(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-05
(54)【発明の名称】統計的形状モデリング及び仮想フィッティングを使用した気管内チューブサイズ選択並びに挿入深度推定
(51)【国際特許分類】
G16H 20/00 20180101AFI20240628BHJP
A61M 16/04 20060101ALI20240628BHJP
【FI】
G16H20/00
A61M16/04 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2023577274
(86)(22)【出願日】2022-06-29
(85)【翻訳文提出日】2023-12-13
(86)【国際出願番号】 EP2022067859
(87)【国際公開番号】W WO2023280652
(87)【国際公開日】2023-01-12
(32)【優先日】2021-07-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】Koninklijke Philips N.V.
【住所又は居所原語表記】High Tech Campus 52, 5656 AG Eindhoven,Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】100122769
【氏名又は名称】笛田 秀仙
(74)【代理人】
【識別番号】100163809
【氏名又は名称】五十嵐 貴裕
(74)【代理人】
【識別番号】100145654
【氏名又は名称】矢ヶ部 喜行
(72)【発明者】
【氏名】ヘンドリクス コルネリス ペトルス
(72)【発明者】
【氏名】デリモア キラン ハミルトン ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】サブジンスキー ヨルグ
(72)【発明者】
【氏名】コーラー トーマス
(72)【発明者】
【氏名】ハールツェン ヤコブ ロジャー
(72)【発明者】
【氏名】ウィムカー ラファエル
(72)【発明者】
【氏名】ポルキー マイケル
【テーマコード(参考)】
5L099
【Fターム(参考)】
5L099AA00
(57)【要約】
挿管支援装置は、人間の気道の少なくとも一部の統計的形状モデル(SSM)に1つ以上の患者変数を入力することによって、この人間の気道の少なくとも一部の患者気道の幾何学モデルを生成し、この患者気道の幾何学モデルに挿入される少なくとも1つのETTモデルをモデル化し、仮想のフィットモデルを形成することによって、推奨される気管内チューブ(ETT)のサイズを選択し、仮想のフィットモデルに基づいて少なくとも1つのフィットパラメタを推定し、及び推奨されるETTサイズをディスプレイ装置に表示するように構成された電子コントローラを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子コントローラを有する挿管支援装置において、前記電子コントローラは、
人間の気道の少なくとも一部の統計的形状モデル(SSM)に1つ以上の患者変数を入力することによって、前記人間の気道の少なくとも一部の患者気道の幾何学モデルを生成し、
仮想フィットモデルを形成するために、前記患者気道の幾何学モデルに挿入される少なくとも1つのETTモデルをモデル化し、前記仮想フィットモデルに基づいて少なくとも1つのフィットパラメタを推定することによって、推奨される気管内チューブ(ETT)サイズを選択し、及び
前記推奨されるETTサイズを表示装置に表示する
ように構成される挿管支援装置。
【請求項2】
前記電子コントローラは、前記患者気道の幾何学モデルに挿入される前記少なくとも1つのETTモデルのモデル化に基づいて、前記推奨されるETTの挿入の深さを選択するようにさらに構成される、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記電子コントローラは、
異なるETTサイズからなるETTモデルのカタログから、候補ETTサイズの候補ETTモデルを選択し、
前記患者気道の幾何学モデルに挿入される前記候補ETTモデルをモデル化し、
前記モデル化に基づいて、前記候補ETTサイズに対する前記少なくとも1つのフィットパラメタを推定し、及び
前記候補ETTサイズに対する前記少なくとも1つのフィットパラメタが所定のフィットパラメタ基準を満たす場合、前記推奨されるETTサイズを前記候補ETTサイズとして選択する
ことによって、前記推奨されるETTサイズを選択するように構成される、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記電子コントローラは、前記候補ETTサイズに対する前記少なくとも1つのフィットパラメタが前記所定のフィットパラメタ基準を満たさない場合、
前記カタログから異なる候補ETTサイズからなる異なる候補ETTモデルを選択し、及び、
前記所定のフィットパラメタ基準が満たされるまで前記モデル化を繰り返す
ようにさらに構成される、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記少なくとも1つのフィットパラメタは、推定されるETTモデルと気管の壁部との間における接触圧力、前記推定されるETTモデルと前記気管の壁部との間における距離、前記推定されるETTモデルと前記気管の壁部との間における摩擦値、及び/又は前記推定されるETTモデルの接触による前記気管の壁部の組織変形の少なくとも1つを含む、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記電子コントローラは、電子処理装置から前記1つ以上の患者変数を受信する、及び/又は患者データベースから前記1つ以上の患者変数を取り出すようにさらに構成される、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記電子コントローラは、前記患者気道の幾何学モデルに挿入される前記推奨されるETTサイズのETTモデルをモデル化しているレンダリングを前記表示装置に表示することを含む動作によって、前記推奨されるETTサイズを表示するようにさらに構成される、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記電子コントローラは、前記統計的形状モデルによって提供される1つ以上の患者入力の変動範囲から前記患者気道の幾何学モデルを生成するように構成される、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記1つ以上の患者変数は、身長、体重、BMI、年齢及び性別の少なくとも1つを含む、請求項1に記載の装置。
【請求項10】
前記電子コントローラは、
前記患者の呼吸器系の1つ以上の画像を受信し、
前記1つ以上の画像から前記患者の気道の少なくとも1つの寸法の値を決定し、及び
前記患者気道の幾何学モデルにおける少なくとも1つの寸法を前記決定された値に設定する
ようにさらに構成される、請求項1に記載の装置。
【請求項11】
前記1つ以上の画像を取得するように構成される撮像装置をさらに含む、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記撮像装置は、前記患者の1つ以上のCT画像を取得するように構成されるコンピュータ断層撮影(CT)撮像装置である、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記患者が配置される領域に位置決められる1つ以上の3次元(3D)カメラを有する第2の撮像装置をさらに含み、前記1つ以上の3次元カメラは、前記患者の1つ以上の3D画像を取得するように構成される、請求項12に記載の装置。
【請求項14】
電子コントローラを用いて、
人間の気道の少なくとも一部の患者気道の幾何学モデルを生成するステップ、
前記患者気道の幾何学モデル及び少なくとも1つのフィットパラメタの推定に基づいて、推奨される気管内チューブ(ETT)サイズを選択するステップ、並びに
前記推奨されるETTサイズを表示装置上に表示するステップ
を有する、挿管支援方法。
【請求項15】
前記患者気道の幾何学モデルは、患者形状の測定、前記患者の画像及びETTのパラメタで訓練された人工ニューラルネットワーク(ANN)から生成される、請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本特許出願は、米国特許法第119条の下、2021年7月8日に出願された米国仮特許出願第63/219,370号の優先権を主張し、その内容は、参照することにより本明細書に組み込まれる。
【0002】
以下のことは、一般に、呼吸療法技術、気管挿管技術、気管内チューブサイズ設定技術及、び関連技術に関する。
【背景技術】
【0003】
患者の機械的換気は、典型的には、気管挿管として知られる処理において、患者の気管内に気管内チューブ(ETT)の留置を必要とする。ETTの先端の所望する位置は、気管分岐部(carina)(すなわち、気管が左右の主気管支に分岐する位置)の約5.0cm(±2.0cm)上である。気管挿管は、通常、麻酔専門医又は他の有資格の医療専門家によって行われ、一般的な順序では、気道を確保するために頭部を後方に移動させ、喉頭鏡を使用して、食道に誤留置することなく、声帯と気管との間にETTを適切に留置にする。
【0004】
機械的換気が必要とされる一般的な状況には、集中治療室(ICU)症例及び大手術中が含まれる。そのような患者は、特に患者の状態が肺関連疾患(例えば、Covid-19)又は外傷である場合、ICUに送られる前に胸郭の画像(すなわち、コンピュータトモグラフィ(CT)画像)をしばしば取得する。
【0005】
しかしながら、ETTは、誤って(例えば、食道又は気管支の一方に)位置決められる、又はETTに空気漏れが存在することがある。まれではあるが、これらの状況が起こると、脳低酸素症に起因する長期的な影響を伴う重度の合併症を引き起こすことがある。
【0006】
患者に挿管するとき考慮すべき重要なことは、ETTのサイズの適切な選択である。ETTは、様々なサイズ、例えば、幾つかのサイズ設定方法では2mmから10.5mmまでの内径で利用可能であり、最も小さいサイズは、乳児に挿管するために使用される。1歳よりも大きい患者の場合、前記内径をミリメートルで選択するための1つの式は、(年齢+16)/4である。ETTの直径を選択することに加えて、ETTを挿入する深さは、もう1つの重要なサイズ設定パラメタである。ETTの端部は、右肺及び左肺の両方を均等に換気しつつ、十分に密閉された嵌合を確実にするために、好ましくは、気管分岐部、すなわち、気管が夫々の肺に通じる左右の気管支に分岐する場所、の上方に位置決められる。ETTは、通常、気管挿管の処理中に、チューブ挿入の深さを視覚的に追跡するように、そのチューブの長さに沿って印(例えば、1cm毎の目盛り又は同様なもの)を持つ。この挿入の深さをセンチメートルで選択するための1つの式は、(年齢+12)/2である。これらは一般的な法則であるが、患者特有の解剖学的構造は、ETTのサイズ設定(最適なチューブ径及び挿入の深さ)、及び気管挿管を行うことの困難さに著しく影響を与えることがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
不適切な気管挿管は、例えば、気管の穿孔(又はETTが誤留置される場合は食道の穿孔)、神経損傷、脊髄損傷、声帯損傷、挿入されるETTを介した不十分な機械的換気、気管支挿管(ETTの挿入が深すぎて、EETが左又は右の気管支に入る)及びETTの偶発的な脱落等のような重度の合併症を引き起こす可能性がある。間違ったサイズのチューブを用いて気管挿管を行うことは、多くの上記合併症を直接的又は間接的に引き起こす可能性がある。直径が小さすぎるETTを用いた挿管は、不十分な換気及び脱落する可能性がある一方、直径が大きすぎると、気道に過度の力が加えられ、神経、声帯又は他の気道組織に損傷をもたらす可能性がある。同様に、挿入の深さが不十分であると、不十分な換気及び脱落する可能性がある一方、挿入の過度の深さは、気管支挿管を引き起こす可能性がある。喉頭鏡は、上気道の構造(声門及び喉頭)のみの目視観察を可能にするので、気管挿管は、部分的に「目に見えない(blind)」手続きである。
【0008】
以下のことは、これらの問題及び他の問題を克服するための特定の改良を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
一態様において、挿管支援装置は、人間の気道の少なくとも一部の統計的形状モデル(SSM)に1つ以上の患者変数を入力することによって、この人間の気道の少なくとも一部の患者気道の幾何学モデルを生成し、仮想フィットモデルを形成するために、前記患者気道の幾何学モデルに挿入される少なくとも1つのETTモデルをモデル化し、この仮想フィットモデルに基づいて少なくとも1つのフィットパラメタを推定することによって、推奨される気管内チューブ(ETT)のサイズを選択し、及び前記推奨されるETTサイズを表示装置上に表示するように構成される電子コントローラを含む。
【0010】
別の態様において、挿管支援方法は、電子コントローラを用いて、人間の気道の少なくとも一部の患者気道の幾何学モデルを生成するステップ、前記患者気道の幾何学モデル及び少なくとも1つのフィットパラメタの推定に基づいて推奨されるETTサイズを選択するステップ、並びに前記推奨されるETTサイズを表示装置上に表示するステップを含む。
【0011】
ある利点は、患者の気管に挿入される適切な直径のサイズのETTを用いた機械的換気療法を患者に提供することにある。
【0012】
別の利点は、患者の気管内への適切な挿入の深さのサイズのETTを用いた機械的換気療法を患者に提供することにある。
【0013】
別の利点は、患者の個別の解剖学的構造を考慮する、ETTの適切なサイズを決定することにある。
【0014】
別の利点は、患者の1つ以上の画像に基づいて、患者に適したETTのサイズを決定することにある。
【0015】
別の利点は、ETTの適切なサイズを決定するために、ETTの1つ以上のモデル及び/又は患者の患者形状を使用することにある。
【0016】
別の利点は、患者の気管へのETTの挿入の深さを決定するために、ETTの1つ以上のモデル及び/又は患者の患者形状を使用することにある。
【0017】
別の利点は、ETTの適切なサイズ及び/又はETTの適切な挿入の深さを決定するために、統計的形状モデル(SSM)を使用することにある。
【0018】
所与の実施形態は、上述した利点の何れも提供しないか、1つ、2つ、それ以上、若しくは全てを提供することができる、及び/又は本開示を読み、理解すると当業者に明らかとなるような他の利点を提供することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0019】
本開示は、様々な構成要素及び構成要素の配列、並びに様々なステップ及びステップの配列の形態をとることができる。図面は、好ましい実施形態を例示することだけを目的とし、本開示を限定するものとして解釈されるべきではない。
【
図1】
図1は、本開示による挿管支援装置を含む例示的な機械的換気システムを概略的に示す。
【
図3】
図3は、
図1のシステムによって適切に行われる動作の例示的なフローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
明細書において、特に文脈上はっきりと述べていない限り、複数あると述べていなくても、それらが複数あることを含む。本明細書に用いられるように、2つ以上の部品又は構成要素が“結合される”、“接続される”又は“係合される”という表現は、連接している限り、これら部品が直接的又は間接的に、すなわち、1つ以上の中間部品又は構成要素を介して接合され、動作する又は協働することを意味する。本明細書に用いられる方向の表現、例えば、限定するものではないが、頂部、底部、左側、右側、上部、下部、前方、後方及びそれらの派生語は、図面に示される要素の向きに関連し、本明細書に明確に記載されない限り、特許請求される発明の範囲を限定するものではない。“有する”又は“含む”という言葉は、明細書に記載される及び/又は特許請求の範囲に挙げられる要素又はステップ以外の要素又はステップの存在を排除するものではない。
【0021】
幾つかの手段から構成される装置において、これらの手段の幾つかは、ハードウェアの同一のアイテムによって具現化されてもよい。
【0022】
図1を参照すると、関連する患者Pに換気療法を施すための人工呼吸器(mechanical ventilator)2が示されている。
図1に示されるように、人工呼吸器2は、患者Pに機械的換気を送達するために、患者呼吸回路5と接続可能な出口4を含む。患者呼吸回路5は、人工呼吸器にとって典型的な構成要素、例えば、吸気ライン6、任意の排気ライン7(人工呼吸器がシングルリムの患者回路を使用する場合、この排気ラインは省略されてもよい)、ETTと接続するためのコネクタ又はポート8、並びに1つ以上の呼吸センサ(図示せず)、例えば、気体流量計、圧力センサ及び/又は呼気終末二酸化炭素(etCO
2)センサなどを含む。人工呼吸器2は、ETTを介して患者を換気するために、プログラムされた圧力及び/又は流量で、空気、空気-酸素混合物、又は他の呼吸可能なガス(図示せず)を出口4に送達するように設計される。
【0023】
図1は、医用撮像装置15(画像取得装置、撮像装置などとも呼ばれる)も示す。画像取得装置15は、コンピュータ断層撮影(CT)画像取得装置、Cアーム撮像装置或いは他のX線撮像装置、磁気共鳴(MR)画像取得装置、超音波(US)画像取得装置、又は別のモダリティの医用撮像装置とすることができる。本明細書に主として説明されるように、医用撮像装置15は、CT医用撮像装置15を有する。本明細書に説明されるように、医用撮像装置15は、ETTのサイズ設定を行うことに基づいて患者Pの画像を取得するために使用される。撮像装置15は、人工呼吸器2と同じ部屋に設置されなくてもよいし、又は同じ部署に設置されなくてもよい。例えば、医用撮像装置15は、放射線検査室に設置されるのに対し、人工呼吸器2は、集中治療室(ICU)、心疾患集中治療室(CCU)又は患者Pに割り当てられた病室等に設置されてもよい。このことは、区切り線Lによって
図1に概略的に示される。
【0024】
図1は、気管内チューブ(ETT)16(その下部は患者Pの内部にあるため、幻影で示される)を挿管された患者Pを図式的に示す。コネクタ又はポート8は、ETT(16)と接続し、ETT(16)を介して呼吸可能な空気を患者Pに送出するために、人工呼吸器2と動作可能に接続する。人工呼吸器2によってETT(16)を介して供給される機械的換気は、肺気腫又は肺炎のような様々な種類の肺の状態、例えばCOVID-19感染症又は重度のインフルエンザのような呼吸に影響を及ぼすウイルス感染症或いは細菌感染症、又は患者Pが酸素を富化した呼吸可能ガスを受け取る心血管疾患等の様々な状態に対して治療的であり得る。
【0025】
図1は、既に挿管された患者Pを示す。すなわち、
図1は、気管挿管を行い、ETT(16)を患者に挿入した後の患者を示す。しかしながら、この気管挿管を安全に行うために、麻酔医又は他の有資格の医療専門家は最初に、患者Pの評価を行い、ETT(16)のサイズを選択し、次いで、気管挿管の手続きによって前記選択されたサイズのETTを患者Pに挿入する。
【0026】
さらなる注記として、本明細書に用いられる場合、“ETTサイズ”は、ETTの直径及び挿入の深さを含む。ETT(16)の長さは、前記挿入の深さよりも長く、この挿入の深さは、ETT自体の特徴的なメトリックではない。しかしながら、この挿入の深さは通例、気管挿管を行う前に、所与の患者に対し決定される。従って、患者Pに対するETTのサイズ設定は、ETTの直径及び挿入深さの両方のサイズ設定を含む。すなわち、ETTのサイズは、チューブ径(内径(ID)、外径(OD)又は内径(ID)と外径(OD)の両方によって指定される)、及び挿入の深さを含む。
【0027】
図2を参照すると共に、引き続き
図1を参照すると、気管挿管を行う前に、推奨されるETTサイズ(例えば、直径及び挿入の深さ)を提供することによって、ETT(16)の挿管を支援するように構成される挿管支援装置18をさらに示す。
図2は、この挿管支援装置18をさらに詳細に図示する。挿管支援装置18は、電子処理装置、例えば、ワークステーションコンピュータ(より一般的には、コンピュータ)、スマートデバイス(例えば、スマートフォン及びタブレット等)、又は(例えば、サーバクラスタ又はクラウドコンピューティングリソース等を形成するために相互接続される)サーバコンピュータ若しくは複数のサーバコンピュータを有することができる。挿管支援装置18は、典型的な構成要素、例えば、電子コントローラ20(例えば、電子プロセッサ又はマイクロプロセッサ)、少なくとも1つのユーザ入力装置22(例えば、マウス、キーボード、トラックボール及び/又はスマート装置のタッチスクリーン上で指をスワイプする等)、並びに少なくとも1つの表示装置24(
図1にのみ示される、例えば、LCDディスプレイ、プラズマディスプレイ及び/又は陰極線管ディスプレイ等)を含む。幾つかの実施形態において、表示装置24は、電子処理装置18とは別個の構成要素とすることができる。表示装置24は、2つ以上の表示装置を有してもよい。
【0028】
電子コントローラ20は、1つ以上の非一時的記憶媒体26と動作可能に接続される。非一時的記憶媒体26は、非限定的な例示的な例として、磁気ディスク、RAID若しくは他の磁気記憶媒体、ソリッドステートドライブ、フラッシュドライブ、電子的消去可能読取り専用メモリ(EEROM)若しくは他の電子メモリ、光ディスク若しくは他の光記憶装置、又はそれらの様々な組み合わせ等の1つ以上を含んでもよく、例えば、ネットワーク記憶装置、挿管支援装置18の内蔵のハードドライブ又はそれらの様々な組み合わせ等でもよい。本明細書における非一時的記憶媒体26に対する如何なる言及も、同じ又は異なる種類の単一の媒体又は複数の媒体を包含するものとして広く解釈されるべきであることを理解されたい。同様に、電子コントローラ20は、単一の電子プロセッサとして又は2つ以上の電子プロセッサとして具体化されてもよい。非一時的記憶媒体26は、少なくとも1つの電子コントローラ20によって実行可能な命令を記憶している。前記命令は、遠隔オペレータの表示装置24上に表示するためのグラフィカルユーザインターフェース(GUI)28を生成するための命令を含む。
【0029】
幾つかの実施形態において、1つ以上のカメラが、医用撮像装置15が設置される領域に設置される。例えば、
図1に示されるように、3次元(3D)カメラ30が患者Pを撮像するように位置決められる。
図1において1つの3Dカメラ30だけが示されているが、任意の適切な数の3Dカメラ30が使用されることができる。
【0030】
さらに、本明細書に開示されるように、非一時的記憶媒体26は、患者Pに換気療法を施すために人工呼吸器2と共に使用される、ETT(16)の適切なサイズ及び/又は挿入の深さを決定する挿管支援方法又は処理100を行うために、少なくとも1つの電子コントローラ20によって実行可能な命令を記憶している。
【0031】
上述したように、人工呼吸器2(及び3Dカメラ30)は、医療施設の第1の部屋に設置されるのに対し、画像取得装置15及び電子処理装置18は、前記医療施設の第2の別の部屋に設置され得ることが理解されよう。このことは、
図1の概ね“中間”部分にある破線Lによって示される。別の例において、人工呼吸器2及び電子処理装置18が前記第1の部屋に設置されるのに対し、画像取得装置15は、前記医療施設の第2の部屋に設置される。さらなる例において、人工呼吸器2、画像取得装置15及び電子処理装置18の各々が、医療施設の別々の部屋に設置されることができる。これらは単に例示的な例である。
【0032】
(i)撮像装置15を用いた患者Pの画像の取得、及び挿管支援装置18を用いた患者Pに対するETTのサイズの推奨の決定と、(ii)患者Pの実際の気管挿管との間に実質的な時間的分離があってもよい。例えば、患者Pは最初に、撮像及びETTのサイズ設定のために、ガーニー(又はストレッチャー)で撮像装置15を収容している放射線検査室に搬送され、次いで、ガーニー上で前記放射線検査室から人工呼吸器2の場所まで搬送される。本明細書に記載される幾つかの実施形態において、前記時間的分離は、これよりもさらに大きくてもよい。例えば、患者Pが、何らかのルーチン又は診断用の医療目的に、胸部CT検査を受ける場合、本明細書に開示されるように、取得される画像は、そのルーチン又は診断用の医療目的に使用され、患者Pの電子医療記録(EHR)又は他の医療記録に記憶されるETTの推奨を生成するために二次的に活用されてもよい。その後、ある時点(おそらくは数週間、数ヶ月又は数年後)に、患者Pが医療を受けて、機械的換気を必要とする場合、前記ETTの推奨が、患者PのEHR又は他の医療記録から取り出され、麻酔科医又は気管挿管を行う他の有資格の医療専門家によって参照される。
【0033】
図1は、例えば、モバイルデバイス、Google Glass (Alphabet Inc., Mountain View, CA, USAから入手可能)、Microsoft Hololens (Microsoft Inc., Bellevue, WA, USAから入手可能)、ローカルコンピュータ(すなわち、ワークステーション)、ハンドヘルドタブレット、患者モニタ又は人工呼吸器2を有することができるユーザインターフェース装置10を示す。幾つかの実施形態において、ユーザインターフェース装置10は、人工呼吸器2が設置される部屋において医療専門家によって使用され、他の実施形態において、ユーザインターフェース装置10は、医用撮像装置15が設置される部屋に配置される。ユーザインターフェース装置10は、箱として
図1に概略的に示され、ユーザから1つ以上の入力を受信し、この入力から出力(例えば、推奨されるETTサイズ50、
図2参照)を生成するように構成される。例えば、臨床医は、ユーザインターフェース装置10上でアプリケーション(“アプリ”)を開き、患者パラメタ、例えば性別、身長、体重及び年齢を入力することができる。これらの入力から、アプリは、患者Pに推奨されるETTサイズ50をユーザインターフェース装置10上に出力することができる。任意選択的に、ユーザインターフェース装置10の光学カメラ及び/又はライダー(lidar)センサからの画像から、画像処理及び機械学習の技術を用いて、前記入力が推定され、事前に入力される(pre-filled)ことができる。このために、臨床医は、患者Pのカメラ/ライダー画像を撮り、この画像から性別、身長、体重、BMI及び年齢が自動的に推定されることができる。これは、画像上に自動的に識別されるランドマーク(肩、股関節、腋窩など)を描き、臨床医にそれらの位置を確認するように依頼することによって行うことができる。さらに、これらの数値/カテゴリ入力の自動的に提案される事前入力(prefill)は、データが入手可能である又は事前入力の可能性が低いと思われる場合、ユーザが直接入力することによって、対話形式で無効にすることができる。
【0034】
図3を参照すると共に、引き続き
図1及び
図2を参照すると、挿管支援方法100の例示的な実施形態がフローチャートとして概略的に示されている。(任意の)動作102において、患者の1つ以上の画像34が、医用撮像装置15によって取得される。特定の例において、取得される画像34は、CT画像34である。CT画像34を取得するために、電子コントローラ20は、医用撮像装置15(すなわち、CTスキャナ)を制御して、患者Pの上気道又は気道(例えば、鼻又は口から気管分岐部まで)のCT画像34を取得するように構成される。幾つか実施形態において、電子コントローラ20は、医用撮像装置15を制御して、第1のX線レベルでの患者Pの診断用の胴体CT画像と、第1のX線レベルよりも低い第2のX線レベルでの患者Pの診断用の胴体CT画像から上方に拡張する拡張上部CT画像を取得するように構成される。次いで、電子コントローラ20は、前記診断用の胴体CT画像と前記拡張上部CT画像とを組み合わせて、患者Pの気道のCT画像34を生成するように構成される。前記拡張上部CT画像のX線レベルを低下させるこの手法は、咽喉領域が放射線損傷に敏感であるため、この領域におけるより低いX線レベルはより低い線量を提供するので有利である。加えて、開示されるETTのサイズ設定を行うために必要とされる画像詳細の量は、胴体CT検査が命じられた診断又はスクリーニングのタスクに必要とされる量よりも少なくできるので、この拡張上部CT画像に使用される前記より低いX線レベルは、この目的に十分である。この種類の撮像シーケンスのワークフローは、ETTのサイズ設定とは関係のない特定の診断又はスクリーニングのタスクのために命じられた胴体CT検査の二次結果としてETTのサイズ設定を行うときに特に有利である。
【0035】
幾つかの実施形態において、患者Pの外観(すなわち、頭部及び胸部)を示す1つ以上の3D画像38を取得することができる。そうするために、3D画像38は、3Dカメラ30によって取得され、電子処理装置18に送信される。次いで、電子コントローラ20は、挿管経路を決定するために使用されるハイブリッド撮像データセットを取得するために、患者Pの外観の3D画像38をCT画像34と位置合わせするように構成される。
【0036】
動作104において、患者Pに関する情報が、(例えば、画像34から、電子処理装置18の非一時的コンピュータ可読媒体26から取り出されるデータから、別のデータベース、例えばEHR、電子医療記録(EMR)データベースから取り出されるデータから、又はユーザインターフェース装置10を用いた1つ以上の入力を介してなど)受信される。この情報は、1つ以上の患者変数、例えば身長、体重、DMI、年齢及び性別などを含むことができる。幾つかの例において、例えば、患者Pの腋窩-腰距離又は肩-腰距離のような追加の測定値を含むことができる。
【0037】
取得されると、患者変数は、少なくとも気道の一部のモデルを含む人の呼吸器系の統計的形状モデル(SSM)44に入力される。気道は、吸気中及び呼気中に気流を運ぶ解剖学的構造を含み、例えば、上気道(例えば、口腔、咽頭、喉頭など)、鼻腔、気管、気管分岐部、気管支などを有する。行われる挿管の種類に応じて、SSM44のモデルは、この解剖学的構造の全て又は一部のみを表してもよい。例えば、経口挿管は、口腔を含む上気道をモデル化するが、鼻腔のモデル化は省略されるのに対し、経鼻挿管は、鼻腔をモデル化するが、口腔の前部をモデル化しない。SSM44は、電子コントローラ20上で実施されることができる。入力変数から、SSM44は、患者Pの患者気道の幾何学モデル36を生成するように構成される。1つの例示的な実施形態において、SSM44は、(例えば、CT画像34から平均気管直径を決定することによって)取得されるCT画像34、及び/又は取得される3D画像38をさらに使用して、前記患者気道の幾何学モデル36を生成するように構成される。別の例において、SSM44は、CT画像34及び/又は患者Pの外観の3D画像38を用いて、既に生成された患者気道の幾何学モデル36を更新するように構成される。別の例において、CT画像34及び/又は患者Pの外観の3D画像38が取得されると、CT画像34及び/又は患者Pの外観の3D画像38から、患者Pの気道の少なくとも1つの寸法(例えば、患者Pの気管の直径及び患者Pの気管の長さなど)の値が取得される。次いで、患者気道の幾何学モデル36の少なくとも1つの寸法が、決定される値に設定される。
【0038】
別の例示的な実施形態において、SSM44は、電子コントローラ20に実装される人工ニューラルネットワーク(ANN)46をさらに使用して、患者気道の幾何学モデル36を生成するように構成される。ANN46は、患者形状の測定値(例えば、BMI、身長、体重、肘から腰までのような身体寸法)、患者のカメラ画像又は医用画像、並びに前記患者形状の測定値及び前記患者の画像に関連付けられる患者への使用に適するように選択される又は適していると考えられるETT16のパラメタで訓練される。ANN46は、入力として、患者変数及びCT画像34、及び/又は任意選択で3D画像38を入力することができる。これから、ANN46は、患者気道の幾何学モデル36を出力することができる。
【0039】
別の例示的な実施形態において、SSM44は、このSSM44によって提供される1つ以上の患者入力の変動範囲をさらに使用して、前記患者気道の幾何学モデル36を生成するように構成される。例えば、SSM44は、複数の患者に基づいている。従って、SSM44は、患者Pの気道の平均形状、及び患者Pの気道の幾何学的変動を導出するために使用することができる。この幾何学的変動は、前記患者気道の幾何学モデル36を決定するため、及び変動の主要モードの5%及び95%パーセンタイルを含む場合にも使用することができる。これは、患者Pのデータ、及びこのデータがETT16の所望する留置に達するのに十分であるかどうかをユーザに提供する。
【0040】
動作106において、推奨されるETTサイズ50が選択される。そうするために、ETTモデル42は、非一時的コンピュータ可読媒体26から取り出すことができる。ETTモデル42は、ETT16に関する情報、例えば長さ、直径及び変形特性のような機械的特性を含むことができる。
【0041】
取り出されたETTモデル42は、仮想フィットモデル52を形成するために、患者気道の幾何学モデル36への挿入をモデル化し、この仮想フィットモデル52に基づいて少なくとも1つのフィットパラメタを推定することによって、モデル化することができる。前記少なくとも1つのフィットパラメタは、推定されるETTモデル42と、患者気道の幾何学モデル36における気管の壁部との間における接触圧力、推定されるETTモデル42と前記気管の壁部との間における距離、推定されるETTモデル42と気管の壁部との間における摩擦値、推定されるETTモデル42の接触による気管の壁部の組織変形、及びそれらの様々な組合せなどの少なくとも1つを含むことができる。
【0042】
幾つかの実施形態において、推奨されるETTサイズ50は、異なるETTサイズからなるETTモデル42のカタログ48から、候補ETTサイズの候補ETTモデルを選ぶことによって選択される。このETTモデル42のカタログ48は、電子処理装置18の非一時的コンピュータ可読媒体26に記憶することができる。選択される候補モデル42は、例えば、患者気道の幾何学モデル36から決定される患者Pの気管の直径(例えば、最大又は最小直径)に基づいて選択される。候補ETTモデル42は、この候補ETTモデル42を患者気道の幾何学モデル36に挿入し、その候補ETTモデル42の仮想フィットモデル52(例えば、幾何学的マッピングモデル、有限要素モデル、数値流体力学モデル及び流体-構造連成モデルなど)を生成する、モデル化によって評価される。次いで、候補ETTサイズに対する少なくとも1つのフィットパラメタが、このモデル化に基づいて推定される。次いで、推奨されるETTサイズ50は、候補ETTサイズに対する前記少なくとも1つのフィットパラメタが所定のフィットパラメタ基準を満たす場合、候補ETTサイズとして選択される。例えば、前記フィットパラメタ基準は、ETTモデル42と、前記患者気道の幾何学モデル36における気管の壁部との間における最大の許容接触圧力を含むことができ、一実施形態における非限定的な例示として、所定のフィットパラメタ基準は、1.0MPaの最大接触圧力とすることができる。次いで、モデル化処理が1.0MPa未満の接触圧力を出力する場合、候補ETTモデル42におけるETTに対応するETT16が選択される。別の例において、前記フィットパラメタ基準は、ETTモデル42と、前記患者気道の幾何学モデル36からの気管の壁部との間における最大の許容ギャップ距離を含むことができ、1つの非限定的な例示的な実施形態において、前記所定のフィットパラメタ基準は、0.0mmの最大ギャップとすることができる。このような基準の様々な組み合わせが任意に適用されることができる。
【0043】
候補ETTサイズに対する少なくとも1つのフィットパラメタが前記所定のフィットパラメタ基準を満たさない場合、異なる候補ETTサイズからなる異なる候補ETTモデルがカタログ48から選択される。次いで、所定のフィットパラメタ基準が満たされるまでモデル化が繰り返され、満たされるとき、所定のフィットパラメタ基準を満たすETTサイズとして、推奨されるETTサイズ50が決定される。
【0044】
幾つかの実施形態において、前記少なくとも1つのフィットパラメタは、推定されるETTモデル42と、気管の壁部との間における摩擦値、及び推定されるETTモデル42の接触による気管の壁部の組織変形などをさらに含むことができる。患者Pの気道、特に上気道組織及び声帯は、変形可能であり、挿入中、ETT16によって脇に押しのけられる。さらに、ETT16と気道壁との間における摩擦は、滑り(スライド)に対する抵抗力を課すことができる。摩擦及び組織変形は、ETT16がどのように変形するかに影響を及ぼし、これは、組織における応力及び歪みの大きさに影響を及ぼす可能性がある。例えば、組織がETT16との機械的相互作用のために離れる場合、ETT16の曲がる角度は減少するが、組織の歪みは増大する。別の態様は、スリップである。位置決められる管上の全静止摩擦力が、スリップの危険性を決定している。従って、有限要素法計算で組織の変形及び摩擦を考慮することは、シミュレーションの精度をさらに高めさせることができる。
【0045】
他の実施形態において、チューブ内の流れ抵抗は、(人工呼吸器からの)ウィーニングにおいて役割を果たす。チューブの直径は、重要なパラメタである。流体シミュレーションは、挿入したチューブが呼吸仕事量に及ぼす影響を推定することができる。この流体シミュレーションの結果は、追加の基準として仮想フィットモジュールにおいて重み付けられる。例えば、(挿管されていない気管と比較して)チューブによって課される追加の流れ抵抗は、呼吸仕事量を増加させる、又は気管圧が10%を超えて減少することも可能にしない。
【0046】
幾つかの実施形態において、前記モデル化を使用して、推奨されるETTサイズ50の挿入の深さを選択することができる。言い換えると、推奨されるETTサイズ50は、推奨されるETTの直径と推奨される挿入の深さの両方を含むことができる。例えば、気管及び上気道の中心線はETT16の形状に適合しないので、ETT16は、異なる側面において気管の壁部に触れる又は接触することがある。ETTモデル42は、ETT16の実際に必要とされる挿入の深さと、前記決定される挿管経路の長さの中心線の長さとの間の差を説明するために使用される。ETTモデル42が、例えば、患者気道の幾何学モデル36における気管分岐部の5.0cm上になるまで、このETTモデル42は、患者気道の幾何学モデル36に仮想的に挿入され、仮想フィットモデル52を形成する。
【0047】
動作108において、患者Pに対して推奨されるETTサイズ50が、GUI28を介して、電子処理装置18の表示装置24上に表示される。追加的に又は代替的に、この推奨されるETTサイズ50は、人工呼吸器2の表示装置14上に表示するために人工呼吸器2に、又はユーザインターフェース装置10に送信される。有利には、人工呼吸器2が設置されている部屋にいる医療専門家は、患者Pに推奨されるETTサイズを人工呼吸器2上で迅速に見ることができる。
【0048】
幾つかの実施形態において、表示動作108は、患者気道の幾何学モデル36に挿入した前記推奨されるETTサイズのETTモデル42を表す仮想フィットモデル52のレンダリングを表示装置24(又は人工呼吸器2のディスプレイ14)上に表示することを含むことができる。このレンダリングは、例えば、
図2に示される仮想フィットモデル52のレンダリングに対応する。
【0049】
挿管支援装置18によって行われる方法100は、通例、推奨されるETTサイズ50が表示される動作108で完了する。動作110において、患者Pに対する推奨されるETTサイズ50を持つETT16が、挿管処理において患者Pの気管に物理的に挿入される。医療専門家は、ETT16に従来含まれるしるしを用いて、ETTの挿入の深さの進捗を決定することができる。ETT16は、ETT16の先端を所望する地点(例えば、気管分岐部の5.0cm上)に留置するように、推奨される挿入の深さまで気管内に挿入される。幾つかの実施形態において、挿管支援装置18によって行われる方法100は、ETT16の留置(及びその後の除去)中に医療専門家によって使用される、例えば拡張現実(AR)グラス又はヘッドセット(例えば、Microsoft HoloLens, Bellevue, WA, USA)のようなヘッドアップディスプレイ(HUD)(図示せず)として現在の視覚的支援111をさらに含むことによって、挿管処理中に任意選択で継続することができる。特に、AR装置は、CT画像34及び/又は頭頸部モデル36から得られる患者の身体内の関連する解剖学的構造に対するETT16の位置を示すために使用されることができる。例えば、視覚的支援111は、挿入の深さを連続的に監視するためにETT16上の可視のしるしを監視することができ、推奨されるETTサイズ50のETTモデル42がその深さまで患者気道の幾何学モデル36に挿入されている仮想フィットモデル52を表示することができる。これは、ETT16の位置決めの精度を向上させ、それによって合併症のリスクを低減させるのにさらに役立つ。
【0050】
動作112において、ETT16は、(例えば、ポート又はコネクタ8において)人工呼吸器2に接続される。次いで、医療専門家は、人工呼吸器2を操作し、人工呼吸器2を用いて患者Pに換気療法を送達する。
【0051】
任意の胸郭CT画像34から情報を取得することができるので、CT画像の取得及び換気療法は、数日、数週間、数ヶ月又は数年を単位に時間的に分離することができる。例えば、何らかの関係のない医療目的のために患者が胸郭CT画像34を得る場合、ETTの直径及び挿入の深さを含む患者に対する推奨されるETTサイズ50を日常的に計算し、(例えば、患者の血液型と同様に)電子患者記録に記憶することができる。患者が後で機械的換気を必要とする場合(例えば、自動車事故の後)、電子患者記録から情報を取り出すことができる。これは、ETT16が、麻酔科の顧問医師ではなく救急救命士によって留置されてもよく、多くの場合、時間的制約及び臨床的問題(例えば、気道内の血液)がETTの留置をより困難にさせる可能性がある状況において、特に有用である。
【0052】
本開示は、好ましい実施形態を参照して説明されてきた。前述した詳細な説明を読み及び理解すると、修正及び変更を他者が思い付くことがある。例示的な実施形態は、そのような修正及び変更が添付の特許請求の範囲又はその等価物の範囲内に入っている限りにおいて、そのような全ての修正及び変更を含むものと解釈されることが意図される。
【国際調査報告】