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特表2024-535915円筒形バッテリー、それを含むバッテリーパック及び自動車
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-02
(54)【発明の名称】円筒形バッテリー、それを含むバッテリーパック及び自動車
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/474 20210101AFI20240925BHJP
   H01M 50/107 20210101ALI20240925BHJP
   H01M 50/152 20210101ALI20240925BHJP
   H01M 50/543 20210101ALI20240925BHJP
   H01M 50/184 20210101ALI20240925BHJP
   H01M 10/04 20060101ALI20240925BHJP
   H01M 10/0587 20100101ALI20240925BHJP
   H01M 50/545 20210101ALI20240925BHJP
   H01M 50/586 20210101ALI20240925BHJP
   H01M 50/593 20210101ALI20240925BHJP
   H01M 4/525 20100101ALI20240925BHJP
   H01M 4/62 20060101ALI20240925BHJP
   H01M 4/587 20100101ALI20240925BHJP
   H01M 4/36 20060101ALI20240925BHJP
   H01M 4/48 20100101ALI20240925BHJP
   H01M 50/533 20210101ALI20240925BHJP
   H01M 50/56 20210101ALI20240925BHJP
   H01M 50/477 20210101ALI20240925BHJP
   H01M 50/213 20210101ALI20240925BHJP
   H01M 50/249 20210101ALI20240925BHJP
【FI】
H01M50/474
H01M50/107
H01M50/152
H01M50/543
H01M50/184 D
H01M10/04 W
H01M10/0587
H01M50/545
H01M50/586
H01M50/593
H01M4/525
H01M4/62 Z
H01M4/587
H01M4/36 E
H01M4/48
H01M50/533
H01M50/56
H01M50/477
H01M50/213
H01M50/249
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024518905
(86)(22)【出願日】2022-10-21
(85)【翻訳文提出日】2024-03-26
(86)【国際出願番号】 KR2022016197
(87)【国際公開番号】W WO2023068887
(87)【国際公開日】2023-04-27
(31)【優先権主張番号】10-2021-0142185
(32)【優先日】2021-10-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】ジェ-ウォン・イム
(72)【発明者】
【氏名】ミン-キ・ジョ
【テーマコード(参考)】
5H011
5H021
5H028
5H029
5H040
5H043
5H050
【Fターム(参考)】
5H011AA01
5H011AA09
5H011AA13
5H011CC06
5H021AA02
5H028AA07
5H028AA08
5H028CC07
5H028CC08
5H028CC12
5H028HH01
5H029AJ06
5H029AJ11
5H029AJ12
5H029AJ14
5H029AK03
5H029AL01
5H029AL02
5H029AL07
5H029AL08
5H029AL11
5H029AL12
5H029AL18
5H029AM02
5H029AM03
5H029AM04
5H029AM05
5H029AM07
5H029BJ02
5H029BJ14
5H029HJ01
5H029HJ05
5H029HJ09
5H040AA03
5H040AA18
5H040AS07
5H040AT01
5H043AA01
5H043AA03
5H043AA04
5H043AA19
5H043BA19
5H043CA03
5H043CA12
5H043DA09
5H043EA06
5H043GA22
5H043GA24
5H050AA12
5H050AA14
5H050AA15
5H050AA19
5H050CA08
5H050CB01
5H050CB02
5H050CB08
5H050CB09
5H050CB11
5H050CB12
5H050CB29
5H050DA10
5H050EA08
5H050EA09
5H050FA05
5H050FA16
5H050HA01
5H050HA05
5H050HA09
(57)【要約】
本発明の一実施形態による円筒形バッテリーは、電極組立体と、開放部を通して電極組立体を収容するバッテリーハウジングと、電極組立体に配置される支持部、支持部から延在するタブ結合部及び支持部から延在してバッテリーハウジングの内側面上に結合される第1ハウジング結合部を含み、バッテリーハウジング内に位置する第1集電板と、開放部を覆うキャッププレートと、開放部の反対側から前記バッテリーハウジングを貫通するバッテリー端子と、電極組立体の動きを防止してバッテリーハウジングの封止力を強化するように構成されるシーリングスペーサと、を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1電極タブ及び第2電極タブを備える電極組立体と、
一側に形成された開放部を通して前記電極組立体を収容するバッテリーハウジングと、
前記電極組立体の一面に配置される支持部、前記支持部から延在して前記第1電極タブと結合されるタブ結合部、及び前記支持部から延在して前記バッテリーハウジングの内側面上に結合される第1ハウジング結合部を含み、前記バッテリーハウジング内に位置する第1集電板と、
前記開放部を覆うキャッププレートと、
前記第2電極タブと電気的に接続されるバッテリー端子と、
前記電極組立体の動きを防止し、前記バッテリーハウジングの封止力を強化するように構成されるシーリングスペーサと、を含む、円筒形バッテリー。
【請求項2】
前記バッテリーハウジングは、前記開放部に隣接した周縁部に形成されて内側に押し込まれたビーディング部を含み、
前記第1ハウジング結合部は、前記ビーディング部上に結合されている、請求項1に記載の円筒形バッテリー。
【請求項3】
前記第1ハウジング結合部は、
前記バッテリーハウジングの内側面上に結合される第1接触部と、
前記支持部と前記第1接触部との間を連結する第1連結部と、を含む、請求項1又は2に記載の円筒形バッテリー。
【請求項4】
前記第1接触部は、少なくとも一部が前記バッテリーハウジングの内周面に沿って延在した形態を有する、請求項3に記載の円筒形バッテリー。
【請求項5】
前記第1連結部は、延在方向が転換される第1折曲部を少なくとも一つ備える、請求項3に記載の円筒形バッテリー。
【請求項6】
前記第1集電板は、前記タブ結合部の端部から延在して前記バッテリーハウジングの内側面上に結合される第2ハウジング結合部をさらに含む、請求項1又は2に記載の円筒形バッテリー。
【請求項7】
前記第2ハウジング結合部は、
前記バッテリーハウジングの内側面上に結合される第2接触部と、
前記支持部と前記第2接触部との間を連結する第2連結部と、を含む、請求項6に記載の円筒形バッテリー。
【請求項8】
前記第2接触部は、少なくとも一部が前記バッテリーハウジングの内周面に沿って延在した形態を有する、請求項7に記載の円筒形バッテリー。
【請求項9】
前記第2連結部は、延在方向が転換される第2折曲部を少なくとも一つ備える、請求項7に記載の円筒形バッテリー。
【請求項10】
前記シーリングスペーサは、
前記第1集電板と前記キャッププレートとの間に介在される動き防止部と、
前記バッテリーハウジングと前記キャッププレートとの間に介在されるシーリング部と、
前記動き防止部と前記シーリング部とを連結する連結部と、を含む、請求項1又は2に記載の円筒形バッテリー。
【請求項11】
前記動き防止部は、前記第1集電板と前記キャッププレートとの間の距離と対応する高さを有する、請求項10に記載の円筒形バッテリー。
【請求項12】
前記動き防止部は、前記電極組立体の一面上における中心部に位置している、請求項10に記載の円筒形バッテリー。
【請求項13】
前記動き防止部は、前記電極組立体の巻取中心孔と対応する位置に形成されるスペーサ孔を備える、請求項10に記載の円筒形バッテリー。
【請求項14】
前記シーリング部は、前記バッテリーハウジングの内周面の周りに沿って延在した形態を有する、請求項10に記載の円筒形バッテリー。
【請求項15】
前記連結部は、前記動き防止部から放射状に延びる複数の延長脚を含む、請求項10に記載の円筒形バッテリー。
【請求項16】
複数の前記延長脚は、前記第1集電板と接触しないように構成される、請求項15に記載の円筒形バッテリー。
【請求項17】
複数の前記延長脚は、前記キャッププレートと接触しないように構成される、請求項15に記載の円筒形バッテリー。
【請求項18】
前記連結部は、前記円筒形バッテリーの高さ方向に沿って前記第1ハウジング結合部と重ならないように位置している、請求項15に記載の円筒形バッテリー。
【請求項19】
前記円筒形バッテリーは、
前記第2電極タブと結合される第2集電板と、
前記バッテリーハウジングの上端に形成された閉鎖部と前記第2集電板との間に介在される絶縁体と、をさらに含む、請求項1又は2に記載の円筒形バッテリー。
【請求項20】
前記絶縁体は、前記第2集電板と前記閉鎖部との間の距離と対応する高さを有する、請求項19に記載の円筒形バッテリー。
【請求項21】
第2電極の活物質層は、単粒子、疑似単粒子、又はこれらの組み合わせを含む正極活物質を含み、
前記正極活物質の体積累積分布で現れる最小粒子サイズDminが1.0μm以上であり、
前記正極活物質の体積累積分布において体積累積量が50%であるときの粒子サイズD50が5.0μm以下であり、
前記正極活物質の体積累積分布で現れる最大粒子サイズDmaxが12μm~17μmである、請求項1又は2に記載の円筒形バッテリー。
【請求項22】
前記正極活物質は、体積累積粒度分布グラフにおいて単一ピークが現れるユニモーダル粒度分布を有し、下記の数式1
[数式1]
粒度分布(PSD)=(Dmax-Dmin)/D50
で表される粒度分布(PSD)が3以下である、請求項21に記載の円筒形バッテリー。
【請求項23】
前記単粒子、疑似単粒子、又はこれらの組み合わせは、前記第2電極の活物質層に含まれた正極活物質の全体重量を基準にして95wt%~100wt%の量で含まれる、請求項21に記載の円筒形バッテリー。
【請求項24】
前記正極活物質は、遷移金属の全体モル数を基準にしてNiを80モル%以上で含むリチウムニッケル系酸化物を含む、請求項21に記載の円筒形バッテリー。
【請求項25】
前記第2電極の活物質層の空隙率が15%~23%であり、
前記第2電極の活物質層は、0.05wt%~5wt%の重量比率で鱗片状黒鉛を含む、請求項21に記載の円筒形バッテリー。
【請求項26】
前記第2電極の活物質層は、カーボンナノチューブ(CNT)をさらに含む、請求項21に記載の円筒形バッテリー。
【請求項27】
第1電極の活物質層は、シリコン系負極活物質及び炭素系負極活物質を含み、
前記シリコン系負極活物質と炭素系負極活物質とは、1:99~20:80の重量比で含まれる、請求項21に記載の円筒形バッテリー。
【請求項28】
請求項1又は2に記載の円筒形バッテリーを含む、バッテリーパック。
【請求項29】
請求項28に記載のバッテリーパックを含む、自動車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、円筒形バッテリー、それを含むバッテリーパック及び自動車に関する。
【0002】
より具体的には、本発明の一実施形態は、バッテリーの使用過程で外部衝撃や振動が加えられても、部品間の溶接部位に力が集中しない構造を有する円筒形バッテリー及びそこに適用される集電板、それを含むバッテリーパック及び自動車に関する。
【0003】
また、本発明の一実施形態は、電気化学的特性が向上した電気化学素子用正極及び該正極を含む電極組立体に関する。
【0004】
本出願は、2021年10月22日付け出願の韓国特許出願第10-2021-0142185に基づく優先権を主張し、当該出願の明細書及び図面に開示された内容は、すべて本出願に組み込まれる。
【背景技術】
【0005】
製品群毎の適用性が高く、高いエネルギー密度などの電気的特性を有する二次電池は、携帯用機器だけでなく、電気的駆動源によって駆動する電気自動車(EV:Electric Vehicle)、ハイブリッド自動車(HEV:Hybrid Electric Vehicle)などに一般的に適用されている。
【0006】
このような二次電池は、化石燃料の使用を画期的に減少させるという一次的な長所だけでなく、エネルギーの使用による副産物が全く発生しないという点で環境にやさしく、エネルギー効率向上のための新たなエネルギー源として注目されている。
【0007】
現在、リチウムイオン電池、リチウムポリマー電池、ニッケルカドミウム電池、ニッケル水素電池、ニッケル亜鉛電池などの二次電池が広く使用されている。このような単位二次電池セルの作動電圧は約2.5V~4.5Vである。したがって、これよりも高い出力電圧が要求される場合、複数のバッテリーを直列に接続してバッテリーパックを構成する。また、バッテリーパックに求められる充放電容量に合わせて、複数のバッテリーを並列に接続してバッテリーパックを構成することもある。したがって、バッテリーパックに含まれるバッテリーの個数及び電気的接続形態は要求される出力電圧及び/又は充放電容量によって多様に設定され得る。
【0008】
一方、二次電池セルの種類としては、円筒形、角形及びパウチ型バッテリーが知られている。円筒形バッテリーの場合、正極と負極との間に絶縁体である分離膜を介在し、これを巻き取ってゼリーロール(jelly-roll)型の電極組立体を形成し、これを電解質とともにバッテリーハウジングの内部に挿入して電池を構成する。また、正極及び負極のそれぞれの無地部にはストリップ状の電極タブが連結され、電極タブは電極組立体と外側に露出する電極端子との間を電気的に接続させる。参考までに、正極端子はバッテリーハウジングの開放口を密封する密封体のキャッププレートであり、負極端子はバッテリーハウジングである。
【0009】
ところが、このような構造を有する従来の円筒形バッテリーによれば、正極無地部及び/又は負極無地部と結合されるストリップ状の電極タブに電流が集中されるため、抵抗が大きくて発熱が多く、集電効率が良くないという問題がある。
【0010】
18650や21700のフォームファクタ(form factor)を有する小型円筒形バッテリーでは抵抗と発熱があまり問題にはならない。しかし、円筒形バッテリーを電気自動車に適用するためフォームファクタを増加させる場合、急速充電過程で電極タブの周辺で多量の熱が発生しながら円筒形バッテリーが発火する問題が発生し得る。
【0011】
このような問題を解決するため、ゼリーロール型の電極組立体の上端及び下端にそれぞれ正極無地部及び負極無地部が位置するように設計し、このような無地部に集電板を溶接して集電効率が改善された構造を有する円筒形バッテリー(いわゆる、タブレス(tab-less)円筒形バッテリー)が提示されている。
【0012】
図1図4を参照して、従来の円筒形バッテリーについてより具体的に説明する。
【0013】
図1図3は、タブレス円筒形バッテリーの製造過程を示した図である。図1は電極の構造を示し、図2は電極の巻取工程を示し、図3は無地部の折曲面に集電板が溶接される工程を示している。図4は、タブレス円筒形バッテリーを長手方向(Y軸)に切断した断面図である。
【0014】
図1図4を参照すると、正極500は、正極シート500S上に、正極活物質部520、及び巻取方向に沿った一側長辺に設けられた正極無地部530を含む構造を有する。また、負極400は、負極シート400S上に、負極活物質部420、及び巻取方向に沿った一側長辺に設けられた負極無地部430を含む構造を有する。電極組立体300は、正極500と負極400とを、図2に示したように二枚の分離膜600と一緒に順に積層した後、一方向(X軸方向)に巻き取って製作する。このとき、正極500の無地部530と負極400の無地部430とは互いに反対方向に配置される。
【0015】
巻取工程の後、正極500の無地部530及び負極400の無地部430はコア側に折り曲げられる。その後、無地部530、430に集電板P、30をそれぞれ溶接して結合させる。
【0016】
正極無地部530及び負極無地部430には、別途の電極タブが結合されておらず、集電板P、30が外部の電極端子と連結され、電流の経路(path)が電極組立体300の巻取軸方向(矢印を参照)に沿って大きい断面積で形成されるため、バッテリーの抵抗を低減できるという長所がある。抵抗は電流が流れる通路の断面積に反比例するためである。
【0017】
しかしながら、円筒形バッテリーのフォームファクタが増加し、急速充電時の充電電流が大きくなると、タブレス円筒形バッテリーにおいても発熱の問題が再び発生する。
【0018】
具体的には、従来のタブレス円筒形バッテリー1は、図4に示したように、バッテリーハウジング20及び密封体Aを含む。密封体Aは、キャッププレート40、シーリングガスケットG1、及び連結プレートC1を含む。シーリングガスケットG1は、キャッププレート40の周縁を覆い包みながらクリンピング部22によって固定される。また、電極組立体300は、上下移動を防止するため、ビーディング部21によってバッテリーハウジング20内に固定される。
【0019】
通常、正極端子は密封体Aのキャッププレート40であり、負極端子はバッテリーハウジング20である。したがって、正極500の無地部530に結合された第2集電板Pは、ストリップ状のリードLを通じてキャッププレート40に取り付けられた連結プレートC1に電気的に接続される。また、負極400の無地部430に結合された第1集電板30は、バッテリーハウジング20の底部に電気的に接続される。絶縁体Sは、第2集電板Pを覆って、極性が異なるバッテリーハウジング20と正極500の無地部530とが接触して短絡を起こすことを防止する。
【0020】
第2集電板Pが連結プレートC1に連結されるときにはストリップ状のリードLが使用される。リードLは、第2集電板Pに別途に取り付けるか又は第2集電板Pと一体的に製作される。しかし、リードLは薄いストリップ状であるため、断面積が小さくて、急速充電電流が流れると多量の熱が発生する。また、リードLで発生した過度な熱は電極組立体300側に伝達されて分離膜600を収縮させることで、熱暴走の主な原因である内部短絡を起こし得る。
【0021】
リードLは、また、バッテリーハウジング20内で相当な設置空間を占める。したがって、リードLが含まれた円筒形バッテリー1は空間効率性が低くてエネルギー密度を増加させるのに限界がある。
【0022】
さらに、従来のタブレス円筒形バッテリー1を直列及び/又は並列に連結するためには、密封体Aのキャッププレート40及びバッテリーハウジング20の底面にバスバー部品を連結しなければならず、空間効率性が低下する。電気自動車に搭載されるバッテリーパックは数百個の円筒形バッテリー1を含む。したがって、電気的配線の非効率性は電気自動車の組み立て過程、そしてバッテリーパックのメンテナンス時にも相当な不便をもたらす。したがって、複数の円筒形バッテリーの電気的接続構造を単純化できるように、正極端子と負極端子とが同一方向に適用された構造を有する円筒形バッテリーの開発が要求される。
【0023】
上述したような構造を有する円筒形バッテリーでは、特に負極集電板とキャッププレートとの間に比較的に大きい空いた空間が形成され得る。また、前記キャッププレートと反対側に位置するバッテリーハウジングの底面と正極集電板との間にも空いた空間が形成され得る。
【0024】
このような空いた空間は、ゼリーロール型の電極組立体がバッテリーハウジングの内部で、特に上下方向、すなわち円筒形バッテリーの高さ方向に揺れ動く原因になり得る。電極組立体がこのように上下方向に動くと、集電板と電極タブとの間の結合部位が損傷し、さらには集電板とバッテリーハウジングとの間の結合部位、集電板とバッテリー端子との間の結合部位などにも損傷が発生するおそれがある。
【0025】
したがって、このような電極組立体の移動空間を最小限にする必要がある。また、電極組立体の移動空間を縮小するため付加的な部品を適用すると、工程状の煩雑性が増加し、製造コストも上昇し得るため、既に適用されている部品を活用してこのような問題を解消する必要性がある。
【0026】
一方、従来の円筒形バッテリーは、一般に、電極組立体と外部端子とを連結するタブを電極組立体のホイルに溶接して連結する構造を有しているが、このような構造の円筒形バッテリーは、電流の経路が限定的になり、電極組立体の自体抵抗の過度な上昇を避けられない。
【0027】
そこで、電極組立体と外部端子とを連結するタブの個数を増やして抵抗を下げる方式が試みられたが、このようにタブの個数を増やすことだけでは、所望のレベルまで抵抗を下げ、電流の経路を十分に確保するのに限界がある。
【0028】
したがって、電極組立体の自体抵抗の減少のため、新たな電極組立体の構造の開発及びこのような電極組立体の構造に適した集電板の構造の開発が必要である。特に、このような新たな構造の電極組立体及び集電板は、例えば電気自動車のように高出力/高容量のバッテリーパックを要求するデバイスへの適用においてその必要性がさらに大きい。
【0029】
また、集電板とバッテリーハウジングとの間の結合力が向上した状態で維持される構造を有する円筒形バッテリー、及び該円筒形バッテリーに適用される集電板の構造の開発も必要である。
【0030】
さらに、集電板とバッテリーハウジングとが結合される場合、バッテリーハウジング内のデッドスペースを最小化することで、円筒形バッテリーのエネルギー密度を向上させた円筒形バッテリーが求められている。一方、近年、電気自動車関連技術の発展に伴って高容量電池に対する要求が増加するにつれて体積が大きい大型円筒形電池の開発が要求されている。一般に使用されている従来の小型円筒形電池、すなわち、18650や21700のフォームファクタを有する円筒形電池の場合、容量が小さいため抵抗や発熱が電池性能に深刻な影響を及ぼすことはなかった。しかしながら、従来の小型円筒形電池の仕様を大型円筒形電池にそのまま適用する場合、電池の安全性に深刻な問題が発生するおそれがある。
【0031】
電池が大きくなると、電池内部で発生する熱とガスの量も一緒に増加するようになるが、このような熱とガスによって電池内部の温度及び圧力が上昇して電池が発火又は爆発し得るためである。これを防止するためには、電池内部の熱とガスを外部へと適切に排出しなければならず、そのためには電池外部へと熱を排出する通路になる電池の断面積が体積の増加に合わせて増加しなければならない。しかし、通常、断面積の増加分は体積増加分に及ばないため、電池が大型化されるほど、電池内部の発熱量が増加し、それにより爆発の危険性が高まり、出力が低下するなどの問題が発生する。また、高電圧で急速充電を行う場合、電極タブの周辺で短時間で多量の熱が発生しながら電池が発火する問題も発生する。
【0032】
したがって、高容量を実現できるように大きい体積を有しながらも、高い安全性を有する電気化学素子の開発が必要である。
【0033】
一方、従来の二次粒子を含む正極活物質を適用して電極を製造すると、粒子割れが発生し、また、充放電時に発生する内部クラックによってガス発生が増加して、電池安定性の問題につながるおそれがある。
【0034】
これを解決するため、一次粒子の大きさが比較的に大きい単粒子又は疑似単粒子形態の正極活物質が開発されているが、前記単粒子又は疑似単粒子形態の正極活物質を高ローディング電極に適用して圧延する場合、電極の空隙率が目標とするレベルまで達しない状態で電極が割れ、リチウム二次電池の抵抗特性及び充放電効率が良くないという問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0035】
本発明は、上述した問題点に鑑みてなされたものであり、バッテリーハウジング内でのゼリーロールの動きによって電気的結合部位に発生する損傷を防止することを一つの目的とする。
【0036】
また、本発明は、円筒形バッテリーの製造において、既に適用されている部品を活用してゼリーロールの動きを防止することで、追加的な部品の適用によって発生する製造工程の複雑化及び製造コストの増加などを防止することを他の目的とする。
【0037】
但し、本発明が解決しようとする技術的課題は上述した課題に限定されず、他の課題は下記の発明の説明から当業者に明らかに理解できるであろう。
【0038】
一方、本発明は、上述した問題点に鑑みてなされたものであり、低抵抗構造を有する電極組立体に適した構造を有する集電板、及びそれを含む円筒形バッテリーを提供することを一つの目的とする。
【0039】
また、本発明は、振動及び衝撃が加えられても、電極組立体との溶接部位及び/又はバッテリーハウジングとの溶接部位に破損が発生する可能性を大幅に低減可能な構造を有する集電板、及びそれを含む円筒形バッテリーを提供することを他の目的とする。
【0040】
また、本発明は、円筒形バッテリーの製造において、バッテリーハウジングと集電板との電気的接続のための溶接工程の便宜性を高め、これによって生産性を向上させることができる構造を有する集電板、及びそれを含む円筒形バッテリーを提供することをさらに他の目的とする。
【0041】
また、本発明は、正極活物質として単粒子又は疑似単粒子を適用することで優れた熱安定性を実現でき、電気伝導性が高くて圧延特性が高い電極及びそれを含む電極組立体を提供することをさらに他の目的とする。
【0042】
また、本発明は、負極にシリコン系負極活物質を適用することで、エネルギー密度が改善された電極組立体を提供することをさらに他の目的とする。
【0043】
また、本発明は、リチウム析出の心配なく、正極活物質部の区間が増加した電極組立体を提供することをさらに他の目的とする。
【0044】
また、本発明は、フォームファクタの増加によってバッテリーの体積が増加しても、優れた熱安定性を示すことができる円筒形バッテリーを提供することをさらに他の目的とする。
【0045】
但し、本発明が解決しようとする技術的課題は上述した課題に限定されず、他の課題は下記の発明の説明から通常の技術者に明らかに理解できるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0046】
上述した課題を解決するため、本発明の一態様による円筒形バッテリーは、第1電極タブ及び第2電極タブを備える電極組立体と、一側に形成された開放部を通して前記電極組立体を収容するバッテリーハウジングと、前記電極組立体の一面に配置される支持部、前記支持部から延在して前記第1電極タブと結合されるタブ結合部、及び前記支持部から延在して前記バッテリーハウジングの内側面上に結合される第1ハウジング結合部を含み、前記バッテリーハウジング内に位置する第1集電板と、前記開放部を覆うキャッププレートと、前記開放部の反対側から前記バッテリーハウジングを貫通して前記第2電極タブと電気的に接続されるバッテリー端子と、前記電極組立体の動きを防止し、前記バッテリーハウジングの封止力を強化するように構成されるシーリングスペーサと、を含む。
【0047】
前記バッテリーハウジングは、前記開放部に隣接した周縁部に形成されて内側に押し込まれたビーディング部を含み得る。
【0048】
前記第1ハウジング結合部は、前記バッテリーハウジングのビーディング部上に結合され得る。
【0049】
前記第1ハウジング結合部は、前記バッテリーハウジングの内側面上に結合される第1接触部と、前記支持部と前記接触部との間を連結する第1連結部と、を含み得る。
【0050】
前記第1接触部は、少なくとも一部が前記バッテリーハウジングの内周面に沿って延在した形態を有し得る。
【0051】
前記第1連結部は、延在方向が転換される第1折曲部を少なくとも一つ備え得る。
【0052】
前記第1集電板は、前記タブ結合部の端部から延在して前記バッテリーハウジングの内側面上に結合される第2ハウジング結合部をさらに含み得る。
【0053】
前記第2ハウジング結合部は、前記バッテリーハウジングの内側面上に結合される第2接触部と、前記支持部と前記接触部との間を連結する第2連結部と、を含み得る。
【0054】
前記第2接触部は、少なくとも一部が前記バッテリーハウジングの内周面に沿って延在した形態を有し得る。
【0055】
前記第2連結部は、延在方向が転換される第2折曲部を少なくとも一つ備え得る。
【0056】
前記シーリングスペーサは、前記第1集電板と前記キャッププレートとの間に介在される動き防止部と、前記バッテリーハウジングと前記キャッププレートとの間に介在されるシーリング部と、前記動き防止部と前記シーリング部とを連結する連結部と、を含み得る。
【0057】
前記動き防止部は、前記第1集電板と前記キャッププレートとの間の距離と対応する高さを有し得る。
【0058】
前記動き防止部は、前記電極組立体の一面上における中心部に位置し得る。
【0059】
前記動き防止部は、前記電極組立体の巻取中心孔と対応する位置に形成されるスペーサ孔を備え得る。
【0060】
前記シーリング部は、前記バッテリーハウジングの内周面の周りに沿って延在した形態を有し得る。
【0061】
前記連結部は、前記動き防止部から放射状に延びる複数の延長脚を含み得る。
【0062】
複数の前記延長脚は、前記第1集電板と接触しないように構成され得る。
【0063】
複数の前記延長脚は、前記キャッププレートと接触しないように構成され得る。
【0064】
前記連結部は、前記円筒形バッテリーの高さ方向に沿って前記ハウジング結合部と重ならないように位置し得る。
【0065】
前記円筒形バッテリーは、前記第2電極タブと結合される第2集電板と、前記バッテリーハウジングの上端に形成された閉鎖部と前記第2集電板との間に介在される絶縁体と、をさらに含み得る。
【0066】
前記絶縁体は、前記第2集電板と前記閉鎖部との間の距離と対応する高さを有し得る。
【0067】
本発明の他の一態様によるバッテリーパックは、本発明の一態様による円筒形バッテリーを含む。
【0068】
本発明のさらに他の一態様による自動車は、本発明の一態様によるバッテリーパックを含む。
【0069】
前記第2電極の活物質層は、単粒子、疑似単粒子、又はこれらの組み合わせを含む正極活物質を含み、前記正極活物質の体積累積分布で現れる最小粒子サイズDminは1.0μm以上であり、前記正極活物質の体積累積分布において体積累積量が50%であるときの粒子サイズD50が5.0μm以下であり、前記正極活物質の体積累積分布で現れる最大粒子サイズDmaxが12μm~17μmであり得る。
【0070】
前記正極活物質は、体積累積粒度分布グラフにおいて単一ピークが現れるユニモーダル(unimodal)粒度分布を有し、下記の数式1で表される粒度分布(PSD:Particle Size Distribution)が3以下であり得る。
【0071】
[数式1]
粒度分布(PSD)=(Dmax-Dmin)/D50
前記単粒子、疑似単粒子、又はこれらの組み合わせは、前記第2電極の活物質層に含まれた正極活物質の全体重量を基準にして95wt%~100wt%の量で含まれ得る。
【0072】
前記正極活物質は、遷移金属の全体モル数を基準にしてNiを80モル%以上で含むリチウムニッケル系酸化物を含み得る。
【0073】
前記第2電極の活物質層は、空隙率が15%~23%であり、前記第1電極の活物質層は、0.05wt%~5wt%の重量比率で鱗片状黒鉛を含み得る。
【0074】
前記第2電極の活物質層は、カーボンナノチューブ(CNT)をさらに含み得る。
【0075】
前記第1電極の活物質層は、シリコン系負極活物質及び炭素系負極活物質を含み、前記シリコン系負極活物質と炭素系負極活物質とは、1:99~20:80の重量比で含まれ得る。
【発明の効果】
【0076】
本発明の一態様によれば、バッテリーハウジング内でのゼリーロールの動きが最小化されることで、電気的結合部位に損傷が発生することを防止することができる。
【0077】
また、本発明の一態様によれば、ゼリーロールの動きを防止するための部品を追加的に適用する代わりに、既に適用されている部品を活用することで製造工程の複雑化及び製造コストの増加を防止することができる。
【0078】
一方、本発明の一態様によれば、電極組立体とバッテリーハウジングとの間の電気的接続において抵抗を大幅に下げることができる。
【0079】
また、本発明の一態様によれば、バッテリーの使用過程で振動及び衝撃が加えられても、集電板と電極組立体との溶接部位及び/又は集電板とバッテリーハウジングとの溶接部位に破損が発生する可能性を大幅に下げることができる。
【0080】
また、本発明の一態様によれば、円筒形バッテリーの製造において、バッテリーハウジングと集電板との電気的接続のための溶接工程の便宜性を高め、これによって生産性を向上させることができる。
【0081】
また、本発明の一態様によれば、Dminが1.0μm以上である正極活物質粉末を正極に含ませることで、電池の熱安定性をさらに改善することができる。本発明者らの研究によれば、正極活物質として単粒子及び/又は疑似単粒子を適用しても、正極活物質粉末の粒度に応じて圧延後の粒子破れの抑制及び熱安定性の改善効果が異なることが確認された。特に、正極活物質粉末内に粒径1.0μm未満の粒子が含まれる場合、圧延工程で線圧が増加することで、粒子割れが増加して熱安定性が低下し、大型円筒形電池への適用時に熱安定性を十分に確保することができなかった。したがって、本発明では、最小粒子サイズDminが1.0μm以上に制御された正極活物質粉末を使用することで、熱安定性の改善効果を極大化できるようにした。
【0082】
また、本発明の一態様によれば、D50、Dmax、及び粒度分布(PSD)が適切に調節された正極活物質粉末を正極に含ませることで、単粒子の適用による抵抗増加を最小化できるため、優れた容量特性及び出力特性を実現することができる。
【0083】
また、本発明の一態様によれば、正極が導電性コーティング層で被覆された単粒子系正極活物質を含むか、又は、新規CNTを導電材として含むことで、電極の導電性を改善することができる。
【0084】
また、本発明の一態様によれば、正極活物質層に鱗片状黒鉛が含まれるため、正極活物質層を圧延する場合、前記鱗片状黒鉛が前記正極活物質に滑り効果を提供して電極の圧延特性が向上し、電極空隙率を目標とするレベルまで下げることができる。これにより、円筒形バッテリーの安定性、初期抵抗特性、及び充放電効率が改善される。
【0085】
また、本発明の一態様によれば、負極に容量の大きいシリコン系負極活物質が含まれることで、より高いエネルギー密度を実現することができる。
【0086】
また、本発明の一態様によれば、正極活物質のローディング量が少ないローディング減少部が正極に含まれるため、リチウム析出の心配なく、正極活物質部の区間を増加させることができる。
【0087】
また、本発明の一態様によれば、ストリップ状の電極タブを備えた従来のバッテリーと比べて、バッテリーの内部発熱を効果的に減少させることができるため、バッテリーの熱安定性を改善することができる。
【0088】
本発明の効果は上述した効果に限定されず、言及されていない他の効果は後述する発明の説明から当業者により明らかに理解されるだろう。
【0089】
本明細書に添付される次の図面は、本発明の好ましい実施形態を例示するものであり、発明の詳細な説明とともに本発明の技術的な思想をさらに理解させる役割のためのものであるため、本発明は図面に記載された事項だけに限定されて解釈されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0090】
図1】従来のタブレス円筒形バッテリーセルに使用される電極の構造を示した平面図である。
図2】従来のタブレス円筒形バッテリーセルに含まれる電極組立体の巻取工程を示した図である。
図3図2の電極組立体において、無地部の折曲面に集電板が溶接される工程を示した図である。
図4】従来のタブレス円筒形バッテリーセルを長手方向(Y軸)に切断した断面図である。
図5】本発明の一実施形態による円筒形バッテリーの内部構造を示した断面図である。
図6】本発明の一実施例による第1集電板を示した図である。
図7】本発明の一実施例による第1集電板の第1連結部の例示的形態を示した図である。
図8】本発明の一実施例による第1集電板の第1連結部の例示的形態を示した図である。
図9】本発明の一実施例による第1集電板の第1連結部の例示的形態を示した図である。
図10】電極組立体の高さに応じた第1連結部の形態を示した図である。
図11】電極組立体の高さに応じた第1連結部の形態を示した図である。
図12】本発明の他の実施例による第1集電板を示した図である。
図13】本発明の実施形態に適用される第1集電板の例示的形態を示した斜視図である。
図14】本発明のさらに他の実施例による第1集電板を示した図である。
図15図14に示された第1集電板の第2連結部の例示的形態を示した図である。
図16】上述した実施例とは異なる形態を有する本発明の実施形態による第1集電板を示した図である。
図17】上述した実施例とは異なる形態を有する本発明の実施形態による第1集電板を示した図である。
図18】本発明の一実施形態による円筒形バッテリーの外観を示した斜視図である。
図19】本発明の一実施形態による円筒形バッテリーの内部構造を示した断面図である。
図20】本発明の一体型スペーサが適用された領域を示した部分断面図である。
図21】本発明の一実施例によるシーリングスペーサを説明するための図である。
図22】本発明の実施形態による円筒形バッテリーの底面を示した平面図である。
図23】本発明の実施形態による絶縁体が適用された領域を示した部分断面図である。
図24】本発明の実施形態による集電板と電極タブとの結合構造を示した部分断面図である。
図25】本発明の一実施形態によるバッテリーパックを示した概略図である。
図26】本発明の一実施形態による自動車を示した概念図である。
図27】本発明の一実施形態による新規CNTの走査型電子顕微鏡(SEM)写真である。
図28】一般に使用されている従来のカーボンナノチューブ(従来CNT)の走査型電子顕微鏡(SEM)写真である。
図29】従来CNTの物性と新規CNTの物性とを比較した表である。
図30】正極活物質として単粒子系活物質粒子が適用された場合、導電材の比率に応じた面抵抗を示したグラフである。
図31】正極活物質として単粒子系活物質粒子が適用された場合、導電材の比率に応じた高温寿命特性を示したグラフである。
図32】正極活物質として単粒子系活物質粒子が適用された場合、導電材の比率に応じた高温寿命特性を示したグラフである。
図33】正極活物質として単粒子系活物質粒子が適用された場合、導電材の比率に応じた高温寿命特性を示したグラフである。
図34】BET比表面積が300m/g~500m/gであるカーボンナノチューブ(新規CNT)を適用した場合及びBET比表面積が200m/g以上300m/g未満であるカーボンナノチューブ(従来CNT)を適用した場合において、正極スラリーの固形分含量、粘度、MPコーティング層における抵抗値、及びMP界面層における抵抗値を比較した表である。
図35a】本発明の実施例2-1で使用された正極活物質のSEM写真である。
図35b】本発明の実施例2-2で使用された正極活物質のSEM写真である。
図35c】本発明の比較例2-2で使用された正極活物質のSEM写真である。
図36a】本発明の実施例1によって製造された4680セルに対するホットボックステストの結果を示したグラフである。
図36b】本発明の比較例1によって製造された4680セルに対するホットボックステストの結果を示したグラフである。
図36c】本発明の実施例2-1のサンプル1及び比較例2-1によって製造された4680セルに対するホットボックステストの結果を示したグラフである。
図36d】本発明の実施例2-1のサンプル2、3、実施例2-2のサンプル1、2及び比較例2-2によって製造された4680セルに対するホットボックステストの結果を示したグラフである。
図37a】本発明の実施例2-1で製造された正極の断面SEM写真である。
図37b】比較例2-1で製造された正極の断面SEM写真である。
図38a】本発明の実施例3-3、比較例3-1及び比較例3-2による正極を含むコイン型ハーフセルを4.2Vまで充電しながら、SOCに応じた抵抗特性を測定した結果を示したグラフである。
図38b】本発明の実施例3-1、実施例3-3及び比較例3-1による4680セルに対する充放電サイクル実験を通じて得た、容量維持率及び抵抗増加率の測定結果を示したグラフである。
図39】本発明の一実施形態による電極組立体を示した図である。
図40図39のA-A’線に沿って切断した断面図である。
図41】本発明の一実施形態によって負極を製造する工程を示した図である。
図42】本発明の一実施形態によって負極を製造する工程を示した図である。
図43】本発明の一実施形態による負極を示した斜視図である。
図44】本発明の一実施形態によって正極を製造する工程を示した図である。
図45】本発明の一実施形態によって正極を製造する工程を示した図である。
図46】本発明の一実施形態による正極を示した斜視図である。
図47】本発明の比較形態による電極組立体を示した図である。
図48図47のB-B’線に沿って切断した断面図である。
図49】本発明の比較形態によって負極を製造する工程を示した図である。
図50】本発明の比較形態によって正極を製造する工程を示した図である。
図51】シリコン系負極活物質と炭素系負極活物質との混合物を負極活物質として使用したバッテリーにおいて、シリコン系負極活物質の含量とシリコン系負極活物質のドーピング有無に応じたエネルギー密度の変化を示したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0091】
以下、添付された図面を参照して本発明の好ましい実施形態を詳しく説明する。これに先立ち、本明細書及び特許請求の範囲において使用された用語や単語は通常的及び辞書的な意味に限定して解釈されるものではなく、発明者自らは発明を最善の方法で説明するために用語の概念を適切に定義できるという原則に則して本発明の技術的な思想に応ずる意味及び概念で解釈されるものである。したがって、本明細書に記載された実施形態及び図面に示された構成は、本発明の最も好ましい一実施形態に過ぎず、本発明の技術的な思想のすべてを表すものではないため、本出願の時点においてこれらに代替できる多様な均等物及び変形例があり得ることを理解されたい。
【0092】
また、発明の理解の補助のため、添付された図面は実際の縮尺通りに図示されず、一部構成要素の寸法を誇張して図示することがある。また、異なる実施形態における同じ構成要素に対しては同じ参照番号が付され得る。
【0093】
図示された各構成の大きさ及び厚さは説明の便宜上任意に示されたものであり、本発明が必ずしも図示によって限定されることはない。図面において、多くの層及び領域を明確に示すため、厚さを拡大して示している。また、図面において、説明の便宜上、一部の層及び領域の厚さを誇張して示している。
【0094】
また、層、膜、領域、板などの部分が他の部分の「上に」又は「上側に」あるとするとき、これは他の部分の「真上に」ある場合だけでなく、その中間にさらに他の部分がある場合も含む。反対に、ある部分が他の部分の「真上に」あるとするときは、中間に他の部分が存在しないことを意味する。また、基準になる部分の「上に」又は「上側に」あるとは、基準になる部分の上方又は下方に位置することを意味し、必ずしも重力との反対向きの「上に」又は「上側に」位置することを意味するものではない。
【0095】
また、明細書の全体において、ある部分が他の構成要素を「含む」とは、特に言及しない限り、他の構成要素を除くのではなく、他の構成要素をさらに含み得ることを意味する。
【0096】
また、明細書の全体において、「平面図」とするとき、これは対象部分を上方から眺めた場合を意味し、「断面図」とするとき、これは対象部分を垂直に切った断面を側方から眺めた場合を意味する。
【0097】
まず、図5を参照すると、本発明の一実施形態による円筒形バッテリー1は、電極組立体300、バッテリーハウジング20、第1集電板30、キャッププレート40、及びバッテリー端子60を含む。前記円筒形バッテリー1は、その他にもシーリングガスケットG1及び/又は絶縁ガスケットG2及び/又は第2集電板P及び/又は絶縁体Sをさらに含み得る。
【0098】
前記電極組立体300は、第1電極タブ11及び第2電極タブ12を備える。前記電極組立体300は、第1極性を有する第1電極、第2極性を有する第2電極、及び第1電極と第2電極との間に介在される分離膜を含む。前記第1電極は負極又は正極であり、第2電極は第1電極と反対極性を有する電極に該当する。より具体的には、前記電極組立体300は、第1電極、分離膜、第2電極、分離膜を順に少なくとも1回積層して形成された積層体を巻き取ることで製造され得る。すなわち、本発明の実施形態に適用される電極組立体300は、ゼリーロール型の電極組立体であり得る。このようなゼリーロール型の電極組立体300は、その略中心部に形成されて高さ方向(図5に示された円筒形バッテリー1の高さ方向と平行な方向)に沿って延びる巻取中心孔H1を備え得る。一方、前記電極組立体300の外周面上にはバッテリーハウジング20との絶縁のために分離膜がさらに備えられ得る。
【0099】
前記第1電極は、第1電極集電体、及び第1電極集電体の片面又は両面上に塗布された第1電極活物質層を含む。前記第1電極集電体の幅方向(図5に示された円筒形バッテリー1の高さ方向と平行な方向)の一側端部には、第1電極活物質が塗布されていない無地部が存在する。前記第1電極の無地部は、第1電極が広げられた状態を基準にしたとき、第1電極の長手方向に沿って一側端部から他側端部まで延在した形態を有する。前記第1電極の無地部は、上述したような第1電極タブ11として機能する。前記第1電極タブ11は、バッテリーハウジング20内に収容された電極組立体300の高さ方向(図5に示された円筒形バッテリー1の高さ方向と平行な方向)の上部に備えられる。前記第1電極タブ11は、例えば負極タブであり得る。
【0100】
前記第2電極は、第2電極集電体、及び第2電極集電体の片面又は両面上に塗布された第2電極活物質層を含む。前記第2電極集電体の幅方向(図5に示された円筒形バッテリー1の高さ方向と平行な方向)の他側端部には、第2電極活物質が塗布されていない無地部が存在する。前記第2電極の無地部は、第2電極が広げられた状態を基準にしたとき、第2電極の長手方向に沿って一側端部から他側端部まで延在した形態を有する。前記第2電極の無地部は、上述したような第2電極タブ12として機能する。前記第2電極タブ12は、バッテリーハウジング20内に収容された電極組立体300の高さ方向の下部に備えられる。前記第2電極タブ12は、例えば正極タブであり得る。
【0101】
すなわち、前記第1電極タブ11と第2電極タブ12とは、円筒形バッテリー1の高さ方向に沿って互いに反対方向に延在して突出する。
【0102】
但し、本発明が電極組立体300のこのような形態によって限定されることはない。
【0103】
前記バッテリーハウジング20は、一側に開放部が形成された略円筒形の収容体であって、導電性を有する金属材料からなる。前記バッテリーハウジング20の側面、そして、前記開放部の反対側に位置する下面(図5を基準にして下側面)は一体的に形成され得る。すなわち、前記バッテリーハウジング20は、その高さ方向の上端は開放されており、下端は閉鎖された形態を有し得る。前記バッテリーハウジング20の下面は略扁平(flat)な形態を有し得る。前記バッテリーハウジング20は、その高さ方向の一側に形成された開放部を通して電極組立体300を収容する。前記バッテリーハウジング20は、前記開放部を通して電解質も一緒に収容し得る。但し、本発明がバッテリーハウジング20のこのような形態によって限定されることはない。
【0104】
前記バッテリーハウジング20は、電極組立体300と電気的に接続される。前記バッテリーハウジング20は、電極組立体300の第1電極タブ11と連結される。したがって、前記バッテリーハウジング20は、電気的に第1電極タブ11と同じ極性を有する。
【0105】
前記バッテリーハウジング20は、前記開放部に隣接した周縁部に形成されて内側に押し込まれたビーディング部21を含み得る。前記バッテリーハウジング20は上端部に形成されるビーディング部21を備え得る。前記バッテリーハウジング20は、ビーディング部21よりも上部に形成されるクリンピング部22をさらに備え得る。前記ビーディング部21は、バッテリーハウジング20の外周面の周りが所定の深さで押し込まれた形態を有する。前記ビーディング部21は、電極組立体300の上部に形成される。前記ビーディング部21が形成された領域におけるバッテリーハウジング20の内径は、電極組立体300の直径よりも小さく形成される。
【0106】
前記ビーディング部21は、キャッププレート40が載置される支持面を提供する。また、前記ビーディング部21は、後述する第1集電板30の周縁のうちの少なくとも一部が載置及び結合される支持面を提供し得る。すなわち、前記ビーディング部21の上面には、本発明の実施形態による第1集電板30の周縁のうちの少なくとも一部及び/又は本発明の実施形態によるキャッププレート40の周縁が載置され得る。図10及び図11のように、前記第1集電板30の周縁のうちの少なくとも一部及び/又はキャッププレート40の周縁を安定的に支持できるように、前記ビーディング部21の上面は、少なくとも一部がバッテリーハウジング20の下面に略平行な方向に沿って、すなわちバッテリーハウジング20の側壁に略垂直な方向に沿って延びた形態を有し得る。
【0107】
前記クリンピング部22は、ビーディング部21の上部に形成される。前記クリンピング部22は、ビーディング部21の上部に配置されるキャッププレート40の周縁を覆い包むように延びて折り曲げられた形態を有する。このようなクリンピング部22の形状により、キャッププレート40はビーディング部21上に固定される。勿論、このようなクリンピング部22が省略され、他の固定構造を通じてキャッププレート40がバッテリーハウジング20の開放部を覆いながら固定されるようにしてもよい。
【0108】
以下、図5図9を参照して、本発明の一実施形態による第1集電板30を詳しく説明する。
【0109】
まず、図5及び図6を参照すると、本発明の一実施形態による第1集電板30は、バッテリーハウジング20の内部に収容され、電極組立体300と電気的に接続され、またバッテリーハウジング20と電気的に接続される。すなわち、前記第1集電板30は、電極組立体300とバッテリーハウジング20との間を電気的に接続する。
【0110】
前記第1集電板30は、前記電極組立体300の一面に配置される支持部31、前記支持部31から延在して第1電極タブ11と結合されるタブ結合部32、及び前記支持部31から延在してバッテリーハウジング20の内側面上に結合される第1ハウジング結合部33を含む。前記タブ結合部32と第1ハウジング結合部33とは支持部31を介して間接的に連結され、直接的には連結されない。したがって、本発明の実施形態による円筒形バッテリー1に外部衝撃が加えられたとき、第1集電板30と電極組立体300との結合部位及び第1集電板30とバッテリーハウジング20との結合部位に損傷が発生する可能性を最小化できる。
【0111】
前記支持部31及びタブ結合部32は、電極組立体300の上部に配置され、バッテリーハウジング20にビーディング部21が形成される場合にはビーディング部21よりも下部に位置する。
【0112】
前記支持部31は、電極組立体300の中心部に形成される巻取中心孔H1と対応する位置に形成される第1集電板孔H2を備える。互いに連通される巻取中心孔H1及び第1集電板孔H2は、後述するバッテリー端子60と第2集電板Pとの溶接又はバッテリー端子60とリードタブ(図示せず)との溶接のための溶接棒の挿入又はレーザーの照射のための通路として機能することができる。
【0113】
前記タブ結合部32は、支持部31から略放射状にバッテリーハウジング20の側壁に向かって延在した形態を有し得る。前記タブ結合部32は、支持部31の周りに沿って相互に離隔して位置し得る。一方、前記第1集電板30と電極組立体300との結合面積の増大を通じた結合力の確保及び電気抵抗の減少のため、前記タブ結合部32だけでなく、支持部31も第1電極タブ11と結合し得る。前記第1電極タブ11の端部は、タブ結合部32と平行に折り曲げられた形態で成形され得る。このように第1電極タブ11の端部が成形されてタブ結合部32と平行な状態でタブ結合部32と結合される場合、結合面積を増大させて結合力の向上及び電気抵抗の減少の効果が得られ、また電極組立体300の全体高さを最小化してエネルギー密度向上の効果が得られる。
【0114】
前記第1ハウジング結合部33は、第1集電板30の支持部31から略放射状にバッテリーハウジング20の側壁に向かって延在した形態を有し得る。前記第1ハウジング結合部33は、支持部31の周りに沿って相互に離隔して位置し得る。前記タブ結合部32が複数個である場合、隣り合うタブ結合部32同士の間には、少なくとも一つの第1ハウジング結合部33が位置し得る。前記第1ハウジング結合部33は、バッテリーハウジング20の内側面のうち、例えばビーディング部21に結合され得る。前記第1ハウジング結合部33は、特にビーディング部21の上面に結合され得る。前記第1ハウジング結合部33の端部は、後述するシーリングスペーサ50のシーリング部52とバッテリーハウジング20との間に介在されてバッテリーハウジング20と接触でき、これによってバッテリーハウジング20と第1集電板30との間の電気的接続が行われる。本発明の一形態による円筒形バッテリー1において、このような構造を適用する場合、第1集電板30が結合された状態の電極組立体300をバッテリーハウジング20内に収容する工程を通じて第1ハウジング結合部33が自然にビーディング部21上に載置され得る。したがって、バッテリーハウジング20と第1集電板30との溶接工程が容易になる。また、ビーディング部21の上面がバッテリーハウジング20の下面に略平行な方向、すなわちバッテリーハウジング20の側壁に略垂直な方向に沿って延在した形態を有し、第1ハウジング結合部33も同じ方向に沿って延在した形態を有することにより、第1ハウジング結合部33がビーディング部21上に安定的に接触することができる。また、このように前記第1ハウジング結合部33がビーディング部21上に安定的に接触することで二つの部品間の溶接が円滑に行われ、これによって二つの部品間の結合力を向上させ、結合部位における抵抗増加を最小化する効果が得られる。
【0115】
次いで、図7図11を参照すると、前記第1ハウジング結合部33は、バッテリーハウジング20の内側面上に結合される第1接触部33a、及び支持部31と第1接触部33aとの間を連結する第1連結部33bを含む。
【0116】
前記第1接触部33aは、バッテリーハウジング20の内側面上に結合される。前記バッテリーハウジング20にビーディング部21が形成される場合において、前記第1接触部33aは、上述したように、ビーディング部21上に結合され得る。この場合、上述したように、安定的な接触及び結合のため、ビーディング部21及び第1接触部33aはすべてバッテリーハウジング20の下面に略平行な方向、すなわちバッテリーハウジング20の側壁に略垂直な方向に沿って延在した形態を有し得る。
【0117】
前記第1連結部33bは、支持部31と第1接触部33aとの間でその延在方向が転換される第1折曲部B1を少なくとも一つ備え得る。すなわち、前記第1連結部33bは、一定の範囲内で収縮及び伸長が可能な、例えばバネ類似構造又は蛇腹類似構造を有し得る。このような第1連結部33bの構造は、一定の範囲内で電極組立体300の高さがばらついていても、第1集電板30が結合された電極組立体300をバッテリーハウジング20内に収容させる過程で第1接触部33aをビーディング部21上に密着させることができる。
【0118】
例えば、前記第1集電板30に外力が印加されず変形のない状態における前記第1接触部33aと支持部31との間の鉛直方向距離(D)は、第1集電板30が結合された状態の電極組立体300がバッテリーハウジング20内に載置されたときのビーディング部21の上面と支持部31との間の鉛直方向距離と同一であるか、又は、第1連結部33bの伸長可能範囲内でさらに小さく形成されることが好ましい。前記第1連結部33bがこのような条件を満たすように構成される場合、バッテリーハウジング20内に第1集電板30が結合された電極組立体300を載置したとき、第1接触部33aがビーディング部21上に自然に密着される。
【0119】
さらに、このように第1連結部33bの収縮及び伸長可能な構造は、円筒形バッテリー1(図5を参照)の使用過程で振動及び/又は衝撃が発生して電極組立体300が上下に動いても、一定の範囲内では電極組立体300の動きによる衝撃を緩和可能である。すなわち、前記第1連結部33bの収縮及び伸長可能な構造は、第1接触部33aとバッテリーハウジング20の間の結合部位及びタブ結合部32と第1電極タブ11との間の結合部位に衝撃が伝達されないように緩衝作用をすることができる(図5図9を参照)。
【0120】
次いで、図12を参照すると、本発明の他の実施例による第1集電板30が示されている。本発明の他の実施例による第1集電板30は、上述した第1集電板30(図6を参照して説明した第1集電板)と比べて第1接触部33aの形態が異なるだけで、その他には上述した第1集電板30の構造が実質的に同様に適用され得る。
【0121】
図5及び図13を参照すると、第1接触部33aは、少なくとも一部がバッテリーハウジング20の内周面に沿って延在した形態を有し得る。この場合、接触面積の極大化のために、前記第1集電板30は、それぞれの第1ハウジング結合部33の第1接触部33aの延在長さの和がバッテリーハウジング20の内周と略同一に構成されてもよい。
【0122】
次いで、図5とともに図14及び図15を参照すると、本発明のさらに他の実施例による第1集電板30が示されている。本発明のさらに他の実施例による第1集電板30は、上述した実施例による第1集電板30(図6及び図12を参照して説明した第1集電板30)と比べて、第2ハウジング結合部34をさらに備える点が異なるだけで、その他には上述した第1集電板30の構造が実質的に同様に適用され得る。
【0123】
前記第2ハウジング結合部34は、タブ結合部32の端部から延在してバッテリーハウジング20の内側面上に結合される。複数の前記タブ結合部32のうちの少なくとも一つの端部にはこのような第2ハウジング結合部34が備えられる。前記第2ハウジング結合部34は、バッテリーハウジング20の内側面上に結合される第2接触部34a、及び支持部31と第2接触部34aとの間を連結する第2連結部34bを含む。
【0124】
前記第2接触部34aは、バッテリーハウジング20の内側面上に結合される。前記バッテリーハウジング20にビーディング部21が形成される場合、第2接触部34aは上述した第1接触部33aと同様に、ビーディング部21上に結合され得る。この場合、上述したように、安定的な接触及び結合のため、ビーディング部21及び第2接触部34aはすべてバッテリーハウジング20の下面に略平行な方向、すなわちバッテリーハウジング20の側壁に略垂直な方向に沿って延在した形態を有し得る。
【0125】
一方、図示していないが、図12に示された第1接触部33aの形態のように、第2接触部34aも少なくとも一部がバッテリーハウジング20の内周面に沿って延在した形態を有し得る。この場合、第1集電板30とバッテリーハウジング20との接触面積の極大化のために、前記第1集電板30は、それぞれの第2ハウジング結合部34の第2接触部34aの延在長さの和がバッテリーハウジング20の内周と略同一に構成されてもよい。
【0126】
前記第2連結部34bは、上述した第1連結部33bと同様に、タブ結合部32と第2接触部34aとの間でその延在方向が転換される第2折曲部B2を少なくとも一つ備え得る。前記第2折曲部B2が形成されることで、第2連結部34bが収縮及び伸長可能な構造を有し、これにより円筒形バッテリー1の組み立て工程上の長所及び緩衝効果を有することは上述した通りである。
【0127】
図面には第2折曲部B2が一つ備えられた場合が図示されているが、本発明がこれによって限定されることはなく、図8及び図9を参照して上述した第1連結部33bと同様に、第2折曲部B2も複数個備えられ得る。
【0128】
図16を参照すると、本発明の実施形態による第1集電板30は少なくとも一つの注液孔H4を備え得る。前記注液孔H4は、例えばタブ結合部32に備えられ得る。前記タブ結合部32が複数個備えられる場合、少なくとも一つのタブ結合部32に前記注液孔H4が備えられ得る。前記注液孔H4は、例えばタブ結合部32上に形成される少なくとも一つの溶接線Wの一側に備えられるか又は両側にそれぞれ備えられ得る。図5及び図16を参照すると、本発明の一実施形態による円筒形バッテリー1を製造する際に、電極組立体300と第1集電板30を含む結合体をバッテリーハウジング20内に収容した後、電解液を注液し得る。このとき、前記注液孔H4によって注液性が向上可能である。
【0129】
図17を参照すると、本発明の実施形態による第1ハウジング結合部33の第1連結部33b及び/又は第2ハウジング結合部34の第2連結部34bは、1回折り曲げられた形態を有し得るが、図7及び図15とは異なる方向に折り曲げられた形態を有し得る。すなわち、第1連結部33bに形成される第1折曲部B1及び/又は第2連結部34b上に形成される第2折曲部B2は、円筒形バッテリー1(図5を参照)の中心部に向かう方向に突出した形態を有し得る。このような第1連結部33b及び/又は第2連結部34bの折り曲げ方向は、サイジング工程時に第1集電板30と電極組立体300との結合部位及び/又は第1集電板30とバッテリーハウジング20との結合部位が損傷されることを防止するためである。サイジング(sizing)とは、円筒形バッテリー1の製造において、バッテリーハウジング20のビーディング部21領域が占める高さを縮小して円筒形バッテリー1の全体高さを減少させる圧縮工程である。前記第1折曲部B1と第2折曲部B2の形成如何及び第1折曲部B1と第2折曲部B2の突出方向を変えてサイジング工程後の溶接部の損傷程度を確認した結果、円筒形バッテリー1の中心部に向かって第1折曲部B1と第2折曲部B2が突出した構造を有する円筒形バッテリー1では殆ど損傷が発生しないことが確認できた。
【0130】
図5を参照すると、前記キャッププレート40は、バッテリーハウジング20の一側に形成された前記開放部を覆う。本発明の実施形態によるバッテリーハウジング20がビーディング部21を備える場合、前記キャッププレート40は、バッテリーハウジング20に形成されたビーディング部21上に載置され得る。また、本発明の実施形態によるバッテリーハウジング20がクリンピング部22を備える場合、前記キャッププレート40は、クリンピング部22によって固定され得る。この場合、固定力の向上及びバッテリーハウジング20の密閉性の向上のため、バッテリーハウジング20とキャッププレート40との間及び第1集電板30とキャッププレート40との間にはシーリングガスケットG1が介在され得る。但し、本発明の実施形態において、キャッププレート40は電流の通路として機能する部品ではない。したがって、溶接又は他の部品の適用による固定を通じてバッテリーハウジング20とキャッププレート40とを堅固に固定し、バッテリーハウジング20の開放部の密閉性を確保できれば、シーリングガスケットG1の適用が必須ではない。
【0131】
前記キャッププレート40は、剛性を確保するため、例えば金属材料からなり得る。本発明の一形態による円筒形バッテリー1において、キャッププレート40は、導電性を有する金属材料である場合にも極性を持たない。極性を持たないとは、前記キャッププレート40がバッテリーハウジング20及び後述するバッテリー端子60と電気的に絶縁されていることを意味する。したがって、前記キャッププレート40は、正極端子又は負極端子として機能しない。したがって、前記キャッププレート40は、電極組立体300及びバッテリーハウジング20と電気的に接続される必要がなく、その材料が必ずしも導電性金属である必要もない。
【0132】
一方、前記シーリングガスケットG1が適用される場合を挙げて説明すると、前記シーリングガスケットG1は、前記キャッププレート40を覆い包む略リング形状であり得る。前記シーリングガスケットG1は、キャッププレート40の上面、下面及び側面を同時に覆い得る。シーリングガスケットG1のうちのキャッププレート40の下面を覆う部位の半径方向の長さは、シーリングガスケットG1のうちの前記キャッププレート40の上面を覆う部位の半径方向の長さよりも短いか又は同一であり得る。シーリングガスケットG1のうちのキャッププレート40の下面を覆う部位の半径方向の長さが長過ぎると、バッテリーハウジング20を上下に圧縮する過程でシーリングガスケットG1が第1集電板30を押し付け、第1集電板30又はバッテリーハウジング20が損傷されるおそれがある。したがって、シーリングガスケットG1のうちのキャッププレート40の下面を覆う部位の半径方向の長さを一定水準に小さく維持する必要がある。例えば、図5のように、シーリングガスケットG1のうちのキャッププレート40の下面を覆う部位の半径方向の長さが、シーリングガスケットG1のうちの前記キャッププレート40の上面を覆う部位の半径方向の長さよりも小さく形成され得る。或いは、シーリングガスケットG1のうちのキャッププレート40の下面を覆う部位の半径方向の長さは、シーリングガスケットG1のうちの前記キャッププレート40の上面を覆う部位の半径方向の長さと同一であり得る。
【0133】
一方、前記キャッププレート40は、バッテリーハウジング20の内部で発生したガスによる内圧上昇を防止するために形成されるベンティング(venting)部41を備え得る。前記ベンティング部41は、キャッププレート40の一部に形成され、圧力が加えられると容易に破断するように、周辺領域よりも構造的に脆弱な領域に該当する。前記ベンティング部41は、例えば周辺領域と比べて厚さの薄い領域であり得る。したがって、前記円筒形バッテリー1に異常が発生してバッテリーハウジング20の内圧が一定水準以上に増加すれば、ベンティング部41が破断してバッテリーハウジング20の内部に発生したガスが排出される。前記ベンティング部41は、例えばキャッププレート40の一面上に又は両面上にノッチング(notching)して部分的にバッテリーハウジング20の厚さを減らすことで形成し得る。
【0134】
前記バッテリー端子60は、前記第2電極タブ12と電気的に接続される。前記バッテリー端子60は、バッテリーハウジング20の開放部の反対側からバッテリーハウジング20を貫通して電極組立体300の第2電極タブ12と電気的に接続され得る。前記バッテリー端子60は、バッテリーハウジング20の下面の略中心部を貫通し得る。前記バッテリー端子60の一部はバッテリーハウジング20の外側に露出し、残りの一部はバッテリーハウジング20の内部に位置し得る。前記バッテリー端子60は、例えば後述する第2電極タブ12に結合される第2集電板Pと結合されるか、又は、第2電極タブ12に結合されるリードタブ(図示せず)と結合されることで、電極組立体300と電気的に接続され得る。したがって、前記バッテリー端子60は、電極組立体300の第2電極と同じ極性を有し、第2電極端子T2として機能することができる。前記第2電極タブ12が正極タブである場合、バッテリー端子60は正極端子として機能する。
【0135】
このようなバッテリー端子60の極性及び機能を考慮するとき、バッテリー端子60は、反対極性を有するバッテリーハウジング20と絶縁状態を維持しなければならない。そのため、バッテリー端子60とバッテリーハウジング20との間には絶縁ガスケットG2が適用され得る。これと異なり、バッテリー端子60の表面の一部に絶縁性物質でコーティングすることで絶縁を実現してもよい。又は、前記バッテリー端子60とバッテリーハウジング20とが接触できないように離隔させて配置し、バッテリー端子60を構造的に堅固に固定する方式を適用してもよい。或いは、上述した方式のうちの複数の方式を組み合わせて適用してもよい。
【0136】
すなわち、本発明の一形態による円筒形バッテリー1は、一対の電極端子(バッテリー端子60、第1電極端子T1)が同一方向に位置する構造を有する。したがって、複数の円筒形バッテリー1を電気的に接続させる場合において、バスバーなどの電気的接続部品を円筒形バッテリー1の一側のみに配置可能である。これは、バッテリーパック構造の単純化及びエネルギー密度の向上をもたらすことができる。また、前記円筒形バッテリー1は、略扁平な形態を有するバッテリーハウジング20の一面を第1電極端子T1として利用可能な構造を有することで、バスバーなどの電気的接続部品を第1電極端子T1に接合する際に十分な接合面積を確保することができる。これにより、前記円筒形バッテリー1は、電気的接続部品と第1電極端子T1との間の十分な接合強度を確保でき、接合部位における抵抗を好ましい水準に下げることができる。
【0137】
一方、電気的絶縁のために絶縁ガスケットG2が適用され、バッテリー端子60の固定のためにリベット締め(riveting)が適用される場合、絶縁ガスケットG2は、バッテリー端子60のリベット締め時に一緒に変形されてバッテリーハウジング20の上端閉鎖部の内側面に向かって曲げられ得る。前記絶縁ガスケットG2が樹脂材料からなる場合において、絶縁ガスケットG2は熱融着によって前記バッテリーハウジング20及びバッテリー端子60と結合され得る。この場合、絶縁ガスケットG2とバッテリー端子60との結合界面及び絶縁ガスケットG2とバッテリーハウジング20との結合界面における気密性が強化される。
【0138】
本発明の一実施形態において、バッテリーハウジング20の表面全体は第1電極端子T1として機能可能である。例えば、前記第1電極タブ11が負極タブである場合、第1電極端子T1は負極端子であり得る。本発明の実施形態による円筒形バッテリー1は、このようにバッテリーハウジング20の開放部の反対側に位置する下面上に露出するバッテリー端子60を第2電極端子T2として用い、バッテリーハウジング20の下面のうちのバッテリー端子60が占める領域を除いた他の領域を第1電極端子T1として用いる構造を有する。したがって、本発明の実施形態による円筒形バッテリー1は、複数の円筒形バッテリー1を電気的に接続するとき、一方向で正極/負極をすべて連結できて電気的接続構造を簡素化することができる。また、本発明の実施形態による円筒形バッテリー1は、バッテリーハウジング20の開放部の反対側に位置した下面の大部分を電極端子として利用可能な構造を有するため、電気的接続のための部品を溶接するための十分な面積を確保可能であるという長所を有する。
【0139】
以下、図18図26を参照して、上述した円筒形バッテリー1についてより具体的に説明する。以下の説明において、上述した説明と同じ構成要素の説明においては選択的に適用可能な他の実施例が存在し得る。また、以下の説明において、上述した説明と一部重複する記載があり得る。
【0140】
図18及び図19を参照すると、本発明の一実施形態による円筒形バッテリー1は、電極組立体300、バッテリーハウジング20、第1集電板30、キャッププレート40、シーリングスペーサ50、及びバッテリー端子60を含む。前記円筒形バッテリー1は、上述した構成要素の他にも、絶縁ガスケットG2及び/又は第2集電板P及び/又は絶縁体Sをさらに含み得る。
【0141】
図19図20図23及び図24を参照すると、前記電極組立体300は、第1電極タブ11及び第2電極タブ12を備える。前記第1電極タブ11は、バッテリーハウジング20内に収容された電極組立体300の高さ方向(Z軸方向)の下部に備えられる。第2電極タブ12は、バッテリーハウジング20内に収容された電極組立体300の高さ方向(Z軸方向)の上部に備えられる。
【0142】
図18図19図20及び図23を参照すると、前記バッテリーハウジング20は、その下端に形成された開放部を通して電極組立体300を収容し得る。前記バッテリーハウジング20は、その下端に開放部が形成され、上端に閉鎖部が形成された略円筒形の収容体である。
【0143】
図19及び図20を参照すると、前記バッテリーハウジング20は、その下端に形成されたビーディング部21及びクリンピング部22を備え得る。前記ビーディング部21は、バッテリーハウジング20の内部に収容された電極組立体300の下側に位置し得る。前記ビーディング部21は、バッテリーハウジング20の外周面の周りを押し込んで形成され得る。前記ビーディング部21は、バッテリーハウジング20の内径を部分的に減少させることで、バッテリーハウジング20の幅と略対応するサイズを有する電極組立体300がバッテリーハウジング20の下端に形成された開放部から抜け出ないようにし、キャッププレート40が載置される支持部としても機能することができる。
【0144】
前記クリンピング部22は、ビーディング部21の下側に形成され得る。前記クリンピング部22は、シーリングスペーサ50の周縁部分が介在された状態で、キャッププレート40の周縁部分を覆い包むように延びて折り曲げられた形態を有し得る。
【0145】
図19図20及び図22を参照すると、前記キャッププレート40は、バッテリーハウジング20に形成された開放部を覆い得る。前記キャッププレート40は、円筒形バッテリー1の下面を成し得る。
【0146】
図23に示したように、前記キャッププレート40の下端部は、バッテリーハウジング20の下端部よりも上側に位置することが好ましい。この場合、前記バッテリーハウジング20の下端部が地面に接するか又はモジュールやパックの構成のためのハウジングの底面に接しても、キャッププレート40は地面又はハウジングの底面に接しない。したがって、円筒形バッテリー1の重量によってベンティング部41の破断に要求される圧力が設計値から変わる現象を防止でき、これによりベンティング部41の破断円滑性を確保できる。
【0147】
一方、前記ベンティング部41が図20及び図22に示したように閉ループ形態を有する場合、破断容易性の面ではキャッププレート40の中心部からベンティング部41までの距離が遠いほど有利である。これは、同じベンティング圧が作用したとき、前記キャッププレート40の中心部からベンティング部41までの距離が遠くなるほど、ベンティング部41に作用する力が大きくなって破断が容易になるためである。また、ベンティングガスの排出円滑性の面でもキャッププレート40の中心部からベンティング部41までの距離が遠いほど有利である。このような観点からみて、前記ベンティング部41は、キャッププレート40の周縁領域から下方(図20を基準にして下方)に突出した略扁平な領域の周縁に沿って形成されることが有利である。
【0148】
図22には、前記ベンティング部41が略円を描きながら連続的に形成されている場合が示されているが、これによって本発明が限定されることはない。前記ベンティング部41は、キャッププレート40上に略円を描きながら不連続的に形成されてもよく、略直線形態又はその他の形態で形成されてもよい。
【0149】
図19図20及び図21を参照すると、前記シーリングスペーサ50は、電極組立体300の動きを防止し、バッテリーハウジング20の封止力を強化するように構成される。前記シーリングスペーサ50は、例えば動き防止部51、シーリング部52、及び連結部53を含み得る。前記動き防止部51は、第1集電板30とキャッププレート40との間に介在される。前記動き防止部51は、第1集電板30とキャッププレート40との間の距離と対応する高さを有し得る。この場合、前記動き防止部51は、第1集電板30とキャッププレート40との間に形成されるクリアランスによって電極組立体300がバッテリーハウジング20内で動くことを効果的に防止することができる。したがって、前記動き防止部51は、電極組立体300と第1集電板30との間の結合部位及び/又は第1集電板30とバッテリーハウジング20との間の結合部位に損傷が発生することを防止することができる。
【0150】
前記動き防止部51は、電極組立体300の下端の一面上において略中心部に位置し得る。前記動き防止部51は、電極組立体300の巻取中心孔H1と対応する位置に形成されるスペーサ孔H3を備え得る。前記スペーサ孔H3は、上述した第1集電板孔H2と同様に、溶接棒の挿入通路又はレーザーの照射のための通路として機能できる。前記スペーサ孔H3は、上述した第1集電板孔H2と同様に、電解液の注液時に、電極組立体300の内部への円滑な電解液含浸のための通路としても機能することができる。
【0151】
前記シーリング部52は、バッテリーハウジング20とキャッププレート40との間に介在される。前記シーリング部52は、バッテリーハウジング20の内周面の周りに沿って延在した形態を有し得る。前記バッテリーハウジング20がクリンピング部22を備える場合、前記シーリング部52は、クリンピング部22の折曲形状に沿って一緒に折り曲げられてキャッププレート40の周縁領域を包み得る。このように前記シーリング部52は、キャッププレート40の固定力及びバッテリーハウジング20の封止力を向上させるためのガスケットとして機能することができる。このように本発明の実施形態による円筒形バッテリー1がシーリングスペーサ50を備える場合、シーリングスペーサ50のシーリング部52が図5に示されたシーリングガスケットG1を代替し得る。
【0152】
前記連結部53は、動き防止部51とシーリング部52との間を連結する。前記連結部53は、例えば動き防止部51から放射状に延びる複数の延長脚53aを含み得る。前記連結部53がこのように構成される場合、隣接した延長脚53a同士の間の空間を通って電解液を円滑に注入し、内圧の上昇によるベンティング発生時に内部ガスを円滑に排出できる。
【0153】
複数の前記延長脚53aは、図20に示したように、第1集電板30のハウジング結合部33のうちのクリンピング部22に挿入された部分を除いた他の部分及び/又はキャッププレート40と接触しないように構成され得る。例えば、前記連結部53は、円筒形バッテリー1の高さ方向(Z軸方向)に沿ってハウジング結合部33と重ならないように位置し得る。特に、複数の延長脚53aが動き防止部51から放射状に延びた形態を有し、複数の前記ハウジング結合部33が支持部31から放射状に延びた形態を有する場合、延長脚53aとハウジング結合部33とは互いに鉛直方向において重ならないように、交互に位置して配置され得る。この場合、前記バッテリーハウジング20に鉛直方向の圧縮力が加えられて部品の変形が発生しても、延長脚53aとハウジング結合部33との間で干渉が発生する可能性が著しく低くなり、これによって部品間の結合部位が破損されるなどの問題が発生する可能性を著しく減少させることができる。
【0154】
この場合、前記円筒形バッテリー1を高さ方向(Z軸方向)に沿って圧縮させるサイジング工程やその他の原因によってシーリングスペーサ50が変形されても、シーリングスペーサ50の連結部53と第1集電板30のハウジング結合部33との間の干渉が最小化できる。特に、前記延長脚53aがキャッププレート40と接触しないように構成される場合、サイジング工程や外部衝撃によってバッテリーハウジング20に変形が発生しても、延長脚53aが変形する可能性を減少させることができる。
【0155】
一方、前記シーリングスペーサ50を構成するそれぞれの構成要素は一体的に形成され得る。例えば、射出によって動き防止部51、シーリング部52及び連結部53が一体化されたシーリングスペーサ50を製造し得る。すなわち、本発明の実施形態による円筒形バッテリー1は、バッテリーハウジング20の開放部をシーリングするために用いられるガスケット部品の変形製作により、一つの部品を通じてバッテリーハウジング20の開放部に対する封止力の強化及び電極組立体300の動き防止の効果をともに得ることができる。したがって、本発明の一実施形態によれば、追加的な部品の適用によって発生する製造工程の複雑化及び製造コストの増加などを防止することができる。
【0156】
図19図23及び図24を参照すると、前記第2集電板Pは、電極組立体300の上部に結合される。前記第2集電板Pは、導電性を有する金属材料からなり、第2電極タブ12と結合される。前記第2電極タブ12と第2集電板Pとの間の結合は、例えばレーザー溶接によって行われ得る。図8を参照すると、前記第2集電板Pは、第2電極タブ12の端部が第2集電板Pと平行な方向に折り曲げられて形成された結合面上に結合され得る。前記第2電極タブ12の折曲方向は、例えば電極組立体300の巻取中心に向かう方向であり得る。前記第2電極タブ12がこのように折り曲げられた形態を有する場合、第2電極タブ12が占める空間が減少してエネルギー密度を向上させることができる。また、前記第2電極タブ12と第2集電板Pとの間の結合面積の増加により、結合力の向上及び抵抗減少の効果を奏することができる。一方、上述したような第2電極タブ12と第2集電板Pとの間の結合構造及び結合方式は、第1電極タブ11と第1集電板30との間の結合にも同様に適用され得る。
【0157】
図19及び図23を参照すると、前記絶縁体Sは、バッテリーハウジング20の上端に形成された閉鎖部と電極組立体300の上端との間又は前記閉鎖部と第2集電板Pとの間に介在される。前記絶縁体Sは、例えば絶縁性を有する樹脂材料からなり得る。前記絶縁体Sは、電極組立体300とバッテリーハウジング20との接触及び/又は電極組立体300と第2集電板Pとの接触を防止する。そのため、前記第2電極タブ12とバッテリーハウジング20との間及び/又は第2集電板Pとバッテリーハウジング20との間には絶縁体Sが介在され得る。前記絶縁体Sが適用される場合、第2電極タブ12との電気的接続のため、バッテリー端子60は絶縁体Sを貫通し得る。
【0158】
前記絶縁体Sは、その他にも電極組立体300の外周面の上端とバッテリーハウジング20の内側面との間にも介在され得る。この場合、前記電極組立体300の第2電極タブ12がバッテリーハウジング20の側壁部の内側面と接触して短絡が発生することを防止することができる。
【0159】
前記絶縁体Sは、バッテリーハウジング20の上端に形成された閉鎖部と電極組立体300との間の距離又は前記閉鎖部と第2集電板Pとの間の距離と対応する高さを有し得る。この場合、前記電極組立体300がバッテリーハウジング20の内部で動くことを防止でき、これにより部品間の電気的接続のための結合部位が破損される危険性を著しく減少させることができる。前記絶縁体Sが上述したシーリングスペーサ50とともに適用される場合、電極組立体300の動き防止効果が極大化できる。
【0160】
前記絶縁体Sは、電極組立体300の巻取中心孔H1と対応する位置に形成される開口を備え得る。前記開口を通してバッテリー端子60は第2集電板Pと直接接触し得る。
【0161】
図25を参照すると、本発明の一実施形態によるバッテリーパック3は、上述したような本発明の一実施形態による円筒形バッテリー1を含む。図示の便宜上、電気的接続のためのバスバー、冷却ユニット、電力端子などの部品は示されていない。
【0162】
図26を参照すると、本発明の一実施形態による自動車5は、例えば電気自動車、ハイブリッド自動車、プラグインハイブリッド自動車であり得、本発明の一実施形態によるバッテリーパック3を含む。前記自動車5は、四輪自動車及び二輪自動車を含む。前記自動車5は、本発明の一実施形態によるバッテリーパック3から電力の供給を受けて動作する。
【0163】
好ましくは、円筒形バッテリーは、例えばフォームファクタの比(円筒型バッテリーの直径を高さで除した値、すなわち高さ(H)対比直径(Φ)の比で定義される)が約0.4よりも大きい円筒形バッテリーであり得る。
【0164】
ここで、フォームファクタ(form factor)とは、円筒形バッテリーの直径及び高さを示す値を意味する。本発明の一実施形態による円筒形バッテリーは、例えば46110バッテリー、48750バッテリー、48110バッテリー、48800バッテリー、46800バッテリーであり得る。フォームファクタを示す数値において、前方の二桁はバッテリーの直径を示し、その次の二桁はバッテリーの高さを示し、最後の数字0はバッテリーの断面が円形であることを示す。
【0165】
本発明の一実施形態によるバッテリーは、略円柱状のバッテリーであって、直径が約46mmであり、高さが約110mmであり、フォームファクタの比が約0.418である円筒形バッテリーであり得る。
【0166】
他の実施形態によるバッテリーは、略円柱状のバッテリーであって、直径が約48mmであり、高さが約75mmであり、フォームファクタの比が約0.640である円筒形バッテリーであり得る。
【0167】
さらに他の実施形態によるバッテリーは、略円柱状のバッテリーであって、直径が約48mmであり、高さが約110mmであり、フォームファクタの比が約0.418である円筒形バッテリーであり得る。
【0168】
さらに他の実施形態によるバッテリーは、略円柱状のバッテリーであって、直径が約48mmであり、高さが約80mmであり、フォームファクタの比が約0.600である円筒形バッテリーであり得る。
【0169】
さらに他の実施形態によるバッテリーは、略円柱状のバッテリーであって、直径が約46mmであり、高さが約80mmであり、フォームファクタの比が約0.575である円筒形バッテリーであり得る。
【0170】
従来、フォームファクタの比が約0.4以下であるバッテリーが用いられている。すなわち、従来は、例えば18650バッテリー、21700バッテリーなどが用いられている。18650バッテリーの場合、直径が約18mmであり、高さが約65mmであり、フォームファクタの比が約0.277である。21700バッテリーの場合、直径が約21mmであり、高さが約70mmであり、フォームファクタの比が約0.300である。
【0171】
以下、本発明の一実施例による円筒形バッテリーに使用される正極活物質の実施形態について説明する。
【0172】
実施形態において、「一次粒子」とは、走査型電子顕微鏡(SEM)又は電子線後方散乱回折(EBSD:Electron Back Scatter Diffraction)パターン分析機を用いて5,000倍~20,000倍の視野で観察したとき、外観上粒界が存在しない粒子単位を意味する。「一次粒子の平均粒径」は、SEM又はEBSDのイメージで観察される一次粒子の粒径を測定した後、計算されたこれらの算術平均値を意味する。
【0173】
「二次粒子」とは、複数個の一次粒子が凝集して形成された粒子である。本発明においては、一次粒子が数十~数百個凝集して形成される従来の二次粒子と区別するため、10個以下の一次粒子が凝集した二次粒子を疑似単粒子と称することにする。
【0174】
本発明において「比表面積」は、BET法によって測定したものであって、具体的には日本ベル社製のBelsorp-mini IIを用いて液体窒素温度(77K)下での窒素ガス吸着量から算出され得る。
【0175】
本発明において「Dmin」、「D50」及び「Dmax」は、レーザー回折法を用いて測定された正極活物質の体積累積分布の粒度値である。具体的には、Dminは体積累積分布における最小粒子サイズであり、D50は体積累積量が50%であるときの粒子サイズであり、Dmaxは体積累積分布における最大粒子サイズである。正極活物質が単粒子である場合、D50は一次粒子の平均粒径を意味する。また、正極活物質が疑似単粒子である場合、D50は一次粒子が凝集して形成された粒子の平均粒径を意味する。
【0176】
前記体積累積分布の粒度値は、例えば、正極活物質を分散媒中に分散させた後、市販のレーザー回折粒度測定装置(例えば、マイクロトラック社製のMT3000)に導入し、約28kHzの超音波を出力60Wで照射した後、体積累積粒度分布グラフを得て測定し得る。
【0177】
本発明において「本質的にAからなる(consist essentially of A)」とは、A成分と本発明の基本的且つ新規な特徴に実質的に影響を及ぼすことのない言及されていない任意の成分とを含むことを意味する。本発明の基本的且つ新規な特徴は、電池製造時の粒子割れを最小化すること、このような粒子割れによって発生するガスを最小化すること、及び内部クラックの発生を最小化することのうちの少なくとも一つを含む。当技術分野の通常の技術者であれば、このような特性の物質的影響を認知可能である。
【0178】
本発明者らは、高い容量を実現しながらも安全性に優れた電気化学素子用正極及びそれを含む電気化学素子を開発するために研究を重ねた結果、正極活物質として1個の一次粒子からなる単粒子又は10個以下の一次粒子の凝集体である疑似単粒子形態の正極活物質を単独で使用する場合、大型円筒形バッテリーの安全性を画期的に向上できることを確認した。
【0179】
一形態によれば、正極は、正極集電体、及び前記正極集電体の少なくとも一側面上に形成された正極活物質層を含み、前記正極活物質層は正極活物質を含み得、選択的には導電材及び/又はバインダーを含み得る。
【0180】
正極は、長いシート状の正極集電体の少なくとも一面又は両面に正極活物質層が形成された構造であり得、前記正極活物質層は正極活物質及びバインダーを含み得る。
【0181】
具体的には、前記正極は長いシート状の正極集電体の一面又は両面に、正極活物質、導電材及びバインダーをジメチルスルホキシド(DMSO)、イソプロピルアルコール、N-メチルピロリドン(NMP)、アセトン、水などのような溶媒に分散させて製造した正極スラリーを塗布し、乾燥工程を経て正極スラリーの溶媒を除去した後、圧延する方法で製造され得る。一方、前記正極スラリーの塗布時に正極集電体の一部領域、例えば正極集電体の一端部に正極スラリーを塗布しない方法で、無地部(非コーティング部)を含む正極を製造し得る。
【0182】
他の形態において、前記正極活物質は単粒子系活物質粒子を含む。一実施形態において、前記単粒子系活物質粒子は、前記正極活物質100wt%に対して90wt%以上、95wt%以上、98wt%以上、又は99wt%以上で含まれ得る。具体的な実施形態において、前記正極活物質は前記単粒子系活物質粒子のみから構成され得る。
【0183】
本明細書において、前記単粒子系活物質粒子は単粒子、疑似単粒子、又はこれら両方をすべて含むものを称する。前記単粒子は1個の一次粒子からなる粒子であり、前記疑似単粒子は10個以下の一次粒子の凝集体である。
【0184】
従来、リチウムバッテリーの正極活物質としては、数十~数百個の一次粒子が凝集した球状の二次粒子を一般に使用している。しかし、このように多くの一次粒子が凝集した二次粒子形態の正極活物質の場合、正極製造時の圧延工程で一次粒子が離れ落ちて粒子割れが発生し易く、充放電過程で粒子内部にクラックが発生するという問題がある。正極活物質の粒子割れや粒子内部のクラックが発生する場合、電解液との接触面積が増加するため、電解液との副反応によるガス発生が増加するという問題がある。円筒形バッテリーの内部でガス発生が増加すれば、電池内圧が増加して電池が爆発する危険性がある。特に、円筒形バッテリーの体積を増やす場合、体積増加によって電池内部の活物質量が増加し、これによってガス発生量も著しく増加するため、電池の発火及び/又は爆発の危険性がさらに大きくなる。
【0185】
一方、1個の一次粒子からなる単粒子又は10個以下の一次粒子が凝集した疑似単粒子形態の単粒子系活物質粒子は、一次粒子が数十~数百個凝集している従来の二次粒子形態の正極活物質に比べて粒子強度が高いため、圧延時の粒子割れが殆ど発生しない。また、単粒子系活物質粒子の場合、粒子を構成する一次粒子の個数が少ないため、充放電時に一次粒子の体積膨張、収縮による変化が少なく、これによって粒子内部のクラック発生も著しく減少する。
【0186】
したがって、本発明の一実施例によるように単粒子系活物質粒子を使用する場合、粒子割れ及び内部クラックの発生によるガス発生量を著しく減少させることができる。これにより、大型円筒形バッテリーに適用される場合、優れた安全性を実現することができる。
【0187】
一方、前記単粒子及び/又は疑似単粒子は、正極に含まれる全体正極活物質の重量を基準にして95wt%~100wt%、好ましくは98wt%~100wt%、より好ましくは99wt%~100wt%、さらに好ましくは100wt%の量で含まれることが好ましい。
【0188】
単粒子及び/又は疑似単粒子の含量が上記の範囲を満足すると、大型電池への適用時に十分な安全性が得られる。二次粒子形態の正極活物質が全体正極活物質中に5wt%を超える量で含まれる場合、電極の製造及び充放電時に二次粒子から発生する微粉によって電解液との副反応が増加して、ガス発生を抑制する効果が低下し、これにより大型電池への適用時に安定性を改善する効果が低下するためである。
【0189】
一方、本発明の一実施例による単粒子及び/又は疑似単粒子を含む正極活物質は、Dminが1.0μm以上、1.1μm以上、1.15μm以上、1.2μm以上、1.25μm以上、1.3μm以上、又は1.5μm以上であり得る。正極活物質のDminが1.0μm未満であると、正極の圧延工程で線圧が増加して粒子割れが発生し易く、熱安定性が低下して大型円筒形電池への適用時に熱安定性を十分に確保することができない。
【0190】
一方、抵抗及び出力特性を考慮すると、前記正極活物質のDminは3μm以下、2.5μm以下、又は2μm以下であり得る。Dminが大き過ぎれば、粒子内のリチウムイオン拡散距離が増加して抵抗及び出力特性が低下するおそれがある。
【0191】
例えば、前記正極活物質のDminは1.0μm~3μm、1.0μm~2.5μm、又は1.3μm~2.0μmであり得る。
【0192】
一方、前記正極活物質は、D50が5μm以下、4μm以下、又は3μm以下であり得、例えば0.5μm~5μm、好ましくは1μm~5μm、より好ましくは2μm~5μmであり得る。
【0193】
単粒子及び/又は疑似単粒子形態の正極活物質は、粒子の内部においてリチウムイオンの拡散経路になる一次粒子同士の間の界面が少ないため、二次粒子形態の正極活物質よりもリチウム移動性が低下し、これにより抵抗が増加するという問題がある。このような抵抗の増加は粒子の大きさが大きくなるほどもっと酷くなり、抵抗が増加すれば容量及び出力特性が悪影響を及ぼす。したがって、正極活物質のD50を5μm以下に調節することで、正極活物質の粒子内部でのリチウムイオン拡散距離を最小化することによって抵抗増加を抑制することができる。
【0194】
また、前記正極活物質は、Dmaxが12μm~17μm、好ましくは12μm~16μm、より好ましくは12μm~15μmであり得る。正極活物質のDmaxが上記の範囲を満足すると、抵抗特性及び容量特性にさらに優れる。正極活物質のDmaxが大き過ぎる場合は、単粒子同士の間で凝集が発生した場合であって、凝集した粒子内部でのリチウム移動経路が長くなってリチウム移動性が低下し、これにより抵抗が増加するおそれがある。一方、正極活物質のDmaxが小さ過ぎる場合は、過度な解砕が行われた場合であって、過度な解砕によってDminが1μm未満に小さくなり得るため、圧延時の粒子割れが誘発されて熱安定性が低下するおそれがある。
【0195】
一方、前記正極活物質は、下記の数式1で表される粒度分布(PSD)が3以下、好ましくは2~3、より好ましくは2.3~3であり得る。
【0196】
[数式1]
粒度分布(PSD)=(Dmax-Dmin)/D50
正極活物質が上記のような粒度分布を有すると、正極の電極密度を適切に維持でき、粒子割れ及び抵抗増加を効果的に抑制することができる。
【0197】
一方、前記正極活物質は、一次粒子の平均粒径が5μm以下、4μm以下、3μm以下、又は2μm以下であり得、例えば0.5μm~5μm、好ましくは1μm~5μm、より好ましくは2μm~5μmであり得る。一次粒子の平均粒径が上記の範囲を満足する場合、電気化学的特性に優れた単粒子及び/又は疑似単粒子形態の正極活物質を形成可能である。一次粒子の平均粒径が小さ過ぎると、正極活物質を形成する一次粒子の凝集個数が多くなって、圧延時の粒子割れ発生を抑制する効果が低下するおそれがある。また、一次粒子の平均粒径が大き過ぎると、一次粒子内部でのリチウム拡散経路が長くなって抵抗が増加し、出力特性が低下するおそれがある。
【0198】
本発明の一実施例において、前記正極活物質は、ユニモーダル(unimodal)粒度分布を有することが好ましい。従来は、正極活物質層の電極密度を向上させるため、平均粒径の大きい大粒径正極活物質と平均粒径の小さい小粒径正極活物質とを混合して使用するバイモーダル(bimodal)正極活物質が多く使用されている。しかし、単粒子又は疑似単粒子形態の正極活物質の場合、粒径が増加すればリチウム移動経路が長くなって抵抗が著しく増加するため、大粒径粒子を混合して使用する場合、容量及び出力特性が低下する問題が生じるおそれがある。したがって、本発明ではユニモーダル分布を有する正極活物質を使用することで、抵抗増加を最小化できるようにした。
【0199】
一方、前記正極活物質は、リチウムニッケル系酸化物を含むものであり得、具体的には、遷移金属の全体モル数を基準にしてNiを80モル%以上で含むリチウムニッケル系酸化物を含むものであり得る。好ましくは、前記リチウムニッケル系酸化物は、Niを80モル%以上100モル%未満、82モル%以上100モル%未満、又は83モル%以上100モル%未満で含み得る。上記のようにNi含量が高いリチウムニッケル系酸化物を使用する場合、高い容量を実現することができる。
【0200】
より具体的には、前記正極活物質は、下記の化学式1で表されるリチウムニッケル系酸化物を含むものであり得る。
【0201】
[化学式1]
LiNiCo
化学式1において、前記MはMn、Al又はこれらの組み合わせであり得、好ましくはMn、又はMn及びAlであり得る。
【0202】
前記Mは、Zr、W、Y、Ba、Ca、Ti、Mg、Ta及びNbからなる群より選択される1種以上であり、好ましくはZr、Y、Mg及びTiからなる群より選択された1種以上であり得、より好ましくはZr、Y又はこれらの組み合わせであり得る。M元素は必須に含まれるものではないが、適切な量で含まれる場合、焼成時の粒子成長を促進するか、又は、結晶構造の安定性を向上させる役割を果たすことができる。
【0203】
前記aは、リチウムニッケル系酸化物内のリチウムモル比を示し、0.8≦a≦1.2、0.85≦a≦1.15、又は0.9≦a≦1.2であり得る。リチウムのモル比が上記の範囲を満足すると、リチウムニッケル系酸化物の結晶構造を安定的に形成可能である。
【0204】
前記bは、リチウムニッケル系酸化物においてリチウムを除いた全体金属中のニッケルのモル比を示し、0.8≦b<1、0.82≦b<1、0.83≦b<1、0.85≦b<1、0.88≦b<1、又は0.90≦b<1であり得る。ニッケルのモル比が上記の範囲を満足すると、高いエネルギー密度を示して高容量を実現可能である。
【0205】
前記cは、リチウムニッケル系酸化物においてリチウムを除いた全体金属中のコバルトのモル比を示し、0<c<0.2、0<c<0.18、0.01≦c≦0.17、0.01≦c≦0.15、0.01≦c≦0.12、又は0.01≦c≦0.10であり得る。コバルトのモル比が上記の範囲を満足すると、良好な抵抗特性及び出力特性を実現可能である。
【0206】
前記dは、リチウムニッケル系酸化物においてリチウムを除いた全体金属中のM元素のモル比を示し、0<d<0.2、0<d<0.18、0.01≦d≦0.17、0.01≦d≦0.15、0.01≦d≦0.12、又は0.01≦d≦0.10であり得る。M元素のモル比が上記の範囲を満足すると、正極活物質の構造安定性に優れる。
【0207】
前記eは、リチウムニッケル系酸化物においてリチウムを除いた全体金属中のM元素のモル比を示し、0≦e≦0.1又は0≦e≦0.05であり得る。
【0208】
一方、本発明の一実施例による正極活物質は、必要に応じて、前記リチウムニッケル系酸化物粒子の表面に、Al、Ti、W、B、F、P、Mg、Ni、Co、Fe、Cr、V、Cu、Ca、Zn、Zr、Nb、Mo、Sr、Sb、Bi、Si及びSからなる群より選択される1種以上のコーティング元素を含むコーティング層をさらに含み得る。好ましくは、前記コーティング元素はAl、B、Co、又はこれらの組み合わせであり得る。
【0209】
リチウムニッケル系酸化物粒子の表面にコーティング層が存在する場合、コーティング層によって電解質とリチウムニッケル系酸化物との接触が抑制され、これにより電解質との副反応による遷移金属の溶出又はガス発生を減少させる効果が得られる。
【0210】
前記正極活物質は、正極活物質層の総重量に対して80wt%~99wt%、好ましくは85wt%~99wt%、より好ましくは90wt%~99wt%で含まれ得る。
【0211】
一方、前記正極集電体としては、当技術分野で使用される多様な正極集電体が使用され得る。例えば、前記正極集電体としては、ステンレス鋼、アルミニウム、ニッケル、チタン、焼成炭素、アルミニウムやステンレス鋼の表面に炭素、ニッケル、チタン、銀などで表面処理したものなどが使用され得る。前記正極集電体は、通常3μm~500μmの厚さを有し得、前記正極集電体の表面上に微細な凹凸を形成して正極活物質の接着力を高めてもよい。前記正極集電体は、例えばフィルム、シート、ホイル、ネット、多孔質体、発泡体、不織布体などの多様な形態で使用され得る。
【0212】
一方、本発明の一実施形態において、前記単粒子系活物質粒子の全部又は一部は、粒子の表面が導電性コーティング層で被覆されたコア-シェル(core-shell)構造を有し得る。前記導電性コーティング層は粒子の少なくとも一部又は全部を被覆し得る。前記導電性コーティング層は導電性ナノ物質を含むものである。
【0213】
前記単粒子系活物質粒子の場合、従来の二次粒子形態の正極活物質に比べて抵抗が高く、導電材との接触面積が小さいため、電気伝導度が低下するという問題がある。電気伝導度を改善しようとして導電材を過量投入すると、正極スラリー内で凝集が発生して粘度が増加し、これによりコーティング性が低下する問題が発生する。したがって、円滑なコーティング性を実現するためには固形分の含量を減少させて正極スラリーの粘度を下げる必要があるが、正極スラリー内の固形分の含量が減少すれば活物質の含量が減少し、容量特性が低下する問題がある。本発明は、このような問題を解決するため、単粒子系活物質粒子の表面を導電性ナノ物質でコーティングすることで、正極スラリーに別途の導電材を添加しなくても、優れた電気伝導性を実現可能にした。
【0214】
本発明の実施形態において、前記単粒子系活物質粒子の表面に導電性ナノ物質をコーティングした正極活物質を適用する場合、前記正極活物質層は導電性コーティング層を除いた部分に導電材を使用しなくてもよい。このように正極スラリーの凝集を誘発する導電材を追加的に使用しなくてもよいため、正極スラリーの粘度が減少して固形分の含量が増加し、電極コーティングの工程性及び電極接着力が改善される効果を奏することができる。
【0215】
本発明の一実施例において前記導電性ナノ物質は、粒子上に円滑にコーティングされるようにナノサイズの大きさを有し、導電性を有する物質であればよく、その種類は特に限定されない。例えば、前記導電性ナノ物質は、カーボンナノチューブ、カーボンナノ粒子などであり得る。
【0216】
前記導電性ナノ物質は多様な形態を有し得、例えば、球状、鱗片状、又は繊維状などであり得る。
【0217】
一方、前記導電性コーティング層は、コア部である単粒子系活物質粒子と導電性ナノ物質とを混合した後、熱処理する方法で形成され得る。このとき、前記混合は固相混合又は液相混合で行われ得る。
【0218】
本発明の一実施形態において、前記正極活物質層は鱗片状黒鉛を含む。正極活物質として前記単粒子系活物質を使用するとき、正極活物質層が鱗片状黒鉛を含むと、正極活物質層を圧延する場合、前記鱗片状黒鉛が前記正極活物質に滑り効果を提供して電極の圧延特性が向上し、電極の空隙率を目標とするレベルまで下げることができる。これにより、本発明の一実施例による正極が適用されたバッテリーは安定性、初期抵抗特性、及び充放電効率が改善可能である。
【0219】
本発明の一実施形態において、前記鱗片状黒鉛は、前記正極活物質層100wt%に対して0.1wt%~5wt%で含まれ得、好ましくは0.1wt%~3wt%で含まれ得る。
【0220】
鱗片状黒鉛の含量が上記の範囲を満足すると、正極の圧延特性が改善されて優れた電極密度を実現することができる。鱗片状黒鉛の含量が少ないと圧延特性の改善効果が低く、過剰であればスラリー粘度の上昇及び相安定性の低下を誘発し得、導電材との結合によって電極均一性が低下し、抵抗が増加するおそれがある。
【0221】
一方、本発明で使用される鱗片状黒鉛は、平均粒径が1μm~20μm、好ましくは2μm~10μm、より好ましくは3μm~5μmであり得るが、これによって制限されることはない。鱗片状黒鉛が小さ過ぎれば、所望の空隙率を実現し難く、電流密度を下げて容量が低下するおそれがある。このとき、前記鱗片状黒鉛の平均粒径はレーザー回折方法(ISO 13320)で測定され得る。
【0222】
また、前記鱗片状黒鉛は、アスペクト比が0.1~500、好ましくは1~100、より好ましくは1~30であり得る。鱗片状黒鉛のアスペクト比が上記の範囲を満足する場合、導電性を改善して電極抵抗を下げる効果を奏する。
【0223】
また、前記鱗片状黒鉛は、密度が2.0g/cm~2.5g/cm、好ましくは2.1g/cm~2.4g/cm、より好ましくは2.2g/cm~2.3g/cmであり得る。
【0224】
一方、本発明の一実施例において、前記正極活物質層の空隙率は15%~23%、好ましくは17%~23%、より好ましくは18%~23%であり得る。正極活物質層の空隙率が上記の範囲を満足すると、電極密度が増加して優れた容量を実現することができ、抵抗が減少する。空隙率が低過ぎると、電解液含浸性が低下して電解液の未含浸によるリチウム析出が発生するおそれがあり、空隙率が高過ぎると、電極間の接触が良くなくて抵抗が増加し、エネルギー密度が減少して、容量改善の効果が低い。
【0225】
前記正極活物質層の空隙率数値は、i)前記正極活物質が単粒子系活物質粒子を含むこと、及びii)前記正極活物質に鱗片状黒鉛を添加することによって達成可能である。
【0226】
正極活物質層のローディング量が比較的に高い高ローディング電極を実現する際に、本発明の一実施例によるように単粒子又は疑似単粒子形態の正極活物質を使用すると、従来の二次粒子形態の正極活物質に比べて圧延時の活物質の粒子割れが著しく減少し、正極集電体(Alホイル)の損傷が減少するため、相対的に高い線圧で圧延可能になり、正極活物質層の空隙率が上記のような数値範囲まで減少してエネルギー密度を高めることができる。
【0227】
また、本発明の一実施例によるように正極活物質層に鱗片状黒鉛が含まれると、圧延時に前記鱗片状黒鉛が滑り効果を提供し、前記正極活物質層の空隙を満たすことができるため、正極活物質層の空隙率が上記のような数値範囲まで減少し得る。
【0228】
また、前記正極は、ローディング量が570mg/25cm以上、好ましくは600mg/25cm~800g/25m、より好ましくは600mg/25cm~750mg/25cmであり得る。具体的には、本発明の一実施例によるリチウム二次電池の場合、単粒子及び/又は疑似単粒子形態の正極活物質及び鱗片状黒鉛を適用することで電極の圧延特性が向上するため、前記正極のローディング量を比較的に高いレベルに確保でき、これによって高容量特性を実現することができる。
【0229】
本発明の一実施形態において、前記正極活物質層は導電材をさらに含み得る。前記導電材は、電極に導電性を付与するために使用されるものであって、バッテリーの内部で化学変化を引き起こさず電気伝導性を有するものであれば、特に制限なく使用可能である。具体的な例としては、天然黒鉛や人造黒鉛などの黒鉛;カーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、サーマルブラック、炭素繊維、カーボンナノチューブなどの炭素系物質;銅、ニッケル、アルミニウム、銀などの金属粉末又は金属繊維;酸化亜鉛、チタン酸カリウムなどの導電性ウィスカー;酸化チタンなどの導電性金属酸化物;又はポリフェニレン誘導体などの導電性高分子などが挙げられ、これらのうちの1種単独で又は2種以上の混合物が使用され得る。前記導電材は、通常、正極活物質層の総重量に対して1wt%~30wt%、好ましくは1wt%~20wt%、より好ましくは1wt%~10wt%で含まれ得る。
【0230】
本発明の一実施例による具体的な一実施形態において、前記導電材はカーボンナノチューブを含み得る。
【0231】
本発明の一実施形態において、前記正極活物質は、導電材として比表面積が高くて層数(wall number)が小さい多層カーボンナノチューブを含み得る。前記多層カーボンナノチューブは、導電材100wt%に対して50wt%以上、70wt%以上、90wt%以上又は99wt%以上で含まれ得る。本発明の具体的な実施形態において、前記導電材は前記多層カーボンナノチューブのみから構成され得る。
【0232】
本発明の一実施例において、前記多層カーボンナノチューブは、300m/g~500m/gのBET比表面積を有するものである。これを従来技術と区別するため、「新規CNT」と称する。
【0233】
従来、一般に使用されているカーボンナノチューブ(従来CNT)は、BET比表面積が300m/g未満である。本発明で使用される新規CNT(図27)と従来CNT(図28)との走査型電子顕微鏡イメージ及び物性を比較(図29)すると、以下のようである。
【0234】
SEMイメージから分かるように、本発明の一実施例に適用される新規CNTは、バンドル型(bundled type)であって、多層(multi wall)構造であるが、従来CNTと比べてBETが高く、層数及び直径が小さい。
【0235】
二次粒子形態の正極活物質を使用する場合、従来CNTを0.4wt%~0.6wt%程度で使用しても十分な電気伝導性を実現できる。しかし、単粒子又は疑似単粒子形態の正極活物質の場合、従来の二次粒子形態の正極活物質に比べて抵抗が高く、導電材との接触面積が小さくて電気伝導度が低下するため、BET比表面積が300m/g未満の従来CNTを使用して十分な電気伝導性を実現するためには、導電材の含量が0.9wt%以上にならねばならない。
【0236】
図30図33は、正極活物質として単粒子又は疑似単粒子を適用する場合、導電材の比率に応じた面抵抗及び高温寿命特性を示したグラフである。
【0237】
グラフから、正極活物質として単粒子又は疑似単粒子を適用する場合、従来の二次粒子形態の正極活物質を適用する場合に比べて、導電材の使用量を増加させる必要があることが分かる。
【0238】
しかし、カーボンナノチューブの含有量が0.9wt%以上に増加すれば、正極スラリー内で凝集が発生して粘度が増加し、これによりコーティング性が低下する。したがって、円滑なコーティング性を実現するためには、正極スラリー内の固形分含量を減少させて正極スラリーの粘度を下げなければならないが、正極スラリー内の固形分含量が減少すると活物質含量が減少して容量特性が低下するという問題がある。
【0239】
本発明者らはこのような問題を解決するために研究を重ねた結果、単粒子系活物質粒子である正極活物質とともに、導電材としてBET比表面積が300m/g~500m/gであるカーボンナノチューブを適用する場合、相対的に少量のカーボンナノチューブだけでも十分な電気伝導性を確保でき、これによって正極スラリーの固形分含量を70wt%~80wt%程度に高く形成しても、スラリー粘度を低く維持できることを確認した。
【0240】
具体的には、本発明で使用される前記カーボンナノチューブは、BET比表面積が300m/g~500m/g、好ましくは300m/g~450m/gである多層カーボンナノチューブであり得る。BET比表面積が上記の範囲を満足すると、少量のカーボンナノチューブだけでも十分な電気伝導性を確保することができる。
【0241】
また、前記カーボンナノチューブは、層数(wall number)が2~8、好ましくは2~6、より好ましくは3~6である多層カーボンナノチューブであり得る。
【0242】
また、前記カーボンナノチューブは、直径が1nm~8nm、好ましくは3nm~8nm、より好ましくは3nm~6nmであり得る。
【0243】
前記カーボンナノチューブは、正極活物質層の総重量に対して0.7wt%以下、好ましくは0.3wt%~0.7wt%、より好ましくは0.4wt%~0.6wt%で含まれ得る。カーボンナノチューブの含量が上記の範囲を満足すると、十分な電気伝導性を実現でき、正極スラリー内における固形分含量を高く維持できるため、正極活物質層内で正極活物質の含量を高く形成可能であり、これにより優れた容量特性を実現することができる。
【0244】
図34に示された表は、BET比表面積が300m/g~500m/gであるカーボンナノチューブ(新規CNT)を適用した場合及びBET比表面積が200m/g以上300m/g未満のカーボンナノチューブ(従来CNT)を適用した場合において、正極スラリーの固形分含量、粘度、MPコーティング層における抵抗値、及びMP界面層における抵抗値を比較したものである。表から、新規CNTを適用する場合、従来CNTに比べて正極スラリーの固形分含量が高い場合にもより低い粘度を示し、電気伝導性も優れることを確認できる。
【0245】
前記バインダーは、正極活物質粒子同士の付着及び正極活物質と正極集電体との接着力を向上させる役割を果たすものであって、具体的な例としては、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、フッ化ビニリデン-ヘキサフルオロプロピレンコポリマー(PVDF-co-HFP)、ポリビニルアルコール、ポリアクリロニトリル、カルボキシメチルセルロース(CMC)、澱粉、ヒドロキシプロピルセルロース、再生セルロース、ポリビニルピロリドン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-プロピレン-ジエンモノマー(EPDM)ゴム、スルホン化EPDM、スチレンブタジエンゴム(SBR)、フッ素ゴム、又はこれらの多様な共重合体などが挙げられ、これらのうちの1種単独又は2種以上の混合物が使用され得る。前記バインダーは、正極活物質層の総重量に対して1wt%~30wt%、好ましくは1wt%~20wt%、より好ましくは1wt%~10wt%で含まれ得る。
【0246】
本発明の他の一実施形態は、前記正極を含む電極組立体、及びそれを含むバッテリーに関する。前記電極組立体は負極及び正極を含み、前記正極は上述したような構成的特徴を有する。
【0247】
前記電極組立体は、例えば分離膜が負極と正極との間に介在された状態で積層されて積層型又は積層/折り畳み型の構造体を形成するか、又は、巻き取られてゼリーロール型の構造体を形成し得る。ゼリーロール型の構造体を形成したとき、負極と正極との接触を防止するため、外側に分離膜がさらに配置され得る。
【0248】
前記負極は、負極集電体、及び前記負極集電体の少なくとも一面上に形成された負極活物質層を含む。前記負極は、長いシート状の負極集電体の一面又は両面に負極活物質層が形成された構造であり得、前記負極活物質層は負極活物質、導電材及びバインダーを含み得る。
【0249】
具体的には、前記負極は長いシート状の負極集電体の一面又は両面に、負極活物質、導電材及びバインダーをジメチルスルホキシド(DMSO)、イソプロピルアルコール、N-メチルピロリドン(NMP)、アセトン、水などのような溶媒に分散させて製造した負極スラリーを塗布し、乾燥工程を経て負極スラリーの溶媒を除去した後、圧延する方法で製造され得る。前記負極スラリーの塗布時に負極集電体の一部領域、例えば負極集電体の一端部に負極スラリーを塗布しない方法で、無地部を含む負極を製造し得る。
【0250】
前記負極活物質としては、リチウムの可逆的な挿入(intercalation)及び脱離(deintercalation)が可能な化合物が使用され得る。具体的な例としては、人造黒鉛、天然黒鉛、黒鉛化炭素繊維、非晶質炭素などの炭素質材料;Si、Si-Me合金(ここで、MeはAl、Sn、Mg、Cu、Fe、Pb、Zn、Mn、Cr、Ti、及びNiからなる群より選択される1種以上)、SiO(ここで、0<y<2)、Si-C複合体などのようなシリコン系物質;リチウム金属薄膜;Sn、Alなどのようにリチウムと合金化可能な金属物質;などが挙げられ、これらのうちのいずれか一つ又は二つ以上の混合物が使用され得る。
【0251】
本発明の一実施例において、前記負極はシリコン系負極活物質を含み得る。前記シリコン系負極活物質は、Si、Si-Me合金(ここで、MeはAl、Sn、Mg、Cu、Fe、Pb、Zn、Mn、Cr、Ti、及びNiからなる群より選択される1種以上)、SiO(ここで、0<y<2)、Si-C複合体、又はこれらの組み合わせであり得、好ましくはSiO(ここで、0<y<2)であり得る。シリコン系負極活物質は高い理論容量を有するため、シリコン系負極活物質を含む場合、容量特性を向上させることができる。
【0252】
前記シリコン系負極活物質は、M金属でドーピングされたものであり得、このとき、前記M金属は1族金属元素、2族金属元素であり得、具体的には、Li、Mgなどであり得る。具体的には、前記シリコン系負極活物質はM金属でドーピングされたSi、SiO(ここで、0<y<2)、Si-C複合体などであり得る。金属ドーピングされたシリコン系負極活物質の場合、ドーピング元素によって活物質容量は多少低下するが高い効率を有するため、高いエネルギー密度を実現することができる。
【0253】
図51は、シリコン系負極活物質と炭素系負極活物質との混合物を負極活物質として使用したバッテリーにおいて、シリコン系負極活物質の含量とシリコン系負極活物質のドーピング有無に応じたエネルギー密度の変化を示したグラフである。
【0254】
図51において、低効率SiOは非ドーピングSiOであり、超高効率SiOはMg/LiドーピングSiOを意味する。図51から、全体負極活物質中のシリコン系負極活物質の含量が増加するほどエネルギー密度が向上することが確認できる。また、シリコン系負極活物質中における、ドーピングされたシリコン系負極活物質の比率が増加するほど、エネルギー密度の改善効果がさらに優れることが確認できる。
【0255】
前記シリコン系負極活物質は、粒子の表面に炭素コーティング層をさらに含み得る。このとき、前記炭素コーティング量は、シリコン系負極活物質の全体重量を基準にして20wt%以下、好ましくは1~20wt%であり得る。前記炭素コーティング層は、乾式コーティング、湿式コーティング、化学気相成長(CVD)、物理気相成長(PVD)、原子層成長(ALD)などの方式を通じて形成し得る。
【0256】
本発明の一実施形態において、前記シリコン系負極活物質は1,000~4,000mAh/gの容量を有し得、初期効率が60~95%程度であり得る。
【0257】
本発明の他の実施形態において、前記シリコン系負極活物質のD50は3μm~8μmであり得、Dmin~Dmaxは0.5μm~30μmの範囲に含まれ得る。
【0258】
前記負極は、必要に応じて、負極活物質として炭素系負極活物質をさらに含み得る。前記炭素系負極活物質は、例えば人造黒鉛、天然黒鉛、黒鉛化炭素繊維、非晶質炭素、軟質炭素(soft carbon)、硬質炭素(hard carbon)などであり得るが、これらに限定されることはない。
【0259】
負極活物質としてシリコン系負極活物質と炭素系負極活物質との混合物を使用する場合、前記シリコン系負極活物質と炭素系負極活物質との混合比は重量比率で1:99~20:80、好ましくは1:99~15:85、より好ましくは1:99~10:90であり得る。
【0260】
前記負極活物質は、負極活物質層の総重量に対して80wt%~99wt%、好ましくは85wt%~99wt%、より好ましくは90wt%~99wt%で含まれ得る。
【0261】
必要に応じて、前記負極活物質は、リチウム金属、及びSn、Alなどのようにリチウムと合金化可能な金属物質から選択された1種以上をさらに含み得る。
【0262】
前記負極集電体としては、当技術分野で一般に使用される負極集電体が使用され得、例えば、銅、ステンレス鋼、アルミニウム、ニッケル、チタン、焼成炭素、銅やステンレス鋼の表面に炭素、ニッケル、チタン、銀などで表面処理したもの、アルミニウム-カドミウム合金などが使用され得る。前記負極集電体は、通常3μm~500μmの厚さを有し得、正極集電体と同様に、前記集電体の表面に微細な凹凸を形成して負極活物質の結合力を強化させてもよい。例えば、負極集電体は、フィルム、シート、ホイル、ネット、多孔質体、発泡体、不織布体など多様な形態で使用され得る。
【0263】
前記導電材は、負極に導電性を付与するために使用されるものであって、バッテリーの内部で化学変化を引き起こさず電気伝導性を有するものであれば、特に制限なく使用可能である。具体的な導電材の例としては、天然黒鉛や人造黒鉛などの黒鉛;カーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、サーマルブラック、炭素繊維、カーボンナノチューブなどの炭素系物質;銅、ニッケル、アルミニウム、銀などの金属粉末又は金属繊維;酸化亜鉛、チタン酸カリウムなどの導電性ウィスカー;酸化チタンなどの導電性金属酸化物;又はポリフェニレン誘導体などの導電性高分子などが挙げられ、これらのうちの1種単独で又は2種以上の混合物が使用され得る。前記導電材は、通常、負極活物質層の総重量に対して1wt%~30wt%、好ましくは1wt%~20wt%、より好ましくは1wt%~10wt%で含まれ得る。
【0264】
前記バインダーは、負極活物質粒子同士の付着及び負極活物質と負極集電体との接着力を向上させる役割を果たす。具体的なバインダーの例としては、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、フッ化ビニリデン-ヘキサフルオロプロピレンコポリマー(PVDF-co-HFP)、ポリビニルアルコール、ポリアクリロニトリル、カルボキシメチルセルロース(CMC)、澱粉、ヒドロキシプロピルセルロース、再生セルロース、ポリビニルピロリドン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-プロピレン-ジエンモノマー(EPDM)ゴム、スルホン化EPDM、スチレンブタジエンゴム(SBR)、フッ素ゴム、又はこれらの多様な共重合体などが挙げられ、これらのうちの1種単独又は2種以上の混合物が使用され得る。前記バインダーは、負極活物質層の総重量に対して1wt%~30wt%、好ましくは1wt%~20wt%、より好ましくは1wt%~10wt%で含まれ得る。
【0265】
前記電極組立体は分離膜をさらに含み、前記分離膜は負極と正極との間に介在される方式で電極組立体内に配置される。前記分離膜は、負極と正極とを分離し、リチウムイオンの移動通路を提供するものであって、通常リチウムバッテリーでセパレータとして使用されるものであれば特に制限なく使用可能である。
【0266】
前記分離膜としては、多孔性高分子フィルム、例えばエチレン単独重合体、プロピレン単独重合体、エチレン/ブテン共重合体、エチレン/ヘキセン共重合体、及びエチレン/メタクリレート共重合体などのようなポリオレフィン系高分子から製造した多孔性高分子フィルム、又は、これらの2層以上の積層構造体が使用され得る。また、通常の多孔性不織布、例えば高融点のガラス繊維、ポリエチレンテレフタレート繊維などからなる不織布が使用されてもよい。また、耐熱性又は機械的強度の確保のため、セラミックス成分又は高分子物質が含まれたコーティングされた分離膜が使用されてもよい。
【0267】
本発明のさらに他の一実施形態は、前記電極組立体を含むバッテリーに関する。前記バッテリーは、電池ケースに電極組立体及び電解液が一緒に収納されているものである。前記電池ケースとしては、パウチ型又は金属ハウジング型などの当技術分野で通常使用されるものであれば、特に制限なく適切なものが選択され得る。
【0268】
本発明で使用される電解質としては、リチウムバッテリーに使用可能な多様な電解質、例えば、有機系液体電解質、無機系液体電解質、固体高分子電解質、ゲル型高分子電解質、固体無機電解質、溶融型無機電解質などが使用され得、その種類が特に限定されることはない。
【0269】
具体的には、前記電解質は有機溶媒及びリチウム塩を含み得る。
【0270】
前記有機溶媒としては、電池の電気化学的反応に関与するイオンが移動可能な媒質の役割を果たせるものであれば、特に制限なく使用され得る。具体的には、前記有機溶媒としては、メチルアセテート、エチルアセテート、γ-ブチロラクトン、ε-カプロラクトンなどのエステル系溶媒;ジブチルエーテル又はテトラヒドロフランなどのエーテル系溶媒;シクロヘキサノンなどのケトン系溶媒;ベンゼン、ベンゼン、フルオロベンゼンなどの芳香族炭化水素系溶媒;ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、メチルエチルカーボネート(MEC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)などのカーボネート系溶媒;エチルアルコール、イソプロピルアルコールなどのアルコール系溶媒;R-CN(RはC2~C20の直鎖状、分枝状又は環状構造の炭化水素基であり、二重結合芳香環又はエーテル結合を含み得る)などのニトリル類;ジメチルホルムアミドなどのアミド類;1,3-ジオキソランなどのジオキソラン類;又はスルホラン類などが使用され得る。中でも、カーボネート系溶媒が好ましく、電池の充放電性能を向上可能な高いイオン伝導度及び高誘電率を有する環状カーボネート(例えば、エチレンカーボネート又はプロピレンカーボネートなど)と、低粘度の線状カーボネート系化合物(例えば、エチルメチルカーボネート、ジメチルカーボネート又はジエチルカーボネートなど)との混合物がより好ましい。
【0271】
前記リチウム塩は、リチウムバッテリーで使用されるリチウムイオンを提供可能な化合物であれば、特に制限なく使用され得る。具体的には、前記リチウム塩は、LiPF、LiClO、LiAsF、LiBF、LiSbF、LiAlO、LiAlCl、LiCFSO、LiCSO、LiN(CSO、LiN(CSO、LiN(CFSO、LiCl、LiI、又はLiB(Cなどが使用され得る。前記リチウム塩の濃度は、0.1~5.0M、好ましくは0.1M~3.0M範囲内であり得る。リチウム塩の濃度が上記の範囲に含まれれば、電解質が適切な伝導度及び粘度を有するため、優れた電解質性能を示し、リチウムイオンが効果的に移動可能である。
【0272】
前記電解質には、上述した電解質構成成分の外にも、電池寿命特性の向上、電池容量減少の抑制、電池の放電容量向上などを目的として添加剤をさらに含み得る。例えば、前記添加剤としては、ジフルオロエチレンカーボネートなどのようなハロアルキレンカーボネート系化合物、ピリジン、トリエチルホスファイト、トリエタノールアミン、環状エーテル、エチレンジアミン、n-グライム(glyme)、ヘキサメチルリン酸トリアミド、ニトロベンゼン誘導体、硫黄、キノンイミン染料、N-置換オキサゾリジノン、N,N-置換イミダゾリジン、エチレングリコールジアルキルエーテル、アンモニウム塩、ピロール、2-メトキシエタノール、又は三塩化アルミニウムなどを単独で又は混合して使用し得るが、これらに限定されることはない。前記添加剤は、電解質の総重量に対して0.1wt%~10wt%、好ましくは0.1wt%~5wt%で含まれ得る。
【0273】
本発明のさらに他の実施形態において、前記正極は、隣接領域よりも正極活物質のローディング量が少ないローディング減少部を含み得る。正極がこのような構造を有すると、リチウム析出の心配なく、正極活物質部の区間を増加させることができる。これにより、電極組立体のエネルギー密度を向上させることができる。
【0274】
近年、高いエネルギー密度の実現及びコスト節減のため、バッテリーのサイズを増加させる方向で開発が進んでいる。バッテリーのサイズに応じてエネルギーが増加するほど、バッテリー当たりの抵抗は減少しなければならない。抵抗の減少のため、電極に電極タブを付着する方式ではなく、電極の集電体を電極タブとして活用する方式を使用可能である。このとき、電極集電体上に電極スラリーを塗布する電極製造工程の特性上、負極スラリーが塗布された負極活物質部と負極集電体との境界部分にローディング量が減少する部分が発生する。N/P比を考慮すると、前記ローディング量が減少する部分と対面する正極活物質部に金属リチウムが析出するおそれがある。ここで、N/P比とは、負極の面積及び質量当たりの容量に基づいて算出した負極の容量を、正極の面積及び質量当たりの容量に基づいて得た正極の容量で除した値であるが、一般に1以上の値を有する。すなわち、負極の容量をより大きく製作する。参考までに、N/P比が1にならないと、充放電時に金属リチウムが析出し易く、これは高率充放電時に電池の安全性を急激に劣化させる原因になる。換言すると、N/P比は電池の安全性及び容量に多大な影響を及ぼす。このように金属リチウムの析出危険のため、負極のローディング量が減少する部分と対面する正極部分に正極活物質部を位置させることができない。これはバッテリーのエネルギー密度を高められなくする原因になる。そこで本発明は、正極活物質部の区間を増やしてエネルギー密度を改善した。
【0275】
図39は本発明の一実施形態による電極組立体を示した図であり、図40図39のA-A’線に沿って切断した断面図である。
【0276】
図39及び図40を参照すると、本発明の一実施形態による電極組立体300は、負極400、正極500及び分離膜600を含む。分離膜600は、負極400と正極500との間に位置する。負極400、正極500及び分離膜600が一緒に巻き取られてゼリーロール構造体300Sを形成する。ここで、ゼリーロール構造体300Sは、負極400、正極500及び分離膜600が巻き取られて形成された構造物を称する。また、ゼリーロール構造体300Sを形成したとき、負極400と正極500とが接することを防止するため、外側に分離膜600がさらに配置されることが好ましい。
【0277】
負極400は、負極集電体410、及び負極集電体410上に負極活物質が塗布されて形成された負極活物質部420を含む。特に、図示されたように負極集電体410の両面ともに負極活物質が塗布されて負極活物質部420が形成され得る。また、負極集電体410において負極活物質が塗布されていない負極無地部430が第1方向d1に延びる。負極無地部430は、巻き取られる負極400の一端部に沿って延在される。また、負極無地部430は第1方向d1に向かって分離膜600よりも長く延在する。これにより、ゼリーロール構造体300Sの第1方向の一端部には負極無地部430が露出し得る。
【0278】
正極500は、正極集電体510、及び正極集電体510上に正極活物質が塗布されて形成された正極活物質部520を含む。特に、図示されたように正極集電体510の両面ともに正極活物質が塗布されて正極活物質部520が形成され得る。また、正極集電体510において正極活物質が塗布されていない正極無地部530が第2方向d2に延びる。正極無地部530は、巻き取られる正極500の一端部に沿って延在される。また、正極無地部530は第2方向d2に向かって分離膜600よりも長く延在する。これにより、ゼリーロール構造体300Sの第2方向の一端部には正極無地部530が露出し得る。
【0279】
ここで、第1方向d1と第2方向d2とは対向する方向である。また、第1方向d1及び第2方向d2は、ゼリーロール構造体300Sの高さ方向と平行な方向であり得る。
【0280】
本実施形態による電極組立体300は、別途の電極タブを付着する形態ではなく、抵抗減少のために負極集電体410の負極無地部430及び正極集電体510の正極無地部530自体を電極タブとして活用する形態である。
【0281】
図示していないが、負極無地部430及び/又は正極無地部530は、上述した電極の無地部の構造を実質的に同様に備え得る。
【0282】
一実施形態において、正極活物質部520は、隣接領域よりも正極活物質のローディング量が少ないローディング減少部500Dを含み、ローディング減少部500Dは、正極500の第1方向d1の一端部に位置する。より具体的には、ローディング減少部500Dは、第1方向d1に向かって前記正極活物質のローディング量が徐々に減少し得る。
【0283】
ここで、ローディング量とは、単位面積当たりの活物質の塗布量を意味する。ローディング量が多い部分は、単位面積に多量の負極活物質又は正極活物質が塗布されて負極活物質部又は正極活物質部の厚さが相対的に厚くなり得る。ローディング量が少ない部分は、単位面積に少量の負極活物質又は正極活物質が塗布されて負極活物質部又は正極活物質部の厚さが相対的に薄くなり得る。
【0284】
活物質を含むスラリーを塗布して活物質部を形成するが、このような工程で無地部と活物質部との間には徐々にローディング量が減少する境界部が形成され得る。
【0285】
具体的には、負極活物質部420は、負極活物質部420と負極無地部430との間の境界を形成する負極境界部420Bを含み得る。負極境界部420Bは、負極無地部430が位置する方向に向かって徐々にローディング量が減少し得る。
【0286】
同様に、正極活物質部520は、正極活物質部520と正極無地部530との間の境界を形成する正極境界部520Bを含み得る。正極境界部520Bは、正極無地部530が位置する方向に向かって徐々にローディング量が減少し得る。
【0287】
このようにローディング量が徐々に減少する負極境界部420B及び正極境界部520Bは、活物質を含むスラリーを負極集電体410及び正極集電体510に塗布する過程で自然に発生する。
【0288】
このとき、第2方向d2と垂直な方向を基準にして、正極境界部520Bに対応する領域では正極活物質の量が負極活物質の量よりも少なくなる。これにより、N/P比が1よりも大きい値になるため、金属リチウムが析出する問題などが発生しない。
【0289】
しかし、負極境界部420Bと対応する領域では問題がある。第1方向d1と垂直な方向を基準にして、負極境界部420Bに対応する領域では負極活物質の量が正極活物質の量よりも少なくなる。これにより、N/P比が1よりも小さい値になるため、金属リチウムが析出する問題が発生するおそれがある。
【0290】
そこで、本実施形態では、正極500にローディング減少部500Dを設け、第1方向d1と垂直な方向を基準にして、ローディング減少部500Dと対応する部分に負極活物質部420を位置させている。より具体的には、第1方向d1と垂直な方向を基準にして、ローディング減少部500Dと対応する部分に負極境界部420Bが位置し得る。
【0291】
ローディング量が徐々に減少する負極境界部420Bと対応する位置に、隣接領域よりも正極活物質のローディング量が少ないローディング減少部500Dを設けることで、リチウム析出の心配なく、正極活物質が塗布された区間を増加させることができる。特に、負極無地部430に向かってローディング量が徐々に減少する負極境界部420Bの形状と対応するように、ローディング減少部500Dは第1方向d1に向かって前記正極活物質のローディング量が徐々に減少する形態を有し得る。したがって、負極境界部420Bが形成された領域における負極400と正極500とに対するN/P比を高く維持することができ、リチウムの析出を防止することができる。
【0292】
以下、図41図46を参照して本発明の一実施形態による電極組立体の製造方法を詳しく説明する。
【0293】
図41及び図42は、本発明の一実施形態によって負極を製造する過程を示した図である。具体的には、図41は負極シートの上面図であり、図42図41の負極シートの正面図である。
【0294】
図41及び図42を参照すると、本発明の一実施形態による電極組立体の製造方法は、負極集電体410上に負極活物質が塗布された負極活物質部420と負極活物質が塗布されていない負極無地部430とが交互に位置するように負極シート400Sを製造する段階を含む。
【0295】
具体的には、負極活物質を第3方向d3に延びるように塗布して負極活物質部420を形成し得る。また、第3方向d3と垂直な第4方向d4に沿って塗布領域を離隔させることで、複数の負極活物質部420を第4方向d4に沿って離隔させて位置させ得る。すなわち、複数の負極活物質部420同士の間に負極無地部430が位置するように塗布工程を行い得る。
【0296】
ここで、第3方向d3及び第4方向d4は、負極シート400Sを基準にして説明するための方向であって、上述したゼリーロール構造体300Sにおける第1方向d1及び第2方向d2とは関係のない方向である。
【0297】
その後、負極無地部430及び負極活物質部420をスリット加工(slitting)して負極400を製造する段階を含み得る。図43は、本発明の一実施形態による負極を示した斜視図である。
【0298】
図41図43を参照すると、図41及び図42に点線で示した部分のように、負極無地部430及び負極活物質部420のそれぞれに対して第3方向d3と平行な方向にスリッティングを行い得る。これにより、負極シート400Sから図43に示されたような負極400を複数個製造し得る。すなわち、図43の負極400は、図41及び図42の負極シート400Sをスリッティングして製造された複数の負極のうちの一つに該当する。負極シート400Sにおいて負極無地部430及び負極活物質部420をそれぞれスリッティングすることで、一側に負極無地部430が延在した負極400が製造され得る。
【0299】
負極活物質部420を形成するとき、負極活物質を含むスラリーを負極集電体410上に塗布するが、このようなスラリー塗布過程において、負極活物質部420と負極無地部430との間の境界には負極無地部430が位置する方向に向かって徐々にローディング量が減少する負極境界部420Bが形成され得る。
【0300】
図44及び図45は、本発明の一実施形態によって正極を製造する工程を示した図である。具体的には、図44は正極シートの上面図であり、図45図44の正極シートを正面図である。
【0301】
図44及び図45を参照すると、本発明の一実施形態による電極組立体の製造方法は、正極集電体510上に正極活物質が塗布された正極活物質部520と正極活物質が塗布されていない正極無地部530とが交互に位置するように正極シート500Sを製造する段階を含む。
【0302】
具体的には、正極活物質を第3方向d3に延びるように塗布して正極活物質部520を形成し得る。また、第3方向d3と垂直な第4方向d4に沿って塗布間隔を調節することで、複数の正極活物質部520を離隔させて位置させ得る。すなわち、複数の正極活物質部520同士の間に正極無地部530が位置するように塗布工程を行い得る。
【0303】
ここで、第3方向d3及び第4方向d4は、正極シート500Sを基準にして説明するための方向であって、上述したゼリーロール構造体300Sにおける第1方向d1及び第2方向d2とは関係のない方向である。
【0304】
その後、正極無地部530及び正極活物質部520をスリッティングして正極500を製造する段階を含み得る。図46は、本発明の一実施形態による正極500を示した斜視図である。
【0305】
図44図46を参照すると、図44及び図45に点線に示した部分のように、正極無地部530及び正極活物質部520のそれぞれに対して第3方向d3と平行な方向にスリッティングを行い得る。これにより、正極シート500Sから図46に示されたような正極500を複数個製造し得る。すなわち、図46の正極500は、図44及び図45の正極シート500Sをスリッティングして製造された複数の正極のうちの一つに該当する。正極シート500Sにおいて正極無地部530及び正極活物質部520をそれぞれスリッティングすることで、一側に正極無地部530が延在した正極500が製造され得る。
【0306】
正極活物質部520を形成するとき、正極活物質を含むスラリーを正極集電体510上に塗布するが、このようなスラリー塗布過程において、正極活物質部520と正極無地部530との間の境界には正極無地部530が位置する方向に向かって徐々にローディング量が減少する正極境界部520Bが形成され得る。
【0307】
図39図43及び図46をともに参照すると、製造された負極400及び正極500を分離膜600と一緒に巻き取ってゼリーロール構造体300Sを形成する段階が続いて行われ得る。このとき、ゼリーロール構造体300Sにおいて、負極無地部430は第1方向d1に向かって分離膜600よりも長く延在し、正極無地部530は第1方向d1と反対の第2方向d2に向かって分離膜600よりも長く延在し得る。
【0308】
図44図46をさらに参照すると、本発明の一実施形態による電極組立体の製造方法において、正極シート500Sは、隣接領域よりも前記正極活物質のローディング量が少ないローディング減少領域500DAを含む。ローディング減少領域500DAを形成する方法には特に制限がなく、一例としてスラリーの塗布程度を調節して形成し得る。
【0309】
前記正極500を製造する段階において、正極活物質部520からローディング減少領域500DAをスリッティングする。スリッティングされたローディング減少領域500DAが、図39及び図40に示されたゼリーロール構造体300Sにおいて隣接領域よりも正極活物質のローディング量が少ないローディング減少部500Dを形成する。
【0310】
具体的には、正極シート500Sに形成された正極活物質部520に、隣接領域よりも前記正極活物質のローディング量が少ないローディング減少領域500DAが形成される。図45に示されたように、ローディング減少領域500DAは正極活物質部520の中央に形成され得る。一方、ローディング減少領域500DAは、ローディング減少領域500DAの中央部500Cに向かって前記正極活物質のローディング量が徐々に減少するように構成され得、前記正極500を製造する段階において、ローディング減少領域500DAの中央部500Cをスリッティングすることによって、本実施形態によるローディング減少部500Dを形成し得る。
【0311】
すなわち、正極活物質を含むスラリーを塗布することでローディング減少領域500DAを形成し、ローディング減少領域500DAの中央部500Cをスリッティングすることで、ローディング減少部500Dが形成された正極500を複数個製造し得る。
【0312】
図46を参照すると、製造された正極500の一端部にはローディング減少部500Dが設けられ、前記一端部と対向する前記正極500の他端部には正極無地部530が設けられ得る。
【0313】
図39及び図40を参照すると、このような正極500が巻き取られてゼリーロール構造体300Sを形成するとき、ローディング減少部500Dは正極500の第1方向d1の一端部に位置し、正極無地部530は正極500の第2方向d2の一端部に位置し得る。
【0314】
また、ローディング減少領域500DAの中央部500Cをスリッティングすることによって、ローディング減少部500Dは、第1方向d1に向かって正極活物質のローディング量が徐々に減少し得る。
【0315】
また、ゼリーロール構造体300Sにおいて、第1方向d1と垂直な方向を基準にして、ローディング減少部500Dと対応する部分に負極活物質部420が位置し得る。より具体的には、ゼリーロール構造体300Sにおいて、第1方向d1と垂直な方向を基準にして、ローディング減少部500Dと対応する部分に負極境界部420Bが位置し得る。
【0316】
ローディング減少部500Dと負極境界部420Bとの対応する位置関係については、上述した説明と同様であるため省略する。
【0317】
以下、図47図50を参照して本発明の比較形態による電極組立体を説明し、本発明の実施形態による電極組立体が比較形態による電極組立体に比べて持っている長所を説明する。
【0318】
図47は本発明の比較形態による電極組立体を示した図であり、図48図47のB-B’線に沿って切断した断面図である。
【0319】
図47及び図48を参照すると、本発明の比較形態による電極組立体600は、負極700、正極800及び分離膜900を含み、負極700、正極800及び分離膜900が巻き取られてゼリーロール構造体600Sを形成する。
【0320】
負極700は、負極集電体710、負極活物質部720及び負極無地部730を含み得る。また、負極無地部730は、第1方向d1に向かって延在し得、負極活物質部720は、負極活物質部720と負極無地部730との境界を形成しながらローディング量が徐々に減少する負極境界部720Bを含み得る。
【0321】
図49は、本発明の比較形態によって負極700を製造する工程を示した図である。
【0322】
図49を参照すると、負極活物質部720と負極無地部730とが第4方向d4に沿って交互に位置するように負極シート700Sが製造された後、負極無地部730及び負極活物質部720をスリット加工して複数の負極700を製造し得る。
【0323】
一方、図47及び図48をさらに参照すると、正極800は、正極集電体810、正極活物質部820及び正極無地部830を含み得る。また、正極無地部830は、第1方向d1と対向する第2方向d2に向かって延在し得、正極活物質部820は、正極活物質部820と正極無地部830との境界を形成しながらローディング量が徐々に減少する正極境界部820Bを含み得る。
【0324】
図50は、本発明の比較形態によって正極800を製造する工程を示した図である。
【0325】
図50を参照すると、正極活物質部820と正極無地部830とが第4方向d4に沿って交互に位置するように正極シート800Sが製造された後、正極無地部830及び正極活物質部820をスリット加工して複数の正極800を製造し得る。
【0326】
その後、製造された負極700及び正極800を分離膜900と一緒に巻き取って本発明の比較形態による電極組立体600を製造し得る。
【0327】
すなわち、本発明の比較形態による電極組立体600は、ローディング減少部500D(図40を参照)を除いて、本発明の実施形態による電極組立体300と類似の構造を有し得る。
【0328】
図47及び図48を参照すると、比較形態による電極組立体600の場合、第1方向d1と垂直な方向を基準にして、負極境界部720Bと対応する部分に正極活物質部820が位置できない。もし、正極活物質部820が負極境界部720Bと対応する部分にまで延在すると、該当部分は低いN/P比を有する部分になり、金属リチウムが析出する可能性が高い。したがって、リチウム析出を防止するためには正極活物質部820の長さを制限するしかない。すなわち、図示されたB1領域のみに正極活物質部820を形成でき、B2領域には正極活物質部820を形成できず、負極境界部720Bによって正極活物質部820の長さが縮小される結果につながる。
【0329】
一方、図39及び図40を参照すると、本発明の実施形態による電極組立体300の場合、第1方向d1と垂直な方向を基準にして、負極境界部420Bと対応する部分に正極活物質部520、特にローディング減少部500Dが位置し得る。負極境界部420Bと対応する位置に隣接領域よりも正極活物質のローディング量が少ないローディング減少部500Dが設けられるため、該当部分でのN/P比を高く維持でき、リチウムの析出を防止することができる。これにより、A1領域にわたって正極活物質部520を形成でき、正極活物質部520を形成できないA2領域を減らすことができる。一例として、高さ方向における負極400の幅に対する高さ方向における正極500の幅を98%以上に高めることができる。
【0330】
図39及び図40のA1領域と図47及び図48のB1領域とを比べると、本実施形態による電極組立体300は、正極活物質部の長さをローディング減少部500Dだけ増やすことができるため、比較形態による電極組立体600よりも、限定された空間でさらに高いエネルギー密度を実現可能である。
【0331】
本発明のさらに他の一実施形態は、正極、負極、前記正極と負極との間に介在された分離膜が一方向に巻き取られた構造を有するゼリーロール型の電極組立体と、前記電極組立体が収納される円筒形バッテリーハウジングと、前記バッテリーハウジングの上部に配置されて前記バッテリーハウジングを密封する密封体である電池キャップと、を含む円筒形バッテリーに関する。ここで、前記正極は本発明の一実施例によるものであって、正極活物質として平均粒径D50が5μm以下の単粒子系活物質粒子を含むものである。前記円筒形バッテリーは、電解液をさらに含み得、電解液については上述した説明を参照可能である。
【0332】
前記電極組立体は、上述したような積層型、積層/折り畳み型、又はゼリーロール型の構造を有し得る。本発明の具体的な一実施形態において、前記電極組立体は上述したように正極がローディング減少部を有するものであり得る。
【0333】
従来の円筒形バッテリーの場合、ストリップ状の電極タブに電流が集中されて抵抗が大きく、多量の熱が発生し、集電効率が良くないという問題がある。
【0334】
近年、電気自動車関連技術の発展に伴って高容量電池に対する要求が増加するにつれて、体積が大きい大型円筒形バッテリーの開発が要求されている。従来一般に使用されている小型円筒形バッテリー、すなわち、1865や2170のフォームファクタを有する円筒形バッテリーの場合、容量が小さいため、抵抗や発熱が電池性能に深刻な影響を及ぼすことがない。しかし、従来の小型円筒形バッテリーの仕様を大型円筒形バッテリーにそのまま適用する場合、電池安全性に深刻な問題が生じるおそれがある。
【0335】
電池が大きくなれば、電池内部で発生する熱とガスの量も一緒に増加するが、このような熱とガスによって電池内部の温度及び圧力が上昇し、電池が発火するか又は爆発することがあるためである。これを防止するためには、電池内部の熱とガスが外部へと適切に排出されねばならず、そのためには電池外部への熱の排出通路になる電池の断面積が体積の増加に応じて増加する必要がある。しかし、通常、断面積の増加分は体積の増加分に及ばないため、電池が大型化されるほど電池内部の発熱量が増加し、それによって爆発の危険性が大きくなって出力が低下するなどの問題が発生する。また、高電圧で急速充電を行う場合、短時間で電極タブの周辺で多量の熱が発生しながら電池が発火するおそれもある。そこで本発明は、高容量を実現できるように大きい体積を有しながらも高い安全性を有する円筒形バッテリーを提案する。
【0336】
また、前記単粒子又は疑似単粒子形態の正極活物質が適用された高ローディング電極が円筒形バッテリーに適用されるため、円筒形バッテリーの初期抵抗特性と充放電効率を改善することができる。
【0337】
本発明の一実施例による円筒形バッテリーは、単粒子又は疑似単粒子形態の正極活物質を適用することで従来に比べてガス発生量を著しく減少させ、これによってフォームファクタの比が0.4以上である大型円筒形バッテリーにおいても優れた安全性を実現することができる。
【0338】
本発明の一実施例による円筒形バッテリーは、好ましくは、電極タブを含まないタブレス構造のバッテリーであるが、これに限定されるものではない。
【0339】
前記タブレス構造のバッテリーは、例えば、正極及び負極がそれぞれ活物質層が形成されていない無地部を含み、電極組立体の上端及び下端にそれぞれ正極無地部及び負極無地部が位置し、前記正極無地部及び負極無地部に集電板が結合されており、前記集電板が電極端子と連結されている構造であり得る。
【0340】
円筒形バッテリーを上記のようにタブレス構造で形成する場合、電極タブを備える従来の電池に比べて電流集中が低減するため、電池内部の発熱を効果的に減少させることができ、これによって電池の熱安定性が改善される効果を奏することができる。
【0341】
以下、具体的な実施例を挙げて本発明をより詳しく説明する。
【0342】
<実施例1>
平均粒径D50が3μmであるユニモーダル粒度分布を有し、単粒子形態である正極活物質Li[Ni0.9Co0.06Mn0.03Al0.01]OとカーボンナノチューブとPVDFバインダーとを97.8:0.6:1.6の重量比でN-メチルピロリドン中で混合して正極スラリーを製造した。前記正極スラリーをアルミニウム集電体シートの一面に塗布した後、120℃で乾燥してから圧延して正極を製造した。
【0343】
負極活物質(黒鉛:SiO=95:5(重量比)混合物)と導電材(スーパーC)とスチレン-ブタジエンゴム(SBR)とカルボキシメチルセルロース(CMC)とを96:2:1.5:0.5の重量比で水中で混合して負極スラリーを製造した。前記負極スラリーを銅集電体シートの一面に塗布した後、150℃で乾燥してから圧延して負極を製造した。
【0344】
製造された正極と負極との間に分離膜を介在して分離膜/正極/分離膜/負極の順に積層した後、巻き取ってゼリーロール型の電極組立体を製造した。上記のように製造された電極組立体を円筒形バッテリーハウジングに挿入した後、電解液を注入して4680セルを製造した。
【0345】
<比較例1>
正極活物質として、大粒径平均粒径D50が9μmであって、小粒径平均粒径D50が4μmであるバイモーダル粒度分布を有し、二次粒子形態であるLi[Ni0.9Co0.05Mn0.04Al0.01]Oを使用したことを除き、実施例1と同様の方法で4680セルを製造した。
【0346】
<実験例1>
実施例1及び比較例1によって製造された4680セルに対し、ホットボックステスト(hot box test)を実施した。
【0347】
具体的には、実施例1及び比較例1によって製造された4680セルをそれぞれ常温でホットボックスチャンバーに入れ、5℃/分の昇温速度で130℃まで昇温させた後、30分間維持するホットボックス評価を行い、時間に応じた電池の温度変化を測定した。正確な評価のため、実施例1のセルに対しては2回のホットボックス評価を行った。測定結果を図36a及び図36bに示した。
【0348】
図36aは実施例1によって製造された4680セルに対するホットボックステストの結果を示したグラフであり、図36bは比較例1によって製造された4680セルに対するホットボックステストの結果を示したグラフである。
【0349】
図36a及び図36bから、単粒子形態の正極活物質を使用した実施例1のリチウム二次電池の場合、65分が経過するまで電池の電圧及び温度が安定的に維持される一方、比較例1のリチウム二次電池は35分経過後に電池温度が急激に上昇したことが確認できる。
【0350】
<実施例2-1>
ユニモーダル粒度分布を有してDmin=1.78μm、D50=4.23μm、Dmax=13.1μmであり、単粒子と疑似単粒子とが混合されている正極活物質(組成:Li[Ni0.9Co0.06Mn0.03Al0.01]O)を用意した。図35aに実施例2-1で使用された正極活物質のSEM写真を示した。
【0351】
正極活物質とカーボンナノチューブとPVDFバインダーとを97.8:0.6:1.6の重量比でN-メチルピロリドン中で混合して正極スラリーを製造した。前記正極スラリーをアルミニウム集電体シートの一面に塗布した後、120℃で乾燥してから圧延して正極を製造した。
【0352】
負極活物質(黒鉛:SiO=95:5(重量比)混合物)と導電材(スーパーC)とスチレン-ブタジエンゴム(SBR)とカルボキシメチルセルロース(CMC)とを96:2:1.5:0.5の重量比で水中で混合して負極スラリーを製造した。前記負極スラリーを銅集電体シートの一面に塗布した後、150℃で乾燥したから圧延して負極を製造した。
【0353】
製造された正極と負極との間に分離膜を介在して分離膜/正極/分離膜/負極の順に積層した後、巻き取ってゼリーロール型の電極組立体を製造した。上記のように製造された電極組立体をバッテリーハウジングに挿入した後、電解液を注入して4680セルを製造した。
【0354】
<実施例2-2>
正極活物質として、ユニモーダル粒度分布を有してDmin=1.38μm、D50=4.69μm、Dmax=18.5μmであり、単粒子と疑似単粒子とが混合されている正極活物質(組成:Li[Ni0.9Co0.06Mn0.03Al0.01]O)を使用したことを除き、実施例2-1と同様の方法で4680セルを製造した。図35bに実施例2-2で使用された正極活物質のSEM写真を示した。
【0355】
<比較例2-1>
大粒径平均粒径D50が9μmであって、小粒径平均粒径D50が4μmであるバイモーダル粒度分布を有し、二次粒子形態である正極活物質(組成:Li[Ni0.9Co0.05Mn0.04Al0.01]O)を使用したことを除き、実施例2-1と同様の方法で4680セルを製造した。
【0356】
<比較例2-2>
ユニモーダル粒度分布を有してDmin=0.892μm、D50=3.02μm、Dmax=11μmであり、単粒子と疑似単粒子とが混合されている正極活物質(組成:Li[Ni0.9Co0.06Mn0.03Al0.01]O)を使用したことを除き、実施例2-1と同様の方法で4680セルを製造した。
【0357】
図35cに比較例2-2で使用された正極活物質のSEM写真を示した。
【0358】
<実験例2-1>
実施例2-1、2-2及び比較例2-1、2-2によって製造された4680セルに対し、ホットボックステストを実施した。
【0359】
具体的には、実施例2-1及び比較例2-1によって製造された4680セルをそれぞれ常温でホットボックスチャンバーに入れ、5℃/分の昇温速度で130℃まで昇温させた後、30分間維持してから電池の温度変化を測定した。テスト中に熱暴走及び発火が発生しない場合をパス(pass)、熱暴走及び/又は発火が発生した場合をフェイル(fail)で示した。また、テストの正確度のため、実施例2-1及び2-2のセルに対してはテストを2回以上行った。
【0360】
測定結果を下記の表1及び図36c、図36dに示した。図36cは実施例2-1のサンプル1及び比較例2-1によって製造された4680セルに対するホットボックステストの結果を示したグラフであり、図36dは実施例2-1のサンプル2、3、実施例2-2のサンプル1、2及び比較例2-2によって製造された4680セルに対するホットボックステストの結果を示したグラフである。
【0361】
【表1】
【0362】
表1、図36c及び図36dを参照すると、Dminが1.0μm以上である単粒子/疑似単粒子形態の正極活物質を適用した実施例2-1の4680セルの場合、65分が経過するまで電池の電圧及び温度が安定的に維持される一方、正極活物質として二次粒子を適用した比較例2-1及びDminが1.0μm未満である単粒子/疑似単粒子形態の正極活物質を適用した比較例2-2の4680セルは、電池温度が急激に上昇したことが確認できる。
【0363】
<実験例2-2>
実施例2-1及び比較例2-1で製造された正極に対し、圧延後の正極活物質粒子の割れ程度を確認するため、イオンミリング装置で正極を切断した後、断面をSEMで撮影した。図37aに実施例2-1で製造された正極の断面SEM写真を示し、図37bに比較例2-1で製造された正極の断面SEM写真を示した。
【0364】
図37a及び図37bから、実施例2-1の正極は圧延後にも正極活物質の粒子割れが殆どない一方、二次粒子を使用した比較例2-2の正極は圧延後に正極活物質の粒子割れが多数観察される。
【0365】
<実施例3-1>
ユニモーダル粒度分布を有してDmin=1.78μm、D50=4.23μm、Dmax=13.1μmであり、単粒子と疑似単粒子とが混合されている正極活物質粉末(組成:Li[Ni0.9Co0.06Mn0.03Al0.01]O)と鱗片状黒鉛(SFG6L)と導電材(多層カーボンナノチューブ)とPVDFバインダーとを96.3:1.5:0.4:1.8の重量比でN-メチルピロリドン中で混合して正極スラリーを製造した。前記正極スラリーをアルミニウム集電体シートの一面に塗布した後、乾燥して3.0ton/cmの線圧で圧延して正極を製造した。製造された正極の正極活物質層の空隙率を測定した。空隙率は17.5%であった。
【0366】
<実施例3-2>
正極活物質と鱗片状黒鉛と導電材とバインダーとを97.2:0.6:0.4:1.8の重量比で混合したことを除き、実施例3-1と同様に正極を製造して正極活物質層の空隙率を測定した。空隙率は19%であった。
【0367】
<実施例3-3>
正極活物質と鱗片状黒鉛と導電材とバインダーとを97.4:0.4:0.4:1.8の重量比で混合したことを除き、実施例3-1と同様に正極を製造して正極活物質層の空隙率を測定した。空隙率は20%であった。
【0368】
<実施例3-4>
正極活物質と鱗片状黒鉛と導電材とバインダーとを97.6:0.2:0.4:1.8の重量比で混合したことを除き、実施例3-1と同様に正極を製造して正極活物質層の空隙率を測定した。空隙率は21%であった。
【0369】
<比較例3-1>
鱗片状黒鉛を添加せず、正極活物質と導電材とバインダーとを97.8:0.4:1.8の重量比でN-メチルピロリドン中で混合して正極スラリーを製造したことを除き、実施例3-1と同様に正極を製造して正極活物質層の空隙率を測定した。空隙率は24%であった。
【0370】
<比較例3-2>
鱗片状黒鉛を添加せず、正極活物質と導電材とバインダーとを97.8:0.4:1.8の重量比でN-メチルピロリドン中で混合して正極スラリーを製造し、2.0ton/cmの線圧で圧延したことを除き、実施例3-1と同様に正極を製造して正極活物質層の空隙率を測定した。空隙率は30%であった。
【0371】
<実験例3-1.充放電容量及び充放電効率の測定>
実施例3-1~3-4、比較例3-1及び3-2による正極を含むコイン型ハーフセルを製造し、0.2C電流条件で4.25Vまで充電した後、0.2C電流条件で2.5Vまで放電して、各コイン型ハーフセルの充電容量(mAh/g)及び放電容量(mAh/g)測定した。測定結果を下記の表2に示した。
【0372】
【表2】
【0373】
表2から、鱗片状黒鉛を添加した正極を使用した実施例3-1~3-4の場合、比較例3-1及び3-2に比べて低い空隙率を示し、優れた容量特性を示すことが確認できる。
【0374】
<実験例3-2.抵抗特性の確認>
実施例3-3、比較例3-1及び比較例3-2による正極を含むコイン型ハーフセルを4.2Vまで充電しながら、SOCに応じた抵抗特性を測定した。実験の結果を図38aに示した。
【0375】
図38aを参照すると、SOC10%を基準にして、正極活物質層に鱗片状黒鉛を添加した実施例3-3の抵抗値が鱗片状黒鉛を含まない比較例3-1及び比較例3-2よりも低いことが確認できる。これは、正極活物質層に鱗片状黒鉛を添加する場合、低いSOCにおける抵抗特性を改善する効果があることを示す。
【0376】
<実験例3-3.高温寿命特性及び抵抗増加率の測定>
実施例3-1、実施例3-3及び比較例3-1による正極と負極との間に分離膜を介在して分離膜/正極/分離膜/負極の順に積層した後、巻き取ってゼリーロール型の電極組立体を製造した。製造された電極組立体を円筒形バッテリーハウジングに挿入した後、電解液を注入して4680セルを製造した。
【0377】
このとき、前記負極は、負極活物質(黒鉛:SiO=95:5(重量比)混合物)と導電材(スーパーC)とスチレン-ブタジエンゴム(SBR)とカルボキシメチルセルロース(CMC)とを96:2:1.5:0.5の重量比で水中で混合して負極スラリーを製造した後、該負極スラリーを銅集電体シートの一面に塗布し、150℃で乾燥してから圧延して製造した。
【0378】
このように製造された4680セルを、40℃で0.5Cで4.2Vまで充電してから0.5Cで2.5Vまで放電することを1サイクルとして、50サイクルの充放電を行った後、容量維持率及び抵抗(DCIR)増加率を測定した。測定結果を図38bに示した。
【0379】
図38bを参照すると、実施例3-1及び3-3の二次電池の場合、比較例3-1の二次電池に比べてサイクル数に応じた容量維持率の変化が少なく、サイクル数に応じた抵抗増加率の変化も少ないことが分かる。
【0380】
以上のように、本発明を限定された実施形態と図面によって説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、本発明の属する技術分野で通常の知識を持つ者によって本発明の技術思想と特許請求の範囲の均等範囲内で多様な修正及び変形が可能であることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0381】
1 円筒形バッテリー
11 第1電極タブ
12 第2電極タブ
20 バッテリーハウジング
21 ビーディング部
22 クリンピング部
30 第1集電板
31 支持部
32 タブ結合部
33 第1ハウジング結合部
33a 第1接触部
33b 第1連結部
34 第2ハウジング結合部
34a 第2接触部
34b 第2連結部
40 キャッププレート
41 ベンティング部
50 シーリングスペーサ
51 動き防止部
52 シーリング部
53 連結部
53a 延長脚
60 バッテリー端子
300 電極組立体
400 負極
410 負極集電体
420 負極活物質部
430 負極無地部
500 正極
500C 中央部
500D ローディング減少部
500DA ローディング減少領域
510 正極集電体
520 正極活物質部
530 正極無地部
600 電極組立体
700 負極
710 負極集電体
720 負極活物質部
720B 負極境界部
730 負極無地部
800 正極
810 正極集電体
820 正極活物質部
820B 正極境界部
830 正極無地部
900 分離膜
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図36b
図36c
図36d
図37a
図37b
図38a
図38b
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【国際調査報告】