(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-15
(54)【発明の名称】E-セレクチンインヒビター中間体を調製するプロセス
(51)【国際特許分類】
C07H 15/207 20060101AFI20240207BHJP
C07F 7/18 20060101ALI20240207BHJP
C07B 61/00 20060101ALN20240207BHJP
【FI】
C07H15/207
C07F7/18 J
C07B61/00 300
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023549578
(86)(22)【出願日】2022-02-17
(85)【翻訳文提出日】2023-09-22
(86)【国際出願番号】 US2022016696
(87)【国際公開番号】W WO2022178057
(87)【国際公開日】2022-08-25
(32)【優先日】2021-02-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】506167421
【氏名又は名称】グリコミメティクス, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ゴーシュ, インドラナト
【テーマコード(参考)】
4C057
4H039
4H049
【Fターム(参考)】
4C057AA17
4C057AA18
4C057AA19
4C057BB02
4C057CC01
4C057DD01
4C057JJ25
4H039CA12
4H039CA60
4H049VN01
4H049VP01
4H049VQ21
4H049VQ28
4H049VR21
4H049VR43
4H049VT04
4H049VU36
4H049VV06
4H049VW02
4H049VW38
(57)【要約】
E-セレクチンインヒビターの合成において有用な中間体を合成するプロセスが、提供される。そのプロセスから得られた有用な中間体もまた、提供される。本発明に係るプロセスは、(a)化合物2aのエポキシド開環であって、少なくとも1種のハロゲン化エチルマグネシウム、少なくとも1種の銅(I)塩、および少なくとも1種のルイス酸の使用を含む、化合物2aのエポキシド開環;ならびに、(b)化合物1のエポキシ化であって、ペルオキシ一硫酸カリウムおよび少なくとも1種の塩基の使用を含む、化合物1のエポキシ化から選択される少なくとも1つの工程を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
化合物16
【化26】
を生成するプロセスであって、
(a)化合物2aのエポキシド開環であって、少なくとも1種のハロゲン化エチルマグネシウム、少なくとも1種の銅(I)塩、および少なくとも1種のルイス酸の使用を含む、化合物2a
【化27】
のエポキシド開環;ならびに
(b)化合物1のエポキシ化であって、
ペルオキシ一硫酸カリウムおよび少なくとも1種の塩基の使用を含む、化合物1
【化28】
のエポキシ化
から選択される少なくとも1つの工程を含む、プロセス。
【請求項2】
工程(a)および工程(b)を含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
前記少なくとも1種のハロゲン化エチルマグネシウムが塩化エチルマグネシウムである、請求項1または2に記載のプロセス。
【請求項4】
前記少なくとも1種の銅(I)塩が臭化銅(I)-ジメチルスルフィド錯体である、請求項1~3のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項5】
前記少なくとも1種のルイス酸が三フッ化ホウ素エーテラートである、請求項1~4のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項6】
前記少なくとも1種の塩基が金属炭酸塩から選択される、請求項1~5のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項7】
前記金属炭酸塩がNaHCO
3である、請求項6に記載のプロセス。
【請求項8】
工程(a)をTHFおよび/またはシクロペンチルメチルエーテルの存在下で実施する、請求項1~7のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項9】
工程(a)をTHFの存在下で実施する、請求項8に記載のプロセス。
【請求項10】
工程(a)をシクロペンチルメチルエーテルの存在下で実施する、請求項8に記載のプロセス。
【請求項11】
工程(a)を-100℃~-60℃の範囲内の温度で実施する、請求項1~10のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項12】
工程(a)を約-78℃で実施する、請求項11に記載のプロセス。
【請求項13】
工程(a)における前記銅(I)塩対前記ハロゲン化エチルマグネシウムのモル比が約1対3である、請求項1~12のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項14】
工程(b)をアセトンおよび/または水の存在下で実施する、請求項1~13のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項15】
工程(b)をアセトンおよび水の存在下で実施する、請求項14に記載のプロセス。
【請求項16】
工程(b)を-10℃~30℃の範囲内の温度で実施する、請求項1~15のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項17】
工程(b)を約0℃で実施する、請求項16に記載のプロセス。
【請求項18】
化合物3
【化29】
を生成するプロセスであって、
(a)化合物2aのエポキシド開環であって、少なくとも1種のハロゲン化エチルマグネシウム、少なくとも1種の銅(I)塩、および少なくとも1種のルイス酸の使用を含む、化合物2a
【化30】
のエポキシド開環;ならびに
(b)化合物1のエポキシ化であって、ペルオキシ一硫酸カリウムおよび少なくとも1種の塩基の使用を含む、化合物1
【化31】
のエポキシ化
から選択される少なくとも1つの工程を含む、プロセス。
【請求項19】
工程(a)および工程(b)を含む、請求項18に記載のプロセス。
【請求項20】
前記少なくとも1種のハロゲン化エチルマグネシウムが塩化エチルマグネシウムである、請求項18または19に記載のプロセス。
【請求項21】
前記少なくとも1種の銅(I)塩が臭化銅(I)-ジメチルスルフィド錯体である、請求項18~20のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項22】
前記少なくとも1種のルイス酸が三フッ化ホウ素エーテラートである、請求項18~21のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項23】
前記少なくとも1種の塩基が金属炭酸塩から選択される、請求項18~22のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項24】
前記金属炭酸塩がNaHCO
3である、請求項23に記載のプロセス。
【請求項25】
工程(a)をTHFおよび/またはシクロペンチルメチルエーテルの存在下で実施する、請求項18~24のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項26】
工程(a)をTHFの存在下で実施する、請求項25に記載のプロセス。
【請求項27】
工程(a)をシクロペンチルメチルエーテルの存在下で実施する、請求項25に記載のプロセス。
【請求項28】
工程(a)を-100℃~-60℃の範囲内の温度で実施する、請求項18~27のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項29】
工程(a)を約-78℃で実施する、請求項28に記載のプロセス。
【請求項30】
工程(a)における前記銅(I)塩対前記ハロゲン化エチルマグネシウムのモル比が約1対3である、請求項18~29のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項31】
工程(b)をアセトンおよび/または水の存在下で実施する、請求項18~30のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項32】
工程(b)をアセトンおよび水の存在下で実施する、請求項31に記載のプロセス。
【請求項33】
工程(b)を-10℃~30℃の範囲内の温度で実施する、請求項18~32のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項34】
工程(b)を約0℃で実施する、請求項33に記載のプロセス。
【請求項35】
化合物16
【化32】
を生成するプロセスであって、
化合物2a
【化33】
のエポキシド開環の工程を含み、前記化合物2aのエポキシド開環の工程が、少なくとも1種のハロゲン化エチルマグネシウム、少なくとも1種の銅(I)塩、および少なくとも1種のルイス酸の使用を含む、プロセス。
【請求項36】
前記少なくとも1種のハロゲン化エチルマグネシウムが塩化エチルマグネシウムである、請求項35に記載のプロセス。
【請求項37】
前記少なくとも1種の銅(I)塩がハロゲン化銅(I)、銅(I)トリフラート、銅(I)チオフェノキシド、シアン化銅(I)、および2-チエニル(シアノ)銅リチウムから選択される、請求項35~36のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項38】
前記少なくとも1種の銅(I)塩が塩化銅(I)である、請求項35~36のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項39】
前記少なくとも1種の銅(I)塩が臭化銅(I)である、請求項35~36のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項40】
前記少なくとも1種の銅(I)塩がヨウ化銅(I)である、請求項35~36のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項41】
前記少なくとも1種の銅(I)塩が臭化銅(I)-ジメチルスルフィド錯体である、請求項35~36のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項42】
前記少なくとも1種のルイス酸が三ハロゲン化ホウ素およびアルミニウムトリフラートから選択される、請求項35~41のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項43】
前記少なくとも1種のルイス酸が三フッ化ホウ素,三塩化ホウ素、および三臭化ホウ素から選択される、請求項35~41のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項44】
前記少なくとも1種のルイス酸が三塩化ホウ素である、請求項35~41のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項45】
前記少なくとも1種のルイス酸が三臭化ホウ素である、請求項35~41のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項46】
前記少なくとも1種のルイス酸が三フッ化ホウ素である、請求項35~41のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項47】
前記少なくとも1種のルイス酸が三フッ化ホウ素エーテラートである、請求項35~41のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項48】
前記エポキシド開環の工程をTHFおよび/またはシクロペンチルメチルエーテルの存在下で実施する、請求項35~47のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項49】
前記エポキシド開環の工程をTHFの存在下で実施する、請求項48に記載のプロセス。
【請求項50】
前記エポキシド開環の工程をシクロペンチルメチルエーテルの存在下で実施する、請求項48に記載のプロセス。
【請求項51】
前記エポキシド開環の工程を-100℃~-60℃の範囲内の温度で実施する、請求項35~50のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項52】
前記エポキシド開環の工程を約-78℃で実施する、請求項51に記載のプロセス。
【請求項53】
前記銅(I)塩対前記ハロゲン化エチルマグネシウムのモル比が約1対3である、請求項35~52のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項54】
化合物3
【化34】
を生成するプロセスであって、
少なくとも1種のハロゲン化エチルマグネシウム、少なくとも1種の銅(I)塩、および少なくとも1種のルイス酸の使用を含む、化合物2a
【化35】
のエポキシド開環の工程を含む、プロセス。
【請求項55】
前記少なくとも1種のハロゲン化エチルマグネシウムが塩化エチルマグネシウムである、請求項54に記載のプロセス。
【請求項56】
前記少なくとも1種の銅(I)塩がハロゲン化銅(I)、銅(I)トリフラート、銅(I)チオフェノキシド、シアン化銅(I)、および2-チエニル(シアノ)銅リチウムから選択される、請求項54~55のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項57】
前記少なくとも1種の銅(I)塩が塩化銅(I)である、請求項54~55のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項58】
前記少なくとも1種の銅(I)塩が臭化銅(I)である、請求項54~55のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項59】
前記少なくとも1種の銅(I)塩がヨウ化銅(I)である、請求項54~55のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項60】
前記少なくとも1種の銅(I)塩が臭化銅(I)-ジメチルスルフィド錯体である、請求項54~55のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項61】
前記少なくとも1種のルイス酸が三ハロゲン化ホウ素およびアルミニウムトリフラートから選択される、請求項54~60のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項62】
前記少なくとも1種のルイス酸が三フッ化ホウ素,三塩化ホウ素、および三臭化ホウ素から選択される、請求項54~60のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項63】
前記少なくとも1種のルイス酸が三塩化ホウ素である、請求項54~60のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項64】
前記少なくとも1種のルイス酸が三臭化ホウ素である、請求項54~60のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項65】
前記少なくとも1種のルイス酸が三フッ化ホウ素である、請求項54~60のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項66】
前記少なくとも1種のルイス酸が三フッ化ホウ素エーテラートである、請求項54~60のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項67】
前記エポキシド開環の工程をTHFおよび/またはシクロペンチルメチルエーテルの存在下で実施する、請求項54~66のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項68】
前記エポキシド開環の工程をTHFの存在下で実施する、請求項67に記載のプロセス。
【請求項69】
前記エポキシド開環の工程をシクロペンチルメチルエーテルの存在下で実施する、請求項67に記載のプロセス。
【請求項70】
前記エポキシド開環の工程を-100℃~-60℃の範囲内の温度で実施する、請求項54~69のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項71】
前記エポキシド開環の工程を約-78℃で実施する、請求項70に記載のプロセス。
【請求項72】
前記銅(I)塩対前記ハロゲン化エチルマグネシウムのモル比が約1対3である、請求項54~71のいずれか一項に記載のプロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2021年2月18日に出願された米国仮出願第63/150,940号に対する米国特許法第119条(e)のもとでの利益を主張し、その米国仮出願は、その全体が本明細書において参照によって援用される。
【0002】
E-セレクチンインヒビターの合成において有用な中間体の合成のためのプロセスが、提供される。そのプロセスから得られた有用な中間体もまた、提供される。この種類の化合物は、例えば、米国特許第9,796,745号および同第9,867,841号、米国特許出願第15/025,730号、同第15/531,951号、同第16/081,275号、同第16/323,685号、および同第16/303,852号、ならびにPCT国際出願番号PCT/US2018/067961において記載されている。
【背景技術】
【0003】
セレクチンは、内皮細胞への白血球の結合を媒介するために重要である、一群の構造的に類似する細胞表面レセプターである。これらのタンパク質は、1型膜タンパク質であり、アミノ末端レクチンドメイン、上皮増殖因子(EGF)様ドメイン、可変数の補体レセプター関連反復、疎水性ドメイン貫通領域および細胞質ドメインから構成される。それらの結合相互作用は、セレクチンのレクチンドメインと種々の糖質リガンドとの接触によって媒介されるようである。
【0004】
E-セレクチン、P-セレクチン、およびL-セレクチンという、3種の公知のセレクチンが存在する。E-セレクチンは、毛細血管の内壁に並ぶ活性化内皮細胞の表面に見出される。E-セレクチンは、特定の白血球(単球および好中球)の表面で糖タンパク質または糖脂質として提示される糖シアリル-ルイスx(sLex)に結合し、周囲組織が感染または損傷している領域にある毛細血管壁にこれらの細胞が接着するのを助ける。E-セレクチンはまた、多くの腫瘍細胞で発現されるシアリル-ルイスa(sLea)に結合する。P-セレクチンは、炎症性内皮および血小板で発現され、これもまたsLexおよびsLeaを認識するが、これはまた、硫酸化チロシンと相互作用する第2部位も含む。E-セレクチンおよびP-セレクチンの発現は、毛細血管に隣接する組織が感染または損傷している場合に、一般的には増加される。L-セレクチンは、白血球で発現される。セレクチン媒介性細胞感接着が、セレクチン媒介性機能の例である。
【0005】
セレクチン媒介性細胞接着は感染と戦い異物を破壊するために必要とされるが、そのような細胞接着が望ましくないかまたは過剰であり組織修復の代わりに組織損傷を生じる状況が存在する。例えば、多くの病態(例えば、自己免疫疾患および炎症性疾患、ショックおよび再灌流傷害)は、白血球の異常な接着を伴う。そのような異常な細胞接着はまた、移植拒絶および移植片拒絶において役割を果たし得る。さらに、一部の循環がん細胞は、活性化内皮に結合するために炎症機構を利用するようである。そのような状況において、セレクチン媒介性細胞間接着の調節が、望ましいものであり得る。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
E-セレクチンインヒビターの合成において有用な中間体である化合物16を生成するための新規なプロセスが、本明細書において提供される。
【化1】
【図面の簡単な説明】
【0007】
【発明を実施するための形態】
【0008】
一部の実施形態において、化合物16を生成するプロセスが提供され、そのプロセスは、化合物15の水素化を含む。
【化2】
【0009】
一部の実施形態において、化合物15の水素化はH2およびPd/Cの使用を含む。一部の実施形態において、化合物15の水素化は少なくとも1種の溶媒の存在下で実施される。一部の実施形態において、その少なくとも1種の溶媒はアルコールから選択される。一部の実施形態において、その少なくとも1種の溶媒は2-プロパノールである。一部の実施形態において、その少なくとも1種の溶媒はエステルおよびエーテルから選択される。一部の実施形態において、その少なくとも1種の溶媒はTHFである。一部の実施形態において、その少なくとも1種の溶媒は水である。一部の実施形態において、化合物15の水素化は少なくとも2種の溶媒の存在下で実施される。一部の実施形態において、その少なくとも2種の溶媒は2-プロパノールおよびTHFである。一部の実施形態において、化合物15の水素化は少なくとも3種の溶媒の存在下で実施される。一部の実施形態において、その少なくとも3種の溶媒は2-プロパノール、THF、および水である。
【0010】
一部の実施形態において、化合物16を生成するプロセスは、化合物14のMeO-トリチル切断により化合物15を生じることを含む。
【化3】
【0011】
一部の実施形態において、化合物14のMeO-トリチル切断は少なくとも1種の酸の使用を含む。一部の実施形態において、その少なくとも1種の酸は無機酸から選択される。一部の実施形態において、その少なくとも1種の酸は有機酸から選択される。一部の実施形態において、その少なくとも1種の酸は塩酸である。一部の実施形態において、その少なくとも1種の酸はトリフルオロ酢酸、トリクロロ酢酸、ギ酸、p-トルエンスルホン酸、およびメタンスルホン酸から選択される。一部の実施形態において、その少なくとも1種の酸はトリクロロ酢酸である。
【0012】
一部の実施形態において、化合物14のMeO-トリチル切断は少なくとも1種の溶媒の存在下で実施される。一部の実施形態において、その少なくとも1種の溶媒はアルコールから選択される。一部の実施形態において、その少なくとも1種の溶媒はメタノールである。一部の実施形態において、その少なくとも1種の溶媒は水である。一部の実施形態において、その少なくとも1種の溶媒はジクロロメタンである。一部の実施形態において、化合物14のMeO-トリチル切断は少なくとも2種の溶媒の存在下で実施される。一部の実施形態において、その少なくとも2種の溶媒はジクロロメタンおよびメタノールである。
【0013】
一部の実施形態において、化合物16を生成するプロセスは、化合物13のalloc開裂およびアシル化により化合物14を生じることを含む。
【化4】
【0014】
一部の実施形態において、化合物13のalloc開裂/アシル化は少なくとも1種の塩基の使用を含む。一部の実施形態において、その少なくとも1種の塩基は4-メチルモルフォリンである。一部の実施形態において、化合物13のalloc開裂/アシル化は少なくとも1種の酸の使用を含む。一部の実施形態において、その少なくとも1種の酸は酢酸である。一部の実施形態において、化合物13のalloc開裂/アシル化は少なくとも1種の無水物の使用を含む。一部の実施形態において、その少なくとも1種の無水物は無水酢酸である。
【0015】
一部の実施形態において、化合物13のalloc開裂/アシル化は少なくとも1種のホスフィンの使用を含む。一部の実施形態において、その少なくとも1種のホスフィンはトリフェニルホスフィンである。一部の実施形態において、化合物13のalloc開裂/アシル化は少なくとも1種の触媒の使用を含む。一部の実施形態において、その少なくとも1種の触媒はPd[(C6H5)3P]4である。
【0016】
一部の実施形態において、化合物13のalloc開裂/アシル化は少なくとも1種の溶媒の存在下で実施される。一部の実施形態において、その少なくとも1種の溶媒はジクロロメタンである。一部の実施形態において、その少なくとも1種の溶媒はトルエンである。
【0017】
一部の実施形態において、化合物16を生成するプロセスは、化合物12での化合物11のO-アルキル化により化合物13を生じることを含む。
【化5】
【0018】
一部の実施形態において、その化合物11のO-アルキル化は少なくとも1種のアルキルスズの使用を含む。一部の実施形態において、その少なくとも1種のアルキルスズは酸化ジブチルスズ(IV)である。一部の実施形態において、その化合物11のO-アルキル化は少なくとも1種の溶媒の存在下で実施される。一部の実施形態において、その少なくとも1種の溶媒はアセトニトリルである。一部の実施形態において、その少なくとも1種の溶媒はメタノールである。一部の実施形態において、その少なくとも1種の溶媒はトルエンである。一部の実施形態において、その化合物11のO-アルキル化は少なくとも2種の溶媒の存在下で実施される。一部の実施形態において、その少なくとも2種の溶媒はトルエンおよびアセトニトリルである。一部の実施形態において、その化合物11のO-アルキル化は少なくとも1種のフッ化物を含む。一部の実施形態において、その少なくとも1種のフッ化物はフッ化セシウムである。
【0019】
一部の実施形態において、化合物16を生成するプロセスは、化合物10のメトキシ-トリチル化により化合物11を生じることを含む。
【化6】
【0020】
一部の実施形態において、その化合物10のメトキシ-トリチル化は4-MeO-トリチル-Clの使用を含む。一部の実施形態において、その化合物10のメトキシ-トリチル化は少なくとも1種の塩基の使用を含む。一部の実施形態において、その少なくとも1種の塩基はDABCO、ピリジン、および 2,6-ルチジンから選択される。一部の実施形態において、その化合物10のメトキシ-トリチル化は少なくとも1種の溶媒の存在下で実施される。一部の実施形態において、その少なくとも1種の溶媒はジクロロメタンである。一部の実施形態において、その少なくとも1種の溶媒はMe-THFである。一部の実施形態において、その化合物10のメトキシ-トリチル化は少なくとも2種の溶媒の存在下で実施される。一部の実施形態において、その少なくとも2種の溶媒はMe-THFおよびジクロロメタンである。
【0021】
一部の実施形態において、化合物16を生成するプロセスは、化合物9の脱アセチル化により化合物10を生じることを含む。
【化7】
【0022】
一部の実施形態において、その化合物9の脱アセチル化は少なくとも1種の塩基の使用を含む。一部の実施形態において、その少なくとも1種の塩基はアルコキシドから選択される。一部の実施形態において、その少なくとも1種の塩基はNaOMeである。一部の実施形態において、その化合物9の脱アセチル化は少なくとも1種の溶媒の存在下で実施される。一部の実施形態において、その少なくとも1種の溶媒はメタノールである。一部の実施形態において、その少なくとも1種の溶媒は酢酸メチルである。一部の実施形態において、その化合物9の脱アセチル化は少なくとも2種の溶媒の存在下で実施される。一部の実施形態において、その少なくとも2種の溶媒はメタノールおよび酢酸メチルである。
【0023】
一部の実施形態において、化合物10はエタノール溶媒和化合物として結晶化される。一部の実施形態において、化合物10は、少なくとも1種の溶媒の存在下でエタノール溶媒和化合物として結晶化される。一部の実施形態において、その少なくとも1種の溶媒はエタノールである。一部の実施形態において、化合物10は、少なくとも2種の溶媒の存在下でエタノール溶媒和化合物として結晶化される。一部の実施形態において、その少なくとも2種の溶媒はエタノールおよび水である。一部の実施形態において、結晶性化合物10はエタノール溶媒和化合物である。一部の実施形態において、結晶性化合物10エタノール溶媒和化合物は、棒状結晶によって特徴付けられる。
【0024】
一部の実施形態において、化合物16を生成するプロセスは、化合物8での化合物6のグリコシル化により化合物9を生じることを含む。
【化8】
【0025】
一部の実施形態において、その化合物6のグリコシル化は少なくとも1種の溶媒の存在下で実施される。一部の実施形態において、その少なくとも1種の溶媒はトルエンである。一部の実施形態において、その少なくとも1種の溶媒はジクロロメタンである。一部の実施形態において、その化合物6のグリコシル化は少なくとも2種の溶媒の存在下で実施される。一部の実施形態において、その少なくとも2種の溶媒はトルエンおよびジクロロメタンである。一部の実施形態において、その化合物6のグリコシル化は少なくとも1種の酸の使用を含む。一部の実施形態において、その少なくとも1種の酸はトリフリン酸である。
【0026】
一部の実施形態において、化合物8を生成するプロセスは化合物7の活性化を含む。
【化9】
【0027】
一部の実施形態において、その化合物7の活性化は少なくとも1種の亜リン酸エステルの使用を含む。一部の実施形態において、その少なくとも1種の亜リン酸エステルはクロロ亜リン酸エステルから選択される。一部の実施形態において、その少なくとも1種の亜リン酸エステルはクロロ亜リン酸ジエチルである。一部の実施形態において、その化合物7の活性化は少なくとも1種の溶媒の存在下で実施される。一部の実施形態において、その少なくとも1種の溶媒はトルエンである。一部の実施形態において、その化合物7の活性化は少なくとも1種の有機塩基の存在下で実施される。一部の実施形態において、その少なくとも1種の有機塩基はトリエチルアミンである。
【0028】
一部の実施形態において、化合物16を生成するプロセスは、化合物5のTBDMS-脱保護により化合物6を生じることを含む。
【化10】
【0029】
一部の実施形態において、その化合物5のTBDMS-脱保護は少なくとも1種のフッ化物の使用を含む。一部の実施形態において、その少なくとも1種のフッ化物はTBAFである。一部の実施形態において、その化合物5のTBDMS-脱保護は少なくとも1種の溶媒の存在下で実施される。一部の実施形態において、その少なくとも1種の溶媒はTHFである。一部の実施形態において、その少なくとも1種の溶媒はACNである。一部の実施形態において、その化合物5のTBDMS-脱保護は少なくとも2種の溶媒の存在下で実施される。一部の実施形態において、その少なくとも2種の溶媒はTHFおよびACNである。
【0030】
一部の実施形態において、化合物6は結晶化される。一部の実施形態において、化合物6は、少なくとも1種の溶媒の存在下で結晶化される。一部の実施形態において、その少なくとも1種の溶媒はジクロロメタンである。一部の実施形態において、その少なくとも1種の溶媒はメタノールである。一部の実施形態において、その少なくとも1種の溶媒は水である。一部の実施形態において、化合物6は、少なくとも2種の溶媒の存在下で結晶化される。一部の実施形態において、その少なくとも2種の溶媒は水およびメタノールである。
【0031】
一部の実施形態において、化合物16を生成するプロセスは、化合物4bでの化合物3のフコシル化によって化合物5を生じることを含む。
【化11】
【0032】
一部の実施形態において、その化合物3のフコシル化はTBABrの使用を含む。一部の実施形態において、その化合物3のフコシル化は少なくとも1種の塩基の使用を含む。一部の実施形態において、その少なくとも1種の塩基はDIPEAである。一部の実施形態において、その化合物3のフコシル化は少なくとも1種の溶媒の存在下で実施される。一部の実施形態において、その少なくとも1種の溶媒はMeTHFである。一部の実施形態において、その少なくとも1種の溶媒はジクロロメタンである。一部の実施形態において、その化合物3のフコシル化は少なくとも2種の溶媒の存在下で実施される。一部の実施形態において、その少なくとも2種の溶媒はMeTHFおよびジクロロメタンである。
【0033】
一部の実施形態において、化合物4bを生成するプロセスは、化合物4aとBr2とを反応させることを含む。一部の実施形態において、その化合物4aとBr2との反応は少なくとも1種の溶媒の存在下で実施される。一部の実施形態において、その少なくとも1種の溶媒はシクロヘキサンである。
【0034】
一部の実施形態において、化合物16を生成するプロセスは、化合物2aのエポキシド開環により化合物3を生じることを含む。
【化12】
【0035】
一部の実施形態において、その化合物2aのエポキシド開環は少なくとも1種の有機グリニャール試薬の使用を含む。一部の実施形態において、その少なくとも1種の有機グリニャール試薬はハロゲン化エチルマグネシウムから選択される。一部の実施形態において、そのハロゲン化エチルマグネシウムは臭化エチルマグネシウムである。一部の実施形態において、そのハロゲン化エチルマグネシウムは塩化エチルマグネシウムである。一部の実施形態において、(化合物2aと比較して)0.5当量以上の塩化エチルマグネシウム(例えば、1当量以上、2当量以上、3当量以上、5当量以上、7当量以上、9当量以上、11当量以上、13当量以上、および15当量以上)が使用され、0.5当量~25当量、3当量~20当量、5当量~20当量、5当量~15当量、または10当量~20当量の範囲であり得る。
【0036】
一部の実施形態において、その化合物2aのエポキシド開環は少なくとも1種のルイス酸の使用を含む。一部の実施形態において、その少なくとも1種のルイス酸は三ハロゲン化ホウ素およびアルミニウムトリフラートから選択される。一部の実施形態において、その三ハロゲン化ホウ素は三フッ化ホウ素、三塩化ホウ素、および三臭化ホウ素から選択される。一部の実施形態において、その三ハロゲン化ホウ素は三フッ化ホウ素である。一部の実施形態において、その三ハロゲン化ホウ素は三塩化ホウ素である。一部の実施形態において、その三ハロゲン化ホウ素は三臭化ホウ素である。一部の実施形態において、その三フッ化ホウ素は三フッ化ホウ素エーテラートである。一部の実施形態において、その少なくとも1種のルイス酸はアルミニウムトリフラートである。
【0037】
一部の実施形態において、(化合物2aと比較して)0.5当量以上のルイス酸(例えば、三フッ化ホウ素エーテラート)(例えば、1当量以上、2当量以上、3当量以上、4当量以上、5当量以上、10当量以上)が使用され、0.5当量~15当量、1当量~10当量、1当量~8当量、1当量~6当量、1当量~4当量、1当量~3当量、2当量~8当量、2当量~6当量、2当量~4当量、3当量~10当量、3当量~8当量、または3当量~6当量の範囲であり得る。
【0038】
一部の実施形態において、その化合物2aのエポキシド開環は少なくとも1種の銅(I)塩の使用を含む。一部の実施形態において、その少なくとも1種の銅(I)塩はハロゲン化銅(I)、銅(I)トリフラート、銅(I)チオフェノキシド、シアン化銅(I)、および2-チエニル(シアノ)銅リチウムから選択される。一部の実施形態において、そのハロゲン化銅(I)は塩化銅(I)である。一部の実施形態において、そのハロゲン化銅(I)は臭化銅(I)である。一部の実施形態において、そのハロゲン化銅(I)はヨウ化銅(I)である。一部の実施形態において、その臭化銅(I)は臭化銅(I)-ジメチルスルフィド錯体である。一部の実施形態において、その銅(I)トリフラートは銅(I)トリフラートベンゼン錯体である。一部の実施形態において、その銅(I)トリフラートは銅(I)トリフラートトルエン錯体である。一部の実施形態において、そのシアン化銅(I)はジ(塩化リチウム)錯体である。
【0039】
一部の実施形態において、(化合物2aと比較して)0.01当量以上の銅(I)塩(例えば、臭化銅(I)-ジメチルスルフィド錯体)(例えば、0.05当量以上、0.1当量以上、0.2当量以上、0.3当量以上、0.5当量以上、0.7当量以上、1当量以上、1.5当量以上、2当量以上、3当量以上、5当量以上、10当量以上)が使用され、0.01当量~15当量、0.01当量~10当量、0.01当量~7当量、0.01当量~5当量、0.01当量~3当量、0.01当量~2当量、0.01当量~1当量、0.01当量~0.5当量、0.01当量~0.1当量、0.1当量~10当量、0.1当量~7当量、0.1当量~5当量、0.1当量~3当量、0.1当量~2当量、0.1当量~1当量、0.5当量~7当量、0.5当量~5当量、0.5当量~3当量、0.5当量~2当量、1当量~10当量、1当量~7当量、1当量~5当量、または1当量~3当量の範囲であり得る。
【0040】
一部の実施形態において、その化合物2aのエポキシド開環は少なくとも1種の銅(I)塩、少なくとも1種のハロゲン化エチルマグネシウム、および少なくとも1種のルイス酸の使用を含む。一部の実施形態において、その少なくとも1種の銅(I)塩は臭化銅(I)-ジメチルスルフィド錯体であり、その少なくとも1種のハロゲン化エチルマグネシウムは塩化エチルマグネシウムであり、その少なくとも1種のルイス酸は三フッ化ホウ素エーテラートである。一部の実施形態において、(化合物2aと比較して)約0.01当量の臭化銅(I)-ジメチルスルフィド錯体、(化合物2aと比較して)約9当量の臭化エチルマグネシウム、および(化合物2aと比較して)約3当量の三フッ化ホウ素エーテラート錯体が使用される。一部の実施形態において、(化合物2aと比較して)約3当量の臭化銅(I)-ジメチルスルフィド錯体、(化合物2aと比較して)約9当量の臭化エチルマグネシウム、および(化合物2aと比較して)約3当量の三フッ化ホウ素エーテラート錯体が使用される。一部の実施形態において、(化合物2aと比較して)約5当量の臭化銅(I)-ジメチルスルフィド錯体、(化合物2aと比較して)約15当量の臭化エチルマグネシウム、および(化合物2aと比較して)約5当量の三フッ化ホウ素エーテラート錯体が使用される。
【0041】
一部の実施形態において、その化合物2aのエポキシド開環は、臭化銅(I)-ジメチルスルフィド錯体および塩化エチルマグネシウムの使用を含み、その臭化銅(I)-ジメチルスルフィド錯体対その塩化エチルマグネシウムのモル比は約1対3である。一部の実施形態において、その臭化銅(I)-ジメチルスルフィド錯体対その塩化エチルマグネシウムのモル比は約1対2である。一部の実施形態において、その臭化銅(I)-ジメチルスルフィド錯体対その塩化エチルマグネシウムのモル比は約1対1.5である。一部の実施形態において、その臭化銅(I)-ジメチルスルフィド錯体対その塩化エチルマグネシウムのモル比は約1対1である。一部の実施形態において、その臭化銅(I)-ジメチルスルフィド錯体対その塩化エチルマグネシウムのモル比は約1対4である。一部の実施形態において、その臭化銅(I)-ジメチルスルフィド錯体対その塩化エチルマグネシウムのモル比は約1対5である。
【0042】
一部の実施形態において、その化合物2aのエポキシド開環は少なくとも1種の溶媒の存在下で実施される。一部の実施形態において、その少なくとも1種の溶媒は極性非プロトン溶媒である。一部の実施形態において、その少なくとも1種の溶媒はTHFである。一部の実施形態において、その少なくとも1種の溶媒はシクロペンチルメチルエーテルである。
【0043】
一部の実施形態において、その化合物2aのエポキシド開環は、-100℃~30℃の範囲内の温度(例えば、-100℃~10℃、-100℃~0℃、-100℃~-20℃、-100℃~-40℃、-100℃~-60℃、-20℃~30℃、-20℃~20℃、-20℃~10℃.-20℃~0℃、-10℃~25℃、-10℃~15℃、-10℃~5℃)で実施される。一部の実施形態において、その化合物2aのエポキシド開環は約-78℃で実施される。
【0044】
一部の実施形態において、その化合物2aのエポキシド開環は化合物2bの存在下で実施される。一部の実施形態において、エポキシド開環の前の化合物2a対2bのモル比は、7対1よりも大きく、例えば、7.5対1よりも大きいか、8対1よりも大きいか、9対1よりも大きいか、10対1よりも大きいか、11対1よりも大きいか、15対1よりも大きいか、25対1よりも大きいか、または50対1よりも大きい。
【0045】
一部の実施形態において、その化合物2aのエポキシド開環は、クロマトグラフィーを用いない化合物1の酸化によって調製された化合物2aの使用を含む。
【化13】
【0046】
一部の実施形態において、化合物16を生成するプロセスは、化合物1のエポキシ化により化合物2aを生じることを含む。
【化14】
【0047】
一部の実施形態において、その化合物1のエポキシ化(WO2013/096926)はペルオキシ一硫酸カリウム(例えば、オキソン)の使用を含む。一部の実施形態において、(化合物1と比較して)0.5当量以上のペルオキシ一硫酸カリウム(例えば、1当量以上、2当量以上、3当量以上、4当量以上、5当量以上)が使用され、0.5当量~10当量、1当量~8当量、1当量~6当量、1.5当量~5当量、または2当量~4当量の範囲であり得る。
【0048】
一部の実施形態において、その化合物1のエポキシ化は少なくとも1種の塩基の使用を含む。一部の実施形態において、その少なくとも1種の塩基は金属炭酸塩から選択される。一部の実施形態において、その金属炭酸塩はNaHCO3である。一部の実施形態において、(化合物1と比較して)1当量以上のNaHCO3 (例えば、2当量以上、3当量以上、4当量以上、5当量以上、8当量以上、10当量以上)が使用され、1当量~20当量、1当量~10当量、1当量~7当量、1当量~5当量、3当量~15当量、3当量~9当量、3当量~6当量、4当量~12当量、4当量~8当量、または4当量~6当量の範囲であり得る。
【0049】
一部の実施形態において、その化合物1のエポキシ化は、ペルオキシ一硫酸カリウム(例えば、オキソン)の使用および少なくとも1種の塩基の使用を含む。一部の実施形態において、その化合物1のエポキシ化はペルオキシ一硫酸カリウム(例えば、オキソン)およびNaHCO3の使用を含む。一部の実施形態において、(化合物1と比較して)約2.5当量のペルオキシ一硫酸カリウム(例えば、オキソン)および(化合物1と比較して)約4.5当量のNaHCO3が使用される。
【0050】
一部の実施形態において、その化合物1のエポキシ化は少なくとも1種の溶媒の存在下で実施される。一部の実施形態において、その少なくとも1種の溶媒はアセトンである。一部の実施形態において、その少なくとも1種の溶媒は水である。一部の実施形態において、その化合物1のエポキシ化は少なくとも2種の溶媒の存在下で実施される。一部の実施形態において、その少なくとも2種の溶媒はアセトンおよび水である。
【0051】
一部の実施形態において、その化合物1のエポキシ化は、-10℃~50℃の範囲内の温度(例えば、-10℃~40℃、-10℃~30℃、-10℃~20℃、-10℃~10℃、-5℃~45℃、-5℃~35℃、-5℃~25℃、-5℃~15℃、-5℃~10℃、-5℃~5℃)で実施される。一部の実施形態において、その化合物1のエポキシ化は約0℃で実施される。
【0052】
一部の実施形態において、その化合物1のエポキシ化は化合物2aおよび2bの形成をもたらす。一部の実施形態において、エポキシ化の結果として形成される化合物2a対2bのモル比は、7対1よりも大きく、例えば、7.5対1よりも大きいか、8対1よりも大きいか、9対1よりも大きいか、10対1よりも大きいか、11対1よりも大きいか、15対1よりも大きいか、25対1よりも大きいか、または50対1よりも大きい。
【0053】
一部の実施形態において、化合物16を生成するプロセスは、以下の工程:
(a)化合物15の水素化;
(b)化合物14のMeO-トリチル切断;
(c)化合物13のalloc開裂/アシル化;
(d)化合物11のO-アルキル化;
(e)化合物10のメトキシ-トリチル化;
(f)化合物9の脱アセチル化;
(g)化合物6のグリコシル化;
(h)化合物5のTBDMS-脱保護;および
(i)化合物3のフコシル化;
(j)化合物2aのエポキシド開環;
(k)化合物1のエポキシ化
のうちの少なくとも1つを含む。
【0054】
一部の実施形態において、上記の工程dは、化合物12での化合物11のO-アルキル化により化合物13を形成することを含む。一部の実施形態において、上記の工程gは、化合物8での化合物6のグリコシル化により化合物9を形成することを含む。
【0055】
一部の実施形態において、化合物16を生成するプロセスは、上記の工程(a)~(k)から選択される少なくとも2工程を含む。一部の実施形態において、化合物16を生成するプロセスは、上記の工程(a)~(k)から選択される少なくとも3工程を含む。一部の実施形態において、化合物16を生成するプロセスは、上記の工程(a)~(k)から選択される少なくとも4工程を含む。一部の実施形態において、化合物16を生成するプロセスは、上記の工程(a)~(k)から選択される少なくとも5工程を含む。一部の実施形態において、化合物16を生成するプロセスは、上記の工程(a)~(k)から選択される少なくとも6工程を含む。一部の実施形態において、化合物16を生成するプロセスは、上記の工程(a)~(k)から選択される少なくとも7工程を含む。一部の実施形態において、化合物16を生成するプロセスは、上記の工程(a)~(k)から選択される少なくとも8工程を含む。一部の実施形態において、化合物16を生成するプロセスは、上記の工程(a)~(k)から選択される少なくとも9工程を含む。一部の実施形態において、化合物16を生成するプロセスは、上記の工程(a)~(k)から選択される少なくとも10工程を含む。一部の実施形態において、化合物16を生成するプロセスは、上記の工程(a)~(k)の各々を含む。
【0056】
一部の実施形態において、化合物16を生成するプロセスは少なくとも上記の工程(j)を含む。一部の実施形態において、化合物16を生成するプロセスは少なくとも上記の工程(k)を含む。一部の実施形態において、化合物16を生成するプロセスは少なくとも上記の工程(j)および(k)を含む。
【0057】
化合物16は、
図1a、
図1b、および
図1cに示される概括的反応スキームにしたがって調製され得る。同様の方法によってかまたは当業者にとって公知の他の方法を組み合わせることによって当業者はこれらの化合物を作製可能であり得ることが、理解される。一般に、出発成分は、供給源(例えば、Sigma Aldrich、Lancaster Synthesis,Inc.、Maybridge、Matrix Scientific、TCI、およびFluorochem USAなど)から取得され得、かつ/または当業者にとって公知の情報源(例えば、Advanced Organic Chemistry:Reactions,Mechanisms,and Structure、第5版(Wiley、2000年12月)を参照のこと)にしたがって合成され得、かつ/または本明細書において記載されるとおりに調製され得る。
【0058】
本明細書において記載される反応物と類似する反応物は、ほとんどの公的図書館および大学図書館で利用可能なthe Chemical Abstract Service of the American Chemical Societyによって作成された公知化学物質の索引を通じて、ならびにオンラインデータベース(the American Chemical Society,Washington,D.C.が、詳細については契約され得る)を通じて、同定され得る。公知であるがカタログで市販されていない化学物質は、注文製造の化学合成会社によって調製され得、標準的な化学供給会社の多く(例えば、上記に列挙した会社)は注文合成サービスを提供している。本開示の薬物塩の調製および選択のための参考文献は、P.H.StahlおよびC.G.Wermuth、「Handbook of Pharmaceutical Salts」、Verlag Helvetica Chimica Acta、Zurich、2002である。
【0059】
当業者にとって公知の方法は、種々の参考書籍、論文、およびデータベースを通じて同定され得る。本開示の化合物の調製において有用な反応物の合成を詳述するか、またはその調製を記載する論文への言及を提供する、適切な参考書籍および論文としては、例えば,「Synthetic Organic Chemistry」、John Wiley & Sons,Inc.、New York;S.R.Sandlerら、「Organic Functional Group Preparations」、第2版、Academic Press、New York,、1983;H.O.House、「Modern Synthetic Reactions」、第2版、W.A.Benjamin,Inc、Menlo Park、Calif.、1972;T.L.Gilchrist、「Heterocyclic Chemistry」、第2版、John Wiley & Sons,New York、1992、J.March、「Advanced Organic Chemistry:Reactions,Mechanisms and Structure」、第4版、Wiley-Interscience、New York、1992が挙げられる。本開示の化合物の調製において有用な反応物の合成を詳述するか、またはその調製を記載する論文への言及を提供する、さらなる適切な参考書籍および論文としては、例えば、Fuhrhop,J.およびPenzlin G.、「Organic Synthesis:Concepts,Methods,Starting Materials」、改定増補第2版(1994)John Wiley & Sons、ISBN:3-527-29074-5;Hoffman,R.V.、「Organic Chemistry,An Intermediate Text」(1996)Oxford University Press、ISBN 0-19-509618-5;Larock,R.C.、「Comprehensive Organic Transformations:A Guide to Functional Group Preparations」、第2版(1999)Wiley-VCH、ISBN:0-471-19031-4;March,J.、「Advanced Organic Chemistry:Reactions,Mechanisms,and Structure」第4版(1992)John Wiley & Sons、ISBN:0-471-60180-2;Otera,J.(編)「Modern Carbonyl Chemistry」(2000)Wiley-VCH、ISBN:3-527-29871-1;Patai,S.「Patai’s 1992 Guide to the Chemistry of Functional Groups」(1992)Interscience、ISBN:0-471-93022-9;Quin,L.D.ら「A Guide to Organophosphorus Chemistry」(2000)Wiley-Interscience、ISBN:0-471-31824-8;Solomons,T.W.G.「Organic Chemistry」第7版(2000)John Wiley & Sons、ISBN:0-471-19095-0;Stowell,J.C.、「Intermediate Organic Chemistry」第2版(1993)Wiley-Interscience、ISBN:0-471-57456-2;「Industrial Organic Chemicals:Starting Materials and Intermediates:An Ullmann’s Encyclopedia」(1999)John Wiley & Sons,、ISBN:3-527-29645-X、8巻;「Organic Reactions」(1942~2000)John Wiley & Sons、55巻以上;ならびに「Chemistry of Functional Groups」、John Wiley & Sons、73巻が挙げられる。
【実施例】
【0060】
(実施例)
(化合物16の合成)
(工程1)
【化15】
(化合物2a/2b): オレフィン1(Magnaniら、WO 2013/096926に記載される、8.1g、0.03mol)を室温でアセトン(90mL)に溶解した。固体NaHCO
3(12.0g、0.14mol)を添加した。その混合物を0℃になるまで冷却した。150mLの水に溶解したオキソン(24g、0.08mmol)を滴下(1mL/分)して添加した。その反応混合物を、TLCがオレフィン1の消費を示すまで0℃で激しく撹拌した。その反応混合物を分液漏斗に移し、MTBEで3回抽出した。合せた有機相を水で2回抽出した。その有機相をMgSO
4で乾燥し、濾過し、濃縮して、エポキシド2a/2bの混合物(8.0g、93%収率)を生じた。LCMS分析は、約11%の望ましくないエポキシド2bを示した。LC-MS m/z=287.2(M+1)。
【0061】
(工程2)
【化16】
(化合物3): -78℃に冷却した無水THF(240mL)中のCuBr・DMS(10.8g、0.052mol、5.0当量)の撹拌した懸濁物に、EtMgCl(Acros Organics、THF中2.7M、58.2mL、0.157mol、15.0当量)を(20分間にわたって)滴下して添加した。その混合物を-78℃で90分間撹拌して、クプラートを形成した。無水THF(30mL)に溶解したエポキシド2a(3.0g、0.01mmol、1.0当量)を添加し、その後、BF
3・Et
2O(6.46mL、0.052mol、5.0当量)を滴下して添加し、その間、その混合物を-78℃で維持した。その反応混合物をこの温度で30分間撹拌した。その反応を、メタノール(30mL)とトリエチルアミン(12mL)との混合物の滴下添加によって-78℃でクエンチし、室温になるまで加温させた。その反応混合物を飽和NH
4Cl水溶液(200mL)およびNH
4OH(30mL)で希釈し、10分間激しく撹拌した。それらの層を分離し、その有機層をMTBE(2回)で抽出し、ブラインで洗浄し、乾燥し(Na
2SO
4)、セライトに通して濾過し、減圧中で濃縮して、望ましい生成物3(3.03g、92%収率)を得た。アルコール3を、さらに精製することなく次の工程に使用した。LC-MS m/z=317.2(M+1)。
【0062】
(化合物3(触媒CuBr・DMSを使用する)): -78℃に冷却した無水THF(200mL)中のCuBr・DMS(576mg、2.8mmol、0.1当量)の撹拌した懸濁物に、EtMgCl(Acros Organics、THF中2.7M、93mL、252mmol、9.0当量)を(20~30分間にわたって)滴下して添加した。その混合物を-78℃で60分撹拌して、クプラートを形成した。無水THF(60mL)に溶解した粗エポキシド2a/2b(8.0g、28mmol、1.0当量)を添加し、その後、-78℃でBF3・Et2O(10.4mL、84mmol、3.0当量)を滴下して添加した。その反応混合物をこの温度で45分間撹拌した。その反応を、メタノール(80.0mL)とトリエチルアミン(35mL)との混合物の滴下添加によって-78℃でクエンチし、その後、室温になるまで加温させた。その反応混合物を飽和NH4Cl水溶液(300mL)およびNH4OH(80mL)で希釈し、10分間激しく撹拌した。それらの層を分離し、その有機層をMTBE(2回)で抽出し、ブラインで洗浄し、乾燥し(Na2SO4)、セライトに通して濾過し、減圧中で濃縮して、粗製3(7.9g、89%収率)を得た。
【0063】
(化合物3(シクロペンチルメチルエーテルを溶媒として使用する): -78℃に冷却した無水CPME(シクロペンチルメチルエーテル5mL)中のCuBr・DMS(216mg、1.05mmol、3.0当量)の撹拌した懸濁物に、EtMgCl(THF中2.7M、1.17mL、3.15mmol、9.0当量)を(5分間にわたって)滴下して添加した。その混合物を-78℃で60分間撹拌して、クプラートを調製した。無水CPME(1.0mL)に溶解したエポキシド2a(100mg、0.35mmol、1.0当量)を添加し、その後、-78oCでBF3Et2O(0.13mL、1.05mmol、3.0当量)を滴下して添加した。その混合物を-78℃で30分間撹拌した。その反応を、メタノール(1.0mL)とトリエチルアミン(0.4mL)との混合物の滴下添加によって-78℃でクエンチし、室温になるまで加温させた。その反応混合物を飽和NH4Cl水溶液(7mL)およびNH4OH(1mL)で希釈し、10分間激しく撹拌した。それらの層を分離し、その有機層をMTBE(2回)で抽出し、ブラインで洗浄し、乾燥し(Na2SO4)、セライトに通して濾過し、減圧中で濃縮して、化合物3(106mg、96%、純度:100%)を得た。
【0064】
(工程3)
【化17】
(化合物5): 5.7gの化合物4a(1.20当量)を無水シクロヘキサン(50mL)に溶解し、濃縮した。無水シクロヘキサン(50mL)を添加し、再度除去し、その残渣を減圧下で30分間乾燥した。無水CH
2Cl
2(13mL)中の乾燥チオグリコシドの冷却した(0℃)溶液に、無水CH
2Cl
2(1.5mL)中の臭素(0.59mL、0.01mol、1.15当量)溶液を10分間にわたって添加し、その混合物を0℃で60分間撹拌した後に、シクロヘキセン(2.9mL、0.03mol、3.0当量)を5分間にわたって添加した。その混合物を0℃でさらに30分間撹拌して、ドナー溶液を生じた。
【0065】
アルコール3(3.03g、0.01mol、1.0当量)およびTBABr(3.09g、0.01mol、1.0当量)を無水シクロヘキサン(20mL)に溶解し、その後、濃縮した。無水シクロヘキサン(20mL)を添加し、蒸留して再度除去し、その混合物を減圧下で1時間乾燥した。活性化したばかりのモレキュラーシーブ(粉末状、4A、9.0g)に、3.0mLの無水CH2Cl2を添加した後、アルコール3とTBABrとの乾燥混合物を無水CH2Cl2(9mL)およびN,N-ジイソプロピルエチルアミン(5.0mL、0.03mol、3.0当量)中の溶液として添加した。その懸濁物を室温で2時間撹拌させて、アクセプター溶液を生じた。
【0066】
そのアクセプター溶液をドナー溶液に0℃で添加し、その反応を室温2日間撹拌させ、その後、その混合物をセライトに通して濾過して、モレキュラーシーブを除去した。その濾液を、水、5%クエン酸水溶液、10%NaHCO3水溶液で連続して洗浄し、最後に水で再度洗浄し、Na2SO4で乾燥し、濃縮して、粗製5を黄色油として得て、それをさらに精製することなく次の工程に使用した。
【0067】
(工程4)
【化18】
(化合物6): 粗製5に、TBAF(THF中1.0M、30mL、0.03mol、3.0当量)の溶液を添加し、その混合物を55℃で18時間加熱し、その後、それを減圧中で濃縮した。その残渣をCH
2Cl
2(50mL)に溶解し、分液漏斗に移し、水(50mL)で洗浄した。それらの相を分離し、その水相をCH
2Cl
2(30mLで2回)で抽出した。合せた有機抽出物をNa
2SO
4で乾燥し、濾過し、濃縮した。その残渣をメタノールおよび水から結晶化して、生成物6を灰白色固体として得た。再結晶化が不完全であったので、その母液をフラッシュクロマトグラフィーに供して、残りの生成物6(合計4.4g、71%収率)を単離した。
【0068】
1H NMR(400MHz、クロロホルム-d) δ 7.47~7.24(m,15H)、5.05~4.97(m,2H)、4.89~4.61(m,6H)、4.19~4.09(m,2H)、3.98(dd,J=10.2,2.7Hz,1H)、3.75~3.66(m,4H)、3.51(s,1H)、3.00(dd,J=10.3,8.4Hz,1H)、2.37(tt,J=12.6,3.3Hz,1H)、2.25(ddt,J=13.0,5.3,3.0Hz,1H)、2.06(dp,J=14.3,3.5Hz,2H)、1.47(dt,J=24.1,12.2Hz,2H)、1.23~1.14(m,4H)、0.81(t,J=7.4Hz,3H)。LC-MS m/z=619.2(M+1)、641.2(M+Na)。
【0069】
(工程5)
【化19】
(化合物8): 化合物7(1.50当量(補正値(corr.))、45.32g(非補正値(n.corr.))/42.47g(補正値(corr.)))にトルエン(8体積)を添加し、その後、5体積の溶媒をTa=55℃/130~60mbarで蒸留して除去した。トルエン(2体積)を添加し、2体積の溶媒をTa=55℃で蒸留して除去した。その濃縮物をトルエン(5.5体積)で希釈した。Ti=0~5℃になるまで冷却した後、トリエチルアミン(2.05当量)を添加した。クロロ亜リン酸ジエチル(0.93当量)をTi=0~3℃で30分間にわたって反応混合物(発熱物)に添加した。その混合物をTi=0℃で30分間撹拌した。第2の分量のクロロ亜リン酸ジエチル(0.13当量)をTi=0~5℃で10分間にわたって添加した。その混合物をTi=0℃で30分間撹拌した。第3の分量のクロロ亜リン酸ジエチル(0.09当量)をTi=0~5℃で7分間にわたって添加した。その混合物をTi=0℃で30分間撹拌した。
【0070】
その反応混合物をTi=1℃で窒素雰囲気下で濾過して固体から除去し(TEA×HCl)、冷たいトルエン(3体積)で洗浄した。濾液を0.2μmチップフィルターで精密濾過した。濾液を0.2μmチップフィルターで2回目の精密濾過をした。その濾液をTa=4℃で一晩保存し、その後、0.2μmチップフィルターで3回目の濾過をした。その亜リン酸エステル溶液を、その後のグリコシル化実験のために冷凍庫で保存した。
【0071】
(化合物9): 126.41gの亜リン酸グリコシルエステル溶液(33.1mmol、化合物8、1.28当量)を500mLフラスコに配置し、16.03gの化合物6(15.95g、25.78mmol)および32mL(2体積)のトルエンをチャージした。その溶液をロータリーエバポレーターでTj=50℃/100~4mbarにて濃縮して、175mL(約11体積)のトルエンを除去した。生じた固体残渣を96mL(6体積)のDCMに溶解し、三口フラスコに移した。
【0072】
その反応は、3.53g(23.5mmol、0.91当量)のトリフルオロメタンスルホン酸をTi =-30℃で30分間にわたって添加することによって、開始した。4.756g(46.94mmol、1.82当量)のNEt3を7.5時間チャージした後に、その反応をクエンチした。その反応混合物(184.16g、透明な橙色溶液)を、さらなる処理までT=-20℃で保存した。
【0073】
(工程6)
【化20】
(化合物10): その粗製化合物9反応混合物を、5体積をTa=55℃/600~100mbarで蒸留して除去することによって濃縮した。トルエン(4体積)を添加し、その後、23.1%NaCl溶液(2.5体積)と7.4%NaHCO
3溶液(2.5体積)との混合物を添加した。相を分離し、その水層(AP1#1、pH9)をトルエン(5体積)で再抽出した。合せた有機層(OP1)の体積を198mLに決定した。132mLの溶媒を蒸留して除去することによって、OP1を4.3体積濃縮物体積へとTa=58℃/200~79mbarで濃縮した。その濃縮物をメタノール(3.5体積)で希釈し、酢酸メチル(1体積)を添加した。MeOH(0.60当量)中30%のNaOMeを添加し、その添加槽をメタノール(0.5体積)でリンスした。その反応混合物をTi=20℃で3時間撹拌した。
【0074】
その反応混合物を、Ti=20℃で5分間にわたる酢酸(0.60当量)の添加によってクエンチして、pH5~6に到達させた。5体積の溶媒をTa=56℃/300~260mbarで蒸留して除去した。酢酸エチル(2.5体積)を添加し、2.5体積をTa 58℃/200mbarで蒸留して除去した。酢酸エチル(5体積)、23.1%NaCl溶液(2.5体積)および水(2.5体積)を添加し、撹拌した後で相を分離した(→AP2#1、pH6、OP2#1)。その水層(AP2#1)を酢酸エチル(3体積)で再抽出した(→OP2#2)。合せた有機層を23.1%NaCl溶液(5体積)で洗浄し、その有機層(OP3#1)の体積を180mLに決定した。
【0075】
116mLの溶媒を蒸留して除去することによって、OP3#1を4.0体積の濃縮物体積になるまでTa=60℃/330~300mbarで濃縮した。2-メチル-2-ブタノール(5体積)をTj=60℃(依然として溶液)で添加した。2.75体積の溶媒をTj=67℃/280~195mbarで蒸留して除去して、わずかに濁った溶液を生じた。
【0076】
その溶液をTi=70℃になるまで30分間にわたって加温した。その後、その溶液を室温になるまで100分間にわたって冷却させた。沈殿がTi約33℃で開始した。その懸濁物をTi=20℃で85分間撹拌した。その後、n-ヘプタン(8体積)をTi=20℃で50分間にわたって添加し、その懸濁物をTi=10℃になるまで25分間にわたって冷却し、この温度で3時間撹拌した。懸濁物を濾過し(2分間)、2-メチル-2-ブタノール/n-ヘプタン(0.7体積/1.4体積、10℃)混合物で濾過ケークを洗浄し、最後にn-ヘプタン(3体積)で濾過ケークを洗浄し、Ti=10℃に冷却した。減圧/窒素中にて一晩ヌッチェフィルターでその生成物を乾燥し、Ta=45℃で6時間さらにロータリーエバポレーターで乾燥して、乾燥重量含有量97.22%にした。17.00g(非補正値(n.corr.))/16.527g LOD(補正値(corr.))(収率:73.91%)。
【0077】
1H NMR(クロロホルム-d) δ 7.23~7.43(m,17H)、5.90(ddt,J=17.2,10.4,5.8Hz,1H)、5.31(dq,J=17.1,1.5Hz,1H)、5.24(dd,J=10.4,1.3Hz,1H)、5.10(d,J=3.3Hz,1H)、4.59~5.01(m,9H)、4.53~4.58(m,2H)、4.44(d,J=7.9Hz,1H)、4.00~4.12(m,2H)、3.83~3.94(m,2H)、3.71~3.82(m,4H)、3.68(s,3H)、3.32~3.35(m,1H)、2.34(tt,J=12.2,3.2Hz,1H)、2.20(d,J=13.2Hz,1H)、1.91~2.05(m,2H)、1.40~1.60(m,3H)、1.16~1.30(m,4H)、1.12(d,J=6.6Hz,4H)、0.92(t,J=7.6Hz,1H)、0.81(t,J=7.4Hz,3H)。MS:C47H61NO14についての計算値f=863.99;実測値m/z=886.4(M+Na+)。
【0078】
(工程7)
【化21】
(化合物11): 化合物10(25.00g)をDCM(6体積)に溶解した。溶媒(4体積)をTj=50℃/減圧で蒸留して除去した。DCM(6体積)を添加し、同じ体積の溶媒を蒸留して除去した。DCM(6体積)を添加し、同じ体積の溶媒を蒸留して除去した。その透明な黄色がかった濃縮物をDCM(4体積)で希釈し、窒素下で周囲温度になるまで
冷却した。2,6-ルチジン(1.8当量)を添加した。4-MeO-トリチルクロリド(1.03当量)を3回分の分量に分けて添加し、DCM(0.5体積)でリンスして反応混合物に入れ、周囲温度で1時間撹拌した。
【0079】
水(3体積)をチャージし、その後、Me-THF(6体積)をチャージし、6体積の溶媒を蒸留して除去した。Me-THF(6体積)を添加し、同じ量の溶媒を蒸留して除去した。クエン酸15%w/w(3体積)を添加し、その混合物を激しく撹拌した。それらの相を分離し、その有機相を水(3体積)とブライン(3体積)と飽和NaHCO3水溶液(1体積)との混合物で洗浄した。それらの相を分離し、その水相のpHが7であることを測定した。その有機相を半分濃縮したNaCl(6体積)水溶液で洗浄して、140mLの有機相を生じた。
【0080】
Tj=45℃/250mbarでの約50mLの溶媒の蒸留除去によって、その生成物溶液を4体積になるまで濃縮した。その濃縮物をTi=40℃になるまで加温し、n-ヘプタン(12体積)を同じ温度で30分間にわたって添加した。生じた懸濁物をTi=60℃になるまで加熱してフラスコの壁からあか(crust)を溶解させ、この温度で25分間維持した。その懸濁物を20℃になるまで2時間にわたって冷却し、この温度で一晩撹拌した。その固体を250mLターンオーバーフリット(turn over fritt)P3で濾過した。その濾過ケークを母液およびn-ヘプタン(2.3体積)でリンスし、窒素フロー下にて減圧中で5時間乾燥し、Tj=33℃にてロータリーエバポレーターで一晩さらに乾燥した。30.03g(非補正値(n.corr.))/29.89g LOD(補正値(corr.))(収率:93.8%(補正値(corr.)))。
【0081】
1H NMR(クロロホルム-d) δ 1H NMR(クロロホルム-d) シフト:7.09~7.47(m,28H)、6.76~6.82(m,2H)、5.83~5.99(m,1H)、5.32(dd,J=17.2,1.5Hz,1H)、5.24(dd,J=10.3,1.4Hz,1H)、4.77~5.00(m,4H)、4.44~4.75(m,7H)、4.10~4.21(m,2H)、3.98~4.09(m,2H)、3.75~3.95(m,4H)、3.61~3.70(m,6H)、3.54~3.60(m,1H)、3.37~3.50(m,2H)、3.27~3.37(m,2H)、2.15~2.37(m,2H)、1.93~2.14(m,2H)、1.36~1.56(m,2H)、1.05~1.29(m,5H)、0.73~0.86(m,3H)。MS:C67H77NO15についての計算値=1136.33、実測値m/z=1158.5(M+Na+)。
【0082】
(工程8)
【化22】
(化合物13): 化合物11(20.45g、1wt.)、酸化ジブチルスズ(IV)(0.37wt./1.7当量)、メタノール(4体積)およびトルエン(2体積)を加熱してTj=82°Cで還流し、還流下で2時間撹拌した。溶媒(3体積)をTj=65℃/320mbarでの蒸留によって除去した。トルエン(3体積)を添加し、その溶液を還流下でTj=82℃で75分間撹拌した。溶媒(4体積)をTj=65℃/400~140mbarでの蒸留によって除去した。トルエン(3体積)を添加し、溶媒(3体積)をTj=65℃/130mbarでの蒸留によって除去した。トルエン(3体積)を添加し、溶媒(3体積)をTj=65℃/105mbarでの蒸留によって除去した。
【0083】
アセトニトリル(5体積)をその濃縮物にTi=20℃で添加した。トルエン(2.25当量;CA18-0119)中の化合物12、フッ化セシウム(3.0当量;F17-04152)およびメタノール(1.0当量)を添加した。水(0.5当量)とアセトニトリル(0.5当量)との混合物を調製した。その調製したACN溶液のうちの1/4を反応混合物に添加し、その後にTi=20℃で1時間撹拌した。2番目の分量のACN溶液を添加し、その混合物をさらに1時間撹拌した。これをさらに2回繰り返した。最後の分量のACN/水の添加の後、その反応混合物をTi=20℃で180分間撹拌した。
【0084】
その混合物を、7.4%NaHCO3水溶液(4体積)の添加によってクエンチし、Ti=20℃で50分間撹拌した。その二相性混合物をセライトベッド(2wt;12体積のトルエンで前もって馴化済み)で濾過した。その濾過ケークをトルエン(3体積)でリンスした。それらの相を分離し、その水層をトルエン(3体積)で抽出した。合わせた有機層を半飽和NaHCO3水溶液(5体積)で洗浄した。その有機層をNa2SO4(2.0wt)で乾燥し、そのNa2SO4を濾過し、その濾過ケークをトルエン(2体積)でリンスした。4-メチルモルフォリン(1.0当量;F17-03830)をその生成物溶液に添加した。その溶液を4℃で一晩保存した。
【0085】
(工程9)
【化23】
(化合物14): 化合物13を含む有機相をロータリーエバポレーターでTa=55℃/200~90mbarにて5体積になるまで濃縮した。4-メチルモルフォリン(20当量)およびDCM(8体積)をチャージした。無水酢酸(8当量)および酢酸(2当量;F16-04758)をTi=20℃で添加した。そのフラスコを3回、排気し窒素でパージした。トリフェニルホスフィン(0.05当量)およびPd[(C
6H
5)
3P]
4(0.05当量)を添加し、その後、排気/窒素パージサイクルをもう1回行った。その反応混合物をTi=20℃で18時間撹拌した。
【0086】
その反応を、周囲温度で20分間にわたる水(5体積)の添加によってクエンチした。それらの相を分離し、その有機層をクエン酸15%(質量/質量)水溶液(5体積)で洗浄した。その有機相に飽和NaHCO3(5体積)およびメタノール(0.5体積)をチャージした。その混合物を周囲温度で45分間激しく撹拌した。それらの相を分離し、その有機相を水(各回5体積)で2回洗浄し、Tj=50℃/600mbarにてロータリーエバポレーターで7体積になるまで濃縮した。
【0087】
(工程10)
【化24】
(化合物15): 化合物14を含む濃縮物(140mL)にメタノール(0.2体積)および水(0.5体積)をチャージし、Ti=0~5℃になるまで冷却した。TCA(3.0当量)とDCM(1体積)との混合物を調製し、その濃縮物にTi=1~2℃で20分間にわたって添加した。その反応混合物をこの温度で3.5時間撹拌した。
【0088】
飽和NaHCO3水溶液(5体積)をその反応混合物にTi=1~3℃で25分間以内に添加し、その混合物を室温になるまで加温させた。それらの相を分離し、その水相をDCM(2体積)で抽出した。合せた有機層を水(5体積)で洗浄し、Na2SO4(1.5wt)で乾燥した。そのNa2SO2を濾過し、DCM(2体積)でリンスした。
【0089】
(精製): クロマトグラフィーカラムに1548g(10wt)のシリカゲル(15cm直径、ベッド高22cm)を充填し、酢酸エチル/ヘプタン(1:1)で馴化した。工程6/7/8telescope(出発物質:157.63g)由来の582gの生成物溶液をそのカラムの上部にチャージし、15mlのDCMで事前溶出した。最初に60体積(9.5L)の溶離液1(酢酸エチル/ヘプタン 1:1)を適用してそのカラムを溶出させ、1Lの洗浄画分を収集した後、19個の画分1#1~1#19(各々0.5L体積)を収集した。その後、その溶離液を溶離液2(酢酸エチル/ヘプタン 3:1)にチャージし、さらなる画分1#20~1#33(各々1.0L体積)を収集した。画分をTLCによって分析し、プール1:画分1#18~1#29をプールし、濃縮して、化合物15を80.88gの固体残渣(98.15%a/a)として供給した。画分1#15~1#17を第2のプールIIとして収集して、第2の収穫化合物15を9.98gの固体残渣(67.1%a/a)として供給した。
【0090】
1H NMR(クロロホルム-d) δ 7.20~7.45(m,24H)、5.66(d,J=6.8Hz,1H)、5.14~5.25(m,2H)、5.05(d,J=8.4Hz,1H)、4.69~5.01(m,7H)、4.61(d,J=11.4Hz,1H)、4.35(dd,J=10.6,3.0Hz,1H)、3.95~4.12(m,3H)、3.76~3.87(m,2H)、3.59~3.74(m,7H)、3.41(t,J=4.7Hz,1H)、3.29(t,J=9.6Hz,1H)、3.08~3.21(m,1H)、2.66(dd,J=9.5,2.2Hz,1H)、2.29(tt,J=12.6,3.1Hz,1H)、2.13(d,J=12.7Hz,1H)、1.91~2.08(m,5H)、1.36~1.81(m,13H)、0.99~1.31(m,9H)、0.72~0.98(m,5H)。MS:C61H79NO15についての計算値=1066.28、実測値m/z=1088.5(M+Na)。
【0091】
(工程11)
【化25】
(化合物16): 化合物15(5.03g;1wt;CA18-0480)に2-プロパノール(15体積)、水(0.5体積)およびTHF(2.5体積)をチャージした。その懸濁物をTi=30℃になるまで加温して、溶液を得た。Pd/C(10%、0.2wt;F15-01378)および2-プロパノール(3体積)を添加し、その混合物を水素雰囲気下にて大気圧およびTj=37℃で7時間撹拌した。脱気した水(1.5体積)をその反応混合物に添加し、水素化をTj=37℃/1barで17時間継続した。脱気した水(2体積)を添加し、その水素化を上記の所定条件でさらに7時間継続した。その反応混合物を水素雰囲気下にてTj=37℃/1barで一晩撹拌した。
【0092】
その水素雰囲気を窒素に交換し、固体NaHCO3(0.05当量)および水(2体積)をチャージした。その反応混合物を30℃にて0.45μmナイロン膜で濾過し、その濾過ケークを2-プロパノール(3体積)と水(1体積)との混合物でリンスした。合せた濾液をTj=35℃/減圧で乾燥するまで濃縮して、4.80gの固体物質を生じた。その固体を水(0.2体積)とTHF(3体積)との混合物に溶解して、透明な溶液を生じた。
【0093】
酢酸イソプロピル(25.5体積)をTi=0℃になるまで冷却し、その生成物溶液をTi=0℃で55分間にわたって滴下漏斗で添加した。その滴下漏斗を水(0.1体積)とTHF(0.3体積)との混合物でリンスした。その懸濁物を、Ti=0℃で 80分間撹拌した後に濾過した。その濾過ケークをMTBE(3体積)でリンスし、その生成物を減圧および窒素フロー下で一晩乾燥した。3.10g(非補正値(n.corr.))/3.08g LoD(補正値(corr.))(収率:LoD(補正値(corr.)92.66%)。
【0094】
1H NMR(400MHz、DMSO-d6) δ 4.61~4.83(m,2H)、4.08~4.26(m,3H)、3.98(d,J=8.6Hz,1H)、3.80(s,1H)、3.29~3.57(m,10H)、3.19~3.28(m,1H)、3.06(t,J=9.5Hz,1H)、2.34~2.47(m,1H)、2.22(d,J=12.7Hz,1H)、1.91~2.04(m,1H)、1.71~1.89(m,5H)、1.34~1.69(m,8H)、0.68~1.31(m,13H)。MS:C33H55NO15についての計算値=705.79、実測値m/z=728.4(M+Na)。
【国際調査報告】