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特表2024-527228ハピネス状態を改善するためのフレグランスおよび評価の方法
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  • 特表-ハピネス状態を改善するためのフレグランスおよび評価の方法 図1
  • 特表-ハピネス状態を改善するためのフレグランスおよび評価の方法 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-24
(54)【発明の名称】ハピネス状態を改善するためのフレグランスおよび評価の方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 33/15 20060101AFI20240717BHJP
   C11B 9/00 20060101ALI20240717BHJP
   A61Q 13/00 20060101ALI20240717BHJP
   A61K 8/35 20060101ALI20240717BHJP
   A61K 8/34 20060101ALI20240717BHJP
   A61K 8/92 20060101ALI20240717BHJP
   A61K 8/37 20060101ALI20240717BHJP
   A61K 8/49 20060101ALI20240717BHJP
   A61K 8/44 20060101ALI20240717BHJP
   A61B 5/16 20060101ALI20240717BHJP
   G01N 21/359 20140101ALI20240717BHJP
   A61B 10/00 20060101ALI20240717BHJP
   G01N 21/17 20060101ALN20240717BHJP
【FI】
G01N33/15 Z
C11B9/00 S
C11B9/00 U
C11B9/00 L
C11B9/00 A
C11B9/00 G
C11B9/00 J
C11B9/00 K
A61Q13/00 101
A61K8/35
A61K8/34
A61K8/92
A61K8/37
A61K8/49
A61K8/44
A61B5/16 100
G01N21/359
A61B10/00 E
G01N21/17 610
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023573335
(86)(22)【出願日】2022-05-30
(85)【翻訳文提出日】2024-01-23
(86)【国際出願番号】 EP2022064553
(87)【国際公開番号】W WO2022234150
(87)【国際公開日】2022-11-10
(31)【優先権主張番号】2107716.9
(32)【優先日】2021-05-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】501105842
【氏名又は名称】ジボダン エス エー
(74)【代理人】
【識別番号】110003971
【氏名又は名称】弁理士法人葛和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ガエータ,ジュリアーノ
(72)【発明者】
【氏名】プロヴァン,アラン,フォーブス
(72)【発明者】
【氏名】グナセカラ,ナタリー アヌラーダ ティー.ディー.
【テーマコード(参考)】
2G059
4C038
4C083
【Fターム(参考)】
2G059AA05
2G059AA06
2G059BB12
2G059CC16
2G059EE01
2G059EE02
2G059FF01
2G059HH01
2G059JJ01
2G059KK04
4C038KK01
4C038KL05
4C038KL07
4C038PP03
4C038PR00
4C038PS00
4C083AA112
4C083AA121
4C083AA122
4C083AC152
4C083AC172
4C083AC211
4C083AC212
4C083AC341
4C083AC342
4C083AC351
4C083AC352
4C083AC372
4C083AC471
4C083AC472
4C083AC551
4C083AC552
4C083AC841
4C083AC842
4C083AC852
4C083AC862
4C083AD042
4C083AD531
4C083AD532
4C083KK02
(57)【要約】
本開示は、ヒト対象のハピネス状態を改善するための試験フレグランス成分または試験フレグランス組成物の能力を評価、およびヒト対象に対してポジティブなハッピー効果を有するフレグランス組成物を作出する方法に関する。さらに、ヒト対象のハピネス状態を改善するためのフレグランス組成物、そのようなフレグランス組成物を含む消費者製品、およびヒト対象のハピネス状態を改善する方法に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒト対象のハピネス状態を改善するための試験フレグランス成分または試験フレグランス組成物の能力を評価する方法であって、
a)1以上のヒト試験対象のベースハピネス状態を測定するステップ;
b)試験フレグランス成分または試験フレグランス組成物を、スメリングのためにヒト試験対象に提供するステップ;
c)結果として生じるヒト試験対象のハピネス状態を測定するステップ;および
d)ヒト試験対象に対して、結果として生じるハピネス状態およびベースハピネス状態の間の差異を決定するステップ;
を含み、
ベースハピネス状態および結果として生じるハピネス状態は、ヒト試験対象の左脳半球、右脳半球、および全脳の機能的近赤外分光法(fNIRS)によって測定され;
試験フレグランス成分または試験フレグランス組成物は、基準Aおよび基準Bのうちの少なくとも1つが満たされる場合、ヒト対象のハピネス状態を改善することができ、
ここで、基準Aは、以下の6個の条件A1からA6のうちの少なくとも3個が満たされることを求める:
A1.全脳のデオキシHbが、30秒のスメリング後、統計学的に有意な減少を示す;
A2.右脳半球のデオキシHbが、30秒のスメリング後、統計学的に有意な減少を示す;
A3.全脳の総Hbが、30秒のスメリング後、統計学的に有意な減少を示す;
A4.右脳半球の総Hbが、30秒のスメリング後、統計学的に有意な減少を示す;
A5.右脳半球のデオキシHbが、0~10秒のスメリング後、統計学的に有意な増加を示す;
A6.右脳半球のオキシHbが、5~10秒のスメリング後、統計学的に有意な増加を示す;
ここで、デオキシHbは、測定された脱酸素化ヘモグロビンの量であり、総Hbは、測定された総ヘモグロビンの量であり、かつオキシHbは、測定された酸素化ヘモグロビンの量である;および
ここで、基準Bは、以下の10個の条件B1からB10のうちの少なくとも5個が満たされることを求める:
B1:チャネル3が、30秒のスメリング後、デオキシHbの統計学的に有意な増加を示す;
B2:チャネル20が、30秒のスメリング後、デオキシHbの統計学的に有意な増加を示す;
B3:チャネル12が、30秒のスメリング後、総Hbの統計学的に有意な減少を示す;
B4:チャネル5が、0~5秒のスメリング後、オキシHbの統計学的に有意な増加を示す;
B5:チャネル4が、0~5秒のスメリング後、総Hbの統計学的に有意な増加を示す;
B6:チャネル5が、0~5秒のスメリング後、総Hbの統計学的に有意な増加を示す;
B7:チャネル11が、0~10秒のスメリング後、オキシHbの統計学的に有意な増加を示す;
B8:チャネル8が、5~10秒のスメリング後、デオキシHbの統計学的に有意な減少を示す;
B9:チャネル10が、5~10秒のスメリング後、デオキシHbの統計学的に有意な減少を示す;
B10:チャネル18が、5~10秒のスメリング後、オキシHbの統計学的に有意な増加を示す;
ここで、チャネル1~8および11は左脳半球に位置付けられ、チャネル9および12は正中線上に位置付けられ、かつチャネル10および13~20は右脳半球に位置付けられる、前記方法。
【請求項2】
基準Aおよび基準Bの両方が満たされる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
さらなる基準Cが満たされ、ここで、基準Cは、以下の20個の条件B1からB10およびC1からC10のうちの少なくとも10個、より好ましくは少なくとも12個、および最も好ましくは少なくとも15個が満たされることを求める:
B1.チャネル3が、30秒のスメリング後、デオキシHbの統計学的に有意な増加を示す;
B2:チャネル20が、30秒のスメリング後、デオキシHbの統計学的に有意な増加を示す;
B3:チャネル12が、30秒のスメリング後、総Hbの統計学的に有意な減少を示す;
B4:チャネル5が、0~5秒のスメリング後、オキシHbの統計学的に有意な増加を示す;
B5:チャネル4が、0~5秒のスメリング後、総Hbの統計学的に有意な増加を示す;
B6:チャネル5が、0~5秒のスメリング後、総Hbの統計学的に有意な増加を示す;
B7:チャネル11が、0~10秒のスメリング後、オキシHbの統計学的に有意な増加を示す;
B8:チャネル8が、5~10秒のスメリング後、デオキシHbの統計学的に有意な減少を示す;
B9:チャネル10が、5~10秒のスメリング後、デオキシHbの統計学的に有意な減少を示す;
B10:チャネル18が、5~10秒のスメリング後、オキシHbの統計学的に有意な増加を示す;
C1.チャネル4が、30秒のスメリング後、オキシHbの統計学的に有意な増加を示す;
C2.チャネル4が、30秒のスメリング後、総Hbの統計学的に有意な増加を示す;
C3.チャネル19が、30秒のスメリング後、総Hbの統計学的に有意な増加を示す;
C4.チャネル2が、0~5秒のスメリング後、デオキシHbの統計学的に有意な減少を示す;
C5.チャネル8が、0~5秒のスメリング後、デオキシHbの統計学的に有意な減少を示す;
C6.チャネル6が、0~5秒のスメリング後、オキシHbの統計学的に有意な増加を示す;
C7.チャネル12が、0~5秒のスメリング後、オキシHbの統計学的に有意な減少を示す;
C8.チャネル13が、0~5秒のスメリング後、オキシHbの統計学的に有意な増加を示す;
C9.チャネル16が、0~5秒のスメリング後、オキシHbの統計学的に有意な増加を示す;
C10.チャネル6が、5~10秒のスメリング後、オキシHbの統計学的に有意な増加を示す;
ここで、チャネル1~8および11は左脳半球に位置付けられ、チャネル9および12は正中線上に位置付けられ、かつチャネル10および13~20は右脳半球に位置付けられる、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
さらなる基準Dが満たされ、ここで、基準Dは、
- 条件A1からA6のうちの0個または1個が満たされる場合、20個の条件B1からB10およびC1からC10のうちの少なくとも16個、より好ましくは少なくとも17個、および最も好ましくは少なくとも18個が満たされること;
- 条件A1からA6のうちの2個または3個が満たされる場合、20個の条件B1からB10およびC1からC10のうちの少なくとも12個、より好ましくは少なくとも13個、および最も好ましくは少なくとも14個が満たされること;および
- 条件A1からA6のうちの4個、5個、または6個が満たされる場合、20個の条件B1からB10およびC1からC10のうちの少なくとも8個、より好ましくは少なくとも9個、および最も好ましくは少なくとも10個が満たされること
を求める、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
基準E1および基準E2のうちの少なくとも1つが満たされ、ここで、
- 基準E1は、条件A1からA6のうちの少なくとも4個、より好ましくは少なくとも5個、および最も好ましくは6個すべてが満たされることを求める;
- 基準E2は、10個の条件B1からB10のうちの少なくとも6個、より好ましくは少なくとも7個、および最も好ましくは少なくとも8個が満たされることを求める、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
ヒト対象のハピネスを改善する効果を有するフレグランス組成物を作出する方法であって、
(i)試験フレグランス組成物を作出するステップ;
(ii)請求項1から5のいずれか一項に記載の方法によりヒト対象のハピネス状態を改善するための試験フレグランス組成物の能力を評価するステップ;および
(iii)フレグランス組成物がヒト対象のハピネス状態を改善することが見出されるまで、必要に応じて、少なくとも1種のフレグランス成分を添加および/もしくは除去すること、ならびに/または少なくとも1種のフレグランス成分の濃度を増加および/もしくは低減させることによって試験フレグランス組成物を調整するステップ
を含む、前記方法。
【請求項7】
ステップ(iii)において、少なくとも1種のHMPフレグランス成分が試験フレグランス組成物に添加され、ならびに/または少なくとも1種のHMRフレグランス成分が試験フレグランス組成物に添加され、ならびに/または少なくとも1種のHMIフレグランス成分が試験フレグランス組成物に添加され、ならびに/または少なくとも1種のRMPフレグランス成分が試験フレグランス組成物から除去され、ならびに/または少なくとも1種のIMPUフレグランス成分が試験フレグランス組成物から除去され、ならびに/または少なくとも1種のHMP、HMRおよび/もしくはHMIフレグランス成分の濃度が増加され、ならびに/または少なくとも1種のRMPおよび/もしくはIMPUフレグランス成分の濃度が低減され、ここで、
- HMPフレグランス成分は、フルーティー-キャンディードフルーツ成分(ダマスコンアルファを除外)、フルーティー-ストロベリー成分、フルーティー-ラズベリー成分、フルーティー-パイナップル成分、グレープフルーツオイル、6,6-ジメトキシ-2,5,5-トリメチルヘキサ-2-エン(メチルパンプルムース)、ヘキセニル-3-サリチラート、イランイランオイル、エチル3-オキソブタノアート(エチルアセトアセタート)、5-ヘキシルオキソラン-2-オン(ガンマデカラクトン)、5-オクチルオキソラン-2-オン(ドデカラトンガンマ)、2,2,5-トリメチル-5-ペンチルシクロペンタン-1-オン(veloutone)、ヘキシルアセタート、カシスベース、1-フェニルエチルアセタート(スチラリルアセタート)、(E)-4-メチルデカ-3-エン-5-オール(undecavertol)、2-エチル-3-ヒドロキシピラン-4-オン(エチルマルトール)、8-メチル-1,5-ベンゾジオキセピン-3-オン(calone)、1-[(1R,2R,5S,7R)-2,6,6,8-テトラメチル-9-トリシクロ[5.3.1.01,5]ウンデカ-8-エニル]エタノン(メチルセドリルケトンまたはvertofix coeur)、およびそれらの混合物からなる群から選択され;
- HMRフレグランス成分は、レモンオイル、(E)-3,7-ジメチルノナ-1,6-ジエン-3-オール(エチルリナロール)、ベンジルアセタート、3-メチル-2-[(Z)-ペンタ-2-エニル]シクロペンタ-2-エン-1-オン(ジャスモン-シス)、2-(2'-メチルプロピル)-4-ヒドロキシ-4-メチルテトラヒドロピラン(Florosa)、(E)-1-(2,6,6-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-イル)ヘプタ-1,6-ジエン-3-オン(cetone V)、N-1-(2,6,6-トリメチル-1-シクロヘキサ-2-エニル)ペンタ-1-エン-3-オン(Isoraldeine)、3,7-ジメチルオクタ-6-エン-1-オール(シトロネロール)、(E)-3,7-ジメチルオクタ-2,6-ジエン-1-オール(ゲラニオール)、ゼラニウムオイル、4-(4-ヒドロキシ-4-メチルペンチル)シクロヘキサ-3-エンカルボアルデヒド(Lyral、Cyclohexal)、5-ヘプチルジヒドロフラン-2(3H)-オン(ピーチピュア、ウンデカラクトンガンマ)、1,4-ジオキサシクロヘプタデカン-5,17-ジオン(エチレンブラシラート)、シクロヘキサデカノリドとシクロペンタデカノンとの混合物(Silvanone)、(5E)-3-メチルシクロペンタデカ-5-エン-1-オン(Muscenone)、(E)-2-メトキシ-4-(プロパ-1-エン-1-イル)フェノール(イソオイゲノール)、およびそれらの混合物からなる群から選択され;
- HMIフレグランス成分は、シトラス-オレンジ成分、シトラス-マンダリン成分、1-(2-tert-ブチルシクロヘキシル)オキシブタン-2-オール(amber core)、(3aR,5aS,9aS,9bR)-3a,6,6,9a-テトラメチル-2,4,5,5a,7,8,9,9b-オクタヒドロ-1H-ベンゾ[e][1]ベンゾフラン(ambrofixまたはambroxan)、1,5,5,9-テトラメチル-13-オキサトリシクロ(8.3.0.0.(4.9))トリデカン(cetaloxまたはfixambrene)、2,6-ジメチルオクタ-7-エン-2-オール(ジヒドロミルセノール)、3-(1,3-ベンゾジオキソール-5-イル)-2-メチルプロパナール(helionalまたはtropional)、(2-tert-ブチルシクロヘキシル)アセタート(agrumex)、1-(2,6,6-トリメチル-1-シクロヘキサ-2-エニル)ブタ-3-エン-1-オン(ダマスコンアルファ)、2,4-ジメチル-3-シクロヘキセン-1-カルボアルデヒド(cyclal Cまたはtricyclalまたはリグストラール)、4-アリル-2-メトキシフェノール(オイゲノール)、およびそれらの混合物からなる群から選択され;
- RMPフレグランス成分は、2-(4-メチルシクロヘキサ-3-エン-1-イル)プロパン-2-オール(テルピネオール)、ヘキシル2-ヒドロキシベンゾアート(ヘキシルサリチラート)、ジャスミンオイル、7-ヒドロキシ-3,7-ジメチルオクタナール(ヒドロキシシトロネラール)、3-メチル-5-フェニルペンタノール(Mefrosol)、2-(フェノキシ)エチル2-メチルプロパノアート(フェノキシエチルイソブチラート)、(12E)-1-オキサシクロヘキサデカ-12-エン-2-オン(Habanolide)、4-メトキシベンズアルデヒド(オーベピンパラクレゾール、アニシックアルデヒド)、ベンゾインレジノイド、3-エトキシ-4-ヒドロキシベンズアルデヒド(エチルバニリン)、4-ヒドロキシ-3-メトキシベンズアルデヒド(バニリン)、2-エチル-4(2',2',3'-トリメチルシクロペンタ-3-エニル)ブタ-エノール(BangalolまたはRadjanol)、2-メチル-1-フェニルプロパン-2-イルブタノアートと(フェノキシ)エチル2-メチルプロパノアートとの混合物(Prunella)、およびそれらの混合物からなる群から選択され;かつ
- IMPUフレグランス成分は、アロマティック-ユーカリ成分、アロマティック-ミント成分、アロマティック-ローズマリー成分、シトラス-ライムイン-グレディエント、スパイシー-ペッパー成分、シトラス-フローラル/レモン成分、ラバンジンオイル、パチョリオイル、クラリーセージオイル、オレンジフラワーオイル、グアイアックウッドオイル、オークモスオイル、リツエアクベバオイル、シトラール、ベンジル2-ヒドロキシベンゾアート(ベンジルサリチラート)、2-メチル-3-(4-(1-メチルエチル)フェニル)プロパナール(シクラメンアルデヒド)、3-(4-エチルフェニル)-2,2-ジメチルプロパナール(floralozone)、プロパ-2-エニル2-(3-メチルブトキシ)アセタート(アリルアミルグリコラート)、プロパ-2-エニル2-シクロヘキシルオキシアセタート(cyclogalbanate)、4-メチル-2-(2-メチルプロパ-1-エン-1-イル)テトラヒドロ-2H-ピラン(ローズオキシド)、1-[(2Z,5Z,9Z)-2,6,10-トリメチルシクロドデカ-2,5,9-トリエン-1-イル]エタノン(trimofix Oまたはcyclisone)、メチル2,4-ジヒドロキシ-3,6-ジメチルベンゾアート(EvernylまたはEverniate)、2,6-ジメチルヘプタン-2-オール(dimetol)、3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエン-3-イルアセタート(リナリルアセタート)ファーバルサムオイル、パインニードルベース、およびそれらの混合物からなる群から選択される、
請求項6に記載の方法。
【請求項8】
ヒト対象のハピネス状態を改善するためのフレグランス組成物であって、フレグランス組成物は、以下の群から選び出される少なくとも75%、好ましくは少なくとも85%のフレグランス成分を含む、前記フレグランス組成物:
a) 総計で少なくとも約5重量%の少なくとも3種のHMPフレグランス成分;
b) 場合により総計で最大約95重量%のHMR、HMI、IMPU、RMPおよび/またはGENフレグランス成分、ただし、以下の条件が満たされる場合に限る:
(b6) HMP+HMR≧IMPU
(b7) HMP+HMI≧RMP
(b8) HMR+HMI+HMP+GEN≧65%;
(b9) HMP/(HMP+RMP+IMPU)≧0.35
(b10) HMP/(HMP+RMP+IMPU)+(100-総計)≧0.2、
ここで、
(i) すべてのパーセンテージは、フレグランス組成物を構成するフレグランス成分の総重量に基づき;
(ii) HMPは、HMPフレグランス成分のパーセンテージの合計を指し示し;HMRは、HMRフレグランス成分のパーセンテージの合計を指し示し;HMIは、HMIフレグランス成分のパーセンテージの合計を指し示し;IMPUは、IMPUフレグランス成分のパーセンテージの合計を指し示し;RMPは、RMPフレグランス成分のパーセンテージの合計を指し示し;GENは、GENフレグランス成分のパーセンテージの合計を指し示し;かつ総計は、HMP、HMR、HMI、IMPU、RMP、およびGENの合計を指し示す;ただし、匂いの少ないまたは無臭の溶媒、希釈剤および他のビヒクルは、これらの合計の計算から除外されることを条件とする;
(iii) 記号≧は、少なくとも等しいことを指し示し;
(iv) HMPフレグランス成分は、フルーティー-キャンディードフルーツ成分(ダマスコンアルファを除外)、フルーティー-ストロベリー成分、フルーティー-ラズベリー成分、フルーティー-パイナップル成分、グレープフルーツオイル、6,6-ジメトキシ-2,5,5-トリメチルヘキサ-2-エン(メチルパンプルムース)、ヘキセニル-3-サリチラート、イランイランオイル、エチル3-オキソブタノアート(エチルアセトアセタート)、5-ヘキシルオキソラン-2-オン(ガンマデカラクトン)、5-オクチルオキソラン-2-オン(ドデカラトンガンマ)、2,2,5-トリメチル-5-ペンチルシクロペンタン-1-オン(veloutone)、ヘキシルアセタート、カシスベース、1-フェニルエチルアセタート(スチラリルアセタート)、(E)-4-メチルデカ-3-エン-5-オール(undecavertol)、2-エチル-3-ヒドロキシピラン-4-オン(エチルマルトール)、8-メチル-1,5-ベンゾジオキセピン-3-オン(calone)、1-[(1R,2R,5S,7R)-2,6,6,8-テトラメチル-9-トリシクロ[5.3.1.01,5]ウンデカ-8-エニル]エタノン(メチルセドリルケトンまたはvertofix coeur)、およびそれらの混合物からなる群から選択され;
(v) HMRフレグランス成分は、レモンオイル、(E)-3,7-ジメチルノナ-1,6-ジエン-3-オール(エチルリナロール)、ベンジルアセタート、3-メチル-2-[(Z)-ペンタ-2-エニル]シクロペンタ-2-エン-1-オン(ジャスモン-シス)、2-(2'-メチルプロピル)-4-ヒドロキシ-4-メチルテトラヒドロピラン(Florosa)、(E)-1-(2,6,6-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-イル)ヘプタ-1,6-ジエン-3-オン(cetone V)、N-1-(2,6,6-トリメチル-1-シクロヘキサ-2-エニル)ペンタ-1-エン-3-オン(Isoraldeine)、3,7-ジメチルオクタ-6-エン-1-オール(シトロネロール)、(E)-3,7-ジメチルオクタ-2,6-ジエン-1-オール(ゲラニオール)、ゼラニウムオイル、4-(4-ヒドロキシ-4-メチルペンチル)シクロヘキサ-3-エンカルボアルデヒド(Lyral、Cyclohexal)、5-ヘプチルジヒドロフラン-2(3H)-オン(ピーチピュア、ウンデカラクトンガンマ)、1,4-ジオキサシクロヘプタデカン-5,17-ジオン(エチレンブラシラート)、シクロヘキサデカノリドとシクロペンタデカノンとの混合物(Silvanone)、(5E)-3-メチルシクロペンタデカ-5-エン-1-オン(Muscenone)、(E)-2-メトキシ-4-(プロパ-1-エン-1-イル)フェノール(イソオイゲノール)、およびそれらの混合物からなる群から選択され;
(vi) HMIフレグランス成分は、シトラス-オレンジ成分、シトラス-マンダリン成分、1-(2-tert-ブチルシクロヘキシル)オキシブタン-2-オール(amber core)、(3aR,5aS,9aS,9bR)-3a,6,6,9a-テトラメチル-2,4,5,5a,7,8,9,9b-オクタヒドロ-1H-ベンゾ[e][1]ベンゾフラン(ambrofixまたはambroxan)、,5,5,9-テトラメチル-13-オキサトリシクロ(8.3.0.0.(4.9))トリデカン(cetaloxまたはfixambrene)、2,6-ジメチルオクタ-7-エン-2-オール(ジヒドロミルセノール)、3-(1,3-ベンゾジオキソール-5-イル)-2-メチルプロパナール(helionalまたはtropional)、(2-tert-ブチルシクロヘキシル)アセタート(agrumex)、1-(2,6,6-トリメチル-1-シクロヘキサ-2-エニル)ブタ-3-エン-1-オン(ダマスコンアルファ)、2,4-ジメチル-3-シクロヘキセン-1-カルボアルデヒド(cyclal Cまたはtricyclalまたはリグストラール)、4-アリル-2-メトキシフェノール(オイゲノール)、およびそれらの混合物からなる群から選択され;
(vii) IMPUフレグランス成分は、アロマティック-ユーカリ成分、アロマティック-ミント成分、アロマティック-ローズマリー成分、シトラス-ライムイン-グレディエント、スパイシー-ペッパー成分、シトラス-フローラル/レモン成分、ラバンジンオイル、パチョリオイル、クラリーセージオイル、オレンジフラワーオイル、グアイアックウッドオイル、オークモスオイル、リツエアクベバオイル、シトラール、ベンジル2-ヒドロキシベンゾアート(ベンジルサリチラート)、2-メチル-3-(4-(1-メチルエチル)フェニル)プロパナール(シクラメンアルデヒド)、3-(4-エチルフェニル)-2,2-ジメチルプロパナール(floralozone)、プロパ-2-エニル2-(3-メチルブトキシ)アセタート(アリルアミルグリコラート)、プロパ-2-エニル2-シクロヘキシルオキシアセタート(cyclogalbanate)、4-メチル-2-(2-メチルプロパ-1-エン-1-イル)テトラヒドロ-2H-ピラン(ローズオキシド)、1-[(2Z,5Z,9Z)-2,6,10-トリメチルシクロドデカ-2,5,9-トリエン-1-イル]エタノン(trimofix Oまたはcyclisone)、メチル2,4-ジヒドロキシ-3,6-ジメチルベンゾアート(EvernylまたはEverniate)、2,6-ジメチルヘプタン-2-オール(dimetol)、3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエン-3-イルアセタート(リナリルアセタート)ファーバルサムオイル、パインニードルベース、およびそれらの混合物からなる群から選択され;
(viii) RMPフレグランス成分は、2-(4-メチルシクロヘキサ-3-エン-1-イル)プロパン-2-オール(テルピネオール)、ヘキシル2-ヒドロキシベンゾアート(ヘキシルサリチラート)、ジャスミンオイル、7-ヒドロキシ-3,7-ジメチルオクタナール(ヒドロキシシトロネラール)、3-メチル-5-フェニルペンタノール(Mefrosol)、2-(フェノキシ)エチル2-メチルプロパノアート(フェノキシエチルイソブチラート)、(12E)-1-オキサシクロヘキサデカ-12-エン-2-オン(Habanolide)、4-メトキシベンズアルデヒド(オーベピンパラクレゾール、アニシックアルデヒド)、ベンゾインレジノイド、3-エトキシ-4-ヒドロキシベンズアルデヒド(エチルバニリン)、4-ヒドロキシ-3-メトキシベンズアルデヒド(バニリン)、2-エチル-4(2',2',3'-トリメチルシクロペンタ-3-エニル)ブタ-エノール(BangalolまたはRadjanol)、2-メチル-1-フェニルプロパン-2-イルブタノアートと(フェノキシ)エチル2-メチルプロパノアートとの混合物(Prunella)、およびそれらの混合物からなる群から選択され;かつ
(ix) GENフレグランス成分は、3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエン-3-オール(リナロール)、メチル3-オキソ-2-ペンチルシクロペンタンアセタート(メチルジヒドロ-ジャスモナート、cepionate、hedione)、ヘキシルシンナミックアルデヒド、3-(4-(1,1-ジメチルエチル)フェニル-2-メチルプロパナール(Lilial)、(E)-4-(2,6,6-トリメチルシクロヘキサ-1-エン-1-イル)ブタ-3-エン-2-オン(イオノンベータ)、2-フェニルエチルアルコール、1-(2,3,8,8-テトラメチル-1,3,4,5,6,7-ヘキサヒドロナフタレン-2-イル)エタノン(sylvamberまたはiso e superまたはイソガンマスーパー)、1,15-ペンタデカノリド(Thibetolide)、(イソカンピル-5)シクロヘキサノール(sandela)、(3R,3aS,6R,7R,8aS)-オクタヒドロ-6-メトキシ-3,6,8,8-テトラメチル-1H-3a,7-メタノアズレン(セドリルメチルエーテル)、およびそれらの混合物からなる群から選択される。
【請求項9】
総計で少なくとも約10重量%、より好ましくは少なくとも約15重量%のHMPフレグランス成分を含む、請求項8に記載のフレグランス組成物。
【請求項10】
少なくとも4種のHMPフレグランス成分、より好ましくは少なくとも5種のHMPフレグランス成分を含む、請求項8または9に記載のフレグランス組成物。
【請求項11】
以下の群のうちの1つまたは複数から選択される少なくとも1種のHMP、HMIおよび/またはHMRフレグランス成分を含む、請求項8から10のいずれか一項に記載のフレグランス組成物:
- (E)-1-(2,6,6-トリメチルシクロヘキサ-1,3-ジエン-1-イル)ブタ-2-エン-1-オン(ダマセノン)、ジメチルベンジルカルビニルブチラート、(E)-1-(2,6,6-トリメチル-1-シクロヘキセニル)ブタ-2-エン-1-オン(ダマスコンベータ)、(E)-1-(2,2-ジメチル-6-メチリデンシクロヘキシル)ブタ-2-エン-1-オン(ダマスコンガンマ)、(E)-1-(2,6,6-トリメチル-1-シクロヘキサ-3-エニル)ブタ-2-エン-1-オン(ダマスコンデルタ)、タゲテスオイル、エチル2-エチル-6,6-ジメチルシクロヘキサ-2-エン-1-カルボキシラート(givescone)、エチル2,6,6-トリメチルシクロヘキサ-1,3-ジエン-1-カルボキシラート(エチルサフラナート)、エチル2,6,6-トリメチルシクロヘキサ-1,3-ジエン-1-カルボキシラート(cristalon)、(2E,5Z)-5,6,7-トリメチルオクタ-2,5-ジエン-4-オン(pomerose)、(3α,4β,7β,7α)-オクタヒドロ-4,7-メタノ-3aH-インデン-3a-カルボン酸エチルエステル(fruitate)、およびそれらの混合物からなる群から選択される1種または複数のフルーティー-キャンディードフルーツ成分;
- ベンジルシンナマート、エチル3-メチル-3-フェニルオキシラン-2-カルボキシラート(ストロベリーピュア)、エチルブタノアート(エチルブチラート)、エチル2-メチルプロピオナート(エチルイソブチラート)、エチルシクロヘキサンカルボキシラート(esterly)、エチルシンナマート、メチルシンナマート、ベンジルシンナマート、エチルフェニルグリシダート、フェニルエチルブチラート、ベンジルブチラート、エチルイソバレラート、フェニルエチルイソバレラート、2-オクテン-4-オン、およびそれらの混合物からなる群から選択される1種または複数のフルーティー-ストロベリー成分;
- 4-(4-ヒドロキシフェニル)ブタン-2-オン(ラズベリーケトン)、メチオキシフェニルブタノン、エチル6-アセチルオキシヘキサノアート(berryflor)、およびそれらの混合物からなる群から選択される1種または複数のフルーティー-ラズベリー成分;
- プロパ-2-エニル3-シクロヘキシルプロパノアート(アリルシクロヘキシルプロピオナート)、プロパ-2-エニルへプタノアート(アリルオエナンタート)、エチルオクタノアート(エチルオエナンタート)、3-メチルブチルオクタノアート(イソアミルカプロアート)、メチルヘキサノアート、エチルヘキサノアート、ペンチルヘキサノアート(アミルカプロアート)、フェニルエチルイソブチラート、アリルプロピオナート、メチルオクタノアート、およびそれらの混合物からなる群から選択される1種または複数のフルーティー-パイナップル成分;
- オレンジオイル、オレンジテルペン、オレンジアルデヒド、およびそれらの混合物からなる群から選択される1種または複数のシトラス-オレンジ成分;および/または
- マンダリンオイル、タンジェリンオイル、(E)-6,10-ジメチルウンデカ-5,9-ジエン-2-イルアセタート(タンジェリノール)、メチル2-メチルアミノベンゾアート(ジメチルアントラニラート)、オクタノール-3、およびそれらの混合物からなる群から選択される1種または複数のシトラス-マンダリン成分。
【請求項12】
HMR+HMI+HMP+GEN≧70%、より好ましくはHMR+HMI+HMP+GEN≧75%、および最も好ましくはHMR+HMI+HMP+GEN≧80%である、請求項8から11のいずれか一項に記載のフレグランス組成物。
【請求項13】
HMP/(HMP+RMP+IMPU)≧0.40、より好ましくはHMP/(HMP+RMP+IMPU)≧0.45、および最も好ましくはHMP/(HMP+RMP+IMPU)≧0.50である、請求項8から12のいずれか一項に記載のフレグランス組成物。
【請求項14】
請求項8から13のいずれか一項に記載のフレグランス組成物を含む消費者製品。
【請求項15】
請求項8から13のいずれか一項に記載のフレグランス組成物の有効量をヒト対象に提供するステップを含む、ヒト対象のハピネス状態を改善する方法。
【請求項16】
ヒト対象のハピネス状態を改善するためのフレグランス成分の使用であって、フレグランス成分が、以下からなる群から選択される、フレグランス成分の使用:
- ジメチルベンジルカルビニルブチラート、(E)-1-(2,6,6-トリメチル-1-シクロヘキセニル)ブタ-2-エン-1-オン(ダマスコンベータ)、(E)-1-(2,2-ジメチル-6-メチリデンシクロヘキシル)ブタ-2-エン-1-オン(ダマスコンガンマ)、(E)-1-(2,6,6-トリメチル-1-シクロヘキサ-3-エニル)ブタ-2-エン-1-オン(ダマスコンデルタ)、タゲテスオイル、エチル2-エチル-6,6-ジメチルシクロヘキサ-2-エン-1-カルボキシラート(givescone)、エチル2,6,6-トリメチルシクロヘキサ-1,3-ジエン-1-カルボキシラート(エチルサフラナート)、エチル2,6,6-トリメチルシクロヘキサ-1,3-ジエン-1-カルボキシラート(cristalon)、(2E,5Z)-5,6,7-トリメチルオクタ-2,5-ジエン-4-オン(pomerose)、(3α,4β,7β,7α)-オクタヒドロ-4,7-メタノ-3aH-インデン-3a-カルボン酸エチルエステル(fruitate)、およびそれらの混合物からなる群から選択される1種または複数のフルーティー-キャンディードフルーツ成分;
- ベンジルシンナマート、エチルブタノアート(エチルブチラート)、エチル2-メチルプロピオナート(エチルイソブチラート)、エチルシクロヘキサンカルボキシラート(esterly)、エチルシンナマート、メチルシンナマート、ベンジルシンナマート、エチルフェニルグリシダート、フェニルエチルブチラート、ベンジルブチラート、エチルイソバレラート、フェニルエチルイソバレラート、2-オクテン-4-オン、およびそれらの混合物からなる群から選択される1種または複数のフルーティー-ストロベリー成分;
- メチオキシフェニルブタノン、エチル6-アセチルオキシヘキサノアート(berryflor)、およびそれらの混合物からなる群から選択される1種または複数のフルーティー-ラズベリー成分;
- エチルオクタノアート(エチルオエナンタート)、3-メチルブチルオクタノアート(イソアミルカプロアート)、メチルヘキサノアート、エチルヘキサノアート、ペンチルヘキサノアート(アミルカプロアート)、フェニルエチルイソブチラート、アリルプロピオナート、メチルオクタノアート、およびそれらの混合物からなる群から選択される1種または複数のフルーティー-パイナップル成分;
- オレンジアルデヒド、およびその混合物からなる群から選択される1種または複数のシトラス-オレンジ成分;および/または
- タンジェリンオイル、(E)-6,10-ジメチルウンデカ-5,9-ジエン-2-イルアセタート(タンジェリノール)、メチル2-メチルアミノベンゾアート(ジメチルアントラニラート)、オクタノール-3、およびそれらの混合物からなる群から選択される1種または複数のシトラス-マンダリン成分。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒト対象のハピネス状態を改善するための試験フレグランス成分または試験フレグランス組成物の能力を評価する方法、およびヒト対象のハピネス状態を改善する効果を有するフレグランス組成物を作出する方法に関する。さらに、ヒト対象のハピネス状態を改善するためのフレグランス組成物、そのようなフレグランス組成物を含む消費者製品、およびヒト対象のハピネス状態を改善する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
香料は、消費者の好みを促進する、心地よく、よく好まれた匂いをそれらの製品に付与し、かつこの理由のために購入決定に影響を与えるために、消費者製品会社によって幅広く採用されている。
【0003】
しかしながら、ますます競争の激しい市場では、あるブランドをその競合企業と差別化するためには、しばしば、単なる好みでは十分ではない。それで、それらの製品の市場での遂行において、消費者製品の会社は、典型的には多様な広告キャンペーンを通じて、ならびにそれらの製品の包装およびラベリングで(それらは一緒になってそれらのブランド戦略の重要なパートを形成する)伝達される広範な製品の利益を頻繁に言及する。新しい差別化効果が絶えず探索されており、それらの効果を達成する手段として香料がしばしば採用されてきた。例えば、香料は、化粧品効果、衛生効果、悪臭相殺効果およびその他に関してもよい、実際のまたは知覚される機能的効果を作出するために採用されてきた。
【0004】
フレグランス材料およびエッセンシャルオイルは、ハピネスおよびウェルビーイングなフィーリングを促進することができることが長い間知られている。これらの材料はまた、同様の効果を提供するために化粧品およびアロマセラピーに使用されている。
【0005】
Aroma-Chology(登録商標)は、Olfactory Research Fund Ltd.によって創作された用語である(J. JellinekによるCosmetics & Toiletries、(1994)109、83~101頁の広範な総説を参照)。これは、具体的には、ムードおよび生活の質を改善するためのヒトの行動および感情におけるアロマの一時的で有益な心理的効果に関心が寄せられている。実のところ、アロマセラピーの利益を有するとして促進されている多数の製品は、一時的な心理的効果を生成するので、それらのAroma-Chology(登録商標)の利益に関してより正確に同定されることができる。しかしながら、成功の信頼できる予想を伴ってそのような利益を定性的または定量的に達成するために、製品をどのように配合するかについての教示はない。加えて、フレグランスは、異なる国において異なる属性に関連付けられていると知覚されることができることがよく知られている。
【0006】
より最近では、いくつかの特許出願(例を挙げると、WO 02/49600、WO 2008/050084、WO 2008/050086、WO 2020/165463)は、フレグランス組成物を介してポジティブなムード利益を提供することに焦点を当てており、どのようにこれらのムード利益を測定するかおよびどのように効果的なフレグランス組成物を作出するかに関するガイドラインを提供している。
【0007】
例として、WO 2008/050086は、頻繁な低レベルのポジティブなムード刺激によってウェルビーイング利益、特にハピネスをヒト対象に送達するフレグランス組成物を記述している。WO 2008/050086は、所望の効果を達成するために、異なる種類のフレグランス成分(例を挙げると、ハッピー、リラックスまたはニュートラル成分)およびこれらのフレグランス成分が組成物中に存在してもよい濃度を指定する配合ガイドラインを提供している。これらの配合ガイドラインは、消費者試験に基づいて開発されている。
【0008】
WO 2008/050086は、フレグランス成分を6個のカテゴリーに分類している:ハッピームードと強く関連付けられるHMPフレグランス成分;ハッピーおよびリラックスムードの両方をサポートしてもよいHMRフレグランス成分;ハッピーおよびインビゴレーティングムードの両方をサポートしてもよいHMIフレグランス成分;リラックスムードを強くサポートするRMPフレグランス成分;インビゴレーティングムードを強くサポートするIMPフレグランス成分;ならびに様々なムードをサポートしてもよいGENフレグランス成分。
【0009】
しかしながら、これらの3つの群のいずれにも割り当てられていない他のフレグランス成分の大きな群が存在する。また、一部のフレグランス成分は、現在、規制上の制限に起因して、またはより良い代替物の利用可能性に起因してのいずれかのために、今は、より長く使用されている。
【0010】
したがって、さらなるフレグランス成分を分類する必要がある。
【0011】
WO 2008/050086は、試験対象のムードおよび感情に対するフレグランス組成物の影響を評価するために消費者試験を使用している。しかしながら、消費者試験はいくつかの重要な欠点を有する:
-参加者からの生理学的情報の欠如
-脳内で発生している暗黙的な精神プロセスに関する情報がない
-匂いの明示的/宣言的な記述は、他の刺激(例を挙げると、写真の記述)よりもはるかに難しく、しばしば不正確な知見を結果として生じる
-参加者は、試験に提供される回答をコントロールすることができ、かつ実験者が気に入るように回答を変更してもよく(「参加者のバイアス」として心理学文献で知られている現象)、不正確なデータの収集につながる(https://doi.org/10.1016/0191-8869(86)90014-0)
-試料間で異なるムード状態を差別化することが困難
-格付けは、しばしば好みのスコアと相関する
-承諾する傾向-肯定的に回答する
-回避する傾向-ニュートラルで不確かで不明確な応答を選ぶこと
-スピードの傾向-正確によりもむしろ迅速に試験を完了すること
【0012】
したがって、ヒト対象のムード状態を評価するための改善された技術が開発され、それにより、測定中により柔軟性が可能になることが高度に望ましい。
【発明の概要】
【0013】
本発明により、上記問題が解決される。
【0014】
第1の側面において、本発明は、fNIRS(機能的近赤外分光法)の手段によってヒト対象のハピネス状態を評価する方法を提供する。
【0015】
第2の側面において、本発明は、ヒト対象のハピネス状態を改善するための試験フレグランス成分または試験フレグランス組成物の能力を評価する方法を提供する。
【0016】
第3の側面において、本発明は、ヒト対象のハピネスを改善する効果を有するフレグランス組成物を作出する方法を提供する。
【0017】
第4の側面において、本発明は、ヒト対象のハピネス状態を改善するためのフレグランス組成物を提供する。
【0018】
第5の側面において、本発明は、該フレグランス組成物を含む消費者製品を提供する。
【0019】
第6の側面において、本発明は、有効量の発明のフレグランス組成物をヒト対象に提供するステップを含む、ヒト対象のハピネス状態を改善する方法を提供する。
【0020】
第7の側面において、本発明は、ヒト対象のハピネス状態を改善するための、ある特定のフレグランス成分の使用に関する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1図1は、fNIRSチャネルのセットアップを示す。
図2図2は、試験されたフレグランス組成物の一部のハッピーに関するオッズ比を示す。
【発明を実施するための形態】
【0022】
ヒト対象のムード状態、特にハピネス状態を評価するための機能的近赤外分光法(fNIRS)の使用は高度に有利である:fNIRSは無害であり、身体の動きに対して寛容であり、高度に可搬である;また、新生児から高齢者までのすべての可能な参加者集団、および実験室内外の両方の実験設定にも適している(総説については、「The present and future use of functional near-infrared spectroscopy(fNIRS)for cognitive neuroscience」、Pintiら、Ann.N.Y.Acad.Sci.1464(2020)5~29を参照)。特に、fNIRSの使用は、参加者に提供されるフレグランスに関する具体的なタスク(例を挙げると、汎用クリーナのフレグランスを嗅ぎながら硬質表面を浄化する)を彼らが実行するように依頼されるインコンテキスト試験を可能にする。
【0023】
fNIRSは、ニューロン活性化後の酸素化ヘモグロビン(オキシHbまたはHbO2)および脱酸素化ヘモグロビン(デオキシHbまたはHbR)の脳組織濃度変化の測定を可能にする光学的非侵襲的ニューロイメージング技術である。これは、NIR光(650nm~950nm)を頭部に照らすことによって達成され、かつこのNIR光学窓内の生物学的組織の相対的な透明性を利用して、光は脳組織に到達するだろう。NIR光学窓内の最も優勢かつ生理学的に依存的な吸収発色団はヘモグロビンである。その飽和状態に基づいて、私たちは、その酸素化(HbO2)および脱酸素化形態(HbR)のヘモグロビンを有することができる。特に、HbO2およびHbRはNIR光を異なって吸収する:HbO2吸収はλ>800nmでより高い;逆に、HbR吸収係数はλ<800nmでより高い。
【0024】
脳エリアが活動的であり、かつある特定のタスクの遂行に関与されている場合、酸素およびグルコースに対する脳の代謝要求は増加し、脳の増加した代謝要求を満たすために局所脳血流(CBF)の過剰供給につながる。局所CBFの過剰供給は、HbO2の増加およびHbR濃度の減少を生成する;これらは、fNIRSによって測定されることができる光減衰の変化によって推定される。
【0025】
NIR光によって調べられる組織の部分はチャネルと呼ばれ、かつ供給源オプトード(S)および検出器オプトード(D)の間の中間点、および供給源-検出器分離の約半分の深さに位置付けられる。fNIRSのポテンシャルを完全に活用するために、今日ではマルチチャネルデバイスが使用されている。これらは、頭部のより大きな部分のモニタリング、ならびにトポグラフィックなHbO2およびHbRマップの回収を可能にする。いくつかのマルチチャネルfNIRSデバイスが商業的に利用可能である(例を挙げると、ArtinisによるBrite、HitachiによるETG-4100、またはNIRxによるNIRSPort)。
【0026】
fNIRSチャネルのポジションは、一般的に、EEGの10-20システムに基づいて標準化される。典型的なデバイスは、約16~22個のチャネルを使用する。オプトード(検出器および供給源)は、典型的には、チャネル間の等距離、例を挙げると3cmの距離のグリッドに、交互のやり方で(すなわち、供給源、それに続く検出器、それに続く供給源...)置かれなければならない(Pintiら(2019)「Current Status and Issues Regarding Pre-processing of fNIRS Neuroimaging Data:An Investigation of Diverse Signal Filtering Methods Within a General Linear Model Framework」、Front.Hum.Neurosci.12:505.)。オプトードおよびチャネルの両方は、典型的には、同定を可能にするように番号付けされる。オプトードの場合、数字の前の文字Sは典型的には、供給源オプトードを定義する一方、数字の前のD文字は検出器オプトードを定義する。数字は、通常、漸進的であり、例を挙げると、供給源については1~8であり、かつ検出器については1~7である。
【0027】
本発明の方法では、以下のfNIRSチャネルのセットアップが使用された:
fNIRSチャネル12の中心は、EEG10-20システムよる標準ポジションEEGチャネルFPz上に置かれた(Trambaiolliら、「Predicting affective valence using cortical hemodynamic signals」、Sci Rep 8、5406(2018))。チャネル12は、供給源S5および検出器D4の間に位置付けられ、S5は、頭部の正中線上でEEGチャネルFPzの位置から鼻根に向かって1.5cmに据えられ、かつD4は、頭部の正中線上でEEGチャネルFPzの位置から後頭極に向かって1.5cmに据えられる。すべてのfNIRSオプトードは、互いに3cmの標準化された距離に置かれ、かつ正中線に平行および直交して延びるグリッドライン上に並べられる。参照としてS5およびD4をとり、かつ鼻根-後頭極方向(ここで、「前方」は鼻根に向かうことを意味し、かつ「後方」は後頭極に向かうことを意味する)またはPre Auricolarライン(「左に」は左のPre Auricolarラインに向かうことを意味し、かつ「右に」は右のPre Auricolarラインに向かうことを意味する)のいずれかで各オプトードについて3cmのシフトを考慮すると、S4はD4の後方にあり、S4の右にD5、D5の右にS7、S7の前方にD7、D7の前方にS8、D7の左にS6、S8の左にD6、S4の左にD2、D4の左にS3、S3の前方にD3、D2の左にS1、S1の前方にD1、かつD1の前にS2がある。このセットアップはまた、図1に示されている。
【0028】
チャネルスキームは以下の通りである:
【表1】
【0029】
このように、半球(左または右)あたり9個のチャネル、ならびに前頭野および前頭前野の正中線に2個のチャネルがある。チャネル1~8および11は左半球に位置付けられ、チャネル9および12は正中線上にあり、かつチャネル10および13~20は右半球にある。チャネル9および12は、全脳分析のためにのみ考慮される。
【0030】
広範なリサーチによって、脳のある特定のエリア、特にある特定のチャネルは、ヒト対象のハピネス状態を評価するためのインジケータとして使用されることができることが見出された。より具体的には、ある特定の時点での左もしくは右半球、全脳、またはある特定の具体的なチャネルにおけるオキシHb、デオキシHbおよび/または総Hb(オキシHb+デオキシHbの合計に対応する)の増加または減少は、ヒト対象のハピネス状態が増加されたか、または減少されたか、またはほぼ同じままであるかに関する指標を提供する。詳細は、以下に概説される方法に関係して記述されるだろうが、ヒト対象のハピネス状態を評価する一般的な方法にも同じように適用する。
【0031】
上記の知見は、本発明において適用されて、ヒト対象のハピネス状態を改善するための試験フレグランス成分または試験フレグランス組成物の能力を評価する方法を提供する。
【0032】
該方法は、以下のステップを含む:
a)1以上のヒト試験対象(単数または複数)のベースハピネス状態を測定するステップ;
b)試験フレグランス成分または試験フレグランス組成物を、スメリング(smelling)のためにヒト試験対象(単数または複数)に提供するステップ;
c)結果として生じるヒト試験対象(単数または複数)のハピネス状態を測定するステップ;および
d)ヒト試験対象(単数または複数)に対して、結果として生じるハピネス状態およびベースハピネス状態の間の差異を決定するステップ。
【0033】
ベースハピネス状態および結果として生じるハピネス状態は、ヒト試験対象(単数または複数)の左脳半球、右脳半球、および全脳の機能的近赤外分光法(fNIRS)によって測定される。
【0034】
より具体的には、出願人は、ヒト対象のハピネス状態に対する効果を特に指し示す、ある特定の具体的なチャネル、ヘモグロビンの種類および時点を同定した。
【0035】
ベースハピネス状態を測定するために、ヒト試験対象(単数または複数)は、フレグランスのない試料、例を挙げると、コットンもしくは布のピースまたはソルバロッドが提供されてもよい。ソルバロッドは、ポリエチレンスリーブに包まれたポリエステル吸収性繊維インサートを含有する小さいプラスチックのポットである。フレグランスは、いくつかの評価にわたってフレグランスの連続的なリフレッシュを提供するインサートに適用されることができ、かつ嗅ぐために鼻の近くに保持されたときにたやすく知覚されることができる。
【0036】
あるいは、例を挙げると参照フレグランス試料の存在下で、参照ハピネス状態を測定することもまた可能である。
【0037】
1を超えるヒト試験対象が関与される場合、差異を決定する前に、ベースハピネス状態および結果として生じるハピネス状態の結果が平均化されてもよい。あるいは、各ヒト試験対象に対する差異を別々に決定することもまた可能である。
【0038】
基準Aおよび基準Bのうちの少なくとも1つが満たされる場合、試験フレグランス成分または試験フレグランス組成物は、ヒト対象のハピネス状態を改善することができることが見出された。
【0039】
基準Aは、以下の6個の条件A1からA6のうちの少なくとも3個が満たされることを求める:
A1.全脳のデオキシHbが、30秒のスメリング後、統計学的に有意な減少を示す;
A2.右脳半球のデオキシHbが、30秒のスメリング後、統計学的に有意な減少を示す;
A3.全脳の総Hbが、30秒のスメリング後、統計学的に有意な減少を示す;
A4.右脳半球の総Hbが、30秒のスメリング後、統計学的に有意な減少を示す;
A5.右脳半球のデオキシHbが、0~10秒のスメリング後、統計学的に有意な増加を示す;
A6.右脳半球のオキシHbが、5~10秒のスメリング後、統計学的に有意な増加を示す。
【0040】
上で概説されたように、総Hbは、測定された総ヘモグロビンの量であり、オキシHbは、測定された酸素化ヘモグロビンの量であり、かつデオキシHbは、測定された脱酸素化ヘモグロビンの量である。
【0041】
左脳半球のヘモグロビン値は、上で定義されたように、チャネル1~8および11の個々のヘモグロビン値の数学的平均に対応する。
【0042】
右脳半球のヘモグロビン値は、上で定義されたように、チャネル10および13~20の個々のヘモグロビン値の数学的平均に対応する。
【0043】
全脳のヘモグロビン値は、上で定義されたように、すべてのチャネル1~20の個々のヘモグロビン値の数学的平均に対応する。
【0044】
ヘモグロビンレベル(総Hb、オキシHb、およびデオキシHb)に対する効果は、経時的に変動してもよい。いくつかの異なる時間の期間、例を挙げると、0~5秒後、0~10秒後、5~10秒後、10~15秒後、15~20秒後、10~20秒後、20~25秒後、25~30秒後、または30秒後にヘモグロビン値を分析することによって、より正確な結果が得られることができることが見出された。興味深いことに、5秒のブロックは、完全な呼吸サイクル(吸入+呼気)の時間にほぼ対応する。
【0045】
一般に、ハッピーフレグランスに対する脳シグネチャの定義に関し、かつ脳のより大きな部分の平均活動を考慮する場合、より長い時間間隔(およびフレグランスに全30秒間の曝露の分析でさえ)が最も関連があるようにみえる。これは、関連付けられる脳シグネチャを定義するためにより短い時間間隔が極めて重要であるようにみえる、リラックスまたはインビゴレーティングフレグランスを評価する場合に見出されたものとは反対である。
【0046】
また、右半球は、ハッピーフレグランスの処理において左のものよりも関与されるようにみえる。
【0047】
単一チャネルレベルでは、オキシHb、デオキシHbおよび総Hbのよりバランスのとれたインパクト、および左半球、特にチャネル4のより高い関与を伴って、より短い/より早い時間窓で、ハッピーフレグランスの特定の脳シグネチャが定義されることができる。
【0048】
統計学的な有意性は、両側スチューデントt検定を使用して検証され、統計学的な有意性の閾値は0.05である。
【0049】
基準Bは、以下の10個の条件B1からB10のうちの少なくとも5個が満たされることを求める:
B1.チャネル3が、30秒のスメリング後、デオキシHbの統計学的に有意な増加を示す;
B2.チャネル20が、30秒のスメリング後、デオキシHbの統計学的に有意な増加を示す;
B3.チャネル12が、30秒のスメリング後、総Hbの統計学的に有意な減少を示す;
B4.チャネル5が、0~5秒のスメリング後、オキシHbの統計学的に有意な増加を示す;
B5.チャネル4が、0~5秒のスメリング後、総Hbの統計学的に有意な増加を示す;
B6.チャネル5が、0~5秒のスメリング後、総Hbの統計学的に有意な増加を示す;
B7.チャネル11が、0~10秒のスメリング後、オキシHbの統計学的に有意な増加を示す;
B8.チャネル8が、5~10秒のスメリング後、デオキシHbの統計学的に有意な減少を示す;
B9.チャネル10が、5~10秒のスメリング後、デオキシHbの統計学的に有意な減少を示す;
B10.チャネル18が、5~10秒のスメリング後、オキシHbの統計学的に有意な増加を示す。
【0050】
上で概説されたように、チャネル1~8および11は左脳半球に位置付けられ、チャネル9および12は正中線上に位置付けられ、かつチャネル10および13~20は右脳半球に位置付けられる。
【0051】
この出願を通して、「ハピネス状態を改善する」、「ハピネス状態を増加させる」、「ハピネス状態を増強する」、および「ハピネスを増加させる」という用語は互換的に使用される。それらは、ある特定のアイテム、特にフレグランス成分またはフレグランス組成物またはそれを含有する消費者製品が、ヒト対象に対してポジティブなムード増強効果を有することを表現することが意味される。換言すれば、それらはハピネスなどのポジティブなムードおよび感情を誘導し、かつ人々をハッピーな、高揚した、喜んでいる、楽観的な、および夢中な気持ちにする。
【0052】
この感情のテリトリーは、典型的には、感情がそれらの誘意性のレベル(すなわち、心地よさ)および関与される覚醒(すなわち、活性化の度合い)のレベルの点で分類された影響の円環モデルによって定義されており(Posner J、Russell JA、Peterson BS.The circumplex model of affect:an integrative approach to affective neuroscience,cognitive development,and psychopathology.Dev Psychopathol.2005;17(3):715~734.doi:10.1017/S0954579405050340)、ハッピーなポジティブムードは、ハピネス、興奮および満足感のフィーリングによって表される。
【0053】
この感情の空間は、楽観主義および満足などのポジティブな感情をさらに包含し、それらの内面のハピネスのフィーリング、ならびにまた、喜び、夢中、陶酔およびしばしば他者と共有される陽気などの高度に活性化された感情を反映することが今では見出されている。
【0054】
このように、本出願は、一般に、満足感などのポジティブな低く活性化されたムード状態から興奮などの高度に活性化されたポジティブなハッピームードまでのハピネスの範囲に広がる、ポジティブな感情の増強に関する。これらのハピネスのポジティブなムード状態は、限定されないが、楽観主義および満足などの内面のハピネスのフィーリング、ならびに喜び、夢中、陶酔および陽気などの高度に活性化されたハピネスのフィーリングを包含する。
【0055】
この出願を通して、「フレグランス」および「パフューム」という用語は互換的に使用される。
【0056】
その上、「(フレグランス)成分」および「(フレグランス)材料」という用語はまた、互換的に使用される。本発明のコンテキストにおいて、「フレグランス成分」という用語は、注目に値しかつ同定可能な匂いをフレグランス組成物に提供する機能を有する成分を指す。フレグランス成分は、強烈な嗅覚的印象を提供することが意図された高度に実行する成分、ならびに微かな嗅覚的印象を提供することが意図されたより少なく実行する成分を包含する。
【0057】
「フレグランス組成物」という用語は、2種またはそれを超えるフレグランス成分の混合物に関する。これは、場合により、例を挙げると、フレグランス材料のためのビヒクルとして、1種または複数の無臭または匂いの少ない溶媒および/または希釈剤を包含してもよい。
【0058】
この出願を通して、「(ヒト)試験対象」および「参加者」という用語は互換的に使用される。
【0059】
好ましくは、例えば5を超える、10を超える、15を超える、またはさらに多くのより代表的でかつ信頼できる結果を得るために、いくつかのヒト試験対象が発明の方法に関与される。いくつかのヒト試験対象からの結果は、平均化されてもよい。あるいは、それらはまた合計されてもよい。
【0060】
その上、ある特定の試験フレグランス成分または試験フレグランス組成物を好まないことを指し示す参加者は、それぞれの分析から除外されてもよい。
【0061】
本発明の方法は、ヒト対象のハピネス状態を改善するための試験フレグランス成分または試験フレグランス組成物の能力の、速く単純でかつ信頼できる評価を可能にする。フレグランスは、非運動実験室設定からインコンテキスト試験まで、多種多様な設定で試験されてもよい。その上、方法は、潜在意識の効果を検出することを可能にし、それによって、例として、不正な応答、以前のサーベイバイアス、および曖昧さに起因して、限定された、しばしば不正確な情報しかしばしば提供しない、意識的な方法(例を挙げると、問合せ)の共通の課題を回避する。
【0062】
ハッピーフレグランス成分またはフレグランス組成物として認定されるためには、試験フレグランス成分/組成物は、基準Aおよび基準Bのうちの少なくとも1つを満たさなければならない。好ましくは、基準Aおよび基準Bの両方が満たされる。
【0063】
より具体的には、出願人は、ヒト対象のハピネス状態に対する効果を特に指し示す、ある特定の具体的なチャネル、ヘモグロビンの種類および時点を同定した。
【0064】
したがって、ある態様において、さらなる基準Cが満たされる。
【0065】
基準Cは、以下の20個の条件B1からB10およびC1からC10のうちの少なくとも10個が満たされることを求める:
B1.チャネル3が、30秒のスメリング後、デオキシHbの統計学的に有意な増加を示す;
B2.チャネル20が、30秒のスメリング後、デオキシHbの統計学的に有意な増加を示す;
B3.チャネル12が、30秒のスメリング後、総Hbの統計学的に有意な減少を示す;
B4.チャネル5が、0~5秒のスメリング後、オキシHbの統計学的に有意な増加を示す;
B5.チャネル4が、0~5秒のスメリング後、総Hbの統計学的に有意な増加を示す;
B6.チャネル5が、0~5秒のスメリング後、総Hbの統計学的に有意な増加を示す;
B7.チャネル11が、0~10秒のスメリング後、オキシHbの統計学的に有意な増加を示す;
B8.チャネル8が、5~10秒のスメリング後、デオキシHbの統計学的に有意な減少を示す;
B9.チャネル10が、5~10秒のスメリング後、デオキシHbの統計学的に有意な減少を示す;
B10.チャネル18が、5~10秒のスメリング後、オキシHbの統計学的に有意な増加を示す;
C1.チャネル4が、30秒のスメリング後、オキシHbの統計学的に有意な増加を示す;
C2.チャネル4が、30秒のスメリング後、総Hbの統計学的に有意な増加を示す;
C3.チャネル19が、30秒のスメリング後、総Hbの統計学的に有意な増加を示す;
C4.チャネル2が、0~5秒のスメリング後、デオキシHbの統計学的に有意な減少を示す;
C5.チャネル8が、0~5秒のスメリング後、デオキシHbの統計学的に有意な減少を示す;
C6.チャネル6が、0~5秒のスメリング後、オキシHbの統計学的に有意な増加を示す;
C7.チャネル12が、0~5秒のスメリング後、オキシHbの統計学的に有意な減少を示す;
C8.チャネル13が、0~5秒のスメリング後、オキシHbの統計学的に有意な増加を示す;
C9.チャネル16が、0~5秒のスメリング後、オキシHbの統計学的に有意な増加を示す;
C10.チャネル6が、5~10秒のスメリング後、オキシHbの統計学的に有意な増加を示す。
【0066】
20個の条件B1からB10およびC1からC10のうちの、より好ましくは少なくとも12個、最も好ましくは少なくとも15個が満たされる。
【0067】
条件A1からA6のうちのいくつが満たされるかに依存して、条件B1からB10および/またはC1からC10のより多くの数が満たされることが好ましい。
【0068】
したがって、ある態様において、さらなる基準Dが満たされる。
【0069】
基準Dは求める:
- 条件A1からA6のうちの0個または1個が満たされる場合、20個の条件B1からB10およびC1からC10のうちの少なくとも16個、より好ましくは少なくとも17個、最も好ましくは少なくとも18個が満たされること;
- 条件A1からA6のうちの2個または3個が満たされる場合、20個の条件B1からB10およびC1からC10のうちの少なくとも12個、より好ましくは少なくとも13個、最も好ましくは少なくとも14個が満たされること;
- 条件A1からA6のうちの4個、5個または6個が満たされる場合、20個の条件B1からB10およびC1からC10のうちの少なくとも8個、より好ましくは少なくとも9個、最も好ましくは少なくとも10個が満たされること。
【0070】
さらに、条件A1からA6および/またはB1からB10のうちの、より多くが満たされるほど、達成されるハピネス状態の改善がより大きくなることが見出された。
【0071】
したがって、ある態様において、基準E1および基準E2のうちの少なくとも1つが満たされる。
【0072】
基準E1は、条件A1からA6のうちの少なくとも4個、より好ましくは少なくとも5個、最も好ましくは6個すべてが満たされることを求める。
【0073】
基準E2は、10個の条件B1からB10のうちの少なくとも6個、より好ましくは少なくとも7個、最も好ましくは少なくとも8個が満たされることを求める。
【0074】
上に記述されている評価の方法に基づいて、ヒト対象のハピネスを改善する効果を有するフレグランス組成物を作出するためのガイドラインを開発することが可能であった。
【0075】
したがって、本発明はまた、ヒト対象のハピネスを改善する効果を有するフレグランス組成物を作出する方法を提供し、方法は、
(i)試験フレグランス組成物を作出するステップ;
(ii)上に記述されている方法によるヒト対象のハピネス状態を改善するための試験フレグランス組成物の能力を評価するステップ;および
(iii)フレグランス組成物がヒト対象のハピネス状態を改善することが見出されるまで、必要に応じて、少なくとも1種のフレグランス成分を添加および/もしくは除去すること、ならびに/または少なくとも1種のフレグランス成分の濃度を増加および/もしくは低減させることによって試験フレグランス組成物を調整するステップ
を含む。
【0076】
したがって、試験フレグランス組成物がハピネスを増加させる効果を提供するか否かが最初に評価される。その後、必要に応じて、組成物は調整されて、改善されたフレグランス組成物を作出する。
【0077】
ステップ(ii)および(iii)は、必要および/または所望に応じて繰り返されてもよい。
【0078】
HMPおよび/またはHMRおよび/またはHMIフレグランス成分のレベルを増加させることは、フレグランス組成物がハピネスの利益を送達するのに適した特徴を有するだろう可能性を増加させる。他の成分(例を挙げるとRMPおよび/またはIMPUフレグランス成分)は、フレグランス組成物中のそれらのレベルが増加される場合、利益が達成されるだろう可能性を低減させる。
【0079】
したがって、一態様において、少なくとも1種のHMPフレグランス材料が、ステップ(iii)において(試験)フレグランス組成物に添加される。
【0080】
あるいはまたは加えて、少なくとも1種のHMRフレグランス材料が、ステップ(iii)において(試験)フレグランス組成物に添加される。
【0081】
あるいはまたは加えて、少なくとも1種のHMIフレグランス材料が、ステップ(iii)において(試験)フレグランス組成物に添加される。
【0082】
あるいはまたは加えて、少なくとも1種のRMPフレグランス材料が、ステップ(iii)において(試験)フレグランス組成物から除去されてもよい。
【0083】
あるいはまたは加えて、少なくとも1種のIMPUフレグランス材料が、ステップ(iii)において(試験)フレグランス組成物から除去されてもよい。
【0084】
あるいはまたは加えて、少なくとも1種のHMPフレグランス材料の濃度が、ステップ(iii)において増加されてもよい。
【0085】
あるいはまたは加えて、少なくとも1種のHMRフレグランス材料の濃度が、ステップ(iii)において増加されてもよい。
【0086】
あるいはまたは加えて、少なくとも1種のHMIフレグランス材料の濃度が、ステップ(iii)において増加されてもよい。
【0087】
あるいはまたは加えて、少なくとも1種のRMPフレグランス材料の濃度が、ステップ(iii)において低減されてもよい。
【0088】
あるいはまたは加えて、少なくとも1種のIMPUフレグランス材料の濃度が、ステップ(iii)において低減されてもよい。
【0089】
以下のフレグランス材料はハッピー効果を有し、したがって、HMPフレグランス成分であることが見出された:フルーティー-キャンディードフルーツ成分(ダマスコンアルファを除外)、フルーティー-ストロベリー成分、フルーティー-ラズベリー成分、フルーティー-パイナップル成分、グレープフルーツオイル、6,6-ジメトキシ-2,5,5-トリメチルヘキサ-2-エン(メチルパンプルムース)、ヘキセニル-3-サリチラート、イランイランオイル、エチル3-オキソブタノアート(エチルアセトアセタート)、5-ヘキシルオキソラン-2-オン(ガンマデカラクトン)、5-オクチルオキソラン-2-オン(ドデカラトンガンマ)、2,2,5-トリメチル-5-ペンチルシクロペンタン-1-オン(veloutone)、ヘキシルアセタート、カシスベース、1-フェニルエチルアセタート(スチラリルアセタート)、(E)-4-メチルデカ-3-エン-5-オール(undecavertol)、2-エチル-3-ヒドロキシピラン-4-オン(エチルマルトール)、8-メチル-1,5-ベンゾジオキセピン-3-オン(calone)、1-[(1R,2R,5S,7R)-2,6,6,8-テトラメチル-9-トリシクロ[5.3.1.01,5]ウンデカ-8-エニル]エタノン(メチルセドリルケトンまたはvertofix coeur)、およびそれらの混合物。
【0090】
以下のフレグランス材料はハッピー-リラックス効果を有し、したがって、HMRフレグランス成分であることが見出された:レモンオイル、(E)-3,7-ジメチルノナ-1,6-ジエン-3-オール(エチルリナロール)、ベンジルアセタート、3-メチル-2-[(Z)-ペンタ-2-エニル]シクロペンタ-2-エン-1-オン(ジャスモン-シス)、2-(2'-メチルプロピル)-4-ヒドロキシ-4-メチルテトラヒドロピラン(Florosa)、(E)-1-(2,6,6-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-イル)ヘプタ-1,6-ジエン-3-オン(cetone V)、N-1-(2,6,6-トリメチル-1-シクロヘキサ-2-エニル)ペンタ-1-エン-3-オン(Isoraldeine)、3,7-ジメチルオクタ-6-エン-1-オール(シトロネロール)、(E)-3,7-ジメチルオクタ-2,6-ジエン-1-オール(ゲラニオール)、ゼラニウムオイル、4-(4-ヒドロキシ-4-メチルペンチル)シクロヘキサ-3-エンカルボアルデヒド(Lyral、Cyclohexal)、5-ヘプチルジヒドロフラン-2(3H)-オン(ピーチピュア、ウンデカラクトンガンマ)、1,4-ジオキサシクロヘプタデカン-5,17-ジオン(エチレンブラシラート)、シクロヘキサデカノリドとシクロペンタデカノンとの混合物(Silvanone)、(5E)-3-メチルシクロペンタデカ-5-エン-1-オン(Muscenone)、(E)-2-メトキシ-4-(プロパ-1-エン-1-イル)フェノール(イソオイゲノール)、およびそれらの混合物。
【0091】
以下のフレグランス材料はハッピー-インビゴレーティング効果を有し、したがって、HMIフレグランス成分であることが見出された:シトラス-オレンジ成分、シトラス-マンダリン成分、1-(2-tert-ブチルシクロヘキシル)オキシブタン-2-オール(amber core)、(3aR,5aS,9aS,9bR)-3a,6,6,9a-テトラメチル-2,4,5,5a,7,8,9,9b-オクタヒドロ-1H-ベンゾ[e][1]ベンゾフラン(ambrofixまたはambroxan)、1,5,5,9-テトラメチル-13-オキサトリシクロ(8.3.0.0.(4.9))トリデカン(cetaloxまたはfixambrene)、2,6-ジメチルオクタ-7-エン-2-オール(ジヒドロミルセノール)、3-(1,3-ベンゾジオキソール-5-イル)-2-メチルプロパナール(helionalまたはtropional)、(2-tert-ブチルシクロヘキシル)アセタート(agrumex)、1-(2,6,6-トリメチル-1-シクロヘキサ-2-エニル)ブタ-3-エン-1-オン(ダマスコンアルファ)、2,4-ジメチル-3-シクロヘキセン-1-カルボアルデヒド(cyclal Cまたはtricyclalまたはリグストラール)、4-アリル-2-メトキシフェノール(オイゲノール)、およびそれらの混合物。
【0092】
以下のフレグランス材料はリラックス効果を有し、したがって、RMPフレグランス成分であることが見出された:2-(4-メチルシクロヘキサ-3-エン-1-イル)プロパン-2-オール(テルピネオール)、ヘキシル2-ヒドロキシベンゾアート(ヘキシルサリチラート)、ジャスミンオイル、7-ヒドロキシ-3,7-ジメチルオクタナール(ヒドロキシシトロネラール)、3-メチル-5-フェニルペンタノール(Mefrosol)、2-(フェノキシ)エチル2-メチルプロパノアート(フェノキシエチルイソブチラート)、(12E)-1-オキサシクロヘキサデカ-12-エン-2-オン(Habanolide)、4-メトキシベンズアルデヒド(オーベピンパラクレゾール、アニシックアルデヒド)、ベンゾインレジノイド、3-エトキシ-4-ヒドロキシベンズアルデヒド(エチルバニリン)、4-ヒドロキシ-3-メトキシベンズアルデヒド(バニリン)、2-エチル-4(2',2',3'-トリメチルシクロペンタ-3-エニル)ブタ-エノール(BangalolまたはRadjanol)、2-メチル-1-フェニルプロパン-2-イルブタノアートと(フェノキシ)エチル2-メチルプロパノアートとの混合物(Prunella)、およびそれらの混合物。
【0093】
以下のフレグランス材料はインビゴレーティング効果を有し、したがって、IMPUフレグランス成分であることが見出された:アロマティック-ユーカリ成分、アロマティック-ミント成分、アロマティック-ローズマリー成分、シトラス-ライム成分、スパイシー-ペッパー成分、シトラス-フローラル/レモン成分、ラバンジンオイル、パチョリオイル、クラリーセージオイル、オレンジフラワーオイル、グアイアックウッドオイル、オークモスオイル、リツエアクベバオイル、シトラール、ベンジル2-ヒドロキシベンゾアート(ベンジルサリチラート)、2-メチル-3-(4-(1-メチルエチル)フェニル)プロパナール(シクラメンアルデヒド)、3-(4-エチルフェニル)-2,2-ジメチルプロパナール(floralozone)、プロパ-2-エニル2-(3-メチルブトキシ)アセタート(アリルアミルグリコラート)、プロパ-2-エニル2-シクロヘキシルオキシアセタート(cyclogalbanate)、4-メチル-2-(2-メチルプロパ-1-エン-1-イル)テトラヒドロ-2H-ピラン(ローズオキシド)、1-[(2Z,5Z,9Z)-2,6,10-トリメチルシクロドデカ-2,5,9-トリエン-1-イル]エタノン(trimofix Oまたはcyclisone)、メチル2,4-ジヒドロキシ-3,6-ジメチルベンゾアート(EvernylまたはEverniate)、2,6-ジメチルヘプタン-2-オール(dimetol)、3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエン-3-イルアセタート(リナリルアセタート)ファーバルサムオイル、パインニードルベース、およびそれらの混合物。
【0094】
本明細書で有用なパフューム成分を記述するために自明な名称が使用される場合、熟練したパフューマーは、これらが香料の当技術分野で共通して使用される名称であることを理解するであろう。しかしながら、熟練したパフューマーはまた、これらの成分が、他の自明な同義語、CAS登録番号によって、またはIUPAC命名法などのより正式な命名法によって知られてもよいことを理解するであろう。その上、熟練したパフューマーは、これらの他の自明な同義語、ならびにより正式な命名法に精通しているか、または少なくとも、パフューマーのパレットに含有されるパフューム成分の自明な名称、登録番号、およびより正式な命名法の包括的なリストを含有する、The Good Scents Companyのウェブサイトなどの標準的な参照ワークに通じているだろう。
【0095】
パフューム組成物および個々のパフューム成分は、それらの匂いの属性によって特徴付けられてもよい。パフュームの作出は科学パートおよび芸術パートであり、パフューム組成物およびパフューム成分の匂いの属性について絶対的に規定された定義はないが、それにもかかわらず、一部の主観に対するマージンがあることを認識する訓練されたパフューマーは、パフューム組成物および成分を一般的な匂いの記述子および匂いのファミリーに割り当てることが可能であろう。
【0096】
匂いのファミリーは、匂い空間の一般的な記述を提供し、かつそれらの数は通常限定されている。これ故に、香料に使用され、かつ本発明のコンテキストにおいて特に有用な成分の大部分は、「アルデヒディック」、「アンベリー」、「アニマリック」、「アロマティック/ハーバル」、「シトラス」、「アーシー」、「フローラル」、「フルーティー」、「グリーン」、「ムスキー」、「ロースティッド」、「スパイシー」、「スイート」、「ウォータリー」、および「ウッディ」からなる群から選択される匂いのファミリーの小さなセットによって記述されてもよい。
【0097】
匂いの記述子は、ファミリー内のパフューム組成物または成分の匂いのより正確な記述を提供する。それらはより豊富であり、かつそれらの数および多様性はしばしば限定がない。匂いの記述子の例は、限定されないが、「アルデヒドゼスト」、「アーモンド」、「アンバードライ」、「アンバーグリス」、「アニスタラゴン」、「アップル」、「アルモイズ」、「バルサム」、「バナナ」、「ブラックカラント」、「バター」、「キャンディードフルーツ」、「キャラウェイシード」、「シダー」、「シナモン」、「シトロネラ」、「クローブ」、「ココア」、「ココナッツ」、「コニフェラス」、「クックドシュガー」、「コパイバ」、「コリアンダーリーフ」、「キューカンバー」、「ユーカリ」、「フィーカル」、「フローラル-レモン」、「フリージア」、「ガルバナム」、「グレープフルーツ」、「グラス」、「ヘリオトロープ」、「ジャスミン」、「ラベンダー」、「リーフ」、「レザー」、「レモン」、「リコリス-フェヌグリーク」、「リリーオブザバレー」、「ライム」、「リカー」、「レイチ」、「マンダリン」、「マンゴー」、「メディシナル」、「メロン」、「メタリック」、「ミルククリーム」、「ミント」、「モラセス」、「モス」、「マッシュルーム」、「ムスク」、「ムスクトンキン」、「ナッツ」、「オレンジ」、「オレンジフラワー」、「オリス」、「パッションフルーツ」、「パチョリ」、「ピーチ」、「ペアー」、「ペッパー」、「パイナップル」、「ラズベリー」、「ルバーブ」、「ローズ」、「ローズマリー」、「サンダルウッド」、「シーウォーター」、「ソーラー」、「ストロベリー」、「テルペニック」、「タイム」、「トンカ」、「バニラ」、「ベチバー」、「バイオレット」、および「ワックス」を包含する。
【0098】
匂いのファミリーおよび匂いの記述子のこの選択は、熟練したパフューマーが、パフューマーのパレットに含有されるすべてのパフューム成分の匂いを特徴付けることを可能にする。それにもかかわらず、訓練されたパフューマーにとって、この説明の内容をまとめてそれらの共通の一般的な知識と一緒に読むこと、それは、その周りに主観が存在するこの語彙のパートまたはすべてを改変することに過度の負担を提示せず、かつそのような改変が、ハピネスの知覚に肯定的なインパクトを与えるのに有用なパフューム成分の選択にインパクトを与えないだろう。
【0099】
フルーティー-キャンディードフルーツ成分、フルーティー-ストロベリー成分、フルーティー-ラズベリー成分、フルーティー-パイナップル成分、シトラス-オレンジ成分、およびシトラス-マンダリン成分のそれぞれの具体例が以下に提供される。
【0100】
この出願を通して、「オイル」という用語は、完全に天然のエッセンシャルオイルおよびエキストラクト、ならびに天然のエッセンシャルオイルおよびエキストラクトに由来するオイル、ならびに追加の成分を含んでもよい改変されたエッセンシャルおよびエキストラクトを抽出方法にかかわらず網羅することが意味される。「オイル」という用語はまた、対応するエッセンシャルオイルに同様の匂いの印象を提供する成分の任意の再構成または混合物をさらに網羅することが意味される。
【0101】
この出願を通して使用される場合、「テルピネオール」という用語は、テルピネオールの単一異性体(例を挙げると、アルファテルピネオール)、ならびにテルピネオールの2つまたはそれを超える異性体の混合物を指す。
【0102】
本発明はさらに、ヒト対象のハピネス状態を改善するためのフレグランス組成物を提供する。
【0103】
フレグランス組成物は、以下の群から選び出された少なくとも75%、好ましくは少なくとも85%のフレグランス成分を含む:
a)総計で少なくとも約5重量%の少なくとも3種のHMPフレグランス成分;
b)場合により総計で最大約95重量%のHMR、HMI、IMPU、RMPおよび/またはGENフレグランス成分、ただし、以下の条件が満たされる場合に限る:
(b1) HMP+HMR≧IMPU
(b2) HMP+HMI≧RMP
(b3) HMR+HMI+HMP+GEN≧65%;
(b4) HMP/(HMP+RMP+IMPU)≧0.35
(b5) HMP/(HMP+RMP+IMPU)+(100-総計)≧0.2。
【0104】
上記の配合ガイドラインでは、すべてのパーセンテージは、フレグランス組成物を構成するフレグランス成分の総重量に基づく。これは、溶媒、希釈剤および他の無臭ビヒクルが計算において勘案されないことを意味する。
【0105】
HMPは、HMPフレグランス成分のパーセンテージの合計を指し示し;HMRは、HMRフレグランス成分のパーセンテージの合計を指し示し;HMIは、HMIフレグランス成分のパーセンテージの合計を指し示し;IMPUは、IMPUフレグランス成分のパーセンテージの合計を指し示し;RMPは、RMPフレグランス成分のパーセンテージの合計を指し示し;GENは、GENフレグランス成分のパーセンテージの合計を指し示し;かつ総計は、HMP、HMR、HMI、IMPU、RMP、およびGENの合計を指し示す;ただし、匂いの少ないまたは無臭の溶媒、希釈剤および他のビヒクルは、これらの合計の計算から除外されることを条件とする。
【0106】
記号≧は、少なくとも等しいことを指し示す。
【0107】
本発明は、消費者試験およびfNIRSを使用した脳活動の測定による、フレグランス材料の広範な試験に基づく。結果として生じるデータの統計学的分析は、フレグランス材料を異なるカテゴリーに分類することを可能にした:
- HMPは、ハッピームードに強く関連付けられる成分またはベースを含む;
- HMRは、ハッピーおよびリラックスムードの両方をサポートしてもよい成分を含む;
- HMIは、ハッピーおよびインビゴレーティングムードの両方をサポートしてもよい成分を含む;
- RMPは、リラックスムードを強くサポートし、ならびに/またはハッピーおよびインビゴレーティングムードに負のインパクトを与える成分を含む;
- IMPUは、インビゴレーティングムードを強くサポートする成分を含む;および
- GENは、様々なムードをサポートしてもよい成分を含む。
【0108】
これらの呼称は、ここに開示される用量およびパターンの制約の下で当業者(例を挙げると、パフューマー)によって使用される場合、成分に関連することが強調されなければならない。
【0109】
HMPフレグランス成分は、フルーティー-キャンディードフルーツ成分(ダマスコンアルファを除外)、フルーティー-ストロベリー成分、フルーティー-ラズベリー成分、フルーティー-パイナップル成分、グレープフルーツオイル、6,6-ジメトキシ-2,5,5-トリメチルヘキサ-2-エン(メチルパンプルムース)、ヘキセニル-3-サリチラート、イランイランオイル、エチル3-オキソブタノアート(エチルアセトアセタート)、5-ヘキシルオキソラン-2-オン(ガンマデカラクトン)、5-オクチルオキソラン-2-オン(ドデカラトンガンマ)、2,2,5-トリメチル-5-ペンチルシクロペンタン-1-オン(veloutone)、ヘキシルアセタート、カシスベース、1-フェニルエチルアセタート(スチラリルアセタート)、(E)-4-メチルデカ-3-エン-5-オール(undecavertol)、2-エチル-3-ヒドロキシピラン-4-オン(エチルマルトール)、8-メチル-1,5-ベンゾジオキセピン-3-オン(calone)、1-[(1R,2R,5S,7R)-2,6,6,8-テトラメチル-9-トリシクロ[5.3.1.01,5]ウンデカ-8-エニル]エタノン(メチルセドリルケトンまたはvertofix coeur)、およびそれらの混合物からなる群から選択される。
【0110】
フルーティー-キャンディードフルーツ成分(ダマスコンアルファを除外)は、限定されないが、例を挙げると、(E)-1-(2,6,6-トリメチルシクロヘキサ-1,3-ジエン-1-イル)ブタ-2-エン-1-オン(ダマセノン)、ジメチルベンジルカルビニルブチラート、(E)-1-(2,6,6-トリメチル-1-シクロヘキセニル)ブタ-2-エン-1-オン(ダマスコンベータ)、(E)-1-(2,2-ジメチル-6-メチリデンシクロヘキシル)ブタ-2-エン-1-オン(ダマスコンガンマ)、(E)-1-(2,6,6-トリメチル-1-シクロヘキサ-3-エニル)ブタ-2-エン-1-オン(ダマスコンデルタ)、タゲテスオイル、エチル2-エチル-6,6-ジメチルシクロヘキサ-2-エン-1-カルボキシラート(givescone)、エチル2,6,6-トリメチルシクロヘキサ-1,3-ジエン-1-カルボキシラート(エチルサフラナート)、エチル2,6,6-トリメチルシクロヘキサ-1,3-ジエン-1-カルボキシラート(cristalon)、(2E,5Z)-5,6,7-トリメチルオクタ-2,5-ジエン-4-オン(pomerose)、(3α,4β,7β,7α)-オクタヒドロ-4,7-メタノ-3aH-インデン-3a-カルボン酸エチルエステル(fruitate)を包含する。
【0111】
フルーティー-ストロベリー成分は、限定されないが、例を挙げると、ベンジルシンナマート、エチル3-メチル-3-フェニルオキシラン-2-カルボキシラート(ストロベリーピュア)、エチルブタノアート(エチルブチラート)、エチル2-メチルプロピオナート(エチルイソブチラート)、エチルシクロヘキサンカルボキシラート(esterly)、エチルシンナマート、メチルシンナマート、ベンジルシンナマート、エチルフェニルグリシダート、フェニルエチルブチラート、ベンジルブチラート、エチルイソバレラート、フェニルエチルイソバレラート、および2-オクテン-4-オンを包含する。
【0112】
フルーティー-ラズベリー成分は、限定されないが、例を挙げると、4-(4-ヒドロキシフェニル)ブタン-2-オン(ラズベリーケトン)、メチオキシフェニルブタノン、およびエチル6-アセチルオキシヘキサノアート(berryflor)を包含する。
【0113】
フルーティー-パイナップル成分は、限定されないが、例を挙げると、プロパ-2-エニル3-シクロヘキシルプロパノアート(アリルシクロヘキシルプロピオナート)、プロパ-2-エニルヘプタノアート(アリルオエナンタート)、エチルオクタノアート(エチルオエナンタート)、3-メチルブチルオクタノアート(イソアミルカプロアート)、メチルヘキサノアート、エチルヘキサノアート、ペンチルヘキサノアート(アミルカプロアート)、フェニルエチルイソブチラート、アリルプロピオナート、およびメチルオクタノアートを包含する。
【0114】
カシスベースは、カシスの再構成、すなわち、カシスの香りに似たフレグランス成分の混合物である。
【0115】
HMRフレグランス成分は、レモンオイル、(E)-3,7-ジメチルノナ-1,6-ジエン-3-オール(エチルリナロール)、ベンジルアセタート、3-メチル-2-[(Z)-ペンタ-2-エニル]シクロペンタ-2-エン-1-オン(ジャスモン-シス)、2-(2'-メチルプロピル)-4-ヒドロキシ-4-メチルテトラヒドロピラン(Florosa)、(E)-1-(2,6,6-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-イル)ヘプタ-1,6-ジエン-3-オン(cetone V)、N-1-(2,6,6-トリメチル-1-シクロヘキサ-2-エニル)ペンタ-1-エン-3-オン(Isoraldeine)、3,7-ジメチルオクタ-6-エン-1-オール(シトロネロール)、(E)-3,7-ジメチルオクタ-2,6-ジエン-1-オール(ゲラニオール)、ゼラニウムオイル、4-(4-ヒドロキシ-4-メチルペンチル)シクロヘキサ-3-エンカルボアルデヒド(Lyral、Cyclohexal)、5-ヘプチルジヒドロフラン-2(3H)-オン(ピーチピュア、ウンデカラクトンガンマ)、1,4-ジオキサシクロヘプタデカン-5,17-ジオン(エチレンブラシラート)、シクロヘキサデカノリドとシクロペンタデカノンとの混合物(Silvanone)、(5E)-3-メチルシクロペンタデカ-5-エン-1-オン(Muscenone)、(E)-2-メトキシ-4-(プロパ-1-エン-1-イル)フェノール(イソオイゲノール)、およびそれらの混合物からなる群から選択される。
【0116】
HMIフレグランス成分は、シトラス-オレンジ成分、シトラス-マンダリン成分、1-(2-tert-ブチルシクロヘキシル)オキシブタン-2-オール(amber core)、(3aR,5aS,9aS,9bR)-3a,6,6,9a-テトラメチル-2,4,5,5a,7,8,9,9b-オクタヒドロ-1H-ベンゾ[e][1]ベンゾフラン(ambrofixまたはambroxan)、,5,5,9-テトラメチル-13-オキサトリシクロ(8.3.0.0.(4.9))トリデカン(cetaloxまたはfixambrene)、2,6-ジメチルオクタ-7-エン-2-オール(ジヒドロミルセノール)、3-(1,3-ベンゾジオキソール-5-イル)-2-メチルプロパナール(helionalまたはtropional)、(2-tert-ブチルシクロヘキシル)アセタート(agrumex)、1-(2,6,6-トリメチル-1-シクロヘキサ-2-エニル)ブタ-3-エン-1-オン(ダマスコンアルファ)、2,4-ジメチル-3-シクロヘキセン-1-カルボアルデヒド(cyclal Cまたはtricyclalまたはリグストラール)、4-アリル-2-メトキシフェノール(オイゲノール)、およびそれらの混合物からなる群から選択される。
【0117】
シトラス-オレンジ成分は、限定されないが、例を挙げると、オレンジオイル、オレンジテルペン、およびオレンジアルデヒドを包含する。
【0118】
シトラス-マンダリン成分は、限定されないが、例を挙げると、マンダリンオイル、タンジェリンオイル、(E)-6,10-ジメチルウンデカ-5,9-ジエン-2-イルアセタート(タンジェリノール)、メチル2-メチルアミノベンゾアート(ジメチルアントラニラート)、およびオクタノール-3を包含する。
【0119】
IMPUフレグランス成分は、アロマティック-ユーカリ成分、アロマティック-ミント成分、アロマティック-ローズマリー成分、シトラス-ライム成分、スパイシー-ペッパー成分、シトラス-フローラル/レモン成分、ラバンジンオイル、パチョリオイル、クラリーセージオイル、オレンジフラワーオイル、グアイアックウッドオイル、オークモスオイル、リツエアクベバオイル、シトラール、ベンジル2-ヒドロキシベンゾアート(ベンジルサリチラート)、2-メチル-3-(4-(1-メチルエチル)フェニル)プロパナール(シクラメンアルデヒド)、3-(4-エチルフェニル)-2,2-ジメチルプロパナール(floralozone)、プロパ-2-エニル2-(3-メチルブトキシ)アセタート(アリルアミルグリコラート)、プロパ-2-エニル2-シクロヘキシルオキシアセタート(cyclogalbanate)、4-メチル-2-(2-メチルプロパ-1-エン-1-イル)テトラヒドロ-2H-ピラン(ローズオキシド)、1-[(2Z,5Z,9Z)-2,6,10-トリメチルシクロドデカ-2,5,9-トリエン-1-イル]エタノン(trimofix Oまたはcyclisone)、メチル2,4-ジヒドロキシ-3,6-ジメチルベンゾアート(EvernylまたはEverniate)、2,6-ジメチルヘプタン-2-オール(dimetol)、3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエン-3-イルアセタート(リナリルアセタート)ファーバルサムオイル、パインニードルベース、およびそれらの混合物からなる群から選択される。
【0120】
アロマティック-ユーカリ成分は、限定されないが、例を挙げると、ユーカリオイルおよび1-8シネオール(ユーカリプトール)を包含する。
【0121】
アロマティック-ミント成分は、限定されないが、例を挙げると、ペパーミントオイル、スペアミントオイル、L-およびD/L-2-イソプロピル-5-メチルシクロヘキサノール(L-およびDL-メントール)、[(1R,2S,5R)-5-メチル-2-プロパン-2-イルシクロヘキシル]アセタート(メンチルアセタート)、2-ブタン-2-イルシクロヘキサン-1-オン(freskomenthe)、5-メチル-2-プロパ-1-エン-2-イルシクロヘキサン-1-オール(イソプレゴール)、D/L-およびL-2-イソプロピル-5-メチルシクロヘキサノン(D/L-およびL-メントン)、ならびにL-およびD/L-2-イソプロピル-5-メチルシクロヘキサノン(L-およびラセミイソメントン)を包含する。
【0122】
アロマティック-ローズマリー成分は、限定されないが、例を挙げると、ローズマリーオイル、(1R,2S,4R)-1,7,7-トリメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2-オール(ボルネオール)、(1R,4S,6R)-1,7,7-トリメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン-6-オール(イソ-ボルネオール)、1,7,7-トリメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2-オン(カンファー)、8,8-ジメチル-9-プロパン-2-イル-6,10-ジオキサスピロ[4.5]デカン(opalal)、2-(5-メチル-5-ビニルテトラヒドロ-2-フラニル)-2-プロパノール(リナロールオキシド)、トランス-メチル1,4-ジメチル-シクロヘキサンカルボキシラート(cyprisate)、2-エテニル-2,6,6-トリメチルオキサン(limetol)、および2-ブチル-4,4,6-トリメチル-1,3-ジオキサン(ヘルボキサン)を包含する。
【0123】
シトラス-ライム成分は、限定されないが、例を挙げると、ライムオイル、ライムテルペン、ライムオキシド、1-メチル-4-(プロパ-1-エン-2-イル)シクロヘキサ-1-エン(ジペンテン)、1-メチル-4-プロパン-2-イリデンシクロヘキセン(テルピノレン)、(E)-3,7-ジメチルオクタ-1,3,6-トリエン(オシメン)、1,1-ジエトキシ-3,7-ジメチルオクタ-2,6-ジエン(citrathal)、エレミオイル、(4-メチル-1-イソプロピルベンゼン(パラ-シメン)、および3,7,7-トリメチルビシクロ[4.1.0]ヘプタ-3-エン(デルタ-3-カレン)を包含する。
【0124】
スパイシー-ペッパー成分は、限定されないが、例を挙げると、ジンジャーオイル、ナツメグオイル、オリバナムオイル、カルダモンオイル、コパイババルサムオイル、クルクマオイル、ペッパーオイル、および(4Z)-4,11,11-トリメチル-8-メチレンビシクロ[7.2.0]ウンデカ-4-エン(カリオフィレン)を包含する。
【0125】
シトラス-フローラル/レモン成分は、限定されないが、例を挙げると、ベルガモットオイル、コリアンダーオイル、およびコリアンダーシードオイルを包含する。
【0126】
パインニードルベースは、パインニードルの再構成、すなわち、パインニードルの香りに似たフレグランス成分の混合物である。
【0127】
RMPフレグランス成分は、2-(4-メチルシクロヘキサ-3-エン-1-イル)プロパン-2-オール(テルピネオール)、ヘキシル2-ヒドロキシベンゾアート(ヘキシルサリチラート)、ジャスミンオイル、7-ヒドロキシ-3,7-ジメチルオクタナール(ヒドロキシシトロネラール)、3-メチル-5-フェニルペンタノール(Mefrosol)、2-(フェノキシ)エチル2-メチルプロパノアート(フェノキシエチルイソブチラート)、(12E)-1-オキサシクロヘキサデカ-12-エン-2-オン(Habanolide)、4-メトキシベンズアルデヒド(オーベピンパラクレゾール、アニシックアルデヒド)、ベンゾインレジノイド、3-エトキシ-4-ヒドロキシベンズアルデヒド(エチルバニリン)、4-ヒドロキシ-3-メトキシベンズアルデヒド(バニリン)、2-エチル-4(2',2',3'-トリメチルシクロペンタ-3-エニル)ブタ-エノール(BangalolまたはRadjanol)、2-メチル-1-フェニルプロパン-2-イルブタノアートと(フェノキシ)エチル2-メチルプロパノアートとの混合物(Prunella)、およびそれらの混合物からなる群から選択される。
【0128】
GENフレグランス成分は、3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエン-3-オール(リナロール)、メチル3-オキソ-2-ペンチルシクロペンタンアセタート(メチルジヒドロ-ジャスモナート、cepionate、hedione)、ヘキシルシンナミックアルデヒド、3-(4-(1,1-ジメチルエチル)フェニル-2-メチルプロパナール(Lilial)、(E)-4-(2,6,6-トリメチルシクロヘキサ-1-エン-1-イル)ブタ-3-エン-2-オン(イオノンベータ)、2-フェニルエチルアルコール、1-(2,3,8,8-テトラメチル-1,3,4,5,6,7-ヘキサヒドロナフタレン-2-イル)エタノン(sylvamberまたはiso e superまたはイソガンマスーパー)、1,15-ペンタデカノリド(Thibetolide)、(イソカンピル-5)シクロヘキサノール(sandela)、(3R,3aS,6R,7R,8aS)-オクタヒドロ-6-メトキシ-3,6,8,8-テトラメチル-1H-3a,7-メタノアズレン(セドリルメチルエーテル)、およびそれらの混合物からなる群から選択される。
【0129】
発明のフレグランス組成物は、最大25%の他のフレグランス成分をさらに含んでもよく、これらは、上で指摘されたように、無臭または匂いの少ない溶媒または希釈剤を除外して、上記の群のいずれかのメンバーであるとして本明細書において指定されない。それらは、単一成分、または合成および天然(例えばエッセンシャルオイル)の両方の混合物であってもよく、かつ例を挙げると、Bauer、GarbeおよびSurburgによる「Common Fragrance and Flavor Materials」、VCH Publ.、第2版(1990)、および「Perfume and Flavour Materials」、Steffen Arctander、この著者によって2巻で出版(1969)、また、Arctanderによる「Perfume and Flavor Materials of Natural Origin」(1960)、およびPerfume & Flavor Chemicals」、S. Arctander(Allured Publishing、1994)、ならびにこの仕事の後の版によく記述されており、それらに含有されるパフューム成分は参照により本明細書に組み込まれる。
【0130】
本発明のパフューム組成物は、実質的に無臭の成分をさらに含有してもよい。本発明のコンテキストにおいて、「実質的に無臭」とは、成分が匂いを有しないこと、またはその匂いが弱く、かつしばしばほとんど知覚できないことを意味する。これらの実質的に無臭の成分は、パフューム組成物中にパフューム成分と併せて従来使用されている賦形剤、例えば担体材料、および当技術分野で共通して使用される他の補助剤、例を挙げると、ジプロピレングリコール(DPG)、イソプロピルミリスタート(IPM)、ベンジルベンゾアート(BB)、プロピレングリコール(PG)およびトリエチルシトラート(TEC)などの溶媒;ミネラルオイルおよびベジタブルオイル;ならびに抗酸化剤を包含する。そのため、これらの実質的に無臭の成分は、本発明のコンテキストにおいてパフューム成分であるとは考慮されない。特に、重量パーセンテージを計算する場合、溶媒は勘案されない。
【0131】
本発明のパフューム組成物は、遊離オイルの形態で提示されてもよく、またはそれらは封入されてもよい。パフューム組成物を封入するためのいくつかの封入媒体が当技術分野で知られている。特定の封入媒体は、メラミン-ホルムアルデヒド樹脂、ポリ尿素、ポリアミド、ならびにアクリル酸、メタクリル酸およびそれらのエステルのコポリマーなどのアミノプラスト樹脂から形成されたマイクロカプセルを包含する。あるいは、封入媒体は、多糖類またはタンパク質などの天然または改変された天然ポリマーから形成されてもよい。
【0132】
本発明のフレグランス組成物の上記の定義は、組成物のヘドニック特性の考慮を容認するのに十分な配合の自由度を提供する。発明は、このように、人々をハッピーにし、かつ良好なヘドニック特性も有するようにするフレグランス組成物の配合を可能にすることができる。
【0133】
本発明は、ポジティブなハッピームードおよび感情を誘導するかまたはそれらと関連付けられる可能性があるフレグランス組成物をどのように信頼できるように配合するかを記述する。効果は、それらが信頼できるようにかつ再現可能に測定されることでできるように十分に顕著である。本明細書に開示される教示によって作製されるフレグランス組成物は、ヘドニックに心地よく、広範囲の消費者製品に適しており、かつたとえ追加された機能性を保有していなくても適切であろう十分な心地よさ/受容性であることができる。加えて、発明のフレグランス組成物は、標的消費者群(例を挙げると、英国人対アメリカ人)の変動に対して弾力性であることができ、かつ例えば、UK、フランス、USAおよびブラジルの消費者にとって、一貫してハッピー、ジョイフル、陽気等として知覚されることが見出された。
【0134】
発明に従ったフレグランス組成物は、
a)ハッピーな、高揚した、夢中な、恍惚な、快活な、気楽な、陶酔した、興奮した、喜んでいる、陽気な、楽観的なおよび満足したなどのポジティブなムード状態を促進すること:試験対象は、フレグランス組成物を組み込んだ消費者製品をスメリングまたは使用した後に、よりハッピーであると感じ、かつ製品自体がよりハッピーな香りを伝えると報告した;
b)うつ状態、ストレスの多い状態、いらいらする、または退屈なムード状態などのネガティブなムード状態を促進しないこと
が見出された。
【0135】
「ハッピー」成分のレベル、特にHMP群のそれらを増加させることは、フレグランス組成物がハピネスの状態を増強するのに適した特徴を有するだろう可能性を増加させる。他の成分、特にインビゴレーティング(IMPU)またはリラックス(RMP)ムードに高度に寄与する成分は、この利益が達成される可能性を低減させる。
【0136】
ある態様において、フレグランス組成物は、総計で少なくとも約10重量%、より好ましくは少なくとも約15重量%のHMPフレグランス成分を含む。
【0137】
ある態様において、フレグランス組成物は、少なくとも4種のHMPフレグランス成分、より好ましくは少なくとも5種のHMPフレグランス成分を含む。フレグランス成分の数を増加させることによって、フレグランス組成物のヘドニックが改善される。
【0138】
ある態様において、フレグランス組成物は、以下の群の1つまたは複数から選択される少なくとも1種のHMP、HMIおよび/またはHMRフレグランス成分を含む:
-(E)-1-(2,6,6-トリメチルシクロヘキサ-1,3-ジエン-1-イル)ブタ-2-エン-1-オン(ダマセノン)、ジメチルベンジルカルビニルブチラート、(E)-1-(2,6,6-トリメチル-1-シクロヘキセニル)ブタ-2-エン-1-オン(ダマスコンベータ)、(E)-1-(2,2-ジメチル-6-メチリデンシクロヘキシル)ブタ-2-エン-1-オン(ダマスコンガンマ)、(E)-1-(2,6,6-トリメチル-1-シクロヘキサ-3-エニル)ブタ-2-エン-1-オン(ダマスコンデルタ)、タゲテスオイル、エチル2-エチル-6,6-ジメチルシクロヘキサ-2-エン-1-カルボキシラート(givescone)、エチル2,6,6-トリメチルシクロヘキサ-1,3-ジエン-1-カルボキシラート(エチルサフラナート)、エチル2,6,6-トリメチルシクロヘキサ-1,3-ジエン-1-カルボキシラート(cristalon)、(2E,5Z)-5,6,7-トリメチルオクタ-2,5-ジエン-4-オン(pomerose)、(3α,4β,7β,7α)-オクタヒドロ-4,7-メタノ-3aH-インデン-3a-カルボン酸エチルエステル(fruitate)、およびそれらの混合物からなる群から選択される1種または複数のフルーティー-キャンディードフルーツ成分;
-ベンジルシンナマート、エチル-3-メチル-3-フェニルオキシラン-2-カルボキシラート(ストロベリーピュア)、エチルブタノアート(エチルブチラート)、エチル2-メチルプロピオナート(エチルイソブチラート)、エチルシクロヘキサンカルボキシラート(esterly)、エチルシンナマート、メチルシンナマート、ベンジルシンナマート、エチルフェニルグリシダート、フェニルエチルブチラート、ベンジルブチラート、エチルイソバレラート、フェニルエチルイソバレラート、2-オクテン-4-オン、およびそれらの混合物からなる群から選択される1種または複数のフルーティー-ストロベリー成分;
-4-(4-ヒドロキシフェニル)ブタン-2-オン(ラズベリーケトン)、メチオキシフェニルブタノン、エチル6-アセチルオキシヘキサノアート(berryflor)、およびそれらの混合物からなる群から選択される1種または複数のフルーティー-ラズベリー成分;
-プロパ-2-エニル3-シクロヘキシルプロパノアート(アリルシクロヘキシルプロピオナート)、プロパ-2-エニルヘプタノアート(アリルオエナンタート)、エチルオクタノアート(エチルオエナンタート)、3-メチルブチルオクタノアート(イソアミルカプロアート)、メチルヘキサノアート、エチルヘキサノアート、ペンチルヘキサノアート(アミルカプロアート)、フェニルエチルイソブチラート、アリルプロピオナート、メチルオクタノアート、およびそれらの混合物からなる群から選択される1種または複数のフルーティー-パイナップル成分;
-オレンジオイル、オレンジテルペン、オレンジアルデヒド、およびそれらの混合物からなる群から選択される1種または複数のシトラス-オレンジ成分;および/または
-マンダリンオイル、タンジェリンオイル、(E)-6,10-ジメチルウンデカ-5,9-ジエン-2-イルアセタート(タンジェリノール)、メチル2-メチルアミノベンゾアート(ジメチルアントラニラート)、オクタノール-3、およびそれらの混合物からなる群から選択される1種または複数のシトラス-マンダリン成分。
【0139】
ハッピーフレグランス成分の上記の群は、所望に応じて組み合わされてもよい。
【0140】
ある態様において、成分の量は、HMR+HMI+HMP+GEN≧70%、より好ましくはHMR+HMI+HMP+GEN≧75%、最も好ましくはHMR+HMI+HMP+GEN≧80%となるように選択される。
【0141】
ある態様において、成分の量は、HMP/(HMP+RMP+IMPU)≧0.40、より好ましくはHMP/(HMP+RMP+IMPU)≧0.45、最も好ましくはHMP/(HMP+RMP+IMPU)≧0.50となるように選択される。
【0142】
発明の別の態様は、フレグランス組成物をヒト対象に送達することを含む、ポジティブなムード利益、特にハピネスを該ヒト対象に送達する方法に関する。例として、フレグランスは消費者製品において送達されてもよい。
【0143】
したがって、本発明はまた、発明のフレグランス組成物を含む消費者製品を提供する。
【0144】
本発明のパフューム組成物は、例として、ヒドロ-アルコリックパフューム、デオドラント、制汗剤、スキンケア製品、ヘアケア製品、ランドリーケア製品、ホームケア製品またはエアフレッシュナーなどのすべての様式の消費者製品に望ましい匂いの印象を付与するために使用されてもよい。
【0145】
より特定すれば、本発明のパフューム組成物は、ランドリーケアアプリケーション、ヒト対象のヘアおよび/またはスキンを処置するためのパーソナルケア製品、オーラルケア製品、ならびにエアケア製品に採用されてもよい。
【0146】
消費者製品は、界面活性剤、乳化剤、ポリマー、フィラーおよび溶媒などの様々な機能性成分の配合された混合物を含む。これらの配合された混合物は、通常、「ベース」と称される。
【0147】
特定の消費者製品は、限定されないが、ボディ(すなわち、スキンまたはヘア)、硬質表面(例を挙げると、台所および浴室のワークトップ、セラミック表面)、ファブリックへのアプリケーション、およびエアケアの利益(例を挙げると、エア-フレッシュナー)が意図された消費者製品を包含する。そのような製品は、限定されないが、粉末、バー、スティック、タブレット、クリーム、ムース、ゲル、液体、スプレーおよびシートを包含する、様々な形態をとることができる。そのような製品に含有されるパフューム組成物の割合は、消費者製品の総重量に基づいて、0.05重量%(例えば、匂いの少ないスキンクリーム中として)~100重量%(例えば、エアフレッシュナー中として)の範囲であってもよい。パフューム組成物を消費者製品に組み込む手段は知られている。パフューム組成物を製品に直接組み込むために既存の技術が使用されてもよいし、またはパフューム組成物が担体材料に吸収され、次いで製品に混和されてもよい。
【0148】
本発明のある態様において、消費者製品はランドリーケア製品である。ランドリーケア製品は、粉末および液体洗剤およびファブリック柔軟剤、染み除去剤およびプレウォッシュ処置剤、コンディショナーおよび柔軟剤(標準および濃縮されたコンディショナー、柔軟剤およびドライヤーシートを包含)、ランドリー助剤(染み除去剤、アイロン掛け助剤、ホワイトナーおよびカラーケア製品ならびに他の補助的なファブリックケア製品を包含)、ランドリー洗剤(機械洗浄液体洗剤、粉末、カプセルおよびタブレットを包含する他の機械洗浄洗剤、ならびに手洗浄洗剤、粉末、フレークおよびケーキ/バーを包含)、シートスプレー、衣類スプレー、洗濯パフューム、ドライヤーサシェ、香り付きサシェ、ドライヤーシート、ランドリー石鹸、ランドリー洗剤、デリケート織物用洗剤、アイロン掛けスプレー、スターチ、パフュームシート、ピローミスト、引き出しライナーシート、シダークローゼットスプレー、リネン水、ならびにリフィルならびにそれらの組合せを包含する。
【0149】
発明のある態様において、消費者製品はパーソナルケア製品である。パーソナルケア製品は、石鹸、シャワーゲル、ボディクリーム、ボディローション、ボディミスト、香料、化粧品、浮遊バスオイル、アフターシェーブ、クリーム、ローション、デオドラント(スティックデオドラントを包含)、プレエレクトリックシェーブローション、アフター-シェーブローション、制汗剤、シャンプー、コンディショナー、リンス、スキンケア製品、アイメイクアップ、ボディシャンプー、保護スキン配合物、リップスティック、リップグロス、アフターバススプラッシュ、プレサンおよびサン製品(日焼け止めを包含)を包含する。ヘアまたはスキンと接触し、有効な量、濃度または割合の1種または複数の本発明のパフューム組成物を包含してもよい、事実上任意の化学製品は、本発明によるパーソナルケア製品と考慮されてもよい。
【0150】
本発明のある態様において、消費者製品はエアケア製品である。エアケア製品は、液体電気エア-フレッシュナーデバイス、エアロゾルスプレー、ポンプアクションスプレー、香り付きキャンドル、膜透過デバイス、液体ウィックデバイス、オイルベースのゲルパフューム、および水性ゲルなどの、キャンドルおよびエア-フレッシュナーデバイスを包含する。
【0151】
本発明のある態様において、消費者製品はホームケア製品である。ホームケア製品は、特に、工業用、家庭用または共同用の硬質表面、ならびに織物物品表面の浄化、リンス、ケアまたは処置に使用されることができる;それらは、それで処置された表面に、撥水性、汚れ除去性、防染性、防曇性、表面修復性、防皺性、光沢、潤滑性などの利益を授けること、ならびに/または該ホームケア製品に含まれる活性材料の残留性、インパクトおよび/もしくは有効性を改善することを標的とされる。これ故に、発明によるホームケア組成物は、表面浄化組成物(例えば、ガラス、床、カウンター、バス、便器、シンク、電化製品および家具浄化組成物)、消毒剤(例えば、ゲルを包含するスプレーおよび固体エア消毒剤、ならびにスプレー、固体、液体およびペーストの表面消毒剤)、ワックスならびに他の表面保護および/または研磨用組成物、ならびにラグシャンプーを包含する。
【0152】
また、有効量の発明に従ったフレグランス組成物を対象に投与することを含む、対象、特にヒトにポジティブなムード利益またはハピネス利益を送達する方法も発明のスコープ内に包含される。組成物は、イリテーションを引き起こすことなく(すなわち、非イリタント量)、利益を生成するために適切な量(すなわち、閾値を超える量)で投与されるべきである。任意の所与の組成物の適切な有効量は、例を挙げると、実験によって容易に決定されることができる。効果的であるためには、組成物は対象による吸入として投与されるべきである。
【0153】
したがって、本発明はまた、有効量の発明のフレグランス組成物をヒト対象に提供するステップを含む、ヒト対象のハピネス状態を改善する方法を提供する。
【0154】
本発明を結果としてもたらす研究のコンテキストにおいて、ヒト対象のハピネス状態を改善することができるいくつかのフレグランス成分が同定されている。
【0155】
したがって、本発明はまた、ヒト対象のハピネス状態を改善するためのフレグランス成分の使用に関し、フレグランス成分は、以下からなる群から選択される:
- ジメチルベンジルカルビニルブチラート、(E)-1-(2,6,6-トリメチル-1-シクロヘキセニル)ブタ-2-エン-1-オン(ダマスコンベータ)、(E)-1-(2,2-ジメチル-6-メチリデンシクロヘキシル)ブタ-2-エン-1-オン(ダマスコンガンマ)、(E)-1-(2,6,6-トリメチル-1-シクロヘキサ-3-エニル)ブタ-2-エン-1-オン(ダマスコンデルタ)、タゲテスオイル、エチル2-エチル-6,6-ジメチルシクロヘキサ-2-エン-1-カルボキシラート(givescone)、エチル2,6,6-トリメチルシクロヘキサ-1,3-ジエン-1-カルボキシラート(エチルサフラナート)、エチル2,6,6-トリメチルシクロヘキサ-1,3-ジエン-1-カルボキシラート(cristalon)、(2E,5Z)-5,6,7-トリメチルオクタ-2,5-ジエン-4-オン(pomerose)、(3α,4β,7β,7α)-オクタヒドロ-4,7-メタノ-3aH-インデン-3a-カルボン酸エチルエステル(fruitate)、およびそれらの混合物からなる群から選択される1種または複数のフルーティー-キャンディードフルーツ成分;
- ベンジルシンナマート、エチルブタノアート(エチルブチラート)、エチル2-メチルプロピオナート(エチルイソブチラート)、エチルシクロヘキサンカルボキシラート(esterly)、エチルシンナマート、メチルシンナマート、ベンジルシンナマート、エチルフェニルグリシダート、フェニルエチルブチラート、ベンジルブチラート、エチルイソバレラート、フェニルエチルイソバレラート、2-オクテン-4-オン、およびそれらの混合物からなる群から選択される1種または複数のフルーティー-ストロベリー成分;
- メチオキシフェニルブタノン、エチル6-アセチルオキシヘキサノアート(berryflor)、およびそれらの混合物からなる群から選択される1種または複数のフルーティー-ラズベリー成分;
-エチルオクタノアート(エチルオエナンタート)、3-メチルブチルオクタノアート(イソアミルカプロアート)、メチルヘキサノアート、エチルヘキサノアート、ペンチルヘキサノアート(アミルカプロアート)、フェニルエチルイソブチラート、アリルプロピオナート、メチルオクタノアート、およびそれらの混合物からなる群から選択される1種または複数のフルーティー-パイナップル成分;
- オレンジアルデヒド、およびその混合物からなる群から選択される1種または複数のシトラス-オレンジ成分;および/または
- タンジェリンオイル、(E)-6,10-ジメチルウンデカ-5,9-ジエン-2-イルアセタート(タンジェリノール)、メチル2-メチルアミノベンゾアート(ジメチルアントラニラート)、オクタノール-3、およびそれらの混合物からなる群から選択される1種または複数のシトラス-マンダリン成分。
【0156】
本発明は、以下の非限定的な例によってさらに解説される。
【0157】
実施例1:機能的近赤外分光法試験
タスク
実験プロトコルは2つのパートに分けられた:
第1のパートでは、参加者は、彼らの脳活動が額に置かれたfNIRSキャップを通してモニターされながら、ソルバロッドに提供された15個のシリーズ(5個の異なる匂い条件の3回の連続反復)のフレグランス試料を嗅いだ。fNIRSチャネルは図1に示されているように並べられた。
【0158】
第2のパートでは、彼らは、アンケートを使用して、心地よさ、インビゴレーティング力、リラックス力、ハッピー力、および匂いの強さの次元について各フレグランスを格付けした。この第2のパートの間、彼らの脳活動はモニターされなかった。
【0159】
試料は、典型的には以下のように調製された:各ソルバロッドにおいて、0.8gのニートフレグランスオイルが、ピペットによってポリエステルインサートに置かれた。以前の試験は、0.75gおよび0.85gの間のニートのオイルの範囲が、特性および強度の点でフレグランスの知覚を有意に変更させないだろうことを実証し、したがって、範囲は、結果に影響を与えることなく、任意の脳イメージング試験に許容可能である。オイルが滴下されたら、プラスチックのキャップが直ちにソルバロッドに置かれ、環境におけるフレグランスの拡散を防いだ。次いで、ソルバロッドは、試験に使用される前に少なくとも24時間直立(垂直)ポジションに保たれた。ソルバロッドを24時間静置した後、完全なインサートがオイルに浸漬され、的確に保存された場合(すなわち、ソルバロッドを直射日光または35℃を超える極めて高い温度にさらすことなく)、フレグランスオイルが、オイルに依存して、少なくとも4週間、最大8週間、同じ嗅覚特性(特徴および強度)を維持することを保証する。この時間フレームにおいて、ソルバロッドは、結果を有意に変更させることなく脳イメージング試験に使用されることができる。現在の文書に記述されている試験では、試料は、作出された日から2週間以内に使用された。試料は、普通、作製された時から試験の朝まで4℃の冷蔵庫で保存された。実験者は、使用される前にそれらが室温に到達したことを確実にするように、ソルバロッドが試験の少なくとも2時間前に冷蔵庫から取り出されるようにした。試験前の夕方にそれらを冷蔵庫から取り出し、室温で一晩放置することはまた、以前のトライアルが実証したように、試験結果に対していかなる有意な効果も有しない。
【0160】
第1のパートでは、参加者は目を閉じたままで、提案された数のソルバロッドを嗅ぐように依頼された。彼らは、匂いの知覚に関しないデータにおいていかなる可能な混同の供給源を排除するために、いかなる他のタスクを完了することも求められなかった。各試験において、試料の1つはフレグランスされたベンチマークを含有し、かつ別の1つはいかなるフレグランスも含有しなかった(コントロール試料)。他の2つまたは3つの試料は、試験フレグランスを含有した。3回の繰返しのおかげで、1回のトライアルで試験されたフレグランスの数によって全体的な結果が影響されなかったこと、すなわち、単一の試験で4つまたは5つの異なる条件の試験が全面的に同等であり、かつ研究が完全に比較可能であったことを確認することが可能であった。
【0161】
ソルバロッドの提示順序は半ランダム化された:各ブロックにおいてフレグランスの順序は完全にランダム化された。しかしながら、参加者は、次に続くものに移動する前にブロックにおけるすべての試料を嗅ぐことを完了しなければならず、かつ各ブロックの最初の試料は、2回の連続評価で同じフレグランスを2回嗅ぐことを回避するために、以前のものの最後とは常に異なった。
【0162】
参加者がすべてのソルバロッドを嗅いだ後、fNIRSのキャップを頭部から除去し、自己計時のペースでアンケートを完了した。これは、彼らが各試料を彼らが望むだけ何回もまた嗅ぎ、各質問に回答するのに必要な時間をすべて取ることができたことを意味する。この理由のため、以下のセクションでは、実験手順の第2のパートの具体的なタイムラインは報告されない。
【0163】
タイムライン
すべての参加者は、それぞれ5つの試料の3つのブロックを完了した。3つのブロックは連続しており、かつ参加者は、試験は15個の試料を嗅ぐことが関与することだけが告げられていたので、4つまたは5つの試料のシーケンスが3回繰り返されたことに気づかなかった。参加者は、各試料について、ソルバロッドを手に取り、目を閉じ、30秒間ソルバロッドを嗅ぎ、次いで、ソルバロッドを実験者に戻した後、目を開けて30秒間休息するように依頼された。参加者が明示的に求めた場合、またはfNIRSシグナルがベースラインレベル(新しいトライアルで開始するのに必要な条件)になかった場合、2つの連続する試料間により長い間隔が取られた。後者のケースは、くしゃみなどの参加者からの激しい動きのケースで発生するであろう;しかしながら、回復時間は数秒程度であった。
【0164】
参加者
各研究について、少なくとも15人の健康な成人がこの実験に参加した。試験前に関連する除外基準が同定されていなかったため、参加者の選定において具体的な選択基準(すなわち、利き手、年齢等)は適用されなかった。
【0165】
統計学的分析
統計学的な有意性は、両側スチューデントt検定を使用して検証され、統計学的な有意性の閾値は0.05であった。
【0166】
実施例2:Mood Portraits(登録商標)試験
タスク
Mood Portraits(登録商標)は、フレグランスに対する消費者のムードおよび感情的応答を測定するために、写真を使用する自己報告非言語的方法である。この方法は、参加者が彼らの考えおよび感情を言語化しかつ格付けするよりもむしろ、彼らのフィーリングに合った画像を選択することによって、フレグランスを嗅ぐことに応答して彼らが感じるものを表現することを可能にする。
【0167】
実験プロトコルは2つのパートに分けられた。第1のものでは、参加者は8つのソルバロッドのシリーズを嗅ぎ、各1つを嗅ぎながら、フレグランスを記述するための30枚の写真のセットから選定されるいくつかの写真を選択した。A4のラミネートされたシートにカラーで印刷された30枚の写真がディスプレイボードに並べられた。フレグランスを記述するために各参加者によって選定される写真の数は事前に決定されていなかった:各参加者は、各フレグランスを記述したいと望むだけの数を選定することができた。彼らが選択しなければならなかった写真の最小数は1枚であった。試験の第2のパートでは、彼らは、アンケートを使用して、心地よさ、インビゴレーティング力、リラックス力、ハッピー力、および匂いの強さの次元について各フレグランスを格付けした。
【0168】
ソルバロッドの提示順序は完全にランダム化され、かつ写真は4つの異なるボードに並べられて、レイアウトのランダム化を作出した。8つのフレグランスの各シリーズについて、80人の健康な成人が参加するように依頼された。
【0169】
タイムライン
すべての参加者は、単一セッションの間に8個のフレグランスを嗅ぎ、かつ格付けした。参加者がフレグランスを嗅ぐ時間の限定も、各フレグランスに関連付けられる写真を選択する時間の限定もなかった。これは、参加者が、関連付けられるいかなる時間的プレッシャーもなく、より真実な応答を提供することを可能にした。
【0170】
参加者は、疲労または持ち越し効果を防ぐためにのんびりと休憩が可能とされ、かつ準備ができたと考慮したときにのみ次に続くフレグランスに移動した。
【0171】
参加者
8つのフレグランスを関与させる各試験について、80人の健康な成人が研究に参加するように依頼された。参加者は、嗅覚障害、呼吸条件または香りの感覚を変更させ得る他の個人的条件(例を挙げると、妊娠またはシガレットのようなタバコベースの製品の消費)についてスクリーニングされた。試験前に関連する除外基準が同定されていなかったため、参加者の選定において他の選択基準(すなわち、利き手、年齢、性別等)は適用されなかった。
【0172】
実施例3:試験された組成物
組成物AからPは、fNIRSおよび/またはMood Portraits(登録商標)試験に供された。これらのうち、組成物A、B、C、D、M、N、OおよびPは比較例である;他のすべての組成物は、本発明によるフレグランス組成物である。
【0173】
これらの組成物に含有された成分は、以下の2つの表に指定されている。
【表2-1】
【表2-2】
【表2-3】
【表2-4】
【表2-5】
【表2-6】
【表2-7】
【表2-8】
【表2-9】
【表2-10】
【0174】
実施例4:機能的近赤外分光法試験の結果
実施例4に記述されているフレグランス組成物AからPのfNIRS試験は、実施例1に記述されている方法により行われた。匂いのないコントロールが、ベンチマークとして使用された。
【0175】
第1のレベルとして、条件A1からA6およびB1からB10が調査された:
A1.全脳のデオキシHbが、30秒のスメリング後、統計学的に有意な減少を示す;
A2.右脳半球のデオキシHbが、30秒のスメリング後、統計学的に有意な減少を示す;
A3.全脳の総Hbが、30秒のスメリング後、統計学的に有意な減少を示す;
A4.右脳半球の総Hbが、30秒のスメリング後、統計学的に有意な減少を示す;
A5.右脳半球のデオキシHbが、0~10秒のスメリング後、統計学的に有意な増加を示す;
A6.右脳半球のオキシHbが、5~10秒のスメリング後、統計学的に有意な増加を示す;
B1.チャネル3が、30秒のスメリング後、デオキシHbの統計学的に有意な増加を示す;
B2.チャネル20が、30秒のスメリング後、デオキシHbの統計学的に有意な増加を示す;
B3.チャネル12が、30秒のスメリング後、総Hbの統計学的に有意な減少を示す;
B4.チャネル5が、0~5秒のスメリング後、オキシHbの統計学的に有意な増加を示す;
B5.チャネル4が、0~5秒のスメリング後、総Hbの統計学的に有意な増加を示す;
B6.チャネル5が、0~5秒のスメリング後、総Hbの統計学的に有意な増加を示す;
B7.チャネル11が、0~10秒のスメリング後、オキシHbの統計学的に有意な増加を示す;
B8.チャネル8が、5~10秒のスメリング後、デオキシHbの統計学的に有意な減少を示す;
B9.チャネル10が、5~10秒のスメリング後、デオキシHbの統計学的に有意な減少を示す;
B10.チャネル18が、5~10秒のスメリング後、オキシHbの統計学的に有意な増加を示す。
【0176】
広範な試験に基づいて、フレグランス組成物がハッピー効果を提供するケースでは、6個の条件A1からA6のうちの少なくとも3個(基準A)および/または10個の条件B1からB10のうちの少なくとも5個(基準B)が満たされることが決定された。
【0177】
第1のレベルのfNIRS試験の結果は以下の2つの表に示されている:
【表3-1】
【表3-2】
【0178】
基準Aおよび基準Bのうちの少なくとも1つを満足したそれらの組成物(組成物A~L、NおよびP)について、具体的なfNIRSチャネルおよび時点のさらなる調査が行われた。具体的には、以下のさらなる条件C1からC10のいずれかが満たされるかどうかが試験された:
C1.チャネル4が、30秒のスメリング後、オキシHbの統計学的に有意な増加を示す;
C2.チャネル4が、30秒のスメリング後、総Hbの統計学的に有意な増加を示す;
C3.チャネル19が、30秒のスメリング後、総Hbの統計学的に有意な増加を示す;
C4.チャネル2が、0~5秒のスメリング後、デオキシHbの統計学的に有意な減少を示す;
C5.チャネル8が、0~5秒のスメリング後、デオキシHbの統計学的に有意な減少を示す;
C6.チャネル6が、0~5秒のスメリング後、オキシHbの統計学的に有意な増加を示す;
C7.チャネル12が、0~5秒のスメリング後、オキシHbの統計学的に有意な減少を示す;
C8.チャネル13が、0~5秒のスメリング後、オキシHbの統計学的に有意な増加を示す;
C9.チャネル16が、0~5秒のスメリング後、オキシHbの統計学的に有意な増加を示す;
C10.チャネル6が、5~10秒のスメリング後、オキシHbの統計学的に有意な増加を示す。
【0179】
フレグランス組成物は、20個の条件B1からB10およびC1からC10のうちの少なくとも少なくとも10個が満たされた場合(基準C)、ハピネス状態のより顕著な改善につながったことが見出された。
【0180】
この第2のレベルのfNIRS試験の結果は以下の2つの表に示されている:
【表4-1】
【表4-2】
【0181】
また、基準Dが評価された場合、フレグランス組成物間のさらに良好な区別が可能であることが見出され、これは、以下を求める:
-条件A1からA6のうちの0個または1個が満たされる場合、20個の条件B1からB10およびC1からC10のうちの少なくとも16個、より好ましくは少なくとも17個、最も好ましくは少なくとも18個が満たされること;
-条件A1からA6のうちの2個または3個が満たされる場合、20個の条件B1からB10およびC1からC10のうちの少なくとも12個、より好ましくは少なくとも13個、最も好ましくは少なくとも14個が満たされること;
-条件A1からA6のうちの4個、5個または6個が満たされる場合、20個の条件B1からB10およびC1からC10のうちの少なくとも8個、より好ましくは少なくとも9個、最も好ましくは少なくとも10個が満たされること。
【0182】
基準Dは、基準Cを満足するそれらの組成物(組成物B~L)にのみ適用された。結果は以下の表に示されている:
【表5】
【0183】
追加の基準CおよびDは、フレグランス組成物によって達成されるハピネスに対する効果を予測するための改善された正確性につながることが見出された。その結果、発明のフレグランス組成物を調製するためのルールは、それぞれのフレグランス組成物が最高レベルのfNIRS試験、すなわち、基準Dさえも合格するように考案された。
【0184】
その上、fNIRS試験は、群レベル(すなわち、全脳および/または半球平均)および単一チャネルレベルの両方で非常に特異的な脳シグネチャを示し、参加者に本当にハピネスの感覚を提供するフレグランス組成物およびフレグランス成分のみが合格できるように妥当性試験を徹底する。
【0185】
このように、本発明の組成物は、潜在意識レベルでのハッピー利益を提供することが見出された。
【0186】
実施例5:アンケート結果
以下の表は、実施例2で使用されたアンケートを用いて得られた結果についての例を示す(参加者15人)。実施例3の組成物Jは、試験フレグランスである;匂いのないコントロールがベンチマークとして使用された;かつフレグランス1、2および3は、それぞれ実施例3の化合物D、NおよびPである。
【表6】
【0187】
脳レベルでの概説されたハッピー効果はフレグランスの好みに依存しないことを述べる価値がある:試験フレグランスおよび試験された他のすべてのフレグランス組成物の間の好みスコアに対して行われた対応のあるt検定は有意ではなく、すべてのp値は0.15よりも大きかった。したがって、ハッピー効果はもっぱら組成物に起因するものであり、フレグランスのヘドニックな特徴ではない。その上、上記の表に示されているデータは、単に明示的、宣言的な応答に基づいてムードを差別化する際の消費者試験の限定をハイライトしている。実のところ、同じフレグランスのムード格付け、および試験されたフレグランスにわたるムード格付けの間に有意な差異はない。ハイライトされている唯一の有意な差異は、フレグランスの特異的なムードとは関係しないフレグランスの存在または非存在に関する。
【0188】
実施例6:Mood Portraits(登録商標)試験の結果
fNIRS試験に加えて、実施例2に記述されているようなMood Portraits(登録商標)研究はまた、多数のフレグランス組成物に対しても行われた。
【0189】
本発明に関しては、Mood Portraits(登録商標)研究の結果は、ハッピー/高揚したムードについて分析された。具体的には、ハピネスに関連付けられる写真の選択頻度、およびそれぞれの写真とポジティブなハッピームードとの関連性(一部の写真は、ハピネスと非常に強く関連付けられているが、他の写真については、いくつかの同じように強いものの中に1つの関連性のみである)のグレードが勘案された。
【0190】
数十のフレグランス組成物の比較は、それらのほとんどが、ハピネスに対して非常に同様な効果を有することを示した;しかし、いくつかのフレグランス組成物は、ハッピームードを有意に喚起することができるか、または喚起することができない。
【0191】
図2は、試験されたフレグランス組成物の一部、名前を挙げれば、実施例3の組成物I(発明による)およびN(比較例)、ならびに組成物QからW(これらはこの開示において以前に記述されていない)の結果を示す。
【0192】
より厳密には、図2は、ハッピー/高揚したムードのオッズ比を示し、各フレグランス組成物について、他の組成物よりも多くまたは少なくハッピームードを喚起するかどうかを指し示す。オッズ比はドットとして示されている。フレグランス組成物のオッズ比の95%信頼区間が1.0の有意性のラインを完璧に上回る場合、該フレグランス組成物は、よりハッピーなムードを有意に喚起し、かつ図2において矢印によってマークされている;フレグランス組成物の95%信頼区間が1.0の有意性のラインを完璧に下回る場合、該フレグランス組成物は、より少ないハッピームードを有意に喚起する。
【0193】
このように、図2から分かることができるように、本発明によるフレグランス組成物である組成物Iは、他のすべてのフレグランス組成物よりも有意に大きくハッピー/高揚したムードを喚起することができる。組成物NおよびQからWは、本質的に有意性のライン上にある。
【0194】
このように、Mood Portraits(登録商標)の結果は、fNIRS研究においてハッピーであることが見出され、かつ本発明の配合ガイドラインにも適合する組成物Iが、他のフレグランス組成物の大部分と比較して、よりハピネスを有意に喚起することを確認する。
図1
図2
【国際調査報告】