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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-21
(54)【発明の名称】ポリシロキサン組成物
(51)【国際特許分類】
   C08L 83/04 20060101AFI20240614BHJP
   C08K 5/34 20060101ALI20240614BHJP
   C08G 77/04 20060101ALI20240614BHJP
   H01L 21/316 20060101ALI20240614BHJP
【FI】
C08L83/04
C08K5/34
C08G77/04
H01L21/316 G
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023572967
(86)(22)【出願日】2022-05-31
(85)【翻訳文提出日】2023-11-24
(86)【国際出願番号】 EP2022064671
(87)【国際公開番号】W WO2022258425
(87)【国際公開日】2022-12-15
(31)【優先権主張番号】P 2021096011
(32)【優先日】2021-06-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591032596
【氏名又は名称】メルク パテント ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Merck Patent Gesellschaft mit beschraenkter Haftung
【住所又は居所原語表記】Frankfurter Str. 250,D-64293 Darmstadt,Federal Republic of Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100187159
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 英明
(74)【代理人】
【識別番号】100206265
【弁理士】
【氏名又は名称】遠藤 逸子
(72)【発明者】
【氏名】会田 健介
【テーマコード(参考)】
4J002
4J246
5F058
【Fターム(参考)】
4J002EF026
4J002EF036
4J002EF066
4J002EF076
4J002EN137
4J002ET007
4J002EU027
4J002EU047
4J002EU077
4J002EU117
4J002FD206
4J002FD207
4J002GQ00
4J002HA08
4J246AA03
4J246BA16X
4J246BB022
4J246BB02X
4J246CA24X
4J246CA40X
4J246FA081
4J246FA131
4J246FA441
4J246FB271
4J246FE27
4J246GA01
4J246GC07
4J246GD08
4J246HA63
5F058BC02
5F058BC04
5F058BF46
5F058BJ02
5F058BJ03
(57)【要約】
【課題】低温硬化が可能であり、保存安定性に優れたポリシロキサン組成物の提供。
【解決手段】本発明によるポリシロキサン組成物は、(I)ポリシロキサン、(II)イオン液体、(III)酸、および(IV)溶媒を含んでなる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(I)ポリシロキサン、
(II)イオン液体、
(III)酸、および
(IV)溶媒
を含んでなる、ポリシロキサン組成物。
【請求項2】
(I)ポリシロキサンが、以下の式(Ia)で表される繰り返し単位
【化1】
(ここで、
は、水素、1~3価の、C1-30の直鎖状、分岐状もしくは環状の、飽和または不飽和の脂肪族炭化水素基、または1~3価のC6-30の芳香族炭化水素基であり、
前記脂肪族炭化水素基および前記芳香族炭化水素基は、それぞれ、非置換であるか、またはフッ素、ヒドロキシもしくはC1-8アルコキシで置換されており、
前記脂肪族炭化水素基および前記芳香族炭化水素基において、メチレンが置き換えられていないか、または1以上のメチレンが、オキシ、イミドもしくはカルボニルで置き換えられており、ただし、Rはヒドロキシ、アルコキシではなく、
が2価または3価である場合、Rは複数の繰り返し単位に含まれるSi同士を連結する)、および
以下の式(Ib)で表される繰り返し単位
【化2】
を含んでなり、末端または側鎖にシラノールを有するポリシロキサンであって、
前記ポリシロキサンをFT-IR法によって測定および解析したときに、1100±100cm-1の範囲にあるSi-Oに帰属される吸収帯の面積強度S1と、900±100cm-1の範囲にあるSiOHに帰属される吸収帯の面積強度S2との比S2/S1が0.020~0.20である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
が、水素、C1-6の直鎖状、分岐状あるいは環状のアルキル、またはC6-10のアリールである、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
前記イオン液体のカチオンが、イミダゾリウム系イオン、ピロリジニウム系イオン、ピペリジニウム系イオン、ピリジニウム系イオン、およびアンモニウム系イオンからなる群から選択される少なくとも一つのカチオンである、請求項1~3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
前記イオン液体のアニオンが、フォーメートイオン、アセテートイオン、プロピオネートイオン、ラクテートイオン、オレートイオン、サリシレートイオン、ジシアナミドイオン、シアナミドイオン、チオシアネートイオン、メチルサルフェートイオン、エチルサルフェートイオン、ハイドロジェンサルフェートイオン、メタンスルホネートイオン、トリフルオロメタンスルホネートイオン、p-トルエンスルホネートイオン、ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミドイオン、ビス(フルオロスルホニル)イミドイオン、メチルカーボネートイオン、ハイドロジェンカーボネートイオン、ジエチルホスフェートイオン、ジブチルホスフェートイオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン、テトラフルオロボレートイオン、塩素イオン、および臭素イオンからなる群から選択される少なくとも一つのアニオンである、請求項1~4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
ゲル浸透クロマトグラフィーによって測定される前記ポリシロキサンの質量平均分子量が500~10,000である、請求項1~5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
前記ポリシロキサンに対する前記イオン液体の配合比(イオン液体/ポリシロキサン)が、質量比で0.000030~0.10である、請求項1~6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
前記酸に対する前記イオン液体の配合比(イオン液体/酸)が、当量比で0.10~1.0である、請求項1~6のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項9】
前記酸が有機酸である、請求項1~8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
式(Ib)で表される繰り返し単位の数の比率が、前記ポリシロキサンに含まれる繰り返し単位の総数を基準として、8%以上である、請求項1~9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
(IV)溶媒が、プロピレングリコールモノメチルエーテル、3-メトキシブタノール、1,3-ブタンジオール、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、乳酸エチル、ブチルアセテートおよび3-メトキシブチルアセテートからなる群から選択される少なくとも1つである、請求項1~10のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
(IV)溶媒の含有量が、前記組成物の総質量を基準として、50~98質量%である、請求項1~11のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項13】
請求項1~12のいずれか一項に記載の組成物を基板に塗布して塗膜を形成させること、および塗膜を加熱することを含んでなる、硬化膜の製造方法。
【請求項14】
加熱が120℃以上の温度で行われる、請求項12に記載の硬化膜の製造方法。
【請求項15】
請求項13または14に記載の硬化膜の製造方法を含んでなる、電子素子の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリシロキサン組成物に関するものである。また、本発明はそれを用いた膜の製造方法、それを用いた膜およびその膜を含んでなる電子素子の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ポリシロキサンは高温耐性があることで知られる。ポリシロキサンを含む組成物から硬化膜を形成する場合に、塗膜を高温で加熱し、ポリシロキサン中のシラノール基の縮合反応や、不飽和結合を有するポリマーの反応を速やかに進行させて、硬化させる。未反応の反応基が残っている場合に、素子の製造プロセスで使用する薬品に対して反応してしまうことが起こる。基板中の他の材料への影響や、装置条件から、より低温で硬化が可能なポリシロキサンを含む組成物の開発がのぞまれている。
【0003】
エポキシ樹脂を低温硬化させることを目的に、エポキシ樹脂とアニオン重合性硬化剤とイオン液体とを組み合わせることが提案されており(例えば、特許文献1)、アニオン重合性硬化剤を含まない比較例では、硬化してない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2019-14781号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上述のような事情に基づいてなされたものであり、低温硬化が可能であり、保存安定性に優れたポリシロキサン組成物を提供する。また、それを用いた硬化膜や電子素子の製造方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によるポリシロキサン組成物は、
(I)ポリシロキサン、
(II)イオン液体、
(III)酸、および
(IV)溶媒
を含んでなるものである。
【0007】
また、本発明による硬化膜の製造方法は、上記の組成物を基板に塗布して塗膜を形成させること、および前記塗膜を加熱することを含んでなる。
【0008】
また、本発明による電子素子の製造方法は、上記の硬化膜の製造方法を含んでなるものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によるポリシロキサン組成物は、一般的な熱硬化可能な組成物に採用される温度域よりも低い温度で硬化させることができる。本発明によるポリシロキサン組成物は、保存安定性に優れる。そして得られる硬化膜は、膜べり量も少なく、膜厚均一性にも優れる。さらに、高アスペクト比の基板に塗布する際にも、埋め込み性に優れる。得られる硬化膜は、平坦性、電気的絶縁特性も優れていることから、半導体素子の層間絶縁膜、パッシベーション膜、基板平坦化膜、反射防止フィルム、光学フィルター、高輝度発光ダイオード、タッチパネル、太陽電池、光導波路などの光学デバイスに好適に使用することができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[定義]
本明細書において、特に限定されて言及されない限り、本パラグラフに記載の定義や例に従う。
単数形は複数形を含み、「1つの」や「その」は「少なくとも1つ」を意味する。ある概念の要素は複数種によって発現されることが可能であり、その量(例えば質量%やモル%)が記載された場合、その量はそれら複数種の和を意味する。
「および/または」は、要素の全ての組み合わせを含み、また単体での使用も含む。
「~」または「-」を用いて数値範囲を示した場合、これらは両方の端点を含み、単位は共通する。例えば、5~25モル%は、5モル%以上25モル%以下を意味する。
「Cx-y」、「C~C」および「C」などの記載は、分子または置換基中の炭素の数を意味する。例えば、C1-6アルキルは、1以上6以下の炭素を有するアルキル鎖(メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル等)を意味する。
ポリマーが複数種類の繰り返し単位を有する場合、これらの繰り返し単位は共重合する。これら共重合は、交互共重合、ランダム共重合、ブロック共重合、グラフト共重合、またはこれらの混在のいずれであってもよい。ポリマーや樹脂を構造式で示す際、括弧に併記されるnやm等は繰り返し数を示す。
温度の単位は摂氏(Celsius)を使用する。例えば、20度とは摂氏20度を意味する。
添加剤は、その機能を有する化合物そのものをいう(例えば、塩基発生剤であれば、塩基を発生させる化合物そのもの)。その化合物が、溶媒に溶解または分散されて、組成物に添加される形態もあり得る。本発明の一形態として、このような溶媒は溶媒(IV)またはその他の成分として本発明にかかる組成物に含有されることが好ましい。
【0011】
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。
【0012】
ポリシロキサン組成物
本発明によるポリシロキサン組成物(以下、単に、組成物ということがある)は、(I)ポリシロキサン、(II)イオン液体、(III)酸、および(IV)溶媒を含んでなるものである。以下、本発明による組成物に含まれる各成分について、詳細に説明する。
【0013】
(I)ポリシロキサン
本発明において用いられるポリシロキサンは、その構造は特に制限されず、目的に応じて任意のものから選択することができる。ポリシロキサンの骨格構造は、ケイ素原子に結合している酸素数に応じて、シリコーン骨格(ケイ素原子に結合する酸素原子数が2)、シルセスキオキサン骨格(ケイ素原子に結合する酸素原子数が3)、およびシリカ骨格(ケイ素原子に結合する酸素原子数が4)に分類できる。本発明においては、これらのいずれであってもよい。ポリシロキサン分子が、これらの骨格構造の複数の組み合わせを含んだものであってもよい。
【0014】
好ましくは、本発明に用いられるポリシロキサンは、以下の式(Ia)で表される繰り返し単位および以下の式(Ib)で表される繰り返し単位を含んでなる。
【0015】
式(Ia)は以下である。
【化1】
ここで、
は、水素、1~3価の、C1-30の直鎖状、分岐状もしくは環状の、飽和または不飽和の脂肪族炭化水素基、または1~3価のC6-30の芳香族炭化水素基であり、好ましくは水素、C1-6の直鎖状、分岐状あるいは環状のアルキル、またはC6-10のアリールであり、より好ましくは、水素、メチル、エチル、またはフェニルであり、さらに好ましくは、メチルである。
前記脂肪族炭化水素基および前記芳香族炭化水素基は、それぞれ、非置換であるか、またはフッ素、ヒドロキシもしくはC1-8アルコキシで置換されており、
前記脂肪族炭化水素基および前記芳香族炭化水素基において、メチレンが置き換えられていないか、または1以上のメチレンが、オキシ、イミドもしくはカルボニルで置き換えられており、ただし、Rはヒドロキシ、アルコキシではなく、
が2価または3価である場合、Rは複数の繰り返し単位に含まれるSi同士を連結する。
【0016】
式(Ia)において、Rが1価基である場合、Rとしては、水素以外に、例えば、(i)メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、およびデシルなどのアルキル、(ii)フェニル、トリル、およびベンジルなどのアリール、(iii)トリフルオロメチル、2,2,2-トリフルオロエチル、3,3,3-トリフルオロプロピルなどのフルオロアルキル、(iv)フルオロアリール、(v)シクロヘキシルなどのシクロアルキル、(vi)イソシアネートおよびアミノ等の、アミノまたはイミド構造を有する窒素含有基、(vii)グリシジルなどのエポキシ構造、またはアクリロイル構造もしくはメタクリロイル構造を有する、酸素含有基が挙げられる。好ましくは、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、フェニル、トリル、グリシジル、イソシアネートである。フルオロアルキルとしては、ペルフルオロアルキル、特にトリフルオロメチルやペンタフルオロエチルが好ましい。原料が入手し易く、硬化後の膜硬度が高く、高い薬品耐性を有するため、Rがメチルであることが好ましい。また、ポリシロキサンの溶剤への溶解度を高め、硬化膜がひび割れにくくなるため、Rがフェニルであることも好ましい。
【0017】
また、Rが2価基または3価基である場合、Rは、例えば、(i)メタン、エタン、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、およびデカンなどのアルカンから2つまたは3つの水素を除去した基、(ii)シクロヘプタン、シクロヘキサン、およびシクロオクタンなどのシクロアルカンから、2つまたは3つの水素を除去した基、(iii)ベンゼンおよびナフタレンなどの炭化水素のみで構成された芳香族化合物から2つまたは3つの水素を除去した基、および(iv)ピペリジン、ピロリジン、およびイソシアヌレートなどのアミノ基、イミノ基および/またはカルボニル基を含む、窒素および/または酸素含有環状脂肪族炭化水素化合物から2つまたは3つの水素を除去した基、であることが好ましい。パターンだれを改善し、また基板との密着性が向上するため、(iv)であることがより好ましい。
【0018】
式(Ia)で表される繰り返し単位の数は、ポリシロキサン分子中に含まれる繰り返し単位の総数を基準として、好ましくは1%以上であり、より好ましくは20%以上である。式(Ia)で示される繰り返し単位は、配合比が高いと、硬化膜の電気特性低下や、硬化膜の接触膜との密着性低下、硬化膜の硬度が減少するため膜表面にキズが発生しやすくなることがあるため、式(Ia)で示される繰り返し単位の数は、ポリシロキサンの繰り返し単位の総数を基準として、好ましくは95%以下であり、より好ましくは90%以下である。
【0019】
式(Ib)は以下である。
【化2】
式(Ib)で表される繰り返し単位の数は、ポリシロキサン分子中に含まれる繰り返し単位の総数を基準として、好ましくは8%以上であり、より好ましくは10~99%であり、さらに好ましくは10~80%である。式(Ib)で表される繰り返し単位は、配合比が高いと溶媒や添加剤との相溶性が低下、膜応力が上昇するためクラックが発生しやすくなり、配合比が低いと、硬化膜の硬度が減少する。
【0020】
本発明に用いられるポリシロキサンは、上記以外の繰り返し単位を含むこともできるが、上記以外の繰り返し単位の数は、ポリシロキサン分子中に含まれる繰り返し単位の総数を基準として、好ましくは20%以下であり、より好ましくは10%以下である。上記以外の繰り返し単位を含まないことも、本発明の好適な一形態である。
【0021】
本発明に用いられるポリシロキサンは、以下の式(Ic)で表される繰り返し単位をさらに含むことができる。
【化3】
ここで、Rは、それぞれ独立に、水素、1~3価の、C1~30の、直鎖状、分岐状もしくは環状の、飽和または不飽和の、脂肪族炭化水素基、または1~3価の、C6~30の芳香族炭化水素基を表し、好ましくは水素、C1-6の直鎖状、分岐状あるいは環状のアルキル、またはC6-10のアリールであり、より好ましくは、水素、メチル、エチル、またはフェニルであり、さらに好ましくは、Rは、メチルである。
前記脂肪族炭化水素基および前記芳香族炭化水素基は、それぞれ、非置換であるか、またはフッ素、ヒドロキシもしくはC1-8アルコキシで置換されており、
前記脂肪族炭化水素基および前記芳香族炭化水素基において、メチレンが置き換えられていないか、または1以上のメチレンが、オキシ、イミドもしくはカルボニルで置き換えられており、ただし、Rはヒドロキシ、アルコキシではなく、
が2価または3価である場合、Rは複数の繰り返し単位に含まれるSi同士を連結する。
式(Ic)の繰り返し単位を有することによって、ポリシロキサンは、部分的に直鎖構造とすることができる。ただし、耐熱性が下がるため、直鎖構造部分は少ないことが好ましい。具体的には、式(Ic)の繰り返し単位の数は、ポリシロキサンの繰り返し単位の総数を基準として、20%以下であり、より好ましくは10%以下である。
【0022】
本発明に用いられるポリシロキサンは、末端にシラノールを有することが好ましい。ここで、シラノールは、ポリシロキサンのSi骨格に、直接OH基が結合したもののことをいい、前記の繰り返し単位等を含むポリシロキサンにおいて、ケイ素原子に直接ヒドロキシが結合したものである。すなわち、前記式の-O0.5-に対して、-O0.5Hが結合することによってシラノールが構成される。ポリシロキサン中のシラノールの含有量はポリシロキサンの合成条件、例えばモノマーの配合比や反応触媒の種類などによって変化する。このシラノールの含有量は、定量的な赤外吸収スペクトル測定によって評価することができる。シラノール(SiOH)に帰属される吸収帯は、赤外吸収スペクトルの900±100cm-1の範囲にピークを有する吸収帯として現れる。シラノールの含有量が高い場合にこの吸収帯の強度が高くなる。
【0023】
ポリシロキサンをFT-IR法によって測定および解析したときに、1100±100cm-1の範囲にあるSi-Oに帰属される吸収帯の面積強度S1と、900±100cm-1の範囲にあるSiOHに帰属される吸収帯の面積強度S2との比S2/S1が、好ましくは0.020~0.20であり、より好ましくは0.020~0.15である。
なお、吸収帯の面積強度は、赤外吸収スペクトルのノイズなどを考慮して決定する。ポリシロキサンの典型的な赤外吸収スペクトルには、900±100cm-1の範囲にピークを有する、Si-OHに帰属される吸収帯と、1100±100cm-1の範囲にピークを有する、Si-Oに帰属される吸収帯とが確認される。これらの吸収帯の面積強度は、ノイズ等を考慮したベースラインを考慮した面積として測定できる。なお、Si-OHに帰属される吸収帯の裾と、Si-Oに帰属される吸収帯の裾とが重複する場合もありえるが、その場合には、スペクトルにおける二つの吸収帯の間の極小点に対応する波数を境界とする。その他の吸収帯の裾が、Si-OHまたはSi-Oに帰属される吸収帯の裾と重複する場合も同様である。
【0024】
本発明に用いられるポリシロキサンの質量平均分子量は、好ましくは500~10,000であり、有機溶剤への溶解性、基板への塗布性、アルカリ現像液への溶解性の点からより好ましくは500~4,000であることが好ましく、さらに好ましくは1,000~3,000である。ここで質量平均分子量とは、ポリスチレン換算質量平均分子量であり、ポリスチレンを基準としてゲル浸透クロマトグラフィーにより測定することができる。
【0025】
ポリシロキサンは、単独または2種以上を組み合わせて用いることができる。ポリシロキサンの含有量は、ポリシロキサン組成物の総質量を基準として、好ましくは2.0~40.0質量%であり、より好ましくは3.0~30.0質量%である。
【0026】
このようなポリシロキサンは、例えば式(ia):
1’[Si(OR (ia)
(ここで、
pは1~3の整数であり、
1’は、水素、1~3価の、C1-30の直鎖状、分岐状もしくは環状の、飽和または不飽和の脂肪族炭化水素基、または1~3価の、C6-30の芳香族炭化水素基であり、
前記脂肪族炭化水素基および前記芳香族炭化水素基は、それぞれ、非置換であるか、またはフッ素、ヒドロキシもしくはC1-8アルコキシで置換されており、
前記脂肪族炭化水素基および前記芳香族炭化水素基において、メチレンが置き換えられていないか、または1以上のメチレンが、オキシ、イミドもしくはカルボニルで置き換えられており、ただし、R1’はヒドロキシ、アルコキシではなく、
は、C1-10のアルキルであり、好ましくは、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、およびn-ブチルである)
で表されるケイ素化合物、および/または
式(ib):
Si(OR (ib)
(式中、Rは、C1-10のアルキルであり、好ましくは、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、およびn-ブチルである)
で表されるケイ素化合物を
必要に応じて酸性触媒または塩基性触媒の存在下で、加水分解及び縮合して得ることができる。
【0027】
一般式(ia)で表されるケイ素化合物の具体例としては、例えば、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリイソプロポキシシラン、メチルトリn-ブトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリイソプロポキシシラン、エチルトリn-ブトキシシラン、n-プロピルトリメトキシシラン、n-プロピルトリエトキシシラン、n-ブチルトリメトキシシラン、n-ブチルトリエトキシシラン、n-ヘキシルトリメトキシシラン、n-ヘキシルトリエトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、トリフルオロメチルトリメトキシシラン、トリフルオロメチルトリエトキシシラン、3,3,3-トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、トリス-(3-トリメトキシシリルプロピル)イソシアヌレート、トリス-(3-トリエトキシシリルプロピル)イソシアヌレート、トリス-(3-トリメトキシシリルエチル)イソシアヌレートなどが挙げられ、その中でもメチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリプロポキシシラン、フェニルトリメトキシシランが好ましい。
【0028】
一般式(ib)で表されるケイ素化合物の具体例としては、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラ-n-プロポキシシラン、テトラ-iso-プロポキシシラン、テトラ-n-ブトキシシラン、テトラ-sec-ブトキシシラン、テトラ-tert-ブトキシシラン、テトラキス(2-エチルブトキシ)シラン等が挙げられ、その中でもテトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラ-iso-プロポキシシランが好ましい。
【0029】
ここで、ケイ素化合物は、それぞれ2種類以上を組み合わせて用いることもできる。
【0030】
(II)イオン液体
本発明による組成物は、イオン液体を含んでなる。
イオン液体とは、幅広い温度範囲で液体として存在する塩であり、イオンのみからなる液体である。一般に100℃以下の融点を有する塩がイオン液体と定義される。本発明に用いられるイオン液体は、融点が100℃以下、好ましくは80℃以下、より好ましくは60℃以下、さらに好ましくは30℃以下である。
本発明に用いられるイオン液体は、好ましくは塩基性イオン液体であり、強塩基と弱酸との組み合わせからなるものが好ましい。
【0031】
イオン液体のカチオンは、イミダゾリウム系イオン、ピロリジニウム系イオン、ピペリジニウム系イオン、ピリジニウム系イオン、およびアンモニウム系イオンからなる群から選択される少なくとも一つのカチオンであることが好ましく、イミダゾリウム系イオンであることがより好ましい。
【0032】
イミダゾリウム系イオンは、好ましくは以下の式(A)で表される。
【化4】
ここで、
11、R12、R13、R14およびR15は、それぞれ独立に、水素、直鎖もしくは分岐のC1-18アルキル、環状のC5-12アルキル、またはC6-14アリールである。
【0033】
イミダゾリウム系イオンの具体例としては、1-メチルイミダゾリウム、1-メチル-2-エチルイミダゾリウム、1-メチル-3-オクチルイミダゾリウム、1,2-ジメチルイミダゾリウム、1,3-ジメチルイミダゾリウム、2,3-ジメチルイミダゾリウム、3,4-ジメチルイミダゾリウム、1,2,3-トリメチルイミダゾリウム、1,3,4-トリメチルイミダゾリウム、1,3,4,5-テトラメチルイミダゾリウム、1-エチルイミダゾリウム、1-エチル-2-メチルイミダゾリウム、1-エチル-3-メチルイミダゾリウム、1-エチル-2,3-ジメチルイミダゾリウム、2-エチル-3,4-ジメチルイミダゾリウム、1-プロピルイミダゾリウム、1-プロピル-2-メチルイミダゾリウム、1-プロピル-3-メチルイミダゾリウム、1-プロピル-2,3-ジメチルイミダゾリウム、1,3-ジプロピルイミダゾリウム、1-ブチルイミダゾリウム、1-ブチル-2-メチルイミダゾリウム、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウム、1-ブチル-4-メチルイミダゾリウム、1-ブチル-2,3-ジメチルイミダゾリウム、1-ブチル-3,4-ジメチルイミダゾリウム、1-ブチル-3,4,5-トリメチルイミダゾリウム、1-ブチル-2-エチルイミダゾリウム、1-ブチル-3-エチルイミダゾリウム、1-ブチル-2-エチル-5-メチルイミダゾリウム、1,3-ジブチルイミダゾリウム、1,3-ジブチル-2-メチルイミダゾリウム、1-ペンチルイミダゾリウム、1-ペンチル-2-メチルイミダゾリウム、1-ペンチル-3-メチルイミダゾリウム、1-ペンチル-2,3-ジメチルイミダゾリウム、1-ヘキシルイミダゾリウム、1-ヘキシル-2-メチルイミダゾリウム、1-ヘキシル-3-メチルイミダゾリウム、1-ヘキシル-2,3-ジメチルイミダゾリウム、1-オクチル-2-メチルイミダゾリウム、1-オクチル-3-メチルイミダゾリウム、1-デシル-3-メチルイミダゾリウム、1-ドデシル-3-メチルイミダゾリウム、1-テトラデシル-3-メチルイミダゾリウム、1-ヘキサデシル-3-メチルイミダゾリウムおよび1-ベンジル-3-メチルイミダゾリウムが挙げられ、好ましくは1-エチル-3-メチルイミダゾリウム、1-エチル-2,3-ジメチルイミダゾリウム、1,3-ジメチルイミダゾリウム、1,2,3-トリメチルイミダゾリウム、1-プロピル-3-メチルイミダゾリウム、1-プロピル-2,3-ジメチルイミダゾリウム、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウム、1-ブチル-2,3-ジメチルイミダゾリウム、1-オクチル-3-メチルイミダゾリウムである。
【0034】
ピロリジニウム系イオンは、好ましくは以下の式(B)で表される。
【化5】
ここで、
21、R22、R23、R24、R25およびR26は、それぞれ独立に、水素、直鎖もしくは分岐のC1-18アルキル、環状のC5-12アルキル、またはC6-14アリールである。
【0035】
ピロリジニウム系イオンの具体例としては、1-メチル-1-エチルピロリジニウム、1-メチル-1-プロピルピロリジニウム、1-メチル-1-ブチルピロリジニウム、1-メチル-1-ペンチルピロリジニウム、1-メチル-1-ヘキシルピロリジニウムおよび1-メチル-1-オクチルピロリジニウムが挙げられ、好ましくは1-メチル-1-プロピルピロリジニウムである。
【0036】
ピペリジニウム系イオンは、好ましくは以下の式(C)で表される。
【化6】
ここで、
31、R32、R33、R34、R35、R36およびR37は、それぞれ独立に、水素、直鎖もしくは分岐のC1-18アルキル、環状のC5-12アルキル、またはC6-14アリールである。
【0037】
ピペリジニウム系イオンの具体例としては、1-メチル-1-エチルピペリジニウム、1-メチル-1-プロピルピペリジニウム、1-メチル-1-ブチルピペリジニウム、1-メチル-1-ペンチルピペリジニウム、1-メチル-1-ヘキシルピペリジニウムおよび1-メチル-1-オクチルピペリジニウムが挙げられ、好ましくは1-メチル-1-ブチルピペリジニウムである。
【0038】
ピリジニウム系イオンは、好ましくは以下の式(D)で表される。
【化7】
ここで、
41、R42、R43、R44、R45およびR46は、それぞれ独立に、水素、直鎖もしくは分岐のC1-18アルキル、環状のC5-12アルキル、またはC6-14アリールである。
【0039】
ピリジニウム系イオンの具体例としては、1-メチルピリジニウム、1-エチルピリジニウム、1-プロピルピリジニウム、1-ブチルピリジニウム、1-ペンチルピリジニウム、1-ヘキシルピリジニウム、1-オクチルピリジニウム、1-メチル-3-エチルピリジニウム、1-メチル-4-エチルピリジニウム、1-メチル-3-ブチルピリジニウム、1-メチル-4-ブチルピリジニウム、1-エチル-3-メチルピリジニウム、1-エチル-4-メチルピリジニウム、1-プロピル-3-メチルピリジニウム、1-プロピル-4-メチルピリジニウム、1-ブチル-3-メチルピリジニウム、1-ブチル-4-メチルピリジニウム、1-ヘキシル-4-メチルピリジニウムおよび1-オクチル-4-メチルピリジニウムが挙げられ、好ましくは1-ブチルピリジニウム、1-エチル-4-メチルピリジニウムである。
【0040】
アンモニウム系イオンは、好ましくは以下の式(E)で表される。
【化8】
ここで、
51、R52、R53およびR54は、それぞれ独立に、直鎖もしくは分岐のC1-18アルキル、直鎖もしくは分岐のC1-18ヒドロキシアルキル、環状のC5-12アルキル、またはC6-14アリールである。
【0041】
アンモニウム系イオンの具体例としては、トリメチルエチルアンモニウム、トリメチルブチルアンモニウム、トリエチルメチルアンモニウム、トリプロピルメチルアンモニウム、トリブチルメチルアンモニウム、トリヘキシルメチルアンモニウム、トリオクチルメチルアンモニウム、テトラブチルアンモニウム、2-ヒドロキシエチルトリメチルアンモニウムおよびトリス(2-ヒドロキシエチル)メチルアンモニウムが挙げられ、好ましくはテトラブチルアンモニウム、トリブチルメチルアンモニウム、2-ヒドロキシエチルトリメチルアンモニウムである。
【0042】
イオン液体のアニオンは、フォーメートイオン、アセテートイオン、プロピオネートイオン、ラクテートイオン、オレートイオン、サリシレートイオン、ジシアナミドイオン、シアナミドイオン、チオシアネートイオン、メチルサルフェートイオン、エチルサルフェートイオン、ハイドロジェンサルフェートイオン、メタンスルホネートイオン、トリフルオロメタンスルホネートイオン、p-トルエンスルホネートイオン、ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミドイオン、ビス(フルオロスルホニル)イミドイオン、メチルカーボネートイオン、ハイドロジェンカーボネートイオン、ジエチルホスフェートイオン、ジブチルホスフェートイオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン、テトラフルオロボレートイオン、塩素イオン、および臭素イオンからなる群から選択される少なくとも一つのアニオンであることが好ましく、より好ましくはアセテートイオン、ジシアナミドイオン、シアナミドイオン、塩素イオン、および臭素イオンである。
【0043】
好ましい形態において、イオン液体の具体例としては、トリメチルブチルアンモニウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、トリブチルメチルアンモニウムジシアナミド、トリブチルメチルアンモニウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、トリス(2-ヒドロキシエチル)メチルアンモニウムメチルサルフェート、2-ヒドロキシエチルトリメチルアンモニウムアセテート、2-ヒドロキシエチルトリメチルアンモニウムラクテート、2-ヒドロキシエチルトリメチルアンモニウムサリシレート、テトラブチルアンモニウムクロライド、1,3-ジメチルイミダゾリウムメチルサルフェート、1,2,3-トリメチルイミダゾリウムメチルサルフェート、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムアセテート、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムジシアナミド、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムメチルサルフェート、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムチオシアネート、1-エチル-2,3-ジメチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、1-プロピル-3-メチルイミダゾリウムアセテート、1-プロピル-3-メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、1-プロピル-2,3-ジメチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムアセテート、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムジシアナミド、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムチオシアネート、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムブロマイド、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムヘキサフルオロホスフェート、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート、1-ブチル-2,3-ジメチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、1-オクチル-3-メチルイミダゾリウムアセテート、1-オクチル-3-メチルイミダゾリウムブロマイド、1-オクチル-3-メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート、1-メチル-1-ブチルピロリジニウムジシアナミド、1-メチル-1-オクチルピロリジニウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、1-メチル-1-ブチルピペリジニウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、1-エチル-3-メチルピリジニウムエチルサルフェート、1-ブチル-4-メチルピリジニウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミドおよび1-ブチルピリジニウムテトラフルオロボレートが挙げられる。より好ましい形態において、イオン液体は、カチオンがイミダゾリウム系イオンであり、アニオンがアセテートであるが、具体例としては、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムアセテート、1-プロピル-3-メチルイミダゾリウムアセテート、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムアセテートおよび1-オクチル-3-メチルイミダゾリウムアセテートである。
【0044】
イオン液体は、ポリシロキサンの硬化を促進する触媒作用を有しており、比較的低温においても硬化を完了させることができると考えられる。
ポリシロキサンに対するイオン液体の配合比(イオン液体/ポリシロキサン)は、質量比で、好ましくは0.000030~0.10、より好ましくは0.000050~0.10であり、より好ましくは0.00010~0.10である。このような範囲であることにより、低温硬化の効果をより発揮し、硬化膜の密度が高くなる傾向にあるからである。
また、イオン液体は、通常用いられる硬化促進剤(例えば、熱塩基発生剤)と比較して、組成物中に均一に存在することができるため、ボイドの抑制に効果を発揮することが考えられる。
【0045】
イオン液体は、単独または2種以上を組み合わせて用いることができる。イオン液体の含有量は、本発明による組成物の総質量を基準として、好ましくは0.00020~4.0質量%であり、より好ましくは0.00020~3.2質量%である。
【0046】
(III)酸
本発明による組成物は、酸を含んでなる。
酸は、無機酸であっても有機酸であってもよいが、好ましくは有機酸であり、より好ましくはカルボン酸であり、さらに好ましくはモノカルボン酸またはジカルボン酸であり、さらにより好ましくはジカルボン酸である。
【0047】
モノカルボン酸としては、酢酸、ギ酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、アクリル酸が挙げられ、好ましくは酢酸である。
ジカルボン酸としては、シュウ酸、マレイン酸、フマル酸、フタル酸、コハク酸、グルタコン酸、アスパラギン酸、グルタミン酸、リンゴ酸、シトラコン酸、アセチレンジカルボン酸、イタコン酸、メサコン酸、3-アミノヘキサン二酸、マロン酸が挙げられ、好ましくは、シュウ酸、マレイン酸、フマル酸、フタル酸、コハク酸、リンゴ酸、シトラコン酸、アセチレンジカルボン酸、またはマロン酸であり、さらに好ましくは、シュウ酸、マレイン酸、フマル酸、フタル酸、シトラコン酸、またはアセチレンジカルボン酸である。
【0048】
酸は、硬化のための加熱時に昇華する、昇華性の高いことが好ましい。具体的には、昇華温度は好ましくは90~300℃であり、より好ましくは90~250℃である。塗膜を硬化させる際に、酸が昇華することで、硬化膜の残存量が減少するからである。
【0049】
理論には拘束されないが、上記のようにイオン液体は、ポリシロキサンの硬化を低温で促進する触媒として機能する。イオン液体とポリシロキサンと溶剤とを含む組成物は、室温での長期保存中にも硬化が進行し、ゲル化等がおこるケースがある。これに対して、酸を組み合わせることで、イオン液体の触媒作用を抑制し、良好な保存安定性を発揮することができると考えられる。硬化のための加熱時に酸が昇華することで、イオン液体の触媒作用が発現し、低い温度で硬化することができると考えられる。より良好な保存安定性および低温硬化性を発揮するために、本発明において、好ましくはイオン液体とカルボン酸との組み合わせを含み、より好ましくはイオン液体とシュウ酸、マレイン酸、フマル酸、フタル酸、シトラコン酸、またはアセチレンジカルボン酸の組み合わせを含み、さらに好ましくはカチオンがイミダゾリウム系イオンであり、アニオンがアセテートイオンであるイオン液体と、マレイン酸との組み合わせを含む。
【0050】
好ましい形態において、イオン液体と酸の組み合わせ(イオン液体/酸)の具体例としては、トリブチルメチルアンモニウムジシアナミド/酢酸、トリス(2-ヒドロキシエチル)メチルアンモニウムメチルサルフェート/酢酸、2-ヒドロキシエチルトリメチルアンモニウムアセテート/酢酸、2-ヒドロキシエチルトリメチルアンモニウムラクテート/酢酸、2-ヒドロキシエチルトリメチルアンモニウムサリシレート/酢酸、テトラブチルアンモニウムクロライド/酢酸、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムアセテート/酢酸、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムジシアナミド/酢酸、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムメチルサルフェート/酢酸、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムチオシアネート/酢酸、1-プロピル-3-メチルイミダゾリウムアセテート/酢酸、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムアセテート/酢酸、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムジシアナミド/酢酸、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムチオシアネート/酢酸、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムブロマイド/酢酸、1-オクチル-3-メチルイミダゾリウムアセテート/酢酸、1-オクチル-3-メチルイミダゾリウムブロマイド/酢酸、トリブチルメチルアンモニウムジシアナミド/コハク酸、トリス(2-ヒドロキシエチル)メチルアンモニウムメチルサルフェート/コハク酸、2-ヒドロキシエチルトリメチルアンモニウムアセテート/コハク酸、2-ヒドロキシエチルトリメチルアンモニウムラクテート/コハク酸、2-ヒドロキシエチルトリメチルアンモニウムサリシレート/コハク酸、テトラブチルアンモニウムクロライド/コハク酸、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムアセテート/コハク酸、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムジシアナミド/コハク酸、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムメチルサルフェート/コハク酸、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムチオシアネート/コハク酸、1-プロピル-3-メチルイミダゾリウムアセテート/コハク酸、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムアセテート/コハク酸、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムジシアナミド/コハク酸、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムチオシアネート/コハク酸、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムブロマイド/コハク酸、1-オクチル-3-メチルイミダゾリウムアセテート/コハク酸、1-オクチル-3-メチルイミダゾリウムブロマイド/コハク酸、1-メチル-1-ブチルピロリジニウムジシアナミド/コハク酸、トリブチルメチルアンモニウムジシアナミド/グルタコン酸、トリス(2-ヒドロキシエチル)メチルアンモニウムメチルサルフェート/グルタコン酸、2-ヒドロキシエチルトリメチルアンモニウムアセテート/グルタコン酸、2-ヒドロキシエチルトリメチルアンモニウムラクテート/グルタコン酸、2-ヒドロキシエチルトリメチルアンモニウムサリシレート/グルタコン酸、テトラブチルアンモニウムクロライド/グルタコン酸、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムアセテート/グルタコン酸、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムジシアナミド/グルタコン酸、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムメチルサルフェート/グルタコン酸、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムチオシアネート/グルタコン酸、1-プロピル-3-メチルイミダゾリウムアセテート/グルタコン酸、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムアセテート/グルタコン酸、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムジシアナミド/グルタコン酸、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムチオシアネート/グルタコン酸、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムブロマイド/グルタコン酸、
1-オクチル-3-メチルイミダゾリウムアセテート/グルタコン酸、1-オクチル-3-メチルイミダゾリウムブロマイド/グルタコン酸、トリメチルブチルアンモニウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド/シトラコン酸、トリブチルメチルアンモニウムジシアナミド/シトラコン酸、トリブチルメチルアンモニウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド/シトラコン酸、トリス(2-ヒドロキシエチル)メチルアンモニウムメチルサルフェート/シトラコン酸、2-ヒドロキシエチルトリメチルアンモニウムアセテート/シトラコン酸、2-ヒドロキシエチルトリメチルアンモニウムラクテート/シトラコン酸、2-ヒドロキシエチルトリメチルアンモニウムサリシレート/シトラコン酸、テトラブチルアンモニウムクロライド/シトラコン酸、1,3-ジメチルイミダゾリウムメチルサルフェート/シトラコン酸、1,2,3-トリメチルイミダゾリウムメチルサルフェート/シトラコン酸、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムアセテート/シトラコン酸、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムジシアナミド/シトラコン酸、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムメチルサルフェート/シトラコン酸、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムチオシアネート/シトラコン酸、1-プロピル-3-メチルイミダゾリウムアセテート/シトラコン酸、1-プロピル-3-メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド/シトラコン酸、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムアセテート/シトラコン酸、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムジシアナミド/シトラコン酸、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムチオシアネート/シトラコン酸、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムブロマイド/シトラコン酸、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムヘキサフルオロホスフェート/シトラコン酸、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート/シトラコン酸、1-オクチル-3-メチルイミダゾリウムアセテート/シトラコン酸、1-オクチル-3-メチルイミダゾリウムブロマイド/シトラコン酸、1-オクチル-3-メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート/シトラコン酸、1-メチル-1-ブチルピロリジニウムジシアナミド/シトラコン酸、1-メチル-1-オクチルピロリジニウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド/シトラコン酸、1-メチル-1-ブチルピペリジニウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド/シトラコン酸、1-エチル-3-メチルピリジニウムエチルサルフェート/シトラコン酸、1-ブチル-4-メチルピリジニウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド/シトラコン酸、1-ブチルピリジニウムテトラフルオロボレート/シトラコン酸、トリメチルブチルアンモニウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド/アセチレンジカルボン酸、トリブチルメチルアンモニウムジシアナミド/アセチレンジカルボン酸、トリブチルメチルアンモニウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド/アセチレンジカルボン酸、トリス(2-ヒドロキシエチル)メチルアンモニウムメチルサルフェート/アセチレンジカルボン酸、2-ヒドロキシエチルトリメチルアンモニウムアセテート/アセチレンジカルボン酸、2-ヒドロキシエチルトリメチルアンモニウムラクテート/アセチレンジカルボン酸、2-ヒドロキシエチルトリメチルアンモニウムサリシレート/アセチレンジカルボン酸、テトラブチルアンモニウムクロライド/アセチレンジカルボン酸、1,3-ジメチルイミダゾリウムメチルサルフェート/アセチレンジカルボン酸、1,2,3-トリメチルイミダゾリウムメチルサルフェート/アセチレンジカルボン酸、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムアセテート/アセチレンジカルボン酸、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムジシアナミド/アセチレンジカルボン酸、
1-エチル-3-メチルイミダゾリウムメチルサルフェート/アセチレンジカルボン酸、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムチオシアネート/アセチレンジカルボン酸、1-プロピル-3-メチルイミダゾリウムアセテート/アセチレンジカルボン酸、1-プロピル-3-メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド/アセチレンジカルボン酸、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムアセテート/アセチレンジカルボン酸、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムジシアナミド/アセチレンジカルボン酸、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムチオシアネート/アセチレンジカルボン酸、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムブロマイド/アセチレンジカルボン酸、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムヘキサフルオロホスフェート/アセチレンジカルボン酸、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート/アセチレンジカルボン酸、1-オクチル-3-メチルイミダゾリウムアセテート/アセチレンジカルボン酸、1-オクチル-3-メチルイミダゾリウムブロマイド/アセチレンジカルボン酸、1-オクチル-3-メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート/アセチレンジカルボン酸、1-メチル-1-ブチルピロリジニウムジシアナミド/アセチレンジカルボン酸、1-メチル-1-オクチルピロリジニウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド/アセチレンジカルボン酸、1-メチル-1-ブチルピペリジニウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド/アセチレンジカルボン酸、1-エチル-3-メチルピリジニウムエチルサルフェート/アセチレンジカルボン酸、1-ブチル-4-メチルピリジニウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド/アセチレンジカルボン酸、1-ブチルピリジニウムテトラフルオロボレート/アセチレンジカルボン酸、トリメチルブチルアンモニウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド/シュウ酸、トリブチルメチルアンモニウムジシアナミド/シュウ酸、トリブチルメチルアンモニウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド/シュウ酸、トリス(2-ヒドロキシエチル)メチルアンモニウムメチルサルフェート/シュウ酸、2-ヒドロキシエチルトリメチルアンモニウムアセテート/シュウ酸、2-ヒドロキシエチルトリメチルアンモニウムラクテート/シュウ酸、2-ヒドロキシエチルトリメチルアンモニウムサリシレート/シュウ酸、テトラブチルアンモニウムクロライド/シュウ酸、1,3-ジメチルイミダゾリウムメチルサルフェート/シュウ酸、1,2,3-トリメチルイミダゾリウムメチルサルフェート/シュウ酸、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムアセテート/シュウ酸、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムジシアナミド/シュウ酸、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムメチルサルフェート/シュウ酸、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムチオシアネート/シュウ酸、1-プロピル-3-メチルイミダゾリウムアセテート/シュウ酸、1-プロピル-3-メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド/シュウ酸、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムアセテート/シュウ酸、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムジシアナミド/シュウ酸、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムチオシアネート/シュウ酸、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムブロマイド/シュウ酸、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムヘキサフルオロホスフェート/シュウ酸、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート/シュウ酸、1-オクチル-3-メチルイミダゾリウムアセテート/シュウ酸、1-オクチル-3-メチルイミダゾリウムブロマイド/シュウ酸、1-オクチル-3-メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート/シュウ酸、1-メチル-1-ブチルピロリジニウムジシアナミド/シュウ酸、1-メチル-1-オクチルピロリジニウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド/シュウ酸、1-メチル-1-ブチルピペリジニウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド/シュウ酸、1-エチル-3-メチルピリジニウムエチルサルフェート/シュウ酸、1-ブチル-4-メチルピリジニウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド/シュウ酸、1-ブチルピリジニウムテトラフルオロボレート/シュウ酸、トリメチルブチルアンモニウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド/マレイン酸、トリブチルメチルアンモニウムジシアナミド/マレイン酸、トリブチルメチルアンモニウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド/マレイン酸、トリス(2-ヒドロキシエチル)メチルアンモニウムメチルサルフェート/マレイン酸、2-ヒドロキシエチルトリメチルアンモニウムアセテート/マレイン酸、2-ヒドロキシエチルトリメチルアンモニウムラクテート/マレイン酸、2-ヒドロキシエチルトリメチルアンモニウムサリシレート/マレイン酸、テトラブチルアンモニウムクロライド/マレイン酸、1,3-ジメチルイミダゾリウムメチルサルフェート/マレイン酸、1,2,3-トリメチルイミダゾリウムメチルサルフェート/
マレイン酸、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムアセテート/マレイン酸、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムジシアナミド/マレイン酸、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムメチルサルフェート/マレイン酸、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムチオシアネート/マレイン酸、1-プロピル-3-メチルイミダゾリウムアセテート/マレイン酸、1-プロピル-3-メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド/マレイン酸、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムアセテート/マレイン酸、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムジシアナミド/マレイン酸、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムチオシアネート/マレイン酸、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムブロマイド/マレイン酸、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムヘキサフルオロホスフェート/マレイン酸、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート/マレイン酸、1-オクチル-3-メチルイミダゾリウムアセテート/マレイン酸、1-オクチル-3-メチルイミダゾリウムブロマイド/マレイン酸、1-オクチル-3-メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート/マレイン酸、1-メチル-1-ブチルピロリジニウムジシアナミド/マレイン酸、1-メチル-1-オクチルピロリジニウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド/マレイン酸、1-メチル-1-ブチルピペリジニウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド/マレイン酸、1-エチル-3-メチルピリジニウムエチルサルフェート/マレイン酸、1-ブチル-4-メチルピリジニウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド/マレイン酸、1-ブチルピリジニウムテトラフルオロボレート/マレイン酸、トリメチルブチルアンモニウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド/フマル酸、トリブチルメチルアンモニウムジシアナミド/フマル酸、トリブチルメチルアンモニウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド/フマル酸、トリス(2-ヒドロキシエチル)メチルアンモニウムメチルサルフェート/フマル酸、2-ヒドロキシエチルトリメチルアンモニウムアセテート/フマル酸、2-ヒドロキシエチルトリメチルアンモニウムラクテート/フマル酸、2-ヒドロキシエチルトリメチルアンモニウムサリシレート/フマル酸、テトラブチルアンモニウムクロライド/
フマル酸、1,3-ジメチルイミダゾリウムメチルサルフェート/フマル酸、1,2,3-トリメチルイミダゾリウムメチルサルフェート/フマル酸、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムアセテート/フマル酸、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムジシアナミド/フマル酸、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムメチルサルフェート/フマル酸、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムチオシアネート/フマル酸、1-プロピル-3-メチルイミダゾリウムアセテート/フマル酸、1-プロピル-3-メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド/フマル酸、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムアセテート/フマル酸、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムジシアナミド/フマル酸、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムチオシアネート/フマル酸、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムブロマイド/フマル酸、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムヘキサフルオロホスフェート/フマル酸、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート/フマル酸、1-オクチル-3-メチルイミダゾリウムアセテート/フマル酸、1-オクチル-3-メチルイミダゾリウムブロマイド/フマル酸、1-オクチル-3-メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート/フマル酸、1-メチル-1-ブチルピロリジニウムジシアナミド/フマル酸、1-メチル-1-オクチルピロリジニウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド/フマル酸、1-メチル-1-ブチルピペリジニウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド/フマル酸、1-エチル-3-メチルピリジニウムエチルサルフェート/フマル酸、1-ブチル-4-メチルピリジニウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド/フマル酸、1-ブチルピリジニウムテトラフルオロボレート/フマル酸、トリメチルブチルアンモニウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド/フタル酸、トリブチルメチルアンモニウムジシアナミド/フタル酸、トリブチルメチルアンモニウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド/フタル酸、トリス(2-ヒドロキシエチル)メチルアンモニウムメチルサルフェート/フタル酸、2-ヒドロキシエチルトリメチルアンモニウムアセテート/フタル酸、2-ヒドロキシエチルトリメチルアンモニウムラクテート/フタル酸、2-ヒドロキシエチルトリメチルアンモニウムサリシレート/フタル酸、テトラブチルアンモニウムクロライド/フタル酸、1,3-ジメチルイミダゾリウムメチルサルフェート/フタル酸、1,2,3-トリメチルイミダゾリウムメチルサルフェート/フタル酸、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムアセテート/フタル酸、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムジシアナミド/フタル酸、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムメチルサルフェート/フタル酸、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムチオシアネート/フタル酸、1-プロピル-3-メチルイミダゾリウムアセテート/フタル酸、1-プロピル-3-メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド/フタル酸、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムアセテート/フタル酸、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムジシアナミド/フタル酸、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムチオシアネート/フタル酸、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムブロマイド/フタル酸、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムヘキサフルオロホスフェート/フタル酸、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート/フタル酸、1-オクチル-3-メチルイミダゾリウムアセテート/フタル酸、1-オクチル-3-メチルイミダゾリウムブロマイド/フタル酸、1-オクチル-3-メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート/フタル酸、1-メチル-1-ブチルピロリジニウムジシアナミド/フタル酸、1-メチル-1-オクチルピロリジニウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド/フタル酸、1-メチル-1-ブチルピペリジニウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド/フタル酸、1-エチル-3-メチルピリジニウムエチルサルフェート/フタル酸、1-ブチル-4-メチルピリジニウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド/フタル酸および1-ブチルピリジニウムテトラフルオロボレート/フタル酸が挙げられる。
【0051】
より好ましい形態において、イオン液体と酸の組み合わせ(イオン液体/酸)の具体例としては、トリメチルブチルアンモニウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド/シトラコン酸、トリブチルメチルアンモニウムジシアナミド/シトラコン酸、トリブチルメチルアンモニウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド/シトラコン酸、トリス(2-ヒドロキシエチル)メチルアンモニウムメチルサルフェート/シトラコン酸、2-ヒドロキシエチルトリメチルアンモニウムアセテート/シトラコン酸、2-ヒドロキシエチルトリメチルアンモニウムラクテート/シトラコン酸、2-ヒドロキシエチルトリメチルアンモニウムサリシレート/シトラコン酸、テトラブチルアンモニウムクロライド/シトラコン酸、1,3-ジメチルイミダゾリウムメチルサルフェート/シトラコン酸、
1,2,3-トリメチルイミダゾリウムメチルサルフェート/シトラコン酸、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムアセテート/シトラコン酸、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムジシアナミド/シトラコン酸、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムメチルサルフェート/シトラコン酸、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムチオシアネート/シトラコン酸、1-プロピル-3-メチルイミダゾリウムアセテート/シトラコン酸、1-プロピル-3-メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド/シトラコン酸、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムアセテート/シトラコン酸、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムジシアナミド/シトラコン酸、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムチオシアネート/シトラコン酸、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムブロマイド/シトラコン酸、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムヘキサフルオロホスフェート/シトラコン酸、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート/シトラコン酸、1-オクチル-3-メチルイミダゾリウムアセテート/シトラコン酸、1-オクチル-3-メチルイミダゾリウムブロマイド/シトラコン酸、1-オクチル-3-メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート/シトラコン酸、1-メチル-1-ブチルピロリジニウムジシアナミド/シトラコン酸、1-メチル-1-オクチルピロリジニウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド/シトラコン酸、1-メチル-1-ブチルピペリジニウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド/シトラコン酸、1-エチル-3-メチルピリジニウムエチルサルフェート/シトラコン酸、1-ブチル-4-メチルピリジニウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド/シトラコン酸、1-ブチルピリジニウムテトラフルオロボレート/シトラコン酸、トリメチルブチルアンモニウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド/アセチレンジカルボン酸、トリブチルメチルアンモニウムジシアナミド/アセチレンジカルボン酸、トリブチルメチルアンモニウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド/アセチレンジカルボン酸、トリス(2-ヒドロキシエチル)メチルアンモニウムメチルサルフェート/アセチレンジカルボン酸、2-ヒドロキシエチルトリメチルアンモニウムアセテート/アセチレンジカルボン酸、2-ヒドロキシエチルトリメチルアンモニウムラクテート/アセチレンジカルボン酸、2-ヒドロキシエチルトリメチルアンモニウムサリシレート/アセチレンジカルボン酸、テトラブチルアンモニウムクロライド/アセチレンジカルボン酸、1,3-ジメチルイミダゾリウムメチルサルフェート/アセチレンジカルボン酸、1,2,3-トリメチルイミダゾリウムメチルサルフェート/アセチレンジカルボン酸、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムアセテート/アセチレンジカルボン酸、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムジシアナミド/アセチレンジカルボン酸、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムメチルサルフェート/シトラコン酸、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムチオシアネート/アセチレンジカルボン酸、1-プロピル-3-メチルイミダゾリウムアセテート/アセチレンジカルボン酸、1-プロピル-3-メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド/アセチレンジカルボン酸、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムアセテート/アセチレンジカルボン酸、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムジシアナミド/アセチレンジカルボン酸、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムチオシアネート/アセチレンジカルボン酸、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムブロマイド/アセチレンジカルボン酸、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムヘキサフルオロホスフェート/アセチレンジカルボン酸、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート/アセチレンジカルボン酸、1-オクチル-3-メチルイミダゾリウムアセテー
ト/アセチレンジカルボン酸、1-オクチル-3-メチルイミダゾリウムブロマイド/アセチレンジカルボン酸、1-オクチル-3-メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート/アセチレンジカルボン酸、1-メチル-1-ブチルピロリジニウムジシアナミド/アセチレンジカルボン酸、1-メチル-1-オクチルピロリジニウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド/アセチレンジカルボン酸、1-メチル-1-ブチルピペリジニウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド/アセチレンジカルボン酸、1-エチル-3-メチルピリジニウムエチルサルフェート/アセチレンジカルボン酸、1-ブチル-4-メチルピリジニウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド/アセチレンジカルボン酸、1-ブチルピリジニウムテトラフルオロボレート/アセチレンジカルボン酸、トリメチルブチルアンモニウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド/シュウ酸、トリブチルメチルアンモニウムジシアナミド/シュウ酸、トリブチルメチルアンモニウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド/シュウ酸、トリス(2-ヒドロキシエチル)メチルアンモニウムメチルサルフェート/シュウ酸、2-ヒドロキシエチルトリメチルアンモニウムアセテート/シュウ酸、2-ヒドロキシエチルトリメチルアンモニウムラクテート/シュウ酸、2-ヒドロキシエチルトリメチルアンモニウムサリシレート/
シュウ酸、テトラブチルアンモニウムクロライド/シュウ酸、1,3-ジメチルイミダゾリウムメチルサルフェート/シュウ酸、1,2,3-トリメチルイミダゾリウムメチルサルフェート/シュウ酸、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムアセテート/シュウ酸、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムジシアナミド/シュウ酸、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムメチルサルフェート/シュウ酸、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムチオシアネート/シュウ酸、1-プロピル-3-メチルイミダゾリウムアセテート/シュウ酸、1-プロピル-3-メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド/シュウ酸、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムアセテート/シュウ酸、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムジシアナミド/シュウ酸、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムチオシアネート/シュウ酸、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムブロマイド/シュウ酸、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムヘキサフルオロホスフェート/シュウ酸、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート/シュウ酸、1-オクチル-3-メチルイミダゾリウムアセテート/シュウ酸、1-オクチル-3-メチルイミダゾリウムブロマイド/シュウ酸、1-オクチル-3-メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート/シュウ酸、1-メチル-1-ブチルピロリジニウムジシアナミド/シュウ酸、1-メチル-1-オクチルピロリジニウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド/シュウ酸、1-メチル-1-ブチルピペリジニウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド/シュウ酸、1-エチル-3-メチルピリジニウムエチルサルフェート/シュウ酸、1-ブチル-4-メチルピリジニウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド/シュウ酸、1-ブチルピリジニウムテトラフルオロボレート/シュウ酸、トリメチルブチルアンモニウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド/マレイン酸、トリブチルメチルアンモニウムジシアナミド/マレイン酸、トリブチルメチルアンモニウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド/マレイン酸、トリス(2-ヒドロキシエチル)メチルアンモニウムメチルサルフェート/マレイン酸、2-ヒドロキシエチルトリメチルアンモニウムアセテート/マレイン酸、2-ヒドロキシエチルトリメチルアンモニウムラクテート/マレイン酸、2-ヒドロキシエチルトリメチルアンモニウムサリシレート/マレイン酸、テトラブチルアンモニウムクロライド/マレイン酸、1,3
-ジメチルイミダゾリウムメチルサルフェート/マレイン酸、1,2,3-トリメチルイミダゾリウムメチルサルフェート/マレイン酸、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムアセテート/マレイン酸、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムジシアナミド/マレイン酸、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムメチルサルフェート/マレイン酸、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムチオシアネート/マレイン酸、1-プロピル-3-メチルイミダゾリウムアセテート/マレイン酸、1-プロピル-3-メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド/マレイン酸、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムアセテート/マレイン酸、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムジシアナミド/マレイン酸、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムチオシアネート/マレイン酸、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムブロマイド/マレイン酸、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムヘキサフルオロホスフェート/マレイン酸、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート/マレイン酸、1-オクチル-3-メチルイミダゾリウムアセテート/マレイン酸、1-オクチル-3-メチルイミダゾリウムブロマイド/マレイン酸、1-オクチル-3-メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート/マレイン酸、1-メチル-1-ブチルピロリジニウムジシアナミド/マレイン酸、1-メチル-1-オクチルピロリジニウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド/マレイン酸、1-メチル-1-ブチルピペリジニウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド/マレイン酸、1-エチル-3-メチルピリジニウムエチルサルフェート/マレイン酸、
1-ブチル-4-メチルピリジニウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド/マレイン酸、1-ブチルピリジニウムテトラフルオロボレート/マレイン酸、トリメチルブチルアンモニウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド/フマル酸、トリブチルメチルアンモニウムジシアナミド/フマル酸、トリブチルメチルアンモニウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド/フマル酸、トリス(2-ヒドロキシエチル)メチルアンモニウムメチルサルフェート/フマル酸、2-ヒドロキシエチルトリメチルアンモニウムアセテート/フマル酸、2-ヒドロキシエチルトリメチルアンモニウムラクテート/フマル酸、2-ヒドロキシエチルトリメチルアンモニウムサリシレート/フマル酸、テトラブチルアンモニウムクロライド/フマル酸、1,3-ジメチルイミダゾリウムメチルサルフェート/フマル酸、1,2,3-トリメチルイミダゾリウムメチルサルフェート/フマル酸、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムアセテート/フマル酸、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムジシアナミド/フマル酸、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムメチルサルフェート/フマル酸、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムチオシアネート/フマル酸、1-プロピル-3-メチルイミダゾリウムアセテート/フマル酸、1-プロピル-3-メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド/フマル酸、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムアセテート/フマル酸、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムジシアナミド/フマル酸、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムチオシアネート/フマル酸、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムブロマイド/フマル酸、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムヘキサフルオロホスフェート/フマル酸、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート/フマル酸、1-オクチル-3-メチルイミダゾリウムアセテート/フマル酸、1-オクチル-3-メチルイミダゾリウムブロマイド/フマル酸、1-オクチル-3-メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート/フマル酸、1-メチル-1-ブチルピロリジニウムジシアナミド/フマル酸、
1-メチル-1-オクチルピロリジニウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド/フマル酸、1-メチル-1-ブチルピペリジニウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド/フマル酸、1-エチル-3-メチルピリジニウムエチルサルフェート/フマル酸、1-ブチル-4-メチルピリジニウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド/フマル酸、1-ブチルピリジニウムテトラフルオロボレート/フマル酸、トリメチルブチルアンモニウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド/フタル酸、トリブチルメチルアンモニウムジシアナミド/フタル酸、トリブチルメチルアンモニウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド/フタル酸、トリス(2-ヒドロキシエチル)メチルアンモニウムメチルサルフェート/フタル酸、2-ヒドロキシエチルトリメチルアンモニウムアセテート/フタル酸、2-ヒドロキシエチルトリメチルアンモニウムラクテート/フタル酸、2-ヒドロキシエチルトリメチルアンモニウムサリシレート/フタル酸、テトラブチルアンモニウムクロライド/フタル酸、1,3-ジメチルイミダゾリウムメチルサルフェート/フタル酸、1,2,3-トリメチルイミダゾリウムメチルサルフェート/フタル酸、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムアセテート/フタル酸、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムジシアナミド/フタル酸、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムメチルサルフェート/フタル酸、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムチオシアネート/フタル酸、1-プロピル-3-メチルイミダゾリウムアセテート/フタル酸、1-プロピル-3-メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド/フタル酸、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムアセテート/フタル酸、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムジシアナミド/フタル酸、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムチオシアネート/フタル酸、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムブロマイド/フタル酸、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムヘキサフルオロホスフェート/フタル酸、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート/フタル酸、1-オクチル-3-メチルイミダゾリウムアセテート/フタル酸、1-オクチル-3-メチルイミダゾリウムブロマイド/フタル酸、1-オクチル-3-メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート/フタル酸、1-メチル-1-ブチルピロリジニウムジシアナミド/フタル酸、1-メチル-1-オクチルピロリジニウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド/フタル酸、1-メチル-1-ブチルピペリジニウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド/フタル酸、1-エチル-3-メチルピリジニウムエチルサルフェート/フタル酸、1-ブチル-4-メチルピリジニウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド/フタル酸および1-ブチルピリジニウムテトラフルオロボレート/フタル酸が挙げられる。
【0052】
さらにより好ましい形態において、イオン液体と酸の組み合わせ(イオン液体/酸)の具体例としては、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムアセテート/マレイン酸、1-プロピル-3-メチルイミダゾリウムアセテート/マレイン酸、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムアセテート/マレイン酸および1-オクチル-3-メチルイミダゾリウムアセテート/マレイン酸が挙げられる。
【0053】
酸に対するイオン液体の配合比(イオン液体/酸)は、好ましくは、当量比で0.10~1.0であり、より好ましくは0.20~1.0である。当量比で0.10未満の場合には硬化膜の密度が低下し、1.0を超える場合には保存安定性が低下する傾向にあるからである。
【0054】
酸は、単独または2種以上を組み合わせて用いることができる。酸の含有量は、本発明による組成物の総質量を基準として、好ましくは0.00020~10.0であり、より好ましくは0.020~10.0質量%であり、さらに好ましくは0.020~8.0質量%である。
【0055】
(IV)溶媒
溶媒は、前記した(I)~(III)成分、および必要に応じて添加される添加剤を均一に溶解または分散させるものであれば特に限定されない。本発明に用いることができる溶媒の例としては、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテルなどのエチレングリコールモノアルキルエーテル類、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジプロピルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテルなどのジエチレングリコールジアルキルエーテル類、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテートなどのエチレングリコールアルキルエーテルアセテート類、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)、プロピレングリコールモノエチルエーテル等のプロピレングリコールモノアルキルエーテル類、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテートなどのプロピレングリコールアルキルエーテルアセテート類、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類、メチルエチルケトン、アセトン、メチルアミルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン類、エタノール、プロパノール、ブタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、エチレングリコール、グリセリン、3-メトキシブタノール、1,3-ブタンジオールなどのアルコール類、乳酸エチル、ブチルアセテート、3-メトキシブチルアセテート、3-エトキシプロピオン酸エチル、3-メトキシプロピオン酸メチルなどのエステル類、γ-ブチロラクトンなどの環状エステル類などが挙げられ、好ましくは、PGME、3-メトキシブタノール、1,3-ブタンジオール、PGMEA、乳酸エチル、ブチルアセテート、3-メトキシブチルアセテートである。溶媒は、それぞれ単独または2種以上を組み合わせて用いられる。
【0056】
本発明による組成物の溶媒含有率は、採用する塗布方法により作業性がよくなるように、また微細な溝内への溶液の浸透性や溝外部において必要とされる膜厚を考慮して、用いるポリシロキサンの質量平均分子量、その分布及び構造に応じて適宜選択することができる。溶媒の含有量は、本発明による組成物の総質量を基準として、好ましくは50~98質量%であり、より好ましくは60~98質量%である。
【0057】
本発明による組成物は、前記した(I)~(IV)を必須とするものであるが、必要に応じてさらなる化合物を組み合わせることができる。これらの組み合わせることができる材料について説明すると以下の通りである。なお、組成物全体にしめる(I)~(IV)以外の成分の総量は、組成物の総質量に対して、10%以下が好ましく、より好ましくは5%以下である。
【0058】
本発明による組成物は、必要に応じて、その他の添加剤を含んでもよい。このような添加剤としては、例えば、界面活性剤、密着増強剤、消泡剤、熱硬化促進剤などが挙げられる。
【0059】
界面活性剤は、塗布特性、現像性等の向上を目的として添加される。本発明で使用することのできる界面活性剤としては、例えば非イオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、両性界面活性剤などが挙げられる。
【0060】
上記非イオン系界面活性剤としては、例えば、例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテルなどのポリオキシエチレンアルキルエーテル類やポリオキシエチレン脂肪酸ジエステル、ポリオキシエチレン脂肪酸モノエステル、ポリオキシエチレンポリオキシピロピレンブロックポリマー、アセチレンアルコール、アセチレンアルコールのポリエトキシレートなどのアセチレンアルコール誘導体、アセチレングリコール、アセチレングリコールのポリエトキシレートなどのアセチレングリコール誘導体、フッ素含有界面活性剤、例えばフロラード(商品名、住友スリーエム株式会社製)、メガファック(商品名、DIC株式会社製)、スルフロン(商品名、旭硝子株式会社製)、または有機シロキサン界面活性剤、例えばKP341(商品名、信越化学工業株式会社製)などが挙げられる。前記アセチレングリコール誘導体としては、3-メチル-1-ブチン-3-オール、3-メチル-1-ペンチン-3-オール、3,6-ジメチル-4-オクチン-3,6-ジオール、2,4,7,9-テトラメチル-5-デシン-4,7-ジオール、3,5-ジメチル-1-ヘキシン-3-オール、2,5-ジメチル-3-ヘキシン-2,5-ジオール、2,5-ジメチル-2,5-ヘキサンジオールなどが挙げられる。
【0061】
またアニオン系界面活性剤としては、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸のアンモニウム塩または有機アミン塩、アルキルジフェニルエーテルスルホン酸のアンモニウム塩または有機アミン塩、アルキルベンゼンスルホン酸のアンモニウム塩または有機アミン塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸のアンモニウム塩または有機アミン塩、アルキル硫酸のアンモニウム塩または有機アミン塩などが挙げられる。
【0062】
さらに両性界面活性剤としては、2-アルキル-N-カルボキシメチル-N-ヒドロキシエチルイミダゾリウムベタイン、ラウリル酸アミドプロピルヒドロキシスルホンベタインなどが挙げられる。
【0063】
これら界面活性剤は、単独でまたは2種以上混合して使用することができ、その配合量は、本発明による組成物に対し、通常50~10000ppm、好ましくは100~8000ppmである。
【0064】
密着増強剤は、本発明による組成物を用いて硬化膜を形成させたときに、焼成後にかかる応力によりパターンが剥がれることを防ぐ効果を有する。密着増強剤としては、イミダゾール類やシランカップリング剤などが好ましく、イミダゾール類では、2-ヒドロキシベンゾイミダゾール、2-ヒドロキシエチルベンゾイミダゾール、ベンゾイミダゾール、2-ヒドロキシイミダゾール、イミダゾール、2-メルカプトイミダゾール、2-アミノイミダゾールが好ましく、2-ヒドロキシベンゾイミダゾール、ベンゾイミダゾール、2-ヒドロキシイミダゾール、イミダゾールが特に好ましく用いられる。
【0065】
消泡剤としては、アルコール(C18)、オレイン酸やステアリン酸等の高級脂肪酸、グリセリンモノラウレート等の高級脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール(PEG)(Mn200~10000)、ポリプロピレングリコール(PPG)(Mn200~10000)等のポリエーテル、ジメチルシリコーンオイル、アルキル変性シリコーンオイル、フルオロシリコーンオイル等のシリコーン化合物、および上記の有機シロキサン系界面活性剤が挙げられる。これらは単独または複数を組み合わせて使用することができ、その添加量はポリシロキサンの総質量を基準として、0.1~3質量%とすることが好ましい。
【0066】
熱硬化促進剤としては、熱塩基発生剤、熱酸発生剤等が挙げられる。なお、本発明において、熱硬化促進剤には、イオン液体は含まれないものとする。通常、熱硬化促進剤を含ませることで、塗布膜の加熱時の硬化速度を大きくすることができるが、本発明においては、イオン液体がポリシロキサンの硬化を促進する機能を果たすため、熱硬化促進剤を含まなくても、硬化を発揮できるため、熱硬化促進剤の含有量が、好ましくは0.01質量%以下であり、より好ましくは0.001質量%である。熱硬化促進剤を含まないことも本発明の好適な一態様である。
【0067】
また、本発明による組成物は、さらに光塩基発生剤、光酸発生剤等を含ませることで、感光性を有する組成物として使用することもできる。
【0068】
硬化膜の製造方法
本発明による硬化膜の製造方法は、本発明による組成物を基板に塗布して塗膜を形成させること、および前記塗膜を加熱することを含んでなるものである。本発明において、「基板に」は、組成物を基板に直接塗布するケースや、組成物を1以上の中間層を介して基板に塗布するケースも含むものとする。硬化膜の形成方法を工程順に説明すると以下の通りである。
【0069】
(1)塗布工程
基板の形状は特に限定されず、目的に応じて任意に選択することができる。しかしながら、本発明による組成物は、狭い溝部などにも容易に浸透し、溝の内部においても均一な硬化膜を形成できるという特徴があるため、アスペクト比の高い溝部や孔を有する基板に適用することができる。具体的には最深部の幅が0.2μm以下でそのアスペクト比が2以上である溝を少なくとも一つ有する基板などに適用することができる。ここで溝の形状に特に限定はなく、断面が長方形、順テーパー形状、逆テーパー形状、曲面形状、等いずれの形状であってもよい。また、溝の両端部分は開放されていても閉じていてもよい。
【0070】
アスペクト比の高い溝を少なくとも一つ有する基板の代表例として、トランジスター素子、ビットライン、キャパシター、等を具備した電子デバイス用基板が挙げられる。このような電子デバイスの製作には、PMDと呼ばれるトランジスター素子とビットラインとの間、トランジスター素子とキャパシターとの間、ビットラインとキャパシターとの間、またはキャパシターと金属配線との間の絶縁膜や、IMDと呼ばれる複数の金属配線間の絶縁膜の形成、或いはアイソレーション溝の埋封、といった工程に続き、微細溝の埋封材料を上下に貫通する孔を形成するスルーホールめっき工程が含まれる場合がある。
【0071】
塗布は、任意の方法により行うことができる。具体的には、浸漬塗布、ロールコート、バーコート、刷毛塗り、スプレーコート、ドクターコート、フローコート、スピンコート、およびスリット塗布等から任意に選択することができる。また組成物を塗布する基板としては、シリコン基板、ガラス基板、樹脂フィルム等の適当な基板を用いることができる。これらの基板には、必要に応じて各種の半導体素子などが形成されていてもよい。基板がフィルムである場合には、グラビア塗布も利用可能である。所望により塗膜後に乾燥工程を別に設けることもできる。また、必要に応じて塗布工程を1回または2回以上繰り返して、形成される塗膜の膜厚を所望のものとすることができる。
【0072】
(2)プリベーク工程
組成物を塗布することにより、塗膜を形成させた後、その塗膜を乾燥させ、且つ塗膜中の溶剤残存量を減少させるため、その塗膜をプリベーク(前加熱処理)することもできる。
【0073】
(3)硬化工程
塗膜を加熱することにより、硬化膜を形成させる。ここで、本発明において、硬化膜とは、S2/S1比が0.003未満のものを意味するものとする。
硬化工程に使う加熱装置には、ホットプレートやオーブンを使用することができる。この硬化工程における加熱温度としては、硬化膜の形成される温度であれば特に限定されず、任意に定めることができる。ただし、シラノールが残存すると、硬化膜の薬品耐性が不十分となったり、硬化膜の誘電率が高くなることがある。このような観点から加熱温度は一般的には相対的に高い温度が選択されるが、本発明による組成物を用いる場合に、比較的低温で硬化することができる。具体的には500℃以下で加熱することが好ましく、300℃以下であることがより好ましい。一方で、硬化反応を促進するために、加熱温度は好ましくは120℃以上であり、より好ましくは140℃以上であり、さらに好ましくは170℃以上である。また、加熱時間は特に限定されず、ホットプレートを用いる場合に、好ましくは1~60分であり、より好ましくは1~30分である。硬化工程は、大気雰囲気下で行われることが好ましい。
【0074】
この硬化工程で、ボイド発生が起こることがある。特に、ポリシロキサンに含まれる有機基が少なくなると、ボイド発生が増える傾向にある。しかしながら、本発明の組成物を用いた場合には、ポリシロキサンに含まれる有機基が少ない場合であっても、そのボイド発生が抑えられるのである。
【0075】
本発明による組成物を用いて形成された硬化膜は、優れた透明性、耐薬品性、耐環境性、電気絶縁性、耐熱性等を達成することができる。このため、低温ポリシリコン用層間絶縁膜あるいはICチップ用バッファーコート膜、透明保護膜などとして多方面で好適に利用することができる。
【0076】
本発明による電子素子の製造方法は、上記の本発明による硬化膜の製造方法を含んでなる。
【0077】
以下に実施例、比較例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例、比較例により何ら限定されるものではない。
【0078】
ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)は、allianceTM e2695型高速GPCシステム(日本ウォーターズ株式会社)およびSuper Multipore HZ-N型GPCカラム(東ソー株式会社)を用いて測定される。測定は、単分散ポリスチレンを標準試料とし、テトラヒドロフランを展開溶媒として、流量0.6ミリリットル/分、カラム温度40℃の測定条件で行った上で、標準試料への相対分子量として質量平均分子量(以下、Mwということがある)を算出する。
【0079】
合成例1:ポリシロキサンA
撹拌機、温度計、冷却管を備えた2Lのフラスコに、メチルトリメトキシシラン29.1g、フェニルトリメトキシシラン0.6gおよびテトラメトキシシラン0.4g、PGME308mlを仕込み、0.2℃に冷却する。次いで滴下ロートから37質量%テトラ-n-ブチルアンモニウムハイドロキサイドメタノール溶液96.6gをフラスコ内に滴下し2時間撹拌した後、ノルマルプロピルアセテート500mlを加えた後に、再度0.2℃に冷却し、TBAHに対し1.1等量の3%塩酸水溶液を加えた後に1時間中和撹拌する。中和液にノルマルプロピルアセテート1,000ml、水250mlを添加し、反応液を2層に分離させ、得られた有機層を水250ccで3回洗浄後に減圧下濃縮することで水分と溶媒を除去し、PGMEAを添加調整してポリシロキサンA溶液を得る。
得られるポリシロキサンAは、Mwが2,630であり、S2/S1は、0.041である。なお、ここでのS2/S1は、ポリシロキサンA溶液を用いて、後述のS2/S1の測定方法と、加熱を行わない以外は同様に測定される。
【0080】
合成例2:ポリシロキサンB
撹拌機、温度計、冷却管を備えた2Lのフラスコに、40質量%テトラ-n-ブチルアンモニウムハイドロキサイド(TBAH)水溶液32.5g、2-メトキシプロパノール(PGME)308mlを仕込んだ。次いで滴下ロートにメチルトリメトキシシラン19.6gおよびテトラメトキシシラン9.4gの混合溶液を調製した。その混合溶液をフラスコ内に滴下し、室温下で2時間撹拌した後、ノルマルプロピルアセテート(n-PA)500mlを加えた後に、TBAHに対し1.1等量の3%マレイン酸水溶液を加え、1時間中和攪拌する。中和液にノルマルプロピルアセテート(n-PA)500ml、水250mlを添加し、反応液を2層に分離させ、得られた有機層を水250ccで3回洗浄後に減圧下濃縮することで水分と溶媒を除去し、PGMEを添加調整してポリシロキサンB溶液を得る。
得られるポリシロキサンBは、Mwが2,180であり、S2/S1は、0.10である。
【0081】
合成例3:ポリシロキサンC
撹拌機、温度計、冷却管を備えた2Lのフラスコに、メチルトリメトキシシラン13.6gおよびテトラメトキシシラン63.2g、アセトン177mlを仕込み、0.2℃に冷却する。次いで滴下ロートから5.7モル/L塩酸水溶液76.1gをフラスコ内に滴下し、室温水浴で1時間撹拌した。PGMEA200mlを加えた後に、減圧下濃縮することで水と溶剤を除去し、3-メトキシブタノールを添加調整してポリシロキサンC溶液を得る。
得られるポリシロキサンCは、Mwが730であり、S2/S1は、0.14である。
【0082】
合成例4:ポリシロキサンD
撹拌機、温度計、冷却管を備えた2Lのフラスコに、メチルトリメトキシシラン63.1gおよびテトラメトキシシラン92.7g、アセトン250mlを仕込み、0.2℃に冷却する。次いで滴下ロートから5.7モル/L塩酸水溶液76.1gをフラスコ内に滴下し、室温水浴で1時間撹拌した。PGMEA200mlを加えた後に、減圧下濃縮することで水と溶剤を除去し、1,3-ブタンジオールを添加調整してポリシロキサンD溶液を得る。
得られるポリシロキサンDは、Mwが7,720であり、S2/S1は、0.12である。
【0083】
ポリシロキサン組成物の調製
以下の表1~7に示す組成および含有量で、実施例101~105、201~206、301~305、401~405および501~502、ならびに比較例101~103、201~203および501のポリシロキサン組成物を調製する。表中、組成の数値は質量%を意味する。
【表1】
【表2】
【表3】
【表4】
【表5】
【表6】
【表7】
表中、
イオン液体A:1-エチル-3-メチルイミダゾリウムアセタート(EMIMAc)、
イオン液体B:1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムジシアナミド、
イオン液体C:2-ヒドロキシエチルトリメチルアンモニウムアセテート、
イオン液体D:1-メチル-1-ブチルピロリジニウムジシアナミド、
熱塩基発生剤A:サンアプロ株式会社製
【0084】
膜厚均一性評価
ポリシロキサン組成物を4インチSiウエハにスピンコーター(ミカサ株式会社製 1HDX2)を用いて1000rpmにて塗布する。塗布ウエハは大気中、200℃または150℃で2分間の硬化を行う。硬化膜厚を直径上の19点で分光エリプソメーター(JA ウーラム社製 M-2000V)を用いて測定を行い、変動係数の3倍を膜厚均一性とする。結果は表1~7に示す。
【0085】
膜べり量評価
ポリシロキサン組成物を4インチSiウエハにスピンコーター(ミカサ株式会社製 1HDX2)を用いて1000rpmにて塗布する。塗布膜厚は、直径上の19点で分光エリプソメーター(JA ウーラム社製 M-2000V)を用いて測定を行い、その平均値とする。塗布ウエハは大気中、200℃または150℃で2分間の硬化を行う。硬化膜厚は、塗布膜厚と同様に測定を行う。結果は表1~7に示す。
膜べり量(%)=(塗布膜厚-硬化膜厚)/塗布膜厚×100
【0086】
S2/S1
ポリシロキサン組成物を4インチSiウエハに滴下し、1000rpmでスピンコート後に、200℃または150℃のホットプレートで2分間硬化を行う。FT-IRスペクトルの測定を室温でFTIR-6100(JASCO社)を用いて行う。ノイズを考慮して、ベースライン補正を行い、900±100cm-1の範囲にピークを有する、Si-OHに帰属される吸収帯(S2)と、1100±100cm-1の範囲にピークを有する、Si-Oに帰属される吸収帯(S1)の面積強度を測定し、S2/S1の値を算出する。なお、Si-OHに帰属される吸収帯の裾と、Si-Oに帰属される吸収帯の裾とが重複する場合もありえるが、その場合には、スペクトルにおける二つの吸収帯の間の極小点に対応する波数を境界とする。その他の吸収帯の裾が、Si-OHまたはSi-Oに帰属される吸収帯の裾と重複する場合も同様である。
得られるS2/S1の値を以下の基準で評価する。結果は表1~7に示す。
A:0.003未満
B:0.003以上0.006未満
C:0.006以上
【0087】
埋め込み性評価
ポリシロキサン組成物を、スピンコートにて、トレンチ(幅:20nm、高さ:500nm)を有するSiウエハ上に塗布し、塗布後ホットプレート上250℃で2分間加熱する。この後、走査型電子顕微鏡(S-4700、日立ハイテクノロジーズ社製)により、断面形状を観察し、ボイドの有無を確認する。評価基準は以下のとおりであり、得られた結果を表1~4に示す。
A:トレンチは充填され、ボイドが確認されない。
B:トレンチは充填され、ボイドが確認される。
【0088】
保存安定性評価
ポリシロキサンBを7質量%、イオン液体Aを0.7質量%、マレイン酸を0.7質量%、およびPGME残部からなるポリシロキサン組成物と、ポリシロキサンBを7質量%、イオン液体Aを0.7質量%、およびPGME残部からなるポリシロキサン組成物とを、2日間室温で保管し、外観を観察したところ、マレイン酸を含む組成物では、外観に変化がみられないが、マレイン酸を含まない組成物では、ゲル化していることが観察される。
【手続補正書】
【提出日】2023-12-11
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(I)ポリシロキサン、
(II)イオン液体、
(III)酸、および
(IV)溶媒
を含んでなる、ポリシロキサン組成物。
【請求項2】
(I)ポリシロキサンが、以下の式(Ia)で表される繰り返し単位
【化1】
(ここで、
は、水素、1~3価の、C1-30の直鎖状、分岐状もしくは環状の、飽和または不飽和の脂肪族炭化水素基、または1~3価のC6-30の芳香族炭化水素基であり、
前記脂肪族炭化水素基および前記芳香族炭化水素基は、それぞれ、非置換であるか、またはフッ素、ヒドロキシもしくはC1-8アルコキシで置換されており、
前記脂肪族炭化水素基および前記芳香族炭化水素基において、メチレンが置き換えられていないか、または1以上のメチレンが、オキシ、イミドもしくはカルボニルで置き換えられており、ただし、Rはヒドロキシ、アルコキシではなく、
が2価または3価である場合、Rは複数の繰り返し単位に含まれるSi同士を連結する)、および
以下の式(Ib)で表される繰り返し単位
【化2】
を含んでなり、末端または側鎖にシラノールを有するポリシロキサンであって、
前記ポリシロキサンをFT-IR法によって測定および解析したときに、1100±100cm-1の範囲にあるSi-Oに帰属される吸収帯の面積強度S1と、900±100cm-1の範囲にあるSiOHに帰属される吸収帯の面積強度S2との比S2/S1が0.020~0.20である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
が、水素、C1-6の直鎖状、分岐状あるいは環状のアルキル、またはC6-10のアリールである、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
前記イオン液体のカチオンが、イミダゾリウム系イオン、ピロリジニウム系イオン、ピペリジニウム系イオン、ピリジニウム系イオン、およびアンモニウム系イオンからなる群から選択される少なくとも一つのカチオンである、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項5】
前記イオン液体のアニオンが、フォーメートイオン、アセテートイオン、プロピオネートイオン、ラクテートイオン、オレートイオン、サリシレートイオン、ジシアナミドイオン、シアナミドイオン、チオシアネートイオン、メチルサルフェートイオン、エチルサルフェートイオン、ハイドロジェンサルフェートイオン、メタンスルホネートイオン、トリフルオロメタンスルホネートイオン、p-トルエンスルホネートイオン、ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミドイオン、ビス(フルオロスルホニル)イミドイオン、メチルカーボネートイオン、ハイドロジェンカーボネートイオン、ジエチルホスフェートイオン、ジブチルホスフェートイオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン、テトラフルオロボレートイオン、塩素イオン、および臭素イオンからなる群から選択される少なくとも一つのアニオンである、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項6】
ゲル浸透クロマトグラフィーによって測定される前記ポリシロキサンの質量平均分子量が500~10,000である、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項7】
前記ポリシロキサンに対する前記イオン液体の配合比(イオン液体/ポリシロキサン)が、質量比で0.000030~0.10である、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項8】
前記酸に対する前記イオン液体の配合比(イオン液体/酸)が、当量比で0.10~1.0である、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項9】
前記酸が有機酸である、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項10】
式(Ib)で表される繰り返し単位の数の比率が、前記ポリシロキサンに含まれる繰り返し単位の総数を基準として、8%以上である、請求項に記載の組成物。
【請求項11】
(IV)溶媒が、プロピレングリコールモノメチルエーテル、3-メトキシブタノール、1,3-ブタンジオール、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、乳酸エチル、ブチルアセテートおよび3-メトキシブチルアセテートからなる群から選択される少なくとも1つである、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項12】
(IV)溶媒の含有量が、前記組成物の総質量を基準として、50~98質量%である、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項13】
請求項1または2に記載の組成物を基板に塗布して塗膜を形成させること、および塗膜を加熱することを含んでなる、硬化膜の製造方法。
【請求項14】
加熱が120℃以上の温度で行われる、請求項13に記載の硬化膜の製造方法。
【請求項15】
請求項13に記載の硬化膜の製造方法を含んでなる、電子素子の製造方法。
【国際調査報告】