前記標的受容体をコードする前記異種核酸が、発現コンストラクトに組み込まれている、請求項35~37のいずれか1項に記載の操作されたT細胞の集団。
【請求項39】
標的化受容体をコードする前記異種核酸が、調節性T細胞促進分子をコードする核酸を含まない発現コンストラクト内にある、請求項38に記載の操作されたT細胞の集団。
【請求項40】
第1の前記少なくとも1つの調節性T細胞促進分子をコードする前記異種核酸が発現コンストラクトに組み込まれ、第2の前記少なくとも1つの調節性T細胞促進分子をコードする前記異種核酸が発現コンストラクトに組み込まれている、請求項26~39のいずれか1項に記載の操作されたT細胞の集団。
【請求項41】
前記第1の調節性T細胞促進分子をコードする前記異種核酸及び前記第2の調節性T細胞促進分子をコードする前記異種核酸が、別々の発現コンストラクトに組み込まれている、請求項40に記載の操作されたT細胞の集団。
【請求項42】
前記第1の調節性T細胞促進分子をコードする前記異種核酸及び前記第2の調節性T細胞促進分子をコードする前記異種核酸が、単一の発現コンストラクトに組み込まれている、請求項40に記載の操作されたT細胞の集団。
【請求項43】
発現コンストラクトが、標的化受容体をコードする核酸をさらに含む、請求項38または40~42に記載の操作されたT細胞の集団。
【請求項44】
少なくとも1つの異種コード配列が、エピソーム発現コンストラクト内にある、請求項26~43のいずれか1項に記載の操作されたT細胞の集団。
【請求項45】
少なくとも1つの異種コード配列が、ゲノム内に挿入されている、請求項26~44のいずれか1項に記載の操作されたT細胞の集団。
【請求項46】
前記ゲノムへの前記挿入が非標的挿入である、請求項45に記載の操作されたT細胞の集団。
【請求項47】
前記挿入が標的挿入である、請求項45に記載の操作されたT細胞の集団。
【請求項48】
前記標的挿入が、TCR遺伝子座位、TNF遺伝子座位、IL2遺伝子座位、IL6遺伝子座位、IL17A遺伝子座位、IFNG遺伝子座位、アデノ随伴ウイルス統合部位1(AAVS1)座位から選択される部位内への挿入である、請求項47に記載の操作されたT細胞の集団。
【請求項49】
前記TCR遺伝子座位がT細胞受容体アルファコンスタント(TRAC)座位である、請求項48に記載の操作されたT細胞の集団。
【請求項50】
遺伝子の発現をノックダウンする前記修飾が、挿入、欠失、または置換のうちの1つ以上を含む、請求項26~49に記載の操作されたT細胞の集団。
【請求項51】
請求項1~24に記載の操作されたT細胞または請求項25~50に記載の操作されたT細胞の集団のいずれかを含む、医薬組成物。
【請求項52】
請求項1~24のいずれか1項に記載の細胞、請求項25~50のいずれか1項に記載の細胞の集団、または請求項51に記載の医薬組成物を、対象に投与する方法または使用。
【請求項53】
前記対象が免疫抑制を必要とする、請求項52に記載の方法または使用。
【請求項54】
免疫障害の治療のための、請求項52または53に記載の方法または使用。
【請求項55】
自己免疫疾患の治療のための、請求項52~54のいずれか1項に記載の方法または使用。
【請求項56】
前記自己免疫疾患が、潰瘍性大腸炎、クローン病、関節リウマチ、乾癬、多発性硬化症、全身性エリテマトーデス、及び1型糖尿病から選択される、請求項55に記載の方法または使用。
【請求項57】
移植片対宿主病(GvHD)の治療のための、請求項52~54のいずれか1項に記載の方法または使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
配列表
本出願は、ASCII形式で電子的に提出された配列表を含み、当該配列表の全体が参照により本明細書に援用される。当該ASCIIコピーは2021年12月28日に作成され、名称は12793_0030-00304_SL.txt、サイズは120,061バイトである。
【0002】
関連出願
本出願は、2020年12月30日に出願された米国仮出願第63/131,987号を参照により本明細書に援用するものであり、その内容全体が、参照により本明細書に明示的に援用される。
【背景技術】
【0003】
適応免疫は、それによって身体が外来性病原体を排除することができる防御機構である。T細胞は、この免疫応答を媒介可能な免疫細胞である。T細胞受容体(TCR)は、抗原を認識可能なT細胞の表面にあるタンパク質複合体である。T細胞の多様性は、TCRアルファ及びベータ座位の再編成に由来する。
【0004】
適応免疫の特徴の1つは、「自己」及び「非自己」の抗原を区別する能力である。自己免疫及び自己炎症性障害は、「自己」抗原に対する病的な免疫応答を特徴とする。いくつかのTCRアルファ及びベータ座位の再編成は、自己反応性T細胞を生成する。Owen et al.,Regulatory T Cell Development in the Thymus,J Immunol 203(8)(2019)。多くの自己反応性T細胞は胸腺のクローン欠失によって排除されるが、他の細胞はクローン欠失を免れ、有害な免疫応答を誘発することがある。同上。調節性T細胞(Treg)と呼ばれる特化型のT細胞は、「自己」寛容にとって重要である。同上。Tregは、(例えば、移植片対宿主病における)過剰な免疫応答、自己免疫応答、及び望ましくない免疫応答を抑制することが可能である。同上。Tregの調節不全(例えば、Tregの数が十分でない場合、またはTregが適切に機能していない場合)は、自己免疫応答に寄与し得る。同上。
【0005】
自己免疫障害を治療するための現在の治療法は、適応免疫プロセスまたは免疫細胞の活性化の抑制を目的としている。これらの治療法は、有害な免疫応答(例えば、自己免疫応答)を抑制し得る一方で、有益な免疫応答も抑制することがある。Treg療法は、造血幹細胞移植後にドナー細胞が宿主組織への免疫攻撃を媒介する移植片対宿主病(GvHD)を含めて、種々の疾患における抗原特異的免疫応答を抑制するために使用されている。Pierini et al.,T Cells Expressing Chimeric Antigen Receptor Promoter Immune Tolerance,JCI Insight 2(20)(2017)。しかし、「Tregベース療法の臨床実施には、まだ大きな課題が存在する」。同上。したがって、免疫応答(複数可)(炎症及び自己免疫を含む)を抑制するための、有効なT細胞療法(Treg療法を含む)が依然として必要とされている。
【発明の概要】
【0006】
本開示は、プロモーター配列の制御下にある調節性T細胞促進分子をコードする異種核酸と、インターフェロン-ガンマ(IFNG)をコードする内在性核酸配列の修飾であって、IFNGの発現をノックダウンする修飾と、腫瘍壊死因子アルファ(TNFA)をコードする内在性核酸配列の修飾であって、TNFAの発現をノックダウンする修飾とを含むように操作された、T細胞またはT細胞の集団、ならびにその組成物及び使用を、例えば、炎症及び自己免疫を含めた免疫応答(複数可)を抑制するために、提供する。いくつかの実施形態において、調節性T細胞促進分子は、インターロイキン-10(IL10)、細胞傷害性Tリンパ球関連タンパク質4(CTLA4)、形質転換成長因子ベータ1(TGFB1)、インドールアミン2,3-ジオキシゲナーゼ1(IDO1)、エクトヌクレオシド三リン酸ジホスホヒドラーゼ1(ENTPD1)、5’-ヌクレオチダーゼエクト(NT5E)、インターロイキン-22(IL-22)、アンフィレグリン(AREG)、インターロイキン-35(IL35)、GARP、CD274分子(CD274)、フォークヘッドボックスP3(FOXP3)、IKAROSファミリージンクフィンガー2(IKZF2)、家族性好酸球増加症(EOS)、インターフェロン調節因子4(IRF4)、リンパ系エンハンサー結合因子1(LEF1)、ならびにBTBドメイン及びCNCホモログ2(BACH2)から選択される。
【0007】
いくつかの実施形態において、T細胞またはT細胞の集団は、プロモーター配列の制御下にあるIL10をコードする異種核酸と、IFNGをコードする内在性核酸配列の修飾であって、IFNGの発現をノックダウンする修飾と、TNFAをコードする内在性核酸配列の修飾であって、TNFAの発現をノックダウンする修飾とを含むように操作される。
【0008】
いくつかの実施形態において、T細胞またはT細胞の集団は、プロモーター配列の制御下にあるCTLA4をコードする異種核酸と、IFNGをコードする内在性核酸配列の修飾であって、IFNGの発現をノックダウンする修飾と、TNFAをコードする内在性核酸配列の修飾であって、TNFAの発現をノックダウンする修飾とを含むように操作される。
【0009】
いくつかの実施形態において、T細胞またはT細胞の集団は、各々プロモーター配列の制御下にあるIL10及びCTLA4をコードする異種核酸配列と、IFNGをコードする内在性核酸配列の修飾であって、IFNGの発現をノックダウンする修飾と、TNFAをコードする内在性核酸配列の修飾であって、TNFAの発現をノックダウンする修飾とを含むように操作される。
【0010】
いくつかの実施形態において、T細胞またはT細胞の集団は、インターロイキン17A(IL17A)、インターロイキン2(IL2)、インターロイキン6(IL6)、パーフォリン1(PRF1)、グランザイムA(GZMA)、またはグランザイムB(GZMB)をコードする内在性核酸配列の修飾(例えば、ノックダウン)を含むようにさらに操作される。
【0011】
いくつかの実施形態において、T細胞またはT細胞の集団は、内在性T細胞受容体(TCR)をコードする内在性核酸配列の修飾(例えば、ノックダウン)を含むようにさらに操作される。
【0012】
いくつかの実施形態において、T細胞またはT細胞の集団は、プロモーター配列の制御下にある標的化受容体のための異種コード配列を含むようにさらに操作される。いくつかの実施形態において、標的化受容体は、キメラ抗原受容体(CAR)またはT細胞受容体(TCR)を含む。いくつかの実施形態において、標的化受容体は、粘膜血管アドレシン細胞接着分子1(MADCAM1)、腫瘍壊死因子アルファ(TNFA)、CEA細胞接着分子6(CEACAM6)、血管細胞接着分子1(VCAM1)、シトルリン化ビメンチン、ミエリン塩基性タンパク質(MBP)、MOG(ミエリンオリゴデンドロサイト糖タンパク質)、プロテオリピドタンパク質1(PLP1)、CD19分子(CD19)、CD20分子(CD20)、TNF受容体スーパーファミリーメンバー17(TNFRSF17)、ジペプチジルペプチダーゼ様6(DPP6)、溶質輸送体ファミリー2メンバー2(SCL2A2)、グルタミン酸デカルボキシラーゼ(GAD2)、デスモグレイン3(DSG3)、及びMHCクラスI HLA-A(HLA-A*02)から選択されるリガンドに対し標的化される。
【0013】
いくつかの実施形態において、T細胞の集団の少なくとも30%、35%、好ましくは少なくとも40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、または95%が、例えば、シークエンシング(例えば、NGS)による評価で、調節性T細胞促進分子をコードする配列の挿入を含む。いくつかの実施形態において、T細胞の集団の少なくとも50%、55%、60%、65%、好ましくは少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、または95%が、例えば、シークエンシング(例えば、NGS)による評価で、IFNG配列における修飾(例えば、ノックダウン)を含む。いくつかの実施形態において、T細胞の集団の少なくとも50%、55%、60%、65%、好ましくは少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、または95%が、例えば、シークエンシング(例えば、NGS)による評価で、TNFA配列における修飾(例えば、ノックダウン)を含む。いくつかの実施形態において、T細胞の集団の少なくとも50%、55%、60%、65%、好ましくは少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、または95%が、例えば、シークエンシング(例えば、NGS)による評価で、TCR配列における修飾(例えば、ノックダウン)を含む。いくつかの実施形態において、T細胞の集団の少なくとも40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、または95%が、例えば、シークエンシング(例えば、NGS)による評価で、標的化受容体(例えば、CAR)をコードする配列の挿入を含む。
【0014】
遺伝子の発現をノックダウンするための本明細書に記載の修飾は、挿入、欠失、または置換のうちの1つ以上を含むことができる。本明細書に記載の異種配列は、発現コンストラクト(複数可)に組み込むことができる。複数の異種配列は、1つの発現コンストラクトに組み込んでも、別々の発現コンストラクトに組み込んでもよい。本明細書に記載の異種配列は、エピソーム発現コンストラクト(複数可)に組み込むことができる。本明細書に記載の異種配列は、例えば、標的挿入または非標的挿入として、ゲノムに挿入することができる。いくつかの実施形態において、標的挿入は、TCR遺伝子座位、TNF遺伝子座位、IFNG遺伝子座位、IL17A遺伝子座位、IL6遺伝子座位、IL2遺伝子座位、アデノ随伴ウイルス統合部位1(AAVS1)座位から選択される部位内への挿入である。
【0015】
操作されたT細胞の医薬組成物及び使用も、本明細書で提供される。いくつかの実施形態において、操作されたT細胞及びその医薬組成物は、免疫抑制を必要とする対象に投与することができる。いくつかの実施形態において、操作されたT細胞及びその医薬組成物は、免疫障害または自己免疫疾患、例えば、潰瘍性大腸炎、クローン病、関節リウマチ、乾癬、多発性硬化症、全身性エリテマトーデス、1型糖尿病、及び移植片対宿主病(GvHD)の治療に有用であり得る。
【0016】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載の配列(複数可)の挿入または配列(複数可)の修飾(例えば、ノックダウン)は、RNA先導DNA結合剤(例えば、Casヌクレアーゼ)と組み合わせたガイドRNAによって媒介することができる。いくつかの実施形態において、本明細書に記載の配列(複数可)の挿入または配列(複数可)のノックダウンは、別の好適な遺伝子編集システム(例えば、ジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)システムまたは転写活性化因子様エフェクターヌクレアーゼ(TALEN)システム)によって媒介することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1A】非形質導入の、もしくは示されたコード配列の挿入で形質導入したCD3+CD4+細胞、またはCD3+CD4+CD25+nTregの蛍光染色の強度を示すフローサイトメトリーデータのヒストグラムである。形質導入T細胞または示された対照におけるCTLA発現の蛍光強度のヒストグラムである。
【
図1B】非形質導入の、もしくは示されたコード配列の挿入で形質導入したCD3+CD4+細胞、またはCD3+CD4+CD25+nTregの蛍光染色の強度を示すフローサイトメトリーデータのヒストグラムである。形質導入T細胞または示された対照におけるIL10発現の蛍光強度のヒストグラムである。
【
図1C】非形質導入の、もしくは示されたコード配列の挿入で形質導入したCD3+CD4+細胞、またはCD3+CD4+CD25+nTregの蛍光染色の強度を示すフローサイトメトリーデータのヒストグラムである。形質導入されたT細胞または示された対照におけるFoxp3発現の蛍光強度のヒストグラムである。
【
図1D】非形質導入の、もしくは示されたコード配列の挿入で形質導入したCD3+CD4+細胞、またはCD3+CD4+CD25+nTregの蛍光染色の強度を示すフローサイトメトリーデータのヒストグラムである。形質導入T細胞または示された対照におけるHelios発現の蛍光強度のヒストグラムである。
【
図1E】非形質導入の、もしくは示されたコード配列の挿入で形質導入したCD3+CD4+細胞、またはCD3+CD4+CD25+nTregの蛍光染色の強度を示すフローサイトメトリーデータのヒストグラムである。形質導入T細胞または示された対照におけるEos発現の蛍光強度のヒストグラムである。
【
図2】GvHDのマウスモデルからの結果を示すグラフである。Aは、示されたコード配列もしくは示された対照の挿入により形質導入したCD3+CD4+細胞、CD4+CD25+Treg、PBMCを注射した後、または細胞を注射しなかった場合(照射のみ)の生存日数を示す生存曲線である。Bは、示されているような形質導入CD3+CD4+細胞または対照を注射した後、屠殺時にマウスの脾臓から単離したヒトリンパ球の定量化を示すグラフである。
【
図3A】示されたコード配列または示された対照の挿入で形質導入した刺激CD3+CD4+細胞におけるin vitroサイトカインプロファイル解析の結果を示すグラフである。細胞刺激を行った際の形質導入T細胞または示された対照によるin vitroでのIL6産生を示している。
【
図3B】示されたコード配列または示された対照の挿入で形質導入した刺激CD3+CD4+細胞におけるin vitroサイトカインプロファイル解析の結果を示すグラフである。細胞刺激を行った際の形質導入T細胞または示された対照によるin vitroでのTNF-アルファ産生を示している。
【
図3C】示されたコード配列または示された対照の挿入で形質導入した刺激CD3+CD4+細胞におけるin vitroサイトカインプロファイル解析の結果を示すグラフである。細胞刺激を行った際の形質導入T細胞または示された対照によるin vitroでのIL10産生を示している。
【
図3D】示されたコード配列または示された対照の挿入で形質導入した刺激CD3+CD4+細胞におけるin vitroサイトカインプロファイル解析の結果を示すグラフである。細胞刺激を行った際の形質導入T細胞または示された対照によるin vitroでのIL13産生を示している。
【
図3E】示されたコード配列または示された対照の挿入で形質導入した刺激CD3+CD4+細胞におけるin vitroサイトカインプロファイル解析の結果を示すグラフである。細胞刺激を行った際の形質導入T細胞または示された対照によるin vitroでのIL2産生を示している。
【
図3F】示されたコード配列または示された対照の挿入で形質導入した刺激CD3+CD4+細胞におけるin vitroサイトカインプロファイル解析の結果を示すグラフである。細胞刺激を行った際の形質導入T細胞または示された対照によるin vitroでのIFN-ガンマ産生を示している。
【
図4】CTV標識T細胞及びCD-3枯渇PBMCを、示されたコード配列または示された対照の示された比率の挿入により形質導入したCD3+CD4+細胞と混合した混合リンパ球反応アッセイにおいて、CTV希釈により測定した、形質導入T細胞による細胞増殖のパーセント抑制を示すグラフである。
【
図5A】非形質導入の、あるいはIL10及びCTLA4のコード配列の挿入のみ(編集なし)で、またはIFNG及びTNFAの一方もしくは両方のノックアウト(KO)と組み合わせて形質導入したCD3+CD4+細胞、あるいはCD3+CD4+CD25+nTregの蛍光染色の強度を示すフローサイトメトリーデータのヒストグラムである。形質導入T細胞または示された対照におけるCTLA4発現の蛍光強度のヒストグラムである。
【
図5B】非形質導入の、あるいはIL10及びCTLA4のコード配列の挿入のみ(編集なし)で、またはIFNG及びTNFAの一方もしくは両方のノックアウト(KO)と組み合わせて形質導入したCD3+CD4+細胞、あるいはCD3+CD4+CD25+nTregの蛍光染色の強度を示すフローサイトメトリーデータのヒストグラムである。形質導入T細胞または示された対照におけるIL10発現の蛍光強度のヒストグラムである。
【
図5C】非形質導入の、あるいはIL10及びCTLA4のコード配列の挿入のみ(編集なし)で、またはIFNG及びTNFAの一方もしくは両方のノックアウト(KO)と組み合わせて形質導入したCD3+CD4+細胞、あるいはCD3+CD4+CD25+nTregの蛍光染色の強度を示すフローサイトメトリーデータのヒストグラムである。形質導入T細胞または示された対照におけるFOXP3発現の蛍光強度のヒストグラムである。
【
図5D】非形質導入の、あるいはIL10及びCTLA4のコード配列の挿入のみ(編集なし)で、またはIFNG及びTNFAの一方もしくは両方のノックアウト(KO)と組み合わせて形質導入したCD3+CD4+細胞、あるいはCD3+CD4+CD25+nTregの蛍光染色の強度を示すフローサイトメトリーデータのヒストグラムである。形質導入T細胞または示された対照におけるHelios発現の蛍光強度のヒストグラムである。
【
図5E】非形質導入の、あるいはIL10及びCTLA4のコード配列の挿入のみ(編集なし)で、またはIFNG及びTNFAの一方もしくは両方のノックアウト(KO)と組み合わせて形質導入したCD3+CD4+細胞、あるいはCD3+CD4+CD25+nTregの蛍光染色の強度を示すフローサイトメトリーデータのヒストグラムである。形質導入T細胞または示された対照におけるEos発現の蛍光強度のヒストグラムである。
【
図6A】GvHDのマウスモデルからの結果を示すグラフである。マウスにPBMC、非形質導入の、あるいはIL10及びCTLA4のコード配列の挿入のみ(編集なし)による、またはIFNG及びTNFAの一方もしくは両方の編集(KO)と組み合わせて形質導入したCD3+CD4+細胞、CD3+CD4+CD25+nTregを注射した後、あるいは細胞を注射しなかった(照射のみ)後の生存日数を示す生存曲線である。
【
図6B】GvHDのマウスモデルからの結果を示すグラフである。示されているような形質導入CD3+CD4+細胞または対照細胞を注射した後、屠殺時のマウスの脾臓から単離したヒトリンパ球の定量化を示すグラフである。
【
図7A】非形質導入の、あるいはIL10及びCTLA4のコード配列の挿入のみ(編集なし)またはIFNGもしくはTNFAの一方もしくは両方の編集(KO)と組み合わせて形質導入した刺激CD3+CD4+細胞、あるいはCD4+CD25+nTregにおけるin vitroでのサイトカインプロファイル解析の結果を示すグラフである。細胞刺激を行った際の形質導入T細胞または示された対照によるin vitroでのIL6産生を示している。
【
図7B】非形質導入の、あるいはIL10及びCTLA4のコード配列の挿入のみ(編集なし)またはIFNGもしくはTNFAの一方もしくは両方の編集(KO)と組み合わせて形質導入した刺激CD3+CD4+細胞、あるいはCD4+CD25+ nTregにおけるin vitroサイトカインプロファイル解析の結果を示すグラフである。細胞刺激を行った際の形質導入T細胞または示された対照によるin vitroでのTNF-アルファ産生を示している。
【
図7C】非形質導入の、あるいはIL10及びCTLA4のコード配列の挿入のみ(編集なし)またはIFNGもしくはTNFAの一方もしくは両方の編集(KO)と組み合わせて形質導入した刺激CD3+CD4+細胞、あるいはCD4+CD25+ nTregにおけるin vitroサイトカインプロファイル解析の結果を示すグラフである。細胞刺激を行った際の形質導入T細胞によるin vitroでのIL10産生を示す。
【
図7D】非形質導入の、あるいはIL10及びCTLA4のコード配列の挿入のみ(編集なし)またはIFNGもしくはTNFAの一方もしくは両方の編集(KO)と組み合わせて形質導入した刺激CD3+CD4+細胞、あるいはCD4+CD25+ nTregにおけるin vitroサイトカインプロファイル解析の結果を示すグラフである。細胞刺激を行った際の形質導入T細胞によるin vitroでのIL13産生を示す。
【
図7E】非形質導入の、あるいはIL10及びCTLA4のコード配列の挿入のみ(編集なし)またはIFNGもしくはTNFAの一方もしくは両方の編集(KO)と組み合わせて形質導入した刺激CD3+CD4+細胞、あるいはCD4+CD25+ nTregにおけるin vitroサイトカインプロファイル解析の結果を示すグラフである。細胞刺激を行った際の形質導入T細胞によるin vitroでのIL2産生を示す。
【
図7F】非形質導入の、あるいはIL10及びCTLA4のコード配列の挿入のみ(編集なし)またはIFNGもしくはTNFAの一方もしくは両方の編集(KO)と組み合わせて形質導入した刺激CD3+CD4+細胞、あるいはCD4+CD25+ nTregにおけるin vitroサイトカインプロファイル解析の結果を示すグラフである。細胞刺激を行った際の操作された細胞によるin vitroでのIFN-ガンマ産生を示す。
【
図8】CTV標識T細胞及びCD-3枯渇PBMCを、示されたコード配列または示された対照を示された比率で挿入することにより形質導入されたCD3+CD4+細胞と混合した混合リンパ球反応アッセイにおいて、CTV希釈により測定された、操作されたT細胞による細胞増殖の抑制パーセントを示すグラフである。
【
図9】GvHDのマウスモデルからの結果を示すグラフである。Aは、マウスに、PBMC、非形質導入の、あるいは示されているように、IFNG及びTNFA両方の編集(KO)と組み合わせて、IL10及びCTLA4のコード配列(野生型(wt)または高親和性(HA))の挿入で形質導入したCD3+CD4+細胞、CD3+CD4+CD25+nTregを注射した後、あるいは細胞を注射しなかった(ビヒクル)後の生存日数を示す生存曲線である。Bは、示されているような形質導入CD3+CD4+細胞または対照細胞を注射した後、屠殺時にマウスの脾臓から単離したヒトリンパ球の定量化を示すグラフである。
【
図10】混合リンパ球アッセイにおいてCTV希釈により測定された増殖抑制パーセントを示すグラフである。Aは、炎症性プレコンディショニングのありまたはなしでの増殖の抑制を示している。Bは、さらに示されている炎症性サイトカインの存在下における、炎症性プレコンディショニングのありまたはなしでの増殖の抑制を示している。示されているそれぞれのp値は、*p<0.05、**p<0.01、及び***p<0.001である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
ここで、本発明のある特定の実施形態について詳細に説明する。その例は添付の図面に示す。本発明を示された実施形態と併せて説明するが、これらの実施形態が、本発明をこれらの実施形態に限定するように意図されていないことは理解されよう。そうではなく、本発明は、添付の実施形態によって定義されるような本発明内に含まれ得る全ての代替形態、変更形態、及び等価物を網羅するように意図されている。
【0019】
本明細書で使用される節の見出しは、編成上の目的にとどまるものであり、いかなる形でも所望の主題を限定するものと解釈すべきではない。参照により援用される任意の資料が、本明細書で定義される任意の用語または本明細書の任意の他の明示的な内容と矛盾する場合、本明細書が優先される。
【0020】
I.定義
本発明の教示を詳細に説明する前に、本開示が、特定の組成物またはプロセスステップに限定されず、そのため変動し得ることを理解されたい。本明細書及び添付の実施形態で使用されているように、単数形「a」、「an」、及び「the」は、内容による別段の明確な指示がない限り、複数の指示対象を含むことに注意しなければならない。したがって、例えば、「(1つの)結合体」に言及された場合は複数の結合体を含み、「(1つの)細胞」に言及された場合は複数の細胞または細胞集団を含む、などとなる。本明細書で使用する場合、「含む(include)」という用語及びその文法的変形は、非限定的であるように意図されており、リスト内の項目の列挙は、挙げられた項目に対し置き換えまたは追加され得る他の同様の項目を除外するものではない。
【0021】
数値範囲は、その範囲を画定する数字を含む。測定値及び測定可能値は、有効数字及び測定に伴う誤差を考慮した概算値であると理解される。また、「含む(comprise)」、「含む(comprises)」、「含む(comprising)」、「含む(contain)」、「含む(contains)」、「含む(containing)」、「含む(include)」、「含む(includes)」、及び「含む(including)」の使用は、限定的であるようには意図されていない。以上の全般的説明及び発明を実施するための形態は、いずれも例示的かつ説明的なものに過ぎず、本教示を制限するものではないことを理解されたい。
【0022】
本明細書内で特に注記しない限り、本明細書内で、様々な構成要素を「含む」と記載している実施形態は、記載された構成要素から「なる」または「本質的になる」ことも企図されており、本明細書内で様々な構成要素から「なる」と記載されている実施形態は、記載された構成要素を「含む」またはそれから「本質的になる」ことも企図されている。また、本明細書内で、様々な構成要素から「本質的になる」と記載している実施形態は、記載された構成要素から「なる」またはそれを「含む」ことも企図されている(この互換性は、特許請求の範囲におけるこれらの用語の使用には適用されない)。
【0023】
「または」という用語は、文脈による別段の明確な指示がない限り、包括的な意味で、すなわち「及び/または」と同等の意味で使用される。
【0024】
「約」という用語は、一覧または範囲の前に使用される場合は、一覧の各メンバーまたは範囲の各端点を修飾する。「約」または「およそ」という用語は、当業者による判定で特定の値に対し許容される誤差を意味し、この誤差は、部分的には、値がどのように測定または決定されるかに依存する。「約」という用語は、本明細書では、当技術分野における典型的な許容差の範囲内を意味するように使用される。例えば、「約」は、平均値から約2標準偏差と理解することができる。ある特定の実施形態において、約は+10%を意味する。ある特定の実施形態において、約は+5%を意味する。
【0025】
数または一連の数の前の「少なくとも」という用語は、文脈から明らかであるように、「少なくとも」という用語に隣接する数、及び論理的に含まれ得る全ての後続の数または整数を含むものと理解される。例えば、核酸分子内のヌクレオチドの数は整数でなければならない。例えば、「20ヌクレオチド核酸分子の少なくとも17ヌクレオチド」とは、17、18、19、または20ヌクレオチドが示された特性を有することを意味する。少なくともが、一連の数または範囲の前に存在する場合、「少なくとも」は、一連の数または範囲の数の各々を修飾することができると理解される。
【0026】
本明細書で使用する場合、「以下」または「未満」は、文脈から論理的な、当該表現及び論理的な低いゼロまでの値または整数に隣接する値と理解される。例えば、「2ヌクレオチド塩基対以下」の二重鎖領域は、2、1、または0ヌクレオチド塩基対を有する。「以下」または「未満」が一連の数または範囲の前に存在する場合、その一連の数または範囲の各々が修飾されるものと理解される。
【0027】
本明細書で使用する場合、範囲は、上限及び下限の両方を含む。
【0028】
本明細書で使用する場合、ある値の最大量が100%(例えば、100%阻害または100%封入)によって表される場合、その値は検出方法によって限定されるものと理解される。例えば、100%阻害は、アッセイの検出レベル未満のレベルに対する阻害と理解され、100%封入は、封入を意図された物質が小胞外で検出することができないものと理解される。
【0029】
別段の記載がない限り、以下の用語及び表現は、本明細書で使用する場合、以下の意味を有することが意図されている。
【0030】
本明細書で使用する場合、「ノックダウン」とは、遺伝子編集により、例えば、細胞、細胞集団、組織、または器官において、特定の遺伝子産物(例えば、完全長または野生型のmRNA、タンパク質、または両方)の発現を低下させることを指す。いくつかの実施形態において、遺伝子編集は、シークエンシング、例えば次世代シークエンシング(NGS)によって評価することができる。発現は、例えば、遺伝子配列が修飾されていない好適な対照と比較して、少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、またはアッセイの検出レベル未満まで低下し得る。タンパク質のノックダウンは、目的とする組織、細胞集団、または液体からタンパク質の量を検出することによって測定することができる。mRNAのノックダウンを測定する方法は知られており、目的とする組織または細胞集団から単離されたmRNAのシークエンシングが挙げられる。フローサイトメトリー解析は、タンパク質発現のノックダウンを測定するための既知の方法である。分泌タンパク質の場合、ノックダウンは、組織培養培地もしくは血液、またはこれらに由来する血清もしくは血漿などの液体中で評価することができる。いくつかの実施形態において、「ノックダウン」は、特定の遺伝子産物の発現のいくらかの損失、例えば、完全長タンパク質に転写または翻訳される完全長野生型mRNA量の低下、または細胞の集団によって発現するタンパク質量の低下を指すことがある。mRNAの配列のどのような変化が野生型または完全長タンパク質の発現の低下をもたらすかについては、十分に理解されている。いくつかの実施形態において、「ノックダウン」は、特定の遺伝子産物(例えば、体液または組織培養培地中のIFNGまたはTNFA遺伝子産物)の発現のいくらかの損失を指すことがある。内在性核酸配列(例えば、IFNGまたはTNFA)をコードする核酸配列の修飾は、ノックダウンをもたらし得る。
【0031】
本明細書で使用する場合、「T細胞受容体」または「TCR」とは、T細胞内の受容体を指す。概して、TCRは、α鎖及びβ鎖の2つのTCRポリペプチド鎖を含むヘテロ二量体受容体分子である。α鎖及びβ鎖のTCRポリペプチドは、抗原結合後、様々なCD3分子と複合体化し、炎症及び自己免疫を含む免疫応答(複数可)を誘発し得る。本明細書で使用する場合、TCRのノックダウンとは、任意のTCR遺伝子の部分的または全体的なノックダウン(例えば、単独で、または他のTCR遺伝子(複数可)の部分的または全体的なノックダウンと組み合わせたTRBC1遺伝子の一部の欠失)を指す。
【0032】
「TRAC」は、T細胞受容体α鎖を指すために使用される。ヒト野生型TRAC配列は、NCBI Gene ID:28755;Ensembl:ENSG00000277734で入手可能である。T細胞受容体アルファコンスタント、TCRA、IMD7、TRCA、及びTRAは、TRACの遺伝子同義語である。
【0033】
「TRBC」は、T細胞受容体β鎖(例えば、TRBC1及びTRBC2)を指す。「TRBC1」及び「TRBC2」とは、TRBC1またはTRBC2遺伝子の遺伝子産物であるT細胞受容体β鎖をコードする2つの相同遺伝子を指す。
【0034】
ヒト野生型TRBC1配列は、NCBI Gene ID:28639;Ensembl:ENSG00000211751で入手可能である。T細胞受容体ベータコンスタント、V_セグメント翻訳産物、BV05S1J2.2、TCRBC1、及びTCRBは、TRBC1の遺伝子同義語である。
【0035】
ヒト野生型TRBC2配列は、NCBI Gene ID:28638;Ensembl:ENSG00000211772で入手可能である。T細胞受容体ベータコンスタント、V_セグメント翻訳産物、及びTCRBC2は、TRBC2の遺伝子同義語である。
【0036】
本明細書で使用する場合、「免疫応答」とは、1つ以上の免疫システム反応(複数可)、例えば、刺激されていない対照免疫システムと比較しての、免疫システム細胞(例えば、限定されるものではないが、T細胞、B細胞、ナチュラルキラー細胞、単球、好中球、好酸球、好塩基球、マスト細胞、赤血球、樹状細胞、抗原提示細胞、マクロファージ、または食細胞)の産生または活性の増加を指す。免疫システムが抗原、例えば、外来抗原または自己抗原(例えば、限定されるものではないが、病原体(微生物、ウイルス、プリオン、真菌など)、アレルゲン(ほこり、花粉、チリダニなど)、毒素(化学物質、薬物など)、または生理的変化(高コレステロール血症、肥満、臓器移植など))に曝露されると、免疫応答を引き起こし得る。また、免疫応答は、GvHDにおいて、造血幹細胞移植後にドナー細胞が宿主組織の免疫攻撃を媒介する応答も含み得る。免疫応答は、炎症をもたらし得る。免疫応答は、抗原(例えば、外来または自己)を標的化、攻撃、除去、または中和し得る。免疫応答は、望ましい場合もそうでない場合もある。免疫応答は、急性の場合も慢性の場合もある。免疫応答は、免疫応答が開始された細胞、組織、または器官を損傷することがある。
【0037】
本明細書で使用する場合、「自己免疫応答」とは、自己抗原(例えば、対象自身の細胞、組織、または器官によってもたらされる自己抗原)に対する1つ以上の免疫システム反応(複数可)を指す。自己免疫応答の結果、好適な対照(例えば、健康な対照)と比較して、免疫システム細胞(例えば、限定されるものではないが、T細胞、B細胞、ナチュラルキラー細胞、単球、好中球、好酸球、好塩基球、マスト細胞、赤血球、樹状細胞、抗原提示細胞、マクロファージ、または食細胞)の産生または活性が増加し得る。自己免疫応答は、炎症(例えば、炎症の持続)をもたらしたり、自己免疫疾患につながったりすることがある。自己免疫応答は、対象自身の細胞、組織、または器官によって産生される自己抗原を標的化、攻撃、除去、または中和することがあり、これが自己免疫疾患につながり得る。
【0038】
本明細書で使用する場合、「免疫応答(複数可)の抑制」とは、好適な対照(例えば、本明細書に記載の操作されたT細胞で処置されていない、または処置される前の対照)と比較して、1つ以上の免疫システム反応(複数可)(例えば、免疫システム細胞の産生または活性)のレベルを低下または阻害することを指す。免疫応答(複数可)を「抑制する」とは、好適な対照(例えば、本明細書に記載の操作されたT細胞で処置されていない、または処置される前の対照)と比較して、免疫システム細胞の産生または活性が低下することを指すことがある。免疫応答を「抑制する」ことは、免疫寛容を増加させることを指すことがある。例えば、免疫システム細胞の産生または活性は、細胞数(例えば、リンパ球数または脾臓細胞数)、細胞活性(例えば、T細胞アッセイ)、または遺伝子もしくはタンパク質発現(例えば、バイオマーカー発現)によって測定することができ、産生または活性は、好適な対照(例えば、本明細書に記載の操作されたT細胞で処置されていない、または処置される前の対照)と比較して、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、またはアッセイの検出レベル未満に低下する。
【0039】
本明細書で使用する場合、「自己免疫疾患」または「自己免疫障害」とは、対象自身の抗原、細胞、組織、または器官に対する病的な免疫応答を特徴とする状態を指す。自己免疫疾患及び障害の例としては、限定されるものではないが、潰瘍性大腸炎、クローン病、関節リウマチ、乾癬、多発性硬化症、全身性エリテマトーデス、及び1型糖尿病が挙げられる。いくつかの実施形態において、操作されたT細胞は、自己由来または同種異系で使用される。
【0040】
本明細書で使用する場合、「免疫障害」とは、対象における病的なまたは望ましくない免疫応答を特徴とする疾患または状態として理解される。ある特定の実施形態において、免疫障害は自己免疫疾患である。ある特定の実施形態において、免疫障害はGvHDである。ある特定の実施形態において、免疫障害を有する対象は、免疫応答の抑制を必要とする。ある特定の実施形態において、免疫障害を有する対象は、免疫寛容の増加を必要とする。
【0041】
「T細胞」とは、抗原に曝露された後の免疫応答で中心的な役割を果たす。T細胞は天然に存在することもあれば、例えば、T細胞が(例えば、幹細胞からの)操作により、または分化転換(例えば、体細胞の再プログラム)により形成される場合は、非天然であることもある。T細胞は、細胞表面にT細胞受容体が存在することにより、他のリンパ球と区別することができる。この定義に含まれるのは、従来的な適応性T細胞(ヘルパーCD4+T細胞、細胞傷害性CD8+T細胞、メモリーT細胞、及び調節性CD4+T細胞を含む)、ならびに自然様T細胞(ナチュラルキラーT細胞、粘膜関連インバリアントT細胞、及びガンマデルタT細胞を含む)である。いくつかの実施形態において、T細胞はCD4+である。いくつかの実施形態において、T細胞はCD3+/CD4+である。
【0042】
「調節性T細胞」または「Treg」とは、過剰な免疫応答(複数可)(炎症及び自己免疫を含む)を抑制することにより、自己寛容において中心的な役割を果たす特化型T細胞を指す。Tregは天然に存在することもあれば、例えば、Tregが、操作により(例えば、IFNG及びTNFAをコードする内在性核酸配列の修飾(例えば、ノックダウン)と、調節性T細胞促進分子をコードする少なくとも1つの配列(複数可)の挿入とにより)形成される場合は、非天然であることもある。天然に存在するTreg、または天然のTreg、またはnTregとは、典型的には胸腺内で発生する特化型のT細胞であり、過剰な免疫応答(複数可)を抑制することにより、自己寛容を促進するように機能する。いくつかの実施形態において、細胞(例えば、従来的なT細胞または従来的なT細胞の集団、例えば、nTreg細胞の存在が濃縮されていないT細胞の集団)は、TNFA及びIFNGをコードする内在性核配列を修飾、例えば、TNFA及びIFNGをコードする核酸配列をノックダウンし、調節性T細胞促進分子をコードする配列(複数可)を細胞に挿入することによって操作して、調節性T細胞の表現型特性及び抑制機能を示すことができ、これらは、形質導入T細胞または「操作された」T細胞と称され得る。いくつかの実施形態において、操作されたT細胞は、IFNGをコードする内在性核酸配列の修飾と、TNFAをコードする内在性核酸配列の修飾と、異種の調節性T細胞促進分子(例えば、IL10またはCTLA4)の挿入とを含む。内在性核酸配列の修飾(例えば、内在性遺伝子の発現をノックダウンする修飾)は、ゲノム配列内に1つ以上のインデル変異または置換変異を含む、またはそれからなることができる。
【0043】
本明細書で使用する場合、「調節性T細胞促進分子」とは、免疫抑制分子及びTreg転写因子を含む、従来的なT細胞から調節性T細胞への転換を促進する分子を指す。さらに、調節性T細胞促進分子は、従来的なT細胞に制御活性を付与する分子(Treg関連免疫抑制分子及び転写因子を含む)も指す。免疫抑制分子の例としては、限定されるものではないが、インターロイキン-10(IL10)、細胞傷害性Tリンパ球関連タンパク質4(CTLA4)、形質転換成長因子ベータ1(TGFB1)、インドールアミン2,3-ジオキシゲナーゼ1(IDO1)、エクトヌクレオシド三リン酸ジホスホヒドラーゼ1(ENTPD1)、5’-ヌクレオチダーゼエクト(NT5E)、インターロイキン-22(IL22)、アンフィレグリン(AREG)、インターロイキン-35(IL35)、ロイシンリッチリピート含有32(GARP)、CD274分子(CD274)、フォークヘッドボックスP3(FOXP3)、IKAROSファミリージンクフィンガー2(IKZF2)、家族性好酸球増加症(EOS)、インターフェロン調節因子4(IRF4)、リンパ系エンハンサー結合因子1(LEF1)、ならびにBTBドメイン及びCNCホモログ2(BACH2)が挙げられる。いくつかの実施形態において、調節性T細胞促進分子は、特定の組合せ(例えば、IL10及びCTLA4、ENTPD1及びNT5E、ならびにIL22及びAREG)で使用することができる。詳細には、IL10とCTLA4との組合せが本明細書で提供される。いくつかの実施形態において、免疫抑制分子の発現は、FoxP3、Helios、Eos、IRF4、Lef1、またはBACH2などの転写因子の発現によって促進することができる。
【0044】
いくつかの実施形態において、従来的なT細胞は、ゲノム内の配列を修飾、挿入、または欠失させるように操作することができ、「操作された」T細胞は、天然の調節性T細胞の1つ以上の表現型特性及び抑制機能を示す。例えば、「操作された」T細胞は、以下の実施例2及び3で提供されるような混合リンパ球反応アッセイで抑制活性を示し、または好ましくは、以下の実施例2及び3に提示されるマウスモデルで、好ましくは統計的に有意に、移植片対宿主病を抑制可能である(例えば、Parmar et al.,Ex vivo fucosylation of third-party human regulatory T cells enhances anti-graft-versus-host disease potency in vivo,Blood 125(9)(2015)も参照)。いくつかの実施形態において、「操作された」T細胞は、調節性T細胞促進分子のコード配列の挿入、及び炎症促進性サイトカイン(例えば、IFNG及びTNFAの両方)の発現の修飾(例えば、ノックダウン)により修飾された従来的なT細胞である。いくつかの実施形態において、操作のための開始T細胞集団は、天然Tregの存在が濃縮されておらず、例えば、開始T細胞集団は20%未満の天然Tregを有する。
【0045】
本明細書で使用する場合、「炎症促進性」分子(例えば、サイトカイン)は、本明細書に記載の免疫応答を増加させ、例えば、実施例2及び3に提示される移植片対宿主病のマウスモデルでTregの有効性を用量応答的に低減する。炎症促進性分子の例としては、限定されるものではないが、IFNG、TNFA、IL17A、IL6、IL2、
パーフォリン1(PRF1)、グランザイムA(GZMA)、グランザイムB(GZMB)が挙げられる。
【0046】
本明細書で使用する場合、「標的化受容体」とは、細胞(例えば、T細胞)の表面に存在して、当該細胞が標的部位(例えば、生物内の特定の細胞または組織)に結合するのを可能にする受容体を指す。標的化受容体としては、限定されるものではないが、キメラ抗原受容体(CAR)、T細胞受容体(TCR)、ならびにタンパク質の細胞外受容体部分の結合時にT細胞を活性化可能な内部シグナル伝達ドメイン内の少なくとも膜貫通ドメインを介し作用可能に結合した細胞表面分子の受容体、例えば、粘膜アドレシン細胞接着分子-1(MadCAM-1)、TNFA、CEA細胞接着分子6(CEACAM6)、血管細胞接着分子1(VCAM1)、シトルリン化ビメンチン、ミエリン塩基性タンパク質(MBP)、MOG(ミエリンオリゴデンドロサイト糖タンパク質)、プロテオリピドタンパク質1(PLP1)、CD19分子(CD19)、CD20分子(CD20)、TNF受容体スーパーファミリーメンバー17(TNFRSF17)、溶質輸送体ファミリー2メンバー2(SCL2A2)、グルタミン酸デカルボキシラーゼ(GAD2)、デスモグレイン(demoglein)3(DSG3)、及びMHCクラスI HLA-A(HLA-A*02)が挙げられる。
【0047】
本明細書で使用する場合、「キメラ抗原受容体」とは、細胞外抗原認識ドメイン(例えば、scFv、VHH、ナノボディ)を指し、抗原が結合するとT細胞を活性化する細胞内シグナル伝達ドメインに作用可能に結合している。CARは、4つの領域:抗原認識ドメイン、細胞外ヒンジ領域、膜貫通ドメイン、及び細胞内T細胞シグナル伝達ドメインから構成されている。このような受容体は、当技術分野で周知されている(例えば、WO2020092057、WO2019191114、WO2019147805、WO2018208837を参照(これらの各内容の対応部分は、参照により本明細書に援用される))。また、アダプター分子を介して免疫細胞と標的細胞との結合を促進する逆ユニバーサルCAR(例えば、WO2019238722を参照(この内容は、全体として本明細書に援用される))も企図されている。CARは、抗体が開発され得る任意の抗原に対し標的化することができ、典型的には、標的とされる細胞または組織の表面に表示される分子を対象とする。いくつかの実施形態において、CARは、操作されたT細胞を消化管に対し標的化することが可能であり、例えば、CARはMAdCAM-1を標的化する。いくつかの実施形態において、CARは、操作されたT細胞を内皮細胞を含む組織に対し標的化することが可能であり、例えば、CARは、例えば、クローン病及び多発性硬化症などの障害における免疫応答を抑制するために、VCAM-1を標的化する。いくつかの実施形態において、CARは、操作されたT細胞を内皮細胞に対し標的化することが可能であり、例えば、CARは、例えば、クローン病などの障害における免疫応答を抑制するために、CEACAM6を標的化する。いくつかの実施形態において、CARは、操作されたT細胞をプレB細胞に対し標的化することが可能であり、例えば、CARは、例えば、多発性硬化症及び全身性エリテマトーデスなどの障害における免疫応答を抑制するために、CD19を標的化する。いくつかの実施形態において、CARは、操作されたT細胞をBリンパ球に対し標的化することが可能であり、例えば、CARは、例えば、多発性硬化症及び全身性エリテマトーデスなどの障害における免疫応答を抑制するために、CD20を標的化する。いくつかの実施形態において、CARは、操作されたT細胞を炎症組織に対し標的化することが可能であり、例えば、CARは、例えば、関節リウマチ、炎症性腸疾患、潰瘍性大腸炎、またはクローン病などの障害における免疫応答を抑制するために、TNFAを標的化する。いくつかの実施形態において、CARは、操作されたT細胞を炎症組織に対し標的化することが可能であり、例えば、CARは、例えば、炎症性腸疾患、潰瘍性大腸炎、またはクローン病などの障害における免疫応答を抑制するために、TGF-b1を標的化する。いくつかの実施形態において、CARは、操作されたT細胞を神経組織に対し標的化することが可能であり、例えば、CARは、例えば、多発性硬化症などの障害における免疫応答を抑制するために、MBP、MOG、またはPLP1を標的化する。いくつかの実施形態において、CARは、操作されたT細胞を、成熟Bリンパ球を含む組織に対し標的化することが可能であり、例えば、CARは、例えば、全身性エリテマトーデスなどの障害における免疫応答を抑制するために、TNFRSF17を標的化する。いくつかの実施形態において、CARは、操作されたT細胞を滑膜組織に対し標的化することが可能であり、例えば、CARは、例えば、関節リウマチなどの障害における免疫応答を抑制するために、シトルリン化ビメンチンを標的化する。いくつかの実施形態において、CARは、ジペプチジルペプチダーゼ様6(DPP6)、溶質輸送体ファミリー2メンバー2(SCL2A2)、グルタミン酸デカルボキシラーゼ(GAD2)、デモグレイン3(DSG3)、またはMHCクラスI HLA-A(HLA-A*02)を標的化する。さらなるCAR標的(例えば、炎症性抗原)が当技術分野で知られている。例えば、WO2020092057A1を参照(この内容は、全体として本明細書に援用される)。
【0048】
本明細書で使用する場合、「治療」とは、対象における疾患または障害に対する治療薬の任意の投与または適用を指し、疾患の阻害、その発生の抑止、疾患の1つ以上の症状の軽減、疾患の治癒、疾患の1つ以上の症状の防止、または疾患の1つ以上の症状の再発の防止を含む。自己免疫または炎症性の応答または障害を治療することは、特定の障害に関連する炎症を緩和し、その結果、疾患に特有の症状を緩和することを含むことができる。本明細書に記載の操作されたT細胞による治療は、追加の治療剤、例えば抗炎症剤、免疫抑制剤、または自己免疫障害治療のための生物製剤(例えば、レミケード、ヒュミラ)の前、後、またはこれらと組み合わせて使用することができる。
【0049】
「プロモーター」とは、調節領域が結合している遺伝子の発現を制御する調節領域を指す。
【0050】
「ポリヌクレオチド」及び「核酸」は、骨格に沿って共に結合している窒素含有複素環の塩基または塩基アナログを有するヌクレオシドまたはヌクレオシドアナログを含む多量体化合物を指すために本明細書で使用され、「ポリヌクレオチド」及び「核酸」としては、従来的なRNA、DNA、混合RNA-DNA、及びこれらのアナログである重合体が挙げられる。核酸「骨格」は、糖-ホスホジエステル結合、ペプチド-核酸結合(「ペプチド核酸」またはPNA;PCT第WO95/32305号)、ホスホロチオエート結合、メチルホスホネート結合、またはこれらの組合せのうちの1つ以上を含めた様々な結合から構成され得る。核酸の糖部分は、リボース、デオキシリボース、または置換(例えば、2’メトキシ置換または2’ハロゲン化物置換)を伴った同様の化合物であり得る。窒素含有塩基は、従来的な塩基(A、G、C、T、U)、そのアナログ(例えば、修飾ウリジン、例えば、5-メトキシウリジン、シュードウリジン、またはN1-メチルシュードウリジン、その他);イノシン;プリンまたはピリミジンの誘導体(例えば、N4-メチルデオキシグアノシン、デアザ-またはアザ-プリン、デアザ-またはアザ-ピリミジン、5位または6位に置換基を伴うピリミジン塩基(例えば、5-メチルシトシン))、2位、6位、または8位に置換基を伴うプリン塩基、2-アミノ-6-メチルアミノプリン、O6-メチルグアニン、4-チオ-ピリミジン、4-アミノ-ピリミジン、4-ジメチルヒドラジン-ピリミジン、及びO4-アルキル-ピリミジン;米国特許第5,378,825号及びPCT第WO93/13121号であり得る。全般的な解説についてはThe Biochemistry of the Nucleic Acids 5-36(Adams et al.,ed.,11th ed.,1992)を参照。核酸は、骨格が重合体の位置(複数可)に窒素含有塩基を含まない1つ以上の「脱塩基」残基を含むことができる(米国特許第5,585,481号)。核酸は、従来的なRNAまたはDNAの糖、塩基、及び結合のみを含むこともあれば、従来的な構成要素及び置換の両方(例えば、2’メトキシ結合を有する従来的な塩基、または従来的な塩基及び1つ以上の塩基アナログの両方を含有する重合体)を含むこともある。核酸は「ロックド核酸」(LNA)を含み、これは、RNA模倣糖立体配座内にロックされた二環式フラノース単位とともに1つ以上のLNAヌクレオチド単量体を含むアナログであり、相補的なRNA及びDNAの配列に対するハイブリダイゼーション親和性を強化する(Vester and Wengel,2004,Biochemistry 43(42):13233-41)。RNA及びDNAは異なる糖部分を有してもよく、RNAではウラシルまたはそのアナログの存在により、またDNAではチミンまたはそのアナログの存在により区別することができる。
【0051】
「ガイドRNA」、「gRNA」、または単に「ガイド」は、本明細書では、ガイド配列を含むガイド、例えば、crRNA(別称CRISPR RNA)、またはcrRNAとtrRNA(別称tracrRNA)との組合せのいずれかを指すために互換的に使用される。crRNA及びtrRNAは、単一のRNA分子(シングルガイドRNA、sgRNA)として会合することも、例えば、2つの別々のRNA分子(デュアルガイドRNA、dgRNA)において会合することもできる。「ガイドRNA」または「gRNA」は各々のタイプを指す。trRNAは、天然に存在する配列であっても、天然に存在する配列と比較して修飾またはバリエーションを有するtrRNA配列であってもよい。ガイドRNA(例えば、sgRNAまたはdgRNA)は、本明細書に記載のような修飾RNAを含むことができる。
【0052】
本明細書で使用する場合、「ガイド配列」とは、標的配列に対し相補的であり、RNA先導DNA結合剤による結合または修飾(例えば、切断)のためにガイドRNAを標的配列に誘導するよう機能する、ガイドRNA内の配列を指す。また「ガイド配列」は、「標的化配列」または「スペーサー配列」と称されることもある。ガイド配列は、例えば、Streptococcus pyogenes(すなわち、Spy Cas9)及び関連するCas9ホモログ/オーソログの場合、20塩基対の長さであり得る。これより短い配列または長い配列(例えば、長さ15、16、17、18、19、21、22、23、24、または25ヌクレオチド)も、ガイドとして使用することができる。例えば、いくつかの実施形態において、ガイド配列は、標的に相補的な配列の少なくとも15、16、17、18、19、または20個の連続ヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態において、標的配列は、例えば、遺伝子内または染色体上にあり、ガイド配列に相補的である。いくつかの実施形態において、ガイド配列とその対応する標的配列との間の相補性または同一性の程度は、約75%、80%、85%、90%、95%、または100%であり得る。例えば、いくつかの実施形態において、ガイド配列は、配列の少なくとも15、16、17、18、19、または20個の連続ヌクレオチドに対し約75%、80%、85%、90%、95%、または100%の同一性を有する配列を含む。いくつかの実施形態において、ガイド配列及び標的領域は、100%相補的または同一であり得る。他の実施形態において、ガイド配列及び標的領域は、少なくとも1つのミスマッチを含むことができる。例えば、ガイド配列及び標的配列は、1つ、2つ、3つ、または4つのミスマッチを含むことができ、このとき標的配列の全長は、少なくとも17、18、19、20、またはそれ以上の塩基対である。いくつかの実施形態において、ガイド配列及び標的領域は1~4つのミスマッチを含んでもよく、完全に相補的であってもよく、このときガイド配列は、少なくとも17、18、19、20、またはそれ以上のヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態において、ガイド配列及び標的領域は、1つ、2つ、3つ、または4つのミスマッチを含むことができ、このときガイド配列は20ヌクレオチドを含む。
【0053】
RNA先導DNA結合剤の核酸基質が二重鎖核酸であることから、RNA先導DNA結合剤の標的配列は、ゲノムDNAのプラス鎖及びマイナス鎖の両方(すなわち、所与の配列及び配列の逆相補配列)を含む。よって、ガイド配列が「標的配列に対し相補的」であると述べられている場合、ガイド配列はガイドRNAを標的配列の逆相補配列と結合させるよう誘導し得ることを理解されたい。したがって、いくつかの実施形態において、ガイド配列が標的配列の逆相補配列に結合する場合、ガイド配列は、ガイド配列中でTがUに置換されていることを除いて、標的配列(例えば、PAMを含まない標的配列)におけるある特定のヌクレオチドと同一である。
【0054】
本明細書で使用する場合、「RNA先導DNA結合剤」とは、RNA及びDNAの結合活性を有するポリペプチドもしくはポリペプチドの複合体、またはこのような複合体のDNA結合サブユニットを意味し、このときDNA結合活性は配列特異的であり、RNAの配列に依存する。RNA先導DNA結合剤という用語は、このようなポリペプチドをコードする核酸も含む。例示的なRNA先導DNA結合剤は、Casクリーバーゼ/ニッカーゼを含む。例示的なRNA先導DNA結合剤は、その不活性化形態(「dCas DNA結合剤」)(例えば、これらの薬剤が、例えばFokIクリーバーゼドメインとの融合を介し、DNA切断を可能にするように修飾されている場合)を含むことができる。「Casヌクレアーゼ」は、本明細書で使用する場合、Casクリーバーゼ及びCasニッカーゼを包含する。Casクリーバーゼ及びCasニッカーゼは、III型CRISPRシステムのCsmまたはCmr複合体、Cas10、そのCsm1またはCmr2サブユニット、I型CRISPRシステムのCascade複合体、そのCas3サブユニット、及びクラス2 Casヌクレアーゼを含む。本明細書で使用する場合、「クラス2 Casヌクレアーゼ」とは、RNA先導DNA結合活性を有する一本鎖ポリペプチドである。クラス2 Casヌクレアーゼとしては、クラス2 Casクリーバーゼ/ニッカーゼ(例えば、H840A、D10A、またはN863Aバリアント)(これらはさらに、RNA先導DNAクリーバーゼまたはニッカーゼ活性を有する)、及びクリーバーゼ/ニッカーゼ活性が不活性化されているクラス2 dCas DNA結合剤(例えば、これらの結合剤がDNA切断を可能にするように修飾されている場合、またはC→TデアミナーゼまたはA→Gデアミナーゼ活性を有する場合)が挙げられる。いくつかの実施形態において、RNA先導DNA結合剤は、デアミナーゼ領域及びRNA先導DNAニッカーゼ(例えば、Cas9ニッカーゼ)を含む。クラス2 Casヌクレアーゼとしては、例えば、Cas9、Cpf1、C2c1、C2c2、C2c3、HF Cas9(例えば、N497A、R661A、Q695A、Q926Aバリアント)、HypaCas9(例えば、N692A、M694A、Q695A、H698Aバリアント)、eSPCas9(1.0)(例えば、K810A、K1003A、R1060Aバリアント)、及びeSPCas9(1.1)(例えば、K848A、K1003A、R1060Aバリアント)のタンパク質及びこれらの修飾物が挙げられる。Cpf1タンパク質(Zetsche et al.,Cell,163:1-13(2015))は、RuvC様ヌクレアーゼドメインも含む。ZetscheのCpf1配列は、参照により全体として援用される。例えば、Zetscheの表S1及びS3を参照。例えば、Makarova et al.,Nat Rev Microbial,13(11)722-36(2015);Shmakov et al.,Molecular Cell,60:385-397(2015)を参照。本明細書で使用する場合、RNA先導DNA結合剤(例えば、Casヌクレアーゼ、Cas9ヌクレアーゼ、またはS.pyogenes Cas9ヌクレアーゼ)の送達は、ポリペプチドまたはmRNAの送達を含む。
【0055】
Cas9分子の例示的なヌクレオチド及びポリペプチド配列を以下に示す。Cas9ポリペプチド配列をコードする代替的なヌクレオチド配列(代替的な天然に存在するバリアントを含む)を特定するための方法は、当技術分野で知られている。また、本明細書で提供されるCas9核酸配列、アミノ酸配列、またはアミノ酸配列をコードする核酸配列のいずれかに対し少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性を有する配列も企図されている。
Cas9の例示的なオープンリーディングフレーム
AUGGACAAGAAGUACUCCAUCGGCCUGGACAUCGGCACCAACUCCGUGGGCUGGGCCGUGAUCACCGACGAGUACAAGGUGCCCUCCAAGAAGUUCAAGGUGCUGGGCAACACCGACCGGCACUCCAUCAAGAAGAACCUGAUCGGCGCCCUGCUGUUCGACUCCGGCGAGACCGCCGAGGCCACCCGGCUGAAGCGGACCGCCCGGCGGCGGUACACCCGGCGGAAGAACCGGAUCUGCUACCUGCAGGAGAUCUUCUCCAACGAGAUGGCCAAGGUGGACGACUCCUUCUUCCACCGGCUGGAGGAGUCCUUCCUGGUGGAGGAGGACAAGAAGCACGAGCGGCACCCCAUCUUCGGCAACAUCGUGGACGAGGUGGCCUACCACGAGAAGUACCCCACCAUCUACCACCUGCGGAAGAAGCUGGUGGACUCCACCGACAAGGCCGACCUGCGGCUGAUCUACCUGGCCCUGGCCCACAUGAUCAAGUUCCGGGGCCACUUCCUGAUCGAGGGCGACCUGAACCCCGACAACUCCGACGUGGACAAGCUGUUCAUCCAGCUGGUGCAGACCUACAACCAGCUGUUCGAGGAGAACCCCAUCAACGCCUCCGGCGUGGACGCCAAGGCCAUCCUGUCCGCCCGGCUGUCCAAGUCCCGGCGGCUGGAGAACCUGAUCGCCCAGCUGCCCGGCGAGAAGAAGAACGGCCUGUUCGGCAACCUGAUCGCCCUGUCCCUGGGCCUGACCCCCAACUUCAAGUCCAACUUCGACCUGGCCGAGGACGCCAAGCUGCAGCUGUCCAAGGACACCUACGACGACGACCUGGACAACCUGCUGGCCCAGAUCGGCGACCAGUACGCCGACCUGUUCCUGGCCGCCAAGAACCUGUCCGACGCCAUCCUGCUGUCCGACAUCCUGCGGGUGAACACCGAGAUCACCAAGGCCCCCCUGUCCGCCUCCAUGAUCAAGCGGUACGACGAGCACCACCAGGACCUGACCCUGCUGAAGGCCCUGGUGCGGCAGCAGCUGCCCGAGAAGUACAAGGAGAUCUUCUUCGACCAGUCCAAGAACGGCUACGCCGGCUACAUCGACGGCGGCGCCUCCCAGGAGGAGUUCUACAAGUUCAUCAAGCCCAUCCUGGAGAAGAUGGACGGCACCGAGGAGCUGCUGGUGAAGCUGAACCGGGAGGACCUGCUGCGGAAGCAGCGGACCUUCGACAACGGCUCCAUCCCCCACCAGAUCCACCUGGGCGAGCUGCACGCCAUCCUGCGGCGGCAGGAGGACUUCUACCCCUUCCUGAAGGACAACCGGGAGAAGAUCGAGAAGAUCCUGACCUUCCGGAUCCCCUACUACGUGGGCCCCCUGGCCCGGGGCAACUCCCGGUUCGCCUGGAUGACCCGGAAGUCCGAGGAGACCAUCACCCCCUGGAACUUCGAGGAGGUGGUGGACAAGGGCGCCUCCGCCCAGUCCUUCAUCGAGCGGAUGACCAACUUCGACAAGAACCUGCCCAACGAGAAGGUGCUGCCCAAGCACUCCCUGCUGUACGAGUACUUCACCGUGUACAACGAGCUGACCAAGGUGAAGUACGUGACCGAGGGCAUGCGGAAGCCCGCCUUCCUGUCCGGCGAGCAGAAGAAGGCCAUCGUGGACCUGCUGUUCAAGACCAACCGGAAGGUGACCGUGAAGCAGCUGAAGGAGGACUACUUCAAGAAGAUCGAGUGCUUCGACUCCGUGGAGAUCUCCGGCGUGGAGGACCGGUUCAACGCCUCCCUGGGCACCUACCACGACCUGCUGAAGAUCAUCAAGGACAAGGACUUCCUGGACAACGAGGAGAACGAGGACAUCCUGGAGGACAUCGUGCUGACCCUGACCCUGUUCGAGGACCGGGAGAUGAUCGAGGAGCGGCUGAAGACCUACGCCCACCUGUUCGACGACAAGGUGAUGAAGCAGCUGAAGCGGCGGCGGUACACCGGCUGGGGCCGGCUGUCCCGGAAGCUGAUCAACGGCAUCCGGGACAAGCAGUCCGGCAAGACCAUCCUGGACUUCCUGAAGUCCGACGGCUUCGCCAACCGGAACUUCAUGCAGCUGAUCCACGACGACUCCCUGACCUUCAAGGAGGACAUCCAGAAGGCCCAGGUGUCCGGCCAGGGCGACUCCCUGCACGAGCACAUCGCCAACCUGGCCGGCUCCCCCGCCAUCAAGAAGGGCAUCCUGCAGACCGUGAAGGUGGUGGACGAGCUGGUGAAGGUGAUGGGCCGGCACAAGCCCGAGAACAUCGUGAUCGAGAUGGCCCGGGAGAACCAGACCACCCAGAAGGGCCAGAAGAACUCCCGGGAGCGGAUGAAGCGGAUCGAGGAGGGCAUCAAGGAGCUGGGCUCCCAGAUCCUGAAGGAGCACCCCGUGGAGAACACCCAGCUGCAGAACGAGAAGCUGUACCUGUACUACCUGCAGAACGGCCGGGACAUGUACGUGGACCAGGAGCUGGACAUCAACCGGCUGUCCGACUACGACGUGGACCACAUCGUGCCCCAGUCCUUCCUGAAGGACGACUCCAUCGACAACAAGGUGCUGACCCGGUCCGACAAGAACCGGGGCAAGUCCGACAACGUGCCCUCCGAGGAGGUGGUGAAGAAGAUGAAGAACUACUGGCGGCAGCUGCUGAACGCCAAGCUGAUCACCCAGCGGAAGUUCGACAACCUGACCAAGGCCGAGCGGGGCGGCCUGUCCGAGCUGGACAAGGCCGGCUUCAUCAAGCGGCAGCUGGUGGAGACCCGGCAGAUCACCAAGCACGUGGCCCAGAUCCUGGACUCCCGGAUGAACACCAAGUACGACGAGAACGACAAGCUGAUCCGGGAGGUGAAGGUGAUCACCCUGAAGUCCAAGCUGGUGUCCGACUUCCGGAAGGACUUCCAGUUCUACAAGGUGCGGGAGAUCAACAACUACCACCACGCCCACGACGCCUACCUGAACGCCGUGGUGGGCACCGCCCUGAUCAAGAAGUACCCCAAGCUGGAGUCCGAGUUCGUGUACGGCGACUACAAGGUGUACGACGUGCGGAAGAUGAUCGCCAAGUCCGAGCAGGAGAUCGGCAAGGCCACCGCCAAGUACUUCUUCUACUCCAACAUCAUGAACUUCUUCAAGACCGAGAUCACCCUGGCCAACGGCGAGAUCCGGAAGCGGCCCCUGAUCGAGACCAACGGCGAGACCGGCGAGAUCGUGUGGGACAAGGGCCGGGACUUCGCCACCGUGCGGAAGGUGCUGUCCAUGCCCCAGGUGAACAUCGUGAAGAAGACCGAGGUGCAGACCGGCGGCUUCUCCAAGGAGUCCAUCCUGCCCAAGCGGAACUCCGACAAGCUGAUCGCCCGGAAGAAGGACUGGGACCCCAAGAAGUACGGCGGCUUCGACUCCCCCACCGUGGCCUACUCCGUGCUGGUGGUGGCCAAGGUGGAGAAGGGCAAGUCCAAGAAGCUGAAGUCCGUGAAGGAGCUGCUGGGCAUCACCAUCAUGGAGCGGUCCUCCUUCGAGAAGAACCCCAUCGACUUCCUGGAGGCCAAGGGCUACAAGGAGGUGAAGAAGGACCUGAUCAUCAAGCUGCCCAAGUACUCCCUGUUCGAGCUGGAGAACGGCCGGAAGCGGAUGCUGGCCUCCGCCGGCGAGCUGCAGAAGGGCAACGAGCUGGCCCUGCCCUCCAAGUACGUGAACUUCCUGUACCUGGCCUCCCACUACGAGAAGCUGAAGGGCUCCCCCGAGGACAACGAGCAGAAGCAGCUGUUCGUGGAGCAGCACAAGCACUACCUGGACGAGAUCAUCGAGCAGAUCUCCGAGUUCUCCAAGCGGGUGAUCCUGGCCGACGCCAACCUGGACAAGGUGCUGUCCGCCUACAACAAGCACCGGGACAAGCCCAUCCGGGAGCAGGCCGAGAACAUCAUCCACCUGUUCACCCUGACCAACCUGGGCGCCCCCGCCGCCUUCAAGUACUUCGACACCACCAUCGACCGGAAGCGGUACACCUCCACCAAGGAGGUGCUGGACGCCACCCUGAUCCACCAGUCCAUCACCGGCCUGUACGAGACCCGGAUCGACCUGUCCCAGCUGGGCGGCGACGGCGGCGGCUCCCCCAAGAAGAAGCGGAAGGUGUGA(配列番号114)
Cas9の例示的なアミノ酸配列
MDKKYSIGLDIGTNSVGWAVITDEYKVPSKKFKVLGNTDRHSIKKNLIGALLFDSGETAEATRLKRTARRRYTRRKNRICYLQEIFSNEMAKVDDSFFHRLEESFLVEEDKKHERHPIFGNIVDEVAYHEKYPTIYHLRKKLVDSTDKADLRLIYLALAHMIKFRGHFLIEGDLNPDNSDVDKLFIQLVQTYNQLFEENPINASGVDAKAILSARLSKSRRLENLIAQLPGEKKNGLFGNLIALSLGLTPNFKSNFDLAEDAKLQLSKDTYDDDLDNLLAQIGDQYADLFLAAKNLSDAILLSDILRVNTEITKAPLSASMIKRYDEHHQDLTLLKALVRQQLPEKYKEIFFDQSKNGYAGYIDGGASQEEFYKFIKPILEKMDGTEELLVKLNREDLLRKQRTFDNGSIPHQIHLGELHAILRRQEDFYPFLKDNREKIEKILTFRIPYYVGPLARGNSRFAWMTRKSEETITPWNFEEVVDKGASAQSFIERMTNFDKNLPNEKVLPKHSLLYEYFTVYNELTKVKYVTEGMRKPAFLSGEQKKAIVDLLFKTNRKVTVKQLKEDYFKKIECFDSVEISGVEDRFNASLGTYHDLLKIIKDKDFLDNEENEDILEDIVLTLTLFEDREMIEERLKTYAHLFDDKVMKQLKRRRYTGWGRLSRKLINGIRDKQSGKTILDFLKSDGFANRNFMQLIHDDSLTFKEDIQKAQVSGQGDSLHEHIANLAGSPAIKKGILQTVKVVDELVKVMGRHKPENIVIEMARENQTTQKGQKNSRERMKRIEEGIKELGSQILKEHPVENTQLQNEKLYLYYLQNGRDMYVDQELDINRLSDYDVDHIVPQSFLKDDSIDNKVLTRSDKNRGKSDNVPSEEVVKKMKNYWRQLLNAKLITQRKFDNLTKAERGGLSELDKAGFIKRQLVETRQITKHVAQILDSRMNTKYDENDKLIREVKVITLKSKLVSDFRKDFQFYKVREINNYHHAHDAYLNAVVGTALIKKYPKLESEFVYGDYKVYDVRKMIAKSEQEIGKATAKYFFYSNIMNFFKTEITLANGEIRKRPLIETNGETGEIVWDKGRDFATVRKVLSMPQVNIVKKTEVQTGGFSKESILPKRNSDKLIARKKDWDPKKYGGFDSPTVAYSVLVVAKVEKGKSKKLKSVKELLGITIMERSSFEKNPIDFLEAKGYKEVKKDLIIKLPKYSLFELENGRKRMLASAGELQKGNELALPSKYVNFLYLASHYEKLKGSPEDNEQKQLFVEQHKHYLDEIIEQISEFSKRVILADANLDKVLSAYNKHRDKPIREQAENIIHLFTLTNLGAPAAFKYFDTTIDRKRYTSTKEVLDATLIHQSITGLYETRIDLSQLGGDGGGSPKKKRKV(配列番号115)
Cas9の例示的なオープンリーディングフレーム
AUGGACAAGAAGUACAGCAUCGGACUGGACAUCGGAACAAACAGCGUCGGAUGGGCAGUCAUCACAGACGAAUACAAGGUCCCGAGCAAGAAGUUCAAGGUCCUGGGAAACACAGACAGACACAGCAUCAAGAAGAACCUGAUCGGAGCACUGCUGUUCGACAGCGGAGAAACAGCAGAAGCAACAAGACUGAAGAGAACAGCAAGAAGAAGAUACACAAGAAGAAAGAACAGAAUCUGCUACCUGCAGGAAAUCUUCAGCAACGAAAUGGCAAAGGUCGACGACAGCUUCUUCCACAGACUGGAAGAAAGCUUCCUGGUCGAAGAAGACAAGAAGCACGAAAGACACCCGAUCUUCGGAAACAUCGUCGACGAAGUCGCAUACCACGAAAAGUACCCGACAAUCUACCACCUGAGAAAGAAGCUGGUCGACAGCACAGACAAGGCAGACCUGAGACUGAUCUACCUGGCACUGGCACACAUGAUCAAGUUCAGAGGACACUUCCUGAUCGAAGGAGACCUGAACCCGGACAACAGCGACGUCGACAAGCUGUUCAUCCAGCUGGUCCAGACAUACAACCAGCUGUUCGAAGAAAACCCGAUCAACGCAAGCGGAGUCGACGCAAAGGCAAUCCUGAGCGCAAGACUGAGCAAGAGCAGAAGACUGGAAAACCUGAUCGCACAGCUGCCGGGAGAAAAGAAGAACGGACUGUUCGGAAACCUGAUCGCACUGAGCCUGGGACUGACACCGAACUUCAAGAGCAACUUCGACCUGGCAGAAGACGCAAAGCUGCAGCUGAGCAAGGACACAUACGACGACGACCUGGACAACCUGCUGGCACAGAUCGGAGACCAGUACGCAGACCUGUUCCUGGCAGCAAAGAACCUGAGCGACGCAAUCCUGCUGAGCGACAUCCUGAGAGUCAACACAGAAAUCACAAAGGCACCGCUGAGCGCAAGCAUGAUCAAGAGAUACGACGAACACCACCAGGACCUGACACUGCUGAAGGCACUGGUCAGACAGCAGCUGCCGGAAAAGUACAAGGAAAUCUUCUUCGACCAGAGCAAGAACGGAUACGCAGGAUACAUCGACGGAGGAGCAAGCCAGGAAGAAUUCUACAAGUUCAUCAAGCCGAUCCUGGAAAAGAUGGACGGAACAGAAGAACUGCUGGUCAAGCUGAACAGAGAAGACCUGCUGAGAAAGCAGAGAACAUUCGACAACGGAAGCAUCCCGCACCAGAUCCACCUGGGAGAACUGCACGCAAUCCUGAGAAGACAGGAAGACUUCUACCCGUUCCUGAAGGACAACAGAGAAAAGAUCGAAAAGAUCCUGACAUUCAGAAUCCCGUACUACGUCGGACCGCUGGCAAGAGGAAACAGCAGAUUCGCAUGGAUGACAAGAAAGAGCGAAGAAACAAUCACACCGUGGAACUUCGAAGAAGUCGUCGACAAGGGAGCAAGCGCACAGAGCUUCAUCGAAAGAAUGACAAACUUCGACAAGAACCUGCCGAACGAAAAGGUCCUGCCGAAGCACAGCCUGCUGUACGAAUACUUCACAGUCUACAACGAACUGACAAAGGUCAAGUACGUCACAGAAGGAAUGAGAAAGCCGGCAUUCCUGAGCGGAGAACAGAAGAAGGCAAUCGUCGACCUGCUGUUCAAGACAAACAGAAAGGUCACAGUCAAGCAGCUGAAGGAAGACUACUUCAAGAAGAUCGAAUGCUUCGACAGCGUCGAAAUCAGCGGAGUCGAAGACAGAUUCAACGCAAGCCUGGGAACAUACCACGACCUGCUGAAGAUCAUCAAGGACAAGGACUUCCUGGACAACGAAGAAAACGAAGACAUCCUGGAAGACAUCGUCCUGACACUGACACUGUUCGAAGACAGAGAAAUGAUCGAAGAAAGACUGAAGACAUACGCACACCUGUUCGACGACAAGGUCAUGAAGCAGCUGAAGAGAAGAAGAUACACAGGAUGGGGAAGACUGAGCAGAAAGCUGAUCAACGGAAUCAGAGACAAGCAGAGCGGAAAGACAAUCCUGGACUUCCUGAAGAGCGACGGAUUCGCAAACAGAAACUUCAUGCAGCUGAUCCACGACGACAGCCUGACAUUCAAGGAAGACAUCCAGAAGGCACAGGUCAGCGGACAGGGAGACAGCCUGCACGAACACAUCGCAAACCUGGCAGGAAGCCCGGCAAUCAAGAAGGGAAUCCUGCAGACAGUCAAGGUCGUCGACGAACUGGUCAAGGUCAUGGGAAGACACAAGCCGGAAAACAUCGUCAUCGAAAUGGCAAGAGAAAACCAGACAACACAGAAGGGACAGAAGAACAGCAGAGAAAGAAUGAAGAGAAUCGAAGAAGGAAUCAAGGAACUGGGAAGCCAGAUCCUGAAGGAACACCCGGUCGAAAACACACAGCUGCAGAACGAAAAGCUGUACCUGUACUACCUGCAGAACGGAAGAGACAUGUACGUCGACCAGGAACUGGACAUCAACAGACUGAGCGACUACGACGUCGACCACAUCGUCCCGCAGAGCUUCCUGAAGGACGACAGCAUCGACAACAAGGUCCUGACAAGAAGCGACAAGAACAGAGGAAAGAGCGACAACGUCCCGAGCGAAGAAGUCGUCAAGAAGAUGAAGAACUACUGGAGACAGCUGCUGAACGCAAAGCUGAUCACACAGAGAAAGUUCGACAACCUGACAAAGGCAGAGAGAGGAGGACUGAGCGAACUGGACAAGGCAGGAUUCAUCAAGAGACAGCUGGUCGAAACAAGACAGAUCACAAAGCACGUCGCACAGAUCCUGGACAGCAGAAUGAACACAAAGUACGACGAAAACGACAAGCUGAUCAGAGAAGUCAAGGUCAUCACACUGAAGAGCAAGCUGGUCAGCGACUUCAGAAAGGACUUCCAGUUCUACAAGGUCAGAGAAAUCAACAACUACCACCACGCACACGACGCAUACCUGAACGCAGUCGUCGGAACAGCACUGAUCAAGAAGUACCCGAAGCUGGAAAGCGAAUUCGUCUACGGAGACUACAAGGUCUACGACGUCAGAAAGAUGAUCGCAAAGAGCGAACAGGAAAUCGGAAAGGCAACAGCAAAGUACUUCUUCUACAGCAACAUCAUGAACUUCUUCAAGACAGAAAUCACACUGGCAAACGGAGAAAUCAGAAAGAGACCGCUGAUCGAAACAAACGGAGAAACAGGAGAAAUCGUCUGGGACAAGGGAAGAGACUUCGCAACAGUCAGAAAGGUCCUGAGCAUGCCGCAGGUCAACAUCGUCAAGAAGACAGAAGUCCAGACAGGAGGAUUCAGCAAGGAAAGCAUCCUGCCGAAGAGAAACAGCGACAAGCUGAUCGCAAGAAAGAAGGACUGGGACCCGAAGAAGUACGGAGGAUUCGACAGCCCGACAGUCGCAUACAGCGUCCUGGUCGUCGCAAAGGUCGAAAAGGGAAAGAGCAAGAAGCUGAAGAGCGUCAAGGAACUGCUGGGAAUCACAAUCAUGGAAAGAAGCAGCUUCGAAAAGAACCCGAUCGACUUCCUGGAAGCAAAGGGAUACAAGGAAGUCAAGAAGGACCUGAUCAUCAAGCUGCCGAAGUACAGCCUGUUCGAACUGGAAAACGGAAGAAAGAGAAUGCUGGCAAGCGCAGGAGAACUGCAGAAGGGAAACGAACUGGCACUGCCGAGCAAGUACGUCAACUUCCUGUACCUGGCAAGCCACUACGAAAAGCUGAAGGGAAGCCCGGAAGACAACGAACAGAAGCAGCUGUUCGUCGAACAGCACAAGCACUACCUGGACGAAAUCAUCGAACAGAUCAGCGAAUUCAGCAAGAGAGUCAUCCUGGCAGACGCAAACCUGGACAAGGUCCUGAGCGCAUACAACAAGCACAGAGACAAGCCGAUCAGAGAACAGGCAGAAAACAUCAUCCACCUGUUCACACUGACAAACCUGGGAGCACCGGCAGCAUUCAAGUACUUCGACACAACAAUCGACAGAAAGAGAUACACAAGCACAAAGGAAGUCCUGGACGCAACACUGAUCCACCAGAGCAUCACAGGACUGUACGAAACAAGAAUCGACCUGAGCCAGCUGGGAGGAGACGGAGGAGGAAGCCCGAAGAAGAAGAGAAAGGUCUAG(配列番号116)
Hibitタグを有するCas9の例示的なオープンリーディングフレーム
AUGGACAAGAAGUACUCCAUCGGCCUGGACAUCGGCACCAACUCCGUGGGCUGGGCCGUGAUCACCGACGAGUACAAGGUGCCCUCCAAGAAGUUCAAGGUGCUGGGCAACACCGACCGGCACUCCAUCAAGAAGAACCUGAUCGGCGCCCUGCUGUUCGACUCCGGCGAGACCGCCGAGGCCACCCGGCUGAAGCGGACCGCCCGGCGGCGGUACACCCGGCGGAAGAACCGGAUCUGCUACCUGCAGGAGAUCUUCUCCAACGAGAUGGCCAAGGUGGACGACUCCUUCUUCCACCGGCUGGAGGAGUCCUUCCUGGUGGAGGAGGACAAGAAGCACGAGCGGCACCCCAUCUUCGGCAACAUCGUGGACGAGGUGGCCUACCACGAGAAGUACCCCACCAUCUACCACCUGCGGAAGAAGCUGGUGGACUCCACCGACAAGGCCGACCUGCGGCUGAUCUACCUGGCCCUGGCCCACAUGAUCAAGUUCCGGGGCCACUUCCUGAUCGAGGGCGACCUGAACCCCGACAACUCCGACGUGGACAAGCUGUUCAUCCAGCUGGUGCAGACCUACAACCAGCUGUUCGAGGAGAACCCCAUCAACGCCUCCGGCGUGGACGCCAAGGCCAUCCUGUCCGCCCGGCUGUCCAAGUCCCGGCGGCUGGAGAACCUGAUCGCCCAGCUGCCCGGCGAGAAGAAGAACGGCCUGUUCGGCAACCUGAUCGCCCUGUCCCUGGGCCUGACCCCCAACUUCAAGUCCAACUUCGACCUGGCCGAGGACGCCAAGCUGCAGCUGUCCAAGGACACCUACGACGACGACCUGGACAACCUGCUGGCCCAGAUCGGCGACCAGUACGCCGACCUGUUCCUGGCCGCCAAGAACCUGUCCGACGCCAUCCUGCUGUCCGACAUCCUGCGGGUGAACACCGAGAUCACCAAGGCCCCCCUGUCCGCCUCCAUGAUCAAGCGGUACGACGAGCACCACCAGGACCUGACCCUGCUGAAGGCCCUGGUGCGGCAGCAGCUGCCCGAGAAGUACAAGGAGAUCUUCUUCGACCAGUCCAAGAACGGCUACGCCGGCUACAUCGACGGCGGCGCCUCCCAGGAGGAGUUCUACAAGUUCAUCAAGCCCAUCCUGGAGAAGAUGGACGGCACCGAGGAGCUGCUGGUGAAGCUGAACCGGGAGGACCUGCUGCGGAAGCAGCGGACCUUCGACAACGGCUCCAUCCCCCACCAGAUCCACCUGGGCGAGCUGCACGCCAUCCUGCGGCGGCAGGAGGACUUCUACCCCUUCCUGAAGGACAACCGGGAGAAGAUCGAGAAGAUCCUGACCUUCCGGAUCCCCUACUACGUGGGCCCCCUGGCCCGGGGCAACUCCCGGUUCGCCUGGAUGACCCGGAAGUCCGAGGAGACCAUCACCCCCUGGAACUUCGAGGAGGUGGUGGACAAGGGCGCCUCCGCCCAGUCCUUCAUCGAGCGGAUGACCAACUUCGACAAGAACCUGCCCAACGAGAAGGUGCUGCCCAAGCACUCCCUGCUGUACGAGUACUUCACCGUGUACAACGAGCUGACCAAGGUGAAGUACGUGACCGAGGGCAUGCGGAAGCCCGCCUUCCUGUCCGGCGAGCAGAAGAAGGCCAUCGUGGACCUGCUGUUCAAGACCAACCGGAAGGUGACCGUGAAGCAGCUGAAGGAGGACUACUUCAAGAAGAUCGAGUGCUUCGACUCCGUGGAGAUCUCCGGCGUGGAGGACCGGUUCAACGCCUCCCUGGGCACCUACCACGACCUGCUGAAGAUCAUCAAGGACAAGGACUUCCUGGACAACGAGGAGAACGAGGACAUCCUGGAGGACAUCGUGCUGACCCUGACCCUGUUCGAGGACCGGGAGAUGAUCGAGGAGCGGCUGAAGACCUACGCCCACCUGUUCGACGACAAGGUGAUGAAGCAGCUGAAGCGGCGGCGGUACACCGGCUGGGGCCGGCUGUCCCGGAAGCUGAUCAACGGCAUCCGGGACAAGCAGUCCGGCAAGACCAUCCUGGACUUCCUGAAGUCCGACGGCUUCGCCAACCGGAACUUCAUGCAGCUGAUCCACGACGACUCCCUGACCUUCAAGGAGGACAUCCAGAAGGCCCAGGUGUCCGGCCAGGGCGACUCCCUGCACGAGCACAUCGCCAACCUGGCCGGCUCCCCCGCCAUCAAGAAGGGCAUCCUGCAGACCGUGAAGGUGGUGGACGAGCUGGUGAAGGUGAUGGGCCGGCACAAGCCCGAGAACAUCGUGAUCGAGAUGGCCCGGGAGAACCAGACCACCCAGAAGGGCCAGAAGAACUCCCGGGAGCGGAUGAAGCGGAUCGAGGAGGGCAUCAAGGAGCUGGGCUCCCAGAUCCUGAAGGAGCACCCCGUGGAGAACACCCAGCUGCAGAACGAGAAGCUGUACCUGUACUACCUGCAGAACGGCCGGGACAUGUACGUGGACCAGGAGCUGGACAUCAACCGGCUGUCCGACUACGACGUGGACCACAUCGUGCCCCAGUCCUUCCUGAAGGACGACUCCAUCGACAACAAGGUGCUGACCCGGUCCGACAAGAACCGGGGCAAGUCCGACAACGUGCCCUCCGAGGAGGUGGUGAAGAAGAUGAAGAACUACUGGCGGCAGCUGCUGAACGCCAAGCUGAUCACCCAGCGGAAGUUCGACAACCUGACCAAGGCCGAGCGGGGCGGCCUGUCCGAGCUGGACAAGGCCGGCUUCAUCAAGCGGCAGCUGGUGGAGACCCGGCAGAUCACCAAGCACGUGGCCCAGAUCCUGGACUCCCGGAUGAACACCAAGUACGACGAGAACGACAAGCUGAUCCGGGAGGUGAAGGUGAUCACCCUGAAGUCCAAGCUGGUGUCCGACUUCCGGAAGGACUUCCAGUUCUACAAGGUGCGGGAGAUCAACAACUACCACCACGCCCACGACGCCUACCUGAACGCCGUGGUGGGCACCGCCCUGAUCAAGAAGUACCCCAAGCUGGAGUCCGAGUUCGUGUACGGCGACUACAAGGUGUACGACGUGCGGAAGAUGAUCGCCAAGUCCGAGCAGGAGAUCGGCAAGGCCACCGCCAAGUACUUCUUCUACUCCAACAUCAUGAACUUCUUCAAGACCGAGAUCACCCUGGCCAACGGCGAGAUCCGGAAGCGGCCCCUGAUCGAGACCAACGGCGAGACCGGCGAGAUCGUGUGGGACAAGGGCCGGGACUUCGCCACCGUGCGGAAGGUGCUGUCCAUGCCCCAGGUGAACAUCGUGAAGAAGACCGAGGUGCAGACCGGCGGCUUCUCCAAGGAGUCCAUCCUGCCCAAGCGGAACUCCGACAAGCUGAUCGCCCGGAAGAAGGACUGGGACCCCAAGAAGUACGGCGGCUUCGACUCCCCCACCGUGGCCUACUCCGUGCUGGUGGUGGCCAAGGUGGAGAAGGGCAAGUCCAAGAAGCUGAAGUCCGUGAAGGAGCUGCUGGGCAUCACCAUCAUGGAGCGGUCCUCCUUCGAGAAGAACCCCAUCGACUUCCUGGAGGCCAAGGGCUACAAGGAGGUGAAGAAGGACCUGAUCAUCAAGCUGCCCAAGUACUCCCUGUUCGAGCUGGAGAACGGCCGGAAGCGGAUGCUGGCCUCCGCCGGCGAGCUGCAGAAGGGCAACGAGCUGGCCCUGCCCUCCAAGUACGUGAACUUCCUGUACCUGGCCUCCCACUACGAGAAGCUGAAGGGCUCCCCCGAGGACAACGAGCAGAAGCAGCUGUUCGUGGAGCAGCACAAGCACUACCUGGACGAGAUCAUCGAGCAGAUCUCCGAGUUCUCCAAGCGGGUGAUCCUGGCCGACGCCAACCUGGACAAGGUGCUGUCCGCCUACAACAAGCACCGGGACAAGCCCAUCCGGGAGCAGGCCGAGAACAUCAUCCACCUGUUCACCCUGACCAACCUGGGCGCCCCCGCCGCCUUCAAGUACUUCGACACCACCAUCGACCGGAAGCGGUACACCUCCACCAAGGAGGUGCUGGACGCCACCCUGAUCCACCAGUCCAUCACCGGCCUGUACGAGACCCGGAUCGACCUGUCCCAGCUGGGCGGCGACGGCGGCGGCUCCCCCAAGAAGAAGCGGAAGGUGUCCGAGUCCGCCACCCCCGAGUCCGUGUCCGGCUGGCGGCUGUUCAAGAAGAUCUCCUGA(配列番号117)
Hibitタグを有するCas9の例示的なアミノ酸配列
MDKKYSIGLDIGTNSVGWAVITDEYKVPSKKFKVLGNTDRHSIKKNLIGALLFDSGETAEATRLKRTARRRYTRRKNRICYLQEIFSNEMAKVDDSFFHRLEESFLVEEDKKHERHPIFGNIVDEVAYHEKYPTIYHLRKKLVDSTDKADLRLIYLALAHMIKFRGHFLIEGDLNPDNSDVDKLFIQLVQTYNQLFEENPINASGVDAKAILSARLSKSRRLENLIAQLPGEKKNGLFGNLIALSLGLTPNFKSNFDLAEDAKLQLSKDTYDDDLDNLLAQIGDQYADLFLAAKNLSDAILLSDILRVNTEITKAPLSASMIKRYDEHHQDLTLLKALVRQQLPEKYKEIFFDQSKNGYAGYIDGGASQEEFYKFIKPILEKMDGTEELLVKLNREDLLRKQRTFDNGSIPHQIHLGELHAILRRQEDFYPFLKDNREKIEKILTFRIPYYVGPLARGNSRFAWMTRKSEETITPWNFEEVVDKGASAQSFIERMTNFDKNLPNEKVLPKHSLLYEYFTVYNELTKVKYVTEGMRKPAFLSGEQKKAIVDLLFKTNRKVTVKQLKEDYFKKIECFDSVEISGVEDRFNASLGTYHDLLKIIKDKDFLDNEENEDILEDIVLTLTLFEDREMIEERLKTYAHLFDDKVMKQLKRRRYTGWGRLSRKLINGIRDKQSGKTILDFLKSDGFANRNFMQLIHDDSLTFKEDIQKAQVSGQGDSLHEHIANLAGSPAIKKGILQTVKVVDELVKVMGRHKPENIVIEMARENQTTQKGQKNSRERMKRIEEGIKELGSQILKEHPVENTQLQNEKLYLYYLQNGRDMYVDQELDINRLSDYDVDHIVPQSFLKDDSIDNKVLTRSDKNRGKSDNVPSEEVVKKMKNYWRQLLNAKLITQRKFDNLTKAERGGLSELDKAGFIKRQLVETRQITKHVAQILDSRMNTKYDENDKLIREVKVITLKSKLVSDFRKDFQFYKVREINNYHHAHDAYLNAVVGTALIKKYPKLESEFVYGDYKVYDVRKMIAKSEQEIGKATAKYFFYSNIMNFFKTEITLANGEIRKRPLIETNGETGEIVWDKGRDFATVRKVLSMPQVNIVKKTEVQTGGFSKESILPKRNSDKLIARKKDWDPKKYGGFDSPTVAYSVLVVAKVEKGKSKKLKSVKELLGITIMERSSFEKNPIDFLEAKGYKEVKKDLIIKLPKYSLFELENGRKRMLASAGELQKGNELALPSKYVNFLYLASHYEKLKGSPEDNEQKQLFVEQHKHYLDEIIEQISEFSKRVILADANLDKVLSAYNKHRDKPIREQAENIIHLFTLTNLGAPAAFKYFDTTIDRKRYTSTKEVLDATLIHQSITGLYETRIDLSQLGGDGGGSPKKKRKVSESATPESVSGWRLFKKIS*(配列番号118)
【0056】
本明細書で使用する場合、「リボ核タンパク質」(RNP)または「RNP複合体」とは、RNA先導DNA結合剤(例えば、Casヌクレアーゼ、例えば、Casクリーバーゼ(cleavase)、Casニッカーゼ、またはdCas DNA結合剤(例えば、Cas9))と一緒になったガイドRNAを指す。いくつかの実施形態において、ガイドRNAは、RNA先導DNA結合剤(例えば、Cas9)を標的配列に先導し、ガイドRNAは標的配列とハイブリダイズし、結合剤は標的配列に結合する。結合剤がクリーバーゼまたはニッカーゼである場合、結合は、二本鎖DNA切断または一本鎖DNA切断の後に行われ得る。
【0057】
本明細書で使用する場合、第1の配列の第2の配列へのアラインメントにより、全体で第2の配列の位置のX%以上が第1の配列にマッチすることが示される場合、第1の配列が第2の配列「に対し少なくともX%の同一性を有する配列を含む」とみなされる。例えば、配列AAGAは配列AAGに対し、第2の配列における3つ全ての位置に対するマッチが存在することからアラインメントで100%の同一性がもたらされると考えられるため、配列AAGAは配列AAGに対し100%の同一性を有する配列を含む。RNAとDNAとの間の違い(概して、ウリジンからチミジンへの交換またはその逆)や、修飾ウリジンのようなヌクレオシドアナログの存在は、関連ヌクレオチド(例えば、チミジン、ウリジン、または修飾ウリジン)が同じ相補物(例えば、チミジン、ウリジン、または修飾ウリジンの全てに対するアデノシン;もう1つの例はシトシン及び5-メチルシトシンであり、これらは共に、相補物としてグアノシンまたは修飾グアノシンを有する)を有する限り、ポリヌクレオチド間の同一性または相補性に寄与しない。したがって、例えば、配列5’-AXGにおいて、Xが任意の修飾ウリジン、例えば、シュードウリジン、N1-メチルシュードウリジン、または5-メトキシウリジンである場合、いずれも同じ配列(5’-CAU)に対し完全に相補的であることから、AUGに対し100%同一であるとみなされる。例示的なアラインメントアルゴリズムとして、スミス=ウォーターマン及びニードルマン=ウンシュアルゴリズムがあり、これらは当技術分野で周知されている。当業者は、与えられた対の配列をアラインメントするのにどのアルゴリズム及びパラメーター設定の選択が適切であるかを理解すると考えられ、概して同様の長さである、予測同一性がアミノ酸について>50%、またはヌクレオチドについて>75%の配列に関しては、EBIによりwww.ebi.ac.ukのwebサーバーにて提供されるニードルマン=ウンシュアルゴリズムインターフェイスのデフォルト設定を用いたニードルマン=ウンシュアルゴリズムが概して適切である。
【0058】
本明細書で使用する場合、第1の配列の塩基のX%が第2の配列と塩基対を形成する場合、第1の配列は第2の配列に「X%相補的」であるとみなされる。例えば、第1の配列5’AAGA3’は、第2の配列3’TTCT5’に100%相補的であり、第2の配列は、第1の配列に100%相補的である。いくつかの実施形態において、第1の配列5’AAGA3’は、第2の配列3’TTCTGTGA5’に100%相補的であり、一方、第2の配列は、第1の配列に50%相補的である。
【0059】
本明細書で使用する場合、「mRNA」は、完全にもしくは支配的にRNAであるか、または修飾RNAであり、ポリペプチドに翻訳することができる(すなわち、リボソーム及びアミノアシル化tRNAによる翻訳のための基質として働き得る)オープンリーディングフレームを含むポリヌクレオチドを指すために、本明細書で使用される。mRNAは、リボース残基またはそのアナログ(例えば、2’-メトキシリボース残基)を含めたリン酸-糖骨格を含むことができる。いくつかの実施形態において、mRNAリン酸-糖骨格の糖は、リボース残基、2’-メトキシリボース残基、またはこれらの組合せから本質的になる。
【0060】
本明細書で使用する場合、「インデル」とは、標的核酸内の2本鎖切断(DSB)の部位で挿入または欠失される複数のヌクレオチドからなる挿入/欠失の変異を指す。
【0061】
本明細書で使用する場合、「標的配列」とは、gRNAのガイド配列に対し相補性を有する標的遺伝子内の核酸配列を指す。標的配列とガイド配列との相互作用は、RNA先導DNA結合剤に標的配列内での結合、そして潜在的には(作用物質の活性に応じて)ニッキングまたは切断を行わせる。
【0062】
本明細書で使用する場合、「ポリペプチド」とは、野生型またはバリアントタンパク質(例えば、変異体、フラグメント、融合体、またはこれらの組合せ)を指す。バリアントポリペプチドは、野生型ポリペプチドの少なくともまたは約5%、10%、15%、20%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、または100%の機能的活性を有することができる。いくつかの実施形態において、バリアントは、野生型ポリペプチドの配列に対し少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一である。いくつかの実施形態において、バリアントポリペプチドは高活性バリアントであり得る。ある特定の場合において、バリアントは、野生型ポリペプチドの約80%~約120%、約140%、約160%、約180%、約200%、約300%、約400%、約500%、またはそれ以上の機能的活性を有する。
【0063】
本明細書で使用する場合、「異種遺伝子」とは、細胞内に外来源として導入された遺伝子(例えば、セーフハーバー座位などのゲノム座位(TCR遺伝子座位を含む)に挿入された遺伝子)を指す。すなわち、導入された遺伝子は、その挿入部位に関して異種である。このような異種遺伝子から発現するポリペプチドは、「異種ポリペプチド」と称される。異種遺伝子は、天然に存在しても操作されていてもよく、野生型であってもバリアントであってもよい。異種遺伝子は、異種ポリペプチドをコードする配列以外のヌクレオチド配列(例えば、内部リボソーム進入部位)を含むことができる。異種遺伝子は、野生型またはバリアント(例えば、変異型)として、ゲノム内に天然に存在する遺伝子であってもよい。例えば、細胞は、(野生型またはバリアントとして)目的遺伝子を含むが、同じ遺伝子またはそのバリアントは、例えば、高度に発現する座位での発現のための外来源として導入することができる。また、異種遺伝子は、ゲノム内に天然に存在しない遺伝子、またはゲノム内に天然に存在しない異種ポリペプチドを発現する遺伝子であってもよい。「異種遺伝子」、「外来遺伝子」、及び「導入遺伝子」は、互換的に使用される。いくつかの実施形態において、異種遺伝子または導入遺伝子は、外来性核酸配列(例えば、レシピエント細胞にとって内因性のものでない核酸配列)を含む。いくつかの実施形態において、異種遺伝子または導入遺伝子は、外来性核酸配列(例えば、レシピエント細胞内に天然に存在しない核酸配列)を含む。例えば、異種遺伝子は、その挿入部位に関しても、そのレシピエント細胞に関しても異種性であり得る。
【0064】
「セーフハーバー」座位とは、細胞に顕著な悪影響を及ぼさずに遺伝子を挿入することができるゲノム内の座位である。本明細書で使用するためのヌクレアーゼ(複数可)により標的化されるセーフハーバー座位の非限定的な例としては、AAVS1(PPP1 R12C)、TCR、B2M、ならびに本明細書に記載のノックダウンに標的化される任意の座位(例えば、TNFA、IFNG、IL17A、及びIL6ゲノム座位)が挙げられる。いくつかの実施形態において、ノックダウンに標的化される座位(単数または複数)(例えば、TRC遺伝子、例えば、TRAC遺伝子)への挿入は、同種異系細胞に有利である。他の好適なセーフハーバー座位は当技術分野で知られている。
【0065】
II.組成物
A.操作されたT細胞
本明細書では、IFNGをコードする内在性核酸配列の修飾(例えば、ノックダウン)と、TNFAをコードする内在性核酸配列の修飾(例えば、ノックダウン)と、プロモーター配列の制御下にある調節性T細胞促進分子をコードする異種配列(複数可)の細胞内への挿入とを含むように操作されたT細胞及びT細胞の集団、ならびにその組成物及び使用が提供される。いくつかの実施形態において、調節性T細胞促進分子は、IL10、CTLA4、TGFB1、IDO1、ENTPD1、NT5E、IL22、AREG、IL35、GARP、CD274、FOXP3、IKZF2、EOS、IRF4、LEF1、及びBACH2から選択される。
【0066】
いくつかの実施形態において、T細胞またはT細胞の集団は、IFNGをコードする内在性核酸配列の修飾(例えば、ノックダウン)と、TNFAをコードする内在性核酸配列の修飾(例えば、ノックダウン)と、プロモーター配列の制御下にある2つ以上の調節性T細胞促進分子をそれぞれコードする異種配列の細胞内への挿入とを含むように操作される。例えば、操作されたT細胞は、第1のプロモーターの制御下にある第1の調節性T細胞促進分子をコードする第1の異種配列と、第2プロモーターの制御下にある第2の調節性T細胞促進分子をコードする第2の異種配列とを含む。第1のプロモーター及び第2のプロモーターは、同じプロモーターであっても異なるプロモーターであってもよい。
【0067】
いくつかの実施形態において、T細胞またはT細胞の集団は、IFNGをコードする内在性核酸配列の修飾(例えば、ノックダウン)と、TNFAをコードする内在性核酸配列の修飾(例えば、ノックダウン)と、プロモーターの制御下にあるIL10をコードする異種配列(複数可)の細胞内への挿入とを含むように操作される。いくつかの実施形態において、T細胞は、IFNGをコードする内在性核酸配列の修飾(例えば、ノックダウン)と、TNFAをコードする内在性核酸配列の修飾(例えば、ノックダウン)と、プロモーターの制御下にあるCTLA4をコードする異種配列(複数可)の細胞内への挿入とを含むように操作される。いくつかの実施形態において、T細胞は、IFNGをコードする内在性核酸配列の修飾(例えば、ノックダウン)と、TNFAをコードする内在性核酸配列の修飾(例えば、ノックダウン)と、プロモーターの制御下にあるIL10をコードする異種配列の細胞内への挿入と、プロモーターの制御下にあるCTLA4をコードする異種配列(複数可)の細胞内への挿入とを含むように操作される。
【0068】
いくつかの実施形態において、T細胞またはT細胞の集団は、IFNGをコードする内在性核酸配列の修飾(例えば、ノックダウン)と、TNFAをコードする内在性核酸配列の修飾(例えば、ノックダウン)と、プロモーターの制御下にある調節性T細胞促進分子をコードする異種配列(複数可)の細胞内への挿入とを含むように操作され、天然の調節性T細胞(nTreg)の少なくとも1つの抑制活性(例えば、in vitroまたはin vivoアッセイ(例えば、GvHDの動物モデル)における免疫応答またはバイオマーカーの抑制)を示す。
【0069】
いくつかの実施形態において、調節性T細胞促進分子をコードする異種配列(複数可)は、発現コンストラクトに組み込まれる。いくつかの実施形態において、2つ以上の調節性T細胞促進分子をコードする異種配列は、2つ以上の別々の発現コンストラクトに組み込むことができる。例えば、第1の調節性T細胞促進分子をコードする第1の異種配列は、第1の発現コンストラクト内に提供され、第2の調節性T細胞促進分子をコードする第2の異種配列は、第2の別々の発現コンストラクト内に提供される。いくつかの実施形態において、発現コンストラクトはエピソーム発現コンストラクトである。いくつかの実施形態において、調節性T細胞促進分子をコードする異種配列(複数可)が、例えば、標的または非標的挿入として、ゲノムに挿入される。
【0070】
いくつかの実施形態において、調節性T細胞促進分子をコードする配列(複数可)は、TCR遺伝子座位、例えば、TRAC遺伝子座位、TNF遺伝子座位、IFNG遺伝子座位、IL17A遺伝子座位、IL6遺伝子座位、IL2遺伝子座位、またはアデノ随伴ウイルス統合部位1(AAVS1)座位から選択される部位に挿入することができる。
【0071】
いくつかの実施形態において、操作されたT細胞の集団は、例えば、シークエンシング(例えば、NGS)による評価で、遺伝子編集によるTNFA配列の修飾(例えば、ノックダウン)を含み、細胞の少なくとも50%、55%、60%、65%、好ましくは少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、または95%が、内在性TNFA配列の挿入、欠失、または置換を含む。いくつかの実施形態において、TNFA(完全長野生型タンパク質またはmRNA)の発現は、好適な対照(例えば、ELISAまたはフローサイトメトリーによる定量でTNFA遺伝子が修飾されていない対照)と比較して、少なくとも50%、55%、60%、65%、好ましくは少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、またはアッセイの検出限界未満まで低下する。(例えば、T細胞の集団における)TNFAタンパク質及びmRNAの発現についてのアッセイは、当技術分野で知られており、本明細書で示している(実施例2及び3を参照)。ある特定の実施形態において、TNFAのノックダウンは、実施例2及び3で示される方法によって2500pg/ml以下のTNFAレベルをもたらす。
【0072】
いくつかの実施形態において、操作されたT細胞の集団は、例えば、シークエンシング(例えば、NGS)による評価で、遺伝子編集によるIFNG配列の修飾(例えば、ノックダウン)を含み、細胞の少なくとも50%、55%、60%、65%、好ましくは少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、または95%が、内在性IFNG配列の挿入、欠失、または置換を含む。いくつかの実施形態において、IFNG(完全長野生型タンパク質またはmRNA)の発現は、好適な対照(例えば、ELISAまたはフローサイトメトリーによる定量でIFNG遺伝子が修飾されていない対照)と比較して、少なくとも50%、55%、60%、65%、好ましくは少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、またはアッセイの検出限界未満まで低下する。(例えば、T細胞の集団における)IFNGタンパク質及びmRNAの発現についてのアッセイは、当技術分野で知られており、本明細書で示している(実施例2及び3を参照)。ある特定の実施形態において、IFNGのノックダウンは、実施例2及び3で示される方法によって300,000pg/ml以下のIFNGレベルをもたらす。
【0073】
いくつかの実施形態において、遺伝子(例えば、TNFAまたはIFNG)の発現をノックダウンする修飾は、挿入、欠失、または置換のうちの1つ以上である。
【0074】
いくつかの実施形態において、操作されたT細胞またはT細胞の集団は、例えば、遺伝子編集により、例えば、シークエンシング(例えば、NGS)による評価で、調節性T細胞促進分子をコードする配列(複数可)の挿入を含み、細胞の少なくとも30%、35%、好ましくは少なくとも40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、または95%が、調節性T細胞促進分子をコードする配列の挿入を含む。いくつかの実施形態において、挿入された調節性T細胞促進分子(例えば、IL10)は、例えばELISAまたはフローサイトメトリーによる定量で、例えば、調節性T細胞促進分子遺伝子が挿入されていない好適な対照と比較して、タンパク質またはmRNAの発現の統計的に有意な増加をもたらす。いくつかの実施形態において、操作されたT細胞は、例えば、シークエンシング(例えば、NGS)による評価で、遺伝子編集によるIL10をコードする配列(複数可)の挿入を含み、細胞の少なくとも30%、35%、好ましくは少なくとも40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、または95%が、挿入またはIL10をコードする配列を含む。いくつかの実施形態において、IL10をコードする挿入配列(複数可)は、好適な対照と比較して、例えば、調節性T細胞促進分子において、タンパク質またはmRNAの発現の統計学的に有意な増加をもたらす。例えばT細胞の集団における、IL10タンパク質及びmRNAの発現のアッセイは、本明細書に記載されており、また当技術分野で知られている(例えば、ELISA及びフローサイトメトリー)。ある特定の実施形態において、IL10のレベルは、実施例2及び3の方法による定量で、少なくとも300pg/mlである。
【0075】
いくつかの実施形態において、操作されたT細胞またはT細胞の集団は、例えば、遺伝子編集により、例えば、シークエンシング(例えば、NGS)による評価で、CTLA4をコードする配列(複数可)の挿入を含み、細胞の少なくとも30%、35%、好ましくは少なくとも40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、または95%が、挿入またはCTLA4をコードする配列を含む。いくつかの実施形態において、CTLA4をコードする挿入配列(複数可)は、好適な対照と比較して、例えば、調節性T細胞促進分子において、タンパク質またはmRNAの発現の統計学的に有意な増加をもたらす。例えばT細胞の集団における、CTLA4タンパク質及びmRNAの発現のアッセイは、本明細書に記載されており、また当技術分野で知られている(例えば、ELISA及びフローサイトメトリー)。
【0076】
いくつかの実施形態において、T細胞の集団は、IFNGをコードする内在性核酸配列の修飾(例えば、ノックダウン)、TNFAをコードする内在性核酸配列の修飾(例えば、ノックダウン)、及び調節性T細胞促進分子をコードする配列の挿入を含むように操作されたT細胞を含む。いくつかの実施形態において、T細胞の集団内のT細胞の少なくとも40%、45%、好ましくは少なくとも50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、または100%(例えば、使用されるアッセイの検出限界内で)が、例えば、シークエンシング(例えば、NGS)による評価で、異種の調節性T細胞促進分子を含むように操作される。いくつかの実施形態において、T細胞の集団内のT細胞の少なくとも50%、55%、60%、65%、好ましくは少なくとも70%、75%、好ましくは少なくとも80%、85%、90%、95%、または100%が、例えば、シークエンシング(例えば、NGS)による評価で、TNFAをコードする配列(複数可)の修飾(例えば、ノックダウン)を含むように操作される。いくつかの実施形態において、T細胞の集団内のT細胞の少なくとも50%、55%、60%、65%、好ましくは少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、または100%が、例えば、シークエンシング(例えば、NGS)による評価で、IFNGをコードする配列(複数可)の修飾(例えば、ノックダウン)を含むように操作される。いくつかの実施形態において、T細胞の集団内のT細胞の少なくとも40%、45%、好ましくは少なくとも50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、または100%が、例えば、シークエンシング(例えば、NGS)による評価で、調節性T細胞促進分子をコードする配列の挿入を含むように操作される。いくつかの実施形態において、T細胞の集団内のT細胞の少なくとも30%、35%、好ましくは少なくとも40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、または100%が、例えば、シークエンシング(例えば、NGS)による評価で、IL10をコードする配列(複数可)の挿入を含むように操作される。いくつかの実施形態において、T細胞の集団内のT細胞の少なくとも30%、35%、好ましくは少なくとも40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、または100%が、例えば、シークエンシング(例えば、NGS)による評価で、CTLA4をコードする配列(複数可)の挿入を含むように操作される。
【0077】
いくつかの実施形態において、IFNGをコードする内在性核酸配列の修飾(例えば、ノックダウン)と、TNFAをコードする内在性核酸配列の修飾(例えば、ノックダウン)と、プロモーター配列の制御下にある調節性T細胞促進分子をコードする異種配列(複数可)の挿入とを含む、操作されたT細胞またはT細胞の集団は、インターロイキン17A(IL17A)、インターロイキン6(IL6)、インターロイキン2(IL2)、パーフォリン1(PRF1)、グランザイムA(GZMA)、またはグランザイムB(GZMB)をコードする内在性核酸配列の修飾であって、それぞれIL17A、IL6、IL2、PRF1、GZMA、またはGZMBの発現をノックダウンする、修飾をさらに含む。
【0078】
いくつかの実施形態において、T細胞またはT細胞の集団は、遺伝子編集システムを用いて(例えば、RNA先導DNA結合剤を用いて)操作されている。いくつかの実施形態において、T細胞は、CRISPR/Cas遺伝子編集システムを用いて操作される。いくつかの実施形態において、T細胞は、CRISPR/CasタイプII遺伝子編集システムを用いて(例えば、Cpf1を用いて)操作される。いくつかの実施形態において、T細胞は、CRISPR/Cas9遺伝子編集システムを用いて(例えば、SpyCas9を用いて)操作される。例示的なCas9配列が本明細書で提供される。
【0079】
いくつかの実施形態において、T細胞またはT細胞の集団は、IFNG及びTNFA遺伝子のノックダウンを提供するために、IFNG及びTNFA遺伝子内の部位を特異的に標的化するガイドRNAを用いて操作される。例示的な配列を表1及び表2に示す。また収載している各ガイド配列の標的のゲノム座標も示す。
【0080】
いくつかの実施形態において、操作されたT細胞またはT細胞の集団は、本明細書で開示するガイドRNAをRNA先導DNA結合剤とともに用いてノックダウンされたIFNG遺伝子及びTNFA遺伝子を含む。いくつかの実施形態において、本明細書では、(例えば、本明細書で開示するガイドRNAを、RNA先導DNA結合剤(例えば、CRISPR/Casシステム)とともに用いて)T細胞のIFNG遺伝子及びTNFA遺伝子内に切断(例えば、二本鎖切断(DSB)または一本鎖切断(ニック))を誘導することによって操作されるT細胞が開示される。当該方法は、例えば、免疫応答(複数可)(炎症や自己免疫を含む)を抑制するための細胞製品の製造で、in vitroまたはex vivoで使用することができる。いくつかの実施形態において、本明細書で開示するガイドRNAは、IFNG遺伝子内の本明細書に記載の部位で、RNA先導DNA結合剤(例えば、Casヌクレアーゼ)による標的特異的切断を媒介する。いくつかの実施形態において、本明細書で開示するガイドRNAは、TNFA遺伝子内の本明細書に記載の部位で、RNA先導DNA結合剤(例えば、Casヌクレアーゼ)による標的特異的切断を媒介する。いくつかの実施形態において、ガイドRNAが、前述の領域に結合する、または結合可能なガイド配列を含むことが理解されよう。
【0081】
表1に収載されたゲノム座標から選択されるゲノム座標に遺伝子修飾を含む操作されたT細胞またはT細胞の集団、例えば、IFNG内の任意の収載されたゲノム範囲内にインデルまたは置換変異を含む細胞が提供される。また、表2に収載されたゲノム座標から選択されるゲノム座標に遺伝子修飾を含む操作されたT細胞、例えば、TNFA内の任意の収載されたゲノム範囲内にインデルまたは置換変異を含む細胞も提供される。いくつかの実施形態において、操作されたT細胞は、表1から選択されるゲノム座標領域内の修飾と、表2から選択されるゲノム座標領域の修飾とを含む。
【0082】
いくつかの実施形態において、本明細書で開示するガイドRNAは、表1または表2の配列群から選択される配列に対し95%、90%、85%、80%、または75%同一であるガイド配列を含む。いくつかの実施形態において、本明細書で開示するガイドRNAは、表1または表2の配列群から選択される配列に対し95%、90%、85%、80%、または75%同一であるガイド配列を含む。
【0083】
いくつかの実施形態において、本明細書で開示するガイドRNAは、表1の配列群から選択される配列に対し95%、90%、85%、80%、または75%同一である配列からなる群より選択される配列の少なくとも15、16、17、18、19、または20個の連続ヌクレオチドを有するガイド配列を含む。いくつかの実施形態において、本明細書で開示するガイドRNAは、表1の配列群から選択される配列の少なくとも17、18、19、または20個の連続ヌクレオチドのガイド配列を含む。いくつかの実施形態において、本明細書で開示するガイドRNAは、表1の配列群から選択される配列に対し95%、90%、85%、80%、または75%同一であるガイド配列を含む。いくつかの実施形態において、本明細書で開示するガイドRNAは、表1の配列群から選択される配列の17、18、19、または20個の連続ヌクレオチドであるガイド配列を含む。いくつかの実施形態において、本明細書で開示するガイドRNAは、表1の配列群から選択されるガイド配列を含む。
【0084】
いくつかの実施形態において、本明細書で開示するガイドRNAは、表2の配列群から選択される配列に対し95%、90%、85%、80%、または75%同一である配列からなる群より選択される配列の少なくとも15、16、17、18、19、または20個の連続ヌクレオチドを有するガイド配列を含む。いくつかの実施形態において、本明細書で開示するガイドRNAは、表2の配列群から選択される配列の少なくとも17、18、19、または20個の連続ヌクレオチドのガイド配列を含む。いくつかの実施形態において、本明細書で開示するガイドRNAは、表2の配列群から選択される配列に対し95%、90%、85%、80%、または75%同一であるガイド配列を含む。いくつかの実施形態において、本明細書で開示するガイドRNAは、表2の配列群から選択される配列の17、18、19、または20個の連続ヌクレオチドであるガイド配列を含む。いくつかの実施形態において、本明細書で開示するガイドRNAは、表2の配列群から選択されるガイド配列を含む。
【0085】
別段の記載がない限り、全体のゲノム座標は、ヒト参照ゲノムhg38に基づくものである。
【0086】
ある特定の実施形態において、IFNGを標的化するガイド配列を含むガイドRNA及びTNFAを標的化するガイド配列を含むガイドRNAが含まれる。
【表1-1】
【表1-2】
【表2-1】
【表2-2】
【表2-3】
【表2-4】
【表2-5】
【表2-6】
【0087】
TNFAノックダウンのための非限定的な修飾ガイド配列を以下に示す(hg38座標chr12:68158001-68158021):
mC*mC*mA*GAGCAUCCAAAAGAGUGGUUUUAGAmGmCmUmAmGmAmAmAmUmAmGmCAAGUUAAAAUAAGGCUAGUCCGUUAUCAmAmCmUmUmGmAmAmAmAmAmGmUmGmGmCmAmCmCmGmAmGmUmCmGmGmUmGmCmU*mU*mU*mU(配列番号119)(配列中、mは、2’-OMe修飾ヌクレオチド/ヌクレオシド残基であり、*は、残基間のホスホロチオエート結合を示し、大文字は残基を示し、好ましくはリボース糖を含む)
【0088】
IFNGノックダウンのための非限定的な修飾ガイド配列を以下に示す(hg38座標chr6:31576805-31576825):
mA*mG*mA*GCUCUUACCUACAACAUGUUUUAGAmGmCmUmAmGmAmAmAmUmAmGmCAAGUUAAAAUAAGGCUAGUCCGUUAUCAmAmCmUmUmGmAmAmAmAmAmGmUmGmGmCmAmCmCmGmAmGmUmCmGmGmUmGmCmU*mU*mU*mU(配列番号120)
【0089】
例示的な修飾モックガイドを以下に示す(hg38座標chr1:0-20):
mG*mA*mU*CACGUCGGCCGUUGGCGGUUUUAGAmGmCmUmAmGmAmAmAmUmAmGmCAAGUUAAAAUAAGGCUAGUCCGUUAUCAmAmCmUmUmGmAmAmAmAmAmGmUmGmGmCmAmCmCmGmAmGmUmCmGmGmUmGmCmU*mU*mU*mU(配列番号121)
【0090】
いくつかの実施形態において、本明細書では、ガイドRNAをRNA先導DNA結合剤とともに用いて、T細胞またはT細胞の集団のゲノム座位内に異種IL10核酸を導入または挿入することによって操作されたT細胞、及び(例えば、操作されたT細胞を作製するための)異種IL10核酸を含むコンストラクト(例えば、ドナーコンストラクトまたは鋳型)が開示される。いくつかの実施形態において、本明細書では、例えば、ガイドRNAをRNA先導DNA結合剤とともに用いて、T細胞またはT細胞の集団のゲノム座位内に異種IL10を発現することによって操作されたT細胞、及び異種IL10核酸を含むコンストラクト(例えば、ドナー)が開示される。いくつかの実施形態において、本明細書では、例えば、ガイドRNAを、RNA先導DNA結合剤(例えば、CRISPR/Casシステム)とともに用いて、IL10遺伝子を挿入するために、T細胞またはT細胞の集団のゲノム内に切断(例えば、二本鎖切断(DSB)または一本鎖切断(ニック))を誘導することによって操作されるT細胞が開示される。また、当該方法によって作製された細胞及び細胞集団も提供される。
【0091】
いくつかの実施形態において、本明細書では、ガイドRNAをRNA先導DNA結合剤とともに用いて、T細胞またはT細胞の集団のゲノム座位内に異種CTLA4核酸を導入または挿入することによって操作されたT細胞、及び(例えば、操作されたT細胞を作製するための)異種CTLA4核酸を含むコンストラクト(例えば、ドナーコンストラクトまたは鋳型)が開示される。いくつかの実施形態において、本明細書では、例えば、ガイドRNAをRNA先導DNA結合剤とともに用いて、T細胞またはT細胞の集団のゲノム座位内に異種CTLA4を発現することによって操作されたT細胞、及び異種CTLA4核酸を含むコンストラクト(例えば、ドナー)が開示される。いくつかの実施形態において、本明細書では、例えば、ガイドRNAを、RNA先導DNA結合剤(例えば、CRISPR/Casシステム)とともに用いて、CTLA4遺伝子を挿入するために、T細胞またはT細胞の集団のゲノム内に切断(例えば、二本鎖切断(DSB)または一本鎖切断(ニック))を誘導することによって操作されるT細胞が開示される。また、当該方法によって作製された細胞及び細胞集団も提供される。
【0092】
いくつかの実施形態において、本明細書では、ガイドRNAをRNA先導DNA結合剤とともに用いて、T細胞またはT細胞の集団のゲノム座位内に異種CTLA4核酸及び異種IL10核酸を導入または挿入することによって操作されたT細胞、ならびに(例えば、操作されたT細胞を作製するための)異種CTLA4核酸及び異種IL10核酸を含む1つ以上のコンストラクト(例えば、ドナーコンストラクトまたは鋳型)が開示される。いくつかの実施形態において、本明細書では、例えば、ガイドRNAをRNA先導DNA結合剤とともに用いて、T細胞またはT細胞の集団のゲノム座位から異種CTLA4及び異種IL10を発現することによって操作されたT細胞、ならびに異種CTLA4核酸及び異種IL10核酸を含む1つ以上のコンストラクト(例えば、ドナーコンストラクトまたは鋳型)が開示される。いくつかの実施形態において、本明細書では、例えば、ガイドRNAを、RNA先導DNA結合剤(例えば、CRISPR/Casシステム)とともに用いて、CTLA4遺伝子及びIL10遺伝子を挿入するために、T細胞またはT細胞の集団のゲノム内に切断(例えば、二本鎖切断(DSB)または一本鎖切断(ニック))を誘導することによって操作されるT細胞が開示される。いくつかの実施形態において、ガイドRNAは、2つ以上の調節性T細胞促進分子、例えばIL10及びCTLA4をコードする配列(複数)を挿入するために、本明細書に記載の部位で、RNA先導DNA結合剤(例えばCasヌクレアーゼ)による標的特異的切断を媒介する。いくつかの実施形態において、ガイドRNAは、前述の領域に結合する、または結合可能なガイド配列を含むことが理解されよう。また、当該方法によって作製された細胞及び細胞集団も提供される。
【0093】
調節性T細胞促進分子の例示的なヌクレオチド及びポリペプチド配列を以下に示す。ポリペプチド配列をコードする代替的なヌクレオチド配列(代替的な天然に存在するバリアント及び非ヒトホモログを含む)を特定するための方法は、当技術分野で知られている。例示的なIL10及びCTLA4をコードする核酸配列を以下に示す。他の好適なIL10及びCTLA4配列も当技術分野で知られている。例えば、Gorby et al.,Engineered IL-10 variants elicit potent immuno-modulatory activities at therapeutic low ligand doses,BioRxiv(2020)及びXu et al.,Affinity and cross-reactivity engineering of CTLA4-Ig to modulate T cell costimulation,J Immunol(2012)を参照(これらの内容及び配列は、参照により本明細書に援用される)。代替的なIL10及びCTLA4配列を特定するための方法も当技術分野で知られている。例えば、上記を参照。本明細書に記載の任意の核酸配列、アミノ酸配列、またはアミノ酸配列をコードする核酸配列のいずれかに対し、例えば変異または切断により、少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性を有する配列も企図されている。いくつかの実施形態において、本明細書で提供される任意のアミノ酸配列をコードする核酸配列も提供される。
【0094】
非限定的で例示的なIL10をコードする核酸配列を示す。
野生型IL10:
ATGCACAGCTCAGCACTGCTCTGTTGCCTGGTCCTCCTGACTGGGGTGAGGGCCAGCCCAGGCCAGGGCACCCAGTCTGAGAACAGCTGCACCCACTTCCCAGGCAACCTGCCTAACATGCTTCGAGATCTCCGAGATGCCTTCAGCAGAGTGAAGACTTTCTTTCAAATGAAGGATCAGCTGGACAACTTGTTGTTAAAGGAGTCCTTGCTGGAGGACTTTAAGGGTTACCTGGGTTGCCAAGCCTTGTCTGAGATGATCCAGTTTTACCTGGAGGAGGTGATGCCCCAAGCTGAGAACCAAGACCCAGACATCAAGGCGCATGTGAACTCCCTGGGGGAGAACCTGAAGACCCTCAGGCTGAGGCTACGGCGCTGTCATCGATTTCTTCCCTGTGAAAACAAGAGCAAGGCCGTGGAGCAGGTGAAGAATGCCTTTAATAAGCTCCAAGAGAAAGGCATCTACAAAGCCATGAGTGAGTTTGACATCTTCATCAACTACATAGAAGCCTACATGACAATGAAGATACGAAAC(配列番号122)
高親和性IL10(N36I、N110I、K117N、F129L):
ATGCACAGCTCAGCACTGCTCTGTTGCCTGGTCCTCCTGACTGGGGTGAGGGCCAGCCCAGGCCAGGGCACCCAGTCTGAGAACAGCTGCACCCACTTCCCAGGCATCCTGCCTAACATGCTTCGAGATCTCCGAGATGCCTTCAGCAGAGTGAAGACTTTCTTTCAAATGAAGGATCAGCTGGACAACTTGTTGTTAAAGGAGTCCTTGCTGGAGGACTTTAAGGGTTACCTGGGTTGCCAAGCCTTGTCTGAGATGATCCAGTTTTACCTGGAGGAGGTGATGCCCCAAGCTGAGAACCAAGACCCAGACATCAAGGCGCATGTGatcTCCCTGGGGGAGAACCTGAATACCCTCAGGCTGAGGCTACGGCGCTGTCATCGActcCTTCCCTGTGAAAACAAGAGCAAGGCCGTGGAGCAGGTGAAGAATGCCTTTAATAAGCTCCAAGAGAAAGGCATCTACAAAGCCATGAGTGAGTTTGACATCTTCATCAACTACATAGAAGCCTACATGACAATGAAGATACGAAAC(配列番号123)
【0095】
非限定的で例示的なIL10のアミノ酸配列を示す。
野生型IL10:
MHSSALLCCLVLLTGVRASPGQGTQSENSCTHFPGNLPNMLRDLRDAFSRVKTFFQMKDQLDNLLLKESLLEDFKGYLGCQALSEMIQFYLEEVMPQAENQDPDIKAHVNSLGENLKTLRLRLRRCHRFLPCENKSKAVEQVKNAFNKLQEKGIYKAMSEFDIFINYIEAYMTMKIRN(配列番号124)
高親和性IL10(N36I、N110I、K117N、F129L):
MHSSALLCCLVLLTGVRASPGQGTQSENSCTHFPGILPNMLRDLRDAFSRVKTFFQMKDQLDNLLLKESLLEDFKGYLGCQALSEMIQFYLEEVMPQAENQDPDIKAHVISLGENLNTLRLRLRRCHRLLPCENKSKAVEQVKNAFNKLQEKGIYKAMSEFDIFINYIEAYMTMKIRN(配列番号125)
【0096】
非限定的で例示的なCTLA4をコードする核酸配列を示す。
野生型CTLA4:
ATGGCCTGCTTGGGCTTCCAAAGGCATAAAGCCCAGCTTAATCTTGCTACTCGCACGTGGCCCTGCACATTGCTCTTTTTCCTCCTGTTCATTCCCGTGTTTTGCAAGGCGATGCATGTGGCACAACCTGCCGTCGTTCTGGCATCATCAAGAGGTATTGCTAGCTTCGTTTGTGAGTACGCCTCCCCTGGAAAAGCGACGGAGGTGCGCGTCACTGTATTGCGGCAAGCCGACAGCCAAGTTACTGAAGTCTGCGCGGCAACGTATATGATGGGCAATGAGCTGACATTCCTTGACGATTCAATCTGCACGGGAACAAGTAGTGGTAACCAGGTGAATCTCACTATTCAAGGTCTGAGAGCCATGGACACCGGCCTCTACATTTGTAAGGTGGAGCTGATGTATCCTCCCCCATATTATCTGGGGATCGGAAATGGGACACAGATATATGTTATTGATCCCGAGCCATGTCCCGATAGTGACTTCCTCTTGTGGATACTTGCCGCTGTGAGCAGTGGTTTGTTTTTTTATTCATTCCTCCTTACGGCAGTATCACTTTCAAAAATGCTCAAGAAGCGAAGTCCTTTGACAACTGGCGTATATGTCAAAATGCCACCAACAGAGCCCGAATGTGAGAAACAGTTCCAGCCGTACTTTATTCCTATAAAC(配列番号126)
高親和性CTLA4(ベラタセプト;結合ドメイン:A29Y、L104E):
ATGGCCTGCTTGGGCTTCCAAAGGCATAAAGCCCAGCTTAATCTTGCTACTCGCACGTGGCCCTGCACATTGCTCTTTTTCCTCCTGTTCATTCCCGTGTTTTGCAAGGCGATGCATGTGGCACAACCTGCCGTCGTTCTGGCATCATCAAGAGGTATTGCTAGCTTCGTTTGTGAGTACGCCTCCCCTGGAAAATACACGGAGGTGCGCGTCACTGTATTGCGGCAAGCCGACAGCCAAGTTACTGAAGTCTGCGCGGCAACGTATATGATGGGCAATGAGCTGACATTCCTTGACGATTCAATCTGCACGGGAACAAGTAGTGGTAACCAGGTGAATCTCACTATTCAAGGTCTGAGAGCCATGGACACCGGCCTCTACATTTGTAAGGTGGAGCTGATGTATCCTCCCCCATATTATGAGGGGATCGGAAATGGGACACAGATATATGTTATTGATCCCGAGCCATGTCCCGATAGTGACTTCCTCTTGTGGATACTTGCCGCTGTGAGCAGTGGTTTGTTTTTTTATTCATTCCTCCTTACGGCAGTATCACTTTCAAAAATGCTCAAGAAGCGAAGTCCTTTGACAACTGGCGTATATGTCAAAATGCCACCAACAGAGCCCGAATGTGAGAAACAGTTCCAGCCGTACTTTATTCCTATAAAC(配列番号127)
高親和性CTLA4(結合ドメイン:A29H):
ATGGCCTGCTTGGGCTTCCAAAGGCATAAAGCCCAGCTTAATCTTGCTACTCGCACGTGGCCCTGCACATTGCTCTTTTTCCTCCTGTTCATTCCCGTGTTTTGCAAGGCGATGCATGTGGCACAACCTGCCGTCGTTCTGGCATCATCAAGAGGTATTGCTAGCTTCGTTTGTGAGTACGCCTCCCCTGGAAAACATACGGAGGTGCGCGTCACTGTATTGCGGCAAGCCGACAGCCAAGTTACTGAAGTCTGCGCGGCAACGTATATGATGGGCAATGAGCTGACATTCCTTGACGATTCAATCTGCACGGGAACAAGTAGTGGTAACCAGGTGAATCTCACTATTCAAGGTCTGAGAGCCATGGACACCGGCCTCTACATTTGTAAGGTGGAGCTGATGTATCCTCCCCCATATTATCTGGGGATCGGAAATGGGACACAGATATATGTTATTGATCCCGAGCCATGTCCCGATAGTGACTTCCTCTTGTGGATACTTGCCGCTGTGAGCAGTGGTTTGTTTTTTTATTCATTCCTCCTTACGGCAGTATCACTTTCAAAAATGCTCAAGAAGCGAAGTCCTTTGACAACTGGCGTATATGTCAAAATGCCACCAACAGAGCCCGAATGTGAGAAACAGTTCCAGCCGTACTTTATTCCTATAAAC(配列番号128)
高親和性CTLA4(結合ドメイン:K28H、A29H):
ATGGCCTGCTTGGGCTTCCAAAGGCATAAAGCCCAGCTTAATCTTGCTACTCGCACGTGGCCCTGCACATTGCTCTTTTTCCTCCTGTTCATTCCCGTGTTTTGCAAGGCGATGCATGTGGCACAACCTGCCGTCGTTCTGGCATCATCAAGAGGTATTGCTAGCTTCGTTTGTGAGTACGCCTCCCCTGGACATCACACGGAGGTGCGCGTCACTGTATTGCGGCAAGCCGACAGCCAAGTTACTGAAGTCTGCGCGGCAACGTATATGATGGGCAATGAGCTGACATTCCTTGACGATTCAATCTGCACGGGAACAAGTAGTGGTAACCAGGTGAATCTCACTATTCAAGGTCTGAGAGCCATGGACACCGGCCTCTACATTTGTAAGGTGGAGCTGATGTATCCTCCCCCATATTATCTGGGGATCGGAAATGGGACACAGATATATGTTATTGATCCCGAGCCATGTCCCGATAGTGACTTCCTCTTGTGGATACTTGCCGCTGTGAGCAGTGGTTTGTTTTTTTATTCATTCCTCCTTACGGCAGTATCACTTTCAAAAATGCTCAAGAAGCGAAGTCCTTTGACAACTGGCGTATATGTCAAAATGCCACCAACAGAGCCCGAATGTGAGAAACAGTTCCAGCCGTACTTTATTCCTATAAAC(配列番号129)
【0097】
非限定的で例示的なCTLA4のアミノ酸配列を示す。
野生型CTLA4:
MACLGFQRHKAQLNLATRTWPCTLLFFLLFIPVFCKAMHVAQPAVVLASSRGIASFVCEYASPGKATEVRVTVLRQADSQVTEVCAATYMMGNELTFLDDSICTGTSSGNQVNLTIQGLRAMDTGLYICKVELMYPPPYYLGIGNGTQIYVIDPEPCPDSDFLLWILAAVSSGLFFYSFLLTAVSLSKMLKKRSPLTTGVYVKMPPTEPECEKQFQPYFIPIN(配列番号130)
高親和性CTLA4(ベラタセプト;結合ドメイン:A29Y、L104E):
MACLGFQRHKAQLNLATRTWPCTLLFFLLFIPVFCKAMHVAQPAVVLASSRGIASFVCEYASPGKYTEVRVTVLRQADSQVTEVCAATYMMGNELTFLDDSICTGTSSGNQVNLTIQGLRAMDTGLYICKVELMYPPPYYEGIGNGTQIYVIDPEPCPDSDFLLWILAAVSSGLFFYSFLLTAVSLSKMLKKRSPLTTGVYVKMPPTEPECEKQFQPYFIPIN(配列番号131)
高親和性CTLA4(結合ドメイン:A29H):
MACLGFQRHKAQLNLATRTWPCTLLFFLLFIPVFCKAMHVAQPAVVLASSRGIASFVCEYASPGKHTEVRVTVLRQADSQVTEVCAATYMMGNELTFLDDSICTGTSSGNQVNLTIQGLRAMDTGLYICKVELMYPPPYYLGIGNGTQIYVIDPEPCPDSDFLLWILAAVSSGLFFYSFLLTAVSLSKMLKKRSPLTTGVYVKMPPTEPECEKQFQPYFIPIN(配列番号132)
高親和性CTLA4(結合ドメイン:K28H、A29H):
MACLGFQRHKAQLNLATRTWPCTLLFFLLFIPVFCKAMHVAQPAVVLASSRGIASFVCEYASPGHHTEVRVTVLRQADSQVTEVCAATYMMGNELTFLDDSICTGTSSGNQVNLTIQGLRAMDTGLYICKVELMYPPPYYLGIGNGTQIYVIDPEPCPDSDFLLWILAAVSSGLFFYSFLLTAVSLSKMLKKRSPLTTGVYVKMPPTEPECEKQFQPYFIPIN(配列番号133)
【0098】
いくつかの実施形態において、IFNGをコードする内在性核酸配列の修飾(例えば、ノックダウン)と、TNFAをコードする内在性核酸配列の修飾(例えば、ノックダウン)と、プロモーター配列の制御下にある調節性T細胞促進分子をコードする異種配列(複数可)の細胞内への挿入とを含む、操作されたT細胞またはT細胞の集団は、天然に存在する調節性T細胞(nTreg)の少なくとも1つの抑制活性(例えば、in vitroまたはin vivoアッセイ(例えば、GvHDの動物モデル)における免疫応答(複数可)またはバイオマーカーの抑制)を示す。いくつかの実施形態において、IFNGをコードする内在性核酸配列の修飾(例えば、ノックダウン)と、TNFAをコードする内在性核酸配列の修飾(例えば、ノックダウン)と、プロモーター配列の制御下にある調節性T細胞促進分子をコードする異種配列(複数可)の細胞内への挿入とを含む、操作されたT細胞またはT細胞の集団は、nTregと比較して改善された抑制活性(例えば、in vitroまたはin vivoアッセイ(例えば、GvHDの動物モデル)における免疫応答またはバイオマーカーの抑制の増加)を示す。例えば、GvHDのマウスモデルにおいて、IFNGをコードする内在性核酸配列の修飾(例えば、ノックダウン)と、TNFAをコードする内在性核酸配列の修飾(例えば、ノックダウン)と、プロモーター配列の制御下にある調節性T細胞促進分子をコードする異種配列(複数可)の細胞内への挿入とを含む、操作されたT細胞を投与したマウスは、対照(例えば、PBMCを投与したマウス)と比較して改善された生存率を示す。
【0099】
B.標的化受容体
いくつかの実施形態において、IFNGをコードする内在性核酸配列の修飾(例えば、ノックダウン)と、TNFAをコードする内在性核酸配列の修飾(例えば、ノックダウン)と、プロモーター配列の制御下にある調節性T細胞促進分子をコードする異種配列(複数可)の細胞内への挿入とを含む、操作されたT細胞は、標的化受容体をコードする異種配列(複数可)の細胞内への挿入をさらに含む。標的化受容体をコードする配列(複数可)は、プロモーター配列(例えば内在性プロモーターまたは異種プロモーター)の制御下にある。
【0100】
いくつかの実施形態において、標的化受容体は、キメラ抗原受容体(CAR)、T細胞受容体(TCR)、または細胞外受容体部分の結合時にT細胞を活性化可能な、内部シグナル伝達ドメイン内で少なくとも膜貫通ドメインを介し作用可能に結合した細胞表面分子の受容体である。いくつかの実施形態において、標的化受容体は、細胞が、標的部位(例えば、生物内の特定の細胞または組織)に結合するのを可能にする、細胞(例えば、T細胞)の表面に存在する受容体であり得る。標的化受容体は抗原受容体である必要はなく、例えば、標的化受容体は、インテグリンを標的化可能なRGDペプチドであってもよい。いくつかの実施形態において、標的化受容体は、MAdCAM-1、TNFA、CEACAM6、VCAM-1、シトルリン化ビメンチン、ミエリン塩基性タンパク質(MBP)、MOG(ミエリンオリゴデンドロサイト糖タンパク質)、プロテオリピドタンパク質1(PLP1)、CD19分子(CD19)、CD20分子(CD20)、TNFRSF17、ジペプチジルペプチダーゼ様6(DPP6)、溶質輸送体ファミリー2メンバー2(SCL2A2)、グルタミン酸デカルボキシラーゼ(GAD2)、デスモグレイン3(DSG3)、及びMHCクラスI HLA-A(HLA-A*02)からなる群より選択される分子を標的化する。
【0101】
いくつかの実施形態において、操作されたT細胞は、IFNGをコードする内在性核酸配列の修飾(例えば、ノックダウン)と、TNFAをコードする内在性核酸配列の修飾(例えば、ノックダウン)と、IL10、CTLA4、TGFB1、IDO1、ENTPD1、NT5E、IL22、AREG、IL35、GARP、CD274、FOXP3、IKZF2、EOS、IRF4、LEF1、及びBACH2から選択される調節性T細胞促進分子をコードする配列(複数可)の挿入と、標的化受容体(例えば、CAR(例えば、MAdCAM-1を標的化するCAR))をコードする配列(複数可)の挿入とを含む。
【0102】
いくつかの実施形態において、操作されたT細胞は、IFNGをコードする内在性核酸配列の修飾(例えば、ノックダウン)と、TNFAをコードする内在性核酸配列の修飾(例えば、ノックダウン)と、IL10をコードする配列(複数可)の挿入と、標的化受容体(例えば、CAR(例えば、MAdCAM-1を標的化するCAR))をコードする配列(複数可)の挿入とを含む。
【0103】
いくつかの実施形態において、操作されたT細胞は、IFNGをコードする内在性核酸配列の修飾(例えば、ノックダウン)と、TNFAをコードする内在性核酸配列の修飾(例えば、ノックダウン)と、CTLA4をコードする配列(複数可)の挿入と、標的化受容体(例えば、CAR(例えば、MAdCAM-1を標的化するCAR))をコードする配列(複数可)の挿入とを含む。
【0104】
いくつかの実施形態において、操作されたT細胞は、IFNGをコードする内在性核酸配列の修飾(例えば、ノックダウン)と、TNFAをコードする内在性核酸配列の修飾(例えば、ノックダウン)と、IL10をコードする配列(複数可)の挿入と、CTLA4をコードする配列(複数可)の挿入と、標的化受容体(例えば、CAR(例えば、MAdCAM-1を標的化するCAR))をコードする配列(複数可)の挿入とを含む。
【0105】
いくつかの実施形態において、標的化受容体をコードする配列(複数可)は、発現コンストラクトに組み込まれる。いくつかの実施形態において、標的化受容体をコードする配列(複数可)を含む発現コンストラクトは、調節性T細胞促進分子をコードする配列(複数可)をさらに含み、例えば、標的化受容体をコードする配列(複数可)及び調節性T細胞促進分子をコードする配列(複数可)は、同じ発現コンストラクトに組み込まれる。いくつかの実施形態において、標的化受容体をコードする配列(複数可)を含む発現コンストラクトは、調節性T細胞促進分子をコードする配列(複数可)をさらに含まず、例えば、調節性T細胞促進分子をコードする配列(複数可)は、別々の発現コンストラクトに組み込まれる。いくつかの実施形態において、標的化受容体をコードする配列を含む発現コンストラクトはエピソーム発現コンストラクトである。いくつかの実施形態において、標的化受容体をコードする配列(複数可)が、例えば、標的または非標的挿入として、ゲノムに挿入される。
【0106】
いくつかの実施形態において、標的化受容体をコードする配列(複数可)は、TCR遺伝子座位、例えば、TRAC遺伝子座位、TNF遺伝子座位、IFNG遺伝子座位、IL17A遺伝子座位、IL6遺伝子座位、IL2遺伝子座位、またはアデノ随伴ウイルス統合部位1(AAVS1)座位から選択される部位に挿入することができる。
【0107】
いくつかの実施形態において、操作されたT細胞は、例えば、シークエンシング(例えば、NGS)による評価で、遺伝子編集による標的化受容体をコードする配列(複数可)の挿入を含む。いくつかの実施形態において、T細胞の集団は、IFNGをコードする内在性核酸配列の修飾(例えば、ノックダウン)と、TNFAをコードする内在性核酸配列の修飾(例えば、ノックダウン)と、調節性T細胞促進分子をコードする配列の挿入と、標的化受容体(例えば、CAR)をコードする配列(複数可)の挿入とを含むように操作されているT細胞を含む。いくつかの実施形態において、T細胞の集団内のT細胞の少なくとも40%、45%、好ましくは少なくとも50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、または100%が、例えば、シークエンシング(例えば、NGS)による評価で、標的化受容体をコードする配列(複数可)の挿入を含むように操作される。T細胞集団は、当分野で知られている選択方法を用いて、標的受容体を有する細胞集団について濃縮することできるものと理解される。
【0108】
いくつかの実施形態において、本明細書では、ガイドRNAをRNA先導DNA結合剤とともに用いて、T細胞またはT細胞の集団のゲノム座位内に標的化受容体(例えば、CAR)核酸を導入または挿入することによって操作されたT細胞、及び(例えば、操作されたT細胞を作製するための)標的化受容体(例えば、CAR)核酸を含むコンストラクト(例えば、ドナーコンストラクトまたは鋳型)が開示される。いくつかの実施形態において、本明細書では、例えば、ガイドRNAをRNA先導DNA結合剤とともに用いて、T細胞またはT細胞の集団のゲノム座位内に標的化受容体(例えば、CAR)を発現することによって操作されたT細胞、及び標的化受容体(例えば、CAR)を含むコンストラクト(例えば、ドナー)が開示される。いくつかの実施形態において、本明細書では、例えば、ガイドRNAを、RNA先導DNA結合剤(例えば、CRISPR/Casシステム)とともに用いて、標的化受容体(例えば、CAR)を挿入するために、T細胞またはT細胞の集団のゲノム内に切断(例えば、二本鎖切断(DSB)または一本鎖切断(ニック))を誘導することによって操作されるT細胞が開示される。また、当該方法によって作製された細胞及び細胞集団も提供される。
【0109】
いくつかの実施形態において、標的化受容体(例えば、CAR)は、標的化受容体(例えば、CAR)を含む操作されたT細胞に、例えば、特定の細胞、組織、または器官に対する標的特異性を付与可能である。
【0110】
いくつかの実施形態において、標的化受容体(例えば、CAR)は、操作されたT細胞を胃腸系に対し標的化することが可能であり、例えば、標的化受容体は、例えば、炎症性腸疾患、潰瘍性大腸炎、またはクローン病などの障害における免疫応答を抑制するために、MAdCAM-1を標的化するCARである。
【0111】
いくつかの実施形態において、標的化受容体(例えば、CAR)は、操作されたT細胞を炎症組織に対し標的化することが可能であり、例えば、標的化受容体は、例えば、炎症性腸疾患、潰瘍性大腸炎、またはクローン病などの障害における免疫応答を抑制するために、TNFAを標的化するCARである。
【0112】
いくつかの実施形態において、標的化受容体(例えば、CAR)は、操作されたT細胞を内皮細胞に対し標的化することが可能であり、例えば、標的化受容体は、例えば、クローン病などの障害における免疫応答(複数可)(炎症を含む)を抑制するために、CEACAM6を標的化するCARである。
【0113】
いくつかの実施形態において、標的化受容体(例えば、CAR)は、操作されたT細胞を内皮細胞を含む組織に対し標的化することが可能であり、例えば、標的化受容体は、例えば、クローン病及び多発性硬化症などの障害における免疫応答を抑制するために、VCAM-1を標的化するCARである。
【0114】
いくつかの実施形態において、CARは、操作されたT細胞を滑膜組織に対し標的化することが可能であり、例えば、標的化受容体は、例えば、関節リウマチなどの障害における免疫応答を抑制するために、シトルリン化ビメンチンを標的化するCARである。
【0115】
いくつかの実施形態において、標的化受容体(例えば、CAR)は、操作されたT細胞を神経組織に対し標的化することが可能であり、例えば、標的化受容体は、例えば、多発性硬化症などの障害における免疫応答を抑制するために、MBP、MOG、またはPLP1を標的化するCARである。
【0116】
いくつかの実施形態において、標的化受容体(例えば、CAR)は、操作されたT細胞をB細胞に対し標的化することが可能であり、例えば、標的化受容体は、例えば、多発性硬化症及び全身性エリテマトーデスなどの障害における免疫応答を抑制するために、CD19を標的化するCARである。
【0117】
いくつかの実施形態において、標的化受容体(例えば、CAR)は、操作されたT細胞をB細胞に対し標的化することが可能であり、例えば、標的化受容体は、例えば、多発性硬化症及び全身性エリテマトーデスなどの障害における免疫応答を抑制するために、CD20を標的化するCARである。
【0118】
いくつかの実施形態において、標的化受容体(例えば、CAR)は、操作されたT細胞を、成熟Bリンパ球を含む組織に対し標的化することが可能であり、例えば、標的化受容体は、例えば、全身性エリテマトーデスなどの障害における免疫応答を抑制するために、TNFRSF17を標的化するCARである。
【0119】
いくつかの実施形態において、標的化受容体(例えば、CAR)は、SCL2A2を標的化する。いくつかの実施形態において、標的化受容体(例えば、CAR)は、DPP6を標的化する。いくつかの実施形態において、標的化受容体(例えば、CAR)は、GAD2を標的化する。いくつかの実施形態において、標的化受容体(例えば、CAR)は、DSG3を標的化する。いくつかの実施形態において、標的化受容体(例えば、CAR)は、MHCクラスI HLA-A(HLA-A*02)を標的化する。
【0120】
さらなるCAR標的(例えば、炎症性抗原)が当技術分野で知られている。例えば、WO2020092057A1を参照(この内容は、全体として本明細書に援用される)。いくつかの実施形態において、挿入は、操作されたT細胞、操作されたT細胞の集団、組織、目的とする体液、または操作されたT細胞を含む組織培養培地中のタンパク質またはmRNAの量を検出することによって評価することができる。いくつかの実施形態において、遺伝子編集による挿入は、シークエンシング、例えば次世代シークエンシング(NGS)によって評価することができる。標的化受容体(例えば、CAR)のタンパク質及びmRNA発現のアッセイは、本明細書に記載されており、当技術分野で知られている。
【0121】
いくつかの実施形態において、操作されたT細胞またはT細胞の集団は、異種の標的受容体を含まない。
【0122】
C.T細胞受容体(TCR)
いくつかの実施形態において、IFNGをコードする内在性核酸配列の修飾(例えば、ノックダウン)と、TNFAをコードする内在性核酸配列の修飾(例えば、ノックダウン)と、プロモーター配列の制御下にある調節性T細胞促進分子をコードする異種配列(複数可)の細胞内への挿入とを含む、操作されたT細胞またはT細胞の集団は、TCR遺伝子配列(複数可)をコードする内在性核酸配列の修飾(例えば、ノックダウン)をさらに含む。
【0123】
いくつかの実施形態において、IFNGをコードする内在性核酸配列の修飾(例えば、ノックダウン)と、TNFAをコードする内在性核酸配列の修飾(例えば、ノックダウン)と、プロモーター配列の制御下にある調節性T細胞促進分子をコードする異種配列(複数可)の細胞内への挿入と、標的化受容体をコードする異種配列(複数可)の細胞内への挿入とを含む、操作されたT細胞またはT細胞の集団は、TCR遺伝子配列(複数可)をコードする内在性核酸配列の修飾(例えば、ノックダウン)をさらに含む。
【0124】
概して、TCRは、α及びβの2つのTCRポリペプチド鎖を含むヘテロ二量体受容体分子である。ノックダウンのために標的化する好適なα及びβゲノム配列または座位は当技術分野で知られている。いくつかの実施形態において、操作されたT細胞は、TCRα鎖遺伝子配列(例えば、TRAC)の修飾(例えば、ノックダウン)を含む。例えば、NCBI遺伝子ID:28755;Ensembl:ENSG00000277734(T細胞受容体アルファコンスタント)、US2018/0362975、及びWO2020081613を参照。
【0125】
いくつかの実施形態において、操作されたT細胞またはT細胞の集団は、IFNGをコードする内在性核酸配列の修飾(例えば、ノックダウン)と、TNFAをコードする内在性核酸配列の修飾(例えば、ノックダウン)と、IL10、CTLA4、TGFB1、IDO1、ENTPD1、NT5E、IL22、AREG、IL35、GARP、CD274、FOXP3、IKZF2、EOS、IRF4、LEF1、及びBACH2から選択される調節性T細胞促進分子をコードする配列(複数可)の挿入と、TCR遺伝子配列(複数可)をコードする内在性核酸配列の修飾(例えば、ノックダウン)とを含む。
【0126】
いくつかの実施形態において、操作されたT細胞またはT細胞の集団は、IFNGをコードする内在性核酸配列の修飾(例えば、ノックダウン)と、TNFAをコードする内在性核酸配列の修飾(例えば、ノックダウン)と、IL10またはCTLA4をコードする配列(複数可)の挿入と、TCR遺伝子配列(複数可)をコードする内在性核酸配列の修飾(例えば、ノックダウン)とを含む。
【0127】
いくつかの実施形態において、操作されたT細胞またはT細胞の集団は、IFNGをコードする内在性核酸配列の修飾(例えば、ノックダウン)と、TNFAをコードする内在性核酸配列の修飾(例えば、ノックダウン)と、調節性T細胞促進分子をコードする配列(複数可)の挿入と、内在性TCR遺伝子配列(例えば、TRAC遺伝子配列)の修飾(例えば、ノックダウン)とを含む。
【0128】
いくつかの実施形態において、操作されたT細胞またはT細胞の集団は、IFNGをコードする内在性核酸配列の修飾(例えば、ノックダウン)と、TNFAをコードする内在性核酸配列の修飾(例えば、ノックダウン)と、
【0129】
以下から選択される、調節性T細胞促進分子をコードする配列(複数可):
IL10、CTLA4、TGFB1、IDO1、ENTPD1、NT5E、IL22、AREG、IL35、GARP、CD274、FOXP3、IKZF2、EOS、IRF4、LEF1、及びBACH2、の挿入と、内在性TCR遺伝子(例えば、TRAC遺伝子配列)の修飾(例えば、ノックダウン)とを含む。
【0130】
いくつかの実施形態において、操作されたT細胞またはT細胞の集団は、IFNGをコードする内在性核酸配列の修飾(例えば、ノックダウン)と、TNFAをコードする内在性核酸配列の修飾(例えば、ノックダウン)と、IL10またはCTLA4をコードする配列(複数可)の挿入と、TCR遺伝子(例えば、TRAC遺伝子配列)の修飾(例えば、ノックダウン)とを含む。
【0131】
いくつかの実施形態において、操作されたT細胞またはT細胞の集団は、IFNGをコードする内在性核酸配列の修飾(例えば、ノックダウン)と、TNFAをコードする内在性核酸配列の修飾(例えば、ノックダウン)と、調節性T細胞促進分子をコードする配列(複数可)の挿入と、内在性TCR遺伝子(例えば、TRAC遺伝子配列)の修飾(例えば、ノックダウン)とを含む。
【0132】
任意のこれらの実施形態において、操作されたT細胞またはT細胞の集団は、本明細書に記載の標的化受容体(例えば、CAR、例えば、MAdCAM-1を標的化するCAR)をコードする配列(複数可)の挿入をさらに含むことができる。
【0133】
いくつかの実施形態において、操作されたT細胞またはT細胞の集団は、例えば、シークエンシング(例えば、NGS)による評価で、遺伝子編集によるTRC遺伝子配列の修飾(例えば、ノックダウン)を含み、細胞の少なくとも50%、55%、60%、65%、好ましくは少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、または95%が、内在性TRC遺伝子配列の挿入、欠失、または置換を含む。いくつかの実施形態において、TRCは、好適な対照(例えば、TRC遺伝子が修飾されていない対照)と比較して、少なくとも50%、55%、60%、65%、好ましくは少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、またはアッセイの検出限界未満まで低下する。TRCタンパク質及びmRNA発現のアッセイは当技術分野で知られている。
【0134】
いくつかの実施形態において、操作されたT細胞またはT細胞の集団は、例えば、シークエンシング(例えば、NGS)による評価で、遺伝子編集による標的化受容体をコードする配列(複数可)の挿入を含む。
【0135】
いくつかの実施形態において、T細胞の集団は、IFNGをコードする内在性核酸配列の修飾(例えば、ノックダウン)と、TNFAをコードする内在性核酸配列の修飾(例えば、ノックダウン)と、調節性T細胞促進分子をコードする配列の挿入と、少なくとも1つのTCR遺伝子配列の修飾(例えば、ノックダウン)とを含むように操作されているT細胞を含む。いくつかの実施形態において、T細胞の集団内のT細胞の少なくとも50%、55%、60%、65%、好ましくは少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、または100%が、例えば、シークエンシング(例えば、NGS)による評価で、少なくとも1つのTCR遺伝子配列の修飾(例えば、ノックダウン)を含むように操作される。
【0136】
いくつかの実施形態において、TCR遺伝子(例えば、TRAC遺伝子)内の部位を特異的に標的化するガイドRNAが、TCR遺伝子の修飾(例えば、ノックダウン)を提供するために使用される。
【0137】
いくつかの実施形態において、TCR遺伝子は、ガイドRNAをRNA先導DNA結合剤とともに用いて、T細胞内で修飾(例えば、ノックダウン)される。いくつかの実施形態において、本明細書では、例えば、ガイドRNAを、RNA先導DNA結合剤(例えば、CRISPR/Casシステム)とともに用いて、T細胞のTCR遺伝子内に切断(例えば、二本鎖切断(DSB)または一本鎖切断(ニック))を誘導することによって操作されるT細胞が開示される。当該方法は、例えば、免疫応答を抑制するための細胞製品の製造で、in vitroまたはex vivoで使用することができる。
【0138】
いくつかの実施形態において、ガイドRNAは、TCR遺伝子内の本明細書に記載の部位で、RNA先導DNA結合剤(例えば、Casヌクレアーゼ)による標的特異的切断を媒介する。いくつかの実施形態において、ガイドRNAが、前述の領域に結合する、または結合可能なガイド配列を含むことが理解されよう。
【0139】
D.ガイドRNA
本明細書の任意の実施形態において、ガイドRNAは、trRNAをさらに含むことができる。本明細書に記載の各組成物及び方法実施形態において、crRNA及びtrRNAは、単一のRNA(sgRNA)上で会合しても、別々のRNA(dgRNA)上にあってもよい。sgRNAの文脈において、crRNA及びtrRNAの構成要素は、例えば、ホスホジエステル結合または他の共有結合を介し、共有結合することができる。いくつかの実施形態において、sgRNAは、ホスホジエステル結合ではないヌクレオチド間の1つ以上の結合を含む。
【0140】
本明細書に記載の組成物、使用、及び方法実施形態の各々において、ガイドRNAは、2つのRNA分子を「デュアルガイドRNA」または「dgRNA」として含むことができる。dgRNAは、例えば本明細書で示されているガイド配列を含むcrRNAを含む第1のRNA分子と、trRNAを含む第2のRNA分子とを含む。第1及び第2のRNA分子は、共有結合していない場合があるが、crRNAの一部とtrRNAの一部との間の塩基対合を介してRNA二重鎖を形成することができる。
【0141】
本明細書に記載の組成物、使用、及び方法実施形態の各々において、ガイドRNAは、単一のRNA分子を「シングルガイドRNA」または「sgRNA」として含むことができる。sgRNAは、trRNAと共有結合している本明細書で示されているガイド配列を含むcrRNA(またはその一部)を含むことができる。sgRNAは、本明細書で示されているガイド配列の15、16、17、18、19、または20個の連続ヌクレオチドを含むことができる。いくつかの実施形態において、crRNA及びtrRNAは、リンカーを介して共有結合している。いくつかの実施形態において、sgRNAは、crRNAの一部とtrRNAの一部との間の塩基対合を介してステムループ構造を形成する。いくつかの実施形態において、crRNA及びtrRNAは、ホスホジエステル結合ではない1つ以上の結合を介して共有結合している。
【0142】
いくつかの実施形態において、trRNAは、天然に存在するCRISPR/Casシステムに由来するtrRNA配列の全てまたは一部を含むことができる。いくつかの実施形態において、trRNAは、切断または修飾野生型trRNAを含む。trRNAの長さは、使用するCRISPR/Casシステムに依存する。いくつかの実施形態において、trRNAは、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、12個、13個、14個、15個、16個、17個、18個、19個、20個、25個、30個、40個、50個、60個、70個、80個、90個、100個、または100個を超えるヌクレオチドを含む、またはそれらからなる。いくつかの実施形態において、trRNAは、ある特定の二次構造、例えば、1つ以上のヘアピン構造もしくはステムループ構造、または1つ以上のバルジ構造などの二次構造を含むことができる。
【0143】
いくつかの実施形態において、標的配列または領域は、ガイドRNAのガイド配列に相補的であり得る。いくつかの実施形態において、ガイドRNAのガイド配列とその対応する標的配列との間の相補性または同一性の程度は、75%、80%、85%、90%、95%、または100%であり得る。いくつかの実施形態において、標的配列及びgRNAのガイド配列は、100%相補的または同一であり得る。他の実施形態において、gRNAの標的配列及びガイド配列は、1つのミスマッチを含むことができる。例えば、標的配列及びgRNAのガイド配列は、1、2、3、4、または5個のミスマッチを含むことができ、ガイド配列の全長は約20または20である。いくつかの実施形態において、標的配列及びgRNAのガイド配列は、ガイド配列が約20または20ヌクレオチドである場合、1~4ミスマッチを含むことができる。
【0144】
本明細書の任意の実施形態において、本明細書のガイド配列の各々は、crRNAまたはガイドRNAを形成するための追加のヌクレオチド、例えば、ガイド配列の3’末端に続く以下の例示的なヌクレオチド配列(5’→3’方向):GUUUUAGAGCUAUGCUGUUUUG(配列番号134)をさらに含むことができる。sgRNAの場合、上記のガイド配列は、sgRNAを形成するための追加のヌクレオチド、例えば、ガイド配列の3’末端に続く以下の例示的なヌクレオチド配列
GUUUUAGAGCUAGAAAUAGCAAGUUAAAAUAAGGCUAGUCCGUUAUCAACUUGAAAAAGUGGCACCGAGUCGGUGCUUUU(配列番号135)またはGUUUUAGAGCUAGAAAUAGCAAGUUAAAAUAAGGCUAGUCCGUUAUCAACUUGAAAAAGUGGCACCGAGUCGGUGC(配列番号136)をさらに含むことができる。
【0145】
任意の実施形態において、本明細書で開示するガイドRNAは、プロトスペーサー(propospacer)隣接モチーフ(PAM)の上流の領域に結合する。当業者には理解されるであろうように、PAM配列は、標的配列を含む鎖とは反対側の鎖に生じ、CRISPR/Casシステムによって異なる。すなわち、PAM配列は、標的鎖(ガイドRNAが結合する標的配列を含む鎖)の相補鎖上にある。いくつかの実施形態において、PAMは、NGG、NNGRRT、NNGRR(N)、NNAGAAW、NNNNG(A/C)TT、及びNNNNRYACからなる群より選択される。
【0146】
いくつかの実施形態において、本明細書で提供されるガイドRNA配列は、PAM配列に隣接する配列に相補的である。
【0147】
いくつかの実施形態において、ガイドRNA配列は、ヒト参照ゲノムhg38の座標に従って本明細書の表から選択されるゲノム領域内の配列に相補的な配列を含む。いくつかの実施形態において、ガイドRNA配列は、本明細書の表から選択されるゲノム領域内からの5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、または25個の連続ヌクレオチドを含む配列に相補的な配列を含む。いくつかの実施形態において、ガイドRNA配列は、本明細書の表から選択されるゲノム領域にまたがる5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、または25個の連続ヌクレオチドを含む配列に相補的な配列を含む。
【0148】
本明細書で開示するガイドRNAは、二本鎖切断(DSB)をもたらす標的特異的切断を媒介する。本明細書で開示するガイドRNAは、一本鎖切断(SSBまたはニック)をもたらす標的特異的切断を媒介する。
【0149】
E.化学修飾gRNA
本明細書の任意の実施形態において、gRNAは化学修飾することができる。1つ以上の修飾ヌクレオシドまたはヌクレオチドを含むgRNAは、カノニカルなA、G、C、及びU残基の代わりに、またはそれに加えて使用される1つ以上の非天然または天然に存在する構成要素または構成の存在を説明するために、「修飾」gRNAまたは「化学修飾」gRNAと呼ばれる。いくつかの実施形態において、修飾gRNAは、ノンカノニカルなヌクレオシドまたはヌクレオチドで合成され、ここでは「修飾」と呼ばれる。修飾ヌクレオシド及びヌクレオチドは、(i)ホスホジエステル骨格結合における非結合リン酸酸素の一方もしくは両方、または結合リン酸酸素の一方もしくは両方の改変(例えば、置換)(例示的な骨格修飾)、(ii)例えばリボース糖上の2’ヒドロキシルの、リボース糖の構成要素の改変(例えば、置換)(例示的な糖修飾)、(iii)「脱ホスホ」リンカーによるリン酸部分のホールセール置換(例示的な骨格修飾)、(iv)天然に存在する核酸塩基の修飾または置換(ノンカノニカルな核酸塩基を含む)(例示的な塩基修飾)、(v)リボース-リン酸骨格の置換または修飾(例示的な骨格修飾)、(vi)オリゴヌクレオチドの3’末端または5’末端の修飾、例えば、末端リン酸基の除去、修飾、もしくは置換、または部分、キャップ、もしくはリンカーの結合体化(このような3’または5’キャップ修飾は、糖または骨格修飾を含み得る)、及び(vii)糖の修飾または置換(例示的な糖修飾)、のうちの1つ以上を含むことができる。
【0150】
上に挙げたような化学修飾を組み合わせて、2つ、3つ、4つ、またはそれ以上の修飾を有し得るヌクレオシド及びヌクレオチド(総称して「残基」)を含む修飾gRNAを得ることができる。例えば、修飾残基は、修飾糖及び修飾核酸塩基を有することができる。いくつかの実施形態において、gRNAのあらゆる塩基が修飾され、例えば、全ての塩基がホスホロチオエート基などの修飾リン酸基を有する。ある特定の実施形態において、gRNA分子のリン酸基の全て、または実質的に全てがホスホロチオエート基で置換されている。いくつかの実施形態において、修飾gRNAは、RNAの5’末端またはその近傍に少なくとも1つの修飾残基を含む。いくつかの実施形態において、修飾gRNAは、RNAの3’末端またはその近傍に少なくとも1つの修飾残基を含む。ある特定のgRNAは、RNAの5’末端及び3’末端に、またはその付近に少なくとも1つの修飾残基を含む。
【0151】
いくつかの実施形態において、本明細書で開示するガイドRNAは、WO2018/107028(この内容は、参照により関連部分が本明細書に援用される)に開示されている修飾パターンのうちの1つを含む。いくつかの実施形態において、本明細書で開示するガイドRNAは、US20170114334(参照により本明細書に援用される)に開示されている構造/修飾パターンのうちの1つを含む。いくつかの実施形態において、本明細書で開示するガイドRNAは、WO2017/136794、WO2017004279、US2018187186、US2019048338(参照により本明細書に援用される)に開示されている構造/修飾パターンのうちの1つを含む。
【0152】
F.RNA先導DNA結合剤をコードするmRNA
いくつかの実施形態において、細胞または方法は、RNA先導DNA結合剤(例えば、本明細書に記載のCasヌクレアーゼ)をコードするオープンリーディングフレーム(ORF)を含むmRNAを含む。Cas9 ORFは、本明細書で提供され、当技術分野で知られている。一例として、Cas9 ORFは、コード配列が1つ以上のアミノ酸に対する1つ以上の代替コドンを含むように、コドン最適化することができる。本明細書で使用する場合、「代替コドン」とは、所与のアミノ酸に対するコドン使用のバリエーションを指し、所与の発現システムにとって好ましいまたは最適化されたコドン(コドン最適化)である場合もそうでない場合もある。好ましいコドン使用、または所与の発現システムで十分に許容されるコドンは、当技術分野で知られている。WO2013/176772、WO2014/065596、WO2016/106121、及びWO2019/067910のCas9コード配列、Cas9 mRNA、及びCas9タンパク質配列が、参照により本明細書に援用される。詳細には、WO2019/067910の段落[0449]の表のORF及びCas9アミノ酸配列、ならびにWO2019/067910の段落[0214]~[0234]のCas9 mRNA及びORFが、参照により本明細書に援用される。
【0153】
いくつかの実施形態において、修飾ORFは、少なくとも1つ、複数、または全てのウリジン位置に修飾ウリジンを含むことができる。いくつかの実施形態において、修飾ウリジンは、5位で、例えば、ハロゲン、メチル、またはエチルで修飾されたウリジンである。いくつかの実施形態において、修飾ウリジンは、1位で、例えば、ハロゲン、メチル、またはエチルで修飾されたシュードウリジンである。修飾ウリジンは、例えば、シュードウリジン、N1-メチル-シュードウリジン、5-メトキシウリジン、5-ヨードウリジン、またはこれらの組合せであり得る。いくつかの実施形態において、修飾ウリジンは5-メトキシウリジンである。いくつかの実施形態において、修飾ウリジンは5-ヨードウリジンである。いくつかの実施形態において、修飾ウリジンはシュードウリジンである。いくつかの実施形態において、修飾ウリジンはN1-メチル-シュードウリジンである。いくつかの実施形態において、修飾ウリジンは、シュードウリジンとN1-メチル-シュードウリジンとの組合せである。いくつかの実施形態において、修飾ウリジンは、シュードウリジンと5-メトキシウリジンとの組合せである。いくつかの実施形態において、修飾ウリジンは、N1-メチルシュードウリジンと5-メトキシウリジンとの組合せである。いくつかの実施形態において、修飾ウリジンは、5-ヨードウリジンとN1-メチル-シュードウリジンとの組合せである。いくつかの実施形態において、修飾ウリジンは、シュードウリジンと5-ヨードウリジンとの組合せである。いくつかの実施形態において、修飾ウリジンは、5-ヨードウリジンと5-メトキシウリジンとの組合せである。
【0154】
いくつかの実施形態において、本明細書で開示するmRNAは5’キャップ(例えば、Cap0、Cap1、またはCap2)を含む。5’キャップは概して、7-メチルグアニンリボヌクレオチド(これはさらに修飾されてもよく、例えば、ARCA(アンチリバースキャップアナログ;Thermo Fisher Scientific、カタログ番号AM8045)は、グアニンリボヌクレオチドの5’位に結合した7-メチルグアニン3’-メトキシ-5’-トリホスフェートを含むキャップアナログである)であり、5’-三リン酸を介し、mRNAの5’→3’鎖の最初のヌクレオチド(すなわち、第1のキャップ近位ヌクレオチド)の5’位に結合している。Cap0において、mRNAの第1及び第2のキャップ近位ヌクレオチドのリボースは、いずれも2’-ヒドロキシルを含む。Cap1において、mRNAの第1及び第2の転写ヌクレオチドのリボースは、それぞれ2’-メトキシ及び2’-ヒドロキシルを含む。例えば、CleanCap(商標)AG(m7G(5’)ppp(5’)(2’OMeA)pG;TriLink Biotechnologies、カタログ番号N-7113)またはCleanCap(商標)GG(m7G(5’)ppp(5’)(2’OMeG)pG;TriLink Biotechnologies、カタログ番号N-7133)を参照。Cap2において、mRNAの第1及び第2のキャップ近位ヌクレオチドのリボースは、いずれも2’-メトキシを含む。例えば、Katibah et al.(2014)Proc Natl Acad Sci USA 111(33):12025-30;Abbas et al.(2017)Proc Natl Acad Sci USA 114(11):E2106-E2115を参照。
【0155】
いくつかの実施形態において、mRNAは、ポリアデニル化(ポリA)テールをさらに含む。いくつかの実施形態において、ポリAテールは、20、30、40、50、60、70、80、90、または100個のアデニン(配列番号147)、任意選択で最大300個のアデニン(配列番号148)を含む。いくつかの実施形態において、ポリAテールは、95、96、97、98、99、または100個のアデニンヌクレオチドを含む(配列番号149)。
【0156】
G.操作のためのT細胞
本明細書で提供される操作された細胞は、CD4+T細胞が濃縮された細胞集団から調製される。このような細胞は、例えば、StemCell Technologiesを含む様々な供給元から市販されている新鮮なleukopak試料から容易に得ることができる。CD4+T細胞は、市販のキットを用いて通例の方法で、例えば、ヒトCD4+T細胞単離キットを用いたネガティブセレクションにより、単離することができる。ただし、他の供給源からのCD4+T細胞の調製方法も当技術分野で知られている。例えば、多能性細胞、例えば、造血幹細胞(HSC、例えば、骨髄もしくは臍帯血から単離されたもの)、造血前駆細胞(例えば、リンパ球様前駆細胞)、または間葉幹細胞(MSC)を使用して、CD4+T細胞を得ることができる。多能性細胞は複数の細胞型に発達可能であるが、分化の幅は万能性細胞よりも限定的である。多能性細胞は、確立された細胞株に由来することもあれば、ヒトの骨髄または臍帯から単離されることもある。例えば、HSCは、G-CSF誘導性動員、プレリキサホル誘導性動員、またはこれらの組合せに従って、患者または健康ドナーから単離することができる。血液または骨髄からHSCを分離するためには、血液または骨髄中の細胞を、不要な細胞に結合する抗体(例えば、CD4及びCD8(T細胞)、CD45(B細胞)、GR-I(顆粒球)、及びIad(分化抗原提示細胞)に対する抗体)によってふるい分けることができる(例えば、Inaba,et al.(1992)J Exp Med.176:1693-1702を参照)。CD4+T細胞への分化を促進する方法は、当技術分野で知られている。
【0157】
III.送達の方法
本明細書で開示するガイドRNA、RNA先導DNA結合剤(例えば、Casヌクレアーゼ)、及び核酸配列は、IFNGをコードする内在性核酸配列の修飾(例えば、ノックダウン)と、TNFAをコードする内在性核酸配列の修飾(例えば、ノックダウン)と、調節性T細胞促進分子(例えば、IL10、CTLA4)をコードする配列(複数可)の挿入とを含み、任意選択で、標的化受容体(例えば、CAR)をコードする配列(複数可)の挿入をさらに含み、任意選択で、TCR配列(複数可)の修飾(例えば、ノックダウン)をさらに含む、細胞または細胞の集団に、当技術分野で利用可能な様々な既知の好適な方法を用いて、in vitroまたはex vivoで送達することができる。ガイドRNA、RNA先導DNA結合剤、及び核酸コンストラクトは、必要に応じて、同じまたは異なる送達方法を用いて、個別にまたは任意の組合せで一緒に送達することができる。
【0158】
従来的なウイルス及び非ウイルスベースの遺伝子送達方法を使用して、細胞(例えば、哺乳類細胞)及び標的組織内にガイドRNAならびにRNA先導DNA結合剤及びドナーコンストラクトを導入することができる。本明細書でさらに提供されるように、非ウイルスベクター送達システム核酸、例えば、非ウイルスベクター、プラスミドベクター、及び例えば裸の核酸、ならびに送達ビヒクル(例えば、リポソーム、脂質ナノ粒子(LNP)、またはポロキサマー)と複合体化した核酸。ウイルスベクター送達システムは、DNA及びRNAウイルスを含む。
【0159】
核酸の非ウイルス性送達のための方法及び組成物としては、エレクトロポレーション、リポフェクション、マイクロインジェクション、バイオリスティックス、ビロソーム、リポソーム、イムノリポソーム、LNP、ポリカチオンまたは脂質:核酸結合体、裸の核酸(例えば、裸のDNA/RNA)、人工ビリオン、及びDNAの薬剤強化取り込みが挙げられる。例えば、Sonitron 2000 system(Rich-Mar)を用いたソノポレーションも、核酸の送達に使用することができる。
【0160】
ガイドRNA、RNA先導DNA結合剤、及びドナーコンストラクトを単独でまたは組み合わせて含む様々な送達システム(例えば、ベクター、リポソーム、LNP)も、ex vivoで細胞または細胞培養物に投与することができる。投与は、分子と、血液、体液、または細胞との最終的な接触を導入するために通常使用される任意の経路(限定されるものではないが、注射、点滴、局所適用、及びエレクトロポレーションを含む)によって行われる。このような核酸を投与する好適な方法が利用可能であり、当業者に周知されている。
【0161】
ある特定の実施形態において、本開示は、本明細書で開示する任意の組成物、例えば、(例えば、IFNG及びTNFAを修飾(例えば、ノックダウン)するために)本明細書に記載のガイド配列のいずれか1つ以上を含むガイドRNA、または調節性T細胞促進分子(例えば、IL10)、もしくは標的化受容体(例えば、CAR、例えば、MAdCAM-1 CAR)をコードする配列(複数可)を含むドナーコンストラクト、をコードするDNAまたはRNAベクターを提供する。いくつかの実施形態において、ベクターは、RNA先導DNA結合剤をコードする配列も含む。ある特定の実施形態において、本発明は、本明細書に記載の組成物のいずれか1つ以上、または任意の組合せでコードするDNAまたはRNAベクターを含む。いくつかの実施形態において、ベクターは、例えば、プロモーター、エンハンサー、及び調節配列をさらに含む。いくつかの実施形態において、本明細書に記載のガイド配列のいずれか1つ以上を含むガイドRNAを含むベクターは、本明細書で開示するように、crRNA、trRNA、またはcrRNA及びtrRNAをコードする1つ以上のヌクレオチド配列(複数可)も含む。
【0162】
ある特定の実施形態において、本開示は、調節性T細胞促進分子及び標的化受容体をコードするDNAまたはRNAベクターを提供する。このようなベクターは、調節性T細胞促進分子のコード配列も含む細胞に対し、受容体の存在に基づく細胞の選択を可能にする。細胞表面分子の存在に基づくポジティブ及びネガティブセレクションは、当技術分野で知られている。
【0163】
いくつかの実施形態において、ベクターは、本明細書に記載のガイドRNAをコードするヌクレオチド配列を含む。いくつかの実施形態において、ベクターは、ガイドRNAの1つのコピーを含む。他の実施形態において、ベクターは、ガイドRNAの複数のコピーを含む。複数のガイドRNAを用いた実施形態において、これらのガイドRNAは、異なる標的配列を標的化するように同一ではないこともあれば、同じ標的配列を標的化する点で同一であることもある。ベクターが複数のガイドRNAを含むいくつかの実施形態において、各ガイドRNAは、RNA先導DNAヌクレアーゼを有する複合体(例えば、Cas RNP複合体)内で、他の異なる特性(例えば、活性または安定性)を有し得る。いくつかの実施形態において、ガイドRNAをコードするヌクレオチド配列は、少なくとも1つの転写制御配列または翻訳制御配列(例えば、プロモーター、3’UTR、または5’UTR)に作用可能に結合することができる。1つの実施形態において、プロモーターは、tRNAプロモーター(例えば、tRNALys3)またはtRNAキメラであり得る。Mefferd et al.,RNA.2015 21:1683-9;Scherer et al.,Nucleic Acids Res.2007 35:2620-2628を参照。いくつかの実施形態において、プロモーターは、RNAポリメラーゼIII(Pol III)により認識され得る。Pol IIIプロモーターの非限定的な例としては、U6プロモーター及びH1プロモーターが挙げられる。いくつかの実施形態において、ガイドRNAをコードするヌクレオチド配列は、マウスまたはヒトのU6プロモーターに対し作用可能に結合していてもよい。他の実施形態において、ガイドRNAをコードするヌクレオチド配列は、マウスまたはヒトのH1プロモーターに対し作用可能に結合していてもよい。複数のガイドRNAを用いた実施形態において、発現の駆動に使用されるプロモーターは、同じであっても異なっていてもよい。いくつかの実施形態において、ガイドRNAのcrRNAをコードするヌクレオチドと、ガイドRNAのtrRNAをコードするヌクレオチドとを、同じベクター上で提供することができる。いくつかの実施形態において、crRNAをコードするヌクレオチドとtrRNAをコードするヌクレオチドとを、同じプロモーターによって駆動することができる。いくつかの実施形態において、crRNA及びtrRNAを単一の転写物に転写することができる。例えば、crRNA及びtrRNAは、二重分子ガイドRNAを形成するために単一の転写物から処理することができる。代替的に、crRNA及びtrRNAを単一分子ガイドRNA(sgRNA)に転写することができる。他の実施形態において、crRNA及びtrRNAは、同じベクター上の対応するプロモーターによって駆動することができる。また他の実施形態において、crRNA及びtrRNAは、異なるベクターによってコードすることができる。
【0164】
いくつかの実施形態において、ガイドRNAをコードするヌクレオチド配列は、Casタンパク質などのRNA先導DNA結合剤をコードするヌクレオチド配列を含む同じベクター上に位置してもよい。いくつかの実施形態において、ガイドRNAの発現、及びCasタンパク質などのRNA先導DNA結合剤の発現は、自らの対応するプロモーターによって駆動することができる。いくつかの実施形態において、ガイドRNAの発現は、Casタンパク質などのRNA先導DNA結合剤の発現を駆動するプロモーターと同じプロモーターによって駆動することができる。いくつかの実施形態において、ガイドRNA、及びCasタンパク質転写物などのRNA先導DNA結合剤は、単一の転写物内に含まれ得る。例えば、ガイドRNAは、Casタンパク質転写物などのRNAガイドDNA結合剤の非翻訳領域(UTR)内に存在し得る。いくつかの実施形態において、ガイドRNAは、転写物の5’UTR内にあり得る。他の実施形態において、ガイドRNAは、転写物の3’UTR内にあり得る。いくつかの実施形態において、転写物の細胞内半減期は、ガイドRNAを転写物の3’UTR内に収容して3’UTRの長さを短くすることにより、低減することができる。追加の実施形態において、ガイドRNAは、転写物のイントロン内にあり得る。いくつかの実施形態において、好適なスプライス部位を、内部にガイドRNAが位置するイントロンに付加して、ガイドRNAが転写物から適切にスプライシングされるようにすることができる。いくつかの実施形態において、同じベクター由来のRNA先導DNA結合剤(例えば、Casタンパク質)及びガイドRNAの一時的に極めて近接した発現は、CRISPR RNP複合体のより効率的な形成を促進することができる。
【0165】
いくつかの実施形態において、ガイドRNAまたはRNA先導DNA結合剤をコードするヌクレオチド配列は、調節性T細胞促進分子(例えば、IL10、CTLA4)または標的化受容体(例えば、CAR、例えば、MAdCAM-1 CAR)をコードする配列を含むコンストラクトを含む同じベクター上に位置することができる。いくつかの実施形態において、調節性T細胞促進分子(例えば、IL10、CTLA4)、または標的化受容体(例えば、CAR、例えば、MAdCAM-1 CAR)をコードする配列を含むコンストラクト及びガイドRNA(またはRNA先導DNA結合剤)が同じベクター上で近接することで、ガイドRNA/RNA先導DNA結合剤によって作出される挿入部位へのコンストラクトの挿入をより効率的に促進することができる。
【0166】
ある特定の実施形態において、DNA及びRNAベクターは、ベクター内またはゲノム挿入部位のいずれかに存在する単一のプロモーター下で発現するための複数のオープンリーディングフレームを含むことができる。このような実施形態において、自己切断ペプチドのためのコード配列がオープンリーディングフレーム間に含まれることがある。自己切断ペプチドは、例えば、2Aペプチド、例えば、P2Aペプチド、E2Aペプチド、F2Aペプチド、またはT2Aペプチドであり得る。
【0167】
いくつかの実施形態において、ベクターは、sgRNAをコードする1つ以上のヌクレオチド配列(複数可)と、RNA先導DNA結合剤(Casタンパク質(例えば、Cas9またはCpf1)であり得る)をコードするmRNAとを含む。いくつかの実施形態において、ベクターは、crRNA、trRNAをコードする1つ以上のヌクレオチド配列(複数可)と、RNA先導DNA結合剤(Casタンパク質(例えば、Cas9またはCpf1)であり得る)をコードするmRNAとを含む。1つの実施形態において、Cas9は、Streptococcus pyogenes由来(すなわち、Spy Cas9)である。いくつかの実施形態において、crRNA、trRNA、またはcrRNA及びtrRNA(sgRNAであってもよい)をコードするヌクレオチド配列は、天然に存在するCRISPR/Casシステムからのリピート配列の全てまたは一部に隣接するガイド配列を含む、またはそれからなる。crRNA、trRNA、またはcrRNA及びtrRNAを含む、またはそれからなる核酸は、天然にはcrRNA、trRNA、またはcrRNA及びtrRNAとともに見出されない核酸を含む、またはそれからなるベクター配列をさらに含むことができる。
【0168】
いくつかの実施形態において、crRNA及びtrRNAは、1つのベクター内で連続していない核酸によってコードされる。他の実施形態において、crRNA及びtrRNAは、連続した核酸によってコードされ得る。いくつかの実施形態において、crRNA及びtrRNAは、単一の核酸の対向鎖によってコードされる。他の実施形態において、crRNA及びtrRNAは、単一の核酸の同じ鎖によってコードされる。
【0169】
いくつかの実施形態において、ベクターは、本明細書で開示するように、調節性T細胞促進分子(例えば、IL10)または標的化受容体(例えば、CAR、例えば、MAdCAM-1)をコードする配列を含むドナーコンストラクトを含む。いくつかの実施形態において、本明細書で開示するドナーコンストラクトに加えて、ベクターは、本明細書に記載のガイドRNAをコードする核酸、またはRNA先導DNA結合剤(例えば、Cas9などのCasヌクレアーゼ)をコードする核酸をさらに含むことができる。いくつかの実施形態において、RNA先導DNA結合剤をコードする核酸は、本明細書で開示するドナーコンストラクトを含むベクターとは別のベクター上に各々または両方が存在する。任意の実施形態において、ベクターは、本明細書に記載のように、限定されるものではないが、プロモーター、エンハンサー、調節配列を含む他の配列を含むことができる。いくつかの実施形態において、プロモーターは、ドナーコンストラクトの調節性T細胞促進分子(例えば、IL10)、または標的化受容体(例えばCAR、例えば、MAdCAM-1)の発現を駆動しない。いくつかの実施形態において、ベクターは、crRNA、trRNA、またはcrRNA及びtrRNAをコードする1つ以上のヌクレオチド配列(複数可)を含む。いくつかの実施形態において、ベクターは、sgRNAをコードする1つ以上のヌクレオチド配列(複数可)と、RNA先導DNAヌクレアーゼ(Casヌクレアーゼ(例えば、Cas9)であり得る)をコードするmRNAとを含む。いくつかの実施形態において、ベクターは、crRNA、trRNAをコードする1つ以上のヌクレオチド配列(複数可)と、RNA先導DNAヌクレアーゼ(Casヌクレアーゼ(例えば、Cas9)であり得る)をコードするmRNAとを含む。いくつかの実施形態において、Cas9は、Streptococcus pyogenes由来(すなわち、Spy Cas9)である。いくつかの実施形態において、crRNA、trRNA、またはcrRNA及びtrRNA(sgRNAであってもよい)をコードするヌクレオチド配列は、天然に存在するCRISPR/Casシステムからのリピート配列の全てまたは一部に隣接するガイド配列を含む、またはそれからなる。crRNA、trRNA、またはcrRNA及びtrRNAを含む、またはそれからなる核酸は、天然にはcrRNA、trRNA、またはcrRNA及びtrRNAとともに見出されない核酸を含む、またはそれからなるベクター配列をさらに含むことができる。
【0170】
いくつかの実施形態において、ベクターは環状であり得る。他の実施形態において、ベクターは線状であり得る。いくつかの実施形態において、ベクターは、脂質ナノ粒子、リポソーム、非脂質ナノ粒子、またはウイルスカプシドの中に封入することができる。ベクターの非限定的な例示としては、プラスミド、ファージミド、コスミド、人工染色体、ミニ染色体、トランスポゾン、ウイルスベクター、及び発現ベクターが挙げられる。
【0171】
いくつかの実施形態において、ベクターはウイルスベクターであり得る。いくつかの実施形態において、ウイルスベクターは、その野生型対応物から遺伝子修飾することができる。例えば、ウイルスベクターは、クローニングを促進するための、またはベクターの1つ以上の特性を変化させるような1つ以上のヌクレオチドの挿入、欠失、または置換を含むことができる。このような特性としては、パッケージング能力、形質導入効率、免疫原性、ゲノム組込み、複製、転写、及び翻訳を挙げることができる。いくつかの実施形態において、ウイルスが大きなサイズの外来配列をパッケージングできるように、ウイルスゲノムの一部を欠失させることができる。いくつかの実施形態において、ウイルスベクターは、強化された形質導入効率を有することができる。いくつかの実施形態において、宿主内でウイルスにより誘発される免疫応答を低減することができる。いくつかの実施形態において、ウイルスの配列をゲノムに組み込むのを促進するウイルス遺伝子(例えば、インテグラーゼ)を、ウイルスが非組込み型になるように変異させることができる。いくつかの実施形態において、ウイルスベクターは複製欠損型であり得る。いくつかの実施形態において、ウイルスベクターは、ベクター上でのコード配列の発現を推進するための外来の転写制御配列または翻訳制御配列を含むことができる。いくつかの実施形態において、ウイルスはヘルパー依存的であり得る。例えば、ウイルスは、ベクターをウイルス粒子に増幅及びパッケージングするのに要するウイルス構成要素(例えば、ウイルスタンパク質)を供給するための1つ以上のヘルパーウイルスを必要とする場合がある。このような場合、1つ以上のヘルパー構成要素(ウイルス構成要素をコードする1つ以上のベクターを含む)を、本明細書に記載のベクターシステムとともに細胞または細胞の集団に導入することができる。他の実施形態において、ウイルスはヘルパーフリーであり得る。例えば、ウイルスは、ヘルパーウイルスなしでベクターの増幅及びパッケージングが可能な場合がある。いくつかの実施形態において、本明細書に記載のベクターシステムは、ウイルスの増幅及びパッケージングに要するウイルス構成要素もコードすることができる。
【0172】
ウイルスベクターの非限定的な例示としては、アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクター、レンチウイルスベクター、アデノウイルスベクター、ヘルパー依存的アデノウイルスベクター(HDAd)、単純ヘルペスウイルス(HSV-1)ベクター、バクテリオファージT4、バキュロウイルスベクター、及びレトロウイルスベクターが挙げられる。いくつかの実施形態において、ウイルスベクターはAAVベクターであり得る。他の実施形態において、ウイルスベクターはレンチウイルスベクターであり得る。
【0173】
いくつかの実施形態において、「AAV」とは、全ての血清型、亜型、及び天然に存在するAAVならびに組換えAAVを指す。「AAV」は、ウイルス自身またはその派生物を指すために使用され得る。「AAV」という用語は、AAV1、AAV2、AAV3、AAV3B、AAV4、AAV5、AAV6、AAV6.2、AAV7、AAVrh.64R1、AAVhu.37、AAVrh.8、AAVrh.32.33、AAV8、AAV9、AAV-DJ、AAV2/8、AAVrh10、AAVLK03、AV10、AAV11、AAV12、rh10、及びこれらのハイブリッド、トリAAV、ウシAAV、イヌAAV、ウマAAV、霊長類AAV、非霊長類AAV、及びヒツジAAVを含む。AAVの様々な血清型のゲノム配列、ならびにネイティブな末端反復(TR)、Repタンパク質、及びカプシドサブユニットの配列が、当技術分野で知られている。このような配列は、文献及びGenBankなどの公開データベースで見出すことができる。本明細書で使用する場合、「AAVベクター」とは、AAV由来でない異種配列(すなわち、AAVとは異種の核酸配列)を含むAAVベクターを指し、典型的には、目的とする異種ポリペプチドをコードする配列を含む。コンストラクトは、AAV1、AAV2、AAV3、AAV3B、AAV4、AAV5、AAV6、AAV6.2、AAV7、AAVrh.64R1、AAVhu.37、AAVrh.8、AAVrh.32.33、AAV8、AAV9、AAV-DJ、AAV2/8、AAVrh10、AAVLK03、AV10、AAV11、AAV12、rh10、及びこれらのハイブリッド、トリAAV、ウシAAV、イヌAAV、ウマAAV、霊長類AAV、非霊長類AAV、及びヒツジAAVカプシド配列を含むことができる。概して、異種核酸配列(導入遺伝子)は、少なくとも1つ、概して2つのAAV逆方向末端反復配列(ITR)に隣接している。AAVベクターは、一本鎖(ssAAV)または自己相補性(scAAV)のいずれかであり得る。
【0174】
いくつかの実施形態において、レンチウイルスは組込み型であり得る。いくつかの実施形態において、レンチウイルスは非組込み型であり得る。いくつかの実施形態において、ウイルスベクターはアデノウイルスベクターであり得る。いくつかの実施形態において、アデノウイルスは、パッケージング能力を増大させるために5’及び3’逆方向末端反復(ITR)及びパッケージングシグナル(「I」)を除いた全てのウイルスコード領域がウイルスから欠失している、高クローニング能力または「ガットレス」アデノウイルスであり得る。また他の実施形態において、ウイルスベクターはHSV-1ベクターであり得る。いくつかの実施形態において、HSV-1ベースベクターはヘルパー依存的であり、他の実施形態において、当該ベクターはヘルパー非依存的である。例えば、パッケージング配列のみを保持するアンプリコンベクターは、パッケージングのための構造的構成要素を有するヘルパーウイルスを要するが、必須でないウイルス機能を除去する30kb欠失HSV-1ベクターは、ヘルパーウイルスを要しない。追加の実施形態において、ウイルスベクターはバクテリオファージT4であり得る。いくつかの実施形態において、バクテリオファージT4は、当該ウイルスの頭部を空にした場合、任意の線状または環状のDNA分子またはRNA分子をパッケージングすることができると考えられる。さらなる実施形態において、ウイルスベクターはバキュロウイルスベクターであり得る。またさらなる実施形態において、ウイルスベクターはレトロウイルスベクターであり得る。比較的小さいクローニング能力を有するAAVまたは他のベクターを使用する実施形態において、本明細書で開示されているようなベクターシステムの全ての構成要素を送達するには、2つ以上のベクターの使用が必要となり得る。例えば、あるAAVベクターがCasタンパク質(例えば、Cas9)のようなRNA先導DNA結合剤をコードする配列を含み、一方第2のAAVベクターが1つ以上のガイド配列を含むことがある。
【0175】
いくつかの実施形態において、ベクターは、細胞内での1つ以上のヌクレアーゼ構成要素の発現を駆動することが可能であり得る。いくつかの実施形態において、ベクターは、細胞内に組み込まれたときに1つ以上のコード配列の発現を駆動するプロモーターを含まない(例えば、本明細書で例示されるように、細胞の特定のゲノム座位に挿入されたときに、細胞の内在性プロモーターを使用する)。異なるタイプの細胞(例えば、CD4+T細胞)内での発現を駆動するのに適したプロモーターが、当技術分野で知られている。いくつかの実施形態において、プロモーターは野生型であり得る。他の実施形態において、プロモーターは、より効率的または効果的な発現のために修飾することができる。また他の実施形態において、プロモーターは、切断されてなおその機能を保持することができる。例えば、プロモーターは、ベクターをウイルスに適切にパッケージングするのに適した正常なサイズまたは低減したサイズを有することができる。
【0176】
いくつかの実施形態において、ベクターは、本明細書に記載のCasタンパク質(例えば、Cas9)のようなRNA先導DNA結合剤をコードするヌクレオチド配列を含むことができる。いくつかの実施形態において、ベクターによりコードされたヌクレアーゼは、Casタンパク質であり得る。いくつかの実施形態において、ベクターシステムは、ヌクレアーゼをコードするヌクレオチド配列の1つのコピーを含むことができる。他の実施形態において、ベクターシステムは、ヌクレアーゼをコードするヌクレオチド配列の2つ以上のコピーを含むことができる。いくつかの実施形態において、ヌクレアーゼをコードするヌクレオチド配列は、少なくとも1つの転写制御配列または翻訳制御配列に対し作用可能に結合していてもよい。いくつかの実施形態において、ヌクレアーゼをコードするヌクレオチド配列は、少なくとも1つのプロモーターに対し作用可能に結合していてもよい。
【0177】
いくつかの実施形態において、ベクターは、本明細書に記載のような調節性T細胞促進分子(例えば、IL10、CTLA4)、または標的化受容体(例えば、CAR、例えば、MAdCAM-1 CAR)をコードする配列を含むコンストラクトのいずれか1つ以上を含むことができる。いくつかの実施形態において、調節性T細胞促進分子(例えば、IL10、CTLA4)、または標的化受容体(例えば、CAR、例えば、MAdCAM-1 CAR)の配列は、少なくとも1つの転写制御配列または翻訳制御配列に作用可能に結合することができる。いくつかの実施形態において、調節性T細胞促進分子(例えば、IL10、CTLA4)、または標的化受容体(例えば、CAR、例えば、MAdCAM-1 CAR)の配列は、少なくとも1つのプロモーターに作用可能に結合することができる。いくつかの実施形態において、調節性T細胞促進分子(例えば、IL10、CTLA4)、または標的化受容体(例えば、CAR、例えば、MAdCAM-1 CAR)の配列は、異種遺伝子の発現を駆動するプロモーターに結合していない。
【0178】
いくつかの実施形態において、プロモーターは、構成的、誘導的、または組織特異的であり得る。いくつかの実施形態において、プロモーターは構成的プロモーターであり得る。構成的プロモーターの非限定的な例示としては、サイトメガロウイルス最初期プロモーター(CMV)、サルウイルス(SV40)プロモーター、アデノウイルス主要後期プロモーター(MLP)、ラウス肉腫ウイルス(RSV)プロモーター、マウス乳房腫瘍ウイルス(MMTV)プロモーター、ホスホグリセリン酸キナーゼ(PGK)プロモーター、伸長因子アルファ(EF1a)プロモーター、ユビキチンプロモーター、アクチンプロモーター、チューブリンプロモーター、免疫グロブリンプロモーター、これらの機能的フラグメント、または前述のいずれかの組合せが挙げられる。いくつかの実施形態において、プロモーターはCMVプロモーターであり得る。いくつかの実施形態において、プロモーターは切断されたCMVプロモーターであり得る。他の実施形態において、プロモーターはEF1aプロモーターであり得る。いくつかの実施形態において、プロモーターは誘導的プロモーターであり得る。誘導的プロモーターの非限定的な例示としては、熱ショック、光、化学物質、ペプチド、金属、ステロイド、抗生物質、またはアルコールにより誘導可能なプロモーターが挙げられる。いくつかの実施形態において、誘導的プロモーターは、基底の(誘導されていない)発現レベルが低いプロモーター、例えば、Tet-On(登録商標)プロモーター(Clontech)であり得る。
【0179】
いくつかの実施形態において、プロモーターは、組織特異的プロモーター、例えば、T細胞内の発現に特異的なプロモーターであり得る。
【0180】
いくつかの実施形態において、組成物はベクターシステムを含む。いくつかの実施形態において、ベクターシステムは1つの単一ベクターを含むことができる。他の実施形態において、ベクターシステムは2つのベクターを含むことができる。追加の実施形態において、ベクターシステムは3つのベクターを含むことができる。多重化のために異なるガイドRNAが使用される場合、またはガイドRNAの複数のコピーが使用される場合、ベクターシステムは4つ以上のベクターを含むことができる。
【0181】
いくつかの実施形態において、ベクターシステムは、標的細胞に送達された後のみに発現を開始するための誘導的プロモーターを含むことができる。誘導的プロモーターの非限定的な例示としては、熱ショック、光、化学物質、ペプチド、金属、ステロイド、抗生物質、またはアルコールにより誘導可能なプロモーターが挙げられる。いくつかの実施形態において、誘導的プロモーターは、基底の(誘導されていない)発現レベルが低いプロモーター、例えば、Tet-On(登録商標)プロモーター(Clontech)であり得る。
【0182】
追加の実施形態において、ベクターシステムは組織特異的プロモーターを含むことができる。
【0183】
非限定的な例示的ウイルスベクター配列を以下に示す。
CTLA4レンチウイルス挿入物(ヌクレオチド配列)
ATGGCCTGCTTGGGCTTCCAAAGGCATAAAGCCCAGCTTAATCTTGCTACTCGCACGTGGCCCTGCACATTGCTCTTTTTCCTCCTGTTCATTCCCGTGTTTTGCAAGGCGATGCATGTGGCACAACCTGCCGTCGTTCTGGCATCATCAAGAGGTATTGCTAGCTTCGTTTGTGAGTACGCCTCCCCTGGAAAAGCGACGGAGGTGCGCGTCACTGTATTGCGGCAAGCCGACAGCCAAGTTACTGAAGTCTGCGCGGCAACGTATATGATGGGCAATGAGCTGACATTCCTTGACGATTCAATCTGCACGGGAACAAGTAGTGGTAACCAGGTGAATCTCACTATTCAAGGTCTGAGAGCCATGGACACCGGCCTCTACATTTGTAAGGTGGAGCTGATGTATCCTCCCCCATATTATCTGGGGATCGGAAATGGGACACAGATATATGTTATTGATCCCGAGCCATGTCCCGATAGTGACTTCCTCTTGTGGATACTTGCCGCTGTGAGCAGTGGTTTGTTTTTTTATTCATTCCTCCTTACGGCAGTATCACTTTCAAAAATGCTCAAGAAGCGAAGTCCTTTGACAACTGGCGTATATGTCAAAATGCCACCAACAGAGCCCGAATGTGAGAAACAGTTCCAGCCGTACTTTATTCCTATAAACTGA(配列番号137)
CTLA4レンチウイルス挿入物(アミノ酸配列)
MACLGFQRHKAQLNLATRTWPCTLLFFLLFIPVFCKAMHVAQPAVVLASSRGIASFVCEYASPGKATEVRVTVLRQADSQVTEVCAATYMMGNELTFLDDSICTGTSSGNQVNLTIQGLRAMDTGLYICKVELMYPPPYYLGIGNGTQIYVIDPEPCPDSDFLLWILAAVSSGLFFYSFLLTAVSLSKMLKKRSPLTTGVYVKMPPTEPECEKQFQPYFIPIN*(配列番号130)
IL10レンチウイルス挿入物(ヌクレオチド配列)
ATGCACAGCTCAGCACTGCTCTGTTGCCTGGTCCTCCTGACTGGGGTGAGGGCCAGCCCAGGCCAGGGCACCCAGTCTGAGAACAGCTGCACCCACTTCCCAGGCAACCTGCCTAACATGCTTCGAGATCTCCGAGATGCCTTCAGCAGAGTGAAGACTTTCTTTCAAATGAAGGATCAGCTGGACAACTTGTTGTTAAAGGAGTCCTTGCTGGAGGACTTTAAGGGTTACCTGGGTTGCCAAGCCTTGTCTGAGATGATCCAGTTTTACCTGGAGGAGGTGATGCCCCAAGCTGAGAACCAAGACCCAGACATCAAGGCGCATGTGAACTCCCTGGGGGAGAACCTGAAGACCCTCAGGCTGAGGCTACGGCGCTGTCATCGATTTCTTCCCTGTGAAAACAAGAGCAAGGCCGTGGAGCAGGTGAAGAATGCCTTTAATAAGCTCCAAGAGAAAGGCATCTACAAAGCCATGAGTGAGTTTGACATCTTCATCAACTACATAGAAGCCTACATGACAATGAAGATACGAAACTGA(配列番号138)
IL10レンチウイルス挿入物(アミノ酸配列)
MHSSALLCCLVLLTGVRASPGQGTQSENSCTHFPGNLPNMLRDLRDAFSRVKTFFQMKDQLDNLLLKESLLEDFKGYLGCQALSEMIQFYLEEVMPQAENQDPDIKAHVNSLGENLKTLRLRLRRCHRFLPCENKSKAVEQVKNAFNKLQEKGIYKAMSEFDIFINYIEAYMTMKIRN*(配列番号124)
FOXP3レンチウイルス挿入物(ヌクレオチド配列)
ATGCCCAACCCCAGGCCTGGCAAGCCCTCGGCCCCTTCCTTGGCCCTTGGCCCATCCCCAGGAGCCTCGCCCAGCTGGAGGGCTGCACCCAAAGCCTCAGACCTGCTGGGGGCCCGGGGCCCAGGGGGAACCTTCCAGGGCCGAGATCTTCGAGGCGGGGCCCATGCCTCCTCTTCTTCCTTGAACCCCATGCCACCATCGCAGCTGCAGCTGCCCACACTGCCCCTAGTCATGGTGGCACCCTCCGGGGCACGGCTGGGCCCCTTGCCCCACTTACAGGCACTCCTCCAGGACAGGCCACATTTCATGCACCAGCTCTCAACGGTGGATGCCCACGCCCGGACCCCTGTGCTGCAGGTGCACCCCCTGGAGAGCCCAGCCATGATCAGCCTCACACCACCCACCACCGCCACTGGGGTCTTCTCCCTCAAGGCCCGGCCTGGCCTCCCACCTGGGATCAACGTGGCCAGCCTGGAATGGGTGTCCAGGGAGCCGGCACTGCTCTGCACCTTCCCAAATCCCAGTGCACCCAGGAAGGACAGCACCCTTTCGGCTGTGCCCCAGAGCTCCTACCCACTGCTGGCAAATGGTGTCTGCAAGTGGCCCGGATGTGAGAAGGTCTTCGAAGAGCCAGAGGACTTCCTCAAGCACTGCCAGGCGGACCATCTTCTGGATGAGAAGGGCAGGGCACAATGTCTCCTCCAGAGAGAGATGGTACAGTCTCTGGAGCAGCAGCTGGTGCTGGAGAAGGAGAAGCTGAGTGCCATGCAGGCCCACCTGGCTGGGAAAATGGCACTGACCAAGGCTTCATCTGTGGCATCATCCGACAAGGGCTCCTGCTGCATCGTAGCTGCTGGCAGCCAAGGCCCTGTCGTCCCAGCCTGGTCTGGCCCCCGGGAGGCCCCTGACAGCCTGTTTGCTGTCCGGAGGCACCTGTGGGGTAGCCATGGAAACAGCACATTCCCAGAGTTCCTCCACAACATGGACTACTTCAAGTTCCACAACATGCGACCCCCTTTCACCTACGCCACGCTCATCCGCTGGGCCATCCTGGAGGCTCCAGAGAAGCAGCGGACACTCAATGAGATCTACCACTGGTTCACACGCATGTTTGCCTTCTTCAGAAACCATCCTGCCACCTGGAAGAACGCCATCCGCCACAACCTGAGTCTGCACAAGTGCTTTGTGCGGGTGGAGAGCGAGAAGGGGGCTGTGTGGACCGTGGATGAGCTGGAGTTCCGCAAGAAACGGAGCCAGAGGCCCAGCAGGTGTTCCAACCCTACACCTGGCCCCTGATAA(配列番号139)
FOXP3レンチウイルス挿入物(アミノ酸配列)
MPNPRPGKPSAPSLALGPSPGASPSWRAAPKASDLLGARGPGGTFQGRDLRGGAHASSSSLNPMPPSQLQLPTLPLVMVAPSGARLGPLPHLQALLQDRPHFMHQLSTVDAHARTPVLQVHPLESPAMISLTPPTTATGVFSLKARPGLPPGINVASLEWVSREPALLCTFPNPSAPRKDSTLSAVPQSSYPLLANGVCKWPGCEKVFEEPEDFLKHCQADHLLDEKGRAQCLLQREMVQSLEQQLVLEKEKLSAMQAHLAGKMALTKASSVASSDKGSCCIVAAGSQGPVVPAWSGPREAPDSLFAVRRHLWGSHGNSTFPEFLHNMDYFKFHNMRPPFTYATLIRWAILEAPEKQRTLNEIYHWFTRMFAFFRNHPATWKNAIRHNLSLHKCFVRVESEKGAVWTVDELEFRKKRSQRPSRCSNPTPGP**(配列番号140)
空のレンチベクター
ACGCGTGTAGTCTTATGCAATACTCTTGTAGTCTTGCAACATGGTAACGATGAGTTAGCAACATGCCTTACAAGGAGAGAAAAAGCACCGTGCATGCCGATTGGTGGAAGTAAGGTGGTACGATCGTGCCTTATTAGGAAGGCAACAGACGGGTCTGACATGGATTGGACGAACCACTGAATTGCCGCATTGCAGAGATATTGTATTTAAGTGCCTAGCTCGATACATAAACGGGTCTCTCTGGTTAGACCAGATCTGAGCCTGGGAGCTCTCTGGCTAACTAGGGAACCCACTGCTTAAGCCTCAATAAAGCTTGCCTTGAGTGCTTCAAGTAGTGTGTGCCCGTCTGTTGTGTGACTCTGGTAACTAGAGATCCCTCAGACCCTTTTAGTCAGTGTGGAAAATCTCTAGCAGTGGCGCCCGAACAGGGACTTGAAAGCGAAAGGGAAACCAGAGGAGCTCTCTCGACGCAGGACTCGGCTTGCTGAAGCGCGCACGGCAAGAGGCGAGGGGCGGCGACTGGTGAGTACGCCAAAAATTTTGACTAGCGGAGGCTAGAAGGAGAGAGATGGGTGCGAGAGCGTCAGTATTAAGCGGGGGAGAATTAGATCGCGATGGGAAAAAATTCGGTTAAGGCCAGGGGGAAAGAAAAAATATAAATTAAAACATATAGTATGGGCAAGCAGGGAGCTAGAACGATTCGCAGTTAATCCTGGCCTGTTAGAAACATCAGAAGGCTGTAGACAAATACTGGGACAGCTACAACCATCCCTTCAGACAGGATCAGAAGAACTTAGATCATTATATAATACAGTAGCAACCCTCTATTGTGTGCATCAAAGGATAGAGATAAAAGACACCAAGGAAGCTTTAGACAAGATAGAGGAAGAGCAAAACAAAAGTAAGACCACCGCACAGCAAGCGGCCACTGATCTTCAGACCTGGAGGAGGAGATATGAGGGACAATTGGAGAAGTGAATTATATAAATATAAAGTAGTAAAAATTGAACCATTAGGAGTAGCACCCACCAAGGCAAAGAGAAGAGTGGTGCAGAGAGAAAAAAGAGCAGTGGGAATAGGAGCTTTGTTCCTTGGGTTCTTGGGAGCAGCAGGAAGCACTATGGGCGCAGCGTCAATGACGCTGACGGTACAGGCCAGACAATTATTGTCTGGTATAGTGCAGCAGCAGAACAATTTGCTGAGGGCTATTGAGGCGCAACAGCATCTGTTGCAACTCACAGTCTGGGGCATCAAGCAGCTCCAGGCAAGAATCCTGGCTGTGGAAAGATACCTAAAGGATCAACAGCTCCTGGGGATTTGGGGTTGCTCTGGAAAACTCATTTGCACCACTGCTGTGCCTTGGAATGCTAGTTGGAGTAATAAATCTCTGGAACAGATTTGGAATCACACGACCTGGATGGAGTGGGACAGAGAAATTAACAATTACACAAGCTTAATACACTCCTTAATTGAAGAATCGCAAAACCAGCAAGAAAAGAATGAACAAGAATTATTGGAATTAGATAAATGGGCAAGTTTGTGGAATTGGTTTAACATAACAAATTGGCTGTGGTATATAAAATTATTCATAATGATAGTAGGAGGCTTGGTAGGTTTAAGAATAGTTTTTGCTGTACTTTCTATAGTGAATAGAGTTAGGCAGGGATATTCACCATTATCGTTTCAGACCCACCTCCCAACCCCGAGGGGACCCGACAGGCCCGAAGGAATAGAAGAAGAAGGTGGAGAGAGAGACAGAGACAGATCCATTCGATTAGTGAACGGATCTCGACGGTATCGATGGCCGCCCCCTTCACCGAGGGCCTATTTCCCATGATTCCTTCATATTTGCATATACGATACAAGGCTGTTAGAGAGATAATTGGAATTAATTTGACTGTAAACACAAAGATATTAGTACAAAATACGTGACGTAGAAAGTAATAATTTCTTGGGTAGTTTGCAGTTTTAAAATTATGTTTTAAAATGGACTATCATATGCTTACCGTAACTTGAAAGTATTTCGATTTCTTGGCTTTATATATCTTGTGGAAAGGACGAAACACCGGAGTCTTCTTTTTTGAAGACACTTCGGACTGTAGAACTCTGAACCTCGAGCAATTTAAAAGAAAAGGGGGGATTGGGGGGTACAGTGCAGGGGAAAGAATAGTAGACATAATAGCAACAGACATACAAACTAAAGAATTACAAAAACAAATTACAAAAATTCAAAATTTCTGCGTTGTTGTCGGTGCTCGTTCTCTGCTCTTCACGCTACTGAATTCATCACCGGTTCTTCGAAGGCCTCCGCGCCGGGTTTTGGCGCCTCCCGCGGGCGCCCCCCTCCTCACGGCGAGCGCTGCCACGTCAGACGAAGGGCGCAGCGAGCGTCCTGATCCTTCCGCCCGGACGCTCAGGACAGCGGCCCGCTGCTCATAAGACTCGGCCTTAGAACCCCAGTATCAGCAGAAGGACATTTTAGGACGGGACTTGGGTGACTCTAGGGCACTGGTTTTCTTTCCAGAGAGCGGAACAGGCGAGGAAAAGTAGTCCCTTCTCGGCGATTCTGCGGAGGGATCTCCGTGGGGCGGTGAACGCCGATGATTATATAAGGACGCGCCGGGTGTGGCACAGCTAGTTCCGTCGCAGCCGGGATTTGGGTCGCGGTTCTTGTTTGTGGATCGCTGTGATCGTCACTTGGTCTAGACGCCACCATGAGCGGGGGCGAGGAGCTGTTCGCCGGCATCGTGCCCGTGCTGATCGAGCTGGACGGCGACGTGCACGGCCACAAGTTCAGCGTGCGCGGCGAGGGCGAGGGCGACGCCGACTACGGCAAGCTGGAGATCAAGTTCATCTGCACCACCGGCAAGCTGCCCGTGCCCTGGCCCACCCTGGTGACCACCCTCTGCTACGGCATCCAGTGCTTCGCCCGCTACCCCGAGCACATGAAGATGAACGACTTCTTCAAGAGCGCCATGCCCGAGGGCTACATCCAGGAGCGCACCATCCAGTTCCAGGACGACGGCAAGTACAAGACCCGCGGCGAGGTGAAGTTCGAGGGCGACACCCTGGTGAACCGCATCGAGCTGAAGGGCAAGGACTTCAAGGAGGACGGCAACATCCTGGGCCACAAGCTGGAGTACAGCTTCAACAGCCACAACGTGTACATCCGCCCCGACAAGGCCAACAACGGCCTGGAGGCTAACTTCAAGACCCGCCACAACATCGAGGGCGGCGGCGTGCAGCTGGCCGACCACTACCAGACCAACGTGCCCCTGGGCGACGGCCCCGTGCTGATCCCCATCAACCACTACCTGAGCACTCAGACCAAGATCAGCAAGGACCGCAACGAGGCCCGCGACCACATGGTGCTCCTGGAGTCCTTCAGCGCCTGCTGCCACACCCACGGCATGGACGAGCTGTACAGGGGATCCGAGGGCAGAGGAAGCCTTCTAACATGCGGTGACGTGGAGGAGAATCCCGGCCCTTCCGGGATGACCGAGTACAAGCCCACGGTGCGCCTCGCCACCCGCGACGACGTCCCCAGGGCCGTACGCACCCTCGCCGCCGCGTTCGCCGACTACCCCGCCACGCGCCACACCGTCGATCCGGACCGCCACATCGAGCGGGTCACCGAGCTGCAAGAACTCTTCCTCACGCGCGTCGGGCTCGACATCGGCAAGGTGTGGGTCGCGGACGACGGCGCCGCGGTGGCGGTCTGGACCACGCCGGAGAGCGTCGAAGCGGGGGCGGTGTTCGCCGAGATCGGCCCGCGCATGGCCGAGTTGAGCGGTTCCCGGCTGGCCGCGCAGCAACAGATGGAAGGCCTCCTGGCGCCGCACCGGCCCAAGGAGCCCGCGTGGTTCCTGGCCACCGTCGGCGTCTCGCCCGACCACCAGGGCAAGGGTCTGGGCAGCGCCGTCGTGCTCCCCGGAGTGGAGGCGGCCGAGCGCGCCGGGGTGCCCGCCTTCCTGGAGACCTCCGCGCCCCGCAACCTCCCCTTCTACGAGCGGCTCGGCTTCACCGTCACCGCCGACGTCGAGGTGCCCGAAGGACCGCGCACCTGGTGCATGACCCGCAAGCCCGGTGCCTGAATCTAGGTCGACAATCAACCTCTGGATTACAAAATTTGTGAAAGATTGACTGGTATTCTTAACTATGTTGCTCCTTTTACGCTATGTGGATACGCTGCTTTAATGCCTTTGTATCATGCTATTGCTTCCCGTATGGCTTTCATTTTCTCCTCCTTGTATAAATCCTGGTTGCTGTCTCTTTATGAGGAGTTGTGGCCCGTTGTCAGGCAACGTGGCGTGGTGTGCACTGTGTTTGCTGACGCAACCCCCACTGGTTGGGGCATTGCCACCACCTGTCAGCTCCTTTCCGGGACTTTCGCTTTCCCCCTCCCTATTGCCACGGCGGAACTCATCGCCGCCTGCCTTGCCCGCTGCTGGACAGGGGCTCGGCTGTTGGGCACTGACAATTCCGTGGTGTTGTCGGGGAAATCATCGTCCTTTCCTTGGCTGCTCGCCTGTGTTGCCACCTGGATTCTGCGCGGGACGTCCTTCTGCTACGTCCCTTCGGCCCTCAATCCAGCGGACCTTCCTTCCCGCGGCCTGCTGCCGGCTCTGCGGCCTCTTCCGCGTCTCCGCCTTCGCCCTCAGACGAGTCGGATCTCTCTTTGGGCCGCCTCCCCGCCTGGTACCTTTAAGACCAATGACTTACAAGGCAGCTGTAGATCTTAGCCACTTTTTAAAAGAAAAGGGGGGACTGGAAGGGCTAATTCACTCCCAACGAAGATAAGATCTGCTTTTTGCTTGTACTGGGTCTCTCTGGTTAGACCAGATCTGAGCCTGGGAGCTCTCTGGCTAACTAGGGAACCCACTGCTTAAGCCTCAATAAAGCTTGCCTTGAGTGCTTCAAGTAGTGTGTGCCCGTCTGTTGTGTGACTCTGGTAACTAGAGATCCCTCAGACCCTTTTAGTCAGTGTGGAAAATCTCTAG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ACAAATTTCACAAATAAAGCATTTTTTTCACTGCATTCTAGTTGTGGTTTGTCCAAACTCATCAATGTATCTTATCATGTCTGGCTCTAGCTATCCCGCCCCTAACTCCGCCCATCCCGCCCCTAACTCCGCCCAGTTCCGCCCATTCTCCGCCCCATGGCTGACTAATTTTTTTTATTTATGCAGAGGCCGAGGCCGCCTCGGCCTCTGAGCTATTCCAGAAGTAGTGAGGAGGCTTTTTTGGAGGCCTAGACTTTTGCAGAGACCAAATTCGTAATCATGTCATAGCTGTTTCCTGTGTGAAATTGTTATCCGCTCACAATTCCACACAACATACGAGCCGGAAGCATAAAGTGTAAAGCCTGGGGTGCCTAATGAGTGAGCTAACTCACATTAATTGCGTTGCGCTCACTGCCCGCTTTCCAGTCGGGAAACCTGTCGTGCCAGCTGCATTAATGAATCGGCCAACGCGCGGGGAGAGGCGGTTTGCGTATTGGGCGCTCTTCCGCTTCCTCGCTCACTGACTCGCTGCGCTCGGTCGTTCGGCTGCGGCGAGCGGTATCAGCTCACTCAAAGGCGGTAATACGGTTATCCACAGAATCAGGGGATAACGCAGGAAAGAACATGTGAGCAAAAGGCCAGCAAAAGGCCAGGAACCGTAAAAAGGCCGCGTTGCTGGCGTTTTTCCATAGGCTCCGCCCCCCTGACGAGCATCACAAAAATCGACGCTCAAGTCAGAGGTGGCGAAACCCGACAGGACTATAAAGATACCAGGCGTTTCCCCCTGGAAGCTCCCTCGTGCGCTCTCCTGTTCCGACCCTGCCGCTTACCGGATACCTGTCCGCCTTTCTCCCTTCGGGAAGCGTGGCGCTTTCTCATAGCTCACGCTGTAGGTATCTCAGTTCGGTGTAGGTCGTTCGCTCCAAGCTGGGCTGTGTGCACGAACCCCCCGTTCAGCCCGACCGCTGCGCCTTATCCGGTAACTATCGTCTTGAGTCCAACCCGGTAAGACACGACTTATCGCCACTGGCAGCAGCCACTGGTAACAGGATTAGCAGAGCGAGGTATGTAGGCGGTGCTACAGAGTTCTTGAAGTGGTGGCCTAACTACGGCTACACTAGAAGAACAGTATTTGGTATCTGCGCTCTGCTGAAGCCAGTTACCTTCGGAAAAAGAGTTGGTAGCTCTTGATCCGGCAAACAAACCACCGCTGGTAGCGGTGGTTTTTTTGTTTGCAAGCAGCAGATTACGCGCAGAAAAAAAGGATCTCAAGAAGATCCTTTGATCTTTTCTACGGGGTCTGACGCTCAGTGGAACGAAAACTCACGTTAAGGGATTTTGGTCATGAGATTATCAAAAAGGATCTTCACCTAGATCCTTTTAAATTAAAAATGAAGTTTTAAATCAATCTAAAGTATATATGAGTAAACTTGGTCTGACAGTTACCAATGCTTAATCAGTGAGGCACCTATCTCAGCGATCTGTCTATTTCGTTCATCCATAGTTGCCTGACTCCCCGTCGTGTAGATAACTACGATACGGGAGGGCTTACCATCTGGCCCCAGTGCTGCAATGATACCGCGAGACCCACGCTCACCGGCTCCAGATTTATCAGCAATAAACCAGCCAGCCGGAAGGGCCGAGCGCAGAAGTGGTCCTGCAACTTTATCCGCCTCCATCCAGTCTATTAATTGTTGCCGGGAAGCTAGAGTAAGTAGTTCGCCAGTTAATAGTTTGCGCAACGTTGTTGCCATTGCTACAGGCATCGTGGTGTCACGCTCGTCGTTTGGTATGGCTTCATTCAGCTCCGGTTCCCAACGATCAAGGCGAGTTACATGATCCCCCATGTTGTGCAAAAAAGCGGTTAGCTCCTTCGGTCCTCCGATCGTTGTCAGAAGTAAGTTGGCCGCAGTGTTATCACTCATGGTTATGGCAGCACTGCATAATTCTCTTACTGTCATGCCATCCGTAAGATGCTTTTCTGTGACTGGTGAGTACTCAACCAAGTCATTCTGAGAATAGTGTATGCGGCGACCGAGTTGCTCTTGCCCGGCGTCAATACGGGATAATACCGCGCCACATAGCAGAACTTTAAAAGTGCTCATCATTGGAAAACGTTCTTCGGGGCGAAAACTCTCAAGGATCTTACCGCTGTTGAGATCCAGTTCGATGTAACCCACTCGTGCACCCAACTGATCTTCAGCATCTTTTACTTTCACCAGCGTTTCTGGGTGAGCAAAAACAGGAAGGCAAAATGCCGCAAAAAAGGGAATAAGGGCGACACGGAAATGTTGAATACTCATACTCTTCCTTTTTCAATATTATTGAAGCATTTATCAGGGTTATTGTCTCATGAGCGGATACATATTTGAATGTATTTAGAAAAATAAACAAATAGGGGTTCCGCGCACATTTCCCCGAAAAGTGCCACCTGACGTCTAAGAAACCATTATTATCATGACATTAACCTATAAAAATAGGCGTATCACGAGGCCCTTTCGTCTCGCGCGTTTCGGTGATGACGGTGAAAACCTCTGACACATGCAGCTCCCGGAGACGGTCACAGCTTGTCTGTAAGCGGATGCCGGGAGCAGACAAGCCCGTCAGGGCGCGTCAGCGGGTGTTGGCGGGTGTCGGGGCTGGCTTAACTATGCGGCATCAGAGCAGATTGTACTGAGAGTGCACCATATGCGGTGTGAAATACCGCACAGATGCGTAAGGAGAAAATACCGCATCAGGCGCCATTCGCCATTCAGGCTGCGCAACTGTTGGGAAGGGCGATCGGTGCGGGCCTCTTCGCTATTACGCCAGCTGGCGAAAGGGGGATGTGCTGCAAGGCGATTAAGTTGGGTAACGCCAGGGTTTTCCCAGTCACGACGTTGTAAAACGACGGCCAGTGCCAAGCTG(配列番号141)
空のレンチベクター
GCGATCGCAGTAATCAATTACGGGGTCATTAGTTCATAGCCCATATATGGAGTTCCGCGTTACATAACTTACGGTAAATGGCCCGCCTGGCTGACCGCCCAACGACCCCCGCCCATTGACGTCAATAATGACGTATGTTCCCATAGTAACGCCAATAGGGACTTTCCATTGACGTCAATGGGTGGAGTATTTACGGTAAACTGCCCACTTGGCAGTACATCAAGTGTATCATATGCCAAGTACGCCCCCTATTGACGTCAATGACGGTAAATGGCCCGCCTGGCATTATGCCCAGTACATGACCTTATGGGACTTTCCTACTTGGCAGTACATCTACGTATTAGTCATCGCTATTACCATGGTGATGCGGTTTTGGCAGTACATCAATGGGCGTGGATAGCGGTTTGACTCACGGGGATTTCCAAGTCTCCACCCCATTGACGTCAATGGGAGTTTGTTTTGGCACCAAAATCAACGGGACTTTCCAAAATGTCGTAACAACTCCGCCCCATTGACGCAAATGGGCGGTAGGCGTGTACGGTGGGAGGTCTATATAAGCAGAGCTCGTTTAGTGAACCGGGGTCTCTCTGGTTAGACCAGATCTGAGCCTGGGAGCTCTCTGGCTAACTAGGGAACCCACTGCTTAAGCCTCAATAAAGCTTGCCTTGAGTGCTTCAAGTAGTGTGTGCCCGTCTGTTGTGTGACTCTGGTAACTAGAGATCCCTCAGACCCTTTTAGTCAGTGTGGAAAATCTCTAGCAGTGGCGCCCGAACAGGGACCTGAAAGCGAAAGGGAAACCAGAGCTCTCTCGACGCAGGACTCGGCTTGCTGAAGCGCGCACGGCAAGAGGCGAGGGGCGGCGACTGGTGAGTACGCCAAAAATTTTGACTAGCGGAGGCTAGAAGGAGAGAGATGGGTGCGAGAGCGTCAGTATTAAGCGGGGGAGAATTAGATCGCGATGGGAAAAAATTCGGTTAAGGCCAGGGGGAAAGAAAAAATATAAATTAAAACATATAGTATGGGCAAGCAGGGAGCTAGAACGATTCGCAGTTAATCCTGGCCTGTTAGAAACATCAGAAGGCTGTAGACAAATACTGGGACAGCTACAACCATCCCTTCAGACAGGATCAGAAGAACTTAGATCATTATATAATACAGTAGCAACCCTCTATTGTGTGCATCAAAGGATAGAGATAAAAGACACCAAGGAAGCTTTAGACAAGATAGAGGAAGAGCAAAACAAAAGTAAGACCACCGCACAGCAAGCGGCCGCTGATCTTCAGACCTGGAGGAGGAGATATGAGGGACAATTGGAGAAGTGAATTATATAAATATAAAGTAGTAAAAATTGAACCATTAGGAGTAGCACCCACCAAGGCAAAGAGAAGAGTGGTGCAGAGAGAAAAAAGAGCAGTGGGAATAGGAGCTTTGTTCCTTGGGTTCTTGGGAGCAGCAGGAAGCACTATGGGCGCAGCCTCAATGACGCTGACGGTACAGGCCAGACAATTATTGTCTGGTATAGTGCAGCAGCAGAACAATTTGCTGAGGGCTATTGAGGCGCAACAGCATCTGTTGCAACTCACAGTCTGGGGCATCAAGCAGCTCCAGGCAAGAATCCTGGCTGTGGAAAGATACCTAAAGGATCAACAGCTCCTGGGGATTTGGGGTTGCTCTGGAAAACTCATTTGCACCACTGCTGTGCCTTGGAATGCTAGTTGGAGTAATAAATCTCTGGAACAGATTTGGAATCACACGACCTGGATGGAGTGGGACAGAGAAATTAACAATTACACAAGCTTAATACACTCCTTAATTGAAGAATCGCAAAACCAGCAAGAAAAGAATGAACAAGAATTATTGGAATTAGATAAATGGGCAAGTTTGTGGAATTGGTTTAACATAACAAATTGGCTGTGGTATATAAAATTATTCATAATGATAGTAGGAGGCTTGGTAGGTTTAAGAATAGTTTTTGCTGTACTTTCTATAGTGAATAGAGTTAGGCAGGGATATTCACCATTATCGTTTCAGACCCACCTCCCAACCCCGAGGGGACCCGACAGGCCCGAAGGAATAGAAGAAGAAGGTGGAGAGAGAGACAGAGACAGATCCATTCGATTAGTGAACGGATCTCGACGGTATCGGTTAACTTTTAAAAGAAAAGGGGGGATTGGGGGGTACAGTGCAGGGGAAAGAATAGTAGACATAATAGCAACAGACATACAAACTAAAGAATTACAAAAACAAATTACAAAAATTCAAAATTTTGGCTCCCGATCGTTGCGTTACACACACAATTACTGCTGATCGAGTGTAGCCTTCGAATGAAAGACCCCACCTGTAGGTTTGGCAAGATAGCTGCAGTAACGCCATTTTGCAAGGCATGGAAAAATACCAAACCAAGAATAGAGAAGTTCAGATCAAGGGCGGGTACATGAAAATAGCTAACGTTGGGCCAAACAGGATATCTGCGGTGAGCAGTTTCGGCCCCGGCCCGGGGCCAAGAACAGATGGTCACCGCAGTTTCGGCCCCGGCCCGAGGCCAAGAACAGATGGTCCCCAGATATGGCCCAACCCTCAGCAGTTTCTTAAGACCCATCAGATGTTTCCAGGCTCCCCCAAGGACCTGAAATGACCCTGCGCCTTATTTGAATTAACCAATCAGCCTGCTTCTCGCTTCTGTTCGCGCGCTTCTGCTTCCCGAGCTCTATAAAAGAGCTCACAACCCCTCACTCGGCGCGCCAGTCCTCCGATTGACTGAGTCGCCCTGATCATTGTCGATCCTACCATCCACTCGACACACCCGCCAGGGCCCTGCCAAGCTTCCGAGCTCTCGATATCAAAGGAGGTACCCAACATGGTCAGCAAGGGCGAGGAACTGTTCACCGGGGTGGTGCCCATCCTGGTCGAGCTGGACGGCGACGTAAACGGCCACAAGTTCAGCGTGTCCGGCGAGGGCGAGGGCGATGCCACCTACGGCAAGCTGACCCTGAAGTTCATCTGTACCACCGGCAAGCTGCCCGTGCCCTGGCCCACCCTCGTGACCACCCTGACCTACGGCGTGCAATGCTTCAGCCGCTACCCCGACCACATGAAGCAGCACGACTTCTTCAAGTCCGCCATGCCCGAAGGCTACGTCCAGGAGCGCACCATCTTCTTCAAGGACGACGGCAACTACAAGACCCGCGCCGAGGTGAAGTTCGAGGGCGACACCCTGGTGAACCGCATCGAGCTGAAGGGCATCGACTTCAAGGAGGACGGCAACATCCTGGGGCACAAGCTGGAGTACAACTACAACAGCCACAACGTCTATATCATGGCCGACAAGCAGAAGAACGGCATCAAGGTGAACTTCAAGATCCGCCACAACATCGAGGACGGCAGCGTGCAACTCGCCGACCACTACCAGCAGAACACCCCCATCGGCGACGGCCCCGTGCTGCTGCCCGACAACCACTACCTGAGCACCCAGTCCGCCCTGAGCAAAGACCCCAACGAGAAGCGCGATCACATGGTCCTGCTGGAGTTCGTGACCGCCGCCGGGATCACTCTCGGCATGGACGAGCTGTACAAGTAGAAGTTGTCTCCTCCTGCACTGACTGACTGATACAATCGATTTCTGGATCCGCAGGCCTCTGCTAGAAGTTGTCTCCTCCTGCACTGACTGACTGATACAATCGATTTCTGGATCCGCAGGCCTCTGCTAGCTTGACTGACTGAGTCGACAATCAACCTCTGGATTACAAAATTTGTGAAAGATTGACTGGTATTCTTAACTATGTTGCTCCTTTTACGCTATGTGGATACGCTGCTTTAATGCCTTTGTATCATGCTATTGCTTCCCGTATGGCTTTCATTTTCTCCTCCTTGTATAAATCCTGGTTGCTGTCTCTTTATGAGGAGTTGTGGCCCGTTGTCAGGCAACGTGGCGTGGTGTGCACTGTGTTTGCTGACGCAACCCCCACTGGTTGGGGCATTGCCACCACCTGTCAGCTCCTTTCCGGGACTTTCGCTTTCCCCCTCCCTATTGCCACGGCGGAACTCATCGCCGCCTGCCTTGCCCGCTGCTGGACAGGGGCTCGGCTGTTGGGCACTGACAATTCCGTGGTGTTGTCGGGGAAGCTGACGTCCTTTCCATGGCTGCTCGCCTGTGTTGCCACCTGGATTCTGCGCGGGACGTCCTTCTGCTACGTCCCTTCGGCCCTCAATCCAGCGGACCTTCCTTCCCGCGGCCTGCTGCCGGCTCTGCGGCCTCTTCCGCGTCTTCGCCTTCGCCCTCAGACGAGTCGGATCTCCCTTTGGGCCGCCTCCCCGCCTGGAATTCGAGCTCGGTACCTTTAAGACCAATGACTTACAAGGCAGCTGTAGATCTTAGCCACTTTTTAAAAGAAAAGGGGGGACTGGAAGGGCTAATTCACTCCCAACGAAGACAAGATCTGCTTTTTGCTTGTACTGGGTCTCTCTGGTTAGACCAGATCTGAGCCTGGGAGCTCTCTGGCTAACTAGGGAACCCACTGCTTAAGCCTCAATAAAGCTTGCCTTGAGTGCTTCAAGTAGTGTGTGCCCGTCTGTTGTGTGACTCTGGTAACTAGAGATCCCTCAGACCCTTTTAGTCAGTGTGGAAAATCTCTAGCAGTCCTGGCCAACGTGAGCACCGTGCTGACCTCCAAATATCGTTAAGCTGGAGCCTGGGAGCCGGCCTGGCCCTCCGCCCCCCCCACCCCCGCAGCCCACCCCTGGTCTTTGAATAAAGTCTGAGTGAGTGGCCGACAGTGCCCGTGGAGTTCTCGTGACCTGAGGTGCAGGGCCGGCGCTAGGGACACGTCCGTGCACGTGCCGAGGCCCCCTGTGCAGCTGCAAGGGACAGGCCTAGCCCTGCAGGCCTAACTCCGCCCATCCCGCCCCTAACTCCGCCCAGTTCCGCCCATTCTCCGCCTCATGGCTGACTAATTTTTTTTATTTATGCAGAGGCCGAGGCCGCCTCGGCCTCTGAGCTATTCCAGAAGTAGTGAGGACGCTTTTTTGGAGGCCGAGGCTTTTGCAAAGATCGAACAAGAGACAGGACCTGCAGGTTAATTAAATTTAAATCATGTGAGCAAAAGGCCAGCAAAAGGCCAGGAA
CCGTAAAAAGGCCGCGTTGCTGGCGTTTTTCCATAGGCTCCGCCCCCCTGACGAGCATCACAAAAATCGACGCTCAAGTCAGAGGTGGCGAAACCCGACAGGACTATAAAGATACCAGGCGTTTCCCCCTGGAAGCTCCCTCGTGCGCTCTCCTGTTCCGACCCTGCCGCTTACCGGATACCTGTCCGCCTTTCTCCCTTCGGGAAGCGTGGCGCTTTCTCATAGCTCACGCTGTAGGTATCTCAGTTCGGTGTAGGTCGTTCGCTCCAAGCTGGGCTGTGTGCACGAACCCCCCGTTCAGCCCGACCGCTGCGCCTTATCCGGTAACTATCGTCTTGAGTCCAACCCGGTAAGACACGACTTATCGCCACTGGCAGCAGCCACTGGTAACAGGATTAGCAGAGCGAGGTATGTAGGCGGTGCTACAGAGTTCTTGAAGTGGTGGCCTAACTACGGCTACACTAGAAGAACAGTATTTGGTATCTGCGCTCTGCTGAAGCCAGTTACCTTCGGAAAAAGAGTTGGTAGCTCTTGATCCGGCAAACAAACCACCGCTGGTAGCGGTGGTTTTTTTGTTTGCAAGCAGCAGATTACGCGCAGAAAAAAAGGATCTCAAGAAGATCCTTTGATCTTTTCTACGGGGTCTGACGCTCAGTGGAACGAAAACTCACGTTAAGGGATTTTGGTCATGAGATTATCAAAAAGGATCTTCACCTAGATCCTTTTAAATTAAAAATGAAGTTTTAAATCAATCTAAAGTATATATGAGTAAACTTGGTCTGACAGTTACCAATGCTTAATCAGTGAGGCACCTATCTCAGCGATCTGTCTATTTCGTTCATCCATAGTTGCATTTAAATGGCCGGCCTGGCGCGCCGTTTAAACCTAGATATTGATAGTCTGATCGGTCAACGTATAATCGAGTCCTAGCTTTTGCAAACATCTATCAAGAGACAGGATCAGCAGGAGGCTTTCGCATGAGTATTCAACATTTCCGTGTCGCCCTTATTCCCTTTTTTGCGGCATTTTGCCTTCCTGTTTTTGCTCACCCAGAAACGCTGGTGAAAGTAAAAGATGCTGAAGATCAGTTGGGTGCGCGAGTGGGTTACATCGAACTGGATCTCAACAGCGGTAAGATCCTTGAGAGTTTTCGCCCCGAAGAACGCTTTCCAATGATGAGCACTTTTAAAGTTCTGCTATGTGGCGCGGTATTATCCCGTATTGACGCCGGGCAAGAGCAACTCGGTCGCCGCATACACTATTCTCAGAATGACTTGGTTGAGTATTCACCAGTCACAGAAAAGCATCTTACGGATGGCATGACAGTAAGAGAATTATGCAGTGCTGCCATAACCATGAGTGATAACACTGCGGCCAACTTACTTCTGACAACGATTGGAGGACCGAAGGAGCTAACCGCTTTTTTGCACAACATGGGGGATCATGTAACTCGCCTTGATCGTTGGGAACCGGAGCTGAATGAAGCCATACCAAACGACGAGCGTGACACCACGATGCCTGTAGCAATGGCAACAACCTTGCGTAAACTATTAACTGGCGAACTACTTACTCTAGCTTCCCGGCAACAGTTGATAGACTGGATGGAGGCGGATAAAGTTGCAGGACCACTTCTGCGCTCGGCCCTTCCGGCTGGCTGGTTTATTGCTGATAAATCTGGAGCCGGTGAGCGTGGGTCTCGCGGTATCATTGCAGCACTGGGGCCAGATGGTAAGCCCTCCCGTATCGTAGTTATCTACACGACGGGGAGTCAGGCAACTATGGATGAACGAAATAGACAGATCGCTGAGATAGGTGCCTCACTGATTAAGCATTGGTAACCGATTCTAGGTGCATTGGCGCAGAAAAAAATGCCTGATGCGACGCTGCGCGTCTTATACTCCCACATATGCCAGATTCAGCAACGGATACGGCTTCCCCAACTTGCCCACTTCCATACGTGTCCTCCTTACCAGAAATTTATCCTTAAGATCCCGAATCGTTTAAAC(配列番号142)
【0184】
ガイドRNA、RNA結合性DNA結合剤、または調節性T細胞促進分子(例えば、IL10、CTLA4)、もしくは標的化受容体(例えば、CAR)をコードする配列を含むドナーコンストラクトを含むベクターは、個別にまたは任意の組合せで、リポソーム、ナノ粒子、エクソソーム、または微小胞によって送達することができる。また、ベクターは、脂質ナノ粒子(LNP)によって送達することもできる。1つ以上のガイドRNA、RNA結合性DNA結合剤(例えば、mRNA)、または異種タンパク質をコードする配列を含むドナーコンストラクトは、個別にまたは任意の組合せで、LNP、リポソーム、ナノ粒子、エクソソーム、または微小胞によって送達することができる。1つ以上のガイドRNA、RNA結合性DNA結合剤(例えば、mRNA)、または異種タンパク質をコードする配列を含むドナーコンストラクトは、個別にまたは任意の組合せで、LNPによって送達することができる。いくつかの実施形態において、1つ以上のガイドRNA及びRNA先導DNA結合剤(例えば、mRNA)が、LNPによって送達される。ドナーコンストラクトは、ウイルスベクターによって送達することができる。
【0185】
脂質ナノ粒子(LNP)は、ヌクレオチド及びタンパク質カーゴを送達するための周知された手段であり、本明細書で開示するガイドRNA、RNA先導DNA結合剤、またはドナーコンストラクトのいずれかの送達に使用することができる。
【0186】
本明細書で使用する場合、脂質ナノ粒子(LNP)とは、分子間力によって互いに物理的に会合した複数の(すなわち、2つ以上の)脂質分子を含む粒子を指す。LNPは、例えば、ミクロスフェア(単層及び多重層小胞、例えば、「リポソーム」:いくつかの実施形態において、実質的に球状であり、より特定の実施形態において、水性コアを含むことができる(例えば、RNA分子の実質的な部分を含む)層状相脂質二重層を含む)、エマルション中の分散相、ミセル、または懸濁液中の内相であり得る(例えば、WO2017173054を参照(この内容は、参照により全体として本明細書に援用される))。対象にヌクレオチドを送達可能であることが当業者に知られている、任意のLNPを利用することができる。
【0187】
いくつかの実施形態において、本明細書では、任意の本明細書に記載のガイドRNAまたは本明細書で開示するドナーコンストラクトを、単独でまたは組み合わせて、細胞もしくは細胞集団または対象に送達する方法であって、構成要素のいずれか1つ以上がLNPと会合している、方法が提供される。いくつかの実施形態において、方法は、RNA先導DNA結合剤(例えば、Cas9またはCas9をコードする配列)をさらに含む。
【0188】
いくつかの実施形態において、本明細書では、任意の本明細書に記載のガイドRNAまたは本明細書で開示するドナーコンストラクトを、単独でまたは組み合わせて、LNPとともに含む組成物が提供される。いくつかの実施形態において、組成物は、RNA先導DNA結合剤(例えば、Cas9またはCas9をコードする配列)をさらに含む。
【0189】
いくつかの実施形態において、LNPはカチオン性脂質を含む。いくつかの実施形態において、LNPは、(9Z,12Z)-3-((4,4-ビス(オクチルオキシ)ブタノイル)オキシ)-2-((((3-(ジエチルアミノ)プロポキシ)カルボニル)オキシ)メチル)プロピルオクタデカ-9,12-ジエノエート(別名3-((4,4-ビス(オクチルオキシ)ブタノイル)オキシ)-2-((((3-(ジエチルアミノ)プロポキシ)カルボニル)オキシ)メチル)プロピル(9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエノエート)または別のイオン化可能な脂質を含む。例えば、WO2019/067992、WO2017/173054、WO2015/095340、及びWO2014/136086の脂質、ならびにそこに示されている参考文献を参照。いくつかの実施形態において、LNPは、約4.5、5.0、5.5、6.0、または6.5のカチオン性脂質アミン:RNAリン酸のモル比(N:P)を含む。いくつかの実施形態において、LNP脂質の文脈におけるカチオン性及びイオン化可能という用語は互換的であり、例えば、イオン化可能な脂質は、pHに応じてカチオン性である。
【0190】
いくつかの実施形態において、本明細書で開示するコンストラクトに関連するLNPは、免疫応答を抑制するための細胞ベース医薬の調製に使用される。細胞ベース治療薬の調製のための方法及び細胞ベース治療薬に使用するための試薬は、当技術分野で知られている。
【0191】
いくつかの実施形態において、任意の本明細書に記載のガイドRNA、RNA先導DNA結合剤、または本明細書で開示するドナーコンストラクトは、単独でまたは組み合わせて、裸かまたはベクターの一部かにかかわらず、脂質ナノ粒子内で製剤化されるか、または脂質ナノ粒子を介して投与される。例えば、WO2019/067992またはWO2017/173054を参照(これらの内容は、参照により全体として本明細書に援用される)。
【0192】
いくつかの実施形態において、RNA構成要素及び脂質構成要素を含むLNP組成物が包含され、ここで脂質構成要素は、アミン脂質(例えば、生分解性でイオン化可能な脂質)を含む。いくつかの場合において、脂質構成要素は、生分解性でイオン化可能な脂質、コレステロール、DSPC、及びPEG-DMGを含む。ある特定の実施形態において、脂質核酸集合体は、イオン化可能な脂質A((9Z,12Z)-3-((4,4-ビス(オクチルオキシ)ブタノイル)オキシ)-2-((((3-(ジエチルアミノ)プロポキシ)カルボニル)オキシ)メチル)プロピルオクタデカ-9,12-ジエノエート(別名3-((4,4-ビス(オクチルオキシ)ブタノイル)オキシ)-2-((((3-(ジエチルアミノ)プロポキシ)カルボニル)オキシ)メチル)プロピル(9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエノエート))、コレステロール、DSPC、及びPEG2k-DMGを含むものであった。ある特定の実施形態において、当該構成要素は、それぞれ50:38:9:3のモル比で存在する。脂質核酸集合体は、脂質アミン:RNAリン酸(N:P)のモル比を約6で、gRNA:mRNAの重量比を2:1、1:1、または1:2で製剤化することができる。
【0193】
ガイドRNA、RNA先導DNA結合剤(例えば、CasヌクレアーゼまたはCasヌクレアーゼをコードする核酸)、及び調節性T細胞促進分子(例えば、IL10)、または標的化受容体(例えば、CAR)をコードする配列を含むドナーコンストラクトを、同じまたは異なるシステムを用いて送達することができることは明らかであろう。例えば、ガイドRNA、Casヌクレアーゼ、及びコンストラクトは、同じベクター(例えば、AAV)によって運搬することができる。代替的に、Casヌクレアーゼ(タンパク質もしくはmRNAとして)またはgRNAは、プラスミドまたはLNPによって運搬することができ、一方ドナーコンストラクトは、AAVなどのベクターによって運搬することができる。
【0194】
異なる送達システムは、同時に送達することも、任意の順で送達することもできる。いくつかの実施形態において、ドナーコンストラクト、ガイドRNA、及びCasヌクレアーゼは、例えば、1つのベクター、2つのベクター、個々のベクター、1つのLNP、2つのLNP、個々のLNP、またはこれらの組合せで、同時に送達することができる。いくつかの実施形態において、ドナーコンストラクトは、ガイドRNAまたはCasヌクレアーゼを送達する(例えば、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14日、またはそれ以上)前に、ベクターとして、またはLNPと会合して、単独でもしくは一緒に、またはリボ核タンパク質(RNP)として、送達することができる。さらなる例として、ガイドRNA及びCasヌクレアーゼは、ベクターとして、またはLNPと会合して、単独でもしくは一緒に、またはリボ核タンパク質(RNP)として、コンストラクトを送達する前(例えば、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、またはそれ以上の日)に送達することができる。
【0195】
IV.T細胞を操作する方法
本開示は、IFNGをコードする内在性核酸配列の修飾(例えば、ノックダウン)と、TNFAをコードする内在性核酸配列の修飾(例えば、ノックダウン)と、プロモーター配列の制御下にある調節性T細胞促進分子をコードする異種配列(複数可)の細胞内への挿入とを含むように、T細胞を操作する方法を提供する。本開示は、IFNGをコードする内在性核酸配列の修飾(例えば、ノックダウン)と、TNFAをコードする内在性核酸配列の修飾(例えば、ノックダウン)と、プロモーター配列の制御下にあるIL10をコードする異種配列(複数可)の細胞内への挿入とを含むように、T細胞を操作する方法を提供する。本開示は、IFNGをコードする内在性核酸配列の修飾(例えば、ノックダウン)と、TNFAをコードする内在性核酸配列の修飾(例えば、ノックダウン)と、プロモーター配列の制御下にあるCTLA4をコードする異種配列(複数可)の細胞内への挿入とを含むように、T細胞を操作する方法を提供する。本開示は、IFNGをコードする内在性核酸配列の修飾(例えば、ノックダウン)と、TNFAをコードする内在性核酸配列の修飾(例えば、ノックダウン)と、各々プロモーター配列の制御下にあるIL10及びCTLA4をコードする異種配列の細胞内への挿入とを含むようにT細胞を操作する方法を提供する。
【0196】
いくつかの実施形態において、当該方法は、IFNGをコードする内在性核酸配列の修飾(例えば、ノックダウン)と、TNFAをコードする内在性核酸配列の修飾(例えば、ノックダウン)と、調節性T細胞促進分子(例えば、IL10またはCTLA4)をコードする異種配列(複数可)の細胞内への挿入とを含み、TCR配列(複数可)の修飾(例えば、ノックダウン)をさらに含むように、T細胞を操作することを含む。
【0197】
いくつかの実施形態において、当該方法は、IFNGをコードする内在性核酸配列の修飾(例えば、ノックダウン)と、TNFAをコードする内在性核酸配列の修飾(例えば、ノックダウン)と、調節性T細胞促進分子(例えば、IL10またはCTLA4)をコードする異種配列(複数可)の細胞内への挿入とを含み、標的化受容体(例えば、CAR)をコードする異種配列(複数可)の細胞内への挿入をさらに含むように、T細胞を操作することを含む。
【0198】
いくつかの実施形態において、当該方法は、IFNGをコードする内在性核酸配列の修飾(例えば、ノックダウン)と、TNFAをコードする内在性核酸配列の修飾(例えば、ノックダウン)と、調節性T細胞促進分子(例えば、IL10またはCTLA4)をコードする異種配列(複数可)の細胞内への挿入と、TCR配列(複数可)の修飾(例えば、ノックダウン)と、標的化受容体(例えば、CAR)をコードする異種配列(複数可)の細胞内への挿入とを含むように、T細胞を操作することを含む。
【0199】
いくつかの実施形態において、IFNGをコードする内在性核酸配列の修飾(例えば、ノックダウン)、TNFAをコードする内在性核酸配列の修飾(例えば、ノックダウン)、調節性T細胞促進分子をコードする異種配列(複数可)の細胞内への挿入、TCR遺伝子の任意選択のノックダウン、及び標的化受容体(例えば、CAR)の細胞内への任意の挿入は、CRISPR/Casシステム及び本明細書で開示するガイドRNAを用いて操作される。
【0200】
これらの実施形態において、挿入される調節性T細胞促進分子は、ドナーコンストラクトを介して提供することができる。ドナーコンストラクトを介して提供される調節性T細胞促進分子は、IL10、CTLA4、TGFB1、IDO1、ENTPD1、NT5E、IL22、AREG、IL35、GARP、CD274、FOXP3、IKZF2、EOS、IRF4、LEF1、及びBACH2、ならびにTCR遺伝子配列(複数可)の修飾(例えば、ノックダウン)から選択することができる。
【0201】
これらの実施形態において、挿入される標的化受容体は、ドナーコンストラクトを介して提供することができる。いくつかの実施形態において、標的化受容体は、キメラ抗原受容体(CAR)、T細胞受容体(TCR)、または細胞外受容体部分の結合時にT細胞を活性化可能な、内部シグナル伝達ドメイン内で少なくとも膜貫通ドメインを介し作用可能に結合した細胞表面分子の受容体であり得る。いくつかの実施形態において、標的化受容体は、細胞が、標的部位(例えば、生物内の特定の細胞または組織)に結合するのを可能にする、細胞(例えば、T細胞)の表面に存在する受容体であり得る。これらの実施形態において、標的化受容体は、MAdCAM-1を標的化可能なCARである。
【0202】
挿入及び修飾(例えば、ノックダウン)を含むようにT細胞を操作するための好適な遺伝子編集システムは、本明細書で開示され、当技術分野で知られている。いくつかの実施形態において、遺伝子編集システムは、限定されるものではないが、CRISPR/Casシステム、ジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)システム、転写活性化因子様エフェクターヌクレアーゼ(TALEN)システムを含む。概して、遺伝子編集システムは、標的DNA配列内で二重鎖切断(DSB)またはニック(例えば、一本鎖切断、またはSSB)を誘導するために、操作された切断システムの使用を伴う。切断またはニッキングは、特異的ヌクレアーゼ(例えば、操作されたZFN、TALEN)の使用により、またはCRISPR/Casシステムを操作されたガイドRNAとともに使用して、標的DNA配列の特異的切断もしくはニッキング(例えば、CRISPR/Cas9システム)を先導することにより、生じ得る。さらに、アルゴノートシステムに基づいた標的ヌクレアーゼが開発されており(例えば、「TtAgo」として知られているT.thermophilus由来のもの;Swarts et al(2014)Nature 507(7491):258-261を参照)、これは、ゲノム編集及び遺伝子治療で使用される可能性も有し得る。
【0203】
転写活性化因子様エフェクターヌクレアーゼ(TALEN)は、DNAの特定の配列を切断するように操作することができる制限酵素である。これは、TALエフェクターDNA結合ドメインをDNA切断ドメイン(DNA鎖を切断するヌクレアーゼ)に融合させることによって作製される。転写活性化因子様エフェクター(TALE)は、所望のDNA配列に結合し、特定の位置でDNA切断を促進するように操作することができる(例えば、Boch,TALEs of genome targeting Nature Biotech.29:135-136(2011)を参照)。制限酵素は、遺伝子編集に使用するために、あるいは操作されたヌクレアーゼによるゲノム編集として知られる技法であるin situでのゲノム編集のために、細胞に導入することができる。このような方法及びそこで使用するための組成物は、当技術分野で知られている。例えば、WO2019147805、WO2014040370、WO2018073393を参照(これらの内容は、全体として本明細書に援用される)。
【0204】
ジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)は、ジンクフィンガーDNA結合ドメインをDNA切断ドメインと融合させることによって生成される人工制限酵素である。ジンクフィンガードメインは、特定の所望のDNA配列を標的化するように操作して、複雑なゲノム内のユニークな配列を標的化するジンクフィンガーヌクレアーゼを有効にすることができる。IIs型制限エンドヌクレアーゼFokIの非特異的切断ドメインは、典型的にはZFN内の切断ドメインとして使用される。切断は、内在性DNA修復装置によって修復され、これによりZFNは高等生物のゲノムを正確に改変することが可能になる。このような方法及びそこで使用するための組成物は、当技術分野で知られている。例えば、WO2011091324を参照(この内容は、全体として本明細書に援用される)。
【0205】
RNA干渉(RNAi)は、RNA分子が標的mRNA分子を中和することにより、遺伝子発現または翻訳を阻害する生物学的プロセスである。低分子干渉RNA(siRNA)は、RNA干渉の中心的存在である。RNAは遺伝子の直接的産物であり、これらの低分子RNA(典型的には、各鎖は19~23ヌクレオチド長であり、19~21ヌクレオチドの二重鎖を形成する)は、RNA誘導性サイレンシング(RISC)複合体にメッセンジャーRNA(mRNA)分子を分解するように指示して、転写後遺伝子サイレンシングを介し翻訳を妨げることにより、その活性を低下させることができる。ショートヘアピンRNA(shRNA)は、二重鎖領域を形成する鎖がヘアピン構造を有する単一RNA鎖であるsiRNAであり、しばしば発現ベクターからの転写によって生成される。RNAiは、ダイサー基質分子と称される長いRNA二重鎖構造によっても達成することができ、この構造は、RISCに装填される前に酵素ダイサーによって切断され、標的mRNAの切断を促進する。このような使用方法及び組成物は、当技術分野で知られている。本明細書で提供される組成物及び方法においては、RNA干渉を促進するためのRNA分子が、耐久性のために発現ベクターとして提供されることが好ましい。例えば、WO2018208837を参照(この内容は、全体として本明細書に援用される)。いくつかの実施形態において、RNAiは、発現ベクターとともに使用される。
【0206】
本開示が、本明細書で開示するガイドRNAのありまたはなしで実施される挿入方法(例えば、ZFNシステムを使用して標的DNA配列に切断を引き起こし、コンストラクトの挿入部位を作出する)を企図していることが理解されよう。本明細書で開示するガイドRNAを使用する方法において、当該方法は、TNFA、IFNG、またはTCRをコードする核酸配列を修飾(例えば、ノックダウン)するためのCRISPR/Casシステムの使用を含む。また、本開示が、TNFA、IFNG、またはTCRを修飾(例えば、ノックダウン)する方法を企図しており、これが、本明細書で開示するガイドRNAなしで実施することができる(例えば、ZFNシステムを使用して標的DNA配列に切断を引き起こし、コンストラクトの挿入部位を作出する)ことも理解されよう。
【0207】
いくつかの実施形態において、挿入のための配列(例えば、IL10またはCTLA4をコードする配列)を含むドナーコンストラクトは、修飾(例えば、ノックダウン)に対し標的化される配列、例えばTCR遺伝子のゲノム座位に挿入される。
【0208】
いくつかの実施形態において、CRISPR/Casシステム(例えば、ガイドRNA及びRNA先導DNA結合剤)を使用して、ゲノム内の所望の座位に挿入部位を作出することができ、その部位に、IL10、CTLA4をコードする配列を含むドナーコンストラクト、または標的化受容体(例えば、本明細書で開示するCAR、例えば、MAdCAM-1 CAR)を挿入して、IL10、CTLA4、またはCAR(例えば、MAdCAM-1 CAR)を発現することができる。標的化受容体(例えば、CAR、例えば、MAdCAM-1 CAR)、IL10、またはCTLA4は、本明細書に記載のように、その挿入部位または座位、例えばIL10、CTLA4、または標的化受容体(例えば、CAR、例えば、MAdCAM-1 CAR)が通常発現しないセーフハーバー座位またはTCR座位に関して異種であってもよい。いくつかの実施形態において、本明細書に記載のガイドRNAを、本方法に従ってRNA先導DNA結合剤(例えば、Casヌクレアーゼ)とともに使用して挿入部位を作出し、その部位に、IL10、CTLA4をコードする配列を含むドナーコンストラクト、または標的化受容体(例えば、CAR、例えば、MAdCAM-1 CAR)を挿入して、IL10、CTLA4、またはCAR(例えばMAdCAM-1 CAR)を発現させることができる。IL10、CTLA4、または標的化受容体(例えば、CAR、例えば、MAdCAM-1 CAR)を特定のゲノム座位に挿入するためのガイドRNAが、本明細書で例示及び記載されている。
【0209】
いくつかの実施形態において、CD4+T細胞は、gRNA(例えば、ノックダウンのためにIFNG、TNFA、またはTCRを標的化するgRNA)、RNA先導DNA結合剤(例えば、Casヌクレアーゼ)、ドナーコンストラクトを用いた形質導入(例えば、ウイルスまたは非ウイルス送達を使用)によって操作される。いくつかの実施形態において、操作されたT細胞は、1)炎症促進性サイトカイン(例えば、IFNGまたはTNFA)をコードする核酸配列を標的化するgRNA、RNA先導DNA結合剤(例えば、Casヌクレアーゼ)で形質導入され、また2)調節性T細胞促進分子(例えば、IL10またはCTLA4)をコードする核酸配列(複数可)と、標的化受容体(例えば、CAR、例えば、MAdCAM-1 CAR)とを含むドナーコンストラクトで形質導入される。ある特定の実施形態において、操作された細胞は、標的化受容体の発現のために選択される。
【0210】
いくつかの実施形態において、CD4+T細胞は、gRNA(例えば、ノックダウンのためにIFNG、TNFA、またはTCRを標的化するgRNA)、RNA先導DNA結合剤(例えば、Casヌクレアーゼ)、及びドナーコンストラクトを用いた形質導入によって操作される。いくつかの実施形態において、操作されたT細胞は、1)調節性T細胞促進分子(例えば、IL10またはCTLA4)をコードする核酸配列(複数可)と、標的化受容体(例えば、CAR、例えば、MAdCAM-1 CAR)とを含むドナーコンストラクトで形質導入され、2)炎症促進性サイトカイン(例えば、IFNGまたはTNFA)をコードする核酸配列を標的化するgRNA、RNA先導DNA結合剤(例えば、Casヌクレアーゼ)で形質導入される。ある特定の実施形態において、操作された細胞は、標的化受容体の発現のために選択される。
【0211】
いくつかの実施形態において、CD4+T細胞は、gRNA(例えば、ノックダウンのためにIFNG、TNFA、またはTCRを標的化するgRNA)、RNA先導DNA結合剤(例えば、Casヌクレアーゼ)、ドナーコンストラクトを用いた形質導入によって操作される。いくつかの実施形態において、操作されたT細胞は、1)調節性T細胞促進分子(例えば、IL10またはCTLA4)をコードする核酸配列(複数可)と、標的化受容体(例えば、CAR、例えば、MAdCAM-1 CAR)とを含むドナーコンストラクトで形質導入され、2)炎症促進性サイトカイン(例えば、IFNGまたはTNFA)をコードする核酸配列を標的化するgRNA、RNA先導DNA結合剤(例えば、Casヌクレアーゼ)で形質導入される。
【0212】
本明細書に記載のように、IL10、CTLA4、または標的化受容体(例えば、CAR)をコードする配列と、ガイドRNA(例えば、ノックダウンのためにIFNG、TNFA、またはTCRを標的化するgRNA)と、RNA先導DNA結合剤とを含むドナーコンストラクトは、当技術分野で知られている任意の好適な送達システム及び方法を用いて送達することができる。いくつかの実施形態において、ガイドRNA及びCasヌクレアーゼは、IL10、CTLA4、または標的化受容体(例えば、CAR)をコードする配列を含むドナーコンストラクトを送達する前に、LNPと会合し、細胞または細胞の集団に送達される。いくつかの実施形態において、ガイドRNA及びCasヌクレアーゼは、IL10、CTLA4、または標的化受容体(例えば、CAR)をコードする配列を含むドナーコンストラクトを送達した後に、LNPと会合し、細胞または細胞の集団に送達される。
【0213】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載のgRNA、ドナーコンストラクト、及びRNA先導DNA結合剤の天然に存在するT細胞への投与は、天然に存在するT細胞(例えば、CD4+T細胞)を、調節性T細胞の特性(例えば、免疫応答抑制特性)を示す細胞に変換することが可能である。
【0214】
IFNG、TNFA、もしくはTCR遺伝子発現を修飾(例えば、ノックダウン)するための、またはIL10、CTLA4、もしくは標的化受容体(例えばCAR、例えばMAdCAM-1 CAR)をコードする配列を挿入するためのgRNA、ドナーコンストラクト、及びRNA先導DNA結合剤は、従来的なT細胞または従来的なT細胞の集団に導入して、本明細書に記載の操作されたT細胞またはT細胞の集団を生成することができる。
【0215】
様々なRNA先導DNA結合剤(例えば、ヌクレアーゼ、例えば、Casヌクレアーゼ、例えば、Cas9)を使用する方法も当技術分野で周知されている。本明細書では、CRISPR/Casシステムの使用が例示されているが、当該システムに対する好適な変形形態も使用できることが理解されよう。文脈によっては、RNA先導DNA結合剤は、核酸(例えば、DNAまたはmRNA)として、例えば、上記で提供されたRNA先導DNA結合剤をコードするmRNAとして、またはタンパク質として提供され得ることが理解されよう。いくつかの実施形態において、当該方法は、RNA先導DNA結合剤を既に含むまたは発現する細胞で実施することができる。
【0216】
いくつかの実施形態において、RNA先導DNA結合剤(例えば、Cas9ヌクレアーゼ)は、クリーバーゼ活性を有し、これは二重鎖エンドヌクレアーゼ活性と称されることもある。いくつかの実施形態において、RNA先導DNA結合剤(例えば、Cas9ヌクレアーゼ)は、ニッカーゼ活性を有し、これは一本鎖エンドヌクレアーゼ活性と称されることもある。いくつかの実施形態において、RNA先導DNA結合剤はCasヌクレアーゼを含む。Casヌクレアーゼの例としては、S.pyogenes、S.aureus、及び他の原核生物のII型CRISPRシステムのもの(例えば、次の段落の一覧を参照)、ならびにこれらのバリアントまたは変異体(例えば、操作された、非天然存在、天然存在、または他のバリアント)バージョンが挙げられる。例えば、US2016/0312198 A1;US2016/0312199 A1を参照。
【0217】
Casヌクレアーゼが由来し得る種の非限定的な例示としては、Streptococcus pyogenes、Streptococcus thermophilus、Streptococcus sp.、Staphylococcus aureus、Listeria innocua、Lactobacillus gasseri、Francisella novicida、Wolinella succinogenes、Sutterella wadsworthensis、Gammaproteobacterium、Neisseria meningitidis、Campylobacter jejuni、Pasteurella multocida、Fibrobacter succinogene、Rhodospirillum rubrum、Nocardiopsis dassonvillei、Streptomyces pristinaespiralis、Streptomyces viridochromogenes、Streptomyces viridochromogenes、Streptosporangium roseum、Streptosporangium roseum、Alicyclobacillus acidocaldarius、Bacillus pseudomycoides、Bacillus selenitireducens、Exiguobacterium sibiricum、Lactobacillus delbrueckii、Lactobacillus salivarius、Lactobacillus buchneri、Treponema denticola、Microscilla marina、Burkholderiales bacterium、Polaromonas naphthalenivorans、Polaromonas sp.、Crocosphaera watsonii、Cyanothece sp.、Microcystis aeruginosa、Synechococcus sp.、Acetohalobium arabaticum、Ammonifex degensii、Caldicelulosiruptor becscii、Candidatus Desulforudis、Clostridium botulinum、Clostridium difficile、Finegoldia magna、Natranaerobius thermophilus、Pelotomaculum thermopropionicum、Acidithiobacillus caldus、Acidithiobacillus ferrooxidans、Allochromatium vinosum、Marinobacter sp.、Nitrosococcus halophilus、Nitrosococcus watsoni、Pseudoalteromonas haloplanktis、Ktedonobacter racemifer、Methanohalobium evestigatum、Anabaena variabilis、Nodularia spumigena、Nostoc sp.、Arthrospira maxima、Arthrospira platensis、Arthrospira sp.、Lyngbya sp.、Microcoleus chthonoplastes、Oscillatoria sp.、Petrotoga mobilis、Thermosipho africanus、Streptococcus pasteurianus、Neisseria cinerea、Campylobacter lari、Parvibaculum lavamentivorans、Corynebacterium diphtheria、Acidaminococcus sp.、Lachnospiraceae bacterium ND2006、及びAcaryochloris marinaが挙げられる。
【0218】
いくつかの実施形態において、Casヌクレアーゼは、Streptococcus pyogenes由来のCas9ヌクレアーゼである。いくつかの実施形態において、Casヌクレアーゼは、Streptococcus thermophilus由来のCas9ヌクレアーゼである。いくつかの実施形態において、Casヌクレアーゼは、Neisseria meningitidis由来のCas9ヌクレアーゼである。いくつかの実施形態において、Casヌクレアーゼは、Staphylococcus aureus由来のCas9ヌクレアーゼである。いくつかの実施形態において、Casヌクレアーゼは、Francisella novicida由来のCpf1ヌクレアーゼである。いくつかの実施形態において、Casヌクレアーゼは、Acidaminococcus sp.由来のCpf1ヌクレアーゼである。いくつかの実施形態において、Casヌクレアーゼは、Lachnospiraceae bacterium ND2006由来のCpf1ヌクレアーゼである。さらなる実施形態において、Casヌクレアーゼは、Francisella tularensis、Lachnospiraceae bacterium、Butyrivibrio proteoclasticus、Peregrinibacteria bacterium、Parcubacteria bacterium、Smithella、Acidaminococcus、Candidatus Methanoplasma termitum、Eubacterium eligens、Moraxella bovoculi、Leptospira inadai、Porphyromonas crevioricanis、Prevotella disiens、またはPorphyromonas macacae由来のCpf1ヌクレアーゼである。ある特定の実施形態において、Casヌクレアーゼは、AcidaminococcusまたはLachnospiraceae由来のCpf1ヌクレアーゼである。
【0219】
いくつかの実施形態において、RNA先導DNA結合剤と一緒になったgRNAは、リボ核タンパク質複合体(RNP)と呼ばれる。いくつかの実施形態において、RNA先導DNA結合剤はCasヌクレアーゼである。いくつかの実施形態において、Casタンパク質と一緒になったgRNAは、Cas RNPと呼ばれる。いくつかの実施形態において、RNPは、I型、II型、またはIII型構成要素を含む。いくつかの実施形態において、Casヌクレアーゼは、II型CRISPR/Casシステム由来のCas9タンパク質である。いくつかの実施形態において、Cas9と一緒になったgRNAは、Cas9 RNPと呼ばれる。
【0220】
野生型Cas9は、RuvC及びHNHという2つのヌクレアーゼドメインを有する。RuvCドメインは非標的DNA鎖を切断し、HNHドメインはDNAの標的鎖を切断する。いくつかの実施形態において、Cas9タンパク質は、複数のRuvCドメインまたは複数のHNHドメインを含む。いくつかの実施形態において、Cas9タンパク質は野生型Cas9である。組成物、使用、及び方法の実施形態の各々において、Casは、標的DNAにおける二重鎖切断を誘導する。
【0221】
いくつかの実施形態において、1つのドメインまたは領域が異なるタンパク質の一部で置き換えられているキメラCasヌクレアーゼが使用される。いくつかの実施形態において、Casヌクレアーゼドメインは、Fok1のような異なるヌクレアーゼ由来のドメインで置き換えられてもよい。いくつかの実施形態において、Casヌクレアーゼは修飾ヌクレアーゼであり得る。
【0222】
他の実施形態において、Casタンパク質は、I型CRISPR/Casシステム由来であってもよい。いくつかの実施形態において、Casヌクレアーゼは、I型CRISPR/Casシステムのカスケード複合体の構成要素であり得る。いくつかの実施形態において、CasヌクレアーゼはCas3タンパク質であり得る。いくつかの実施形態において、Casタンパク質は、III型CRISPR/Casシステム由来であってもよい。いくつかの実施形態において、CasヌクレアーゼはRNA切断活性を有し得る。
【0223】
いくつかの実施形態において、RNA先導DNA結合剤は一本鎖ニッカーゼ活性を有し、すなわち、1本のDNA鎖を切断して、「ニック」としても知られる一本鎖切断をもたらすことができる。いくつかの実施形態において、RNA先導DNA結合剤はCasニッカーゼを含む。ニッカーゼとは、dsDNA内でニックを作成する酵素であり、すなわち、DNA二重らせんの一方の鎖を切断し、他方の鎖を切断しない。いくつかの実施形態において、Casニッカーゼは、エンドヌクレアーゼ活性部位が、例えば、触媒ドメインにおける1つ以上の改変(例えば、点変異)によって不活性化されたCasヌクレアーゼ(例えば、上述のCasヌクレアーゼ)のバージョンである。例えば、Casニッカーゼ及び例示的な触媒ドメインの改変の議論については、米国特許第8,889,356号を参照。いくつかの実施形態において、Casニッカーゼ(例えば、Cas9ニッカーゼ)は、不活性化RuvCまたはHNHドメインを有する。
【0224】
いくつかの実施形態において、RNA先導DNA結合剤は、1つの機能的ヌクレアーゼドメインのみを含むように修飾されている。例えば、薬剤タンパク質は、ヌクレアーゼドメインのうちの1つが変異し、または完全もしくは部分的に欠失して、その核酸切断活性を低減するように修飾することができる。いくつかの実施形態において、活性が低減したRuvCドメインを有するニッカーゼが使用される。いくつかの実施形態において、不活性のRuvCドメインを有するニッカーゼが使用される。いくつかの実施形態において、活性が低減したHNHドメインを有するニッカーゼが使用される。いくつかの実施形態において、不活性のHNHドメインを有するニッカーゼが使用される。
【0225】
いくつかの実施形態において、Casタンパク質ヌクレアーゼドメイン内の保存アミノ酸が、ヌクレアーゼ活性を低減または改変するために置換される。いくつかの実施形態において、Casヌクレアーゼは、RuvCまたはRuvC様ヌクレアーゼドメイン内にアミノ酸置換を含むことができる。RuvCまたはRuvC様ヌクレアーゼドメイン内の例示的なアミノ酸置換としては、D10A(S.pyogenes Cas9タンパク質に基づく)が挙げられる。例えば、Zetsche et al.(2015) Cell Oct 22:163(3):759-771を参照。いくつかの実施形態において、Casヌクレアーゼは、HNHまたはHNH様ヌクレアーゼドメイン内にアミノ酸置換を含むことができる。HNHまたはHNH様ヌクレアーゼドメイン内の例示的なアミノ酸置換としては、E762A、H840A、N863A、H983A、及びD986A(S.pyogenes Cas9タンパク質に基づく)が挙げられる。例えば、Zetsche et al (2015)を参照。さらなる例示的なアミノ酸置換としては、D917A、E1006A、及びD1255Aが挙げられる(Francisella novicida U112 Cpf1(FnCpf1)配列(UniProtKB:A0Q7Q2(CPF1_FRATN))に基づく)。
【0226】
いくつかの実施形態において、ニッカーゼは、標的配列のセンス鎖及びアンチセンス鎖にそれぞれ相補的な一対のガイドRNAと組み合わせて提供される。この実施形態において、ガイドRNAは、ニッカーゼを標的配列に誘導し、標的配列の対向鎖上にニックを生成すること(すなわち、二重ニッキング)によってDSBを導入する。いくつかの実施形態において、ニッカーゼは、標的DNA内で二重ニックを生成するために、DNAの対向鎖を標的化する2つの別々のガイドRNAと一緒に使用される。いくつかの実施形態において、ニッカーゼは、標的DNA内でダブルニックを生成するために、極めて近接するように選択された2つの別々のガイドRNAと一緒に使用される。
【0227】
いくつかの実施形態において、RNA先導DNA結合剤は、1つ以上の異種の機能的ドメインを含む(例えば、融合ポリペプチドであるか、またはそれを含む)。
【0228】
いくつかの実施形態において、異種の機能的ドメインは、RNA先導DNA結合剤の細胞核内への輸送を促進することができる。例えば、異種の機能的ドメインは核局在化シグナル(NLS)であってもよい。いくつかの実施形態において、RNA先導DNA結合剤は1~10個のNLS(複数可)と融合することができる。いくつかの実施形態において、RNA先導DNA結合剤は1~5個のNLS(複数可)と融合することができる。いくつかの実施形態において、RNA先導DNA結合剤は、1つのNLSと融合することができる。1つのNLSが使用される場合、NLSは、RNA先導DNA結合剤配列のN末端またはC末端で結合することができる。また、RNA先導DNA結合剤の配列内に挿入することもできる。他の実施形態において、RNA先導DNA結合剤は、複数のNLSと融合することができる。いくつかの実施形態において、RNA先導DNA結合剤は、2、3、4、または5個のNLSと融合することができる。いくつかの実施形態において、RNA先導DNA結合剤は、2つのNLSと融合することができる。ある特定の状況において、2つのNLSは同じ(例えば、2つのSV40 NLS)ことも異なることもある。いくつかの実施形態において、RNA先導DNA結合剤は、カルボキシ末端で結合している2つのSV40 NLS配列と融合している。いくつかの実施形態において、RNA先導DNA結合剤は、一方がN末端で結合し、他方がC末端で結合している2つのNLSと融合することができる。いくつかの実施形態において、RNA先導DNA結合剤は、3つのNLSと融合することができる。いくつかの実施形態において、RNA先導DNA結合剤は、NLSと融合しないことがある。いくつかの実施形態において、NLSは、例えば、SV40 NLS、PKKKRKV(配列番号143)またはPKKKRRV(配列番号144)などの単分割(monopartite)配列であり得る。いくつかの実施形態において、NLSは、ヌクレオプラスミンのNLS、KRPAATKKAGQAKKKK(配列番号145)などの二分割(bipartite)配列であり得る。特定の実施形態において、単一のPKKKRKV(配列番号143)NLSが、RNA先導DNA結合剤のC末端で結合することができる。1つ以上のリンカーが、任意選択で融合部位に含まれる。
【0229】
V.治療方法
本開示は、対象における免疫応答を抑制するための方法であって、IFNGをコードする内在性核酸配列の修飾(例えば、ノックダウン)と、TNFAをコードする内在性核酸配列の修飾(例えば、ノックダウン)と、プロモーター配列の制御下にある調節性T細胞促進分子をコードする異種配列(複数可)の細胞内への挿入とを含む、操作されたT細胞を投与することを含む、方法を提供する。本開示は、対象における免疫応答を抑制するための方法であって、IFNGをコードする内在性核酸配列の修飾(例えば、ノックダウン)と、TNFAをコードする内在性核酸配列の修飾(例えば、ノックダウン)と、プロモーター配列の制御下にあるIL10をコードする異種配列(複数可)の細胞内への挿入とを含む、操作されたT細胞を投与することを含む、方法を提供する。本開示は、対象における免疫応答を抑制するための方法であって、IFNGをコードする内在性核酸配列の修飾(例えば、ノックダウン)と、TNFAをコードする内在性核酸配列の修飾(例えば、ノックダウン)と、プロモーター配列の制御下にあるCTLA4をコードする異種配列(複数可)の細胞内への挿入とを含む、操作されたT細胞を投与することを含む、方法を提供する。本開示は、対象における免疫応答を抑制するための方法であって、IFNGをコードする内在性核酸配列の修飾(例えば、ノックダウン)と、TNFAをコードする内在性核酸配列の修飾(例えば、ノックダウン)と、IL10及びCTLA4をコードする異種配列の細胞内への挿入とを含む、操作されたT細胞を投与することを含む、方法を提供する。
【0230】
本開示は、対象における自己免疫障害を治療するための方法であって、IFNGをコードする内在性核酸配列の修飾(例えば、ノックダウン)と、TNFAをコードする内在性核酸配列の修飾(例えば、ノックダウン)と、プロモーター配列の制御下にある調節性T細胞促進分子をコードする異種配列(複数可)の細胞内への挿入とを含む、操作されたT細胞を投与することを含む、方法を提供する。本開示は、対象における自己免疫障害を治療するための方法であって、IFNGをコードする内在性核酸配列の修飾(例えば、ノックダウン)と、TNFAをコードする内在性核酸配列の修飾(例えば、ノックダウン)と、プロモーター配列の制御下にあるIL10をコードする異種配列(複数可)の細胞内への挿入とを含む、操作されたT細胞を投与することを含む、方法を提供する。本開示は、対象における自己免疫障害を治療するための方法であって、IFNGをコードする内在性核酸配列の修飾(例えば、ノックダウン)と、TNFAをコードする内在性核酸配列の修飾(例えば、ノックダウン)と、プロモーター配列の制御下にあるCTLA4をコードする異種配列(複数可)の細胞内への挿入とを含む、操作されたT細胞を投与することを含む、方法を提供する。本開示は、対象における自己免疫障害を治療するための方法であって、IFNGをコードする内在性核酸配列の修飾(例えば、ノックダウン)と、TNFAをコードする内在性核酸配列の修飾(例えば、ノックダウン)と、各々プロモーター配列の制御下にあるIL10及びCTLA4をコードする異種配列の細胞内への挿入とを含む、操作されたT細胞を投与することを含む、方法を提供する。
【0231】
本開示は、対象におけるGvHDを治療するための方法であって、IFNGをコードする内在性核酸配列の修飾(例えば、ノックダウン)と、TNFAをコードする内在性核酸配列の修飾(例えば、ノックダウン)と、プロモーター配列の制御下にある調節性T細胞促進分子をコードする異種配列(複数可)の細胞内への挿入とを含む、操作されたT細胞を投与することを含む、方法を提供する。本開示は、対象におけるGvHDを治療するための方法であって、IFNGをコードする内在性核酸配列の修飾(例えば、ノックダウン)と、TNFAをコードする内在性核酸配列の修飾(例えば、ノックダウン)と、プロモーター配列の制御下にあるIL10をコードする異種配列(複数可)の細胞内への挿入とを含む、操作されたT細胞を投与することを含む、方法を提供する。本開示は、対象におけるGvHDを治療するための方法であって、IFNGをコードする内在性核酸配列の修飾(例えば、ノックダウン)と、TNFAをコードする内在性核酸配列の修飾(例えば、ノックダウン)と、プロモーター配列の制御下にあるCTLA4をコードする異種配列(複数可)の細胞内への挿入とを含む、操作されたT細胞を投与することを含む、方法を提供する。本開示は、対象におけるGvHDを治療するための方法であって、IFNGをコードする内在性核酸配列の修飾(例えば、ノックダウン)と、TNFAをコードする内在性核酸配列の修飾(例えば、ノックダウン)と、各々プロモーター配列の制御下にあるIL10及びCTLA4をコードする異種配列の細胞内への挿入とを含む、操作されたT細胞に投与することを含む、方法を提供する。
【0232】
いくつかの実施形態において、当該方法は、IFNGをコードする内在性核酸配列の修飾(例えば、ノックダウン)と、TNFAをコードする内在性核酸配列の修飾(例えば、ノックダウン)と、調節性T細胞促進分子をコードする配列(複数可)の挿入とを含み、TCR配列(複数可)の修飾(例えば、ノックダウン)をさらに含む、操作されたT細胞を投与することを含む。
【0233】
いくつかの実施形態において、当該方法は、IFNGをコードする内在性核酸配列の修飾(例えば、ノックダウン)と、TNFAをコードする内在性核酸配列の修飾(例えば、ノックダウン)と、調節性T細胞促進分子をコードする配列(複数可)の挿入とを含み、標的化受容体(例えば、CAR)をコードする配列(複数可)の挿入をさらに含む、操作されたT細胞を投与することを含む。
【0234】
いくつかの実施形態において、標的化受容体(例えば、CAR)は、操作されたT細胞を胃腸系に対し標的化することが可能であり、例えば、標的化受容体は、例えば、炎症性腸疾患、潰瘍性大腸炎、またはクローン病などの障害における免疫応答(炎症を含む)を抑制するために、MAdCAM-1を標的化するCARである。いくつかの実施形態において、標的化受容体(例えば、CAR)は、操作されたT細胞を内皮細胞を含む組織に対し標的化することが可能であり、例えば、標的化受容体は、例えば、クローン病及び多発性硬化症などの障害における免疫応答(炎症を含む)を抑制するために、VCAM-1を標的化するCARである。いくつかの実施形態において、標的化受容体(例えば、CAR)は、操作されたT細胞を内皮細胞に対し標的化することが可能であり、例えば、標的化受容体は、例えば、クローン病などの障害における免疫応答を抑制するために、CEACAM6を標的化するCARである。いくつかの実施形態において、標的化受容体(例えば、CAR)は、操作されたT細胞をB細胞に対し標的化することが可能であり、例えば、標的化受容体は、例えば、多発性硬化症及び全身性エリテマトーデスなどの障害における免疫応答を抑制するために、CD19を標的化するCARである。いくつかの実施形態において、標的化受容体(例えば、CAR)は、操作されたT細胞をB細胞に対し標的化することが可能であり、例えば、標的化受容体は、例えば、多発性硬化症及び全身性エリテマトーデスなどの障害における免疫応答を抑制するために、CD20を標的化するCARである。いくつかの実施形態において、標的化受容体(例えば、CAR)は、操作されたT細胞を炎症組織に対し標的化することが可能であり、例えば、標的化受容体は、例えば、炎症性腸疾患、潰瘍性大腸炎、またはクローン病などの障害における免疫応答を抑制するために、TNFAを標的化するCARである。いくつかの実施形態において、標的化受容体(例えば、CAR)は、操作されたT細胞を神経組織に対し標的化することが可能であり、例えば、標的化受容体は、例えば、多発性硬化症などの障害における免疫応答を抑制するために、MBP、MOG、またはPLPを標的化するCARである。いくつかの実施形態において、標的化受容体(例えば、CAR)は、操作されたT細胞を、成熟Bリンパ球を含む組織に対し標的化することが可能であり、例えば、標的化受容体は、例えば、全身性エリテマトーデスなどの障害における免疫応答を抑制するために、TNFRSF17を標的化するCARである。いくつかの実施形態において、標的化受容体(例えば、CAR)は、操作されたT細胞を滑膜組織に対し標的化することが可能であり、例えば、標的化受容体は、例えば、関節リウマチなどの障害における免疫応答を抑制するために、シトルリン化ビメンチンを標的化するCARである。
【0235】
いくつかの実施形態において、標的化受容体は、DPP6、SCL2A2、グルタミン酸デカルボキシラーゼ(GAD2)、デスモグレイン3(DSG3)、及びMHCクラスI HLA-A(HLA-A*02)を標的化するCARである。
【0236】
いくつかの実施形態において、当該方法は、IFNGをコードする内在性核酸配列の修飾(例えば、ノックダウン)と、TNFAをコードする内在性核酸配列の修飾(例えば、ノックダウン)と、調節性T細胞促進分子をコードする配列(複数可)の挿入と、標的化受容体(例えば、CAR)をコードする配列(複数可)の挿入とを含み、TCR配列(複数可)の修飾(例えば、ノックダウン)をさらに含む、操作されたT細胞を投与することを含む。
【0237】
いくつかの実施形態において、挿入される配列(複数可)は、修飾(例えば、ノックダウン)される配列(複数可)に挿入される。例えば、CAR配列は、TNFAゲノム配列に挿入され、それによってTNFA配列が修飾(例えば、ノックダウン)される。
【0238】
いくつかの実施形態において、方法は、上記のように操作されているT細胞を含むT細胞の集団を投与することを含む。いくつかの実施形態において、T細胞の集団内のT細胞の少なくとも40%、45%、好ましくは少なくとも50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、または100%が、例えば、シークエンシング(例えば、NGS)による評価で、操作される。
【0239】
いくつかの実施形態において、自己免疫障害は、潰瘍性大腸炎、クローン病、関節リウマチ、乾癬、多発性硬化症、全身性エリテマトーデス、1型糖尿病、及び移植片対宿主病(GvHD)から選択される。いくつかの実施形態において、操作されたT細胞は、自己由来または同種異系で使用される。
【0240】
いくつかの実施形態において、上記の操作されたT細胞を用いた治療の有効性は、移植片対宿主病の動物モデル(例えば、マウスモデル)において、操作されたT細胞の投与後に、動物の体重または生存率を測定することによって評価することができる(動物は体重のかなりの部分、例えば開始体重の20%が減少した後に屠殺される)。いくつかの実施形態において、有効な治療は、好適な対照(例えば、PBMCで処置した動物)と比較して、統計的に有意な生存率の増加をもたらす。
【実施例】
【0241】
以下の実施例は、ある特定の開示実施形態を例示するために提供されるものであり、いかなる形でも本開示の範囲を限定するものとして解釈すべきではない。
【0242】
実施例1.一般的な方法
1.1.脂質ナノ粒子の調製
概して、脂質構成要素を様々なモル比で100%エタノールに溶解した。RNAカーゴ(例えば、Cas9 mRNA及びsgRNA)を25mMのクエン酸バッファー、100mMのNaCl、pH5.0に溶解して、その結果RNAカーゴの濃度をおよそ0.45mg/mLとした。
【0243】
別段の指定がない限り、脂質核酸集合体は、イオン化可能な脂質A((9Z,12Z)-3-((4,4-ビス(オクチルオキシ)ブタノイル)オキシ)-2-((((3-(ジエチルアミノ)プロポキシ)カルボニル)オキシ)メチル)プロピルオクタデカ-9,12-ジエノエート(別名3-((4,4-ビス(オクチルオキシ)ブタノイル)オキシ)-2-((((3-(ジエチルアミノ)プロポキシ)カルボニル)オキシ)メチル)プロピル(9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエノエート))、コレステロール、DSPC、及びPEG2k-DMGをそれぞれ50:38.5:10:1.5のモル比で含むものであった。脂質核酸集合体は、別段の指定がない限り、脂質アミン:RNAリン酸(N:P)のモル比を約6で、gRNA:mRNAの重量比を1:1で製剤化した。
【0244】
LNPは、エタノール中の脂質と2体積のRNA溶液及び1体積の水との衝突ジェット混合を利用するクロスフロー技法を用いて調製した。エタノール中の脂質を、ミキシングクロスを通じて2体積のRNA溶液と混合した。第4の水流を、インラインティーを通じてクロスのアウトレット流と混合した(WO2016010840の
図2を参照)。LNPを室温で1時間保持し、さらに水で希釈した(およそ1:1 v/v)。フラットシートカートリッジ(Sartorius、100kD MWCO)上でのタンジェンシャルフロー濾過を用いてLNPを濃縮し、PD-10脱塩カラム(GE)を用いて50mMのTris、45mMのNaCl、5%(w/v)のスクロース、pH7.5(TSS)にバッファー交換した。代替的に、100kDaのAmiconスピンフィルターを用いてLNPを任意選択で濃縮し、PD-10脱塩カラム(GE)を用いてTSSにバッファー交換した。次に、0.2μMの滅菌フィルターを用いて得られた混合物を濾過した。最終的なLNPを、さらに使用するまで4℃または-80℃で保存した。
【0245】
1.2.mRNAのin vitro転写(IVT)
N1-メチルシュード-Uを含むキャッピング及びポリアデニル化されたmRNAを、線状化プラスミドDNA鋳型及びT7 RNAポリメラーゼを用いたin vitro転写により生成した。T7プロモーター、転写のための配列、及びポリアデニル化領域を含むプラスミドDNAを、以下の条件:200ng/μLのプラスミド、2U/μLのXbaI(NEB)、及び1×反応バッファーを用いて、XbaIとともに37℃にて2時間インキュベートすることにより線状化した。XbaIは、反応物を65℃で20分間加熱することにより不活性化した。線状化プラスミドを酵素及びバッファー塩から精製した。修飾mRNAを生成するためのIVT反応を、以下の条件:50ng/μLの線状化プラスミド;各2~5mMのGTP、ATP、CTP、及びN1-メチルシュード-UTP(Trilink);10~25mMのARCA(Trilink);5U/μLのT7 RNAポリメラーゼ(NEB);1U/μLのマウスRNアーゼ阻害剤(NEB);0.004U/μLの無機E.coliピロホスファターゼ(NEB);ならびに1×反応バッファーにおいて、37℃で1.5~4時間インキュベートすることにより実施した。TURBO DNアーゼ(ThermoFisher)を加えて最終濃度0.01U/μLとし、反応物をさらに30分間インキュベートしてDNA鋳型を取り出した。MegaClear Transcription Clean-up kit(ThermoFisher)またはRNeasy Maxi kit(Qiagen)をメーカーのプロトコルに従って用いて、mRNAを精製した。代替的に、mRNAを沈殿プロトコルにより精製し、場合によってはその後にHPLCベースの精製を行った。簡潔に説明すると、DNアーゼ消化後、LiCl沈殿、酢酸アンモニウム沈殿、及び酢酸ナトリウム沈殿を用いてmRNAを精製する。HPLC精製mRNAについては、LiCl沈殿及び再構成の後、mRNAをRP-IP HPLCによって精製した(例えば、Kariko,et al.Nucleic Acids Research,2011,Vol.39,No.21 e142を参照)。プール用に選択した画分を合わせ、上記のように酢酸ナトリウム/エタノール沈殿により脱塩した。さらに代替的な方法では、mRNAをLiCl沈殿方法で精製し、続いてタンジェンシャルフロー濾過によりさらに精製した。RNA濃度を、260nmにおける光吸収を測定することにより定量し(Nanodrop)、転写物をBioanlayzer(Agilent)によるキャピラリー電気泳動により解析した。
【0246】
Streptococcus pyogenes(「Spy」)Cas9 mRNAを、本明細書に記載の核酸配列に従ってオープンリーディングフレームをコードするプラスミドDNAから生成した。以下のmRNA核酸配列については、TがUに置き換えられるべきであることが理解される(上述のようにN1-メチル擬ウリジンであった)。実施例に使用するメッセンジャーRNAは、5’キャップ及び3’ポリAテールを含み、例えば最大100ntである(配列番号146)。
【0247】
1.3.次世代シークエンシング(「NGS」)及びオンターゲット編集効率の解析
QuickExtract(商標)DNA Extraction Solution(Lucigen、カタログ番号QE09050)をメーカーのプロトコルに従って用いて、ゲノムDNAを抽出した。
【0248】
ゲノム内の標的位置における編集効率を定量的に決定するため、ディープシークエンシングを利用して、遺伝子編集により導入された挿入及び欠失の存在を特定した。目的の遺伝子(例えば、TRAC)内の標的部位に基づいてPCRプライマーを設計し、目的のゲノム区域を増幅した。プライマー配列設計は、この分野で標準的であるように行った。
【0249】
製造業者のプロトコル(Illumina)に従って追加のPCRを実施して、シークエンシングに化学作用を加えた。Illumina MiSeq装置上でアンプリコンをシークエンシングした。品質スコアが低いリードを除去した後、リードをヒト参照ゲノム(例えば、hg38)に対しアラインメントした。リードを含む結果ファイルを参照ゲノムにマッピングし(BAMファイル)、目的の標的領域と重なるリードを選択し、野生型のリード数に対しインデルを含むリード数を計算した。編集パーセンテージ(例えば、「編集効率」または「編集パーセント」または「インデルパーセント」)は、インデルを伴う配列リードの総数を配列リードの総数(野生型を含む)で割ったものとして定義される。
【0250】
実施例2.Treg関連因子を過剰発現するT細胞の抑制能力
Treg関連転写因子Foxp3、Foxp3及びIL10、IL10、CTLA4、ならびにIL10及びCTLA4を過剰発現するようにCD3+CD4+T細胞に形質導入し、その炎症性免疫応答を抑制する能力についてアッセイした。
【0251】
2.1 T細胞の調製
ヒトCD3+CD4+T細胞を、新鮮なleukopak(StemCell Technologies、ドナー番号RG1953)から内部調製した。内部調製のため、ヒトCD4+T cell isolation kit(Miltenyi、カタログ番号130-096-533)をメーカーのプロトコルに従って用いたネガティブセレクションにより、CD3+CD4+T細胞を単離した。単離したCD3+CD4+T細胞を、さらに使用するまでCryostor CS10 freezing media(カタログ番号07930)で凍結した。活性化の当日、37℃の水浴を用いて凍結CD3+CD4+T細胞を解凍した。解凍したCD3+CD4+T細胞を、1×106細胞/mLの密度で、10%(v/v)のウシ胎児血清(Gibco、カタログ番号A31605-01)、1×Glutamax(Gibco、カタログ番号35050-061)、50μMの2-メルカプトエタノール(Gibco、31350-010)、1×非必須アミノ酸(Corning、カタログ番号25-0250-CI)、1mMのピルビン酸ナトリウム(Corning、カタログ番号25-000-CI)、10mMのHEPESバッファー(Gibco、カタログ番号15630-080)、1×ペニシリン-ストレプトマイシン(Gibco、カタログ番号15140-122)及び添加サイトカイン、100U/mLの組換えヒトインターロイキン-2(StemCell Technologies、カタログ番号78036.1)、5ng/mlの組換えヒトインターロイキン7(StemCell technologies、カタログ番号78053.1)、ならびに5ng/ml組換えヒトインターロイキン15(StemCell technologies、カタログ番号78031.1)を含むRPMI1640(Corning、カタログ番号10-040-CV)から構成された合計5mlのT細胞RPMI培地にプレーティングした。細胞を、25uL/mLのImmunoCult Human CD3/CD28/CD2 T cell Activator(Stemcell Technologies、カタログ番号10990)を加えることにより活性化し、レンチウイルス形質導入の前に37℃で48時間培養した。
【0252】
2.2 T細胞形質導入及び細胞選別
IL10、CTLA4、及びFOX3Pを過剰発現させるため、活性化CD3+CD4+T細胞を、レンチウイルスコンストラクトを用いて個別にまたは一緒に形質導入した。活性化から48時間後、CD3+CD4+T細胞を採取し、洗浄し、1×106細胞/100uLの密度でT細胞RPMI培地に再懸濁した。100uLの濃縮したウイルス上清をCD3+CD4+T細胞に加え、1000×gで60分間、37℃で遠心処理した。形質導入後、CD3+CD4+T細胞を細胞/ウイルス上清混合液に再懸濁し、500U/mLのIL-2、5ng/mLのIL-7、及び5ng/mLのIL-17を追加した20mLのT細胞RPMI培地を含む6ウェルG-rex(Wilson Wolf;カタログ番号80240M)の単一ウェルに移した。形質導入CD3+CD4+T細胞を4~6日間培養し、BDFACSAria(商標)Fusion Cell Sorter(BD Biosciences)を用いて選別して、目的とする標的を発現する細胞を単離した。選別後、2.1で言及した構成要素を含み、さらに500U/mLのIL-2、5ng/mLのIL7、及び5ng/mLのIL17を追加した20mLのT細胞RPMI培地が入った6ウェルGrexプレートで、CD3+CD4+T細胞を25日目まで培養した。
【0253】
天然の調節性T細胞(nTreg)を、当技術分野で知られている方法を用いて調製した。簡潔に説明すると、自己由来PBMCを解凍し、CD4+ T cell negative selection kit(Miltenyi、カタログ番号130-096-533)をメーカーの指示に従って用いて処理し、CD4+T細胞を分離して処理した。CD3+CD4+T細胞を1×107細胞/mLでFACSバッファーに再懸濁し、BV421抗CD4(Biolegend、カタログ番号300532)、APC抗CD25(Biolegend、カタログ番号302610)、及びPE-Cy7抗CD127(Biolegend、カタログ番号351320)を用いて、4℃で30分間染色した。CD4+CD127-集団から上位3~5%の高発現CD25+細胞をFACSにより選別し、50%ウシ胎児血清を含むT細胞RPMI培地培養物に入れた。実施例2.1に記載の構成要素を補充した20mLのT細胞RPMI培地に、さらに500U/mLのIL-2(Stemcell Technologies、カタログ番号78036.1)、100nMのラパマイシン(Millipore Sigma、カタログ番号553211)、及び25μl/mLの抗CD3/28/2 Immunocult T細胞アクチベーター(Stemcell Technologies、カタログ番号10990)を追加した6ウェルGrexで、選別したCD3+CD4+CD25+CD127-nTregをプレーティングした。IL-2(Stemcell Technologies、カタログ番号78036.1)及びラパマイシン(Millipore Sigma、カタログ番号553211)を1日おきに7日間加え、その時点で500U/mlのIL-2(Stemcell Technologies、カタログ番号78036.1)のみを1日おきに加えた。12日目に、nTregを採取し、洗浄し、A.1で言及した構成要素、500U/mLのIL-2(Stemcell Technologies、カタログ番号78036.1)を追加したT細胞RPMI培地が入った6ウェルGrexプレートで、注射当日までプレーティングした。
【0254】
2.3 標的発現の検証
フローサイトメトリーによって標的発現を検証した。FoxP3/Transcription Factor Staining Buffer Set(eBioscience、カタログ番号00-5523-00)をメーカーの指示に従って用いて、50万個の形質導入CD3+CD4+T細胞を透過処理した。透過処理後、形質導入CD3+CD4+T細胞を、(1)PerCP/Cy 5.5抗FoxP3(BD Biosciences、カタログ番号561493)、eFluor660抗Eos(Invitrogen、カタログ番号50-5758-80)、Pacific blue抗Helios(Biolegend、カタログ番号137220)、または(2)BV421抗IL-10(Biolegend、カタログ番号501422)及びAPC抗CTLA4(Biolegend、カタログ番号369612)のいずれかからなる抗体パネルとともにインキュベートした。染色した形質導入CD3+CD4+T細胞をCytoflex flow cytometer(Beckman Coulter)で処理し、FlowJoソフトウェアパッケージを用いて解析した。形質導入CD3+CD4+T細胞を、抗体パネルにおいて標的を定量化する前に、サイズ、形状に基づいてゲーティングした。標的の過剰発現は、形質導入対照との対比で特徴付けた。所与の標的に対する所望の発現レベルは、nTregと同等またはそれ以上とした(表4及び
図1A~E)。nTreg試料は、高レベルのFoxp3、Helios、及びEosを発現しており、これは非常に純粋で抑制的な表現型と相関している。
【表3】
【0255】
2.4 GvHDモデルにおける免疫抑制のin vivo評価
移植片対宿主病マウスモデルを用いて、選別した形質転換CD3+CD4+T細胞のin vivo抑制機能を評価した。
【0256】
選別したin vivo注射用のCD3+CD4+T細胞を採取し、dead cell removal kit(Miltenyi、カタログ番号130-090-101)をメーカーの指示に従って用いて処理した。自己由来PBMCを、上記の実施例に記載のように解凍した。PBMCを各アッセイ集団に1:1の比で加え、細胞をPBSに再懸濁して6×106/150μLとした。PBMCのみの群を3×106/150μLで再懸濁した。
【0257】
雌NOGマウス(NOD.Cg-Prkdc
scidIl2rg
tm1Sug/JicTac;Taconic、カタログ番号NOG-F)を、注射の1日前にX線(RS-2000 irradiator;Rad Source Technologies)を用いて致死以下の照射(200ラド)を行うことにより、細胞移植のコンディショニングを行った。照射したNOGマウスのコホートに、150μLの各試験細胞集団を静脈注射した。5匹の照射マウスには注射せず、照射のみ対照として使用した。体重を毎日モニターした。体重が20%減少したマウスを屠殺し、脾臓の細胞組成を評価した。各試験群におけるマウスの生存率を理解するため、生存期間をプロットした。表5及び
図2Aに示されているように、IL-10及びCTLA4の両方を形質導入したT細胞のみが、nTregと同様のレベルまで生存期間が延長した。
【表4】
【0258】
ヒト白血球の生着を確認するため、脾臓の組成を評価した。安楽死時に、各動物の脾臓を収集してPBS含有gentleMACS C tube(Miltenyi、カタログ番号130-096-334)に入れた。gentleMACS Octo Dissociator machine(Miltenyi、130-095-937、program mSpleen01_01)を用いて脾臓を分離した。細胞懸濁液を70ミクロンのセルストレーナー(Corning、カタログ番号08-771-2)で濾過し、Vi-CELL XR Cell Viability Analyzer(Beckman Coulter)を用いて細胞をカウントした。およそ100万個の生存可能な脾臓細胞をFACSバッファーに再懸濁し、抗ヒトCD3(Alexa Fluor 488(Biolegend、カタログ番号317310)またはPerCP/Cyanine 5.5(Biolegend、カタログ番号300327)))、BV650抗ヒトCD19(Biolegend、カタログ番号302238)、APC抗ヒトCD45(BD Pharmigen、カタログ番号561864)、APC-Fire 750抗ヒトCD4(Biolegend、カタログ番号300560)、及びBV421抗マウスTer119(Biolegend、カタログ番号116234)からなる抗体のパネルで、4℃で30分間染色した。脾臓細胞をFACSバッファーで洗浄し、Cytoflex flow cytometer(Beckman Coulter)で処理し、FlowJoソフトウェアパッケージを用いて解析した。CD4 T細胞をTer119-CD45+CD19-CD3+CD4+と定義した。CD8 T細胞をTer119-CD45+CD19-CD3+CD4-と定義した。B細胞をTer119-CD45+CD19+CD3-と定義した。個々の集団の細胞数を定量するために、回収した脾臓細胞の総数に対する各集団のパーセンテージを適用した。IL10及びCTLA4の両方を過剰発現するようにレンチウイルスベクターを形質導入したT細胞、ならびにnTregで処置したマウスは、無処置のPBMCマウスよりもB細胞のパーセンテージ及び数が少なかった。データを表6及び
図2Bに示す。
【表5】
【0259】
2.5 形質導入導入CD3+CD4+T細胞のサイトカインプロファイル解析
選別した形質導入CD3+CD4+T細胞を刺激して、サイトカインプロファイルを評価した。選別した形質導入CD3+CD4+T細胞を、U底培養プレート内の25uL/mLのImmunoCult Human CD3/CD28/CD2 T cell Activator(Stemcell Technologies、カタログ番号10990)を伴うまたは伴わない合計200μLのT細胞RPMI培地中に1×10^5個のT細胞/ウェルでプレーティングし、37℃で48時間培養した。48時間の培養後、培養プレートを遠心分離し、上清を収集し、凍結保存して、その後custom U-PLEX Biomarker kit(Meso Scale Diagnostics、カタログ番号K15067L-2)をメーカーの指示に従って用いて、サイトカイン定量化を行った。具体的には、U-PLEX Biomarker kitを使用して、以下のヒトサイトカイン:IFNG、TNFA、IL6、IL2、IL13、及びIL10を定量化した。Meso Quickplex SQ120 instrument(Meso Scale Discovery)を用いてU-PLEX Biomarkerプレートを読み取り、Discovery Workbench 4.0ソフトウェアパッケージ(Meso Scale Discovery)によりデータを解析した。結果を表7及び
図3A~3Fに示す。IL10をコードする配列を持つレンチウイルス発現ベクターで形質導入したCD3+CD4+T細胞は、TCR刺激により大量のIL10を分泌した。IL10の過剰発現により、IL6、IFNG、及びTNFAの分泌も増加した。これに対し、FoxP3をコードする配列を有するレンチウイルス発現ベクターで形質導入したT細胞は、全ての定量化されたサイトカインの発現の低減を示した。また天然Tregも、定量化されたサイトカインの分泌の低減(高度に純粋で抑制的なnTregに特徴的である)を示した。
【表6】
【0260】
2.6 抑制機能の混合リンパ球反応アッセイ
混合リンパ球反応(MLR)を使用して、選別した形質導入CD3+CD4+T細胞の抑制機能をアッセイした。MLRは、T細胞が他のドナーの同種異系白血球を異物と認識することによって引き起こされる炎症反応である。Tregは、この炎症反応を抑制することができる。そのため、MLRは、操作されたTregを含むTregの抑制能力を評価するための標準的なアッセイである。Tregが抑制的であれば、応答する炎症性T細胞による炎症性サイトカインの増殖及び産生は少なくなる。
【0261】
T細胞RPMI培地を用いた96ウェルU底プレートで、MLRを行った。非形質導入CD3+CD4+T細胞を、CellTrace Violet(CTV)(Thermofisher Scientific、カタログ番号C34557)によりメーカーの指示に従って標識し、応答細胞として使用した。Dead cell removal kit(Miltenyi、カタログ番号130-090-101)をメーカーの指示に従って用いて、形質導入T細胞に使用したものとは別の同種異系ドナーからのCD3枯渇PBMCを処理した。ウェル当たり50,000個のCTV標識T細胞と、50,000個のCD3欠失PBMCと、およそ50,000個(1:1)、16,666個(4:1)、5,555個(16:1)、1,851個(64:1)、または617個(256:1)の選別された形質導入CD3+CD4+T細胞とを合わせることにより、培養物を調製した。37℃で5日間培養した後、培養プレートを遠心分離し、サイトカイン定量化用に培養上清を採取した。細胞ペレットをAPC/Fire 750抗CD4を含むFACSバッファーに再懸濁し、4℃で30分間静置した。続いて細胞を洗浄し、CytoFlex flow cytometer(Beckman Coulter)で処理し、FlowJoソフトウェアパッケージを用いて解析した。細胞を最初にポジティブCD4発現によりゲーティングし、次にCTV発現によりゲーティングし、最後に非希釈CTV集団でゲーティングした。以下の式を用いてCTV希釈の抑制を計算した。
【数1】
【0262】
式中、y=CTV標識集団全体の平均蛍光強度/CTV標識集団の非希釈部分の平均蛍光強度である。データを表8及び
図4に示す。
【表7】
【0263】
実施例3.操作されたT細胞の抑制能力
IL-10及びCTLA-4の過剰発現を促進するようにレンチウイルスベクターで形質導入したCD3+CD4+T細胞は、IFNG及びTNFAの産生の増加を示したことから、これらの細胞を、IFNG及びTNFAをコードする遺伝子を破壊するようにさらに操作した。これらの細胞の抑制能力をin vitro及びin vivoで評価した。
【0264】
3.1 T細胞操作
ヒトCD3+CD4+T細胞をleukopakから単離し、活性化し、実施例2.2に記載のようにIL10及びCTLA4の過剰発現を促進するようにレンチウイルスコンストラクトで形質導入した。形質導入から1日後、Cas9を用いて形質導入した細胞を操作して、TNFA及びIFNG遺伝子を破壊した。Cas9 mRNAと、IFNG(G019753;IFNGガイド配列CCAGAGCAUCCAAAAGAGUG(配列番号14))またはTNFA(G019757;TNFAガイド配列AGAGCUCUUACCUACAACAU(配列番号58))を標的化するsgRNAとを含むLNPを、実施例1に記載のように製剤化した。
G019753:
mC*mC*mA*GAGCAUCCAAAAGAGUGGUUUUAGAmGmCmUmAmGmAmAmAmUmAmGmCAAGUUAAAAUAAGGCUAGUCCGUUAUCAmAmCmUmUmGmAmAmAmAmAmGmUmGmGmCmAmCmCmGmAmGmUmCmGmGmUmGmCmU*mU*mU*mU (配列番号119)
G019757:
mA*mG*mA*GCUCUUACCUACAACAUGUUUUAGAmGmCmUmAmGmAmAmAmUmAmGmCAAGUUAAAAUAAGGCUAGUCCGUUAUCAmAmCmUmUmGmAmAmAmAmAmGmUmGmGmCmAmCmCmGmAmGmUmCmGmGmUmGmCmU*mU*mU*mU(配列番号120)
【0265】
各LNP調製物を、CTS OpTmizer T Cell Expansion SFM(Gibco、カタログ番号A3705001)、1%ペニシリン-ストレプトマイシン、1X Glutamax、10mMのHEPES、2.5%ヒトAB血清(Gemini、カタログ番号100-512)、200U/mLの組換えヒトインターロイキン-2、5ng/mlの組換えヒトインターロイキン7、及び5ng/mlの組換えヒトインターロイキン-15を含み、10ug/mlの組換えヒトApoE3(Peprotech、カタログ番号350-02)を加えたOpTmizer基本培地中で、37℃で15分間インキュベートした。活性化から48時間後、形質導入T細胞を洗浄し、200U/mLの組換えヒトインターロイキン-2、5ng/mlの組換えヒトインターロイキン7、及び5ng/mlの組換えヒトインターロイキン-15を、2.5%のヒトAB血清(Gemini、カタログ番号100-512)とともに含むOpTmizer基本培地に懸濁した。プレインキュベートしたLNP混合物を各15mLチューブに加えて、5ug/mlの最終濃度の全RNAを得た。ダブルノックアウト群では、最終濃度を10ug/mlの全RNAとした。ApoE3を追加した培地をビヒクル対照として使用した。24時間後、T細胞を収集し、洗浄し、実施例2に記載のようにサイトカインを含むT細胞RPMI培地中で培養して、注射当日(活性化から15日後)まで増やした。
【0266】
3.2 操作されたCD3+CD4+T細胞におけるタンパク質発現のフローサイトメトリー解析
標的発現を、実施例2のようにフローサイトメトリーによって検証した。データを表9及び
図5A~5Eに示す。
【表8】
【0267】
3.3 GvHDモデルにおける炎症応答のin vivo評価
IL10及びCTLA4を単独で(モックKO)、またはIFNG、TNFAの発現をノックダウンする編集、もしくはIFNG及びTNFAの二重ノックダウンと組み合わせて過剰発現する、操作されたCD3+CD4+T細胞のin vivoでの抑制機能を、実施例2のように移植片対宿主病マウスモデルを用いて評価した。生存データを表10及び
図6Aに示す。実施例2のように、ヒト白血球の生着を脾臓の組成によって評価した。データを表11及び
図6Bに示す。
【表9】
【表10】
【0268】
3.4 CD3+CD4+操作された細胞のサイトカインプロファイル
選別した形質転換CD3+CD4+T細胞を刺激して、実施例2のように三重反復でサイトカインプロファイルを評価した。結果を表12及び
図7A~7Fに示す。
【表11】
【0269】
3.5 抑制機能の混合リンパ球反応アッセイ
混合リンパ球反応を使用して、表13に記載のCTV標識T細胞:操作されたT細胞の比を用いて、実施例2のように形質導入細胞の抑制機能をアッセイした。データを表13及び
図8に示す。
【表12】
【0270】
実施例4.GvHDモデルにおける炎症応答のin vivo評価
野生型または高親和性バージョンのIL10及びCTLA4を過剰発現し、IFNG、TNFAの発現をノックダウンするように編集した操作されたCD3+CD4+T細胞のin vivoの抑制機能を、5×10^6個のPBMC及びTregを注射した以外は実施例2と同じように、移植片対宿主病マウスモデルを用いて評価した。生存データを表14及び
図9Aに示す。実施例2のように、ヒト白血球の生着を脾臓の組成により評価した。データを表15及び
図9Bに示す。
【表13】
【表14】
【0271】
実施例5.炎症性サイトカインに曝露した後の操作されたT細胞の抑制能力
炎症環境におけるTreg抑制表現型の安定性は、Treg療法にとって重要な検討事項である。そのため、我々は、sTregを炎症性サイトカインTNF-α、IL-6、及びIL-1βに曝露し、in vitroでその抑制機能を評価した。
【0272】
5.1 T細胞操作
ヒトCD3+CD4+T細胞をleukopakから単離し、活性化し、実施例2.2に記載のようにIL10及びCTLA4の過剰発現を促進するようにレンチウイルスコンストラクトで形質導入した。形質導入から1日後、実施例3.1に記載のように、gRNA G019754(INFG)及びG019760(TNFA)を用いて、TNFA及びIFNG遺伝子を破壊するようにCas9を用いて形質導入細胞を操作した。
【0273】
選別した操作されたCD3+CD4+T細胞の一部を、炎症性サイトカインの混合物(各100ng/mLのTNF-α(Miltenyi;130-094-014)、IL-1β(Miltenyi;130-093-898)、及びIL-6(Miltenyi;130-095-365))の存在下で培養した。TNF-α、IL-1β、及びIL-6を2日毎に8日間補充し、その時点でMLR抑制アッセイを用いてその機能を評価した。
【0274】
実施例2のように、標的発現をフローサイトメトリーにより検証した。データを表16に示す。
【表15】
実施例2のように、選別した形質導入されたCD3+CD4+T細胞を三重反復で刺激して、サイトカインプロファイルを評価した。データを表17及び18に示す。
【表16】
【表17】
【0275】
5.2 抑制機能の混合リンパ球反応アッセイ
実施例2と同じように、混合リンパ球反応を使用して、CTV標識T細胞と操作されたT細胞との比を1:1にし、形質導入細胞の抑制機能を、TNF-α、IL-1β、IL-6の各100ng/mL添加のありまたはなしでアッセイした。データを表19及び表20、ならびに
図10A~Bに示す。
【表18】
【表19】
【0276】
実施例6.炎症性腸疾患モデルにおける操作されたT細胞の抑制能力
Tregは、前臨床モデルにおいて大腸炎の誘導を抑制することが知られている。さらに、IL-10の変異はヒトにおける大腸炎発症のリスク因子として知られている。重要なことには、炎症性の結腸は、リンパ球の接着分子であるMAdCAM-1を高レベルで発現することが知られている。IL10及びCTLA4を過剰発現し、IFNG及びTNFAをコードする遺伝子を破壊するように編集され、さらに抗MAdCAM CARを発現するように操作されたT細胞が、炎症性腸疾患(IBD)のヒト化マウスモデル(例えば、Gottel et al.,Low-Dose Interleukin-2 Ameliorates Colitis in a Preclinical Humanized Mouse Model.Cell Mol Gastroenterol Hepatol.2019;8(2):193-195を参照)、またはIBDのCD45RBhi移行モデル(例えば、Asseman et al.,An Essential Role for Interleukin 10 in the Function of Regulatory T Cells That Inhibit Intestinal Inflammation.J Expt Med.190(7):995-1003を参照)における治療に使用されている。
【0277】
簡潔に説明すると、0日目にNOGマウスに20×106個のPBMCを注射し、50%エタノール水溶液(X w/v)に懸濁した50μLの2,4-ジニトロベンゼンスルホン酸(DNBS)(Sigma-Aldrich、カタログ番号556971)を含む浣腸を投与することにより、ヒト化マウスIBDモデルを誘導する。操作されたT細胞を予防設定で評価するには、本明細書で提供される20×10^6個の操作されたT細胞を、0日目に同じドナーからのPBMCとともに同時移植する。ヒト化モデルの治療設定では、PBMCをDNBS浣腸の当日に注射し、PBMCと同じドナーからの20×10^6個の操作されたT細胞を、その後の様々な日に移植する。体重が20%低減した後、または少なくとも20%の体重減少がない場合は所定の時期に、マウスを安楽死させ、結腸を収集する。既知の方法を用いて、マウスの大腸炎の程度を解析する。例えば、大腸炎の程度は、結腸の全長及び結腸長:体重の比によって決定される。結腸をホルマリン中で固定し、組織学的に結腸上皮の肥厚を解析する。CTLA4及びIL10の挿入と、IFNG及びTNFAの両方のノックアウトとの組合せを伴う、操作されたT細胞を用いたマウスの予防的及び治療的処置は、上皮の肥厚を有意に低減する。いくつかの実施形態において、予防的治療及び治療的治療は、CTLA4の挿入と、IFNG及びTNFAの両方のノックアウトとを伴う、操作されたT細胞を投与することを含み、上皮の肥厚を有意に低減する。いくつかの実施形態において、予防的及び治療的治療は、IL10の挿入と、IFNG及びTNFAの両方のノックアウトとを有する操作されたT細胞を投与することを含み、上皮の肥厚を有意に低減する。
【0278】
IBDのTヘルパー細胞1型媒介/CD45RBhi移植モデルは、BALB/c(Taconic;BALB)から免疫不全SCIDマウス(Taconic;CB17SC)にCD45RBhi CD3+CD4+CD25-T細胞を移植することによって誘導される。大腸炎は、Th1応答の発現に起因する。これは、分極したTh1細胞が腸病変に存在するためである。相反するCD45RB低CD4+T細胞サブセット及び通常の病的なCD45RB高細胞の同時移植は、大腸炎の発生を予防する。これは、正常なマウスからのCD45RB低CD4+サブセットが、腸における炎症応答を制御可能な調節性T細胞の集団を含むことを示している(Powrid et al.,Phenotypically distinct subsets of CD4+ T cells induce or protect from chronic intestinal inflammation in C.B-17 scid mice.Int.Immunol.5:1461-1471)。既知の方法を用いて細胞集団を単離し、腹腔内注射用に調製する。操作されたTreg及びnTregを、上記の実施例2のように調製する。体重が20%低減した後、または少なくとも20%の体重減少がない場合は所定の時期にマウスを安楽死させ、その結腸を収集する。IBDのヒト化マウスモデルで提供されているような既知の方法を用いて、マウスの大腸炎の程度を解析する。CTLA4及びIL10の挿入と、IFNG及びTNFAの両方のノックアウトとの組合せを伴う、操作されたT細胞を用いたマウスの処置は、上皮の肥厚を50%超有意に低減する。いくつかの実施形態において、予防的及び治療的治療は、CTLA4の挿入と、IFNG及びTNFAの両方のノックアウトを伴う、操作されたT細胞を投与することを含み、上皮の肥厚を50%超有意に低減する。いくつかの実施形態において、予防的及び治療的治療は、IL10の挿入と、IFNG及びTNFAの両方のノックアウトを伴う、操作されたT細胞を投与することを含み、上皮の肥厚を50%超有意に低減する。また、治療は、体重減少も低減し、生存率を拡大する。
【配列表】
【国際調査報告】