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特表2024-506443ブラケットヒンジ装置及びこれを備えた乗用車
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-14
(54)【発明の名称】ブラケットヒンジ装置及びこれを備えた乗用車
(51)【国際特許分類】
   B62D 25/12 20060101AFI20240206BHJP
【FI】
B62D25/12 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023535410
(86)(22)【出願日】2021-12-10
(85)【翻訳文提出日】2023-06-09
(86)【国際出願番号】 EP2021085240
(87)【国際公開番号】W WO2022174954
(87)【国際公開日】2022-08-25
(31)【優先権主張番号】102021103876.6
(32)【優先日】2021-02-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】398037767
【氏名又は名称】バイエリシエ・モトーレンウエルケ・アクチエンゲゼルシヤフト
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100191835
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 真介
(74)【代理人】
【識別番号】100221981
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 大成
(74)【代理人】
【識別番号】100191938
【弁理士】
【氏名又は名称】高原 昭典
(72)【発明者】
【氏名】グスミニ・ロベルト
【テーマコード(参考)】
3D004
【Fターム(参考)】
3D004BA03
3D004CA13
(57)【要約】
【課題】ヒンジブラケットが荷物室トリムにおける開口部に隣り合う範囲の美観を改善し、構造を簡易化する。
【解決手段】開口部20を通して開放位置と閉鎖位置の間で移動するように構成されたヒンジブラケット35を有し、ヒンジブラケット35が、該ヒンジブラケットに対して固定されたヒンジブラケットカバー40で包囲されている、ブラケットヒンジ装置25において、ヒンジブラケットカバー40の外側が、荷物室リッド30とは反対の範囲に、ヒンジブラケットカバー40の長手方向Lにおいて拡がる部分を備えており、該拡がる部分が、開放位置における開口部20を閉鎖するように構成されており、ヒンジブラケットカバー40の内側が、ヒンジブラケット35の外側に対して接触する支持部分を備えており、支持部分が、ヒンジブラケットカバー40の長手方向Lに見て、ヒンジブラケットカバー40の拡がる部分から離間している。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷物室リッド(30)を取付可能であって乗用車(1)の荷物室トリム(10)に位置するとともに壁部(15)によって画定された開口部(20)を通して開放位置と閉鎖位置の間で移動するように構成されたヒンジブラケット(35)を有し、ヒンジブラケット(35)が、該ヒンジブラケットに対して位置固定されたヒンジブラケットカバー(40)によって包囲されている、ブラケットヒンジ装置(25)において、
-ヒンジブラケットカバー(40)の外側(47)が、荷物室リッド(30)とは反対の範囲に、ヒンジブラケットカバー(40)の長手方向(L)において拡がる部分(49)を備えており、該拡がる部分が、開放位置における開口部(20)を閉鎖するように構成されており、
-ヒンジブラケットカバー(40)の内側(42)が、ヒンジブラケット(35)の外側に対して少なくとも部分的に接触する少なくとも1つの支持部分(45)を備えており、
-少なくとも1つの支持部分(45)が、ヒンジブラケットカバー(40)の長手方向(L)に見て、ヒンジブラケットカバー(40)の拡がる部分(49)から離間している
ことを特徴とするブラケットヒンジ装置。
【請求項2】
ヒンジブラケットカバー(40)の長手方向(L)において拡がる部分(49)が、連続的な区間(70)として、又はヒンジブラケットカバー(40)から突出する段部(50)として形成されており、荷物室リッド(30)とは反対側において、壁部(15)と協働するガイド部分(55)を備えていることを特徴とする請求項1に記載のブラケットヒンジ装置(25)。
【請求項3】
ヒンジブラケットカバー(40)の断面積が、開放位置において壁部(15)に隣り合う範囲において、ヒンジブラケットカバー(40)のここから離間した範囲よりも大きいことを特徴とする請求項2に記載のブラケットヒンジ装置(25)。
【請求項4】
ヒンジブラケット(35)に対して接触する支持部分(45)が、ヒンジブラケットカバー(40)から突出するウェブとして形成されていることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載のブラケットヒンジ装置(25)。
【請求項5】
荷物室トリム(10)を備え荷物室リッド(30)によって選択的に開放可能又は閉鎖可能な荷物室(5)を有する乗用車(1)であって、荷物室トリム(10)が、壁部(15)によって画定された開口部(20)を備えており、荷物室リッド(30)を一端に備えたブラケットヒンジ装置(25)の一部が開口部を貫通して移動可能である、前記乗用車において、
ブラケットヒンジ装置(25)が請求項1~4のいずれか1項に従って形成されていることを特徴とする乗用車。
【請求項6】
ヒンジブラケットカバー(40)の壁部(15)及び段部(50)が、開放位置において、平坦な面(60)を形成していることを特徴とする請求項5に記載の、及び請求項2~4のいずれか1項に記載のブラケットヒンジ装置を有する乗用車(1)。
【請求項7】
壁部(15)が、荷物室リッド(30)の反対側から荷物室リッド(30)の方向へ先細になっていることを特徴とする請求項5又は6に記載の乗用車(1)。
【請求項8】
ガイド部分(55)が開放位置において壁部(15)に対して接触していることを特徴とする請求項5~7のいずれか1項に記載の、及び請求項2~4のいずれか1項に記載のブラケットヒンジ装置を有する乗用車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1によるブラケットヒンジ装置と、請求項5による、これを備えた乗用車とに関するものである。
【背景技術】
【0002】
乗用車に配置されたブラケットヒンジ装置は、例えば特許文献1又は特許文献2から知られているように、荷物室リッド、すなわちテールゲート又はトランクリッドを荷物室に対して開放可能あるいは閉鎖可能に構成するために用いられる。このために、ブラケットヒンジ装置は、一端でテールゲート又はトランクリッドに取り付けられたヒンジブラケットを備えている。ヒンジブラケットは、オプションで、当該端部とは反対の端部において、モータ式に駆動される駆動機構と作用結合されることが可能である。ヒンジブラケットは、荷物室の荷物室トリムに位置する開口部を通した相対運動が可能であるように支持されている。
【0003】
特許文献3、特許文献4及び特許文献5から、それぞれ、ヒンジブラケットを有するブラケットヒンジ装置が知られており、当該ヒンジブラケットには荷物室リッドを取付可能であるとともに、当該ヒンジブラケットは、乗用車の荷物室トリムに配置された、壁部によって画定された開放位置と閉鎖位置の間の開口部を通して移動するように構成されている。ヒンジブラケットは、当該ヒンジブラケットに対して位置固定されたヒンジブラケットカバーによって包囲されているため、ヒンジブラケットは、ヒンジブラケットカバーによって本質的に覆われているか、あるいはヒンジブラケットカバーが取り付けられた状態で、及び特に荷物室リッドが完全に開放されている場合に、ユーザの視認範囲(視野)において隠される。
【0004】
最後に、特許文献6から、ヒンジブラケットを有するブラケットヒンジ装置が知られており、当該ヒンジブラケットには荷物室リッドを取付可能であるとともに、当該ヒンジブラケットは、乗用車の荷物室トリムに配置された、壁部によって画定された開放位置と閉鎖位置の間の開口部を通して移動するように構成されている。当該文献から知られたヒンジブラケットは、テレスコープ式(伸縮式)に形成されており、したがって、位置固定してヒンジブラケットカバーによって包囲されていない。
【0005】
運用において、ヒンジブラケットが荷物室の荷物室トリムにおける開口部に隣り合う範囲に、好ましくない態様において、観察者から必ずしも美観を起こさせない継ぎ目が存在することが明らかになった。さらに、従来技術から知られた装置は、好ましくない態様において、複雑な構造を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第2947025号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2016/0251036号明細書
【特許文献3】独国特許出願公開第102006028008号明細書
【特許文献4】独国特許発明第19734320号明細書
【特許文献5】中国特許出願公開第111661168号明細書
【特許文献6】独国特許出願公開第102018125552号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の課題は、上記欠点を克服することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
当該課題は、荷物室リッドを取付可能であって乗用車の荷物室トリムに位置するとともに壁部によって画定された開口部を通して開放位置と閉鎖位置の間で移動するように構成されたヒンジブラケットを有し、ヒンジブラケットが、該ヒンジブラケットに対して位置固定されたヒンジブラケットカバーによって包囲されている、ブラケットヒンジ装置によって解決される。本発明によるブラケットヒンジ装置は、ヒンジブラケットカバーの外側が、荷物室リッドとは反対の範囲に、ヒンジブラケットカバーの長手方向において拡がる部分を備えており、該拡がる部分が、開放位置における開口部を閉鎖するように構成されていることを特徴としている。また、本発明によれば、ヒンジブラケットカバーの内側が、ヒンジブラケットの外側に対して少なくとも部分的に接触する少なくとも1つの支持部分を備えるようになっている。このとき、少なくとも1つの支持部分は、ヒンジブラケットカバーの長手方向に見て、ヒンジブラケットカバーの拡がる部分から離間している。
【0009】
継ぎ目の完全の閉鎖が本発明により設定されているが、特に温度に起因する部材公差を補整する必要があるため、実際には必ずしも可能でないことに留意すべきである。したがって、ここで本発明により閉鎖された開口部という場合には、これは、開口部が拡がる部分によって完全に閉鎖された場合のみならず、段部と壁部の間に部材公差による隙間も含む。しかし、当該隙間は、従来技術から公知の継ぎ目に比して大幅に小さく形成されているとともに、最大で2mm、特に好ましくは1mmの幅を有している。さらに、有利には、隙間は、開口部において、ヒンジブラケットカバーの周囲の全ての側のみならず、1つの側又は2つの側でのみ隣り合って設けられることができる。したがって、有利には、驚くほど容易かつ比較的安価な構造によって、従来技術から知られた継ぎ目の視覚的に好都合で顧客価値のある機能的なカバーが可能である。
【0010】
また、上記壁部は、開口部を画定する荷物室トリム自体の一部、又は荷物室トリムの縁部において、及び当該縁部を少なくとも部分的に囲むように配置された追加的な部材、特にシェードであり得ることに留意すべきである。
【0011】
既に開示したように、ヒンジブラケット及びヒンジブラケットカバーは互いに結合されており、特に、ヒンジブラケットカバーは、ヒンジブラケットにクリップ留めされることができるか、又は螺着されることが可能である。
【0012】
荷物室リッドは、ヒンジブラケットの適切な旋回運動によって、当該荷物室リッドが荷物室を開放する開放位置を占めるまで、荷物室を閉鎖する閉鎖位置から移動する。このとき、ヒンジブラケットと、該ヒンジブラケットを覆うヒンジブラケットカバーとは、荷物室トリムに配置されつつ壁部によって包囲された開口部を通して移動する。荷物室トリムと壁部の間にある継ぎ目の大きさは、ヒンジブラケットカバーの上記旋回運動あるいは開放運動が壁部に対して本質的に接触なく行われるように寸法設定されている。これにより、有利には、そのほか存在する上記要素の摩擦運動により生じる騒音及び表面損傷がなくなる。
【0013】
ヒンジブラケットを覆うヒンジブラケットカバーは、閉鎖位置を占めるためのその移動時に、製造に起因する寸法偏差と、関連する部材の大きさ及び数に関連した非常に大きな公差の連鎖とを補整することができるように、ある程度フレキシビリティを有する必要があることはいうまでもない。他方で、その他の点でも十分な機械的な安定性を有するように、ヒンジブラケットカバーのフレキシビリティは大きすぎてはならない。したがって、荷物室に隣り合うヒンジブラケットカバーの範囲は、少なくとも支持部分をもってヒンジブラケットに接触する一方、当該端部から離れた範囲では、ヒンジブラケットから離間しているように構成されている。特に有利には、ヒンジブラケットカバーの長手方向に拡がる部分が支持部分を有さないように構成されている。有利には、これにより、一方ではブラケットヒンジ装置の剛性を向上させる措置が荷物室リッドの近傍に得られ、他方では、反対に剛性を低減する措置が、荷物室リッドから離れたヒンジブラケットカバーの範囲に得られる。
【0014】
したがって、特に、本発明は、有利には、弾性的に自己調心するヒンジブラケットカバーを有するブラケットヒンジ装置を提供する。
【0015】
本発明によるブラケットヒンジ装置の好ましい一実施形態によれば、ヒンジブラケットカバーの長手方向において拡がる部分が、連続的な区間として、又はヒンジブラケットカバーから突出する段部として形成されており、荷物室リッドとは反対側において、壁部と協働するガイド部分を備えているようになっている。換言すれば、ヒンジブラケットカバーは、開放された位置でガイド部分と隣り合う範囲に対して連続的に、あるいは段部の場合には跳躍的に拡大されている。これにより、ガイド部分は、荷物室リッドの閉鎖時に少なくとも部分的に壁部に対して接触し壁部によってガイド及び向き調整されるように、本質的に、対応して構成された乗用車の車両高さ方向に延在している。ここから離間したヒンジブラケットカバーの外側の部分は、ガイド部分から離れており、したがって、トランクリッドの移動時にはガイド部分によってガイドされない。全体として、これにより、有利には、荷物室リッドが開放位置を占めることが容易となる。
【0016】
特に好ましくは、ガイド部分は、ヒンジブラケットカバーが突出した段部を有する場合に、乗用車の取付位置に見て、ユーザの視認範囲外あるいは荷物室リッドの下方に配置されている。したがって、ガイド部分が完全に覆われ、これにより、本発明による装置の美観的な印象が更に改善される。
【0017】
本発明によるブラケットヒンジ装置の別の好ましい一実施形態によれば、ヒンジブラケットカバーの断面積が、開放位置において壁部に隣り合う範囲において、ヒンジブラケットカバーのここから離間した範囲よりも大きいようになっている。したがって、ヒンジブラケットカバーは、完全に開放された位置で、及びその長手方向に見て、本質的にガイド部分の範囲において、これについてガイド部分の下方及び/又は上方に位置する歯によりも大きな横方向における拡張部を有するようになっている。これにより、有利には、視覚的に特に魅力的、かつ、機能的なヒンジブラケットカバーが得られる。
【0018】
特に好ましい一実施形態によれば、完全に走出されたヒンジブラケットカバーの全長における剛性が高められた部分は本質的に3/4である一方、これに対して、剛性が低減された部分は、完全に走出されたヒンジブラケットカバーの全長の1/4に相当する。好ましい別の一実施形態によれば、完全に走出されたヒンジブラケットカバーの全長における剛性が高められた部分は本質的に1/3である一方、これに対して、剛性が低減された部分は、完全に走出されたヒンジブラケットカバーの全長の2/3に相当する。好ましい別の一実施形態によれば、完全に走出されたヒンジブラケットカバーの全長における剛性が高められた部分は本質的に1/4である一方、これに対して、剛性が低減された部分は、完全に走出されたヒンジブラケットカバーの全長の3/4に相当する。これに代えて、完全に走出されたヒンジブラケットカバーの全長における剛性が高められた部分と、これに対して剛性が低減された部分とが、それぞれ、本質的に完全に走出されたヒンジブラケットカバーの全長の半分に相当するように構成することが可能である。上記区間あるいはヒンジブラケットカバーの全長におけるその割合の寸法設定の各始点は、荷物室リッドと隣り合うヒンジブラケットカバーの範囲にある。
【0019】
好ましくは、ヒンジブラケットに対して接触する支持部分がヒンジブラケットカバーから突出したウェブとして形成されていれば、荷物室リッドの範囲における上記剛性を向上させる比較的簡単な手段が得られる。このことは、いくつかの上記支持部分が設けられている場合には更に当てはまる。有利には、当該支持部分は、ヒンジブラケットカバーの内側からヒンジブラケットの方向へ突出する、後者に対して支持され、及び/又はその中に設けられた収容部において支持されたウェブとして形成されることができる。
【0020】
上記課題は、同様に、荷物室トリムを備えた、一端でブラケットヒンジ装置に固定された荷物室リッドによって選択的に開放され、又は閉鎖されることが可能な荷物室を有する乗用車によっても解決され、ブラケットヒンジ装置は、既に開示した態様に従って形成されている。これについて示す利点は十分に当てはまる。
【0021】
好ましい一実施形態によれば、ヒンジブラケットカバーの壁部及び段部は、開放位置において、平坦な面を形成するようになっている。これにより、有利には、開放された荷物室リッドにおける本発明による装置の特に魅力的な形態が得られる。しかし、他の視覚的な態様も可能であることはいうまでもない。したがって、ヒンジブラケットカバーの段部と荷物室リッドの間の移行部は、平坦な面としてではなく、特に傾斜部又は段部の形状で形成することが可能である。
【0022】
既に開示したように、移動するヒンジブラケットカバーがある程度のガイドを受ければ好都合である。したがって、有利には、壁部が、荷物室リッドの反対側から荷物室リッドの方向へ先細になっているように構成されている。
【0023】
好ましい一実施形態によれば、ガイド部分及び壁部が荷物室トリムによって描かれる仮想的な平面に対して垂直に配置されているようになっている。これにより、開口部を通して移動するヒンジブラケットカバーの良好なガイドのみならず、荷物室リッドの開放位置において並んで位置する段部及び荷物室トリムの美観的な形態も得られる。
【0024】
以下に、縮尺どおりではない添付の図面を参照しつつ、本発明の一実施例を非予断的に、特に制限的に詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明によるブラケットヒンジ装置を有する本発明による乗用車の一部の斜視図である。
図2図1に図示されたブラケットヒンジ装置の断面図である。
図3】ブラケットヒンジ装置を有する乗用車の一部の、図1に図示された実施形態に対して代替的な実施形態を斜視図で示す図である。
図4】内側からのヒンジブラケットカバーの一部を示す図である。
図5】部分的に形成されたヒンジブラケットカバーの代替的な一実施形態の拡大された断面図をガイド部分の範囲において示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1には本発明による乗用車1の一部が示されており、当該乗用車の荷物室(トランク)5は、公知の態様において、荷物室トリム(トランクトリム)10を備えている。荷物室トリム10には、壁部15によって画定された、本質的に長方形の断面を有する開口部20が配置されている。公知の態様で、荷物室トリム10から離れたブラケットヒンジ装置25の端部に固定された荷物室リッド30を用いて荷物室5を選択的に開閉するために、ブラケットヒンジ装置25は、開口部20を貫通して、その長手方向Lに合わせて手動で、又は車両高さ方向zの方向又はその逆方向へモータ式に駆動されて移動可能である。図1に示された位置では、荷物室リッド30は、完全に開放されており、したがって、その開口位置にある。
【0027】
ブラケットヒンジ装置25は、図1では象徴的にのみ図示されたヒンジブラケット35を含んでおり、当該ヒンジブラケットは、その外側において、ヒンジブラケットカバー40によって包囲されている。本発明のより良好な理解のために、図1のブラケットヒンジ装置25が、再度図2において断面図で示されている。ブラケットヒンジ装置の図2における上方の範囲、すなわち荷物室リッド30の近傍では、ヒンジブラケットカバー40が、その内側42において、ヒンジブラケット35に対して接触するいくつかの支持部分45を備えている。ここで示される実施形態により同一の大きさのウェブとして形成された支持部分45は、xy平面において見て、本質的にU字状の形態を備えているとともに、上述の上方の範囲におけるヒンジブラケットカバー40の全体剛性を高めるために、3つの側においてヒンジブラケット35を包囲している。
【0028】
一方、ブラケットヒンジ装置25の下方の範囲、すなわち荷物室トリム10の近傍には支持部分45は設けられていない。むしろ、荷物室リッド30から遠位へ離れたヒンジブラケットカバー40の端部は、その外側47において、拡がる部分49を備えており、当該部分は、ここに示される実施例によれば、ヒンジブラケット35から離れるか、あるいはヒンジブラケットから突出する周設された段部50として形成されており、ガイド部分55が、当該段部からヒンジブラケットカバー40の長手方向において図2における下方へ延びている。
【0029】
閉鎖位置にある荷物室リッド30が開放されるべき場合には、ブラケットヒンジ装置25は、開口部20を通して、図2に合わせて上方へ移動する。ヒンジブラケットカバー40のガイド部分55を所望の位置へ容易にもたらすことができるよう、壁部15は、ガイド部分55が側方で壁部15に対して接触する距離一定の範囲へ移行するために、最初は先細に形成されている。荷物室リッド30の図示の開放位置では、ガイド部分55は、開口部20において、一方側で壁部15に対して接触し、車両高さ方法zを除いて上方の範囲に比べて小さなブラケットヒンジ装置25の剛性により、場合によってはあり得る、ヒンジブラケット35に対するヒンジブラケットカバー40の下側の範囲の相対運動が所望されている。最終的に占められる図2による閉鎖位置では、段部50及び壁部10は、本質的に段のない、ここに示された実施形態によればxy平面において延びる平坦な面60を更に形成する。壁部15及びガイド部分55の接触範囲に対向する、壁部15とガイド部分55の間の隙間65は、もしあれば公差により形成され、壁部とヒンジブラケットの間の従来技術から知られた接合部(それぞれ不図示)よりも認識できるほど小さい。したがって、開口部20自体及び場合によってはその中にある物体は、視認範囲境界S-S内では、ここでは不図示の観察者から認識することができない。
【0030】
本実施例によれば、上記上方の範囲は、本質的にヒンジブラケットカバー40から完全に走出されたヒンジブラケットカバー40の全長の1/3の長さとなっている一方、上記下方の範囲は、本質的にヒンジブラケットカバー40から完全に走出されたヒンジブラケットカバー40の全長の2/3の長さとなっていることに留意すべきである。しかし、図2において線B-Bによって象徴化された長さ比率は、強制的なものではなく、むしろ、ブラケットヒンジ装置25の所望の剛性に応じて他の長さ比率を設定することも可能である。したがって、特に、適切な措置、特に荷物室リッド30に近い配置及び/又は部分45の数の増大及び/又は部分45の幾何学的な適合によって、比較的剛直な範囲をより短くすることが可能である。
【0031】
図3には、開放位置にある本発明によるブラケットヒンジ装置25を有する本発明による乗用車1の一部の、図1に図示された実施形態に対して代替的な実施形態が斜視図で示されている。当該実施形態では、拡がる部分49は段部50としてではなく、連続的な区間70として形成されており、当該区間の大きさは、仮想的なxy平面あるいは幅において、長手方向Lに見て、荷物室リッド30に近い範囲から開口部20の方向へ増大している。本実施形態においても、最後に挙げた範囲には支持部分45が設けられていない。
【0032】
図4には、ヒンジブラケットカバー25の一部が内方から示されている。ヒンジブラケットカバー40は、当該ヒンジブラケットカバーの上方のヘッド状に形成された部分をもって、荷物室リッド30の範囲において、ここでは不図示の荷物室トリムに固定される。その長手方向Lに見て左右には、対称な配置において、それぞれ4つの支持部分45が配置されており、当該支持部分は、仮想的なxy平面においてそれぞれ本質的にL字状に形成されている。L字状の各支持部分45は、取り付けられた状態において、その各接触部分75あるいは接触部分80をもって、本図では不図示のヒンジブラケット35に接触している。図4では、1つの支持部分45のみに接触部分75あるいは接触部分80についての符号が付されているが、全ての支持部分45がそれぞれ1つの接触部分75あるいは接触部分80を備えていることに留意すべきである。
【0033】
支持部分45は、長手方向Lに見て、荷物室リッド35に隣り合う範囲から下方の範囲Bまで分配して配置されている。対応する区間は、本質的に、ヒンジブラケットカバー40の全長の2/3である。下方の範囲を分離する仮想的な境界を越えて、すなわち、取り付けられた状態で荷物室トリム10と隣り合うヒンジブラケットカバー40の部分の方向には、支持部分45が設けられていないため、当該範囲は、荷物室リッド35と隣り合う範囲に比べてわずかな剛性で形成されている。更に離れた部分では、連続的な区間70として形成された拡がる部分49が設けられており、当該拡がる部分は、取り付けられた状態で、及びここでは不図示の荷物室リッド30の開放位置において、壁部15に対して本質的に接触する。見て取れるように、部分49は、当該箇所において、仮想的なxy平面において最大の幅あるいは拡張部を有している。これに対して、部分49の上方及び下方では、各幅あるいは拡張部は、符号85及び90で象徴化されているようにより小さい。
【0034】
図5には、部分的に形成されたヒンジブラケットカバー40の代替的な一実施形態の拡大された断面図がガイド部分55の範囲において示されており、見やすさの理由から、ヒンジブラケット35自体の図示は省略されているとともに、本来設けられている支持部分45は、選択された図の部分により視認可能ではない。拡がる部分49は連続的な区間70として形成されており、仮想的なxy平面におけるその最大の拡張部あるいは幅は、荷物室リッド30のここでは不図示の設置状態において壁部15に対して接触するヒンジブラケットカバー40の範囲にある。一方、これによりも上方に位置する部分85あるいは下方に位置する部分90の拡張部は、より小さいとともに、ほぼ障害なく、したがって低騒音で、しかしガイド部分55によって空間的にコントロールされたヒンジブラケットカバー40の移動を可能とする。
【0035】
図1及び図3に示された乗用車1の部分はいわばその右側において図示されていることに留意すべきである。しかし、上述の説明は、同様に本発明によるブラケットヒンジ装置25を備えたここでは不図示の左側についても同様に当てはまり、その構造は、図1あるいは図3に示されているものの長手中心平面(xz平面)において鏡面対象であるブラケットヒンジ装置25の構造に対応している。
【符号の説明】
【0036】
1 乗用車
5 荷物室
10 荷物室トリム
15 壁部
20 開口部
25 ブラケットヒンジ装置
30 荷物室リッド
35 ヒンジブラケット
40 ヒンジブラケットカバー
42 内側
45 支持部分
47 外側
49 拡がる部分
50 段部
55 ガイド部分
60 平坦な面
65 隙間
70 連続的な区間
75 接触部分
80 接触部分
85 部分
90 部分
B-B 上側/下側の範囲の境界
L 長手方向
S-S 視認範囲境界
x,y,z ISO4130-1978によるデカルト座標系の座標
図1
図2
図3
図4
図5
【国際調査報告】