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特表2024-510406熱硬化性トウプレグ半製品からコンポーネントを生産するための配置装置及び方法
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  • 特表-熱硬化性トウプレグ半製品からコンポーネントを生産するための配置装置及び方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-07
(54)【発明の名称】熱硬化性トウプレグ半製品からコンポーネントを生産するための配置装置及び方法
(51)【国際特許分類】
   B29C 70/38 20060101AFI20240229BHJP
   B29C 65/70 20060101ALI20240229BHJP
   B29C 65/16 20060101ALI20240229BHJP
   B29C 70/54 20060101ALI20240229BHJP
【FI】
B29C70/38
B29C65/70
B29C65/16
B29C70/54
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023553186
(86)(22)【出願日】2022-03-09
(85)【翻訳文提出日】2023-08-29
(86)【国際出願番号】 DE2022100189
(87)【国際公開番号】W WO2022188927
(87)【国際公開日】2022-09-15
(31)【優先権主張番号】102021105971.2
(32)【優先日】2021-03-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520512580
【氏名又は名称】アーツェーエル アーヘン ゲーエムベーハー
(71)【出願人】
【識別番号】523328784
【氏名又は名称】コンビリティ ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100109896
【弁理士】
【氏名又は名称】森 友宏
(72)【発明者】
【氏名】エモンツ,ミカエル
【テーマコード(参考)】
4F205
4F211
【Fターム(参考)】
4F205AA36
4F205AC02
4F205HA14
4F205HA23
4F205HA33
4F205HA37
4F205HA45
4F205HC02
4F205HF05
4F205HK04
4F205HK05
4F205HK28
4F211AA36
4F211AB11
4F211AC02
4F211TA08
4F211TC23
4F211TJ11
4F211TN27
4F211TN85
(57)【要約】
本発明は、配置装置、配置システム、及び熱硬化性トウプレグ半製品からコンポーネントを生産する方法に関し、さらにコンポーネントに関するものである。特に、本発明は、熱硬化性トウプレグ半製品(100)からコンポーネント(104)を生産するための配置装置(1)であって、トウプレグ半製品(100)を案内するための配置ユニット(2)と、レーザビーム(6)を出射するためのレーザユニット(4)と、加熱部(8)とを備え、レーザユニット(4)は、加熱領域(8)でレーザビーム(6)をトウプレグ半製品(100)に照射するように配置及び構成される、配置装置(1)に関するものである。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱硬化性トウプレグ半製品(100)からコンポーネント(104)を生産するための配置装置(1)であって、
前記トウプレグ半製品(100)を案内するための配置ユニット(2)と、
レーザビーム(6)を出射するためのレーザユニット(4)と、
加熱部(8)と
を備え、
前記レーザユニット(4)は、前記加熱領域(8)内で前記トウプレグ半製品(100)に前記レーザビーム(6)を照射するように配置及び構成される、
配置装置(1)。
【請求項2】
前記レーザユニット(4)は、前記加熱領域(8)内で前記トウプレグ半製品(100)の少なくとも第1の外面に前記レーザビーム(6)を照射するように配置及び構成される、請求項1に記載の配置装置(1)。
【請求項3】
前記配置ユニット(2)は、前記トウプレグ半製品(100)が通過可能なプロセスハウジング(10)を備え、前記加熱領域(8)は、前記プロセスハウジング(10)内に位置する、先行する請求項のいずれか一項に記載の配置装置(1)。
【請求項4】
前記レーザユニット(4)は、前記プロセスハウジング(10)に連結され、特に前記プロセスハウジング(10)上又は前記プロセスハウジング(10)内に配置される、先行する請求項のいずれか一項に記載の配置装置(1)。
【請求項5】
・前記レーザユニット(4)及び/又は前記配置ユニット(2)は、前記レーザビーム(6)が前記トウプレグ半製品(100)に実質的に直交して当たるように配置及び構成され、さらに/あるいは
・前記レーザユニット(4)と前記加熱領域(8)との間の前記レーザビーム(6)のビーム経路内にビームスプリッタミラー(16)が配置され、該ミラーは、前記レーザビーム(6)を特に90度だけ偏向し、さらに/あるいは前記加熱領域(8)内で前記トウプレグ半製品(100)により生成される熱放射を伝達する、
先行する請求項のいずれか一項に記載の配置装置(1)。
【請求項6】
・前記加熱領域(8)内の前記トウプレグ半製品(100)の第1の温度を決定するように配置及び構成される第1の温度測定ユニット(18)を備え、さらに/あるいは
・前記第1の温度測定ユニット(18)は、前記ビームスプリッタミラー(16)を透過した熱放射を検出し、該検出された熱放射に基づいて前記加熱領域(8)内の前記トウプレグ半製品(100)の前記第1の温度を決定するように配置及び構成される、
先行する請求項のいずれか一項に記載の配置装置(1)。
【請求項7】
前記第1の外面とは反対側の前記トウプレグ半製品(100)の第2の外面の第2の温度を検出するように配置及び構成される第2の温度測定ユニット(20)を備える、先行する請求項のいずれか一項に記載の配置装置(1)。
【請求項8】
前記トウプレグ半製品(100)内に縦張力を生成するためのプレストレッシングユニット(22)を備え、好ましくは前記プレストレッシングユニット(22)は、前記縦張力が0Nから200Nを超えるまでの間となるように構成される、先行する請求項のいずれか一項に記載の配置装置(1)。
【請求項9】
前記トウプレグ半製品(100)の移動方向に関して前記加熱領域(8)の上流側に配置される予熱ステーション(24)を備える、先行する請求項のいずれか一項に記載の配置装置(1)。
【請求項10】
前記レーザユニット(4)に及び/又はto前記配置ユニット(2)に技術的に信号結合される制御装置(26)であって、前記レーザユニット(4)の少なくとも1つのレーザパラメータ、前記トウプレグ半製品(100)の供給速度及び/又は前記トウプレグ半製品(100)の前記縦張力を制御及び/又はループ制御するための制御装置(26)を備え、好ましくは、
・前記制御装置(26)は、前記トウプレグ半製品(100)が前記レーザビーム(6)により少なくとも部分的に、好ましくは完全に液化されるように前記レーザユニット(4)を制御するように設定され、
・前記制御装置(26)は、前記トウプレグ半製品(100)のエッジ層が液化されるように前記レーザユニット(4)を制御するように配置され、さらに/あるいは
・前記制御装置(26)は、前記エッジ層の予め規定された粘度が設定されるように前記レーザユニット(4)を制御するように設定され、さらに/あるいは
・前記制御装置(26)は、前記トウプレグ半製品(100)が前記トウプレグ半製品(100)の硬化温度に少なくとも対応する温度に加熱されるように前記レーザユニット(4)を制御するように設定される、
先行する請求項のいずれか一項に記載の配置装置(1)。
【請求項11】
前記制御装置(26)は、前記第1の温度、前記第2の温度及び/又は前記加熱領域(8)内の前記トウプレグ半製品(100)の他の測定された温度及び/又は前記トウプレグ半製品(100)の前記移動方向における前記加熱領域(8)の前及び/又は後における前記トウプレグ半製品(100)の温度に基づいて、前記レーザユニット(4)を制御するように配置される、先行する請求項のいずれか一項に記載の配置装置(1)。
【請求項12】
熱硬化性トウプレグ半製品(100)からコンポーネント(104)を生産するための配置システム(60)であって、
・先行する請求項1~11のいずれかに記載の配置装置(1)と、
・前記配置装置(1)に連結されるハンドリングユニット(62)と
を備え、
・前記ハンドリングユニット(62)は、前記配置装置(1)を移動させるように配置及び構成される、
配置システム(60)。
【請求項13】
熱硬化性トウプレグ半製品(100)からコンポーネント(104)を特に請求項1~11に記載の配置装置(1)を用いて生産する方法であって、
・前記熱硬化性トウプレグ半製品(100)を用意するステップ(200)と、
・前記トウプレグ半製品(100)をガイド経路に沿って配置領域及び/又は巻取領域に案内するステップ(202)と、
・前記ガイド経路に沿って前記配置領域及び/又は前記巻取領域の上流側の加熱領域(8)内で前記トウプレグ半製品(100)をレーザビーム(6)で加熱するステップ(204)と
を含む、方法。
【請求項14】
前記トウプレグ半製品(100)の前記加熱(204)は、ラッピング領域から離間している、先行する請求項に記載の方法。
【請求項15】
前記トウプレグ半製品(100)は、例えば80℃を超える又は90℃を超える加工温度に、さらに/あるいは例えば120℃を超える硬化温度に加熱される、先行する請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記トウプレグ半製品(100)は、20Nを超える、50Nを超える、100Nを超える、さらに/あるいは200Nを超える縦張力で案内される、先行する請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
先行する請求項13~16のいずれかに記載の方法により製造される、コンポーネント(104)、特に圧力タンク、好ましくはガス用ガス圧力タンク、例えば水素タンク。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱硬化性トウプレグ(towpreg)半製品からコンポーネントを生産する配置装置、配置システム、及び方法、さらにコンポーネントに関するものである。
【背景技術】
【0002】
熱硬化性トウプレグ半製品からコンポーネントを生産する配置装置及び方法が大体のところ知られている。トウプレグ半製品は、一方向連続繊維強化熱硬化性予備含浸半製品であり、トウプレグ半製品のマトリクスは、室温で乾燥及び実質的な非粘着状態である点で、従来のプリプレグとは異なっている。長期間トウプレグ半製品を室温で保管することができる。さらに、トウプレグ半製品は、一般的に、従来のプリプレグの個々の層を分離する保護紙を用いない。また、トウプレグ半製品は、キュアリング温度としても知られる硬化温度以下でほとんど所望の頻度でトウプレグ半製品を加熱することができるという事実により特徴付けられる。キュアリング温度では、不可逆的架橋が生じ、このためマトリクスをほとんど所望の頻度で液化することができる。
【0003】
トウプレグ半製品は、航空宇宙産業及び自動車産業における用途及び炭素繊維強化プラスチックから製造される水素圧力容器の製造における用途に広く使用されている。トウプレグ半製品の処理の重要な側面は、処理中に正確なプロセスパラメータが設定されることである。
【0004】
巻取ユニット又は配置ユニットを用いてトウプレグ半製品を処理することができる。特に、単一の又は複数のロータリスピンドルシステムを有する複数のアプリケータも用いることができる。トウプレグ半製品が制限された供給速度、例えば3m/s未満で巻取ユニット又は溶着テーブルに供給されることが知られている。特にトウプレグ半製品を処理温度にまで温めなければならないので、この供給速度が制限されている。これは、例えば、加熱流体及び/又は赤外線照射によりトウプレグ半製品を加熱する加熱ユニット内での巻取又は溶着の前になされる。したがって、敷設されるトウプレグ半製品は通常完全に加熱される必要があるので、そのような加熱ユニットは、繊維複合コンポーネントの生産のためには必要不可欠なものである。
【0005】
例えば、US6451152B1は、熱硬化性プリプレグをレーザによって処理し、ラッピング領域が照射されることを開示している。加えて、レーザ補助テープ敷設プロセスがWO2016/078977A1及びEP2895317B1で知られている。ここでも、高いコンポーネント品質を確保するために低い供給速度が必要不可欠なものとして述べられている。
【0006】
繊維複合材からなる高品質なコンポーネントに対する需要が確実に増加している。これは、一方で既知の用途と他方で例えば水素タンクのような新しい領域の用途に対するコンポーネントの需要が増えていることによるものである。しかしながら、従来技術において知られているトウプレグ半製品からコンポーネントを生産する装置及び方法の限られたプロセス速度によって適用可能な用途が制限される。製造時間とコストの点で改善の可能性が依然としてある。さらに、資本集約型機械ではコンポーネントごとの加工時間がより長くなるので、単一のコンポーネントについての加工時間は製造にかかるコストを上昇させる。熱硬化性トウプレグ半製品からコンポーネントを生産する既存の装置及び方法には様々な利点があるが、さらなる改良が求められている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、本発明の目的は、上記欠点のうち1つ以上を低減する又はなくすことができる、熱硬化性トウプレグ半製品からコンポーネントを生産する配置装置、配置システム及び方法、さらにコンポーネントを提供することにある。特に、本発明の目的は、トウプレグ半製品からなるコンポーネントのための製造時間を短縮する、さらに/あるいは、プロセスにかかるコストを低減する解決策を提供することにある。また、本発明の目的は、トウプレグ半製品からなるコンポーネントのコンポーネント品質を改善する解決策を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この課題は、独立特許請求項の特徴に係る配置装置及び方法、さらにコンポーネントにより解決される。これらの態様のさらに有利な実施形態は、それぞれの従属特許請求項に示されている。特許請求の範囲にそれぞれ挙げられている特徴及び説明を技術的に有用な形で互いに組み合わせることができ、本発明のさらなる実施形態が示される。
【0009】
熱硬化性トウプレグ半製品からコンポーネントを生産するための配置装置は、トウプレグ半製品を案内するためのフィーダユニットを備える。配置ユニットは、好ましくは、トウプレグ半製品を案内するための1つ又は2つ以上のフィーダ要素を有している。特に、配置ユニットが、トウプレグ半製品をガイド経路に沿って案内するように配置及び構成され、配置ユニットは、ガイド経路に沿って見たときに、第1のガイド端及び第2のガイド端を有していることが好ましい。例えば、トウプレグ半製品を第1のガイド端で配置ユニットに供給することができ、第2のガイド端で配置ユニットから除去することができる。ガイド部は、供給点から除去点まで少なくとも延びていることが好ましい。
【0010】
さらに、配置装置は、レーザビームを出射するためのレーザユニットを備えている。レーザユニットは、好ましくはレーザ光学系である。例えば、レーザ光学系は、光ファイバを用いたレーザ源に連結可能であるか、連結されていてもよい。レーザユニットは、ダイオードレーザを備えていてもよく、ダイオードレーザであってもよい。加えて、レーザユニットは、他のレーザであってもよく、他のレーザを含んでいてもよい。さらに、レーザユニットは、ダイレクトエミッタであってもよい。
【0011】
レーザユニットは、0.3キロワットよりも大きな、1キロワットよりも大きな、2キロワットよりも大きな、3キロワットよりも大きな、及び/又は4キロワットよりも大きなレーザパワーを有することが好ましい。レーザパワーは、1キロワットから5キロワットの間、好ましくは2キロワットから4キロワットの間であることが特に好ましい。レーザユニットの波長範囲は、好ましくは、450ナノメートルから1080ナノメートルの間である。レーザユニットは、パルスレーザ及び/又は連続波レーザであってもよい。
【0012】
配置装置は、加熱領域をさらに備えている。また、加熱領域は、配置ユニットに含まれていてもよい。加熱領域は、配置装置の意図した動作においては、トウプレグ半製品が加熱領域であるか、加熱領域を通るように案内されるように特に配置されている。配置ユニットは、ガイド部に沿ってトウプレグ半製品を案内するために特に構成されている。ガイド部は、好ましくは加熱領域を通過して延びている。
【0013】
レーザユニットは、加熱領域内でトウプレグ半製品にレーザビームを照射するように配置及び構成されている。レーザビームの照射は、特にレーザビームを用いた放射である。特に、レーザユニットは、出射されたレーザビームが加熱領域上に当たるように配置及び構成されている。このために、反射素子のような光素子によってレーザビームをレーザユニットから加熱領域に向けて偏向することができる。
【0014】
レーザビームは、任意の外形を有する平面プロファイルを有する加熱領域内でトウプレグ半製品を加熱することが好ましい。例えば、レーザユニットは、レーザビームが加熱領域内のトウプレグ半製品に線プロファイル及び/又は矩形プロファイルを適用するようにレーザビームを形成するように配置及び適合されていてもよい。特に、レーザユニットは、レーザビームを走査することによりレーザビームを加熱領域内でトウプレグ半製品に照射するように配置及び適合されていてもよい。ここでの走査は、レーザユニットが、レーザビームを静止位置に照射するだけではなく、レーザビームによってトウプレグ半製品上の線プロファイルを走査することを意味している。また、走査は、矩形プロファイルのようなレーザビームプロファイルを用いることも可能である。
【0015】
トウプレグ半製品は、特に複数の一方向繊維、特に炭素繊維と熱硬化性マトリクスとを含む繊維複合材料からなる半製品であり、熱硬化性マトリクスは、例えばセ氏80度から100度の間の加工温度と、例えばセ氏120度の硬化温度とを有している。
【0016】
本発明は、トウプレグを加工するための既存の方法をさらに改善できるという認識に基づくものである。加えて、本発明は、セイフティファクタ及び/又はコンポーネント当たりの材料の量を減少させてコストを削減できるようにするために、コンポーネント品質のさらなる向上が望まれているという認識に基づくものである。
【0017】
配置装置は、トウプレグ半製品のレーザ照射によりプロセス速度を高めることが可能である。レーザユニットは、以前使用されていたプロセス速度のためにその使用が必要ではなかったために、トウプレグを加工するために典型的に用いられてこなかった。レーザユニットを使用してトウプレグ半製品表面層の予め決められた液化を実現できることによりトウプレグの加工品質が高まる。その結果、高品質のコンポーネントを低コストで生産することができる。
【0018】
さらに、レーザユニットの高いエネルギー入力は、例えば、目標とする焼戻しを可能にし、ひいては目標とするトウプレグ半製品の液化を可能にし、その結果、エッジ層のみが液化され、トウプレグ半製品の中央層は液化されない。加えて、配置装置は、加工中にトウプレグ半製品に入力されるレーザ誘起熱の目標とする制御可能性及び高速な制御可能性を実現することにより、トウプレグ半製品の厚さ方向において目標とする粘度曲線を設定することを可能にする。トウプレグ半製品の縁部層のみを加熱する可能性により、トウプレグの厚さ全体が液化されず、高い縦張力であっても対応して繊維が堅い領域内に固定されたままとなるので、トウプレグ半製品内で生じる縦張力を溶着中に増加させることができる。その結果、改善された加工性とより良いコンポーネント品質を実現することができる。さらに、代わりに、レーザビームによって硬化温度を超えたトウプレグ半製品の加熱を実現することができ、その結果、整形中に架橋が既に開始しているのでオーブン内の後続時間が短縮される。さらに、従来技術に比べてレーザ照射の強度がずっと高いことにより、トウプレグ半製品をより早く加熱することができ、短いガイド距離でトウプレグ半製品を所望の温度に加熱することができる。これにより、予熱距離が著しく短くなり、プロセス速度が著しく高くなる。
【0019】
さらに、配置ユニットは、トウプレグ半製品を特にフィード運動によりフィード方向に移動させるフィードユニットを有していることが好ましい。さらに、配置ユニットは、トウプレグ半製品の縦張力を決定するように配置及び構成される力測定ユニットを含み得る。さらに、配置ユニットは、第2のガイド端でガイドローラを備え、このガイドローラは、トウプレグ半製品が所定の角度で出ていくことを可能にするように配置及び構成されることが好ましい。
【0020】
配置装置の好ましい実施形態は、レーザユニットが、レーザビームを加熱領域内でトウプレグ半製品の少なくとも第1の外面に照射するように配置及び構成される点で特徴付けられる。第1の外面は、特に、トウプレグ半製品の下側である。トウプレグ半製品の加工においては、下側は、巻取の際に、常に基板、例えば巻取ボディ、コンポーネント、又は溶着テーブルに接触するトウプレグ半製品の側となる。第1の外面、特に下側の目標とする加熱により、トウプレグ半製品の予め決められた加工性が得られ、改善された溶着又は改善された巻取が可能になる。従来技術によるトウプレグ半製品の完全な加熱及びこれによるトウプレグ厚さの完全な液化の場合、プロセスに関連するトウプレグ応力によってトウプレグ半製品の巻取後に断面において繊維同士の変位が生じ得る。これは、得られるコンポーネント品質に悪影響を与える。レーザ照射によりトウプレグ半製品の下側を目標とするやり方で比較的高速で制御可能な方法で加熱することにより、そのような変位を低減するか、なくすことさえ可能となる。この結果、コンポーネント品質を改善することが実現される。
【0021】
レーザユニットは、ラッピング領域から離れた位置でレーザビームによりトウプレグ半製品を加熱できるように配置されていることがさらに好ましい。特に、これは、加熱領域がラッピング領域から離間していることを意味している。この結果、トウプレグ半製品の加熱が簡略化され、より目標とする形で行うことができる。加えて、トウプレグの下側のみにレーザ照射がなされ、ラッピング領域にはなされない。その結果、コンポーネント/既に溶着したトウプレグは、レーザ照射されず、これにより影響を受けることがない。特に、ラッピング領域は、トウプレグ半製品がラッピングボディ、例えば回転対称コンポーネントに接続する領域である。特に、加熱領域は、ガイド部に沿って位置し、ラッピング領域から離間していることが好ましい。
【0022】
配置装置のさらに好ましい実施形態は、配置ユニットが、そこを通ってトウプレグ半製品を案内することができるプロセスハウジングを備え、加熱領域がプロセスハウジングの内部に位置している点で特徴付けられる。ガイド部は、好ましくはプロセスハウジングを通過する。プロセスハウジングは、好ましくはハウジング内部空間を有しており、加熱領域は、ハウジング内部空間内に位置している。プロセスハウジングは、好ましくは半製品入口及び半製品出口を有しており、これらは、トウプレグ半製品が半製品入口を通ってプロセスハウジングに入り、半製品出口を通ってプロセスハウジングから出るように配置されている。特に、半製品入口、半製品出口、さらにこれら2つを接続する半製品部は、ガイド部の一部である。ハウジング内部空間は、好ましくは半製品入口と半製品出口との間に配置され、さらに好ましくは半製品入口及び半製品出口は、プロセスハウジングの開口として構成される。特に、レーザユニットは、半製品入口と半製品出口との間でレーザビームをトウプレグ半製品に照射するように配置及び構成されている。
【0023】
好ましくは、プロセスハウジングは、プロセスハウジングの環境をレーザビームから実質的に遮蔽する放射遮蔽壁を有している。さらに、プロセスハウジングは、局所レーザ保護を既に提供しているので、レーザ保護筐体及び/又は出ていく許容残留散乱放射のためのさらなるレーザ保護をなくすことができるか、非常に少ない労力で実現することができ、非常に簡略化され安価な装置とすることができる。
【0024】
加えて、プロセス筐体は、レーザビーム保護ユニットを含むことが好ましい。レーザビーム保護ユニットは、例えば、レーザビーム保護ラビリンスとして構成され得る。好ましくは、レーザビーム保護ユニットは、半製品入口及び/又は半製品出口に隣接している。
【0025】
配置装置の他の好ましい実施形態は、プロセスハウジングに連結されるレーザユニットにより特徴付けられる。例えば、レーザユニットは、プロセスハウジング上に配置され得るか、プロセスハウジング内に配置され得る。レーザユニットは、プロセスハウジングの外部に配置されてもよく、レーザユニットにより出射されたレーザビームは、光素子及び/又は光伝導素子によりプロセスハウジング内部の加熱領域に案内され得る。特に、レーザユニットは、レーザユニットにより出射されたレーザビームがプロセスハウジングに入り、加熱領域に案内されるように配置及び構成されることが好ましい。このために、レーザユニットは、部分的又は完全にプロセスハウジングの内部に配置され得る。さらに、レーザユニットは、出射されたレーザビームが、反射素子、例えばビームスプリッタミラーによりレーザユニットから加熱領域に案内されるようにプロセスハウジングに連結され得る。
【0026】
配置装置のさらなる好ましい実施形態は、レーザユニット及び/又は配置ユニットが、レーザビームがトウプレグ半製品に実質的に直交して当たるように配置及び構成される点で特徴付けられる。レーザユニット及び/又は配置ユニットのそのような構成は、レーザ照射の特に有利な吸収、ひいては効率的な加熱を可能にする。加えて、これにより、半製品に入射する又は半製品から出る散乱放射が少なくなる。
【0027】
ビームスプリッタミラーは、レーザユニットと加熱領域との間のレーザビームのビーム経路に配置され、レーザビームを偏向することがさらに好ましい。ビームスプリッタミラーは、円弧90度以下及び/又は円弧90度以上だけレーザビームが偏向されるように配置及び構成されることが好ましい。特に、ビームスプリッタミラーが、レーザビームを円弧90度だけ偏向するように設定されることが好ましい。ビームスプリッタミラーにより、レーザユニットの構成がより柔軟になる。例えば、レーザユニットは、出射されたレーザビームが、最初はトウプレグ半製品の移動方向と本質的に平行に整列されるように配置され得る。ビームスプリッタミラーにより、レーザビームがトウプレグ半製品に例えば垂直に当たるようにレーザビームを偏向することができる。ビームスプリッタミラーは、加熱領域内のトウプレグ半製品により生成される熱放射を伝達することがさらに好ましい。
【0028】
配置装置は、加熱領域内のトウプレグ半製品の第1の温度を決定するように配置及び構成される第1の温度測定ユニットを備えることがさらに好ましい。第1の温度測定ユニットは、例えば、パイロメータ又は熱カメラであり得る。特に、第1の温度測定ユニットは、トウプレグ半製品の第1の外面の第1の温度を決定するように配置及び構成されることが好ましい。
【0029】
第1の温度測定ユニットは、ビームスプリッタミラーを透過する熱放射を検出し、検出された熱放射に基づいて、加熱領域内のトウプレグ半製品、特にトウプレグの第1の外面の第1の温度を決定するように配置及び構成されることがさらに好ましい。
【0030】
特に、第1の温度測定ユニットは、検出された熱放射を特徴付ける第1の温度信号を生成及び評価し、これに基づいて第1の温度を決定するように設定されることが好ましい。さらに、第1の温度測定ユニットは、以下でより詳細に述べられる制御装置に信号結合され、第1の温度信号を基礎として第1の温度を決定するように制御装置が設定されることが好ましい場合がある。
【0031】
さらに、配置装置は、トウプレグ半製品の以下の品質基準のうち1つ以上を検出するように配置及び適合される少なくとも1つのさらなる測定ユニットを備えていてもよい。トウプレグ半製品の幾何学的形状、トウプレグ半製品の幾何学的形状の許容値、表面の粗さ、好ましくはトウプレグ半製品の第1の外面及び/又は第2の外面、及びトウプレグ半製品の繊維分布。好ましくは、少なくとも1つのさらなる測定ユニットは、加熱領域の前及び/又は後、及び/又は加熱領域内で1以上の品質基準を検出するように配置される。これにより、品質基準を加熱前、加熱中及び加熱後で比較することができる。
【0032】
配置装置の他の好ましい実施形態は、第1の外面とは反対側のトウプレグ半製品の第2の外面の第2の温度を検出するように配置及び構成される第2の温度測定ユニットを備えている。好ましくは、第2の温度測定ユニットは、第2の温度を特徴付ける温度信号を生成し、第2の温度信号に基づいて第2の温度を決定するように配置される。さらに、第2の温度測定ユニットは、以下でより詳細に述べられる制御装置に第2の温度信号を供給してもよく、制御装置は、第2の温度信号に基づいて第2の温度を決定するように配置される。第2の温度測定ユニットは、第2の温度信号を制御装置に供給するように制御装置に信号結合され得る。第2の温度測定ユニットにより、第2の外面の領域が硬化温度に達せず、トウプレグ半製品の完全な液化を避けることを確実にすることができ、そのようにレーザユニットを調整することができる。
【0033】
配置装置のさらなる実施形態においては、配置装置は、レーザユニットを冷却するように配置及び適合される冷却装置を備えている。特に、冷却装置は、レーザユニットを冷却水で冷却するように配置され得る。配置装置は、レーザユニットを冷却する前及び冷却した後の冷媒の温度を検出するように配置及び適合される温度測定ユニットをさらに備えていてもよい。これら2つの温度の温度差に大きな変化がある場合には、トウプレグ半製品の加熱に間違いがあることを推測することができる。
【0034】
配置装置のさらなる好ましい実施形態においては、配置装置は、加熱領域内で及び/又は加熱領域の前及び/又は後でガイド経路に沿って又はトウプレグ半製品の移動方向にトウプレグ半製品の温度を検出するように配置される1つ又は2つ以上のさらなる温度測定ユニットを備えるように提供される。上記で述べた第1の温度測定ユニット、第2の温度測定ユニット及びさらなる温度測定ユニットは、例えば、パイロメータ又は熱カメラであってもよく、制御装置に信号結合されていてもよい。
【0035】
さらに、配置装置は、トウプレグ半製品内で縦応力を生成するためのプレストレッシングユニットを備えることが好ましい。特に、プレストレッシングユニットは、縦張力が0Nから200Nを超えるまでの間となるように構成される。特に、プレストレッシングユニットは、トウプレグ半製品内の縦張力が50ニュートンを超え、100ニュートンを超え、200ニュートンを超え、300ニュートンを超え、400ニュートンを超え、500ニュートンを超え、及び/又は1000ニュートンを超えるように構成される。
【0036】
さらに、配置装置は、トウプレグ半製品内の縦張力を決定するように配置及び構成される力測定ユニット、特にロードセルを備えることが好ましい。プレストレッシングユニットは、力測定ユニットに結合され、特に信号結合されていることが特に好ましい。
【0037】
配置装置のさらなる好ましい実施形態は、配置装置が、トウプレグ半製品の移動方向に関して加熱領域の上流側に配置される予熱ステーションを備える点で特徴付けられる。予熱ステーションは、熱い流体、例えば加熱ガス、又は赤外線照射によりトウプレグ半製品を加熱するように特に構成される。
【0038】
配置装置のさらなる好ましい実施形態は、レーザユニット及び/又は配置ユニットに信号結合される制御装置であって、レーザユニットの少なくとも1つのレーザパラメータ、トウプレグ半製品の供給速度及び/又はトウプレグ半製品の縦張力を制御及び/又はループ制御するための制御装置を備えている。レーザパラメータは、レーザパワー、照射時間及び/又は照射場所であり得る。
【0039】
制御装置は、トウプレグ半製品が、レーザビームにより少なくとも部分的に、好ましくは完全に液化されるように、レーザユニット、特にレーザユニットのレーザパワーを制御するように特に設定される。液化は、トウプレグ半製品の少なくとも一部が液化又は軟化されることを特に意味する。換言すれば、トウプレグ半製品は、照射されたトウプレグ半製品の粘度を実現するようにレーザビームにより少なくとも部分的に加熱される。
【0040】
さらに、制御装置は、トウプレグ半製品のエッジ層が液化されるように、レーザユニット、特にレーザユニットのレーザパワーを制御するように配置されることが好ましい。トウプレグ半製品のエッジ層の反対側の中央層と他のエッジ層は実質的に液化されないままであることがさらに好ましい。好ましくは、エッジ層は第1の外面を有している。特に、中央層は、第1の外面と第2の外面との間、特にエッジ層と好ましくは第2の外面を有するさらなるエッジ層との間に配置される。中央層ではなくエッジ層のみを液化することにより、トウプレグ半製品の全体の剛性を選択的に調整することができる。加えて、これによりトウプレグ半製品の個々の繊維が互いに移動する可能性が限定され、これは、得られるコンポーネント品質に良い影響を与える。エッジ層の深さは、トウプレグ半製品の厚さの好ましくは20%未満、好ましくは10%未満及び/又は5%未満である。
【0041】
さらに、制御装置は、エッジ層の予め決められた粘度が設定されるように、レーザユニット、特にレーザユニットのレーザパワーを制御するように設定されることが好ましい。このために、対応するレーザパワーが特にトウプレグ半製品の既知の材料パラメータを基礎として設定され、その結果、予め決められた粘度が設定される。さらに、制御装置は、トウプレグ半製品の硬化温度に少なくとも対応する温度にトウプレグ半製品が加熱されるように、レーザユニット、特にレーザユニットのレーザパワーを制御するように設定され得る。
【0042】
配置装置のさらなる好ましい実施形態においては、制御装置は、第1の温度、第2の温度及び/又は加熱領域内のトウプレグ半製品のさらなる測定された温度及び/又はトウプレグ半製品の移動方向における加熱領域の前及び/又は後におけるトウプレグ半製品の温度に基づいて、レーザユニット、特にレーザユニットのレーザパワーを制御するように配置される。
【0043】
配置装置のさらなる好ましい実施形態においては、材料粘度と温度との間の相関が制御装置のメモリに保存され、制御装置は、粘度を特徴付ける粘度入力に基づいてレーザユニットを制御するように配置され、粘度は、保存された相関に基づいて決定される。
【0044】
さらなる態様によれば、上述した問題が、熱硬化性トウプレグ半製品からコンポーネントを生産するための配置システムであって、上記で述べた実施形態のうちの1つに係る配置装置と、配置装置に連結されるハンドリングユニットとを備え、ハンドリングユニットは、配置装置を移動させるように配置及び構成される、配置システムにより解決される。特に、ハンドリングユニットは、1つ、2つ又は3つの空間的方向に配置装置を移動させ、1つ、2つ又は3つの空間的方向周りに配置装置を回転させるように配置及び構成される。例えば、ハンドリングユニットは、関節アームロボット又はガントリマシンであり得る。さらに、ハンドリングユニットは、旋回及び/又は回転ユニットを有する直線軸であってもよい。
【0045】
さらなる態様によれば、上述した課題は、特に上記で述べた実施形態のうちの1つに係る配置装置を用いて、熱硬化性トウプレグ半製品からコンポーネントを生産する方法であって、熱硬化性トウプレグ半製品を用意するステップと、トウプレグ半製品をガイド経路に沿って配置領域及び/又は巻取領域に案内するステップと、ガイド経路に沿って見たときにガイド経路に沿って配置領域及び/又は巻取領域の上流側の加熱領域内でトウプレグ半製品をレーザビームで加熱するステップとを含む方法により解決される。
【0046】
配置領域は、例えば、コンポーネント、巻取ボディ、又は溶着テーブルの一部であり得る。特に、配置領域は、トウプレグ半製品が巻かれている、あるいはコンポーネント、巻取ボディ又は溶着テーブル上に溶着している、コンポーネント、巻取ボディ又は溶着テーブルの領域である。換言すれば、配置領域は、トウプレグ半製品が、コンポーネント、巻取ボディ、又は溶着テーブルに接触する領域である。特に、加熱領域は、トウプレグ半製品の移動方向において配置領域及び/又は巻取領域の前に位置している。配置領域及び/又は巻取領域の前方でのトウプレグ半製品の加熱は、遮蔽領域、プロセスハウジングの内部において特に生じ得る。トウプレグ半製品は、最初に加熱され、その後溶着され、さらに/あるいは巻かれることが特に好ましい。
【0047】
トウプレグ半製品の加熱は、ラッピング領域から離間した場所で行われることがさらに好ましい。トウプレグ半製品の第1の外面のみ、特に下側のみ加熱され、特にレーザビームが当てられ、例えば照射されることがさらに好ましい。下側は、特にレイダウン又は巻取中にその後にレイダウン面に接触するトウプレグ半製品の側である。
【0048】
温度センサを用いた高速で精密な温度によるレーザパワー制御の可能性と組み合わせた高強度のレーザ照射によって、トウプレグ半製品の加熱と関連する局所的な液化とを限定された厚さ範囲に制限することができる。加えて、目標とする粘度勾配を厚さ方向に設定することができる。
【0049】
トウプレグ半製品は、例えばセ氏80度を超える又はセ氏90度を超える加工温度に、例えば120度を超える硬化温度に加熱されることがさらに好ましい。トウプレグ半製品は、20ニュートンを超える、50ニュートンを超える、100ニュートンを超える、さらに/あるいは200ニュートンを超える縦張力で案内されることがさらに好ましい。さらに、トウプレグ半製品は、200ニュートンを超える、好ましくは300ニュートンを超える、特に500ニュートンを超える縦張力で案内されることが好ましい。
【0050】
さらなる態様によれば、最初に述べた課題は、上記で述べた実施形態のうちの1つに係る方法により生産されたコンポーネント、特に圧力タンク、好ましくはガス用ガス圧力タンク、例えば水素タンクにより解決される。水素タンクは、例えば自動車用途の水素タンクである。
【0051】
本方法及びその考えられる実施形態は、配置装置及びその実施形態について使用されるのに特に好適にさせる特徴又は方法ステップを有している。
【0052】
さらなる利点、さらなる態様の実施形態及び実施形態の詳細と考えられるさらなる実施形態については、配置装置の対応する特徴及びさらなる実施形態に関して先に述べた説明も参照される。
【図面の簡単な説明】
【0053】
好ましい実施形態が例として添付図面を参照して説明される。添付図面は以下のものを示している。
【0054】
図1図1は、配置装置の例示的実施形態の模式的二次元図である。
図2図2は、配置装置の例示的実施形態のさらなる模式的二次元図である。
図3図3は、配置装置の例示的実施形態のさらなる模式的二次元図である。
図4図4は、貯蔵システムの例示的実施形態の模式的二次元図である。
図5図5は、貯蔵システムの例示的実施形態のさらなる模式的二次元図である。
図6図6は、概念的な方法である。
【発明を実施するための形態】
【0055】
図面においては、同一の、あるいは実質的に機能的に同一又は類似の要素は同一の参照符号を用いて示される。
【0056】
図1は、配置装置1の例示的実施形態の模式的二次元図を示している。配置装置1は、トウプレグ半製品100のフィーダのためのフィーダユニット2を備えている。さらに、配置装置1は、レーザビーム6を出射するためのレーザユニット4を備えている。レーザユニット4は、加熱領域8においてトウプレグ半製品100をレーザビーム6に曝すことができるように配置及び構成されている。
【0057】
配置装置1は、プロセスハウジング10をさらに備えている。プロセスハウジング10は、ハウジング入口及びハウジング出口を有しており、トウプレグ半製品100はプロセスハウジング10を通過する。特に、トウプレグ半製品100は、プロセスハウジング10の第1のハウジング部12を通過し、この第1のハウジング部12は上記ハウジング入口を含んでいる。プロセスハウジング10は、第2のハウジング部14をさらに備えている。ハウジング部12,14は、それぞれ通路方向に内部空間を有している。第1のハウジング部12の通路方向は、トウプレグ半製品100の移動方向106と実質的に平行であるか、配置装置1のガイド経路と実質的に平行である。第2のハウジング部14の通路方向は、第1のハウジング部12の通路方向と実質的に直交し、また、プロセスハウジング10のその領域においてトウプレグ半製品の移動方向106にも実質的に直交している。
【0058】
レーザユニット4は、プロセスハウジング10に、特に第2のハウジング部14に連結されている。また、第2のハウジング部14においては、レーザビームのビーム経路内にビームスプリッタミラー16が配置されている。このビームスプリッタミラー16は、レーザビーム6を円弧90度だけ偏向する。その結果、レーザユニット4により出射されたレーザビーム6は、最初はトウプレグ半製品100と実質的に平行に向けられ、レーザビーム6がトウプレグ半製品100に対して実質的に直交に当たるように方向転換される。特に、レーザビーム6は、加熱領域8内でトウプレグ半製品100に当たる。
【0059】
トウプレグ半製品100を最適に処理できることを確保するために、配置装置1は、第1の温度測定ユニット18及び第2の温度測定ユニット20を備えている。第1の温度測定ユニット18は、ビームスプリッタミラー16の裏側に配置されており、この結果、ビームスプリッタミラー16を透過した加熱領域8の熱放射が検出され、これによりトウプレグ半製品100の第1の温度を決定することができる。特に、第1の温度測定ユニット18により、第1の外面の温度、この例では、トウプレグ半製品100のレーザが照射される下側の温度が決定される。第2の温度測定ユニット20により、下側とは反対側に配置される第2の外面の温度、この例では、トウプレグ半製品の上側の温度が決定される。
【0060】
さらに、配置装置1は、さらなる温度測定ユニット28から34を備えており、これらにより、加熱領域8の上流側及び加熱領域108の下流側の移動方向106におけるトウプレグ半製品の温度、特に表面温度の測定が可能となる。
【0061】
配置装置1は、トウプレグ半製品100内で縦張力を生成するためのプレストレッシングユニット22をさらに備えており、好ましくはプレストレッシングユニット22は、縦張力が0ニュートンから200ニュートンを超えるまでループ制御されるように構成される。さらに、配置装置1は、加熱ガス及び/又は赤外線放射を用いてトウプレグ半製品100を予熱することができる予熱ステーション24を備えている。ガイド部は、トウプレグ半製品100がそれに沿って案内される部分として理解すべきである。図1においては、ガイド部は、プレストレッシングユニット22の除去点から、配置ユニット2を通過して、コンポーネント104のラッピング/受取/配置領域まで延びている。特に、ラッピング/受取/配置領域は、ガセット領域であり得る。
【0062】
トウプレグ半製品100は、力測定ユニット40とガイドローラ46との間で縦方向Lに案内される。トウプレグ半製品100の縦方向は、特に主延長方向として理解すべきである。力測定ユニット40の前方の移動方向106において、トウプレグ半製品100の縦方向はこの移動方向106に揃えられる。トウプレグ半製品100の厚さ方向は、トウプレグ半製品100の縦方向と直交する向き、特に方向Dに向けられる。厚さ方向は、トウプレグ半製品100の延長平面に直交する方向である。厚さ方向においては、トウプレグ半製品100は、その間に中央層が配置される2つのエッジ層を有している。
【0063】
加えて、配置装置1は、レーザユニット4及び配置ユニット2に信号結合された制御装置26を有している。制御装置26は、レーザユニット4の少なくとも1つのレーザパラメータ、例えばレーザパワー、フィードユニット38により調整可能なトウプレグ半製品100の供給速度、及び縦張力を制御及びループ制御するように配置されている。
【0064】
特に、制御装置26は、トウプレグ半製品100がレーザビーム6により少なくとも部分的に液化されるようにレーザユニット4を制御するように配置されている。さらに、制御装置26は、トウプレグ半製品100の周辺層が液化され、トウプレグ半製品100の中央層が実質的に液化されないままとなるようにレーザユニット4を制御するように配置され得る。換言すれば、トウプレグ半製品の中央層の成形状態は変化しない。さらに、制御装置は、エッジ層の予め規定された粘度が調整可能となるようにレーザユニット4が制御されるように配置され得る。さらに、制御装置26は、トウプレグ半製品100が、トウプレグ半製品100の少なくとも硬化温度に対応する温度まで加熱されるようにレーザユニット4を制御するように配置され得る。
【0065】
加えて、配置装置1は、フィードユニット38の前と後にそれぞれ配置されるトウプレグフィーダ36,42を備えている。フィードユニット38は、トウプレグ半製品100のフィード方向106におけるフィードを調整するために用いられる。さらに、配置装置1は、プレストレッシングユニット22を備えている。ガイドローラ46により、プロセスハウジング10からのトウプレグ半製品100の出口角が調整される。
【0066】
図2に示される配置装置1は、同様の構造を有しているが、この例では、加圧ローラ48が付加的に設けられている。加圧ローラ48は、トウプレグ半製品をコンポーネントに押圧するように配置及び構成されている。
【0067】
図3は、配置装置1のさらに考えられる実施形態を示している。ここで、プロセスハウジング10は、より小さく構成されており、特に第2のハウジング部14によって形成されている。
【0068】
図4は、配置システム60の例示的実施形態の模式的二次元図を示している。配置システム60は、配置ユニット1及びハンドリングユニット62を備えており、ハンドリングユニット62は、配置装置1を移動させるように、特に熱硬化性トウプレグ半製品からコンポーネントを生産する方法を可能とするように配置及び構成されている。ハンドリングユニット62は、この例では、関節アームロボットとして構成されている。あるいは、ハンドリングユニット62は、ガントリマシンとして構成されていてもよい。コンポーネント104が、巻取軸108を中心として回転する結果、コンポーネント104がトウプレグ半製品100を実質的に自動的に巻き取る。
【0069】
図5においては、溶着プロセスとの関係で上述した配置システム60が示されている。ここで、トウプレグ半製品100は、配置領域112内の配置テーブル100上に溶着する。
【0070】
図6は、熱硬化性トウプレグ半製品100からコンポーネント104を生産する模式的方法を示している。ステップ200では、熱硬化性トウプレグ半製品100が用意される。ステップ202では、トウプレグ半製品100が配置領域112に案内される。ステップ204では、トウプレグ半製品100が、配置領域112の手前でレーザビーム6により加熱される。トウプレグ半製品100のガイド経路に沿って見ると、レイダウン又は巻取プロセスの直前でトウプレグ半製品100はレーザビーム6により加熱される。
【0071】
レーザパワー制御と組み合わせた高強度のレーザ照射によって、トウプレグ半製品の加熱とこれに関連する局所的な液化とをトウプレグ半製品の限定された厚さ範囲に制限することができる。このため、目標とする厚さ方向における粘度勾配を設定することができ、トウプレグ半製品100の加工の改善を確実にすることができる。トウプレグ半製品100の加熱は、ラッピング領域から離間している。例えば、トウプレグ半製品を80度のような加工温度に加熱してもよい。あるいは、トウプレグ半製品を120度よりも高いような硬化温度に加熱してもよい。本発明者等は、トウプレグ半製品100を硬化温度以上の温度に加熱すると、オーブン内での後続の加工を著しく軽減できることを見出した。
【符号の説明】
【0072】
1 配置装置
2 配置ユニット
4 レーザユニット
6 レーザビーム
8 加熱領域
10 プロセスハウジング
12 第1のハウジング部
14 第2のハウジング部
16 ビームスプリッタミラー
18 第1の温度測定ユニット
20 第2の温度測定ユニット
22 プレストレッシングユニット
24 予熱ステーション
26 制御ユニット
28 温度測定ユニット
30 温度測定ユニット
32 温度測定ユニット
34 温度測定ユニット
36 トウプレグフィーダ
38 フィードユニット
40 力測定ユニット
42 トウプレグフィーダ
44 レーザ光ファイバ
46 ガイドローラ
48 加圧ローラ
60 配置システム
62 ハンドリングユニット
100 トウプレグ半製品
102 材料スプール
104 コンポーネント
106 移動方向
108 巻取軸
110 溶着テーブル
112 配置領域
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【手続補正書】
【提出日】2023-09-20
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱硬化性トウプレグ半製品(100)からコンポーネント(104)を生産するための配置装置(1)であって、
前記トウプレグ半製品(100)を案内するための配置ユニット(2)と、
レーザビーム(6)を出射するためのレーザユニット(4)と、
加熱部(8)と
を備え、
前記レーザユニット(4)は、前記加熱領域(8)内で前記トウプレグ半製品(100)に前記レーザビーム(6)を照射するように配置及び構成される、
配置装置(1)。
【請求項2】
前記レーザユニット(4)は、前記加熱領域(8)内で前記トウプレグ半製品(100)の少なくとも第1の外面に前記レーザビーム(6)を照射するように配置及び構成される、請求項1に記載の配置装置(1)。
【請求項3】
前記配置ユニット(2)は、前記トウプレグ半製品(100)が通過可能なプロセスハウジング(10)を備え、前記加熱領域(8)は、前記プロセスハウジング(10)内に位置する、請求項1又は2に記載の配置装置(1)。
【請求項4】
前記レーザユニット(4)は、前記プロセスハウジング(10)に連結される、請求項1から3のいずれか一項に記載の配置装置(1)。
【請求項5】
前記レーザユニット(4)は、前記プロセスハウジング(10)上又は前記プロセスハウジング(10)内に配置される、請求項4に記載の配置装置(1)。
【請求項6】
・前記レーザユニット(4)及び/又は前記配置ユニット(2)は、前記レーザビーム(6)が前記トウプレグ半製品(100)に実質的に直交して当たるように配置及び構成され、さらに/あるいは
・前記レーザユニット(4)と前記加熱領域(8)との間の前記レーザビーム(6)のビーム経路内にビームスプリッタミラー(16)が配置され、該ミラーは、前記レーザビーム(6)を特に90度だけ偏向し、さらに/あるいは前記加熱領域(8)内で前記トウプレグ半製品(100)により生成される熱放射を伝達する、
求項1から5のいずれか一項に記載の配置装置(1)。
【請求項7】
・前記加熱領域(8)内の前記トウプレグ半製品(100)の第1の温度を決定するように配置及び構成される第1の温度測定ユニット(18)を備え、さらに/あるいは
・前記第1の温度測定ユニット(18)は、前記ビームスプリッタミラー(16)を透過した熱放射を検出し、該検出された熱放射に基づいて前記加熱領域(8)内の前記トウプレグ半製品(100)の前記第1の温度を決定するように配置及び構成される、
求項1から6のいずれか一項に記載の配置装置(1)。
【請求項8】
前記第1の外面とは反対側の前記トウプレグ半製品(100)の第2の外面の第2の温度を検出するように配置及び構成される第2の温度測定ユニット(20)を備える、請求項1から7のいずれか一項に記載の配置装置(1)。
【請求項9】
前記トウプレグ半製品(100)内に縦張力を生成するためのプレストレッシングユニット(22)を備える、請求項1から8のいずれか一項に記載の配置装置(1)。
【請求項10】
前記プレストレッシングユニット(22)は、前記縦張力が0Nから200Nを超えるまでの間となるように構成される、請求項9に記載の配置装置(1)。
【請求項11】
前記トウプレグ半製品(100)の移動方向に関して前記加熱領域(8)の上流側に配置される予熱ステーション(24)を備える、請求項1から10のいずれか一項に記載の配置装置(1)。
【請求項12】
前記レーザユニット(4)に及び/又は前記配置ユニット(2)に技術的に信号結合される制御装置(26)であって、前記レーザユニット(4)の少なくとも1つのレーザパラメータ、前記トウプレグ半製品(100)の供給速度及び/又は前記トウプレグ半製品(100)の前記縦張力を制御及び/又はループ制御するための制御装置(26)を備える、請求項1から11のいずれか一項に記載の配置装置(1)。
【請求項13】
・前記制御装置(26)は、前記トウプレグ半製品(100)が前記レーザビーム(6)により少なくとも部分的に液化されるように前記レーザユニット(4)を制御するように設定され、
・前記制御装置(26)は、前記トウプレグ半製品(100)のエッジ層が液化されるように前記レーザユニット(4)を制御するように配置され、さらに/あるいは
・前記制御装置(26)は、前記エッジ層の予め規定された粘度が設定されるように前記レーザユニット(4)を制御するように設定され、さらに/あるいは
・前記制御装置(26)は、前記トウプレグ半製品(100)が前記トウプレグ半製品(100)の硬化温度に少なくとも対応する温度に加熱されるように前記レーザユニット(4)を制御するように設定される、
請求項12に記載の配置装置(1)。
【請求項14】
前記制御装置(26)は、前記トウプレグ半製品(100)が前記レーザビーム(6)により完全に液化されるように前記レーザユニット(4)を制御するように設定される、請求項13に記載の配置装置(1)。
【請求項15】
前記制御装置(26)は、前記第1の温度、前記第2の温度及び/又は前記加熱領域(8)内の前記トウプレグ半製品(100)の他の測定された温度及び/又は前記トウプレグ半製品(100)の前記移動方向における前記加熱領域(8)の前及び/又は後における前記トウプレグ半製品(100)の温度に基づいて、前記レーザユニット(4)を制御するように配置される、請求項1から14のいずれか一項に記載の配置装置(1)。
【請求項16】
熱硬化性トウプレグ半製品(100)からコンポーネント(104)を生産するための配置システム(60)であって、
・請求項1~15のいずれかに記載の配置装置(1)と、
・前記配置装置(1)に連結されるハンドリングユニット(62)と
を備え、
・前記ハンドリングユニット(62)は、前記配置装置(1)を移動させるように配置及び構成される、
配置システム(60)。
【請求項17】
熱硬化性トウプレグ半製品(100)からコンポーネント(104)を生産する方法であって、
・前記熱硬化性トウプレグ半製品(100)を用意するステップ(200)と、
・前記トウプレグ半製品(100)をガイド経路に沿って配置領域及び/又は巻取領域に案内するステップ(202)と、
・前記ガイド経路に沿って前記配置領域及び/又は前記巻取領域の上流側の加熱領域(8)内で前記トウプレグ半製品(100)をレーザビーム(6)で加熱するステップ(204)と
を含む、方法。
【請求項18】
請求項1~15のいずれか一項に記載の配置装置(1)を用いて前記熱硬化性トウプレグ半製品(100)から前記コンポーネント(104)を生産する、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記トウプレグ半製品(100)の前記加熱(204)は、ラッピング領域から離間している、請求項17又は18に記載の方法。
【請求項20】
前記トウプレグ半製品(100)は、80℃を超える硬化温度に加熱される、請求項17~19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記トウプレグ半製品(100)は、20Nを超える縦張力で案内される、請求項17~20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
求項1721のいずれかに記載の方法により製造される、コンポーネント(104)。
【請求項23】
請求項17~21のいずれかに記載の方法により製造される、圧力タンク。
【国際調査報告】