(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-19
(54)【発明の名称】弾性波共振器における原子層堆積
(51)【国際特許分類】
H03H 9/17 20060101AFI20241112BHJP
H03H 3/08 20060101ALI20241112BHJP
【FI】
H03H9/17 F
H03H3/08
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024527794
(86)(22)【出願日】2022-09-27
(85)【翻訳文提出日】2024-05-13
(86)【国際出願番号】 US2022077076
(87)【国際公開番号】W WO2023091813
(87)【国際公開日】2023-05-25
(32)【優先日】2021-11-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】310009199
【氏名又は名称】メイコム テクノロジー ソリューションズ ホールディングス インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100116322
【氏名又は名称】桑垣 衛
(72)【発明者】
【氏名】ロング、ラスナイト
(72)【発明者】
【氏名】カールソン、ダグラス
【テーマコード(参考)】
5J097
5J108
【Fターム(参考)】
5J097EE08
5J108DD06
5J108EE03
5J108EE13
5J108KK01
(57)【要約】
圧電材料のより薄い層を有する音響共振器を含む、音響共振器及び音響共振器の製造方法の態様が説明される。一例では、音響共振器の製造方法は、基板(41)を提供することと、原子層堆積ALDによって基板(43)の上に圧電材料の層を堆積させることと、圧電材料の層と接触する電極(44,45)を形成することとを含む。ALDは、圧電材料の非常に均一かつコンフォーマルな薄膜、並びに場合によっては電極及び封止層(46)を堆積するために使用される。本明細書に記載の音響共振器は、フロントエンド無線電子機器及び他の用途における新しい無線周波数(RF)フィルタ、デュプレクサ、変圧器、及び他の構成要素の需要により適している。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
音響共振器の製造方法であって、
基板を提供することと、
原子層堆積によって前記基板の上に圧電材料の層を堆積させることと、
前記圧電材料の層と接触する電極を形成することと
を含む方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法において、
前記電極は、第1の電極を含み、
前記方法は、前記圧電材料と接触する第2の電極を形成することをさらに含む、方法。
【請求項3】
前記第2の電極及び前記第2の電極は、金属をスパッタリングすることによって形成される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
請求項2に記載の方法であって、
前記第1の電極は、金属の原子層堆積によって形成され、
前記第2の電極は、金属をスパッタリングすることによって形成される、方法。
【請求項5】
前記第1の電極及び前記第2の電極は、金属の原子層堆積によって形成される、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
前記音響共振器の材料層のスタックにおいて、前記第1の電極及び前記第2の電極の両方は、少なくとも部分的に前記圧電材料の層の上に形成される、請求項2に記載の方法。
【請求項7】
請求項2に記載の方法であって、前記音響共振器の材料層のスタックにおいて、
前記第1の電極は、少なくとも部分的に前記圧電材料の層の下に形成され、
前記第2の電極は、少なくとも部分的に前記圧電材料の層の上に形成される、方法。
【請求項8】
前記基板と前記圧電材料の層との間で、前記基板の上に音響反射器を形成することをさらに含む請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記反射器は、複数の材料層を含み、前記複数の層は、変化する屈折率を有する材料の交互層を含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記基板と前記圧電材料の層との間で、前記基板の上に支持層を形成することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記圧電材料の下の領域における前記基板内にエアキャビティを形成することをさらに含む請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記キャビティは、複数の支持ピラーを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
原子層堆積によって前記圧電材料の層を堆積した後に、前記圧電材料の層をトリミングすることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記圧電材料は窒化アルミニウムを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
原子層堆積によって前記電極の上に封止層を形成することをさらに含む請求項1に記載の方法。
【請求項16】
音響共振器であって、
基板と、
原子層堆積によって前記基板の上に堆積された圧電材料の層と、
前記圧電材料の層と接触する電極と
を含む音響共振器。
【請求項17】
前記圧電材料の層は、厚さが100nm以下である窒化アルミニウムの層を含む、請求項16に記載の音響共振器。
【請求項18】
請求項16に記載の音響共振器はさらに、
前記圧電材料と接触する第2の電極を含み、
前記電極または前記第2の電極のうちの少なくとも1つは、金属の原子層堆積によって形成される、音響共振器。
【請求項19】
前記基板と前記圧電材料の層との間で、前記基板の上に音響反射器をさらに含む請求項16に記載の音響共振器。
【請求項20】
前記基板と前記圧電材料の層との間で、前記基板の上に支持層をさらに含む請求項16に記載の音響共振器。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
圧電効果は、特定の材料によって示され、材料における機械的状態と電気的状態との間の電気機械的相互作用に関連する。圧電効果を示す材料は、逆圧電効果も示す。例えば、チタン酸ジルコン酸鉛結晶は、結晶の形状を変形させるように機械的な力が加えられると、圧電性を生成する(すなわち、電界電位を生成する)。チタン酸ジルコン酸鉛結晶はまた、外部電界が結晶に印加されると、変形又は形状変化する。
【0002】
圧電材料は、結晶材料、セラミック材料、又はポリマー材料のいずれかに分類することができる。チタン酸ジルコン酸鉛、チタン酸バリウム、及びチタン酸鉛は、圧電セラミックス材料の例である。特定の半導体圧電材料は、半導体デバイス及び集積回路に適合している。とりわけ、窒化ガリウム及び酸化亜鉛は、半導体デバイス及び集積回路に適合する圧電材料の例である。
【0003】
圧電材料の電気機械結合係数は、圧電材料における電気エネルギーと機械エネルギーとの間の変換効率の測定基準である。電気機械結合係数は、電位が印加又は形成される表面、及び機械エネルギーが材料に印加される又は生じる方向などのパラメータを含むことができる。
【発明の概要】
【0004】
半導体デバイス、特に弾性波共振器の製造において原子層堆積の使用の様々な例が、原子層堆積を用いて堆積された材料の1つ以上の層を組み込むいくつかの新規な弾性波共振器デバイスと共に説明される。一例では、音響共振器の製造方法は、基板を提供することと、原子層堆積によって基板の上に圧電材料の層を堆積させることと、圧電材料の層と接触する電極を形成することと、を含む。
【0005】
実施形態のいくつかの態様では、電極は、第1の電極であり、方法はまた、圧電材料と接触する第2の電極を形成することを含む。一例では、第1の電極及び第2の電極は、金属をスパッタリングすることによって形成される。別の例では、第1の電極は、金属の原子層堆積によって形成され、第2の電極は、金属をスパッタリングすることによって形成される。更に別の例では、第1の電極及び第2の電極は両方とも、金属の原子層堆積によって形成される。
【0006】
他の態様では、第1の電極及び第2の電極は両方とも、音響共振器の材料層のスタック内の圧電材料の層の上に形成される。別の場合には、音響共振器の材料層のスタックにおいて、第1の電極は、圧電材料の層の下に形成され、第2の電極は、圧電材料の層の上に形成される。
【0007】
他の態様では、この方法はまた、基板と圧電材料の層との間で、基板の上に音響反射器を形成することを含む。反射器は、複数の材料の層を含む。これらの層は、異なる屈折率を有する材料の交互層を含む。ある場合には、この方法はまた、基板と圧電材料の層との間で、基板の上に支持層を形成することを含む。この方法はまた、圧電材料の下の領域における基板内にエアキャビティを形成することを含むことができる。一例では、キャビティは、複数の支持ピラーを含む。
【0008】
更に他の態様では、この方法はまた、原子層堆積によって圧電材料の層を堆積した後に、圧電材料の層をトリミングすることを含む。この方法はまた、原子層堆積によって電極の上に封止層を形成することを含むことができる。圧電材料は、ある場合には窒化アルミニウムを含むが、他のタイプの圧電材料を利用することもできる。
【0009】
別の例では、音響共振器について説明する。音響共振器は、基板と、原子層堆積によって基板の上に堆積された圧電材料の層と、圧電材料の層と接触する電極と、を含む。一例では、圧電材料の層は、厚さが100nm以下である窒化アルミニウムの層を含む。また、場合によっては、音響共振器は、圧電材料と接触する第2の電極を含む。一例では、電極、第2の電極のうちの少なくとも1つ、又は両方の電極は、金属の原子層堆積によって形成される。音響共振器は、基板と圧電材料の層との間で、基板の上に音響反射器を含むことができる。弾性波反射器はまた、他の層の中でもとりわけ、基板と圧電材料の層との間で、基板の上に支持層を含むことができる。
【0010】
本開示の態様は、以下の図面を参照してより良く理解することができる。図面中の要素は必ずしも縮尺通りではなく、代わりに実施形態の原理を明確に示すことに重点が置かれていることに留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本明細書に記載の様々な実施形態による、例示的なバルク弾性波(bulk acoustic wave、BAW)共振器構造体の斜視図である。
【
図2】本明細書に記載の様々な実施形態による、例示的な表面弾性波(surface acoustic wave、SAW)共振器構造体の斜視図である。
【
図3】本明細書に記載の様々な実施形態による、例示的な固体実装バルク弾性波共振器構造体の断面図である。
【
図4】本明細書に記載の様々な実施形態による、
図3に示す共振器構造体の例示的な製造方法を示す。
【
図5】本明細書に記載の様々な実施形態による、例示的な薄膜バルク音響共振器の断面図である。
【
図6】本明細書に記載の様々な実施形態による、
図5に示す共振器構造体の例示的な製造方法を示す。
【
図7】本明細書に記載の様々な実施形態による、
図2に示すSAW共振器の例示的な製造方法を示す。
【
図8】本明細書に記載の様々な実施形態による、例示的な横方向励起バルク弾性波共振器の断面図である。
【
図9】本明細書に記載の様々な実施形態による、別の例示的な横方向励起バルク弾性波共振器の断面図である。
【
図10】本明細書に記載の様々な実施形態による、
図8及び
図9に示す共振器構造体の例示的な製造方法を示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
音響共振器は、圧電材料の1つ以上の表面と接触する電極を有する圧電材料の層を含む構造体として形成することができる。高性能音響共振器の特性としては、とりわけ、正確な周波数応答、高い品質係数、高い圧電結合又は帯域幅、及び小さい周波数温度係数が挙げられる。
【0013】
異なるタイプ及び構造の弾性波共振器が、電気回路内の発振器、無線周波数(radio frequency、RF)フィルタ、デュプレクサ、及び変圧器として、微小電気機械システム(micro-electromechanical systems、MEMS)内の構成要素として、並びに他の目的のために利用されてきた。音響共振器の例としては、バルク弾性波(BAW)共振器及び表面弾性波(SAW)共振器が挙げられる。BAW共振器の例としては、以下で更に詳細に説明するように、固体実装共振器(solidly mounted resonators、SMR)及び薄膜バルク弾性波共振器(thin-film bulk acoustic resonators、FBAR)が挙げられる。SAW共振器と同様に、BAW共振器の動作は、圧電材料の層によって示される圧電効果に基づく。
【0014】
BAW又はSAWにおける圧電材料として、いくつかの異なる材料を利用することができる。一例として、酸化亜鉛(ZnO)は、高周波FBAR構造体のための比較的一般的な圧電材料である。いくつかの材料処理技術では、ZnOなどの2化合物材料の化学量論は、薄膜法によって製造される場合、3化合物材料と比較して制御するのがより容易であり得る。圧電材料の比較的薄い層は、ゾル-ゲル湿式化学技術、スパッタリング、パルスレーザ堆積、及び他の技術によって形成されてきた。
【0015】
今日、多くのセルラー通信デバイスは、デュプレクサ、フィルタ、及び1つ以上の音響共振器を含む他のRF回路を含む。セルラー通信デバイスは、いくつかのそのようなRF回路を含むことができ、音響共振器は、無線周波数フロントエンド電子機器の複雑さの増加に起因して、より大規模に採用され利用されている。弾性波構造体の一般的な用途は、例えば、携帯電話、全地球測位システム、Wi-Fi(登録商標)システム、及びデータ通信のためにRF信号を利用する他のシステムのためのRFフィルタである。このようなRFフィルタは、多くの場合、ラダー型、格子型、又はスタック型トポロジの音響共振器のネットワークを使用して形成され、特定の周波数又は周波数帯域の送信を防止し、特定の周波数又は周波数帯域の受信を可能にするように設計されている。BAWフィルタ技術は、向上した電力処理能力が必要とされる領域においてSAWフィルタ技術を補完している。更に、BAW構造体は、シリコン基板上に大量に製造することができ、現在の半導体デバイス製造方法によって広くサポートされている。
【0016】
しかしながら、新しい用途は、通信のためにRFスペクトルにおける更に高い周波数を利用するので、音響共振器技術における進歩が必要とされている。より新しい通信デバイス及び規格は、より高い周波数で適切に動作することが可能な、広範囲の温度及び電力レベルにわたって特性応答の変動がより少ない、構成要素を要求する。
【0017】
上記で概説した文脈において、圧電材料のより薄い層、より薄い電極層、及びより高い性能を容易にする他の特徴を有する音響共振器を含む、の態様共振器及び音響共振器の製造方法の態様が説明される。一例では、音響共振器の製造方法は、基板を提供することと、原子層堆積(atomic layer deposition、ALD)によって基板の上に圧電材料の層を堆積させることと、圧電材料の層と接触する電極を形成することと、を含む。ALDは、圧電材料の非常に均一かつコンフォーマルな薄膜、並びに場合によっては電極及び封止層を堆積するために使用される。本明細書に記載の音響共振器は、フロントエンド無線電子機器及び他の用途における新しいRFフィルタ、デュプレクサ、変圧器、及び他の構成要素の需要により適している。
【0018】
図面を参照すると、
図1は、本明細書に記載の様々な実施形態による例示的なBAW共振器10を示す。BAW共振器10の図は、
図1において表示されている。BAW共振器10の層及び特徴の位置、形状、寸法、及び相対的なサイズは、
図1において必ずしも縮尺通りに描かれていない。BAW共振器10の例示的な寸法を以下に示すが、BAW共振器10の寸法は、特に限定されない。
図1に示す層及び他の特徴も網羅的ではなく、BAW共振器10は、別個に図示されない他の層、特徴、及び要素を含むことができる。加えて、BAW共振器10は、他のデバイス及び回路素子と組み合わせて、より大きな集積構造体又は回路の一部として形成することができる。そのようなより大きな集積構造体は、他の集積部品の中でも、BAW共振器10と同様のいくつかの共振器を含むことができる。
【0019】
BAW共振器10は、基板11と、基板11の上の中間領域12と、基板11の上の圧電材料の層13と、第1の電極14と、第2の電極15と、を含む。第1の電極14は、圧電材料13の第1の表面(すなわち、底面)と接触しており、圧電材料13と基板11との間で、圧電材料13の下に少なくとも部分的に配置されている。第2の電極15は、圧電材料13の第2の表面(すなわち、上面)と接触しており、圧電材料13の上に少なくとも部分的に配置されている。BAW共振器10はまた、温度補償層、封止層、及び他の層など、以下で説明するが
図1には示されない追加の層を含むことができる。
【0020】
図1に示すように、BAW共振器10は、固体実装共振器、薄膜バルク弾性波共振器、又は関連するタイプのBAW共振器として具現化することができる。例示的な固体実装共振器(SMR)は、
図3を参照して以下により詳細に説明され、例示的な薄膜バルク音響共振器(FBAR)は、
図5を参照して以下により詳細に説明される。SMRの場合、中間領域12は、以下で更に説明するように、ブラッグ反射器などの音響ミラー又は反射器として具現化することができる。FBARの場合、中間領域12は、シリコン又は他の材料の支持層として具現化することができ、FBARは、弾性波絶縁のために圧電材料13の下にキャビティ又は開口部を含むこともできる。いずれの場合も、圧電材料の層13の圧電特性及びBAW共振器10の構造配置により、BAW共振器10は、RF入力などの交流電位入力信号が電極14と15とにわたって印加されると、バルク弾性波又は機械波を生成することができる。バルク弾性波又は機械波は、
図1に示すように、圧電材料13の厚さが測定される方向において、BAW共振器10内へと「Z」方向に移動又は平行移動することができる。
【0021】
基板11は、シリコン、炭化ケイ素、ニオブ酸リチウム、サファイア、ガラス、セラミック、又は用途に適した別の好適なタイプの基板として具現化することができる。シリコン基板は、比較的低コストであり、製造のために拡張可能であり、製造及び処理ステップに適合しているので、好ましい場合があるが、他の基板を利用することもできる。上述したように、基板11の上の中間領域12は、形成される共振器のタイプに応じて、音響ミラー又は支持層として具現化することができる。中間領域12の例については、
図3及び
図5を参照して後述する。
【0022】
電極14及び15は、銅、銀、金、モリブデン、タングステン、チタン、白金、又はアルミニウム、それらの合金、及び他の導電層を含む、金属又は金属合金などの高導電性材料の層として具現化することができる。電極14及び15の材料選択における1つの要因は、電極14及び15の所望の厚さであり、これは、BAW共振器10の応答特性における要因でもある。電極14及び15の導電性材料の選択並びに電極14及び15の形成方法における考慮事項については、後述する。
【0023】
圧電材料の層13は、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)、チタン酸バリウムストロンチウム(BST)、チタン酸バリウム(BaTiO3)、窒化アルミニウムスカンジウム(AlScN)、窒化アルミニウム(AlN)、ZnO、又は別の圧電材料の層として具現化することができる。ZnOと比較して低い電気機械結合係数にもかかわらず、AlNは、より広いバンドギャップを有し、FBAR及び他の構造体で使用されるシリコン集積回路技術に適合している。AlNはまた、本明細書に記載されるようなALD処理技術に適合している。したがって、1つの好ましい実施形態では、圧電材料の層13は、AlNの層であるが、他の圧電材料を利用することもできる。場合によっては、圧電材料の層13は、2つ以上の異なるタイプの圧電材料(例えば、AlN、PZT、BST、BaTiO3、及びAlScNの層のうちの2つ以上のスタック)を含む、圧電材料の1つ以上の層を含むことができ、その各々は、実施形態によるALD処理技術を用いて形成することができる。圧電材料13は、特定の結晶方位を有するAlNの層を含むこともできる。様々な実施形態では、AlNの層は、
図1に示す「X」、「Y」、又は「Z」方向に結晶構造c軸配向を有するように形成することができる。一例では、AlNの層は、バルク弾性波又は機械波をBAW共振器10内へと「Z」方向に励起するために、結晶構造c軸配向を有することができる。
【0024】
周波数応答、周波数応答の精度、及び品質係数を含むBAW共振器10の動作特性は、圧電材料の層13の厚さ、適合性、及び均一性によって部分的に決定される。約300nm以上の厚さを有する圧電材料の層を形成するために、様々なスパッタリング技術が利用されてきた。現在のスパッタリング技術は、より薄く(例えば、200nm、150nm、又は100nm以下の厚さなど)、かつまた均一かつコンフォーマルな圧電材料の層を形成するために、信頼性を持って使用することができない。したがって、実施形態の一態様によれば、圧電材料の層13は、ALDによって堆積されたAlNの層として具現化することができる。ゾル-ゲル湿式化学技術、スパッタリング、パルスレーザ堆積、又は他の技術ではなく、ALDを用いてAlNの層を形成することにより、圧電材料のより薄く、より均一、かつよりコンフォーマルな層を得ることができる。
【0025】
上述したように、ALDは、材料の非常に均一かつコンフォーマルな薄膜を堆積するためのプロセスである。ALDプロセスは、表面を2つの化学反応物質に曝露することによって、表面上に材料の薄膜を堆積させる。一例では、プロセスは、材料の堆積のための表面のイニシエーション処理で開始することができる。イニシエーション処理は、表面をアニール処理すること、表面をエッチングすること、表面を1つ以上のガスに曝露すること、又は表面から汚染物質を除去する、若しくは他の方法で材料を堆積させるために表面を提供する他のステップを含むことができる。
【0026】
イニシエーション処理後、ALDプロセスは、典型的には、繰り返しシーケンスで、2つ以上の前駆体化学物質又は反応物質への表面の曝露に進む。前駆体は、経時的に別々にALDチャンバに導入されるガス種であってもよい。前駆体は、自己制限的な方法で(すなわち、反応のための有限数の部位が使い果たされるまで)、それぞれ時間内に表面と反応する。前駆体の過剰又は残留反応物質は、次の前駆体又はALDサイクルが適用又は繰り返される前に除去される。ALDプロセスは、表面がそれぞれの前駆体に曝露される時間であるドーズ時間と、ALDチャンバが次のステップのために排気されるドーズ間の時間であるパージ時間との両方によって特徴付けられる。2つの反応物質のALDプロセスの場合、第1の反応物質ドーズ、第1のパージ、第2の反応物質ドーズ、及び第2のパージが、1つのALDサイクルにおけるステップである。
【0027】
薄膜は、ALDプロセスにおける中間フラッシングステップと共に、経時的に別々に、前駆体へ表面を繰り返し曝露することによって表面上にゆっくりと堆積される。単一のALDサイクルで表面上に堆積させることができる材料の最大量が存在し、それは前駆体-表面相互作用によって決定される。薄膜の全体の厚さは、使用されるALDサイクルの数によって決定することができ、サイクルの数は、複雑な表面上であっても、非常に高い精度で特定の厚さで材料の均一かつコンフォーマルな層を成長させるように調整することができる。ALDプロセスは、多くの場合、ナノメートル又は別の好適な測定基準での、ALDサイクル当たりの材料の成長によって特徴付けられる。
【0028】
実施形態の態様によれば、ALDを用いて、BAW共振器10内に圧電材料の層13を形成することができる。圧電材料の層13は、スパッタリングが使用される場合などの、従来のBAW共振器における層よりも薄い圧電材料層として形成することができる。一例では、圧電材料の層13は、ALDによって厚さ100nm以下のAlN層として形成することができる。しかしながら、圧電材料の層13は、ALDを用いて、場合によっては、90nm、80nm、70nm、60nm、50nm、40nm、30nm、又は20nm未満の厚さの層など、AlNのより薄い層になるように形成することができる。ALDを用いて圧電材料の他の薄膜を形成することができるので、圧電材料の層13は、AlNの層に限定されない。
【0029】
圧電材料の層13の特定の厚さは、BAW共振器10において高度に制御又は調整することができ、場合によっては、ALDを使用することによって、目標厚さの10nm未満以内、目標厚さの5nm未満以内、又は目標厚さに更に近づけることができる。いくつかの実施形態では、圧電材料の層13は、最小数のALDサイクルを用いて可能な限り薄く形成することができる。圧電材料の層13を堆積させるためにスパッタリングではなくALDを使用することにより、多くの利点を提供する。例えば、ALDの使用は、圧電材料の層13における結晶損傷を低減し、ダングリングボンドを低減し、一般的にスパッタ又はプラズマ損傷に起因する表面トラップを低減し、より良好な共振器性能をもたらす。
【0030】
場合によっては、BAW共振器10の動作特性を調整するために、圧電材料の層13の結晶方位を選択することもできる。一例として、支持基板の上面に直角な(すなわち、垂直な)結晶構造c軸を有するZnOの薄膜は、薄膜内に縦波を励起する。支持基板の上面に対して傾斜した(すなわち、垂直ではない)結晶構造c軸を有するZnOの薄膜は、薄膜内にせん断波又は横波を励起することができる。結晶構造配向に依存して、縦波とせん断波の両方の組合せを励起することも可能である。ZnOの薄膜と同様に、AlNの薄膜の結晶方位も、薄膜及び周囲の層における波の励起に影響を与える。
【0031】
圧電材料の薄膜の結晶方位は、材料の膜又は層を形成するために使用される材料処理技術、選択される材料、膜が成長又は堆積される表面、並びに温度、圧力、ガス、真空条件、及び他の要因などの膜が成長又は堆積される条件を含む、種々の要因に依存する。BAW共振器10内の圧電材料の層13の結晶方位は、実施形態の態様による1つ以上のALD処理ステップを使用して方向付けることができる。例えば、ALDプロセスの1つ以上のイニシエーション処理ステップ、及びALD成長プロセス自体を利用して、圧電材料の層13の結晶構造c軸配向を方向付けることができる。
【0032】
実施形態の他の態様では、電極14は、ALDを用いて形成することができ、電極15は、ALDを用いて形成することができ、又は電極14及び15の両方をALDを用いて形成することができる。一例として、電極14及び15は、ALDを用いて薄い銅層として形成することができるが、他の高導電性層を、ALDを用いて形成することができる。電極14及び15を形成するためにALDが用いられる場合、電極14及び15を形成するために使用される導電性材料のタイプは、材料に対して利用可能なALDプロセスに部分的に基づいて決定することができる。純銅などの純粋な金属物質の薄膜を堆積させるためのALDプロセスが知られているが、金属合金を堆積させるための追加のプロセスも知られている。
【0033】
上述したように、電極14及び15の材料選択における1つの要因は、電極14及び15の所望の厚さであり、これは、BAW共振器10の応答特性における要因でもある。例えば、高導電性かつ薄い電極14及び15が望ましい場合、電極14及び15のために銅を堆積させるために、ALD処理を選択することができる。電極14及び15は、ALD処理ステップを用いて他の金属及び金属合金から形成することもできる。他の場合には、電極14及び15は、スパッタリング、物理蒸着(physical vapor deposition、PVD)、化学蒸着(chemical vapor deposition、CVD)、又は電極14及び15のための導電性材料層を堆積させるための関連技術によって形成することができる。ALD以外のスパッタリング又は他のプロセス技術を使用する場合、電極14及び15は、比較的厚くてもよい。電極14及び15の形状、サイズ、及び位置は、
図1において表示されている。電極14及び15は、任意の適切な形状及びサイズを有するように形成することができる。
【0034】
BAW共振器10の厚さは、圧電材料の層13を形成するためにALDを使用することによって、スパッタリングと比較して著しく低減することができる。電極14及び15の一方又は両方を形成するためにALDを使用することによって、全体の厚さを更に低減することができる。圧電材料の層13並びに電極14及び15の均一性及び適合性も、ALDを使用することによって改善することができる。他のBAW共振器と比較して、より急峻な阻止帯域減衰、より低い挿入損失、及び他の改善された特性のために、BAW共振器10は、5~20GHz以上の範囲で動作可能なRF通過帯域フィルタにおいて使用するために、ALDによって調整することができる。BAW共振器10はまた、他の改善された特性の中でも、より正確な周波数応答、より高い品質係数、より高い圧電結合又は帯域幅、及びより小さい周波数温度係数のために、ALDによって調整することができる。
【0035】
いくつかのトリミングステップがスパッタリング後に必要とされることがあるが、ALDが用いられる多くの場合に、トリミングを低減すること、又は回避することもできる。特に、スパッタリングによって堆積された材料の層は、ある程度の厚さの均一性を欠く場合があり、トリミングは、材料層の表面にわたって厚さのより良好な均一性を達成するためにしばしば使用される。厚さの均一性の欠如は、ウェハ全体にわたって考慮されるとき、スパッタリングにおいて特に顕著であり得る。トリミングは、ウェハにわたる層の厚さの測定、厚さマップの形成、及び層のプロファイルを平滑化するためのイオンビーン又は他の技術を使用する複数のトリミングステップを含む、比較的高価かつ時間のかかる処理であり得る。このトリミングプロセスは、スパッタリング又は他の堆積技術を利用するとき、圧電層、電極層、及び他の層(例えば、温度補償層及び/又は封止層)の両方に必要されることがある。ALDを用いて圧電材料の層13並びに電極14及び15を形成するいくつかの場合には、これらのトリミングステップを低減又は排除することができ、時間及びコストの節約になる。これらの利点は、集積デバイスのウェハ全体にわたって考慮される場合、更に大きい。ALD処理ステップを使用することの他の利点については、後述する。
【0036】
他の実施形態を参照すると、
図2は、本明細書に記載の様々な実施形態による例示的なSAW共振器20を示す。SAW共振器20の図は、
図2において表示されている。SAW共振器20の層及び特徴の位置、形状、寸法、及び相対的なサイズは、
図2において必ずしも縮尺通りに描かれていない。SAW共振器20の例示的な寸法を以下に示すが、SAW共振器20の寸法は、特に限定されない。
図2に示す層及び他の特徴も網羅的ではなく、SAW共振器20は、別個に図示されない他の層、特徴、及び要素を含むことができる。加えて、SAW共振器20は、他のデバイス及び回路素子と組み合わせて、より大きな集積構造体又は回路の一部として形成することができる。このタイプのより大きな集積構造体は、他の集積部品の中でも、SAW共振器20と同様のいくつかの共振器を含むことができる。
【0037】
SAW共振器20は、基板21と、基板21の上の圧電材料の層23と、第1の電極24と、第2の電極25と、第1の反射格子26と、第2の反射格子27と、を含む。第1の電極24は、圧電材料23の上に配置され、圧電材料23の第1の表面(すなわち、上面)と接触している。第2の電極25も、圧電材料23の上に配置され、圧電材料23の第1の表面と接触している。第1の電極24及び第2の電極25は、互いに隣接して横方向に延びるいくつかの交互嵌合フィンガを含む。第1の反射格子26及び第2の反射格子27は、図示されるように、第1の電極24及び第2の電極25の両側に配置されている。
【0038】
SAW共振器20はまた、温度補償層、封止層、及び他の層など、以下で説明するが
図2には示されない追加の層を含むことができる。SAW共振器20はまた、場合によっては、基板と圧電材料の層23との間に、音響ミラー又は反射器(例えば、ブラッグ反射器)などの追加の構造体を含むことができる。音響ミラー又は反射器を利用して、SAW共振器20内のあらゆる望ましくない共振又はBAW型に設計された共振を考慮するためにSAW共振器20の動作特性を調整することができる。場合によっては、圧電材料23は、「X」、「Y」、又は「Z」方向に結晶構造c軸配向を有するように形成することができ、いくつかのBAW型共振は、それらの場合のいくつかにおいてSAW共振器と同様の構造体を使用して生成することができる。そのような構造体の追加の例については、
図8A及び
図8Bを参照して後述する。
【0039】
圧電材料の層23の圧電特性及びSAW共振器20の構造配置により、SAW共振器20は、RF入力などの交流電位入力信号が電極24と25とにわたって印加されると、弾性波又は機械波を生成することができる。弾性波又は機械波は、
図1に示すように、SAW共振器20の上面を横切って又は上面に沿って「Y」方向に移動又は平行移動することができる。弾性波又は機械波は、SAW共振器20の動作に従って、第1の反射格子26及び第2の反射格子27によって反射することができる。
【0040】
基板21は、シリコン、炭化ケイ素、ニオブ酸リチウム、サファイア、ガラス、セラミック、又は用途に適した別の好適なタイプの基板として具現化することができる。シリコン基板は、比較的低コストであり、製造のために拡張可能であり、製造及び処理ステップに適合しているので、好ましい場合があるが、他の基板を利用することもできる。
【0041】
電極24及び25は、銅、銀、金、モリブデン、タングステン、チタン、白金、又はアルミニウム、それらの合金、及び他の導電層を含む、金属又は金属合金などの高導電性材料の層として具現化することができる。電極24及び25の材料選択における1つの要因は、電極24及び25の所望の厚さであり、これは、SAW共振器20の応答特性における要因でもある。第1の反射格子26及び第2の反射格子27は、金属又は金属合金などの高導電性材料の層として具現化することもできる。
【0042】
圧電材料の層23は、PZT、BST、BaTiO3、AlScN、AlN、ZnO、又は別の圧電材料の層として具現化することができる。1つの好ましい実施形態では、圧電材料の層23は、AlNの層であるが、他の圧電材料を利用することもできる。場合によっては、圧電材料の層23は、2つ以上の異なるタイプの圧電材料を含む、圧電材料の1つ以上の層を含むことができ、その各々は、実施形態によるALD処理技術を用いて形成される。圧電材料23は、特定の結晶方位を有するAlNの層を含むこともできる。様々な実施形態では、AlNの層は、「X」、「Y」、又は「Z」方向に結晶構造c軸配向を有するように形成することができる。一例では、AlNの層は、SAW共振器20の上面を横切って又は上面に沿って「Y」方向に弾性波又は機械波を励起するために、結晶構造c軸配向を有することができる。
【0043】
周波数応答、周波数応答の精度、及び品質係数を含むSAW共振器20の動作特性は、圧電材料の層23の適合性及び均一性によって部分的に決定される。BAW共振器10の場合よりも程度は低いが、SAW共振器20の動作特性は、圧電材料の層23の厚さによっても部分的に決定される。実施形態の一態様によれば、圧電材料の層23は、ALDによって堆積されたAlNの層として具現化することができる。ゾル-ゲル湿式化学技術、スパッタリング、パルスレーザ堆積、又は他の技術ではなく、ALDを用いてAlNの層を形成することにより、より均一かつコンフォーマルな圧電材料の層を得ることができる。ALDを用いてAlNの層を形成することにより、圧電材料のより薄い層を得ることもできる。
【0044】
圧電材料の層23の全体の厚さは、使用されるALDサイクルの数によって決定することができる。場合によっては、圧電材料の層23は、スパッタリングが使用される場合などの、従来のSAW共振器における層よりも薄い圧電材料層として形成することができる。一例では、圧電材料の層23は、ALDによって厚さ100nm以下のAlN層として形成することができる。しかしながら、圧電材料の層23は、ALDを用いて、場合によっては、90nm、80nm、70nm、60nm、50nm、40nm、30nm、又は20nm未満の厚さの層など、AlNのより薄い層になるように形成することができる。ALDを用いて圧電材料の他の薄膜を形成することができるので、圧電材料の層23は、AlNの層に限定されない。
【0045】
圧電材料の層23の特定の厚さは、SAW共振器20において調整することができ、場合によっては、ALDを使用することによって、目標厚さの10nm未満以内、目標厚さの5nm未満以内、又は目標厚さに更に近づけることができる。いくつかの実施形態では、圧電材料の層23は、最小数のALDサイクルを用いて可能な限り薄く形成することができる。圧電材料の層23を堆積させるためにスパッタリングではなくALDを使用することにより、多くの利点を提供する。例えば、ALDの使用は、圧電材料の層23における結晶損傷を低減し、ダングリングボンドを低減し、一般的にスパッタ又はプラズマ損傷に起因する表面トラップを低減し、より良好な共振器性能をもたらす。
【0046】
電極24及び25並びに任意の温度補償層及び封止層を含む、SAW共振器20内の他の層の厚さ、均一性、及び適合性は、SAW共振器20において特に重要であり得る。したがって、実施形態の他の態様では、電極24は、ALDを用いて形成することができ、電極25は、ALDを用いて形成することができ、又は電極24及び25の両方をALDを用いて形成することができる。一例として、電極24及び25は、ALDを用いて薄い銅層として形成することができるが、他の高導電性層を、ALDを用いて形成することができる。電極24及び25を形成するためにALDが用いられる場合、電極24及び25を形成するために用いられる導電性材料のタイプは、材料に対して利用可能なALDプロセスに部分的に基づいて決定することができる。純銅などの純粋な金属物質の薄膜を堆積させるためのALDプロセスが知られているが、金属合金を堆積させるための追加のプロセスも知られている。第1の反射格子26及び第2の反射格子27は、ALDを用いて形成することもできる。
【0047】
図2に示すように、SAW共振器20によって生成される弾性波又は機械波は、圧電材料の層23と電極24及び25との間の界面においてSAW共振器20の上面を横切って又は表面に沿って「Y」方向に移動するので、電極24及び25を形成するためのALDの使用は、SAW共振器20において特に有益であり得る。したがって、電極24及び25の厚さ、適合性、及び均一性は、BAW共振器10内の電極14及び15の厚さ、適合性、及び均一性よりも、SAW共振器20の動作特性に影響及ぼす又は影響を与える可能性がある。一例として、より薄くかつより均一な電極24及び25を形成することは、SAW共振器20における望ましくないBAWモード共振の影響を低減するのに役立つことができる。加えて、圧電材料の層23並びに電極24及び25の上に形成された任意の温度補償層及び封止層の厚さも、BAW共振器10における影響よりもSAW共振器20の動作特性に大きな影響を及ぼす可能性がある。より薄くかつより均一な温度補償層及び封止層を形成することは、SAW共振器20における望ましくないBAWモード共振の影響を低減するのにも役立つことができる。
【0048】
電極24及び25の材料選択における1つの要因は、電極24及び25の所望の厚さであり、これは、SAW共振器20の応答特性における要因でもある。例えば、高導電性かつ薄い電極24及び25が望ましい場合、電極24及び25のために銅を堆積させるために、ALD処理を選択することができる。電極24及び25は、ALD処理ステップを用いて他の金属及び金属合金から形成することもできる。他の場合には、電極24及び25は、スパッタリングプロセス、PVD、又は電極24及び25のための導電性材料層を堆積させるための関連技術によって形成することができる。ALD以外のスパッタリング又は他のプロセス技術を使用する場合、電極24及び25は、比較的厚くてもよい。電極24及び25の形状、サイズ、及び位置は、
図2において表示されている。電極24及び25は、任意の適切な形状及びサイズを有するように形成することができる。他の場合には、第1の反射格子26及び第2の反射格子27は、スパッタリングプロセス、PVD、又は反射格子26及び27のための導電性材料層を堆積させるための関連技術によって形成することができる。反射格子26及び27の形状、サイズ、及び位置は、
図2において表示されている。反射格子26及び27は、任意の適切な形状及びサイズを有するように形成することができる。
【0049】
SAW共振器20の全体の厚さは、圧電材料の層23を形成するためにALDを使用することによって、スパッタリングと比較して著しく低減することができる。電極24及び25の一方又は両方を形成するためにALDを使用することによって、全体の厚さを更に低減することができる。圧電材料の層23並びに電極24及び25の均一性及び適合性も、ALDを使用することによって改善することができる。他のSAW共振器と比較して、より急峻な阻止帯域減衰、より低い挿入損失、及び他の改善された特性のために、SAW共振器20は、10~20GHz以上の範囲で動作可能なRF通過帯域フィルタにおいて使用するために、ALDによって調整することができる。SAW共振器20はまた、他の改善された特性の中でも、より正確な周波数応答、より高い品質係数、より高い圧電結合又は帯域幅、及びより小さい周波数温度係数のために、ALDによって調整することができる。
【0050】
図3は、本明細書に記載の様々な実施形態による例示的なSMR30を断面図で示す。SMR30の図は、
図3において表示されている。SMR30の層及び特徴の位置、形状、寸法、及び相対的なサイズは、
図3において必ずしも縮尺通りに描かれていない。SMR30の例示的な寸法を以下に示すが、SMR30の寸法は、特に限定されない。
図3に示す層及び他の特徴も網羅的ではなく、SMR30は、別個に図示されない他の層、特徴、及び要素を含むことができる。加えて、SMR30は、他のデバイス及び回路素子と組み合わせて、より大きな集積構造体又は回路の一部として形成することができる。そのようなより大きな集積構造体は、他の集積部品の中でも、SMR30と同様のいくつかの共振器を含むことができる。
【0051】
SMR30は、基板31と、基板31の上の音響ミラー32と、基板31の上の圧電材料の層33と、第1の電極34と、第2の電極35と、封止層36と、を含む。第1の電極34は、圧電材料33の第1の表面(すなわち、底面)と接触しており、圧電材料33と基板31との間で、圧電材料33の下に少なくとも部分的に配置されている。第2の電極35は、圧電材料33の第2の表面(すなわち、上面)と接触しており、圧電材料33の上に少なくとも部分的に配置されている。基板31は、
図1に示す基板11と同様であってもよく、シリコン、炭化ケイ素、ニオブ酸リチウム、サファイア、ガラス、セラミック、又は用途に適した別の好適なタイプの基板として具現化することができる。
【0052】
音響ミラー32は、
図1に示した実施形態における中間領域12の一例である。音響ミラー32は、ブラッグ反射器などの弾性波の反射器として具現化することができる。一例として、音響ミラー32は、高い及び低い音響インピーダンスを有する材料の奇数の層として具現化することができ、高音響インピーダンス層及び低音響インピーダンス層は、層スタック内で交互になっている。場合によっては、音響ミラー32は、ALDを用いて形成することができ、音響ミラー32内の1つ以上の材料層は、ALDを用いて形成される。スタック内の層の厚さは、弾性波反射率を増加させるために、例えば、SMR30によって生成される弾性波の四分の一波長に最適化することができる。音響ミラー32は、基板31と、圧電材料33並びに電極34及び35によって形成された共振器との間の弾性波絶縁を提供する。
【0053】
圧電材料の層33の圧電特性及びSMR30の構造配置により、SMR30は、RF入力などの交流電位入力信号が電極34と35との間に印加されると、弾性波又は機械波を生成することができる。弾性波又は機械波は、「Z」方向に移動又は平行移動することができ、音響ミラー32によって実質的に反射することができる。
【0054】
電極34及び35は、銅、銀、金、モリブデン、タングステン、チタン、白金、又はアルミニウム、それらの合金、及び他の導電層を含む、金属又は金属合金などの高導電性材料の層として具現化することができる。圧電材料の層33は、PZT、BST、BaTiO3、AlScN、AlN、ZnO、又は別の圧電材料の層として具現化することができる。1つの好ましい実施形態では、圧電材料の層33は、AlNの層であるが、他の圧電材料を利用することもできる。圧電材料33は、特定の結晶方位を有するAlNの層を含むこともできる。一例では、AlNの層は、弾性波又は機械波を「Z」方向に励起するために、結晶構造c軸配向を有することができる。封止層36は、SMR30を保護するための材料の薄膜として具現化することができる。封止層36は、例えば、酸化アルミニウム(Al2O3)、別の酸化物材料、又はSMR30を保護するための別の適切な材料の層とすることができる。
【0055】
周波数応答、周波数応答の精度、及び品質係数を含むSMR30の動作特性は、圧電材料の層33の厚さ、適合性、及び均一性によって部分的に決定される。実施形態の一態様によれば、圧電材料の層33は、ALDによって堆積されたAlNの層として具現化することができる。ゾル-ゲル湿式化学技術、スパッタリング、パルスレーザ堆積、又は他の技術ではなく、ALDを用いてAlNの層を形成することにより、圧電材料のより薄く、より均一、かつよりコンフォーマルな層を得ることができる。
【0056】
圧電材料の層33は、スパッタリングが用いられる場合などの、従来のSMR共振器における層よりも薄い圧電材料層として形成することができる。一例では、圧電材料の層33は、ALDによって厚さ100nm以下のAlN層として形成することができる。しかしながら、圧電材料の層33は、ALDを用いて、場合によっては、90nm、80nm、70nm、60nm、50nm、40nm、30nm、又は20nm未満の厚さの層など、AlNのより薄い層になるように形成することができる。ALDを用いて圧電材料の他の薄膜を形成することができるので、圧電材料の層33は、AlNの層に限定されない。場合によっては、圧電材料の層33は、2つ以上の異なるタイプの圧電材料(例えば、AlN、PZT、BST、BaTiO3、及びAlScNの層のうちの2つ以上のスタック)を含む、圧電材料の1つ以上の層を含むことができ、その各々は、実施形態によるALD処理技術を用いて形成することができる。
【0057】
圧電材料の層33の特定の厚さは、SMR30において高度に制御又は調整することができ、場合によっては、ALDを使用することによって、目標厚さの10nm未満以内、目標厚さの5nm未満以内、又は目標厚さに更に近づけることができる。いくつかの実施形態では、圧電材料の層33は、最小数のALDサイクルを用いて可能な限り薄く形成することができる。圧電材料の層33を堆積させるためにスパッタリングではなくALDを使用することにより、多くの利点を提供する。例えば、ALDの使用は、圧電材料の層33における結晶損傷を低減し、ダングリングボンドを低減し、一般的にスパッタ又はプラズマ損傷に起因する表面トラップを低減し、より良好な共振器性能をもたらす。
【0058】
実施形態の他の態様では、電極34は、ALDを用いて形成することができ、電極35は、ALDを用いて形成することができ、又は電極34及び35の両方をALDを用いて形成することができる。一例として、電極34及び35は、ALDを用いて薄い銅層として形成することができるが、他の高導電性層を、ALDを用いて形成することができる。電極34及び35を形成するためにALDが用いられる場合、電極34及び35を形成するために使用される導電性材料のタイプは、材料に対して利用可能なALDプロセスに部分的に基づいて決定することができる。純銅などの純粋な金属物質の薄膜を堆積させるためのALDプロセスが知られているが、金属合金を堆積させるための追加のプロセスも知られている。
【0059】
上述したように、電極34及び35の材料選択における1つの要因は、電極34及び35の所望の厚さであり、これは、SMR30の応答特性における要因でもある。例えば、高導電性かつ薄い電極34及び35が望ましい場合、電極34及び35のために銅を堆積させるためにALD処理を選択することができる。電極34及び35は、ALD処理ステップを用いて他の金属及び金属合金から形成することもできる。他の場合には、電極34及び35は、スパッタリングプロセス、PVD、又は電極34及び35のための導電性材料層を堆積させるための関連技術によって形成することができる。ALD以外のスパッタリング又は他のプロセス技術を使用する場合、電極34及び35は、比較的厚くてもよい。電極34及び35の形状、サイズ、及び位置は、
図3において表示されている。電極34及び35は、任意の適切な形状及びサイズを有するように形成することができる。
【0060】
実施形態の一態様によれば、封止層36は、ALDを用いて形成することもできる。封止層36は、均一かつコンフォーマルな薄膜として形成することができる。一例では、封止層36は、ALDを用いて、100nm以下のAl2O3の層として形成することができる。封止層36はまた、ALDを用いて、場合によっては、10nm未満、5nm、又はより薄い層など、Al2O3のより薄い層となるように形成することができる。ALDを用いて保護材料の他の薄膜を形成することができるので、封止層36は、Al2O3の層に限定されない。
【0061】
SMR30の全体の厚さは、圧電材料の層33を形成するためにALDを使用することによって、スパッタリングと比較して著しく低減することができる。電極34及び35の一方又は両方並びに封止層36を形成するためにALDを使用することによって、全体の厚さを更に低減することができる。圧電材料の層33、電極34及び35、並びに封止層36の均一性及び適合性も、ALDを使用することによって改善することができる。他のSMR構造体と比較して、より急峻な阻止帯域減衰、より低い挿入損失、及び他の改善された特性のために、SMR30は、5~20GHz以上の範囲で動作可能なRF通過帯域フィルタにおいて使用するために、ALDによって調整することができる。SMR30はまた、他の改善された特性の中でも、より正確な周波数応答、より高い品質係数、より高い圧電結合又は帯域幅、及びより小さい周波数温度係数のために、ALDによって調整することができる。
【0062】
図4は、本明細書に記載の様々な実施形態による、
図3に示すSMR30の例示的な製造方法を示す。この方法は、
図3に示すSMR30に関連して説明されているが、この方法は、
図3に示すものと同様の固体実装共振器を製造するために利用することもできる。加えて、この方法は、
図4においてステップの特定の順序を示しているが、ステップの順序は、図示されている順序とは異なってもよい。例えば、連続して示される2つ以上のステップは、少なくとも部分的に同時に実行することができる。場合によっては、ステップのうちの1つ以上をスキップ又は省略することができる。他の場合には、
図4に示すステップの間のステップ又は後のステップなどの、
図4に示されていない追加のステップを利用することができる。
【0063】
ステップ100において、プロセスは、SMR30のための基板を提供することを含む。
図3に示す例を参照すると、基板31は、ステップ100で提供することができる基板の一例として示されている。基板31は、シリコン、炭化ケイ素、ニオブ酸リチウム、サファイア、ガラス、セラミック、又は用途に適した別の好適なタイプの基板として具現化することができる。基板31は、ステップ100において、製造する、ベンダから供給する、又は任意の他の好適な方法で形成若しくは提供することができる。
【0064】
ステップ102において、プロセスは、基板31の上に音響ミラー32を形成することを含む。一例として、音響ミラー32は、ブラッグ反射器など、高い及び低い音響インピーダンス又は屈折率を有する材料の交互層として形成することができる。音響ミラー32は、基板31と、後のプロセスステップで形成される圧電材料33並びに電極34及び35によって形成された共振器との間の弾性波絶縁を提供する。
【0065】
ステップ104において、プロセスは、音響ミラー32の上に第1の電極34を形成することを含む。第1の電極34は、本明細書で説明するような高導電性材料の層として具現化することができる。一例では、電極34は、ALDを用いて銅の薄層又は薄膜として形成することができる。電極34は、ALDを用いて、300nm、200nm、又は100nm以下の厚さで形成することができる。しかしながら、電極34は、ALDを用いて、場合によっては、90nm、80nm、70nm、60nm、50nm、40nm、30nm、又は20nm未満の厚さの層など、銅のより薄い層になるように形成することができる。
【0066】
電極34の材料の選択における1つの要因は、電極34の所望の厚さであり、これは、SMR30の応答特性における要因でもある。例えば、高導電性かつ薄い電極34が必要な場合、電極34のための銅を堆積させるために、ALD処理を選択することができる。電極34は、ステップ104でALD処理を用いて他の金属及び金属合金から形成することもできる。他の場合には、電極34は、ステップ104において、スパッタリング、PVD、CVD、又は関連技術によって、モリブデン又は別の金属若しくは金属合金として形成することができる。ALD以外のプロセス技術を用いる場合、電極34は、ALDを用いる場合よりも相対的に厚く形成され得る。
【0067】
ステップ106において、プロセスは、ALD処理ステップによって基板31の上に圧電材料の層33を堆積させることを含む。圧電材料の層33は、
図3に示すように電極34上に堆積させることができる。ALDプロセスは、電極34上へのAlNなどの圧電材料を堆積させるための電極34の表面のイニシエーション処理で開始することができる。ALD処理ステップのための反応チャンバでは、イニシエーション処理は、電極34又は電極34の上面をアニール処理すること、電極34をエッチングすること、電極34を1つ以上のガスに曝露すること、又は電極34の上面から汚染物質を除去する、若しくは別の方法で材料を堆積させるために電極34の表面を提供する他のステップを含むことができる。ステップ106において、圧電材料の層33の結晶方位を方向付けることもできる。例えば、イニシエーション処理は、
図3に示す「Z」方向の弾性波又は機械波のための結晶構造c軸配向を有する圧電材料の層33を形成するように調整することができる。
【0068】
イニシエーション処理後、ステップ106におけるALDプロセスは、繰り返しシーケンスにおいて、2つ以上の前駆体化学物質又は反応物質への電極34の曝露に進むことができる。前駆体は、経時的に別々にALDチャンバに導入されるガス種であってもよい。前駆体は、自己制限的な方法で、それぞれ時間内に反応する。前駆体のいずれの過剰又は残留反応物質も、次の前駆体又はALDサイクルが適用又は繰り返される前に洗い流される。ALDプロセスは、表面がそれぞれの前駆体に曝露される時間であるドーズ時間と、ALDチャンバが次のステップのために排気されるドーズ間の時間であるパージ時間との両方によって特徴付けられる。2つの反応物質のALDプロセスの場合、第1の反応物質ドーズ、第1のパージ、第2の反応物質ドーズ、第2のパージのシーケンスが、1つのALDサイクルにおけるステップである。
【0069】
第1の反応物質ドーズサイクルでは、第1の前駆体をALD反応チャンバ内に導入することができ、これにより、電極34の上面が、熱を加えることと共に第1の前駆体に曝露される。第1の反応物質ドーズサイクルの時間は、電極34の上面を第1の前駆体で飽和させるように選択することができる。次に、第1の反応物質ドーズサイクルのあらゆる副生成物を除去するために、ALD反応チャンバを第1のパージサイクルにおいてパージすることができる。ALD反応チャンバは、不活性ガスを導入することによって、例えば、真空を用いて排気することによって、又は他のステップによってパージすることができる。
【0070】
第2の反応物質ドーズサイクルでは、第2の前駆体をALD反応チャンバ内に導入することができる。第2の反応物質ドーズサイクルの時間は、前駆体間の反応のための部位が使い果たされるまでの、第2の前駆体が第1の前駆体と完全に又は実質的に反応するのに十分な時間であり得る。次に、第2の反応物質ドーズサイクルのあらゆる副生成物を除去するために、ALD反応チャンバを第2のパージサイクルにおいてパージすることができる。ALD反応チャンバは、不活性ガスを導入することによって、例えば、真空を用いて排気することによって、又は他のステップによってパージすることができる。次いで、別のALDサイクルを開始することができる。
【0071】
圧電材料の層33の厚さは、ステップ106で用いられるALDサイクルの数によって決定することができ、サイクルの数は、圧電材料の層33を非常に高い精度で均一かつコンフォーマルに成長させるように調整することができる。一例では、圧電材料の層33は、ALDによって厚さ100nm以下のAlN層として形成することができる。しかしながら、圧電材料の層33は、ステップ106においてALDを用いて、場合によっては、90nm、80nm、70nm、60nm、50nm、40nm、30nm、又は20nm未満の厚さの層など、AlNのより薄い層になるように形成することができる。ステップ106において、ALDを用いて圧電材料の他の薄膜を形成することができるので、圧電材料の層33はまた、AlNの層に限定されない。
【0072】
場合によっては、ステップ106は、層の均一性を更に改善し、層の厚さを調整し、又は他の方法で圧電材料の層33を修正するために、圧電材料の層33をトリミングすることも含むことができる。トリミングは、比較的高価かつ時間のかかる処理であり得るが、ステップ106で実行される任意のトリミングは、圧電材料の層33を形成するためにスパッタリングが用いられた場合と比較して、比較的軽微であり得る。
【0073】
ステップ108において、プロセスは、圧電材料の層33上に第2の電極35を形成することを含む。第2の電極35は、本明細書で説明するような高導電性材料の層として具現化することができる。一例では、電極35は、ALDを用いて銅の薄層又は薄膜として形成することができる。電極35は、ALDを用いて、300nm、200nm、又は100nm以下の厚さで形成することができる。しかしながら、電極35は、ALDを用いて、場合によっては、90nm、80nm、70nm、60nm、50nm、40nm、30nm、又は20nm未満の厚さの層など、銅のより薄い層になるように形成することができる。
【0074】
電極35の材料の選択における1つの要因は、電極35の所望の厚さであり、これは、SMR30の応答特性における要因でもある。例えば、高導電性かつ薄い電極35が必要な場合、電極35のための銅を堆積させるためにALD処理を選択することができる。電極35は、ステップ108でALD処理を用いて他の金属及び金属合金から形成することもできる。他の場合には、電極35は、ステップ108において、スパッタリング、PVD、CVD、又は関連技術によって、モリブデン又は別の金属若しくは金属合金として形成することができる。ALD以外のプロセス技術を用いる場合、電極35は、ALDを用いる場合よりも相対的に厚く形成され得る。
【0075】
ステップ110において、プロセスは、封止層36を形成することを含む。封止層36は、均一かつコンフォーマルな薄膜として形成することができる。一例では、封止層36は、ALD処理ステップによって、100nm以下のAl2O3の層として形成することができる。封止層36はまた、ALDを用いて、場合によっては、10nm未満、5nm、又はより薄い層など、Al2O3のより薄い層となるように形成することができる。ALDを用いて保護材料の他の薄膜を形成することができるので、封止層36は、Al2O3の層に限定されない。
【0076】
他の堆積プロセスと比較して、封止層36は、SMR30の周波数応答、周波数応答の精度、品質係数、及び挿入損失を調整するために、ALDを用いて非常に薄く形成することができる。封止層36は、
図3に示すように、圧電材料の層33、第1の電極34、及び第2の電極35を覆って封止することができる。場合によっては、封止層36は、
図3に示す領域と比較して、より多くの又はより少ない領域を覆うことができる。
【0077】
場合によっては、
図4に示すプロセスは、SMR30内に1つ以上の温度補償層を形成することなど、追加のステップを含むことができる。例えば、プロセスは、二酸化ケイ素(SiO
2)の層又は温度補償のための他の材料の層などの温度補償層を形成することをステップ104と106との間に含むことができる。その場合、第1の電極34と圧電材料33との間に、ALDを用いてSiO
2の層を形成することができ、圧電材料33上ではなく温度補償上に第1の電極を形成することができる。ステップ106とステップ108との間で、圧電材料33と第2の電極35との間にALDを用いてSiO
2の層を形成することもできる。ALD処理ステップを用いることにより、温度補償層(単数又は複数)は、他の堆積技術を使用して形成される場合よりも、より均一に、よりコンフォーマルに、かつより薄くすることができる。いくつかの例として、SiO
2の層は、厚さ90nm、80nm、70nm、60nm、50nm、40nm、30nm、又は20nm未満の層となるように形成することができる。
【0078】
図5は、本明細書に記載の様々な実施形態による例示的なFBAR40を示す。FBAR40の図は、
図5において表示されている。FBAR40の層及び特徴の位置、形状、寸法、及び相対的なサイズは、
図5において必ずしも縮尺通りに描かれていない。FBAR40の例示的な寸法を以下に示すが、FBAR40の寸法は、特に限定されない。
図5に示す層及び他の特徴も網羅的ではなく、FBAR40は、別個に図示されない他の層、特徴、及び要素を含むことができる。加えて、FBAR40は、他のデバイス及び回路素子と組み合わせて、より大きな集積構造体又は回路の一部として形成することができる。そのようなより大きな集積構造体は、他の集積部品の中でも、FBAR40と同様のいくつかの共振器を含むことができる。
【0079】
FBAR40は、基板41と、基板41の上の支持層42と、基板41の上の圧電材料の層43と、第1の電極44と、第2の電極45と、封止層46と、絶縁キャビティ47と、を含む。第1の電極44は、圧電材料43の第1の表面(すなわち、底面)と接触しており、圧電材料43と基板41との間で、圧電材料43の下に少なくとも部分的に配置されている。第2の電極45は、圧電材料43の第2の表面(すなわち、上面)と接触しており、圧電材料43の上に少なくとも部分的に配置されている。基板41は、
図1に示す基板11と同様であってもよく、シリコン、炭化ケイ素、ニオブ酸リチウム、サファイア、ガラス、セラミック、又は用途に適した別の好適なタイプの基板として具現化することができる。
【0080】
支持層42は、
図1に示す実施形態における中間領域12の一例である。支持層42は、基板41の上に形成された、シリコンなどの支持材料の層として具現化することができる。支持層42は、以下で更に説明するように、圧電材料43並びに電極44及び45によって形成された共振器を支持する。
【0081】
圧電材料の層43の圧電特性及びFBAR40の構造配置により、RF入力などの交流電位入力信号が電極44と45とにわたって印加されると、FBAR40は、弾性波又は機械波を生成することができる。弾性波又は機械波は、「Z」方向に移動又は平行移動することができ、以下にも説明するように、絶縁キャビティ47によって絶縁することができる。
【0082】
電極44及び45は、銅、銀、金、モリブデン、タングステン、チタン、白金、又はアルミニウム、それらの合金、及び他の導電層を含む、金属又は金属合金などの高導電性材料の層として具現化することができる。圧電材料の層43は、PZT、BST、BaTiO3、AlScN、AlN、ZnO、又は別の圧電材料の層として具現化することができる。1つの好ましい実施形態では、圧電材料の層43は、AlNの層であるが、他の圧電材料を利用することもできる。圧電材料43は、特定の結晶方位を有するAlNの層を含むこともできる。一例では、AlNの層は、弾性波又は機械波を「Z」方向に励起するために、結晶構造c軸配向を有することができる。封止層46は、FBAR40を保護するための材料の薄膜として具現化することができる。封止層46は、例えば、Al2O3、別の酸化物材料、又はFBAR40を保護するための別の適切な材料の層とすることができる。
【0083】
周波数応答、周波数応答の精度、及び品質係数を含むFBAR40の動作特性は、圧電材料の層43の厚さ、適合性、及び均一性によって部分的に決定される。実施形態の一態様によれば、圧電材料の層43は、ALDによって堆積されたAlNの層として具現化することができる。ゾル-ゲル湿式化学技術、スパッタリング、パルスレーザ堆積、又は他の技術ではなく、ALDを用いてAlNの層を形成することにより、圧電材料のより薄く、より均一、かつよりコンフォーマルな層を得ることができる。
【0084】
圧電材料の層43は、スパッタリングが用いられる場合などの、従来のFBAR共振器における層よりも薄い圧電材料層として形成することができる。一例では、圧電材料の層43は、ALDによって厚さ100nm以下のAlN層として形成することができる。しかしながら、圧電材料の層43は、ALDを用いて、場合によっては、90nm、80nm、70nm、60nm、50nm、40nm、30nm、又は20nm未満の厚さの層など、AlNのより薄い層になるように形成することができる。ALDを用いて圧電材料の他の薄膜を形成することができるので、圧電材料の層43は、AlNの層に限定されない。場合によっては、圧電材料の層43は、2つ以上の異なるタイプの圧電材料(例えば、AlN、PZT、BST、BaTiO3、及びAlScNの層のうちの2つ以上のスタック)を含む、圧電材料の1つ以上の層を含むことができ、その各々は、実施形態によるALD処理技術を用いて形成することができる。
【0085】
圧電材料の層43の特定の厚さは、FBAR40において高度に制御又は調整することができ、場合によっては、ALDを使用することによって、目標厚さの10nm未満以内、目標厚さの5nm未満以内、又は目標厚さに更に近づけることができる。いくつかの実施形態では、圧電材料の層43は、最小数のALDサイクルを用いて可能な限り薄く形成することができる。圧電材料の層43を堆積させるためにスパッタリングではなくALDを使用することにより、多くの利点を提供する。例えば、ALDの使用は、圧電材料の層43における結晶損傷を低減し、ダングリングボンドを低減し、一般的にスパッタ又はプラズマ損傷に起因する表面トラップを低減し、より良好な共振器性能をもたらす。
【0086】
実施形態の他の態様では、電極44は、ALDを用いて形成することができ、電極45は、ALDを用いて形成することができ、又は電極44及び45の両方をALDを用いて形成することができる。一例として、電極44及び45は、ALDを用いて薄い銅層として形成することができるが、他の高導電性層を、ALDを用いて形成することができる。電極44及び45を形成するためにALDが用いられる場合、電極44及び45を形成するために使用される導電性材料のタイプは、材料に対して利用可能なALDプロセスに部分的に基づいて決定することができる。電極44及び45の材料選択における1つの要因は、電極44及び45の所望の厚さであり、これは、FBAR40の応答特性における要因でもある。例えば、非常に薄くかつ導電性の電極44及び45が望ましい場合、電極44及び45のために銅を堆積させるためにALD処理を選択することができる。他の場合には、電極44及び45は、スパッタリングプロセス、PVD、又は関連技術によって形成することができる。ALD以外のスパッタリング又は他のプロセス技術を使用する場合、電極44及び45は、比較的厚くてもよい。
【0087】
実施形態の一態様によれば、封止層46は、ALDを用いて形成することもできる。封止層46は、均一かつコンフォーマルな薄膜として形成することができる。一例では、封止層46は、ALDを用いて、100nm以下のAl2O3の層として形成することができる。封止層46はまた、ALDを用いて、場合によっては、10nm未満、5nm、又はより薄い層など、Al2O3のより薄い層となるように形成することができる。ALDを用いて保護材料の他の薄膜を形成することができるので、封止層46は、Al2O3の層に限定されない。
【0088】
絶縁キャビティ47は、支持層42、圧電材料の層43、並びに電極44及び45の下に形成された空間又はキャビティである。絶縁キャビティ47は、
図5に示すものと比較して、サイズ及び比率が異なってもよい。場合によっては、絶縁キャビティ47は、
図5に示すものよりも広くすることができ、絶縁キャビティ47は、圧電材料の層43よりも大きく(すなわち、上面図における長さ及び幅寸法を大きく)することができる。他の場合には、圧電材料の層43の少なくとも一部分は、
図5に示すように、絶縁キャビティ47を越えて基板41の上に延びていてもよい。
【0089】
絶縁キャビティ47は、典型的にはFBAR40の支持層42及び他の層が形成された後に、エッチング又は他の材料除去プロセスステップによって形成することができる。場合によっては、絶縁キャビティ47は、絶縁キャビティ47内に残る1つ以上の支持ピラー48と共に形成することができる。支持ピラー48が絶縁キャビティ47内に残るように、基板41を選択的にエッチングして、絶縁キャビティを形成することができる。支持ピラー48は、支持層42に追加の支持を提供することができる。支持ピラー48の数及び位置は、
図5に示すものと比較して異なってもよく、場合によっては支持ピラー48を省略することができる。
【0090】
FBAR40の全体の厚さは、圧電材料の層43を形成するためにALDを使用することによって、スパッタリングと比較して著しく低減することができる。電極44及び45の一方又は両方並びに封止層46を形成するためにALDを使用することによって、全体の厚さを更に低減することができる。圧電材料の層43、電極44及び45、並びに封止層46の均一性及び適合性も、ALDを使用することによって改善することができる。他のFBAR構造と比較して、より急峻な阻止帯域減衰、より低い挿入損失、及び他の改善された特性のために、FBAR40は、10~20GHz以上の範囲で動作可能なRF通過帯域フィルタにおいて使用するために、ALDによって調整することができる。FBAR40はまた、他の改善された特性の中でも、より正確な周波数応答、より高い品質係数、より高い圧電結合又は帯域幅、及びより小さい周波数温度係数のために、ALDによって調整することができる。
【0091】
図6は、本明細書に記載の様々な実施形態による、
図5に示す例示的なFBAR40の例示的な製造方法を示す。この方法は、
図5に示すFBAR40に関連して説明されているが、この方法は、
図5に示すものと同様の薄膜バルク弾性波共振器を製造するために利用することもできる。加えて、この方法は、
図6においてステップの特定の順序を示しているが、ステップの順序は、図示されている順序とは異なってもよい。例えば、連続して示される2つ以上のステップは、少なくとも部分的に同時に実行することができる。場合によっては、ステップのうちの1つ以上をスキップ又は省略することができる。他の場合には、
図6に示すステップの間のステップ又は後のステップなどの、
図6に示されていない追加のステップを利用することができる。
【0092】
ステップ200において、プロセスは、FBAR40のための基板を提供することを含む。
図5に示す例を参照すると、基板41は、ステップ200で提供することができる基板の一例として示されている。基板41は、シリコン、炭化ケイ素、ニオブ酸リチウム、サファイア、ガラス、セラミック、又は用途に適した別の好適なタイプの基板として具現化することができる。基板41は、ステップ200において、製造する、ベンダから供給する、又は任意の他の好適な方法で形成若しくは提供することができる。
【0093】
ステップ202において、プロセスは、基板41の上に支持層42を形成することを含む。一例として、支持層42は、基板41の上に形成された、シリコンなどの支持材料の層として具現化することができる。支持層42は、PVD、CVD、又は関連技術などの適切な堆積技術を用いて堆積させることができる。支持層42は、任意の適切な厚さに形成することができ、支持層42を薄膜として形成する必要はない。支持層42は、以下で更に説明するように、圧電材料43並びに電極44及び45によって形成された共振器を支持する。
【0094】
ステップ204において、プロセスは、支持層42の上に第1の電極44を形成することを含む。第1の電極44は、本明細書で説明するような高導電性材料の層として具現化することができる。一例では、電極44は、ALDを用いて銅の薄層又は薄膜として形成することができる。電極44は、ALDを用いて、300nm、200nm、又は100nm以下の厚さで形成することができる。しかしながら、電極44は、ALDを用いて、場合によっては、90nm、80nm、70nm、60nm、50nm、40nm、30nm、又は20nm未満の厚さの層など、銅のより薄い層になるように形成することができる。
【0095】
電極44の材料の選択における1つの要因は、電極44の所望の厚さであり、これは、FBAR40の応答特性における要因でもある。例えば、高導電性かつ薄い電極44が必要な場合、電極44のための銅を堆積させるためにALD処理を選択することができる。電極44は、ステップ204でALD処理を用いて他の金属及び金属合金から形成することもできる。他の場合には、電極44は、ステップ204において、スパッタリング、PVD、CVD、又は関連技術によって、モリブデン又は別の金属若しくは金属合金として形成することができる。ALD以外のプロセス技術を用いる場合、電極34は、ALDを用いる場合よりも相対的に厚く形成され得る。
【0096】
ステップ206において、プロセスは、ALD処理ステップによって基板41の上に圧電材料の層43を堆積させることを含む。圧電材料の層43は、
図5に示すように電極44上に堆積させることができる。ALDプロセスは、電極44上へのAlNなどの圧電材料を堆積させるための電極44の表面のイニシエーション処理で開始することができる。ALD処理ステップのための反応チャンバでは、イニシエーション処理は、電極44又は電極44の上面をアニール処理すること、電極44をエッチングすること、電極44を1つ以上のガスに曝露すること、又は電極44の上面から汚染物質を除去する、若しくは別の方法で材料を堆積させるために電極44の表面を提供する他のステップを含むことができる。ステップ206において、圧電材料の層43の結晶方位を方向付けることもできる。例えば、イニシエーション処理は、
図5に示す「Z」方向の弾性波又は機械波のための結晶構造c軸配向を有する圧電材料の層43を形成するように調整することができる。
【0097】
イニシエーション処理後、ステップ206におけるALDプロセスは、繰り返しシーケンスにおいて、2つ以上の前駆体化学物質又は反応物質への電極44の曝露に進むことができる。前駆体は、経時的に別々にALDチャンバに導入されるガス種であってもよい。前駆体は、自己制限的な方法で、それぞれ時間内に反応する。前駆体のいずれの過剰又は残留反応物質も、次の前駆体又はALDサイクルが適用又は繰り返される前に洗い流される。ALDプロセスは、表面がそれぞれの前駆体に曝露される時間であるドーズ時間と、ALDチャンバが次のステップのために排気されるドーズ間の時間であるパージ時間との両方によって特徴付けられる。2つの反応物質のALDプロセスの場合、第1の反応物質ドーズ、第1のパージ、第2の反応物質ドーズ、第2のパージのシーケンスが、1つのALDサイクルにおけるステップである。
【0098】
第1の反応物質ドーズサイクルでは、第1の前駆体をALD反応チャンバ内に導入することができ、これにより、電極44の上面が、熱を加えることと共に第1の前駆体に曝露される。第1の反応物質ドーズサイクルの時間は、電極44の上面を第1の前駆体で飽和させるように選択することができる。次に、第1の反応物質ドーズサイクルのあらゆる副生成物を除去するために、ALD反応チャンバを第1のパージサイクルにおいてパージすることができる。ALD反応チャンバは、不活性ガスを導入することによって、例えば、真空を用いて排気することによって、又は他のステップによってパージすることができる。
【0099】
第2の反応物質ドーズサイクルでは、第2の前駆体をALD反応チャンバ内に導入することができる。第2の反応物質ドーズサイクルの時間は、前駆体間の反応のための部位が使い果たされるまでの、第2の前駆体が第1の前駆体と完全に又は実質的に反応するのに十分な時間であり得る。次に、第2の反応物質ドーズサイクルのあらゆる副生成物を除去するために、ALD反応チャンバを第2のパージサイクルにおいてパージすることができる。ALD反応チャンバは、不活性ガスを導入することによって、例えば、真空を用いて排気することによって、又は他のステップによってパージすることができる。次いで、別のALDサイクルを開始することができる。
【0100】
圧電材料の層43の厚さは、ステップ206で用いられるALDサイクルの数によって決定することができ、サイクルの数は、圧電材料の層43を非常に高い精度で均一かつコンフォーマルに成長させるように調整することができる。一例では、圧電材料の層43は、ALDによって厚さ100nm以下のAlN層として形成することができる。しかしながら、圧電材料の層43は、ステップ206においてALDを用いて、場合によっては、90nm、80nm、70nm、60nm、50nm、40nm、30nm、又は20nm未満の厚さの層など、AlNのより薄い層になるように形成することができる。ステップ206において、ALDを用いて圧電材料の他の薄膜を形成することができるので、圧電材料の層43はまた、AlNの層に限定されない。
【0101】
場合によっては、ステップ206は、更に、層の均一性を改善し、層の厚さを調整し、又は他の方法で圧電材料の層43を修正するために、圧電材料の層43をトリミングすることも含むことができる。トリミングは、比較的高価かつ時間のかかる処理であり得るが、ステップ206で実行される任意のトリミングは、圧電材料の層43を形成するためにスパッタリングが用いられた場合と比較して、比較的軽微であり得る。
【0102】
ステップ208において、プロセスは、圧電材料の層43上に第2の電極45を形成することを含む。第2の電極45は、本明細書で説明するような高導電性材料の層として具現化することができる。一例では、電極45は、ALDを用いて銅の薄層又は薄膜として形成することができる。電極45は、ALDを用いて、300nm、200nm、又は100nm以下の厚さで形成することができる。しかしながら、電極45は、ALDを用いて、場合によっては、90nm、80nm、70nm、60nm、50nm、40nm、30nm、又は20nm未満の厚さの層など、銅のより薄い層になるように形成することができる。
【0103】
電極45の材料の選択における1つの要因は、電極45の所望の厚さであり、これは、FBAR40の応答特性における要因でもある。例えば、高導電性かつ薄い電極45が必要な場合、電極45のための銅を堆積させるために、ALD処理を選択することができる。電極45は、ステップ208でALD処理を用いて他の金属及び金属合金から形成することもできる。他の場合には、電極45は、ステップ208において、スパッタリング、PVD、CVD、又は関連技術によって、モリブデン又は別の金属若しくは金属合金として形成することができる。ALD以外のプロセス技術を用いる場合、電極45は、ALDを用いる場合よりも相対的に厚く形成され得る。
【0104】
ステップ210において、プロセスは、封止層46を形成することを含む。封止層46は、均一かつコンフォーマルな薄膜として形成することができる。一例では、封止層46は、ALD処理ステップによって、100nm以下のAl2O3の層として形成することができる。封止層46はまた、ALDを用いて、場合によっては、10nm未満、5nm、又はより薄い層など、Al2O3のより薄い層となるように形成することができる。ALDを用いて保護材料の他の薄膜を形成することができるので、封止層46は、Al2O3の層に限定されない。
【0105】
他の堆積プロセスと比較して、封止層46は、FBAR40の周波数応答、周波数応答の精度、品質係数、及び挿入損失を調整するために、ALDを用いて非常に薄く形成することができる。封止層46は、
図5に示すように、圧電材料の層43、第1の電極44、及び第2の電極45を覆って封止することができる。場合によっては、封止層46は、
図4に示す領域と比較して、より多くの又はより少ない領域を覆うことができる。
【0106】
ステップ212において、プロセスは、支持層42、圧電材料の層43、並びに電極44及び45の下に絶縁キャビティ47を形成することを含む。絶縁キャビティ47は、圧電材料の層43によって生成された弾性波を絶縁する目的に適切な任意のサイズに形成することができる。場合によっては、絶縁キャビティ47は、
図5に示すものよりも広くすることができ、絶縁キャビティ47は、圧電材料の層43よりも大きく(すなわち、上面図における長さ及び幅寸法を大きく)することができる。他の場合には、圧電材料の層43の少なくとも一部分は、
図5に示すように、絶縁キャビティ47を越えて基板41の上に延びていてもよい。絶縁キャビティ47は、エッチング又は他の材料除去プロセスステップによって形成することができる。場合によっては、絶縁キャビティ47は、支持層42に追加の支持を提供するために絶縁キャビティ47内に残る1つ以上の支持ピラー48(
図5)と共に形成することができる。支持ピラー48の数及び位置は、
図5に示すものと比較して異なってもよく、場合によっては支持ピラー48を省略することができる。
【0107】
場合によっては、
図6に示すプロセスは、FBAR40内に1つ以上の温度補償層を形成することなど、追加のステップを含むことができる。例えば、プロセスは、SiO
2の層又は温度補償のための他の材料の層などの温度補償層を形成することをステップ204と206との間に含むことができる。その場合、第1の電極44と圧電材料43との間に、ALDを用いてSiO
2の層を形成することができる。ステップ206とステップ208との間で、圧電材料43と第2の電極45との間にALDを用いてSiO
2の層を形成することもできる。ALD処理ステップの使用により、温度補償層(単数又は複数)は、他の堆積技術を使用して形成される場合よりも、より均一に、よりコンフォーマルに、かつより薄くすることができる。いくつかの例として、SiO
2の層は、厚さ90nm、80nm、70nm、60nm、50nm、40nm、30nm、又は20nm未満の層となるように形成することができる。
【0108】
図7は、本明細書に記載の様々な実施形態による、
図2に示すSAW共振器20の例示的な製造方法を示す。この方法は、
図2に示すSAW共振器20に関連して説明されているが、この方法は、
図2に示すものと同様のSAW共振器を製造するために利用することもできる。加えて、この方法は、
図7においてステップの特定の順序を示しているが、ステップの順序は、図示されている順序とは異なってもよい。例えば、連続して示される2つ以上のステップは、少なくとも部分的に同時に実行することができる。場合によっては、ステップのうちの1つ以上をスキップ又は省略することができる。他の場合には、
図7に示すステップの間のステップ又は後のステップなどの、
図7に示されていない追加のステップを利用することができる。
【0109】
ステップ300において、プロセスは、SAW共振器20のための基板を提供することを含む。
図2に示す例を参照すると、基板21は、ステップ300で提供することができる基板の一例として示されている。基板21は、シリコン、炭化ケイ素、ニオブ酸リチウム、サファイア、ガラス、セラミック、又は用途に適した別の好適なタイプの基板として具現化することができる。基板21は、ステップ300において、製造する、ベンダから供給する、又は任意の他の好適な方法で形成若しくは提供することができる。
【0110】
ステップ302において、プロセスは、ALD処理ステップによって基板21の上に圧電材料の層23を堆積させることを含む。ALDプロセスは、基板21上へのAlNなどの圧電材料を堆積させるための基板21の表面のイニシエーション処理で開始することができる。ALD処理ステップのための反応チャンバでは、イニシエーション処理は、基板21をエッチングすること、基板21を1つ以上のガスに曝露すること、又は基板21の上面から汚染物質を除去する、若しくは別の方法で材料を堆積させるために基板21の表面を提供する他のステップを含むことができる。ステップ302において、圧電材料の層23の結晶方位を方向付けることもできる。例えば、イニシエーション処理は、
図2に示す「Y」方向の弾性波又は機械波のための結晶構造c軸配向を有する圧電材料の層23を形成するように調整することができる。
【0111】
イニシエーション処理後、ステップ302におけるALDプロセスは、繰り返しシーケンスにおいて、2つ以上の前駆体化学物質又は反応物質への基板21の曝露に進むことができる。前駆体は、経時的に別々にALDチャンバに導入されるガス種であってもよい。前駆体は、自己制限的な方法で、それぞれ時間内に反応する。前駆体のいずれの過剰又は残留反応物質も、次の前駆体又はALDサイクルが適用又は繰り返される前に洗い流される。ALDプロセスは、表面がそれぞれの前駆体に曝露される時間であるドーズ時間と、ALDチャンバが次のステップのために排気されるドーズ間の時間であるパージ時間との両方によって特徴付けられる。2つの反応物質のALDプロセスの場合、第1の反応物質ドーズ、第1のパージ、第2の反応物質ドーズ、第2のパージのシーケンスが、1つのALDサイクルにおけるステップである。
【0112】
第1の反応物質ドーズサイクルでは、第1の前駆体をALD反応チャンバ内に導入することができ、これにより、基板21の上面が、熱を加えることと共に第1の前駆体に曝露される。第1の反応物質ドーズサイクルの時間は、基板21の上面を第1の前駆体で飽和させるように選択することができる。次に、第1の反応物質ドーズサイクルのあらゆる副生成物を除去するために、ALD反応チャンバを第1のパージサイクルにおいてパージすることができる。ALD反応チャンバは、不活性ガスを導入することによって、例えば、真空を用いて排気することによって、又は他のステップによってパージすることができる。
【0113】
第2の反応物質ドーズサイクルでは、第2の前駆体をALD反応チャンバ内に導入することができる。第2の反応物質ドーズサイクルの時間は、前駆体間の反応のための部位が使い果たされるまでの、第2の前駆体が第1の前駆体と完全に又は実質的に反応するのに十分な時間であり得る。次に、第2の反応物質ドーズサイクルのあらゆる副生成物を除去するために、ALD反応チャンバを第2のパージサイクルにおいてパージすることができる。ALD反応チャンバは、不活性ガスを導入することによって、例えば、真空を用いて排気することによって、又は他のステップによってパージすることができる。次いで、別のALDサイクルを開始することができる。
【0114】
圧電材料の層23の厚さは、ステップ302で用いられるALDサイクルの数によって決定することができ、サイクルの数は、圧電材料の層23を非常に高い精度で均一かつコンフォーマルに成長させるように調整することができる。一例では、圧電材料の層23は、ALDによって厚さ100nm以下のAlN層として形成することができる。しかしながら、圧電材料の層23は、ステップ206においてALDを用いて、場合によっては、90nm、80nm、70nm、60nm、50nm、40nm、30nm、又は20nm未満の厚さの層など、AlNのより薄い層になるように形成することができる。ステップ302において、ALDを用いて圧電材料の他の薄膜を形成することができるので、圧電材料の層23はまた、AlNの層に限定されない。
【0115】
場合によっては、ステップ302は、更に、層の均一性を改善し、層の厚さを調整し、又は他の方法で圧電材料の層23を修正するために、圧電材料の層23をトリミングすることも含むことができる。トリミングは、比較的高価かつ時間のかかる処理であり得るが、ステップ306で実行される任意のトリミングは、圧電材料の層23を形成するためにスパッタリングが用いられた場合と比較して、比較的軽微であり得る。
【0116】
ステップ304において、プロセスは、圧電材料の層23上に第1の電極24、第2の電極25、並びに反射格子26及び27を形成することを含む。電極24及び25は、高導電性材料の層として具現化することができる。一例では、電極24及び25は、ALDを用いて銅の薄層又は薄膜として形成することができる。電極24及び25は、ALDを用いて、300nm、200nm、又は100nm以下の厚さで形成することができる。しかしながら、電極24及び25は、ALDを用いて、場合によっては、90nm、80nm、70nm、60nm、50nm、40nm、30nm、又は20nm未満の厚さの層など、銅のより薄い層になるように形成することができる。場合によっては、反射格子26及び27は、省略することもできる。反射格子26及び27は、含まれる場合、電極24及び25と同じ又は同様の厚さで、ALDを用いて形成することもできる。
【0117】
電極24及び25の材料の選択における1つの要因は、電極24及び25の所望の厚さであり、これは、SAW共振器20の応答特性における要因でもある。例えば、高導電性かつ薄い電極24及び25が必要な場合、電極24及び25のために銅を堆積させるために、ALD処理を選択することができる。電極24及び25は、ステップ304でALD処理を用いて他の金属及び金属合金から形成することもできる。他の場合には、電極24及び25は、ステップ304において、スパッタリング、PVD、CVD、又は関連技術によって、モリブデン又は別の金属若しくは金属合金として形成することができる。ALD以外のプロセス技術を用いる場合、電極24及び25は、ALDを用いる場合よりも相対的に厚く形成され得る。
【0118】
ステップ306において、プロセスは、電極24及び25、反射格子26及び27、並びに圧電材料の層23の上に封止層を形成することを含む。封止層は、
図2には示されていないが、
図3及び
図5に示す封止層36及び46と同様の封止層を、電極24及び25、反射格子26及び27、並びに圧電材料の層23の上に均一かつコンフォーマルな薄膜として形成することができる。封止層46は、ALD処理ステップによって、100nm以下のAl
2O
3の層として形成することができる。封止層46はまた、ALDを用いて、場合によっては、10nm未満、5nm、又はより薄い層など、Al
2O
3のより薄い層となるように形成することができる。ALDを用いて保護材料の他の薄膜を形成することができるので、封止層46は、Al
2O
3の層に限定されない。
【0119】
本明細書に記載の構造及び方法は、多種多様な有用な集積回路を製造するために使用することができる。例えば、本明細書に記載の音響共振器は、マイクロ波回路用途に適したモノリシック回路形態で様々な構成要素と一体化することができる。本明細書において実施形態を詳細に説明してきたが、寸法状態を含む説明は、例としてのものである。
【0120】
場合によっては、
図7に示すプロセスは、SAW共振器20内に1つ以上の温度補償層を形成することなど、追加のステップを含むことができる。例えば、プロセスは、SiO
2の層又は温度補償のための他の材料の層などの温度補償層を形成することをステップ302と304との間に含むことができる。その場合、圧電材料の層23と電極24及び25との間に、ALDを用いてSiO
2の層を形成することができる。ALD処理ステップを用いることにより、温度補償層(単数又は複数)は、他の堆積技術を用いて形成される場合よりも、より均一に、よりコンフォーマルに、かつより薄くすることができる。いくつかの例として、SiO
2の層は、厚さ90nm、80nm、70nm、60nm、50nm、40nm、30nm、又は20nm未満の層となるように形成することができる。
【0121】
図8は、本明細書に記載の様々な実施形態による、例示的な横方向励起バルク弾性波共振器50(「共振器50」)の断面図である。共振器50の図は、
図8において表示されている。共振器50の層及び特徴の位置、形状、寸法、及び相対的なサイズは、
図8において必ずしも縮尺通りに描かれていない。共振器50の例示的な寸法を以下に示すが、寸法は、特に限定されない。
図8に示す層及び他の特徴も網羅的ではなく、共振器50は、別個に図示されない他の層、特徴、及び要素を含むことができる。加えて、共振器50は、他のデバイス及び回路素子と組み合わせて、より大きな集積構造体又は回路の一部として形成することができる。そのようなより大きな集積構造体は、他の集積部品の中でも、共振器50と同様のいくつかの共振器を含むことができる。
【0122】
共振器50は、基板51と、基板51の上の圧電材料の層53と、第2の電極55A~55Cと交互嵌合された第1の電極54A~54Cと、封止層56と、絶縁キャビティ57と、を含む。交互嵌合された電極54A~54C及び55A~55Cは、
図2に示す交互嵌合された電極24及び25と同様であるが、電極54A~54C及び55A~55Cの断面が
図8に示されている。
図8には限られた数の電極54A~54C及び55A~55Cが示されているが、実際にはより多くの数の電極を利用することができることを理解されたい。電極54A~54C及び55A~55Cは、圧電材料53の上面と接触している。基板51は、
図1に示す基板11と同様であってもよく、シリコン、炭化ケイ素、ニオブ酸リチウム、サファイア、ガラス、セラミック、又は用途に適した別の好適なタイプの基板として具現化することができる。
図8には示されていないが、共振器50は、場合によっては、
図5の支持層42と同様の支持層を含むこともできる。このような支持材料の層は、例えばシリコンから形成することができ、基板51の上かつ圧電材料の層53の下に配置することができる。
【0123】
共振器50は、交流電位入力信号が第1の電極54A~54Cと第2の電極55A~55Cとにわたって印加されると、弾性波又は機械波を生成することができる。共振器50の電極54A~54C及び55A~55Cは、
図3に示すSMR30及び
図5に示すFBAR40のように、圧電材料53の2つの異なる反対向きの表面上に配置されていない。その代わりに、第1の電極54A~54C及び第2の電極55A~55Cの両方が圧電材料53の上面に形成されており、これは、
図2に示すSAW共振器20と同様である。しかしながら、共振器50は、SAW共振器20のように共振器50の上面に沿って弾性波又は機械波を励起するように設計されていない。代わりに、圧電材料53の結晶構造c軸配向は、バルク弾性波又は機械波を「Z」方向に励起するように配向されている。すなわち、圧電材料53のc軸配向は、圧電材料53の上面に垂直な「Z」方向に配向されている。したがって、共振器50は、横方向励起バルク弾性波共振器と呼ばれる。
【0124】
電極54A~54C及び55A~55Cは、銅、銀、金、モリブデン、タングステン、チタン、白金、又はアルミニウム、それらの合金、及び他の導電層を含む、金属又は金属合金などの高導電性材料の層として具現化することができる。電極54A~54C及び55A~55Cは、幅「W」を有するように形成されており、ピッチ「P」でそれらを分離する。共振器50における幅「W」は、ピッチ「P」よりも小さい。例えば、幅「W」は、約100nmとすることができ、ピッチ「P」は、1~5μmとすることができるが、他の寸法を利用することもできる。
【0125】
圧電材料の層53は、PZT、BST、BaTiO3、AlScN、AlN、ZnO、又は別の圧電材料の層として具現化することができる。1つの好ましい実施形態では、圧電材料の層53は、AlNの層であるが、他の圧電材料を利用することもできる。場合によっては、圧電材料の層13は、2つ以上の異なるタイプの圧電材料(例えば、AlN、PZT、BST、BaTiO3、及びAlScNの層のうちの2つ以上のスタック)を含む、圧電材料の1つ以上の層を含むことができ、その各々は、実施形態によるALD処理技術を用いて形成することができる。封止層56は、共振器50を保護するための材料の薄膜として具現化することができる。封止層56は、例えば、Al2O3、別の酸化物材料、又は共振器50を保護するための別の適切な材料の層とすることができる。
【0126】
周波数応答、周波数応答の精度、及び品質係数を含む共振器50の動作特性は、圧電材料の層53の厚さ、適合性、及び均一性によって部分的に決定される。実施形態の一態様によれば、圧電材料の層53は、ALDによって堆積されたAlNの層として具現化することができる。ゾル-ゲル湿式化学技術、スパッタリング、パルスレーザ堆積、又は他の技術ではなく、ALDを用いてAlNの層を形成することにより、圧電材料のより薄く、より均一、かつよりコンフォーマルな層を得ることができる。
【0127】
圧電材料の層53は、スパッタリングが用いられる場合などの、従来の共振器における層よりも薄い圧電材料層として形成することができる。一例では、圧電材料の層53は、ALDによって厚さ100nm以下のAlN層として形成することができる。しかしながら、圧電材料の層53は、ALDを用いて、場合によっては、90nm、80nm、70nm、60nm、50nm、40nm、30nm、又は20nm未満の厚さの層など、AlNのより薄い層になるように形成することができる。ALDを用いて圧電材料の他の薄膜を形成することができるので、圧電材料の層53は、AlNの層に限定されない。
【0128】
圧電材料の層53の特定の厚さは、共振器50において高度に制御又は調整することができ、場合によっては、ALDを使用することによって、目標厚さの10nm未満以内、目標厚さの5nm未満以内、又は目標厚さに更に近づけることができる。いくつかの実施形態では、圧電材料の層53は、最小数のALDサイクルを用いて可能な限り薄く形成することができる。
【0129】
電極54A~54C及び55A~55Cは、ALDを用いて形成することもできる。一例として、電極54A~54C及び55A~55Cは、ALDを用いて薄い銅層として形成することができるが、他の高導電性層を、ALDを用いて形成することができる。電極54A~54C及び55A~55Cを形成するためにALDが用いられる場合、使用される導電性材料のタイプは、材料に対して利用可能なALDプロセスに部分的に基づいて決定することができる。電極54A~54C及び55A~55Cの材料選択における1つの要因は、電極54A~54C及び55A~55Cの所望の厚さであり、これは、共振器50の応答特性における要因でもある。例えば、非常に薄くかつ導電性の電極54A~54C及び55A~55Cが望ましい場合、銅を堆積させるために、ALD処理を選択することができる。他の場合には、電極54A~54C及び55A~55Cは、スパッタリングプロセス、PVD、又は関連技術によって形成することができる。
【0130】
実施形態の一態様によれば、封止層56は、ALDを用いて形成することもできる。封止層56は、均一かつコンフォーマルな薄膜として形成することができる。一例では、封止層56は、ALDを用いて、100nm以下のAl2O3の層として形成することができる。封止層56はまた、ALDを用いて、場合によっては、10nm未満、5nm、又はより薄い層など、Al2O3のより薄い層となるように形成することができる。ALDを用いて保護材料の他の薄膜を形成することができるので、封止層56は、Al2O3の層に限定されない。
【0131】
絶縁キャビティ57は、圧電材料の層53の下に形成された空間又はキャビティである。絶縁キャビティ57は、
図8に示すものと比較して、サイズ及び比率が異なってもよい。場合によっては、絶縁キャビティ57は、
図8に示すものよりも広くすることができ、絶縁キャビティ57は、圧電材料の層53よりも大きく(すなわち、上面図における長さ及び幅寸法を大きく)することができる。絶縁キャビティ57は、エッチング又は他の材料除去プロセスステップによって形成することができる。場合によっては、絶縁キャビティ57は、
図5に示す支持ピラー48と同様の1つ以上の支持ピラーと共に形成することができる。
【0132】
共振器50の全体の厚さは、圧電材料の層53を形成するためにALDを使用することによって、スパッタリングと比較して著しく低減することができる。電極54A~54C及び55A~55C並びに封止層56を形成するためにALDを使用することによって、全体の厚さを更に低減することができる。圧電材料の層53、電極54A~54C及び55A~55C、並びに封止層56の均一性及び適合性も、ALDを使用することによって改善することができる。
【0133】
図9は、本明細書に記載の様々な実施形態による、別の例示的な横方向励起バルク弾性波共振器60(「共振器60」)の断面図である。共振器60の図は、
図9において表示されている。共振器60の層及び特徴の位置、形状、寸法、及び相対的なサイズは、
図9において必ずしも縮尺通りに描かれていない。共振器60の例示的な寸法を以下に示すが、寸法は、特に限定されない。
図9に示す層及び他の特徴も網羅的ではなく、共振器60は、別個に図示されない他の層、特徴、及び要素を含むことができる。加えて、共振器60は、他のデバイス及び回路素子と組み合わせて、より大きな集積構造体又は回路の一部として形成することができる。そのようなより大きな集積構造体は、他の集積部品の中でも、共振器60と同様のいくつかの共振器を含むことができる。
【0134】
共振器60は、基板61と、基板61の上の圧電材料の層63と、第2の電極65A~65Cと交互嵌合された第1の電極64A~64Cと、封止層66と、絶縁キャビティ67と、フローティング金属板68と、を含む。交互嵌合された電極64A~64C及び65A~65Cは、
図2に示す交互嵌合された電極24及び25と同様であるが、電極64A~64C及び65A~65Cの断面が
図9に示されている。
図9には限られた数の電極64A~64C及び65A~65Cが示されているが、実際にはより多くの数の電極を利用することができることを理解されたい。電極64A~64C及び65A~65Cは、圧電材料63の上面と接触している。フローティング金属板68は、圧電材料63の底面と接触している。
【0135】
基板61は、
図1に示す基板11と同様であってもよく、シリコン、炭化ケイ素、ニオブ酸リチウム、サファイア、ガラス、セラミック、又は用途に適した別の好適なタイプの基板として具現化することができる。
図9には示されていないが、共振器60は、場合によっては、
図5の支持層42と同様の支持層を含むこともできる。このような支持材料の層は、例えばシリコンから形成することができ、基板61の上かつフローティング金属板68の層の下に配置することができる。
【0136】
共振器60は、交流電位入力信号が第1の電極64A~64Cと第2の電極65A~65Cとにわたって印加されると、弾性波又は機械波を生成することができる。フローティング金属板68には電位が印加されない。共振器50の電極64A~64C及び65A~65Cは、
図3に示すSMR30及び
図5に示すFBAR40のように、圧電材料63の2つの異なる反対向きの表面上に配置されていない。その代わりに、第1の電極64A~64C及び第2の電極65A~65Cの両方が、
図2に示すSAW共振器20と同様に圧電材料63の上面に形成されており、フローティング金属板68が圧電材料63の底面と接触している。圧電材料53の結晶構造c軸配向は、バルク弾性波又は機械波を
図9のページ内に向いた、「X」方向に励起するように配向されている。すなわち、圧電材料53のc軸配向は、圧電材料63の上面に平行であり、
図9のページ内に向いた、「X」方向に配向されている。
【0137】
電極64A~64C及び65A~65C並びにフローティング金属板68は、銅、銀、金、モリブデン、タングステン、チタン、白金、又はアルミニウム、それらの合金、及び他の導電層を含む、金属又は金属合金などの高導電性材料の層として具現化することができる。電極64A~64C及び65A~65Cは、幅「W」を有するように形成されており、ピッチ「P」でそれらを分離する。共振器60における幅「W」は、ピッチ「P」よりも大きい。例えば、幅「W」は、約50~300μmとすることができ、ピッチ「P」は、1~20μmとすることができるが、他の寸法を利用することもできる。
【0138】
圧電材料の層63は、PZT、BST、BaTiO3、AlScN、AlN、ZnO、又は別の圧電材料の層として具現化することができる。1つの好ましい実施形態では、圧電材料の層63は、AlNの層であるが、他の圧電材料を利用することもできる。場合によっては、圧電材料の層63は、2つ以上の異なるタイプの圧電材料(例えば、AlN、PZT、BST、BaTiO3、及びAlScNの層のうちの2つ以上のスタック)を含む、圧電材料の1つ以上の層を含むことができ、その各々は、実施形態によるALD処理技術を用いて形成することができる。封止層66は、共振器60を保護するための材料の薄膜として具現化することができる。封止層66は、例えば、Al2O3、別の酸化物材料、又は共振器60を保護するための別の適切な材料の層とすることができる。
【0139】
周波数応答、周波数応答の精度、及び品質係数を含む共振器60の動作特性は、圧電材料の層63の厚さ、適合性、及び均一性によって部分的に決定される。実施形態の一態様によれば、圧電材料の層63は、ALDによって堆積されたAlNの層として具現化することができる。ゾル-ゲル湿式化学技術、スパッタリング、パルスレーザ堆積、又は他の技術ではなく、ALDを用いてAlNの層を形成することにより、圧電材料のより薄く、より均一、かつよりコンフォーマルな層を得ることができる。
【0140】
圧電材料の層63は、スパッタリングが用いられる場合などの、従来の共振器における層よりも薄い圧電材料層として形成することができる。一例では、圧電材料の層63は、ALDによって厚さ100nm以下のAlN層として形成することができる。しかしながら、圧電材料の層53は、ALDを用いて、場合によっては、90nm、80nm、70nm、60nm、50nm、40nm、30nm、又は20nm未満の厚さの層など、AlNのより薄い層になるように形成することができる。ALDを用いて圧電材料の他の薄膜を形成することができるので、圧電材料の層63は、AlNの層に限定されない。
【0141】
圧電材料の層63の特定の厚さは、共振器60において高度に制御又は調整することができ、場合によっては、ALDを使用することによって、目標厚さの10nm未満以内、目標厚さの5nm未満以内、又は目標厚さに更に近づけることができる。いくつかの実施形態では、圧電材料の層63は、最小数のALDサイクルを用いて可能な限り薄く形成することができる。
【0142】
電極64A~64C及び65A~65C並びにフローティング金属板68は、ALDを用いて形成することもできる。一例として、電極64A~64C及び65A~65C並びにフローティング金属板68は、ALDを用いて薄い銅層として形成することができるが、他の高導電性層を、ALDを用いて形成することができる。電極64A~64C及び65A~65C並びにフローティング金属板68を形成するためにALDが用いられる場合、使用される導電性材料のタイプは、材料に対して利用可能なALDプロセスに部分的に基づいて決定することができる。電極64A~64C及び65A~65C並びにフローティング金属板68の材料選択における1つの要因は、電極64A~64C及び65A~65C並びにフローティング金属板68の所望の厚さであり、これは、共振器60の応答特性における要因でもある。他の場合には、電極64A~64C及び65A~65C並びにフローティング金属板68は、スパッタリングプロセス、PVD、又は関連技術によって形成することができる。
【0143】
実施形態の一態様によれば、封止層66は、ALDを用いて形成することもできる。封止層66は、均一かつコンフォーマルな薄膜として形成することができる。一例では、封止層66は、ALDを用いて、100nm以下のAl2O3の層として形成することができる。封止層66はまた、ALDを用いて、場合によっては、10nm未満、5nm、又はより薄い層など、Al2O3のより薄い層となるように形成することができる。ALDを用いて保護材料の他の薄膜を形成することができるので、封止層66は、Al2O3の層に限定されない。
【0144】
絶縁キャビティ67は、圧電材料の層63の下に形成された空間又はキャビティである。絶縁キャビティ67は、
図9に示すものと比較して、サイズ及び比率が異なってもよい。場合によっては、絶縁キャビティ67は、
図9に示すものよりも広くすることができ、絶縁キャビティ67は、圧電材料の層63よりも大きく(すなわち、上面図における長さ及び幅寸法を大きく)することができる。絶縁キャビティ67は、エッチング又は他の材料除去プロセスステップによって形成することができる。場合によっては、絶縁キャビティ67は、
図5に示す支持ピラー48と同様の1つ以上の支持ピラーと共に形成することができる。
【0145】
共振器60の全体の厚さは、圧電材料の層63を形成するためにALDを使用することによって、スパッタリングと比較して著しく低減することができる。電極64A~64C及び65A~65C並びに封止層66を形成するためにALDを使用することによって、全体の厚さを更に低減することができる。圧電材料の層63、電極64A~64C及び65A~65C、並びに封止層66の均一性及び適合性も、ALDを使用することによって改善することができる。
【0146】
図10は、本明細書に記載の様々な実施形態による、
図8及び
図9に示す共振器構造体50及び60の例示的な製造方法を示す。この方法は、
図8及び
図9に示す共振器構造体50及び60に関連して説明されているが、この方法は、図示されたものと同様の共振器構造体を製造するために利用することもできる。加えて、この方法は、
図10においてステップの特定の順序を示しているが、ステップの順序は、図示されている順序とは異なってもよい。例えば、連続して示される2つ以上のステップは、少なくとも部分的に同時に実行することができる。場合によっては、ステップのうちの1つ以上をスキップ又は省略することができる。他の場合には、
図10に示すステップの間のステップ又は後のステップなどの、
図10に示されていない追加のステップを利用することができる。
【0147】
ステップ400において、プロセスは、基板を提供することを含む。
図8及び
図9に示す例を参照すると、基板51及び61は、ステップ400において提供することができる例示的な基板として示されている。基板は、シリコン、炭化ケイ素、ニオブ酸リチウム、サファイア、ガラス、セラミック、又は用途に適した別の好適なタイプの基板として具現化することができる。基板は、ステップ400において、製造する、ベンダから供給する、又は任意の他の好適な方法で形成若しくは提供することができる。
【0148】
ステップ402において、プロセスは、基板の上にフローティング金属板68を形成することを含む。一例として、フローティング金属板68は、銅、銀、金、モリブデン、タングステン、チタン、白金、又はアルミニウム、それらの合金、及び他の導電層を含む、金属又は金属合金などの高導電性材料の層として具現化することができる。フローティング金属板68は、ALDを用いて形成することができる。一例として、フローティング金属板68は、ALDを用いて薄い銅層として形成することができるが、ALDを用いて他の高導電性層を形成することができる。他の場合には、フローティング金属板68は、スパッタリングプロセス、PVD、又は関連技術によって形成することができる。ステップ402は、
図8の共振器50を形成する場合など、場合によっては省略することができることにも留意されたい。
【0149】
ステップ404において、プロセスは、ALD処理ステップによって圧電材料の層を堆積させることを含む。例えば、圧電材料の層53は、
図8に示すように、基板51上に又は基板51の上に堆積させることができる。別の例では、圧電材料の層63は、
図9に示すように、フローティング金属板68上に又はフローティング金属板68の上に堆積させることができる。ALDプロセスは、AlNなどの圧電材料を堆積させるためのイニシエーション処理で開始することができる。ALD処理ステップのための反応チャンバでは、イニシエーション処理は、アニール処理、エッチング、若しくは表面を1つ以上のガスに曝露すること、又は汚染物質を除去する、若しくは別の方法でALDを用いて材料を堆積させるために表面を提供する他のステップを含むことができる。ステップ404において、圧電材料の層の結晶方位を方向付けることもできる。例えば、イニシエーション処理は、
図8に示す「Z」方向又は
図9に示す「Y」方向の弾性波又は機械波のための結晶構造c軸配向を有する圧電材料の層を形成するように調整することができる。場合によっては、別の結晶構造c軸配向を有するように圧電材料の層を形成することもできる。イニシエーション処理後、ステップ404におけるALDプロセスは、本明細書に記載されるように、繰り返しシーケンスにおいて、前駆体化学物質又は反応物質を使用する曝露に進むことができる。
【0150】
ステップ404で形成される圧電材料の層の厚さは、用いられるALDサイクルの数によって決定することができ、サイクルの数は、圧電材料の層を非常に高い精度で均一かつコンフォーマルに成長させるように調整することができる。場合によっては、ステップ404は、更に、層の均一性を改善し、層の厚さを調整し、又は他の方法で圧電材料の層を修正するために、形成された圧電材料の層をトリミングすることも含むことができる。トリミングは、比較的高価かつ時間のかかる処理であり得るが、ステップ404で実行される任意のトリミングは、スパッタリングが用いられた場合と比較して、比較的軽微であり得る。
【0151】
ステップ406において、プロセスは、圧電材料の層上に第1及び第2の電極を形成することを含む。例えば、第1の電極54A~54C及び第2の電極55A~55Cは、
図8に示すように、圧電材料の層53上に形成することができる。別の例として、第1の電極64A~64C及び第2の電極65A~65Cは、
図9に示すように、圧電材料の層63上に形成することができる。第1及び第2の電極は、ALDを用いて高導電性材料の薄層又は薄膜として形成することができる。第1及び第2の電極は、ALDを用いて、300nm、200nm、又は100nm以下の厚さで形成することができる。しかしながら、第1及び第2の電極は、ALDを用いて、場合によっては、90nm、80nm、70nm、60nm、50nm、40nm、30nm、又は20nm未満の厚さの層など、より薄い層になるように形成することができる。
【0152】
ステップ408において、プロセスは、第1及び第2の電極の上に封止層を形成することを含む。例として、
図8に示す封止層56又は
図9に示す封止層66を形成することができる。封止層は、ALD処理ステップによって、100nm以下のAl
2O
3の均一かつコンフォーマルな薄膜として形成することができる。封止層46はまた、ALDを用いて、場合によっては、10nm未満、5nm、又はより薄い層など、Al
2O
3のより薄い層となるように形成することができる。ALDを用いて保護材料の他の薄膜を形成することができるので、封止層46は、Al
2O
3の層に限定されない。
【0153】
ステップ410において、プロセスは、
図8に示す絶縁キャビティ57又は
図9に示す絶縁キャビティ67のうちの1つなどの絶縁キャビティを形成することを含む。絶縁キャビティは、弾性波を絶縁する目的に適切な任意のサイズに形成することができる。場合によっては、絶縁キャビティは、
図8及び
図9に示すものよりも広くすることができ、絶縁キャビティは、その上の圧電材料の層よりも大きく(すなわち、上面図における長さ及び幅寸法を大きく)することができる。絶縁キャビティは、エッチング又は他の材料除去プロセスステップによって形成することができる。場合によっては、絶縁キャビティは、本明細書で説明されるように、追加の支持を提供するために1つ以上の支持ピラーと共に形成することができる。
【0154】
場合によっては、
図10に示すプロセスは、1つ以上の温度補償層を形成することなど、追加のステップを含むことができる。例えば、プロセスは、SiO
2の層又は温度補償のための他の材料の層などの温度補償層を形成することをステップ404と406との間に含むことができる。その場合、第1及び第2の電極と圧電材料との間に、ALDを用いてSiO
2の層を形成することができる。ALD処理ステップの使用により、温度補償層(単数又は複数)は、他の堆積技術を用いて形成される場合よりも、より均一に、よりコンフォーマルに、かつより薄くすることができる。いくつかの例として、SiO
2の層は、厚さ90nm、80nm、70nm、60nm、50nm、40nm、30nm、又は20nm未満の層となるように形成することができる。
【0155】
他の場合には、プロセスは、ステップ400の後かつステップ402の前に、基板の上に支持層を形成することを含むことができる。支持層は、シリコンの層として具現化することができるが、他の支持層を使用することもできる。支持層は、PVD、CVD、又は関連技術などの適切な堆積技術を用いて堆積させることができる。支持層は、任意の適切な厚さに形成することができ、支持層を薄膜として形成する必要はない。
【0156】
加えて、プロセスは、ステップ400の後かつステップ402の前に、基板の上に音響ミラーを形成することを含むことができる。音響ミラーは、ブラッグ反射器など、高い及び低い音響インピーダンス又は屈折率を有する材料の交互層として形成することができる。音響ミラーは、基板と、後にステップ404において形成される圧電材料によって形成される共振器との間の弾性波絶縁を提供することができる。
【0157】
上記で説明した特徴、構造、又は特性は、任意の好適な方式で、1つ又は複数の実施形態に組み合わせることができ、様々な実施形態において述べた特徴は、それら実施形態の間で入れ替えることができる。前述の説明では、本開示の実施形態を完全に提示するために、特定の詳細が提供される。しかしながら、当業者であれば、本開示の技術的解決策が、これらの具体的な詳細のうちの1つ又は複数を伴わずに実施され得るか、或いは他の方法、構成部品、及び材料なども用いられ得ることを理解するであろう。その他の事例では、本開示の態様を曖昧にしないように、周知の構造、材料又は動作については詳細に図示又は説明していない。
【0158】
「上(on)」、「下(below)」、「上側(upper)」、「下側(lower)」、「上部(top)」、「底部(bottom)」、「右(right)」、および「左(left)」などの相対的な用語は、特定の構造的特徴の相対的な空間的関係を説明するために使用される場合があるが、これらの用語は、便宜上、例における方向としてのみ使用されている。デバイスが上下逆になった場合、「上側」構成要素は「下側」構成要素になることを理解されたい。ある構造または特徴が、別の構造または特徴の「上に」ある(またはその上に形成される)と説明されている場合、その構造は、任意の他の構造または特徴が該構造と他の構造との間に介在することなく、他の構造上に(即ち、接触しながら)直接配置され得る。ある構造または特徴が、別の構造または特徴を「覆って」いる(または覆って形成される)と説明されている場合、その構造は、他の構造または特徴がそれらの間に介在してもしなくても、他の構造を覆って配置され得る。2つの構成要素が互いに「結合される」と記載されている場合、構成要素は、他の構成要素が電気的に結合され、かつそれらの間に介在していてもしていなくても、互いに電気的に結合され得る。2つの構成要素が互いに「直接結合されている」と記載されるとき、それらの構成要素は、他の構成要素がそれらの間に電気的に結合されていなくても、互いに電気的に結合され得る。本明細書に記載される層の「厚さ」は、断面図においてページの上部から底部まで(即ち、Z方向に)測定され得る。
【0159】
「1つの(a)」、「1つの(an)」、「その(the)」および「前記(said)」などの用語は、1つまたは複数の要素および構成要素の存在を示すために使用される。用語「備える(comprise)」、「含む(include)」、「有する(have)」、「含有する(contain)」、およびそれらの変形は、オープンエンドであるために使用され、別段の指定がない限り、列挙された要素、構成要素などに加えて、追加の要素、構成要素などを含むか、または包含し得る。「第1」、「第2」などの用語は、いくつかの物体に対する限定ではなく、ラベルとしてのみ使用される。
【0160】
本明細書において実施形態を詳細に説明してきたが、本説明は例示のためのものである。本明細書で説明した実施形態は、代表的なものであり、代替的な実施形態では、ある特定の特徴及び要素を追加又は省略することができる。加えて、当業者であれば、以下の特許請求の範囲に定められた本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、本明細書で説明した実施形態の態様に対する修正を行うことができ、その範囲は修正及び同等の構造を包含するように最も広い解釈が認められるべきである。
【国際調査報告】