(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-10
(54)【発明の名称】吸湿層を有する電極用テープを含む電極組立体およびそれを含む二次電池
(51)【国際特許分類】
H01M 10/058 20100101AFI20241003BHJP
H01M 10/0587 20100101ALI20241003BHJP
H01M 10/04 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
H01M10/058
H01M10/0587
H01M10/04 Z
H01M10/04 W
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024520905
(86)(22)【出願日】2023-04-13
(85)【翻訳文提出日】2024-04-05
(86)【国際出願番号】 KR2023005022
(87)【国際公開番号】W WO2023200272
(87)【国際公開日】2023-10-19
(31)【優先権主張番号】10-2022-0045598
(32)【優先日】2022-04-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジェオン、アンソー
(72)【発明者】
【氏名】ソン、ビュンダエ
【テーマコード(参考)】
5H028
5H029
【Fターム(参考)】
5H028AA10
5H028CC04
5H028CC07
5H028CC08
5H028EE10
5H028HH00
5H028HH05
5H029AK01
5H029AK03
5H029AL07
5H029AL08
5H029AL11
5H029AL12
5H029BJ14
5H029BJ27
5H029CJ22
5H029DJ10
5H029DJ14
5H029EJ05
5H029EJ12
5H029HJ00
5H029HJ03
(57)【要約】
本明細書は、吸湿層を有する電極用テープを含む電極組立体およびそれを含む二次電池に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
正極;負極;および前記正極と前記負極との間に設けられた分離膜;を含む電極積層体を有する電極組立体であって、
前記正極は、正極活物質層が備えられた正極コーティング部および正極活物質が未塗布された正極無地部を含み、
前記負極は、負極活物質層が設けられた負極コーティング部および負極活物質が未塗布された負極無地部を含み、
前記正極の長辺方向の少なくとも一側端部を包む電極用テープを含み、
前記電極用テープは、接着層;および前記接着層の一面に設けられた水分を吸着する吸湿層;を含み、
前記吸湿層が設けられた方向に位置した前記接着層の一面は、付着力を高めるための第1凹凸面を含み、
前記吸湿層の表面は、表面積を高めるための第2凹凸面を含む、電極組立体。
【請求項2】
前記電極用テープが備えられた前記正極の長辺方向の少なくとも一側端部は、前記正極無地部に位置する、請求項1に記載の電極組立体。
【請求項3】
前記電極用テープは、前記正極の一面から他面まで前記正極の 少なくとも1つの端部を包み込んで取り付けられた形態である、請求項1に記載の電極組立体。
【請求項4】
前記吸湿層はシリカ(SiO
2)粉末を含む、請求項1に記載の電極組立体。
【請求項5】
前記第1凹凸面または前記第2凹凸面は、波状パターン、格子パターンまたは陽刻形状のエンボスパターンを含む、請求項1に記載の電極組立体。
【請求項6】
前記第1凹凸面または前記第2凹凸面は格子パターンを含み、
前記格子パターンは、凸部;および凹部を含み、
前記凸部および前記凹部の間の平均間隔は0.5mm~2.0mmである、請求項1に記載の電極組立体。
【請求項7】
前記第2凹凸面は格子パターンを含み、
前記格子パターンは、凸部;および凹部;を含み、
前記格子パターンにおいて、前記凸部の各斜面がなす角度θは、110°~150°である、請求項1に記載の電極組立体。
【請求項8】
前記接着層と前記吸湿層との間に1層以上の高分子樹脂層をさらに含む、請求項1に記載の電極組立体。
【請求項9】
前記吸湿層が設けられた方向に位置した前記高分子樹脂層の一面は、付着力を高めるための第3凹凸面を含む、請求項8に記載の電極組立体。
【請求項10】
前記電極組立体は、前記電極積層体が巻き取られた構造を含む、請求項1に記載の電極組立体。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか一項に記載の電極組立体を含む、二次電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2022年04月13日付にて韓国特許庁に提出された韓国特許出願第10-2022-0045598号の出願日の利益を主張し、その内容のすべては本明細書に含まれる。
【0002】
本発明は、吸湿層を有する電極用テープを含む電極組立体およびそれを含む二次電池に関する。
【背景技術】
【0003】
近年、ノートパソコン、ビデオカメラ、携帯電話などの携帯用電子製品の需要が急激に増大し、電気自動車、エネルギー貯蔵用蓄電池、ロボット、衛星などの開発が本格化するにつれ、その駆動電源として使用される二次電池について多くの研究が行われている。
【0004】
このような二次電池には、例えば、ニッケルカドミウム電池、ニッケル水素電池、ニッケル亜鉛電池、リチウム二次電池などがある。これらの中で、リチウム二次電池は、ニッケル系の二次電池に比べてメモリ効果がほとんど起こらず充放電が自由であり、自己放電率が非常に低く、作動電圧が高く、単位重量当たりのエネルギー密度が高いという利点から、先端電子機器分野で広く使用されている。
【0005】
一般に、リチウム二次電池は、正極、負極、および前記正極と負極との間に介在する分離膜から構成された電極組立体が積層または巻き取られた構造で金属缶またはラミネートシートのケースに内蔵され、その内部に電解液が注入または含浸されることで構成される。
【0006】
二次電池を構成する正極/分離膜/負極構造の電極組立体は、その構造によって大きくゼリーロール型(巻取型)とスタック型(積層型)に区分される。ゼリーロール型は、活物質が塗布された長いシート型の正極と負極との間に分離膜を介して巻き取った構造であり、スタック型は、所定サイズの多数の正極と負極を分離膜が介在した状態で順次積層した構造である。そのうち、ゼリーロール型電極組立体は、製造が容易であり、重量当たりのエネルギー密度が高いという利点を有する。
【0007】
しかし、前記二次電池は、セル内部または電極付近に水分が存在する場合、ガスが発生したり、高温保管性能やサイクル性能が低下するという問題点があり、コア部に変形(deformation)が生じやすく、分離膜の損傷をもたらし、ショートを起こすという問題がある。
【0008】
このような問題を克服するために、セル内部の水分と電極部分の水分をより効果的に除去できながらも、コア部の変形を防止できる二次電池に対する研究が求められているのが実情である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本明細書では、電池内の水分を吸着する吸湿層を有する電極用テープを含む電極組立体およびそれを含む二次電池を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一実施態様は、正極;負極;および前記正極と前記負極との間に設けられた分離膜を含む電極積層体を有する電極組立体であって、前記正極は、正極活物質層が備えられた正極コーティング部および、前記正極活物質が未塗布された正極無地部を含み、前記負極は、負極活物質層が備えられた負極コーティング部、および前記負極活物質層が未塗布された負極無地部を含み、前記正極の長辺方向の少なくとも一側端部を包む電極用テープを含み、前記電極用テープは、接着層;および前記接着層の一面に設けられた水分を吸着する吸湿層を含み、前記吸湿層が設けられた方向に位置した接着層の一面は、付着力を高めるための第1凹凸面を含み、前記吸湿層の表面は、表面積を高めるための第2凹凸面を含む、電極組立体を提供する。
【0011】
本発明の一実施態様は、前記電極組立体を含む二次電池を提供する。
【発明の効果】
【0012】
本発明の一実施態様による電極組立体は、正極の長辺方向の少なくとも一側端部を包む電極用テープを含むことが特徴である。具体的には、前記電極用テープは水分を吸着する吸湿層を含んでおり、電池内部の水分を効果的に除去することができ、電極テーピング工程から電極付近の水分を除去することができ、水分に脆弱なハイニッケル系列の電池に対する水分による影響を最小化することができる。前記のように電極の水分を除去する場合、HFの発生を最小化してガス発生を防止することができ、過電圧を防止することができ、高温保管性能およびサイクル性能を改善することができる。
【0013】
特に、前記電極用テープが正極の長辺方向の少なくとも一側端部を包み込む形態で設けられることにより、電池内水分を除去するとともに、電極組立体のコアの変形(deformation)の際にバリ(Burr)による分離膜の損傷を効果的に防止することができ、正極無地部のカール(curling)を防止することができる。
【0014】
また、正極の長辺方向の少なくとも一側端部を包み込む形態で設けられた電極用テープは、接着層の一面が凹凸面を含むことで、吸湿層または高分子樹脂層との付着力を高めることができるため、吸湿層の剥離を最小化して、さらに安定して水分を除去するとともに、バリ(burr)による分離膜の損傷を効果的に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の一実施態様による電極組立体に含まれた電極用テープの断面図を示す。
【
図2】本発明の一実施態様による電極組立体に含まれた電極用テープの断面図を示す。
【
図3】本発明の一実施態様による電極組立体に含まれた電極用テープの断面図を示す。
【
図4】本発明の一実施態様による電極組立体に含まれた電極用テープの断面図を示す。
【
図5】本発明の一実施態様による電極組立体に含まれた正極の平面図を示す。
【
図6】本発明の一実施態様による電極組立体に含まれた正極の断面図を示す。
【
図7】本発明の一実施態様による電極組立体に含まれた正極の断面図を示す。
【符号の説明】
【0016】
10 ・・・接着層
11 ・・・第1凹凸面
20 ・・・吸湿層
21 ・・・第2凹凸面
30 ・・・高分子樹脂層
100 ・・・正極
100a ・・・正極無地部
100b ・・・正極コーティング部
101 ・・・正極タブ
300 ・・・電極用テープ
400 ・・・正極の端部
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本明細書についてさらに詳細に説明する。
【0018】
本明細書において、ある部分がある構成要素を「含む」という場合、これは、特に反対の記載がない限り、他の構成要素を除外するのではなく、他の構成要素をさらに含んでもよいことを意味する。
【0019】
本明細書において、ある部材が他の部材「上」に位置しているという場合、これは、ある部材が他の部材に接している場合だけでなく、2つの部材の間に別の部材が存在する場合も含む。
【0020】
本明細書において、ある部材が他の部材と並んで位置しているという場合、これはある部材が他の部材と平行に位置する場合を含んでもよいが、ある部材と他の部材がなす角度を特定するものではない。
【0021】
本明細書において、ある部分が他の部分と接続されているという場合、これは直接接続されている場合だけでなく、その間に他の素子を挟んで、間接的に接続されている場合も含む。
【0022】
以下、添付の図面を参照して本発明の好ましい実施態様について詳細に説明する。しかしながら、本発明の実施態様は様々な形態に変更することができ、本発明の範囲は以下に説明する実施態様に限定されない。ただし、本発明の好ましい実施態様に対する動作原理を詳細に説明する上で、関連する公知機能または構成に関する具体的な説明が本発明の要旨を不要にぼやけることがあると判断される場合には、その詳細な説明を省略する。なお、図面全体に亘って類似な機能および作用をする部分には同一の符号を用いる。
【0023】
そして、本発明を説明するにあたり、本発明の要旨を不要にぼやけることがあり得る関連する公知技術の詳細な説明は省略する。
【0024】
本発明の一実施態様は、正極;負極;および前記正極と前記負極との間に設けられた分離膜を含む電極積層体を有する電極組立体であって、前記正極は、正極活物質層が備えられた正極コーティング部および、前記正極活物質が未塗布された正極無地部を含み、前記負極は、負極活物質層が備えられた負極コーティング部、および前記負極活物質層が未塗布された負極無地部を含み、前記正極の長辺方向の少なくとも一側端部を包む電極用テープを含み、前記電極用テープは、接着層;および前記接着層の一面に設けられた水分を吸着する吸湿層を含み、前記吸湿層が設けられた方向に位置した接着層の一面は、付着力を高めるための第1凹凸面を含み、前記吸湿層の表面は、表面積を高めるための第2凹凸面を含む、電極組立体を提供する。
【0025】
一般に、二次電池では、水分管理が主要な品質管理項目として位置づけられており、実際にも水分は電池内部で副反応を引き起こす原因となり、これは電池の性能および安全性に致命的な影響を及ぼす。電池内部または電極付近に水分が存在する場合、ガスが発生したり、高温保管性能やサイクル性能が低下するという問題点があり、コア部に変形(deformation)が生じやすく、分離膜の損傷をもたらしてショートを起こす問題がある。
【0026】
しかし、資材保管、ドライルーム(dry room)、電池作製などの工程上、様々な要因により二次電池内に微量の水分が含有されるしかなく、水分測定などの管理をしても、既に流入した水分を再び除去することは難しいため、これにより二次電池の全体的な性能が低下する問題点がある。
【0027】
本発明では、電池の反応に関与する直接的な部分である電極に用いる電極用テープに吸湿層を導入し、これを電極の端部を包み込むように設けることにより、電池内水分を除去して電池内の副反応を最小化し、コア部の変形および分離膜の損傷を防止し、正極無地部のカール(curling)を防止することができ、電池性能を改善させることができる。
【0028】
本発明の一実施態様による電極組立体は、正極の長辺方向の少なくとも一側端部を包む電極用テープを含んでもよい。
【0029】
本発明の一実施態様において、前記電極用テープは、接着層;および前記接着層の一面に設けられた水分を吸着する吸湿層を含んでもよい。
【0030】
本発明の一実施態様において、前記吸湿層が設けられた方向に位置した接着層の一面は、付着力を高めるための第1凹凸面を含んでもよい。
【0031】
具体的には、電極用テープが吸湿層を有する場合、接着層との剥離(delamination)が起こりやすいため、接着層との付着力を高めるために吸湿層が設けられた方向に位置した接着層の一面が凹凸面を含んでもよい。したがって、吸湿層が水分を吸着しても接着層の凹凸面により付着力が維持されて吸湿層が剥離しないため、電極用テープの持続的な吸湿効果および端部保護効果が期待できる。
【0032】
本発明の一実施態様において、前記吸湿層の表面は、表面積を高めるための第2凹凸面を含んでもよい。前記吸湿層が第2凹凸面を含むことにより、水分を吸着することができる表面積を大きくして電池内の水分をより効果的に除去することができる。
【0033】
図1は、本発明の一実施態様による接着層および吸湿層を有する電極用テープの断面図を示す。具体的には、前記電極用テープは、接着層10の一面に水分を吸着する吸湿層20が備えられ、前記吸湿層20が設けられた方向に位置した接着層10の一面には付着力を高めるための第1凹凸面11が設けられ得る。また、前記吸湿層20の表面は、表面積を大きくするための第2凹凸面21を含んでもよい。一例において、前記吸湿層20は、接着層10と接して設けられてもよい。
【0034】
本発明の一実施態様において、前記接着層と前記吸湿層との間に物理的強度を高めるために追加の層を設けてもよい。例えば、前記接着層と前記吸湿層との間に1層以上の高分子樹脂層がさらに備えられてもよい。
【0035】
図2を参照すると、前記接着層10の一面に水分を吸着する吸湿層20が設けられ、前記接着層10と前記吸湿層20との間に高分子樹脂層30が設けられた構造であってもよい。すなわち、前記接着層10の一面に高分子樹脂層30が接して設けられ、前記高分子樹脂層30において前記接着層10が接して設けられた一面に対向する他面に、前記吸湿層20が接して設けられてもよい。このとき、前記高分子樹脂層30が設けられた方向に位置した前記接着層10の一面は、第1凹凸面11を含んでもよく、前記吸湿層20の表面、すなわち空気中に露出する吸湿層20の一面は第2凹凸面21を含んでもよい。
【0036】
図2では、1層の高分子樹脂層30のみを示しているが、前記高分子樹脂層は、1層以上をさらに備えてもよい。
【0037】
前記高分子樹脂層は、ポリイミド樹脂、ポリアクリレート樹脂、熱可塑性ポリウレタン(TPU)樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂およびポリスチレン樹脂からなる群から選択された少なくとも1つを含んでもよい。具体的には、前記高分子樹脂層はポリイミド樹脂を含んでもよい。ただし、これに限定されるものではなく、通常用いられる様々な高分子樹脂層を制限なく使用することができる。
【0038】
前記高分子樹脂層の厚さは10μm~40μmであり、具体的には20μm~30μmであってもよい。
【0039】
前記のように電極用テープが三重層以上の構造からなる場合でも、吸湿層が備えられた高分子樹脂層と接着層との剥離(delamination)が起こりやすい。したがって、高分子樹脂層と接着層との付着力を高めるために、接着層において、吸湿層が設けられた方向に位置した接着層の一面が凹凸面を含んでもよい。したがって、吸湿層が水分を吸着しても接着層の凹凸面により付着力が維持され、高分子樹脂層が剥離されず、吸湿層も剥離しないため、電極用テープの持続的な吸湿効果が期待できる。
【0040】
また、前記高分子樹脂層と吸湿層との付着力を高めるために、高分子樹脂層において、吸湿層が設けられた方向に位置した高分子樹脂層の一面が第3凹凸面を含んでもよい。したがって、前記接着層および高分子樹脂層のいずれにも凹凸面を導入して吸湿層の剥離を防ぐことにより、電極用テープの持続的な吸湿効果をさらに改善させることができる。
【0041】
本発明の一実施態様において、前記凹凸面(第1凹凸面、第2凹凸面または第3凹凸面)の形態は特定されず、表面積を広げるためのいかなる形態であってもよい。例えば、パターンを成して規則的に形成することもでき、高さが一定ではなく、不規則に形成されることもできる。
【0042】
前記凹凸面は、波状パターン、格子パターン、陽刻形態のエンボスパターン、またはアンカーパターンを含んでもよい。
【0043】
波状パターンは、波状の曲線がなすパターンを意味することができる。このとき、波状の曲線は凸部または凹部をなすことができ、前記凹凸面が前記のような波状パターンを含むことにより、表面積を広げて付着力を改善したり、吸湿効果を増大させたりすることができる。
【0044】
格子パターンは、直線状の凹部が交差して形成された凸部がなすパターンを意味することができる。あるいは、直線状の凸部が交差して形成された凹部がなすパターンを意味することができる。このとき、形成された凸部または凹部は1つの格子をなしており、各格子の形状は正方形、長方形、平行四辺形および菱形のいずれであってもよい。前記凹凸面が前記のような格子パターンを含むことにより、表面積を広げて付着力を改善したり、吸湿効果を増大させたりすることができる。
【0045】
図3を参照すると、前記吸湿層20の表面、すなわち空気中に露出する吸湿層20の一面は第2凹凸面21を含み、第2凹凸面21は格子パターンを含んでもよい。前記
図3には示されていないが、電極テープに含まれる他の凹凸面も前記格子パターンを有してもよい。
【0046】
前記格子パターンにおける凸部の各斜面がなす角度θは、110°~150°であり、好ましくは110°~130°または120°であってもよい。角度が低くなるほど表面積確保には有利であるが、吸湿層の表面が鋭くなるため、吸湿層に接触する分離膜を損傷することがあり得る。したがって、前記格子パターンの斜面同士の角度が前記範囲を満たす場合、分離膜の損傷なしで吸湿層が適切な表面積を確保することができる。
【0047】
例えば、格子パターンの凸部の斜面がなす角度を120°とする場合、既存の長さに対して約1.15倍の追加面積の確保が可能である。
【0048】
前記凸部および前記凹部の間の平均間隔は0.5mm~2.0mmであってもよい。
【0049】
陽刻形状のエンボスパターンは、例えば球状の凹凸が陽刻形状に突出しているパターンであってもよい。
図4を参照すると、前記電極用テープは、前記吸湿層20が設けられた方向に位置した接着層10の一面が第1凹凸面11を含み、前記第1凹凸面11が球状の凹凸が突出したパターンを含んでもよい。接着層に含まれた第1凹凸面が前記のようなパターンを含むことにより、接着層の付着力を向上させることができる。前記
図4には示されていないが、電極テープに含まれる他の凹凸面も前記エンボスパターンを有してもよい。
【0050】
前記凹凸面が前記のようなエンボスパターンを含むことで、表面積を広げて付着力を向上させたり、吸湿効果を増大させることができる。
【0051】
アンカー(anchor)パターンとは、表面に陰刻形状の溝を作って形成したパターンを意味する。前記陰刻形状の溝は、パターンが存在する層の厚さの10%~30%の厚さを有することが好ましい。前記凹凸面が前記のようなアンカーパターンを含むことにより、表面積を広げて付着力を改善したり、吸湿効果を増大させることができる。
【0052】
前記接着層は、アクリレート系樹脂を含んでもよいが、これに限定されるものではなく、本技術分野で通常使用される様々な接着層物質を適宜採用することができる。
【0053】
前記接着層の厚さは、10μm~40μmまたは15μm~25μmであってもよい。
【0054】
前記吸湿層は、吸着性物質を含んでもよい。
【0055】
前記吸着性物質は水分を吸着することができ、電気化学的に安定した他の物質であれば限定されない。具体的には、前記吸着性物質は、シリカ(SiO2)粉末、アルミナなどの金属粉末、アルカリ土類金属酸化物、有機金属酸化物などの金属酸化物、金属塩、五酸化リン(P2O5)、BaTiO3、PMN-PT、hafnia(HfO2)、SrTiO3、SnO2、CeO2、MgO、NiO、CaO、ZnO、ZrO2、Y2O3、Al2O3、TiO2、ソーダ石灰、アミン-グラフト(grafted)ゼオライト、NaOH、Ca(OH)2およびKOHなどを含む群から選択された1種以上を含んでもよい。前記吸着性物質は前述の種類に限定されず、本技術分野で通常使用される様々な物質を適宜採用することができる。
【0056】
本明細書の一実施態様において、前記吸着性物質は、好ましくはシリカ粉末(SiO2)であってもよい。シリカ粉末の場合、電気化学的に非常に安定して吸湿度が高く、電池反応領域に位置する際の電池反応に及ぼす影響を最小化しながらも水分を容易に吸着できる利点がある。また、安価な単価により経済性まで備えることができる。
【0057】
前記吸着性物質はバインダーに混合されていてもよい。例えば、前記吸着性物質とバインダーとを混合した後、前記高分子樹脂層上に塗布して吸湿層を形成することができる。前記バインダーとしては、アクリレート系樹脂を用いることができ、これに限定されず、本技術分野で通常使用される様々な物質を適宜採用することができる。
【0058】
前記のように吸湿層が吸着性物質を含むことにより、電池内の水分を効果的に除去して電池の安定性および性能が増大することができる。
【0059】
前記吸着性物質は、前記吸湿層の全重量を基準として5重量部~50重量部または10重量部~30重量部で含まれてもよい。前記吸着性物質が前記範囲より少量で含まれる場合、電池内水分を除去するには不十分であり、過剰に含む場合、テープの柔軟性が不足し、接着性不足によるコーティング層の剥離/損傷のような問題がある。
【0060】
前記吸湿層の厚さは、10μm~40μmまたは15μm~25μmであってもよい。
【0061】
前記電極用テープの平均厚さは、20μm~100μmであり、具体的には30μm~80μmであり、50μm~70μmであってもよい。ただし、前記電極用テープの構成はこれに限定されず、電池の大きさによって異なり、本発明が属する技術分野で知られている構成を適宜採用することができる。
【0062】
前記電極用テープが接着層および吸湿層の二重層からなる場合、前記接着層の厚さは電極用テープの総厚さの40%~60%であり、好ましくは50%であってもよい。また、前記吸湿層の厚さは、電極用テープの総厚さの40%~60%であり、好ましくは50%であってもよい。
【0063】
前記電極用テープが接着層および吸湿層の二重層からなる場合、前記接着層と吸湿層の厚さはそれぞれ同一であってもよく、それぞれ電極用テープの総厚さの50%±10%であってもよい。
【0064】
前記電極用テープが接着層、高分子樹脂層および吸湿層の三重層からなる場合、前記接着層の厚さは電極用テープの総厚さの20%~40%であり、好ましくは30%~35%であってもよい。また、前記高分子樹脂層の厚さは、電極用テープの総厚さの20%~40%であり、好ましくは30%~35%であってもよい。また、前記吸湿層の厚さは、電極用テープの総厚さの20%~40%であり、好ましくは30%~35%であってもよい。
【0065】
前記電極用テープが接着層、高分子樹脂層および吸湿層の三重層からなる場合、前記接着層、高分子樹脂層および吸湿層の厚さはそれぞれ同一であるか、それぞれ電極用テープの総厚さの1/3±10%であってもよい。
【0066】
前記電極用テープが接着層、n層の高分子樹脂層(n≧1)および吸湿層のn+2重層からなる場合、前記接着層、n層の高分子樹脂層および吸湿層の厚さはそれぞれ同一であるか、それぞれ電極用テープの総厚さの{1/(n+2)}±10%であってもよい。
【0067】
上述した電極用テープの構成はこれに限定されず、電池のサイズによって異なってもよく、本発明が属する技術分野で知られている構成を適宜採用することができる。
【0068】
本発明の一実施態様において、前記電極組立体は、正極;負極;および前記正極と前記負極との間に設けられた分離膜を含む電極積層体を有し、前記正極の長辺方向の少なくとも一側端部を包み込む電極用テープを含んでもよい。
【0069】
前記電極組立体は電極積層体を含む。前記電極積層体は、正極;負極;および前記正極と前記負極との間に設けられた分離膜を含み、分離膜は正極と負極を分離して電気的に絶縁させる。
【0070】
前記電極組立体は、前記電極積層体が巻き取られた構造であってもよい。具体的には、正極と負極は分離膜と共に巻き取られてゼリーロール(Jelly roll)型電極組立体に形成されてもよい。あるいは、前記電極組立体は、スタック型またはスタックアンドフォールディング型などで形成されてもよい。
【0071】
正極は、正極集電体および正極集電体に塗布された正極活物質を含んで構成されてもよい。ここで、正極集電体は、例えばアルミニウム(Al)材質の箔(foil)からなってもよい。このとき、正極活物質は、例えば、リチウムマンガン酸化物、リチウムコバルト酸化物、リチウムニッケル酸化物、リチウムリン酸鉄、またはこれらの1種以上が含まれた化合物および混合物などからなってもよい。
【0072】
負極は、負極集電体と、負極集電体に塗布された負極活物質を含んで構成されてもよい。ここで、負極集電体は、例えば銅(Cu)またはニッケル(Ni)材質からなる箔(foil)からなってもよい。このとき、負極活物質は、一例として人造黒鉛を含む材質からなってもよい。また、負極活物質は、他の例として、リチウム金属、リチウム合金、カーボン、石油コーク、活性化カーボン、グラファイト、シリコン化合物、スズ化合物、チタニウム化合物またはそれらの合金からなってもよい。
【0073】
分離膜は絶縁材質からなり、正極および負極と交互に積層されてもよい。ここで、分離膜は、正極および負極の間と、正極および負極の外側面に位置することができる。
【0074】
また、分離膜は延性のある材質からってもよい。このとき、分離膜は、例えば、微多孔性を有するポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン系樹脂膜で形成されてもよい。
【0075】
前記正極は、正極活物質層が備えられた正極コーティング部および正極活物質層が設けられていない正極無地部を含む。
【0076】
前記負極は、負極活物質層が設けられた負極コーティング部および負極活物質層が設けられていない負極無地部を含む。
【0077】
電極タブは、前記正極および/または前記負極に取り付けられ、前記正極および/または前記負極と電気的に接続される。
【0078】
前記電極タブは、正極に取り付けられる正極タブであってもよく、負極に取り付けられる負極タブであってもよい。
【0079】
前記正極タブは、前記正極無地部上に設けられてもよく、前記負極タブは、前記負極無地部に設けられてもよい。
【0080】
本発明の一実施態様において、前記電極用テープは、前記正極の長辺方向の少なくとも一側端部を包み込んで設けられてもよい。前記電極用テープが正極の長辺方向の一側端部を包み込んで設けられることにより、端部を保護するとともに水分を効果的に除去できるため、電極組立体のコアの変形(deformation)の際のバリ(Burr)による分離膜の損傷を効果的に防止することができる。
【0081】
図5および
図6は、上述した電極用テープが備えられた正極の一実施態様を示したものである。具体的には、前記正極100は、正極活物質層が備えられた正極コーティング部100bおよび正極活物質層が備えられていない正極無地部100aを含み、前記正極無地部100a上に正極タブ101が備えられてもよい。このとき、前記正極の長辺方向の端部(正極の端部400)を包み込んで電極用テープ300が備えられてもよい。一例において、前記電極用テープ300は、正極の一面から他面まで前記正極の端部400を包み込んで貼り付けられた形態であってもよい。
【0082】
本発明の一実施態様において、前記電極用テープは、前記正極無地部上に位置した正極タブ上にも設けられるように延長して貼り付けられてもよい。
【0083】
前記電極用テープは、正極の一面のうち電極タブが位置した正極無地部の面積の10%以上を覆うように貼り付けられてもよい。具体的には、20%以下の面積を覆うことができ、50%以下の面積を覆うことができ、または90%以下の面積を覆うことができる。
【0084】
具体的には、
図7の(a)のように、前記電極用テープ300は、正極の端部400から正極一面の正極無地部100aの全体に亘って貼り付けられることができる。あるいは、
図7の(b)のように、前記電極用テープ300は、正極コーティング部100bから正極端部方向に1mm~2mmの距離だけ離れた正極無地部100aまで貼り付けられてもよい。または、
図7の(c)のように、正極の端部400から1mm~2mmの距離だけ離れた正極無地部100aまで取り付けられてもよい。
【0085】
前記電極用テープは、電極タブが位置しない正極の他面まで前記正極の端部を包み込んで貼り付けることができる。
図7には特に示していないが、前記正極の他面に電極用テープが貼り付けられた長さは、前記正極の一面に電極用テープが貼り付けられた長さと同一でも異なってもよい。前記正極の他面に電極用テープが貼り付けられた長さが前記正極の一面に電極用テープが取り付けられた長さと異なる場合、前記正極の他面に電極用テープが付着された長さが、電極タブが位置した正極の一面に取り付けられる長さよりも長くても短くてもよい。
【0086】
本発明の一実施態様において、前記電極用テープが備えられた正極の長辺方向の少なくとも一側端部は正極無地部に位置してもよい。すなわち、前記正極の長辺方向の少なくとも一側端部は、正極無地部の端部を意味することができる。
【0087】
前記電極用テープは、前記正極タブまたは負極タブ上にさらに貼り付けられてもよい。また、前記電極用テープは、前記正極無地部のうち正極タブが設けられていない部分、または前記負極無地部のうち負極タブが設けられていない部分にさらに貼り付けられてもよい。また、これに限定されず、水分に脆弱な位置、例えば電極のコーティングの開始端または末端などにさらに付着することができる。ゼリーロール型電極組立体の場合、外径範囲で許容可能な無地部にさらに取り付けて、電池内の水分を容易に除去することができる。
【0088】
前記電極用テープは、前述の電極無地部ではなくても、電池内に局所的に水分に脆弱な部分に局所的にさらに付着して吸湿効果を高めることができる。ただし、前記のように電極無地部ではない部分に追加で取り付ける場合は、電池性能に影響を与えない部分に局所的に取り付けなければならない。
【0089】
本発明の一実施態様は、前記電極組立体を含む二次電池を提供する。前記二次電池は、円筒形、パウチ型、または角型であってもよい。
【0090】
本発明の一実施態様は、前記電極組立体を含む円筒形二次電池を提供することができる。
【0091】
前記円筒型二次電池は、前述の電極積層体が巻き取られた電極組立体が電解液と共に円筒状ケースに挿入されている構造であってもよい。
【0092】
本発明の一実施態様は、前記電極組立体を含むパウチ型二次電池を提供することができる。
【0093】
前記パウチ型二次電池は、前述の電極組立体が電解液と共にパウチ型ケースに挿入され、前記パウチ型ケースの縁で封止がなされるシーリング部を含む構造であってもよい。
【0094】
以上、本発明の好ましい実施態様を参照して説明したが、当該技術分野の熟練した当業者は、以下の特許請求の範囲に記載された本発明の精神および領域から逸脱しない範囲内で本発明を種々修正および変更することができることが理解できる。
【国際調査報告】