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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-23
(54)【発明の名称】投薬カプセル
(51)【国際特許分類】
   A61J 3/07 20060101AFI20240816BHJP
【FI】
A61J3/07 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024515287
(86)(22)【出願日】2022-09-09
(85)【翻訳文提出日】2024-04-29
(86)【国際出願番号】 CN2022118123
(87)【国際公開番号】W WO2023036296
(87)【国際公開日】2023-03-16
(31)【優先権主張番号】202111060451.0
(32)【優先日】2021-09-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523162753
【氏名又は名称】アンコン テクノロジーズ カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】ANKON TECHNOLOGIES CO., LTD
【住所又は居所原語表記】No.666, GaoXin Avenue, East Lake Hi-Tech Development Zone Wuhan, Hubei 430000 China
(74)【代理人】
【識別番号】100104226
【弁理士】
【氏名又は名称】須原 誠
(72)【発明者】
【氏名】ヤンダイ ティェンイー
(72)【発明者】
【氏名】バオ ユーフゥイ
(72)【発明者】
【氏名】ミン ファンファ
(72)【発明者】
【氏名】ポン ハンユー
(72)【発明者】
【氏名】ワン シンホン
(72)【発明者】
【氏名】ドゥァン シァォドン
(72)【発明者】
【氏名】シァォ グゥォファ
【テーマコード(参考)】
4C047
【Fターム(参考)】
4C047CC16
4C047NN19
(57)【要約】
本発明は、薬物収容部を有するケースと、前記薬物収容部内に置かれたソフトバッグと、投薬通路と、投薬制御モジュールとを含み、投薬制御モジュールは、前記薬物収容部内に流体を充填して前記ソフトバッグへの圧迫を実現するためのものである、投薬カプセルを開示する。本発明は、置換によって投薬し、薬物収容部内に入る流体の量を制御することにより投薬の量の制御を実現し、薬物収容部内に入る流体の速度を制御することにより投薬の速度の制御を実現する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬物収容部を有するケースと、前記薬物収容部内に置かれたソフトバッグと、前記ソフトバッグとケースの外部とを連通させる投薬通路と、前記ケース内に置かれた投薬制御モジュールとを含み、前記投薬制御モジュールは、前記薬物収容部内に流体を充填して前記ソフトバッグへの圧迫を実現するためのものであることを特徴とする、投薬カプセル。
【請求項2】
前記ケース内に、デバイスチャンバと、前記デバイスチャンバと前記薬物収容部とを仕切るスペーサとをさらに有し、前記投薬制御モジュールは前記デバイスチャンバ内に置かれ、前記投薬制御モジュールはポンプ体を含み、前記ポンプ体は、入口がケースの外部と連通し、出口が前記薬物収容部に連通していることを特徴とする、請求項1に記載の投薬カプセル。
【請求項3】
前記投薬制御モジュールは、前記ポンプ体の入口と前記ケースの外部とを連通させるポンプ進入通路と、前記ポンプ進入通路に設けられた濾過ユニットとをさらに有することを特徴とする、請求項2に記載の投薬カプセル。
【請求項4】
前記濾過ユニットは、前記ケースに設けられた複数の吸気孔であり、前記吸気孔のサイズが前記ポンプ体の入口のサイズよりも小さく、前記ポンプ進入通路は、前記吸気孔と前記ポンプ体の入口とを連通させる接続通路をさらに有することを特徴とする、請求項3に記載の投薬カプセル。
【請求項5】
前記ポンプ体は、前記スペーサに取り付けられており、前記スペーサに前記薬物収容部と前記デバイスチャンバとを連通させる接続孔が設けられており、前記ポンプ体の出口が前記接続孔と連通していることを特徴とする、請求項2に記載の投薬カプセル。
【請求項6】
前記投薬カプセルは、前記デバイスチャンバ内に配置された撮像モジュールをさらに有し、前記投薬通路は、前記ケースに設けられた投薬出口を含み、前記投薬出口が前記撮像モジュールの画像取得領域内に設けられていることを特徴とする、請求項2に記載の投薬カプセル。
【請求項7】
前記投薬カプセルは、長手方向に沿って延びており、前記ソフトバッグと前記撮像モジュールとは、長手方向において対向するように前記ケースの両側に配置されており、前記投薬出口は、前記ケースにおける前記ソフトバッグから離れた側に設けられ、前記投薬通路は、前記ソフトバッグに設けられた投薬入口と、前記投薬入口と前記投薬出口とを連通させる接続管とをさらに有することを特徴とする、請求項6に記載の投薬カプセル。
【請求項8】
前記撮像モジュールは、前記デバイスチャンバ内に置かれたカメラと、前記カメラの側方に置かれた照明ランプとを含むことを特徴とする、請求項7に記載の投薬カプセル。
【請求項9】
前記デバイスチャンバ内に配置された磁性ユニットをさらに有することを特徴とする、請求項2に記載の投薬カプセル。
【請求項10】
前記ケースには、薬装入用ゴムキャップが取り付けられており、前記薬装入用ゴムキャップの一部が前記ソフトバッグ内まで延びていることを特徴とする、請求項1に記載の投薬カプセル。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、出願日が2021年09月10日であり、出願番号が202111060451.0であり、発明の名称が「投薬カプセル」である中国特許出願の優先権を要求し、その全ての内容は、引用によりここに取り込まれる。
本発明は、医療器械の技術分野に関し、特に、投薬カプセルに関する。
【背景技術】
【0002】
薬物の制御可能な放出は、薬物の治療効果を高め、副作用を低減することができる。特に、到達し難い消化管区間に対する、カプセルを利用した投薬手段は、損失がなく、痛みがなく、カバーする範囲が広く、薬物の放出制御が精確であるといった利点があり、注目を集めている。
【0003】
現在、複数のカプセル式投薬装置の設計方案が既に存在している。例えば、InteliCapは、マイクロモータを使って伝動機構により回転運動を直線運動に変換することにより、ピストンをプッシュして薬物収容部内の薬物を押し出す。このような設計は、投薬を複数回に分けて行い、かつ薬物の流速を制御できるという高い放出制御能力を有している。しかしながら、当該装置は、機械構造が相対的に複雑であり、電力消費が高く、かつ撮像機能を有しておらず、pHセンサにより消化管区間を大まかに判別することしかできず、出血、潰瘍などの病巣領域への投薬のような、より精確な薬物放出ができない。
【0004】
論文「Therapeutic Capsule Endoscopy Opportunities and Challenges」には、投薬の駆動部としてバネを利用するカプセル装置が開示されている。正常状態では、バネが圧縮状態にあり、ヒューズにより固定され、薬物収容部内に薬物が収容されている。投薬コマンドが送信されると、加熱装置がヒューズを溶断し、バネが解放され、ピストンを押して薬物を吐出させる。このような設計は、構造が相対的に簡単であるが、同様に撮像機能を有しておらず、精確に投薬することができない。同時に、当該方案は、一括投薬しかできず、また流速も制御できない。類似した設計は多くあり、例えば、Progenityの特許US2019282791A1に開示されている設計などがある。
【0005】
マイクロモータ及び磁気駆動などに基づいた方案は、制御性がより高く、例えば複数回の投薬ができ、かつ流速を調整できる。しかしながら、これらの構造は、一般的に複雑であり、担持容量が小さい。一方で、バネ、圧縮空気、化学的気体発生反応などに基づく方案は、構造が相対的に簡単であるが、制御性が低く、一括投薬しかできない。同時に、圧縮空気及び圧縮バネといった方案は、いずれもバネの解放が遅くなったり、気体が漏洩したりするような、材料の劣化によりデバイスが失効する問題がある。
【0006】
以上のことに鑑みて、制御性が高く、安全的で信頼性のある投薬カプセルを提供する必要がある。
【発明の概要】
【0007】
本発明は、従来技術における欠点を解決するための投薬カプセルを提供することを目的とする。本発明により提供される投薬カプセルは、置換によって投薬し、投薬カプセルの外部の気体、液体などの流体を投薬制御モジュールによりソフトバッグの存在する薬物収容部内に圧送して薬物収容部の空間を占用することにより、薬物をソフトバッグから押し出し、投薬の制御を便利に実現することができる。
【0008】
本発明で提供される投薬カプセルは、薬物収容部を有するケースと、前記薬物収容部内に置かれたソフトバッグと、前記ソフトバッグとケースの外部とを連通させる投薬通路と、前記ケース内に置かれた投薬制御モジュールとを含み、前記投薬制御モジュールは、前記薬物収容部内に流体を充填して前記ソフトバッグへの圧迫を実現するためのものである。
【0009】
さらに、前記ケース内に、デバイスチャンバと、前記デバイスチャンバと前記薬物収容部とを仕切るスペーサとをさらに有し、前記投薬制御モジュールは前記デバイスチャンバ内に置かれ、前記投薬制御モジュールはポンプ体を含み、前記ポンプ体は、入口がケースの外部と連通し、出口が前記薬物収容部に連通している。
【0010】
さらに、前記投薬制御モジュールは、前記ポンプ体の入口と前記ケースの外部とを連通させるポンプ進入通路と、前記ポンプ進入通路に設けられた濾過ユニットとをさらに有する。
【0011】
さらに、前記濾過ユニットは、前記ケースに設けられた複数の吸気孔であり、前記吸気孔のサイズが前記ポンプ体の入口のサイズよりも小さく、前記ポンプ進入通路は、前記吸気孔と前記ポンプ体の入口とを連通させる接続通路をさらに有する。
【0012】
さらに、前記ポンプ体は、前記スペーサに取り付けられており、前記スペーサに前記薬物収容部と前記デバイスチャンバとを連通させる接続孔が設けられており、前記ポンプ体の出口が前記接続孔と連通している。
【0013】
さらに、前記投薬カプセルは、前記デバイスチャンバ内に配置された撮像モジュールをさらに有し、前記投薬通路は、前記ケースに設けられた投薬出口を含み、前記投薬出口が前記撮像モジュールの画像取得領域内に設けられている。
【0014】
さらに、前記投薬カプセルは、長手方向に沿って延びており、前記ソフトバッグと前記撮像モジュールとは、長手方向において対向するように前記ケースの両側に配置されており、前記投薬出口は、前記ケースにおける前記ソフトバッグから離れた側に設けられ、前記投薬通路は、前記ソフトバッグに設けられた投薬入口と、前記投薬入口と前記投薬出口とを連通させる接続管とをさらに有する。
【0015】
さらに、前記撮像モジュールは、前記デバイスチャンバ内に置かれたカメラと、前記カメラの側方に置かれた照明ランプとを含む。
【0016】
さらに、前記デバイスチャンバ内に配置された磁性ユニットをさらに有する。
【0017】
さらに、前記ケースには、薬装入用ゴムキャップが取り付けられており、前記薬装入用ゴムキャップの一部が前記ソフトバッグ内まで延びている。
【0018】
本発明は、従来技術に比べて、置換によって投薬し、投薬制御モジュールにより投薬カプセルの外部の気体、液体などの流体をソフトバッグの存在する薬物収容部内に圧送して薬物収容部の空間を占用することにより、薬物をソフトバッグから押し出し、投薬制御モジュールは、薬物収容部内に入る流体の量を制御することにより投薬の量の制御を実現することができ、薬物収容部内に入る流体の速度を制御することにより投薬速度の制御を実現し、これにより、投薬の制御を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の実施例に開示される投薬カプセルの投薬前の状態図である。
図2】本発明の実施例に開示される投薬カプセルの投薬後の状態図である。
図3】本発明の実施例に開示される投薬カプセルにおける濾過ユニットの取付構造模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に図面を参照しながら説明する実施例は、例示的なものであり、本発明を解釈するためのものに過ぎず、本発明を制限するように解釈できない。
【0021】
本発明の実施例は、投薬カプセルを開示し、前記投薬カプセルは、内部に薬物を収容する薬物収容部を有する。薬物収容部内に収容された薬物は、前記投薬カプセルに伴って消化管区間に入り、投薬領域となる病巣領域に到達すると放出されることにより、精確な投薬が実現される。
【0022】
具体的に、図1に示すように、本発明に開示される投薬カプセルは、薬物収容部10を有するケース1と、前記薬物収容部10内に置かれたソフトバッグ11と、前記ソフトバッグ11とケース1の外部とを連通させる投薬通路2と、前記ケース1内に設けられた投薬制御モジュール3とを含み、前記投薬制御モジュール3は、前記薬物収容部10内に流体を充填してソフトバッグ11への圧迫を実現するためのものである。
【0023】
図2に示すように、ソフトバッグ11は、内部に薬物を収容するためのものであり、その形状が可変である。即ち、ソフトバッグ11は外力によって押圧されて圧縮されることができる。ソフトバッグ11が外力により押圧されて圧縮された場合、ソフトバッグ11内に収容された薬物が投薬通路2を介してケース1の外部、即ち、人の体内の投薬領域/病巣領域に放出されるように制御可能である。なお、ソフトバッグ11の押圧による圧縮程度を変更することによりソフトバッグ11内に収容された薬物の放出程度を制御することができ、ソフトバッグ11の押圧による圧縮速度を変更することによりソフトバッグ11内に収容された薬物の放出速度も制御することができ、前記構造の設定により、薬物の放出過程の制御を便利に実現する。
【0024】
なお、ソフトバッグ11には、生体適合性を有する材料が採用される。初期状態では、ソフトバッグ11の形態は一定ではなく、薬物が注入されると、薬物を収容するソフトバッグ11は薬物収容部10の全体を満たす。ソフトバッグ11と投薬通路2とは接着剤で接着されることにより接続されてもよい。
【0025】
ソフトバッグ11の押圧・圧縮の制御を便利に実現するために、本実施例では、投薬制御モジュール3が設けられている。投薬制御モジュール3は、薬物収容部10内に流体を充填し、充填された流体が薬物収容部10内の空間を占用することになり、これにより、ソフトバッグ11の空間が圧縮され、ソフトバッグ11を圧迫し、投薬通路2を介してソフトバッグ11から薬物を放出させる。なお、投薬制御モジュール3が薬物収容部10内に充填する流体は、人体の消化液又は人の体内の他の液体であってもよく、無論、人の体内の気体又は気体と液体との混合流体であってもよい。
【0026】
本実施例では、直接ポンプによってソフトバッグ11内の薬物を吸い出してからソフトバッグ11から外に圧送するのではなく、「置換」によって、外部の気体、液体などの流体によりソフトバッグ11の存在する薬物収容部10の空間を占用することにより、薬物をソフトバッグ11から外に押圧する。それは、粘性の大きい薬物や、微細顆粒が含まれる懸濁液体を、直接ポンプ体によってソフトバッグ11から外に圧送すれば、液体の粘性が大きすぎることや物質の粒度が大きすぎることによりポンプ体が詰まるおそれがあるためである。本実施例で開示される方案では、薬物が直接にポンプ体を流れることを回避し、デバイスの有効性及び薬物使用の柔軟性を高める。
【0027】
投薬制御モジュール3は、薬物収容部10内に入る流体の量を制御することにより投薬の量の制御を実現することができ、薬物収容部10内に入る流体の速度を制御することにより投薬の速度の制御を実現することができ、これにより、投薬の制御を実現する。
【0028】
薬物収容部10への流体の進入の制御を便利に実現するために、前記ケース1は、内部にデバイスチャンバ12と、前記デバイスチャンバ12と前記薬物収容部10とを仕切るスペーサ13とをさらに有し、前記投薬制御モジュール3は前記デバイスチャンバ12内に置かれ、投薬制御モジュール3はポンプ体31を含む。前記ポンプ体31は、入口がケースの外部と連通し、出口が前記薬物収容部10に連通する。
【0029】
デバイスチャンバ12は、内部に制御セットを取り付けるためのものであり、スペーサ13は、ケース1の内部にあるチャンバをデバイスチャンバ12と薬物収容部10との2つの部分に仕切り、デバイスチャンバ12内に、投薬制御モジュール3が置かれているほか、制御モジュール4が置かれている。前記制御モジュール4は、バッテリユニット41と電気制御ユニット42とを含む。前記電気制御ユニット42は、具体的に、投薬制御モジュール3の作動を制御する回路基板と、前記回路基板に取り付けられたマイクロプロセッサ及び無線通信モジュールとを含む。バッテリユニット41は、前記投薬制御モジュール3と、電気制御ユニット42と、無線通信モジュールとに給電する。無線通信モジュールは、人体の外の制御センターと通信し、通信センターのコマンドを受信することに用いられ、コマンドを受信すると、マイクロプロセッサは、投薬制御モジュール3をオン又はオフさせるように制御する。具体的に、マイクロプロセッサは、ポンプ体31の停止又は作動を制御する。
【0030】
本実施例において、前記ポンプ体31は、例えば加圧ポンプのようなマイクロポンプであり、加圧ポンプは、電力消費が低く、体積が小さく、使用安全性があり、使用寿命が長く、流速が制御可能であり、また、複数回の薬物放出が可能である。一の具体的な例示において、採用するマイクロポンプのパラメータには、ポンプ気圧20KPa、ポンプ水圧100KPa、出力流量≧2.5ml/min、電力消費<50mW、体積(長さ×幅×高さ)7mm×7mm×2mmが含まれる。
【0031】
ポンプ体31と電気制御ユニット42との接続を便利に実現するために、前記電気制御ユニット42と前記ポンプ体31との間は、コンセントプラグセットにより取付・結合が実現される。コンセントプラグセットは、小さなコンセントとプラグとの結合であってもよく、コンセントプラグセットを採用した接続は、取付・配置が便利である一方、他の機能の拡張研究に影響しない。即ち、追加する新たな機能モジュールがいずれも単独で加工されてから組み込むことができる。
【0032】
さらに、前記デバイスチャンバ12の内部には撮像モジュール5が配置されている。前記撮像モジュール5は、前記バッテリユニット41と電気的に接続され、投薬カプセルが人体に入った後の画像又は映像を取得するためのものであり、撮像モジュール5により投薬カプセルが特定の消化管領域に到達したか否かを判定することができ、或いは、撮像モジュール5により病巣領域を認識し、特定の領域に到達したと判定した場合、もしくは、病巣領域を認識した場合、ソフトバッグ11内の薬物を放出させるように制御し、薬物放出を可視化させる能力を有し、より精確な薬物の放出制御を実現できる。例えば、消化管の潰瘍の治療の場合、撮像モジュール5により潰瘍を正確に発見し、投薬カプセルが潰瘍の表面に近接した場合、潰瘍領域に薬物を吐出するように薬物放出を制御することができ、これにより、ゲル類薬物の付着に寄与し、治療効果が高まる。
【0033】
さらに、消化管内における投薬カプセルの移動の制御を便利に実現するために、前記デバイスチャンバ12の内部には磁性ユニット(図示しない)が配置されている。磁性ユニットは、投薬カプセル内に置かれ、外部の磁界と相互作用することができ、外部の磁界により投薬カプセルの人体内における移動を制御することで、人体内における投薬カプセルの位置をより良く制御することができる。
【0034】
なお、前記ケース1は、生体適合性を有し、消化液により腐食されないものであり、必要に応じて、透明又は不透明にしてもよい。撮像モジュール5が設けられているので、撮像モジュール5による画像取得のために、撮像モジュール5の画像取得領域に対応するケース1の一部は透明とされている。撮像モジュール5の画像取得領域とは、撮像モジュール5が撮像可能な画像の範囲及び領域である。
【0035】
本実施例において、前記撮像モジュール5は、前記デバイスチャンバ12内に置かれたモジュール回路基板51と、前記モジュール回路基板51に取り付けられたカメラ52と、前記カメラ52の側方に置かれた照明ランプ53とを含む。前記照明ランプ53の数は複数であってもよく、複数の照明ランプ53は、前記カメラ52を囲んで配置される。モジュール回路基板51とバッテリユニット41とは電気的に接続され、バッテリユニット41は撮像モジュール5に給電する。
【0036】
モジュール回路基板51は、ケース1の横断面の形状に対応しており、デバイスチャンバ12をモジュール収容チャンバ121と取付チャンバ122との2つの部分に仕切る。前記バッテリユニット41及び前記投薬制御モジュール3は、前記取付チャンバ122内に置かれ、前記モジュール収容チャンバ121は、内部に前記撮像モジュール5を収容するためのものである。モジュール収容チャンバ121と前記薬物収容部10とは、対向するように前記取付チャンバ122の両側に設けられている。
【0037】
なお、前記撮像モジュール5には、モジュール回路基板51が設けられなくてもよい。他の実施例において、デバイスチャンバ12をモジュール収容チャンバ121と取付チャンバ122との2つの部分に仕切るようにデバイスチャンバ12内に隔板が設けられ、撮像モジュール5はモジュール収容チャンバ121内に置かれる。そして、カメラ52及び照明ランプ53は、いずれも隔板に直接固定され、それぞれバッテリユニット41と電気的に接続されるとともに、さらにそれぞれ電気制御ユニット42と電気的に接続される。
【0038】
撮像モジュール5の取付・固定を便利に実現するために、前記ケース1は、一般的に、第1ケース14と第2ケース15とを含む。前記第2ケース15は、第1ケース14に取り外し可能に取り付けて固定され、前記取付チャンバ122は、前記第1ケース14内に設けられ、前記モジュール収容チャンバ121は、前記第2ケース15内に設けられ、前記第2ケース15と前記モジュール回路基板51との間に前記モジュール収容チャンバ121が形成される。前記第2ケース15は、ドーム状構造を有し、ケースの外部の画像の取得のために、透明なケースとされている。
【0039】
本実施例では、前記投薬制御モジュール3は、前記ポンプ体31の入口とケース1の外部とを連通させるポンプ進入通路と、前記ポンプ進入通路に設けられた濾過ユニットとをさらに有している。濾過ユニットが設けられることにより、流体に混入した不純物がポンプ体内に入ることによるポンプ体の閉塞が回避されるように、ポンプ体31内に入った流体に対して不純物の濾過を行うことができる。
【0040】
具体的に、図2~3に示すように、前記濾過ユニットは、前記ケース1に設けられた複数の吸気孔16を含み、複数の吸気孔16はポンプ体31の入口に位置している。前記吸気孔16のサイズが前記ポンプ体31の入口のサイズよりも小さく、前記ポンプ進入通路は、前記吸気孔16と前記ポンプ体31の入口とを連通させる接続通路17をさらに有する。吸気孔16のサイズをポンプ体31の入口のサイズよりも小さくすることにより、サイズの大きい不純物がポンプ体31の入口からポンプ体31内に入ることによるポンプ体31の閉塞を効果的に阻止することができる。
【0041】
本実施例では、空間をより良く節約するために、前記ポンプ体31は、前記スペーサ13に取り付けられている。前記スペーサ13には、前記薬物収容部10と前記デバイスチャンバ12とを連通させる接続孔が設けられており、前記ポンプ体31の出口が前記接続孔に連通している。ポンプ体31の出口が直接に薬物収容部10に対して晒されることにより、薬物収容部10内への流体の放出の制御を便利に実現する。
【0042】
前記投薬通路2は、前記ケース1に設けられた投薬出口21を含み、前記投薬出口21が前記撮像モジュール5の画像取得領域内に設けられている。本実施例では、前記投薬出口21は、前記第2ケース15に設けられている。
【0043】
本実施例では、前記投薬カプセルは、長手方向に沿って延びており、前記ソフトバッグ11と前記撮像モジュール5とは、長手方向において対向するように前記ケース1の両側に配置されている。前記投薬出口21は、前記ケース1における前記ソフトバッグ11から離れた側に設けられている。前記投薬通路2は、前記ソフトバッグ11に設けられた投薬入口22と、前記投薬入口22と前記投薬出口21とを連通させる接続管23とをさらに有し、前記接続管23はホースである。ホースには、生体適合性を有するPC材料が採用されてもよい。撮像モジュール5により投薬状況を直接に観察できるように、投薬出口21を撮像モジュール5の画像取得領域に設けることにより、投薬の制御をより良く実現する。
【0044】
なお、前記投薬出口21は、前記ケース1における前記吸気孔16から離れた位置に設けられている。このような構造により、投薬出口21から出た薬物が直接に吸気孔16に吸収されて人体に作用できなくなることを回避することができる。
【0045】
また、投薬出口21の内部と外部の圧力差が一定とされ、消化管内における液体は投薬出口21から直接にカプセルの内部に入ることができない。カプセルの外部の消化液が投薬出口21から接続管23に入る僅かな可能性があったとしても、薬物が注入された後、接続管23内に一定量の空気が存在し、また接続管23が十分に長く、遮断する気柱が形成されることになり、かつカプセルの内と外の圧力差が一定であるので、消化液がカプセルの内部に入ることはない。
【0046】
ソフトバッグ11内への薬物添加を便利に実現するために、前記ケース1には、薬装入用ゴムキャップ18が取り付けられており、前記薬装入用ゴムキャップ18の一部が前記ソフトバッグ11内まで延びている。薬装入用ゴムキャップ18とソフトバッグ11との間の接続は、接着剤による接着により実現してもよい。ソフトバッグ11内に薬物を装入するとき、注射器の針を薬装入用ゴムキャップ18に刺して最終的にソフトバッグ11内にまで延ばすことにより、薬物を注射器からソフトバッグ11内に注入する。薬装入用ゴムキャップ18は、復元能力を有するため、注射器の針が抜かれると薬装入用ゴムキャップ18における注射器の針に刺された穴が改めて塞がることになる。
【0047】
ユーザは、使用前に、注射器を薬装入用ゴムキャップ18から刺し込み、薬物をソフトバッグ11に注入し、そして、ソフトバッグ11を患者に飲ませる。外部磁界により投薬カプセルが特定領域に入るように制御することができ、撮像モジュール5により投薬カプセルが特定の消化管領域に到達したか否か、又は病巣を認識したか否かを判定し、ソフトバッグ11が消化管の特定領域に到達し、又は病巣を認識すると、薬物放出コマンドを送信し、投薬カプセルのポンプ体31の動作を制御することができる。消化管内における気体、液体流体が、濾過ユニットの濾過を経てポンプ体31の入口に入り、さらにポンプ体31により薬物収容部10内に圧送され、ソフトバッグ11を押圧して投薬出口21を介して薬物を吐出させる。
【0048】
なお、ポンプ体31の起動、停止及び流速は、いずれも制御モジュールにより制御することができ、需要に応じて、マイクロポンプを随時オンオフし、動作頻度を調整することができる。これにより、複数回の薬物放出、薬物の流速の調整という目的が達成される。
【0049】
以上、図面に示した実施例により本発明の構造、特徴及び作用効果を詳細に説明したが、以上のように説明したものは本発明の好ましい実施例に過ぎず、本発明は、実施する範囲が図面に示したものにより限定されず、本発明の構想に従って行われる変更、又は同等の変化に修正される等価実施例は、明細書及び図面により含まれる精神を依然として超えていない場合、いずれも本発明の保護範囲に含まれるべきである。
【符号の説明】
【0050】
1…ケース、10…薬物収容部、11…ソフトバッグ、12…デバイスチャンバ、121…モジュール収容チャンバ、122…取付チャンバ、13…スペーサ、14…第1ケース、15…第2ケース、16…吸気孔、17…接続通路、18…薬装入用ゴムキャップ、2…投薬通路、21…投薬出口、22…投薬入口、23…接続管、3…投薬制御モジュール、31…ポンプ体、4…制御モジュール、41…バッテリユニット、42…電気制御ユニット、5…撮像モジュール、51…モジュール回路基板、52…カメラ、53…照明ランプ

図1
図2
図3
【国際調査報告】