(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-18
(54)【発明の名称】熱伝導シリコングリースおよびその製造方法、チップアセンブリ
(51)【国際特許分類】
H01L 23/36 20060101AFI20240311BHJP
H05K 7/20 20060101ALI20240311BHJP
【FI】
H01L23/36 D
H05K7/20 F
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023561047
(86)(22)【出願日】2022-03-17
(85)【翻訳文提出日】2023-10-03
(86)【国際出願番号】 CN2022081360
(87)【国際公開番号】W WO2022218091
(87)【国際公開日】2022-10-20
(31)【優先権主張番号】202110400742.3
(32)【優先日】2021-04-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】511151662
【氏名又は名称】中興通訊股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】ZTE CORPORATION
【住所又は居所原語表記】ZTE Plaza,Keji Road South,Hi-Tech Industrial Park,Nanshan Shenzhen,Guangdong 518057 China
(74)【代理人】
【識別番号】100112656
【氏名又は名称】宮田 英毅
(74)【代理人】
【識別番号】100089118
【氏名又は名称】酒井 宏明
(72)【発明者】
【氏名】王家明
(72)【発明者】
【氏名】鄭金橋
(72)【発明者】
【氏名】李帥
(72)【発明者】
【氏名】劉帆
【テーマコード(参考)】
5E322
5F136
【Fターム(参考)】
5E322FA04
5E322FA09
5F136BC01
5F136FA63
5F136FA67
5F136FA70
5F136FA71
(57)【要約】
本願は、複数の原料成分が均一に混合されてなる熱伝導シリコングリースであって、前記複数の原料成分は、1~50質量部のベースシリコンオイルと、60~98質量部の熱伝導フィラーと、0.02~1質量部のシリコンオイル架橋剤と、を含む熱伝導シリコングリースを提供する。本願は、熱伝導シリコングリースの製造方法、チップアセンブリをさらに提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の原料成分が均一に混合されてなる熱伝導シリコングリースであって、前記複数の原料成分は、
1~50質量部のベースシリコンオイルと、
60~98質量部の熱伝導フィラーと、
0.02~1質量部のシリコンオイル架橋剤と、を含む
熱伝導シリコングリース。
【請求項2】
前記シリコンオイル架橋剤は水素含有シリコンオイルを含む
請求項1に記載の熱伝導シリコングリース。
【請求項3】
前記水素含有シリコンオイルにおける水素の質量百分率含有量は0.05~0.3%である
請求項2に記載の熱伝導シリコングリース。
【請求項4】
前記複数の原料成分は、
0.01~0.5質量部の触媒と、
0.001~0.5質量部の抑制剤と、をさらに含む
請求項1に記載の熱伝導シリコングリース。
【請求項5】
前記触媒は塩化白金酸を含み、
前記抑制剤は、アルキノール、両末端ビニルシリコンオイル、マレイン酸エステル、有機アミン、重金属イオン化合物のいずれか1つまたは複数を含む
請求項4に記載の熱伝導シリコングリース。
【請求項6】
前記熱伝導フィラーは、
前記熱伝導フィラーにおける質量百分率含有量が40~60%であり、第1粒径が5~30μmである第1粒径の第1球形金属粒子と、
前記熱伝導フィラーにおける質量百分率含有量が20~30%であり、前記第1粒径が1~4μmである第2粒径の第2球形金属粒子と、
前記熱伝導フィラーにおける質量百分率含有量が10~30%であり、前記第1粒径が0.1~0.5μmである第3粒径の球形酸化亜鉛粒子と、を含む
請求項1に記載の熱伝導シリコングリース。
【請求項7】
前記第1球形金属粒子と前記第2球形金属粒子のそれぞれは、球形アルミニウム粒子、球形銀粒子のいずれか1つまたは複数を含む
請求項6に記載の熱伝導シリコングリース。
【請求項8】
前記ベースシリコンオイルは、ジメチルシリコンオイル、メチルフェニルシリコンオイル、ビニルシリコンオイル、アミノシリコンオイル、メチル長鎖アルキルシリコンオイルのいずれか1つまたは複数を含む
請求項1に記載の熱伝導シリコングリース。
【請求項9】
前記ベースシリコンオイルの粘度は30~2000cpsである
請求項1に記載の熱伝導シリコングリース。
【請求項10】
熱伝導シリコングリースのすべての原料成分を均一に混合して熱伝導シリコングリースを得るステップを含み、
前記熱伝導シリコングリースの原料成分は、
1~50質量部のベースシリコンオイルと、
60~98質量部の熱伝導フィラーと、
0.02~1質量部のシリコンオイル架橋剤と、を含む
熱伝導シリコングリースの製造方法。
【請求項11】
前記熱伝導フィラーは、
前記熱伝導フィラーにおける質量百分率含有量が40~60%であり、第1粒径が5~30μmである第1粒径の第1球形金属粒子と、
前記熱伝導フィラーにおける質量百分率含有量が20~30%であり、前記第1粒径が1~4μmである第2粒径の第2球形金属粒子と、
前記熱伝導フィラーにおける質量百分率含有量が10~30%であり、前記第1粒径が0.1~0.5μmである第3粒径の球形酸化亜鉛粒子と、を含む
請求項10に記載の製造方法。
【請求項12】
熱伝導シリコングリースのすべての原料成分を均一に混合する前記ステップは、
前記ベースシリコンオイルに前記第1球形金属粒子、前記第2球形金属粒子を加え、攪拌分散を行って第1中間生成物を得るステップと、
前記第1中間生成物に前記球形酸化亜鉛粒子を加え、攪拌分散を行って第2中間生成物を得るステップと、
前記第2中間生成物に前記シリコンオイル架橋剤を加え、攪拌分散を行って前記熱伝導シリコングリースを形成するステップと、含む
請求項11に記載の製造方法。
【請求項13】
熱伝導シリコングリースのすべての原料成分を均一に混合する前記ステップは、
ダブルプラネタリーミキサーにおいて、前記熱伝導シリコングリースのすべての原料成分を均一に混合するステップを含む
請求項10~12のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項14】
チップと、
放熱器と、
前記チップと放熱器との間に充填された熱伝導層と、を含み、
前記熱伝導層が、請求項1~9のいずれか1項に記載の熱伝導シリコングリースで硬化形成される
チップアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は熱伝導界面材料の技術分野に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子製品(例えば、通信製品)では、放熱器を使用してチップを放熱させることができ、チップから放出された熱を放熱器にスムーズに伝達させるために、チップと放熱器の接触界面に熱伝導界面材料(例えば、熱伝導シリコングリース)によって形成された熱伝導層を設置することができる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本願は熱伝導シリコングリースおよびその製造方法、チップアセンブリを提供する。
【0004】
第1の態様において、本願の実施例は、複数の原料成分が均一に混合されてなる熱伝導シリコングリースであって、前記複数の原料成分は、1~50質量部のベースシリコンオイルと、60~98質量部の熱伝導フィラーと、0.02~1質量部のシリコンオイル架橋剤と、を含む熱伝導シリコングリースを提供する。
【0005】
本願の実施例によれば、前記シリコンオイル架橋剤は水素含有シリコンオイルを含む。
【0006】
本願の実施例によれば、前記水素含有シリコンオイルにおける水素の質量百分率含有量は0.05~0.3%である。
【0007】
本願の実施例によれば、前記複数の原料成分は、0.01~0.5質量部の触媒、0.001~0.5質量部の抑制剤を含む。
【0008】
本願の実施例によれば、前記触媒は塩化白金酸を含み、前記抑制剤は、アルキノール、両末端ビニルシリコンオイル、マレイン酸エステル、有機アミン、重金属イオン化合物のいずれか1つまたは複数を含む。
【0009】
本願の実施例によれば、前記熱伝導フィラーは、前記熱伝導フィラーにおける質量百分率含有量が40~60%であり、第1粒径が5~30μmである第1粒径の第1球形金属粒子と、前記熱伝導フィラーにおける質量百分率含有量が20~30%であり、前記第1粒径が1~4μmである第2粒径の第2球形金属粒子と、前記熱伝導フィラーにおける質量百分率含有量が10~30%であり、前記第1粒径が0.1~0.5μmである第3粒径の球形酸化亜鉛粒子と、を含む。
【0010】
本願の実施例によれば、前記第1球形金属粒子と前記第2球形金属粒子のそれぞれは、球形アルミニウム粒子、球形銀粒子のいずれか1つまたは複数を含む。
【0011】
本願の実施例によれば、前記ベースシリコンオイルは、ジメチルシリコンオイル、メチルフェニルシリコンオイル、ビニルシリコンオイル、アミノシリコンオイル、メチル長鎖アルキルシリコンオイルのいずれか1つまたは複数を含む。
【0012】
本願の実施例によれば、前記ベースシリコンオイルの粘度は30~2000cpsである。
【0013】
第2の態様において、本願の実施例は、熱伝導シリコングリースのすべての原料成分を均一に混合して熱伝導シリコングリースを得るステップを含み、前記熱伝導シリコングリースの原料成分は、1~50質量部のベースシリコンオイルと、60~98質量部の熱伝導フィラーと、0.02~1質量部のシリコンオイル架橋剤と、を含む熱伝導シリコングリースの製造方法を提供する。
【0014】
本願の実施例によれば、前記熱伝導フィラーは、前記熱伝導フィラーにおける質量百分率含有量が40~60%であり、前記第1粒径が5~30μmである第1粒径の第1球形金属粒子と、前記熱伝導フィラーにおける質量百分率含有量が20~30%であり、前記第1粒径が1~4μmである第2粒径の第2球形金属粒子と、前記熱伝導フィラーにおける質量百分率含有量が10~30%であり、前記第1粒径が0.1~0.5μmである第3粒径の球形酸化亜鉛粒子と、を含む。
【0015】
本願の実施例によれば、前記熱伝導シリコングリースのすべての原料成分を均一に混合する前記ステップは、前記ベースシリコンオイルに前記第1球形金属粒子、前記第2球形金属粒子を加え、攪拌分散を行って第1中間生成物を得るステップと、前記第1中間生成物に前記球形酸化亜鉛粒子を加え、攪拌分散を行って第2中間生成物を得るステップと、前記第2中間生成物に前記シリコンオイル架橋剤を加え、攪拌分散を行って前記熱伝導シリコングリースを形成するステップと、を含む。
【0016】
本願の実施例によれば、熱伝導シリコングリースのすべての原料成分を均一に混合する前記ステップは、ダブルプラネタリーミキサーにおいて、前記熱伝導シリコングリースのすべての原料成分を均一に混合するステップを含む。
【0017】
第3の態様において、本願の実施例は、チップと、放熱器と、前記チップと放熱器との間に充填された熱伝導層と、を含み、前記熱伝導層が、前記いずれかの熱伝導シリコングリースで硬化形成されるチップアセンブリを提供する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】
図1は本願の実施例による熱伝導シリコングリースの製造方法のフローチャートである。
【
図2】
図2は本願の実施例による熱伝導シリコングリースの製造方法の詳細なフローチャートである。
【
図3】
図3は本願のもう1つの実施例による熱伝導シリコングリースの製造方法の詳細なフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本願の技術案を当業者がよりよく理解できるように、以下では図面を組み合わせて、本願実施例が提供する熱伝導シリコングリースおよびその製造方法、チップアセンブリについて詳細に説明する。
以下では図面を参考にして本願についてより十分に説明するが、例示的な実施例は異なる形式で体現することができ、本願は以下に記載の実施例に限定されると解釈すべきではない。逆に、これらの実施例を提供する目的は、本公開を詳らかにかつ完全にし、当業者に本願の範囲を十分に理解させることである。
本願の実施例の図面は、本願の実施例をさらに理解するために提供されるものであり、明細書の一部を構成し、詳細な実施例とともに本願を説明するためのものであり、本願に対する制限を構成しない。図面を参考にして詳細な実施例について説明することで、以上およびその他の特徴と利点は、当業者にとってより明らかになるであろう。
矛盾しない場合、本願の各実施例および実施例における各特徴は互いに組み合わせることができる。
本願で使用する用語は特定の実施例を説明するためのものにすぎず、本願を限定することを意図するものではない。本願で使用する「および/または」という用語は1つまたは複数の関連列挙項目のいずれかとすべての組み合わせを含む。前後の文で特に明瞭に指摘しない限り、本願で使用する「1つ」および「当該」という単数形も複数形を含むことを意図している。本願で使用する「含む」、「……によって形成される」という用語は、前記特徴、全体、ステップ、操作、部材および/またはアセンブリが存在するが、1つまたは複数のその他の特徴、全体、ステップ、操作、部材、アセンブリおよび/またはそのグループの存在または追加を排除しないということを示す。
特に限定しない限り、本願で使用するすべての用語(技術と科学用語を含む)の意味は、当業者が通常理解しているものと同じである。例えば、常用辞書において限定されているような用語は、その関連技術および本公開の背景での意味と一致する意味を有すると解釈されるべきであり、本願が明確にそのように限定しない限り、理想化されたものまたは過度な形式上の意味を有すると解釈されないとも理解される。
【0020】
(技術用語)
特に説明がない場合、本願の実施例における以下の技術用語は、以下の意味で理解されるべきである。
結合線の厚さ(Bonding Line Thickness,BLT)とは、最小の接着厚さをいい、即ち、熱伝導材料が使用時に形成する層が達し得る最小の厚さである。
熱膨張係数(Coefficient of Thermal Expansion,CTE)不一致とは、異なる構造間で熱膨張係数が異なるために、熱を受けた後相対的に変形する現象が発生することをいう。
ポンプアウト(Pump-out)とは、熱伝導材料がチップと放熱器との間から押し出されて空洞を形成する現象をいう。
@30 psiとは、対応するデータが「平方インチ当たり30ポンドの圧力」での値であることを表す。
BにおけるAの質量(重量)百分率とは、AはBの一部であり、Bの総質量(Aを含む)を100%としたとき、BにおけるAの質量の相対百分率をいう。
球形金属粒子/球形酸化亜鉛粒子とは、熱伝導フィラーに使用される金属粒子、酸化亜鉛粒子の形状が全体的に球形または球形に近似していることをいい、各粒子の具体的な形状が完全な球形であることをいうのではない。
【0021】
(具体的な実施形態)
技術の発展(例えば、5 G通信技術の発展)に伴い、チップの消費電力が大幅に上がり、寸法が大きくなり、熱流密度が増大し、且つチップのパッケージ方式も2 D(2次元)から2.5 Dひいては3 D(3次元)へと発展し、またはカバー付き(パッケージあり)のチップからベア(パッケージなし)チップへと徐々に発展している。以上の変化に伴い、チップの反り等の変形がますます問題になっている。
チップの熱流密度と変形の増大に伴い、それが使用する熱伝導界面材料の熱性能と信頼性に対してより高い要求が示されている。
熱伝導シリコングリースには熱抵抗が低く、BLTが低く、孔版印刷が可能である等の利点があるため、いくつかの関連技術においてチップと放熱器との間の熱伝導界面材料として使用されている。しかし、一部の熱伝導シリコングリースは強度が不足し、変形しやすいため、大型のもの、ベアチップに使用される際は、異なる構造のCTE不一致により変形が起こると、熱伝導シリコングリースにpump-out、垂れ(即ち、熱伝導シリコングリースの流出)の問題が発生し、信頼性の需要を満たすことができない。
別の関連技術において、二成分熱伝導ゲルも熱伝導材料の一種であるが、熱伝導ゲルは粘度が高く、BLTが過大で、通常は0.2 mm以上であり、孔版印刷技術を満たすことができないほか、熱抵抗が高く、通常は0.3℃・cm
2/W@30psi以上であるため、点接着材料としてしか使用できず、チップと放熱器との間の熱伝導界面材料としては使用できない(特に大型チップの薄型熱伝導層には使用できない)。
本願の実施例は、複数の原料成分が均一に混合されてなる熱伝導シリコングリースであって、複数の原料成分はベースシリコンオイル1~50質量部と、熱伝導フィラー60~98質量部と、シリコンオイル架橋剤0.02~1質量部と、を含む熱伝導シリコングリースを提供する。
本願の実施例による熱伝導シリコングリースは、複数の均一に混合された原料成分によって構成されているため、「二成分」製品ではなく、全体が1つの製品である。また、その原料成分には溶媒が含まれていないため、直接使用可能な非溶媒系の製品である。
ベースシリコンオイルは熱伝導シリコンオイルにおけるベース成分としてのシリコンオイルであり、シリコンオイル架橋剤はベースシリコンオイルを架橋させることができ、熱伝導フィラーは熱伝導作用があるフィラーである。
本願の実施例による熱伝導シリコングリースは単成分の熱伝導シリコングリースであり、二成分の熱伝導ゲルではなく、溶媒を含まないため、その粘度は低く、チキソトロピーが良く、BLTが小さく、孔版印刷を採用できるため、チップと放熱器との間の熱伝導界面材料として使用できる。
本願の実施例による熱伝導シリコングリースにはシリコンオイル架橋剤が含まれているため、熱伝導シリコングリースが硬化した後、ベースシリコンオイル分子は線形短鎖形態ではなくなり、架橋してメッシュ状を形成することで、強度(凝集強度、接着強度を含む)を大幅に向上させているので、大型、ベアダイチップの劣化試験においてもpump-outや垂れの問題が発生することはなく、信頼性が高い。
試験を経て、本願の実施例による熱伝導シリコングリースの性能は以下の状態に達することができる。熱伝導率>5 W/m.K(Hotdisk法測定)、熱抵抗≦0.07℃・cm
2/W@30psi(ASTM D5470基準に基づく測定)、BLT≦0.03mm@30psi(ASTM D 5470基準に基づく測定)、油浸透率0.01%(200℃で24 h後に測定)、揮発分0.2%(200℃で24 h後に測定)、劣化試験(熱伝導シリコングリースを大型、ベアダイチップに用い、-40~125℃で200回循環させ、その後、試験を行う)においてpumpがなく、垂れがない。劣化試験後または125℃で30 minベーキングした後に測定したショア硬度(Shore 00)は30~70である。
本願の実施例によれば、シリコンオイル架橋剤は水素含有シリコンオイルを含む。
本願の実施例によれば、水素含有シリコンオイルにおける水素の質量百分率含有量は0.05~0.3%である。
本願の実施例によれば、水素含有シリコンオイル(例えば、水素の質量百分率含有量が0.05~0.3%である水素含有シリコンオイル)を用いて上記シリコンオイル架橋剤とすることができる。
本願の実施例によれば、水素含有シリコンオイルは、末端水素含有シリコンオイル、側端水素含有シリコンオイルのいずれか1つまたは複数を含む。
本願の実施例によれば、原料成分は、触媒0.01~0.5質量部、抑制剤0.001~0.5質量部をさらに含む。
本願の実施例によれば、触媒は塩化白金酸を含み、抑制剤は、アルキノール、両末端ビニルシリコンオイル、マレイン酸エステル、有機アミン、重金属イオン化合物のいずれか1つまたは複数を含む。
本願の実施例によれば、塩化白金酸における白金の含有量は1000~5000ppmである。
シリコンオイル架橋剤を含有する場合、触媒を使用することは、架橋反応を加速させることができ、抑制剤を使用することは、望ましくない反応や速すぎる反応を回避することができる。
本願の実施例によれば、熱伝導フィラーの粒径は0.1~50μmである。
本願の実施例によれば、熱伝導フィラーは、熱伝導フィラーにおける質量百分率含有量が40~60%であり、第1粒径が5~30μmである第1粒径の第1球形金属粒子と、熱伝導フィラーにおける質量百分率含有量が20~30%であり、第2粒径が1~4μmである第2粒径の第2球形金属粒子と、熱伝導フィラーにおける質量百分率含有量が10~30%であり、第3粒径が0.1~0.5μmである第3粒径の球形酸化亜鉛粒子と、を含む。
本願の実施例による熱伝導フィラーは三種類の特定粒径、特定材質の球形粒子を含み、それぞれ粒径5~30μm、質量百分率含有量40~60 wt%の球形金属粒子、粒径1~4μm、質量百分率含有量20~30 wt%の球形金属粒子、および粒径0.1~0.5μm、質量百分率含有量10~30 wt%の球形酸化亜鉛粒子である。
以上の特定粒径、特定材質の球形粒子を含む熱伝導フィラーを用いることにより、本願の実施例の熱伝導シリコーングリースの熱抵抗をさらに低減し、その熱伝導性能(例えば、K値)を向上させることができ、大型、高消費電力チップの放熱要求が満たされる。
本願の実施例によれば、球形金属粒子は、球形アルミニウム粒子、球形銀粒子のいずれか1つまたは複数を含む。
本願の実施例による球形金属粒子は、球形アルミニウム粒子(アルミニウム粉)および球形銀粒子(銀粉)から選択することができる。例えば、球形アルミニウム粒子(アルミニウム粉)であってもよく、その理由は、そのコストが相対的に低く、その表面に薄いアルミナ層を形成することができるため、導電性があまり高くないからである。
本願の実施例によれば、上記特定粒径、特定材質の球形粒子のほか、熱伝導フィラーは、酸化マグネシウム粒子、窒化アルミニウム粒子、窒化ケイ素粒子、窒化ホウ素粒子、炭素繊維、ダイヤモンド粒子、銅粉のいずれかまたは複数を含んでもよく、これら成分の粒径は0.1~50μmであってよい。
本願の実施例によれば、原料成分は、0.01~10質量部のフィラー処理剤をさらに含む。
本願の実施例によれば、フィラー処理剤は、シランカップリング剤、ステアリン酸、チタン酸エステル、アルミニウム酸エステルのいずれか1つまたは複数を含む。
本願の実施例によれば、フィラー処理剤の使用は、熱伝導フィラーの分布状況等を改善することができる。
本願の実施例によれば、ベースシリコンオイルは、ジメチルシリコンオイル、メチルフェニルシリコンオイル、ビニルシリコンオイル、アミノシリコンオイル、メチル長鎖アルキルシリコンオイルのいずれか1つまたは複数を含む。
本願の実施例によれば、ベースシリコンオイルの粘度は30~2000cpsである。
本願の実施例によれば、ベースシリコンオイルの成分と粘度の選択は、熱伝導シリコングリース全体が低粘度で良好なチキソトロピーを有することを保証できるため、孔版印刷に用いることができ、かつ比較的低いBLTを有する。
本願の実施例によれば、原料成分はカラーペースト、難燃剤、チキソトロープ剤、増粘剤(例えば、粘着付与樹脂)のいずれか1つまたは複数をさらに含む。
上記で説明した各原料成分のほか、原料成分は以上の各種常規添加剤を含んでもよく、ここでは詳細に説明しない。
本願の実施例は熱伝導シリコングリースの製造方法を提供する。
図1は本願の実施例による熱伝導シリコングリースの製造方法のフローチャートである。
図1を参照すると、本願の実施例による製造方法は、ステップS001を含む。
ステップS001では、熱伝導シリコングリースのすべての原料成分を均一に混合して熱伝導シリコングリースを得る。
熱伝導シリコングリースの原料成分は、ベースシリコンオイル1~50質量部と、熱伝導フィラー60~98質量部と、シリコンオイル架橋剤0.02~1質量部と、を含む。
【0022】
本願の実施例によれば、熱伝導フィラーは、熱伝導フィラーにおける質量百分率含有量が40~60%であり、第1粒径が5~30μmである第1粒径の第1球形金属粒子と、熱伝導フィラーにおける質量百分率含有量が20~30%であり、第1粒径が1~4μmである第2粒径の第2球形金属粒子と、熱伝導フィラーにおける質量百分率含有量が10~30%であり、第1粒径が0.1~0.5μmである第3粒径の球形酸化亜鉛粒子と、を含む。
【0023】
本願の実施例による製造方法は、以上の熱伝導シリコングリースを製造するためのものであり、各原料成分を均一に混合する必要がある。
図2は本願の実施例による熱伝導シリコングリースの製造方法の詳細なフローチャートである。
図2に示す詳細なフローチャートは、
図1に示すステップのS001の詳細なフローである。
図2を参照すると、熱伝導シリコングリースのすべての原料成分を均一に混合すること(ステップS001)はステップS0011~S0013を含む。
ステップS0011では、ベースシリコンオイルに第1粒径の球形金属粒子、第2粒径の球形金属粒子を加え、攪拌分散を行って第1中間生成物を得る。
ステップS0012では、ステップS0011で得た第1中間生成物に第3粒径の球形酸化亜鉛粒子を加え、攪拌分散を行って第2中間生成物を得る。
ステップS0013では、ステップS0012で得た第2中間生成物にシリコンオイル架橋剤を加え、攪拌分散を行って熱伝導シリコングリースを形成する。
本願の実施例によれば、上記原料成分の混合時に、ベースシリコンオイル(フィラー処理剤を有してもよい)をベースにして、先にそこに球形金属粒子を加えて攪拌分散し、次に球形酸化亜鉛粒子を加えて攪拌分散し、その後シリコンオイル架橋剤(抑制剤を有してもよい)を加える。必要であれば、最後に触媒を加えることもできる。
本願の実施例によれば、熱伝導シリコングリースのすべての原料成分を均一に混合すること(ステップS001)は、ダブルプラネタリーミキサーにおいて、前記熱伝導シリコングリースのすべての原料成分を均一に混合するステップを含む。本願においてダブルプラネタリーミキサーは一例にすぎず、本願はこれに限らず、すべての原料成分を均一に混合することができる任意の装置を使用することができる。
本願の実施例によれば、ダブルプラネタリーミキサーを使用して以上の各原料成分を混合できることから、熱伝導シリコングリースの製造は、1つの装置(例えば、ダブルプラネタリーミキサー)で行うことができ、複数の装置(例えば、研磨機や真空捏和機)を使用する必要はないため、その製造プロセスは簡単で、コストが低い。
図3は本願のもう1つの実施例による熱伝導シリコングリースの製造方法のフローチャートである。
図3を参照すると、本願の実施例の熱伝導シリコングリースの製造方法は、ステップS101~S106を含んでもよい。
ステップS101では、ダブルプラネタリーミキサーに以上のベースシリコンオイル、フィラー処理剤を順次加える。
ステップS102では、ダブルプラネタリーミキサーに上記異なる粒径の球形金属粒子(熱伝導フィラー)を順次加えて攪拌分散を行う。攪拌時間は10~60 min、攪拌速度は20~50 r/min、分散速度は350~900 r/minである。
ステップS103では、ダブルプラネタリーミキサーに以上の球形酸化亜鉛(熱伝導フィラー)を加え、攪拌分散を行う。撹拌分散時間は10~60 min、撹拌速度は20~50 r/min、分散速度は350~900 r/minである。
ステップS104では、ダブルプラネタリーミキサーに以上の抑制剤、シリコンオイル架橋剤を順次加え、攪拌分散を行って真空排気を行う。撹拌分散時間は10~60 min、撹拌速度は20~50 r/min、分散速度は350~900 r/min、真空度は-0.096~-0.1 MPaである。
ステップS105では、ダブルプラネタリーミキサーに以上の触媒を加え、攪拌分散を行って真空排気を行う。撹拌分散時間は10~60 min、撹拌速度は20~50 r/min、分散速度は350~900 r/min、真空度は-0.096~-0.1 MPaである。
ステップS106では、以上の生成物を冷却した後、押出機に移し、押出材を押し出すことで、本願の実施例の熱伝導シリコングリースを得る。
本願の実施例は、チップと、放熱器と、チップと放熱器との間に充填された熱伝導層と、を含み、熱伝導層が上記のいずれかの熱伝導シリコングリースで硬化形成されるチップアセンブリを提供する。
本願の実施例によるチップアセンブリはチップと放熱器を含み、両者の間には上記熱伝導シリコングリースを硬化させて形成される熱伝導層を有する。
本願の実施例によるチップアセンブリの応用類型およびその形式は多様である。
例えば、以上のチップアセンブリは、キャリアデバイスチップ、固定ネットワークチップ、サーバチップ、コンピュータチップ等であってもよい。
例えば、以上のチップアセンブリの形式は、(1)ばねねじ式放熱器またはプッシュ式放熱器+ベアチップまたはカバー付きチップ、(2)チップ+ネジ締めされたハードコンタクトハウジング(放熱器)であってもよい。
以上のチップアセンブリは、「大型、高消費電力チップ+薄型熱伝導層」という形式であってもよい。
本願の実施例によれば、例えば、熱伝導シリコングリースを製造する原料成分は、ビニルシリコンオイルであり粘度が100 cpsであるベースシリコンオイル6質量部と、粒径10μmの球形アルミニウム粒子、粒径2μmの球形アルミニウム粒子、粒径0.3μmの球形酸化亜鉛粒子からなり、粒径10μmの球形アルミニウム粒子、粒径2μmの球形アルミニウム粒子、粒径0.3μmの球形酸化亜鉛粒子の質量百分率含有量がそれぞれ50%、28%、22%である熱伝導フィラー85質量部と、オクチルトリメトキシシラン(シランカップリング剤)であるフィラー処理剤0.2質量部と、水素の質量百分率含有量0.1%の末端水素含有シリコンオイルと側端水素含有シリコンオイルの混合物であり、末端水素含有シリコンオイルと側端水素含有シリコンオイルの質量比が1:2.5であるシリコンオイル架橋剤0.35質量部と、塩化白金酸であり、白金の質量含有量が3000ppmである触媒0.1質量部と、1-エチニル-1-シクロヘキサノールである抑制剤0.01質量部と、を含んでもよい。
本願の実施例によれば、例えば、熱伝導シリコングリースの製造方法は、以下のステップを含んでもよい。ステップA101:ダブルプラネタリーミキサーにベースシリコンオイル、フィラー処理剤を順次加える。ステップA102:ダブルプラネタリーミキサーに粒径10μmの球形アルミニウム粒子、2μmの球形アルミニウム粒子を順次加え、15分間攪拌分散する。攪拌速度は25 r/min、分散速度は600 r/minである。ステップA103:ダブルプラネタリーミキサーに粒径0.3μmの球形酸化亜鉛粒子を順次加え、30 min攪拌分散し、攪拌速度は25 r/min、分散速度は600 r/minである。ステップA104:ダブルプラネタリーミキサーに抑制剤、シリコンオイル架橋剤を順次加え、撹拌分散と真空排気を15 min行い、撹拌速度は25 r/min、分散速度は600 r/min、真空度は-0.097 MPaである。ステップA105:ダブルプラネタリーミキサーに触媒を加え、攪拌分散と真空排気を30 min行い、攪拌速度は25 r/min、分散速度は600 r/min、真空度は-0.097 MPaである。ステップA106:生成物を押出機に移し、押出材を缶に押し出して、本例示の熱伝導シリコーンサンプルを得る。
以上のステップA101~A106で製造した熱伝導シリコングリースサンプルに対して性能試験を行い、結果は以下の通りである。熱伝導率:5.5 W/m.K(Hotdisk法測定)、熱抵抗:0.05℃・cm
2/W@30psi(ASTM D 5470基準に基づく測定)、BLT:0.02mm@30psi(ASTM D 5470基準に基づく測定)、油浸透率:0.01%(200℃で24 h後に測定)、揮発分:0.2%(200℃で24 h後に測定)、劣化試験:pumpなし、垂れなし(熱伝導シリコングリースを大型、ベアダイチップに用い、-40~125℃で200回循環させ、その後測定する)、ショア硬度(Shore 00):40(125℃で30 minベーキングした後測定)。
本願の実施例によれば、例えば、熱伝導シリコングリースを製造するための原料成分は、ジメチルシリコンオイルであり、粘度が1800 cpsであるベースシリコンオイル6質量部と、粒径25μmの球形アルミニウム粒子、粒径1μmの球形アルミニウム粒子、粒径0.5μmの球形酸化亜鉛粒子からなり、粒径25μmの球形アルミニウム粒子、粒径1μmの球形アルミニウム粒子、粒径0.5μmの球形酸化亜鉛粒子の質量百分率含有量がそれぞれ40%、30%、30%である熱伝導フィラー95質量部と、チタン酸エステルであるフィラー処理剤3質量部と、水素の質量百分率含有量が0.2%の末端水素含有シリコンオイルと側端水素含有シリコンオイルの混合物であり、末端水素含有シリコンオイルと側端水素含有シリコンオイルの質量比が1:1であるシリコンオイル架橋剤1質量部と、塩化白金酸であり、白金の質量含有量が5000ppmである触媒0.01質量部と、マレイン酸エステルである抑制剤0.001質量部と、を含んでもよい。
本願の実施例によれば、例えば、熱伝導シリコングリースの製造方法は以下のステップを含んでもよい。ステップA201:ダブルプラネタリーミキサーにベースシリコンオイル、フィラー処理剤を順次加える。ステップA202:ダブルプラネタリーミキサーに粒径25μmの球形アルミニウム粒子、1μmの球形アルミニウム粒子を順次加え、10分間攪拌分散し、攪拌速度は50 r/min、分散速度は900 r/minである。ステップA203:ダブルプラネタリーミキサーに粒径0.5μmの球形酸化亜鉛粒子を順次加え、10分間攪拌分散し、攪拌速度は50 r/min、分散速度は900 r/minである。ステップA204:ダブルプラネタリーミキサーに抑制剤、シリコンオイル架橋剤を順次加え、撹拌分散と真空排気を20分間行い、撹拌速度は50 r/min、分散速度は900 r/min、真空度は-0.1 MPaである。ステップA205:ダブルプラネタリーミキサーに触媒を加え、撹拌分散と真空排気を20分間行い、撹拌速度は50 r/min、分散速度は900 r/min、真空度は-0.1 MPaである。ステップA206:生成物を押出機に移し、押出材を缶に押し出して、本例示の熱伝導シリコングリースサンプルを得る。
以上のステップA201~A206で製造した熱伝導シリコングリースサンプルに対して性能試験を行い、結果は以下の通りである。熱伝導率:5.9 W/m.K(Hotdisk法測定)、熱抵抗:0.05℃・cm
2/W@30psi(ASTM D 5470基準に基づく測定)、BLT:0.03mm@30psi(ASTM D 5470基準に基づく測定)、油浸透率:0.01%(200℃で24 h後に測定)、揮発分:0.2%(200℃で24 h後に測定)、劣化試験:pumpなし、垂れなし(熱伝導シリコングリースを大型、ベアダイチップに用い、-40~125℃で200回循環させ、その後測定する)、ショア硬度(Shore 00):70(125℃で30 minベーキングした後測定)。
【0024】
本願の実施例によれば、例えば、熱伝導シリコングリースを製造するための原料成分は、ジメチルシリコンオイルであり、粘度が300 cpsであるベースシリコンオイル45質量部と、粒径20μmの球形アルミニウム粒子、粒径4μmの球形アルミニウム粒子、粒径0.5μmの球形酸化亜鉛粒子からなり、粒径25μmの球形アルミニウム粒子、粒径1μmの球形アルミニウム粒子、粒径0.1μmの球形酸化亜鉛粒子の質量百分率含有量がそれぞれ60%、20%、20%である熱伝導フィラー60質量部と、アルミニウム酸エステルであるフィラー処理剤8質量部と、水素の質量百分率含有量0.3%の末端水素含有シリコンオイルと側端水素含有シリコンオイルの混合物であり、末端水素含有シリコンオイルと側端水素含有シリコンオイルの質量比が1:0.8であるシリコンオイル架橋剤0.5質量部と、塩化白金酸であり、白金の質量含有量が1000ppmである触媒0.5質量部と、両末端ビニルシリコンオイルである抑制剤0.5質量部と、を含んでもよい。
【0025】
本願の実施例によれば、例えば、熱伝導シリコングリースの製造方法は、以下のステップを含んでもよい。ステップA301:ダブルプラネタリーミキサーにベースシリコンオイル、フィラー処理剤を順次加える。ステップA302:ダブルプラネタリーミキサーに粒径20μmの球形アルミニウム粒子、4μmの球形アルミニウム粒子を順次加え、50 min攪拌分散し、攪拌速度は20 r/min、分散速度は400 r/minである。ステップA303:ダブルプラネタリーミキサーに粒径0.1μmの球形酸化亜鉛粒子を順次加え、45分間攪拌分散し、攪拌速度は20 r/min、分散速度は400 r/minである。ステップA304:ダブルプラネタリーミキサーに抑制剤、シリコンオイル架橋剤を順次加え、攪拌分散と真空排気を45 min行い、攪拌速度は20 r/min、分散速度は400 r/min、真空度は-0.1 MPaである。ステップA305:ダブルプラネタリーミキサーに触媒を加え、撹拌分散と真空排気を50 min行い、撹拌速度は20 r/min、分散速度は400 r/min、真空度は-0.1 MPaである。ステップA306:生成物を押出機に移し、押出材を缶に押し出して、本例示の熱伝導シリコングリースサンプルを得る。
【0026】
以上のステップA301~A306で製造した熱伝導シリコングリースサンプルに対して性能試験を行い、結果は以下の通りである。熱伝導率:5.2 W/m.K(Hotdisk法測定)、熱抵抗:0.07℃・cm 2/W@30psi(ASTM D 5470基準に基づく測定)、BLT:0.02mm@30psi(ASTM D 5470基準に基づく測定)、油浸透率:0.01%(200℃で24 h後に測定)、揮発分:0.2%(200℃で24 h後に測定)、劣化試験:pumpなし、垂れなし(熱伝導シリコングリースを大型、ベアダイチップに用い、-40~125℃で200回循環させ、その後測定する)、ショア硬度(Shore 00):55(125℃で30 minベーキングした後測定)。
本願では例示的な実施例を開示し、具体的な用語を採用しているが、これらは一般的な例示的な意味としてのみ使用、解釈すべきであり、かつ限定的な目的のためのものではない。一部の実例では、別途明確に指摘しない限り、特定の実施例を組み合わせて説明した特徴、特性および/または元素を単独で使用してもよく、または他の実施例を組み合わせて説明した特徴、特性および/または部材を組み合わせて使用してもよいことは、当業者にとって明らかである。したがって、添付の請求項に記載の本願の範囲を逸脱しない限り、様々な形式および詳細に関する変更を行うことができると当業者は理解できる。
【手続補正書】
【提出日】2023-10-03
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の原料成分が均一に混合されてなる熱伝導シリコングリースであって、前記複数の原料成分は、
1~50質量部のベースシリコンオイルと、
60~98質量部の熱伝導フィラーと、
0.02~1質量部のシリコンオイル架橋剤と、を含む
熱伝導シリコングリース。
【請求項2】
前記シリコンオイル架橋剤は水素含有シリコンオイルを含む
請求項1に記載の熱伝導シリコングリース。
【請求項3】
前記水素含有シリコンオイルにおける水素の質量百分率含有量は0.05~0.3%である
請求項2に記載の熱伝導シリコングリース。
【請求項4】
前記複数の原料成分は、
0.01~0.5質量部の触媒と、
0.001~0.5質量部の抑制剤と、をさらに含む
請求項1に記載の熱伝導シリコングリース。
【請求項5】
前記触媒は塩化白金酸を含み、
前記抑制剤は、アルキノール、両末端ビニルシリコンオイル、マレイン酸エステル、有機アミン、重金属イオン化合物のいずれか1つまたは複数を含む
請求項4に記載の熱伝導シリコングリース。
【請求項6】
前記熱伝導フィラーは、
前記熱伝導フィラーにおける質量百分率含有量が40~60%であり、第1粒径が5~30μmである第1粒径の第1球形金属粒子と、
前記熱伝導フィラーにおける質量百分率含有量が20~30%であり
、第2粒径が1~4μmである第2粒径の第2球形金属粒子と、
前記熱伝導フィラーにおける質量百分率含有量が10~30%であり
、第3粒径が0.1~0.5μmである第3粒径の球形酸化亜鉛粒子と、を含む
請求項1に記載の熱伝導シリコングリース。
【請求項7】
前記第1球形金属粒子と前記第2球形金属粒子のそれぞれは、球形アルミニウム粒子、球形銀粒子のいずれか1つまたは複数を含む
請求項6に記載の熱伝導シリコングリース。
【請求項8】
前記ベースシリコンオイルは、ジメチルシリコンオイル、メチルフェニルシリコンオイル、ビニルシリコンオイル、アミノシリコンオイル、メチル長鎖アルキルシリコンオイルのいずれか1つまたは複数を含む
請求項1に記載の熱伝導シリコングリース。
【請求項9】
前記ベースシリコンオイルの粘度は30~2000cpsである
請求項1に記載の熱伝導シリコングリース。
【請求項10】
熱伝導シリコングリースのすべての原料成分を均一に混合して熱伝導シリコングリースを得るステップを含み、
前記熱伝導シリコングリースの原料成分は、
1~50質量部のベースシリコンオイルと、
60~98質量部の熱伝導フィラーと、
0.02~1質量部のシリコンオイル架橋剤と、を含む
熱伝導シリコングリースの製造方法。
【請求項11】
前記熱伝導フィラーは、
前記熱伝導フィラーにおける質量百分率含有量が40~60%であり、第1粒径が5~30μmである第1粒径の第1球形金属粒子と、
前記熱伝導フィラーにおける質量百分率含有量が20~30%であり
、第2粒径が1~4μmである第2粒径の第2球形金属粒子と、
前記熱伝導フィラーにおける質量百分率含有量が10~30%であり
、第3粒径が0.1~0.5μmである第3粒径の球形酸化亜鉛粒子と、を含む
請求項10に記載の製造方法。
【請求項12】
熱伝導シリコングリースのすべての原料成分を均一に混合する前記ステップは、
前記ベースシリコンオイルに前記第1球形金属粒子、前記第2球形金属粒子を加え、攪拌分散を行って第1中間生成物を得るステップと、
前記第1中間生成物に前記球形酸化亜鉛粒子を加え、攪拌分散を行って第2中間生成物を得るステップと、
前記第2中間生成物に前記シリコンオイル架橋剤を加え、攪拌分散を行って前記熱伝導シリコングリースを形成するステップと、含む
請求項11に記載の製造方法。
【請求項13】
熱伝導シリコングリースのすべての原料成分を均一に混合する前記ステップは、
ダブルプラネタリーミキサーにおいて、前記熱伝導シリコングリースのすべての原料成分を均一に混合するステップを含む
請求項10~12のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項14】
チップと、
放熱器と、
前記チップと放熱器との間に充填された熱伝導層と、を含み、
前記熱伝導層が、請求項1~9のいずれか1項に記載の熱伝導シリコングリースで硬化形成される
チップアセンブリ。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0009】
本願の実施例によれば、前記熱伝導フィラーは、前記熱伝導フィラーにおける質量百分率含有量が40~60%であり、第1粒径が5~30μmである第1粒径の第1球形金属粒子と、前記熱伝導フィラーにおける質量百分率含有量が20~30%であり、第2粒径が1~4μmである第2粒径の第2球形金属粒子と、前記熱伝導フィラーにおける質量百分率含有量が10~30%であり、第3粒径が0.1~0.5μmである第3粒径の球形酸化亜鉛粒子と、を含む。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0014
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0014】
本願の実施例によれば、前記熱伝導フィラーは、前記熱伝導フィラーにおける質量百分率含有量が40~60%であり、第1粒径が5~30μmである第1粒径の第1球形金属粒子と、前記熱伝導フィラーにおける質量百分率含有量が20~30%であり、第2粒径が1~4μmである第2粒径の第2球形金属粒子と、前記熱伝導フィラーにおける質量百分率含有量が10~30%であり、第3粒径が0.1~0.5μmである第3粒径の球形酸化亜鉛粒子と、を含む。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0022
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0022】
本願の実施例によれば、熱伝導フィラーは、熱伝導フィラーにおける質量百分率含有量が40~60%であり、第1粒径が5~30μmである第1粒径の第1球形金属粒子と、熱伝導フィラーにおける質量百分率含有量が20~30%であり、第2粒径が1~4μmである第2粒径の第2球形金属粒子と、熱伝導フィラーにおける質量百分率含有量が10~30%であり、第3粒径が0.1~0.5μmである第3粒径の球形酸化亜鉛粒子と、を含む。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0024
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0024】
本願の実施例によれば、例えば、熱伝導シリコングリースを製造するための原料成分は、ジメチルシリコンオイルであり、粘度が300 cpsであるベースシリコンオイル45質量部と、粒径20μmの球形アルミニウム粒子、粒径4μmの球形アルミニウム粒子、粒径0.5μmの球形酸化亜鉛粒子からなり、粒径20μmの球形アルミニウム粒子、粒径4μmの球形アルミニウム粒子、粒径0.5μmの球形酸化亜鉛粒子の質量百分率含有量がそれぞれ60%、20%、20%である熱伝導フィラー60質量部と、アルミニウム酸エステルであるフィラー処理剤8質量部と、水素の質量百分率含有量0.3%の末端水素含有シリコンオイルと側端水素含有シリコンオイルの混合物であり、末端水素含有シリコンオイルと側端水素含有シリコンオイルの質量比が1:0.8であるシリコンオイル架橋剤0.5質量部と、塩化白金酸であり、白金の質量含有量が1000ppmである触媒0.5質量部と、両末端ビニルシリコンオイルである抑制剤0.5質量部と、を含んでもよい。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0025
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0025】
本願の実施例によれば、例えば、熱伝導シリコングリースの製造方法は、以下のステップを含んでもよい。ステップA301:ダブルプラネタリーミキサーにベースシリコンオイル、フィラー処理剤を順次加える。ステップA302:ダブルプラネタリーミキサーに粒径20μmの球形アルミニウム粒子、4μmの球形アルミニウム粒子を順次加え、50 min攪拌分散し、攪拌速度は20 r/min、分散速度は400 r/minである。ステップA303:ダブルプラネタリーミキサーに粒径0.5μmの球形酸化亜鉛粒子を順次加え、45分間攪拌分散し、攪拌速度は20 r/min、分散速度は400 r/minである。ステップA304:ダブルプラネタリーミキサーに抑制剤、シリコンオイル架橋剤を順次加え、攪拌分散と真空排気を45 min行い、攪拌速度は20 r/min、分散速度は400 r/min、真空度は-0.1 MPaである。ステップA305:ダブルプラネタリーミキサーに触媒を加え、撹拌分散と真空排気を50 min行い、撹拌速度は20 r/min、分散速度は400 r/min、真空度は-0.1 MPaである。ステップA306:生成物を押出機に移し、押出材を缶に押し出して、本例示の熱伝導シリコングリースサンプルを得る。
【国際調査報告】