(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-17
(54)【発明の名称】低温のための油圧ブレーキシステム及びそのようなブレーキシステムの動作方法
(51)【国際特許分類】
B60T 8/36 20060101AFI20250109BHJP
B60T 17/22 20060101ALI20250109BHJP
【FI】
B60T8/36
B60T17/22 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024541036
(86)(22)【出願日】2023-01-09
(85)【翻訳文提出日】2024-07-08
(86)【国際出願番号】 DE2023200006
(87)【国際公開番号】W WO2023134830
(87)【国際公開日】2023-07-20
(31)【優先権主張番号】102022200332.2
(32)【優先日】2022-01-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(31)【優先権主張番号】102022203990.4
(32)【優先日】2022-04-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522296653
【氏名又は名称】コンチネンタル・オートモーティヴ・テクノロジーズ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Continental Automotive Technologies GmbH
【住所又は居所原語表記】Continental-Plaza 1, 30175 Hannover, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100191835
【氏名又は名称】中村 真介
(74)【代理人】
【識別番号】100221981
【氏名又は名称】石田 大成
(74)【代理人】
【識別番号】100191938
【氏名又は名称】高原 昭典
(72)【発明者】
【氏名】ノイ・アンドレアス
(72)【発明者】
【氏名】ヒッツェル・ミヒャエル
(72)【発明者】
【氏名】クルト・クリスティアン
(72)【発明者】
【氏名】ビラー・ハーラルト
(72)【発明者】
【氏名】ミーム・ゼバスティアン
【テーマコード(参考)】
3D049
3D246
【Fターム(参考)】
3D049BB01
3D049BB27
3D049CC02
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3D049HH20
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3D246MA21
(57)【要約】
本発明は、ブレーキフルードを吸入側から圧力側に搬送するための油圧ポンプ(2)と、少なくとも1つの電気制御式油圧弁と、ポンプの吸入側に接続されたブレーキフルードリザーバ(111)と、油圧ポンプ(2)及び少なくとも1つの油圧弁を閉ループ制御する少なくとも1つの制御デバイス(101、201)とを備える、油圧ブレーキシステムに関する。低温での利用可能性を改善するために、制御デバイス(101、201)は、限界温度を下回るときに、及び/又は限界粘度を上回るときに、少なくとも1つの電気制御式油圧弁を電流で作動させることによって、少なくとも1つの電気制御式油圧弁によってブレーキフルードリザーバ(111)を加熱するように設計される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブレーキフルードを吸入側から圧力側に搬送するための油圧ポンプと、少なくとも1つの電気制御式油圧弁と、前記ポンプの前記吸入側に接続されたブレーキフルードリザーバと、前記油圧ポンプ及び前記少なくとも1つの油圧弁を閉ループ制御する少なくとも1つの制御ユニットとを備える、油圧ブレーキシステムにおいて、前記制御ユニットが、限界温度を下回るときに、及び/又は限界粘度を上回るときに、前記少なくとも1つの電気制御式油圧弁を電流で作動させることによって、前記少なくとも1つの電気制御式油圧弁によって前記ブレーキフルードリザーバを加熱するように構成されることを特徴とする、油圧ブレーキシステム。
【請求項2】
前記油圧ポンプがピストンポンプとして構成され、リニアアクチュエータが更に設けられ、前記制御ユニットが、正常な場合には、圧力上昇のために前記リニアアクチュエータを作動させるように、且つ前記リニアアクチュエータに故障が発生した場合には、圧力上昇のために前記ピストンポンプを作動させるように構成されることを特徴とする、請求項1に記載の油圧ブレーキシステム。
【請求項3】
前記制御ユニットが複数の部品で実施され、第1の制御ユニットが前記リニアアクチュエータを作動させ、第2の制御ユニットが前記ピストンポンプを作動させることを特徴とする、請求項2に記載の油圧ブレーキシステム。
【請求項4】
前記ブレーキフルードリザーバが、前記少なくとも1つの開ループ電気制御式油圧弁と共にハウジングブロックに設置されることを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の油圧ブレーキシステム。
【請求項5】
前記ブレーキフルードリザーバが、前記ハウジングブロック内の2つの油圧ユニット間のライン接続として構成されることを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の油圧ブレーキシステム。
【請求項6】
複数の開ループ電気制御式油圧弁が前記ハウジングブロックに設置され、すべてのバルブが加熱のために通電される、且つ/又は前記ブレーキフルードリザーバからの間隔が最も小さい1つ又は複数の前記バルブが通電されることを特徴とする、請求項4又は5に記載の油圧ブレーキシステム。
【請求項7】
前記ブレーキフルードリザーバの体積が、前記体積が2.44m/s^2の遅延を数学的に許容するように、前記ブレーキの圧力-体積特性曲線に適合されることを特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載の油圧ブレーキシステム。
【請求項8】
前記限界温度が、-20~-30℃にあることを特徴とする、請求項1~7のいずれか一項に記載の油圧ブレーキシステム。
【請求項9】
前記制御ユニットが、所定の体積流量が出口弁を通して搬送されること、及び設定された圧力差が測定されたことによって、粘度を測定するように構成されることを特徴とする、請求項1~8のいずれか一項に記載の油圧ブレーキシステム。
【請求項10】
前記制御ユニットが、加熱開始時には最大電流で所定の期間だけ又は所定の温度まで前記バルブを通電するように、その後、低保持電流で前記バルブを通電するように構成されることを特徴とする、請求項1~9のいずれか一項に記載の油圧ブレーキシステム。
【請求項11】
前記制御ユニットが、前記限界温度からの温度及び/又は前記限界粘度からの粘度の偏差に基づいて、加熱のために電流で前記バルブを通電するように構成されることを特徴とする、請求項1~10のいずれか一項に記載の油圧ブレーキシステム。
【請求項12】
コイル温度が、加熱中に求められることを特徴とする、請求項1~11のいずれか一項に記載の油圧ブレーキシステム。
【請求項13】
前記加熱が、閉ループ制御又は開ループ制御されることを特徴とする、請求項1~12のいずれか一項に記載の油圧ブレーキシステム。
【請求項14】
ブレーキフルードを吸入側から圧力側に搬送するための油圧ポンプと、少なくとも1つの開ループ電気制御式油圧弁と、前記ポンプの前記吸入側に接続されたブレーキフルードリザーバとを備える、油圧ブレーキシステムを閉ループ制御する方法において、限界温度を下回るときに、及び/又は限界粘度を上回るときに、前記リザーバが、電流で作動される前記少なくとも1つの開ループ電気制御式油圧弁によって加熱されることを特徴とする、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブレーキフルードを吸入側から圧力側に搬送するための油圧ポンプと、少なくとも1つの開ループ電気制御式油圧弁と、ポンプの吸入側に接続されたブレーキフルードリザーバと、油圧ポンプ及び少なくとも1つの油圧弁を閉ループ制御する少なくとも1つの制御ユニットとを備える、油圧ブレーキシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
最新の冗長化されたブレーキシステムは、典型的には、2つの独立した電動圧力供給デバイスを有する。2つの独立した電動圧力供給デバイスもまた、通常、異なる制御ユニットによって作動される。つまり、圧力供給デバイスのうちの1つが故障した場合でも、遅延を最小限にすることが確保され得る。
【0003】
このようなブレーキシステムとしては、国際公開第2017/144201A1号パンフレットから、通常のブレーキ動作を実施するためのブレーキバイワイヤブレーキシステムと、バックアップブレーキシステムとしての追加のモジュールとを備えたものが知られている。この追加のモジュールには、ブレーキフルードを確実に供給するためにブレーキフルードリザーバが設置される。
【0004】
ここで問題になるのは、極低温での制動力の供給である。ここでの問題は、指数関数的に増加するブレーキフルードの粘度にある。この粘度上昇は、コンポーネントにおけるポンプの吸入側への体積流量に悪影響を及ぼす。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、本発明の目的は、低温時でも車両を確実に減速させるブレーキシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的は、制御ユニットが、限界温度を下回るときに、少なくとも1つの電気制御式油圧弁を電流で作動させることによって、少なくとも1つの電気制御式油圧弁によってブレーキフルードリザーバを加熱するように構成されることによって達成される。温度の代わりに、圧力上昇を判定する媒体であるブレーキフルードの粘度が直接考慮される。この粘度が限界粘度を超えた場合、リザーバ、ひいてはその中にあるブレーキフルードが加熱される。これにより、低温でも十分に速い圧力上昇が可能になる。
【0007】
本発明の1つの好ましい実施形態では、油圧ポンプがピストンポンプとして構成され、リニアアクチュエータが更に設けられ、制御ユニットが、正常な場合には、圧力上昇のためにリニアアクチュエータを作動させるように、且つリニアアクチュエータに故障が発生した場合には、圧力上昇のためにピストンポンプを作動させるように構成される。このように、油圧ブレーキシステムは高度な冗長性を有し、したがって、運転者に依存した油圧フォールバックレベルの必要性をなしで済ますことができる。これは、自律走行、又はいわゆるe-Pedalを備えたブレーキシステムの設計に必要なものである。
【0008】
本発明の1つの好ましい実施形態では、制御ユニットが複数の部品で実施され、第1の制御ユニットがリニアアクチュエータを作動させ、第2の制御ユニットがピストンポンプを作動させる。第1の制御ユニットはアクチュエータECUとも呼ばれる。第2の制御ユニットは、典型的には、ピストンポンプに加えてホイール弁も制御するため、モジュレータECUと呼ばれる。つまり、電子機器も冗長構成のものである。
【0009】
油圧ポンプは、流動抵抗を更に低減するために吸入側に拡大孔を有することが好ましい。好ましくは、吸入側にある孔は、5mmから15mm、好ましくは5mmから8mm、特に好ましくは6.5mmのサイズを有し得る。同時に、ブレーキシステムの更なる孔が、5mmより小さく、特に2mmから5mm、好ましくは3.3mmから4.46mmとなるように構成され得る。
【0010】
本発明の1つの好ましい実施形態では、ブレーキフルードリザーバが、少なくとも1つの開ループ電気制御式油圧弁と共にハウジングブロックに設置される。これにより、発生した熱が十分にリザーバに伝導される。ブレーキフルードリザーバは、好ましくは、単純にハウジングブロックにおける空洞として構成される。ピストンポンプもまた、好ましくは、このハウジングブロックに設置され、その結果、経路全体が加熱されたハウジングブロック内に置かれる。
【0011】
本発明の1つの好ましい実施形態では、ブレーキフルードリザーバは、ハウジングブロック内の2つの油圧ユニット間のライン接続として構成される。このようなリザーバは、特に容易且つコスト効率良く製造され得る。
【0012】
本発明の1つの好ましい実施形態では、複数の開ループ電気制御式油圧弁がハウジングブロックに設置され、すべてのバルブが加熱のために通電される、且つ/又はブレーキフルードリザーバからの間隔が最も小さい1つ又は複数のバルブが通電される。
【0013】
本発明の1つの好ましい実施形態では、ブレーキフルードリザーバの体積が、体積が2.44m/s^2の遅延を数学的に許容するように、圧力-体積特性曲線に適合される。
【0014】
本発明の1つの好ましい実施形態では、限界温度は、-20~-30℃にあり、好ましくは-25℃である。
【0015】
本発明の1つの好ましい実施形態では、制御ユニットが、粘度を測定するように構成される。この目的のために、特に、リニアアクチュエータが、出口弁を通して指定された体積流量を搬送するように作動される。圧力センサが、設定された圧力差を測定し、これらの変数と出口弁の絞り開度の式とから粘度を求めるために使用される。粘度を求めることを可能にする曲線又は表も変数として保存され得る。
【0016】
本発明の1つの好ましい実施形態では、制御ユニットが、加熱開始時には最大電流で所定の期間だけ又は所定の温度までバルブを通電するように、その後、低保持電流でバルブを通電するように構成される。これにより、必要な温度に迅速に到達し、それと同時に、バルブのオーバーヒート、またそれによるバルブの損傷を防ぐ。
【0017】
本発明の1つの好ましい実施形態では、制御ユニットが、限界温度からの温度及び/又は限界粘度からの粘度の偏差に基づいて、加熱のために電流でバルブを通電するように構成される。このように、加熱出力は実際の状況に適合される。
【0018】
本発明の1つの好ましい実施形態では、コイル温度が加熱中に求められる。この目的のために、コイルの抵抗Rが、例えば周期的に10秒ごとに、パルス幅変調(PWM)のデューティサイクルdcと、所定の電圧Uにおいて測定された電流Iとを評価することによって推定され得る(R=U*dc/I)。そうすると最終的に、コイル温度が、室温での既知の抵抗に対する電流抵抗の比率から求まる。
【0019】
或いは、コイルの抵抗は、例えば周期的に10秒ごとに、コイル電流及びコイル電圧の複数の動的測定値から求められたパラメータL、特にRを、最小二乗法によって求めることによって推定される。最終的に、コイル温度は、室温での既知の抵抗に対する電流抵抗の比率から求まる。
【0020】
任意選択で、抵抗は所定の電子機器によって測定され得る。
【0021】
本発明の1つの好ましい実施形態では、加熱が閉ループ制御又は開ループ制御される。閉ループ制御の動作では、特に圧力センサに配置された温度センサが適宜評価される。このように、加熱は、温度の測定値を用いて、温度の設定値に閉ループ制御される。
【0022】
開ループ制御の動作では、所定の必要加熱出力が、既知の周囲温度に設定され得る。これは、特に「加熱」段階と「温度維持」段階とに分割されて実施され、その際、加熱出力が適宜選択され得る。
【0023】
更に、上記の目的は、ブレーキフルードを吸入側から圧力側に搬送するための油圧ポンプと、少なくとも1つの開ループ電気制御式油圧弁と、ポンプの吸入側に接続されたブレーキフルードリザーバとを備える、油圧ブレーキシステムを閉ループ制御する方法によって達成され、限界温度を下回るときに、リザーバが、電流で作動される少なくとも1つの開ループ電気制御式油圧弁によって加熱される。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図2】本発明によるブレーキシステムの代替的な実施形態を示す。
【
図4】本発明による方法の実行の際の例示的な変数を示す。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1は、自動車のための、本発明によるブレーキシステムの第1の例示的な実施形態を極めて概略的に示している。本例によれば、ブレーキシステムは、4つの油圧作動式ホイールブレーキ8a~8dを作動させるように構成される。なお、より多くのホイールブレーキへの拡張も容易に可能である。本例によれば、ホイールブレーキ8a、8bは車両の後車軸(後方)に割り当てられ、ホイールブレーキ8c、8dは車両の前車軸(前方)に割り当てられる。
【0026】
ブレーキシステムは、本例によれば、バルブブロックHCU1と第1の電子制御デバイス101(ECU1)とを有する第1の電気油圧ブレーキ制御ユニット(HECU1)として構成された第1の構造ユニット100と、例えば、バルブブロックHCU2と第2の電子制御デバイス201(ECU2)とを有する第2の電気油圧ブレーキ制御ユニット(HECU2)として構成された第2の構造ユニット200とを備える。
【0027】
第1の構造ユニット100には、2つのチャンバを有する圧力媒体リザーバ4が配置され、第1のチャンバ401が第1の容器接続部が割り当てられ、第2のチャンバ402が第2の容器接続部が割り当てられる。
【0028】
第1の構造ユニット100には、第1の電気作動式圧力源5が配置される。
【0029】
第2の構造ユニット200には、第2の電気作動式圧力源2とホイール別ブレーキ圧力調節弁とが配置され、ホイール別ブレーキ圧力調節弁は、ホイールブレーキ8a~8dごとの、電気作動式入口弁6a~6d及び電気作動式出口弁7a~7dとして設計される。
【0030】
第1の圧力源5と第2の圧力源2とは、圧力側でブレーキ供給ライン13に接続され、ブレーキ供給ライン13には4つの入口弁6a~6dが接続される。よって、第1の圧力源5又は第2の圧力源2によって、4つすべてのホイールブレーキ8a~8dを作動させることができる。
【0031】
ブレーキ供給ライン13には、電気作動式回路遮断弁40が配置され、その結果、回路遮断弁40を閉じた場合、ブレーキ供給ライン13は、入口弁6a、6b及びホイールブレーキ8a、8bが接続される第1のラインセクション13aと、入口弁6c、6d及びホイールブレーキ8c、8dが接続される第2のラインセクション13bとに分割される。第2の圧力源2は第1のラインセクション13aに油圧で接続され、第1の圧力源5は第2のラインセクション13bに油圧で接続される。よって、回路遮断弁40を閉じた場合、ブレーキシステムは2つの油圧ブレーキ回路I及びIIに分断又は分割される。第1のブレーキ回路Iでは、圧力源2がホイールブレーキ8a及び8bのみに(第1のラインセクション13aを介して)接続され、第2のブレーキ回路IIでは、第1の圧力源5がホイールブレーキ8c及び8dのみに(第2のラインセクション13bを介して)接続される。回路遮断弁40は、有利には、常時開となるように構成される。
【0032】
ブレーキシステムは、既に述べたように、油圧作動式ホイールブレーキ8a~8dごとに、入口弁6a~6dと出口弁7a~7dとを備え、これらは、センターコネクタを介して対で油圧で相互接続され、それぞれ、対応するホイールブレーキ8a~8dが接続される第2の構造ユニット200の油圧ホイールコネクタに接続される。ブレーキ供給ライン13に対して開く逆止弁が、入口弁6a~6dのそれぞれに並列で接続される。出口弁7a~7dの出口コネクタは、共通の戻りライン14を介してリザーバ111に接続され、リザーバ111を介して圧力媒体リザーバ4又はそのチャンバ402に接続される。すべての入口弁6a~6dの入力コネクタは、ブレーキ供給ライン13によって(つまり、回路遮断弁40が開いた場合)、第1の圧力源5、又は例えば第1の圧力源5に故障が発生した場合には第2の圧力源2が供給する圧力を供給され得る。
【0033】
バルブブロックHCU1の第1の電気制御式圧力源5は、油圧シリンダ-ピストン構成(又は単一回路電気油圧アクチュエータ(リニアアクチュエータ))として構成され、そのピストン36は、概略的に示す回転/並進歯車機構39の中間接続を有する同様に概略的に示す電気モータ35によって作動させることができ、特に、前進及び後退させて、圧力チャンバ37内の圧力を上昇及び解放することができる。ピストン36は、圧力源5の圧力チャンバ37を画定する。電動モータを作動させるためにロータ位置センサ44が設けられ、ロータ位置センサ44は、電動モータ35のロータ位置を検出するものであり、単に概略的に示してある。
【0034】
第1の電気制御式圧力源5の圧力チャンバ37には、システム圧力ラインセクション38が接続される。ラインセクション38によって、圧力源5又は圧力チャンバ37は、第1の構造ユニット100の油圧コネクタ60に接続され、油圧コネクタ60は、油圧接続要素80を介して第2の構造ユニット200の油圧コネクタ61に接続される。接続部80は、第1の構造ユニットと第2の構造ユニットとの間の唯一の油圧圧力接続部、特に唯一の油圧接続部である。接続部80は、ホイールブレーキ8a~8dを作動させるためのブレーキ圧力を伝達するための油圧接続部である。したがって、接続要素80は耐圧構成のものでなければならない。
【0035】
圧力チャンバ37は、ピストン36の動作状態に関係なく、(補充)ライン42を介して、第1の構造ユニット100の油圧接続部63によって圧力媒体リザーバ4又はそのチャンバ401に接続される。ライン42には、圧力媒体リザーバ4の側で閉じる逆止弁53が配置される。本例によるシリンダ-ピストン構成5は、漏らし孔を持たない。
【0036】
更に、圧力チャンバ37は、本例によれば、ラインセクション38及び電気作動式であり、有利には常時開の第2の遮断弁23を介して、ライン42又は油圧接続部63に接続される。圧力チャンバ37の側で開く逆止弁が、第2の遮断弁23に並列に接続される。
【0037】
(補充)接続部63及び(圧力)コネクタ60以外には、第1の構造ユニット100が備える油圧コネクタはない。
【0038】
第2の構造ユニット200の第2の開ループ電気制御式圧力源2は、本例によれば、2つのピストンポンプとして設計され、その2つの圧力側が相互接続される。吸入側は、リザーバ111を介して戻りライン14に、ひいては圧力媒体リザーバ4に接続される。圧力側は、ブレーキ供給ライン13の第1のラインセクション13aに接続される。
【0039】
本例によれば、第2の構造ユニット200には、圧力源2及びブレーキ圧調節弁6a~6d、7a~7dに加えて、電気作動式であり、有利には常時開の遮断弁又はスイッチオンバルブ26が配置される。遮断弁26は、コネクタ61とブレーキ供給ライン13の第2のラインセクション13bとの間に油圧で配置される。よって、第1の圧力源5は、遮断弁26を介して第2のラインセクション13b又はブレーキ供給ライン13と切り離し可能に接続される。
【0040】
ブレーキシステムは、本例によれば、ブレーキ回路II(ラインセクション13b)に圧力センサ19を備え、したがって、圧力センサ19は、第1の圧力源5に割り当てられる。このことは、回路分離が実行された場合、つまり回路遮断弁40が閉じた場合に、破裂保護に有利である。しかしながら、圧力センサ19をブレーキ回路Iに配置したり、第2の圧力センサを設けたりすることもでき、その結果、2つのブレーキ回路I及びIIのそれぞれを圧力センサによって直接監視することができる。
【0041】
本例によれば、漏れ監視のために、ブレーキシステムは、圧力媒体リザーバ4内の圧力媒体液位を求めるための液位測定デバイス50を備える。
【0042】
本例によれば、コンポーネント5、53、23及びラインセクション38、42は第1のバルブブロックHCU1に配置され、コンポーネント2、6a~6d、7a~7d、26、19及びラインセクション13a、13b(並びに一方の側である入口弁及び出口弁と、他方の側であるホイール接続部との間のラインセクション)は第2のバルブブロックHCU2に配置される。
【0043】
各バルブブロックHCU1、HCU2には、電子制御デバイス101、201が割り当てられる(ECU1、ECU2)。各電子制御デバイス101、201は、関連するバルブブロックの電気作動式コンポーネント、及び必要に応じて関連するセンサを作動させるための電気要素及び/又は電子要素(例えば、マイクロコントローラ、パワーモジュール、バルブドライバ、他の電子コンポーネントなど)を備える。バルブブロック及び電子制御デバイスは、有利には、既知の仕方で電気油圧ユニット(HECU)として構成される。
【0044】
第1の開ループ電子制御デバイス101は第1の圧力源5を作動させる。本例によれば、第1の圧力源5は、第1の開ループ電子制御デバイス101を介して(第1の電力源から)エネルギーを供給される。
【0045】
第2の開ループ電子制御デバイス201は第2の圧力源2を作動させる。本例によれば、第2の圧力源2は、第2の開ループ電子制御デバイス201を介して(第2の電力源から)エネルギーを供給される。
【0046】
本例によれば、第1の圧力源5は、専ら第1の開ループ電子制御デバイス101によって作動され得る、又は作動され、第2の圧力源は、専ら第2の開ループ電子制御デバイス201によって作動され得る、又は作動される。
【0047】
ブレーキシステムは、一次圧力源5と二次圧力源2とを有し、それぞれが吸引コネクタ及び圧力コネクタを介してECUによって電気的に動作される。システムが非通電状態であっても、ブレーキフルードが二次圧力源2の圧力コネクタに流入することはできない。一次圧力源5は、好ましくは、補充逆止弁53を備えたリニアアクチュエータであり、二次圧力源2はピストンポンプである。二次圧力源2は、好ましくは、一次圧力源5よりも高い圧力を発生させ得る。
【0048】
2つの圧力源2、5の吸入側は、圧力媒体リザーバ4に接続され、好ましくは、それぞれ2つの別々のチャンバ(402、401)の一方に接続される。
【0049】
一次圧力源5の圧力側は、電磁バルブ26(圧力スイッチオンバルブとも呼ばれる)を介して一次回路ノード(第2のラインセクション13b)に接続される。
【0050】
二次圧力源2の圧力側は、二次回路ノード(第1のラインセクション13a)に(バルブの中間接続なしに)直接接続される。2つの回路ノード(ラインセクション13a、13b)は、電磁弁40(回路分流弁とも呼ばれる)を介して互いに接続される。
【0051】
通常の動作では、ホイールブレーキにおける圧力は、遮断弁23が閉じた状態で、一次圧力源5によって上昇する。圧力は、一次圧力源5に、又は遮断弁23を介して放散される。圧力は、必要に応じて、入口弁及び出口弁によってホイールごとに調節される。必要であれば、遮断弁26は、一次圧力源5が更なる体積を補充できるように閉じられる。
【0052】
特に多くの体積流量が要求される場合、圧力源5及び2の両方が同時に並行して動作する。この場合、圧力放散は、好ましくはアナログバルブとして構成され、すなわちその通過流を制御し得る遮断弁23を介して、少なくとも部分的に行われる。特に高い圧力が要求される場合、遮断弁26は閉じられ、二次圧力源2は一次圧力源5の圧力を超えて圧力を上昇させる。ブレーキ動作以外では、遮断弁23及び遮断弁26を介して大気圧均等化が恒久的に確保される。
【0053】
ブレーキシステムで漏れが発生した場合、回路遮断弁40が閉じられて、システムが2つの独立したブレーキ回路I及びIIに分離される。
【0054】
遮断弁23は、好ましくは、一次ECU101によって作動される。遮断弁26は、好ましくは、二次ECU201によって作動される。故障が発生した場合の動作に関する以下の説明は、このバルブの割り当てに関するものである。
【0055】
一次システム、特に一次ECU101又はその電源が電気的に故障した場合、二次ECU201は遮断弁26を閉じて二次圧力源2を介して圧力を上昇させる。圧力は、遮断弁26又は出口弁7a~7dを介して放散される。好ましくは、入口弁及び出口弁は、二次ECU201によって作動され、その結果、圧力はホイールごとに調節され得る。
【0056】
二次システム、特に二次ECU201又はその電圧源が電気的に故障した場合、一次圧力源5、及び必要に応じて遮断弁23を介して、通常の動作の際と同様に圧力が上昇され、放散される。ホイールごとの閉ループ圧力制御なしで済ます必要があるが、ホイールがロックして車両が不安定になるのを防ぐために、ホイール圧力の共同調節は可能なままである。
【0057】
ECU1、ひいてはリニアアクチュエータ5に故障が発生した場合、ECU2におけるピストンポンプ2も、-40℃までの低温範囲で500ms以内に、2.44m/s2の遅延を実現し得るような大量の体積を移動することができなければならない。典型的なブレーキ特性では、約5cm3/sの体積流量を設定しなければならない。
【0058】
ここでの問題は、指数関数的に増加するブレーキフルードの粘度にある。この粘度上昇は、以下のコンポーネントにおけるポンプの吸入側への体積流量に影響を及ぼす。
- リザーバとECU2の油圧系との間のライン、
- ECU2の油圧系に穿設されたライン、
- ECU2のポンプの吸入弁側。
【0059】
最も大きな悪影響はポンプの吸入弁において発生することが判明した。したがって、十分に高温に予熱された体積のブレーキフルードをポンプに吸入側で供給することが可能でなければならない。好ましい解決策は、様々な特徴の組み合わせから構成される。これらは、一方では、ECU2の油圧系内のポンプの吸入側にある最適化された拡大孔、及びポンプの吸入側にある追加のリザーバ(Res)である。加えて、ECU2の油圧系は少なくとも-25℃まで加熱される。
【0060】
リザーバは、典型的には、少なくとも2.44m/s3の減速を達成するために必要な体積を有する。-25℃において、ポンプは必要な体積流量を設定し得る。
【0061】
図2は、
図1のブレーキシステムの1つの代替的な実施形態を示している。これは、以下に説明する変更点を除いて、
図1のブレーキシステムに対応する。まず、遮断弁23は、リニアアクチュエータ5の補充ライン42aとは別に構成された独自のライン42bを介して、ブレーキフルードリザーバ4に接続される。ブレーキフルードリザーバは、この目的のために独自のサブチャンバ403を有する。更に、圧力センサ19が、回路遮断弁40の上、つまりピストンポンプ2の側に配置される。
【0062】
図3は、制御デバイス201において実施される閉ループ制御を示している。測定温度が-25℃未満である場合、加熱が行われる。このことは、「Block Heating」フィールドに概略的に示されている。この加熱は、「PlantHydraulicBlock」フィールドに示すシステム全体の温度に影響を与える。設定された温度は閉ループ制御変数として返される。
【0063】
次に、
図4は、ブレーキシステムのハウジングブロックの温度が-40℃であるときに開始する一実施形態を示している。温度が-25℃の限界を下回るため、加熱が作動される。すべてのコイルが、最大電流で、つまり、平均巻線温度が120℃になるまで通電され、このことは抵抗測定によってチェックされる。これは200Wの加熱出力に相当する。結果として、リザーバは約5K/分で加熱される。上限設定値に到達した場合、下限値に再び到達するまで加熱は停止される。その後、約50Wに低減された電力で加熱が再び作動される。これにより、温度が示された制限内に保たれる。
【0064】
温度の観測ではなく、粘度を直接観測することもでき、このことは、関連するターゲット変数を直接測定するものである。したがって、不正確な温度センサのエラーは作用せず、これにより、加熱が絶対に必要な場合にのみ、実際に加熱が作動される。粘度を測定するために、リニアアクチュエータが、後輪の出口弁を通して所定の体積流量を搬送するように作動される。圧力センサが、設定された圧力差を測定し、これらの変数と出口弁の絞り開度の式とから粘度を求めるために使用される。適用される温度デルタは、(種類及び含水量に関係なく)粘度が6ケルビンの温度上昇ごとに半分になるという一般的な関係に基づいて、測定された粘度と所望の粘度との比率から求められる。例えば、Vmess/Vsoll=8=23から、ΔT=3*6K=18ケルビンとなる。
【0065】
この値から、対応する加熱出力が次式のように決定され、供給される。P=α*Δθ。αは熱伝導率の値であり、この値は、設計及び実験によって決定され、制御ユニットに保存される。
【0066】
加熱出力は、関与するすべてのバルブの個々の出力の和である。加熱中、粘度から計算された温度差に到達したときに関して、温度が監視され得る。温度変化のみが考慮されるため、温度センサのより大きな統計誤差(オフセット)が排除され、その結果、精度が向上する。必要に応じて、例えば外部温度が変化した場合に、加熱出力Pを調節することができる。
【0067】
その後、必要に応じて、粘度測定を繰り返して、加熱が成功したか否かを確認することができる。
【0068】
油圧ポンプの吸入側においてリザーバを直接加熱することにより、リニアアクチュエータの部分的な故障が発生した場合でも、低温での許容可能な圧力ダイナミクス、ひいてはフォールバックプレーンの利用可能性を確保することができる。本方法は、追加のハードウェアなしで実施することができるため、非常にコスト効率が良い。
【手続補正書】
【提出日】2024-07-08
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0068
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0068】
油圧ポンプの吸入側においてリザーバを直接加熱することにより、リニアアクチュエータの部分的な故障が発生した場合でも、低温での許容可能な圧力ダイナミクス、ひいてはフォールバックプレーンの利用可能性を確保することができる。本方法は、追加のハードウェアなしで実施することができるため、非常にコスト効率が良い。
なお、本発明は以下の態様も包含し得る:
1.ブレーキフルードを吸入側から圧力側に搬送するための油圧ポンプと、少なくとも1つの電気制御式油圧弁と、前記ポンプの前記吸入側に接続されたブレーキフルードリザーバと、前記油圧ポンプ及び前記少なくとも1つの油圧弁を閉ループ制御する少なくとも1つの制御ユニットとを備える、油圧ブレーキシステムにおいて、前記制御ユニットが、限界温度を下回るときに、及び/又は限界粘度を上回るときに、前記少なくとも1つの電気制御式油圧弁を電流で作動させることによって、前記少なくとも1つの電気制御式油圧弁によって前記ブレーキフルードリザーバを加熱するように構成されることを特徴とする、油圧ブレーキシステム。
2.前記油圧ポンプがピストンポンプとして構成され、リニアアクチュエータが更に設けられ、前記制御ユニットが、正常な場合には、圧力上昇のために前記リニアアクチュエータを作動させるように、且つ前記リニアアクチュエータに故障が発生した場合には、圧力上昇のために前記ピストンポンプを作動させるように構成されることを特徴とする、上記1.に記載の油圧ブレーキシステム。
3.前記制御ユニットが複数の部品で実施され、第1の制御ユニットが前記リニアアクチュエータを作動させ、第2の制御ユニットが前記ピストンポンプを作動させることを特徴とする、上記2.に記載の油圧ブレーキシステム。
4.前記ブレーキフルードリザーバが、前記少なくとも1つの開ループ電気制御式油圧弁と共にハウジングブロックに設置されることを特徴とする、上記1.~3.のいずれか一つに記載の油圧ブレーキシステム。
5.前記ブレーキフルードリザーバが、前記ハウジングブロック内の2つの油圧ユニット間のライン接続として構成されることを特徴とする、上記1.~4.のいずれか一つに記載の油圧ブレーキシステム。
6.複数の開ループ電気制御式油圧弁が前記ハウジングブロックに設置され、すべてのバルブが加熱のために通電される、且つ/又は前記ブレーキフルードリザーバからの間隔が最も小さい1つ又は複数の前記バルブが通電されることを特徴とする、上記4.又は5.に記載の油圧ブレーキシステム。
7.前記ブレーキフルードリザーバの体積が、前記体積が2.44m/s^2の遅延を数学的に許容するように、前記ブレーキの圧力-体積特性曲線に適合されることを特徴とする、上記1.~6.のいずれか一つに記載の油圧ブレーキシステム。
8.前記限界温度が、-20~-30℃にあることを特徴とする、上記1.~7.のいずれか一つに記載の油圧ブレーキシステム。
9.前記制御ユニットが、所定の体積流量が出口弁を通して搬送されること、及び設定された圧力差が測定されたことによって、粘度を測定するように構成されることを特徴とする、上記1.~8.のいずれか一つに記載の油圧ブレーキシステム。
10.前記制御ユニットが、加熱開始時には最大電流で所定の期間だけ又は所定の温度まで前記バルブを通電するように、その後、低保持電流で前記バルブを通電するように構成されることを特徴とする、上記1.~9.のいずれか一つに記載の油圧ブレーキシステム。
11.前記制御ユニットが、前記限界温度からの温度及び/又は前記限界粘度からの粘度の偏差に基づいて、加熱のために電流で前記バルブを通電するように構成されることを特徴とする、上記1.~10.のいずれか一つに記載の油圧ブレーキシステム。
12.コイル温度が、加熱中に求められることを特徴とする、上記1.~11.のいずれか一つに記載の油圧ブレーキシステム。
13.前記加熱が、閉ループ制御又は開ループ制御されることを特徴とする、上記1.~12.のいずれか一つに記載の油圧ブレーキシステム。
14.ブレーキフルードを吸入側から圧力側に搬送するための油圧ポンプと、少なくとも1つの開ループ電気制御式油圧弁と、前記ポンプの前記吸入側に接続されたブレーキフルードリザーバとを備える、油圧ブレーキシステムを閉ループ制御する方法において、限界温度を下回るときに、及び/又は限界粘度を上回るときに、前記リザーバが、電流で作動される前記少なくとも1つの開ループ電気制御式油圧弁によって加熱されることを特徴とする、方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブレーキフルードを吸入側から圧力側に搬送するための油圧ポンプと、少なくとも1つの電気制御式油圧弁と、前記ポンプの前記吸入側に接続されたブレーキフルードリザーバと、前記油圧ポンプ及び前記少なくとも1つの油圧弁を閉ループ制御する少なくとも1つの制御ユニットとを備える、油圧ブレーキシステムにおいて、前記制御ユニットが、限界温度を下回るときに、及び/又は限界粘度を上回るときに、前記少なくとも1つの電気制御式油圧弁を電流で作動させることによって、前記少なくとも1つの電気制御式油圧弁によって前記ブレーキフルードリザーバを加熱するように構成されることを特徴とする、油圧ブレーキシステム。
【請求項2】
前記油圧ポンプがピストンポンプとして構成され、リニアアクチュエータが更に設けられ、前記制御ユニットが、正常な場合には、圧力上昇のために前記リニアアクチュエータを作動させるように、且つ前記リニアアクチュエータに故障が発生した場合には、圧力上昇のために前記ピストンポンプを作動させるように構成されることを特徴とする、請求項1に記載の油圧ブレーキシステム。
【請求項3】
前記制御ユニットが複数の部品で実施され、第1の制御ユニットが前記リニアアクチュエータを作動させ、第2の制御ユニットが前記ピストンポンプを作動させることを特徴とする、請求項2に記載の油圧ブレーキシステム。
【請求項4】
前記ブレーキフルードリザーバが、前記少なくとも1つの開ループ電気制御式油圧弁と共にハウジングブロックに設置されることを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の油圧ブレーキシステム。
【請求項5】
前記ブレーキフルードリザーバが、前記ハウジングブロック内の2つの油圧ユニット間のライン接続として構成されることを特徴とする、請求項
4に記載の油圧ブレーキシステム。
【請求項6】
複数の開ループ電気制御式油圧弁が前記ハウジングブロックに設置され、すべてのバルブが加熱のために通電される、且つ/又は前記ブレーキフルードリザーバからの間隔が最も小さい1つ又は複数の前記バルブが通電されることを特徴とする、請求項
4に記載の油圧ブレーキシステム。
【請求項7】
前記ブレーキフルードリザーバの体積が、前記体積が2.44m/s^2の遅延を数学的に許容するように、前記ブレーキの圧力-体積特性曲線に適合されることを特徴とする、請求項1~
3のいずれか一項に記載の油圧ブレーキシステム。
【請求項8】
前記限界温度が、-20~-30℃にあることを特徴とする、請求項1~
3のいずれか一項に記載の油圧ブレーキシステム。
【請求項9】
前記制御ユニットが、所定の体積流量が出口弁を通して搬送されること、及び設定された圧力差が測定されたことによって、粘度を測定するように構成されることを特徴とする、請求項1~
3のいずれか一項に記載の油圧ブレーキシステム。
【請求項10】
前記制御ユニットが、加熱開始時には最大電流で所定の期間だけ又は所定の温度まで前記バルブを通電するように、その後、低保持電流で前記バルブを通電するように構成されることを特徴とする、請求項1~
3のいずれか一項に記載の油圧ブレーキシステム。
【請求項11】
前記制御ユニットが、前記限界温度からの温度及び/又は前記限界粘度からの粘度の偏差に基づいて、加熱のために電流で前記バルブを通電するように構成されることを特徴とする、請求項1~
3のいずれか一項に記載の油圧ブレーキシステム。
【請求項12】
コイル温度が、加熱中に求められることを特徴とする、請求項1~
3のいずれか一項に記載の油圧ブレーキシステム。
【請求項13】
前記加熱が、閉ループ制御又は開ループ制御されることを特徴とする、請求項1~
3のいずれか一項に記載の油圧ブレーキシステム。
【請求項14】
ブレーキフルードを吸入側から圧力側に搬送するための油圧ポンプと、少なくとも1つの開ループ電気制御式油圧弁と、前記ポンプの前記吸入側に接続されたブレーキフルードリザーバとを備える、油圧ブレーキシステムを閉ループ制御する方法において、限界温度を下回るときに、及び/又は限界粘度を上回るときに、前記リザーバが、電流で作動される前記少なくとも1つの開ループ電気制御式油圧弁によって加熱されることを特徴とする、方法。
【国際調査報告】