(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-02-04
(54)【発明の名称】毛包修復タンパク質組成物及びその作製方法とその使用
(51)【国際特許分類】
A61K 35/28 20150101AFI20250128BHJP
A61K 9/19 20060101ALI20250128BHJP
A61K 9/08 20060101ALI20250128BHJP
A61K 47/26 20060101ALI20250128BHJP
A61K 47/36 20060101ALI20250128BHJP
A61K 47/10 20170101ALI20250128BHJP
A61K 47/12 20060101ALI20250128BHJP
A61K 47/14 20170101ALI20250128BHJP
A61P 17/00 20060101ALI20250128BHJP
A61P 17/14 20060101ALI20250128BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20250128BHJP
C07K 14/47 20060101ALI20250128BHJP
C07K 1/16 20060101ALN20250128BHJP
【FI】
A61K35/28
A61K9/19
A61K9/08
A61K47/26
A61K47/36
A61K47/10
A61K47/12
A61K47/14
A61P17/00
A61P17/14
A61P43/00 111
A61P43/00 121
C07K14/47
C07K1/16
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024544824
(86)(22)【出願日】2023-01-28
(85)【翻訳文提出日】2024-08-15
(86)【国際出願番号】 CN2023073590
(87)【国際公開番号】W WO2023143528
(87)【国際公開日】2023-08-03
(31)【優先権主張番号】202210105729.X
(32)【優先日】2022-01-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202210351455.2
(32)【優先日】2022-04-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202210793711.3
(32)【優先日】2022-07-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524279308
【氏名又は名称】北京達爾文細胞生物科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】BEIJING DARWIN BIOTECH CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】Building B1,Liugonghui,Shougang Park,Shijingshan District Beijing 100043(CN)
(74)【代理人】
【識別番号】110002734
【氏名又は名称】弁理士法人藤本パートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】王 宇
(72)【発明者】
【氏名】高 文勇
(72)【発明者】
【氏名】陳 琳
(72)【発明者】
【氏名】李 建軍
【テーマコード(参考)】
4C076
4C087
4H045
【Fターム(参考)】
4C076AA11
4C076AA29
4C076BB11
4C076BB31
4C076DD42
4C076DD43
4C076DD46
4C076DD67
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4C076EE23
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4C076EE38
4C087AA01
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4C087CA16
4C087MA17
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4C087MA63
4C087MA66
4C087NA14
4C087NA20
4C087ZA92
4H045AA10
4H045AA20
4H045AA30
4H045BA10
4H045CA40
4H045EA20
4H045FA72
4H045GA01
4H045GA21
(57)【要約】
毛包修復タンパク質組成物であって、その作製は、細胞タンパク質抽出物に、ヌクレアーゼ又はウルトラヌクレアーゼのいずれか1つ又はその組合せを20U/mL~35U/mL加え、それを37℃±1℃条件で15min~40minの酵素分解を行って、作製された酵素分解液を分離精製して、得るステップを含む。得られた細胞タンパク質抽出物、細胞タンパク質組成物は、損傷した毛包細胞の修復作用を有し、損傷した毛包を効率よく修復するとともに、毛包の活性を顕著に向上させ、且つ、純度が高く、安定性が良く、安全で効果的であり、生存細胞が冷蔵を必要とし且つその活性が細胞生存可能時間に制限されるという問題を効果的に解決する等の利点を有する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
毛包修復タンパク質組成物であって、その作製は、
細胞タンパク質抽出物に、ヌクレアーゼ又はウルトラヌクレアーゼのいずれか1つ又はその組合せを20U/mL~35U/mL加え、それを37℃±1℃条件で15min~40minの酵素分解を行って、酵素分解液を作製するステップ(1)と、
2℃~8℃条件で、ステップ(1)で作製された酵素分解液を、50mmol/Lリン酸塩緩衝液(pH6.8)に300mmol/L塩化ナトリウムを含有してなる溶出溶媒で5~15mg/mlに調合し、0.1~1ml/minの溶出流速でクロマトグラフィーカラムを通過させ、紫外線波長が280nmの溶出部位を監視して収集するステップ(2)と、を含む、
毛包修復タンパク質組成物。
【請求項2】
前記細胞タンパク質抽出物の作製は、
密度が5.0×10
6個/mL~1.0×10
7個/mLの間葉系継代細胞を40~50%のDMEM/F12、40~50%のRPMI1640、ウシ血清タンパク質(BSA)0.1~2%、上皮細胞成長因子(EGF)1~15ug/mL、線維芽細胞成長因子(FGF)1~15ug/mL、インスリントランスフェリン1~15ug/mL、アミノ酸化合物(18AA)0.01~0.1%及び2~10μmol/L化合物1~16から選択されるいずれか1つ又はその組合せであるストレス物質を含有する培地に入れてから、それを37.0℃±0.5℃、5%±1.0%CO
2条件で10~60minを培養した後、分離し、洗浄し、細胞を収集する、ステップS-1と、
【化1】
【化2】
【化3】
収集された細胞を5.0×10
6個/mL~5.0×10
7個/mLの密度にするように、生理食塩水、5%グルコース溶液、リン酸塩緩衝液(PBS)、TBPS緩衝液、TBST緩衝液、Tris緩衝液から選択されるいずれか1つ又はその組合せである溶媒に分散させてから、それを2℃~8℃条件で超音波処理して、細胞溶解液を作製するステップS-2と、
ステップS-2で作製された細胞溶解液を分離した後、得られた分離液を、0.45um、0.22umろ過膜で順次にろ過して、得るステップS-3と、を含む、
請求項1に記載のタンパク質組成物。
【請求項3】
前記毛包修復タンパク質組成物の分子量は、20kDa~300kDaであり、好ましくは、50kDa~200kDaである、
請求項1~2のいずれか1項に記載のタンパク質組成物。
【請求項4】
ステップS-1の間葉系継代細胞を培地中で15~50min、好ましくは20~40min培養する、
請求項1~3のいずれか1項に記載のタンパク質組成物。
【請求項5】
ステップS-2の超音波条件は、2℃~8℃、25kHZ、360W条件で、3s動作して1sの間隔をあけるように、1~5minの超音波処理を行うことである、
請求項1~4のいずれか1項に記載のタンパク質組成物。
【請求項6】
ステップ(2)で作製されたタンパク質組成物に、マンニトール、ソルビトール、デキストラン、グリセロール、スクロース、トレハロース、グルコース、ラクトース、マルトース、グルカン、トリカプリリン(HES)、ポリエチレングリコール、エチレンビニリデン、リン酸塩、酢酸塩、クエン酸塩、ソルビトール、デンプンから選択されるいずれか1つ又はその組合せである凍結乾燥保護剤を加え、凍結乾燥して、タンパク質組成物凍結乾燥製剤を作製する、
請求項1~5のいずれか1項に記載のタンパク質組成物。
【請求項7】
質量%で、前記凍結乾燥製剤に凍結乾燥保護剤を0.5~8%、好ましくは1~5%含有する、
請求項1~6のいずれか1項に記載のタンパク質組成物。
【請求項8】
前記タンパク質組成物凍結乾燥製剤は、pH6~8であり、好ましくはpH7~7.5である、
請求項1~7のいずれか1項に記載のタンパク質組成物。
【請求項9】
請求項1~7のいずれか1項に記載の毛包修復タンパク質組成物及び薬学的に許容可能なキャリアからなる毛包修復組成物。
【請求項10】
請求項1~7のいずれか1項に記載の毛包修復タンパク質組成物又は請求項9に記載の組成物の、細胞修復や毛包修復の製品の作製における使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生物医学技術の分野に属し、具体的には、毛包修復タンパク質組成物及びその作製方法とその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
髪量の多いことは、身体の健康及び毛髪の健康の重要な指標である。毛包の健康は、毛髪の健康の基礎である。毛包の健康を維持するための鍵は、頭皮システム内の毛包の間質細胞を活性化させることである。毛包は、成長期、退行期、休止期の周期的な成長サイクルを経験する。毛包の周期的な変化は、毛包間質細胞の周期的分裂、増殖、分化等と密接に関連している。活性の高い毛包間質細胞は、大量の毛包間質細胞成長因子を持続的に放出して、自己修復、成長、分裂、及び頭髪成長への毛包細胞の良性サイクルを促進する。
【0003】
現代人は、忙しい生活、仕事のストレス、環境汚染等の要因の影響を受けて、頭髪が切れやすく、早期老化し、脱毛がひどく、毛髪再生障害等の問題を抱えており、個人のイメージに深刻な影響を与え、さらには、心理的な疾患にもつながる。中国国家衛生健康委員会の調査データによると、中国には、2.6億人を超える脱毛者がおり、男性脱毛者が約63%を占め、主に男性ホルモン性脱毛である。脱毛者の低年齢化傾向が明らかになり、60%の者が25歳前後に脱毛症状を見せ、「90後」(1990年~2000年間に生まれた若者に対する中国での呼び方)における脱毛者の割合は84%と高く、且つひどい脱毛者は46.7%と高い。
【0004】
毛髪疾患には、患者に現れる少毛、多毛、毛髪の分布異常、毛髪の密度異常、毛髪の直径異常、毛髪の色素異常、毛幹異常等の生理的又は病理学的症状が含まれる。脱毛には、生理的脱毛及び病理学的脱毛が含まれる。生理的脱毛には、自然脱毛、季節性脱毛、乳児脱毛、老人性脱毛及び分娩後脱毛等が含まれる。病理学的脱毛には、非瘢痕性脱毛及び瘢痕性脱毛が含まれる。非瘢痕性脱毛には、男性ホルモン性脱毛(割合は約95%)、円形脱毛(割合は約4%)、梅毒性脱毛、抜毛癖、休止期脱毛、成長期脱毛、牽引性脱毛、物理学的脱毛、脱毛性毛包炎、perifolliculitis capitis abscedens et suffodiens、先天性乏毛症等が含まれる。非瘢痕性脱毛の病原要因を除去すると、毛髪が再び成長してくる。瘢痕性脱毛は、毛包を永久的に破壊するため、永久性脱毛になり、病因には、外傷、感染、炎症性皮膚疾患(例えば円盤状紅斑性狼瘡、毛髪扁平苔癬等)、頭皮扁平苔癬、頭皮円盤状紅斑性狼瘡、放射性脱毛、女性線維性脱毛、頭皮やけど等が含まれる。
【0005】
病理学的脱毛患者の髪の量は、頭髪異常、過度に脱落により明らかに少なくなる。一般的な脱毛病因には、男性ホルモンの過剰、遺伝、過度のストレス、妊娠、疾患、薬物、損傷等が含まれる。自己免疫疾患、甲状腺疾患、紅斑性狼瘡、糖尿病、鉄分欠乏、摂食障害及び貧血等の疾患により体内ホルモンレベルの変化が引き起こされて、脱毛が悪化する。抗腫瘍薬、抗凝血剤、降圧薬、避妊薬、やけど、様々な損傷、X線放射線等により一時的な脱毛が引き起こされる。
【0006】
脂漏性脱毛症(男性ホルモン性脱毛、AGA)は、頭皮の油脂が過剰に流出し、頭髪が次第に細く、柔らかく、少なくなる等を主な症状とする毛髪疾患であり、頭皮の痒み、フケ及び痒み等を伴うことがあり、遺伝的要因の関与があり且つ男性ホルモンの作用への依存による進行性毛包病変である。中国のAGA患者の総数は1億人を超え、有病率は、男性(20.2%)が女性(5.1%)より高い。
【0007】
細胞は、生命活動の基本単位であり、且つ、生命体の健康の基礎である。生命体の酸化還元バランスが破壊されると、酸化還元信号及び制御の中断が引き起こされ、酸化ストレス障害が誘発され、種々の疾患が誘発される。毛包幹細胞の数及び活性、毛包の再生能力等の要因は、脱毛に直接関連していることを示す研究はすでにある。毛包幹細胞の数及び活性の低下により、毛包細胞の分化能力が弱くなって、毛髪の再生サイクルに影響を与え、それにより毛包が閉塞されて永久性脱毛が形成される。脱毛を治療する主要方法には、洗髪ケア、薬物治療、レーザー発毛、植毛等が含まれる。洗髪ケアは、主に、発毛液又は発毛剤等の外用製品で頭皮を刺激して頭皮の血行を促進して、頭部への血液供給、頭部の栄養及び頭髪の成長を促進するが、発毛及び脱毛防止が良くなく、且つ損傷した毛包、休眠中の毛包に対しては効果がない等の欠点がある。薬物治療には、経口薬(例えばフィナステリド、スピロノラクトン、VB2、VB6、タンシノンカプセル、グリチロン配合錠、白芍総配糖カプセル等)及び外用薬(例えばミノキシジル溶液、ハルシノニド溶液、硫化セレン剤等)が含まれるが、脱毛の治療効果が良くなく、副作用が大きく、薬物依存性等の欠点がある。レーザー発毛では、波長が670nmの低エネルギーレーザー照射を利用して、細胞の活性を高め、血液の微小循環を促進し、頭部への血液供給及び栄養等を増加し、頭髪の栄養成分の吸収を促進し、毛の母細胞及び毛包幹細胞の活性を向上させ、タンパク質の合成を加速し、毛包を活性化する等の効果があるが、発毛が遅く、高価である等の欠点がある。植毛では、手術する必要があり、患者の後頭部及び両側頭部の毛包を毛源として選択し、採取した毛包を単一毛包又は複数の毛包に分離した後、精密な顕微鏡手術により単一毛包又は複数の毛包を、移植する必要のある脱毛部位に移植することにより、新たに移植された単一毛包又は複数の毛包が新しい植毛部位で生存して成長するようにし、さらに、局所毛髪の分布及び分布密度を修復する。毛包が完全に閉塞された問題を植毛技術で解決できるが、移植可能な部位及び毛包資源が限られているという制限を受け、且つ植毛手術は痛みを伴い、感染リスクがあり、新たに移植された毛包の生存率が保障されず、損傷した毛包の修復問題を解決できず、移植手術部位に傷跡が残って美的外観に影響し、高価である等の欠陥がある。このため、臨床では、発毛効果と脱毛防止効果がよりよく、治療効果が確実で、安全で効果的な発毛組成物が急務になっている。
【0008】
細胞及び微生物は、外部刺激及び外因性ストレス物質(冷、熱、酸、アルカリ、電流、放射線、化学物質等を含む)のストレス誘導を受けると、ストレス反応によって、ストレスタンパク質を生成するように細胞及び微生物を誘導する。文献1(New limonophyllines A-C from the stem of Atalantia monophylla and cytotoxicity against cholangiocarcinoma and HepG2 cell lines,Arch. Pharm. Res. (2018) 41:431~437)には、ミカン科植物(Atalantia monophylla)から抽出して作製された化合物1~16は、腫瘍細胞の増殖等を阻害する活性を有するということが開示されている。
【0009】
間葉系幹細胞(mesenchymal stem cells、MSCs)は、自己複製能及び多方向分化能を有し、骨髄、脂肪、滑膜、歯髄、羊水、胎盤、臍帯、胚、臍帯血、羊膜、末梢血、筋肉、尿等の組織に広く存在し、供給源が広く、マッチングする必要がなく、感染率が低く、分化能が強力で、増殖能力が強く、採集が容易である等の特性を有し、幹細胞増殖因子(SCF)、神経増殖因子(NGF)、インターロイキン-6(IL-6)、インターロイキン-7(IL-7)、腫瘍壊死因子(TNF)、インターフェロン(IFN)等の活性因子を生成することが可能で、細胞の増殖、アポトーシス、細胞分化、抗ウイルス、免疫成熟等のプロセスの調節に関与し、急性肺損傷、重症肺炎、急性呼吸窮迫症候群等の疾患の免疫調節、組織修復及び治療に使用できる。しかし、MSCs製品は、その生産、保管、輸送及び使用等の段階で冷蔵方式を用いる必要があり、且つ、その細胞活性は12h以下しか維持できないため、その治療的使用が制限される。このため、臨床的なニーズを満たすために、安全で効果的な皮膚修復薬を開発する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、毛包修復タンパク質組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
毛包修復タンパク質組成物であって、その作製は、
本発明の細胞タンパク質抽出物に、ヌクレアーゼ又はウルトラヌクレアーゼのいずれか1つ又はその組合せを20U/mL~35U/mL加え、それを37℃±1℃条件で15min~40minの酵素分解を行って、酵素分解液を作製するステップ(1)と、
2℃~8℃条件で、ステップ(1)で作製された酵素分解液を、50mmol/Lリン酸塩緩衝液(pH6.8)に300mmol/L塩化ナトリウムを含有してなる溶出溶媒で5~15mg/mlに調合し、0.1~1ml/minの溶出流速でクロマトグラフィーカラムを通過させ、紫外線波長が280nmの溶出部位を監視して収集するステップ(2)と、を含む。
【0012】
本発明の好ましい技術案では、前記タンパク質抽出物の作製は、
密度が5.0×10
6個/mL~1.0×10
7個/mLの間葉系継代細胞を40~50%のDMEM/F12、40~50%のRPMI1640、ウシ血清タンパク質(BSA)0.1~2%、上皮細胞成長因子(EGF)1~15ug/mL、線維芽細胞成長因子(FGF)1~15ug/mL、インスリントランスフェリン1~15ug/mL、アミノ酸化合物(18AA)0.01~0.1%及び2~10μmol/L化合物1~16から選択されるいずれか1つ又はその組合せであるストレス物質を含有する培地に入れてから、それを37.0℃±0.5℃、5%±1.0%CO
2条件で10~60minを培養した後、分離し、洗浄し、細胞を収集する、ステップS-1と、
【化1】
【化2】
収集された細胞を5.0×10
6個/mL~5.0×10
7個/mLの密度にするように、生理食塩水、5%グルコース溶液、リン酸塩緩衝液(PBS)、TBPS緩衝液、TBST緩衝液、Tris緩衝液から選択されるいずれか1つ又はその組合せである溶媒に分散させてから、それを2℃~8℃条件で超音波処理して、細胞溶解液を作製するステップS-2と、
ステップS-2で作製された細胞溶解液を分離した後、得られた分離液を、0.45um、0.22umろ過膜で順次にろ過して、得るステップS-3と、を含む。
【0013】
本発明の好ましい技術案では、ステップS-1の培地に、42~45%のDMEM/F12、42~45%のRPMI1640、ウシ血清タンパク質(BSA)0.5~1.5%、上皮細胞成長因子(EGF)5~10ug/mL、線維芽細胞成長因子(FGF)5~10ug/mL、インスリントランスフェリン5~10ug/mL、アミノ酸化合物(18AA)0.02~0.05%及び3~8μmol/Lのストレス物質を含有する。
【0014】
本発明の好ましい技術案では、ステップS-1の培地に、45%のDMEM/F12、45%のRPMI1640、ウシ血清タンパク質(BSA)0.5%、上皮細胞成長因子(EGF)10ug/mL、線維芽細胞成長因子(FGF)10ug/mL、インスリントランスフェリン10ug/mL、アミノ酸化合物(18AA)0.05%及び4~6μmol/Lのストレス物質を含有する。
【0015】
本発明の好ましい技術案では、ステップS-1の間葉系継代細胞密度が6.0×106~2.0×107個/mLであり、好ましくは、8.0×106~1.0×107個/mLである。
【0016】
本発明の好ましい技術案では、ステップS-1の間葉系継代細胞を培地中で15~50min、好ましくは20~40min培養する。
【0017】
本発明の好ましい技術案では、ステップS-1での細胞を洗浄する溶媒は、生理食塩水、5%グルコース溶液、リン酸塩緩衝液(PBS)、TBPS緩衝液、TBST緩衝液、Tris緩衝液から選択されるいずれか1つ又はその組合せであり、細胞の洗浄回数は、2~5回であり、好ましくは、3~4回である。
【0018】
本発明の好ましい技術案では、ステップS-1に記載の分離は、遠心分離、ろ過から選択されるいずれか1つ又はその組合せであり、ここで、前記遠心分離条件は、1000~2000rpm*3~15minであり、好ましくは、1200rpm~1500rpm*5~10minである。
【0019】
本発明の好ましい技術案では、ステップS-2の超音波条件は、2℃~8℃、25kHZ、360W条件で、3s動作して1sの間隔をあけるように、1~5minの超音波処理を行うことである。
【0020】
本発明の好ましい技術案では、ステップS-3に記載の分離は、2000~8000rpm*10~30min遠心分離、多段遠心分離、多段ろ過から選択されるいずれか1つ又はその組合せであり、好ましくは、3000~7000rpm*15~25minである。
【0021】
本発明の好ましい技術案では、ステップS-3の多段遠心分離は、順番に3000~4000rpm*3~5min、5000~6000rpm*3~5min及び7000rpm*5~8minである。
【0022】
本発明の好ましい技術案では、前記多段ろ過のろ過膜の孔径は、80um、50um、30um、10um、5umから選択されるいずれか1つである。
【0023】
本発明の好ましい技術案では、ステップS-3で作製された細胞タンパク質抽出物をヌクレアーゼ又はウルトラヌクレアーゼのいずれかを用いて酵素分解した後、分離精製する。
【0024】
本発明の好ましい技術案では、前記ヌクレアーゼは、RNAヌクレアーゼ、DNAヌクレアーゼから選択されるいずれか1つ又はその組合せである。
【0025】
本発明の好ましい技術案では、前記毛包修復タンパク質組成物の分子量は、20kDa~300kDaであり、好ましくは、50kDa~200kDaである。
【0026】
本発明の好ましい技術案では、ステップS-3で作製された細胞タンパク質抽出物又はステップ(2)で作製されたタンパク質組成物を冷凍保存し、好ましくは、-40℃~-20℃で冷凍保存する。
【0027】
本発明の好ましい技術案では、ステップS-3で作製された細胞タンパク質抽出物又はステップ(2)で作製されたタンパク質組成物に、マンニトール、ソルビトール、デキストラン、グリセロール、スクロース、トレハロース、グルコース、ラクトース、マルトース、グルカン、トリカプリリン(HES)、ポリエチレングリコール、エチレンビニリデン、リン酸塩、酢酸塩、クエン酸塩、ソルビトール、デンプンから選択されるいずれか1つ又はその組合せである凍結乾燥保護剤を加え、凍結乾燥して、細胞タンパク質抽出物凍結乾燥製剤又はタンパク質組成物凍結乾燥製剤を作製する。
【0028】
本発明の好ましい技術案では、質量%で、前記細胞タンパク質抽出物又はタンパク質組成物凍結乾燥製剤に凍結乾燥保護剤を0.5~8%、好ましくは1~5%含有する。
【0029】
本発明の好ましい技術案では、ステップS-3で作製された細胞タンパク質抽出物又はステップ(2)で作製されたタンパク質組成物に、アルブミン、亜鉛塩、アルミニウム塩から選択されるいずれか1つであるタンパク質安定剤を任意選択に加える。
【0030】
本発明の好ましい技術案では、前記細胞タンパク質抽出物凍結乾燥製剤又はタンパク質組成物凍結乾燥製剤は、pH6~8であり、好ましくはpH7~7.5である。
【0031】
本発明の好ましい技術案では、前記毛包修復タンパク質組成物中のタンパク質の組成は、
図2に示すとおりである。
【0032】
本発明の好ましい技術案では、前記凍結乾燥製剤を使用直前に、生理食塩水、5%グルコース溶液、リン酸塩緩衝液(PBS)、TBPS緩衝液、TBST緩衝液、Tris緩衝液から選択されるいずれか1つ又はその組合せである等張液で再溶解した後、塗抹、ローリングニードル、マイクロニードル、マッサージ、静脈注射、筋肉注射、皮下注射、穴位注射、腰椎穿刺のいずれか1つ又はその組合せ方式で使用する。
【0033】
本発明の好ましい技術案では、前記初代間葉系幹細胞の培養は、当分野の培養方法である。
【0034】
本発明の好ましい技術案では、前記間葉系継代幹細胞の培養は、初代間葉系幹細胞を5.0×105~5.0×106個/mlの初期密度にするように、継代培地に加えてから、それを37.0℃±0.5℃、5%±1.0%CO2条件で10~15日培養し、2~3日おきで、継代培地の黄変を観察した後、継代培地を半分交換し、ここで、前記継代培地は、10%FBS、100U/mlペニシリン及び100ug/mlストレプトマイシンを含有するDMEM/F12培地である、ステップを含む。
【0035】
本発明の好ましい技術案では、前記初代間葉系幹細胞の培養は、
臍帯を洗浄消毒した後、組織を解剖し、ワルトンジェリー層組織を取って、3mm3の小片に切り取り、遠心分離し洗浄して、組織片を収集し、それを、10%ウシ胎児血清FBS、100ug/mlペニシリン、100ug/mlストレプトマイシンを含有するDMEM/F12培地に入れてから、それを37.0℃±0.5℃、5%±1.0%CO2条件で培養し、2~3日おきで、培地を半分交換し、組織片から細胞が出て来るまで培養するステップAと、
振って、低層細胞を収集してPBSで洗浄した後、0.25%のトリプシンを加えて2min~3min消化し、同容量のトリプシン停止液を加えて消化を停止し、ピペットで軽く吹き叩き、1200~1500rpm/min*5~8minで遠心分離した後、細胞を収集して、得るステップBと、を含む。
【0036】
本発明の目的は、毛包修復効果を有する細胞タンパク質抽出物の作製方法を提供することであり、当該方法は、
密度が5.0×106個/mL~1.0×107個/mLの間葉系継代細胞を40~50%のDMEM/F12、40~50%のRPMI1640、ウシ血清タンパク質(BSA)0.1~2%、上皮細胞成長因子(EGF)1~15ug/mL、線維芽細胞成長因子(FGF)1~15ug/mL、インスリントランスフェリン1~15ug/mL、アミノ酸化合物(18AA)0.01~0.1%及び2~10μmol/L化合物1~16から選択あれるいずれか1つ又はその組合せであるストレス物質を含有する培地に入れてから、それを37.0℃±0.5℃、5%±1.0%CO2条件で20~40min培養した後、分離し、洗浄し、細胞を収集する、ステップS-1と、
収集された細胞を5.0×106個/mL~5.0×107個/mLの密度にするように、生理食塩水、5%グルコース溶液、リン酸塩緩衝液(PBS)、TBPS緩衝液、TBST緩衝液、Tris緩衝液から選択されるいずれか1つ又はその組合せである溶媒に分散させてから、それを2℃~8℃条件で超音波処理して、細胞溶解液を作製するステップS-2と、
ステップS-2で作製された細胞溶解液を分離した後、得られた分離液を、0.45um、0.22umろ過膜で順次にろ過して、得るステップS-3と、を含む。
【0037】
本発明の好ましい技術案では、ステップS-1の培地に、42~45%のDMEM/F12、42~45%のRPMI1640、ウシ血清タンパク質(BSA)0.5~1.5%、上皮細胞成長因子(EGF)5~10ug/mL、線維芽細胞成長因子(FGF)5~10ug/mL、インスリントランスフェリン5~10ug/mL、アミノ酸化合物(18AA)0.02~0.05%及び3~8μmol/Lのストレス物質を含有する。
【0038】
本発明の好ましい技術案では、ステップS-1の培地に、45%のDMEM/F12、45%のRPMI1640、ウシ血清タンパク質(BSA)0.5%、上皮細胞成長因子(EGF)10ug/mL、線維芽細胞成長因子(FGF)10ug/mL、インスリントランスフェリン10ug/mL、アミノ酸化合物(18AA)0.05%及び4~6μmol/Lのストレス物質を含有する。
【0039】
本発明の好ましい技術案では、ステップS-1の間葉系継代細胞密度は、6.0×106~2.0×107個/mLであり、好ましくは、8.0×106~1.0×107個/mLである。
【0040】
本発明の好ましい技術案では、ステップS-1の間葉系継代細胞を培地中で15~50min、好ましくは20~40min培養する。
【0041】
本発明の好ましい技術案では、ステップS-1での細胞を洗浄する溶媒は、生理食塩水、5%グルコース溶液、リン酸塩緩衝液(PBS)、TBPS緩衝液、TBST緩衝液、Tris緩衝液から選択されるいずれか1つ又はその組合せであり、細胞の洗浄回数は、2~5回であり、好ましくは、3~4回である。
【0042】
本発明の好ましい技術案では、ステップS-1に記載の分離は、遠心分離、ろ過から選択されるいずれか1つ又はその組合せであり、ここで、前記遠心分離条件は、1000~2000rpm*3~15minであり、好ましくは、1200rpm~1500rpm*5~10minである。
【0043】
本発明の好ましい技術案では、ステップS-2の超音波条件は、2℃~8℃、25kHZ、360W条件で、3s動作して1sの間隔をあけるように、1~5minの超音波処理を行うことである。
【0044】
本発明の好ましい技術案では、ステップS-3に記載の分離は、2000~8000rpm*10~30min遠心分離、多段遠心分離、多段ろ過から選択されるいずれか1つ又はその組合せであり、好ましくは、3000~7000rpm*15~25minである。
【0045】
本発明の好ましい技術案では、ステップS-3の多段遠心分離は、順番に3000~4000rpm*3~5min、5000~6000rpm*3~5min及び7000rpm*5~8minである。
【0046】
本発明の好ましい技術案では、前記多段ろ過のろ過膜の孔径は、80um、50um、30um、10um、5umから選択されるいずれか1つである。
【0047】
本発明の好ましい技術案では、ステップS-3で作製された細胞タンパク質抽出物を冷凍保存し、好ましくは、-40℃~-20℃で冷凍保存する。
【0048】
本発明の好ましい技術案では、ステップS-3で作製された細胞タンパク質抽出物をヌクレアーゼ又はウルトラヌクレアーゼのいずれかを用いて酵素分解した後、分離精製する。
【0049】
本発明の好ましい技術案では、前記初代間葉系幹細胞の培養は、当分野の培養方法である。
【0050】
本発明の好ましい技術案では、前記間葉系継代幹細胞の培養は、初代間葉系幹細胞を5.0×105~5.0×106個/mlの密度にするように、継代培地に加えてから、それを37.0℃±0.5℃、5%±1.0%CO2条件で10~15日培養し、2~3日おきで、継代培地の黄変を観察した後、継代培地を半分交換し、ここで、前記継代培地は、10%FBS、100U/mlペニシリン及び100ug/mlストレプトマイシンを含有するDMEM/F12培地である、ステップを含む。
【0051】
本発明の好ましい技術案では、前記初代間葉系幹細胞の培養は、
臍帯を洗浄消毒した後、組織を解剖し、ワルトンジェリー層組織を取って、3mm3の小片に切り取り、遠心分離し、洗浄し、組織片を収集し、それを、10%ウシ胎児血清FBS、100ug/mlペニシリン、100ug/mlストレプトマイシンを含有するDMEM/F12培地に加えてから、それを37.0℃±0.5℃、5%±1.0%CO2条件で培養し、2~3日おきで、培地を半分交換し、組織片から細胞が出て来るまで培養するステップAと、
振って、低層細胞を収集してPBSで洗浄した後、0.25%のトリプシンを加えて2min~3min消化し、同容量のトリプシン停止液を加えて消化を停止し、ピペットで軽く吹き叩き、1200~1500rpm/min*5~8minで遠心分離した後、細胞を収集して、得るステップBと、を含む。
【0052】
本発明の目的は、毛包修復タンパク質組成物の作製方法を提供し、当該方法は、
本発明の細胞タンパク質抽出物に、ヌクレアーゼ又はウルトラヌクレアーゼのいずれか1つ又はその組合せを20U/mL~35U/mL加え、それを37℃±1℃条件で15min~40minの酵素分解を行って、酵素分解液を作製するステップ(1)と、
2℃~8℃条件で、ステップ(1)で作製された酵素分解液を、50mmol/Lリン酸塩緩衝液(pH6.8)に300mmol/L塩化ナトリウムを含有してなる溶出溶媒で5~15mg/mlに調合し、0.1~1ml/minの溶出流速でクロマトグラフィーカラムを通過させ、紫外線波長が280nmの溶出部位を監視して収集するステップ(2)と、を含む。
【0053】
本発明の好ましい技術案では、前記ヌクレアーゼは、RNAヌクレアーゼ、DNAヌクレアーゼから選択されるいずれか1つ又はその組合せである。
【0054】
本発明の好ましい技術案では、前記毛包修復タンパク質組成物の分子量は、20kDa~300kDaであり、好ましくは、50kDa~200kDaである。
【0055】
本発明の好ましい技術案では、ステップ(2)で作製されたタンパク質組成物を冷凍保存し、好ましくは、-40℃~-20℃で冷凍保存する。
【0056】
本発明の好ましい技術案では、ステップ(2)で作製されたタンパク質組成物に、マンニトール、ソルビトール、デキストラン、グリセロール、スクロース、トレハロース、グルコース、ラクトース、マルトース、グルカン、トリカプリリン(HES)、ポリエチレングリコール、エチレンビニリデン、リン酸塩、酢酸塩、クエン酸塩、ソルビトール、デンプンから選択されるいずれか1つ又はその組合せである凍結乾燥保護剤を加え、凍結乾燥して、得る。
【0057】
本発明の好ましい技術案では、質量%で、前記凍結乾燥製剤に凍結乾燥保護剤を0.5~8%、好ましくは1~5%含有する。
【0058】
本発明の好ましい技術案では、ステップ(2)で作製されたタンパク質組成物にタンパク質安定剤を任意選択で加え、ここで、前記タンパク質安定剤は、アルブミン、亜鉛塩、アルミニウム塩から選択されるいずれか1つである。
【0059】
本発明の好ましい技術案では、前記タンパク質組成物凍結乾燥製剤は、pH6~8であり、好ましくはpH7~7.5である。
【0060】
本発明の好ましい技術案では、前記毛包修復タンパク質組成物中のタンパク質の組成は、
図2に示すとおりである。
【0061】
本発明の好ましい技術案では、前記凍結乾燥製剤を使用直前に、生理食塩水、5%グルコース溶液、リン酸塩緩衝液(PBS)、TBPS緩衝液、TBST緩衝液、Tris緩衝液から選択されるいずれか1つ又はその組合せである等張液で再溶解した後、塗抹、ローリングニードル、マイクロニードル、マッサージ、静脈注射、筋肉注射、皮下注射、穴位注射、腰椎穿刺のいずれか1つ又はその組合せ方式で使用する。
【0062】
本発明の別の目的は、本発明の毛包修復効果を有する細胞タンパク質抽出物又は毛包修復タンパク質組成物のいずれか1つ又はその組合せ及び薬学的に許容可能なキャリアからなる毛包修復組成物を提供することである。
【0063】
本発明の薬学的に許容可能なキャリアの用量又はその種類は、組成物中の有効成分の物理化学的性質及び含有量、製剤のタイプ、製剤の溶解及び生物学的利用能等の要因によって決定される。
【0064】
本発明の組成物は、当分野の剤形であり得、当分野の製剤技術を用いて作製することができる。
【0065】
本発明の好ましい技術案では、前記組成物は、凍結乾燥剤、ゲル化剤、鼻スプレー剤、軟膏、クリーム剤、乳剤、液体ドレッシング剤、注射剤、坐剤から選択されるいずれか1つである。
【0066】
本発明の好ましい技術案では、前記組成物の投与方法は、塗抹、ローリングニードル、マイクロニードル、マッサージから選択されるいずれか1つ又はその組合せである。
【0067】
本発明の別の目的は、本発明に記載の毛包修復効果を有する細胞タンパク質抽出物、毛包修復タンパク質組成物又はその組成物の、細胞修復や毛包修復の製品の作製における使用を提供することである。
【0068】
本発明の好ましい技術案では、前記製品は、発毛製品、毛髪疾患を予防と治療する製品、病理学的脱毛を予防と治療する製品、生理的脱毛を遅延させる製品、頭皮環境を改善する製品から選択されるいずれか1つであり、ここで、前記毛髪疾患は、少毛、多毛、分布異常、頭髪密度異常、頭髪直径異常、頭髪色素異常、毛幹から選択されるいずれか1つ又はその組合せであり、前記病理学的脱毛は、男性ホルモン性脱毛、円形脱毛、梅毒性脱毛、抜毛癖、物理学的脱毛、脱毛性毛包炎、perifolliculitis capitis abscedens et suffodiens、先天性乏毛症から選択されるいずれか1つ、頭皮扁平苔癬、毛髪扁平苔癬、頭皮円盤状紅斑性狼瘡、放射性脱毛、女性線維性脱毛、頭皮やけどから選択されるいずれか1つであり、前記生理的脱毛は、自然脱毛、季節性脱毛、乳児脱毛、老人性脱毛、分娩後脱毛から選択されるいずれか1つである。
本発明の別の目的は、本発明の発毛製品の、発毛治療及び脱毛防止のための投与方案における使用を提供することであり、被験者は、2週間から4週間おきに1回投与し、3回が1つの治療コースになる治療を受け、マイクロニードル、ローリングニードルのいずれか1つを用いて脱毛部位を穿刺した後、局所的に塗抹方法で投与し、全部吸収するまでマッサージする。
【0069】
本発明の好ましい技術案では、治療前に、治療部位を局所的に麻酔する。
【0070】
本発明の別の目的は、化合物1~16の、修復効果を有する機能性タンパク質を生成するように幹細胞をストレス誘導することにおける使用を提供することである。
【0071】
本発明の好ましい技術案では、前記修復は、細胞修復、毛包修復、関節修復、神経修復のうちのいずれかである。
【0072】
特に明記しない限り、本発明が液体と液体との百分率に関する場合、前記百分率は体積/体積百分率であり、本発明が液体と固体との百分率に関する場合、前記百分率は体積/重量百分率であり、本発明が固体と液体との百分率に関する場合、前記百分率は重量/体積百分率であり、残りは、重量/重量百分率である。
【0073】
特に明記しない限り、本発明の間葉系幹細胞MSCsの同定は『Standards for the culture and quality control of umbilical cord mesenchymal stromal cells for neurorestorative clinical application』を参照する。
【発明の効果】
【0074】
本発明は、従来の技術と比較して、下記の有益な効果を有する。
【0075】
1、本発明では、細胞修復や毛包修復の効果を有する機能性タンパク質を生成するように間葉系幹細胞をストレス誘導する、ストレス物質を含有する培地を科学的にスクリーニングし、且つ、細胞の成長と分化、細胞修復及び細胞栄養等を調節する機能を有する種々の成長因子及びタンパク質を含有し、得られた細胞タンパク質抽出物、細胞タンパク質組成物又はその組成物は、細胞や損傷した毛包細胞の修復作用を有し、マイクロニードル、ローリングニードルのいずれかを用いて脱毛部位を穿刺した後、本発明の毛包修復タンパク質組成物を局所的かつ経皮的に導入し、頭皮の表面に毛包の根部まで直達する有効な投与経路を形成し、損傷した毛包を効率よく修復して、毛包の活性を顕著に向上させ、且つ、純度が高く、安定性が良く、安全で効果的であり、生存細胞が冷蔵を必要とし且つその活性が細胞生存可能時間に制限されるということを効果的に解決する等の利点を有し、損傷した毛包の修復及びコラーゲンタンパク質の生成を促進し、毛髪の再生を促進し、頭髪の痒み、油脂の過剰な流出、フケ等の随伴症状及び患者の服薬コンプライアンスを顕著に改善し、治療効果が確実で、吸収率が高く、頭皮への刺激性がなく、安全で効果的であり、簡便で迅速な治療方法を臨床に提供する。
【0076】
2、本発明の作製方法は、操作が簡便で、環境に優しく、コストがよりよく、工業化生産に適する等の利点を有する。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【
図1】本発明の毛包修復タンパク質組成物の電気泳動分離結果である。
【
図2】本発明の毛包修復タンパク質組成物の高速液体クロマトグラフィー検出結果である。
【
図3】本発明の細胞タンパク質抽出物の、酸化的に損傷された皮膚に対する修復作用の研究である。
【
図4】本発明の毛包修復タンパク質組成物の、AGAマウスモデルに対する毛包修復作用の研究における試験群とモデル群の研究結果である。
【
図5】本発明の毛包修復タンパク質組成物の、AGAマウスモデルに対する毛包修復作用の研究における試験群とモデル群のH&E染色結果である(スケールバー:200μm)である。
【
図6】本発明の毛包修復タンパク質組成物の、AGAマウスモデルに対する毛包修復作用の研究における試験群とモデル群のマウスのHFの定量であり、***はp<0.005を示す。
【発明を実施するための形態】
【0078】
以下、具体的な実施例を参照して、本発明の詳細な内容についてさらに解釈、説明するが、本発明の保護範囲は、これに限定されない。
【0079】
1、初代間葉系幹細胞の培養
初代間葉系幹細胞の培養は、
臍帯を洗浄消毒した後、組織を解剖し、ワルトンジェリー層組織を取って、3mm3の小片に切り取り、遠心分離し、洗浄し、組織片を収集し、それを培養フラスコに入れ、10%ウシ胎児血清FBS、100ug/mlペニシリン、100ug/mlストレプトマイシンを含有するDMEM/F12培地を加えてから、それを37℃、5%CO2条件で培養し、壁への付着を促進し、2~3日おきで、培地の黄変を観察した後、培地を半分交換し、組織片の辺縁で細胞が出て来るのが見えるまで、10~12日培養するステップ1)と、
軽く振って、組織片を落とし、組織片及び低層細胞をそれぞれ収集し、ここで、収集した組織片を再壁着して培養するステップ2)と、
収集した低層細胞をPBSで洗浄した後、0.25%トリプシンを適量加えて2min~3min消化し、同容量のトリプシン停止液を加えて消化を停止し、ピペットでフラスコの底を軽く吹き叩き、1500rpm/min*5minで遠心分離した後、細胞を収集して、得るステップ3)と、を含む。
【0080】
2、初代間葉系幹細胞の継代培養
初代間葉系幹細胞の継代培養:初代間葉系幹細胞を1.0×105~6.0×105個/mlの初期密度にするように、10%FBS、100U/mlペニシリン及び100ug/mlストレプトマイシンを含有するDMEM/F12培地に加えてから、それを37.0℃±0.5℃、5%±1.0%CO2条件で10~15日培養し、2~3日おきで、培地の黄変を観察した後、培地を半分交換する。
【0081】
3、化合物1~16の作製は、文献1(New limonophyllines A-C from the stem of Atalantia monophylla and cytotoxicity against cholangiocarcinoma and HepG2 cell lines,Arch. Pharm. Res. (2018) 41:431~437)を参照する。
【0082】
(実施例1)本発明の毛包修復効果を有する細胞タンパク質抽出物の作製
本発明の毛包修復効果を有する細胞タンパク質抽出物の作製方法は、
間葉系継代細胞を5.0×106個/mLの密度にするように、45%のDMEM/F12、45%のRPMI1640、ウシ血清タンパク質(BSA)0.5%、上皮細胞成長因子(EGF)10ug/mL、線維芽細胞成長因子(FGF)10ug/mL、インスリントランスフェリン10ug/mL、アミノ酸化合物(18AA)0.05%及び5μmol/Lの化合物16を含有する培地に加えてから、それを37℃、5%CO2条件で30min培養した後、それを1200rpm*5minで遠心分離し、PBSで3回洗浄した後、細胞を収集するステップ(1)と、
ステップ(1)で収集された細胞を8×106個/mLの密度にするように、生理食塩水に分散させ、2~8℃、25kHz、360W条件で、3s動作して1sの間隔をあけるように、2minの超音波処理を行い、細胞溶解液を作製するステップ(2)と、
ステップ(2)で作製された細胞溶解液を7000rpm*20minで遠心分離し、得られた遠心分離液を0.45um、0.22umろ過膜で順次にろ過して、得るステップ(3)と、を含む。
【0083】
(実施例2)本発明の毛包修復タンパク質組成物の作製
本発明の毛包修復タンパク質組成物の作製は、
実施例1で作製された細胞タンパク質抽出物に25U/mLのウルトラヌクレアーゼ(UCF.ME UltraNuclease)を加え、37℃で30minの酵素分解を行った後、酵素分解液を作製するステップ(1)と、
2℃~8℃条件で、ステップ(1)で作製された酵素分解液を、50mmol/Lリン酸塩緩衝液(pH6.8)に300mmol/L塩化ナトリウムを含有してなる溶出溶媒で10mg/mlに調合し、高純度シリカゲル液体クロマトグラフィーガードカラム(WondaGuard C18、4.6×5mm)、高純度シリカゲル液体クロマトグラフィー作製カラム(SHIMSEN Ankylo C18、5μm、4.6×250mm)を順次に通過させ、溶出流速が0.1~1ml/minであり、紫外線波長が280nmの溶出部位を監視して収集して、得るステップ(2)と、を含む。
【0084】
(実施例3)本発明の毛包修復タンパク質組成物凍結乾燥製剤の作製
実施例2で作製された細胞タンパク質組成物に、必要な量のマンニトールを加え、撹拌し、均一に混合した後、凍結乾燥し、得られた凍結乾燥製剤に、2%のマンニトール(m/m)を含有する。
【0085】
(実施例4)本発明の毛包修復効果を有する細胞タンパク質抽出物の作製
本発明の毛包修復効果を有する細胞タンパク質抽出物の作製方法は、
間葉系継代細胞を8.0×106個/mLの密度にするように、45%のDMEM/F12、45%のRPMI1640、ウシ血清タンパク質(BSA)0.5%、上皮細胞成長因子(EGF)10ug/mL、線維芽細胞成長因子(FGF)10ug/mL、インスリントランスフェリン10ug/mL、アミノ酸化合物(18AA)0.05%及び5μmol/Lの化合物13を含有する培地に加えてから、それを37℃、5%CO2条件で30min培養した後、それを1200rpm*5minで遠心分離し、PBSで3回洗浄した後、細胞を収集するステップ(1)と、
ステップ(1)で収集された細胞を1.0×107個/mLの密度にするように、生理食塩水に分散させ、2~8℃、25kHz、360W条件で、3s動作して1sの間隔をあけるように、2minの超音波処理を行い、細胞溶解液を作製するステップ(2)と、
ステップ(2)で作製された細胞溶解液を7000rpm*20minで遠心分離し、得られた遠心分離液を0.45um、0.22umろ過膜で順次にろ過して、得るステップ(3)と、を含む。
【0086】
(実施例5)本発明の毛包修復タンパク質組成物の作製
本発明の毛包修復タンパク質組成物の作製は、
実施例4で作製された細胞タンパク質抽出物に20U/mLのウルトラヌクレアーゼ(UCF.ME UltraNuclease)を加え、37℃で30minの酵素分解を行った後、酵素分解液を作製するステップ(1)と、
2℃~8℃条件で、ステップ(1)で作製された酵素分解液を、50mmol/Lリン酸塩緩衝液(pH6.8)に300mmol/L塩化ナトリウムを含有してなる溶出溶媒で10mg/mlに調合し、高純度シリカゲル液体クロマトグラフィーガードカラム(WondaGuard C18、4.6×5mm)、高純度シリカゲル液体クロマトグラフィー作製カラム(SHIMSEN Ankylo C18、5μm、4.6×250mm)を順次に通過させ、溶出流速が0.1~1ml/minであり、紫外線波長が280nmの溶出部位を監視して収集して、得るステップ(2)と、を含む。
【0087】
(実施例6)本発明の毛包修復タンパク質組成物凍結乾燥製剤の作製
実施例5で作製された細胞タンパク質組成物にソルビトールを加え、撹拌し、均一に混合した後、凍結乾燥し、得られた凍結乾燥製剤に、5%のソルビトール(m/m)を含有する。
【0088】
(実施例7)本発明の毛包修復効果を有する細胞タンパク質抽出物の作製
本発明の毛包修復効果を有する細胞タンパク質抽出物の作製方法は、
間葉系継代細胞を1.0×107個/mLの密度にするように、45%のDMEM/F12、45%のRPMI1640、ウシ血清タンパク質(BSA)0.5%、上皮細胞成長因子(EGF)10ug/mL、線維芽細胞成長因子(FGF)10ug/mL、インスリントランスフェリン10ug/mL、アミノ酸化合物(18AA)0.05%及び8μmol/Lの化合物14を含有する培地に加えてから、それを37℃、5%CO2条件で30min培養した後、それを1200rpm*5minで遠心分離し、PBSで3回洗浄した後、細胞を収集するステップ(1)と、
ステップ(1)で収集された細胞を5.0×107個/mLの密度にするように、生理食塩水に分散させ、2~8℃、25kHz、360W条件で、3s動作して1sの間隔をあけるように、2minの超音波処理を行い、細胞溶解液を作製するステップ(2)と、
ステップ(2)で作製された細胞溶解液を7000rpm*20minで遠心分離し、得られた遠心分離液を0.45um、0.22umろ過膜で順次にろ過して、得るステップ(3)と、を含む。
【0089】
(実施例8)本発明の毛包修復タンパク質組成物の作製
本発明の毛包修復タンパク質組成物の作製は、
実施例7で作製された細胞タンパク質抽出物に30U/mLのウルトラヌクレアーゼ(UCF.ME UltraNuclease)を加え、37℃で30minの酵素分解を行った後、酵素分解液を作製するステップ(1)と、
2℃~8℃条件で、ステップ(1)で作製された酵素分解液を、50mmol/Lリン酸塩緩衝液(pH6.8)に300mmol/L塩化ナトリウムを含有してなる溶出溶媒で10mg/mlに調合し、高純度シリカゲル液体クロマトグラフィーガードカラム(WondaGuard C18、4.6×5mm)、高純度シリカゲル液体クロマトグラフィー作製カラム(SHIMSEN Ankylo C18、5μm、4.6×250mm)を順次に通過させ、溶出流速が0.1~1ml/minであり、紫外線波長が280nmの溶出部位を監視して収集して、得るステップ(2)と、を含む。
【0090】
(実施例9)本発明の毛包修復タンパク質組成物凍結乾燥製剤の作製
実施例8で作製された細胞タンパク質組成物にマンニトールを加え、撹拌し、均一に混合した後、凍結乾燥し、得られた凍結乾燥製剤に5%のマンニトール(m/m)を含有する。
【0091】
(実施例10)本発明の毛包修復効果を有する細胞タンパク質抽出物の作製
本発明の毛包修復効果を有する細胞タンパク質抽出物の作製方法は、
間葉系継代細胞を5.0×106個/mLの密度にするように、45%のDMEM/F12、45%のRPMI1640、ウシ血清タンパク質(BSA)0.5%、上皮細胞成長因子(EGF)10ug/mL、線維芽細胞成長因子(FGF)10ug/mL、インスリントランスフェリン10ug/mL、アミノ酸化合物(18AA)0.05%及び2μmol/Lの化合物15を含有する培地に加えてから、それを37℃、5%CO2条件で30min培養した後、それを1200rpm*5minで遠心分離し、PBSで3回洗浄した後、細胞を収集するステップ(1)と、
ステップ(1)で収集された細胞を8.0×106個/mLの密度にするように、生理食塩水に分散させ、2~8℃、25kHz、360W条件で、3s動作して1sの間隔をあけるように、2minの超音波処理を行い、細胞溶解液を作製するステップ(2)と、
ステップ(2)で作製された細胞溶解液を7000rpm*20minで遠心分離し、得られた遠心分離液を0.45um、0.22umろ過膜で順次にろ過して、得るステップ(3)と、を含む。
【0092】
(実施例11)本発明の毛包修復タンパク質組成物の作製
本発明の毛包修復タンパク質組成物の作製は、
実施例10で作製された細胞タンパク質抽出物に30U/mLのウルトラヌクレアーゼ(UCF.ME UltraNuclease)を加え、37℃で30minの酵素分解を行った後、酵素分解液を作製するステップ(1)と、
2℃~8℃条件で、ステップ(1)で作製された酵素分解液を、50mmol/Lリン酸塩緩衝液(pH6.8)に300mmol/L塩化ナトリウムを含有してなる溶出溶媒で10mg/mlに調合し、高純度シリカゲル液体クロマトグラフィーガードカラム(WondaGuard C18、4.6×5mm)、高純度シリカゲル液体クロマトグラフィー作製カラム(SHIMSEN Ankylo C18、5μm、4.6×250mm)を順次に通過させ、溶出流速が0.1~1ml/minであり、紫外線波長が280nmの溶出部位を監視して収集して、得るステップ(2)と、を含む。
【0093】
(実施例12)本発明の毛包修復タンパク質組成物凍結乾燥製剤の作製
実施例11で作製された細胞タンパク質組成物にデキストランを加え、撹拌し、均一に混合した後、凍結乾燥して、得て、得られた凍結乾燥製剤に1%のデキストラン(m/m)を含有する。
【0094】
(実施例13)本発明の細胞タンパク質抽出物凍結乾燥製剤の作製
実施例1で作製された細胞タンパク質抽出物に必要な量のマンニトールを加え、撹拌し、均一に混合した後、凍結乾燥し、得られた凍結乾燥製剤に2%のマンニトール(m/m)を含有する。
【0095】
(実施例14)本発明の毛包修復タンパク質組成物の分子量分布の検出
本発明の神経修復タンパク質組成物の分子量分布を、標準分子量ポリアクリルアミドゲル電気泳動を用いて検出し、
厚さが1.5mmのガラス板を選んで水平に置き、表1にするように、調合済みのゲル液(15%の下層ゲル、4%の分離ゲル)をガラス板上に順次に塗り、櫛を下層ゲルに垂直に挿入するステップ1と、
【表1】
-40℃で冷凍保存したMarker(20KDa~245KDa)を解凍した後、Marker及び実施例3、6、9、12で作製された毛包修復タンパク質組成物の凍結乾燥粉末をそれぞれPBSで10ug/ulの被検試料に調合し、20ulの被検試料をローディングウェルに添加した後、60~80V条件で比較的鮮明なバンドが現れるまで電気泳動を行った後、Marker分離が完了するまで、電圧を100~120Vに調整し、PAGEゲルをクマシーブリリアントブルー染色液に入れ、ゲルに鮮明なバンドが現れると、染色を停止し、純水で洗浄した後、10%の酢酸溶液で脱色し、ゲルが透明になったら脱色を停止するステップ2と、を含む。結果は、
図1を参照し、ここで、バンドAは実施例3で、バンドBは実施例6で、バンドCは実施例9で、バンドDは実施例12である。
【0096】
(実施例15)本発明の毛包修復タンパク質組成物の高速液体クロマトグラフィー検出
実施例3の毛包修復タンパク質組成物の凍結乾燥粉末を脱イオン水で溶解し、それを10mg/mlの試験液に作製する。
クロマトグラフィーカラム:SHIMSEN Ankylo(300mm*4.6mm.D.,3um;P/N:380-01215-05)島津
移動相:300mmol/L塩化ナトリウムを含有する50mmol/Lリン酸塩緩衝液(pH=6.8)、流速は、0.3mL/minであり、注入量は、10ulであり、カラム温度は25℃であり、検出波長は、280nmであり、イソクラテイック溶離し、30min収集する。結果は、
図2を参照する。
【0097】
(試験例1)本発明の毛包修復効果を有する細胞タンパク質抽出物の酸化的損傷の修復作用の研究
3D皮膚モデル:EpiKutis(R)、市販のEpiKutisから購入した。
SLSワーキングソリューション:0.0080gのSLSを秤量して、2mLのPBS溶液に溶解させ、0.22μmでろ過すると、0.4%のSLS母液に調合した。0.5mLのSLS母液を吸い取って、0.5mLのPBSを加え、0.2%SLSワーキングソリューションに調合した。
WY14643ワーキングソリューション:10mgのWY14643(PPARα興奮剤)を秤量して、1mLのDMSOに溶解させ、30mMのWY14643母液に調合した。続いて、10μLのWY14643母液(30mM)を6mLモデル培養液に加え、50μMのWY14643ワーキングソリューションに調合した。
試験試料:実施例13で作製された細胞タンパク質抽出物の凍結乾燥粉末を生理食塩水に加えて溶解させ、1%の細胞タンパク質抽出物凍結乾燥製剤溶液を得た。
モデル培養液:DMEM基礎培地。
6ウェルプレートに0.9mLモデル培養液を加え、3D皮膚モデルを6ウェルプレートに移し、試験番号を標識した。
ブランク対照(BC):皮膚モデルに対して何の処理もせず、それをCO2インキュベーター(37℃、5%CO2)に入れて24hインキュベートした。
陰性対照(NC):皮膚モデルの表面に0.2%のSLSワーキングソリューションを25μL加え、それをCO2インキュベーター(37℃、5%CO2)に入れて24hインキュベートした。
陽性対照(PC):皮膚モデルの表面に0.2%のSLSワーキングソリューションを25μL加え、それをCO2インキュベーター(37℃、5%CO2)に入れて、24hインキュベートした後、50μMのWY14643ワーキングソリューションを25μL添加してから、CO2インキュベーター(37℃、5%CO2)に入れて24hインキュベートした。
【0098】
試験群:皮膚モデルの表面に0.2%のSLSワーキングソリューションを25μL加え、それをCO
2インキュベーター(37℃、5%CO
2)に入れて24hインキュベートした後、1%の細胞タンパク質抽出物溶液を25μL添加してから、CO
2インキュベーター(37℃、5%CO
2)に入れて24hインキュベートした。
24hインキュベートした後、PBS溶液で洗浄して、皮膚モデルの内外に残存している液体を除去した。4%のパラホルムアルデヒドで24h固定処理をした後、円形切除によりモデルを取り外し、H&E染色処理を経た後、顕微鏡下で撮像して観察した。結果は、
図3を参照する。本発明の細胞タンパク質抽出物は、酸化的に損傷された皮膚を顕著に修復する。
【0099】
(試験例2)本発明の毛包修復タンパク質組成物の発毛作用に対する考察
体重が20~25gのC57BL/6J雄マウスを11匹選択して、モデル群及び薬物群にランダムに分け、モデル群は5匹で、薬物群は6匹である。毎日、テストステロン溶液を試験動物に局所的に適用して、AGAマウスモデルを構築した。先に、試験マウスの背部皮膚を動物ハサミと脱毛クリームで脱毛した後、0.5%のテストステロンエタノール溶液(w/v)(適量のテストステロンを50%のエタノール溶液(v/v)に溶解させて作製する)を0.1mL/cm
2の用量にするように、試験マウスの脱毛した皮膚に毎日塗抹し、且つ試験マウスを脱毛してからテストステロンエタノール溶液を33日間連続して塗抹した。試験群に対して、脱毛した後8日目から24日目まで、2mg/回/匹の用量にするように、本発明の実施例3の毛包修復タンパク質組成物の凍結乾燥粉末(2mgを200ulのPBSに溶解させた)をマウスに毎日2回塗抹した。試験動物を脱毛した後の0日目、8日目、16日目及び24日目にマウスの毛髪の成長状況を観察した。試験動物に投与してから25日目にマウスを処分して、マウスの背部皮膚を取り、HE染色(スケールバー:200μm)して、脱毛皮膚の毛髪の成長及び毛包再生状況を観察し、3つの視野をランダムに選択してHFの数を計算した。結果は、
図4~
図6を参照する。モデル群のマウスの脱毛領域は、ピンク色のままであり、新たな毛の発生及び毛包再生がほとんど見られず、HFsの半分以上が休止期にあり、且つ小型化したHFsは完全に真皮内に位置し、毛髪組織及び皮膚形態が不完全である。試験群のマウスの脱毛領域では、明らかな新生髪及び顕著により多い再生毛包、皮下組織に位置する肥大した球根及び内根鞘の形成が見え、大きな割合のHFsはすでに成長期に入り、脱毛後の33日目まで、マウスの背部皮膚に濃密な毛髪が成長し、毛髪組織及び皮膚形態が完全で、毛包の成長を促進し、皮膚の形態を維持し、皮膚の生理的機能を維持する。本発明の毛包修復タンパク質組成物は、損傷した毛包の修復、毛髪再生を顕著に促進するとともに、HF幹細胞を活性化させる(p<0.05)。
【0100】
上述した本発明の具体的な実施形態に対する説明は本発明を限定するものではなく、当業者は本発明に基づいて様々な変更又は変形を行うことができ、本発明の精神から逸脱しない限り、いずれも本発明の特許請求の保護範囲に属するべきである。
【手続補正書】
【提出日】2024-12-19
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
毛包修復タンパク質組成物であって、その作製は、
細胞タンパク質抽出物に、ヌクレアーゼ又はウルトラヌクレアーゼのいずれか1つ又はその組合せを20U/mL~35U/mL加え、それを37℃±1℃条件で15min~40minの酵素分解を行って、酵素分解液を作製するステップ(1)と、
2℃~8℃条件で、ステップ(1)で作製された酵素分解液を、50mmol/Lリン酸塩緩衝液(pH6.8)に300mmol/L塩化ナトリウムを含有してなる溶出溶媒で5~15mg/mlに調合し、0.1~1ml/minの溶出流速でクロマトグラフィーカラムを通過させ、紫外線波長が280nmの溶出部位を監視して収集するステップ(2)と、を含む、
毛包修復タンパク質組成物。
【請求項2】
前記細胞タンパク質抽出物の作製は、
密度が5.0×10
6個/mL~1.0×10
7個/mLの間葉系継代細胞を40~50%のDMEM/F12、40~50%のRPMI1640、ウシ血清タンパク質(BSA)0.1~2%、上皮細胞成長因子(EGF)1~15ug/mL、線維芽細胞成長因子(FGF)1~15ug/mL、インスリントランスフェリン1~15ug/mL、アミノ酸化合物(18AA)0.01~0.1%及び2~10μmol/L化合物1~16から選択されるいずれか1つ又はその組合せであるストレス物質を含有する培地に入れてから、それを37.0℃±0.5℃、5%±1.0%CO
2条件で10~60minを培養した後、分離し、洗浄し、細胞を収集する、ステップS-1と、
【化1】
【化2】
【化3】
収集された細胞を5.0×10
6個/mL~5.0×10
7個/mLの密度にするように、生理食塩水、5%グルコース溶液、リン酸塩緩衝液(PBS)、TBPS緩衝液、TBST緩衝液、Tris緩衝液から選択されるいずれか1つ又はその組合せである溶媒に分散させてから、それを2℃~8℃条件で超音波処理して、細胞溶解液を作製するステップS-2と、
ステップS-2で作製された細胞溶解液を分離した後、得られた分離液を、0.45um、0.22umろ過膜で順次にろ過して、得るステップS-3と、を含む、
請求項1に記載のタンパク質組成物。
【請求項3】
前記毛包修復タンパク質組成物の分子量は、20kDa~300kDaで
ある、
請求項
1に記載のタンパク質組成物。
【請求項4】
ステップS-1の間葉系継代細胞を培地中で15~50mi
n培養する、
請求項
1に記載のタンパク質組成物。
【請求項5】
ステップS-2の超音波条件は、2℃~8℃、25kHZ、360W条件で、3s動作して1sの間隔をあけるように、1~5minの超音波処理を行うことである、
請求項
1に記載のタンパク質組成物。
【請求項6】
ステップ(2)で作製されたタンパク質組成物に、マンニトール、ソルビトール、デキストラン、グリセロール、スクロース、トレハロース、グルコース、ラクトース、マルトース、グルカン、トリカプリリン(HES)、ポリエチレングリコール
、リン酸塩、酢酸塩、クエン酸塩、ソルビトール、デンプンから選択されるいずれか1つ又はその組合せである凍結乾燥保護剤を加え、凍結乾燥して、タンパク質組成物凍結乾燥製剤を作製する、
請求項
1に記載のタンパク質組成物。
【請求項7】
質量%で、前記凍結乾燥製剤に凍結乾燥保護剤を0.5~8
%含有する、
請求項
1に記載のタンパク質組成物。
【請求項8】
前記タンパク質組成物凍結乾燥製剤は、pH6~8で
ある、
請求項1~7のいずれか1項に記載のタンパク質組成物。
【請求項9】
請求項1~7のいずれか1項に記載の毛包修復タンパク質組成物及び薬学的に許容可能なキャリアからなる毛包修復組成物。
【請求項10】
請求項1~7のいずれか1項に記載の毛包修復タンパク質組成物又は請求項9に記載の組成物の、細胞修復や毛包修復の製品の作製における使用。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0027
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0027】
本発明の好ましい技術案では、ステップS-3で作製された細胞タンパク質抽出物又はステップ(2)で作製されたタンパク質組成物に、マンニトール、ソルビトール、デキストラン、グリセロール、スクロース、トレハロース、グルコース、ラクトース、マルトース、グルカン、トリカプリリン(HES)、ポリエチレングリコール、リン酸塩、酢酸塩、クエン酸塩、ソルビトール、デンプンから選択されるいずれか1つ又はその組合せである凍結乾燥保護剤を加え、凍結乾燥して、細胞タンパク質抽出物凍結乾燥製剤又はタンパク質組成物凍結乾燥製剤を作製する。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0056
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0056】
本発明の好ましい技術案では、ステップ(2)で作製されたタンパク質組成物に、マンニトール、ソルビトール、デキストラン、グリセロール、スクロース、トレハロース、グルコース、ラクトース、マルトース、グルカン、トリカプリリン(HES)、ポリエチレングリコール、リン酸塩、酢酸塩、クエン酸塩、ソルビトール、デンプンから選択されるいずれか1つ又はその組合せである凍結乾燥保護剤を加え、凍結乾燥して、得る。
【国際調査報告】