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特表2024-518446中に液体を保持するためのパウチを製造するための方法及び中に液体を保持するためのパウチ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-01
(54)【発明の名称】中に液体を保持するためのパウチを製造するための方法及び中に液体を保持するためのパウチ
(51)【国際特許分類】
   B65D 33/36 20060101AFI20240423BHJP
   B31B 70/64 20170101ALI20240423BHJP
【FI】
B65D33/36
B31B70/64
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023568602
(86)(22)【出願日】2022-05-18
(85)【翻訳文提出日】2023-11-16
(86)【国際出願番号】 US2022029815
(87)【国際公開番号】W WO2022245930
(87)【国際公開日】2022-11-24
(31)【優先権主張番号】21174963.5
(32)【優先日】2021-05-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】397058666
【氏名又は名称】カーギル インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【弁理士】
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100132263
【弁理士】
【氏名又は名称】江間 晴彦
(74)【代理人】
【識別番号】100221501
【弁理士】
【氏名又は名称】式見 真行
(72)【発明者】
【氏名】バルドイ、アルベルト
【テーマコード(参考)】
3E064
3E075
【Fターム(参考)】
3E064BA26
3E064BA30
3E064BA60
3E064BC18
3E064EA04
3E064FA04
3E064FA05
3E064GA04
3E064HM01
3E064HN05
3E064HP01
3E064HS05
3E075BA42
3E075BA46
3E075DD12
3E075GA04
(57)【要約】
本発明は、中に液体を保持するためのパウチを製造する方法が提供されており、方法は、前面層及び背面層を提供することと、内部空間を作成するために、前面層と背面層とを一緒に局所的に接合することと、注入チャネルの境界を画定する接合部を形成するために、前面層と背面層とを一緒に局所的に接合することによって、注入チャネルを形成することと、を含み、注入チャネルを形成することは、加熱面を形成するグリッド状に配置された複数の加熱要素を有する加熱装置であって、加熱要素の各々が、個別に動作可能である、加熱装置を提供することと、境界を作成するために必要な加熱要素が動作し、それによって加熱されるように、加熱装置を動作させることと、加熱面を前面層又は背面層に接触させ、それにより、注入チャネルの境界を画定する接合部を形成するように前面層と背面層とを一緒に局所的に接合することと、によって行われる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
中に液体を保持するためのパウチ(1)を製造する方法であって、前記方法が、
-前面層(2)及び背面層(3)を提供することと、
-前記前面層と前記背面層との間の前記パウチの内部空間(4)が接合によって作成され、前記内部空間が前記液体を保持するように構成されるような方法で、前記前面層と前記背面層とを一緒に局所的に接合することと、
-注入チャネル(6)の境界を画定する接合部(7)を形成するように前記前面層と前記背面層とを一緒に局所的に接合することによって、前記注入チャネルを形成することと、を含み、前記注入チャネルが、少なくとも前記パウチの使用時に、前記注入チャネルの開放状態において、液体が前記内部空間から前記注入チャネルを介して流出方向(8)に前記パウチから流出することを可能にし、
前記注入チャネルを前記形成することが、
-加熱面(34)を形成するグリッド状に配置された複数の加熱要素(32)を有する加熱装置(30)であって、前記加熱要素の各々が、前記注入チャネルの境界を画定する接合部(7)の一部を作成するように個別に動作可能である、加熱装置(30)を提供することと、
-前記複数の加熱要素のうちの、前記境界を作成するために必要な加熱要素が動作し、それによって加熱されるように、前記加熱装置(30)を動作させることと、
-前記加熱面(34)を前記前面層又は前記背面層に接触させ、それにより、前記注入チャネル(6)の前記境界を画定する前記接合部(7)を形成するように前記前面層と前記背面層とを一緒に局所的に接合することと、を含む、方法。
【請求項2】
前記複数の加熱要素(32)の各々が、前記加熱面(34)で、かつ前記加熱面の平面において、共に1~5mmの範囲の長さ(L)及び幅(w)を有し、前記長さ及び前記幅が、好ましくは等しく、前記加熱面を形成するグリッドが、長さ方向及び幅方向に少なくとも10個、好ましくは15~50個の加熱要素を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記注入チャネルが、前記開放状態での使用時に、前記注入チャネルの液体流れ抵抗が前記流出方向とは反対の流入方向(9)においてよりも前記流出方向(8)において大きくなるように設計されている、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記前面層及び前記背面層が両方とも、コポリマーを含む熱可塑性ポリマー又はその混合物からなる群から選択されるポリマーから作られ、前記ポリマーが、好ましくは、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)、及びポリ乳酸(PLA)からなる群から選択される、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
中に液体を保持するためのパウチ(1)であって、前記パウチが、請求項1~4のいずれか一項に従って製造されたものであり、前記パウチが、一緒に接合された前面層(2)及び背面層(3)と、前記接合によって画定されており、かつ前記液体を保持するように構成された、前記前面層と前記背面層との間の前記パウチの内部空間(4)と、を有し、前記パウチが、注入チャネル(6)を備え、前記注入チャネル(6)により、前記パウチの使用時に、少なくとも前記注入チャネルの開放状態において、液体が前記内部空間から前記注入チャネルを介して流出方向(8)に前記パウチから流出することを可能にし、前記注入チャネルが、前記注入チャネルの境界を画定する接合部(7)を形成するように前記前面層と前記背面層とを一緒に局所的に接合することによって形成されている、パウチ(1)。
【請求項6】
前記注入チャネルが、前記開放状態での使用時に、前記注入チャネルの液体流れ抵抗が前記流出方向とは反対の流入方向においてよりも前記流出方向において大きくなるように、前記局所接合によって設計及び形成されている、請求項5に記載のパウチ。
【請求項7】
前記注入チャネルが、液体が前記流出方向(8)に流れ得る主チャネル(16)と、各々が前記主チャネルから分岐する複数の分岐チャネル(20)と、を有し、前記複数の分岐チャネルの各々が、少なくとも部分的に前記流出方向とは反対の逆流方向(22)において前記主チャネルに戻るように開く、請求項5又は6に記載のパウチ。
【請求項8】
前記注入チャネルが、流出開口部(14)を有し、前記液体が、前記流出開口部(14)を介して前記パウチから流出し得、前記注入チャネルが、前記流出方向における前記流出開口部での前記液体の圧力が所定の閾値未満であるときに、前記流出開口部での前記前面層及び前記背面層が互いに接触したままであるように設計されており、前記閾値を超える前記流出方向における前記流出開口部での前記液体の圧力が、前記流出開口部の位置で前記前面層及び前記背面層を分離させ、それによって前記パウチから液体を流出させる、請求項5、6又は7に記載のパウチ。
【請求項9】
引き剥がしゾーン(10)を更に有し、前記引き剥がしゾーン(10)の第1の状態では、前記注入チャネルがその閉鎖状態にあるように前記注入チャネルの液体流出開口部(14)を閉じ、前記引き剥がしゾーン(10)が、前記引き剥がしゾーンの少なくとも一部が前記パウチの使用者によって除去されて、その結果、前記注入チャネルがその前記開放状態にあり、液体が前記パウチから注ぎ出得る、第2の状態を有する、請求項5~8のいずれか一項に記載のパウチ。
【請求項10】
中に液体を保持するためのパウチ(1)であって、一緒に接合された前面層(2)及び背面層と、前記接合によって画定されており、かつ前記液体を保持するように構成された、前記前面層と前記背面層との間の前記パウチの内部空間(4)と、を有し、前記パウチが、注入チャネル(6)を備え、前記注入チャネル(6)により、前記パウチの使用時に、少なくとも前記注入チャネルの開放状態において、液体が前記内部空間から前記注入チャネルを介して流出方向に前記パウチから流出することを可能にし、前記注入チャネルが、前記注入チャネルの境界を画定する接合部を形成するように前記前面層と前記背面層とを一緒に局所的に接合することによって形成されており、
前記注入チャネルが、使用時に、前記注入チャネルの液体流れ抵抗が前記流出方向とは反対の流入方向(9)においてよりも前記流出方向(8)において大きくなるように設計されている、パウチ(1)。
【請求項11】
前記注入チャネルが、液体が前記流出方向(8)に流れ得る主チャネル(16)と、各々が前記主チャネルから分岐する複数の分岐チャネル(20)と、を有し、前記複数の分岐チャネルの各々が、少なくとも部分的に前記流出方向とは反対の逆流方向(22)において前記主チャネルに戻るように開く、請求項10に記載のパウチ。
【請求項12】
中に液体を保持するための、請求項5若しくはその従属請求項に記載の、又は請求項10若しくはその従属請求項に記載のパウチの使用。
【請求項13】
前記液体が、水性媒体などの親水性液体、油などの疎水性液体、並びにトマトペースト、液体バター、及びマヨネーズのようなよりペースト状の材料からなる群から選択されるが、ハーブペースト、歯みがき粉、化粧品ゲルも含み、前記液体が好ましくは食用油である、請求項12に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれている2021年05月20日に出願された欧州特許出願第21174963.5号の利益を主張するものである。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、中に液体を保持するためのパウチの製造方法に関する。更に、本発明は、中に液体を保持するためのパウチ、及びそのようなパウチの使用に関する。
【背景技術】
【0003】
米国特許出願公開第2006/0182370(A1)号は、可撓性材料で作られた2つの壁を含む、液体を保持するための可撓性容器に関し、当該壁の重なり合う自由縁部は、容器の内側の密封容積を画定するように、溶接又は接着シームによって一緒に組み立てられる。2つの壁はまた、注ぎ口を画定する。2つの壁を一緒に溶接又は接合することによって形成された障害物は、流出チャネルに対向し、かつそれに近接して内部容積内に配置される。液体が内部容積内に存在するときに、障害物及び折り目によって画定された注ぎ口の一部分が撓む。
【0004】
中に食用液体を保持するための既知のパウチは、中に液体を保持するための内部空間を画定する前面層及び背面層から作られる。パウチから液体を注ぎ出すために、パウチは、前面層と背面層との間に接合されたポリマーブロックで作られた注入口を有する。ブロックは、ブロックを貫通する注入チャネルと、プラグ又はキャップなどの閉鎖要素とを有する。このようなパウチは、コストが比較的高く、主に注入口の設計のために製造が比較的困難である。ポリマーブロックの代わりに、このようなパウチは、前面層及び背面層を一緒に溶融することによって画定される長く狭い注入チャネルを有する注入口を有し得る。しかしながら、このような注入口を正確に製造することは困難である。
【0005】
本発明は、上記の問題のうちの1つ以上に対処する。
【発明の概要】
【0006】
一態様において、本発明は、中に液体を保持するためのパウチを製造する方法に関し、方法は、
-前面層及び背面層を提供することと、
-前面層と背面層との間のパウチの内部空間が接合によって作成され、内部空間が液体を保持するように構成されるような方法で、前面層と背面層とを一緒に局所的に接合することと、
-注入チャネルの境界を画定する接合部を形成するように前面層と背面層とを一緒に局所的に接合することによって、注入チャネルを形成することと、を含み、注入チャネルは、少なくともパウチの使用時に、注入チャネルの開放状態において、液体が内部空間から注入チャネルを介して流出方向にパウチから流出することを可能にし、
注入チャネルを形成することは、
-加熱面を形成するグリッド状に配置された複数の加熱要素を有する加熱装置であって、加熱要素の各々が、注入チャネルの境界を画定する接合部の一部を作成するように個別に動作可能である、加熱装置を提供することと、
-複数の加熱要素のうちの、境界を作成するために必要な加熱要素が動作し、それによって加熱されるように、加熱装置を動作させることと、
-加熱面を前面層又は背面層に接触させ、それにより、注入チャネルの境界を画定する接合部を形成するように前面層と背面層とを一緒に局所的に接合することと、を含む。
【0007】
注入チャネルの境界を画定する接合部を形成するための局所接合は、内部空間を作成するための局所接合に続いて行われ得る。他の実施形態では、注入チャネルを形成する目的のための接合は、内部空間を作成する目的のための接合の前に、又は少なくとも部分的にそれと同時に行われ得る。要素が加熱されるように加熱装置を動作させるステップは、好ましくは、加熱面を前面層又は背面層に接触させる前に実行されるが、それと少なくとも部分的に同時に、又はその後に実行され得る。
【0008】
別の態様において、本発明は、中に液体を保持するためのパウチに関し、パウチは、本発明による製造方法に従って製造されたものであり、パウチは、一緒に接合された前面層及び背面層と、接合によって画定されており、かつ液体を保持するように構成された、前面層と背面層との間のパウチの内部空間と、を有する。パウチは、注入チャネルを備え、注入チャネルにより、パウチの使用時に、少なくとも注入チャネルの開放状態において、液体が内部空間から注入チャネルを介して流出方向にパウチから流出することを可能にする。注入チャネルは、注入チャネルの境界を画定する接合部を形成するように前面層と背面層とを一緒に局所的に接合することによって形成されている。
【0009】
更なる態様において、本発明は、中に液体を保持するためのパウチに関し、パウチは、一緒に接合された前面層及び背面層と、接合によって画定されており、かつ液体を保持するように構成された、前面層と背面層との間のパウチの内部空間と、を有する。パウチは、注入チャネルを備え、注入チャネルにより、パウチの使用時に、少なくとも注入チャネルの開放状態において、液体が内部空間から注入チャネルを介して流出方向にパウチから流出することを可能にする。注入チャネルは、注入チャネルの境界を画定する接合部を形成するように前面層と背面層とを一緒に局所的に接合することによって形成されており、注入チャネルは、使用時に、注入チャネルの液体流れ抵抗が流入方向とは反対の流出方向において大きくなるように、つまり流出方向とは反対の流入方向においてよりも大きくなるように設計されている。
【0010】
更に別の態様において、本発明は、中に液体を保持するためのそのようなパウチの使用に関する。
【0011】
以下に、本発明のいくつかの好ましい特徴を開示する。これらの特徴は、本発明による製造方法、パウチ、及びパウチの使用に適用可能である。
【0012】
本発明による方法の利点は、注入チャネルを形成する特定のステップによって、比較的複雑な形状又はチャネルレイアウトを含む、非常に正確に成形された注入チャネルを前面層と背面層との間に作成することができ、前述のブロック形状の注入口などの追加の構成要素を必要としないことである。したがって、追加の要素は不要であり、パウチは、可撓性単一材料であり得る前面層及び背面層のみを使用して作成され得る。そうすることによって、リサイクルストリームに有効な持続可能なパッケージング設計が得られる。このような正確に成形された注入チャネルは、パウチからの液体の流出を大幅に制御することを可能にし、例えば、弁のような挙動を得るように注入チャネルを設計することを可能にする。このような方法で製造されたパウチは、本発明によれば、非常に正確な注入口を有するが、低価格であり、非常に容易かつ効率的に製造することもできる。
【0013】
加熱装置を動作させるステップの間、注入チャネルの境界を作成するために必要な加熱要素が動作され、それによって加熱され、一方で、そのような境界を作成するために必要でない残りの加熱要素は、そのような残りの加熱要素の位置において、前面層及び背面層が相互に接合されないように、動作されなくてもよく、したがって加熱されなくてもよい。
【0014】
加熱面を前面層又は背面層と接触させ、加熱要素を動作させ、それによって要素を加熱する結果として、前面層及び背面層は、局所的に互いに溶接されるか、又は局所的にヒートシールされることになる。前面層と背面層との間にパウチの内部空間が作成されるような方法で前面層と背面層とを局所的に接合することはまた、これらの層を局所的に溶接又はヒートシールすることによって行われ得る。
【0015】
本発明による方法、パウチ、及び使用を意味する本発明の実施例では、注入チャネルは、開放状態での使用時に、注入チャネルの液体流れ抵抗が流出方向とは反対の流入方向においてよりも流出方向において大きくなるように、局所接合によって設計及び形成され得る。
【図面の簡単な説明】
【0016】
本発明は、本発明の実施例が示され、同様の参照番号が同一又は類似の要素を示す、添付の概略図を参照して以下に説明される。
図1】本発明によるパウチの一例を示す正面図である。
図2a図1のパウチの詳細を示す正面図である。
図2b】引き剥がしゾーンが除去された状態の図2aの詳細を示す。
図3】本発明による方法の一例を示す。
図4】本発明による方法において使用するための加熱装置の一例を示す。
図5】本発明による方法の方法ステップの結果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
別途定義又は指定されない限り、全ての用語は、当業者によって理解されるように、当技術分野における通常の意味と一致する技術的意味を与えられるべきである。
【0018】
全てのパラメータ範囲は、別途指定されない限り、範囲の終点及び終点間の全ての値を含む。
【0019】
これらの明細書及び特許請求の範囲において使用される場合、用語「含む(comprise)」及び「含む(comprising)」及びその変形は、指定された特徴、工程又は整数が含まれることを意味する。用語は、他の特徴、工程又は成分の存在を除外すると解釈されるべきではない。
【0020】
本明細書及び特許請求の範囲において、液体という用語は、エマルジョン、半液体(例えば、液体バター、トマトソース及びマヨネーズを含む)も包含すると考えられる。液体は、本発明の実施形態において、水性媒体などの親水性液体、油、エマルジョンなどの疎水性液体、並びにトマトペースト、液体バター、及びマヨネーズのようなよりペースト状の材料からなる群から選択され得るが、ハーブペースト、歯みがき粉、化粧品ゲルも含まれ、液体は、好ましくは食用油である。
【0021】
複数の加熱要素の各々は、加熱面で、かつ加熱面の平面において、共に1~5mmの範囲の長さ及び幅を有し得、長さ及び幅は、好ましくは等しいか又は少なくとも実質的に等しく、例えば、3mmであり、加熱面を形成するグリッドは、長さ方向及び幅方向に少なくとも10個、好ましくは15~50個の加熱要素を有する。複数の加熱要素のうちの加熱要素の加熱面における形状は、形成されるべき接合部の必要な形状、したがってチャネル境界に応じて形成され得る。これにより、精度を更に高めることができる。
【0022】
前面層及び背面層は両方とも、コポリマーを含む熱可塑性ポリマー又はその混合物からなる群から選択されるポリマーから作られ得、ポリマーは、好ましくは、ポリプロピレン(polypropylene、PP)、ポリエチレン(polyethylene、PE)、ポリヒドロキシアルカノエート(polyhydroxyalkanoate、PHA)、及びポリ乳酸(polylactic acid、PLA)からなる群から選択される。
【0023】
好ましくは、ポリマーは、ヒートシールされ得るポリマーである。多層材料である前面層及び/又は背面層を有する実施形態では、少なくとも内側層は、ヒートシールされ得るポリマーを含む。
【0024】
本発明による特定の注入チャネル設計及びその製造方法は、図に示される平坦な4つのサイドシールパウチ設計だけでなく、例えば、3つのサイドシールパウチ、直立パウチ、及びサイドガセットパウチ等のガセットパウチも含む、種々のパウチ設計とともに使用され得る。
【0025】
提供されるような前面層及び背面層は、一実施形態では、別々の出発材料片であり得、又は少なくとも別々の出発材料片に由来し得、好ましくは、前面層は背面層と同じ材料で作られる。提供されるような前面層及び背面層は、別の実施形態では、出発材料の1つの一体片の一部であり得る。後者は、前面層及び背面層を提供するステップが、材料の1つの一体シートを提供することによって行われてもよく、その一部が、製造されるパウチの前面層を構成し、かつその別の部分が、製造されるパウチの背面層を構成することを意味する。このような材料の一体シートは、例えば、前面層及び背面層を提供するように折り畳まれてもよく、次いで、3つの重なり合う縁部(第4の縁部は折り目にある)などにおいて一緒に接合され得る。代替的に、それは、例えば、中央が密封されたパウチが得られるように、折り畳まれて接着され得る。
【0026】
注入チャネルは、流出方向に主流路を画定する主チャネルを有し得、各々が主チャネルから分岐する複数の分岐チャネルを有し得、複数の分岐チャネルの各々は、少なくとも部分的に流出方向とは反対の逆流方向において主チャネルに戻るように開く。このようなチャネル設計は、「テスラバルブ」という名称で知られている。このようなチャネル設計は、例えば、米国特許第1,329,559号に開示されている。そのような注入チャネル設計は、流出方向において有意かつ徐々に増加する抵抗を提供し得、これは、高度に制御可能な抵抗を提供する。複数の分岐チャネルは、主チャネルの両側に、好ましくは互い違いな方法で配置され得る。一般的に、比較的高い粘度の液体については、比較的低い粘度の液体と比較して、より少ないそのような分岐チャネルが必要とされ得る。
【0027】
注入チャネルは、液体がパウチから流出することができる流出開口部を有し得、注入チャネルは、パウチに対する外力がない状態で、流出開口部における液体の液圧が所定の閾値未満であるように設計され得る。これは、パウチが使用されておらず、棚のような支持面上に保管されている場合、液体圧力が所定の閾値未満であることを意味する。
【0028】
注入チャネルは、液体がパウチから流出することができる流出開口部を有し得、注入チャネルは、流出方向における流出開口部での液体の圧力が所定の閾値未満であるときに、流出開口部での前面層及び背面層が互いに接触したままであるように設計されている。流出方向における流出開口部での液体の圧力が閾値を超えると、流出開口部の位置で前面層と背面層とを分離させ、それによって液体をパウチから流出させることができる。前面層及び背面層は、流出開口部において、当該圧力が当該閾値未満である限り、層の弾性の結果として互いに接触したままであり得る。特に、主チャネル及び分岐チャネルを有する注入チャネル設計を使用して、これは、制御された予測可能な方法で達成され得る。
【0029】
パウチは、引き剥がしゾーンを更に有し得、引き剥がしゾーンの第1の状態では、注入チャネルがその閉鎖状態にあるように注入チャネルの液体流出開口部を閉じ、引き剥がしゾーンは、引き剥がしゾーンの少なくとも一部がパウチの使用者によって除去されて、その結果、注入チャネルがその開放状態にあり、液体がパウチから注ぎ出得る、第2の状態を有する。流出方向における流れ抵抗を更に減少させるために、注入チャネルの一部を引き剥がすために、更なる引き剥がしゾーンがパウチ内に画定され得る。この目的のために、パウチは、視覚的インジケータ及び/又は1つ若しくは複数の凹部のような引き剥がし開始手段を含み得る。例えば、パウチに特定の外圧を加えたときに、より多くの流出が望まれる場合、使用者は、追加の引き剥がしゾーンを引き剥がし、それによって注入チャネルの一部を引き剥がし得る。
【0030】
図1は、中に液体を保持するためのパウチ1を示す。液体は、例えば食用油又はトマトペーストなどの食用物質であり得る。パウチ1は、表面層2及び裏面層3を有する。背面層は、図1の右下の角に示されており、前面層の一部は、背面層3を表示するために図面では省略されている。前面層2及び背面層3は、本実施例ではそれらの周囲に沿って一緒に接合されており、接合は破線5によって示されている。言及された接合は、接合の結果として生じる接合を意味し、前面層2と背面層3との間にパウチの内部空間4を画定する。内部空間4は、液体を保持するように構成されている。前面層及び背面層は、例えば、ポリプロピレンのようなポリマーであり得る。しかしながら、前面層及び背面層の材料は、例えば、液体の特性に基づいて、かつ顧客の要求に基づいて選択され得る。前面層及び/又は背面層は、パウチの内側、すなわち内部空間、及び外側に対する要求を満たすように、個々に多層製品であり得る。
【0031】
パウチ1は、注入チャネル6を備え(注入チャネルの詳細は図1に示されていない、図2aを参照)、注入チャネルは、パウチ1の使用時に、少なくとも注入チャネル6の開放状態において、液体が内部空間4から注入チャネル6を介して流出方向8にパウチ1から流出することを可能にする。この目的のために、パウチ1は、引き剥がしゾーン10を有し、この引き剥がしゾーン10は、引き剥がしゾーン10を引き剥がすための直感的な開始点を提供するための小さな切り抜き部分の形態の凹部12から開始して引き剥がされ得る。図2bは、引き剥がしゾーン10が除去された状態のパウチを示す。引き剥がしゾーン10は、その第1の元の状態において、注入チャネル6がその閉鎖状態にあるように注入チャネル6の液体流出開口部14を閉じ、引き剥がしゾーン10は、引き剥がしゾーン10の少なくとも一部がパウチ1の使用者によって除去されて、その結果、注入チャネル6がその開放状態にあり、液体が今や露出した流出開口部14を介してパウチ1から注ぎ出得る、第2の状態を有する。
【0032】
注入チャネル6は、注入チャネル6の境界を画定する接合部7を形成するように前面層2と背面層3とを一緒に局所的にヒートシールすることによって形成されている。注入チャネルを形成するための局所接合は、内部空間を画定するための上述の接合に続いて行われ得る。他の実施形態では、注入チャネルを形成する目的のための接合は、内部空間を画定する目的のための接合の前に、又は少なくとも部分的に同時に行われ得る。注入チャネル6は、使用時に、注入チャネル6の流れ抵抗が、流出方向8の反対の流入方向9においてよりも流出方向8において大きくなるように設計されている。これは、使用中の液体が流出方向8に流れる主チャネル16と、各々が主チャネル16から分岐する複数の分岐チャネル20と、を有するように注入チャネル6を設計することによって実現されており、複数の分岐チャネル20の各々は、少なくとも部分的に流出方向8とは反対の逆流方向22において主チャネル16に戻るように開く。図2aを参照されたい。注入チャネル6は、流出開口部14を形成する自由下流端を有し、流出開口部14を介して液体がパウチ1から流出することができ、注入チャネル6は、パウチに対する外力がない状態で、流出開口部14における液体の圧力が所定の閾値未満であるように設計されている。これは、上述したような特定の注入チャネル設計によって達成され得る。
【0033】
必要に応じて、流出抵抗を更に減少させるなど、所望の場合には、更なる凹部12’から引き剥がされる更なる引き剥がしゾーンが存在してもよい。図2aに示される実施例において、凹部12’は、2つの最も下流の分岐チャネル20の引き剥がしをもたらす。
【0034】
上述したパウチ1などのパウチは、中に液体を保持するためのパウチを製造する方法によって効率的かつ容易に製造することができ、方法は、以下を含み得る。
-前面層2及び背面層3を提供すること(図3のステップS1)。
-前面層2と背面層3との間のパウチ1の内部空間4が接合によって作成され、内部空間4が液体を保持するように構成されるような方法で、前面層2と背面層3とを一緒に局所的に接合すること(ステップS2)。このような局所的な接合は、加熱面を前面層2又は背面層3に接触させ、それにより、内部空間4を画定する接合部を形成するように前面層2と背面層3とを一緒に局所的に接合することによって行われ得る。例えば、接合部は、形成されるパウチの周縁に沿って作られてもよい。
-注入チャネル6の境界を画定する接合部7を形成するように前面層2と背面層3とを局所的に接合することによって、注入チャネル6を形成すること(ステップS3)であって、注入チャネル6は、少なくとも上述したような注入チャネル6の開放状態において、液体が内部空間4から注入チャネルを介して流出方向8にパウチ1から流出することを可能にする、形成すること(ステップS3)。
【0035】
注入チャネル6の形成は、以下によって実行され得る。
図4が示すように、グリッド状に配置された複数の加熱要素32を有する加熱装置30であって、複数の加熱要素が加熱面34を形成し、加熱要素32の各々が、注入チャネル6の境界を画定する接合部7の一部を作成するように個別に動作可能である、加熱装置30を提供すること(ステップS3a)。
-複数の加熱要素のうち、境界を作成するために必要な加熱要素32が動作し、それによって加熱されるように、加熱装置30を動作させること(ステップS3b)。したがって、複数の加熱要素のうちの、境界を作成するために必要とされない加熱要素は、動作されず、したがって加熱されない。
-加熱面34を前面層2又は背面層3、例えば、前面層2に接触させて、それにより、注入チャネル6の境界を画定する接合部7を形成するように前面層2と背面層3とを一緒に溶接又はヒートシールによって局所的に接合すること(ステップS3c)。これは、図5に概略的に示されており、ここで、注入チャネルは、前面層及び背面層が接合されていないゾーンによって画定されている。図5は、本発明によるパウチの製造原理を示す。図2a及び図2bに示されるパウチとは対照的に、図5では、3つの分岐チャネル20を有する注入チャネルが描かれている。
【0036】
別の実施形態では、ステップS2は、ステップS3と同時に実行される。更なる実施形態では、ステップS3は、ステップS2の前に実行される。また、ステップS2とステップS3の実行が部分的に重複してもよい。要素が加熱されるように加熱デバイスを動作させるステップは、好ましくは、加熱面を前面層又は背面層に接触させる前に実行されるが、それと少なくとも部分的に同時に、又はその後に実行され得る。
【0037】
加熱装置30の加熱要素は、加熱面34において、及び加熱面34の平面において、長さL及び幅Wを有する。長さL及び幅Wの両方は、1~5mmの範囲内であり得、好ましくは、3mmなどと等しく、ここで、加熱面34を形成するグリッドは、長さ方向及び幅方向に、少なくとも10個、好ましくは15~50個の加熱要素32を有する。
【0038】
本発明の特定の態様について説明してきたが、添付の特許請求の範囲は、実施例にのみ限定されることを意図するものではない。特許請求の範囲は、文字どおり、目的にかなって、及び/又は均等物を包含するものと解釈されるべきである。
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5
【国際調査報告】