(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-02-04
(54)【発明の名称】医療チューブ固定デバイスならびに関連製品および方法
(51)【国際特許分類】
A61M 25/02 20060101AFI20250128BHJP
A61J 15/00 20060101ALI20250128BHJP
【FI】
A61M25/02 504
A61J15/00 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024542286
(86)(22)【出願日】2023-01-13
(85)【翻訳文提出日】2024-07-30
(86)【国際出願番号】 US2023010835
(87)【国際公開番号】W WO2023137201
(87)【国際公開日】2023-07-20
(32)【優先日】2022-01-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524266157
【氏名又は名称】ケイエムディ サージカル ソリューションズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】KMD SURGICAL SOLUTIONS,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】カッツ、アダム ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】ヨハンセン、トーマス エム.
【テーマコード(参考)】
4C047
4C267
【Fターム(参考)】
4C047PP60
4C267AA03
4C267AA33
4C267BB11
4C267BB18
4C267BB25
4C267CC01
(57)【要約】
医療チューブを固定するための医療チューブ固定デバイスは、固定部を有している可変長の固定スリーブを備えている。固定部の内部通路断面積は、固定スリーブの長さが変化するにつれて変化する。固定部の内部通路断面積は、内部通路断面積がより大きいときに医療チューブを受け入れることを可能にする一方で、内部通路断面積がより小さいときに医療チューブを把持および保持する。曲がりスリーブ保持器は固定スリーブと、固定済の医療チューブと、を曲がり構成で保持するべく選択的に係合可能にされている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者に挿入済のときの医療チューブを前記患者に固定するための固定デバイスであって、前記固定デバイスは、
前記固定デバイスを前記患者の皮膚に取り付けるべく前記皮膚にインタフェースするように構成された取付パッドと、
近位端部と、前記近位端部の反対側の長手方向端部に遠位端部と、を有している可変長の固定スリーブであって、前記固定スリーブの前記近位端部に隣接する結合構造を介して前記取付パッドに結合される可変長の前記固定スリーブと、
前記患者に固定するべく前記医療チューブを受け入れるように構成されたチューブ通路であって、前記固定スリーブを通って長手方向に延在する前記チューブ通路と、
を備えており、
前記固定スリーブは、前記チューブ通路が通って延在する固定部を備えており、前記チューブ通路の長手方向経路を横切る前記固定部内の前記チューブ通路の通路断面積は、前記固定スリーブが短くなるにつれて拡大する一方で、前記固定スリーブが長くなるにつれて縮小しており、前記固定スリーブの長さは、前記固定部内の前記チューブ通路を通る並進のために前記医療チューブを受け入れるように前記通路断面積を拡大する一方で、前記医療チューブを前記固定デバイスに固定するべく前記固定部によって前記チューブ通路内の前記医療チューブを把持するように前記通路断面積を縮小するように、調整可能にされており、前記固定デバイスは、
前記チューブ通路が対応して曲げられる曲がり部を前記固定スリーブが有している曲がり構成において、前記固定スリーブを選択的に保持するおよび保持しないように、前記固定スリーブとで選択的に係合可能および係合解除可能にされている曲がりスリーブホルダであって、好ましくは、前記曲がり構成において前記曲がり部は、前記曲がり部の遠位の前記固定スリーブの一部を前記取付パッドに向かって付勢する、前記曲がりスリーブホルダと、
を備えている、固定デバイス。
【請求項2】
前記曲がりスリーブホルダは、前記固定スリーブが前記曲がりスリーブホルダに係合することで前記固定スリーブを前記曲がり構成に保持するときに、前記固定スリーブの前記固定部の少なくとも長手方向部分に係合する、
請求項1に記載の固定デバイス。
【請求項3】
前記曲がりスリーブホルダは保持チャネルを備えており、前記保持チャネル内には、前記固定スリーブを前記曲がり構成に保持するべく前記固定スリーブの対応する部分が受容位置で受容可能にされている、
請求項2に記載の固定デバイス。
【請求項4】
前記曲がりスリーブホルダは、前記取付パッドに対して回転可能に取り付けられているとともに、異なる半径方向位置同士に回転可能にされている、
請求項2または請求項3に記載の固定デバイス。
【請求項5】
前記曲がりスリーブホルダは、回転可能に取り付けられているとともに、前記取付パッドに対して異なる複数の半径方向位置に回転可能にされている、
請求項1に記載の固定デバイス。
【請求項6】
複数の前記半径方向位置同士は、前記取付パッドを通る前記チューブ通路の長手方向軸線の周りに半径方向に離間されている、
請求項5に記載の固定デバイス。
【請求項7】
前記取付パッドは、使用中に前記患者の前記皮膚に面して配置される近位面を有しており、複数の前記半径方向位置同士は、前記取付パッドの前記近位面の面に対して垂直な軸線の周りに半径方向に離間されている、
請求項5に記載の固定デバイス。
【請求項8】
前記固定デバイスはさらに、前記曲がりスリーブホルダを複数の前記半径方向位置のうちの異なる位置に選択的にロックする半径方向位置決めロックを備えている、
請求項5に記載の固定デバイス。
【請求項9】
前記固定デバイスはさらに、
ベース部材と、前記ベース部材に対して回転可能にされている回転部材と、を備えており、前記曲がりスリーブホルダは前記回転部材上に支持されている、
請求項1に記載の固定デバイス。
【請求項10】
前記ベース部材および前記回転部材は、複数の半径方向位置のうちの異なる前記半径方向位置で前記回転部材の前記半径方向位置をロックするように選択的に係合可能にされている、対応する連動する第1ロック構造および第2ロック構造を備えている、
請求項9に記載の固定デバイス。
【請求項11】
前記ベース部材は、前記回転部材内の開口を通って延在する延在部分を備えており、前記回転部材は、前記延在部分を中心として回転可能にされている、
請求項9に記載の固定デバイス。
【請求項12】
前記固定デバイスはさらに、前記固定スリーブの前記固定部が前記長手方向に加えられた圧縮下であるとともに、前記通路断面積が前記医療チューブを受け入れるための拡張構成である状態で、前記固定スリーブを圧縮済構成に保持するように配置済の圧縮保持器を備えており、
前記圧縮保持器が、前記長手方向に加えられた圧縮から前記固定部を解放することで前記固定スリーブを長くすることによって、前記通路断面積を前記拡張構成に対して収縮させることで、前記固定部は、前記固定部を通る前記チューブ通路を通って配置済のときに前記医療チューブを把持することを可能にするように操作可能にされている、
請求項2~3および5~11のいずれか1項に記載の固定デバイス。
【請求項13】
前記固定デバイスはさらに、前記固定スリーブを圧縮済構成に保持するように配置済の圧縮保持器を備えており、前記固定スリーブの前記固定部は、前記長手方向に加えられた圧縮下であるとともに、前記通路断面積は、前記通路断面積を通して前記医療チューブを受容するための拡張構成であり、
前記圧縮保持器が、前記固定部を前記長手方向に加えられた圧縮から解放することで前記固定スリーブを長くすることによって前記通路断面積を前記拡張構成に対して収縮させることで、前記固定部は、前記固定部を通る前記チューブ通路を通って配置済のときに前記医療チューブを把持することを可能にするように操作可能にされている、
請求項1に記載の固定デバイス。
【請求項14】
前記固定スリーブは、前記固定スリーブを通る前記チューブ通路内に何も配置されていない状態で前記固定スリーブが前記圧縮済構成から解放されたときに解放構成を有しており、前記固定スリーブの長さは前記圧縮済構成よりも前記解放構成においてより大きく、
前記固定部を通る前記チューブ通路の長手方向経路を横切る、前記固定部内の前記チューブ通路の最小挿入断面は、前記固定スリーブの長さが変動されるにつれて変動しており、前記最小挿入断面は前記解放構成よりも前記圧縮済構成においてより大きく、
前記最小挿入断面は最大断面寸法を有しており、
前記最小挿入断面は、前記圧縮済構成において前記医療チューブの対応する医療外方断面を受容するとともに、前記解放構成において保持するように構成されており、
前記医療外方断面は最大医療外方断面寸法を有しており、
前記解放構成において、前記最小挿入断面の前記最大断面寸法は前記医療チューブの前記医療外方断面の前記最大医療外方断面寸法よりも少なくとも0.5ミリメートルだけ小さい、
請求項13に記載の固定デバイス。
【請求項15】
前記取付パッドへの前記固定スリーブの結合は、第1固定部材と第2固定部材との間に挟まれた前記固定スリーブのフレア状近位端材料を備えている、
請求項1~3、5~11、13および14のいずれか1項に記載の固定デバイス。
【請求項16】
前記取付パッドは、前記固定デバイスの使用中に滲出液を吸収するように構成された吸収部を備えている、
請求項2~3、5~11、および13~14のいずれか1項に記載の固定デバイス。
【請求項17】
前記取付パッドは、前記固定デバイスの使用中に滲出液を吸収するように構成された吸収部を備えている、
請求項1に記載の固定デバイス。
【請求項18】
前記チューブ通路は、前記吸収部内の開口を通って延在している、
請求項17に記載の固定デバイス。
【請求項19】
前記吸収部は、前記固定デバイスが前記患者に取り付けられるときに前記患者に向かって配置される近位面を有している、
請求項18に記載の固定デバイス。
【請求項20】
前記吸収部は、前記吸収部の重量に対して0.9%重量/体積の生理食塩水(等張性生理食塩水)の飽和に対する吸収として決定される、少なくとも500重量%の吸収能力を有しており、
前記吸収部は、0.9%重量/体積の生理食塩水(等張性生理食塩水)の飽和に対する吸収として決定される、少なくとも1ミリリットルを吸収する吸収能力を有しており、
前記吸収部は、前記患者の前記皮膚に向かって配置されるように構成された近位面を備えており、
前記吸収部の前記近位面は、少なくとも4平方センチメートルの表面積を有しており、
前記固定デバイスは、前記チューブ通路のために前記吸収部の前記近位面に開口を備えている、
請求項17~19のいずれか1項に記載の固定デバイス。
【請求項21】
前記固定スリーブは、前記医療チューブの前記長手方向を横切る最大医療外方断面寸法を有している前記医療チューブの一部分を前記固定部内に保持するように構成されており、
前記固定スリーブは、少なくとも、前記最大医療外方断面寸法よりも少なくとも1ミリメートルだけ小さい下限から、前記最大医療外方断面寸法よりも少なくとも1ミリメートルだけ大きい上限まで、の範囲にわたって前記通路断面積の最大断面寸法を変化させるように構成されている、
請求項1~3、5~11、13~14および17~19のいずれか1項に記載の固定デバイス。
【請求項22】
前記取付パッドは抗菌剤を備えている、
請求項1~3、5~11、13~14、および17~19のいずれか1項に記載の固定デバイス。
【請求項23】
医療チューブ固定製品としての製品であって、前記製品は、
請求項1~3、5~11、13~14、および17~19のいずれか1項に記載の固定デバイスであって、前記取付パッドは、前記取付パッドを前記患者の前記皮膚に接着するように構成された接着面を備えている、前記固定デバイスと、
前記接着面に接着されるとともに前記接着面を被覆する剥離可能裏材であって、前記剥離可能裏材は、前記患者の前記皮膚への前記取付パッドの接着のために前記接着面から剥離されるとともに前記接着面を露出するように構成されている、前記剥離可能裏材と、
を備えている、製品。
【請求項24】
前記固定デバイスの前記取付パッドは、前記固定デバイスの使用中に滲出液を吸収するように構成された吸収部を備えており、
前記吸収部は、前記患者の前記皮膚に向かって配置されるように構成された近位面を備えており、
前記剥離可能裏材は、前記吸収部の前記近位面を被覆しており、前記剥離可能裏材が前記接着面から剥離されると、前記吸収部の前記近位面の少なくとも一部を露出させるように構成されている、
請求項23に記載の製品。
【請求項25】
前記剥離可能裏材は、前記吸収部の前記近位面に接着されていない、
請求項24に記載の製品。
【請求項26】
前記製品はさらに、前記取付パッドの前記接着面に接着された前記剥離可能裏材を有している前記固定デバイスが配置済の気密封止された筐体を備えており、前記筐体内の前記固定デバイスおよび前記筐体内の内部環境は無菌である、
請求項23に記載の製品。
【請求項27】
固定デバイスを用いて医療チューブを患者に固定する方法であって、
前記固定デバイスは、可変長の固定スリーブと、固定のために前記医療チューブを受け入れるための前記固定スリーブを通るチューブ通路と、を有しており、前記固定スリーブは固定部を備えており、前記固定部において、前記チューブ通路の長手方向経路を横切る前記チューブ通路の通路断面積は、前記固定スリーブが短くなるにつれて拡大する一方で、前記固定スリーブが長くなるにつれて縮小しており、前記固定スリーブの長さは、前記通路断面積を拡大することで記チューブ通路を通る並進のために前記医療チューブを受け入れる一方で、前記通路断面積を縮小することで前記固定部において前記チューブ通路内の前記医療チューブを把持することによって前記医療チューブを前記固定デバイスに固定するように調整可能にされており、
前記方法は、前記医療チューブが前記チューブ通路を通って前記患者の体内に延在している状態で、前記固定スリーブの前記固定部で前記チューブ通路内の前記医療チューブを把持する工程を備えている、
方法。
【請求項28】
前記方法はさらに、前記医療チューブが前記チューブ通路内の前記固定部によって把持された状態で、前記固定スリーブを曲がり構成に曲げることで、前記固定スリーブ内の前記チューブ通路内の前記医療チューブに対応する曲がりを付与する工程を備えている、
請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記曲がり構成において、前記固定スリーブと、前記固定スリーブ内の前記チューブ通路内の前記医療チューブと、は前記固定スリーブの長手方向端部同士間で少なくとも60°の角度だけ曲げられる、
請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記方法はさらに、前記医療チューブが中を通って配置済の前記曲がり構成で、前記固定スリーブを固定する工程を備えている、
請求項28に記載の方法。
【請求項31】
前記固定デバイスは、前記固定スリーブとで選択的に係合可能および係合解除可能であって、前記固定スリーブを前記曲がり構成に選択的に保持するおよび保持しない、曲がりスリーブホルダを備えており、
前記固定スリーブを前記曲がり構成で固定する前記工程は、前記固定スリーブを前記曲がり構成に保持するべく、前記固定スリーブを前記曲がりスリーブホルダに係合させる工程を備えている、
請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記方法はさらに、前記固定スリーブに対する前記曲がりスリーブホルダの半径方向位置を調整する工程を備えている、
請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記固定デバイスは、ベース部材と、前記ベース部材に対して回転可能な回転部材と、を備えており、前記曲がりスリーブホルダは前記回転部材に支持されており、
前記半径方向位置を調整する工程は、前記ベース部材に対して前記回転部材を回転させる工程を備えている、
請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記方法はさらに、前記半径方向位置を調整後に、前記固定デバイスの半径方向位置決めロックを用いることで、前記曲がりスリーブホルダを選択済の前記半径方向位置の適所にロックする工程を備えている、
請求項32に記載の方法。
【請求項35】
前記医療チューブを前記固定部で把持する前記工程の前に、前記医療チューブが中を通って配置済の前記固定スリーブは、圧縮保持器によって圧縮済構成で保持されており、前記圧縮済構成では、前記固定スリーブの前記固定部は、前記圧縮保持器の結果として長手方向に加えられた圧縮下であり、
前記医療チューブを前記固定部で把持する前記工程は、前記圧縮保持器を操作することで、前記固定スリーブを前記圧縮済構成から解放するとともに、前記固定部内の前記チューブ通路の前記通路断面積を収縮させることで、前記医療チューブを前記固定部で把持する工程を備えている、
請求項27に記載の方法。
【請求項36】
前記方法はさらに、前記固定デバイスの取付パッドを介して、前記固定デバイスを前記患者の皮膚に取り付ける工程を備えている、
請求項27~35のいずれか1項に記載の方法。
【請求項37】
前記固定デバイスを前記患者の前記皮膚に取り付ける前では、前記取付パッドの接着面は剥離可能裏材によって覆われており、
前記固定デバイスを前記患者の前記皮膚に取り付ける前記工程は、
前記接着面を露出させるべく前記剥離可能裏材を除去する工程と、
前記接着面の接着剤で前記取付パッドを前記皮膚に接着する工程と、
を備えている、
請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記取付パッドは吸収部を備えており、前記固定デバイスを前記皮膚に取り付ける工程は、前記患者からの滲出液を吸収するべく前記吸収部を前記皮膚に隣接して保持する工程を備えており、
前記吸収部は、前記医療チューブが前記固定スリーブを通って前記患者の体内に挿入済のときに前記医療チューブを受け入れるための開口を有しており、前記吸収部は、前記開口を通過する前記医療チューブの周囲を取り囲んでいる、
請求項36に記載の方法。
【請求項39】
前記固定デバイスを前記皮膚に取り付ける前記工程の前に、前記取付パッドの接着面は剥離可能裏材によって覆われており、
前記固定デバイスを前記皮膚に取り付ける前記工程は、
前記接着面を露出させるべく前記剥離可能裏材を除去する工程と、
前記接着面の接着剤で前記取付パッドを前記皮膚に接着する工程と、
を備えており、
前記吸収部は、前記取付パッドが前記患者の前記皮膚に取り付けられたときに前記患者からの滲出液を吸収するべく、前記患者に向かって配置されているとともに前記患者に流体連通する流体連通面を備えており、
前記吸収部の前記流体連通面は、前記剥離可能裏材を除去する前では前記剥離可能裏材によって覆われており、
前記剥離可能裏材を除去する前記工程は、前記吸収部の前記流体連通面を露出させる、
請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記取付パッドは構造シートを備えており、
前記剥離可能裏材を除去する前に、前記吸収部は、前記構造シートと前記剥離可能裏材との間に配置される、
請求項39に記載の方法。
【請求項41】
固定デバイスを、または前記固定デバイスを備えている製品を、作製する方法であって、前記固定デバイスは、医療チューブが患者に挿入済のときに前記医療チューブを前記患者に固定するように構成されており、
前記方法は、固定スリーブを取付パッドのための構造シートに結合する工程を備えており、
前記固定スリーブは、チューブ通路が通って延在する固定部を備えており、前記チューブ通路の長手方向経路を横切る前記固定部内の前記チューブ通路の通路断面積は、前記固定スリーブが短くなるにつれて拡大する一方で、前記固定スリーブが長くなるにつれて縮小しており、前記固定スリーブの長さは、前記固定部内の前記チューブ通路を通る並進のために前記医療チューブを受け入れるべく前記通路断面積を拡大する一方で、前記医療チューブを前記固定デバイスに固定するべく前記固定部によって前記チューブ通路内の前記医療チューブを把持するべく前記通路断面積を縮小するように調整可能にされており、
前記取付パッドのための前記構造シートは、使用中に前記患者に面する近位面と、使用中に前記患者から離れる方に面する遠位面と、を有しているように構成されており、前記近位面は前記患者の皮膚に接着剤で接着されるように構成されており、
前記固定スリーブを前記構造シートに結合する前記工程は、
前記固定スリーブの近位端に隣接するフレア状端部材料を、第1固定部材の第1表面と第2固定部材の第2表面との間に固定する工程を備えており、
前記第1固定部材は、前記第1表面が前記構造シートの前記遠位面に存在するような前記構造シートと、前記構造シートの前記遠位面に直接的または間接的に結合された中間部材と、からなるグループから選択される、
方法。
【請求項42】
前記フレア状端部材料を固定する工程は、
前記フレア状端部材料を前記第1表面と前記第2表面との間に挟む工程と、
前記フレア状端部材料を前記第1表面および前記第2表面の両方に接着する工程と、
を備えている、
請求項41に記載の方法。
【請求項43】
前記方法はさらに、回転部材を前記固定デバイスのための予備製品形態に接続する工程を備えており、前記予備製品形態は前記構造シートを備えており、前記予備製品形態に接続されると前記回転部材は前記構造シートに対して回転可能にされている、
請求項41に記載の方法。
【請求項44】
前記方法はさらに、回転部材を前記固定デバイスのための予備製品形態に接続する工程を備えており、前記予備製品形態は前記構造シートを備えており、前記予備製品形態に接続されると前記回転部材は前記構造シートに対して回転可能にされている、
請求項41に記載の方法。
【請求項45】
前記回転部材を前記予備製品形態に接続する前記工程は、前記回転部材が前記予備製品形態上の接続位置に係合するまで、前記回転部材の開口を通して配置済の前記固定スリーブ上で前記回転部材を摺動させる工程を備えている、
請求項44に記載の方法。
【請求項46】
前記回転部材を前記予備製品形態に接続する前記工程は、前記回転部材を心棒の外部係合特徴に係合させる工程を備えており、
前記心棒に係合されると前記回転部材は、前記心棒を中心として回転可能にされている、
請求項44に記載の方法。
【請求項47】
前記方法はさらに、前記固定スリーブの遠位端部を遠位カラーアセンブリ内に保持する工程を備えている、
請求項43に記載の方法。
【請求項48】
前記方法はさらに、吸収パッドを前記構造シートの前記近位面に取り付ける工程を備えている、
請求項42~47のいずれか1項に記載の方法。
【請求項49】
前記方法はさらに、吸収パッドを前記構造シートの前記近位面に取り付ける工程を備えている、
請求項41に記載の方法。
【請求項50】
前記吸収パッドを前記構造シートの前記近位面に取り付ける前記工程は、
前記構造シートの前記近位面の上に接着剤を塗布する工程と、
前記接着剤を塗布した後、前記構造シートの前記近位面の上の前記接着剤の少なくとも一部を覆うように前記吸収パッドを配置する工程と、
前記接着剤を用いて前記吸収パッドを前記構造シートの前記近位面に取り付ける工程と、
を備えており、
前記方法はさらに、
前記接着剤の少なくとも一部を覆うように前記吸収パッドを配置した後に、前記吸収パッドを剥離可能裏材で覆う工程と、
前記吸収パッドが前記剥離可能裏材と前記構造シートとの間に配置済の状態で、前記剥離可能裏材を前記取付パッドに接着する工程と、
を備えている、
請求項49に記載の方法。
【請求項51】
前記方法はさらに、
前記固定スリーブを圧縮済構成に短縮するべく、長手方向に適用される圧縮を前記固定スリーブの少なくとも一部に適用する工程と、
圧縮保持器を用いて前記固定スリーブを前記圧縮済構成に保持する工程と、
を備えている、
請求項41~47および49~50のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は患者への、医療排液チューブなどの医療チューブの固定に関する。
【背景技術】
【0002】
(関連出願への言及)
本出願は、2022年1月14日に出願された「医療チューブ固定デバイスならびに関連製品および方法」(メディカルチューブセキュアメントデバイスアンドリレーテッドプロダクトアンドメソッド)と題する米国仮特許出願第63/299,713号の利益を主張するものであり、その内容はあらゆる目的のために参照によって本明細書に組み込まれる。
【0003】
医療チューブは、患者の体内に挿入されるチューブであり、多くの場合、外科的に形成された開口部(オープニング)から挿入される。医療チューブは、医療処置中に患者の解剖学的領域への一時的なアクセスを提供するべく、一定期間、所定位置に保持される。様々な解剖学的領域にアクセスするべく、また様々な目的のために、様々な医療チューブと挿入手順とが使用されている。医療チューブの中には、患者に輸液や医療機器を導入するべく挿入されるものもある。例えば、静脈栄養チューブやカテーテルチューブなどである。他の医療チューブは、患者からの流体の引き抜きを可能にするべく挿入される。これらの例には、創傷の近傍、多くは手術創、から滲出液などの流体を排出するべく使用されるような医療排液(ドレナージ、ドレーン)チューブが含まれる。さらに他の医療チューブとしては、人工的な空気の通り道を確保するべく気管切開の際に気管に挿入される気管チューブなどがある。
【0004】
医療チューブを患者に挿入した後、医療チューブを患者に固定するとともに、医療手技中には所定位置に保持しなければならない。様々な医療処置に様々なチューブ固定技術が使用されてきた。チューブを効果的に固定するための課題は、チューブが移動したり、不注意に患者の中に押し込まれたり、患者や医療従事者によって引き抜かれたり、することがないように所望期間、所望位置および向きに医療チューブを保持することである。もう1つの課題は、医療処置のために様々な時に望まれたり必要とされたりするチューブの周囲の患者の領域へのアクセスを、チューブが有害に妨げたり邪魔したりしないように、医療チューブを固定することである。
【0005】
医療処置によっては、医療チューブは、挿入位置で患者の皮膚に対して比較的小さな鋭角で挿入されることが多い。これは、静脈栄養チューブや静脈カテーテルチューブなどの血管アクセスチューブによく見られる。
【0006】
他の医療処置の場合、医療チューブは皮膚に対してより大きな角度で挿入されるので、挿入位置で患者の皮膚に近づくか略垂直になることが多い。例えば、医療排液チューブや気管チューブがそうである。
【0007】
多くの状況において、医療チューブの位置および配置は、処置中、相対的に一定であり、固定技術は、適用の一定性を中心に発展する傾向がある。例えば、バスキュラーアクセス(血管アクセス)手技のための一般的な固定技術は、チューブが患者の皮膚にテープで固定されるとともに、チューブの挿入位置から患者の皮膚にほぼ平行にチューブが延びているようにすることである。別の例として、気管チューブの位置決めは比較的一定しているので、一定の位置決めに応じて特殊な固定技術が開発されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許出願公開第2015/0141927号明細書
【特許文献2】国際公開第2002/066108号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特に医療排液チューブ(メディカルドレナージ管)は、創傷の種類や排液(ドレナージ)される創傷の位置によって、患者の医療チューブの位置や配置が異なるので、効果的な固定が難しい。さらに複雑な要因として、このような医療排液チューブは、例えば数週間、など長期間にわたって留置されることがあるので、患者が自宅で療養中であるときに、医療従事者が排液チューブに発生する虞を有している問題に容易く対処できる医療施設に時折立ち会うだけのかなりの時間が含まれることがある。医療排液チューブを固定する方法としては、チューブを縫合固定する方法が一般的である。チューブを患者の皮膚にテープで固定する方法もある。しかし、排液チューブの固定を改善するとともに、排液チューブを一層しっかりと所定位置に保持するべく、様々な医療排液チューブ固定デバイスが設計されている。その多くは、排液チューブの挿入位置に隣接して患者の皮膚に取り付けられているとともに、排液チューブが患者から出る位置の近傍の所望位置にチューブを係合保持する保持機構を有している。このような排液チューブ固定デバイスは、排液チューブを患者の皮膚に単にテーピングするのに比べて、排液チューブの固定および排液チューブ周辺の保護を強化する。しかし、異なる排液チューブ用途を備えている様々な医療チューブ用途にわたって性能を強化するべく、汎用性を高めた固定デバイスへのニーズが存在する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本開示の第1態様は、患者に挿入済の医療チューブ(医療用チューブ、医療管、メディカルチューブ)を固定(固着、セキュア)するための医療チューブ固定デバイス(固定デバイス、固定デバイス、固定器、セキュアメントデバイス)に向けられている。この固定デバイスは、様々な医療チューブ固定用途にわたって、特に、多種多様な医療排液チューブ用途にわたって、使用するための汎用性がある。この固定デバイスは、医療チューブが比較的大きな角度、例えば、患者の隣接する皮膚表面に近づく角度またはほぼ垂直な角度で、患者から出る医療チューブ固定用途に特に適しており、これは、前述のように、排液チューブ用途の場合によくあることである。1つの概念化において、このような医療チューブ固定デバイスは、このような多種多様な医療チューブ固定用途にわたる有益な使用に、特に医療排液チューブの固定に、適応可能な設計特徴の多用途な組合せからなる。固定デバイスは以下を備えている。
【0011】
固定デバイスを皮膚に取り付けるべく患者の皮膚に接触するように構成された取付パッド(取り付けバッド、アタッチメントパッド、装着パッド)であって、好ましくは、前記取付パッドは、前記取付パッドを皮膚の表面に接着するための接着面を有している、前記取付パッドと、
近位端(プロキシマルエンド)と、前記近位端とは反対側の長手方向端部に存在する遠位端と、を有している長さ可変(可変長)の固定スリーブ(固定用スリーブ、セキュアメントスリーブ)であって、前記固定スリーブは前記固定スリーブの前記近位端に隣接する連結構造を介して前記取付パッドに連結されている、前記固定スリーブと、
患者に固定するべく医療チューブを通すように構成されたチューブ通路(パッセジ)であって、前記チューブ通路は前記固定スリーブを通って長手方向に延びている、前記チューブ通路と、および
前記チューブ通路が延びている固定部(固定部分、固着部、セキュアメントポーション)を備えている固定スリーブであって、前記チューブ通路の長手方向経路に対して直交する前記固定部における前記チューブ通路の通路断面積は、前記固定スリーブが短くなるにつれて拡大する一方で、前記固定スリーブが長くなるにつれて縮小しており、前記固定スリーブの長さは、前記固定部における前記チューブ通路を通して並進(トランスレーション)するための前記医療チューブを受容する(受け入れる、収容する、レシーブする)べく通路断面積を拡大する一方で、前記医療チューブを前記固定デバイスに固定するべく前記固定部によって前記チューブ通路内で前記医療チューブを把持するべく前記通路断面積を縮小するように、調節可能にされている、前記固定スリーブと、
を備えている。
【0012】
第1態様の固定デバイスでは、固定スリーブの固定部は、固定スリーブの長さの変化に伴う固定部のチューブ通路(管路)における通路断面積の所望の可変性を提供するべく、任意の適切な材料または構造および構造設計の材料で作ることができる。固定スリーブの好ましい実施態様では、固定部は織物製である。このような織物の繊維を交絡させるための構造材料としては、例えば高分子材料および/または金属材料を挙げることができ、高分子材料が好ましい。固定部に使用することができる織物構造の例としては、編組構造、織物構造、結び目構造、かぎ針編み構造、タット構造、フェルト構造または結合(例えば、不織布)構造が挙げられ、編組構造および織物構造が一般にさらに好ましい。固定スリーブを構成する前記材料はいずれも、医療チューブへの固定スリーブの取り付けを促進する(増強する)粘着性物質、ナノ球、ナノ粒子、または他の修飾物を含有および/または放出するように修飾することができる。材料はまた、抗菌剤(例えば、吸収パッドや接着剤に関連して本明細書の他の箇所に記載されているもの)や抗生物質や防腐剤のような生理活性物質を含有および/または放出するように修飾することもできる。
【0013】
理解されるように、医療チューブは、医療チューブの全長に沿って均一なデザインを有していてもよいし、医療チューブの異なる長手方向部分に沿って異なるデザインを有していてもよい。医療チューブは、単一ピース構造で構成されていてもよいし、長手方向に連結された複数のピースで構成されていてもよい。単一ピース構造の医療チューブは、形状、サイズ、機能、および/または材料、が異なる1つまたは複数の長手方向セグメントで構成されてもよい。医療チューブは、患者の内部(例えば、医療チューブの近位端)に配置済の医療器具を備えているか、またはこれに流体的に接続されることがあり、および/または患者の外部(例えば、医療チューブの遠位端)に配置済の医療器具に取り付けられることがある。例えば、排液(ドレナージ、ドレーン)チューブの場合、医療排液チューブは、患者の内部に配置されており、医療排液チューブを通して排出されるように患者からの流体を受容するように構成された近位に配置済のドレーン構造を備えているか、またはドレーン構造に流体的に接続され得る。医療ドレーン装置の種類によっては、使用中に患者の体内に配置済の近位に位置するドレーン構造に接続する排液チューブの近位端に隣接するハブ(すなわち、同じチューブの長手方向セグメント同士間のサイズ、直径、および/または形状、の移行部が存在する領域)を備えていることがある。排液チューブとドレーン構造(構造体)とが、ハブを介して連結された別個の部分を備えて構成されることも可能にされている。他のタイプの医療ドレーン装置にはこのようなハブがなく、「ハブレス」ドレーンと呼ばれることもある。このようなハブレスドレーン器具は、例えば、近位に位置するドレーン構造と、収集された流体を近位に位置するドレーン構造から伝達するための排液チューブ部分と、の両方を備えている単一ピースで構成することができる。理解されるように、固定スリーブを、さらに詳細には固定スリーブの固定部を通して配置される(例えば、固定部によって把持される)かまたは固定部の中に受容される医療チューブの特徴について言及する場合、当該言及は、場合によって、固定スリーブの、または固定部を介して配置される医療チューブの部分の、特徴についてのみである。医療チューブの他の部分(固定スリーブの近位または遠位に配置される部分、場合によっては固定部)は、異なる断面形状を備えている異なる特徴を有していることがある。
【0014】
この第1態様の好ましい実施態様において、任意の特定の固定デバイスは、特定の外断面サイズ(例えば、円形チューブの外径)または狭い範囲の外断面サイズを有している医療チューブを固定するように設計され得る。異なるサイズの医療チューブを受け入れて保持するように各々設計された異なる固定デバイスを提供することによって、広範囲の医療チューブのサイズおよび構成がカバーされ得る。例えば、異なる固定デバイスの設計を提供することができ、異なる固定デバイスの設計の固定スリーブは、医療チューブの直径の範囲の異なるものを受け入れて固定するように構成されている。このようにして、固定デバイスは、有利には、広範囲の異なるサイズの医療チューブを固定するべく使用するべく提供され得る。また、本明細書では、主に円形の外断面を有している医療チューブを固定するべく説明したが、理解されるように、固定スリーブの固定部は、他の外断面構成、例えば楕円形または他の長円形の外断面形状を有しているチューブを固定するように構成することができる。
【0015】
この側面の固定デバイスでは、多数の強化特徴を個別に、または任意の組合せで、使用することができる。
1つの強化点では、固定デバイスは、曲がり構成(曲げられた構成、曲げ構成、曲がった構成、屈曲構成、ベントコンフィグレーション)で固定スリーブを選択的に保持するか保持しないように、固定スリーブとで選択的に係合させるか係合させないことができる曲がりスリーブホルダを備えていることができる。好ましくは、固定スリーブが曲がり構成で保持されるとき、固定スリーブの保持された曲がり部(ベンド、曲げ部)は、固定スリーブの固定部の少なくとも長手方向部分を備えている。固定スリーブを曲がり構成に保持する能力、または保持しない能力、は固定スリーブが曲がり構成ではないときに医療チューブを位置決めしたり固定デバイスに固定したりするべく便利に操作することを可能にする一方で、固定後に固定スリーブを曲がり構成に再構成したり保持したりすることができるという大きな利点を提供する。曲がり構成では、固定スリーブおよび医療チューブは、邪魔にならないように、さらに有利に位置決めされている。患者や医療従事者との不注意な衝突や他の意図しない相互作用の影響を受けにくくなるとともに、曲げられた結果として固定デバイスへの医療チューブの固定が有利に強化される。後者の点では、固定された医療チューブを有している固定スリーブが曲がり構成であるとき、曲がり部は、医療チューブを固定スリーブの遠位端に向かって不注意に押したり、医療チューブを固定スリーブの遠位端から引き離したり、する結果として固定スリーブ内で医療チューブが滑る虞に対して有意な付加的抵抗を提供する。よって、固定デバイスに対する遠位方向または近位方向への医療チューブの移動を抑制する。さらに、固定スリーブの内方で医療チューブを曲げる(屈曲させる)ことによって、医療チューブの曲がりを一層よく制御できるという利点が得られるとともに、曲げたときに医療チューブが圧着することで流体の流れを妨げてしまう虞が有利に減少する。このような滑りは、排液チューブが所望よりも深く患者に押し込まれるという有害な結果をもたらす虞がある。この強化の好ましい実施態様では、曲がりチューブホルダは、回転可能に取り付けられているので、取付パッドに対して異なる半径方向位置(半径位置、ラジアルポジション)に回転可能にされている。よって、固定された医療チューブが固定スリーブから離れて延びる方向の再位置決めを可能にしているので、有利には、固定デバイスが患者に取り付けられた後でさえ、医療チューブのそのような方向の再位置決めを可能にする。このような好ましい実施態様によって、医療チューブが延びている方向は、有利には、患者の経験に基づき、および/または医療処置の異なる段階同士間の異なる必要性のために好都合であるように、再位置決めされ得る。
【0016】
別の強化態様では、固定デバイスは圧縮保持器(圧縮保持具、コンプレッションリテーナ)を備えていることができる。この圧縮保持器は、固定部のチューブ通路の通路断面積が、チューブ通路を通して医療チューブを受け取って並進させるのに便利な拡張構成である状態で、固定スリーブを長手方向に加えられた圧縮下である圧縮済構成(圧縮された構成)に保持するように配置することができる。圧縮保持器は、好ましくは、固定デバイスの他の部分から完全に係合解除することによって、長手方向に加えられた圧縮から固定部を解放しており、その結果、医療チューブを把持することで医療チューブを固定デバイスに固定するべく、固定部のチューブ通路の通路断面積を収縮させるべく固定スリーブを長くすることを可能にするように操作することができる。固定スリーブがまた、回転可能に取り付けられる曲がりチューブホルダの好ましい実施態様を備えており、回転可能に取り付けられる曲がりチューブホルダの強化において、曲がりチューブホルダは、好ましくは、曲がりチューブホルダが取り付けられる回転部材を通って延びている延在部材(延長部分、エクステンションポーション)に対して回転可能にされている。延在部材は、圧縮保持器が圧縮済構成で固定スリーブを保持するように配置されるとき、圧縮保持器に係合するように有利に構成されている。
【0017】
別の強化において、固定デバイスは近位スリーブ結合構造を備えていることができ、この近位スリーブ結合構造を介して固定スリーブが取付パッドに結合されている。この近位スリーブ結合構造において、固定スリーブのフレア状近位端材が第1固定部材と第2固定部材との間に挟まれ、好ましくは、第1固定部材と第2固定部材との間の接着剤によって挟まれた構成に保持される。この強化は、有利には、固定スリーブを取付パッドに結合するための単純な構造を提供しているので、組み立てるための構成部品が少なく効率的な製造を可能にする。
【0018】
別の強化では、固定デバイスは、固定スリーブの遠位端部を保持する遠位カラーアセンブリを備えていることができる。遠位カラーアセンブリは、固定スリーブを短くしたり長くしたりするべく固定スリーブに圧縮を適用したり適用しなかったりするように固定スリーブを操作する。さらに、対応して固定スリーブの固定部のチューブ通路の通路断面積を拡大したり縮小したりするべく使用するための便利な特徴(フィーチャ、特徴部)を提供する。固定デバイスが圧縮保持器の強化も備えている場合のこの強化の好ましい実施態様では、遠位カラーは、圧縮保持器が圧縮済構成(圧縮された構成)で固定スリーブを保持するように配置されているときに圧縮保持器に係合するように有利に構成され得る。
【0019】
別の強化態様では、取付パッドは、固定デバイスの使用中に滲出液を吸収するように構成された吸収部(吸収性部分、吸収部分、アブソーベントポーション)を備えており、例えば、血液、漿液、または医療チューブの挿入位置近傍の創傷から滲出する虞を有している他の種類の液体、を吸収する。吸収部は、挿入済の医療チューブの周囲の創傷部を清潔に保つのに有利であり、そのような滲出液が、例えば接着剤の劣化によって、患者の皮膚への取付パッドの取付の完全性を低下させるのを防止するのに役立つ。この強化の好ましい実施態様では、吸収部は、チューブ通路が延びている開口(アパーチャ)を有しており、有利には、吸収部が医療チューブの周縁部の周囲に完全に延びていることで、挿入済の医療チューブの周縁部の創傷からしみ出す虞を有している滲出液の効果的な吸収に寄与する。
【0020】
本開示の第2態様は、第1態様の固定デバイスを備えている様々な医療用ドレーン固定製品に向けられている。いくつかの好ましい実施態様において、製品は、取付パッドの接着面に接着された剥離可能裏材(剥離可能裏打、ピーラブルバッキング)を備えており、この剥離可能裏材は、固定デバイスの使用中に患者の皮膚に取付パッドを接着するべく、接着面から剥離することで接着面を露出(暴露)させるように構成されている。固定デバイスが吸収部を備えている場合、剥離可能裏材は、好ましくは、吸収部の近位面を覆い、この近位面は、取付パッドが患者に取り付けられるとき、患者に向かって配置されている。剥離可能裏材は、有利には、近位面の流体連通面を覆って保護することができ、この流体連通面は、剥離可能裏材が除去されたときに露出することができる。このような剥離可能裏材は、例えば、単一の裏打片または複数の裏打片に設けることができる。
【0021】
本開示の第3態様は、第1態様の固定デバイスと、医療チューブの固定手順に関連して有用な少なくとも1つの追加構成要素と、を備えているキットに向けられている。固定デバイスは、例えば、第2態様の製品に含まれるか、またはそのような製品に含まれない。第3態様のいくつかの好ましい実施態様において、キットは、固定デバイスとでともに使用されるように構成された、例えば、固定デバイスが受け入れて固定するように設計された外方(アウター)の断面サイズおよびプロファイルを有している、排液チューブまたは他の医療チューブであってもよい医療チューブを備えている。これによって、医療従事者が、固定デバイスが使用されるように設計された設計パラメータの範囲外で医療チューブを固定しようとする虞は有利に低減される。
【0022】
本開示の第4態様は、固定デバイスを用いて医療チューブを患者に固定する方法に向けられている。固定デバイスは、可変長の固定スリーブと、固定用の医療チューブを受容する(受け入れる、収容する、レシーブする)べく固定スリーブを貫通するチューブ通路と、を有している。ここで、固定スリーブは固定部を備えており、固定部において、チューブ通路の長手方向経路に対して直交するチューブ通路の断面積である通路断面積は、固定スリーブが短くなるにつれて拡大する一方で、固定スリーブが長くなるにつれて縮小しており、固定スリーブの長さは、チューブ通路を通る並進のための医療チューブを受け入れるべく通路断面積を拡大する一方で、医療チューブを固定デバイスに固定するべく固定部においてチューブ通路内で医療チューブを把持するべく通路断面積を縮小するように調節可能にされている。方法は以下を備えている。
【0023】
医療チューブがチューブ通路を通って患者の体内に延びている状態で、チューブ通路内の医療チューブを、固定スリーブの固定部で把持(グリップウィズセキュアメントポーション)する。いくつかの好ましい実施態様において、固定デバイスは第1態様によるものであり、任意に第2態様の固定製品および第3態様のキットの中に提供される。第1態様の固定デバイスは、有利なことに、医療処置中の様々な操作の実行に対して、大きな柔軟性を提供することができる。
【0024】
本開示の第5態様は、第1態様の固定デバイスの製造方法に向けられている。固定デバイスの適用可能な設計の組合せは、比較的少数の組立済の構成部品で固定デバイスを使用するための重要な操作能力を提供することができる。有利には、第1態様の固定デバイスを製造するための比較的単純な製造操作を可能にする。本方法はまた、剥離可能裏材を固定デバイスに適用することで第2態様の固定デバイス製品を用意する工程を備えていることができる。
【0025】
本開示の態様の主題の範囲内で、多数の特徴の改良および追加の特徴を個々にまたは任意の組合せで使用することができる。このように、番号付けされた実施例の組合せおよび添付の特許請求の範囲に記載されており、および/または図面に図示された、以下の説明に記載された特徴の各々は、本開示の側面のいずれかの他の特徴または特徴の組合せとでともに使用されてもよいが、使用される必要はない。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】医療チューブ固定デバイスの例示的な実施形態の透視図。
【
図2】患者の皮膚に取り付けられており、医療チューブが医療チューブ固定デバイスに固定された状態の、
図1の医療チューブ固定デバイスの透視図。
【
図3】
図1の医療チューブ固定デバイスの固定スリーブの、固定部(セキュアメントポーション)の一部を示す部分側面図。固定部は弛緩状態(リラックスステート)である。
【
図5】
図3に示す固定部の部分側面図。固定部は圧縮済状態であり、医療チューブが固定部を通って受け取られ、
図1の医療チューブ固定デバイスに固定される前の状態である。
【
図6】医療チューブを受け取った状態の
図5の固定部の断面図。
【
図7】
図3に示す固定部の一部の部分側面図。固定部を介して受容(受け入れ)された医療チューブを把持するべく、固定部が
図5の圧縮状態から弛緩した状態である。
【
図8】
図7に示す固定部の医療チューブを把持する部分の断面図。
【
図9】医療チューブが固定スリーブ内に固定されており、固定スリーブが曲がり構成(折り曲げられた形状)に構成された状態で患者の皮膚に装着された状態を示す、
図1の医療チューブ固定デバイスの透視図。
【
図10】医療チューブが固定スリーブ内に固定されており、固定スリーブが曲がり構成に保持された状態で患者の皮膚に装着された状態を示す、
図1の医療チューブ固定デバイスの透視図。
【
図11】固定スリーブ内に医療チューブが固定された状態で患者の皮膚に装着されており、回転ロック構造の特徴を示す
図1の医療チューブ固定デバイスの透視図。
【
図12】回転部材と、回転部材に支持された曲がりチューブホルダと、を備えている
図1の医療チューブ固定デバイスの一部の透視図。
【
図13】曲がりスリーブホルダの半径方向の位置決め例を示す、
図1の医療チューブ固定デバイスの透視図。
【
図14】
図1の医療チューブ固定デバイスの透視図であり、曲がりスリーブホルダの半径方向の位置決めの別の例を示す。
【
図15】
図1の医療チューブ固定デバイスの透視図であり、曲がりスリーブホルダのさらに別の半径方向位置決め例を示す。
【
図16】取付パッドの吸収部を示す
図1の医療チューブ固定デバイスの透視図。
【
図17】取付パッドの吸収部の代替構成を示す透視図。
【
図18】圧縮保持器を備えている
図1の医療チューブ固定デバイスの、変形例の透視図。医療チューブが、固定スリーブを通して受容された状態で、患者の皮膚に装着された状態を示す。
【
図19】
図18の医療チューブ固定デバイスの変形例の透視図。
【
図20】
図18の医療チューブ固定デバイスの変形例の透視図。固定スリーブ内の医療チューブを把持するべく圧縮保持器を取り外した後が示されており、医療チューブ固定デバイスが患者の皮膚に取り付けられており、医療チューブが固定スリーブを通って受容された状態で示される。
【
図21】例示的な医療チューブ固定デバイスを製造するためのいくつかの構成部品の相対的位置関係を示す図。
【
図22】医療チューブ固定デバイスの製造中に固定スリーブの近位端部をフレアリング(フレア加工)する例を示す図。
【
図23】例示的な医療チューブ固定デバイスの製造中に、固定スリーブを取付パッド用構造シートに結合する例を示す図。
【
図24】実施例の製造中に固定スリーブを取付パッド用構造シートに結合する例をさらに示す図。
【
図25】医療チューブ固定デバイスの製造時における第1予備製品形態の一例を示す断面図。
【
図27】医療チューブ固定デバイスの製造中における、
図25および
図26の第1予備製品形態上の回転可能な取り付け部を有している曲がりチューブホルダの追加を示す図。
【
図28】例示的な医療チューブ固定デバイスの製造中に、
図25および
図26の第1予備製品形態上に曲がりチューブホルダを追加すること、をさらに示す図。
【
図29】例示的な医療チューブ固定デバイスの製造中の第2予備製品形態の一例の透視図。
【
図30】例示的な医療チューブ固定デバイスの製造中における、
図29の第2予備製品形態による付加的な構成要素の組立を示す図。
【
図31】例示的な医療チューブ固定デバイスの製造中における、
図29の第2予備製品形態による追加構成部品の組立をさらに示す図。
【
図32】例示的な医療チューブ固定デバイスの製造中における、
図29の第2予備製品形態との付加的な構成要素の組立をさらに示す図。
【
図33】例示的な医療チューブ固定デバイスの製造中の第3予備製品形態の透視図。
【
図34】例示的な医療チューブ固定デバイスを備えている例示的な医療チューブ固定デバイス製品を用意するべく、
図33の第3予備製品形態と追加構成要素を組み立てる様子を示す図。
【
図35】医療チューブ固定デバイスと1つまたは複数の追加構成要素と、を備えている例示的なキットの説明図。
【
図36】医療チューブ固定デバイスの例示的な実施形態の透視図。
【
図37】
図36の医療チューブ固定デバイスの透視図であり、曲がりチューブホルダによって曲がり構成に保持された固定スリーブを示す。
【
図38】
図36の医療チューブ固定デバイスの別の透視図であり、曲がりチューブホルダによって曲がり構成に保持された固定スリーブを示す。
【
図39】医療チューブ固定デバイスの別の例示的な実施形態の透視図。
【
図40】
図39の医療チューブ固定デバイスの回転部材および曲がりスリーブホルダの透視図。
【
図41】医療チューブを曲がり構成で固定しており、回転部材が例示的な半径方向位置に設定された状態を示す
図39の医療チューブ固定デバイスの透視図。
【
図42】医療チューブを曲がり構成で固定しており、回転部材が
図40に示されたものとは異なる例示的な半径方向位置に設定された状態で示された
図39の医療チューブ固定デバイスの透視図。
【
図43】
図39の医療チューブ固定デバイスの製造中の医療チューブ固定デバイスの遠位カラーの組立段階を示す図。
【
図44】
図39の医療チューブ固定デバイスの製造中の医療チューブ固定デバイスの遠位カラーの組立の別の段階を示す図。
【
図45】
図39の医療チューブ固定デバイスの製造中の医療チューブ固定デバイスの遠位カラーの組立の別の段階を示す図。
【
図46】
図39の医療チューブ固定デバイスの製造中の医療チューブ固定デバイスの遠位カラーの組立の別の段階を示す図。
【
図47】
図39の医療チューブ固定デバイスの製造中の医療チューブ固定デバイスの遠位カラーの組立の別の段階を示す図。
【
図48】
図39の医療チューブ固定デバイスの製造中の医療チューブ固定デバイスの遠位カラーの組立の別の段階を示す図。
【
図49】固定スリーブの遠位端を保持する組立済の遠位カラーの特徴部を示す、
図1の組立済の医療チューブ固定デバイスの部分断面図。
【
図50】圧縮保持器を備えている
図39の医療チューブ固定デバイスの変形例の透視図。圧縮状態で固定スリーブを通して受容された医療チューブを示す。
【
図51】
図50の医療チューブ固定デバイスの変形例の透視図。医療チューブを固定スリーブ内で把持するべく圧縮保持器を取り外した後の状態を示しており、圧縮状態から解放された後に医療チューブが固定スリーブを通って受容されており、固定スリーブによって把持された状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図1は、患者に挿入済の医療チューブを固定するための固定デバイス100の例示的な実施形態を示す。
図1に示されるように、固定デバイス100は、固定デバイス100を皮膚に取り付けるべく患者の皮膚の表面とでインタフェースするように構成された取付パッド102を備えている。取付パッド102は、好ましくは、患者の皮膚の地形(トポグラフィ)に適合(コンフォーム)するように十分に柔軟な材料で作られている。取付パッド102は、使用中に患者の皮膚から遠ざかる方向を向く遠位面(ディスタルサイド)104と、遠位面104とは反対側の近位面(プロキシマルサイド、図示せず)と、を備えている。取付パッド102の近位面は、患者に装着するべく皮膚に面していることで、皮膚に接触するように構成されている。本明細書で使用される場合、「近位」(プロキシマル)とは、固定デバイス100の使用中に患者の皮膚に向かう相対的な位置決めを意味している。「遠位」(ディスタル)とは、固定デバイス100の使用中に患者の皮膚から離れる位置決めを意味する。好ましい実施態様では、取付パッド102は、取付パッド102の近位面に露出した粘着面を有している粘着層を備えており、この粘着層を介して取付パッド102が使用中に患者の皮膚に接着され得る。好ましいものではないが、取付パッド102は患者の皮膚に取り付けられ得るか、または皮膚への取り付けは、例えば、取付パッド102の遠位面104を横切って延びているテープで取付パッド102を皮膚にテーピングしており、テープが取付パッド102の周辺部を越えて皮膚に接着されることによって、または縫合糸の使用によって、他の固定手段によって補助され得る。
【0028】
固定デバイス100は、固定スリーブ106の近位端に隣接して取付パッド102に結合される固定スリーブ106を備えている。
図1に示された固定デバイス100の例示的な実施形態では、固定スリーブ106が取付パッド102に結合される結合(カップリング)構造は、固定スリーブ106のフレア状近位端部を備えている。フレア状近位端部は、取付パッド102の遠位面104の第1表面(ファーストサーフェス)と、ベース部材108の近位面の対向している第2表面と、の間に配置されているとともに、これら第1表面と第2表面とに接着済である。この実施例では、結合構造は、取付パッド102とベース部材108との対向面同士を接着しているとともに対向面同士間に配置済の接着剤と、取付パッド102とベース部材108との対向面同士間に挟まれた固定スリーブ106の中間フレア近位端部と、を備えている。固定スリーブ106の遠位端は、遠位カラー110に結合されているとともに遠位カラー110によって保持(リテイン)されている。
【0029】
また、固定デバイス100は回転部材(回転可能部材)112を備えている。回転部材112は、回転部材112の開口(アパーチャ)を通って突出するベース部材108の延在部分114に係合しているとともに、ベース部材108の延在部分114の外周の周囲に延びている円形溝トラック内に回転可能に保持されている。
【0030】
固定デバイス100は、遠位カラー110、固定スリーブ106、ベース部材108、および取付パッド102、を通って長手方向に延びているチューブ通路116を備えている。チューブ通路116は、取付パッド102の近位面に開口(オープン)した近位端と、遠位カラー110の遠位端に開口した遠位端と、を有している。
図1に示されるように、チューブ通路116は、チューブ通路116の近位端と、チューブ通路116の遠位端と、の間でチューブ通路の長手方向に延びている長手方向軸線118を有している。
【0031】
固定スリーブ106は、使用中に医療チューブ120を固定デバイス100に固定するべく、チューブ通路116を通って延びている医療チューブ120が固定スリーブ106によって把持され得る固定部122を備えている。使用中、固定デバイス100は患者の皮膚に取り付けられており、医療チューブ120はチューブ通路116を通って患者の体内に配置され得、患者内の所望位置決めがなされた医療チューブ120は、固定スリーブ106の固定部122によって固定デバイス100に固定されている。よって、医療チューブ120を、固定デバイス100に対して、および固定デバイス100が取り付けられている患者に対して、一定の位置に保持し得る。
【0032】
図2は、医療チューブ120がチューブ通路116を通って延び、医療チューブ120の近位端126が患者の体内の所望位置に配置済の状態で、患者の皮膚124に装着された固定デバイス100の使用例を示している。医療チューブ120は、固定スリーブ106が固定部122内のチューブ通路116内で医療チューブ120を把持することによって、固定デバイス100に固定されて所定位置に保持される。
【0033】
図1および
図2を引き続き参照すると、ベース部材108および取付パッド102に対して固定位置に存在する固定スリーブ106の近位端とは異なり、固定スリーブ106の遠位端は、ベース部材108および取付パッド102に対して固定位置にない。固定スリーブ106は可撓性構造であるので、ベース部材108と取付パッド102とに対する固定スリーブ106の遠位端の位置は、例えば、ベース部材108と遠位カラー110との間で固定スリーブ106を中間的に曲げることによって変化させることができる。理解されるように、固定スリーブ106が曲げられると、固定スリーブ106を通るチューブ通路116およびチューブ通路116の長手方向軸線118も、固定スリーブ106の曲げられた部分内で曲げられる。また、
図2に示されるように、固定スリーブ106が曲げられると、医療チューブ120がチューブ通路116を通って配置されるとき、医療チューブ120は固定スリーブ106の曲げられた部分内で曲げられる。
【0034】
図1および
図2に図示された固定デバイス100の固定スリーブ106は可変長特性を有しているので、固定スリーブ106の近位端と遠位端との間の固定スリーブ106の長手方向の長さは、固定スリーブ106が長手方向に加えられた力を受けるかどうかおよびどの程度受けるかに応じて変化する。例えば、固定スリーブ106は、遠位カラー110をベース部材108および取付パッド102の方へ押すことによって長手方向に加えられる圧縮力を受けることで固定スリーブ106の長さを短くすることができる。また、固定スリーブ106は、遠位カラー110をベース部材108および取付パッド102から引き離すことによって長手方向に加えられる引張力を受けることで固定スリーブ106の長さを長くすることができる。このような長手方向に加えられる力の大きさは、長手方向に加えられる圧縮力の場合、固定スリーブ106の長さが減少する大きさに影響する一方で、長手方向に加えられる引張力の場合、固定スリーブ106の長さが増加する大きさに影響する。
【0035】
固定部122は、固定スリーブ106の長手方向部分であり、固定スリーブ106が受ける長手方向に加えられる力の変化と、加えられる力の変化に対応して固定部122が受ける力の変化と、に伴って長くなったり短くなったりする。長手方向軸線118に沿ったチューブ通路の長手方向経路に対して直交するチューブ通路116の断面積(通路断面積)は、固定スリーブ106が短くなるにつれて拡大する一方で、固定スリーブ106が長くなるにつれて縮小する。理解されるように、長手方向に加えられた圧縮によって固定スリーブ106が短縮されると、固定スリーブ106の短縮に対応して固定部122の長さが短縮されるので、チューブ通路116の通路断面積が拡大する。よって、チューブ通路116の拡大された通路断面積を通って適合(フィット)するのに十分小さい外形断面を有している医療チューブ120は、固定部122内のチューブ通路116を通って挿入され得る。医療チューブ120の外断面が、固定スリーブ106が弛緩状態(長手方向に加えられた圧縮または張力が無い状態)であるときのチューブ通路116の対応する最大断面寸法よりも大きい最大断面寸法(例えば、円形チューブ断面の外径)を有している場合、チューブ通路116を通って配置済の医療チューブ120で長手方向に加えられた圧縮が解除されると、固定部122の内壁面がチューブ通路内で医療チューブ120を把持することで、医療チューブ120を固定スリーブ106に固定する。
【0036】
固定スリーブ106の固定部122は、固定スリーブ106の長手方向部分を表しており、固定スリーブ106の長さを短くすることでチューブ通路116の通路断面積を変化させることでチューブ通路116の通路断面積を大きくすることによって医療チューブ120の挿入を可能にする一方で、次に固定スリーブ106の長さを長くすることでチューブ通路の通路断面積を小さくすることによって医療チューブ120を把持および保持することができる。理解されるように、固定部122は、構造の材料、構造の形状、および固定スリーブ106の近位端および遠位端が係合される結合構造を備えている固定スリーブ106の特定の構成、に応じて固定スリーブ106の様々な長手方向部分を構成し得る。例えば、連結構造に近接した固定スリーブ106の部分は、連結構造との係合によって、チューブ通路116を通って配置済の医療チューブ120を把持するべく断面が十分に収縮することが妨げられることがある。同様に、医療チューブ120を把持するべく利用できないそのような端部部分の長手方向の長さは、固定スリーブ106内に把持される医療チューブ120の特定のサイズ(例えば、外径)に依存し得る。また、理解されるように、固定部122は、固定部122内のすべての長手方向点においてチューブ通路116の均一な大きさの断面積を有しているとは限らない。例えば、固定スリーブ106が長手方向に圧縮済状態(圧縮された状態)であるとき、チューブ通路116の通路断面積は、固定スリーブ106が係合している結合構造によってチューブ通路116の通路断面積がより影響を受ける可能性を有している固定部122の近位端および遠位端に近い方のチューブ通路116に対して、固定部122の長手方向中間点付近で幾分大きく、または膨らんでいる可能性がある。同様に、固定スリーブ106が長手方向に張力が加えられた状態であるとき、チューブ通路116の通路断面積は、固定スリーブ106が係合している結合構造によってチューブ通路116の通路断面積がより影響を受ける可能性を有している固定部122の近位端および遠位端に近い側よりも、固定部122の長手方向中間点付近の方が幾分小さくなる可能性がある。固定部122を通るチューブ通路116の通路断面積の可能な変動の結果として、断面が拡大された圧縮状態であるとき、チューブ通路116は、固定部122を通って挿入される医療チューブ120を受容するための最小挿入断面を規定する固定部122の1つまたは複数の長手方向点において最小通路断面積を有していることがある。いくつかの実施態様では、医療チューブ120の挿入を受けるべく固定部122が圧縮済状態(圧縮された状態)で、最小挿入断面は、近位および/または遠位結合構造に隣接するチューブ通路116の通路断面積によって規定され得る。
【0037】
次に、
図1および2に図示された固定デバイス100の固定スリーブ106の固定部122の特徴についてさらに説明するべく、
図1~
図2とともに
図3~
図8を参照する。
図3、
図5、および
図7は各々、固定部122の長手方向部分を示しているが、固定部122を通るチューブ通路116の通路断面積について異なるサイズを有している異なる状態で図示されている。
図4、
図6および
図8は各々、
図3、
図5および
図7に図示された固定部122の対応する断面図であり、チューブ通路116の長手方向に対して横方向にとられた図である。
図3、
図5、および
図7、は異なる図示された状態におけるチューブ通路116の通路断面積の違いを示している。
図3および
図4は、長手方向に力が加えられていない弛緩状態である固定部122を単独で図示しており、弛緩状態では、チューブ通路116の通路断面積は、固定部122が固定デバイス100に固定するように設計されているサイズの医療チューブ120を固定するべく受容する(受け入れる)には小さすぎる。
図5および
図6は、固定部122が長手方向に加えられた圧縮力、
図5に示された矢印によって図示されている、を受けることで圧縮済状態の固定部122を示している。
図5および
図6の圧縮状態において、チューブ通路(管路)116の通路断面積は、
図3および
図4に図示された弛緩状態に対して拡大される。
図5および
図6は、固定部122においてチューブ通路116を通って受容された医療チューブ120を示しており、この圧縮状態において医療チューブ120の外断面がチューブ通路116の通路断面積よりも小さいことを図示する。次に、
図7および
図8は、
図5および
図6の長手方向に加えられた圧縮が解除されており、医療チューブ120を固定デバイス100に固定するべく、固定部122が十分に弛緩することで医療チューブ120をチューブ通路116内で把持することを可能にした後、医療チューブ120がチューブ通路116を通って配置済の固定部122を示す。理解されるように、
図7および
図8に示された医療チューブ120は、固定部122による把持を解除することで、医療チューブ120を固定部122に対して相対的に再位置決めするか、または固定部122から完全に取り外すことができる。このようにして、患者に挿入されており、固定デバイス100によって保持された医療チューブ120は、患者の体内で位置を変更したり、取り外すことで別の医療チューブ120とで交換したりすることができる。新しい医療チューブ120または再配置済の医療チューブ120は、その後、固定スリーブ106が弛緩することで新しい医療チューブ120または再配置済の医療チューブ120を把持することを可能にするべく、長手方向に加えられた圧縮の固定部122を再び解放することによって、固定デバイス100に固定することができる。他の状況では、医療チューブ120の固定を解除した後、医療チューブ120を患者から取り外すことなく、固定デバイス100を患者から取り外すことができ、その後、例えば、患者への先の固定デバイス100の取付が損なわれた場合、または創傷の洗浄および/もしくは創傷包帯の交換のために、新しい固定デバイス100を患者に取り付けることができる。さらに他の状況では、医療チューブ120と固定デバイス100との両方を、新しい医療チューブ120と新しい固定デバイス100とに交換することができる。
【0038】
ここで、
図1~
図8とともに、主に
図9および
図10を参照する。
図9および
図10は、使用中に患者の皮膚124に取り付けられており、医療チューブ120が固定スリーブ106を通って患者の体内に配置済の状態の
図1の固定デバイス100を示す。固定デバイス100は、曲がりスリーブホルダ130を備えており、この曲がりスリーブホルダ130は、固定デバイス100の図示された実施形態では、固定スリーブ106の遠位部分が皮膚124に向かって、かつ、取付パッド102の取付面(装着面)に向かって付勢済の曲がり(曲げられた、屈曲した、曲がった)構成で固定スリーブ106を保持するべく、固定スリーブ106の長手方向部分を選択的に受け入れて保持するように構成された保持チャネル132を備えている。本明細書でいうように、取付パッド102の取付面は、チューブ通路116が取付パッド102の近位面で開口している点で、チューブ通路116の長手方向軸線118に対して垂直な平面を指す。曲がりスリーブホルダ130は、固定スリーブ106が保持チャネル132内に押し込まれるのを許容するのに十分な可撓性を有している可撓性タブ134a,134bを備えており、可撓性タブ134a,134bは、固定スリーブ106が保持チャネル132内に押し込まれるにつれて一時的に側方に撓む。
図9は、固定スリーブ106が保持チャネル132内に押し込まれる際に可撓性タブ134a,134bが側方に撓んだ状態で、固定スリーブ106が保持チャネル132内に押し込まれる様子を示している。しかしながら、可撓性タブ134a,134bは、
図10に示されるように、固定スリーブ106を曲がり構成(曲げられた構成、曲がった構成)で保持するべく、固定スリーブ106の受容部分を保持チャネル132内に保持するのに十分な剛性を有しているべきである。
図10に示されるように、曲がり構成において、固定スリーブ106は、固定スリーブ106の近位端と保持チャネル132との間の固定スリーブ106の一部を通して曲がり部136を有している。曲がり構成では、固定スリーブ106の曲がり部136の遠位部分は皮膚124および取付パッド102の装着面側に偏って(付勢されて、バイアスされて)いるので、取付パッド102および患者の周囲の皮膚124からの固定スリーブ106のスタンドオフが比較的小さい。固定スリーブ106は、固定スリーブ106が保持チャネル132から取り外される際に可撓性タブ134a,134bが一時的に撓んだ状態で、固定スリーブ106を保持チャネル132から引き出すことによって、曲がり構成から解放することができる。
図10に示されるように、曲がり構成では、固定スリーブ106は約90°の角度で曲げられているが、理解されるように、曲がりスリーブホルダ130は90°よりも大きいまたは小さい角度で曲げられて固定スリーブ106を保持するように構成され得る。可撓性タブ134a,134bは、例えば金属または高分子材料のような任意の構造の材料で作られて好ましくは高分子材料(一層好ましくは熱可塑性エラストマー)で作られ、弾性的に変形することで固定スリーブ106が保持チャネル132内に押し込まれることによって保持チャネル132から取り外されることを可能にする可撓性と、固定スリーブ106の受容部分が保持(受容)チャネル132内に受容されたときに曲がり構成で固定スリーブ106を保持するための所望レベルと、の両方を提供する。
図9および
図10に示された構成は、曲がりスリーブホルダ130が固定スリーブ106の固定部122の長手方向部分を受入れ保持しており、曲がり部136がまた固定部122の長手方向部分を備えている1つの好ましい実施態様を示している。
【0039】
図10に示されるように、固定スリーブ106を曲がり構成で選択的に保持するように構成された固定デバイス100の1つの利点は、医療チューブ120を患者の体内で所望になるように位置決めした後、医療チューブ120を固定スリーブ106の固定部122によって把持した状態で固定デバイス100に固定することである。この場合、医療チューブ120は、患者から比較的接近した状態で曲がり構成に都合よく位置決めして保持することができるので、患者または医療従事者による固定スリーブ106とのまたは医療チューブ120との偶発的または意図しない相互作用の虞を大幅に低減することができる。さらに、この設計は、医療チューブ120の位置変更を可能にするとともに、医療チューブ120の患者からの取外しを可能にするだけでなく、または医療チューブ120の位置変更または取外し無しに固定デバイス100の取外しおよび交換を可能にするべく、または医療チューブ120を取外すために固定スリーブ106の操作を可能にするべく、曲がり構成から固定スリーブ106を容易く解放する有利な柔軟性を提供する。別の利点は、曲がり構成において、曲がり部136が、患者または医療従事者が故意にまたは不注意に遠位カラー110を押することで固定スリーブ106に長手方向に適用される圧縮を付与したり、そうでなければ固定スリーブ106による医療チューブ120の固定からの不所望な解放および医療チューブ120の不所望な移動につながったりし得る場合、固定部122が医療チューブ120を把持することから解放されることに対する付加的な抵抗を提供することである。曲がり部136は、固定スリーブ106による医療チューブ120の固定が不用意に解除されないようにするのに役立つ。さらに、保持チャネル132を規定する構造は、医療チューブ120の固定を解除するべく固定部122内のチューブ通路116の通路断面積を拡大することを可能にするべく、保持チャネル132内の固定スリーブ106の断面の拡大に対して或る程度の抵抗を提供する。曲がり構成はまた、医療チューブ120が固定スリーブ106によって保持される力に打ち勝つのに十分な力で、誰かが医療チューブ120を遠位カラー110に向かって押すこと、または医療チューブ120を遠位カラー110から引き離すこと、に対して有利にはさらなる抵抗を提供する。
図10の図から理解されるように、患者のような誰かが医療チューブ120を遠位カラー110に向かって押すか、または医療チューブ120を遠位カラー110から引き離すかすると、曲がり部136は、固定スリーブ106を通る医療チューブ120の移動にさらなる抵抗を与える。
【0040】
次に、曲がりスリーブホルダ130を回転させることで取付パッド102に対して様々な半径方向位置(半径位置、ラジアルポジション)に位置決めすることを可能にする固定デバイス100の回転機能の説明に関連して、
図1~
図10とでともに
図11~
図15を参照する。
図1および
図2に示された例示的な固定デバイス100において、曲がりスリーブホルダ130は回転部材112に取り付けられている。この回転部材112はベース部材108に対して選択的に回転可能にされているので、曲がりスリーブホルダ130が取付パッド102に対して異なる半径方向位置に位置決めされることを可能にする。さらに詳細には、回転部材112は、ベース部材108の延在部分114が延びている開口140(
図12に最も良く見られる)を有している。回転部材112は、延在部分114の外周に延びている円形溝トラックに受容されており、回転可能に保持されており、これによって、延在部分114は、回転部材112が曲がりスリーブホルダ130を半径方向に位置決めするべく周りを回転可能になっている軸線(アクスル)として機能する。理解されるように、固定デバイス100の例示的構成では、取付パッド102を貫通するチューブ通路116の長手方向軸線118は、回転部材112が回転する延在部分114を貫通する開口とで同軸であるので、対応して曲がりスリーブホルダ130が位置決めされ得る異なる半径方向位置同士は、取付パッド102を貫通するチューブ通路116の長手方向軸線118に対して半径方向に間隔をあけて配置されている。
【0041】
固定デバイス100は、曲がりスリーブホルダ130を異なる半径方向位置で選択的にロックするための半径方向位置決めロックを備えている。回転部材112とベース部材108とは、回転部材112の半径方向位置を異なる半径方向位置で選択的にロックするべく係合可能な相補的なインターロック構造を有している。固定デバイス100の図示された実施例において、ベース部材108は、ベース部材108の周りに半径方向に間隔をおいて配置済の複数の凹部142を有している。回転部材112は、複数の突起144を有している。突起144は、ベース部材108に対して固定(フィックス)された半径方向位置に回転部材112をロックするべく凹部142に受容可能にされているように構成されている。
図11に示されるように、回転部材112は、回転部材112の一部が弾性変形することで突起144を凹部142から離脱させることによって、
図11に回転矢印で示されるように、回転部材112がベース部材108に対して相対的に回転することを可能にするのに適した可撓性を有している材料で作られている。回転部材112を所望の半径方向位置まで回転させた後、回転部材112の弾性変形可能な部分を操作することで、突起144を凹部142の対応するものに係合させることで、回転部材112を当該半径方向位置でロックすることができる。回転部材112上の操作タブ146は、人が回転部材112の弾性的に変形可能な部分を操作することで、突起144を凹部142に対して係合および係合解除したり、回転部材112をベース部材108に対して回転させたり、次いで、突起144を凹部142の対応するものに新たな半径方向位置で係合させたりするべく使用することができる。好ましくは、凹部142は回転部材112の完全な外周の周りに続いており、回転部材112および曲がりスリーブホルダ130は、回転部材112および曲がりスリーブホルダ130が回転軸線を中心とする様々な半径方向位置に配置されることを可能にするべく、回転軸線としての長手方向軸線118を中心として360°完全に回転可能にされている。
図13~
図15は、回転部材112と曲がりスリーブホルダ130とが、取付パッド102に対して3つの異なる例示的な半径方向位置に位置決めされた状態を示している。
【0042】
強化態様では、回転部材112および曲がりスリーブホルダ130は、単一ピース構造で、好ましくは、可撓性タブ134a,134bと回転部材112との弾性変形可能部分同士の両方の機能に対して所望特性を提供するのに適した特性を有している単一の均一な構造材料で、典型的には高分子材料で作られた単一成形品(例えば、単一射出成形品)で、提供されてもよい。いくつかの好ましい実施態様において、回転部材112および曲がりスリーブホルダ130のためのこのような構造材料は、60から90ショアAデュロメータの範囲の硬度を有している。
【0043】
固定デバイス100の柔軟な実用性において重要な利点は、曲がりスリーブホルダ130を取付パッドに対して異なる半径方向位置に配置することを可能にする構成によってもたらされる。医療チューブ120が曲がりスリーブホルダ130から突出する方向の曲がりスリーブホルダ130の位置に関係なく、固定デバイス100の患者への最適な取付けのために、取付パッドを患者に対して相対的に位置決めすることができる。曲がりスリーブホルダ130は、例えば、医療チューブ120または固定スリーブ106に対する患者または医療従事者の意図しない相互作用を回避するので、あるいは、医療チューブ(ドレナージチューブ)120が固定デバイス100に固定中、医療アクセスが望まれ得る患者上の領域の障害を回避するべく固定スリーブ106および医療チューブ120の位置を維持するべく、取付パッド102の装着方向に関係なく、患者の身体に対して最も有利な半径方向の位置に配置され得る。さらに、曲がりスリーブホルダ130と医療チューブ120との半径方向の位置は、患者の経験や医療アクセスニーズの変化に基づき所望に応じて調整することができる。理解されるように、医療チューブ120が保持チャネル132内に保持されている間に、曲がりスリーブホルダ130が半径方向に再位置決めされる場合、半径方向の移動は、固定スリーブ106と、固定スリーブ106によって把持された医療チューブ120と、に捩り応力(トーションストレス)を与える傾向がある。よって、曲がりスリーブホルダ106の半径方向の位置を変更する前に、固定スリーブ106を保持チャネル132から取り外すとともに、固定スリーブ106や医療チューブ120にそのような捩り応力を与えることなく曲がりスリーブホルダ106を半径方向に再位置決めできるようにすることが好ましい。
【0044】
次に、使用中に患者からの滲出液を吸収するための固定デバイス100の吸収機能の説明に関連して、
図1~
図15とでともに
図16を参照する。
図16に示されるように、例示的な固定デバイス100の取付パッド102は、固定デバイス100の使用中に、固定された医療チューブ120が延びている患者の創傷から滲出液を吸収する吸収能力を提供するべく、取付パッド102の近位面152に露出された吸収パッド150の形態の吸収部(吸収性部分、アブソーベントポーション)を備えている。
図16に示す例では、吸収パッド150は、接着剤などで取付パッド102の構造シート154に取り付けられている。吸収パッド150は、固定デバイス100の使用中に患者の皮膚に接触しており、皮膚に接触するように構成された近位面156を有している。吸収パッド150は、チューブ通路116の一部を形成する開口158を備えている。吸収パッド150の近位面156における開口(アパーチャ)158の開口部(オープニング)は、
図1~
図16に示される固定デバイス100の例示的な実施形態において、チューブ通路116の近位開口部(プロキシマルオープニング)を提供する。代替的な変形例では、固定デバイス100は、吸収パッド150が無い状態であってもよく(含まなくてもよい)、この場合、構造シート154の開口がチューブ通路116の近位開口部を提供することになる。構造シート154は、取付パッド102に所望の構造的完全性を付与しており、取付パッド102が装着される患者の皮膚の地形(トポグラフィ)に適合(コンフォーム)するように適度に可撓性である任意の適切な材料または素材で作られてもよい。理解されるように、医療チューブ120を患者から取り外すことなく、固定デバイス100を患者から取り外すとともに、その後、取り外した固定デバイス100を新しい固定デバイス100とで、例えば、新しい吸収パッド150を備えた新しい固定デバイス100とで、交換することが望ましい場合がある。構造シートの構造材料の例としては、可撓性プラスチックや布材料がある。
【0045】
また、
図16には、チューブ通路116の長手方向軸線118が図示されており、チューブ通路116のうち取付パッド102を通って延びている部分については、チューブ通路116の近位端が取付パッド102の近位面152で開口している位置に隣接する取付パッド102の近位面152の近位面に対して実質的に垂直である。固定デバイス100の図示された実施例では、チューブ通路116の近位端は、吸収パッド150の近位面156を貫通して開口しており、吸収パッド150の近位面156に対して垂直である。理解されるように、長手方向軸線118は、
図9~
図15のいずれかに図示されているように、固定スリーブ106が曲げられている場合、固定スリーブ106を通って曲がることがあるが、長手方向軸線118は、典型的には、
図9~
図15に図示されているように、固定スリーブ106が取付パッド102の遠位で曲げられている場合でも、取付パッド102を通るチューブ通路116の部分については実質的に直線状になる。また、理解されるように、患者の身体から出る医療チューブ(例えば、医療チューブ120)は、典型的には、その近傍において患者の皮膚に対して実質的に垂直にチューブ通路116の近位端に入る。
【0046】
固定デバイス100の例示的な実施形態に吸収パッド150を含めることは、医療チューブ120が挿入済の患者の創傷から移動する滲出液の吸収を有利に可能にする。このような滲出液の吸収は、有利には、創傷周辺を清潔な状態に維持するのに役立ち、また、滲出液が構造シート154と患者の皮膚との間にしみ込んで、取付パッド102と患者の皮膚との間の接着結合が緩むのを抑制するのに役立つ。取付パッド102は、吸収性材料からなり、例えば、本明細書の他の箇所に開示されているように、所望の吸収能力を有していることができる。吸収パッド150は、抗菌剤を有益に備えていることができる。固定デバイスまたは固定デバイスを備えている製品もしくはキットに関連して、取付パッド102の吸収部または他の場所で使用するためのいくつかの可能な抗菌剤の例には、ポリミキシン、バシトラシン、ムピロシン、銀、グルコン酸クロルヘキシジンおよび同様の誘導体、またはヨウ素およびその誘導体が含まれる。より一般的には、取付パッド102は抗菌剤を含んでこの抗菌剤は、例えば、吸収パッドについて説明した例示的な微生物剤のいずれかを含んでもよい。このような抗菌剤は、吸収パッド、粘着層および/または取付パッド102の別の他の層または特徴に含まれて好ましくは、取付パッド102が抗菌剤を備えている場合、抗菌剤は、抗菌剤が患者に接触または放出されるべく(例えば、抗菌剤が患者の皮膚または創傷に接触するべく)、患者(例えば、患者の皮膚または創傷)との流体連通に開放されている取付パッド102の1つまたは複数の部分に含まれる。
【0047】
図16に示されるような固定デバイス100の実施態様では、構造シート154の近位面は、吸収パッド150の周縁部を完全に取り囲んでいる。固定デバイス100のいくつかの好ましい実施態様では、取付パッド102の近位面152は、構造シート154の近位表面のうち吸収パッド150の周縁部を取り囲んでいる部分を覆う接着剤層を備えている。このような粘着剤層は、したがって、取付パッド102の近位面152に露出していて有利には、吸収パッド150の周縁部の周囲で完全に患者の皮膚に取付パッド102を接着するべく使用することができる。吸収パッド150は近位面156に接着剤を含んでも含まなくてもよい。いくつかの好ましい実施態様では、吸収パッド150の近位面156には実質的に粘着剤がなく、そうでなければ隣接する創傷からの滲出液の効果的な吸収を妨げる虞がある。しかしながら、いくつかの代替実施態様では、取付パッド102は、吸収パッド150を患者の皮膚に接着させるべく、近位面156の少なくとも一部上に接着剤を備えていることができる。しかし、そのような代替実施態様では、接着剤は好ましくは近位面156の全体を覆わず、近位面156の一部は接着剤によって覆われていないので、滲出液が吸収パッド150の吸収性材料に浸透するべく、接着剤によって覆われていない位置でより良好な流体連通を提供する。例えば、近位面156上のこのような接着剤は、接着剤の穿孔(ミシン目、有孔)層であって近位面156の一部を構成するミシン目の領域は接着剤で覆われていない。
図17は、接着剤の有孔層が近位面の一部上に配置されている吸収パッド150′の変形例を示しており、有孔157の領域は、有孔157の領域を通る強化された流体連通を提供するべく接着剤から解放されている。理解されるように、近位面156上の接着剤の他の構成は、近位面156上の接着剤被覆が、吸収パッド150の吸収性材料への流体連通を不当に阻害しない一方で、患者の皮膚への近位面156の所望レベルの付着を提供するのに十分であることを条件として、
図17に図示された有孔構成以外に提供され得る。
【0048】
吸収パッド150は、例えば、吸収パッドの厚さまたは吸収パッド150の近位面156によって提供される取付パッド102の近位面152の面積割合を変更することによって、吸収パッド150の吸収能力を変更するべく、より多くのまたはより少ない吸収材料を提供するような大きさにすることができる。理解されるように、近位面156によって構成される近位面152の面積が多ければ多いほど、構造シート154の露出した近位面は小さくなる。1つの代替実施態様では、吸収パッド150の近位面156は、取付パッド102の近位面152の全体を構成することができ、そのような代替実施態様では、近位面156は、近位面の他の部分が接着剤のない状態である間に、取付パッド102を患者に接着するべく、近位面の一部で露出した接着剤を備えていることができ、例えば、
図17に図示されるような穴あき接着剤パターンを有しているか、または近位面156上に他の接着剤パターンを備えていることができる。吸収パッド150の近位面156が取付パッド102の近位面152の全体を構成する実施態様では、取付パッド102は、取付パッド102の耐久性を高め、吸収パッド150に構造的支持を与え、および/または吸収パッド150の遠位面を覆う保護カバーを提供するべく、吸収パッド150の遠位面に接着された構造シート154を依然として備えていることができる。構造シート154は、創傷包帯の製造に使用される任意の材料、例えばポリマー材料で作られてもよい。
【0049】
次に、圧縮保持器を備えている固定デバイスの例示的な実施形態に関連して、
図1~
図17とでともに
図18~
図20を参照する。
図18~
図20は、固定デバイス100′の例示的な実施形態を示している。この固定デバイス100′は、
図1~
図17に図示された固定デバイス100とで同じ特徴および操作能力を有しているが、固定デバイス100′は、圧縮保持器160も備えている。
図18は、固定スリーブ106内に位置決めするための医療チューブ120の挿入を受けるべく、チューブ通路116の通路断面積が拡大済構成であるとともに、固定スリーブ106を圧縮済構成で保持するように配置済の圧縮保持器160を示している。
【0050】
図18は、固定デバイス100′が取付パッド102を介して患者の皮膚124に装着されているとともに、医療チューブ120が固定デバイス100′を通って患者の体内に配置済の状態を示している。
図19では、圧縮保持器160が固定スリーブ106を圧縮済構成で保持するように配置済であるとともに、固定デバイス100′は固定のために医療チューブ120を受け入れる準備ができている状態で図示されている。
図18に図示したような圧縮済構成では、固定スリーブ106の固定部122と、医療チューブ120と、は例えば
図5および
図6に図示したように構成することができる。
【0051】
図20は、
図18~
図20の例示的な実施形態における圧縮保持器160の取外しによって、固定スリーブ106を、ひいては固定スリーブ106の固定部122を、圧縮済構成から解放することで固定スリーブ106が長くなるので、対応して固定部122におけるチューブ通路116の断面積が収縮することでチューブ通路116内の医療チューブ120を把持することができるように、圧縮保持器160が操作された後の固定デバイス100′を示す。
図20に示されるように、圧縮保持器160が取り外されたとき、固定スリーブ106の固定部122と医療チューブ120とは、例えば、
図7および
図8に示されるような構成であってもよい。理解されるように、圧縮保持器の他の構成も可能にされており、例えば、固定スリーブ100′の他の構成要素から圧縮保持器を取り外すことなく、固定スリーブ106を圧縮済構成から解放することができる。例えば、圧縮保持器は、固定デバイス100′の他の構成要素に回動可能に連結されるかまたは摺動可能に連結されることで、固定デバイス100′の他の組立済の構成要素から圧縮保持器を切り離すことなく、圧縮済構成から固定スリーブ106を解放するように操作可能にされ得る。しかしながら、圧縮保持器160が固定デバイス100′の他の残りの構成要素から完全に取り外されていない場合に生じる虞を有している複雑性および障害を取り除くべく、
図20に示されるように圧縮保持器160を完全に係合解除して取り外すことが好ましい。
【0052】
図18および
図19に示されるように、圧縮保持器160が固定スリーブ106と固定部122とを圧縮済構成で保持するように配置されるとき、圧縮保持器160は、各々、遠位カラー110の上面162と、ベース部材108の延在部分114上の固定凹部164と、に係合する保持突起166および168を有している。圧縮保持器160は、医療従事者が容易く把持することで圧縮保持器160を取り外すことによって、固定スリーブ106を圧縮済構成から解放するように構成されたハンドルタブ170を備えている。
【0053】
理解されるように、圧縮保持器160が遠位カラー110の上面162と、ベース部材108の延在部分114の固定凹部164と、から外れた状態で、固定デバイス100′が
図20に示されるように構成される場合、遠位カラー110は、固定スリーブ106を圧縮済構成に圧縮するべく延在部分114に向かって押されてもよい。そして、固定スリーブ106を圧縮済構成に保持中に、圧縮保持器160は、例えば、医療チューブ120の便利な再配置もしくは交換を可能にするべく、または医療チューブ120を取り外すことなく固定デバイス100の取り外しおよび交換を可能にするべく、上面162および固定凹部164に係合する位置に配置されることで、固定スリーブ106を圧縮済構成に保持することができる。また、理解されるように、固定デバイス100′は、固定デバイス100′が医療チューブ120を固定するべく使用されるまで、固定スリーブ106を圧縮済構成に保持するための圧縮保持器160が予め取り付けられた状態で、製品形態で最初に提供されることがある。あるいは、固定デバイス100′は、固定スリーブ106を圧縮済構成に保持するための圧縮保持器160が予め取り付けられていない状態で製品形態で最初に提供されるとともに、圧縮保持器160は、固定スリーブ106の固定部122で医療チューブ120を把持する前に、医療チューブ120が位置決めのために固定スリーブ106内に挿入される間、固定スリーブ106を圧縮済構成に保持するべく必要に応じて取り付けられてもよい。圧縮保持器160が予め取り付けられた製品形態で固定デバイス100′を提供することによって、医療チューブ120を固定スリーブ106の固定部122に挿入する前に圧縮保持器160を取り付ける必要が無いという利点が得られる。しかしながら、固定スリーブ106と圧縮済構成とを保持するための圧縮保持器160が予め取り付けられていない製品形態で固定デバイス100′を提供する場合、固定スリーブ106が圧縮済構成に保持された状態で長期間保管される結果として固定スリーブ106の膨張能力を失なう、ということがない。よって、固定デバイス100′の貯蔵寿命(シェルフライフ)が長くなるという利点を提供し得る。
【0054】
固定デバイス100のような固定デバイスの使用終了後、固定デバイスを患者から剥離することができる。剥離には、アルコールまたは他の溶媒を、綿棒やワイプなどで取付パッドの縁の周りに塗布することで粘着剤を分解することによって、粘着パッドを患者の皮膚からさらに容易く剥離できるようにすることが含まれる。粘着パッドの一部が皮膚から剥がれるにつれて、粘着パッドのすべての粘着部分が皮膚から剥がれるまで、粘着パッドの粘着部分の周囲に溶剤を塗布し続けることができる。固定デバイスを剥離する前に、固定スリーブを操作することで医療チューブの固定を解除するとともに、医療チューブを患者および固定スリーブから取り外してもよい。あるいは、固定デバイスと、固定された医療チューブと、を一体として取り外したり、固定デバイスが患者から取り外される間に医療チューブを固定スリーブの固定部で把持したりすることで、固定デバイスが取り外される際に医療チューブの近位端を患者から引き抜くこともできる。固定デバイスが患者から取り外される間、医療チューブが固定デバイスに固定されたままであるとき、医療チューブは、固定デバイスの曲がりスリーブホルダによって曲がり構成に保持されてもよいし保持されなくてもよい。医療チューブを曲げられた形状に保持することは、固定デバイスが取り外される際に医療チューブが固定デバイスに対して動くのを防ぐのに役立つ。あるいは、医療チューブは、固定デバイスが取り外される前に、曲がり構成から解放されてもよい。
【0055】
次に、例示的な固定デバイス100の特徴と、例示的な固定デバイス100を製造する例示的な方法と、をさらに説明することに関連して、
図1~
図17とともに
図21~
図32を参照する。
【0056】
図21は、
図1の固定デバイス100のための固定スリーブ106と、取付パッド102用の構造シート154と、の間の結合構造のための構成要素および相対的位置関係を示す。
図21に示すように、固定スリーブ106は、ベース部材108を貫通する開口を通して(通過して)配置されている。固定スリーブ106の近位端部180は、ベース部材108の近位面と、構造シート154の遠位面と、の間に配置されている。構造シート154の遠位面に配置されているのは、感圧接着剤の接着剤層182である。理解されるように、接着剤は、構造シート154の遠位面にも、または代替的に設けることができる。
【0057】
図22~
図26は、ベース部材108、固定スリーブ106、および構造シート154、を結合するための処理を示している。
図22は、フレアリング(フレア加工)工具184を備えた固定スリーブ106を示す。フレアリング工具184は、ベース部材108の開口を通して配置されているとともに、固定スリーブ106の近位端部180をフレアリングするべく固定スリーブ106の近位端部に挿入済である。
図23は、フレアリング工具184の頂部に存在するマンドレル部上に配置済の圧縮リング工具186を示している。圧縮リング工具186は、マンドレル部上を前進させることで、固定スリーブ106の近位端部180がベース部材108の近位面と、構造シート154の遠位面と、の間に配置済の状態で、構造シート154の遠位面をベース部材108の近位面に向かって押圧する。圧縮リング工具186をフレアリング工具184のマンドレル部に沿って前進させることで構造シート154をベース部材108に向かって前進させると、構造シート154の遠位面は、固定スリーブ106の近位端部180に係合する。結果、近位端部180を、ベース部材108の近位面と構造シート154の遠位面との間で平坦にするとともに、近位端部180を、接着剤層182の感圧接着剤(
図23には示さず、
図21に示す)に接触させた状態で、90°のフレア角度にフレアリングし続ける。
図24は、圧縮リング工具186を完全に前進させた状態を示している。
図24に示す構成において、圧縮リング工具186は、ベース部材108の近位面を、構造シート154の遠位面に感圧接着剤で接着するのに十分な力で、ベース部材108に向かって押圧される。結果、固定スリーブ106のフレア状の近位端部180は、ベース部材108の近位面と、構造シート154の遠位面と、の間に挟まれるとともに、接着剤によって保持された状態である。
図25および
図26は、圧縮リング工具186およびフレアリング工具184を取り外した後の、結果として得られる第1予備製品形態188を示す。第1予備製品形態188はベース部材108、固定スリーブ106、および構造シート154、を備えている。
【0058】
図27~
図29は、曲がりスリーブホルダ130を備えている回転部材112を、
図25および
図26に示された第1予備製品形態188に取り付けるための処理を示している。
図27および
図28に示すように、回転部材112の近位面がベース部材108の遠位面を向いた状態で、固定スリーブ106が回転部材112の開口を通して配置済の状態で、回転部材112は、固定スリーブ106に沿ってベース部材108の延在部分114に向かって前進させられる。
図27は、ベース部材108の延在部分114が第1リップリング190と第2リップリング192とを備えているとともに、固定凹部164が第1リップリング190と第2リップリング192との間に存在する状態を示している。延在部分114はまた、第2リップリング192と、ベース部材108のフランジ面196と、の間に円形溝軌道194を備えている。回転部材112は、回転部材112が円形溝軌道194に係合するまで、固定スリーブ106を越えてベース部材108の延在部分114を越えて前進させられる。回転部材112は、回転部材112が円形溝軌道194内に回転可能に保持されるとともに、ベース部材108の延在部分114に対して回転可能な状態で、開口の外周材料が第1リップリング190を越えて第2リップリング192を越えて撓むことで、円形溝軌道194内の所定位置にスナップ嵌めされることを可能にするように、適切に可撓性の材料で作られている。
図28に示すように、回転部材112を前進させることで延在部分114に係合させると、突起144が対応する凹部142に整列することで、係合した回転部材112をベース部材108に対して所望の半径方向位置に位置決めすることができる。
図29は、追加済の回転部材112を備えている組立済の第2予備製品形態200を示す。
【0059】
図30~
図33は、第2予備製品形態200の固定スリーブ106の遠位端に、遠位カラー110を追加する処理を示す。遠位カラー110のカラーアセンブリは、カラーニップル204および保持部材206を有しているカラー部材202を備えている。
図30は、保持部材206を貫通する開口を通して配置済の固定スリーブ106と、挿入工具212を用いて固定スリーブ106の遠位端部210に係合するように位置決めされたカラー部材202と、を示す。
図31は、固定スリーブ106の遠位端部210に挿入済の挿入工具212の先端を示している。
図32は、固定スリーブ106の遠位端が挿入工具212のストップカラー214に接触した状態で、固定スリーブ106の遠位端部210に挿入工具212が完全に前進した状態を示す。次いで、保持部材206は、固定スリーブ106の遠位端部210の上に進められるとともに、遠位端部210のスリーブ壁をカラーニップル204に対して偏らせる(付勢する、バイアスする)。保持部材206は、保持部材206の遠位端がカラー部材202の遠位カラー部分216に隣接するまで、好ましくは接触するまで、進められる。組立済のカラー部材202および遠位端部210を保持する保持部材206は、遠位カラー110を形成している。この遠位カラー110は、
図33において、結果として生じる第3予備製品形態220で図示されている。
【0060】
次に、吸収パッド150を第3予備製品形態220に追加することで取付パッド102を完成させることによって、
図1の固定デバイス100を準備する処理を示す
図34を参照されたい。
図34はまた、取付パッド102の近位面152上に剥離可能裏打を追加することで、固定デバイスおよび剥離可能裏打を備えている医療ドレーン固定製品を準備することを示す。
図34は、第3予備製品形態における構造シート154の近位面に塗布される感圧の接着剤層222を示している。吸収パッド150は、接着剤層222の一部を使用することで、吸収パッド150の開口158が接着剤層222の開口224と、構造シート154の対応する開口と、に位置合わせされた状態で、構造シート154の近位面に取り付けられる。
図34に示すように、構造シート154、接着剤層222、および吸収パッド150、は組立済のときに取付パッド102を構成する。接着剤層222は、吸収パッド150の抗菌剤の可能性の議論とで同様に、抗菌剤を備えていることができる。吸収パッド150、接着剤層222、および構造シート154、を貫通する整列した開口同士は、取付パッド102を貫通するチューブ通路116の部分を形成する。
図34に示されるように、第3予備製品形態220への取付パッド102の付加は、
図1の固定デバイス100を形成する。
【0061】
また、
図34に示すのは、剥離可能裏打材を取付パッド102の近位面152(
図16に示す)上に適用することである。剥離可能裏打材は接着剤層222を介して取付パッド102に接着されることで、医療チューブ固定製品240を形成する。
図34の図示例では、剥離可能裏打は、吸収パッド150の周囲の接着剤層222に接着されているとともに吸収パッド150を覆う2つの可撓性裏打シート(裏打片)228a,228bを備えている。可撓性裏打シート228a,228bは剥離タブ230a,230bを有しており、この剥離タブ230a,230bを人が掴んで引き離すことによって、剥離可能裏打シート(228a,228b)を取付パッド102から剥離することで吸収パッド150および吸収パッド150の周囲の接着剤(粘着剤)層222を露出させる。例えば、固定デバイス100の使用中に、取付パッド102の近位面152を患者の皮膚に接着させることができる。
【0062】
理解されるように、
図18および
図19に図示されているような係合済の圧縮保持器160を備えている固定デバイス100′は、
図18および
図19に図示されているように、固定スリーブ106を圧縮済構成に圧縮しているとともに、固定スリーブ106を圧縮済構成に保持するべくベース部材108の遠位カラー110および延在部分114に係合するように圧縮保持器160を位置決めすることによって、
図34に図示されている固定デバイス100から作製され得る。このように、医療チューブ固定製品240は、圧縮保持器160を備えていることによって、固定デバイス100′を備えているように準備され得る。圧縮保持器160は、固定スリーブ106を圧縮済構成に保持するべく予め取り付けられた状態で含まれていてもよいし、圧縮保持器160は含まれていてもよいがそのような方法で予め取り付けられていなくてもよい。例えば、圧縮保持器160は、固定スリーブ106を圧縮済構成に保持するべく、医療従事者が所望に応じて取り付けることができる別個の部品として含まれていてもよい。
【0063】
次に、医療チューブ固定製品302を備えているキット300の例を示す
図35を参照する。医療チューブ固定製品302は、密閉筐体(ハーメティカリーシールドエンクロージャ)306内に配置済の医療チューブ固定デバイス304を備えている。医療チューブ固定デバイス304は、例えば、
図1~
図34のいずれかに関連して図示もしくは説明された例示的な固定デバイス100もしくは例示的な固定デバイス100′、
図36~
図38のいずれかに関連して図示もしくは説明された例示的な固定デバイス350、または
図39~
図51のいずれかに関連して図示もしくは説明された例示的な固定デバイス100′もしくは例示的な固定デバイス100′′、とすることができるだけでなくもしくはこれらの特徴を備えていることができる。医療チューブ固定デバイス304は、例えば、
図34に図示された医療チューブ固定製品240について図示されたように、圧縮保持器の有無にかかわらず、剥離可能裏打を備えているか、そのような固定デバイスを備えている医療チューブ固定製品302の形態であるか、またはそのような固定デバイスを備えている医療チューブ固定製品302の任意の特徴を有していることができる。医療チューブ固定デバイス304は、好ましくは、密閉筐体306内で滅菌される。医療チューブ固定デバイス304の滅菌は、医療チューブ固定デバイス304を密閉筐体306内に密閉前または密閉後に行なうことができる。1つの好ましい方法では、医療チューブ固定デバイス304は、密閉筐体306内に密閉後、密閉筐体306を透過して密閉筐体306内の医療チューブ固定デバイス304を滅菌する放射線に曝されることによって滅菌される。密閉(気密封止された)筐体306は、例えば、医療デバイスの包装に使用されるタイプの高分子材料で作られてもよい。キット300は、単一の医療チューブ固定製品302のみを備えているものとして図示されているが、代替的な変形例では、このようなキット300は、任意の数のこのような医療チューブ固定製品302を複数備えていることができる。
【0064】
図35を引き続き参照すると、キット300は少なくとも1つの追加構成要素308aを備えているが、複数の追加構成要素を含んでもよい。キット300は、
図35には任意の追加構成要素308bおよび308cを備えているものとして図示されているが、キットは3つを超える任意の数の追加構成要素を含んでもよいことが理解されよう。追加構成要素308aの製品タイプの例として、医療チューブ120、またはキットの追加製品のために本明細書に開示された製品タイプの他の任意のもの、が挙げられる。複数の追加構成要素がキット300に含まれる場合、追加構成要素の各々は同じタイプの製品であってもよいし、追加構成要素の異なるものは異なるタイプの製品であってもよい。
【0065】
次に、医療チューブを曲がり構成で選択的に保持する機能を有している医療チューブ固定デバイスの別の実施例に関連して、
図36~
図38を参照する。
図36~
図38は、編組織物構造の固定部を有している固定スリーブ352を備えている例示的な医療チューブ364の固定デバイス350を示している。固定部は、例えば、
図1~
図20のいずれかを参照して先に説明したような特性であるかまたは特性を有していることができる。固定デバイス350は、取付パッド354、ベース部材356、保持部材358、および可動のベール部材360、を備えているベース構造を備えている。固定デバイス350はまた、遠位カラー362を備えている。固定スリーブ352は、ベース構造に保持された近位端と、遠位カラー362に保持された遠位端と、を有している。固定スリーブ352、固定スリーブ352の固定部、取付パッド354、ベース部材356、および遠位カラー362、は
図1~
図34のいずれかに図示された対応する特徴について先に説明されたものとで同じかまたは類似の特徴を有し得る。説明のために、医療チューブ364が、固定デバイス(医療デバイス)350を貫通するチューブ通路を通って配置されているとともに、固定スリーブ352の固定部によって固定デバイス(医療デバイス)350に固定された状態で、固定デバイス350は示されている。
【0066】
固定デバイス350は、ベース部材356とベール部材360との協働する特徴によって提供される曲がりスリーブホルダを備えている。ベール部材360は、
図36に示されるように固定スリーブ352が曲がり構成に保持されない第1構成と、
図37および
図38に示されるように固定スリーブ352が曲がり構成に保持される第2構成と、の間で移動可能にされている。ベール部材360が
図36に示されるような第1構成から、
図37および
図38に示されるような第2構成に動かされるとき、ベール部材360は固定スリーブ352に接触することで、固定スリーブ352を曲がり構成に付勢(バイアス)する。保持部材358は、ベール部材360が第2構成に位置決めされたときにベール部材360を所定位置にロックするロック機能を備えている。ロック機能は、リップ突起を有している押下可能なタブ370の形態である。ベール部材360は、タブ370を十分に押し下げることでベール部材360をリップ突起の上に移動させることによって、第1構成に戻す。対応して固定スリーブ352を曲がり構成から解放することによって、第2構成から解放することができる。
【0067】
図36~
図38の固定スリーブ352の図示された実施例では、保持部材358は、ベース部材356と取付パッド354との相対位置に固定されている。しかしながら、代替実施態様では、保持部材358は、
図1~
図16、
図18~
図20、および
図34、の固定デバイス100に図示された回転部材112の操作とで同様に、曲がり構成である固定スリーブ352が、取付パッド354およびベース部材356を通るチューブ通路の長手方向軸線に対して異なる半径方向に曲げられることを可能にするように、保持部材358がベース部材356および取付パッド354に対して異なる半径方向位置に回転可能にされるように、ベース構造に回転可能に取り付けられてもよい。
【0068】
次に、
図1~
図16の固定デバイス100とで同様の特徴を有している医療チューブ固定デバイス100′′の別の実施形態を示す
図39~
図42を参照する。固定デバイス100′′の特徴を識別する参照数字は、同様の特徴を識別するべく
図1~
図16で使用された参照数字とで同じである。類似するが変更された代替の特徴は、末尾にアポストロフィ(′記号)が付加された同様の参照数字によって識別される。
図1~
図16の固定デバイス100とは対照的に、
図39~
図42に示される固定デバイス100′′は、遠位カラー110′、回転部材112′および曲がりスリーブホルダ130′、の代替構成を備えている。
【0069】
図39~
図42に示すように、曲がりスリーブホルダ130′は、取付パッド102が皮膚に固定されるとき、固定スリーブ106の遠位部分が患者の皮膚に向かって付勢済の曲がり構成で固定スリーブ106を保持するべく、固定スリーブ106の一部を受け入れるべく取付パッド102の遠位面104に面して開いている保持チャネル132′を備えている。保持チャネル132′は補強リブ402で機械的に補強されているので、使用中に保持チャネル132′が捩れたり曲がったりする虞を減らし安定させるのに役立っている。補強リブ402に対向する保持チャネル132′の側部には、保持チャネル132′の壁が開放側部404を備えているので、保持チャネル132′への折り曲げられた固定スリーブ106の出し入れを促進する。
【0070】
図1~
図16に図示された固定デバイス100とで同様に、固定デバイス100′′は、回転部材112′によって支持された曲がりスリーブホルダ130′を備えている。回転部材112′は、操作タブ146′の設計が幾分変更されているので、
図1~
図16に図示されているような3つの対応する突起ではなく、5つの突起144′(
図40に図示)を有している点を除いて、
図1~
図16に図示されている固定デバイス100の回転部材112とで同様である。
図1~
図16に図示された固定デバイス100とで同様に、回転部材112′は、ベース部材108に対して異なる半径方向位置に回転可能にされている。固定デバイス100′′のベース部材108は、
図1~
図16の固定デバイス100について図示したのとで同じ構成を有している。ベース部材108の凹部(
図39~
図42には図示せず)は、回転部材112′を異なる半径方向位置でロックするための突起144′を受容するように構成されている。操作タブ146′は、
図1~
図16の操作タブ146について説明したのとで同じ方法で変形可能にされているので、使用者が回転部材112′の一部を弾性的に変形させることで突起144′をベース部材108の対応する凹部に対して係合および係合解除することを可能にされている。
図41および
図42は、固定スリーブ106が曲がりスリーブホルダ130′の保持チャネル132′内に受容されていることで、回転部材112′がベース部材108に対して互いに異なる半径方向位置でロックされた状態の固定デバイス100′を示す。
【0071】
曲がりスリーブホルダ130′の代替設計は、曲がり構成(折り曲げられた構成)において固定スリーブ106の保持を強化している。よって、使用中に固定スリーブ106が不注意に曲がりスリーブホルダ130′から外れてしまう虞は低いことが判明している。
【0072】
図39~
図42の固定デバイス100′′の代替の遠位カラー110′は、固定スリーブ106の遠位端を保持するべくウォーターフォール(滝)のようなデザインで構成されており、その特徴は
図43~
図49を参照すればより良く理解できるであろう。
【0073】
固定デバイス100′′の製造は、固定デバイス100′′の変更された遠位カラー110′を組み立てるための変更された処理を除いて、
図21~
図34に図示されて
図21~
図34を参照して説明された方法とで同様である。ここで、固定デバイス100′′の製造中の遠位カラー110′の組立を示す
図43~
図49を参照する。
図43は、構造シート154、ベース部材108、回転部材112′、固定スリーブ106、および曲がりスリーブホルダ130′、の中間アセンブリを備えている第2予備製品形態200′を示している。回転部材112′は、ベース部材108の延在部分114によって保持されているとともに、ベース部材108の延在部分114に対して回転可能にされている。第2予備製品形態200′は、
図1~
図16の固定デバイス100の製造中の
図29に図示された第2予備製品形態200とで同様である。
【0074】
図43は、
図39~
図42の固定デバイス100′′の遠位カラー110′の組立中に、第2予備製品形態200′の固定スリーブ106上に配置済のウォーターフォールカラー410を示す。
図43に示されるように、フレアリング(フレア加工)工具412の先端が、固定スリーブ106の遠位端部210に挿入される。
図44および
図45に示される順次処理に示されるように、フレアリング工具412を固定スリーブ106内に前進させることで固定スリーブ106の遠位端部210をフレアリング(フレア加工)する。フレアリング工具412の完全な前進によって
図45に示されるように固定スリーブ106の遠位端部210がフレア状に開いた後、
図45に示されるように、ウォーターフォールカラー410が固定スリーブ106のフレア状の遠位端部210に隣接して位置決めされることで、ウォーターフォールスリーブ414がフレアリング工具412上に前進するとともに固定スリーブ106のフレア状の遠位端部210に係合する。ウォーターフォールスリーブ414がウォーターフォールカラー410上をさらに前進させられると、
図46に図示されているように、固定スリーブ106のフレア状の遠位端部210がウォーターフォールカラー410の外方周りにウォーターフォール構成でウォーターフォールカラー(固定カラー)410上に折り畳まれることで、ウォーターフォールスリーブ414がウォーターフォールカラー410上に前進させられる。ウォーターフォールスリーブ414の前進端がウォーターフォールカラー410の底部リップ部分に隣接するまで、ウォーターフォールスリーブ414は、ウォーターフォールカラー410の遠位端部210の折り畳まれた部分を越えて前進させられる。次いで、
図47に示されるように、フレアリング工具412は、固定スリーブ106から取り外される。
図48に示されるように、ウォーターフォールリテーナ416は、次に、ウォーターフォールスリーブ414の上に配置されることで、ウォーターフォールカラー410に係合および連結されることで、固定デバイス100′′のための最終的に組立済の遠位カラー110′を形成する。遠位カラー110′の完成した構成は、
図49の部分断面図に図示されている。固定スリーブ106のフレア状の遠位端部210が折り重ねられてウォーターフォールカラー410とウォーターフォールスリーブ414との間に配置されているとともに、ウォーターフォールリテーナ416がウォーターフォールカラー410に係合している状態を示している。次いで、固定デバイス100′′の製造の完了は、
図34に図示されているのとで同様の吸収パッド150の追加によって進められ得、固定製品は、例えば、
図34に図示されているのとで同様の剥離可能裏打シート(228a,228b)によって提供されるような剥離可能裏打を追加することによって形成され得る。
【0075】
固定デバイス100′′は、
図18~
図20に図示された固定デバイス100′の構成とで同様に、圧縮保持器とで組合せることもできる。
図50を参照すると、
図39~
図49とでともに、圧縮保持器160′が遠位カラー110′および回転部材112′の延在部分114に係合することで、固定スリーブ106内に位置決めするための医療チューブ120の挿入を受けるべく、固定スリーブ106を通るチューブ通路116の断面積(通路断面積)が拡大済構成で、固定スリーブ106を圧縮済構成で保持する固定デバイス100′′が図示されている。圧縮保持器160′は、
図18~
図20の圧縮保持器160とで同様の設計であるが、医療処置中に患者に固定デバイス100′′を適用するべく、固定スリーブ106を圧縮済構成でより確実に保持するべく、遠位カラー110′上の対応する形状の上部突起の周りにスナップ止めするための上部の鍵穴カットアウトを備えている。
図50では、固定デバイス100′′′は、医療チューブ120が圧縮済構成で固定スリーブ106を通って配置済の状態で図示されている。
図51は、医療チューブ120を固定スリーブ106に固定するべく固定スリーブが延びていることで医療チューブ120を把持することを可能にする圧縮保持器160′の係合解除後の固定デバイス100′′′を示す。
【0076】
<例示的な実装の組合せ>
上記または本明細書の他の箇所で開示されるような追加的な特徴の有無にかかわらず、本開示の様々な態様に関する実装の組合せのいくつかの他の想定される実施形態は、以下に提示される番号付けされた段落(項目)、および添付の特許請求の範囲に要約される。
【0077】
<段落1>
いくつかの実施形態では、患者に挿入済のときに医療チューブを前記患者に固定するための固定デバイスが提供されており、前記固定デバイスは、
前記固定デバイスを前記患者の皮膚に取り付けるべく前記皮膚にインタフェース(接合)するように構成された取付パッドであって、好ましくは、前記取付パッドを前記皮膚の表面に接着するための接着面を有している前記取付パッドと、
近位端部と、前記近位端部の反対側の長手方向端部に遠位端部と、を有している可変長の固定スリーブであって、前記固定スリーブの前記近位端部に隣接する結合構造を介して前記取付パッドに結合される可変長の前記固定スリーブと、
前記患者に固定するべく前記医療チューブを受け入れるように構成されたチューブ通路であって、前記固定スリーブを通って長手方向に延在する前記チューブ通路と、
を備えており、
前記固定スリーブは、前記チューブ通路が通って延在する固定部を備えており、前記チューブ通路の長手方向経路を横切る前記固定部内の前記チューブ通路の通路断面積は、前記固定スリーブが短くなるにつれて拡大する一方で、前記固定スリーブが長くなるにつれて縮小しており、前記固定スリーブの長さは、前記固定部内の前記チューブ通路を通る並進のために前記医療チューブを受け入れるように前記通路断面積を拡大する一方で、前記医療チューブを前記固定デバイスに固定するべく前記固定部によって前記チューブ通路内の前記医療チューブを把持するように前記通路断面積を縮小するように調整可能にされている、
固定デバイス。
【0078】
<曲がりスリーブ保持器>(ベントスリーブリテーナ)
<段落2>
前記固定デバイスはさらに、前記固定スリーブとで選択的に係合可能かつ係合解除可能であって、前記固定スリーブを曲がり構成(ベントコンフィグレーション)に選択的に保持(リテイン)するかおよび保持しない曲がりスリーブホルダを備えており、
前記曲がり構成では前記固定スリーブは、チューブ通路(管パッセジ)が対応して曲げられる曲がり部(屈曲されるベンド)を有しており、好ましくは、前記曲がり構成では前記曲がり部は、前記曲がり部の遠位のスリーブの一部分を前記取付パッドに向かって付勢(バイアス)する、
段落1に記載の固定デバイス。
【0079】
<段落3>
前記曲がり構成において、前記固定スリーブは、前記固定スリーブの遠位端と近位端との間で、少なくとも60°、好ましくは少なくとも80°、一層好ましくは少なくとも90°、の角度だけ曲げられる(屈曲される、ベントされる)、
段落2に記載の固定デバイス。
【0080】
<段落4>
前記曲がり構成において、前記固定スリーブの前記固定部の少なくとも長手方向部分は曲げられている、
段落2または段落3に記載の固定デバイス。
【0081】
<段落5>
前記曲がりスリーブホルダは、前記固定スリーブが前記曲がりスリーブホルダに係合することで前記固定スリーブを前記曲がり構成に保持するときに、前記固定スリーブの前記固定部の少なくとも長手方向部分に係合する、
段落2~4のいずれか1項に記載の固定デバイス。
【0082】
<段落6>
前記曲がりスリーブホルダは可動部材(ムーバブルメンバー)を備えており、
前記可動部材は、
前記固定部(固定部材)が前記曲がり構成で保持(リテイン)されない第1構成(ファーストコンフィグレーション)と、
前記可動部材が前記曲がり構成で前記固定スリーブに接触(コンタクト)および付勢(バイアス)される第2構成と、
の間で移動可能にされている、
段落2~5のいずれか1項に記載の固定デバイス。
【0083】
<段落7>
前記固定デバイスはさらに、前記可動部材が第1構成から第2構成に再配置(リポジション)されたときに前記可動部材を前記第2構成に保持するように構成されたロックを備えている、
段落6に記載の固定デバイス。
【0084】
<段落8>
前記ロックは、前記可動部材の前記第2構成から前記第1構成への再位置決めを可能にするように選択的に解放可能にされている、
段落7に記載の固定デバイス。
【0085】
<段落9>
前記曲がりスリーブホルダは保持(リテイン)チャネルを備えており、前記保持チャネル内には、前記固定スリーブを前記曲がり構成に保持するべく前記固定スリーブの対応する部分が受容位置(レシーブドポジション)で受容可能(レシーバブル)にされている、
段落2~5のいずれか1項に記載の固定デバイス。
【0086】
<段落10>
前記曲がりスリーブホルダは可撓性タブを備えており、
前記可撓性タブは、前記固定スリーブの対応する部分が前記保持チャネルに挿入されることによって受容位置で前記保持チャネルに受容されるときに撓むことで前記固定スリーブを曲がり構成に保持する一方で、前記固定スリーブの対応する部分が前記保持チャネルから取り外されるときに撓むことで前記固定スリーブを前記曲がり構成から解放する、
段落9に記載の固定デバイス。
【0087】
<段落11>
前記可撓性タブは、および任意選択的に前記曲がりスリーブホルダの全体は、ポリマー構造材料、好ましくは熱可塑性エラストマー、から作製されており、
任意選択的に熱可塑性ポリウレタン、熱可塑性加硫物、およびこれらの組合せ、からなるグループから選択される、
段落10に記載の固定デバイス。
【0088】
<段落12>
前記可撓性タブは、および任意選択的に前記曲がりスリーブホルダの全体は、60~90ショアAデュロメータの範囲の硬度を有している構成材料から作製される、
段落10または段落11に記載の固定デバイス。
【0089】
<段落13>
前記曲がりスリーブホルダは、可撓性タブ部分を備えているチャネル部材を備えており、前記チャネル部材は構造材料から作製される、
段落11または12に記載の固定デバイス。
【0090】
<段落13.1>
前記保持チャネルは、前記取付パッドから離れる方を向いて開いている、
段落9~13のいずれか1項に記載の固定デバイス。
【0091】
<段落13.2>
前記保持チャネルは、前記取付パッドに面して開いている、
段落9~13のいずれか1項に記載の固定デバイス。
【0092】
<段落14>
前記曲がりスリーブホルダは、前記取付パッドに対して異なる半径方向位置(ラジアルポジション)に回転可能に装着(マウント、取り付け)されているとともに回転可能にされており、
好ましくは、前記曲がりスリーブホルダは、全ての前記半径方向位置で前記取付パッドから一定のスタンドオフを維持しており、
任意選択的に、異なる半径方向位置同士は、30度以下、好ましくは15度以下、任意選択的に少なくとも5度、の半径方向間隔で半径方向に離間されており、
好ましくは、前記固定スリーブの近位端は、前記取付パッドに対して固定位置に存在しており、
前記取付パッドに対する前記曲がりスリーブホルダの回転は、前記固定スリーブに対しても前記曲がりスリーブホルダを回転させる、
段落2~13.2のいずれか1項に記載の固定デバイス。
【0093】
<段落15>
複数の前記半径方向位置同士は、前記取付パッドを通るチューブ通路の長手方向軸線の周りで径方向に離間されている、
段落14に記載の固定デバイス。
【0094】
<段落16>
前記取付パッドは、使用中に前記患者の皮膚に面して配置される近位面(プロキシマルサイド)を有しており、
複数の前記半径方向位置同士は、前記取付パッドの前記近位面の面(フェース)に対して垂直な軸線の周りに半径方向に離間(スペース)されている、
段落14または段落15に記載の固定デバイス。
【0095】
<段落17>
前記曲がりスリーブホルダを複数の前記半径方向位置のうちの異なる位置に選択的にロックするための半径方向位置決めロックを備えている、
段落14から16のいずれか1項に記載の固定デバイス。
【0096】
<段落18>
前記曲がりスリーブホルダは、回転軸線を中心に少なくとも90度、好ましくは少なくとも180度、一層好ましくは少なくとも360度、回転可能にされている、
段落14~17のいずれか1項に記載の固定デバイス。
【0097】
<段落19>
前記固定デバイスはさらに、
ベース部材(基部メンバー)と、
前記ベース部材に対して回転可能にされている回転部材(ローテーティングメンバー)と、
を備えており、
前記曲がりスリーブホルダは前記回転部材上に支持されており、好ましくは、前記ベース部材は前記取付パッドに対して固定された配向(フィックスドオリエンテーション)を有しており、前記ベース部材に対する前記回転部材の回転は、前記取付パッドに対する前記回転部材の回転をももたらす、
段落14~18のいずれか1項に記載の固定デバイス。
【0098】
<段落20>
前記ベース部材および前記回転部材は、複数の前記半径方向位置のうちの異なる前記半径方向位置で前記回転部材の前記半径方向位置をロックするように選択的に係合可能にされている、対応する連動(インターロック)する第1ロック構造および第2ロック構造を備えている、
段落19に記載の固定デバイス。
【0099】
<段落21>
前記回転部材は、前記第1ロック構造および前記第2ロック構造を係合解除することで異なる前記半径方向位置同士間で前記曲がりスリーブホルダの再位置決めを可能にするように弾性的に変形可能にされている少なくとも一部分を有している、
段落20に記載の固定デバイス。
【0100】
<段落22>
前記回転部材、および任意選択的に前記ベース部材は、ポリマー構成材料で、好ましくは熱可塑性エラストマーで作製されており、任意選択的に熱可塑性ポリウレタン、熱可塑性加硫物、およびこれらの組合せ、からなるグループから選択されており、
前記回転部材および前記ベース部材の両方は、前記ポリマー構成材料で作製されており、
前記回転部材および前記ベース部材の前記各ポリマー構成材料の特性(例えば、硬度)は、同じであっても異なっていてもよい、
段落19~21のいずれか1項に記載の固定デバイス。
【0101】
<段落23>
前記回転部材は、および任意選択的に前記ベース部材は、60~90ショアAデュロメータの範囲の硬度を有している構成材料から作製される、
段落22に記載の固定デバイス。
【0102】
<段落24>
前記曲がりスリーブホルダおよび前記回転部材は、単一の成形部品内に、好ましくは単一の射出成形部品内に存在しており、好ましくは、単一の前記成形部品は単一の構成材料から作製される、
段落19~23のいずれか1項に記載の固定デバイス。
【0103】
<段落25>
前記ベース部材は、前記回転部材の開口(アパーチャ)を通って延在する延在部分(エクステンションポーション)を備えており、前記回転部材は、前記延在部分の周りを回転可能にされており、
任意選択的に、前記回転部材は、前記延在部分の外周の周りに延在する円形溝トラック内に保持されているとともに、前記円形溝トラックに対して回転可能にされている、
段落19~24のいずれか1項に記載の固定デバイス。
【0104】
<段落26>
前記ベース部材は、成形部品であり、好ましくは射出成形部品であり、
任意選択的に、前記ベース部材の前記成形部品は、単一の構成材料から作製される、
段落19~24のいずれか1項に記載の固定デバイス。
【0105】
<段落27>
前記曲がりスリーブホルダは、前記固定スリーブを前記曲がり構成に保持するように構成されており、前記固定スリーブ内の前記チューブ通路の全長は、前記取付パッドの近位面平面からのスタンドオフ距離内に配置されており、
前記固定部を通る前記チューブ通路の長手方向経路を横切る、前記固定部内の前記チューブ通路の最小挿入断面は、前記固定スリーブの長さが変動されるにつれてサイズが変動しており、前記最小挿入断面は、前記最小挿入断面のサイズが変動されるにつれて対応して変動する最大断面寸法(例えば、前記最小挿入断面が円形であるときの好ましい実装における直径)を有しており、
前記スタンドオフ距離は、前記固定スリーブを通る前記チューブ通路の最小挿入断面の弛緩状態最大断面寸法(リラックスドステートマキシマムクロスディメンション)の10倍以下、好ましくは7倍以下、一層好ましくは6倍以下であり、任意選択的に、前記弛緩状態最大断面寸法の好ましくは少なくとも3倍、さらには少なくとも4倍であり、
前記弛緩状態最大断面寸法は、前記固定スリーブが前記長手方向に加えられた圧縮または張力を受けていない弛緩状態であるときの前記最小挿入断面の最大断面寸法であり、理解されるように、前記弛緩状態の前記最大断面寸法は典型的には前記曲がり構成に対応しておらず、理解されるように、前記弛緩状態最大断面寸法は、典型的には、前記固定スリーブを前記固定部における固定のために受容するように設計されており、前記医療チューブの一部分の医療外方断面の最大医療外方断面寸法(例えば、直径)よりもわずかに小さいであろう一例では、5ミリメートル直径の前記医療チューブを保持するように設計されるスリーブのためのそのようなスタンドオフ距離は、好ましくは、約24ミリメートルであることができる、
段落2~26のいずれか1項に記載の固定デバイス。
【0106】
<圧縮保持器>(コンプレッションリテーナ)
<段落28>
前記固定デバイスはさらに、前記固定スリーブを圧縮済構成に保持するように配置済の圧縮保持器(圧縮保持具)を備えており、
前記固定スリーブの前記固定部が、前記長手方向に加えられた圧縮下であると、前記通路断面積は、前記通路断面積を通して前記医療チューブを受容するための拡張構成である、
段落1~27のいずれか1項に記載の固定デバイス。
【0107】
<段落29>
前記圧縮保持器は、前記固定部を通る前記チューブ通路を通して配置済のときに前記固定部が前記医療チューブを把持することを可能にするべく、前記固定部を前記長手方向に加えられた圧縮から解放することで前記固定スリーブを長くすることによって、前記拡張構成に対して前記通路断面積を収縮させるように操作可能にされている、
段落28に記載の固定デバイス。
【0108】
<段落30>
前記圧縮保持器は、前記固定部を前記長手方向に加えられた圧縮から解放することで、前記圧縮済構成に対して前記固定スリーブが長くなることによって、前記通路断面積が収縮することを可能にするべく取外可能にされている、
段落29に記載の固定デバイス。
【0109】
<段落31>
前記固定デバイスは、
前記固定スリーブの遠位端に隣接する遠位カラーと、
前記固定スリーブの近位端に隣接するベース構造と、
を備えており、
前記圧縮保持器は、前記遠位カラーおよび前記ベース構造に係合することで、前記固定スリーブを前記圧縮済構成に保持する、
段落28~30のいずれか1項に記載の固定デバイス。
【0110】
<段落32>
前記固定デバイスは、段落19~26のいずれか1項に記載の前記回転部材および前記ベース部材を備えており、
ベース構造は前記ベース部材を備えており、前記ベース部材は、前記回転部材の開口を通って延在する段落25に記載の前記延在部分を備えており、前記回転部材は前記延在部分の周りを回転可能にされており、
前記圧縮保持器は、前記固定スリーブが前記圧縮済構成であるときに前記延在部分に係合する、
段落28~31のいずれか1項に記載の固定デバイス。
【0111】
<段落33>
前記固定スリーブが圧縮済構成であるとき、前記固定スリーブを通るチューブ通路、好ましくは前記固定デバイスを通る前記チューブ通路、の全ては、真っ直ぐな長手方向構成に維持される、
段落28~32のいずれか1項に記載の固定デバイス。
【0112】
<段落34>
前記圧縮保持器が前記固定スリーブを前記圧縮済構成から解放するように操作されると、前記チューブ通路が直線長手方向構成から解放されるので、前記固定スリーブは、前記チューブ通路を通して配置済のときに前記医療チューブを曲げる(屈曲させる)べく、前記チューブ通路内に対応する曲がり部を生成するように曲がりやすく(屈曲しやすく)なる、
段落33に記載の固定デバイス。
【0113】
<段落35>
前記固定スリーブは、前記固定スリーブを通る前記チューブ通路内に何も配置されていない状態で前記固定スリーブが前記圧縮済構成から解放されたときに解放構成(リリースドコンフィグレーション)を有しており、前記固定スリーブの前記長さは、前記圧縮済構成よりも前記解放構成において一層大きく、
前記固定部を通る前記チューブ通路の長手方向経路を横切る、前記固定部内の前記チューブ通路の最小挿入断面(ミニマムインサートクロスセクション)は、前記固定スリーブの前記長さが変動されるにつれて変動しており、前記最小挿入断面は、前記解放構成よりも前記圧縮済構成において大きい、
段落28~34のいずれか1項に記載の固定デバイス。
【0114】
<段落36>
前記圧縮済構成において、前記最小挿入断面は、前記解放構成におけるよりも少なくとも10パーセント大きい、
段落35に記載の固定デバイス。
【0115】
<段落37>
前記最小挿入断面(ミニマムインサートクロスセクション)は最大断面寸法(マキシマムクロスディメンション)を有しており、好ましくは、前記最小挿入断面は円形であり、前記最大断面寸法は前記円形の最小挿入断面の直径であり、
前記解放構成において、前記解放構成における前記最小挿入断面の前記最大断面寸法は、前記圧縮済構成の場合よりも少なくとも0.5ミリメートルだけ小さく、好ましくは少なくとも1.0ミリメートルだけ小さく、一層好ましくは少なくとも1.5ミリメートルだけ小さく、任意選択的に、前記圧縮済構成よりも4ミリメートル以下だけ小さく、代替的に任意選択的に3ミリメートル以下だけ小さく、
任意選択的に、前記最小挿入断面の前記最大断面寸法は、前記固定スリーブが前記圧縮済構成であるときに2.5~26ミリメートルの範囲内である、
段落35または段落36に記載の固定デバイス。
【0116】
<段落38>
前記最小挿入断面は最大断面寸法を有しており、好ましくは、前記最小挿入断面は円形であり、前記最大断面寸法は円形の前記最小挿入断面の直径であり、
前記最小挿入断面は、前記圧縮済構成において前記医療チューブの対応する外方断面(アウタークロスセクション)としての医療外方断面を受容する一方で、前記解放構成において保持するように構成されており、前記医療外方断面は、最大外方断面寸法(マキシマムアウタークロスディメンション)としての最大医療外方断面寸法(例えば、円形外方断面を有している好ましい前記医療チューブの外径)を有しており、
前記解放構成では、前記最小挿入断面の前記最大断面寸法は、前記医療チューブの前記医療外方断面の前記最大医療外方断面寸法よりも少なくとも0.5ミリメートルだけ小さく、好ましくは少なくとも1.0ミリメートルだけ小さく、一層好ましくは少なくとも1.5ミリメートルだけ小さく、任意選択で前記医療チューブの前記医療外方断面の最大医療外方断面寸法よりも4ミリメートル以下だけ小さく、または代替的に任意選択で3ミリメートル以下だけ小さい、
段落35~37のいずれか1項に記載の固定デバイス。
【0117】
<近位スリーブ継手>(プロキシマルスリーブカップリング)
<段落39>
前記取付パッドへの前記固定スリーブの継手(結合部、カップリング)は、第1固定部材(セキュアメントメンバー)と第2固定部材との間に挟まれた前記固定スリーブのフレア状近位端材料を備えており、
任意選択的に、前記固定スリーブの前記フレア状近位端材料は、前記固定スリーブの隣接する非フレア状部分に対して少なくとも75度、好ましくは少なくとも90度、の角度でフレア状になっており、
好ましくは、前記固定スリーブの前記フレア状近位端材料は、前記第1固定部材および前記第2固定部材の対向する表面同士間に、好ましくは対向する平行な表面同士間に、挟まれている、
段落1~38のいずれか1項に記載の固定デバイス。
【0118】
<段落40>
前記固定スリーブの前記フレア状近位端材料は、任意選択的に前記第1固定部材と前記第2固定部材との間に配置済の接着剤によって、前記第1固定部材および前記第2固定部材のうちの少なくとも一方に、好ましくは両方に、接着される、
段落39に記載の固定デバイス。
【0119】
<段落41>
前記固定デバイスは、前記第1固定部材と前記第2固定部材との間に配置済の接着剤を備えており、前記接着剤は感圧性接着剤であり、任意に、前記感圧性接着剤は、アクリル接着剤、シリコーン接着剤、およびこれらの組合せ、からなるグループから選択される、
段落40に記載の固定デバイス。
【0120】
<段落42>
前記接着剤は、
前記第1固定部材の第1表面と、前記第2固定部材の第2表面と、からなるグループから選択される少なくとも1つの表面に適用される接着剤層であって、好ましくは前記接着剤層は感圧接着剤を備えている、前記接着剤層を備えており、
任意選択で、前記接着剤は、
前記第1固定部材の前記第1表面上に存在しているとともに前記固定スリーブの前記フレア状近位端(端部)材料に向かって配置済の第1接着剤層と、
前記第2固定部材の対向する前記第2表面上の第2接着剤層と、
を備えており、
前記第1接着剤層および前記第2接着剤層は、任意選択的に同じ接着剤組成物のものであり、あるいは任意選択的に異なる接着剤組成物のものであり、好ましくは前記第1接着剤層および前記第2接着剤層の各々は感圧性接着剤を備えている、
段落40または段落41に記載の固定デバイス。
【0121】
<段落43>
前記第1固定部材は前記取付パッドである、
段落39~42のいずれか1項に記載の固定デバイス。
【0122】
<段落44>
前記第2固定部材は、段落19~26のいずれか1項に記載の前記ベース部材である、
段落39~43のいずれか1項に記載の固定デバイス。
【0123】
<遠位カラーアセンブリ>
<段落45>
前記固定スリーブの遠位端部は、遠位カラーアセンブリによって保持される、
段落1~44のいずれか1項に記載の固定デバイス。
【0124】
<段落46>
前記遠位カラーアセンブリは、
前記固定スリーブの遠位端部の内方に配置済のカラーニップルを有しているカラー部材と、
前記固定スリーブの前記遠位端部の上に配置されているとともに前記遠位端部のスリーブ壁を前記カラーニップルに向かって付勢する保持部材と、
を備えている、
段落45に記載の固定デバイス。
【0125】
<段落46.1>
前記遠位カラーアセンブリは、ウォーターフォール固定構成を備えている、
段落45に記載の固定デバイス。
【0126】
<段落46.2>
前記遠位カラーアセンブリは、ウォーターフォール(滝)カラーを備えており、
前記ウォーターフォールカラーを通して前記固定スリーブの一部は配置されており、前記固定スリーブのフレア状遠位端部は前記ウォーターフォールカラーの外方に折り重ねられる、
段落46.1に記載の固定デバイス。
【0127】
<段落46.3>
前記遠位カラーアセンブリは、前記ウォーターフォールカラーの少なくとも一部の上に配置済のウォーターフォールスリーブを備えており、
前記固定スリーブの前記フレア状遠位端部は前記ウォーターフォールカラーの外部の上に折り畳まれるか、または
前記ウォーターフォールカラーは前記ウォーターフォールカラーと前記ウォーターフォールスリーブとの間に配置される、
段落46.2に記載の固定デバイス。
【0128】
<段落46.4>
前記遠位カラーアセンブリは、前記ウォーターフォールスリーブの上に配置されているとともに前記ウォーターフォールカラーに係合されるウォーターフォールリテーナを備えている、
段落46.3に記載の固定デバイス。
【0129】
<段落47>
前記固定デバイスはさらに、段落28~38のいずれか1項に記載の前記圧縮保持器を備えており、前記圧縮保持器は前記遠位カラーアセンブリに係合した状態で、前記固定スリーブを圧縮済構成に保持する、
段落45~46.4のいずれか1項に記載の固定デバイス。
【0130】
<取付パッドおよび吸収部>
<段落48>
前記取付パッドは、前記固定デバイスの使用中に滲出液を吸収するように構成された吸収部(アブソーベントポーション)を備えており、
任意選択的に、前記取付パッドは構造シートを備えており、前記固定デバイスの使用中に前記患者から離れて配置される前記吸収部の遠位面は前記構造シートによって覆われており、さらに任意選択的に、前記取付パッドは、前記患者の前記皮膚への前記取付パッドの接着のために前記構造シートの近位面の少なくとも一部の上に接着剤を備えている、
段落1~47のいずれか1項に記載の固定デバイス。
【0131】
<段落49>
前記チューブ通路は、前記吸収部内の開口を通って延在している、
段落48に記載の固定デバイス。
【0132】
<段落50>
前記吸収部は、前記固定デバイスが前記患者に取り付けられたときに前記患者に向かって配置される近位面を有しており、任意選択的に、前記吸収部の前記近位面は、前記固定デバイスが前記患者の前記皮膚に取り付けられたときに前記患者に流体連通している流体連通面であって、任意選択的に前記患者に接触する流体連通面を備えている、
段落48または段落49に記載の固定デバイス。
【0133】
<段落51>
前記取付パッドは、前記取付パッドを前記患者の前記皮膚に接着するための接着面を備えており、任意選択で、前記接着面は、前記患者に向かって配置されるように構成された前記吸収部の前記近位面の外周の周りで完全に接着パッドを前記皮膚に接着するように構成されている、
段落48~50のいずれか1項に記載の固定デバイス。
【0134】
<段落52>
前記取付パッドは、前記吸収部の前記近位面の少なくとも一部を覆う接着剤の穿孔層(穿孔された層)を備えており、
前記接着剤の前記穿孔層を通る穿孔は、前記接着剤の前記穿孔層にわたって流体連通通路を提供しており、前記取付パッドが前記患者の前記皮膚に取り付けられたときに前記吸収部によって吸収されるべき前記接着剤の前記穿孔層にわたって前記患者からの滲出液の流体連通を提供する、
段落51に記載の固定デバイス。
【0135】
<段落53>
前記吸収部は、前記吸収部の重量に対する0.9%重量/体積の生理食塩水(等張生理食塩水)の飽和までの吸収として決定される、少なくとも500重量%の吸収能力を有している、
段落48~52のいずれか1項に記載の固定デバイス。
【0136】
<段落54>
前記吸収部は、親水性ポリマー、天然繊維(例えば、綿)、吸湿性ゲル(例えば、ヒドロゲル)、およびそれらの組合せ、からなるグループから随意に選択される吸収性材料を備えている、
段落48~52のいずれか1項に記載の固定デバイス。
【0137】
<段落55>
前記吸収部は、0.9%重量/体積の生理食塩水(等張生理食塩水)の飽和までの吸収として決定される、少なくとも1ミリリットルを吸収する吸収能力を有している、
段落48~54のいずれか1項に記載の固定デバイス。
【0138】
<段落56>
前記吸収部は、前記患者の前記皮膚に向かって配置されるように構成された近位面を備えており、
好ましくは、前記固定デバイスが前記皮膚に取り付けられたときに、前記近位面の少なくとも一部が前記皮膚に接触するように構成されている、
段落48~55のいずれか1項に記載の固定デバイス。
【0139】
<段落57>
前記吸収部の前記近位面は、少なくとも4平方センチメートル、任意選択的に最大18平方センチメートル、の表面積を有している、
段落56に記載の固定デバイス。
【0140】
<段落58>
任意選択で、前記取付パッドには、前記吸収部の近位面の任意の部分を覆う接着剤が存在せず、
代替的に任意選択的に、前記取付パッドは、前記吸収部の前記近位面の一部分を覆うが別の部分を覆わない接着剤を備えており、好ましくは、この代替的な選択肢では、前記近位面の一部分の上の前記接着剤は、前記近位面上の前記接着剤の穿孔層内に存在しており、前記接着剤の前記穿孔層を通る穿孔は、前記接着剤によって覆われていない前記近位面の他の部分の一部または全部を備えており、前記接着剤の前記穿孔層を通る前記穿孔は、前記接着剤の前記穿孔層を横切って前記吸収部の前記近位面への流体連通を提供しており、前記取付パッドが前記患者の前記皮膚に取り付けられたときに、前記接着剤の前記穿孔層を横切る前記患者からの滲出液の流れが前記吸収部によって吸収されることを可能にする、
段落56または段落57に記載の固定デバイス。
【0141】
<段落59>
前記近位面は、円形の外周を有している、
段落56~58のいずれか1項に記載の固定デバイス。
【0142】
<段落60>
前記固定デバイスはさらに、前記チューブ通路のために前記吸収部の前記近位面に開口を備えている、
段落56~59のいずれか1項に記載の固定デバイス。
【0143】
<段落61>
前記近位面は、前記吸収部を通る前記チューブ通路の前記長手方向に対して垂直な平面内に延在している、
段落56~60のいずれか1項に記載の固定デバイス。
【0144】
<段落61.1>
前記吸収部は抗菌剤を備えており、
任意選択的に、前記吸収部は、前記取付パッドが前記患者の前記皮膚に取り付けられたときに、前記患者と前記抗菌剤との間で流体連通するように構成されている、
段落48~61までのいずれか1項に記載の固定デバイス。
【0145】
<段落61.2>
前記取付パッドは、任意選択的に前記取付パッドの接着剤層中に抗菌剤を備えている、
段落1~61.1のいずれか1項に記載の固定デバイス。
【0146】
<段落61.3>
前記取付パッドは、前記患者の前記皮膚に取り付けられた状態で、前記患者と前記抗菌剤との間で流体連通するように構成されている、
段落61.2に記載の固定デバイス。
【0147】
<他のスリーブの特徴>
<段落62>
前記取付パッドに連結されると前記固定スリーブの近位端は、前記取付パッドに対して固定位置(フィックスドポジション)を有しており、
任意選択的に、前記固定スリーブの遠位端は、前記取付パッドに対して固定位置を有さない、
段落1~61.3のいずれか1項に記載の固定デバイス。
【0148】
<段落63>
前記固定スリーブは、前記通路断面積の最大断面寸法(例えば、円形断面の直径)を、前記通路断面積の最大拡張サイズに対して少なくとも10パーセントだけ変化させるように構成されている、
段落1~62のいずれか1項に記載の固定デバイス。
【0149】
<段落64>
前記固定スリーブは、前記通路断面積の最大断面寸法(例えば、円形断面の直径)を、少なくとも1ミリメートルだけ、好ましくは少なくとも1.5ミリメートルだけ、変化させるように構成されている、
段落1~63のいずれか1項に記載の固定デバイス。
【0150】
<段落65>
前記固定スリーブは、前記医療チューブの前記長手方向を横切る最大医療外方断面寸法を有している前記医療チューブの一部を、前記固定部内に保持するように構成されており、好ましくは、前記医療チューブの医療外方断面は円形断面であり、前記最大医療外方断面寸法は前記医療チューブの前記円形断面の外径であり、
前記固定スリーブは、通路断面積の最大断面寸法(例えば、円形断面の直径)を、少なくとも、前記最大医療外方断面寸法よりも少なくとも1ミリメートルだけ小さい、任意選択的に少なくとも1.5ミリメートルだけ小さい、下限から、前記最大医療外方断面寸法よりも少なくとも1ミリメートルだけ大きい、任意選択的に少なくとも1.5ミリメートルだけ大きい、上限を有している範囲にわたって変化させるように構成されており、
任意選択的に、前記下限は、前記最大医療外方断面寸法よりも2ミリメートル以下だけ小さく、
任意選択的に、前記上限は、前記最大医療外方断面寸法よりも2ミリメートル以下だけ大きい、
段落1~64のいずれか1項に記載の固定デバイス。
【0151】
<段落66>
前記チューブ通路の通路断面積は円形である、
段落1~65のいずれか1項に記載の固定デバイス。
【0152】
<段落67>
前記固定スリーブの前記固定部は、(例えば、編組、織成、編成、鉤針編み、結節、タット編み、フェルト編み、または交絡繊維による結合構造、を有している)布地(テキスタイル)で作製されており、
任意選択で、前記固定部は、抗菌剤および/または消毒剤からなるグループから選択される衛生構成要素でコーティングされており、かつ/または前記衛生構成要素を放出するようにドープされる、
段落1~66のいずれか1項に記載の固定デバイス。
【0153】
<段落68>
前記布地は、金属材料、ポリマー材料、およびそれらの組合せ、からなるグループから選択される構成材料から作製されており、
好ましくは、前記構成材料は、ポリマー材料を備えており、任意選択的に、前記構成材料は、ポリエチレンテレフタレート、ナイロン、およびポリエステル、からなるグループから選択されるポリマー材料を備えている、
段落67に記載の固定デバイス。
【0154】
<段落69>
前記固定スリーブは、前記医療チューブの前記長手方向を横切る最大医療外方断面寸法を有している前記医療チューブの一部分を前記固定部内に保持するように構成されており、好ましくは、前記医療チューブは円形断面を有しており、医療外方断面寸法は前記円形断面の外径であり、
前記固定スリーブの前記固定部は、前記固定スリーブに沿って前記長手方向に、前記最大医療外方断面寸法の少なくとも5倍、好ましくは少なくとも10倍、一層好ましくは少なくとも12倍、任意選択的に前記最大医療外方断面寸法の30倍まで、好ましくは25倍まで、一層好ましくは20倍まで、の長さを有しており、外径は5ミリメートルの前記医療チューブの1つの好ましい範囲は6~10センチメートルである、
段落1~68のいずれか1項に記載の固定デバイス。
【0155】
<製品およびキット>
<段落70>
医療チューブ固定製品としての製品であって、前記製品は、
前記取付パッドが、前記取付パッドを前記患者の前記皮膚に接着するように構成された前記接着面を備えている、段落1~69のいずれか1項に記載の固定デバイスと、
前記接着面に接着されるとともに前記接着面を覆う剥離可能裏材(ピーラブルバッキング)であって、前記患者の前記皮膚への前記取付パッドの接着のために前記接着面を露出させるように前記接着面から剥がされるように構成されている前記剥離可能裏材と、
を備えており、
任意選択的に、前記接着面はアクリル接着剤を備えており、任意選択的に、接着剤には抗菌剤が含浸される、
製品。
【0156】
<段落71>
前記固定デバイスは、段落56~61.1のいずれか1項に記載の吸収部を備えており、剥離可能裏材は前記吸収部の近位面を覆い、前記剥離可能裏材が接着面から剥離されたときに前記剥離可能裏材は前記吸収部の前記近位面の少なくとも一部を、任意選択で全部を、露出させるように構成されており、
任意選択で、前記剥離可能裏材は前記吸収部に接触する、
段落70に記載の製品。
【0157】
<段落72>
前記取付パッドの接着剤表面は、少なくとも25平方センチメートル、好ましくは少なくとも45平方センチメートル、好ましくは90平方センチメートル、の上限を有している範囲の、接着剤パッドの表面積に等しい表面積を有している、
段落70または段落71に記載の製品。
【0158】
<段落73>
前記剥離可能裏材は、吸収部の近位面に接着されていない、
段落70~72のいずれか1項に記載の製品。
【0159】
<段落74>
前記製品はさらに、前記取付パッドの接着面に接着された前記剥離可能裏材を有している前記固定デバイスが配置済の気密封止された筐体を備えており、
好ましくは、前記筐体内の前記固定デバイスおよび前記筐体内の内部環境は無菌である、
段落70~73のいずれか1項に記載の製品。
【0160】
<段落75>
医療チューブ固定(セキュアメント)キット、任意選択的に医療排液チューブ(ドレーン管)固定キット、としてのキットであって、前記キットは、
段落1~69のいずれか1項に記載の固定デバイスであって、任意選択的に、段落70~74のいずれか1項に記載の医療チューブ固定製品に含まれるか、代替的に、任意選択的に、段落70~74のいずれか1項に記載の前記医療チューブ固定製品に含まれない、前記固定デバイスと、
以下の(i)~(x)からなるグループから選択される少なくとも1つの追加構成要素と、
を備えており、(i)~(x)は、
(i)前記固定スリーブの前記固定部内の前記チューブ通路の前記通路断面積が拡張構成(エクスパンデッドコンフィグレーション)であるときに前記チューブ通路を通って並進可能(トランスレータブル)にされている医療チューブであって、前記固定スリーブの前記固定部内の前記チューブ通路の前記通路断面積が収縮構成(コントラクテッドコンフィグレーション)であるときに前記固定部によって把持および保持されるように構成された前記医療チューブと、任意選択的に前記医療チューブのための導入トロカールと、
(ii)組織を貫通することで、前記固定デバイスによって固定される前記医療チューブの挿入のためにサイズ決定済の手術経路を提供するように構成された組織貫通器具(テッシュペネトレーションインスツルメント)であって、任意選択的に、トロカール、腱パサー、およびそれらの組合せ、からなるグループから選択される前記組織貫通器具と、
(iii)前記固定デバイスによって固定される前記医療チューブの遠位端に流体接続されることで、前記医療チューブを通って排出される生物学的流体を収集するように構成された流体収集システムであって、任意選択的に、前記流体収集システムは、収集された生物学的流体を収集および保持するように構成された収集容器を備えており、代替的または追加的に、任意選択的に、前記流体収集システムは、最初に生物学的流体を収集するとともに、前記生物学的流体を排出容器から(任意選択的に別の流体容器内に)排出しており、真空吸引を前記医療チューブに適用するように圧縮可能にされているように構成された流体排出容器(例えば、HEMOVAC(登録商標)小型排出器などの弁排出器またはベローズ型排出器)を備えている、前記流体収集システムと、
(iv)前記固定デバイスによって固定される医療ドレーンの挿入の前に、またはその結果として、滲出液を吸収するように構成されており、任意選択的に、前記固定デバイスの吸収部に関して説明される任意の1つまたは複数の特徴を有している、吸収パッド(前記固定デバイスとは別個)と、
(v)前記医療チューブが前記固定デバイスによって固定されるように挿入される前記患者の位置の周囲を洗浄するための消毒ワイプ(例えば、アルコールワイプ)と、
(vi)前記固定デバイスの前記取付パッドの取り付けのために前記患者の前記皮膚を準備するための、任意選択的に、前記固定デバイスの前記取付パッドと前記皮膚との間の向上した接着のために前記皮膚を準備するための、皮膚準備ワイプと、
(vii)前記固定スリーブを前記圧縮済構成に保持するべく所定位置に存在しているか否かにかかわらず、段落28~38および47のいずれか1項に記載の前記圧縮保持器(例えば、前記圧縮保持器は、前記固定デバイスとは別個の構成要素として前記キットに含まれることができ、前記固定スリーブを前記圧縮済構成に保持するべく必要に応じて前記固定デバイス上に設置されることができ、または前記キットは、前記固定スリーブが前記圧縮済構成に保持された状態で予め設置された前記圧縮保持器を備えている前記固定デバイスを備えていることができる)と、
(viii)前記皮膚への前記取付パッドの接着を補助するべく前記皮膚に適用するための、任意選択的にワイプ中またはアンプル中の、接着構成要素(例えば、ベンゾイン含有製剤、Mastosol(登録商標)液体接着剤)と、
(ix)前記固定デバイスが前記皮膚に取り付けられているかまたは取り付けられることになる場所(ウェア)の近傍における前記患者の前記皮膚の抗菌処理のための抗菌剤であって、任意選択的に、クリーム、軟膏、ワイプ、およびこれらの組合せ、からなるグループから選択される形態で提供される前記抗菌剤と、
(x)(i)~(ix)のいずれかの2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、または9つ、の組合せと、
である、キットであって、(i)~(ix)のいずれかの構成要素が前記キットに含まれる場合、前記キットは、少なくとも1つのそのような構成要素を備えているが、複数のそのような構成要素(例えば、複数の吸収パッド、消毒用拭き取り用品、皮膚前処理用拭き取り用品、接着成分を有しているアンプルもしくは拭き取り用品、または抗菌剤を有している拭き取り用品もしくは他の形態)を含み得る、キット。
【0161】
<段落76>
前記医療チューブは、前記チューブ通路を通して配置される、
段落75に記載のキット。
【0162】
<段落77>
前記固定部の断面積は、前記医療チューブが前記固定スリーブの固定部によって把持および保持されていない拡張構成である、
段落76に記載のキット。
【0163】
<段落78>
前記固定部の断面積は、前記医療チューブが前記固定スリーブの固定部によって把持および保持された状態の収縮構成である、
段落76に記載のキット。
【0164】
<段落79>
前記医療チューブは、少なくとも7ニュートンの、好ましくは少なくとも10ニュートンの、前記固定部の遠位端の遠位面で前記医療チューブに加えられる引張荷重まで、前記固定部によって保持される、
段落78に記載のキット。
【0165】
<段落80>
前記固定スリーブは、前記固定スリーブの曲がり部(屈曲部、ベンド)を有している曲がり構成(屈曲構成、ベントコンフィグレーション)に保持されており、
前記固定スリーブの前記曲がり部は、
前記固定スリーブを通る前記チューブ通路の対応する曲がり部(ベンド)と、
前記チューブ通路を通って配置済の前記医療チューブの対応する曲がり部(ベンド)と、
を生成している、
段落79に記載のキット。
【0166】
<段落81>
前記チューブ通路の前記曲がり部の少なくとも一部は、前記固定スリーブの前記固定部に存在しており、
前記固定部は、前記医療チューブの前記曲がり部を把持および保持する、
段落80に記載のキット。
【0167】
<段落82>
前記曲がり構成において、前記医療チューブは、少なくとも10ニュートンの、好ましくは少なくとも15ニュートンの、前記固定部の遠位端の遠位面で前記医療チューブに加えられる引張荷重まで、前記固定部によって保持される、
段落81に記載のキット。
【0168】
<段落83>
前記固定スリーブは、前記曲がり構成に保持されることから解放可能にされており、
前記曲がり構成では前記医療チューブは、前記固定部によって、前記固定スリーブが前記曲がり構成から解放されるときの対応する印加引張荷重よりも少なくとも20パーセント大きい、好ましくは少なくとも30パーセント大きい、任意選択的に、前記固定スリーブが曲がり構成から解放されるときの対応する前記印加引張荷重よりも100パーセント大きくない、前記医療チューブに印加される引張荷重まで保持される、
段落81または段落82に記載のキット。
【0169】
<段落84>
前記固定スリーブは、段落2~27のいずれか1項に記載の固定デバイスの前記曲がりスリーブホルダに係合されており、
前記曲がりスリーブホルダは前記固定スリーブを曲がり構成に保持する、
段落83に記載のキット。
【0170】
<使用方法>
<段落85>
固定デバイスを用いることで、医療チューブを患者に固定する方法であって、
前記固定デバイスは、可変長の固定スリーブと、固定のために前記医療チューブを受け入れるための前記固定スリーブを通るチューブ通路と、を有しており、
前記固定スリーブは固定部を備えており、前記固定部において前記チューブ通路の長手方向経路を横切る前記チューブ通路の通路断面積は、前記固定スリーブが短くなるにつれて拡大する一方で、前記固定スリーブが長くなるにつれて縮小しており、前記固定スリーブの長さは、前記チューブ通路を通る並進のために前記医療チューブを受け入れるべく通路断面積を拡大する一方で、前記医療チューブを前記固定デバイスに固定するべく前記固定部において前記チューブ通路内で前記医療チューブを把持するべく通路断面積を縮小するように調整可能にされており、前記方法は、
前記医療チューブが前記チューブ通路を通って前記患者の体内に延在している状態で、前記固定スリーブの前記固定部で前記チューブ通路内の前記医療チューブを把持する工程を備えており、
任意選択的に、前記固定デバイスは、段落1~69のいずれか1項に記載のものであり、
さらに任意選択的に、前記固定デバイスは、段落70~84のいずれか1項に記載の製品またはキットで提供される、
方法。
【0171】
<段落86>
前記方法はさらに、前記医療チューブがチューブ通路内の前記固定部によって把持された状態で、前記固定スリーブを曲がり構成に曲げることで、前記固定スリーブ内の前記チューブ通路内の前記医療チューブに対応する曲がり部を付与する工程を備えている、
段落85に記載の方法。
【0172】
<段落87>
前記曲がり構成では、前記固定スリーブ、および前記固定スリーブ内の前記チューブ通路内の前記医療チューブは、前記固定スリーブの長手方向端部同士間で少なくとも60°、好ましくは少なくとも80°、一層好ましくは少なくとも90°、の角度だけ曲げられる、
段落86に記載の方法。
【0173】
<段落88>
前記方法はさらに、前記医療チューブが前記固定スリーブを通って配置済の状態で、前記固定スリーブを前記曲がり構成で固定する工程を備えている、
段落86または段落87に記載の方法。
【0174】
<段落89>
前記固定デバイスは、前記固定スリーブとで選択的に係合可能および係合解除可能であって、前記固定スリーブを前記曲がり構成に選択的に保持するおよび保持しない曲がりスリーブホルダを備えており、
前記固定スリーブを前記曲がり構成で固定する前記工程は、前記固定スリーブを前記曲がり構成に保持するべく、前記固定スリーブを前記曲がりスリーブホルダに係合させる工程を備えている、
段落88に記載の方法。
【0175】
<段落90>
前記曲がりスリーブホルダは、段落2~27のいずれか1項に記載のものである、
段落89に記載の方法。
【0176】
<段落91>
前記方法はさらに、前記固定スリーブに対する前記曲がりスリーブホルダの半径方向位置を、好ましくは少なくとも5°の半径方向距離だけ、任意選択的に曲がる前に調整する工程を備えている、
段落89~90のいずれか1項に記載の方法。
【0177】
<段落92>
前記曲がりスリーブホルダの前記半径方向位置を調整する前記工程は、前記固定スリーブを前記曲がり構成に固定するべく前記固定スリーブを前記曲がりスリーブホルダに係合させる前に行なわれる、
段落91に記載の方法。
【0178】
<段落93>
前記半径方向位置を調整する前記工程は、前記固定スリーブの前記固定部でチューブ通路内の前記医療チューブを把持する工程の前に実行される、
段落91または段落92に記載の方法。
【0179】
<段落94>
前記半径方向位置を調整する前記工程は、前記医療チューブが前記固定スリーブの前記固定部によって前記チューブ通路内に把持中に行なわれる、
段落91または段落92に記載の方法。
【0180】
<段落95>
前記半径方向位置を調整する前記工程は、
段落19~26のいずれか1項に記載の前記固定デバイスの前記ベース部材に対して、前記回転部材を回転させる工程を備えている、
段落91~94のいずれか1項に記載の方法。
【0181】
<段落96>
前記方法はさらに、前記半径方向位置を調整した後に、前記固定デバイスの半径方向位置決めロックを用いることで、選択済の前記半径方向位置の適所に前記曲がりスリーブホルダをロックする工程を備えており、
任意選択で、前記曲がりスリーブホルダをロックする前記工程は、段落20または段落21に記載の前記ベース部材および前記回転部材の対応する連動(インターロック)する第1ロック構造および第2ロック構造の選択的係合を備えている、
段落91~95のいずれか1項に記載の方法。
【0182】
<段落97>
前記固定スリーブは、前記医療チューブが前記患者の前記身体に入る場所に向かって配置済の近位端と、前記近位端の反対側の遠位端と、を有しており、
前記固定スリーブ内の前記医療チューブの一部は、前記医療チューブの前記長手方向に対して横方向の最大断面寸法(例えば、円形チューブの外径)を有しており、前記曲がり構成では、チューブ内の曲がり部(屈曲部)の遠位の前記固定スリーブ内の前記チューブ通路内の前記医療チューブの少なくとも一部は、好ましくは全体は、最大医療外方断面寸法の10倍以下、好ましくは7倍以下、一層好ましくは6倍以下、の前記患者の身体からのスタンドオフ距離内に保持されており、任意選択的に、前記スタンドオフ距離は、前記最大医療外方断面寸法の少なくとも3倍、または更には少なくとも4倍、である、
段落86~96のいずれか1項に記載の方法。
【0183】
<段落98>
前記方法はさらに、前記曲がり構成から前記固定スリーブを解放する工程を備えている、
段落88~97のいずれか1項に記載の方法。
【0184】
<段落99>
前記方法はさらに、前記固定スリーブを前記曲がり構成から解放した後に、前記長手方向に加えられる圧縮を前記固定部に加えることで、前記医療チューブを前記固定部によって把持された状態から解放する工程を備えている、
段落98に記載の方法。
【0185】
<段落100>
前記方法はさらに、前記長手方向に加えられる圧縮を加えている間に、前記医療チューブを前記患者および前記固定スリーブから取り外す工程を備えており、
前記方法は任意選択で、前記医療チューブを除去した後に、前記固定デバイスを前記患者から取り外す工程を備えている、
段落99に記載の方法。
【0186】
<段落101>
前記方法はさらに、
前記固定デバイスを前記患者から取り外す工程と、
前記医療チューブが前記固定スリーブの前記固定部によって把持中に前記医療チューブを前記患者の内部から除去する工程と、
を備えており、
前記方法は、任意選択的に、
前記医療チューブを取り外す間、さらに任意選択的に前記医療チューブを除去中、前記医療チューブは、段落86~97のいずれか1項に記載の曲がり構成で保持される工程と、
前記医療チューブを取り外す前、段落86~97のいずれか1項に記載の前記曲がり構成であった前記医療チューブは、前記曲がり構成から解放される工程であって、前記医療チューブを取り外す間、さらに任意選択で、前記医療チューブを取り外す間、前記医療チューブは、前記曲がり構成にない、前記医療チューブは前記曲がり構成から解放される前記工程と、
からなるグループから選択されるメンバーを備えている、
段落85~98のいずれか1項に記載の方法。
【0187】
<段落102>
前記方法はさらに、前記長手方向に適用される圧縮を適用した後に、以下の(i)~(iii)からなるグループから選択される手順を実施する工程を備えており、(i)~(iii)は、
(i)前記患者内の前記医療チューブの位置を調整するべく、前記医療チューブを前記固定部内に再配置するとともに、再配置済の前記医療チューブを前記固定部で把持する工程であって、次いで、再配置済の前記医療チューブとともに前記固定スリーブを曲げるとともに、前記固定スリーブを前記曲がり構成に固定する、前記医療チューブを前記固定部で把持する前記工程と、
(ii)前記医療チューブを前記患者および前記固定スリーブから除去するとともに、前記固定スリーブを通して新しい前記医療チューブを前記患者の中に挿入するとともに、次いで、新しい前記医療チューブとともに前記固定スリーブを曲げるとともに、前記曲がり構成で前記固定スリーブを固定する工程と、
(iii)段落89~96のいずれか1項に記載の前記曲がりスリーブホルダの半径方向位置を新しい半径方向位置に調整するとともに、前記曲がりスリーブホルダを新しい前記半径方向位置で適所にロックするとともに、次いで、前記医療チューブを有している前記固定スリーブを前記曲がり構成に曲げるとともに、前記曲がりスリーブホルダが新しい前記半径方向位置に存在している状態で前記固定スリーブを前記曲がり構成に固定する工程と、
である、段落99に記載の方法。
【0188】
<段落103>
前記医療チューブを前記固定部で把持する前記工程の前に、前記医療チューブが中を通って配置済の前記固定スリーブは、圧縮保持器によって圧縮済構成で保持されており、前記圧縮済構成では、前記固定スリーブの前記固定部は、前記圧縮保持器の結果として前記長手方向に加えられた圧縮下であり、
任意選択で、前記圧縮保持器は、段落28~38のいずれか1項に記載の前記固定デバイスのものであり、
前記医療チューブを前記固定部で把持する前記工程は、前記固定スリーブを前記圧縮済構成から解放することで、前記固定部内の前記チューブ通路の通路断面積を収縮させることによって、前記医療チューブを前記固定部で把持するべく、任意選択的に前記固定デバイスから前記圧縮保持器を係合解除することによって、前記圧縮保持器を操作する工程を備えている、
段落85~102のいずれか1項に記載の方法。
【0189】
<段落104>
前記方法はさらに、前記固定デバイスの前記取付パッドを介して、必要に応じて段落1~69のいずれか1項に記載の前記固定デバイスの前記取付パッドを介して、前記患者の前記皮膚に前記固定デバイスを取り付ける工程を備えており、
好ましくは、前記皮膚に前記固定デバイスを取り付ける前記工程は、接着剤を用いて前記皮膚に前記取付パッドを接着する工程を備えている、
段落85~103のいずれか1項に記載の方法。
【0190】
<段落105>
前記皮膚に前記固定デバイスを取り付ける前記工程の前に、前記取付パッドの接着面は、剥離可能裏材によって覆われており、
前記皮膚に前記固定デバイスを取り付ける前記工程は、
前記剥離可能裏材を除去して接着面を露出させる工程と、
前記接着面の接着剤で前記皮膚に前記取付パッドを接着する工程と、
を備えている、
段落104に記載の方法。
【0191】
<段落106>
前記取付パッドは吸収部を備えており、
前記皮膚に前記固定デバイスを取り付ける前記工程は、前記吸収部を前記皮膚に隣接して保持する工程を備えており、
好ましくは、前記吸収部は、前記医療チューブが前記固定スリーブを通って前記患者の体内に挿入済のときに前記医療チューブを受け入れる開口を有しており、前記吸収部は、前記患者からの滲出液を吸収するべく、前記開口を通る前記医療チューブの周囲を取り囲んでいる、
段落104または段落105に記載の方法。
【0192】
<段落107>
前記吸収部は、前記患者に向かって配置されており、任意選択で前記患者に接触しており、前記吸収部は、前記取付パッドが前記患者の前記皮膚に取り付けられたときに前記患者からの滲出液(エクスデート)を吸収するべく前記患者に流体連通する流体連通面(フルードコミュニケーションサーフェス)を備えており、
前記吸収部の前記流体連通面は、前記剥離可能裏材を除去する前では前記剥離可能裏材によって覆われており、
前記剥離可能裏材を除去する前記工程は、前記吸収部の前記流体連通面を露出させる、
段落106に記載の方法。
【0193】
<段落108>
前記取付パッドは構造シートを備えており、
前記剥離可能裏材を除去する前に、前記吸収部(吸収性部分、アブソーベントポーション)は、前記構造シートと前記剥離可能裏材との間に配置される、
段落106または段落107に記載の方法。
【0194】
<段落109>
前記取付パッドは、前記取付パッドが前記皮膚に取り付けられたときに前記患者に向かって配置される前記吸収部の前記近位面の上に接着剤の穿孔層(穿孔された層)を備えており、
前記接着剤の前記穿孔層を通る穿孔(パーフォーレーション、ミシン目)は、前記接着剤の前記穿孔層を横切って前記吸収部への流体連通を提供しており、前記取付パッドが前記患者の前記皮膚に取り付けられたときに、前記接着剤の前記穿孔層を横切る前記患者からの滲出液の流れが前記吸収部によって吸収されることを提供する、
段落107または段落108に記載の方法。
【0195】
<段落110>
前記剥離可能裏材を除去する前では、前記穿孔は前記剥離可能裏材によって覆われており、
前記穿孔は、前記剥離可能裏材を除去中に前記剥離可能裏材が除去されるときに露出される、
段落109に記載の方法。
【0196】
<段落111>
前記固定デバイスは段落48~61.1のいずれか1項に記載のものであり、
前記固定デバイスは吸収部を備えており、
任意選択的に、前記固定デバイスは段落70~84のいずれか1項に記載の製品またはキット内に存在する、
段落106~110のいずれか1項に記載の方法。
【0197】
<段落112>
前記方法はさらに、前記医療チューブを前記部位(サイト)に固定(セキュア)するべく、前記取付パッドを前記患者に取り付ける前に、前記取付パッドを前記患者に取り付けるための前記患者の部位を準備(プリペア)する工程を備えており、前記部位を準備する前記工程は、
(a)任意選択で段落75に記載の前記キットの準備(プレパレーション)ワイプを使用することで、前記部位の前記皮膚を前記準備ワイプで処理することによって、前記取付パッドへの接着のために前記皮膚の表面を改善する工程と、
(b)任意選択で段落75に記載の前記キットの組織貫通器具を使用することで、前記医療チューブの挿入を受け入れる(アクセプトする)ための開口(オープニング)を、前記患者の前記部位に外科的に形成する工程と、
(c)任意選択で段落75に記載の前記キットの接着構成要素を使用することで、前記皮膚への前記取付パッドの接着を補助するべく、前記部位の前記皮膚に前記接着構成要素を適用する工程と、
(d)任意選択で段落75に記載の前記キットの消毒ワイプを使用することで、消毒剤で前記部位を洗浄する工程と、
(e)任意選択で段落75に記載の前記キットの抗菌剤を使用することで、前記抗菌剤で前記部位を処置する工程と、および
項目(a)~(e)のうちの任意の2つ、3つ、4つ、または5つ、の組合せと、
からなるグループから選択される手順を備えている、
段落104~111のいずれか1項に記載の方法。
【0198】
<段落113>
前記方法は項目(b)の手順を備えており、
前記外科的開口は、頭蓋内、脳、胃、小腸、気管、心臓(例えば、心房、心室)、大動脈、大静脈、腹腔内、胸腔、筋肉内、皮下、結腸、腎臓、尿管、および膀胱、からなるグループから選択される解剖学的領域にアクセスする、
段落112に記載の方法。
【0199】
<製造方法>
<段落114>
固定デバイスを、または前記固定デバイスを備えている製品を、作製する方法であって、
前記固定デバイスは、前記患者に挿入済のときに医療チューブを前記患者に固定するように構成されており、
任意選択的に、前記固定デバイスは段落1~69のいずれか1項に記載のものであり、前記方法は、
前記固定スリーブを前記取付パッド用の構造シートに結合する工程であって、任意選択で段落1~69のいずれか1項に記載の前記取付パッドに結合する、前記固定スリーブを前記構造シートに結合する工程を備えており、
前記固定スリーブは、前記チューブ通路が貫通して延びている固定部を備えており、前記チューブ通路の長手方向経路に対して横方向の前記固定部における前記チューブ通路の通路断面積は、前記固定スリーブが短くなるにつれて拡大する一方で、前記固定スリーブが長くなるにつれて縮小しており、前記固定スリーブの長さは、前記固定部における前記チューブ通路を通した並進のために前記医療チューブを受け入れるように前記通路断面積を拡大する一方で、前記医療チューブを前記固定デバイスに固定するべく前記固定部によって前記チューブ通路内で前記医療チューブを把持するように前記通路断面積を縮小するように調整可能にされており、
好ましくは、前記固定スリーブは布地で構築されており、任意選択的に、前記固定スリーブは段落1~69のいずれか1項に記載の前記固定スリーブであり、
前記取付パッドのための前記構造シートは、使用中に前記患者に面する近位面と、使用中に前記患者から離れる方に面する遠位面と、を有しているように構成されており、前記近位面は、前記患者の前記皮膚に接着剤で接着されるように構成されており、
前記固定スリーブを前記構造シートに結合する前記工程は、
前記固定スリーブの近位端に隣接するフレア状端部材料を、第1固定部材の第1表面と、第2固定部材の第2表面と、の間に固定する工程を備えており、
前記第1固定部材は、前記第1表面が前記構造シートの遠位面に存在している前記構造シートと、前記構造シートの前記遠位面に直接または間接的に結合された中間部材と、からなるグループから選択されており、
任意選択的に、かつ好ましくは、前記第2固定部材は、段落19~26のいずれか1項に記載の前記ベース部材である、
方法。
【0200】
<段落115>
前記フレア状端部材料を前記第1表面と前記第2表面との間に固定する前記工程は、
前記フレア状端部材料を第1表面と第2表面との間に挟む工程と、
前記フレア状端部材料を前記第1表面および前記第2表面の両方に接着する工程と、
を備えている、
段落114に記載の方法。
【0201】
<段落116>
前記フレア状端部材料を第1表面と第2表面との間に挟む工程の前に、前記接着剤は、前記第1表面および前記第2表面のうちの少なくとも一方に、好ましくは両方に、塗布されている、
段落115に記載の方法。
【0202】
<段落117>
適用される前記接着剤は感圧接着剤であり、
前記フレア状端部材料を前記第1表面および前記第2表面の両方に接着する前記工程は、前記感圧接着剤を活性化することで前記フレア状端部材料を前記第1表面および前記第2表面に接着するのに十分な圧力で、前記第1表面と前記第2表面とを一緒に押圧する工程を備えており、
好ましくは、前記圧力は少なくとも60キロパスカル(kPa)である、
段落116に記載の方法。
【0203】
<段落118>
前記方法は、
前記回転部材を、任意選択的に段落19~26のいずれか1項に記載の前記回転部材を、前記固定デバイスのための予備製品形態(プレリミナリプロダクトフォーム)に接続(コネクト)する工程であって、前記予備製品形態は構造シートを備えており、前記予備製品形態に接続されると前記回転部材は前記構造シートに対して回転可能にされている、前記回転部材を前記予備製品形態に接続する工程を備えており、
任意選択的に、かつ好ましくは、前記予備製品形態は、段落19~26のいずれか1項に記載の前記ベース部材を備えており、
前記回転部材を前記予備製品形態に接続する前記工程は、前記回転部材と前記ベース部材との係合を備えており、
前記回転部材は前記ベース部材に対して回転可能にされており、
前記ベース部材と前記回転部材との間の回転可能な接続は、前記回転部材が前記ベース部材に対して回転可能にされている回転可能な接続であり、
好ましくは、前記回転部材を前記予備製品形態に接続する前記工程は、
段落114~117のいずれか1項による任意の処理の後に行なわれる、
段落114~117のいずれか1項に記載の方法。
【0204】
<段落119>
前記回転部材を前記予備製品形態に接続する前記工程は、
前記回転部材が前記予備製品形態上の接続位置(コネクションロケーション)に係合するまで、前記回転部材の開口(アパーチャ)を通って配置(ディスポーズ)された前記固定スリーブ上で、前記回転部材を摺動(スライド)させる工程を備えており、
好ましくは、前記接続位置は前記ベース部材上に存在する、
段落118に記載の方法。
【0205】
<段落120>
前記回転部材を前記予備製品形態に接続する工程は、前記回転部材を心棒(車軸、アクスル)の外部係合特徴に係合させる工程を備えており、
前記心棒に係合されると前記回転部材は、前記心棒を中心として回転可能にされており、
任意選択的に、かつ好ましくは、前記心棒は、段落25に記載の前記ベース部材の延在部分の少なくとも一部を備えている、
段落118または段落119に記載の方法。
【0206】
<段落121>
前記心棒は、前記心棒を通って前記長手方向に延在する開口(アパーチャ)を有しており、
好ましくは、前記開口は、前記ベース部材の前記延在部分を通って前記長手方向に延在しており、
前記予備製品形態は、前記心棒の前記開口を通って、好ましくは、前記ベース部材の前記延在部分を通って、延在する前記固定スリーブを備えており、
前記心棒に係合されると前記回転部材は、前記固定スリーブの周りで回転可能にされている、
段落120に記載の方法。
【0207】
<段落122>
前記方法はさらに、前記固定スリーブの遠位端部(ディスタルエンドポーション)を、遠位カラーアセンブリに、必要に応じて段落45~47のいずれか1項に記載の前記遠位カラーアセンブリに、保持する工程を備えており、
必要に応じて前記固定スリーブの前記遠位端部を保持する前記工程は、前記回転部材を段落118~121のいずれか1項に記載の前記予備製品形態に接続した後に行なわれる、
段落114~121のいずれか1項に記載の方法。
【0208】
<段落123>
前記固定スリーブの前記遠位端部を、前記遠位カラーアセンブリ内に保持する前記工程は、
カラーニップルを、前記固定スリーブの前記遠位端部内に挿入する工程と、
前記遠位端部のスリーブ壁を前記カラーニップルに向かって付勢するべく、保持部材を前記固定スリーブの前記遠位端部上に配置する工程と、
を備えている、
段落122に記載の方法。
【0209】
<段落124>
前記方法はさらに、吸収パッドを前記構造シートの近位面に取り付ける工程を備えており、
任意選択的に、前記吸収パッドは、段落48~61.1のいずれか1項に記載の吸収部を提供する、
段落114~123のいずれか1項に記載の方法。
【0210】
<段落125>
前記吸収パッドを前記構造シートの前記近位面に取り付ける前記工程は、
前記構造シートの前記近位面に接着剤を、好ましくは感圧接着剤を、塗布する工程と、
前記接着剤を塗布後、前記構造シートの前記近位面上の前記接着剤の少なくとも一部を覆うように、前記吸収パッドを配置する工程と、
前記接着剤を用いて前記吸収パッドを前記構造シートの前記近位面に取り付ける工程と、
を備えている、
段落124に記載の方法。
【0211】
<段落126>
前記方法はさらに、
前記接着剤の少なくとも一部を覆うように前記吸収パッドを配置後に、前記吸収パッドを剥離可能裏材で覆う工程であって、任意選択で、前記吸収パッドによって覆われていない前記構造シートの前記近位面の前記接着剤の露出部分も前記剥離可能裏材で覆う、前記吸収パッドを前記剥離可能裏材で覆う前記工程と、
前記吸収パッドが前記剥離可能裏材と前記構造シートとの間に配置済の状態で、前記剥離可能裏材を前記取付パッドに接着する工程と、
を備えている、
段落125に記載の方法。
【0212】
<段落127>
前記接着剤は感圧接着剤を備えており、
前記吸収パッドを前記取付パッドの前記近位面に取り付ける前記工程は、前記取付パッドの前記近位面と、前記剥離可能裏材と、の間に配置済の前記吸収パッドに圧力を加える工程を備えている、
段落126に記載の方法。
【0213】
<段落128>
前記方法はさらに、
前記固定スリーブを圧縮済構成(コンプレッスドコンフィグレーション)に短縮(ショートン)するべく、前記固定スリーブの少なくとも一部に前記長手方向に適用される圧縮を適用する工程と、
前記固定スリーブを圧縮保持器(コンプレッションリテーナ)で前記圧縮済構成に保持(リテイン)する工程と、
を備えている、
段落114~127のいずれか1項に記載の方法。
【0214】
<段落129>
前記固定スリーブを前記圧縮済構成に保持する前記工程は、前記圧縮保持器を、
段落114~121のいずれか1項に記載のベース部材と、
段落122または段落123のいずれか1項に記載の遠位カラーアセンブリと、
に係合させる工程を備えている、
段落128に記載の方法。
【0215】
<段落130>
前記方法は、
前記固定デバイスを完成させる工程と、
前記固定デバイスを気密封止(密封)された筐体の内部に封止する工程であって、任意選択で、気密封止された前記筐体内に封止された前記固定デバイスは、段落70~74のいずれか1項に記載の製品内に存在する、前記固定デバイスを封止する前記工程と、
前記固定デバイスを滅菌する工程であって、任意選択で、前記固定デバイスを滅菌する前記工程は、前記固定デバイスを封止する前記工程の前に実施されており、代替的に、任意選択で、前記固定デバイスを滅菌する前記工程は、前記固定デバイスを封止する前記工程の後に(例えば、気密封止された筐体内の前記固定デバイスの照射によって)実施される、前記固定デバイスを滅菌する前記工程と、
を備えている、段落114~129のいずれか1項に記載の方法。
【0216】
<段落131>
前記方法はさらに、段落75~84のいずれか1項に記載のキットのための少なくとも1つの追加構成要素とでともに前記固定デバイスを共通の包装筐体(コモンパッケージングエンクロージャ)内に包装する工程を備えており、
任意選択で、共通の前記包装筐体は、密封(密封された)筐体であり、
代替的に、任意選択で、共通の前記包装筐体は、前記固定デバイスをまたは前記固定デバイスを備えている前記製品を収容する密封筐体を囲む、
段落130に記載の方法。
【0217】
<他の医療チューブの特徴>
<段落132>
前記固定部を通して受容されるように構成される前記医療チューブの一部分は、前記固定スリーブが弛緩状態(リラックスドステート)であるとき、前記固定部内の前記チューブ通路の最大断面寸法(例えば、円形チューブ断面の内径)よりも大きい最大医療外方断面寸法(例えば、円形チューブ断面の外径)を有している、
段落1~131のいずれか1項に記載の固定デバイス、製品、キット、または方法。
【0218】
<段落133>
前記固定部を通して受容されるように構成される前記医療チューブの一部分は、前記医療チューブの前記長手方向に対して横方向に、2~14ミリメートル(6~42フレンチゲージ)の範囲の最大医療外方断面寸法(例えば、円形チューブ断面の直径)を有しており、
任意選択的に、前記最大医療外方断面寸法は、約2ミリメートル(例えば、6フレンチゲージ)、約3.3ミリメートル(例えば、10フレンチゲージ)、約5ミリメートル(例えば、15フレンチゲージ)、約6.3ミリメートル(例えば、19フレンチゲージ)、約8ミリメートル(例えば、24フレンチゲージ)、約9.3ミリメートル(例えば、28フレンチゲージ)、約10.7ミリメートル(例えば、32フレンチゲージ)、および約14ミリメートル(例えば、42フレンチゲージ)、からなるグループから選択される、
段落1~132のいずれか1項に記載の固定デバイス、製品、キット、または方法。
【0219】
<段落134>
前記固定スリーブを通して受け入れられるように構成された前記医療チューブの一部分は、前記医療チューブの前記長手方向を横切る断面において円形の外周を有しており、
好ましくは、前記医療チューブを通る流体流路は、円形の断面を有している、
段落1~133のいずれか1項に記載の固定デバイス、製品、キット、または方法。
【0220】
<段落135>
前記医療チューブは、シリコーン(ポリシロキサン)、ポリエチレン、およびポリ塩化ビニル、からなるグループから選択される構成材料で作製されている、
段落1~134のいずれか1項に記載の固定デバイス、製品、キット、または方法。
【0221】
本発明およびその様々な態様に関する前述の説明は、例示および説明の目的で提示されたものである。さらに、本明細書は、本発明を本明細書に開示された形態に限定することを意図するものではない。従って、上記の教示、および関連技術の技術および知識に見合った変形および修正は、本発明の範囲内に存在する。本明細書に記載された実施形態は、さらに、本発明を実施するための公知の態様を説明すること、および当業者が、本発明の特定の用途(複数可)または使用(複数可)によって必要とされる、そのようなまたは他の実施形態において、および様々な変更を伴って本発明を利用することを可能にすることを意図している。添付の特許請求の範囲は、従来技術によって許容される範囲において、代替の実施形態を備えているように解釈されることが意図される。
【0222】
明示的に別段の記載がない限り、または文脈上必然的に必要とされる場合を除き、例えば特徴の非互換性に基づく、開示されたデバイス(装置)、キット、システム、および製品、は開示された構造間の中間構造を含め、開示されていない追加の特徴を備えている場合がある。特徴または構造の結合、取り付け等に関する言及は、特徴または構造の直接的な結合、取り付け等を備えており、1つまたは複数の追加の中間構造または特徴を備えている間接的な結合、取り付け、等も備えている。他の要素または構造の間に存在するとして要素または構造を開示することは、他の要素または構造の間にもある追加の要素または構造を備えていることを排除しない。処理ステップおよびシーケンスの開示は、他のステップまたはステップの他のシーケンスが含まれることを排除しない。
【0223】
用語「comprising」、「containing」、「including」、および「having」、ならびにそれらの文法的変形は、包含的かつ非限定的であることを意図しており、そのような用語の使用は、記載された条件または特徴の存在を示すが、他の条件または特徴の存在を排除するものではない。1つまたは複数の構成要素、副構成要素、または材料、の存在に言及する際の、「備えている(comprising)」、「含有している(containing)」、「備えている(including)」、および「有している(having)」、という用語の使用ならびにこれらの用語の文法的変形は、「備えている(comprising)」という用語が使用される、より具体的な実施形態を開示することも備えており、また開示することを意図している、「備えている」、「備えている」、または「有している」(またはそのような用語の変形)という用語が、場合によって、「本質的にからなる」、「からなる」、または「のみからなる」(またはそのような狭い用語の任意の適切な文法的変形)という狭い用語のいずれかに置き換えられる、より具体的な実施形態を開示することを意図している。例えば、記載された要素または要素から「なる」という記述は、記載された要素または要素から「本質的になる」もの、および記載された要素または要素から「なる」もののより具体的な狭い実施形態を備えており、開示することも意図している。様々な特徴の例は、説明の目的で提供されており、「例」、「例えば」等の用語は、限定的ではない例示的な例を示しており、特徴または特徴を特定の例に限定するものとして解釈または理解されるものではない。用語「少なくとも」に続く数(例えば「少なくとも1つ」)は、その数またはその数以上を意味する。「少なくとも一部」という用語は、全部または全部よりも少ない部分を意味する。「少なくとも一部」は、全部または全部よりも少ない部分を意味する。「少なくとも過半数」という用語は、すべてまたはすべてよりも少ない過半数部分を意味する。
【国際調査報告】