(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-09
(54)【発明の名称】エラストマーにおける炭素生成物性能を増強する方法
(51)【国際特許分類】
C08L 21/00 20060101AFI20241226BHJP
C08K 3/04 20060101ALI20241226BHJP
C08K 3/013 20180101ALI20241226BHJP
【FI】
C08L21/00
C08K3/04
C08K3/013
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024537109
(86)(22)【出願日】2022-12-20
(85)【翻訳文提出日】2024-08-16
(86)【国際出願番号】 US2022082012
(87)【国際公開番号】W WO2023122582
(87)【国際公開日】2023-06-29
(32)【優先日】2021-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521529592
【氏名又は名称】ビヨンド ロータス リミテッド ライアビリティ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100146466
【氏名又は名称】高橋 正俊
(74)【代理人】
【識別番号】100202418
【氏名又は名称】河原 肇
(72)【発明者】
【氏名】フレドリック エイチ.ルンプフ
(72)【発明者】
【氏名】マイケル ディー.モーリス
(72)【発明者】
【氏名】ジンチェン ション
(72)【発明者】
【氏名】マイケル ボーリュー
(72)【発明者】
【氏名】マイケル チャン
【テーマコード(参考)】
4J002
【Fターム(参考)】
4J002AC011
4J002AC01W
4J002AC031
4J002AC03W
4J002AC061
4J002AC06W
4J002AC071
4J002AC07W
4J002AC081
4J002AC08W
4J002AC091
4J002AC09W
4J002BB151
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4J002BD121
4J002BD12W
4J002BG041
4J002BG04W
4J002DA036
4J002FB016
4J002FB026
4J002FD016
4J002GN01
(57)【要約】
微粒子炭素を処理する方法は、熱分解炭素を、1~35重量%の固形分を有する初期スラリーを形成するために、水と組み合わせて混合物を形成すること、及び熱分解炭素を粉砕して、湿潤粉砕再生炭素と水とを含む粉砕スラリーを形成することを含み;走査型電子顕微鏡検査を介して測定される湿潤粉砕再生炭素の体積加重粒度分布は、2700nm以下のD50及び5ミクロン超の粒径を有する15%以下の粒子の1つ以上を有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
微粒子炭素を処理する方法であって:
熱分解炭素を水と組み合わせて、混合物を形成し、1~35重量%の固形分を有する初期スラリーを形成すること;並びに
前記熱分解炭素を粉砕して、湿潤粉砕再生炭素及び水を含む粉砕スラリーを形成することを含み;走査型電子顕微鏡検査を介して測定される前記湿潤粉砕再生炭素の体積加重粒度分布は、2700nm以下のD50及び5ミクロン超の粒径を有する15%以下の粒子の1つ以上を有する、方法。
【請求項2】
D50は、1000nm~2700nm、例えば、1200nm~2500nmである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
D75は、2500nm~3300nm、例えば1700nm~3000nmである、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記湿潤粉砕再生炭素粒子の3%~10%は、5ミクロン超の粒径を有する、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記湿潤粉砕再生炭素粒子の65%以下、例えば、25~60%は、2ミクロン超の粒径を有する、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記初期スラリーから、肉眼で見える混入物を除去することをさらに含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記初期スラリーは、最大で25重量%の固形分を有する、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記組み合わせることは、少なくとも1つの補助充填剤を前記水と組み合わせて、前記初期スラリーを形成することをさらに含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記補助充填剤は、カーボンブラック、ケイ素処理カーボンブラック、シリカ被覆カーボンブラック、沈降シリカ、水熱炭素、人工多糖類、グラフェン、酸化グラフェン、還元型酸化グラフェン、ナノセルロース、リグニン、クレイ、ナノクレイ、金属酸化物、金属炭酸塩、単層カーボンナノチューブ、多層カーボンナノチューブ、カーボンナノ構造体、カーボンブラック被覆粒子、及びこれらの2種以上の混合物からなる群から選択される、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記粉砕することは、カッターミキサー、ボールミル、メディアミル、ホモジナイザー、アトライター、水平ビーズミル、ローターステーターミル、及びコロイドミルから選択される少なくとも1種の装置を用いて実施される、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
カーボンブラック、ケイ素処理カーボンブラック、シリカ被覆カーボンブラック、カーボンブラック被覆粒子、及び沈降シリカから選択される少なくとも1種の追加の充填剤を前記粉砕スラリーに添加して、前記得られる湿潤ブレンド炭素混合物の固形分を25~70重量%にすることをさらに含む、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記添加することは、前記少なくとも1種の追加の充填剤を含む水性スラリーを添加することを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記湿潤ブレンド炭素混合物を高密度化することをさらに含む、請求項11又は12に記載の方法
【請求項14】
前記高密度化することは、前記湿潤ブレンド炭素混合物をペレット化して、ペレットを形成すること、又は前記湿潤ブレンド炭素混合物を噴霧乾燥することを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記ペレットを乾燥することをさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記水は水の連続流であり;
前記粉砕スラリーは、前記粉砕スラリーの連続流であり;
前記組み合わせることは、前記熱分解炭素を前記水の連続流に計量することを含む;
請求項1~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記組み合わせることは、少なくとも1種の補助充填剤を前記水の連続流中に計量することをさらに含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記補助充填剤は、カーボンブラック、ケイ素処理カーボンブラック、シリカ被覆カーボンブラック、沈降シリカ、水熱炭素、人工多糖類、グラフェン、酸化グラフェン、還元型酸化グラフェン、ナノセルロース、リグニン、クレイ、ナノクレイ、金属酸化物、金属炭酸塩、単層カーボンナノチューブ、多層カーボンナノチューブ、カーボンナノ構造体、カーボンブラック被覆粒子、及びこれらの2種以上の混合物からなる群から選択される、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
カーボンブラック、ケイ素処理カーボンブラック、シリカ被覆カーボンブラック、カーボンブラック被覆粒子、及び沈降シリカから選択される少なくとも1種の追加の充填剤を、前記粉砕スラリーの前記連続流中に計量して、前記湿潤ブレンド炭素混合物の得られる連続流の固形分を25~70重量%にすることをさらに含む、請求項16~18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記計量することは、前記追加の充填剤の水性スラリーを、前記粉砕スラリーの前記連続流に計量することを含む、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記湿潤ブレンド炭素混合物を造粒することをさらに含む、請求項16~20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記造粒することは、前記湿潤ブレンド炭素混合物をペレット化してペレットを形成すること、又は前記湿潤ブレンド炭素混合物を噴霧乾燥することを含む、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記ペレットを、乾燥することをさらに含む、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記粉砕スラリー中の前記固形分を、造粒することをさらに含む、請求項1~23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
前記造粒することは、前記粉砕スラリーを噴霧乾燥すること、又は前記粉砕スラリー中の前記固形分をペレット化することを含む、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
請求項1~25のいずれか一項に記載の方法によって製造されるペレット。
【請求項27】
少なくとも10重量%(乾燥基準)の再生炭素を含む微粒子充填剤であって、走査型電子顕微鏡検査を介して測定される前記再生炭素の体積加重粒度分布は、2700nm以下のD50及び5ミクロン超の粒径を有する15%以下の粒子の1つ以上を有する、微粒子充填剤。
【請求項28】
D50は、1000nm~2700nm、例えば1200nm~2500nmである、請求項27に記載の微粒子充填剤。
【請求項29】
D75は、2500nm~3300nm、例えば1700nm~3000nmである、請求項27又は28に記載の微粒子充填剤。
【請求項30】
前記再生炭素粒子の3%~10%は、5ミクロン超の粒径を有する、請求項27~29のいずれか一項に記載の微粒子充填剤。
【請求項31】
前記再生炭素粒子の65%以下、例えば、25~60%は、2ミクロン超の粒径を有する、請求項27~30のいずれか一項に記載の微粒子充填剤。
【請求項32】
前記微粒子充填剤は、10~100重量%、10~90重量%、15~80重量%、20~60重量%、又は30~50重量%の再生炭素を含む、請求項27~31のいずれか一項に記載の微粒子充填剤。
【請求項33】
カーボンブラック、ケイ素処理カーボンブラック、シリカ被覆カーボンブラック、沈降シリカ、水熱炭素、人工多糖類、グラフェン、酸化グラフェン、還元型酸化グラフェン、ナノセルロース、リグニン、クレイ、ナノクレイ、金属酸化物、金属炭酸塩、単層カーボンナノチューブ、多層カーボンナノチューブ、カーボンナノ構造体及びカーボンブラック被覆粒子から選択される1種以上の補助充填剤をさらに含む、請求項27~32のいずれか一項に記載の微粒子充填剤。
【請求項34】
前記微粒子充填剤は、15~80重量%、例えば40~60重量%の水分含有量を有する、請求項27~33のいずれか一項に記載の微粒子充填剤。
【請求項35】
微粒子充填剤はペレットの形態である、請求項27~34のいずれか一項に記載の微粒子充填剤。
【請求項36】
前記ペレットは、15~80重量%、例えば40~60重量%の水分含有量を有する、請求項33に記載の微粒子充填剤。
【請求項37】
前記ペレットは、3%以下の水を含む、請求項34に記載の微粒子充填剤。
【請求項38】
前記ペレットは、前記微粒子充填剤、任意の水、及び任意の結合剤から実質的になる、請求項35~37のいずれか一項に記載の微粒子充填剤。
【請求項39】
ペレットであって、請求項27~38のいずれか一項に記載の微粒子充填剤を含み、カーボンブラック、ケイ素処理カーボンブラック、シリカ被覆カーボンブラック、カーボンブラック被覆粒子、及び沈降シリカから選択される少なくとも1種の追加の充填剤をさらに含む、ペレット。
【請求項40】
前記再生炭素は、湿潤粉砕再生炭素である、請求項27~39のいずれか一項に記載の微粒子充填剤。
【請求項41】
エラストマー及び30~90phrの微粒子充填剤の混合物を含むエラストマー複合体であって、前記微粒子充填剤は、走査型電子顕微鏡検査によって測定される、2700nm以下のD50(体積加重)及び5ミクロン超の粒径を有する15%(体積加重)以下の粒子の1つ以上を有する、少なくとも10重量%の再生炭素を含む、エラストマー複合体。
【請求項42】
前記微粒子充填剤は、10~100重量%、10~90重量%、15~80重量%、20~60重量%、又は30~50重量%の再生炭素を含む、請求項41に記載のエラストマー複合体。
【請求項43】
D50は、1000nm~2700nm、例えば、1200nm~2500nmである、請求項41又は42に記載のエラストマー複合体。
【請求項44】
D75は、2500nm~3300nm、例えば、1700nm~3000nmである、請求項41~43のいずれか一項に記載のエラストマー複合体。
【請求項45】
前記再生炭素粒子の3%~10%は、5ミクロン超の粒径を有する、請求項41~44のいずれか一項に記載のエラストマー複合体。
【請求項46】
前記再生粒子の65%以下、例えば、25~60%は、2ミクロン超の粒径を有する、請求項41~45のいずれか一項に記載の微粒子充填剤。
【請求項47】
前記微粒子充填剤は、30~70phr、例えば35~60phr又は40~55phrの量で存在する、請求項41~46のいずれか一項に記載のエラストマー複合体。
【請求項48】
前記エラストマー複合体は、最大で0.03x+4.4のマクロ分散を示し、前記xは、前記微粒子充填剤中の再生炭素の割合であり、前記マクロ分散は、反射モードにおける光学顕微鏡検査によって決定される5μm超の未分散充填剤粒子の面積割合である、請求項41~47のいずれか一項に記載のエラストマー複合体。
【請求項49】
前記エラストマー複合体は、0.03x~0.03x+4.4のマクロ分散を示し、前記xは、前記微粒子充填剤中の再生炭素の割合であり、前記マクロ分散は、反射モードにおける光学顕微鏡検査によって決定される5μm超の未分散充填剤粒子の面積割合である、請求項41~48のいずれか一項に記載のエラストマー複合体。
【請求項50】
前記微粒子充填剤は、カーボンブラック、ケイ素処理カーボンブラック、シリカ被覆カーボンブラック、沈降シリカ、水熱炭素、人工多糖類、グラフェン、酸化グラフェン、還元型酸化グラフェン、ナノセルロース、リグニン、クレイ、ナノクレイ、金属酸化物、金属炭酸塩、単層カーボンナノチューブ、多層カーボンナノチューブ、カーボンナノ構造体、及びカーボンブラック被覆粒子の1種以上をさらに含む、請求項41~49のいずれか一項に記載のエラストマー複合体。
【請求項51】
前記微粒子充填剤は、再生炭素及びカーボンブラックであり、前記エラストマー複合体が、最大で1.9ln(x)+1.2のマクロ分散を示し、前記xは、前記微粒子充填剤中の再生炭素の割合であり、前記マクロ分散は、反射モードにおける光学顕微鏡検査によって決定される5μm超の未分散充填剤粒子の面積割合である、請求項41~50のいずれか一項に記載のエラストマー複合体。
【請求項52】
前記微粒子充填剤は、再生炭素及びカーボンブラックであり、前記エラストマー複合体が、1.9ln(x)-3.2~1.9ln(x)+0.2のマクロ分散を示し、前記xは、前記微粒子充填剤中の再生炭素の割合であり、前記マクロ分散は、反射モードにおける光学顕微鏡検査によって決定される5μm超の未分散充填剤粒子の面積割合である、請求項41~51に記載のエラストマー複合体。
【請求項53】
前記エラストマーは、天然ゴム、官能化天然ゴム、スチレン-ブタジエンゴム、官能化スチレン-ブタジエンゴム、ポリブタジエンゴム、官能化ポリブタジエンゴム、ポリイソプレンゴム、エチレン-プロピレンコポリマー、イソブチレン系ゴム、ポリクロロプレンゴム、ニトリルゴム、水素化ニトリルゴム、多硫化ゴム、ポリアクリレートエラストマー、フルオロエラストマー、パーフルオロエラストマー、及びそれらのブレンドから選択される、請求項41~52のいずれか一項に記載のエラストマー複合体。
【請求項54】
前記再生炭素は、湿潤粉砕再生炭素である、請求項41~53のいずれか一項に記載のエラストマー複合体。
【請求項55】
前記エラストマー複合体は、加硫エラストマー複合体である、請求項41~54のいずれか一項に記載のエラストマー複合体。
【請求項56】
タイヤトレッドであって、請求項41~54のいずれか一項に記載のエラストマー複合体及び硬化剤パッケージを含む混合物の加硫物を含む、タイヤトレッド。
【請求項57】
物品であって、請求項41~54のいずれか一項に記載のエラストマー複合体及び硬化剤パッケージを含む混合物の加硫物を含む、物品。
【請求項58】
前記物品は、空気入りタイヤ、非空気入りタイヤ、又はソリッドタイヤに組み込まれる、請求項57に記載の物品。
【請求項59】
前記物品は、タイヤトレッド、アンダートレッド、インナーライナー、側壁、側壁インサート、ワイヤスキム、及び再生タイヤのためのクッションガムから選択される、請求項57又は58に記載の物品。
【請求項60】
前記物品は、ホース、ライニング、ライナー、シール、ガスケット、防振物品、トラック、トラック推進車両装置用トラックパッド、エンジンマウント、地震安定化装置、採掘装置用スクリーン、採掘装置用ライニング、コンベヤベルト、シュートライナー、スラリーポンプライナー、泥水ポンプ羽根車、バルブシート、バルブ本体、ピストンハブ、ピストンロッド、プランジャー、スラリー混合用羽根車及びスラリーポンプ羽根車、粉砕機ライナー、サイクロン及び液体サイクロン、伸縮継手、船舶機器用の浚渫ポンプ及び船外機ポンプ用ライニング、船舶、オイル、宇宙空間、及び他の用途向けのシャフトシール、プロペラシャフト、パイプライニング、エンジンマウント、ブッシング、目詰め材、風防用ワイパー、自動車部品、シール、ガスケット、ハウジング、ホイール素子、並びにトラック素子から選択される、請求項57に記載の物品。
【請求項61】
請求項41~54のいずれか一項に記載のエラストマー複合体及び硬化剤パッケージを含む混合物の加硫物であって、前記加硫物が、前記再生炭素の代わりにASTM N550カーボンブラックを有する以外は、同じプロセス及び同じ組成を介して生成された加硫物と同等又は少なくとも90%の疲労特性を有する、混合物の加硫物。
【請求項62】
請求項41~54のいずれか一項に記載のエラストマー複合体及び硬化剤パッケージを含む混合物の加硫物であって、前記加硫物が、最大で0.03x+4.4のマクロ分散を示し、前記xは、前記微粒子充填剤中の再生炭素の割合であり、前記マクロ分散は、反射モードにおける光学顕微鏡検査によって決定される5μm超の未分散充填剤粒子の面積割合である、混合物の加硫物。
【請求項63】
請求項41~54のいずれか一項に記載のエラストマー複合体及び硬化剤パッケージを含む混合物の加硫物であって、前記加硫物が、0.03x~0.03x+4.4のマクロ分散を示し、前記xは、前記微粒子充填剤中の再生炭素の割合であり、前記マクロ分散は、反射モードにおける光学顕微鏡検査によって決定される5μm超の未分散充填剤粒子の面積割合である、混合物の加硫物。
【請求項64】
請求項41~54のいずれか一項に記載のエラストマー複合体及び硬化剤パッケージを含む混合物の加硫物であって、前記微粒子充填剤が、再生炭素及びカーボンブラックであり、前記加硫物が、最大で1.9ln(x)+0.2のマクロ分散を示し、前記xは、前記微粒子充填剤中の再生炭素の割合であり、前記マクロ分散は、反射モードにおける光学顕微鏡検査によって決定される5μm超の未分散充填剤粒子の面積割合である、混合物の加硫物。
【請求項65】
請求項41~54のいずれか一項に記載のエラストマー複合体及び硬化剤パッケージを含む混合物の加硫物であって、前記微粒子充填剤が、再生炭素及びカーボンブラックであり、前記エラストマー複合体が、1.9ln(x)-3.2~1.9ln(x)+0.2のマクロ分散を示し、前記xは、前記微粒子充填剤中の再生炭素の割合であり、前記マクロ分散は、反射モードにおける光学顕微鏡検査によって決定される5μm超の未分散充填剤粒子の面積割合である、混合物の加硫物。
【請求項66】
エラストマー及び30~90phrの微粒子充填剤の混合物を含むエラストマー複合体であって、前記微粒子充填剤が少なくとも10重量%の再生炭素を含み、前記エラストマー複合体が、最大で0.03x+4.4のマクロ分散を示し、前記xは、前記微粒子充填剤中の再生炭素の割合であり、前記マクロ分散は、反射モードにおける光学顕微鏡検査によって決定される5μm超の未分散充填剤粒子の面積割合である、エラストマー複合体。
【請求項67】
前記エラストマー複合体は、0.03x~0.03x+4.4のマクロ分散を示し、前記xは、前記微粒子充填剤中の再生炭素の割合であり、前記マクロ分散は、反射モードにおける光学顕微鏡検査によって決定される5μm超の未分散充填剤粒子の面積割合である、請求項66に記載のエラストマー複合体。
【請求項68】
エラストマー及び30~90phrの微粒子充填剤の混合物を含むエラストマー複合体であって、前記微粒子充填剤が、残部の前記カーボンブラックと共に少なくとも10重量%の再生炭素を含み、前記エラストマー複合体が、最大で1.9ln(x)+1.2のマクロ分散を示し、前記xは、前記微粒子充填剤中の再生炭素の割合であり、前記マクロ分散は、反射モードにおける光学顕微鏡検査によって決定される5μm超の未分散充填剤粒子の面積割合である、エラストマー複合体。
【請求項69】
前記エラストマー複合体が、1.9ln(x)-3.2~1.9ln(x)+0.2のマクロ分散を示し、前記xは、前記微粒子充填剤中の再生炭素の割合であり、前記マクロ分散は、反射モードにおける光学顕微鏡検査によって決定される5μm超の未分散充填剤粒子の面積割合である、請求項68に記載のエラストマー複合体。
【請求項70】
前記エラストマー複合体は、加硫される、請求項66~69のいずれか一項に記載のエラストマー複合体。
【請求項71】
前記再生炭素は、湿潤粉砕再生炭素である、請求項66~70のいずれか一項に記載のエラストマー複合体。
【請求項72】
前記再生炭素は、走査型電子顕微鏡検査によって測定される、2700nm以下のD50(体積加重)及び5ミクロン超の粒径を有する15%(体積加重)以下の粒子の1つ以上を有する、請求項66~71のいずれか一項に記載のエラストマー複合体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、再生カーボンブラックの改善された処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
頻繁に、使用済み自動車用タイヤは処理され、遊具からコンクリートまで幅広い最終用途において再利用される。しかし、新しいタイヤを製造するために必要とされる、新しい材料の量を低減するために、タイヤの成分をリサイクルして、初回使用材料と組み合わせることができる材料を得ることが望ましい。タイヤは、熱分解、すなわち、酸素の非存在下において加熱を介して処理され、エラストマーをより低分子量の炭化水素に変換し、炭素質粉末を回収することができる。しかしながら、得られる粉末は、ゴム補強剤としてのカーボンブラックと等価ではない。カーボンブラックと組み合わせても、劣った疲労性能及び他の機械的特性をもたらす。したがって、廃タイヤの環境影響を低減するために、タイヤ及び他の供給源から熱分解によって回収される微粒子炭素の性能を改善することが望ましい。
【発明の概要】
【0003】
本明細書で使用される場合、「チャー」は、ゴム製品の熱分解から生じる固形材料を意味する。
【0004】
本明細書で使用される場合、「乾燥粉砕再生炭素」は、肉眼で見える混入物を実質的に含まず、水を使用せずに粉砕されていて、任意にペレット化された熱分解炭素である。
【0005】
本明細書で使用される場合、「カーボンブラック」は、強凝集体(aggregates)及び弱凝集体(agglomerates)に合体された、炭化水素の部分燃焼又は熱分解によって得られる炭素元素の炭素含有粒子を意味する。
【0006】
本明細書で使用される場合、「原料再生炭素」は、カーボンブラックを含むがこれに限定されない炭素質微粒子充填剤を任意の量で含有するゴム製品の熱分解から生じる固形材料である。
【0007】
本明細書で使用される場合、「加工再生炭素」は、布帛又はワイヤのような少なくとも1種の肉眼で見える混入物を除去するために処理されている原料再生炭素を意味する。
【0008】
本明細書で使用される場合、「熱分解炭素」は、チャー、原料再生炭素、加工再生炭素、及び乾燥粉砕再生炭素を含む。
【0009】
本明細書で使用される場合、「粉砕再生炭素」又は「粉砕rC」は、肉眼で見える混入物を実質的に含まず、粉砕されている熱分解炭素である。
【0010】
本明細書で使用される場合、「再生炭素」は、肉眼で見える混入物を除去するために処理されていて、任意にさらに粉砕されている原料再生炭素である。したがって、加工再生炭素、粉砕再生炭素、乾燥粉砕再生炭素、及び湿潤粉砕再生炭素は全て、再生炭素の定義に該当する。
【0011】
本明細書で使用される場合、「湿潤粉砕再生炭素」は、肉眼で見える混入物を実質的に含まず、粉砕される材料の総重量に基づいて少なくとも50重量%、好ましくは65~99%の水の存在下で粉砕されている熱分解炭素である。
【0012】
一実施形態において、微粒子炭素を処理する方法は、熱分解炭素を水と組み合わせて混合物を形成し、1~35重量%の固形分を有する初期スラリーを形成すること、並びに湿潤粉砕再生炭素及び水の粉砕スラリーを形成するために、熱分解炭素を粉砕することを含む。走査型電子顕微鏡検査を介して測定される湿潤粉砕再生炭素の体積加重粒度分布曲線は、2700nm以下のD50及び5ミクロン超の粒径を有する15%以下の粒子の1つ以上を有し、例えば、1000nm~2700nm又は1200nm~2500nmのD50である。或いは、又はさらに、湿潤粉砕再生炭素は、2500nm~3300nm、例えば、1700nm~3000nmのD75を有してもよい。或いは、又はさらに、湿潤粉砕再生炭素粒子の3%~10%は、5ミクロン超の粒径を有する。或いは、又はさらに、粒子の65%以下、例えば、25%~60%は、2ミクロン超の粒径を有してもよい。
【0013】
本方法は、任意に最大25重量%の固形分を有することができる初期スラリーから、肉眼で見える混入物を除去することを、さらに含むことができる。組み合わせることは、少なくとも1種の補助充填剤を水と組み合わせて、初期スラリーを形成することを、さらに含み得る。補助充填剤は、カーボンブラック、ケイ素処理カーボンブラック、シリカ被覆カーボンブラック、沈降シリカ、水熱炭素、人工多糖類、グラフェン、酸化グラフェン、還元型酸化グラフェン、ナノセルロース、リグニン、クレイ、ナノクレイ、金属酸化物、金属炭酸塩、単層カーボンナノチューブ、多層カーボンナノチューブ、カーボンナノ構造体、カーボンブラック被覆粒子、及びこれらの2種以上の混合物からなる群から選択され得る。粉砕することは、カッターミキサー、ボールミル、メディアミル、ホモジナイザー、アトライター、水平ビーズミル、ローターステーターミル、及びコロイドミルから選択される少なくとも1種の装置を用いて実施され得る。
【0014】
本方法は、カーボンブラック、ケイ素処理カーボンブラック、シリカ被覆カーボンブラック、被覆カーボンブラック粒子、及び沈降シリカから選択される少なくとも1種の追加の充填剤を粉砕スラリーに添加して、得られる湿潤ブレンド炭素混合物の固形分含有量を25~70重量%にすることを、さらに含むことができる。添加することは、少なくとも1種の追加の充填剤を含む水性スラリーを添加すること、粉砕スラリーに追加の水を添加すること、又はその両方を含むことができる。本方法は、湿潤ブレンド炭素混合物をペレット化してペレットを形成すること、又は湿潤ブレンド炭素混合物を噴霧乾燥すること、及び任意にペレットを乾燥することを、さらに含むことができる。
【0015】
水は、水の連続流であってもよく、粉砕スラリーは、粉砕スラリーの連続流であってもよく、及び組み合わせることは、熱分解炭素を水の連続流中に計量することを含むことができる。組み合わせることは、少なくとも1種の補助充填剤を水の連続流中に計量することを、さらに含むことができる。補助充填剤は、カーボンブラック、ケイ素処理カーボンブラック、シリカ被覆カーボンブラック、沈降シリカ、水熱炭素、人工多糖類、グラフェン、酸化グラフェン、還元型酸化グラフェン、ナノセルロース、リグニン、クレイ、ナノクレイ、金属酸化物、金属炭酸塩、単層カーボンナノチューブ、多層カーボンナノチューブ、カーボンナノ構造体、カーボンブラック被覆粒子、及びこれらの2種以上の混合物からなる群から選択され得る。本方法は、粉砕スラリーの連続流中に、カーボンブラック、ケイ素処理カーボンブラック、シリカ被覆カーボンブラック、カーボンブラック被覆粒子、及び沈降シリカから選択される少なくとも1種の追加の充填剤を計量して、得られる湿潤ブレンド炭素混合物の連続流の固形分含有量を25~70重量%又は1~25重量%にすることを、さらに含むことができる。計量することは、粉砕スラリーの連続流中に追加の充填剤の水性スラリーを計量すること、粉砕スラリーの連続流中に追加の水を計量すること、又はその両方を含むことができる。
【0016】
これらの実施形態のいずれかにおいて、本方法は、例えば、湿潤ブレンド炭素混合物をペレット化してペレットを形成すること、又は湿潤ブレンド炭素混合物を噴霧乾燥することによって、湿潤ブレンド炭素混合物を造粒することを、さらに含むことができる。ペレットを、乾燥してもよい。粉砕スラリーを、噴霧乾燥するか、他の方法でその固形分を造粒することができる。例えば、粉砕スラリーを所定の水分レベルまで脱水し、次にペレット化することができる。
【0017】
別の実施形態において、本発明は、上記の方法ステップの任意の組み合わせ又はサブコンビネーションを使用して製造されたペレットを含む。
【0018】
別の実施形態において、微粒子充填剤は、少なくとも10重量%(乾燥基準)、例えば、10~100重量%、10~90重量%、15~80重量%、20~60重量%、又は30~50重量%の再生炭素を含む。走査型電子顕微鏡検査を介して測定される再生炭素の体積加重粒度分布は、2700nm以下のD50及び5ミクロン超の粒径を有する15%以下の粒子の1種以上を有する。例えば、再生炭素は、1000nm~2700nm又は1200nm~2500nmのD50を有してもよい。或いは、又はさらに、再生炭素は、2500nm~3300nm、例えば、1700nm~3000nmのD75を有してもよい。或いは、又はさらに、再生炭素の3%~10%は、5ミクロン超の粒径を有してもよい。或いは、又はさらに、再生炭素の65%以下、例えば25%~60%は、2ミクロン超の粒径を有してもよい。
【0019】
これらの実施形態のいずれにおいて、微粒子充填剤は、カーボンブラック、ケイ素処理カーボンブラック、シリカ被覆カーボンブラック、沈降シリカ、水熱炭素、人工多糖類、グラフェン、酸化グラフェン、還元型酸化グラフェン、ナノセルロース、リグニン、クレイ、ナノクレイ、金属酸化物、金属炭酸塩、単層カーボンナノチューブ、多層カーボンナノチューブ、カーボンナノ構造体及びカーボンブラック被覆粒子から選択される1種以上の補助充填剤を、さらに含むことができる。微粒子充填剤は、15~80重量%、例えば40~60重量%の水分含有量を有してもよい。
【0020】
微粒子充填剤はペレットの形態であってもよい。ペレットは、15~80%の水、例えば、40~60%の水を含んでもよく、若しくは3%以下の水を含んでもよく、並びに/又は微粒子充填剤、任意の水、及び任意の結合剤から実質的になってもよい。ペレットは、これらの実施形態のいずれかによる微粒子充填剤、及びカーボンブラック、ケイ素処理カーボンブラック、シリカ被覆カーボンブラック、カーボンブラック被覆粒子、及び沈降シリカから選択される少なくとも1種の追加の充填剤を含有してもよい。
【0021】
これらの実施形態のいずれかにおいて、再生炭素は湿潤粉砕再生炭素であってもよい。
【0022】
別の実施形態において、エラストマー複合体は、エラストマー及び、30~90phr、例えば、30~70phr、35~60phr、又は40~55phrの微粒子充填剤との混合物を含む。微粒子充填剤は、少なくとも10重量%の再生炭素、例えば、10~100重量%、10~90重量%、15~80重量%、20~60重量%、又は30~50重量%の再生炭素を含む。再生炭素は、粒子形態において、すなわちエラストマーと混合される前に、走査型電子顕微鏡検査によって測定される、2700nm以下のD50(体積加重)及び5ミクロン超の粒径を有する15%以下(体積加重)の粒子の1種以上を有する。例えば、再生炭素は、1000nm~2700nm又は1200nm~2500nmのD50を有してもよい。或いは、又はさらに、再生炭素は、2500nm~3300nm、例えば、1700nm~3000nmのD75を有してもよい。或いは、又はさらに、再生炭素の3%~10%は、5ミクロン超の粒径を有してもよい。或いは、又はさらに、再生炭素の65%以下、例えば25%~60%は、2ミクロン超の粒径を有してもよい。微粒子充填剤は、カーボンブラック、ケイ素処理カーボンブラック、シリカ被覆カーボンブラック、沈降シリカ、水熱炭素、人工多糖類、グラフェン、酸化グラフェン、還元型酸化グラフェン、ナノセルロース、リグニン、クレイ、ナノクレイ、金属酸化物、金属炭酸塩、単層カーボンナノチューブ、多層カーボンナノチューブ、カーボンナノ構造体、及びカーボンブラック被覆粒子の1種以上を、さらに含んでもよい。
【0023】
これらの実施形態のいずれにおいても、エラストマーは、天然ゴム、官能化天然ゴム、スチレン-ブタジエンゴム、官能化スチレン-ブタジエンゴム、ポリブタジエンゴム、官能化ポリブタジエンゴム、ポリイソプレンゴム、エチレン-プロピレンコポリマー、イソブチレン系ゴム、ポリクロロプレンゴム、ニトリルゴム、水素化ニトリルゴム、多硫化ゴム、ポリアクリレートエラストマー、フルオロエラストマー、パーフルオロエラストマー、及びこれらのブレンドから選択され得る。
【0024】
これらの実施形態のいずれにおいても、エラストマー複合体は、最大で0.03x+4.4、例えば、0.03x~0.03x+4.4のマクロ分散を示してもよく、ここで、xは、微粒子充填剤中の再生炭素の割合であり、マクロ分散は、反射モードにおける光学顕微鏡検査によって決定される5μm超の未分散充填剤粒子の面積割合である。微粒子充填剤が再生炭素及びカーボンブラックである場合、エラストマー複合体は、最大で1.9ln(x)+1.2、例えば、1.9ln(x)-3.2~1.9ln(x)+0.2のマクロ分散を示し得る。
【0025】
これらの実施形態のいずれかにおいて、再生炭素は湿潤粉砕再生炭素であってもよい。
【0026】
これらの実施形態のいずれにおいても、エラストマー複合体は、加硫エラストマー複合体であってもよい。タイヤトレッドは、エラストマー複合体及び硬化剤パッケージの混合物の加硫物を含むことができる。或いは、又はさらに、物品は、エラストマー複合体及び硬化剤パッケージの混合物の加硫物を含むことができる。物品は、空気入りタイヤ、非空気入りタイヤ、又はソリッドタイヤに組み込まれ得る。物品は、タイヤトレッド、アンダートレッド、インナーライナー、側壁、側壁インサート、ワイヤスキム、及び更生タイヤのためのクッションガムから選択され得る。物品は、ホース、ライニング、ライナー、シール、ガスケット、防振物品、トラック、トラック推進車両装置用トラックパッド、エンジンマウント、地震安定化装置、採掘装置用スクリーン、採掘装置用ライニング、コンベヤベルト、シュートライナー、スラリーポンプライナー、泥水ポンプ羽根車、バルブシート、バルブ本体、ピストンハブ、ピストンロッド、プランジャー、スラリー混合用羽根車及びスラリーポンプ羽根車、粉砕機ライナー、サイクロン及び液体サイクロン、伸縮継手、船舶機器用の浚渫ポンプ及び船外機ポンプ用ライニング、船舶、オイル、宇宙空間、及び他の用途向けのシャフトシール、プロペラシャフト、パイプライニング、エンジンマウント、ブッシング、目詰め材、風防用ワイパー、自動車部品、シール、ガスケット、ハウジング、ホイール素子、並びにトラック素子から選択され得る。
【0027】
或いは、又はさらに、硬化剤パッケージを有するエラストマー複合体の混合物の加硫物は、再生炭素の代わりにASTM N550カーボンブラックを有する以外は、同じプロセス及び同じ組成を介して製造された加硫物と同等又は少なくとも90%の疲労特性を有する。加硫物は、最大で0.03x+4.4、例えば、0.03x~0.03x+4.4のマクロ分散を示してもよく、ここで、xは、微粒子充填剤中の再生炭素の割合であり、マクロ分散は、反射モードにおける光学顕微鏡検査によって決定される5μm超の未分散充填剤粒子の面積割合である。微粒子充填剤が再生炭素及びカーボンブラックである場合、加硫物は、最大で1.9ln(x)+0.2、例えば1.9ln(x)-3.2~1.9ln(x)+0.2のマクロ分散を示し得る。
【0028】
別の実施形態において、エラストマー複合体は、エラストマーと30~90phrの微粒子充填剤との混合物を含む。特定の実施形態において、微粒子充填剤は、少なくとも10重量%の再生炭素を含み、エラストマー複合体は、最大で0.03x+4.4、例えば、0.03x~0.03x+4.4のマクロ分散を示し、ここで、xは、微粒子充填剤中の再生炭素の割合であり、マクロ分散は、反射モードにおける光学顕微鏡検査によって決定される5μm超の未分散充填剤粒子の面積割合である。微粒子充填剤が、残部のカーボンブラックと共に少なくとも10wt%(乾燥基準)の再生炭素を含む場合、マクロ分散は、最大で1.9ln(x)+1.2、例えば、1.9ln(x)-3.2~1.9ln(x)+0.2である。これらの実施形態のいずれかにおいて、エラストマー複合体は加硫されてもよく、及び/又は再生炭素は湿潤粉砕再生炭素であってもよい。再生炭素は、走査型電子顕微鏡検査によって測定して、2700nm以下のD50(体積加重)及び5ミクロン超の粒径を有する15%(体積加重)以下の粒子の1種以上を有してもよい。例えば、再生炭素は、1000nm~2700nm又は1200nm~2500nmのD50を有してもよい。或いは、又はさらに、再生炭素は、2500nm~3300nm、例えば、1700nm~3000nmのD75を有してもよい。或いは、又はさらに、再生炭素の3%~10%は、5ミクロン超の粒径を有してもよい。或いは、又はさらに、再生炭素の65%以下、例えば25%~60%は、2ミクロン超の粒径を有してもよい。
【0029】
前述の一般的な説明及び以下の詳細な説明の両方は、例示的かつ説明的なものにすぎず、本発明を、特許請求されているように、さらなる説明を提供することが意図されることを理解される。
【図面の簡単な説明】
【0030】
本発明は、図面の幾つかの図を参照して説明される。
【0031】
【
図1】
図1は、ジェット粉砕(破線)されている、又は例示的な実施形態に従って処理されている(実線)、未加工チャー(一点鎖線、CBPキプロス)の粒度分布を示す。
【
図2】
図2は、例示的な実施形態に従って処理されたチャー(破線-CBPキプロス、一点鎖線-Polimix Ambiental)及びポリミックス300加工再生炭素(実線)の試料の粒度分布を示す。
【
図3】
図3は、チャー(破線-CBPキプロス、一点鎖線-Polimix Ambiental)及びポリミックス300加工再生炭素(実線)のジェットミ粉砕試料の粒度分布を示す。
【
図4】
図4は、充填剤中の再生炭素の割合の関数として、充填剤入りエラストマー複合体中の5ミクロン超の直径を有する未分散強凝集体を示す。三角形は比較試料を示し、丸は本発明の実施形態に従って調製された試料を示す。26.9%の再生炭素を有する試料は、充填剤として再生炭素及び沈降シリカのブレンドを使用し、残りのブレンドはカーボンブラックを含む。
【発明を実施するための形態】
【0032】
一実施形態において、微粒子炭素を処理する方法は、熱分解炭素を水と組み合わせて混合物を形成し、1~35重量%の固形分を有する初期スラリーを形成すること、並びに、熱分解炭素を粉砕して、湿潤粉砕再生炭素及び水の粉砕スラリーを形成することを含む。走査型電子顕微鏡検査を介して測定される粉砕スラリーの体積加重粒度分布は、2700nm以下のD50及び5ミクロン超の粒径を有する15%以下の粒子の1種以上を有し、例えば、1000nm~2700nm又は1200nm~2500nmのD50である。或いは、又はさらに、粉砕スラリーは、2500nm~3300nm、例えば、1700nm~3000nmのD75を有してもよい。或いは、又はさらに、3%~10%の粒子は、5ミクロン超の粒径を有する。或いは、又はさらに、粒子の65%以下、例えば、25%~60%は、2ミクロン超の粒径を有してもよい。
【0033】
熱分解炭素は、原料再生炭素、加工再生炭素、及び乾燥粉砕再生炭素の1種以上を含み得る。好ましくは、熱分解炭素は、元々カーボンブラックで製造されたゴム製品から誘導される。熱分解は、当業者に公知の任意の方法によって実施され得る。例示的な方法は、米国特許第8,350,105号明細書及び米国特許出願公開第2018/0320082号明細書に見出されるものを含むが、これらに限定されず、その両方の内容全体は、参照により本明細書に組み込まれる。熱分解炭素は、水と組み合わされ、1~35重量%、例えば、5~30重量%、7~25重量%、10~20重量%、又は15~25重量%の固形分濃度を有する初期スラリーを形成する。濃度は、好ましくは、粉砕及び任意のペレット化を含む下流プロセスで必要な濃度に調整される。
【0034】
熱分解炭素は、肉眼で見える混入物を除去するために処理されてもよい。例えば、ワイヤ及び他の肉眼で見える金属混入物を除去するために、当業者に公知の磁気分離技術を使用してもよい。布帛及び他の非磁性の肉眼で見える混入物を除去するために、フィルター又はスクリーンを使用してもよい。熱分解炭素は、初期スラリーを形成するために水と組み合わされる前に処理されてもよく、及び/又は初期スラリーは、肉眼で見える混入物を除去するために処理されてもよい。
【0035】
或いは、又はさらに、熱分解炭素は、灰を除去するために、例えば、熱分解炭素を酸で洗浄することによって、又はイオン交換体を使用することによって、処理されてもよい。例示的な方法は、米国特許出願公開第2015,0307714号明細書、中国特許出願公開第101,357,758号明細書、及び国際公開第2021/005124号に記載され、その内容全体は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0036】
幾つかの実施形態において、方法は連続的である。これらの実施形態において、熱分解炭素は、初期スラリーの連続流を形成するために、水の連続流に連続的に計量される。初期スラリーの連続流は、肉眼で見える混入物を除去するために、当業者に公知の技術を使用して処理されてもよい。
【0037】
初期スラリーは、任意の処理に続いて、粉砕される。微粒子スラリーを粉砕又はすり潰すための当業者に公知の任意の技術を使用してもよい。例示的な装置は、カッターミキサー、ボールミル、メディアミル、ホモジナイザー、アトライター、水平ビーズミル、ローターステーターミル、コロイドミル、及び当業者に公知の他の装置を含む。粉砕することは、熱分解炭素を、2700nm以下のD50及び5ミクロン超の粒径を有する15%以下の粒子の1種又は両方によって特徴付けられる、走査型電子顕微鏡検査を介して測定される体積加重粒度分布を有する湿潤粉砕再生炭素に変換し得る。例えば、D50は、1000nm~2700nm又は1200nm~2500nmであり得る。或いは、又はさらに、粉砕スラリーは、2500nm~3300nm、例えば、1700nm~3000nmのD75を有してもよい。或いは、又はさらに、3%~10%の粒子が、5ミクロン超の粒径を有する。或いは、又はさらに、粒子の65%以下、例えば、25%~60%は、2ミクロン超の粒径を有してもよい。任意の特定の理論に束縛されることなく、乾燥粉砕再生炭素を用いて生成された加硫エラストマー複合体の性能は、エラストマー中にほとんど分散されない大きな弱凝集体が存在するために劣化すると考えられる。本明細書に提供される方法は、弱凝集体サイズをより効果的に低減し、それによってエラストマーマトリックス中の充填剤の分散を改善し、得られる加硫エラストマー複合体の性能を改善する。改善された機械的性能は、疲労性能、引張性能、引裂性能、切断/チップ性能、又はエラストマー複合体上で典型的に測定される他の特性に反映され得る。
【0038】
粒度分布は、当業者には公知の任意の適当な方法、例えばレーザー回折を用いて測定され得る。好ましくは、粒度分布は、走査型電子顕微鏡検査、例えば、実施例においてより詳細に記載される走査型電子顕微鏡検査法を用いて測定される。簡単に述べると、粒子を、600ppmのTriton(登録商標) X 100界面活性剤と共に水中に0.2重量%の濃度で低速で分散させ、次に24時間撹拌する。分散液を、適当な濃度に希釈し、膜濾過器上に濾過し、乾燥し、導電性材料でスパッタコーティングし、画像化する。画像化は、大きな粒子を効率的に画像化しながら、小さな粒子を捕捉するために十分な解像度を提供するために、高い倍率及び低倍率で行われる。画像は、不均一な画像背景を最小限にし、粒子コントラストを高め、粒子のエッジを保持しながら画像ノイズを減らすために処理される。粒度分布は、各倍率で、少なくとも50,000個、典型的には50,000~200,000個の粒子上のDcirc=2(投影像の面積/π)1/2を測定することによって決定される
【0039】
初期スラリーは、熱分解炭素と共粉砕されることからも有益であり得る1種以上の補助充填剤を含有してもよい。ゴムに補強又は他の有益な特性を提供する任意の微粒子充填剤を使用してもよい。例示的な補助充填剤は、カーボンブラック、ケイ素処理カーボンブラック、シリカ被覆カーボンブラック、沈降シリカ、水熱炭素(すなわち、例えば、米国特許第10,428,218号明細書又は同第10,035,957号明細書(その両方の内容は、参照により本明細書に組み込まれる)に記載されるようなリグニン又は他のバイオマスの水熱炭化によって生成される炭素質材料)、米国特許出願公開第2020/181370号明細書及び同第2020/190270号明細書(その両方の内容は、参照により本明細書に組み込まれる)に記載されるものなどの人工多糖類、並びにグラフェン、酸化グラフェン、還元型酸化グラフェン、ナノセルロース、リグニン、クレイ、ナノクレイ、金属酸化物、金属炭酸塩、単層カーボンナノチューブ、多層カーボンナノチューブ、米国特許出願公開第2014/0093728号明細書(その内容全体は、参照により本明細書に組み込まれる)に記載されるものなどのカーボンナノ構造体、並びに米国特許第10,519,298号明細書(その内容全体は、参照により本明細書に組み込まれる)に記載されるものなどのカーボンブラック被覆粒子を含むが、これらに限定されない。好ましくは、肉眼で見える混入物は、熱分解炭素を1種以上の補助充填剤と組み合わせる前に、乾燥又はスラリー状態のいずれかで熱分解炭素から除去される。補助充填剤は、乾燥状態で熱分解炭素と組み合わせるか、又は熱分解炭素の前、後、若しくは同時に水に別々に投入して、初期スラリーを形成することができる。熱分解炭素及び補助充填剤の乾燥混合物中において起こり得る分離を避けるために、補助充填剤は、好ましくは、熱分解炭素とは別に、水又は初期スラリーに直接投入される。初期スラリー中の熱分解炭素及び補助充填剤の比は、所望の最終用途に適し、かつ初期スラリーが粉砕され得るように初期スラリーの許容可能な粘度を維持するために適した任意の範囲であり得る。連続プロセスにおいて、補助充填剤は、粉末として、又は補助充填剤の水性スラリー(若しくは2種以上の補助充填剤が使用される場合は2種以上のスラリー)として、初期スラリー中に、又は水の連続流中に連続的に計量され得る。当業者は、粉砕のための適当な濃度が、補助充填剤の性質に依存することを認識する。例えば、カーボンナノチューブは、非常に低い濃度でスラリー粘度を増加させるが、沈降シリカのより高い濃度は、粘度を劇的に増加させないことがある。
【0040】
追加の充填剤を粉砕スラリーに添加することもできる。このような追加の充填剤は、好ましくは、追加の粉砕を必要としない。粉砕スラリーへの添加のための例示的な追加の充填剤は、カーボンブラック、シリカ被覆カーボンブラック、シリカ処理カーボンブラック、沈降シリカ、米国特許第10,519,298号明細書に記載されているものなどのカーボンブラック被覆粒子、及びこれらの2種以上の混合物を含むが、これらに限定されない。粉砕スラリーの固形分濃度に応じて、得られる湿潤ブレンド炭素混合物の固形分濃度を調整するために、追加の充填剤と共に水を添加することも望ましい場合がある。或いは、又はさらに、追加の充填剤は、水性スラリーとして粉砕スラリーに添加されてもよい。連続プロセスにおいて、追加の充填剤は、粉末として、又は追加の充填剤の水性スラリーとして、初期スラリー中に、又は水の連続流中に連続的に計量され得る。全充填剤濃度は、湿潤ブレンド炭素混合物がペレットに容易に形成され得るか、又は噴霧乾燥され得るような濃度であってもよい。ペレットを形成するために、粉砕スラリーに添加される追加の充填剤及び任意の水は、得られる湿潤ブレンド炭素混合物の固形分含有量を25~70重量%、例えば、30~65重量%、35~60重量%、又は40~50重量%にすることができる。噴霧乾燥のために、粉砕スラリーに添加される追加の充填剤及び任意の水は、得られる湿潤ブレンド炭素混合物の固形分含有量を1~30重量%、例えば、1~10重量%、5~15重量%、又は8~25重量%にすることができる。噴霧乾燥のために、追加の充填剤を省略することが望ましい場合がある。当業者は、従来の装置において、望ましいペレット又は噴霧乾燥のための最適な濃度を調製するために、全充填剤濃度をどのように調節するかを認識する。粉砕スラリーに添加される充填剤は、初期スラリーに添加される任意の充填剤と同じ、又は異なってもよい。
【0041】
本明細書の実施形態のいずれかにおいて使用するためのカーボンブラックは、ASTM N100シリーズ~N900シリーズのカーボンブラック、例えば、N100シリーズのカーボンブラック、N200シリーズのカーボンブラック、N300シリーズのカーボンブラック、N500シリーズのカーボンブラック、N600シリーズのカーボンブラック、N700シリーズのカーボンブラック、N800シリーズのカーボンブラック、又はN900シリーズのカーボンブラックを含むが、これらに限定されない。Cabot Corporationから入手可能な、Regal(商標)、Black Pearls(商標)、Spheron(商標)、Sterling(商標)、及びVulcan(商標)という商標で販売されるカーボンブラック、Birla Carbon(Columbian Chemicals)から入手可能な、Raven(商標)、Statex(商標)、Furnex(商標)、及びNeotex(商標)という商標並びにCD及びHVラインで販売されるカーボンブラック、Orion Engineered Carbonsから入手可能なCorax(商標)、Durax(商標)、Ecorax(商標)、及びPurex(商標)という商標並びにCKライン及びその他のカーボンブラックで販売されるカーボンブラック、並びにゴム又はタイヤ用途における使用に適した他の充填剤を、様々な実施形態と共に使用するために利用することもできる。カーボンブラックは、化学的に官能化され得る。適当な化学官能化カーボンブラックは、国際公開第96/18688号及び米国特許出願公開第2013/0165560号明細書に開示されるものが含まれ、これらの開示は参照により本明細書に組み込まれる。
【0042】
カーボンブラックは、少なくとも約15m2/g、例えば約15m2/g~約240m2/g、例えば約35m2/g~約230m2/g、約50m2/g~約200m2/g、約60m2/gから約180m2/g、約100m2/gから約200m2/gの統計的厚さ比表面積(STSA、ASTM標準D6556)を有することができる。
【0043】
上記比表面積のいずれかを有するカーボンブラックは、圧縮カーボンブラック(COAN、ASTM D3493)のオイル吸収量によって与えられるように、約50~約115mL/100g、例えば、約65~約75mL/100g、約60~95mL/100g、約75~約85mL/100g、約85~約95mL/100g、約95~約105mL/100g、又は約105~約115mL/100gの構造をさらに有してもよい。
【0044】
これらのカーボンブラックのいずれかの混合物を使用することができる。
【0045】
ケイ素処理カーボンブラックとして本明細書に記載される材料は、被覆された、又は他の方法で改質されたカーボンブラック強凝集体に限定されない。それらはまた、2つの相を有する異なる種類の強凝集体であってもよい。1つの相は炭素であり、これは依然としてグラファイト状微結晶及び/又は無定形炭素として存在するが、第2の相はシリカ(及びおそらく他のケイ素含有種)である。したがって、ケイ素処理カーボンブラックのケイ素含有種相は、強凝集体の固有の部分であり、強凝集体の少なくとも一部の全体に分布する。様々なケイ素処理ブラックが、Ecoblack(商標)名でCabot Corporationから入手可能であり、米国特許第6,028,137号明細書により詳細に記載されている。多層強凝集体は、それらの表面上に堆積されたケイ素含有種を有する予め形成された単層カーボンブラック強凝集体からなる、上記のシリカ被覆カーボンブラックとは全く異なることが理解される。このようなカーボンブラックは、例えば、米国特許第6,929,783号明細書、同第6,541,113号明細書、及び同第5,679,728号明細書に記載されているように、カーボンブラック強凝集体の表面上にシリカ官能性を配置するための表面処理がされてもよい。
【0046】
本明細書の実施形態のいずれかにおいて、使用に適当な沈降シリカとしては、高分散性(HDS)造粒及び非HDS沈降シリカの両方が挙げられる。沈降シリカは、シリカ表面に結合(付着(例えば、化学的に付着)又は吸着(例えば、吸収))したカップリング剤などの官能基を含むように化学的に処理されていてもよい。HDSの適当なグレードの例としては、WR Grace & CoのPerkasil(商標)GT 3000GRANシリカ、Evonik IndustriesのUltrasil(商標)7000シリカ、Solvay S.A.のZeosil(商標)1165 MP及び1115 MPシリカ、PPG Industries Inc.のHi-Sil(商標)EZ 160Gシリカ、並びにEvonik IndustriesのZeopol(商標)8741又は8745シリカが挙げられる。従来の(非HDS)沈降シリカの適当なグレードの例としては、WR Grace & CoのPerkasil(商標)KS 408シリカ、Solvay S.A.のZeosil(商標)175GRシリカ、Evonik IndustriesのUltrasil(商標)VN3シリカ、及びPPG Industries,Inc.のHi-Sil(商標)243シリカが挙げられる。
疎水性沈降シリカの適当なグレードの例としては、PPG Industries,Inc.のAgilon(商標)400、454、又は458シリカ、及びEvonik IndustriesのCoupsil(商標)シリカ、例えば、Coupsil(商標)6109シリカが挙げられる。
【0047】
湿潤ブレンド炭素混合物は、高密度化、例えば、造粒化又はペレット化され得る。当業者に公知の任意の高密度化又はペレット化方法を使用することができる。例えば、Glaxnerの米国特許第2,065,371号明細書に記載の方法を使用することができる。一般に、湿潤ブレンド炭素混合物はビーズ状に形成され、次に、任意に乾燥され、含水量を最大で1%に減少され、ブレンド炭素ペレットを形成し得る。湿潤ブレンド炭素混合物中に既に存在する水に加えて、多種多様な結合添加剤が、得られるペレットの取扱い特性をさらに改善するために湿潤ペレット化処理において有用であることが知られている。このような添加剤としては、エチレングリコール、炭水化物(例えば、糖、糖蜜、可溶性デンプン、糖類、リグニン誘導体)、ロジン、スルホネート及びサルフェートアニオン界面活性剤、脂肪族アミンエトキシレート非イオン界面活性剤、リグニンスルホン酸ナトリウム、シラン、スクロース、アルキルスクシンイミド、アルキル化コハク酸エステル、並びにポリエチレンオキシド-コ-ポリジメチルシロキサン(polyethylene oxide-co-polydimethyl siloxane)界面活性剤などの吸湿性有機液体が挙げられるが、これらに限定されない。或いは、又はさらに、ペレットを乾燥させる必要はなく、湿潤状態で使用してもよく、その場合、結合剤を使用する必要はない。例えば、湿潤ペレットは、15~80重量%、例えば、40~60重量%の水分含有量を有し得る。
【0048】
湿潤ペレット若しくは乾燥ペレット又は幾つかの他の形態(例えば、ペレット化又は他の乾燥方法前のスラリー)の形成において得られる微粒子充填剤は、乾燥基準で、2~100重量%、例えば、5~98重量%若しくは8~90重量%、10~60重量%、15~50重量%、10~100重量%、15~60重量%、10~90重量%、15~80重量%、20~60重量%、若しくは30~50重量%、又は20~50重量%の再生炭素、好ましくは湿潤粉砕再生炭素を含むことができ、残りは、再生炭素以外の充填剤、例えば、上記に列挙された追加及び/又は補助充填剤、例えば、カーボンブラック、ケイ素処理カーボンブラック、シリカ被覆カーボンブラック、沈殿シリカ、水熱炭素、人工多糖類、グラフェン、酸化グラフェン、還元型酸化グラフェン、ナノセルロース、リグニン、クレイ、ナノクレイ、金属酸化物、金属炭酸塩、単層カーボンナノチューブ、多層カーボンナノチューブ、カーボンナノ構造体、及びカーボンブラック被覆粒子の1種以上である。走査型電子顕微鏡検査を介して測定される、再生炭素及び/又は全体的な微粒子充填剤(すなわち、再生炭素及び他の充填剤の混合物)の体積加重粒度分布は、2700nm以下のD50及び5ミクロン超の粒径を有する15%以下の粒子の1種以上を有してもよく、例えば、1000nm~2700nm又は1200nm~2500nmのD50である。或いは、又はさらに、再生炭素及び/又は全体的な微粒子充填剤は、2500nm~3300nm、例えば、1700nm~3000nmのD75を有してもよい。或いは、又はさらに、再生炭素及び/又は全体的な微粒子充填剤の3%~10%は、5ミクロン超の粒子径を有してもよい。或いは、又はさらに、再生炭素及び/又は全体の微粒子充填剤の65%以下、例えば25%~60%は、2ミクロン超の粒子径を有してもよい。上記のように、ペレットはまた、結合剤を含有してもよい。これらの全ての実施形態において、再生炭素は、好ましくは湿潤粉砕再生炭素である。
【0049】
或いは、又はさらに、湿潤ブレンド炭素混合物は、当業者に公知の任意の噴霧乾燥装置を使用して噴霧乾燥され得る。得られる噴霧乾燥粒子は、乾燥基準で、2~100%の再生炭素、例えば、5~98重量%若しくは8~90重量%、10~60重量%、15~50重量%、10~100重量%、15~60重量%、10~90重量%、15~80重量%、20~60重量%、若しくは30~50重量%、又は20~50重量%の再生炭素、好ましくは湿潤粉砕再生炭素、並びに0~98重量%、例えば、2重量%~95重量%、例えば、10重量%~92重量%、40~90重量%、又は50重量%~80重量%若しくは85重量%のカーボンブラック、シリカ被覆カーボンブラック、シリカ処理カーボンブラック、沈降シリカ、カーボンブラック被覆粒子及びこれらの2種以上の混合物から選択される追加の充填剤、並びに0~98重量%、例えば、2重量%~95重量%、例えば、10重量%~92重量%、40~90重量%、又は50重量%~80重量%若しくは85重量%のカーボンブラック、ケイ素処理カーボンブラック、シリカ被覆カーボンブラック、沈降シリカ、水熱炭素、人工多糖類、グラフェン、酸化グラフェン、還元型酸化グラフェン、ナノセルロース、リグニン、クレイ、ナノクレイ、金属酸化物、金属炭酸塩、単層カーボンナノチューブ、多層カーボンナノチューブ、カーボンナノ構造体、及びカーボンブラック被覆粒子から選択される1種以上の補助充填剤を含み得る。
【0050】
本明細書の様々な実施形態による湿潤ペレット、乾燥ペレット、及び/又は噴霧乾燥粒子を、エラストマーと組み合わせて、エラストマー複合体を形成することができる。得られるエラストマー複合体は、30~90phrの微粒子充填剤、例えば、30~70、35~60、又は40~55phrの微粒子充填剤を含むことができる。微粒子充填剤は、2~100重量%の再生炭素、例えば5~98重量%若しくは8~90重量%、好ましくは10~100重量%、10~90重量%、15~80重量%、20~60重量%、又は30~50重量%の再生炭素、好ましくは湿潤粉砕再生炭素を含むことができ、2700nm以下のD50及び5ミクロン超の粒径を有する15%の粒子の一方又は両方を有する、走査型電子顕微鏡検査を介して測定される、体積加重粒度分布を示す。例えば、再生炭素若しくは全体的な微粒子充填剤のいずれか、又は両方は、1000nm~2700nm又は1200nm~2500nmのD50を示し得る。或いは、又はさらに、再生炭素、全体的な微粒子充填剤、又は両方は、2500nm~3300nm、例えば、1700nm~3000nmのD75を有してもよい。或いは、又はさらに、再生炭素、微粒子充填剤、又は両方の3%~10%は、5ミクロン超の粒径を有してもよい。或いは、又はさらに、再生炭素又は全体的な微粒子充填剤の65%以下、例えば25%~60%は、2ミクロン超の粒子径を有してもよい。これらの実施形態の全てにおいて、再生炭素は、好ましくは湿潤粉砕再生炭素である。任意のグレードの天然ゴム及び合成エラストマーの両方を、使用してもよい。エラストマーのブレンドも、使用してもよい。例えば、湿潤ペレット、乾燥ペレット及び/又は噴霧乾燥粒子を、エラストマーと組み合わせてマスターバッチを形成し、次に、マスターパッチを、同じ組成又は異なる組成の追加のエラストマーと組み合わせてもよい。或いは、又はさらに、ペレットと混合する前に、2種以上のエラストマーをブレンドしてもよい。或いは、又はさらに、エラストマー複合体はまた、再生炭素を除いて、本明細書の他の箇所に列挙された微粒子充填剤のいずれか、及びエラストマー複合体に使用するための当業者に公知の任意の他の充填剤を含む、1種以上の充填剤を含有し得る。このような充填剤を、粉砕再生炭素との混合物中若しくはペレット中にあってもよく、又は本明細書の様々な態様による湿潤ペレット、乾燥ペレット、及び/又は噴霧乾燥粒子のいずれかとは別にエラストマーに添加してもよい。
【0051】
エラストマー複合体は、特に、充填剤が10~100重量%、例えば、10~90重量%、15~80重量%、20~60重量%、又は30~50重量%の再生炭素、好ましくは湿潤粉砕再生炭素を含む場合、最大で0.03x+4.4、例えば、0.03x~0.03x+4.4のマクロ分散を示すことができ、ここで、xは、微粒子充填剤中の湿潤粉砕再生炭素の割合であり、マクロ分散は、試料が内部を明らかにするために切断された後の反射モードにおける光学顕微鏡検査によって決定される5μm超の未分散充填剤粒子(%未分散面積)の面積割合である。好ましくは、マクロ分散は、加硫エラストマー複合体上で測定される。マクロ分散に関して、用語「粒子」は、粒子弱凝集体の面積被覆率を表すことを意図し、例えば、単一のカーボンブラック強凝集体を形成する「一次粒子」と区別される。カーボンブラック強凝集体は、0.1μmスケール程度の寸法を有し、これは、光学顕微鏡検査の解像度未満である。マクロ分散測定と関連するこの粒「径」は、本明細書では充填剤の「面積相当直径」として定義され、典型的にはミクロンサイズの範囲である。したがって、分散状態を、粒子の面積被覆率によるか、又は一定の大きさを有する単位面積当たりの粒子の数によるかにかかわらず、粒度分布の形態によって示すことができる。
【0052】
或いは、又はさらに、充填剤がカーボンブラック及び10~100重量%(充填剤基準)の再生炭素、例えば、10~90重量%、15~80重量%、20~60重量%、又は30~50重量%の再生炭素、好ましくは湿潤粉砕再生炭素のみを含む場合、最大で1.9ln(x)+0.2、例えば、1.9ln(x)-3.2~1.9ln(x)+0.2のマクロ分散を示し得る。
【0053】
エラストマーの例示的な種類としては、ゴム、1,3-ブタジエン、スチレン、イソプレン、イソブチレン、2,3-ジアルキル-1,3-ブタジエン(ここで、アルキルは、メチル、エチル、プロピルなどあってもよい)、アクリロニトリル、エチレン、プロピレンなどのポリマー(例えば、ホモポリマー、コポリマー及び/又はターポリマー)が挙げられるが、これらに限定されない。エラストマーは、示差走査熱量測定(DSC)によって測定されるように、約-120℃~約50℃の範囲のガラス転移温度(Tg)を有し得る。例としては、スチレン-ブタジエンゴム(SBR)、天然ゴム及びそれらの官能化誘導体、例えば、エポキシ化及び塩素化ゴム、ポリブタジエンゴム、ポリイソプレンゴム、エチレン-プロピレンコポリマー(例えば、EPDM)、イソブチレン系ゴム(例えば、ブチルゴム)、ポリクロロプレンゴム、ニトリルゴム、水素化ニトリルゴム、ポリイソプレンゴム、多硫化ゴム、ポリアクリレートエラストマー、フルオロエラストマー、パーフルオロエラストマー、及びそれらのいずれかの油展誘導体が挙げられるが、これらに限定されない。前述のいずれかのブレンド及び/又は官能化誘導体も使用することができる。天然ゴムはまた、種々の非ゴム成分を化学的又は酵素的に修飾又は還元するように処理されてもよい。
【0054】
特定の適当な合成ゴムとしては:約10~約70重量%のスチレンと約90~約30重量%のブタジエンとのコポリマー、例えば、19部のスチレンと81部のブタジエンとのコポリマー、30部のスチレンと70部のブタジエンとのコポリマー、43部のスチレンと57部のブタジエンとのコポリマー、及び50部のスチレンと50部のブタジエンとのコポリマーなど;共役ジエンのポリマー及びコポリマー、例えば、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリクロロプレンなど、並びにそのような共役ジエンと、それらとコポリマー化可能なエチレン基含有モノマー、例えば、スチレン、メチルスチレン、クロロスチレン、アクリロニトリル、2-ビニル-ピリジン、5-メチル-2-ビニルピリジン、5-エチル-2-ビニルピリジン、2-メチル-5-ビニルピリジン、アリル置換アクリレート、ビニルケトン、メチルイソプロペニルケトン、メチルビニルエーテル、アルファ-メチレンカルボン酸など、及びそれらのエステル及びアミド、例えば、アクリル酸及びジアルキルアクリル酸アミドなど、とのコポリマーが挙げられる。エチレンと他の高級アルファオレフィン、例えばプロピレン、1-ブテン及び1-ペンテンなどとの共重合体もまた、本明細書での使用に適当である。
【0055】
エラストマー複合体は、混合を容易にし、加硫を促進し、又はエラストマー複合体の加硫物に特定の特性を付与するための添加剤をさらに含んでもよい。多数の添加剤は、当業者に公知であり、例えば、接着促進剤、酸化防止剤、オゾン劣化防止剤、カップリング剤、硬化剤、劣化防止剤、可塑剤、加工助剤(例えば、液体ポリマー、油など)、油展剤、ワックス、樹脂、難燃剤、エキステンダー油、潤滑剤、粘着付与剤、酸化亜鉛及び脂肪酸のような加硫活性剤、加硫促進剤、並びにそれらの任意の混合物を含む。例示的な添加剤は、酸化亜鉛及びステアリン酸を含むが、これらに限定されない。このような添加剤の一般的な使用及び選択は、当業者に公知である。
【0056】
乾燥ペレット及び/又は噴霧乾燥ペレットは、当業者に公知の任意の乾燥混合方法を使用して、上記のようにエラストマーと組み合わせられ得る。
【0057】
或いは、又はさらに、湿潤ペレットは、米国特許出願公開第2022/0332016号明細書、国際公開第2021/247153号、国際公開第2022/125679号、国際公開第2022/125683号、国際公開第2022/125677号、及び国際公開第2022/125675号(これらの全ての内容全体は、参照により本明細書に組み込まれる)の1つ以上の教示によるエラストマーと組み合わされ得る。例えば、固体形態の湿潤ペレット及びエラストマーをミキサーに投入し、温度を制御してペレット中の水の少なくとも一部を蒸発によって除去する条件下で、混合することができる。エラストマーは、湿潤ペレットの導入前に任意に前素練り(premasticated)される。湿潤充填剤は、一度に全て添加してもよく、一定分量で添加してもよい。
【0058】
バンバリー若しくはブラベンダーミキサー、又は他の内部若しくは密閉ミキサー、又は開放ミキサー、又は押出機若しくは連続混合機又は混錬ミキサー又はそれらの組み合わせのような任意の適当なミキサーは、湿潤ペレットをエラストマーと組み合わせるために、使用され得る。他のミキサーとしては、混練タイプの内部ミキサーが挙げられる。Farrel-Pomini、Harburg Freudenberger Maschinenbau GmbH (HF)、Kobelco、又はPelmar Eng’r Ltdの市販の内部ミキサーを使用することができる。ローター内で蒸気若しくは水又は他の流体の内部回路を使用する選択肢と比べて、或いは、又はさらに、内部ミキサーは、その中で混合される成分の温度を制御するために、混合チャンバの1つの領域若しくは部分、又は2つ以上の領域若しくは部分に冷却又は加熱ジャケットを有することができる。これにより、ミキサーの壁又は壁の一部に1つ以上の加熱/冷却領域を作ることができる。ミキサーは、単一段階ミキサー又は多段階ミキサー(例えば、2段階以上)であり得る。利用することができるミキサー及び設計の例は、欧州特許第2,423,253号明細書及び米国特許第7,556,419号明細書(これらの開示は、参照により本明細書に組み込まれる)に記載されている。
【0059】
別の選択肢として、ミキサーは連続ミキサーとすることができる。例えば、固形分エラストマー及び湿潤充填剤は、米国特許第9,855,686号明細書(その開示は、参照により本明細書に組み込まれる)に記載されているような連続内部ミキサー、二軸スクリュー押出機、一軸スクリュー押出機、又はロールミルの1つ以上を使用することによって機械的に加工され得る。適当な混練及び素練りデバイスはよく知られ、商業的に入手可能であり、例えば、Farrel Pomini Corporation(Ansonia、コネチカット州)のUnimix Continuous Mixer及びMVX(混合、脱気、押出)Machine、Pomini,Inc.のFCM(商標)Farrel Continuous Mixer、長軸の連続ミキサー、Pomini連続ミキサー、二軸ローター共回転噛合い押出機、二軸ローター逆転非噛合い押出機、連続混合押出機、株式会社神戸製鋼所によって製造される二軸混錬押出機、及びkobe連続ミキサーを含む。本明細書に開示される1つ以上の実施形態と共に使用することに適当な代替の素練り装置は、当業者に馴染みがある。
【0060】
混合を、少なくとも1つのローターを有するミキサーを用いて実施することができ、ミキサーは、ニーダー、ロールミル、スクリュー押出機、二軸スクリュー押出機、多軸スクリュー押出機、連続混合機、及び/又は二軸スクリュー押出機の1つ以上であり得る。混合を、少なくとも1つのローターを有するミキサーを用いて実施することができ、ミキサーは、二翼ローター、四翼ローター、六翼ローター、八翼ローター、及び/又は1つ以上のスクリューローターを有することができる。
【0061】
湿潤ペレットをエラストマーと組み合わせるための混合プロセスは、1段階(単一段階)又は多段階(多重ステップ)プロセスであり得る。多段階プロセスにおいて、1つ以上のミキサー又はミキサータイプを使用することができる。内部ミキサーが使用される段階について、各そのような段階における充填率は、独立して、72%以下、70%以下、若しくは68%以下、又は66%以下、例えば、約30%~72%、40%~70%、45%~70%、30%~60%、50~72%、50~70%、50~68%、60~72%、60~70%、60~68%、65~72%、65~70%、65~68%、若しくは40~60%又は50~60%などであり得る。ミキサーの温度は、混合物の温度、蒸発する水の量、又はその両方を制御するために、制御することができる。例えば、多段階プロセスにおいて、各段階のためのミキサーの温度を制御して、第1の混合段階及び1つ以上の後続の段階で、混合物から蒸発する水の量を制御することができる。例えば、排出される複合体の液体含有量は、ミキサーに投入される材料の液体含有量よりも、10%~99.9%(重量%対重量%)、10%~95%、又は10%~50%の量低くすることができる。或いは、又はさらに、混合中の、例えば蒸発による、複合体又は混合物からの液体放出速度の速度は、複合体又は混合物1kg当たりの液体の時間平均放出速度(例えば、除去された総液体/(放出時間×複合体重量)として測定されることがき、及びこの速度は、0.01~0.14kg/(分・kg)若しくは0.01~0.07kg/(分・kg)又はこの範囲未満若しくは超える他の速度であり得る。
【0062】
或いは、又はさらに、混合は、1つ以上の段階で制御され、所定の合計比エネルギー(乾燥重量基準で、複合体の質量当たりの1つ以上のローターを駆動する混合システムに適用されるエネルギー)、例えば、1000kJ/kg複合材料(又はミキサー中に存在する混合物1kg当たり)~10,000kJ/kg複合材料(又はミキサー中に存在する混合物1kg当たり)、例えば、2,000kJ/kg~5,000kJ/kg若しくは1,500kJ/kg~8,000kj/kg、1,500kJ/kg~7,000kJ/kg、1,500kJ/kgから6,000kJ/kg、1,500kJ/kg~5,000kJ/kg、1,500kJ/kgから3,000kJ/kg、1,600kJ/kgから8,000kJ/kg、1,600kJ/kgから7,000kJ/kg、1,600kJ/kgから6,000kJ/kg、1,600kJ/kgから5,000kJ/kg、1,600kJ/kgから4,000kJ/kg、1,600kJ/kg~3,000kJ/kg、又はこれらの範囲のいずれかにおける他の値を可能にする。或いは、又はさらに、混合物に適用される比エネルギーは、一定量の比エネルギーが、一部、例えば、充填剤の75%がミキサーに添加される前又は後に適用されることを確実にするために分割されてもよい。すなわち、充填剤を一度に全部添加する必要はない。各段階における混合時間は、任意の適当な時間、例えば、1分~40分、1分~20分、1分~15分、5分~30分、5分~20分、5分~15分、若しくは1分~12分、1分~10分、3分~30分、又は他の時間であってもよい。或いは、又はさらに、各段階のダンプ排出温度は、120℃~180℃、120℃~190℃、130℃~180℃、例えば、140℃~180℃、150℃~180℃、130℃~170℃、140℃~170℃、150℃~170℃など、又はこれらの範囲内若しくは範囲外の他の温度であってもよい。
【0063】
任意の1つ以上の混合工程又は段階に続いて、得られる複合体は、例えば、複合体を成形若しくは形成し、及び/又は改善された取り扱いを可能にするために、1つ以上の後処理工程に供され得る。後処理は、乾燥、均質化、押出、カレンダー化、粉砕、造粒化、切断、梱包、又はシート化することができる複合体を提供し得る。複合体は、直ちに配合及び加硫されてもよく、又は配合前にある期間保持してもよい。種々の後処理工程の適当な装置は、内部ミキサー、ニーダー、ロールミル、オープンミル、スクリュー押出機、二軸スクリュー押出機、多軸スクリュー押出機、連続混合機、及び/又はローラーダイ(例えば、二軸スクリューシーター)を装着した、又は静止ナイフを装着した二軸スクリュー排出押出機の1種以上を含むが、これらに限定されない。どのデバイスを使用するかに応じて、複合体を、2回以上デバイスを介して、又は同一若しくは異なる動作設定(例えば、速度、温度、エネルギー入力など)を有する一連の類似の若しくは異なるデバイスを介して、処理することが望ましい場合がある。或いは、又はさらに、エラストマー複合体を、加硫プロセスの前に、又はその一部として、添加された充填剤、添加されたエラストマー、又はその両方と組み合わせることができる。追加の充填剤は、エラストマー複合体中の微粒子充填剤と同じであっても異なっていてもよく、当業者に公知の任意の充填剤を含むことができ、この場合、追加の及び補助充填剤として列挙される充填剤を含み、追加の湿潤粉砕再生炭素を含む。添加される充填剤及び/又はエラストマーは、エラストマー複合体に対する加硫物の充填剤濃度を増加又は減少させることができる。
【0064】
エラストマー複合材料を加硫するために、エラストマー複合材料は、架橋剤、任意の必要な活性化剤及び促進剤、酸化防止剤、並びに上記に列挙されたそれらのいずれかの追加の任意の添加剤を含む硬化剤パッケージと組み合わされる。硫黄が架橋剤として使用される場合、典型的な活性化剤は、酸化亜鉛及び/又はステアリン酸を含み、典型的な促進剤は、N-tert-ブチル-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミド(TBBS)及びN-シクロヘキシル-2-ベンゾチアゾールスルホンアミド(CBS)などのスルホンアミドを含む。抗酸化剤としては、N-(1,3-ジメチルブチル)-N’-フェニル-p-フェニレンジアミン(6PPD)及び国際公開第2012/037244号に列挙されるものが挙げられる。ゴム加工に使用される他の硬化剤は、過酸化物、ウレタン架橋剤、金属酸化物、アセトキシシラン混合物などである。硫黄系及び他の架橋システム、並びにエラストマー複合材料を混合及び加硫する方法の追加の適当な成分は、当業者に公知である。例えば、ゴム配合に使用される典型的な手法は、Maurice Morto,Rubber Technology、3rd Edition,Van Norstrand Reinhold Company,New York1987、及び2nd Edition,Van Nordstrand Reinhold Company,New York1973に記載される。
【0065】
種々のゴム物品は、加硫物を組み込んでもよい。例えば、加硫物は、タイヤ、例えば、空気入りタイヤ、非空気入りタイヤ、又はソリッドタイヤに組み込まれ得る。例えば、加硫物は、タイヤトレッド、タイヤカーカス、アンダートレッド、インナーライナー、側壁、側壁インサート、ワイヤスキム、又は更生タイヤのためのクッションガムに組み込まれ得る。或いは、又はさらに、加硫物は、ホース、ライニング、ライナー、シール、ガスケット、防振物品、トラック、トラック推進車両装置用トラックパッド、エンジンマウント、地震安定化装置、採掘装置用スクリーン、採掘装置用ライニング、コンベヤベルト、シュートライナー、スラリーポンプライナー、泥水ポンプ羽根車、バルブシート、バルブ本体、ピストンハブ、ピストンロッド、プランジャー、スラリー混合用羽根車及びスラリーポンプ羽根車、粉砕機ライナー、サイクロン及び液体サイクロン、伸縮継手、船舶機器用の浚渫ポンプ及び船外機ポンプ用ライニング、船舶、オイル、宇宙空間、及び他の用途向けのシャフトシール、プロペラシャフト、又は例えばオイルサンド又はタールサンドを運ぶためのパイプ用ライニングに組み込まれてもよい。或いは、又はさらに、加硫物は、エンジンマウント、ブッシング、目詰め材、風防用ワイパー、自動車部品、シール、ガスケット、ハウジング、及びホイール又はトラック素子に組み込まれてもよい。
【0066】
加硫エラストマー複合体は、特に、充填剤が10~100重量%、例えば、10~90重量%、15~80重量%、20~60重量%、又は30~50重量%の再生炭素、好ましくは湿潤粉砕再生炭素を含む場合、最大で0.03x+4.4、例えば、0.03x~0.03x+4.4のマクロ分散を示し得て、ここで、xは、微粒子充填剤中の再生炭素の割合であり、マクロ分散は、反射モードにおける光学顕微鏡検査によって決定される5μm超の未分散充填剤粒子の面積割合である。或いは、又はさらに、充填剤がカーボンブラック及び10~100重量%(充填剤基準)の再生炭素のみ、例えば、10~90重量%、15~80重量%、20~60重量%、又は30~50重量%再生炭素、好ましくは湿潤粉砕再生炭素を含む場合、加硫エラストマー複合体は、最大で1.9ln(x)+0.2、例えば、1.9ln(x)-3.2~1.9ln(x)+0.2のマクロ分散を示し得る。得られる加硫物は、再生炭素の代わりにASTM N550カーボンブラックを有する以外は、同じプロセス及び同じ組成を介して製造された加硫物と同等又は10%以下の疲労特性を有することができる。或いは、又はさらに、得られる加硫物は、本発明に従って製造された加硫物において使用される同量の追加の充填剤によって置換された再生炭素を有する以外は、同じ方法及び同じ組成を介して製造された加硫物の疲労特性と、同等又は90%超の疲労特性を有することができる。
【0067】
本発明は、本質的に例示のみを意図する以下の実施例によって、さらに明らかにされる。
【実施例】
【0068】
実施例1
逆浸透によって処理された水(360g)及び36gの炭素試料(CBPキプロス若しくはPolimix Ambiental Ltdaのいずれかのチャー、又はPolimix Ambiental LtdaのPolimix 300加工再生炭素)を、半インチ(3320g)及び1/4インチ(2130g)スチールメディアの混合物を含むハーフガロンボールミルに投入した。ミルを周囲条件下で6時間、82rpmで連続的に運転した。水と炭素の混合物をミルから取り除き、粉砕メディアから単離した。チャー及び加工再生炭素の試料もまた、Jet Pulverizer Companyの4インチ軌道Micron-Masterジェットミルを使用してジェット粉砕された。振動フィーダーを使用して、100psiの周囲空気で満たしたエダクターに固形分微粒子を供給し、40psiに維持したチャンバに供給した。
【0069】
粒度分布は、HydroMV再循環アクセサリを装着したMalvern Mastersizer 3000機器で評価された。HydroMVユニットを約100mlの脱イオン水で満たした。検出器窓を通して水を再循環させ、ベースラインを設定するためにバックグラウンド測定を行った。乾燥粉末(例えばチャー又は加工再生炭素)の0.02gの試料を、50mlの1:3(v:v)エタノール/水及び0.05%のTriton(登録商標) X100分散剤と組み合わせた。湿潤試料及び分散体(例えば、湿潤粉砕再生炭素)について、分散体の固形分含有量を決定し、十分な材料を1:3エタノール/水混合物に添加して、0.05%のTriton(登録商標) X100分散剤を有する50ml液体中の0.02gが固形分の分散体を作製した。湿潤及び乾燥試料の両方について、最終混合物を、0.5インチの交換可能なチタンチッププローブを装着したBranson 450D超音波処理器を用いて、振幅50%で10分間、プローブ超音波処理した。新たに分散した試料を、オブスキュレーションレベルが約30%に達するまで、HydroMVユニットに滴下添加した。再循環は、測定を開始する前に追加で10秒間続けた。機器の設定は、以下の表1に記載した通りであった。
【0070】
【0071】
結果を
図1~3に示す。
図1は、未加工チャー(CBPキプロス)の粒度分布を示し、この図は、未加工チャー(一点鎖線)、ジェットミル(破線)、又はボールミル(実線)である。
図2は、チャー(CBPキプロス-破線-及びPolimix Ambiental-一点鎖線)及び加工再生炭素(Polymix 300-実線)のボール粉砕試料の粒度分布を示す。
図3は、チャー(CBPキプロス-破線-及びPolimix Ambiental-一点鎖線)及びPolymix 300加工再生炭素(実線)のジェット粉砕試料の粒度分布を示す。結果は、水の存在下での粉砕が、0.1~2ミクロンの粒径で分布曲線の最大強度を有する、より有効粉砕を提供することを示す。
【0072】
実施例2
10:1(w/w)の液体/固形分比を有する湿潤粉砕再生炭素の粉砕スラリー1.1kgを、周囲温度で1kgの綿毛状(未ペレット化)のN550カーボンブラックを投入した20 HP Feecoピンミキサーに注入する。混合は、1000rpmで90秒間続けられ、その後、ペレットがミキサーから排出される。次に、得られるブレンド炭素ペレットを110℃で24時間乾燥し、1%未満の水分含有量を達成する。次に、乾燥ペレットを、ゴム配合物に組み込み、参照N550のカーボンブラックと比較する。
【0073】
実施例3
ボール粉砕:逆浸透によって処理された水及び36gの市販の熱分解炭素(テクニカルカーボンブラック、Reoil Sp.z o.o.、Myslenice、ポーランド)を、半インチ(3320g)及び1/4インチ(2130g)スチールメディアの混合物を含有するハーフガロンボールミルに投入した。十分な水を使用して、表2に示すように、8.5重量%(試料1)又は20重量%(試料2、3、4、5、及び6)混合物のいずれかを生成した。ミルは、周囲条件下で24時間、82rpmで連続的に操作された。得られる混合物をミルから取り出し、粉砕メディアから単離して、湿潤粉砕再生炭素のスラリーを得た。このプロセスを必要に応じて繰り返し、十分な湿潤粉砕再生炭素を得て、以下に記載するようなゴムを生成した。25重量%のスラリーは、同じ方法で調製され、良好に粉砕されるための十分な流動性を有した。
【0074】
ジェット粉砕:比較1、2、3、4、及び5の材料は、4インチ軌道Micron-Masterジェットミル(Jet Pulverizer Company)を使用して、市販の熱分解炭素(テクニカルカーボンブラック、Reoil Sp.z o.o.、Myslenice、ポーランド)をジェット粉砕することによって調製した。振動フィーダーを使用して、80psiの周囲空気で満たしたエダクターに固形分微粒子を供給し、約60g/分で40psiに維持したチャンバに供給した。ASTM N550型カーボンブラック(Sterling SO カーボンブラック、Cabot Corporation)を、同じ方法でジェット粉砕した。
【0075】
ペレット化:10馬力ピンペレット製造機を、約80%の充填率で使用した。比較試料1、2、3、4及び5について、ジェットミル粉砕されていた、市販の熱分解炭素(テクニカルカーボンブラック、Reoil Sp.z o.o.、Myslenice、ポーランド)及びジェット粉砕ASTM N550型カーボンブラックを、ペレット製造機に、表2に示される割合で添加し、1000rpmで15秒間混合して、綿毛状炭素の均質なブレンドを得た。比較試料2a及び5aについて、ブレンドせずに、ジェット粉砕したASTM N550型カーボンブラックをペレット製造機に添加した。次に、約43重量%の水の割合で水をペレット製造機に添加した。全ての比較試料について、ペレット製造機を周囲温度で1分間、1000rpmで操作した。得られるペレットをそのまま使用するか、又は下記の表2に示すように1重量%未満の水分レベルまで乾燥させた。得られるペレット中の再生炭素の相対量を表2に示す。
【0076】
試料1~5について、適切な量のジェット粉砕カーボンブラック(表2に示す湿潤粉砕再生炭素を有する割合を与えるため)を、ペレット製造機に添加した。次に、ボール粉砕から得られるスラリー(試料1、2、3、4、及び5)をピンペレット製造機に添加して、52~62重量%の水を有する湿潤ペレットを作製した。得られるペレット中の湿潤粉砕再生炭素の相対量及びスラリー濃度を表2に示す。全ての試料について、ペレット製造機を周囲温度で1分間、1000rpmで操作した。以下の表2に示すように、試料を部分的に乾燥(43%水分まで)するか、又は1重量%未満の水分レベルまで乾燥した。部分的に乾燥した試料を、約10mmの試料深さを有する125℃のオーブンに配置し、所望の水分レベル(湿潤充填剤の総重量の割合として43重量%)に達するまで定期的に確認した。ペレット水分は、Mettler HE53水分分析器(Mettler Toledo)を用いて測定された。1重量%未満の水分レベルまで乾燥した試料を、約10mmの試料深さを有する125℃のオーブンに配置し、一晩放置した。
【0077】
比較試料6:沈降シリカ(Solvay USA, Inc.のZeosil 1165MPシリカ348g)及び市販の熱分解炭素(テクニカルカーボンブラック、Reoil Sp.z o.o.、Myslenice、ポーランド、そのまま使用)を5ガロンのポリバケツに添加して、26.9重量%の熱分解炭素を有する混合物を達成した。水を微粒子混合物に添加して、52.1重量%の水分レベルを達成し、バケツをロールミル上で30分間、82rpmで混合して、さらに乾燥されないペレットを形成した。
【0078】
試料6:沈降シリカ(Solvay USA, Inc.のZeosil 1165MPシリカ348g)及び湿潤粉砕再生炭素の20重量%スラリーを、5ガロンのポリバケツ中で組み合わせて、26.9重量%(乾燥基準)の湿潤粉砕再生炭素及び52.1%の水分レベルを有する混合物を作製した。バケツをロールミル上で30分間、82rpmで撹拌し、ペレットを形成した。
【0079】
【0080】
粒度分布:粉砕再生炭素の粒度分布(PSD)を、走査型電子顕微鏡を用いて測定した。PSDは、湿潤粉砕再生炭素(8.5%及び20%)の各濃度の、2つの別個の水性スラリー(以下の表3に別個の試料として列挙される)、湿潤粉砕再生炭素及び沈降シリカの水性スラリー(試料6)、並びにジェット粉砕再生炭素について測定された。関連する再生炭素試料を、600ppmのTriton(登録商標) X 100界面活性剤を有する水中に0.2重量%の濃度で、DISPERMAT分散機を使用して5分間、800RPMで穏やかに分散させた。次に、0.2重量%の分散液を、磁気撹拌プレート上に置き、磁気撹拌バーで24時間混合した。撹拌した分散液を、走査電子顕微鏡検査(SEM)による画像化のために、600ppmのTriton(登録商標) X 100を有する水を使用して、適切な濃度(0.4~4ppm)に希釈した。希釈した分散液を30秒間、3000RPMでボルテックス混合し;次に、0.8mLのボルテックス分散液を、濾過のために100nmの開口部を有する直径25mmのポリカーボネート膜フィルター上に置いた。膜フィルター上の粒子を、SEM画像化の前に空気乾燥した。
【0081】
膜フィルターを白金でスパッタコーティングして、画像化中の帯電を減少させた。Zeiss Ultra-plus電界放出SEMを用いて、SE2検出器により3kvの電子加速電圧における2組のSEM画像を取得した。第1設定の15から40の画像は、3072×2304画素の視野で60nm/画素(×1500倍率)の画像画素サイズで取得され、第2設定の15から40の画像は、3072×2304画素の視野で300nm/画素(×300倍率)の画像画素サイズで取得された。膜フィルター上の画像位置は、フィルター表面上の粒子の代表的なサンプリングのためにフィルター表面積全体を包含するためにランダムに選択された。画像解析は、NIH ImageJソフトウェアのマクロを使用して実行され、SEM画像は、1)疑似フラットフィールド補正方法を使用して不均一な画像背景を最小化し;2)ImageJで局所適応ヒストグラム等化による局所コントラスト強調方法を使用して粒子コントラストを増加し、及び3)ImageJで双指数エッジ保存スムーザーを使用して粒子のエッジを維持しながら画像ノイズを減少して、処理された。3つの異なる局所領域サイズにおける局所コントラスト差を用いて、処理されたSEM画像から粒子を分割した。分割二値画像における全ての粒子に対するサイズ及び形状パラメータを、ImageJにおける標準粒子分析法から得た。PSDの幅に応じて、50000から200000の粒子の総数を画像化し、適切な精度を達成した。PSDを、60nm/画素解像度におけるSEM画像のセットからサブミクロン粒子のPSDを、300nm/画素解像度におけるSEM画像のセットから1ミクロン以上の粒子のPSDと組み合わせることによって生成した。低解像度画像及び高解像度画像に対する全面積の差を補正するために、60nmの画素サイズを有するSEM画像から集められた各粒子は、300nmの画素サイズを有する画像の設定及び60nmの画素サイズを有する画像の設定の両方において、1ミクロン超の粒子の総数の比に等しい、数の重み係数で数えられた。別々の粒径のリストから連続PSDを生成するために、Bスプライン補間法アルゴリズムを用いて滑らかな連続累積粒度分布を生成し、次に、耐ノイズで滑らかな微分器を用いた累積分布の一次導関数に基づいて、確率密度分布を計算した。面積相当円直径Dcirc(画像中の投影面積の平方根をπで割った値の2倍に当量)は、粒径の測定基準として用いられた。粒子の体積加重は、ASTM D3849の式を使用してSEM画像中の粒子の面積及び周囲から推定される粒子の体積に基づく。体積加重粒度分布を表3に示す。湿潤粉砕再生炭素は、ジェット粉砕再生炭素よりも、小さい粒度分布並びに2ミクロン超及び5ミクロン超の粒子が少ないことを示す。
【0082】
【0083】
ゴム混合:50phrの微粒子濃度を有するゴムは、表4に示されるスモール及び硬化剤、並びに以下の表5に列挙されるSMR20天然ゴム、Buna CB24ブタジエンゴム(Lanxess)、又はKralex SBR 1502スチレンブタジエンゴム(Synthos)の量を使用して調製された。さらに、2つの試料は、100phrの天然ゴム(SMR20等級)を用いて、50phrのSterling SO カーボンブラック(比較7)又は市販の熱分解カーボン(比較8、テクニカルカーボンブラック、Reoil Sp.z o.o.、Myslenice、ポーランド)を使用する乾燥混合によって調製された。全ての組成物を、2つのカムローターを有する439mLのブラベンダーPrep-ミキサーで混合した。乾燥混合試料(ペレット水分1重量%未満)は、表6に記載されるように2段階で調製され、湿潤混合試料(ペレット水分1重量%超)は、表7に記載されるように3段階で調製された。どの方法を使用したかにかかわらず、各混合段階の後、混合物を、50℃及び約22rpmで操作される2ロールミル上でシート化し、続いて、60秒間バンディングし、ニップギャップを約5mmで6回通過させ、混合(又は硬化、最後の段階の後)の次の段階の前の休止時間を少なくとも3時間とした。硬化は、加熱プレス(150℃、2500lbs)内で、従来のゴムレオメーターによって決定されるT90のT90+10%の時間(ここで、T90は90%の加硫を達成する時間である)で実施された。
【0084】
【表4】
a)シリカ含有配合物にのみ使用;HB Chemicalのビス[3-(トリエトキシシリル)プロピル]ポリスルフィド
b)水分が1重量%未満のペレットでは2phr、それ以外は2.5phr;N-(1,3-ジメチルブチル)-N’-フェニル-p-フェニレンジアミン、標準的な6PPD(Harwick Standard)
c)ポリ(1,2-ジヒドロ-2,2,4-トリメチル-キノリン)、酸化防止剤DQペレット(Akrochem Corporation)
d)Akrochem Corporationより
e)AKROWAXTM 5031(Akrochem Corporation)
f)N-tert-ブチル-2ベンゾチアゾールスルフェンアミド(Akrochem Corporation)
【0085】
【0086】
【0087】
【0088】
以下の試験を用いて、各加硫物の性能データを得た。伸度100%(M100)における引張応力及び伸度300%(M300)における引張応力を、ASTM D412(試験方法A、タイプC)により、23℃、相対湿度50%、クロスヘッド速度500mm/分で評価した。伸縮計を用いて引張歪を測定した。M300/M100の比は、引張応力比(又は弾性率比)と呼ばれる。硬化ゴム試料のタイプB引裂強度は、ATSM D624に従って23℃で測定される。硬化試料をギロチンで切断し、マクロ分散分析のためにこれらを調製した。Idea 5Mpカラーモザイクカメラ及びSpotイメージングソフトウェア、バージョン5.6.11(Spot Imaging、Sterling Heights、MI)をOlympus BH-2顕微鏡(反射モードの照明源としてリングライトを使用)と併用して画像をデジタル的に捕捉した。撮影画像の全体の倍率は100倍であった。Picassa(Google)を用いて、背景に対する粒子のコントラストを増強した。NIH ImageJソフトウェアを用いて、デフォルト設定の自動閾値法及び適切な背景レベリング(背景減算ボール半径(background subtraction ball radius)を介して設定)並びにエロージョンループを用いて弱凝集体を同定及び定量し、0.3未満の円形度を有する傾向があるナイフマークを弱凝集体(0.3以上の円形度)から区別した。ImageJソフトウェアを用いて、二値像(面積相当直径=(4*暗い対象物の面積/π)1/2)における、対応する対象物の面積相当直径を定義した。試料のランダムに選択された領域の3つの画像が、各試料について測定され、少なくとも5ミクロンの直径を有する弱凝集体は、「未分散」と考えられた。
【0089】
加硫物の特性を以下の表8に列挙する。結果は、実施例の湿潤粉砕再生炭素中の大きな弱凝集体の減少した割合が、このような弱凝集体の割合がより大きいエラストマー複合体加硫物に関して、減少した未分散面積及び改善された弾性率比並びに引裂強度と相関することを示す。結果を
図4に示す。三角形は比較試料を示し、丸は本発明の実施形態に従って調製された試料を示す。
【0090】
【0091】
実施例4
逆浸透によって処理された水及び36gの市販の熱分解炭素(テクニカルカーボンブラック、Reoil Sp.z o.o.、Myslenice、ポーランド)を、半インチ(3320g)及び1/4インチ(2130g)スチールメディアの混合物を含有するハーフガロンボールミルに投入する。十分な水を添加して、25重量%の混合物を生成する。ミルは、周囲条件下で24時間、82rpmで連続的に操作される。得られる混合物をミルから取り除き、粉砕メディアから単離して、上記で概説したSEM法を使用して測定された、2700nm以下のd50及び5ミクロン超の直径を有する15%以下の粒子を有する湿潤粉砕再生炭素のスラリーを得た。スラリーは、固形分含有量が約65~70%になるまで水を除去するために蒸留され、その後、部分的に乾燥されたスラリーは、水分含有量が約40~50%になるまで、125℃のオーブン内で乾燥される。得られる湿潤充填剤を上記のようにペレット化する。得られるペレットを、乾燥することなくそのまま使用するか、又は1%未満の水分含有量まで乾燥し、エラストマーと組み合わせてエラストマー複合体を形成する。
【0092】
本発明の好ましい実施形態の前述の説明は、例示及び説明の目的で提示されている。本発明を包括的、又は開示される正確な形態に限定することを意図するものではない。修正及び変形は、上記の教示に照らして可能であり、又は本発明の実施から獲得され得る。実施形態は、本発明の原理及びその実用的な用途を説明するために選択され、説明され、当業者が、企図される特定の使用に適しているように、様々な態様において、様々な修正を伴って、様々な実施形態において本発明を利用することを可能にした。本発明の範囲は、本願明細書に添付される特許請求の範囲及びそれらの等価物によって定めることを意図されている。
【手続補正書】
【提出日】2024-08-16
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0092
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0092】
本発明の好ましい実施形態の前述の説明は、例示及び説明の目的で提示されている。本発明を包括的、又は開示される正確な形態に限定することを意図するものではない。修正及び変形は、上記の教示に照らして可能であり、又は本発明の実施から獲得され得る。実施形態は、本発明の原理及びその実用的な用途を説明するために選択され、説明され、当業者が、企図される特定の使用に適しているように、様々な態様において、様々な修正を伴って、様々な実施形態において本発明を利用することを可能にした。本発明の範囲は、本願明細書に添付される特許請求の範囲及びそれらの等価物によって定めることを意図されている。以下の項目[態様1]~[態様72]に本発明の実施形態の例を列記する。
[態様1]
微粒子炭素を処理する方法であって:
熱分解炭素を水と組み合わせて、混合物を形成し、1~35重量%の固形分を有する初期スラリーを形成すること;並びに
前記熱分解炭素を粉砕して、湿潤粉砕再生炭素及び水を含む粉砕スラリーを形成することを含み;走査型電子顕微鏡検査を介して測定される前記湿潤粉砕再生炭素の体積加重粒度分布は、2700nm以下のD50及び5ミクロン超の粒径を有する15%以下の粒子の1つ以上を有する
、方法。
[態様2]
D50は、1000nm~2700nm、例えば、1200nm~2500nmである、態様1に記載の方法。
[態様3]
D75は、2500nm~3300nm、例えば1700nm~3000nmである、態様1又は2に記載の方法。
[態様4]
前記湿潤粉砕再生炭素粒子の3%~10%は、5ミクロン超の粒径を有する、態様1~3のいずれか一態様に記載の方法。
[態様5]
前記湿潤粉砕再生炭素粒子の65%以下、例えば、25~60%は、2ミクロン超の粒径を有する、態様1~4のいずれか一態様に記載の方法。
[態様6]
前記初期スラリーから、肉眼で見える混入物を除去することをさらに含む、態様1~5のいずれか一態様に記載の方法。
[態様7]
前記初期スラリーは、最大で25重量%の固形分を有する、態様1~6のいずれか一態様に記載の方法。
[態様8]
前記組み合わせることは、少なくとも1つの補助充填剤を前記水と組み合わせて、前記初期スラリーを形成することをさらに含む、態様1~7のいずれか一態様に記載の方法。
[態様9]
前記補助充填剤は、カーボンブラック、ケイ素処理カーボンブラック、シリカ被覆カーボンブラック、沈降シリカ、水熱炭素、人工多糖類、グラフェン、酸化グラフェン、還元型酸化グラフェン、ナノセルロース、リグニン、クレイ、ナノクレイ、金属酸化物、金属炭酸塩、単層カーボンナノチューブ、多層カーボンナノチューブ、カーボンナノ構造体、カーボンブラック被覆粒子、及びこれらの2種以上の混合物からなる群から選択される、態様8に記載の方法。
[態様10]
前記粉砕することは、カッターミキサー、ボールミル、メディアミル、ホモジナイザー、アトライター、水平ビーズミル、ローターステーターミル、及びコロイドミルから選択される少なくとも1種の装置を用いて実施される、態様1~9のいずれか一態様に記載の方法。
[態様11]
カーボンブラック、ケイ素処理カーボンブラック、シリカ被覆カーボンブラック、カーボンブラック被覆粒子、及び沈降シリカから選択される少なくとも1種の追加の充填剤を前記粉砕スラリーに添加して、前記得られる湿潤ブレンド炭素混合物の固形分を25~70重量%にすることをさらに含む、態様1~10のいずれか一態様に記載の方法。
[態様12]
前記添加することは、前記少なくとも1種の追加の充填剤を含む水性スラリーを添加することを含む、態様11に記載の方法。
[態様13]
前記湿潤ブレンド炭素混合物を高密度化することをさらに含む、態様11又は12に記載の方法
[態様14]
前記高密度化することは、前記湿潤ブレンド炭素混合物をペレット化して、ペレットを形成すること、又は前記湿潤ブレンド炭素混合物を噴霧乾燥することを含む、態様13に記載の方法。
[態様15]
前記ペレットを乾燥することをさらに含む、態様14に記載の方法。
[態様16]
前記水は水の連続流であり;
前記粉砕スラリーは、前記粉砕スラリーの連続流であり;
前記組み合わせることは、前記熱分解炭素を前記水の連続流に計量することを含む;
態様1~15のいずれか一態様に記載の方法。
[態様17]
前記組み合わせることは、少なくとも1種の補助充填剤を前記水の連続流中に計量することをさらに含む、態様16に記載の方法。
[態様18]
前記補助充填剤は、カーボンブラック、ケイ素処理カーボンブラック、シリカ被覆カーボンブラック、沈降シリカ、水熱炭素、人工多糖類、グラフェン、酸化グラフェン、還元型酸化グラフェン、ナノセルロース、リグニン、クレイ、ナノクレイ、金属酸化物、金属炭酸塩、単層カーボンナノチューブ、多層カーボンナノチューブ、カーボンナノ構造体、カーボンブラック被覆粒子、及びこれらの2種以上の混合物からなる群から選択される、態様17に記載の方法。
[態様19]
カーボンブラック、ケイ素処理カーボンブラック、シリカ被覆カーボンブラック、カーボンブラック被覆粒子、及び沈降シリカから選択される少なくとも1種の追加の充填剤を、前記粉砕スラリーの前記連続流中に計量して、前記湿潤ブレンド炭素混合物の得られる連続流の固形分を25~70重量%にすることをさらに含む、態様16~18のいずれか一態様に記載の方法。
[態様20]
前記計量することは、前記追加の充填剤の水性スラリーを、前記粉砕スラリーの前記連続流に計量することを含む、態様19に記載の方法。
[態様21]
前記湿潤ブレンド炭素混合物を造粒することをさらに含む、態様16~20のいずれか一態様に記載の方法。
[態様22]
前記造粒することは、前記湿潤ブレンド炭素混合物をペレット化してペレットを形成すること、又は前記湿潤ブレンド炭素混合物を噴霧乾燥することを含む、態様21に記載の方法。
[態様23]
前記ペレットを、乾燥することをさらに含む、態様22に記載の方法。
[態様24]
前記粉砕スラリー中の前記固形分を、造粒することをさらに含む、態様1~23のいずれか一態様に記載の方法。
[態様25]
前記造粒することは、前記粉砕スラリーを噴霧乾燥すること、又は前記粉砕スラリー中の前記固形分をペレット化することを含む、態様24に記載の方法。
[態様26]
態様1~25のいずれか一態様に記載の方法によって、製造されるペレット。
[態様27]
少なくとも10重量%(乾燥基準)の再生炭素を含む微粒子充填剤であって、走査型電子顕微鏡検査を介して測定される前記再生炭素の体積加重粒度分布は、2700nm以下のD50及び5ミクロン超の粒径を有する15%以下の粒子の1つ以上を有する、微粒子充填剤。
[態様28]
D50は、1000nm~2700nm、例えば1200nm~2500nmである、態様27に記載の微粒子充填剤。
[態様29]
D75は、2500nm~3300nm、例えば1700nm~3000nmである、態様27又は28に記載の微粒子充填剤。
[態様30]
前記再生炭素粒子の3%~10%は、5ミクロン超の粒径を有する、態様27~29のいずれか一態様に記載の微粒子充填剤。
[態様31]
前記再生炭素粒子の65%以下、例えば、25~60%は、2ミクロン超の粒径を有する、態様27~30のいずれか一態様に記載の微粒子充填剤。
[態様32]
前記微粒子充填剤は、10~100重量%、10~90重量%、15~80重量%、20~60重量%、又は30~50重量%の再生炭素を含む、態様27~31のいずれか一態様に記載の微粒子充填剤。
[態様33]
カーボンブラック、ケイ素処理カーボンブラック、シリカ被覆カーボンブラック、沈降シリカ、水熱炭素、人工多糖類、グラフェン、酸化グラフェン、還元型酸化グラフェン、ナノセルロース、リグニン、クレイ、ナノクレイ、金属酸化物、金属炭酸塩、単層カーボンナノチューブ、多層カーボンナノチューブ、カーボンナノ構造体及びカーボンブラック被覆粒子から選択される1種以上の補助充填剤をさらに含む、態様27~32のいずれか一態様に記載の微粒子充填剤。
[態様34]
前記微粒子充填剤は、15~80重量%、例えば40~60重量%の水分含有量を有する、態様27~33のいずれか一態様に記載の微粒子充填剤。
[態様35]
微粒子充填剤はペレットの形態である、態様27~34のいずれか一態様に記載の微粒子充填剤。
[態様36]
前記ペレットは、15~80重量%、例えば40~60重量%の水分含有量を有する、態様33に記載の微粒子充填剤。
[態様37]
前記ペレットは、3%以下の水を含む、態様34に記載の微粒子充填剤。
[態様38]
前記ペレットは、前記微粒子充填剤、任意の水、及び任意の結合剤から実質的になる、態様35~37のいずれか一態様に記載の微粒子充填剤。
[態様39]
ペレットであって、態様27~38のいずれか一態様に記載の微粒子充填剤を含み、カーボンブラック、ケイ素処理カーボンブラック、シリカ被覆カーボンブラック、カーボンブラック被覆粒子、及び沈降シリカから選択される少なくとも1種の追加の充填剤をさらに含む、ペレット。
[態様40]
前記再生炭素は、湿潤粉砕再生炭素である、態様27~39のいずれか一態様に記載の微粒子充填剤。
[態様41]
エラストマー及び30~90phrの微粒子充填剤の混合物を含むエラストマー複合体であって、前記微粒子充填剤は、走査型電子顕微鏡検査によって測定される、2700nm以下のD50(体積加重)及び5ミクロン超の粒径を有する15%(体積加重)以下の粒子の1つ以上を有する、少なくとも10重量%の再生炭素を含む、エラストマー複合体。
[態様42]
前記微粒子充填剤は、10~100重量%、10~90重量%、15~80重量%、20~60重量%、又は30~50重量%の再生炭素を含む、態様41に記載のエラストマー複合体。
[態様43]
D50は、1000nm~2700nm、例えば、1200nm~2500nmである、態様41又は42に記載のエラストマー複合体。
[態様44]
D75は、2500nm~3300nm、例えば、1700nm~3000nmである、態様41~43のいずれか一態様に記載のエラストマー複合体。
[態様45]
前記再生炭素粒子の3%~10%は、5ミクロン超の粒径を有する、態様41~44のいずれか一態様に記載のエラストマー複合体。
[態様46]
前記再生粒子の65%以下、例えば、25~60%は、2ミクロン超の粒径を有する、態様41~45のいずれか一態様に記載の微粒子充填剤。
[態様47]
前記微粒子充填剤は、30~70phr、例えば35~60phr又は40~55phrの量で存在する、態様41~46のいずれか一態様に記載のエラストマー複合体。
[態様48]
前記エラストマー複合体は、最大で0.03x+4.4のマクロ分散を示し、前記xは、前記微粒子充填剤中の再生炭素の割合であり、前記マクロ分散は、反射モードにおける光学顕微鏡検査によって決定される5μm超の未分散充填剤粒子の面積割合である、態様41~47のいずれか一態様に記載のエラストマー複合体。
[態様49]
前記エラストマー複合体は、0.03x~0.03x+4.4のマクロ分散を示し、前記xは、前記微粒子充填剤中の再生炭素の割合であり、前記マクロ分散は、反射モードにおける光学顕微鏡検査によって決定される5μm超の未分散充填剤粒子の面積割合である、態様41~48のいずれか一態様に記載のエラストマー複合体。
[態様50]
前記微粒子充填剤は、カーボンブラック、ケイ素処理カーボンブラック、シリカ被覆カーボンブラック、沈降シリカ、水熱炭素、人工多糖類、グラフェン、酸化グラフェン、還元型酸化グラフェン、ナノセルロース、リグニン、クレイ、ナノクレイ、金属酸化物、金属炭酸塩、単層カーボンナノチューブ、多層カーボンナノチューブ、カーボンナノ構造体、及びカーボンブラック被覆粒子の1種以上をさらに含む、態様41~49のいずれか一態様に記載のエラストマー複合体。
[態様51]
前記微粒子充填剤は、再生炭素及びカーボンブラックであり、前記エラストマー複合体が、最大で1.9ln(x)+1.2のマクロ分散を示し、前記xは、前記微粒子充填剤中の再生炭素の割合であり、前記マクロ分散は、反射モードにおける光学顕微鏡検査によって決定される5μm超の未分散充填剤粒子の面積割合である、態様41~50のいずれか一態様に記載のエラストマー複合体。
[態様52]
前記微粒子充填剤は、再生炭素及びカーボンブラックであり、前記エラストマー複合体が、1.9ln(x)-3.2~1.9ln(x)+0.2のマクロ分散を示し、前記xは、前記微粒子充填剤中の再生炭素の割合であり、前記マクロ分散は、反射モードにおける光学顕微鏡検査によって決定される5μm超の未分散充填剤粒子の面積割合である、態様41~51に記載のエラストマー複合体。
[態様53]
前記エラストマーは、天然ゴム、官能化天然ゴム、スチレン-ブタジエンゴム、官能化スチレン-ブタジエンゴム、ポリブタジエンゴム、官能化ポリブタジエンゴム、ポリイソプレンゴム、エチレン-プロピレンコポリマー、イソブチレン系ゴム、ポリクロロプレンゴム、ニトリルゴム、水素化ニトリルゴム、多硫化ゴム、ポリアクリレートエラストマー、フルオロエラストマー、パーフルオロエラストマー、及びそれらのブレンドから選択される、態様41~52のいずれか一態様に記載のエラストマー複合体。
[態様54]
前記再生炭素は、湿潤粉砕再生炭素である、態様41~53のいずれか一態様に記載のエラストマー複合体。
[態様55]
前記エラストマー複合体は、加硫エラストマー複合体である、態様41~54のいずれか一態様に記載のエラストマー複合体。
[態様56]
タイヤトレッドであって、態様41~54のいずれか一態様に記載のエラストマー複合体及び硬化剤パッケージを含む混合物の加硫物を含む、タイヤトレッド。
[態様57]
物品であって、態様41~54のいずれか一態様に記載のエラストマー複合体及び硬化剤パッケージを含む混合物の加硫物を含む、物品。
[態様58]
前記物品は、空気入りタイヤ、非空気入りタイヤ、又はソリッドタイヤに組み込まれる、態様57に記載の物品。
[態様59]
前記物品は、タイヤトレッド、アンダートレッド、インナーライナー、側壁、側壁インサート、ワイヤスキム、及び再生タイヤのためのクッションガムから選択される、態様57又は58に記載の物品。
[態様60]
前記物品は、ホース、ライニング、ライナー、シール、ガスケット、防振物品、トラック、トラック推進車両装置用トラックパッド、エンジンマウント、地震安定化装置、採掘装置用スクリーン、採掘装置用ライニング、コンベヤベルト、シュートライナー、スラリーポンプライナー、泥水ポンプ羽根車、バルブシート、バルブ本体、ピストンハブ、ピストンロッド、プランジャー、スラリー混合用羽根車及びスラリーポンプ羽根車、粉砕機ライナー、サイクロン及び液体サイクロン、伸縮継手、船舶機器用の浚渫ポンプ及び船外機ポンプ用ライニング、船舶、オイル、宇宙空間、及び他の用途向けのシャフトシール、プロペラシャフト、パイプライニング、エンジンマウント、ブッシング、目詰め材、風防用ワイパー、自動車部品、シール、ガスケット、ハウジング、ホイール素子、並びにトラック素子から選択される、態様57に記載の物品。
[態様61]
態様41~54のいずれか一態様に記載のエラストマー複合体及び硬化剤パッケージを含む混合物の加硫物であって、前記加硫物が、前記再生炭素の代わりにASTM N550カーボンブラックを有する以外は、同じプロセス及び同じ組成を介して生成された加硫物と同等又は少なくとも90%の疲労特性を有する、混合物の加硫物。
[態様62]
態様41~54のいずれか一態様に記載のエラストマー複合体及び硬化剤パッケージを含む混合物の加硫物であって、前記加硫物が、最大で0.03x+4.4のマクロ分散を示し、前記xは、前記微粒子充填剤中の再生炭素の割合であり、前記マクロ分散は、反射モードにおける光学顕微鏡検査によって決定される5μm超の未分散充填剤粒子の面積割合である、混合物の加硫物。
[態様63]
態様41~54のいずれか一態様に記載のエラストマー複合体及び硬化剤パッケージを含む混合物の加硫物であって、前記加硫物が、0.03x~0.03x+4.4のマクロ分散を示し、前記xは、前記微粒子充填剤中の再生炭素の割合であり、前記マクロ分散は、反射モードにおける光学顕微鏡検査によって決定される5μm超の未分散充填剤粒子の面積割合である、混合物の加硫物。
[態様64]
態様41~54のいずれか一態様に記載のエラストマー複合体及び硬化剤パッケージを含む混合物の加硫物であって、前記微粒子充填剤が、再生炭素及びカーボンブラックであり、前記加硫物が、最大で1.9ln(x)+0.2のマクロ分散を示し、前記xは、前記微粒子充填剤中の再生炭素の割合であり、前記マクロ分散は、反射モードにおける光学顕微鏡検査によって決定される5μm超の未分散充填剤粒子の面積割合である、混合物の加硫物。
[態様65]
態様41~54のいずれか一態様に記載のエラストマー複合体及び硬化剤パッケージを含む混合物の加硫物であって、前記微粒子充填剤が、再生炭素及びカーボンブラックであり、前記エラストマー複合体が、1.9ln(x)-3.2~1.9ln(x)+0.2のマクロ分散を示し、前記xは、前記微粒子充填剤中の再生炭素の割合であり、前記マクロ分散は、反射モードにおける光学顕微鏡検査によって決定される5μm超の未分散充填剤粒子の面積割合である、混合物の加硫物。
[態様66]
エラストマー及び30~90phrの微粒子充填剤の混合物を含むエラストマー複合体であって、前記微粒子充填剤が少なくとも10重量%の再生炭素を含み、前記エラストマー複合体が、最大で0.03x+4.4のマクロ分散を示し、前記xは、前記微粒子充填剤中の再生炭素の割合であり、前記マクロ分散は、反射モードにおける光学顕微鏡検査によって決定される5μm超の未分散充填剤粒子の面積割合である、エラストマー複合体。
[態様67]
前記エラストマー複合体は、0.03x~0.03x+4.4のマクロ分散を示し、前記xは、前記微粒子充填剤中の再生炭素の割合であり、前記マクロ分散は、反射モードにおける光学顕微鏡検査によって決定される5μm超の未分散充填剤粒子の面積割合である、態様66に記載のエラストマー複合体。
[態様68]
エラストマー及び30~90phrの微粒子充填剤の混合物を含むエラストマー複合体であって、前記微粒子充填剤が、残部の前記カーボンブラックと共に少なくとも10重量%の再生炭素を含み、前記エラストマー複合体が、最大で1.9ln(x)+1.2のマクロ分散を示し、前記xは、前記微粒子充填剤中の再生炭素の割合であり、前記マクロ分散は、反射モードにおける光学顕微鏡検査によって決定される5μm超の未分散充填剤粒子の面積割合である、エラストマー複合体。
[態様69]
前記エラストマー複合体が、1.9ln(x)-3.2~1.9ln(x)+0.2のマクロ分散を示し、前記xは、前記微粒子充填剤中の再生炭素の割合であり、前記マクロ分散は、反射モードにおける光学顕微鏡検査によって決定される5μm超の未分散充填剤粒子の面積割合である、態様68に記載のエラストマー複合体。
[態様70]
前記エラストマー複合体は、加硫される、態様66~69のいずれか一態様に記載のエラストマー複合体。
[態様71]
前記再生炭素は、湿潤粉砕再生炭素である、態様66~70のいずれか一態様に記載のエラストマー複合体。
[態様72]
前記再生炭素は、走査型電子顕微鏡検査によって測定される、2700nm以下のD50(体積加重)及び5ミクロン超の粒径を有する15%(体積加重)以下の粒子の1つ以上を有する、態様66~71のいずれか一態様に記載のエラストマー複合体。
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
微粒子炭素を処理する方法であって:
熱分解炭素を水と組み合わせて、混合物を形成し、1~35重量%の固形分を有する初期スラリーを形成すること;並びに
前記熱分解炭素を粉砕して、湿潤粉砕再生炭素及び水を含む粉砕スラリーを形成することを含み;走査型電子顕微鏡検査を介して測定される前記湿潤粉砕再生炭素の体積加重粒度分布は、2700nm以下のD50及び5ミクロン超の粒径を有する15%以下の粒子の1つ以上を有する、方法。
【請求項2】
前記初期スラリーから、肉眼で見える混入物を除去することをさらに含む、請求項
1に記載の方法。
【請求項3】
前記組み合わせることは、少なくとも1つの補助充填剤を前記水と組み合わせて、前記初期スラリーを形成することをさらに含
み、前記補助充填剤は、カーボンブラック、ケイ素処理カーボンブラック、シリカ被覆カーボンブラック、沈降シリカ、水熱炭素、人工多糖類、グラフェン、酸化グラフェン、還元型酸化グラフェン、ナノセルロース、リグニン、クレイ、ナノクレイ、金属酸化物、金属炭酸塩、単層カーボンナノチューブ、多層カーボンナノチューブ、カーボンナノ構造体、カーボンブラック被覆粒子、及びこれらの2種以上の混合物からなる群から選択される、請求項
1に記載の方法。
【請求項4】
カーボンブラック、ケイ素処理カーボンブラック、シリカ被覆カーボンブラック、カーボンブラック被覆粒子、及び沈降シリカから選択される少なくとも1種の追加の充填剤を前記粉砕スラリーに添加して、前記得られる湿潤ブレンド炭素混合物の固形分を25~70重量%にすることをさらに含む、請求項
1に記載の方法。
【請求項5】
前記添加することは、前記少なくとも1種の追加の充填剤を含む水性スラリーを添加することを含む、請求項
4に記載の方法。
【請求項6】
1)前記湿潤ブレンド炭素混合物をペレット化して、ペレットを形成すること、又は
2)前記湿潤ブレンド炭素混合物を噴霧乾燥すること
によって、前記湿潤ブレンド炭素混合物を高密度化することをさらに含む、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記水は水の連続流であり;
前記粉砕スラリーは、前記粉砕スラリーの連続流であり;
前記組み合わせることは、前記熱分解炭素を前記水の連続流に計量することを含む;
請求項
1に記載の方法。
【請求項8】
請求項1~
7のいずれか一項に記載の方法によって製造されるペレット。
【請求項9】
少なくとも10重量%(乾燥基準)の再生炭素を含む微粒子充填剤であって、走査型電子顕微鏡検査を介して測定される前記再生炭素の体積加重粒度分布は、2700nm以下のD50及び5ミクロン超の粒径を有する15%以下の粒子の1つ以上を有する、微粒子充填剤。
【請求項10】
カーボンブラック、ケイ素処理カーボンブラック、シリカ被覆カーボンブラック、沈降シリカ、水熱炭素、人工多糖類、グラフェン、酸化グラフェン、還元型酸化グラフェン、ナノセルロース、リグニン、クレイ、ナノクレイ、金属酸化物、金属炭酸塩、単層カーボンナノチューブ、多層カーボンナノチューブ、カーボンナノ構造体及びカーボンブラック被覆粒子から選択される1種以上の補助充填剤をさらに含む、請求項
9に記載の微粒子充填剤。
【請求項11】
ペレットであって、請求項
9に記載の微粒子充填剤を含み、カーボンブラック、ケイ素処理カーボンブラック、シリカ被覆カーボンブラック、カーボンブラック被覆粒子、及び沈降シリカから選択される少なくとも1種の追加の充填剤をさらに含む、ペレット。
【請求項12】
前記再生炭素は、湿潤粉砕再生炭素である、請求項
9に記載の微粒子充填剤。
【請求項13】
エラストマー及び30~90phrの微粒子充填剤の混合物を含むエラストマー複合体であって、前記微粒子充填剤は、走査型電子顕微鏡検査によって測定される、2700nm以下のD50(体積加重)及び5ミクロン超の粒径を有する15%(体積加重)以下の粒子の1つ以上を有する、少なくとも10重量%の再生炭素を含む、エラストマー複合体。
【請求項14】
前記エラストマー複合体は、0.03x~0.03x+4.4のマクロ分散を示し、前記xは、前記微粒子充填剤中の再生炭素の割合であり、前記マクロ分散は、反射モードにおける光学顕微鏡検査によって決定される5μm超の未分散充填剤粒子の面積割合である、請求項
13に記載のエラストマー複合体。
【請求項15】
前記微粒子充填剤は、カーボンブラック、ケイ素処理カーボンブラック、シリカ被覆カーボンブラック、沈降シリカ、水熱炭素、人工多糖類、グラフェン、酸化グラフェン、還元型酸化グラフェン、ナノセルロース、リグニン、クレイ、ナノクレイ、金属酸化物、金属炭酸塩、単層カーボンナノチューブ、多層カーボンナノチューブ、カーボンナノ構造体、及びカーボンブラック被覆粒子の1種以上をさらに含む、請求項
13に記載のエラストマー複合体。
【請求項16】
前記微粒子充填剤は、再生炭素及びカーボンブラックであり、前記エラストマー複合体が、最大で1.9ln(x)+1.2のマクロ分散を示し、前記xは、前記微粒子充填剤中の再生炭素の割合であり、前記マクロ分散は、反射モードにおける光学顕微鏡検査によって決定される5μm超の未分散充填剤粒子の面積割合である、請求項
13に記載のエラストマー複合体。
【請求項17】
エラストマー及び30~90phrの微粒子充填剤の混合物を含むエラストマー複合体であって、前記微粒子充填剤が少なくとも10重量%の再生炭素を含み、前記エラストマー複合体が、最大で0.03x+4.4のマクロ分散を示し、前記xは、前記微粒子充填剤中の再生炭素の割合であり、前記マクロ分散は、反射モードにおける光学顕微鏡検査によって決定される5μm超の未分散充填剤粒子の面積割合である、エラストマー複合体。
【国際調査報告】