(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-15
(54)【発明の名称】粘着剤
(51)【国際特許分類】
C09J 133/04 20060101AFI20241108BHJP
C09J 133/14 20060101ALI20241108BHJP
C09J 7/38 20180101ALI20241108BHJP
【FI】
C09J133/04
C09J133/14
C09J7/38
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024532333
(86)(22)【出願日】2023-05-26
(85)【翻訳文提出日】2024-05-29
(86)【国際出願番号】 KR2023007308
(87)【国際公開番号】W WO2023229436
(87)【国際公開日】2023-11-30
(31)【優先権主張番号】10-2022-0065231
(32)【優先日】2022-05-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ソン、ジン ホ
(72)【発明者】
【氏名】リー、フイ ジェ
【テーマコード(参考)】
4J004
4J040
【Fターム(参考)】
4J004AA10
4J004AB01
4J004CC02
4J004FA08
4J040DF021
4J040DF061
4J040JB09
4J040NA17
(57)【要約】
本出願は、フレキシブルデバイスに適用され、繰り返される変形と回復に効果的に対応し、変形前後に不良(例えば、変形跡の観察など)が発生せず、裁断性と作業性に優れ、浮き上がり、剥離および/または気泡発生などを誘発しない粘着剤およびその用途を提供することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
架橋されたアクリル共重合体を含み、
-20℃での貯蔵弾性率が100,000Pa以下であり、
ガラスに対する剥離力が1,700gf/inch以上であり、
ヘイズが0.5%以下である粘着剤。
【請求項2】
架橋されたアクリル共重合体を含み、
下記数式1による弾性率の変化率が2500以下であり、
ヘイズが0.5%以下である粘着剤:
[数式1]
弾性率変化率=(M20-M25)/45
数式1でM20は、-20℃での前記粘着剤の貯蔵弾性率であり、M25は、25℃での前記粘着剤の貯蔵弾性率である。
【請求項3】
架橋されたアクリル共重合体および下記化学式1の化合物を含む粘着剤:
[化学式1]
【化1】
化学式1においてXは、炭素または窒素であり、R
1~R
3は、それぞれ独立して、水素、アルキル基またはヒドロキシ基であり、R
4は、下記化学式2の置換基であり、かつXが窒素である場合に、R
4は、存在せず、R
1~R
3のうち少なくとも1つは、ヒドロキシ基である:
[化学式2]
【化2】
化学式2においてR
5は、単一結合、酸素原子、-L
1-C(=O)-L
2-、-L
1-C(=O)-O-L
2-または-L
1-O-C(=O)-L
2-であり、前記L
1およびL
2は、それぞれ独立して、単一結合、アルキレン基またはアルキリデン基であり、R
6は、アルキリデン基またはアルキレン基であり、R
7は、単一結合、-O-C(=O)-、-C(=O)-または-C(=O)-O-であり、R
8およびR
9は、それぞれ独立して、水素またはアルキル基であり、nは、0~10の範囲内の数である。
【請求項4】
-20℃での貯蔵弾性率が100,000Pa以下である、請求項2または3に記載の粘着剤。
【請求項5】
ガラスに対する剥離力が1,800gf/inch以上である、請求項2または3に記載の粘着剤。
【請求項6】
25℃での貯蔵弾性率が10,000Pa以上である、請求項1から3のいずれか一項に記載の粘着剤。
【請求項7】
アクリル共重合体は、重量平均分子量が100万以上である、請求項1から3のいずれか一項に記載の粘着剤。
【請求項8】
アクリル共重合体は、アルキル(メタ)アクリレート単位、下記化学式3の単位および極性官能基含有単位を含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の粘着剤:
[化学式3]
【化3】
化学式3においてR
1は、水素またはアルキル基を示し、R
2は、炭素数11~13のアルキル基を示す。
【請求項9】
アルキル(メタ)アクリレート単位は、炭素数1~10の直鎖または分岐鎖のアルキル基を有する、請求項8に記載の粘着剤。
【請求項10】
極性官能基含有単位は、ヒドロキシ基含有単量体由来単位である、請求項8に記載の粘着剤。
【請求項11】
アクリル共重合体は、アルキル(メタ)アクリレート単位を10重量%~80重量%の割合で含む、請求項8に記載の粘着剤。
【請求項12】
アクリル共重合体は、アルキル(メタ)アクリレート単位100重量部に対して10~300重量部の化学式3の単位を含む、請求項8に記載の粘着剤。
【請求項13】
アクリル共重合体は、アルキル(メタ)アクリレート単位100重量部に対して1~100重量部の極性官能基含有単位を含む、請求項8に記載の粘着剤。
【請求項14】
基材フィルム;および前記基材フィルムの一面または両面に形成された請求項1から3のいずれか一項に記載の粘着剤を含む粘着フィルム。
【請求項15】
光学フィルム;および前記光学フィルムの一面または両面に形成された請求項1から3のいずれか一項に記載の粘着剤を含む光学積層体。
【請求項16】
1つ以上のフォールディング軸またはローリング軸を通じてフォールディングまたはローリングされ得るように構成されたディスプレイパネル;および
前記ディスプレイパネルの一面または両面に存在し、請求項1から3のいずれか一項に記載の粘着剤を含むフレキシブルデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2022年5月27日付けの韓国特許出願第10-2022-0065231に基づく優先権の利益を主張し、当該韓国特許出願の文献に開示されたすべての内容は本明細書の一部として含まれる。
【0002】
本出願は、粘着剤およびその用途に関する。
【背景技術】
【0003】
フレキシブル(Flexible)デバイスは、新しい概念のデバイスであり、その例には、いわゆるフォルダブル(Foldable)デバイスやローラブル(Rollable)デバイスが含まれる。
【0004】
フォルダブルデバイスに適用される粘着剤層は、繰り返し折りたたまれた後に伸ばされるか、または巻かれた後にほぐれる。
【0005】
したがって、フォルダブルデバイスに適用される層は、前記繰り返される変形に効果的に追従し、変形時に加えられる力が消えると、さらに元の形状に回復できることが要求される。
【0006】
通常、粘着剤の弾性率、特に低温での弾性率が低いほど上記のような繰り返される変形に効果的に追従することが知られている。
【0007】
しかしながら、粘着剤層の弾性率が低すぎると、変形のために加えられた力が消えたときに回復する特性が低下し、裁断性や作業性が低下する問題がある。
【0008】
したがって、裁断性や作業性を考慮すると、粘着剤層が一定レベル以上の弾性率を有することが好ましいが、回復性、裁断性と作業性などが所望のレベルで確保すると同時に、変形に効果的に追従する粘着剤層を得ることが容易ではない。
【0009】
また、裁断性や作業性を考慮して弾性率を高めると、粘着剤層に基本的に要求される剥離力が低下する問題がある。
【0010】
したがって、フレキシブルデバイスに適した物性の粘着剤層を提供することは、容易でない課題である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本出願は、粘着剤に関する。本出願は、フレキシブルデバイスに適した粘着剤を提供することを1つの目的とする。1つの例示において、本出願は、低温では低い弾性率を示し、高温では相対的に高い弾性率を示し、同時に適正レベルの粘着力(剥離力)を示す粘着剤層を形成できる粘着剤を提供することを1つの目的とする。
【0012】
本出願は、また、前記粘着剤を含む粘着フィルムまたはフレキシブルデバイスを提供することをさらなる目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本明細書において言及する物性のうちで測定温度が当該物性に影響を及ぼす場合に、特に別途規定しない限り、前記物性は、常温で測定した物性である。
【0014】
本明細書において用語常温は、特に加温および減温されない状態での温度であり、約10℃~30℃の範囲内のいずれか1つの温度、例えば、約15℃以上、18℃以上、20℃以上または約23℃以上であり、かつ約27℃以下の温度を意味し得る。また、特に別途規定しない限り、本明細書において言及する温度の単位は、℃である。
【0015】
本明細書において言及する物性のうちで測定圧力が当該物性に影響を及ぼす場合に、特に別途規定しない限り、前記物性は、常圧で測定した物性である。
【0016】
本明細書において用語常圧は、特に加圧および減圧されない状態での圧力であり、通常、大気圧レベルである約740mmHg~780mmHg程度の圧力を意味する。
【0017】
本明細書において言及する物性のうちで測定湿度が当該物性に影響を及ぼす場合に、特に別途規定しない限り、前記物性は、前記常温および常圧状態での自然そのままの湿度で測定した物性である。
【0018】
本出願は、粘着剤に関する。本出願の粘着剤は、アクリル共重合体を含んでもよい。
【0019】
本明細書において用語共重合体は、単量体混合物の重合反応の結果物を意味する。本明細書において用語単量体単位は、前記重合反応後の単量体の状態を意味する。
【0020】
本明細書において用語アクリル共重合体は、アクリル単量体単位を主成分として含む共重合体である。前記アクリル共重合体内で前記アクリル単量体単位の割合の下限は、50重量%、55重量%、60重量%、65重量%、70重量%、75重量%、80重量%、85重量%、90重量%または95重量%程度であってもよく、その上限は、100重量%、99重量%、98重量%、97重量%、96重量%または95重量%程度であってもよい。前記割合は、前述した下限のうち任意のいずれか1つの下限以上または超過の範囲内;前述した上限のうち任意のいずれか1つの上限以下または未満の範囲内;または前述した下限のうち任意のいずれか1つの下限以上または超過、かつ前述した上限のうち任意のいずれか1つの上限以下または未満の範囲内であってもよい。
【0021】
本明細書において用語アクリル単量体は、アクリル酸やメタクリル酸または前記アクリル酸やメタクリル酸の誘導体(例えば、アクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステル)を意味する。
【0022】
本明細書において用語(メタ)アクリルは、アクリルまたはメタクリルを意味する。
【0023】
本出願の粘着剤において前記アクリル共重合体が架橋性である場合に、粘着剤内で前記アクリル共重合体は、架橋前の状態であるか、架橋後の状態であってもよく、好適には架橋状態であってもよい。したがって、前記粘着剤は、架橋された前記アクリル共重合体を含んでもよい。
【0024】
これによって、本出願は、架橋されたアクリル共重合体を含み、後述する低温(-20℃)での貯蔵弾性率とガラスに対する剥離力およびヘイズを有する粘着剤に関するものでありうる。
【0025】
また、本出願は、架橋されたアクリル共重合体を含み、後述する貯蔵弾性率の温度別の変化特性を示し、後述するヘイズを有する粘着剤に関するものでありうる。
【0026】
また、本出願は、架橋されたアクリル共重合体と後述する化学式1の化合物を含む粘着剤に関するものでありうる。
【0027】
粘着剤は、前記アクリル共重合体を主成分として含んでもよい。例えば、前記粘着剤の全重量に基づく前記アクリル共重合体の割合の下限は、50重量%、55重量%、60重量%、65重量%、70重量%、75重量%、80重量%、85重量%、90重量%、95重量%、97重量%または99重量%程度であってもよく、その上限は、100重量%、99重量%、98重量%、97重量%、96重量%または95重量%程度であってもよい。前記割合は、前述した下限のうち任意のいずれか1つの下限以上または超過の範囲内;前述した上限のうち任意のいずれか1つの上限以下または未満の範囲内;または前述した下限のうち任意のいずれか1つの下限以上または超過、かつ前述した上限のうち任意のいずれか1つの上限以下または未満の範囲内でありうる。粘着剤が溶媒や溶剤などのように最終粘着剤層に含まれない成分を含む場合に、前記アクリル共重合体の含有量は、前記最終粘着剤層に含まれない成分を除いた粘着剤内での含有量である。
【0028】
本明細書において言及する粘着剤の貯蔵弾性率と剥離力は、前記粘着剤組成物が架橋された状態(すなわち、粘着剤組成物に含まれているアクリル共重合体が架橋された状態)での貯蔵弾性率と剥離力であり、したがって、前記は、粘着剤または粘着剤層の貯蔵弾性率と剥離力であってもよい。
【0029】
本出願の粘着剤は、低温で低い貯蔵弾性率を示すことができる。
【0030】
本明細書において貯蔵弾性率は、下記実施例に提示された方式で測定された結果である。
【0031】
例えば、粘着剤は、-20℃での貯蔵弾性率の上限は、100,000Pa、98,000Pa、96,000Pa、95,000Pa、94,000Pa、93,000Pa、92,000Pa、90,000Pa、88,000Pa、86,000Pa、85,000Paまたは84,000Pa程度であってもよく、その下限は、例えば、30,000Pa、40,000Pa、42,000Pa、44,000Pa、45,000Pa、46,000Pa、48,000Pa、50,000Pa、52,000Pa、54,000Pa、55,000Pa、56,000Pa、58,000Pa、60,000Pa、62,000Pa、64,000Pa、65,000Pa、66,000Pa、68,000Pa、70,000Pa、72,000Pa、74,000Pa、75,000Pa、76,000Pa、78,000Pa、80,000Pa、82,000Pa、84,000Pa、86,000Pa、88,000Pa、90,000Pa、92,000Pa、94,000Paまたは96,000Pa程度であってもよい。前記-20℃での貯蔵弾性率は、前述した上限のうち任意のいずれか1つの上限以下または未満の範囲内;または前述した下限のうち任意のいずれか1つの下限以上または超過、かつ前述した上限のうち任意のいずれか1つの上限以下または未満の範囲内であってもよい。
【0032】
粘着剤が低温-20℃で前記範囲の貯蔵弾性率を示すことによって、フレキシブルデバイスに適用され、繰り返される変形と回復に効果的に対応することができる。
【0033】
本出願の粘着剤は、低温で前記低い貯蔵弾性率を示し、同時に相対的に高温では一定レベル以上の高い貯蔵弾性率を示すことができる。粘着剤の貯蔵弾性率は、温度に依存する関数であり、通常。温度が増加すると、貯蔵弾性率が低下する。したがって、粘着剤の高温での貯蔵弾性率は、通常、低温での貯蔵弾性率に比べて低い。しかしながら、粘着剤が低温で貯蔵弾性率が低い場合に、高温での貯蔵弾性率も相対的に低下するので、低温で貯蔵弾性率が低い粘着剤の高温での貯蔵弾性率は、低温で貯蔵弾性率が高い粘着剤の高温での貯蔵弾性率に比べて低い。
【0034】
しかしながら、本出願では、前記低温で低い貯蔵弾性率と共に、高温で相対的に高い貯蔵弾性率を示すことができる。すなわち、本出願の粘着剤は、温度による貯蔵弾性率のグラフにおいて相対的に緩やかな傾きを示すことができる。
【0035】
例えば、本出願の粘着剤は、下記数式1による弾性率の変化率が所定範囲内であってもよい。
[数式1]
弾性率変化率=(M20-M25)/45
【0036】
数式1でM20は、前記粘着剤の-20℃での貯蔵弾性率(単位:Pa)であり、M25は、前記粘着剤の25℃での粘着剤の貯蔵弾性率(単位:Pa)である。
【0037】
前記弾性率変化率の上限は、2500、2400、2300、2200、2100、2000、1900、1800、1700、1600、1500、1400、1300、1200または1100程度であってもよく、その下限は、100、200、300、400、500、600、700、800、900、1000、1100または1200程度であってもよい。前記弾性率の変化率は、前述した上限のうち任意のいずれか1つの上限以下または未満の範囲内;または前述した下限のうち任意のいずれか1つの下限以上または超過、かつ前述した上限のうち任意のいずれか1つの上限以下または未満の範囲内であってもよい。
【0038】
上記のような弾性率変化率を示す粘着剤層は、フォルダブルデバイスにおいて繰り返される変形と回復に効果的に追従し、作業性と裁断性をも良好に維持することができる。しかしながら、前述したように、低温で弾性率が低い粘着剤は、高温でも相対的に低い弾性率を示すので、前記弾性率変化率を満足させることは、容易でない課題である。本出願では、前記アクリル共重合体として、後述する所定のアクリル共重合体を適用することによって、上記のような弾性率変化率を満足させることができる。
【0039】
前記粘着剤の25℃での貯蔵弾性率の下限は、10,000Pa、12,000Pa、13,000Pa、14,000Pa、15,000Pa、16,000Pa、17,000Pa、18,000Pa、20,000Pa、21,000Pa、22,000Pa、23,000Pa、24,000Pa、26,000Pa、28,000Pa、30,000Pa、32,000Pa、34,000Pa、36,000Paまたは38,000Pa程度であってもよく、その上限は、例えば、約100,000Pa、98,000Pa、96,000Pa、94,000Pa、92,000Pa、90,000Pa、88,000Pa、86,000Pa、84,000Pa、82,000Pa、80,000Pa、78,000Pa、76,000Pa、74,000Pa、72,000Pa、70,000Pa、68,000Pa、66,000Pa、64,000Pa、62,000Pa、60,000Pa、58,000Pa、56,000Pa、54,000Pa、52,000Pa、50,000Pa、48,000Pa、46,000Pa、44,000Pa、42,000Pa、40,000Pa、38,000Paまたは36,000Pa程度であってもよい。前記25℃での貯蔵弾性率は、前述した下限のうち任意のいずれか1つの下限以上または超過の範囲内;または前述した下限のうち任意のいずれか1つの下限以上または超過、かつ前述した上限のうち任意のいずれか1つの上限以下または未満の範囲内であってもよい。
【0040】
本出願の粘着剤は、上記のように相対的に高い高温弾性率を示し、同時に高い剥離力を示すことができる。例えば、前記粘着剤は、ガラスに対する常温剥離力が所定範囲内であってもよい。
【0041】
前記常温剥離力は、約25℃で測定した剥離力であり、この剥離力の測定方法は、実施例に記載されている。
【0042】
前記剥離力の下限は、例えば、約1,700gf/inch、1,800gf/inch、1,900gf/inch、2,000gf/inch、2,100gf/inch、2,200gf/inch、2,300gf/inchまたは2,400gf/inch程度であってもよく、その上限は、5,000gf/inch、4,500gf/inch、4,000gf/inch、3,500gf/inch、3,000gf/inch、2,800gf/inch、2,600gf/inch、2,500gf/inchまたは2,400gf/inch程度であってもよい。前記剥離力は、前述した下限のうち任意のいずれか1つの下限以上または超過の範囲内;または前述した下限のうち任意のいずれか1つの下限以上または超過、かつ前述した上限のうち任意のいずれか1つの上限以下または未満の範囲内であってもよい。
【0043】
このような貯蔵弾性率および剥離力が確保された粘着剤は、フレキシブルデバイスにおいて繰り返される変形と回復に効果的に対応し、変形前後に不良(例えば、変形跡の観察など)が発生せず、裁断性と作業性に優れ、浮き上がり、剥離および/または気泡発生などを誘発しない。
【0044】
前記粘着剤は、優れた光学的透明性を示すことができる。例えば、前記粘着剤のヘイズの上限は、0.5%、0.45%、0.4%、0.35%、0.3%、0.25%または0.2%程度であってもよく、その下限は、0.1%、0.15%、0.2%、0.25%、0.3%または0.35%程度であってもよい。前記ヘイズは、前述した上限のうち任意のいずれか1つの上限以下または未満の範囲内;または前述した下限のうち任意のいずれか1つの下限以上または超過、かつ前述した上限のうち任意のいずれか1つの上限以下または未満の範囲内であってもよい。
【0045】
本出願では、前記のような特定物性の粘着剤を形成するために特定のアクリル共重合体を適用する。
【0046】
前記アクリル共重合体は、少なくともアルキル(メタ)アクリレート単位、下記化学式3の単位および極性官能基含有単位を含んでもよい。前記共重合体は、必要に応じて、任意の単量体単位として、下記化学式4の単位をさらに含んでもよい。
【0047】
前記で単位は、単量体単位を意味する。
【0048】
[化学式3]
【化1】
化学式3においてR
1は、水素またはアルキル基を示し、R
2は、炭素数11~13のアルキル基を示す。
【0049】
[化学式4]
【化2】
化学式4においてR
1は、水素またはアルキル基を示し、R
3は、芳香族ケトン基または(メタ)アクリロイル基である。
【0050】
前記単量体単位を含むアクリル共重合体は、目的とする粘着剤を形成するのに有効である。
【0051】
前記アクリル共重合体は、前記化学式3の単位および/または極性官能基含有単位の所定割合でいわゆる結晶性共重合体で形成されたり、結晶性共重合体と類似の性質を有する。本明細書において用語結晶性共重合体は、本明細書の実施例に記載されたDSC(Differential Scanning Calorimeter)測定方法で所定範囲で融点(melting point)が確認される共重合体を意味する。
【0052】
アクリル共重合体は、非結晶性の共重合体と知られている。しかしながら、前記化学式3の単位が所定割合で存在する場合、そして場合に応じて前記化学式3の単位が所定割合で存在する極性官能基と相互作用する場合に、このような共重合体は、結晶性を示したり、少なくとも結晶性と類似の性質を示すことができる。このように結晶性を有したり、あるいは、結晶性と類似の性質を示す共重合体が適用される場合に、前述した特性の粘着剤を効率的に形成することができる。したがって、このような共重合体が適用された粘着剤を通じて前記記載した弾性率および剥離力特性を示す粘着剤層を効果的に形成することができる。
【0053】
共重合体に含まれるアルキル(メタ)アクリレート単位としては、例えば、炭素数1~10のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートに由来する単位を使用することができる。前記アルキル基は、他の例示において炭素数2~20、炭素数3~10、炭素数4~10、炭素数4~9または炭素数4~8のアルキル基であってもよい。前記アルキル基は、直鎖または分岐鎖であってもよく、置換または非置換されたものであってもよい。一例示において、前記アルキル基として、直鎖または分岐鎖であり、かつ非置換のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートを用いて前記単位を形成することができる。
【0054】
前記アルキル(メタ)アクリレートの例としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、sec-ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、2-エチルブチル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、n-オクチル(メタ)アクリレートまたはイソオクチル(メタ)アクリレートなどを例示できるが、これらに制限されるものではない。
【0055】
前記アクリル共重合体において、前記アルキル(メタ)アクリレート単位の重量割合の下限は、10重量%、15重量%、20重量%、25重量%、30重量%、35重量%、40重量%、45重量%、50重量%または55重量%程度であってもよく、その上限は、約80重量%、75重量%、70重量%または65重量%程度であってもよい。前記割合は、前述した下限のうち任意のいずれか1つの下限以上または超過の範囲内;前述した上限のうち任意のいずれか1つの上限以下または未満の範囲内;または前述した下限のうち任意のいずれか1つの下限以上または超過、かつ前述した上限のうち任意のいずれか1つの上限以下または未満の範囲内であってもよい。このような範囲内で目的とする粘着剤を効果的に形成することができる。
【0056】
前記極性官能基含有単位は、極性官能基を有する単量体によって形成された単位である。このような単量体は、通常、重合性基(ex.炭素-炭素二重結合)および極性官能基を同時に含む。
【0057】
極性官能基を有する単量体としては、ヒドロキシ基含有単量体、カルボキシル基含有単量体および窒素含有単量体などが挙げられ、本出願では、特にヒドロキシ基含有単量体を適用することが有利であるが、これに制限されるものではない。
【0058】
ヒドロキシ基含有単量体としては、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6-ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、8-ヒドロキシオクチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレートまたは2-ヒドロキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレートなどが挙げられ、カルボキシル基含有単量体の例としては、(メタ)アクリル酸、2-(メタ)アクリロイルオキシ酢酸、3-(メタ)アクリロイルオキシプロピル酸、4-(メタ)アクリロイルオキシブチル酸、アクリル酸二量体、イタコン酸、マレイン酸およびマレイン酸無水物などが挙げられ、窒素含有単量体の例としては、(メタ)アクリルアミド、N-ビニルピロリドンまたはN-ビニルカプロラクタムなどが挙げられるが、これらに制限されるものではない。前記のうち一種または二種以上の混合を使用することができる。
【0059】
前記アルキル(メタ)アクリレート単位100重量部に対して前記極性官能基含有単位の重量割合は、粘着剤層の耐久性と粘着性と剥離力を安定して維持できる範囲で調節することができる。例えば、前記アルキル(メタ)アクリレート単位100重量部に対して前記極性官能基含有単位の重量割合の下限は、1重量部、5重量部、10重量部または15重量部程度であってもよく、その上限は、100重量部、95重量部、90重量部、85重量部、80重量部、75重量部、70重量部、65重量部、60重量部、55重量部、50重量部、45重量部、40重量部、35重量部、30重量部、25重量部または20重量部程度であってもよい。
【0060】
化学式3の単位は、長鎖のアルキル基を含む単位であり、このような単位は、一定割合以上で共重合体に含まれ、必要に応じて極性官能基と相互作用して共重合体に結晶性や結晶性と類似の性質を付与することができる。
【0061】
化学式3の単位でR1は、水素または炭素数1~4のアルキル基であってもよく、具体的には、水素、メチルまたはエチル基であってもよい。
【0062】
化学式3においてR2は、炭素数11~13のアルキル基であり、このようなアルキル基は、直鎖または分岐鎖であってもよく、置換または非置換されたものであってもよい。一例示において、前記R2は、直鎖であり、かつ非置換のアルキル基であってもよい。例えば、ラウリル(メタ)アクリレートおよび/またはテトラデシル(メタ)アクリレートなどを用いて化学式3の単位を形成することができる。
【0063】
前記アルキル(メタ)アクリレート単位100重量部に対して前記化学式3の単位の重量割合の下限は、10重量部、15重量部、20重量部、25重量部、30重量部、35重量部、40重量部、45重量部または50重量部程度であってもよく、その上限は、300重量部、280重量部、260重量部、240重量部、220重量部、200重量部、180重量部、160重量部、140重量部、120重量部、100重量部、90重量部、80重量部、70重量部、65重量部、60重量部、55重量部または50重量部程度であってもよい。前記割合は、前述した下限のうち任意のいずれか1つの下限以上または超過の範囲内;前述した上限のうち任意のいずれか1つの上限以下または未満の範囲内;または前述した下限のうち任意のいずれか1つの下限以上または超過、かつ前述した上限のうち任意のいずれか1つの上限以下または未満の範囲内であってもよい。
【0064】
アクリル共重合体に任意の単量体単位で含まれ得る化学式4の単位は、側鎖に芳香族ケトン基または(メタ)アクリロイル基を含む単位である。
【0065】
粘着剤内で前記芳香族ケトン基または(メタ)アクリロイル基は、その状態で存在したり、後述する水素引き抜き反応またはラジカル反応を経た後の状態で存在することもできる。
【0066】
化学式4の単位で芳香族ケトン基は、電磁波に露出するとき、重合体鎖から水素引き抜き(hydrogen abstraction)を誘導する芳香族ケトン基またはそのような芳香族ケトン基を含む置換基を意味する。
【0067】
電磁波に露出するとき、前記芳香族ケトン基は、他の重合体鎖からまたは重合体鎖の他の部分から水素原子を除去することができる。このような除去は、ラジカルの形成を引き起こし、ラジカルは、重合体鎖の間にまたは同一の重合体鎖内に架橋結合を形成することができる。このような芳香族ケトン基の範疇には、例えば、ベンゾフェノン、アセトフェノン、またはアントラキノンの誘導体のような芳香族ケトン基が含まれる。
【0068】
芳香族ケトン基を有する化学式4の単位を誘導できる単量体には、4-ベンゾイルフェニル(メタ)アクリレート、4-(メタ)アクリロイルオキシエトキシベンゾフェノン、4-(メタ)アクリロイルオキシ-4'-メトキシベンゾフェノン、4-(メタ)アクリロイルオキシエトキシ-4'-メトキシベンゾフェノン、4-(メタ)アクリロイルオキシ-4'-ブロモベンゾフェノンおよび/または4-アクリロイルオキシエトキシ-4'-ブロモベンゾフェノンなどがあるが、これらに制限されるものではない。
【0069】
化学式4の単位で(メタ)アクリロイル基は、適切なラジカル開始剤の存在下に電磁波に露出するとき、自由ラジカル重合を誘導する(メタ)アクリロイル基またはそれを含む置換基を意味する。このような(メタ)アクリロイル基は、電磁波の照射によって前記芳香族ケトン基と類似の作用ができる。
【0070】
前記R3が(メタ)アクリロイル基である化学式4の単位は、例えば、前駆体共重合体を製造し、次に不飽和試薬化合物とさらに反応させて、(メタ)アクリロイル基を導入して形成することができる。通常、前記(メタ)アクリロイル基の導入は、(1)前駆体共重合体上の求核基と不飽和試薬化合物上の求電子性基(すなわち、不飽和試薬化合物は、求電子性基および(メタ)アクリロイル基の両方を含む)の間の反応、または(2)前駆体共重合体上の求電子性基と不飽和試薬化合物上の求核基(すなわち、不飽和試薬化合物は、求核基および(メタ)アクリロイル基の両方を含む)の間の反応を伴う。求核基と求電子性基の間のこれら反応は、典型的に、開環反応、付加反応または縮合反応である。
【0071】
このような場合、前駆体共重合体は、ヒドロキシ、カルボン酸(-COOH)、または無水物(-O-(CO)-O-)基を有する。前駆体共重合体がヒドロキシ基を有する場合、不飽和試薬化合物は、(メタ)アクリロイル基に加えて、たびたびカルボン酸(-COOH)、イソシアナト(-NCO)、エポキシ(すなわち、オキシラニル)または無水物基を有する。前駆体共重合体がカルボン酸基を有する場合、不飽和試薬化合物は、(メタ)アクリロイル基に加えて、たびたびヒドロキシ、アミノ、エポキシ、イソシアナト、アジリジニル、アゼチジニルまたはオキサゾリニル基を有する。前駆体(メタ)アクリレート共重合体が無水物基を有する場合、不飽和試薬化合物は、(メタ)アクリロイル基に加えて、たびたびヒドロキシまたはアミン基を有する。
【0072】
1つの例示において、前駆体共重合体は、カルボン酸基を有し、不飽和試薬化合物は、エポキシ基を有していてもよい。例示的な不飽和試薬化合物には、例えば、グリシジル(メタ)アクリレートおよび4-ヒドロキシブチルアクリレートグリシジルエーテルが含まれる。他の例において、前駆体共重合体は、無水物基を有し、これは、ヒドロキシ置換アルキル(メタ)アクリレート、例えば、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートなどの不飽和試薬化合物と反応する。さらに他の例において、前駆体共重合体は、ヒドロキシ基を有し、不飽和試薬化合物は、イソシアナト基および(メタ)アクリロイル基を有する。このような不飽和試薬化合物には、イソシアナトアルキル(メタ)アクリレート、例えば、イソシアナトエチル(メタ)アクリレートが含まれるが、これに限定されない。
【0073】
前記(メタ)アクリロイル基は、一例示において、化学式CH2=CHR1-(CO)-Q-L-(ここで、Lは、連結基であり、Qは、オキシ(-O-)または-NH-である)で表示され得る。前記でLは、アルキレン、アリレンまたはこれらの組み合わせを含み、(メタ)アクリロイル基を形成するように反応する、前駆体共重合体および特定の不飽和試薬化合物により選択的に-O-、-O-(CO)-、-NH-(CO)-、-NH-、またはこれらの組み合わせをさらに含む。一部の特定例において、前記(メタ)アクリロイル基は、前駆体共重合体の化学式-(CO)-O-R5-OHで表示されるヒドロキシ-含有基と化学式H2C=CHR1-(CO)-O-R6-NCOで表示されるイソシアナトアルキル(メタ)アクリレートである不飽和試薬化合物との反応によって形成されるH2C=CHR1-(CO)-O-R6-NH-(CO)-O-R5-O-(CO)-である。前記でR5およびR6は、それぞれ独立して、アルキレン基、例えば、1~10個の炭素原子、1~6個の炭素原子、または1~4個の炭素原子を有するアルキレンである。また、前記でR1は、メチルまたは水素である。
【0074】
化学式4の単位でR1は、水素または炭素数1~4のアルキル基であってもよく、具体的には、水素、メチルまたはエチル基であってもよい。
【0075】
化学式4の単位は、含まれる場合に、前記アルキル(メタ)アクリレート単位100重量部に対して前記化学式4の単位の重量割合の下限は、0重量部、0.001重量部、0.003重量部、0.005重量部、0.007重量部、0.009重量部、0.01重量部、0.015重量部、0.02重量部、0.025重量部、0.03重量部、0.035重量部、0.04重量部、0.045重量部、0.05重量部、0.055重量部、0.06重量部、0.065重量部、0.07重量部、0.075重量部、0.08重量部、0.085重量部、0.09重量部または0.1重量部程度であってもよく、その上限は、5重量部、4.5重量部、4重量部、3.5重量部、3重量部、2.5重量部、2重量部、2重量部、1.5重量部、1重量部、0.5重量部、0.3重量部、0.1重量部、0.08重量部、0.06重量部、0.04重量部または0.02重量部程度であってもよい。前記割合は、前述した下限のうち任意のいずれか1つの下限以上または超過の範囲内;前述した上限のうち任意のいずれか1つの上限以下または未満の範囲内;または前述した下限のうち任意のいずれか1つの下限以上または超過、かつ前述した上限のうち任意のいずれか1つの上限以下または未満の範囲内であってもよい。このような割合で電磁波の照射によって目的とする粘着剤層を効果的に形成することができる。
【0076】
アクリル共重合体は、前述した単量体単位にさらに目的を損なわない限り(例えば、共重合体の結晶性を損なわない限り)、他の単量体単位を適切に含んでもよい。
【0077】
1つの例示において、前記粘着剤に含まれるアクリル共重合体は、結晶性アクリル共重合体であってもよい。前述したように、用語結晶性共重合体は、本明細書の実施例に記載されたDSC(Differential Scanning Calorimeter)測定方法で所定範囲で融点(melting point)が確認される共重合体を意味する。
【0078】
1つの例示において、前記アクリル共重合体としては、前記方式で確認される融点の上限は、-20℃、-25℃、-30℃、-35℃または-40℃程度であってもよく、その下限は、-100℃、-95℃、-90℃、-85℃、-80℃、-75℃、-70℃、-65℃、-60℃、-55℃、-50℃または-45℃程度であってもよい。前記融点は、前述した下限のうち任意のいずれか1つの下限以上または超過の範囲内;前述した上限のうち任意のいずれか1つの上限以下または未満の範囲内;または前述した下限のうち任意のいずれか1つの下限以上または超過、かつ前述した上限のうち任意のいずれか1つの上限以下または未満の範囲内であってもよい。このような融点を有するアクリル共重合体は、目的とする粘着剤を効果的に形成することができる。
【0079】
前記結晶性アクリル共重合体の具体的な組成は、特に制限されない。一例示において、前記結晶性アクリル共重合体は、前述した3種の単位(アルキル(メタ)アクリレート単位、化学式3の単位および極性官能基含有単位)を少なくとも含む共重合体であってもよい。ただし、前述したアクリル共重合体が全部結晶性を示すわけではない。アクリル共重合体が結晶性を示すためには、前述した単位のうちで化学式3の単位が一定レベル以上含まれる必要がある。結晶性アクリル共重合体において前記アルキル(メタ)アクリレート単位100重量部に対して前記化学式3の単位の重量割合の下限は、15重量部、20重量部、25重量部、30重量部、35重量部、40重量部、45重量部、50重量部、55重量部または60重量部程度であってもよく、その上限は、300重量部、250重量部、200重量部、150重量部、100重量部、90重量部、80重量部、70重量部、60重量部または50重量部程度であってもよい。前記割合は、前述した下限のうち任意のいずれか1つの下限以上または超過の範囲内;または前述した下限のうち任意のいずれか1つの下限以上または超過、かつ前述した上限のうち任意のいずれか1つの上限以下または未満の範囲内であってもよい。
【0080】
結晶性アクリル共重合体において前記化学式3の単位の重量(A)と前記極性官能基含有単位の重量(B)の割合(A/B)の下限は、1.5、2、2.5または3程度であってもよく、その上限は、10、9、8、7、6、5、4または3程度であってもよい。前記割合は、前述した下限のうち任意のいずれか1つの下限以上または超過の範囲内;前述した上限のうち任意のいずれか1つの上限以下または未満の範囲内;または前述した下限のうち任意のいずれか1つの下限以上または超過、かつ前述した上限のうち任意のいずれか1つの上限以下または未満の範囲内であってもよい。
【0081】
結晶性アクリル共重合体において前記極性官能基含有単位は、ヒドロキシ基含有単位であってもよい。一例示において、所定範囲の炭素数を有するヒドロキシアルキル基を有するヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートが前記結晶性アクリル共重合体を適切に形成することができる。理由は明確ではないが、化学式3の単位のアルキル基(R2)と前記ヒドロキシアルキル基の相互作用がアクリル共重合体の結晶性の発現に寄与すると考えられる。前記ヒドロキシアルキル基における炭素数の下限は、3または4程度であってもよく、その上限は、10、9、8、7、6、5または4程度であってもよい。前記炭素数は、前述した下限のうち任意のいずれか1つの下限以上または超過の範囲内;前述した上限のうち任意のいずれか1つの上限以下または未満の範囲内;または前述した下限のうち任意のいずれか1つの下限以上または超過、かつ前述した上限のうち任意のいずれか1つの上限以下または未満の範囲内であってもよい。
【0082】
結晶性アクリル共重合体において、前記アルキル(メタ)アクリレート単位の割合の下限は、約20重量%、25重量%、30重量%、35重量%、40重量%、45重量%、50重量%、55重量%または60重量%程度であってもよく、その上限は、約70重量%、65重量%または60重量%程度であってもよい。前記割合は、前述した下限のうち任意のいずれか1つの下限以上または超過の範囲内;前述した上限のうち任意のいずれか1つの上限以下または未満の範囲内;または前述した下限のうち任意のいずれか1つの下限以上または超過、かつ前述した上限のうち任意のいずれか1つの上限以下または未満の範囲内であってもよい。このような範囲内で目的とする粘着剤層を効果的に形成することができる。
【0083】
理由は明確でないが、前記割合で含まれる各単量体単位の相互作用や規則性によってアクリル共重合体に結晶性が付与され、融点が確認されると考えられる。
【0084】
前記アクリル共重合体としては、重量平均分子量が一定レベル以上の共重合体を使用することができる。本明細書において重量平均分子量は、GPC(gel permeation chromatography)により測定されたポリスチレン換算値を意味する。また、特に別途規定しない限り、前記重量平均分子量の単位は、g/molである。前記共重合体の重量平均分子量の下限は、100万、110万、120万、130万、140万、150万、160万、170万、180万、190万または200万程度であってもよく、その上限は、500万、400万、300万、250万または200万程度であってもよい。前記重量平均分子量は、前述した下限のうち任意のいずれか1つの下限以上または超過の範囲内;前述した上限のうち任意のいずれか1つの上限以下または未満の範囲内;または前述した下限のうち任意のいずれか1つの下限以上または超過、かつ前述した上限のうち任意のいずれか1つの上限以下または未満の範囲内であってもよい。
【0085】
共重合体の重量平均分子量が低く設定されるほど、架橋後の物性変化が大きいが、重量平均分子量が低すぎると、高温および/または高湿条件下での耐久性の観点から不利である。しかしながら、本出願の場合、前述した特定の共重合体を使用することによって、重量平均分子量を適正レベルに維持した状態でも目的とする粘着剤層を効果的に形成することができる。
【0086】
前記アクリル共重合体は、所定範囲の分子量分布を有していてもよい。また、前記アクリル共重合体は、好ましくは、前記分子量分布によって適切な架橋剤により架橋され、前記粘着剤に含まれていてもよい。分子量分布は、重量平均分子量(Mw)から数平均分子量(Mn)を割った値(Mw/Mn)である。通常、分子量分布が小さいほど共重合体内に平均分子量を基準として相対的に分子量が小さい成分と相対的に分子量が大きい成分の割合が少なく、共重合体の組成が均一であり、弾性率などのレオロジー特性も安定していると認識される。しかしながら、フレキシブルデバイスに適した物性は、変形に対する追従性と回復性、前記追従性と裁断性および信頼性などの互いに相反する物性を含み、したがって、このような物性の安定した確保のためには、適用される架橋剤の種類によって分子量分布が調節されることが必要なことがある。
【0087】
1つの例示において、前記アクリル共重合体が後述する熱架橋剤により架橋されて含まれる場合に、前記分子量分布の下限は、3、3.1、3.2、3.3、3.4、3.5、3.6、3.7、3.8、3.9、4、4.1、4.2、4.3、4.4、4.5、4.6、4.7、4.8、4.9または5.0程度であってもよく、その上限は、10、9.5、9、8.5、8、7.5、7、6.5、6または5.5程度であってもよい。前記分子量分布は、前述した上限のうち任意のいずれか1つの上限以下または未満であるか、または前述した下限のうち任意のいずれか1つの下限以上または超過であるか、または前述した上限のうち任意のいずれか1つの上限以下または未満でありかつ前述した下限のうち任意のいずれか1つの下限以上または超過であってもよい。このような分子量分布のアクリル共重合体は、後述する熱架橋剤により架橋されることが、目的とする類型の粘着剤の形成に適している。このような類型のアクリル共重合体は、前記熱架橋剤によってのみ架橋されることが好ましい。例えば、前記アクリル共重合体は、前記熱架橋剤によってのみ架橋されたり、あるいは、前記熱架橋剤およびラジカル架橋剤を同時に適用して架橋される場合にも、使用される熱架橋剤の重量(A)とラジカル架橋剤の重量(B)の割合(A/B)が一定レベル以下であることが好ましい。例えば、前記重量割合A/Bの上限は、0.5、0.4、0.3、0.2、0.1、0.09、0.08、0.07、0.06、0.05、0.04、0.03、0.02、0.01、0.009、0.008、0.007、0.006、0.005、0.004、0.003、0.002、0.001、0.0009、0.0008、0.0007、0.0006、0.0005、0.0004、0.0003、0.0002または0.0001程度であってもよく、その下限は、0程度であってもよい。前記割合A/Bは、前述した上限のうち任意のいずれか1つの上限以下または未満であるか、または前述した上限のうち任意のいずれか1つの上限以下または未満でありかつ前述した下限のうち任意のいずれか1つの下限以上または超過であってもよい。このような分子量分布のアクリル共重合体は、後述するラジカル架橋剤により架橋されることが、目的とする類型の粘着剤の形成に適している。
【0088】
1つの例示において、前記アクリル共重合体がいわゆるラジカル架橋剤により架橋されて含まれる場合に、前記分子量分布の下限は、0.5、1、1.5または2程度であってもよく、その上限は、3、2.8、2.6または2.4程度であってもよい。前記分子量分布は、前述した上限のうち任意のいずれか1つの上限以下または未満であるか、または前述した下限のうち任意のいずれか1つの下限以上または超過であるか、または前述した上限のうち任意のいずれか1つの上限以下または未満でありかつ前述した下限のうち任意のいずれか1つの下限以上または超過であってもよい。このような分子量分布のアクリル共重合体は、いわゆるラジカル架橋剤により架橋なることが目的する類型の粘着剤の形成に適している。このような類型のアクリル共重合体は、前記ラジカル架橋剤によってのみ架橋されることが好ましい。例えば、前記アクリル共重合体は、前記ラジカル架橋剤によってのみ架橋されたり、あるいは、前記熱架橋剤およびラジカル架橋剤を同時に適用して架橋される場合にも、使用される熱架橋剤の重量(C)とラジカル架橋剤の重量(D)の割合(C/D)が一定レベル以下であることが好ましい。例えば、前記重量割合C/Dの上限は、0.5、0.4、0.3、0.2、0.1、0.09、0.08、0.07、0.06、0.05、0.04、0.03、0.02、0.01、0.009、0.008、0.007、0.006、0.005、0.004、0.003、0.002、0.001、0.0009、0.0008、0.0007、0.0006、0.0005、0.0004、0.0003、0.0002または0.0001程度であってもよく、その下限は、0程度であってもよい。前記割合C/Dは、前述した上限のうち任意のいずれか1つの上限以下または未満であるか、または前述した上限のうち任意のいずれか1つの上限以下または未満でありかつ前述した下限のうち任意のいずれか1つの下限以上または超過であってもよい。このような分子量分布のアクリル共重合体は、後述するラジカル架橋剤により架橋されることが、目的とする類型の粘着剤の形成に適している。
【0089】
アクリル共重合体の分子量分布を調整する方法自体は公知であり、例えば、分子量調節剤の使用、開始剤の割合の調整および/または重合時間の調整などの中から選択された1つ以上の方式を通じて前記分子量分布を制御することができる。
【0090】
粘着剤は、下記化学式1の化合物を含んでもよい。このような化合物を含む粘着剤は、目的とする特性を効果的に満たすことができる。
【0091】
[化学式1]
【化3】
化学式1においてXは、炭素または窒素であり、R
1~R
3は、それぞれ独立して、水素、アルキル基またはヒドロキシ基であり、Xが窒素である場合に、R
4は存在せず、R
1~R
3のうち少なくとも1つは、ヒドロキシ基である。化学式1においてR
4は、存在する場合、下記化学式2の置換基であってもよい。
【0092】
[化学式2]
【化4】
化学式2においてR
5は、単一結合、酸素原子、-L
1-C(=O)-L
2-、-L
1-C(=O)-O-L
2-または-L
1-O-C(=O)-L
2-であり、R
6は、アルキリデン基またはアルキレン基であり、R
7は、単一結合、-O-C(=O)-、-C(=O)-または-C(=O)-O-であり、R
8およびR
9は、それぞれ独立して、水素またはアルキル基であり、nは、0~10の範囲内の数である。
【0093】
化学式2においてR7が単一結合または-C(=O)-O-である場合には、R9は存在しない。また、化学式2においてL1およびL2は、それぞれ独立して、単一結合、アルキリデン基またはアルキレン基である。
【0094】
化学式1においてXが炭素である場合に、R1~R3は、それぞれ独立して、水素またはアルキル基であってもよい。前記アルキル基は、炭素数1~20、炭素数1~16、炭素数1~12、炭素数1~8または炭素数1~4のアルキル基であってもよい。このようなアルキル基は、直鎖または分岐鎖の構造を有することができ、任意に1つ以上の置換基で置換されていてもよい。
【0095】
化学式2においてR5は、一例示において、酸素原子、-C(=O)-、-C(=O)-O-または-O-C(=O)-であってもよい。
【0096】
前記用語アルキリデン基は、アルカンにおいて1つの炭素原子から2個の水素原子が離脱して形成される2価残基であり、アルキレン基は、アルカンにおいて互いに異なる2個の炭素原子からそれぞれ水素原子が離脱して形成される2価残基である。
【0097】
化学式2においてR6のアルキリデン基は、炭素数1~20、炭素数1~16、炭素数1~12、炭素数1~8または炭素数1~4のアルキリデン基であってもよい。このようなアルキリデン基は、直鎖または分岐鎖の構造を有することができ、任意に1つ以上の置換基で置換されていてもよい。
【0098】
化学式2においてR6のアルキレン基は、炭素数2~20、炭素数2~16、炭素数2~12、炭素数2~8または炭素数2~4のアルキレン基であってもよい。このようなアルキレン基は、直鎖または分岐鎖の構造を有することができ、任意に1つ以上の置換基で置換されていてもよい。
【0099】
化学式2においてR8は、水素またはアルキル基であってもよく、前記アルキル基は、炭素数1~20、炭素数4~20、炭素数6~20、炭素数6~16、炭素数6~12または炭素数6~8のアルキル基であってもよい。このようなアルキル基は、直鎖または分岐鎖の構造を有することもでき、任意に1つ以上の置換基(例えば、アルキル基)により置換されていてもよい。
【0100】
化学式1においてXが窒素である場合に、R1およびR2は、それぞれ独立して、水素またはアルキル基であってもよく、前記でアルキル基は、炭素数1~20、炭素数1~16、炭素数1~12、炭素数1~8または炭素数1~4のアルキル基であってもよい。このようなアルキル基は、直鎖または分岐鎖の構造を有することができ、任意に1つ以上の置換基で置換されていてもよい。
【0101】
化学式1においてXが窒素である場合に、R3は、ヒドロキシ基であってもよい。
【0102】
化学式1においてXが炭素である場合に、化学式2のnは、0であっても0でなくてもよい。前記nが0でない場合、前記nの下限は、1、2または3であってもよく、その上限は、10、9、8、7、6、5、4または3であってもよい。前記nは、0でない場合、前述した上限のうち任意のいずれか1つの上限以下または未満であるか、または前述した下限のうち任意のいずれか1つの下限以上または超過であるか、または前述した上限のうち任意のいずれか1つの上限以下または未満でありかつ前述した下限のうち任意のいずれか1つの下限以上または超過であってもよい。
【0103】
化学式1においてXが炭素である場合に、R1~R3は、それぞれ独立して、水素またはアルキル基であってもよい。この際、前記R1~R3のうちいずれか1つは、水素であり、残りの2個は、アルキル基であってもよい。この際、アルキル基は、炭素数1~20、炭素数1~16、炭素数1~12、炭素数1~8または炭素数1~4のアルキル基であってもよい。このようなアルキル基は、直鎖または分岐鎖の構造を有していてもよく、任意に1つ以上の置換基で置換されていてもよい。また、前記R1~R3のうちいずれか1つは、水素であり、残りの2個は、アルキル基である場合に、前記2個のアルキル基の炭素数は、互いに異なっていてもよく、同じてもよい。
【0104】
化学式1においてXが炭素であり、化学式2のnが0である場合に、化学式2においてR5は、-L1-C(=O)-L2-、-L1-C(=O)-O-L2-または-L1-O-C(=O)-L2-であってもよく、この場合、L1およびL2は、それぞれ独立して、アルキレン基またはアルキリデン基であってもよい。前記アルキリデン基は、炭素数1~20、炭素数1~16、炭素数1~12、炭素数1~8または炭素数1~4のアルキリデン基であってもよく、アルキレン基は、炭素数2~20、炭素数2~16、炭素数2~12、炭素数2~8または炭素数2~4のアルキレン基であってもよい。このようなアルキレン基またはアルキリデン基は、直鎖または分岐鎖の構造を有していてもよく、任意に1つ以上の置換基で置換されていてもよい。
【0105】
化学式1においてXが炭素であり、化学式2のnが0である場合に、化学式2においてR7は、-O-C(=O)-、-C(=O)-または-C(=O)-O-であってもよい。
【0106】
化学式1においてXが炭素であり、化学式2のnが0の場合に、化学式2のR8およびR9は、それぞれ独立して、水素またはアルキル基であってもよく、またはそれぞれ独立して、アルキル基であってもよい。このような場合に、アルキル基は、炭素数1~20、炭素数1~16、炭素数1~12、炭素数1~8または炭素数1~4のアルキル基であってもよい。このようなアルキル基は、直鎖または分岐鎖の構造を有していてもよく、任意に1つ以上の置換基で置換されていてもよい。また、前記R8およびR9がそれぞれ独立して、アルキル基である場合に、それらの炭素数は、互いに同じでも異なっていてもよい。
【0107】
化学式1においてXが炭素であり、化学式2のnが0でない場合に、化学式2においてR5は、-L1-C(=O)-L2-、-L1-C(=O)-O-L2-または-L1-O-C(=O)-L2-であってもよく、この場合、L1およびL2は、それぞれ単一結合であってもよい。
【0108】
化学式1においてXが炭素であり、化学式2のnが0でない場合、化学式2のR6のアルキリデン基は、炭素数1~20、炭素数1~16、炭素数1~12、炭素数1~8または炭素数1~4のアルキリデン基であってもよく、アルキレン基は、炭素数2~20、炭素数2~16、炭素数2~12、炭素数2~8または炭素数2~4のアルキレン基であってもよい。このようなアルキレン基またはアルキリデン基は、直鎖または分岐鎖の構造を有していてもよく、任意に1つ以上の置換基で置換されていてもよい。
【0109】
化学式1においてXが炭素であり、化学式2のnが0でない場合、化学式2のR7は、-O-C(=O)-、-C(=O)-または-C(=O)-O-であってもよい。
【0110】
化学式1においてXが炭素であり、化学式2のnが0でない場合に、化学式2のR8およびR9は、それぞれ独立して、水素またはアルキル基であってもよく、またはそれぞれ独立して、アルキル基であってもよい。このような場合に、アルキル基は、炭素数1~20、炭素数1~16、炭素数1~12、炭素数1~8または炭素数1~4のアルキル基であってもよい。このようなアルキル基は、直鎖または分岐鎖の構造を有していてもよく、任意に1つ以上の置換基で置換されていてもよい。また、前記R8およびR9がそれぞれ独立して、アルキル基である場合に、それらの炭素数は、互いに同じでも異なっていてもよい。
【0111】
粘着剤において前記化学式1の化合物は、前記アクリル共重合体100重量部に対して0.1重量部~50重量部の量で含まれ得る。前記範囲で粘着剤層が目的とする貯蔵弾性率と剥離力などの特性を示すことができる。前記割合は、他の例示において約0.2重量部以上、約0.3重量部以上、約0.4重量部以上、約0.5重量部以上、0.6重量部以上、0.7重量部以上、0.8重量部以上、0.9重量部以上、1重量部以上、2重量部以上、3重量部以上、4重量部以上、5重量部以上、6重量部以上、7重量部以上、8重量部以上、9重量部以上または10重量部以上であるか、約45重量部以下、40重量部以下、35重量部以下、30重量部以下、25重量部以下、20重量部以下、約15重量部以下または10重量部以下程度であってもよい。
【0112】
前記粘着剤は、架橋剤をさらに含んでもよい。架橋剤は、前記アクリル共重合体と反応して架橋構造を具現していてもよい。
【0113】
架橋剤の種類は、特に限定されず、例えば、イソシアネート系化合物、エポキシ系化合物、アジリジン系化合物および金属キレート系化合物のような一般的な架橋剤を使用することができる。このような類型の架橋剤は、熱の印加によって架橋構造を具現するいわゆる熱架橋剤であり、後述するラジカル架橋剤とは異なるものである。前記イソシアネート系化合物の具体的な例としては、トリレンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、テトラメチルキシレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネートおよび前記のうちいずれか1つのポリオール(ex.トリメチロールプロパン)との反応物から成る群から選択された1つ以上が挙げられ;エポキシ系化合物の具体的な例としては、エチレングリコールジグリシジルエーテル、トリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、N,N,N',N'-テトラグリシジルエチレンジアミンおよびグリセリンジグリシジルエーテルから成る群から選択された1つ以上が挙げられ;アジリジン系化合物の具体的な例としては、N,N'-トルエン-2,4-ビス(1-アジリジンカルボキサミド)、N,N'-ジフェニルメタン-4,4'-ビス(1-アジリジンカルボキサミド)、トリエチレンメラミン、ビスイソフタロイル-1-(2-メチルアジリジン)およびトリ-1-アジリジニルホスフィンオキシドから成る群から選択された1つ以上が挙げられるが、これらに制限されるものではない。また、前記で金属キレート系化合物の具体的な例としては、アルミニウム、鉄、亜鉛、スズ、チタン、アンチモン、マグネシウムおよび/またはバナジウムのような多価金属がアセチルアセトンまたはアセト酢酸エチルなどに配位している化合物などが挙げられるが、これらに制限されるものではない。
【0114】
粘着剤層において前記アクリル共重合体100重量部に対して前記架橋剤の重量割合の下限は、0.01重量部、0.02重量部、約0.03重量部、約0.04重量部、約0.05重量部、0.06重量部、0.07重量部、0.08重量部または0.09重量部程度であってもよく、その上限は、約10重量部、9重量部、8重量部、7重量部、6重量部、5重量部、4重量部、約3重量部、約2重量部、約1重量部、約0.8重量部、約0.6重量部、約0.4重量部、約0.2重量部、約0.15重量部、約0.1重量部、0.09重量部、0.08重量部または0.07重量部程度であってもよい。前記割合は、前述した下限のうち任意のいずれか1つの下限以上または超過の範囲内;前述した上限のうち任意のいずれか1つの上限以下または未満の範囲内;または前述した下限のうち任意のいずれか1つの下限以上または超過、かつ前述した上限のうち任意のいずれか1つの上限以下または未満の範囲内であってもよい。前記含有量範囲で適切なレベルで前記アクリル共重合体を架橋させるように架橋剤の含有量を選択すると、目的とする粘着剤を効果的に形成することができる。
【0115】
粘着剤層は、前記架橋剤として、前記熱架橋剤とは異なる類型の架橋剤であり、いわゆるラジカル架橋剤を含んでもよい。このような架橋剤は、ラジカル反応によって架橋構造を具現する。このようなラジカル架橋剤としては、いわゆる多官能性アクリレートが例示でき、例えば、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールアジペート(neopentylglycol adipate)ジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバル酸(hydroxyl puivalic acid)ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(dicyclopentanyl)ジ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジシクロペンテニルジ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性ジ(メタ)アクリレート、ジ(メタ)アクリロキシエチルイソシアヌレート、アリル(allyl)化シクロヘキシルジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノール(メタ)アクリレート、ジメチロールジシクロペンタンジ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性ヘキサヒドロフタル酸ジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノール(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコール変性トリメチルプロパンジ(メタ)アクリレート、アダマンタン(adamantane)ジ(メタ)アクリレートまたは9,9-ビス[4-(2-アクリロイルオキシエトキシ)フェニル]フルオレン(fluorine)などのような二官能性アクリレート;トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロピオン酸変性ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、3官能性ウレタン(メタ)アクリレートまたはトリス(メタ)アクリロキシエチルイソシアヌレートなどの三官能型アクリレート;ジグリセリンテトラ(メタ)アクリレートまたはペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレートなどの四官能型アクリレート;プロピオン酸変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートなどの五官能型アクリレート;およびジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートまたはウレタン(メタ)アクリレート(ex.イソシアネート単量体およびトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートの反応物などの六官能型アクリレートなどが挙げられるが、これらに制限されるものではない。
【0116】
粘着剤層において前記ラジカル架橋剤も、目的に応じて適正割合で存在していてもよく、例えば、前記アクリル共重合体100重量部に対して0.01重量部~10重量部または0.01重量部~5重量部の量で含まれ得る。
【0117】
前記ラジカル架橋剤は、必須成分に該当しない。
【0118】
粘着剤は、前記成分の他にも、必要に応じて適正な添加成分を含んでもよいし、例えば、ラジカル開始剤や紫外線吸収剤、光安定剤、可塑剤および/または架橋触媒などの成分をさらに含むこともできる。
【0119】
本出願において前記粘着剤を形成する方法は、特に制限されない。例えば、粘着剤を形成する各成分(共重合体と架橋剤など)を配合した粘着剤組成物を前記組成物に適用されたアクリル共重合体および/または架橋剤の類型を考慮して適正な架橋方式を適用して前記粘着剤を形成することができる。例えば、前記アクリル共重合体および/または架橋剤が熱の印加によって架橋される類型であれば、適切な熱を印加して架橋物を形成することができ、電磁波の照射によって架橋される類型であれば、ば適切な電磁波を照射して架橋物を形成することができ、その他他の架橋方式も適用することができる。
【0120】
このような粘着剤は、前述した弾性率および/または剥離力特性を示すことができる。
【0121】
このような本出願の粘着剤の厚さは、特に制限されず、適用する用途を考慮して通常の粘着剤の厚さを有していてもよい。
【0122】
例えば、前記粘着剤は、略5μm~100μmの範囲内で適正なレベルの厚さを有していてもよい。
【0123】
本出願は、また、基材フィルムおよび前記基材フィルムの一面または両面に形成された粘着剤層を含む粘着フィルムまたは光学積層体に関する。光学積層体である場合に、前記基材フィルムは、光学フィルムであってもよい。前記粘着剤層は、前述した粘着剤を含んでもよい。
【0124】
本出願の粘着剤層は、基材フィルムの一面または両面に形成され、粘着フィルムを形成したり、光学フィルムである前記基材フィルムの一面または両面に形成され、光学積層体を形成することができる。
【0125】
この際、適用可能な前記基材フィルムの種類は、特に制限されない。前記基材フィルムとしては、通常、粘着フィルムの形成に適用可能な基材フィルムを適用することができる。
【0126】
例えば、基材フィルムとしては、PET(poly(ethylene terephthalate))フィルム、PTFE(poly(tetrafluoroethylene))フィルム、PP(polypropylene)フィルム、PE(polyethylene)フィルム、ポリイミドフィルム、ポリアミドフィルム、COP(cyclic olefin polymer)フィルム、ポリブテンフィルム、ポリブタジエンフィルム、塩化ビニル共重合体フィルム、ポリウレタンフィルム、エチレン-ビニルアセテートフィルム、エチレン-プロピレン共重合体フィルム、エチレン-アクリル酸エチル共重合体フィルム、エチレン-アクリル酸メチル共重合体フィルムおよび/またはポリイミドフィルムなどを使用することができるが、これらに制限されるものではない。
【0127】
前記基材フィルムの厚さなどは、特に制限されず、目的に適した範囲内で適正な厚さを有していてもよい。
【0128】
基材フィルムとして光学フィルムが適用される場合に、前記光学フィルムの種類にも特別な制限がない。一例示において、前記光学フィルムは、偏光フィルム、偏光板あるいは位相差フィルムなどであってもよい。このような場合にも、前記光学フィルムは、目的に応じて適正な範囲の厚さを有していてもよい。
【0129】
前記粘着フィルムまたは光学積層体は、また、必要に応じて前記粘着剤層を使用前まで保護するための離型フィルムや保護フィルムをさらに含んでもよい。
【0130】
本出願は、また、前記粘着剤を含む粘着剤層、粘着フィルムまたは光学積層体を含むフレキシブルデバイスに関する。前記デハイスにおいて前記粘着剤を含む粘着剤層、粘着フィルムまたは光学積層体の適用形態には、特別な制限がない。例えば、前記粘着剤層は、前記デハイスにおいていわゆるOCA(Optically Clear Adhesive)またはOCR(Optically Clear Resin)の用途で使用することができ、したがって、前記粘着剤層、粘着フィルムまたは光学積層体の適用形態は、通常のOCAまたはOCRの適用形態と同じてもよい。
【0131】
このような場合に、一例示において、前記フレキシブルデバイスは、ディスプレイパネルおよび前記ディスプレイパネルの一面または両面に存在する前記粘着剤層、粘着フィルムまたは光学積層体を含んでもよい。このような場合に前記ディスプレイパネルは、1つ以上のフォールディング軸またはローリング軸を通じてフォールディングまたはローリングされ得るように構成されていてもよい。
【0132】
前記のようなフレキシブルデバイスを構成する他の要素は、特別な制限がなく、公知されたフレキシブルデバイスの構成要素を制限なしで採用することができる。
【発明の効果】
【0133】
本出願は、フレキシブルデバイスに適用されて繰り返される変形と回復に効果的に対応し、変形前後に不良(例えば、変形跡の観察など)が発生せず、裁断性と作業性に優れ、浮き上がり、剥離および/または気泡発生などを誘発しない粘着剤を提供することができる。
【0134】
本出願は、また、前記粘着剤を含む粘着剤層、それを含む粘着フィルムや光学フィルムおよびフォルダブルデバイスやローラブルデバイスのようなフレキシブルデバイスを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0135】
【
図1】ダイナミックフォールディングテストにおいて適用された試験片の構造を示す図である。
【
図2】ダイナミックフォールディングテストが行われる過程を示す図である。
【
図3】粘着剤の裁断性を評価する内容を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0136】
以下、実施例および比較例に基づいて本出願を具体的に説明するが、本出願の範囲が下記実施例によって制限されるものではない。
【0137】
1.貯蔵弾性率の評価
貯蔵弾性率は、ARES G2(Advanced Rheometric Expansion System G2)(TA社)を用いて評価した。厚さが約0.8mm程度の粘着剤層を直径が約8mm程度の円形で裁断して、試験片を製造した。前記粘着剤層は、厚さが約25μm程度の粘着剤層を前記0.8mm程度の厚さになるように重なって製造した。直径が約8mmのパラレルプレートフィクスチャー(parallel plate fixture)を用いて前記試験片に対して測定温度での貯蔵弾性率を評価した。前記評価時に、評価条件は、周波数1Hzおよびストレーン(strain)5%とし、-40℃から90℃まで約10℃/分の速度で温度を昇温しながら測定した。
【0138】
2.剥離力の評価
測定対象である粘着フィルム(離型フィルム/粘着剤層/基材フィルムの構造)を幅が約25mm程度、長さが約100mm程度の矩形で裁断して、試験片を製造した。次に、離型フィルムを剥離し、粘着剤層をソーダライムガラス(soda lime glass)にJIS Z 0237の規定により2kgのローラーを用いて付着し、常温で1日間放置した。その後、TA(Texture Analyzer)装備(Stable Micro System社)を用いて常温で180度の剥離角度および0.3m/minの剥離速度で粘着剤層を剥離しながら剥離力を測定した。
【0139】
3.ヘイズの測定
ヘイズは、厚さが約25μm程度の粘着剤を厚さが0.5mmのソーダライムガラス(soda lime glass)にJIS Z 0237の規定により2kgのローラーを用いて付着し、常温で1日間放置した後に測定した。測定機器としては、COH-400機器(Nippon Denshoku社)を使用し、D65標準光源を用いて評価した。
【0140】
4.重量平均分子量の評価
重量平均分子量(Mw)および分子量分布は、GPC(Gel Permeation Chromatograph)を用いて測定し、測定条件は、下記の通りである。重量平均分子量の測定時に、検量線の製作には、標準ポリスチレン(Aglient system社製))を用いて測定結果を換算した。分子量分布は、前記方式によって重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)を求めた後に、これを割った値(Mw/Mn)とした。
【0141】
<GPC測定条件>
測定機:Aglient GPC(Aglient 1200 series,U.S.)
カラム:PL Mixed B 2個連結
カラム温度:40℃
溶離液:THF(Tetrahydrofuran)
流速:1.0μL/min
濃度:~1mg/mL(100μl injection)
【0142】
5.ダイナミックフォールディングテスト
ダイナミックフォールディングテストは、
図1に示されたような試験片を製造して行った。
図1に示された試験片のように、両面にハードコーティング層100が形成された厚さ約50μm程度のポリイミドフィルム200、粘着剤層300、偏光板400、粘着剤層300およびディスプレイパネル500を順次積層して製造された積層体を、横の長さが約7.8cm、縦の長さが約17cm程度の矩形形態で裁断して、試験片を製造した。次に、
図2に示されたように、前記試験片を5mm間隔の平行板の間に挟んでたたむフォールディングを-20℃で20万回繰り返し、サンプルを回収した後に、サンプルでの気泡の発生、浮き上がり/剥離の発生およびハードコーティング層のクラックの発生などの不良を目視で観察した。前記不良のうちで1つでも発生した場合をNGと評価し、前記不良がすべて発生しなかった場合をPASSと評価した。
【0143】
6.裁断性テスト
裁断性は、
図3に示されたように、2枚の離型フィルム(light liner,heavy liner)100、200の間に粘着剤層300が存在する積層体を横および縦の長さがそれぞれ10cmになるように裁断して製造した試験片400を用いて評価した。
図3のように、前記裁断時に発生する粘着剤のはみ出した部分の長さLを測定し、当該長さが100μm以上であれば、NGと評価し、100μm未満であれば、PASSと評価した。
【0144】
7.融点およびガラス転移温度の評価
融点は、DSC(Differential Scanning Calorimeter)装備を使用した測定方法により測定した。装備としては、DSC2500装備(TA社)を使用した。試料(共重合体)約10mgを専用パン(pan)に封止し、昇温条件を10℃/分、冷却条件を-10℃/分としてN2雰囲気で吸熱および発熱量を温度により確認して、融点およびガラス転移温度を測定した。測定温度の範囲は、-120℃から200℃であった。条件は、まず、常温(約30℃)から-120℃まで約-10℃/分の速度で冷却し、さらに200℃まで10℃/分の昇温速度で加熱した(1次加熱)。その後、さらに約-10℃/分の速度で-120℃まで冷却し、さらに200℃まで10℃/分の昇温速度で加熱した(2次加熱)。融点は、前記2次加熱時に評価した。
【0145】
製造例1.共重合体(A)の製造
窒素ガスが還流され、温度調節が容易に冷却装置を設置した1L反応器に単量体混合物を投入した。単量体混合物は、n-ブチルアクリレート(BA)、ラウリルアクリレート(LA)および4-ヒドロキシブチルアクリレート(HBA)を6:3:1の重量割合(BA:LA:HBA)で混合したものを適用した。前記単量体混合物を投入し、エチルアセテートを適正量追加した後に、窒素ガスを1時間パージング(purging)して酸素を除去し、反応器の温度を約62℃程度に維持した。混合物を均一にし、反応開始剤(AIBN:Azobisisobutyronitrile)を約400ppm程度で投入し、n-ドデシルメルカプタン(n-dodecyl mercaptan)も約400ppm程度で投入して、反応を開示させた。約6時間~7時間程度反応させて、重合物(共重合体(A))を製造した。前記共重合体(重合物)(A)の重量平均分子量は、約200万程度であり、分子量分布は、約4.5程度であった。また、前記共重合体(重合物)(A)の融点は、約-43℃程度であった。
【0146】
製造例2.共重合体(B)の製造
単量体混合物として、エチルヘキシルアクリレート(EHA)、ラウリルアクリレート(LA)および4-ヒドロキシブチルアクリレート(HBA)を4:4:2の重量割合(EHA:LA:HBA)で混合したものを使用したことを除いては、製造例1と同様の方式で共重合体(重合物)(B)を製造した。前記共重合体(重合物)(B)の重量平均分子量は、約200万程度であり、分子量分布は、約3.5程度であった。また、前記共重合体(重合物)(B)の融点は、約-42℃程度であった。
【0147】
製造例3.共重合体(C)の製造
単量体混合物として、n-ブチルアクリレート(BA)、ラウリルアクリレート(LA)および4-ヒドロキシブチルアクリレート(HBA)を58:40:2の重量割合(BA:LA:HBA)で混合したものを使用したことを除いては、製造例1と同様の方式で共重合体(重合物)(C)を製造した。前記共重合体(重合物)(C)の重量平均分子量は、約200万程度であり、分子量分布は、約3.5程度であった。また、前記共重合体(重合物)(C)の融点は、約-42℃程度であった。
【0148】
実施例1.
製造例1の共重合体(重合物)(A)100重量部に対して約0.07重量部のイソシアネート架橋剤(TKA-100,Needfill Co.)、約10重量部のTEG-EH(triethylene glycol bis(2-ethylhexanoate))および触媒量の触媒を配合して、粘着剤組成物を製造した。前記触媒としては、通常、ヒドロキシ基とイソシアネート基のウレタン反応を促進する触媒を使用した。前記粘着剤組成物を溶剤(エチルアセテート)で適正粘度で希釈し、混合器(mechanical stirrer)で15分間以上混合した。常温で維持して気泡を除去し、離型フィルム(離型PET(poly(ethylene terephthalate))上にコンマコーター(comma coater)で塗布した後、140℃で約3分間維持して、厚さが約25μm程度の粘着剤層を形成した。
【0149】
実施例2.
TEG-EH(triethylene glycol bis(2-ethylhexanoate))の代わりにDEHA(Diethylhexyl adipate)を適用したことを除いては、実施例1と同様に厚さが約25μm程度の粘着剤層を形成した。
【0150】
比較例1.
TEG-EH(triethylene glycol bis(2-ethylhexanoate))を適用しないことを除いては、実施例1と同様に厚さが約25μm程度の粘着剤層を形成した。
【0151】
比較例2.
TEG-EH(triethylene glycol bis(2-ethylhexanoate))の代わりにIPMS(isopropyl myristate)を適用したことを除いては、実施例1と同様に厚さが約25μm程度の粘着剤層を形成した。
【0152】
比較例3.
TEG-EH(triethylene glycol bis(2-ethylhexanoate))の代わりにTEC(triethyl citrate)を適用したことを除いては、実施例1と同様に厚さが約25μm程度の粘着剤層を形成した。
【0153】
比較例4.
TEG-EH(triethylene glycol bis(2-ethylhexanoate))の代わりにATBC(Acetyl Tributyl citrate)を適用したことを除いては、実施例1と同様に厚さが約25μm程度の粘着剤層を形成した。
【0154】
比較例5.
製造例1の共重合体(A)の代わりに製造例2の共重合体(B)を適用し、TEG-EH(triethylene glycol bis(2-ethylhexanoate))を適用しないことを除いては、実施例1と同様に厚さが約25μm程度の粘着剤層を形成した。
【0155】
比較例6.
製造例1の共重合体(A)の代わりに製造例3の共重合体(C)を適用し、TEG-EH(triethylene glycol bis(2-ethylhexanoate))を適用しないことを除いては、実施例1と同様に厚さが約25μm程度の粘着剤層を形成した。
【0156】
実施例および比較例の粘着剤層に対して評価した貯蔵弾性率、ヘイズ、剥離力、ダイナミックフォールディングテストおよび裁断性に対する評価結果は、下記表1に整理された通りである。
【0157】
下記表1でG'(-20)は、-20℃での貯蔵弾性率であり、G'(25)は、25℃での貯蔵弾性率であり、△Gは、前記数式1によって確認された弾性率の変化量であり、DFは、前記フォールディングテストの結果である。
【0158】
表1で、貯蔵弾性率の単位は、Paであり、剥離力の単位は、gf/inchである。
【0159】
【国際調査報告】