(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-01
(54)【発明の名称】複数の高電圧バッテリーパックを並列に使用するためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
H02J 7/02 20160101AFI20240222BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20240222BHJP
H01M 10/48 20060101ALI20240222BHJP
【FI】
H02J7/02 J
H02J7/00 B
H01M10/48 P
H01M10/48 301
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023555440
(86)(22)【出願日】2022-03-09
(85)【翻訳文提出日】2023-10-12
(86)【国際出願番号】 US2022019542
(87)【国際公開番号】W WO2022192396
(87)【国際公開日】2022-09-15
(32)【優先日】2021-03-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523311605
【氏名又は名称】イーマトリックス エナジー システムズ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100102978
【氏名又は名称】清水 初志
(74)【代理人】
【識別番号】100205707
【氏名又は名称】小寺 秀紀
(74)【代理人】
【識別番号】100160923
【氏名又は名称】山口 裕孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119507
【氏名又は名称】刑部 俊
(74)【代理人】
【識別番号】100142929
【氏名又は名称】井上 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100148699
【氏名又は名称】佐藤 利光
(74)【代理人】
【識別番号】100188433
【氏名又は名称】梅村 幸輔
(74)【代理人】
【識別番号】100128048
【氏名又は名称】新見 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100129506
【氏名又は名称】小林 智彦
(74)【代理人】
【識別番号】100114340
【氏名又は名称】大関 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100214396
【氏名又は名称】塩田 真紀
(74)【代理人】
【識別番号】100121072
【氏名又は名称】川本 和弥
(74)【代理人】
【識別番号】100221741
【氏名又は名称】酒井 直子
(74)【代理人】
【識別番号】100114926
【氏名又は名称】枝松 義恵
(72)【発明者】
【氏名】グリフィス マシュー
【テーマコード(参考)】
5G503
5H030
【Fターム(参考)】
5G503AA01
5G503BA04
5G503BB01
5G503BB02
5G503CA01
5G503CA11
5G503CB11
5G503DA04
5G503EA05
5G503EA09
5G503GD03
5G503GD06
5H030AA10
5H030AS08
5H030FF22
5H030FF42
5H030FF43
5H030FF44
(57)【要約】
第1のバッテリーパックおよび第2のバッテリーパックを含む並列貯蔵パックを含むエネルギー管理システム。第1のバッテリーパックと第2のバッテリーパックとは並列に接続することができ、両方とも制御システムに通信可能に接続することができる。制御システムは、バッテリーパックの各々の充電状態(「SOC」)、電流制限、および抵抗のうちの1つまたは複数の測定値または推定値を提供することができる。制御システムは、並列バッテリーパックおよびバッテリーパックシステム全体の電流制限を決定するように構成することができる。測定値に基づいて、システムは、バッテリーパックの各々に、エネルギーシステムのバッテリーパックで利用可能なエネルギーを十分に利用させると共に、エネルギーシステムのバッテリーパックに、より効率的に充電させることができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
並列に接続された、1つまたは複数のバッテリーセルを有する第1のバッテリーパックおよび1つまたは複数のバッテリーセルを有する第2のバッテリーパックと;
前記第1のバッテリーパックに通信可能に結合された第1のバッテリーパックコントローラおよび前記第2のバッテリーパックに通信可能に結合された第2のバッテリーパックコントローラであって、
前記第1および第2のコントローラが、処理手段を含み、
前記第1のバッテリーパックコントローラおよび第2のバッテリーパックコントローラの各々が、互いに、電圧センサ、電流センサ、またはバッテリー温度センサのうちの少なくとも1つに、通信可能に結合されている、
前記第1のバッテリーパックに通信可能に結合された前記第1のバッテリーパックコントローラおよび前記第2のバッテリーパックに通信可能に結合された前記第2のバッテリーパックコントローラと
を含む、エネルギー管理システム。
【請求項2】
前記第1のバッテリーパックコントローラおよび前記第2のバッテリーパックコントローラに通信可能に結合され、処理手段とメモリとを含む、制御システム
をさらに含む、請求項1記載のエネルギー管理システム。
【請求項3】
前記第1のバッテリーパックおよび前記第2のバッテリーパックに並列に接続され、前記制御システムに通信可能に結合された、第3のバッテリーパック
をさらに含む、請求項1記載のエネルギー管理システム。
【請求項4】
前記システムが充電ポートに結合されたときに、前記制御システムが感知することができる、請求項2記載のエネルギー管理システム。
【請求項5】
前記制御システムが、バッテリー電流(I)、推定内部抵抗(Rint)を測定し、かつ前記バッテリーパックの各々の端子電圧(Vt)を測定する、請求項3記載のエネルギー管理システム。
【請求項6】
前記システムが、Vt、I、およびRintを利用して開路電圧(OCV)を計算する、請求項4記載のエネルギー管理システム。
【請求項7】
前記第1のコントローラまたは前記第2のコントローラが、前記バッテリーパックのうちの1つまたは複数の間でプライマリバッテリーパックを指定し、前記プライマリバッテリーパックが第1の動作についての第1のOCVまたはVt閾値を有する、請求項6記載のエネルギー管理システム。
【請求項8】
前記第1の動作が充電サイクルまたは放電サイクルである、請求項7記載のエネルギー管理システム。
【請求項9】
前記第1のコントローラが前記プライマリバッテリーパックのその時点の最新の閾値と等しい第2の閾値を有する第2のバッテリーパックを測定するまで、前記システムが前記第1の動作を実行する、請求項8記載のエネルギー管理システム。
【請求項10】
前記バッテリーパックコントローラのうちの1つまたは複数が、前記エネルギーシステムの各バッテリーパックの瞬時電圧を測定することができる、請求項1記載のエネルギー管理システム。
【請求項11】
前記バッテリーパックコントローラのうちの1つもしくは複数が、個々の各バッテリーパックまたはすべての前記バッテリーパックの推定開路電圧を決定することができる、請求項10記載のエネルギー管理システム。
【請求項12】
前記測定された瞬時電圧が、コンタクタが閉じた場合に前記コンタクタ接続時に許容電流が流れるはずのものである場合に、前記バッテリーパックコントローラのうちの1つまたは複数が前記1つまたは複数のバッテリーパックの前記接続を開始することができる、請求項11記載のエネルギー管理システム。
【請求項13】
前記閾値を、前記システムのリアルタイム動作で監視および計算することができる、請求項12記載のエネルギー管理システム。
【請求項14】
各バッテリーパックの電流制限を、各バッテリーパックコントローラによってリアルタイムで計算することができる、請求項13記載のエネルギー管理システム。
【請求項15】
各バッテリーパックの前記電流制限が所定の閾値内にあることを確実にするために、コントローラがシステム全体の電流制限をリアルタイムで計算する、請求項14記載のエネルギー管理システム。
【請求項16】
並列に接続された、1つまたは複数のバッテリーセルと第1のコンタクタとを有する第1のバッテリーパックおよび1つまたは複数のバッテリーセルと第2のコンタクタとを有する第2のバッテリーパックと;
前記第1のバッテリーパックに通信可能に結合された第1のバッテリーパックコントローラおよび前記第2のバッテリーパックに通信可能に結合された第2のバッテリーパックコントローラであって、
前記第1のバッテリーパックコントローラおよび前記第2のバッテリーパックコントローラが、処理手段とメモリとトランシーバとを含み、
前記第1のバッテリーパックコントローラおよび前記第2のバッテリーパックコントローラの各々が、互いに、および電圧センサ、電流センサ、またはバッテリー温度センサのうちの少なくとも1つに、通信可能に結合されており、
前記第1のバッテリーパックコントローラまたは前記第2のバッテリーパックコントローラが、前記バッテリーパックの各々について、バッテリー電流(I)、推定内部抵抗(Rint)、端子電圧(Vt)、瞬時電流、充電電流制限(I
Clim)または放電電流制限(I
Dlim)のうちの1つまたは複数を決定することができ、
次いで、前記第1のバッテリーパックコントローラまたは前記第2のバッテリーパックコントローラが、前記端子電圧の変化(ΔVt)および開路電圧の変化(ΔOCV)を決定することができる、
前記第1のバッテリーパックに通信可能に結合された前記第1のバッテリーパックコントローラおよび前記第2のバッテリーパックに通信可能に結合された前記第2のバッテリーパックコントローラと
を含む、エネルギー管理システム。
【請求項17】
前記第1のバッテリーパックコントローラまたは前記第2のバッテリーパックコントローラが、前記バッテリーパックの各々について、前記ΔOCVまたは前記ΔVtのうちの1つまたは複数の測定値に基づいてコンタクタをいつ開閉すべきかをさらに決定することができる、請求項16記載のシステム。
【請求項18】
前記第1のバッテリーパックコントローラまたは前記第2のバッテリーパックコントローラが、前記第1のバッテリーパックまたは前記第2のバッテリーパックの前記ΔOCVまたは前記ΔVtに基づいて、前記エネルギー管理システムの充電サイクルまたは放電サイクルのために前記それぞれのバッテリーパックコンタクタをいつ開閉すべきかを決定するように構成される、請求項16記載のシステム。
【請求項19】
各バッテリーパックが、放電スイッチに通信可能に結合された負端子および充電スイッチに通信可能に結合することができる正端子と;
前記充電スイッチの前の、前記バッテリーパックの前記電圧または電流、および前記充電スイッチの後の、前記バッテリーパックの前記電圧または電流、のうちの少なくとも1つを測定するように構成された電圧/電流センサと
をさらに含むことができる、請求項18記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
相互参照
この米国特許出願は、2021年3月9日に出願された米国仮出願第63/158,877号の優先権を主張し、その開示は、本出願の開示の一部とみなされ、その全体が参照により本明細書に組み入れられる。
【0002】
発明の分野
本発明は、概して、バッテリーおよびバッテリーパックのための制御システムに関する。一局面において、本開示は、並列に接続されたバッテリーパックのためのシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0003】
背景
バッテリーは、多くの種類のポータブル電子機器および/またはモバイル電子機器にとって便利な電気エネルギー源である。典型的なバッテリーは、直列構成で接続されたいくつかの電池セルの接続によって形成される。多くの種類のバッテリーは充電式セルを含み、バッテリーセルに外部エネルギー源が印加されると、エネルギーがセル内に貯蔵される。バッテリーセルのカソードおよびアノードには多くの化学的組み合わせが存在するが、いくつかの一般に使用される組み合わせには、ニッケルカドミウム(NiCd)、ニッケル水素(NiMH)、およびリチウムイオン(Li-Ion)の組成が含まれる。
【0004】
充電式バッテリーセルは便利なエネルギー源を提供することができるが、充電式バッテリーセルは無限の寿命を有するものではなく、セルが充電を保持する能力は、セルの耐用期間にわたって低下する。不使用期間は、セルがバッテリーに組み立てられる前にセルが製造業者によって保持されている間、またはセルはバッテリーに組み立てられているが、バッテリーがまだ販売されていない間、または消費者によるバッテリーの長期間の不使用の間に発生し得る。さらに、バッテリーの内部抵抗が原因で、バッテリーセルがバッテリー内で均等に放電しない場合がある。これらの要因のすべてにより、各バッテリーセルは、バッテリー内のその他のセルと比較して異なる充電レベルを保持する。これらの異なる充電レベルは、予測不可能な低バッテリー残量の兆候、起こり得る不慮のエネルギー停止をもたらし、バッテリーの効率および性能に影響を及ぼす可能性がある。同様に、本技術では、外部からシステムを保守し、バッテリーの平衡を保つことなしに不平衡のバッテリーを使用することもできない。現在の技術はまた、電流がバッテリー間で均等に分配されることを想定しており、これはバッテリーのうちの1つに過剰な消費電流を生じさせる可能性がある。
【0005】
並列に配置されたバッテリーセルで構成された複数のバッテリーパックの構成を含むエネルギー貯蔵システムは、バッテリーパックを充電するために流れてバッテリーパックのうちの1つまたは複数に損傷を引き起こし得る、高いパック間平衡化電流の可能性を有する。結果として、バッテリーパック間の電圧差によって発生する電流や、バッテリーパック構成における電流の流れによって発生する熱を管理しなければならなくなる。現在、複数の不平衡のバッテリーパックが並列に接続されている場合、外部負荷に関係なくそれらのバッテリーパック間を流れる平衡化電流が生じることになる。並列の各バッテリーパックは、その充電状態および内部抵抗に基づく固有の電流制限を有するが、エネルギー貯蔵システムを使用する装置は、すべてのバッテリーが接続されているノードで電流を制御することしかできないため、個々の電流制限がバッテリーごとに満たされることを確実にすることは困難である。バッテリーパックがコンタクタを使用して並列に接続される場合、コンタクタが閉じられるとコンタクタに電流が流れる。電流が大きいほど、コンタクタの寿命を低下させる可能性がある。
【0006】
バッテリーパックを利用する装置がバッテリーシステムで利用可能なエネルギーを十分に利用することができ、かつ/またはバッテリーパックシステムをより効率的に充電することができることを確実にするために、バッテリー充電を正確に監視し、効率的に制御するための方法およびエネルギー貯蔵システムを提供する必要が存在する。さらに、コンタクタを損傷したり車両性能に悪影響を与えたりすることなく、可能な限り多くのバッテリーパックを並列に接続することによってバッテリーパックの動作を可能にするエネルギー貯蔵システムの必要が存在する。
【発明の概要】
【0007】
発明の簡単な概要
一局面において、本開示は、第1のバッテリーパックおよび第2のバッテリーパックを含む並列貯蔵パックを含む、エネルギー貯蔵システムに関する。第1のバッテリーパックと第2のバッテリーパックとは並列に接続することができ、両方とも制御システムに通信可能に接続することができる。制御システムは、バッテリーパックの各々の充電状態(「SOC」)、電流制限、および抵抗のうちの1つまたは複数の推定値を提供することができる。その場合、制御システムを、並列パックの電流制限を決定するように構成することができる。各パックの制限が測定されることを確実にするために、各パックの電流制限が計算される。
【0008】
別の局面において、本開示は、並列に接続された第1のバッテリーパックおよび第2のバッテリーパックを有する並列パックの電流制限を、各バッテリーパックのSOCおよび抵抗を測定することによって決定する方法に関する。
【0009】
さらに別の局面において、本開示は、複数のバッテリーパックを含むことができるエネルギー管理システムに関連することができる。いくつかの例示的な態様では、システムは、1つまたは複数のバッテリーセルを有する第1のバッテリーパックおよび1つまたは複数のバッテリーセルを有する第2のバッテリーパックを含むことができ、第1のバッテリーパックと第2のバッテリーパックとを並列に接続することができる。システムは、通信可能に、第1のバッテリーパックに結合することができる第1のバッテリーパックコントローラ、および第2のバッテリーパックに通信可能に結合することができる第2のバッテリーパックコントローラをさらに含むことができる。第1のコントローラおよび第2のコントローラは、処理手段を各々含むことができる。加えて、第1のバッテリーパックコントローラおよび第2のバッテリーパックコントローラの各々を、それぞれのバッテリーパックの各々の電圧センサ、電流センサ、またはバッテリー温度センサに通信可能に結合することもできる。トランシーバと処理手段601とメモリ603とを含むマスタコントローラを、バッテリーパックコントローラの各々にさらに通信可能に結合することができる。いくつかの態様では、マスタコントローラ、第1のバッテリーパックコントローラ、または第2のバッテリーパックコントローラは、バッテリーパックの各々のバッテリー電流(I)、推定内部抵抗(Rint)、端子電圧(Vt)、瞬時電流、充電電流制限(IClim)、および放電電流制限(IDlim)を決定することができる。加えて、マスタコントローラまたはバッテリーパックコントローラは、端子電圧の変化(ΔVt)および開路電圧の変化(ΔOCV)をさらに決定することができる。これらの測定値に基づいて、マスタコントローラまたはバッテリーパックコントローラのうちの1つもしくは複数は、エネルギー管理システムの充電サイクルまたは放電サイクルのためにそれぞれのバッテリーパックコンタクタをいつ開閉すべきかを決定する。
【0010】
次に本発明を、添付の図面を参照して以下でより十分に説明し、添付の図面は、この概要、詳細な説明、ならびに具体的に考察されるか、またはそれ以外に開示される任意の好ましい態様および/または特定の態様と併せて読まれることを意図されている。しかしながら、本発明は、多くの異なる形態で具体化されてもよく、本明細書に記載される態様に限定されると解釈されるべきではない。むしろ、これらの態様は例示としてのみ、本開示が、詳細で、完全であり、当業者に本発明の完全な範囲を十分に伝えるように提供されている。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本開示のエネルギー管理システムの例示的な態様の構成を示すブロック図である。
【
図2】複数のバッテリーパックを有する本開示の例示的な態様のエネルギー管理システムの例示的な態様の構成図である。
【
図3】本開示のエネルギー貯蔵システムの例示的な態様の始動プロセスの流れ図である。
【
図4】本開示の例示的な態様のエネルギー管理システムの流れ図である。
【
図5】本開示のエネルギー管理システムの例示的な態様の電流制限を決定するための流れ図である。
【
図6】本開示のエネルギー管理システムの例示的な態様のマスタコントローラまたはバッテリーパックコントローラの構成要素を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
発明の詳細な説明
以下の詳細な説明は、詳細な説明の一部を形成する添付の図面の参照を含む。図面は、例示として、本発明が実施され得る特定の態様を示す。これらの態様は、本明細書では「例」とも呼ばれ、当業者が本発明を実施することを可能にするのに十分詳細に説明されている。本発明の範囲から逸脱することなく、態様が組み合わされてもよいし、他の態様が利用されてもよいし、構造的論理的変更がなされてもよい。したがって、以下の詳細な説明は、限定的な意味で解釈されるべきではない。
【0013】
しかしながら、本開示の本発明をそのように詳細に説明する前に、本発明は記載される特定の変形例に限定されず、当然ながら多様であり得ることを理解されたい。本発明の真の趣旨および範囲から逸脱することなく、記載される発明に対して様々な変更がなされてもよく、均等物で代用されてもよい。加えて、特定の状況、材料、物質の組成、プロセス、(1つもしくは複数の)プロセス動作または(1つもしくは複数の)工程を本発明の(1つもしくは複数の)目的、趣旨または範囲に適合させるために、多くの修正がなされてもよい。そのようなすべての修正は、本明細書でなされる開示の範囲内にあることを意図されている。
【0014】
別段の指示がない限り、本明細書に提示される語句は、当業者にとっての通常の意味を有する。そのような通常の意味は、当技術分野におけるそれらの語句の使用を参照することによって、また一般的辞書および科学的辞書を参照することによって得ることができる。
【0015】
本明細書で「一態様」という場合、それは、記載される態様が特定の特徴、構造、または特性を含み得ることを指示するが、すべての態様が必ずしもその特定の特徴、構造、または特性を含むとは限らない。さらに、そのような句は、必ずしも同じ態様を指しているとは限らない。さらに、特定の特徴、構造、または特性が一態様に関連して記載されている場合、明示的に記載されているか否かにかかわらず、他の態様に関連してそのような特徴、構造、または特性に影響を及ぼすことは当業者の知識の範囲内であると考えられる。
【0016】
特定の用語の以下の説明は、網羅的ではなく例示的であることを意図されている。これらの用語は、当技術分野での使用によって与えられる通常の意味を有し、以下の説明をさらに含む。
【0017】
本明細書で使用される場合、「および/または」という用語は、この用語が関連付けられる項目のうちのいずれか1つ、項目の任意の組み合わせ、またはすべての項目を指す。
【0018】
本明細書で使用される場合、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」、および「その(the)」は、文脈上明らかに他の意味に解すべきでない限り、複数の言及を含む。
【0019】
本明細書で使用される場合、「含む(include)」、「例えば(for example)」、「など(such as)」の用語は、例示的に使用され、本発明を限定することを意図されたものではない。
【0020】
本明細書で使用される場合、「好ましい」および「好ましくは」という用語は、特定の状況下で特定の利益をもたらし得る本発明の態様を指す。しかしながら、同じかまたは他の状況下で、他の態様もまた好ましい場合がある。
【0021】
さらに、1つまたは複数の好ましい態様の列挙は、他の態様が有用ではないことを示唆するものではなく、他の態様を本発明の範囲から除外することを意図されたものではない。
【0022】
本明細書で使用される場合、「結合された」という用語は、2つの部材を互いに直接的または間接的に接合することを意味する。そのような接合は、固定的な性質であっても、可動的な性質であってもよい。そのような接合は、2つの部材、または2つの部材と任意の追加の中間部材とが互いに単一の一体物として一体的に形成されることによって達成されても、2つの部材または2つの部材と任意の追加の中間部材とが互いに取り付けられることによって達成されてもよい。そのような接合は、恒久的な性質であってもよいし、あるいは、取り外し可能または解放可能な性質であってもよい。同様に、結合されたとは、2つの部材または要素が通信可能に結合されていることを指すこともでき、2つの要素は、金属ワイヤ、無線ネットワーク、光ファイバ、または他の媒体および方法などの様々な手段を介して電子的にであってもよい。
【0023】
本明細書では、様々な要素を説明するために第1、第2などの用語が使用される場合があるが、これらの要素はこれらの用語によって限定されるべきではないことが理解されよう。これらの用語は、ある要素を別の要素と区別するために使用されているにすぎない。例えば、本開示の教示から逸脱することなく、第1の要素を第2の要素と呼ぶこともでき、同様に、第2の要素を第1の要素と呼ぶこともできる。
【0024】
図1~
図2に示すように、本開示は、第1のバッテリーパック200aおよび第2のバッテリーパック200bを含むことができ、1つまたは複数のバッテリーパックを車両または他の装置100に通信可能に結合することができるエネルギー貯蔵システムに関する。いくつかの例示的な態様では、本開示は、本開示のエネルギー貯蔵システムを利用する車両に関する。いくつかの例示的な態様では、システムは、並列に接続された多数のバッテリーパック200を含むことができる。エネルギーシステムは、1つまたは複数のバッテリーセルを含むことができる第1のエネルギー貯蔵パック200a、および1つまたは複数のバッテリーセルを含むことができる第2のバッテリーパック200bを含むことができる。第1および第2のエネルギー貯蔵パック200は、並列に接続することができる。各バッテリーパックは、バッテリーパックに通信可能に結合されたコントローラ300をさらに含むことができる。
図2に示すように、追加のバッテリーパックを含めることができ、その場合システムは、第3のバッテリーパック200cおよびコントローラ300cをさらに含むことができる。いくつかの例示的な態様では、システムは、対応するコントローラ300に通信可能に結合されたバッテリー検出器および電流/電圧センサを含むことができる。並列のパックの数は無制限とすることができ、3つのバッテリーパックだけに制限されないことが理解される。
【0025】
エネルギー管理システムの例示的な態様は、車両/装置マスタコントローラ400にさらに通信可能に結合することができる。バッテリーパックに対応する1つまたは複数のコントローラ300をマスタコントローラ400に通信可能に結合することができる。同様に、個々のコントローラ300の各々を互いに通信可能に結合することができる。ユーザは、1つまたは複数のバッテリーパックを充電するためにシステムを充電ステーションに接続することができる。システムが充電ステーションに結合されたときに、制御システム400は感知することができる。システムコントローラ400および/または1つもしくは複数のバッテリーパックコントローラ300を充電ポートに通信可能に結合することができ、充電ポートを充電源に通信可能に結合することができる。いくつかの例示的な態様では、システムコントローラ400を、バッテリーパック200の各々の電圧レベルを識別するために使用することができる1つまたは複数のコントローラ300に、通信可能に結合することができる。いくつかの例示的な態様では、システムコントローラ400は、どのパックが最高の充電残量を有するかを判定することができる。あるいは、マスタコントローラ400がない他の態様では、パックコントローラ300のうちの1つを、システムのマスタコントローラであると決定または指定することができる。次いで、マスタコントローラは、各バッテリーパックを最高に充電されたバッテリーパックの容量まで充電させることができる。次いで、システムは、残りのバッテリーパックを、バッテリーパックが完全に充電されるまで一緒に並列に充電することができる。
【0026】
図1は、1つまたは複数のバッテリーパック電圧/電流センサ202を含むことができる本開示の制御/管理システムの例示的な態様の図を提供している。電圧/電流センサは、単一のセンサまたは個々のセンサのどちらかとすることができる。図示のように、
図1は、第1のバッテリーパックモジュール200aおよび第2のバッテリーパックモジュール200bを有する図を提供している。本開示は、各システムおよび用途の必要に応じて複数のバッテリーパックを利用することができることを理解されたい。各バッテリーパックモジュール200は、コントローラ300と、1つまたは複数のバッテリーセルと、1つまたは複数の電圧/電流センサ202と、1つまたは複数のバッテリーセル温度センサ214と、正極側の1つまたは複数のスイッチ/コンタクタ204と、負極側の1つまたは複数のスイッチ/コントラクタ(contractor)206とを含むことができる。ある例示的な態様では、バッテリーバック(back)は、単一のスイッチ/コンタクタのみを使用する。バッテリーパックは、予備充電スイッチ208および予備充電トランジスタ210を任意で含むことができる。バッテリーシステムは、1つまたは複数のバスバーを利用して装置100に結合することができる。装置100は、HVBUS負端子222およびHVBUS正端子224を有することができる。負端子222を放電スイッチ206に通信可能に結合することができ、正端子を充電スイッチ204に通信可能に結合することができる。電圧/電流センサ202は、バッテリー/エネルギー貯蔵システムのバッテリーパックの各々について、充電スイッチの前(位置A1)の電圧(電圧2)および充電スイッチの後(位置A2)の電圧(電圧1)を含むバッテリーパック内の1つまたは複数の点における電圧および/または電流を測定することができる。
【0027】
コンタクタ/スイッチ204、206は、マスタコントローラ400および/またはバッテリーパックコントローラ300のうちの1つもしくは複数から連絡されている(1つまたは複数の)所定のバッテリーパックを使用するために閉じることができる。いくつかの例示的な態様では、個々のパックコントローラ300を、
図2に示すように互いに通信可能に結合することができる。単一パックコントローラのうちの1つまたは複数は、単一バッテリーパックおよび/またはシステムのすべてのバッテリーパックについての情報と共に通信をマスタコントローラ400に送り返すことができる。同様に、単一パックコントローラ300は、マスタコントローラ400および/またはまたはその他のバッテリーパックコントローラ300のすべてのバッテリーパックについてのすべてのバッテリーパック情報を提供することができる。提供される情報は、個々の各パック200に、または一緒にまとめて接続されたパックに、利用可能なエネルギーを提供することができる。各パックコントローラ300は各パック200の最小電圧を報告することができ、これはさらにはシステムの総最小電圧を提供する。同様に、追加情報は、平均電圧、最大電圧、電流などとすることができる。
図5に示すように、統合されたシステムレベルの電流制限を計算し、マスタコントローラ/制御システム400に提供することができる。
【0028】
マスタ制御システム400および各パックコントローラ300は、ランダムアクセスメモリを有するマイクロプロセッサ、読み出し専用メモリ、入力ポート、リアルタイムクロック、出力ポート、ならびに、監視装置および他のバッテリーパックモジュールに通信可能に結合すると共にバッテリーパックの外部のシステムと通信するためのコントローラエリアネットワーク(CAN)ポートをさらに含むことができる。いくつかの例示的な態様では、マスタ制御システム400は、バッテリーパックに結合された装置の一部とすることができる。いくつかの例示的な態様では、マスタコントローラ400を、装置または車両システム100に組み込むか、またはその一部とすることができる。マスタコントローラおよびパックコントローラは、互いに情報を送受信するためのトランシーバ605をさらに含むことができる。他の例示的な態様では、マスタコントローラは、バッテリーパックの各々に通信可能に結合し、データを直接収集し、バッテリーパックコントローラとしてパックの各々を通信可能に結合させるように動作することができる。
【0029】
マスタコントローラ400および/または個々のバッテリーパックコントローラ300は、バッテリーパック200の各々の測定バッテリー電流(I)、推定内部抵抗(Rint)、および端子電圧(Vt)を監視、測定、および/または計算することができる。加えて、バッテリーパック200の温度および他の環境測定値を監視および測定することもできる。バッテリーパック測定値は、瞬時電流、充電電流制限(IClim)および放電電流制限(IDlim)をさらに含むことができる。Vtは、バッテリーパックの正端子と負端子との間で測定された電圧とすることができる。開路電圧(OCV)は、Vt、IおよびRintを利用して計算することができる。
【0030】
図3に示すように、OCVの変化(ΔOCV)および端子電圧の変化(ΔVt)は、システムの個々のバッテリーバック(back)ごとに決定される。Rint、Vt、およびIは、すべてのバッテリーパック200上の対応するセンサから測定または受信することができる(工程31)。測定値をバッテリーパックコントローラ300に伝達することができる。OCVは、以下の式を利用して計算することができる(工程33)。
式1:OCV=Vt-Rint*I
次いで、端子電圧の変化および開路電圧の変化を、既存の測定値から初期測定値を減算することによって計算することができる(工程35)。ΔOCVおよびΔVtを計算した後、測定値を、他のすべてのバッテリーモジュール/パック200および/またはコントローラ300に送信することができる(工程37)。
【0031】
いくつかの例示的な態様では、コントローラ400および/または1つもしくは複数のパックコントローラ300は、1つまたは複数のバッテリーパック200間の電圧を監視することができる。バッテリーパック間の電圧差が高すぎてバッテリーパックを並列に接続することができない場合には、バッテリーパックコントローラ300は、システムが放電することになっている場合には、より高い電圧のバッテリーパック200の接続を可能にすることができる。あるいは、システムが充電することになっている場合、システムは、より低い電圧のパックを接続させることができる。これを、並列に接続された複数のパック200に適用することができる。各バッテリーパック200は、コンタクタおよびコントローラを備えた筐体内で互いに接続された1つまたは複数のバッテリーセルを含むことができる。各パックコントローラ300は、任意の適切な手段を介して追加のパックコントローラ300と通信し、その他のパック200の電圧および値を認識することができる。パックコントローラ300は、その値がバッテリーパックシステム1000において最低または最高のパックであるかどうかを判定して、充電および放電の最適化のためにそのコンタクタ204、206を開閉すべきかどうかを決定することができる。
【0032】
放電サイクルの場合、マスタ制御システム400は、充電または放電プログラム/サイクルを放電実行する意図をシグナリングすることができる。パックコントローラ300は、通信し、監視サイクルを実行して、充電または放電サイクルのためのプライマリバッテリーパック200として使用および指定されるべき最高または最低の充電状態(「SOC」)を有するバッテリーパックを決定することができる。(1つまたは複数の)プライマリバッテリーパックコンタクタは、最初に閉じることができ、残りのバッテリーパックについてそれぞれの電圧を比較し、それらの電圧がプライマリパックの電流電圧測定値と一致する/等しいときにそれを判定するために、残りのバッテリーパックと通信することができる。1つまたは複数の追加のバッテリーパックがプライマリパックの電圧と一致するか、またはプライマリパックの所定の閾値範囲内にある場合、それぞれのバッテリーパックは同様にそのコンタクタを閉じて、プライマリパックと共にバッテリーパックを放電または充電してもよい。バッテリーパックコントローラ300は、プライマリバッテリーパックが充電または放電している間にプライマリバッテリーパックの電圧測定値を監視することができ、最初のプライマリバッテリーパックが電圧閾値に達して、1つまたは複数の追加のバッテリーパックがそのコンタクタを閉じて1つまたは複数のセカンダリバッテリーパックの放電を開始することが可能になったときにそれを判定することができる。このバッテリーシステムは、様々なバッテリーパック200を最適に充電および放電させ、それによってバッテリーパックシステムの効率を最大化する。
【0033】
加えて、いくつかの例示的な態様では、制御システム400および/または個々のパックコントローラ300を使用して、バッテリーパック200が並列に接続されている1つまたは複数のバッテリーパック200の状態を監視することができる。制御システム400は、1つまたは複数の電流/電圧センサを利用してバッテリーパック200を監視し、エネルギー貯蔵システム1000の各バッテリーパック200のSOCおよび内部抵抗を収集することができる。マスタ制御システム400を、各バッテリーパック200およびバッテリーパックコントローラ300に通信可能に結合することができる。バッテリーパックコントローラ300を、電流/電圧センサ202に通信可能に結合することができる。
【0034】
いくつかの例示的な態様では、バッテリーパック200全体が単一の電流および/または電圧センサ202を有することができる。他の例示的な態様では、バッテリーパックの各バッテリーセルが、電圧および/または電流センサを有することができる。そのような例示的な態様では、コントローラ300は、バッテリーパック200の各バッテリーセルに通信可能に結合することができ、個々のバッテリーセルを測定および/または監視することができる。いくつかの例示的な態様では、メモリは、1つまたは複数のプログラムモジュールを記憶することができる。バッテリーシステム1000の並列に接続されたバッテリーパック200の各々のSOCを測定するために、第1のプログラムモジュール/アルゴリズム607を、制御システム400および/またはバッテリーパックコントローラ300のうちの1つもしくは複数によって始動することができる。コンタクタの閉鎖中に1つまたは複数のバッテリーパック200間の測定SOCが所定の閾値消費電流量を超える場合には、制御システム400またはバッテリーパックコントローラ300は、放電動作中にバスバーと1つまたは複数のバッテリーパック200との間の接続を妨げることができる。
【0035】
同様に、第2のプログラムモジュール609を、1つまたは複数のバッテリーパック200の充電/放電のために始動することができる。充電動作中、制御システム400は、第1のプログラムモジュール607を始動して、最低電圧を有するバッテリーパック200を最初に測定および識別することができる。次いで、制御システム400は、最低測定電圧を有するバッテリーパック200を最初にバスバーに接続することができる。次いで、コンタクタ電流が、バッテリーシステム1000の電流制限を監視/計算するために第3のプログラムモジュール611によって決定された所定の閾値を下回る間は、後続のバッテリーパック200を接続することができる。本開示のエネルギー貯蔵システム1000が放電中である場合、最高電圧を有するバッテリーを最初に接続することができる。さらに、システムは、バッテリーパック200の電流制限測定値をパックのうちの1つまたは複数に対して使用して、バッテリーパック200の最も効率的な充電および放電動作を決定することができる。
【0036】
図4に示すように、マスタコントローラ400または装置は、始動アルゴリズム/プロセスを開始して、装置に通信可能に結合された複数のバッテリーパック200の充電および放電におけるより安全でより効率的な利用を提供することができる。システムは、ΔOCVおよび/またはΔVtを含むがこれらに限定されない1つまたは複数の測定値のうちの測定値に基づいて、コンタクタをいつ開閉すべきかを決定することができる(工程41)。例示的な一態様では、故障していないバッテリーパックのOCV(OCV
nf)と個々のバッテリーパックごとの初期OCV(OCV
i)との差が、安全電圧閾値(V
th)、および故障していないパックからの端子電圧(Vt
nf)、および個々の各バッテリーパックの初期端子電圧(Vt
i)よりも小さい場合、システムは、ユーザに、システムが充電または放電サイクルの準備ができている(工程45)という応答を返し、どちらのバッテリーパックがプライマリバッテリーパックとして確立されるかを返す。測定値の一方または両方がV
thより大きい場合には、1つまたは複数のコンタクタを開くことができる。すべてのコンタクタが開いていない場合には、システムは充電/放電モード決定に進むことができるが、すべてのコンタクタが開いていない場合には、システムは上記の値が得られるまでコンタクタを閉じたままになる(工程47)。
【0037】
バッテリーパックが誤動作するか、または使用不能になった場合、残りのパックコントローラはバッテリーパックと通信して、始動時にプライマリバッテリーパックを決定する。同様に、システムは、故障検出を監視することができ、故障を含むバッテリーパックを含む始動アルゴリズムを開始しない。故障が検出されたパックは、すべてのバッテリーパック中で利用可能な最高電圧であっても、コンタクタを閉じることができない。OVCi値は、個々のバッテリーパックごと(すなわち、バッテリーパック1、バッテリーパック2など)に決定することができる。バッテリーパックが故障している場合、システムは、そのバッテリーパックに
図4の始動アルゴリズムを実行させない。工程43は、充電/放電サイクル中に各バッテリーパックについて連続して監視および測定することができ、同様に、バッテリーパック間のピーク電圧値または最小電圧値を確立してプライマリバッテリーパックを確立するために使用することができる。
【0038】
バッテリーコントローラは、どのバッテリーパックがピーク電圧値を有するかを通信可能に判定し、そのバッテリーパックをプライマリバッテリーパックとして割り当てることができる。次いで、プライマリバッテリーパックは、その(1つまたは複数の)コンタクタを閉じて、放電または充電をそれぞれ可能にすることができる。残りのバッテリーパックは、それらの電圧値を、確立されたプライマリバッテリーパックの電圧値、およびプライマリバッテリーパックが充電または放電するときの電圧測定値に対して連続して比較することができる。1つまたは複数の追加のバッテリーパックがプライマリパックの電圧閾値を満たした場合、パックコントローラ300はReady信号を返してコンタクタを始動し、次のバッテリーパック200の放電または充電を開始することができる。場合によっては、バッテリーパックコンタクタは放電または充電のために連続して閉じられるときに、1つまたは複数のバッテリーパックがプライマリバッテリーパックの電圧に達した場合にプライマリパックを用いて2つ以上のバッテリーパックの充電または放電を開始することができる。
【0039】
いくつかの例示的な態様では、バッテリーパックは、最初にある期間にわたって互いに接続され得るが、2つ以上のバッテリーパックが電圧もしくは電流の問題を引き起こしたか、またはシステム内の故障を検出したとコントローラが判定した場合に切断され得る。
図4の工程43に示すように、システムが、Ready=偽を返すと決定した場合(工程44)、システムは、電圧に応じて1つまたは複数のバッテリーパックのコンタクタを開閉することができる。例えば、様々なサイズまたは容量のバッテリーパックが最初に接続されるが、電圧または電流の測定値に応じて後で切断される場合もある。
【0040】
さらに、本開示の例示的な態様は、個々のバッテリーパックの各々および/またはバッテリーパックシステム全体の1つまたは複数の電流制限を計算することができる。マスタコントローラ400および/またはパックコントローラ300は、最初に測定または受信することができ、次いで、システムは、充電または放電モード/プログラムを始動した(工程49)。システムが充電モードにある場合、バッテリーシステムのプライマリパックを決定するためにmin(Vt)値が確立される。各バッテリーパックがVti=min(Vt)に達すると、システムは、バッテリーパックが充電される準備ができていること、および/またはプライマリバッテリーパックや充電されている任意の後続のバッテリーパックなどのパック充電と平衡がとれていることを返す。Vtiがmin(Vt)に等しくない場合には、システムは、システムのバッテリーパックが充電のために接続される準備ができていない、および/または平衡がとれていないというインジケータを、ユーザおよび/またはコントローラ400に提供する(工程58)。同様に、システムが放電モードになく、Vti=max(Vt)である場合には、システムは、バッテリーパックの準備ができており、バッテリーパックを、充電された放電動作のためにプライマリパックと接続することができる、および/または放電されている1つまたは複数のバッテリーパックと平衡がとれているという通知またはインジケータを返す(工程56)。max(Vt)値は、システムの単一パックの最高電圧値とすることができる。Vtiがmin(Vt)に等しくない場合には、システムは、システムの準備ができておらず、1つまたは複数のバッテリーパックが不平衡であり、かつ/または充電もしくは放電のために接続される準備ができていない可能性があるという指示を、ユーザ/コントローラに提供する。
【0041】
加えて、システムは、すべてのバッテリーパックについて
図5に示すように電流制限を決定することができる。電流制限計算は、装置がバッテリーシステム1000からどれだけの電流を取ることができるか、ならびに個々のバッテリーパック200およびバッテリーパックシステムの電流測定値をまとめて決定することができる。個々のバッテリーパックの電流制限を最初に決定し、制御システム400および/または1つもしくは複数のバッテリーパックコントローラ300に提供することができる。コントローラ300は、Vt、I、Tint、Ilim、またはバッテリーパックの各々のバッテリー温度を含むがこれらに限定されない、バッテリーパックおよび/または個々のバッテリーセルの1つまたは複数の測定値を受信することができる(工程61)。上記の式1を利用してベクトルOCV値を決定することができる(工程63)。このOCV測定値は、任意の動作期間(充電または放電)におけるすべてのバッテリーパックを含むバッテリーシステム全体のベクトル測定値とすることができる。VtminおよびVtmaxは、それぞれ式2および式3を使用して決定することができる(工程65)。
式2:Vtmin=min(OCV+Rint*I
Clim)
式3:Vtmax=max(OCV+Rint*I
Dlim)
Vtminは、バッテリーパック電圧が最低電圧限界になるベクトル値とすることができる。Vtmaxは、バッテリーパックの電圧が最高電圧限界になるベクトル値とすることができる。パックは、異なるVTmax値およびVtmin値を有し得る。
【0042】
さらに、負荷充電電流制限(lt
c)および負荷放電電流制限(lt
d)を、システムによって、それぞれ式4および式5を利用して決定および計算することができる(工程67および工程68)。
これらの測定値は、バッテリーパックの電流制限をまとめて確立するために装置によって計算し、使用されるべき装置に送出することができる。
【0043】
次いで、これらの値を、制御システム400および/または1つもしくは複数のバッテリーパックコントローラ300に送り返すことができる。いくつかの例示的な態様では、値をメモリに記憶することができる。加えて、それらの値を、システムのすべてのバッテリーパックの電流制限を監視するためにシステムによってさらに使用することができる。バッテリーパックシステムの電流制限が装置の所定の閾値を超えないことを確実にするために、これらの測定値を使用することができる。
【0044】
上記の方法は、開路電圧をそれぞれの電流制限における端子電圧と比較することによって、どの電流制限が最小であるかを決定することができる。比較に基づいて新しい電流制限値を計算することができる。バッテリーパックからのすべての電流情報。電流は、各バッテリーパックを通じて制御することができず、開路電圧と内部抵抗との関数である。各バッテリーパックは、内部抵抗は異なり得るが、同じ電圧を有し得る。いくつかの態様では、個々のバッテリーパックは、残りのバッテリーパックよりも多くの電流を流すことができる。本システムにおいて、様々なパックを流れる電流は異なり得るが、バッテリーパックの各々に対して安全なレベル(所定の閾値)で放電および充電を制限することができる。システムは、各バッテリーパックを通る電流を監視し、装置がバッテリーパックのための安全レベルの電流のみを受け取っていることを保証することができる。各バッテリーパックは、電流を使用しても安全かどうかを提供するためにマスタ制御装置に通信可能に結合することができ、閾値を超えた場合にコンタクタを開くことができる。
【0045】
本開示のエネルギー貯蔵システム1000が利用されているときに、制御システム400は、各バッテリーパック200の電圧を同時に測定することができる。動作中、1つまたは複数のバッテリーパックは、1つまたは複数のバッテリーパック間の電圧差を低減するために高電圧バスに接続され得る。制御システム400は、エネルギーシステムの各バッテリーパック200の瞬時電圧を測定することができる。加えて、制御システムは、推定開路電圧を決定することができる。測定された瞬時電圧が、コンタクタが閉じた場合にコンタクタ接続時に許容電流が流れるはずのものである場合に、制御システムは、バッテリーパックの接続を開始することができる。これらの閾値を、システムのリアルタイム動作で監視および計算することができる。さらに、バッテリーパックの推定開路電圧と高電圧バスに接続された他のすべてのバッテリーパックとの間の差が、平衡化電流を制御システムによって測定することができる較正可能な値に制限するのに十分低い場合にのみ、制御システムは、1つまたは複数のバッテリーパックが接続することを可能にする。システムは、電流およびスイッチングイベントに基づいてコンタクタの寿命をさらに推定することができる。較正可能な電圧閾値は、システム寿命を予測して最適化し、故障検出を防止するために使用することができる。これを使用して、コンタクタの寿命をさらに延ばすこともできる。記憶された値は、バッテリーシステムの健全性、寿命、および/または性能を最適化するためのさらなる分析に使用することができる。
【0046】
前述のように、例示的な一態様では、本開示のバッテリー管理システムは、1つまたは複数のバッテリーパックの充電および放電を最適化することができる。充電装置がシステムの充電ポートに結合されたときに、制御システムは感知することができる。測定値に基づいて、制御システムは充電プロトコルを開始する。制御システムは、測定値を使用して、どのバッテリーパックがその他のバッテリーパックと比べて充電されているかを判定することができる。各バッテリーパックに対して初期閾値充電限界値を確立することができる。最高電圧および/または最高電流を有するバッテリーパックは、充電を開始する最後のバッテリーパックになる。残りのバッテリーパックを、最低から最大まで初期充電値の順に漸進的に充電することができる。最低のバッテリーパックが次に高いバッテリーパックの充電値に達すると、システムは、次のバッテリーパックの次に高い電圧測定値に達するまで2つのバッテリーパックを並列に充電することができる。最高の初期電圧測定値を有する最後のバッテリーパックに達すると、すべてのバッテリーパックは、電圧限界に達するまで並列に充電することができる。システムは、バッテリーパックが放電モードにある間にバッテリーパックの放電のための同様のプロセスをさらに開始することができる。
【0047】
システムは、様々なバッテリーパックを監視するために、1つまたは複数のアルゴリズムまたはモジュールを始動することができる。例示的な一態様では、システムコントローラまたは単一バッテリーパックコントローラは、始動アルゴリズム/モジュールプログラムを開始して、バッテリーパックの各々の始動シーケンスおよび測定を開始することができる。始動アルゴリズムは、
図4に記載のプロセスまたは
図4に開示されたのと同様のプロセスを利用することができる。各バッテリーパックおよびバッテリーパックシステム全体の負荷電流制限を決定するためのモジュールなど、追加のモジュール/プログラム/アルゴリズムを始動することができる。
【0048】
本発明を特定の態様に関して上述したが、本発明はこれらの開示の態様に限定されないことを理解されたい。本開示の教示を読めば、本発明が関係する技術分野の当業者には、本発明の多くの修正例および他の態様が想起され、それらは、本開示と添付の特許請求の範囲の両方であることが意図されており、それらの両方によって包含される。本発明の範囲は、本明細書および添付の図面の開示に依拠して当業者によって理解されるように、添付の特許請求の範囲およびそれらの法的均等物の適切な解釈および構築によって決定されるべきであることが実際に意図されている。
【国際調査報告】