(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-30
(54)【発明の名称】黒髪再生エッセンス及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
A61K 8/9789 20170101AFI20240920BHJP
A61K 8/44 20060101ALI20240920BHJP
A61K 8/9767 20170101ALI20240920BHJP
A61Q 5/00 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
A61K8/9789
A61K8/44
A61K8/9767
A61Q5/00
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024522470
(86)(22)【出願日】2022-11-30
(85)【翻訳文提出日】2024-04-12
(86)【国際出願番号】 CN2022135671
(87)【国際公開番号】W WO2024045385
(87)【国際公開日】2024-03-07
(31)【優先権主張番号】202211074879.5
(32)【優先日】2022-09-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523038366
【氏名又は名称】曼秀雷敦(中国)薬業有限公司
【氏名又は名称原語表記】MENTHOLATUM (CHINA) PHARMACEUTICALS CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】The Second Industrial Estates, San Xiang Zhongshan city, Guangdong 528463 China
(74)【代理人】
【識別番号】100145470
【氏名又は名称】藤井 健一
(72)【発明者】
【氏名】林新文
(72)【発明者】
【氏名】高臣臣
(72)【発明者】
【氏名】王乃龍
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AA111
4C083AA112
4C083AC111
4C083AC112
4C083AC121
4C083AC122
4C083AC301
4C083AC302
4C083AC431
4C083AC432
4C083AC441
4C083AC442
4C083AC521
4C083AC581
4C083AC582
4C083AD351
4C083AD352
4C083AD531
4C083AD532
4C083BB53
4C083CC31
4C083DD23
4C083DD27
4C083EE21
4C083EE26
4C083FF05
(57)【要約】
本発明は、黒髪再生エッセンス全量に対して、カンレンソウエキス0.010質量%~10.00質量%、ゴマ種子エキス0.010質量%~5.00質量%、何首烏エキス0.010質量%~5.00質量%、加水分解アマ種子エキス0.0010質量%~5.00質量%、ネオピクロリザスクロフラリフロラ根エキス0.00010質量%~0.500質量%、アセチルチロシン0.0100質量%~1.00質量%、ヨーロッパカラマツエキス0.0010質量%~1.00質量%を含む黒髪再生組成物を含む黒髪再生エッセンスを提供する。本発明の黒髪再生エッセンスにおける黒髪再生組成物は、作用機序の異なる白髪から黒髪への有効成分を組み合わせて、毛乳頭におけるメラニン生成を増加させ、抗酸化防御を活性化してROSのメラノサイトへのダメージを抑え、毛髪のメラニンの沈着を刺激することにより、黒髪を再生させ、白髪をゆっくりと黒髪に戻すことができる。
【選択図】
図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
黒髪再生エッセンス全量に対して、カンレンソウエキス0.010質量%~10.00質量%、ゴマ種子エキス0.010質量%~5.00質量%、何首烏エキス0.010質量%~5.00質量%、加水分解アマ種子エキス0.0010質量%~5.00質量%、ネオピクロリザスクロフラリフロラ根エキス0.00010質量%~0.500質量%、アセチルチロシン0.0100質量%~1.00質量%、ヨーロッパカラマツエキス0.0010質量%~1.00質量%を含む黒髪再生組成物を含む、ことを特徴とする黒髪再生エッセンス。
【請求項2】
前記黒髪再生組成物は、カンレンソウエキス0.010質量%~1.0質量%、ゴマ種子エキス0.010質量%~0.5質量%、何首烏エキス0.010質量%~1.0質量%、加水分解アマ種子エキス0.0010質量%~0.20質量%、ネオピクロリザスクロフラリフロラ根エキス0.00010質量%~0.20質量%、アセチルチロシン0.0100質量%~0.45質量%、ヨーロッパカラマツエキス0.0010質量%~0.15質量%を含む、ことを特徴とする請求項1に記載の黒髪再生エッセンス。
【請求項3】
前記黒髪再生組成物は、カンレンソウエキス0.3質量%、ゴマ種子エキス0.05質量%、何首烏エキス0.414質量%、加水分解アマ種子エキス0.0055質量%、ネオピクロリザスクロフラリフロラ根エキス0.0005質量%、アセチルチロシン0.17質量%、ヨーロッパカラマツエキス0.06質量%を含む、ことを特徴とする請求項2に記載の黒髪再生エッセンス。
【請求項4】
前記黒髪再生エッセンスは、黒髪再生エッセンス全量に対して0.5質量%~10質量%の助剤をさらに含む、ことを特徴とする請求項1に記載の黒髪再生エッセンス。
【請求項5】
前記助剤は、コンディショニング剤及び防腐剤のうちの1種以上を含む、ことを特徴とする請求項4に記載の黒髪再生エッセンス。
【請求項6】
前記コンディショニング剤は、グリセリン、ペンチレングリコール、PEG?40硬化ヒマシ油、メントール及びグリチルリチン酸ジカリウムのうちの1種以上である、ことを特徴とする請求項5に記載の黒髪再生エッセンス。
【請求項7】
前記助剤は、増粘剤、pH安定剤及びキレート安定剤をさらに含む、ことを特徴とする請求項6に記載の黒髪再生エッセンス。
【請求項8】
前記増粘剤がキサンタンガムであり、前記pH安定剤が無水クエン酸及びクエン酸ナトリウムであり、前記キレート安定剤がEDTA二ナトリウムである、ことを特徴とする請求項7に記載の黒髪再生エッセンス。
【請求項9】
前記黒髪再生エッセンスは、カンレンソウエキス0.3質量%、ゴマ種子エキス0.05質量%、何首烏エキス0.414質量%、加水分解アマ種子エキス0.0055質量%、ネオピクロリザスクロフラリフロラ根エキス0.0005質量%、アセチルチロシン0.17質量%、ヨーロッパカラマツエキス0.06質量%、ペンチレングリコール3質量%、グリセリン3質量%、EDTA二ナトリウム0.05質量%、キサンタンガム0.2質量%、クエン酸ナトリウム0.2質量%、クエン酸0.12質量%、グリチルリチン酸ジカリウム0.2質量%、メントール0.2質量%、PEG-40硬化ヒマシ油1.0質量%を含む、ことを特徴とする請求項8に記載の黒髪再生エッセンス。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか一項に記載の黒髪再生エッセンスの製造方法であって、
(1)ペンチレングリコール、グリセリン、EDTA二ナトリウム、キサンタンガム、グリチルリチン酸ジカリウムを所定の配合量で混合し、透明に溶解して調合液Aとし、メントール、PEG-40硬化ヒマシ油、トゥイーン-20を混合して撹拌溶解し、調合液Bとする工程と、
(2)調合液Aに、カンレンソウエキス、ゴマ種子エキス、何首烏エキス、加水分解アマ種子エキス、ネオピクロリザスクロフラリフロラ根エキス、アセチルチロシン、ヨーロッパカラマツエキスをこの順に加え、溶解後、クエン酸ナトリウム/クエン酸を加えて、pHを4.5~5.0に調整し、調合液Bを加えて撹拌冷却し、黒髪再生エッセンスを得る工程と、を含むことを特徴とする黒髪再生エッセンスの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は日用化粧品の技術分野に関し、特に黒髪再生エッセンス、及び当該黒髪再生エッセンスの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、市販されている一般的な黒髪製品のほとんどは、染毛成分を含有するクリーム状染毛剤であり、通常、その配合系により化学染毛料と天然染毛料に大別される。
【0003】
化学染毛料は、持続期間によって永久染毛料、半永久染毛料、一時染毛料に分けられる。永久染毛料には、染料中間体とカップリング剤又は修飾剤が含まれており、これらの中間体は毛髪の内部の髄質に浸透し、酸化、カップリング、縮合反応により安定した染料分子を形成し、毛髪の繊維内に封じ込められるため、洗い流されにくく、長期間染毛効果が持続し、通常1~3ヶ月維持することができる。半永久染毛料は、比較的分子量の小さい染料分子を毛髪の表皮又は皮質及び髄質の一部に浸透させることで、黒染め効果を得ることができ、持続時間が通常6~12回のシャンプーに耐えることができる。一時染毛料は、主に一時的な毛髪の着色に使用され、一般的に水溶性の酸性染料、塩基性染料又は顔料で構成され、酸性染料、アンモニア又は金属塩の不溶性混合物で構成されることもでき、実質的に毛髪の表面に付着し、効果が一時的であり、使用時に不注意で衣服を汚してしまうおそれがある。これらの黒髪製品は、実質的に化学染毛成分を使用して毛髪を染色して黒髪効果を得るが、これらの製品には、染毛効果が長く続かず、頻繁に繰り返し染める必要があり、しかし、繰り返し染めると、頭皮アレルギーなどを引き起こしたり、髪質を傷めたりしやすくなるので、抜け毛やパサつきなどを起こしやすくなるなど、多くの欠点がある。
【0004】
天然染毛料は、天然色素から抽出した成分で製造された植物染毛料であり、一般的に毛髪を傷めたり、蓄積された色素を破壊したりすることはないが、黒髪効果が普通で、持続時間が短い。
【0005】
ヒトの毛髪の黒色は、毛根と皮膚の間に存在する色素幹細胞に由来し、色素幹細胞によって生成される色素細胞のおかげで、毛髪は黒く保たれていることが科学者によって発見された。この幹細胞が減少又は枯渇すると、毛髪が白くなってしまい、これは黒髪から白髪になる根本的な原因である。しかし、従来の黒髪製品は染毛によって白髪を黒くするものであり、白髪の問題を根本から解決するものではない。
【0006】
したがって、本発明は、染毛成分を含まず、メラニンの生成を増加させ、抗酸化防御を活性化してメラノサイトへのダメージを抑えることで、白髪の数を減少させ、白髪をゆっくりと黒髪に戻す黒髪再生エッセンスを提供する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の第1の目的は、従来の黒髪製品は、染色成分を含有し、黒髪効果が長く続かず、白髪の発生を根本的に改善できないという技術的課題を解決する黒髪再生エッセンスを提供することにある。
【0008】
本発明の第2の目的は、黒髪再生エッセンスの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の目的は、以下の技術的手段によって達成される。
本発明の黒髪再生エッセンスは、黒髪再生エッセンス全量に対して、カンレンソウエキス0.010質量%~10.00質量%、ゴマ種子エキス0.010質量%~5.00質量%、何首烏エキス0.010質量%~5.00質量%、加水分解アマ種子エキス0.0010質量%~5.00質量%、ネオピクロリザスクロフラリフロラ根エキス0.00010質量%~0.500質量%、アセチルチロシン0.0100質量%~1.00質量%、ヨーロッパカラマツエキス0.0010質量%~1.00質量%を含む黒髪再生組成物を含む。
【0010】
さらに、前記黒髪再生組成物は、カンレンソウエキス0.010質量%~1.0質量%、ゴマ種子エキス0.010質量%~0.5質量%、何首烏エキス0.010質量%~1.0質量%、加水分解アマ種子エキス0.0010質量%~0.20質量%、ネオピクロリザスクロフラリフロラ根エキス0.00010質量%~0.20質量%、アセチルチロシン0.0100質量%~0.45質量%、ヨーロッパカラマツエキス0.0010質量%~0.15質量%を含む。
【0011】
さらに、前記黒髪再生組成物は、カンレンソウエキス0.3質量%、ゴマ種子エキス0.05質量%、何首烏エキス0.414質量%、加水分解アマ種子エキス0.0055質量%、ネオピクロリザスクロフラリフロラ根エキス0.0005質量%、アセチルチロシン0.17質量%、ヨーロッパカラマツエキス0.06質量%を含む。
【0012】
本発明の黒髪再生組成物は、作用機序の異なる白髪から黒髪へのインビトロ試験効果を有する有効成分を組み合わせて、色素幹細胞の増殖を促進し、毛乳頭におけるメラニン生成を増加させ、抗酸化防御を活性化してROSのメラノサイトへのダメージを抑え、毛髪のメラニンの沈着を刺激することにより、黒髪を再生させ、白髪をゆっくりと黒髪に戻すことができる。本発明において、カンレンソウエキスは、抗酸化特性を改善し、抗酸化防御を活性化することでROSのメラノサイトへのダメージを抑える。黒ゴマは、中国の伝統的な栄養食品であり、顕著な健康効果を有し、チロシナーゼの活性化やメラニン生成の促進に強力な効果を発揮する。黒ゴマエキスは、細胞の増殖活性、メラニン含有量、チロシナーゼ活性に積極的な影響を与え、メラニン合成に関連する遺伝子(Tyrosinase/MITF/TRP-1/TRP-2)mRNAとタンパク質の発現を促進し、メラニンの生成を促進して白髪を治療する。何首烏エキスは、肝臓や腎臓の不調の治療に使用され、陰を滋養する作用があり、健康な体のバランスを維持することができる。アセチルチロシンは、メラニン合成経路の必須条件であり、毛乳頭のメラノサイトにおけるメラニン合成を増加させる。
【0013】
本発明では、前記黒髪再生エッセンスは、黒髪再生エッセンス全量に対して0.5質量%~10質量%の助剤をさらに含む。
【0014】
本発明のいくつかの実施形態において、前記助剤は、コンディショニング剤及び防腐剤のうちの1種以上を含む。
【0015】
さらに、前記コンディショニング剤は、グリセリン、ペンチレングリコール、PEG?40硬化ヒマシ油、メントール及びグリチルリチン酸ジカリウムのうちの1種以上である。
【0016】
本発明のいくつかの実施形態において、前記助剤は、増粘剤、pH安定剤及びキレート安定剤をさらに含む。
【0017】
さらに、前記増粘剤がキサンタンガムであり、前記pH安定剤が無水クエン酸及びクエン酸ナトリウムであり、前記キレート安定剤がEDTA二ナトリウムである。
【0018】
本発明のいくつかの実施形態において、前記黒髪再生エッセンスは、カンレンソウエキス0.3質量%、ゴマ種子エキス0.05質量%、何首烏エキス0.414質量%、加水分解アマ種子エキス0.0055質量%、ネオピクロリザスクロフラリフロラ根エキス0.0005質量%、アセチルチロシン0.17質量%、ヨーロッパカラマツエキス0.06質量%、ペンチレングリコール3質量%、グリセリン3質量%、EDTA二ナトリウム0.05質量%、キサンタンガム0.2質量%、クエン酸ナトリウム0.2質量%、クエン酸0.12質量%、グリチルリチン酸ジカリウム0.2質量%、メントール0.2質量%、PEG-40硬化ヒマシ油1.0質量%を含む。
【0019】
本発明の黒髪再生エッセンスの製造方法は、
(1)ペンチレングリコール、グリセリン、EDTA二ナトリウム、キサンタンガム、グリチルリチン酸ジカリウムを所定の配合量で混合し、透明に溶解して調合液Aとし、メントール、PEG-40硬化ヒマシ油、トゥイーン-20を混合して撹拌溶解し、調合液Bとする工程と、
(2)調合液Aに、カンレンソウエキス、ゴマ種子エキス、何首烏エキス、加水分解アマ種子エキス、ネオピクロリザスクロフラリフロラ根エキス、アセチルチロシン、ヨーロッパカラマツエキスをこの順に加え、溶解後、クエン酸ナトリウム/クエン酸を加えて、pHを4.5~5.0に調整し、調合液Bを加えて撹拌冷却し、黒髪再生エッセンスを得る工程とを含む。
【発明の効果】
【0020】
従来技術と比べて、本発明は以下の有益な効果を有する。
(1)本発明の黒髪再生エッセンスにおける黒髪再生組成物は、作用機序の異なる白髪から黒髪への有効成分を組み合わせて、毛乳頭におけるメラニン生成を増加させ、抗酸化防御を活性化してROSのメラノサイトへのダメージを抑え、毛髪のメラニンの沈着を刺激することにより、黒髪を再生させ、白髪をゆっくりと黒髪に戻すことができる。
(2)本発明の黒髪再生エッセンスは、染毛成分を含まず、頭皮アレルギーなどを引き起こしたり、髪質を傷めたりすることなく、白髪を根本的に改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明に係る加水分解アマ種子エキスのチロシナーゼに対する影響を示す図である。
【
図2】本発明に係る加水分解アマ種子エキスのTPR-1、MITF、Pmel17及びc-Kitの発現に対する影響を示す図である。
【
図3】本発明に係る加水分解アマ種子エキスのケラチノサイトにおけるPAR-2の発現に対する影響を示す図である。
【
図4】本発明に係るネオピクロリザスクロフラリフロラ根エキスのメラノサイトにおける主要な抗酸化遺伝子の発現に対する影響を示す図である。
【
図5】本発明に係るネオピクロリザスクロフラリフロラ根エキスの毛乳頭細胞のROSに対する影響を示す図である。
【
図6】本発明に係るネオピクロリザスクロフラリフロラ根エキスのチロシナーゼ活性に対する影響を示す図である。
【
図7】本発明に係るネオピクロリザスクロフラリフロラ根エキスのメラニン生成量に対する影響を示す図である。
【
図8】本発明に係るヨーロッパカラマツエキスの毛包におけるメラニン生成量に対する影響を示す図である。
【
図9】本発明の実施例に係る黒髪再生エッセンスの脱落した白髪の毛包におけるメラニン生成量に対する影響を示す図である。
【
図10】本発明の実施例に係る黒髪再生エッセンスで処理された脱落した白髪の毛包の画像である。
【
図11】ヒト試験ボランティアが実施例1の黒髪再生エッセンスを使用した後の白髪の割合の変化を示す図である。
【
図12】ヒト試験ボランティアが実施例1の黒髪再生エッセンスを使用した後の効果を示す図である。
【
図13】ヒト試験ボランティアが実施例1の黒髪再生エッセンスを使用した後の効果を示す図である。
【
図14】ヒト試験ボランティアが実施例1の黒髪再生エッセンスを使用した後の効果を示す図である。
【
図15】ヒト試験ボランティアが実施例1の黒髪再生エッセンスを使用した後の効果を示す図である。
【
図16】ヒト試験ボランティアが実施例1の黒髪再生エッセンスを使用した後の効果を示す図である。
【
図17】ヒト試験ボランティアが実施例1の黒髪再生エッセンスを使用した後の白髪密度の定量分析を示す図である。
【
図18】ヒト試験ボランティアが実施例1の黒髪再生エッセンスを使用した後の白髪密度の効果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、当業者が本発明の技術的手段をよりよく理解して実施できるように、具体的な実施例を参照して本発明を詳しく説明する。
(実施例1)
【0023】
黒髪再生エッセンスは、以下の成分を含む。
【0024】
【0025】
前記黒髪再生エッセンスの製造方法は、
(1)ペンチレングリコールと濃グリセリンを混合し、均一に撹拌して調合液Aとし、メントール、PEG-40硬化ヒマシ油、トゥイーン-20を混合し、40~50℃に加熱し、撹拌して透明に溶解し、冷却して調合液Bとし、
(2)適当な容器に水、EDTA二ナトリウム、グリチルリチン酸ジカリウム、キサンタンガムを加えて撹拌溶解し、60~75℃に加熱し、調合液Aを加えて完全に溶解するまで撹拌し、
(3)カンレンソウエキス、ゴマ種子エキス、何首烏エキス、加水分解アマ種子エキス、ネオピクロリザスクロフラリフロラ根エキス、アセチルチロシン、ヨーロッパカラマツエキスをこの順に加え、完全に溶解して透明になるまで撹拌し、
(4)クエン酸及びクエン酸ナトリウムを加え、撹拌溶解し、pHを4.0~5.0に調整し、
(5)調合液B及び防腐剤を加え、撹拌溶解し、30℃以下に冷却して終了とする。
(実施例2)
【0026】
黒髪再生エッセンスは、以下の成分を含む。
【0027】
【0028】
前記黒髪再生エッセンスの製造方法は、
(1)ペンチレングリコールと濃グリセリンを混合し、均一に撹拌して調合液Aとし、メントール、PEG-40硬化ヒマシ油、トゥイーン-20を混合し、40~50℃に加熱し、撹拌して透明に溶解し、冷却して調合液Bとし、
(2)適当な容器に水、EDTA二ナトリウム、グリチルリチン酸ジカリウム、キサンタンガムを加えて撹拌溶解し、60~75℃に加熱し、調合液Aを加えて完全に溶解するまで撹拌し、
(3)カンレンソウエキス、ゴマ種子エキス、何首烏エキス、加水分解アマ種子エキス、ネオピクロリザスクロフラリフロラ根エキス、アセチルチロシン、ヨーロッパカラマツエキスをこの順に加え、完全に溶解して透明になるまで撹拌し、
(4)クエン酸及びクエン酸ナトリウムを加え、撹拌溶解し、pHを4.0~5.0に調整し、
(5)調合液B及び防腐剤を加え、撹拌溶解し、30℃以下に冷却して終了とする。
(実施例3)
【0029】
黒髪再生エッセンスは、以下の成分を含む。
【0030】
【0031】
前記黒髪再生エッセンスの製造方法は、
(1)ペンチレングリコールと濃グリセリンを混合し、均一に撹拌して調合液Aとし、メントール、PEG-40硬化ヒマシ油、トゥイーン-20を混合し、40~50℃に加熱し、撹拌して透明に溶解し、冷却して調合液Bとし、
(2)適当な容器に水、EDTA二ナトリウム、グリチルリチン酸ジカリウム、キサンタンガムを加えて撹拌溶解し、60~75℃に加熱し、調合液Aを加えて完全に溶解するまで撹拌し、
(3)カンレンソウエキス、ゴマ種子エキス、何首烏エキス、加水分解アマ種子エキス、ネオピクロリザスクロフラリフロラ根エキス、アセチルチロシン、ヨーロッパカラマツエキスをこの順に加え、完全に溶解して透明になるまで撹拌し、
(4)クエン酸及びクエン酸ナトリウムを加え、撹拌溶解し、pHを4.0~5.0に調整し、
(5)調合液B及び防腐剤を加え、撹拌溶解し、30℃以下に冷却して終了とする。
(実施例4)
【0032】
黒髪再生エッセンスは、以下の成分を含む。
【0033】
【0034】
前記黒髪再生エッセンスの製造方法は、
(1)ペンチレングリコールと濃グリセリンを混合し、均一に撹拌して調合液Aとし、メントール、PEG-40硬化ヒマシ油、トゥイーン-20を混合し、40~50℃に加熱し、撹拌して透明に溶解し、冷却して調合液Bとし、
(2)適当な容器に水、EDTA二ナトリウム、グリチルリチン酸ジカリウム、キサンタンガムを加えて撹拌溶解し、60~75℃に加熱し、調合液Aを加えて完全に溶解するまで撹拌し、
(3)カンレンソウエキス、ゴマ種子エキス、何首烏エキス、加水分解アマ種子エキス、ネオピクロリザスクロフラリフロラ根エキス、アセチルチロシン、ヨーロッパカラマツエキスをこの順に加え、完全に溶解して透明になるまで撹拌し、
(4)クエン酸及びクエン酸ナトリウムを加え、撹拌溶解し、pHを4.0~5.0に調整し、
(5)調合液B及び防腐剤を加え、撹拌溶解し、30℃以下に冷却して終了とする。
(性能試験)
【0035】
本発明の加水分解アマ種子エキスは、毛髪の本来の色を維持、回復するのに役立ち、以下の役割を果たす。1)
図1に示すように、メラノサイトにおけるメラニンの生成を開始する律速鍵酵素であるチロシナーゼのレベルを大幅に増加させた。2)
図2に示すように、TPR-1、MITF、Pmel17、c-Kitなどのすべてのタンパク質マーカーの発現を増加させ、TPR-1はヒトメラノサイトにおけるメラニン合成に関与する重要なタンパク質であり、MITFはヒトメラノサイトにおけるメラニン合成に寄与し、Pmel17はヒトメラノサイトにおけるメラニンの貯蔵に有利であり、c-Kitはヒトメラノサイトにおけるメラニンプロセスを制御する。3)
図3に示すように、ケラチノサイトにおけるPAR-2の発現を大幅に増加させ、メラノサイトからケラチノサイトへのメラニンの移送を促進した。
【0036】
本発明のネオピクロリザスクロフラリフロラ根エキスは、ピクロシドIIと呼ばれるイリドイド配糖体とポリフェノールを含有し、抗アポトーシス作用、抗炎症作用、抗酸化作用を有し、白髪を黒髪に戻す効果が高い。1)
図4に示すように、メラノサイトの主要な抗酸化遺伝子の発現を増加させ、酸化ストレスを防止し、抗酸化特性を改善し、毛髪の白髪化を抑制した。2)毛包の毛乳頭細胞は、活発なメラノサイトの再生を制御する上で重要な役割を果たすが、細胞におけるROSがそれらの活性に影響を与えることがあり、
図5に示すように、ネオピクロリザスクロフラリフロラ根エキスは、毛乳頭細胞におけるROSの産生を減少させ、環境の酸化ストレスを抑制し、毛髪の着色を向上させることができた。3)
図6に示すように、チロシナーゼの活性を促進し、色素沈着を増加させた。4)
図7に示すように、メラニンの生成を促進し、毛髪の色素の減少を逆転させた。
【0037】
ネオピクロリザスクロフラリフロラ根エキスのメラノサイトの抗酸化遺伝子の発現に対する影響の試験方法は、メラノサイトを1.0%のネオピクロリザスクロフラリフロラ根エキスで48時間培養し、24時間後に酸化ストレスを検出し、つまり、2つの部分に分けて、1つの部分を250μmH2O2で2時間処理し、もう1つの部分を処理せず、混合培養三倍体上でRT-qPCRを使用してNRF2、HMOX1、SLC7A11遺伝子のmRNA発現を検出する。
【0038】
ネオピクロリザスクロフラリフロラ根エキスのメラノサイトのROS含有量に対する影響の試験方法は、以下のようである。毛包の毛乳頭細胞は、活発なメラノサイトの再生を制御する上で重要な役割を果たすが、細胞におけるROSの蓄積がそれらの活性に影響を与えるため、ROS産生の低減により毛髪の着色を向上させることができる。ヒト毛乳頭細胞(HFDPC)を黒髪再生組成物で24時間培養した後、30分以内に酸化ストレス(250umH2O2)を加え、最後に蛍光プローブ(2,7-HFDPC-DA)を使用して細胞内のROSを測定し、その結果、濃度の異なるネオピクロリザスクロフラリフロラ根エキスで処理することにより、ROSの産生を効果的に低減できることが示された。
【0039】
ネオピクロリザスクロフラリフロラ根エキスのチロシナーゼ活性に対する影響の試験方法は、メラノサイトをネオピクロリザスクロフラリフロラ根エキスで72時間(n=3)培養し、72時間後に酸化ストレスを検出し、つまり、5MH2O2で30分間処理し、L-DOPA基質とインキュベートした後、酵素活性を540nmでの光学密度(OD)によって評価する。
【0040】
ネオピクロリザスクロフラリフロラ根エキスのメラニン生成に対する影響の試験方法は、メラノサイト及びケラチノサイトをネオピクロリザスクロフラリフロラ根エキス又はL-チロシンと10日間共培養し、0日目、3日目、7日目に酸化ストレスを測定し、つまり、250umH2O2で2時間処理し、405nm(n=3)での光学密度(OD)によって細胞のメラニン含有量を評価する。
【0041】
本発明において、ヨーロッパカラマツエキスは、白髪におけるメラニンの生成を刺激し、
図8に示すように、インビトロ試験の結果は、3日間以内に毛包におけるメラニン生成が66%と大幅に増加したことを示した。
【0042】
ヨーロッパカラマツエキスのインビトロ試験方法は、発毛初期の毛包を濃度の異なるヨーロッパカラマツエキスで72時間処理し、Fontana Masson染色法と画像解析法を用いてメラニン生成を評価する。
【0043】
一、白髪におけるメラニン生成を測定する生体外実験
図9及び10に示すように、2名のドナーからの発毛初期の白髪の毛包を、実施例1の黒髪再生組成物を1%含む黒髪再生エッセンスで72時間処理するか又は処理せず、Fontana Masson染色法(
図2の黒色)及び画像分析法を用いて評価し、毛包に入ったメラニン含有量を定量化した。
結果:1%の黒髪再生組成物により、毛包におけるメラニン生成が3日間以内に15%と大幅に増加した。
【0044】
二、白髪の割合を減らす実験
第1群のボランティアはプラセボを、第2群のボランティアは実施例1の黒髪再生組成物を1%含む黒髪再生エッセンスを1日1回、4か月間使用して白髪の割合を評価した。
結果:
図11に示すように、4か月後、黒髪再生組成物により白髪の割合が17%と大幅に減少され、プラセボ群の2.1倍であった。
図12~
図16はヒト試験ボランティアの効果を示す図であり、
図12は24歳の女性、
図13は46歳の男性、
図14は35歳の男性、
図15は44歳の女性である。
【0045】
三、白髪密度の定量分析実験
第1群のボランティアはプラセボを、第2群のボランティアは黒髪再生組成物を1%含むヘアコンディショナーを1日1回、4か月間使用して白髪の割合を評価した。
結果:
図17及び
図18に示すように、4か月後、黒髪再生組成物により1平方センチメートルあたりの白髪の数が大幅に減少され、平均で6.8本減少され、プラセボ群の3.4倍であった。
【0046】
上記の実施例は、本発明のさまざまな実施過程について詳しく説明したが、本発明の実施形態はこれらに限定されるものではなく、当業者であれば、本発明で開示された内容に基づいて本発明の目的を達成することができる。本発明の思想に基づいてなされた改良や変形はすべて本発明の保護範囲に属し、具体的な保護範囲は特許請求の範囲に記載されるものとする。
【国際調査報告】