(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-04
(54)【発明の名称】グルカゴンとAMPK活性化剤のコンジュゲート
(51)【国際特許分類】
C07K 14/605 20060101AFI20240927BHJP
A61K 47/64 20170101ALI20240927BHJP
A61K 38/26 20060101ALI20240927BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20240927BHJP
A61P 3/04 20060101ALI20240927BHJP
A61P 3/10 20060101ALI20240927BHJP
A61P 3/06 20060101ALI20240927BHJP
A61P 1/16 20060101ALI20240927BHJP
【FI】
C07K14/605 ZNA
A61K47/64
A61K38/26
A61K45/00
A61P3/04
A61P3/10
A61P3/06
A61P1/16
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024519111
(86)(22)【出願日】2022-09-28
(85)【翻訳文提出日】2024-05-22
(86)【国際出願番号】 EP2022076966
(87)【国際公開番号】W WO2023052415
(87)【国際公開日】2023-04-06
(32)【優先日】2021-09-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522471836
【氏名又は名称】ケブンハウンス、ウニバーシテート
【氏名又は名称原語表記】KOEBENHAVNS UNIVERSITET
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100120617
【氏名又は名称】浅野 真理
(74)【代理人】
【識別番号】100126099
【氏名又は名称】反町 洋
(72)【発明者】
【氏名】クリストファ、クレメンスン
(72)【発明者】
【氏名】アナス、ブーウ、クライン
(72)【発明者】
【氏名】ヨーナス、オズゴー、ピーダスン
(72)【発明者】
【氏名】坂本 啓
【テーマコード(参考)】
4C076
4C084
4H045
【Fターム(参考)】
4C076AA95
4C076BB01
4C076CC21
4C076CC41
4C076EE41
4C076EE59
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4C084BA44
4C084DB35
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4C084NA13
4C084ZA70
4C084ZA75
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4C084ZC35
4H045AA10
4H045AA20
4H045AA30
4H045BA10
4H045BA51
4H045BA72
4H045CA40
4H045DA30
4H045EA20
4H045FA34
4H045FA50
4H045FA57
4H045GA25
(57)【要約】
本発明は、天然グルカゴンの少なくとも0.1%の活性をグルカゴン受容体において示すペプチドと、AMP活性化タンパク質キナーゼ(AMPK)活性化剤を含んでなるコンジュゲート分子であって、前記ペプチドは、前記AMPK活性化剤に直接またはリンカーを介して共有結合されているコンジュゲート分子、療法において使用するためのそのコンジュゲート分子、そのコンジュゲート分子を含んでなる医薬組成物、そのコンジュゲート分子を哺乳動物に投与することを含んでなる哺乳動物の体重を減少させる方法、ならびにそのコンジュゲート分子を哺乳動物に経口投与することを含んでなる哺乳動物の体重を減少させる非治療的方法に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
天然グルカゴンの少なくとも0.1%の活性をグルカゴン受容体において示すペプチドと、AMP活性化タンパク質キナーゼ(AMPK)活性化剤を含んでなるコンジュゲート分子であって、前記ペプチドは、前記AMPK活性化剤に直接またはリンカーを介して共有結合されている、コンジュゲート分子。
【請求項2】
前記ペプチドがグルカゴンスーパーファミリーのものである、請求項1に記載のコンジュゲート分子。
【請求項3】
前記ペプチドが、配列番号1に対して少なくとも80%のアミノ酸配列同一性を有する、請求項1または2に記載のコンジュゲート分子。
【請求項4】
前記ペプチドが、少なくとも10個のアミノ酸で60個以下のアミノ酸からなる、請求項1~3のいずれか一項に記載のコンジュゲート分子。
【請求項5】
前記AMPK活性化剤が、前記ペプチドに切断可能な化学的リンカーを介して共有結合され、前記切断可能な化学的リンカーが、酸切断可能なリンカー、酵素切断可能なリンカー、ペプチド切断可能なリンカー、およびジスルフィド基を含んでなるリンカーから選択される、請求項1~4のいずれか一項に記載のコンジュゲート分子。
【請求項6】
前記化学的リンカーが式R
1-R
3-S-S-R
4-R
5-NH-CO-R
2を有し、式中、R
1は前記ペプチドであり、R
2は前記AMPK活性化剤であり、R
3は、任意選択であり、存在する場合、C(CH
3)
2、CH
2-CH
2、またはCH
2から選択され、前記ペプチドの側鎖にまたは前記ペプチドの主鎖の炭素原子に結合し、R
4は(CH
2)
nまたはC
6H
4であり、R
5は、任意選択であり、存在する場合、C(CH
3)
2、CH-CH
3、CH
2-CH
2、またはCH
2から選択され、nは、1、2、3または4である、請求項5に記載のコンジュゲート分子。
【請求項7】
前記AMPK活性化剤が、前記ペプチドに切断不可能なリンカーを介して共有結合され、塩基切断不可能なリンカーは、ポリエチレングリコールリンカー、炭素リンカー、SMCCならびにマレイミド、エーテル、アミド、トリアゾール、ジスルフィド、およびチオエーテル共役の化学的性質を有するmcから選択される、請求項1~4のいずれか一項に記載のコンジュゲート分子。
【請求項8】
前記AMPK活性化剤が、5-アミノイミダゾール-4-カルボキサミド1-β-D-リボフラノシド(AICAR)、(3R,3aR,6R,6aR)-6-((6-([1,1’-ビフェニル]-4-イル)-7-クロロ-3H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-2-イル)オキシ)ヘキサヒドロフロ[3,2-b]フラン-3-オール(MK-8722)、(3R,3aR,6R,6aR)-6-((6-クロロ-5-(4-(1-(ヒドロキシメチル)シクロプロピル)フェニル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-イル)オキシ)ヘキサヒドロフロ[3,2-b]フラン-3-オール(PF-739)、6-クロロ-5-[4-(1-ヒドロキシシクロブチル)フェニル]-1H-インドール-3-カルボン酸(PF-06409577)、塩酸1,1-ジメチルビグアニド(メトホルミン)、4-ヒドロキシ-3-(2’-ヒドロキシビフェニル-4-イル)-6-オキソ-6,7-ジヒドロチエノ[2,3-b]ピリジン-5-カルボニトリル(A-769662)、2-クロロ-5-[[5-[[5-(4,5-ジメチル-2-ニトロフェニル)-2-フラニル]メチレン]-4,5-ジヒドロ-4-オキソ-2-チアゾリル]アミノ]安息香酸(PT-1)、2-[[2-(2-ブロモ-4-メチルフェノキシ)エチル]チオ]-ピリミジン(ZLN024)、2-[[4-(ジエチルアミノ)-2-ヒドロキシフェニル]メチレン]ヒドラジド-4-ピリジンカルボン酸(RSVA-405)、およびそれらの類似体から選択される、請求項1~7のいずれか一項に記載のコンジュゲート分子。
【請求項9】
療法において使用するための、請求項1~8のいずれか一項に記載のコンジュゲート分子。
【請求項10】
肥満、2型糖尿病、高インスリン血症、インスリン抵抗性、耐糖能異常者、高コレステロール血症、非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)および異脂肪血症の処置において使用するための、請求項1~9のいずれか一項に記載のコンジュゲート分子。
【請求項11】
請求項1~8のいずれか一項に記載のコンジュゲート分子またはその薬学上許容可能な塩および薬学上許容可能な担体を含んでなる医薬組成物。
【請求項12】
哺乳動物の体重を減少させる方法であって、請求項1~9のいずれか一項に記載のコンジュゲート分子または請求項11に記載の医薬組成物を哺乳動物に投与することを含んでなる、方法。
【請求項13】
請求項1~8のいずれか一項に記載のコンジュゲート分子または請求項11に記載の医薬組成物を前記哺乳動物に経口投与することを含んでなる、体重を減少させるための哺乳動物の非治療的処置。
【請求項14】
哺乳動物が非病原性体格指数(BMI)を有する、請求項13に記載の体重を減少させるための哺乳動物の非治療的処置。
【請求項15】
請求項1~8のいずれか一項に記載のコンジュゲート分子または請求項11に記載の医薬組成物を前記哺乳動物に経口投与することを含んでなる、血漿コレステロールを減少させるための哺乳動物の非治療的処置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、治療用コンジュゲートの分野に関し、より具体的には、グルカゴン受容体活性およびAMP活性化タンパク質キナーゼ(AMPK)活性化剤を有するコンジュゲートに関する。
【背景技術】
【0002】
代謝障害とは、細胞レベルで食物をエネルギーに変換するプロセスである正常な代謝を乱す任意の疾患または障害である。代謝障害の発症は、例えば、遺伝的(先天的)な欠損、特定のホルモンもしくは酵素の欠損、または特定の食品の摂り過ぎなど、様々な欠損によって引き起こされ得る。代謝障害は、治療せずに放置すると、限定するものではないが、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)などの脂肪肝疾患、I型またはII型糖尿病、心臓病、異脂肪血症および肥満を含む、生命を脅かす疾患に進展する可能性がある。
【0003】
肥満は、豊かな社会においてヒトとイヌおよびネコなどの飼育動物に最も多く見られる栄養疾患であり、栄養欠乏症の数をはるかに上回っている。肥満外科手術の代替として、肥満処置用の減量薬を生成するための試みがなされてきた。これにより、腸内でリパーゼ阻害剤として作用することによって脂肪の吸収を防ぐことにより、または視床下部での選択的セロトニン受容体2C作動作用を介して食物摂取を阻害することにより作用する薬物がもたらされた。
【0004】
非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)は、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)の第2段階であり、肝細胞への脂肪の蓄積に炎症が伴った場合に発症する。NASHを治療せずに放置すると、線維化、さらに肝硬変へと進行し、最終的には肝移植が必要となる。NASHは、例えば慢性的なカロリー過剰摂取および座りっぱなしの生活習慣に大きく影響され、アルコール乱用または薬の副作用による他の脂肪肝疾患とは異なる。現在までのところ、NASHに対してFDAが承認した薬物療法はないため、依然として減量と生活習慣の改善が第一選択治療となっている。NASHに対する新しい治療法の必要性が高まる中、例えば、オベチコール酸、エラフィブラノールおよびアラムコールなど、いくつかのNASH薬が開発され試験されている。しかしながら、これらの薬剤は肝毒性およびLDLコレステロールの上昇を含む副作用を伴うため、NASH治療に適した薬剤の必要性が残されている。
【0005】
グルカゴンは、プログルカゴンペプチドの組織特異的な翻訳後プロセシングから誘導される29アミノ酸のペプチドホルモンである。グルカゴンは主に膵臓のα細胞から分泌され、グルコース代謝、脂肪分解、ケトジェネシス、エネルギー消費、食欲および食物摂取における役割が証明されている。グルカゴンは、血糖作用とは独立に、循環中および肝臓中の脂質を低下させるなど、代謝性疾患に対して多くの利益をもたらす。代謝性疾患の治療にグルカゴンを使用することは、先行技術から知られている。US 2020352900 A1には、インスリン抵抗性および肥満に関連する様々な疾患の治療における、グルカゴンを含むホルモンペプチドの使用が記載されている。US 2006014670 A1には、糖尿病の治療上有効な管理を達成するためだけでなく、糖尿病患者の低血糖を予防するためのグルカゴンとインスリンの使用が記載されている。しかしながら、代謝性疾患の治療におけるグルカゴンの使用は、血糖値の上昇に対するグルカゴンの作用によって中止されている。
【0006】
AMP活性化タンパク質キナーゼ(AMPK)は、エネルギー恒常性の中枢的調節因子であり、代謝経路を調整し、従って、栄養供給とエネルギー需要のバランスをとる。AMPKの活性化が代謝に好ましい生理学的結果をもたらすことから、AMPKはメタボリックシンドロームおよび癌を含むヒト疾患を制御するための重要な治療標的であると考えられてきた。近年、いくつかの企業がAMPK活性化剤の開発に関する医薬品化学キャンペーンを実施しており、そのためAMPK活性化剤は先行技術から知られている。最近同定された間接的および直接的なAMPK活性化剤のリストは、Steinberg et al. (Nat Rev Drug Dis 2019; 18(7): 527-55141)に示されている。Myers et al. (Science 2017; 357(6350): 507-511)は、インスリン非依存性のグルコース取り込みとグリコーゲン合成に有効で、その結果、血糖値が改善する、経口投与可能な、MK-8722としても知られるAMPK活性化剤(3R,3aR,6R,6aR)-6-((6-([1、1’-ビフェニル]-4-イル)-7-クロロ-3H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-2-イル)オキシ)ヘキサヒドロフロ[3,2-b]フラン-3-オールを記載している。しかしながら、この化合物の使用は、MK-8722によって引き起こされる心肥大の誘導によって中止されている。このように、AMPK活性化剤の臨床使用は、今日に至るまで、代謝経路に対する化合物の悪影響によって阻まれている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
よって、代謝性疾患の治療に適した、有効性が高く、安全性が高く(毒物学的影響が低い)、便利で安全な投与選択肢を提供する新規な治療法の必要性が高まっている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
発明の概要
従って、上記の観点から、本発明の目的は、必要とする対象において、肥満およびNASHを含む代謝性疾患の処置に有用な効果的かつ安全な治療剤を提供することである。
【0009】
よって、本発明の第1の態様は、天然グルカゴンの少なくとも0.1%の活性をグルカゴン受容体において示すペプチドと、AMP活性化タンパク質キナーゼ(AMPK)活性化剤を含んでなるコンジュゲート分子に関し、前記ペプチドは、前記AMPK活性化剤に直接またはリンカーを介して共有結合されている。
【0010】
本発明者らは、意外にも、グルカゴン作動性およびAMPK活性化を有するペプチドのコンジュゲーションは、肥満を効果的に逆転させ、肥満対象の血漿コレステロールおよび血糖値を低下させるための新規な薬物戦略となることを見出した。この戦略に基づくコンジュゲートは、
図3に示すように、グルカゴンまたはMK-8722単独と比較して、体重減少を引き起こすという点で優れている。さらに、本発明のコンジュゲートによって達成される体重の有意な減少は、
図4および5に示すように、食物摂取量に依存しない。また、コンジュゲートは、
図6~8に示すように、血糖値およびコレステロール値の低下にも有効である。本発明者らは、AMPKのグルコース恒常性を改善する能力が、グルカゴンの糖尿病負債を取り消すのに有効であり、一方、グルカゴンが達成する特異的標的化は、心臓組織におけるAMPKの活性化を制限することを見出した。その結果、本発明のコンジュゲートは、特徴的な副作用を回避しながら、各成分から脂質代謝に対する有益な薬理学的効果を得る。特定の理論に縛られることを望むものではないが、本発明者らは、この効果は、ペプチドホルモンによって達成されると推測し、このペプチドホルモンは、脂肪分解刺激剤として、また、非特異的なAMPK活性化剤を肝臓に部位選択的に送達することを可能にする標的化剤としての二機能的役割を果たす。また、別のグルカゴンペプチド変異体(配列番号3)および別のAMPK活性化剤に基づくコンジュゲートは、臨床で知られている単一の標準的なAMPK活性化剤と比較して、同等または向上したAMPK活性を示すことが示されている(
図20および21参照)。従って、これらの付加的コンジュゲートは、肥満を逆転させ、肥満対象の血漿コレステロールおよび血糖値を低下させるという点で好ましい結果を示すことが期待される。この仮説は、少なくとも、AMPK活性化剤MK-8722とコンジュゲートされた配列番号4~6のるコアゴニストおよびトリアゴニストが、忍容性試験後のマウスにおいて化合物に血糖値に対して改善効果を示すというさらなる知見によって支持される(
図21参照)。さらに、開発されたコンジュゲートは、AMPK活性化剤とグルカゴンアゴニストを組み合わせた二重の機能性を有し、肝脂肪酸酸化に関与する2つの異なる経路を標的とすることができる。
【0011】
ペプチドには、アミノ末端およびカルボキシル末端がある。本発明の文脈において、アミノ末端およびカルボキシル末端は、それぞれN末端およびC末端、および対応する派生形と呼ばれることもある。
【0012】
ペプチドは、遺伝子コードによってコードされるアミノ酸からなる場合もあれば、遺伝子コードによってコードされるアミノ酸と、ヒドロキシプロリン、γ-カルボキシグルタミン酸、オルニチン、ホスホセリン、D-アラニン(dAla)、およびD-グルタミンなどの遺伝子コードによってコードされない天然アミノ酸を含む場合もある。さらに、ペプチドは、D-アラニン、およびD-ロイシン、またはa-アミノイソ酪酸(Aib)、d-セリン(dSer)、N-メチル-セリンなどの合成アミノ酸を組み込んでいる場合もある。
【0013】
ペプチドはいずれの供給源からも得ることができ、または所望によりペプチドを生産することができる。例えば、ペプチドは組織から単離することができ、またはペプチドは、組換えによって生産し、もしくは当業者に周知の方法によって合成することができる。
【0014】
前記コンジュゲート分子は、ペプチドを含んでなり、前記ペプチド(遊離形態)は、天然グルカゴンの少なくとも0.1%の活性をグルカゴン受容体において示す。本発明の文脈において、グルカゴン受容体活性は、グルカゴン活性化とも呼ばれ、グルカゴン受容体(GCCR)を過剰発現するHEK293細胞におけるcAMP誘導を測定することにより、in vitroアッセイで測定することができる。このアッセイは、例えば、引用することにより本明細書の一部とされるFinan et al., Cell 167.3: 843-857 (2016)に記載されるように実施することができる。ある実施形態において、前記コンジュゲートのペプチドは、天然グルカゴンの少なくとも1%の活性、例えば、少なくとも5%、10%、15%、20%、または30%の活性を示す。
【0015】
前記コンジュゲート分子のペプチドは、天然グルカゴンの少なくとも0.1%の活性をグルカゴン受容体において有する任意のペプチドであり得る。ある実施形態において、前記コンジュゲートのペプチドは、グルカゴンスーパーファミリーのものである。グルカゴンスーパーファミリーは、N末端領域およびC末端領域の構造が関連するペプチドのグループである(例えば、引用することにより本明細書の一部とされるSherwood et al., Endocrine Reviews 21: 619-670 (2000)を参照)。このグループのメンバーには、限定されるものではないが、修飾グルカゴン(配列番号1)および非修飾グルカゴン(配列番号2)、および天然ペプチドに対して最大1、2、3、4、5、6、7、8、9または10個のアミノ酸修飾を有する類似体、誘導体またはコンジュゲートを含む、グルカゴン関連ペプチドが含まれる。また、配列番号3の修飾グルカゴン類似体も企図される。このようなペプチドは好ましくは、グルカゴン受容体スーパーファミリーの受容体、好ましくは、グルカゴン受容体と相互作用する能力を保持する。
【0016】
グルカゴン受容体スーパーファミリーの異なる受容体に結合する能力を示すアゴニストまたはトリアゴニスト活性を有するペプチドも企図される。一実施形態において、このようなコアゴニストまたはトリアゴニストは、グルカゴン様ペプチド1(GLP-1)/グルカゴン受容体コアゴニスト(配列番号4)、消化管抑制ポリペプチド(GIP)/グルカゴン受容体コアゴニスト(配列番号5)およびGLP-1/GIP/グルカゴン受容体トリアゴニスト(配列番号6)から選択することができる。
【0017】
ある実施形態において、前記コンジュゲートのペプチドは、配列番号1に対して少なくとも80%のアミノ酸配列同一性を有する。例えば、前記ペプチドは、配列番号1に対して少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または約97%超の同一性を有し得る。一実施形態では、前記ペプチドは、配列番号1に対して少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列を有する。別の実施形態では、前記ペプチドは、配列番号1に対して少なくとも95%の同一性を有するアミノ酸配列を有する。特定の実施形態では、前記ペプチドは、配列番号1のアミノ酸配列を有する。そのようなペプチドは、グルカゴン受容体における天然グルカゴンと比較して、有意に高いグルカゴン活性をグルカゴン受容体において有し得る。従って、そのペプチドは、AMPK活性化剤にコンジュゲートされている場合、グルカゴン受容体の部位により高い速度で蓄積し、次に、AMPK活性化剤の有効性が高まる可能性がある。配列番号1に対して少なくとも80%のアミノ酸配列同一性を有するコンジュゲートのペプチドの一例を
図22に示し、この図は配列番号1のグルカゴンペプチドとコアゴニストGLP-1/グルカゴン(配列番号4)およびトリアゴニストGLP-1/GIP/グルカゴン(配列番号6)とのアミノ酸配列アラインメントを示している。
図22に示すように、配列番号1のグルカゴンとそれぞれ配列番号4および6のコアゴニストおよびトリアゴニストとのアミノ酸の違いは6個のアミノ酸であるので、それぞれ80%および85%の配列同一性となる。
【0018】
前記コンジュゲート分子のペプチドは、そのペプチドが(遊離形態で)天然グルカゴンの少なくとも0.1%の活性をグルカゴン受容体において示すのに十分な長さを有する。一般に、これは、少なくとも10個のアミノ酸を含んでなるペプチドで観察できるが、そのペプチドが60個を超えるアミノ酸を含んでなる場合、その活性が示されない場合がある。従って、ある実施形態において、前記ペプチドは、10~60個のアミノ酸の範囲、例えば、20~50個のアミノ酸の長さを有する。他のペプチドの配列と一定のパーセンテージで同一である本発明のアミノ酸配列は、当業者による配列の手動評価によるか、またはBLAST(Basic Local Alignment Search Tool)などのアルゴリズムを使用したコンピューターによる自動配列比較および同定による、そのペプチドの推定上の識別を提供するのに十分なペプチドのアミノ酸配列、例えば、少なくとも10個のアミノ酸を十分に含んでなるべきである(総説については、Altschul, et al., Meth Enzymol. 266: 460,1996;およびAltschul, et al., Nature Genet. 6: 119, 1994を参照)。
【0019】
本発明の文脈において、ペプチドは、置換、天然もしくは合成アミノ酸の挿入および/またはアミノ酸欠失を有することにより、%同一性が異なり得る。
【0020】
ある実施形態において、前記ペプチドは、アセチル化、脂肪酸コンジュゲーション、二酸コンジュゲーション、アルブミンコンジュゲーション、小分子アルブミンバインダー、および/またはPEGコンジュゲーションによって修飾される。抗体などの担体タンパク質に連結することによって修飾されたペプチドも企図される。修飾は、好ましくは、配列番号1のペプチドのC末端領域内の(N末端から数えて)16、17、20、21、24、および29~40番目に、またはC末端アミノ酸にある。配列番号1の29~40番にはグルカゴン受容体へのペプチドの結合に直接関与するアミノ酸はないことから、これらのアミノ酸は、グルカゴン受容体へのこのペプチドの結合に影響を及ぼすことなく交換および修飾可能である。コンジュゲーションは、ジスルフィド、マレイミド、α-ケトン、またはクリックケミストリーに基づくコンジュゲーションによるなど、任意の好適なリンカーによって行うことができる。当業者は、そのようなコンジュゲートを調製する方法を知っている。好ましくは、PEG分子は1kDaよりも大きく、脂肪酸および二酸は12個を超える炭素原子を含み得る。修飾(PEG/脂肪酸/二酸)とペプチドとの間にスペーサーを付加することが一般に好ましく、リンカーは、好ましくは、γ-Gluリンカー、短いPEG鎖である。
【0021】
前記コンジュゲート分子は、AMPK活性化剤を含んでなる。任意のAMPK活性化剤が、前記コンジュゲートとともに使用され得る。しかしながら、前記AMPK活性化剤は、小分子、例えば、最大900kDaであることが好ましい。例えば、一実施形態では、AMPK活性化剤は、5-アミノイミダゾール-4-カルボキサミド1-β-D-リボフラノシド(AICAR)、(3R,3aR,6R,6aR)-6-((6-([1,1’-ビフェニル]-4-イル)-7-クロロ-3H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-2-イル)オキシ)ヘキサヒドロフロ[3,2-b]フラン-3-オール(MK-8722)、(3R,3aR,6R,6aR)-6-((6-クロロ-5-(4-(1-(ヒドロキシメチル)シクロプロピル)フェニル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-イル)オキシ)ヘキサヒドロフロ[3,2-b]フラン-3-オール(PF-739)、6-クロロ-5-[4-(1-ヒドロキシシクロブチル)フェニル]-1H-インドール-3-カルボン酸(PF-06409577)、塩酸1,1-ジメチルビグアニド(メトホルミン)、4-ヒドロキシ-3-(2’-ヒドロキシ-1,1’-ビフェニル-4-イル)-6-オキソ-6,7-ジヒドロチエノ[2,3-b]ピリジン-5-カルボニトリル(A-769662)、2-クロロ-5-[[5-[[5-(4,5-ジメチル-2-ニトロフェニル)-2-フラニル]メチレン]-4,5-ジヒドロ-4-オキソ-2-チアゾリル]アミノ]安息香酸(PT-1)、2-[[2-(2-ブロモ-4-メチルフェノキシ)エチル]チオ]-ピリミジン(ZLN024)、2-[[4-(ジエチルアミノ)-2-ヒドロキシフェニル]メチレン]ヒドラジド-4-ピリジンカルボン酸(RSVA-405)、およびそれらの類似体から選択される。MK-8722、PF-739およびPF-06409577がこのましい。別の実施形態では、AMPK活性化剤は、PF-06409577の単純な類似体である。PF-06409577のこのような単純な類似体の合成は、実施例3に示され、
図17のスキーム1に示される化合物14a-14eにより例示される。
【0022】
本発明のペプチドとAMPK活性化剤は、共有結合される。本発明の文脈において、前記コンジュゲート分子は、ペプチド-薬物-コンジュゲート(PDC)とも呼ばれる。前記ペプチドとAMPK活性化剤は、直接結合され得る。例えば、AMPK活性化剤は、エーテル結合、エステル結合、カルバミン酸結合、炭酸結合、トリアゾール結合、マレイミド結合およびアミド結合を介して共有結合され得る。
【0023】
本発明の文脈において、直接共有結合しているとは、ペプチドがAMPK活性化剤との共有結合を有すること、例えば、2つの分子の間に、リンカー基などの追加の化学基が存在しないことを意味する。
【0024】
一実施形態において、前記AMPK活性化剤は、前記ペプチドのC末端領域で共有結合している。本発明の文脈において、C末端領域は、C末端から数えてアミノ酸の最大50%、例えば、C末端から数えてアミノ酸の最大40%、30%、25%、20%、または10%であり得る。例えば、配列番号1のC末端領域は、アミノ酸15~40番、26~40番、または30~40番(N末端から数えた番号)であり得る。従って、AMPK活性化剤は、C末端から数えて10個のアミノ酸のいずれか1つに、直接またはリンカーを介して結合され得る。それによって、AMPK活性化剤は、ペプチドのN末端において立体障害をほとんどまたは全く生じない。同じペプチド分子に2つ以上のAMPK活性化剤が結合され得ることも企図される。
【0025】
前記ペプチドとAMPK活性化剤は、リンカーを介しても結合され得る。いかなるリンカーも使用し得る。しかしながら、リンカーは最大30個の原子の長さを有することが一般に好ましい。より長い鎖は、ペプチドがグルカゴン受容体と相互作用する場合、AMPK活性化剤がペプチドに対して立体障害が全くまたはほとんどないように、AMPK活性化剤をペプチドから遠ざけるという利点を有し得る(その逆もある)。ペプチドの立体障害がないかまたは低いと、グルカゴン受容体に対する親和性が高くなる。コンジュゲートのグルカゴン受容体に対する親和性が高くなるほど、グルカゴン受容体の部位での蓄積が多くなる可能性が高い。
【0026】
一実施形態では、AMPK活性化剤は、切断可能な化学的リンカーを介してペプチドに共有結合され、この切断可能な化学的リンカーは、酸切断可能なリンカー、酵素切断可能なリンカー、ペプチド切断可能なリンカー、およびジスルフィド基を含んでなるリンカーから選択される。このようなリンカーは、ペプチド-薬物コンジュゲートにおける使用に関して当技術分野で一般に周知である。このような切断可能なリンカーの例は、グルクロニド、β-ガラクトシド、ジスルフィド、ヒドラゾンを含んでなる化合物であり、かつ/またはこれらの化合物は、ガラクトシダーゼ、グルクロニダーゼ、ピロホスファターゼ、ホスファターゼ、アリールスルファターゼ、プロテアーゼ、またはエステラーゼによって切断可能である。リンカーは好ましくはAMPK活性化剤をその遊離形態(すなわち、天然形態)で放出し、これは本明細書に開示されるジスルフィドリンカーなど、多くの異なるリンカー化学によって達成することができる。これらのリンカー化学およびさらなるリンカー化学は当業者に周知である。
【0027】
好ましい実施形態では、AMPK活性化剤は、ジスルフィド基を含んでなる化学的リンカーを介して前記ペプチドに共有結合される。ジスルフィド基は、化学的に還元されると、ペプチドからAMPK活性化剤を放出させる。ジスルフィド基を含んでなる化学的リンカーは、ジスルフィドリンカーとしても知られ、体循環中、長期間にわたって、前記コンジュゲートのペプチドとAMPK活性化剤がコンジュゲートしたままであることを保証する。ジスルフィドリンカーのジスルフィド基は細胞内環境などの還元環境で還元され、コンジュゲートのペプチド部分がコンジュゲートのAMPK活性化剤部分から分離されるように、コンジュゲートが切断され得る。還元は、例えば、グルタチオンなどのチオール、または細胞内タンパク質ジスルフィドイソメラーゼ酵素などのレダクターゼとのジスルフィド交換によるものであり得る。
【0028】
化学的リンカーは、一般式R’-S-S-R’’(式中、R’およびR’’基は互いに同一であっても異なっていてもよい)を有する当技術分野で公知の化学的リンカーから選択され得る。有利には、前記コンジュゲートは、グルカゴン受容体に対する前記ペプチドの親和性により、体内のグルカゴン受容体の部位におよび/またはその近くに蓄積し得、前記AMPK活性化剤は、グルカゴン受容体の部位におよび/またはその部位の近くに放出され得る。前記コンジュゲートのペプチド部分がない場合、前記AMPK活性化剤は、部位特異的AMPK活性化剤として好適な効果を有し得る。前記コンジュゲートは、グルカゴン受容体を有する細胞に直接隣接する細胞外環境で切断され得るか、または前記コンジュゲートは、グルカゴン受容体を有する細胞によって内在化され、細胞の還元環境で切断され得ることが本発明者らによって推測される。
【0029】
一実施形態において、前記コンジュゲート分子は化学的リンカーを介してコンジュゲートされ、その化学的リンカーは式R1-R3-S-S-R4-R5-O-CO-R2を有し、式中、R1は前記ペプチドであり、R2は前記AMPK活性化剤であり、R3は、任意選択であり、存在する場合、C(CH3)2、CH2-CH2、またはCH2から選択され、前記ペプチドの側鎖にまたは前記ペプチドの主鎖の炭素原子に結合し、R4は(CH2)nまたはC6H4であり、R5は、任意選択であり、存在する場合、C(CH3)2、CH-CH3、CH2-CH2、またはCH2から選択され、nは、1、2、または3である。化学的リンカーが還元されると、前記コンジュゲートの解放されたAMPK活性化剤部分が分子内環化を受け、前記AMPK活性化剤が遊離形態で放出される。
【0030】
一実施形態において、前記化学的リンカーは式R1-R3-S-S-(CH2)n-NH-CO-R2を有し、式中、R1は前記ペプチドであり、R2は前記AMPK活性化剤であり、R3は、任意選択であり、存在する場合、C(CH3)2、CH2-CH2、またはCH2から選択され、前記ペプチドの側鎖にまたは前記ペプチドの主鎖の炭素原子に結合し、nは1、2、または3である。
【0031】
一実施形態において、前記化学的リンカーは式R1-R4-R3-S-S-(CH2)n-NH-CO-R2を有し、式中、R1は前記ペプチドであり、R2は前記AMPK活性化剤であり、R3は、任意選択であり、存在する場合、CH(CH3)2、CH2-CH2、またはCH2から選択され、前記ペプチドの側鎖にまたは前記ペプチドの主鎖の炭素原子に結合し、R4は、任意選択であり、存在する場合、CH(CH3)2、CH2-CH2、またはCH2から選択され、前記ペプチドの側鎖にまたは前記ペプチドの主鎖の炭素原子に結合し、nは1、2、または3である。
【0032】
ある実施形態において、第2のラジカル結合は本発明のペプチドの主鎖に対するものである。
【0033】
別の実施形態において、第2のラジカル結合は本発明のペプチドの側鎖に対するものである。
【0034】
本発明の文脈において、R1が前記ペプチドの主鎖に結合している場合、C(CH3)2(L-ペニシラミン)は、Penと呼ばれることがあり、CH2-CH2(L-ホモシステイン)は、hCysと呼ばれることがあり、CH2(L-システイン)は、Cysと呼ばれることがある。
【0035】
本明細書で使用する場合、第1のおよび第2のラジカル結合は、本明細書に開示される化学的リンカーにおける少なくとも2つの自由な結合の存在を述べるために使用される。
【0036】
別の実施形態では、AMPK活性化剤は、切断不可能なリンカーを介してペプチドに共有結合され、前記切断不可能なリンカーは、ポリエチレングリコール(PEG)リンカー、炭素リンカー、SMCCならびにマレイミド、エーテル、アミド、トリアゾール、ジスルフィド、およびチオエーテルの共役の化学的性質を有するmcから選択される。
【0037】
本発明は、化学的リンカーを介して付加されたペプチドとAMPK活性化剤を含んでなるコンジュゲート分子のライブラリーの設計および合成を容易にする。
図1は、そのようなコンジュゲート分子の設計方法を示している。
図1に示されるように、コンジュゲートは、AMPK活性化剤(
図1のMK-8722)をペプチドに化学的に結合させることによって調製し得る。当業者は、膨大な数の異なる化学的リンカーを本明細書に開示される方法によっても、文献で報告されている他の方法によっても調製し得、これらの化学的リンカーを使用して、本明細書に開示される方法に従って、また公知技術の他の場所で報告されているように、ペプチドおよびAMPK活性化剤を付加し得ることを理解するであろう。
【0038】
本発明者らは、意外にも、本発明のペプチドが減量薬および標的薬として二機能の役割を果たし得、そうでない場合、肝臓への、AMPK活性化剤などの非特異的な小分子の部位選択的送達を可能にすることを見出した。本発明のペプチドのターゲティング特性は、AMPK活性化剤の、例えば、内分泌の膵臓などの他の部位への送達も容易にし得ることが理解される。
【0039】
本明細書に開示されるコンジュゲート分子は、選択性を提供し、また標的の領域における薬物作用を強める。このコンジュゲート分子によって可能になるこのターゲティングは、治療指数の改善、すなわち、最小有効濃度の低下を可能にする。さらに、カップリングにより、グルカゴン受容体を標的とする医薬の有効性に別の代謝薬物作用を追加することが可能である。
【0040】
本発明者らは、本発明のコンジュゲートの食欲、減量に対する驚くべき相乗効果を実証しており、これは、ペプチドまたは薬物単独の投与で得られる効果と比較して有意に大きい(
図3参照)。興味深いことに、食物摂取量から、体重減少は食欲抑制とは無関係であることが示され、その効果は純粋にエネルギー消費量の増加によるものであることが示唆された(
図4および5参照)。
【0041】
本発明者らは、本発明のコンジュゲートの血糖値および血漿コレステロールの低下に対する驚くべき相乗効果をさらに実証しており、これは、ペプチドまたは薬物単独の投与で得られる効果と比較して有意に大きい(
図6~8参照)。本発明のコンジュゲートの驚くべき相乗作用はさらに、配列番号3のグルカゴンとAMPK活性化剤のコンジュゲート(その合成は実施例3に開示)のAMPKを示す
図20に示される知見および化合物忍容性試験後のマウスの血糖値に対する種々のコアゴニストおよびトリアゴニストペプチド(配列番号4~6)/MK8722コンジュゲートの効果を示す
図21に示される知見によって裏付けられる。
【0042】
本発明のある実施形態において、前記コンジュゲート分子は、療法において使用するためのものである。
【0043】
ある実施形態において、本発明のコンジュゲート分子は、肥満、2型糖尿病、高インスリン血症、インスリン抵抗性、耐糖能異常者、高コレステロール血症、非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)および異脂肪血症の処置において使用するためのものである。
【0044】
本発明の別の態様は、本発明によるコンジュゲート分子、および薬学上許容可能な担体を含んでなる医薬組成物に関する。前記コンジュゲート分子の任意の実施形態は、前記医薬組成物において使用し得る。
【0045】
本発明は、本発明によるコンジュゲート分子の、医薬組成物の製造における使用に関する。特に、医薬組成物は、肥満、2型糖尿病、高インスリン血症、インスリン抵抗性、耐糖能異常者、高コレステロール血症、非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)および異脂肪血症の処置において使用するためのものである。前記コンジュゲート分子のいずれの実施形態も、医薬組成物の製造に使用可能である。
【0046】
本発明において開示されるデータは、マウスの研究で得られたものであるが、エネルギー代謝を支配する主要なホルモン経路は、マウスとヒトの間で、同等の受容体発現プロファイルを示す点で類似しているため、結論はヒトにも同様に関連する。
【0047】
本発明のコンジュゲートは、医薬組成物の形態で投与し得る。従って、本発明は、本発明のコンジュゲートまたはその薬学上許容可能な塩、および薬学上許容可能な担体を含んでなる医薬組成物をさらに提供する。医薬処方物は、従来の技術によって調製し得る。簡潔には、薬学上許容可能な担体は、固体または液体のいずれかであり得る。固形調製物には、散剤、錠剤、丸剤、カプセル剤、カシェ剤、坐剤、および分散性顆粒が含まれる。固体担体は、希釈剤、可溶化剤、滑沢剤、懸濁化剤、結合剤、保存剤、湿潤剤、錠剤崩壊剤または封入材料としても機能し得る1以上の賦形剤であり得る。
【0048】
医薬処方物に含まれるコンジュゲートは、滅菌固体の無菌分離によって、または好適なビヒクル、例えば、滅菌パイロジェンフリー水での使用前の構成のために、溶液からの凍結乾燥によって得られる粉末形態であり得る。
【0049】
一実施形態において、前記医薬組成物は、皮下投与、筋肉内投与、腹腔内投与、静脈内投与にまたは経口投与に適している。従って、本発明の組成物は、アンプル、プレフィルドシリンジ、少量輸液での単回投与形態でまたは複数回投与用容器で提供し得、場合により、保存剤が添加される。これらの組成物は、油性または水性ビヒクル中の懸濁液、溶液またはエマルジョンなどの形態をとり得る。
【0050】
本開示に従って、グルカゴン活性を有するペプチドの体重減少効果が単一の様式でAMPK活性化剤と組み合わされる医薬組成物が提供される。グルカゴン活性を有するペプチドを介した肝臓への能動的送達は、例えば、AMPKの活性化により引き起こされる心肥大などの望ましくない有害を回避する。AMPK活性化剤のプラスの代謝効果には、グルコースの取り込み、脂肪酸酸化、ミトコンドリア生合成およびインスリン感受性の改善が含まれ得、これは、ヒトまたは哺乳動物における肥満および肥満関連代謝障害の軽減に有益であり得る。
【0051】
従って、本発明のペプチドとAMPK活性化剤との組合せの治療的有用性は、肥満およびその関連代謝障害の処置のための新しいアプローチを提供する。
【0052】
本発明のさらなる態様は、哺乳動物の体重を減少させる方法であって、本発明のコンジュゲート分子または本発明の医薬組成物を投与することを含んでなる、方法に関する。
【0053】
前記コンジュゲート分子または前記医薬組成物は、皮下、経口、筋肉内、腹腔内、または静脈内に投与し得る。
【0054】
前記コンジュゲート分子、従って、前記医薬組成物も、体重減少に効果的である。そのため、前記コンジュゲート分子および前記医薬組成物は、肥満の処置において任意のレベルで使用し得る。肥満は、体格指数(BMI)として表すことができ、これは、体重を身長の2乗で割ったものとして定義され、例えば、kg/m2の単位で表される。理論に縛られることを望むものではないが、本発明者らは、病原性肥満と非病原性肥満との間の限界値を規定するためにBMIを使用することができると考えている。例えば、本発明の文脈において、BMI 30kg/m2が、病原性肥満と非病原性肥満との間の限界値と解釈される場合がある。しかしながら、他のBMI値もまた、病原性肥満と非病原性肥満との間の限界値を規定すると考えることができる。従って、例えば、BMI値 24kg/m2、25kg/m2、26kg/m2、27kg/m2、28kg/m2、29kg/m2、30kg/m2、31kg/m2、32kg/m2、33kg/m2、34kg/m2、および35kg/m2は、病原性肥満と非病原性肥満との間の限界値を規定すると考えられる。
【0055】
さらなる態様において、本発明は、体重を減少させるための哺乳動物の非治療的処置であって、本発明によるコンジュゲート分子を前記哺乳動物に経口投与することを含んでなる処置に関する。例えば、哺乳動物は、非病原性BMIを有し得る。具体的には、この方法は、非病原性肥満を規定する限界値を下回るBMIを有する対象に前記コンジュゲート分子を経口投与することを含んでなり得る。
【0056】
上記において、本発明は、主にいくつかの実施形態を参照して説明してきた。しかしながら、当業者には容易に理解されるように、上に開示したもの以外の実施形態も本発明の範囲内で等しく可能である。
【0057】
以下、非限定的な実施例により、本発明の他の態様および有利な特徴を詳細に説明する。
【0058】
一般に、本明細書で使用される総ての用語は、当技術分野での通常の意味に従って解釈されるべきであり、明示的に定義されるかまたは特に断りのない限り、本発明の総ての態様および実施形態に適用可能である。「1つの(a/an)/その(the)[コンジュゲート、分子、リンカー、ペプチドなど]」への総ての言及は、明示的に特に断りのない限り、前記コンジュゲート、薬剤、分子、リンカー、ペプチドなどの少なくとも1つの実例を指すものとしてオープンに解釈されるべきである。
【0059】
本発明の文脈において、用語グルカゴンとは、グルカゴンスーパーファミリーのペプチドである。本発明のペプチドはまた、体重減少ホルモンペプチドであり、本発明のコンジュゲート分子の肝臓への能動的送達因子として機能すると考えられ得る。
【0060】
本発明の文脈において、用語「ペプチド」とは、ペプチド結合によって連結された10~60個のアミノ酸のストレッチから構成される化合物を意味する。
【0061】
用語「類似体」とは、グルカゴンペプチドおよびAMPK活性化剤に関して本明細書で使用する場合、類似のまたは同等の生物学的特性および効果を有するペプチドまたは化合物または薬物を意味する。
【0062】
ペプチドまたはアミノ酸に関して本明細書で使用される用語「誘導体」とは、化学的に修飾されたペプチドまたはアミノ酸を意味し、少なくとも1つの置換基は非修飾のペプチドまたはアミノ酸またはその類似体に存在しないもの、すなわち、共有結合により修飾されているペプチドまたはアミノ酸を意味する。典型的な修飾は、アミド、炭水化物、アルキル基、アシル基、エステルなどである。
【0063】
本発明の文脈において、用語「パーセンテージ同一性」または「%同一性」とは、特に、BLASTアルゴリズムを使用して、比較した2つのペプチド間で同一のアミノ酸の割合%を意味する。
【0064】
用語「AMPK活性化剤」は、本明細書で使用する場合、AMP活性化タンパク質キナーゼ(AMPK)の活性化剤またはアゴニストまたは刺激剤である化合物を意味する。AMPK活性化剤の例としては、限定されるものではないが、5-アミノイミダゾール-4-カルボキサミド1-β-D-リボフラノシド(AICAR)、(3R,3aR,6R,6aR)-6-((6-([1,1’-ビフェニル]-4-イル)-7-クロロ-3H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-2-イル)オキシ)ヘキサヒドロフロ[3,2-b]フラン-3-オール(MK-8722)、(3R,3aR,6R,6aR)-6-((6-クロロ-5-(4-(1-(ヒドロキシメチル)シクロプロピル)フェニル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-イル)オキシ)ヘキサヒドロフロ[3,2-b]フラン-3-オール(PF-739)、6-クロロ-5-[4-(1-ヒドロキシシクロブチル)フェニル]-1H-インドール-3-カルボン酸(PF-06409577)、塩酸1,1-ジメチルビグアニド(メトホルミン)、4-ヒドロキシ-3-(2’-ヒドロキシビフェニル-4-イル)-6-オキソ-6,7-ジヒドロチエノ[2,3-b]ピリジン-5-カルボニトリル(A-769662)、2-クロロ-5-[[5-[[5-(4,5-ジメチル-2-ニトロフェニル)-2-フラニル]メチレン]-4,5-ジヒドロ-4-オキソ-2-チアゾリル]アミノ]安息香酸(PT-1)、2-[[2-(2-ブロモ-4-メチルフェノキシ)エチル]チオ]-ピリミジン(ZLN024)、2-[[4-(ジエチルアミノ)-2-ヒドロキシフェニル]メチレン]ヒドラジド-4-ピリジンカルボン酸(RSVA-405)が挙げられる。
【図面の簡単な説明】
【0065】
本発明の上記ならびに追加の目的、特徴、および利点は、添付の図面を参照して、本発明の実施形態の以下の例示的かつ非限定的な詳細な説明によってよりよく理解される。
【
図1】
図1は、ペプチドとAMPK活性化剤のコンジュゲートの一例を示す。
【
図2】
図2は、
図1のコンジュゲートからMK-8722が放出される機構を示す。
【
図3】
図3は、配列番号1のペプチドとMK-8722(グルカゴンPen40/MK-8722)のコンジュゲートの減量効果を示す。
【
図4】
図4は、マウスの1日当たりの食物摂取に対するグルカゴンPen40/MK-8722コンジュゲートの効果を示す。
【
図5】
図5は、マウスの累積食物摂取に対するグルカゴンPen40/MK-8722コンジュゲートの効果を示す。
【
図6】
図6は、化合物忍容性試験(CTT)、後のマウスの血糖値に対するグルカゴンPen40/MK-8722コンジュゲートの効果を示す。
【
図7】
図7は、腹腔内糖負荷試験(IpGTT)後のマウスの血糖値に対するグルカゴンPen40/MK-8722コンジュゲートの効果を示す。
【
図8】
図8は、マウスの血漿コレステロールに対するグルカゴンPen40/MK-8722コンジュゲートの効果を示す。
【
図9】
図9は、配列番号1のペプチドとAICARのコンジュゲート(グルカゴンPen40/AICAR)の減量効果を示す。
【
図10】
図10は、マウスの1日当たりの食物摂取に対するグルカゴンPen40/AICARコンジュゲートの効果を示す。
【
図11】
図11は、マウスの累積食物摂取に対するグルカゴンPen40/AICARコンジュゲートの効果を示す。
【
図12】
図12は、化合物忍容性試験(CTT)後のマウスの血糖値に対するグルカゴンPen40/AICARコンジュゲートの効果を示す。
【
図13】
図13は、腹腔内糖負荷試験(IpGTT)後のマウスの血糖値に対するグルカゴンPen40/AICARコンジュゲートの効果を示す。
【
図14】
図14は、マウスの血漿コレステロールに対するグルカゴンPen40/AICARコンジュゲートの効果を示す。
【
図15】
図15は、化学的リンカー誘導体化AICARを合成するための合成経路を示す。
【
図16】
図16は、化学的リンカー誘導体化MK-8722の合成経路を示す。
【
図17】
図17は、実施例3に従って合成される配列番号3のグルカゴンペプチドとAMPK活性化剤化合物のコンジュゲートの合成経路の一部を示す。
【
図18】
図18は、実施例3に従って合成される配列番号3のグルカゴンペプチドとAMPK活性化剤化合物のコンジュゲートの合成経路のさらなる一部を示す。
【
図19】
図19は、実施例3に従って合成される配列番号3のグルカゴンペプチドとAMPK活性化剤化合物のコンジュゲートの合成経路のさらなる一部を示す。
【
図20】
図20は、実施例3に従って合成される配列番号3のグルカゴンペプチドとAMPK活性化剤化合物のコンジュゲートを試験するAMPK活性アッセイからの結果を示す。
【
図21】
図21は、化合物忍容性試験後のマウスの血糖値に対する、AMPK活性化剤MK8722とコンジュゲートされた配列番号4~6の種々のコアゴニストおよびチリアゴニストペプチドの効果を示す。
【
図22】
図22は、配列番号4~6のコアゴニストおよびチリアゴニストペプチドと配列番号1のグルカゴンペプチドとのアミノ酸配列アラインメントを示す。
【発明を実施するための形態】
【0066】
詳細な説明
図1は、化学的リンカー104を介して配列番号1のペプチド103のC末端システイン102に化学的に付加されたMK-8722 101からなる、化学的リンカー104がジスルフィド基105を含んでなる、ペプチドとAMPK活性化剤のコンジュゲート100の一例を示す。C末端システイン102の側鎖106は、場合により、側鎖106の長さnが1または2個の炭素原子であるように、誘導体化されてもよい。側鎖106のhCys40と呼ばれる修飾は、n=2個の炭素原子の長さを有し、R=水素である。側鎖106のhCys40と呼ばれる修飾は、n=1個の炭素原子の長さを有し、R=メチルである。通常のシステインはCys40と呼ばれる。
【0067】
図2は、
図1のコンジュゲート100からMK-8722が放出される機構を示す。ジスルフィド基105を含んでなる化学的リンカー104は、自壊性であり、細胞内環境などの還元環境(示していない)で還元されてチオール基を生成し、コンジュゲート100のMK-8722部分101からこのコンジュゲートのペプチド部分103を分離し得る。この分子のMK-8722部分101において、解放された求核性チオール109が自発的分子内環化を受けて、MK-8722を天然の非修飾MK-8722薬物(MK-8722の遊離形態)として放出する。
【0068】
図3~14は、実施例2に開示されているin vivoマウス試験の結果を示す。
【0069】
図3は、7日間処置した食餌誘発性肥満(DIO)マウスの体重パーセンテージ(BW%)で測定した
図1および2に示されるリンカーを介して化学的に付着された配列番号1のペプチドとMK-8722のコンジュゲート(グルカゴン-Pen40/MK-8722)(100nmol/kg)および等モル用量の配列番号1のペプチド(グルカゴンPen40)またはMK-8722の減量効果を示す。データは平均±SEMとして表し、Nは各群8である。グルカゴンPen40またはMK-8722のいずれかの単剤療法で処置したマウスは、約4% BW%減というわずかな体重減少しか示さなかった。BW%の最も著しい減少は、グルカゴンPen40/MK-8722で処置したDIOマウスで見られ、このコンジュゲートは7日の処置の後に約10% BW%の減少を示した。さらに、曲線の傾きに基づけば、処置を延長すれば、グルカゴンPen40/MK-8722でさらなる体重減少が予想されると思われる。
【0070】
図4は、7日間処置したDIOマウスの1日当たりの食物摂取(グラム/日)に対するグルカゴンPen40/MK-8722(100nmol/kg)または等モル用量のグルカゴンPen40もしくはMK-8722の効果を示す。データは、平均±SEMとして表し、各群N=8である。7日の処置の間、グルカゴンPen40、MK-8722またはグルカゴンPen40/MK-8722で処置したマウスは、対照群(ビヒクル、すなわち、生理食塩水)のマウスと同等の1日当たりの食物摂取を示した。試験の終了時に、グルカゴンPen40で処置したマウスは、対照群(ビヒクル)に比べて食物摂取に若干の低下を示した。
【0071】
図5は、6日間処置したDIOマウスの累積食物摂取(累積FI、グラム/日)に対するグルカゴンPen40/MK-8722および等モル用量のグルカゴンPen40またはMK-8722の効果を示す。データは、平均±SEMとして表し、各群N=8である。処置経過にわたって、グルカゴンPen40、MK-8722またはグルカゴンPen40/MK-8722で処置したマウスは、対照群(ビヒクル、すなわち、生理食塩水)のマウスと同等の累積食物摂取を示した。
【0072】
図6および7は、処置経過の7日目における化合物忍容性試験(CTT)(
図6)または腹腔内糖負荷試験(ipGTT)(
図7)のいずれかを受けたDIOマウスの血糖値(mmol/L)に対するグルカゴンPen40/MK-8722および等モル用量のグルカゴンPen40またはMK-8722の効果を、対照群(ビヒクル、すなわち、生理食塩水)と比較して示す。血糖値は、40時間(CTT、
図6)および2時間(IpGTT、
図7)にわたって測定した。データは、平均±SEMとして表し、各群N=5~6である。一般に、グルカゴンPen40/MK872は、血糖値に対照群に比べて有意に低い初期増加を示した(ストレス負荷直後、>1時間)。
【0073】
図8は、7日間処置したDIOマウスの血漿コレステロール値(mg/dL)に対するグルカゴンPen40/MK-8722および等モル用量のグルカゴンPen40またはMK-8722の効果を、対照群(ビヒクル、すなわち、生理食塩水)と比較して示す。データは、平均±SEMとして表し、各群N=5~6である。グルカゴンPen40/MK-8722で処置したマウスに関して、血漿コレステロール値の有意な低下が見られた。さらに、コンジュゲートで処置したマウスは、ビヒクルに比べてはるかに低い血漿コレステロール値(100mg/dL対200mg/dL)を示しただけでなく、このコンジュゲートは、単剤療法として投与されたMK-8722およびグルカゴンPen40よりも明らかに優れていた。
【0074】
図9は、7日間処置した食餌誘発性肥満(DIO)マウスの体重パーセンテージ(BW%)で測定した、
図1および2に示されるリンカーを介して化学的に付着された配列番号1のペプチドとAICARのコンジュゲート(グルカゴン-Pen40/AICAR)(100nmol/kg)および等モル用量の配列番号1のペプチド(グルカゴンPen40)またはAICARの減量効果を示す。データは、平均±SEMとして表し、各群N=8である。グルカゴンPen40もしくはAICARのいずれかの単剤療法またはコンジュゲートとしてのグルカゴンPen40/AICARで処置したマウスは、対照群(ビヒクル、すなわち、生理食塩水)に比べて、体重に約4%BW%減というわずかな減少を示したに過ぎなかった。BW%における最高の減少は、グルカゴンPen40単独またはコンジュゲートとしてのグルカゴンPen40/AICARのいずれかで処置したDIOマウスに見られ、両方とも7日の処置の後に約5%BW%の減少を示した。
【0075】
図10は、7日間処置したDIOマウスの1日当たりの食物摂取(グラム/日)に対するグルカゴンPen40/AICAR(100nmol/kg)または等モル用量のグルカゴンPen40またはAICARの効果を示す。データは、平均±SEMとして表し、各群N=8である。7日の処置の間、グルカゴンPen40、AICARまたはグルカゴンPen40/AICARで処置したマウスは、対照群(ビヒクル、すなわち、生理食塩水)のマウスと同等の1日当たりの食物摂取を示した。試験の終了時に、グルカゴンPen40またはグルカゴンPen40/AICARで処置したマウスは、食物摂取に対照群(ビヒクル)およびAICARに比べてわずかな減少を示した。曲線の傾きに基づけば、処置を延長すれば、グルカゴンPen40/AICARまたはグルカゴンPen40で食物摂取にマイナスの傾向が予想されると思われる。
【0076】
図11は、6日間処置したDIOマウスの累積食物摂取(累積FI、フラム/日)に対するグルカゴンPen40/AICARおよび等モル用量のグルカゴンPen40またはAICARの効果を示す。データは、平均±SEMとして表し、各群N=8である。処置の経過にわたって、グルカゴンPen40、AICARまたはグルカゴンPen40/AICARで処置したマウスは、対照群(ビヒクル、すなわち、生理食塩水)のマウスと同等の累積食物摂取を示した。
【0077】
図12および13は、処置経過の7日目における、CTT(
図12)またはipGTT(
図13)のいずれかを受けたDIOマウスの血糖値(mmol/L)に対するグルカゴンPen40/AICARおよび等モル用量のグルカゴンPen40またはAICARの効果を、対照群(ビヒクル、すなわち、生理食塩水)と比較して示す。血糖値は40時間(CTT、
図12)および2時間(IpGTT、
図13)にわたって測定した。データは、平均±SEMとして表し、各群N=5~6である。両ストレス試験において、グルカゴンPen40/AICARは、血糖値に対照群に比べて有意に低い初期増加を示した(ストレス負荷直後、>1時間)。
【0078】
図14は、7日間処置したDIOマウスの血漿コレステロール値(mg/dL)に対するグルカゴンPen40/AICARおよび等モル用量のグルカゴンPen40またはAICARの効果を、対照群(ビヒクル、すなわち、生理食塩水)と比較して示す。データは、平均±SEMとして表し、各群N=5~6である。血漿コレステロール値における最高の減少は、グルカゴンPen40またはグルカゴンPen40/AICARで処置したマウスで見られた。AICAR単独で処置したマウスは、対照群と同等の血漿コレステロール値を示し、血漿コレステロールに対するAICARの効果は限定的なものであると結論づけられた。
【0079】
図20は、合成された、AMPK活性化剤化合物と配列番号3のグルカゴンペプチドのコンジュゲート化合物22a~22dおよび23a~23e(実施例3)のAMPK活性アッセイ(実施例4)の結果を示す。結果は、合成されたコンジュゲート化合物22a~22dおよび23a~23eは、対照化合物PF-06409577(PF)およびMK-8722(Glixx lab;GLXC-11445)に比べて同等または改善されたAMPK活性を呈することを示す。
【0080】
図21は、急性化合物忍容性試験を受けたDIOマウスの血糖値(mM)に対するコアゴニストおよびトリアゴニストペプチド(配列番号4~6)とMK8722の種々のコンジュゲートの効果を、対照群(ビヒクル、すなわち、生理食塩水)と比較して示す。血糖値は、皮下注射の24時間後に測定した。データは、平均±SEMとして表し、各群N=8である。一般に、3種類のコンジュゲートグルカゴン/GLP-1/MK8722、グルカゴン/GIP/MK8722およびグルカゴン/GLP-1/GIP/MK8722(
図21では「トリアゴニスト」と表示)は、ビヒクルまたはコアゴニストおよびトリアゴニストペプチド単独で処置した群に比べて有意に低い血糖値を示す。
【0081】
図22は、薬物コンジュゲートに使用した配列番号4~6のコアゴニストおよびトリアゴニストペプチドと配列番号1のグルカゴンペプチドのアミノ酸配列アラインメントを示し、X
1は、D-アラニン、D-セリン、α-アミノイソ酪酸、N-メチル-セリン、グリジンまたはバリンであり、X
2は、システイン(hCys40/Cys40)またはL-ペニシラミン(Pen40)である。
【0082】
結論
示されたデータは、グルカゴン類似体とAMPK活性化剤の化学的コンジュゲーションが、肥満、糖尿病およびNASHを含む代謝障害を効果的に逆転させるための新規な医療戦略となることを実証している。この戦略に基づくコンジュゲートは、グルカゴン対照と比較して、体重およびコレステロールレベルの低下において優れており、AMPK活性化剤の中枢的作用に悪影響を及ぼすという欠点はない。
【実施例】
【0083】
実施例1:ペプチドおよびペプチド-AMPK活性化剤コンジュゲートの調製
材料:総ての溶媒および試薬は、商業的供給源から購入し、さらに精製することなく使用した。ペプチドの伸長には、H-Rink amide ChemMatrix(登録商標)樹脂を使用した。特に明記しない限り、Fmoc保護(9-フルオレニルメチルカルバメート)アミノ酸は、Iris-BiotechまたはGyros Protein Technologiesから購入し、H-Rink amide ChemMatrix(登録商標)樹脂、35~100メッシュ;ローディング0.40~0.60mmol/gはSigma Aldrichから購入した。市販のNα-Fmocアミノ酸ビルディングブロックは、次の側鎖保護類似体として購入した:Arg、Pmc;Asp、OtBu;Cys、Trt;Gln、Trt;His、Trt;Lys、Trt;Ser、tBu;およびTrp、Boc(Pmc=2,2,5,7,8-ペンタメチルコマン-6-スルホニル、OtBu=tert-ブチルエステル、Trt=トリチル、Boc=tert-ブチルオキシカルボニル、およびtBu=tert-ブチルエーテル)。
【0084】
総てのペプチドおよびペプチドとAMPK活性化剤のコンジュゲートを、C18カラム(Zorbax Eclipse、XBD-C18、4.6×50mm)使用のAgilent 6410 トリプル四重極マスフィルターと連動した分析用逆相超高速液体クロマトグラフィー(RP-UPLC)(Waters)およびエレクトロスプレーイオン化液体クロマトグラフィー質量分析(ESI-LCMS)により特性評価した。ESI-LCMSは、H2O:MeCN:TFA(A:95:5:0.1、B:5:95:0.1)で構成される二成分バッファー系を用いた、0.75mL/分の流量での溶出であった。純度は、C18カラム(Acquity UPLC BEH C18、1.7μm、2.1×50mm)を備えたRP-UPLCによって決定し、H2O:MeCN:TFA(A:95:5:0.1、B:5:95:0.1)で構成される二成分バッファー系を用いて、0.45mL/分の流量で溶出した。
【0085】
Fmoc保護スキームの自動ペプチド合成プロトコール:ペプチドは、10mLガラス容器を備えたPrelude X、誘導加熱使用によるペプチド合成装置(Gyros Protein Technologies、トゥーソン、AZ、USA)を使用して、C末端がアミド化された誘導体として調製した。総ての試薬は、DMF中のストック溶液として新たに調製した:Fmoc保護アミノ酸(0.2M)、HCTU(0.5M)、DIPEA(1.0M)およびピペリジン(20%v/v)。ペプチドの伸長は、次のプロトコールを使用した連続合成操作によって達成した:脱保護(2×2分、室温、300rpmでの振盪)およびカップリング(2×5分、75℃、300rpmでの振盪、ArgおよびHisの場合、2×5分、50℃、300rpmでの振盪)。ペプチドは、樹脂と比較して5倍過剰でAA/HCTU/DIPEA(比 1:1.25:2.5)からなるダブルおよびトリプルカップリングを使用して調製した。
【0086】
精製:粗ペプチドまたはペプチドとAMPK活性化剤のコンジュゲートを、精製前にRP-UPLCおよびESI-LCMSまたはMALDI-TOF質量分析法で分析した。精製は、逆相C18カラム(Zorbax、300 SB-C18、21.2×250mm)を備えた、H2O:MeCN:TFA(A:95:5:0.1;B:5:95:0.1)の二成分バッファー系を使用して線形勾配(流量20mL/分)で溶出する逆相高速液体クロマトグラフィー(RP-HPLC)システム(Waters)で実行した。画分を0.3分間隔で収集し、ESI-LCMSによる特性評価を行った。純度は、RP-UPLCによって214nmで決定し、純度>95%の画分をプールし、凍結乾燥した。最終凍結乾燥生成物をさらなる実験に使用した。
【0087】
ペプチドとAMPK活性化剤のコンジュゲートのアセンブリーのためのコンジュゲーションプロトコール:純粋ペプチドおよび純粋チオピリジル活性化AMPK活性化剤コンジュゲートを二成分溶媒系(A:H2O中、DMF;6Mグアニジン、1.5Mイミダゾール、pH=8)に溶解し(比 7:1)、少なくとも2時間撹拌した。粗反応混合物を分析用RP-UPLCおよびESI-LCMSによって監視した。完了したら、反応混合物をバッファーAおよびバッファーBで希釈し、線形勾配で溶出するRP-HPLCを使用して直接精製した。
【0088】
脱塩:総てのペプチドを生物学的実験の前に脱塩した。脱塩は、ペプチドまたはペプチドとAMPK活性化剤のコンジュゲートを0.01M希HCl水溶液に連続的に再溶解し、続いて、凍結乾燥することによって行い、3回繰り返した。ペプチドまたはコンジュゲートの純度は、in vivoまたはin vitro実験に使用するまで、RP-UPLCおよびESI-LCMSによって監視した。
【0089】
2-(ピリジン-2-イルジスルファンイル)エタン-1-アミン塩酸塩。磁気撹拌バーを備えた乾燥シュランク丸底フラスコ中、N2雰囲気下で、2’-アルドリチオール(5.00g、22.70mmol、3.0当量)を乾燥MeOH(20mL)に溶解し、続いて、塩酸システアミン(859.5mg、7.57mmol、1.0当量)を滴下した。反応物を室温で2時間撹拌した後、真空濃縮した。黄色の粗油をシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィー(CH2Cl2:MeOH 17:3)によって精製するか、またはMeOHに再溶解し、冷エーテルで沈殿させて、2-(ピリジン-2-イルスルファンイル)エタン-1-アミン塩酸塩を白色結晶として得た(1.39g、>95%)。Rf=0.22;UPLC/MS(ESI):C7H10N2S2[M+H]+についてのm/z計算値=187.0、測定値187.2; 1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 8.51 (dt, J = 4.9, 1.4 Hz, 1H), 8.23 (s, 3H), 7.84 (td, J = 7.7, 1.9 Hz, 1H), 7.78 - 7.72 (m, 1H), 7.30 (ddd, J = 7.4, 4.8, 1.1 Hz, 1H), 3.14 - 3.06 (m, 4H); 13C NMR (101 MHz, DMSO) δ 158.05, 149.83, 137.91, 121.64, 120.08, 37.67, 34.79.
【0090】
5-アミノ-1-((3aR,4R,6R,6aR)-6-(ヒドロキシメチル)-2,2-ジメチルテトラヒドロフロ[3,4-d][1,3]ジオキソール-4-イル)-1H-イミダゾール-4-カルボキサミド。磁気撹拌バーを備えた、火炎乾燥させたシュランク丸底フラスコ中、乾燥アセトン(360mL)中、Aicar(5.50g、21.3mmol、1.0当量)の撹拌懸濁液に、過塩素酸(70%、2.38mL、27.69mmol、1.3当量)を加えた。3時間室温で撹拌した後、0℃で水酸化アンモニウム(4.04mL、29.83mmol、1.4当量)を滴下することで反応を急冷した。得られた固体を濾過し、乾燥させ、5-アミノ-1-((3aR,4R,6R,6aR)-6-(ヒドロキシメチル)-2,2-ジメチルテトラヒドロフロ[3,4-d][1,3]ジオキソl-4-イル)-1H-イミダゾール-4-カルボキサミドを白色結晶として得た(4.26g、67%)。純度>95%(HPLC、20分で0-50B)、Rt=16.60分; UPLC/MS(ESI):C12H19N4O5[M+H]+についてのm/z計算値=299.1、測定値299.4;1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 7.37 (s, 1H), 6.74 (d, J = 50.9 Hz, 2H), 5.93 (s, 2H), 5.75 (d, J = 3.6 Hz, 1H), 5.27 (t, J = 4.9 Hz, 1H), 5.08 (dd, J = 6.3, 3.7 Hz, 1H), 4.87 (dd, J = 6.4, 2.9 Hz, 1H), 4.10 (q, J = 3.7 Hz, 1H), 3.52 (tq, J = 11.7, 6.1, 4.7 Hz, 2H), 3.31 (s, 1H), 1.53 (s, 3H), 1.32 (s, 3H); 13C NMR (101 MHz, DMSO) δ 166.60, 142.75, 128.16, 113.38, 112.82, 88.58, 84.97, 82.31, 80.53, 61.00, 26.96, 25.20.
【0091】
((3aR,4R,6R,6aR)-6-(5-アミノ-4-カルバモイル-1H-イミダゾール-1-イル)-2,2-ジメチルテトラヒドロフロ[3,4-d][1,3]ジオキソl-4-イル)メチル (2-(ピリジン-2-イルジスルファンイル)エチル)カルバメート。磁気撹拌バーを備えた、火炎乾燥させたシュランク丸底フラスコ中、N2雰囲気下で、5-アミノ-1-((3aR,4R,6R,6aR)-6-(ヒドロキシメチル)-2,2-ジメチルテトラヒドロフロ[3,4-d][1,3]ジオキソl-4-イル)-1H-イミダゾール-4-カルボキサミド(600.0mg、2.01mmol、1.0当量)を乾燥DMF(20mL)に溶解し、続いて、N,N-カルボニルジイミダゾール(391.0mg、2.41mmol、1.2当量)および乾燥ピリジン(488μL、6.03mmol、3.0当量)を加えた。反応をUPLC-MSによって継続的に監視した。活性化カルバメートに完全に変換した際に、2-(ピリジン-2-イルジスルファンイル)エタン-1-アミン塩酸塩(468.4mg、3.02mmol、1.5当量)を加え、反応物を油浴で45℃に加熱し、22時間撹拌した。化合物2-(ピリジン-2-イルジスルファンイル)エタン-1-アミン塩酸塩は反応が進むにつれ可溶化した。完了したところで(UPLC-MSより監視)、反応物を、CH2Cl2(75mL)が入った分液漏斗に移し、水(3×50ml)およびブライン(2×50mL)で洗浄した。有機層をMgSO4で乾燥させ、真空濃縮した。粗油を、勾配(CH2Cl2→CH2Cl2:MeOH 19:1→CH2Cl2:MeOH 9:1)を用いるシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィーによって精製することにより精製し、((3aR,4R,6R,6aR)-6-(5-アミノ-4-カルバモイル-1H-イミダゾール-1-イル)-2,2-ジメチルテトラヒドロフロ[3,4-d][1,3]ジオキソール-4-イル)メチル (2-(ピリジン-2-イルジスルファンイル)エチル)カルバメートを白色結晶固体として得た(916mg、89%);純度>95%(HPLC、20分で0-50B)、Rt=16.60分; UPLC/MS(ESI):C20H27N6O6S2[M+H]+についてのm/z計算値=511.1、測定値511.2;1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 8.51 - 8.28 (m, 1H), 7.86 - 7.73 (m, 2H), 7.51 (t, J = 5.7 Hz, 1H), 7.39 (s, 1H), 7.24 (ddd, J = 7.3, 4.8, 1.2 Hz, 1H), 6.76 (d, J = 31.7 Hz, 2H), 5.90 (s, 2H), 5.78 (d, J = 3.5 Hz, 1H), 5.17 (dd, J = 6.3, 3.5 Hz, 1H), 4.84 (dd, J = 6.3, 3.0 Hz, 1H), 4.24 (q, J = 4.4 Hz, 1H), 4.11 - 3.97 (m, 2H), 3.28 (q, J = 6.5 Hz, 2H), 2.90 (t, J = 6.1 Hz, 2H), 2.52 (d, J = 2.3 Hz, 1H), 1.53 (s, 3H), 1.32 (s, 3H). 13C NMR (101 MHz, DMSO) δ 166.42, 159.01, 155.61, 149.58, 142.90, 137.79, 127.51, 121.19, 119.29, 113.72, 112.47, 87.60, 82.49, 82.27, 80.52, 63.70, 37.53, 26.87, 25.19.
【0092】
(2R,3S,4R,5R)-5-(5-アミノ-4-カルバモイル-1H-イミダゾール-1-イル)-3,4-ジヒドロキシテトラヒドロフラン-2-イル)メチル (2-(ピリジン-2-イルジスルファンイル)エチル)カルバメート。スクリューキャップ付きの10mLバイアル中、((3aR,4R,6R,6aR)-6-(5-アミノ-4-カルバモイル-1H-イミダゾール-1-イル)-2,2-ジメチル-テトラヒドロフロ[3,4-d][1,3]ジオキソール-4-イル)メチル(2-(ピリジン-2-イルジスルファンイル)エチル)カルバメート(80.0mg、0.16mmol、1.0当量)をMeCNと1.0M HCl水溶液の1:3混合物に溶解し、3時間振盪機に置おいた(Until HPLCおよびUPLC-MSが完全な変換を示すまで)。次に、反応混合物を凍結乾燥させて(2R,3S,4R,5R)-5-(5-アミノ-4-カルバモイル-1H-イミダゾール-1-イル)-3,4-ジヒドロキシテトラ-ヒドロフラン-2-イル)メチル(2-(ピリジン-2-イルジスルファンイル)エチル)カルバメートを二塩酸塩として得た(84mg>95%)。純度>95%(HPLC、20分で0-50B)、Rt=11.62分;UPLC/MS(ESI):C17H23N6O6S2[M+H]+についてのm/z計算値=471.1、測定値471.4;1H NMR (600 MHz, DMSO-d6) δ 8.82 (s, 1H), 8.46 (dd, J = 5.0, 1.8 Hz, 1H), 7.85 (td, J = 7.8, 1.9 Hz, 1H), 7.79 (d, J = 8.0 Hz, 1H), 7.60 (t, J = 5.8 Hz, 1H), 7.26 (ddd, J = 7.5, 4.8, 1.1 Hz, 1H), 5.78 (d, J = 4.8 Hz, 1H), 4.37 (t, J = 5.0 Hz, 1H), 4.19 (m, 2H), 4.03 (m, 1H), 3.29 (q, J = 6.4 Hz, 2H), 2.92 (m, 2H); 13C NMR (151 MHz, DMSO) δ 162.32, 161.07, 158.92, 155.79, 149.35, 142.90, 138.13, 127.63, 121.31, 119.51, 103.12, 88.46, 83.31, 73.73, 69.93, 63.80, 37.58.
【0093】
(3S,3aS,6S,6aS)-6-((5-([1,1’-ビフェニル]-4-イル)-6-クロロ-1H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-2-イル)オキシ)ヘキサヒドロフロ[3,2-b]フラン-3-イル(2-(ピリジン-2-イルジスルファンイル)エチル)カルバメート。火炎乾燥させた丸底フラスコ中、アルゴン雰囲気下で、MK-8722(12mg、0.027mmol、1.0当量)、N,N-カルボニルジイミダゾール(5.2mg、0.032mmol、1.2当量)および乾燥ピリジン(6.5μL、0.08mmol、3.0当量)を乾燥DMF(1mL)に溶解し、周囲温度で一晩、振盪機(500rpm)に置いた。活性化カルバメートの形成をUPLC-MSによって確認した;UPLC/MS(ESI):C28H24ClN5O5[M+2H]2+についてのm/z計算値=272、6 測定値272.4。UPLC-MSによって監視して完全に変換時されたところで、乾燥DMF(1mL)中、2-(ピリジン-2-イルジスルファンイル)エタン-1-アミン塩酸塩(7.48mg、0.040mmol、1.5当量)にシリンジを介して加え、温度を50℃に上げ、一晩置いた。反応混合物をH2O:MeCN(1:1)で希釈し、分取HPLC(20mL/分で0から100%Bへの勾配で溶出)によって精製し、続いて、凍結乾させて、(3S,3aS,6S,6aS)-6-((5-([1,1’-ビフェニル]-4-イル)-6-クロロ-1H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-2-イル)オキシ)ヘキサヒドロフロ[3,2-b]フラン-3-イル(2-(ピリジン-2-イルジスルファンイル)エチル)カルバメートを白色固体として得た(11.6mg、66%);純度>95%(HPLC)、RT=16.77分;UPLC-MS;UPLC/MS(ESI):C32H30ClN5O5S2[M+2H]2+についてのm/z計算値=331、6 測定値331.5;1H NMR (600 MHz, DMSO-d6) δ 8.49 - 8.43 (m, 1H), 7.95 (s, 1H), 7.83 (td, J = 7.7, 1.9 Hz, 1H), 7.81 - 7.72 (m, 7H), 7.59 (t, J = 5.7 Hz, 1H), 7.50 (t, J = 7.7 Hz, 2H), 7.43 - 7.37 (m, 1H), 7.32 - 7.21 (m, 1H), 5.48 (q, J = 5.9 Hz, 1H), 4.94 (td, J = 6.9, 5.4 Hz, 1H), 4.87 (t, J = 5.2 Hz, 1H), 4.65 (t, J = 5.2 Hz, 1H), 4.13 (dd, J = 9.5, 6.1 Hz, 1H), 3.93 (ddd, J = 16.9, 9.2, 6.3 Hz, 2H), 3.68 (dd, J = 8.8, 7.3 Hz, 1H), 3.35 - 3.22 (m, 2H), 2.92 (t, J = 6.8 Hz, 2H); 13C NMR (151 MHz, DMSO) δ 160.21, 159.06, 155.38, 149.57, 146.90, 139.69, 139.63, 137.88, 137.85, 130.09, 129.01, 127.65, 126.70, 126.09, 121.79, 121.22, 119.31, 116.22, 114.30, 80.44, 80.07, 78.61, 73.33, 70.12, 69.79, 37.59.
【0094】
グルカゴンPen40/AICAR(ペニシラミン結合)の調製: グルカゴンペプチド誘導体を、上記に開示したFmocプロトコールを用いて合成し、化学的リンカー誘導体化AICAR類似体とコンジュゲートした。化学的リンカー誘導体化AICARの化学合成は、
図15に開示する合成経路によって行った。
【0095】
グルカゴンPen40/MK-8722:このコンジュゲートは、上記に開示するコンジュゲーションプロトコールを用い、
図16に示す化学反応によって調製し、化学反応は、6Mグアニジン、1.5Mイミダゾールバッファー中、室温で2時間行った。RP-UPLCおよびESI-LCMS分析により純度は>95%と判定された。
【0096】
実施例2:食餌誘発性肥満(DIO)マウスにおけるin vivo薬理学研究
C57BL6J雄マウス(以下、食餌誘発性肥満(DIO)マウスと呼ぶ)は、高脂肪食(脂肪からのエネルギー58%)で飼育し、各研究について、研究開始前に平均体重は45グラムを超えていた。マウスは個別収容するかまたは二重収容した。マウスは、21~23℃で12時間の明暗サイクルで飼育した。化合物を1日1回(午後2時~午後5時)皮下投与し、食物摂取(FI)および体重(BW)を対応する時間に測定した。体組成については、研究前(研究開始の1~3日前)および研究の最終日に、MRIスキャナー(EchoMRI)を使用して脂肪および除脂肪量の測定を行った。ビヒクル(生理食塩水)を注射したマウス群を対照群とした。
【0097】
実施例3:修飾グルカゴン(配列番号3)とAMPK活性化剤のコンジュゲートの調製
4’-(5-シアノ-4-ヒドロキシ-6-オキソ-6,7-ジヒドロチエノ[2,3-b]ピリジン-3-イル)-[1,1’-ビフェニル]-2-イル(2-(ピリジン-2-イルジスルファンイル)エチル)カルバメート(402)
【化1】
磁気撹拌バーを備えた、火炎乾燥させた丸底フラスコ中、N
2雰囲気下で、A-769662(100mg、0.28mmol、1.0当量)および乾燥Et
3N(116μL、0.83mmol、3.0当量)を乾燥CH
2Cl
2(5mL)に溶解した。反応混合物を氷水浴中で0℃に冷却した後、クロロギ酸ニトロフェニル(62mg、0.31mmol、1.1当量)を加えた。反応物をUPLC-MSによってモニタリングした。完了したところで、137(57mg、0.31mmol、1.1当量)を加え、反応物を50℃に加熱し、一晩撹拌放置した。反応混合物をH
2O:MeCN(1:1)で希釈し、分取HPLC(20mL/分で0-100%Bの勾配で溶出)によって精製し、続いて、凍結乾燥させて402を白色固体として得た(78mg、49%);LC/MS(ESI):C
28H
21N
4O
4S
3[M+H]
+についてのm/z計算値=573.1、測定値573.1;
1H NMR (600 MHz, DMSO-d
6) δ 12.57 (s, 1H), 8.49 - 8.42 (m, 1H), 7.95 (t, J = 5.8 Hz, 1H), 7.77 (td, J = 7.7, 1.9 Hz, 1H), 7.76 - 7.70 (m, 1H), 7.52 - 7.45 (m, 2H), 7.48 - 7.40 (m, 2H), 7.43 - 7.35 (m, 2H), 7.34 (td, J = 7.5, 1.3 Hz, 1H), 7.26 - 7.21 (m, 1H), 7.19 (dd, J = 8.0, 1.3 Hz, 1H), 7.05 (s, 1H), 3.30 (q, J = 6.4 Hz, 2H), 2.84 (t, J = 6.7 Hz, 2H);
13C NMR (151 MHz, DMSO) δ 162.47, 159.49, 155.03, 150.06, 148.39, 138.22, 137.32, 136.67, 135.54, 134.44, 130.86, 129.82, 128.96, 128.22, 126.34, 124.18, 121.66, 119.73, 116.35, 40.41, 37.89.
【0098】
カルバミン酸tert-ブチル(2-ヒドロキシエチル)(2)(
図17、スキーム1)
【化2】
磁気撹拌バーを備えた、火炎乾燥させた丸底フラスコ中、N
2雰囲気下で、無水CH
2Cl
2(30mL)中、2-エタノールアミン(1.98mL、32.74mmol、1.0当量)および乾燥Et
3N(6.70mL、49.11mmol、1.5当量)の撹拌溶液に、二炭酸ジ-tert-ブチル(7.86g、36.01mmol、1.10当量)を加え、一晩置いた。反応混合物を真空濃縮し、EtOAc(100mL)に再溶解し、有機層を0.5N HCl水溶液(2×50mL)およびブライン(50mL)で洗浄し、MgSO
4で乾燥させ、濾過し、真空濃縮し、2を無色の油として得た(5.21g、>95%)。
1H NMR (400 MHz, クロロホルム-d) δ 5.06 (s, 1H), 3.66 (t, J = 5.1 Hz, 2H), 3.25 (q, J = 5.4 Hz, 2H), 1.42 (s, 9H);
13C NMR (101 MHz, CDCl
3) δ 156.94, 79.72, 62.54, 46.15, 28.49.
【0099】
2-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)エチル 4-メチルベンゼンスルホネート(3)(
図17、スキーム1)
【化3】
磁気撹拌バーを備えた、火炎乾燥させた丸底フラスコ中、N
2雰囲気下で、2(5.28g、32.74mmol、1.0当量)および乾燥Et
3Nを無水CH
2Cl
2(100mL)に溶解し、塩化p-トルエンスルホニル(9.36g、49.12mmol、1.5当量)を加え、一晩置いた。反応物を、CH
2Cl
2(100mL)が入った分液漏斗に移し、合わせた有機層をH
2O(3×50mL)およびブライン(50mL)で洗浄し、Na
2SO
4で乾燥させ、真空濃縮した。コンビフラッシュ(勾配0-50で45分溶出)によって精製し、3を褐色油として得た(8.98g、87%)。R
f=0.61(1:1、EtOAc:ヘプタン);
1H NMR (600 MHz, クロロホルム-d) δ 7.90 - 7.69 (m, 2H), 7.40 - 7.33 (m, 2H), 4.85 (s, 1H), 4.06 (t, J = 5.1 Hz, 2H), 3.37 (q, J = 5.5 Hz, 2H), 2.44 (s, 3H), 1.40 (s, 9H);
13C NMR (151 MHz, CDCl
3) δ 155.73, 145.14, 132.83, 130.08, 128.05, 79.89, 69.57, 39.88, 28.40, 21.75.
【0100】
(2-(4-ブロモフェノキシ)エチル)カルバミン酸tert-ブチル(4)(
図17、スキーム1)
【化4】
磁気撹拌バーを備えた、火炎乾燥させた丸底フラスコ中、N
2雰囲気下で、3(2.5g、13.92mmol、1.0当量)、4-ブロモフェノール(2.65g、15.31mmol、1.1当量)および炉で乾燥させたK
2CO
3(5.76g、41.2mmol、3.0当量)を60℃で一晩、乾燥DMF(20mL)に懸濁した。次に、この反応混合物に水を加え、水層をEtOAc(3×100mL)で抽出した。合わせた有機層を0.1N NaOH水溶液(100mL)およびブライン(100mL)で洗浄し、MgSO4で濾過し、真空濃縮して、4(4.09g、93%)を得た;UPLC/MS(ESI):C
9H
10BrNO
2[M+H-tBu]
+についてのm/z計算値=260.0、測定値260.1;
1H NMR (600 MHz, クロロホルム-d) δ 7.62 - 7.28 (m, 2H), 6.90 - 6.63 (m, 2H), 4.98 (s, 1H), 3.97 (t, J = 5.2 Hz, 2H), 3.51 (dt, J = 5.5 Hz, 2H), 1.44 (s, 9H);
13C NMR (151 MHz, CDCl
3) δ 157.82, 155.98, 132.44, 116.38, 116.38, 113.34, 79.73, 67.54, 40.16, 28.51.
【0101】
(2-(4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)フェノキシ)エチル)カルバミン酸tert-ブチル(5)(
図17、スキーム1)
【化5】
磁気撹拌バーを備えた、火炎乾燥させた丸底フラスコ中、4(2.04g、6.5mmol、1.0当量)、ビス(ピナコラト)二ホウ素(3.30g、13.02mmol、2.0当量)、AcOK(3.44g、35mmol、5.4当量)、およびPd(dppf)Cl
2・CH
2Cl
2(508mg、0.65mmol、0.1当量)を乾燥脱気したDMSO(30mL)と混合し、反応混合物を手早く脱気した後、13時間80℃に加熱した。反応混合物をセライト(登録商標)パッドで濾過し、濾液を水(100mL)が入った分液漏斗に移し、水層をEtOAc(3×75mL)で抽出した。合わせた有機層をH
2O(3×100mL)およびブライン(2×100mL)で洗浄し、Na
2SO
4で乾燥させ、濾過し、真空濃縮した。黒い粗油を、勾配(ヘプタン:EtOAc、20:1から5:1へ)で溶出させるシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィーによって精製し、5を無色の油として得た(1.73g、73%)。UPLC/MS(ESI):C
15H
23BNO
5[M+H-tBu]
+についてのm/z計算値308.2、測定値308.3;
1H NMR (400 MHz, クロロホルム-d) δ 7.93 - 7.34 (m, 2H), 6.93 - 6.67 (m, 2H), 4.04 (t, J = 5.1 Hz, 2H), 3.53 (q, J = 5.2 Hz, 2H), 1.44 (s, 9H), 1.32 (s, 12H)
【0102】
1-(5-ブロモ-6-クロロ-1H-インドール-3-イル)-2,2,2-トリフルオロエタン-1-オン(7)(
図17、スキーム1)
【化6】
磁気撹拌バーを備えた、火炎乾燥させた丸底フラスコ中、N
2雰囲気下で、5-ブロモ-6-クロロ-1H-インドール(2.22g、9.54mmol、1.0当量)を無水DMF(50mL)に溶解し、氷浴中で0℃に冷却した。この撹拌溶液にトリフルオロ酢酸無水物(5.3mL、38.2mmol、4.0当量)を滴下した。反応を撹拌放置した後、飽和Na
2CO
3水溶液で急冷すると沈殿を生じた。沈殿を濾過し、回収し、7を得た(定量的)。UPLC/MS(ESI):C
10H
5BrClF
3NO[M+H]
+についてのm/z計算値=327.9、測定値328.0;
1H NMR (600 MHz, DMSO-d
6) δ 8.33 (d, J = 1.4 Hz, 1H), 8.27 (dp, J = 3.9, 2.0 Hz, 1H), 7.93 (s, 1H), 7.70 (d, J = 1.8 Hz, 1H);
13C NMR (151 MHz, DMSO-d
6) δ 171.26 (q, CO-CF
3), 147.33, 145.16, 129.68, 125.47, 118.14 (q, CO-CF
3), 117.85, 115.23, 114.20, 108.97.
【0103】
5-ブロモ-6-クロロ-1H-インドール-3-酸(8)(
図17、スキーム1)
【化7】
磁気撹拌バーを備えた丸底フラスコ中、7(3.11g、9.54mmol、1.0当量)を3.0N NaOH水溶液(50mL)に懸濁し、16時間還流した。反応混合物を室温まで放冷した後、5.0N HCl水溶液を用いてpH1~2に酸性化し、EtOAc(3×50mL)で抽出した。合わせた有機層をブライン(50mL)で洗浄し、Na
2SO
4で乾燥させ、濾過し、真空濃縮し、中間体カルボン酸8を褐色固体として得た(定量的)。UPLC/MS(ESI):C
10H
4BrClNO
2[M-H]
-についてのm/z計算値=273.9、測定値273.9。
【0104】
5-ブロモ-6-クロロ-1H-インドール-3-カルボン酸メチル(9)(
図17、スキーム1)
【化8】
磁気撹拌バーを備えた、火炎乾燥させた丸底フラスコ中、粗8(2.34g、7.71mmol、1.0当量)を乾燥MeOH(50mL)に溶解し、発煙硫酸(1.0mL)を滴下した後、12時間加熱還流した。反応混合物を真空濃縮し、メチルエステル9を赤みがかった固体として得た(1.90g、86%)。UPLC/MS(ESI):C
10H
6BrClNO
2[M-H]
-についてのm/z計算値=287.9、測定値288.0;
1H NMR (600 MHz, DMSO-d
6) δ 12.18 (s, 1H), 8.27 (s, 1H), 8.19 (s, 1H), 7.75 (s, 1H), 3.82 (s, 3H);
13C NMR (151 MHz, DMSO) δ 164.59, 136.31, 135.24, 126.96, 126.48, 125.00, 114.51, 114.37, 106.51, 51.45.
【0105】
5-(4-(2-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)エトキシ)フェニル)-6-クロロ-1H-インドール-3-カルボン酸メチル(10)(
図17、スキーム1)
【化9】
磁気撹拌バーを備えた丸底フラスコ中、N
2雰囲気下で、9(1g、3.47mmol、1.0当量)および5(1.22g、3.47mmol、1.0当量)をトルエン(66mL)に溶解した。K
2CO
3(3.02g、21.85mmol、7.0当量)をH
2O(33mL)に溶解し、この溶液を反応混合物に加え、続いて、反応混合物にN
2を10分間バブリングすることによって脱気した。Pd(dppf)Cl
2
*CH
2Cl
2(247mg、0.34mmol、0.1当量)を加え、反応物を3時間還流した。反応混合物を真空濃縮し、EtOAc(100mL)再溶解させ、セライト(登録商標)パッドで濾過した。コンビフラッシュ(勾配0-50で50分溶出)によって精製し、10を褐色固体として得た(1.33g、93%)。R
f=0.61(1:1、EtOAc:ヘプタン);UPLC/MS(ESI):C
18H
18ClN
2O
3[M+H-Boc]
+についてのm/z計算値=345.1、測定値345.4;
1H NMR (600 MHz, クロロホルム-d) δ 9.00 - 8.91 (s, 1H), 8.10 (s, 1H), 7.93 (s, 1H), 7.53 (s, 1H), 7.43 - 7.37 (d, J = 8.6 Hz, 2H), 6.95 (d, J = 8.7, 2H), 5.06 (s, 1H), 4.08 (t, J = 5.7 Hz, 2H), 3.90 (s, 3H), 3.57 (t, J = 5.8 Hz, 2H), 1.47 (s, 9H);
13C NMR (151 MHz, CDCl
3) δ 165.38, 157.98, 135.75, 134.60, 133.32, 132.18, 131.31, 128.31, 127.94, 124.94, 123.77, 114.89, 113.97, 112.55, 109.15, 77.37, 77.16, 76.95, 67.33, 51.46, 51.34, 28.56, 25.01, 24.74.
【0106】
5-(4-(2-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)エトキシ)フェニル)-6-クロロ-1H-インドール-3-カルボン酸(11)(
図17、スキーム1)
【化10】
磁気撹拌バーを備えた丸底フラスコ中、10(685mg、1.54mmol、1.0当量)をTHF:MeOH:H
2O(12mL、1:1:1)からなる溶媒系に溶解し、NaOH(185mg、4.62mmol、3.0当量)を加え、一晩還流した。次に、反応物を真空濃縮し、続いて、pH=3~4に酸性化した。水層をEtOAc(3×50mL)で抽出し、MgSO
4で乾燥させ、濾過し、真空濃縮した。コンビフラッシュ(ヘプタン中50-100%EtOAcの勾配で溶出)によって精製し、11を褐色がかった固体として得た(597mg、90%)。R
f=0.43(EtOAc);UPLC/MS(ESI):C
22H
22ClN
2O
5[M-H]
-についてのm/z計算値=429.1、測定値429.3;
1H NMR (600 MHz, DMSO-d
6) δ 12.09 (s, 1H), 11.91 (d, J = 2.8 Hz, 1H), 8.07 (d, J = 2.8 Hz, 1H), 7.93 (s, 1H), 7.61 (s, 1H), 7.34 (d, J = 8.7 Hz, 2H), 7.01 (d, J = 8.7 Hz, 2H), 4.01 (t, J = 6.2 Hz, 2H), 3.33 (t, 6,1 2H), 1.40 (s, 9H);
13C NMR (151 MHz, DMSO) δ 165.55, 157.63, 155.68, 135.89, 133.75, 132.78, 132.44, 130.74, 125.79, 125.24, 122.68, 114.01, 112.83, 107.56, 77.76, 73.49, 66.41, 28.22.
【0107】
5-(4-(2-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)エトキシ)フェニル)-6-クロロ-1H-インドール-3-カルボン酸アリル(12)(
図17、スキーム1)
【化11】
磁気撹拌バーを備えた、火炎乾燥させた丸底フラスコ中、N
2雰囲気下で、11(500mg、1.16mmol、1.0当量)およびNaHCO
3(157mg、1.86mmol、1.6当量)を乾燥DMF(10mL)に懸濁し、続いて、臭化アリル(151μL、1.74mmol、1.5当量)を、シリンジを介して加えた。反応混合物を50℃に加熱し、12時間撹拌した。反応物をH
2O(20mL)で急冷し、CH
2Cl
2(50mL)が入った分液漏斗に移した。有機層をH
2O(5×30mL)およびブライン(2×30mL)で洗浄し、MgSO
4で乾燥させ、濾過し、真空濃縮し、12を褐色固体として得た(543mg、>95%)。UPLC/MS(ESI):C
25H
26ClN
2O
5[M-H]
-についてのm/z計算値=469.2、測定値469.4;
1H NMR (600 MHz, クロロホルム-d) δ 8.95 - 8.92 (m, 1H), 8.13 (d, J = 2.8 Hz, 1H), 7.95 (d, J = 2.9 Hz, 1H), 7.54 (s, 1H), 7.44 - 7.38 (m, 2H), 6.98 - 6.93 (m, 2H), 6.04 (ddt, J = 17.3, 10.9, 5.6 Hz, 1H), 5.39 (dq, J = 17.2, 1.6 Hz, 1H), 5.26 (dq, J = 10.5, 1.4 Hz, 1H), 5.05 (s, 1H), 4.82 (tt, J = 6.8, 1.5 Hz, 2H), 4.08 (t, J = 5.1 Hz, 2H), 3.57 (q, J = 5.2 Hz, 2H), 1.47 (s, 9H);
13C NMR (151 MHz, CDCl
3) δ 164.50, 157.97, 156.12, 135.75, 134.64, 133.30, 132.89, 132.24, 131.31, 128.33, 125.06, 123.80, 118.02, 113.97, 112.57, 109.07, 79.73, 77.37, 77.16, 76.95, 67.34, 64.77, 40.35, 28.57.
【0108】
5-(4-(2-アミノエトキシ)フェニル)-6-クロロ-1H-インドール-3-カルボン酸アリル(13)(
図17、スキーム1)
【化12】
磁気撹拌バーを備えた丸底フラスコ中、12(500mg、1.06mmol、1.0当量)をCH
2Cl
2(25mL)に溶解し、氷水浴を用いて0℃に冷却し、続いて、CH
2Cl
2(8mL)中、50%TFAを滴下した。反応物を室温で2時間撹拌した後、真空濃縮した。この油を複数回エーテルと共蒸発させ、13を褐色固体として得た(385mg、>95%)。UPLC/MS(ESI):C
20H
20ClN
2O
3[M+H]
+についてのm/z計算値=371.1、測定値371.4;
1H NMR (400 MHz, DMSO-d
6) δ 12.13 (d, J = 3.0 Hz, 1H), 8.20 (d, J = 3.0 Hz, 1H), 8.03 (s, 3H), 7.95 (d, J = 2.7 Hz, 1H), 7.93 (s, 1H), 7.66 (s, 1H), 7.46 - 7.32 (m, 2H), 7.20 - 7.01 (m, 2H), 6.03 (ddt, J = 17.2, 10.5, 5.3 Hz, 1H), 5.38 (dq, J = 17.2, 1.7 Hz, 1H), 5.23 (dq, J = 10.5, 1.5 Hz, 1H), 4.76 (dt, J = 5.3, 1.6 Hz, 2H), 4.23 (t, J = 5.1 Hz, 2H), 3.27 (h, J = 4.7 Hz, 2H);
13C NMR (101 MHz, DMSO) δ 162.28, 157.10, 135.96, 133.27, 133.00, 132.98, 130.83, 126.05, 124.91, 122.43, 117.28, 114.23, 113.10, 106.33, 64.42, 63.64, 38.43.
【0109】
4-((2-(4-(3-((アリルオキシ)カルボニル)-6-クロロ-1H-インドール-5-イル)フェノキシ)エチル)アミノ)-4-オキソブタン酸(14a)(
図17、スキーム1)
【化13】
磁気撹拌を備えた、火炎乾燥させたフラスコ中、N
2雰囲気下で、13(75mg、0.20mmol、1.0当量)および乾燥Et
3N(83μL、0.60mmol、3.0当量)を乾燥CH
2Cl
2(5mL)に溶解した後、塩化メチルスクシニル(75μL、0.4mmol、2.0当量)を、シリンジを介して加えた。反応物を2時間撹拌した後、蒸発乾固した(二重アシル化中間体の形成)。粗反応混合物をTHFとH
2Oの混合物(1:1、4mL)に再溶解し、NaOH(30mg、0.7mmol、3.5当量)を加え、4時間撹拌放置した。反応混合物を真空濃縮し、シリカに吸収させ、フラッシュクロマトグラフィー(EtOAc+1%AcOH)によって精製し、14aを白色固体として得た(43mg、45%)。R
f=0.11(EtOAc+1%AcOH);UPLC/MS(ESI):C
24H
22ClN
2O
6[M-H]
-についてのm/z計算値=469.9、測定値469.4;
1H NMR (600 MHz, DMSO-d
6) δ 12.09 (s, 1H), 8.19 (s, 1H), 8.15 (q, J = 5.6, 4.7 Hz, 1H), 7.92 (s, 1H), 7.64 (s, 1H), 7.36 - 7.33 (m, 2H), 7.07 - 7.00 (m, 2H), 6.03 (ddt, J = 17.3, 10.5, 5.3 Hz, 1H), 5.38 (dq, J = 17.2, 1.7 Hz, 1H), 5.23 (dq, J = 10.5, 1.5 Hz, 1H), 4.76 (dt, J = 5.3, 1.6 Hz, 2H), 4.04 (t, J = 5.7 Hz, 2H), 3.45 (q, J = 5.6 Hz, 2H), 2.44 (dd, J = 7.3, 6.1 Hz, 2H), 2.36 (t, J = 6.7 Hz, 2H);
13C NMR (151 MHz, DMSO) δ 173.84, 171.34, 163.58, 157.67, 135.90, 134.19, 133.27, 133.13, 132.39, 130.74, 126.11, 124.87, 122.45, 117.31, 114.07, 113.05, 106.37, 66.38, 63.66, 38.30, 29.93, 29.13.
【0110】
6-((2-(4-(3-((アリルオキシ)カルボニル)-6-クロロ-1H-インドール-5-イル)フェノキシ)エチル)アミノ)-6-オキソヘキサン酸(14b)(
図17、スキーム1)
【化14】
磁気撹拌を備えた、火炎乾燥させたフラスコ中、N
2雰囲気下で、13(75mg、0.20mmol、1.0当量)および乾燥Et
3N(83μL、0.60mmol、3.0当量)を乾燥CH
2Cl
2(5mL)に溶解した後、塩化メチルアジポイル(67μL、0.4mmol、2.0当量)を、シリンジを介して加えた。反応物を2時間撹拌した後、蒸発乾固した(二重アシル化生成物の形成)。粗反応混合物をTHFとH
2Oの混合物(1:1、4mL)に再溶解し、NaOH(30mg、0.7mmol、3.5当量)を加え、4時間撹拌放置した。反応混合物を真空濃縮し、シリカに吸収させ、フラッシュクロマトグラフィー(39:1 EtOAc:MeOH+1%AcOH)によって精製し、14bを白色固体として得た(40.3mg、40%)。R
f=0.23(39:1 EtOAc:MeOH+1%AcOH);UPLC/MS(ESI):C
26H
26ClN
2O
6[M-H]
-についてのm/z計算値=398.0、測定値397.4;
1H NMR (600 MHz, DMSO-d
6) δ 12.08 (d, J = 2.7 Hz, 1H), 11.98 (s, 1H), 8.19 (d, J = 2.6 Hz, 1H), 8.07 (t, J = 5.6 Hz, 1H), 7.92 (s, 1H), 7.64 (s, 1H), 7.37 - 7.32 (m, 2H), 7.05 - 7.00 (m, 2H), 6.03 (ddt, J = 17.2, 10.5, 5.3 Hz, 1H), 5.38 (dq, J = 17.3, 1.7 Hz, 1H), 5.23 (dq, J = 10.5, 1.5 Hz, 1H), 4.76 (dt, J = 5.3, 1.6 Hz, 2H), 4.04 (t, J = 5.7 Hz, 2H), 3.45 (q, J = 5.6 Hz, 2H), 2.20 (t, J = 6.9 Hz, 2H), 2.11 (t, J = 7.0 Hz, 2H), 1.56 - 1.43 (m, 4H);
13C NMR (151 MHz, DMSO) δ 174.35, 172.25, 163.58, 157.67, 135.89, 134.19, 133.27, 133.13, 132.37, 130.73, 126.10, 124.86, 122.44, 117.31, 114.06, 113.04, 106.37, 66.36, 63.65, 38.18, 34.96, 33.40, 24.76, 24.12.
【0111】
8-((2-(4-(3-((アリルオキシ)カルボニル)-6-クロロ-1H-インドール-5-イル)フェノキシ)エチル)アミノ)-8-オキソオクタン酸(14c)(
図17、スキーム1)
【化15】
磁気撹拌を備えた、火炎乾燥させたフラスコ中、N
2雰囲気下で、13(75mg、0.20mmol、1.0当量)および乾燥Et
3N(83μL、0.60mmol、3.0当量)を乾燥CH
2Cl
2(5mL)に溶解した後、オクタン酸塩化メチル(121μL、0.4mmol、2.0当量)を、シリンジを介して加えた。反応物を2時間撹拌した後、蒸発乾固した(二重アシル化中間体の形成)。粗反応混合物をTHFとH
2Oの混合物(1:1、4mL)に再溶解し、NaOH(30mg、0.7mmol、3.5当量)を加え、4時間撹拌放置した。反応混合物を真空濃縮し、シリカに吸収させ、フラッシュクロマトグラフィー(EtOAc+1%AcOH)によって精製し、14cを白色固体として得た(43mg、45%)。R
f=0.31(EtOAc+1%AcOH);UPLC/MS(ESI):C
28H
30ClN
2O
6[M-H]
-についてのm/z計算値=525.2、測定値525.5;
1H NMR (600 MHz, DMSO-d
6) δ 12.49 (s, 1H), 8.17 (s, 1H), 8.14 (t, J = 5.6 Hz, 1H), 7.91 (s, 1H), 7.68 (s, 1H), 7.52 - 7.25 (m, 2H), 7.25 - 6.94 (m, 2H), 6.02 (ddt, J = 17.3, 10.5, 5.3 Hz, 1H), 5.37 (dq, J = 17.2, 1.7 Hz, 1H), 5.23 (dq, J = 10.5, 1.5 Hz, 1H), 4.75 (dt, J = 5.3, 1.6 Hz, 2H), 4.03 (t, J = 5.8 Hz, 2H), 3.43 (q, J = 5.7 Hz, 2H), 2.08 (dt, J = 17.5, 7.4 Hz, 4H), 1.53 - 1.39 (m, 2H), 1.24 (m, 4H);
13C NMR (151 MHz, DMSO) δ 175.64, 172.52, 163.61, 157.66, 135.98, 134.10, 133.28, 133.05, 132.39, 130.74, 125.98, 124.86, 122.39, 117.28, 114.04, 113.15, 106.22, 66.32, 63.62, 38.14, 35.27, 28.60, 28.49, 25.19, 25.11.
【0112】
6-クロロ-5-(4-(2-(10-メトキシ-10-オキソデカンアミド)エトキシ)フェニル)-1-(10-メトキシ-10-オキソデカノイル)-1H-インドール-3-カルボン酸アリル(14d’)(
図17、スキーム1)
【化16】
磁気撹拌バーを備えた、火炎乾燥させた丸底フラスコ中、N
2雰囲気下で、13(75mg、0.20mmol、1.0当量)、HBTU(118mg、0.30mmol、1.5当量)、セバシン酸モノメチル(70mg、0.3mmol、1.5当量)を乾燥DMF(5mL)に懸濁し、続いて、乾燥Et
3N(83μL、0.6mmol、3.0当量)を加えた。反応物を4時間撹拌放置した。反応混合物をEtOAc(50mL)が入った分液漏斗に移した。有機層を飽和NaHCO
3水溶液(3×50mL)およびブライン(50mL)で洗浄し、MgSO4で乾燥させ、濾過し、真空濃縮した。粗残渣をシリカ上で蒸発させ、フラッシュクロマトグラフィー(1:1 EtOAc:ヘプタン+1%AcOH)によって精製し、14d’-二重アシル化中間体を白色固体として得た(90mg、54%)。R
f=0.15(1:1 EtOAc:ヘプタン+1%AcOH);
1H NMR (600 MHz, クロロホルム-d) δ 8.64 (s, 1H), 8.18 (s, 1H), 8.10 (s, 1H), 7.43 - 7.39 (m, 2H), 7.02 - 6.77 (m, 2H), 6.10 - 5.98 (m, 1H), 5.96 (t, J = 5.7 Hz, 1H), 5.41 (dq, J = 17.2, 1.5 Hz, 1H), 5.30 (dq, J = 10.4, 1.3 Hz, 1H), 4.85 (dt, J = 5.8, 1.4 Hz, 2H), 4.11 (t, J = 5.0 Hz, 2H), 3.71 (q, J = 5.3 Hz, 2H), 3.67 (s, 3H), 3.65 (s, 3H), 2.97 (t, J = 7.3 Hz, 2H), 2.30 (dt, J = 17.0, 7.5 Hz, 4H), 2.22 (t, J = 7.6 Hz, 2H), 1.86 (p, J = 7.4 Hz, 2H), 1.62 (dq, J = 20.4, 7.2 Hz, 4H), 1.52 - 1.43 (m, 2H), 1.42 - 1.25 (m, 16H);
13C NMR (151 MHz, CDCl
3) δ 174.44, 174.40, 171.58, 163.43, 158.12, 137.16, 135.38, 132.82, 132.29, 131.43, 131.22, 131.00, 126.32, 123.57, 118.83, 117.90, 114.07, 113.59, 67.05, 65.48, 51.61, 51.58, 39.13, 36.85, 35.70, 34.22, 34.20, 29.32, 29.27, 29.24, 29.19, 29.13, 25.79, 25.03, 24.47.
【0113】
10-((2-(4-(3-((アリルオキシ)カルボニル)-6-クロロ-1H-インドール-5-イル)フェノキシ)エチル)アミノ)-10-オキソデカン酸(14d)(
図17、スキーム1)
【化17】
磁気撹拌バーを備えた、丸底フラスコ中、14d’(90mg、0.13mmol、1.0当量)をTHFとH
2Oからなる溶媒系(6mL、1:1)に溶解し、続いて、NaOH(17.6mg、0.46mmol、3.5当量)を加えた。反応物を6時間撹拌放置した後、真空濃縮した。粗残渣をシリカ上で蒸発させ、フラッシュクロマトグラフィー(EtOAc+1%AcOH)によって精製し、14dを白色固体として得た(36mg、52%)。R
f=0.19(EtOAc+1%AcOH);UPLC/MS(ESI):C
30H
34ClN
2O
6[M-H]
-についてのm/z計算値=553.2、測定値553.5;
1H NMR (600 MHz, DMSO-d
6) δ 12.09 (s, 1H), 8.19 (s, 1H), 8.04 (t, J = 5.6 Hz, 1H), 7.92 (s, 1H), 7.64 (s, 1H), 7.34 (d, J = 8.7 Hz, 1H), 7.04 - 6.96 (m, 2H), 6.03 (ddt, J = 17.3, 10.5, 5.3 Hz, 1H), 5.38 (dq, J = 17.2, 1.7 Hz, 1H), 5.23 (dq, J = 10.5, 1.5 Hz, 1H), 4.76 (dt, J = 5.3, 1.6 Hz, 2H), 4.04 (t, J = 5.7 Hz, 2H), 3.44 (q, J = 5.6 Hz, 2H), 2.16 (t, J = 7.4 Hz, 2H), 2.09 (t, J = 7.4 Hz, 2H), 1.52 - 1.40 (m, 4H), 1.23 (m, 8H);
13C NMR (151 MHz, DMSO) δ 174.50, 172.47, 163.57, 157.70, 135.90, 134.19, 133.27, 133.12, 132.36, 130.73, 126.09, 124.86, 122.44, 117.29, 114.04, 113.05, 106.36, 66.37, 63.65, 38.19, 35.28, 33.75, 28.64, 28.62, 28.58, 28.53, 25.22, 24.50.
【0114】
20-((2-(4-(3-((アリルオキシ)カルボニル)-6-クロロ-1H-インドール-5-イル)フェノキシ)エチル)アミノ)-20-オキソイコサン酸(14e)(
図17、スキーム1)
【化18】
磁気撹拌バーを備えた、火炎乾燥させた丸底フラスコ中、N
2雰囲気下で、13(75mg、0.20mmol、1.0当量)、オクタデカン二酸モノ-tert-ブチルエステル(121mg、0.30mmol、1.5当量)およびHBTU(115mg、0.30mmol、1.5当量)を乾燥DMF(5mL)に溶解した後、乾燥Et
3N(83μL、0.60mmol、3.0当量)を加えた。反応物を2時間撹拌放置した後、CH
2Cl
2(25mL)で希釈し、有機層をNaHCO
3で洗浄し、MgSO
4で乾燥させ、濾過し、真空濃縮した。粗中間体をCH
2Cl
2(10mL)に再溶解し、氷水浴を用いて0℃に冷却し、CH
2Cl
2中50%TFA(4mL)で処理した。反応物を室温に温め、2時間撹拌放置した後、真空濃縮した。フラッシュクロマトグラフィー(1:1 EtOAc:ヘプタン+1%AcOH)によって精製し、14eを白色固体として得た(44.5mg、32%)。R
f=0.28(1:1 EtOAc:ヘプタン+1%AcOH);UPLC/MS(ESI):C
38H
51ClN
2O
5[M+H]
+についてのm/z計算値=667.3、測定値667.1;
1H NMR (600 MHz, DMSO-d
6) δ 12.07 (d, J = 3.0 Hz, 1H), 11.97 - 11.90 (m, 1H), 8.19 (d, J = 2.9 Hz, 1H), 8.04 (t, J = 5.6 Hz, 1H), 7.92 (s, 1H), 7.64 (s, 1H), 7.37 - 7.31 (m, 2H), 7.06 - 6.99 (m, 2H), 6.09 - 5.97 (m, 1H), 5.38 (dq, J = 17.2, 1.6 Hz, 1H), 5.23 (dddq, J = 10.4, 5.9, 4.4, 1.5 Hz, 1H), 4.76 (dt, J = 5.3, 1.6 Hz, 2H), 4.04 (t, J = 5.6 Hz, 2H), 3.44 (q, J = 5.6 Hz, 2H), 2.16 (t, J = 7.0 Hz, 3H), 2.09 (t, J = 7.3 Hz, 2H), 1.54 - 1.41 (m, 6H), 1.30 - 1.15 (m, 26H);
13C NMR (151 MHz, DMSO) δ 174.45, 172.48, 163.56, 157.72, 135.89, 133.26, 130.71, 126.08, 124.88, 122.46, 117.27, 114.02, 113.03, 106.38, 66.40, 63.64, 48.62, 38.20, 35.29, 33.64, 29.02, 29.00, 28.96, 28.94, 28.87, 28.79, 28.70, 28.57, 28.52, 25.25, 24.46.
【0115】
N,N-ジメチルピリジン-4-アミニウム 5-ブロモ-1-(tert-ブトキシカルボニル)-6-クロロ-1H-インドール-3-カルボキシレート(15)(
図18、スキーム2)
【化19】
磁気撹拌バーを備えた、火炎乾燥させた丸底フラスコ中、N
2保護下で、7(3.71g、16.05mmol、1.0当量)およびN,N-ジメチルアミノピリジン(0.98g、8.03mmol、0.5mmol)を乾燥CH
2Cl
2(100mL)に懸濁した後、二炭酸tertブチル(3.85g、17.67mmol、1.1当量)を一度に加え、得られた混合物を6時間撹拌した。反応物を水で急冷し、EtOAc(200mL)で抽出した。合わせた有機層をH
2O(3×100mL)およびブライン(100mL)で洗浄し、MgSO
4で乾燥させ、濾過し、真空濃縮した。粗固体をEtOAcから再結晶化し、15をDMAP塩として得た(2.51g、64%)。UPLC/MS(ESI):C
14H
12BrClNO
4[M-H]
-についてのm/z計算値=374.0、測定値374.2;
1H NMR (400 MHz, DMSO-d
6) δ 8.39 (s, 1H), 8.23 (s, 1H), 8.17 - 8.12 (m, 2H), 8.12 (s, 1H), 6.69 - 6.64 (m, 2H), 2.99 (s, 6H), 1.64 (s, 9H);
13C NMR (101 MHz, DMSO) δ 164.67, 154.56, 147.95, 147.08, 134.34, 132.49, 128.96, 128.19, 125.67, 116.27, 116.24, 113.40, 106.70, 85.79, 27.44.
【0116】
1-(tert-ブチル) 3-(4-メトキシベンジル) 5-ブロモ-6-クロロ-1H-インドール-1,3-ジカルボキシレート(16)(
図18、スキーム2)
【化20】
磁気撹拌バーを備えた、火炎乾燥させた丸底フラスコ中、N
2雰囲気下で、15(2.50g、5.04mmol、1.0当量)、塩化p-メトキシベンジル(1.03mL、7.56mmol、1.5当量)および無水K
2CO
3(1.39g、10.08mmol、2.0当量)を乾燥DMF(20mL)に懸濁した。反応物を50℃に加熱し、3時間撹拌した。次に、反応物をCH
2Cl
2(200mL)が入った分離器に移した。有機層をH
2O(5×100mL)およびブライン(2×100mL)で洗浄し、MgSO
4で乾燥させ、濾過し、真空濃縮した。コンビフラッシュ(ヘプタン中10%EtOAcで45分溶出)によって精製し、16を白色固体として得た(2.49g、>95%)。R
f=0.35; UPLC/MS(ESI):C
22H
20BrClNO
5[M-H]
-についてのm/z計算値=494.0、測定値494.2;
1H NMR (600 MHz, クロロホルム-d) δ 8.42 (s, 1H), 8.33 (s, 1H), 8.21 (s, 1H), 7.44 - 7.38 (m, 2H), 6.96 - 6.86 (m, 2H), 5.33 (s, 2H), 3.82 (s, 3H), 1.67 (s, 9H);
13C NMR (151 MHz, CDCl
3) δ 163.49, 159.92, 148.46, 134.92, 133.26, 131.24, 130.41, 130.37, 129.56, 128.18, 127.62, 126.29, 118.13, 117.05, 114.21, 113.95, 111.62, 86.25, 66.38, 55.47, 28.18.
【0117】
4-(4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)フェノキシ)ブタン酸メチル(18)(
図18、スキーム2)
【化21】
磁気撹拌バーを備えた、火炎乾燥させた丸底フラスコ中、N
2雰囲気下で、4-ブロモブタン酸メチル(1.8mL、13.63mmol、1.2当量)、4-ヒドロキシフェニルボロン酸ピナコールエステル(2.50g、11.36mmol、1.0当量)および炉で乾燥させたK
2CO
3(5.65g、40.89mmol、3.0当量)を乾燥DMF(40mL)に50℃で一晩懸濁した。次に、反応混合物に水を加え、水層をEtOAc(3×100mL)で抽出した。合わせた有機層をH
2O(3×100mL)およびブライン(100mL)で洗浄し、MgSO4で乾燥させ、濾過し、真空濃縮した。コンビフラッシュ(ヘプタン中20%EtOAcの勾配で50分溶出)によって精製し、18を透明な油として得た(3.21g、88%)。R
f=0.21(1:4、EtOAc:ヘプタン);
1H NMR (600 MHz, クロロホルム-d) δ 7.88 - 7.55 (m, 2H), 6.99 - 6.73 (m, 2H), 4.03 (t, J = 6.1 Hz, 2H), 3.68 (s, 3H), 2.53 (t, J = 7.3 Hz, 2H), 2.14 - 2.08 (m, 2H), 1.33 (s, 12H);
13C NMR (151 MHz, CDCl
3) δ 173.77, 161.54, 136.66, 113.97, 83.69, 66.61, 51.77, 30.67, 25.00, 24.74.
【0118】
1-(tert-ブチル) 3-(4-メトキシベンジル) 6-クロロ-5-(4-(4-メトキシ-4-オキソブトキシ)フェニル)-1H-インドール-1,3-ジカルボキシレート(19)(
図18、スキーム2)
【化22】
磁気撹拌バーを備えた丸底フラスコ中、N
2雰囲気下で、16(804mg、1.56mmol、1.0当量)および18(500mg、1.56mmol、1.0当量)をトルエン(30mL)に溶解した。K
2CO
3(1.51g、10.93mmol、7.0当量)をH
2O(15mL)に溶解し、この溶液を反応混合物に加え、続いて、反応混合物にN
2を10分間バブリングすることによって脱気した。Pd(dppf)Cl
2
*CH
2Cl
2(128mg、0.16mmol、0.1当量)を加え、反応物を3時間還流した。反応混合物を真空濃縮し、EtOAc(100mL)に再溶解し、セライト(登録商標)パッドで濾過した。濾液をEtOAc(100mL)が入った分液漏斗に移した。合わせた有機層をH
2O(3×100mL)およびブライン(100mL)で洗浄し、MgSO
4で乾燥させ、濾過し、真空濃縮した。コンビフラッシュ(ヘプタン中20%EtOAcの勾配で50分溶出)によって精製し、19を白色固体として得た(907mg、>95%)。R
f=0.21(1:4、EtOAc:ヘプタン);UPLC/MS(ESI):C
33H
36ClNO
8[M+H]
+についてのm/z=608.2、測定値607.6;
1H NMR (400 MHz, クロロホルム-d) δ 8.30 (s, 1H), 8.24 (s, 1H), 8.11 (s, 1H), 7.45 - 7.33 (m, 4H), 6.98 - 6.92 (m, 2H), 6.90 (d, J = 8.7 Hz, 2H), 5.31 (s, 2H), 4.07 (t, J = 6.1 Hz, 2H), 3.81 (s, 3H), 3.71 (s, 3H), 2.57 (t, J = 7.3 Hz, 2H), 2.22 - 2.10 (m, 2H), 1.69 (s, 9H);
13C NMR (101 MHz, CDCl
3) δ 173.83, 163.84, 159.82, 158.42, 148.77, 136.51, 134.90, 132.82, 132.39, 131.12, 130.26, 128.38, 126.67, 123.89, 116.54, 114.15, 114.05, 112.37, 85.84, 66.85, 66.17, 55.45, 51.80, 30.75, 28.22, 24.85.
【0119】
4-(4-(1-(tert-ブトキシカルボニル)-6-クロロ-3-(((4-メトキシベンジル)オキシ)カルボニル)-1H-インドール-5-イル)フェノキシ)ブタン酸(20)(
図18、スキーム2)
【化23】
磁気撹拌バーを備えた丸底フラスコ中、メチルエステル19(300mg、0.49mmol、1.0当量)をH
2O:THF(1:1)混合物に溶解し、NaOH(22mg、0.54mmol、1.1当量)を加え、6時間撹拌した。UPLC-MSによって監視して完了したところで、反応物を真空濃縮し、EtOAc(50mL)に再溶解し、0.05N HCl水溶液(1×20mL)で洗浄し、MgSO
4で乾燥させ、濾過し、真空濃縮した。シリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(ヘプタン中50%EtOAcからEtOAcへの勾配で溶出)により精製し、20を白色固体として得た(139mg、47%)。UPLC/MS(ESI):C
32H
33ClNO
8[M+H]
+についてのm/z計算値=594.2、測定値593.6;
1H NMR (600 MHz, DMSO-d
6) δ 12.16 (s, 1H), 8.26 (s, 1H), 8.22 (s, 1H), 7.97 (s, 1H), 7.44 - 7.39 (m, 2H), 7.38 - 7.32 (m, 2H), 7.05 - 7.00 (m, 2H), 6.97 - 6.91 (m, 2H), 5.29 (s, 2H), 4.05 (t, J = 6.4 Hz, 2H), 3.75 (s, 3H), 3.74 (d, J = 11.0 Hz, 1H), 2.42 (t, J = 7.3 Hz, 2H), 1.99 (h, J = 6.9, 6.5 Hz, 2H), 1.65 (s, 9H);
13C NMR (151 MHz, DMSO) δ 174.07, 162.72, 159.21, 158.08, 147.97, 135.65, 134.14, 132.95, 131.12, 130.62, 130.02, 128.73, 127.98, 126.12, 123.13, 115.91, 114.13, 113.89, 111.14, 86.06, 66.65, 65.61, 55.09, 30.13, 27.45, 24.25.
【0120】
グルカゴン類似体;C末端リジンホモログ(21)(
図19、スキーム3および4)
【化24】
樹脂結合ペプチド(配列番号3)を、自動ペプチド合成の一般的な手順に従って、ChemMatrix(登録商標)Rinkamide樹脂(0.50mmol/g)上で0.05mmolスケールで合成した。カップリング反応は、アスタリスクで指定したようにダブルカップリングおよびトリプルカップリングとして行った。C末端リジンはMtt保護基で導入し、継続合成のために直交脱保護を可能にした。ペプチドの一部は切断カクテルAを用いて切断し、アッセイで対照として使用される。分取HPLC(C18、50分で10~60%B)で精製し、凍結乾燥後にグルカゴン類似体21を白色粉末として得た(16.6mg、5.3%)。分析的HPLC純度:>95%(λ=214nm)。LCMS m/z:C
193H
288N
56O
61S
4+についての[M+4H]
4+計算値1101.1;測定値1101.2。
【0121】
修飾グルカゴンとAMPK活性化剤のコンジュゲート;PEG-リンカー:1単位(22a)(
図19、スキーム3)
樹脂結合ペプチド21(配列番号3)を、40番のリジンについてはFmoc-Lys(Mmt)-OHを、また1番のヒスチジンについてはBoc-His(Trt)-OHを使用したこと以外は、自動ペプチド合成の一般的な手順に従って、ChemMatrix(登録商標)Rinkamide樹脂(0.50mmol/g)上で0.05mmolスケールで合成した。カップリング反応は、アスタリスクで指定したようにダブルカップリングおよびトリプルカップリングとして行った。樹脂上Mmt脱保護は、Mmt脱保護の一般的な手順を用いて達成した。Fmoc-アミノ-EG-CH
2CH
2COOHを、マニュアルHBTUカップリングの一般的な手順を用いて遊離アミンにカップリングさせ、続いて、マニュアルFmoc脱保護の標準的な手順を用いてFmoc脱保護を行った。最後に、HBTUカップリングの一般的な手順を用いて20をダブルカップリングした。このコンジュゲートを、切断カクテルAを用いて切断した。分取HPLC(C18、50分で10-60%B)によって精製し、凍結乾燥後にアシル化GLP-1ホモログ22を白色粉末として得た(5.1mg、3.4%)。分析的HPLC純度:>95%(λ=214nm)。LCMS m/z:C
217H
315ClN
58O
67S
4+についての[M+4H]
4+計算値1218.8;測定値1218.8。
【0122】
修飾グルカゴンとAMPK活性化剤のコンジュゲート。PEG-リンカー:2単位(22b)(
図19、スキーム3)
樹脂結合ペプチド21(配列番号3)を、40番のリジンについてはFmoc-Lys(Mmt)-OHを、また1番のヒスチジンについてはBoc-His(Trt)-OHを使用したこと以外は、自動ペプチド合成の一般的な手順に従って、ChemMatrix(登録商標)Rinkamide樹脂(0.50mmol/g)上で0.05mmolスケールで合成した。カップリング反応は、アスタリスクで指定したようにダブルカップリングおよびトリプルカップリングとして行った。樹脂上Mmt脱保護は、Mmt脱保護の一般的な手順を用いて達成した。Fmoc-アミノ-PEG
2-CH
2CH
2COOHを、マニュアルHBTUカップリングの一般的な手順を用いて遊離アミンにカップリングさせ、続いて、マニュアルFmoc脱保護の標準的な手順を用いてFmoc脱保護を行った。最後に、HBTUカップリングの一般的な手順を用いて20をダブルカップリングした。このコンジュゲートを、切断カクテルAを用いて切断した。分取HPLC(C18、50分で10-60%B)によって精製し、凍結乾燥後にアシル化GLP-1ホモログ22を白色粉末として得た(6.9mg、4.3%)。分析的HPLC純度:98%(λ=214nm)。LCMS m/z:C
219H
319ClN
58O
68S
4+についての[M+4H]
4+計算値1229.6;測定値1229.7。
【0123】
修飾グルカゴンとAMPK活性化剤のコンジュゲート。PEG-リンカー:3単位(22c)(
図19、スキーム3)
樹脂結合ペプチド21(配列番号3)を、40番のリジンについてはFmoc-Lys(Mmt)-OHを、また1番のヒスチジンについてはBoc-His(Trt)-OHを使用したこと以外は、自動ペプチド合成の一般的な手順に従って、ChemMatrix(登録商標)Rinkamide樹脂(0.50mmol/g)上で0.05mmolスケールで合成した。カップリング反応は、アスタリスクで指定したようにダブルカップリングおよびトリプルカップリングとして行った。樹脂上Mmt脱保護は、Mmt脱保護の一般的な手順を用いて達成した。Fmoc-アミノ-PEG
3-CH
2COOHを、マニュアルHBTUカップリングの一般的な手順を用いて遊離アミンにカップリングさせ、続いて、マニュアルFmoc脱保護の標準的な手順を用いてFmoc脱保護を行った。最後に、HBTUカップリングの一般的な手順を用いて20をダブルカップリングした。このコンジュゲートを、切断カクテルAを用いて切断した。こ分取HPLC(C18、50分で10-60%B)によって精製し、凍結乾燥後にアシル化GLP-1ホモログ22を白色粉末として得た(1.8mg、1.5%)。分析的HPLC純度:>95%(λ=214nm)。LCMS m/z:C
220H
320ClN
58O
69S
4+についての[M+4H]
4+計算値1237.1;測定値1237.2。
【0124】
修飾グルカゴンとAMPK活性化剤のコンジュゲート。PEG-リンカー:4単位(22d)(
図19、スキーム3)
樹脂結合ペプチド21(配列番号3)を、40番のリジンについてはFmoc-Lys(Mmt)-OHを、また1番のヒスチジンについてはBoc-His(Trt)-OHを使用したこと以外は、自動ペプチド合成の一般的な手順に従って、ChemMatrix(登録商標)Rinkamide樹脂(0.50mmol/g)上で0.05mmolスケールで合成した。カップリング反応は、アスタリスクで指定したようにダブルカップリングおよびトリプルカップリングとして行った。樹脂上Mmt脱保護は、Mmt脱保護の一般的な手順を用いて達成した。Fmoc-PEG
4-CH
2COOHを、マニュアルHBTUカップリングの一般的な手順を用いて遊離アミンにカップリングさせ、続いて、マニュアルFmoc脱保護の標準的な手順を用いてFmoc脱保護を行った。最後に、HBTUカップリングの一般的な手順を用いて20をダブルカップリングした。このコンジュゲートを、切断カクテルAを用いて切断した。分取HPLC(C18、50分で10-60%B)によって精製し、凍結乾燥後にアシル化GLP-1ホモログ22を白色粉末として得た(3.7mg、2.6%)。分析的HPLC純度:>95%(λ=214nm)。LCMS m/z:C
222H
325ClN
58O
70S
4+についての[M+4H]
4+計算値1248.1;測定値1248.2。
【0125】
修飾グルカゴンとAMPK活性化剤のコンジュゲート。C4リンカー(23a)(
図19、スキーム4)
樹脂結合ペプチド21(配列番号3)を、40番のリジンについてはFmoc-Lys(Mmt)-OHを、また1番のヒスチジンについてはBoc-His(Trt)-OHを使用したこと以外は、自動ペプチド合成の一般的な手順に従って、ChemMatrix(登録商標)Rinkamide樹脂(0.50mmol/g)上で0.05mmolスケールで合成した。カップリング反応は、アスタリスクで指定したようにダブルカップリングおよびトリプルカップリングとして行った。樹脂上Mmt脱保護は、Mmt脱保護の一般的な手順を用いて達成した。化合物14aを、PyBOPカップリングの一般的な手順を用いて遊離アミンにカップリングさせた。アリルエステルを、アリル脱保護の一般的な手順を用いて脱保護し、このコンジュゲートを、切断カクテルAを用いて樹脂コンジュゲートから遊離させた。分取HPLC(C18、50分で10-60%B)によって精製し、凍結乾燥後にアシル化GLP-1ホモログ23aを白色粉末として得た(9.1mg、6.9%)。分析的HPLC純度:>95%(λ=214nm)。LCS m/z:C
214H
309ClN
58O
66S
4+についての[M+4H]
4+計算値1204.2;測定値1202.0。
【0126】
修飾グルカゴンとAMPK活性化剤のコンジュゲート。C6リンカー(23b)(
図19、スキーム4)
樹脂結合ペプチド21(配列番号3)を、40番のリジンについてはFmoc-Lys(Mmt)-OHを、また1番のヒスチジンについてはBoc-His(Trt)-OHを使用したこと以外は、自動ペプチド合成の一般的な手順に従って、ChemMatrix(登録商標)Rinkamide樹脂(0.50mmol/g)上で0.05mmolスケールで合成した。カップリング反応は、アスタリスクで指定したようにダブルカップリングおよびトリプルカップリングとして行った。樹脂上Mmt脱保護は、Mmt脱保護の一般的な手順を用いて達成した。化合物14bを、PyBOPカップリングの一般的な手順を用いて遊離アミンにカップリングさせた。アリルエステルを、アリル脱保護の一般的な手順を用いて脱保護し、このコンジュゲートを、切断カクテルAを用いて樹脂コンジュゲートから遊離させた。分取HPLC(C18、50分で10-60%B)によって精製し、凍結乾燥後にアシル化GLP-1ホモログ23bを白色粉末として得た(2.3mg、3.1%)。分析的HPLC純度:>95%(λ=214nm)。LCMS m/z:C
216H
313ClN
58O
66S
4+についての[M+4H]
4+計算値1211.3;測定値1211.3。
【0127】
修飾グルカゴンおよびAMPK活性化剤コンジュゲート。C8リンカー(23c)(
図19、スキーム4)
樹脂結合ペプチド21(配列番号3)を、40番のリジンについてはFmoc-Lys(Mmt)-OHを、また1番のヒスチジンについてはBoc-His(Trt)-OHを使用したこと以外は、自動ペプチド合成の一般的な手順に従って、ChemMatrix(登録商標)Rinkamide樹脂(0.50mmol/g)上で0.05mmolスケールで合成した。カップリング反応は、アスタリスクで指定したようにダブルカップリングおよびトリプルカップリングとして行った。樹脂上Mmt脱保護は、Mmt脱保護の一般的な手順を用いて達成した。化合物14cを、PyBOPカップリングの一般的な手順を用いて遊離アミンにカップリングさせた。アリルエステルを、アリル脱保護の一般的な手順を用いて脱保護し、このコンジュゲートを、切断カクテルAを用いて樹脂コンジュゲートから遊離させた。分取HPLC(C18、50分で10-60%B)によって精製し、凍結乾燥後にアシル化GLP-1ホモログ23cを白色粉末として得た(4.7mg、3.0%)。分析的HPLC純度:>95%(λ=214nm)。LCMS m/z:C
218H
313ClN
58O
66S
4+についての[M+4H]
4+計算値1218.3;測定値1218.6。
【0128】
修飾グルカゴンとAMPK活性化剤のコンジュゲート。C10リンカー(23d)(
図19、スキーム4)
樹脂結合ペプチド21(配列番号3)を、40番のリジンについてはFmoc-Lys(Mmt)-OHを、また1番のヒスチジンについてはBoc-His(Trt)-OHを使用したこと以外は、自動ペプチド合成の一般的な手順に従って、ChemMatrix(登録商標)Rinkamide樹脂(0.50mmol/g)上で0.05mmolスケールで合成した。カップリング反応は、アスタリスクで指定したようにダブルカップリングおよびトリプルカップリングとして行った。樹脂上Mmt脱保護は、Mmt脱保護の一般的な手順を用いて達成した。化合物14dを、PyBOPカップリングの一般的な手順を用いて遊離アミンにカップリングさせた。アリルエステルを、アリル脱保護の一般的な手順を用いて脱保護し、このコンジュゲートを、切断カクテルAを用いて樹脂コンジュゲートから遊離させた。分取HPLC(C18、50分で10-60%B)によって精製し、凍結乾燥後にアシル化GLP-1ホモログ23dを白色粉末として得た(4.6mg、4.0%)。分析的HPLC純度:>95%(λ=214nm)。LCMS m/z:C
220H
321ClN
58O
66S
4+についての[M+4H]
4+計算値1225.3;測定値1225.4。
【0129】
修飾グルカゴンとAMPK活性化剤のコンジュゲート。C18リンカー(23e)(
図19、スキーム4)
樹脂結合ペプチド21(配列番号3)を、40番のリジンについてはFmoc-Lys(Mmt)-OHを、また1番のヒスチジンについてはBoc-His(Trt)-OHを使用したこと以外は、自動ペプチド合成の一般的な手順に従って、ChemMatrix(登録商標)Rinkamide樹脂(0.50mmol/g)上で0.05mmolスケールで合成した。カップリング反応は、アスタリスクで指定したようにダブルカップリングおよびトリプルカップリングとして行った。樹脂上Mmt脱保護は、Mmt脱保護の一般的な手順を用いて達成した。化合物14eを、PyBOPカップリングの一般的な手順を用いて遊離アミンにカップリングさせた。アリルエステルを、アリル脱保護の一般的な手順を用いて脱保護し、このコンジュゲートを、切断カクテルAを用いて樹脂コンジュゲートから遊離させた。分取HPLC(C18、50分で10-60%B)によって精製し、凍結乾燥後にアシル化GLP-1ホモログ23eを白色粉末として得た(5.5mg、3.7%)。分析的HPLC純度:>95%(λ=214nm)。LCMS m/z:C
228H
337ClN
58O
66S
4+についての[M+4H]
4+計算値1253.1;測定値1253.5。
【0130】
実施例4:AMPK活性アッセイにおける修飾グルカゴン(配列番号3)とAMPK活性化剤のコンジュゲートの試験
AMPK活性は、1μM MK-8722(陽性対照)、1μM PF-06409577(陽性対照)、またはPF-06409577-グルカゴンコンジュゲート(0~1000nM)の存在下、アッセイバッファー(50mM HEPES(pH7.4)、10mM MgCl2、150mM NaCl、1mM EGTA、および1mM DTT)、200μM合成ペプチド基質(AMARA)、および100μM[γ-32P]-ATP(PerkinElmer)を含有する35μl反応液に添加した50ngの組換えヘテロ三量体AMPK a1b1y1(Signalchem P47-110GH)を使用することによって評価した。反応は30℃で行い、30分後に35μlをP81ホスホセルロースペーパー(Whatman)にスポットすることによって終了させた。各サンプルの放射能は、チェレンコフカウンティングによって測定した。
【0131】
実施例5:糖耐性および化合物忍容性試験
糖耐性:マウスを5時間絶食させた後、等張食塩水に溶解した1.75g/kgのグルコースを腹腔内注射により投与した。注射から0、15、30、60、90、120分後に携帯型グルコメーター(Contour XT、Bayer)を用いて尾部の血糖値を測定した。
【0132】
化合物忍容性:化合物忍容性は、特に指定がない限り、実験化合物を皮下注射した後、注射から0、1、2、4および24時間後に携帯型グルコメーター((Contour XT、Bayer)を用いて尾部の血糖値を測定することにより評価した。須21では、24時間後にコアゴニストおよびトリアゴニスト化合物の血糖値を測定した。
【配列表】
【手続補正書】
【提出日】2024-05-29
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
天然グルカゴンの少なくとも0.1%の活性をグルカゴン受容体において示すペプチドと、AMP活性化タンパク質キナーゼ(AMPK)活性化剤を含んでなるコンジュゲート分子であって、前記ペプチドは、前記AMPK活性化剤に直接またはリンカーを介して共有結合されている、コンジュゲート分子。
【請求項2】
前記ペプチドがグルカゴンスーパーファミリーのものである、請求項1に記載のコンジュゲート分子。
【請求項3】
前記ペプチドが、配列番号1に対して少なくとも80%のアミノ酸配列同一性を有する、請求項
1に記載のコンジュゲート分子。
【請求項4】
前記ペプチドが、少なくとも10個のアミノ酸で60個以下のアミノ酸からなる、請求項
1に記載のコンジュゲート分子。
【請求項5】
前記AMPK活性化剤が、前記ペプチドに切断可能な化学的リンカーを介して共有結合され、前記切断可能な化学的リンカーが、酸切断可能なリンカー、酵素切断可能なリンカー、ペプチド切断可能なリンカー、およびジスルフィド基を含んでなるリンカーから選択される、請求項
1に記載のコンジュゲート分子。
【請求項6】
前記化学的リンカーが式R
1-R
3-S-S-R
4-R
5-NH-CO-R
2を有し、式中、R
1は前記ペプチドであり、R
2は前記AMPK活性化剤であり、R
3は、任意選択であり、存在する場合、C(CH
3)
2、CH
2-CH
2、またはCH
2から選択され、前記ペプチドの側鎖にまたは前記ペプチドの主鎖の炭素原子に結合し、R
4は(CH
2)
nまたはC
6H
4であり、R
5は、任意選択であり、存在する場合、C(CH
3)
2、CH-CH
3、CH
2-CH
2、またはCH
2から選択され、nは、1、2、3または4である、請求項5に記載のコンジュゲート分子。
【請求項7】
前記AMPK活性化剤が、前記ペプチドに切断不可能なリンカーを介して共有結合され、塩基切断不可能なリンカーは、ポリエチレングリコールリンカー、炭素リンカー、SMCCならびにマレイミド、エーテル、アミド、トリアゾール、ジスルフィド、およびチオエーテル共役の化学的性質を有するmcから選択される、請求項
1に記載のコンジュゲート分子。
【請求項8】
前記AMPK活性化剤が、5-アミノイミダゾール-4-カルボキサミド1-β-D-リボフラノシド(AICAR)、(3R,3aR,6R,6aR)-6-((6-([1,1’-ビフェニル]-4-イル)-7-クロロ-3H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-2-イル)オキシ)ヘキサヒドロフロ[3,2-b]フラン-3-オール(MK-8722)、(3R,3aR,6R,6aR)-6-((6-クロロ-5-(4-(1-(ヒドロキシメチル)シクロプロピル)フェニル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-イル)オキシ)ヘキサヒドロフロ[3,2-b]フラン-3-オール(PF-739)、6-クロロ-5-[4-(1-ヒドロキシシクロブチル)フェニル]-1H-インドール-3-カルボン酸(PF-06409577)、塩酸1,1-ジメチルビグアニド(メトホルミン)、4-ヒドロキシ-3-(2’-ヒドロキシビフェニル-4-イル)-6-オキソ-6,7-ジヒドロチエノ[2,3-b]ピリジン-5-カルボニトリル(A-769662)、2-クロロ-5-[[5-[[5-(4,5-ジメチル-2-ニトロフェニル)-2-フラニル]メチレン]-4,5-ジヒドロ-4-オキソ-2-チアゾリル]アミノ]安息香酸(PT-1)、2-[[2-(2-ブロモ-4-メチルフェノキシ)エチル]チオ]-ピリミジン(ZLN024)、2-[[4-(ジエチルアミノ)-2-ヒドロキシフェニル]メチレン]ヒドラジド-4-ピリジンカルボン酸(RSVA-405)、およびそれらの類似体から選択される、請求項
1に記載のコンジュゲート分子。
【請求項9】
療法において使用するための、請求項
1に記載のコンジュゲート分子。
【請求項10】
肥満、2型糖尿病、高インスリン血症、インスリン抵抗性、耐糖能異常者、高コレステロール血症、非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)および異脂肪血症の処置において使用するための、請求項
1に記載のコンジュゲート分子。
【請求項11】
請求項
1に記載のコンジュゲート分子またはその薬学上許容可能な塩および薬学上許容可能な担体を含んでなる医薬組成物。
【請求項12】
哺乳動物の体重を減少させる方法であって、請求項
1に記載のコンジュゲート分子または請求項11に記載の医薬組成物を哺乳動物に投与することを含んでなる、方法。
【請求項13】
請求項
1に記載のコンジュゲート分子または請求項11に記載の医薬組成物を前記哺乳動物に経口投与することを含んでなる、体重を減少させるための哺乳動物の非治療的処置。
【請求項14】
哺乳動物が非病原性体格指数(BMI)を有する、請求項13に記載の体重を減少させるための哺乳動物の非治療的処置。
【請求項15】
請求項
1に記載のコンジュゲート分子または請求項11に記載の医薬組成物を前記哺乳動物に経口投与することを含んでなる、血漿コレステロールを減少させるための哺乳動物の非治療的処置。
【国際調査報告】