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特表2025-502475ジイミド誘導体、その調製方法、及び使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-24
(54)【発明の名称】ジイミド誘導体、その調製方法、及び使用
(51)【国際特許分類】
   C07D 221/14 20060101AFI20250117BHJP
   A61K 31/473 20060101ALI20250117BHJP
   A61K 31/496 20060101ALI20250117BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20250117BHJP
【FI】
C07D221/14 CSP
A61K31/473
A61K31/496
A61P35/00
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024543449
(86)(22)【出願日】2023-01-31
(85)【翻訳文提出日】2024-07-23
(86)【国際出願番号】 CN2023074050
(87)【国際公開番号】W WO2023179205
(87)【国際公開日】2023-09-28
(31)【優先権主張番号】202210298748.9
(32)【優先日】2022-03-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520253328
【氏名又は名称】湘北威爾曼制薬股▲ふん▼有限公司
(71)【出願人】
【識別番号】521387833
【氏名又は名称】広州新創憶薬物臨床研究有限公司
(71)【出願人】
【識別番号】521387844
【氏名又は名称】広州新創意生物医薬有限公司
(71)【出願人】
【識別番号】522166286
【氏名又は名称】広州新創翼医薬研発有限公司
(71)【出願人】
【識別番号】519144509
【氏名又は名称】南京康福順薬業有限公司
【氏名又は名称原語表記】NANJING KANGFUSHUN PHARMACEUTICAL CO.,LTD
【住所又は居所原語表記】E3 Building,No.9,Weidi Road,Xianlin Street,Qixia District Nanjing,Jiangsu 210046,China
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】孫天宇
(72)【発明者】
【氏名】儲結根
【テーマコード(参考)】
4C086
【Fターム(参考)】
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086AA04
4C086BC22
4C086BC27
4C086BC50
4C086GA07
4C086GA12
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA14
4C086ZB26
(57)【要約】
ジイミド誘導体、その調製方法、及び使用を提供する。該ジイミド誘導体は、優れた抗腫瘍活性を有し、複数種のがん細胞に対する抗増殖活性が類似の化合物よりもはるかに優れる。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Iで示されるジイミド誘導体。
【化1】
(式Iにおいて、
Aは、ナフタレン環又はアントラセン環であり、3つの炭素原子を介してジイミドに縮合され、
は、水素原子、アルキルオキシ又はニトロから選択され、
m又はnは、1、2又は3であり、かつ、m+n≦4であり、
は、アルキルであり、
は、水素原子又はアルキルから選択され、
又はRは、アルキル、ハロアルキル又はニトロソから選択される。)
【請求項2】
前記アルキルはC1~C4アルキルであり、前記アルキルオキシはC1~C4アルキルオキシであり、前記ハロアルキルはハロC1~C4アルキルである、請求項1に記載のジイミド誘導体。
【請求項3】
前記Aはナフタレン環である、請求項1に記載のジイミド誘導体。
【請求項4】
前記Rは、ニトロ又はC1~C4アルキルオキシである、請求項1に記載のジイミド誘導体。
【請求項5】
前記Rは水素原子である、請求項1に記載のジイミド誘導体。
【請求項6】
前記RとRは一緒に環を形成する、請求項1に記載のジイミド誘導体。
【請求項7】
前記RはハロC1~C4アルキルであり、前記Rはニトロソである、請求項1に記載のジイミド誘導体。
【請求項8】
前記m及びnは、m=1かつn=3、m=1かつn=2、又はm=2かつn=2から選択される、請求項1に記載のジイミド誘導体。
【請求項9】
反応式に従って、式M7で示される化合物と式M8で示される化合物をアルカリの存在下で反応させて式Iで示される化合物を生成するステップを含む、式Iで示されるジイミド誘導体の調製方法。
【化2】
(ここで、反応式中のA、m、n、R、R、R、R、及びRは請求項1で記載の通りである。)
【請求項10】
式M7で示される化合物は、反応式に従って、まず、式M4で示される化合物と式M5で示される化合物を反応させて式M6で示される化合物を生成し、次に、酸の存在下で式M6で示される化合物を処理して式M7で示される化合物を得る方法によって調製される、請求項9に記載の調製方法。
【化3】
(反応式中のA、m、n、R、R、及びRは、請求項1で記載の通りである。)
【請求項11】
式M4で示される化合物は、反応式に従って、まず、式M1で示される化合物と式M2で示される化合物を反応させて式M3で示される化合物を生成し、次に、式M3で示される化合物を水素化して式M4で示される化合物を得る方法によって調製される、請求項10に記載の調製方法。
【化4】
(反応式中のXはハロゲンであり、Cbzはベンジルオキシカルボニルであり、Bocはtert-ブトキシカルボニルであり、m、n、R、及びRは請求項1で記載の通りである。)
【請求項12】
細胞増殖性疾患を治療する薬物の調製における請求項1~8のいずれか1項に記載のジイミド誘導体の使用。
【請求項13】
前記細胞増殖性疾患はがんである、請求項12に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ジイミド誘導体、その調製方法、及び使用に関し、医薬化学の分野に属する。
【背景技術】
【0002】
ジイミド類化合物は、医薬化学の分野において重要な物質であり、多くの興味深い薬理学的活性を持っている。
【0003】
ジイミドがさらにいくつかの縮合環と縮合すると、独特の平面構造が形成され、分子体積が大幅に減少し、DNA二本鎖の塩基対の間に埋め込まれ、DNA二重らせんの変性を引き起こすことができるため、がんなどの細胞増殖性疾患に対して独自の応用価値がある。ジイミドに縮合した最も一般的な縮合環はナフタレンとアントラセンである。これらの構造を持つ多くの化合物は抗腫瘍活性が報告されているが、臨床段階に入っている化合物はほとんどない。
【0004】
アモナフィド(Amonafide)は代表的な化合物の一つで、結腸がん、肺がん、胃がん、食道がん、白血病などの様々ながん細胞に対して強い細胞傷害活性を有することが報告されている。Antisoma社は、アモナフィドを急性骨髄性白血病治療のための第III相臨床試験に進めたが、最終的には有効性が低いため開発を中止した。
【0005】
現在、業界では、より優れた潜在的な化合物を得るために他のジイミド系化合物の研究を続けているが、アモナフィドよりも強力な活性を持つ化合物を見つけることは依然として困難である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、優れた特性を有する縮合環ジイミド系化合物を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1態様では、本発明は、式Iで示されるジイミド構造を有する化合物を提供する。
(式Iにおいて、
Aは、ナフタレン環又はアントラセン環であり、3つの炭素原子を介してジイミドに縮合され、
は、水素原子、アルキルオキシ又はニトロから選択され、
m又はnは、1、2又は3であり、かつ、m+n≦4であり、
は、アルキルであり、
は、水素原子又はアルキルから選択され、
又はRは、アルキル、ハロアルキル又はニトロソから選択される。)
【0008】
また、式Iにおいて、Rは、任意にRとともに環を形成する。
【0009】
いくつかの例では、前記式Iにおいて、前記アルキルはC1~C4アルキルである。
【0010】
いくつかの例では、前記式Iにおいて、前記アルキルオキシはC1~C4アルキルオキシである。
【0011】
いくつかの例では、前記式Iにおいて、前記ハロアルキルはハロC1~C4アルキルである。
【0012】
いくつかの例では、前記式Iにおいて、前記Aは、好ましくはナフタレン環である。いくつかの好ましい式Iで示される化合物は、より優れた特性、例えばより高い活性を有する。
【0013】
いくつかの例では、前記式Iにおいて、前記Rは、好ましくはニトロ又はC1~C4アルキルオキシであり、より好ましくはニトロである。いくつかの好ましい式Iで示される化合物は、より優れた特性、例えばより高い活性を有する。
【0014】
いくつかの例では、前記式Iにおいて、前記Rは、好ましくは水素原子である。いくつかの好ましい式Iで示される化合物は、より優れた特性、例えばより高い活性を有する。
【0015】
いくつかの例では、前記式Iにおいて、RとRは、一緒に5員環、6員環などの環を形成する。例えばR及びRは、それぞれが連結する窒素原子とともに飽和窒素複素環を形成する。
【0016】
いくつかの例では、前記式Iにおいて、前記Rは、好ましくはハロC1~C4アルキルであり、前記Rは、好ましくはニトロソである。いくつかの好ましい式Iで示される化合物は、より優れた特性、例えばより高い活性を有する。
【0017】
いくつかの例では、前記式Iにおいて、前記m及びnは、好ましくは、m=1かつn=3、m=1かつn=2、又はm=2かつn=2であり、より好ましくはm=2かつn=2である。いくつかの好ましい式Iで示される化合物は、より優れた特性、例えばより高い活性を有する。
【0018】
いくつかの例では、前記式Iにおいて、前記C1~C4アルキルは、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、sec-ブチル、イソブチル、及びtert-ブチルなどを含み、ハロゲンは、フッ素、塩素、及び臭素を含む。
【0019】
第2態様では、本発明は、反応式に示すように、式M7で示される化合物と式M8で示される化合物をアルカリの存在下で反応させて式Iで示される化合物を生成するステップを含む、式Iで示される化合物の調製方法を提供する。
(ここで、反応式中のA、m、n、R、R、R、R及びRは前記の通りである。)
【0020】
いくつかの例では、前記アルカリは、水酸化ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム又はリン酸ナトリウムから選択される。
【0021】
式M7で示される化合物及び式M8で示される化合物は、市販品として入手してもよく、化学合成によって得られてもよい。
【0022】
いくつかの例では、前記式M7で示される化合物は、反応式に示すように、まず、式M4で示される化合物と式M5で示される化合物を反応させて式M6で示される化合物を生成し、次に、酸の存在下で式M6で示される化合物を処理して式M7で示される化合物を得る方法によって調製されてもよい。
(反応式中のA、m、n、R、R、及びRは前記の通りである。)
【0023】
いくつかの例では、前記酸は、塩酸などの一般的な酸である。
【0024】
式M4で示される化合物は、市販品として入手してもよく、化学合成によって得られてもよい。
【0025】
いくつかの例では、前記式M4で示される化合物は、反応式に示すように、まず、式M1で示される化合物と式M2で示される化合物を反応させて式M3で示される化合物を生成し、次に、式M3で示される化合物を水素化して式M4で示される化合物を得る方法によって調製されてもよい。
(反応式中のXはハロゲンであり、Cbzはベンジルオキシカルボニルであり、Bocはtert-ブトキシカルボニルであり、m、n、R、及びRは前記の通りである。)
【0026】
第3態様では、本発明は、細胞増殖性疾患を治療する薬物の調製における式Iで示される化合物の使用を提供する。
【0027】
いくつかの例では、前記細胞増殖性疾患はがんである。
【0028】
いくつかの例では、前記がんは、消化器系腫瘍、呼吸器系腫瘍、及び/又は造血系腫瘍であり、例えば結腸腫瘍、肺腫瘍、及び血液腫瘍などである。
【0029】
第4態様では、本発明は、これを必要とする対象に治療有効量の前記式Iで示される化合物を投与することを含む、細胞増殖性疾患を治療する方法を提供する。
【0030】
いくつかの例では、前記細胞増殖性疾患はがんである。
【0031】
いくつかの例では、前記がんは、消化器系腫瘍、呼吸器系腫瘍、及び/又は造血系腫瘍であり、例えば結腸腫瘍、肺腫瘍、及び血液腫瘍である。
【発明の効果】
【0032】
本発明によるジイミド誘導体は、新規化合物であり、研究の結果、このジイミド誘導体は、優れた生体内及び生体外の抗腫瘍活性を有し、結腸腫瘍、肺腫瘍、及び血液腫瘍などの様々な腫瘍に対して顕著な阻害作用を有し、しかも、抗腫瘍活性が類似の化合物よりもはるかに優れており、応用の将来性が期待できる。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、実施例を用いて本発明をさらに説明し、いくつかの好ましい化合物を例示する。なお、実施例は、本発明の技術案及び技術的効果を限定するものではない。
実施例1:化合物I-01
【0034】
反応式:
反応式に従って、具体的には、以下のように化合物I-01を調製した。
1.1 中間体I-01-M3の調製:化合物I-01-M2(3.48g、20mmol)をDMF 30mLに溶解し、その後、混合液にKCO(4.16g、30mmol)、NaI(3.00g、20mmol)、及び化合物I-01-M1(5.14g、20mmol)を順次加えて、30℃で一晩反応させた。反応完了後、反応液に精製水(120ml)を加えて、酢酸エチル(180ml)で3回抽出し、無水MgSOで乾燥させ、濾過し、母液を濃縮し、カラムクロマトグラフィーにより精製し、中間体I-01-M3(4.07g、11.6mmol)を収率58%で得た。
1.2 中間体I-01-M4の調製:中間体I-01-M3(4.07g、11.6mmol)をメタノール(25mL)に溶解し、10%Pd/C(0.3g)を加えて、水素ガス置換を3回行い、常圧で一晩反応させ、珪藻土で濾過し、母液を濃縮し、無色油状物としての中間体I-01-M4(2.50g、11.5mmol)を収率99.1%で得た。
1.3 中間体I-01-M6の調製:反応フラスコに中間体I-01-M4(2.50g、11.5mmol)、エタノール(60ml)、化合物I-01-M5(2.79g、11.5mmol)を順次加えて、80℃に加熱して2時間反応させ、冷却し、反応液を濃縮し、カラムクロマトグラフィーにより精製し、中間体I-01-M6(3.63g、8.2mmol)を収率71.3%で得た。
1.4 中間体I-01-M7の調製:中間体I-01-M6(3.63g、8.2mmol)を4%塩化水素の酢酸エチル溶液(50ml)に溶解し、室温で一晩反応させ、濾過し、乾燥させ、中間体I-01-M7(2.67g、7.8mmol)を収率95.1%で得た。
1.5 化合物I-01の合成:反応フラスコに化合物I-01-M8(2.46g、9mmol)、ジクロロメタン(30ml)、トリエチルアミン(2.02g、20mmol)を順次加えて、0℃に冷却し、中間体I-01-M7(2.67g、7.8mmol)をバッチ式で加えて、0℃で一晩反応させ、水(20ml)で洗浄し、無水MgSOで乾燥させ、濾過し、母液を濃縮し、カラムクロマトグラフィーにより精製し、化合物I-01(2.14g、4.5mmol)を収率57.7%で得た。生成物の同定:H-NMR(400MHz,d-DMSO)δ:2.97(s,3H),3.34-3.40(m,2H),3.46-3.51(m,2H),3.58(t,J=6.5Hz,2H),3.72-3.77(m,2H),3.98-4.11(m,2H),4.46(t,J=6.2Hz,2H),8.06(dd,J=8.2,7.4Hz,1H),8.67-8.62(dd,J=7.3,1.1Hz,1H),8.78(dd,J=8.5,1.1Hz,1H),8.89(d,J=2.3Hz,1H),9.00(t,J=5.5Hz,1H),9.48(d,J=2.3Hz,1H)。
実施例2:化合物I-02
【0035】
実施例1の方法を参照して、化合物I-02を調製した。生成物の同定:H-NMR(400MHz,d-DMSO)δ:1.04(t,J=7.6Hz,3H),2.81-2.84(m,4H),2.92(s,3H),3.45-3.50(m,2H),3.52-3.55(m,2H),3.70(t,J=2.9Hz,2H),3.82(t,J=2.9Hz,2H),4.46(t,J=4.6Hz,2H),8.06(dd,J=8.2,7.4Hz,1H),8.67-8.62(dd,J=7.3,1.1Hz,1H),8.78(dd,J=8.5,1.1Hz,1H),8.89(d,J=2.3Hz,1H),9.00(t,J=5.5Hz,1H),9.48(d,J=2.3Hz,1H)。
実施例3:化合物I-03
【0036】
実施例1の方法を参照して、化合物I-03を調製した。生成物の同定:H-NMR(400MHz,d-DMSO)δ:1.73-1.79(m,2H),2.94(s,3H),3.25(t,J=5.1Hz,2H),2.47-2.53(m,2H),3.55(t,J=2.9Hz,2H),3.78(t,J=2.9Hz,2H),4.76(d,J=2.9Hz,2H),8.06(dd,J=8.2,7.4Hz,1H),8.67-8.62(dd,J=7.3,1.1Hz,1H),8.78(dd,J=8.5,1.1Hz,1H),8.90(d,J=2.3Hz,1H),9.00(t,J=5.5Hz,1H),9.48(d,J=2.3Hz,1H)。
実施例4:化合物I-04
【0037】
実施例1の方法を参照して、化合物I-04を調製した。生成物の同定:H-NMR(400MHz,d-DMSO)δ:1.04(t,J=7.6Hz,3H),1.18(t,J=7.6Hz,3H),2.64-2.68(m,4H),2.96(s,3H),3.28(q,J=5.8Hz,2H),3.44(t,J=4.5Hz2H),3.78-3.82(m,2H),4.44(t,J=4.4Hz2H),8.06(dd,J=8.2,7.4Hz,1H),8.67-8.62(dd,J=7.3,1.1Hz,1H),8.81(dd,J=8.5,1.1Hz,1H),8.89(d,J=2.3Hz,1H),9.07(t,J=5.5Hz,1H),9.48(d,J=2.3Hz,1H)。
実施例5:化合物I-05
【0038】
実施例1の方法を参照して、化合物I-05を調製した。生成物の同定:H-NMR(400MHz,d-DMSO)δ:2.98(s,3H),3.16(s,3H),3.44-3.47(m,2H),3.56-3.63(m,4H),4.33(t,J=4.6Hz,2H),8.06(dd,J=8.2,7.4Hz,1H),8.67-8.62(dd,J=7.3,1.1Hz,1H),8.81(dd,J=8.5,1.1Hz,1H),8.89(d,J=2.3Hz,1H),9.02(t,J=5.5Hz,1H),9.51(d,J=2.3Hz,1H)。
実施例6:化合物I-06
【0039】
実施例1の方法を参照して、化合物I-06を調製した。生成物の同定:H-NMR(400MHz,d-DMSO)δ:1.17(t,J=5.8Hz,6H),2.87(s,3H),3.15(q,J=5.8Hz,4H),3.22-3.25(m,2H),3.38(t,J=4.5Hz,2H),3.89(s,3H),4.86(s,2H),7.65(t,J=7.8Hz,1H),8.06(dd,J=8.2,7.4Hz,1H),8.13(d,J=8.4Hz,1H),8.32-8.42(m,2H),8.62-8.68(m,1H)。
実施例7:化合物I-07
【0040】
実施例1の方法を参照して、化合物I-07を調製した。生成物の同定:H-NMR(400MHz,d-DMSO)δ:1.77-1.83(m,2H),2.91(s,3H),2.94(s,6H),3.25(t,J=5.1Hz,2H),3.54-3.58(m,2H),4.84(d,J=3.5Hz,2H),7.65(d,J=7.4Hz,1H),7.83-7.86(m,2H),8.43-8.52(m,4H)。
実施例8:化合物I-08
【0041】
反応式に従って、化合物I-08を調製した。具体的な方法は以下の通りである。
8.1 中間体I-08-M3の合成:化合物I-08-M2(3.72g、20mmol)をDMF 30mLに溶解し、その後、混合液にKCO(4.16g、30mmol)、NaI(3.00g、20mmol)、化合物I-08-M1(5.14g、20mmol)を順次加えて、30℃で一晩反応させた。反応完了後、反応液に精製水(120ml)を加えて、酢酸エチル(180ml)で3回抽出し、無水MgSOで乾燥させ、濾過し、母液を濃縮し、カラムクロマトグラフィーにより精製し、中間体I-08-M3(4.39g、12.1mmol)を収率60.5%で得た。
8.2 中間体I-08-M4の合成:中間体I-08-M3(4.39g、12.1mmol)をメタノール(20mL)に溶解し、10%Pd/C(0.3g)を加えて、水素ガス置換を3回行い、常圧で一晩反応させ、珪藻土で濾過し、母液を濃縮し、無色油状物としての中間体I-08-M4(2.75g、12.0mmol)を収率99.2%で得た。
8.3 中間体I-08-M6の合成:反応フラスコに中間体I-08-M4(2.75g、12.0mmol)、エタノール(50ml)、化合物I-08-M5(2.92g、12.0mmol)を順次加えて、80℃に加熱して2時間反応させ、冷却し、反応液を濃縮し、カラムクロマトグラフィーにより精製し、中間体I-08-M6(4.22g、9.3mmol)を収率77.5%で得た。
8.4 中間体I-08-M7の合成:中間体I-08-M6(4.22g、9.3mmol)を4%塩化水素の酢酸エチル溶液(60ml)に溶解し、室温で一晩反応させ、濾過し、乾燥させて、中間体I-08-M7(3.12g、8.8mmol)を収率94.6%で得た。
8.5 化合物I-08の合成:反応フラスコに化合物I-08-M8(2.62g、9.6mmol)、ジクロロメタン(35ml)、トリエチルアミン(2.02g、20mmol)を順次加えて、0℃に冷却し、中間体I-08-M7(3.12g、8.8mmol)をバッチ式で加えて、0℃で一晩反応させ、水(25ml)で洗浄し、無水MgSOで乾燥させ、濾過し、母液を濃縮し、カラムクロマトグラフィーにより精製し、化合物I-08(2.54g、5.2mmol)を収率59.1%で得た。生成物の同定:H-NMR(400MHz,d-DMSO)δ:2.61-2.73(m,4H),2.94-2.98(m,2H),3.19-3.34(m,4H),3.57(t,J=2.9Hz,2H),3.78(t,J=2.9Hz,2H),4.45(t,J=4.6Hz,2H),8.67-8.62(dd,J=7.3,1.1Hz,1H),8.78(dd,J=8.5,1.1Hz,1H),8.89(d,J=2.3Hz,1H),9.00(t,J=5.5Hz,1H),9.48(d,J=2.3Hz,1H)。
実施例9:化合物I-09
【0042】
実施例1の方法を参照して、化合物I-09を調製した。生成物の同定:H-NMR(400MHz,d-DMSO)δ:2.61-2.73(m,4H),2.94-2.98(m,2H),3.19-3.34(m,4H),3.57(t,J=2.9Hz,2H),3.78(t,J=2.9Hz,2H),4.47(t,J=4.6Hz,2H),7.53(t,J=6.1Hz,1H),7.58-7.65(m,1H),7.79(t,J=7.8Hz,1H),8.04-8.10(m,1H),8.33-8.35(m,1H),8.49(d,J=6.3Hz,1H),8.84(s,1H),9.38(d,J=7.8Hz,1H)。
実施例10:化合物I-10
【0043】
実施例1の方法を参照して、化合物I-10を調製した。生成物の同定:H-NMR(400MHz,d-DMSO)δ:1.72-177(m,2H),2.95(s,3H),3.35-3.38(m,2H),3.54(t,J=2.9Hz,2H),3.68(t,J=5.1Hz,2H),3.82(t,J=2.9Hz,2H),4.65(s,2H),7.73-7.81(m,2H),8.27(d,J=6.2Hz,1H),8.39-8.50(m,2H),8.87(d,J=6.2Hz,1H),9.28(d,J=2.6Hz,1H),9.52(d,J=7.9Hz,1H)。
実施例11:化合物I-11
【0044】
実施例1の方法を参照して、化合物I-11を調製した。生成物の同定:H-NMR(400MHz,d-DMSO)δ:2.94(s,3H),2.95-3.05(m,2H),3.40(t,J=4.5Hz,2H),3.56(t,J=2.9Hz,2H),3.80-3.82(m,2H),3.84(t,J=2.9Hz,2H),4.49(t,J=4.5Hz,2H),7.53(t,J=6.1Hz,1H),7.59-7.66(m,1H),7.78(t,J=6.2Hz,1H),8.04-8.10(m,2H),8.33-8.35(m,1H),8.49(d,J=6.2Hz,1H),8.73(s,1H),9.38(d,J=7.8Hz,1H)。
実施例12:化合物I-12
【0045】
実施例1の方法を参照して、化合物I-12を調製した。生成物の同定:H-NMR(400MHz,d-DMSO)δ:1.04(t,J=7.2Hz,3H),2.56(q,J=5.8Hz,2H),2.94(t,J=4.4Hz,2H),3.27-3.31(m,2H),3.45(t,J=4.4Hz,2H),3.54(t,J=2.9Hz,2H),3.77(t,J=2.9Hz,2H),4.14(t,J=4.6Hz,2H),7.53(t,J=6.2Hz,1H),7.59-7.66(m,1H),7.78(t,J=6.2Hz,1H),8.04-8.10(m,2H),8.33-8.35(m,1H),8.49(d,J=6.2Hz,1H),8.73(s,1H),9.38(d,J=7.8Hz,1H)。
実施例13:式Iで示される化合物の生体外抗腫瘍活性に関する研究
【0046】
試験目的:様々な腫瘍細胞に対する本発明の化合物の抗増殖活性を試験すること。
【0047】
試験化合物:本発明の化合物I-01、I-02、I-03、I-04、I-05、I-06、I-07、I-08、I-09、I-10、I-11、I-12、陽性化合物としてアモナフィド、ロムスチン、及び比較化合物の1、1d、Cob280、Cob281。そのうち、化合物1は、文献Journal of Experimental Therapeutics and Oncology,2005,5:p 15-22に記載の「compond 1」であり、化合物1dは、文献Journal of Cancer Molecules,2010,5(2):p 41-47に記載の「1d」であり、化合物Cob280は、文献WO2012104788の実施例17aに記載の「Cob280」であり、化合物Cob281は、文献WO2012104788の実施例17bに記載の「Cob281」であり、これらは、文献に記載の方法によって調製され、陽性化合物のアモナフィド、ロムスチンは市販品である。
【0048】
試験細胞:ヒト結腸癌細胞(HT-29、COLO 205)、ヒト肺癌細胞(NCI-H460、A549)、ヒト白血病細胞(HL-60、U-937)。
【0049】
試験方法:各腫瘍細胞を個別に操作した。細胞を37℃の培地中で24時間培養して、使用に備えた。指数関数的増殖期にある細胞を採取し、トリプシンで処理して細胞懸濁液を調製し、細胞懸濁液を遠心分離し、その後、細胞沈殿を、ストック細胞溶液として少量の新鮮な培地に再懸濁させた。このストック溶液を目的の細胞濃度に希釈した。各細胞の濃度を表1に示す。
【0050】
【表1】
【0051】
96ウェルプレートを用意し、空白対照群、細胞対照群、及び化合物群を設置した。空白対照群では、10%のPBSのみを各ウェルに加えた。細胞対照群と化合物群では、上記濃度の細胞100μLを各ウェルに加えた。残りのウェルを200μLの10%PBSで満たした。プレートをインキュベータに入れて一晩放置した。化合物群では、異なる希釈濃度の各試験化合物100μLを加えた。化合物の希釈濃度を表2に示す。
【0052】
【表2】
【0053】
薬剤を添加した後、プレートをインキュベータに入れて96時間培養し、レザズリンナトリウム溶液(Alarm blue,SIGMA R7017)22μLを各ウェルに加え、プレートをインキュベータに戻してさらに4時間培養した。取り出した後、10秒間振盪し、530/590nmで各ウェルの蛍光値を記録した。
【0054】
上記の操作を3回繰り返した。
【0055】
Prism7ソフトウェアを使用して、各試験化合物のIC50値を計算した。IC50は値の大きさに応じて様々なレベルに分かれている。すなわち、SSS:<0.5μM;SS:0.5~1μM;S:1~5μM;A:5~10μM;B:11~20μM;C:21~50μM;D:51~100μM;E:>100μMである。主要な結果を表3に示す。
【0056】
【表3】
【0057】
試験の結果から、ロムスチンは様々な腫瘍細胞に対して活性が低いのに対し、アモナフィドは活性が高いことが示唆されている。化合物1d、1、Cob280、及びCob281のいずれの活性も、アモナフィドの活性より優れておらず、さらには活性が低下している。しかし、驚くべきことに、本発明の化合物の抗腫瘍活性は、アモナフィド、ロムスチン、及び類似の化合物1d、1、Cob280、及びCob281の抗腫瘍活性よりも著しく優れている。本発明の特定の好ましい化合物は、類似の化合物よりも100倍以上の活性を有する。
実施例22:式Iで示される化合物の生体内抗腫瘍作用に関する研究
【0058】
試験目的:本発明の化合物の生体内抗腫瘍作用をさらに試験すること。
【0059】
試験化合物:I-01、I-08。
【0060】
試験動物:5週齢のメスBALB/cヌードマウス。7日間通常の給餌を行った後、健康状態が良好なマウスを試験のために選択した。
【0061】
腫瘍細胞:10%ウシ胎児血清を含むRPMI-1640培地で培養したヒト結腸癌細胞COLO 205。継代は週に1~2回行われ、継代比は1:3~1:6である。
【0062】
モデリングと群分け:対数成長期にあるCOLO 205細胞を採取した。この採用をヌードマウスの右前の乳房脂肪体に注射し、COLO 205移植腫瘍モデルを確立し、注射量は動物1匹あたり5×10細胞であった。動物の状態を定期的に観察し、腫瘍径を測定し、腫瘍体積を計算した。腫瘍体積が約150mmに達した後、健康状態が良好で腫瘍体積が近い担癌マウスを選択し、溶媒対照群、I-01群、及びI-08群にランダムに分けた。
【0063】
投与:各試験化合物を溶媒に溶解し、対応する化合物又は空白溶媒を各動物群に投与した。投与方法は胃内投与で、投与量は10mg/kgを1日1回、計21回である。
【0064】
結果:実験最終日に、腫瘍径と腫瘍重量を測定し、腫瘍体積阻害率(GI)と腫瘍重量阻害率(IR)を算出した。主要な結果を表4に示す。
【0065】
腫瘍体積阻害率=100%×[1-(Tvt-Tvini)÷(Cvt-Cvini)]、ここで、Tvtは治療群の試験終了時の腫瘍体積を表し、Tviniは治療群の群分け時の腫瘍体積を表し、Cvtは溶媒対照群の試験終了時の腫瘍体積を表し、Cviniは溶媒対照群の群分け時の腫瘍体積を表す。
【0066】
腫瘍重量阻害率=100%×(Cw-Tw)÷Cw、ここで、Cwは溶媒対照群の試験終了時の腫瘍重量を表し、Twは治療群の試験終了時の腫瘍重量を表す。
【0067】
【表4】
【0068】
この試験結果は、本発明の化合物が生体内でも強い抗腫瘍作用を有することを示している。
【0069】
以上、一般的な説明及び特定の実施形態を用いて本発明を詳細に説明した。当業者は、本発明の思想から逸脱することなく、本発明に基づいていくつかの変更又は改良を行ってもよく、それらはすべて本発明によって請求する保護範囲に属する。
【手続補正書】
【提出日】2024-07-23
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Iで示されるジイミド誘導体。
【化1】
(式Iにおいて、
Aは、ナフタレン環又はアントラセン環であり、3つの炭素原子を介してジイミドに縮合され、
は、水素原子、アルキルオキシ又はニトロから選択され、
m又はnは、1、2又は3であり、かつ、m+n≦4であり、
は、アルキルであり、
は、水素原子又はアルキルから選択され、
又はRは、アルキル、ハロアルキル又はニトロソから選択される。)
【請求項2】
前記アルキルはC1~C4アルキルであり、前記アルキルオキシはC1~C4アルキルオキシであり、前記ハロアルキルはハロC1~C4アルキルである、請求項1に記載のジイミド誘導体。
【請求項3】
前記Aはナフタレン環である、請求項1に記載のジイミド誘導体。
【請求項4】
前記Rは、ニトロ又はC1~C4アルキルオキシである、請求項1に記載のジイミド誘導体。
【請求項5】
前記Rは水素原子である、請求項1に記載のジイミド誘導体。
【請求項6】
前記RとRは一緒に環を形成する、請求項1に記載のジイミド誘導体。
【請求項7】
前記RはハロC1~C4アルキルであり、前記Rはニトロソである、請求項1に記載のジイミド誘導体。
【請求項8】
前記m及びnは、m=1かつn=3、m=1かつn=2、又はm=2かつn=2から選択される、請求項1に記載のジイミド誘導体。
【請求項9】
反応式に従って、式M7で示される化合物と式M8で示される化合物をアルカリの存在下で反応させて式Iで示される化合物を生成するステップを含む、式Iで示されるジイミド誘導体の調製方法。
【化2】
(ここで、反応式中のA、m、n、R、R、R、R、及びRは請求項1で記載の通りである。)
【請求項10】
細胞増殖性疾患を治療する薬物の調製における請求項1~8のいずれか1項に記載のジイミド誘導体の使用。
【国際調査報告】