(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-21
(54)【発明の名称】金属でメッキされたハニカム状炭窒化ホウ素ナノマテリアル及びその応用
(51)【国際特許分類】
C01B 21/082 20060101AFI20240214BHJP
H01M 4/134 20100101ALI20240214BHJP
H01M 4/66 20060101ALI20240214BHJP
H01M 4/80 20060101ALI20240214BHJP
H01M 10/052 20100101ALI20240214BHJP
H01M 10/0568 20100101ALI20240214BHJP
H01M 10/0567 20100101ALI20240214BHJP
H01M 4/58 20100101ALI20240214BHJP
H01M 4/38 20060101ALI20240214BHJP
H01M 4/136 20100101ALI20240214BHJP
H01M 10/054 20100101ALI20240214BHJP
B82Y 30/00 20110101ALI20240214BHJP
B82Y 40/00 20110101ALI20240214BHJP
【FI】
C01B21/082 K
H01M4/134
H01M4/66 A
H01M4/80 C
H01M10/052
H01M10/0568
H01M10/0567
H01M4/58
H01M4/38 Z
H01M4/136
H01M10/054
B82Y30/00
B82Y40/00
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023544096
(86)(22)【出願日】2022-01-20
(85)【翻訳文提出日】2023-09-20
(86)【国際出願番号】 IN2022050041
(87)【国際公開番号】W WO2022157803
(87)【国際公開日】2022-07-28
(31)【優先権主張番号】202111002835
(32)【優先日】2021-01-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】508176500
【氏名又は名称】カウンシル オブ サイエンティフィック アンド インダストリアル リサーチ
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シェルケ,マンジュシャ ヴィラス
(72)【発明者】
【氏名】パトリケ,アプルヴァ アルゲーシュ
(72)【発明者】
【氏名】カルバル,インドラパル
【テーマコード(参考)】
5H017
5H029
5H050
【Fターム(参考)】
5H017AA03
5H017AS02
5H017BB14
5H017CC25
5H017EE06
5H017HH03
5H017HH04
5H029AJ03
5H029AJ05
5H029AJ14
5H029AK01
5H029AL12
5H029CJ02
5H029CJ08
5H029CJ12
5H029CJ28
5H029DJ07
5H029DJ13
5H029HJ01
5H029HJ06
5H029HJ07
5H029HJ10
5H029HJ19
5H050AA07
5H050AA08
5H050AA19
5H050BA15
5H050BA16
5H050CA01
5H050CB12
5H050DA03
5H050DA04
5H050FA13
5H050GA02
5H050GA10
5H050GA12
5H050GA27
5H050HA01
5H050HA06
5H050HA07
5H050HA10
5H050HA19
(57)【要約】
本発明は、金属をメッキ/堆積するためのホストとしての3D剛性メソ多孔性ハニカム状炭窒化ホウ素(HBCN)ナノマテリアルを開示する。金属でメッキ/堆積された前記ナノマテリアルは、アルカリ金属イオン電池内の金属アノードとして用いられる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属をメッキ又は堆積するためのホストとしての、300~500nmの範囲内の多孔性と、2~10nmの範囲内のメソ多孔性と、を有する3D剛性メソ多孔性ハニカム状炭窒化ホウ素(HBCN)ナノマテリアル。
【請求項2】
前記ナノマテリアルが、400~800m
2g
-1の範囲内の表面積を有する、請求項1に記載の3D剛性メソ多孔性ハニカム状炭窒化ホウ素(HBCN)ナノマテリアル。
【請求項3】
アノード材料としての金属でメッキ又は堆積された前記ナノマテリアルが、アルカリ金属イオン電池のためのものである、請求項1に記載の3D剛性メソ多孔性ハニカム状炭窒化ホウ素(HBCN)ナノマテリアル。
【請求項4】
前記金属が、リチウム、ナトリウム、マグネシウム又はアルミニウムから選択される、請求項3に記載の3D剛性メソ多孔性ハニカム状炭窒化ホウ素(HBCN)ナノマテリアル。
【請求項5】
a)オルトケイ酸テトラエチル(TEOS)を、水、アルコール及びアンモニウム溶液の混合物に添加した後、撹拌して反応混合物を提供し、前記撹拌を続けてシリカナノ粒子を提供する工程、
b)遠心分離によりステップ(a)の前記シリカナノ粒子を分離して洗浄した後、乾燥させて、乾燥されたコロイダルシリカナノ粒子(SiO
2NPs)を提供する工程、
c)ホウ酸と、グルコース、スクロース、セルロース及びフルクトースから選択される炭素前駆体と、シアナミド溶液と、の混合物をコロイダルSiO
2NPsで浸透させ、得られた材料を乾燥させた後、不活性ガス中で熱分解して、シリカNPs/BCN複合体を提供する工程、及び
d)ステップ(c)の前記シリカNPs/BCNをHFで処理して、生成物からSiO
2NPsを完全に溶解した後、洗浄して乾燥させ、3Dハニカム状炭窒化ホウ素(HBCN)を得る工程、
を含む方法により製造される、請求項1に記載の3D剛性メソ多孔性ハニカム状炭窒化ホウ素(HBCN)ナノマテリアル。
【請求項6】
前記請求項1~5のいずれかに記載の、リチウム又はナトリウムでメッキ又は堆積された前記3Dハニカム状炭窒化ホウ素を含む、アルカリ金属イオン電池のためのアノード材料。
【請求項7】
前記請求項1~6のいずれかに記載の、アノードとしてのリチウムでメッキ又は堆積された、300から500nmの範囲内の多孔性と、2~10nmの範囲内のメソ多孔性と、有する前記3Dハニカム状炭窒化ホウ素を含む、リチウムイオン電池。
【請求項8】
前記リチウムイオン電池が、2400を超えるサイクルの間10mAhcm
-2のLi取込み堆積容量を有し、8mAcm
-2の高電流に供された場合に、99.98%のクーロン効率を有する、請求項7に記載のリチウムイオン電池。
【請求項9】
a)カソードとしてのLiFePO
4(LFP)、
b)アノードしての、前記請求項1~8のいずれかに記載のリチウムでメッキ/堆積された3Dハニカム状炭窒化ホウ素、
c)添加剤としての5%炭酸フルオロエチレンを有する1:1:1(v/v/v)の炭酸エチレン/炭酸ジメチル/炭酸エチルメチル中の1M LiPF
6を含む電解質、及び
d)負電極と正電極とを分離するセパレータとしてのセルガード、
を含む、リチウムメッキされたフルセル。
【請求項10】
前記フルセルが、50サイクルの後の110mAhg
-1の容量を100%クーロン効率で有する、請求項9に記載のリチウムメッキされたフルセル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属をメッキ/堆積するためのホストとしての3D剛性メソ多孔性ハニカム状炭窒化ホウ素(HBCN)ナノマテリアルに関する。金属でメッキ/堆積された前記ナノマテリアルは、アルカリ金属イオン電池において金属アノードとして用いられる。
【背景技術】
【0002】
グラファイト及びリチウム遷移金属酸化物(LTMO)を基にした最新式の市販されるリチウムイオン電池(LIB)は、~250Whkg-1のエネルギー密度を提示するが、それは、現在の移動手段の応用へのエネルギー密度要件からすると極めて小さい(Richard Van Noorden, Nature, 2014, 507, 26, 2. Eric C. Evarts, Nature, 2015, 526, 593)。Liイオン構成における理想的なアノードとカソードとの組み合わせは、軽量電気自動車に計画された値近くにも到達せず、実際のLiイオン電池は、6mAhcm-2の実容量で飽和される。 (Goodenough JB, Park KS, Journal of the American Chemical Society, 2013, 135(4),1167-76)。しかし、リチウム金属によるグラファイトの置換え、即ちLi金属構成を改良することで、現在の要望とほぼ一致する高いエネルギー密度が期待できるため、新たな希望が生まれている。例えば現在市販されるグラファイト系LIBsは、100~265Whkg-1の範囲内のエネルギー密度を有し得るが、Li及びLTMO電池は、約440Whkg-1のエネルギー密度を送達し得る。さらに、Li-S及びLi-O2構成においてLi金属をアノードとして用いると、600~650Whkg-1及び900~950Whkg-1のエネルギー密度が、それぞれ達成され得る(Bruce PG, Freunberger SA, Hardwick LJ, Tarascon JM, Nature materials, 2012,11, 19-29.9)。
【0003】
しかし、リチウムの高い反応性は、デンドライト成長と、それに続く深刻な安全性問題を意味するセルの短絡という恐るべき難題を引き起こす。Liの場合の非制御なデンドライト成長は、不均一な電着及び膨大な容量変化によっても寄与され、電極材料の上に形成する固体電解質界面(SEI)に直接影響を及ぼす。したがって、デンドライト形成の主なイニシエータは、Liの高い反応性の他に、1)カチオン欠乏による不均一なLiフラックス、2)均質でないLi導電性による不均質な核化、3)大きな容量変動と生じた応力によるSEIへの亀裂、である。最近、安定したLiアノード性能のためにデンドライト成長を抑制する意図を持って、これらのイニシエータを理解してこれらに対抗する幾つかの方策が、実証された。いくつかの電解質工学を除けば、文献のほとんどが、潜在的Liホストの表面及び全体の改良に向けられている。その上、原始的な炭素ネットワークが、リチウムメッキを誘導する導電経路を提供する。しかし、炭素中への親リチウム性ホストの組み入れなどのカーボンマトリクスの改良が、デンドライトを抑制してリチウム堆積を調節することによりリチウム堆積の効率を改善する(Xiang Chen et.alによる「Lithiophilicity chemistry of heteroatom-doped carbon to guide uniform lithium nucleation in lithium metal anodes」 Sci. Adv. 2019;5: eaau7728 15 February 2019)。窒素及びホウ素のようなヘテロ原子が、電子が豊富な性質によりリチウムとの適正な接触の提供を援助し、電極表面への均一なリチウム堆積を援助する。安定したクーロン効率及びサイクル寿命が、カーボンマトリクス中に存在するドーパントの誘導されたメッキによる均一なリチウム堆積によって実現される。
【0004】
これら全てを考慮すると、本明細書において、当該技術分野で求められている、リチウムを細孔に堆積するためのホスト材料としての、及びLiイオン電池内のリチウム金属アノードとして適用される、初めての窒素及びホウ素をドープされたメソ多孔性3Dハニカム状炭窒化ホウ素(HBCN)ナノマテリアルが、提供される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の主な目的は、炭窒化ホウ素(BCN)材料がハニカム形態を有することを特徴とする、金属でメッキされたBCNを提供することである。
【0006】
他の目的は、メソ多孔性3Dハニカム状炭窒化ホウ素(HBCN)ナノマテリアルの製造のためのインサイチュ工程を提供することである。
【0007】
本発明の別の目的は、3Dハニカム構造炭窒化ホウ素を金属アノードとして含む電池を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
したがって本発明は、金属をメッキ/堆積するためのホストとしての、300~500nmの範囲内の多孔性と、2~10nmの範囲内のメソ多孔性と、を有する3D剛性メソ多孔性ハニカム状炭窒化ホウ素(HBCN)ナノマテリアルを提供する。
【0009】
堆積される金属は、リチウム、ナトリウム、マグネシウム又はアルミニウムから選択される。
【0010】
一態様において、炭窒化ホウ素(HBCN)の3D剛性メソ多孔性ナノマテリアルは、400~800m2g-1の範囲内の表面積を有する。
【0011】
別の態様において、本発明は、
a)オルトケイ酸テトラエチル(TEOS)を水とアルコールとアンモニウム溶液との混合物に添加した後、撹拌して反応混合物を与えるステップと;
b)TEOS溶液をステップ(a)の混合物に添加し、撹拌し続けて、シリカナノ粒子を与えるステップと;
c)遠心分離によりステップ(b)のシリカナノ粒子を分離して洗浄した後、乾燥させて、乾燥されたコロイダルシリカナノ粒子SiO2NPsを与えるステップと;
d)ホウ酸と炭素前駆体とシアナミド溶液との混合物をコロイダルSiO2NPsで浸透させ、得られた材料を乾燥させた後、不活性ガス中で熱分解して、シリカNPs/BCNを与えるステップと;
e)ステップ(d)のシリカNPs/BCNをHF溶液で処理して、生成物からSiO2NPsを完全に溶解/除去した後、洗浄して乾燥させ、3Dハニカム状炭窒化ホウ素(HBCN)を得るステップと、
を含む、3Dハニカム状炭窒化ホウ素の製造のための費用対効果のある工程を提供する。
【0012】
金属でメッキ/堆積された、300~500nmの範囲内の多孔性と、2~10nmの範囲内のメソ多孔性と、を有する3D剛性メソ多孔性ハニカム状炭窒化ホウ素(HBCN)ナノマテリアルは、アルカリ金属イオン電池のためのアノード材料として用いられる。
【0013】
別の態様において、本発明は、300~500nmの範囲内の多孔性と、2~10nmの範囲内のメソ多孔性と、を有する3Dハニカム状炭窒化ホウ素を含み、前記ハニカム状炭窒化ホウ素メソ多孔性構造上にメッキ/堆積されたアルカリ金属イオンを有する、アル
カリ金属電池のためのアノードを提供する。
【0014】
アルカリ金属イオン電池は、リチウムイオン電池、リチウム硫黄電池、ナトリウムイオン電池、ナトリウム硫黄電池を含んでもよい。堆積される金属は、リチウム、ナトリウム、マグネシウム又はアルミニウムから、好ましくはリチウム及びナトリウムから選択される。
【0015】
一態様において、本発明は、リチウムでメッキ/堆積された、300~500nmの範囲内の多孔性と、2~10nmの範囲内のメソ多孔性と、を有する3Dハニカム状炭窒化ホウ素を金属アノードとして含む、改善された安定性と長期ライフサイクルを有するリチウムイオン電池を提供する。
【0016】
別の態様において、本発明は、
(i)カソードと;
(ii)アルカリ金属イオンでメッキ/堆積された、300~500nmの範囲内の多孔性と、2~10nmの範囲内のメソ多孔性と、を有する3Dハニカム状炭窒化ホウ素を含むアノードと;
(iii)アルカリ塩及び溶媒を含む、カソードとアノードとの間に配列された電解質と;
(iv)セパレータと、
を含む、アルカリ金属メッキされたフルセルを提供する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】カーボンシート、ハニカムカーボン、BCNシート、HBCNの(a)XRDパターン及び(b)ラマンスペクトル。
【
図2】(a)カーボンシート、(b)ハニカムカーボン、(c)BCNシート、及び(d)HBCNのSEM画像。
【
図3】(a)BCNのXPSサーベイスペクトル、BCNの(b)B1s、(c)C1s及び(d)N1sの高分解能XPSスペクトル。
【
図4】HBCNの(a)C1s、(b)B1s、及び(c)N1sの高分解能XPSスペクトル。
【
図5】それぞれカーボンシート及びHBCN試料のN
2吸着等温線(a及びc)及び孔径分布(b及びd)。
【
図6】(a)シリカナノ粒子のSEM画像、(b)900℃で加熱した後のシリカNPs/BCNのSEM画像、3D HBCNの(c~e)SEM画像、(f~g)TEM画像、(h)SAEDパターン、(i)高角度散乱暗視野走査透過電子顕微鏡法(HAADF-STEM)画像、(j)ホウ素のTEM元素マッピング、(k)炭素の元素マッピング、(l)窒素の元素マッピング。
【
図7】4mAcm
-2及び10mAhcm
-2でのHBCNのメッキ-剥離性能。(a)電圧-時間プロファイル、(b)メッキ-剥離のクーロン効率、(c)メッキ-剥離の選択されたサイクルでの電圧プロファイル、(d)メッキ-剥離サイクルによるヒステリシスの進化。
【
図8】(a)2mAhcm
-2面積容量堆積(areal capacity depositions)でのHBCNの(a)電圧-時間プロファイル及び(b)速度性能のクーロン効率、(c)50mAg
-2電流密度でのメッキHBCN及びLFPのフルセル性能、並びに(d)フルセルの充放電プロファイル。
【
図9】4mAcm
-2電流及び10mAhcm
-2容量でのLiメッキ/剥離性能。それぞれカーボンシート、HC及びBCNの(a、c及びd)電圧vs時間プロット、及び(b、d及びf)クーロン効率vsサイクルプロット。
【
図10】8mAcm
-2電流密度及び10mAhcm
-2容量値でのHBCNのLiメッキ-剥離性能。(a)電圧vs時間プロット、(b)メッキ/剥離、クーロン効率とサイクル安定性、(c)選択されたサイクルでの電圧プロファイル、及び(d)サイクル操作による電圧ヒステリシスの進化。
【
図11】8mAcm
-2電流密度及び種々のNa取込み容量(intake capacity)値でのHBCNの電気化学的Naメッキ剥離。(a及びc)それぞれ2mAhcm
-2及び1mAhcm
-2容量値でのVvs時間プロット。(b及びd)それぞれ2mAhcm
-2及び1mAhcm
-2容量値でのクーロン効率プロット。
【発明を実施するための形態】
【0018】
様々な態様が、より完全に理解及び認識されるように、ここに本発明が、特定の好ましい実施形態及び任意選択による実施形態と関連づけて詳細に記載される。
【0019】
一実施形態において、本発明は、金属をメッキ/堆積するためのホストとしての、300~500nmの範囲内の多孔性と、2~10nmの範囲内のメソ多孔性と、を有する3D剛性メソ多孔性ハニカム状炭窒化ホウ素(HBCN)ナノマテリアルに関する。
【0020】
堆積される金属は、リチウム、ナトリウム、マグネシウム又はアルミニウムから選択される。
【0021】
一実施形態において、炭窒化ホウ素の3D剛性メソ多孔性ナノマテリアル(HBCN)は、400~800m2g-1の範囲内の表面積を有する。
【0022】
別の実施形態において、本発明は、
a)オルトケイ酸テトラエチル(TEOS)を水とアルコール、好ましくはイソプロピルアルコールとアンモニウム溶液との混合物に添加した後、25℃~30℃の範囲内の温度で1~2時間の範囲内の時間、撹拌して、反応混合物を与えるステップと;
b)TEOS溶液をステップ(a)の混合物に添加して、25℃~40℃の範囲内の温度で2~4時間、撹拌し続けて、シリカナノ粒子を与えるステップと;
c)遠心分離によりステップ(b)のシリカナノ粒子を分離して水及びアルコールで洗浄した後、乾燥させて、乾燥されたコロイダルシリカナノ粒子SiO2NPsを与えるステップと;
d)ホウ酸と炭素前駆体とシアナミド溶液との混合物をコロイダルSiO2NPsで浸透させ、得られた材料を50℃~100℃の範囲内の温度で乾燥させた後、不活性ガス中、700℃~1000℃の範囲内の温度で熱分解して、シリカ/BCNを与えるステップと;
e)ステップ(d)のシリカ/BCNをHF溶液で10~14時間、処理して、生成物からSiO2NPsを完全に溶解/除去した後、水で洗浄して乾燥させ、3Dハニカム状炭窒化ホウ素(HBCN)を得るステップと、
を含む、3Dハニカム状炭窒化ホウ素の製造のための費用対効果のある工程を開示する。
【0023】
炭素前駆体は、グルコース、スクロース、セルロース又はフルクトースから選択される。
【0024】
ハニカム状炭窒化ホウ素の製造のための工程は、以下のスキーム1に示されたとおりである:
【0025】
【0026】
一実施形態において、メッキ/堆積されたイオンを有する、300~500nmの範囲内の多孔性と、2~10nmの範囲内のメソ多孔性と、を有する3Dハニカム状炭窒化ホウ素は、アルカリ金属電池において金属アノードとして用いられる。
【0027】
さらに別の実施形態において、本発明は、300~500nmの範囲内の多孔性と、2~10nmの範囲内のメソ多孔性と、を有する3Dハニカム状炭窒化ホウ素を含み、前記ハニカム状炭窒化ホウ素メソ多孔性構造上にアルカリ金属イオンでメッキ/堆積された、アルカリ金属電池のためのアノードを開示する。
【0028】
アルカリ金属イオンは、電気化学的経路を介して3Dハニカム状炭窒化ホウ素構造上に堆積される。
【0029】
該金属は、リチウム、ナトリウム、マグネシウム又はアルミニウムから選択される。該金属は、好ましくはリチウムである。アルカリ金属イオン電池は、リチウムイオン電池、リチウム硫黄電池、ナトリウムイオン電池、ナトリウム硫黄電池を含んでもよい。
【0030】
一実施形態において、本発明の3D HBCNそのものは、本質的に導電性で相互接続構造を有し、B及びNドーパントのようなヘテロ原子が、表面への滑らかなLi/Naメッキのための誘導されたパスを提供する。
【0031】
一実施形態において、3D HBCNは、8mAcm-2の高電流及び10mAhcm-2容量の大量のLi取込みで2400を超えるサイクルの間、安定したデンドライト不含のLiメッキ/剥離性能を示す。
【0032】
好ましい実施形態において、本発明は、アノード材料としてリチウムでメッキ/堆積された、300~500nmの範囲内の多孔性と、2~10nmの範囲内のメソ多孔性と、を有する3Dハニカム状炭窒化ホウ素を含むリチウムイオン電池に関する。
【0033】
別の実施形態において、リチウムイオン電池においてリチウムの堆積後にアノードとして用いられるプレリチウム化電極の製造のための工程は、
(i)300~500nmの範囲内の多孔性と、2~10nmの範囲内のメソ多孔性と、を有する3D HBCNと、導電性添加剤(Super P)と、PVDF結合剤と、をNMP溶媒中で80:10:10の比で混合すること;
(ii)集電体として用いられる銅箔上にステップ(i)で調製されたままのスラリーをコーティングし、次に一晩乾燥させること;及び
(iii)円形電極を14mm径で切断すること、
を含む。
【0034】
一実施形態において、Li金属アノードとして3D HBCNを有する本発明のリチウム金属電池(ハーフセル)は、ジオキソラン(DOL)/ジメトキシエタン(DME)電解質中での1M LiTFSI及び0.3M LiNO3中で、2400を超えるサイクルの間、8mAhcm-2の高電流密度及び10mAhcm-2の大量のLi取込み容量値に供された場合に、99.98%のクーロン効率(CE)を示す。
【0035】
さらに別の実施形態において、本発明は、
a)カソードとしての標準のLiFePO4(LFP)と;
b)アノードしての、リチウムをメッキ/堆積された300~500nmの範囲内の多孔性と、2~10nmの範囲内のメソ多孔性と、を有する3Dハニカム状炭窒化ホウ素と;
c)5%炭酸フルオロエチレン(FEC)を有する1:1:1(v/v/v)のEC/DMC/EMC(即ち、炭酸エチレン/炭酸ジメチル/炭酸エチルメチル)中の1M LiPF6を含む電解質と;
d)負電極と正電極とを分離するセパレータとしての石英繊維紙又はセルガードと、
を含む、リチウムメッキされたフルセルを開示する。
【0036】
図を参照すると、本発明の詳細な説明は、以下のとおりになる。したがって、
図1(a)に示されたカーボンシート、ハニカムカーボン、BCNシート、HBCN、のPXRDパターンは、(002)及び(100)の主要な平面のための2つの幅広のピークを表しており、グラファイト炭素の性質を示す。
【0037】
ラマン分析は、
図1(b)に示されたとおりカーボンシート、ハニカムカーボン、BCNシート、HBCNで実施された。試料全てのラマンスペクトルが、Dバンド及びGバンドの存在を呈している。Gバンドは、sp
2炭素による面内炭素原子伸縮振動に対応するが、欠陥バンドとしても知られるDバンドは、sp
3炭素の存在による。カーボンシート、ハニカムカーボン、BCNシート、及びHBCNは、Dバンドのラマンシフトを示し、1325cm
-1前後にピーク位置を有する。類似のラマンシフト現象が、Gバンド位置でも観察され、1588cm
-1前後にピークを示す。
【0038】
図2は、カーボンシート、ハニカムカーボン、BCNシート、及びHBCN試料のSEM画像を示す。それは明確に、炭素試料とBCN試料の両方でシート状形態及びハニカム構造を示す。
【0039】
XRS分析は、BCN中のB、C、N及びOの存在を示す(
図3a)。それゆえ元素分析が、これらの元素で実行され、
図3bは、それぞれB-C及びB-N結合に関連する190.3及び191.9eVの結合エネルギーで2つのピークにデコンボリュートされ得るB1sスペクトルを示す。
図3cは、それぞれC-B、C-C、C-N及びC-Oに割り付けられる283.4、284.3、285.7及び288.5eVの4つのピークにデコンボリュートされたC1sスペクトルである。N1sスペクトルが、
図3dに示されており、N-B、N-C(ピリジン性及びグラファイト性)に対応する397.9、399.41及び401.12eVの3つのピークにデコンボリュートされる。こうして全てのピークが、C-B、C-N、C-O及びB-Nの間の結合の形成を確証している。
【0040】
H-BCNのC1sの高分解能X線光電子分光(XPS)スペクトル(
図4a)は、それぞれC-B、C-C、C-N及びC-O結合に起因する283.8、284.3、285.8及び288.2eVにデコンボリュートされ得る。H-BCNのB1sの高分解能スペクトル(
図4b)は、それぞれB-C及びB-N結合に対応する189.8及び191.6の2つのデコンボリュートされたピークを示す。同様に、H-BCNのN1sの高分解能スペクトル(
図4c)は、それぞれN-B、N-Cピリジン性及びN-Cグラファイト性結合による397.3、399.4及び401.7eVの3つのデコンボリュートされたピークを表す。XPS試験は、e
-不足のBがCとNの間に結合を生成し、e
-が豊富なNが孤立電子対を提供してルイス塩基として作用し、強力な酸-塩基反応を通してルイス酸Li
+イオンに強力に吸着する、という金属アノード適用でのハニカム形状炭素(HBCN)へのB及びNドーピングの見識を与える。
【0041】
ハニカム状BCN、BCNシート、ハニカムカーボン及びカーボンシートの比表面積が、それぞれ597、358、276及び10m
2g
-1であることが観察された。カーボンシート及びHBCNのN
2吸脱着等温線及び孔径分布が、
図5に示される。カーボンシートは、III型等温線での10m
2g
-1の表面積(
図5a)及び10~30nmの孔径(
図5b)分布を呈した。しかし、HBCNは、IV型等温線で597m
2g
-1である、全ての調製された炭素試料のうちで最大の表面積(
図5c)、及び20nm未満の範囲内の孔径(
図5d)を呈した。
【0042】
【0043】
本発明の工程の実施形態において、(500nm前後の)サイズの均一な球状シリカNPsは、周知のストーバ法を利用することにより製造された。その上、ストーバ法を用いて、50~500nmの範囲内のサイズのシリカNPsが、合成され得る。本発明において、300~500nm前後のサイズのシリカNPsが、合成された。均一な球状シリカNPsの形成は、SEM画像により確証された(
図6a)。グルコース(又はセルロース又はスクロース又はフルクトースもまた、炭素前駆体として用いられ得る)と、ホウ酸と、シアナミドと、の混合物がその後、シリカNPsに浸透された後、900℃で熱分解されて、SEM画像から確証されたシリカNPs上の均一なBCN層の形成をもたらした(
図6b)。本発明の工程において、前駆体からの任意の塊のランダムな形成は、観察されなかった。
図6(c~e)は、シリカNPs/BCN複合体からシリカNPsをHF溶液でエッチングした後に得られたHBCNのSEM画像を表す。シリカNPsのエッチングの後にBCN層上に形成された球状細孔の径は、3D構成を生成するシリカNPsとほぼ類似している。3D構成は、BCN全体で均一に生成され、ハニカムスポンジ様構造をBCN材料内に導入する傾向がある。さらに、3D HBCNの多孔性及び構造形態が、TEM画像化により検査され、そのTEM画像は、
図6(f及びg)に示され、HBCNのハニカム様多孔性3D形態を表示している。
図6(h)は、HBCNの制限視野電子回折(SAED)パターンを示す。拡散した回折リングは、非晶質/多結晶の性質を示している。回折リングは、炭素の(002)及び(100)平面に対応する。3D HBCNの元素マッピングが、TEMで実行され、対応する画像は、
図6(i~l)に示される。元素マッピング画像は、3D HBCN材料内のB、C及びNの均等な分布を示している。
【0044】
3D HBCNネットワークの相純度及び結晶構造が、粉末XRDにより特徴づけられた。炭素材料について観察された回折パターンが、
図1(a)に示される。グラファイトの主要な結晶学的平面(002)及び(001)の幅広のピークが、乱層構造を示している。HBCNのPXRDパターンから(002)平面のd値は、3.5nmであった。より深い構造情報を得るために、ラマンスペクトルが、632.8nmの励起波長で測定された。ラマンプロットが、
図1(b)に示される。2つの強いピークが、それぞれグラファイトのDバンド及びGバンドに対応する1325cm
-1及び1594cm
-1に観察された。この際立った欠陥バンドは、酸素官能基を伴う3D HBCNネットワークにおける炭素の高い多孔性と、窒素及びホウ素ドーピングの存在と、の2つの理由による可能性がある。加えてグラファイトの2Dバンドに対応する2689cm
-1の弱い幅広形状が観察され、それにより炭素ネットワーク内のより強い3Dリンケージが示唆される。窒素吸脱着試験が、HBCN材料の多孔性を理解するために実施され、対応するプロットが、
図5(c)及び(d)に示される。
図5cに示されたHBCNの等温線は、より低い相対圧力での単層N
2吸着を示すIV型等温線を表し、より高い相対圧力でのヒステリシスは、597m
2g
-1の総表面積のHBCN中のメソ多孔の存在を示す。窒素脱着曲線から得られた孔径分布は、0.84cm
3g
-1の総細孔容積を示した。高い表面積及び細孔容積は、Liイオンの短い拡散パスとしてのLiメッキ-剥離性能を強化して、活性部位での優れた接近可能性を提供し、良好な電極-電解質接触を示した。そのような高い表面積は、低い電流密度、つまりリチウム堆積のための均一なフラックスを示唆する。
【0045】
この相互接続するナノスケール炭素は、充電の間にLi電着のための塩基性の大きな親リチウム性炭素表面積を提供した。多孔性構造は、容易な拡散を確保して、局所空間荷電の発生を引き起こして順次、デンドライトにつながり得る不均一なLiフラックスを軽減する。加えて、ヘテロ原子ドーピングが、より良好な親リチウム性のために表面を官能基化し得る。
【0046】
調製されたままのHBCN材料へのリチウム堆積/溶解、即ち、メッキ/剥離挙動が、ハーフセルアセンブリで試験された。クーロン効率は、任意のリチウム金属アノードの持続性を検討する最も重要なパラメータである。クーロン効率は、作用電極に堆積されたリチウムの総量に対する作用電極から剥離されたリチウムの総量の比である。メッキの間、Li
+イオンが、Liディスク対電極から作用電極に堆積し、剥離の際、Li
+イオンが、剥離するようになり、Liディスク対電極に戻る。一般にクーロン効率は、電流密度と面積容量の両方に依存する。このため、任意のリチウム金属アノードを異なる電流密度及び面積容量値で試験することが、重要である。4mAcm
-2電流密度及び10mAhcm
-2の面積容量値での銅箔にコーティングされたHBCNのメッキ-剥離挙動が、
図7に示される。
図7(a)から、HBCNの、安定した均一な電圧プロファイルが、最初のサイクルのみから同定された。HBCNの均一なメッキ-剥離挙動が、99.94%クーロン効率で400を超えるサイクルで観察された(
図7(b))。この強化された性能は、ナノスケールで相互接続された炭素ネットワークを提供する高い表面積のHBCN材料への均一なフラックス分布に起因する。その上、カーボンマトリクス中の窒素及びホウ素ドーピングは、窒素及びホウ素がリチウム核化を調節して誘導されたリチウムメッキを提供し、それによりデンドライト成長を抑制する、という重大な役割を担う。これは、安定した長期サイクル性能に役立つ。高い見かけ面積(表面積)のおかげで、HBCNは、非常に低い電流密度を受け、これによりデンドライト形成時間を延長し、サイクル期間にわたり安定したストレスフリーのSEIを維持する。
【0047】
図7(c)は、メッキ電位の平坦域と剥離電位の平坦域との電圧差からのLi電着過電圧を表す。正味の過電圧が、(i)SEIを通したLi
+イオン拡散律速と、(ii)メ
ッキのための電荷移動過電圧と、から発生し得る。HBCNでコーティングされた銅へのLi堆積のための過電圧は、最初のサイクルでは145.2mV前後である。
図7cから、最初のメッキでは、電位が、Li/Li
+に対して-4000mVに降下し、これが、4mAcm
-2電流密度及び10mAhcm
-2容量値で実行された実験全体での最大電位降下であり、それは、そのような高い電流速度及び容量値でのSEIを通した輸送のためにLi
+イオンが受けた動力学的障害に起因する。しかし、過電圧は、極端に低下し、わずか2回目のサイクルから安定化する。サイクルの間のこの過電圧低下は、それまでに堆積されたイオンへの新たなLi
+イオンの堆積に起因した。
図7(d)で示されるとおり、26.6、26.2、25.5、25.3及び25.4mVの過電圧が、2回目、3回目、5回目、10回目及び20回目のサイクルで観察され、100サイクル後に、24.6mVの値で安定化するようになった。過電圧は、わずか2回目のサイクルから安定化されるようになり、メソ多孔性構造の上に形成されたロバストなSEI層に寄与されて、メソ多孔性構造を通した効率的なLi
+イオン輸送を可能にした。このクーロン効率(CE)値は、2000時間のメッキ/剥離に達する400サイクル後も持続された。
【0048】
HBCNの速度性能が、2mAhcm
-2の一定した面積容量で実行された。(
図8(a)及び(b))連続する1、2、4、6、4、2、及び1mAcm
-2の面積電流密度が、HBCNに加えられた。安定したクーロン効率性能が、異なる電流値で実現され、異なる電流速度で無視できる程度の電位降下であった。これは、より高い電流速度でも表面のリチウムフラックスを調節するカーボンマトリクスへの2種ヘテロ原子ドーピングを有するメソ多孔性構造に起因した。
【0049】
別の実施形態において、フルセル中のリチウムメッキHBCNの実現可能性が、カソードとしてのLiFePO
4(LFP)と、アノードとしてのプレリチウム化HBCNと、を用いたフルセル構成で試験された。50mAg
-1電流密度でのLi-HBCN||LFPフルセルの充放電サイクル性能が、それぞれ
図8(c及びd)に示される。このフルセルは、50サイクルの後の110mAhg
-1の容量値で100%クーロン効率を示す。
【0050】
非常に粗悪な性能を示した4mAcm
-2電流及び10mAhcm
-2容量での炭素試料のLiメッキ/剥離性能が、それぞれ
図9(a)及び(b)の電圧vs時間プロット及びクーロン効率vsサイクルプロットから示される。これは、より低いLi核化部位を提供する材料の非常に低い表面積が原因であり、平面状の表面が、不均質なLi堆積を引き起こして、さらにデンドライト成長に発展する。その上、C中のヘテロドーピングの不在が、粗悪なLi固定をもたらして、粗悪な性能をきたす。20サイクルのメッキ/剥離のうちに、クーロン効率が、急速に降下する。
【0051】
平面カーボンシートと同様に、ハニカムカーボン(HC)試料もまた、4mAcm
-2電流及び10mAhcm
-2容量で粗悪なLiメッキ/剥離性能を示す(
図9(c及びd))。クーロン効率は、わずか40サイクル以内で降下している。平面カーボンシートに比較して、HCの表面積がより大きければ、より大きなLi核化部位に役立つ。しかし、炭素の疎リチウム性と、リチウム原子への強力な結合親和性を有する親リチウム性官能基の欠如とが、粗悪な性能をもたらす。それゆえこれは、不均質なLiフラックス分布及びデンドライト成長をもたらす。
【0052】
4mAcm
-2電流密度及び10mAhcm
-2容量値でのBCN材料のLiメッキ/剥離性能が、それぞれ
図9(e及びf)に示される。平面状炭素及びハニカムカーボン材料と同様に、粗悪なLiメッキ/剥離性能が、BCN材料で観察された。BCNの場合、B及びNの親リチウム性ドーパントが、存在するが、シート状の形態が、材料の中で不均質なLiフラックス分布を提供して、粗悪な性能をもたらす。
【0053】
平面状カーボンシート、ハニカムカーボン、BCNシート及びハニカム状BCNの電池性能は、ハニカム構造と炭素中へのB-Nドーピングとの両方が、均一なLiメッキ/剥離適用の最適要件であることを示している。
【0054】
図10は、8mAcm
-2の高い電流密度及び10mAhcm
-2の重厚なLi堆積でのHBCNのメッキ/剥離性能の実験結果を表す。
図10(a)の最初のインセットグラフから、最初の数サイクルで、電圧vs時間プロットの性質が均一でないことを容易に示している。原因は、メッキがSEI層の下で起こるため、電解質を通した輸送及び固体電解質界面を通した輸送のためにLi
+に与えられる動力学的障害である。しかし、その性能は、10サイクル以内で安定してくる。そのような高い電流速度と重厚なLi堆積の能力で得られたクーロン効率は、素晴らしく、2437サイクル後に99.98%になる(
図10(b))。この強化された性能は、ナノスケールでの相互接続された炭素ネットワークを有する高表面積のHBCN材料での均一なフラックス分布に起因する。その上、カーボンマトリクス中での窒素及びホウ素ドーピングは、窒素及びホウ素がリチウム核化を調節して誘導されたリチウムメッキを提供し、それによりデンドライト成長を抑制する、という重大な役割を担う。これは、安定した長期サイクル性能に役立つ。
【0055】
図10(c)は、メッキ電位の平坦域と剥離電位の平坦域の電圧差から計算されたLi電着過電圧に関するLi堆積の動力学にも着想を与える。正味の過電圧が、(i)SEIを通したLi
+イオン拡散律速と、(ii)メッキのための電荷移動過電圧と、から発生し得る。HBCNへのLi堆積のための核化過電圧は、最初のサイクルで461.3mVであり、それは8mAcm
-2及び10mAhcm
-2パラメータでの電流実験の最高であり、SEIを通した輸送のためにLi
+に与えられた動力学的障害に起因し得る。2回目のサイクルでは、核化過電圧は、87.4mVに極端に低下し、さらに安定化するようになった。さらに、メッキ剥離における電圧ヒステリシスは、過電圧と称され、メッキ電位の平坦域と剥離電位の平坦域との差である。これは、メッキ/剥離サイクルの間のLiの物質移動挙動についての着想を与える。
図10(d)に示されたとおり、197.3、139.8、128.65、16.7、19.1、26.5、26.7及び22.7mVの過電圧が、1回目、2回目、5回目、10回目、50回目、100回目、200回目及び500回目で観察され、500サイクル後に22mV前後の値で安定するようになる。メソ多孔性構造を通してLi
+イオンの効率的輸送を可能にするメソ多孔性構造の上に形成されたロバストなSEI層から寄与される過電圧は、わずか2サイクルから安定化するようになる。
【0056】
さらに別の実施形態において、ナトリウム金属アノード適用に供された場合の本発明の3D HBCNは、
図11に示されたとおり、8mAcm
-2電流、並びに1及び2mAhcm
-2容量値では1000サイクルの後であっても安定した性能を示し、約100%のクーロン効率を有する。
【0057】
安定した電気化学的性能から、HBCNが均一なLi堆積及び安定した界面を可能にすることが確証される。より大きな表面積及びメソ多孔性構造を有する導電性カーボンマトリクスから、低い電流密度の分布及び促進されたLi+イオン輸送と、均一な電子及びLi+イオン分布が示唆される。その上、ホウ素及び窒素ドーパントは、均質なLi核化及び保証されたデンドライト不含Li堆積のための活性部位として作用する。細孔容積の拡大は、持続性界面につながる空間を提供することにより、無限の容積拡張という問題を加える。
【0058】
調製されたままのHBCNアノードは、2400を超えるサイクルの間、8mAcm-2の高電流及び10mAhcm-2の重厚なLi取込み堆積容量に供された場合に、Li電池において優れた電気化学的性能及び高い安定性を呈し、99.98%のクーロン効率
を有する。LFPカソードを有するプレリチウム化HBCNのフルセルアセンブリは、50サイクルを超えて安定した性能を示す。この合理的に設計されたカーボンマトリクスは、安定したリチウム金属アノード(LMA)及びナトリウム金属アノード(NMA)の組立てのための効果的方策を提供する。
【0059】
一実施形態において、本発明は、8mAcm-2の高電流及び10mAhcm-2容量の大量のLi取込みで2400を超えるサイクルの間、安定したデンドライト不含のLiメッキ/剥離性能を示す3D HBCNを提供する。さらに本発明は、容易で費用対効果のあるテンプレート支援型3D HBCN合成を開示する。
【0060】
セルが、リチウム金属に対するアノード又はカソードを用いて組み立てられる場合、それは、「ハーフセル」と呼ばれる。セルが、互いに対するアノード及びカソードを用いて組み立てられる場合、それは、「フルセル」と呼ばれる。
【実施例】
【0061】
以下の実施例は、例示として与えられており、それゆえ本発明の範囲を限定するものと解釈されてはならない。
【0062】
材料:
グルコース、シアナミド及びオルトケイ酸テトラエチル(TEOS)、ホウ酸及びイソプロピルアルコール(IPA)、アンモニア溶液が、HBCNの合成のために調達された。電極の調製に用いられた導電性炭素(カーボンブラック-99.99%)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)及びN-メチル-2-ピロリドン、ビス(トリフルオロメタン)スルホンイミドリチウム塩(LITFSI)、ジオキソラン(DOL)、ジメトキシエタン(DME)、硝酸リチウム(LiNO3)、ヘキサフルオロリン酸リチウム(LiPF6)、炭酸エチレン(EC)、炭酸ジメチル(DMC)、炭酸フルオロエチレン(FEC)、NaPF6及びジグリムが、電解質の調製に用いられた。リチウムディスク、ナトリウム金属及びセルガードセパレータが、電池の組立てに用いられた。全ての材料が、受け取ったままの状態で用いられた。
【0063】
シリカNPsが、周知のストーバ法により300~500nmの範囲内のサイズのNPsを用いて合成され、HBCN合成のテンプレートとして用いられた。一般に50~500nmのサイズ範囲のシリカNPsもまた、ストーバ法を用いて合成され得る。その上、必要となるサイズ範囲の市販のシリカNPsもまた、さらなるHBCN合成のために調達され得る。
【0064】
実施例1:3Dハニカム状炭窒化ホウ素(HBCN)の合成
テンプレート支援型合成のプロトコルが、SiO2 NPsがテンプレートとして用いられるHBCN合成に用いられている。典型的には、それぞれ1モルのホウ酸、グルコース及びシアナミド溶液が、コロイダルSiO2 NPsで浸透された。溶液の浸透の後、得られた材料が60℃で乾燥された後、アルゴンガス中、900℃で3時間、熱分解された。次に、生成物からSiO2 NPsを完全に溶解/除去するために、シリカ/BCNが、10%HF溶液で12時間処理された後、DI水で洗浄されて乾燥され、3D HBCNを得た。
【0065】
実施例2:材料の特徴づけ
調製された試料の相純度が、10°~80°の2θ値で1.5406Å波長のニッケル濾過Cu Kα線でのPhilips X’Pert PRO分析回折装置を用いて実行された粉末XRD分析から試験された。ラマン分析は、632.8nmダイオードレーザでのJY Horiba顕微ラマン分光装置のLabRam HR800を用いることに
より実行された。調製された試料及びサイクル後電極の形態学的試験が、18kV作用電位及びWD=5.2~5.7mmでのNOVA NANO FESEM450装置を用いて実施された。透過電子顕微鏡(TEM)は、300kVの加速電位を用いて操作するIFEI Tecnai F30 FEG顕微鏡を用いて実施された。光電子分光(XPS)測定が、x線源としての単色Al Kα(1486.6eV)を含むVG Micro Tech ESCA 3000装置を用いることにより実行され、アナライザチャンバの圧力は、測定の間、1×10-8hPa(1×10-8mbar)に維持された。表面積試験が、試料の表面での100000Pa(1バール)までのN2吸着により、ブルナウアー-エメット-テラー(BET)吸着法を利用し、Quantachrome BET表面分析装置の助力を得て実施された。
【0066】
実施例3:電気化学的測定
電極調製:プレリチウム化アノード電極
電極は、NMP溶媒を用いて3D HBCNと、導電性添加剤(Super P)と、PVDF結合剤と、をそれぞれ80:10:10の比で混合することにより調製された。調製されたスラリーは、集電体として用いられる銅箔にコーティングされ、次にオーブンにおいて80℃で一晩乾燥された。円形電極が、電極カッタを用いて14mm径に切断された。
【0067】
アルカリ金属セルの組立て:
セルが、Arを充満されたグローブボックス(酸素レベル<0.1ppm及びH2Oレベル<0.1ppm)において、対電極及び参照電極としてのLiと、集電体、即ちアノードとして銅基板にコーティングされたプレリチウム化3D HBCNと、を含むCR2032セル型アセンブリで組み立てられた。用いられた電解質は、Liハーフセルでは、添加剤としての0.3M LiNO3を含む、ジオキソランとジメトキシエタンとの1:1(容量)混合物に溶解された1M LiTFSIリチウム塩(リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド)であった。フルセルのLFPでは、5%FECを含む1:1:1(v/v/v)のEC/DMC/EMC中の1M LiPF6が、電解質として求められた(sued)。Naメッキ適用の場合、ジグリム中の1M NaPF6が、電解質として用いられた。セルガードが、負電極と正電極とを分離するためのセパレータとして用いられた。
【0068】
メッキ/剥離測定:
調製された材料のメッキ-剥離測定が、MTI Corporationのバッテリーアナライザを用いて一定の充放電で実施された。
【0069】
実施例4:電池の性能データ
セルは、異なる電流及び容量値でのHBCN Liメッキ/剥離について実行された。形態学的効果をヘテロ原子ドーピング効果と共に試験するために、本発明者は、(i)平面カーボンシート(C)、(ii)ハニカムカーボン(HC)、及び(iii)炭窒化ホウ素シート(BCN)、でLiメッキ/剥離を実行した。下記は、異なる試料の詳細な説明である。
【0070】
(i)平面カーボンシート(C):
平面カーボンシート(C)は、アルゴン雰囲気において900℃で3時間のグルコース炭化により合成された。調製されたままの炭素試料が、それぞれ
図1(a)及び1(b)に示されたとおり、相純度を分析するためにXRD及びラマンにより特徴づけられた。主要な結晶学的平面(002)及び(001)の2つの幅広のピークが、XRDで示されている。2つの強いピークが、
図1(b)に示された、それぞれグラファイトのDバンド及びGバンドに対応する1334cm
-1及び1592cm
-1に観察された。BETから
計算された、調製されたカーボンシートの表面積は、10.7m
2g
-1であった。N
2等温線が、
図5(a)に示される。
図2(a)に示されたSEM画像は、調製された試料のシート状形態を表す。非常に粗悪な性能を示した4mAcm
-2電流及び10mAhcm
-2容量でのC試料のLiメッキ/剥離性能が、それぞれ
図9(a)及び(b)の電圧vs時間プロット及びクーロン効率vsサイクルプロットから示される。これは、より低いLi核化部位を提供するその材料の非常に小さな表面積によるものであり、平面状の表面は、不均質なLi堆積を引き起こし、さらにデンドライト成長に発展する。その上、C内のヘテロドーピングの不在が、粗悪なLi固定をもたらし、粗悪な性能をきたす。20サイクル以内のメッキ/剥離で、クーロン効率が、急激に降下する。
【0071】
(ii)ハニカムカーボン(HC):
HC材料は、シリカナノ粒子へのグルコースの浸透により合成された。溶液の浸透の後、得られた材料が60℃で乾燥された後に、アルゴンガス中、900℃で3時間、熱分解された。次に、生成物からSiO
2 NPsを完全に溶解/除去するために、シリカNPs/炭素複合体が、10%HF溶液で12時間処理された後に、DI水で洗浄されて乾燥され、3D HCを得た。試料の相純度が、HF処理後の材料からのシリカ(SiO
2)粒子の完全な除去を示す、それぞれ
図1(a)及び(b)に示された通りXRD及びラマンスペクトルにより特徴づけられた。ハニカムカーボン(HC)の3D 多孔性形態が、
図2(b)に示され、表面積は276.4m
2g
-1である。平面カーボンシートと同様に、HC試料もまた、4mAcm
-2電流及び10mAhcm
-2容量で粗悪なLiメッキ/剥離性能を示している(
図9c及びd)。クーロン効率は、わずか40サイクル以内で降下した。平面カーボンシートと比較してHCのより高い表面積が、より大きなLi核化部位に役立つ。しかし、炭素の疎リチウム性と、リチウム原子への強力な結合親和性を有する親リチウム性官能基の欠如が、粗悪な性能をもたらす。それゆえこれは、非均質なLiフラックス分布及びデンドライト成長をもたらす。
【0072】
(iii)炭窒化ホウ素シート(BCN):
BCNは、それぞれ均等なモル比(1:1:1)のホウ酸と、グルコースと、シアナミドと、を取り入れることにより合成され、蒸留水に溶解されて均一な溶液を形成させた。この溶液はその後、濃厚なペーストに変換されるまで70℃で加熱され、完全に乾燥された。乾燥された材料は、モルタルのパステル(pastel)で粉砕され、セラミックボートに移されて、管状炉内のアルゴン雰囲気において900℃で3時間加熱された。相純度及び元素分析を確証するXRD、ラマン、SEM及びXPSのようなBCNのための塩基性材料の特徴づけが、それぞれ
図1(a)、1(b)、2(c)及び3に示される。4mAcm
-2電流密度及び10mAhcm
-2容量値でのBCN材料のLiメッキ/剥離性能が、それぞれ
図9(e)及び(f)に示される。平面状炭素及びハニカムカーボン材料と同様に、粗悪なLiメッキ/剥離性能が、BCN材料で観察された。BCNの場合、B及びNの親リチウム性ドーパントが、存在するが、シート状の形態が、材料において不均質なLiフラックス分布を提供して、粗悪な性能をもたらす。
【0073】
平面状カーボンシート、ハニカムカーボン、BCNシート及びハニカム状BCNの電池性能は、ハニカム構造と炭素中へのB-Nドーピングとの両方が、均一なLiメッキ/剥離適用の最適要件であることを示している。
【0074】
実施例5:炭素及びBCNの他の形態での性能の比較データ
表2は、異なるヘテロ原子をドープされた炭素材料及び本発明のHBCN材料のLiメッキ/剥離性能を示す。
【0075】
【0076】
表2で用いられた参考資料:
1.Ye W, Pei F, Lan X, Cheng Y, Fang X, Zhang Q, Zheng N, Peng DL, Wang MS. Stable NanoEncapsulation of Lithium Through Seed Free Selective Deposition for High Performance Li Battery Anodes. Advanced Energy Materials. 2020 Feb;10(7):1902956。2.Chen L, Chen H, Wang Z, Gong X, Chen X, Wang M, Jiao S. Self-supporting lithiophilic N-doped carbon rod array for dendrite-free lithium metal anode. Chemical Engineering Journal. 2019 May 1;363:270-7。
3.Huang G, Han J, Zhang F, Wang Z, Kashani H, Watanabe K, Chen M. Lithiophilic 3D nanoporous nitrogen doped graphene for
dendrite free and ultra high rate lithium metal anodes. Advanced Materials. 2019 Jan;31(2):1805334。
4.Liu L, Yin YX, Li JY, Wang SH, Guo YG,
Wan LJ. Uniform lithium nucleation/growth induced by lightweight nitrogen doped
graphitic carbon foams for high performance lithium metal anodes. Advanced Materials. 2018 Mar;30(10):1706216。
【0077】
【0078】
表3の参考資料:
1.Ultrathin Two-Dimensional Atomic Crystals as Stable Interfacial Layer for Improvement of Lithium Metal Anode. Kai Yan et.alによる。Nano letters, 2014; dx.doi.org/
10.1021/nl503125u | Nano Lett.に発表。
2.Composite lithium metal anode by melt infusion of lithium into a 3D conducting
scaffold with lithiophilic coating.Zheng Liang et.alによる。PNAS/2862-2867 | March 15, 2016 | vol. 113 | no. 11に発表。
3.JinXie et.alによるEngineering stable interfaces for three-dimensional lithium met
al anodes” published in Sci. Adv. 2018; 4 : eaat5168 27 July 2018。
【0079】
本発明が、例示の目的で前述に詳細に記載されたが、そのような詳細が目的に過ぎず、特許請求の範囲により限定され得ることを除き、本発明の主旨及び範囲を逸脱することなく当業者により改変がなされ得ることが、理解されなければならない。
【手続補正書】
【提出日】2023-10-30
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0017
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0017】
【
図1】カーボンシート、ハニカムカーボン、BCNシート、HBCNの(a)XRDパターン及び(b)ラマンスペクトル。
【
図2】(a)カーボンシート、(b)ハニカムカーボン、(c)BCNシート、及び(d)HBCNのSEM画像。
【
図3】(a)BCNのXPSサーベイスペクトル、BCNの(b)B1s、(c)C1s及び(d)N1sの高分解能XPSスペクトル。
【
図4】HBCNの(a)C1s、(b)B1s、及び(c)N1sの高分解能XPSスペクトル。
【
図5】それぞれカーボンシート及びHBCN試料のN
2吸着等温線(a及びc)及び孔径分布(b及びd)。
【
図6】(a)シリカナノ粒子のSEM画像、(b)900℃で加熱した後のシリカNPs/BCNのSEM画像、3D HBCNの(c~e)SEM画像、(f~g)TEM画像、(h)SAEDパターン、(i)高角度散乱暗視野走査透過電子顕微鏡法(HAADF-STEM)画像、(j)ホウ素のTEM元素マッピング、(k)炭素の元素マッピング、(l)窒素の元素マッピング。
【
図7】4mAcm
-2及び10mAhcm
-2でのHBCNのメッキ-剥離性能。(a)電圧-時間プロファイル、(b)メッキ-剥離のクーロン効率、(c)メッキ-剥離の選択されたサイクルでの電圧プロファイル、(d)メッキ-剥離サイクルによるヒステリシスの進化。
【
図8】(a)2mAhcm
-2面積容量堆積(areal capacity depositions)でのHBCNの(a)電圧-時間プロファイル及び(b)速度性能のクーロン効率、(c)50mAg
-2電流密度でのメッキHBCN及びLFPのフルセル性能、並びに(d)フルセルの充放電プロファイル。
【
図9】4mAcm
-2電流及び10mAhcm
-2容量でのLiメッキ/剥離性能。それぞれカーボンシート、HC及びBCNの(a、c及び
e)電圧vs時間プロット、及び(b、d及びf)クーロン効率vsサイクルプロット。
【
図10】8mAcm
-2電流密度及び10mAhcm
-2容量値でのHBCNのLiメッキ-剥離性能。(a)電圧vs時間プロット、(b)メッキ/剥離、クーロン効率とサイクル安定性、(c)選択されたサイクルでの電圧プロファイル、及び(d)サイクル操作による電圧ヒステリシスの進化。
【
図11】8mAcm
-2電流密度及び種々のNa取込み容量(intake capacity)値でのHBCNの電気化学的Naメッキ剥離。(a及びc)それぞれ2mAhcm
-2及び1mAhcm
-2容量値でのVvs時間プロット。(b及びd)それぞれ2mAhcm
-2及び1mAhcm
-2容量値でのクーロン効率プロット。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0042
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0042】
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0067
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0067】
アルカリ金属セルの組立て:
セルが、Arを充満されたグローブボックス(酸素レベル<0.1ppm及びH2Oレベル<0.1ppm)において、対電極及び参照電極としてのLiと、集電体、即ちアノードとして銅基板にコーティングされたプレリチウム化3D HBCNと、を含むCR2032セル型アセンブリで組み立てられた。用いられた電解質は、Liハーフセルでは、添加剤としての0.3M LiNO3を含む、ジオキソランとジメトキシエタンとの1:1(容量)混合物に溶解された1M LiTFSIリチウム塩(リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド)であった。フルセルのLFPでは、5%FECを含む1:1:1(v/v/v)のEC/DMC/EMC中の1M LiPF6が、電解質として用いられた。Naメッキ適用の場合、ジグリム中の1M NaPF6が、電解質として用いられた。セルガードが、負電極と正電極とを分離するためのセパレータとして用いられた。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0072
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0072】
(iii)炭窒化ホウ素シート(BCN):
BCNは、それぞれ均等なモル比(1:1:1)のホウ酸と、グルコースと、シアナミドと、を取り入れることにより合成され、蒸留水に溶解されて均一な溶液を形成させた。この溶液はその後、濃厚なペーストに変換されるまで70℃で加熱され、完全に乾燥された。乾燥された材料は、モルタルの
乳棒で粉砕され、セラミックボートに移されて、管状炉内のアルゴン雰囲気において900℃で3時間加熱された。相純度及び元素分析を確証するXRD、ラマン、SEM及びXPSのようなBCNのための塩基性材料の特徴づけが、それぞれ
図1(a)、1(b)、2(c)及び3に示される。4mAcm
-2電流密度及び10mAhcm
-2容量値でのBCN材料のLiメッキ/剥離性能が、それぞれ
図9(e)及び(f)に示される。平面状炭素及びハニカムカーボン材料と同様に、粗悪なLiメッキ/剥離性能が、BCN材料で観察された。BCNの場合、B及びNの親リチウム性ドーパントが、存在するが、シート状の形態が、材料において不均質なLiフラックス分布を提供して、粗悪な性能をもたらす。
【国際調査報告】