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特表2024-519574洋上風力タービン・システム及び洋上プラットフォーム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-17
(54)【発明の名称】洋上風力タービン・システム及び洋上プラットフォーム
(51)【国際特許分類】
   B63B 35/00 20200101AFI20240510BHJP
   F03D 13/25 20160101ALI20240510BHJP
【FI】
B63B35/00 T
F03D13/25
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2023562480
(86)(22)【出願日】2022-04-07
(85)【翻訳文提出日】2023-11-08
(86)【国際出願番号】 DK2022050074
(87)【国際公開番号】W WO2022218489
(87)【国際公開日】2022-10-20
(31)【優先権主張番号】PA202170170
(32)【優先日】2021-04-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DK
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523340513
【氏名又は名称】スティースダル オフショア アクティーゼルスカブ
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】スティースダル、ヘンリック
【テーマコード(参考)】
3H178
【Fターム(参考)】
3H178AA20
3H178AA26
3H178BB41
3H178CC22
3H178DD67X
(57)【要約】
風力タービンを有する洋上プラットフォーム(1)は、正三角形の角に三角形構成で配置された3つの浮力モジュール(2)を備え、正三角形の中心には、風力タービンの塔用の塔支持体(14)が位置する。塔支持体(14)は、3つの放射状ブレース(13)を含む枠(4)に固定され、3つの放射状ブレース(13)のそれぞれは塔支持体(14)を3つの浮力モジュール(2)のうちの1つに堅固に接続している。放射状ブレース(13)は、塔支持体(14)から浮力モジュール(2)に向かって上向きに傾斜する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
浮体式プラットフォーム(1)と組み合わせた風力タービン(8)を備える洋上風力タービン・システムであって、前記プラットフォーム(1)は、前記風力タービン(8)の塔(2)を担持する塔支持体(14)を備え、前記塔(2)は風力回転子を担持し、前記プラットフォーム(1)は、水中にあるときに前記プラットフォーム(1)に浮力を与える3つの浮力モジュール(2)を備え、前記3つの浮力モジュール(2)は、正三角形の角に三角形構成で配置され、前記正三角形の中心に前記塔支持体(14)が位置し、前記塔支持体(14)は、前記塔(8)の中心線と一致し且つ前記三角形の前記中心に位置する中心線(15)を含み、前記塔支持体(14)は、3つの放射状ブレース(13)を含む枠(4)に固定され、前記放射状ブレース(13)のそれぞれは、前記塔支持体(14)を前記3つの浮力モジュール(2)のうちの1つと堅固に接続し、各放射状ブレース(13)はブレース中心線(16)を有し、前記ブレース中心線(16)は前記塔支持体中心線(15)となす角度αを有し、前記放射状ブレース(13)は前記塔支持体(14)から前記浮力モジュール(2)に向かって上向きに傾斜する、洋上風力タービン・システムにおいて、前記角度αは80°から87°の範囲にあることを特徴とする、洋上風力タービン・システム。
【請求項2】
水中における前記システムは、浮力に寄与するために、前記放射状ブレース(13)の少なくとも80%が水中にある、水中のレベルで浮かぶように位置決めされる、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記浮力モジュール(2)は高さHを有し、前記放射状ブレース(13)は、Hの0.4から0.6の間の位置で前記浮力モジュール(2)に接続される、請求項1又は2に記載のシステム。
【請求項4】
前記枠(4)は、3つの横方向ブレース(17)を含み、前記3つの横方向ブレースのそれぞれは、さらに安定させるために、隣接する放射状ブレース(13)を相互接続し、前記3つの横方向ブレース(17)は、前記塔支持体中心線(15)に垂直な平面構成で配置される、請求項2又は3に記載のシステム。
【請求項5】
前記枠(4)は、3つの斜めブレース(19)を含み、前記3つの斜めブレースのそれぞれは、支持柱(14)から前記3つの放射状ブレース(13)のうちの対応する1つへ延びる、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記3つの斜めブレース(19)は、前記塔支持構造物(14)の上部に接続され、前記3つの放射状ブレース(19)は、前記塔支持構造物(14)の底部に接続される、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記浮力モジュール(6)及び前記枠(4)を有する前記プラットフォーム(1)は、水中にあるときに、2,000,000kgの重量を有する風力タービンに対して、下向きに水中へ8m以下の深さに到達するために位置決めされる、請求項1から6までのいずれか一項に記載のシステム。
【請求項8】
回転子を有する塔(8)を備える風力タービン用の洋上プラットフォーム(1)であって、前記プラットフォーム(1)は、水中にあるときに前記プラットフォーム(1)に浮力を与える3つの浮力モジュール(2)を備え、前記3つの浮力モジュール(2)は、正三角形の角に三角形構成で配置され、前記正三角形の中心には、塔支持体(14)が前記塔(8)を担持するために位置し、前記塔支持体(14)は、前記プラットフォーム(1)に取り付けられたときに前記塔(8)の中心線と一致し且つ前記三角形の前記中心に位置する中心線(15)を有し、前記塔支持体(14)は、3つの放射状ブレース(13)を含む枠(4)に固定され、前記放射状ブレース(13)のそれぞれは前記塔支持体(14)を前記3つの浮力モジュール(2)のうちの1つに堅固に接続し、各放射状ブレース(13)はブレース中心線(16)を有し、前記ブレース中心線(16)は、前記塔支持体中心線(15)となす角度αを有し、前記放射状ブレース(13)は前記塔支持体(14)から前記浮力モジュール(2)に向かって上向きに傾斜する、洋上プラットフォームにおいて、前記角度αは80°から87°の範囲にあることを特徴とする、洋上プラットフォーム。
【請求項9】
前記浮力モジュール(2)は高さHを有し、前記放射状ブレース(13)は、Hの0.4から0.6の間の位置で前記浮力モジュール(2)に接続される、請求項8に記載の洋上プラットフォーム。
【請求項10】
前記枠(4)は、3つの横方向ブレース(17)を含み、前記3つの横方向ブレースのそれぞれは、さらに安定させるために、隣接する放射状ブレース(13)を相互接続し、前記3つの横方向ブレース(17)は、前記塔支持体中心線(15)に垂直な平面に配置され、前記枠(4)は、3つの斜めブレース(19)を含み、各斜めブレースは、支持柱(14)から前記3つの放射状ブレース(13)のうちの対応する1つへ延び、前記3つの斜めブレース(19)は、塔支持構造物(14)の上部に接続され、前記3つの放射状ブレース(19)は、前記塔支持構造物(14)の底部に接続され、前記塔支持体は塔支持柱(14)である、請求項9に記載の洋上プラットフォーム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浮体式洋上プラットフォーム及びその風力タービンとの組み合わせに関する。特に、独立請求項のプリアンブルに開示されている風力タービン及び洋上構造物に関する。
【背景技術】
【0002】
洋上風力タービン用の浮体式プラットフォームでは、三角形の形状は、サイズに対して剛性が高いため、また、大型風力タービンには依然として重要である必要な材料の量が相対的に少ないため、しばしば好まれる。実例が国際公開第2017/157399号に例示されている。風の強い状態においてプラットフォームに安定性を与えるために、沈錘が提案された。しかしながら、この原理はかなりコストがかかる。
【0003】
米国特許出願公開第2016/0362861号は、塔を有する風力タービンと、塔支持体を含む浮体式プラットフォームとを備える洋上風力タービン・システムを開示している。プラットフォームは、塔支持体がその中心に配置される正三角形の枠を備える。三角形の3つの縁辺のそれぞれでは、浮力モジュールが設けられている。3つの放射状ブレースは、塔支持体を3つの浮力モジュールのそれぞれに接続する。放射状ブレースは、45°~90°の角度で、塔支持体から上向きに傾斜している。
【0004】
風の強い状態において洋上プラットフォームを安定させるためのより簡単な方法を見つけることが望ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開第2017/157399号
【特許文献2】米国特許出願公開第2016/0362861号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、当分野において改良を提供することである。特に、風力タービン用浮体式洋上プラットフォームのための改良された構成を提供し、特に、風の強い状態において安定性を改良するための簡単な手段を提供することが目的である。この目的及びさらなる利点は、以下及び特許請求の範囲に記載されるような洋上プラットフォーム及びその風力タービンとの組み合わせによって達成される。
【課題を解決するための手段】
【0007】
洋上プラットフォームは、洋上で水中において風力タービンを担持する。風力タービンは、塔と回転子とを備え、典型的にはナセルに取り付けられる。
【0008】
要するに、洋上プラットフォームは、正三角形の角に三角形構成で配置された3つの浮力モジュールを備え、正三角形の中心には風力タービンの塔用の塔支持体が位置する。塔支持体は、3つの放射状ブレースを含む枠に固定され、3つの放射状ブレースのそれぞれは塔支持体を3つの浮力モジュールのうちの1つに堅固に接続している。放射状ブレースは、塔支持体から、典型的には塔支持体の底部から浮力モジュールに向かって上向きに傾斜している。
【0009】
「浮力モジュール」という用語は、プラットフォームに浮力及び/又は安定性を与える素子に使用される。例えば、浮力モジュールは、浮力タンクであるか、又は嵌め合された複数の浮力タンクを含む。任意選択で、浮力モジュールは、鉛直若しくはほぼ鉛直のシリンダ、2つ以上の鉛直若しくはほぼ鉛直のシリンダの群、或いは三角形構成の角に位置し且つプラットフォームに浮力及び/又は安定性を与えることができる関連する鉛直若しくはほぼ鉛直の船舶の他の構成を備えるか、又はそれである。
【0010】
より詳細には、洋上プラットフォームは、塔支持体、例えば、風力タービンの塔を担持する塔支持柱を備える。プラットフォームは3つの浮力モジュールを備える。例えば、各浮力モジュールは、浮力部材の群、例えば、浮力タンクなどの2つ、又は3つ以上の浮力部材の群を備える。浮力モジュールは水よりも軽く、水中にあるときにプラットフォームに浮力を与える。3つのモジュールは、塔支持体が中心に位置する正三角形の角に三角形構成で配置される。より詳細には、塔支持体は、プラットフォームに取り付けられ且つ三角形の中心に位置するときに塔の中心線と一致する中心線を有する。
【0011】
プラットフォームは、浮力モジュールを塔支持体に接続する剛性管状部材、特にブレースの枠を備える。便利且つ有用な構成は四面体構成である。
【0012】
したがって、塔支持体は、3つの放射状ブレースを含む枠に固定され、放射状ブレースのそれぞれは、塔支持体を3つの浮力モジュールのうちの1つと堅固に接続する。有利には、3つの放射状ブレースは、塔支持構造物の底部に接続される。
【0013】
各放射状ブレースはブレース中心線を有し、ブレース中心線は塔支持体中心線となす角度α(アルファ)を有する。特に、この角度αは80°から87°の範囲にある。放射状ブレースは、使用時に水中に沈めるために、塔支持体から浮力モジュールに向かって上向きに傾斜していることに言及する必要がある。
【0014】
80°~87°の範囲にある角度αの値は、角度β=(90°-α)が3°~10°の範囲にあることを意味し、これは、放射状ブレースと無風条件下で安定した平水における水面との間の角度になる。一般に、αが小さくβが大きくなるほど、塔の鉛直配向に向かう逆運動量がより多くなると考えられる。しかしながら、その一方で、より小さな角度αに相当する放射状ブレースの傾斜の増加により、結果として、喫水も増加し、これは、風力タービンを港でプラットフォームに取り付けるときに重要になり得るが、しばしば8mの喫水のみが受け入れられる。所与の角度範囲は、安定性の向上と実用的な喫水との間の妥協点である。
【0015】
例えば、水中にあるときに浮力モジュール及び枠を備えたプラットフォームは、2,000,000kg(2000トン)の重量を有する風力タービンを担持するとき、下向きに水中へ8m以下の深さに到達するために位置決めされる。
【0016】
十分な浮力を達成するために、水中におけるシステムは、浮力に寄与するために放射状ブレースの少なくとも80%又は少なくとも90%が水中にある、水中のレベルで浮かぶように位置決めされる。
【0017】
浮力モジュールは高さHを有する。有利な実施例では、放射状ブレースは、Hの0.3から0.7の間、例えば、Hの0.4から0.6の間のレベルに置かれた接続点で浮力モジュールに接続される。接続点が水面レベルにあるとき、これは、浮力モジュールのかなりの部分が、放射状ブレースとの接続点から水中に下向きに延びていることを意味する。浮力モジュールのこの下向きに延びる部分に力を加える、典型的には波からの水の動きは、風による風力タービンからの運動量に対する逆運動量を生成する。この逆運動量は、波のある風の強い状態において洋上システム全体を安定させる効果がある。
【0018】
実用的な実施例では、枠は3つの横方向ブレースを含み、3つの横方向ブレースのそれぞれは、さらに安定させるために、隣接する放射状ブレースを相互接続する。特に、3つの横方向ブレースは、塔支持体中心線に垂直な平面に配置され、塔支持体中心線は塔の中心線と一致する。
【0019】
例えば、枠は3つの斜めブレースを含み、斜めブレースのそれぞれは支持柱から3つの放射状ブレースのうちの対応する1つまで延びる。これらは平面構成にはない。有利には、3つの斜めのブレースは、塔支持構造物の上部に接続される。
【0020】
このブレースの配置は、全体として四面体形状を形成してもよい。
【0021】
本発明の実施例は図で説明する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1A】本発明に関連する原理を示す。
図1B】本発明に関連する原理を示す。
図2】先行技術による浮体式プラットフォームを示す。
図3】本発明による浮体式プラットフォームを示す。
図4A】浮体式プラットフォームの水面下部分を示す斜視図である。
図4B】浮体式プラットフォームの水面下部分を示す上面図である。
図5A】塔の中心線が鉛直であるプラットフォームの水面下部分を示す。
図5B】塔の中心線が傾斜しているプラットフォームの水面下部分を示す。
図6A】傾斜している水面下部分を示す斜視図である。
図6B】傾斜している水面下部分を示す上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1は、理解を容易にするために本発明の基本原理を例示する。図示の浮体式洋上プラットフォーム101は、水面106下に半分沈み、水中に浮いている複数の浮力モジュール102A、102Bを備える。浮力モジュール102A、102Bは、水流、例えば、波103に接近される。波103の上部103Aにおける水速は、波103の下部103Bにおける水速と等しいと仮定するが、これは説明を簡単にするためだけであり、必須ではない。
【0024】
図1Aでは、浮力モジュール102A、102Bは、剛性枠104によってそれらの底で接続されている。波103の下部103Aによる第1の浮力モジュール102A上の力は、枠104の直線的な押し込み動作のみをもたらし、一方で波103の上部103Bによる力は、第1の浮力モジュール102A上に反時計回りの回転運動量105を誘発し、これは剛性枠104により枠の他方の浮力部材102Bに伝達される。この事象におけるプラットフォーム101の動きは複雑であり、第1の浮力モジュール102Aの運動量105が他方の浮力モジュール102Bを押し下げ、これが今度はより多くの浮力を生成し、その反応により第1の浮力モジュール102Aが上向きに押圧される。第2の浮力モジュール102Bの浮力増加は浮力モジュール120Bが完全に水中に沈むまでしか与えられないため、反応は浮力モジュール102A、102Bがどの程度水中にあるかによる。
【0025】
図1Bでは、浮力モジュール102A、102Bは、剛性枠104’によって中間点で接続される。この場合、波の上部103Aは枠に対して直線的な押し込み動作を行い、一方で波103の下部103Bは反対の時計回り方向に回転運動量を誘発する。これにより、第1の浮力モジュール102Aは下向きに押圧され、他方の浮力モジュール102Bは上向きに押圧される。
【0026】
風力タービン用の洋上プラットフォームに関しては、大きな波力が典型的には風107に伴って進むので、状況はより複雑であり、図1の単純な例ではプラットフォーム上に反時計回りの運動量を誘発する。この図では、時計回りの運動量が波によって誘発される図1Bにおける構造物は、風力タービンに対する風による時計回りの運動量力を相対的に減衰する効果がある。
【0027】
風力タービン・プラットフォームの建設には、考慮すべきさらなる態様がある。態様のうちの1つとして、剛性枠104、104’が、全浮力に対してその浮力で寄与するので、水面下に大部分を設けることが望まれる。一方、港での組み立てはプラットフォーム101が延在できる深さを制限するため、水中へ深く延びる枠104も望ましくない。
【0028】
これらすべての態様を考慮に入れるために、図3に提示され且つ図2を参照して先行技術のプラットフォームと比較される、プラットフォームが開発された。
【0029】
図2は、従来技術の浮体式プラットフォーム1を例示し、浮力モジュール2、典型的には、浮力タンクなどの浮力部材2’の群は、放射状ブレース13を有する剛性枠4に接続ロッド10によってそれらの下端で相互接続される。接続ロッド10は、浮力モジュール2において浮力部材2’を通って延び、放射状ブレース13を浮力モジュール2に留める。放射状ブレース13は平面に配置され、プラットフォーム1が水中、例えば、洋上の場所で使用されるときに水中に沈められる。利点は、水没ブレース13からの浮力の追加である。しかしながら、図1Aに関連して論じたように、浮力モジュール2に作用する波3は、風7が風力タービンの回転子及び塔8に作用しているときに、プラットフォーム1上の塔8によって生成される運動量に追加される回転運動量5を誘発する。
【0030】
浮体式プラットフォーム1は、風力タービンの塔8を支持している塔支持柱の形態の塔支持体14を備える。作業プラットフォーム20は、典型的には、塔8に取り付けられる。
【0031】
図3は、本発明による浮体式プラットフォームを側面図で例示する。図4Aは、水面6下にあるプラットフォームの一部を斜視図で示し、図4Bは上面図で示す。塔支持体14は正三角形の中心にあり、この三角形の頂点には浮力モジュール2が設けられる。
【0032】
図2の枠と比較して、図3及び図4における枠4は、いくつかの違いを有する。重要な違いは、水面6に対する接続ロッド10の相対的な位置である。通常の状態における接続ロッド10のレベルは水面6にあるので、波3によって誘発される回転運動量5は時計回りであり、図1Bに関連して既に論じたように、風7による風力タービン上の回転運動量を部分的に打ち消す。したがって、風及び波によって誘発される風力タービン及びプラットフォーム1の傾斜に関して減衰効果が達成される。
【0033】
放射状ブレース13は、先行技術とは対照的に、平面構成で配置されない。代わりに、放射状ブレース13は、水線6に対して、すなわち角度β=(90°-α)だけ傾斜し、ここで、放射状ブレース13のブレース中心線16と、塔8の中心線でもある支持柱14の中心線15との間の角度αが測定される。この傾斜のために、放射状ブレース13は、ほぼ全体的に水中に沈められるが、浮力モジュールへの接続は、水面に、又は潜在的には水線のわずかに上方にある接続ロッド10によるものである。
【0034】
角度αの典型的な値は80°~87°の範囲であり、角度β=(90°-α)が3°~10°の範囲にあることを意味し、これは放射状ブレースと無風条件下で平水における水面との間の角度である。一般に、αが小さくβが大きくなるほど、塔の鉛直配向に向かって逆運動量がより多くなると考えられる。しかしながら、その一方で、角度αが小さいほど喫水も増加し、これは、風力タービンを港でプラットフォームに取り付けるときに重要になり得るが、しばしば8mの喫水だけが受け入れられる。
【0035】
図示の実施例では、浮力モジュール2の浮力部材2’は高さHを有し、接続ロッド10はヒーブ板9から測定した場合、H/2に位置する。プラットフォーム1は、プラットフォームが風力タービンを担持しているときに、接続ロッド10が水面6のレベルにあるような深さまで沈められるように位置決めされる。これにより、放射状ブレース13が無風条件下で実質的に水面6下にあることが保証され、したがって、プラットフォーム1全体の浮力を補助する。有利には、放射状ブレース13は、塔支持体14の底部に接続される。
【0036】
浮体式プラットフォーム1の枠4は、それぞれが隣接する放射状ブレース13を相互接続する3つの横方向ブレース17を備えることによってさらに安定する。さらに、枠4は、3つの斜めブレース19を含み、各ブレースは、支持柱14の上部と3つの放射状ブレース13のうちの対応する1つとの間に延びる。
【0037】
図5Aは、水面6下に位置し、且つ浮力モジュール2、浮力モジュール2の下端の運動減衰ヒーブ板9、並びに放射状ブレース13及び横方向ブレース17を含む浮体式プラットフォーム1の一部を示す。図5Aが塔の中心線15を鉛直配向にした水没部分を例示するのに対し、図5Bは、例えば、右側から来る風7によって風力タービンが左方向に押されるので、中心線が傾斜したときのプラットフォーム1の水没部分を示す。風によって誘発される回転運動量により、左浮力モジュール2は水中へより深く押圧され、一方で右浮力モジュール2は水からより外方へ持ち上げられる。しかしながら、風7はまた、図1B及び図3に関連して説明されるように、波で水の表面運動を誘発し、それにより水没浮力モジュール2上へ押し、逆運動量を生成する。この逆運動量は減衰効果を有し、プラットフォーム1に作用する塔8からの運動量とプラットフォーム1の水没部分に作用する波3からの運動量との和であるプラットフォーム1に誘発される総運動量を低減する。
【0038】
図5Bの状況は、図6Aの斜視図及び図6Bの上面図に例示される。
図1A
図1B
図2
図3
図4A
図4B
図5A
図5B
図6A
図6B
【手続補正書】
【提出日】2023-02-09
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
浮体式プラットフォーム(1)と組み合わせた風力タービン(8)を備える洋上風力タービン・システムであって、前記プラットフォーム(1)は、前記風力タービン(8)の塔(2)を担持する塔支持体(14)を備え、前記塔(2)は風力回転子を担持し、前記プラットフォーム(1)は、水中にあるときに前記プラットフォーム(1)に浮力を与える3つの浮力モジュール(2)を備え、前記3つの浮力モジュール(2)は、正三角形の角に三角形構成で配置され、前記正三角形の中心に前記塔支持体(14)が位置し、前記塔支持体(14)は、前記塔(8)の中心線と一致し且つ前記三角形の前記中心に位置する中心線(15)を含み、前記塔支持体(14)は、3つの放射状ブレース(13)を含む枠(4)に固定され、前記放射状ブレース(13)のそれぞれは、前記塔支持体(14)を前記3つの浮力モジュール(2)のうちの1つと堅固に接続し、各放射状ブレース(13)はブレース中心線(16)を有し、前記ブレース中心線(16)は前記塔支持体中心線(15)となす角度αを有し、前記放射状ブレース(13)は前記塔支持体(14)から前記浮力モジュール(2)に向かって上向きに傾斜する、洋上風力タービン・システムにおいて、前記角度αは80°から87°の範囲にあり、前記浮力モジュール(2)は高さHを有し、前記放射状ブレース(13)は、Hの0.4から0.6の間の位置で前記浮力モジュール(2)に接続されることを特徴とする、洋上風力タービン・システム。
【請求項2】
水中における前記システムは、浮力に寄与するために、前記放射状ブレース(13)の少なくとも80%が水中にある、水中のレベルで浮かぶように位置決めされる、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記枠(4)は、3つの横方向ブレース(17)を含み、前記3つの横方向ブレースのそれぞれは、さらに安定させるために、隣接する放射状ブレース(13)を相互接続し、前記3つの横方向ブレース(17)は、前記塔支持体中心線(15)に垂直な平面構成で配置される、請求項又はに記載のシステム。
【請求項4】
前記枠(4)は、3つの斜めブレース(19)を含み、前記3つの斜めブレースのそれぞれは、支持柱(14)から前記3つの放射状ブレース(13)のうちの対応する1つへ延びる、請求項に記載のシステム。
【請求項5】
前記3つの斜めブレース(19)は、前記塔支持構造物(14)の上部に接続され、前記3つの放射状ブレース(19)は、前記塔支持構造物(14)の底部に接続される、請求項に記載のシステム。
【請求項6】
前記浮力モジュール(6)及び前記枠(4)を有する前記プラットフォーム(1)は、水中にあるときに、2,000,000kgの重量を有する風力タービンに対して、下向きに水中へ8m以下の深さに到達するために位置決めされる、請求項1からまでのいずれか一項に記載のシステム。
【請求項7】
回転子を有する塔(8)を備える風力タービン用の洋上プラットフォーム(1)であって、前記プラットフォーム(1)は、水中にあるときに前記プラットフォーム(1)に浮力を与える3つの浮力モジュール(2)を備え、前記3つの浮力モジュール(2)は、正三角形の角に三角形構成で配置され、前記正三角形の中心には、塔支持体(14)が前記塔(8)を担持するために位置し、前記塔支持体(14)は、前記プラットフォーム(1)に取り付けられたときに前記塔(8)の中心線と一致し且つ前記三角形の前記中心に位置する中心線(15)を有し、前記塔支持体(14)は、3つの放射状ブレース(13)を含む枠(4)に固定され、前記放射状ブレース(13)のそれぞれは前記塔支持体(14)を前記3つの浮力モジュール(2)のうちの1つに堅固に接続し、各放射状ブレース(13)はブレース中心線(16)を有し、前記ブレース中心線(16)は、前記塔支持体中心線(15)となす角度αを有し、前記放射状ブレース(13)は前記塔支持体(14)から前記浮力モジュール(2)に向かって上向きに傾斜する、洋上プラットフォームにおいて、前記角度αは80°から87°の範囲にあり、前記浮力モジュール(2)は高さHを有し、前記放射状ブレース(13)は、Hの0.4から0.6の間の位置で前記浮力モジュール(2)に接続されることを特徴とする、洋上プラットフォーム。
【請求項8】
前記枠(4)は、3つの横方向ブレース(17)を含み、前記3つの横方向ブレースのそれぞれは、さらに安定させるために、隣接する放射状ブレース(13)を相互接続し、前記3つの横方向ブレース(17)は、前記塔支持体中心線(15)に垂直な平面に配置され、前記枠(4)は、3つの斜めブレース(19)を含み、各斜めブレースは、支持柱(14)から前記3つの放射状ブレース(13)のうちの対応する1つへ延び、前記3つの斜めブレース(19)は、塔支持構造物(14)の上部に接続され、前記3つの放射状ブレース(19)は、前記塔支持構造物(14)の底部に接続され、前記塔支持体は塔支持柱(14)である、請求項に記載の洋上プラットフォーム。
【手続補正書】
【提出日】2023-12-12
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
浮体式プラットフォーム(1)と組み合わせた風力タービンを備える洋上風力タービン・システムであって、前記プラットフォーム(1)は、前記風力タービンの塔()を担持する塔支持体(14)を備え、前記塔()は風力回転子を担持し、前記プラットフォーム(1)は、水中にあるときに前記プラットフォーム(1)に浮力を与える3つの浮力モジュール(2)を備え、前記3つの浮力モジュール(2)は、正三角形の角に三角形構成で配置され、前記正三角形の中心に前記塔支持体(14)が位置し、前記塔支持体(14)は、前記塔(8)の中心線と一致し且つ前記三角形の前記中心に位置する中心線(15)を含み、前記塔支持体(14)は、3つの放射状ブレース(13)を含む枠(4)に固定され、前記放射状ブレース(13)のそれぞれは、前記塔支持体(14)を前記3つの浮力モジュール(2)のうちの1つと堅固に接続し、各放射状ブレース(13)はブレース中心線(16)を有し、前記ブレース中心線(16)は前記塔支持体中心線(15)となす角度αを有し、前記放射状ブレース(13)は前記塔支持体(14)から前記浮力モジュール(2)に向かって上向きに傾斜する、洋上風力タービン・システムにおいて、前記角度αは80°から87°の範囲にあり、前記浮力モジュール(2)は高さHを有し、前記放射状ブレース(13)は、高さHの0.4から0.6の間の位置で前記浮力モジュール(2)に接続され、前記浮力モジュール(2)は、浮力タンクのような浮力部材(2’)からなり、当該浮力部材(2’)は、接続ロッド(10)によって剛性枠(4)に相互接続され、前記接続ロッド(10)は、前記浮力部材(2’)を通って延び、放射状ブレース(13)を前記浮力モジュール(2)に留められ、通常の状態における前記接続ロッド(10)のレベルは、水面(6)にあり、水中における前記システムは、浮力に寄与するために、前記放射状ブレース(13)の少なくとも80%が水中にある、水中のレベルで浮かぶように位置決めされることを特徴とする、洋上風力タービン・システム。
【請求項2】
前記枠(4)は、3つの横方向ブレース(17)を含み、前記3つの横方向ブレースのそれぞれは、さらに安定させるために、隣接する放射状ブレース(13)を相互接続し、前記3つの横方向ブレース(17)は、前記塔支持体中心線(15)に垂直な平面構成で配置される、請求項に記載のシステム。
【請求項3】
前記枠(4)は、3つの斜めブレース(19)を含み、前記3つの斜めブレースのそれぞれは、支持柱(14)から前記3つの放射状ブレース(13)のうちの対応する1つへ延びる、請求項に記載のシステム。
【請求項4】
前記3つの斜めブレース(19)は、前記塔支持構造物(14)の上部に接続され、前記3つの放射状ブレース(19)は、前記塔支持構造物(14)の底部に接続される、請求項に記載のシステム。
【請求項5】
前記浮力モジュール(6)及び前記枠(4)を有する前記プラットフォーム(1)は、水中にあるときに、2,000,000kgの重量を有する風力タービンに対して、下向きに水中へ8m以下の深さに到達するために寸法決めされる、請求項1からまでのいずれか一項に記載のシステム。
【請求項6】
回転子を有する塔(8)を備える風力タービン用の洋上プラットフォーム(1)であって、前記プラットフォーム(1)は、水中にあるときに前記プラットフォーム(1)に浮力を与える3つの浮力モジュール(2)を備え、前記3つの浮力モジュール(2)は、正三角形の角に三角形構成で配置され、前記正三角形の中心には、塔支持体(14)が前記塔(8)を担持するために位置し、前記塔支持体(14)は、前記プラットフォーム(1)に取り付けられたときに前記塔(8)の中心線と一致し且つ前記三角形の前記中心に位置する中心線(15)を有し、前記塔支持体(14)は、3つの放射状ブレース(13)を含む枠(4)に固定され、前記放射状ブレース(13)のそれぞれは前記塔支持体(14)を前記3つの浮力モジュール(2)のうちの1つに堅固に接続し、各放射状ブレース(13)はブレース中心線(16)を有し、前記ブレース中心線(16)は、前記塔支持体中心線(15)となす角度αを有し、前記放射状ブレース(13)は前記塔支持体(14)から前記浮力モジュール(2)に向かって上向きに傾斜する、洋上プラットフォームにおいて、前記角度αは80°から87°の範囲にあり、前記浮力モジュール(2)は高さHを有し、前記放射状ブレース(13)は、Hの0.4から0.6の間の位置で前記浮力モジュール(2)に接続され、前記浮力モジュール(2)は、浮力タンクのような浮力部材(2’)からなり、当該浮力部材(2’)は、接続ロッド(10)によって剛性枠(4)に接続され、前記接続ロッド(10)は、前記浮力部材(2’)を通って延び、前記放射状ブレース(13)を前記浮力モジュール(2)に留められ、通常の状態における前記接続ロッド(10)のレベルは、水面(6)にあり、水中における前記システムは、浮力に寄与するために、前記放射状ブレース(13)の少なくとも80%が水中にある、水中のレベルで浮かぶように位置決めされることを特徴とする、洋上プラットフォーム。
【請求項7】
前記枠(4)は、3つの横方向ブレース(17)を含み、前記3つの横方向ブレースのそれぞれは、さらに安定させるために、隣接する放射状ブレース(13)を相互接続し、前記3つの横方向ブレース(17)は、前記塔支持体中心線(15)に垂直な平面に配置され、前記枠(4)は、3つの斜めブレース(19)を含み、各斜めブレースは、支持柱(14)から前記3つの放射状ブレース(13)のうちの対応する1つへ延び、前記3つの斜めブレース(19)は、塔支持構造物(14)の上部に接続され、前記3つの放射状ブレース(19)は、前記塔支持構造物(14)の底部に接続され、前記塔支持体は塔支持柱(14)である、請求項に記載の洋上プラットフォーム。
【国際調査報告】