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特表2024-520991一次成形ツール用のツールインサート及び当該ツールインサートを備えた一次成形ツール
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-28
(54)【発明の名称】一次成形ツール用のツールインサート及び当該ツールインサートを備えた一次成形ツール
(51)【国際特許分類】
   C22C 33/02 20060101AFI20240521BHJP
   B22F 1/08 20220101ALI20240521BHJP
   B22F 10/20 20210101ALI20240521BHJP
   B22F 7/04 20060101ALI20240521BHJP
   B22F 7/00 20060101ALI20240521BHJP
【FI】
C22C33/02 E
B22F1/08
B22F10/20
B22F7/04 G
B22F7/00 F
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023561184
(86)(22)【出願日】2022-04-29
(85)【翻訳文提出日】2023-10-03
(86)【国際出願番号】 EP2022061457
(87)【国際公開番号】W WO2022233722
(87)【国際公開日】2022-11-10
(31)【優先権主張番号】21172663.3
(32)【優先日】2021-05-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520131303
【氏名又は名称】ヘレウス アムロイ テクノロジーズ ゲーエムベーハー
(71)【出願人】
【識別番号】523377793
【氏名又は名称】クンストストフ-インスティトゥート フュア ディエ ミッテルシュタンディシェ ヴィルトシャフト エヌアールダブリュー ゲーエムベーハー (ケーアイエムダブリュー エヌアールダブリュー ゲーエムベーハー)
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(74)【代理人】
【識別番号】100114292
【弁理士】
【氏名又は名称】来間 清志
(72)【発明者】
【氏名】ワッハター,ハンス ユルゲン
(72)【発明者】
【氏名】メルデ,ヴァレスカ
(72)【発明者】
【氏名】ヒンツペーター,ウドー
【テーマコード(参考)】
4K018
【Fターム(参考)】
4K018AA06
4K018BA03
4K018BB07
4K018BD09
4K018CA44
4K018HA07
4K018HA08
4K018JA22
4K018KA14
4K018KA62
(57)【要約】
【解決手段】 本発明は、一次成形ツール用のツールインサートに関し、このツールインサートは、成形される溶融材料と接触する成形表面を有する主要部分上に配置された熱絶縁体を含み、上記表面は、熱絶縁体によってツールインサートの主要部分から少なくとも部分的に離隔している。熱絶縁体はバルク金属ガラスを含む。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一次成形ツール用のツールインサートであって、成形される溶融材料と接触する成形表面(4、4.1、4.2)を有する主要部分(2、2.1、2.2)上に配置された熱絶縁体(5、5.1、9)を含み、前記表面は、前記熱絶縁体(5、5.1、9)によって前記ツールインサート(1、1.1、1.2)の前記主要部分(2、2.1、2.2)から少なくとも部分的に離隔している、ツールインサートにおいて、前記熱絶縁体(5、5.1、9)はバルク金属ガラスを含むことを特徴とする、ツールインサート。
【請求項2】
前記主要部分は、前記絶縁体と同じ材料、又は前記絶縁体とは異なる材料、特に工具鋼を含むことを特徴とする、請求項1に記載のツールインサート。
【請求項3】
前記ツールインサートの前記成形表面(4、4.1、4.2)又は前記成形表面の少なくとも1つの領域は、前記絶縁体(5、5.1、9)自体によって形成されていることを特徴とする、請求項1又は請求項2のいずれかに記載のツールインサート。
【請求項4】
少なくとも前記絶縁体(5、5.1、9)の前記領域において、耐摩耗層が前記絶縁体(5、5.1、9)上に配置されていることを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載のツールインサート。
【請求項5】
前記絶縁体(5、5.1、9)の厚さは、その平面延長部にわたって少なくともほぼ一定であることを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載のツールインサート。
【請求項6】
異なる速度で温度制御される成形表面領域を提供するために、前記絶縁体(5、5.1、9)の厚さがその平面延長部にわたって変化することを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載のツールインサート。
【請求項7】
前記絶縁体(5、5.1、9)及び/又は前記主要部分内にキャビティ7が設けられており、前記キャビティ7は特に、温度制御流体、特に温度制御ガスを搬送するための流体チャネルであることを特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載のツールインサート。
【請求項8】
前記絶縁体(5、5.1)は、特にラピッドマニュファクチャリング方法によって、前記主要部分(1、1.1)の前記材料又はその中に導入されたインサートに一体的に適用されることを特徴とする、請求項1~7のいずれか一項に記載のツールインサート。
【請求項9】
前記バルク金属ガラスは、Co、Fe、Ti、Zr、Cu、Au、Pt及びMgからなる群から選択される元素をベースとする合金であることを特徴とする、請求項1~8のいずれか一項に記載のツールインサート。
【請求項10】
前記バルク金属ガラスは、Zr及びCuを含む合金であることを特徴とする、請求項9に記載のツールインサート。
【請求項11】
前記主要部分(2、2.1、2.2)とは反対を向いている前記絶縁体(5、5.1、9)の前記表面は、製造後に、特に研磨、研削、腐食又はフライス加工によって機械加工されることを特徴とする、請求項1~10のいずれか一項に記載のツールインサート。
【請求項12】
前記ツールインサート(1、1.1、1.2)は、プラスチック射出成形ツール用のツールインサートであることを特徴とする、請求項1~11のいずれか一項に記載のツールインサート。
【請求項13】
少なくとも2つのツールインサートによって囲まれた少なくとも1つのキャビティ(3、3.1、3.2)を含む一次成形ツール、特にプラスチック一次成形ツールにおいて、前記ツールインサートのうちの少なくとも1つは、請求項1~12のいずれか一項に記載のツールインサート(1、1.1、1.2)であることを特徴とする、一次成形ツール。
【請求項14】
請求項1~12のいずれか一項に記載のツールインサート(1、1.1、1.2)を使用して、又は請求項13に記載の一次成形ツールを使用して、一次成形、特に射出成形又は圧縮成形によってプラスチック部品を製造する方法において、熱硬化性樹脂、エラストマー及び熱可塑性プラスチックからなる群から選択される溶融プラスチック塊が前記キャビティ(3、3.1、3.2)に導入されることを特徴とする、方法。
【請求項15】
前記成形部品が一次成形された後、前記成形部品と前記ツールインサート1との間に更なるキャビティが形成され、この更なるキャビティ内に更なる材料が注入されることを特徴とする、請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の主題は、一次成形ツール用のツールインサートであり、このツールインサートは、成形される溶融材料と接触する成形表面を有する主要部分上に配置された熱絶縁体を含み、上記表面は、熱絶縁体によってツールインサートの主要部分から少なくとも部分的に離隔している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0002】
熱可塑性、熱硬化性、又はエラストマー材料で作られた成形部品を射出成形する場合、事前に可塑化された材料が一次成形ツールのキャビティに導入される。一次成形ツールのキャビティは、キャビティ内で冷却されたワークピースを離型するために互いに分離できる複数の成形ツール(ツールインサート)によって形成される。成形物と接触する成形ツールの表面は、これらの説明の文脈では成形表面と呼ばれる。成形表面のイメージにより、ワークピースの表面が画定される。ワークピース表面の成形精度は、欠陥、例えば溶接線のノッチ、光沢差又は曇り、及びスジの発生によって影響を受けることがある。このような表面欠陥は、成形ツールの不均一な接触表面温度によって生じる可能性がある。金属をダイカストする場合にも同じことが観察できる。
【0003】
金型のキャビティに導入されるプラスチック溶融物の成形精度を向上させるには、ツール壁の温度、すなわち、成形ツールの成形表面の温度を上昇させて、キャビティに導入されるプラスチック溶融物の流動性を改善することが知られている。
【0004】
このような成形ツール又はツールインサートを温度制御するために、それらは、温度制御媒体チャネルを備え、このチャネルを通して、適切に温度制御された流体(例えば、水又は油)が搬送されて、成形ツールを特定の温度に維持する、又は成形ツールを特定の温度に加熱若しくは冷却する。このような成形ツールを、特定の領域で基本温度から逸脱するより高い温度にさせる場合には追加の電気加熱カートリッジが、又は局所的に温度を低下させる場合には電気冷却要素が、成形ツールの凹部に配置される。冷却要素がプラスチック溶融物の所定の冷却を確実にし、したがって冷却プロセス及びサイクル時間を短縮する成形ツールも知られている。例えば、ドイツ特許第19735031(A1)号には、温度要素、例えば電気加熱カートリッジ、及びまた冷却要素が、臨界点付近の金型インサートの凹部に導入され、プラスチック材料の射出段階中に金型インサートを加熱し、金型キャビティを充填した後、冷却要素がプラスチック溶融物の所定の冷却を確実にする射出成形装置が記載されている。
【0005】
上記の概念の基本原理は、いずれの場合も、追加の熱エネルギーを供給することによってツール壁の温度を上昇させることである。その結果、追加のエネルギーコストが発生するだけでなく、加熱要素や制御装置などの必要な周辺機器への投資コストも発生する。
【0006】
ドイツ特許第3621379(A1)号には、熱可塑性プラスチックで作られた射出成形部品におけるフローライン及び溶接線の圧痕を除去するための方法及び装置が開示されており、この方法では、射出成形時に、金型充填中のプラスチック溶融物が、金型充填が完了するまで、事前に決定可能なフローライン及び溶接線の金型壁領域において軟化又は微結晶溶融温度に近い温度に維持される。
【0007】
ドイツ特許出願公開第202006004632(U1)号には、一般的なプラスチック一次成形ツールが記載されている。この既知のプラスチック一次成形ツールでは、キャビティの表面の少なくとも一部がセラミックツールインサートによって形成されている。このようなセラミックインサートの熱伝導率は、通常は工具鋼から製造されるツールインサートの主要部分の熱伝導率に比べて低いため、プラスチック溶融物はセラミックインサートの表面でよりゆっくりと冷却する。これは、プラスチック溶融物の冷却を遅延させ、成形されるプラスチック製品の表面、例えばフローライン又は熔接線が通常であれば発生する領域の特定の光学特性を改善することができる。
【0008】
セラミック材料の接触面では様々な表面テクスチャを形成することができるが、表面仕上げの要件は限られている。多曲面輪郭の領域では、金属材料とは対照的に、セラミック材料上に高光沢の表面を形成することは、高度な技術的専門知識とそれに伴う多額の財政投資によってのみ実現することができる。砂目立てなどのテクスチャ加工も、セラミック材料では限られた範囲でしか実現できない。
【0009】
ガラス様、特にケイ酸塩ベースのコーティングを有するツール表面は、ドイツ特許出願公開第102014223161(A1)号から知られている。この層はエナメル層又はセラミック層である。層の厚さは10μm~500μmであり、ガラス様層の比熱伝導率は好ましくは5W/mK未満である。このようなコーティングでは表面構造の形成は不可能であり、たとえ形成できるとしても高度な技術的努力がなければ不可能である。
【0010】
ドイツ特許出願公開第202006004632(U1)号に起因する欠点を回避するために、ドイツ特許出願公開第202012100504(U1)号では、絶縁体によってツールブロックから離隔した接触面が、ツールのキャビティに面する温度制御層の側面によって提供されることが提案されている。したがって、絶縁体は温度制御層の下に位置する。温度制御層は、絶縁体の熱伝導率の倍数である熱伝導率を有する。温度制御層は、例えば電解析出プロセスによって適用される金属層である。したがって、この既知のプラスチック一次成形ツールでは、セラミック又はポリマー材料で作られた絶縁体によって提供され、一次成形ツールのキャビティに面する表面は、温度制御層によってブレンドされる。このようにして、成形されるためにキャビティに射出されるプラスチック塊は、ツールインサートの成形表面全体にわたって金属接触するため、異なる材料で作られた成形表面、ひいては異なる成形品質に起因する、製造されたプラスチック製品の表面の違いが回避される。
【0011】
この議論された従来技術に基づいて、本発明の目的は、一次成形ツール、例えばプラスチック一次成形ツール用のツールインサート(少なくともいくつかの領域において成形表面側に絶縁体を含む)の構造を、絶縁体の領域における遅延冷却の要件を満たすだけでなく、特に高品質の成形を提供しながらツールインサート構造も単純化するように設計することである。更に、少なくともいくつかの領域において成形表面側に絶縁体が存在するにもかかわらず、成形表面の表面設計の設計自由度はできるだけ制限しない方がよい。
【0012】
この目的は、熱絶縁体がバルク金属ガラスを含む上述したタイプのツールインサートによって達成される。
【0013】
熱絶縁体は、全体がバルク金属ガラスからなるように製造することができ、あるいはそのような材料を加えた複合絶縁体として製造することもできる。この概念では、絶縁体は、特に全体がバルク金属ガラスで作られている場合、実際の絶縁体だけでなく、ツールインサートの主要部分の材料も形成することが可能である。別の可能な実施形態では、絶縁体は、異なる材料、例えば工具鋼で作られた主要部分に接続されている。この実施形態では、バルク金属ガラスの熱伝導率は、ツールインサートの主要部分の熱伝導率よりも低いことが好ましい。
【0014】
本発明によれば、バルク金属ガラスの組成は更に制限されない。好ましくは、バルク金属ガラスは、少なくとも1ミリメートルの臨界鋳造厚さを有する合金を意味する。これは、そのような合金が臨界鋳造厚さまで非晶質に凝固できることを意味する。
【0015】
バルク金属ガラス(Bulk metallic glass、BMG)は、少なくとも1mmの臨界厚さに達すると「固体」であるとみなされる。これは、時間-温度変態図(TTT図)の約4×10-3sの結晶化ノーズと相関する。これは、例えば、https://analyticalscience.wiley.com/do/10.1002/gitfach.16890/full/において、特にBULKMETALLICGLASS,SC.Suryanarayana A.Inoue,CRC Press Taylor&Francis,2011のセクション3.2.1と併せて説明されている。
【0016】
バルク金属ガラスは、固体状態で金属結合特性を有し、同時に非晶質、すなわち非結晶相を有する合金である。合金は様々な元素をベースとすることができる。この文脈における「ベース」とは、それぞれの場合に指定された元素が合金の重量に対して最大の割合を占めることを意味する。このような合金のベースを形成することが好ましい成分は、例えば以下から選択することができる。
A.周期表のIA族及びIIA族の金属、例えば、マグネシウム、カルシウム。
B.IIIA族及びIVA族の金属、例えばアルミニウム又はガリウム。
C.IVB族からVIIIB族までの前期遷移金属、例えばチタン、ジルコニウム、ハフニウム、ニオブ、タンタル、クロム、モリブデン、マンガン。
D.VIIIB、IB、IIB族の後期遷移金属、例えば、鉄、コバルト、ニッケル、銅、パラジウム、白金、金、銀、亜鉛。
E.スカンジウム、イットリウム、テルビウム、ランタン、セリウム、ネオジム、ガドリニウムなどの希土類金属。
F.ホウ素、炭素、リン、ケイ素、ゲルマニウム、硫黄などの非金属。
【0017】
前述の族は、元素の周期表を参照している。
【0018】
バルク金属ガラス中の元素の好ましい組み合わせは、以下から選択される。
●後期遷移金属及び非金属(後期遷移金属がベース)、例えば、Ni-P、Pd-Si、Au-Si-Ge、Pd-Ni-Cu-P、Fe-Cr-Mo-P-C-B。
●前期遷移金属及び後期遷移金属(両方の金属がベースであってもよい)、例えば、Zr-Cu、Zr-Ni、Ti-Ni、Zr-Cu-Ni-Al、Zr-Ti-Cu-Ni-Be。
●希土類金属を含むB族の金属(金属Bがベース)、例えば、Al-La、Al-Ce、Al-La-Ni-Co、La-(Al/Ga)-Cu-Ni。
●後期遷移金属を含むA族の金属(金属Aがベース)、例えば、Mg-Cu、Ca-Mg-Zn、Ca-Mg-Cu。
【0019】
バルク金属ガラスを形成する合金の他の特に好ましい例は、Ni-Nb-Sn、Co-Fe-Ta-B、Ca-Mg-Ag-Cu、Co-Fe-B-Si-Nb、Fe-Ga-(Cr,Mo)(P,C,B)、Ti-Ni-Cu-Sn、Fe-Co-Ln-B、Co-(Al,Ga)-(P,B,Si)、Fe-B-Si-Nb、及びNi-(Nb,Ta)-Zr-Tiからなる群から選択される。特に、バルク金属ガラスは、Zr-Cu-Al-Nb合金であってもよい。好ましくは、ジルコニウムに加えて、このZr-Cu-Al-Nb合金は、23.5~24.5重量%の銅、3.5~4.0重量%のアルミニウム、及び1.5~2.0重量%のニオブを含み、これらの重量パーセントは合計で100重量%となる。後者の合金は、Heraeus Deutschland GmbHからAMZ4(登録商標)の名称で市販されている。別の特に好ましい実施形態では、バルクガラス形成合金は、ジルコニウム、チタン、銅、ニッケル、及びアルミニウムの元素を含有するか、又はこれらの元素からなることができる。別の特に適切な合金は、組成Zr52.5TiCu17.9Ni14.6Al10を有し、ここで指数は、合金中のそれぞれの元素のモル%を示す。
【0020】
このツールインサートでは、熱絶縁体はバルク金属ガラスからなるか、又は少なくともバルク金属ガラスを含む。後者の場合、例えば、複合絶縁体であってもよく、そのうち、一次成形ツールのキャビティに面する側がバルク金属ガラスで形成され、複合パートナーがセラミックなどの異なる材料からなる。
【0021】
バルク金属ガラスを含む熱絶縁体の材料が主要部分の材料とは異なる実施形態では、一実施形態によれば、バルク金属ガラスの合金は、ツールインサートの主要部分の熱伝導率よりも低く、通常は主要部分の熱伝導率よりも著しく低い熱伝導率を有するように選択される。プラスチック一次成形ツールのツールインサート又はその主要部分は、通常、工具鋼で作られている。工具鋼の熱伝導率は約30~46W/mKである。したがって、バルク金属ガラスを製造するための合金の選択、及びその熱伝導率を使用して、ツールインサートの成形表面でキャビティに導入された溶融塊の冷却遅延を確立することができる。例示的な実施形態によれば、絶縁体として使用されるバルク金属ガラスの熱伝導率は5~8W/mKである。バルク金属ガラスの熱伝導率は、ツールインサートの主要部分の熱伝導率よりも8~10倍低いことが好ましい。このような熱伝導率の違いは、バルク金属ガラスから、厚すぎず、かつ成形表面で所望の冷却遅延を達成する層厚の絶縁体を製造するために適切であると考えられる。絶縁体をバルク金属ガラスとして、又はそのような材料を使用して設計することの別の利点は、そのような絶縁体が比較的広い範囲の層厚で製造できることである。絶縁体層の厚さは、好ましくは0.1cm~10cmの範囲、特に0.5cm~5cmの範囲である。この仕様は、バルク金属ガラスの最初の製造後の層厚の仕様ではなく、完成した絶縁体の層厚、すなわちツールインサートの一部としての絶縁体の層厚の仕様である。
【0022】
製造プロセスによって形成される一次層の厚さは、後続の工程での表面機械加工によって薄くすることができる。バルク金属ガラスの厚さのこの比較的広い範囲を使用して、絶縁体の厚さを通じて、ツールインサートの絶縁体によって提供される冷却表面で金型キャビティに導入された溶融塊の冷却遅延に対する影響を確立し、ツールインサート上に成形される製品の表面品質を向上させることができる。絶縁体の製造又は構築にバルク金属ガラスを使用すると、その平面延長部にわたって様々な厚さで絶縁体を形成することもできる。同一の絶縁体を使用して異なる厚さの絶縁体を設計することにより、成形表面の膨張を介して、一部の領域で異なる冷却遅延を達成することができる。
【0023】
ツールインサートにおいてこのように設計された絶縁体の更なる特別な利点は、絶縁体が金属製であるため、ツールインサートの成形表面全体が絶縁体によって提供されない場合でも、ツールインサートの残りの部分の表面品質に対応する表面品質を成形表面に提供することができることである。バルク金属ガラス製のこのような絶縁体も金属であるため、その表面機械加工は、工具鋼製の従来のツールインサートの成形表面について知られているのと同じ方法で行うことができる。特に、表面機械加工、例えば構造化を導入し、絶縁体の成形表面に光沢のある又は高光沢の表面を提供すること(これはツールインサートの成形表面の一部の領域のみを構成する場合)は、ツールインサートの残りの成形表面と共に実施することができる。このような機械加工は、切削、例えばフライス加工、研削などによって行うことができる。もちろん、他の表面機械加工プロセスも可能である。構造化を導入する場合には、微細構造化も可能である。セラミック絶縁体とは対照的に、ツールインサートが、異なる材料(例えば、工具鋼)で作られた主要部分上に配置されたバルク金属ガラスを含む絶縁体で設計されている場合、バルク金属ガラスの場合の熱膨張係数は、主要部分の製造に使用される工具鋼の熱膨張係数に少なくともほぼ一致しており、いずれの場合も従来のセラミック絶縁体の熱膨張係数よりもはるかに類似している。したがって、そのようなツールインサートが、それを備えた一次成形ツールの動作中に熱サイクルを受けると、特に絶縁体の耐用年数を損なうであろう応力の発生が最小限に抑えられる。バルク金属ガラスはまた、比較的高い弾性も特徴であり、これは一次成形ツールのキャビティ内の成形表面にかかる応力に対しても有利である。これは、場合によっては非常に高い射出圧力に関連して特に影響を与える可能性がある。
【0024】
ツールインサートの主要部分も金属製である場合、バルク金属ガラスからの絶縁体の設計により、クランプ、フォームクロージャー、接着などによる2つの別個に製造された接合パートナーの接続が可能になる。必要に応じて、別個に製造された絶縁体を主要部分に一体的に接続することもできる。しかしながら、バルク金属ガラスの結晶化温度を決して超えないようにすることが好ましい。溶接などの入熱を伴う接合の場合、接合は、バルク金属ガラスの非晶質構造ができるだけ影響を受けないように行われる。円周に沿ったレーザ溶接が可能であり、レーザビームは絶縁体に隣接する主要部分のエッジ領域に向けられ、その結果、絶縁体ではなく主要部分の材料、すなわちバルク金属ガラスが主に溶融される。バルク金属ガラスの熱伝導率が低いため、いずれにしても熱影響を受けるゾーンは主要部分の熱影響を受けるゾーンよりもはるかに小さい。
【0025】
このようなバルク金属ガラスの導電性により、絶縁体によって提供される成形表面を電着耐摩耗層で直接コーティングすることもできる。例えば、耐摩耗層は、金属、ガラス、及びセラミックから選択される材料を有してもよい。特に、耐摩耗層は硬質クロム層とすることができる。これが提供され、絶縁体の成形表面がツールインサートの全成形表面の一部のみを表す場合、ツールインサートの成形表面全体にそのような耐摩耗層を均一に備え付けることが望ましい。耐摩耗層はまた、他の手段、例えばスパッタリング、プラズマコーティングなどによっても形成できることが理解される。ツールインサートがそのようなバルク金属ガラス絶縁体を1つ以上有する場合、そのような耐摩耗層は、そのような絶縁体の成形表面から、典型的には工具鋼で作られたツールインサート自体の主要部分によって提供される隣接する成形表面、又は隣接する絶縁体への移行を一体化又は平坦にする。次に、成形される溶融塊が接触する成形表面は均一になる。
【0026】
このような絶縁体は、様々な方法で製造することができる。絶縁体は別個の構成要素として製造することができ、次に、一次成形ツールのキャビティに面するツールインサートの側でツールインサートの主要部分に適切に作られた凹部にインサートとして挿入することができる。
【0027】
絶縁体が別個の構成要素として製造される場合、絶縁体は、例えば、ラピッドマニュファクチャリングプロセスによって、放電プラズマ焼結又は射出成形によって製造することができる。
【0028】
絶縁体は、例えば、成形されたシート又は打ち抜かれたシートであってもよい。
【0029】
別の実施形態では、絶縁体は主要部分に直接適用されてもよい。直接堆積に適した方法には、ラピッドマニュファクチャリングプロセス、典型的には3D印刷、及びコールドスプレーのような溶射プロセスが含まれる。例えば、3D印刷方法は、選択的レーザ溶融(selective laser melting、SLM)又は選択的レーザ焼結(selective laser sintering、SLS)であり得る。熱伝導率が十分に高いツールインサートの主要部分を使用する場合、ツールインサート上に直接堆積することも可能である。このようなラピッドマニュファクチャリングに関連して、溶融合金粉末の急速冷却(急冷)のためには、十分に高い熱伝導率が必要とされる。絶縁体を作製するためのこのようなラピッドマニュファクチャリングプロセスでは、上記絶縁体は、キャビティ、特に流体チャネルなどの内部構造を有するように作製することができる。流体チャネルは通常、マイクロ流体チャネルとも呼ばれる毛細管チャネルとして設計され、ツールインサートの動作中に温度制御流体、通常はCOなどのガスを搬送するために使用される。流体チャネルの設計と流体の流入に応じて、この手段は絶縁体の温度制御に全体として、又は局所的にのみ影響を与える可能性がある。
【0030】
本発明の可能な実施形態では、迅速な方法を使用して、密度勾配などの材料特性勾配を示す主要部分及び絶縁体を作製することができる。この材料特性勾配を使用して、ツールインサートの熱挙動を調整することができる。
【0031】
すでに上述した合金のグループのうち、合金ZrCu24Al4Nb2のバルク金属ガラスが絶縁体を提供するのに適している。
【0032】
製造は、本来既知の方法で、少なくとも1つのそのようなツールインサートを使用して、一次成形ツールで行われる。一次成形ツールで形成された製品、典型的にはプラスチック製品の成形表面の品質に関してツールインサートから得られる利点は、すでに上記で説明した。一次成形品の特殊な表面品質の理由は、バルク金属ガラスを使用して作られた、又は完全にこの材料で作られた絶縁体による冷却の遅延であると推測することができる。プラスチック完成品又は半完成品の製造においては、射出成形ツールの場合、熱硬化性樹脂、エラストマー及び熱可塑性プラスチックからなる材料の群から選択されるプラスチック溶融物は、本発明による少なくとも1つのツールインサートを用いて、そのような一次成形ツールに導入される。熱可塑性プラスチックは、半結晶性熱可塑性プラスチック及び非晶質熱可塑性プラスチックからなる群から選択することができる。適切な材料としては、ポリオレフィン、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリエステル、ポリエーテル、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリスチレンなどが挙げられる。
【0033】
一次成形ツールのキャビティ内に成形された塊、例えばプラスチック塊が硬化した後、ツールを開き、成形された完成品又は半完成品をキャビティから取り出す。
【0034】
この方法の改善では、キャビティに導入された溶融塊、例えばプラスチック塊が上記のように成形された後、キャビティは、第1の工程で提供された表面と成形表面との間に中空空間、典型的にはギャップが形成されるように修正され、この中空空間の中に、第2の方法工程で更なる材料が注入され、ツールインサートによって提供された成形表面上に成形される。このギャップはわずか数マイクロメートルであり得る。追加的に注入される材料は、例えば塗料であってもよい。軟質プラスチックコーティングなどの他のコーティングも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0035】
以下、例示的な実施形態を用いて、添付の図面を参照しながら本発明を説明する。図面において、
【0036】
図1図1は、第1の実施形態による、特に詳細には示されていないプラスチック射出成形ツールのツールインサートの概略断面図を示す図である。
図2図2は、更なる実施形態による、特に詳細には示されていないプラスチック射出成形ツールのツールインサートの概略断面図を示す図である。
図3図3は、更に別の実施形態による、特に詳細には示されていないプラスチック射出成形ツールのツールインサートの概略断面図を示す図である。
【0037】
ツールインサート1は、例として説明される一次成形ツールとして特に詳細には示されていないプラスチック射出成形ツールの金型キャビティを部分的に囲むために使用される。キャビティを完全に囲むには、1つ以上の追加のツールインサートが必要である。ツールインサート1は、例えば工具鋼で作られた主要部分2を含む。主要部分2は、キャビティ3に面する側に3次元的に構造化された表面を有する。図に示す構造は例示として理解されるべきである。実際の成形表面4、すなわち、キャビティ3内に導入された液体プラスチック塊が接触するツールインサート1の表面は、キャビティ3に面するバルク金属ガラス製の絶縁体5の側によってツールインサート1内に形成される。図示の例示的な実施形態では、バルク金属ガラス又は絶縁体5は、特に合金ZrCu24Al4Nb7から作られる。絶縁体5の厚さは、図示の例示的な実施形態では約20mmである。この場合、バルク金属ガラス製の絶縁体5の熱伝導率は、主要部分2の熱伝導率に比べて約8倍低い。したがって、バルク金属ガラス層は熱絶縁体5として機能することができ、これは、キャビティ内に充填されたプラスチック塊の冷却遅延につながる可能性がある。絶縁体5は、3Dレーザ印刷プロセスによってキャビティ3に面する主要部分2の表面6に適用される。絶縁体5は、最初は最終層厚20mmよりも厚い層厚で適用される。実際の成形表面4は、後続の工程で切削により形成される。図示の例示的な実施形態では、成形表面4は高度に研磨された表面である。
【0038】
ツールインサート1の成形表面4の下方では、主要部分2内にキャビティ7、特にツールインサート1を温度制御するための流体チャネルがある。これらは加熱又は冷却に使用することができる。成形表面の温度制御又は成形表面4上の塊の硬化のために、マイクロ流体チャネルなどのキャビティ7もまた、絶縁体5内に設けることができる(図示せず)。このようなキャビティ7の形成は、ラピッドマニュファクチャリング方法による絶縁体5の製造において可能である。このようなキャビティ7、特にマイクロ流体チャネルは、例えば、キャビティ3のいわゆるホットスポットの下の成形表面4のすぐ近くに配置することができる。このようなキャビティ7、特にマイクロ流体チャネルを、バルク金属ガラス製のこのような絶縁体5に導入することは、特に上記絶縁体がより大きな厚さを有する場合に有利である。このような絶縁体5は、例えば、主要部分の図に概略的に示されるように、成形表面に近いマイクロ流体チャネルとそこから一定の距離にあるキャビティ7とを有することもできる。
【0039】
図2は、基本的に上述のツールインサート1と同様に構成された別のツールインサート1.1を示す。したがって、以下に別段の記載がない限り、関連する説明はツールインサート1.1にも適用される。同一の部品は、接尾辞「.1」を追加した同じ参照番号で示される。ツールインサート1.1は、絶縁体5.1の厚さがその平面延長部にわたって異なるという点のみでツールインサート1と異なる。上記平面延長部は、部分8、8.1において、この絶縁体5.1の他の部分よりも薄い。部分8.2では、絶縁体5.1は最大の層厚を有する。バルク金属ガラス層の形態の絶縁体5の層厚は、好ましくは、成形表面4.1において所望される冷却遅延をもたらす。理想的には、この絶縁体5.1が厚ければ厚いほど、絶縁体5.1によって成形表面4.1のこの部分にもたらされる冷却遅延又は熱の蓄積が大きくなる。絶縁体5.1は、図1の例示的な実施形態の絶縁体5について説明したのと同じ方法で製造された。
【0040】
図3は、更に別のツールインサート1.2を示す。同一の部品はまた、接尾辞「.2」を追加した同じ参照番号で示される。ツールインサート1.2は成形表面4.2を有し、この成形表面は、一部が主要部分2.2によって形成され、一部がインサートとして設計されたバルク金属ガラス製の絶縁体9の対応する表面4.3によって形成される。絶縁体9は、別個に製造され、その後、作製された凹部10に挿入され、主要部分2.2の成形表面4.2に導入され、そして、例えば絶縁体9の周囲に沿ってレーザ溶接することによって主要部分に接続される。
【0041】
記載された例示的な実施形態のすべては、必要に応じて、硬質クロム層などの耐摩耗層でコーティングされてもよい。
【0042】
本発明について、例示的な実施形態を用いて説明した。適用可能な特許請求の範囲から逸脱することなく、当業者がそれらを実施するための多数の更なる可能性が存在するが、本実施形態の範囲内で詳細に説明する必要はない。
【符号の説明】
【0043】
1、1.1、1.2 ツールインサート
2、2.1、2.2 主要部分
3、3.1、3.2 キャビティ
4、4.1、4.2 成形表面
5、5.1 絶縁体
6 表面
7 中空空間
8、8.1、8.2 部分
9 別個に製造された絶縁体
10 凹部
図1
図2
図3
【手続補正書】
【提出日】2023-10-03
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一次成形ツール用のツールインサートであって、成形される溶融材料と接触する成形表面(4、4.1、4.2)を有する主要部分(2、2.1、2.2)上に配置された熱絶縁体(5、5.1、9)を含み、前記表面は、前記熱絶縁体(5、5.1、9)によって前記ツールインサート(1、1.1、1.2)の前記主要部分(2、2.1、2.2)から少なくとも部分的に離隔している、ツールインサートにおいて、前記熱絶縁体(5、5.1、9)はバルク金属ガラスを含むことを特徴とする、ツールインサート。
【請求項2】
前記主要部分は、前記絶縁体と同じ材料、又は前記絶縁体とは異なる材料、特に工具鋼を含むことを特徴とする、請求項1に記載のツールインサート。
【請求項3】
前記ツールインサートの前記成形表面(4、4.1、4.2)又は前記成形表面の少なくとも1つの領域は、前記絶縁体(5、5.1、9)自体によって形成されていることを特徴とする、請求項1又は2に記載のツールインサート。
【請求項4】
少なくとも前記絶縁体(5、5.1、9)の前記領域において、耐摩耗層が前記絶縁体(5、5.1、9)上に配置されていることを特徴とする、請求項1又は2に記載のツールインサート。
【請求項5】
前記絶縁体(5、5.1、9)の厚さは、その平面延長部にわたって少なくともほぼ一定であることを特徴とする、請求項1又は2に記載のツールインサート。
【請求項6】
異なる速度で温度制御される成形表面領域を提供するために、前記絶縁体(5、5.1、9)の厚さがその平面延長部にわたって変化することを特徴とする、請求項1又は2に記載のツールインサート。
【請求項7】
前記絶縁体(5、5.1、9)及び/又は前記主要部分内にキャビティ7が設けられており、前記キャビティ7は特に、温度制御流体、特に温度制御ガスを搬送するための流体チャネルであることを特徴とする、請求項1又は2に記載のツールインサート。
【請求項8】
前記絶縁体(5、5.1)は、特にラピッドマニュファクチャリング方法によって、前記主要部分(1、1.1)の前記材料又はその中に導入されたインサートに一体的に適用されることを特徴とする、請求項1又は2に記載のツールインサート。
【請求項9】
前記バルク金属ガラスは、Co、Fe、Ti、Zr、Cu、Au、Pt及びMgからなる群から選択される元素をベースとする合金であることを特徴とする、請求項1又は2に記載のツールインサート。
【請求項10】
前記バルク金属ガラスは、Zr及びCuを含む合金であることを特徴とする、請求項9に記載のツールインサート。
【請求項11】
前記主要部分(2、2.1、2.2)とは反対を向いている前記絶縁体(5、5.1、9)の前記表面は、製造後に、特に研磨、研削、腐食又はフライス加工によって機械加工されることを特徴とする、請求項1又は2に記載のツールインサート。
【請求項12】
前記ツールインサート(1、1.1、1.2)は、プラスチック射出成形ツール用のツールインサートであることを特徴とする、請求項1又は2に記載のツールインサート。
【請求項13】
少なくとも2つのツールインサートによって囲まれた少なくとも1つのキャビティ(3、3.1、3.2)を含む一次成形ツール、特にプラスチック一次成形ツールにおいて、前記ツールインサートのうちの少なくとも1つは、請求項1又は2に記載のツールインサート(1、1.1、1.2)であることを特徴とする、一次成形ツール。
【請求項14】
ツールインサート(1、1.1、1.2)を使用して、又は少なくとも2つのツールインサートによって囲まれた少なくとも1つのキャビティ(3、3.1、3.2)を含む一次成形ツール、特にプラスチック一次成形ツールを使用して、一次成形、特に射出成形又は圧縮成形によってプラスチック部品を製造する方法において、前記ツールインサートのうちの少なくとも1つは、請求項1又は2に記載のツールインサート(1、1.1、1.2)であることを特徴とし、熱硬化性樹脂、エラストマー及び熱可塑性プラスチックからなる群から選択される溶融プラスチック塊が前記キャビティ(3、3.1、3.2)に導入されることを特徴とする、方法。
【請求項15】
前記成形部品が一次成形された後、前記成形部品と前記ツールインサート1との間に更なるキャビティが形成され、この更なるキャビティ内に更なる材料が注入されることを特徴とする、請求項14に記載の方法。

【国際調査報告】