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特表2024-510733アンモニアクラッキングから水素を製造するための方法およびシステム
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  • 特表-アンモニアクラッキングから水素を製造するための方法およびシステム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-11
(54)【発明の名称】アンモニアクラッキングから水素を製造するための方法およびシステム
(51)【国際特許分類】
   C01B 3/04 20060101AFI20240304BHJP
【FI】
C01B3/04 B
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023555174
(86)(22)【出願日】2022-03-10
(85)【翻訳文提出日】2023-10-18
(86)【国際出願番号】 EP2022056166
(87)【国際公開番号】W WO2022189560
(87)【国際公開日】2022-09-15
(31)【優先権主張番号】21162069.5
(32)【優先日】2021-03-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】590000282
【氏名又は名称】トプソー・アクチエゼルスカベット
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100139527
【弁理士】
【氏名又は名称】上西 克礼
(74)【代理人】
【識別番号】100164781
【弁理士】
【氏名又は名称】虎山 一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100221981
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 大成
(72)【発明者】
【氏名】ハン・パト・ア
(72)【発明者】
【氏名】シェルネホフ・エーミル・アンドレアス
(72)【発明者】
【氏名】エスケスン・セーアン・グランボー
(57)【要約】
以下を含む、アンモニアから水素生成物を製造するための方法およびシステム:任意選択的に、アンモニア供給材料ストリームを受け入れるように配置された少なくとも1つの予備クラッキング反応器、例えば断熱式予備クラッキング反応器であって、それによってアンモニア、水素および窒素を含む部分的に転化されたアンモニア供給材料ストリームを生成する予備クラッキング反応器;アンモニアクラッキング反応器、例えば電気加熱反応器。前記反応器は、水素および窒素ならびに任意選択的にまた未転化アンモニアを含む流出ガスストリームを生成するための部分的に転化されたアンモニア供給材料ストリームまたはアンモニア供給材料ストリームを受け入れるように配置されており;水素回収ユニットは、水素生成物、ならびに水素、窒素および任意選択的に未転化アンモニアを含むオフガスストリームを生成するための流出ガスストリームを受け入れるように配置されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アンモニアから水素生成物を製造するための方法であって、以下のステップ:
i)アンモニア供給材料ストリームを提供するステップ;
ii)前記のアンモニア供給材料ストリームを、アンモニア、水素および窒素を含む部分的に転化されたアンモニア供給材料ストリームを生成するために、少なくとも1つのアンモニア予備クラッキング反応器に通すステップ;
iii)前記の部分的に転化されたアンモニア供給材料ストリームを、水素および窒素および任意選択的にまた未転化アンモニアを含む流出ガスストリームを生成するために、アンモニアクラッキング反応器に通すステップ;
iv)前記流出ガスストリームを、前記水素生成物と、水素、窒素および任意選択的に未転化アンモニアを含むオフガスストリームとを生成するために、水素回収ユニットに通すステップ、
を含む方法において、
ステップiv)が、前記流出ガスストリームを前記水素回収ユニットに通す前に、前記流出ガスストリームを、前記アンモニア供給材料ストリームとの熱交換により冷却することを含む、
前記方法。
【請求項2】
前記アンモニアクラッキング反応器が、1つまたは複数の触媒充填管を含む燃焼加熱反応器、対流加熱反応器、電気加熱反応器、誘導加熱反応器またはそれらの組み合わせである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記の少なくとも1つのアンモニア予備クラッキング反応器および/または前記のアンモニアクラッキング反応器が、300~700℃の温度範囲で、かつ、アンモニア合成触媒、例えば、Fe、Co、RuまたはNi系触媒のいずれか、好ましくはFe系触媒を用いて運転される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
さらに、以下:
v)- 燃焼加熱反応器または対流加熱反応器において必要な熱を生成するために、前記オフガスストリームを、それを空気ストリームと、任意選択的にまた別個の燃料ストリームとも混合して、燃焼加熱反応器または対流加熱反応器に通すこと;または
- 好ましくは前記アンモニアクラッキング反応器が電気加熱反応器または誘導加熱反応器である場合に、アンモニア供給材料ガスストリームを予熱するために、オフガスストリームを、それを空気ストリームと、任意選択的にまた別個の燃料ストリームと混合して、燃焼加熱器に通すこと、
を含む、請求項1~3のいずれか1つに記載の方法。
【請求項5】
以下:
- 前記流出ガスストリームの一部を転用し、それを前記別個の燃料ストリームの少なくとも一部として供給すること;および/または
- アンモニアストリームの一部、例えばアンモニア供給材料ストリームの一部を転用し、それを前記の別個の燃料ストリームの少なくとも一部として供給すること、
を含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
アンモニア供給材料ストリームが、液体アンモニア、例えば貯留部から取り入れられた液体アンモニアから導かれ、および、任意選択的な水除去、蒸発、および前記蒸発の前の任意選択的な予熱に付されたものである、請求項1~5のいずれか1つに記載の方法。
【請求項7】
前記の水除去が、貯留部から取り入れられた液体アンモニアを、アルカリまたはポリマー電解質膜(PEM)電解ユニットにおける電気分解に付すことによって実施され、それによって前記アンモニア供給材料ストリーム、ならびに酸素生成物および水素生成物を生成する、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
ステップiv)がさらに、アンモニア供給材料ストリームとの熱交換による流出ガスストリームの前記冷却後に、アンモニア回収蒸留塔における蒸留により、流出ガスストリームにおける未転化アンモニアを回収することを含み、前記冷却後かつ蒸留の前に、そのように冷却された流出ガスストリームは、窒素および水素を含む頂部ストリームと、未転化アンモニアを含む底部液体ストリームとを生成するために、流出ガスセパレーター、例えば水をスクラビング媒体として使用する流出ガススクラビングユニットに供給される、請求項1~7のいずれか1つに記載の方法。
【請求項9】
前記の水除去が、蒸発ステップからのアンモニア供給材料ガスストリームを、前記アンモニア回収蒸留塔における蒸留に付すことによって実施され、それによって前記アンモニア供給材料ストリームが生成する、請求項6~8のいずれか1つに記載の方法。
【請求項10】
液体アンモニア、例えば貯留部から取り入れられた液体アンモニアから導かれるアンモニア供給材料ストリームの蒸発前の前記予熱が、アンモニア回収蒸留塔から取り出された頂部ガスストリームと熱交換することを含む、請求項6および8~9のいずれか1つに記載の方法。
【請求項11】
水素およびアンモニアを含む軽質頂部ガスストリームが、アンモニア回収蒸留塔から、好適には前記頂部ガスストリームから取り出され、前記流出ガスセパレーターに供給される、請求項8~10のいずれか1つに記載の方法。
【請求項12】
水素回収ユニットが、少なくとも1つの圧力スイング吸着(PSA)ユニットを、それによって前記水素生成物および前記オフガスストリームを生成するために含む、請求項1~11のいずれか1つに記載の方法。
【請求項13】
- 水素回収ユニットが、前記水素生成物を生成するための第1および第2のPSAユニットを備え、前記方法がさらに、第1のPSAユニットから第1のオフガスストリームを取り出し、圧縮すること、およびそれを第2のPSAユニットに通すことによって前記オフガスストリームを生成することを含むか;あるいは
- 水素回収ユニットが、膜ユニットおよびPSAユニットを備える、
請求項12に記載の方法。
【請求項14】
アンモニアから水素生成物を製造するための方法であって、以下のステップ:
- アンモニア供給材料ストリームを提供するステップ;
- 前記のアンモニア供給材料ストリームを、水素および窒素および任意選択的にまた未転化アンモニアを含む流出ガスストリームを生成するために、アンモニアクラッキング反応器に通すステップ;
- 前記流出ガスストリームを、前記水素生成物と、水素、窒素および任意選択的に未転化アンモニアを含むオフガスストリームとを生成するために水素回収ユニットに通すステップであって、さらに、前記流出ガスストリームを、前記流出ガスストリームを水素回収ユニットに通す前に、アンモニア供給材料ストリームとの熱交換により冷却することを含むステップ;
を含む方法において、
アンモニア供給材料ストリームをアンモニアクラッキング反応器に通す前記ステップの前に、アンモニア、水素及び窒素を含む部分的に転化されたアンモニア供給材料ストリームを生成するための、アンモニア供給材料ストリームをアンモニア予備クラッキング反応器に通すステップは存在しない、
前記方法。
【請求項15】
以下:
- アンモニア供給材料ストリームを受け入れるように配置された少なくとも1つの予備クラッキング反応器、例えば断熱式予備クラッキング反応器、ここで、前記少なくとも1つの予備クラッキング反応器は、好ましくは、その中に、アンモニア、水素および窒素を含む部分的に転化されたアンモニア供給材料ストリームを生成するための触媒固定床が配置されている;
- 水素および窒素および任意選択的にまた未転化アンモニアを含む流出ガスストリームを生成するための部分的に転化されたアンモニア供給材料ストリームを受け入れるように配置されたアンモニアクラッキング反応器;
- 水素生成物と、水素、窒素および任意選択的に未転化アンモニアを含むオフガスストリームとを生成するための流出ガスストリームを受け入れるように配置された水素回収ユニット;
を含む、アンモニアから水素生成物を製造するためのシステムであって、
さらに、アンモニア供給材料ストリームとの熱交換によって前記流出ガスストリームを冷却するために適合された少なくとも1つの熱交換器を水素回収ユニットの上流に含む、
前記システム。
【請求項16】
以下:
- 水素および窒素および任意選択的にまた未転化アンモニアを含む流出ガスストリームを生成するためのアンモニア供給材料ストリームを受け入れるように配置されたアンモニアクラッキング反応器;
- 水素生成物と、水素、窒素および任意選択的に未転化アンモニアを含むオフガスストリームとを生成するための流出ガスストリームを受け入れるように配置された水素回収ユニット;
を含む、アンモニアから水素生成物を製造するためのシステムであって、
さらに、アンモニア供給材料ストリームとの熱交換によって前記流出ガスストリームを冷却するために適合された少なくとも1つの熱交換器を水素回収ユニットの上流に含み、
前記アンモニアクラッキング反応器の上流に、予備クラッキング反応器が存在しない、
前記システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水素を製造するためにアンモニアをクラッキングするための方法およびシステムに関する。実施態様には、任意選択的にアンモニア供給材料を少なくとも1つの断熱式予備クラッキング反応器に通すこと、それに続くアンモニアクラッキング反応器におけるクラッキング、および水素回収ユニットにおける水素精製が含まれる。本発明は、エネルギー源として、および/または水素の生成のために、アンモニアを使用する全ての技術分野に関連する。特に、本発明は、アンモニアが主要なまたは唯一のエネルギー源である場合に関連し、これは、エネルギーキャリアとしてアンモニアを使用するグリーンへの移行において重要である。
【0002】
アンモニアを主要なまたは唯一のエネルギー源として有するこのようなスキームは、エネルギーキャリアとしてアンモニアを使用するグリーンへの移行において重要である。
【背景技術】
【0003】
液体アンモニアは、例えば燃料源がほとんどまたは全くない領域において、重要なエネルギーキャリアであるため、水素を生成するための重要な供給源である。エネルギーキャリアとしてのアンモニアの利点は、液体アンモニアが例えば天然ガスまたは水素ガスよりも輸送および貯蔵が容易であることである。さらに、アンモニア中にエネルギーを貯蔵することは、例えば水素または電池中におけるよりも、安価である。
【0004】
アンモニアをエネルギーキャリアまたは水素キャリアとして使用する場合、アンモニアは、燃焼エンジン/ガスタービン又は燃料電池に直接利用することができ、および/または、それは、水素及び窒素にクラッキング/分解することができる。分解されたアンモニアは、ガスタービンに供することができ、又は燃料電池又は他の使用のために水素を回収することができる。
【0005】
US4704267(特許文献1)は、アンモニアを気化させ、続いてその構成成分に解離させる方法を開示している。得られた解離ガスストリームは、当該ストリーム中に存在する水素を吸収するために、断熱式の金属水素化物精製ユニットに通される。次いで、吸着された水素は、高純度生成物として回収される。
【0006】
出願人のWO2019038251A1(特許文献2)は、窒素、水、多量の窒素酸化物および残量のアンモニアを含有するプロセスガスを形成するための酸素含有ガスでのアンモニアの非接触部分酸化;前記プロセスガスにおける前記残量のアンモニアの少なくとも一部を、ニッケル含有触媒との接触により、水素および窒素へクラッキングし、同時に、前記の多量の窒素酸化物を、プロセスガスとニッケル含有触媒との接触による前記プロセスガスのクラッキングの間に形成した水素の一部との反応により、窒素および水への還元すること;および水素および窒素を含有する生成物ガスを取り出すこと、を含む方法を開示している。
【0007】
US20160340182A1(特許文献3)は、アンモニア分解に適した金属担持触媒の使用によるアンモニアクラッキングを開示しており、生成した水素は、精製後、燃料電池において使用される。アンモニアの窒素および水素への分解は、350~800℃、好ましくはRu触媒では400~600℃、NiまたはCo触媒では500~750Cの範囲で行われる。
【0008】
WO20111107279A1(特許文献4)は、燃料電池に供するために、アンモニアからの水素製造を開示している。固体材料、例えば金属アミン塩中に貯蔵されたアンモニアから水素を生成し、それを低温燃料電池に組み入れるための装置が提供される。
【0009】
US2009274591A1(特許文献5)も、燃料電池と組み合わせて水素製造を開示している。液体アンモニアを水素と窒素に分解するためのコンパクトな装置が提供され、この装置では、水素がアルカリ燃料電池に供給される。前記装置はカスケードに配置された3つの反応器を有し、最初の2つの反応器は熱触媒分解を実施し、第3の反応器はマイクロ波共振器である。アルカリ燃料電池に供給するのに適した水素が、スクラバーを横切った後に得られる。前記燃料電池は、自動車の製造のために提供される。
【0010】
上記の従来技術は少なくとも、アンモニア供給材料ストリームを用いたアンモニアクラッキングからの流出ガスを、そこから水素を回収する前に、冷却することについては触れていない。
【0011】
アンモニアを水素と窒素とに解離させるための触媒充填管を含む燃焼加熱反応器を使用することも知られている。燃焼、および従って加熱は、通常天然ガスを使用することによって行われ、よって、アンモニア中の水素は全て流出ガスストリームに行き、廃熱は蒸気生成のために回収され、それは引き続き、それらのプラントにおける回転機械を運転するために使用される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】US4704267
【特許文献2】WO2019038251A1
【特許文献3】US20160340182A1
【特許文献4】WO20111107279A1
【特許文献5】US2009274591A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
蒸気の生成が低減されるかまたは蒸気が生成されない、アンモニアから水素生成物を製造するための方法(プロセス)およびシステム(プラント)を提供することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0014】
従って、第1の態様において、本発明は、アンモニアから水素生成物を製造するための方法であって、以下のステップ:
i)アンモニア供給材料ストリームを提供するステップ;
ii)前記のアンモニア供給材料ストリームを、アンモニア、水素および窒素を含む部分的に転化されたアンモニア供給材料ストリームを生成するために、少なくとも1つのアンモニア予備クラッキング反応器に通すステップ;
iii)前記の部分的に転化されたアンモニア供給材料ストリームを、水素および窒素および任意選択的にまた未転化アンモニアを含む流出ガスストリームを生成するために、アンモニアクラッキング反応器に通すステップ;
iv)前記流出ガスストリームを、前記水素生成物と、水素、窒素および任意選択的に未転化アンモニアを含むオフガスストリームとを生成するために、水素回収ユニットに通すステップ、
を含み、
ステップiv)が、前記流出ガスストリームを前記水素回収ユニットに通す前に、前記流出ガスストリームを、前記アンモニア供給材料ストリームとの熱交換により冷却することを含む、
前記製造方法である。
【0015】
本願の目的に関して、「第1の態様」または「本発明の第1の態様」という語句は、前記方法(プロセス)に関する実施態様を意味する。「第2の態様」または「本発明の第2の態様」という語句は、前記システム(プロセスプラント、すなわちプラント)に関する実施態様を意味する。
【0016】
所与のステップは、1つまたは複数のサブステップを含むことができることは理解されよう。また、所与のステップは、対応するユニットまたはユニットの組み合わせにおいて行われることも理解されよう。
【0017】
本明細書で使用される場合に、語句「アンモニア」は広く理解されるべきであり、アンモニア供給材料ストリームを含む。語句「アンモニア供給材料ストリーム」は、「ガス状アンモニア供給材料ストリーム」として理解されるべきであり、これは例えば、以下の実施態様から明らかになるように、液体アンモニア、例えば貯留部から取り入れられる液体アンモニアに由来する。部分的に転化されたアンモニア供給材料ストリームという語句もまたガスであり、従って、「部分的に転化されたアンモニア供給材料ストリーム」という語句が、「部分的に転化されたガス状アンモニア供給材料ストリーム」と同じ意味を有することも理解されよう。
【0018】
主要な又は唯一のエネルギー源としてのアンモニアに基づく電力生産目的のための熱統合の提供は、主要な又は唯一のエネルギー源としてのアンモニアに基づく水素製造目的のための熱統合の場合とは異なる。前者の場合には、追加の電気出力のための蒸気生成のために熱を回収することができるが、本発明が取り組んでいる後者の場合には、水素生成のみが重要であり、従って、廃熱は制限されるべきであり、すなわち、最小化されるべきである。本発明は、価値が低いかまたは役に立たないと考えられる、蒸気の生成のための廃熱を制限することを可能にする。アンモニアを主要なまたは唯一のエネルギー源とすることは、エネルギーキャリアとしてアンモニアを使用するグリーンへの移行において重要である。
【0019】
本発明の第1の態様による1つの実施態様では、前記の少なくとも1つのアンモニア予備クラッキング反応器は、触媒固定床を含み、反応器の入口から出口への温度が例えば50~200℃低下している、断熱式アンモニア予備クラッキング反応器である。
【0020】
断熱式反応器は、当技術分野で周知であり、従ってまた、当技術分野で周知の意味を有し、すなわち、反応器の入口から出口への温度の上昇または低下がある反応器、典型的には、固定触媒床を含む反応器である。発熱反応の場合、温度の上昇があり、一方で吸熱反応の場合、温度の低下がある。
【0021】
本願の目的に関して、「触媒固定床を含む断熱式アンモニア予備クラッキング反応器」という語句は、反応器の入口から出口へ温度が低下する反応器を意味する。例えば、前記反応器は、アンモニアクラッキングに適した触媒の固定床を含み、温度低下が、50~200℃または100~200℃、例えば150℃である。例えば、入口温度が550℃、出口温度が400℃である。
【0022】
前記の少なくとも1つの断熱式アンモニア予備クラッキング反応器において、触媒固定床は、例えばアンモニアクラッキング反応器の対流セクションからの廃熱を使用して、アンモニア供給材料を部分的にクラッキングするために、アンモニアクラッキングに活性な触媒を備える。廃熱の使用は、アンモニアクラッキング反応器の負荷、ひいては炭化水素供給材料ガス、例えば天然ガスの消費を低減し、それによってエネルギー消費も低減する。前記の少なくとも1つの断熱式アンモニア予備クラッキング反応器を設けることにより、アンモニアクラッキング反応器のサイズを縮小することも可能になる。他の利点は、以下に記載される。
【0023】
本発明の第1の態様による1つの実施態様において、アンモニアクラッキング反応器は、1つまたは複数の触媒充填管を含む燃焼加熱反応器である。
【0024】
触媒固定床および触媒充填管は、アンモニアクラッキングにおいて活性な触媒を含有する。触媒は、好適にはアンモニア合成触媒である。
【0025】
本発明の第1の態様による1つの実施態様において、少なくとも1つの予備クラッキング反応器および/またはアンモニアクラッキング反応器は、300~700℃の温度範囲で、かつ、アンモニア合成触媒、例えば、Fe、Co、RuまたはNi系触媒のいずれか、好ましくはFe系触媒を用いて、運転される。
【0026】
従って、好適には、触媒はFe系触媒、すなわち、金属としてFeを有する単一金属触媒系である。好適には、触媒は、KO、CaO、SiO、Alのいずれかで促進される。Fe系触媒は、担持されていてもよく(例えばFe/Al)、または担持されていなくてもよい(例えばKO、CaO、Alと融合したFe)。Fe系触媒は、鉄のより低い価格のため、はるかに不都合な解決策を提供する。
【0027】
触媒の選択は、使用されるアンモニアクラッキング反応器のタイプとは独立している。
【0028】
本発明の第1の態様による1つの実施態様において、前記の少なくとも1つの断熱式予備クラッキング反応器は、350~600℃、例えば350~500℃、350~550℃または400~550℃の温度範囲で運転される。例えば、入口温度は500℃または550℃であることができ、出口温度は400℃であることができる。
【0029】
予備クラッキングステップ(ステップii)は、プロセスにおける初期ステップとしてアンモニアの一部を転化することを可能にし、下流のアンモニアクラッキング反応器中の触媒を保護する。安価な触媒、特にFe系触媒の保護および/または長寿命化が、水素の存在により達成され、なぜならば特にアンモニアがFe系触媒と反応し、窒化鉄、すなわちFeNまたはFeNを形成し得るからである。この反応は、より高い温度、例えば500℃超または600℃超でおよび純粋なアンモニア中で特に顕著である。窒化鉄の形成は、触媒の物理的分解をもたらし、これは、触媒の失活および触媒床にわたる圧力降下の増加をさらに誘発し、それによってプロセスコストの増加をもたらし得る。従って、部分的に転化されたアンモニア供給材料ストリーム中の水素は、窒化鉄の形成を妨げる。これらの考察は、反応器材料にとっても、窒化に対しての当該材料、例えば触媒充填管の保護を可能にする水素の存在により、当てはまる。
【0030】
本発明の第1の態様による1つの実施態様において、ステップii)は、好ましくはアンモニア供給材料ストリームを、複数の予備クラッキング反応器、例えば2つの断熱式予備クラッキング反応器に通すことによって、当該アンモニア供給材料ストリームを少なくとも1つの断熱式アンモニア予備クラッキング反応器に通す前に、当該アンモニア供給材料ストリームを予熱することを含む。
【0031】
アンモニアクラッキングプロセスでは、予備クラッキング反応器または後続のアンモニアクラッキング反応器のいずれかにおいて、ガス状アンモニアが可逆反応において水素および窒素ガスの混合物に解離される:
【0032】
【化1】
反応(1)は、吸熱性であり、進行中のアンモニアクラッキング反応を維持するためには熱を必要とし、従って、温度は、反応が右にシフトするにつれて、断熱式予備クラッキング反応器(本明細書では断熱式反応器とも呼ぶ)を通して減少する。アンモニア供給材料ストリームは、例えば過熱条件に、例えば約500~600℃までの入口温度、例えば約550℃までに加熱され、反応器間で加熱する(すなわち、段間加熱を有する)一連の断熱式反応器に送られる。当該プロセスは吸熱性であるため、約100℃以上の温度低下が断熱式反応器内で起こり、従って、出口温度は、例えば約400℃であり得る。入口温度(例えば500~600℃)が高いほど、アンモニア転化率が高くなり、従って、水素が生成される。
【0033】
断熱式反応器を用いた複数の予熱ステップは、例えば段間加熱と直列に配置された2つの断熱式反応器を使用する場合、アンモニアクラッキングのための最小限の燃焼/加熱を可能にし、従って蒸気生成に利用可能な廃熱がないように最小限の廃熱をもたらす。さらに、下流のアンモニアクラッキング反応器、例えば、燃焼加熱反応器のサイズの縮小が達成される。全体的にコストがより低くなり、なぜならば、断熱式反応器は、サイズが縮小される燃焼加熱アンモニアクラッキング反応器よりもコストが低く;さらに、蒸気生成装置を提供する必要がないためである。
【0034】
少なくとも1つの予備クラッキング反応器、例えば上述のような断熱式反応器は、予備クラッキング反応器において運転温度を徐々に上昇させ、それによって、窒化を阻害するますます多くの水素を徐々に生成するという利点ももたらす。
【0035】
伝統的なアンモニアクラッキングでは、反応(1)によるアンモニアの解離は通常、直接的に、すなわち、上流の予備クラッキングなしに、アンモニア供給材料ストリームを、例えば850~950℃の高温で、かつ触媒としてのニッケルの存在下で、燃焼加熱反応器に付すことによって、行われる。より高い温度が必要とされるため、触媒の寿命は、触媒の熱焼結のために短くなる。得られるガス混合物は、3:1の比率の水素および窒素(75%のHおよび25%のN)から構成され、-51℃~-29℃の露点を有する残留非解離アンモニアはごく少量(20~100ppm)である。本発明の条件下で実施される場合、触媒は好ましくはFe系であり、プロセスは、上記のように、300~700℃の範囲内のより低い温度で実施される。燃焼加熱反応器に関しては特に、この反応器は、例えば、600~700℃の範囲内の温度で運転され、これは水素への転化を増加させる。このより高い温度は、場合によっては、上記のような温度で運転できるより高価な触媒、例えばニッケル系触媒の使用を依然として必要とし得る。例えば、燃焼加熱反応器の入口温度に対応する、予熱された部分的に転化されたアンモニア供給材料ストリームの温度は、好適には約600℃、例えば580または590℃であり、一方、燃焼加熱反応器の出口温度に対応する、流出ガスストリームの温度は約700℃、例えば710、715、720または725℃である。
【0036】
従って、本発明の第1の態様による好ましい実施態様において、アンモニアクラッキング反応器は、1つまたは複数の触媒充填管を含む燃焼加熱反応器である。この反応器は管状改質器、すなわち、従来の水蒸気メタン改質器(SMR)と同一であり、アンモニアの接触解離のための熱は、主に放射炉内の放射により伝達され、今回は、典型的な供給材料ストリーム、例えば天然ガスまたは予備改質された天然ガスを使用する代わりに、供給材料ストリームは部分的に転化されたアンモニア供給材料ストリームである。
【0037】
本発明の第1の態様による別の実施態様において、アンモニアクラッキング反応器は、対流加熱反応器、好ましくは1つまたは複数のバイオネット管を含む対流加熱反応器、例えばHTCR改質器、すなわちトプサーバイオネット改質器(Topsoe bayonet reformer)であり、ここでアンモニアクラッキングのための熱は、放射に沿って対流によって伝達される。この種の反応器は、反応器からの流出ガスストリームが例えば燃焼加熱反応器におけるよりも低温であること、例えば、燃焼加熱反応器における約700℃と比較して、対流反応器において約550℃であることを可能にする。それによって、より安価な触媒、特にFe系触媒を用いて運転することが可能である。
【0038】
本発明の第1の態様による別の実施態様において、アンモニアクラッキング反応器は電気加熱反応器であり、電気抵抗がアンモニアの触媒的解離のための熱を発生させるために使用される。これは、例えば、電気が容易に利用可能である場合、特に、グリーン資源から、例えば太陽または風力源から生成される電力により利用可能である場合に適している。この反応器は、高温および高圧で、例えば1000℃以上で、ならびに100barg以上、例えば500barg以上で運転することができ、これは、高圧で、例えば700bargで水素生成物を回収するかまたは送る必要がある特定の下流の用途のために適切であり得る。高圧にもかかわらず、反応器におけるより高い温度はまた、反応器の流出ガスストリームにおけるより低いアンモニアスリップを可能にする。加えて、電気加熱反応器ははるかに低い圧力降下およびはるかにコンパクトな解決策を提供し、従って、プラント内のプロットサイズを著しく減少させる。
【0039】
本発明の第1の態様による別の実施態様において、アンモニアクラッキング反応器は誘導加熱反応器であり、そこでは、管熱交換反応器が、誘導加熱に感受性である触媒材料の床を備える内側管の少なくとも一部内に交番磁場を生成するために、誘導コイルを使用することを含む。これはまた、例えば、電気が容易に利用可能である場合、特に、グリーン資源から、例えば太陽または風力源から生成される電力により利用可能である場合にも適している。
【0040】
これらの反応器の組み合わせもまた想定される。
【0041】
これらの反応器に関するさらなる情報については、出願人の特許および/または文献を直接参照することによって本明細書において詳細が提供される。例えば、管状および自己熱(ATR)改質に関しては、「Tubular reforming and autothermal reforming of natural gas - an overview of available processes」, Ib Dybkjaer, Fuel Processing Technology 42 (1995) 85-107に概要が示されており;HTCRの説明に関しては、EP0535505に示されている。大規模水素製造のための自己熱改質(ATR)および/またはSMRの説明については、例えば、論文「Large-scale Hydrogen Production」,Jens R.Rostrup-Nielsen and Thomas Rostrup-Nielsen”,CATTECH 6, 150-159(2002)を参照されたい。より最近の技術である電気加熱反応器の説明については、特に出願人のWO2019/228798A1、および同時係属中の特許出願PCT/EP2020/076704(WO2021063795)を参照する。誘導加熱反応器の説明については、出願人のWO2017/186437A1を参照する。
【0042】
例えば、電気加熱反応器は、好適には、以下を含む反応系である:アンモニアを含む供給材料ガス、例えば、アンモニア、水素および窒素を含む部分的に転化されたアンモニア供給材料ストリームの供給;前記供給材料ガスのアンモニアクラッキング反応を触媒するために配置された構造化触媒であって、前記構造化触媒は導電性材料の巨視的構造を含み、前記巨視的構造はセラミックコーティングを支持し、前記セラミックコーティングは触媒活性材料を支持する、前記構造化触媒;前記構造化触媒を収容する圧力シェルであって、前記圧力シェルは前記供給材料ガスを入れるための入口と、生成物ガス、すなわち、水素、窒素および任意選択的に未転化アンモニアを含む反応器からの流出ガスを出すための出口とを含み、前記入口は、前記供給材料ガスが前記構造化触媒に前記構造化触媒の第1の端部において入り、前記生成物ガスが前記構造化触媒を前記構造化触媒の第2の端部から出るように配置される、前記圧力シェル;前記構造化触媒と前記圧力シェルとの間の断熱層;前記構造化触媒に、および前記圧力シェルの外側に配置された電源に電気的に接続された少なくとも2つの導体、ここで、前記電源は、前記巨視的構造体に電流を流すことによって、前記構造化触媒の少なくとも一部を少なくとも300℃の温度に加熱するように寸法決めされ、前記少なくとも2つの導体は、前記構造化触媒の前記第2の端部よりも前記構造化触媒の前記第1の端部に近い前記構造化触媒上の位置で前記構造化触媒に接続され、および、前記構造化触媒は、電流が、1つの導体から前記構造化触媒の前記第2の端部に実質的に流れ、前記少なくとも2つの導体のうちの第2の導体に戻るように構成される。
【0043】
一実施態様において、前記のアンモニアを含む供給材料ガスが、アンモニア供給材料ストリームである。従って、アンモニア供給材料ストリームは、アンモニア予備クラッキングなしに、電気加熱反応器に供給される(通される)。すなわち、ステップii)は、省略してもよい。それによって、より単純なプロセスおよびプラントが提供される。従って、アンモニア供給材料ストリームは、例えば99.5体積%を超えるアンモニアを有することによって、アンモニアの実質的に純粋なストリームであってもよい。
【0044】
従って、本発明は、アンモニアから水素生成物を製造するための方法であって、以下のステップ:
i)アンモニア供給材料ストリームを提供するステップ;
ii)任意選択的に、前記のアンモニア供給材料ストリームを、アンモニア、水素および窒素を含む部分的に転化されたアンモニア供給材料ストリームを生成するために、少なくとも1つのアンモニア予備クラッキング反応器に通すステップ;
iii)前記の部分的に転化されたアンモニア供給材料ストリームまたは前記のアンモニア供給材料ストリームを、水素および窒素および任意選択的にまた未転化アンモニアを含む流出ガスストリームを生成するために、アンモニアクラッキング反応器に通すステップであって、前記アンモニアクラッキング反応器が電気加熱反応器であるステップ;
iv)前記流出ガスストリームを、前記水素生成物と、水素、窒素および任意選択的に未転化アンモニアを含むオフガスストリームとを生成するために、水素回収ユニットに通すステップ、
を含み、
ステップiv)が、前記流出ガスストリームを前記水素回収ユニットに通す前に、前記流出ガスストリームを、前記アンモニア供給材料ストリームとの熱交換により冷却することを含む、
前記製造方法としても、記載され得る。
【0045】
予備クラッキングステップii)の不存在は、ステップiii)のアンモニアクラッキング反応器としての電気加熱反応器の使用に限られない。例えば、アンモニアクラッキング反応器は、好適には、1つまたは複数の触媒充填管を含む燃焼加熱反応器である。
【0046】
本発明の第1の態様による1つの実施態様において、前記方法は、さらに以下を含む:
v)燃焼加熱反応器または対流加熱反応器において必要とされる熱を生成するために、前記オフガスストリーム、すなわちステップiv)のオフガスストリームを、それを空気ストリーム、すなわち燃焼用空気と、任意選択的に別個の燃料ストリームとも混合して、燃焼加熱反応器または対流加熱反応器に通すこと。
【0047】
前記オフガスストリームの大部分は窒素であり、水素および未転化アンモニアも含有する。例えば、1つの圧力スイング吸着(PSA)ユニットを有する水素回収ユニットで運転する場合、前記オフガスストリームにおいて、窒素含有量は例えば約60体積%、水素は例えば約30体積%、未転化アンモニアは例えば約10体積%である。これにより、オフガス流は、燃焼用空気の別個の流入ストリームと、好ましくは燃焼反応器(燃焼加熱反応器)の長さに沿った種々の場所で、より具体的にはその壁に沿って、かつ、その中に、火炎およびそれによって触媒充填管に必要な放射熱を発生させるために配置されたバーナーの位置に対応する種々の場所で、混合することによって、例えば燃焼加熱反応器において、燃料として使用される。従って、通常、バーナーのために使用される燃料は、外部供給源から、典型的には天然ガスの形態で提供されるが、そのような天然ガスの使用はもはや実質的に低減されるかまたは省略される。それによって、プロセスにおけるより高いエネルギー効率が達成され、それと同時に、プロセスおよびプラントのより低いカーボンフットプリントが可能となる。燃焼加熱反応器または対流加熱反応器は、必要に応じて、他の燃料源で運転するように、すなわち、天然ガスなどの別個の燃料ストリームを用いて運転するように設計してもよい。
【0048】
オフガスストリームが主に窒素リッチであり、従って燃料としての価値が低い場合、例えば2つのPSAユニットが利用される場合、天然ガスなどの別個の燃料ストリームを加えてもよい。より具体的には、2つ以上のPSAユニットを有する水素回収ユニットで運転する場合、オフガスストリームは、1つのPSAユニットで運転する場合と比較して、水素がより少なく、そして窒素がよりリッチになる。2つのPSAユニットで運転する場合、オフガスストリームは、約10体積%の水素、およそ90体積%の窒素、およびいくらかの未転化アンモニア(例えば約5体積%)を有し得る。このオフガスは、好適には、燃焼用空気と混合することによって、燃焼加熱反応器または対流加熱反応器において燃料として使用され、一方、天然ガスなどの別個の燃料ストリームもまた加えられる。対流加熱反応器を利用する場合、オフガス、燃焼用空気および任意の別個の燃料ストリーム、例えば天然ガスの混合物を、火炎およびそれによって煙道ガスの加熱に必要な放射熱を発生させるために、およびそれによってまた触媒を含むバイオネット管を加熱するために、例えば、対流加熱反応器の底部の燃焼チャンバーで燃焼させる。各バイオネット管は、別の管によって囲まれており、これは当該管の近傍で、加熱された煙道ガスを導く。
【0049】
本発明の第1の態様に従う代替的な実施態様において、前記方法は、さらに以下を含む:
v)好ましくは前記アンモニアクラッキング反応器が電気加熱反応器または誘導加熱反応器である場合に、アンモニア供給材料ガスストリームを予熱するために、オフガスストリームを、それを空気ストリームと、任意選択的にまた別個の燃料ストリームとも混合して、燃焼加熱器に通すこと。
【0050】
特にこれらのアンモニアクラッキング反応器を利用する場合、加熱は電力によってもたらされ、従って、燃焼加熱反応器および対流加熱反応器に関するように燃焼のためにオフガスを使用する必要はない。オフガス流は、燃焼用空気および任意選択的にまた天然ガスなどの別個の燃料ストリームと混合され、引き続き、熱を発生させるために燃焼される。それによって、当該技術分野において周知である燃焼加熱器は、アンモニア供給材料ガスストリームを、予備クラッキング断熱式反応器に入る前に、および/またはアンモニアクラッキング反応器に入る前に、予熱するための熱を提供する。
【0051】
従って、特定の実施態様では、前記ステップv)において、別個の燃料ストリームは天然ガスであることができる。
【0052】
より有利には、特定の実施態様において、前記方法は、前記流出ガスストリームの一部を転用し、それを前記別個の燃料ストリームの少なくとも一部として供給することを含む。前記流出ガスストリームの一部は、例えば、アンモニアクラッキング反応器からの生成された流出ガスストリーム、すなわちアンモニアクラッキング反応器を出る流出ガスストリームの一部として、または、水素回収ユニットに入る冷却された流出ガスストリームの一部として取り出すことができる。「前記燃料ストリームの少なくとも一部として」という語句は、それが、別個の燃料ストリームとして単独で、あるいは、別の燃料ストリーム、例えば水素、特にプロセス中で生成した水素、または(必要に応じて)外部燃料源と一緒に、例えば天然ガスを補助燃料としてのみ供給することによって、提供され得ることを意味する。
【0053】
従って、別の特定の実施態様では、水素ストリームが、前記の別個の燃料ストリーム、好適には、本発明の方法(プロセス)またはシステム(プラント)において生成した水素の少なくとも一部として提供される。
【0054】
別の実施態様において、前記方法は、アンモニアストリームの一部、例えばアンモニア供給材料ストリームの一部を転用し、それを前記の別個の燃料ストリームの少なくとも一部として供給することを含む。従って、アンモニアストリームが、前記の別個の燃料ストリームの少なくとも一部として、好適には、本発明の方法(プロセス)またはシステム(プラント)において生成したアンモニアガスストリームの一部として、例えばアンモニア供給材料ストリームの一部として提供される。
【0055】
上記の組み合わせも考えられる。
【0056】
それによって、前記の別個の燃料ストリームは、水素、または水素と窒素との混合物、またはアンモニアを含む。水素、例えば本発明の方法およびシステムにおいて生成される水素の提供は、燃料ストリームとして炭素含有燃料、例えば天然ガスを使用する場合と比較して二酸化炭素が放出されないので、著しく低減されたカーボンフットプリントでの燃焼を可能にする。前記の別個の燃料ストリームはまたアンモニアを含んでもいてもよく、これはまた、二酸化炭素の発生を伴わずに燃焼するのに適しており、従って、カーボンフットプリントの低減も可能にする。
【0057】
本発明の第1の態様による1つの実施態様において、ステップiii)は、以下のうちの少なくとも1つにより、高温煙道ガスストリームを生成し、その熱を回収することをさらに含む:
-アンモニア供給材料ストリームを少なくとも1つの断熱式アンモニア予備クラッキング反応器に通す前の、アンモニア供給材料ストリームの前記予熱;
-部分的に転化されたアンモニア供給材料ストリーム、すなわち、少なくとも1つの断熱式アンモニア予備クラッキング反応器に通した後のアンモニア供給材料ストリームの予熱;
-オフガスストリームの予熱;または
-空気ストリームの予熱。
【0058】
これは、蒸気を生成する代わりに、1つまたは複数のストリーム(断熱式アンモニア予備クラッキング反応器へのアンモニア供給材料ストリームを含めて)を予熱するための例えば燃焼加熱アンモニアクラッキング反応器における廃熱を使用して、アンモニアクラッキングから水素生成を達成することを可能にし、それによってまた、水素の収率を最大化し、プロセスおよびプラント効率を増加させることも可能である。水素ビジネスに関しては、最大限の水素アウトプットを有することが必須であり、従って水素収率の追加的なパーセントポイント、および従って効率が非常に重要である。
【0059】
高温煙道ガスストリームは、SMR技術の技術分野において周知であるように、燃焼加熱反応器の対流セクションを通って移動する。燃焼用空気ストリームは、好適には、高温煙道ガスストリームとの熱交換によって、例えば20℃から300~350℃へ予熱され、一方、オフガスストリームは、高温煙道ガスストリームとの熱交換によって、例えば40℃から150~200℃へ予熱される。特定の例として、燃焼用空気ストリームは、煙道ガスの温度が約200~400℃である対流セクションの一部で間接的に熱交換され、一方、オフガスストリームは煙道ガスの温度が150~200℃である対流セクションの一部で間接的に熱交換される。
【0060】
本発明により、ステップiv)はさらに、前記流出ガスストリームを前記水素回収ユニットに通す前に、前記流出ガスストリームを、前記アンモニア供給材料ストリームとの熱交換により冷却することを含む。
【0061】
特定の実施態様において、アンモニア供給材料ストリームは、液体アンモニア、例えば貯留部から取り入れられた液体アンモニア、例えば液体アンモニアまたは液体無水アンモニアに由来し、すなわち、当該アンモニアから生成され、これは以下に付されている:任意選択的な水除去(例えば電気分解または蒸留、蒸発、例えばアンモニア蒸発器における蒸発による)、および、前記蒸発前の任意選択的な予熱(例えば供給材料/流出物熱交換器における)。水の除去、蒸発および前記蒸発前の予熱のこのようなステップはいずれも、本発明による方法の一部であり得ることが理解されよう。
【0062】
それによって、利用可能な全ての重要な廃熱が使用されるので、さらなる熱統合が達成される。例えば、予熱及び蒸発のために、並びに、例えば約90℃から300~350℃へのアンモニア供給材料ストリームのその後の予熱のために、流出ガスストリームが熱交換媒体として使用される。約500℃の温度へのアンモニア供給材料ストリームのさらなる予熱のために、煙道ガス、例えば燃焼加熱反応器の煙道ガスが熱交換媒体として使用される。例えば電気加熱反応器で運転する場合、アンモニア供給材料の予熱は、好適には、上述したように燃焼加熱器によって提供される。特に、複数の予備クラッキング反応器を用いて運転する場合、より具体的には、2つ以上の断熱式アンモニアクラッキング反応器を用いて運転する場合、上記にも記載されるように、蒸気の生成に使用される利用可能な廃熱は存在せず、このことは、蒸気が価値が低いかまたは役に立たないと考えられる場合に非常に有利である。
【0063】
好適には、アンモニアクラッキング反応器からの流出ガスストリームはまた、第1の供給材料/流出物熱交換器におけるアンモニア供給材料ストリームの上述の予備の予熱を提供することとは別に、下流のアンモニアクラッキングに適したガスストリーム(すなわち前記アンモニア供給材料ストリームとしての)へのアンモニアの蒸発をもたらすためのアンモニアエバポレーターを運転するために、ならびに任意選択的にまた、第2の供給材料/流出物熱交換器における貯留部から取り入れられる液体アンモニアを予熱するために使用される。
【0064】
「貯留部から取り入れられた液体アンモニア」という語句は、「貯留部から送り出された液体アンモニア」と同じ意味を有することが理解されよう。
【0065】
前記第2の供給材料/流出物熱交換器において熱を伝えた後、流出ガスストリームは、冷却媒体として水を使用する熱交換器、すなわち水冷却器においてさらに冷却されてもよく、それによって最終的に、流出ガスストリームの温度を、それぞれ燃焼加熱反応器または対流加熱反応器の出口での、例えば約700℃または550℃から、水素回収ユニットに入る前に、約50℃にする。
【0066】
上述のように、アンモニア合成触媒は、アンモニアの分解またはクラッキングのために使用することができる。しかしながら、水または他の酸素含有化合物は、アンモニア合成触媒を被毒し得る。水は、取引されている液体アンモニア中の主要な化合物なので、これらの合成触媒の被毒は触媒性能に影響を及ぼし、従ってプロセスの有効性および効率に影響する問題であると考えられる。これは、他のより高価な触媒がアンモニアクラッキングにおいて伝統的に使用されている理由の少なくとも1つである。従って、より高価な触媒、例えばRu系触媒を使用することによって、少量の水を有するアンモニア供給材料ストリームで運転することは可能であるが、より安価なアンモニアクラッキング触媒、例えばFe系触媒を用いてプロセスおよびプロセスプラントを運転できることが望ましい。
【0067】
輸送要件のため、取引されている液体アンモニアは通常、無水と呼ばれる場合であっても、いくらかの水を含有する。例えば、本発明により、貯留部から取り入れられている液体アンモニアは、約0.2モル%または0.5モル%の含水率を有し得る。この水はアンモニアエバポレーターにおいて、水パージストリームとして取り出され得るが、好適には、任意選択的な水の除去、例えば電気分解または蒸留が提供される。
【0068】
特定の実施態様において、前記の水除去は、貯留部から取り入れられた液体アンモニアを、アルカリまたはポリマー電解質膜(PEM)電解ユニット、例えば高圧アルカリまたはPEM電解ユニット中での電気分解に付すことによって、実施され、すなわち行われ、それによって前記アンモニア供給材料ストリーム、ならびに酸素生成物および水素生成物を生成する。高圧アルカリまたはPEM電解ユニットとは、上昇させた圧力、例えば10バール以上で運転することができるユニットを意味する。
【0069】
アンモニアエバポレーターの上流での電気分解、特に、貯留部から取り入れられた液体アンモニアの、例えばアルカリまたはPEM電解ユニット(本明細書では、アルカリ/PEM電解とも呼ぶ)における電気分解が、電気が容易に利用可能である場合、特にグリーン資源から利用可能である、例えば電力が太陽または風力源から生成される場合に、好ましい。あるいは、電力は、熱核源によって、すなわち、原子力によって生成されてもよい。液体アンモニア中の水は、電気分解によって酸素および水素生成物に転化される。
【0070】
特定の実施態様において、電気分解からの水素生成物の少なくとも一部は、少なくとも1つのアンモニア予備クラッキング反応器においてアンモニア供給材料ストリームと組み合わされる。それによって、より多くの水素生成物が生成されるだけでなく、望ましくない窒化を防ぐためにさらに別の水素源が提供され、なぜなら当該水素はプロセス中で運ばれて、最終的に水素生成物となるためである。アンモニア供給材料ガスと組み合わされない、電気分解からの水素生成物の部分は、好適には、例えば水素回収ユニットからの水素生成物と混合することによって、水素生成物に組み入れられる。別の実施態様において、電気分解からの水素生成物の少なくとも一部は、前記別個の燃料ストリームとして、すなわち、燃焼加熱アンモニアクラッキング反応器または燃焼加熱器のために、供給される。
【0071】
特定の実施態様において、ステップiv)はさらに、アンモニア供給材料ストリームとの熱交換による流出ガスストリームの前記冷却後に、アンモニア回収蒸留塔(蒸留塔とも呼ばれる)における蒸留により、流出ガスストリームにおける未転化アンモニアを回収することを含み、前記冷却後かつ蒸留の前に、そのように冷却された流出ガスストリームは、窒素および水素を含む頂部ストリームと、未転化アンモニアを含む底部液体ストリームを生成するために、流出ガスセパレーター、例えば水をスクラビング媒体として使用する流出ガススクラビングユニットに供給される。
【0072】
流出ガスセパレーターからの頂部ストリームの少なくとも一部は、水素回収ユニットに通される。他の部分は、窒素ストリームとして取り出される。好適には、流出ガスセパレーターからの頂部ストリームの全部分が、水素回収ユニットに通される。未転化アンモニアを含み、アンモニア含有量が例えば約15モル%であり、残りが主に水である底部液体ストリームは、次いで、例えば熱交換器において、熱交換媒体として蒸留塔の底部ストリーム(これは、主に水である)を使用して予熱され、引き続き、前記蒸留塔に供される。任意選択的に、そのような予熱の前に、流出ガスセパレーターからの底部液体ストリーム一部は、流出ガスセパレーターに供給されている冷却された流出ガスと組み合わされる。
【0073】
好適には、蒸留水の前記底部ストリーム(これは主に水である)は、任意選択的にメイクアップ水と一緒に、流出ガススクラビングユニット内のスクラビング媒体として使用される。
【0074】
特定の実施態様では、アンモニア回収蒸留塔(蒸留塔)が、アンモニア回収リボイラー(リボイラー)とともに設けられ、アンモニアクラッキング反応器からの流出ガスが、前記リボイラー内で冷却され、好適には、前記流出ガスを、液体アンモニア、例えば貯留部から取り入れられた液体アンモニアに由来するアンモニア供給材料ストリームの前記蒸発および/または前記予熱のための熱交換媒体として提供することによるさらなる冷却の前に、前記リボイラー内で冷却される。その後、このように冷却された流出ガスは、任意選択的に流出ガスセパレーターからの底部液体ストリームの前記一部と組み合わされた後、空気冷却器または水冷却器でさらに冷却され、流出ガスセパレーターに供給されてもよい。
【0075】
特定の実施態様では、蒸留塔の頂部ストリームから、アンモニアリッチストリーム、すなわち99モル%以上のアンモニアを有するアンモニアリッチストリームが導かれ、貯留部から取り入れられた液体アンモニアと組み合わされる。アンモニアリッチストリームは、好ましくは、蒸留塔への還流ストリームの一部である。別の特定の実施態様では、蒸留塔の頂部ストリームからのアンモニアリッチストリームを、貯留部から取り入れられた液体アンモニアと組み合わせた後に、(アンモニアエバポレーター内で)予熱および蒸発後の組み合わせたストリームを、アンモニア供給材料ストリームとしてアンモニアクラッキング反応器に供給する。
【0076】
別の特定の実施態様では、前記水除去は、蒸発ステップからのアンモニア供給材料ストリームを、すなわちアンモニアエバポレーターでアンモニア供給材料ガスを蒸発させた後に、前記アンモニア回収蒸留塔での蒸留に付すことによって行われ、それによって前記アンモニア供給材料ストリームを生成する。アンモニア供給材料ストリームは次いで、蒸留塔の頂部ストリームの一部として取り出され、水不含であり、それによって、アンモニア予備クラッキング反応器(複数可)および/またはアンモニアクラッキング反応器における安価な触媒の使用を可能にする。
【0077】
流出ガススクラビングユニットからの底部液体は、予熱されおよび/または蒸発させた、貯留部に由来するアンモニアと一緒に、前記蒸留塔に導かれる。それによって、蒸留塔は以下の2つの目的にかなう:a)水が触媒活性を低下させるので、アンモニアクラッキング反応器における触媒、任意選択的にまたアンモニア予備クラッキングユニットにおける触媒に行く水の量を制限すること、およびb)流出ガスセパレーター、例えば流出ガススクラビングユニットからアンモニアを回収すること。
【0078】
別の特定の実施態様において、液体アンモニア、例えば貯留部から取り入れられた液体アンモニアに由来するアンモニア供給材料ストリームの蒸発前の前記予熱は、アンモニア回収蒸留塔から取り出された頂部ガスストリームと、熱交換(すなわち、アンモニア供給材料予熱器において)することを含む。
【0079】
従って、アンモニア回収蒸留塔から取り出された頂部ガスストリームの一部が、アンモニア供給材料ストリームとして、アンモニア予備クラッキング反応器に、またはアンモニアクラッキング反応器に、供給され、すなわち通され、頂部ガスストリームの他の部分は、蒸留塔の還流系の一部として取り出される。これにより、貯留部からの低温液体アンモニアストリームが、典型的には-33℃で、蒸留塔の還流系において頂部ガスを凝縮するために使用され、それによって、還流系で通常適用される他の冷却タイプ、例えば水冷または空冷の使用を不要にし、それによって、アンモニア供給材料ストリーム自体も予熱する。
【0080】
別の特定の実施態様において、水素およびアンモニアを含む軽質頂部ガスストリームが、アンモニア回収蒸留塔から、好適には前記頂部ガスストリームから取り出され、前記流出ガスセパレーターに供給される。
【0081】
蒸留塔の還流系は、アンモニア回収蒸留塔から取り出された頂部ガスストリームを冷却するための1つまたは複数の熱交換器と、底部還流ストリームと軽質ガス頂部ガスストリームを生成するためのアンモニア回収セパレーターと、前記底部還流ストリームの少なくとも一部をアンモニア回収蒸留塔に供給するためのアンモニア回収フラックスポンプ(還流ポンプ)とを備える。好適には、前記の1つまたは複数の熱交換器は、空気冷却器を含まず、例えば、前記の1つまたは複数の熱交換器は、前記アンモニア供給材料予熱器、および任意選択的にまた好適には前記アンモニア供給材料予熱器と並列に配置される水冷却器からなる。
【0082】
蒸留塔から、還流系において取り出される頂部ガスストリームの一部は、例えば前記アンモニア供給材料予熱器において冷却され、アンモニア回収セパレーターに通され、それによって、水素およびアンモニア、例えば約40モル%の水素、約40モル%のアンモニアおよび約10モル%の窒素を含む軽質頂部ガスストリームと、アンモニアリッチである、すなわち99モル%以上のアンモニアを有する蒸留塔への還流ストリームとを生成する。水素およびアンモニアを含む軽質頂部ガスストリームは、具体的には前記アンモニア回収セパレーターの頂部留分として取り出され、次いで、それを流出ガススクラビングユニットに供給することにより、例えばそれを流出ガスセパレーターの底部で供することにより、再利用される。これにより、貴重な水素が引き続き水素回収ユニットに提供され、プロセス(方法)及びプラント(システム)の効率が高められる。
【0083】
本発明の第1の態様による1つの実施態様において、水素回収ユニットは、少なくとも1つの圧力スイング吸着(PSA)ユニットを、それによって前記水素生成物および前記オフガスストリームを生成するために含む。従って、アンモニアクラッキング反応器、例えば燃焼加熱反応器または電気加熱反応器からの流出ガスストリームの水素精製が、PSAユニットにおいて、水素濃度を、流出ガスストリームにおける例えば約70体積%から、水素生成物における99.9体積%超にすることによって達成される。PSAユニットから、例えば燃焼加熱反応器または対流加熱反応器において燃料として、ならびに、例えば電気加熱反応器を用いて運転する場合にアンモニア供給材料ストリームの予熱のための燃焼加熱器における燃料として使用されるオフガスストリームが取り出される。このオフガスストリームは、例えば、約30体積%のH、60体積%のNおよび10%のNH、およびいくらかの微量なHOを含有する。
【0084】
特定の実施態様において、水素回収ユニットは、前記水素生成物を生成するための第1および第2のPSAユニットを含み、前記方法はさらに、第1のPSAユニットから第1のオフガスストリームを取り出して圧縮し、それを第2のPSAユニットに、それによって前記オフガスストリームを生成するために通すことを含む。例えば2つのPSAユニットを直列に設けることは、水素収率を増加させ、第1のPSAユニットにおいて高圧で水素生成物を回収するという利点ももたらす。しかしながら、オフガスストリームは、水素およびアンモニアが少なくなり(例えば8体積%の水素および92体積%の窒素を含有することにより)、従って、プロセスにおける燃料として適性が低くなる。
【0085】
この実施態様はまた、別の状況では下流の用途(必要な圧力が高く、例えば700bargであり得る)のために必要であろう水素生成物圧縮の観点からエネルギーを節約することも可能にする。第1のPSAユニットは第2のPSAユニットよりも高い圧力で運転され;例えば、第1のPSAユニットは約100bargで運転することができ、一方、第2のPSAユニットは、より通常の圧力、例えば30bargで運転することができる。例えば、水素生成物の約80%は第1のPSAユニットから100bargで得られ(例えば、図2のストリーム149’を参照されたい)、これは従って、上述のように、より高い圧力で水素を使用する下流の用途に非常に適している。
【0086】
別の特定の実施態様において、水素回収ユニットは、膜ユニットおよびPSAユニット、より具体的には第1の膜ユニット、および後続に、すなわち下流にPSAユニットを含む。これにより、連続するPSAユニット間の圧縮段階の必要性が回避される。従って、圧縮に関連する付随の資本的支出および事業経費が節約され、両方の水素生成物流、すなわち膜ユニットからおよびPSAユニットからの水素生成物流が、水素プラントで通常使用されるのと同じ圧力、例えば約30bargで回収される。さらに、膜ユニットは、アンモニア技術の技術分野でよく知られているように、同じ容量に対してPSAユニットよりもコストがかからない。
【0087】
上記のように、本発明は、アンモニア予備クラッキングが存在しない方法も想定している。従って、ここでより具体的には、本発明は、アンモニアから水素生成物を製造するための方法であって、以下のステップ:
-アンモニア供給材料ストリームを提供するステップ;
-前記のアンモニア供給材料ストリームを、水素および窒素および任意選択的にまた未転化アンモニアを含む流出ガスストリームを生成するために、アンモニアクラッキング反応器に通すステップ;
-前記流出ガスストリームを、前記水素生成物と水素、窒素および任意選択的に未転化アンモニアを含むオフガスストリームとを生成するために水素回収ユニットに通すステップ;ここで当該ステップはさらに、前記流出ガスストリームを、前記流出ガスストリームを水素回収ユニットに通す前に、アンモニア供給材料ストリームとの熱交換により冷却することを含む;
を含み;
アンモニア供給材料ストリームをアンモニアクラッキング反応器に通す前記ステップの前に、前記方法は、アンモニア、水素及び窒素を含む部分的に転化されたアンモニア供給材料ストリームを生成するために、アンモニア供給材料ストリームをアンモニア予備クラッキング反応器、すなわち少なくとも1つのアンモニア予備クラッキング反応器に通すステップは存在しない、前記方法を提供する。
【0088】
これにより、より単純なプロセスおよびプラントのレイアウトが得られる。これにより、付随する資本的支出および事業経費の減少も達成される。
【0089】
上記の実施態様がいずれも、予備クラッキングが存在しないこの実施態様と組み合わせてよいことは理解されよう。
【0090】
第2の態様において、本発明はまた、以下:
-アンモニア供給材料ストリームを受け入れるように配置された少なくとも1つの予備クラッキング反応器、例えば断熱式予備クラッキング反応器、ここで、前記少なくとも1つの予備クラッキング反応器は、好ましくは、その中に、アンモニア、水素および窒素を含む部分的に転化されたアンモニア供給材料ストリームを生成するための触媒固定床が配置されている;
-水素および窒素ならびに任意選択的にまた未転化アンモニアを含む流出ガスストリームを生成するための、部分的に転化されたアンモニア供給材料ストリームを受け入れるように配置されたアンモニアクラッキング反応器;
-水素生成物と、水素、窒素および任意選択的に未転化アンモニアを含むオフガスストリームとを生成するための流出ガスストリームを受け入れるように配置された水素回収ユニット;
を含む、アンモニアから水素生成物を製造するためのシステム、すなわちプラントであって、
前記システムがさらに、アンモニア供給材料ストリームとの熱交換によって前記流出ガスストリームを冷却するために適合された少なくとも1つの熱交換器を水素回収ユニットの上流含む、前記システム(すなわちプラント)も提供する。
【0091】
好適にはまた、前記システムは、予備クラッキング反応器が存在しない。
従って、以下:
-水素および窒素ならびに任意選択的にまた未転化アンモニアを含む流出ガスストリームを生成するためのアンモニア供給材料ストリームを受け入れるように配置されたアンモニアクラッキング反応器;
-水素生成物と、水素、窒素および任意選択的に未転化アンモニアを含むオフガスストリームとを生成するための流出ガスストリームを受け入れるように配置された水素回収ユニット;
を含む、アンモニアから水素生成物を生成するためのシステムであって、
前記システムがさらに、アンモニア供給材料ストリームとの熱交換によって前記流出ガスストリームを冷却するために適合された少なくとも1つの熱交換器を水素回収ユニットの上流に含み;
前記システムは、前記アンモニアクラッキング反応器の上流に、予備クラッキング反応器、すなわち少なくとも1つの予備クラッキング反応器が存在しない、前記システムも提供する。
【0092】
さもなければ、前記予備クラッキング反応器が、アンモニア、水素及び窒素を含む部分的に転化されたアンモニア供給材料ストリームを生成するためのアンモニア供給材料ストリームを受け入れるように配置される。
【0093】
これにより、より単純なプロセスおよびプラントのレイアウトが得られる。これにより、付随する資本的支出および事業経費の減少も達成される。
【0094】
一実施態様において、前記アンモニアクラッキング反応器は、1つまたは複数の触媒充填管を含む燃焼加熱反応器、対流加熱反応器、電気加熱反応器、誘導加熱反応器またはそれらの組み合わせである。
【0095】
一実施態様において、前記システムは、前記アンモニアクラッキング反応器の下流および前記水素回収ユニットの上流に配置されたアンモニア回収蒸留塔(蒸留塔)を備え、前記アンモニア回収蒸留塔は、前記流出ガスストリームを受け入れるための入口と冷却された流出ガスストリームを出すための出口とを備えるリボイラーを備える。
【0096】
一実施態様において、アンモニア供給材料ストリームとの熱交換によって前記流出ガスストリームを冷却するために水素回収ユニットの上流に適合された前記の少なくとも1つの熱交換器は、アンモニア供給材料ストリームを受け入れるための入口と、前記リボイラーからの前記の冷却された流出ガスストリームを受け入れるための入口と、アンモニア供給材料ガスストリームを出すための出口とを備えるアンモニアエバポレーターであり、前記システムはさらに、前記アンモニア供給材料ガスストリームを前記アンモニア回収蒸留塔に供給するための導管、例えばパイプを備える。
【0097】
従って、本発明の第1の態様に関連しても記載されているように、微量の水、例えば0.2~0.5モル%の水、を含有する市販の液体アンモニアが貯留部から取り入れられ、運転圧力に送り出され、アンモニアエバポレーターに送られ、さらに、本質的に水不含のアンモニアを得るために蒸留塔に送られる。この水不含アンモニアは、引き続きアンモニアクラッキング反応器に供給されるアンモニア供給材料ストリームに相当する。一実施態様において、前記アンモニア供給材料ストリームは、1つまたは複数の触媒充填管を含む燃焼加熱反応器の対流セクションにおいて過熱条件に加熱される。前記ガスは触媒側にあり、燃料及び燃焼用空気が、管の長さに沿ったいくつかのバーナーにおいて燃焼される。管に沿った燃焼は、温度を十分に高く保つことによって、アンモニアの水素および窒素への転化を促進する。別の実施態様において、アンモニア供給材料ストリームは、電気加熱反応器に供給される。アンモニアクラッキング反応器において、アンモニアクラッキングの反応が起こり、アンモニアを水素および窒素に転化する。アンモニアクラッキング反応器は、少量の未転化アンモニアを有する流出ガスを生成するように設計することができる。
【0098】
アンモニアクラッキング反応器の触媒側からの流出ガスは、好適には、前記蒸留塔のリボイラーおよび前記エバポレーターにおいて冷却される。その後、そのようにして冷却された流出ガスは、場合によっては空気冷却器または水冷却器においてさらに冷却した後に、窒素および水素を含む実質的にアンモニア不含の頂部ガスストリーム、および未転化アンモニアおよび水を含む底部液体ストリームを生成するために、流出ガスセパレーター、例えば水をスクラビング媒体として使用するスクラビングユニットに送られる。
【0099】
前記頂部ガスストリームは、水素回収ユニットに送られ、そこで、水素生成物ガス、例えば99%を超える水素及び微量の窒素と、オフガスへの分離が行われる。オフガスは、好適には、任意選択的に他のガス状燃料源(複数可)、例えば天然ガスと一緒に、燃焼加熱アンモニアクラッキング反応器における燃料として使用される。
【0100】
スクラビングユニットからの底部液体は、貯留部に由来する蒸発させたアンモニアと一緒に、前記蒸留塔に送られる。それによって、蒸留塔は、水が触媒活性を低下させるので、アンモニアクラッキング反応器の触媒に行く水の量を制限することを可能にし、スクラビングユニットからアンモニアを回収することを可能にする。
【0101】
主に水素およびアンモニアから、次に窒素からなる、蒸留塔の還流系からの軽質頂部ガスは、それをスクラビングユニットに送ることによって再利用される。それにより、貴重な水素が水素回収ユニットに送られ、システムの効率が向上する。
【0102】
貯留部からの低温液体アンモニアストリームは、前記還流系において頂部ガスを凝縮するために使用され、それによって、他の冷却タイプ、例えば水冷または空冷を不要にし、アンモニア供給材料ストリーム自体を予熱する。
【0103】
一実施態様において、水素生成物の必要な純度を得るために、水素回収ユニットは、(場合により圧力スイング吸着(PSA)タイプおよび/または膜タイプの)2つの個々の水素回収ユニットを含む(適切な場合にはこれらのユニットの間に適切な圧縮を伴う)。
【0104】
燃焼加熱反応器の煙道ガス中の顕熱は、その中に配置された触媒充填管に入る前にアンモニアを過熱するために主に使用される。煙道ガス中の熱は、好適には、燃焼用空気及び/又は燃料、例えば天然ガスを予熱するためにも使用される。これは、燃料、例えば天然ガスの使用を制限する。
【0105】
本発明の第1の態様による実施態様および関連する技術的利点のいずれも、本発明の第2の態様と組み合わせることができ、逆もまた同様であることが理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0106】
図1図1は、アンモニア予備クラッキング、アンモニアクラッキング、流出ガスストリーム冷却、およびそれによるアンモニア供給材料ストリームの調製および水素回収を含む、本発明の1つの実施態様によるプロセスおよびプラントの概略レイアウトを示す。
図2図2は、流出ガスストリーム冷却、アンモニア回収および蒸留塔における水除去を含むアンモニア供給材料ストリームの調製、ならびに水素回収を含む、本発明の1つの実施態様によるプロセスおよびプラントの別の概略レイアウトを示す。
図3図3は、流出ガスストリーム冷却、アンモニア回収および蒸留塔における水除去を含むアンモニア供給材料ストリームの調製、ならびに水素回収を含む、本発明の1つの実施態様によるプロセスおよびプラントのさらに別の概略レイアウトを示す。
【0107】
図1を参照すると、プロセスおよびプラントスキーム100(本明細書では「スキーム」とも呼ばれる)は、液体アンモニア用の貯留部10を示し、アンモニア供給材料ストリームはここに由来する。液体アンモニア1は、液体アンモニアストリーム3として、燃焼加熱反応器24(これはこのスキームにおいて、アンモニアクラッキング反応器の特定の実施態様である)からのさらに冷却された流出ガスストリーム19を利用して液体アンモニアストリーム5への液体アンモニアを予熱するために、第2の供給材料/流出物熱交換器12に送り出される。予熱されたストリーム5は、加熱媒体として燃焼加熱反応器24からの冷却された流出ガスストリーム17を使用する、アンモニアエバポレーター14における蒸発に付される。液体アンモニアストリーム5に含有される水を除去するために、水パージ(図示してない)を、エバポレーター14に接続して設けることもできる。得られるアンモニア供給材料ストリーム7(今やガス状形態にある)は、燃焼加熱反応器24からの流出ガスストリーム15、すなわち出口ストリーム15を使用して、第1の供給材料/流出物熱交換器16において、アンモニア供給材料ガスストリーム9にさらに予熱される。
【0108】
アンモニア供給材料ガスストリーム9は引き続き、燃焼加熱反応器24の対流セクション24’’’内に配置された熱交換ユニット18’、例えば加熱コイルにおいて、さらに予熱される。このように予熱されたアンモニア供給材料ガスストリーム9’は、第1および第2の断熱式予備クラッキング反応器20,22に通され、予熱されたアンモニア供給材料ガスストリーム11’を形成するための、熱交換ユニット18’’での出口ストリーム11の段間加熱を伴う。断熱式予備クラッキング反応器は、アンモニア合成の技術分野で知られているような、触媒、例えばアンモニア合成触媒、例えばFe系触媒の固定床を含む。第2の断熱式反応器22から、アンモニア、水素および窒素を含む部分的に転化されたアンモニア供給材料ストリーム13が取り出され、熱交換ユニット18’’’でさらに予熱されて、予熱された部分的に転化されたアンモニア供給材料ストリーム13’が形成され、これは引き続き、加熱反応器24に通される。
【0109】
燃焼加熱反応器24は、図に概略的に示されるように、いくつかの触媒充填管24’およびバーナー24’’をその中に配置している。前記触媒はまた、例えば、Fe系触媒である。燃焼加熱反応器24はまた対流ゾーン24’’’も含み、それはいくつかの熱交換ユニット18、18’、18’’’および18ivをその中に配置している。燃焼加熱反応器24において、アンモニアのさらなる解離が起こり、それによって、水素および窒素ならびに任意選択的にまた未転化アンモニアを含む流出ガスストリーム15が生成される。蒸気生成のための廃熱を有することを回避するために、断熱式反応器20、22と燃焼加熱アンモニアクラッキング反応器24が組み合わされる。
【0110】
燃焼加熱反応器24からの流出ガスストリーム15は、供給材料/流出物熱交換器16および12のための熱、ならびにアンモニアエバポレーター14を運転するための熱を提供する。従って、さらに冷却された流出ガスストリーム19は、第2の供給材料/流出物熱交換器12で冷却されて、冷却された流出ガスストリーム21を形成する。水冷却器26を、ストリーム23への流出ガスストリームを、それを水素回収ユニット28(これは例えばPSAユニットである)に通す前にさらに冷却するために設けてもよい。前記プロセス(方法)は、それによって、流出ガスストリーム15を水素回収ユニット28に通す前に、流出ガスストリーム15を、アンモニア供給材料ストリーム3、5、7との熱交換により冷却することを含む。水素回収ユニット、例えばPSAユニット28から、水素生成物ストリーム25が取り出され、水素、窒素および未転化アンモニアを含むオフガスストリーム27も取り出される。オフガスストリーム27は熱交換ユニット18ivにおいて予熱されて、予熱されたオフガスストリーム27’を形成し、次いで、燃焼加熱反応器24のバーナー24’’で使用されるストリーム27’’に分割される。燃焼用空気ストリーム29は熱交換ユニット18において予熱されて、予熱された空気ストリーム29’を形成し、次いで図に示すように分割されてバーナー24’’に供給され、そこでオフガス27’’と混合される。それによって、外部燃料源、例えば天然ガスの使用が著しく減少するかまたは完全に排除される。また、有利には、外部燃料源、例えば天然ガスを使用する代わりに、前記流出ガスストリームの一部が転用されて、別個の燃料ストリームの少なくとも一部として供給される(図示せず)。前記流出ガスストリームの一部は、例えば、アンモニアクラッキング反応器からの出口ストリームの一部として、または、水素回収ユニットに入る冷却された流出ガスストリームの一部として取り出すことができる。燃焼中に発生した煙道ガスは、上記の熱交換ユニット18、18’、18’’’および18ivにおいて熱を伝える対流ゾーン24’’’中を進み、煙道ガスストリーム31としてスタックに送られる。
【0111】
図2を参照すると、アンモニアクラッキング反応器、例えば電気加熱反応器(図示していない)からの流出ガスストリーム121が、アンモニア回収蒸留塔(蒸留塔)120のアンモニア回収リボイラー120’’のための熱を提供し、従って、冷却された流出ストリーム123を生成し、これはアンモニアエバポレーター118を運転するために使用され、従って、冷却された流出ストリーム125へとさらに冷却され、それは引き続き、供給材料/流出物熱交換器114(例えば、第1のアンモニア供給材料予熱器)に熱を提供するために使用され、それによって、冷却された流出ガスストリーム127を生成する。当該プロセス(方法)はまた、それによって、流出ガスストリーム127を水素回収ユニットに通す前に、流出ガスストリーム123を、例えばエバポレーター118および熱交換器114を用いる、アンモニア供給材料ストリーム105、115との熱交換により冷却することも含む。次いで、この冷却された流出ガスストリーム127は、流出ガスセパレーター、例えばスクラビング媒体として水141を使用する流出ガススクラビングユニット124に通される。水ストリーム141は、アンモニア回収熱交換器122で熱を伝えた後の、蒸留塔120の底部ストリーム137から導かれ、従って、水ストリーム137’を生成し、これは凝縮物ボイラーユニット(図示せず)において凝縮され得る。水ストリーム141を生成するために、メイクアップ水ストリーム139を加えてもよい。
【0112】
流出ガススクラビングユニット124から、窒素および水素を含む頂部ストリーム143が取り出され、未転化アンモニアを含む底部液体ストリーム129も取り出される。頂部ストリーム143の少なくとも一部147は、2つのPSAユニット126および126’を含む水素回収に通される。他の部分145は、窒素ストリームとして取り出される。未転化アンモニアを含み、アンモニア含有量が例えば約15モル%であり、残りが主に水である底部液体ストリーム129は、次いで、熱交換器122において、熱交換媒体として蒸留塔120の底部ストリーム137(これは、主に水であり、例えば約90モル%の水および10モル%のNHである)を使用して予熱され、引き続き、ストリーム129’として前記蒸留塔120に供される。
【0113】
蒸留塔120から、頂部ストリーム131が取り出され、第2のアンモニア供給材料予熱器および任意選択的にまたアンモニア回収空気冷却器(図示せず)で冷却され、アンモニア回収セパレーター120’に通され、それによって、水素、窒素およびアンモニアを含む軽質ガス頂部ストリーム133と、アンモニアリッチである、すなわち99モル%以上のアンモニアを有する蒸留塔への還流ストリーム135とを生成し、そこから部分135’が取り出される。従って、頂部ストリーム131から、アンモニアリッチストリーム135’が導かれ、貯留部から取り入れられた液体アンモニア111と組み合わされ、そしてこれは好適には、上述の第1のアンモニア供給材料予熱器114で予熱され、電解ユニット112における電気分解に付されたものである。
【0114】
輸送要件のため、取引されている液体アンモニアは通常、無水と呼ばれる場合であっても、いくらかの水を含有する。例えば、貯留部110から送り出された液体アンモニア101、103は、約0.2モル%の含水率を有し得る。この水はアンモニアエバポレーター118において、水パージストリームとして取り出され得るが、水の除去は好適には、以下に記載されるように、例えば電気分解または蒸留でもたらされる。
【0115】
従って、より具体的には、水除去は例えば、貯留部110から取り入れられた液体アンモニア101、103を、アルカリ/PEM電解ユニット112における電気分解に付すことによって行われ、それによってアンモニア供給材料ストリーム105、ならびに酸素生成物107および水素生成物109が生成される。アンモニアエバポレーター上流での電気分解、特に貯留部から取り入れられた液体アンモニアの例えばアルカリ/PEM電解における電気分解は、電気が容易に利用可能である場合、特に、グリーン資源から利用可能である場合、例えば電力が太陽または風力源から生成される場合に好ましい。電気分解112からの水素生成物109の少なくとも一部は、前記の少なくとも1つのアンモニア予備クラッキング反応器においてアンモニア供給材料ストリームと組み合わされてもよい。アンモニア供給材料ガスと組み合わされない、電気分解112からの水素生成物109の部分は、好適には、例えば水素回収からの水素生成物149、149’と混合することによって、水素生成物に組み入れられる。
【0116】
水の除去はまた、エバポレーター118における蒸発からの点線ストリーム117’によって示されるように、アンモニア供給材料ガスストリームを、前記蒸留塔120における蒸留に付すことによって行うこともでき、それによってアンモニア供給材料ストリーム119が生成され、これは蒸留塔120の頂部ストリームの一部として取り出され、水を含まない。水を含まないとは、アンモニア予備クラッキングおよび/または後続のアンモニアクラッキングに使用される触媒が影響を受けないほど含水率が低いことを意味する。
【0117】
水素回収ユニットは、少なくとも1つの圧力スイング吸着(PSA)ユニット(ここではPSAユニット126、126’として示される)を、それによって水素生成物149、149’およびオフガスストリーム151を生成するために含む。ライン149’内の水素生成物は、好適には、ライン149内よりも高い圧力で別個の水素ストリームとして取り出される。例えば、第1のPSAユニット126は約100bargで運転され、それによって、この圧力で水素生成物149’を生成し、一方、第2のPSAユニット126’は、約30bargというより低くてより典型的な圧力で運転され、それによって、この圧力で水素生成物149を生成する。PSAユニット126’から、オフガスストリーム151が取り出される。このオフガスストリーム151は、例えば、約8体積%のH、91体積%のN、1体積%未満のHO、およびいくらかの微量なNHを含有し、従ってそれは、図1におけるように1つのPSAユニットで運転する場合と比較して、燃料としての価値は低い。
【0118】
ここで図3を参照すると、図2と類似のレイアウトが示されており、主な相違点は、蒸留塔220からの軽質頂部ガスストリーム233が流出ガスセパレーター224に供給されること、ならびに熱交換器220’’’が蒸留塔の還流系の一部としてアンモニア供給材料予熱器として使用されることである。主に水素およびアンモニアから、次に窒素からなる、蒸留塔220の還流系からの小さな軽質頂部ガスストリーム233は、それを流出ガスセパレーター、例えば流出ガススクラビングユニット224に送ることによって再利用される。それによって、次いで貴重な水素が、窒素および水素を含む頂部ストリーム243を介して水素回収ユニット226に提供され、従って、プロセス(方法)およびプラント(システム)の効率を増加させる。貯留部210からの低温液体アンモニア供給材料ストリーム201、203は、有利には、還流系において蒸留塔220からの頂部ガスストリーム231を凝縮するために使用され、それによって、他の冷却方法および付随装置、例えば水冷または空冷に頼る必要性が省け、そして、アンモニア供給材料ストリーム自体を予熱する。
【0119】
さらに、図3において、アンモニアクラッキング反応器から、例えば電気加熱反応器(図示せず)または燃焼加熱反応器からの流出ガスストリーム221(例えばいずれの実施態様も先行のアンモニア予備クラッキングを有しない)は、アンモニア回収蒸留塔(蒸留塔)220のアンモニア回収リボイラー220’’のための熱を供給し、従って、冷却された流出ストリーム223を生成し、これはアンモニアエバポレーター218を運転するために使用され、従って、冷却された流出ストリーム225にさらに冷却され、そして引き続き、水冷却器228を介して、冷却された流出ガスストリーム227に冷却される。アンモニアエバポレーター218に、アンモニア供給材料予熱器220’’’からの予熱されたアンモニア供給材料ストリーム205が供される。次いで、冷却された流出ガスストリーム227は、スクラビング媒体として特に水を使用する流出ガスセパレーター、例えば流出ガススクラビングユニット224に通される。ストリーム237’’が蒸留塔220の底部ストリーム237から導かれ、任意選択的にメイクアップ水ストリーム(図示せず)と付加混合され、アンモニア回収熱交換器222において熱を伝え、従って、水ストリーム237’を生成し、好適にはまた、水冷却器230で冷却された後に、水ストリーム237’’を従って生成する。蒸留塔220の還流系からの軽質頂部ガスストリーム233もまた、流出ガススクラビングユニット224に供される。
【0120】
流出ガススクラビングユニット224から、窒素および水素を含む頂部ストリーム243が取り出され、未転化アンモニアを含む底部液体ストリーム229も取り出される。頂部ストリーム243は、2つのPSAユニット226および226’を含む水素回収に通される。流出ガススクラビングユニット224からの、未転化アンモニアを含む底部液体ストリーム229は次いで、上記で説明したように、熱交換器222において、熱交換媒体として蒸留カラム220の底部ストリーム237を使用して予熱され、引き続きストリーム229’’として前記蒸留塔220に供される。底部液体ストリーム229の一部分229’は任意選択的に転用されて、アンモニアエバポレーター218からの液体ブローダウン(パージストリーム)253と組み合わされる。
【0121】
蒸留塔220から、頂部ストリーム219、231が取り出される。水不含のアンモニアストリーム(例えば、1ppmv以下のHOを有する)は、予備クラッキングおよび/またはアンモニアクラッキング反応器のためのアンモニア供給材料ストリームとして機能する。頂部ガスストリーム231は、アンモニア供給材料予熱器220’’’において、および任意選択的にまた並列に配置された水冷却器220ivにおいて、従ってバイパス231’を介して、冷却される。そのように凝縮された頂部ガスは、アンモニア回収セパレーター220’に通され、それによって、軽質ガス頂部ストリーム233および蒸留塔220への還流ストリーム235を生成する。アンモニア液体貯留部210から、アンモニア供給材料ストリーム201が、ストリーム203として、前記アンモニア供給材料予熱器220’’’に送り出される。
【0122】
図1に関連して、水素回収ユニットはここでもまた、少なくとも1つの圧力スイング吸着(PSA)ユニット(ここではPSAユニット226、226’として示される)を、それによって水素生成物249、249’およびオフガスストリーム251を生成するために含む。
【0123】
それによって、アンモニアが主要なまたは唯一のエネルギー源であるアンモニアクラッキングプロセス及びプラントのための熱統合が達成され、その結果、全ての重要な廃熱を、複数のアンモニア予備クラッキング反応器、好ましくは断熱式アンモニア予備クラッキング反応器、例えば2つの断熱式アンモニアクラッキング反応器が使用される場合に、アンモニアの予熱/蒸発および後続の予熱、例えば過熱のために使用することができる。低価値であるかまたは役に立たないと考えられ得る、蒸気の生成のために利用可能な廃熱は存在しない。水素回収ユニットから、すなわち水素精製からのオフガスは、任意選択的に、例えば燃焼加熱反応器を利用する場合に、アンモニアクラッキング反応器における燃料として使用され、あるいは、前記オフガスは、電気によって動力が供給されるアンモニアクラッキング反応器、例えば電気加熱反応器を利用する場合に、専用の(別個の)燃焼加熱器における燃料として使用され、それによって、プロセスおよびプラントのエネルギー効率がさらに改善される。アンモニア予備クラッキングの提供は、例えばアンモニアクラッキング反応器が電気的に加熱される場合には、不要にすることもできる。
【0124】
図1~3に示すように、アンモニアを主要なまたは唯一のエネルギー源として有するこのようなスキームは、エネルギーキャリアとしてアンモニアを使用するグリーンへの移行において重要である。
【0125】
本発明の実施態様(特徴)
本発明は以下の特徴を包含する:
1.アンモニアから水素生成物を製造するための方法であって、以下のステップ:
i)アンモニア供給材料ストリームを提供するステップ;
ii)前記のアンモニア供給材料ストリームを、アンモニア、水素および窒素を含む部分的に転化されたアンモニア供給材料ストリームを生成するために、少なくとも1つのアンモニア予備クラッキング反応器に通すステップ;
iii)前記の部分的に転化されたアンモニア供給材料ストリームを、水素および窒素および任意選択的にまた未転化アンモニアを含む流出ガスストリームを生成するために、アンモニアクラッキング反応器に通すステップ;
iv)前記流出ガスストリームを、前記水素生成物と、水素、窒素および任意選択的に未転化アンモニアを含むオフガスストリームとを生成するために、水素回収ユニットに通すステップ、
を含む方法において、
ステップiv)が、前記流出ガスストリームを前記水素回収ユニットに通す前に、前記流出ガスストリームを、前記アンモニア供給材料ストリームとの熱交換により冷却することを含む、
前記方法。
2.前記の少なくとも1つのアンモニア予備クラッキング反応器が、触媒固定床を含み、反応器の入口から出口へ温度が例えば50~200℃低下している、断熱式アンモニア予備クラッキング反応器である、特徴1に記載の方法。
3.前記アンモニアクラッキング反応器が、1つまたは複数の触媒充填管を含む燃焼加熱反応器、対流加熱反応器、電気加熱反応器、誘導加熱反応器またはそれらの組み合わせである、特徴1または2に記載の方法。
4.前記の少なくとも1つのアンモニア予備クラッキング反応器および/または前記のアンモニアクラッキング反応器が、300~700℃の温度範囲で、かつ、アンモニア合成触媒、例えば、Fe、Co、RuまたはNi系触媒のいずれか、好ましくはFe系触媒を用いて運転される、特徴1~3のいずれか1つに記載の方法。
5.ステップii)が、好ましくはアンモニア供給材料ストリームを、複数の予備クラッキング反応器、例えば2つの断熱式予備クラッキング反応器に通すことによって、アンモニア供給材料ストリームを少なくとも1つの断熱式アンモニア予備クラッキング反応器に通す前に、当該アンモニア供給材料ストリームを予熱することを含む、特徴2~4のいずれか1つに記載の方法。
6.さらに以下を含む、特徴1~5のいずれか1つに記載の方法:
v)-燃焼加熱反応器または対流加熱反応器において必要な熱を生成するために、前記オフガスストリームを、それを空気ストリームと、任意選択的にまた別個の燃料ストリームと混合して、燃焼加熱反応器または対流加熱反応器に通すこと;または
-好ましくは前記アンモニアクラッキング反応器が電気加熱反応器または誘導加熱反応器である場合に、アンモニア供給材料ガスストリームを予熱するために、オフガスストリームを、それを空気ストリームと、任意選択的にまた別個の燃料ストリームと混合して、燃焼加熱器に通すこと。
7.以下を含む、特徴6に記載の方法:
-前記流出ガスストリームの一部を転用し、それを前記別個の燃料ストリームの少なくとも一部として供給し;好適には、前記流出ガスストリームの一部は、アンモニアクラッキング反応器からの生成された流出ガスストリームの一部として取り出されるか、または水素回収ユニットに入る冷却された流出ガスストリームの一部として取り出されること;
および/または
-アンモニアストリームの一部、例えばアンモニア供給材料ストリームの一部を転用し、それを前記別個の燃料ストリームの少なくとも一部として供給すること。
8.ステップiii)が、以下のうちの少なくとも1つにより、高温煙道ガスストリームを生成し、その熱を回収することをさらに含む、特徴1~7のいずれか1つに記載の方法:
-アンモニア供給材料ストリームを少なくとも1つの断熱式アンモニア予備クラッキング反応器に通す前の、アンモニア供給材料ストリームの前記予熱;
-部分的に転化されたアンモニア供給材料ストリームの予熱;
-オフガスストリームの予熱;または
-空気ストリームの予熱。
9.アンモニア供給材料ストリームが、液体アンモニア、例えば貯留部から取り入れられた液体アンモニアから導かれ、および、任意選択的な水除去、蒸発、および前記蒸発の前の任意選択的な予熱に付されたものである、特徴1~8のいずれか1つに記載の方法。
10.前記の水除去が、貯留部から取り入れられた液体アンモニアを、アルカリまたはポリマー電解質膜(PEM)電解ユニットにおける電気分解に付すことによって実施され、それによって前記アンモニア供給材料ストリーム、ならびに酸素生成物および水素生成物を生成する、特徴9に記載の方法。
11.電気分解からの水素生成物の少なくとも一部が、少なくとも1つのアンモニア予備クラッキング反応器においてアンモニア供給材料ストリームと組み合わされるか、または電気分解からの水素生成物の少なくとも一部が、前記の別個の燃料ストリームとして供給される、特徴10に記載の方法。
12.ステップiv)がさらに、アンモニア供給材料ストリームとの熱交換による流出ガスストリームの前記冷却後に、アンモニア回収蒸留塔における蒸留により、流出ガスストリームにおける未転化アンモニアを回収することを含み、前記冷却後かつ蒸留の前に、そのように冷却された流出ガスストリームは、窒素および水素を含む頂部ストリームと、未転化アンモニアを含む底部液体ストリームとを生成するために、流出ガスセパレーター、例えば水をスクラビング媒体として使用する流出ガススクラビングユニットに供給される、特徴1~11のいずれか1つに記載の方法。
13.前記の水除去が、蒸発ステップからのアンモニア供給材料ガスストリームを、前記アンモニア回収蒸留塔における蒸留に付すことによって実施され、それによって前記アンモニア供給材料ストリームが生成する、特徴9~12のいずれか1つに記載の方法。
14.液体アンモニア、例えば貯留部から取り入れられた液体アンモニアから導かれるアンモニア供給材料ストリームの蒸発前の前記予熱が、アンモニア回収蒸留塔から取り出された頂部ガスストリームと熱交換することを含む、特徴9および12~13のいずれか1つに記載の方法。
15.水素およびアンモニアを含む軽質頂部ガスストリームが、アンモニア回収蒸留塔から、好適には前記頂部ガスストリームから取り出され、前記流出ガスセパレーターに供給される、特徴12~14のいずれか1つに記載の方法。
16.水素回収ユニットが、少なくとも1つの圧力スイング吸着(PSA)ユニット)を、それによって前記水素生成物および前記オフガスストリームを生成するために含む、特徴1~15のいずれか1つに記載の方法。
17.-水素回収ユニットが、前記水素生成物を生成するための第1および第2のPSAユニットを備え、前記方法がさらに、第1のPSAユニットから第1のオフガスストリームを取り出し、圧縮すること、およびそれを第2のPSAユニットに通すことによって前記オフガスストリームを生成することを含むか;あるいは
-水素回収ユニットが、膜ユニットおよびPSAユニットを備える、
特徴16に記載の方法。
18.アンモニアから水素生成物を製造するための方法であって、以下のステップ:
-アンモニア供給材料ストリームを提供するステップ;
-前記のアンモニア供給材料ストリームを、水素および窒素および任意選択的にまた未転化アンモニアを含む流出ガスストリームを生成するために、アンモニアクラッキング反応器に通すステップ;
-前記流出ガスストリームを、前記水素生成物と、水素、窒素および任意選択的に未転化アンモニアを含むオフガスストリームとを生成するために水素回収ユニットに通すステップであって、さらに、前記流出ガスストリームを、前記流出ガスストリームを水素回収ユニットに通す前に、アンモニア供給材料ストリームとの熱交換により冷却することを含むステップ;
を含む方法において、
アンモニア供給材料ストリームをアンモニアクラッキング反応器に通す前記ステップの前に、アンモニア、水素及び窒素を含む部分的に転化されたアンモニア供給材料ストリームを生成するための、アンモニア供給材料ストリームをアンモニア予備クラッキング反応器に通すステップは存在しない、前記方法。
19.以下:
-アンモニア供給材料ストリームを受け入れるように配置された少なくとも1つの予備クラッキング反応器、例えば断熱式予備クラッキング反応器、ここで、前記少なくとも1つの予備クラッキング反応器は、好ましくは、その中に、アンモニア、水素および窒素を含む部分的に転化されたアンモニア供給材料ストリームを生成するための触媒固定床が配置されている;
-水素および窒素および任意選択的にまた未転化アンモニアを含む流出ガスストリームを生成するための部分的に転化されたアンモニア供給材料ストリームを受け入れるように配置されたアンモニアクラッキング反応器;
-水素生成物と、水素、窒素および任意選択的に未転化アンモニアを含むオフガスストリームとを生成するための流出ガスストリームを受け入れるように配置された水素回収ユニット;
を含む、アンモニアから水素生成物を製造するためのシステムであって、
さらに、アンモニア供給材料ストリームとの熱交換によって前記流出ガスストリームを冷却するために適合された少なくとも1つの熱交換器を水素回収ユニットの上流に含む、前記システム。
20.以下:
-水素および窒素および任意選択的にまた未転化アンモニアを含む流出ガスストリームを生成するためのアンモニア供給材料ストリームを受け入れるように配置されたアンモニアクラッキング反応器;
-水素生成物と、水素、窒素および任意選択的に未転化アンモニアを含むオフガスストリームとを生成するための流出ガスストリームを受け入れるように配置された水素回収ユニット;
を含む、アンモニアから水素生成物を製造するためのシステムであって、
さらに、アンモニア供給材料ストリームとの熱交換によって前記流出ガスストリームを冷却するために適合された少なくとも1つの熱交換器を水素回収ユニットの上流に含み、
前記アンモニアクラッキング反応器の上流に、予備クラッキング反応器が存在しない、前記システム。
図1
図2
図3
【国際調査報告】