(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-23
(54)【発明の名称】質量ダンパシステム
(51)【国際特許分類】
B60G 13/16 20060101AFI20240416BHJP
B60G 17/015 20060101ALI20240416BHJP
F16F 15/02 20060101ALI20240416BHJP
【FI】
B60G13/16
B60G17/015 B
F16F15/02 B
F16F15/02 C
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023567061
(86)(22)【出願日】2022-04-29
(85)【翻訳文提出日】2023-10-31
(86)【国際出願番号】 US2022027040
(87)【国際公開番号】W WO2022260774
(87)【国際公開日】2022-12-15
(32)【優先日】2021-06-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】503260918
【氏名又は名称】アップル インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Apple Inc.
【住所又は居所原語表記】One Apple Park Way,Cupertino, California 95014, U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】フォウル, サミュエル ジー.
(72)【発明者】
【氏名】ダウソン, ジェイコブ エル.
(72)【発明者】
【氏名】モック, ジェフリー ケー.
(72)【発明者】
【氏名】シャウキー, イズラム モフセン
【テーマコード(参考)】
3D301
3J048
【Fターム(参考)】
3D301AA01
3D301AA03
3D301AA13
3D301DA01
3D301DA26
3D301DA33
3D301DA43
3D301EA19
3D301EA20
3D301EC01
3J048AD07
3J048AD12
3J048BF08
3J048CB01
3J048CB21
3J048EA15
(57)【要約】
質量ダンパシステムは、ばね下質量と、ばね上質量と、ばね下質量に対してばね上質量を支持するサスペンション構成要素と、ばね下質量に接続されたダンパ質量とを含む。運動制御構成要素は、ばね上質量と、運動制御構成要素とダンパ質量との間で力を伝達してばね下質量に対するダンパ質量の運動を調整する流体作動式システムとに接続される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
質量ダンパシステムであって、
ばね下質量と、
ばね上質量と、
前記ばね下質量に対して前記ばね上質量を支持するサスペンション構成要素と、
前記ばね下質量に接続されたダンパ質量と、
前記ばね上質量に接続された運動制御構成要素と、
前記ばね下質量に対する前記ダンパ質量の運動を調整するために、前記運動制御構成要素と前記ダンパ質量との間で力を伝達する流体作動式システムと、
を備える、質量ダンパシステム。
【請求項2】
前記流体作動式システムは、リーダ-フォロワ構成を使用して、前記運動制御構成要素から前記ダンパ質量に力を伝達する、請求項1に記載の質量ダンパシステム。
【請求項3】
前記流体作動式システムの前記リーダ-フォロワ構成は、前記ダンパ質量に接続された第1の流体作動式シリンダと、前記運動制御構成要素に接続された第2の流体作動式シリンダと、前記第1の流体作動式シリンダと前記第2の流体作動式シリンダとの間の流体搬送接続部と、を含む、請求項2に記載の質量ダンパシステム。
【請求項4】
前記運動制御構成要素は、ばね及びダンパを含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の質量ダンパシステム。
【請求項5】
前記運動制御構成要素は、ばね及び能動的に制御されるアクチュエータを含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の質量ダンパシステム。
【請求項6】
前記ばね下質量は車両ホイールアセンブリを含み、前記ばね上質量は車体構造を含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の質量ダンパシステム。
【請求項7】
前記ダンパ質量は、前記ホイールアセンブリに対して移動可能である、請求項6に記載の質量ダンパシステム。
【請求項8】
第1の流体作動式シリンダであって、前記ダンパ質量は、前記第1の流体作動式シリンダによって前記ばね下質量に接続されており、前記ダンパ質量は、慣性力を前記第1の流体作動式シリンダに加える、第1の流体作動式シリンダと、
第2の流体作動式シリンダであって、前記運動制御構成要素は前記第2の流体作動式シリンダに接続されたばねを含み、前記運動制御構成要素は前記第2の流体作動式シリンダに接続されたダンパを含み、前記ばねと前記ダンパとが協働して合力を前記第2の流体作動式シリンダに加える、第2の流体作動式シリンダと、を更に備え、
前記流体作動式システムは、前記第1の流体作動式シリンダと前記第2の流体作動式シリンダとの間に流体搬送接続部を含み、前記流体搬送接続部は、前記第1の流体作動式シリンダと前記第2の流体作動式シリンダとの間で前記慣性力及び前記合力を伝達する、請求項1又は2に記載の質量ダンパシステム。
【請求項9】
前記ばね上質量は車体構造を含み、前記第2の流体作動式シリンダは前記車体構造に接続されており、前記ばねは前記車体構造に接続されており、前記ダンパは前記車体構造に接続されている、請求項8に記載の質量ダンパシステム。
【請求項10】
第1の流体作動式シリンダであって、前記ダンパ質量は、前記第1の流体作動式シリンダによって前記ばね下質量に接続されており、前記ダンパ質量は、慣性力を前記第1の流体作動式シリンダに加える、第1の流体作動式シリンダと、
第2の流体作動式シリンダであって、前記運動制御構成要素は前記第2の流体作動式シリンダに接続されたばねと、前記第2の流体作動式シリンダに接続されたアクチュエータと、を含み、前記ばねと前記アクチュエータとが協働して合力を前記第2の流体作動式シリンダに加える、第2の流体作動式シリンダと、を更に備え、
前記流体作動式システムは、前記第1の流体作動式シリンダと前記第2の流体作動式シリンダとの間に流体搬送接続部を含み、前記流体搬送接続部は、前記第1の流体作動式シリンダと前記第2の流体作動式シリンダとの間で前記慣性力及び前記合力を伝達する、
請求項1又は2に記載の質量ダンパシステム。
【請求項11】
1つ以上の運動センサと、
コントローラであって、前記コントローラは、前記1つ以上の運動センサによって出力される運動信号に基づいて、前記アクチュエータに、反力を前記第2の流体作動式シリンダに印加させる、コントローラと、
を更に備える、請求項10に記載の質量ダンパシステム。
【請求項12】
前記ばね上質量は車体構造を含み、前記第2の流体作動式シリンダは前記車体構造に接続されており、前記ばねは前記車体構造に接続されており、前記アクチュエータは前記車体構造に接続されている、請求項10に記載の質量ダンパシステム。
【請求項13】
前記流体搬送接続部は、前記第1の流体作動式シリンダ及び前記第2の流体作動式シリンダに接続されている流体ラインを含む、請求項3、8、又は10のいずれか一項に記載の車両。
【請求項14】
前記サスペンション構成要素は、能動サスペンション構成要素である、請求項1から13のいずれか一項に記載の質量ダンパシステム。
【請求項15】
前記能動サスペンション構成要素は、電気作動式能動サスペンションアクチュエータ又は流体作動式能動サスペンションアクチュエータのうちの少なくとも1つである、請求項14に記載の質量ダンパシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2021年6月7日出願の米国特許仮出願第63/197,906号の利益を主張し、この出願の内容は、その開示全体があらゆる目的のために参照により本明細書に組み込まれている。
【0002】
本開示は、車両サスペンションに関する。
【背景技術】
【0003】
サスペンションシステムは、2つの構成要素間の振動の伝達を低減するために使用される。車両において、車両のばね上質量は、典型的には、車両の車体及び乗員室、並びに車両の乗員室を含み、車両のばね下質量は、典型的には、タイヤ、ホイール、及びホイールに直接接続された構成要素を含む。車両サスペンションは、ばね下質量に対してばね上質量を支持し、車両のばね下質量から車両のばね上質量への振動の伝達を低減する。いくつかのサスペンションシステムは、望ましくない振動効果を低減するために質量ダンパシステムを含む。
【発明の概要】
【0004】
本開示の第1の態様は、ばね下質量と、ばね上質量と、ばね下質量に対してばね上質量を支持するサスペンション構成要素と、ばね下質量に接続されたダンパ質量とを含む質量ダンパシステムである。質量ダンパシステムはまた、ばね上質量に接続された運動制御構成要素と、ばね下質量に対するダンパ質量の運動を調整するために運動制御構成要素とダンパ質量との間で力を伝達する流体作動式システムとを含む。
【0005】
本開示の第1の態様による質量ダンパシステムのいくつかの実装形態では、運動制御構成要素は、ばね及びダンパを含む。本開示の第1の態様による質量ダンパシステムのいくつかの実装形態では、運動制御構成要素は、ばね及び能動的に制御されるアクチュエータを含む。
【0006】
本開示の第1の態様による質量ダンパシステムのいくつかの実装形態では、流体作動式システムは、リーダ-フォロワ構成を使用して、運動制御構成要素からダンパ質量に力を伝達する。流体作動式システムのリーダ-フォロワ構成は、ダンパ質量に接続された第1の流体作動式シリンダと、運動制御構成要素に接続された第2の流体作動式シリンダと、第1の流体作動式シリンダと第2の流体作動式シリンダとの間の流体搬送接続部と、を含んでもよい。
【0007】
本開示の第1の態様による質量ダンパシステムのいくつかの実装形態では、サスペンション構成要素は能動サスペンション構成要素である。本開示の第1の態様による質量ダンパシステムのいくつかの実装形態では、能動サスペンション構成要素は、電気作動式能動サスペンションアクチュエータ又は流体作動式能動サスペンションアクチュエータのうちの少なくとも1つである。本開示の第1の態様による質量ダンパシステムのいくつかの実装形態では、ばね下質量は車両ホイールアセンブリを含み、ばね上質量は車体構造を含む。
【0008】
本開示の第2の態様は、ばね下質量と、ばね上質量と、ばね下質量に対してばね上質量を支持するサスペンション構成要素とを含む車両である。車両はまた、第1の流体作動式シリンダと、第1の流体作動式シリンダによってばね下質量に接続されたダンパ質量と、第2の流体作動式シリンダと、第2の流体作動式シリンダに接続されたばねと、第2の流体作動式シリンダに接続されたダンパとを含む。ダンパ質量は、第1の流体作動式シリンダに慣性力を加える。ばね及びダンパは協働して合力を第2の流体作動式シリンダに加える。第1の流体作動式シリンダと第2の流体作動式シリンダとの間の流体搬送接続部は、ばね下質量に対するダンパ質量の運動を調整するために、第1の流体作動式シリンダと第2の流体作動式シリンダとの間で慣性力及び合力を伝達する。
【0009】
本開示の第2の態様による車両のいくつかの実装形態では、ばね下質量は、ホイールアセンブリを含み、第1の流体作動式シリンダは、ホイールアセンブリに接続され、ダンパ質量は、ホイールアセンブリに対して移動可能である。本開示の第2の態様による車両のいくつかの実装形態では、ばね上質量は車体構造を含み、第2の流体作動式シリンダは車体構造に接続されており、ばねは車体構造に接続されており、ダンパは車体構造に接続されている。
【0010】
本開示の第2の態様による車両のいくつかの実装形態では、流体搬送接続部は、第1の流体作動式シリンダと第2の流体作動式シリンダとをリーダ-フォロワ構成で接続する。本開示の第2の態様による車両のいくつかの実装形態では、流体搬送接続部は、第1の流体作動式シリンダ及び第2の流体作動式シリンダに接続されている流体ラインを含む。本開示の第2の態様による車両のいくつかの実装形態では、サスペンション構成要素は、電気作動式能動サスペンションアクチュエータ又は流体作動式能動サスペンションアクチュエータのうちの少なくとも1つである。
【0011】
本開示の第3の態様は、ばね下質量と、ばね上質量と、ばね下質量に対してばね上質量を支持するサスペンション構成要素とを含む車両である。車両はまた、第1の流体作動式シリンダと、第1の流体作動式シリンダによってばね下質量に接続されたダンパ質量と、第2の流体作動式シリンダと、第2の流体作動式シリンダに接続されたばねと、第2の流体作動式シリンダに接続されたアクチュエータとを含む。ダンパ質量は、第1の流体作動式シリンダに慣性力を加える。ばね及びアクチュエータは協働して合力を第2の流体作動式シリンダに加える。第1の流体作動式シリンダと第2の流体作動式シリンダとの間の流体搬送接続部は、ばね下質量に対するダンパ質量の運動を調整するために、第1の流体作動式シリンダと第2の流体作動式シリンダとの間で慣性力及び合力を伝達する。
【0012】
本開示の第3の態様による車両のいくつかの実装形態では、車両は、1つ以上の運動センサと、コントローラとを含む。コントローラは、1つ以上の運動センサによって出力される運動信号に基づいて、アクチュエータに、反力を第2の流体作動式シリンダに印加させる、コントローラと、を更に備える。
【0013】
本開示の第3の態様による車両のいくつかの実装形態では、ばね下質量は、ホイールアセンブリを含み、第1の流体作動式シリンダは、ホイールアセンブリに接続され、ダンパ質量は、ホイールアセンブリに対して移動可能である。本開示の第3の態様による車両のいくつかの実装形態では、ばね上質量は車体構造を含み、第2の流体作動式シリンダは車体構造に接続されており、ばねは車体構造に接続されており、アクチュエータは車体構造に接続されている。
【0014】
本開示の第3の態様による車両のいくつかの実装形態では、流体搬送接続部は、第1の流体作動式シリンダと第2の流体作動式シリンダとをリーダ-フォロワ構成で接続する。本開示の第3の態様による車両のいくつかの実装形態では、流体搬送接続部は、第1の流体作動式シリンダ及び第2の流体作動式シリンダに接続されている流体ラインを含む。本開示の第3の態様による車両のいくつかの実装形態では、サスペンション構成要素は、電気作動式能動サスペンションアクチュエータ又は流体作動式能動サスペンションアクチュエータのうちの少なくとも1つである。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】質量ダンパシステムを示すブロック図である。
【0016】
【
図2】第1の例示的な実装形態による車両用質量ダンパシステムの概略図である。
【0017】
【
図3】第2の例示的な実装形態による車両用質量ダンパシステムの概略図である。
【0018】
【0019】
【
図5】コントローラの一例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
質量ダンパシステム(例えば、調整された質量ダンパ又は反作用質量アクチュエータ)を使用して、一次質量に加えられる望ましくない振動効果を低減することができる。本明細書ではダンパ質量と呼ばれる二次質量は、第1の質量よりも小さく、ダンパ質量の運動が一次質量が受ける振動と反対の振動をもたらすように選択された(例えば、調整された)特性を有する受動ダンパアセンブリによって、望ましくない振動効果の低減をもたらす一次質量によって、又は望ましくない振動効果を低減するように動作する制御されたダンパアセンブリによって、一次質量に接続される。例えば、ダンパアセンブリは、ダンパ質量の運動が、一次質量受ける望ましくない振動効果に対して位相がずれるように、及び/又は方向が反対になるように構成されてもよい。質量ダンパシステムは、一次質量に対するダンパの運動を制御する運動制御構成要素を含む。典型的な受動ダンパの例では、運動制御構成要素は、ばね及びダンパを含み、ばね及びダンパは、ダンパ質量の所望の運動特性に従って選択される。能動的に制御される例では、運動制御構成要素は、ばね及び能動的に制御されるアクチュエータを含む。本明細書で使用される場合、「ばね」という用語は、平衡位置に対して圧縮又は伸長される距離に依存する力を及ぼす機械ばねなどの様々なタイプの機構を包含する。
【0021】
本明細書で説明されるサスペンションシステムは、車両のホイールなど、車両のばね下質量の一部に接続されたダンパ質量を含む。質量ダンパシステムの運動制御構成要素を車両のホイール内にパッケージングする複雑さを回避するために、運動制御構成要素のうちのいくつかは、車両のばね上質量に接続され、運動制御構成要素からの力は、流体作動式力伝達システム(例えば、油圧システム又は空気圧システム)を使用してダンパ質量に伝達され、流体作動式力式伝達システムは、リーダ-フォロワ構成の流体作動式シリンダを含んでもよい。
【0022】
図1は、質量ダンパシステム100を示すブロック図である。質量ダンパシステム100は、ばね下質量102と、ばね上質量104と、サスペンション構成要素106と、ダンパ質量108と、運動制御構成要素110と、油圧システム112とを含む。一例として、ばね下質量102は車両ホイールを含んでもよく、ばね上質量104は車体構造を含んでもよい。
【0023】
サスペンション構成要素106は、ばね下質量102に対してばね上質量104を支持し、ばね下質量102からばね上質量104への振動の伝達を低減するように構成される。一例として、サスペンション構成要素106は、ばね、ダンパ、又は空気ばねなどの受動サスペンション構成要素であってもよい。別の例として、サスペンション構成要素106は、電気作動式能動サスペンションアクチュエータ又は流体作動式能動サスペンションアクチュエータなどの能動サスペンション構成要素であってもよい。
【0024】
ダンパ質量108は、ばね下質量102に接続されている。ばね下質量102に対するダンパ質量108の運動は、運動制御構成要素110によって制御される。ダンパ質量108の減衰運動は、ばね下質量102に反力を加えて、ばね下質量102が受ける望ましくない振動を低減する。これらの望ましくない振動の低減は、ばね下質量102が車両ホイールを含む実装形態におけるホイールホップなどの望ましくない振動関連効果を低減することができる。
【0025】
運動制御構成要素110は、ばね上質量104に接続される。運動制御構成要素110は、いくつかの実装形態では、車体構造などのばね上質量104の一部への運動制御構成要素の直接接続など、ばね上質量104の一部として、ばね上質量104とほぼ一致して運動制御構成要素110が運動するように、ばね上質量104に接続される。
【0026】
運動制御構成要素110は、ダンパ質量108の運動を減衰させるためにダンパ質量108に伝達することができる力を生成するように構成された受動及び/又は能動構成要素を含む。一例として、運動制御構成要素110は、ばね及びダンパを含むことができる。ばねは、圧縮のみで動作するコイルばね、圧縮及び引張のみで動作するコイルばね、引張のみで動作するコイルばね、ねじりばね、板ばね、空気ばね、又は他のタイプのばねなど、任意のタイプのばねであってもよい。別の例として、運動制御構成要素110は、ばね及び能動的に制御されるアクチュエータを含んでもよい。別の例として、運動制御構成要素110は、油圧システムに固有であり、ばねとして機能するコンプライアンス、並びにダンパ又は能動的に制御されるアクチュエータのうちの少なくとも1つを含んでもよい。例として、能動的に制御されるアクチュエータは、電気的に制御されるリニアアクチュエータなどの電気的に制御されるアクチュエータであってもよく、又はアクチュエータは、油圧的に制御されるリニアアクチュエータなどの油圧的に制御されるアクチュエータであってもよい。
【0027】
油圧システム112は、ダンパ質量108と運動制御構成要素110との間で力を伝達することによって、運動制御構成要素110がばね下質量102に対するダンパ質量108の運動を調整することを可能にする。一例として、油圧システム112は、リーダ-フォロワ構成を使用して、運動制御構成要素110からダンパ質量108に力を伝達することができる。
【0028】
リーダ-フォロワ構成の一例として、ダンパ質量108は、第1の油圧シリンダによってばね下質量102に接続されてもよく、それにより、ばね下質量102に対するダンパ質量108の移動が、慣性力を第1の油圧シリンダに加えて、流体(例えば、油などの作動液)の変位を引き起こす。流体の変位は、第1の油圧シリンダから第2の油圧シリンダに延びる1つ以上の流体ラインなどの流体搬送接続部によって第2の油圧シリンダに伝達される。第2の油圧シリンダは、運動制御構成要素110に接続される。ダンパ質量108が移動するときに伝達される流体圧力に応答して第2の油圧シリンダが移動すると、運動制御構成要素によって合力が第2の油圧シリンダに加えられる。次いで、合力は、油圧システムの流体搬送接続部を介して第1の油圧シリンダに伝達され、それによってダンパ質量108の運動を減衰させる。したがって、ばね下質量102の振動は、ダンパ質量108の対応する振動を引き起こす。慣性力及び合力は、油圧システム112によってダンパ質量108と運動制御構成要素110との間で伝達され、結果として生じる合成反力がばね下質量に加えられる。油圧システム112のリーダ-フォロワ構成の結果は、運動制御構成要素110をダンパ質量108に直接接続することと等価であるが、運動制御構成要素110をばね下質量102の代わりにばね上質量104に配置することを可能にする。
【0029】
質量ダンパシステム100の同様の名称の構成要素を実装するために使用され得る構成要素の更なる説明は、
図2~
図7を参照して本明細書で説明され、そのような構成要素は、質量ダンパシステム100に含まれ得る。
【0030】
図2は、車両に関連して実施される質量ダンパシステム200を示すブロック図である。質量ダンパシステム100の説明は、本明細書で反対に述べられる場合を除いて、質量ダンパシステム200に適用可能である。
【0031】
質量ダンパシステム200は、ばね下質量202、ばね上質量204、サスペンション構成要素206、及びダンパ質量208を含む。質量ダンパシステム200はまた、運動制御構成要素として機能するばね214及びダンパ216を含む。質量ダンパシステム200はまた、第1の油圧シリンダ218と、第2の油圧シリンダ220と、第1の流体伝達ライン222と、第2の流体伝達ライン224とを含む。ばね下質量202は、ホイールアセンブリ226と、路面などの表面232に接触するように構成された接触パッチ230を有するタイヤ228とを含む。ばね上質量204は、車体構造234を含む。タイヤ228は、ホイールアセンブリ226と表面232との間のばねと同等に挙動するタイヤ228の傾向に従って、ばねとして
図2に表されている。
【0032】
サスペンション構成要素206は、ばね下質量202に対してばね上質量204を支持し、ばね下質量202からばね上質量204への振動の伝達を低減するように構成される。一例として、サスペンション構成要素206は、ホイールアセンブリ226及び車体構造234に接続されて、ホイールアセンブリ226に対して車体構造234を支持し、ホイールアセンブリ226から車体構造234への振動の伝達を低減することができる。例として、サスペンション構成要素206は、受動サスペンション構成要素又は能動サスペンション構成要素であってもよい。
【0033】
ダンパ質量208は、ばね下質量202の一部であり、ホイールアセンブリ226に接続され、それによって支持される。一例として、ダンパ質量208は、ホイールアセンブリ226のナックル(例えば、ステアリングナックル/サスペンションナックル)に接続され、及び/又はその内部に配置されてもよい。ダンパ質量208は、ダンパ質量208がホイールアセンブリ226に対して移動することを可能にする第1の油圧シリンダ218によってホイールアセンブリ226に接続される。ホイールアセンブリ226の移動(例えば、振動)は、ダンパ質量208の対応する移動を引き起こし、それは、慣性力を第1の油圧シリンダ218に加える。
【0034】
ダンパ質量208は、第1の油圧シリンダ218に直接接続されてもよく、第1の油圧シリンダ218は、ホイールアセンブリ226に直接接続されてもよい。一例として、第1の油圧シリンダ218は、流体で満たされた内部空間を画定するハウジング236と、内部空間内に配置されたピストン238と、ピストン238に接続され、内部空間の外に延びるロッド240とを含むことができる。ロッド240に対してダブルエンド構成が示されているが、シングルエンド構成を使用することもできる。図示の例では、ハウジング236は、ホイールアセンブリ226に(例えば、固定接続によって)接続されているものとして示されており、ダンパ質量208は、ロッド240に接続されているものとして示されているが、これらの接続は逆であってもよい。ダンパ質量208は、第1の油圧シリンダ218のみによってホイールアセンブリ226に対して支持されてもよく、そうでなければ、ばね上質量204などの他の構造への接続がなくてもよい。
【0035】
本明細書で更に説明されるように、ホイールアセンブリ226に対するダンパ質量208の運動は、慣性力に対抗する合力を加えることによってダンパ質量208の運動を減衰させる運動制御構成要素によって制御され、運動制御構成要素は、この実装形態では、ばね214及びダンパ216を含む。結果として生じる合成力(例えば、合力と組み合わされた慣性力)は、ばね下質量に作用して、ばね下質量202が受ける望ましくない振動を低減する。これらの望ましくない振動の低減は、タイヤ228の接触パッチ230が表面232から外れる結果となり得るホイールホップなどの望ましくない振動関連効果を低減することができる。
【0036】
ばね214及びダンパ216は、車体構造234に接続されるとともに、第2の油圧シリンダ220に接続されている。一例として、第2の油圧シリンダ220は、流体で満たされた内部空間を画定するハウジング237と、内部空間内に配置されたピストン239と、ピストン239に接続され、内部空間の外に延びるロッド241とを含むことができる。ロッド241に対してダブルエンド構成が示されているが、シングルエンド構成を使用することもできる。ハウジング237はホイールアセンブリ226に接続され、ばね214はロッド241に接続され、ダンパ216はロッド241に接続される。ロッド241にダブルエンド構成を使用すると、ばね214及びダンパ216はロッド241の両端にあるが、例えばロッド241にシングルエンド構成を使用する場合、ばね214及びダンパ216はロッド241の同じ端部に接続されてもよい。しかしながら、構成は、本質的に概略的に示され、構成要素によって実行される機能を説明することが意図されていることを理解されたい。構成要素の様々な異なる構造的構成を使用することができる。一例として、ばね214は、アセンブリの両端に配置された2つのばねを使用して実装され、その結果、2つのばねは両方とも圧縮され、決して張力が加えられない。別の例では、ロッド241は中空であり、ダンパ216はロッド241の中央に一体化される。別の例では、ダンパ216の減衰機能は、第1の流体伝達ライン222又は第2の流体伝達ライン224の一方又は両方に、あるいは第1の流体伝達ライン222又は第2の流体伝達ライン224の一方又は両方と第2の油圧シリンダ220との間に組み込むことができ、その結果、減衰は、リーダ-フォロワ油圧システム内の流体に直接作用する。
【0037】
ばね214は、ばね214の中立位置に向かうばね214による移動に対応するばね力を第2の油圧シリンダ220に加える。これは、ダンパ質量208の中立位置から離れるダンパ質量208の変位に抵抗し、変位後にダンパ質量208をその中立位置に戻すように作用する戻り力と呼ぶことができる。ばね力がダンパ質量208に伝達されるので、伝達されたばね力は、ばね214がその中立位置に戻ることに対応する方向に、ダンパ質量208の運動を促す方向にダンパ質量208に加えられる。ばね214は、圧縮のみで動作するコイルばね、圧縮及び引張のみで動作するコイルばね、引張のみで動作するコイルばね、ねじりばね、板ばね、空気ばね、又は他のタイプのばねなど、任意のタイプのばねであってもよい。
【0038】
ダンパ216は、ダンパ質量208の運動に抵抗するように構成され、これにより、ダンパ質量208の運動特性(例えば、振動周波数)の制御が可能になる。ダンパ216は、流体封入ダンパ(例えば、油封入)などの受動構成要素である。
【0039】
合力は、ばね214及びダンパ216によって第2の油圧シリンダ220に加えられる力の組み合わせであり、第1の油圧シリンダを介してダンパ質量に作用して、ばね下質量202に対するダンパ質量208の運動を調整する。第1の油圧シリンダ218と第2の油圧シリンダ220との間の力の伝達は、第1の油圧シリンダ218と第2の油圧シリンダ220との間の流体搬送接続部を使用して行われる。流体搬送接続部は、ばね下質量202に対するダンパ質量208の運動を調整するために、第1の油圧シリンダ218と第2の油圧シリンダ220との間で慣性力及び合力を伝達する。流体搬送接続部は、図示された実装形態における第1の流体伝達ライン222及び第2の流体伝達ライン224など、第1の油圧シリンダ218及び第2の油圧シリンダ220に接続された1つ以上の流体ラインを含む。第1の流体伝達ライン222及び第2の流体伝達ライン224は、油圧システム112に関して説明したように、リーダ-フォロワ構成で第1の油圧シリンダ218を第2の油圧シリンダ220に接続することができる。
【0040】
質量ダンパシステム200は、コントローラ242と、ばね下質量102に接続された第1の運動センサ244と、ばね上質量104に接続された第2の運動センサ246とを含む。第1の運動センサ244は、ばね下質量102の運動を測定し、ばね下質量102の運動を表す第1の運動信号を出力するように構成される。第2運動センサ246は、ばね上質量104の運動を測定し、ばね上質量104の運動を表す第2の運動信号を出力するように構成されている。第1の運動センサ244及び第2の運動センサ246は各々、1つ以上の線形自由度及び/又は1つ以上の回転自由度における速度及び/又は加速度を測定するように構成されてもよい。一例として、第1の運動センサ244及び第2の運動センサ246は、慣性測定ユニットであってもよい。コントローラ242は、第1の運動信号、第2の運動信号、及び/又は追加のセンサ出力信号を受信し、質量ダンパシステム200の1つ以上の能動構成要素を制御するための1つ以上のコマンドを決定するように構成される。一例として、コントローラ242は、ばね下質量202及びばね上質量204の相対運動の測定値など、ばね下質量202及び/又はばね上質量204の運動に従って、サスペンション構成要素206(例えば、能動サスペンション構成要素として実装される)の動作を制御するコマンドを出力することができる。
【0041】
図3は、車両に関連して実施される質量ダンパシステム300を示すブロック図である。質量ダンパシステム100及び質量ダンパシステム200の説明は、本明細書で反対に述べられる場合を除いて、質量ダンパシステム300に適用可能である。特に、質量ダンパシステム200からのいくつかの同様の番号が付けられた構成要素は、質量ダンパシステム300に含まれ、本明細書に記載されている場合を除いて前述の通りである。
【0042】
質量ダンパシステム300では、質量ダンパシステム200のダンパ216がアクチュエータ316に置き換えられている。アクチュエータ316は、電気又は油圧リニアアクチュエータなどの能動的に制御されるアクチュエータ構成要素であり、ばね214及びアクチュエータ316が協働して合力を第2の油圧シリンダ220に印加するように、第2の油圧シリンダ220に接続される。アクチュエータ316及びばね214によって加えられる合力は、第1の油圧シリンダ218に伝達され、それによって、前述の方法でダンパ質量208に加えられる。
【0043】
コントローラ242は、前述のように機能し、更に、第1の運動センサ244及び第2の運動センサ246などの1つ以上の運動センサによって出力される運動信号に基づいて、反力を第2の油圧シリンダに印加するようにアクチュエータ316を制御する。コマンドは、ばね下質量202及び/又はばね上質量204の運動に基づいてコントローラ242によって決定され、コマンドは、アクチュエータ316によって反力の印加を引き起こすためにアクチュエータ316に送信される。
【0044】
図4は、車両450の一部を示す概略図である。本明細書で説明される質量ダンパシステムは、車両450に関連して実装されてもよい。一例として、車両450は、車輪及びタイヤ(例えば、4個のホイール及びタイヤ)によって支持される従来の路上走行車両であってもよい。一例として、車両450は、1人以上の乗客を運ぶように構成された乗員室を含む乗用車であってもよい。別の例として、車両450は、貨物室内で貨物品を運搬するように構成された貨物車両であってもよい。
【0045】
図示の例では、車両450は、車体構造452と、ホイールアセンブリ454と、サスペンションシステム456と、推進システム458と、ステアリングシステム460と、ブレーキシステム462と、ホイール側質量ダンパ構成要素464と、ボディ側質量ダンパ構成要素465とを含む。
【0046】
車体構造452は、例えば、フレーム、サブフレーム、ユニボディ、ボディ、モノコック、及び/又は他のタイプの車両フレーム及び車体構造を含む単一又は複数部品構造であってもよい。車体構造452は、車両の内部構造部分(例えば、フレームレール、構造ピラーなど)、及び車両の外部美観部分(例えば、ボディパネル)を画定する構成要素を含むか、又は支持することができる。車体構造452は、乗員室及び/又は貨物室を画定することができる。
【0047】
ホイールアセンブリ454は、ホイール466、タイヤ468、及びホイールハブ470を含む。ホイール466、タイヤ468、及びホイールハブ470は、全て従来の構成要素である。例えば、ホイール466は、空気タイヤであってもよいタイヤ468を支持する従来設計のスチールホイールであってもよい。ホイールハブ470は、車両アセンブリ450のサスペンションシステム456の非回転構成要素と、ホイール466及びタイヤ468などの回転構成要素との間のインタフェースとして機能する。一例として、ホイールハブ470は、サスペンションシステム456の構成要素に対する回転を可能にする軸受を含むことができる。
【0048】
サスペンションシステム456は、ナックル472、上部制御アーム474、下部制御アーム476、及びサスペンション構成要素478を含むことができる。サスペンションナックル472は、ホイール466の内部空間内に少なくとも部分的に配置され、ホイールアセンブリ454及びブレーキシステム462の構成要素のための支持構造として機能する。ナックル472は、ホイールハブ470に連結され、ホイール466及びタイヤ468をナックルに対して回転可能に支持する。ナックル472は、ブレーキシステム462の非回転構成要素にも接続され、ブレーキシステム462の回転構成要素は、ホイールハブ470及び/又はホイール466に接続される。
【0049】
上部制御アーム474及び下部制御アーム476は、ナックル472が車体構造452に対して主に略垂直方向に移動可能であるように、ナックル472を車体構造452に接続する。一例では、上部制御アーム474及び下部制御アーム476は各々、1つ以上の回転自由度で回転させる車軸関節によって車体構造452及びサスペンションナックル472に接続され得る。サスペンション構成要素478は、車体構造452に対するホイールアセンブリ454の運動を調整するように構成される。様々な実装形態では、サスペンション構成要素478は、ショック、ストラット、ばね、リニアアクチュエータ、又は他の能動サスペンション構成要素若しくは受動サスペンション構成要素であり得る。
【0050】
推進システム458は、トルクを生成してホイールアセンブリ454(及び車両450の他のホイール)に伝達することによって、車両450の運動(例えば、車両450を加速させる)を引き起こすように構成された推進構成要素を含む。図示の例では、推進システム458は、モータ480と、モータ480をホイールアセンブリ454に接続する駆動シャフト482とを含む。モータ480は、例として、可燃性燃料によって動力を供給される内燃機関、又は(例えば、バッテリからの)電気によって動力を供給される1つ以上の電気モータであってもよい。推進システム458に含まれる電気モータは、回生制動構成においてバッテリを充電する発電機として動作するように更に構成されてもよい。
【0051】
ステアリングシステム460は、ホイールアセンブリ454(及び車両450の他のホイール)の舵角を変更することによって車両を旋回させるように動作可能である。図示の実装形態では、ステアリングシステム460は、ステアリングアクチュエータ484と、ナックル472に接続されたステアリングリンク機構486とを含む。ブレーキシステム462は、例えば、摩擦制動構成要素を使用して車両450を減速させるための減速トルクを提供する。
【0052】
本明細書に記載の質量ダンパシステムは、
図4において、ホイール側質量ダンパ構成要素464及びボディ側質量ダンパ構成要素465によって表されており、これらは、流体ライン(
図4には図示せず)などの流体搬送接続部によって接続されている。これらの構成要素は、質量ダンパシステム100、質量ダンパシステム200、質量ダンパシステム300、及び/又は質量ダンパシステム400に関して前述したように動作する。
【0053】
本明細書で説明される実装形態は、ホイール側質量ダンパ構成要素464とボディ側質量ダンパ構成要素465との間で力を伝達するために油圧システムを利用する。質量ダンパシステム100、質量ダンパシステム200、質量ダンパシステム300、及び質量ダンパシステム400を含む全てのそのようなシステムは、代わりに、空気圧シリンダ及び空気圧ラインなどの空気圧構成要素を使用して実装されてもよく、そのようなシステムの設計は、例えば、作動ガスの圧縮性を運動制御構成要素のばね力の一部として扱うことによって、作動ガスの圧縮性を考慮に入れることを理解されたい。油圧及び空気圧システムの構成要素は、集合的に、流体作動式構成要素及び/又は流体搬送システムと称されてもよく、そのようなシステムは、流体作動式システム又は流体作動式力伝達システムと称されてもよい。
【0054】
図5は、コントローラ242の例示的な実装形態を示すブロック図である。コントローラ242は、プロセッサ591と、メモリ592と、記憶デバイス593と、1つ以上の入力デバイス594と、1つ以上の出力デバイス595とを含んでもよい。コントローラ242は、通信のために構成要素を相互接続するためのバス又は同様のデバイスを含んでもよい。プロセッサ591は、コンピュータプログラム命令を実行し、コンピュータプログラム命令によって記述された動作を実行するように動作可能である。一例として、プロセッサ591は、中央処理ユニットなどの従来のデバイスであってもよい。メモリ592は、ランダムアクセスメモリモジュールなどの揮発性高速短期情報記憶デバイスであってもよい。記憶デバイス593は、ハードドライブ又はソリッドステートドライブなどの不揮発性情報記憶デバイスであってもよい。入力デバイス594は、ボタン、スイッチ、キーボード、マウス、タッチスクリーン入力デバイス、ジェスチャ入力デバイス、又はオーディオ入力デバイス(例えば、マイクロフォン)などの任意の種類のヒューマンマシンインタフェースを含むことができる。出力デバイス595は、表示スクリーン若しくはオーディオ出力などの動作状態、又は他の機能的出力若しくは制御に関するインジケーションをユーザに提供するように動作可能な任意のタイプのデバイスを含むことができる。
【0055】
特許請求の範囲で使用されるように、「A、B、又はCのうちの少なくとも1つ」の形態の句は、Aのみ、又はBのみ、又はCのみ、又はA、B、及びCの任意の組み合わせを包含するように解釈されるべきである。
【0056】
上記のとおり本技術の一態様は、サスペンション制御であり、これは、いくつかの実装形態では、ユーザの好みに基づいて動作をカスタマイズするために様々なソースから利用可能なデータの収集及び使用を含み得る。本開示は、いくつかの場合には、この収集されたデータが、特定の人を一意に識別する個人情報データ、又は特定の人に連絡する若しくはその所在を突き止めるために使用できる個人情報データを含み得ることを考察する。そのような個人情報データとしては、人口統計データ、ロケーションベースのデータ、電話番号、電子メールアドレス、ツイッターID、自宅の住所、ユーザの健康又はフィットネスのレベル(例えば、バイタルサイン測定値、服薬情報、運動情報)に関するデータ若しくは記録、誕生日、又は任意のその他の識別情報若しくは個人情報を挙げることができる。一例として、車両のユーザを記述する情報が収集され、ユーザの好みに基づいて車両の乗車を調整するために使用され得る。別の例として、車両は、車両の動作を制御するために使用されるセンサを含んでもよく、これらのセンサは、画像内に存在する人物を識別するために使用され得る情報(例えば、静止画像又はビデオ画像)を取得してもよい。
【0057】
本開示は、本技術におけるそのような個人情報データの使用がユーザの利益になる使用であり得る点を認識するものである。例えば、個人情報データを使用して、車両の特定のタイプの運動に対するユーザの快適レベルを記述するユーザプロファイルを作成することができる。
【0058】
本開示は、そのような個人情報データの収集、分析、開示、送信、記憶、又は他の使用に関与するエンティティが、確固たるプライバシーポリシー及び/又はプライバシー慣行を遵守するものとなることを想到する。具体的には、そのようなエンティティは、個人情報データを秘密として厳重に保守するための、業界又は政府の要件を満たしているか又は上回るものとして一般に認識されている、プライバシーのポリシー及び慣行を実施し、一貫して使用するべきである。そのようなポリシーは、ユーザによって容易にアクセス可能でなければならず、データの収集及び/又は用途が変化するにつれて更新されなければならない。ユーザからの個人情報は、そのエンティティの合法的かつ正当な使用のために収集されるべきであり、それらの合法的使用を除いては、共有又は販売されるべきではない。更には、そのような収集/共有は、ユーザに告知して同意を得た後に実施されるべきである。その上、そのようなエンティティは、そのような個人情報データへのアクセスを保護及び安全化し、個人情報データへのアクセス権を有する他者が、それらのプライバシーポリシー及び手順を忠実に守ることを保証するための、あらゆる必要な措置を講じることを考慮するべきである。更に、そのようなエンティティは、広く受け入れられているプライバシーポリシー及び慣行に対する自身の遵守を証明するために、サードパーティによる評価を自らが受けることができる。更には、ポリシー及び慣行は、収集及び/又はアクセスされる具体的な個人情報データのタイプに適合されるべきであり、また、管轄権固有の考慮事項を含めた、適用可能な法令及び規格に適合されるべきである。例えば、アメリカ合衆国では、特定の健康データの収集又はそれへのアクセスは、医療保険の相互運用性と説明責任に関する法律(HIPAA)などの、連邦法及び/又は州法に準拠し得る。その一方で、他国における健康データは、他の規制及びポリシーの対象となり得るものであり、それに従って対処されるべきである。それゆえ、各国において、異なる個人データのタイプに関して異なるプライバシー慣行が保たれるべきである。
【0059】
前述のことがらにも関わらず、本開示はまた、個人情報データの使用又は個人情報データへのアクセスを、ユーザが選択的に阻止する実施形態も想到する。すなわち、本開示は、そのような個人情報データへのアクセスを防止又は阻止するために、ハードウェア要素及び/又はソフトウェア要素が提供され得ることを意図している。例えば、ユーザに表示されるコンテンツを識別する際、本技術は、ユーザが、サービスの登録中又はその後のいつでも、個人情報データの収集への参加の「オプトイン」又は「オプトアウト」を選択できるように構成されることができる。別の例では、ユーザは、サスペンション制御で使用するための個人データを提供しないことを選択することができる。更に別の実施例では、ユーザは、個人データが維持される期間を制限する、又は個人データの使用及び記憶を完全に禁止するかを選択することができる。「オプトイン」及び「オプトアウト」のオプションを提供することに加えて、本開示は、個人情報のアクセス又は使用に関する通知を提供することを意図している。例えば、ユーザの個人情報データにアクセスすることとなるアプリのダウンロード時にユーザに通知され、その後、個人情報データがアプリによってアクセスされる直前に再びユーザに注意してもよい。
【0060】
更には、本開示の意図は、個人情報データを、非意図的若しくは許可のないアクセス又は使用の危険性を最小限に抑える方法で、管理及び処理するべきであるという点である。データの収集を制限し、データがもはや必要とされなくなると削除することにより、リスクを最小化することができる。加えて、特定の健康関連アプリケーションにおいて適用可能な場合、ユーザのプライバシーを保護するために、データの匿名化を使用することができる。非特定化は、適切な場合には、特定の識別子(例えば、生年月日など)を除去すること、記憶されたデータの量又は特異性を制御すること(例えば、ロケーションデータを住所レベルよりも都市レベルで収集すること)、データがどのように記憶されるかを制御すること(例えば、データをユーザ全体にわたって集約すること)及び/又は他の方法によって、容易にすることができる。
【0061】
それゆえ、本開示は、1つ以上の様々な開示された実施形態を実施するための、個人情報データの使用を広範に網羅するものであるが、本開示はまた、そのような個人情報データにアクセスすることを必要とせずに、それらの様々な実施形態を実施することも可能であることを想到する。すなわち、本技術の様々な実施形態は、そのような個人情報データの全て又は一部が欠如することにより、動作不可能にされるものではない。例えば、サスペンション制御は、非個人情報データ、又はデバイスが利用可能な他の非個人情報若しくは公的に利用可能な情報などの最小限の個人情報に基づいて、実行され得る。
【手続補正書】
【提出日】2023-10-31
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
質量ダンパシステムであって、
ばね下質量と、
ばね上質量と、
前記ばね下質量に対して前記ばね上質量を支持するサスペンション構成要素と、
前記ばね下質量に接続されたダンパ質量と、
前記ばね上質量に接続された運動制御構成要素と、
前記ばね下質量に対する前記ダンパ質量の運動を調整するために、前記運動制御構成要素と前記ダンパ質量との間で力を伝達する流体作動式システムと、
を備える、質量ダンパシステム。
【請求項2】
前記流体作動式システムは、リーダ-フォロワ構成を使用して、前記運動制御構成要素から前記ダンパ質量に力を伝達する、請求項1に記載の質量ダンパシステム。
【請求項3】
前記流体作動式システムの前記リーダ-フォロワ構成は、前記ダンパ質量に接続された第1の流体作動式シリンダと、前記運動制御構成要素に接続された第2の流体作動式シリンダと、前記第1の流体作動式シリンダと前記第2の流体作動式シリンダとの間の流体搬送接続部と、を含む、請求項2に記載の質量ダンパシステム。
【請求項4】
前記流体搬送接続部は、前記第1の流体作動式シリンダ及び前記第2の流体作動式シリンダに接続されている流体ラインを含む、請求項3に記載の質量ダンパシステム。
【請求項5】
前記運動制御構成要素は、ばね及びダンパを含む、請求項
1に記載の質量ダンパシステム。
【請求項6】
前記運動制御構成要素は、ばね及び能動的に制御されるアクチュエータを含む、請求項
1に記載の質量ダンパシステム。
【請求項7】
前記ばね下質量は車両ホイールアセンブリを含み、前記ばね上質量は車体構造を含む、請求項
1に記載の質量ダンパシステム。
【請求項8】
前記ダンパ質量は、前記ホイールアセンブリに対して移動可能である、請求項
7に記載の質量ダンパシステム。
【請求項9】
第1の流体作動式シリンダであって、前記ダンパ質量は、前記第1の流体作動式シリンダによって前記ばね下質量に接続されており、前記ダンパ質量は、慣性力を前記第1の流体作動式シリンダに加える、第1の流体作動式シリンダと、
第2の流体作動式シリンダであって、前記運動制御構成要素は前記第2の流体作動式シリンダに接続されたばねを含み、前記運動制御構成要素は前記第2の流体作動式シリンダに接続されたダンパを含み、前記ばねと前記ダンパとが協働して合力を前記第2の流体作動式シリンダに加える、第2の流体作動式シリンダと、を更に備え、
前記流体作動式システムは、前記第1の流体作動式シリンダと前記第2の流体作動式シリンダとの間に流体搬送接続部を含み、前記流体搬送接続部は、前記第1の流体作動式シリンダと前記第2の流体作動式シリンダとの間で前記慣性力及び前記合力を伝達する、
請求項
1に記載の質量ダンパシステム。
【請求項10】
前記流体搬送接続部は、前記第1の流体作動式シリンダ及び前記第2の流体作動式シリンダに接続されている流体ラインを含む、請求項9に記載の質量ダンパシステム。
【請求項11】
前記ばね上質量は車体構造を含み、前記第2の流体作動式シリンダは前記車体構造に接続されており、前記ばねは前記車体構造に接続されており、前記ダンパは前記車体構造に接続されている、請求項
9に記載の質量ダンパシステム。
【請求項12】
第1の流体作動式シリンダであって、前記ダンパ質量は、前記第1の流体作動式シリンダによって前記ばね下質量に接続されており、前記ダンパ質量は、慣性力を前記第1の流体作動式シリンダに加える、第1の流体作動式シリンダと、
第2の流体作動式シリンダであって、前記運動制御構成要素は前記第2の流体作動式シリンダに接続されたばねと、前記第2の流体作動式シリンダに接続されたアクチュエータと、を含み、前記ばねと前記アクチュエータとが協働して合力を前記第2の流体作動式シリンダに加える、第2の流体作動式シリンダと、を更に備え、
前記流体作動式システムは、前記第1の流体作動式シリンダと前記第2の流体作動式シリンダとの間に流体搬送接続部を含み、前記流体搬送接続部は、前記第1の流体作動式シリンダと前記第2の流体作動式シリンダとの間で前記慣性力及び前記合力を伝達する、
請求項
1に記載の質量ダンパシステム。
【請求項13】
1つ以上の運動センサと、
コントローラであって、前記コントローラは、前記1つ以上の運動センサによって出力される運動信号に基づいて、前記アクチュエータに、反力を前記第2の流体作動式シリンダに印加させる、コントローラと、
を更に備える、請求項
12に記載の質量ダンパシステム。
【請求項14】
前記ばね上質量は車体構造を含み、前記第2の流体作動式シリンダは前記車体構造に接続されており、前記ばねは前記車体構造に接続されており、前記アクチュエータは前記車体構造に接続されている、請求項
12に記載の質量ダンパシステム。
【請求項15】
前記流体搬送接続部は、前記第1の流体作動式シリンダ及び前記第2の流体作動式シリンダに接続されている流体ラインを含む、請求項
12に記載の
質量ダンパシステム。
【請求項16】
前記サスペンション構成要素は、能動サスペンション構成要素である、請求項
1に記載の質量ダンパシステム。
【請求項17】
前記能動サスペンション構成要素は、電気作動式能動サスペンションアクチュエータ又は流体作動式能動サスペンションアクチュエータのうちの少なくとも1つである、請求項
16に記載の質量ダンパシステム。
【国際調査報告】