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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-01
(54)【発明の名称】積層窓
(51)【国際特許分類】
   C03C 27/12 20060101AFI20240423BHJP
   B32B 17/10 20060101ALI20240423BHJP
   G02B 1/00 20060101ALI20240423BHJP
   B60J 1/00 20060101ALI20240423BHJP
【FI】
C03C27/12 Z
B32B17/10
G02B1/00
B60J1/00 H
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023561234
(86)(22)【出願日】2022-04-05
(85)【翻訳文提出日】2023-10-04
(86)【国際出願番号】 US2022023537
(87)【国際公開番号】W WO2022216743
(87)【国際公開日】2022-10-13
(31)【優先権主張番号】63/172,317
(32)【優先日】2021-04-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】503260918
【氏名又は名称】アップル インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Apple Inc.
【住所又は居所原語表記】One Apple Park Way,Cupertino, California 95014, U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100121979
【弁理士】
【氏名又は名称】岩崎 吉信
(72)【発明者】
【氏名】キングマン デヴィッド イー
(72)【発明者】
【氏名】ゴルコ アルバート ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】メメリング デール エヌ
(72)【発明者】
【氏名】マッシュライン ピーター エフ
【テーマコード(参考)】
4F100
4G061
【Fターム(参考)】
4F100AG00B
4F100AG00C
4F100AK01D
4F100AK23
4F100AK51
4F100AK68
4F100AT00A
4F100BA04
4F100BA07
4F100DA20C
4F100DD01B
4F100DD05C
4F100GB31
4F100JN18B
4F100JN18C
4F100JN18D
4G061AA20
4G061BA01
4G061BA02
4G061CB16
4G061CB19
4G061CB20
4G061CD02
4G061CD03
4G061CD18
4G061DA02
4G061DA07
4G061DA13
4G061DA32
4G061DA36
(57)【要約】
システム内の窓は、内側窓層及び外側窓層を有し得る。内側窓層及び外側窓層は、成形ガラス板から形成され得る。内側窓層は、凹状面を有するモールドに、第1のガラス板を当てて成形することによって形成された凸状面を有し得る。内側窓層は、成形操作中にモールドに接触せず、成形凸状面よりも平滑である、反対側にある非成形面を有してもよい。外側窓層は、凸状面を有するモールドに対して第2のガラス板を成形することによって形成された成形凹状面を有してもよい。外側窓層は、成形動作中にモールドによって接触されず、成形凸状面よりも平滑である、反対側にある非成形面を有し得る。ポリマーの層は、内側と外側の窓層とを、それらの成形面が互いに向き合うように接合し得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体と、
前記本体内の窓であって、
成形面粗さを有する凸状面を有する内側窓層と、
成形面粗さを有する凹状面を有する外側窓層と、
前記内側窓層と外側窓層を取り付ける、前記凹状と凸状の面との間のポリマーと、を含む、窓と、
を備える、システム。
【請求項2】
前記内側窓層がガラス車両窓層である、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記外側窓層がガラス車両窓層である、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記凸状及び凹状の面が各々、50~150nmRaの表面粗さを特徴とする、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記ポリマーが、熱可塑性ポリウレタン、エチレン-酢酸ビニル、及びポリビニルブチラールからなる群から選択されるポリマーを含む、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記内側窓層が前記凸状面の反対側にある非成形面を有し、前記外側窓層が前記凹状面の反対側にある非成形面を有する、請求項4に記載のシステム。
【請求項7】
前記凸状面の反対側にある前記非成形面が、前記凸状面よりも小さい表面粗さを有し、前記凹状面の反対側にある前記非成形面が、前記凹状面よりも小さい表面粗さを有する、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記外側窓層が、複合曲率を有する表面を有する、請求項3に記載のシステム。
【請求項9】
前記ポリマー内に埋め込まれた光学構成要素層を更に含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記内側窓層がガラスの層であり、前記外側窓層が前記ガラスの層であり、前記ガラスが1.35~1.55の屈折率値を有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
前記ポリマーが、前記ガラスの前記屈折率値と0.1未満だけ異なる屈折率を有する、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
車両車体と、
前記車両車体の開口部を覆うように構成される車両窓であって、ポリマーの層によって互いに取り付けられた第1と第2の構造窓層を有し、前記第1の構造窓層がモールド粗面化面及び非モールド粗面化面を有し、前記第2の構造窓層がモールド粗面化面及び非モールド粗面化面を有し、前記第1の構造窓層の前記モールド粗面化面が前記第2の構造窓層の前記非モールド粗面化面に面している、車両窓と、を備える、車両。
【請求項13】
前記第1の構造窓の前記モールド粗面化面が凸状であり、前記第2の構造窓層の前記モールド粗面化面が凹状である、請求項12に記載の車両。
【請求項14】
前記モールド粗面化面が、50nm~200nmRaの表面粗さを特徴とする、請求項13に記載の車両。
【請求項15】
前記ポリマー層が、熱可塑性ポリウレタンポリマー層、エチレン-酢酸ビニルポリマー層、及びポリビニルブチラールポリマー層からなる群から選択されるポリマー層を含む、請求項14に記載の車両。
【請求項16】
前記ポリマー層内に埋め込まれた光学構成要素層を更に含む、請求項15に記載の車両。
【請求項17】
内側ガラス層及び外側ガラス層であって、前記内側ガラス層が、向き合う第1と第2の表面を有し、前記外側ガラス層が、向き合う第3と第4の表面を有し、前記第1の表面が50nm~200nmRaの表面粗さを有し、前記第3の表面が50nm~200nmRaの表面粗さを有する、内側ガラス層及び外側ガラス層と、
ポリマーであって、前記第1の表面に取り付けられており、かつ前記第3の表面に取り付けられている、前記内側ガラス層と外側ガラス層との間のポリマーと、を備える、車両窓。
【請求項18】
前記内側ガラス層が、湾曲した断面プロファイルを有し、前記外側ガラス層が、湾曲した断面プロファイルを有する、請求項17に記載の車両窓。
【請求項19】
前記第1の表面が成形面を含み、前記第2の表面が非成形面を含み、前記第3の表面が成形面を含み、前記第4の表面が非成形面を含む、請求項18に記載の車両窓。
【請求項20】
前記内側ガラス層及び外側ガラス層が1.35~1.55の共通の屈折率値を有し、前記ポリマー層が前記屈折率値の0.1以内の屈折率を有し、前記第1の表面の少なくとも一部が凸状であり、前記第3の表面の少なくとも一部が凹状である、請求項19に記載の車両窓。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
これは、概して、光を通過させる構造体に関し、より具体的には、窓に関する。
(関連出願の相互参照)
本出願は、2021年4月8日に出願された米国仮特許出願第63/172,317号に対する優先権を主張するものであり、本明細書における参照によりその全体が本明細書内に組み入れられる。
【背景技術】
【0002】
窓は、建物及び車両において使用される。窓は、ガラス又は他の透明材料から形成され得る。
【発明の概要】
【0003】
建物又は車両などのシステムは、窓を有し得る。窓は、ポリマー層で内側窓層と外側窓層を一体に取り付けさせることによって形成された積層窓を含み得る。
【0004】
窓内の内側窓層及び外側窓層は、成形ガラス板から形成され得る。内側窓層は、凹状面を有するモールドに、第1のガラス板を当てて成形することによって形成された凸状面を有し得る。成形工程は、テクスチャ表面を作り出し得る。
【0005】
ポリマー層が、内側窓層と外側窓層を接合し得る。反射を軽減し、テクスチャ表面の粗さによる光の散乱を防ぐように、ポリマー層の屈折率が成形ガラス板の屈折率と整合し得る。オプションで、ポリマー層内に光学構成要素層が埋め込まれ得る。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】一実施形態に係る窓を有する例示的なシステムの断面図である。
図2】実施形態に係る、例示的な窓ガラス製造設備の側断面図である。
図3】実施形態に係る、例示的な窓ガラス製造設備の側断面図である。
図4】実施形態に係る、例示的な窓ガラス製造設備の側断面図である。
図5】実施形態に係る、例示的な窓ガラス製造設備の側断面図である。
図6】実施形態に係る、嵌合成形面を有するガラス層の加工に使用され得るタイプの窓ガラス加工設備の側面図である。
図7】実施形態に係る、図6に示すタイプのガラス層から積層窓を形成するために使用される例示的な積層設備の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
システムは、窓を設けられ得る。例えば、車両又は他のシステムは、ガラス窓を有し得る。積層ガラス窓は、接着剤で2つ以上のガラス層を一体に取り付けさせることによって形成され得る。いくつかの構成では、ガラス層は、積層の前に湾曲した形状を形成するように成形され得る。
【0008】
窓が使用されるシステムは、建物、車両、又はその他の適切なシステムであり得る。本明細書において時々、システムが自動車などの車両である例示的な構成が一例として説明される。これは、単なる例示に過ぎない。窓は、任意の適切なシステム内に形成され得る。
【0009】
窓を含み得るタイプの例示的なシステムを図1に示す。システム10は、車両、建物、又は他のタイプのシステムであり得る。例示的な構成では、システム10は車両である。図1に示すように、システム10は、本体12などの支持構造体を有し得る。本体12は、ドア、トランク構造体、フード、側部車体パネル、ルーフ、及び/又は他の車体構造体を含む車両車体であり得る。本体12は、内部領域18の周りを囲み、それを囲い込むように構成され得る。システム10は、車輪を搭載した車台を含んでもよく、推進及び操舵システムを含んでもよく、その他の車両システムを含んでもよい。座席は、本体12の内部領域18内に形成され得る。車両窓であり得る窓14、及び本体12の部分を使用して、システム10内の内部領域18を、システム10を取り囲む外部環境(外部領域16)から分離し得る。
【0010】
窓14などの窓は、本体12に結合され得、本体12の開口部を覆うように構成され得る。必要に応じて、窓14を開閉するのに、電動窓ポジショナを使用し得る。窓14などシステム10内の窓は、車両の前部で本体12内の開口部に搭載されたフロント窓、ムーンルーフ(サンルーフ)窓又は車両の最上部の一部若しくは全体に全体に広がる窓、車両の後方にあるリア窓、及び/又は車両の側部にあるサイド窓を含み得る。窓14は、平坦であってもよく(例えば、窓14は、図1のX-Y平面内に位置してもよい)、又は窓14は、1つ以上の湾曲した部分を有してもよい(例えば、窓14は、湾曲した断面プロファイルを有してもよく、窓14の凸状面が図1の方向Zにおいて外向きになるように、X-Y平面にほぼ平行に位置するように配向されてもよい)。システム10内の各窓14の面積は、(例として)少なくとも0.1m2、少なくとも0.5m2、少なくとも1m2、少なくとも5m2、少なくとも10m2、20m2未満、10m2未満、5m2未満、又は1.5m2未満であり得る。
【0011】
システム10は、制御回路構成及び入出力デバイスを含み得る。システム10内の制御回路構成は、1つ以上のプロセッサ(例えば、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、特定用途向け集積回路など)及び記憶装置(例えば、揮発性及び/又は不揮発性メモリ)を含み得る。システム10内の入出力デバイスは、ディスプレイ、センサ、ボタン、発光ダイオード及び他の発光デバイス、触覚デバイス、スピーカ、並びに/又は出力を提供し、かつ/若しくは環境測定値及び/若しくはユーザ入力を収集するための他のデバイスを含み得る。センサは、周辺光センサ、タッチセンサ、力センサ、近接センサ、光学センサ、容量センサ、抵抗センサ、超音波センサ、マイクロフォン、3次元及び/若しくは2次元画像センサ、無線周波数センサ、並びに/又は他のセンサを含み得る。出力デバイスは、触覚出力、音声出力、視覚出力(例えば、表示コンテンツ、光など)、及び/又は他の好適な出力をユーザに提供するために使用され得る。動作中、システム10内の制御回路構成は、ユーザ入力、環境情報、センサ及び/又は他の入出力デバイスからの他の情報を収集し得、収集した情報に基づいて、システム10内の入出力デバイスからの他の情報を収集し得、収取した情報に基づいて、システム10内の他の調整可能な構成要素を制御し得る。
【0012】
窓14は、透明ガラス、クリアポリマー(例えば、ポリカーボネート、アクリルなど)、ポリマー接着剤、及び/又は他の層の1つ以上の層から形成され得る。例えば、窓14は、接着剤で一体に積層された2つのガラス層又は3つのガラス層から形成され得る。ガラス層は、(例えば、ガラス層の表面上に圧縮応力を生成するように)化学的又は熱的に強化されてもよい。図1の例示的な構成では、窓14は、外側窓層20及び内側窓層24(例えば、外側及び内側構造ガラス層及び/又は透明材料の他の層)から形成される。層20及び層24の厚さは、例えば、0.5mm~3mm、少なくとも0.3mm、少なくとも0.5mm、4mm未満、3mm未満、又は他の好適な厚さであり得る。外側層20と内側層24は、介在接着剤層22(例えば、一方の表面が外側窓層20の内向き表面に接着され、反対側の表面が内側窓層24の外向き表面に接着された接着剤層)などのポリマー層を使用して一体に積層され得る。接着剤層22は、層20及び層24の屈折率と整合する(例えば、0.1以内、0.07以内、0.05以内、又は0.03以内の)屈折率を有し得る。接着層22を形成するために使用され得るポリマーの例としては、熱可塑性ポリウレタン、エチレン-酢酸ビニル、及びポリビニルブチラールが挙げられる。層22は、必要に応じて、音響減衰を提供するように構成されたポリマー(例えば、層22内に埋め込まれた軟質ポリビニルブチラール副層又は他の音響フィルム)を含み得る。
【0013】
外側窓層20は、構造用窓ガラスの単一の層から形成されてもよく、又はガラス、光学的にクリアな接着剤、及び/又はポリマーフィルムの1つ以上の層などの複数の副層を含んでもよい。内側窓層24は、同様に、構造用窓ガラスの単一の層から形成されてもよく、又はガラス、光学的にクリアな接着剤、及び/又はポリマーフィルムの1つ以上の層などの複数の副層を含んでもよい。この例では、層20及び24は、成形板ガラスから形成されたガラス層である。
【0014】
必要に応じて、任意の固定及び/又は調整可能な光学構成要素が窓14に組み入られ得る。図1に示すように、例えば、光学層28などの1つ以上の光学構成要素が窓14に組み入られ得る(例えば、層28などの1つ以上の層が接着剤層22に埋め込まれ得る)。各層28は、固定及び/又は調整可能な量の不透明度、偏光、反射、色かぶり、ヘイズ、及び/又は他の光学特性を提供する固定及び/又は調整可能な光学層であり得る。例示的な構成では、層28は、光源26からの光を受け取る導光体であり得る。光源26は、一例として、全内部反射によって導光体内において窓14を横切ってガイドされる可視光を提供し得る。導光体から導波光の一部を、(例えば、内部領域18の照明を生成するように内向きに、及び/又は外向きに)抽出するために、光散乱構造体が窓14に設けられ得る。照明付き導光体及び/又は1つ以上の追加の固定及び/又は調整可能な光学層を含む窓14の配置も使用され得る。本明細書において時々、図1の光学構成要素層28のような光学構成要素が省略された窓14の構成が一例として説明される。
【0015】
システム10内の窓は、完全に平面状であってもよく(例えば、窓14の内側及び外側の表面が平坦であってもよい)、及び/又はシステム10内の窓の一部又は全部が表面曲率を有してもよい。各窓の内側及び外側表面は、一例として、複合曲率(例えば、図1のX及びY方向に沿って切り取った湾曲した断面プロファイルを特徴とする非可展面)を有し、及び/又は可展面(歪みなく平坦化可能な、0ガウス曲率を有する表面)を有し得る。湾曲した窓形状は、ガラスが成形するのに十分軟化するまでガラスを加熱することによって形成され得る。必要に応じて、加熱された窓ガラスは、少なくとも部分的に重力によって形作られる。所望の湾曲した窓形状を得るために、窓の内側及び外側構造体の成形に、モールドダイからの圧力などの追加の力を使用し得る。
【0016】
一例として、図2図3図4、及び図5に示す例示的なガラス成形操作を考えてみる。ガラス成形操作中に、板ガラスのシートを湾曲した断面プロファイルを有する形状に成形するために、成形設備を使用し得る。平板ガラスシート(例えば、ソーダ石灰シリカガラス素材のシート)を所望の形状に成形して、図1の外側窓層20のような外側窓層及び図1の内側窓層24のような内側窓層を形成し得る。これらの成形窓層は、湾曲した断面プロファイルを特徴とし、そして複合曲率のない表面を有し得(例えば、窓層は可展面のみを有する)、可展面領域のない表面を有し得(例えば、窓層は複合曲率のみを持つ表面を有する)、及び/又は可展面を特徴とする1つ以上の領域と複合曲率を特徴とする1つ以上の領域の両方を有し得る。
【0017】
図2に示すように、内側窓層24を形成するための平板ガラス層を、成形設備52の炉50内で加熱し得る。設備52は、モールド54のような、所望の湾曲した形状を有するモールドを含み得る。モールド54は、高温に耐えられるグラファイトなどの材料から形成され得る。モールド54の開口部及び/又は多孔質のモールド材料(例えば、多孔質グラファイト)を通じて、真空圧を加え得る。炉50で熱を加えると、層24のガラスは軟化する。
【0018】
層24を熱で軟化させた後、層24は重力によって垂れ下がって、図3の部分的に変形した形状を形成し得る。次いで、図4の矢印56で示すように、層24のモールドに面する表面に真空を加え得る。加えられた真空は、モールド54の湾曲した表面に対して層24を下向きに引っ張って、ガラス層24を所望の形状に形成する。
【0019】
この工程によって、外側に向いた凸状面(表面58)を特徴とする内側窓層24の形状が得られる。層24の凸状成形面と、その向き合うモールド54の凹状面との間の接触に起因して(例えば、成形面にインプリントされた成形用凹状面上の粗さに起因して)、表面58に表面テキスチャ(粗さ)が存在し得る。
【0020】
外側窓層20は、凸状面を有するモールドを使用して形成され得る。例えば、図5に示すように、外側窓層20(例えば、板ガラスの層)を、成形設備52’の炉50’内に入れて、モールド54’に当てて成形し得る。層20を軟化させるために、層20は最初に炉50’内で加熱される。軟化したガラス層20は、図3の設備52内の層24に関連して説明したのと同様に、重力によって垂れ下がる。次に、層20に真空56’を加えることによって、層20をモールド54’の露出した凸状面に当てて成形し得る。モールド54’は、多孔質グラファイトなどの多孔質材料から形成され得、及び/又は真空56’がモールド54’の露出した凸状面に対して層20を引っ張るのを可能にするための真空開口部を有し得る。真空によって印加される圧力によって、層20の凹状面60はモールド54’の形状を持つようになり、これによって、ガラス層20を所望の最終的な形状に形成する。モールド54と接触する層24の表面(表面58)と同様に、凹状面60とモールド54’の対応する露出した粗い凸状面との間の接触に起因して、層20の表面60は粗く成り得る。
【0021】
図5のモールド54’の凸状面の形状は、図4のモールド54の凹状面の形状と整合し得る。その結果、図6に示すように、外側層20の凹状面60は、内側窓層24の対応する凸状面58と嵌合するようになる。凹状面60は、図5のモールド54’との接触に起因する成形面粗さを有する成形面である。その反対側にある表面61は、モールドに押し付けられていない非成形面であり、よって、成形面60よりも少ない表面粗さを特徴とする。凸状面58は、図4のモールド54との接触に起因する成形面粗さを有する成形面である。その反対側にある表面59は、成形面58よりも少ない表面粗さを特徴とする非成形面である。(文脈で、成形ガラス層の整合する凹状と凸状の面上のモールド粗面化面58と60を作り出すモールドの使用を説明することもあるが、プレス曲げなどの他のガラス成形工程も粗い表面を有する層20及び24の形成に使用し得ることを理解されたい。)
【0022】
積層用の窓層20と24を用意するために、加工設備62を使用して層20及び24の縁部をトリミングし、そしてオプションで表面58及び60を処理し得る。一例として、設備62は切断ツール64を含み得る。ツール64は、電気的に制御されるポジショナを有するレーザーカッターなどのコンピュータ制御カッター、研削ツール、又はウォータージェットカッターなどのコンピュータ制御カッターであり得る。これらのポジショナは、層20の周囲及び層24の周囲に切り目66(例えば、窓14の所望の輪郭を形成する周囲切り目)を形成するように制御され得る。窓14の輪郭は、一例として、長方形、三角形、楕円形、円形などであってもよく、直線状及び/又は湾曲した縁部セグメントを有してもよく、及び/又は他の適切な輪郭形状を有してもよい。
【0023】
必要に応じて、ツール68は、化学エッチング液を塗布するために(例えば、表面58及び/又は表面60を化学的に処理することによって表面58及び/又は表面60を化学的にエッチングして平滑性を高めるために)オプションで使用されてもよく、ツール68は、表面58及び/又は表面60を(例えば、研磨ヘッドを表面58及び/又は60にわたって移動させることによって)機械的に研磨するために使用されてもよく、及び/又はツール68は、表面粗さの低減を助けるために化学的と機械的研磨手法の組合せを使用してもよい。化学エッチング液(及び、必要に応じて研磨)の使用は、さもなければ表面58及び60に残る可能性があるマイクロクラックを広げるのを助けることができる。表面58及び60内のクラックを広げることによって(例えば、化学エッチング液を使用して表面58及び60を化学的にエッチングすることによって)、これらのクラックは、後続の積層操作中にポリマー(例えば、接着剤22及び/又は他のポリマー、後に硬化される液体ポリマー、熱可塑性ポリウレタン、エチレン酢酸ビニル、ポリビニルブチラール、及び/又は他のポリマー材料)を受け入れるのに十分な大きさになることができる(例えば、閉じ込められた気泡又は他の空隙は、さもなければポリマーが表面58及び60に塗布されるときに空隙形成を促進するのに十分に狭いクラックを、表面58及び60を化学的にエッチングして広げることによって減少され得る)。
【0024】
必要に応じて、(例えば、加工の複雑さを低減するのを助けるために)ツール68などの表面処理ツールの使用を回避することができる。
【0025】
層20及び24を成形するために使用される成形工程は、1~7%、5~9%、10%未満、8%未満、5%未満、少なくとも2%、少なくとも4%、少なくとも6%の表面歪み、又は他の表面歪みを導入し得る。成形中に、表面58及び60とモールド54及び54’の対応する表面との間の接触は、表面58及び60に表面粗さを導入し得る。一例として、表面58及び60などのモールド粗面化面は、約100nmRaの粗さ値(例えば、少なくとも10nmRa、少なくとも20nmRa、少なくとも40nmRa、少なくとも80nmRa、又は少なくとも160nmRa、1000nmRa未満、500nmRa未満、250nmRa未満、140nmRa未満、70nmRa未満、25~400nmRa、50~200nmRa、又は他の表面粗さ値)を特徴とし得る。これらのような粗い表面は、表面特徴からの光散乱に起因して窓14に望ましくないヘイズを生じさせる可能性がある。
【0026】
接着剤層22の厚さ及び屈折率は、層20及び24の表面粗さに起因する窓14のヘイズを解消又は少なくとも(例えば、例として、2%未満、1%未満、又は0.5%未満のヘイズ値まで)低減させると同時に、層20と24を満足に一体に取り付けさせるように構成され得る。図7は、加工設備62内の積層設備(例えば、真空積層設備)を使用して層20と24が一体に積層される際に、接着剤層22が層20と24との間にどのように形成され得るかを示す。図7に示すように、液体接着剤が表面58と60との間に散布されてもよく、圧力が設備62によって(例えば、積層ダイ70を使用して層20と24を方向72に一体にプレスすることによって加えられてもよい。層22を形成する液体ポリマーは、熱、光(例えば、紫外線)、触媒などの適用によって硬化され得る。
【0027】
表面58及び60に関連する成形面粗さに起因する望ましくない光散乱を回避するために、層22の厚さは、表面58と60のガラスを互いに直接接触しないように分離するのに十分であり得、層22の屈折率は、層20及び24の屈折率と整合し得る。一例として、層22の厚さは、0.076mm、少なくとも0.030mm、0.14mm未満、0.03~0.1mmなどであり得、層22の屈折率は、0.2以内、0.1以内、又は0.05以内で層20及び24の屈折率と整合し得る。
【0028】
層20及び24の屈折率は、約1.4~1.5であり得る。例えば、層20及び層24は各々、少なくとも1.3、少なくとも1.35、少なくとも1.4、少なくとも1.45、1.6未満、1.5未満、1.45未満、1.35~1.55、1.4~1.5、1.4~1.5、1.45~1.55、1.4~1.6、1.3~1.6、1.35~1.55の屈折率値、又は他の好適な屈折率値を有し得る。層20と24は同じ屈折率値を有してもよく、又は層20と24の屈折率値は異なっていてもよい。例示的な構成では、層20と24は、共通の屈折率値を共有する。層22と層24との間の界面における光反射を回避するのを助けるため、及び層20と層22との間の界面における光反射を回避するのを助けるため、及び表面58及び60の成形面粗さに起因する光散乱からのヘイズを回避するのを助けるために、層22の屈折率は、層20及び24の屈折率と、0.2以内、0.15以内、0.1以内、0.05以内、又は他の適切な整合量で整合し得る。厳密に整合された屈折率値(例えば、層22の屈折率が層20及び24の屈折率よりも0.1未満又は0.05未満だけ上又は下にはずれる値)は、あまり厳密に整合されていない屈折率値(例えば、層22の屈折率が層20及び24の屈折率よりも少なくとも0.1だけ大きい又は小さい値)よりも光反射が少なくなる。しかしながら、一般に、任意の適切な屈折率値が層22のポリマーに使用され得る。
【0029】
必要に応じて、図1の層28などの1つ以上の光学構成要素層が層22内に埋め込まれ得る。図7の窓14の形成に続いて、窓14は、本体12の開口部に設置され得る(例えば、図1参照)。
【0030】
一実施形態によれば、本体と、成形面粗さを有する凸状面を有する内側窓層を含む本体内の窓と、成形面粗さを有する凹状面を有する外側窓層と、凹状と凸状の面との間にあり、内側窓層と外側窓層を取り付けさせるポリマーと、を含むシステムが提供される。
【0031】
別の実施形態によれば、内側窓層はガラス車両窓層である。
【0032】
別の実施形態によれば、外側窓層はガラス車両窓層である。
【0033】
別の実施形態によれば、凸状及び凹状の面は各々、50~150nmRaの表面粗さを特徴とする。
【0034】
別の実施形態によれば、ポリマーは、熱可塑性ポリウレタン、エチレン-酢酸ビニル、及びポリビニルブチラールからなる群から選択されるポリマーを含む。
【0035】
別の実施形態によれば、内側窓層は、凸状面の反対側にある非成形面を有し、外側窓層は、凹状面の反対側にある非成形面を有する。
【0036】
別の実施形態によれば、凸状面の反対側にある非成形面は、凸状面よりも小さい表面粗さを有し、そして凹状面の反対側にある非成形面は、凹状面よりも小さい表面粗さを有する。
【0037】
別の実施形態によれば、外側窓層は、複合曲率を有する表面を有する。
【0038】
別の実施形態によれば、システムは、ポリマー内に埋め込まれた光学構成要素層を含む。
【0039】
別の実施形態によれば、内側窓層はガラスの層であり、外側窓層はガラスの層であり、ガラスは1.35~1.55の屈折率値を有する。
【0040】
別の実施形態によれば、ポリマーは、ガラスの屈折率値と0.1未満だけ異なる屈折率を有する。
【0041】
一実施形態によれば、車両車体と、車両車体の開口部を覆うように構成された車両窓と、を含む、車両が提供され、車両窓は、ポリマーの層によって互いに取り付けられた第1と第2の構造窓層を有し、第1の構造窓層はモールド粗面化面及び非モールド粗面化面を有し、第2の構造窓層はモールド粗面化面及び非モールド粗面化面を有し、第1の構造窓層のモールド粗面化面は第2の構造窓層の非モールド粗面化面に面する。
【0042】
別の実施形態によれば、第1の構造窓のモールド粗面化面は凸状であり、第2の構造窓層のモールド粗面化面は凹状である。
【0043】
別の実施形態によれば、モールド粗面化面は、50nm~200nmRaの表面粗さを特徴とする。
【0044】
別の実施形態によれば、ポリマー層は、熱可塑性ポリウレタンポリマー層、エチレン-酢酸ビニルポリマー層、及びポリビニルブチラールポリマー層からなる群から選択されるポリマー層を含む。
【0045】
別の実施形態によれば、車両は、ポリマー層内に埋め込まれた光学構成要素層を含む。
【0046】
一実施形態によれば、内側及び外側のガラス層であって、内側ガラス層が、向き合う第1と第2の表面を有し、外側ガラス層が、向き合う第3と第4の表面を有し、第1の表面が50nm~200nmRaの表面粗さを有し、第3の表面が50nm~200nmRaの表面粗さを有する、内側ガラス層及び外側ガラス層と、ポリマーであって、第1の表面に取り付けられ、かつ第3の表面に取り付けられる、内側ガラス層と外側ガラス層との間のポリマーと、を含む、車両窓が提供される。
【0047】
別の実施形態によれば、内側ガラス層は、湾曲した断面プロファイルを有し、外側ガラス層は、湾曲した断面プロファイルを有する。
【0048】
別の実施形態によれば、第1の表面は成形面を含み、第2の表面は非成形面を含み、第3の表面は成形面を含み、第4の表面は非成形面を含む。
【0049】
別の実施形態によれば、内側及び外側のガラス層は1.35~1.55の共通の屈折率値を有し、ポリマー層は屈折率値の0.1以内の屈折率を有し、第1の表面の少なくとも一部は凸状であり、第3の表面の少なくとも一部は凹状である。
【0050】
上記は、単なる例示に過ぎず、様々な修正を記載の実施形態に行ってもよい。上記の実施形態は、個々に又は任意の組合せで実装されてもよい。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【国際調査報告】