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特表2024-544213改良された溶射装置のための構造的に強化された粗面化機構及び均一なコーティング特性を製造するための使用方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-28
(54)【発明の名称】改良された溶射装置のための構造的に強化された粗面化機構及び均一なコーティング特性を製造するための使用方法
(51)【国際特許分類】
   C23C 4/129 20160101AFI20241121BHJP
   B05B 7/22 20060101ALI20241121BHJP
   B05B 7/20 20060101ALI20241121BHJP
【FI】
C23C4/129
B05B7/22
B05B7/20
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024533856
(86)(22)【出願日】2021-12-17
(85)【翻訳文提出日】2024-06-05
(86)【国際出願番号】 US2021063971
(87)【国際公開番号】W WO2023113811
(87)【国際公開日】2023-06-22
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500092413
【氏名又は名称】プラクスエア エス.ティ.テクノロジー、インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】サマービル、デイビッド,エー.
【テーマコード(参考)】
4F033
4K031
【Fターム(参考)】
4F033QA01
4F033QB02Y
4F033QB05
4F033QB14Y
4F033QB19
4F033QG06
4F033QG11
4F033QG14
4F033QG20
4K031DA01
(57)【要約】
湿潤表面上に構造的に強化された粗面化機構を有する新規且つ改良された溶射コンポーネントが提供される。湿潤表面上の構造的に強化された粗面化機構は、スケール堆積物の蓄積の低減を可能にし、また、溶射トーチの動作中のコーティング特性性能を改善する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶射皮膜の製造に使用するための改良された溶射装置であって、
噴射用の高速フレーム溶射(HVOF)トーチであって、前記トーチが、内面によって画定された内部容積を有する燃焼室を含み、前記燃焼室が、酸素及び燃料を受け取り、そこから加熱された流れを生成し、前記内面と接触する燃焼反応生成物が生成されることを可能にするように構成され、前記燃焼室が、冷却媒体と接触する第1の外面を含む、高速フレーム溶射(HVOF)トーチと、
前記燃焼室の下流に動作可能に接続されたバレルであって、前記燃焼反応生成物の前記加熱された流れと接触するように構成された内面によって画定された内部容積を有し、前記冷却媒体と接触する第2の外面を含むバレルとを備え、
前記燃焼室の前記第1の外面及び前記バレルの前記第2の外面のうちの少なくとも一方は、構造的に強化された粗面化機構を特徴とし、前記構造的に強化された粗面化機構が、前記HVOFトーチの動作中に前記第1及び/又は第2の外面が冷却媒体に曝されたときに、前記第1及び/又は第2の外面上のスケール堆積物の蓄積を低減するように構成される、改良された溶射装置。
【請求項2】
前記構造的に強化された粗面化機構が、前記バレルの前記第2の外面に沿って収容される、請求項1に記載の改良された溶射コンポーネント装置。
【請求項3】
前記構造的に強化された粗面化機構が、前記燃焼室の前記第1の外面に沿って収容される、請求項1に記載の改良された溶射コンポーネント装置。
【請求項4】
前記構造的に強化された粗面化機構が、前記燃焼室の前記第1の外面及び前記バレルの前記第2の外面に沿って収容される、請求項1に記載の改良された溶射コンポーネント装置。
【請求項5】
前記構造的に強化された粗面化機構が、前記第1及び/又は第2の外面の全体又は一部に沿って延在する螺旋ねじ山を含み、前記螺旋ねじ山が所定の深さを有する、請求項1に記載の改良された溶射コンポーネント装置。
【請求項6】
前記冷却媒体が水系である、請求項1に記載の改良された溶射コンポーネント装置。
【請求項7】
前記構造的に強化された粗面化機構が、前記第1の外面及び/又は前記第2の外面に沿って84を超える(Ra)として示される平均表面粗さを特徴とする、請求項1に記載の改良された溶射コンポーネント装置。
【請求項8】
溶射皮膜の製造に使用するための改良された溶射装置であって、
噴射用のプラズマトーチであって、前記トーチが、カソード装置と、アノードとを含み、前記アノードが、外面及び内部部分を有し、前記アノードの前記内部部分が、前記カソード装置に動作可能に接続され、更に、前記アノードの前記外面が、冷却媒体と流体連通している、プラズマトーチと、
構造的に強化された粗面化機構を特徴とする前記アノードの前記外面であって、前記構造的に強化された粗面化機構が、前記プラズマトーチの動作中に冷却媒体に曝されたときに前記アノードの前記外面上のスケール堆積物の蓄積を低減するように構成される、外面と
を備える改良された溶射装置。
【請求項9】
前記構造的に強化された粗面化機構が、84を超える(Ra)として示される表面の平均表面粗さを特徴とする、請求項8に記載の改良された溶射コンポーネント装置。
【請求項10】
前記冷却媒体が水系である、請求項8に記載の改良された溶射コンポーネント装置。
【請求項11】
前記構造的に強化された粗面化機構が、前記外面の全体又は一部に沿って螺旋状に延在する、請求項8に記載の改良された溶射コンポーネント装置。
【請求項12】
溶射皮膜を形成するために溶射装置で使用するための改良された溶射コンポーネントであって、
実質的に管状の幾何学的形状を有する本体であって、前記実質的に管状の幾何学的形状が第1の端部及び第2の端部を有し、中心長手方向軸が前記第1の端部から前記第2の端部まで前記本体を横断し、前記本体が、前記溶射コンポーネントが前記溶射装置内で動作可能に接続されたときにプラズマアーク又は燃焼反応生成物と接触するように適合された第1の表面を有し、前記本体が、前記第1の端部から前記第2の端部まで延在する第2の表面を更に有し、前記第2の表面が、前記溶射装置の動作中に冷却媒体と接触するように構成される、本体と、
前記第2の表面の少なくとも一部に沿った構造的に強化された粗面化機構であって、前記構造的に強化された粗面化機構が、前記中心長手方向軸に実質的に平行に向けられており、前記構造的に強化された粗面化機構が、前記溶射装置の動作中に前記第2の表面が前記冷却媒体に曝されたときに前記第2の表面上のスケール堆積物の蓄積を低減するように構成される、粗面化機構と
を備える改良された溶射コンポーネント。
【請求項13】
前記第1の表面が内面であり、前記第2の表面が外面である、請求項12に記載の改良された溶射コンポーネント。
【請求項14】
前記改良された溶射コンポーネントがアノードである、請求項12に記載の改良された溶射コンポーネント。
【請求項15】
前記改良された溶射コンポーネントが燃焼室である、請求項12に記載の改良された溶射コンポーネント。
【請求項16】
前記改良された溶射コンポーネントがバレルである、請求項12に記載の改良された溶射コンポーネント。
【請求項17】
前記構造的に強化された粗面化機構が、前記第2の表面に沿ったグリットブラスト加工されたプロファイルを含む、請求項12に記載の改良された溶射コンポーネント。
【請求項18】
前記構造的に強化された粗面化機構が、前記第2の外面に沿って84を超える(Ra)として示される平均表面粗さを特徴とする、請求項12に記載の改良された溶射コンポーネント。
【請求項19】
前記構造的に強化された粗面化機構がローレット加工されたプロファイルを含み、前記溝が、前記第2の表面に沿って螺旋状のパターンで円周方向に延在する、請求項12に記載の改良された溶射コンポーネント。
【請求項20】
前記構造的に強化された粗面化機構が、螺旋状のパターンで前記第2の表面に沿って円周方向に延在する溝を備え、前記溝が、所定の距離だけ互いに分離され、前記溝が、前記第2の表面内に所定の深さを更に有する、請求項12に記載の改良された溶射コンポーネント。
【請求項21】
溶射皮膜を形成するために溶射装置で使用するための改良された溶射コンポーネントであって、
実質的に管状の幾何学的形状を有する本体であって、前記実質的に管状の幾何学的形状が第1の端部及び第2の端部を有し、中心長手方向軸が前記本体を前記第1の端部から前記第2の端部まで横断し、前記本体が、前記溶射コンポーネントが前記溶射装置内で動作可能に接続されたときにプラズマアーク又は燃焼反応生成物と接触するように適合された第1の表面を有する、本体を備え、
前記本体が、前記第1の端部から前記第2の端部まで延在する第2の湿潤表面を更に有し、前記第2の湿潤表面の少なくとも一部が、前記溶射装置の動作中に冷却媒体と接触するように構成された構造的に強化された粗面化機構を含む、改良された溶射コンポーネント。
【請求項22】
改良された溶射装置の動作中に一貫したコーティング特性を形成する方法であって、
湿潤表面を有する少なくとも1つの溶射コンポーネントを含む改良された溶射装置を用いて高温エネルギ源を生成するステップであって、前記湿潤表面が、それに沿って構造的に強化された粗面化機構を有する、生成するステップと、
粉末又はワイヤ供給原料を改良された溶射装置の入口に導入するステップと、
前記粉末又は前記ワイヤ供給原料を加熱して、実質的に溶融した粒子を生成するステップと、
前記構造的に強化された粗面化機構を有する前記湿潤表面に沿って接触させるように、前記改良された溶射装置に冷却媒体を導入するステップと、
前記実質的に溶融した粒子を基材上に向けてコーティングを生成するステップであって、前記コーティングが、前記少なくとも1つの溶射コンポーネントを含まない溶射装置を用いて生成されるコーティング特性よりも小さい、前記改良された溶射装置の動作中に変動を示す少なくとも1つのコーティング特性を含み、前記少なくとも1つのコーティング特性が、気孔率、堆積厚さ、微小硬度及び残留応力からなる群から選択される、コーティングを生成するステップとを含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、溶射装置に組み込まれる1つ以上の溶射コンポーネント上の新規な構造的に強化された粗面化機構に関する。修正された溶射コンポーネントは、溶射装置の性能向上に貢献する。
【背景技術】
【0002】
高速フレーム溶射(HVOF)は、サブステート上に堆積される溶融した粒子を生成する燃焼フレーム溶射法である。溶射トーチは、溶射トーチの内部燃焼室内で比較的高い圧力下で酸素の存在下で燃焼するプロピレン又は灯油などの燃料を使用する。燃焼ガスが生成される。特に、燃焼室の内側に沿って燃焼炎が生成される。燃焼炎の温度は、約2000°F以上に達する可能性がある。燃焼ガスは、燃焼室のスロート部分を通って排出され、その後、細長いノズル状構造体である延長されたバレルに下流に流れる。金属又はセラミック材料の粉末又はワイヤの形態の供給原料を、バレル内又は燃焼室とバレルとの間に位置する相互コネクタ部に供給することができる。供給原料が注入されると、燃焼ガス流によって閉じ込められる。供給原料粒子は、高速ジェット流として溶融形態でバレルから出て、コーティングを形成するために堆積する基材に向かって導かれる。
【0003】
HVOF装置内のエネルギ源から生成される比較的高い温度は、問題となり得る。バレル及び燃焼室の内面は、温度が上昇し、過熱の危険に曝され、熱的障害につながる可能性がある。温度を制御し、HVOFトーチの内面が過熱するリスクを軽減するために、バレルの外面及び燃焼室を含むHVOFトーチの溶射コンポーネントの様々な表面に沿って冷却水を循環させて、それらのそれぞれの内面の内側から熱を抽出することを可能にする。
【0004】
その動作中にHVOFトーチの動作温度を制御する努力にもかかわらず、冷却水への効果のない熱伝達が持続する。熱損傷なしに高出力レベルで動作することができる改良された溶射装置の必要性は依然として満たされていない。
【発明の概要】
【0005】
一態様では、溶射皮膜の製造に使用するための改良された溶射装置が提供される。改良された溶射装置は、噴射用の高速フレーム溶射(HVOF)トーチであって、トーチは、内面によって画定された内部容積を有する燃焼室を含み、燃焼室は、酸素及び燃料を受け取り、そこから加熱された流れを生成し、内面と接触する燃焼反応生成物が生成されることを可能にするように構成され、燃焼室は、冷却媒体と接触する第1の外面を含む、高速フレーム溶射(HVOF)トーチと、燃焼室の下流に動作可能に接続されたバレルであって、燃焼反応生成物の加熱された流れと接触するように構成された内面によって画定された内部容積を有し、冷却媒体と接触する第2の外面を含むバレルとを備え、燃焼室の第1の外面及びバレルの第2の外面のうちの少なくとも一方は、構造的に強化された粗面化機構を特徴とし、構造的に強化された粗面化機構が、HVOFトーチの動作中に第1及び/又は第2の外面が冷却媒体に曝されたときに、第1及び/又は第2の外面上のスケール堆積物の蓄積を低減するように構成される。
【0006】
第2の態様では、溶射皮膜の製造に使用するための改良された溶射装置が提供される。改良された溶射装置は、噴射用のプラズマトーチであって、トーチは、カソード装置と、アノードとを含み、アノードは、外面及び内部部分を有し、アノードの内部部分は、カソード装置に動作可能に接続され、更に、アノードの外面が、冷却媒体と流体連通している、プラズマトーチと、構造的に強化された粗面化機構を特徴とするアノードの外面であって、構造的に強化された粗面化機構は、プラズマトーチの動作中に冷却媒体に曝されたときにアノードの外面上のスケール堆積物の蓄積を低減するように構成される、外面とを備える。
【0007】
第3の態様では、溶射皮膜を形成するために溶射装置で使用するための改良された溶射コンポーネントが提供される。改良された溶射コンポーネントは、実質的に管状の幾何学的形状を有する本体であって、実質的に管状の幾何学的形状は第1の端部及び第2の端部を有し、中心長手方向軸が第1の端部から第2の端部まで本体を横断し、本体は、溶射コンポーネントが溶射装置内で動作可能に接続されたときにプラズマアーク又は燃焼反応生成物と接触するように適合された第1の表面を有し、本体は、第1の端部から第2の端部まで延在する第2の表面を更に有し、第2の表面は、溶射装置の動作中に冷却媒体と接触するように構成される、本体と、第2の表面の少なくとも一部に沿った構造的に強化された粗面化機構であって、構造的に強化された粗面化機構は、中心長手方向軸に実質的に平行に向けられており、構造的に強化された粗面化機構は、溶射装置の動作中に第2の表面が冷却媒体に曝されたときに第2の表面上のスケール堆積物の蓄積を低減するように構成されている、粗面化機構とを含む。
【0008】
第4の態様では、溶射皮膜を形成するために溶射装置で使用するための改良された溶射コンポーネントが提供される。改良された溶射コンポーネントは、実質的に管状の幾何学的形状を有する本体であって、実質的に管状の幾何学的形状は第1の端部及び第2の端部を有し、中心長手方向軸は本体を第1の端部から第2の端部まで横断し、本体は、溶射コンポーネントが溶射装置内で動作可能に接続されたときにプラズマアーク又は燃焼反応生成物と接触するように適合された第1の表面を有する、本体を備え、本体は、第1の端部から第2の端部まで延在する第2の湿潤表面を更に有し、第2の湿潤表面の少なくとも一部は、溶射装置の動作中に冷却媒体と接触するように構成された構造的に強化された粗面化機構を含む。
【0009】
第5の態様では、改良された溶射装置の動作中に一貫したコーティング特性を生成する方法であって、方法は、湿潤表面を有する少なくとも1つの溶射コンポーネントを含む改良された溶射装置を用いて高温エネルギ源を生成するステップであって、湿潤表面は、それに沿って構造的に強化された粗面化機構を有する、生成するステップと、粉末又はワイヤ供給原料を改良された溶射装置の入口に導入するステップと、粉末又はワイヤ供給原料を加熱して、実質的に溶融した粒子を生成するステップと、構造的に強化された粗面化機構を有する湿潤表面に沿って接触させるように、改良された溶射装置に冷却媒体を導入するステップと、実質的に溶融した粒子を基材上に導いてコーティングを生成するステップであって、コーティングは、少なくとも1つの溶射コンポーネントを含まない溶射装置を用いて生成されるコーティング特性よりも小さい、改良された溶射装置の動作中に変動を示す少なくとも1つのコーティング特性を含み、少なくとも1つのコーティング特性は、気孔率、堆積厚さ、微小硬度及び残留応力からなる群から選択される、コーティングを生成するステップとを含む。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1aは本発明の原理による改良されたHVOF装置の代表的な断面概略図である。図1bは構造的に強化された粗面化機構を有するバレルの外面を冷却するために冷却水が流れる冷却通路をより詳細に示すための図1aの拡大図である。図1cは構造的に強化された粗面化機構を有する燃焼室の外面を冷却するために冷却水が流れる冷却通路をより詳細に示すための図1aの拡大図である。
図2】本発明の原理による、構造的に強化された粗面化機構の代表的な概略図である。
図3】それぞれが運転前状態にある、本発明の構造的に強化された粗面化バレル(例えば、リブ付きバレル)及び本発明の構造的に強化された粗面化燃焼管(例えば、リブ付きチャンバ)に沿った標準製造バレル(すなわち、平滑なバレル)及び標準製造燃焼管(すなわち、平滑なチャンバ)の写真を示す。
図4】比較例1aに記載のHVOFベースライン試験を受けた後の新しい平滑なバレル及び新しい平滑な燃焼管の写真を示す。
図5】実施例1aに記載されているようなHVOF試験を受けた後の、本発明の原理による新しいリブ付きバレル及び比較例1で使用される平滑なチャンバの写真を示す。
図6】実施例2aに記載されているようなHVOF試験を受けた後の、本発明の原理による新しいリブ付きチャンバ及び新しい平滑なバレルの写真を示す。
図7】実施例3aに記載されているようなHVOF試験を受けた後の、本発明の原理による実施例2で使用された新しいリブ付きバレル及びリブ付きチャンバの写真を示す。
図8】比較例2に記載されるようなプラズマ試験を受けた後の標準的な製造されたプラズマアノード(すなわち、平滑なアノード)の写真を示し、実施例4に記載されるようなプラズマ試験を受けた後の本発明の原理による新しい本発明の構造的に強化された粗面化プラズマアノード(例えば、リブ付きプラズマアノード)の写真を示す。
図9】実施例5に記載されているようなHVOF試験を受けた後の、本発明の原理による新しい本発明の構造的に強化された粗面化バレル(例えば、グリットブラスト加工されたバレル)及び新しい本発明の構造的に強化された粗面化燃焼管(例えば、グリットブラスト加工されたチャンバ)の写真を示す。
図10】実施例6に記載の40時間の長期HVOF試験を受けた後の、本発明の原理による新しい平滑なチャンバ及び新しいリブ付きバレルの写真を示す。
図11】先の試験を受けた平滑な機械加工されたままのバレルと、実施例7に記載されるようなHVOF試験を受けた後の本発明の原理による新しい本発明の構造的に強化された粗面化燃焼管(例えば、ローレット加工された管)の写真を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本出願人らは、驚くべきことに、1つ以上の溶射コンポーネントの既存の外面に対する修正が、スケーリングされた堆積物の蓄積の著しい低下をもたらし、更に、修正された溶射トーチの動作中に生成されるコーティング特性の一貫性を改善することができることを発見した。
【0012】
本明細書及び全体を通して使用される「湿潤表面」とは、冷却媒体と直接的又は間接的に接触する表面を意味する。
【0013】
本明細書及び全体を通して使用される「冷却媒体」とは、限定はしないが、水系冷却剤(例えば、水)を含む、溶射装置を通る循環に適した任意の種類の冷却剤を意味する。
【0014】
本明細書及び全体を通して使用される「平滑な表面」とは、標準的なOEM製造の燃焼管及び標準的なOEM製造のバレルを含む、機械加工されたままのコンポーネントを意味し、その各々は、84Raの表面仕上げ未満の機械加工されたままの表面を有する外径(OD)を有する。
【0015】
「Ra」は、平均表面粗さを意味する粗さパラメータであり、平均線又は評価長さにわたるプロファイル高さの絶対値の算術平均として計算され、平均線又は評価長さからの算術平均プロファイル高さ偏差を示す。本明細書及び全体を通して、特に指示しない限り、単位はマイクロインチで表される。
【0016】
「Rz」は、平均線又は評価長さ内の5つの最も高いプロファイルのピークの高さ及び5つの最も深いアレーの深さの絶対値の平均値を意味する粗さパラメータであり、典型的にはRaよりも大きい数値を表す。本明細書及び全体を通して、特に指示しない限り、単位はマイクロメートルで表される。
【0017】
「ガン」及び「トーチ」は、本明細書及び全体を通して使用されるのと同じ意味を有し、これらに限定されないが、HVOF装置、プラズマ装置又はデトネーションガン(Dガン)装置を含む溶射装置を意味するために交換可能に使用され得る。
【0018】
本発明は、高速フレーム溶射(HVOF)トーチ及びプラズマスプレーアークガンなどの既存の溶射装置の欠点を認識する。例えば、HVOFトーチに関して、本出願人らは、HVOFトーチの動作中に外面が冷却水と接触すると、燃焼室及びバレルの外面上への水ファウリング蓄積物(すなわち、スケール堆積物の蓄積)が生じる傾向があることを観察した。特に、冷却水中に本質的に存在する鉱物又は他の汚染物質は、冷却水から抽出され、次いで冷却水がそのような表面に沿って直接的又は間接的に流れるときに高温外面上に堆積する可能性がある。そのようなスケール堆積物の蓄積は、溶射トーチの動作中に燃焼室及びノズル内で発生する熱を増加させることができる絶縁層として作用する。その結果、増加した熱は、もはや燃焼室及びバレルを通って十分に放散することができない。最終的に、HVOFトーチの燃焼室、バレル、及び潜在的に他のコンポーネントは、それぞれの最大許容設計動作温度を超える温度で動作し、それによってトーチの熱的障害をもたらす。一般的な熱的障害の例は、表面の溶解である。HVOFトーチのバレルの場合、粉末粒子は過熱され、それらが接触する内面に蓄積し始め、それがいわゆる望ましくない「バレル装填」をもたらす可能性がある。熱的障害は悪化する可能性があり、また、有害なスラグがコーティングワークピース上に堆積する原因となり得る。
【0019】
出願人らは、従来のHVOFトーチの欠点を認識し、それを克服するための解決策を考案した。本発明は、従来のHVOFトーチの欠点から明らかになった。図1a、図1b及び図1cは、本発明の原理による改良されたHVOF装置100を示す。改良されたHVOF装置100は、燃焼室110及びバレル120を含む。図1bは、それに沿って構造的に強化された粗面化機構140を有するバレル120の外面121の拡大図を示す。図1cは、それに沿って構造的に強化された粗面化機構141を有する燃焼室110の外面109の拡大図を示す。構造的に強化された機構140及び141は、冷却水又は他の適切な冷却媒体が流れる冷却通路160と直接又は間接的に接触している。本出願人らは、構造的に強化された機構140及び141が、改良されたHVOF装置100の動作中にそれぞれのバレル外面121及びチャンバ外面109に沿った水ファウリング蓄積物(すなわち、スケール堆積物)の蓄積を低減することを発見した。
【0020】
図1aを参照すると、動作中、所定の流量の燃料(例えば、灯油などの炭化水素燃料)が燃料入口111に導入され、所定量の酸素が酸素入口112に導入される。スパークプラグ199の電極に電流が送られ、それによって燃料を燃焼室110内の酸素の存在下で点火させて燃焼させる。燃焼室110内で燃料の燃焼が起こり、燃焼反応生成物113(すなわち、火炎)が生成される。燃焼反応生成物113の加熱された流れは、バレル120の下流に導かれる。粉末は、図1aに示す半径方向位置130に注入される。粉末粒子は、燃焼反応生成物113が燃焼室110からバレル120に向かって流れる際に燃焼反応生成物113と接触する。燃焼反応生成物113を有する溶融した粒子は、バレル120の先端から出る。粉末粒子は、基材の表面に向かうにつれて溶融する。
【0021】
燃焼プロセス中に発生する大量の熱は、HVOF装置100の内部コンポーネントの十分な冷却を必要とする。出願人らは、燃焼反応生成物113が、バレルの外面121及び燃焼室110の外面109上へのスケール堆積速度を加速することができることを観察した。冷却媒体入口180には、冷却水などの冷却媒体が入る。冷却水は、矢印で示すようにHVOF装置100を流れる。冷却水は、図1b及び図1cに示すように冷却通路160に入る。冷却通路160は、ハウジング170とバレル120の外面121との間、及びハウジング170と燃焼室110の外面109との間に位置する。冷却水が冷却通路160を流れるとき、冷却水は、バレル120の外面121及び燃焼室110の外面109から熱を抽出する。バレル120の外面121の少なくとも一部は、構造的に強化された粗面140を有し、燃焼室110の外面109の少なくとも一部は、構造的に強化された粗面化表面141を有する。構造的に強化された粗面140及び141は、対応する外面121及び109に堆積する傾向がある冷却水の鉱物堆積物に関連するファウリングの形成を低減、排除、及び/又は抑制するように構成される。冷却水は、HVOF装置100を通って流れ続け、最終的に冷却媒体出口181を通ってHVOF装置100から出る。追加の冷却水を再導入して冷却を継続する。構造的に強化された粗面140及び141上の冷却水の連続的な流れは、バレル120及び燃焼室110からの熱の効果的な伝達を可能にし、それによって表面の溶解又はバレル装填などの内部障害の発生を防止する。
【0022】
両方の外面121及び109は、構造的に強化された粗面化機構140及び141を有するように示されているが、本発明は、外面121又は109の一方のみが外面121又は109に沿って付与された構造的に強化された粗面化機構140又は141を有することも企図していることを理解されたい。
【0023】
本発明の設計は、溶射装置の動作中に十分な冷却を必要とする任意の溶射コンポーネントに適用可能であり得る。従って、図1a、図1b及び図1cはHVOF装置100を示しているが、他の溶射装置は、構造的に強化された粗面化機構を有する1つ以上の溶射コンポーネントを含むことができることを理解されたい。例として、図8は、図2に示すものと同様の構造的特徴を有するリブ付き機構320を含む外面311を有するアノード310を有するプラズマトーチ300の写真を示す。図2に関連して以下で説明するように、リブ付き機構320は、プラズマトーチの動作中に外面311上の冷却水の鉱物からのスケールの蓄積を防止するが、プラズマアノード312の機械加工されたままの表面は、図8の写真の黒スケールによって明らかなように、スケールの蓄積の影響を受けやすい比較的平滑な非テクスチャ表面である。
【0024】
例示的な構造的に強化された粗面が図2に示されている。図2は、リブ付き機構200を有することを特徴とする、構造的に強化された粗面を有する溶射コンポーネントの外面203の拡大図を示す。リブ付き機構200は、外面203の一部又は全体に沿って延在することができる。リブ付き機構200は、所定の深さ201、インチ毎の所定の螺旋ねじ山203、及び溝角度202によって特徴付けられる。所定の深さ201は、特定の溶射適用に必要とされる任意の適切な値とすることができる。例として、限定することを意図するものではないが、図2に示す深さ201は、約0.015インチ~約0.025インチの範囲である。螺旋ねじ山203は、リブ付き機構200を画定する。図2の例では、1インチ当たり合計21本の螺旋ねじ山がピッチを画定する。本発明による必要なRa及びRz値を生成するために、1インチ当たりの他のねじ山が考えられる。リブ付き機構200は、隣接する螺旋ねじ山203の間で測定される角度である溝角度202を更に含む。図2の溝角度202は55度である。必要な表面テクスチャプロファイルを作成するために、他の適切な溝角度を使用することができる。図2に示すリブ付き機構200は、以下に説明するHVOF装置及びプラズマ装置の両方について実施例の出願人によって使用された設計である。リブ付き機構200は、HVOF装置及びプラズマ装置の動作中のスケールの蓄積を首尾よく防止する。リブ付き機構は、市販の表面形状測定器によって測定した場合に、84を超えて最大1000以上の範囲のRa値を有することができる。
【0025】
リブ付き機構200以外の他のタイプの構造的に強化された粗面化機構200が、本発明によって企図される。一例では、バレル120の外面121及び/又は燃焼室110の外面109は、適切な市販の研磨材を用いて作成されたグリットブラスト加工され、テクスチャ加工されたプロファイルである。グリットブラスト加工された表面プロファイルは、機械加工されたままの表面によって生成されるものよりも大きい所定の粗さを有することができ、これは一般により平滑であり、テクスチャ加工されたプロファイルがないことを特徴とする。グリットブラスト加工されたプロファイルは、市販の表面形状測定器によって測定した場合に、100から500以上の範囲のRa値を有することができる。図9は、両方ともグリットブラスト加工された粗面を有するチャンバの外面及びバレルの外面の一例を示す。チャンバはその外面の一部がグリットブラスト加工されており、バレルはその外面の実質的に全体がグリットブラスト加工されている。バレルの外径面をグリットブラスト加工し、303マイクロインチ(0.0003インチ)のRa及び1804マイクロメートル(0.0018インチ)のRzを有すると測定した。グリットブラスト加工されたプロファイルの他のRa及びRz値を使用することができる。出願人らは、グリットブラスト加工された表面テクスチャを有するチャンバ及びバレルを有するHVOF装置がスケールの蓄積に耐えることができることを首尾よく実証した。グリットブラスト加工された設計は、HVOF装置の動作中のスケールの蓄積に耐えることができる構造的に強化された粗面化機構を付与するために適切に表面粗面化された任意のタイプの外面を含むことができる。
【0026】
従来のHVOFトーチの燃焼室及びバレルの外面は、本発明の原理によって必要とされる必要な表面テクスチャプロファイルがないことを特徴とする「機械加工されたままの」コンポーネントである。そのような仕上げは、約60マイクロインチ以下のRaを有することを特徴とすることができる。
【0027】
別の例では、バレル120の外面121及び/又は燃焼室110の外面109はローレット加工された粗面である。図11は、隆起したプロファイルを有するローレット加工された粗面テクスチャで形成されたその外面の一部を有するチャンバの写真の一例を示す。図11のローレット加工された隆起プロファイルは、その外面に沿って約0.012インチ~0.015インチの範囲の切断深さを有する。以下に説明するように、出願人らは、ローレット加工された表面テクスチャを有するチャンバを有するHVOF装置がスケールの蓄積に耐えることができることを首尾よく実証した。他のローレット加工された隆起プロファイルを本発明によって使用することができる。ローレット加工デザインは、HVOF装置の動作中のスケールの蓄積に耐えることができる構造的に強化された粗面化されたテクスチャを形成するために、外面から延在する任意のタイプの突起を備えることができる。
【0028】
上述の図は、本発明が、溶射トーチの動作中に冷却媒体と直接的又は間接的に接触する溶射コンポーネントの外面上の様々な構造的に強化された粗面化機構を企図することを実証している。本発明の構造的に強化された粗面化機構は、Raと呼ばれる平均表面粗さが84以上、好ましくは150以上、最も好ましくは250以上である。
【0029】
本発明の予想外の利点には、従来の溶射トーチを使用した場合に生成されるものと比較して、より一貫した特性を有するコーティングを生成する能力が含まれる。以下の実施例は、%気孔率、堆積厚さ、微小硬度及び残留応力などの特定のコーティング特性が、本発明の改良及び修正された溶射装置を使用する溶射動作中に比較的一定に維持され得ることを実証する。一実施形態では、改良された溶射装置の動作中に一貫したコーティング特性を生成する方法が提供される。高温エネルギ源又はプルームは、湿潤表面を有する少なくとも1つの溶射コンポーネントを含む改良された溶射装置を用いて生成される。湿潤表面は、それに沿って構造的に強化された粗面化機構を有し、これは改良された溶射装置の動作中に冷却媒体と直接又は間接的に接触する。粉末又はワイヤ供給原料は、改良された溶射装置の入口に導入される。粉末又はワイヤ供給原料は、溶射装置に入り、そこでプルームと接触し、それによって粉末原料を少なくとも実質的に溶融させる。冷却媒体は、それに沿って構造的に強化された粗面化機構を有する湿潤表面に接触するように、改良された溶射装置に導入される。好ましい実施形態では、冷却媒体は水である。水冷回路は、プラント閉ループ冷水システムから供給することができる。実質的に溶融した粒子は、コーティングを生成するために基材上に導かれる。コーティングは、改良された溶射装置の動作中に、構造的に強化された粗面化機構を有する少なくとも1つの溶射コンポーネントを含まない溶射装置で生成されるものよりも小さい変動を示す少なくとも1つのコーティング特性を含む。少なくとも1つのコーティング特性は、気孔率、堆積厚さ、微小硬度及び残留応力を含むことができる。
【0030】
いかなる理論にも束縛されるものではないが、出願人らは、外側湿潤表面に沿った構造的に粗面化された強化された機構が、その上のスケーリングされた堆積物の形成を防止又は実質的に抑制又は低減することを決定した。ファウリングがない場合、コーティング特性は減衰せず、代わりにコーティングプロセス中に比較的一定のままである。更に、構造的に強化された機構は、粉末粒子内の同じ量の熱を維持することができ、これは、外側湿潤表面を横切る熱伝達の量が比較的一定であることを意味する。反対に、いかなる理論にも束縛されるものではないが、機械加工されたままであり、テクスチャ加工されたプロファイルを有しない外側湿潤表面に沿ってファウリングが生じると、冷却媒体から抽出されたスケール及び鉱物の蓄積の結果として、同じコーティング特性が減衰する。これらの所見は、以下に提供される実施例において出願人によって検証される。
【0031】
本発明の更なる予想外の利点には、構造的に強化された粗面化機構を有する溶射コンポーネントの供給源寿命の延長が含まれる。これに関して、以下に説明する実施例のうちの1つは、構造的に強化された粗面化機構が、構造的に強化された粗面化機構を有する外側湿潤表面に沿ってファウリングなしで、且つコンポーネントの内側で高温ガス浸食することなく、40時間の総燃焼時間に耐える能力を実証する。
【0032】
更に、本出願人らは、本発明の利点が、構造的に強化された粗面化機構を付与される単一の溶射コンポーネントを必要とすることを発見した。例えば、燃焼室及びバレルの一方のみが、構造的に強化された粗面化機構を付与された外面を有するHVOF装置は、供給源寿命の延長及び均一なコーティング特性の利点を実現することができる。
【0033】
本発明の好ましい実施形態を上述したが、以下の試験は、本発明を、バレル及び燃焼管のための機械加工されたままの平滑な表面を有する従来の設計と比較するための基礎を提供することを意図している。試験は、本発明を限定するものと解釈されるべきではない。
【0034】
モデル5220HVOF溶射トーチを備えたJP-8000溶射システムを使用して、PST TAFA DivisionサイトでHVOF試験を実施した。図3は、試験前の状態における平滑なバレル及び平滑な管(従来の設計)、並びにリブ付きバレル及びリブ付きチャンバ(本発明)の写真を示す。トーチ冷却水のための水冷回路は、プラント閉ループ冷水システムであった。全ての試験に使用したパラメータは以下の通りであった。
【0035】
制御コンソールフロー:
酸素-2000scfh、
燃料-6.5gph、
キャリア-26scfh、
水-~10.9gpm
【0036】
ガン操作
横断速度-609mm/秒
増分ステップ-4mm
噴霧距離-14.5インチ
【0037】
コーティング材:
粉末タイプ-88重量%WC/12重量%Co
6.3rpmの供給ホイール回転速度を使用した粉末供給速度-75グラム/分
【0038】
全ての試験について一定のパラメータを維持することにより、本発明と従来のガンとの適切な比較を効果的に実行することができた。図1aに示すガン(すなわち、HVOFトーチ)は、以下に説明する全ての試験に使用されたガンを表す。酸素を2000scfhで酸素入口に導いた。燃料を6.5gphで燃料入口に導いた。スパークプラグの電極に電流を送り、それによって燃料を燃焼室内の酸素の存在下で点火させて燃焼させ、燃焼ガスを生成させた。その結果、火炎が発生した。上記の組成を有する炭化タングステンコバルト粉末を、粉末フィーダを介して6.3rpmの回転速度で半径方向に注入して、75グラム/分の粉末を生成した。26scfhの流量のキャリアガスが、粉末フィーダからガンの本体内に粉末を運んだ。燃焼ガスが燃焼室からバレルに向かって移動するとき、粉末粒子は燃焼ガスと接触するように導かれた。燃焼ガスを有する溶融した粒子は、燃焼室からバレル内に下流に流れ、その後、HVOFプルームでバレルの先端から出た。粉末粒子は、基材の表面に向かうにつれて溶融した。特定のコーティング特性の変動を評価するために、試験開始時及び試験終了時に特定のコーティング特性を測定した。
【0039】
試験サンプルにコーティングを塗布するためのガン操作は、ロボットシステムを用いて達成された。ロボットシステムは、上に列挙したパラメータに従って動作するようにプログラムされ、それにより、ガンを基材から14.5インチ離れたスタンドオフ距離に維持することを可能にし、コーティングパスの間、609mm/秒の速度でそれに沿って横断した。コーティングパスが完了すると、ロボットシステムは、ガンを4mmの上方又は下方方向に徐々に動かして、基材上で次のコーティングパスを行うことを可能にした。
【0040】
HVOFガンの温度制御は、約10.9gpmの流量でトーチを通る冷却水の循環を制御して達成した。TAFAプラントからの冷却水を冷却水入口に導入し、図1aに流れ矢印で示すようにトーチに流した。バレル内及び燃焼室内の燃焼生成物からの熱は、冷却水に伝達された。冷却水が矢印で示す方向に冷却通路内を流れ続けると、燃焼室内からの追加の熱が冷却水によって抽出された。
【0041】
各試験運転後のバレル及びチャンバの目視検査を実施して、試験運転中に発生した可能性のあるそれぞれの外径に沿ったスケールの蓄積の程度を決定した。
【0042】
比較例1a(ベースライン条件:平滑な燃焼室及び平滑なバレルを有するHVOFトーチ)
ベースライン試験条件は、標準的なOEM製造の燃焼管及び標準的な製造のガンバレルを備えたモデル5220ガンの構築物から構成された。標準的なOEM製造のコンポーネントは、外径(OD)表面に沿って典型的な「平滑な」機械加工されたままの仕上げ(すなわち、84Ra未満の仕上げ)を有していた。外径面のこのような平滑な特徴は、動作中にガンの冷却水と接触していた。
【0043】
ガンは、溶射皮膜を形成するために上に列挙された手順及びパラメータを使用して、30分をわずかに超える試験期間にわたって操作された。88WC/12Co粉末の溶射皮膜を、運転の開始時(すなわち、運転の約2分後)及び30分の「燃焼」サイクルの終了時に生成した。
【0044】
図4に示すように、バレル及びチャンバを検査のためにガンから取り外した。平滑なバレル及び平滑なチャンバは両方とも、それぞれのOD表面上にスケール蓄積を示した。平滑なバレル及び平滑なチャンバの表面の半分以上は、スケール堆積物で覆われていた。スケールの著しい蓄積は、冷却水が内部熱を抽出する能力を妨げた。これは望ましくない状態であると考えられた。比較的短い試験期間中のかなりの量のスケールの蓄積を考慮して、出願人は、ガンの内面がより高温であり、ある時点で、表面の溶融及び/又は高温ガス浸食の形態で損傷を受けやすいと予想した。
【0045】
比較例1b(HVOFトーチからのコーティング特性の変動)
比較例1aで生成した溶射皮膜を評価用に調製した。全てのコーティング試験サンプルをエポキシキャスタブルマウントに取り付け、半自動研磨機を使用して研磨した。全てのサンプルを同じ設定で研磨した。
【0046】
コーティング特性の結果は、30分の試験サイクルの後、スプレプルーム内の粉末粒子に付与された熱増加がおそらくあったことを示した。以下の表1は、測定されたコーティング特性の変動をまとめたものである。観察された気孔率、硬度、及び残留応力の減少は、冷却水への熱伝達の低減のために火炎内に保持される熱が多いことの指標である。堆積厚さの減少も、運転の開始から運転の終了まで認められた。この可能性のある熱増加の観察された原因は、燃焼室及びバレルの外面のウォータージャケット側のスケーリング汚染物質蓄積(ファウリング)であると考えられた。これは望ましくない状態であると考えられた。
【0047】
【表1】
【0048】
実施例1a(平滑な燃焼室及びリブ付きバレルを有する本発明のHVOFトーチ)
この試験条件では、冷却水と接触しているOD表面に「リブ付き」特徴を有するバレルをガンに取り付けた。この試験に使用した平滑なチャンバは、比較例1aに以前使用したものと同じ平滑な表面チャンバであった。ガンを30分間運転し、冶金試験サンプルを比較例1aに記載されているようにコーティングした。30分間の試験後、図5に示すように、リブ付きバレル及び平滑なチャンバを検査のためにガンから取り外した。リブ付きバレルはスケールの蓄積を示さなかった。リブ付き仕上げバレルは、スケールの蓄積がないことがわかったが、これは望ましい条件であった。
【0049】
実施例1b(本発明のHVOFトーチからのコーティング特性の変動)
実施例1aで生成された溶射皮膜を評価のために調製した。全てのコーティング試験サンプルをエポキシキャスタブルマウントに取り付け、半自動研磨機を使用して研磨した。全てのサンプルを同じ設定で研磨した。
【0050】
表2に示すように、実施例1bのサンプルの試験結果値は、試験期間を通して実質的に同じであった。この試験条件のコーティング特性の結果は、比較例1bで観察されたものよりも、30分間サイクルコーティングされた試験サンプルの開始と終了との間の偏差がはるかに少なかった。特に、試験の開始から終了までの気孔率の変動はわずか11%減少したが、比較例1bの開始から終了までの気孔率の変動は58%減少した。試験開始から終了までの堆積変動は0.7%しか減少しなかったが、比較例1bでは試験開始から終了までの堆積変動は4.2%減少した。試験開始から終了までの微小硬度の変動は2.5%減少したが、比較例1bでは試験開始から終了までの微小硬度の変動は4.2%減少した。試験開始から終了までの残留応力変動は0%減少したが、比較例1bでは試験開始から終了までの残留応力変動は5.4%減少した。性能結果は、従来のHVOFトーチ設計によって生成されたコーティングよりも大幅に改善された。
【0051】
図5に示すようなスケールの蓄積の減少に加えて、表2は、30分間の持続時間中、粉末及びスプレプルームへの熱伝達がリブ付きバレルの使用によって比較的一貫しており、影響を受けなかったことを更に検証する。試験は更に、表面が粗面化された強化された機構(例えば、OD表面に沿ったリブ付き機構)を有する単一の溶射コンポーネントのみを有することが、スケールの蓄積の低減又は排除及び均一なコーティング特性の生成に関して優れた改善をもたらすことができることを実証している。
【0052】
【表2】
【0053】
実施例2a(リブ付き燃焼室及び平滑なバレルを有する本発明のHVOFトーチ)
この試験条件では、冷却水と接触するOD表面にリブ付き機構を有する燃焼室をガンに設置した。この試験条件に使用したバレルは、冷却水と接触するOD上に平滑な表面を有する標準製造バレルであった。
【0054】
ガンを30分間運転し、冶金試験サンプルを実施例2bに以下に記載されるようにコーティングした。30分間の試験後、図6に示すように、平滑なバレル及びリブ付きチャンバを検査のためにガンから取り外した。
【0055】
リブ付きチャンバはスケールの蓄積を示さず、これは好ましい条件であった。平滑な表面仕上げバレルは、OD表面上にかなりのスケール蓄積を示し、これは好ましくない結果であった。
【0056】
実施例2b(本発明のHVOFトーチからのコーティング特性の変動)
実施例2aで生成された溶射皮膜を評価のために調製した。全てのコーティング試験サンプルをエポキシキャスタブルマウントに取り付け、半自動研磨機を使用して研磨した。全てのサンプルを同じ設定で研磨した。
【0057】
実施例2bのサンプルの試験結果値は、以下の表3に示すように、試験期間を通して実質的に同じであった。この試験条件のコーティング特性の結果は、比較例1bで観察されたものよりも、30分間サイクルコーティングされた試験サンプルの開始と終了との間の偏差がはるかに少なかった。特に、試験の開始から終了までの気孔率の変動はわずか8.8%減少したが、比較例1bの開始から終了までの気孔率の変動は58%減少した。試験開始から終了までの堆積変動は1.7%しか減少しなかったが、比較例1bでは試験開始から終了までの堆積変動は4.2%減少した。試験開始から終了までの微小硬度の変動は1.1%減少したが、比較例1bでは試験開始から終了までの微小硬度の変動は4.2%減少した。試験開始から終了までの残留応力変動は4.7%減少したが、比較例1bでは試験開始から終了までの残留応力変動は5.4%減少した。性能結果は、従来のHVOFトーチ設計によって生成されたコーティングよりも大幅に改善された。
【0058】
図6に示すようなチャンバ上のスケールの蓄積の減少に加えて、表3は、30分間にわたって、粉末及びスプレプルームへの熱伝達がリブ付きチャンバの使用によって比較的一貫しており、影響を受けなかったことを更に検証する。試験は更に、表面が粗面化された強化された機構(例えば、OD表面に沿ったリブ付き機構)を有する単一の溶射コンポーネントのみを有することが、スケールの蓄積の低減又は排除及び均一なコーティング特性の生成に関して優れた改善をもたらすことができることを実証している。
【0059】
【表3】
【0060】
実施例3a(リブ付き燃焼室及びリブ付きバレルを有する本発明のHVOFトーチ)
この試験条件では、冷却水と接触するOD表面にリブ付き機構を有するチャンバをガンに設置した。この試験のリブ付きチャンバは、実施例2aで使用したものと同じであった。この試験条件に使用したバレルは、冷却水と接触するOD上に平滑な表面を有するリブ付きバレルであった。
【0061】
ガンを30分間運転し、冶金試験サンプルを実施例3bに以下に記載されるようにコーティングした。30分間の試験後、図7に示すように、リブ付きバレル及びリブ付きチャンバを検査のためにガンから取り外した。リブ付きチャンバ及びリブ付きバレルはスケールの蓄積を示さず、これは好ましい条件であった。
【0062】
実施例3b(本発明のHVOFトーチからのコーティング特性の変動)
実施例3aで生成された溶射皮膜を評価のために調製した。全てのコーティング試験サンプルをエポキシキャスタブルマウントに取り付け、半自動研磨機を使用して研磨した。全てのサンプルを同じ設定で研磨した。
【0063】
実施例3bのサンプルの試験結果値は、以下の表4に示すように、試験期間を通して実質的に同じであった。この試験条件のコーティング特性の結果は、比較例1bで観察されたものよりも、30分間サイクルコーティングされた試験サンプルの開始と終了との間の偏差がはるかに少なかった。特に、試験の開始から終了までの気孔率の変動は34%増加したが、比較例1bの開始から終了までの気孔率の変動は58%減少した。試験開始から終了までの堆積変動は0.8%しか減少しなかったが、比較例1bでは試験開始から終了までの堆積変動は4.2%減少した。試験開始から終了までの微小硬度の変動は1.4%減少したが、比較例1bでは試験開始から終了までの微小硬度の変動は4.2%減少した。試験開始から終了までの残留応力変動は8.6%増加したが、比較例1bでは試験開始から終了までの残留応力変動は5.4%減少した。より高い残留応力変動を除いて、性能結果は、従来のHVOFトーチ設計によって生成されたコーティングよりも大幅に改善された。
【0064】
【表4】
【0065】
比較例2(ベースライン条件:平滑なアノードを有するプラズマトーチ)
モデルSG100、2086A延長プラズマスプレートーチを備えたモデル7700UPCシステムを使用して、PST TAFA部門の現場でプラズマ試験を実施した。従来のプラズマスプレートーチは、その外径に沿って平滑な機械加工されたままの表面仕上げを使用し、32Ra未満の表面仕上げを有していた。修正されたプラズマスプレートーチは、アノードの外径に沿ったリブ付き機構を使用した。
【0066】
トーチ冷却水のための水冷回路は、プラント閉ループ冷水システムであった。全ての試験に使用したパラメータは以下の通りであった。
【0067】
制御コンソールフロー:
一次ガス-アルゴン:150scfh
二次ガス-水素:3scfh
キャリアガス-アルゴン:NA(粉末供給を使用しない)
水:5.4gpm
【0068】
動作エネルギ:
アンペア数500
電圧54
【0069】
ガン操作:
冶金サンプルは生成されなかった。ガンを固定試験スタンド内に保持した。
【0070】
全ての試験について一定のパラメータを維持することにより、本発明と従来のガンとの適切な比較を効果的に実行することができた。
【0071】
従来のプラズマトーチの運転時には、正極リードと負極リードとの間に電位を発生させ、両者の間を橋渡しするアークを発生させた。プラズマトーチには粉末を注入しなかった。むしろ、プラズマトーチを固定試験スタンドに保持した。
【0072】
ガンを、上に列挙したパラメータを使用して30分未満の間運転した。試験サイクルが完了したら、目視検査のために平滑なアノードをガンから取り外した。
【0073】
平滑なアノードは、図8に示すように、その平滑な表面の外径にスケール蓄積を有することが分かった。外面の半分以上がスケールの蓄積で覆われていた。これは望ましくない状態であると考えられた。
【0074】
実施例4(リブ付きアノードを有する本発明のプラズマトーチ)
比較例2で使用されたプラズマトーチ内の平滑アノードを、その外径の外面に沿ってリブ付き機構を有するアノードと置き換えた。比較例2に記載したのと同じパラメータ設定を使用して、30分をわずかに超える間、ガンを運転した。プラズマトーチには粉末を注入しなかった。むしろ、プラズマトーチを固定試験スタンドに保持した。図8は、リブ付きアノードがその外面に沿ってスケールの蓄積を形成しなかったことを示しており、これは望ましい条件であった。
【0075】
実施例5(グリットブラスト加工された燃焼室及びグリットブラスト加工されたバレルを有する本発明のHVOFトーチ)
代替的な構造的に強化された粗面化機構を有するHVOFトーチを試験した。具体的には、燃焼室及びバレルの外径の両面は、グリットブラスト加工されたプロファイルを有していた。図9は、試験前のチャンバ及びバレルの写真を示す。バレルの外径面を酸化アルミニウム研磨剤でグリットブラスト加工して形成した。チャンバの外径の一部を酸化アルミニウム研磨剤でグリットブラスト加工した。グリットブラスト加工された表面プロファイルは、303マイクロインチ(0.0003インチ)のRa及び1804マイクロメートル(0.0018インチ)のRzを有すると測定された。
試験条件は、グリットブラスト加工されたチャンバ及びグリットブラスト加工されたバレルを備えたモデル5220ガンの構築物の使用から構成された。試験に使用した溶射システム/装置は、モデル5220HVOF溶射ガンを備えたJP-8000システムであった。使用されたガン冷却水のための水冷回路は、プラント閉ループ冷水システムであった。
【0076】
トーチに使用したパラメータは以下の通りであった。
【0077】
制御コンソールフロー:
酸素-2000scfh、
燃料-6.5gph、
キャリア-26scfh、
水-~10.9gpm
【0078】
試験は、PST TAFA Divisionサイトで実施された。上に列挙したパラメータを使用して、30分をわずかに超える間ガンを運転した。この評価では、冶金コーティングサンプルは生成されなかった。試験終了後、目視検査のためにバレルとチャンバをガンから取り外した。バレル及びチャンバは、グリットブラスト加工されたそれぞれの外径面にスケール堆積物を有さないことが観察された。これらの試験結果は、グリットブラスト加工された表面プロファイルがリブ付き表面機構と実質的に同等に機能することを実証した。これを望ましい/陽性状態と見なした。
【0079】
実施例6(リブ付きバレル及び平滑なチャンバを有する本発明のHVOFトーチを用いた長時間試験)
この特定の長時間試験前の試験は、45分サイクル以下に制限されていた。従って、前述のHVOF発明トーチを使用した長時間試験を実施して、長期間の使用期間中のスケール堆積物(ファウリング)の蓄積について評価した。40時間の火炎時間試験を実施した。チャンバは、標準的な機械加工されたままのOEM製造の燃焼管であった。バレルは、前述のように、その外径の表面に沿ってリブ付き機構を有していた。
【0080】
試験条件は、平滑な機械加工されたままのチャンバ及びリブ付きバレルを備えたモデル5220ガンの構築物の使用から構成された。試験に使用した溶射システム/装置は、モデル5220HVOF溶射ガンを備えたJP-8000システムであった。使用されたガン冷却水のための水冷回路は、プラント閉ループ冷水システムであった。
【0081】
トーチに使用したパラメータは以下の通りであった。
【0082】
制御コンソールフロー:
酸素-2100scfh、
燃料-6.87gph、
キャリア-26scfh、
水-~11.1gpm
【0083】
試験は、PST TAFA Divisionサイトで実施された。40時間試験を8日間にわたって行った。典型的なエンドユーザの操作をシミュレートするために、トーチを、燃焼にした状態で15分間実行し、次いで5分間オフにした。これを40時間の累積に達するまで繰り返した。燃焼時間が40時間に達した後、燃焼管及びリブ付きバレルをトーチから取り外した。結果は、図10に示される。予想通り、燃焼管はかなり著しいスケーリングの蓄積を有していた。しかしながら、リブ付きバレルは、いかなるファウリングもないことが分かり、本発明のリブ付き機構が、長い動作条件にわたってスケール蓄積物の蓄積からコンポーネント表面を保護したことを確認した。
【0084】
実施例7(ローレット加工された燃焼室及び平滑なバレルを有する本発明のHVOFトーチ)
代替的な構造的に強化された粗面化機構を有するHVOFトーチを試験した。具体的には、図11に示すように、「ローレット加工された」表面を追加してチャンバの外径の一部を機械加工した。ローレット隆起プロファイルは、約0.012インチ~0.015インチと測定された切断深さを有していた。バレルは、図11に示すように、その外径に沿って平滑な機械加工されたままの表面であった。
【0085】
試験パラメータ及び試験装置の残りの部分は、実施例5で使用したものと同じであった。冶金コーティングサンプルは生成されなかった。HVOFトーチは、燃焼持続時間が60分となるように操作した。60分後、チャンバを検査した。図11は、チャンバ及びバレルの写真を示す。チャンバはスケールの蓄積を示さず、これは陽性状態であった。平滑なバレルは、その外径面上にスケールが蓄積されていた。
【0086】
本発明の特定の実施形態と見なされるものを示し、説明してきたが、当然ながら、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、形態又は詳細の様々な修正及び変更を容易に行うことができることが理解されるであろう。したがって、本発明は、本明細書において示され、説明される正確な形態及び詳細に限定されず、本明細書において開示され、以下に特許請求される本発明の全範囲に満たない、いかなるものにも限定されないことを意図する。
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【国際調査報告】