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特表2024-511633電子デバイスにおけるワイヤレス電力伝送および通信のための磁気構成
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-14
(54)【発明の名称】電子デバイスにおけるワイヤレス電力伝送および通信のための磁気構成
(51)【国際特許分類】
   H02J 50/10 20160101AFI20240307BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20240307BHJP
   H02J 50/70 20160101ALI20240307BHJP
【FI】
H02J50/10
H02J7/00 301D
H02J50/70
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023558828
(86)(22)【出願日】2022-02-28
(85)【翻訳文提出日】2023-09-25
(86)【国際出願番号】 US2022018142
(87)【国際公開番号】W WO2022211944
(87)【国際公開日】2022-10-06
(31)【優先権主張番号】63/167,795
(32)【優先日】2021-03-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】503260918
【氏名又は名称】アップル インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Apple Inc.
【住所又は居所原語表記】One Apple Park Way,Cupertino, California 95014, U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100210239
【弁理士】
【氏名又は名称】富永 真太郎
(72)【発明者】
【氏名】リ イェ
【テーマコード(参考)】
5G503
【Fターム(参考)】
5G503AA01
5G503BA01
5G503BB01
5G503GB08
(57)【要約】
デバイスは、別のデバイスの相補的なワイヤレス電力伝送コイルに結合可能なワイヤレス電力伝送コイルを含む場合がある。デバイスは、ワイヤレス電力送電および/または受電回路構成要素と、処理および通信システムと、処理および通信システムに結合されたワイヤレス通信コイルとを更に含む場合がある。通信コイルは、処理および通信システムと相補的なデバイスとの間の通信を可能にするように、相補的なデバイスの対応する通信コイルに磁気的に結合可能な巻線を含む場合がある。ワイヤレス通信コイルは、デバイスの長手方向軸に沿って電力伝送コイルから分離されている場合がある。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
デバイスであって、
ワイヤレス電力送電機の電力送電コイルと磁気結合されるように構成された電力受電コイルと、
前記電力受電コイルからエネルギーを受電するように構成されたワイヤレス電力受電回路構成要素と、
前記ワイヤレス電力受電回路構成要素によって供電される処理および通信システムと、
前記処理および通信システムに結合されたワイヤレス通信コイルであって、前記処理および通信システムと前記ワイヤレス電力送電機との間の通信を可能にするように、前記ワイヤレス電力送電機の対応する通信コイルに磁気的に結合されるように構成された巻線を含む、ワイヤレス通信コイルと、を備え、
前記ワイヤレス通信コイルが、前記デバイスの長手方向軸に沿って前記電力受電コイルから分離されている、デバイス。
【請求項2】
前記デバイスが、ワイヤレスイヤホンであり、前記デバイスの前記長手方向軸が、前記ワイヤレスイヤホンのステム部分の長手方向軸である、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記電力受電コイルが、半球状の磁気コアと、前記半球状の磁気コアの外部の周りに配置された巻線とを含む、請求項2に記載のデバイス。
【請求項4】
前記電力受電コイルが、前記ワイヤレス電力送電機の半球状の電力送電コイル内に配置されるように構成されている、請求項3に記載のデバイス。
【請求項5】
前記電力受電コイルが、前記ワイヤレスイヤホンの前記ステム部分の遠位端に配置されている、請求項3に記載のデバイス。
【請求項6】
前記電力受電コイルと前記ワイヤレス通信コイルとの間に配置された遮蔽体を更に備える、請求項1に記載のデバイス。
【請求項7】
前記通信コイルの高さ、および前記通信コイルと前記電力受電コイルとの間の垂直分離のうちの少なくとも1つが、前記通信コイルと前記電力受電コイルとの間に所望の磁気絶縁度を提供するように選択されている、請求項1に記載のデバイス。
【請求項8】
前記通信コイルが、磁気コアを含む、請求項1に記載のデバイス。
【請求項9】
前記磁気コアが、前記通信コイルの前記巻線の断面積よりも小さい断面積を有し、前記磁気コアが、前記巻線の開口内で前記巻線の後ろに配置されている、請求項8に記載のデバイス。
【請求項10】
前記磁気コアが、前記通信コイルの前記巻線の前記断面積より大きい断面積を有し、前記巻線が、前記磁気コア内のチャネル内に配置されている、請求項8に記載のデバイス。
【請求項11】
前記デバイスの前記長手方向軸に沿った前記通信コイルの垂直寸法が、前記デバイスの前記長手方向軸を横断する前記通信コイルの水平寸法よりも大きい、請求項8に記載のデバイス。
【請求項12】
前記デバイスの前記長手方向軸に沿った前記通信コイルの垂直寸法が、前記デバイスの前記長手方向軸を横断する前記通信コイルの水平寸法より小さい、請求項8に記載のデバイス。
【請求項13】
デバイスであって、
ワイヤレス電力受電機の電力受電コイルに磁気的に結合されるように構成された電力送電コイルと、
前記電力送電コイルを介してエネルギーを送電するように構成されたワイヤレス電力送電回路構成要素と、
処理および通信システムと、
前記処理および通信システムに結合されたワイヤレス通信コイルであって、前記処理および通信システムと前記ワイヤレス電力受電機との間の通信を可能にするように、前記ワイヤレス電力受電機の対応する通信コイルに磁気的に結合されるように構成された巻線を含む、ワイヤレス通信コイルと、を備え、
前記ワイヤレス通信コイルが、前記デバイスの長手方向軸に沿って前記電力送電コイルから分離されている、デバイス。
【請求項14】
前記デバイスが、イヤホン充電ケースであり、前記デバイスの前記長手方向軸が、前記イヤホン充電ケースのステム部分の長手方向軸に対応する、請求項13に記載のデバイス。
【請求項15】
前記イヤホン充電ケースが、前記コイルの適切な整列のために前記ケースに対してイヤホンを位置決めするように構成された1つ以上の整列特徴部を含む、請求項14に記載のデバイス。
【請求項16】
前記電力送電コイルが、半球状の殻の磁気コアと、前記半球状の殻の内部の周りに配置された巻線とを含む、請求項14に記載のデバイス。
【請求項17】
前記電力送電コイルが、前記ワイヤレス電力受電機の半球状の電力受電コイルの周りに配置されるように構成されている、請求項16に記載のデバイス。
【請求項18】
前記電力送電コイルが、前記イヤホン充電ケースの前記ステム部分の遠位端を受け入れるように構成された前記イヤホン充電ケースの一部分に配置されている、請求項16に記載のデバイス。
【請求項19】
前記電力送電コイルと前記ワイヤレス通信コイルとの間に配置された遮蔽体を更に備える、請求項13に記載のデバイス。
【請求項20】
前記通信コイルの高さ、および前記通信コイルと前記電力送電コイルとの間の垂直分離のうちの少なくとも1つが、前記通信コイルと前記電力送電コイルとの間に所望の磁気絶縁度を提供するように選択される、請求項13に記載のデバイス。
【請求項21】
前記通信コイルが、磁気コアを含む、請求項13に記載のデバイス。
【請求項22】
前記磁気コアが、前記通信コイルの前記巻線の断面積よりも小さい断面積を有し、前記磁気コアが、前記巻線の開口内で前記巻線の後ろに配置されている、請求項21に記載のデバイス。
【請求項23】
前記磁気コアが、前記通信コイルの前記巻線の前記断面積より大きい断面積を有し、前記巻線が、前記磁気コア内のチャネル内に配置されている、請求項22に記載のデバイス。
【請求項24】
前記デバイスの前記長手方向軸に沿った前記通信コイルの垂直寸法が、前記デバイスの前記長手方向軸を横断する前記通信コイルの水平寸法よりも大きい、請求項22に記載のデバイス。
【請求項25】
前記デバイスの前記長手方向軸に沿った前記通信コイルの垂直寸法が、前記デバイスの前記長手方向軸を横断する前記通信コイルの水平寸法より小さい、請求項22に記載のデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2021年3月30日に出願され、「Magnetics Configurations for Wireless Power Transfer and Communications in Electronic Device Accessories」と題される、米国特許仮出願第63/167,795号に対する優先権を主張し、その開示は参照により、全体があらゆる目的のために本明細書に組み込まれる。
背景
【0002】
誘導電力伝送(Inductive Power Transfer、「IPT」)としても知られることがあるワイヤレス電力伝送(Wireless Power Transfer、「WPT」)は、近年、いくつかの用途においてより普及している。WPT/IPTの使用が増加している1つの用途は、モバイルフォン(すなわち、スマートフォン)およびそれらのアクセサリ(たとえば、ワイヤレスイヤホン、スマートウォッチなど)、ならびにタブレットや他のタイプのポータブルコンピュータおよびそれらのアクセサリ(たとえば、スタイラスなど)などの家電製品の周辺機器である。
【発明の概要】
【0003】
デバイスは、ワイヤレス電力送電機の電力送電コイルに磁気的に結合されるように構成された電力受電コイルと、電力受電コイルからエネルギーを受電するように構成されたワイヤレス電力受電回路構成要素と、ワイヤレス電力受電回路構成要素によって供電される処理および通信システムと、処理および通信システムに結合されたワイヤレス通信コイルと、を含み得る。通信コイルは、処理および通信システムとワイヤレス電力送電機との間の通信を可能にするように、ワイヤレス電力送電機の対応する通信コイルに磁気的に結合されるように構成された巻線を含み得る。ワイヤレス通信コイルは、デバイスの長手方向軸に沿って電力受電コイルから分離され得る。
【0004】
デバイスは、ワイヤレスイヤホンであり得、デバイスの長手方向軸は、ワイヤレスイヤホンのステム部分の長手方向軸であり得る。電力受電コイルは、半球状の磁気コアと、半球状のコアの外部の周りに配置された巻線とを含み得る。電力受電コイルは、ワイヤレス電力送電機の半球状の電力送電コイル内に配置されるように構成され得る。電力受電コイルは、ワイヤレスイヤホンのステム部分の遠位端に位置し得る。デバイスは、電力受電コイルとワイヤレス通信コイルとの間に配置された遮蔽を更に含み得る。通信コイルの高さ、および通信コイルと電力受電コイルとの間の垂直分離のうちの少なくとも1つは、通信コイルと電力受電コイルとの間に所望の磁気絶縁度を提供するように選択され得る。
【0005】
通信コイルは磁気コアを含み得る。磁気コアは、通信コイルの巻線の断面積よりも小さい断面積を有し得、磁気コアは、巻線の開口内で巻線の後ろに配置され得る。磁気コアは、通信コイルの巻線の断面積よりも大きい断面積を有し得、巻線は、磁気コア内のチャネル内に配置され得る。デバイスの長手方向軸に沿った通信コイルの垂直寸法は、デバイスの長手方向軸を横断する通信コイルの水平寸法より大きくてもよい。デバイスの長手方向軸に沿った通信コイルの垂直寸法は、デバイスの長手方向軸を横断する通信コイルの水平寸法よりも小さくてもよい。
【0006】
デバイスは、ワイヤレス電力受電機の電力受電コイルに磁気的に結合されるように構成された電力送電コイルと、電力送電コイルを介してエネルギーを送電するように構成されたワイヤレス電力送電回路構成要素と、処理および通信システムと、処理および通信システムに結合されたワイヤレス通信コイルとを含み得る。通信コイルは、処理および通信システムとワイヤレス電力受電機との間の通信を可能にするように、ワイヤレス電力受電機の対応する通信コイルに磁気的に結合されるように構成された巻線を含み得る。ワイヤレス通信コイルは、デバイスの長手方向軸に沿って電力送電コイルから分離され得る。
【0007】
デバイスは、イヤホン充電ケースとすることができ、デバイスの長手方向軸は、ワイヤレスイヤホンのステム部分の長手方向軸に対応することができる。イヤホン充電ケースは、コイルの適切な整列のためにイヤホンをケースに対して位置決めするように構成された1つ以上の整列特徴部を含み得る。電力送電コイルは、半球状の殻の磁気コアと、半球状の殻の内部の周りに配置された巻線とを含み得る。電力送電コイルは、ワイヤレス電力受電機の半球状の電力受電コイルの周りに配置されるように構成され得る。電力送電コイルは、ワイヤレスイヤホンのステム部分の遠位端を受け入れるように構成されたケースの一部分内に位置することができ、デバイスは、電力送電コイルとワイヤレス通信コイルとの間に配置された遮蔽を更に含み得る。通信コイルの高さおよび通信コイルと電力送電コイルとの間の垂直分離のうちの少なくとも1つは、通信コイルと電力送電コイルとの間に所望の磁気絶縁度を提供するように選択され得る。
【0008】
通信コイルは磁気コアを含み得る。磁気コアは、通信コイルの巻線の断面積よりも小さい断面積を有し得、磁気コアは、巻線の開口内で巻線の後ろに配置され得る。磁気コアは、通信コイルの巻線の断面積よりも大きい断面積を有し得、巻線は、磁気コア内のチャネル内に配置され得る。デバイスの長手方向軸に沿った通信コイルの垂直寸法は、デバイスの長手方向軸を横断する通信コイルの水平寸法より大きくてもよい。デバイスの長手方向軸に沿った通信コイルの垂直寸法は、デバイスの長手方向軸を横断する通信コイルの水平寸法よりも小さくてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】ワイヤレス電力伝送システムを示す。
図2】ワイヤレス給電される周辺機器およびワイヤレス充電ケースの応用例のブロック図である。
図3A】電力コイルから垂直方向に分離された通信コイルを含む例示的なワイヤレス電力伝送システム構成を示す。
図3B】電力コイルから垂直方向に分離された通信コイルを含む例示的なワイヤレス電力伝送システム構成を示す。
図4図3A図3Bに示す垂直に分離された電力コイルと通信コイルの更なる任意選択の配置を示す側面図を示す。
図5A図3A図3Bおよび図4に関して上述した垂直方向に分離/変位された通信コイル配置用の任意選択のフェライト構成を示す。
図5B図3A図3Bおよび図4に関して上述した垂直方向に分離/変位された通信コイル配置用の任意選択のフェライト構成を示す。
図6A図3A図3Bおよび図4に関して上述した垂直方向に分離/変位された通信コイル配置用の代替的な任意選択のフェライト構成を示す。
図6B図3A図3Bおよび図4に関して上述した垂直方向に分離/変位された通信コイル配置用の代替的な任意選択のフェライト構成を示す。
図7A図3A図3Bおよび図4に関して上述した垂直方向に分離/変位された通信コイル配置用の代替的な任意選択のフェライト構成を示す。
図7B図3A図3Bおよび図4に関して上述した垂直方向に分離/変位された通信コイル配置用の代替的な任意選択のフェライト構成を示す。
図7C図3A図3Bおよび図4に関して上述した垂直方向に分離/変位された通信コイル配置用の代替的な任意選択のフェライト構成を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下の記述では、説明の便宜上、開示される概念に対する理解を深めるために、多くの具体的な詳細を説明している。この記述の一部として、本開示の図面のいくつかは、本発明が不明瞭になるのを避けるために、構造およびデバイスをブロック図の形態で表す。明確性の点から、本明細書において、実際の実装形態のすべての特徴が説明されているわけではない。更に、本明細書において使用される文言は、専ら読みやすさおよび説明の目的で選択されたものであり、開示される主題を限定または制限するために選択されたものではない。むしろ、添付の特許請求の範囲はこのような目的のために意図したものである。
【0011】
開示される概念のさまざまな実施形態は、限定としてではなく例として添付の図面に示されており、同様の参照番号は同様の要素を示している。図示の簡略化と明瞭化のため、適切であると考えられる場合、参照番号は、対応する要素および/または類似の要素を示すために異なる図面の中で繰り返し使用されている。他に、本書に記載の実装形態の完全な理解を提供するために、具体的な詳細が数多く記載されている。その他の例では、説明されている関連する関連機能を不明瞭にしないように、方法、手順、および構成要素は詳細に説明されていない。本開示における「ある(an)」、「1つの(one)」、または「別の(another)」実施形態への言及は、必ずしも同じまたは異なる実施形態に対するものではなく、少なくとも1つを意味するものである。所与の図面は、本開示の複数の実施形態または本開示の複数の種を説明するために用いられるものであり、図中のすべての要素が、所与の実施形態または種において必要とされ得るものではない。参照番号は、所与の図面において提供される場合、いくつかの図面を通して同じ要素を指すが、すべての図面において繰り返し使用されているわけではない。図面は、別段の指示がない限りスケールとおりではなく、特定の部品の比率は、本開示の詳細および特徴をよりよく示すために誇張されている場合がある。
【0012】
図1は、ワイヤレス電力伝送システム100の簡易ブロック図を示す。ワイヤレス電力伝送システムは、誘導結合130を介して電力受電機(Power Receiver、PRx)120にワイヤレスで電力を伝送する電力送電機(Power Transmitter、PTx)110を含む。電力送電機110は、インバータ114によって特定の電圧および周波数特性を有するAC電圧に変換される入力電力を受電することができる。インバータ114は、以下で更に説明するように動作するコントローラ/通信モジュール116によって制御され得る。さまざまな実施形態では、インバータコントローラおよび通信モジュールは、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラなどに基づくシステムなどの共通システムにおいて実装されてもよい。他の実施形態では、インバータコントローラは、それらの間の通信手段を有する別個のコントローラモジュールおよび通信モジュールによって実装されてもよい。インバータ114は、任意の好適な回路トポロジ(たとえば、フルブリッジ、ハーフブリッジなど)を使用して構成されてもよく、任意の好適な半導体スイッチングデバイス技術(たとえば、シリコン、炭化ケイ素、または窒化ガリウムデバイスを使用して作製されたMOSFET、IGBTなど)を使用して実装されてもよい。
【0013】
インバータ114は、生成されたAC電圧を送電機コイル112に送達することができる。受電機への磁気結合を可能にするワイヤレスコイルに加えて、図1に示す送電機コイルブロック112は、受電機への異なる磁気結合度、異なる動作周波数などの異なる条件における送電機の動作を容易にする、追加のインダクタおよびキャパシタなどの同調回路構成要素を含んでもよい。ワイヤレスコイル自体は、さまざまな異なる方法で構成され得る。いくつかの実施形態では、ワイヤレスコイルは、適切なボビンに巻きつけたワイヤの巻線として形成され得る。他の実施形態では、ワイヤレスコイルは、プリント回路基板上のトレースとして形成され得る。他の配置も可能であり、本明細書に記載のさまざまな実施形態と併せて使用することができる。ワイヤレス送電機コイルはまた、特定の用途に適した方法でコイルの磁束パターンに影響を及ぼすように構成された透磁性材料(たとえば、フェライト)のコアを含み得る。本明細書の教示は、所与の用途に適した多種多様な送電機コイル配置のいずれかと併せて適用することができる。
【0014】
PTxコントローラ/通信モジュール116は、送電機コイルを監視し、そこから導出される情報を使用して、所与の状況に応じてインバータ114を適切に制御することができる。たとえば、コントローラ/通信モジュールは、インバータ114を特定の用途に応じて所与の周波数または出力電圧で動作させるように構成され得る。いくつかの実施形態では、コントローラ/通信モジュールは、PRxデバイスから情報を受信し、それに応じてインバータ114を制御するように構成され得る。この情報は、電力送電コイルを介して受信されてもよく(すなわち、帯域内通信)、または別個の通信チャネルを介して受信されてもよい(図示せず、すなわち、帯域外通信)。帯域内通信の場合、コントローラ/通信モジュール116は、情報を受信するために、PRxによって磁気リンクに印加された信号(電圧、周波数、または負荷変動など)を検出および復号することができ、情報をPRxに送信するために、生成される電圧のさまざまなパラメータ(電圧、周波数など)を操作することによって送達される電力を変調するようにインバータに命令することができる。いくつかの実施形態では、コントローラ/通信モジュールは、インバータ信号の周波数が変調される周波数シフトキーイング(Frequency Shift Keying、FSK)通信を採用して、データをPRxに通信するように構成され得る。コントローラ/通信モジュール116は、PRxからの振幅シフトキーイング(Amplitude Shift Keying、ASK)通信または負荷変調ベースの通信を検出するように構成され得る。いずれの場合も、コントローラ/通信モジュール126は、Txコイルに見られる波形を操作するために、PRx側で引き出される電流を変化させて、PRxからPTxに情報を送達するように構成され得る。帯域外通信の場合、PTxとPRxとの間の通信を可能にする追加のモジュール、たとえば、WiFi、Bluetooth(登録商標)、もしくは他の無線リンク、または任意の他の好適な通信チャネルが設けられ得る。
【0015】
上述したように、コントローラ/通信モジュール116は、たとえば、単一の集積回路上に設けられた単一のモジュールであってもよく、あるいは、異なる集積回路上に設けられた複数のモジュール/デバイス、またはアナログ構成要素およびデジタル構成要素の両方を有する集積回路とディスクリート回路の組合せから構成されてもよい。本明細書の教示は、コントローラ/通信回路構成要素のいかなる特定の配置にも限定されない。
【0016】
PTxデバイス110は、任意選択で、別個の通信モジュール118などの他のシステムおよび構成要素を含んでもよい。いくつかの実施形態では、通信モジュール118は、電力伝送コイルを介してPRx内の対応するモジュールタグと通信することができる。他の実施形態では、通信モジュール118は、別個の物理チャネル138を使用して対応するモジュールと通信することができる。
【0017】
上述したように、ワイヤレス電力伝送システムは、ワイヤレス電力受電機(PRx)120も含む。ワイヤレス電力受電機は、送電機コイル112に磁気的に結合され得る130受電機コイル122を含み得る。上述の送電機コイル112と同様に、図1に示す受電機コイルブロック122は、受電機への異なる磁気結合度、異なる動作周波数などの異なる条件における送電機の動作を容易にする、追加のインダクタおよびキャパシタなどの同調回路構成要素を含んでもよい。ワイヤレスコイル自体は、さまざまな異なる方法で構成され得る。いくつかの実施形態では、ワイヤレスコイルは、適切なボビンに巻きつけたワイヤの巻線として形成され得る。他の実施形態では、ワイヤレスコイルは、プリント回路基板上のトレースとして形成され得る。他の配置も可能であり、本明細書に記載のさまざまな実施形態と併せて使用することができる。ワイヤレス受電機コイルはまた、特定の用途に適した方法でコイルの磁束パターンに影響を及ぼすように構成された透磁性材料(たとえば、フェライト)のコアを含み得る。本明細書の教示は、所与の用途に適した多種多様な受電機コイル配置のいずれかと併せて適用することができる。
【0018】
受電機コイル122は、送電機コイル112を介した磁気誘導によって内部に誘導されるAC電圧を出力する。この出力AC電圧は、DC出力電力をPRxデバイスに関連付けられた1つ以上の負荷に提供する整流器124に提供され得る。整流器124は、以下で更に説明するように動作するコントローラ/通信モジュール126によって制御され得る。さまざまな実施形態では、整流器コントローラおよび通信モジュールは、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラなどに基づくシステムなどの共通システムにおいて実装されてもよい。他の実施形態では、整流器コントローラは、それらの間の通信手段を有する別個のコントローラモジュールおよび通信モジュールによって実装されてもよい。整流器124は、任意の好適な回路トポロジ(たとえば、フルブリッジ、ハーフブリッジなど)を使用して構成されてもよく、任意の好適な半導体スイッチングデバイス技術(たとえば、シリコン、炭化ケイ素、または窒化ガリウムデバイスを使用して作製されたMOSFET、IGBTなど)を使用して実装されてもよい。
【0019】
PRxコントローラ/通信モジュール126は、受電機コイルを監視し、そこから導出される情報を使用して、所与の状況に応じて整流器124を適切に制御することができる。たとえば、コントローラ/通信モジュールは、特定の用途に応じて所与の出力電圧を提供するように整流器124を動作させるように構成され得る。いくつかの実施形態では、コントローラ/通信モジュールは、受電機に送達される電力を効果的に制御するために、PTxデバイスに情報を送信するように構成され得る。この情報は受信され、電力送電コイル(すなわち、帯域内通信)を介して送信されてもよく、または別個の通信チャネル(図示せず、すなわち、帯域外通信)を介して送信されてもよい。帯域内通信の場合、コントローラ/通信モジュール126は、たとえば、受電電力の負荷電流または他の電気パラメータを変調して、PTxに情報を送信することができる。いくつかの実施形態では、コントローラ/通信モジュール126は、PTxから情報を受信するために、PTxによって磁気リンクに印加された信号(電圧、周波数、または負荷変動など)を検出および復号するように構成され得る。いくつかの実施形態では、コントローラ/通信モジュール126は、インバータ信号の周波数がデータをPRxに通信するために変調されている周波数シフトキーイング(FSK)通信を受信するように構成され得る。コントローラ/通信モジュール126は、PRxからの振幅シフトキーイング(ASK)通信または負荷変調ベースの通信を生成するように構成され得る。いずれの場合も、コントローラ/通信モジュール126は、Txコイルに見られる波形を操作するために、PRx側で引き出される電流を変化させて、PRxからPTxに情報を送達するように構成され得る。帯域外通信の場合、PTxとPRxとの間の通信を可能にする追加のモジュール、たとえば、WiFi、Bluetooth(登録商標)、もしくは他の無線リンク、または任意の他の好適な通信チャネルが設けられ得る。
【0020】
上述したように、コントローラ/通信モジュール126は、たとえば、単一の集積回路上に設けられた単一のモジュールであってもよく、あるいは、異なる集積回路上に設けられた複数のモジュール/デバイス、またはアナログ構成要素およびデジタル構成要素の両方を有する集積回路とディスクリート回路の組合せから構成されてもよい。本明細書の教示は、コントローラ/通信回路構成要素のいかなる特定の配置にも限定されない。
【0021】
PRxデバイス120は、任意選択で、通信(「comms」)モジュール128などの他のシステムおよび構成要素を含んでもよい。いくつかの実施形態では、通信モジュール128は、電力伝送コイルを介してPTx内の対応するモジュールと通信することができる。他の実施形態では、通信モジュール128は、別個の物理チャネル138を使用して、対応するモジュールまたはタグと通信することができる。
【0022】
上述のワイヤレス電力伝送システム100の多数の変形形態および拡張形態が可能であり、以下の教示は、このような変形形態および拡張形態のどれにも適用可能である。
【0023】
図2は、ワイヤレス給電される周辺機器202およびワイヤレス充電ケース204の応用例のブロック図である。一実施形態では、ワイヤレス周辺機器は一対のワイヤレスイヤホンとすることができる。ワイヤレスイヤホンは、スピーカ部分がユーザの耳に挿入可能であり、他の電子構成要素を含むステム部分がそこから延在し得るように設計されてもよい。ラウドスピーカは、デジタルアナログ変換器によって生成され、オーディオ増幅器によって増幅されたオーディオ信号で駆動され得る。デジタル/アナログ変換器は、プロセッサおよび通信モジュール224からデジタルオーディオ信号を受信し得る。いくつかの実施形態では、プロセッサおよび通信モジュール224は、Bluetooth(登録商標)、WiFi、または別の好適なワイヤレス通信プロトコルを介して、携帯電話、タブレットコンピュータ、ラップトップコンピュータ、または他のソースなどの別のデバイスからデジタルオーディオ信号を受信し得る。対応する無線機は、図2のブロック図に明示的に示されていないが、このような無線機モジュールは、処理および通信モジュールに組み込まれ得るか、または別個のモジュールであり得ることが理解されるであろう。ワイヤレスイヤホン(または任意の他の周辺機器202)を構成するさまざまな電子モジュールは例示的なものにすぎず、所与の実施形態に適切な追加の構成要素(たとえば、マイクロフォン)または他の機能ブロックが含まれてもよい。他の順列および組合せも、異なる実施形態も可能である。
【0024】
ワイヤレス周辺機器の電子システムは、内蔵充電式バッテリ(図示せず)によって供電され得る。バッテリは、受電コイル227に結合され、充電ケース204内の対応する送電機246および送電コイル247からワイヤレス電力を受電するように構成され得るワイヤレス電力受電機(PRx)226を用いたワイヤレス電力伝送によって充電され得る。一例として、ワイヤレス電力伝送システムは、図1に関して上述したように構成され得る。ワイヤレス周辺機器202は、周辺機器202を受け入れるように構成された1つ以上の受け入れ部を有し得る充電ケース204に挿入され得る。これらの受け入れ部は、ワイヤレス周辺機器202内のワイヤレス電力受電機コイル227が、充電ケース204内の対応するワイヤレス電力送電機コイル247と適切に整列するように、周辺機器202を受け入れて整列させるように成形され得る。この整列は、受け入れ部の(周辺機器202の形状に対応する)形状によって達成されてもよく、整列タブもしくは他の固定具、磁石、または他の好適な整列デバイスなどの他の機能によって更に補助されてもよい。
【0025】
充電ケース204は、ワイヤレス周辺機器202を充電するためのエネルギー源を提供し得る、それ自体のバッテリ(図示せず)を含み得る。このバッテリは、外部のワイヤードまたはワイヤレス電源(図示せず)によって充電されてもよい。ケースバッテリは、電力管理回路242に結合されてもよく、電力管理回路は次に、電力をワイヤレス電力送電機246に提供することができ、ワイヤレス電力送電機は、電力送電コイル247を介して、対応するワイヤレス周辺機器電力受電機コイル227およびワイヤレス電力受電機226に電力をワイヤレスに送達するように構成され得る。電力管理回路242はまた、充電ケースを動作させるように構成されたプログラマブルコントローラであり得るケース処理システム243に結合され得る。処理システム243は、ワイヤレス充電ケース204とワイヤレス周辺機器202との間の通信を提供するように構成され得るケース通信モジュール244に結合され得る。このような通信は、ワイヤレス周辺機器202がケース204内に挿入されているときに、ワイヤレス周辺機器202の対応する通信コイル228に磁気的に結合されるように構成された通信コイル248によって提供され得る。通信コイルは、本明細書では「送電機」または「受電機」コイルと呼ばれる場合があるが、すべてのこのようなコイルは、双方向に使用することができ、よって、特定のコンテキストおよび動作モードが必要とするように送電または受電することができる。
【0026】
図1に関して簡単に上述したように、いくつかのワイヤレス電力伝送システムは、PTxからPRxへの電力送達が通信を提供するために変調される、いわゆる「帯域内」通信に依存している。しかしながら、場合によっては、帯域外通信を提供する方が望ましい場合がある。たとえば、帯域外通信は、より広い通信帯域幅を可能にし得る。これらの帯域外通信は、歴史的に、物理チャネル用の無線周波数に依存してきた。あるいは、本明細書で説明するように、磁気誘導を使用することもできる。しかしながら、磁気誘導が通信および電力送達に使用される場合、(たとえば、電力送電コイル247を介したPTx246から電力受電コイル227およびPRx226への)電力伝送経路と、(通信コイル228および248を介したイヤホンプロセッサ/通信モジュール224とケース通信モジュール244との間の)通信経路との間に十分な絶縁があることを確実にする方が望ましい場合がある。このような絶縁を提供するためのさまざまな実施形態を以下で説明する。
【0027】
いくつかの実施形態では、電力伝送に使用される磁気回路経路と、ワイヤレス充電ケース204とワイヤレス周辺機器202(または他のワイヤレスデバイス)との間の通信に使用される磁気回路経路との間の絶縁は、電力コイルと通信コイルとの間に十分な物理的分離を提供することによって達成され得る。上述のように構成されたワイヤレス周辺機器202の場合、これは、たとえば、ワイヤレス電力受電機コイル227をワイヤレス周辺機器202の底部付近に配置し、対応するワイヤレス電力送電機コイル247をケース内の対応する位置に配置することを含み得る。同様に、周辺機器通信コイル228は、ワイヤレス周辺機器202内のより高い位置に配置され得、対応するケース通信コイル248は、ケース内の対応する位置に配置され得る。たとえば、周辺機器202としてのワイヤレスイヤホンの場合、電力受電機コイルは、ワイヤレス周辺機器のステム部分の遠位端の近くに位置することができ、一方、通信受電機コイルは、ステム部分内のより高い位置、ユーザの耳に挿入されるイヤホンの上部のより近く、またはこのような上部の一部としてさえ配置することができる。電力コイルと通信コイルが互いの下方/上方に配置される図示の構成は、単に例示的なものであり、方向の向きに関係なく、空間的に分離された構成であればどれでも使用することができる。前述のコイルの各々は、いくつかの線の巻き、プリント回路基板トレース、フレキシブルプリント回路トレースなどで構成された巻線部分を含み得る。前述のコイルの各々はまた、磁気回路の性能を高めるために、適切な透磁率を有する材料(たとえば、フェライト)で作られたコアを含み得る。所望の絶縁を達成するために電力コイルと通信コイルとの間の分離を使用する一連の磁気回路構成を以下に説明する。
【0028】
図3A図3Bは、電力コイルから垂直方向に分離された通信コイルを含む構成を示す。より具体的には、図3Aは側面図300aを含み、図3Bは平面図300bを含む。例示的な実施形態では、電力受電コイル227は、ワイヤレス周辺機器の下部に配置され得る。電力受電コイルは、巻線227aおよび磁気コア(別名フェライト)227bを含み得る。図示の実施形態では、フェライト227bは略半球の形状を有し、巻線227aはコアの外側に相補的に巻かれる。よって、電力受電コイルは、ワイヤレス周辺機器202の端部の形状に対応し得る略半球の形状を有し得る。
【0029】
ケース内に配置されると、対応する電力送電コイル247は、周辺機器がケース内に挿入されているときに電力送電コイル247が電力受電コイル227に適切に結合されるように位置決めされ得る。ワイヤレス電力送電コイル247は、巻線部分247aおよび磁気コア/フェライト247bを含み得る。磁気コア247bは、電力受電コイル227のコアに対応するように、略半球状の殻であり得る。この場合、電力送電巻線227aは、略半球状の電力送電巻線を形成するように、半球状の殻の内側に適合するように巻かれ得る。よって、イヤホンがケース内に配置されると、イヤホンの電力受電コイル227は、実質的に電力送電コイル247内に位置し得、両者間の適切な磁気結合を可能にし、電力伝達を容易にする。加えて、電力送電コイルコア247bは、必要に応じて、コイルの製造を容易にするために、および/または磁束を制御するために、その中に配置されたスロットまたはエアギャップ247cを有し得る。加えて、図示の実施形態に半球状の電力巻線が記載されているが、略平面のコイル構成または他の3次元コイル構成もまた、所望に応じて、または所与の実施形態に応じて適切に使用され得ることが理解されるであろう。
【0030】
ワイヤレス周辺機器202はまた、上述の電力コイルから分離されるように、ワイヤレスイヤホンのステム部分の長手方向軸に沿って垂直に変位され得る、イヤホン通信コイル228を含んでもよい。(この配置もまた、図2のブロック図によっても示唆されている)。同様に、充電ケース204は、その中の相補的な位置に、やはり電力コイルから変位されたケース通信コイル248を配置することができ、それによって、ケースからイヤホンへの電力伝送に使用される磁気回路と、ケースとイヤホンとの間の通信に使用される磁気回路との間の絶縁を提供する。図3A図3Bに図示するように、周辺機器がケース内に配置されているとき、通信コイル228および248は、所望の通信動作に十分な磁気結合を提供するように適切に整列され得る。
【0031】
図4は、図3A図3Bに示す垂直に分離された電力コイルと通信コイルの更なる任意選択の配置を示す側面図(300c)を示す。側面図300cは、電力コイルと通信コイルとの間に任意選択の遮蔽部301が設けられた図3A図3Bの配置を示す。遮蔽部301は、銅または任意の他の導体から作製されてもよく、垂直分離のみによって提供されるであろうよりも、電力コイルと通信コイルとの間のより優れた絶縁度を提供するように機能し得る。よって、遮蔽部を含めることは、同じ間隔を使用するときにより優れた磁気絶縁を可能にすることができ、またはより小さい間隔で同じ磁気絶縁度を可能にすることができる。図示の実施形態では、第1の遮蔽部材素301aは、ワイヤレス周辺機器202内において、ワイヤレス電力受電コイル227と垂直に分離/変位された通信コイル228との間に配置される。同様に、第2の遮蔽部材301bは、充電ケース204内において、ワイヤレス送電コイル247と上下に分離/変位されたた通信コイル248との間に配置されている。側面図300dは、側面図300cと比較して、通信コイル228および248の高さが、電力コイルと通信コイルとの間の更なる分離を提供し、したがってより優れた絶縁度を提供するように低減され得る配置を示す。コイルの特定の寸法および変位は、任意の所与の実施形態に応じて適切に決定され得る。加えて、側面図300dは、任意選択の遮蔽部材301a/301bを図示するが、コイルの低減された高さは、この任意選択の遮蔽部とともに、またはそれとは別に使用されてもよく、その結果、所与のシステムの特定の性能目標および空間的制約に応じて選択され得る、組合せの種々の順列をもたらすことを理解されたい。
【0032】
通信コイル228および248は、(図3A図3Bに示すように)高透磁率コア部材なしで構成され得る。しかしながら、いくつかの実施形態では、通信コイルの性能を向上させるために磁気コアを含むことが好ましい場合がある。図5A図5Bは、図3A図3Bおよび図4に関して上述した垂直方向に分離/変位された通信コイル配置用の任意選択のフェライト構成を2つの図で示す。図5Aは側面図300eを含み、図5Bは平面図300fを含む。図5A図5Bの電力巻線配置は、図3A図3Bおよび図4に関して上述したとおりである。ケース通信コイル248は、フェライトなどの所望の透磁率を有する任意の材料から構成され得るコア306を含み得る。同様に、周辺機器通信コイル228は、同様に適切な材料から構成されたコア304を含み得る。これらのコアは、所与の実施形態に対して所望の磁束経路を提供するように成形され得る。図示の実施形態では、コアの断面積は、対応するコイル巻線の断面積よりも小さく、よって、コアは、すなわち、巻線の開口部を通して見たときにコイルがコアを取り囲むように、巻線の開口部内に配置され得る。加えて、コアは、イヤホンコア304がイヤホン202aの内部に向かって配置され、ケースコア306がケース204の内部に向かって配置されるように、対応する巻線の「後ろ」に配置されてもよい。言い換えれば、イヤホン通信コイル228の巻線とケース通信コイル248の巻線は、それらのそれぞれのコア/フェライトを後ろにして、互いに向かい合うことができる。
【0033】
図6A図6Bは、図3A図3Bおよび図4に関して上述した垂直方向に分離/変位された通信コイル配置用の代替的な任意選択のフェライト構成を2つの図で示す。図6Aは側面図300gを含み、図6Bは平面図300hを含む。図6A図6Bの電力巻線配置は、図3A図3Bおよび図4に関して上述したとおりである。ケース通信コイル248は、フェライトなどの所望の透磁率を有する任意の材料から構成され得るコア310を含み得る。同様に、周辺機器通信コイル228は、同様に適切な材料から構成されたコア308を含み得る。これらのコアは、所与の実施形態に対して所望の磁束経路を提供するように成形され得る。図示の実施形態では、コアの断面積は、対応するコイル巻線の断面積よりも大きい。しかしながら、図5A図5Bの実施形態のように、コアは、周辺機器コア308が周辺機器202の内部に向かって配置され、ケースコア310がケース204の内部に向かって配置されるように、依然として対応する巻線の「後ろ」に配置されている。言い換えれば、イヤホン通信コイル228の巻線とケース通信コイル248の巻線は、それらのそれぞれのコア/フェライトを後ろにして、互いに向かい合うことができる。加えて、図6A図6Bの通信コイル配置は、(図示の)通信コイルの垂直寸法が(図示の)通信コイルの水平寸法よりも小さくなるように構成される。「垂直」および「水平」は、提供されている図における方向を指すにすぎず、実際の実施形態では垂直、水平、または任意の他の特定の向きである必要はないことが理解されよう。これらの用語は、単にコイルのそれぞれの直交寸法を指す。
【0034】
図7A図7Cは、図3A図3Bおよび図4に関して上述した垂直方向に分離/変位された通信コイル配置用の代替的な任意選択のフェライト構成を3つの図で示す。図7Aは、側面図300iを含み、図7Bは平面図300jを含み、図7Cはコイル断面図300kを示す。図7A図7Cの電力巻線配置は、図3A図3Bおよび図4に関して上述したとおりである。ケース通信コイル248は、フェライトなどの所望の透磁率を有する任意の材料から構成され得るコア314を含み得る。同様に、周辺機器通信コイル228は、同様に適切な材料から構成されたコア310を含み得る。これらのコアは、所与の実施形態に対して所望の磁束経路を提供するように成形され得る。図示の実施形態では、コアの断面積は、対応するコイル巻線の断面積よりも大きい。加えて、巻線は、コア内に形成されたチャネル内など、コア内に配置され得る。しかしながら、図5A~5Bの実施形態におけるように、コアは、周辺機器コア312がイヤホン202aの内部に向かって配置され、ケースコア314がケース204の内部に向かって配置されるように、依然として対応する巻線の「後ろ」に配置されている。言い換えれば、周辺機器通信コイル228の巻線とケース通信コイル248の巻線は、それらのそれぞれのコア/フェライトを後ろにして、互いに向かい合うことができる。加えて、図7A図7Cの通信コイル配置は、(図示の)通信コイルの垂直寸法が(図示の)通信コイルの水平寸法よりも小さくなるように構成される。「垂直」および「水平」は、提供されている図における方向を指すにすぎず、実際の実施形態では垂直、水平、または任意の他の特定の向きである必要はないことが理解されよう。これらの用語は、単にコイルのそれぞれの直交寸法を指すものにすぎない。
【0035】
垂直分離距離、垂直コイル範囲、遮蔽部、磁気コアの存在および構成、ならびにコイル寸法を含む、図3A図7Cに関して上記で説明したような、垂直に分離された通信コイルのさまざまな態様は、任意の所与の用途において適切に調和したり、適応させたりすることができる。よって、このようなシステムの特定の目的および制約に応じて、任意の所与の用途に好適であり得る多種多様な垂直方向に変位されたコイル配置が存在する。
【0036】
上記は、電力伝送に使用される磁気回路と通信に使用される磁気回路との間の絶縁を提供するワイヤレス電力伝送システムの例示的な実施形態を説明している。このようなシステムは、さまざまな用途で使用され得るが、モバイルコンピューティングデバイス(たとえば、ラップトップコンピュータ、タブレットコンピュータ、スマートフォンなど)およびそれらのアクセサリ(たとえば、ワイヤレスイヤホン、スタイラスおよび他の入力デバイスなど)、ならびにワイヤレス充電アクセサリ(たとえば、充電マット、充電パッド、充電スタンドなど)などのパーソナル電子デバイスとともに使用されるときに特に有利であり得る。多数の特定の特徴およびさまざまな実施形態が説明されてきたが、相互に排他的であると特に明記されていない限り、さまざまな特徴および実施形態は、特定の実装形態においてさまざまな順列で組み合わせられ得ることを理解されたい。よって、上述のさまざまな実施形態は、例示としてのみ提供されるものであり、本開示の範囲を構成するものとして解釈されるべきではない。本開示の範囲から逸脱することなく、また特許請求の範囲から逸脱することなく、本明細書の原理および実施形態に対してさまざまな修正および変更を行うことができる。
【0037】
上記では、システム内のPTxとPRxの間で特定の情報を送信することができるワイヤレス電力伝送システムの例示的な実施形態について説明している。本開示は、この情報の伝達が、バッテリ充電を容易にするために、効率的かつ損傷を与えることなく互いにワイヤレス電力信号を提供するデバイスの能力を改善することを意図するものである。本技術のいくつかの実装者が、シリアル番号、UID、製造者ID、MACアドレスなどの識別子の伝達を考慮して、PTxとPRxの識別情報、特にそれらのワイヤレス能力を互いに識別することを補助し得ることが意図される。
【0038】
本技術を実装するエンティティは、ワイヤレス充電システムの上述の実施形態においてワイヤレストランシーバ間で機密情報が送信される限り、機密情報の送信が、十分に確立されたプライバシーポリシーおよび/またはプライバシー慣行に確実に準拠して行われるように注意すべきである。具体的には、このようなエンティティは、ユーザのプライバシーを維持するための業界または政府の要件を満たすまたは上回ると一般に認識されるプライバシー慣行を実現し、一貫して適用することが期待されるであろう。実施者は、個人を特定可能な情報がワイヤレス電力伝送システムにおいて送信されると予想される場合にはユーザに通知し、ユーザが参加の「オプトイン」または「オプトアウト」を行うことを可能にすべきである。たとえば、このような情報は、ユーザがデバイスを電力送電機上に配置するとユーザに提示され得る。
【0039】
更には、本開示の意図は、個人情報データを、意図的でないもしくは不正なアクセスまたは使用の危険性を最小限に抑えるように、管理および取り扱うべきであるという点である。データの収集を制限し、不要になったデータを削除することにより、リスクを最小化することができる。他に、そして適用可能なとき、データの非特定化を使用してユーザのプライバシーを保護することができる。たとえば、デバイス識別子は、デバイスを一意に識別することなくデバイスの特性を伝えるために部分的にマスクされ得る。非特定化は、適切なときには、識別子を除去すること、記憶されたデータの量または特定性を制御すること(たとえば、位置データを住所レベルよりも都市レベルで収集すること)、データがどのように記憶されるかを制御すること(たとえば、データをユーザ全体にわたって集約すること)、および/または差分プライバシーなどの他の方法によって、容易にしてもよい。誘導結合されたデバイス間の通信が偽装される可能性を低減するのに、ロバスト暗号化も利用し得る。
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5A
図5B
図6A
図6B
図7A
図7B
図7C
【国際調査報告】