(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-25
(54)【発明の名称】レール及びキャリッジを有する滑り軸受アセンブリ
(51)【国際特許分類】
F16C 29/02 20060101AFI20240315BHJP
F16C 17/02 20060101ALI20240315BHJP
F16C 33/20 20060101ALI20240315BHJP
【FI】
F16C29/02
F16C17/02 Z
F16C33/20 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2023561849
(86)(22)【出願日】2022-04-08
(85)【翻訳文提出日】2023-12-05
(86)【国際出願番号】 EP2022059515
(87)【国際公開番号】W WO2022218875
(87)【国際公開日】2022-10-20
(31)【優先権主張番号】202021101946.8
(32)【優先日】2021-04-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】507336499
【氏名又は名称】イグス ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクター ハフトゥング
(74)【代理人】
【識別番号】100112737
【氏名又は名称】藤田 考晴
(74)【代理人】
【識別番号】100136168
【氏名又は名称】川上 美紀
(74)【代理人】
【識別番号】100196117
【氏名又は名称】河合 利恵
(72)【発明者】
【氏名】ケッヒング ファビアン
【テーマコード(参考)】
3J011
3J104
【Fターム(参考)】
3J011AA01
3J011AA03
3J011BA02
3J011CA01
3J011DA01
3J011KA02
3J011MA03
3J011SC01
3J104AA43
3J104AA63
3J104AA69
3J104AA74
3J104AA76
3J104BA52
3J104DA06
3J104DA18
(57)【要約】
本発明は、レール及びキャリッジ(20)を備える滑り軸受アセンブリ(1)に関し、レールは長手方向に長細いレール本体(10)を有し、その1つの横断面に、筒状ガイド部分(11)が設けられ、キャリッジ(20)はガイド部分(11)を受容するためにガイド部分(11)に対応する筒状通路(22)が設けられたキャリッジ本体を有し、通路(22)の内面は摺動材料からなる摺動要素によって形成され、通路の内面によって、滑り軸受アセンブリの動作状態においてキャリッジ(20)がガイド部分(11)に長手方向に摺動的に接し、その摺動要素はプラスチック材料からなる一体のキャリッジ部品としてキャリッジ本体とともに製造される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レール及びキャリッジ(20)を備える滑り軸受アセンブリ(1)であって、前記レールは長手方向に長細いレール本体(10)を有し、その1つの横断面に、前記レール本体(10)に前記レールのネック部分を介して接続された筒状ガイド部分(11)が設けられ、前記キャリッジ(20)は、前記ガイド部分(11)を受容するために前記ガイド部分(11)に対応する筒状通路(22)が設けられたキャリッジ本体を有し、前記キャリッジ本体は前記ネック部分(13)を受容するための長手方向スロット(26)を有し、該スロット(26)は前記通路(22)に接続されて前記ネック部分(13)に対応し、前記通路(22)の内面は摺動材料からなる摺動要素によって形成され、前記通路の内面によって、前記滑り軸受アセンブリの動作状態において前記キャリッジ(20)が前記ガイド部分(11)に前記長手方向に摺動的に接し、
前記キャリッジ本体は、プラスチック材料の一体のキャリッジ部品として前記摺動要素とともに製造され、特に、少なくとも前記通路(22)の内面はトライボポリマーによって形成され、かつ/又は前記キャリッジ部品の少なくとも80体積%に繊維強化材が設けられた、滑り軸受アセンブリ(1)。
【請求項2】
前記キャリッジの全体が、前記摺動材料から、特にトライボポリマーから一体に製造された、請求項1に記載の滑り軸受アセンブリ(1)。
【請求項3】
前記キャリッジ本体の領域(24)は、前記摺動要素の領域(25)よりも高い繊維含量を有する、請求項1又は2に記載の滑り軸受アセンブリ(1)。
【請求項4】
前記レール本体(10)の2つの横断面の各々に筒状ガイド部分(11)が設けられ、前記アセンブリは、各々が1本の通路(22)を有する2つのキャリッジ(20)を備え、又は2本の通路(22)を有する1つのキャリッジ(20)を備え、前記ガイド部分(11)が前記通路(22)に受容される、請求項1から3のいずれか一項に記載の滑り軸受アセンブリ(1)。
【請求項5】
前記通路(22)の内面に、長手方向溝が設けられた、請求項1から4のいずれか一項に記載の滑り軸受アセンブリ(1)。
【請求項6】
前記筒状通路(22)が、前記ガイド部分(11)をその周囲の少なくとも4分の3にわたって包囲する、請求項1から5のいずれか一項に記載の滑り軸受アセンブリ(1)。
【請求項7】
前記ガイド部分(11)、特に前記レール全体が、金属又は金属合金から、特に、アルミニウム若しくはその合金、チタン若しくはその合金、マグネシウム若しくはその合金又はステンレス鋼から、製造された、請求項1から6のいずれか一項に記載の滑り軸受アセンブリ(1)。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか一項に記載の滑り軸受アセンブリ(1)のためのキャリッジ(20)であって、
前記キャリッジ(20)はプラスチック材料の一体のキャリッジ部品として製造され、該キャリッジ部品は、キャリッジ本体、及び摺動材料から製造された摺動要素をそこに一体化されており、レールであって前記ガイド部分(11)にネック部分(13)を介して接続されたレール本体(10)をさらに備えるレールの筒状ガイド部分(11)に対応する筒状通路(22)が前記ガイド部分(11)を受容するために前記キャリッジ本体に設けられ、該キャリッジ本体は前記ネック部分(13)を受容するための長手方向スロット(26)を有し、該スロット(26)は前記通路(22)に接続されて前記ネック部分(13)に対応し、前記通路(22)の内面は、前記摺動要素によって形成され、前記通路の内面によって、前記滑り軸受アセンブリ(1)の動作状態において前記キャリッジ(20)が前記ガイド部分(11)に前記長手方向に摺動的に接する、キャリッジ(20)。
【請求項9】
前記キャリッジ(20)は、20mm~40mmの幅、20mm~50mmの長さ及び10mm~25mmの高さを有し、20g未満の、特に15g未満の重量であり、少なくとも1つの負荷方向に、少なくとも20Nの静的な載荷能力を有する、請求項8に記載のキャリッジ(20)。
【請求項10】
請求項1から7のいずれか一項に記載の滑り軸受アセンブリ(1)のためのキャリッジ(20)を製造する方法であって、
前記キャリッジ部品を製造するために、ベースプラスチック材料、固体潤滑剤及び/又は潤滑剤、並びに特に繊維が、成分として混合され、射出成形金型に注入され、冷却され、その後に前記キャリッジ部品が最終成形部品として除去される、方法。
【請求項11】
請求項1から7のいずれか一項に記載の滑り軸受アセンブリ(1)のためのキャリッジ(20)を製造する方法であって、
固体潤滑剤若しくは潤滑剤、又は固体潤滑剤及び潤滑剤が前記通路(22)の内面に集結し、前記キャリッジ本体の繊維が前記通路(22)の内面から離れて集結する、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、略直線のレール及びその上をレールの長手方向に変位可能なキャリッジを備える滑り軸受アセンブリに関し、そのキャリッジはガイド部分によってレール上でガイドされる。本発明は、その滑り軸受アセンブリのキャリッジ及びそのキャリッジを製造する方法にも関する。
【背景技術】
【0002】
上記滑り軸受アセンブリは、例えば、自動化製造、機械を加工する材料、計測機械、医療技術、充填及び梱包の分野において、機械的要素が最小限の時間及びエネルギーの消費によって略直線のラインに沿って移動される必要がある場合には常に必要となる。ガイド用構成要素(レール)の表面は、ここでは、移動する被ガイド構成要素(キャリッジ)の表面上を、好ましくは追加の潤滑剤なしに摺動する。ガイド用構成要素、すなわち、レールは被ガイド構成要素、すなわち、キャリッジよりも長手方向に大幅に長く、それにより、実用的な構成が得られることは言うまでもない。これは、例えば、従来的には、キャリッジの長手方向の長さ範囲の少なくとも5倍の長手方向の長さ範囲を有するレールによって確保され得る。意図された使用において、レールは通常、特にキャリッジから離れた面である固定面によって装置、例えば、壁部又は機械に固定され、一方で、レールによって直線的にガイドされるキャリッジはレールに対して、したがって装置に対して可動である。固定面は、従来的には、上記意図された使用において装置に接するように構成された平坦な表面部分を有する。平坦な表面部分は、連続的であることもあれば、相互に離隔した小部分を有することもあり、平坦な表面部分は、好ましくは、固定面の面積の少なくとも50%を構成する。レールは、従来的には、固定面に対してオフセットした筒状ガイド部分を有する。使用される摺動面材料の組合せは、通常は金属-プラスチック材料又はプラスチック材料-プラスチック材料である。リニア滑り軸受アセンブリは、リニアボール軸受に対する有利な代替となることが度々証明されてきた。一般的な滑り軸受アセンブリでは、キャリッジは、従来的には、作業装置、例えば、長手方向に直線的に移動される機械構成要素が配置及び締結されることが意図された取付面を有する。長手方向に垂直にキャリッジ本体を通じて延びる締結チャネルは、好ましくは、取付面内に開口する。締結手段、例えば、ネジは、締結チャネルを通じてガイド可能であり、そのネジは、滑り軸受アセンブリの意図された使用において、取付面とは反対のキャリッジ本体の面にそのネジ頭によって押圧し、作業装置内に螺合される。取付面は、好ましくは平坦な取付表面を有し、締結チャネルが好ましくは取付表面内に開口する。キャリッジは略直方体状であることが多く、直方体状のキャリッジの面のうちの1つは取付面として構成される。キャリッジ本体を通じて長手方向に延びる通路が、レールの筒状ガイド部分を受容するためにキャリッジ本体内に設けられる。キャリッジの直方体構成では、通路は、好ましくは直方体の6面のうちの4面に又は少なくとも好ましくは設けられた平坦な取付表面に平行に、かつ特に締結チャネルに垂直に延びる。締結チャネルは、通路に対して横断方向にオフセットし、したがって通路から離隔している。
【0003】
金属からなるレール及びキャリッジを有する滑り軸受アセンブリが知られている。レールのガイド部分を受容するための通路はキャリッジの本体を通じて延び、その通路の内面はプラスチック材料の摺動要素によって形成される。特許文献1は、そのような滑り軸受アセンブリにおける摺動要素の一例を開示する。レール及びキャリッジから構成される同様の滑り軸受アセンブリは、本出願人によってdrylinという商品名で流通している。キャリッジ本体は、ここでは、ダイカストによる亜鉛、アルミニウム又はステンレス鋼からなり得る。特殊な摺動材料が、摺動要素のために提供される。摺動要素は、キャリッジ本体に接して通路を形成する。したがって、キャリッジ本体は、摺動要素及び通路が配置された通路チャネルを有し、摺動要素は通路チャネルの内面に接する。そのような滑り軸受アセンブリを製造することは、種々の構成要素を製造して組み立てる相応の労力を伴う。
【0004】
上記の滑り軸受アセンブリの動作時のエネルギー消費及び摩耗を考慮すると、変位される要素に接続されたキャリッジは単に補助的手段であることを念頭に置くべきである。特に、その質量が全体的な変位質量の大きな割合を占める場合、それは、例えば、加速及び減速のためのエネルギー消費の大きな割合、並びに摩耗の決定的要因となる摺動面の面圧を招くことにもなる。
【0005】
周知の滑り軸受アセンブリは、摺動要素の不可避な程度の摩耗を示す。これが適時に通知されない場合、金属-金属の接触が、それに対応してより深刻な摩擦を併発し、キャリッジ本体を損傷してしまう。この場合、キャリッジは取り外されなければならず、摩耗した摺動要素及び特定の環境下では損傷した金属キャリッジ本体も交換されなければならない。これがどの程度頻繁に起こるのかに応じて、対応する加工の生産性が損なわれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】独国実用新案第202018105755号明細書
【発明の概要】
【0007】
本発明の課題は、汎用滑り軸受アセンブリの少なくとも1つの不利益を、特にエネルギー消費及び摩耗の低減並びに生産性の向上により、少なくともある程度克服する滑り軸受アセンブリ及びキャリッジを提供することである。
【0008】
本発明に内在する課題を達成する1つの態様として、本発明は、請求項1に記載の特徴を有する滑り軸受アセンブリを提案する。
【0009】
本発明に係る滑り軸受アセンブリは、レール及びキャリッジを備える。レールは長手方向に長細いレール本体を有し、その1つの横断面には、レール本体にレールのネック部分を介して接続された筒状ガイド部分が設けられる。横断面は、長手方向に延びてレール本体を長手方向に垂直な横断方向に境界付ける面である。キャリッジは、ガイド部分に対応してガイド部分を受容するように意図された筒状通路がそれを通じて延びるキャリッジ本体を有する。キャリッジ本体はネック部分を受容するための長手方向スロットを有し、そのスロットは通路に接続されてネック部分に対応する。キャリッジ本体は、好ましくは直方体構成である。滑り軸受アセンブリの意図された状態において、ネックは、結果として、通路内に配置されたガイド部分から開始して長手方向スロットを通じてレール本体まで延在する。レール本体は、好ましくは直方体のような形状で形成される。ガイド部分は、好ましくは直方体レール本体の1つの縁に配置される。通路及びその通路に接続された長手方向スロットを設けることで、キャリッジはレールに沿って長手方向に摺動可能となり、一方で、ガイド部分は通路内に配置されてキャリッジ上を通路内に沿って摺動し、ネック部分は長手方向スロット内に配置され、長手方向スロット内に位置決めされると、キャリッジに対して変位される。通路の内面は摺動材料からなる摺動要素によって形成され、通路の内面によって、滑り軸受アセンブリの意図された動作状態では、キャリッジはガイド部分に長手方向に摺動的に接する。本発明によると、キャリッジ本体は、プラスチック材料の一体のキャリッジ部品として摺動要素とともに製造され、特に、少なくとも通路の内面はトライボポリマーによって形成され、かつ/又はキャリッジ部品の少なくとも80体積%、すなわち、キャリッジ本体及び摺動要素によって形成されたキャリッジ部品の体積の少なくとも80%は繊維強化材によって設けられる。プラスチック材料は、好ましくはポリマープラスチック材料であり、プラスチック材料は、好ましくは摺動材料である。キャリッジ全体が、特に好ましくは一体で、特にプラスチック材料の連続製造工程で製造される。キャリッジは、全体として、特に好ましくは、全て1つの同じプラスチック材料、特にトライボポリマーから製造される。キャリッジ部品は、キャリッジ本体領域及び摺動要素領域に分割可能である。摺動要素領域は、通路の内面を形成するそのキャリッジ部品の領域であり、内面からキャリッジ部品内に突出する好ましくは0.5mm~2mmの層厚にわたって内面から開始して延在する。キャリッジ部品は、好ましくはキャリッジ本体領域及び摺動要素領域からなる。好ましくは長手方向に延びる長手方向溝、すなわち、縦溝が、好ましくは通路の内面に形成され、それにより、意図された動作状態において、ガイド部分上のキャリッジ又は摺動要素の接触面は減少することになり、特に汚れに起因する摩擦の増加を可能な限り防止され得る。摺動要素領域は、好ましくは溝壁部によって画定される。摺動要素領域は、意図されるように、摩耗が発生した場合でも、キャリッジとレールのガイド部分との間の摺動摩擦が予想される領域として設けられる。
【0010】
本発明に係るキャリッジを製造するための摺動材料は、金属及びプラスチック材料面に対する静摩擦及び摺動摩擦について低い低摩擦係数を有するポリエチレン、ポリオキシメチレン(ポリアセタール)、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレートなど、熱可塑性ポリマー、並びにエポキシ樹脂などの熱硬化性ポリマーを意味するものと解釈されるべきである。摩擦及び摩耗は、適宜の潤滑剤、例えば、シリコーンオイル又はフッ素化エチレンポリマーを上記のマトリクスポリマーに添加することによってさらに低減可能である。それらの性質に応じて、これらの潤滑剤は、マトリクスポリマーと均質に混合され又はマトリクスポリマーに溶解されるだけでなく、細分された不均質相として取り込まれてもよい。後者の場合、不均質相の粒子サイズが0.01~10μmとなると好都合である。
【0011】
細分された固体潤滑剤を単独で又は上記潤滑剤と組み合わせて上述の摺動材料に取り込むことによって、摩擦及び摩耗の更なる低減が達成される。そのような材料は、ここでは、トライボポリマーと記される。グラファイト、二硫化モリブデン、三酸化モリブデン、二硫化タングステン、(六方晶)α-窒化ホウ素、及びこれらの物質の層間化合物などの結晶多層構造を有する固体が、この目的に適する。フッ化カルシウム及びフッ化セリウムなどの無機化合物も考えられる。固体潤滑剤の粒子サイズは、0.01~50μmであると好都合である。繊維は、補強のために、摺動材料、特にトライボポリマーの形態の摺動材料に取り込まれてもよい。繊維強化材は、マトリクスポリマーへの適宜の繊維の導入を意味するものと解釈されるべきである。これらの繊維は、充分な強度及びマトリクスポリマーへの充分に良好な結合性を有する適宜の材料からなる。適宜の繊維は、例えば、ガラス、炭素、アラミド、ポリエステル又はポリアミドからなる。加工性に関して、これらの繊維の長さは、好ましくは0.1~10mmである。繊維径は、5~25μmであると好都合であり、繊維強化材によって与えられる材料の繊維含量は5~50体積パーセントであると好都合である。
【0012】
本発明に係る滑り軸受アセンブリのレールは、ネック部分を介してレール本体に接続された筒状ガイド部分を有する。このネック部分の長さ及び厚さは、周囲の具体的幾何形状及び要求安定性によって決定される。ネック部分は、一般に、レール本体に一体化可能であり、レール本体からガイド部分への移行部を示す。いずれの場合でも、筒状通路は、ネック部分が長手方向に移動可能な長手方向スロットを有していなければならず、長手方向スロットを通じて延在するネック部分はガイド部分をレール本体に接続する。長手方向スロットの幅は、ネック部分の厚さによって決定される。ネック部分の厚さは、好ましくは、長手方向スロットが通路の周囲の4分の1未満を有するように寸法取りされる。
【0013】
したがって、滑り軸受アセンブリの本発明に係るキャリッジは、もはや設置時に接続さなければならない2つの構成要素からなるのではなく、キャリッジ本体及び摺動要素の重要となる特徴を統合した1部品であるキャリッジ部品からなる。すなわち、これらは、第1に、低い摩擦及び高い耐摩耗性が重要となる通路の内面であり、第2に、動作においてそこに締結される機械的要素を搬送できるように充分な強度及び好ましくは低い質量を有していなければならないキャリッジ本体である。主請求項の特徴的構成は、この必要性を考慮する。したがって、本発明に係るキャリッジにおいて、摺動要素領域は約0.5~5mmの厚さであり、通路の内面に隣接してキャリッジ本体領域から区別されることになり、キャリッジ本体領域は摺動要素領域の周囲のキャリッジの体積の減少分に対応する。
【0014】
本発明に係る滑り軸受アセンブリのレールは、好ましくは構造物又は支持構造物に締結されるように適合される。その構造物にネジが螺合されるための穴が、例えば、この目的のために設けられてもよい。
【0015】
好適な実施形態では、キャリッジ全体は、均一に摺動材料からなる。この場合、これは、好ましくは、繊維強化材も備えるトライボポリマーとなり得る。これにより、製造工程が簡素となる。
【0016】
一実施形態では、キャリッジ本体領域は、摺動要素領域よりも高い繊維含量を有する。したがって、キャリッジ部品が製造されるプラスチック材料を強化するために与えられるキャリッジ部品の繊維の体積パーセントは、好ましくはキャリッジ部品の体積にわたって変動する。内面を形成するプラスチック材料の単位体積あたりの繊維含量は、通路から少なくとも5mm離隔したキャリッジ部品領域における量よりも、通路の内面において低い。好ましくは、通路の内面において、通路の内面を構成するプラスチック材料に繊維は与えられない。
【0017】
一実施形態では、レールは、その他方の横断面に取り付けられた第2のガイド部分を有する。このように、2つの異なる搬送タスクが、1つの滑り軸受アセンブリによって実行可能となり、又は2本の整合する通路を有することでより高い載荷能力及び変位時の向上した安定性を得るキャリッジが使用され得る。通路は、1本の通路について説明したように構成又は実現され得る。特に、2本の通路を有するキャリッジ全体が、一体のキャリッジ部品として構成可能となる。
【0018】
連続する長手方向溝、すなわち、縦溝は、通路の内面に有利に設けられる。これにより、摺動面及び潜在的な摩擦が減少する。
【0019】
ガイド部分は、好ましくは、レール本体と一体に作製される。一方、好都合と思われる場合には、ガイド部分をネックのみとともに製造し、その後にそれをレール本体に締結することもできる。
【0020】
ガイド部分及び任意選択的にレール本体は、好ましくはレール全体が、好ましくは、金属又は金属合金、好ましくはアルミニウム若しくはその合金、チタン若しくはその合金、又はマグネシウム若しくはその合金からなる。合金成分は、好ましくは、それらが強度並びに摩耗及び任意選択的に腐食に対する耐性を高めるように選択される。
【0021】
本発明は、本発明に係る滑り軸受アセンブリのためのキャリッジを製造する方法も提供する。キャリッジ部品は、好ましくは、射出成形法を用いて製造される。一実施形態では、適宜のマトリクスポリマー、すなわち、ベースポリマーは、この目的のため、所望の添加剤、潤滑剤及び/又は固体潤滑剤、及び特に繊維と、例えば、押出機内で混合され、射出成形金型に注入される。冷却後に、キャリッジ部品は、成形部品として金型から除去可能となる。
【0022】
マトリクスポリマー内で添加剤の最大限均質な分散を得るために、最終的混合のために、純粋な添加剤を用いるのではなく、マトリクスポリマーのそれぞれの割合で調製された添加剤のプレミックスを用いるのが好都合である。
【0023】
キャリッジ本体領域及び摺動要素領域において様々な材料を用いる本発明に係るキャリッジの実施形態では、好ましくは、それに従って2成分射出成形法が使用される。この目的のため、マトリクスポリマー、繊維及び任意選択的に潤滑剤を含む成分Aがキャリッジ本体領域のために最初に調合され、対応するマトリクスポリマー及び固体潤滑剤を含む摺動要素領域のための成分Bが調合される。そして、これらの2つの成分は、2成分射出成形法で加工される。部品、例えば、成分Bからなる摺動要素が予め作製されてキャリッジ全体のための金型に挿入され、その金型がその後に成分Aで充填される「インサート射出成形」だけでなく、変位可能な金型部品又は共射出を伴う方法がこの目的のために使用されてもよい。重要なのは、2つの成分間の界面において溶融が進行して一体のキャリッジを形成することである。この目的のため、互換可能なマトリクスポリマー、好ましくは同じポリマーが、2つの成分に使用されるべきである。
【0024】
一般に、キャリッジを製造するための本発明に係る方法では、構成要素は、好ましくは、固体潤滑剤及び/又は潤滑剤が通路の内面に集結し、かつキャリッジ本体内の強化繊維が通路の内面から離れて集結するように、多成分射出成形法において加工される。このような方法を用いることによって、異なるキャリッジ部品の特性が、製造工程において直接、キャリッジ部品の異なる領域において取得可能となる。
【0025】
本発明はさらに、本発明に係る滑り軸受アセンブリのためのキャリッジに関する。キャリッジは、プラスチック材料の一体のキャリッジ部品として製造され、そのキャリッジ部品は、キャリッジ本体、及び摺動材料から製造された摺動要素をそこに一体化している。レールによって同様に構成されるネック部分を介してガイド部分に接続されたレール本体を、筒状ガイド部分に加えて備えるレールの筒状ガイド部分に対応する筒状通路が、ガイド部分を受容するためのキャリッジ本体に設けられる。キャリッジ本体はレールのネック部分を受容するための長手方向スロットを有し、そのスロットは通路に接続されてネック部分に対応する。通路の内面は、摺動要素によって形成され、通路の内面によって、滑り軸受アセンブリの意図される動作状態において、すなわち、キャリッジの意図された使用の場合に、キャリッジがガイド部分に長手方向に摺動的に接する。本発明に係るキャリッジは、好ましくは、20mm~40mm、特に20mm~30mmの幅、20mm~50mm、特に25mm~35mmの長さ及び10mm~25mm、特に12mm~20mmの高さを有し、20g未満、特に15g未満、特に12g未満の重量である。通路は、好ましくは、8~15mm、特に8~12mmの直径、すなわち、意図された使用時にガイド部分に接するように内面によって形成される2つの径方向に対向する摺動接触面の間の距離を有する。特に、上記の特性の少なくとも一部と組み合わせて、キャリッジは、同時に、少なくとも1つの負荷方向に、少なくとも20N、特に少なくとも25Nの静的な載荷能力を有する。静的な載荷能力は、対応するガイド部分がその通路に受容される一方でキャリッジが負荷方向に載荷可能な載荷能力である。対応する負荷が載荷されたキャリッジはレール上を長手方向に非破壊的に摺動可能であり、一方で、レールのガイド部分はその通路に配置され、レールのガイド部分が通路の内面に摺動的に接する。キャリッジは、負荷方向に付与される負荷及び結果としてレールのガイド部分に対する力を伝達する。
【0026】
本発明に係るキャリッジ、本発明に係る滑り軸受アセンブリ及び本発明に係る方法はいずれも、本発明に係る種々の解決手段に関する本発明に係る種々の実施形態において記載する特徴を有し得る。本発明に係る種々の実施形態は、包括的実施形態との関連で記載する特徴もさらに有し得る。
【0027】
好適ではないが、キャリッジ本体及び摺動要素を別個に製造し、その後にそれらを、例えば、接着結合又は溶接によって相互に堅く接続することも可能である。
【0028】
本発明に係る滑り軸受アセンブリは、変位される質量がより低いことによって差別化され、それにより、エネルギー入力が低くなり、かつ/又は製造ラインのサイクルレートが増加可能となる。さらに、一部品しか交換されないため、保守時のキャリッジの交換が容易となり、摩耗の減少によって保守間隔が延長可能となる。キャリッジ本体はここでは摺動材料からなるので、摺動要素領域に対する摩耗の場合に依然として良好な緊急走行特性が得られ、予期せぬ故障が回避される。追加の潤滑剤を使用することなしで済ますことも可能である。キャリッジは、ここでは完全に金属不使用であり、有効に再利用可能である。質量の減少に起因して動作時のノイズ発生が低減され、摩損した金属による周囲の汚染はなくなる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】
図1は、本発明に係るキャリッジの一実施形態の模式図である。
【
図2】
図2は、本発明に係る滑り軸受アセンブリの一実施形態の斜視模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
ここで、本発明を、図面に基づいて例示的実施形態を参照して、より詳細に説明する。
【0031】
図1は、本発明に係るキャリッジ20の一実施形態の斜視図を示す。キャリッジ20はそれを通じて通路22が延在する直方体状のキャリッジ本体を有することが、
図1から明らかである。通路22が筒体の態様で構成され、その筒体軸は長手方向に延在する。さらに、キャリッジ本体は、通路22に接続された長手方向スロット26を有する。
図3は、特に、本発明に係る滑り軸受アセンブリ1の意図された状態において、レールのネック部分13が長手方向スロット26を通過し、そのネック部分が一方では通路22に配置されたガイド部分11に接続され、他方では構成要素に取り付けられるように構成されたレール本体10に接続されることを示す。通路22の筒体軸は、実質的にキャリッジ本体を構成する直方体の6面の矩形面のうちの4面に平行に延在する。キャリッジ20は、作業装置が締結チャネル27に通される締結手段、例えば、ネジによってキャリッジの取付面に締結可能となるように、
図1において上方を向き、それを通じて2つの締結チャネル27が延在する取付面を有する。さらに、
図1は、キャリッジが全体として、通路の内面上に摺動要素を一体的に形成する一体のキャリッジ部品の形態をとることを示す。長手方向溝23が、通路の内面に設けられる。通路22の筒体軸に対して径方向に延在する溝の深さは、摺動要素領域、すなわち、キャリッジ20の意図された使用時に摩耗がある場合であっても、キャリッジと通路22内に配置されたレールのガイド部分との間に摩擦接触が設けられる領域を画定する。
【0032】
図2は、本発明に係る滑り軸受アセンブリ1の斜視平面図を示す。ガイド部分11がそこに取り付けられたレールのレール本体10を確認できる。キャリッジ20はガイド部分上を摺動可能に滑動し、筒状通路22はレールのガイド部分11を受容する。接触面積及び摩擦を低減するために、長手方向溝23は、通路22の内面に凹設される。
【0033】
図3は、スライドレールアセンブリの側面図を示す。寸法線は、下記の例示的実施形態に関する。ネック部分13によって相互に接続されるレール本体10及びガイド部分11を有するレールをここでも確認できる。ネック部分13は、筒状通路22内で長手方向スロット26を通じて延在し、通路の全周の4分の1未満を占める。摺動要素領域25は、ここではキャリッジ20の一部として示され、通路22を囲むキャリッジのボリュームの約0.5~5mmを占める。キャリッジの残余部は、キャリッジ本体領域24を形成する。
【符号の説明】
【0034】
1 滑り軸受アセンブリ
10 レール本体
11 ガイド部分
12 ネジ穴
13 ネック部分
20 キャリッジ
22 筒状通路
23 長手方向溝
24 キャリッジ本体領域
25 摺動要素領域
26 長手方向スロット
27 締結チャネル
【手続補正書】
【提出日】2023-12-07
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レール及びキャリッジ(20)を備える滑り軸受アセンブリ(1)であって、前記レールは長手方向に長細いレール本体(10)を有し、その1つの横断面に、前記レール本体(10)に前記レールのネック部分を介して接続された筒状ガイド部分(11)が設けられ、前記キャリッジ(20)は、前記ガイド部分(11)を受容するために前記ガイド部分(11)に対応する筒状通路(22)が設けられたキャリッジ本体を有し、前記キャリッジ本体は前記ネック部分(13)を受容するための長手方向スロット(26)を有し、該スロット(26)は前記通路(22)に接続されて前記ネック部分(13)に対応し、前記通路(22)の内面は摺動材料からなる摺動要素によって形成され、前記通路の内面によって、前記滑り軸受アセンブリの動作状態において前記キャリッジ(20)が前記ガイド部分(11)に前記長手方向に摺動的に接し、
前記キャリッジ本体及び前記摺動要素を備える前記キャリッジ(20)の全体が、プラスチック材料の一体のキャリッジ部品とし
て製造され
、少なくとも前記通路(22)の内面はトライボポリマーによって形成され、
好ましくは前記キャリッジ部品の少なくとも80体積%に繊維強化材が設けられた、滑り軸受アセンブリ(1)。
【請求項2】
前記キャリッジの全体が
、トライボポリマーから一体に製造された、請求項1に記載の滑り軸受アセンブリ(1)。
【請求項3】
前記キャリッジ本体の領域(24)は、前記摺動要素の領域(25)よりも高い繊維含量を有する、請求項
1に記載の滑り軸受アセンブリ(1)。
【請求項4】
前記レール本体(10)の2つの横断面の各々に筒状ガイド部分(11)が設けられ、前記アセンブリは、各々が1本の通路(22)を有する2つのキャリッジ(20)を備え、又は2本の通路(22)を有する1つのキャリッジ(20)を備え、前記ガイド部分(11)が前記通路(22)に受容される、請求項
1に記載の滑り軸受アセンブリ(1)。
【請求項5】
前記通路(22)の内面に、長手方向溝が設けられた、請求項
1に記載の滑り軸受アセンブリ(1)。
【請求項6】
前記筒状通路(22)が、前記ガイド部分(11)をその周囲の少なくとも4分の3にわたって包囲する、請求項
1に記載の滑り軸受アセンブリ(1)。
【請求項7】
前記ガイド部分(11)、特に前記レール全体が、金属又は金属合金から、特に、アルミニウム若しくはその合金、チタン若しくはその合金、マグネシウム若しくはその合金又はステンレス鋼から、製造された、請求項
1に記載の滑り軸受アセンブリ(1)。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか一項に記載の滑り軸受アセンブリ(1)のためのキャリッジ(20)であって、
前記キャリッジ(20)はプラスチック材料の一体のキャリッジ部品として製造され、該キャリッジ部品は、キャリッジ本体、及び摺動材料から製造された摺動要素をそこに一体化されており、レールであって前記ガイド部分(11)にネック部分(13)を介して接続されたレール本体(10)をさらに備えるレールの筒状ガイド部分(11)に対応する筒状通路(22)が前記ガイド部分(11)を受容するために前記キャリッジ本体に設けられ、該キャリッジ本体は前記ネック部分(13)を受容するための長手方向スロット(26)を有し、該スロット(26)は前記通路(22)に接続されて前記ネック部分(13)に対応し、前記通路(22)の内面は、前記摺動要素によって形成され、前記通路の内面によって、前記滑り軸受アセンブリ(1)の動作状態において前記キャリッジ(20)が前記ガイド部分(11)に前記長手方向に摺動的に接する、キャリッジ(20)。
【請求項9】
前記キャリッジ(20)は、20mm~40mmの幅、20mm~50mmの長さ及び10mm~25mmの高さを有し、20g未満の、特に15g未満の重量であり、少なくとも1つの負荷方向に、少なくとも20Nの静的な載荷能力を有する、請求項8に記載のキャリッジ(20)。
【請求項10】
請求項1から7のいずれか一項に記載の滑り軸受アセンブリ(1)のためのキャリッジ(20)を製造する方法であって、
前記キャリッジ本体及び前記摺動要素を一体のキャリッジ部品として備える前記キャリッ
ジを製造するために、ベースプラスチック材料、固体潤滑剤及び/又は潤滑剤、並びに特に繊維が、成分として混合され、射出成形金型に注入され、冷却され、その後に前記キャリッジ部品が最終成形部品として除去される、方法。
【請求項11】
請求項1から7のいずれか一項に記載の滑り軸受アセンブリ(1)のための、
前記キャリッジ本体及び前記摺動要素を一体のキャリッジ部品として備えるキャリッジ(20)を製造する方法であって、
固体潤滑剤若しくは潤滑剤、又は固体潤滑剤及び潤滑剤が前記通路(22)の内面に集結し、前記キャリッジ本体の繊維が前記通路(22)の内面から離れて集結する、方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0005
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0005】
周知の滑り軸受アセンブリは、摺動要素の不可避な程度の摩耗を示す。これが適時に通知されない場合、金属-金属の接触が、それに対応してより深刻な摩擦を併発し、キャリッジ本体を損傷してしまう。この場合、キャリッジは取り外されなければならず、摩耗した摺動要素及び特定の環境下では損傷した金属キャリッジ本体も交換されなければならない。これがどの程度頻繁に起こるのかに応じて、対応する加工の生産性が損なわれる。
請求項1の包括的用語に係る滑り軸受アセンブリは、特許文献2により知られている。さらなる先行技術が、特許文献3により知られている。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0006
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0006】
【特許文献1】独国実用新案第202018105755号明細書
【特許文献2】独国実用新案第202004016094号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第2019/145642号明細書
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0009】
本発明に係る滑り軸受アセンブリは、レール及びキャリッジを備える。レールは長手方向に長細いレール本体を有し、その1つの横断面には、レール本体にレールのネック部分を介して接続された筒状ガイド部分が設けられる。横断面は、長手方向に延びてレール本体を長手方向に垂直な横断方向に境界付ける面である。キャリッジは、ガイド部分に対応してガイド部分を受容するように意図された筒状通路がそれを通じて延びるキャリッジ本体を有する。キャリッジ本体はネック部分を受容するための長手方向スロットを有し、そのスロットは通路に接続されてネック部分に対応する。キャリッジ本体は、好ましくは直方体構成である。滑り軸受アセンブリの意図された状態において、ネックは、結果として、通路内に配置されたガイド部分から開始して長手方向スロットを通じてレール本体まで延在する。レール本体は、好ましくは直方体のような形状で形成される。ガイド部分は、好ましくは直方体レール本体の1つの縁に配置される。通路及びその通路に接続された長手方向スロットを設けることで、キャリッジはレールに沿って長手方向に摺動可能となり、一方で、ガイド部分は通路内に配置されてキャリッジ上を通路内に沿って摺動し、ネック部分は長手方向スロット内に配置され、長手方向スロット内に位置決めされると、キャリッジに対して変位される。通路の内面は、摺動材料からなる摺動要素によって形成され、通路の内面によって、滑り軸受アセンブリの意図された動作状態では、キャリッジがガイド部分に長手方向に摺動的に接する。本発明によると、キャリッジ本体は、プラスチック材料の一体のキャリッジ部品として摺動要素とともに製造され、少なくとも通路の内面はトライボポリマーによって形成され、好ましくはキャリッジ部品の少なくとも80体積%、すなわち、キャリッジ本体及び摺動要素によって形成されたキャリッジ部品の体積の少なくとも80%は繊維強化材によって設けられる。プラスチック材料は、好ましくはポリマープラスチック材料であり、プラスチック材料は、好ましくは摺動材料である。キャリッジ全体が、特に好ましくは一体で、特にプラスチック材料の連続製造工程で製造される。キャリッジは、全体として、特に好ましくは、全て1つの同じプラスチック材料、特にトライボポリマーから製造される。キャリッジ部品は、キャリッジ本体領域及び摺動要素領域に分割可能である。摺動要素領域は、通路の内面を形成するそのキャリッジ部品の領域であり、内面からキャリッジ部品内に突出する好ましくは0.5mm~2mmの層厚にわたって内面から開始して延在する。キャリッジ部品は、好ましくはキャリッジ本体領域及び摺動要素領域からなる。好ましくは長手方向に延びる長手方向溝、すなわち、縦溝が、好ましくは通路の内面に形成され、それにより、意図された動作状態において、ガイド部分上のキャリッジ又は摺動要素の接触面は減少することになり、特に汚れに起因する摩擦の増加を可能な限り防止され得る。摺動要素領域は、好ましくは溝壁部によって画定される。摺動要素領域は、意図されるように、摩耗が発生した場合でも、キャリッジとレールのガイド部分との間の摺動摩擦が予想される領域として設けられる。
【国際調査報告】