(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-15
(54)【発明の名称】鋳物用コークス生産物、及び関連システム、装置並びに方法
(51)【国際特許分類】
C10B 57/04 20060101AFI20240308BHJP
【FI】
C10B57/04
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023563924
(86)(22)【出願日】2022-11-04
(85)【翻訳文提出日】2023-10-18
(86)【国際出願番号】 US2022079299
(87)【国際公開番号】W WO2023081821
(87)【国際公開日】2023-05-11
(32)【優先日】2021-11-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】513028038
【氏名又は名称】サンコーク テクノロジー アンド ディベロップメント リミテッド ライアビリティ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジョン マイケル リチャードソン
(72)【発明者】
【氏名】ジョン フランシス クアンチ
(72)【発明者】
【氏名】ジョナサン ヘイル パーキンス
【テーマコード(参考)】
4H012
【Fターム(参考)】
4H012MA01
(57)【要約】
鉄を溶融して鋳鉄製品を生産するために鋳物用キュポラで使用されるように構成されたコークス生産物がここに開示される。幾つかの実施形態において、コークス生産物は、少なくとも30%のコークス反応度指数(CRI)と1316℃未満の灰融解温度(AFT)を有する。加えて又は代替的に、コークス生産物は、(i)少なくとも8.0%の灰含有量、(ii)1.0%以下の揮発性物質含有量、(iii)40%以下の反応後のコークス強度(CSR)、(iv)少なくとも90%の2インチ(5.08センチメートル)落下飛散、及び/又は(v)少なくとも85%の固定炭素含有量を含むことができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コークス生産物であって、
少なくとも30%のコークス反応性指数(CRI)、及び
1316℃以下の灰融解温度(AFT)、を含む、コークス生産物。
【請求項2】
前記コークス生産物が、1149℃~1316℃の初期変形温度を有する、請求項1に記載のコークス生産物。
【請求項3】
前記コークス生産物が、1177℃~1371℃の軟化温度を有する、請求項1に記載のコークス生産物。
【請求項4】
前記コークス生産物が、1204℃~1371℃の半球温度を有する、請求項1に記載のコークス生産物。
【請求項5】
前記コークス生産物が、1232℃~1427℃の流体温度を有する、請求項1に記載のコークス生産物。
【請求項6】
前記AFTが、1204℃~1260℃である、請求項1に記載のコークス生産物。
【請求項7】
前記コークス生産物の固定炭素含有量が、少なくとも85.0%である、請求項1に記載のコークス生産物。
【請求項8】
コークス生産物であって、
以下の式を満たす組成を有する灰を含む、コークス生産物:
灰融解温度(AFT)=19×(Al
2O
3質量分率)+15×(SiO
2質量分率+TiO
2質量分率)+10×(CaO質量分率+MgO質量分率)+6×(Fe2O
3質量分率+Na
2O質量分率+K
2O質量分率)、
ここで
前記AFTは、982℃~1426℃の値であり、
前記SiO
2質量分率は、前記灰のSiO
2質量分率であり、
前記Al
2O
3質量分率は、前記灰のAl
2O
3質量分率であり、
前記Fe2O
3質量分率は、前記灰のFe2O
3質量分率であり、
前記CaO質量分率は、前記灰のCaO質量分率であり、
前記MgO質量分率は、前記灰のMgO質量分率であり、及び
前記K
2O質量分率は、前記灰のK
2O質量分率である。
【請求項9】
前記コークス生産物の前記灰の質量分率が、10.0%以下である、請求項8に記載のコークス生産物。
【請求項10】
前記コークス生産物の前記灰の質量分率が、少なくとも8.0%である、請求項8に記載のコークス生産物。
【請求項11】
前記コークス生産物の揮発性物質質量分率が、1.0%以下である、請求項8に記載のコークス生産物。
【請求項12】
前記コークス生産物の硫黄又は硫黄酸化物の質量分率が、1.0%以下である、請求項8に記載のコークス生産物。
【請求項13】
前記コークス生産物が、Al
2O
3及びSiO
2を含む灰を含む石炭ブレンドから生産され、及び
前記灰の前記Al
2O
3及びSiO
2の合計質量分率が、65%以下である、請求項8に記載のコークス生産物。
【請求項14】
前記コークス生産物が、Al
2O
3及びSiO
2を含む灰を含む石炭ブレンドから生産され、及び
前記灰の前記Al
2O
3及び前記SiO
2の合計質量分率が、65%~80%である、請求項8に記載のコークス生産物。
【請求項15】
前記AFTが、約1204℃である、請求項8に記載のコークス生産物。
【請求項16】
前記AFTが、1204℃~1260℃である、請求項8に記載のコークス生産物。
【請求項17】
前記コークス生産物が、CaOを含む灰を含む石炭ブレンドから生産され、及び
前記灰の前記CaOの質量分率が、少なくとも2.0%である、
請求項8に記載のコークス生産物。
【請求項18】
前記コークス生産物が、少なくとも25.0%のコークス反応性指数(CRI)を有する、請求項8に記載のコークス生産物。
【請求項19】
前記コークス生産物が、40.0%以下の反応後のコークス強度(CSR)を有する、請求項8に記載のコークス生産物。
【請求項20】
前記コークス生産物が、少なくとも90%の2インチ(5.08センチメートル)落下飛散を有する、請求項8に記載のコークス生産物。
【請求項21】
前記コークス生産物が、少なくとも80%の4インチ(10.16センチメートル)落下飛散を有する、請求項8に記載のコークス生産物。
【請求項22】
前記コークス生産物の固定炭素含有量が、少なくとも85.0%である、請求項8に記載のコークス生産物。
【請求項23】
前記AFTが、1260℃、1288℃、1316℃、1343℃、1371℃、1399℃、又は1427℃のうちの少なくとも1つにほぼ等しい、請求項8に記載のコークス生産物。
【請求項24】
コークス生産物であって、
以下の式を満たす組成を有する灰を含む、コークス生産物:
灰融解温度(AFT)=19×(Al
2O
3質量分率)+15×(SiO
2質量分率+TiO
2質量分率)+10×(CaO質量分率+MgO質量分率)+6×(Fe
2O
3質量分率+Na
2O質量分率)、
ここで
前記AFTは、982℃~1204℃の値であり、
前記SiO
2質量分率は、前記灰のSiO
2質量分率であり、
前記Al
2O
3質量分率は、前記灰のAl
2O
3質量分率であり、
前記Fe2O
3質量分率は、前記灰のFe2O
3質量分率であり、
前記CaO質量分率は、前記灰のCaO質量分率であり、及び
前記MgO質量分率は、前記灰のMgO質量分率である。
【請求項25】
コークス生産物であって、
以下の式を満たす組成を有する灰を含む、コークス生産物:
灰融解温度(AFT)=401.5+26.3×SiO
2質量分率+40.7×Al
2O
3質量分率)-11.0×Fe2O
3質量分率-7.9×CaO質量分率-112×MgO質量分率)、
ここで
前記AFTは、1204℃~1426℃の値であり、
前記SiO
2質量分率は、前記灰のSiO
2質量分率であり、
前記Al
2O
3質量分率は、前記灰のAl
2O
3質量分率であり、
前記Fe2O
3質量分率は、前記灰のFe2O
3質量分率であり、
前記CaO質量分率は、前記灰のCaO質量分率であり、及び
前記MgO質量分率は、前記灰のMgO質量分率である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願との相互参照
本出願は、2021年11月4日に出願された米国仮特許出願第63/275,896号に対して優先権を主張し、その開示は参照によりその全体がここに組み込まれる。
【0002】
本開示は、鋳物用コークス生産物、及び関連するシステム、装置、並びに方法に関する。
【背景技術】
【0003】
背景
コークスは、様々なサブカテゴリに分けることができる。鋳物用コークスは、高炉用コークスと比較して寸法が大きく、不純物が比較的少なく、炭素含有量、強度、及び安定性が比較的高いなどの優れた品質を有する。鋳物用コークスは、鋳物用キュポラで鉄を溶かし、鋳鉄やダクタイル鋳鉄生産物を生産するために使用される。しかし、鋳物用コークスの生産コスト、輸送コスト、環境コストを含む生産コストは高い。したがって、当技術分野では、生産工程を改善することにより、高品質の鋳物用コークスをより高い収率又はより低いコストで得ることが求められている。
【0004】
コークスは、鉄鋼の生産に使用される石炭から生産される固体炭素燃料及び炭素源である。石炭は異なる石炭源の組み合わせから得ることができ、多くの場合、大きく異なる品質と組成を有している。これらの資源は、鉄鋼生産、セメント生産、及び発電など、多様な用途の燃料や原料として使用され得る。さらに、多様な規制環境又は経済的インセンティブが、特定の鋳物工場、工場、又はプラントが使用を許可される石炭の種類に関する追加要件をさらに生じさせる可能性がある。
【0005】
図面の簡単な説明
現在開示されている技術の特徴、態様、及び利点は、以下の図面に関してより良く理解され得る。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】
図1は、本技術の1つ又は複数の実施形態による・、複数の石炭タイプの石炭パラメータを取得し、石炭ブレンド配合を決定するための例示的な概略システムを示す。
【
図2】
図2は、本技術の1つ又は複数の実施形態による、水平熱回収コークスプラントの一部の等角的な部分切断図を示す。
【
図3】
図3は、本技術の1つ又は複数の実施形態による、鋳物用キュポラ内で加熱されるように構成されたコークス粒子を示す。
【
図4】
図4は、本技術の1つ又は複数の実施形態による、例示的な鋳物用コークス生産物及び鋳物用コークス特性の表を示す。
【
図5】
図5は、本技術の1つ又は複数の実施形態による、鋳物用コークス生産物の収率を示すチャートである。
【
図6】
図6は、本技術の1つ又は複数の実施形態による、粒子寸法を示すチャートである。
【
図7】
図7は、本技術の1つ又は複数の実施形態による、4インチ(10.16センチメートル)落下飛散特性を示すチャートである。
【
図8】
図8は、本技術の1つ又は複数の実施形態による、6インチ(15.24センチメートル)落下飛散特性を示すチャートである。
【
図9】
図9は、本技術の1つ又は複数の実施形態による、灰質量分率を示すチャートである。
【
図10】
図10は、本技術の1つ又は複数の実施形態による、水分質量分率を示すチャートである。
【
図11】
図11は、本技術の1つ又は複数の実施形態による、硫黄質量分率を示すチャートである。
【
図12】
図12は、本技術の1つ又は複数の実施形態による、鋳物用コークス生産物の灰中のSiO
2質量分率対Al
2O
3質量分率を示すチャートである。
【
図13】
図13は、本技術の1つ又は複数の実施形態による、鋳物用コークス生産物の灰中のFe
2O
3質量分率対CaO質量分率を示すチャートである。
【
図14】
図14は、本技術の1つ又は複数の実施形態による、鋳物用コークス生産物の異なるバッチの灰軟化温度対モデル灰融解温度を示すチャートである。
【
図15】
図15は、本技術の1つ又は複数の実施形態による、鋳物用コークス生産物の異なるバッチの灰軟化温度対灰質量分率を示すチャートである。
【
図16】
図16は、本技術の1つ又は複数の実施形態による、鋳物用コークス生産物の異なるバッチの観察された灰融解温度対モデル灰融解温度を示すチャートである。
【0007】
関連技術の当業者であれば、図面に示された特徴は例示のためのものであり、異なる特徴又は追加の特徴及びそれらの配置を含む変形が可能であることを理解するであろう。
【発明を実施するための形態】
【0008】
詳細な説明
I.概要
鋳物用コークスは、比較的大きな寸法、及び非常に少ない含有量の不純物、非常に高い固定炭素含有量、強度、安定性などの優れた品質を有するコークスである。鋳物用コークスは、キュポラ炉で鉄及び再生鋼を溶融し、並びに鋳鉄及びダクタイル鋳鉄製品を生産するための炭素源として使用される。しかし、鋳物用コークスの生産コスト、輸送コスト、及び環境コストを含む生産コストは高い。そのため、当技術分野では、生産工程を改善することにより、高品質の鋳物用コークスをより高い収率又はより低いコストで得ることが求められている。従来から生産されているコークスは、典型的には、華氏2650度(°F)(セ氏1454度)を超える灰融解温度(AFT)を有する。この高温のため、灰はキュポラの奥深くで溶融し、これが溶融金属にさらされるコークスの表面積を減少させる。その結果、より少ない炭素が鉄に移行される。
【0009】
本技術についてここで開示されるコークス生産物は、2600°F(1427℃)より低いAFTを有するため、キュポラ内でより高く溶融し、溶融金属にさらされる炭素表面の量を増加させる。さらに、粘度の観点から、低いAFTは、溶融灰が炭素床をより迅速に移動することを可能にし、キュポラのウェル部においてより良好な相分離をもたらし、より多くの炭素と溶融金属の接触を可能にする。ここでは、「溶融金属」という用語は、溶融鉄、溶融鋼、又は溶融鉄と溶融鋼の最終溶融混合物を指す。
【0010】
AFTは、様々な方法で得ることができ、異なるタイプのAFTに分離され得る。幾つかの実施形態では、AFTは、石炭、石炭ブレンド、又はコークス生産物を完全燃焼させることによって生じる灰の試料から測定され得る。灰の元素分析は、各元素に対して行うことができ、例えば、個々のケイ素原子は分析機器への信号を生成する。モデル灰融解計算に使用される質量パーセント値を得るために、本技術の幾つかの実施形態は、すべての元素を完全に酸化されたものとして扱って質量パーセントを酸化形態に基づいて決定することができる。例えば、本技術の幾つかの実施形態は、Siの質量ではなくSiO2の質量を決定することができる。幾つかの実施形態では、SiO2、Al2O3、FeO3、CaO、他の化合物などの質量パーセントは、合計が100%になるように正規化され得る。
【0011】
代替的又は追加的に、AFTは、標準的な米国材料試験協会(ASTM)法D1857などのAFT試験によって測定され得る。例えば、本技術の幾つかの実施形態は、初期変形温度(IDT)、軟化温度(ST)、半球温度(HT)、及び流れ温度(FT)を決定することができる。これらの測定温度は、互いに対して異なる値を持つことができ、特定の石炭、石炭ブレンド、又はコークス生産物を特徴付けるために使用され得る。さらに、他で議論されているように、石炭又は石炭ブレンドの燃焼後に残る灰の組成は、石炭又は石炭ブレンドから生産されたコークス生産物の燃焼後に残る灰と同じであると考えられる。幾つかの実施形態は、石炭ブレンド灰組成を、石炭ブレンド中のそれぞれの質量分率で加重された石炭成分の灰組成の加重平均として特徴付けることができる。
【0012】
さらに、従来の操作は、灰を除去するためのフラックスとして使用するために、CaCO3含有岩石を装入物に添加することもできる。CaCO3は灰に浸透してAFTを低下させ、又は灰自体がCaCO3含有岩石内に溶解する。フラックスが発生する表面積と体積の比が非常に低いことを考えると、これはフラックス剤を導入する非効率的な方式である。ここで開示された低AFTが所望の炭素移行に及ぼす影響に関する予期せぬ発見に基づき、Al2O3及びSiO2の高融点酸化物よりも、CaO、MgO、Fe2O3、Na2O及びK2Oなどの低融点酸化物の割合が高い灰を有する石炭又は石炭ブレンドを選択することによって、コークスは「プレフラックス化」され得る。
【0013】
鋳物用キュポラでは、コークスは鋳鉄を生産するための燃料及び炭素源として使用される。コークスはキュポラ内で4つの機能を提供する:(1)燃焼による熱を提供して鉄または鋼を溶かす;(2)鉄に炭素を供給する;(3)鉄又は鋼の負担に構造的支持を提供する;及び(4)ガスが上方に移動して拡散し、鉄又は鋼との良好な接触を可能にするガス透過層を作成する。
【0014】
幾つかの実施形態は、本開示に記載される操作を実行して、鋳造操作中に鉄又は鋼へのより高い炭素移行速度を可能にするコークス生産物を生成することができ、これはより良好なキュポラ性能をもたらし得る。幾つかの実施形態は、熱回収オーブン、非回収オーブン、トンプソンオーブン、別のタイプの水平オーブン、垂直副産物オーブンなどの様々なタイプのオーブンのうちの1つを使用して、コークス生産物を生産することができる。幾つかの実施形態は、「鋳物用コークス生産物、及び関連システム並びに方法」と題された米国特許出願第17/736,960号に記載されている1つ又は複数の操作を使用して、本開示に記載のコークス生産物を生産することができ、その開示は、参照によりその全体がここに組み込まれる。
【0015】
II.鋳物用コークス生産物を生産するための石炭ブレンド、及び関連するシステム並びに方法
本技術の幾つかの実施形態は、エネルギー消費を低減して収率を向上させることができる方式で、コークス生産物生産操作の効率を向上させるための操作を実行することができる。これらの操作は、コークス生産物を生産するために使用される石炭ブレンドの組成を決定することを含むことができ、石炭ブレンドの組成は、異なる石炭源からの石炭を含むことができる。幾つかの実施形態は、VM含有量について特定の石炭を選択することができ、VM含有量及び分布は、コークス生産物の収率、コークス生産物の特性などに影響を及ぼすことを決定することができる。幾つかの実施形態は、コークスオーブンを用いてコークス生産物を生産する際に、特定のプロセスをさらに実行することができ、このようなプロセスは、コークスオーブンのセクション内の特定の温度関係を維持するためにコークスオーブンのバルブを開放及び閉鎖することを含むことができる。これらの出力は、反応性、寸法、又は他の特性に関して、他のコーキング生産物と比較してユニークなコーキング生産物をもたらすことができる。
【0016】
図1は、1つ又は複数の実施形態による、複数の石炭タイプ112~116(「石炭110」と総称する)の石炭パラメータを取得し、石炭ブレンド140の配合を決定するための例示的なシステム100を示す。様々な設備及び装置が、様々な供給源からの110石炭をブレンドして石炭ブレンド140を形成するために使用され得る。幾つかの実施形態では、
図1に示された石炭タイプのすべてが石炭ブレンド140を形成するために利用されるわけではない(例えば、タイプA石炭112及びタイプB石炭113のみが使用される)。石炭110の各々は、VM質量分率、灰組成測定、硫黄組成測定、不活性物質組成などの石炭パラメータを決定するために、石炭パラメータ測定システム120を使用して試験され得る。幾つかの実施形態は、石炭ブレンドに使用する石炭の種類又は量を選択する際に、石炭中のタールの流動性、石炭のAFT、ビトリニット反射率などの石炭の他の特性も使用することができる。代替的又は追加的に、本技術の幾つかの実施形態は、第三者のデータソース(例えば、データベース・アプリケーション・プログラム・インターフェース(API)、又はキーボードやタッチスクリーンなどの入力装置へのユーザーの手動入力)から石炭パラメータを取得することができる。
【0017】
幾つかの実施形態では、石炭パラメータは、ビトリナイト、リプチナイト、及び反応性セミフシナイトなどの反応性成分又は反応性成分のサブタイプの測定値を考慮することができる。石炭パラメータはまた、粉炭、不活性セミフシナイト、フシナイト、マクリナイト、鉱物質など、石炭ブレンドに含める不活性物質の測定値を含むか、又はその量を選択することができる。幾つかの実施形態では、石炭ブレンドの不活性含有量は、32.0%以上とすることができ、又は28.0%~40.0%、又は33.0%~35.0%などの特定の範囲に制限され得る。いくつかの実施形態は、目標石炭ブレンドパラメータのセット、または強力で均一なコークスを示す目標石炭ブレンドパラメータなどの対応する目標コークスブレンドパラメータを満たすように、石炭、粉炭、および石炭ブレンドの他の成分の種類および量を決定することができる。例えば、本技術の幾つかの実施形態は、石炭ブレンド中に存在するビトリナイトの種類を選択することができ、ビトリナイトの種類は、V9、V10、VI1、V12、V13、V14、V15、V16、V17、V18、及びV19のうちの1つ又は複数を含むことができる。さらに、本技術の幾つかの実施形態は、「鋳物用コークス生産物、関連システムおよび方法」と題して米国特許出願第17/736,960号に記載されたパラメータを有する石炭ブレンドを生産することができる。
【0018】
石炭110の石炭パラメータを得た後、本技術の幾つかの実施形態は、石炭110の石炭タイプの組合せを決定することができる。例えば、石炭タイプの第1の組み合わせは、20%のタイプA石炭112、30%のタイプB石炭113、40%のタイプC石炭114、及び10%のタイプD石炭115を含むことができる。幾つかの実施形態は、石炭タイプの各組み合わせをn次元混合空間内のベクトルで表すことができ、ここで「n」は、石炭ブレンドを生成するのに使用可能な石炭タイプの数に等しいか又はそれ未満の整数を表すことができる。例えば、本技術の幾つかの実施形態は、混合点を表すベクトル[0.2、0.3、0.4、0.1]で第1の組み合わせを表すことができ、混合点は石炭ブレンド中の各石炭の比例量を示すことができる。さらに、本技術の幾つかの実施形態は、石炭ブレンドに添加剤を添加することができる。このような添加剤には、酸化カルシウム、石灰石、カルシウム含有材料、トロナ、ソーダ灰、苛性ソーダ、スラグ(例えば、低灰溶融スラグ、塩基性酸素炉(BOF)スラグ、キュポラスラグなど)、鉄、ニッケル、カリウム、マグネシウム、ナトリウム、硫酸カルシウム、ロックウール、バイオ炭、又はバイオマス(例えば、低AFTバイオマス)が含まれ得る。代替的又は追加的に、本技術の幾つかの実施形態は、ドロマイト、様々な他のカルシウム含有鉱物、鉄含有鉱物、マグネシウム含有鉱物、又はナトリウム含有鉱物などの鉱物添加剤を添加することができる。幾つかの実施形態は、Al2O3、SiO2、Fe2O3、MgO、Na2O、又はTiO、遷移金属酸化物、焼成鉱物などの金属酸化物を石炭ブレンドへの添加剤として使用することができる。幾つかの実施形態は、CaCl2、MgCl2、NaClなどの金属ハロゲン化物添加剤を添加することができる。幾つかの実施形態は、CaSO4などの金属硫酸塩添加剤を石炭ブレンドに添加することができる。幾つかの実施形態は、石英、白雲母、又は長石などのアルミニウム又はケイ素鉱物添加剤を石炭ブレンドに添加することができる。幾つかの実施形態は、高炉スラグ、鋳物用キュポラスラグ、金属微粉末、壁板廃棄物、排煙脱硫プラントガス副産物(例えば、フライアッシュ)、石炭燃焼プラントフライアッシュ、熱回収蒸気発生器洗浄泥、又は未洗浄石炭などの産業廃棄物又はリサイクルの流れから添加剤を添加することができる。
【0019】
添加剤が添加されると、石炭ブレンドは、カルシウム質量分率、石灰質量分率、トロナ質量分率、ソーダ灰質量分率、苛性ソーダ質量分率、低灰溶融スラグ質量分率、BOFスラグ質量分率、キュポラスラグ質量分率、鉄質量分率、ニッケル質量分率、カリウム質量分率、ニッケル質量分率、カリウム質量分率、マグネシウム質量分率、ナトリウム質量分率、硫酸カルシウム質量分率、ロックウール質量分率、バイオ炭質量分率、バイオマス質量分率、又は0%より大きいが所定の閾値より小さい別の添加剤の質量分率を有することができる。閾値は、特定の実施形態に基づいて変化し得、添加物質量分率が10.0%未満、5.0%未満、3.0%未満、1.0%未満であるように構成され得る。少量の添加剤を使用することにより、本技術の幾つかの実施形態は、灰溶融値又はコークス生産物の効率を高める別の特性を著しく低下させることができる。代替的又は追加的に、本技術の幾つかの実施形態は、より多量の添加剤を含むことができ、石炭ブレンドは10.0%を超える添加剤を含むことができる。例えば、本技術の幾つかの実施形態は、70.0%より大きい酸化カルシウム質量分率を有する添加剤を使用することができ、ここで添加剤を含むことにより、石炭ブレンドの酸化カルシウム質量分率を10.0%より大きくすることができる。特に断りのない限り、元素の質量分率は元素そのもの、元素を含む化合物、又はその両方を指すことができる。例えば、カルシウム質量分率は、材料中のカルシウムのみの質量分率、酸化カルシウムの質量分率、又は別のカルシウム含有化合物の質量分率、或いはそれらの任意の組み合わせの複合質量分率などを指すことができる。
【0020】
多くの場合、石炭のVMはビトリナイトを含み、ビトリナイトはその反射率又は他の物理的特性に基づいて分類され得る。幾つかのシステムは、ビトリナイトをビトリナイトタイプV8からV18によって分類することができ、異なる石炭は異なる分布のビトリナイトタイプを含むことができる。本開示で使用されるように、高揮発性石炭は、VM質量分率閾値より大きいVM質量分率を有することによって特徴付けられ得るが、異なるシステムは異なる閾値を使用して高揮発性石炭を定義し得る。例えば、本技術の幾つかの実施形態は、28.0%以上のVM質量分率を有する石炭として高揮発性石炭を特徴付けることができる。幾つかの実施形態は、25.0%、27.0%、30.0%、31.0%、又は25.0%以上の他の閾値など、他のVM質量分率閾値を使用して高揮発性VMを特徴付けることができる。
【0021】
本開示で使用されるように、低揮発性石炭は、VM質量分率閾値未満のVM質量分率を有することによって特徴付けられ得、異なるシステムは異なる閾値を使用して低揮発性石炭を定義することができる。例えば、本技術の幾つかの実施形態は、低揮発性石炭を20.0%以下のVM質量分率を有する石炭として特徴付けることができるが、20%以外の異なる値、例えば14.0%、15.0%、17.0%、21.0%などが使用され得る。本技術の幾つかの実施形態は、他のVM質量分率閾値を使用して、高揮発性VMを質量分率閾値より大きいVMとして特徴付けることができる。質量分率閾値は、14.0%、15.0%、21.0%、22.0%、23.0%、又は25.0%以下の他の閾値などの値に等しくすることができる。
【0022】
本技術の幾つかの実施形態は、事前に決定された差を使用することによって、高揮発性石炭に関して低揮発性石炭を特徴付け又は部分的に特徴付けることができ、事前に決定された差は、2.0%、3.0%、4.0%、8.0%、又は他の値などの1.0%より大きい値を含むことができる。例えば、本技術の幾つかの実施形態は、高揮発性石炭用の閾値として使用される第1の閾値と低揮発性石炭用の閾値として使用される第2の閾値との間の差を、4.0%に等しくなるように設定することができ、第1の閾値として30%を選択すると、システムは自動的に第2の閾値として26%を選択するようすることができる。代替的に、本技術の幾つかの実施形態は、21%などの代替値を第2の閾値として決定又は許可することができる。高揮発性石炭と低揮発性石炭を定義するために使用される閾値を設定するか、又は2つの閾値の差を定義することにより、本技術の幾つかの実施形態は、高揮発性石炭でも低揮発性石炭でもない石炭として中間揮発性石炭を自動的に定義することもできる。
【0023】
本開示は、石炭ブレンド又はコークス生産物のAFTに言及している。コークス生産物のAFTは、実験的観察(観察されたAFT)又は経験的モデル(モデルAFT)を使用して決定するなど、さまざまな方法で決定され得る。特に指定しない限り、「灰溶融」という用語は、灰溶融の経験的モデル又は観察された灰溶融のいずれかを指すことができる。他で議論されるように、AFTは、2600°F(1427℃)以下、2450°F(1343℃)以下、2400°F(1316℃)以下、2350°F(1288℃)以下、2300°F(1260℃)以下、2250°F(1232℃)以下、2200°F(1204℃)以下、2150°F(1177℃)以下、2100°F(1149℃)以下、2050°F(1121℃)以下、2000°F(1093℃)以下、1950°F(1656℃)以下、1900°F(1038℃)以下、1850°F(1010℃)以下、又は1800°F(982℃)以下とすることができる。
【0024】
幾つかの実施形態において、AFTの経験的モデルは、コークス生産物の燃焼から生成された灰の残留化合物から決定され得る。AFTの値が範囲に制約される場合、これらの経験的モデルは、多次元組成パラメータ空間における組成境界を形成するのに役立つことができる。パラメータ空間の組成パラメータは、材料又は材料群中の要素(element)又は化合物の量を表すことができ、量には対応する化合物の質量分率、体積分率などを含めることができる。異なる経験的モデル又はAFTの異なる範囲を使用することにより、幾つかの実施形態は、コークス生産物の灰を組成パラメータ空間の異なる領域に拘束し、これによりコークス生産物自体の組成を拘束することができる。例えば、灰融解の経験的モデルは、以下の式1~3において定義され得、ここで、「AFT」は摂氏(℃)におけるモデル灰融解温度であり得、「SiO2質量分率」はコークス生産物の灰(「コークス生産物灰」)のSiO2質量分率であり得、「Al2O3質量分率」はコークス生産物灰のAl2O3質量分率であり、「Fe2O3質量分率」はコークス生産物灰のFe2O3質量分率であり、「CaO質量分率」はコークス生産物灰のCaO質量分率であり、「MgO質量分率」はコークス生産物灰のMgO質量分率であり、「K2O質量分率」はコークス生産物灰のK2O質量分率である。
【0025】
【0026】
【0027】
【0028】
幾つかの実施形態は、異なる組成に基づいて異なるモデルを適用することができる。例えば、石炭ブレンドの灰組成中のAl2O3及びSiO2質量分率が65%~80%であるという決定に基づいて、本技術の幾つかの実施形態は、式3を使用してモデルAFTを計算し、式2を使用してそれ以外のモデルAFTを計算することができる。幾つかの実施形態は、異なる最適化操作に対して異なるモデルを使用することができる。例えば、本技術の幾つかの実施形態は、式3を使用して、コークス生産用に選択された石炭ブレンドを最適化して、Fe2O3及びCaOの高い含有量を有しながら、Al2O3及びSiO2の低い含有量を有するようにすることができる。さらに、本技術の幾つかの実施形態は、既知のモデルAFTを使用することができるが、本技術の幾つかの実施形態は、新規のモデルAFT式を使用することができる。例えば、本技術の幾つかの実施形態は、式1を使用してAFTを決定することができ、式1は、アメリカ鋳物師協会Cupola Handbook第6版(登録商標)1999の第8章に記載されており、これは参照によりここに組み込まれるが、本技術の幾つかの実施形態は、式2又は式3によって記載されるものなどの他のAFTモデルを使用することができる。石炭ブレンドの成分の質量分率に関する様々な他の制限が課され得る。例えば、本技術の幾つかの実施形態は、石炭ブレンドの灰のアルミナAl2O3含有率が10.0%未満、7.0%未満、6.0%未満、5.0%未満などである石炭ブレンドを生産することができる。
【0029】
AFTを特定の境界に拘束することによって、本技術の幾つかの実施形態は、灰の組成を制限することができる。幾つかの実施形態において、特定の境界は、982℃(1800°F)から1204℃(2200°F)、1204℃(2200°F)から1426℃(2600°F)、又は982℃から1426℃などの温度領域を包含し得る。灰がコークス生産物を燃焼することによって生成された灰生成物である場合、灰の組成に関する制限は、コークス生産物自体のコークス生産物に対する制約をもたらす。例えば、本技術の幾つかの実施形態は、ある量のAl、Si、Ti、Ca、Mg、Fe、Na、又はKを有するコークス生産物を生成することができ、コークス生産物の燃焼が式2を満たす組成を有する灰をもたらすようになっている。コークス生産物灰の様々な組成境界を使用することができる。例えば、本技術の幾つかの実施形態は、式3によって決定されるコークス生産物のモデルAFTがAFT境界内にあるようなコークス生産物を生成することができる。例えば、AFT境界は、1260℃(2300°F)~1427℃(2600°F)、1260℃~1371℃(2500°F)、1260℃~1316℃(2400°F)、又は1260℃~1427℃の温度範囲とすることができる。幾つかの実施形態において、温度の下限は、982℃(1800°F)又は1288℃未満の値、例えば816℃(1500°F)、649℃(1200°F)、又は1288℃未満の他の値などの異なる値とすることができる。
【0030】
さらに、本技術の幾つかの実施形態は、AFTがほぼ目標値であるように制約することができ、パラメータが目標値の絶対値の10%内である場合、パラメータはほぼ目標値である。例えば、本技術の幾つかの実施形態は、AFTが約982℃(1800°F)、1204℃(2200°F)、1260℃(2300°F)、1288℃(2350°F)、1316℃(2400°F)、1343℃(2450°F)、1371℃(2500°F)、1399℃(2550°F)、又は1427℃(2600°F)になるように制約することができる。
【0031】
幾つかの実施形態において、石炭ブレンド配合は、1316℃より小さいことに相当する2400°F(1316℃)以下の灰溶融値などの特定の特性を含むことができる。幾つかの実施形態は、必ずしも中間のVM質量分率の石炭を含むことなく、低VM質量分率の石炭及び高VM質量分率の石炭を含有する石炭ブレンドを推奨又は生産することができる。例えば、石炭ブレンドは、石炭ブレンド内の高VM石炭と低VM石炭の二峰性プロファイルを有することができる。このような二峰性プロファイルでは、石炭ブレンドの石炭は石炭の第1及び第2のセットのみを含むことができ、石炭ブレンドの石炭の第1のセットは30.0%より大きいVM質量分率を有する高VM石炭のみを含むことができ、石炭ブレンドの石炭の第2のセットは22.0%未満のVM質量分率を有する低VM石炭のみを含むことができる。
【0032】
幾つかの実施形態は、混合点を石炭パラメータ空間内の対応する石炭パラメータ点(「石炭パラメータ点」)にマッピングすることができ、石炭パラメータ空間内の各次元は石炭パラメータを表すことができる。幾つかの実施形態では、石炭パラメータ点の次元は、対応する混合点の値によって重み付けされた石炭110の線形結合として決定され得る。例えば、石炭ブレンドは、50%のタイプA石炭112と50%のタイプB石炭113を含む2石炭タイプの混合物を含むことができる。タイプA石炭112が15%に等しいVM質量パーセントを有し、タイプB石炭が25%に等しいVM質量パーセントを有する場合、石炭ブレンドのVM質量パーセントは、2つのVM質量パーセントの平均値(mean average)である20%に等しくすることができる。
【0033】
幾つかの実施形態は、目標石炭パラメータのセットを取得することができ、目標石炭パラメータは、デフォルト値として提供され、手動データ入力によって提供され、サードパーティデータストアから取得され、電子メッセージを介して提供され得るなどである。例えば、目標石炭パラメータは、コークス反応性指数(CRI)又は反応後のコークス強度(CSR)値を含むことができる。幾つかの実施形態では、CRI又はCSRは、ユーザーによって手動で入力され、データベースから取得され、APIを介して受信され得るなどである。幾つかの実施形態では、対応するコークスパラメータのセットを決定するために、石炭パラメータのセットに基づくモデルを使用することができる。モデルは、統計モデル、半経験的分析モデル、ニューラルネットワークモデル、物理シミュレーションモデルなどを含むことができる。本開示の他の箇所に記載されているように、本技術の幾つかの実施形態は、石炭パラメータとコークスパラメータとの間の非線形関係を考慮したモデルを使用することができる。例えば、本技術の幾つかの実施形態は、コークスパラメータのセットを予測するために、フィードフォワードニューラルネットワークなどのニューラルネットワークを使用することができる。
【0034】
幾つかの実施形態では、ニューラルネットワークは過去のデータで訓練され得る。例えば、本技術の幾つかの実施形態は、過去のブレンド及びブレンドの結果に基づいてニューラルネットワークを訓練することができ、その結果には、CSR、パーセント重量損失、CRI、又は関連する石炭パラメータに対して非線形である別のコークスパラメータなどのコークス特性が含まれ得る。代替的に、又は追加的に、本技術の幾つかの実施形態は、コークスパラメータを予測するために、解析的物理ベースモデル又は半解析的モデルを使用することができる。石炭パラメータに基づいてコークスパラメータを予測するためにニューラルネットワーク、又は他の非線形方法を使用することは、石炭パラメータとコークスパラメータとの間に関連する非線形効果ゆえに有利であり得る。さらに、本技術の幾つかの実施形態は、粉炭パラメータ、使用される粉炭の量などの追加入力をニューラルネットワークモデルに提供することができる。
【0035】
幾つかの実施形態は、異なる石炭タイプの利用可能性の変化に適応することができる。例えば、タイプA石炭112の供給源鉱山が閉鎖され得、タイプA石炭112を運ぶ輸送ラインが大幅に遅れ得、規制環境が特定の石炭の使用を実行不可能にし得る、などである。石炭ブレンドに使用される石炭タイプが利用できない又は利用できなくなることが予想されるという判断に応答して、本技術の幾つかの実施形態は、石炭パラメータ空間内の第1の点から距離閾値内にある石炭パラメータ空間内の位置にマッピングされる代替石炭ブレンド配合を生成することができる。例えば、本技術の幾つかの実施形態は、20重量%のタイプA石炭である第1の石炭ブレンドを元々使用することができ、第1の石炭ブレンドは、25%のVM質量比、0.4%の硫黄質量比、及び6%の灰質量比などを含む石炭パラメータ空間内の第1の点にマッピングされる。タイプA石炭が5%に制限されていることを示すメッセージを受信した後(例えば、在庫減少の結果として)、本技術の幾つかの実施形態は、石炭タイプの使用制限及び石炭パラメータ空間を満たす1つ又は複数の追加の組み合わせを決定するための操作のセットを実行することができる。第1の石炭パラメータ点が石炭タイプの利用可能性に制約されながら達成できない場合、本技術の幾つかの実施形態は、第1の石炭パラメータ点の石炭パラメータ空間距離閾値内にある石炭パラメータ点にマッピングされる代替石炭ブレンド配合を決定することができる。
【0036】
幾つかの実施形態は、混合点を使用して、石炭ブレンド140のために添加及び処理する石炭の混合物を決定することができる。例えば、本技術の幾つかの実施形態は、本開示に記載の操作を使用して、20%のタイプA石炭112、30%のタイプB石炭113、40%のタイプC石炭114、及び10%のタイプD石炭115を含む石炭混合物を示す混合点を決定し、これらのそれぞれの割合の石炭を組み合わせて石炭ブレンド140とすることができる。次いで、幾つかの実施形態は、混合石炭をコークスオーブン150に供給することができ、本技術の幾つかの実施形態は、コークスオーブン150にコークス粉炭111を添加して、目標コークス特性のセットと同様のコークス特性を有するコークス生産物を作製することができる。
【0037】
図2は、本技術の1つ又は複数の実施形態による、水平熱回収コークスプラントの一部の等角的な部分切断図を示す。コークスプラントのオーブン200は、「鋳物用コークス生産物、関連システムおよび方法」と題された米国特許出願第17/736,960号に記載されている様々なダクト、チャンバ、バルブ、センサ、又は他の構成要素を含むことができる。例えば、オーブン200は、オーブンフロア202、プッシャー側オーブンドア204、プッシャー側オーブンドア204と対向するコークス側オーブンドア206、オーブンフロア202から上向きに延びていてプッシャー側オーブンドア204とコークス側オーブンドア206との間にある対向側壁208、及びオーブンチャンバ212の開放キャビティの上面を形成するオーブンクラウン210、によって画定される開放キャビティを含むことができる。さらに、オーブン200は、一次燃焼空気をオーブンチャンバ212内に入れるクラウン空気入口214のセットを含むことができる。幾つかの実施形態では、クラウン空気入口214のセットは、オーブンクラウン210を貫通し、オーブンチャンバ212とオーブン200外の環境との間の開放流体連通を可能にすることができる。幾つかの実施形態では、空気入口又は空気ダクト(例えば、取り込みダクト)を通る空気の流れは、ダンパーによって制御され得、これは空気の流れの量を変化させるために、完全に開放した状態と完全に閉鎖された状態との間の幾つかの状態のいずれかで構成され得る。例えば、クラウン空気入口214は、同様の方式で動作するクラウン入口空気ダンパー216のような、オーブンクラウン210への空気の流れを可能にするために異なる状態に構成され得るダンパーを含むことができる。本技術の実施形態は、一次燃焼空気をオーブンチャンバ212内に供給するために、専ら、クラウン空気入口214を使用することができるが、ドア空気入口のような他のタイプの空気入口が、本技術の態様から逸脱することなく、特定の実施形態において使用され得る。
【0038】
上述したように、オーブン200内のドラフトの制御又はオーブン200内の他の操作は、「鋳物用コークス製品、および関連するシステムおよび方法」と題する米国出願第17/736,960号に記載された操作を使用する制御システムによって実施され得る。このような操作は、コークス化サイクルの操作を含むことができ、これはオーブン200内に石炭ブレンドを装入すること、取り込みダンパー236を制御して全開放と全閉鎖との間の幾つかの状態のうちのいずれか1つで構成されること等を含むことができる。コークス化サイクルが完了すると、本技術の幾つかの実施形態は、石炭ブレンドをコークス化して、キュポラ炉で鋼を生産するのに有用なコークス生産物を生産することができる。幾つかの実施形態において、鋳物用コークス生産物は、「キュポラを介した鋳物用コークス生産物および関連システム、処理方法」と題された米国特許出願第18/052,739号に記載された操作を使用してキュポラ炉で使用されてもよく、その開示は参照によりその全体がここに組み込まれる。幾つかの実施形態では、コークス生産物は、プッシャラム又は別の機械的抽出システムを用いて、コークス側オーブンドア206を通してオーブン200から除去され得る。幾つかの実施形態では、コークスは、ユーザーに引き渡される前に急冷(例えば、湿式又は乾式急冷)され、寸法調整され得る。
【0039】
III.鋳物用コークス生産物、及び関連するシステム、装置、並びに方法は、本技術の1つ又は複数の実施形態によれば、鋳物用キュポラ内で加熱されるように構成されたコークス粒子を示す。
図3に示すように、C(b)=炭素バルク、S(b)=硫黄バルク、Ash(b)=バルク中の灰、C(s)=表面炭素、S(s)=表面硫黄、Ash(s)=(収縮するコアから蓄積する)表面灰、Fe(s)=表面Fe、C
*(s)=活性炭素表面、FeC、S
*(s)=活性硫黄表面、FeS、C(l)=液体中の炭素、及びS(l)=液体中の硫黄である。コークス粒子300は、キュポラ内の炭素溶解により収縮するコア305を含み、コークス粒子300はバルク液体320によって囲まれ得る。コークス粒子300のコア305が収縮すると、例えば、コークス粒子300の炭素の酸化及び/又は燃焼ゆえに、コア305の半径方向外向きにある灰及び鉄を含む拡散層が形成され始める。例えば、コークス粒子300は、コア305の半径方向外向きにあってコア305を少なくとも部分的に取り囲む灰を含む第1又は灰拡散層310(「第1の拡散層310」)と、コア305及び第1の拡散層310の半径方向外向きにあって第1の拡散層310を少なくとも部分的に取り囲む第2又は鉄拡散層315(「第2の拡散層315」)とを含むことができる。
【0040】
第1の拡散層310は、固体又は液体とすることができ、コークス表面を効果的に遮断するか、又はコークス表面を横切って周囲の液体金属内への物質移動面積を低下させることができる。加えて又は代替的に、第1の拡散層310は、コークス粒子の炭素の酸化及び/又は燃焼を時間的及び/又は温度的に遅延させることを可能にして、コークスが乾燥領域で一酸化炭素を生成せず、代わりにキュポラの反応領域で酸化及び燃焼されるようになっている。灰を含む第1の拡散層310は、コークス生産物の灰融解温度ゆえに部分的に形成され、これはコークス粒子300の組成に直接関連する。ここの他の箇所に記載されているように、コークスの灰融解温度は、従来のコークス生産物よりも低く、2650°F(1454℃)、2600°F(1427℃)、2550°F(1399℃)、2500°F(1371℃)、2450°F(1343℃)、2400°F(1316℃)、2350°F(1288℃)、2300°F(1260℃)、2250°F(1232℃)、2200°F(1204℃)、2150°F(1177℃)、2100°F(1149℃)、2050°F(1121℃)、2000°F(1093℃)、1950°F(1066℃)、1900°F(1038℃)、1850°F(1010℃)より低く、或いは1800-2600°F(982-1427℃)、1800-2500°F(982-1371℃)、1900-1300°F(1038-704℃)、又は2000-2200°F(1093-1204℃)の範囲内とすることができる。この比較的低い灰融解温度は、反応領域の前に、コークス、より詳細にはコア305の調理を防止する、例えばキュポラの乾燥領域における拡散灰層の形成を可能にし得る。加えて又は代替的に、この比較的低い灰融合温度は、金属がキュポラの反応領域で溶けて溶融状態になると、キュポラ内のコークス300と金属との間の接触時間を最適化することができる。その結果、より多くの炭素がコークス300から金属に移行され得る。これは、灰が反応領域の深部(すなわち、下流)で形成され、その結果、コークスと溶融金属との間の接触時間が制限され、その結果、炭素移行が相対的に少なくなる、より高い灰融解温度を有し得る、従来のコークス生産物とは対照的である。
【0041】
第2の拡散層315は、コークス粒子300がキュポラ内で加熱されてコークスコア305が収縮するにつれて形成される。第2の拡散層は、乾燥領域内でのコークスの調理をさらに制限することができ、及び/又は、コークス300が反応領域に到達するまで、コークスの燃焼及び酸化の大部分が起こらないことを確実にすることを助けることができる。加えて又は代替的に、炭素及び硫黄は、第2の拡散層315を通過するために互いに競合してもよい。すなわち、硫黄の存在が、コークス300からの炭素の移行速度及びコークス300を出る炭素の移行速度を望ましくないほど低下させ得る。幾つかの実施形態では、コークスは、予めフラックス処理され、及び/又は触媒材料として作用する添加剤(例えば、カルシウム、鉄、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化鉄、酸化ナトリウム、及び酸化カリウム、及び/又は比較的低い融点を有する他の酸化物)を含む(例えば、ドープされる)ことができる。一例として、ナトリウムがプレフラックス剤として作用することができ、鉄がプレフラックス剤及び触媒剤として作用することができる。触媒材料が硫黄を捕捉してコークスから硫黄を流出させるために利用され得る。幾つかの実施形態では、プレフラックスされたコークスは、上述の酸化物の割合が高い灰材料を持つコークスを生産するために石炭を選択した結果である。これは、灰を除去するために酸化カルシウム又は炭酸カルシウム粒子/岩石をフラックスとして添加してもよいコークス生産物とは対照的であり、そのような方法は、実際にフラックスが発生するための表面積対体積比が非常に低いゆえに非効率的である。さらに、プレフラックスされたコークス及び/又は触媒剤は、ブードアー反応による炭素析出を促進し、それによってより多くの熱を発生させ、キュポラの反応領域(例えば、燃焼ゾーン)内に存在する炭素の量を増加させることができる。理論に束縛されることなく、プレフラックス剤は、スラグ(例えば、スラグ116;
図1)の液相線温度を変化させることができ、又はより詳細には、バルクスラグ内にブレンドされるコークスの表面又は内部における灰の液相線温度を変化させることができる。
【0042】
改善されたコークス化学は、コークス粒子300からキュポラ内の金属(すなわち、鉄又は鋼)への炭素溶解を増加させることを目的とする。操作中、炭素がキュポラ内のバルク液体鉄内に溶解するにつれて、コークスコア305は収縮し、灰と不純物は表面に蓄積される。さらに、炭素と硫黄の両方が表面から解離し、これはFe、Ni及び他の金属の触媒活性によって助けられ得る。灰融解温度(ここの他の箇所に記載されている)によって表される、より低い灰融解温度は、灰の液相へのより速い変換による灰除去の改善を可能にし、灰抵抗を減少させる。炭素及び硫黄は、薄い鉄拡散層を通って拡散する。さらに、炭素と硫黄は競合的であり、互いに溶解又は移行しにくい。そのため、コークスの低い硫黄分は、炭素の移行を促進する。さらに、高いコークス反応性指数(CRI)又は低い反応後のコークス強度(CSR)(ここの他の箇所に記載されている)を有するコークス生産物は、より反応性の高い炭素形態が表面から解離することを可能にし、それにより炭素溶解速度を増加させる。
【0043】
石炭ブレンド中の灰を介して石炭ブレンドから生産された鋳物用コークス生産物に添加されるか、又は他の方法で鋳物用コークス生産物に導入される様々な金属は、炭素溶解速度を増加させる触媒機能を提供することができる。幾つかの実施形態では、多酸化状態の元素(例えば、金属)が、コークス生産物中で酸化状態を変化させて触媒活性を提供してもよい。例えば、コークス生産物はナトリウムを含んでもよく、これは未酸化状態のNaから第一イオン酸化状態のNa+に遷移してもよい。或いは、又は追加的に、コークス生産物は鉄を含んでもよく、これは未酸化状態のFeから酸化状態のFe2+又はFe3+に遷移してもよい。さらに、コークス生産物は、酸化形態にある多酸化状態元素を含んでもよい。例えば、コークス生産物は、塩の形態のNa+又はFe2O3の形態のFe3+を含んでもよい。コークス生産物はまた、ニッケル、銅などの他の種類の金属を含んでもよい。コークス生産物に埋め込まれた触媒材料は、鋼の生産中に炭素溶解を増加させる。なぜなら、触媒材料の少なくとも一部は、鋼の生産中にコークス生産物と液体鉄浴との間の界面に接触したままになるからである。
【0044】
図4は、本技術の1つ又は複数の実施形態による、例示的な鋳物用コークス生産物及び鋳物用コークス特性の表を示す。幾つかの実施形態は、鋳物用コークス生産物400を生産するために、
図2のオーブン200などのコークスオーブンを使用することができる。幾つかの実施形態において、鋳物用コークス生産物400は、全体として長方形状であってよく、第1の長さ412、第2の長さ414、又は第3の長さ416に沿って異なる寸法又は類似の寸法を有することができる。例えば、第1の長さ412は、6.0インチ(15.24センチメートル)より大きくすることができ(例えば、9.0インチ(22.86センチメートル))、第2の長さは、2.5インチ(6.35センチメートル)より大きくすることができ(例えば、4.0インチ(10.16センチメートル))、第3の長さは、2.5インチ(6.35センチメートル)より大きくすることができる(例えば、4.0インチ(10.16センチメートル))。幾つかの実施形態では、鋳物用コークス生産物400の形状の1つ又は複数の長さは最大値に制限され得る。例えば、第1の長さ412は、6.0インチ(15.24センチメートル)~12.0インチ(30.48センチメートル)であり得る。
【0045】
鋳物用コークス生産物の特定の形状の変動ゆえに、鋳物用コークス生産物は、水力直径の範囲によって特徴付けられ得る。例えば、鋳物用コークス生産物400は、1.0インチ(2.54センチメートル)以上、2.0インチ(5.08センチメートル)以上、又は3.0インチ(7.62センチメートル)以上などの水力直径を有することができる。幾つかの実施形態では、鋳物用コークス生産物の水力直径は、鋳物用コークス生産物の断面形状ゆえに、鋳物用コークス生産物の実際の直径よりも大きくなり得る。
【0046】
表450は、鋳物用コークス生産物400の属性のセットを含む。表450に示される鋳物用コークス生産物の属性は、本開示に記載の操作によって生産されるコークス生産物を特徴付けることができる。そのような属性は、従来のコークス生産物と比較してより低いAFT値を有するなど、鋳造操作に有利であり得る。このようなより低いAFT値は、IDT値又はST値のような様々な形態で表され得る。例えば、表450に示す試料「S4」は、2150°F(1177℃)に等しい灰溶融IDTを有する。幾つかの実施形態は、AFT閾値又は目標灰融解範囲に基づいて、低灰融解を減少させてコークス生産物にするための操作を実行することができる。
【0047】
幾つかの実施形態において、目標AFT値又はAFT範囲は、使用される灰融解値のタイプに基づいて変化し得る。幾つかの実施形態では、生産されたコークス生産物は、2100°F(1149℃)~2400°F(1316℃)であるIDTを有することができる。幾つかの実施形態は、コークス生産物に対してより厳しい制限を含むことができる。例えば、本技術の幾つかの実施形態は、2100°F(1149°C)~2250°F(1232°C)であるIDTを有するコークス生産物を含むことができる。幾つかの実施形態は、目標IDTを満たすために、異なるダンパー位置で石炭ブレンド、浸漬時間、又は持続時間を変更することができる。例えば、本技術の幾つかの実施形態は、約2100°F(1149℃)、約2150°F(1177℃)、約2200°F(1204℃)、約2250°F(1232℃)、約2300°F(1260℃)、約2350°F(1288℃)、又は約2400°F(1316℃)の目標IDT値に基づいて石炭ブレンドを選択し、又はオーブン操作を決定することができる。幾つかの実施形態において、浸漬時間は、ピーククラウン温度又は他のピーク温度に到達した後に開始するものとして設定され得る。代替的に、浸漬時間は、ガスの流れなく単独煙道温度又はクラウン温度が低下し始めた後に開始するものとして設定され得る。さらに、浸漬時間は、熱分解持続時間のコークス化時間の増加のために減少され得、浸漬時間は、10.0時間未満、5.0時間未満、又は1.0時間未満でさえあり得る。さらに、本技術の幾つかの実施形態は、様々な総サイクル時間を使用することができ、熱分解持続時間に対する浸漬時間の比に基づいて操作を特徴付けることができ、比は、33.0%未満、15.0%未満、5.0%未満、又は50%未満である他の閾値未満であり得る。
【0048】
同様に、本技術の幾つかの実施形態は、2150°F(1177℃)~2500°F(1371℃)などの特定の範囲内にあるSTを有する本開示に記載の操作を使用して、コークス生産物を生産することができる。幾つかの実施形態は、2150°F(1177℃)~2300°F(1260℃)のSTを有するコークス生産物を生産するように操作を修正するなど、STについてより厳しい範囲を満たす操作を実施することができる。さらに、本技術の幾つかの実施形態は、目標STを満たすために、異なるダンパー位置での石炭ブレンド、浸漬時間、又は持続時間を変更することができる。例えば、本技術の幾つかの実施形態は、約2100°F(1149℃)、約2150°F(1177℃)、約2200°F(1204℃)、約2250°F(1232℃)、約2300°F(1260℃)、約2350°F(1288℃)、約2400°F(1316℃)、約2450°F(1343℃)、又は約2500°F(1371℃)の目標ST値に基づいて石炭ブレンドを選択し、又はオーブン操作を決定することができる。さらに、本技術の幾つかの実施形態は、目標ST値の関数として目標IDT値を設定することができる。
【0049】
同様に、本技術の幾つかの実施形態は、2200°F(1204℃)~2350°F(1288℃)などの特定範囲内にあるHTを有する本開示に記載の操作を使用してコークス生産物を生産することができる。幾つかの実施形態は、2150°F(1177℃)~2300°F(1260℃)のHTを有するコークス生産物を生産するように操作を修正するなど、HTのより厳しい範囲を満たす操作を実施することができる。さらに、本技術の幾つかの実施形態は、目標HTを満足させるために、異なるダンパー位置で石炭ブレンド、浸漬時間、又は持続時間を変更することができる。例えば、本技術の幾つかの実施形態は、約2200°F(1204℃)、約2250°F(1232℃)、約2300°F(1260℃)、約2350°F(1288℃)、約2400°F(1316℃)、約2450°F(1343℃)、又は約2500°F(1371℃)の目標HT値に基づいて石炭ブレンドを選択し、又はオーブン操作を決定することができる。
【0050】
同様に、本技術の幾つかの実施形態は、2250°F(1232℃)~2600°F(1427℃)のFTなど、特定の範囲内にあるFTを有する本開示に記載の操作を使用して、コークス生産物を生産することができる。幾つかの実施形態は、2250°F(1232℃)~2400°F(1316℃)のFTを有するコークス生産物を生産するように操作を修正するなど、FTのより厳しい範囲を満たす操作を実施することができる。さらに、本技術の幾つかの実施形態は、目標FTを満たすために異なるダンパー位置での石炭ブレンド、浸漬時間、又は持続時間を変更することができる。例えば、本技術の幾つかの実施形態は、約2250°F(1232℃)、約2300°F(1260℃)、約2350°F(1288℃)、約2400°F(1316℃)、約2450°F(1343℃)、約2500°F(1371℃)、約2550°F(1399℃)、又は約2600°F(1427℃)の目標FT値に基づいて石炭ブレンドを選択し、又はオーブン操作を決定することができる。
【0051】
幾つかの実施形態は、異なるタイプのAFT値に対して複数の目標範囲を満たすコークス生産物を生産することができる。例えば、本技術の幾つかの実施形態は、2100°F(1149℃)~2250°F(1232℃)のIDT、2150°F(1177℃)~2300°F(1260℃)のST、2200°F(1204℃)~2350°F(1288℃)のHT、又は2250°F(1232℃)~2400°F(1316℃)のFTを有するコークス生産物を含むことができる。代替的に、又は追加的に、コークス生産物の目標範囲の様々な他の組み合わせが可能である。例えば、本技術の幾つかの実施形態は、2100°F(1149℃)~2250°F(1232℃)のIDT、2150°F(1177℃)~2300°F(1260℃)のST、2200°F(1204℃)~2350°F(1288℃)のHT、及び2250°F(1232℃)~2400°F(1316℃)のFTを有するコークス生産物を含むことができる。
【0052】
幾つかの実施形態は、AFT値を満たすための様々な組成境界内にあるAFTを有するコークス生産物を生成することができる。例えば、幾つかの実施形態は、2300°F(1260℃)より大きいか又は2600°F(1427℃)より小さいAFTを有するコークス生産物を生成する。幾つかの実施形態は、1800°F(982℃)~2600°F(1427℃)、2200°F(1204℃)~2500°F(1371℃)、2300°F(1260℃)~2400°F(1316℃)、2400°F(1316℃)~2600°F(1427℃)、又は2500°F(1371℃)~2600°F(1427℃)であるなど、下流での使用のためのコークス生産物の生産又は選択のためのより厳しい許容誤差を含むことができる。
【0053】
幾つかの実施形態は、特定のタイプのAFT値によって特徴付けられるコークス生産物を生産するために、本開示に記載の操作を使用することができる。例えば、本技術の幾つかの実施形態は、982℃(1800°F)~1427℃(2600°F)のAFT ST、1177℃(2150°F)~1371℃(2500°F)のAFT STを有するコークス生産物、又は1204℃(2200°F)~1371℃(2500°F)のAFT HT、又は1232℃(2250°F)~1371℃(2500°F)のAFTの流れ温度(FT)を有するコークス生産物を生産することができる。
【0054】
表450に示すように、鋳物用コークス生産物のCRI値は、36.5%又は35%より大きい別の値とすることができる。幾つかの実施形態は、1つ又は複数のCRI閾値を満たす鋳物用コークスのバッチを生産するコークス生産操作を実施することができる。例えば、本技術の幾つかの実施形態は、CRI閾値に基づいて、ダンパー構成の変更間の持続時間を変更すること、又は異なるダンパー位置の間で選択することができる。例えば、本技術の幾つかの実施形態は、少なくとも25.0%、少なくとも30.0%、少なくとも35.0%、少なくとも40.0%、少なくとも45.0%、又は少なくとも30.0%である別の値を有するCRIを有する鋳物類を生産することができる。幾つかの実施形態は、下流での使用のために、最小CRI閾値よりも大きいCRIを有するコークス生産物を選択するための操作を実行することができる。幾つかの実施形態において、コークス生産物のCRIは、反応からの質量損失を示してもよく、コークス生産物のCRIが大きいほど、コークス生産物の効率又は有用性が高いことを示してもよい。一部の実施形態では、CRIは、コークス生産物又はコークス生産物を生成するために使用される石炭ブレンドの既知の特性に基づくモデルを使用して計算されてもよい。代替的に、又は追加的に、CRIは、確立された試験プロトコルを使用して測定された重量損失として実験的に得られてもよい。例えば、幾つかの実施形態では、ASTM法D5341のようなCRI測定法を使用してCRI値を決定してもよい。
【0055】
表450に示すように、鋳物用コークス生産物のCSR値は、26%、15.6%、又は7.0%などのCSR閾値よりも大きい別の値とすることができる。幾つかの実施形態は、1つ又は複数のCSR閾値を満たす鋳物用コークスのバッチを生産するコークス生産操作を実施することができる。例えば、本技術の幾つかの実施形態は、鋳物用コークスが40.0%以下、35.0%以下、30.0%以下、25.0%以下、20.0%以下、15.0%以下、10.0%以下、又は7.0%以下のCSRを有することを要求するCSR閾値のような、目標CSR閾値を満たすことに基づいて、ダンパー構成の変更間の持続時間を変更するか、又は異なるダンパー位置の間で選択することができる。
【0056】
表450に示すように、コークス生産物灰中のSiO2組成は、49.4%、48.9%、48.8%、49.1%、又は46.0%を含み得る。他の実施形態では、灰中の他のSiO2質量分率、例えば70%未満、50.0%未満、45.0%未満などの他の値を含むことができる。幾つかの実施形態では、コークス生産物灰中の約50.0%のSiO2質量分率は、コークス生産物自体のSiO2量が少ないことに対応し得る。
【0057】
さらに、本技術の幾つかの実施形態は、固定炭素閾値以上である固定炭素含有量(例えば、固定炭素質量分率)を有するコークス生産物を生成することができる。例えば、本技術の幾つかの実施形態は、80.0%、85.0%、90.0%、90.5%、91.0%、又は他の値よりも大きい固定炭素質量分率を有する鋳物用コークス生産物を生成することができる。幾つかの実施形態において、固定炭素含有率は、目標とする範囲とすることができる。例えば、本技術の幾つかの実施形態は、94.5%以下であるが85.0%以上である固定炭素含有率を有するコークス生産物を生成するための操作のセットを実行することができる(ただし、94.5%~85.0%など、他の値の範囲も可能である。90.0%~95.0%、85%~99%などの範囲を有するコークス生産物など、様々な他の目標範囲が可能である。
【0058】
さらに、本技術の幾つかの実施形態は、目標とする境界のある範囲又は境界のない範囲内の灰質量分率を有するコークス生産物を生成することができる。例えば、本技術の幾つかの実施形態は、1.0%、5.0%、8.0%、9.0%、10.0%、又は10.0%を超える値以上の灰質量分率を有する鋳物用コークス生産物を生成することができる。さらに、本技術の幾つかの実施形態は、灰質量分率の上限を含むことができる。例えば、本技術の幾つかの実施形態は、1.0%、5.0%、9.0%、10.0%、又は10.0%を超える値未満の灰質量分率を有する鋳物用コークス生産物を生産することができる。幾つかの実施形態は、生産されたコークス生産物が5.0%~10.0%、8.5%~9.0%、8.0%~10.0%、5.0%~15.0%などの範囲を有するように、灰質量分率のこれらの上限及び下限を組み合わせることができる。
【0059】
図5は、本技術の1つ又は複数の実施形態による鋳物用コークス生産物収率を示すチャートである。チャート500に示されるように、本開示に記載の操作を使用して石炭ブレンドから生産されたコークス生産物の異なるバッチの鋳造収率は変化し得る。範囲502によって示されるように、収率は、幾つかの実施形態において約40%~60%の範囲であり得、この収率は、乾燥収率であり得る(すなわち、鋳物用コークス生産物の乾燥質量分率は、コークス生産物の全集団の乾燥質量分率の40%又は60%であり得る)。データ点553によって示されるように、幾つかの実施形態は、約57%である収率をもたらす操作を実行するが、収率は他の場合にはより低くなり得る。例えば、データ点551によって示されるように、幾つかのコークス生産操作における収率は、41%と低いなど、より低くなり得る。多くの場合、本技術の幾つかの実施形態は、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%などの収率をもたらす操作など、最小収率閾値を満たす操作を実施することができる。本技術の幾つかの実施形態は、収率を向上させるためにコントローラ最適化操作を実施することができるが、本技術の幾つかの実施形態は、他の目標コークス生産物パラメータを満たすために、予測される収率が予想される最大収率未満であることを許容することができる。
【0060】
図6は、本技術の1つ又は複数の実施形態による、粒子寸法を示すチャートである。チャート600に示すように、インチ単位の平均バッチ長さは、本開示に記載の操作を使用して石炭ブレンドから生産されたコークス生産物の異なるバッチについて、変化し得る。範囲602によって示されるように、コークス生産物の平均長さは、幾つかの実施形態において、約5.5インチ(13.97センチメートル)~約7.5インチ(19.05センチメートル)の範囲とすることができる。データ点653によって示されるように、幾つかの実施形態は、約7.4インチ(18.796センチメートル)であるコークス生産物平均長さをもたらす操作を実行するが、コークス生産物平均長さは、他の場合にはより低くなり得る。例えば、データ点651によって示されるように、幾つかのコークス生産操作におけるコークス生産物平均長さは、5.5インチ(13.97センチメートル)と低いなど、より低くなり得る。多くの場合、本技術の幾つかの実施形態は、少なくとも2.5インチ(6.35センチメートル)、4.0インチ(10.16センチメートル)、5.0インチ(12.7センチメートル)、6.0インチ(15.24センチメートル)、7.0インチ(17.78センチメートル)、8.0インチ(20.32センチメートル)、9.0インチ(22.86センチメートル)、又は他の長さであるコークス生産物平均長さをもたらす操作など、最小コークス生産物平均長さ閾値を満たす操作を実施することができる。幾つかの実施形態において、より大きなコークス生産物は、結果として、より効率的な鋳造操作をもたらすことができる。本技術の幾つかの実施形態は、コークス生産物平均長さを増加させるためのコントローラ最適化操作を実施することができるが、本技術の幾つかの実施形態は、他の目標コークス生産物パラメータを満たすために、予測されたコークス生産物平均長さが、予測された最大コークス生産物平均長さ未満であることを許容することができる。
【0061】
図7は、本技術の1つ又は複数の実施形態による、4インチ(10.16センチメートル)落下飛散(drop shatter)特性を示すチャートである。チャート700に示されるように、本開示に記載の操作を使用して石炭ブレンドから生産されたコークス生産物の異なるバッチの4インチ(10.16センチメートル)落下飛散生存率は変化し得る。範囲702によって示されるように、4インチ(10.16センチメートル)落下飛散生存率は、幾つかの実施形態において約80%~約95%の範囲であり得る。データ点753によって示されるように、幾つかの実施形態は、約93%である4インチ(10.16センチメートル)落下飛散生存率をもたらす操作を実行するが、4インチ(10.16センチメートル)落下飛散生存率は、他の場合にはより低くなり得る。例えば、データ点751によって示されるように、幾つかのコークス生産操作における4インチ(10.16センチメートル)落下飛散生存率は、81%と低いなど、より低くなり得る。多くの場合、本技術の幾つかの実施形態は、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、又は少なくとも95%、又は少なくとも他の幾つかの4インチ(10.16センチメートル)落下飛散閾値である4インチ(10.16センチメートル)落下飛散生存率をもたらす操作など、最小4インチ(10.16センチメートル)落下飛散生存率閾値を満たす操作を実施することができる。多くの場合、より多くのコークス生産物が輸送及び下流の処理に耐えるので、より大きな落下飛散生存率は下流の鋳造操作にとって有用である。
【0062】
図8は、本技術の1つ又は複数の実施形態による、6インチ(15.24センチメートル)落下飛散特性を示すチャートである。チャート800に示されるように、本開示に記載の操作を使用して石炭ブレンドから生産されたコークス生産物の異なるバッチの6インチ(15.24センチメートル)落下飛散生存率は変化し得る。範囲802によって示されるように、6インチ(15.24センチメートル)落下飛散生存率は、幾つかの実施形態において約30%~約80%の範囲であり得る。データ点853によって示されるように、幾つかの実施形態は、約80%である6インチ(15.24センチメートル)落下飛散生存率をもたらす操作を実行するが、6インチ(15.24センチメートル)落下飛散生存率は、他の場合にはより低くなり得る。例えば、データ点851によって示されるように、幾つかのコークス生産操作における6インチ(15.24センチメートル)落下飛散生存率は、30%ほど低いなど、より低くなり得る。多くの場合、本技術の幾つかの実施形態は、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、又は少なくとも他の幾つかの6インチ(15.24センチメートル)落下飛散閾値である6インチ落下飛散生存率をもたらす操作など、最小6インチ(15.24センチメートル)落下飛散生存率閾値を満たす操作を実施することができ、6インチ(15.24センチメートル)落下飛散閾値は、4インチ(10.16センチメートル)落下飛散閾値未満であり得る。
【0063】
図9は、本技術の1つ又は複数の実施形態による、灰質量分率を示すチャートである。チャート900に示すように、本開示に記載の操作を使用して石炭ブレンドから生産されたコークス生産物の異なるバッチの灰質量分率は変化し得る。範囲902によって示されるように、灰質量分率は、幾つかの実施形態において、約7%~約10%の範囲であり得る。データ点953によって示されるように、幾つかの実施形態は、灰質量分率が約9.7%になる操作を実行するが、灰質量分率は他の場合にはより低くなり得る。例えば、データ点954によって示されるように、幾つかのコークス生産操作における灰質量分率は、8.8%であり得る。加えて、又は代替的に、データ点951によって示されるように、幾つかのコークス生産操作における灰質量分率は、7.2%というようにより低くなり得る。
【0064】
幾つかの実施形態では、本開示に記載の操作を使用して生産されたコークス生産物の灰含有量は、灰質量分率閾値未満であり得、灰質量分率閾値は、10.0%、9.0%、8.5%、8.0%、7.5%、又は50.0%未満の別の値であり得る。幾つかの実施形態では、灰質量分率は、10.0%より大きいなど、従来にないほど高くすることができる。代替的に、又は追加的に、本技術の幾つかの実施形態は、10.0%未満、9.0%未満、8.5%未満、8.0%未満、7.5%未満、又は7.0%未満である灰質量分率閾値を満たす灰質量分率を有するコークス生産物を生産することができる。幾つかの実施形態は、5.5%~7.0%、6.0%~6.5%、8.0%~10.0%、又は幾つかの他の値などの範囲内の灰を含み得る。さらに、本技術の幾つかの実施形態は、目標質量分率値を満たすコークス生産物のセットを生産することができる。例えば、本技術の幾つかの実施形態は、目標灰質量分率を満たす灰質量分率を有するコークス生産物を生産することができ、目標灰質量分率は、約9.0%、約8.5%、約8.0%、約7.5%、又は約7.0%であり得る。
【0065】
幾つかの実施形態では、本技術の幾つかの実施形態は、少なくとも7.0%、少なくとも8.0%、少なくとも9.0%、又は少なくとも他の灰質量分率である灰質量分率を有するコークス生産物など、最小灰質量分率閾値を満たすコークス生産物を生産する操作を実施することができる。さらに、本技術の幾つかの実施形態は、7.0%~10.0%など、予め定義された範囲内にある灰質量分率を有する石炭ブレンドを決定するか、又はコークスオーブン操作を実行することができる。
【0066】
図10は、本技術の1つ又は複数の実施形態による、水分質量分率を示すチャート1000である。チャート1000に示されるように、本開示に記載の操作を使用して石炭ブレンドから生産されたコークス生産物の異なるバッチのコークス生産物水分質量分率は異なり得る。範囲1002によって示されるように、コークス生産物水分質量分率は、幾つかの実施形態において、約0%~約15%の範囲であり得る。データ点1053によって示されるように、幾つかの実施形態は、約15%であるコークス生産物水分質量分率をもたらす操作を実行するが、コークス生産物水分質量分率は他の場合にはより低くなり得る。さらに、データ点1051によって示されるように、幾つかのコークス生産操作におけるコークス生産物水分質量分率は、0.5%ほど低いなど、より低くなり得る。多くの場合、本技術の幾つかの実施形態は、少なくとも7.0%、少なくとも8.0%、少なくとも9.0%、又は少なくとも他の幾つかのコークス生産物水分質量分率であるコークス生産物水分質量分率をもたらす操作など、最小コークス生産物水分質量分率閾値を満たす操作を実施することができる。さらに、本技術の幾つかの実施形態は、7.0%~10.0%など、予め定義された範囲内にあるコークス生産物水分質量分率を有する石炭ブレンドを決定するか、又はコークスオーブン操作を実行することができる。さらに、本技術の幾つかの実施形態は、10.0%以下、8.0%以下、7.0%以下、5.0%以下など、予め定義された値未満のコークス生産物水分質量分率を有する石炭ブレンドを決定すること、又はコークスオーブン操作を実行することができる。
【0067】
図11は、本技術の1つ又は複数の実施形態による、硫黄質量分率を示すチャート1100である。チャート1100に示されるように、本開示に記載の操作を使用して石炭ブレンドから生産されたコークス生産物の異なるバッチの硫黄質量分率は異なり得る。範囲1102によって示されるように、硫黄質量分率は、幾つかの実施形態において約0.60%~約0.75%の範囲であり得る。データ点1153によって示されるように、幾つかの実施形態は、約0.73%の硫黄質量分率をもたらす操作を実行するが、硫黄質量分率は他の場合にはより低くなり得る。加えて、データ点1151によって示されるように、幾つかのコークス生産操作における硫黄質量分率は、0.63%と低いなど、より低くなり得る。
【0068】
幾つかの実施形態では、コークス生産物の硫黄含有量は、硫黄質量分率の閾値未満であり得る。例えば、コークス生産物の硫黄含有量は、1.0%未満、0.9%未満、0.8%未満、0.7%未満、0.6%未満、0.5%未満、0.3%未満、0.2%未満、又は0.1%未満であり得る。幾つかの実施形態は、コークス生産物中の硫黄の量を低減するために、石炭ブレンドの配合を決定し、浸漬時間を決定し、又はダンパー制御スケジュールを決定する。さらに、コークス生産物は、0.65%の目標硫黄質量分率などの目標硫黄含有量値に基づいて生産され得る。他で説明したように、コークス生産物の硫黄含有量を低減することによって、本技術の幾つかの実施形態は、鋳造操作の効率を高めることができる。
【0069】
図12は、本技術の1つ又は複数の実施形態による、鋳物用コークス生産物の灰中のSiO2質量分率対Al2O3質量分率を描写したチャート1200である。幾つかの実施形態において、コークス生産物は、SiO
2及びAl
2O
3の質量分率又はこれらの質量分率の比に基づいて特徴付けられ得る。チャート1200に示すように、コークス灰の異なる試料は、SiO
2及びAl
2O
3の異なる質量分率又は質量分率比を示し得る。例えば、点1250は、約48.0%のSiO
2質量分率及び約24.3%のAl
2O
3質量分率を有する試料を示し、これは、コークス生産物の一部の灰が、SiO
2対Al
2O
3の質量分率比について約2:1の比を有し得ることを示唆する。範囲1201によって示されるように、異なる試料のSiO
2質量分率は、幾つかの実施形態において48.0%~51.0%の範囲とすることができる。さらに、範囲1202によって示されるように、異なる試料のSiO
2質量分率は、幾つかの実施形態において、24.3%~28.4%の範囲であり得る。
【0070】
幾つかの実施形態は、Al2O3及びSiO2の組合せを最小化するか、又は少ない量のAl2O3及びSiO2を有するコークス生産物を生産することができる。例えば、本技術の幾つかの実施形態は、コークス生産物の灰が65%以下であるAl2O3質量分率及びSiO2質量分率の組合せを有するようなコークス生産物を生産する操作を実行することができる。コークス生産物中のAl及びSiの量を低減することによって、本技術の幾つかの実施形態は、鋳造操作中の炭素溶解に対するそれらの干渉を低減することによって、鋳造操作の効率を高めることができる。
【0071】
幾つかの実施形態は、Al2O3又はSiO2に関する他の閾値を満たすコークス生産物、または石炭ブレンドを製造するために使用される石炭ブレンドを製造することができる。例えば、本技術の幾つかの実施形態は、コークス生産物の灰、又はコークス生産物を生産するために使用される石炭ブレンドの灰のAl2O3質量分率が、約30%又は30%未満、約25%又は25%未満、或いは約20%又は20%未満であるようなコークス生産物を生産することができる。代替的に、又は追加的に、本技術の幾つかの実施形態は、コークス生産物の灰又はコークス生産物を作成するために使用される石炭ブレンドの灰のSiO2質量分率が、約50%又は50%未満、約45%又は45%未満、約40%又は40%未満、或いは約35%又は35%未満であるようなコークス生産物を生産することができる。
【0072】
代替的又は追加的に、本技術の幾つかの実施形態は、コークス生産物の灰又はコークス生産物を生成するために使用される石炭ブレンドの灰のSiO2質量分率とAl2O3質量分率との合計が、約80%又は80%未満、約75%又は75%未満、約70%又は70%未満、約65%又は65%未満であるようなコークス生産物を生成することができる。
【0073】
図13は、本技術の1つ又は複数の実施形態による、鋳物用コークス生産物の灰中のFe2O3質量分率対CaO質量分率を描いたチャート1300である。幾つかの実施形態において、コークス生産物は、Fe
2O
3及びCaOの質量分率又はこれらの質量分率の比に基づいて特徴付けられ得る。チャート1300に示すように、コークス灰試料を表す異なるデータ点は、Fe
2O
3及びCaOの異なる質量分率及び質量分率比を示すことができる。例えば、点1351は、約12.1%のFe
2O
3質量分率と約2.4%のCaO質量分率を有する試料を示す。さらに、点1352は、約15.0%のFeOs質量分率と約2.8%のCaO質量分率を有する試料を示す。さらに、点1352は、約12.0%のFe
2O
3質量分率と約4.5%のCaO質量分率を有する試料を示す。集合的に、点1351は、幾つかの試料のFe
2O
3及びCaOの質量分率比が、幾つかの実施形態において、約5:1~約5:2の範囲であり得ることを示す。さらに、範囲1301によって示されるように、異なる試料のFe
2O
3質量分率は、幾つかの実施形態において11.0%~15.0%の範囲であり得る。さらに、範囲1302によって示されるように、CaOのFe
2O
3質量分率は、幾つかの実施形態において2.5%~4.5%の範囲であり得る。
【0074】
幾つかの実施形態は、コークス生産物中のCaOの量を増加させる操作を使用して、コークス生産物を生産することができる。例えば、本技術の幾つかの実施形態は、コークス生産物の灰が3.0%以上であるCaO質量分率を有するようなコークス生産物を生産する操作を行うことができる。代替的に、又は追加的に、他の最大CaO閾値が使用され得る。例えば、本技術の幾つかの実施形態は、コークス生産物の灰が、10.0%以上、9.0%以上、8.0%以上、7.0%以上、6.0%以上、5.0%以上、4.0%以上、3.0%以上、2.0%以上、1.0%以上などであるCaO質量分率を有するようなコークス生産物を生産することができる。幾つかの実施形態では、CaOの高い含有量を有する石炭ブレンドからコークス生産物を生産することができ、この含有量は灰組成によって決定され得る。このような高い含有量のCaOは、コークス生産物の炭素溶解速度を高めることができる。
【0075】
図14は、本技術の1つ又は複数の実施形態による、鋳物用コークス生産物の異なるバッチの灰軟化温度対モデル灰融解温度を描いたチャート1400である。幾つかの実施形態において、コークス生産物は、それらの灰ST値、モデルAFT値、又はこれら2つの値の比に基づいて特徴付けられ得る。チャート1400に示されるように、コークス灰の異なる試料は、異なるST値及びモデルAFT値を有し得る。例えば、点1451は、約2300°F(1260℃)に等しい灰ST値と約2450°F(1343℃)に等しいモデルAFT値とを有する試料を示す。さらに、点1452は、約2550°F(1399℃)に等しい灰ST値と約2580°F(1416℃)に等しいモデルAFT値を有する試料を示す。さらに、範囲1401によって示されるように、異なる試料の灰ST値は、幾つかの実施形態において、2300°F(1260℃)~2600°F(1427℃)の範囲とすることができる。さらに、範囲1402によって示されるように、幾つかの試料のモデルAFT値は、幾つかの実施形態において、2450°F(1343℃)~2600°F(1427℃)の範囲であり得る。
【0076】
図15は、本技術の1つ又は複数の実施形態による、鋳物用コークス生産物の異なるバッチの灰軟化温度対灰質量分率を示すチャート1500である。幾つかの実施形態において、コークス生産物は、それらの灰質量分率又は観察された灰ST値に基づいて特徴付けられ得る。チャート1500に示されるように、コークス灰の異なる試料は、異なる灰試料の異なる灰質量分率及び観察されたSTを示し得る。例えば、点1551は、約2350°F(1288℃)に等しいST値と約7.8%の灰質量分率を有する試料を示す。さらに、点1352は、約2560°F(1404℃)に等しいST値と約8.1%の灰質量分率を有する試料を示す。さらに、点1353は、約2500°F(1371℃)に等しいST値と約8.8%の灰質量分率を有する試料を示す。幾つかの実施形態は、従来の石炭ブレンド又は従来の操作を使用したコークス生産物よりも低い灰含有量及び低いAFTを有するコークス生産物を生産することができる。コークス表面で蓄積可能なコークス生産物の灰を低減することにより、本技術の幾つかの実施形態は、鋳造操作中の炭素溶解速度を向上させることができる。同様に、コークス生産物の灰融解温度を低下させることによって、本技術の幾つかの実施形態は、鋳造操作中にコークス表面から灰化するのに必要な温度を低下させることによって、灰溶解速度を向上させることができる。
【0077】
幾つかの実施形態において、範囲1501によって示されるように、異なる試料の灰含有量の値は、2300°F(1260℃)~2560°F(1404℃)の範囲とすることができる。さらに、範囲1502によって示されるように、灰含有量は約7.8%~8.8%の範囲とすることができる。チャート1500に示されるように、本技術の幾つかの実施形態は、10.0%未満、9.0%未満、又は別の最大灰質量分率閾値未満の灰質量分率を有するコークス生産物を生産することができる。さらに、本技術の幾つかの実施形態は、最小量の灰製品を維持するための操作を実行することができる。例えば、本技術の幾つかの実施形態は、少なくとも1.0%の灰、5.0%の灰、7.0%の灰などを有するコークス生産物を生産するためのコークスオーブン操作を実施することができる。
【0078】
図16は、本技術の1つ又は複数の実施形態による、鋳物用コークス生産物の異なるバッチの観察された灰融解温度対モデル灰融解温度を描いたチャート1600である。チャート1600は、約1990°F(1088℃)から約2800°F(1538℃)までの範囲の観察されたAFT値の範囲を示す第1の範囲1601を含む。チャート1600は、1900°F(1038℃)~2750°F(1510℃)の範囲のモデルAFT値の範囲を示す第2の範囲を含む。チャート1600が示すように、コークス生産物は、モデルAFT値と観測されたAFT値の間にほぼ直接的な相関関係を示すことができる。
【0079】
上述から、本技術の特定の実施形態が説明の目的でここに記載されているが、本技術の精神及び範囲から逸脱することなく様々な変更を行うことができることが理解されるであろう。さらに、特定の実施形態の文脈で説明した新技術の特定の態様は、他の実施形態では組み合わせることも排除することもできる。さらに、本技術の特定の実施形態に関連する利点をそれらの実施形態の文脈で説明してきたが、他の実施形態もそのような利点を示すことができ、全ての実施形態が本技術の範囲内に入るために必ずしもそのような利点を示す必要はない。したがって、本開示及び関連技術はここに明示的に示されないか又は説明されない他の実施形態を包含することができる。従って、本開示は、添付の特許請求の範囲による場合を除き、限定されない。
【0080】
IV.結論
本開示の基本原理から逸脱することなく、上述の実施形態の細部に変更を加えることができることは、当業者には明らかであろう。場合によっては、本技術の実施形態の説明を不必要に不明瞭にすることを避けるために、よく知られた構造及び機能は示されず、詳細には説明されていない。方法のステップは、特定の順序でここに示すことができるが、代替の実施形態は、異なる順序でステップを実行することができる。同様に、特定の実施形態の文脈で開示された本技術の特定の態様は、他の実施形態において組み合わされるか、又は排除され得る。さらに、本技術の特定の実施形態に関連する利点は、それらの実施形態の文脈で開示され得たが、他の実施形態もそのような利点を示すことができ、全ての実施形態が、本技術の範囲内に入るためにここで開示されるそのような利点又は他の利点を必ずしも示す必要はない。従って、本開示及び関連技術は、ここで明示的に示され又は説明されない他の実施形態を包含することができ、本発明は、添付の特許請求の範囲による場合を除いて限定されない。
【0081】
ここで、「一実施形態」、「実施形態」、「幾つかの実施形態」、又は類似の定式化を参照することは、実施形態に関連して説明される特定の特徴、構造、操作、又は特性が、本技術の少なくとも1つの実施形態に含まれ得ることを意味する。したがって、ここでのこのような語句又は定型の出現は、必ずしもすべてが同じ実施形態を指すわけではない。さらに、様々な特定の特徴、構造、操作、又は特性は、1つ又は複数の実施形態において任意の好適な方法で組み合わせることができる。
【0082】
特に指示しない限り、本明細書及び特許請求の範囲において使用される重量パーセント、濃度、組成物、及び他の数値を表す全ての数値は、全ての場合において、“約”という用語によって修飾されると理解される。従って、反対の指示がない限り、以下の明細書及び添付の特許請求の範囲に記載される数値パラメータは、本技術によって得ようとする所望の特性に応じて変化し得る近似値である。本開示で使用する場合、特に開示しない限り、数値と目標値との差が目標値の10%以下であれば、数値はほぼ目標値であるとみなすことができる。少なくとも、均等論の適用を特許請求の範囲に限定する試みではないが、各数値パラメータは、少なくとも、報告された有効数字の桁数に照らして、通常の四捨五入技術を適用することによって解釈されるべきである。加えて、ここで開示されるすべての範囲は、そこに包含されるあらゆる下位範囲を包含すると理解される。例えば、「1~10」の範囲は、最小値1と最大値10との間(及びそれを含む)の任意の及びすべての部分範囲(すなわち、1以上の最小値と10以下の最大値とを有する任意の及びすべての部分範囲、例えば、5.5~10)を含む。
【0083】
本発明は、現在最も実用的で好ましい実施形態と考えられるものに基づいて、例示の目的で詳細に説明されているが、そのような詳細は、その目的のためだけのものであり、本発明は、開示された実施形態に限定されるものではなく、逆に、添付の特許請求の範囲の範囲内にある変更及び同等の配置をカバーすることが意図されていることを理解されたい。例えば、本発明は、可能な範囲で、任意の実施形態の1つ又は複数の特徴を、任意の他の実施形態の1つ又は複数の特徴と組み合わせることができることを企図していることを理解されたい。
【0084】
本出願全体を通じて使用されるように、「できる」という語は、必須の意味(すなわち、しなければならないという意味)ではなく、許容的な意味(すなわち、する可能性を有するという意味)で使用される。「備える」、「備え」、「含む」、「含み」、「含む(単数)」などの語は、含むことを意味するが限定されない。本出願を通じて使用される場合、単数形「a」、「an」、及び「the」は、文脈上明らかにそうでないことが示されない限り、複数の参照語を含む。したがって、例えば、“ある要素”又は“ある要素”への言及は、“1つ又は複数”のような1つ又は複数の要素に対する他の用語及び語句の使用にかかわらず、2つ又は複数の要素の組み合わせを含む。
【0085】
様々な他の態様、特徴、及び利点は、本開示の詳細な説明及び添付の図面を通じて明らかになるであろう。また、本開示の説明は例示であり、本発明の範囲を限定するものではないことを理解されたい。本明細書及び特許請求の範囲において使用される場合、「a」、「an」、及び「the」の単数形は、文脈上明らかにそうでないことが指示されない限り、複数の参照語を含む。さらに、ここで使用される場合、「部分」は、文脈上明らかにそうでない場合を除き、所定のアイテム(例えば、データ)の一部又は全体(すなわち、部分全体)を指す。さらに、「セット」は単数形又は複数形を指すことができ、「アイテムのセット」は1つのアイテム又は複数のアイテムを指すことができる。
【0086】
「又は」という用語は、文脈がそうでないことを明確に示さない限り、非排他的である(すなわち、「及び」と「又は」の両方を包含する)。条件付き関係を記述する用語(例えば、「X、Yに応答して」、「X、Yに際して」、「X、Yならば」、「X、Yのとき」など)は、先行条件が必要因果条件であるか、先行条件が十分因果条件であるか、又は先行条件が結果の寄与因果条件である因果関係を包含する(例えば、「状態Xは条件Yが得られたときに発生する」は、「XはYのみによって発生する」及び「XはYとZによって発生する」の総称である)。このような条件関係は、先行詞が得られることに即座に従う結果に限定されず、幾つかの結果は遅延することができ、条件文では先行詞はその結果と関連している(例えば、先行詞は結果発生の可能性に関連している)。複数の属性または関数が複数のオブジェクトにマッピングされているステートメント(たとえば、ステップ/操作A、B、C、及びDを実行する1つまたは複数のプロセッサ)は、別段の指示がない限り、そのようなすべてのオブジェクトにマッピングされているすべての属性または関数と、オブジェクトのサブセットにマッピングされている属性または関数のサブセット(たとえば、すべてのプロセッサがそれぞれステップ/操作A~Dを実行する場合と、プロセッサ1がステップ/操作Aを実行し、プロセッサ2がステップ/操作Bとステップの一部を実行し、プロセッサ3がステップ/動作Cおよびステップ/動作Dの一部を実行する場合の両方)の両方を包含する。さらに、別段の指示がない限り、ある値又は動作が別の条件又は値に「基づく」という記述は、条件又は値が唯一の要因である場合と、条件又は値が複数の要因のうちの1つの要因である場合の両方を包含する。
【0087】
文脈が明確にそうでないことを示さない限り、あるコレクションの「各」インスタンスがある特性を有するという記述は、より大きなコレクションの他の幾つかの同一又は類似のメンバがその特性を有しない場合を除外するように読むべきではない(すなわち、各々は必ずしも各々を意味しない)。請求項に記載されたステップの順序に関する限定は、明示的に指定されない限り(例えば、「Xを実行した後、Yを実行する」のような明示的な文言)、請求項に記載されたステップの順序に関する限定を読み取るべきでない(これとは対照的に、順序を指定するのではなく、請求項を読みやすくする目的で使用される、順序の限定を暗示する不適切な主張がなされる可能性のある文言(例えば、「Xをアイテムに実行し、XのアイテムにYを実行する」)がある)。A、B、Cのうちの少なくともZ」などに言及する文言(例えば、「A、B、Cのうちの少なくともZ」)は、列挙されたカテゴリ(A、B、C)のうちの少なくともZを指し、各カテゴリにおいて少なくともZ個のユニットを必要としない。文脈が明確にそうでないことを示さない限り、本明細書全体を通じて、「処理」、「計算」、「計算」、「決定」などの用語を使用する議論は、特別目的のコンピュータ又は同様の特別目的の電子処理/計算装置などの特定の装置の動作又はプロセスを指すことが理解される。
【0088】
本技術は、例えば、便宜上、番号付きの実施形態(1、2、3等)として以下に説明する様々な態様に従って図示されている。これらは例として提供されるものであり、本技術を限定するものではない。従属する実施形態のいずれかを任意の組み合わせで組み合わせ、それぞれの独立した実施形態に配置することができることに留意されたい。
1.コークス生産物であって、
少なくとも30%のコークス反応性指数(CRI)、及び
1316℃以下の灰融解温度(AFT)を含む、コークス生産物。
2.コークス生産物であって、以下の式を満たす組成を有する灰を含む、コークス生産物:
灰融解温度(AFT)=19×(Al2O3質量分率)+15×(SiO2質量分率+TiO2質量分率)+10×(CaO質量分率+MgO質量分率)+6×(Fe2O3質量分率+Na2O質量分率)、
ここで
前記AFTは、1204℃~1426℃の値であり、
前記SiO2質量分率は、前記灰のSiO2質量分率であり、
前記Al2O3質量分率は、前記灰のAl2O3質量分率であり、
前記Fe2O3質量分率は、前記灰のFe2O3質量分率であり、
前記CaO質量分率は、前記灰のCaO質量分率であり、及び
前記MgO質量分率は、前記灰のMgO質量分率である。
3.コークス生産物であって、
以下の式を満たす組成を有する灰を含む、コークス生産物:
灰融解温度(AFT)=19×(Al2O3質量分率)+15×(SiO2質量分率+TiO2質量分率)+10×(CaO質量分率+MgO質量分率)+6×(Fe2O3質量分率+Na2O質量分率+K2O質量分率)、
ここで
前記AFTは、982℃℃~1426℃の値であり、
前記SiO2質量分率は、前記灰のSiO2質量分率であり、
前記Al2O3質量分率は、前記灰のAl2O3質量分率であり、
前記Fe2O3質量分率は、前記灰のFe2O3質量分率であり、
前記CaO質量分率は、前記灰のCaO質量分率であり、
前記MgO質量分率は、前記灰のMgO質量分率であり、及び
前記K2O質量分率は、前記灰のK2O質量分率である。
4.コークス生産物であって、
以下の式を満たす組成を有する灰を含む、コークス生産物:
灰融解温度(AFT)=401.5+26.3×SiO2質量分率+40.7×Al2O3質量分率)-11.0×Fe2O3質量分率-7.9×CaO質量分率-112×MgO質量分率)、
ここで
前記AFTは、982℃~1204℃の値であり、
前記SiO2質量分率は、前記灰のSiO2質量分率であり、
前記Al2O3質量分率は、前記灰のAl2O3質量分率であり、
前記Fe2O3質量分率は、前記灰のFe2O3質量分率であり、
前記CaO質量分率は、前記灰のCaO質量分率であり、
前記MgO質量分率は、前記灰のMgO質量分率である。
5.前記AFTが、1204℃、1260℃、1288℃、1316℃、1343℃、1371℃、1399℃、又は1427℃のうちの少なくとも1つにほぼ等しい、実施形態1~4のいずれか1つに記載のコークス生産物。
6.前記コークス生産物が、1149℃~1316℃の初期変形温度を有する、実施形態1~5のいずれか1つに記載のコークス生産物。
7.前記コークス生産物が、1177℃~1371℃の軟化温度を有する、実施形態1~6のいずれか1つに記載のコークス生産物。
8.前記コークス生産物が、1204℃~1371℃の半球温度を有する、実施形態1~7のいずれか1つに記載のコークス生産物。
9.前記コークス生産物が、1232℃~1427℃の流体温度を有する、実施形態1~8のいずれか1つに記載のコークス生産物。
10.前記コークス生産物の前記灰の質量分率が、10.0%以下である、実施形態1~9のいずれか1つに記載のコークス生産物。
11.前記コークス生産物の硫黄又は硫黄酸化物の質量分率が、1.0%以下である、実施形態1~10のいずれか1つに記載のコークス生産物。
12.前記コークス生産物が、Al2O3及びSiO2を含む灰を含む石炭ブレンドから生産され、及び
前記灰のAl2O3及びSiO2の合計質量分率が、65%以下である、実施形態1~11のいずれか1つに記載のコークス生産物。
13.前記AFTが、約1204℃である、実施形態1~12のいずれか1つに記載のコークス生産物。
14.前記コークス生産物が、Al2O3及びSiO2を含む灰を含む石炭ブレンドから生産され、及び
前記灰のAl2O3及び前記SiO2の合計質量分率が、65%~80%である、実施形態1~13のいずれか1つに記載のコークス生産物。
15.前記AFTが、1204℃~1260℃である、実施形態1~14のいずれか1つに記載のコークス生産物。
16.前記コークス生産物が、CaOを含む灰を含む石炭ブレンドから生産され、及び
前記灰のCaO質量分率が、少なくとも2.0%である、実施形態1~15のいずれか1つに記載のコークス生産物。
17.前記コークス生産物が、少なくとも25.0%のコークス反応性指数(CRI)を有する、実施形態1~16のいずれか1つに記載のコークス生産物。
18.前記コークス生産物が、40.0%以下の反応後のコークス強度(CSR)を有する、実施形態1~17のいずれか1つに記載のコークス生産物。
19.前記コークス生産物が、少なくとも90%の2インチ(5.08センチメートル)落下飛散を有する、実施形態1~18のいずれか1つに記載のコークス生産物。
20.前記コークス生産物が、少なくとも80%の4インチ(10.16センチメートル)落下飛散を有する、実施形態1~19のいずれか1つに記載のコークス生産物。
21.前記コークス生産物の前記灰の質量分率が、少なくとも8.0%である、実施形態1~20のいずれか1つに記載のコークス生産物。
22.前記コークス生産物の揮発性物質質量分率が、1.0%以下である、実施形態1~21のいずれか1つに記載のコークス生産物。
23.前記コークス生産物の固定炭素含有量が、少なくとも94.5%である、実施形態1~22のいずれか1つに記載のコークス生産物。
24.前記コークス生産物の固定炭素含有率が、少なくとも85.0%である、実施形態1~23のいずれか1つに記載のコークス生産物。
25.前記コークス生産物が、少なくともNa+1、Fe2+、又はF3+を含む、実施形態1~24のいずれか1つに記載のコークス生産物。
【手続補正書】
【提出日】2023-10-18
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コークス生産物であって、
少なくとも30%のコークス反応性指数(CRI)、及び
1316℃以下の灰融解温度(AFT)、を含む、コークス生産物。
【請求項2】
前記コークス生産物が、1149℃~1316℃の初期変形温度を有する、請求項1に記載のコークス生産物。
【請求項3】
前記コークス生産物が、1177℃~1371℃の軟化温度を有する、請求項1に記載のコークス生産物。
【請求項4】
前記コークス生産物が、1204℃~1371℃の半球温度を有する、請求項1に記載のコークス生産物。
【請求項5】
前記コークス生産物が、1232℃~1427℃の流体温度を有する、請求項1に記載のコークス生産物。
【請求項6】
前記AFTが、1204℃~1260℃である、請求項1に記載のコークス生産物。
【請求項7】
前記コークス生産物の固定炭素含有量が、少なくとも85.0%である、請求項1に記載のコークス生産物。
【請求項8】
コークス生産物であって、
以下の式を満たす組成を有する灰を含む、コークス生産物:
灰融解温度(AFT)=19×(Al
2O
3質量分率)+15×(SiO
2質量分率+TiO
2質量分率)+10×(CaO質量分率+MgO質量分率)+6×(Fe
2
O
3質量分率+Na
2O質量分率+K
2O質量分率)、
ここで
前記AFTは、982℃~1426℃の値であり、
前記SiO
2質量分率は、前記灰のSiO
2質量分率であり、
前記Al
2O
3質量分率は、前記灰のAl
2O
3質量分率であり、
前記TiO
2
質量分率は、前記灰のTiO
2
質量分率であり、
前記Fe
2
O
3質量分率は、前記灰のFe
2
O
3質量分率であり、
前記CaO質量分率は、前記灰のCaO質量分率であり、
前記MgO質量分率は、前記灰のMgO質量分率であり
、
前記Na
2
O質量分率は、前記灰のNa
2
O質量分率であり、及び
前記K
2O質量分率は、前記灰のK
2O質量分率である。
【請求項9】
前記コークス生産物の前記灰の質量分率が、10.0%以下である、請求項8に記載のコークス生産物。
【請求項10】
前記コークス生産物の前記灰の質量分率が、少なくとも8.0%である、請求項8に記載のコークス生産物。
【請求項11】
前記コークス生産物の揮発性物質質量分率が、1.0%以下である、請求項8に記載のコークス生産物。
【請求項12】
前記コークス生産物の硫黄又は硫黄酸化物の質量分率が、1.0%以下である、請求項8に記載のコークス生産物。
【請求項13】
前記コークス生産物が、Al
2O
3及びSiO
2を含む灰を含む石炭ブレンドから生産され、及び
前記灰の前記Al
2O
3及びSiO
2の合計質量分率が、65%以下である、請求項8に記載のコークス生産物。
【請求項14】
前記コークス生産物が、Al
2O
3及びSiO
2を含む灰を含む石炭ブレンドから生産され、及び
前記灰の前記Al
2O
3及び前記SiO
2の合計質量分率が、65%~80%である、請求項8に記載のコークス生産物。
【請求項15】
前記AFTが、約1204℃である、請求項8に記載のコークス生産物。
【請求項16】
前記AFTが、1204℃~1260℃である、請求項8に記載のコークス生産物。
【請求項17】
前記コークス生産物が、CaOを含む灰を含む石炭ブレンドから生産され、及び
前記灰の前記CaOの質量分率が、少なくとも2.0%である、
請求項8に記載のコークス生産物。
【請求項18】
前記コークス生産物が、少なくとも25.0%のコークス反応性指数(CRI)を有する、請求項8に記載のコークス生産物。
【請求項19】
前記コークス生産物が、40.0%以下の反応後のコークス強度(CSR)を有する、請求項8に記載のコークス生産物。
【請求項20】
前記コークス生産物が、少なくとも90%の2インチ(5.08センチメートル)落下飛散を有する、請求項8に記載のコークス生産物。
【請求項21】
前記コークス生産物が、少なくとも80%の4インチ(10.16センチメートル)落下飛散を有する、請求項8に記載のコークス生産物。
【請求項22】
前記コークス生産物の固定炭素含有量が、少なくとも85.0%である、請求項8に記載のコークス生産物。
【請求項23】
前記AFTが、1260℃、1288℃、1316℃、1343℃、1371℃、1399℃、又は1427℃のうちの少なくとも1つにほぼ等しい、請求項8に記載のコークス生産物。
【請求項24】
コークス生産物であって、
以下の式を満たす組成を有する灰を含む、コークス生産物:
灰融解温度(AFT)=19×(Al
2O
3質量分率)+15×(SiO
2質量分率+TiO
2質量分率)+10×(CaO質量分率+MgO質量分率)+6×(Fe
2O
3質量分率+Na
2O質量分率)、
ここで
前記AFTは、982℃~1204℃の値であり、
前記SiO
2質量分率は、前記灰のSiO
2質量分率であり、
前記Al
2O
3質量分率は、前記灰のAl
2O
3質量分率であり、
前記TiO
2
質量分率は、前記灰のTiO
2
質量分率であり、
前記Fe
2
O
3質量分率は、前記灰のFe
2
O
3質量分率であり、
前記CaO質量分率は、前記灰のCaO質量分率であり
、
前記MgO質量分率は、前記灰のMgO質量分率であ
り、及び
前記Na
2
O質量分率は、前記灰のNa
2
O質量分率である。
【請求項25】
コークス生産物であって、
以下の式を満たす組成を有する灰を含む、コークス生産物:
灰融解温度(AFT)=401.5+26.3×SiO
2質量分率+40.7×Al
2O
3質量分
率-11.0×Fe
2
O
3質量分率-7.9×CaO質量分率-112×MgO質量分
率、
ここで
前記AFTは、1204℃~1426℃の値であり、
前記SiO
2質量分率は、前記灰のSiO
2質量分率であり、
前記Al
2O
3質量分率は、前記灰のAl
2O
3質量分率であり、
前記Fe
2
O
3質量分率は、前記灰のFe
2
O
3質量分率であり、
前記CaO質量分率は、前記灰のCaO質量分率であり、及び
前記MgO質量分率は、前記灰のMgO質量分率である。
【国際調査報告】