(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-07
(54)【発明の名称】ネットワーク管理制御方法、そのシステム、ネットワークシステム、及び記憶媒体
(51)【国際特許分類】
H04L 41/122 20220101AFI20240229BHJP
【FI】
H04L41/122
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023558761
(86)(22)【出願日】2021-11-24
(85)【翻訳文提出日】2023-09-25
(86)【国際出願番号】 CN2021132834
(87)【国際公開番号】W WO2022199089
(87)【国際公開日】2022-09-29
(31)【優先権主張番号】202110326389.9
(32)【優先日】2021-03-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】511151662
【氏名又は名称】中興通訊股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】ZTE CORPORATION
【住所又は居所原語表記】ZTE Plaza,Keji Road South,Hi-Tech Industrial Park,Nanshan Shenzhen,Guangdong 518057 China
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】王 大 江
(72)【発明者】
【氏名】王 其 磊
(72)【発明者】
【氏名】王 振 宇
(57)【要約】
物理ネットワーク内の物理オブジェクトに対応するDTモデルデータを取得するステップ(S110)と、DTモデルデータに基づいて、異なる階層を有するDT caseを生成するステップであって、DT caseの階層と物理オブジェクトの階層とが対応しており、前記異なる階層を有するDT caseの間で機能的な協調関係があるステップ(S120)と、協調関係及びすべてのDT caseに基づいて目標分析結果を得るステップ(S130)と、目標分析結果に基づいてネットワーク構成情報を生成し、このネットワーク構成情報を物理ネットワークに配信し、物理ネットワークがネットワーク構成情報に基づいてネットワーク管理制御を行うようにするステップ(S140)と、を含む、ネットワーク管理制御方法、そのシステム、ネットワークシステム、及び記憶媒体を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワーク管理制御システムに適用されるネットワーク管理制御方法であって、
物理ネットワーク内の物理オブジェクトに対応するデジタルツインDTモデルデータを取得するステップと、
前記DTモデルデータに基づいて、異なる階層を有するデジタルツインケースDT caseを生成するステップであって、DT caseの階層と物理オブジェクトの階層とが対応しており、前記異なる階層を有するDT caseの間で互いに機能的な協調関係があるステップと、
前記協調関係及びすべての前記DT caseに基づいて目標分析結果を得るステップと、
前記目標分析結果に基づいてネットワーク構成情報を生成し、前記ネットワーク構成情報を前記物理ネットワークに配信し、前記物理ネットワークが前記ネットワーク構成情報に基づいてネットワーク管理制御を行うようにするステップと、を含む、ネットワーク管理制御方法。
【請求項2】
物理ネットワーク内の物理オブジェクトに対応するDTモデルデータを取得する前記ステップは、
管理制御シナリオを決定し、前記管理制御シナリオに応じてデータ要求を決定するステップと、
前記データ要求に応じて、物理ネットワーク内の物理オブジェクトに対応するDTモデルデータを取得するステップと、を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記DTモデルデータに基づいて、異なる階層を有するDT caseを生成する前記ステップは、
前記DTモデルデータ及び物理オブジェクトの階層に基づいて、異なるコンテナレベルを有する目標DT caseコンテナにDT caseを生成するステップであって、前記目標DT caseコンテナは、前記管理制御シナリオ及び前記物理オブジェクトの階層に基づいて、予め設定されたDT caseコンテナの中から決定され、前記DT caseコンテナはDT caseを生成して管理するものであり、コンテナレベルの異なるDT caseコンテナによって生成されるDT caseの対応する階層が互いに異なるステップを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記協調関係及びすべての前記DT caseに基づいて、目標分析結果を得る前記ステップは、
前記協調関係及び前記目標DT caseコンテナに対応するコンテナレベルに基づいて、下位のコンテナレベルを有する目標DT caseコンテナによって生成されたDT caseに対して、人工知能AIアルゴリズムに基づく処理を施して、中間分析結果を得て、前記中間分析結果を上位のコンテナレベルを有する目標DT caseコンテナに報告し、前記中間分析結果に基づいて前記上位のコンテナレベルを有する目標DT caseコンテナによって生成されたDT caseに対して、前記AIアルゴリズムに基づく処理を施して、協調分析結果を得るステップと、
コンテナレベルが最高の目標DT caseコンテナで得られた協調分析結果を目標分析結果として決定するステップと、を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記AIアルゴリズムに基づく処理は、
前記管理制御シナリオに応じて、予め設定されたAIアルゴリズムライブラリから目標AIアルゴリズムを決定するステップと、
前記目標AIアルゴリズムによって前記DT caseを分析して処理するステップと、を含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
管理制御シナリオを決定する前記ステップは、
現在の前記物理ネットワークの作動状態を取得し、前記作動状態及び予め設定された管理情報に基づいて前記管理制御シナリオを決定するステップ、又は
管理制御要求を取得し、前記管理制御要求に基づいて前記管理制御シナリオを決定するステップを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項7】
前記ネットワーク構成情報を前記物理ネットワークに配信し、前記物理ネットワークが前記ネットワーク構成情報に基づいてネットワーク管理制御を行うようにする前記ステップの前に、
前記物理ネットワークが前記ネットワーク構成情報に基づいてネットワーク管理制御を行った後に報告した新たなDTモデルデータを取得すると、前記新たなDTモデルデータに基づいて前記ネットワーク構成情報を再生成するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記ネットワーク構成情報を前記物理ネットワークに配信し、前記物理ネットワークが前記ネットワーク構成情報に基づいてネットワーク管理制御を行うようにする前記ステップの後に、
ネットワーク管理制御が完了した後の前記物理ネットワークのネットワーク状態情報を取得して表示するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
ネットワーク管理制御システムと通信可能に接続されたデータ取得装置に適用されるネットワーク管理制御方法であって、
物理ネットワーク内の物理オブジェクトに対応するDTモデルデータを生成するステップと、
前記DTモデルデータを前記ネットワーク管理制御システムに送信し、前記ネットワーク管理制御システムが前記DTモデルデータに基づいてネットワーク構成情報を生成し、前記ネットワーク構成情報を物理ネットワークに配信し、前記物理ネットワークが前記ネットワーク構成情報に基づいてネットワーク管理制御を行うようにするステップであって、ネットワーク構成情報は、前記ネットワーク管理制御システムによって目的分析結果に基づいて生成され、前記目的分析結果は、前記ネットワーク管理制御システムによって協調関係及び異なる階層を有するすべてのDT caseに基づいて得られ、前記異なる階層を有するDT caseは、前記ネットワーク管理制御システムによって前記DTモデルデータに基づいて生成され、DT caseの階層と物理オブジェクトの階層とが対応しており、前記異なる階層を有するDT caseの間で機能的な協調関係があるステップと、を含む、ネットワーク管理制御方法。
【請求項10】
物理ネットワーク内の物理オブジェクトに対応するDTモデルデータを生成する前記ステップは、
前記ネットワーク管理制御システムによって配信されたデータ要求を取得するステップであって、前記データ要求は、前記ネットワーク管理制御システムによって決定された管理制御シナリオに応じて決定されるステップと、
前記データ要求に応じて、物理ネットワーク内の物理オブジェクトに対応するDTモデルデータを生成するステップと、を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
物理ネットワーク内の物理オブジェクトに対応するDTモデルデータを生成する前記ステップの後に、
前記DTモデルデータのライフサイクルにおいて、物理オブジェクトの物理パラメータ及び/又は物理属性の変化が検出された場合、変化後の物理オブジェクトに基づいて前記DTモデルデータを更新するステップと、
更新した前記DTモデルデータを前記ネットワーク管理制御システムに同期させ、前記ネットワーク管理制御システムが更新した前記DTモデルデータに基づいて前記ネットワーク構成情報を得るようにするステップと、をさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
メモリと、プロセッサと、メモリ上に記憶され、プロセッサ上で実行可能なコンピュータプログラムと、を含み、前記プロセッサは、前記コンピュータプログラムを実行すると、請求項1~8のいずれか1項に記載のネットワーク管理制御方法を実現する、ネットワーク管理制御システム。
【請求項13】
請求項1~8のいずれか1項に記載のネットワーク管理制御方法を実行するためのネットワーク管理制御システムと、請求項9~11のいずれか1項に記載のネットワーク管理制御方法を実行するためのデータ取得装置と、を含み、前記ネットワーク管理制御システムと前記データ取得装置とは通信可能に接続されている、ネットワークシステム。
【請求項14】
請求項1~8のいずれか1項に記載のネットワーク管理制御方法を実行するためのコンピュータ実行可能命令、又は請求項9~11のいずれか1項に記載のネットワーク管理制御方法を実行するためのコンピュータ実行可能命令を記憶したコンピュータ読み取り可能な記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、出願番号が202110326389.9、出願日が2021年03月26日の中国特許出願に基づいて提出され、当該中国特許出願の優先権を主張しており、当該中国特許出願の全内容はここで参照として本願に組み込まれている。
【0002】
本願は、ネットワーク通信分野に関するが、これに限定されるものではなく、特にネットワーク管理制御方法、そのシステム、ネットワークシステム、及び記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0003】
通信技術の発展に伴い、伝送ネットワークは、リソースの多様化、カバー範囲の広さ、配置環境の複雑化などの現状面に直面している。また、デジタルトランスフォーメーション時代の到来に伴い、伝送サービスも業務の機敏化、ネットワーク機能の仮想化へ急速に発展している。伝送ネットワークのハードウェア機器やデジタル技術がますます複雑化、多様化する背景の下で、ネットワークの自己最適化、自己修復、及び自律性の高効率知能化管理を実現するために、体系的で正確なリアルタイムのデジタル化分析技術に頼る必要があり、複雑なネットワークシステムに対してデジタル化モデル抽象化を行い、実際のネットワークシステム、作動メカニズムと管理制御とメンテナンス方法を統合できる多次元ネットワークデジタル化シミュレーションシステムを構築し、人工知能(Artificial Intelligence、AI)技術を利用して、実際の物理ネットワークの作動状況に対するリアルタイム動的フィードバック、評価最適化、シミュレーションと予測を行い、それによってネットワークの高効率知能化管理のデジタル化分析基礎を構築した。
【0004】
デジタルツイン(Digital Twin、DT)技術は、物理オブジェクトの高忠実度デジタル仮想モデルを作成することができ、物理オブジェクトの行動をシミュレートし、物理オブジェクトの作動状態を描写し、デジタル情報と物理オブジェクトの融合を実現することができる。DT技術をネットワーク通信に応用すると、伝送ネットワークから必要なネットワークデータを抽出し、AI技術と要件を結合してデジタルツインケース(Digital Twin case、DT case)モデルを構築することにより、伝送ネットワークの分析、最適化やシミュレーション予測などの機能を実現することができる。
【0005】
実際の応用において、異なる分析オブジェクトに対して、相応する階層のDT caseを構築し、DT caseの分析結果に基づいて伝送ネットワークに対して知能管理制御を行う必要がある。しかしながら、伝送ネットワークにおいて、異なる階層のDT caseに対応するオブジェクト間は、例えば、ある機能モジュールの故障が、伝送ネットワークのアラーム又は中断の原因となる根本的な故障であるなど、関連付けられている可能性がある。したがって、異なる階層のDT case間の協調関係をいかに考慮するかが、ネットワークシステムの動的検出能力及びデジタル分析能力を向上させる鍵となる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
以下、本明細書で詳細に説明される主題の概要を示す。本概要は、特許請求の範囲の保護範囲を限定するものではない。
【0007】
本願の実施例は、ネットワークシステムの動的検出能力及びデジタル分析能力を向上させることができるネットワーク管理制御方法、そのシステム、ネットワークシステム、及び記憶媒体を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1態様では、本願の実施例は、
ネットワーク管理制御システムに適用されるネットワーク管理制御方法であって、
物理ネットワーク内の物理オブジェクトに対応するデジタルツインDTモデルデータを取得するステップと、
前記DTモデルデータに基づいて、異なる階層を有するデジタルツインケースDT caseを生成するステップであって、DT caseの階層と物理オブジェクトの階層とが対応しており、前記異なる階層を有するDT caseの間で機能的な協調関係があるステップと、
前記協調関係及びすべての前記DT caseに基づいて目標分析結果を得るステップと、
前記目標分析結果に基づいてネットワーク構成情報を生成し、前記ネットワーク構成情報を前記物理ネットワークに配信し、前記物理ネットワークが前記ネットワーク構成情報に基づいてネットワーク管理制御を行うようにするステップと、を含む。
【0009】
第2態様では、本願の実施例は、
ネットワーク管理制御システムと通信可能に接続されたデータ取得装置に適用されるネットワーク管理制御方法であって、
物理ネットワーク内の物理オブジェクトに対応するDTモデルデータを生成するステップと、
前記DTモデルデータを前記ネットワーク管理制御システムに送信し、前記ネットワーク管理制御システムが前記DTモデルデータに基づいてネットワーク構成情報を生成し、前記ネットワーク構成情報を物理ネットワークに配信し、前記物理ネットワークが前記ネットワーク構成情報に基づいてネットワーク管理制御を行うようにするステップであって、ネットワーク構成情報は、前記ネットワーク管理制御システムによって目的分析結果に基づいて生成され、前記目的分析結果は、前記ネットワーク管理制御システムによって協調関係及び異なる階層を有するすべてのDT caseに基づいて得られ、前記異なる階層を有するDT caseは、前記ネットワーク管理制御システムによって前記DTモデルデータに基づいて生成され、DT caseの階層と物理オブジェクトの階層とが対応しており、前記異なる階層を有するDT caseの間で機能的な協調関係があるステップと、を含む。
【0010】
第3態様では、本願の実施例は、メモリと、プロセッサと、メモリ上に記憶され、プロセッサ上で実行可能なコンピュータプログラムと、を含み、前記プロセッサは、前記コンピュータプログラムを実行すると、第1態様に記載のネットワーク管理制御方法を実現する、ネットワーク管理制御システムを提供する。
【0011】
第3態様では、本願の実施例は、
第1態様に記載のネットワーク管理制御方法を実行するためのネットワーク管理制御システムと、第1態様に記載のネットワーク管理制御方法を実行するためのデータ取得装置と、を含み、前記ネットワーク管理制御システムと前記データ取得装置とは通信可能に接続されている、ネットワークシステムを提供する。
【0012】
本願の他の特徴及び利点は、後の明細書で説明され、本明細書から部分的に明らかになるか、又は本願を実施することによって理解される。本願の目的及び他の利点は、明細書、特許請求の範囲、及び図面において特に指摘された構造によって達成され得る。
図面は、本願の技術案の更なる理解を提供するために使用され、明細書の一部を構成し、本願の実施例と共に本願の技術案を説明するために使用され、本願の技術案を限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本願の一実施例によるネットワーク管理制御システムに適用されるネットワーク管理制御方法のフローチャートである。
【
図2】本願の他の実施例によるDTモデルデータを取得するフローチャートである。
【
図3】本願の他の実施例によるDT caseを生成するフローチャートである。
【
図4】本願の他の実施例による目標分析結果を得るフローチャートである。
【
図5】本願の他の実施例によるAIアルゴリズムに基づく処理のフローチャートである。
【
図6】本願の他の実施例による管理制御シナリオを決定するためのフローチャートである。
【
図7】本願の他の実施例によるDTモデルデータの同期更新を実現するフローチャートである。
【
図8】本願の他の実施例によるネットワーク状態情報を取得して表示するフローチャートである。
【
図9】本願の他の実施例によるデータ取得装置に適用されるネットワーク管理制御方法のフローチャートである。
【
図10】本願の他の実施例によるDTモデルデータを生成するフローチャートである。
【
図11】本願の他の実施例によるDTモデルデータを更新するフローチャートである。
【
図12】本願の他の実施例によるネットワーク管理制御方法を適用したOTNシステムの構造である。
【
図13】本願の他の実施例による例1のフローチャートである。
【
図14】本願の他の実施例による例2のフローチャートである。
【
図15】本願の他の実施例によるネットワーク管理制御システムの装置図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本願の目的、技術案及び利点をより明確にするために、以下では、図面及び実施例を参照して、本願をさらに詳細に説明する。なお、本明細書に記載された具体的な実施例は、本願を解釈するためにのみ使用され、本願を限定するために使用されない。
【0015】
なお、機能モジュールの分割は装置の概略図に示され、論理的順序はフローチャートに示されているが、示された又は説明されたステップは、場合によっては、装置のモジュール分割又はフローチャートに示された順序とは異なるもので実行されてもよい。明細書、特許請求の範囲、又は前述の図面における用語「第1」、「第2」等は、特定の順序又は優先順位を説明するために使用されるのではなく、類似の対象を区別するために使用される。
【0016】
本願は、ネットワーク管理制御方法、そのシステム、ネットワークシステム、及び記憶媒体を提供する。当該ネットワーク管理制御方法は、物理ネットワーク内の物理オブジェクトに対応するDTモデルデータを取得するステップと、前記DTモデルデータに基づいて、異なる階層を有するデジタルツインケースDT caseを生成するステップであって、DT caseの階層と物理オブジェクトの階層とが対応しており、前記異なる階層を有するDT case間で機能的な協調関係があるステップと、協調関係及びすべてのDT caseに基づいて目標分析結果を得るステップと、目標分析結果に基づいてネットワーク構成情報を生成し、ネットワーク構成情報を物理ネットワークに配信し、物理ネットワークがネットワーク構成情報に基づいてネットワーク管理制御を行うようにするステップと、を含む。本願の実施例によるスキームは、DT case及び協調関係に基づいてネットワーク管理制御を実現することができ、ネットワークシステムの動的検出能力及びデジタル分析能力を向上させることができる。
【0017】
なお、本願の実施例によるネットワーク管理制御方法は、光ネットワーク(Optical Transport Network、OTN)、パケットトランスポートネットワーク(Packet Transport Network、PTN)、パケット光トランスポートネットワーク(Packet Optical Transport Network、POTN)など、任意のネットワークシステムに適用することができる。説明を簡単にするために、本願の実施例はOTNシステムへの適用を例として技術案の説明を行っており、当業者は本願の実施例の技術案を他のネットワークシステムに適用する能力があり、これは本願の特許範囲を限定するものではない。
【0018】
なお、ネットワーク管理制御システムは複数の機能モジュールを備えた装置であってもよく、例えば、管理制御機能を実現するために、ネットワーク管理制御システムには、実際のニーズに応じてデータベース、プロセッサやアクチュエータなどの機能モジュールが設けられてもよく、具体的な装置のタイプは具体的なネットワークシステムに応じて決定すればよい。例えば、階層型デジタルツイン光ネットワーク(Hierarchical Digital Twin OTN、HDTON)については、ネットワーク管理制御システムは、HDTONを管理制御するためのHDTONインテリジェント管理制御システムであってもよく、また、DT caseの生成を実現するために、HDTONインテリジェント管理制御システムにHDTON caseスケジューラをコントローラとして、ソフトウェア・デファインド・オプティカル・ネットワーク(Software Defined Optical Network、SDON)システムをアクチュエータとして設けてもよい。さらに、さまざまな管理制御シナリオに対応するために、予め設定された複数のAIアルゴリズムを格納したAIアルゴリズムエンジンライブラリが設けられる。もちろん、上記のSDONシステム、HDTON caseスケジューラ及びAIアルゴリズムエンジンライブラリは、実際のネットワーク配置においては、独立して作動する装置であってもよく、さまざまな物理装置又は物理機器に設置されてもよく、機能的にはネットワーク管理制御システムに組み立てることができればよい。なお、上記の装置は、ネットワーク管理制御システムを説明するための一例であり、当業者は、実際のニーズに応じてネットワーク管理制御システムに対応する機能モジュールを追加又は削減する動機を有するものであり、本実施例では、これに限定されない。
【0019】
以下、図面を参照して、本願の実施例についてさらに説明する。
【0020】
図1に示すように、
図1は、ネットワーク管理制御システムに適用される、本願の一実施例によるネットワーク管理制御方法である。当該ネットワーク管理制御方法は、以下のステップを含むがこれに限定されない。
【0021】
ステップS110:物理ネットワーク内の物理オブジェクトに対応するDTモデルデータを取得する。
【0022】
物理ネットワークは任意のネットワークシステムであってもよく、物理ネットワークにおける複数階層の物理オブジェクト間に従属関係があり、機能的に協調関係があればよい。例えば、OTNシステムでは、全ネットワークのODU業務が複数の光データユニット(Optical Data Unit、ODU)からなり、ODUノードのトラフィックスループットの予測結果が全ネットワークODU業務の最適化シミュレーションに一定の影響を与えるため、全ネットワークODU業務の最適化シミュレーションを行う際にはODUノードごとのトラフィックスループット予測を統合する必要があり、本実施例ではネットワーク管理制御方法を適用する物理ネットワークを特に限定しない。
【0023】
物理オブジェクトは、特定の物理機器であってもよく、複数の物理機器からなるシステムであってもよい。例えば、OTNシステムの場合、物理オブジェクトはOTN全体であってもよく、OTN内の光モジュールであってもよく、OTN内の各ODUノードであってもよく、物理オブジェクトは、特定のニーズに応じて決定されてもよい。
【0024】
なお、DTモデルデータの具体的な内容は実際に必要な物理オブジェクトに応じて決定すればよい。例えば、OTNネットワーク光モジュールに対して故障分析を行う必要がある場合、取得されるDTモデルデータはOTNネットワークトポロジ、当該OTNネットワークトポロジにおける全ネットワーク光チャネル(Optical Channel、OCH)光層業務分布、当該OTNネットワークトポロジにおける各再構成可能な光アドドロップマルチプレクサ(Reconfigurable Optical Add-Drop Multiplexer、ROADM)ノードにおける光モジュールデータを含んでもよく、本実施例は、DTモデルデータの具体的なタイプを特に限定しない。
DTモデルデータはネットワーク管理制御システムによって具体的なデータ要求に応じて物理ネットワークから取得してもよく、デジタルツイン技術によれば、物理ネットワークから対応するパラメータと属性を抽出し、高忠実度のデジタル仮想モデルを構築して、DTモデルデータを形成することができ、これにより、DTモデルデータは物理ネットワークの実際の作動状况をリアルタイムで反映することができ、ネットワークシステムの評価予測の正確性が向上する。
【0025】
ステップS120:DTモデルデータに基づいて、異なる階層を有するデジタルツインケースDT caseを生成し、DT caseの階層と物理オブジェクトの階層とが対応しており、異なる階層を有するDT case間で機能的な協調関係がある。
【0026】
なお、階層はDT caseが対応する物理ネットワーク内の物理オブジェクトの規模又は影響範囲を表すことができる。例えば、OTNシステムの場合、階層が最高の物理オブジェクトはOTNネットワーク全体であってもよく、階層が最低の物理オブジェクトはOTNネットワーク内の光モジュールであってもよく、具体的な物理オブジェクトの規模と階層の高さとの対応関係は実際のニーズに応じて調整することができ、これについて特に限定しない。
【0027】
なお、生成されるDT caseの階層は、物理オブジェクトの階層に対応している。例えば、物理オブジェクトがOTNネットワークであり、その階層がネットワークレベルであれば、DTモデルデータに基づいて生成されるOTNネットワークに対応するDT caseの階層もネットワークレベルである。
【0028】
なお、物理ネットワークにおいて、異なる規模の物理オブジェクト間には通常、従属関係があるので、すなわち、階層の高いDT caseに対応する物理オブジェクトは通常、階層の低いDT caseに対応する物理オブジェクトによって組み立てられてなるか、又はこれらから構成される。例えば、階層の高いDT caseに対応する物理オブジェクトはROADMノードであり、階層の低いDT caseに対応する物理オブジェクトは光モジュールであり、ROADMノードは、通常、光モジュールで構成される。したがって、従属関係を持つ物理オブジェクトは機能的にも協調関係にあり、例えば、ROADMノードに対応するDT caseを予測分析する際には、そのROADMノードに帰属する光モジュールの故障予測の結果を統合する必要があり、協調関係により、階層の高いDT caseについて予測分析を行う際に階層の低いDT caseの分析結果を統合することができ、最終的に得られる目標分析結果の精度を高めることができる。
【0029】
なお、DT caseは、協調分析を行う際に対応するDT caseが存在することを確認するために、DTモデルデータを取得した後に生成してもよく、後で詳しく説明しない。
【0030】
ステップS130:協調関係及び全てのDT caseに基づいて目標分析結果を得る。
【0031】
なお、DT caseは生成後も作動状態を維持できるため、DT caseごとに予測分析を一度実行し、次に、協調関係に基づいてネスト分析を行って目標分析結果を得るか、階層の高いDT caseが階層の低いDT caseから報告された分析結果を受信してから統合分析を行い、階層の最も高いDT caseから得られた分析結果を目標分析結果とする、すなわち、トリガー機構による協調分析を実現する。具体的な方式は、実際のニーズに応じて選択され、DT case間の協調分析を実現できるものであればよい。
【0032】
実際の応用において、従属関係を持つ物理オブジェクトが対応するDT case間には通常協調関係があり、例えば、既存のネットワークにおける光モジュールの故障はこの光モジュール故障によるOTNネットワーク故障警報や業務中断の根本原因となる故障である場合が多く、このような実際の既存のネットワークにおける局所と全体間の協調と波及関係もデジタルツインOTN(Digital Twin OTN、DTON)に反映されるため、ネットワークレベル故障分析DT caseと光モジュールレベル故障予測DT case間に協調関係が存在する。
【0033】
ステップS140:目標分析結果に基づいてネットワーク構成情報を生成し、ネットワーク構成情報を物理ネットワークに配信し、物理ネットワークがネットワーク構成情報に基づいてネットワーク管理制御を行うようにする。
【0034】
なお、物理ネットワークは、一般的に物理機器の集合であり、一般的なインテリジェント管理制御システムを介して管理制御を行う必要があり、例えば、一般的なSDONシステムを介して物理ネットワークを制御する。本実施例では、具体的なインテリジェント管理制御システムを特に限定しない。
【0035】
ネットワーク構成情報は、任意のタイプの情報であってもよく、物理ネットワークが作動パラメータを調整することによってネットワーク管理制御を実現することを可能にするものであればよい。例えば、OTNシステムの場合、目標分析結果が全ネットワークODU業務の切断・再ルーティング最適化の分析結果であれば、SDONシステムは、現在のOTNネットワークに対する関連業務の再ルーティング最適化及びノード容量拡張などの処理要件に応じて、対応するネットワーク構成情報を生成できる。
【0036】
また、
図2に示すように、一実施例では、
図1に示す実施例におけるステップS110は、以下のステップS210とステップS220を含むが、これらに限定されない。
【0037】
ステップS210:管理制御シナリオを決定し、管理制御シナリオに応じてデータ要求を決定する。
【0038】
ステップS220:データ要求に応じて、物理ネットワーク内の物理オブジェクトに対応するDTモデルデータを取得する。
【0039】
なお、管理制御シナリオは、ユーザーの業務ニーズを反映するネットワークサービスシナリオや、物理ネットワークの検出分析ニーズを反映するネットワーク分析シナリオなど、ネットワークの管理制御ニーズを反映する必要があるシナリオであってもよい。本実施例では、これについて特に限定しない。
【0040】
管理制御シナリオを通じてデータ収集が必要な物理オブジェクトを決定することができ、これによって具体的なデータ要求を決定し、データ処理の効率を高めることができる。例えば、管理制御シナリオがOTNネットワークトラフィック分析シナリオであると決定された場合、物理ネットワークからOTNネットワーク業務のDTモデルデータを取得する必要があり、OTNネットワークトポロジ、当該ネットワークトポロジにおける全ネットワークODU業務分布、各ノードのトラフィックスループットなどが含まれていてもよい。データ要求が決定されたと、その後に構築する必要があるDT caseの階層も決定される。例えば、上記のOTNネットワークトラフィック分析シナリオでは、全ネットワークのODU業務に対応するためにネットワークレベルのDT caseを構築し、ODUノードごとに対応するためにノードレベルのDT caseを構築する必要があり、上記のネットワークレベルとノードレベルは階層の1つの例であり、階層の具体的な選択を限定するものではない。
【0041】
物理オブジェクトが対応する階層をさらに具現するために、DTモデルデータを構築する際に、階層の高さに応じてデータのレベルを予め決定する階層型デジタルツイン(Hierarchical Digital Twin、HDT)モデルデータの形式を採用することができる。例えば、上記のOTNネットワークトラフィック分析シナリオでは、OTNネットワークトポロジと当該ネットワークトポロジにおける全ネットワークODU業務分布をネットワークレベルのデータとし、各ノードのトラフィックスループットをノードレベルのデータとすることで、HDTモデルデータから、さまざまなデータのDT caseコンテナのレベルを迅速に特定することができる。
【0042】
また、
図3に示すように、一実施例では、
図1に示す実施例におけるステップS120は、以下のステップS310を含むが、これに限定されない。
【0043】
ステップS310:DTモデルデータ及び物理オブジェクトの階層に基づいて、異なるコンテナレベルを有する目標DT caseコンテナにDT caseを生成し、目標DT caseコンテナは、管理制御シナリオ及び物理オブジェクトの階層に基づいて、予め設定されたDT caseコンテナの中から決定され、DT caseコンテナはDT caseを生成して管理するものであり、コンテナレベルの異なるDT caseコンテナによって生成されるDT caseの対応する階層が互いに異なる。
【0044】
なお、DT caseコンテナの管理を容易にするために、インテリジェント管理制御システムにHDTON caseスケジューラを設けてもよい。HDTON caseスケジューラでは、少なくとも2つのDT caseコンテナを予め設けてもよい。管理制御シナリオを決定した後、HDTON caseスケジューラは、データ要求を決定し、DTモデルデータを取得した後、予め設定されたDT caseコンテナから少なくとも2つの目標DT caseコンテナを決定し、目標DT caseコンテナにDT caseを生成する。
【0045】
なお、具体的なコンテナレベルは実際のニーズに応じて決定されてもよい。例えば、階層のネットワークレベル、デバイスレベル及び素子レベルに応じて、高レベルDT caseコンテナ、中レベルDT caseコンテナ及び低レベルDT caseコンテナをそれぞれ設け、各コンテナレベルがそれぞれ1つの階層に対応するようにして、異なる階層のDT caseコンテナが生成するDT caseの階層が異なる階層に対応するようにすればよく、本実施例では、これについて特に限定しない。
【0046】
なお、
図2に示す実施例の説明を参照すると、データ要求は、決定された目標DT caseコンテナによって決定されてもよい。例えば、上記のDT caseコンテナレベルを参照して、管理制御シナリオに応じてネットワークレベル及び素子レベルからの分析が必要であると決定した場合、高レベルDT caseコンテナ及び低レベルDT caseコンテナによって対応するDT caseを生成する必要があり、この場合、各目標DT caseコンテナによって必要とされるデータに基づいてデータ要求を生成することができ、DTモデルデータが取得された後、各目標DT caseコンテナは、DTモデルデータから対応するレベルのデータを取得し、取得したDTモデルデータに基づいてDT caseを生成し、これにより、取得したデータの可用性及び正確性を確保することができる。
【0047】
なお、DT caseコンテナは、DT caseを生成するために使用されてもよいし、DT caseを管理するために使用されてもよい。例えば、AIアルゴリズムによるDT caseの分析処理や、下位のコンテナレベルを有するDT caseコンテナから報告された中間分析結果を取得して協調分析を行うことが可能であり、実際のニーズに応じてDT caseに対して実現可能な機能を増減することも可能である。本実施例では、これについて特に限定しない。
【0048】
使用されるべき目標DT caseコンテナは、異なる管理制御シナリオが異なると、必ず異なるわけではない。例えば、あるシナリオでは、予め設定されたすべてのDT caseコンテナを使用する必要があるが、別のシナリオでは、その中のいくつかのコンテナレベルのDT caseコンテナのみを使用する必要があり、管理制御シナリオの実際のニーズに応じて決定されるものである。本実施例では、具体的な数について特に限定しない。
【0049】
また、
図4に示すように、一実施例では、
図1に示す実施例におけるステップS130は、以下のステップS410とステップS420を含むが、これらに限定されない。
【0050】
ステップS410:協調関係及び目標DT caseコンテナに対応するコンテナレベルに基づいて、下位のコンテナレベルを有する目標DT caseコンテナによって生成されたDT caseに対して、AIアルゴリズムに基づく処理を施して、中間分析結果を得て、中間分析結果を上位のコンテナレベルを有する目標DT caseコンテナに報告し、中間分析結果に基づいて上位のコンテナレベルを有する目標DT caseコンテナによって生成されたDT caseに対して、AIアルゴリズムに基づく処理を施して、協調分析結果を得る。
【0051】
ステップS420:コンテナレベルが最高の目標DT caseコンテナで得られた協調分析結果を目標分析結果として決定する。
【0052】
異なる階層のDT caseに対応する物理オブジェクト間には機能的な協調関係があり、異なるコンテナレベルのDT case・コンテナによって生成されるDT caseの階層は互いに異なるので、コンテナレベルは階層に対応してもよい。また、協調処理は、通常、階層レベルの低いDT caseで得られた分析結果を用いて階層レベルの高いDT caseを協調して分析結果を得るので、コンテナレベルの昇順で中間分析結果を順次報告することができ、上位のコンテナレベルを有する目標DT caseコンテナが中間分析結果を受け取った後、その分析結果を統合してそのDT caseコンテナによって生成されたDT caseに対してAIアルゴリズムに基づく処理を施すことで、結果として得られる協調分析結果には、その目標DT caseコンテナに対応する階層の分析結果と、協調関係を有する階層のより低いDT caseが対応する分析結果の両方が含まれ、最終的には関連するすべての階層のDT case間の協調関係が目標分析結果に統合され、ネットワークシステムの動的検出能力及びデジタル分析能力が向上する。
【0053】
なお、ステップS420で説明された、「上位のコンテナレベルを有する」ことと「下位のコンテナレベルを有する」ことは、コンテナレベルではなく、協調関係に基づいて決定されるものである。例えば、いくつかの管理制御シナリオでは、低レベルのDT caseコンテナと高レベルのDT caseコンテナのみが関与する場合、ステップS420では、上位のコンテナレベルを有する目標DT caseコンテナは高レベルのDT caseコンテナであり、上位のコンテナレベルを有する目標DT caseコンテナは低レベルのDT caseコンテナである。また、いくつかの管理制御シナリオでは、低レベルDT caseコンテナ、中レベルDT caseコンテナ及び高レベルDT caseコンテナが同時に関与する場合、最初にDT caseに対してAIアルゴリズムに基づいて処理を施す目標DT caseコンテナは低レベルDT caseコンテナであり、すなわち最初の操作における下位のコンテナレベルを有する目標DT caseコンテナであり、対応する上位のコンテナレベルを有する目標DT caseコンテナは中レベルDT caseコンテナである。同様に、中レベルDT caseコンテナによってDT caseに対してAIアルゴリズムに基づく処理を施す場合、該中レベルDT caseコンテナは下位のコンテナレベルを有する目標DT caseコンテナであり、高レベルDT caseコンテナは上位のコンテナレベルを有する目標DT caseコンテナである。最高レベルの目標DT caseコンテナがDT caseに対してAIアルゴリズムに基づく処理を行った後、この最高レベルの目標DT caseコンテナで得られた協調分析結果が目標分析結果として決定され、これにより、協調分析結果が階層ごとに協調し、データの参照性が向上する。
【0054】
協調分析結果は、対応するDT caseがAIアルゴリズムに基づく処理を施した結果を含むことができるとともに、すべての下位の中間分析結果を含むことができるので、協調分析結果がより豊富なデータを持つようにさせることができる。
【0055】
なお、目標分析結果は、最高レベルの目標DT caseコンテナがDT caseに対してAIアルゴリズムに基づく処理を施して得られる協調結果とすることができるので、目標分析結果が得られた後、最高レベルのDT caseコンテナがその目標分析結果をネットワーク構成情報生成用にSDONシステムに報告し、これにより、生成されたネットワーク構成情報がすべての階層のDT caseを協調して考慮できることを確保する。
【0056】
いくつかの実施例では、1つのDT caseコンテナに下位のコンテナレベルを有するDT caseコンテナが複数存在する場合があり、この場合、1つのDT caseコンテナが同時に複数の中間分析結果を受信する場合があるが、競合を回避するために、時間閾値を設定することにより、一定期間内に上位のコンテナレベルを有するDT caseコンテナを受信状態にし、その期間後に中間分析結果の受信を停止し、DT caseに対してAIアルゴリズムに基づく処理を施し、その期間内にすべての中間分析結果を受信するように協調してもよいし、他の方式、例えば、DT caseに対してAIアルゴリズムに基づく処理を施す際に1つの中間分析結果を受信するごとに、すべての中間分析結果を再協調してもよい。本実施例では、これについて限定せず、具体的な判断方式は実際のニーズに応じて選択すればよい。
【0057】
また、
図5に示すように、一実施例では、
図4に示す実施例におけるステップS420は、以下のステップS510とステップS520を含むが、これらに限定されない。
【0058】
ステップS510:管理制御シナリオに応じて、予め設定されたAIアルゴリズムライブラリから目標AIアルゴリズムを決定する。
【0059】
ステップS520:目標AIアルゴリズムによってDT caseを分析して処理する。
【0060】
なお、AIアルゴリズムライブラリはデータベースの形式であってもよく、管理制御シナリオを通じて対応する目標AIアルゴリズムをマッチングできればよい。AIアルゴリズムライブラリ中のAIアルゴリズムの数は任意であり、実際のニーズに応じて増やしたり減らしたりすればよい。
【0061】
AIアルゴリズムライブラリには、強化学習(Reinforcement Learning、RL)アルゴリズム、畳み込みニューラルネットワーク(Convolution Neural Network、CNN)、ディープニューラルネットワーク(Deep Neural Network、DNN)、グラフ畳み込みネットワーク(Graph Convolution Network、GCN)やリカレントニューラルネットワーク(Recurrent Neural Network、RNN)など、任意のタイプのAIアルゴリズムが含まれていてもよい。当業者は、実際のニーズに応じてAIアルゴリズムの種類を増やしたり減らしたりする動機がある。また、上記のAIアルゴリズムは、予め設定されたものであり、本願の実施例は、具体的なアルゴリズム訓練プロセスを含むものではなく、ここでは詳しく説明しない。
【0062】
管理制御シナリオによって、必要な操作が異なる。したがって、AIアルゴリズムライブラリに複数のAIアルゴリズムを設定し、管理制御シナリオを通じて具体的な目標AIアルゴリズムを決定することで、最適なAIアルゴリズムで対応するDT case処理を行うことを確保することができる。また、管理制御シナリオと目標AIアルゴリズムの対応関係は予め設定することができ、例えば、ユーザーが必要とする意図遅延に基づいて最適化されたエンドツーエンドOTN精品専用線サービスの需要に対して、管理制御シナリオに応じてOTNトポロジ規模を決定した後、マッチング分析の結果、計算効果が最も良いアルゴリズムは強化学習(Reinforcement Learning、RL)アルゴリズムである。
【0063】
なお、目標AIアルゴリズムの決定は、各DT caseコンテナが最適なAIアルゴリズムを用いてDT caseの処理を行うことができるように、各DT caseコンテナがDT caseに対してAIアルゴリズムに基づく処理を施すときに一度決定することができる。もちろん、同一の協調関係のもとで1つの目標AIアルゴリズムを決定し、その協調関係のもとでDT caseコンテナがDT caseに対してAIアルゴリズムに基づく処理を施すごとに同じ目標AIアルゴリズムを採用してもよい。具体的な方式は実際のニーズに応じて選択すればよい。
【0064】
また、
図6に示すように、一実施例では、
図2に示す実施例におけるステップS210は、以下のステップS610とステップS620を含むが、これらに限定されない。
【0065】
ステップS610:現在の物理ネットワークの作動状態を取得し、作動状態及び予め設定された管理情報に基づいて管理制御シナリオを決定する、又は、
【0066】
ステップS620:管理制御要求を取得し、管理制御要求に基づいて管理制御シナリオを決定する。
【0067】
なお、管理制御シナリオには、ネットワーク分析シナリオとネットワークサービスシナリオが含まれてもよい。ここで、ネットワーク分析シナリオはネットワーク分析需要によって決定され、ネットワーク分析需要はユーザーが現在の物理ネットワークに対して故障予測、作動状態分析又は問い合わせを行う需要であり、ユーザーがクライアントを通じてネットワーク管理制御システムに需要情報を送信することによって発生してもよく、ネットワーク管理制御システムは、物理ネットワークの自己検査、自己最適化、自己修復の管理目標に基づいて自ら発生してもよい。本実施例では、これについて特に限定しない。
【0068】
ネットワークサービスシナリオはユーザーのサービス需要に基づいて発生することができる。例えば、ネットワーク管理制御システムと通信可能に接続されるOTNインテリジェントネットワーク管理制御アプリケーション(Application、APP)を設定し、このOTNインテリジェントネットワーク管理制御APPを通じてユーザーのOTNネットワークに対するサービス需要を取得する。サービス需要は帯域幅オンデマンド(Bandwidth On Demand、BOD)、多層最適化(Multi-Layer Optimization、MLO)、サービスレベルプロトコル(Service-Level Agreement、SLA)、光仮想プライベートネットワーク(Optical Virtual Private Network、OVPN)、インテントベース光ネットワーク(Intent-Based Optical Network、IBON)などであってもよい。サービス需要の具体的なタイプは実際のネットワークリソースに基づいて決定されてもよく、ここでは詳しく説明しない。
【0069】
また、
図7に示すように、一実施例では、
図1に示す実施例におけるステップS140を実行する前に、以下のステップS710をさらに含むが、これに限定されない。
【0070】
ステップS710:物理ネットワークがネットワーク構成情報に基づいてネットワーク管理制御を行った後に報告した新たなDTモデルデータを取得すると、新たなDTモデルデータに基づいてネットワーク構成情報を再生成する。
【0071】
ネットワーク構成情報によるネットワーク管理制御が完了すると、物理ネットワークの物理オブジェクトの関連パラメータが変化し、すなわちDTモデルデータ中の関連パラメータも変化し、DTモデルデータと物理ネットワークの物理オブジェクトのパラメータとの対応を確保するために、物理ネットワークのネットワーク管理制御が完了した後に、新たな物理ネットワークのデータに基づいてDTモデルデータを更新することで、次回のDT case生成を最新のDTモデルデータに基づいて行うことを可能にする。さらに、DTモデルデータを更新して更なるDT caseの生成をトリガーすることによって、ネットワーク管理制御全体を閉ループにすることもでき、DTモデルデータのライフサイクル内で絶えずDT caseを更新し、目標分析結果の決定を行うことができ、動的検出能力を効果的に高める。
【0072】
また、
図8に示すように、一実施例では、
図1に示す実施例におけるステップS140を実行した後に、以下のステップS810を含むが、これに限定されない。
【0073】
ステップS810:ネットワーク管理制御が完了した後の物理ネットワークのネットワーク状態情報を取得して表示する。
【0074】
なお、取得されたネットワーク状態情報は、
図6の実施例で説明されたOTNインテリジェントネットワーク管理制御APPを介して表示されてもよく、ネットワーク管理制御システムと通信可能に接続された他の機器を介して表示されてもよく、ユーザーが現在の物理ネットワークの作動状態を直感的に把握することができればよい。なお、ネットワーク状態情報は、物理ネットワークに関連するコンテンツであってもよく、例えば、OTNシステムの場合、ネットワーク状態情報は、リアルタイムのOTNネットワークトポロジ、OTNネットワークサービス作動状態、ネットワーク性能状態、ネットワークリソースの可用性状態等を含んでもよく、具体的な表示コンテンツは、実際のニーズに応じて選択すればよい。
【0075】
ネットワーク状態情報は、リアルタイムで取得して表示されてもよく、ユーザーのニーズに応じてOTNインテリジェントネットワーク管理制御APPに表示されてもよい。本実施例では、これについて特に限定しない。
【0076】
図9に示すように、
図9は、本願の一実施例による、ネットワーク管理制御システムと通信可能に接続されたデータ取得装置に適用されるネットワーク管理制御方法であって、以下のステップS910とステップS920を含むが、これらに限定されない。
【0077】
ステップS910:物理ネットワーク内の物理オブジェクトに対応するDTモデルデータを生成する。
【0078】
なお、ネットワーク管理制御システムに対して、SDONは物理ネットワークの管理制御、例えばOTNシステムにおけるエンドツーエンドOTN業務の動的管理制御、ネットワークトポロジ管理、OTN業務故障保護などの機能を実現することができるが、SDONは物理ネットワークからDTモデルデータを直接取得することはできないので、本願の実施例におけるデータ取得装置は、物理ネットワークからデータを取得してDTモデルデータを生成するための装置であってもよい。装置の具体的なエンティティは任意であってもよく、本実施例では、これについて限定せず、対応する機能を実現できればよい。
【0079】
なお、データ取得装置は、HDTON caseスケジューラのニーズに応じて、物理OTNネットワークからDTモデルデータを取得し、取得したDTモデルデータをHDTON caseスケジューラに報告し、各DT caseコンテナがDTモデルデータに基づいてDT caseを生成するようにしてもよい。
【0080】
ステップS920:DTモデルデータをネットワーク管理制御システムに送信し、ネットワーク管理制御システムがDTモデルデータに基づいてネットワーク構成情報を生成し、ネットワーク構成情報を物理ネットワークに配信し、物理ネットワークがネットワーク構成情報に基づいてネットワーク管理制御を行うようにする。ネットワーク構成情報は、ネットワーク管理制御システムによって目的分析結果に基づいて生成される。目的分析結果は、ネットワーク管理制御システムによって協調関係及び異なる階層を有するすべてのDT caseに基づいて得られる。異なる階層を有するすべてのDT caseは、ネットワーク管理制御システムによってDTモデルデータに基づいて生成される。DT caseの階層と物理オブジェクトの階層とが対応しており、異なる階層を有するDT caseの間で機能的な協調関係がある。
【0081】
なお、ネットワーク管理制御システムがDT case及びネットワーク構成情報を生成する方法及び原理は、
図1に示された実施例の説明を参照してもよい。同様に、階層及び協調関係の具体的な説明も
図1に示す実施例の説明を参照してもよく、説明を簡単にするために、ここでは、詳しく説明しない。
【0082】
また、
図10に示すように、一実施例では、
図9に示す実施例におけるステップS910は、以下のステップS1010とステップS1020を含むが、これらに限定されない。
【0083】
ステップS1010:ネットワーク管理制御システムによって配信されたデータ要求を取得し、データ要求は、ネットワーク管理制御システムによって決定された管理制御シナリオに応じて決定される。
【0084】
ステップS1020:データ要求に応じて、物理ネットワーク内の物理オブジェクトに対応するDTモデルデータを生成する。
【0085】
データ要求の具体的な生成方法及び原理は、
図2に示す実施例の説明を参照してもよいので、説明を簡単にするために、ここでは、詳しく説明しない。
【0086】
なお、データ要求は、ネットワーク管理制御システムのHDTON caseスケジューラによってデータ取得装置に配信されてもよい。データ取得装置は、具体的なデータ要求に基づいて、デジタルツイン技術を利用して、物理ネットワーク内の物理オブジェクトの物理モデルを決定して、この物理モデルから必要なパラメータと属性を取得し、取得したパラメータと属性からDTモデルデータを抽出し、これにより、DTモデルデータが実際の物理ネットワークの物理オブジェクトのパラメータと一致することを確保する。
【0087】
また、
図11に示すように、一実施例では、
図10に示す実施例におけるステップS1020を実行した後に、以下のステップS1110とステップS1120を含むが、これらに限定されない。
【0088】
ステップS1110:DTモデルデータのライフサイクルにおいて、物理オブジェクトの物理パラメータ及び/又は物理属性の変化が検出された場合、変化後の物理オブジェクトに基づいてDTモデルデータを更新する。
【0089】
ステップS1120:更新したDTモデルデータをネットワーク管理制御システムに同期させ、ネットワーク管理制御システムが更新したDTモデルデータに基づいてネットワーク構成情報を得るようにする。
【0090】
なお、DTモデルデータのライフサイクルは管理制御シナリオを決定してから、物理ネットワークがネットワーク管理制御を完了するまで、あるいは設定された作動期間であって、具体的な形式は実際のニーズに応じて選択され、ライフサイクル内でDTモデルデータの対応する物理モデルの一致を維持できればよい。
【0091】
DTモデルデータのライフサイクル内でDTモデルデータのリアルタイム同期を維持することにより、取得したDTモデルデータが現在の物理ネットワークの物理オブジェクトのリアルタイムパラメータを反映できることを確保することができ、それによって得られた目標分析結果が実際のネットワーク状況を反映し、ネットワークの動的検出能力を確保できる。
【0092】
物理パラメータ及び/又は物理属性の変化は、数値的な変化であってもよいし、1つの収集期間内に収集されるデータの変化であってもよいし、属性が新たに追加又は減少されたなどであってもよい。本実施例では、具体的な変化について特に説明しない。
【0093】
以下では、
図12に示すOTNシステムの構成を参照して、2つの具体的な管理制御シナリオによって本願の実施例の技術案についてさらに例示的に説明する。
【0094】
なお、
図12に示すOTNシステムは、OTN伝送プレーンと、HDTONインテリジェント管理制御システムとを含み、また、OTNインテリジェントネットワーク管理制御APPとHDTONインテリジェント管理制御システムとの通信接続が設けられている。HDTONインテリジェント管理制御システムには、SDONシステム、HDTON caseスケジューラ、及びAIアルゴリズムエンジンライブラリが設けられている。HDTON caseスケジューラには、高レベルDT caseコンテナ、中レベルDT caseコンテナ、及び低レベルDT caseコンテナが予め設けられている。AIアルゴリズムエンジンライブラリには、適用シナリオ分析アダプタといくつかの予め訓練されたAIアルゴリズムが含まれている。OTN伝送プレーンは、複数の物理機器を含む物理ネットワークと、物理機器に対応するデジタルモデルが構築されているDTモデルとを含む。なお、上記構成要素は、物理的な装置であってもよく、対応する機能を有する機能モジュールであってもよく、本実施例では、具体的な実装形態について特に限定せず。また、上記装置は、説明の便宜のために選択された例であり、本願の技術案に制限を与えるものではない。
【0095】
例1:
図13に示すように、OTNネットワークトラフィック分析適用シナリオでは、ネットワーク管理制御方法は、以下のステップS1310~ステップS1370を含むが、これらに限定されない。
【0096】
ステップS1310:HDTON caseスケジューラは、OTNネットワークトラフィック分析要件に基づいて、OTN伝送プレーンからOTNネットワークトラフィックDTモデルデータを取得し、ここで、OTNネットワークトラフィックDTモデルデータは、OTNネットワークトポロジ、OTNネットワークトポロジにおける全ネットワークODU業務分布及び各ODUノードのトラフィックスループットを含む。
【0097】
ステップS1320:HDTON caseスケジューラは、OTNネットワークトラフィックDTモデルデータを取得した後、高レベルDT caseコンテナ内で全ネットワークOTNトポロジにおけるODU業務をDT化し、ネットワークレベルODU業務DT caseを生成し、中レベルDT caseコンテナ内で各ODUノードのトラフィックスループットをDT化し、各ODUノードのトラフィックスループットDT caseを個別に作成して生成する。
【0098】
ステップS1330:中レベルDT caseコンテナは、OTNネットワークトラフィック分析適用シナリオに応じて、シナリオ分析アダプタを通じてAIアルゴリズムエンジンライブラリからAIアルゴリズムを取得し、各ODUノードトラフィックスループットDT caseに対してODUノードトラフィックスループット予測モデルを構築して訓練して得て、ここで、ODUノードトラフィックスループットDT caseは自身のODUノードトラフィックスループットの予測モデルに基づいて、ODUノードの指定した予測周期内のトラフィックスループット予測結果を得て、トラフィックスループットが上昇してこのODUノード交換容量に近づくDT caseについて、容量拡張分析結果を得る。
【0099】
ステップS1340:中レベルDT caseコンテナは、各ODUノードトラフィックスループットDT caseのトラフィックスループット予測結果を高レベルDT caseコンテナ中の対応するネットワークレベルODU業務DT caseに報告し、当該ネットワークレベルODU業務DT caseは、各ODUノードの交換容量のDT caseによるODUノードのトラフィックスループットの予測結果及び容量拡張分析結果に基づいて、容量拡張処理を必要とするODUノードによって運ばれるODU業務に対して切断・再ルーティング最適化シミュレーションを行い、ここで、切断・再ルーティング最適化シミュレーションは以下のステップを含む。高レベルDT caseコンテナは、OTNネットワークトラフィック分析適用シナリオに基づいて、シナリオ分析アダプタを通じてAIアルゴリズムエンジンライブラリからAIアルゴリズムを取得し、当該ネットワークレベルODU業務DT caseにおいて切断・再ルーティング最適化対象となるODU業務について、各ODU業務の最適化戦略に従って単一のODU業務の最適化計算を行い、或いは複数のODU業務の同時最適化計算を行い、最適化後の全ネットワークODU業務分布シミュレーション効果を得て、このネットワークレベルODU業務DT caseに記録する。
【0100】
ステップS1350:高レベルDT caseコンテナは、ステップS1340でネットワークレベルODU業務DT caseによって行われた全ネットワークODU業務の切断・再ルーティング最適化分析の結果、容量拡張分析を必要とする記録されたすべてのODUノード情報を、HDTON caseスケジューラを介して、SDONシステムに通知する。
【0101】
ステップS1360:SDONシステムは、ステップS1350で得られた切断・再ルーティング最適化分析結果及び容量拡張分析を必要とする記録されたすべてのODUノード情報に基づいて、OTN伝送プレーンの現在のOTN物理ネットワークに対して関連業務の再ルーティング最適化及びノード容量拡張処理を行う。
【0102】
ステップS1370:OTN物理ネットワークの管理制御が完了した後、OTNネットワークトラフィックDTモデルデータを更新し、ステップS1310を再び実行する。
なお、トラフィックスループットには、ODUノードのアップダウントラフィックとスルートラフィックが含まれていてもよく、実際のニーズに応じて選択すればよい。
【0103】
トラフィックスループットの予測結果は、次の15日間のトラフィックスループットの平均値及びピーク値、又は、次の月のトラフィックスループットの平均値及びピーク値など、任意の期間におけるトラフィックスループットの値であってもよい。本実施例では、これについて特に限定しない。
【0104】
なお、ステップS1340で得られた切断・再ルーティング最適化分析結果は、OTN伝送プレーンの既存のネットワークOTN物理ネットワークの運用への影響が最小である業務再最適化配置が行われる再ルーティング最適化のための最適な時間ウィンドウであり得る。
【0105】
例2:OTNネットワーク光モジュール故障予測適用シナリオでは、ネットワーク管理制御方法は、以下のステップS1410~ステップS1470を含むが、これらに限定されない。
【0106】
ステップS1410:HDTON caseスケジューラは、OTNネットワーク光モジュール故障分析要求に応じて、OTN伝送プレーンからOTNネットワーク光モジュール故障分析DTモデルデータを取得し、ここで、OTNネットワーク光モジュール故障分析DTモデルデータは、OTNネットワークトポロジ、OTNネットワークトポロジにおける全ネットワークOCH光層業務分布及びOTNネットワークトポロジ内の各ROADMノードにおける光モジュールデータを含む。
【0107】
ステップS1420:HDTON caseスケジューラは、OTNネットワーク光モジュール故障分析DTモデルデータを取得した後、高レベルDT caseコンテナ内で全ネットワークOTNトポロジにおけるOCH光層業務をDT化し、ネットワークレベルOCH光層業務DT caseを生成する。低レベルDT caseコンテナ内で各ROADMノードにおける光モジュールデータをDT化し、各ROADMノードにおける各光モジュールの故障予測DT caseを個別に作成して生成する。
【0108】
ステップS1430:低レベルDT caseコンテナは、OTNネットワーク光モジュール故障予測適用シナリオに応じて、シナリオ分析アダプタを通じてAIアルゴリズムエンジンライブラリからAIアルゴリズムを取得し、各ROADMノードにおける各光モジュールの故障予測DT caseに対して光モジュールの故障予測モデルを構築して訓練して得て、ここで、各光モジュール故障予測DT caseは自身の光モジュール故障の予測モデルに基づいて、本モジュール故障発生の時間ウィンドウを予測し、故障が予測された光モジュールの交換分析結果を得る。
【0109】
ステップS1440:低レベルDT caseコンテナは、故障が予測された光モジュールの交換分析結果を高レベルDT caseコンテナ中の対応するネットワークレベルOCH光層業務DT caseに報告する。ネットワークレベルOCH光層業務DT caseは、各光モジュール故障予測分析の結論に基づいて、故障交換を必要とするROADMノードにおける光モジュールによって運ばれるOCH光層業務に対して切断・再ルーティング最適化シミュレーションを行う。ここで、切断・再ルーティング最適化シミュレーションは具体的には以下のステップを含む。高レベルDT caseコンテナは、OTNネットワーク光モジュール故障予測適用シナリオに応じて、シナリオ分析アダプタを通じてAIアルゴリズムエンジンライブラリからAIアルゴリズムを取得し、当該ネットワークレベルOCH光層業務DT caseにおいて光モジュール故障予測により引き起こされる、切断・再ルーティング最適化対象のOCH光層業務に対して、各OCH光層業務の最適化戦略に従って、単一のOCH光層業務最適化計算、又は複数のOCH光層業務の同時最適化計算を行い、最適化後の全ネットワークOCH光層業務分布シミュレーション効果を取得し、このネットワークレベルOCH光層業務DT caseに記録する。
【0110】
ステップS1450:高レベルDT caseコンテナは、ステップS1440でネットワークレベルOCH光層業務DT caseによって行われた全ネットワークOCH光層業務の切断・再ルーティング最適化分析の結果、故障予測交換を必要とする記録されたすべてのROADMノード光モジュール情報を、HDTON caseスケジューラを介して、SDONシステムに通知する。
【0111】
ステップS1460:SDONシステムは、ステップS1450で得られた全ネットワークOCH光層業務の切断・再ルーティング最適化分析結果及び故障予測交換を必要とする記録されたすべてのROADMノード光モジュール情報に基づいて、OTN伝送プレーンの現在のOTN物理ネットワークに対して、関連するOCH光層業務再ルーティング最適化及び光モジュール故障予測交換処理を行う。
【0112】
ステップS1470:OTN物理ネットワークの管理制御が完了した後、OTNネットワーク光モジュール故障分析DTモデルデータを更新し、ステップS1410を再び実行する。
【0113】
なお、各ROADMノードにおける光モジュールデータは、故障予測のためのモデル化されたデータ、例えば、光モジュール入出力パワー、レーザバイアス電流、光モジュール温度などであってもよい。ここでは、特に限定しない。
【0114】
トラフィックスループット予測結果は、OTN伝送プレーンの既存のネットワークOTN物理ネットワークの運用への影響が最小である業務再最適化配置が行われる再ルーティング最適化のための最適な時間ウィンドウである。
【0115】
また、
図15に示すように、本願の一実施例は、メモリ1510と、プロセッサ1520と、メモリ1510上に記憶され、プロセッサ1520上で実行可能なコンピュータプログラムとを含むネットワーク管理制御システム1500をさらに提供する。
【0116】
プロセッサ1520及びメモリ1510は、バス又は他の手段を介して接続されることができる。
【0117】
上記の実施例のネットワーク管理制御方法を実現するために必要な非一時的なソフトウェアプログラム及び命令は、メモリ1510に記憶され、プロセッサ1520によって実行されると、上記の実施例のネットワーク管理制御システム1500に適用されるネットワーク管理制御方法が実行され、例えば、上記の
図1の方法ステップS110~S140、
図2の方法ステップS210~S220、
図3の方法ステップS310、
図4の方法ステップS410~S420、
図5の方法ステップS510~S520、
図6の方法ステップS610~S620、
図7の方法ステップS710、
図8の方法ステップS810が実行される。
【0118】
本願の実施例は、物理ネットワーク内の物理オブジェクトに対応するDTモデルデータを取得するステップと、前記DTモデルデータに基づいて、異なる階層を有するデジタルツインケースDT caseを生成するステップであって、DT caseの階層と物理オブジェクトの階層とが対応しており、前記異なる階層を有するDT caseの間で機能的な協調関係があるステップと、前記協調関係及びすべての前記DT caseに基づいて目標分析結果を得るステップと、前記目標分析結果に基づいてネットワーク構成情報を生成し、前記ネットワーク構成情報を前記物理ネットワークに配信し、前記物理ネットワークが前記ネットワーク構成情報に基づいてネットワーク管理制御を行うようにするステップと、を含む。本願の実施例によるスキームによれば、異なる階層を有するDT case及び協調関係に基づいてネットワーク管理制御を実現し、ネットワークシステムの動的検出能力及びデジタル化分析能力を向上させることができる。
【0119】
上記で説明された装置の実施例は単に概略的なものであり、分離された構成要素として説明されたユニットは、物理的に分離されていてもよいし、そうでなくてもよい、すなわち、1つの場所に配置されていてもよいし、複数のネットワークユニットに分散されていてもよい。これらのモジュールの一部又は全部は、実際のニーズに応じて、本実施例のスキームの目的を達成するために選択されてもよい。
【0120】
さらに、本願の一実施例は、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体をさらに提供し、該コンピュータ読み取り可能な記憶媒体にコンピュータ実行可能命令が格納され、該コンピュータ実行可能命令が1つのプロセッサ又はコントローラによって実行される。例えば、該コンピュータ実行可能命令が上記実施例の1つのプロセッサによって実行されると、上記実施例のネットワーク管理制御システムに適用されるネットワーク管理制御方法、例えば、以上説明した、
図1の方法ステップS110~S140、
図2の方法ステップS210~S220、
図3の方法ステップS310、
図4の方法ステップS410~S420、
図5の方法ステップS510~S520、
図6の方法ステップS610~S620、
図7の方法ステップS710、
図8の方法ステップS810を上記プロセッサに実行させ、又は、上記の実施例の1つのプロセッサによって実行されると、上記の実施例のデータ取得装置に適用されるネットワーク管理制御方法、例えば、以上説明した、
図9の方法ステップS910~S920、
図10の方法ステップS1010~S1020、
図11の方法ステップS1110~S1120を上記プロセッサに実行させる。
【0121】
当業者であれば、上記で開示された方法におけるステップ、システムの全部又は一部は、ソフトウェア、ファームウェア、ハードウェア、及びそれらの適切な組み合わせとして実装されてもよいことを理解する。物理的構成要素の一部又はすべては、中央処理装置、デジタル信号処理装置、マイクロプロセッサなどのプロセッサによって実行されるソフトウェアとして、又はハードウェアとして、又は特定用途向け集積回路などの集積回路として実装されてもよい。このようなソフトウェアは、コンピュータ記憶媒体(又は非一時的媒体)及び通信媒体(又は一時的媒体)を含むことができるコンピュータ読み取り可能な媒体上に配布することができる。当業者に周知のように、コンピュータ記憶媒体という用語は、情報(例えば、コンピュータ読み取り可能な命令、データ構造、プログラムモジュール、又は他のデータ)を記憶するための任意の方法又は技術において実施される、揮発性及び不揮発性の、取り外し可能な、及び取り外し不可能な媒体を含む。コンピュータ記憶媒体は、RAM、ROM、EEPROM、フラッシュメモリ又は他のメモリ技術、CD-ROM、デジタル多用途ディスク(DVD)又は他の光ディスク記憶装置、磁気カートリッジ、磁気テープ、磁気ディスク記憶装置若しくは他の磁気記憶装置、又は所望の情報を記憶するために使用することができ、コンピュータによってアクセスすることができる他の任意の媒体を含むが、これらに限定されない。さらに、当業者に周知のように、通信媒体は、通常、コンピュータ読み取り可能な命令、データ構造、プログラムモジュール、又は搬送波や他の送信機構のような変調データ信号中の他のデータを含み、任意の情報配信媒体を含み得る。
【0122】
以上は本願の好ましい実施例を具体的に説明したが、本願は上記の実施例に限定されるものではなく、当業者は本願の精神に反しないことを前提に様々な均等な変形又は置換を行うことができ、これらの均等な変形又は置換はいずれも本願の請求項によって限定される範囲内に含まれる。
【手続補正書】
【提出日】2023-09-25
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワーク管理制御システムに適用されるネットワーク管理制御方法であって、
物理ネットワーク内の物理オブジェクトに対応するデジタルツインDTモデルデータを取得するステップと、
前記DTモデルデータに基づいて、異なる階層を有するデジタルツインケースDT caseを生成するステップであって、DT caseの階層と物理オブジェクトの階層とが対応しており、前記異なる階層を有するDT caseの間で互いに機能的な協調関係があるステップと、
前記協調関係及びすべての前記DT caseに基づいて目標分析結果を得るステップと、
前記目標分析結果に基づいてネットワーク構成情報を生成し、前記ネットワーク構成情報を前記物理ネットワークに配信し、前記物理ネットワークが前記ネットワーク構成情報に基づいてネットワーク管理制御を行うようにするステップと、を含む、ネットワーク管理制御方法。
【請求項2】
物理ネットワーク内の物理オブジェクトに対応するDTモデルデータを取得する前記ステップは、
管理制御シナリオを決定し、前記管理制御シナリオに応じてデータ要求を決定するステップと、
前記データ要求に応じて、物理ネットワーク内の物理オブジェクトに対応するDTモデルデータを取得するステップと、を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記DTモデルデータに基づいて、異なる階層を有するDT caseを生成する前記ステップは、
前記DTモデルデータ及び物理オブジェクトの階層に基づいて、異なるコンテナレベルを有する目標DT caseコンテナにDT caseを生成するステップであって、前記目標DT caseコンテナは、前記管理制御シナリオ及び前記物理オブジェクトの階層に基づいて、予め設定されたDT caseコンテナの中から決定され、前記DT caseコンテナはDT caseを生成して管理するものであり、コンテナレベルの異なるDT caseコンテナによって生成されるDT caseの対応する
コンテナレベルが互いに異なるステップを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記協調関係及びすべての前記DT caseに基づいて、目標分析結果を得る前記ステップは、
前記協調関係及び前記目標DT caseコンテナに対応するコンテナレベルに基づいて、下位のコンテナレベルを有する目標DT caseコンテナによって生成されたDT caseに対して、人工知能AIアルゴリズムに基づく処理を施して、中間分析結果を得て、前記中間分析結果を上位のコンテナレベルを有する目標DT caseコンテナに報告し、前記中間分析結果に基づいて前記上位のコンテナレベルを有する目標DT caseコンテナによって生成されたDT caseに対して、前記AIアルゴリズムに基づく処理を施して、協調分析結果を得るステップと、
コンテナレベルが最高の目標DT caseコンテナで得られた協調分析結果を目標分析結果として決定するステップと、を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記AIアルゴリズムに基づく処理は、
前記管理制御シナリオに応じて、予め設定されたAIアルゴリズムライブラリから目標AIアルゴリズムを決定するステップと、
前記目標AIアルゴリズムによって前記DT caseを分析して処理するステップと、を含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
管理制御シナリオを決定する前記ステップは、
現在の前記物理ネットワークの作動状態を取得し、前記作動状態及び予め設定された管理情報に基づいて前記管理制御シナリオを決定するステップ、又は
管理制御要求を取得し、前記管理制御要求に基づいて前記管理制御シナリオを決定するステップを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項7】
前記ネットワーク構成情報を前記物理ネットワークに配信し、前記物理ネットワークが前記ネットワーク構成情報に基づいてネットワーク管理制御を行うようにする前記ステップの前に、
前記物理ネットワークが前記ネットワーク構成情報に基づいてネットワーク管理制御を行った後に報告した新たなDTモデルデータを取得すると、前記新たなDTモデルデータに基づいて前記ネットワーク構成情報を再生成するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記ネットワーク構成情報を前記物理ネットワークに配信し、前記物理ネットワークが前記ネットワーク構成情報に基づいてネットワーク管理制御を行うようにする前記ステップの後に、
ネットワーク管理制御が完了した後の前記物理ネットワークのネットワーク状態情報を取得して表示するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
ネットワーク管理制御システムと通信可能に接続されたデータ取得装置に適用されるネットワーク管理制御方法であって、
物理ネットワーク内の物理オブジェクトに対応するDTモデルデータを生成するステップと、
前記DTモデルデータを前記ネットワーク管理制御システムに送信し、前記ネットワーク管理制御システムが前記DTモデルデータに基づいてネットワーク構成情報を生成し、前記ネットワーク構成情報を物理ネットワークに配信し、前記物理ネットワークが前記ネットワーク構成情報に基づいてネットワーク管理制御を行うようにするステップであって、ネットワーク構成情報は、前記ネットワーク管理制御システムによって目的分析結果に基づいて生成され、前記目的分析結果は、前記ネットワーク管理制御システムによって協調関係及び異なる階層を有するすべてのDT caseに基づいて得られ、前記異なる階層を有するDT caseは、前記ネットワーク管理制御システムによって前記DTモデルデータに基づいて生成され、DT caseの階層と物理オブジェクトの階層とが対応しており、前記異なる階層を有するDT caseの間で機能的な協調関係があるステップと、を含む、ネットワーク管理制御方法。
【請求項10】
物理ネットワーク内の物理オブジェクトに対応するDTモデルデータを生成する前記ステップは、
前記ネットワーク管理制御システムによって配信されたデータ要求を取得するステップであって、前記データ要求は、前記ネットワーク管理制御システムによっ
て管理制御シナリオに応じて決定されるステップと、
前記データ要求に応じて、物理ネットワーク内の物理オブジェクトに対応するDTモデルデータを生成するステップと、を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
物理ネットワーク内の物理オブジェクトに対応するDTモデルデータを生成する前記ステップの後に、
前記DTモデルデータのライフサイクルにおいて、物理オブジェクトの物理パラメータ及び/又は物理属性の変化が検出された場合、変化後の物理オブジェクトに基づいて前記DTモデルデータを更新するステップと、
更新した前記DTモデルデータを前記ネットワーク管理制御システムに同期させ、前記ネットワーク管理制御システムが更新した前記DTモデルデータに基づいて前記ネットワーク構成情報を得るようにするステップと、をさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
メモリと、プロセッサと、メモリ上に記憶され、プロセッサ上で実行可能なコンピュータプログラムと、を含み、前記プロセッサは、前記コンピュータプログラムを実行すると、請求項1~8のいずれか1項に記載のネットワーク管理制御方法を実現する、ネットワーク管理制御システム。
【請求項13】
請求項1~8のいずれか1項に記載のネットワーク管理制御方法を実行するためのネットワーク管理制御システムと、請求項9~11のいずれか1項に記載のネットワーク管理制御方法を実行するためのデータ取得装置と、を含み、前記ネットワーク管理制御システムと前記データ取得装置とは通信可能に接続されている、ネットワークシステム。
【請求項14】
請求項1~8のいずれか1項に記載のネットワーク管理制御方法を実行するためのコンピュータ実行可能命令、又は請求項9~11のいずれか1項に記載のネットワーク管理制御方法を実行するためのコンピュータ実行可能命令を記憶したコンピュータ読み取り可能な記憶媒体。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、出願番号が202110326389.9、出願日が2021年03月26日の中国特許出願に基づいて提出され、当該中国特許出願の優先権を主張しており、当該中国特許出願の全内容はここで参照として本願に組み込まれている。
【0002】
本願は、ネットワーク通信分野に関するが、これに限定されるものではなく、特にネットワーク管理制御方法、そのシステム、ネットワークシステム、及び記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0003】
通信技術の発展に伴い、伝送ネットワークは、リソースの多様化、カバー範囲の広さ、配置環境の複雑化などの現状面に直面している。また、デジタルトランスフォーメーション時代の到来に伴い、伝送サービスも業務の機敏化、ネットワーク機能の仮想化へ急速に発展している。伝送ネットワークのハードウェア機器やデジタル技術がますます複雑化、多様化する背景の下で、ネットワークの自己最適化、自己修復、及び自律性の高効率知能化管理を実現するために、体系的で正確なリアルタイムのデジタル化分析技術に頼る必要があり、複雑なネットワークシステムに対してデジタル化モデル抽象化を行い、実際のネットワークシステム、作動メカニズムと管理制御とメンテナンス方法を統合できる多次元ネットワークデジタル化シミュレーションシステムを構築し、人工知能(Artificial Intelligence、AI)技術を利用して、実際の物理ネットワークの作動状況に対するリアルタイム動的フィードバック、評価最適化、シミュレーションと予測を行い、それによってネットワークの高効率知能化管理のデジタル化分析基礎を構築した。
【0004】
デジタルツイン(Digital Twin、DT)技術は、物理オブジェクトの高忠実度デジタル仮想モデルを作成することができ、物理オブジェクトの行動をシミュレートし、物理オブジェクトの作動状態を描写し、デジタル情報と物理オブジェクトの融合を実現することができる。DT技術をネットワーク通信に応用すると、伝送ネットワークから必要なネットワークデータを抽出し、AI技術と要件を結合してデジタルツインケース(Digital Twin case、DT case)モデルを構築することにより、伝送ネットワークの分析、最適化やシミュレーション予測などの機能を実現することができる。
【0005】
実際の応用において、異なる分析オブジェクトに対して、相応する階層のDT caseを構築し、DT caseの分析結果に基づいて伝送ネットワークに対して知能管理制御を行う必要がある。しかしながら、伝送ネットワークにおいて、異なる階層のDT caseに対応するオブジェクト間は、例えば、ある機能モジュールの故障が、伝送ネットワークのアラーム又は中断の原因となる根本的な故障であるなど、関連付けられている可能性がある。したがって、異なる階層のDT case間の協調関係をいかに考慮するかが、ネットワークシステムの動的検出能力及びデジタル分析能力を向上させる鍵となる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
以下、本明細書で詳細に説明される主題の概要を示す。本概要は、特許請求の範囲の保護範囲を限定するものではない。
【0007】
本願の実施例は、ネットワークシステムの動的検出能力及びデジタル分析能力を向上させることができるネットワーク管理制御方法、そのシステム、ネットワークシステム、及び記憶媒体を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1態様では、本願の実施例は、
ネットワーク管理制御システムに適用されるネットワーク管理制御方法であって、
物理ネットワーク内の物理オブジェクトに対応するデジタルツインDTモデルデータを取得するステップと、
前記DTモデルデータに基づいて、異なる階層を有するデジタルツインケースDT caseを生成するステップであって、DT caseの階層と物理オブジェクトの階層とが対応しており、前記異なる階層を有するDT caseの間で機能的な協調関係があるステップと、
前記協調関係及びすべての前記DT caseに基づいて目標分析結果を得るステップと、
前記目標分析結果に基づいてネットワーク構成情報を生成し、前記ネットワーク構成情報を前記物理ネットワークに配信し、前記物理ネットワークが前記ネットワーク構成情報に基づいてネットワーク管理制御を行うようにするステップと、を含む。
【0009】
第2態様では、本願の実施例は、
ネットワーク管理制御システムと通信可能に接続されたデータ取得装置に適用されるネットワーク管理制御方法であって、
物理ネットワーク内の物理オブジェクトに対応するDTモデルデータを生成するステップと、
前記DTモデルデータを前記ネットワーク管理制御システムに送信し、前記ネットワーク管理制御システムが前記DTモデルデータに基づいてネットワーク構成情報を生成し、前記ネットワーク構成情報を物理ネットワークに配信し、前記物理ネットワークが前記ネットワーク構成情報に基づいてネットワーク管理制御を行うようにするステップであって、ネットワーク構成情報は、前記ネットワーク管理制御システムによって目的分析結果に基づいて生成され、前記目的分析結果は、前記ネットワーク管理制御システムによって協調関係及び異なる階層を有するすべてのDT caseに基づいて得られ、前記異なる階層を有するDT caseは、前記ネットワーク管理制御システムによって前記DTモデルデータに基づいて生成され、DT caseの階層と物理オブジェクトの階層とが対応しており、前記異なる階層を有するDT caseの間で機能的な協調関係があるステップと、を含む。
【0010】
第3態様では、本願の実施例は、メモリと、プロセッサと、メモリ上に記憶され、プロセッサ上で実行可能なコンピュータプログラムと、を含み、前記プロセッサは、前記コンピュータプログラムを実行すると、第1態様に記載のネットワーク管理制御方法を実現する、ネットワーク管理制御システムを提供する。
【0011】
第4態様では、本願の実施例は、
第1態様に記載のネットワーク管理制御方法を実行するためのネットワーク管理制御システムと、第1態様に記載のネットワーク管理制御方法を実行するためのデータ取得装置と、を含み、前記ネットワーク管理制御システムと前記データ取得装置とは通信可能に接続されている、ネットワークシステムを提供する。
【0012】
本願の他の特徴及び利点は、後の明細書で説明され、本明細書から部分的に明らかになるか、又は本願を実施することによって理解される。本願の目的及び他の利点は、明細書、特許請求の範囲、及び図面において特に指摘された構造によって達成され得る。
図面は、本願の技術案の更なる理解を提供するために使用され、明細書の一部を構成し、本願の実施例と共に本願の技術案を説明するために使用され、本願の技術案を限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本願の一実施例によるネットワーク管理制御システムに適用されるネットワーク管理制御方法のフローチャートである。
【
図2】本願の他の実施例によるDTモデルデータを取得するフローチャートである。
【
図3】本願の他の実施例によるDT caseを生成するフローチャートである。
【
図4】本願の他の実施例による目標分析結果を得るフローチャートである。
【
図5】本願の他の実施例によるAIアルゴリズムに基づく処理のフローチャートである。
【
図6】本願の他の実施例による管理制御シナリオを決定するためのフローチャートである。
【
図7】本願の他の実施例によるDTモデルデータの同期更新を実現するフローチャートである。
【
図8】本願の他の実施例によるネットワーク状態情報を取得して表示するフローチャートである。
【
図9】本願の他の実施例によるデータ取得装置に適用されるネットワーク管理制御方法のフローチャートである。
【
図10】本願の他の実施例によるDTモデルデータを生成するフローチャートである。
【
図11】本願の他の実施例によるDTモデルデータを更新するフローチャートである。
【
図12】本願の他の実施例によるネットワーク管理制御方法を適用したOTNシステムの構造である。
【
図13】本願の他の実施例による例1のフローチャートである。
【
図14】本願の他の実施例による例2のフローチャートである。
【
図15】本願の他の実施例によるネットワーク管理制御システムの装置図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本願の目的、技術案及び利点をより明確にするために、以下では、図面及び実施例を参照して、本願をさらに詳細に説明する。なお、本明細書に記載された具体的な実施例は、本願を解釈するためにのみ使用され、本願を限定するために使用されない。
【0015】
なお、機能モジュールの分割は装置の概略図に示され、論理的順序はフローチャートに示されているが、示された又は説明されたステップは、場合によっては、装置のモジュール分割又はフローチャートに示された順序とは異なるもので実行されてもよい。明細書、特許請求の範囲、又は前述の図面における用語「第1」、「第2」等は、特定の順序又は優先順位を説明するために使用されるのではなく、類似の対象を区別するために使用される。
【0016】
本願は、ネットワーク管理制御方法、そのシステム、ネットワークシステム、及び記憶媒体を提供する。当該ネットワーク管理制御方法は、物理ネットワーク内の物理オブジェクトに対応するDTモデルデータを取得するステップと、前記DTモデルデータに基づいて、異なる階層を有するデジタルツインケースDT caseを生成するステップであって、DT caseの階層と物理オブジェクトの階層とが対応しており、前記異なる階層を有するDT case間で機能的な協調関係があるステップと、協調関係及びすべてのDT caseに基づいて目標分析結果を得るステップと、目標分析結果に基づいてネットワーク構成情報を生成し、ネットワーク構成情報を物理ネットワークに配信し、物理ネットワークがネットワーク構成情報に基づいてネットワーク管理制御を行うようにするステップと、を含む。本願の実施例によるスキームは、DT case及び協調関係に基づいてネットワーク管理制御を実現することができ、ネットワークシステムの動的検出能力及びデジタル分析能力を向上させることができる。
【0017】
なお、本願の実施例によるネットワーク管理制御方法は、光ネットワーク(Optical Transport Network、OTN)、パケットトランスポートネットワーク(Packet Transport Network、PTN)、パケット光トランスポートネットワーク(Packet Optical Transport Network、POTN)など、任意のネットワークシステムに適用することができる。説明を簡単にするために、本願の実施例はOTNシステムへの適用を例として技術案の説明を行っており、当業者は本願の実施例の技術案を他のネットワークシステムに適用する能力があり、これは本願の特許範囲を限定するものではない。
【0018】
なお、ネットワーク管理制御システムは複数の機能モジュールを備えた装置であってもよく、例えば、管理制御機能を実現するために、ネットワーク管理制御システムには、実際のニーズに応じてデータベース、プロセッサやアクチュエータなどの機能モジュールが設けられてもよく、具体的な装置のタイプは具体的なネットワークシステムに応じて決定すればよい。例えば、階層型デジタルツイン光ネットワーク(Hierarchical Digital Twin OTN、HDTON)については、ネットワーク管理制御システムは、HDTONを管理制御するためのHDTONインテリジェント管理制御システムであってもよく、また、DT caseの生成を実現するために、HDTONインテリジェント管理制御システムにHDTON caseスケジューラをコントローラとして、ソフトウェア・デファインド・オプティカル・ネットワーク(Software Defined Optical Network、SDON)システムをアクチュエータとして設けてもよい。さらに、さまざまな管理制御シナリオに対応するために、予め設定された複数のAIアルゴリズムを格納したAIアルゴリズムエンジンライブラリが設けられる。もちろん、上記のSDONシステム、HDTON caseスケジューラ及びAIアルゴリズムエンジンライブラリは、実際のネットワーク配置においては、独立して作動する装置であってもよく、さまざまな物理装置又は物理機器に設置されてもよく、機能的にはネットワーク管理制御システムに組み立てることができればよい。なお、上記の装置は、ネットワーク管理制御システムを説明するための一例であり、当業者は、実際のニーズに応じてネットワーク管理制御システムに対応する機能モジュールを追加又は削減する動機を有するものであり、本実施例では、これに限定されない。
【0019】
以下、図面を参照して、本願の実施例についてさらに説明する。
【0020】
図1に示すように、
図1は、ネットワーク管理制御システムに適用される、本願の一実施例によるネットワーク管理制御方法である。当該ネットワーク管理制御方法は、以下のステップを含むがこれに限定されない。
【0021】
ステップS110:物理ネットワーク内の物理オブジェクトに対応するDTモデルデータを取得する。
【0022】
物理ネットワークは任意のネットワークシステムであってもよく、物理ネットワークにおける複数階層の物理オブジェクト間に従属関係があり、機能的に協調関係があればよい。例えば、OTNシステムでは、全ネットワークのODU業務が複数の光データユニット(Optical Data Unit、ODU)からなり、ODUノードのトラフィックスループットの予測結果が全ネットワークODU業務の最適化シミュレーションに一定の影響を与えるため、全ネットワークODU業務の最適化シミュレーションを行う際にはODUノードごとのトラフィックスループット予測を統合する必要があり、本実施例ではネットワーク管理制御方法を適用する物理ネットワークを特に限定しない。
【0023】
物理オブジェクトは、特定の物理機器であってもよく、複数の物理機器からなるシステムであってもよい。例えば、OTNシステムの場合、物理オブジェクトはOTN全体であってもよく、OTN内の光モジュールであってもよく、OTN内の各ODUノードであってもよく、物理オブジェクトは、特定のニーズに応じて決定されてもよい。
【0024】
なお、DTモデルデータの具体的な内容は実際に必要な物理オブジェクトに応じて決定すればよい。例えば、OTNネットワーク光モジュールに対して故障分析を行う必要がある場合、取得されるDTモデルデータはOTNネットワークトポロジ、当該OTNネットワークトポロジにおける全ネットワーク光チャネル(Optical Channel、OCH)光層業務分布、当該OTNネットワークトポロジにおける各再構成可能な光アドドロップマルチプレクサ(Reconfigurable Optical Add-Drop Multiplexer、ROADM)ノードにおける光モジュールデータを含んでもよく、本実施例は、DTモデルデータの具体的なタイプを特に限定しない。
DTモデルデータはネットワーク管理制御システムによって具体的なデータ要求に応じて物理ネットワークから取得してもよく、デジタルツイン技術によれば、物理ネットワークから対応するパラメータと属性を抽出し、高忠実度のデジタル仮想モデルを構築して、DTモデルデータを形成することができ、これにより、DTモデルデータは物理ネットワークの実際の作動状况をリアルタイムで反映することができ、ネットワークシステムの評価予測の正確性が向上する。
【0025】
ステップS120:DTモデルデータに基づいて、異なる階層を有するデジタルツインケースDT caseを生成し、DT caseの階層と物理オブジェクトの階層とが対応しており、異なる階層を有するDT case間で機能的な協調関係がある。
【0026】
なお、階層はDT caseが対応する物理ネットワーク内の物理オブジェクトの規模又は影響範囲を表すことができる。例えば、OTNシステムの場合、階層が最高の物理オブジェクトはOTNネットワーク全体であってもよく、階層が最低の物理オブジェクトはOTNネットワーク内の光モジュールであってもよく、具体的な物理オブジェクトの規模と階層の高さとの対応関係は実際のニーズに応じて調整することができ、これについて特に限定しない。
【0027】
なお、生成されるDT caseの階層は、物理オブジェクトの階層に対応している。例えば、物理オブジェクトがOTNネットワークであり、その階層がネットワークレベルであれば、DTモデルデータに基づいて生成されるOTNネットワークに対応するDT caseの階層もネットワークレベルである。
【0028】
なお、物理ネットワークにおいて、異なる規模の物理オブジェクト間には通常、従属関係があるので、すなわち、階層の高いDT caseに対応する物理オブジェクトは通常、階層の低いDT caseに対応する物理オブジェクトによって組み立てられてなるか、又はこれらから構成される。例えば、階層の高いDT caseに対応する物理オブジェクトはROADMノードであり、階層の低いDT caseに対応する物理オブジェクトは光モジュールであり、ROADMノードは、通常、光モジュールで構成される。したがって、従属関係を持つ物理オブジェクトは機能的にも協調関係にあり、例えば、ROADMノードに対応するDT caseを予測分析する際には、そのROADMノードに帰属する光モジュールの故障予測の結果を統合する必要があり、協調関係により、階層の高いDT caseについて予測分析を行う際に階層の低いDT caseの分析結果を統合することができ、最終的に得られる目標分析結果の精度を高めることができる。
【0029】
なお、DT caseは、協調分析を行う際に対応するDT caseが存在することを確認するために、DTモデルデータを取得した後に生成してもよく、後で詳しく説明しない。
【0030】
ステップS130:協調関係及び全てのDT caseに基づいて目標分析結果を得る。
【0031】
なお、DT caseは生成後も作動状態を維持できるため、DT caseごとに予測分析を一度実行し、次に、協調関係に基づいてネスト分析を行って目標分析結果を得るか、階層の高いDT caseが階層の低いDT caseから報告された分析結果を受信してから統合分析を行い、階層の最も高いDT caseから得られた分析結果を目標分析結果とする、すなわち、トリガー機構による協調分析を実現する。具体的な方式は、実際のニーズに応じて選択され、DT case間の協調分析を実現できるものであればよい。
【0032】
実際の応用において、従属関係を持つ物理オブジェクトが対応するDT case間には通常協調関係があり、例えば、既存のネットワークにおける光モジュールの故障はこの光モジュール故障によるOTNネットワーク故障警報や業務中断の根本原因となる故障である場合が多く、このような実際の既存のネットワークにおける局所と全体間の協調と波及関係もデジタルツインOTN(Digital Twin OTN、DTON)に反映されるため、ネットワークレベル故障分析DT caseと光モジュールレベル故障予測DT case間に協調関係が存在する。
【0033】
ステップS140:目標分析結果に基づいてネットワーク構成情報を生成し、ネットワーク構成情報を物理ネットワークに配信し、物理ネットワークがネットワーク構成情報に基づいてネットワーク管理制御を行うようにする。
【0034】
なお、物理ネットワークは、一般的に物理機器の集合であり、一般的なインテリジェント管理制御システムを介して管理制御を行う必要があり、例えば、一般的なSDONシステムを介して物理ネットワークを制御する。本実施例では、具体的なインテリジェント管理制御システムを特に限定しない。
【0035】
ネットワーク構成情報は、任意のタイプの情報であってもよく、物理ネットワークが作動パラメータを調整することによってネットワーク管理制御を実現することを可能にするものであればよい。例えば、OTNシステムの場合、目標分析結果が全ネットワークODU業務の切断・再ルーティング最適化の分析結果であれば、SDONシステムは、現在のOTNネットワークに対する関連業務の再ルーティング最適化及びノード容量拡張などの処理要件に応じて、対応するネットワーク構成情報を生成できる。
【0036】
また、
図2に示すように、一実施例では、
図1に示す実施例におけるステップS110は、以下のステップS210とステップS220を含むが、これらに限定されない。
【0037】
ステップS210:管理制御シナリオを決定し、管理制御シナリオに応じてデータ要求を決定する。
【0038】
ステップS220:データ要求に応じて、物理ネットワーク内の物理オブジェクトに対応するDTモデルデータを取得する。
【0039】
なお、管理制御シナリオは、ユーザーの業務ニーズを反映するネットワークサービスシナリオや、物理ネットワークの検出分析ニーズを反映するネットワーク分析シナリオなど、ネットワークの管理制御ニーズを反映する必要があるシナリオであってもよい。本実施例では、これについて特に限定しない。
【0040】
管理制御シナリオを通じてデータ収集が必要な物理オブジェクトを決定することができ、これによって具体的なデータ要求を決定し、データ処理の効率を高めることができる。例えば、管理制御シナリオがOTNネットワークトラフィック分析シナリオであると決定された場合、物理ネットワークからOTNネットワーク業務のDTモデルデータを取得する必要があり、OTNネットワークトポロジ、当該ネットワークトポロジにおける全ネットワークODU業務分布、各ノードのトラフィックスループットなどが含まれていてもよい。データ要求が決定されたと、その後に構築する必要があるDT caseの階層も決定される。例えば、上記のOTNネットワークトラフィック分析シナリオでは、全ネットワークのODU業務に対応するためにネットワークレベルのDT caseを構築し、ODUノードごとに対応するためにノードレベルのDT caseを構築する必要があり、上記のネットワークレベルとノードレベルは階層の1つの例であり、階層の具体的な選択を限定するものではない。
【0041】
物理オブジェクトが対応する階層をさらに具現するために、DTモデルデータを構築する際に、階層の高さに応じてデータのレベルを予め決定する階層型デジタルツイン(Hierarchical Digital Twin、HDT)モデルデータの形式を採用することができる。例えば、上記のOTNネットワークトラフィック分析シナリオでは、OTNネットワークトポロジと当該ネットワークトポロジにおける全ネットワークODU業務分布をネットワークレベルのデータとし、各ノードのトラフィックスループットをノードレベルのデータとすることで、HDTモデルデータから、さまざまなデータのDT caseコンテナのレベルを迅速に特定することができる。
【0042】
また、
図3に示すように、一実施例では、
図1に示す実施例におけるステップS120は、以下のステップS310を含むが、これに限定されない。
【0043】
ステップS310:DTモデルデータ及び物理オブジェクトの階層に基づいて、異なるコンテナレベルを有する目標DT caseコンテナにDT caseを生成し、目標DT caseコンテナは、管理制御シナリオ及び物理オブジェクトの階層に基づいて、予め設定されたDT caseコンテナの中から決定され、DT caseコンテナはDT caseを生成して管理するものであり、コンテナレベルの異なるDT caseコンテナによって生成されるDT caseの対応するコンテナレベルが互いに異なる。
【0044】
なお、DT caseコンテナの管理を容易にするために、インテリジェント管理制御システムにHDTON caseスケジューラを設けてもよい。HDTON caseスケジューラでは、少なくとも2つのDT caseコンテナを予め設けてもよい。管理制御シナリオを決定した後、HDTON caseスケジューラは、データ要求を決定し、DTモデルデータを取得した後、予め設定されたDT caseコンテナから少なくとも2つの目標DT caseコンテナを決定し、目標DT caseコンテナにDT caseを生成する。
【0045】
なお、具体的なコンテナレベルは実際のニーズに応じて決定されてもよい。例えば、階層のネットワークレベル、デバイスレベル及び素子レベルに応じて、高レベルDT caseコンテナ、中レベルDT caseコンテナ及び低レベルDT caseコンテナをそれぞれ設け、各コンテナレベルがそれぞれ1つの階層に対応するようにして、異なる階層のDT caseコンテナが生成するDT caseの階層が異なる階層に対応するようにすればよく、本実施例では、これについて特に限定しない。
【0046】
なお、
図2に示す実施例の説明を参照すると、データ要求は、決定された目標DT caseコンテナによって決定されてもよい。例えば、上記のDT caseコンテナレベルを参照して、管理制御シナリオに応じてネットワークレベル及び素子レベルからの分析が必要であると決定した場合、高レベルDT caseコンテナ及び低レベルDT caseコンテナによって対応するDT caseを生成する必要があり、この場合、各目標DT caseコンテナによって必要とされるデータに基づいてデータ要求を生成することができ、DTモデルデータが取得された後、各目標DT caseコンテナは、DTモデルデータから対応するレベルのデータを取得し、取得したDTモデルデータに基づいてDT caseを生成し、これにより、取得したデータの可用性及び正確性を確保することができる。
【0047】
なお、DT caseコンテナは、DT caseを生成するために使用されてもよいし、DT caseを管理するために使用されてもよい。例えば、AIアルゴリズムによるDT caseの分析処理や、下位のコンテナレベルを有するDT caseコンテナから報告された中間分析結果を取得して協調分析を行うことが可能であり、実際のニーズに応じてDT caseに対して実現可能な機能を増減することも可能である。本実施例では、これについて特に限定しない。
【0048】
使用されるべき目標DT caseコンテナは、異なる管理制御シナリオが異なると、必ず異なるわけではない。例えば、あるシナリオでは、予め設定されたすべてのDT caseコンテナを使用する必要があるが、別のシナリオでは、その中のいくつかのコンテナレベルのDT caseコンテナのみを使用する必要があり、管理制御シナリオの実際のニーズに応じて決定されるものである。本実施例では、具体的な数について特に限定しない。
【0049】
また、
図4に示すように、一実施例では、
図1に示す実施例におけるステップS130は、以下のステップS410とステップS420を含むが、これらに限定されない。
【0050】
ステップS410:協調関係及び目標DT caseコンテナに対応するコンテナレベルに基づいて、下位のコンテナレベルを有する目標DT caseコンテナによって生成されたDT caseに対して、AIアルゴリズムに基づく処理を施して、中間分析結果を得て、中間分析結果を上位のコンテナレベルを有する目標DT caseコンテナに報告し、中間分析結果に基づいて上位のコンテナレベルを有する目標DT caseコンテナによって生成されたDT caseに対して、AIアルゴリズムに基づく処理を施して、協調分析結果を得る。
【0051】
ステップS420:コンテナレベルが最高の目標DT caseコンテナで得られた協調分析結果を目標分析結果として決定する。
【0052】
異なる階層のDT caseに対応する物理オブジェクト間には機能的な協調関係があり、異なるコンテナレベルのDT case・コンテナによって生成されるDT caseの階層は互いに異なるので、コンテナレベルは階層に対応してもよい。また、協調処理は、通常、階層レベルの低いDT caseで得られた分析結果を用いて階層レベルの高いDT caseを協調して分析結果を得るので、コンテナレベルの昇順で中間分析結果を順次報告することができ、上位のコンテナレベルを有する目標DT caseコンテナが中間分析結果を受け取った後、その分析結果を統合してそのDT caseコンテナによって生成されたDT caseに対してAIアルゴリズムに基づく処理を施すことで、結果として得られる協調分析結果には、その目標DT caseコンテナに対応する階層の分析結果と、協調関係を有する階層のより低いDT caseが対応する分析結果の両方が含まれ、最終的には関連するすべての階層のDT case間の協調関係が目標分析結果に統合され、ネットワークシステムの動的検出能力及びデジタル分析能力が向上する。
【0053】
なお、ステップS420で説明された、「上位のコンテナレベルを有する」ことと「下位のコンテナレベルを有する」ことは、コンテナレベルではなく、協調関係に基づいて決定されるものである。例えば、いくつかの管理制御シナリオでは、低レベルのDT caseコンテナと高レベルのDT caseコンテナのみが関与する場合、ステップS420では、上位のコンテナレベルを有する目標DT caseコンテナは高レベルのDT caseコンテナであり、上位のコンテナレベルを有する目標DT caseコンテナは低レベルのDT caseコンテナである。また、いくつかの管理制御シナリオでは、低レベルDT caseコンテナ、中レベルDT caseコンテナ及び高レベルDT caseコンテナが同時に関与する場合、最初にDT caseに対してAIアルゴリズムに基づいて処理を施す目標DT caseコンテナは低レベルDT caseコンテナであり、すなわち最初の操作における下位のコンテナレベルを有する目標DT caseコンテナであり、対応する上位のコンテナレベルを有する目標DT caseコンテナは中レベルDT caseコンテナである。同様に、中レベルDT caseコンテナによってDT caseに対してAIアルゴリズムに基づく処理を施す場合、該中レベルDT caseコンテナは下位のコンテナレベルを有する目標DT caseコンテナであり、高レベルDT caseコンテナは上位のコンテナレベルを有する目標DT caseコンテナである。最高レベルの目標DT caseコンテナがDT caseに対してAIアルゴリズムに基づく処理を行った後、この最高レベルの目標DT caseコンテナで得られた協調分析結果が目標分析結果として決定され、これにより、協調分析結果が階層ごとに協調し、データの参照性が向上する。
【0054】
協調分析結果は、対応するDT caseがAIアルゴリズムに基づく処理を施した結果を含むことができるとともに、すべての下位の中間分析結果を含むことができるので、協調分析結果がより豊富なデータを持つようにさせることができる。
【0055】
なお、目標分析結果は、最高レベルの目標DT caseコンテナがDT caseに対してAIアルゴリズムに基づく処理を施して得られる協調結果とすることができるので、目標分析結果が得られた後、最高レベルのDT caseコンテナがその目標分析結果をネットワーク構成情報生成用にSDONシステムに報告し、これにより、生成されたネットワーク構成情報がすべての階層のDT caseを協調して考慮できることを確保する。
【0056】
いくつかの実施例では、1つのDT caseコンテナに下位のコンテナレベルを有するDT caseコンテナが複数存在する場合があり、この場合、1つのDT caseコンテナが同時に複数の中間分析結果を受信する場合があるが、競合を回避するために、時間閾値を設定することにより、一定期間内に上位のコンテナレベルを有するDT caseコンテナを受信状態にし、その期間後に中間分析結果の受信を停止し、DT caseに対してAIアルゴリズムに基づく処理を施し、その期間内にすべての中間分析結果を受信するように協調してもよいし、他の方式、例えば、DT caseに対してAIアルゴリズムに基づく処理を施す際に1つの中間分析結果を受信するごとに、すべての中間分析結果を再協調してもよい。本実施例では、これについて限定せず、具体的な判断方式は実際のニーズに応じて選択すればよい。
【0057】
また、
図5に示すように、一実施例では、
図4に示す実施例におけるステップS420は、以下のステップS510とステップS520を含むが、これらに限定されない。
【0058】
ステップS510:管理制御シナリオに応じて、予め設定されたAIアルゴリズムライブラリから目標AIアルゴリズムを決定する。
【0059】
ステップS520:目標AIアルゴリズムによってDT caseを分析して処理する。
【0060】
なお、AIアルゴリズムライブラリはデータベースの形式であってもよく、管理制御シナリオを通じて対応する目標AIアルゴリズムをマッチングできればよい。AIアルゴリズムライブラリ中のAIアルゴリズムの数は任意であり、実際のニーズに応じて増やしたり減らしたりすればよい。
【0061】
AIアルゴリズムライブラリには、強化学習(Reinforcement Learning、RL)アルゴリズム、畳み込みニューラルネットワーク(Convolution Neural Network、CNN)、ディープニューラルネットワーク(Deep Neural Network、DNN)、グラフ畳み込みネットワーク(Graph Convolution Network、GCN)やリカレントニューラルネットワーク(Recurrent Neural Network、RNN)など、任意のタイプのAIアルゴリズムが含まれていてもよい。当業者は、実際のニーズに応じてAIアルゴリズムの種類を増やしたり減らしたりする動機がある。また、上記のAIアルゴリズムは、予め設定されたものであり、本願の実施例は、具体的なアルゴリズム訓練プロセスを含むものではなく、ここでは詳しく説明しない。
【0062】
管理制御シナリオによって、必要な操作が異なる。したがって、AIアルゴリズムライブラリに複数のAIアルゴリズムを設定し、管理制御シナリオを通じて具体的な目標AIアルゴリズムを決定することで、最適なAIアルゴリズムで対応するDT case処理を行うことを確保することができる。また、管理制御シナリオと目標AIアルゴリズムの対応関係は予め設定することができ、例えば、ユーザーが必要とする意図遅延に基づいて最適化されたエンドツーエンドOTN精品専用線サービスの需要に対して、管理制御シナリオに応じてOTNトポロジ規模を決定した後、マッチング分析の結果、計算効果が最も良いアルゴリズムは強化学習(Reinforcement Learning、RL)アルゴリズムである。
【0063】
なお、目標AIアルゴリズムの決定は、各DT caseコンテナが最適なAIアルゴリズムを用いてDT caseの処理を行うことができるように、各DT caseコンテナがDT caseに対してAIアルゴリズムに基づく処理を施すときに一度決定することができる。もちろん、同一の協調関係のもとで1つの目標AIアルゴリズムを決定し、その協調関係のもとでDT caseコンテナがDT caseに対してAIアルゴリズムに基づく処理を施すごとに同じ目標AIアルゴリズムを採用してもよい。具体的な方式は実際のニーズに応じて選択すればよい。
【0064】
また、
図6に示すように、一実施例では、
図2に示す実施例におけるステップS210は、以下のステップS610とステップS620を含むが、これらに限定されない。
【0065】
ステップS610:現在の物理ネットワークの作動状態を取得し、作動状態及び予め設定された管理情報に基づいて管理制御シナリオを決定する、又は、
【0066】
ステップS620:管理制御要求を取得し、管理制御要求に基づいて管理制御シナリオを決定する。
【0067】
なお、管理制御シナリオには、ネットワーク分析シナリオとネットワークサービスシナリオが含まれてもよい。ここで、ネットワーク分析シナリオはネットワーク分析需要によって決定され、ネットワーク分析需要はユーザーが現在の物理ネットワークに対して故障予測、作動状態分析又は問い合わせを行う需要であり、ユーザーがクライアントを通じてネットワーク管理制御システムに需要情報を送信することによって発生してもよく、ネットワーク管理制御システムは、物理ネットワークの自己検査、自己最適化、自己修復の管理目標に基づいて自ら発生してもよい。本実施例では、これについて特に限定しない。
【0068】
ネットワークサービスシナリオはユーザーのサービス需要に基づいて発生することができる。例えば、ネットワーク管理制御システムと通信可能に接続されるOTNインテリジェントネットワーク管理制御アプリケーション(Application、APP)を設定し、このOTNインテリジェントネットワーク管理制御APPを通じてユーザーのOTNネットワークに対するサービス需要を取得する。サービス需要は帯域幅オンデマンド(Bandwidth On Demand、BOD)、多層最適化(Multi-Layer Optimization、MLO)、サービスレベルプロトコル(Service-Level Agreement、SLA)、光仮想プライベートネットワーク(Optical Virtual Private Network、OVPN)、インテントベース光ネットワーク(Intent-Based Optical Network、IBON)などであってもよい。サービス需要の具体的なタイプは実際のネットワークリソースに基づいて決定されてもよく、ここでは詳しく説明しない。
【0069】
また、
図7に示すように、一実施例では、
図1に示す実施例におけるステップS140を実行する前に、以下のステップS710をさらに含むが、これに限定されない。
【0070】
ステップS710:物理ネットワークがネットワーク構成情報に基づいてネットワーク管理制御を行った後に報告した新たなDTモデルデータを取得すると、新たなDTモデルデータに基づいてネットワーク構成情報を再生成する。
【0071】
ネットワーク構成情報によるネットワーク管理制御が完了すると、物理ネットワークの物理オブジェクトの関連パラメータが変化し、すなわちDTモデルデータ中の関連パラメータも変化し、DTモデルデータと物理ネットワークの物理オブジェクトのパラメータとの対応を確保するために、物理ネットワークのネットワーク管理制御が完了した後に、新たな物理ネットワークのデータに基づいてDTモデルデータを更新することで、次回のDT case生成を最新のDTモデルデータに基づいて行うことを可能にする。さらに、DTモデルデータを更新して更なるDT caseの生成をトリガーすることによって、ネットワーク管理制御全体を閉ループにすることもでき、DTモデルデータのライフサイクル内で絶えずDT caseを更新し、目標分析結果の決定を行うことができ、動的検出能力を効果的に高める。
【0072】
また、
図8に示すように、一実施例では、
図1に示す実施例におけるステップS140を実行した後に、以下のステップS810を含むが、これに限定されない。
【0073】
ステップS810:ネットワーク管理制御が完了した後の物理ネットワークのネットワーク状態情報を取得して表示する。
【0074】
なお、取得されたネットワーク状態情報は、
図6の実施例で説明されたOTNインテリジェントネットワーク管理制御APPを介して表示されてもよく、ネットワーク管理制御システムと通信可能に接続された他の機器を介して表示されてもよく、ユーザーが現在の物理ネットワークの作動状態を直感的に把握することができればよい。なお、ネットワーク状態情報は、物理ネットワークに関連するコンテンツであってもよく、例えば、OTNシステムの場合、ネットワーク状態情報は、リアルタイムのOTNネットワークトポロジ、OTNネットワークサービス作動状態、ネットワーク性能状態、ネットワークリソースの可用性状態等を含んでもよく、具体的な表示コンテンツは、実際のニーズに応じて選択すればよい。
【0075】
ネットワーク状態情報は、リアルタイムで取得して表示されてもよく、ユーザーのニーズに応じてOTNインテリジェントネットワーク管理制御APPに表示されてもよい。本実施例では、これについて特に限定しない。
【0076】
図9に示すように、
図9は、本願の一実施例による、ネットワーク管理制御システムと通信可能に接続されたデータ取得装置に適用されるネットワーク管理制御方法であって、以下のステップS910とステップS920を含むが、これらに限定されない。
【0077】
ステップS910:物理ネットワーク内の物理オブジェクトに対応するDTモデルデータを生成する。
【0078】
なお、ネットワーク管理制御システムに対して、SDONは物理ネットワークの管理制御、例えばOTNシステムにおけるエンドツーエンドOTN業務の動的管理制御、ネットワークトポロジ管理、OTN業務故障保護などの機能を実現することができるが、SDONは物理ネットワークからDTモデルデータを直接取得することはできないので、本願の実施例におけるデータ取得装置は、物理ネットワークからデータを取得してDTモデルデータを生成するための装置であってもよい。装置の具体的なエンティティは任意であってもよく、本実施例では、これについて限定せず、対応する機能を実現できればよい。
【0079】
なお、データ取得装置は、HDTON caseスケジューラのニーズに応じて、物理OTNネットワークからDTモデルデータを取得し、取得したDTモデルデータをHDTON caseスケジューラに報告し、各DT caseコンテナがDTモデルデータに基づいてDT caseを生成するようにしてもよい。
【0080】
ステップS920:DTモデルデータをネットワーク管理制御システムに送信し、ネットワーク管理制御システムがDTモデルデータに基づいてネットワーク構成情報を生成し、ネットワーク構成情報を物理ネットワークに配信し、物理ネットワークがネットワーク構成情報に基づいてネットワーク管理制御を行うようにする。ネットワーク構成情報は、ネットワーク管理制御システムによって目的分析結果に基づいて生成される。目的分析結果は、ネットワーク管理制御システムによって協調関係及び異なる階層を有するすべてのDT caseに基づいて得られる。異なる階層を有するすべてのDT caseは、ネットワーク管理制御システムによってDTモデルデータに基づいて生成される。DT caseの階層と物理オブジェクトの階層とが対応しており、異なる階層を有するDT caseの間で機能的な協調関係がある。
【0081】
なお、ネットワーク管理制御システムがDT case及びネットワーク構成情報を生成する方法及び原理は、
図1に示された実施例の説明を参照してもよい。同様に、階層及び協調関係の具体的な説明も
図1に示す実施例の説明を参照してもよく、説明を簡単にするために、ここでは、詳しく説明しない。
【0082】
また、
図10に示すように、一実施例では、
図9に示す実施例におけるステップS910は、以下のステップS1010とステップS1020を含むが、これらに限定されない。
【0083】
ステップS1010:ネットワーク管理制御システムによって配信されたデータ要求を取得し、データ要求は、ネットワーク管理制御システムによって管理制御シナリオに応じて決定される。
【0084】
ステップS1020:データ要求に応じて、物理ネットワーク内の物理オブジェクトに対応するDTモデルデータを生成する。
【0085】
データ要求の具体的な生成方法及び原理は、
図2に示す実施例の説明を参照してもよいので、説明を簡単にするために、ここでは、詳しく説明しない。
【0086】
なお、データ要求は、ネットワーク管理制御システムのHDTON caseスケジューラによってデータ取得装置に配信されてもよい。データ取得装置は、具体的なデータ要求に基づいて、デジタルツイン技術を利用して、物理ネットワーク内の物理オブジェクトの物理モデルを決定して、この物理モデルから必要なパラメータと属性を取得し、取得したパラメータと属性からDTモデルデータを抽出し、これにより、DTモデルデータが実際の物理ネットワークの物理オブジェクトのパラメータと一致することを確保する。
【0087】
また、
図11に示すように、一実施例では、
図10に示す実施例におけるステップS1020を実行した後に、以下のステップS1110とステップS1120を含むが、これらに限定されない。
【0088】
ステップS1110:DTモデルデータのライフサイクルにおいて、物理オブジェクトの物理パラメータ及び/又は物理属性の変化が検出された場合、変化後の物理オブジェクトに基づいてDTモデルデータを更新する。
【0089】
ステップS1120:更新したDTモデルデータをネットワーク管理制御システムに同期させ、ネットワーク管理制御システムが更新したDTモデルデータに基づいてネットワーク構成情報を得るようにする。
【0090】
なお、DTモデルデータのライフサイクルは管理制御シナリオを決定してから、物理ネットワークがネットワーク管理制御を完了するまで、あるいは設定された作動期間であって、具体的な形式は実際のニーズに応じて選択され、ライフサイクル内でDTモデルデータの対応する物理モデルの一致を維持できればよい。
【0091】
DTモデルデータのライフサイクル内でDTモデルデータのリアルタイム同期を維持することにより、取得したDTモデルデータが現在の物理ネットワークの物理オブジェクトのリアルタイムパラメータを反映できることを確保することができ、それによって得られた目標分析結果が実際のネットワーク状況を反映し、ネットワークの動的検出能力を確保できる。
【0092】
物理パラメータ及び/又は物理属性の変化は、数値的な変化であってもよいし、1つの収集期間内に収集されるデータの変化であってもよいし、属性が新たに追加又は減少されたなどであってもよい。本実施例では、具体的な変化について特に説明しない。
【0093】
以下では、
図12に示すOTNシステムの構成を参照して、2つの具体的な管理制御シナリオによって本願の実施例の技術案についてさらに例示的に説明する。
【0094】
なお、
図12に示すOTNシステムは、OTN伝送プレーンと、HDTONインテリジェント管理制御システムとを含み、また、OTNインテリジェントネットワーク管理制御APPとHDTONインテリジェント管理制御システムとの通信接続が設けられている。HDTONインテリジェント管理制御システムには、SDONシステム、HDTON caseスケジューラ、及びAIアルゴリズムエンジンライブラリが設けられている。HDTON caseスケジューラには、高レベルDT caseコンテナ、中レベルDT caseコンテナ、及び低レベルDT caseコンテナが予め設けられている。AIアルゴリズムエンジンライブラリには、適用シナリオ分析アダプタといくつかの予め訓練されたAIアルゴリズムが含まれている。OTN伝送プレーンは、複数の物理機器を含む物理ネットワークと、物理機器に対応するデジタルモデルが構築されているDTモデルとを含む。なお、上記構成要素は、物理的な装置であってもよく、対応する機能を有する機能モジュールであってもよく、本実施例では、具体的な実装形態について特に限定せず。また、上記装置は、説明の便宜のために選択された例であり、本願の技術案に制限を与えるものではない。
【0095】
例1:
図13に示すように、OTNネットワークトラフィック分析適用シナリオでは、ネットワーク管理制御方法は、以下のステップS1310~ステップS1370を含むが、これらに限定されない。
【0096】
ステップS1310:HDTON caseスケジューラは、OTNネットワークトラフィック分析要件に基づいて、OTN伝送プレーンからOTNネットワークトラフィックDTモデルデータを取得し、ここで、OTNネットワークトラフィックDTモデルデータは、OTNネットワークトポロジ、OTNネットワークトポロジにおける全ネットワークODU業務分布及び各ODUノードのトラフィックスループットを含む。
【0097】
ステップS1320:HDTON caseスケジューラは、OTNネットワークトラフィックDTモデルデータを取得した後、高レベルDT caseコンテナ内で全ネットワークOTNトポロジにおけるODU業務をDT化し、ネットワークレベルODU業務DT caseを生成し、中レベルDT caseコンテナ内で各ODUノードのトラフィックスループットをDT化し、各ODUノードのトラフィックスループットDT caseを個別に作成して生成する。
【0098】
ステップS1330:中レベルDT caseコンテナは、OTNネットワークトラフィック分析適用シナリオに応じて、シナリオ分析アダプタを通じてAIアルゴリズムエンジンライブラリからAIアルゴリズムを取得し、各ODUノードトラフィックスループットDT caseに対してODUノードトラフィックスループット予測モデルを構築して訓練して得て、ここで、ODUノードトラフィックスループットDT caseは自身のODUノードトラフィックスループットの予測モデルに基づいて、ODUノードの指定した予測周期内のトラフィックスループット予測結果を得て、トラフィックスループットが上昇してこのODUノード交換容量に近づくDT caseについて、容量拡張分析結果を得る。
【0099】
ステップS1340:中レベルDT caseコンテナは、各ODUノードトラフィックスループットDT caseのトラフィックスループット予測結果を高レベルDT caseコンテナ中の対応するネットワークレベルODU業務DT caseに報告し、当該ネットワークレベルODU業務DT caseは、各ODUノードの交換容量のDT caseによるODUノードのトラフィックスループットの予測結果及び容量拡張分析結果に基づいて、容量拡張処理を必要とするODUノードによって運ばれるODU業務に対して切断・再ルーティング最適化シミュレーションを行い、ここで、切断・再ルーティング最適化シミュレーションは以下のステップを含む。高レベルDT caseコンテナは、OTNネットワークトラフィック分析適用シナリオに基づいて、シナリオ分析アダプタを通じてAIアルゴリズムエンジンライブラリからAIアルゴリズムを取得し、当該ネットワークレベルODU業務DT caseにおいて切断・再ルーティング最適化対象となるODU業務について、各ODU業務の最適化戦略に従って単一のODU業務の最適化計算を行い、或いは複数のODU業務の同時最適化計算を行い、最適化後の全ネットワークODU業務分布シミュレーション効果を得て、このネットワークレベルODU業務DT caseに記録する。
【0100】
ステップS1350:高レベルDT caseコンテナは、ステップS1340でネットワークレベルODU業務DT caseによって行われた全ネットワークODU業務の切断・再ルーティング最適化分析の結果、容量拡張分析を必要とする記録されたすべてのODUノード情報を、HDTON caseスケジューラを介して、SDONシステムに通知する。
【0101】
ステップS1360:SDONシステムは、ステップS1350で得られた切断・再ルーティング最適化分析結果及び容量拡張分析を必要とする記録されたすべてのODUノード情報に基づいて、OTN伝送プレーンの現在のOTN物理ネットワークに対して関連業務の再ルーティング最適化及びノード容量拡張処理を行う。
【0102】
ステップS1370:OTN物理ネットワークの管理制御が完了した後、OTNネットワークトラフィックDTモデルデータを更新し、ステップS1310を再び実行する。
なお、トラフィックスループットには、ODUノードのアップダウントラフィックとスルートラフィックが含まれていてもよく、実際のニーズに応じて選択すればよい。
【0103】
トラフィックスループットの予測結果は、次の15日間のトラフィックスループットの平均値及びピーク値、又は、次の月のトラフィックスループットの平均値及びピーク値など、任意の期間におけるトラフィックスループットの値であってもよい。本実施例では、これについて特に限定しない。
【0104】
なお、ステップS1340で得られた切断・再ルーティング最適化分析結果は、OTN伝送プレーンの既存のネットワークOTN物理ネットワークの運用への影響が最小である業務再最適化配置が行われる再ルーティング最適化のための最適な時間ウィンドウであり得る。
【0105】
例2:OTNネットワーク光モジュール故障予測適用シナリオでは、ネットワーク管理制御方法は、以下のステップS1410~ステップS1470を含むが、これらに限定されない。
【0106】
ステップS1410:HDTON caseスケジューラは、OTNネットワーク光モジュール故障分析要求に応じて、OTN伝送プレーンからOTNネットワーク光モジュール故障分析DTモデルデータを取得し、ここで、OTNネットワーク光モジュール故障分析DTモデルデータは、OTNネットワークトポロジ、OTNネットワークトポロジにおける全ネットワークOCH光層業務分布及びOTNネットワークトポロジ内の各ROADMノードにおける光モジュールデータを含む。
【0107】
ステップS1420:HDTON caseスケジューラは、OTNネットワーク光モジュール故障分析DTモデルデータを取得した後、高レベルDT caseコンテナ内で全ネットワークOTNトポロジにおけるOCH光層業務をDT化し、ネットワークレベルOCH光層業務DT caseを生成する。低レベルDT caseコンテナ内で各ROADMノードにおける光モジュールデータをDT化し、各ROADMノードにおける各光モジュールの故障予測DT caseを個別に作成して生成する。
【0108】
ステップS1430:低レベルDT caseコンテナは、OTNネットワーク光モジュール故障予測適用シナリオに応じて、シナリオ分析アダプタを通じてAIアルゴリズムエンジンライブラリからAIアルゴリズムを取得し、各ROADMノードにおける各光モジュールの故障予測DT caseに対して光モジュールの故障予測モデルを構築して訓練して得て、ここで、各光モジュール故障予測DT caseは自身の光モジュール故障の予測モデルに基づいて、本モジュール故障発生の時間ウィンドウを予測し、故障が予測された光モジュールの交換分析結果を得る。
【0109】
ステップS1440:低レベルDT caseコンテナは、故障が予測された光モジュールの交換分析結果を高レベルDT caseコンテナ中の対応するネットワークレベルOCH光層業務DT caseに報告する。ネットワークレベルOCH光層業務DT caseは、各光モジュール故障予測分析の結論に基づいて、故障交換を必要とするROADMノードにおける光モジュールによって運ばれるOCH光層業務に対して切断・再ルーティング最適化シミュレーションを行う。ここで、切断・再ルーティング最適化シミュレーションは具体的には以下のステップを含む。高レベルDT caseコンテナは、OTNネットワーク光モジュール故障予測適用シナリオに応じて、シナリオ分析アダプタを通じてAIアルゴリズムエンジンライブラリからAIアルゴリズムを取得し、当該ネットワークレベルOCH光層業務DT caseにおいて光モジュール故障予測により引き起こされる、切断・再ルーティング最適化対象のOCH光層業務に対して、各OCH光層業務の最適化戦略に従って、単一のOCH光層業務最適化計算、又は複数のOCH光層業務の同時最適化計算を行い、最適化後の全ネットワークOCH光層業務分布シミュレーション効果を取得し、このネットワークレベルOCH光層業務DT caseに記録する。
【0110】
ステップS1450:高レベルDT caseコンテナは、ステップS1440でネットワークレベルOCH光層業務DT caseによって行われた全ネットワークOCH光層業務の切断・再ルーティング最適化分析の結果、故障予測交換を必要とする記録されたすべてのROADMノード光モジュール情報を、HDTON caseスケジューラを介して、SDONシステムに通知する。
【0111】
ステップS1460:SDONシステムは、ステップS1450で得られた全ネットワークOCH光層業務の切断・再ルーティング最適化分析結果及び故障予測交換を必要とする記録されたすべてのROADMノード光モジュール情報に基づいて、OTN伝送プレーンの現在のOTN物理ネットワークに対して、関連するOCH光層業務再ルーティング最適化及び光モジュール故障予測交換処理を行う。
【0112】
ステップS1470:OTN物理ネットワークの管理制御が完了した後、OTNネットワーク光モジュール故障分析DTモデルデータを更新し、ステップS1410を再び実行する。
【0113】
なお、各ROADMノードにおける光モジュールデータは、故障予測のためのモデル化されたデータ、例えば、光モジュール入出力パワー、レーザバイアス電流、光モジュール温度などであってもよい。ここでは、特に限定しない。
【0114】
トラフィックスループット予測結果は、OTN伝送プレーンの既存のネットワークOTN物理ネットワークの運用への影響が最小である業務再最適化配置が行われる再ルーティング最適化のための最適な時間ウィンドウである。
【0115】
また、
図15に示すように、本願の一実施例は、メモリ1510と、プロセッサ1520と、メモリ1510上に記憶され、プロセッサ1520上で実行可能なコンピュータプログラムとを含むネットワーク管理制御システム1500をさらに提供する。
【0116】
プロセッサ1520及びメモリ1510は、バス又は他の手段を介して接続されることができる。
【0117】
上記の実施例のネットワーク管理制御方法を実現するために必要な非一時的なソフトウェアプログラム及び命令は、メモリ1510に記憶され、プロセッサ1520によって実行されると、上記の実施例のネットワーク管理制御システム1500に適用されるネットワーク管理制御方法が実行され、例えば、上記の
図1の方法ステップS110~S140、
図2の方法ステップS210~S220、
図3の方法ステップS310、
図4の方法ステップS410~S420、
図5の方法ステップS510~S520、
図6の方法ステップS610~S620、
図7の方法ステップS710、
図8の方法ステップS810が実行される。
【0118】
本願の実施例は、物理ネットワーク内の物理オブジェクトに対応するDTモデルデータを取得するステップと、前記DTモデルデータに基づいて、異なる階層を有するデジタルツインケースDT caseを生成するステップであって、DT caseの階層と物理オブジェクトの階層とが対応しており、前記異なる階層を有するDT caseの間で機能的な協調関係があるステップと、前記協調関係及びすべての前記DT caseに基づいて目標分析結果を得るステップと、前記目標分析結果に基づいてネットワーク構成情報を生成し、前記ネットワーク構成情報を前記物理ネットワークに配信し、前記物理ネットワークが前記ネットワーク構成情報に基づいてネットワーク管理制御を行うようにするステップと、を含む。本願の実施例によるスキームによれば、異なる階層を有するDT case及び協調関係に基づいてネットワーク管理制御を実現し、ネットワークシステムの動的検出能力及びデジタル化分析能力を向上させることができる。
【0119】
上記で説明された装置の実施例は単に概略的なものであり、分離された構成要素として説明されたユニットは、物理的に分離されていてもよいし、そうでなくてもよい、すなわち、1つの場所に配置されていてもよいし、複数のネットワークユニットに分散されていてもよい。これらのモジュールの一部又は全部は、実際のニーズに応じて、本実施例のスキームの目的を達成するために選択されてもよい。
【0120】
さらに、本願の一実施例は、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体をさらに提供し、該コンピュータ読み取り可能な記憶媒体にコンピュータ実行可能命令が格納され、該コンピュータ実行可能命令が1つのプロセッサ又はコントローラによって実行される。例えば、該コンピュータ実行可能命令が上記実施例の1つのプロセッサによって実行されると、上記実施例のネットワーク管理制御システムに適用されるネットワーク管理制御方法、例えば、以上説明した、
図1の方法ステップS110~S140、
図2の方法ステップS210~S220、
図3の方法ステップS310、
図4の方法ステップS410~S420、
図5の方法ステップS510~S520、
図6の方法ステップS610~S620、
図7の方法ステップS710、
図8の方法ステップS810を上記プロセッサに実行させ、又は、上記の実施例の1つのプロセッサによって実行されると、上記の実施例のデータ取得装置に適用されるネットワーク管理制御方法、例えば、以上説明した、
図9の方法ステップS910~S920、
図10の方法ステップS1010~S1020、
図11の方法ステップS1110~S1120を上記プロセッサに実行させる。
【0121】
当業者であれば、上記で開示された方法におけるステップ、システムの全部又は一部は、ソフトウェア、ファームウェア、ハードウェア、及びそれらの適切な組み合わせとして実装されてもよいことを理解する。物理的構成要素の一部又はすべては、中央処理装置、デジタル信号処理装置、マイクロプロセッサなどのプロセッサによって実行されるソフトウェアとして、又はハードウェアとして、又は特定用途向け集積回路などの集積回路として実装されてもよい。このようなソフトウェアは、コンピュータ記憶媒体(又は非一時的媒体)及び通信媒体(又は一時的媒体)を含むことができるコンピュータ読み取り可能な媒体上に配布することができる。当業者に周知のように、コンピュータ記憶媒体という用語は、情報(例えば、コンピュータ読み取り可能な命令、データ構造、プログラムモジュール、又は他のデータ)を記憶するための任意の方法又は技術において実施される、揮発性及び不揮発性の、取り外し可能な、及び取り外し不可能な媒体を含む。コンピュータ記憶媒体は、RAM、ROM、EEPROM、フラッシュメモリ又は他のメモリ技術、CD-ROM、デジタル多用途ディスク(DVD)又は他の光ディスク記憶装置、磁気カートリッジ、磁気テープ、磁気ディスク記憶装置若しくは他の磁気記憶装置、又は所望の情報を記憶するために使用することができ、コンピュータによってアクセスすることができる他の任意の媒体を含むが、これらに限定されない。さらに、当業者に周知のように、通信媒体は、通常、コンピュータ読み取り可能な命令、データ構造、プログラムモジュール、又は搬送波や他の送信機構のような変調データ信号中の他のデータを含み、任意の情報配信媒体を含み得る。
【0122】
以上は本願の好ましい実施例を具体的に説明したが、本願は上記の実施例に限定されるものではなく、当業者は本願の精神に反しないことを前提に様々な均等な変形又は置換を行うことができ、これらの均等な変形又は置換はいずれも本願の請求項によって限定される範囲内に含まれる。
【手続補正3】
【補正対象書類名】図面
【補正方法】変更
【補正の内容】
【手続補正4】
【補正対象書類名】図面
【補正方法】変更
【補正の内容】
【国際調査報告】