(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-08
(54)【発明の名称】衛星測位システム信号におけるキャリア位相検出を改善するための方法および装置
(51)【国際特許分類】
G01S 19/29 20100101AFI20240201BHJP
【FI】
G01S19/29
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023546113
(86)(22)【出願日】2021-11-29
(85)【翻訳文提出日】2023-07-28
(86)【国際出願番号】 US2021061031
(87)【国際公開番号】W WO2022169499
(87)【国際公開日】2022-08-11
(32)【優先日】2021-02-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】507364838
【氏名又は名称】クアルコム,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100163522
【氏名又は名称】黒田 晋平
(72)【発明者】
【氏名】レイマン・ワイ・ポン
(72)【発明者】
【氏名】ジョーダン・クックマン
(72)【発明者】
【氏名】ゲンシェン・ジャン
【テーマコード(参考)】
5J062
【Fターム(参考)】
5J062CC07
5J062DD02
5J062DD12
(57)【要約】
モバイルデバイスは、衛星測位システム(SPS)動作のための、受信された衛星信号におけるキャリア位相(CP)の測定を改善するように構成され得る。たとえば、これによって、SPS受信機が、同じ衛星ビークルから各々受信された少なくとも第1の測位信号および第2の測位信号のCPを測定することが可能になり得る。第1の測位信号の修正されたCPは、第1の測位信号の測定されたCPと、第2の測位信号の測定されたCPとに基づいて推定され得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
モバイルデバイスによって実行される衛星測位システム(SPS)動作をサポートするための方法であって、
第1の衛星ビークル(SV)から第1の測位信号を受信するステップと、
前記第1のSVから第2の測位信号を受信するステップと、
第1の時間において、および第2の時間において、前記第1の測位信号のキャリア位相(CP)を測定するステップと、
第3の時間において、および第4の時間において、前記第2の測位信号のCPを測定するステップと、
前記第3の時間における前記第2の測位信号の前記測定されたCPと、前記第4の時間における前記第2の測位信号の前記測定されたCPとの間の差分に少なくとも部分的に基づいて、前記第2の時間における前記第1の測位信号の修正されたCPを推定するステップと
を含む方法。
【請求項2】
前記第1の測位信号の前記修正されたCPを推定するステップが、前記第2の時間における前記第1の測位信号の前記測定されたCPの小数値になるように、前記修正されたCPの小数値を選択するステップと、前記第3の時間における、および前記第4の時間における前記第2の測位信号の前記測定されたCP間の差分に少なくとも部分的に基づいて、前記修正されたCPの整数値を選択するステップとを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記修正されたCPの前記整数値を選択するステップが、前記第3の時間および前記第4の時間における前記第2の測位信号の前記測定されたCPの射影に少なくとも部分的に基づく、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記第1の時間が前記第3の時間に等しく、前記第2の時間が前記第4の時間に等しい、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記修正されたCPが、前記第1の時間と前記第2の時間との間の前記第1の測位信号の前記CPにおけるサイクルスリップの検出に応答して推定される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記修正されたCPが、前記第1の測位信号を受信するための1つまたは複数の回路が前記第1の時間と前記第2の時間との間に低電力状態であったとの決定に応答して推定される、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記修正されたCPが、前記第1の時間と前記第2の時間との間の前記第1の測位信号の受信との干渉の存在の決定に応答して推定される、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記第1の測位信号がGalileo E1信号であり、前記第1の測位信号の受信との干渉の前記存在を決定するステップが、前記モバイルデバイスによるB13帯またはB14帯における1つまたは複数の信号の送信または受信が、前記第1の時間と前記第2の時間との間の前記Galileo E1信号の受信と干渉すると決定するステップを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記第1の測位信号がGPS L1信号であり、前記第1の測位信号の受信との干渉の前記存在を決定するステップが、別の衛星信号が前記第1の時間と前記第2の時間との間の前記GPS L1信号の受信と干渉すると決定するステップを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記第1の測位信号が、データ変調全地球ナビゲーション衛星システム(GNSS)信号であり、前記第2の時間における前記第1の測位信号の前記修正されたCPを推定するステップが、ロックの喪失後の前記データ変調GNSS信号における半サイクルの曖昧さを解決するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記第1の測位信号がGPS L1信号であり、前記第2の測位信号がGPS L5信号である、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記第1の測位信号がGPS L5信号であり、前記第2の測位信号がGPS L1信号である、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記第1の測位信号がGalileo E1信号であり、前記第2の測位信号がGalileo E5信号である、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記第1の測位信号がGalileo E5信号であり、前記第2の測位信号がGalileo E1信号である、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
衛星測位システム(SPS)動作をサポートするように構成されたモバイルデバイスであって、
複数の周波数帯域にわたって衛星測位システム(SPS)信号を受信するように構成されたSPS受信機と、
前記SPS受信機に結合されたプロセッサと
を備え、前記プロセッサが、
前記SPS受信機を介して、第1の衛星ビークル(SV)から第1の測位信号を受信し、
前記SPS受信機を介して、前記第1のSVから第2の測位信号を受信し、
第1の時間において、および第2の時間において、前記第1の測位信号のキャリア位相(CP)を測定し、
第3の時間において、および第4の時間において、前記第2の測位信号のCPを測定し、
前記第3の時間における前記第2の測位信号の前記測定されたCPと、前記第4の時間における前記第2の測位信号の前記測定されたCPとの間の差分に少なくとも部分的に基づいて、前記第2の時間における前記第1の測位信号の修正されたCPを推定するように構成された、モバイルデバイス。
【請求項16】
前記プロセッサが、前記第2の時間における前記第1の測位信号の前記測定されたCPの小数値になるように、前記修正されたCPの小数値を選択し、前記第3の時間における、および前記第4の時間における前記第2の測位信号の前記測定されたCP間の差分に少なくとも部分的に基づいて、前記修正されたCPの整数値を選択することによって、前記第1の測位信号の前記修正されたCPを推定するように構成された、請求項15に記載のモバイルデバイス。
【請求項17】
前記プロセッサが、前記第3の時間における、および前記第4の時間における前記第2の測位信号の前記測定されたCPの射影に少なくとも部分的に基づいて、前記修正されたCPの前記整数値を選択するように構成された、請求項16に記載のモバイルデバイス。
【請求項18】
前記第1の時間が前記第3の時間に等しく、前記第2の時間が前記第4の時間に等しい、請求項15に記載のモバイルデバイス。
【請求項19】
前記プロセッサが、前記第1の時間と前記第2の時間との間の前記第1の測位信号の前記CPにおけるサイクルスリップの検出に応答して、前記修正されたCPを推定するように構成された、請求項15に記載のモバイルデバイス。
【請求項20】
前記プロセッサが、前記第1の測位信号を受信するための1つまたは複数の回路が前記第1の時間と前記第2の時間との間に低電力状態であったとの決定に応答して、前記修正されたCPを推定するように構成された、請求項15に記載のモバイルデバイス。
【請求項21】
前記プロセッサが、前記第1の時間と前記第2の時間との間の前記第1の測位信号の受信との干渉の存在の決定に応答して、前記修正されたCPを推定するように構成された、請求項15に記載のモバイルデバイス。
【請求項22】
前記第1の測位信号がGalileo E1信号であり、前記プロセッサが、前記モバイルデバイスによるB13帯またはB14帯における1つまたは複数の信号の送信または受信が、前記第1の時間と前記第2の時間との間の前記Galileo E1信号の受信と干渉すると決定することによって、前記第1の測位信号の受信との干渉の前記存在を決定するように構成された、請求項21に記載のモバイルデバイス。
【請求項23】
前記第1の測位信号がGPS L1信号であり、前記プロセッサが、別の衛星信号が前記第1の時間と前記第2の時間との間の前記GPS L1信号の受信と干渉すると決定することによって、前記第1の測位信号の受信との干渉の前記存在を決定するように構成された、請求項21に記載のモバイルデバイス。
【請求項24】
前記第1の測位信号が、データ変調全地球ナビゲーション衛星システム(GNSS)信号であり、前記プロセッサが、ロックの喪失後の前記データ変調GNSS信号における半サイクルの曖昧さを解決することによって、前記第2の時間における前記第1の測位信号の前記修正されたCPを推定するように構成された、請求項15に記載のモバイルデバイス。
【請求項25】
前記第1の測位信号がGPS L1信号であり、前記第2の測位信号がGPS L5信号である、請求項15に記載のモバイルデバイス。
【請求項26】
前記第1の測位信号がGPS L5信号であり、前記第2の測位信号がGPS L1信号である、請求項15に記載のモバイルデバイス。
【請求項27】
前記第1の測位信号がGalileo E1信号であり、前記第2の測位信号がGalileo E5信号である、請求項15に記載のモバイルデバイス。
【請求項28】
衛星測位システム(SPS)動作をサポートするように構成されたモバイルデバイスであって、
第1の衛星ビークル(SV)から第1の測位信号を受信するための手段と、
前記第1のSVから第2の測位信号を受信するための手段と、
第1の時間において、および第2の時間において、前記第1の測位信号のキャリア位相(CP)を測定するための手段と、
第3の時間において、および第4の時間において、前記第2の測位信号のCPを測定するための手段と、
前記第3の時間における前記第2の測位信号の前記測定されたCPと、前記第4の時間における前記第2の測位信号の前記測定されたCPとの間の差分に少なくとも部分的に基づいて、前記第2の時間における前記第1の測位信号の修正されたCPを推定するための手段と
を備えるモバイルデバイス。
【請求項29】
前記第1の測位信号の前記修正されたCPを推定するための前記手段が、前記第2の時間における前記第1の測位信号の前記測定されたCPの小数値になるように、前記修正されたCPの小数値を選択し、前記第3の時間における、および前記第4の時間における前記第2の測位信号の前記測定されたCP間の差分に少なくとも部分的に基づいて、前記修正されたCPの整数値を選択するように構成された、請求項28に記載のモバイルデバイス。
【請求項30】
プログラムコードを記憶した非一時的記憶媒体であって、前記プログラムコードが、衛星測位システム(SPS)動作をサポートするようにモバイルデバイスの中の少なくとも1つのプロセッサを構成するように動作可能であり、
第1の衛星ビークル(SV)から第1の測位信号を受信するためのプログラムコードと、
前記第1のSVから第2の測位信号を受信するためのプログラムコードと、
第1の時間において、および第2の時間において、前記第1の測位信号のキャリア位相(CP)を測定するためのプログラムコードと、
第3の時間において、および第4の時間において、前記第2の測位信号のCPを測定するためのプログラムコードと、
前記第3の時間における前記第2の測位信号の前記測定されたCPと、前記第4の時間における前記第2の測位信号の前記測定されたCPとの間の差分に少なくとも部分的に基づいて、前記第2の時間における前記第1の測位信号の修正されたCPを推定するためのプログラムコードと
を備える非一時的記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権の主張
本出願は、発明の名称を「METHODS AND APPARATUS FOR IMPROVING CARRIER PHASE DETECTION IN SATELLITE POSITIONING SYSTEM SIGNALS」とする2021年2月4日に出願された米国非仮出願第17/167,952号の優先権を主張し、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示の態様は、一般に、ワイヤレス通信および測位に関する。
【背景技術】
【0003】
衛星測位システム(SPS)のための受信機、およびワイヤレス通信システムのためのトランシーバは、しばしば、モバイルフォン、ウェアラブルデバイス、ラップトップコンピュータ、モノのインターネット(IoT)デバイスなど、モバイルデバイスの中に組み込まれる。SPSは、たとえば、全地球測位システム(GPS)などの全地球ナビゲーション衛星システム(GNSS)を含み得るが、ワイヤレス通信システムは、たとえば、ロングタームエボリューション(LTE)または第5世代新無線(5G NR)などの地上波ワイヤレスワイドエリアネットワーク(WWAN)、非地上波WWAN、たとえば、衛星通信システム、およびWi-Fiなどのワイヤレスローカルエリアネットワーク(WLAN)を含む。SPS受信機は、衛星ビークルからSPS信号を受信し、SPS信号を測位動作に提供し得る。衛星ビークル(SV)から受信された測位信号のキャリア位相(CP)を推定することは、そのようなSPS動作の重要な部分であり得る。しかしながら、サイクルスリップ、他の信号によって引き起こされる干渉、または測位信号を受信するためのモバイルデバイス内の回路の電力循環など、様々な理由で、CP推定の連続性が損なわれ得る。したがって、SVから受信された測位信号におけるCPの推定を改善するために、ワイヤレス通信デバイスの分野における改善の必要がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
モバイルデバイスは、衛星測位システム(SPS)動作のための、受信された衛星信号におけるキャリア位相(CP)の測定を改善するように構成され得る。たとえば、これによって、SPS受信機が、同じ衛星ビークルから各々受信された少なくとも第1の測位信号および第2の測位信号のCPを測定することが可能になり得る。第1の測位信号の修正されたCPは、第1の測位信号の測定されたCPと、第2の測位信号の測定されたCPとに基づいて推定され得る。
【0005】
一実装形態では、モバイルデバイスによって実行される衛星測位システム(SPS)動作をサポートするための方法は、第1の衛星ビークル(SV)から第1の測位信号を受信するステップと、第1のSVから第2の測位信号を受信するステップと、第1の時間において、および第2の時間において、第1の測位信号のキャリア位相(CP)を測定するステップと、第3の時間において、および第4の時間において、第2の測位信号のCPを測定するステップと、第3の時間における第2の測位信号の測定されたCPと、第4の時間における第2の測位信号の測定されたCPとの間の差分に少なくとも部分的に基づいて、第2の時間における第1の測位信号の修正されたCPを推定するステップとを含む。
【0006】
一実装形態では、衛星測位システム(SPS)動作をサポートするように構成されたモバイルデバイスは、複数の周波数帯域にわたって衛星測位システム(SPS)信号を受信するように構成されたSPS受信機と、SPS受信機に結合されたプロセッサとを含み、プロセッサが、第1の衛星ビークル(SV)から第1の測位信号を受信すること、第1のSVから第2の測位信号を受信すること、第1の時間において、および第2の時間において、第1の測位信号のキャリア位相(CP)を測定すること、第3の時間において、および第4の時間において、第2の測位信号のCPを測定すること、ならびに、第3の時間における第2の測位信号の測定されたCPと、第4の時間における第2の測位信号の測定されたCPとの間の差分に少なくとも部分的に基づいて、第2の時間における第1の測位信号の修正されたCPを推定することを行うように構成される。
【0007】
一実装形態では、衛星測位システム(SPS)動作をサポートするように構成されたモバイルデバイスは、第1の衛星ビークル(SV)から第1の測位信号を受信するための手段と、第1のSVから第2の測位信号を受信するための手段と、第1の時間において、および第2の時間において、第1の測位信号のキャリア位相(CP)を測定するための手段と、第3の時間において、および第4の時間において、第2の測位信号のCPを測定するための手段と、第3の時間における第2の測位信号の測定されたCPと、第4の時間における第2の測位信号の測定されたCPとの間の差分に少なくとも部分的に基づいて、第2の時間における第1の測位信号の修正されたCPを推定するための手段とを含む。
【0008】
一実装形態では、プログラムコードを記憶した非一時的記憶媒体であって、プログラムコードが、衛星測位システム(SPS)動作をサポートするようにモバイルデバイスの中の少なくとも1つのプロセッサを構成するように動作可能であり、非一時的記憶媒体が、第1の衛星ビークル(SV)から第1の測位信号を受信するためのプログラムコードと、第1のSVから第2の測位信号を受信するためのプログラムコードと、第1の時間において、および第2の時間において、第1の測位信号のキャリア位相(CP)を測定するためのプログラムコードと、第3の時間において、および第4の時間において、第2の測位信号のCPを測定するためのプログラムコードと、第3の時間における第2の測位信号の測定されたCPと、第4の時間における第2の測位信号の測定されたCPとの間の差分に少なくとも部分的に基づいて、第2の時間における第1の測位信号の修正されたCPを推定するためのプログラムコードとを含む。
【0009】
本開示の態様が例として図示される。添付図の中で、同様の参照番号は類似の要素を示す。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】モバイルデバイスがSPS信号を受信し得るシステムの簡略図である。
【
図2】SPS信号およびそれらの周波数帯域、ならびにSPS信号の受信と干渉する場合があるキャリア周波数の例を示す図である。
【
図3】例示的な実装形態による、第2の測位信号の測定されたCPに基づく、第1の測位信号におけるCP推定の例示的なグラフである。
【
図4】例示的な実装形態による、
図1からの第1のCPの修正された第3の値の決定を示す例示的なグラフである。
【
図5】いくつかの実装形態による、第1の測位信号および第2の測位信号を受信するための回路の時間領域デューティサイクルを示す図である。
【
図6】いくつかの実装形態による、第1の測位信号および第2の測位信号を受信するための回路の時間領域デューティサイクルを示す図である。
【
図7】いくつかの実装形態による、第1の測位信号および第2の測位信号を受信するための回路の時間領域デューティサイクルを示す図である。
【
図8】いくつかの実装形態による、干渉またはブランキングの存在下で、第1の測位信号および第2の測位信号を受信するための回路の時間領域デューティサイクルを示す図である。
【
図9】本明細書の本開示による、1つまたは複数の測位信号のためのキャリア位相を回復することを可能にされた、モバイルデバイスのいくつかの例示的な特徴を示す概略ブロック図である。
【
図10】本明細書で説明するように、モバイルデバイスによって実行される衛星測位システム(SPS)動作をサポートするための方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
次に、いくつかの例示的な実施形態が、本明細書の一部を形成する添付の図面に関して説明される。本開示の1つまたは複数の態様が実施され得る特定の実施形態が以下で説明されるが、他の実施形態が使用されてよく、本開示の範囲または添付の特許請求の範囲の趣旨を逸脱することなく様々な修正が加えられてよい。
【0012】
衛星測位システム(SPS)受信機、ならびにワイヤレスワイドエリアネットワーク(WWAN)送信機およびワイヤレスローカルエリアネットワーク(WLAN)送信機などのワイヤレス送信機は、しばしば、モバイルフォン、ウェアラブルデバイス、ラップトップコンピュータ、モノのインターネット(IoT)デバイス、あるいは地上車両などの半自律車両もしくは自律的車両、すなわち、自動運転の自動車もしくはトラック、またはドローンなどと呼ばれることがある無人空中ビークル(UAV:unmanned aerial vehicle)などの空中ビークルなどの、モバイルデバイスの中に組み込まれる。SPS受信機は、衛星ビークルからSPS信号を受信することがあり、受信されたSPS信号に基づいて、測位動作を実行する。SPS受信機は、全地球測位システム(GPS)信号、全地球ナビゲーション衛星システム(GLONASS)信号、Galileo(GAL)信号、BeiDou(BDS)信号、および/または他のタイプの衛星測位システムの信号などの、様々な全地球測位システムまたは地域測位システムをサポートし得る。
【0013】
ワイヤレス送信機は、データおよび制御を含む様々な通信動作のためにワイヤレス信号を送信および受信する。WWAN送信機は、たとえば、ロングタームエボリューション(LTE)システム、LTEアドバンスト(LTE-A)システム、またはLTE-A Proシステムなどの第4世代(4G)システム、および新無線(NR)システムと呼ばれることがある第5世代(5G)システムを含む、様々な通信システムをサポートし得る。これらのシステムは、符号分割多元接続(CDMA)、時分割多元接続(TDMA)、周波数分割多元接続(FDMA)、直交周波数分割多元接続(OFDMA)、または離散フーリエ変換拡散直交周波数分割多重化(DFT-S-OFDM)などの技術を採用し得る。追加として、WWAN送信機は、非地上波の、たとえば、衛星ベースの通信システムをサポートすることがある。いくつかの実装形態では、衛星ベースの通信システムは、5G新無線(NR)ネットワークなどの地上波ワイヤレス通信システムと組み合わせられることがある。そのようなシステムでは、モバイルデバイスは、地上波基地局ではなく、衛星ビークル(SV)とも呼ばれる衛星にアクセスしてよく、衛星は、地上局または非地上波(NTN)ゲートウェイとも呼ばれる地球局に接続してよく、地球局は5Gネットワークに接続してよい。WLAN送信機は、Wi-Fi、ロングタームエボリューション(LTE)ダイレクトなどを含む、様々な通信システムをサポートし得る。
【0014】
測位動作をサポートするとき、SPS受信機は、受信機の位置を決定するために、SVから受信された1つまたは複数の測位信号のキャリア位相(CP)を決定し得る。たとえば、そのような測位信号は、GPS L1またはL5信号、Galileo E1またはE5信号、1つまたは複数のBDS測位信号、1つまたは複数のQZSS測位信号などのうちの1つまたは複数を含み得る。しかしながら、そのようなCPの決定は、様々な理由で損なわれ得る。
【0015】
最初に、サイクルスリップが、測位信号におけるCPの測定において発生し得る。サイクルスリップは、CP測定の時系列における不連続性を指す。これらのサイクルスリップは、たとえば、SPS受信機が測位信号のキャリアにおけるロックを失うためであり得るか、またはモバイルデバイスにおける測位信号の受信の妨害のために発生し得る。たとえば、モバイルデバイスは、測位信号の受信が妨害されるロケーションに移動され得るか、またはモバイルデバイスの移動中に、モバイルとSVとの間の見通し線が瞬間的に妨害され得る。サイクルスリップを受けるとき、CP測定の連続性の喪失は望ましくなく、その理由は、サイクルスリップから経過した整数サイクル数が不明になるからである。
【0016】
追加として、モバイルデバイスは、電力管理動作に従事することがあり、測位信号を受信するための1つまたは複数の受信機回路を周期的に電源切断することがある。したがって、モバイルデバイスは、1つまたは複数の受信機回路が電源切断されるとき、測位信号におけるロックを失う。それらの受信機回路の電源が再びオンされるとき、測位信号のCPを推定する際に望ましくない遅延があり得る。
【0017】
WWAN信号、特に衛星ベース通信信号またはそれらの高調波が、SPS信号と同じ周波数帯域の中にまたはその近くにあり得る。その上、モバイルデバイスによって送信された衛星通信信号は、SPS信号よりも著しく大きい電力において送信される場合があり、したがって、SPS信号の受信と干渉する場合があり、それによって、モバイルデバイスによる1つまたは複数の測位信号のCPの推定に悪影響を及ぼす可能性がある。このことは、位置、速度、時間、またはそれらの組合せの決定など、SPS動作に悪影響を及ぼすことがある。
【0018】
たとえば、2つの最近認可された通信システム(LigadoおよびGlobalStar)は、SPSに対して、および特にGlonass G1衛星送信に対して使用される米国電気電子技術者協会(IEEE)L1帯に非常に近い周波数を使用する。これらの最近認可された通信システムは、L1測位信号の受信と干渉し得る。
【0019】
多数のモバイルデバイスは、複数の測位信号を受信することが可能である。たとえば、モバイルデバイスは、GPS L1信号とGPS L5信号の両方、またはGalileo E1信号とGalileo E5信号の両方などを受信することが可能であり得る。しばしば、これらの信号は、同じSVから受信され得る。たとえば、SVは、GPS L1信号とGPS L5信号の両方を送信することがあり、その両方がモバイルデバイスにおいて受信され得る。
【0020】
本明細書で開示するものは、単一のSVから複数の測位信号を受信することが可能なSPS受信機におけるキャリア位相の受信および決定を改善するための技法である。数秒にわたってなど、短い時間期間にわたって、単一のSVによって送信された2つの異なる測位信号の間のキャリア位相オフセットは、ほぼ等しくなり得る。たとえば、短い時間期間にわたって、単一のSVによって送信されたGPS L1信号とGPS L5信号との間のキャリア位相オフセットは、ほぼ等しくなり得る。同様に、これらの測位信号を受信するためのモバイルデバイス上のアンテナがコロケートされるので、モバイルデバイスにおいて測定された2つの測位信号のCPにおける差分も、短い時間期間にわたってほぼ等しくなり得る。したがって、割込みまたは干渉が、第1の測位信号の受信において発生するが、同じSVから受信された第2の測位信号において発生しないとき、第2の測位信号からのキャリア位相は、第1の測位信号におけるキャリア位相の正確な決定を助け得る。
【0021】
図1は、モバイルデバイス105がSPS信号を受信し得るシステム100の簡略図を示す。SPS信号は、GPS、GLONASS、GAL、BDS、および/または他のタイプの衛星測位システムなどの、様々な衛星位置シグナリング規格に基づいて送信され得る。モバイルデバイス105は、これらの衛星位置シグナリング規格のうちの1つまたは複数と互換性があり得る衛星測位システム(SPS)受信機を含むことができる。SPS受信機は、情報を抽出し、抽出された情報に基づいて位置計算動作を実行するために、シグナリング規格に基づいて1つまたは複数の周波数帯域上でSPS信号を処理し得る。たとえば、この処理の一部として、SPS受信機は、1つまたは複数の受信されたSPS信号のCPを決定し得る。
【0022】
モバイルデバイス105は、衛星からのSPS信号の受信に基づいてそれ自体の位置を決定するための能力を含む、数多くの機能を実行するように設計されたデバイスであってよい。モバイルデバイス105は、1つまたは複数の衛星からSPS信号を受信することによって衛星ベースの測位を実行することができる。本明細書に示すように、モバイルデバイス105は、それぞれ、測位衛星112、116、および118から、SPS信号111、115、および117を受信する。SPS信号は、たとえば、GPS、GLONASS、GAL、もしくはBeiDouなどの、任意の全地球ナビゲーション衛星システム(GNSS)、またはインド地域ナビゲーション衛星システム(IRNSS)、準天頂衛星システム(QZSS)、欧州静止ナビゲーションオーバーレイサービス(EGNOS)、もしくはワイドエリアオーグメンテーションシステム(WAAS)などの、いくつかの他の局所的もしくは地域的なシステムであり得る。
【0023】
通常、SPS信号111、115、および117の各々は、それぞれの衛星からSPS信号がいつ送信されたのかに関係するタイミング情報を含むことになる。各SPS信号はまた、SPS信号が送信される時間における衛星の位置を決定するために使用され得るエフェメリス情報を含んでもよい。モバイルデバイス105は、SPS信号111、115、および117の各々をモバイルデバイス105がいつ受信するのかを決定することができる。各SPS信号の送信時間および受信時間は、モバイルデバイス105に知られている共通クロックなどの、共通タイミング基準に対して位置合わせされてよい。受信時間と送信時間との間の差分を取ることによって、モバイルデバイス105は、各SPS信号がそれぞれの衛星からモバイルデバイス105まで進行するための、各SPS信号に関連する飛行時間を算出し得る。飛行時間は、次いで、光の速度を考慮に入れて、各衛星とモバイルデバイスとの間の距離を算出するために使用され得る。各衛星とモバイルデバイスとの間の距離が見つかると、各衛星の知られている位置および各衛星とモバイルデバイス105との間の距離に基づいてモバイルデバイス105の位置を算出するために、三辺測量が使用され得る。SPS信号は、さらに、モバイルデバイス105の速度を決定するために使用され得、さらに、絶対時間の決定に使用され得る。
【0024】
衛星ベースの測位に加えて、モバイルデバイス105によって実行され得る別のカテゴリーの機能が、ワイヤレス通信に関連する。ワイヤレス通信は、プライベートネットワークおよび/またはパブリックネットワークを介してモバイルデバイス105をサーバおよび他のモバイルデバイスなどの他のデバイスと接続する際の、重要なリンクの働きをすることがある。これは、特にワイヤレスローカルエリアネットワーク(WLAN)およびワイヤレスワイドエリアネットワーク(WWAN)を含む、様々なタイプのワイヤレスネットワークを介した通信を含んでよい。WLANの例は、様々な802.11規格に基づいて実装されるものなどの、様々なタイプのWi-Fiネットワークであってよい。
図1は、モバイルデバイス105と地上波基地局126、衛星ビークル122、およびアクセスポイント130との間のワイヤレス通信を示す。ただし、ワイヤレス通信の他の例は、Wi-Fiダイレクト、ロングタームエボリューション(LTE)ダイレクト、または近接ベースサービス(ProSe:Proximity-based Service)ディレクション通信(PC5)などの、モバイルデバイス間のピアツーピア通信を含み得る。WWANの例は、衛星通信、5G NR、LTE、広帯域符号分割多元接続(WCDMA(登録商標))などを含み得る。ワイヤレス通信の追加の例は、近距離場通信(NFC)、Bluetooth通信などを含んでよい。
【0025】
本明細書で使用する「モバイルデバイス」および「基地局」という用語は、別段に記載されていない限り、任意の特定の無線アクセス技術(RAT)に固有であること、またはさもなければそれらに限定されることを意図しない。一般に、モバイルデバイスは、ワイヤレス通信ネットワークを介して通信するためにユーザによって使用される任意のワイヤレス通信デバイス(たとえば、モバイルフォン、ルータ、タブレットコンピュータ、ラップトップコンピュータ、トラッキングデバイス、ウェアラブル(たとえば、スマートウォッチ、スマートグラス、拡張現実(AR)/仮想現実(VR)ヘッドセットなど)、半自律的または自律的な地上車両(たとえば、自動車、トラック、オートバイ、自転車など)、半自律的または自律的な空中ビークル(たとえば、UAVまたはドローン)、モノのインターネット(IoT)デバイスなど)であってよい。モバイルデバイスは移動式であってよく、または(たとえば、いくつかの時間において)固定であってよく、無線アクセスネットワーク(RAN)と通信してよい。本明細書で使用する「モバイルデバイス」という用語は、「ユーザ機器」、「アクセス端末」もしくは「AT」、「クライアントデバイス」、「ワイヤレスデバイス」、「加入者デバイス」、「加入者端末」、「加入者局」、「ユーザ端末」もしくはUT、「モバイル端末」、「移動局」、またはそれらの変形として、互換的に呼ばれることがある。一般に、モバイルデバイスは、RANまたは場合によっては通信衛星を介して、コアネットワークと通信することができ、コアネットワークを通じて、モバイルデバイスは、インターネットなどの外部ネットワークと、かつ他のモバイルデバイスと接続され得る。当然、有線アクセスネットワーク、(たとえば、IEEE802.11などに基づく)ワイヤレスローカルエリアネットワーク(WLAN)ネットワークなどを介するようなモバイルデバイスのために、コアネットワークおよび/またはインターネットに接続する他の機構も可能である。
【0026】
図1に示すように、モバイルデバイス105は、モバイル通信用グローバルシステム(GSM)、符号分割多元接続(CDMA)、広帯域CDMA(WCDMA(登録商標))、LTE、高速パケットデータ(HRPD)、IEEE802.11 WiFi(Wi-Fiとも呼ばれる)、Bluetooth(登録商標)(BT)、ワールドワイドインターオペラビリティフォーマイクロウェーブアクセス(WiMAX)、5G新無線(NR)などを使用するような、1つまたは複数の無線アクセス技術(RAT)を使用して、ワイヤレス通信をサポートし得る。たとえば、モバイルデバイス105は、ワイヤレス通信リンク上で基地局126に通信信号125を送信し、ワイヤレス通信リンク上でアクセスポイント130に通信信号129を送信し得る。基地局126は、たとえば、無線アクセス技術(RAT)の一部であってよく、LTEまたは5G NR通信をサポートしてよく、アクセスポイント130がIEEE802.11 WiFiをサポートしてよい。本発明の様々な実施形態が、そのような送信される信号によって引き起こされる干渉を低減するための技法に対処するので、
図1は、(モバイルデバイス105によって受信されるワイヤレス信号とは対照的に)モバイルデバイス105から送信されるワイヤレス信号を強調するが、通信信号は、ワイヤレス通信リンクを介してモバイルデバイス105によって送信される場合と受信される場合の両方があることを理解されたい。
【0027】
モバイルデバイス105は、さらにまたは代替的に、通信衛星122とのワイヤレス通信をサポートし得る。たとえば、モバイルデバイス105は、ワイヤレス通信リンクを介して1つまたは複数の通信衛星122に信号を送信することおよびそこから信号を受信することによってワイヤレス通信を実行し得る。
図1は、例として、通信信号121をワイヤレス通信リンク上で通信衛星122に送信するモバイルデバイス105を示す。通信衛星122が測位衛星112、116、および118とは別個でありSPSの一部でないことを理解されたい。通信衛星122は、5G新無線(NR)、または符号分割多元接続(CDMA)などの何らかの他のワイヤレスアクセスタイプなどの、ワイヤレス通信ネットワークの一部であり得る。本発明の様々な実施形態が、そのような送信される信号によって引き起こされる干渉を低減するための技法に対処するので、
図1は、(モバイルデバイス105によって受信されるワイヤレス信号とは対照的に)モバイルデバイス105から通信衛星122に送信されるワイヤレス信号を強調するが、通信信号は、ワイヤレス通信リンク121を介してモバイルデバイス105によって送信される場合と受信される場合の両方があることを理解されたい。
【0028】
モバイルデバイス105から送信された通信信号121のためのキャリア周波数(または、高調波)は、SPS衛星112、116、および118によって使用されるSPS周波数帯域の中または近くにある場合があり、SPS信号の受信と干渉する場合がある。たとえば、モバイルデバイス105から送信された通信信号121は、モバイルデバイス105によって受信された少なくとも1つの周波数帯域において受信されたSPS信号と干渉し得る。SPS周波数帯域内の周波数への干渉は、送信されたワイヤレス信号121のキャリア周波数の高調波または相互変調積に起因して発生する場合がある。
【0029】
図2は、SPS信号200およびそれらの周波数帯域、ならびにSPS信号の受信と干渉する場合があるキャリア周波数の例を示す。SPSは、
図2に示すように、L帯の中のいくつかの周波数上で動作する。L1帯は1559MHz~1606MHzをカバーし、GPS、Galileo、BeiDou、Glonass、およびQZSS(図示せず)からのL1信号を含む。これらの同じコンスタレーションは、同じく、
図2に示すように、L2および/またはL5帯の中の他の周波数の中で同時に通過する。加えて、L5帯の中で送信するインド地域システム(NaVIC)がある。周波数の帯域202で示すように、航空無線ナビゲーションシステム(ARNS)帯と呼ばれる保護領域が存在し、それにより、他の信号は、無線ナビゲーション信号を干渉から保護するために、通信または他の目的で使用されることを許可されない。周波数帯域204は、SPS信号が属する無線ナビゲーション衛星サービスに対応する。
【0030】
図2に示すように、SPS信号の第1のセットは、IEEE L2帯およびL5帯に対応する、1166~1249MHzの周波数帯域を占有することができる。SPS信号の第1のセットは、たとえば、IRNSS信号、BeiDou B2a信号(「BDS B2a」および「BDS B2」とラベル付けされる)、QZSS信号(「QZSS L5」とラベル付けされる)、Galileo E5aおよびE5b信号(「GAL E5a」および「GAL E5b」とラベル付けされる)、GPS L2およびL5信号(「GPS L2C」および「GPS L5」とラベル付けされる)、ならびにGLONASS信号(「GLO L2OF」とラベル付けされるが、G2と呼ばれることもある)を含んでよい。SPS信号の第1のセットの各々は、事前決定された周波数のキャリアを含む。たとえば、IRNSS、BDS B2a、QZSS L5、GPS L5、およびGAL E5aは各々、1176MHzのキャリア周波数を有し、GAL E5bおよびBDS B2は、1207MHzのキャリア周波数を有し、GPS L2Cは、1227.6MHzのキャリア周波数を有するが、GLO L2OFまたはG2は、1246MHzのキャリア周波数を有する。
【0031】
SPS信号の第2のセットは、IEEE L1帯に対応する、1559~1606MHzの周波数帯域を占有する。SPS信号の第2のセットは、たとえば、BeiDou B1信号(「BDS B1i」とラベル付けされる)、BeiDou B1C信号(「BDS B1C」とラベル付けされる)、Galileo E1信号(「GAL E1」とラベル付けされる)、GPS L1信号(「GPS L1」とラベル付けされる)、ならびにGLONASS L1OF信号(「GLO L1OF」とラベル付けされるが、G1と呼ばれることもある)を含んでよい。SPS信号の第2のセットの各々も、事前決定された周波数のキャリアを含む。たとえば、BDS B1iは、1561MHzのキャリア周波数を有し、BDS B1C、GAL E1、およびGPS L1は各々、1575.42MHzのキャリア周波数を有し、GLO L1OFまたはG1は、1602MHzの中心キャリア周波数を有する。
【0032】
ARNS帯202の外での使用は許可される。たとえば、WWAN、WiFi、Bluetoothなどのワイヤレス通信は、ARNS帯の外に存在しなければならない。大部分の通信周波数は、一般的に、SPS帯域の中への干渉およびフロントエンド飽和を低減して防止するために、フロントエンドSAW(表面弾性波)フィルタを用いて通信信号の抑制を可能にするために、SPS信号帯域L1およびL2+L5から十分に離れている。
【0033】
しかしながら、2つの最近認可された通信システム(LigadoおよびGlobalStar)は、
図2に示すように、ARNS帯202の外にあるが、L1帯に非常に近い周波数を使用する。たとえば、Ligado周波数は、部分的に1627~1637MHzであり、GlobalStar周波数は、1610~1626.5MHzである。
【0034】
上記で説明したように、サイクルスリップは、測位信号におけるCPの測定において発生し、受信された衛星測位信号におけるCPの正確な決定を遅延させ、損なうことがある。より詳細には、そのようなサイクルスリップは、測位信号のCPが曖昧に定義されることを生じることがあり、その理由は、サイクルスリップのために発生する測位信号のサイクル数が不明であり得るからである。しかしながら、例示的な実装形態は、数秒にわたってなど、短い時間期間にわたって、単一のSVによって送信された2つの異なる測位信号の間のCPオフセットがほぼ等しくなり得ることを認識している。モバイルデバイスは、しばしば、単一のSVからGPS L1信号およびGPS L5信号を受信することなど、単一のSVから複数の測位信号を受信することが可能であり得るので、サイクルスリップが第1の測位信号に対して発生するが、第2の測位信号に対して発生しないとき、第2の測位信号のためのCPは、第1の測位信号におけるCPを正確に推定するために使用され得る。
【0035】
図3は、例示的な実装形態による、第2の測位信号の測定されたCPに基づく、第1の測位信号におけるCP推定の例示的なグラフ300を示す。
図3に関して、SV112からモバイルデバイス105によって受信された第1の測位信号は、第1のCP310を有し得るが、SV112からモバイルデバイス105によって受信された第2の測位信号は、第2のCP320を有し得る。たとえば、第1の測位信号および第2の測位信号は、GPS L1およびL5信号、またはその逆、Galileo E1およびE5信号、またはその逆などであり得る。モバイルデバイスは、第1の測位信号および第2の測位信号の各々のためのCPを周期的に測定し得、たとえば、測位信号のためのCPの2つの後続の測定は、
図3に示すようにT0およびT1であり得る。T0において、第1のCP310は第1の値311を有し得、第2のCP320は第2の値321を有し得る。しかしながら、時間T0と時間T1との間で、サイクルスリップ312が、第1の測位信号の受信において発生し得る。その後、時間T1において、第1のCP310は、第3の値313を有するように測定され、第2のCP320は、第4の値323を有するように測定される。
【0036】
サイクルスリップ312のために、第3の値313は正確でないことがある。より詳細には、第3の値313の小数部分、すなわち、第1の値311と第3の値313との間に発生する第1の測位信号の小数サイクル数は正確であり得るが、サイクルスリップは、SPS受信機が、第1の値311と第3の値313との間に発生する第1の測位信号の整数サイクル数を知らないことを意味する。しかしながら、上記で説明したように、短い時間期間にわたって、第1の測位信号と第2の測位信号との間のCPオフセットは、ほぼ等しくなり得る。したがって、例示的な実装形態は、第2の測位信号からのCP測定が、時間T1における、サイクルスリップ後の第1の測位信号のためのCPの再構成を助けることを可能にする。したがって、デルタCPと呼ばれることもある、第2の値321と第4の値323との間の第2のCP320におけるCP差分325は、第1の値311と第3の値313との間のデルタCP315にほぼ等しい。第1のCP310の修正された第3の値は、第1のCP310の測定された第3の値313と、第2のCP320の第2の値321と第4の値323との間のデルタCPとに基づいて決定され得る。より詳細には、修正された第3の値は、測定された第3の値313の小数部分と、第1の値311が第2の値321と第4の値323との間のデルタCPに加算されたものに基づく整数値とを含み得る。第2の値321と第4の値323との間のこの差分が、第2の測位信号のサイクル数として表され得ることに留意されたい。第2の測位信号のこのサイクル数は、第2の測位信号のキャリア波長に基づく長さまたは距離に変換され、次いで、その後、第1の測位信号のキャリア波長に基づいて、第1の測位信号の対応するサイクル数に変換され得る。次いで、この対応するサイクル数が、修正された第3の値を生成するために使用され得る。
【0037】
図4は、例示的な実装形態による、
図1からの第1のCP310の修正された第3の値の決定を示す例示的なグラフ400を示す。
図3に関して上記で説明したように、第3の値313の小数部分、すなわち、第3の値313の第1の測位信号の絶対小数キャリア位相は正確であり得るが、サイクルスリップは、SPS受信機が、第1の値311と第3の値313との間に発生する第1の測位信号の整数サイクル数を知らないことを意味する。したがって、第1のCP310の第3の値313が測定されるとき、小数部分のみが有効であり、整数部分は不明であるか、またはより正確には、整数部分は曖昧であり、その理由は、整数部分が、第3の値313の小数キャリア位相を各々有する、いくつかの異なる値のうちのいずれかを取り得るからである。したがって、たとえば、サイクルスリップ312後に第3の値313を測定することは、時間T1における第1の測位信号の実際のCPを、測定された小数値を各々有し、1波長だけ分離された、いくつかの可能な値のうちの1つになるように制約する。したがって、第1の測位信号のCPの実際の値は、
図4に示す候補値410、420、430、440などのうちの1つであり得、ただし、候補値410~440の各々が、測定された第3の値313の小数値に等しい小数値を有し、第1の測位信号の整数個の波長だけ他の候補値から各々分離される。たとえば、候補値410および420は、第1の測位信号の単一の波長450だけ分離される。修正された第3の値を決定することは、第2の値321と第4の値323との間の第2の測位信号の波長の数における差分に基づき得る。第2の測位信号からのこの波長の数の差分が、第1の値311に加算されたものは、第1の測位信号の波長において表されるとき、修正された第3の値の予測されたCP460に対応し得る。この予測されたCP460は、候補値430に最も近くなり得、したがって、修正された第3の値を生成することは、測定された第3の値313の小数部分を選択すること、および整数部分460に最も近い候補値を選択することに対応し得る。
【0038】
いくつかの態様では、第3の値313の正確な再構成のために、選定される候補値は、予測されたCP460の波長のしきい値割合内であることが必要とされ得ることに留意されたい。たとえば、いくつかの態様では、このしきい値割合は、修正された第3の値が確信を持って再構成されるための1/4波長であり得る。いくつかの他の態様では、このしきい値割合は、受信された測位信号のうちの1つまたは複数の信号強度、受信された測位信号のうちの1つまたは複数の、1つまたは複数の信号対雑音比、あるいは他のファクタに少なくとも部分的に基づいて、動的に決定され得る。
【0039】
いくつかの態様では、このしきい値割合は、1/2波長であり得る。たとえば、以下でさらに説明するように、半サイクルの曖昧さ(HCA:half-cycle ambiguity)が、測位信号のCPを追跡するときに発生し得る。HCAが存在しないとき、またはそれについてのHCAが問題でない測位信号を追跡しているとき、次いで、候補値は、予測されたCP460の1/2波長内であるとき、確信を持って選定され得る。
【0040】
いくつかの態様では、修正された第3の値を生成することはまた、整数サイクル境界における変化、たとえば、予測されたCP460がちょうど整数サイクル数の下にあり、候補値430がちょうど整数サイクル数を超えるときを考慮に入れることも含み得る。
【0041】
図3~
図4に関して上記で説明したサイクルスリップ修復プロセスは、GPS L5信号のCP測定を使用して、GPS L1信号におけるサイクルスリップを修復すること、GPS L1信号のCP測定を使用して、GPS L5信号におけるサイクルスリップを修復すること、Galileo E5信号のCP測定を使用して、Galileo E1信号におけるサイクルスリップを修復すること、Galileo E1信号のCP測定を使用して、Galileo E5信号におけるサイクルスリップを修復すること、同様に受信されたGLO、BDS、およびQZSS測位信号に対して、ならびにGPSおよびGalileo SVと、GLO、BDS、およびQZSS SVとによって送信され得る追加の周波数に対して、同様にすることを行うために使用され得る。たとえば、サイクルスリップ修復プロセスは、GPS L2またはGPS L2CまたはGPS L1C信号のCP測定を使用して、GPS L1信号におけるサイクルスリップを修復するために使用され得る。
【0042】
例示的な実装形態のさらなる態様では、第1のSVから受信されたデータ変調GNSS信号のCP測定における半サイクルの曖昧さ(HCA)は、第1のSVから受信された第2のGNSS信号のためのCP測定を使用して解決され得る。より詳細には、SPS受信機がデータ変調GNSS信号におけるロックの喪失を受けた後、HCAが生じ得る。データ変調GNSS信号のための後で測定されたCPは、正確であるか、または半波長オフであり得る。SPS受信機によって使用されるアルゴリズムに応じて、GPS L1信号のCPは、しばらくの間に使用可能でないことがあり、たとえば、HCAを解決するために数秒かかることがある。例示的な実装形態は、HCAがはるかにより迅速に解決されることを可能にし得る。HCAは、
図3~
図4に示す例と同様に解決され得る。より詳細には、GPS L1信号のCPの小数部分が、たとえば、時間T0および時間T1において決定され得る。T0とT1との間のGPS L5信号のためのデルタCPが決定され得る。この差分が、L5の波長の数からL1の波長の対応する数に変換され得る。
図4と同様に、T1におけるCPの小数部分は、複数の候補値(たとえば、候補値410~440)に対応し、これらの候補値が、T0におけるL1のためのCPとL5のための決定されたデルタCPとの和と比較され得る。HCAを受けているとき、候補値は、この和からほぼ半波長になる(その場合、測定されたCPは半波長だけオフである)か、またはこの和とほぼ合致するようになる(その場合、測定されたCPは正確である)かのいずれかである。このようにして、HCAが迅速に解決され得る。
【0043】
別の例では、HCAは、候補値が半波長だけ分離され得ることを除いて、
図4と同様に解決され得る。したがって、HCAを解決することは、T1における予測されたCPをこれらの半波長候補値の各々と比較することによって実行され得る。したがって、最も近い候補値を選択することが、HCAを解決し、選定された候補値がT1におけるCPの1/4波長内であることを保証する。このことが、いくつかの態様では、サイクルスリップの修復と組み合わせられ、候補値を選択することが、HCAの解決と、T1における修復されたCPの整数値の決定の両方を行うようにし得る。
【0044】
HCAを解決するための上記で説明した実装形態について、データ変調GNSS信号に関して説明することに留意されたい。例示的なデータ変調信号は、GPS L1信号であり得る。いくつかの他の実装形態では、これらの技法が、パイロットキャリアを欠く他の測位信号において、たとえば、いくつかのGLOまたはQZSS測位信号において、HCAを解決するために使用され得る。いくつかの態様では、これらの技法は、トラッカーを有するが、そのために受信機がデータチャネルのみを追跡する、測位信号において、言い換えれば、測位信号はパイロットキャリアを有するが、受信機はそのパイロットを追跡しないか、または追跡することができない場合の測位信号において、HCAを解決するために使用され得る。他の態様では、これらの技法は、受信機がデータとパイロット信号の両方を追跡する場合の測位信号において、HCAを解決するために使用され得る。
【0045】
例示的な実装形態のさらなる態様では、モバイルデバイスは、同じSVから受信された2つ以上の測位信号に基づいて、未検出のサイクルスリップを識別し得る。たとえば、
図3に関して上記で説明した例と同様に、モバイルデバイスは、単一のSVから2つ以上の測位信号を受信し得るが、第1の時間と第2の時間との間に第1の測位信号についてサイクルスリップが検出されないことがある。CPが有効であり、T0とT1との間の時間期間の開始または終了における測位信号についてのHCAがない場合、モバイルデバイスは、CP差分315とCP差分325との間のオフセットに基づいて、未検出のサイクルスリップを識別し得る。第1の測位信号においてサイクルスリップがあるとき、第3の値313の整数部分は、第1の測位信号の整数サイクル数だけ不正確である。したがって、未検出のサイクルスリップは、このオフセットが第1の測位信号の整数サイクル数にほぼ対応すると決定することによって識別され得る。より詳細には、CP差分315は、第1の測位信号のサイクルに対応する距離として表され得、CP差分325は、このオフセットを決定するための第2の測位信号のサイクルに対応する距離として表され得る。オフセットが整数サイクル数に対応すると決定することは、検出することが困難であり得るので、いくつかの態様では、このオフセットが第1のしきい値距離と比較され得、オフセットが第1のしきい値距離を超える場合、未検出のサイクルスリップが識別される。一例では、オフセットが13cmを超える場合、未検出のサイクルスリップが識別され得る。
【0046】
いくつかの態様では、モバイルデバイスは、HCAの存在下で未検出のサイクルスリップを識別することも可能であり得る。ただし、より大きいしきい値距離が必要とされ得る。すなわち、オフセットを第1のしきい値距離と比較するのではなく、HCAの存在下では、オフセットが、第1のしきい値距離よりも大きい第2のしきい値距離と比較されて、未検出のサイクルスリップが識別され得る。
【0047】
モバイルデバイスが、同じSVから2つの測位信号のみを受信するとき、未検出のサイクルスリップが第1の測位信号上にあるか、第2の測位信号上にあるかを決定することが可能でないことがある。しかしながら、いくつかのモバイルデバイスは、同じSVから3つ以上の測位信号を受信することが可能であり得る。そのような場合、どの測位信号がサイクルスリップを受けたかを決定することがより容易であり得る。たとえば、モバイルデバイスが、同じSVから第1、第2、および第3の測位信号を受信する場合、第1のオフセットが第1および第2の測位信号について決定され、第2のオフセットが第2および第3の測位信号について決定され、第3のオフセットが第3および第1の測位信号について決定される。次いで、第1、第2、および第3のオフセットの各々が、第1のしきい値と比較され得る。未検出のサイクルスリップが測位信号のうちの2つ以上において同時に発生する可能性のために、オフセットのうちの2つが第1のしきい値を超えるが、残りのオフセットが超えない場合、サイクルスリップを受けている測位信号が識別され得る。たとえば、第1および第2のオフセットが第1のしきい値を超え、第3のオフセットが超えない場合、未検出のサイクルスリップが、第2の測位信号上で発生しているとして識別され得る。
【0048】
いくつかの態様では、オフライン位置エンジンが、測位信号入力を消費し得る。たとえば、オフライン測位エンジンは、これらの測位信号入力を、受信機に依存しない交換(RINEX:receiver independent exchange)フォーマット、またはCP測定値および1つもしくは複数のロックの喪失インジケータ(LLI:loss of lock indicator)を含む別の好適なフォーマットを有する、測定値ファイルとして消費し得る。上記で説明した例と同様に、オフライン位置エンジンは、検出されたサイクルスリップを修復し、HCAを解決し、未検出のサイクルスリップを検査し得る。
【0049】
一例では、オフライン位置エンジンを使用して、サイクルスリップを修復するとき、いくつかのサイクルスリップが、選択的に修復されないまま残され得る。たとえば、小数CPオフセット、すなわち、最も近い候補値(たとえば、候補値410~440のうちの1つ)と予測されたCP460との間の差分が、第1の測位信号のしきい値割合よりも大きいとき、サイクルスリップが修復されないまま残され得る。これは、得られた修正された値が、そのような状況では低い度合いの信頼性を有し得るからである。たとえば、上記で説明したように、このしきい値割合は、第1の測位信号の1/4サイクル、第1の測位信号の1/2サイクルであり得るか、または動的に決定されたしきい値割合であり得る。
【0050】
いくつかの態様では、モバイルデバイスは、測定値ファイル中に取り込まれ得る第1および第2の測位信号のためのより多数のCP観測値へのアクセスを有し得る。たとえば、測定値ファイルは、毎秒1または10のレート(1Hzまたは10Hz)においてCP測定値を含み得るが、モバイルデバイス上で実行しているソフトウェアは、50Hz以上のレートにおいてCP測定値へのアクセスを有し得る。いくつかの態様では、ソフトウェアは、測定値ファイル中に含まれることになるCP測定値を改善するために、これらの追加のCP測定値のうちの1つまたは複数におけるサイクルスリップを修復し得る。たとえば、追加のCP測定値は、確信を持って修復することが困難であり得る、測定値ファイルへのサイクルスリップの追加を回避するために活用され得る。いくつかの態様では、測定値ファイル中に含まれることになるCP測定値に基づいて、それについて最も近い候補値と予測されたCP460との間の差分が1/4サイクルよりも大きい、サイクルスリップが検出されるとき、そのサイクルスリップは、ソフトウェアの追加のCP測定値に基づいて修復され得る。たとえば、10HzにおいてCP測定値を含む測定値ファイル、および50HzにおいてリアルタイムでCPを測定するソフトウェアを考えられたい。測定値ファイル中に含まれる1つのCP測定値ごとに、5つのCP測定値がモバイルデバイス内で作成される。したがって、以下に示すように、測定値ファイルに追加されたT1およびT2(太字で示す)におけるCP測定値の間に、4つのCP測定値が、時間T1-2、T1-3、T1-4、およびT1-5において、モバイルデバイス内でソフトウェアによって作成される。
【数1】
サイクルスリップは、時間T1-3において発生し得る。一例では、最も近い候補値と予測されたCP460との間の差分が、第1の測位信号の1/4サイクルと比較され得る。差分が1/4サイクルを超える場合、サイクルスリップは、測定値ファイル中で、すなわち、時間T1とT2との間で、確信を持って修復することが困難であり得る。いくつかの態様では、
図3~
図4に関して上記で説明したアルゴリズムが、その差分が1/4サイクルを超えない時間のペアを識別するために、時間T1およびT1-4、T1およびT1-5、T1-2およびT1-4などに対して試みられ得る。そのような時間のペアの識別に応答して、サイクルスリップが修復され得、修正されたCPが時間T2において測定値ファイル中に含められ、したがって、測定値ファイル中に記録されたCPの精度および連続性が改善され得る。いくつかの態様では、そのようなサイクルスリップを解決した後、例示的な実装形態は、未検出のサイクルスリップに関して上記で説明した技法を使用して、時間のペアにおける測定値を検討し得る。たとえば、このことは、サイクルスリップが時間T1-3において誤って検出されることを、雑音またはマルチパスが引き起こした場合を識別し得る。たとえば、時間の他のペアにおける値が正確である場合、サイクルスリップを修復することは不要であり得、測定値ファイルに追加されたCP値は、修復を必要とすることなしに正確であり得る。
【0051】
上記で説明したように、モバイルデバイスは、電力管理動作に従事することがあり、測位信号のうちの1つまたは複数を受信するための回路を低電力または電源切断状態にすることがある。たとえば、モバイルデバイスは、電力を節約するために、異なる測位信号を受信するための回路の時間領域多重化(TDM)に従事することがある。それらの回路が再び電源オンされるとき、測位信号のいくつのサイクルが経過したかが不明であり得、それによってCP決定を損なうことがある。しかしながら、例示的な実装形態は、そのような電力管理動作が使用されるとき、第2の測位信号のためのCP測定値が第1の測位信号のための正確なCP測定値の生成を助けることを可能にする。たとえば、その間に第1の測位信号を受信するための回路が電源切断されるデューティサイクルの部分が、サイクルスリップと同様であると見なされ得る。
【0052】
図5は、いくつかの実装形態による、第1の測位信号および第2の測位信号を受信するための回路の時間領域デューティサイクルを示す
図500を示す。
図3~
図4とともに説明した例と同様に、第1の測位信号および第2の測位信号は、GPS L1およびL5信号、またはその逆、Galileo E1およびE5信号、またはその逆、あるいは同様のBDSまたはQZSS信号であり得る。
図5に示すように、第1の測位信号および第2の測位信号を受信および処理するためのRFおよび他の回路-それぞれの「第1の測位信号RF」および「第2の測位信号RF」は、フル電力状態から、低電力スリープ状態などのより低電力の状態、または電力切断状態などに周期的にサイクルされ得る。したがって、
図5は、第1および第2の測位信号RFがオンであるときの時間期間を示す。
図5に示すように、これらの時間期間は重複し、たとえば、重複する期間510の間に、第1および第2の測位信号RFが両方ともオンである。したがって、第1の測位信号RFが、t
1の直前にオンになるとき、第2の測位信号のための測定されたCPが、第1の測位信号のためのCPの高速かつ正確な決定を助けるために使用され得る。より詳細には、第1の測位信号のための測定されたCPの小数部分が保持され得、CPの整数部分が、
図3~
図4に関して説明した例と同様に、第2の測位信号のためのデルタCPに基づいて決定され得る。たとえば、t
0とt
1との間で、第2の測位信号が、第1の測位信号のCPの連続性を保証すること、すなわち第1の測位信号RFがオンでないことによって引き起こされたサイクルカウントにおける曖昧さを修正することを助けるために使用され得る。その後、t
1とt
2との間で、第1の測位信号が、第2の測位信号のCPの連続性を保証することを助けるために使用され得る、などとなる。
【0053】
図5は、第1の測位信号RFおよび第2の測位信号RFのデューティサイクルが重複することを示すが、いくつかの例では、デューティサイクルが重複しないことがある。たとえば、モバイルデバイスが、第1の測位信号と第2の測位信号の両方を受信するために、単一のRFパスを持つ受信機を使用するとき、モバイルデバイスは、第1の測位信号の受信と第2の測位信号の受信との間で周期的に切り替え得る。
図6は、いくつかの実装形態による、第1の測位信号および第2の測位信号を受信するための回路の時間領域デューティサイクルを示す
図600を示す。
図3~
図4とともに説明した例と同様に、第1の測位信号および第2の測位信号は、GPS L1およびL5信号、またはその逆、Galileo E1およびE5信号、またはその逆、あるいは同様のBDSまたはQZSS信号であり得る。
図5の例に反して、
図6では、第1の測位信号RFおよび第2の測位信号RFのデューティサイクルの間にギャップがある。これらのギャップは、第1の測位信号RFも第2の測位信号RFもオンでない場合、第1の測位信号のCPの決定を助けるために第2の測位信号のためのデルタCPを使用するとき、およびその逆も同様に、誤差を生じ得る。いくつかの態様では、時間ギャップ610にわたる第2の測位信号のCPの射影が、第1の測位信号のためのCPの決定を助けるために使用され得る。すなわち、第1の測位信号のCPの整数部分を決定するために、第2の測位信号のためのデルタCPが、時間ギャップ610にわたって射影され得る。そのような射影によってもたらされる誤差は、モバイルデバイスの加速度および動力に依存し得、したがって、モバイルデバイスが著しく大きい加速または動力を受けていない場合、第1の測位信号のためのCPが正確に決定され得る。いくつかの態様では、この射影は線形であり得るが、いくつかの他の態様では、2次方程式など、多項式であり得る。たとえば、時間ギャップが40ミリ秒である場合、前の20ミリ秒以上にわたる第2の測位信号のCPの傾きが、時間ギャップにわたって線形射影するために使用され得、モバイルデバイスが定数1gにおいて加速している場合、加速によってもたらされる誤差は、典型的な測位信号の波長の小部分のみである、1センチメートル未満になる。
【0054】
いくつかの態様では、モバイルデバイスは、第2の測位信号RF(および他の回路)を常にオンに保ちながら、極めて小さいデューティサイクル上で、第1の測位信号RF(および他の回路)を動作させ得る。たとえば、モバイルデバイスは、GPS L5信号を受信するための回路に常に電力供給し得るが、GPS L1信号を受信するための回路に時々電力供給するのみであり得る。
図7は、いくつかの実装形態による、第1の測位信号および第2の測位信号を受信するための回路の時間領域デューティサイクルを示す
図700を示す。
図7に関して示すように、第2の測位信号RFは、常に電源オンされるが、第1の測位信号RFは、小さいデューティサイクルにおいてのみ電力供給される。
図3~
図5に関して上記で説明した技法を使用して、第2の測位信号からのデルタCP測定値は、第1の測位信号RFが電源オンするとき、第1の測位信号のためのCPの決定を助けるために使用され得る。
【0055】
図8は、いくつかの実装形態による、干渉またはブランキングの存在下で、第1の測位信号および第2の測位信号を受信するための回路の時間領域デューティサイクルを示す
図800を示す。以下で説明するように、Ligado送信およびGlobalStar送信は、GNSS L1信号の受信と干渉することがあり、B13帯またはB14帯上のLTE送信は、Galileo E1信号および/またはBDS B1C信号のブランキングを必要とすることがある。このことは、
図8における時間期間810として示された、CPが第1の測位信号について決定されないことがある時間期間を生じ得る。
図3~
図5に関して上記で説明した技法と同様の技法を使用して、第2の測位信号のためのデルタCP測定値は、そのような干渉またはブランキングが完了した後、第1の測位信号のためのCPの回復を助け得る。より詳細には、干渉またはブランキングは、
図3~
図4に関する時間T0およびT1における測定間のサイクルスリップに類似すると見なされ得る。したがって、干渉またはブランキングが終了された後、第1の測位信号のための修正されたCPは、第1の測位信号のための測定されたCPの小数部分と、第1の測位信号の直近の有効なCP(すなわち、干渉より前の)および第2の測位信号のためのデルタCPの和に対応する、整数部分とを含み得る。
【0056】
モバイルデバイス105が、LigadoまたはGlobalStarの周波数の中で送信しているとき、L1 SPS受信機は、繊細なSPS L1フロントエンドを飽和させることまたはさらには損なうことを回避するために、その入力をブランキングするかまたは無効にし得る。しかしながら、Ligado通信の間さえ、L1信号を取得および追跡するための時間は残っている。たとえば、モバイルデバイス105によるLigado送信は、2.5秒のうちの多くとも2.0秒の間、ONであり得る。これによって、20%のウィンドウがGPS L1信号を取得および追跡することが可能になる。それに応じて、モバイルデバイス105によるLigadoまたはGlobalStar送信の間、L1 SPS受信機は、GPS、QZSS、GAL、BDS、およびGLOを含むすべてのL1 SPS信号を基本的に無効にし得る。これによって、そのような送信の間に、L1に対するサイクルスリップ、およびL1のためのCPを決定できないことが生じる。しかしながら、例示的な実装形態は、LigadoまたはGlobalStar送信におけるギャップの間のL1のためのCPを回復するために使用され得る。
【0057】
さらに、モバイルデバイスが、GNSSアンテナ分離に不十分なWWANアンテナを有するとき、LTE B13帯およびB14帯にわたる送信は、Galileoおよび/またはBDS信号受信と干渉し得る。そのような例では、受信機は、不良なGNSSデータを報告することを回避するために、Galileo E1信号およびBDS B1C信号をブランキングし得る。これによっても、E1信号およびB1C信号におけるキャリア位相の喪失およびサイクルスリップが生じ得る。例示的な実装形態は、B13送信またはB14送信が停止した後、ブランキングされたGNSS信号のためのCPを回復するために使用され得る。より詳細には、Galileo E5信号のためのデルタCPが、ブランキングされたGalileo E1信号のためのCPを回復するために使用され得、BDS B2A信号のためのデルタCPが、ブランキングされたBDS B1C信号のためのCPを回復するために使用され得る。
【0058】
図9は、本明細書の本開示による、1つまたは複数の測位信号のためのキャリア位相を回復することを可能にされた、たとえば、
図1に示すモバイルデバイス105であり得る、モバイルデバイス900のいくつかの例示的な特徴を示す概略ブロック図を示す。モバイルデバイス900は、たとえば、1つまたは複数のプロセッサ902、メモリ904、ワイヤレストランシーバ910などの外部インターフェース、ならびに1つまたは複数の接続部906(たとえば、バス、配線、ファイバー、リンクなど)を用いて非一時的コンピュータ可読媒体920およびメモリ904に動作可能に結合され得る、SPS受信機916を含んでよい。モバイルデバイス900は、ユーザがそれを通じてモバイルデバイスまたは衛星測位システム受信機とインターフェースし得る、たとえば、ディスプレイ、キーパッド、またはディスプレイ上の仮想キーパッドなどの他の入力デバイスを含んでよい、ユーザインターフェースなどの図示されない追加の部材をさらに含んでよい。いくつかの例示的な実装形態では、モバイルデバイス900の全部または一部は、チップセットなどの形態を取り得る。ワイヤレストランシーバ910は、たとえば、1つまたは複数のタイプのワイヤレス通信ネットワークを介して1つまたは複数の信号を送信することを可能にされた送信機912、および1つまたは複数のタイプのワイヤレス通信ネットワークを介して送信された1つまたは複数の信号を受信するための受信機914を含んでよく、衛星通信、5G NR、LTE、Wi-Fiなどの様々な通信プロトコル/規格のために構成され得る。SPS受信機916は、複数の周波数帯域を持つ、GPS、GLONASS、GAL、BDS、および/または他のタイプの衛星測位システムなどの様々な衛星位置シグナリング規格の、SPS信号を受信し得る。SPS受信機916は、測定エンジンおよび位置エンジンを含んでよく、あるいは測定エンジンおよび位置エンジンのうちの1つまたは複数は、たとえば、媒体920および/またはメモリ904などの非一時的コンピュータ可読媒体上に1つまたは複数の命令またはプログラムコード908を実装する、1つまたは複数のプロセッサ902によって実装されてもよい。
【0059】
いくつかの実施形態では、モバイルデバイス900は、内部または外部にあってよい1つまたは複数のアンテナ911および915を含んでよい。アンテナ911は、ワイヤレストランシーバ910によって処理される信号を送信および/または受信するために使用され得る。いくつかの実施形態では、モバイルデバイスアンテナ911は、ワイヤレストランシーバ910に結合されてよい。いくつかの実施形態では、モバイルデバイス900によって受信される(送信される)信号の測定は、モバイルデバイスアンテナ911とワイヤレストランシーバ910との接続点において実行されてよい。たとえば、受信される(送信される)RF信号測定のための測定基準点は、受信機914(送信機912)の入力(出力)端子、およびモバイルデバイスアンテナ911の出力(入力)端子であってよい。複数のモバイルデバイスアンテナ911またはアンテナアレイを有するモバイルデバイス900では、アンテナコネクタは、複数のモバイルデバイスアンテナの集合した出力(入力)を表す仮想的な点として見られ得る。アンテナ915は、SPS受信機916に結合されてよく、複数の周波数帯域上でSPS信号を受信するために使用されてよい。いくつかの実施形態では、モバイルデバイス900によって受信されるSPS信号の測定は、アンテナ915とSPS受信機916との接続点において実行されてよい。
【0060】
1つまたは複数のプロセッサ902は、ハードウェア、ファームウェア、およびソフトウェアの組合せを使用して実装され得る。たとえば、1つまたは複数のプロセッサ902は、媒体920および/またはメモリ904などの非一時的コンピュータ可読媒体上に1つまたは複数の命令またはプログラムコード908を実装することによって、本明細書で説明する機能を実行するように構成され得る。いくつかの実施形態では、1つまたは複数のプロセッサ902は、モバイルデバイス900の動作に関係するデータ信号算出プロシージャまたはプロセスの少なくとも一部分を実行するように構成可能な1つまたは複数の回路を表してよい。
【0061】
媒体920および/またはメモリ904は、1つまたは複数のプロセッサ902によって実行されたとき、本明細書で開示する技法を実行するようにプログラムされた専用コンピュータとして1つまたは複数のプロセッサ902を動作させる実行可能コードまたはソフトウェア命令を含む、命令またはプログラムコード908を記憶し得る。モバイルデバイス900の中に示すように、媒体920および/またはメモリ904は、本明細書で説明する方法を実行するために1つまたは複数のプロセッサ902によって実装され得る1つまたは複数の構成要素またはモジュールを含んでよい。構成要素またはモジュールは、1つまたは複数のプロセッサ902によって実行可能な媒体920の中のソフトウェアとして図示されるが、構成要素またはモジュールが、メモリ904の中に記憶されてよく、あるいは1つもしくは複数のプロセッサ902の中またはプロセッサ外のいずれかにある専用ハードウェアであってもよいことを理解されたい。
【0062】
いくつかのソフトウェアモジュールおよびデータテーブルが、媒体920および/またはメモリ904の中に存在してよく、本明細書で説明する通信と機能の両方を管理するために1つまたは複数のプロセッサ902によって利用されてよい。モバイルデバイス900の中に示されるような媒体920および/またはメモリ904の内容の編成は例示的なものにすぎず、したがって、モジュールおよび/またはデータ構造の機能が、モバイルデバイス900の実装形態に応じて様々な方法で組み合わせられてよく、分離されてよく、かつ/または構造化されてよいことを、理解されたい。
【0063】
媒体920および/またはメモリ904は、1つまたは複数のプロセッサ902によって実装されたとき、本明細書で説明するように、第1のSVから受信された第1の測位信号のキャリア位相を回復するために、第1のSVから受信された、第2の測位信号について測定されたキャリア位相を使用するように、1つまたは複数のプロセッサ902を構成する、キャリア位相回復モジュール922を含み得る。
【0064】
本明細書で説明する方法は、適用例に応じて様々な手段によって実装され得る。たとえば、これらの方法は、ハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、またはそれらの任意の組合せで実装され得る。ハードウェア実装形態の場合、1つまたは複数のプロセッサ902は、1つまたは複数の特定用途向け集積回路(ASIC)、デジタル信号プロセッサ(DSP)、デジタル信号処理デバイス(DSPD)、プログラマブル論理デバイス(PLD)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、プロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ、マイクロプロセッサ、電子デバイス、本明細書で説明する機能を実行するように設計された他の電子ユニット、またはそれらの組合せにおいて実装され得る。
【0065】
ファームウェアおよび/またはソフトウェア実装形態の場合、方法は、本明細書で説明する機能を実行するモジュール(たとえば、プロシージャ、関数など)を用いて実装され得る。命令を有形に具現する任意の機械可読媒体が、本明細書で説明する方法を実装する際に使用され得る。たとえば、ソフトウェアコードは、1つまたは複数のプロセッサ902に接続される非一時的コンピュータ可読媒体920またはメモリ904に記憶されてもよく、1つまたは複数のプロセッサ902によって実行されてもよい。メモリは、1つもしくは複数のプロセッサ内に、または1つもしくは複数のプロセッサの外部に実装され得る。本明細書で使用する「メモリ」という用語は、任意のタイプの長期メモリ、短期メモリ、揮発性メモリ、不揮発性メモリ、または他のメモリを指し、任意の特定のタイプのメモリもしくは任意の特定の個数のメモリ、またはメモリがそこに記憶される任意の特定のタイプの媒体に限定されるべきではない。
【0066】
ファームウェアおよび/またはソフトウェアで実装される場合、機能は、媒体920および/またはメモリ904などの非一時的コンピュータ可読媒体上に1つまたは複数の命令またはプログラムコード908として記憶され得る。例は、データ構造を用いて符号化されたコンピュータ可読媒体、および、コンピュータプログラム908を用いて符号化されたコンピュータ可読媒体を含む。たとえば、プログラムコード908を記憶した非一時的コンピュータ可読媒体は、開示する実施形態に一致する方法でワイヤレス通信とSPS動作との並行した動作をサポートするためのプログラムコード908を含んでよい。非一時的コンピュータ可読媒体920は、物理コンピュータ記憶媒体を含む。記憶媒体は、コンピュータによってアクセスされ得る任意の利用可能な媒体であり得る。限定ではなく例として、そのような非一時的コンピュータ可読媒体は、RAM、ROM、EEPROM、CD-ROMもしくは他の光ディスク記憶、磁気ディスク記憶もしくは他の磁気記憶デバイス、または命令もしくはデータ構造の形態の所望のプログラムコード908を記憶するために使用され得るとともに、コンピュータによってアクセスされ得る、任意の他の媒体を備えることができ、本明細書で使用するディスク(disk)およびディスク(disc)は、コンパクトディスク(disc)(CD)、レーザーディスク(disc)、光ディスク(disc)、デジタル多用途ディスク(disc)(DVD)、フロッピーディスク(disk)、およびBlu-ray(登録商標)ディスク(disc)を含み、ここで、ディスク(disk)は、通常、データを磁気的に再生し、ディスク(disc)は、レーザーを用いてデータを光学的に再生する。上記の組合せも、コンピュータ可読媒体の範囲内に含まれるべきである。
【0067】
コンピュータ可読媒体920上での記憶に加えて、命令および/またはデータは、通信装置に含まれる伝送媒体上の信号として提供されてもよい。たとえば、通信装置は、命令およびデータを示す信号を有するワイヤレストランシーバ910を含み得る。命令およびデータは、1つまたは複数のプロセッサに、特許請求の範囲において概説する機能を実装させるように構成される。すなわち、通信装置は、開示する機能を実行するための情報を示す信号を有する伝送媒体を含む。
【0068】
メモリ904は、任意のデータ記憶機構を表し得る。メモリ904は、たとえば、1次メモリおよび/または2次メモリを含み得る。1次メモリは、たとえば、ランダムアクセスメモリ、読取り専用メモリなどを含み得る。この例では1つまたは複数のプロセッサ902とは別個であるものとして示されているが、1次メモリのすべてまたは一部が、1つまたは複数のプロセッサ902内に設けられることがあり、あるいは別様に1つまたは複数のプロセッサ902と同じ位置にある/結合されることがあることを理解されたい。2次メモリは、たとえば、1次メモリと同じもしくは同様のタイプのメモリ、および/または、たとえば、ディスクドライブ、光ディスクドライブ、テープドライブ、ソリッドステートメモリドライブなどの1つもしくは複数のデータ記憶デバイスもしくはシステムを含み得る。
【0069】
いくつかの実装形態では、2次メモリは、非一時的コンピュータ可読媒体920を動作可能に受け入れてもよく、または別様に非一時的コンピュータ可読媒体920に結合するように構成可能であってもよい。したがって、いくつかの例示的な実装形態では、本明細書で提示する方法および/または装置は、全体的または部分的に、コンピュータ実装可能コード908が記憶されていてもよいコンピュータ可読媒体920の形態をとってもよく、コンピュータ実装可能コード908は、1つまたは複数のプロセッサ902によって実行された場合、本明細書で説明するような例示的な動作のすべてまたは部分を実行することが有効に可能にされ得る。コンピュータ可読媒体920はメモリ904の一部であり得る。
【0070】
図10は、本明細書で説明するように、モバイルデバイス105または900などのモバイルデバイスによって実行される衛星測位システム(SPS)動作をサポートするための方法1000を示すフローチャートである。
【0071】
ブロック1002において、モバイルデバイス105は、第1の衛星ビークル(SV)から第1の測位信号および第2の測位信号を受信し得る。たとえば、第1および第2の測位信号は、GPS L1およびGPS L5信号、またはその逆、Galileo E1およびGalileo E5信号、またはその逆、BDS B1C信号およびBDS B2A信号、または同様のものであり得る。第1の衛星ビークル(SV)から第1の測位信号および第2の測位信号を受信するための手段は、RFICモジュール930もしくはモデムICを含むSPS受信機916、またはワイヤレストランシーバ910を、専用ハードウェアを有するかまたはメモリ904および/もしくは媒体920内の実行可能コードもしくはソフトウェア命令を実装する、1つまたは複数のプロセッサ902とともに含み得る。
【0072】
ブロック1004において、モバイルデバイス105は、第1の時間において、および第2の時間において、第1の測位信号のキャリア位相(CP)を測定し得る。第1の時間および第2の時間において、第1の測位信号のCPを測定するための手段は、RFICモジュール930もしくはモデムICを含むSPS受信機916、またはワイヤレストランシーバ910を、専用ハードウェアを有するか、またはメモリ904および/もしくはキャリア位相回復モジュール922など媒体920内の実行可能コードもしくはソフトウェア命令を実装する、1つまたは複数のプロセッサ902とともに含み得る。
【0073】
ブロック1006において、モバイルデバイス105は、第3の時間において、および第4の時間において、第2の測位信号のCPを測定し得る。一実装形態では、第1の時間は第3の時間に等しく、第2の時間は第4の時間に等しい。第3の時間において、および第4の時間において、第2の測位信号のCPを測定するための手段は、RFICモジュール930もしくはモデムICを含むSPS受信機916、またはワイヤレストランシーバ910を、キャリア位相回復モジュール922など、専用ハードウェアを有するかまたはメモリ904および/もしくは媒体920内の実行可能コードもしくはソフトウェア命令を実装する、1つまたは複数のプロセッサ902とともに含み得る。
【0074】
ブロック1008において、モバイルデバイス105は、第3の時間における第2の測位信号の測定されたCPと、第4の時間における第2の測位信号の測定されたCPとの間の差分に少なくとも部分的に基づいて、第2の時間における第1の測位信号の修正されたCPを推定し得る。一例では、第1の測位信号の修正されたCPを推定することは、第2の時間における第1の測位信号の測定されたCPの小数値になるように、修正されたCPの小数値を選択すること、ならびに第3の時間および第4の時間における第2の測位信号の測定されたCP間の差分に少なくとも部分的に基づいて、修正されたCPの整数値を選択することを含む。いくつかの態様では、修正されたCPの整数値を選択することは、第3の時間および第4の時間における第2の測位信号の測定されたCPの線形射影に少なくとも部分的に基づく。いくつかの態様では、第1の測位信号は、データ変調GNSS信号であり、第2の時間における第1の測位信号の修正されたCPを推定することは、ロックの喪失後のデータ変調GNSS信号における半サイクルの曖昧さを解決することを含む。第3の時間における第2の測位信号の測定されたCPと、第4の時間における第2の測位信号の測定されたCPとの間の差分に少なくとも部分的に基づいて、第2の時間における第1の測位信号の修正されたCPを推定するための手段は、RFICモジュール930もしくはモデムICを含むSPS受信機916、またはワイヤレストランシーバ910を、キャリア位相回復モジュール922など、専用ハードウェアを有するかまたはメモリ904および/もしくは媒体920内の実行可能コードもしくはソフトウェア命令を実装する、1つまたは複数のプロセッサ902とともに含み得る。
【0075】
いくつかの態様では、修正されたCPを推定することは、第1の時間の後、および第2の時間より前の、第1の測位信号のCPにおけるサイクルスリップの検出に応答するものである。別の態様では、修正されたCPを推定することは、第1の測位信号を受信するための1つまたは複数の回路が第1の時間と第2の時間との間に低電力状態であったとの決定に応答するものである。別の態様では、修正されたCPを推定することは、第1の時間と第2の時間との間の第1の測位信号の受信との干渉の存在の決定に応答するものである。一例では、第1の測位信号はGalileo E1信号であり、干渉の存在を決定することは、モバイルデバイス105によるB13帯またはB14帯における1つまたは複数の信号の送信または受信がGalileo E1信号の受信と干渉すると決定することを含み得る。一例では、第1の測位信号はBDS B1C信号であり、干渉の存在を決定することは、モバイルデバイス105によるB13帯またはB14帯における1つまたは複数の信号の送信または受信がBDS B1C信号の受信と干渉すると決定することを含み得る。別の例では、第1の測位信号はGPS L1信号であり、第1の測位信号の受信との干渉の存在を決定することは、別の衛星信号がGPS L1信号の受信と干渉すると決定することを含む。
【0076】
上記で説明した方法、システム、およびデバイスは例である。様々な構成が様々な手順または構成要素を適宜に省略、置換、または追加してよい。たとえば、代替構成では、方法は説明した順序とは異なる順序で実行されてよく、かつ/または様々な段階が追加されてよく、省略されてよく、かつ/もしくは組み合わせられてよい。また、いくつかの構成に関して説明する特徴は、様々な他の構成の中で組み合わせられてよい。構成の様々な態様および要素が、同様にして組み合わせられてよい。また、技術は発展し、したがって、要素の多くは例であり、本開示または特許請求の範囲を限定しない。
【0077】
衛星ベースの測位システムは、通常、送信機から受信される信号に少なくとも部分的に基づいて、エンティティが地球上または地球の上方でのそれらの位置を決定することを可能にするように配置された送信機のシステムを含む。そのような送信機は、通常、反復する擬似ランダム雑音(PN)符号を用いてマークされた信号を送信する。特定の例では、そのような送信機は、地球周回スペースビークル(SV)上に位置することがある。たとえば、全地球測位システムGPS、全地球ナビゲーション衛星システム(GLONASS)などの、全地球ナビゲーション衛星システム(GNSS)のコンスタレーションの中のSVは、コンスタレーションの中の他のSVによって送信されるPN符号から区別可能なPN符号を用いてマークされた信号を送信し得る。
【0078】
いくつかの態様によれば、本明細書で提示する技法は全地球システム(たとえば、GNSS)に制約されない。たとえば、本明細書で提供する技法は、たとえば、日本の頭上の準天頂衛星システム(QZSS)、インドの頭上のインド地域航法衛星システム(IRNSS)などの、様々な地域システム、ならびに/あるいは1つまたは複数の全地球および/または地域ナビゲーション衛星システムに関連し得るかまたはそれらとの使用のために別様に適合され得る、様々なオーグメンテーションシステム(たとえば、衛星ベースオーグメンテーションシステム(SBAS))に、適用され得るかまたはそれらにおける使用のために適合され得る。限定ではなく例として、SBASは、たとえば、ワイドエリアオーグメンテーションシステム(WAAS)、欧州静止ナビゲーションオーバーレイサービス(EGNOS)、多機能衛星オーグメンテーションシステム(MSAS)、GPS支援ジオオーグメンテッドナビゲーション、またはGPSおよびジオオーグメンテッドナビゲーションシステム(GAGAN)などの、完全性情報、差分補正などを提供するオーグメンテーションシステムを含んでよい。そのようなSBASは、たとえば、いくつかのワイヤレス通信信号などによって干渉されることもある、GNSS信号および/またはGNSSのような信号を送信し得る。したがって、本明細書で使用するとき、SPSは、1つまたは複数の全地球および/または地域ナビゲーション衛星システムおよび/またはオーグメンテーションシステムの任意の組合せを含み得る。
【0079】
(実装形態を含む)例示的な構成の完全な理解をもたらすために、具体的な詳細が説明の中で与えられる。しかしながら、構成は、これらの具体的な詳細なしに実践され得る。たとえば、構成を不明瞭にすることを回避するために、よく知られている回路、プロセス、アルゴリズム、構造、および技法は、不必要な詳細なしに示されている。この説明は例示的な構成を提供するにすぎず、特許請求の範囲の範囲、適用可能性、または構成を限定しない。むしろ、構成の前述の説明は、説明する技法を実装することを可能にする説明を当業者に提供する。本開示の趣旨または範囲から逸脱することなく、要素の機能および配置において様々な変更が行われてもよい。
【0080】
また、構成については、流れ図またはブロック図として図示されるプロセスとして説明することがある。流れ図またはブロック図は動作を逐次プロセスとして説明する場合があるが、動作の多くは並行してまたは同時に実行され得る。加えて、動作の順序は並べ替えられてよい。プロセスは、図の中に含まれない追加のステップを有してよい。さらに、方法の例は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、ミドルウェア、マイクロコード、ハードウェア記述言語、またはそれらの任意の組合せによって実装されてよい。ソフトウェア、ファームウェア、ミドルウェア、またはマイクロコードで実装されるとき、必要なタスクを実行するためのプログラムコードまたはコードセグメントは、記憶媒体などの非一時的コンピュータ可読媒体の中に記憶されてよい。プロセッサは、説明したタスクを実行してもよい。
【0081】
本明細書で使用する「および」および「または」という用語は、そのような用語が使用される文脈に少なくとも部分的に依存することが同じく予想される、様々な意味を含んでよい。一般に、「または」は、A、B、またはCなどのリストを関連付けるために使用される場合、ここでは包含的な意味で使用されるA、B、およびC、ならびに、ここでは排他的な意味で使用されるA、B、またはCを意味することが意図される。加えて、本明細書で使用する「1つまたは複数の」という用語は、単数の任意の特徴、構造、もしくは特性について説明するために使用され得るか、または特徴、構造、もしくは特性の何らかの組合せについて説明するために使用され得る。しかしながら、これは例示的な例にすぎず、特許請求される主題はこの例に限定されないことに留意されたい。さらに、「のうちの少なくとも1つ」という用語は、A、B、またはCなどのリストを関連付けるために使用される場合、A、AB、AA、AAB、AABBCCCなどの、A、B、および/またはCの任意の組合せを意味するものと解釈され得る。
【0082】
いくつかの例示的な構成について説明したが、本開示の趣旨から逸脱することなく、様々な変更形態、代替構成、および等価物が使用され得る。たとえば、上記の要素は、より大きいシステムの構成要素であってよく、ここにおいて、他のルールが、本発明の適用例よりも優先するか、またはそうでなければ本発明の適用例を変更し得る。また、上記の要素が考慮される前に、考慮される間に、または考慮された後に、いくつかのステップが着手されてよい。
【0083】
以下の番号付き条項において、実装例が説明される。
【0084】
1.モバイルデバイスによって実行される衛星測位システム(SPS)動作をサポートするための方法であって、
第1の衛星ビークル(SV)から第1の測位信号を受信するステップと、
第1のSVから第2の測位信号を受信するステップと、
第1の時間において、および第2の時間において、第1の測位信号のキャリア位相(CP)を測定するステップと、
第3の時間において、および第4の時間において、第2の測位信号のCPを測定するステップと、
第3の時間における第2の測位信号の測定されたCPと、第4の時間における第2の測位信号の測定されたCPとの間の差分に少なくとも部分的に基づいて、第2の時間における第1の測位信号の修正されたCPを推定するステップと
を含む方法。
【0085】
2.第1の測位信号の修正されたCPを推定するステップが、第2の時間における第1の測位信号の測定されたCPの小数値になるように、修正されたCPの小数値を選択するステップと、第3の時間における、および第4の時間における第2の測位信号の測定されたCP間の差分に少なくとも部分的に基づいて、修正されたCPの整数値を選択するステップとを含む、条項1の方法。
【0086】
3.修正されたCPの整数値を選択するステップが、第3の時間および第4の時間における第2の測位信号の測定されたCPの射影に少なくとも部分的に基づく、条項2の方法。
【0087】
4.第1の時間が第3の時間に等しく、第2の時間が第4の時間に等しい、条項1から3のいずれかの方法。
【0088】
5.修正されたCPが、第1の時間と第2の時間との間の第1の測位信号のCPにおけるサイクルスリップの検出に応答して推定される、条項1から4のいずれかの方法。
【0089】
6.修正されたCPが、第1の測位信号を受信するための1つまたは複数の回路が第1の時間と第2の時間との間に低電力状態であったとの決定に応答して推定される、条項1から5のいずれかの方法。
【0090】
7.修正されたCPが、第1の時間と第2の時間との間の第1の測位信号の受信との干渉の存在の決定に応答して推定される、条項1から6のいずれかの方法。
【0091】
8.第1の測位信号がGalileo E1信号であり、第1の測位信号の受信との干渉の存在を決定するステップが、モバイルデバイスによるB13帯またはB14帯における1つまたは複数の信号の送信または受信が、第1の時間と第2の時間との間のGalileo E1信号の受信と干渉すると決定するステップを含む、条項7の方法。
【0092】
9.第1の測位信号がGPS L1信号であり、第1の測位信号の受信との干渉の存在を決定するステップが、別の衛星信号が第1の時間と第2の時間との間のGPS L1信号の受信と干渉すると決定するステップを含む、条項7の方法。
【0093】
10.第1の測位信号が、データ変調全地球ナビゲーション衛星システム(GNSS)信号であり、第2の時間における第1の測位信号の修正されたCPを推定するステップが、ロックの喪失後のデータ変調GNSS信号における半サイクルの曖昧さを解決するステップを含む、条項1から7のいずれかの方法。
【0094】
11.第1の測位信号がGPS L1信号であり、第2の測位信号がGPS L5信号である、条項1から7のいずれかの方法。
【0095】
12.第1の測位信号がGPS L5信号であり、第2の測位信号がGPS L1信号である、条項1から7のいずれかの方法。
【0096】
13.第1の測位信号がGalileo E1信号であり、第2の測位信号がGalileo E5信号である、条項1から7のいずれかの方法。
【0097】
14.第1の測位信号がGalileo E5信号であり、第2の測位信号がGalileo E1信号である、条項1から7のいずれかの方法。
【0098】
15.衛星測位システム(SPS)動作をサポートするように構成されたモバイルデバイスであって、
複数の周波数帯域にわたって衛星測位システム(SPS)信号を受信するように構成されたSPS受信機と、
SPS受信機に結合されたプロセッサと
を備え、プロセッサが、
第1の衛星ビークル(SV)から第1の測位信号を受信すること、
第1のSVから第2の測位信号を受信すること、
第1の時間において、および第2の時間において、第1の測位信号のキャリア位相(CP)を測定すること、
第3の時間において、および第4の時間において、第2の測位信号のCPを測定すること、ならびに
第3の時間における第2の測位信号の測定されたCPと、第4の時間における第2の測位信号の測定されたCPとの間の差分に少なくとも部分的に基づいて、第2の時間における第1の測位信号の修正されたCPを推定すること
を行うように構成された、モバイルデバイス。
【0099】
16.プロセッサが、第2の時間における第1の測位信号の測定されたCPの小数値になるように、修正されたCPの小数値を選択すること、ならびに第3の時間における、および第4の時間における第2の測位信号の測定されたCP間の差分に少なくとも部分的に基づいて、修正されたCPの整数値を選択することによって、第1の測位信号の修正されたCPを推定するように構成された、条項15のモバイルデバイス。
【0100】
17.プロセッサが、第3の時間における、および第4の時間における第2の測位信号の測定されたCPの射影に少なくとも部分的に基づいて、修正されたCPの整数値を選択するように構成された、条項16のモバイルデバイス。
【0101】
18.第1の時間が第3の時間に等しく、第2の時間が第4の時間に等しい、条項15から17のいずれかのモバイルデバイス。
【0102】
19.プロセッサが、第1の時間と第2の時間との間の第1の測位信号のCPにおけるサイクルスリップを検出することによって、第1の測位信号のCPの測定が連続していないと決定するように構成された、条項15から18のいずれかのモバイルデバイス。
【0103】
20.プロセッサが、第1の測位信号を受信するための1つまたは複数の回路が第1の時間と第2の時間との間に低電力状態であったと決定することによって、第1の測位信号のCPの測定が連続していないと決定するように構成された、条項15から19のいずれかのモバイルデバイス。
【0104】
21.プロセッサが、第1の時間と第2の時間との間の第1の測位信号の受信との干渉の存在を決定することによって、第1の測位信号のCPの測定が連続していないと決定するように構成された、条項15から20のいずれかのモバイルデバイス。
【0105】
22.第1の測位信号がGalileo E1信号であり、プロセッサが、モバイルデバイスによるB13帯またはB14帯における1つまたは複数の信号の送信または受信が、第1の時間と第2の時間との間のGalileo E1信号の受信と干渉すると決定することによって、第1の測位信号の受信との干渉の存在を決定するように構成された、条項21のモバイルデバイス。
【0106】
23.第1の測位信号がGPS L1信号であり、プロセッサが、別の衛星信号が第1の時間と第2の時間との間のGPS L1信号の受信と干渉すると決定することによって、第1の測位信号の受信との干渉の存在を決定するように構成された、条項21のモバイルデバイス。
【0107】
24.第1の測位信号が、データ変調全地球ナビゲーション衛星システム(GNSS)信号であり、プロセッサが、ロックの喪失後のデータ変調GNSS信号における半サイクルの曖昧さを解決することによって、第2の時間における第1の測位信号の修正されたCPを推定するように構成された、条項15から20のいずれかのモバイルデバイス。
【0108】
25.第1の測位信号がGPS L1信号であり、第2の測位信号がGPS L5信号である、条項15から20のいずれかのモバイルデバイス。
【0109】
26.第1の測位信号がGPS L5信号であり、第2の測位信号がGPS L1信号である、条項15から20のいずれかのモバイルデバイス。
【0110】
27.第1の測位信号がGalileo E1信号であり、第2の測位信号がGalileo E5信号である、条項15から20のいずれかのモバイルデバイス。
【0111】
28.衛星測位システム(SPS)動作をサポートするように構成されたモバイルデバイスであって、
第1の衛星ビークル(SV)から第1の測位信号を受信するための手段と、
第1のSVから第2の測位信号を受信するための手段と、
第1の時間において、および第2の時間において、第1の測位信号のキャリア位相(CP)を測定するための手段と、
第3の時間において、および第4の時間において、第2の測位信号のCPを測定するための手段と、
第3の時間における第2の測位信号の測定されたCPと、第4の時間における第2の測位信号の測定されたCPとの間の差分に少なくとも部分的に基づいて、第2の時間における第1の測位信号の修正されたCPを推定するための手段と
を備えるモバイルデバイス。
【0112】
29.第1の測位信号の修正されたCPを推定するための手段が、第2の時間における第1の測位信号の測定されたCPの小数値になるように、修正されたCPの小数値を選択すること、ならびに第3の時間における、および第4の時間における第2の測位信号の測定されたCP間の差分に少なくとも部分的に基づいて、修正されたCPの整数値を選択することを行うように構成された、条項28のモバイルデバイス。
【0113】
30.プログラムコードを記憶した非一時的記憶媒体であって、プログラムコードが、衛星測位システム(SPS)動作をサポートするようにモバイルデバイスの中の少なくとも1つのプロセッサを構成するように動作可能であり、
第1の衛星ビークル(SV)から第1の測位信号を受信するためのプログラムコードと、
第1のSVから第2の測位信号を受信するためのプログラムコードと、
第1の時間において、および第2の時間において、第1の測位信号のキャリア位相(CP)を測定するためのプログラムコードと、
第3の時間において、および第4の時間において、第2の測位信号のCPを測定するためのプログラムコードと、
第3の時間における第2の測位信号の測定されたCPと、第4の時間における第2の測位信号の測定されたCPとの間の差分に少なくとも部分的に基づいて、第2の時間における第1の測位信号の修正されたCPを推定するためのプログラムコードと
を備える非一時的記憶媒体。
【符号の説明】
【0114】
100 システム
105、900 モバイルデバイス
111、115、117 SPS信号
112 測位衛星、SPS衛星、SV
116、118 測位衛星、SPS衛星
121 通信信号、ワイヤレス通信リンク、ワイヤレス信号
122 衛星ビークル、通信衛星
125、129 通信信号
126 地上波基地局、基地局
130 アクセスポイント
200 SPS信号
202 帯域、ARNS帯
204 周波数帯域
310 第1のCP
311 第1の値
312 サイクルスリップ
313 第3の値、測定された第3の値
315 デルタCP、CP差分
320 第2のCP
321 第2の値
323 第4の値
325 CP差分
410、420、430、440 候補値
450 単一の波長
460 予測されたCP、整数部分
510 重複する期間
810 時間期間
902 プロセッサ
904 メモリ
906 接続部
908 命令またはプログラムコード、コンピュータプログラム、プログラムコード、コンピュータ実装可能コード
910 ワイヤレストランシーバ
911 アンテナ、モバイルデバイスアンテナ
912 送信機
914 受信機
915 アンテナ
916 SPS受信機
920 非一時的コンピュータ可読媒体、媒体、コンピュータ可読媒体
922 キャリア位相回復モジュール
930 RFICモジュール
【国際調査報告】