IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ バイエリシエ・モトーレンウエルケ・アクチエンゲゼルシヤフトの特許一覧

<>
  • 特表-車両フードを全電動式に開く装置 図1
  • 特表-車両フードを全電動式に開く装置 図2a
  • 特表-車両フードを全電動式に開く装置 図2b
  • 特表-車両フードを全電動式に開く装置 図3
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-12
(54)【発明の名称】車両フードを全電動式に開く装置
(51)【国際特許分類】
   B62D 25/12 20060101AFI20240705BHJP
【FI】
B62D25/12 N
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024504835
(86)(22)【出願日】2022-07-26
(85)【翻訳文提出日】2024-01-25
(86)【国際出願番号】 EP2022070937
(87)【国際公開番号】W WO2023006743
(87)【国際公開日】2023-02-02
(31)【優先権主張番号】102021119876.3
(32)【優先日】2021-07-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】398037767
【氏名又は名称】バイエリシエ・モトーレンウエルケ・アクチエンゲゼルシヤフト
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100191835
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 真介
(74)【代理人】
【識別番号】100221981
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 大成
(72)【発明者】
【氏名】ディール・ホルガー
【テーマコード(参考)】
3D004
【Fターム(参考)】
3D004AA13
3D004BA02
3D004CA13
3D004CA41
3D004DA01
(57)【要約】
車両フード(105)のロック(102)を制御する装置(200)が記述される。装置(200)は、電流回路を閉じ、それにより車両フード(105)のロック(102)を開けさせるようにユーザが操作できる操作要素(106)を有する。さらに、装置(200)は、回路遮断器(204)を有し、この回路遮断機は、車両(100)の車両ドア(108)が閉じているときに、操作要素(106)により電流回路が閉じるのを阻止し、車両(100)の車両ドア(108)が開いているときに、操作要素(106)により電流回路が閉じるのを可能にするように形成されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両(100)の車両フード(105)のロック(102)を制御する装置(200)であって、
電流回路を閉じ、それにより前記車両フード(105)の前記ロック(102)を開けさせるようにユーザが操作できる操作要素(106)と、
回路遮断器(204)とを有し、
当該回路遮断機は、
前記車両(100)の車両ドア(108)が閉じているときに、前記操作要素(106)により電流回路が閉じるのを阻止し、
前記車両(100)の前記車両ドア(108)が開いているときに、前記操作要素(106)により電流回路が閉じるのを可能にする
ように形成されている
装置(200)。
【請求項2】
請求項1に記載の装置(200)であって、前記回路遮断器(204)は、前記車両ドア(108)により操作され、特に開かれる或いは閉じられるように形成され、特に、
前記車両ドア(108)が閉じているときに、前記回路遮断器(204)が開いており、それにより前記電流回路が閉じるのを阻止し、
前記車両ドア(108)が開いているときに、前記回路遮断器(204)が閉じており、それにより前記電流回路が閉じるのを可能にする
ように形成されている装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の装置(200)であって、制御モジュール(211,221)を有し、当該制御モジュールは、前記車両ドア(108)のドア接触センサ(104)のセンサデータに応じて、前記回路遮断器(204)を開いて前記電流回路が閉じるのを阻止するか、または、前記回路遮断器を閉じて前記電流回路が閉じるのを可能にする構成とされている装置(200)。
【請求項4】
請求項1から3のいずれかに記載の装置(200)であって、制御モジュール(211,221)を有し、当該制御モジュールは、
前記電流回路が閉じているのか遮断されているのかをチェックし、
前記電流回路が閉じていると特定される場合、特にはその場合にのみ、少なくとも一つのアクチュエータ(210,220)に、前記車両フード(105)の前記ロック(102)を開けさせる
ように形成されている装置(200)。
【請求項5】
請求項4に記載の装置(200)であって、前記制御モジュール(211,221)は、
特に前記車両(100)の速度センサ(201)に基づいて、前記車両(100)の走行速度に関する速度情報を取得し、
前記速度情報に応じて、少なくとも一つの前記アクチュエータ(210,220)に、前記車両フード(105)の前記ロック(102)を開けさせる
構成とされている装置。
【請求項6】
請求項5に記載の装置(200)であって、前記制御モジュール(211,221)は、
前記速度情報に基づいて、前記車両(100)の走行速度が、或る速度閾値以下であるかどうかをチェックし、
前記車両(100)の走行速度が前記速度閾値以下であると特定される場合、特にはその場合にのみ、少なくとも一つの前記アクチュエータ(210,220)に、
前記車両フード(105)の前記ロック(102)を開けさせる
構成とされている装置。
【請求項7】
請求項4から6のいずれかに記載の装置(200)であって、
前記ロック(102)は、前記車両フード(105)を保止するための前記ロック(102)の鉤爪フック用の鉤爪フックアクチュエータ(210)と、ロッキングボルトをラッチ解除するための前ラッチアクチュエータ(220)とを有し、
前記制御モジュール(211,221)は、前記電流回路が閉じていると特定される場合に、前記鉤爪フックアクチュエータ(210)および前記前ラッチアクチュエータ(220)を含むアクチュエータのセットのうち、アクチュエータをちょうど一つ制御する
ように形成されている装置。
【請求項8】
請求項7に記載の装置(200)であって、前記制御モジュール(211,221)は、
前記車両ドア(108)のドア接触センサ(104)のセンサデータを取得し、
前記センサデータに基づいて、前記車両ドア(108)が開いているのか又は閉じているのかを特定し、
前記車両ドア(108)が開いていると特定される場合に、前記鉤爪フックアクチュエータ(210)と前記前ラッチアクチュエータ(220)を含む前記アクチュエータのセットのうち、補完的な態様で別のアクチュエータを制御する
ように形成されている装置。
【請求項9】
請求項7または8に記載の装置(200)であって、前記鉤爪フックアクチュエータ(210)を制御するための鉤爪フック制御モジュール(211)と、前記前ラッチアクチュエータ(220)を制御するための別個の前ラッチ制御モジュール(221)とを有する装置(200)。
【請求項10】
車両(100)のドアフレーム(107)内に配備され且つ車両(100)のユーザが車両(100)の客室に入れるようにするために閉状態から開状態にされるように形成されている車両ドア(108)と、
電気的に操作可能なロックを備えた車両フード(105)と、
前記車両フード(105)の前記ロック(102)を自動的に開けさせるために、前記ユーザにより操作されるように形成されている操作要素(106)と、を有し、前記操作要素(106)は、前記車両(100)の前記ドアフレーム(107)に、
前記車両ドア(108)が開状態にあるときに、前記ユーザにより前記操作要素(106)を操作することができ、
前記車両ドア(108)が閉状態にあるときに、前記ユーザにより前記操作要素(106)を操作することができない
ように配備されている
車両(100)。
【請求項11】
請求項10に記載の車両(100)であって、前記車両フード(105)は、車両(100)の前記客室の前方に配備されている車両(100)のフロントフードである車両。
【請求項12】
請求項10または11に記載の車両(100)であって、前記操作要素(106)は、前記操作要素(106)の操作に応えて、電流回路、特に、前記ロックにエネルギーを供給するための電流回路を閉じるように形成されている車両。
【請求項13】
請求項10から12のいずれかに記載の車両(100)であって、
前記ドアフレーム(107)は、前記車両ドア(108)の一つに面する内面を備え、
前記操作要素(106)は、当該内面に配備されている車両。
【請求項14】
請求項10から13のいずれかに記載の車両(100)であって、請求項1から9のいずれかに記載の装置(200)を有する車両(100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両フード(車両用蓋)、特に、車両のフロントフードを全電動式に開くための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
走行軌跡が2本の車両は通常、車両の客室前方の、車両のフロント領域にフロントフード(ボンネットとも呼ばれる)を備え、このフロントフードが、例えば車両の駆動モータが中に配備されているか或いはトランクルームとして形成されているか少なくともいずれかにすることのできる車両フロントスペースを覆っている。
【0003】
客室には、レバーを配備することができ、車両乗員がこのレバーを操作して、フロントフードを開けることができる。レバーを操作することにより、フロントフードをラッチ係入位置から前ラッチ位置に機械的に移行させることができる。次に、フロントフードは通常、フロントフードを開けるために車両のユーザにより手動で動かすことのできる鉤爪フックによって引き続き保止される。こうして、車両の走行中にフロントフードが開いて、車両のドライバの視界を遮ることを確実に防止できる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電動車両の場合は特に、車両のフロントスペースをトランクルームとして使うことができるので、ユーザが比較的頻繁にフロントフードを開けたりおよび/または閉めたりすることになる。本明細書では、安全なやり方で(特にASIL-Dに従って)車両の車両フード、特にフロントフードを快適に開けられるようにする技術的課題を扱う。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この課題は、独立請求項により解決される。有利な実施形態は、特に、従属請求項に記載されている。独立特許請求項に従属する特許請求項の追加的な特徴部は、独立特許請求項の特徴部が無くても、または、独立特許請求項の特徴部の一部と組み合わされるだけでも、独立特許請求項の全ての特徴部を組み合わせたものから独立した独自の発明を形成することができ、それが独立特許請求項の対象、分割出願の対象または後願の対象になり得ることを指摘しておく。このことは、明細書に記載された技術的教示にも同様に当てはまり、独立特許請求項の特徴部から独立した発明を形成することができる。
【0006】
一態様により、車両フードのロックを制御する装置を説明する。車両フードは、車両の客室の前方に配備されている車両のフロントフード(特に、エンジン・フード)である場合もある。車両フードのロックは、ラッチ機構を備え、この機構により、車両フードを前ラッチ位置からラッチ係入位置に移行させるようにロックのボルトが係入される。さらに、ロックは、ロックのボルトを自動的にラッチ係入位置から前ラッチ位置へと移行させるように形成された前ラッチアクチュエータ(例えば電気モータ)を備えることができる。
【0007】
さらに、ロックは、車両フードを前ラッチ位置に保持し、車両フードがさらに開こうとするのを阻止するように形成されている鉤爪フックを備えていてもよい。しかも、ロックは、鉤爪フックを動かして車両フードをさらに(完全に)開くことができるように形成されている鉤爪フックアクチュエータ(例えば電気モータ)を備えていてもよい。
【0008】
装置は、電流回路を閉じるためにユーザが操作できる操作要素(例えばキー)を有していてもよい。操作要素は、車両フードのロックを(自動的に)開けさせるために、ユーザにより操作することができる。操作要素は、車両の客室内に配備されていてもよい。操作要素は、操作要素の操作に応えて、車両フードのロックを(前ラッチアクチュエータと鉤爪フックアクチュエータにより)自動的に開け、必要に応じて、車両フードを全開させるために設けることができる。
【0009】
操作要素の操作は、電流回路を閉じることによって、装置の制御モジュールに示すことができる。この目的のために、操作要素は、スイッチ素子を有し、このスイッチ素子が操作要素の操作の際に閉じられることで電流回路が閉じられるようにしてもよい。電流回路は、装置の制御モジュール、特に制御モジュールのポートに接続することができる。
【0010】
装置はさらに、回路遮断器を有している。回路遮断器は、例えば、機械式スイッチ、半導体ベースのスイッチおよび/またはリレーとして形成することができる。回路遮断器は、車両の(少なくとも一つの)車両ドア(例えば、運転席ドア)が閉じているときに、および/または車両のすべての車両ドアが閉じているときに、操作要素により電流回路が閉じるのを阻止するように形成されている。
さらに、回路遮断器は、車両の車両ドア(例えば、運転席ドア)(または、車両の少なくとも一つの車両ドア)が開いているときに、操作要素により電流回路が閉じるのを可能にするように形成することができる。
【0011】
回路遮断器は、電流回路の中に配備されていてもよい。回路遮断器は、開状態にあると、電流回路を(操作要素を操作することによっても)閉じることができないようにすることができる。その一方で、回路遮断器は、閉状態において、操作要素を操作することにより電流回路を閉じることができるようにすることができる。
【0012】
従って、装置は、車両ドア(特に、運転席ドア)が開いているのか又は閉じているのかを(例えば、ASIL-Bに従って)チェックするように形成されていてもよい。さらに、装置は、操作要素の操作を(例えば、ASIL-Bに従って)検知するように形成されていてもよい。車両フードのロックを自動的に開けることは、必要に応じて、開いた車両ドアと操作要素の操作の両方が検知される場合にのみ可能にできるか機能させることができる。このようにして、車両フードは、高い動作安全性で(例えば、ASIL-Dに従って)、自動的に開くようにすることができる。
【0013】
回路遮断器は、車両ドアによって(直接的に)操作されるように、特に、(例えば、車両ドアに直に配備されている機械式スイッチにより)開閉されるように形成されていてもよい。回路遮断器の操作は、特に、車両ドアが閉じているときに、回路遮断器が開いており、それにより、電流回路が閉じるのを阻止し、および/または車両ドアが開いているときに、回路遮断器が閉じており、それにより、電流回路が閉じるのを可能にするように行うことができる。従って、回路遮断器は、必要に応じて、車両ドア内、例えば、車両ドアのフレーム内に直に組み込まれているのでもよい。そのようにすれば、特に高い動作安全性で車両フードを自動的に開けることが可能になるようにできる。
【0014】
代替的または付加的に、装置の制御モジュールは、車両ドアの(別個の)ドア接触センサのセンサデータに応じて、回路遮断器を開いて電流回路が閉じるのを阻止するか、または、回路遮断器を閉じて電流回路が閉じるのを可能にする構成とされていてもよい。そのようにすれば、特に効率的なやり方で、車両フードを自動的且つ安全に開けることができる。
【0015】
制御モジュールは、電流回路が閉じているのか遮断されているのかをチェックするように形成されていてもよい。次いで、電流回路が閉じていると特定される場合、特にはその場合にのみ、少なくとも一つのアクチュエータに、車両フードのロックを開けさせることができる。このようにして、車両フードを安全かつ確実に開けることが可能になるようにできる。
【0016】
制御モジュールは、(特に車両の速度センサに基づいて)車両の走行速度に関する速度情報を取得する構成とされていてもよい。この場合、速度情報に応じて、少なくとも一つのアクチュエータに、車両フードのロックを開けさせることができる。制御モジュールは、特に、速度情報に基づいて、車両の走行速度が、或る速度閾値(例えば、0km/hまたは0km/hから5km/hの間)以下であるかどうかをチェックする構成とされていてもよい。さらに、制御モジュールは、車両の走行速度が速度閾値以下であると特定される場合、特にはその場合にのみ、少なくとも一つのアクチュエータに、車両フードのロックを開けさせる構成とされていてもよい。車両の走行速度をさらに考慮することで、車両フードを自動的に開けるときの動作安全性をさらに高めることができる。
【0017】
既に上で説明したように、ロックは、車両フードをそのまま保止するための、ロックの鉤爪フック用の鉤爪フックアクチュエータか、或いはロッキングボルトをラッチ解除するための前ラッチアクチュエータの少なくともいずれかを有することができる。制御モジュールは、電流回路が閉じていると特定される場合に、鉤爪フックアクチュエータおよび前ラッチアクチュエータを含む(若しくは、これら両方のアクチュエータからなる)アクチュエータのセットのうち、アクチュエータをちょうど一つ制御するように形成されていてもよい。
【0018】
さらに、制御モジュールは、ドア接触センサのセンサデータに基づいて、車両ドアが開いているのか又は閉じているのかを(個別に)特定する構成とされていてもよい。この場合には、車両ドアが開いていると特定される場合に、上記のアクチュエータのセットのうち、補完的な態様で別のアクチュエータを制御することができる。
【0019】
こうして、車両ドアが開いているのか又は閉じているのかを様々なやり方で特定することができる。さらに、ロックの両アクチュエータは、それぞれに特定された車両ドアの状態に応じて、個別に制御されるのでもよい。そうすることで、車両フードを自動的に開けるための動作安全性をさらに高めることができる。
【0020】
装置は、鉤爪フックアクチュエータを制御するための鉤爪フック制御モジュールと、前ラッチアクチュエータを制御するための別個の前ラッチ制御モジュールとを有していてもよい。そうすることで、装置の動作安全性をさらに高めることができる。
【0021】
さらに他の態様にしたがって、本明細書で述べた装置を備えることができる(道路用)自動車、(特に乗用車またはトラックまたはバス)を説明する。
【0022】
車両は通常、車両のドアフレーム内に配備され且つ車両のユーザが車両の客室に入れるようにするために閉状態から開状態にされるように形成されている車両ドアを有している。
【0023】
さらに、車両は、電気的に操作可能なロックを備えた車両フードを有している。車両フードは、特に、(ロックを開けることにより)自動的に開けられるように(例えば、フードのフレームからフードが自動的に出てくるように)形成されていてもよい。既に上で説明したように、車両フードは、車両の客室の前方に配備されている車両のフロントフードであってもよい。
【0024】
車両はさらに、車両フードのロックを自動的に開けさせるために、ユーザにより操作されるように形成されている操作要素(例えば、スイッチまたはキー)を有していてもよい。操作要素は、操作要素の操作に応えて、電流回路、特に、ロックにエネルギーを供給する電流回路を閉じるように形成されていてもよい。
【0025】
操作要素は、車両のドアフレームに、車両ドアが開状態にあるときに、ユーザにより操作要素を操作することができ(この目的のために、ユーザがアクセスでき)、車両ドアが閉状態にあるときに、ユーザにより操作要素を操作することができない(特に、ユーザがアクセスできない)ように配備されていてもよい。そうすることで、特に効率的なやり方で、車両フードを安全且つ自動的に開けることが可能になるようにできる。
【0026】
ドアフレームは通常、車両ドアに面する一つの内面を備えている。好ましい例では、操作要素は、ドアフレームの内面に配備されている(これにより、操作要素は、車両ドアが閉状態にあるときに、ユーザにとってアクセス不可能となる。)。そうすることで、特に確実なやり方で、車両ドアが開いているときにのみ操作要素を操作できるようにすることができる。
【0027】
本明細書で述べた装置およびシステムは、単独で用いることも、本明細書で述べた他の装置およびシステムと組み合わせても用いることができることに留意されたい。さらに、本明細書で述べた装置およびシステムのいかなる態様も、多様なやり方で組み合わせることができる。特に、請求項の特徴部は、多様なやり方で互いに組み合わせることができる。
【0028】
以下に、実施例に基づいて本発明を詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】一般的な車両フードの一例として、フロントフードを備えた例示的な車両を示す図である。
図2a】車両フードのロックを制御する例示的な装置の異なる状態を示す図である。
図2b】車両フードのロックを制御する例示的な装置の異なる状態を示す図である。
図3】操作要素を備えた例示的なドアフレームを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
冒頭で説明したように、本明細書は、車両フードを快適かつ安全に開けることを扱う。これに関連して、図1は、車両フードの例としてフロントフード105を備えた車両100の例示的な構成要素を示す。車両100は、ロック102を有し、このロックを用いて車両フード105を施錠することができる。ここでロック102には、ラッチ係入位置があり、この位置で車両フード105が完全に閉まった状態にできる。さらに、ロック102には、前ラッチ位置があり、この位置で車両フード105がラッチ解除されてはいても、引き続き鉤爪フックにより保止されるようにできる。車両フード105は、必要に応じて、前ラッチアクチュエータによって、前ラッチ位置からラッチ係入位置(またはその逆)に移行させることができる。さらに、車両100は、鉤爪フックアクチュエータを備えることができ、このアクチュエータが鉤爪フックを操作すると、車両フード105が完全に解放される。一つ又は複数のアクチュエータは、車両100の制御モジュール101を介して制御することができる。
【0031】
車両100はさらに、車両フード105を開けるためにユーザが操作できる操作要素106を(例えば、車両100の内部空間内若しくは客室内)に備えることができる。さらに、車両100は、ドア接触センサ104を備えることができ、このセンサを介して、車両100のドア(例えば、運転席ドアまたは助手席ドア)が開いているのか又は閉じているのかを検知することができる。
【0032】
図2aおよび図2bは、車両フード105を開けるための装置200の異なる状態を示す。装置200は特に、車両フード105のロック102の前ラッチアクチュエータ220および鉤爪フックアクチュエータ210を制御することで、安全かつ快適に車両フード105を開けられるようにする構成とされている。
【0033】
装置200は、鉤爪フックアクチュエータ210を制御する構成とされた鉤爪フック制御モジュール211と、前ラッチアクチュエータ220を制御する構成とされた前ラッチ制御モジュール221とを有している。前ラッチ制御モジュール221は、車両100の状態に関する状態情報を取得するように形成することができる。この状態情報は特に、以下を含んでいる:
・ 一つ又は複数の車両ドアに関する状態情報(これは、ドア接触センサ104により提供することができる。)。この状態情報は、少なくとも一つの車両ドアが開いているかどうかを示す。および/または、
・ 車両速度に関する状態情報(これは例えば、車両100の速度センサ201により提供することができる。)。
【0034】
前ラッチ制御モジュール221は、状態情報に基づいて、前ラッチアクチュエータ220を動作させて車両フード105を自動的にラッチ係入位置から前ラッチ位置に移行させることができるかどうかチェックするように形成することができる。
【0035】
装置200は、車両100の一つ又は複数のドアの状態に応じて開閉するように形成されている回路遮断器204を有している。特に、回路遮断器204は、車両100の全てのドアが閉じているときに、(図2aに図示されているように)開いているようにすることができる。その一方で、回路遮断器204は、車両100の少なくとも一つのドアが開いているとき(特に運転席ドアのとき)に、(図2bに図示されているように)閉じているようにすることができる。
【0036】
上で説明したように、車両100は、車両フード105を自動的に開けさせるように車両100の乗員が操作できる操作要素106(例えば、キー)を備えている。この場合例えば、操作要素106の操作によって、電流回路が閉じられるようにすることができる。回路遮断器204は、この電流回路の中に(操作要素106と直列に)配備することができるので、回路遮断器204が閉じているときのみ、操作要素106の操作により電流回路を閉じることができるようになっている。
【0037】
その結果、回路遮断器204は、回路遮断器204が閉じている(従って、車両100の少なくとも一つのドア(特に運転席ドア)が開いている)ときのみ、装置200の制御モジュール211,221により操作要素106の操作を検知可能にさせるように形成することができる。
【0038】
鉤爪フック制御モジュール211は、操作要素106の操作を検知したときに、鉤爪フックアクチュエータ210を制御することで鉤爪フックを解放するように形成することができる。ただし、操作要素106の操作は、必要に応じて、回路遮断器204が閉じている(従って、車両100の少なくとも一つのドアが開いている)ときのみ検知することができる。さらに、必要に応じて、車両100の走行速度に関する状態情報を考慮してもよい。そうすることで、車両100の走行中に車両フード105が自動的に開いてしまうのを確実に回避することができる。
【0039】
かくして、車両100のフロントフード105が全電動式に(車両100のユーザが手動で鉤爪フックを解除せずとも)開けられるようにする装置200を説明する。装置200はここで、車両100の走行中に意図せず開くのを防ぐために、動作安全性に関するASIL-Dの要件を満たしている(一方、操作要素106は通常、ASIL-Bの要件しか満たしていない。)。
【0040】
装置200は、フロントフード105を開けるための操作要素106(例えば、スイッチまたはキー)が、運転席ドアが開いているときだけ操作できるように形成されている。これは例えば、ドアが十分に開いた状態にあるときだけキー106用の電流回路が閉じるマイクロスイッチ204により動作させることができる。代替的または付加的に、これは、ASIL-Bドア接触センサ104のセンサデータを読み取る制御装置101,211,221内のスイッチにより動作させるのでもよい。制御装置101,211,221内のスイッチは、ドアが開いていることをドア接触センサ104が知らせると、操作キー106に電流を流すことができる。その一方で、ドア接点が閉じているときか或いは車両速度に関する速度信号が予め設定された閾値を超えるときかの少なくともいずれかにおいて、例えば、ASIL-Bに従って、このスイッチを(操作キー106に電流を供給するのを阻止するために)開くことができる。
【0041】
こうして、フロントフード105を開けるための操作要素106の電源に回路遮断器204を統合することができる。回路遮断器204の位置(開/閉)は、ドア(運転席ドア)の位置と緊密に連携させることができる。“ドア開”の状態では回路遮断器204が閉じているので、操作要素106を押すことで電流回路が閉じられ、その結果、読み取りを行う制御装置211に動作要求が送信される。“ドア閉”の状態では回路遮断器204が開いており、操作要素106を操作しても電流回路は閉じられないので、操作要素106を介して動作要求を行うことはできない。
【0042】
回路遮断器204を具体化したものとして、車両ドアのドアフレーム内のマイクロスイッチを用いることができる。代替的または付加的に、操作要素106を読み取るとともに操作要素のために電圧を供給する制御装置101,211,221に、半導体ベースの回路遮断器および/またはリレー(それぞれ、ASIL-Bに従って設計される)を統合してもよい。そのときには、制御装置101,211,221内の回路遮断器204は、(ASIL-Bの要件を満たす)ドア接触センサ104の状態と連携させることができる。ドア接触センサ104が“ドア開”を示すと、回路遮断器204を閉じることで操作要素106が通電されるので、ユーザは、車両フード105を開かせるために、操作要素106を操作して電流回路を閉じることができる。
【0043】
既に上で説明したように、本明細書で述べた手段を通じて、車両フード105を自動的に開けることが、高い機能安全性で必ず可能になる。このとき特に、少なくとも一つの車両ドア、特に運転席ドアが開いているときにのみ、操作要素106の操作に応えて、車両フード105が自動的に開くことが保証されなければならない。図1は、ドアフレーム107内に配備されている例示的な車両ドア108、特に運転席ドアを示している。ドアフレーム107は通常、車両100の車体の一部である。ここで、ドアフレーム107、特に、車両ドア108に面したドアフレーム107の内面は通常、車両ドア108が開いているときにのみ車両100のユーザがアクセスできる。
【0044】
図3は、車両ドア108用のドアフレーム107を具体的に示しており、このドアフレームに(特に、ドアフレーム107の内面に)、車両フード105を開けるための操作要素106が配備されている。操作要素106は、特に、車両ドア108が閉じているときにはユーザが操作要素106にアクセスできないように配備されている。換言すれば、操作要素106は、車両ドア108が閉じている(つまりは、操作要素106が覆い隠されている)ときには、車両100のユーザが操作要素106を操作できないようにドアフレーム107に配備されている。
【0045】
操作要素106をこのように配備することにより、(追加の回路遮断器204がなくても)少なくとも一つの車両ドア108、特に運転席ドアが開いているときにのみ、高い機能安全性で車両フード105が自動的に開けられるように動作させることができる。
【0046】
本明細書で述べた手段により、高い機能安全性で、車両フード105を自動的に開けることが可能になる。
【0047】
本発明は、図示された例示的な実施形態に限定されない。特に、明細書および図面は、一例として、提案の装置およびシステムの原理を具体的に示すことのみを意図していることに留意されたい。
図1
図2a
図2b
図3
【国際調査報告】