(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-19
(54)【発明の名称】意識変容療法薬セッションを監視するためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
G16H 80/00 20180101AFI20240711BHJP
【FI】
G16H80/00
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023580372
(86)(22)【出願日】2022-06-13
(85)【翻訳文提出日】2024-01-24
(86)【国際出願番号】 US2022033308
(87)【国際公開番号】W WO2023278131
(87)【国際公開日】2023-01-05
(32)【優先日】2021-06-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520039043
【氏名又は名称】マインド メディシン, インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Mind Medicine, Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】マジェルニク,マーティン
(72)【発明者】
【氏名】カーリン,ダニエル アール.
(72)【発明者】
【氏名】バロウ,ロバート
(72)【発明者】
【氏名】ドュベック,ピーター
【テーマコード(参考)】
5L099
【Fターム(参考)】
5L099AA25
(57)【要約】
意識変容療法薬治療セッション中に患者を監視するためのシステムであって、治療セッション中及びその後に患者の健康状態を監視するために、非一時的コンピュータ可読媒体にデータを記憶するためにネットワークサーバと電子通信するデータ収集モジュールを含むシステム。ファシリテータモバイルデバイスと電子通信する1つ又は複数のウェアラブルデバイス及び患者モバイルデバイスを通して、意識変容療法薬治療セッション中に患者の健康状態を継続的に、連続的に又は医療専門家の裁量で監視することと、ウェアラブルデバイスを用いて、治療セッション後に患者の健康状態を継続的に監視することとにより、患者の治療においてシステムを使用する方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
意識変容療法薬治療セッション中に患者を監視するためのシステムであって、
前記治療セッション中及びその後に患者の健康状態を監視するために、非一時的コンピュータ可読媒体にデータを記憶するためにネットワークサーバと電子通信するデータ収集モジュール
を含むシステム。
【請求項2】
前記データ収集モジュールは、患者モバイルデバイス、少なくとも1つのウェアラブルデバイス、サウンドシステム及び血圧モニタを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記患者モバイルデバイスは、スマートフォン及びタブレットからなる群から選択され、及び前記少なくとも1つのウェアラブルデバイスは、スマートウォッチ及びフィットネスバンドからなる群から選択される、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記データ収集モジュールは、前記患者モバイルデバイス、前記少なくとも1つのウェアラブルデバイス、前記サウンドシステム及び前記血圧モニタと電子通信するファシリテータモバイルデバイスを含む、請求項2に記載のシステム。
【請求項5】
前記ファシリテータモバイルデバイスは、音声及び映像フィード、ePRO、eCOA、EMA、ClinRO、EHR/EMR、認知タスク及び療法メモを提供する、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記ファシリテータモバイルデバイスは、前記治療セッションを通して前記ファシリテータをガイドするための、非一時的コンピュータ可読媒体に記憶されたアプリケーションを含む、請求項4に記載のシステム。
【請求項7】
前記ネットワークサーバは、リレーショナルデータベース及び外部ストレージを含む、APIを備えたバックエンドを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記データ収集モジュールは、マイクロホン及びスピーカを用いて音声及び音楽ストリームデータを、加速度計、ジャイロスコープ及び磁力計を用いて運動及びアクチグラフィを、心拍数センサ及び血圧モニタを用いて心拍数及び血圧を、ファシリテータモバイルデバイスを用いてePRO、eCOA、EMA又はClinROを、及びカメラを用いて映像及び画像ストリームを収集する、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記意識変容療法薬は、リゼルグ酸ジエチルアミド(LSD)、シロシビン、シロシン、メスカリン、5-メトキシ-N,N-ジメチルトリプタミン(5-MeO-DMT)、ジメチルトリプタミン(DMT)、2,5-ジメトキシ-4-ヨードアンフェタミン(DOI)、2,5-ジメトキシ-4-ブロモアンフェタミン(DOB)、イボガイン、ケタミン、それらの塩、それらの酒石酸塩、それらの溶媒和物、それらの異性体、それらの類似体、それらの相同体及びそれらの重水素化形態からなる群から選択される、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
気分の変動、パニック発作の早期発症並びに前記投与された療法薬の意識変容効果の他の心理的状態及び行動相関の自動検出、意識変容治療に関連する有害事象の継続的な監視及びリアルタイム検出、臨床医/ファシリテータのメモの自動分析並びに前記治療セッションの重要な時点、コメント及びハイライトを自動的に識別、抽出及び提示し、患者固有及び/又はセッション固有の統計を自動的に作成する能力、乱用又は依存の兆候に関する監視、自動薬物提供システム、投薬管理追跡システム、不適切な治療環境の自動検出、デジタル化された臨床医、ファシリテータ及び現場認証システム、治療管理システム、セッションスケジューリング、デジタル医療履歴及び監査証跡インターフェース並びにそれらの組合せからなる群から選択される機能を提供する、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
患者の治療において監視システムを使用する方法であって、
ファシリテータモバイルデバイスと電子通信する1つ又は複数のウェアラブルデバイス及び患者モバイルデバイスを通して、意識変容療法薬治療セッション中に前記患者の健康状態を継続的に、連続的に又は医療専門家の裁量で監視するステップと、
前記ウェアラブルデバイスを用いて、前記治療セッション後に前記患者の前記健康状態を継続的に監視するステップと
を含む方法。
【請求項12】
意識変容療法薬治療セッション中に前記患者の前記健康状態を継続的に、連続的に又は医療専門家の裁量で監視する前記ステップは、ファシリテータモバイルデバイスを用いて前記患者からベースラインデータを収集すること、前記患者にウェアラブルデバイス、患者モバイルデバイス及び血圧モニタを提供すること、前記患者に意識変容療法薬を投薬すること、ファシリテータが治療セッションを行うこと、前記ウェアラブルデバイス及び患者モバイルデバイスを用いて前記患者を継続的に監視すること並びに前記患者に対してセッション後の評価を行うこととしてさらに定義される、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
ベースラインデータを収集する前記ステップ後、臨床医が前記ベースラインデータをチェックし、及び前記患者との会話を記録するステップをさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記ファシリテータが治療セッションを行う前記ステップは、前記ファシリテータモバイルデバイス上の非一時的コンピュータ可読媒体に記憶されたアプリケーションが前記治療セッションを通して前記ファシリテータをガイドすることとしてさらに定義される、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
任意の指標が前記ベースラインデータと大幅に異なる場合、前記ファシリテータに通知するステップをさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項16】
前記ファシリテータがメモを作成し、及びアプリケーションでセッションにおける重要な事象にタグを付けるステップをさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項17】
アプリケーションが、前記セッションの長さ、前記セッションの推定継続時間、前記セッションの推定される終了、投与された療法薬の推定強度並びに初期段階、開始、ピーク及びカムダウンに関する意識変容療法薬経験ステージ/フェーズの推定期間に関する情報を提供するステップをさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項18】
セッション後の評価を行う前記ステップは、前記ファシリテータが、心拍数、血圧及び全体的なストレスレベルを評価することにより、前記患者の安静な状態を評価し、前記セッション中に生成されたすべてのメモをデジタル処理し、及びハイライト及び重要な事象を自動的に抽出すると共に、前記ファシリテータモバイルデバイス上のタイムラインで視覚的に提示することとしてさらに定義される、請求項12に記載の方法。
【請求項19】
臨床医によってセッション後のリリースチェックを行うステップをさらに含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記治療セッション後に前記患者の前記健康状態を継続的に監視する前記ステップは、前記ウェアラブルデバイスを用いて前記患者の心拍数及び全体的な活動を継続的に監視することとしてさらに定義される、請求項11に記載の方法。
【請求項21】
有害事象を継続的に監視するステップをさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項22】
前記1つ又は複数のウェアラブルデバイス及び患者モバイルデバイスは、音声、運動、活動、ストレスレベル、心拍数及びそれらの組合せからなる群から継続的に選択される受動的データを収集する、請求項11に記載の方法。
【請求項23】
前記意識変容療法薬は、リゼルグ酸ジエチルアミド(LSD)、シロシビン、シロシン、メスカリン、5-メトキシ-N,N-ジメチルトリプタミン(5-MeO-DMT)、ジメチルトリプタミン(DMT)、2,5-ジメトキシ-4-ヨードアンフェタミン(DOI)、2,5-ジメトキシ-4-ブロモアンフェタミン(DOB)、イボガイン、ケタミン、それらの塩、それらの酒石酸塩、それらの溶媒和物、それらの異性体、それらの類似体、それらの相同体及びそれらの重水素化形態からなる群から選択される、請求項11に記載の方法。
【請求項24】
臨床医は、複数の患者を同時に監視している、請求項11に記載の方法。
【請求項25】
気分の変動、パニック発作の早期発症並びに前記投与された療法薬の意識変容効果の他の心理的状態及び行動相関の自動検出、意識変容治療に関連する有害事象の継続的な監視及びリアルタイム検出、臨床医/ファシリテータのメモの自動分析並びに前記治療セッションの重要な時点、コメント及びハイライトの自動的な識別、抽出及び提示、患者固有及び/又はセッション固有の統計の自動的な作成、乱用又は依存の兆候に関する監視、自動薬物提供システムの提供、投薬管理追跡システムの提供、不適切な治療環境の自動検出、デジタル化された臨床医、ファシリテータ及び現場認証システムの提供、治療管理システム、セッションスケジューリング、デジタル医療履歴及び監査証跡インターフェースの提供並びにそれらの組合せからなる群から選択されるステップをさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項26】
前記患者モバイルデバイスは、スマートフォン及びタブレットからなる群から選択され、及び前記少なくとも1つのウェアラブルデバイスは、スマートウォッチ及びフィットネスバンドからなる群から選択される、請求項11に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の背景
1.技術分野
本発明は、安全性及び有効性に関する監視を必要とする、意識変容効果を有することが知られている処方療法薬の投与の過程で患者を監視するためのデバイス及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
2.背景技術
安全性及び有効性に関する監視を必要とする、意識変容効果を有する多くの異なる処方療法薬が存在する。これらの効果を有する療法薬の1つの特定のグループは、一般に幻覚剤と呼ばれるクラスである。幻覚剤とは、夢のような意識変容、感情変化、内省能力の向上、視覚心像、疑似及び実際の幻覚、共感覚、時間的及び空間的知覚の変化、神秘的体験、肉体離脱並びに自我の消滅などの主観的効果を引き起こすことができる物質である(Liechti, 2017; Passie, Halpern, Stichtenoth, Emrich & Hintzen, 2008)。幻覚剤は、不安、うつ病、依存症、パーソナリティ障害などを含む多くの症状に対する心理療法を支援するために個別に使用されており、群発頭痛及び片頭痛などの他の障害を治療するために使用することもできる(Passie et al., 2008; Hintzen et al., 2010; Nichols, 2016; Liechti, 2017)。
【0003】
現在、治療セッション中、患者は、幻覚剤などの意識変容療法薬を投与され、その作用期間を通して医療専門家によって継続的に監視される。患者は、多くの場合、音楽を聴き、目隠しをされ、内省的に及び感情をオープンに保ち、思考及び記憶に注意を払うように奨励される。治療セッション前、その間及び/又はその後、心理療法を提供することができる(Schenberg, Front Pharmacol. 2018; 9:733)。
【0004】
治療セッションは、30分~12時間続くため、医療専門家が1日に提供することができる治療の数は限られている。そのような心理療法の恩恵を持続的に受けることができる人は多いが、医療専門家が患者を監視するのに時間がかかること及び適切な資格を有する訓練を受けた医療専門家の数が限られていることにより、治療の実施可能性が制限されている。
【0005】
患者監視システムは、医療提供者が患者の健康のいくつかの側面を監視できるようにする任意のデバイスである。通常、デバイスは、特定の健康パラメータを検出するためのセンサと、情報を処理装置及びスクリーンに中継してパラメータ読取値を表示するための配線/電子回路とを含む。そのようなデバイスには、ECG装置、体温計、パルスオキシメータ、カプノグラフィ装置、血圧計などが含まれる。
【0006】
遠隔患者監視システムにより、医療提供者は、リモートで、すなわち病院又は診療所の外で患者を監視することができる。これらのデバイスは、患者に関するデータを収集し、データを記憶し、医療提供者にデータを送信することができる。医療提供者は、収集されたデータを検討し、治療対象の患者に提案を行うことができる。デバイスは、健康及びフィットネストラッカ、ウェアラブル心臓モニタ及び血糖モニタなどを含む。
【0007】
遠隔患者監視には、いくつかの利点がある。リアルタイムの健康データを医療提供者に提供することにより、医療提供者は、患者の現在の健康状態を認識し、患者の安全性を認識し、投薬又は薬剤の種類を情報に基づいて決定して調整することができる。患者が診察室に来院する必要回数が少なくなる。多くの場合、患者は、スマートフォンのアプリケーションで自らの健康結果を閲覧することができ、したがって自らの健康を認識することができる。医療提供者がより多くの患者を一度に監視できるようにもなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
より多くの患者が治療を受けられるようにするために、幻覚剤などの意識変容療法薬を摂取する患者を監視する方法が依然として必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
発明の概要
本発明は、意識変容療法薬治療セッション中に患者を監視するためのシステムであって、治療セッション中及びその後に患者の健康状態を監視するために、非一時的コンピュータ可読媒体にデータを記憶するためにネットワークサーバと電子通信するデータ収集モジュールを含むシステムを提供する。
【0010】
本発明は、一般に、ファシリテータモバイルデバイスと電子通信する1つ又は複数のウェアラブルデバイス及び患者モバイルデバイスを通して、意識変容療法薬治療セッション中に患者の健康状態を継続的に、連続的に又は医療専門家の裁量で監視することと、ウェアラブルデバイスを用いて、治療セッション後に患者の健康状態を継続的に監視することとにより、患者の治療においてシステムを使用する方法を提供する。
【0011】
図面の説明
添付図面と併せて考察して以下の詳細な説明を参照することにより、本発明がよりよく理解されるため、本発明の他の利点が容易に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】システム内での情報の移動のフローチャートである。
【
図2】システムのコンポーネント及びデータのさらに詳細な図である。
【
図3】ファシリテータのセッション前チェックリストのスクリーンショットである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
発明の詳細な説明
本発明は、一般に、意識変容療法薬治療セッション中に患者の健康状態を監視するためのシステム10(
図1に示される)を提供する。システム10は、非一時的コンピュータ可読媒体にデータを記憶するためにネットワークサーバ14と電子通信するデータ収集モジュール12を含む。システム10は、治療センタにいる患者と、自宅又は治療センタから離れた他の場所にいる治療セッション後の患者との両方の継続的な監視を可能にする。システム10により、投与する医療従事者は、臨床的判断と組み合わせて、療法剤による有効な影響を患者が受けなくなった時及び治療セッションを終了することができる時を決定することができる能力も高まる。
【0014】
最も一般的には、システム10は、治療セッション中と治療セッション終了直後との両方で、意識変容療法薬治療に対する患者の反応を含む患者の健康状態を監視する。システム10は、患者に対する十分な注視又はケアを必要とし得る有害事象(否定的な感情価及び不安を含む)、意識変容効果を伴う治療セッションの範囲又は療法アプローチの変更を監視することができる。
【0015】
より具体的には、データ収集モジュール12は、患者モバイルデバイス16(スマートフォン又はタブレットなど)と、少なくとも1つのウェアラブルデバイス18(スマートウォッチ又はフィットネスバンドなど)と、サウンドシステム20と、血圧モニタ22とを含む患者関連デバイスを含む。患者モバイルデバイス16及びウェアラブルデバイス18は、継続的な受動的データ収集(音声、運動、活動、ストレスレベル、心拍数及びそれらの組合せなど)を提供する。
【0016】
データ収集モジュール12は、セッションファシリテータが患者を監視するために使用することができる、患者関連デバイスと電子通信するファシリテータモバイルデバイス24も含む。ファシリテータモバイルデバイス24は、音声及び映像フィード、ePRO、eCOA、EMA、ClinRO、EHR/EMR、認知タスク及び療法メモを提供する。ファシリテータモバイルデバイス24は、治療セッションを通してガイダンスを提供するアプリケーション(又は「アプリ」)を含むことができる。
【0017】
ネットワークサーバ14は、リレーショナルデータベース26及び外部ストレージ28を含む、APIを備えたバックエンドをさらに含む。
【0018】
図2は、システム10で収集されるデータのタイプを示す。データ収集モジュール12は、マイクロホン及びスピーカ30を用いて音声及び音楽ストリームデータを、加速度計、ジャイロスコープ及び磁力計32を用いて運動及びアクチグラフィを、心拍数センサ34及び血圧モニタ22を用いて心拍数及び血圧を、ファシリテータモバイルデバイスインターフェース36を用いてePRO、eCOA、EMA又はClinROを、及びカメラ38を用いて映像及び画像ストリームを収集することができる。ネットワーク又はローカルサーバ14は、クラウドストレージ設備40及びデータ処理及び分析モジュール42を含むことができる。
【0019】
意識変容療法薬は、安全性及び有効性に関する監視を必要とする意識変容効果を有することが知られている任意の療法薬であり得る。本発明での治療セッションで使用される意識変容療法薬は、限定しないが、幻覚剤であるリセルグ酸ジエチルアミド(LSD)、シロシビン、シロシン、メスカリン、5-メトキシ-N,N-ジメチルトリプタミン(5-MeO-DMT)、ジメチルトリプタミン(DMT)、2,5-ジメトキシ-4-ヨードアンフェタミン(DOI)、2,5-ジメトキシ-4-ブロモアンフェタミン(DOB)、イボガイン、ケタミン、それらの塩、それらの酒石酸塩、それらの溶媒和物、それらの異性体、それらの類似体、それらの相同体又はそれらの重水素化形態であり得る。意識変容療法薬は、任意の病気又は症状の治療に使用することができる。
【0020】
本発明は、一般に、ファシリテータモバイルデバイス24と電子通信するウェアラブルデバイス18及び患者モバイルデバイス16によって治療セッション中に患者の健康状態を継続的に監視することと、ウェアラブルデバイス18を用いて、治療セッション後に患者の健康状態を継続的に監視することとにより、患者の治療においてシステム10を使用する方法を提供する。
【0021】
より具体的には、この方法は、ファシリテータモバイルデバイス24を用いて患者からベースラインデータを収集するステップと、患者にウェアラブルデバイス18、患者モバイルデバイス16及び血圧モニタ22を提供するステップと、意識変容療法薬を患者に投与するステップと、ファシリテータが治療セッションを行うステップと、ウェアラブルデバイス18及び患者モバイルデバイス16を用いて患者を継続的に監視するステップと、患者に対してセッション後の評価を行うステップと、ウェアラブルデバイス18を用いてセッション後に患者を監視するステップとを含む。これらの各ステップ及び方法に含めることができる追加のステップを、以下のユーザフローでさらに述べる。
【0022】
以下、システム10がどのように使用されるかを詳述する。説明するユーザフローすべての個別のステップ及びコンポーネントは、変更し、省略し、及び代替形態で置き換えることができることを理解されたい。
【0023】
ユーザフロー:セッションファシリテータ
患者が診断され、幻覚剤支援療法が提案され、患者が同意する。患者の最初の治療来院のスケジュールが定められ、患者が治療施設に入る。
【0024】
ハードウェア及びシステムチェックが行われる。ファシリテータは、ファシリテータのモバイルデバイス24を含む事前較正及び事前設定されたデバイスツールキットを携えてセッションに参加し、患者には、スマートウォッチのウェアラブルデバイス18、患者モバイルデバイス16(スマートフォン)及び血圧モニタ22が与えられる。ファシリテータは、デバイスが充電されていることを確認し、デバイスがペアリング/同期されていることを確認し、患者のデバイス上のアプリケーションが実行/記録中であることを確認し[画面上のステータス]、インターネット接続が機能していることを確認する[画面上のステータス]。
【0025】
ファシリテータは、座っている間に何が起こるかについて患者と導入的な雑談をする。
【0026】
ファシリテータは、スマートウォッチを患者の利き手に置き、スマートフォンをポケット、ポーチにしまうか又は近くのテーブルに置くように患者に指示することにより、患者にデバイスをセットアップする。これらのデバイスは、この時点からセッションを通して(及びセッション後も)患者の行動と生理的状態を監視する。
【0027】
ファシリテータは、セッションをセットアップし、デバイス上のアプリケーションインターフェースによって段階的にガイドされ得る。ファシリテータは、自らのID(ファシリテータID)を入れ、リストから患者のIDを選択するか又は新しいIDを追加し、事前に生成されたセッションIDを確認し、セッションタイプ(すなわちケタミン、LSD、シロシビン、イボガイン又は上で列挙した他のものなどの意識変容療法薬のタイプ)を選択し、投薬を選択し、さらにファシリテータは、環境が治療に適切であることを確認する(すなわち点滅する光、大きい雑音がない。これは、ファシリテータモバイルデバイス24上のアプリケーションによってガイドされ得る)。
【0028】
ファシリテータは、患者の心理学状態のベースライン評価を行い、デバイス上のアプリケーションインターフェースによって段階的にガイドされ、チェックリストの例が
図3に示されている。ファシリテータは、一連のデジタル化された質問票又は認知タスクに記入するよう患者に求める(具体的なセットは、患者の診断及び治療によって異なる。例えば、不安に関して、OASIS[不安]、Q-LES-Q-SF[生活の質])。これらは、ePRO、eCOA、EMA又はClinROであり得る。これらの質問票への回答は、ファシリテータモバイルデバイス24上で見ることができる。ファシリテータは、患者に安静な姿勢を取るように指示し、(スマートウォッチを介して)患者の心拍数及び(Bluetooth(登録商標)対応の血圧モニタ22を介して)血圧に関する読取値を自動的に取得し、質問票への回答、心拍数読取値、血圧読取値及び収集された音声(感情分析による)からそれまでに収集されたデータに基づいて、患者の全体的なストレスレベルを測定することができる。ファシリテータは、患者に尿妊娠検査を行うように指示することができ、ファシリテータは、自らのデバイス24上のアプリケーションに結果を入力することができる。ファシリテータは、薬物乱用検査を行うことができ、患者は、ファシリテータモバイルデバイス24のカメラをまっすぐ見ることができる。薬物乱用検査は、コンピュータによる虹彩分析、瞳孔分析、顔分析、行動分析、ファシリテータによる質問及び/又は血液若しくは唾液薬物検査によって行うことができる。ファシリテータは、ファシリテータモバイルデバイス24上のアプリケーションにより、ベースラインチェックの集計結果を検討する。
【0029】
次に、臨床医によるベースラインチェックがある。ファシリテータが実際に(現場での)臨床医である場合、ファシリテータは現場で患者と最終的な話し合いを行い、感情分析(すなわち内容ではなく、患者の声のピッチ、抑揚、感情的な低音の分析)のために会話が記録される。臨床医が現場にいない場合、患者は、ファシリテータモバイルデバイス24を介して臨床医とビデオ通話するように指示される。
【0030】
次いで、ファシリテータは、1回分の意識変容療法薬を患者に投与する。
【0031】
治療セッションが行われ、すべてのステップがファシリテータのモバイルデバイス24上のアプリケーションによってガイドされる。ファシリテータは、横になる又は別の快適な姿勢を取るように患者に指示する。ファシリテータは、目隠しと、様々な音声トラック(例えば、環境音、ホワイトノイズ、自然音、様々な音楽スタイルなど)を含むBluetooth(登録商標)対応のヘッドフォンとを提供する。ファシリテータは、セッションを通してこの姿勢でいるように患者に推奨し、サポート及び/又は療法ガイダンスを提供する。セッションを通して、患者は、ウェアラブルデバイス18(スマートウォッチ)及び患者モバイルデバイス16(スマートフォン)によって継続的に監視される。以下の患者中心データタイプが継続的に収集される:利き手からの心拍数読取値、コンテンツをマスキングされた音声(音声感情、声のピッチ、抑揚、会話感情のみを処理する)、利き手の手首及び腰/臀部からの運動(ジャイロスコープ、加速度計、方向、高度)及び全体的なストレスレベル(複合)。ファシリテータは、個々の指標をリアルタイムで観察することができる。任意の指標が投与前のベースライン読取値と大幅に異なる場合、ファシリテータは通知を受ける。ファシリテータは、自らのデバイス24上のアプリ内でメモを作成することができ、セッションにおける重要な事象にタグを付けることができる。患者が聴いている音楽と共に、生理的データ及び行動データからのメモ及び読取値にタイムスタンプが付けられてペアリングされる。ファシリテータは、セッション履歴を検討することができる。ファシリテータモバイルデバイス24上のアプリケーションは、セッションの長さ[セッションID入力からの時間]、セッションの推定継続時間(所与の薬物及び投与量で)、セッションの推定される終了(所与の薬物及び投与量で)、投与された療法薬の推定強度(所与の薬物及び投与量で)並びに初期段階、開始、ピーク及びカムダウンに関する意識変容療法薬経験ステージ/フェーズの推定期間(所与の薬物及び投与量で)に関する情報を提供する。
【0032】
セッション後の評価において、ファシリテータは、患者に安静な姿勢を取るように指示し、(スマートウォッチを介する)患者の心拍数及び(Bluetooth(登録商標)対応の血圧モニタ22を介する)血圧によって患者の安静な状態を評価することができ、質問票への回答、心拍数読取値、血圧読取値及び収集された音声(感情分析による)からそれまでに収集されたデータに基づいて、患者の全体的なストレスレベルを測定することができる。臨床医が生成したすべてのメモがデジタル処理され、療法セッションからのハイライト及び上述の重要な事象が自動的に抽出され、タイムラインで視覚的に提示される。ファシリテータは、自らのデバイス24上のアプリケーション内で、ベースラインチェックの集計結果を検討する。
【0033】
臨床医によるセッション後のリリースチェックがある。臨床医が(現場での)ファシリテータである場合、患者は現場で臨床医と最終的な話し合いを行い、感情分析(すなわち内容ではなく、ピッチ、抑揚、感情的な低音)のために会話が記録される。臨床医が現場にいない場合、患者は、臨床医とビデオ通話するように指示される。
【0034】
患者が臨床的に安定しているとみなされる場合、ファシリテータは、セッションレポートにデジタル署名し、患者は、セッションレポートにデジタル署名し、患者及びファシリテータは、自らの電子メールアドレスでレポートをデジタルで受信する。患者が臨床的に安定していないとみなされる場合、ファシリテータは、患者にセッションに留まるように指示し、セッション後のリリースチェックが数分後に繰り返される。
【0035】
セッションの終了時、ファシリテータは、ファシリテータのモバイルデバイス24、血圧モニタ22及び支給されたスマートフォン(患者モバイルデバイス16)を回収する。ファシリテータは、心拍数及び全体的な活動を継続的に監視するために、提供されたウェアラブルデバイス18(スマートウォッチ)と、有害事象を報告するためのBYODモバイルアプリケーションへのリンクとを患者に解放する。セッション後、ファシリテータは、自動生成されたセッションレポートを検討して共有し、自動生成されたレポートに書面によるレポートを追加し、セッションハイライト[セッション中のタグ付けされた重要な事象。例えば、心拍数/ストレスの上昇の時点又は目標メモ及び関連するメタデータ]を検討し、セッション履歴を検討することができる。
【0036】
ユーザフロー:臨床医
臨床医がセッションファシリテータである(すなわち臨床医がセッション中である)場合、上記のセッションファシリテータのためのユーザフローが成り立つ。臨床医がセッションファシリテータでない場合(すなわち臨床医がセッション中でない場合)、追加のユーザフローを有する。
【0037】
セッション前に、臨床医は、質問票への回答、患者の心拍数読取値、患者の血圧読取値、患者のストレスレベルの全体的なレベル、薬物検査結果及び妊娠検査結果を含む、患者のベースライン評価の集計結果を受け取る。臨床医は、(現場でファシリテータによってサポートされている)患者とのセッション前ビデオ通話に関する通知を受け取る。
【0038】
臨床医は、患者とのビデオ通話を開始し、セッション前の評価及び投与を承認する。
【0039】
セッション中、臨床医は、セッションにおける重要な事象の通知を受け取り、ファシリテータ及び/又は患者がいつでもビデオ通話を介して連絡を取ることができる。
【0040】
セッション後、臨床医は、患者の心拍数読取値、患者の血圧読取値及び患者のストレスレベルの全体的なレベルを含む患者のセッション後の評価の集計結果、集約されたメモ及びセッションのハイライトを受け取る。臨床医は、(現場でファシリテータによってサポートされている)患者とのセッション後リリースビデオ通話に関する通知を受け取る。臨床医は、患者とのビデオ通話を開始し、患者が臨床的に安定していると判断した場合、患者の解放を承認する。セッション後、臨床医は、自動生成されたセッションレポートを検討して共有し、自動生成されたレポートに書面によるレポートを追加し、セッションハイライト[セッション中のタグ付けされた重要な事象。例えば、心拍数/ストレスの上昇の時点又は目標メモ及び関連するメタデータ]を検討し、セッション履歴を検討することができる。
【0041】
ユーザフロー:患者
患者が診断され、意識変容療法薬を利用する療法が患者に提案され、患者が同意する。患者の最初の治療来院のスケジュールが定められる。患者が来院し、ベースライン評価を受け、セッション中に何が起こるかについてファシリテータ/臨床医と導入的な話し合いをする。
【0042】
患者には、ウェアラブルデバイス18(スマートウォッチ)と、患者モバイルデバイス16(ポケット、ポーチにしまうか又は近くのテーブルに置くためのスマートフォン)とが支給される。
【0043】
患者は、現在の状態を評価するためにベースライン測定を行う。患者は、一連のデジタル化された質問票に記入する(具体的なセットは、患者の診断及び治療によって異なる)。これらは、ePRO、eCOA、EMA又はClinROであり得る。患者は安静な姿勢を取るように指示され、ファシリテータは、(スマートウォッチを介して)心拍数及び(Bluetooth(登録商標)対応の血圧モニタ22を介して)血圧によって患者の安静な状態を評価することができる。質問票への回答、心拍数読取値、血圧読取値及び収集された音声(感情分析による)からそれまでに収集されたデータに基づいて、患者の全体的なストレスレベルを測定することができる。患者は、尿妊娠検査を行い、結果をファシリテータに提供することができる。患者は、ファシリテータのモバイルデバイス24上のカメラ38をまっすぐ見るように指示される。薬物乱用検査は、虹彩分析、虹彩分析ロジック、顔分析、ファシリテータによる質問及び/又は血液若しくは唾液薬物検査によって行うことができる。
【0044】
臨床医とのベースラインチェック中、臨床医が(現場での)ファシリテータである場合、患者は現場で臨床医と最終的な話し合いを行い、感情分析(すなわち内容ではなく、ピッチ、抑揚、感情的な低音)のために会話が記録される。臨床医が現場にいない場合、患者は、臨床医とビデオ通話するように指示される。
【0045】
次いで、患者は、ファシリテータによって提供される1回分の意識変容療法薬を摂取する。
【0046】
セッションが行われ、患者は、横になる又は別の快適な姿勢を取るように指示される。患者は目隠しをすることができる。患者は、様々な音声トラック(例えば、環境音、ホワイトノイズ、自然音、様々な音楽スタイルなど)を含むBluetooth(登録商標)対応のヘッドフォンを受け取ることができる。患者は、セッションを通してこの姿勢を保つことが推奨されるが、必要に応じて自由に動き回ったり、ファシリテータと話をしたりすることができる。セッションを通して、患者は療法上のガイドを受けることができ、患者はスマートウォッチ及びスマートフォンによって継続的に監視される。以下の患者中心データタイプが継続的に収集される:心拍数(利き手)、コンテンツをマスキングされた音声(音声感情、声のピッチ及び抑揚のみを処理する)、利き手の手首及び腰/臀部からの運動(ジャイロスコープ、加速度計、方向、高度)及び全体的なストレスレベル(複合)。
【0047】
セッション後の評価において、患者は安静な姿勢を取るように指示され、ファシリテータは、(スマートウォッチを介する)心拍数及び(Bluetooth(登録商標)対応の血圧モニタ22を介する)血圧によって患者の安静な状態を評価することができる。質問票への回答、心拍数読取値、血圧読取値及び収集された音声(感情分析による)からそれまでに収集されたデータに基づいて、患者の全体的なストレスレベルを測定することができる。臨床医とのセッション後のチェックにおいて、臨床医が(現場での)ファシリテータである場合、患者は現場で臨床医と最終的な話し合いを行い、感情分析(すなわち内容ではなく、ピッチ、抑揚、感情的な低音)のために会話が記録される。臨床医が現場にいない場合、患者は、臨床医とビデオ通話するように指示される。患者が臨床的に安定しているとみなされる場合、患者は、幻覚剤セッションレポートにデジタル署名するように指示され、自らの電子メールアドレスでレポートをデジタルで受信する。患者が臨床的に安定していないとみなされる場合、患者は、セッションに留まるように指示され、セッション後のチェックが数分後に繰り返される。
【0048】
患者はセッションを終え、心拍数及び全体的な活動を継続的に監視するための支給されたウェアラブルデバイス18(スマートウォッチ)を所持する。患者は、有害事象を報告するためにBYODアプリをダウンロードする。
【0049】
表1は、システム10のコンポーネント及び関連するアプリケーションに関する機能レベルの仕様を提供する。
【0050】
【0051】
デバイスの状態、エラー、バッテリレベルなどに関連する追加のメタデータも収集される。スマートフォン及びウェアラブルから収集される複合運動は、デバイスのオペレーティングシステムによって自動的に計算される処理済みのデータストリームである信号であり、これらは、デバイス(加速度計、ジャイロスコープ、磁力計)のセンサデータに関する冗長情報を含む。
【0052】
以下は、読取りフェーズごとに分類されたデータタイプの概要である。
【0053】
ベースライン評価(読取りのみ):尿妊娠検査(ファシリテータの入力)、実験:薬物乱用虹彩分析、虹彩分析ロジック又は顔分析)及びeCOA、ePRO。
【0054】
連続的な監視(セッション中):心拍数(利き手)、音声、運動(ジャイロスコープ、加速度測定、高度、活動)、ストレスレベル(複合)及びファシリテータ/臨床医のメモ。
【0055】
ベースライン及びリリース評価読取値:血圧モニタ、心拍数読取値及びビデオ通話。
【0056】
継続的な監視(セッション後):心拍数(利き手)、運動(ジャイロスコープ、加速度測定、高度、活動)及び報告された有害事象。
【0057】
以下は、デバイス及びデータ管理プロトコルである。
【0058】
スマートフォンでのデータ記録プロトコル:スマートフォン上のアプリケーションは、患者がアプリケーションに登録された時点から、バッテリが消耗するか、デバイスがシャットダウンされるか又は患者がデバイスからログアウトされるまで継続的に記録する。アプリケーションは、充電中も記録する。ユーザによって又はバッテリ残量低下によってトリガされたデバイス再起動後、データ収集を手動で開始する必要がある。
【0059】
スマートフォン上のデータアップロードプロトコル:広範なバッテリプロファイリングから、アップロードは、例えば、ファイルの圧縮又はディスクへの書込みほどにバッテリに大きい影響を与えないことが判明した。システムは、設定可能なデータ保存及びデータアップロード期間を有する。システムは、バッチが正常に送信されるまで、記録されたデータをデバイスにバックアップしておき、アップロードの成功が確認された後にのみデータバッチを削除する。スマートフォンからサーバへのアップロードは、Wi-Fiを介して及び/又はセルラデータプログラムを介して実行される。このシステムは、メインのアップロードチャネルとしてWi-Fiのために最適化される。Wi-Fiが利用可能でない場合(又は信号品質が不安定である場合)、システムは、セルラデータプログラムを介してデータバッチを送信する。
【0060】
ウェアラブルでの記録プロトコル:ウォッチ上のアプリケーションは、患者がアプリケーションに登録された時点から、バッテリが消耗する又はデバイスがシャットダウンされるまで継続的に記録する。アプリケーションは、充電中も記録する。ユーザによって又はバッテリ残量低下によってトリガされたデバイス再起動後、データ収集を手動で開始する必要がある。
【0061】
ウェアラブル上のデータアップロードプロトコル:システムは、設定可能なデータ保存及びデータアップロード期間を有する。システムは、バッチが正常に送信されるまで、記録されたデータをデバイスにバックアップしておき、アップロードの成功が確認された後にのみデータバッチを削除する。ウォッチからサーバへのアップロードは、ペアリングされたスマートフォンへのBluetooth(登録商標)接続を介して実行される。ペアリングされたスマートフォンが圏外にある場合、ウォッチは、スマートフォンによって使用されるWi-Fiネットワークへの認証情報を記憶し、自律的にアップロードを試みる。このシステムは、メインのアップロードチャネルとしてWi-Fiのために最適化される。Wi-Fiが利用可能でない場合(又は信号品質が不安定である場合)、システムは、セルラデータプログラムを介してデータバッチを送信する。
【0062】
デバイス充電プロトコル:意識変容を利用する療法セッションのほとんどは、日中に行われるため、システム及びすべてのデバイスは、夜間又はセッション間の充電に最適化される。さらに、必要なデバイス管理を施設の臨床スタッフのシフトに合わせて調整することが望まれていた。これにより、患者の生理的及び心理的状態並びに健康状態に関するサードパーティの注釈が簡素化される。しかし、将来の使用例では、デバイスの充電スケジュールを患者の状況(例えば、禁断症状又は臨床的安定性)に合わせて調整する必要があることが予想されるため、システムは、様々な充電要件又は研究デザインに合うように変更することができる。
【0063】
システム10は、複数のアラートをバックエンドにアクティブに送信している。これらのアラートのいずれも現場のデバイス管理者又は患者に見えない。システムアラートは、クラッシュ分析、システム監視、データアップロードの失敗、ネットワークの障害及びデバイスの電源オフに関係する。
【0064】
システム10は、追加の機能も提供することができる。システム10は、気分の変動、パニック発作の早期発症並びに投与された療法薬の意識変容効果の他の心理的状態及び行動相関の自動検出を提供することができる。システム10は、意識変容治療(セッション中及びセッション間)に関連する有害事象の継続的な監視及びリアルタイム検出を提供することができる。臨床医/ファシリテータのメモの自動分析と、治療セッションの重要な時点、コメント及びハイライトを自動的に識別、抽出及び提示する能力とがあり得る。システム10は、患者固有及び/又はセッション固有の統計を自動的に作成することができる。システム10は、乱用又は依存の兆候に関する監視を提供することができる。システム10は、自動薬物提供システムを提供することができる。システム10は、投薬管理追跡システムを含むことができる。システム10は、不適切な治療環境の自動検出を提供することができる。システム10は、デジタル化された臨床医、ファシリテータ及び現場認証システムを提供することができる。システム10は、治療管理システムを提供することができる。システム10は、セッションのスケジューリング、デジタル医療履歴及び監査証跡インターフェースを提供することができる。
【0065】
本発明のシステム10には、いくつかの利点がある。治療セッションを実行するために臨床医が必要なく、臨床医は、リモートでデータを監視し、治療セッションを監督することができるため、認定看護師又は他のファシリテータが治療セッションを行うことができる。治療セッション中に何らかの重大なことが起こった場合、ファシリテータは、臨床医と共に直ちにデータを検討することができる。これにより、臨床医は、1人の患者だけでなく、複数の患者を同時に監視できるようになる。収集されたデータにより、臨床医が重大な事象を予測することも可能であり、これは、治療又は介入を調整する時間を臨床医に与える。治療セッション後、重大な影響が存在する場合又は重大な事象が予測される場合、臨床医は、患者が自宅にいる間に収集されたデータを検討し、必要に応じて介入することができる。患者に関する長期のデータ収集は、患者のデータベースを構築し、データベース内の類似の患者に基づいて新しい患者の結果を予測するのに使用することができる。
【0066】
リアルタイムの健康データを臨床医に提供することにより、臨床医は、患者の現在の健康状態を認識し、患者の安全性を認識し、投薬又は薬剤の種類を情報に基づいて決定して調整することができる。患者が診察室に来院する必要回数が少なくなる。患者は、スマートフォンのアプリケーションで自らの健康結果を閲覧することができ、したがって自らの健康を認識することができる。
【0067】
以下の実験例を参照して、本発明をさらに詳細に述べる。これらの例は、例示の目的でのみ提供されており、特に指定がない限り、限定を意図されない。したがって、本発明は、以下の例に限定されるものと解釈されるべきではなく、本明細書で提供される教示の結果として明らかになるあらゆる変形形態を包含すると解釈すべきである。
【0068】
本出願を通して、米国特許を含む様々な刊行物が著者及び刊行年並びに特許番号によって参照されている。刊行物に関する完全な引用は、以下に列挙される。本発明が関係する技術分野の技術水準をより詳細に述べるために、これらの刊行物及び特許の開示の全体を参照により本出願に援用する。
【0069】
本発明を例示的に述べてきたが、使用してきた用語は、限定ではなく、説明のための用語として意図されることを理解されたい。
【0070】
上記の教示に照らして、本発明の多くの修正形態及び変形形態が可能であることが明らかである。したがって、添付の特許請求の範囲の範囲内において、本発明は、具体的に述べられたもの以外の方法でも実施できることを理解されたい。
【国際調査報告】