IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ エルジー エナジー ソリューション リミテッドの特許一覧

特表2024-536850バッテリーパック及びこれを含む自動車
<>
  • 特表-バッテリーパック及びこれを含む自動車 図1
  • 特表-バッテリーパック及びこれを含む自動車 図2
  • 特表-バッテリーパック及びこれを含む自動車 図3
  • 特表-バッテリーパック及びこれを含む自動車 図4
  • 特表-バッテリーパック及びこれを含む自動車 図5
  • 特表-バッテリーパック及びこれを含む自動車 図6
  • 特表-バッテリーパック及びこれを含む自動車 図7
  • 特表-バッテリーパック及びこれを含む自動車 図8
  • 特表-バッテリーパック及びこれを含む自動車 図9
  • 特表-バッテリーパック及びこれを含む自動車 図10
  • 特表-バッテリーパック及びこれを含む自動車 図11
  • 特表-バッテリーパック及びこれを含む自動車 図12
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-08
(54)【発明の名称】バッテリーパック及びこれを含む自動車
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/242 20210101AFI20241001BHJP
   H01M 50/211 20210101ALI20241001BHJP
   H01M 50/262 20210101ALI20241001BHJP
   H01M 50/264 20210101ALI20241001BHJP
   H01M 50/204 20210101ALI20241001BHJP
   H01M 10/613 20140101ALI20241001BHJP
   H01M 10/647 20140101ALI20241001BHJP
   H01M 10/625 20140101ALI20241001BHJP
   H01M 10/6556 20140101ALI20241001BHJP
   H01M 50/289 20210101ALI20241001BHJP
   H01M 50/291 20210101ALI20241001BHJP
【FI】
H01M50/242
H01M50/211
H01M50/262 S
H01M50/262 E
H01M50/264
H01M50/204 401H
H01M10/613
H01M10/647
H01M10/625
H01M10/6556
H01M50/289 101
H01M50/291
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024518716
(86)(22)【出願日】2023-06-07
(85)【翻訳文提出日】2024-03-25
(86)【国際出願番号】 KR2023007783
(87)【国際公開番号】W WO2023239158
(87)【国際公開日】2023-12-14
(31)【優先権主張番号】10-2022-0070524
(32)【優先日】2022-06-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2023-0067180
(32)【優先日】2023-05-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】セ-ユン・チュン
(72)【発明者】
【氏名】ジョン-ハ・ジョン
(72)【発明者】
【氏名】ウ-ヨン・クォン
(72)【発明者】
【氏名】イン-ス・キム
(72)【発明者】
【氏名】ジン-ヨン・パク
(72)【発明者】
【氏名】ホ-ジュネ・チ
【テーマコード(参考)】
5H031
5H040
【Fターム(参考)】
5H031AA09
5H031KK08
5H040AA07
5H040AA28
5H040AS07
5H040AT04
5H040AT06
5H040AY05
5H040AY10
5H040CC13
5H040CC34
(57)【要約】
本発明によるバッテリーパックは、一方向に積層配列される複数のセルユニットと、各前記セルユニットの一方の側面又は両方の側面に取り付けられた圧縮パッドと、前記セルユニット及び前記圧縮パッドを間に挟んで前記セルユニット及び前記圧縮パッドを一体に圧迫する一対の面圧提供壁体と、を含むセルユニットグループと、少なくとも1つの前記セルユニットグループを収容するパックケースと、を含み、前記面圧提供壁体は、下面から上方へと湾入して形成されたピン差込部を下端に備え、前記パックケースは、底板から突設され、前記ピン差込部に差し込まれて前記面圧提供壁体を定位置に導くガイドピン部を含み得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方向に積層配列される複数のセルユニットと、各前記セルユニットの一方の側面又は両方の側面に取り付けられた圧縮パッドと、前記セルユニット及び前記圧縮パッドを間に挟んで前記セルユニット及び前記圧縮パッドを一体に圧迫する一対の面圧提供壁体と、を含むセルユニットグループと、
少なくとも1つの前記セルユニットグループを収容するパックケースと、
を含み、
前記面圧提供壁体は、下面から上方へと湾入して形成されたピン差込部を下端に備え、
前記パックケースは、底板から突設され、前記ピン差込部に差し込まれて前記面圧提供壁体を定位置に導くガイドピン部を含む、バッテリーパック。
【請求項2】
前記パックケースは、
前記底板と前記底板と垂直になるように配置されて壁体を形成する複数のビームフレームとを備えたパックトレイを含み、
前記セルユニットグループは、前記圧縮パッドが圧縮された状態で前記パックトレイに載置され、
前記一対の面圧提供壁体のうちの一方は、相対向する2つの前記ビームフレームのうちの一方と対面し、前記一対の面圧提供壁体のうちの他方は、相対向する2つの前記ビームフレームのうちの他方と対面する、請求項1に記載のバッテリーパック。
【請求項3】
相対向する2つの前記ビームフレームが、それぞれ対面する前記面圧提供壁体を支持して、前記圧縮パッドの復元力に対する反力が前記面圧提供壁体に働くように構成されている、請求項2に記載のバッテリーパック。
【請求項4】
前記ガイドピン部は、前記ビームフレームと所定の間隔だけ離れた位置に設けられ、前記ビームフレームと並んでいる、請求項2に記載のバッテリーパック。
【請求項5】
前記ガイドピン部は、前記ピン差込部よりも幅が小さくなるように設けられて、前記ピン差込部の内部において幅方向に相対移動可能に構成されている、請求項1に記載のバッテリーパック。
【請求項6】
前記ガイドピン部は、
縦断面が上狭下広の台形状に形成されている、請求項5に記載のバッテリーパック。
【請求項7】
前記ガイドピン部は、縦断面がアーク(arc)状に形成され、前記セルユニットに面する面は、前記底板と直角をなす、請求項5に記載のバッテリーパック。
【請求項8】
前記面圧提供壁体は、下端部に転動可能に結合された球部材を含む、請求項5に記載のバッテリーパック。
【請求項9】
前記セルユニットグループは、前記圧縮パッドが圧縮された状態で、前記底板において互いに向かい合う2つの前記ビームフレームの間に載置され、前記圧縮パッドの圧縮状態が緩和されるようにして、前記面圧提供壁体が押し出されて前記ビームフレームに接触するように構成されている、請求項2に記載のバッテリーパック。
【請求項10】
前記ガイドピン部は、前記底板と一体に形成されている、請求項1に記載のバッテリーパック。
【請求項11】
前記ピン差込部は、内側面に取り付けられる緩衝パッドを含む、請求項1に記載のバッテリーパック。
【請求項12】
前記セルユニットは、
1つ又は積層された2つ以上のバッテリーセルからなるセルスタックと、
前記セルスタックの幅方向に沿った前記セルスタックの両方の側面部と、前記セルスタックの上部とを覆うように設けられたセルカバーと、
を含む、請求項1に記載のバッテリーパック。
【請求項13】
前記バッテリーセルは、パウチ型バッテリーセルである、請求項12に記載のバッテリーパック。
【請求項14】
前記底板は、冷媒が流動可能な冷却チャンネルを内部に含む、請求項1に記載のバッテリーパック。
【請求項15】
請求項1から14のいずれか一項に記載のバッテリーパックを含む、自動車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2022年06月10日付け出願の韓国特許出願第10-2022-0070524号及び2023年05月24日付け出願の韓国特許出願第第10-2023-0067180号に基づく優先権を主張し、当該出願の明細書及び図面に開示された内容は、すべて本出願に組み込まれる。
【0002】
本発明は、バッテリーパックに関し、より詳細には、バッテリーパックの組み立てに際して、従来のバッテリーモジュール単位の組み立てを省略し、バッテリーセルをパックケースに直接的に組み立て可能に構成したバッテリーパックに関する。
【背景技術】
【0003】
二次電池は、化石燃料の使用を画期的に減少できるという一時的な長所のみならず、エネルギーの使用に伴う副産物が全く生じないという長所をも併せ持つことから、環境へのやさしさ及びエネルギー効率性の向上のための新たなエネルギー源として注目を浴びている。
【0004】
このため、多岐にわたるデバイスへの二次電池の適用が増えつつある。例えば、多機能小型製品であるワイヤーレスモバイル機器(wireless mobile device)またはウェアラブル機器(wearable device)のエネルギー源として広範に用いられているのみならず、既存のガソリン車両及びディーゼル車両に対する代案として提示される電気自動車とハイブリッド電気自動車などのエネルギー源や電力貯蔵装置(ESS)としても用いられている。
【0005】
一般に、二次電池は、1つ当たりの作動電圧が約2.5V~4.5V前後である。したがって、大容量及び高出力が求められる電気自動車や電力貯蔵装置の場合、複数の二次電池を直列に及び/又は並列に接続し、これをモジュールハウジングに収容して構成したバッテリーモジュールと、前記バッテリーモジュールを直列に及び/又は並列に接続したバッテリーパックを構成し、これをエネルギー源として用いている。すなわち、従来のバッテリーパックは、その下位概念としてバッテリーモジュールを含み、バッテリーモジュールは、その下位概念としてバッテリーセルを含む。そして、1つのバッテリーモジュールに入るバッテリーセルの数又は1つのバッテリーパックに入るバッテリーモジュールの数は、電気自動車に求められるバッテリーパックの出力や容量に応じて種々に決定され得る。
【0006】
一方、一例を挙げると、電気自動車用のバッテリーパック1のバッテリーモジュール2は、バッテリーセル3とバッテリーセルとを電気的に接続するためのバスバーフレーム(図示せず)及び前記バッテリーセルとバスバーフレームを一体に収容するモジュールハウジング4を含む。前記バッテリーモジュールは、図1乃至図2に示すように、パックトレイの内部空間5に配置され、パックトレイの底面にボルトなどにより固定され得る。一般に、前記パックトレイは、衝撃や振動に対する耐久性を増大させるために、複数のビームフレーム6を備え得る。前記ビームフレームは、パックトレイの一方の壁面から延びて他方の壁面に結合されていて、パックトレイのねじれや歪みを抑える役割を果たすことができる。パックトレイは、内部空間が前記ビームフレームにより複数に画定され得、前記画定された空間にバッテリーモジュールがそれぞれ配置され得る。
【0007】
ところが、このように、バッテリーモジュールをパックトレイに搭載したバッテリーパックの場合、バッテリーモジュールとビームフレームとの間のギャップに相当するデッドスペース(dead space)、モジュールハウジングが占める重さと体積などがバッテリーパックの単位体積当たりのエネルギー密度を低下させる要素として働いて、バッテリーパックのエネルギー容量を画期的に増加させ難いということが指摘されている。しかしながら、近年、電気自動車市場が急激に伸びることに伴い、電気自動車の移動距離が重要視されている。電気自動車の移動距離は、バッテリーパックのエネルギー容量に大きく左右される。したがって、当該業界において、バッテリーパックの単位体積当たりのエネルギー密度を増大可能な方案を用意することが、当該業界において依然として大きなイシューとして取り上げられている。このため、近年、モジュールハウジングを省略し、バッテリーセルを直接的にパックトレイに搭載する方式、すなわち、バッテリーモジュールの作製段階を省略し、バッテリーセルを直ちにパックトレイに搭載するいわゆるセルトゥパック(Cell To Pack)タイプのバッテリーパックが注目を浴びている。
【0008】
ところが、セルトゥパックは、モジュールハウジングを使用しないため、既存とは全く異なる方式によりバッテリーパックにバッテリーセルを搭載し、かつ固定しなければならない。さらに、外部の衝撃や振動にも拘わらず、バッテリーセルが遊動しないように拘束し、充放電時にバッテリーセルのスウェリング(膨れ上がり)現象などを規制できなければならない。したがって、衝撃や振動の際にバッテリーセルの構造的な安定性を保持することができ、更に、バッテリーセルのスウェリング現象までも規制することのできるセルトゥパック方式のバッテリーパックが切望されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって、本発明が解決しようとする技術的課題は、セルトゥパック(CTP)タイプのバッテリーパックであって、バッテリーセルを容易にパックケースに収容することができ、前記バッテリーセルを拘束することにより、振動や衝撃にも拘わらず、構造的な安定性を確保することのできるバッテリーパックを提供することである。
【0010】
本発明が解決しようとする技術的課題は、上述した技術的課題に何ら制限されるものではなく、言及されていない他の技術的課題は、下記に記載されている発明の説明から当業者にとって明らかに理解できる筈である。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一側面によれば、一方向に積層配列される複数のセルユニットと、各前記セルユニットの一方の側面又は両方の側面に取り付けられた圧縮パッドと、前記セルユニット及び前記圧縮パッドを間に挟んで前記セルユニット及び前記圧縮パッドを一体に圧迫する一対の面圧提供壁体と、を含むセルユニットグループと、少なくとも1つの前記セルユニットグループを収容するパックケースと、を含み、前記面圧提供壁体は、下面から上方へと湾入して形成されたピン差込部を下端に備え、前記パックケースは、底板から突設され、前記ピン差込部に差し込まれて前記面圧提供壁体を定位置に導くガイドピン部を含むバッテリーパックが提供され得る。
【0012】
前記パックケースは、前記底板と前記底板と垂直になるように配置されて壁体を形成する複数のビームフレームとを備えたパックトレイを含み、前記セルユニットグループは、前記圧縮パッドが圧縮された状態で前記パックトレイに載置され、前記一対の面圧提供壁体のうちの一方は、相対向する2つの前記ビームフレームのうちの一方と対面し、前記一対の面圧提供壁体のうちの他方は、相対向する2つの前記ビームフレームのうちの他方と対面するように構成され得る。
【0013】
相対向する2つの前記ビームフレームが、それぞれ対面する前記面圧提供壁体を支持して、前記圧縮パッドの復元力に対する反力が前記面圧提供壁体に働くように構成され得る。
【0014】
前記ガイドピン部は、前記ビームフレームと所定の間隔だけ離れた位置に設けられ、前記ビームフレームと並ぶように構成され得る。
【0015】
前記ガイドピン部は、前記ピン差込部よりも幅が小さくなるように設けられて、前記ピン差込部の内部において幅方向に相対移動可能に構成され得る。
【0016】
前記ガイドピン部は、縦断面が上狭下広の台形状に形成され得る。
【0017】
前記ガイドピン部は、縦断面がアーク(arc)状に形成され、前記セルユニットに面する面は、前記底板と直角をなすように構成され得る。
【0018】
前記面圧提供壁体は、下端部に転動可能に結合された球部材を含み得る。
【0019】
前記セルユニットグループは、前記圧縮パッドが圧縮された状態で、前記底板において互いに向かい合う2つの前記ビームフレームの間に載置され、前記圧縮パッドの圧縮状態が緩和されるようにして、前記面圧提供壁体が押し出されて前記ビームフレームに接触するように構成され得る。
【0020】
前記ガイドピン部は、前記底板と一体に形成され得る。
【0021】
前記ピン差込部は、内側面に取り付けられる緩衝パッドを含み得る。
【0022】
前記セルユニットは、1つ又は積層された2つ以上のバッテリーセルからなるセルスタックと、前記セルスタックの幅方向に沿った前記セルスタックの両方の側面部と、前記セルスタックの上部とを覆うように設けられたセルカバーと、を含み得る。
【0023】
前記バッテリーセルは、パウチ型バッテリーセルであり得る。
【0024】
前記底板は、冷媒が流動可能な冷却チャンネルを内部に含み得る。
【0025】
本発明の他の態様によれば、上述したバッテリーパックを含む自動車が提供され得る。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、セルトゥパック(Cell To Pack)タイプのバッテリーパックであって、バッテリーセルを容易にパックケースに収容することができ、前記バッテリーセルを拘束することにより、振動や衝撃にも拘わらず、構造的な安定性を確保し、充放電時にバッテリーセルの過剰なスウェリング(swelling)現象を規制してバッテリーセルの性能の低下を防ぐことのできるバッテリーパックが提供されることが可能になる。
【0027】
また、本発明によるバッテリーパックは、バッテリーセルがパックケースに集約的に収容されることができて、従来のバッテリーパックよりも大きなエネルギー容量を有することができる。
【0028】
これらに加えて、本発明は色々な他の効果を有することができ、これについては各実施構成の欄において説明したり、当業者が容易に類推可能な効果などについては当該説明を省略したりする。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】従来の技術によるバッテリーパックの構成を概略的に示す図である。
図2図1のバッテリーパックの概略断面図である。
図3】本発明の一実施形態によるバッテリーパックの構成を概略的に示す斜視図である。
図4】本発明の一実施形態によるセルユニットグループを概略的に示す図である。
図5】本発明の一実施形態によるセルユニットの斜視図である。
図6図5のセルユニットの分解斜視図である。
図7】本発明の一実施形態によるパックトレイの壁体の一部を省略し、パックトレイの内部の一領域を拡大して示す図である。
図8】本発明の一実施形態によるセルユニットグループがパックケースに収容される過程を示す図である。
図9】本発明の一実施形態によるセルユニットグループがパックケースに収容される過程を示す図である。
図10図9に対応する図であって、本発明の一実施形態によるガイドピン部の変形例を示す図である。
図11図9に対応する図であって、本発明の一実施形態による面圧提供壁体の変形例を示す図である。
図12】本発明の一実施形態による自動車を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、添付された図面を参照して本発明の望ましい実施形態を詳しく説明する。これに先立ち、本明細書及び特許請求の範囲に使われた用語や単語は通常的や辞書的な意味に限定して解釈されるものではなく、発明者自らは発明を最善の方法で説明するために用語の概念を適切に定義できるという原則に則して本発明の技術的な思想に応ずる意味及び概念で解釈されるものである。
【0031】
したがって、本明細書に記載された実施形態及び図面に示された構成は、本発明の最も好ましい一実施形態に過ぎず、本発明の技術的な思想のすべてを表すものではないため、本出願の時点においてこれらに代替できる多様な均等物及び変形例があり得ることを理解されたい。
【0032】
図3は、本発明の一実施形態によるバッテリーパックの構成を概略的に示す斜視図であり、図4は、本発明の一実施形態によるセルユニットグループを概略的に示す図であり、図5は、本発明の一実施形態によるセルユニットの斜視図であり、図6は、図5のセルユニットの分解斜視図であり、図7は、本発明の一実施形態によるパックトレイの壁体一部を省略し、パックトレイの内部の一領域を拡大して示す図である。
【0033】
図3を参照すると、本発明の一実施形態によるバッテリーパックは、セルユニットグループ10とパックケース20を含む。
【0034】
前記セルユニットグループ10は、図4に示すように、一方向に積層配列されるセルユニット100と、前記セルユニット100の一方の側面又は両方の側面に取り付けられる圧縮パッドP1と、前記セルユニット100と前記圧縮パッドP1を間に挟んで前記セルユニット100と前記圧縮パッドP1に面圧を提供する一対の面圧提供壁体200と、を含む。
【0035】
前記セルユニット100は、1つ又は積層された2つ以上のバッテリーセル110又は前記1つ又は2以上のバッテリーセル110を収容するセルカバー120を含むエネルギー貯蔵体を意味し得る。
【0036】
具体的には、図5乃至図6を参照すると、この実施形態によるセルユニット100は、1つ又は積層された2つ以上のパウチ型バッテリーセル110からなるセルスタックと、前記セルスタックにおいて電極リード111が位置している前方側と後方側、そして下部側を除いた残りの部分を包み込むセルカバー120と、を含む。換言すれば、前記セルカバー120は、前記セルスタックの幅方向(±X方向)に沿った前記セルスタックの両方の側面部と上部側を覆うように構成され得る。また、前記セルユニット100は、前記パウチ型バッテリーセル110の電極リード111と電気的に接続されるターミナルバスバー131と、前記ターミナルバスバー131を支持し、開放されている前記セルカバー120の前方開放端と後方開放端を覆うバスバーフレーム組立体130と、を含む。すなわち、本実施形態のセルユニット100は、それぞれ前方側と後方側にバスバーフレーム組立体130を有する。しかしながら、本実施形態とは異なり、セルユニット100は、セルスタックとセルカバー120のみから構成されることもある。この場合、複数のセルユニット100を一方向に積層し、積層した複数のセルユニット100の前方側と後方側をそれぞれ一括して覆うことが可能なバスバーフレーム組立体130を用いることもある。
【0037】
図6に戻ると、前記パウチ型バッテリーセル110は、電極組立体と、前記電極組立体を収容するパウチケース及び電極組立体と接続され、パウチケースの外側に引き出される電極リード111を含む。前記電極リード111は、正極リードと負極リードを一対で含む。ここで、前記正極リードと前記負極リードは、バッテリーセル110の長手方向(Y方向)に沿ったバッテリーセル110の両端に設けられ得る。
【0038】
このようなパウチ型バッテリーセル110は、広い面が地面に対して垂直になるように立てられ、一方向(X方向)に定められた数に見合う分だけ積層され得る。例えば、図6に示すように、3つのパウチ型バッテリーセル110が一方向(X方向)に積層され得る。このとき、各パウチ型バッテリーセル110の正極リードは前方(-Y方向)を向き、各パウチ型バッテリーセル110の負極リードは後方(+Y方向)を向くように配置する。この場合、前記3つのパウチ型バッテリーセル110は、同一の極性の電極リード111同士が対応する側に位置しているターミナルバスバー131に溶接されて並列に接続され、1つのパワーバンクをなし得る。
【0039】
すなわち、3つのパウチ型バッテリーセル110は、セルカバー120に収容されて積層状態が保持され、バスバーフレーム組立体130のターミナルバスバー131を介して並列に接続され得る。そして、前記ターミナルバスバー131は、その上端部がバスバーハウジング132の外側にも露出されるように構成され得、このようなターミナルバスバー131の上端部がセルユニット100の正極ターミナルまたは負極ターミナルとして機能し得る。
【0040】
この実施形態は、3つのパウチ型バッテリーセル110を用いてセルユニット100を構成しているが、1つ、2、または4つ以上のパウチ型バッテリーセル110を用いてセルユニット100を構成することもある。図示はしないが、例えば、6つのパウチ型バッテリーセル110を用いて3つずつのパウチ型バッテリーセル110を並列に接続し、このようにして並列に接続された3つずつ2グループのパウチ型バッテリーセル110を直列に接続して、前記6つのパウチ型バッテリーセル110をいわゆる「3P2S」の形態に構成し得る。この場合、セルユニット100は、その正極ターミナルと負極ターミナルを同一の方向に有するように構成され得る。
【0041】
一方、前記パウチ型バッテリーセル110は、パウチケースの内部に電極組立体を収容している部分に相当する収容部Rと、前記収容部Rの周りを囲繞する形状の4つのエッジ部E1~E4と、を備え得る。前記4つのエッジ部E1~E4とは、たとえば、図6に示すように、起立配置されたパウチ型バッテリーセル110において、前記収容部Rを基準として、上側エッジ部E1、下側エッジ部E2、前方側のエッジ部E3及び後方側のエッジ部E4のことを意味する。
【0042】
ここで、前記エッジ部E1~E4は、いずれもシール部であるか、あるいは、上側エッジ部E1または下側エッジ部E2を除いた残りの3つのエッジ部E2、E3、E4又はE1、E3、E4がシール部であり得る。敷衍すれば、電極組立体を収容するとき、1枚のラミネートフィルムを畳み込む方式を適用したパウチ型バッテリーセル110は、3つのシール部を有し、2枚のラミネートフィルムの周縁を接合する方式を適用したパウチ型バッテリーセル110は、4つのシール部を有する。これにより、パウチ型バッテリーセル110は、3つのエッジ部E2、E3、E4又はE1、E3、E4がシール部であり得るか、あるいは、4つのエッジ部E1~E4がいずれもシール部であり得る。
【0043】
前記セルカバー120は、1つ又は積層された2つ以上のパウチ型バッテリーセル110の少なくとも一部を包み込むように構成され得る。例えば、1つのパウチ型バッテリーセル110を包み込むように構成されたセルカバー120は、当該パウチ型バッテリーセル110の上側エッジ部E1と収容部Rの両面を包み込む形状に作製され得る。あるいは、図6に示すように、本実施形態によるセルカバー120は、前記3つのパウチ型バッテリーセル110の上側エッジ部E1と、積層順序上最初のパウチ型バッテリーセル110の収容部Rの一面と3番目のパウチ型バッテリーセル110の収容部Rの一面を包み込んで覆うことが可能な形状に作製され得る。
【0044】
このようなセルカバー120は、多種多様な材質から構成され得る。特に、前記セルカバー120は、剛性の確保のために、金属材質から構成され得る。金属材質の場合、パウチ型バッテリーセル110の積層状態をより一層安定的に保持し、外部の衝撃からパウチ型バッテリーセル110をより一層セキュアに保護することができる。例えば、前記セルカバー120は、全体がステンレス鋼(SUS)材質から形成され得るか、あるいは、ステンレス鋼を含む合金からなり得る。
【0045】
パウチ型バッテリーセル110は、パウチケースが軟性材質から作製されて外部の衝撃に脆弱であり、硬度が低いものであるといえる。したがって、パウチ型バッテリーセル110のみをパックケース20の内部に収容することは決して容易ではない。このため、セルカバー120が用いられ、前記セルカバー120は、前記パウチ型バッテリーセル110の積層状態及び起立状態が安定的に保持できるようにする。
【0046】
また、セルカバー120は、外部の衝撃などからパウチ型バッテリーセル110の損傷や破損を防ぎ、特に、パウチ型バッテリーセル110をパックケース20に収容するとき、パウチ型バッテリーセル110の積層状態が安定的に保持できるようにする。
【0047】
より具体的には、この実施形態によるセルカバー120の構成について述べると、前記セルカバー120は、図6に示すように、上側カバー部121と、第1の側面カバー部122及び第2の側面カバー部123を含む。
【0048】
前記上側カバー部121は、内部に収容されたパウチ型バッテリーセル110の上側エッジ部E1を包み込むように構成され得る。前記上側カバー部121は、パウチ型バッテリーセル110の上側エッジ部E1に対して接離される形状に構成され得る
前記第1の側面カバー部122は、上側カバー部121の幅方向に沿った一方の縁線から下部の向きに延びる形状に構成され得る。例えば、第1の側面カバー部122は、上側カバー部121の左側の端部から下部の向きにパウチ型バッテリーセル110の収容部Rよりも長く延びた形状に構成され得る。
【0049】
前記第1の側面カバー部122は、前記少なくとも1つのパウチ型バッテリーセル110の一方の側面を覆うように構成され得る。たとえば、前記第1の側面カバー部122は、図6中の最初のパウチ型バッテリーセル110の収容部Rの一面を包み込むように構成され得る。
【0050】
前記第2の側面カバー部123は、上側カバー部121の幅方向に沿った他方の縁線から下部の向きに延びる形状に構成され得る。例えば、第2の側面カバー部123は、上側カバー部121の右側の端部から下部の向きにパウチ型バッテリーセル110の収容部Rよりも長く延びた形状に構成され得る。
【0051】
前記第2の側面カバー部123は、前記少なくとも1つのパウチ型バッテリーセル110の一方の側面を覆うように構成され得る。たとえば、前記第2の側面カバー部123は、図6中の3番目のパウチ型バッテリーセル110の収容部Rの一面を包み込むように構成され得る。
【0052】
第1の側面カバー部122と前記第2の側面カバー部123との間隔は、前記セルカバー120の内部に収容されるパウチ型バッテリーセル110が圧迫されることが可能な範囲において決定され得る。
【0053】
このようなセルカバー120の構成によれば、パウチ型バッテリーセル110がセルカバー120の内部において圧迫されることが可能であり、前記パウチ型バッテリーセル110の下側エッジ部は、外部に露出される。したがって、セルユニット100をパックケース20の底板24に載置するとき、前記パウチ型バッテリーセル110の下側エッジ部がパックケース20の底板24と直接的に対面することができる。この場合、パウチ型バッテリーセル110の下側エッジ部とパックケース20の底板24との間の熱交換がより一層円滑に行われることが可能になる。これらに加えて、前記パックケース20の底板24に熱伝導性接着剤Gなどを塗布して前記パウチ型バッテリーセル110の下側エッジ部とパックケース20の底板24との間の伝熱率を増大させることもできる。すなわち、本実施形態のように、セルカバー120を用いてパウチ型バッテリーセル110の下部を覆っていない実施構成によれば、パウチ型バッテリーセル110の積層状態を安定的に保持し、パックケース20にパウチ型バッテリーセル110を搭載することができ、さらには、パウチ型バッテリーセル110に対する冷却を行い易く、しかも、冷却が効率よく行われる。
【0054】
また、前記セルカバー120は、前方側と後方側、そして下部側が開放された形状に提供され得る。そして、本実施形態のセルカバー120は、上端の両方の終端部分が、図6に示すように、切り欠かれた形状に配設される切り欠き部124を含み得る。このような切り欠き部124を用いて、図5に示すように、バスバーフレーム組立体130をセルカバー120の内側の向きに引き込むことができ、ターミナルバスバー131から折り曲げられた上端部をセルカバー120の上部の向きに露出させることができる。このように、セルユニット100の電極ターミナルが上部の方向を向くように構成することにより、他のセルユニット100又は外部装置との接続の利便性を高めることができる。
【0055】
前記バスバーフレーム組立体130は、第1のバスバーフレーム組立体と第2のバスバーフレーム組立体を含む。前記第1のバスバーフレーム組立体と前記第2のバスバーフレーム組立体は、実質的に同一の構成を有し、図5乃至図6に示すように、前記第1のバスバーフレーム組立体は、セルカバー120の長手方向に沿った一方の端部(-Y方向)に配置され、第2のバスバーフレーム組立体は、セルカバー120の他方の端部(+Y方向)に配置され得る。前述した通り、この実施形態において、積層された3つのパウチ型バッテリーセル110の正極リードは、前記第1のバスバーフレーム組立体のターミナルバスバー131に一体に溶接され得、負極リードは、前記第2のバスバー組立体のターミナルバスバー131に一体に溶接され得る。この場合、前記3つのパウチ型バッテリーセル110は、3P1Sの形態に並列に接続され得る。
【0056】
前記バスバーフレーム組立体130は、主な構成要素として、図6に示すように、ターミナルバスバー131と、バスバーハウジング132と、ハウジング蓋体133及び絶縁シート134を含み得る。
【0057】
前記ターミナルバスバー131は、例えば、銅、ニッケル、アルミニウムなどの金属から作製され、バスバーハウジング132は、例えば、プラスチックなどの電気絶縁性の素材から作製され得る。
【0058】
前記バスバーハウジング132は、前記ターミナルバスバー131を支持し、前記セルカバー120と結合され得る。すなわち、バスバーハウジング132は、図5に示すように、セルカバー120の前方開放端と後方開放端にそれぞれ結合できるように構成され得る。このとき、バスバーハウジング132は、接着、溶接、嵌合、フック掛合、ボルト締め、リベット接合など多種多様な締結方式を用いてセルカバー120に固定されるように結合され得る。
【0059】
このようなバスバーハウジング132は、概ね直方体構造のボックス状に設けられ得る。前記バスバーハウジング132は、バッテリーセル110の電極リード111が胴体を通過できるように前記電極リード111を差し込み可能なスリットを備え得る。このため、バッテリーセル110の電極リード111は、前記スリットを介してバスバーハウジング132を貫通して外側に引き出され、引き出された部分は、ターミナルバスバー131に取り付けられ得る。前記電極リード111を前記ターミナルバスバー131に取り付けるとき、レーザー溶接が行われ得る。そして、電極リード111とターミナルバスバー131とが結合された部分は、ハウジング蓋体133により遮蔽され得る。また、前記ハウジング蓋体133の外側には、絶縁シート134がさらに貼り付けられ得る。前記絶縁シート134は、例えば、ミカ(mica)などの防炎素材から形成され得る。
【0060】
上述したようにして本発明の一実施形態によるセルユニット100が構成され得、このようなセルユニット100の一方の側面又は両方の側面に圧縮パッドP1が取り付けられ得る。前記圧縮パッドP1は、外力により圧縮され、外力が解放されれば復元可能な素材から作製され得る。例えば、前記圧縮パッドP1は、ゴム、シリコン又はメモリーフォーム(foam)などの素材から作製され得る。
【0061】
図4に戻ると、圧縮パッドP1の取り付けられたセルユニット100が、一方向(X方向)に互いに対面するように積層され、このようにして積層されたセルユニット100積層体の最外側に面圧提供壁体200が配置される。すなわち、本発明の一実施形態によるセルユニットグループ10は、複数のセルユニット100と、前記セルユニット100の間に配置される緩衝パッドP2、及び前記セルユニット100の積層方向に沿った最外郭の両側に1つずつ配置される面圧提供壁体200を含む。
【0062】
前記面圧提供壁体200は、積層されたセルユニット100を一体にパックケース20に収容し易く、パックケース20に収容した後、前記セルユニット100が遊動しないように拘束することにより、振動や衝撃から構造的な安定性を確保するために用いられる構成要素であるといえる。
【0063】
例えば、前記面圧提供壁体200を用いずに、セルユニット100を1つずつ収容する場合もある。しかしながら、この場合、作業時間が長引いてしまうなど効果的ではない。また、パウチ型バッテリーセル110は、過充放電時に収容部Rが膨れ上がるという問題があり、これは、性能の退化の要因として働く。このようなスウェリング現象は、適正な圧力にてパウチ型バッテリーセル110を圧迫することにより抑制ないし緩和されることが可能になる。ところが、いかなる圧迫装置なしにセルユニット100をパックケース20に直ちに搭載する場合、バッテリーセル110のスウェリングを抑え難く、さらに、外部の衝撃や振動によりバッテリーセル110の位置が不安定になって構造的・電気的な安定性に問題が生じる余地がないとはいえない。
【0064】
このため、本発明によるバッテリーパックは、セルユニットグループ10が前記一対の面圧提供壁体200を含んで構成され、ロボットアーム(図示せず)又は把持治具(図示せず)を用いて前記セルユニットグループ10を一体に把持してパックケース20に載置したとき、前記一対の面圧提供壁体200が積層配列されたバッテリーセル110に均一な面圧を提供するように構成されている。以下では、このための本発明の構成要素とそれらの作用についてさらに詳しく説明する。
【0065】
図3に戻ると、前記パックケース20は、パックトレイ22とパックカバー21を含み得る。
【0066】
前記パックトレイ22は、底板24と、前記底板24と垂直になるように配置されて壁体を形成する複数のビームフレーム23と、を含む。前記複数のビームフレーム23は、前記底板24の外郭の周りに沿って壁体を形成する外郭ビームフレーム23aと、前記底板24の内側において前記底板24を横切って前記パックトレイ22の内部空間を画定する内側ビームフレーム23bと、を含み得る。
【0067】
各セルユニットグループ10は、前記複数のビームフレーム23により取り囲まれて画定されたパックトレイ22の内部空間に載置され得る。たとえば、図3に示すように、各セルユニットグループ10は、パックトレイ22の外郭ビームフレーム23aと内側ビームフレーム23bにより取り囲まれたパックトレイ22の内部空間に載置され得る。一方、この実施形態による4つのセルユニットグループ10を収容できるようにパックトレイ22が構成されているが、前記パックトレイ22の底板24の面積や外郭ビームフレーム23aと内側ビームフレーム23bの数や位置を変更して4つ未満または4つ以上のセルユニットグループ10を収容できるようにパックトレイ22を構成する場合もある。
【0068】
前記セルユニットグループ10は、前記圧縮パッドP1が圧縮された状態で、前記パックトレイ22に載置され、前記一対の面圧提供壁体200のうちの一方は、相対向する2つの前記ビームフレーム23のうちの一方と対面し、前記一対の面圧提供壁体200のうちの他方は、相対向する2つの前記ビームフレーム23のうちの他方と対面するように載置され得る。
【0069】
このとき、本発明によるバッテリーパックは、相対向する2つの前記ビームフレーム23がそれぞれ対面する前記一対の面圧提供壁体200を支持して、前記圧縮パッドP1の復元力に対する反力が前記面圧提供壁体200に働くように構成され得る。
【0070】
これについては、図3と併せて、図7乃至図9を主として参照して詳しく説明する。
【0071】
図3に示されているように、面圧提供壁体200は、下端にピン差込部201を備える。前記ピン差込部201は、前記面圧提供壁体200の下面から上方へと湾入して前記面圧提供壁体200の内部に形成された空きスペースとして特定され得る。このようなピン差込部201は、面圧提供壁体200の長手方向に沿って長尺状に延びた形状に配設され得る。
【0072】
そして、パックケース20は、底板24において予め指定された位置に突設され、前記ピン差込部201に差し込まれて前記面圧提供壁体200を定位置に導くガイドピン部25を含み得る。
【0073】
前記ガイドピン部25は、前記パックトレイ22と一体に形成され、前記ビームフレーム23と並んでおり、セルユニットグループ10をパックトレイ22に載置するとき、前記面圧提供壁体200のピン差込部201と上下方向に対応可能な位置に設けられ得る。
【0074】
より具体的には、各セルユニットグループ10が載置されるべきパックトレイ22の画定された内部空間ごとに2本のガイドピン部25がパックトレイ22の底板24に設けられ得る。本実施形態において、2本のガイドピン部25のうちの一方は、外郭ビームフレーム23aにおいて予め決定された間隔に見合う分だけ離れ、2本のガイドピン部25のうちの他方は、内側ビームフレーム23bにおいて予め決定された間隔に見合う分だけ離れた位置に設けられ得る。ここで、前記予め決定された間隔は、面圧提供壁体200の厚さ、圧縮パッドP1の圧縮の度合いなどを考慮して決定され得る。但し、前記予め決定された間隔は、面圧提供壁体200のピン差込部201の左右の幅(±X方向)よりも小さな範囲において決定され得る。
【0075】
前記ガイドピン部25は、前記面圧提供壁体200に対応する長さを有し得、その縦断面は、上狭下広の台形状に形成され得る。この場合、面圧提供壁体200をパックトレイ22に載置する過程において、前記ガイドピン部25が前記面圧提供壁体200のピン差込部201に差し込まれ易い。このとき、前記ピン差込部201もまた前記ガイドピン部25と対応する台形の形状であれば、前記ピン差込部201への前記ガイドピン部25の差し込みが遥かに手軽に行われる。
【0076】
また、前記ガイドピン部25は、前記ピン差込部201よりも幅が小さくなるように設けられ得る。この場合、セルユニットグループ10をパックトレイ22に載置するとき、面圧提供壁体200のピン差込部201に前記ガイドピン部25がさらに差し込まれ易くなるだけではなく、前記ピン差込部201に前記ガイドピン部25が差し込まれた後、前記ピン差込部201の内部において前記ガイドピン部25が幅方向に相対移動することが可能になる。
【0077】
上記の構成によれば、図8に示すように、把持治具(図示せず)を用いてセルユニットグループ10を圧縮した状態で、パックトレイ22に載置した後、圧縮を解除すれば、圧縮パッドP1の復元力により、図9の矢印にて示すように、面圧提供壁体200が±X方向に押されて移動することができる。すなわち、本実施形態によるセルユニットグループ10は、圧縮パッドP1が圧縮された状態で、前記底板24において互いに向かい合う2つの前記ビームフレーム23の間に載置され、前記圧縮パッドP1の圧縮状態が緩和されながら、前記圧縮パッドP1の復元力が働く方向に前記面圧提供壁体200が押し出されて前記ビームフレーム23に接触することができる。
【0078】
敷衍すれば、図8に示す実施形態のように、セルユニットグループ10は、圧縮パッドP1を備えていて、圧縮された状態でパックトレイ22の底板24に載置され得る。このとき、パックトレイ22の上にある2本のガイドピン部25の位置及びこれらの間の間隔が、セルユニットグループ10の圧縮の度合いとローディング位置を決定する尺度になり得る。そして、パックトレイ22のビームフレーム23とガイドピン部25との間にギャップ(gap)が存在し、前記ガイドピン部25の幅が前記面圧提供壁体200のピン差込部201よりも小さくなるように形成されているので、面圧提供壁体200のピン差込部201の内側面と前記ガイドピン部25とが接触しないようにセルユニットグループ10をパックトレイ22の底板24に載置することができる。この状態で、セルユニットグループ10をパックトレイ22に載置した後、(把持治具にて)セルユニットグループ10に加えていた圧縮を解除すれば、圧縮パッドP1の復元力が働いて面圧提供壁体200が圧縮方向の逆方向に押し出されてビームフレーム23に向かって移動することになる。
【0079】
すると、図9に示すように、面圧提供壁体200がビームフレーム23と対面接触して移動が止まることになる。このとき、面圧提供壁体200の可動距離は、ガイドピン部25とピン差込部201との間の幅の差の範囲以内に制限され得る。また、相対向するガイドピン部25の一方の側面とピン差込部201の一方の側面のうちの少なくとも一方に緩衝パッドP2が取り付けられ得る。前記緩衝パッドP2は、ガイドピン部25とピン差込部201との接触に伴う衝撃を緩和し、ガイドピン部25とピン差込部201の内側面との間において圧縮され得る。したがって、面圧提供壁体200、ビームフレーム23、ガイドピン部25の間の相対的な位置に応じて生じ得る組立て公差は、前記緩衝パッドP2の圧縮により解消されることが可能になる。
【0080】
このような本発明の一実施形態によれば、相対向する2つのビームフレーム23がそれぞれ対面する前記一対の面圧提供壁体200を支持して、前記圧縮パッドP1の復元力に対する反力が面圧提供壁体200に働くことができる。
【0081】
したがって、前記面圧提供壁体200の反力がセルユニット100に働いてセルユニット100が強固に保持されることが可能になる。そのため、パックトレイ22に搭載された各セルユニットグループ10は、外部の衝撃や振動にも拘わらず、構造的に安定している。また、充放電動作の最中にバッテリーセル110のスウェリングが生じたとき、前記一対の面圧提供壁体200の反力によりバッテリーセル110の膨れ上がりを抑制ないし緩和することができる。
【0082】
一方、図8乃至図9に戻ると、パックトレイ22の底板24は、内部に冷媒が流動可能な冷却チャンネル26を備えるように構成され得る。このような底板24の上に熱伝導性接着剤Gを塗布し、前記熱伝導性接着剤Gの上にセルユニット100が配置されるように構成することにより、バッテリーセル110から発せられた熱がより一層有効にパックトレイ22の底板24に伝導されるようにして、バッテリーセル110に対する冷却効率を増大させることができる。
【0083】
図10は、図9に対応する図であって、本発明の一実施形態によるガイドピン部25の変形例を示す図であり、図11は、図9に対応する図であって、本発明の一実施形態による面圧提供壁体200の変形例を示す図である。
【0084】
次いで、前記図10図11を参照して、本発明の変形例について簡略に説明する。
【0085】
前述した実施形態と同一の部材番号は、同一の部材を示し、同一の部材についての重複する説明は省略し、前述した実施形態との相違点に重点をおいて説明する。
【0086】
前述したパックトレイ22上のガイドピン部25は、前述した実施形態のように、必ずしも台形の形状であるとは限らない。前記ガイドピン部25は、台形の形状の他にも、多種多様な形状に作製され得る。例えば、図10に示すように、ガイドピン部28は、縦断面がアーク(arc)状に形成されることもある。より具体的には、前記ガイドピン部28は、角度が90°である扇子状の断面を有し、セルユニット100に面する面が前記パックトレイ22の底板24と直角をなすように構成され得る。そして、面圧提供壁体200のピン差込部201は、内部空間が長方形の形状に構成され得る。この場合、面圧提供壁体200は、載置の際にその下端が前記ガイドピン部25の円弧部分に乗って降下することができ、ガイドピン部28の垂直面とピン差込部201の内側面とが互いに水平方向に対面するので、ガイドピン部28とピン差込部201の内側面との間に働く反力が水平方向にさらに均一にかつ安定的に働くことができる。
【0087】
一方、図11に示すように、変形例による前記面圧提供壁体200は、下端部に転動可能に結合された球部材202をさらに含み得る。前述したように、圧縮パッドP1が圧縮された状態で、セルユニットグループ10がパックトレイ22の底板24に載置された後、前記圧縮パッドP1の復元力が働いて面圧提供壁体200がビームフレーム23に向かって押されていくとき、この変形例による面圧提供壁体200は、球部材202の回転によりパックトレイ22の底板24とほとんど摩擦せずに移動することができる。前記球部材202は、例えば、球軸受(ボールベアリング)を備え得る。
【0088】
この変形例による構成によれば、パックトレイ22の底板24と面圧提供壁体200との摩擦力が著しく低減されることにより、ビームフレーム23により面圧提供壁体200がより一層しっかりと支持され、また、面圧提供壁体200の反力が損失なしにセルユニット100に働いてセルユニット100をより一層強力に拘束することができる。
【0089】
一方、前記バッテリーパックは、制御モジュール30をさらに含み得る。前記制御モジュール30は、バッテリーセル110の充放電動作、充電状態(SOC:State Of Charge)、健全度や劣化状態(SOH:State Of Health)などを管理するバッテリー管理システム(BMS:Battery Management System)を含み、パックケース20の内部空間に装着され得る。また、前記バッテリーパックは、スイッチングユニット40をさらに含み得る。前記スイッチングユニット40は、バッテリーパックと外部回路との電気的な接続を制御するように構成され得る。このために、前記スイッチングユニット40は、電流センサー、パワーリレイ、ヒューズなどを選択的に含み得る。
【0090】
このような本発明によるバッテリーパックは、自動車の動力エネルギー源として用いられ得る。すなわち、本発明による自動車Vは、図12に示すように、前述した本発明によるバッテリーパックを含み得る。ここで、本発明による自動車は、例えば、電気自動車やハイブリッド自動車などの電気を駆動源として用いる所定の自動車を含み得る。また、本発明による自動車は、本発明によるバッテリーパックの他に、自動車に含まれる他の様々な構成要素、たとえば、車体やモーターなどをさらに含み得る。
【0091】
一方、本明細書中においては、上、下、左、右、前、後などの方向指示語が用いられたが、これらの用語は説明のしやすさのために用いられたものに過ぎず、対象となる物事の位置や観測者の位置などに応じて異なってくる可能性があるということは本発明の当業者にとって自明である。
【0092】
以上、本発明については、たとえ限定された実施形態と図面により説明されたが、本発明はこれらに何ら限定されるものではなく、本発明が属する技術分野において通常の知識を有する者により、本発明の技術的な思想と特許請求の範囲の均等な範囲内において様々な修正及び変形を加えることが可能であるということはいうまでもない。
【符号の説明】
【0093】
1 バッテリーパック
2 バッテリーモジュール
3 バッテリーセル
4 モジュールハウジング
5 内部空間
6 ビームフレーム
10 セルユニットグループ
20 パックケース
21 パックカバー
22 パックトレイ
23 ビームフレーム
23a 外郭ビームフレーム
23b 内側ビームフレーム
24 底板
25 ガイドピン部
26 冷却チャンネル
28 ガイドピン部
30 制御モジュール
40 スイッチングユニット
100 セルユニット
110 バッテリーセル
111 電極リード
120 セルカバー
121 上側カバー部
122 第1の側面カバー部
123 第2の側面カバー部
124 欠き部
130 バスバーフレーム組立体
131 ターミナルバスバー
132 バスバーハウジング
133 ハウジング蓋体
134 絶縁シート
200 面圧提供壁体
201 ピン差込部
202 球部材
arc アーク
CTP セルトゥパック
E1~E4 エッジ部
E1 エッジ部
E1 上側エッジ部
E2、E3、E4又はE1、E3、E4 エッジ部
E2 エッジ部
E2 下側エッジ部
E3 エッジ部
E4 エッジ部
ESS 電力貯蔵装置
P1 圧縮パッド
P2 緩衝パッド
R 収容部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
【国際調査報告】