(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-02
(54)【発明の名称】標的ポリヌクレオチドの配列を分析するための方法
(51)【国際特許分類】
C12Q 1/6869 20180101AFI20240925BHJP
C12Q 1/6806 20180101ALI20240925BHJP
C12Q 1/6876 20180101ALI20240925BHJP
【FI】
C12Q1/6869 Z
C12Q1/6806 Z
C12Q1/6876 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024514736
(86)(22)【出願日】2021-09-07
(85)【翻訳文提出日】2024-05-01
(86)【国際出願番号】 CN2021116924
(87)【国際公開番号】W WO2023035108
(87)【国際公開日】2023-03-16
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】516122667
【氏名又は名称】深▲セン▼華大智造科技股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】MGI Tech Co.,LTD
【住所又は居所原語表記】Main Building and Second Floor of No.11 Building,Beishan Industrial Zone,Yantian District,Shenzhen,Guangdong 518083,China
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】ゴン, メイファ
(72)【発明者】
【氏名】ジャン, ミンシュアン
(72)【発明者】
【氏名】ジョウ, シュアン
(72)【発明者】
【氏名】ロン, シャオジュアン
(72)【発明者】
【氏名】シュ, チョンジュン
(72)【発明者】
【氏名】ジャン, ホイ
(72)【発明者】
【氏名】リュウ, チアン
【テーマコード(参考)】
4B063
【Fターム(参考)】
4B063QA13
4B063QQ42
4B063QQ52
4B063QR08
4B063QR32
4B063QR35
4B063QR55
4B063QR62
4B063QS25
4B063QS34
(57)【要約】
本発明は、標的ポリヌクレオチドの配列を分析するための方法に関する。ヌクレオチド混合物及びポリメラーゼを複数回重合させることによって完全な重合を達成し、重合反応を行いながらマーカーを検出する。更に、本発明は、ポリヌクレオチドの分析又はシーケンシングに使用できるキットに関する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
標的ポリヌクレオチドの配列を分析するための方法であって、
(a)標的ポリヌクレオチドを提供するステップと;
(b)ハイブリダイゼーション又はアニーリングを可能にする条件下で、前記標的ポリヌクレオチドをプライマーと接触させ、それによって、前記標的ポリヌクレオチドと成長鎖として使用される前記プライマーとを含む部分二重鎖を形成する、ステップと;
(c)前記部分二重鎖をポリメラーゼ及び第1のヌクレオチド混合物と、前記ポリメラーゼがヌクレオチド重合反応を行うことができる条件下で接触させ、それによって、前記成長鎖を伸長するステップであって、前記第1のヌクレオチド混合物は、標識で標識された少なくとも1種のヌクレオチドを含み、
前記第1のヌクレオチド混合物中の各ヌクレオチドは、そのリボース又はデオキシリボース部分に、核酸鎖伸長をブロックできる保護基(例えば、2’-又は3’-酸素原子を介して結合した保護基)を含む、ステップと;
(d)前のステップの生成物をポリメラーゼ及び第2のヌクレオチド混合物と、前記ポリメラーゼがヌクレオチド重合反応を行うことができる条件下で接触させ、それによって、前記成長鎖を伸長するステップであって、前記第2のヌクレオチド混合物は、少なくとも1種(例えば、1、2、3、又は4種)の標識されていないヌクレオチド又は不可逆的ブロッキングヌクレオチド、又は前記標識されていないヌクレオチドと前記不可逆的ブロッキングヌクレオチドとの組み合わせを含み;
前記第2のヌクレオチド混合物中の各標識されていないヌクレオチドは、そのリボース又はデオキシリボース部分に、核酸鎖伸長をブロックできる保護基(例えば、2’-又は3’-酸素原子を介して結合した保護基)を含む、ステップ;
そして、撮影重合溶液を提供し、それを前記第2のヌクレオチド混合物と接触させ、撮影重合反応によって前記ステップ(c)の生成物中の標識の存在を検出する、ステップと;
(e)前のステップの生成物に含まれる保護基及び標識を取り除くステップと;
(f)任意選択で、ステップ(c)から(e)を1回以上繰り返すステップと;
を含み、
それによって、前記標的ポリヌクレオチドの配列情報を得て;
好ましくは、前記撮影重合溶液は、以下の試薬:核酸ポリメラーゼ、緩衝試薬、界面活性剤、及びレーザー写真撮影下での核酸の損傷を低減するための試薬、を含む、方法。
【請求項2】
ステップ(c)において、前記伸長が前記標的ポリヌクレオチドを鋳型とする伸長であり;好ましくは、前記伸長が1ヌクレオチドの伸長であり;
好ましくは、前記第1のヌクレオチド混合物が、第1の標識で標識された第1のヌクレオチド、第2の標識で標識された第2のヌクレオチド、第3の標識で標識された第3のヌクレオチド、及び第4の標識で標識された第4のヌクレオチド若しくは標識されていない第4のヌクレオチドを含み、又は、第1の標識で標識された第1のヌクレオチド、第2の標識で標識された第2のヌクレオチド、前記第1の標識及び前記第2の標識で共標識された第3のヌクレオチド、及び標識されていない第4のヌクレオチドを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ステップ(d)において、前記第2のヌクレオチド混合物が、標識されていない第1のヌクレオチド、標識されていない第2のヌクレオチド、及び標識されていない第3のヌクレオチドを含み、
任意選択で、前記第2のヌクレオチド混合物が、標識されていない第4のヌクレオチドを更に含み;
任意選択で、前記第2のヌクレオチド混合物が、少なくとも1種の不可逆的ブロッキングヌクレオチドを含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
ステップ(d)において、前記第2のヌクレオチド混合物が、標識されていない第1のヌクレオチド、標識されていない第2のヌクレオチド、標識されていない第3のヌクレオチド、並びに第1の不可逆的ブロッキングヌクレオチド、第2の不可逆的ブロッキングヌクレオチド、第3の不可逆的ブロッキングヌクレオチド、及び第4の不可逆的ブロッキングヌクレオチドを含み;
任意選択で、前記第2のヌクレオチド混合物が、標識されていない第4のヌクレオチドを更に含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項5】
前記第1の標識、前記第2の標識、前記第3の標識及び前記第4の標識が、各々独立して同一又は異なり;
好ましくは、前記第1の標識、前記第2の標識、前記第3の標識、前記第4の標識が異なり;
好ましくは、前記第1の標識、前記第2の標識、前記第3の標識及び前記第4の標識が、発光標識(例えば、蛍光標識)であり;
より好ましくは、前記第1の標識、前記第2の標識、前記第3の標識及び前記第4の標識が、各々独立して、クマリン、アレクサフルオロ、ボディピー、フルオレセイン、テトラメチルローダミン、フェノキサジン、アクリジン、Cy5、Cy3、AF532、テキサスレッド及びそれらの誘導体からなる群より選択され;
好ましくは、前記標的ポリヌクレオチドが、DNA、RNA、又はそれらの任意の組み合わせを含む、又はそれらであり;好ましくは、前記核酸分子の前記伸長産物がDNAであり;
好ましくは、前記標的ポリヌクレオチドが、真核生物(例えば、動物、植物、真菌)、原核生物(例えば、細菌、放線菌)、ウイルス、ファージ、又はそれらの任意の組み合わせに由来するサンプルから得られ;
好ましくは、前記第1のヌクレオチド、前記第2のヌクレオチド、前記第3のヌクレオチド及び前記第4のヌクレオチドが、各々独立して、A、T、C、G、及びUからなる群より選択され;
好ましくは、前記第1のヌクレオチド、前記第2のヌクレオチド、前記第3のヌクレオチド及び前記第4のヌクレオチドが異なり;
更に好ましくは、前記第1のヌクレオチド、前記第2のヌクレオチド、前記第3のヌクレオチド及び前記第4のヌクレオチドが、それぞれA、T、C、Gであり;
好ましくは、前記第1の不可逆的ブロッキングヌクレオチド、前記第2の不可逆的ブロッキングヌクレオチド、前記第3の不可逆的ブロッキングヌクレオチド及び前記第4の不可逆的ブロッキングヌクレオチドが、各々独立して、A、T、C、G、及びUからなる群より選択され;
好ましくは、前記第1の不可逆的ブロッキングヌクレオチド、前記第2の不可逆的ブロッキングヌクレオチド、前記第3の不可逆的ブロッキングヌクレオチド及び前記第4の不可逆的ブロッキングヌクレオチドが異なり;
更に好ましくは、前記第1の不可逆的ブロッキングヌクレオチド、前記第2の不可逆的ブロッキングヌクレオチド、前記第3の不可逆的ブロッキングヌクレオチド及び前記第4の不可逆的ブロッキングヌクレオチドが、それぞれA、T、C、Gであり;
好ましくは、前記不可逆的ブロッキングヌクレオチドが、ジデオキシヌクレオチドであり;
好ましくは、
前記第1のヌクレオチド混合物が、第1の標識で標識された第1のヌクレオチド、第2の標識で標識された第2のヌクレオチド、第3の標識で標識された第3のヌクレオチド、及び第4の標識で標識された第4のヌクレオチドを含む場合、前記第2のヌクレオチド混合物が、標識されていない第1のヌクレオチド、標識されていない第2のヌクレオチド、標識されていない第3のヌクレオチド、及び標識されていない第4のヌクレオチドを含む;又は、
前記第1のヌクレオチド混合物が、第1の標識で標識された第1のヌクレオチド、第2の標識で標識された第2のヌクレオチド、第3の標識で標識された第3のヌクレオチド、及び標識されていない第4のヌクレオチドを含み、又は第1の標識で標識された第1のヌクレオチド、第2の標識で標識された第2のヌクレオチド、前記第1の標識及び前記第2の標識で共標識された第3のヌクレオチド、及び標識されていない第4のヌクレオチドを含む場合、前記第2のヌクレオチド混合物が、標識されていない第1のヌクレオチド、標識されていない第2のヌクレオチド、及び標識されていない第3のヌクレオチドを含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
キットであって、
(a)第1のヌクレオチド混合物であって、前記第1のヌクレオチド混合物は、標識で標識された少なくとも1種のヌクレオチドを含み、
前記第1のヌクレオチド混合物中の各ヌクレオチドは、そのリボース又はデオキシリボース部分に、核酸鎖伸長をブロックできる保護基(例えば、2’-又は3’-酸素原子を介して結合した保護基)を含む、第1のヌクレオチド混合物と;
(b)第2のヌクレオチド混合物であって、前記第2のヌクレオチド混合物は、少なくとも1種(例えば、1、2、3、又は4種)の標識されていないヌクレオチド、又は不可逆的ブロッキングヌクレオチド、又は前記標識されていないヌクレオチドと前記不可逆的ブロッキングヌクレオチドとの組み合わせを含み;
前記第2のヌクレオチド混合物中の各標識されていないヌクレオチドは、そのリボース又はデオキシリボース部分に、核酸鎖伸長をブロックできる保護基(例えば、2’-又は3’-酸素原子を介して結合した保護基)を含む、第2のヌクレオチド混合物と;
(c)撮影重合溶液と;
を含み、
好ましくは、前記撮影重合溶液は、以下の試薬:核酸ポリメラーゼ、緩衝試薬、界面活性剤、レーザー写真撮影下での核酸の損傷を低減するための試薬、を含み;
好ましくは、前記キットは、前記ポリヌクレオチドの全部又は一部に相補的なプライマー、核酸増幅緩衝液、酵素(例えば、核酸ポリメラーゼ)用の作業緩衝液、水、又はそれらの任意の組み合わせからなる群より選択される1種以上を更に含み;
好ましくは、前記キットは、シーケンシング用スライド、前記ヌクレオチド上の前記保護基及び標識を除去するための試薬からなる群より選択される1種以上を更に含み;
好ましくは、前記キットはポリヌクレオチドの分析に使用され;
好ましくは、前記キットはポリヌクレオチドのシーケンシングに使用される、キット。
【請求項7】
前記第1のヌクレオチド混合物が、第1の標識で標識された第1のヌクレオチド、第2の標識で標識された第2のヌクレオチド、第3の標識で標識された第3のヌクレオチド、及び第4の標識で標識された第4のヌクレオチド若しくは標識されていない第4のヌクレオチドを含み、又は第1の標識で標識された第1のヌクレオチド、第2の標識で標識された第2のヌクレオチド、前記第1の標識及び前記第2の標識で共標識された第3のヌクレオチド、及び標識されていない第4のヌクレオチドを含む、請求項6に記載のキット。
【請求項8】
前記第1のヌクレオチド混合物が、第1の標識で標識された第1のヌクレオチド、第2の標識で標識された第2のヌクレオチド、第3の標識で標識された第3のヌクレオチド、及び第4の標識で標識された第4のヌクレオチドを含む場合、前記第2のヌクレオチド混合物が、標識されていない第1のヌクレオチド、標識されていない第2のヌクレオチド、標識されていない第3のヌクレオチド、及び標識されていない第4のヌクレオチドを含む;又は、
前記第1のヌクレオチド混合物が、第1の標識で標識された第1のヌクレオチド、第2の標識で標識された第2のヌクレオチド、第3の標識で標識された第3のヌクレオチド、及び標識されていない第4のヌクレオチドを含み、又は第1の標識で標識された第1のヌクレオチド、第2の標識で標識された第2のヌクレオチド、前記第1の標識及び前記第2の標識で共標識された第3のヌクレオチド、及び標識されていない第4のヌクレオチドを含む場合、前記第2のヌクレオチド混合物が、標識されていない第1のヌクレオチド、標識されていない第2のヌクレオチド、及び標識されていない第3のヌクレオチドを含む、請求項6又は7に記載のキット。
【請求項9】
前記第2のヌクレオチド混合物が、標識されていない第1のヌクレオチド、標識されていない第2のヌクレオチド、標識されていない第3のヌクレオチド、及び第1の不可逆的ブロッキングヌクレオチド、第2の不可逆的ブロッキングヌクレオチド、第3の不可逆的ブロッキングヌクレオチド及び第4の不可逆的ブロッキングヌクレオチドを含む;
任意選択で、前記第2のヌクレオチド混合物が、標識されていない第4のヌクレオチドを更に含む、請求項6~8のいずれか一項に記載のキット。
【請求項10】
前記第1の標識、前記第2の標識、前記第3の標識、及び前記第4の標識が、各々独立して同一又は異なり;
好ましくは、前記第1の標識、前記第2の標識、前記第3の標識、前記第4の標識が異なり;
好ましくは、前記第1の標識、前記第2の標識、前記第3の標識及び前記第4の標識が、発光標識(例えば、蛍光標識)であり;
より好ましくは、前記第1の標識、前記第2の標識、前記第3の標識及び前記第4の標識が、各々独立して、クマリン、アレクサフルオロ、ボディピー、フルオレセイン、テトラメチルローダミン、フェノキサジン、アクリジン、Cy5、Cy3、AF532、テキサスレッド及びそれらの誘導体からなる群より選択され;
好ましくは、前記標的ポリヌクレオチドが、DNA、RNA、又はそれらの任意の組み合わせを含む、又はそれらであり;好ましくは、前記核酸分子の前記伸長産物がDNAであり;
好ましくは、前記標的ポリヌクレオチドが、真核生物(例えば、動物、植物、真菌)、原核生物(例えば、細菌、放線菌)、ウイルス、ファージ、又はそれらの任意の組み合わせに由来するサンプルから得られ;
好ましくは、前記第1のヌクレオチド、前記第2のヌクレオチド、前記第3のヌクレオチド及び前記第4のヌクレオチドが、各々独立して、A、T、C、G、及びUからなる群より選択され;
好ましくは、前記第1のヌクレオチド、前記第2のヌクレオチド、前記第3のヌクレオチド及び前記第4のヌクレオチドが異なり;
更に好ましくは、前記第1のヌクレオチド、前記第2のヌクレオチド、前記第3のヌクレオチド及び前記第4のヌクレオチドが、それぞれA、T、C、及びGであり;
好ましくは、前記第1の不可逆的ブロッキングヌクレオチド、前記第2の不可逆的ブロッキングヌクレオチド、前記第3の不可逆的ブロッキングヌクレオチド及び前記第4の不可逆的ブロッキングヌクレオチドが、各々独立して、A、T、C、G、Uからなる群より選択され;
好ましくは、前記第1の不可逆的ブロッキングヌクレオチド、前記第2の不可逆的ブロッキングヌクレオチド、前記第3の不可逆的ブロッキングヌクレオチド及び前記第4の不可逆的ブロッキングヌクレオチドが異なり;
更に好ましくは、前記第1の不可逆的ブロッキングヌクレオチド、前記第2の不可逆的ブロッキングヌクレオチド、前記第3の不可逆的ブロッキングヌクレオチド及び前記第4の不可逆的ブロッキングヌクレオチドが、それぞれA、T、C及びGであり;
好ましくは、前記不可逆的ブロッキングヌクレオチドが、ジデオキシヌクレオチドである、請求項6~9のいずれか一項に記載のキット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、標的ポリヌクレオチド配列を分析するための方法に関し、この方法は、効率的且つ十分な重合を達成するために、ヌクレオチド混合物とポリメラーゼとを複数回重合させ、重合反応を行いながら標識を検出することを含む。更に、本発明は、ポリヌクレオチドの分析又はシーケンシングに使用できるキットに関する。
【背景技術】
【0002】
合成によるシーケンシング(SBS)が商業的な主流である、ハイスループットシーケンシングは、主にDNAポリメラーゼと可逆的な終了及び蛍光標識を持つヌクレオチドを使用して、DNA配列を同定する。一度に数十万から数百万のDNA分子を並行してシーケンシングすることができ、高スループット、高速検出、柔軟性と汎用性、低コストなどの利点がある。
【0003】
現在、合成によるシーケンシングの具体的なプロセスは、増幅又はローリングサークル複製を採用して多数のDNA鋳型を生成すること、次に特異的シーケンシングプライマーを固定すること、DNAポリメラーゼと蛍光標識ヌクレオチドを反応系に同時に加える、又はDNAポリメラーゼと蛍光標識ヌクレオチドと非蛍光修飾ヌクレオチドの混合物を反応系に同時に加えることを含む。これらのdNTPの3’-OHは保護されているので、一度に付加できるdNTPは1つだけである。dNTPが付加されるたびに、DNA鎖の複製反応は停止し、次に、蛍光シグナルが励起・収集され、その次に化学試薬が添加されて蛍光シグナルが消光され、dNTPの3’-OH保護基が除去され、次のラウンドのシーケンシング反応が実行できるようになる。
【0004】
しかし、このシーケンシング技術は特に高い合成効率が要求される。複数コピーの合成が不完全であればシグナルが混乱し、したがって、シーケンシング精度及びシーケンシングリード長に影響を及ぼす。これは現在、第2世代シーケンサーが直面している重要な技術的問題の1種でもある。シーケンシング時間の短縮やスループットの向上が求められる中、ポリメラーゼの反応効率には限界があり、特に蛍光基を有するヌクレオチドの重合能には限界があり、これらは重合効率がシーケンシングの品質に影響を及ぼす原因となる。重合効率がシーケンシング速度に追いつかなくなると、不完全な重合が複数コピーで起こり、シーケンシング中にシグナルが混乱するため、それによって、リード長やシーケンシングの精度が制限される。
【0005】
したがって、全体の反応時間を増加させることなく、より効率的な反応とシーケンシング効果を達成し、リード長とシーケンシングの精度を向上させるポリヌクレオチドのシーケンシング方法を提供する必要がある。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】合成により大腸菌(E.coli)DNAをシーケンシングするための対照群及び実験群のフローチャートである。
【
図2】対照群1及び実験群の各サイクルのQ30(%)比率の結果を示している。このうち、横軸はシーケンシングサイクルの数、縦軸は各サイクルのQ30(%)比率である。
【
図3】対照群1及び実験群の各サイクルのシーケンシングのエラー率(%)の結果を示している。このうち、横軸はシーケンシングサイクルの数、縦軸は各サイクルのシーケンシングのエラー率(%)である。
【
図4】対照群1及び実験群の各サイクルの遅延(%)比率の結果を示している。このうち、横軸はシーケンシングサイクルの数、縦軸は各サイクルの遅延(%)比率である。
【
図5】対照群2及び実験群4の各サイクルのQ30(%)比率の結果を示している。このうち、横軸はシーケンシングサイクルの数、縦軸は各サイクルのQ30比率(%)である。
【
図6】対照群2及び実験群4の各サイクルのシーケンシングのエラー率(%)の結果を示している。このうち、横軸はシーケンシングサイクルの数、縦軸は各サイクルのシーケンシングのエラー率(%)である。
【
図7】対照群2及び実験群4の各サイクルの遅延(%)比率の結果を示している。このうち、横軸はシーケンシングサイクルの数、縦軸は各サイクルの遅延(%)比率である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明は、シグナルを収集しながら、ヌクレオチドを重合し、それによって、重合効率を改善し、全体の反応時間を変えることなく、より効率的な重合効率を達成するための解決策を提供する。
【0008】
したがって、第一の態様において、本出願は、標的ポリヌクレオチド配列を分析するための方法であって、
(a)標的ポリヌクレオチドを提供するステップと;
(b)ハイブリダイゼーション又はアニーリングを可能にする条件下で、標的ポリヌクレオチドをプライマーと接触させ、それによって、標的ポリヌクレオチドと成長鎖として使用されるプライマーとを含む部分二重鎖を形成するステップと;
(c)部分二重鎖をポリメラーゼ及び第1のヌクレオチド混合物と、ポリメラーゼがヌクレオチド重合反応を行うことができる条件下で接触させ、それによって、成長鎖を伸長するステップであって、第1のヌクレオチド混合物は、標識で標識された少なくとも1種のヌクレオチドを含み;
第1のヌクレオチド混合物中の各ヌクレオチドは、そのリボース又はデオキシリボース部分に、核酸鎖伸長をブロックできる保護基(例えば、2’-又は3’-酸素原子を介して結合した保護基)を含む、ステップと;
(d)前のステップの生成物をポリメラーゼ及び第2のヌクレオチド混合物と、ポリメラーゼがヌクレオチド重合反応を行うことができる条件下で接触させ、それによって、成長鎖を伸長するステップであって、第2のヌクレオチド混合物は、少なくとも1種(例えば、1、2、3、又は4種)の標識されていないヌクレオチド又は不可逆的ブロッキングヌクレオチド、又は標識されていないヌクレオチドと不可逆的ブロッキングヌクレオチドとの組み合わせを含み;
第2のヌクレオチド混合物中の各標識されていないヌクレオチドは、そのリボース又はデオキシリボース部分に、核酸鎖伸長をブロックできる保護基(例えば、2’-又は3’-酸素原子を介して結合した保護基)を含む、ステップ;
そして、撮影重合溶液を提供し、それを第2のヌクレオチド混合物と接触させ、撮影重合反応によってステップ(c)の生成物中の標識の存在を検出する、ステップと;
(e)前のステップの生成物に含まれる保護基及び標識を取り除くステップと;
(f)任意選択で、ステップ(c)から(e)を1回以上繰り返すステップと;
を含み、
それによって、標的ポリヌクレオチドの配列情報を得る、方法を提供する。
【0009】
特定の実施形態において、撮影重合溶液は、以下の試薬を含む:核酸ポリメラーゼ、緩衝試薬、界面活性剤、及びレーザー写真撮影下での核酸の損傷を低減するための試薬。
【0010】
特定の実施形態において、撮影重合溶液は、以下の試薬を含む:核酸ポリメラーゼ、緩衝液試薬、核酸ハイブリダイゼーション用試薬(例えば、塩化ナトリウム)、Mg2+-含有塩、界面活性剤、及びレーザー写真撮影下での核酸の損傷を低減するための試薬。
【0011】
特定の実施形態においては、ステップ(c)において、伸長は、標的ポリヌクレオチドを鋳型として使用する伸長である。特定の実施形態においては、伸長は、1ヌクレオチドの伸長である。
【0012】
特定の実施形態において、第1のヌクレオチド混合物は、第1の標識で標識された第1のヌクレオチド、第2の標識で標識された第2のヌクレオチド、第3の標識で標識された第3のヌクレオチド、及び第4の標識で標識された第4のヌクレオチド若しくは標識されていない第4のヌクレオチドを含み、又は、第1の標識で標識された第1のヌクレオチド、第2の標識で標識された第2のヌクレオチド、第1の標識及び第2の標識で共標識された第3のヌクレオチド、及び標識されていない第4のヌクレオチドを含む。
【0013】
特定の実施形態において、ステップ(d)において、第2のヌクレオチド混合物が、標識されていない第1のヌクレオチド、標識されていない第2のヌクレオチド、標識されていない第3のヌクレオチドを含む。
【0014】
特定の実施形態において、第2のヌクレオチド混合物は、標識されていない第4のヌクレオチドを更に含む。
【0015】
特定の実施形態において、第2のヌクレオチド混合物は、少なくとも1種の不可逆的ブロッキングヌクレオチドを含む。
【0016】
特定の実施形態において、ステップ(d)において、第2のヌクレオチド混合物が、標識されていない第1のヌクレオチド、標識されていない第2のヌクレオチド、標識されていない第3のヌクレオチド、並びに第1の不可逆的ブロッキングヌクレオチド、第2の不可逆的ブロッキングヌクレオチド、第3の不可逆的ブロッキングヌクレオチド、及び第4の不可逆的ブロッキングヌクレオチドを含む。
【0017】
特定の実施形態において、第2のヌクレオチド混合物は、標識されていない第4のヌクレオチドを更に含む。
【0018】
特定の実施形態において、第1の標識、第2の標識、第3の標識及び第4の標識は、各々独立して同一又は異なる。
【0019】
特定の実施形態において、第1の標識、第2の標識、第3の標識及び第4の標識は、異なる。
【0020】
特定の実施形態において、第1の標識、第2の標識、第3の標識及び第4の標識は、発光標識(例えば蛍光標識)である。
【0021】
特定の実施形態において、第1の標識、第2の標識、第3の標識及び第4の標識は、各々独立して、クマリン、アレクサフルオロ(AlexaFluor)、ボディピー(Bodipy)、フルオレセイン、テトラメチルローダミン、フェノキサジン、アクリジン、Cy5、Cy3、AF532、テキサスレッド及びそれらの誘導体からなる群より選択される。
【0022】
特定の実施形態において、標的ポリヌクレオチドは、DNA、RNA、又はそれらの任意の組み合わせを含む、又はそれらである。特定の実施形態において、核酸分子の伸長産物はDNAである。
【0023】
特定の実施形態において、標的ポリヌクレオチドは、真核生物(例えば、動物、植物、真菌)、原核生物(例えば、細菌、放線菌)、ウイルス、ファージ、又はそれらの任意の組み合わせに由来するサンプルから得られる。
【0024】
特定の実施形態において、第1のヌクレオチド、第2のヌクレオチド、第3のヌクレオチド、及び第4のヌクレオチドは、各々独立して、A、T、C、G、及びUからなる群より選択される。
【0025】
特定の実施形態において、第1のヌクレオチド、第2のヌクレオチド、第3のヌクレオチド、及び第4のヌクレオチドは、各々異なる。
【0026】
特定の実施形態において、第1のヌクレオチド、第2のヌクレオチド、第3のヌクレオチド、及び第4のヌクレオチドは、それぞれA、T、C、Gである。
【0027】
特定の実施形態において、第1の不可逆的ブロッキングヌクレオチド、第2の不可逆的ブロッキングヌクレオチド、第3の不可逆的ブロッキングヌクレオチド、及び第4の不可逆的ブロッキングヌクレオチドは、各々独立して、A、T、C、G、Uより選択される。
【0028】
特定の実施形態において、第1の不可逆的ブロッキングヌクレオチド、第2の不可逆的ブロッキングヌクレオチド、第3の不可逆的ブロッキングヌクレオチド、及び第4の不可逆的ブロッキングヌクレオチドは、異なる。
【0029】
特定の実施形態において、第1の不可逆的ブロッキングヌクレオチド、第2の不可逆的ブロッキングヌクレオチド、第3の不可逆的ブロッキングヌクレオチド及び第4の不可逆的ブロッキングヌクレオチドは、それぞれA、T、C、Gである。
【0030】
特定の実施形態において、不可逆的ブロッキングヌクレオチドは、ジデオキシヌクレオチドである。
【0031】
特定の実施形態において、第1のヌクレオチド混合物が、第1の標識で標識された第1のヌクレオチド、第2の標識で標識された第2のヌクレオチド、第3の標識ヌクレオチドで標識された第3のヌクレオチド、及び第4の標識で標識された第4のヌクレオチドを含む場合;第2のヌクレオチド混合物は、標識されていない第1のヌクレオチド、標識されていない第2のヌクレオチド、標識されていない第3のヌクレオチド、標識されていない第4のヌクレオチドを含み、又は、
第1のヌクレオチド混合物が、第1の標識で標識された第1のヌクレオチド、第2の標識で標識された第2のヌクレオチド、第3の標識で標識された第3のヌクレオチド、及び標識されていない第4のヌクレオチドを含み、又は第1の標識で標識された第1のヌクレオチド、第2の標識で標識された第2のヌクレオチド、第1の標識及び第2の標識で共標識された第3のヌクレオチド、及び標識されていない第4のヌクレオチを含む場合、第2のヌクレオチド混合物は、標識されていない第1のヌクレオチド、標識されていない第2のヌクレオチド、及び標識されていない第3のヌクレオチドを含む。
【0032】
いくつかの実施形態において、ステップ(d)の重合反応が行われている間に、光信号を検出するための写真撮影が行われる。
【0033】
特定の実施形態において、緩衝試薬が、トリズマ(Trizma)塩基、トリス(ヒドロキシメチル)メチルグリシン(TRICINE)、N,N-ジヒドロキシエチルグリシン(BICINE)、トリス(ヒドロキシメチル)メチルアミノプロパンスルホン酸(TAPS)、又はそれらの任意の組み合わせからなる群より選択される。
【0034】
特定の実施形態において、核酸ハイブリダイゼーションのための試薬が、塩化ナトリウム、塩化カリウム、酢酸カリウム、又はそれらの任意の組み合わせからなる群より選択される。
【0035】
特定の実施形態において、Mg2+-含有塩が、硫酸マグネシウム、塩化マグネシウム、硝酸マグネシウム、クロム酸マグネシウム、又はそれらの任意の組み合わせからなる群より選択される。
【0036】
特定の実施形態において、界面活性剤が、10%Tween20、Tween80、ラウレス(brij-35)、ポリエチレングリコールオクチルフェニルエーテル(Trinton X-100)、エチルフェニルポリエチレングリコール(NP-40)、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、臭化セチルトリメチルアンモニウム(CTAB)、塩化セチルトリメチルアンモニウム(CTAC)、又はそれらの任意の組み合わせからなる群より選択される。
【0037】
特定の実施形態において、レーザー写真撮影下で核酸の損傷を低減するための試薬が、アスコルビン酸ナトリウム、ジチオスレイトール(DTT)、6-ヒドロキシ-2,5,7,8-テトラメチルクロマン-2-カルボン酸(Trolox)、アスコルビン酸誘導体(例えば、アスコルビルリン酸ナトリウム、アスコルビルリン酸マグネシウム、アスコルビルグルコシド、パルミチン酸アスコルビル、テトラエチルデカノールアスコルビル、アスコルビルメチルシラノールペクチン酸エステル、3-O-エチルアスコルビン酸)、還元型グルタチオン(GSH)、N,N’-ジメチルチオ尿素(DMTU)、ピロリジンジチオカルバミン酸アンモニウム(APDTC)、スペルミジン、スペルミジン三塩酸塩、尿酸、ピルビン酸ナトリウム、L-システイン、β-メルカプトエチルアミン、シスタミン、又はそれらの組み合わせからなる群より選択される。
【0038】
特定の実施形態において、レーザー写真撮影下で核酸の損傷を軽減するための試薬が、アスコルビン酸ナトリウム又は還元型グルタチオンからなる群より選択される。
【0039】
一実施形態において、レーザー写真撮影下で核酸損傷を低減するための試薬が、還元型グルタチオン(GSH)及びジチオスレイトール(DTT)、並びにそれらの任意の組み合わせからなる群より選択される。
【0040】
一実施形態において、レーザー写真撮影下で核酸の損傷を軽減するための試薬が、還元型グルタチオン(GSH)である。
【0041】
第2の態様において、本出願はキットであって、
(a)第1のヌクレオチド混合物であって、該第1のヌクレオチド混合物は、標識で標識された少なくとも1種のヌクレオチドを含み、
第1のヌクレオチド混合物中の各ヌクレオチドは、そのリボース又はデオキシリボース部分に、核酸鎖伸長をブロックできる保護基(例えば、2’-又は3’-酸素原子を介して結合した保護基)を含む、第1のヌクレオチド混合物;
(b)第2のヌクレオチド混合物であって、第2のヌクレオチド混合物は、少なくとも1種(例えば、1、2、3、又は4種)の標識されていないヌクレオチド若しくは不可逆的ブロッキングヌクレオチド、又は標識されていないヌクレオチドと不可逆的ブロッキングヌクレオチドとの組み合わせを含み;
第2のヌクレオチド混合物中の各標識されていないヌクレオチドは、そのリボース又はデオキシリボース部分に、核酸鎖伸長をブロックできる保護基(例えば、2’-又は3’-酸素原子を介して結合した保護基)を含む、第2のヌクレオチド混合物;
(c)撮影重合溶液
を含む、キットを提供する。
【0042】
特定の実施形態において、撮影重合溶液は、以下の試薬を含む:核酸ポリメラーゼ、緩衝試薬、界面活性剤、及びレーザー写真撮影下での核酸の損傷を低減するための試薬。
【0043】
特定の実施形態において、撮影重合溶液は、以下の試薬を含む:核酸ポリメラーゼ、緩衝液試薬、核酸ハイブリダイゼーション用試薬(例えば、塩化ナトリウム)、Mg2+-含有塩、界面活性剤、及びレーザー写真撮影下での核酸損傷を低減するための試薬。
【0044】
特定の実施形態において、キットは、ポリヌクレオチドの全部又は一部に相補的なプライマー、核酸増幅緩衝液、酵素(例えば、核酸ポリメラーゼ)用作業緩衝液、水、又はそれらの任意の組み合わせからなる群より選択される1種以上を更に含む。
【0045】
特定の実施形態において、キットは、シーケンシングスライド、ヌクレオチド上の保護基及び標識を除去するための試薬からなる群より選択される1種以上を更に含む。
【0046】
特定の実施形態において、キットはポリヌクレオチドの分析に使用される。
【0047】
特定の実施形態において、キットはポリヌクレオチドのシーケンシングに使用される。
【0048】
特定の実施形態において、第1のヌクレオチド混合物は、第1の標識で標識された第1のヌクレオチド、第2の標識で標識された第2のヌクレオチド、第3の標識で標識された第3のヌクレオチド、及び第4の標識で標識された第4のヌクレオチド若しくは標識されていない第4のヌクレオチドを含み、又は、第1の標識で標識された第1のヌクレオチド、第2の標識で標識された第2のヌクレオチド、第1の標識及び第2の標識で共標識された第3のヌクレオチド、及び標識されていない第4のヌクレオチドを含む。
【0049】
特定の実施形態において、第1のヌクレオチド混合物が、第1の標識で標識された第1のヌクレオチド、第2の標識で標識された第2のヌクレオチド、第3の標識ヌクレオチドで標識された第3のヌクレオチド、及び第4の標識で標識された第4のヌクレオチドを含む場合、第2のヌクレオチド混合物が、標識されていない第1のヌクレオチド、標識されていない第2のヌクレオチド、標識されていない第3のヌクレオチド、標識されていない第4のヌクレオチドを含む;又は、
第1のヌクレオチド混合物が、第1の標識で標識された第1のヌクレオチド、第2の標識で標識された第2のヌクレオチド、第3の標識で標識された第3のヌクレオチド、及び標識されていない第4のヌクレオチドを含み、又は第1の標識で標識された第1のヌクレオチド、第2の標識で標識された第2のヌクレオチド、前記第1の標識及び前記第2の標識で共標識された第3のヌクレオチド、及び標識されていない第4のヌクレオチドを含む場合、前記第2のヌクレオチド混合物が、標識されていない第1のヌクレオチド、標識されていない第2のヌクレオチド、及び標識されていない第3のヌクレオチドを含む。
【0050】
特定の実施形態において、第2のヌクレオチド混合物は、標識されていない第1のヌクレオチド、標識されていない第2のヌクレオチド、標識されていない第3のヌクレオチド、及び第1の不可逆的ブロッキングヌクレオチド、第2の不可逆的ブロッキングヌクレオチド、第3の不可逆的ブロッキングヌクレオチド、及び第4の不可逆的ブロッキングヌクレオチドを含む。
【0051】
特定の実施形態において、第2のヌクレオチド混合物は、標識されていない第4のヌクレオチドを更に含む。
【0052】
特定の実施形態において、第1の標識、第2の標識、第3の標識及び第4の標識は、各々独立して同一又は異なる。
【0053】
特定の実施形態において、第1の標識、第2の標識、第3の標識及び第4の標識は異なる。
【0054】
特定の実施形態において、第1の標識、第2の標識、第3の標識及び第4の標識は発光標識(例えば蛍光標識)である。
【0055】
特定の実施形態において、第1の標識、第2の標識、第3の標識及び第4の標識は、各々独立して、クマリン、アレクサフルオロ、ボディピー、フルオレセイン、テトラメチルローダミン、フェノキサジン、アクリジン、Cy5、Cy3、AF532、テキサスレッド及びそれらの誘導体からなる群より選択される。
【0056】
特定の実施形態において、標的ポリヌクレオチドは、DNA、RNA、又はそれらの任意の組み合わせを含む、又はそれらである。特定の実施形態において、核酸分子の伸長産物はDNAである。
【0057】
特定の実施形態において、標的ポリヌクレオチドは、真核生物(例えば、動物、植物、真菌)、原核生物(例えば、細菌、放線菌)、ウイルス、ファージ、又はそれらの任意の組み合わせに由来するサンプルから得られる。
【0058】
特定の実施形態において、第1のヌクレオチド、第2のヌクレオチド、第3のヌクレオチド、及び第4のヌクレオチドは、各々独立して、A、T、C、G、及びUからなる群より選択される。
【0059】
特定の実施形態において、第1のヌクレオチド、第2のヌクレオチド、第3のヌクレオチド、及び第4のヌクレオチドは、各々異なる。
【0060】
特定の実施形態において、第1のヌクレオチド、第2のヌクレオチド、第3のヌクレオチド、及び第4のヌクレオチドは、それぞれA、T、C、Gである。
【0061】
特定の実施形態において、第1の不可逆的ブロッキングヌクレオチド、第2の不可逆的ブロッキングヌクレオチド、第3の不可逆的ブロッキングヌクレオチド、及び第4の不可逆的ブロッキングヌクレオチドは、各々独立して、A、T、C、G、Uより選択される。
【0062】
特定の実施形態において、第1の不可逆的ブロッキングヌクレオチド、第2の不可逆的ブロッキングヌクレオチド、第3の不可逆的ブロッキングヌクレオチド、及び第4の不可逆的ブロッキングヌクレオチドは、異なる。
【0063】
特定の実施形態において、第1の不可逆的ブロッキングヌクレオチド、第2の不可逆的ブロッキングヌクレオチド、第3の不可逆的ブロッキングヌクレオチド及び第4の不可逆的ブロッキングヌクレオチドは、それぞれA、T、C、Gである。
【0064】
特定の実施形態において、不可逆的ブロッキングヌクレオチドは、ジデオキシヌクレオチドである。
【0065】
いくつかの実施形態において、ステップ(d)の重合反応が行われている間に、光信号を検出するための写真撮影が行われる。
【0066】
特定の実施形態において、緩衝試薬は、トリズマ塩基、トリス(ヒドロキシメチル)メチルグリシン(TRICINE)、N,N-ジヒドロキシエチルグリシン(BICINE)、トリス(ヒドロキシメチル)メチルアミノプロパンスルホン酸(TAPS)、又はそれらの任意の組み合わせからなる群より選択される。
【0067】
特定の実施形態において、核酸ハイブリダイゼーションのための試薬は、塩化ナトリウム、塩化カリウム、又はそれらの任意の組み合わせからなる群より選択される。
【0068】
特定の実施形態において、Mg2+-含有塩は、硫酸マグネシウム、塩化マグネシウム、硝酸マグネシウム、クロム酸マグネシウム、又はそれらの任意の組み合わせからなる群より選択される。
【0069】
特定の実施形態において、界面活性剤は、10%Tween20、Tween80、ラウレス(brij-35)、ポリエチレングリコールオクチルフェニルエーテル(Trinton X-100)、エチルフェニルポリエチレングリコール(NP-40)、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、臭化セチルトリメチルアンモニウム(CTAB)、塩化セチルトリメチルアンモニウム(CTAC)、又はそれらの任意の組み合わせからなる群より選択される。
【0070】
特定の実施形態において、レーザー写真撮影下で核酸損傷を低減するための試薬は、アスコルビン酸ナトリウム、ジチオスレイトール(DTT)、6-ヒドロキシ-2,5,7,8-テトラメチルクロマン-2-カルボン酸(Trolox)、アスコルビン酸誘導体(例えば、アスコルビルリン酸ナトリウム、アスコルビルリン酸マグネシウム、アスコルビルグルコシド、パルミチン酸アスコルビル、テトラエチルデカノールアスコルビン酸、アスコルビルメチルシラノールペクチン酸エステル、3-O-エチルアスコルビン酸、還元型グルタチオン(GSH)、N,N’-ジメチルチオ尿素(DMTU)、ピロリジンジチオカルバミン酸アンモニウム(APDTC)、スペルミジン、スペルミジン三塩酸塩、尿酸、ピルビン酸ナトリウム、L-システイン、β-メルカプトエチルアミン、シスタミン、又はそれらの組み合わせからなる群より選択される。
【0071】
特定の実施形態において、レーザー光照射下で核酸損傷を軽減するための試薬は、アスコルビン酸ナトリウム又は還元型グルタチオン(GSH)である。
【0072】
一実施形態において、レーザー写真撮影下で核酸損傷を低減するための試薬は、還元型グルタチオン(GSH)及びジチオスレイトール(DTT)、並びにそれらの任意の組み合わせからなる群より選択される。
【0073】
一実施形態において、レーザー写真撮影下で核酸損傷を軽減するための試薬は、還元型グルタチオン(GSH)である。
【0074】
[用語の定義]
別段の定義がない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語及び科学用語は、本発明が属する技術分野における当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。本明細書に記載されたすべての特許、出願及びその他の刊行物は、参照によりその全体が組み込まれる。本明細書に記載された定義が、参照により本明細書に組み込まれた特許、出願、及びその他の刊行物に記載された定義と対立する場合、又は矛盾する場合には、本明細書に記載された定義が優先するものとする。
【0075】
本明細書において、「ポリヌクレオチド」という用語は、デオキシリボ核酸(DNA)、リボ核酸(RNA)などを指す。ポリヌクレオチドは、一本鎖、二本鎖であってよく、又は一本鎖と二本鎖の両方の配列を含むことができる。ポリヌクレオチド分子は、二本鎖DNA(dsDNA)形態(例えば、ゲノムDNA、PCR及び増幅産物など)から誘導することもでき、又は一本鎖DNA形態(ssDNA)若しくはRNAから誘導してdsDNA形態に変換することもできるし、その逆もできる。ポリヌクレオチド分子の正確な配列は、既知であっても未知であってもよい。遺伝子又は遺伝子断片(例えば、プローブ、プライマー、EST又はSAGEタグなど)、ゲノムDNA、ゲノムDNA断片、エクソン、イントロン、メッセンジャーRNA(mRNA)、トランスポーターRNA、リボソームRNA、リボザイム、cDNA、組換えポリヌクレオチド、合成ポリヌクレオチド、分岐ポリヌクレオチド、プラスミド、ベクター、任意の配列の単離されたDNA、任意の配列の単離されたRNA、及び前述の配列のいずれかの核酸プローブ、プライマー又は増幅されたコピーは、ポリヌクレオチドの例示である。
【0076】
ポリヌクレオチドは、ヌクレオチド又はヌクレオチド類似体を含んでもよい。ヌクレオチドは、通常、糖(例えば、リボース又はデオキシリボース)、塩基、及び少なくとも1つのリン酸基を含む。ヌクレオチドは非塩基性(すなわち、塩基を欠く)であってもよい。ヌクレオチドは、デオキシリボヌクレオチド、修飾デオキシリボヌクレオチド、リボヌクレオチド、修飾リボヌクレオチド、ペプチドヌクレオチド、修飾ペプチドヌクレオチド、修飾糖-リン酸骨格ヌクレオチド及びそれらの混合物を含む。ヌクレオチドの例としては、例えば、アデノシン一リン酸(AMP)、アデノシン二リン酸(ADP)、アデノシン三リン酸(ATP)、チミジン一リン酸(TMP)、チミジン二リン酸(TDP)、チミジン三リン酸(TTP)、シチジン一リン酸(CMP)、シチジン二リン酸(CDP)、シチジン三リン酸(CTP)、グアノシン一リン酸(GMP)、グアノシン二リン酸(GDP)、グアノシン三リン酸(GTP)、ウリジン一リン酸(UMP)、ウリジン二リン酸(UDP)、ウリジン三リン酸(UTP)、デオキシアデノシン一リン酸(dAMP)、デオキシアデノシン二リン酸(dADP)、デオキシアデノシン三リン酸(dATP)、デオキシチミジン一リン酸(dTMP)、デオキシチミジン二リン酸(dTDP)、デオキシチミジン三リン酸(dTTP)、デオキシシチジン三リン酸(dCDP)、デオキシシチジン三リン酸(dCTP)、デオキシグアノシン一リン酸(dGMP)、デオキシグアノシン二リン酸(dGDP)、デオキシグアノシン三リン酸(dGTP)、デオキシウリジン一リン酸(dUMP)、デオキシウリジン二リン酸(dUDP)、デオキシウリジン三リン酸(dUTP)が挙げられる。修飾塩基を含むヌクレオチド類似体も、本明細書に記載の方法において使用されてもよい。ポリヌクレオチド中に含まれてよい例示的な修飾塩基としては、ネイティブな骨格を有する又は類似する構造を有するかにかかわらず、例えば、イノシン、キササニン、ヒポキササニン、イソシトシン、イソグアニン、2-アミノプリン、5-メチルシトシン、5-ヒドロキシメチルシトシン、2-アミノアデニン、6-メチルアデニン、6-メチルグアニン、2-プロピルグアニン、2-プロピルアデニン、2-チオウラシル、2-チオチミン、2-チオシトシン、15-ハロゲン化ウラシル、15-ハロゲン化シトシン、5-プロピニルウラシル、5-プロピニルシトシン、6-アゾウラシル、6-アゾシトシン、6-アゾチミン、5-ウラシル、4-チオウラシル、8-ハロゲン化アデニン又はグアニン、8-アミノアデニン又はグアニン、8-チオアデニン又はグアニン、8-チオアルキルアデニン又はグアニン、8-ヒドロキシアデニン又はグアニン、5-ハロゲン化ウラシル又はシトシン、7-メチルグアニン、7-メチルアデニン、8-アザグアニン、8-アザアデニン、7-デアザグアニン、7-デアザアデニン、3-デアザグアニン、3-デアザアデニンなどが、挙げられる。当技術分野で知られているように、ある種のヌクレオチド類似体、例えば、アデノシン5’-ホスホリル硫酸のようなヌクレオチド類似体は、ポリヌクレオチドに取り込むことができない。
【0077】
一般に、ヌクレオチドは、ヌクレオチドA、C、G、T又はUを含む。本明細書で使用される場合、「ヌクレオチドA」という用語は、ATP、dATP等、アデニン(A)又はその改変体若しくは類似体を含むヌクレオチドを指す。「ヌクレオチドG」は、GTP、dGTP等、グアニン(G)又はその改変体若しくは類似体を含むヌクレオチドを指す。「ヌクレオチドC」は、CTP、dCTP等、シトシン(C)又はその改変体若しくは類似体を含むヌクレオチドを指す。「ヌクレオチドT」は、TTP、dTTP等、チミン(T)又はその改変体若しくは類似体を含むヌクレオチドを指す。「ヌクレオチドU」は、UTP、dUTP等、ウラシル(U)又はその改変体若しくは類似体を含むヌクレオチドを指す。
【0078】
本明細書で使用する場合、「ジデオキシヌクレオチド」という用語は、リボースの2’-及び3’-炭素において脱酸素化されたヌクレオチドを指し、2’,3’-ジデオキシヌクレオチドとしても知られている。一般的に、ジデオキシヌクレオチドは、ジデオキシヌクレオチドA、C、G、T又はUを含む。「ジデオキシヌクレオチドA」という用語は、ddATP等、アデニン(A)又はその類似体を含むジデオキシヌクレオチドを指す。「ジデオキシヌクレオチドG」は、ddGTP等、グアニン(G)又はその類似体を含むジデオキシヌクレオチドを指す。「ジデオキシヌクレオチドC」は、ddCTP等、シトシン(C)又はその類似体を含むジデオキシヌクレオチドを指す。「ジデオキシヌクレオチドT」は、ddTTP等、チミン(T)又はその類似体を含むジデオキシヌクレオチドを指す。「ジデオキシヌクレオチドU」は、ddUTP等、ウラシル(U)又はその類似体を含むジデオキシヌクレオチドを指す。本明細書で使用される場合、ddNTPは、ジデオキシアデノシン三リン酸(ddATP)、ジデオキシグアノシン三リン酸(ddGTP)、ジデオキシシチジン三リン酸(ddCTP)、ジデオキシウリジン三リン酸(ddUTP)、ジデオキシチミジン三リン酸(ddTTP)のうちの1種、又はそれらの2種以上の組み合わせであって、ジデオキシウリジン三リン酸とジデオキシチミジン三リン酸が同時に出現しないものを指す。
【0079】
本明細書において、「標識」という用語は、特定の条件下で発光シグナルを発することができる基を指す。
【0080】
本明細書で使用する場合、「発光標識」という用語は、適切な励起波長で励起されたときに、特定の発光波長で蛍光を発することができる任意の物質を指す。このような発光標識は、化学発光標識であってもよく、例えば、異なる発光動態を誘発する生化学発光標識、及びそれらの任意の組み合わせから選択され、例えば、化学発光標識は、異なる発光動態を誘発するルシフェラーゼ、又はそれらの任意の組み合わせから選択される;このような発光標識は、例えば、クマリン、アレクサフルオロ、ボディピー、フルオレセイン、テトラメチルローダミン、フェノキサジン、アクリジン、Cy5、Cy3、EF700、AF532、テキサスレッド及びその誘導体などから選択される蛍光体であってもよい。
【0081】
本明細書において、「保護基」という用語は、その基を含むヌクレオチドが合成中のポリヌクレオチド鎖に取り込まれた後、ポリメラーゼ(その基を含むヌクレオチドを合成中のポリヌクレオチド鎖に取り込む)が、別のヌクレオチドの取り込みを連続的に触媒することを防止する基を指す。このような保護基は、本明細書では3’-OH保護基とも呼ばれる。このような保護基を含むヌクレオチドは、本明細書では3’-ブロックヌクレオチドとも呼ばれる。保護基は、別のヌクレオチド分子がポリヌクレオチド鎖に付加されるのを保護基が防ぎ、ポリヌクレオチド鎖を損傷することなくヌクレオチドの糖部分から容易に除去されるものであれば、ヌクレオチドに付加され得る任意の適切な基であってよい。更に、保護基で修飾されたヌクレオチドは、修飾ヌクレオチドをポリヌクレオチド鎖に取り込むために使用されるポリメラーゼ又は他の適切な酵素に対して耐性がある必要がある。したがって、理想的な保護基は、長期安定性を示し、ポリメラーゼによって効率的に取り込むことができ、ヌクレオチドの二次取り込み又は更なる取り込みを防止することができ、そしてポリヌクレオチド構造を損傷することなく、温和な条件下、好ましくは水性条件下で、除去することができる。
【0082】
先行技術は、上記の説明に適合する様々な保護基が記載している。例えば、国際公開第91/06678号は、3’-OH保護基として、エステル及びエーテル、-F、-NH
2、-OCH
3、-N
3、-OPO
3、-NHCOCH
3、2-ニトロベンゼンカーボネート、2,4-スルフェニルジニトロ及びテトラヒドロフランエーテルが挙げられることを開示している。Metzkerら(Nucleic Acids Research,22(20):4259-4267,1994)は、8つの3’-修飾2-デオキシリボヌクレオシド5’-三リン酸(3’-修飾dNTP)の合成と応用を開示している。国際公開第2002/029003号は、ポリメラーゼ反応において成長DNA鎖上の3’-OH基をキャップするためのアリル保護基の使用を記載している。好ましくは、国際出願公開第2014139596号及び第2004/018497号に報告されている種々の保護基を使用することができ、例えば、
図1Aの例示的な保護基及び国際公開第2014/139596号の特許請求の範囲に規定されている3’-ヒドロキシル保護基(すなわち、保護基)、並びに例えば、
図3及び
図4に例示されている保護基及び国際公開第2004/018497号の特許請求の範囲に規定されている保護基が挙げられる。上記文献は、参照によりその全体が組み込まれる。
【0083】
本明細書で使用する場合、「可逆的ブロッキング基」という用語は、合成中のポリヌクレオチド鎖に取り込まれると、ポリメラーゼが次の重合ラウンドに進むことができなくなり、それによって重合反応の終了を引き起こす、基を指し、この場合、重合の各ラウンドにおいて、成長中の核酸鎖に塩基が1つだけ取り込まれる;加えて、この基は除去することができ、その後、成長核酸鎖は次の重合ラウンドに進むことができ、再び塩基が導入される。可逆的ブロッキング基の例は、3’-OHのHがエステル、エーテル、-F、-NH2、-OCH3、-N3、-OPO3、-NHCOCH3、2-ニトロベンゼンカーボネート、2,4-スルフェニルジニトロ及びテトラヒドロフランエーテル-CH2-CH=CH2、S-Sの基で置換されているものであり、又は塩基が大きな立体障害基と蛍光基でブロックされ、S-Sを介して蛍光と連結されているものである。
【0084】
本明細書で使用する場合、「不可逆的ブロッキングヌクレオチド」という用語は、合成中のポリヌクレオチド鎖に取り込まれると、そのブロッキング効果により、その後のヌクレオチドのポリヌクレオチド鎖への取り込みを妨げるヌクレオチドを指す。そして、このブロック効果は不可逆的である。不可逆的ブロッキングヌクレオチドとしては、通常、ジデオキシヌクレオチド、又は3’-OHが3’末端においてメトキシ基で置換されたヌクレオチド(3’-OMe、又は3’-OCH3)、及び3’-末端アジド(3’-N3)及び3’-末端エトキシ(3’-OEt、3’-OCH2CH3)を有するヌクレオチドが挙げられる。
【0085】
[本発明の有益な技術的効果]
シーケンシングにおいて、本発明は、シグナルを収集しながらヌクレオチドを重合し、より高い重合効率を達成するための技術的解決策を提供するものであり、その際、シグナル収集中の溶液は、シグナルを収集しながら追加の重合反応のラウンドを行うことができるように最適化される、重合ヌクレオチドは、蛍光修飾がなく、ブロッキング基のみを有するヌクレオチド、好ましくは可逆的ブロッキング基で修飾されたヌクレオチド、次いで不可逆的ブロッキングヌクレオチド、又はこれら2種の混合物であり、これにより重合効率が向上し、シーケンシングの反応時間全体が大幅に短縮され、より効率的な重合効率が達成される。
【実施例】
【0086】
次に、以下の実施例を参照して本発明を説明するが、以下の実施例は本発明を説明することを意図するのであって、本発明を限定することを意図しない。
【0087】
本発明で使用する分子生物学実験法は、特に断らない限り、基本的にJ.Sambrookら、Molecular Cloning:Laboratory Manual,2nd Edition,Cold Spring Harbor Laboratory Press,1989、及びF.M.Ausubelら、Compiled Experimental Guide to Molecular Biology,3rd Edition,John Wiley&Sons,Inc.,1995を参照する。当業者であれば、実施例は例示として本発明を説明するものであり、本発明により保護される範囲を限定することを意図するものではないことを理解するであろう。
【0088】
1.実施例で使用した主な装置は、MGISEQ-2000RSシーケンサー、MGIDL-200Hローダー、MGISEQ-2000RSシーケンシングスライド、MGISEQ-2000RSハイスループットシーケンシング試薬セット、MGISEQ-200RSシーケンサー、MGISEQ-200RSハイスループットシーケンシング試薬セット、MGISEQ-200RSシーケンシングスライドである。
【0089】
2.実施例で使用した主な試薬を下記の表1に示す:
【0090】
【0091】
実施例1
この実施例では、様々な試薬をあらかじめ用意した。
【0092】
1)ヌクレオチド混合溶液1の調製
以下の表2に示すように、ヌクレオチド混合溶液1中のすべてのヌクレオチドは、可逆的ブロッキング基のみを有しており、A、T、G、Cはそれぞれアデニンヌクレオチド、チミンヌクレオチド、グアニンヌクレオチド、シトシンヌクレオチドであった。
【0093】
【0094】
このうち、Cold dATPは可逆的ブロッキング基のみで修飾されたアデニンヌクレオチドを指し、Cold dTTPは可逆的ブロッキング基のみで修飾されたチミンヌクレオチドを指し、Cold dGTPは可逆的ブロッキング基のみで修飾されたグアニンヌクレオチドを指し、Cold dCTPは可逆的ブロッキング基のみで修飾されたシトシンヌクレオチドを指す。
【0095】
2)ヌクレオチド混合溶液2の調製
以下の表3に示すように、ヌクレオチド混合溶液2中のヌクレオチドはすべてジデオキシヌクレオチドであり、ddATPはアデニン三リン酸ジデオキシヌクレオチドを指し、ddTTPはチミン三リン酸ジデオキシヌクレオチドを指し、ddGTPはグアニン三リン酸ジデオキシヌクレオチドを指し、ddCTPはシトシン三リン酸ジデオキシヌクレオチドを指す。
【0096】
【0097】
3)ヌクレオチド混合溶液3の調製
下記の表4に示すように、ヌクレオチド混合溶液3中のすべてのヌクレオチドは、可逆的なブロッキング基のみを有し、A、T及びCはそれぞれアデニンヌクレオチド、チミンヌクレオチド及びシトシンヌクレオチドであった。
【0098】
【0099】
このうち、Cold dATPは可逆的ブロッキング基のみで修飾されたアデニンヌクレオチド、Cold dTTPは可逆的ブロッキング基のみで修飾されたチミンヌクレオチド、Cold dCTPは可逆的ブロッキング基のみで修飾されたシトシンヌクレオチドを指す。
【0100】
4)撮影重合溶液1の調製
下記の表5に従って、撮影重合溶液1を調製して、NaOHとHClでpH8.7に調整し、後で使用するためによく混合した。
【0101】
【0102】
5)撮影重合溶液2の調製
表6に従って、撮影重合溶液2を調製して、NaOHとHClでpH8.7に調整し、後で使用するためによく混合した。
【0103】
【0104】
6)撮影重合溶液3の調製
表7に従って、撮影重合溶液3を調製して、NaOHとHClでpH8.7に調整し、後で使用するためによく混合した。
【0105】
【0106】
7)撮影溶液の調製
表8に従って、撮影溶液を調製して、NaOHとHClでpH8.2に調整し、後で使用するためによく混合した。
【0107】
【0108】
8)撮影重合溶液4の調製
表9に従って、撮影重合溶液4を調製し、NaOHとHClでpH8.7に調整し、後で使用するためによく混合した。
【0109】
【0110】
実施例2
以下のすべての実験において、大腸菌の一本鎖環状DNAを鋳型として使用し、MGISEQ-2000RSハイスループットシーケンシングキットを使用してDNAナノスフェアの調製を完了し、それを、その後のシーケンシングのためのチップにロードした。
【0111】
本実施例で言及した蛍光修飾及び可逆的ブロッキングを有するヌクレオチド混合溶液は、dATP-1、これは、可逆的ブロッキング基修飾及びCy5蛍光修飾の両方を持つアデニンヌクレオチドを指す;dTTP-1、これは、可逆的ブロッキング基修飾及びROX蛍光修飾の両方を持つチミンヌクレオチドを指す;dGTP-1、これは、可逆的ブロッキング基修飾及びCy3蛍光修飾の両方を持つグアニンヌクレオチドを指す;dCTP-1、これは、可逆的ブロッキング基修飾及びEF700蛍光修飾の両方を持つシトシンヌクレオチドを指す、を含む。(異なるプラットフォームにおいては、蛍光修飾と可逆的ブロッキングを有するヌクレオチド混合溶液は多様であり得る。例えば、ヌクレオチド混合溶液は、可逆的ブロッキング基を有するヌクレオチドのみを取り込んでもよく、又は他のタイプの修飾を取り込んでもよい。)
【0112】
対照群1:MGISEQ-2000RSハイスループットシーケンシングキットを使用し、キット中の#10ウェルの試薬を除去し、上記で調製した撮影重合溶液に置き換えた。
図1に示す実験プロセスに従って、MGISEQ-2000RSシーケンシングプラットフォームにおいて、SE50シーケンシングを行った。すなわち、蛍光修飾及び可逆的ブロッキングを有するヌクレオチド混合溶液をMGISEQ-2000RSシーケンシングプラットフォーム上で連続的に重合し、その後、遊離ヌクレオチドを溶出試薬で溶出し、撮影溶液下でシグナルを収集し、切除試薬で保護基を除去し、溶出試薬を使用して洗浄ステップを行った。その後、各サイクルのQ30低下率及び各サイクルのシーケンシングのエラー率のカーブを算出し、シーケンシング品質を評価した。
【0113】
実験群1:MGISEQ-2000RSハイスループットシーケンシングキットを使用し、蛍光修飾及び可逆的ブロッキングを有するヌクレオチド混合溶液をMGISEQ-2000RSシーケンシングプラットフォームにおいて連続的に重合し、その後遊離ヌクレオチドを溶出試薬で溶出し、その後キット内の#10ウェル試薬を除去し、本発明の撮影重合溶液1に置き換え、それによって、重合補充を行うと同時にシグナルを収集することができた。この時、重合されたヌクレオチド混合溶液は、可逆的なブロッキング基で修飾されたヌクレオチドであり、対照群と同じ実験プロセスに従って、MGISEQ-2000RSシーケンシングプラットフォームにおいて、SE50シーケンシングを行った。その後、各サイクルのQ30低下率と各サイクルのシーケンシングのエラー率のカーブを算出し、シーケンシングの品質を評価した。
【0114】
実験群2:MGISEQ-2000RSハイスループットシーケンシングキットを使用し、蛍光修飾及び可逆的ブロッキングを有するヌクレオチド混合溶液をMGISEQ-2000RSシーケンシングプラットフォームにおいて連続的に重合し、その後遊離ヌクレオチドを溶出試薬で溶出し、その後キット内の#10ウェル試薬を除去し、本発明の撮影重合溶液2に置き換え、それによって、重合補充を行うと同時にシグナルを収集することができた。この時、重合されたヌクレオチド混合溶液は、ジデオキシヌクレオチドであり、対照群と同じ実験プロセスに従って、MGISEQ-2000RSシーケンシングプラットフォームにおいて、SE50シーケンシングを行った。その後、各サイクルのQ30低下率と各サイクルのシーケンシングのエラー率のカーブを算出し、シーケンシングの品質を評価した。
【0115】
実験群3:MGISEQ-2000RSハイスループットシーケンシングキットを使用し、蛍光修飾及び可逆的ブロッキングを有するヌクレオチド混合溶液をMGISEQ-2000RSシーケンシングプラットフォームにおいて連続的に重合し、その後遊離ヌクレオチドを溶出試薬で溶出し、その後キット内の#10ウェル試薬を除去し、本発明の撮影重合溶液3に置き換え、それによって、重合補充を行うと同時にシグナルを収集することができた。この時、重合されたヌクレオチド混合溶液は、可逆的ブロッキング基を修飾したヌクレオチド及びジデオキシヌクレオチドの混合溶液であり、対照群と同じ実験プロセスに従って、MGISEQ-2000RSシーケンシングプラットフォームにおいて、SE50シーケンシングを行った。その後、各サイクルのQ30低下率と各サイクルのシーケンシングのエラー率のカーブを算出し、シーケンシングの質を評価した。
【0116】
結果:
図2~
図4及び下記の表10~表12に示すように、
図2は上記条件に対応する各シーケンシングサイクルにおけるQ30(%)比率の結果を示し、横軸はシーケンシングサイクルの数、縦軸は各サイクルにおけるQ30(%)比率であった。
図3は、上記条件でのシーケンシングのエラー率(%)の結果であり、横軸はシーケンシングサイクルの数、縦軸は各サイクルにおけるシーケンシングのエラー率を示した。
図4は、上記条件に対応する各シーケンシングサイクルにおける遅延(%)比率の結果を示したものであり、遅延とは、シーケンシング反応が完了したか否かを測定するために用いられる指標であり、シーケンシングがNの位置まで進行した際にN-1の位置で反応したコピーの比率を指し、横軸はシーケンシングサイクルの数、縦軸は各サイクルにおける遅延(%)比率を示した。
【0117】
各サイクルにおけるQ30(%)の低下が小さいほど、シーケンシングのエラー率(%)が低く、遅延(%)の増加が小さくなり、シーケンシング品質がより良好で安定していることを示している。表10に示すように、対照群は50サイクル後のQ30(%)の低下が最も大きく、すべての実験群よりも悪かった。実験群1は実験群3よりわずかに良く、実験群3は実験群2よりわずかに良かった。表11に示すように、対照群はすべての実験群より有意に高いエラー率を示し、その中で実験群1は実験群3よりわずかに良く、実験群3は実験群2よりわずかに良かった。表12に示すように、対照群は50サイクル後の遅延(%)の増加がすべての実験群より有意に高く、実験群間に有意差はなかった。
【0118】
【0119】
【0120】
【0121】
実施例3
下記のすべての実験において、大腸菌の一本鎖環状DNAを鋳型として使用し、MGISEQ-200RSハイスループットシーケンシングキットを使用してDNAナノ粒子の調製を完了し、その後シーケンシングのためチップにロードしてした。
【0122】
本実施例で言及した蛍光修飾と可逆的ブロッキングを有するヌクレオチド混合溶液は、dATP-1、これは、可逆的ブロッキング基修飾とCy3及びCy5蛍光修飾の両方を有するアデニンヌクレオチドを指す;dTTP-1、これは、可逆的ブロッキング基修飾とCy5蛍光修飾の両方を有するチミンヌクレオチドを指す;dGTP-1、これは、可逆的ブロッキング基修飾のみを有するグアニンヌクレオチドを指す;dCTP-1、これは、可逆的ブロッキング基修飾とCy3蛍光修飾の両方を有するシトシンヌクレオチドを指す、を含む。(異なるプラットフォームにおいては、蛍光修飾と可逆的ブロッキングを有するヌクレオチド混合溶液は多様である。例えば、ヌクレオチド混合溶液は、可逆的ブロッキング基ヌクレオチドのみを取り込んだり、他のタイプの修飾を取り込んだりすることができる)。
【0123】
対照群2:MGISEQ-200RSハイスループットシーケンシングキットを使用し、キットの#18ウェルの試薬を除去し、上記で調製した撮影溶液に置き換え、
図1の実験プロセスに従って、MGISEQ-200RSシーケンシングプラットフォームにおいて、SE50シーケンシングを行った。簡潔に、蛍光修飾及び可逆的ブロッキング基を有するヌクレオチド混合溶液をMGISEQ-200RSシーケンシングプラットフォーム上で連続的に重合し、その後遊離ヌクレオチドを溶出試薬で溶出し、撮影溶液下でシグナルを収集し、切除試薬を使用して保護基を除去し、溶出試薬を使用して洗浄を行った。その後、各サイクルのQ30低下率と各サイクルのシーケンシングのエラー率のカーブを算出し、シーケンシングの品質を評価した。
【0124】
実験群4:MGISEQ-200RSハイスループットシーケンシングキットを使用し、蛍光修飾及び可逆的ブロッキングを有するヌクレオチド混合溶液をMGISEQ-200RSシーケンシングプラットフォームにおいて連続的に重合し(対照群2と同じ)、その後次いで遊離ヌクレオチドを溶出試薬で溶出し、その後キットの#18のウェル試薬を除去し、本発明の撮影重合溶液4に置き換え、それによって、重合補充を行うのと同時にシグナルを収集することができた。この時、重合されたヌクレオチド混合溶液は、可逆的ブロッキング修飾されたヌクレオチドであり、対照群2と同じ実験プロセスに従って、MGISEQ-200RSシーケンシングプラットフォームにおいて、SE50シーケンシングを行った。そして、各サイクルのQ30低下率及び各サイクルのシーケンシングエラー率のカーブを算出し、シーケンシングの質を評価した。
【0125】
結果:
図5~
図7及び下記の表13~表15に示すように、
図5は上記条件に対応する各シーケンシングサイクルにおけるQ30(%)比率の結果を示し、横軸はシーケンシングサイクルの数、縦軸は各サイクルにおけるQ30(%)の比率であった。
図6は、上記条件下でのシーケンシングのエラー率(%)比率の結果であり、横軸はシーケンシングサイクルの数、縦軸は各サイクルにおけるシーケンシングのエラー率(%)を示した。
図7は、上記条件に対応する各シーケンシングサイクルにおける遅延(%)比率を示したものであり、遅延とは、シーケンシング反応が完了したか否かを測定するために使用される指標であり、シーケンシングが位置Nまで進行したときに、位置N-1に反応しただけのコピーの比率を意味し、横軸はシーケンシングサイクル数、縦軸は各サイクルにおけるラグ(%)比率を示した。
【0126】
1サイクルあたりのQ30(%)の減少が小さいほど、シーケンシングのエラー率(%)が低く、遅延(%)の増加も小さいことから、シーケンシング品質がより良好で安定していることを示す。50サイクル後の対照群のQ30(%)における減少は実験群4のそれよりも悪いことが表13から分かり、表14に示されるように、対照群のエラー率は実験群4のそれより有意に高かった。50サイクル後の対照群の遅延(%)の増加は、実験群4より有意に高かったことが、表15から分かった。
【0127】
【0128】
【0129】
【手続補正書】
【提出日】2024-05-08
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
標的ポリヌクレオチドの配列を分析するための方法であって、
(a)標的ポリヌクレオチドを提供するステップと;
(b)ハイブリダイゼーション又はアニーリングを可能にする条件下で、前記標的ポリヌクレオチドをプライマーと接触させ、それによって、前記標的ポリヌクレオチドと成長鎖として使用される前記プライマーとを含む部分二重鎖を形成する、ステップと;
(c)前記部分二重鎖をポリメラーゼ及び第1のヌクレオチド混合物と、前記ポリメラーゼがヌクレオチド重合反応を行うことができる条件下で接触させ、それによって、前記成長鎖を伸長するステップであって、前記第1のヌクレオチド混合物は、標識で標識された少なくとも1種のヌクレオチドを含み、
前記第1のヌクレオチド混合物中の各ヌクレオチドは、そのリボース又はデオキシリボース部分に、核酸鎖伸長をブロックできる保護
基を含む、ステップと;
(d)前のステップの生成物をポリメラーゼ及び第2のヌクレオチド混合物と、前記ポリメラーゼがヌクレオチド重合反応を行うことができる条件下で接触させ、それによって、前記成長鎖を伸長するステップであって、前記第2のヌクレオチド混合物は、少なくとも1
種の標識されていないヌクレオチド又は不可逆的ブロッキングヌクレオチド、又は前記標識されていないヌクレオチドと前記不可逆的ブロッキングヌクレオチドとの組み合わせを含み
、
前記第2のヌクレオチド混合物中の各標識されていないヌクレオチドは、そのリボース又はデオキシリボース部分に、核酸鎖伸長をブロックできる保護
基を含む、ステップ
、
そして、撮影重合溶液を提供し、それを前記第2のヌクレオチド混合物と接触させ、撮影重合反応によって前記ステップ(c)の生成物中の標識の存在を検出する、ステップと;
(e)前のステップの生成物に含まれる保護基及び標識を取り除くステップと;
(f
)ステップ(c)から(e)を
、0回、1回
、又はそれ以上繰り返すステップと;
を含み、
それによって、前記標的ポリヌクレオチドの配列情報を得
る、方法。
【請求項2】
以下の1つ以上を特徴とする、請求項1に記載の方法:
(1)ステップ(c)において、前記伸長が前記標的ポリヌクレオチドを鋳型とする伸長であ
る;
(2)ステップ(c)において、前記伸長が1ヌクレオチドの伸長であ
る;
(3)前記撮影重合溶液が以下の試薬を含む:核酸ポリメラーゼ、緩衝試薬、界面活性剤、及びレーザー写真撮影下での核酸の損傷を低減するための試薬;
(4)前記保護基が、2’-又は3’-酸素原子を介して結合している。
【請求項3】
前記第1のヌクレオチド混合物が、第1の標識で標識された第1のヌクレオチド、第2の標識で標識された第2のヌクレオチド、第3の標識で標識された第3のヌクレオチド、及び第4の標識で標識された第4のヌクレオチド若しくは標識されていない第4のヌクレオチドを含み、又は、第1の標識で標識された第1のヌクレオチド、第2の標識で標識された第2のヌクレオチド、前記第1の標識及び前記第2の標識で共標識された第3のヌクレオチド、及び標識されていない第4のヌクレオチドを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
ステップ(d)において、前記第2のヌクレオチド混合物が、標識されていない第1のヌクレオチド、標識されていない第2のヌクレオチド、及び標識されていない第3のヌクレオチドを
含む、請求項
1に記載の方法。
【請求項5】
以下の1つ以上を特徴とする、請求項4に記載の方法:
(1)前記第2のヌクレオチド混合物が、標識されていない第4のヌクレオチドを更に含む;
(2)前記第2のヌクレオチド混合物が、少なくとも1種の不可逆的ブロッキングヌクレオチドを含む;
(3)前記第1のヌクレオチド、前記第2のヌクレオチド、前記第3のヌクレオチド及び前記第4のヌクレオチドが、各々独立して、A、T、C、G、及びUからなる群より選択される;
(4)前記第1のヌクレオチド、前記第2のヌクレオチド、前記第3のヌクレオチド及び前記第4のヌクレオチドが異なる;
(5)前記第1のヌクレオチド、前記第2のヌクレオチド、前記第3のヌクレオチド及び前記第4のヌクレオチドが、それぞれA、T、C、Gである。
【請求項6】
ステップ(d)において、前記第2のヌクレオチド混合物が、標識されていない第1のヌクレオチド、標識されていない第2のヌクレオチド、標識されていない第3のヌクレオチド、並びに第1の不可逆的ブロッキングヌクレオチド、第2の不可逆的ブロッキングヌクレオチド、第3の不可逆的ブロッキングヌクレオチド、及び第4の不可逆的ブロッキングヌクレオチドを
含む、請求項
1に記載の方法。
【請求項7】
以下の1つ以上を特徴とする、請求項3に記載の方法:
(1)前記第2のヌクレオチド混合物が、標識されていない第4のヌクレオチドを更に含む;
(2)前記第1の標識、前記第2の標識、前記第3の標識及び前記第4の標識が、各々独立して同一又は異な
る;
(3)前記第1の標識、前記第2の標識、前記第3の標識、前記第4の標識が異な
る;
(4)前記第1の標識、前記第2の標識、前記第3の標識及び前記第4の標識が、発光標
識であ
る;
(5)前記第1の標識、前記第2の標識、前記第3の標識及び前記第4の標識が、蛍光標識である;
(6)前記第1の標識、前記第2の標識、前記第3の標識及び前記第4の標識が、各々独立して、クマリン、アレクサフルオロ、ボディピー、フルオレセイン、テトラメチルローダミン、フェノキサジン、アクリジン、Cy5、Cy3、AF532、テキサスレッド及びそれらの誘導体からなる群より選択され
る;
(7)前記標的ポリヌクレオチドが、DNA、RNA、又はそれらの任意の組み合わせを含む、又はそれらであ
る;
(8)前記核酸分子の前記伸長産物がDNAであ
る;
(9)前記標的ポリヌクレオチドが、真核生
物、原核生
物、ウイルス、ファージ、又はそれらの任意の組み合わせに由来するサンプルから得られ
る。
【請求項8】
以下の1つ以上を特徴とする、請求項6に記載の方法:
(1)前記第1のヌクレオチド、前記第2のヌクレオチド、前記第3のヌクレオチド及び前記第4のヌクレオチドが、各々独立して、A、T、C、G、及びUからなる群より選択される;
(2)前記第1のヌクレオチド、前記第2のヌクレオチド、前記第3のヌクレオチド及び前記第4のヌクレオチドが異なる;
(3)前記第1のヌクレオチド、前記第2のヌクレオチド、前記第3のヌクレオチド及び前記第4のヌクレオチドが、それぞれA、T、C、Gである;
(4)前記第1の不可逆的ブロッキングヌクレオチド、前記第2の不可逆的ブロッキングヌクレオチド、前記第3の不可逆的ブロッキングヌクレオチド及び前記第4の不可逆的ブロッキングヌクレオチドが、各々独立して、A、T、C、G、及びUからなる群より選択される;
(5)前記第1の不可逆的ブロッキングヌクレオチド、前記第2の不可逆的ブロッキングヌクレオチド、前記第3の不可逆的ブロッキングヌクレオチド及び前記第4の不可逆的ブロッキングヌクレオチドが異なる;
(6)前記第1の不可逆的ブロッキングヌクレオチド、前記第2の不可逆的ブロッキングヌクレオチド、前記第3の不可逆的ブロッキングヌクレオチド及び前記第4の不可逆的ブロッキングヌクレオチドが、それぞれA、T、C、Gである;
(7)前記不可逆的ブロッキングヌクレオチドがジデオキシヌクレオチドである。
【請求項9】
前記第1のヌクレオチド混合物が、第1の標識で標識された第1のヌクレオチド、第2の標識で標識された第2のヌクレオチド、第3の標識で標識された第3のヌクレオチド、及び第4の標識で標識された第4のヌクレオチドを含む場合、前記第2のヌクレオチド混合物が、標識されていない第1のヌクレオチド、標識されていない第2のヌクレオチド、標識されていない第3のヌクレオチド、及び標識されていない第4のヌクレオチドを含む;又は、
前記第1のヌクレオチド混合物が、第1の標識で標識された第1のヌクレオチド、第2の標識で標識された第2のヌクレオチド、第3の標識で標識された第3のヌクレオチド、及び標識されていない第4のヌクレオチドを含み、又は第1の標識で標識された第1のヌクレオチド、第2の標識で標識された第2のヌクレオチド、前記第1の標識及び前記第2の標識で共標識された第3のヌクレオチド、及び標識されていない第4のヌクレオチドを含む場合、前記第2のヌクレオチド混合物が、標識されていない第1のヌクレオチド、標識されていない第2のヌクレオチド、及び標識されていない第3のヌクレオチドを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
キットであって、
(a)第1のヌクレオチド混合物であって、前記第1のヌクレオチド混合物は、標識で標識された少なくとも1種のヌクレオチドを含み、
前記第1のヌクレオチド混合物中の各ヌクレオチドは、そのリボース又はデオキシリボース部分に、核酸鎖伸長をブロックできる保護
基を含む、第1のヌクレオチド混合物と;
(b)第2のヌクレオチド混合物であって、前記第2のヌクレオチド混合物は、少なくとも1
種の標識されていないヌクレオチド、又は不可逆的ブロッキングヌクレオチド、又は前記標識されていないヌクレオチドと前記不可逆的ブロッキングヌクレオチドとの組み合わせを含み
、
前記第2のヌクレオチド混合物中の各標識されていないヌクレオチドは、そのリボース又はデオキシリボース部分に、核酸鎖伸長をブロックできる保護
基を含む、第2のヌクレオチド混合物と;
(c)撮影重合溶液と
を含
む、キット。
【請求項11】
以下の1つ以上を特徴とする、請求項10に記載のキット:
(1)前記撮影重合溶液が、以下の試薬:核酸ポリメラーゼ、緩衝試薬、界面活性剤、レーザー写真撮影下での核酸の損傷を低減するための試薬、を含む;
(2)前記キットが、前記ポリヌクレオチドの全部又は一部に相補的なプライマー、核酸増幅緩衝液、酵素用の作業緩衝液、水、又はそれらの任意の組み合わせからなる群より選択される1種以上を更に含む;
(3)前記キットが、シーケンシング用スライド、並びに前記ヌクレオチド上の前記保護基及び標識を除去するための試薬からなる群より選択される1種以上を更に含む;
(4)前記キットがポリヌクレオチドの分析に使用される;
(5)前記キットがポリヌクレオチドのシーケンシングに使用される;
(6)前記保護基が、2’-又は3’-酸素原子を介して結合している。
【請求項12】
前記第1のヌクレオチド混合物が、第1の標識で標識された第1のヌクレオチド、第2の標識で標識された第2のヌクレオチド、第3の標識で標識された第3のヌクレオチド、及び第4の標識で標識された第4のヌクレオチド若しくは標識されていない第4のヌクレオチドを含み、又は第1の標識で標識された第1のヌクレオチド、第2の標識で標識された第2のヌクレオチド、前記第1の標識及び前記第2の標識で共標識された第3のヌクレオチド、及び標識されていない第4のヌクレオチドを含む、請求項
10に記載のキット。
【請求項13】
以下の1つ以上を特徴とする、請求項12に記載のキット:
(1)前記第1の標識、前記第2の標識、前記第3の標識、及び前記第4の標識が、各々独立して同一又は異なる;
(2)前記第1の標識、前記第2の標識、前記第3の標識、前記第4の標識が異なる;
(3)前記第1の標識、前記第2の標識、前記第3の標識及び前記第4の標識が、発光標識である;
(4)前記第1の標識、前記第2の標識、前記第3の標識及び前記第4の標識が、蛍光標識である;
(5)前記第1の標識、前記第2の標識、前記第3の標識及び前記第4の標識が、各々独立して、クマリン、アレクサフルオロ、ボディピー、フルオレセイン、テトラメチルローダミン、フェノキサジン、アクリジン、Cy5、Cy3、AF532、テキサスレッド及びそれらの誘導体からなる群より選択される;
(6)前記標的ポリヌクレオチドが、DNA、RNA、又はそれらの任意の組み合わせを含む、又はそれらである;
(7)前記核酸分子の前記伸長産物がDNAである;
(8)前記標的ポリヌクレオチドが、真核生物、原核生物、ウイルス、ファージ、又はそれらの任意の組み合わせに由来するサンプルから得られる;
(9)前記第1のヌクレオチド、前記第2のヌクレオチド、前記第3のヌクレオチド及び前記第4のヌクレオチドが、各々独立して、A、T、C、G、及びUからなる群より選択される;
(10)前記第1のヌクレオチド、前記第2のヌクレオチド、前記第3のヌクレオチド及び前記第4のヌクレオチドが異なる;
(11)前記第1のヌクレオチド、前記第2のヌクレオチド、前記第3のヌクレオチド及び前記第4のヌクレオチドが、それぞれA、T、C、及びGである。
【請求項14】
前記第1のヌクレオチド混合物が、第1の標識で標識された第1のヌクレオチド、第2の標識で標識された第2のヌクレオチド、第3の標識で標識された第3のヌクレオチド、及び第4の標識で標識された第4のヌクレオチドを含む場合、前記第2のヌクレオチド混合物が、標識されていない第1のヌクレオチド、標識されていない第2のヌクレオチド、標識されていない第3のヌクレオチド、及び標識されていない第4のヌクレオチドを含む;又は、
前記第1のヌクレオチド混合物が、第1の標識で標識された第1のヌクレオチド、第2の標識で標識された第2のヌクレオチド、第3の標識で標識された第3のヌクレオチド、及び標識されていない第4のヌクレオチドを含み、又は第1の標識で標識された第1のヌクレオチド、第2の標識で標識された第2のヌクレオチド、前記第1の標識及び前記第2の標識で共標識された第3のヌクレオチド、及び標識されていない第4のヌクレオチドを含む場合、前記第2のヌクレオチド混合物が、標識されていない第1のヌクレオチド、標識されていない第2のヌクレオチド、及び標識されていない第3のヌクレオチドを含む、請求項
10に記載のキット。
【請求項15】
前記第2のヌクレオチド混合物が、標識されていない第1のヌクレオチド、標識されていない第2のヌクレオチド、標識されていない第3のヌクレオチド、及び第1の不可逆的ブロッキングヌクレオチド、第2の不可逆的ブロッキングヌクレオチド、第3の不可逆的ブロッキングヌクレオチド及び第4の不可逆的ブロッキングヌクレオチドを含
む、請求項
10~
13のいずれか一項に記載のキット。
【請求項16】
以下の1つ以上を特徴とする、請求項15に記載のキット:
(1)前記第2のヌクレオチド混合物が、標識されていない第4のヌクレオチドを更に含む;
(2)前記第1のヌクレオチド、前記第2のヌクレオチド、前記第3のヌクレオチド及び前記第4のヌクレオチドが、各々独立して、A、T、C、G、及びUからなる群より選択される;
(3)前記第1のヌクレオチド、前記第2のヌクレオチド、前記第3のヌクレオチド及び前記第4のヌクレオチドが異なる;
(4)前記第1のヌクレオチド、前記第2のヌクレオチド、前記第3のヌクレオチド及び前記第4のヌクレオチドが、それぞれA、T、C、及びGである;
(5)前記第1の不可逆的ブロッキングヌクレオチド、前記第2の不可逆的ブロッキングヌクレオチド、前記第3の不可逆的ブロッキングヌクレオチド及び前記第4の不可逆的ブロッキングヌクレオチドが、各々独立して、A、T、C、G、及びUからなる群より選択さる;
(6)前記第1の不可逆的ブロッキングヌクレオチド、前記第2の不可逆的ブロッキングヌクレオチド、前記第3の不可逆的ブロッキングヌクレオチド及び前記第4の不可逆的ブロッキングヌクレオチドが異なる;
(7)前記第1の不可逆的ブロッキングヌクレオチド、前記第2の不可逆的ブロッキングヌクレオチド、前記第3の不可逆的ブロッキングヌクレオチド及び前記第4の不可逆的ブロッキングヌクレオチドが、それぞれA、T、C及びGである;
(8)前記不可逆的ブロッキングヌクレオチドがジデオキシヌクレオチドである。
【国際調査報告】