IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ウェー アンド エフ テクノロジーズ ベスローテン フェンノートシャップの特許一覧

特表2025-503660バイポーラ膜を組み立てる方法、バイポーラ膜、及びこのバイポーラ膜の使用
<>
  • 特表-バイポーラ膜を組み立てる方法、バイポーラ膜、及びこのバイポーラ膜の使用 図1
  • 特表-バイポーラ膜を組み立てる方法、バイポーラ膜、及びこのバイポーラ膜の使用 図2
  • 特表-バイポーラ膜を組み立てる方法、バイポーラ膜、及びこのバイポーラ膜の使用 図3
  • 特表-バイポーラ膜を組み立てる方法、バイポーラ膜、及びこのバイポーラ膜の使用 図4
  • 特表-バイポーラ膜を組み立てる方法、バイポーラ膜、及びこのバイポーラ膜の使用 図5
  • 特表-バイポーラ膜を組み立てる方法、バイポーラ膜、及びこのバイポーラ膜の使用 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-02-04
(54)【発明の名称】バイポーラ膜を組み立てる方法、バイポーラ膜、及びこのバイポーラ膜の使用
(51)【国際特許分類】
   H01M 8/1069 20160101AFI20250128BHJP
   D04H 1/728 20120101ALI20250128BHJP
   D04H 1/593 20120101ALI20250128BHJP
   D04H 1/4374 20120101ALI20250128BHJP
   D04H 3/007 20120101ALI20250128BHJP
   C25B 13/08 20060101ALI20250128BHJP
   C25B 9/00 20210101ALI20250128BHJP
   C25B 1/04 20210101ALI20250128BHJP
   H01M 8/10 20160101ALI20250128BHJP
   H01M 8/1053 20160101ALI20250128BHJP
   H01M 8/1051 20160101ALI20250128BHJP
   H01M 8/1025 20160101ALI20250128BHJP
   H01M 8/1039 20160101ALI20250128BHJP
   H01M 8/1027 20160101ALI20250128BHJP
   H01M 8/1032 20160101ALI20250128BHJP
   H01M 8/1081 20160101ALI20250128BHJP
   H01M 8/1088 20160101ALI20250128BHJP
   H01B 13/00 20060101ALI20250128BHJP
【FI】
H01M8/1069
D04H1/728
D04H1/593
D04H1/4374
D04H3/007
C25B13/08 301
C25B9/00 A
C25B1/04
H01M8/10 101
H01M8/1053
H01M8/1051
H01M8/1025
H01M8/1039
H01M8/1027
H01M8/1032
H01M8/1081
H01M8/1088
H01B13/00 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024541656
(86)(22)【出願日】2023-01-09
(85)【翻訳文提出日】2024-07-09
(86)【国際出願番号】 NL2023050006
(87)【国際公開番号】W WO2023136718
(87)【国際公開日】2023-07-20
(31)【優先権主張番号】2030514
(32)【優先日】2022-01-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NL
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524259595
【氏名又は名称】ウェー アンド エフ テクノロジーズ ベスローテン フェンノートシャップ
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100108903
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 和広
(74)【代理人】
【識別番号】100123593
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 宣夫
(74)【代理人】
【識別番号】100208225
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 修二郎
(74)【代理人】
【識別番号】100217179
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 智史
(72)【発明者】
【氏名】イマード モハメド ノーマン アル-ドゥバーニ
(72)【発明者】
【氏名】マシエル サーケス
(72)【発明者】
【氏名】ミッシェル アレッサンドロ テデスコ
【テーマコード(参考)】
4K021
4L047
5H126
【Fターム(参考)】
4K021AA01
4K021BA02
4K021BB03
4K021DB31
4K021DB36
4L047AA13
4L047BA01
4L047CA02
4L047CC14
5H126AA05
5H126BB06
5H126GG11
5H126GG12
5H126GG17
5H126GG18
5H126HH00
5H126HH01
5H126HH02
5H126JJ05
5H126JJ06
5H126JJ08
5H126JJ09
5H126JJ10
(57)【要約】
【課題】従来の問題の1又は複数を無くし若しくは少なくとも低減し、かつ/又は従来の方法及びシステムと比較して効率的である、バイポーラ膜の組み立て方法を提供する。
【解決手段】本発明は、バイポーラ膜を組み立てる方法、及びそのバイポーラ膜に関する。この方法は、第1の水分解触媒及び第1のカチオン交換ポリマーを含む第1のカチオン交換層を電気紡糸及び/又は遠心紡糸及び/又は電気遠心紡糸する工程;接合層を電気紡糸及び/又は遠心紡糸及び/又は電気遠心紡糸する工程;並びに、第2の水分解触媒及び第1のアニオン交換ポリマーを含む第1のアニオン交換層を電気紡糸及び/又は遠心紡糸及び/又は電気遠心紡糸する工程、を含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バイポーラ膜を組み立てる方法であって、
- 第1の水分解触媒及び第1のカチオン交換ポリマーを含む第1のカチオン交換層を、電気紡糸かつ/又は遠心紡糸かつ/又は電気遠心紡糸すること、
- 接合層を、電気紡糸かつ/又は遠心紡糸かつ/又は電気遠心紡糸すること、並びに
― 第2の水分解触媒及び第1のアニオン交換ポリマーを含む第1のアニオン交換層を電気紡糸かつ/又は遠心紡糸かつ/又は電気遠心紡糸すること、
の工程を含み、
前記第1のカチオン交換層及び前記第2のアニオン交換層は、前記接合層に隣接して、かつ前記接合層の反対の側に提供される、
方法。
【請求項2】
第2のカチオン交換ポリマーを含む第2のカチオン交換層を電気紡糸かつ/若しくは遠心紡糸かつ/若しくは電気遠心紡糸する工程、及び/又は、第2のアニオン交換ポリマーを含む第2のアニオン交換層を電気紡糸かつ/若しくは遠心紡糸かつ/若しくは電気遠心紡糸する工程、をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
第1のカチオン交換層を電気紡糸かつ/若しくは遠心紡糸かつ/若しくは電気遠心紡糸する工程、及び/又は第1のアニオン交換層を電気紡糸かつ/若しくは遠心紡糸かつ/若しくは電気遠心紡糸する工程が、前記第1の水分解触媒及び/又は前記第2の水分解触媒を段階的な様式で電気噴霧することを含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記第1の水分解触媒及び/又は前記第2の水分解触媒の濃度が、隣接する前記接合層から延びる方向で減少する、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記第1の水分解触媒及び前記第2の水分解触媒が、多孔質シリカ材料、アルミニウムシリケート、ゼオライト、有機触媒から独立に選択される1又は複数である、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記有機触媒が、ポリ(4-ビニルフェノール)、ポリエチレングリコールの群から選択される1又は複数である、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記第1の水分解触媒及び前記第2の水分解触媒が、MCM-41、TiO、IrO、Al(OH)、グラフェンオキシド、グラファイトオキシド、ZIF-7、ZIF-8、ZIF-90、MOF-5、IRMOF-1、HKUST-1、CuTPA、SiO、Mn(HCOO)の群から独立に選択される1又は複数である、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記第1の水分解触媒及び/又は前記第2の水分解触媒が、MCM-41である、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記接合層が、第3のカチオン交換ポリマー及び/又は第3のアニオン交換ポリマーを含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
それぞれのカチオン交換ポリマーが、スルホン化ポリエーテルエーテルケトン、ポリ(テトラフルオロエチレン)とポリスルホニルフルオリドビニルエーテルのコポリマー、スルホン化ポリ(2,6-ジメチル-1,4-フェニレンオキシド)、スルホン化ポリエーテルスルホンの群から独立に選択される1又は複数である、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
それぞれのアニオン交換ポリマーが、第4級化ポリ(p-フェニレンオキシド)、第4級化ポリエピクロロヒドリン、ポリ(スピロビインダン-アリールエーテルスルホン)コポリマー、ポリエチレンオキシド、第4級化ポリエーテルスルホン、FAA-3の群から独立に選択される1又は複数である、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
それぞれのカチオン交換ポリマーが、スルホン化ポリエーテルエーテルケトンであり、かつ/又はそれぞれのアニオン交換ポリマーがFAA-3である、請求項10及び/又は11に記載の方法。
【請求項13】
1又は複数の前記カチオン交換ポリマーのそれぞれ及び1又は複数の前記アニオン交換ポリマーのそれぞれが、溶媒及び/又は分散媒中に溶解及び/又は分散しており、それぞれの交換ポリマーに関して、前記溶媒及び/又は分散媒が、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、プロパノール、ジメチルスルホキシド、N-メチル-2-ピロリドンの群から独立に選択される1又は複数である、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記第1の水分解触媒及び前記第2の水分解触媒が、溶媒及び/又は分散媒中に溶解及び/又は分散しており、それぞれの水分解触媒に関して、前記溶媒及び/又は分散媒が、水、メタノール、エタノール、プロパノールの群から独立に選択される1又は複数である、請求項1~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
押圧する工程をさらに含み、好ましくは、押圧する工程がホットプレス処理の工程を含む、請求項1~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
ホットプレス処理の工程を、120℃~180℃の範囲の温度、好ましくは130℃~170℃の範囲の温度、より好ましくは140℃~160℃の範囲の温度、最も好ましくは約150℃の温度で行う、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
ホットプレス処理の工程が、150バール~250バールの範囲の圧力、好ましくは175バール~225バールの圧力、より好ましくは195バール~205バールの圧力、最も好ましくは約200バールの圧力で行われる、請求項15又は16に記載の方法。
【請求項18】
ホットプレス処理の工程が、最大で2時間の期間にわたって、好ましくは0.1時間~2時間の期間にわたって、より好ましくは0.1時間~1.5時間の期間にわたって、よりさらに好ましくは0.1時間~1時間の期間にわたって、最も好ましくは0.1時間~0.25時間の期間にわたって行われる、請求項15、16又は17に記載の方法。
【請求項19】
前記バイポーラ膜を調整する工程をさらに含む、請求項1~18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
調整する工程を、0.5M~1.5Mの範囲の濃度、好ましくは0.75M~1.25Mの範囲の濃度、より好ましくは約1Mの濃度の、塩化ナトリウムの水溶液中で行う、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
バイポーラ膜であって、
- 接合層、
- 第1の水分解触媒及び第1のカチオン交換ポリマーを含む第1のカチオン交換層、この第1のカチオン交換層は、前記接合層に隣接して組み立てられている、並びに、
- 第2の水分解触媒及び第1のアニオン交換ポリマーを含む第1のアニオン交換層、この第1のアニオン交換層は、前記接合層に隣接して組み立てられている、
を有し、
前記第1のカチオン交換層が前記第1の水分解触媒の濃度を有しかつ/又は前記第1のアニオン交換層が前記第2の水分解触媒の濃度を有し、この濃度は、隣接する前記接合層から延びる方向で変動する、バイポーラ膜。
【請求項22】
第2のカチオン交換ポリマーを含む第2のカチオン交換層をさらに含み、前記第2のカチオン交換層が、前記第1のカチオン交換層に隣接して組み立てられており、かつ/又は、
第2のアニオン交換ポリマーを含む第2のアニオン交換層をさらに含み、前記第2のアニオン交換層が、前記第1のアニオン交換層に隣接して組み立てられている、
請求項21に記載のバイポーラ膜。
【請求項23】
前記第1の水分解触媒及び前記第2の水分解触媒が、MCM-41、TiO、IrO、Al(OH)、グラフェンオキシド、グラファイトオキシド、ZIF-7、ZIF-8、ZIF-90、MOF-5、IRMOF-1、HKUST-1、CuTPA、SiO、Mn(HCOO)の群から独立に選択される1又は複数である、請求項21又は22に記載のバイポーラ膜。
【請求項24】
前記接合層が、第3のカチオン交換ポリマー及び/又は第3のアニオン交換ポリマーを含む、請求項21~23のいずれか一項に記載のバイポーラ膜。
【請求項25】
それぞれのカチオン交換ポリマーが、スルホン化ポリエーテルエーテルケトン、ポリ(テトラフルオロエチレン)とポリスルホニルフルオリドビニルエーテルのコポリマー、スルホン化ポリ(2,6-ジメチル-1,4-フェニレンオキシド)、スルホン化ポリエーテルスルホンの群から独立に選択される1又は複数である、請求項21~24のいずれか一項に記載のバイポーラ膜。
【請求項26】
それぞれのアニオン交換ポリマーが、第4級化ポリ(p-フェニレンオキシド)、第4級化ポリエピクロロヒドリン、ポリ(スピロビインダン-アリールエーテルスルホン)コポリマー、ポリエチレンオキシド、第4級化ポリエーテルスルホン、FAA-3の群から独立に選択される1又は複数である、請求項21~25のいずれか一項に記載のバイポーラ膜。
【請求項27】
請求項1~20のいずれか一項に記載の方法によって得ることができる、請求項21~26のいずれか一項に記載のバイポーラ膜。
【請求項28】
請求項1~20のいずれか一項に記載の方法によって得ることができるバイポーラ膜。
【請求項29】
請求項21~28のいずれか一項に記載のバイポーラ膜の使用であって、水素製造、酸系フロー電池、燃料電池、二酸化炭素捕捉、並びに/又は、無機及び/若しくは有機の酸に基づく製造及び/若しくは回収における使用。
【請求項30】
請求項29に記載のバイポーラ膜の使用であって、前記バイポーラ膜が、100mV未満の過電圧を有する少なくとも1000Am-2の電流密度を有する、使用。
【請求項31】
請求項21~28のいずれか一項に記載のバイポーラ膜を有するシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バイポーラ膜を組み立てる(アセンブルする)方法、バイポーラ膜、及びこのバイポーラ膜の使用に関する。さらには、本発明は、本発明に係るバイポーラ膜の組み立て方法(アセンブル方法)によって得ることができるバイポーラ膜に関する。
【背景技術】
【0002】
バイポーラ膜は、複数の層を有することができ、例えば、カチオン性交換層、混合アニオン及びカチオン交換層、並びにアニオン性交換層、を有することができる。従来のバイポーラ膜では、カチオン交換層とアニオン交換層とが、例えば、ホットプレス処理によって、又はキャスティングによって、又は押出しによって、一緒に結合される。不均一バイポーラ膜は、支持不活性ポリマー中のアニオン交換樹脂粒子から構成されるアニオン交換層と、支持不活性ポリマー中のカチオン交換樹脂粒子から構成されるカチオン交換層とを結合することによって、形成される。支持ポリマーは、例えば、ポリエチレン又はポリプロピレン又はポリエーテルエーテルケトンから形成されてよい。均一バイポーラ膜は、正に荷電した残基、例えば第3級及び第4級アンモニウム基、を有するポリマーでできたアニオン交換層と、負に荷電した残基、例えば、カルボキシレート基及びスルホネート基、を有するポリマーでできたカチオン交換層を結合することによって形成される。バイポーラ膜の慣用的な製造は、上記のアニオン交換層とカチオン交換層とを、キャスティングによって接続することによって、かつ/又は、アニオン交換層とカチオン交換層とを、アニオン交換層とカチオン交換層との間の水分解2D界面で付着させることによって、行われる。2D界面において、水分解触媒(Water splitting触媒)が、例えば、キャスティング又は噴霧によって、適用されうる。
【0003】
従来の2D界面バイポーラ膜及び/又はそのようなバイポーラ膜の製造方法の問題点は、剥離であり、これは、膨張化としても言及され、アニオン交換層とカチオン交換層との間の界面の接合部において、例えば、電気透析システムの開始及び停止の際に蓄積する圧力(浸透圧)に起因して、起こることがある。この問題点は、バイポーラ膜のサイズが拡大する場合、及び、上記の膜がバッチ式プロセスで製造される場合に、さらに大きな問題となる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、上記の問題の1又は複数を無くし若しくは少なくとも低減し、かつ/又は従来の方法及びシステムと比較して効率的である、バイポーラ膜の組み立て方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この目的は、バイポーラ膜の組み立て方法で達成され、この方法は、下記の工程を含む:
- 第1の水分解触媒及び第1のカチオン交換ポリマーを含む第1のカチオン交換層を、電気紡糸(エレクトロスピニング)し、かつ/又は遠心紡糸し、かつ/又は電気遠心紡糸すること、
- 接合層を、電気紡糸(エレクトロスピニング)し、かつ/又は遠心紡糸し、かつ/又は電気遠心紡糸すること、並びに、
- 第2の水分解触媒及び第1のアニオン交換ポリマーを含む第1のアニオン交換層を、電気紡糸し、かつ/又は遠心紡糸し、かつ/又は電気遠心紡糸すること。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1図1は、本発明に係る方法の概略的な全体図を示す。
図2図2は、接合層、第1のカチオン交換層、及び第1のアニオン交換層を含む本発明に係るバイポーラ膜の概略全体図を示す。
図3図3は、接合層、第1及び第2のカチオン交換層、並びに第1及び第2のアニオン交換層を含む、本発明に係る代替的なバイポーラ膜の概略全体図を示す。
図4図4は、段階的な様式で電気噴霧された第1の水分解触媒及び第2の水分解触媒を含む本発明に係るさらなる代替的なバイポーラ膜の概略全体図を示す。
図5図5は、本発明に係るバイポーラ膜及び従来のバイポーラ膜の、電流密度対バイポーラ膜電圧を示す。
図6図6は、0.5M及び1MのHCl及びNaOHの溶液中で試験された、本発明に係るバイポーラ膜に関する水結合曲線を示す。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明に係る方法は、第1のカチオン交換層の電気紡糸及び/若しくは遠心紡糸及び/若しくは電気遠心紡糸で開始してもよく、接合層の電気紡糸及び/若しくは遠心紡糸及び/若しくは電気遠心紡糸で開始してもよく、又は、第1のアニオン交換層の電気紡糸及び/若しくは遠心紡糸及び/若しくは電気遠心紡糸で開始してもよい。最初に組み立てられる層に応じて、隣接する層を、最初に組み立てられた層に続いて組み立ててよい。例えば、本発明に係る方法は、接合層の電気紡糸及び/若しくは遠心紡糸及び/若しくは電気遠心紡糸で開始してよい。この工程に続いて、第1の水分解触媒及び第1のカチオン交換ポリマーを含む第1のカチオン交換層を、電気紡糸し、かつ/又は遠心紡糸し、かつ/又は電気遠心紡糸する工程を行ってよい。このようにして、第1のカチオン交換層が、接合層の1つの側に配置される。そして、この工程に続いて、第2の水分解触媒及び第1のアニオン交換ポリマーを含む第1のアニオン交換層を、電気紡糸し、かつ/又は遠心紡糸し、かつ/又は電気遠心紡糸する工程を行ってよい。この第1のアニオン交換層は、接合層の未だ何も配置されていない表面に隣接して取りつけられる。代替的には、接合層を電気紡糸し、かつ/又は遠心紡糸し、かつ/又は電気遠心紡糸する工程に続いて、まず、第1のアニオン交換層を電気紡糸し、かつ/又は遠心紡糸し、かつ/又は電気遠心紡糸してよく、その後で、第1のカチオン交換層を電気紡糸し、かつ/又は遠心紡糸し、かつ/又は電気遠心紡糸してよい。
【0008】
代替的には、本発明に係る方法を、第1の水分解触媒及び第1のカチオン交換ポリマーを含む第1のカチオン交換層を、電気紡糸し、かつ/又は遠心紡糸し、かつ/又は電気遠心紡糸する工程で開始してもよい。好ましくは、第1のカチオン交換層は、キャリアに隣接して、又はキャリアの上に組み立てられ、このキャリアは、第1のカチオン交換層に対して不活性であってよい。好ましくは、キャリアは、電気伝導性のキャリア層である。
【0009】
したがって、好ましい実施態様において、本発明に係る方法は、キャリアを提供する工程を含む。好ましくは層のいずれ(カチオン交換層、アニオン交換層、及び接合層)に対しても不活性であるキャリアは、バイポーラ膜を容易に取り外すことを可能にし、バイポーラ膜の損傷が低減される。好ましくは、キャリアは、電気伝導性のキャリア層である。
【0010】
第1のカチオン交換層を電気紡糸し、かつ/又は遠心紡糸し、かつ/又は電気遠心紡糸する工程に続いて、接合層を電気紡糸し、かつ/又は遠心紡糸し、かつ/又は電気遠心紡糸する工程を行ってよく、この接合層は、この第1のカチオン交換層に隣接して(その未だ何も配置されていない表面に)組み立てられる。さらに、接合層を電気紡糸し、かつ/又は遠心紡糸し、かつ/又は電気遠心紡糸する工程に続いて、第2の水分解触媒及び第1のアニオン交換ポリマーを含む第1のアニオン交換層を、電気紡糸し、かつ/又は遠心紡糸し、かつ/又は電気遠心紡糸する工程を行ってよい。この第1のアニオン交換層は、接合層に隣接して取りつけられる。
【0011】
別の代替的な態様では、本発明に係る方法は、第2の水分解触媒及び第1のアニオン交換ポリマーを含む第1のアニオン交換層を、電気紡糸し、かつ/又は遠心紡糸し、かつ/又は電気遠心紡糸する工程で開始されてよい。好ましくは、この第1のアニオン交換層は、キャリアに隣接して、又はキャリアの上に組み立てられ、このキャリアは、第1のアニオン交換層に対して不活性であってよい。好ましくは、キャリアは、電気伝導性のキャリア層である。
【0012】
第1のアニオン交換層を電気紡糸し、かつ/又は遠心紡糸し、かつ/又は電気遠心紡糸する工程に続いて、接合層を電気紡糸し、かつ/又は遠心紡糸し、かつ/又は電気遠心紡糸する工程を行ってよく、この接合層は、この第1のアニオン交換層に隣接して(その未だ何も配置されていない表面に)組み立てられる。さらに、接合層を電気紡糸し、かつ/又は遠心紡糸し、かつ/又は電気遠心紡糸する工程に続いて、第1の水分解触媒及び第1のカチオン交換ポリマーを含む第1のカチオン交換層を、電気紡糸し、かつ/又は遠心紡糸し、かつ/又は電気遠心紡糸する工程を行ってよい。第1のカチオン交換層は、接合層に隣接して配置される。
【0013】
換言すると、異なる複数の層(カチオン交換層、接合層、アニオン交換層)を、任意の所望の順番で取りつけてよく、接合層は、隣接するカチオン交換層を有し、接合層の他の側に、隣接するアニオン交換層を有する。したがって、カチオン交換層及びアニオン交換層は、それぞれ接合層の反対の側に、提供される。
【0014】
異なる複数の層を組み立てることは、これら複数の層(カチオン交換層、接合層、アニオン交換層)を機能的に連結させることを含むことに留意されたい。機能的に連結するとは、これら複数の層の間の相互作用を示しており、カチオン例えばプロトン及び/又はアニオン例えば水酸化イオン及び/又は電子が、バイポーラ膜の1つの側から膜の他方の側へと輸送されうることに言及している。
【0015】
見いだされたこととして、第1のカチオン交換層、接合層、及び第1のアニオン交換層は、多重の電気紡糸及び/又は遠心紡糸及び/又は電気遠心紡糸によって組み立てられうる。多重の電気紡糸及び/又は遠心紡糸及び/又は電気遠心紡糸は、異なる複数の化合物を単一層中に含めることを可能にする。さらに、多重の電気紡糸及び/又は遠心紡糸及び/又は電気遠心紡糸は、異なる溶解性を有する複数の化合物及び/又は非混和性溶媒に可溶な複数の化合物を単一層中に含めることを可能にする。留意すべきこととして、多重の電気紡糸及び/又は遠心紡糸及び/又は電気遠心紡糸は、第1のカチオン交換層、接合層、及び第1のアニオン交換層に限定されない。
【0016】
好ましい態様では、電気紡糸し、かつ/又は遠心紡糸し、かつ/又は電気遠心紡糸する工程が、2つの紡糸口(スピナレット)、3つの紡糸口、又は4つの紡糸口で、電気紡糸し、かつ/又は遠心紡糸し、かつ/又は電気遠心紡糸することを含み、好ましくは、2つの紡糸口で、電気紡糸し、かつ/又は遠心紡糸し、かつ/又は電気遠心紡糸することを含む。
【0017】
多重の電気紡糸及び/又は遠心紡糸及び/又は電気遠心紡糸は、複数の紡糸口(スピナレット)で、電気紡糸し、かつ/又は遠心紡糸し、かつ/又は電気遠心紡糸することを含む。例えば、二重の電気紡糸及び/又は遠心紡糸及び/又は電気遠心紡糸は、2つの紡糸口で、電気紡糸し、かつ/又は遠心紡糸し、かつ/又は電気遠心紡糸することを含み、三重の電気紡糸及び/又は遠心紡糸及び/又は電気遠心紡糸は、3つの紡糸口で、電気紡糸し、かつ/又は遠心紡糸し、かつ/又は電気遠心紡糸することを含む。したがって、二重の電気紡糸及び/又は遠心紡糸及び/又は電気遠心紡糸は、水性の溶媒・分散媒中に溶解・分散する化合物と、非水性の溶媒・分散媒及び/又は有機溶媒・分散媒中に溶解・分散する化合物とを含む、単一の層を組み立てることを可能にする。留意すべきこととして、1つの紡糸口が、水性の溶媒・分散媒に溶解・分散する化合物を提供し、他の紡糸口が、非水性の溶媒・分散媒及び/又は有機溶媒・分散媒中に溶解・分散する化合物を提供する。
【0018】
多重の電気紡糸及び/又は遠心紡糸及び/又は電気遠心紡糸のさらなる利点は、この方法が、多重の、例えば二重の、電気紡糸及び/又は遠心紡糸及び/又は電気遠心紡糸によって、水性の溶液及び/又は分散体並びに有機溶媒・分散媒に基づくポリマーの分散体及び/又は溶液の同時の使用を可能にすることによって、ナノマテリアル(ナノ物質)をポリマー性ナノ繊維構造中に、制御されかつ/又は均一な様式で、導入する汎用的な方法を用いる点である。
【0019】
さらに、本発明に係る方法は、水性の溶液・分散体及び/又はポリマー溶液を含む有機溶媒の同時の使用を可能にすることによって、化合物、例えばナノマテリアルを、ポリマー性ナノ繊維構造中に、制御されかつ/又は均一な様式で導入する汎用的な方法を提供する。
【0020】
例えば、二重の電気紡糸及び/又は遠心紡糸及び/又は電気遠心紡糸によって第1のカチオン交換層を組み立てることは、第1の水分解触媒及び第1のカチオン交換ポリマーを、別個に、第1のカチオン交換層に提供することを可能にする。結果として、水性の可溶性・可分散性の第1の水分解触媒、及び非水性の可溶性・可分散性の第1のカチオン交換ポリマーを、第1のカチオン交換層中に導入することができる。
【0021】
留意すべきこととして、このアプローチは、また、さらなるカチオン交換層、アニオン交換層、及び接合層にも適用可能である。
【0022】
異なる複数の層を電気紡糸し、かつ/又は遠心紡糸し、かつ/又は電気遠心紡糸することは、均一に連結された層を有しておりかつ層がコンパクトであるバイポーラ膜を達成することを可能にする。換言すると、複数の層が、隣接する層に直接に取り付けられ、かつ/又は、2つの隣接する層の接着が均一に分布する。この利点は、組み立てられたバイポーラ膜の剥離が、バイポーラ膜を組み立てる従来の方法と比較して低減される点である。結果として、本発明に係る方法は、比較的剥離し難いバイポーラ膜を提供する。したがって、バイポーラ膜を組み立てるための、より効率的かつ効果的な方法が得られる。
【0023】
本発明に係る方法の別の利点は、バイポーラ膜の均一に連結された複数の層が、高度に化学的に耐性でありかつ/又は機械的に安定であるバイポーラ膜を提供する点である。実際、このバイポーラ膜は、従来のバイポーラ膜と比較して、より化学的に耐性でありかつ/又は機械的に安定である。したがって、本発明に係る方法は、バイポーラ膜を効率的かつ効果的に組み立てることを可能にする。
【0024】
実際、本発明に係る方法は、異なる層をアセンブルするために化合物を常に提供することに起因して、異なる層の間の表面が連結されることなく、バイポーラ膜を可能にする。
【0025】
多重の、例えば二重の、電気紡糸及び/又は遠心紡糸及び/又は電気遠心紡糸を用いることによって(複層)バイポーラ膜を組み立てることは、有機相中での無機触媒及び/又は有機触媒を有する水性溶液及び/又は分散体の同時の使用を可能にし、かつ有機相中での、1又は複数の(好ましくは2つの)異なるポリマー溶液及び/又は分散体の、単一、多重の、例えば二重の、電気紡糸及び/又は遠心紡糸及び/又は電気遠心紡糸を可能にする。
【0026】
さらに、多重の、例えば二重の、電気紡糸及び/又は遠心紡糸及び/又は電気遠心紡糸を用いることによって(複層)バイポーラ膜を組み立てることは、有機相中での無機触媒及び/又は有機触媒を有する水性溶液及び/又は分散体の同時の使用を可能にし、かつ、有機相中での、1又は複数の(好ましくは2つの)異なるポリマー溶液及び/又は分散体の、単一、多重の、例えば二重の、電気紡糸及び/又は遠心紡糸及び/又は電気遠心紡糸を可能し、H及びOHの水分解のための無機触媒としてのナノメートルサイズのシリカ、好ましくは2~4のナノメートルサイズのシリカの使用、及び、H及びOHの水分解のための有機触媒としてのポリ(4-ビニルフェノール)の使用を伴う。
【0027】
好ましい態様では、カチオン交換層、接合層、及び/又はアニオン交換層の、電気紡糸及び/又は遠心紡糸及び/又は電気遠心紡糸が、カチオン交換層、接合層、及び/又はアニオン交換層の、電気紡糸(エレクトロスピニング)である。
【0028】
見いだされたところでは、カチオン交換層、接合層、及び/又はアニオン交換層の、電気紡糸は、効果的かつ効率的な様式で、層を提供する。
【0029】
本発明に係る好ましい態様では、本発明に係る方法が、さらに、第2のカチオン交換ポリマーを含む第2のカチオン交換層を電気紡糸し、かつ/若しくは遠心紡糸し、かつ/若しくは電気遠心紡糸する工程を含み、かつ/又は、第2のアニオン交換ポリマーを含む第2のアニオン交換層を電気紡糸し、かつ/若しくは遠心紡糸し、かつ/若しくは電気遠心紡糸する工程を含む。
【0030】
随意に、第1のカチオン交換ポリマー及び第2のカチオン交換ポリマーは、同じであり、かつ/又は、第1のアニオン交換ポリマー及び第2のアニオン交換ポリマーが、同じである。
【0031】
第2のカチオン交換ポリマーを含む第2のカチオン交換層を電気紡糸し、かつ/若しくは遠心紡糸し、かつ/若しくは電気遠心紡糸する工程、及び/又は、第2のアニオン交換ポリマーを含む第2のアニオン交換層を電気紡糸し、かつ/若しくは遠心紡糸し、かつ/若しくは電気遠心紡糸する工程は、第1のカチオン交換層を電気紡糸し、かつ/若しくは遠心紡糸し、かつ/若しくは電気遠心紡糸する工程、及び/又は、第1のアニオン交換層を電気紡糸し、かつ/若しくは遠心紡糸し、かつ/若しくは電気遠心紡糸する工程に加えて、実行されてよい。
【0032】
したがって、代替的には、本発明に係る方法は、第2のカチオン交換ポリマーを含む第2のカチオン交換層を電気紡糸し、かつ/又は遠心紡糸し、かつ/又は電気遠心紡糸する工程で開始されてよい。好ましくは、第2のカチオン交換層は、キャリアに隣接して又はキャリアの上に組み立てられ、キャリアは、第2のカチオン交換層に対して不活性であってよい。この工程に続いて、第1のカチオン交換層を電気紡糸し、かつ/又は遠心紡糸し、かつ/又は電気遠心紡糸する工程を行ってよく、第1のカチオン交換層は、第2のカチオン交換層に隣接して組み立てられる。バイポーラ膜が、上記のようにして、更に組み立てられる。
【0033】
別の代替的な態様では、第2のカチオン交換層を電気紡糸し、かつ/又は遠心紡糸し、かつ/又は電気遠心紡糸する工程が、第1のカチオン交換層を電気紡糸し、かつ/又は遠心紡糸し、かつ/又は電気遠心紡糸する工程の後で、行われる。留意すべき点として、第2のカチオン交換層を電気紡糸し、かつ/又は遠心紡糸し、かつ/又は電気遠心紡糸する工程は、複数の層を組み立てる最終工程として、又は複数の層を組み立てる中間工程として実行されてよい。
【0034】
別の代替的な態様では、本発明に係る方法は、第2のアニオン交換ポリマーを含む第2のアニオン交換層を電気紡糸し、かつ/又は遠心紡糸し、かつ/又は電気遠心紡糸する工程で開始されてよい。好ましくは、第2のアニオン交換層が、キャリアに隣接して、又はキャリアの上に組み立てられ、キャリアは、第2のアニオン交換層に対して不活性であってよい。この工程に続いて、第1のアニオン交換層を電気紡糸し、かつ/又は遠心紡糸し、かつ/又は電気遠心紡糸する工程を行ってよく、第1のアニオン交換層が、第2のアニオン交換層に隣接して組み立てられる。バイポーラ膜が、上記のようにして、更に組み立てられる。
【0035】
第2のカチオン交換ポリマーを含む第2のカチオン交換層を、第1のカチオン交換層に隣接して、電気紡糸し、かつ/若しくは遠心紡糸し、かつ/若しくは電気遠心紡糸する工程、及び/又は、第2のアニオン交換ポリマーを含む第2のアニオン交換層を、第1のアニオン交換層に隣接して、電気紡糸し、かつ/若しくは遠心紡糸し、かつ/若しくは電気遠心紡糸する工程を含む方法の利点は、第1のカチオン交換層及び/又は第1のアニオン交換層が、厳しい条件に対して保護されるという点である。結果として、貴重な、第1の水分解触媒及び/又は第2の水分解触媒が、保護される。したがって、バイポーラ膜の効率が維持され、バイポーラ膜の寿命にわたる水分解触媒の損失に起因して劣化することがなくなる。
【0036】
本発明に係る好ましい態様では、第1のカチオン交換層を電気紡糸し、かつ/若しくは遠心紡糸し、かつ/若しくは電気遠心紡糸する工程、及び/又は、第1のアニオン交換層を電気紡糸し、かつ/若しくは遠心紡糸し、かつ/若しくは電気遠心紡糸する工程が、第1の水分解触媒及び/又は第2の水分解触媒を、段階的な様式で(漸進的な様式で)電気噴霧することを含む。好ましくは、第1の水分解触媒及び/又は第2の水分解触媒の濃度が、隣接する接合層から延びる方向で減少する。
【0037】
留意されるべき点として、「段階的な様式で」は、第1の水分解触媒及び/又は第2の水分解触媒の濃度が、層の厚みにわたって増加し又は減少することを示している。理解されるべき点として、カチオン交換ポリマー及び/又はアニオン交換ポリマーの濃度は、逆関係を示す。換言すると、第1の水分解触媒及び/又は第2の水分解触媒の濃度が、第1のカチオン交換層及び/又は第1のアニオン交換層の厚みにわたって、変化し、又は変動する。
【0038】
さらに、留意されるべき点として、所望の1又は複数の層の厚みは、接合層の隣接面に対して実質的に垂直な方向で規定される。
【0039】
二重の電気紡糸及び/又は遠心紡糸及び/又は電気遠心紡糸を用いることは、異なる特性を有する2つの化合物を単一の層中に含めることを可能にする。この点において、本発明に係る方法は、第1の水分解触媒及び/又は第2の水分解触媒の水性の溶液・分散体、及び、カチオン交換ポリマー及び/又はアニオン交換ポリマーの非水性の溶液・分散体を含めることを可能にする。結果として、複数の化合物の組み合わせを、単一の層中に導入できる。
【0040】
第1の水分解触媒及び/又は第2の水分解触媒を段階的な様式で電気噴霧することの別の利点は、第1の水分解触媒及び/若しくは第2の水分解触媒の高い濃度が、接合層の近くに適用されることができ、かつ/又は、接合層と第1のカチオン交換層及び/若しくは第1のアニオン交換層とが、互いへと緩やかに融合しうる点である。結果として、これらの層の間の連結が断たれ、比較的強い膜が得られる。留意すべきこととして、連結とは、2つの隣接する層の統合及び/又は2つの隣接する層の固着を示しうる。
【0041】
別の利点は、すべての層が、互いに緩やかに融合する点である。例えば、第1の水分解触媒及び/又は第2の水分解触媒の濃度は、カチオン交換層及び/又はアニオン交換層の、接合層に近接する表面とは反対側の表面で、ゼロでありうる。これは、層の量を低減することを可能にし、層の間の接続の数を低減する。
【0042】
好ましい態様では、本発明に係る方法が、連続的な電気紡糸及び/又は遠心紡糸及び/又は電気遠心紡糸の方法を含み、異なる複数の化合物が、同時に、層に導入される。入力の濃度及び/又は組成を変化させることによって、バイポーラ膜内の異なる構造・組成を達成できる。これは、複数の紡糸口を用いて達成でき、例えば、2つ又は3つの紡糸口を用いて達成できる。結果として、バイポーラ膜の規定の厚みにわたる組成によって層が画定されるバイポーラ膜が、得られる。従来のバイポーラ膜に関して、層は、異なる事前形成された複数の層の間の端部によって画定される。
【0043】
本発明に係る好ましい態様では、第1の水分解触媒及び第2の水分解触媒が、多孔質シリカ材料、アルミニウムシリケート、ゼオライト、有機触媒の群から独立に選択される1又は複数である。好ましくは、有機触媒は、ポリ(4-ビニルフェノール)、ポリエチレングリコールの群から選択される1又は複数である。
【0044】
本発明に係る好ましい態様では、第1の水分解触媒及び第2の水分解触媒が、MCM-41、TiO、IrO、Al(OH)、グラフェンオキシド、グラファイトオキシド、ZIF-7、ZIF-8、ZIF-90、MOF-5、IRMOF-1、HKUST-1、CuTPA、SiO、Mn(HCOO)の群から独立に選択される1又は複数であってよい。好ましくは、第1の水分解触媒及び/又は第2の水分解触媒が、MCM-41であってよい。
【0045】
留意すべきこととして、MCM-41は、商標であり、これは、開発されたメソポーラスシリカ触媒である。
【0046】
さらに留意されるべき点として:
- ZIF-7(ゼオライト イミダゾレート フレームワーク 7)は、Zn(bim)であり、bimは、ベンズイミダゾールを示し、Zn(II)イオンをベンズイミダゾールアニオンと接続させることによって形成される;
- ZIF-8(ゼオライト イミダゾレート フレームワーク 8)は、4つのイミダゾレート環によって配位されたZn(II)イオンによって形成される;
- ZIF-90(ゼオライト イミダゾレート フレームワーク 90)は、Zn(II)硝酸塩及びイミダゾレート-2-カルボキシアルデヒドによって形成される;
- MOF-5は、式ZnO(BDC)を有する立方体状の金属有機フレームワークであり、BDCは、1,4-ベンゾジカルボキシレートである;
- IRMOF-1は、式ZnO(BDC)を有する立方体状の金属有機フレームワークであり、BDCは、1,4-ベンゾジカルボキシレートである;
- HKUST-1は、ベンゼン-1,3,5-トリカルボキシレートで接続された正方の金属ユニットのフレームワークであり、例えば、銅ベンゼン-1,3,5-トリカルボキシレートである;
- Cu-TPAは、銅テレフタレートである。
【0047】
見いだされたこととして、MCM-41、TiO、IrO、Al(OH)、グラフェンオキシド、グラファイトオキシド、ZIF-7、ZIF-8、ZIF-90、MOF-5、IRMOF-1、HKUST-1、CuTPA、SiO、Mn(HCOO)の群から独立に選択される1又は複数である第1の水分解触媒及び第2の水分解触媒は、効率的かつ効果的なバイポーラ膜を提供する。さらに、見いだされたこととして、MCM-41である第1の水分解触媒及び/又は第2の水分解触媒は、効率的かつ効果的なバイポーラ膜を提供する。好ましくは、第1の水分解触媒及び第2の水分解触媒が、同じである。
【0048】
第1の水分解触媒及び第2の水分解触媒が同じであることの利点は、1つの溶液・分散体のみが、電気紡糸及び/又は遠心紡糸及び/又は電気遠心紡糸の装置の紡糸口の1つに提供されるという点である。
【0049】
本発明に係る好ましい態様では、接合層が、第3のカチオン交換ポリマー及び/又は第3のアニオン交換ポリマーを含む。
【0050】
第3のカチオン交換ポリマー及び/又は第3のアニオン交換ポリマーを含む接合層を提供することは、効率的かつ効果的なバイポーラ膜を可能にする。好ましくは、第3のカチオン交換ポリマーが、紡糸口によって提供され、かつ第3のアニオン交換ポリマーが、別の紡糸口によって提供される。
【0051】
好ましい態様では、第1のカチオン交換ポリマー及び/又は第2のカチオン交換ポリマー及び/又は第3のカチオン交換ポリマーが、同じである。さらなる好ましい態様では、第1のアニオン交換ポリマー及び/又は第2のアニオン交換ポリマー及び/又は第3のアニオン交換ポリマーが、同じである。
【0052】
本発明に係る好ましい態様では、それぞれのカチオン交換ポリマーが、スルホン化ポリエーテルエーテルケトン、ポリ(テトラフルオロエチレン)及びポリスルホニルフルオリドビニルエーテルのコポリマー、スルホン化ポリ(2,6-ジメチル-1,4-フェニレンオキシド)、スルホン化ポリエーテルスルホンの群から独立に選択される1又は複数であってよい。
【0053】
実験によって示されたところでは、スルホン化ポリエーテルエーテルケトン、ポリ(テトラフルオロエチレン)及びポリスルホニルフルオリドビニルエーテルのコポリマー、スルホン化ポリ(2,6-ジメチル-1,4-フェニレンオキシド)、スルホン化ポリエーテルスルホンの群から独立に選択される1又は複数であるカチオン交換ポリマーは、効率的かつ効果的なバイポーラ膜を提供する。
【0054】
留意されるべき点として、それぞれのカチオン交換ポリマー、例えば、第1のカチオン交換ポリマー、第2のカチオン交換ポリマー、及び第3のカチオン交換ポリマーは、独立に、上記の群から選択される。したがって、第1のカチオン交換ポリマーは、スルホン化ポリエーテルエーテルケトン、ポリ(テトラフルオロエチレン)とポリスルホニルフルオリドビニルエーテルとのコポリマー、スルホン化ポリ(2,6-ジメチル-1,4-フェニレンオキシド)、スルホン化ポリエーテルスルホンの群から選択される1又は複数であってよい。第2のカチオン交換ポリマー及び/又は第3のカチオン交換ポリマーは、随意に、スルホン化ポリエーテルエーテルケトン、ポリ(テトラフルオロエチレン)とポリスルホニルフルオリドビニルエーテルとのコポリマー、スルホン化ポリ(2,6-ジメチル-1,4-フェニレンオキシド)、スルホン化ポリエーテルスルホンの群から独立に選択される1又は複数であってよい。
【0055】
本発明に係る好ましい態様では、それぞれのアニオン交換ポリマーが、第4級化ポリ(p-フェニレンオキシド)、第4級化ポリエピクロロヒドリン、ポリ(スピロビインダン-アリールエーテルスルホン)コポリマー、ポリエチレンオキシド、第4級化ポリエーテルスルホン、FAA-3の群から独立に選択される1又は複数であってよい。
【0056】
留意されるべき点として、FAA-3は、商標であり、ポリ[オキシ(2,6-ジメチル-1,4-フェニレン)]に基づくポリマー及び/又は芳香族ポリマーポリフェニレンオキシドであって第4級アンモニア基を有するものを示す。
【0057】
実験によって示されたところでは、第4級化ポリ(p-フェニレンオキシド)、第4級化ポリエピクロロヒドリン、ポリ(スピロビインダン-アリールエーテルスルホン)コポリマー、ポリエチレンオキシド、第4級化ポリエーテルスルホン、FAA-3の群から選択される1又は複数であるアニオン交換ポリマーは、効率的かつ効果的なバイポーラ膜を提供する。
【0058】
留意されるべき点として、それぞれのアニオン交換ポリマー、例えば、第1のアニオン交換ポリマー、第2のアニオン交換ポリマー、及び第3のアニオン交換ポリマーは、上記の群から独立に選択される。したがって、第1のアニオン交換ポリマーは、第4級化ポリ(p-フェニレンオキシド)、第4級化ポリエピクロロヒドリン、ポリ(スピロビインダン-アリールエーテルスルホン)コポリマー、ポリエチレンオキシド、第4級化ポリエーテルスルホン、FAA-3の群から選択される1又は複数であってよい。第2のアニオン交換ポリマー及び/又は第3のアニオン交換ポリマーは、随意に、第4級化ポリ(p-フェニレンオキシド)、第4級化ポリエピクロロヒドリン、ポリ(スピロビインダン-アリールエーテルスルホン)コポリマー、ポリエチレンオキシド、第4級化ポリエーテルスルホン、FAA-3の群から独立に選択される1又は複数であってよい。
【0059】
好ましい態様では、第1のカチオン交換ポリマーと、第2のカチオン交換ポリマー及び/又は第3のカチオン交換ポリマーとが、同じであってよい。さらには、第1のアニオン交換ポリマーと第2のアニオン交換ポリマー及び/又は第3のアニオン交換ポリマーとが、同じであってよい。
【0060】
本発明に係る好ましい態様では、それぞれのカチオン交換ポリマーが、スルホン化ポリエーテルエーテルケトンであってよく、かつ/又はそれぞれのアニオン交換ポリマーが、FAA-3であってよい。
【0061】
見いだされたところでは、カチオン交換ポリマーとしてのスルホン化ポリエーテルエーテルケトン及び/又はアニオン交換ポリマーとしてのFAA-3が、効率的かつ効果的なバイポーラ膜を提供する。実際、それぞれのカチオン交換ポリマーが、スルホン化ポリエーテルエーテルケトンであってよく、かつ/又はそれぞれのアニオン交換ポリマーが、FAA-3であってよいバイポーラ膜で、効率的かつ効果的な水の解離が達成された。
【0062】
本発明に係る好ましい態様では、1若しくは複数のカチオン交換ポリマーのそれぞれ及び/又は1若しくは複数のアニオン交換ポリマーのそれぞれが、溶媒及び/又は分散媒中に、溶解してよくかつ/又は分散してよく、それぞれの交換ポリマーに関して、溶媒は、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、プロパノール、ジメチルスルホキシド、N-メチル-2-ピロリドンの群から独立に選択される1又は複数であってよい。
【0063】
留意されるべき点として、溶媒及び/又は分散媒は、それぞれの個々の交換ポリマーに関して、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、プロパノール、ジメチルスルホキシド、N-メチル-2-ピロリドンの群から独立に選択される。換言すると、溶媒及び/又は分散媒は、第1のカチオン交換ポリマー及び/又は第2のカチオン交換ポリマー及び/又は第3のカチオン交換ポリマー及び/又は第1のアニオン交換ポリマー及び/又は第2のアニオン交換ポリマー及び/又は第3のアニオン交換ポリマーに関して、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、プロパノール、ジメチルスルホキシド、N-メチル-2-ピロリドンの群から独立に選択される。好ましくは、溶媒/分散媒が、ジメチルアセトアミドである。
【0064】
異なるカチオン交換ポリマー及びアニオン交換ポリマーに関して溶媒及び/又は分散媒を独立に選択することの利点は、上記のポリマーが、好ましい層へと独立に提供され得る点である。多重の電気紡糸及び/又は遠心紡糸及び/又は電気遠心紡糸を用いることは、異なる(交換)ポリマーを同時に好ましい層に導入することを可能にする。
【0065】
好ましい態様では、(交換)ポリマーが、溶媒・分散媒中に溶解・分散されてよく、溶液・分散体が、15重量%~30重量%の(交換)ポリマーを含有する。好ましくは、カチオン交換ポリマーが、15重量%~25重量%の範囲で、好ましくは18重量%~22重量%の範囲で、溶媒・分散媒中に溶解・分散されてよく、かつ/又は、アニオン交換ポリマーが、20重量%~30重量%の範囲で、好ましくは24重量%~28重量%の範囲で、溶媒・分散媒中に溶解・分散されてよい。
【0066】
本発明に係る好ましい態様では、第1の水分解触媒及び第2の水分解触媒が、溶媒及び/又は分散媒中に溶解及び/又は分散してよく、それぞれの水分解触媒に関して、溶媒及び/又は分散媒が、水、メタノール、エタノール、プロパノールの群から独立に選択される1又は複数であってよい。
【0067】
第1の水分解触媒及び/又は第2の水分解触媒を、水、メタノール、エタノール、プロパノールの群から独立に選択される1又は複数中に溶解及び/又は分散させることは、第1のカチオン交換層を電気紡糸し、かつ/又は遠心紡糸し、かつ/又は電気遠心紡糸する工程、及び第1のアニオン交換ポリマーを電気紡糸し、かつ/又は遠心紡糸し、かつ/又は電気遠心紡糸する工程を、それぞれ、効率的かつ効果的に行うことを可能にする。
【0068】
見いだされたところでは、90%の水及び10%のエタノールを含む溶液及び/又は分散体は、第1の水分解触媒及び/又は第2の水分解触媒を含む効率的かつ効果的な溶液・分散体を提供する。
【0069】
さらに、第1の水分解触媒及び/又は第2の水分解触媒は、第1の水分解触媒又は第2の水分解触媒を含有する溶液・分散体中に、0.1重量%~5重量%の量で、好ましくは0.5重量%~3重量%の量で、より好ましくは1重量%~2.5重量%の量で、最も好ましくは、約2重量%の量で、存在してよい。
【0070】
0.1重量%~5重量%の量で、好ましくは0.5重量%~3重量%の量で、より好ましくは1重量%~2.5重量%の量で、最も好ましくは、約2重量%の量で第1の水分解触媒又は第2の水分解触媒を含有する溶液・分散体を、第1のカチオン交換層を電気紡糸し、かつ/又は遠心紡糸し、かつ/又は電気遠心紡糸する工程、及び/又は第1のアニオン交換ポリマーを電気紡糸し、かつ/又は遠心紡糸し、かつ/又は電気遠心紡糸する工程にそれぞれ提供することは、本発明に係る効率的かつ効果的な方法を可能にする。
【0071】
好ましい態様では、第1の水分解触媒及び/又は第2の水分解触媒が、90%水及び10%エタノール中に溶解及び/又は分散し、好ましくは、第1の水分解触媒及び第2の水分解触媒が、MCM-41であり、カチオン交換ポリマー及び/又はアニオン交換ポリマーが、ジメチルアセトアミド中に溶解及び/又は分散される。好ましくは、第1の水分解触媒及び/又は第2の水分解触媒の溶液及び/又は分散体が、約2重量%の、第1の水分解触媒及び/又は第2の水分解触媒を含み、カチオン交換ポリマー及び/又はアニオン交換ポリマーの溶液及び/又は分散体が、18重量%~22重量%のカチオン交換層ポリマー、又は24重量%~28重量%のアニオン交換ポリマーを含む。上記の溶液・分散体は、接合層を電気紡糸し、かつ/若しくは遠心紡糸し、かつ/又は電気遠心紡糸する工程、第1のカチオン交換層を電気紡糸し、かつ/又は遠心紡糸し、かつ/若しくは電気遠心紡糸する工程、かつ/又は、第1のアニオン交換層を電気紡糸し、かつ/若しくは遠心紡糸し、かつ/若しくは電気遠心紡糸する工程で、用いられる。
【0072】
本発明に係る好ましい態様では、本発明に係る方法が、さらに、押圧する工程(プレス処理する工程)を含み、好ましくは、押圧する工程が、ホットプレス処理の工程を含む。好ましくは、ホットプレス処理の工程が、120℃~180℃の範囲の温度で、好ましくは130℃~170℃の範囲の温度で、より好ましくは140℃~160℃の範囲の温度で、最も好ましくは約150℃の温度で、行われてよい。
【0073】
異なる複数の層を押圧することは、異なる複数の層及び/又は膜を圧縮・高密度化することを可能にする。結果として、効率的かつ効果的な膜が得られうる。実際、従来のバイポーラ膜と比較して低い膜横断電圧を有するバイポーラ膜が得られた。
【0074】
本発明に係る好ましい態様では、押圧する工程が、150バール~250バールの範囲の圧力で、好ましくは175バール~225バールの圧力で、より好ましくは195バール~205バールの圧力で、最も好ましくは約200バールの圧力で、実行されてよい。好ましくは、ホットプレス処理の工程が、最大2時間の期間にわたって、好ましくは0.1時間~2時間の範囲で、より好ましくは0.1時間~1.5時間の範囲で、よりさらに好ましくは0.1時間~1時間の範囲で、最も好ましくは0.1時間~0.25時間の範囲で実行されてよい。
【0075】
ホットプレス処理の工程を、150バール~250バールの範囲の圧力で、好ましくは175バール~225バールの圧力で、より好ましくは195バール~205バールの圧力で、最も好ましくは約200バールの圧力で、最大2時間の期間にわたって、好ましくは0.1時間~2時間の範囲で、より好ましくは0.1時間~1.5時間の範囲で、よりさらに好ましくは0.1時間~1時間の範囲で、最も好ましくは0.1時間~0.25時間の範囲で、実行することは、効率的かつ効果的な水解離を伴う効率的かつ効果的な膜を提供する。
【0076】
好ましい態様では、押圧する工程が、30μm~120μmの範囲の厚み、好ましくは30μm~100μmの厚み、より好ましくは30μm~80μmの厚み、を有するバイポーラ膜を提供する。
【0077】
本発明に係る好ましい態様では、本発明に係る方法が、バイポーラ膜を調整する(コンディショニングする)工程をさらに含む。好ましくは、調整する工程は、0.5M~1.5Mの範囲、好ましくは0.75M~1.25Mの範囲、より好ましくは約1Mの濃度を含む塩化ナトリウム水溶液中で行ってよい。
【0078】
0.5M~1.5Mの範囲、好ましくは0.75M~1.25Mの範囲、より好ましくは約1Mの濃度を含む塩化ナトリウム水溶液中で膜を調整する工程は、高いコスト効率性を有するバイポーラ膜を提供する。
【0079】
本発明は、下記を有するバイポーラ膜にも関する:
- 接合層、
- 第1の水分解触媒及び第1のカチオン交換ポリマーを含む第1のカチオン交換層、第1のカチオン交換層は、接合層に隣接して組み立てられてよい、並びに、
- 第2の水分解触媒及び第1のアニオン交換ポリマーを含む第1のアニオン交換層、第1のアニオン交換層は、接合層に隣接して組み立てられてよい、
ここで、第1のカチオン交換層は、隣接する接合層から延びる方向で変化する、第1の水分解触媒の濃度を有し、かつ/又は第1のアニオン交換は、隣接する接合層から延びる方向で変化する、第2の水分解触媒の濃度を有する。
【0080】
換言すると、バイポーラ膜において、第1のカチオン交換層は、隣接する接合層から延びる方向で変化する第1の水分解触媒の濃度を有し、かつ/又は、第1のアニオン交換層は、隣接する接合層から延びる方向で変化する第2の水分解触媒の濃度を有する。
【0081】
バイポーラ膜は、本発明に係る方法に関して記載したものと同じ又は同様の効果および利点を提供する。
【0082】
留意されるべき点として、異なる複数の層を組み立てることは、これらの層(カチオン交換層、接合層、アニオン交換層)を機能的に連結することを含む。機能的に連結とは、これらの層の間の相互作用を示しており、プロトン及び/又はアニオン及び/又は電子が、バイポーラ膜の1つの側から膜の他方の側へと輸送されうるようになっていることを示す。
【0083】
本発明に係るバイポーラ膜の利点は、二重の電気紡糸及び/若しくは遠心紡糸及び/若しくは電気遠心紡糸を用いた、水性の溶液及び/又は分散体並びに有機の溶媒及び/又は分散媒に基づくポリマー溶液及び/又は分散体の同時の使用を可能にすることによって、制御されかつ均一な様式でポリマー性ナノ繊維構造体中に導入されたナノ材料を、バイポーラ膜が有する点である。
【0084】
本発明に係る好ましい態様では、バイポーラ膜が、第2のカチオン交換ポリマーを含む第2のカチオン交換層をさらに含み、第2のカチオン交換層が、第1のカチオン交換層に隣接して組み立てられてよく、かつ/又は、バイポーラ膜が、第2のアニオン交換ポリマーを含む第2のアニオン交換層を含み、第2のアニオン交換層が、第1のアニオン交換層に隣接して組み立てられてよい。
【0085】
第2のカチオン交換ポリマーを含む第2のカチオン交換層を第1のカチオン交換層に隣接して含み、かつ/又は第2のアニオン交換ポリマーを含む第2のアニオン交換層を第1のアニオン交換層に隣接して含むバイポーラ膜の利点は、第1のカチオン交換層及び/又は第1のアニオン交換層が、厳しい条件に対して保護されるという点である。結果として、貴重な、第1の水分解触媒及び/又は第2の水分解触媒が、保護される。したがって、バイポーラ膜の効率が、維持され、バイポーラ膜の寿命にわたる第1の水分解触媒の損失及び/又は第2の水分解触媒の損失に起因して劣化することがなくなる。
【0086】
さらに、保護層の結果として、高いコスト効率性を有する膜が、達成される。本発明に係る好ましい態様では、第1の水分解触媒及び第2の水分解触媒が、MCM-41、TiO、IrO、Al(OH)、グラフェンオキシド、グラファイトオキシド、ZIF-7、ZIF-8、ZIF-90、MOF-5、IRMOF-1、HKUST-1、CuTPA、SiO、Mn(HCOO)の群から独立に選択される1又は複数であってよい。好ましくは、第1の水分解触媒及び第2の水分解触媒が、同じであってよい。好ましい態様では、第1の水分解触媒及び/又は第2の水分解触媒が、MCM-41であってよい。
【0087】
第1の水分解触媒及び第2の水分解触媒が同じであることの利点は、1つの溶液・分散体のみが、電気紡糸及び/若しくは遠心紡糸及び/若しくは電気遠心紡糸の装置の紡糸口の1つに提供されるという点である。
【0088】
本発明に係る好ましい態様では、接合層が、第3のカチオン交換ポリマー及び/又は第3のアニオン交換ポリマーを含む。
【0089】
第3のカチオン交換ポリマー及び/又は第3のアニオン交換ポリマーを含む接合層を提供することは、効率的かつ効果的なバイポーラ膜を可能にする。好ましくは、第3のカチオン交換ポリマーが、1つの紡糸口によって提供され、かつ第3のアニオン交換ポリマーが、別の紡糸口によって提供される。
【0090】
好ましい態様では、第1のカチオン交換ポリマー及び/又は第2のカチオン交換ポリマー及び/又は第3のカチオン交換ポリマーが、同じである。さらなる好ましい態様では、第1のアニオン交換ポリマー及び/又は第2のアニオン交換ポリマー及び/又は第3のアニオン交換ポリマーが同じである。
【0091】
本発明に係る好ましい態様では、それぞれのカチオン交換ポリマーが、スルホン化ポリエーテルエーテルケトン、ポリ(テトラフルオロエチレン)及びポリスルホニルフルオリドビニルエーテルのコポリマー、スルホン化ポリ(2,6-ジメチル-1,4-フェニレンオキシド)、スルホン化ポリエーテルスルホンの群から独立に選択される1又は複数であってよい。
【0092】
留意されるべき点として、それぞれのカチオン交換ポリマー、例えば、第1のカチオン交換ポリマー、第2のカチオン交換ポリマー、及び第3のカチオン交換ポリマーは、上記の群から独立に選択される。したがって、第1のカチオン交換ポリマーは、スルホン化ポリエーテルエーテルケトン、ポリ(テトラフルオロエチレン)及びポリスルホニルフルオリドビニルエーテルのコポリマー、スルホン化ポリ(2,6-ジメチル-1,4-フェニレンオキシド)、スルホン化ポリエーテルスルホンの群から選択される1又は複数であってよい。第2のカチオン交換ポリマー及び/又は第3のカチオン交換ポリマーは、随意に、スルホン化ポリエーテルエーテルケトン、ポリ(テトラフルオロエチレン)及びポリスルホニルフルオリドビニルエーテルのコポリマー、スルホン化ポリ(2,6-ジメチル-1,4-フェニレンオキシド)、スルホン化ポリエーテルスルホンの群から独立に選択される1又は複数であってよい。
【0093】
本発明に係る好ましい態様では、それぞれのアニオン交換ポリマーが、第4級化ポリ(p-フェニレンオキシド)、第4級化ポリエピクロロヒドリン、ポリ(スピロビインダン-アリールエーテルスルホン)コポリマー、ポリエチレンオキシド、第4級化ポリエーテルスルホン、FAA-3の群から独立に選択される1又は複数であってよい。
【0094】
留意されるべき点として、それぞれのアニオン交換ポリマー、第1のアニオン交換ポリマー、例えば、第2のアニオン交換ポリマー、及び第3のアニオン交換ポリマーは、上記の群から独立に選択される。したがって、第1のアニオン交換ポリマーは、第4級化ポリ(p-フェニレンオキシド)、第4級化ポリエピクロロヒドリン、ポリ(スピロビインダン-アリールエーテルスルホン)コポリマー、ポリエチレンオキシド、第4級化ポリエーテルスルホン、FAA-3の群から選択される1又は複数であってよい。第2のアニオン交換ポリマー及び/又は第3のアニオン交換ポリマーは、随意に、第4級化ポリ(p-フェニレンオキシド)、第4級化ポリエピクロロヒドリン、ポリ(スピロビインダン-アリールエーテルスルホン)コポリマー、ポリエチレンオキシド、第4級化ポリエーテルスルホン、FAA-3の群から独立に選択される1又は複数であってよい。
【0095】
本発明に係る好ましい態様では、バイポーラ膜が、スペーサを有しない。
【0096】
留意されるべき点として、スペーサを有しないバイポーラ膜は、互いに分離していない複数の層を含むバイポーラ膜を組み立てることを可能にし、これは、バイポーラ膜を連続的に組み立てることを可能にする。換言すると、バイポーラ膜は、別個の層によって阻害されない。
【0097】
本発明は、また、本発明に係る方法によって得ることができる本発明に係るバイポーラ膜、及び/又は本発明に係る方法によって得ることができるバイポーラ膜に関する。
【0098】
本発明に係る方法によって得ることができる本発明に係るバイポーラ膜、及び/又は本発明に係る方法によって得ることができるバイポーラ膜は、本発明に係る方法に関して記載したのと同じ効果及び利点を有する。
【0099】
好ましい態様では、バイポーラ膜が、30μm~120μmの範囲の、好ましくは30μm~100μmの範囲の、より好ましくは30μm~80μmの範囲の、厚みを有する。
【0100】
本発明は、本発明に係るバイポーラ膜の、水素製造、酸系フロー電池、燃料電池、二酸化炭素捕捉、並びに/又は、無機及び/若しくは有機の酸に基づく製造及び/若しくは回収における使用にも関する。本発明に係るバイポーラ膜の使用は、本発明に係る方法及び本発明に係るバイポーラ膜に関して記載したのと同じ効果および利点を提供する。
【0101】
本発明に係るバイポーラ膜の使用は、効率的かつ効果的な、水素製造、酸系フロー電池、燃料電池、二酸化炭素捕捉、並びに/又は、無機及び/若しくは有機の酸に基づく製造及び/若しくは回収を提供する。
【0102】
本発明に係る好ましい態様では、バイポーラ膜が、100mV未満の過電圧を有する、少なくとも1000Am-2の電流密度を有する。
【0103】
好ましい態様では、100mV未満の過電圧を有する、少なくとも1000Am-2の電流密度は、H及びOHへの水の分解に関する可逆電位828mVと比較される。
【0104】
本発明は、本発明に係るバイポーラ膜を含むシステムにも関する。
【0105】
本発明に係るシステムは、本発明に係る方法、本発明に係るバイポーラ膜、及び本発明に係るバイポーラ膜の使用、に関して記載したのと同じ効果および利点を提供する。
【0106】
本発明のさらなる利点、特徴及び詳細を、その好ましい態様に基づいて説明し、その際に、添付の図面を参照する。バイポーラ膜を組み立てる方法10(図1)は、異なる工程の配列に沿って行われる。
【0107】
図示された態様において、方法10Aは、第1の水分解触媒及び第1のカチオン交換ポリマーを含む第1のカチオン交換層を電気紡糸及び/又は遠心紡糸及び/又は電気遠心紡糸する工程16で開始する。随意に、方法10は、キャリアを提供する工程12で開始し、それに工程16が続く。工程16の後で、第1のカチオン交換層に隣接して接合層を電気紡糸及び/又は遠心紡糸及び/又は電気遠心紡糸する工程14を行ってよい。随意に、接合層が、第3のカチオン交換ポリマー及び/又は第3のアニオン交換ポリマーを含む。そして、工程14に続いて、第2の水分解触媒及び第1のアニオン交換ポリマーを含む第1のアニオン交換層を接合層に隣接して電気紡糸及び/又は遠心紡糸及び/又は電気遠心紡糸する工程18を行ってよい。半完成したバイポーラ膜が組み立てられる。
【0108】
代替的には、図示される態様において、方法10Bは、第2の水分解触媒及び第1のアニオン交換ポリマーを含む第1のアニオン交換層を電気紡糸及び/又は遠心紡糸及び/又は電気遠心紡糸する工程18で開始される。随意に、方法10は、キャリアを提供する工程12で開始され、それに、工程18が続く。工程18に続いて、接合層を、第1のアニオン交換層に隣接して電気紡糸及び/又は遠心紡糸及び/又は電気遠心紡糸する工程14を行ってよい。随意に、接合層は、第3のカチオン交換ポリマー及び/又は第3のアニオン交換ポリマーを含む。そして、工程14に続いて、第1の水分解触媒及び第1のカチオン交換ポリマーを含む第1のカチオン交換層を、接合層に隣接して、電気紡糸及び/又は遠心紡糸及び/又は電気遠心紡糸する工程16を行ってよい。半完成したバイポーラ膜が組み立てられる。
【0109】
代替的には、図示される態様において、方法10Cは、接合層を電気紡糸及び/又は遠心紡糸及び/又は電気遠心紡糸する工程14で開始される。随意に、接合層は、第3のカチオン交換ポリマー及び/又は第3のアニオン交換ポリマーを含む。随意に方法10は、キャリアを提供する工程12で開始され、それに、工程14が続く。工程14に続いて、第1の水分解触媒及び第1のカチオン交換ポリマーを含む第1のカチオン交換層を、接合層に隣接して、電気紡糸及び/又は遠心紡糸及び/又は電気遠心紡糸する工程16を行ってよく、続いて、第2のカチオン交換ポリマーを含む第2のカチオン交換層を、第1のカチオン交換層に隣接して電気紡糸及び/又は遠心紡糸及び/又は電気遠心紡糸する工程20を行ってよい。そして、工程20に続いて、第2の水分解触媒及び第1のアニオン交換ポリマーを含む第1のアニオン交換層を、接合層に隣接して、電気紡糸及び/又は遠心紡糸及び/又は電気遠心紡糸する工程18を行ってよく、続いて、第2のアニオン交換ポリマーを含む第2のアニオン交換層を、第1のアニオン交換層に隣接して、電気紡糸及び/又は遠心紡糸及び/又は電気遠心紡糸する工程22を行ってよい。半完成したバイポーラ膜が組み立てられる。
【0110】
代替的には、図示される態様において、方法10Dは、接合層を電気紡糸及び/又は遠心紡糸及び/又は電気遠心紡糸する工程14で開始される。随意に、接合層は、第3のカチオン交換ポリマー及び/又は第3のアニオン交換ポリマーを含む。随意に、方法10は、キャリアを提供する工程12で開始され、それに、工程14が続く。工程14の後で、第2の水分解触媒及び第1のアニオン交換ポリマーを含む第1のアニオン交換層を、接合層に隣接して、電気紡糸及び/又は遠心紡糸及び/又は電気遠心紡糸する工程18を行ってよく、これに続いて、第2のアニオン交換ポリマーを含む第2のアニオン交換層を、第1のアニオン交換層に隣接して、電気紡糸及び/又は遠心紡糸及び/又は電気遠心紡糸する工程22を行ってよい。そして、工程22の後で、第1の水分解触媒及び第1のカチオン交換ポリマーを含む第1のカチオン交換層を、接合層に隣接して、電気紡糸及び/又は遠心紡糸及び/又は電気遠心紡糸する工程16を行ってよく、これに続いて、第2のカチオン交換ポリマーを含む第2のカチオン交換層を、第1のカチオン交換層に隣接して、電気紡糸及び/又は遠心紡糸及び/又は電気遠心紡糸する工程20を行ってよい。半完成したバイポーラ膜が組み立てられる。
【0111】
代替的には、図示される態様において、方法10Eは、第2のカチオン交換ポリマーを含む第2のカチオン交換層を電気紡糸及び/又は遠心紡糸及び/又は電気遠心紡糸する工程20で開始される。随意に、方法10は、キャリアを提供する工程12で開始され、それに、工程20が続く。工程20の後で、第1の水分解触媒及び第1のカチオン交換ポリマーを含む第1のカチオン交換層を、第2のカチオン交換層に隣接して、電気紡糸及び/又は遠心紡糸及び/又は電気遠心紡糸する工程16を行ってよい。そして、工程16の後で、接合層を第1のカチオン交換層に隣接して電気紡糸及び/又は遠心紡糸及び/又は電気遠心紡糸する工程14を行ってよい。随意に、接合層は、第3のカチオン交換ポリマー及び/又は第3のアニオン交換ポリマーを含む。工程14の後で、第2の水分解触媒及び第1のアニオン交換ポリマーを含む第1のアニオン交換層を、接合層に隣接して、電気紡糸及び/又は遠心紡糸及び/又は電気遠心紡糸する工程18を行ってよく、かつ、第2のアニオン交換ポリマーを含む第2のアニオン交換層を、第1のアニオン交換層に隣接して、電気紡糸及び/又は遠心紡糸及び/又は電気遠心紡糸する工程22を行ってよい。半完成したバイポーラ膜が組み立てられる。
【0112】
代替的には、図示される態様において、方法10Fは、第2のアニオン交換ポリマーを含む第2のアニオン交換層を電気紡糸及び/又は遠心紡糸及び/又は電気遠心紡糸する工程22で開始される。随意に、方法10は、キャリアを提供する工程12で開始され、それに、工程22が続く。工程22に続いて、第2の水分解触媒及び第1のアニオン交換ポリマーを含む第1のアニオン交換層を、第2のアニオン交換層に隣接して、電気紡糸及び/又は遠心紡糸及び/又は電気遠心紡糸する工程18を行ってよい。そして、工程18に続いて、接合層を、第1のアニオン交換層に隣接して、電気紡糸及び/又は遠心紡糸及び/又は電気遠心紡糸する工程14を行ってよい。随意に、接合層は、第3のカチオン交換ポリマー及び/又は第3のアニオン交換ポリマーを含む。工程14に続いて、第1の水分解触媒及び第1のカチオン交換ポリマーを含む第1のカチオン交換層を、接合層に隣接して、電気紡糸及び/又は遠心紡糸及び/又は電気遠心紡糸する工程16を行ってよく、かつ、第2のカチオン交換ポリマーを含む第2のカチオン交換層を、第1のカチオン交換層に隣接して、電気紡糸及び/又は遠心紡糸及び/又は電気遠心紡糸する工程20を行ってよい。半完成したバイポーラ膜が組み立てられる。
【0113】
そして、半完成したこのバイポーラ膜を、押圧(プレス処理)の工程24によって押圧(プレス)してよく、工程24は、好ましくは、ホットプレス処理の工程26を含む。工程24に続いて、バイポーラ膜を調整する工程28を行う。
【0114】
好ましい態様において、工程14、16、18、20及び22は、連続的なプロセスの一部であり、水分解触媒及び/又は(交換)ポリマーが、多重の、例えば二重の、電気紡糸及び/又は遠心紡糸及び/又は電気遠心紡糸を用いて、半完成バイポーラ膜中に導入される。したがって、第1の紡糸口が、第1の水分解触媒を提供してよく、かつ第2の紡糸口が、カチオン交換ポリマーを提供してよく、又は、第1の紡糸口が、カチオン交換ポリマーを提供してよく、かつ第2の紡糸口が、アニオン交換ポリマーを提供してよく、又は、第1の紡糸口が、第2の水分解触媒を提供してよく、かつ第2の紡糸口が、アニオン交換ポリマーを提供してよい。
【0115】
図示される態様において、バイポーラ膜100(図2)は、接合層102、第1のカチオン交換層104、及び第1のアニオン交換層106を有する。接合層102は、第3のカチオン交換ポリマー108(左上から右下への線)及び第3のアニオン交換ポリマー110(左下から右上への線)を有する。第1のカチオン交換層104は、第1の水分解触媒(バツ印)及び第1のカチオン交換ポリマー114(左上から右下への線)を有する。第1のアニオン交換層106は、第2の水分解触媒116(円)及び第1のアニオン交換ポリマー118(左下から右上への線)を有する。
【0116】
図示される態様において、代替的なバイポーラ膜200(図3)が、接合層102、第1のカチオン交換層204、第2のカチオン交換層205、第1のアニオン交換層206、及び第2のアニオン交換層207を有する。接合層202は、第3のカチオン交換ポリマー208(左上から右下への線)及び第3のアニオン交換ポリマー210(左下から右上への線)を有する。第1のカチオン交換層204は、第1の水分解触媒212(バツ印)及び第1のカチオン交換ポリマー214(左上から右下への線)を有する。第2のカチオン交換層205は、第2のカチオン交換ポリマー220を有する。第1のアニオン交換層206は、第2の水分解触媒216(円)及び第1のアニオン交換ポリマー218(左下から右上への線)を有する。第2のアニオン交換層207は、第2のカチオン交換ポリマー222を有する。水分解触媒212、216は、それぞれの層にわたって均一に分布しており、又は、段階的な所望の分布に従って分布しており、好ましくは、接合層202に対して横断方向で段階的になっている所望の分布に従って分布している。
【0117】
図示される態様では、バイポーラ膜300(図4)が、接合層302、第1のカチオン交換層304、及び第1のアニオン交換層206を有する。接合層302は、第3のカチオン交換ポリマー308(左上から右下への線)及び第3のアニオン交換ポリマー310(左下から右上への線)を有する。カチオン交換ポリマー及びアニオン交換ポリマーは、好ましくは、接合層302及びカチオン交換層304、並びに接合層302及びアニオン交換層306において、それぞれ同じである。カチオン交換層304は、第1の水分解触媒312及びカチオン交換ポリマー308を有する。アニオン交換層306は、第2の水分解触媒316及びアニオン交換ポリマー310を有する。バイポーラ膜300は、さらに、接合層302に向かう方向で、第1の水分解触媒312及び第2の水分解触媒316の濃度の増加を示す。
【0118】
本発明に係るバイポーラ膜を、電気化学的特徴づけによって、その水解離能に関して、試験した。本発明に係る方法で組み立てられたバイポーラ膜を、H及びOHへの触媒水解離
O→H+OH
に関して、市販のバイポーラ膜(Fumasep FBM、Fumatech社、ドイツ)と比較した。
【0119】
この市販のバイポーラ膜は、出願人らが知る限りでは、本出願時に入手可能な最も性能の高い市販のバイポーラ膜である。
【0120】
図5は、バイポーラ膜電圧(ボルト)対電流密度(Am-2)を示す。本発明に係る方法で組み立てられたバイポーラ膜のバイポーラ膜膜横断電圧は、1MのNaClの水溶液中で2つのAg/AgCl参照電極を用いて500Am-2までの電流密度で評価したときに、Fumasepバイポーラ膜に対して、より低かった。
【0121】
本発明に係る方法で組み立てられたバイポーラ膜は、1MのNaCl中で試験されたときに、1000Am-2において、市販のFumasepバイポーラ膜と比較して、100mVの比較的低い水解離電圧を示した。本発明に係る方法で組み立てられたバイポーラ膜は、電流密度1000Am-2においてH及びOHへの水分解に関して安定した挙動を示した一方で、Fumasepバイポーラ膜と比較して、100mVの比較的低い過電圧を有していた。
【0122】
さらなる実験によって、0.5M及び1MのHCl及びNaOH溶液中で試験されたときの、本発明に係る方法で組み立てられたバイポーラ膜に関する水結合曲線を明らかにした。
【0123】
図6は、バイポーラ膜にわたる対応するHCl及びNaOH濃度でバイポーラ膜を試験したときに、水結合が起こるときの、本発明に係る方法で組み立てられたバイポーラ膜にわたる電圧低下を示す。
【0124】
本発明に係るシステムは、エネルギーの貯蔵のために用いることができ、例えば、pHグラジエントシステムを用いたエネルギーの貯蔵のために用いることができる。さらに、本発明に係るバイポーラ膜を有する異なる複数のセルをスタックすることは、貯蔵能力の増加及びスタック電圧の増加をもたらす。
【0125】
本発明は、上記のその好ましい態様及び/又は実験に決して限定されるものではない。請求される権利は、添付の特許請求の範囲によって規定され、その範囲内で、多くの変更を想定し得る。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【手続補正書】
【提出日】2024-07-18
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0125
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0125】
本発明は、上記のその好ましい態様及び/又は実験に決して限定されるものではない。請求される権利は、添付の特許請求の範囲によって規定され、その範囲内で、多くの変更を想定し得る。
本開示は、下記の発明の態様を含む:
<態様1>
バイポーラ膜を組み立てる方法であって、
- 第1の水分解触媒及び第1のカチオン交換ポリマーを含む第1のカチオン交換層を、電気紡糸かつ/又は遠心紡糸かつ/又は電気遠心紡糸すること、
- 接合層を、電気紡糸かつ/又は遠心紡糸かつ/又は電気遠心紡糸すること、並びに
― 第2の水分解触媒及び第1のアニオン交換ポリマーを含む第1のアニオン交換層を電気紡糸かつ/又は遠心紡糸かつ/又は電気遠心紡糸すること、
の工程を含み、
前記第1のカチオン交換層及び前記第2のアニオン交換層は、前記接合層に隣接して、かつ前記接合層の反対の側に提供される、
方法。
<態様2>
第2のカチオン交換ポリマーを含む第2のカチオン交換層を電気紡糸かつ/若しくは遠心紡糸かつ/若しくは電気遠心紡糸する工程、及び/又は、第2のアニオン交換ポリマーを含む第2のアニオン交換層を電気紡糸かつ/若しくは遠心紡糸かつ/若しくは電気遠心紡糸する工程、をさらに含む、態様1に記載の方法。
<態様3>
第1のカチオン交換層を電気紡糸かつ/若しくは遠心紡糸かつ/若しくは電気遠心紡糸する工程、及び/又は第1のアニオン交換層を電気紡糸かつ/若しくは遠心紡糸かつ/若しくは電気遠心紡糸する工程が、前記第1の水分解触媒及び/又は前記第2の水分解触媒を段階的な様式で電気噴霧することを含む、態様1又は2に記載の方法。
<態様4>
前記第1の水分解触媒及び/又は前記第2の水分解触媒の濃度が、隣接する前記接合層から延びる方向で減少する、態様3に記載の方法。
<態様5>
前記第1の水分解触媒及び前記第2の水分解触媒が、多孔質シリカ材料、アルミニウムシリケート、ゼオライト、有機触媒から独立に選択される1又は複数である、態様1~4のいずれか一項に記載の方法。
<態様6>
前記有機触媒が、ポリ(4-ビニルフェノール)、ポリエチレングリコールの群から選択される1又は複数である、態様5に記載の方法。
<態様7>
前記第1の水分解触媒及び前記第2の水分解触媒が、MCM-41、TiO 、IrO 、Al(OH) 、グラフェンオキシド、グラファイトオキシド、ZIF-7、ZIF-8、ZIF-90、MOF-5、IRMOF-1、HKUST-1、CuTPA、SiO 、Mn(HCOO) の群から独立に選択される1又は複数である、態様1~6のいずれか一項に記載の方法。
<態様8>
前記第1の水分解触媒及び/又は前記第2の水分解触媒が、MCM-41である、態様7に記載の方法。
<態様9>
前記接合層が、第3のカチオン交換ポリマー及び/又は第3のアニオン交換ポリマーを含む、態様1~8のいずれか一項に記載の方法。
<態様10>
それぞれのカチオン交換ポリマーが、スルホン化ポリエーテルエーテルケトン、ポリ(テトラフルオロエチレン)とポリスルホニルフルオリドビニルエーテルのコポリマー、スルホン化ポリ(2,6-ジメチル-1,4-フェニレンオキシド)、スルホン化ポリエーテルスルホンの群から独立に選択される1又は複数である、態様1~9のいずれか一項に記載の方法。
<態様11>
それぞれのアニオン交換ポリマーが、第4級化ポリ(p-フェニレンオキシド)、第4級化ポリエピクロロヒドリン、ポリ(スピロビインダン-アリールエーテルスルホン)コポリマー、ポリエチレンオキシド、第4級化ポリエーテルスルホン、FAA-3の群から独立に選択される1又は複数である、態様1~10のいずれか一項に記載の方法。
<態様12>
それぞれのカチオン交換ポリマーが、スルホン化ポリエーテルエーテルケトンであり、かつ/又はそれぞれのアニオン交換ポリマーがFAA-3である、態様10及び/又は11に記載の方法。
<態様13>
1又は複数の前記カチオン交換ポリマーのそれぞれ及び1又は複数の前記アニオン交換ポリマーのそれぞれが、溶媒及び/又は分散媒中に溶解及び/又は分散しており、それぞれの交換ポリマーに関して、前記溶媒及び/又は分散媒が、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、プロパノール、ジメチルスルホキシド、N-メチル-2-ピロリドンの群から独立に選択される1又は複数である、態様1~12のいずれか一項に記載の方法。
<態様14>
前記第1の水分解触媒及び前記第2の水分解触媒が、溶媒及び/又は分散媒中に溶解及び/又は分散しており、それぞれの水分解触媒に関して、前記溶媒及び/又は分散媒が、水、メタノール、エタノール、プロパノールの群から独立に選択される1又は複数である、態様1~13のいずれか一項に記載の方法。
<態様15>
押圧する工程をさらに含み、好ましくは、押圧する工程がホットプレス処理の工程を含む、態様1~14のいずれか一項に記載の方法。
<態様16>
ホットプレス処理の工程を、120℃~180℃の範囲の温度、好ましくは130℃~170℃の範囲の温度、より好ましくは140℃~160℃の範囲の温度、最も好ましくは約150℃の温度で行う、態様15に記載の方法。
<態様17>
ホットプレス処理の工程が、150バール~250バールの範囲の圧力、好ましくは175バール~225バールの圧力、より好ましくは195バール~205バールの圧力、最も好ましくは約200バールの圧力で行われる、態様15又は16に記載の方法。
<態様18>
ホットプレス処理の工程が、最大で2時間の期間にわたって、好ましくは0.1時間~2時間の期間にわたって、より好ましくは0.1時間~1.5時間の期間にわたって、よりさらに好ましくは0.1時間~1時間の期間にわたって、最も好ましくは0.1時間~0.25時間の期間にわたって行われる、態様15、16又は17に記載の方法。
<態様19>
前記バイポーラ膜を調整する工程をさらに含む、態様1~18のいずれか一項に記載の方法。
<態様20>
調整する工程を、0.5M~1.5Mの範囲の濃度、好ましくは0.75M~1.25Mの範囲の濃度、より好ましくは約1Mの濃度の、塩化ナトリウムの水溶液中で行う、態様19に記載の方法。
<態様21>
バイポーラ膜であって、
- 接合層、
- 第1の水分解触媒及び第1のカチオン交換ポリマーを含む第1のカチオン交換層、この第1のカチオン交換層は、前記接合層に隣接して組み立てられている、並びに、
- 第2の水分解触媒及び第1のアニオン交換ポリマーを含む第1のアニオン交換層、この第1のアニオン交換層は、前記接合層に隣接して組み立てられている、
を有し、
前記第1のカチオン交換層が前記第1の水分解触媒の濃度を有しかつ/又は前記第1のアニオン交換層が前記第2の水分解触媒の濃度を有し、この濃度は、隣接する前記接合層から延びる方向で変動する、バイポーラ膜。
<態様22>
第2のカチオン交換ポリマーを含む第2のカチオン交換層をさらに含み、前記第2のカチオン交換層が、前記第1のカチオン交換層に隣接して組み立てられており、かつ/又は、
第2のアニオン交換ポリマーを含む第2のアニオン交換層をさらに含み、前記第2のアニオン交換層が、前記第1のアニオン交換層に隣接して組み立てられている、
態様21に記載のバイポーラ膜。
<態様23>
前記第1の水分解触媒及び前記第2の水分解触媒が、MCM-41、TiO 、IrO 、Al(OH) 、グラフェンオキシド、グラファイトオキシド、ZIF-7、ZIF-8、ZIF-90、MOF-5、IRMOF-1、HKUST-1、CuTPA、SiO 、Mn(HCOO) の群から独立に選択される1又は複数である、態様21又は22に記載のバイポーラ膜。
<態様24>
前記接合層が、第3のカチオン交換ポリマー及び/又は第3のアニオン交換ポリマーを含む、態様21~23のいずれか一項に記載のバイポーラ膜。
<態様25>
それぞれのカチオン交換ポリマーが、スルホン化ポリエーテルエーテルケトン、ポリ(テトラフルオロエチレン)とポリスルホニルフルオリドビニルエーテルのコポリマー、スルホン化ポリ(2,6-ジメチル-1,4-フェニレンオキシド)、スルホン化ポリエーテルスルホンの群から独立に選択される1又は複数である、態様21~24のいずれか一項に記載のバイポーラ膜。
<態様26>
それぞれのアニオン交換ポリマーが、第4級化ポリ(p-フェニレンオキシド)、第4級化ポリエピクロロヒドリン、ポリ(スピロビインダン-アリールエーテルスルホン)コポリマー、ポリエチレンオキシド、第4級化ポリエーテルスルホン、FAA-3の群から独立に選択される1又は複数である、態様21~25のいずれか一項に記載のバイポーラ膜。
<態様27>
態様1~20のいずれか一項に記載の方法によって得ることができる、態様21~26のいずれか一項に記載のバイポーラ膜。
<態様28>
態様1~20のいずれか一項に記載の方法によって得ることができるバイポーラ膜。
<態様29>
態様21~28のいずれか一項に記載のバイポーラ膜の使用であって、水素製造、酸系フロー電池、燃料電池、二酸化炭素捕捉、並びに/又は、無機及び/若しくは有機の酸に基づく製造及び/若しくは回収における使用。
<態様30>
態様29に記載のバイポーラ膜の使用であって、前記バイポーラ膜が、100mV未満の過電圧を有する少なくとも1000Am -2 の電流密度を有する、使用。
<態様31>
態様21~28のいずれか一項に記載のバイポーラ膜を有するシステム。
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バイポーラ膜を組み立てる方法であって、
- 第1の水分解触媒及び第1のカチオン交換ポリマーを含む第1のカチオン交換層を、電気紡糸かつ/又は遠心紡糸かつ/又は電気遠心紡糸すること、
- 接合層を、電気紡糸かつ/又は遠心紡糸かつ/又は電気遠心紡糸すること、並びに
― 第2の水分解触媒及び第1のアニオン交換ポリマーを含む第1のアニオン交換層を電気紡糸かつ/又は遠心紡糸かつ/又は電気遠心紡糸すること、
の工程を含み、
前記第1のカチオン交換層及び前記第2のアニオン交換層は、前記接合層に隣接して、かつ前記接合層の反対の側に提供される、
方法。
【請求項2】
第2のカチオン交換ポリマーを含む第2のカチオン交換層を電気紡糸かつ/若しくは遠心紡糸かつ/若しくは電気遠心紡糸する工程、及び/又は、第2のアニオン交換ポリマーを含む第2のアニオン交換層を電気紡糸かつ/若しくは遠心紡糸かつ/若しくは電気遠心紡糸する工程、をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
第1のカチオン交換層を電気紡糸かつ/若しくは遠心紡糸かつ/若しくは電気遠心紡糸する工程、及び/又は第1のアニオン交換層を電気紡糸かつ/若しくは遠心紡糸かつ/若しくは電気遠心紡糸する工程が、前記第1の水分解触媒及び/又は前記第2の水分解触媒を段階的な様式で電気噴霧することを含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記第1の水分解触媒及び/又は前記第2の水分解触媒の濃度が、隣接する前記接合層から延びる方向で減少する、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記第1の水分解触媒及び前記第2の水分解触媒が、多孔質シリカ材料、アルミニウムシリケート、ゼオライト、有機触媒から独立に選択される1又は複数である、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項6】
前記有機触媒が、ポリ(4-ビニルフェノール)、ポリエチレングリコールの群から選択される1又は複数である、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記第1の水分解触媒及び前記第2の水分解触媒が、MCM-41、TiO、IrO、Al(OH)、グラフェンオキシド、グラファイトオキシド、ZIF-7、ZIF-8、ZIF-90、MOF-5、IRMOF-1、HKUST-1、CuTPA、SiO、Mn(HCOO)の群から独立に選択される1又は複数である、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項8】
前記第1の水分解触媒及び/又は前記第2の水分解触媒が、MCM-41である、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記接合層が、第3のカチオン交換ポリマー及び/又は第3のアニオン交換ポリマーを含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項10】
それぞれのカチオン交換ポリマーが、スルホン化ポリエーテルエーテルケトン、ポリ(テトラフルオロエチレン)とポリスルホニルフルオリドビニルエーテルのコポリマー、スルホン化ポリ(2,6-ジメチル-1,4-フェニレンオキシド)、スルホン化ポリエーテルスルホンの群から独立に選択される1又は複数である、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項11】
それぞれのアニオン交換ポリマーが、第4級化ポリ(p-フェニレンオキシド)、第4級化ポリエピクロロヒドリン、ポリ(スピロビインダン-アリールエーテルスルホン)コポリマー、ポリエチレンオキシド、第4級化ポリエーテルスルホン、FAA-3の群から独立に選択される1又は複数である、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項12】
それぞれのカチオン交換ポリマーが、スルホン化ポリエーテルエーテルケトンであり、かつ/又はそれぞれのアニオン交換ポリマーがFAA-3である、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
1又は複数の前記カチオン交換ポリマーのそれぞれ及び1又は複数の前記アニオン交換ポリマーのそれぞれが、溶媒及び/又は分散媒中に溶解及び/又は分散しており、それぞれの交換ポリマーに関して、前記溶媒及び/又は分散媒が、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、プロパノール、ジメチルスルホキシド、N-メチル-2-ピロリドンの群から独立に選択される1又は複数である、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項14】
前記第1の水分解触媒及び前記第2の水分解触媒が、溶媒及び/又は分散媒中に溶解及び/又は分散しており、それぞれの水分解触媒に関して、前記溶媒及び/又は分散媒が、水、メタノール、エタノール、プロパノールの群から独立に選択される1又は複数である、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項15】
押圧する工程をさらに含み、好ましくは、押圧する工程がホットプレス処理の工程を含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項16】
ホットプレス処理の工程を、120℃~180℃の範囲の温度、好ましくは130℃~170℃の範囲の温度、より好ましくは140℃~160℃の範囲の温度、最も好ましくは約150℃の温度で行う、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
ホットプレス処理の工程が、150バール~250バールの範囲の圧力、好ましくは175バール~225バールの圧力、より好ましくは195バール~205バールの圧力、最も好ましくは約200バールの圧力で行われる、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
ホットプレス処理の工程が、最大で2時間の期間にわたって、好ましくは0.1時間~2時間の期間にわたって、より好ましくは0.1時間~1.5時間の期間にわたって、よりさらに好ましくは0.1時間~1時間の期間にわたって、最も好ましくは0.1時間~0.25時間の期間にわたって行われる、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
前記バイポーラ膜を調整する工程をさらに含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項20】
調整する工程を、0.5M~1.5Mの範囲の濃度、好ましくは0.75M~1.25Mの範囲の濃度、より好ましくは約1Mの濃度の、塩化ナトリウムの水溶液中で行う、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
バイポーラ膜であって、
- 接合層、
- 第1の水分解触媒及び第1のカチオン交換ポリマーを含む第1のカチオン交換層、この第1のカチオン交換層は、前記接合層に隣接して組み立てられている、並びに、
- 第2の水分解触媒及び第1のアニオン交換ポリマーを含む第1のアニオン交換層、この第1のアニオン交換層は、前記接合層に隣接して組み立てられている、
を有し、
前記第1のカチオン交換層が前記第1の水分解触媒の濃度を有しかつ/又は前記第1のアニオン交換層が前記第2の水分解触媒の濃度を有し、この濃度は、隣接する前記接合層から延びる方向で変動する、バイポーラ膜。
【請求項22】
第2のカチオン交換ポリマーを含む第2のカチオン交換層をさらに含み、前記第2のカチオン交換層が、前記第1のカチオン交換層に隣接して組み立てられており、かつ/又は、
第2のアニオン交換ポリマーを含む第2のアニオン交換層をさらに含み、前記第2のアニオン交換層が、前記第1のアニオン交換層に隣接して組み立てられている、
請求項21に記載のバイポーラ膜。
【請求項23】
前記第1の水分解触媒及び前記第2の水分解触媒が、MCM-41、TiO、IrO、Al(OH)、グラフェンオキシド、グラファイトオキシド、ZIF-7、ZIF-8、ZIF-90、MOF-5、IRMOF-1、HKUST-1、CuTPA、SiO、Mn(HCOO)の群から独立に選択される1又は複数である、請求項21又は22に記載のバイポーラ膜。
【請求項24】
前記接合層が、第3のカチオン交換ポリマー及び/又は第3のアニオン交換ポリマーを含む、請求項21又は22に記載のバイポーラ膜。
【請求項25】
それぞれのカチオン交換ポリマーが、スルホン化ポリエーテルエーテルケトン、ポリ(テトラフルオロエチレン)とポリスルホニルフルオリドビニルエーテルのコポリマー、スルホン化ポリ(2,6-ジメチル-1,4-フェニレンオキシド)、スルホン化ポリエーテルスルホンの群から独立に選択される1又は複数である、請求項21又は22に記載のバイポーラ膜。
【請求項26】
それぞれのアニオン交換ポリマーが、第4級化ポリ(p-フェニレンオキシド)、第4級化ポリエピクロロヒドリン、ポリ(スピロビインダン-アリールエーテルスルホン)コポリマー、ポリエチレンオキシド、第4級化ポリエーテルスルホン、FAA-3の群から独立に選択される1又は複数である、請求項21又は22に記載のバイポーラ膜。
【請求項27】
請求項1又は2に記載の方法によって得ることができる、請求項21又は22に記載のバイポーラ膜。
【請求項28】
請求項1又は2に記載の方法によって得ることができるバイポーラ膜。
【請求項29】
請求項21又は22に記載のバイポーラ膜の使用であって、水素製造、酸系フロー電池、燃料電池、二酸化炭素捕捉、並びに/又は、無機及び/若しくは有機の酸に基づく製造及び/若しくは回収における使用。
【請求項30】
請求項29に記載のバイポーラ膜の使用であって、前記バイポーラ膜が、100mV未満の過電圧を有する少なくとも1000Am-2の電流密度を有する、使用。
【請求項31】
請求項21又は22に記載のバイポーラ膜を有するシステム。
【国際調査報告】