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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-19
(54)【発明の名称】ポリペプチド及びその用途
(51)【国際特許分類】
   C07K 14/78 20060101AFI20240711BHJP
   C12N 15/12 20060101ALI20240711BHJP
   C12N 15/63 20060101ALI20240711BHJP
   C12N 1/15 20060101ALI20240711BHJP
   C12N 1/19 20060101ALI20240711BHJP
   C12N 1/21 20060101ALI20240711BHJP
   C12N 5/10 20060101ALI20240711BHJP
   C12P 21/02 20060101ALI20240711BHJP
   A61F 2/12 20060101ALI20240711BHJP
   A61F 2/14 20060101ALI20240711BHJP
【FI】
C07K14/78 ZNA
C12N15/12
C12N15/63 Z
C12N1/15
C12N1/19
C12N1/21
C12N5/10
C12P21/02 C
A61F2/12
A61F2/14
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023557683
(86)(22)【出願日】2023-02-23
(85)【翻訳文提出日】2023-09-19
(86)【国際出願番号】 CN2023077950
(87)【国際公開番号】W WO2024001242
(87)【国際公開日】2024-01-04
(31)【優先権主張番号】202210761804.8
(32)【優先日】2022-06-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523356282
【氏名又は名称】山西▲錦▼波生物医▲薬▼股▲フン▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】▲楊▼ 霞
(72)【発明者】
【氏名】何 振瑞
【テーマコード(参考)】
4B064
4B065
4C097
4H045
【Fターム(参考)】
4B064AG01
4B064CA19
4B064CC24
4B064CE12
4B064DA20
4B065AA01X
4B065AA57X
4B065AA72X
4B065AA88X
4B065AA90X
4B065AA90Y
4B065AB01
4B065AC14
4B065BA02
4B065CA24
4B065CA60
4C097AA19
4C097AA29
4C097BB01
4C097DD05
4C097DD15
4C097MM04
4H045AA10
4H045AA20
4H045AA30
4H045CA40
4H045EA34
4H045FA74
4H045GA26
(57)【要約】
本発明は、ポリペプチド及びその用途を提供する。ポリペプチドはN末端配列及びC末端配列を含み、N末端配列は一つ又は複数の繰り返し単位を含み、当該繰り返し単位はSEQ ID NO.1で示されるアミノ酸配列を含む。本発明は、組織充填及び相溶化に用いられる人体構造性材料の用途を提供し、人体から移植する必要がなく、人体組織充填の天然利点を有するため、豊胸、隆鼻術及び面中央部充填などの分野に広く応用されることが期待できる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
N末端配列及びC末端配列を含み、
N末端配列は一つ又は複数の繰り返し単位を含み、当該繰り返し単位はSEQ ID NO.1に示されるアミノ酸配列又は当該アミノ酸配列が一つ又は複数のアミノ酸残基の置換、添加、挿入又は欠失を経たアミノ酸配列を含み、かつC末端配列はSEQ ID NO.2に示されるアミノ酸配列又は当該アミノ酸配列が一つ又は複数のアミノ酸残基の置換、添加、挿入又は欠失を経たアミノ酸配列であり、好ましく、N末端配列及びC末端配列は直接接続されるか又は一つ又は複数のアミノ酸残基を隔て接続され、各繰り返し単位は直接接続されるか又は一つ又は複数のアミノ酸残基を隔て接続され、好ましく、繰り返し単位の数は1-20であり、好ましく、ポリペプチドはSEQ ID NO.3に示されるアミノ酸配列を含む、ポリペプチド。
【請求項2】
請求項1に記載のポリペプチドをコードし、好ましく、SEQ ID NO.4に示されるヌクレオチド配列を含む、ポリヌクレオチド。
【請求項3】
請求項2に記載のポリヌクレオチドを含み、任意に精製タグ、例えばHisタグ、GSTタグ、MBPタグ、SUMOタグ又はNusAタグをコードするヌクレオチドをさらに含み、任意にリーダー配列をコードするヌクレオチドをさらに含む、核酸。
【請求項4】
請求項2に記載のポリヌクレオチド又は請求項3に記載の核酸を含み、好ましく、発現ベクターであり、好ましく、ポリヌクレオチド又は核酸に操作可能に接続された発現制御要素、例えばプロモーター、ターミネーター及び/又はエンハンサーを含む、ベクター。
【請求項5】
請求項2に記載のポリヌクレオチド、請求項3に記載の核酸又は請求項4に記載のベクターを含み、好ましく、細菌、真菌又は動物細胞であり、好ましく、細菌は大腸菌であり、好ましく、真菌は酵母であり、例えば出芽酵母である、宿主細胞。
【請求項6】
請求項1に記載のポリペプチドを製造する方法であって、
(1)適切な培養条件で請求項5に記載の宿主細胞を培養するステップ、
(2)ポリペプチドを含む宿主細胞及び/又は培地を収穫するステップ、及び
(3)ポリペプチドを精製するステップ、
を含む、方法。
【請求項7】
請求項1に記載のポリペプチドを含む、組成物。
【請求項8】
請求項1に記載のポリペプチドを含み、任意に架橋剤を含まない、ゲル。
【請求項9】
ゲルを製造する方法であって、
2~8℃の条件下の温度で請求項1に記載のポリペプチドを貯蔵するステップを含み、好ましく、ポリペプチドは塩化ナトリウム溶液中のポリペプチドである、方法。
【請求項10】
請求項1に記載のポリペプチド、請求項2に記載のポリヌクレオチド、請求項3に記載の核酸、請求項4に記載のベクター、請求項5に記載の宿主細胞、請求項7に記載の組成物、又は請求項8に記載のゲルの、細胞接着を増加させるか又は組織充填及び/又は相溶化するための用途であって、
好ましく、豊胸、隆鼻術及び/又は顔充填に用いられる、用途。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2022年6月29日に提出された発明の名称が「ポリペプチド及びその用途」である中国発明特許出願第202210761804.8号の優先権の権利を要求し、それは引用により本願に組み込まれる。
本発明は、合成生物技術分野に属し、かつ具体的にはコラーゲンポリペプチドに関し、組織充填及び相溶化の人体構造性材料に用いることができる。
【背景技術】
【0002】
遺伝的要因、栄養状況、年齢要因等のため、一部の人は側頭部凹み、鼻基底凹み、顎の短さ及び収縮、鼻梁の低さなどの顔構造的欠陥が発生する。一部の女性は乳房の発育不良又は下垂萎縮等の問題が発生し、美感に深刻な影響を与える。人々の生活水準の継続的な向上及び思考コンセプトの開放に伴い、ますます多くの人は美容整形に注目し始める。現在充填手術により女性の容姿及び身材を改善することにより、優れた鼻形、平らで滑らかな顔及び飽満で滑らかな乳房を取得することができる。現在の段階の充填手術は、主に義体移植手術、自家組織移植手術、注射充填手術に分けることができる。
【0003】
シリカゲルは良好な組織適合性を有し、発癌、突然変異誘発、催奇形などの問題がなく、抗引き裂き力、硬度、弾性収縮力などの各方面がいずれも満足できるため、早期の豊胸手術及び隆鼻術は常にシリカゲル義体をインプラントとして採用する。これは操作しやすく、外形が美しく、効果がすぐに現れるなどの利点を有する。しかしながら、シリカゲル義体は、表面に静電気が存在するため、いくつかの塵埃又は毛を吸着しやすく、傷口に感染が発生しやすい。手術後にいくつかの合併症が発生する可能性もある。例えば、豊胸の切痕が明らかであり、乳溝が広すぎ、持ち上げにくく、義体が破裂し、漏れ、包膜拘縮などの合併症が発生し、かつ義体が拘縮し、破裂する確率は義体の移植時間の延長に伴って増大する。隆鼻術は、義体が光を透過し、組織適合性が低く、材料が硬く、移植した後に触感が悪く、変位しやすいなどの問題が発生しやすく、かつ鼻部腫れ、鼻尖皮炎及び皮下張力が大きすぎるなどの合併症を引き起こし、鼻の背中を支持することができない。
【0004】
整形技術の発展に伴い、自家組織移植は美容外科においてますます重要な役割を果たしている。ここで自家脂肪豊胸、隆鼻術、面中央部充填は自家脂肪の豊かな部位の脂肪顆粒を所望の部位に移植することである。自家脂肪移植は、一般的に注射方式を採用し、痛みが小さくかつ手術創傷が小さく、時間が短く、手術領域の傷跡が明らかではなく、手術後の回復が速い。その充填物は自家に由来し、生体適合性を有し、移植後に免疫拒絶反応がなく、かつ自家の乳房又は鼻部機能に影響を与えない。優れた融合性を有し、変位が発生しにくい。手術後の合併症が少ない。同時に痩せることができる。しかしながら、従来の脂肪採取技術及び注射技術に高吸収率、低生存率等の不足が存在し、一回の移植が過剰であれば乳房結節等の合併症を引き起こすため、所望の効果を達成するために常に複数回の脂肪移植を必要とする。自家脂肪以外に、自家軟骨は鼻と面の中央部に充填された原料とすることができ、自家脂肪と類似する利点を有するが、それは自家ねじれ変形を生成し、それにより後続の充填効果に大きな影響を与える。
【0005】
注射充填とは、人工化学物質を乳房や顔欠陥部位に注射により充填する手術方式である。ここで人工脂肪は最も一般的に使用される注射充填材料であり、その化学成分は親水性ポリプロピレンアミンヒドロゲルであり、一般的に豊胸術に用いられるが、後続の長期応用においてそれが多くの合併症及び有害反応を有することが発見された。当該ハイドロゲルは製造過程において有毒重金属を有し、皮膚粘膜により人体に吸収され蓄積されやすく、それにより中毒を引き起こす。かつ細胞及び腎臓に対しても異なる程度の毒性や副作用を有する。注射後に乳房内の硬塊又は硬結、痛み、両側乳房の非対称、感染、哺乳期乳腺炎、無菌性炎症、乳房崩壊穿孔、注射物変位、上肢活動制限などの合併症を引き起こし、いくつかの患者の場合、数種の合併症が共存する。
【0006】
現代の技術の発展に伴い、組換えコラーゲンは遺伝子工学技術により製造することができるが、現在市販されているコラーゲンは主にヒト由来コラーゲンの配列を突然変異させて得られ、類コラーゲンに属し、依然として一定の免疫原性を有する。かつその生物学的性質を実現し、組織の相溶化及び充填を完了するために、依然として架橋剤と混合してゲル製品を製造する必要がある。しかし、架橋剤を用いると、免疫原性が低く、かつ毒性のないコラーゲンには、観察されていない副作用や異物反応が生じることが多い。したがって、本分野は、外来遺伝子配列を有さず、免疫原性がなく、生体適合性が高く、自主的に架橋可能なヒト化コラーゲンを発明する必要があり、かつ人体構造性材料として組織充填及び相溶化に用いられる。
【発明の概要】
【0007】
本発明者らはヒト化コラーゲンに対して長期の研究を行い、かつ中国特許出願CN201210482543.2及びCN201811438582.6において様々なIII型コラーゲンポリペプチドを発見した。本発明者らは、これらの発見されたコラーゲンポリペプチドをさらに研究し、これらのコラーゲンポリペプチドが低温で自家でゲルを形成することができないことを発見した。驚くべきことに、発明者らは従来の発明のコラーゲンポリペプチドに基づいて小さなペプチドセグメントを添加することにより、形成されたコラーゲンポリペプチドが低温でゲルを形成することができる。本発明のゲルは、架橋剤を含まなくてもよい。
【0008】
一態様において、本発明はポリペプチドを提供し、当該ポリペプチドはN末端配列及びC末端配列を含み、N末端配列は一つ又は複数の繰り返し単位を含み、当該繰り返し単位はSEQ ID NO.1で示されるアミノ酸配列を含み、かつC末端配列はSEQ ID NO.2で示されるアミノ酸配列である。SEQ ID NO.1のアミノ酸配列はgergapgfrgpagpngipgekgpagergapである。SEQ ID NO.2のアミノ酸配列はgapgpccggである。
【0009】
一実施形態において、繰り返し単位は、SEQ ID NO.1のアミノ酸配列が一つ又は複数のアミノ酸残基の突然変異(置換、挿入、削除又は添加)を経た後に得られたアミノ酸配列であってもよい。
【0010】
一実施形態において、C末端配列は、SEQ ID NO.2のアミノ酸配列が一つ又は複数のアミノ酸残基の突然変異(置換、挿入、削除又は添加)を経た後に得られたアミノ酸配列であってもよい。
【0011】
一実施形態において、繰り返し単位の数は1-20である。
【0012】
一実施形態において、繰り返し単位の数は2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19又は20である。
【0013】
一実施形態において、N末端配列及びC末端配列は、直接接続されるか又は一つ又は複数のアミノ酸残基を隔て接続される。
【0014】
一実施形態において、各繰り返し単位は、直接接続されるか又は一つ又は複数のアミノ酸残基を隔て接続される。
【0015】
一実施形態において、ポリペプチドは、SEQ ID NO.3に示されるアミノ酸配列、又はSEQ ID NO.3のアミノ酸配列が一つ又は複数のアミノ酸残基の突然変異(置換、挿入、削除又は添加)を経た後に得られたアミノ酸配列を含む。
【0016】
一実施形態において、ポリペプチド配列が突然変異した場合、得られたポリペプチドは本発明の機能、例えば細胞接着、自身でゲルを形成する能力などを保持する。
【0017】
一態様において、本発明はポリヌクレオチドを提供し、当該ポリヌクレオチドは本願に記載のポリペプチドをコードする。
【0018】
一実施形態において、ポリヌクレオチドはSEQ ID NO.4に示されるヌクレオチド配列を含む。
【0019】
一態様において、本発明は核酸を提供し、当該核酸は本願のポリヌクレオチドを含む。
【0020】
一実施形態において、核酸はさらに精製タグ、例えばHisタグ、GSTタグ、MBPタグ、SUMOタグ又はNusAタグをコードするヌクレオチドを含む。
【0021】
一実施形態において、核酸はさらにリーダー配列をコードするヌクレオチドを含む。
【0022】
一態様において、本発明はベクターを提供し、当該ベクターは本願のポリヌクレオチド又は核酸を含む。
【0023】
一実施形態において、ベクターは発現ベクターである。
【0024】
一実施形態において、ベクターはポリヌクレオチド又は核酸に操作可能に接続された発現制御要素、例えばプロモーター、ターミネーター及び/又はエンハンサーを含む。
【0025】
一態様において、本発明は宿主細胞を提供し、当該宿主細胞は本願のポリヌクレオチド、核酸又はベクターを含む。
【0026】
一実施形態において、宿主細胞は細菌、真菌又は動物細胞である。
【0027】
一実施形態において、細菌は大腸菌である。
【0028】
一実施形態において、真菌は酵母であり、例えば出芽酵母である。
【0029】
一態様において、本発明はポリペプチドを製造する方法を提供し、当該方法は以下のステップを含む:
(1)適切な培養条件で本願の宿主細胞を培養するステップ、
(2)ポリペプチドを含む宿主細胞及び/又は培地を収穫するステップ、
(3)ポリペプチドを精製するステップ。
【0030】
一態様において、本発明は組成物を提供し、当該組成物は本願に記載のポリペプチドを含む。組成物は、組織充填及び/又は相溶化するための組成物であってもよい。
【0031】
一態様において、本発明はゲルを提供し、当該ゲルは本願に記載のポリペプチドを含むか又は当該ポリペプチドから製造される。
【0032】
一実施形態において、ゲルは架橋剤を含まない。
【0033】
一実施形態において、本願のゲルは人体構造性材料であり、組織充填及び/又は相溶化に用いることができる。
【0034】
別の態様において、本発明はゲルを製造する方法を提供し、当該方法は低温で本願に記載のポリペプチドを貯蔵するステップを含む。
【0035】
一実施形態において、低温は2~8℃の温度である。
【0036】
一実施形態において、低温は2℃、3℃、4℃、5℃、6℃、7℃又は8℃である。
【0037】
一実施形態において、本発明の方法はポリペプチド溶液を貯蔵するステップを含む。好ましく、ポリペプチド溶液はポリペプチドの塩化ナトリウム溶液である。溶液は50-500mMのNaClであってもよく、例えば100mM、150mM、200mM、250mM、300mM、350mM、400mM又は450mMである。
【0038】
一実施形態において、塩化ナトリウム溶液のpHは6以上であり、例えば6.5、7、7.5、8.0、8.5、9又は9.5である。
【0039】
別の態様において、本発明は本願のポリペプチド、ポリヌクレオチド、核酸、宿主細胞、組成物又はゲルの、細胞接着を増加させるか又は組織充填及び相溶化するための用途を提供する。例えば、本願のポリペプチド、ポリヌクレオチド、核酸、宿主細胞、組成物又はゲルは、豊胸、隆鼻術及び/又は顔充填に用いられることができる。
【0040】
本発明は以下の利点を含む:
1.本発明は組換えIII型ヒト化コラーゲン低温ゲルの合成を初めて成功して、そのアミノ酸配列は全て人体自身に由来し、外来アミノ酸配列がない。
2.本発明により製造された組換えIII型ヒト化コラーゲンは、外因性架橋剤が関与しない場合においても架橋反応を発生させて低温ゲルを形成することができ、生物毒性がない。
3.本発明により製造された組換えIII型ヒト化コラーゲン低温ゲルは、ヒト化コラーゲンに属し、良好な組織充填及び相溶化作用を有し、かつ人体に適用されたときに免疫反応がなく、組織適合性が高く、人体構造性材料として人体に直接注射することができる。
4.本発明において組換えIII型ヒト化コラーゲン低温ゲルを生物合成する方法は、工業的に大規模で安定して製造することができる、
5.本発明は組織充填及び相溶化に用いられる人体構造性材料の用途を提供し、それは人体から移植する必要がなく、人体組織充填の天然利点を有するため、豊胸、隆鼻術及び面中央部充填などの分野に広く応用されることが期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
図1】精製後の組換えIII型ヒト化コラーゲンAT16の電気泳動検出結果である。
図2】精製後の組換えIII型ヒト化コラーゲンAT16の細胞接着活性の検出結果である。
図3】プラスミド図である。
図4】ヒト由来コラーゲンT16、TE16c及びAT16の動粘度測定過程における画像である。
図5】精製された組換えIII型ヒト化コラーゲンAT4、AT8、AT12、AT16、AT20の電気泳動検出結果である。
図6】試験サンプルAT4、AT8、AT12、AT16、AT20の生体接着活性。
図7】組換えIII型ヒト化コラーゲンAT4、AT8、AT12、AT16、AT20によるゲル形成画像である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
本発明の目的、技術的解決手段及び利点をより明確にするために、以下に本発明の実施例を結合し、本発明の実施例における技術構成を明確で完全に説明し、説明された実施例は本発明の一部の実施例であり、全ての実施例ではない。本発明における実施例に基づいて、当業者が創造的な労力を要さずに想到し得る他の実施例は、いずれも本発明の保護範囲に属する。
【0043】
本発明者らは、ヒト化コラーゲンに対して長期の研究を行い、かつ中国特許出願CN201210482543.2及びCN201811438582.6において様々なIII型コラーゲンポリペプチドを発見した。本発明者らは、これらの発見されたコラーゲンポリペプチドをさらに研究し、これらのコラーゲンポリペプチドが低温で自家でゲルを形成することができないことを発見した。驚くべきことに、発明者らは従来の発明のコラーゲンポリペプチドに基づいて小さなペプチドセグメントを添加することにより、形成されたコラーゲンポリペプチドが低温でゲルを形成することができる。本発明のゲルは、架橋剤を含まなくてもよい。スクリーニングされた組換えIII型ヒト化コラーゲンAT16機能領域のアミノ酸配列は以下のとおりである:
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apgpccgg(SEQ ID NO.3)。横線を引いたアミノ酸配列部分は、特許CN201811438582.6のアミノ酸に基づいて行われた新たな機能領域の組み合わせである。
【0044】
本願に記載のように、「ポリペプチド」はペプチド結合により接続された複数のアミノ酸残基を指す。本願に記載のように、ポリペプチド又は特定のアミノ酸配列について、「C末端」及び「N末端」は当該ポリペプチド又は特定のアミノ酸配列に対する位置を指し、具体的にはポリペプチド又は特定のアミノ酸配列のカルボキシル末端又はアミノ末端に位置する方向を指す。
【0045】
本願において、N末端からC末端まで、ポリペプチドはN末端配列及びC末端配列を含むことができる。N末端配列は一つ又は複数の繰り返し単位を含むことができ、当該繰り返し単位は、SEQ ID NO.1に示されるアミノ酸配列又は当該アミノ酸配列が一つ又は複数のアミノ酸残基の突然変異(置換、添加、挿入又は欠失)を経たアミノ酸配列を含む。繰り返し単位の数は1-20であってもよい。例えば、繰り返し単位の数は2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19又は20である。特に、突然変異は置換であってもよく、例えば保存的アミノ酸置換である。SEQ ID NO.1のアミノ酸配列はgergapgfrgpagpngipgekgpagergapである。N末端配列において、各繰り返し単位は、直接接続されるか又は一つ又は複数のアミノ酸残基を隔て接続されることができる。
【0046】
C末端配列は、SEQ ID NO.2に示されるアミノ酸配列又は当該アミノ酸配列が一つ又は複数のアミノ酸残基の突然変異(置換、添加、挿入又は欠失)を経たアミノ酸配列であってもよい。特に、突然変異は置換であってもよく、例えば保存的アミノ酸置換である。SEQ ID NO.2のアミノ酸配列はgapgpccggである。N末端配列とC末端配列は、直接接続されるか又は一つ又は複数のアミノ酸残基、例えば2-10個のアミノ酸残基を隔て接続されることができる。例えば、N末端配列とC末端配列は3、4、5、6、7、8又は9個のアミノ酸残基を隔て接続されることができる。
【0047】
ポリペプチド配列に突然変異が発生するか又は間隔配列が存在する場合、得られたポリペプチドは、本発明の機能、例えば細胞接着、自身でゲルを形成する能力などを保持する。
【0048】
本発明のポリペプチドは、合成されたか又は組換えにより発現されてもよい。組換えにより発現された場合、本発明のポリペプチドは、ポリヌクレオチドによりコードすることができる。ポリヌクレオチドは、発現する宿主細胞に対してコドン最適化を行うことができる。ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは、発現制御要素、例えばプロモーター、ターミネーター及び/又はエンハンサーと操作可能に接続されて核酸、又は発現カセットを構成することができる。当該核酸は、ポリペプチドの精製又は分泌を容易にするために、さらに精製タグ、例えばHisタグ、GSTタグ、MBPタグ、SUMOタグ又はNusAタグをコードするヌクレオチド、又はリーダー配列をコードするヌクレオチドを含むことができる。
【0049】
本願に記載のように、用語「ベクター」は、ポリヌクレオチドをその中に挿入することができる核酸運搬ツールである。ベクターは、挿入されたポリヌクレオチドによりコードされたタンパク質を発現させることができる場合、発現ベクターと呼ばれる。ベクターは形質転換、形質導入又はトランスフェクションにより宿主細胞に導入することができ、それに搬送された遺伝物質要素を宿主細胞において発現させる。ベクターは当業者に公知であり、以下を含むがこれらに限定されない:プラスミド;ファージ;コスミド;人工染色体、例えば酵母人工染色体(YAC)、細菌人工染色体(BAC)又はP1由来の人工染色体(PAC);ファージ、例えばλファージ又はM13ファージ、及び動物ウイルス等。ベクターは、様々な発現を制御する要素を含むことができ、プロモーター配列、転写開始配列、エンハンサー配列、選択要素及びレポーター遺伝子を含むがこれらに限定されない。また、ベクターはさらに複製開始部位を含むことができる。ベクターは、細胞に導入して発現させるために本発明の核酸を含むことができる。ベクターは、前記核酸に操作可能に接続された発現制御要素、例えばプロモータ、ターミネーター及び/又はエンハンサーを含むことができる。
【0050】
本願に記載のように、用語「宿主細胞」は、分子生物学技術により核酸分子を導入した細胞である。これらの技術は、ウイルスベクターのトランスフェクション、プラスミドベクターでの形質転換、及びエレクトロポレーション、脂質トランスフェクション、及び粒子銃により加速して裸DNAに導入することを含む。宿主細胞は、真核細胞又は原核細胞であってもよい。例えば、真核細胞は、酵母細胞、動物細胞及び/又は昆虫細胞である。原核細胞は大腸菌細胞であってもよい。
【0051】
本発明はさらにポリペプチドを製造する方法を提供し、それは以下のステップを含む:(1)適切な培養条件で本願の宿主細胞を培養するステップ、(2)ポリペプチドを含む宿主細胞及び/又は培地を収穫するステップ、及び(3)ポリペプチドを精製するステップ。本発明の方法は、タグを酵素切断するステップを含むことができる。
【0052】
本発明のポリペプチドは、組成物又はキットに製造することができる。組成物又はキットは、組織充填及び/又は相溶化用の組成物又はキットであってもよい。組成物又はキットは、補助物質をさらに含んでいてもよい。本発明の組成物はゲルであってもよく、それは本願に記載のポリペプチドを含む。ゲルは、本願に記載のポリペプチドにより自発的に生成することができ、架橋剤を含まない。本発明の組成物、特にゲルは、人体構造性材料であり、例えば組織充填及び/又は相溶化に用いることができる。本発明のゲルは、簡便な方法で製造することができる。例えば、ゲルを製造する方法は、低温で本願に記載のポリペプチドを貯蔵するステップを含むことができる。本発明のポリペプチドは、低温で自ゲル化を完了することができる。低温は2~8℃の温度であってもよく、例えば2℃、3℃、4℃、5℃、6℃、7℃又は8℃である。本発明の方法は、ポリペプチド溶液を貯蔵するステップを含むことができる。好ましく、ポリペプチド溶液は、ポリペプチドの塩化ナトリウムの水溶液である。塩化ナトリウム溶液は50mM~500mMの溶液であってもよい。例えば、塩化ナトリウム溶液は100mM、150mM、200mM、250mM、300mM、350mM、400mM又は450mMであってもよい。
【0053】
一実施形態において、塩化ナトリウム溶液のpHは、6以上であり、例えば6.5、7、7.5、8.0、8.5、9又は9.5である。溶液中のポリペプチド濃度は、5mg/mLより大きくてもよく、又は10mg/mLより大きくてもよく、例えば10mg/mL、15mg/mL、20mg/mL、30mg/mL、40mg/mL、50mg/mL、60mg/mL、70mg/mL、80mg/mL、90mg/mL、100mg/mL、200mg/mL、300mg/mL又はそれ以上の濃度であってもよい。
実施例
【0054】
本発明を以下の実施例を提供して説明する。当業者は、実施例が例示的なものに過ぎず、限定的なものではないことを理解すべきである。本発明は、添付の特許請求の範囲によってのみ限定される。
【0055】
実施例1:組換えIII型ヒト化コラーゲンゲルの構築及び発現
1.大規模の機能領域のスクリーニング及び組み立てを行い、組換えIII型ヒト化コラーゲンの目的遺伝子断片を得た:AT16のアミノ酸配列は以下のとおりである:gergapgfrgpagpngipgekgpagergapgergapgfrgpagpngipgekgpagergapgergapgfrgpagpngipgekgpagergapgergapgfrgpagpngipgekgpagergapgergapgfrgpagpngipgekgpagergapgergapgfrgpagpngipgekgpagergapgergapgfrgpagpngipgekgpagergapgergapgfrgpagpngipgekgpagergapgergapgfrgpagpngipgekgpagergapgergapgfrgpagpngipgekgpagergapgergapgfrgpagpngipgekgpagergapgergapgfrgpagpngipgekgpagergapgergapgfrgpagpngipgekgpagergapgergapgfrgpagpngipgekgpagergapgergapgfrgpagpngipgekgpagergapgergapgfrgpagpngipgekgpagergapgapgpccgg。本発明において大腸菌のコドンに対してコドン最適化を行い、最適化された後の塩基配列は以下のとおりである:GGAGAAAGGGGGGCGCCTGGCTTTCGTGGTCCGGCGGGTCCGAATGGCATTCCGGGTGAAAAGGGTCCTGCCGGTGAGCGTGGTGCTCCGGGTGAGCGCGGCGCTCCGGGTTTCCGCGGTCCCGCGGGTCCGAACGGCATCCCGGGAGAAAAAGGCCCAGCTGGCGAGCGCGGTGCACCGGGCGAACGTGGTGCCCCGGGCTTCCGTGGCCCAGCGGGTCCGAACGGTATTCCGGGCGAGAAAGGTCCGGCAGGTGAACGTGGTGCGCCAGGCGAGCGTGGTGCGCCTGGTTTCAGAGGCCCAGCAGGCCCAAATGGCATCCCCGGTGAGAAGGGCCCAGCCGGTGAGCGCGGGGCACCGGGTGAACGTGGCGCGCCGGGCTTTCGCGGACCGGCGGGTCCGAACGGCATCCCGGGTGAGAAGGGTCCGGCTGGCGAGCGTGGTGCGCCGGGTGAACGTGGTGCACCGGGATTCCGCGGCCCGGCGGGACCGAATGGTATTCCGGGTGAGAAGGGTCCGGCGGGCGAACGCGGAGCACCAGGCGAACGCGGCGCTCCGGGCTTTCGCGGTCCGGCGGGTCCGAATGGTATCCCGGGCGAGAAGGGTCCTGCCGGTGAGCGTGGTGCCCCGGGCGAACGTGGCGCTCCGGGTTTTCGTGGTCCGGCGGGTCCGAACGGCATTCCGGGTGAAAAGGGCCCAGCGGGTGAGCGTGGCGCGCCAGGCGAGAGAGGTGCCCCGGGTTTTCGTGGCCCGGCGGGTCCGAACGGCATCCCGGGTGAGAAAGGCCCGGCGGGCGAACGTGGTGCGCCAGGCGAGAGAGGTGCTCCGGGTTTCCGTGGCCCGGCTGGTCCGAACGGTATTCCGGGTGAAAAGGGCCCGGCGGGCGAGCGTGGCGCGCCGGGTGAGCGTGGTGCCCCAGGCTTTCGTGGTCCAGCTGGTCCGAACGGTATCCCGGGTGAAAAAGGTCCGGCGGGTGAGCGTGGCGCGCCGGGTGAACGTGGTGCCCCAGGCTTCCGCGGGCCGGCAGGTCCCAACGGTATCCCGGGCGAGAAAGGTCCGGCTGGCGAGCGAGGTGCCCCGGGCGAACGTGGCGCGCCGGGCTTCCGCGGTCCGGCAGGCCCGAACGGTATCCCGGGCGAGAAAGGTCCGGCAGGTGAGCGTGGTGCGCCGGGTGAACGCGGCGCTCCGGGTTTTCGTGGCCCGGCAGGCCCAAATGGCATTCCGGGCGAAAAAGGCCCAGCGGGTGAGCGTGGTGCCCCGGGTGAGCGCGGTGCGCCGGGTTTCCGCGGTCCGGCGGGTCCGAATGGTATTCCGGGCGAAAAAGGCCCGGCGGGCGAGCGTGGCGCTCCGGGCGAACGTGGAGCGCCAGGATTCCGCGGCCCGGCAGGACCGAACGGCATCCCGGGAGAAAAGGGCCCGGCGGGTGAACGTGGTGCACCGGGAGCGCCTGGTCCGTGTTGCGGTGGT(SEQ NO:4)。
【0056】
2.合成された遺伝子断片をpET-28a-Trx-His発現ベクターに挿入して組換え発現プラスミドを得た。
【0057】
3.構築に成功した発現プラスミドを大腸菌コンピテント細胞BL21(DE3)に形質転換した。具体的な過程は以下のとおりである:(1)超低温冷蔵庫で大腸菌コンピテント細胞BL21(DE3)を取り出して氷上に置き、半融解する時に2μlの形質転換対象のプラスミドを取って大腸菌コンピテント細胞BL21(DE3)に添加し、2-3回均一に混合した。(2)混合物を氷上に30min氷浴し、その後に42℃の水浴で45-90s熱ショックし、取り出した後に氷上に2min氷浴する。(3)生物安全キャビネットに移し、かつ700μlの液体LB培地に添加し、次に37℃、220rpmの条件で60min培養した。(4)200μlの菌液を取って硫酸カナマイシンを含有するLBプレートに均一に塗布した。(5)プレートを37℃のインキュベーターで15-17h培養し、大きさが均一なコロニーを生成する。
【0058】
4.好ましい大腸菌遺伝子工学的単一コロニーを選び出し、カナマイシンを含有するLB液体培地に置き、37℃で、220rpmで5時間培養した後、16℃まで降温し、最終濃度が0.5mMのIPTGを添加して誘導した。16時間培養した後、6000rpm、4℃で12min遠心分離し、菌体を収集した。
【0059】
5.組換えヒト化III型コラーゲンを精製し酵素切断し、具体的な過程は以下のとおりである:(1)Tris緩衝液(25mM Tris、200mM NaCl、20mMイミダゾール、pH=8.0)で細菌を再懸濁し、均質に破砕し、17000rpmで4℃で20分間遠心分離し、上清を収集した;(2)Ni6FFアフィニティーカラムによりタンパク質を結合し、20mMイミダゾールを含有する洗浄緩衝溶液(20mMイミダゾール、25mM Tris、200mM NaCl、pH8.0)でヘテロタンパク質をすすぎ、350mMイミダゾールを含有する溶液(350mMイミダゾール、25mM Tris、200mM NaCl、pH8.0)で目的タンパク質を溶出した;(3)溶出されたタンパク質サンプルにHisタグを有する適量のTEVプロテアーゼを20℃で添加し、2h酵素切断し、組換えヒト化III型コラーゲンAT16を取得した;(4)10kDa透析バッグを利用し、酵素切断された組換えヒト化III型コラーゲンAT16の混合液を透析して塩化ナトリウム溶液に交換する;(5)10kDa限外濾過濃縮チューブを利用し、交換された組換えヒト化III型コラーゲンAT16をタンパク質濃度が10mg/mL以上に濃縮した。
【0060】
6.組換えIII型ヒト化コラーゲンゲルの形成であって、その具体的な過程は以下のとおりである:得られた組換えヒト化III型コラーゲンAT16を冷蔵庫に入れて保存し、タンパク質を低温環境で架橋してゲルを形成した。
【0061】
7.組換えIII型ヒト化コラーゲンゲルの純度検出
得られたAT16タンパク質はSDS-PAGEを利用して純度を検出した。具体的な過程は以下のとおりである:精製されたタンパク質溶液20μLを取り、5μlの5×のタンパク質ローディング緩衝液(250mMのTris-HCl(pH6.8)、10%SDS、0.5%ブロモフェノールブルー、50%グリセリン、5%β-メルカプトエタノール)を添加し、100℃の沸騰水に置いて5min煮て、次に各ウェル10μlをSDS-PAGEタンパク質ゲルに添加し、電圧150Vで1h電気泳動した後、クマシーブリリアントブルー染色液(0.1%のクマシーブリリアントブルーR-250、25%エタノール、10%氷酢酸)でタンパク質染色を3min行い、さらにタンパク質脱色液(10%酢酸、5%エタノール)で脱色した。
【0062】
図1は、精製された組換えIII型ヒト化コラーゲンAT16の電気泳動検出結果を示し、AT16の見かけ分子量は45kDaであり、分子量はAT16ポリペプチドに対応し、ポリペプチドAT16が正確に発現されることを示す。
【0063】
実施例2:組換えIII型ヒト化コラーゲンAT16の生物活性検出
コラーゲンの活性検出方法は、文献Juming Yao, Satoshi Yanagisawa, Tetsuo Asakura, Design, Expression and Characterization of Collagen-Like Proteins Based on the Cell Adhesive and Crosslinking Sequences Derived from Native Collagens, J Biochem. 136, 643-649(2004)を参照することができる。具体的な実施方法は下記の通りである。
【0064】
(1)紫外線吸収法を利用して測定されるタンパク質サンプルの濃度を検出し、ウシI型コラーゲン標準品(Sigma、番号:380002)、本発明で提供する組換えIII型ヒト化コラーゲンAT16を含む。
【0065】
具体的にはそれぞれサンプルの215nm及び225nmでの紫外光吸収を測定し、経験式C(μg/mL)=144×(A215-A225)を利用してタンパク質濃度を計算し、A215<1.5の場合に検出する必要があることに注意した。当該方法の原理は以下のとおりである:ペプチド結合の遠紫外光での特徴吸収を測定し、発色団含有量の影響を受けず、干渉物質が少なく、操作しやすく、クマシーブリリアントブルーが発色しないヒトコラーゲン及びその類似体を検出することに適する。(参考文献は、Walker JM. The Protein Protocols Handbook, second edition. HumanaPress. 43-45.である)。タンパク質濃度を検出した後、PBSで全ての測定されるタンパク質濃度を0.5mg/mLに調整した。
【0066】
(2)96ウェルプレートに100μLの様々なタンパク質溶液及びブランクPBS溶液対照を添加して、室温で60min静置した。
【0067】
(3)各ウェルに培養状態が良好な10個の3T3細胞を添加し、37℃で60minインキュベートした。
【0068】
(4)各ウェルをPBSで4回洗浄した。
【0069】
(5)LDH検出キット(Roche、04744926001)でOD492nmの吸光度を検出した。ブランク対照の数値に基づいて、細胞の接着率を計算することができる。計算式は以下のとおりである:細胞接着率=(測定ウェル‐ブランクウェル)/(陽性ウェル‐ブランクウェル)×100%。細胞の接着率は、コラーゲンの活性を反応することができる。タンパク質の活性が高いほど、短時間で細胞に良質な外部環境を提供し、細胞の接着を助けることができる。
【0070】
結果は図2に示すとおりである(D-PBSはブランクPBS群を示す;B colIはウシI型コラーゲン標準品対照群を示す;0.25は0.25mg/mL AT16群を示す;0.5は0.5mg/mL AT16群を示す;1は1.0mg/mL AT16群を示す)。比較から分かるように、商品化されたヒトコラーゲンに比べて、本発明の異なる濃度の組換えIII型ヒト化コラーゲンAT16はより優れた生体接着活性を有する。
【0071】
実施例3:組換えIII型ヒト化コラーゲンAT16のマススペクトル検出
実験方法
【表1】
【0072】
タンパク質サンプルをDTT還元及びヨードアセトアミドアルキル化処理を行った後、トリプシンを添加して酵素分解して一晩放置した。酵素分解した後に得られたペプチド断片をさらにC18ZipTipで脱塩した後、基質α-cyano-4-hydroxycinnamic acid(CHCA)と混合してパネルをスポットした。最後にマトリックス支援レーザー脱離イオン化-飛行時間質量分析計MALDI-TOF/TOF UlraflextremeTM、Brucker、Germanyを用いて分析した(ペプチドマスフィンガープリンティング(peptide mass fingerprinting; PMF)の技術はProtein J.2016;35:212-7を参照することができる)。
【0073】
データ検索は、ローカルmacoウェブサイトからMS/MS Ion searchページで処理される。タンパク質同定結果は、酵素分解後に生成されたペプチド断片の一次マススペクトルに基づいて得られた。検出パラメータ:Trypsin酵素分解、二つの切断漏れ部位を設定した。システインのアルキル化が固定修飾であるように設定した。メチオニンの酸化は可変修飾である。同定に用いられたデータベースはNCBprotである。
【0074】
【表2】
検出されたポリペプチド断片のカバー率は84.66%である。
【0075】
実施例4:組換えIII型ヒト化コラーゲンT16、TE16c、AT16の動粘度試験
実験方法
組換えIII型ヒト由来コラーゲンT16(アミノ酸配列はgergapgfrgpagpngipgekgpagergapgergapgfrgpagpngipgekgpagergapgergapgfrgpagpngipgekgpagergapgergapgfrgpagpngipgekgpagergaprsgergapgfrgpagpngipgekgpagergapgergapgfrgpagpngipgekgpagergapgergapgfrgpagpngipgekgpagergapgergapgfrgpagpngipgekgpagergaprsgergapgfrgpagpngipgekgpagergapgergapgfrgpagpngipgekgpagergapgergapgfrgpagpngipgekgpagergapgergapgfrgpagpngipgekgpagergaprsgergapgfrgpagpngipgekgpagergapgergapgfrgpagpngipgekgpagergapgergapgfrgpagpngipgekgpagergapgergapgfrgpagpngipgekgpagergaprsgppgpccggg、SEQ ID NO.5である)及びTE16c(アミノ酸配列はGERGAPGFRGPAGPNGIPGEKGPAGERGAPGERGAPGFRGPAGPNGIPGEKGPAGERGAPGERGAPGFRGPAGPNGIPGEKGPAGERGAPGERGAPGFRGPAGPNGIPGEKGPAGERGAPGERGAPGFRGPAGPNGIPGEKGPAGERGAPGERGAPGFRGPAGPNGIPGEKGPAGERGAPGERGAPGFRGPAGPNGIPGEKGPAGERGAPGERGAPGFRGPAGPNGIPGEKGPAGERGAPGERGAPGFRGPAGPNGIPGEKGPAGERGAPGERGAPGFRGPAGPNGIPGEKGPAGERGAPGERGAPGFRGPAGPNGIPGEKGPAGERGAPGERGAPGFRGPAGPNGIPGEKGPAGERGAPGERGAPGFRGPAGPNGIPGEKGPAGERGAPGERGAPGFRGPAGPNGIPGEKGPAGERGAPGERGAPGFRGPAGPNGIPGEKGPAGERGAPGERGAPGFRGPAGPNGIPGEKGPAGERGAP、SEQ ID NO.6である)と本発明の組換えIII型ヒト化コラーゲンAT16は同じ濃度及び対応溶液(150mM NaCl溶液、ポリペプチド濃度15mg/mL)において、それぞれ2~8℃の環境に貯蔵して機器回転粘度計に入れ、その動粘度を測定して比較した。
【0076】
実験結果
組換えIII型ヒト由来コラーゲンT16及びTE16cは、動粘度を測定することができず、本発明の組換えIII型ヒト化コラーゲンAT16により測定された動粘度は3510mpa・sである。これは、同じ条件で本発明の組換えIII型ヒト化コラーゲンAT16がゲルをよりよく形成できることを示し、図4に示すとおりである。図4から分かるように、無色透明を呈するT16及びTE16cに比べて、AT16は乳白色を呈し、ゲルを形成することができる。
【0077】
実施例5:AT4、AT8、AT12、AT16、AT20タンパク質の精製及び製造
実施例1に記載のように、AT4、AT8、AT12、AT16、AT20タンパク質を製造しかつ精製し、そのなかでAT4の繰り返し単位(gergapgfrgpagpngipgekgpagergap)の数は4であり、AT8の繰り返し単位の数は8であり、AT12の繰り返し単位(gergapgfrgpagpngipgekgpagergap)の数は12であり、AT16の繰り返し単位の数は16であり、AT20タンパク質の繰り返し単位の数は20である。
具体的な配列は以下のとおりである。
【0078】
AT4のアミノ酸配列
Gergapgfrgpagpngipgekgpagergapgergapgfrgpagpngipgekgpagergapgergapgfrgpagpngipgekgpagergapgergapgfrgpagpngipgekgpagergapgapgpccgg (SEQ ID NO. 11)
【0079】
対応の最適化された塩基配列
GGAGAAAGGGGGGCGCCTGGCTTTCGTGGTCCGGCGGGTCCGAATGGCATTCCGGGTGAAAAGGGTCCTGCCGGTGAGCGTGGTGCTCCGGGTGAGCGCGGCGCTCCGGGTTTCCGCGGTCCCGCGGGTCCGAACGGCATCCCGGGAGAAAAAGGCCCAGCTGGCGAGCGCGGTGCACCGGGCGAACGTGGTGCCCCGGGCTTCCGTGGCCCAGCGGGTCCGAACGGTATTCCGGGCGAGAAAGGTCCGGCAGGTGAACGTGGTGCGCCAGGCGAGCGTGGTGCGCCTGGTTTCAGAGGCCCAGCAGGCCCAAATGGCATCCCCGGTGAGAAGGGCCCAGCCGGTGAGCGCGGGGCACCGGGAGCGCCTGGTCCGTGTTGCGGTGGT(SEQ ID NO.12)
【0080】
AT8のアミノ酸配列
Gergapgfrgpagpngipgekgpagergapgergapgfrgpagpngipgekgpagergapgergapgfrgpagpngipgekgpagergapgergapgfrgpagpngipgekgpagergapgergapgfrgpagpngipgekgpagergapgergapgfrgpagpngipgekgpagergapgergapgfrgpagpngipgekgpagergapgergapgfrgpagpngipgekgpagergapgapgpccgg(SEQ ID NO.13)
【0081】
対応の最適化された塩基配列
GGAGAAAGGGGGGCGCCTGGCTTTCGTGGTCCGGCGGGTCCGAATGGCATTCCGGGTGAAAAGGGTCCTGCCGGTGAGCGTGGTGCTCCGGGTGAGCGCGGCGCTCCGGGTTTCCGCGGTCCCGCGGGTCCGAACGGCATCCCGGGAGAAAAAGGCCCAGCTGGCGAGCGCGGTGCACCGGGCGAACGTGGTGCCCCGGGCTTCCGTGGCCCAGCGGGTCCGAACGGTATTCCGGGCGAGAAAGGTCCGGCAGGTGAACGTGGTGCGCCAGGCGAGCGTGGTGCGCCTGGTTTCAGAGGCCCAGCAGGCCCAAATGGCATCCCCGGTGAGAAGGGCCCAGCCGGTGAGCGCGGGGCACCGGGTGAACGTGGCGCGCCGGGCTTTCGCGGACCGGCGGGTCCGAACGGCATCCCGGGTGAGAAGGGTCCGGCTGGCGAGCGTGGTGCGCCGGGTGAACGTGGTGCACCGGGATTCCGCGGCCCGGCGGGACCGAATGGTATTCCGGGTGAGAAGGGTCCGGCGGGCGAACGCGGAGCACCAGGCGAACGCGGCGCTCCGGGCTTTCGCGGTCCGGCGGGTCCGAATGGTATCCCGGGCGAGAAGGGTCCTGCCGGTGAGCGTGGTGCCCCGGGCGAACGTGGCGCTCCGGGTTTTCGTGGTCCGGCGGGTCCGAACGGCATTCCGGGTGAAAAGGGCCCAGCGGGTGAGCGTGGCGCGCCAGGAGCGCCTGGTCCGTGTTGCGGTGGT(SEQ ID NO.14)
【0082】
AT12のアミノ酸配列
gergapgfrgpagpngipgekgpagergapgergapgfrgpagpngipgekgpagergapgergapgfrgpagpngipgekgpagergapgergapgfrgpagpngipgekgpagergapgergapgfrgpagpngipgekgpagergapgergapgfrgpagpngipgekgpagergapgergapgfrgpagpngipgekgpagergapgergapgfrgpagpngipgekgpagergapgergapgfrgpagpngipgekgpagergapgergapgfrgpagpngipgekgpagergapgergapgfrgpagpngipgekgpagergapgergapgfrgpagpngipgekgpagergapgapgpccgg(SEQ ID NO.15)
【0083】
対応の最適化された塩基配列
GGAGAAAGGGGGGCGCCTGGCTTTCGTGGTCCGGCGGGTCCGAATGGCATTCCGGGTGAAAAGGGTCCTGCCGGTGAGCGTGGTGCTCCGGGTGAGCGCGGCGCTCCGGGTTTCCGCGGTCCCGCGGGTCCGAACGGCATCCCGGGAGAAAAAGGCCCAGCTGGCGAGCGCGGTGCACCGGGCGAACGTGGTGCCCCGGGCTTCCGTGGCCCAGCGGGTCCGAACGGTATTCCGGGCGAGAAAGGTCCGGCAGGTGAACGTGGTGCGCCAGGCGAGCGTGGTGCGCCTGGTTTCAGAGGCCCAGCAGGCCCAAATGGCATCCCCGGTGAGAAGGGCCCAGCCGGTGAGCGCGGGGCACCGGGTGAACGTGGCGCGCCGGGCTTTCGCGGACCGGCGGGTCCGAACGGCATCCCGGGTGAGAAGGGTCCGGCTGGCGAGCGTGGTGCGCCGGGTGAACGTGGTGCACCGGGATTCCGCGGCCCGGCGGGACCGAATGGTATTCCGGGTGAGAAGGGTCCGGCGGGCGAACGCGGAGCACCAGGCGAACGCGGCGCTCCGGGCTTTCGCGGTCCGGCGGGTCCGAATGGTATCCCGGGCGAGAAGGGTCCTGCCGGTGAGCGTGGTGCCCCGGGCGAACGTGGCGCTCCGGGTTTTCGTGGTCCGGCGGGTCCGAACGGCATTCCGGGTGAAAAGGGCCCAGCGGGTGAGCGTGGCGCGCCAGGCGAGAGAGGTGCCCCGGGTTTTCGTGGCCCGGCGGGTCCGAACGGCATCCCGGGTGAGAAAGGCCCGGCGGGCGAACGTGGTGCGCCAGGCGAGAGAGGTGCTCCGGGTTTCCGTGGCCCGGCTGGTCCGAACGGTATTCCGGGTGAAAAGGGCCCGGCGGGCGAGCGTGGCGCGCCGGGTGAGCGTGGTGCCCCAGGCTTTCGTGGTCCAGCTGGTCCGAACGGTATCCCGGGTGAAAAAGGTCCGGCGGGTGAGCGTGGCGCGCCGGGTGAACGTGGTGCCCCAGGCTTCCGCGGGCCGGCAGGTCCCAACGGTATCCCGGGCGAGAAAGGTCCGGCTGGCGAGCGAGGTGCCCCGGGAGCGCCTGGTCCGTGTTGCGGTGGT(SEQ ID NO.16)
【0084】
AT16のアミノ酸配列
gergapgfrgpagpngipgekgpagergapgergapgfrgpagpngipgekgpagergapgergapgfrgpagpngipgekgpagergapgergapgfrgpagpngipgekgpagergapgergapgfrgpagpngipgekgpagergapgergapgfrgpagpngipgekgpagergapgergapgfrgpagpngipgekgpagergapgergapgfrgpagpngipgekgpagergapgergapgfrgpagpngipgekgpagergapgergapgfrgpagpngipgekgpagergapgergapgfrgpagpngipgekgpagergapgergapgfrgpagpngipgekgpagergapgergapgfrgpagpngipgekgpagergapgergapgfrgpagpngipgekgpagergapgergapgfrgpagpngipgekgpagergapgergapgfrgpagpngipgekgpagergapgapgpccgg
【0085】
対応の最適化された塩基配列
GGAGAAAGGGGGGCGCCTGGCTTTCGTGGTCCGGCGGGTCCGAATGGCATTCCGGGTGAAAAGGGTCCTGCCGGTGAGCGTGGTGCTCCGGGTGAGCGCGGCGCTCCGGGTTTCCGCGGTCCCGCGGGTCCGAACGGCATCCCGGGAGAAAAAGGCCCAGCTGGCGAGCGCGGTGCACCGGGCGAACGTGGTGCCCCGGGCTTCCGTGGCCCAGCGGGTCCGAACGGTATTCCGGGCGAGAAAGGTCCGGCAGGTGAACGTGGTGCGCCAGGCGAGCGTGGTGCGCCTGGTTTCAGAGGCCCAGCAGGCCCAAATGGCATCCCCGGTGAGAAGGGCCCAGCCGGTGAGCGCGGGGCACCGGGTGAACGTGGCGCGCCGGGCTTTCGCGGACCGGCGGGTCCGAACGGCATCCCGGGTGAGAAGGGTCCGGCTGGCGAGCGTGGTGCGCCGGGTGAACGTGGTGCACCGGGATTCCGCGGCCCGGCGGGACCGAATGGTATTCCGGGTGAGAAGGGTCCGGCGGGCGAACGCGGAGCACCAGGCGAACGCGGCGCTCCGGGCTTTCGCGGTCCGGCGGGTCCGAATGGTATCCCGGGCGAGAAGGGTCCTGCCGGTGAGCGTGGTGCCCCGGGCGAACGTGGCGCTCCGGGTTTTCGTGGTCCGGCGGGTCCGAACGGCATTCCGGGTGAAAAGGGCCCAGCGGGTGAGCGTGGCGCGCCAGGCGAGAGAGGTGCCCCGGGTTTTCGTGGCCCGGCGGGTCCGAACGGCATCCCGGGTGAGAAAGGCCCGGCGGGCGAACGTGGTGCGCCAGGCGAGAGAGGTGCTCCGGGTTTCCGTGGCCCGGCTGGTCCGAACGGTATTCCGGGTGAAAAGGGCCCGGCGGGCGAGCGTGGCGCGCCGGGTGAGCGTGGTGCCCCAGGCTTTCGTGGTCCAGCTGGTCCGAACGGTATCCCGGGTGAAAAAGGTCCGGCGGGTGAGCGTGGCGCGCCGGGTGAACGTGGTGCCCCAGGCTTCCGCGGGCCGGCAGGTCCCAACGGTATCCCGGGCGAGAAAGGTCCGGCTGGCGAGCGAGGTGCCCCGGGCGAACGTGGCGCGCCGGGCTTCCGCGGTCCGGCAGGCCCGAACGGTATCCCGGGCGAGAAAGGTCCGGCAGGTGAGCGTGGTGCGCCGGGTGAACGCGGCGCTCCGGGTTTTCGTGGCCCGGCAGGCCCAAATGGCATTCCGGGCGAAAAAGGCCCAGCGGGTGAGCGTGGTGCCCCGGGTGAGCGCGGTGCGCCGGGTTTCCGCGGTCCGGCGGGTCCGAATGGTATTCCGGGCGAAAAAGGCCCGGCGGGCGAGCGTGGCGCTCCGGGCGAACGTGGAGCGCCAGGATTCCGCGGCCCGGCAGGACCGAACGGCATCCCGGGAGAAAAGGGCCCGGCGGGTGAACGTGGTGCACCGGGAGCGCCTGGTCCGTGTTGCGGTGGT
【0086】
AT20のアミノ酸配列
gergapgfrgpagpngipgekgpagergapgergapgfrgpagpngipgekgpagergapgergapgfrgpagpngipgekgpagergapgergapgfrgpagpngipgekgpagergapgergapgfrgpagpngipgekgpagergapgergapgfrgpagpngipgekgpagergapgergapgfrgpagpngipgekgpagergapgergapgfrgpagpngipgekgpagergapgergapgfrgpagpngipgekgpagergapgergapgfrgpagpngipgekgpagergapgergapgfrgpagpngipgekgpagergapgergapgfrgpagpngipgekgpagergapgergapgfrgpagpngipgekgpagergapgergapgfrgpagpngipgekgpagergapgergapgfrgpagpngipgekgpagergapgergapgfrgpagpngipgekgpagergapgergapgfrgpagpngipgekgpagergapgergapgfrgpagpngipgekgpagergapgergapgfrgpagpngipgekgpagergapgergapgfrgpagpngipgekgpagergapgapgpccgg
【0087】
対応の最適化された塩基配列
GGAGAAAGGGGGGCGCCTGGCTTTCGTGGTCCGGCGGGTCCGAATGGCATTCCGGGTGAAAAGGGTCCTGCCGGTGAGCGTGGTGCTCCGGGTGAGCGCGGCGCTCCGGGTTTCCGCGGTCCCGCGGGTCCGAACGGCATCCCGGGAGAAAAAGGCCCAGCTGGCGAGCGCGGTGCACCGGGCGAACGTGGTGCCCCGGGCTTCCGTGGCCCAGCGGGTCCGAACGGTATTCCGGGCGAGAAAGGTCCGGCAGGTGAACGTGGTGCGCCAGGCGAGCGTGGTGCGCCTGGTTTCAGAGGCCCAGCAGGCCCAAATGGCATCCCCGGTGAGAAGGGCCCAGCCGGTGAGCGCGGGGCACCGGGTGAACGTGGCGCGCCGGGCTTTCGCGGACCGGCGGGTCCGAACGGCATCCCGGGTGAGAAGGGTCCGGCTGGCGAGCGTGGTGCGCCGGGTGAACGTGGTGCACCGGGATTCCGCGGCCCGGCGGGACCGAATGGTATTCCGGGTGAGAAGGGTCCGGCGGGCGAACGCGGAGCACCAGGCGAACGCGGCGCTCCGGGCTTTCGCGGTCCGGCGGGTCCGAATGGTATCCCGGGCGAGAAGGGTCCTGCCGGTGAGCGTGGTGCCCCGGGCGAACGTGGCGCTCCGGGTTTTCGTGGTCCGGCGGGTCCGAACGGCATTCCGGGTGAAAAGGGCCCAGCGGGTGAGCGTGGCGCGCCAGGCGAGAGAGGTGCCCCGGGTTTTCGTGGCCCGGCGGGTCCGAACGGCATCCCGGGTGAGAAAGGCCCGGCGGGCGAACGTGGTGCGCCAGGCGAGAGAGGTGCTCCGGGTTTCCGTGGCCCGGCTGGTCCGAACGGTATTCCGGGTGAAAAGGGCCCGGCGGGCGAGCGTGGCGCGCCGGGTGAGCGTGGTGCCCCAGGCTTTCGTGGTCCAGCTGGTCCGAACGGTATCCCGGGTGAAAAAGGTCCGGCGGGTGAGCGTGGCGCGCCGGGTGAACGTGGTGCCCCAGGCTTCCGCGGGCCGGCAGGTCCCAACGGTATCCCGGGCGAGAAAGGTCCGGCTGGCGAGCGAGGTGCCCCGGGCGAACGTGGCGCGCCGGGCTTCCGCGGTCCGGCAGGCCCGAACGGTATCCCGGGCGAGAAAGGTCCGGCAGGTGAGCGTGGTGCGCCGGGTGAACGCGGCGCTCCGGGTTTTCGTGGCCCGGCAGGCCCAAATGGCATTCCGGGCGAAAAAGGCCCAGCGGGTGAGCGTGGTGCCCCGGGTGAGCGCGGTGCGCCGGGTTTCCGCGGTCCGGCGGGTCCGAATGGTATTCCGGGCGAAAAAGGCCCGGCGGGCGAGCGTGGCGCTCCGGGCGAACGTGGAGCGCCAGGATTCCGCGGCCCGGCAGGACCGAACGGCATCCCGGGAGAAAAGGGCCCGGCGGGTGAACGTGGTGCACCGGGAGAAAGGGGGGCGCCTGGCTTTCGTGGTCCGGCGGGTCCGAATGGCATTCCGGGTGAAAAGGGTCCTGCCGGTGAGCGTGGTGCTCCGGGTGAGCGCGGCGCTCCGGGTTTCCGCGGTCCCGCGGGTCCGAACGGCATCCCGGGAGAAAAAGGCCCAGCTGGCGAGCGCGGTGCACCGGGCGAACGTGGTGCCCCGGGCTTCCGTGGCCCAGCGGGTCCGAACGGTATTCCGGGCGAGAAAGGTCCGGCAGGTGAACGTGGTGCGCCAGGCGAGCGTGGTGCGCCTGGTTTCAGAGGCCCAGCAGGCCCAAATGGCATCCCCGGTGAGAAGGGCCCAGCCGGTGAGCGCGGGGCACCGGGAGCGCCTGGTCCGTGTTGCGGTGGT。
【0088】
実施例6:AT4、AT8、AT12、AT16、AT20のSDS-PAGE実験
実験過程:精製されたタンパク質溶液20μLを取り、5μlの5×のタンパク質ローディング緩衝液(250mMのTris HCl(pH6.8)、10%SDS、0.5%ブロモフェノールブルー、50%グリセリン、5%βメルカプトエタノール)を添加し、100℃の沸騰水に置いて5min煮て、次に各ウェル10μlをSDS PAGEタンパク質ゲルに添加し、電圧150Vで1h電気泳動した後、クマシーブリリアントブルー染色液(0.1%クマシーブリリアントブルーR250、25%エタノール、10%氷酢酸)でタンパク質染色を3min行い、さらにタンパク質脱色液(10%酢酸、5%エタノール)で脱色した。
【0089】
実験結果:
図5は、精製された組換えIII型ヒト化コラーゲンAT4、AT8、AT12、AT16、AT20の電気泳動検出結果を示し、AT4、AT8、AT12、AT16、AT20の見かけ分子量はそれぞれ13kDa、26kDa、38kDa、45kDa、66kDaであり、分子量はAT4、AT8、AT12、AT16、AT20ポリペプチドに対応し、AT4、AT8、AT12、AT16、AT20ポリペプチドが正確に発現されることを示す。
【0090】
実施例7:AT4、AT8、AT12、AT16、AT20の生物活性検出
実験過程:
コラーゲンの活性検出方法は、文献Juming Yao, Satoshi Yanagisawa, Tetsuo Asakura, Design, Expression and Characterization of Collagen-Like Proteins Based on the Cell Adhesive and Crosslinking Sequences Derived from Native Collagens, J Biochem. 136, 643-649(2004)を参照することができる。具体的な実施方法は下記の通りである。
【0091】
(1)紫外線吸収法を利用して測定されるタンパク質サンプルの濃度を検出し、ウシI型コラーゲン標準品(Sigma、番号:380002)、本発明で提供する組換えIII型ヒト化コラーゲンAT4、AT8、AT12、AT16、AT20を含む。
【0092】
具体的にはそれぞれサンプルの215nm及び225nmでの紫外光吸収を測定し、経験式C(μg/mL)=144×(A215-A225)を利用してタンパク質濃度を計算し、A215<1.5の場合に検出する必要があることに注意した。当該方法の原理は以下のとおりである:ペプチド結合の遠紫外光での特徴吸収を測定し、発色団含有量の影響を受けず、干渉物質が少なく、操作しやすく、クマシーブリリアントブルーが発色しないヒトコラーゲン及びその類似体を検出することに適する。(参考文献はWalker JM. The Protein Protocols Handbook, second edition. HumanaPress. 43-45.である)。タンパク質濃度を検出した後、PBSで全ての測定されるタンパク質濃度を0.5mg/mLに調整した。
【0093】
(2)96ウェルプレートに100μLの様々なタンパク質溶液及びブランクPBS溶液対照を添加して、室温で60min静置した。
【0094】
(3)各ウェルに培養状態が良好な10個の3T3細胞を添加し、37℃で60minインキュベートした。
【0095】
(4)各ウェルをPBSで4回洗浄した。
【0096】
(5)LDH検出キット(Roche、04744926001)でOD492nmの吸光度を検出した。ブランク対照の数値に基づいて、細胞の接着率を計算することができる。計算式は以下のとおりである:細胞接着率=(測定ウェル‐ブランクウェル)/(陽性ウェル‐ブランクウェル)×100%。細胞の接着率は、コラーゲンの活性を反応することができる。タンパク質の活性が高いほど、短時間で細胞に良質な外部環境を提供し、細胞の接着を助けることができる。
【0097】
実験結果
結果は図6に示すとおりである(D-PBSはブランクPBS群を示す;B col IはウシI型コラーゲン標準品対照群を示す;試験サンプルAT4、AT8、AT12、AT16、AT20の濃度はそれぞれ0.5mg/mLである)。比較から分かるように、商品化されたヒトコラーゲンに比べて、本発明の組換えIII型ヒト化コラーゲンAT4、AT8、AT12、AT16、AT20は0.5mg/mLの濃度でいずれも優れた生体接着活性を有する。
【0098】
実施例8:AT4、AT8、AT12、AT20のマススペクトル検出
実験方法
【表3】
【0099】
タンパク質サンプルをDTT還元及びヨードアセトアミドアルキル化処理を行った後、トリプシンを添加して酵素分解して一晩放置した。酵素分解した後に得られたペプチド断片をさらにC18ZipTipで脱塩した後、基質α-cyano-4-hydroxycinnamic acid(CHCA)と混合してパネルをスポットした。最後にマトリックス支援レーザー脱離イオン化-飛行時間質量分析計MALDI-TOF/TOF UlraflextremeTM、Brucker、Germanyを用いて分析した(ペプチドマスフィンガープリンティングの技術はProtein J.2016;35:212-7を参照することができる)。
【0100】
データ検索は、ローカルmacoウェブサイトからMS/MS Ion searchページで処理される。タンパク質同定結果は、酵素分解後に生成されたペプチド断片の一次マススペクトルに基づいて得られた。検出パラメータ:Trypsin酵素分解、二つの切断漏れ部位を設定した。システインのアルキル化が固定修飾であるように設定した。メチオニンの酸化は可変修飾である。同定に用いられたデータベースはNCBprotである。
【0101】
実験結果
AT4マススペクトル検出分子量及び対応するポリペプチド
【表4】
【0102】
AT8マススペクトル検出分子量及び対応するポリペプチド
【表5】
【0103】
AT12マススペクトル検出分子量及び対応するポリペプチド
【表6】
【0104】
AT20マススペクトル検出分子量及び対応するポリペプチド
【表7】
【0105】
実施例9:AT4、AT8、AT12、AT16、AT20の粘度試験
実験過程:
本発明の組換えIII型ヒト化コラーゲンAT4、AT8、AT12、AT16、AT20は同じ濃度及び対応溶液(150mM NaCl溶液、ポリペプチド濃度15mg/mL)に、それぞれ2~8℃の環境に貯蔵して機器回転粘度計に入れ、その動粘度を測定して比較した。
【0106】
実験結果
組換えIII型ヒト由来コラーゲンT16及びTE16cは、動粘度を測定することができず、本発明の組換えIII型ヒト化コラーゲンAT4、AT8、AT12、AT16、AT20により測定された動粘度はそれぞれ3225mpa・s、3340mpa・s、3475mpa・s、3510mpa・s、3650mpa・sである。これは同じ条件で本発明の組換えIII型ヒト化コラーゲンAT4、AT8、AT12、AT16、AT20がゲルをよりよく形成できることを示し、図7に示すとおりである。図7から分かるように、無色透明を呈するT16及びTE16cに比べて、AT4、AT8、AT12、AT16、AT20は乳白色を呈し、ゲルを形成することができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【配列表】
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【国際調査報告】