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特表2025-503793プロテインAのBドメインとZドメインミュータント及びその応用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-02-04
(54)【発明の名称】プロテインAのBドメインとZドメインミュータント及びその応用
(51)【国際特許分類】
   C07K 14/31 20060101AFI20250128BHJP
   C12N 15/31 20060101ALI20250128BHJP
   C07K 19/00 20060101ALI20250128BHJP
   C12N 15/62 20060101ALI20250128BHJP
   C12N 15/63 20060101ALI20250128BHJP
   C07K 17/04 20060101ALI20250128BHJP
   C07K 17/08 20060101ALI20250128BHJP
   C07K 17/14 20060101ALI20250128BHJP
   C07K 17/12 20060101ALI20250128BHJP
   C07K 1/22 20060101ALI20250128BHJP
   B01J 20/281 20060101ALI20250128BHJP
   B01J 20/285 20060101ALI20250128BHJP
   B01J 20/283 20060101ALI20250128BHJP
   B01J 20/282 20060101ALI20250128BHJP
【FI】
C07K14/31 ZNA
C12N15/31
C07K19/00
C12N15/62 Z
C12N15/63 Z
C07K17/04
C07K17/08
C07K17/14
C07K17/12
C07K1/22
B01J20/281 R
B01J20/285 N
B01J20/285 T
B01J20/285 S
B01J20/285 M
B01J20/283
B01J20/282 E
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024544869
(86)(22)【出願日】2023-01-28
(85)【翻訳文提出日】2024-09-25
(86)【国際出願番号】 CN2023073587
(87)【国際公開番号】W WO2023143525
(87)【国際公開日】2023-08-03
(31)【優先権主張番号】202210108116.1
(32)【優先日】2022-01-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524227284
【氏名又は名称】ベストクロム・(ジェジアン)・バイオサイエンシーズ・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】BESTCHROM (ZHEJIANG) BIOSCIENCES LTD.
(71)【出願人】
【識別番号】524227273
【氏名又は名称】ベストクロム・(シャンハイ)・バイオサイエンシーズ・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】BESTCHROM (SHANGHAI) BIOSCIENCES LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【弁理士】
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100138911
【弁理士】
【氏名又は名称】櫻井 陽子
(72)【発明者】
【氏名】ジャン,ホン
(72)【発明者】
【氏名】シ,ハイタオ
(72)【発明者】
【氏名】ジャン,ヤン
(72)【発明者】
【氏名】ホゥ,ホゥイシア
【テーマコード(参考)】
4H045
【Fターム(参考)】
4H045AA10
4H045AA20
4H045AA30
4H045BA09
4H045BA41
4H045CA11
4H045EA50
4H045FA74
4H045GA26
(57)【要約】
プロテインAのBドメインとZドメインミュータント及びその応用。
具体的には、以下から選択される単離されたポリペプチドを提供する。
(1)SEQ ID NO:1に示されるプロテインAの天然Bドメイン又はSEQ ID NO:2に示されるプロテインAのZドメインに対して、3番目、6番目、9番目、15番目及び23番目から選ばれる1つ又は複数の位置で置換突然変異を有するポリペプチド;ならびに
(2)(1)に係るポリペプチドと少なくとも85%の配列同一性を有すると共に、前記3番目、6番目、9番目、15番目及び23番目の1つ又は複数の位置における置換突然変異を残したポリペプチド。
また、ポリペプチドを含む融合タンパク質またはプロテインA、および単離マトリックスも提供する。このポリペプチドを含む融合タンパク質またはプロテインAは、アルカリ安定性が顕著に向上される。アルカリ洗浄過程においてアルカリ安定性が顕著に向上される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
単離されたポリペプチドであって、前記ポリペプチドは、
(1)SEQ ID NO:1に示されるプロテインAの天然Bドメイン又はSEQ ID NO:2に示されるプロテインAのZドメインに対して、3番目、6番目、9番目、15番目及び23番目から選ばれる1つ又は複数の位置で置換突然変異を有し、
中でも、前記3番目における置換突然変異がアスパラギンからロイシン、イソロイシン、バリン又はチロシンへの置換であり、前記6番目における置換突然変異がアスパラギンからグルタミン酸、ロイシン、イソロイシン、バリン、セリン又はスレオニンへの置換であり、前記9番目における置換突然変異がグルタミンからイソロイシン、ロイシン、バリン、フェニルアラニン又はメチオニンへの置換であり、前記15番目における置換突然変異がグルタミン酸からスレオニン、トリプトファン、ロイシン、バリン、イソロイシン、フェニルアラニン、セリン、チロシン又はアスパラギン酸への置換であり、前記23番目における置換突然変異がアスパラギンからバリン、イソロイシン、ロイシン又はチロシンへの突然変異であるポリペプチドと、
(2)(1)に係るポリペプチドと少なくとも85%の配列同一性を有すると共に、前記3番目、6番目、9番目、15番目及び23番目の1つ又は複数の位置における置換突然変異を残したポリペプチドと、から選ばれることを特徴とする、ポリペプチド。
【請求項2】
請求項1に記載のポリペプチドであって、
前記3番目における置換突然変異がアスパラギンからロイシン、バリン又はチロシンへの置換であり、
前記6番目における置換突然変異がアスパラギンからグルタミン酸、ロイシン又はセリンへの置換であり、
前記9番目における置換突然変異がグルタミンからイソロイシン、フェニルアラニン又はメチオニンへの置換であり、
前記15番目における置換突然変異がグルタミン酸からスレオニン、トリプトファン、ロイシン、イソロイシン、バリン、フェニルアラニン、セリン又はチロシンへの置換であり、
前記23番目における置換突然変異がアスパラギンからバリン、イソロイシン又はチロシンへの突然変異であることを特徴とする、ポリペプチド。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のポリペプチドであって、前記ポリペプチドは、
少なくとも3番目で前記置換突然変異を有すると共に、前記15番目、6番目、9番目及び23番目から選ばれる少なくとも1つの位置、少なくとも2つの位置、少なくとも3つの位置又は全ての4つの位置で前記置換突然変異を有し、
少なくとも6番目で前記置換突然変異を有すると共に、前記3番目、15番目、9番目及び23番目から選ばれる少なくとも1つの位置、少なくとも2つの位置、少なくとも3つの位置又は全ての4つの位置で前記置換突然変異を有し、
少なくとも9番目で前記置換突然変異を有すると共に、前記3番目、6番目、15番目及び23番目から選ばれる少なくとも1つの位置、少なくとも2つの位置、少なくとも3つの位置又は全ての4つの位置で前記置換突然変異を有し、
少なくとも15番目で前記置換突然変異を有すると共に、前記3番目、6番目、9番目及び23番目から選ばれる少なくとも1つの位置、少なくとも2つの位置、少なくとも3つの位置又は全ての4つの位置で前記置換突然変異を有し、或いは
少なくとも23番目で前記置換突然変異を有すると共に、前記3番目、6番目、9番目及び15番目から選ばれる少なくとも1つの位置、少なくとも2つの位置、少なくとも3つの位置又は全ての4つの位置で前記置換突然変異を有し、
好ましくは、前記15番目の置換突然変異がE15I、E15L又はE15Vであり、3番目の置換突然変異がN3L又はN3Vであり、6番目の置換突然変異がN6E又はN6Lであり、9番目の置換突然変異がQ9I又はQ9Fであり、23番目の置換突然変異がN23I、N23Y又はN23Vであることを特徴とする、ポリペプチド。
【請求項4】
請求項1又は2に記載のポリペプチドであって、前記ポリペプチドは、3番目、9番目及び15番目で前記置換突然変異を有すると共に、6番目及び/又は23番目で前記置換突然変異を有し、
好ましくは、前記3番目の置換突然変異がN3L又はN3Vであり、前記6番目の置換突然変異がN6L又はN6Eであり、前記9番目の置換突然変異がQ9I又はQ9Fであり、前記15番目の置換突然変異がE15L、E15I又はE15Vであり、前記23番目の置換突然変異がN23V、N23I又はN23Yであることを特徴とする、ポリペプチド。
【請求項5】
請求項1に記載のポリペプチドであって、前記ポリペプチドのアミノ酸配列がSEQ ID NO:3-71及び118-124の何れか1つに示されることを特徴とする、ポリペプチド。
【請求項6】
単離されたポリペプチドであって、前記ポリペプチドは、下記(i)、(ii)及び(iii)、即ち、(i)請求項1-5の何れか1項に記載のポリペプチドと、(ii)(i)に係るポリペプチドのアミノ酸配列のC末端又はN末端における1つ又は複数のカップリングエレメントと、任意の(iii)切断されたシグナル伝達配列に由来する残基と、から構成されることを特徴とする、ポリペプチド。
【請求項7】
請求項6に記載のポリペプチドであって、前記カップリングエレメントは、システイン残基、複数のリジン残基及び複数のヒスチジン残基から選ばれ、前記切断されたシグナル伝達配列の残基はAQであることを特徴とする、ポリペプチド。
【請求項8】
融合タンパク質であって、該融合タンパク質は請求項1-5の何れか1項に記載のポリペプチド2-8本が融合してなるアミノ酸配列を含むが、中でも、前記ポリペプチド2-8本は互いに異なり、部分的に同じ、又は完全に同じであると共に、前記ポリペプチド同士に任意にリンカー配列が存在することを特徴とする、融合タンパク質。
【請求項9】
請求項8に記載の融合タンパク質であって、前記融合タンパク質に含まれるポリペプチド2-8本のうち、少なくとも1本のポリペプチドが15番目で前記置換突然変異を有し、任意に前記3番目、6番目、9番目及び23番目から選ばれる少なくとも1つの位置、少なくとも2つの位置、少なくとも3つの位置又は全ての4つの位置で前記置換突然変異を有するポリペプチドであり、好ましくは、少なくとも1本のポリペプチドが3番目、9番目及び15番目で前記置換突然変異を有すると共に、6番目及び/又は23番目で前記置換突然変異を有するポリペプチドであることを特徴とする、融合タンパク質。
【請求項10】
請求項8に記載の融合タンパク質であって、前記融合タンパク質において、前記ポリペプチドがSEQ ID NO:4、SEQ ID NO:8、SEQ ID NO:9、SEQ ID NO:10、SEQ ID NO:11、SEQ ID NO:14、SEQ ID NO:16、SEQ ID NO:18、SEQ ID NO:21、SEQ ID NO:22、SEQ ID NO:51、SEQ ID NO:53、SEQ ID NO:60、SEQ ID NO:71、EQ ID NO:64、SEQ ID NO:69、SEQ ID NO:70、SEQ ID NO:68、SEQ ID NO:118、SEQ ID NO:119、SEQ ID NO:120、SEQ ID NO:121、SEQ ID NO:122、SEQ ID NO:123及びSEQ ID NONo:124から選ばれる1本又は複数本であることを特徴とする、融合タンパク質。
【請求項11】
請求項8-10の何れか1項に記載の融合タンパク質であって、前記融合タンパク質のC末端又はN末端は更に1つ又は複数のカップリングエレメント及び/又は切断されたシグナル伝達配列に由来する残基を含み、好ましくは、前記カップリングエレメントはシステイン残基、複数のリジン残基及び複数のヒスチジン残基から選ばれることを特徴とする、融合タンパク質。
【請求項12】
請求項8に記載の融合タンパク質であって、前記融合タンパク質のアミノ酸配列はSEQ ID NO: 73-109及び110-117の何れか1つに示されることを特徴とする、融合タンパク質。
【請求項13】
組換えプロテインAであって、該組換えプロテインAのBドメインは請求項1-5の何れか1項に記載のポリペプチドである、組換えプロテインA。
【請求項14】
単離された核酸分子であって、前記核酸分子のポリヌクレオチド配列は
(1)請求項1-7の何れか1項に記載のポリペプチド、請求項8-12の何れか1項に記載の融合タンパク質又は請求項13に記載の組換えプロテインAをコードするポリヌクレオチド配列と、
(2)(1)に係るポリヌクレオチド配列の相補配列と、から選ばれる、核酸分子。
【請求項15】
核酸コンストラクトであって、前記核酸コンストラクトは請求項14に記載の核酸分子を含み、好ましくは、前記核酸コンストラクトは発現カセットであり、より好ましくは、前記核酸コンストラクトは発現ベクター又はクローニングベクターであることを特徴とする、核酸コンストラクト。
【請求項16】
発現システムであって、請求項15に記載の核酸コンストラクトを含み、好ましくは、前記発現システムは宿主細胞である、発現システム。
【請求項17】
単離マトリックスであって、前記単離マトリックスは、固相支持物とカップリングする請求項1-7の何れか1項に記載のポリペプチド、請求項8-12の何れか1項に記載の融合タンパク質及び/又は請求項13に記載の組換えプロテインAを含むことを特徴とする、単離マトリックス。
【請求項18】
請求項17に記載の単離マトリックスであって、前記ポリペプチド、融合タンパク質又は組換えプロテインAはチオエーテル結合により前記固相支持物とカップリングされることを特徴とする、単離マトリックス。
【請求項19】
請求項18に記載の単離マトリックスであって、前記固相支持物は
ポリヒドロキシを含む多量体であって、好ましくは、多糖であり、より好ましくは、デキストラン、デンプン、セルロース、プルラン、寒天、アガロースから選ばれる多量体と、
合成された重合体であって、好ましくは、ポリビニルアルコール、ポリスチレン、ポリスチレンジビニルベンゼン、ポリヒドロキシアルキルアクリレート、ポリヒドロキシアルキルメタクリレート、ポリアクリルアミド、ポリメタクリルアミドから選ばれる重合体と、
無機物の性質を持つ支持物であって、好ましくは、シリカ、ジルコニアから選ばれる支持物と、から選ばれることを特徴とする、単離マトリックス。
【請求項20】
クロマトグラフィーカラムであって、前記クロマトグラフィーカラムは請求項17-19の何れか1項に記載の単離マトリックスを含むことを特徴とする、クロマトグラフィーカラム。
【請求項21】
Fc含有タンパク質の単離方法であって、前記方法は、免疫グロブリンを含むサンプルを、請求項1-7の何れか1項に記載のポリペプチド、請求項8-12の何れか1項に記載の融合タンパク質、請求項13に記載の組換えプロテインA、請求項17-19の何れか1項に記載の単離マトリックス又は請求項20に記載のクロマトグラフィーカラムに接触させるステップを含み、好ましくは、前記Fc含有タンパク質は免疫グロブリンであることを特徴とする、方法。
【請求項22】
請求項21に記載の方法であって、前記方法は、
(1)Fc含有タンパク質を含むサンプルを前記単離マトリックスに接触させることと、
(2)単離マトリックスを洗浄することと、
(3)単離マトリックスから前記Fc含有タンパク質を溶出させることと、
(4)単離マトリックスを洗浄することと、を含み、
好ましくは、0.1-2.0M又は0.5-1.0MのNaOH又はKOH溶液で単離マトリックスを洗浄することを特徴とする、方法。
【請求項23】
請求項1-7の何れか1項に記載のポリペプチド、請求項8-12の何れか1項に記載の融合タンパク質、請求項13に記載の組換えプロテインAの、Fc含有タンパク質の単離における応用、或いはFc含有タンパク質を単離するための単離マトリックス又はクロマトグラフィーカラムの製造における応用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はプロテインAのBドメインとZドメインミュータント及びその応用に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、抗体医薬品はその高特異性をもって世界の医薬品市場で注目を集めている。中でも、モノクローナル抗体はバイオ医薬品産業で最も著しく成長している分野の1つである。モノクローナル抗体は純度が高いほど、効果が優れ、効率が高い。モノクローナル抗体など様々な抗体医薬品の精製に関する研究は、現段階において分野内研究の重要内容である。Protein Aアフィニティークロマトグラフィー媒体は、その抗体の特定Fc断片に対する特別な吸着能によって、最も幅広く応用されるモノクローナル抗体の精製方法になっている。しかしながら、Protein Aアフィニティークロマトグラフィー媒体は、抗体の精製過程においてリガンド脱落、結合ローディング量低下などの問題が起こる。また、精製工程における定置洗浄(CIP)過程において0.5-1.0M NaOH溶液を使用するため、Protein Aアフィニティークロマトグラフィー媒体は、高濃度のNaOHにより破壊され、使用寿命が大幅に低減される。そのため、科学研究者は、Protein Aの耐アルカリ性の向上について鋭意研究した。例えば、Susanne Gilichらは、タンパク質工学によってアルカリ性条件におけるタンパク質リガンドのドメインの安定性を向上させることを提示した。そのため、当業者は、タンパク質リガンドの各ドメインにおけるアミノ酸に対して突然変異を研究することで、タンパク質リガンドの耐アルカリ性を向上できるアミノ酸を探した。
【0003】
Protein Aは高度的な相同性を有する免疫グロブリン結合ドメインE、D、A、B、Cから構成される。中でも、ドメインBは免疫グロブリンとの結合特異性について優れた優位性を有する。ドメインZは、Protein AのドメインBにおける1番目のアラニンをバリンに置換し、29番目のグリシンをアラニンに置換することで取得された。該突然変異はドメインZに対してより優れた化学的安定性を付与すると共に、ドメインアミノ酸が突然変異したことで取得されたドメインZもアルカリ性条件で一定の安定性を有する。ところが、より高いpH値の条件では依然として安定せず、抗体精製過程におけるCIP洗浄工程の要求に満足できない。現在、既知のBドメイン又はZドメインが突然変異したProtein Aクロマトグラフィー媒体は、天然Protein Aクロマトグラフィー媒体に対して、一定のアルカリ安定性を有する。例えば、CN101522278Aにより、Bドメインにおける29番目のグリシンをアラニンに突然変異することで、耐アルカリ性を向上させた。CN1642976Aは、Zドメインにおける少なくとも1つのアスパラギン残基がアラニン、スレオニン又はアスパラギン酸を除くアミノ酸に突然変異すること、を開示した。また、CN105377881Aは、Bドメイン又はZドメインにおける少なくとも15番目のグルタミン酸残基がアスパラギン又はグルタミンを除くアミノ酸に突然変異すること、を開示した。これらのミュータントは天然リガンドに対して、アルカリ性の条件でより高い耐アルカリ性を有する。上記リガンドで製造されたクロマトグラフィー媒体は、抗体精製過程において0.1~0.5M水酸化ナトリウムによる洗浄に耐えられるが、標準CIP(0.5~1.0M水酸化ナトリウム)とはまだ一定の差異がある。
【発明の概要】
【0004】
本発明の第1態様は、単離されたポリペプチドであって、前記ポリペプチドは、
(1)SEQ ID NO:1に示されるプロテインAの天然Bドメイン又はSEQ ID NO:2に示されるプロテインAのZドメインに対して、3番目、6番目、9番目、15番目及び23番目から選ばれる1つ又は複数の位置で置換突然変異を有し、
中でも、前記3番目における置換突然変異がアスパラギンからロイシン、イソロイシン、バリン又はチロシンへの置換であり、前記6番目における置換突然変異がアスパラギンからグルタミン酸、ロイシン、イソロイシン、バリン、セリン又はスレオニンへの置換であり、前記9番目における置換突然変異がグルタミンからイソロイシン、ロイシン、バリン、フェニルアラニン又はメチオニンへの置換であり、前記15番目における置換突然変異がグルタミン酸からスレオニン、トリプトファン、ロイシン、バリン、イソロイシン、フェニルアラニン、セリン、チロシン又はアスパラギン酸への置換であり、前記23番目における置換突然変異がアスパラギンからバリン、イソロイシン、ロイシン又はチロシンへの突然変異であるポリペプチドと、
(2)(1)に係るポリペプチドと少なくとも85%の配列同一性を有すると共に、前記3番目、6番目、9番目、15番目及び23番目の1つ又は複数の位置における置換突然変異を残したポリペプチドと、から選ばれる、ポリペプチドを提供する。
【0005】
1つ又は複数の実施形態において、前記3番目における置換突然変異がアスパラギンからロイシン、バリン又はチロシンへの置換である。
【0006】
1つ又は複数の実施形態において、前記6番目における置換突然変異がアスパラギンからグルタミン酸、ロイシン又はセリンへの置換である。
【0007】
1つ又は複数の実施形態において、前記9番目における置換突然変異がグルタミンからイソロイシン、フェニルアラニン又はメチオニンへの置換である。
【0008】
1つ又は複数の実施形態において、前記15番目における置換突然変異がグルタミン酸からスレオニン、トリプトファン、ロイシン、イソロイシン、バリン、フェニルアラニン、セリン又はチロシンへの置換である。
【0009】
1つ又は複数の実施形態において、前記23番目における置換突然変異がアスパラギンからバリン、イソロイシン又はチロシンへの突然変異である。
【0010】
1つ又は複数の実施形態において、前記ポリペプチドは、少なくとも3番目で前記置換突然変異を有すると共に、前記15番目、6番目、9番目及び23番目から選ばれる少なくとも1つの位置、少なくとも2つの位置、少なくとも3つの位置又は全ての4つの位置で前記置換突然変異を有する。
【0011】
1つ又は複数の実施形態において、前記ポリペプチドは、少なくとも6番目で前記置換突然変異を有すると共に、前記3番目、15番目、9番目及び23番目から選ばれる少なくとも1つの位置、少なくとも2つの位置、少なくとも3つの位置又は全ての4つの位置で前記置換突然変異を有する。
【0012】
1つ又は複数の実施形態において、前記ポリペプチドは、少なくとも9番目で前記置換突然変異を有すると共に、前記3番目、6番目、15番目及び23番目から選ばれる少なくとも1つの位置、少なくとも2つの位置、少なくとも3つの位置又は全ての4つの位置で前記置換突然変異を有する。
【0013】
1つ又は複数の実施形態において、前記ポリペプチドは、少なくとも15番目で前記置換突然変異を有すると共に、前記3番目、6番目、9番目及び23番目から選ばれる少なくとも1つの位置、少なくとも2つの位置、少なくとも3つの位置又は全ての4つの位置で前記置換突然変異を有する。
【0014】
1つ又は複数の実施形態において、前記ポリペプチドは、少なくとも23番目で前記置換突然変異を有すると共に、前記3番目、6番目、9番目及び15番目から選ばれる少なくとも1つの位置、少なくとも2つの位置、少なくとも3つの位置又は全ての4つの位置で前記置換突然変異を有する。
【0015】
1つ又は複数の実施形態において、前記15番目の置換突然変異がE15I、E15L又はE15Vであり、3番目の置換突然変異がN3L又はN3Vであり、6番目の置換突然変異がN6E又はN6Lであり、9番目の置換突然変異がQ9I又はQ9Fであり、23番目の置換突然変異がN23I、N23Y又はN23Vである。
【0016】
1つ又は複数の実施形態において、前記ポリペプチドは、3番目、9番目及び15番目で前記置換突然変異を有すると共に、6番目及び/又は23番目で前記置換突然変異を有し、好ましくは、前記3番目の置換突然変異がN3L又はN3Vであり、前記6番目の置換突然変異がN6L又はN6Eであり、前記9番目の置換突然変異がQ9I又はQ9Fであり、前記15番目の置換突然変異がE15L、E15I又はE15Vであり、前記23番目の置換突然変異がN23V、N23I又はN23Yである。
【0017】
1つ又は複数の実施形態において、前記ポリペプチドは、3番目、6番目、9番目及び15番目で前記置換突然変異を有する。好ましくは、前記3番目の置換突然変異がN3L又はN3Vであり、好ましくはN3Vであり、前記6番目の置換突然変異がN6L又はN6Eであり、好ましくはN6Eであり、前記9番目の置換突然変異がQ9I又はQ9Fであり、好ましくはQ9Iであり、前記15番目の置換突然変異がE15L、E15I又はE15Vであり、好ましくはE15Lである。
【0018】
1つ又は複数の実施形態において、前記ポリペプチドのアミノ酸配列がSEQ ID NO:3-71及び118-124の何れか1つに示される。
【0019】
本発明の第2態様は、単離されたポリペプチドであって、前記ポリペプチドは、下記(i)、(ii)及び(iii)、即ち、(i)本発明の第1態様の何れか1つの実施形態に係るポリペプチドと、(ii)(i)に係るポリペプチドのアミノ酸配列のC末端又はN末端における1つ又は複数のカップリングエレメントと、任意の(iii)切断されたシグナル伝達配列に由来する残基と、から構成されるポリペプチドを提供する。
【0020】
1つ又は複数の実施形態において、前記カップリングエレメントは、システイン残基、複数のリジン残基及び複数のヒスチジン残基から選ばれ、前記切断されたシグナル伝達配列の残基はAQである。
【0021】
本発明の第3様態は、融合タンパク質であって、該融合タンパク質は本発明の第1態様の何れか1つの実施形態に係るポリペプチド2-8本が融合してなるアミノ酸配列を含むが、中でも、前記ポリペプチド2-8本は互いに異なり、部分的に同じ、又は完全に同じであると共に、前記ポリペプチド同士に任意にリンカー配列が存在することを特徴とする、融合タンパク質を提供する。
【0022】
1つ又は複数の実施形態において、前記融合タンパク質に含まれる2-8本のポリペプチドのうち、少なくとも1本のポリペプチドが15番目で前記置換突然変異を有し、任意に前記3番目、6番目、9番目及び23番目から選ばれる少なくとも1つの位置、少なくとも2つの位置、少なくとも3つの位置又は全ての4つの位置で前記置換突然変異を有するポリペプチドであり、好ましくは、少なくとも1本のポリペプチドが3番目、9番目及び15番目で前記置換突然変異を有すると共に、6番目及び/又は23番目で前記置換突然変異を有するポリペプチドである。
【0023】
1つ又は複数の実施形態において、前記融合タンパク質において、前記ポリペプチドがSEQ ID NO:4、SEQ ID NO:8、SEQ ID NO:9、SEQ ID NO:10、SEQ ID NO:11、SEQ ID NO:14、SEQ ID NO:16、SEQ ID NO:18、SEQ ID NO:21、SEQ ID NO:22、SEQ ID NO:51、SEQ ID NO:53、SEQ ID NO:60、SEQ ID NO:71、EQ ID NO:64、SEQ ID NO:69、SEQ ID NO:70、SEQ ID NO:68、SEQ ID NO:118、SEQ ID NO:119、SEQ ID NO:120、SEQ ID NO:121、SEQ ID NO:122、SEQ ID NO:123及びSEQ ID No:124から選ばれる1本又は複数本である。
【0024】
1つ又は複数の実施形態において、前記融合タンパク質のC末端又はN末端は更に1つ又は複数のカップリングエレメント及び/又は切断されたシグナル伝達配列に由来する残基を含み、好ましくは、前記カップリングエレメントはシステイン残基、複数のリジン残基及び複数のヒスチジン残基から選ばれる。
【0025】
1つ又は複数の実施形態において、前記融合タンパク質のアミノ酸配列はSEQ ID NO: 73-109及び111-117の何れか1つに示される。
【0026】
本発明の第4態様は、組換えプロテインAであって、該組換えプロテインAのBドメインは本発明の第1態様の何れか1つの実施形態に係るポリペプチドである、組換えプロテインAを提供する。
【0027】
本発明の第5様態は、単離された核酸分子であって、前記核酸分子のポリヌクレオチド配列は、(1)本発明の何れか1つの実施形態に係るポリペプチド、融合タンパク質又は組換えプロテインAをコードするポリヌクレオチド配列と、(2)(1)に係るポリヌクレオチド配列の相補配列と、から選ばれる、核酸分子を提供する。
【0028】
本発明の第6様態は、核酸コンストラクトであって、前記核酸コンストラクトは本発明の何れか1つの実施形態に係る核酸分子を含み、好ましくは、前記核酸コンストラクトは発現カセットであり、より好ましくは、前記核酸コンストラクトは発現ベクター又はクローニングベクターである、核酸コンストラクトを提供する。
【0029】
本発明の第7様態は、発現システムであって、該発現システムは本発明の何れか1つの実施形態に係る核酸コンストラクトを含み、好ましくは、前記発現システムは宿主細胞である、発現システムを提供する。
【0030】
本発明の第8様態は、単離マトリックスであって、前記単離マトリックスは、固相支持物とカップリングする本発明の何れか1つの実施形態に係るポリペプチド、融合タンパク質及び/又は組換えプロテインAを含む、単離マトリックスを提供する。
【0031】
1つ又は複数の実施形態において、前記ポリペプチド、融合タンパク質又は組換えプロテインAはチオエーテル結合により前記固相支持物とカップリングされる。
【0032】
1つ又は複数の実施形態において、前記固相支持物は、ポリヒドロキシを含む多量体であって、好ましくは、多糖であり、より好ましくは、デキストラン、デンプン、セルロース、プルラン、寒天、アガロースから選ばれる多量体と、合成された重合体であって、好ましくは、ポリビニルアルコール、ポリスチレン、ポリスチレンジビニルベンゼン、ポリヒドロキシアルキルアクリレート、ポリヒドロキシアルキルメタクリレート、ポリアクリルアミド、ポリメタクリルアミドから選ばれる重合体と、無機物の性質を持つ支持物であって、好ましくは、シリカ、ジルコニアから選ばれる支持物と、から選ばれる。
【0033】
本発明の第9様態は、クロマトグラフィーカラムであって、前記クロマトグラフィーカラムは本発明の何れか1つの実施形態に係る単離マトリックスを含む、クロマトグラフィーカラムを提供する。
【0034】
本発明の第10様態は、Fc含有タンパク質の単離方法であって、前記方法は、免疫グロブリンを含むサンプルを、本発明の何れか1つの実施形態に係るポリペプチド、融合タンパク質、組換えプロテインA、単離マトリックス又はクロマトグラフィーカラムに接触させるステップを含み、好ましくは、前記Fc含有タンパク質は免疫グロブリンである、方法を提供する。
【0035】
1つ又は複数の実施形態において、前記方法は、(1)Fc含有タンパク質を含むサンプルを前記単離マトリックスに接触させることと、(2)単離マトリックスを洗浄することと、(3)単離マトリックスから前記Fc含有タンパク質を溶出させることと、(4)単離マトリックスを洗浄することと、を含む。
【0036】
1つ又は複数の実施形態において、0.1-2.0M又は0.5-1.0MのNaOH又はKOH溶液で単離マトリックスを洗浄する。
【0037】
本発明の第11様態は、本発明の何れか1つの実施形態に係るポリペプチド、融合タンパク質又は組換えプロテインAの、Fc含有タンパク質の単離における応用、或いはFc含有タンパク質を単離するための単離マトリックス又はクロマトグラフィーカラムの製造における応用、を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0038】
図1図1は(Bドメイン)4の遺伝子結果検証解析図である。
図2図2はミュータントB(N3V)4の遺伝子結果検証解析図である。
図3図3はミュータントB(N6E)4の遺伝子結果検証解析図である。
図4図4はミュータントB(Q9I)4の遺伝子結果検証解析図である。
図5図5はミュータントB(Q9F)4の遺伝子結果検証解析図である。
図6図6はミュータントB(E15L)4の遺伝子結果検証解析図である。
図7図7はミュータントB(E15I)4の遺伝子結果検証解析図である。
図8図8はミュータントB(N3V,N6E,Q9I,E15L)4の遺伝子結果検証解析図である。
図9図9は(Zドメイン)4の遺伝子結果検証解析図である。
図10図10はミュータントZ(Q9I)4の遺伝子結果検証解析図である。
図11図11はミュータントZ(E15L)4の遺伝子結果検証解析図である。
図12図12はミュータントZ(E15I)4の遺伝子結果検証解析図である。
図13図13はミュータントZ(N3V,N6E,Q9I,E15L)4の遺伝子結果検証解析図である。
図14図14はSEQ ID NO:72-91に示されるZドメインミュータントの耐アルカリ安定性グラフである。
図15図15はSEQ ID NO:72、98-102、104、105及び107-109に示されるZドメインの耐アルカリ安定性グラフである。
図16図16はSEQ ID NO:110-117に示されるBドメインミュータントの耐アルカリ安定性グラフである。
【発明を実施するための形態】
【0039】
本発明の範囲において、本発明の上記各技術特徴と下記(例えば実施例)で具体的に記述した各技術特徴を互いに組合せることで、好ましい実施形態を構成することができると理解すべきである。
【0040】
本明細書において、「抗体」及び「免疫グロブリン」は互いに交換して使用できると共に、本分野における周知の意味を有する。本明細書に係る抗体又は免疫グロブリンは、抗体の断片、及び抗体断片を含む融合タンパク質又は複合体も含み、これらの断片、融合タンパク質又は複合体が抗体のFc部分を含むと共に、プロテインAとの結合により単離・精製を実現できればよい。抗体の断片はその機能活性断片であってもよい。
【0041】
本明細書において、アミノ酸残基は、下記の略称記号、即ち、アラニン(Ala又はA)、アルギニン(Arg又はR)、アスパラギン(Asn又はN)、アスパラギン酸(Asp又はD)、システイン(Cys又はC)、グルタミン(Gln又はQ)、グルタミン酸(Glu又はE)、グリシン(Gly又はG)、ヒスチジン(His又はH)、イソロイシン(Ile又はI)、ロイシン(Leu又はL)、リジン(Lys又はK)、メチオニン(Met又はM)、フェニルアラニン(Phe又はF)、プロリン(Pro又はP)、セリン(Ser又はS)、トレオニン(Thr又はT)、トリプトファン(Trp又はW)、チロシン(Tyr又はY)、バリン(Val又はV)、及び任意のアミノ酸残基(Xaa又はX)で記載される場合もある。また、本明細書において、ペプチドのアミノ酸配列は、通常の方法により、アミノ末端(以下「N末端」と呼ぶ)が左側に、カルボキシ末端(以下「C末端」と呼ぶ)が右側にある形で記載される。
【0042】
プロテインAは、免疫グロブリンを精製するためのアフィニティー媒体リガンドとして幅広く使用される。天然のプロテインAは、N末端からC末端まで、特にIgGである免疫グロブリンに結合する5つのドメイン、即ち、Eドメイン、Dドメイン、Aドメイン、Bドメイン及びCドメインをこの順で有する。ドメインZは、プロテインAのドメインBにおける1番目のアラニンをバリンに置換し、29番目のグリシンをアラニンに置換することで取得された。該突然変異はドメインZに対してより優れた化学的安定性を付与した。免疫グロブリンの精製過程において、免疫グロブリンがプロテインAに結合してから、アルカリで溶出する。この過程では、プロテインAがアフィニティークロマトグラフィー媒体から脱落して、免疫グロブリン製品を汚染させることになる。
【0043】
本発明によれば、プロテインAの天然Bドメイン又はZドメインの3、6、9、15及び23番目の少なくとも1つの位置で置換突然変異を行うことで得られた該B又はZドメインのミュータントは、天然Bドメイン又は突然変異前のZドメインに対して、アルカリ洗浄過程において顕著に向上されたアルカリ安定性を有する。使用されるアルカリ溶液の濃度を0.1-0.5Mから0.5-2.0Mまで、例えば0.5-1.0Mまで増加させてもよい。これにより、本発明を完成させた。
【0044】
そのため、本発明は、ポリペプチドであって、該ポリペプチドは、SEQ ID NO:1に示される天然Bドメインに対して、3、6、9、15及び23番目から選ばれる少なくとも1つの位置、少なくとも2つの位置、少なくとも3つの位置、少なくとも4つの位置又は全ての5つの位置で置換突然変異を有し、又はSEQ ID NO:2に示されるZドメインに対して、3、6、9、15及び23番目から選ばれる少なくとも1つの位置、少なくとも2つの位置、少なくとも3つの位置、少なくとも4つの位置又は全ての5つの位置で置換突然変異を有する、ポリペプチドを提供する。
【0045】
1つ又は複数の実施形態において、前記3番目における置換突然変異がアスパラギンからロイシン、イソロイシン、バリン又はチロシンへの置換であってもよい。幾つかの実施形態において、前記3番目における置換突然変異がアスパラギンからロイシン、バリン又はチロシンへの置換であり、好ましくはロイシン又はバリンへの置換である。幾つかの実施形態において、前記3番目における置換突然変異がアスパラギンからバリンへの置換である。幾つかの実施形態において、本明細書に係るポリペプチドは3番目で置換突然変異を有し、好ましくは、前記ポリペプチドのアミノ酸配列がSEQ ID NO:3、4、5又は118に示される。
【0046】
1つ又は複数の実施形態において、前記6番目における置換突然変異がアスパラギンからグルタミン酸、ロイシン、イソロイシン、バリン、セリン又はスレオニンへの置換であってもよい。幾つかの実施形態において、前記6番目における置換突然変異がアスパラギンからグルタミン酸、ロイシン又はセリンへの置換である。幾つかの実施形態において、前記6番目における置換突然変異がアスパラギンからロイシンへの置換である。幾つかの実施形態において、本明細書に係るポリペプチドは6番目で置換突然変異を有し、好ましくは、前記ポリペプチドのアミノ酸配列がSEQ ID NO:6、7、8又は119に示される。
【0047】
1つ又は複数の実施形態において、前記9番目における置換突然変異がグルタミンからイソロイシン、ロイシン、バリン、フェニルアラニン又はメチオニンへの置換であってもよい。幾つかの実施形態において、前記9番目における置換突然変異がグルタミンからイソロイシン、フェニルアラニン又はメチオニンへの置換である。幾つかの実施形態において、本明細書に係るポリペプチドは9番目で置換突然変異を有し、好ましくは、前記ポリペプチドのアミノ酸配列がSEQ ID NO:9、10、11、120又は121に示される。
【0048】
1つ又は複数の実施形態において、前記15番目における置換突然変異がグルタミン酸からスレオニン、トリプトファン、ロイシン、バリン、イソロイシン、フェニルアラニン、セリン、チロシン又はアスパラギン酸への突然変異や置換であってもよい。幾つかの実施形態において、前記15番目における置換突然変異がグルタミン酸からスレオニン、トリプトファン、ロイシン、バリン、フェニルアラニン、セリン又はチロシンへの置換であってもよい。幾つかの実施形態において、前記15番目における置換突然変異がグルタミン酸からロイシン又はセリンへの置換である。幾つかの実施形態において、本明細書に係るポリペプチドは15番目で置換突然変異を有し、好ましくは、前記ポリペプチドのアミノ酸配列がSEQ ID NO:12-20及び122、123の何れか1つに示される。
【0049】
1つ又は複数の実施形態において、前記23番目における置換突然変異がアスパラギンからバリン、イソロイシン、ロイシン又はチロシンへの置換であってもよい。幾つかの実施形態において、前記23番目における置換突然変異がアスパラギンからバリン、イソロイシン又はチロシンへの置換である。幾つかの実施形態において、前記23番目における置換突然変異がアスパラギンからバリン又はイソロイシンへの置換である。幾つかの実施形態において、本明細書に係るポリペプチドは23番目で置換突然変異を有し、好ましくは、前記ポリペプチドのアミノ酸配列がSEQ ID NO:21-23の何れか1つに示される。
【0050】
1つ又は複数の実施形態において、本発明に係るポリペプチドは少なくとも3番目で本明細書の何れか1つの実施形態に係る置換突然変異を有すると共に、任意に6、9、15及び23番目から選ばれる1つ又は複数の位置、好ましくは任意に6、9及び15番目から選ばれる1つ又は複数の位置で本明細書の何れか1つの実施形態に係る置換突然変異を有する。別の幾つかの実施形態において、本発明に係るポリペプチドは少なくとも6番目で本明細書の何れか1つの実施形態に係る置換突然変異を有すると共に、任意に3、9、15及び23番目から選ばれる1つ又は複数の位置、好ましくは任意に3、9及び15番目から選ばれる1つ又は複数の位置で本明細書の何れか1つの実施形態に係る置換突然変異を有する。別の幾つかの実施形態において、本発明に係るポリペプチドは少なくとも9番目で本明細書の何れか1つの実施形態に係る置換突然変異を有すると共に、任意に3、6、15及び23番目から選ばれる1つ又は複数の位置、好ましくは任意に3、6及び15番目から選ばれる1つ又は複数の位置で本明細書の何れか1つの実施形態に係る置換突然変異を有する。別の幾つかの実施形態において、本発明に係るポリペプチドは少なくとも15番目で本明細書の何れか1つの実施形態に係る置換突然変異を有すると共に、任意に3、6、9及び23番目から選ばれる1つ又は複数の位置、好ましくは任意に3、6及び9番目から選ばれる1つ又は複数の位置で本明細書の何れか1つの実施形態に係る置換突然変異を有する。別の幾つかの実施形態において、本発明に係るポリペプチドは少なくとも23番目で本明細書の何れか1つの実施形態に係る置換突然変異を有すると共に、3、6、9及び15番目から選ばれる1つ又は複数の位置で本明細書の何れか1つの実施形態に係る置換突然変異を有する。幾つかの実施形態において、前記3番目における置換突然変異がN3L又はN3Vであり、前記6番目における置換突然変異がN6L又はN6Eであり、前記9番目における置換突然変異がQ9I又はQ9Fであり、前記15番目における置換突然変異がE15L、E15I又はE15Vであり、前記23番目における置換突然変異がN23V、N23I又はN23Yである。
【0051】
幾つかの実施形態において、本発明に係るポリペプチドは少なくとも15番目で本明細書の何れか1つの実施形態に係る置換突然変異を有すると共に、前記3番目、6番目、9番目及び23番目から選ばれる少なくとも1つの位置、少なくとも2つの位置、少なくとも3つの位置又は全ての4つの位置で本明細書の何れか1つの実施形態に係る置換突然変異を有する。幾つかの実施形態において、前記15番目の置換突然変異がE15T、E15W、E15L、E15V、E15I、E15F、E15S、E15Y又はE15Tであり、前記3番目における置換突然変異がN3L、N3V又はN3Yであり、前記6番目における置換突然変異がN6S、N6L又はN6Eであり、前記9番目における置換突然変異がQ9I又はQ9Fであり、前記23番目における置換突然変異がN23V、N23I又はN23Yである。好ましくは、前記15番目の置換突然変異がE15I又はE15Vであり、3番目における置換突然変異がN3L又はN3Vであり、6番目における置換突然変異がN6E又はN6Lであり、9番目における置換突然変異がQ9I又はQ9Fであり、23番目における置換突然変異がN23I、N23Y又はN23Vである。
【0052】
幾つかの実施形態において、本発明に係るポリペプチドは3番目、9番目及び15番目で本明細書の何れか1つの実施形態に係る置換突然変異を有すると共に、6番目及び/又は23番目で本明細書の何れか1つの実施形態に係る置換突然変異を有する。幾つかの実施形態において、前記15番目の置換突然変異がE15T、E15W、E15L、E15V、E15I、E15F、E15S、E15Y又はE15Tであり、前記3番目における置換突然変異がN3L、N3V又はN3Yであり、前記6番目における置換突然変異がN6S、N6L又はN6Eであり、前記9番目における置換突然変異がQ9I又はQ9Fであり、前記23番目における置換突然変異がN23V、N23I又はN23Yである。好ましくは、前記3番目における置換突然変異がN3L又はN3Vであり、前記6番目における置換突然変異がN6L又はN6Eであり、前記9番目における置換突然変異がQ9I又はQ9Fであり、前記15番目における置換突然変異がE15L、E15I又はE15Vであり、前記23番目における置換突然変異がN23V、N23I又はN23Yである。
【0053】
幾つかの実施形態において、本発明に係るポリペプチドのアミノ酸配列は、SEQ ID NO:1又は2に対して、3番目でN3V突然変異を有し、又は6番目でN6E突然変異を有し、又は9番目でQ9I又はQ9F突然変異を有し、又は15番目でE15L又はE15I突然変異を有し、又は3、6、9及び15番目でN3V、N6E、Q9I又はQ9F及びE15L又はE15I突然変異を有する。
【0054】
幾つかの実施形態において、本明細書に係る3、6、9、15及び23番目から選ばれる少なくとも2つの位置で置換突然変異を有するポリペプチドのアミノ酸配列はSEQ ID NO:24-71の何れか1つに示される。
【0055】
本発明に係るポリペプチドはそのままリガンドとして免疫グロブリンの結合及び単離に使用できる。そのため、幾つかの実施形態において、前記ポリペプチドは、更に、そのC末端又はN末端で該ポリペプチドを固相支持物とカップリングするための1つ又は複数のカップリングエレメントを含む。好適なカップリングエレメントは、本分野において周知されており、システイン残基、複数のリジン残基(例えば3-15個又は5-10個)及び複数のヒスチジン残基(例えば3-15個又は5-10個)を含むが、これらに限定されるものではない。カップリングエレメントは、1つのシステイン残基であると共に、ポリペプチドのC末端に位置してもよく、システイン残基におけるチオール基により固相支持物における親電子基と反応して、ポリペプチドを固相支持物とカップリングさせる。カップリングエレメントは、ポリペプチドと直接的に連結してもよく、或いは、リンカーによりポリペプチドのN又はC末端に連結してもよい。リンカーは本分野で一般的に使用されるものであってもよく、存在そのものがポリペプチドの結合活性に影響しない。例示的なリンカーは、G及びSを含み、又はG及びSからなるリンカー配列であり、通常、長さが2-20個のアミノ酸残基である。例示的なリンカー配列は、(GS)n、(GSS)n、(GSSS)n及び(GSSSS)nであり、nが2-10の整数であるが、リンカーの総長さが通常、20個のアミノ酸残基以下である。前記ポリペプチドは、更に、N末端で複数(例えば15個以下、10個以下又は5個以下)のアミノ酸残基であって、クローニング過程又はシグナル伝達配列に由来するものを含んでもよい。具体的な実例として、本発明のポリペプチドはN末端でAQを含んでもよい。
【0056】
本発明は、更に、融合タンパク質であって、本発明に係るポリペプチド2-8本が融合してなるものを提供する。融合タンパク質を形成するポリペプチドのそれぞれは、完全に異なり、部分的に同じ、又は完全に同じであってもよい。ポリペプチド同士は、それぞれC末端及びN末端のペプチド結合により直接的に連結してもよく、或いは、任意の2本のポリペプチドがリンカーにより連結してもよい。リンカーは本分野で一般的に使用されるものであってもよく、存在そのものがポリペプチドの結合活性に影響しない。例示的なリンカーは、G及びSを含み、又はG及びSからなるリンカー配列であり、通常、長さが2-20個のアミノ酸残基である。例示的なリンカー配列は、(GS)n及び(GSS)nなどであり、nが2-10の整数であるが、リンカーの総長さが通常、20個のアミノ酸残基以下である。
【0057】
該融合タンパク質はリガンドとして免疫グロブリンの結合及び単離に使用できる。そのため、幾つかの実施形態において、該融合タンパク質は、更に、そのC末端又はN末端で該融合タンパク質を固相支持物にカップリングするための1つ又は複数のカップリングエレメントを含む。好適なカップリングエレメントは、本分野において周知されており、システイン残基、複数のリジン残基(例えば3-15個又は5-10個)及び複数のヒスチジン残基(例えば3-15個又は5-10個)を含むが、これらに限定されるものではない。カップリングエレメントは、1つのシステイン残基であると共に、融合タンパク質のC末端に位置してもよく、システイン残基におけるチオール基により固相支持物における親電子基と反応して、融合タンパク質を固相支持物にカップリングさせる。カップリングエレメントは、ポリペプチドと直接的に連結してもよく、或いは、リンカーによりポリペプチドのN又はC末端に連結してもよい。リンカーは本分野で一般的に使用されるものであってもよく、存在そのものがポリペプチドの結合活性に影響しない。例示的なリンカーは、G及びSを含み、又はG及びSからなるリンカー配列であり、通常、長さが2-20個のアミノ酸残基である。例示的なリンカー配列は、(GS)n及び(GSS)nなどであり、nが2-10の整数であるが、リンカーの総長さが通常、20個のアミノ酸残基以下である。前記融合タンパク質は、更に、N末端で複数(例えば15個以下、10個以下又は5個以下)のアミノ酸残基であって、クローニング過程又はシグナル伝達配列に由来するものを含んでもよい。具体的な実例として、該融合タンパク質はそのN末端でAQを含んでもよい。
【0058】
幾つかの実施形態において、本発明の融合タンパク質に含まれるポリペプチド2-8本のうち、少なくとも1本のポリペプチドが15番目で本明細書の何れか1つの実施形態に係る置換突然変異を有し、任意に前記3番目、6番目、9番目及び23番目から選ばれる少なくとも1つの位置、少なくとも2つの位置、少なくとも3つの位置又は全ての4つの位置で本明細書の何れか1つの実施形態に係る置換突然変異を有するポリペプチドである。好ましくは、前記融合タンパク質に含まれるポリペプチドのうち、少なくとも1本のポリペプチドが3番目、9番目及び15番目で本明細書の何れか1つの実施形態に係る置換突然変異を有すると共に、6番目及び/又は23番目で本明細書の何れか1つの実施形態に係る置換突然変異を有するポリペプチドである。好ましくは、前記3番目における置換突然変異がN3L又はN3Vであり、前記6番目における置換突然変異がN6L又はN6Eであり、前記9番目における置換突然変異がQ9I又はQ9Fであり、前記15番目における置換突然変異がE15L、E15I又はE15Vであり、前記23番目における置換突然変異がN23V、N23I又はN23Yである。
【0059】
幾つかの実施形態において、本発明の融合タンパク質を形成する本発明に係るポリペプチドは、少なくとも、下記置換突然変異、即ち、SEQ ID NO:4、SEQ ID NO:8、SEQ ID NO:9、SEQ ID NO:10、SEQ ID NO:11、SEQ ID NO:14、SEQ ID NO:16、SEQ ID NO:18、SEQ ID NO:21、SEQ ID NO:22、SEQ ID NO:51、SEQ ID NO:53、SEQ ID NO:60、SEQ ID NO:71、EQ ID NO:64、SEQ ID NO:69、SEQ ID NO:70、SEQ ID NO:68、SEQ ID NO:118、SEQ ID NO:119、SEQ ID NO:120、SEQ ID NO:121、SEQ ID NO:122、SEQ ID NO:123及びSEQ ID NO:124を有するポリペプチドの1本又は複数本を含む。本発明に係る例示的な融合タンパク質のアミノ酸配列はSEQ ID NO:73-109及び111-117の何れか1つに示される。
【0060】
本発明は、更に、組換えプロテインAであって、そのBドメインが本発明の任意の実施形態に係るZドメインミュータント又はBドメインミュータントである組換えプロテインAを提供する。該組換えプロテインAのその他のドメインは、本分野における周知のEドメイン、Dドメイン、Aドメイン及びCドメインであってもよく、天然のEドメイン、Dドメイン、Aドメイン及びBドメイン、並びに、突然変異を起こしたにも関わらず生物学的活性が保持された既知のEドメイン、Dドメイン、Aドメイン及び/又はCドメインを含む。Bドメインは本発明のポリペプチドを使用する他に、本分野における既知の、プロテインAのその他の部分に対して行った突然変異又は修飾は本発明の組換えプロテインAとして使用できる。
【0061】
本明細書は、本明細書の何れか1つの実施形態に係るポリペプチド、融合タンパク質又は組換えプロテインAと少なくとも85%の配列同一性を有すると共に、SEQ ID NO:1又は2に対応する3、6、9、15及び23番目から選ばれる1つ又は複数のアミノ酸位置で本明細書の何れか1つの実施形態に係る置換突然変異を有するポリペプチド、融合タンパク質及び組換えプロテインAも含む。本明細書において、アミノ酸配列及びヌクレオチド配列に関する「少なくとも85%の同一性」とは、85%以上の同一性であり、好ましくは、90%以上の同一性であり、より好ましくは、95%以上の同一性であり、より好ましくは、97%以上の同一性であり、より好ましくは、98%以上の同一性であり、より一層好ましくは99%以上の同一性である。アミノ酸配列のアラインメントに利用されるBLASTPなどを含む、本分野における周知のツールによって、2本の配列の同一性を算出してアラインメントできる。好ましい実施形態において、本発明は、SEQ ID NO:3-71、118-124及び73-109、111-117の何れか1つに示されるアミノ酸配列のバリアントであって、SEQ ID NO:3-71、118-124及び73-109、111-117のそれぞれのバリアントが対応する親配列に対して少なくとも85%、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも97%、より好ましくは少なくとも99%の配列同一性を有すると共に、その対応する親の3、6、9、15及び23番目におけるアミノ酸残基が対応する親のアミノ酸残基のままである、バリアントを含む。
【0062】
本発明は、上記ポリペプチド、融合タンパク質及び組換えプロテインAをコードする核酸分子、並びにその相補配列も含む。本発明は、RNA及びDNAを含む、本発明の核酸分子の全ての形を含む。本明細書に係る相補配列は、長さが該核酸分子とほぼ同じ相補配列と理解すべきである。
【0063】
前記核酸分子又はその相補配列を含む核酸コンストラクトも本発明の範囲に含まれる。核酸コンストラクトは、プロモーター、前記核酸分子及び転写終結配列を含む、発現カセットであってもよい。プロモーター及び転写終結配列は、本分野において周知されており、当業者が前記ポリペプチド、融合タンパク質又は組換えプロテインAを発現するための宿主細胞の選択によって適切に選定できる。
【0064】
幾つかの実施形態において、核酸コンストラクトは、発現ベクター及びクローニングベクターを含むベクターである。発現ベクターは、本発明に係るポリペプチド、融合タンパク質又は組換えプロテインAをコードする核酸分子などの外来遺伝子の、宿主細胞における発現に適するベクターであり、原核発現ベクター及び真核発現ベクターを含む。真核発現システムは、酵母発現システム、哺乳動物細胞発現システム及び昆虫細胞発現システムなどがある。クローニングベクターは、宿主細胞において標的遺伝子(例えば本発明に係るポリペプチド、融合タンパク質又はプロテインAをコードする核酸分子)を増幅するためのものである。クローニングベクターは、プラスミドベクター、ファージベクター、ウイルスベクター、及びこれらの任意の組合せ、又はその他のゲノムDNAと組合せてなるベクターを含む。分子クローニングにおいて最も一般的な宿主細胞は大腸菌である。
【0065】
本発明は、更に、本明細書により開示された核酸分子、核酸コンストラクト又はベクターを含む、発現システムを提供する。発現システムは、例えば、本発明のポリペプチド、融合タンパク質又は組換えプロテインAを発現するために、修飾された大腸菌又はバチルスなどの、グラム陽性又はグラム陰性原核宿主細胞システムである。幾つかの実施形態において、発現システムは、ピキア酵母又はサッカロミセス酵母などの酵母の真核宿主細胞システムである。
【0066】
本発明は、更に、単離マトリックスを提供する。本発明の単離マトリックスは免疫グロブリン又はFc含有タンパク質を単離するためのものである。本発明の単離マトリックスは、固相支持物とカップリングする本発明の何れか1つの実施形態に係るポリペプチド、融合タンパク質及び/又は組換えプロテインAを含む。本発明のポリペプチド、融合タンパク質及び組換えプロテインAのアルカリ安定性が改善されたため、本発明の単離マトリックスは洗浄時に強アルカリ性の条件(0.5-2.0MのNaOH)に耐えられる。
【0067】
本発明の単離マトリックスにおける固相支持物は、本分野における既知の、免疫グロブリン又はFc含有タンパク質の単離に使用される固相支持物である。
【0068】
本明細書において、固相支持物の形状は、粒子、膜、板、チューブ、針状、繊維状などの任意の形状であってもよい。本発明の固相支持物は、多孔状の材料、又は無孔の材料であってもよい。幾つかの実施形態において、固相支持物は、多孔又は無孔のビード状又は粒子状である。ビード状又は粒子状のマトリックスは、充填ベッドとしてもよく、或いは懸濁式で使用されてもよい。懸濁式は膨張ベッドを含むが、粒子又はビードは自由に移動できる。
【0069】
該固相支持物が粒子である場合、好適な粒子径は20-200μmである。例えば、固相支持物が合成重合体である場合、好適な粒子径は20-100μmであり、好ましくは30-80μmである。固相支持物が多糖である場合、好適な粒子径は50-200μmであり、より好ましくは60-150μmである。本明細書に係る「粒子径」は、ISO 13320及びJIS Z 8825-1のレーザー回折法により測定された体積平均径である。
【0070】
固相支持物の例は、多糖などの、ポリヒドロキシを含む多量体を含むが、これらに限定されるものではない。多糖は、デキストラン、デンプン、セルロース、プルラン、寒天、アガロースなどを含む。好ましい実施形態において、固相支持物は、寒天又はアガロースを含む。
【0071】
幾つかの実施形態において、本発明の固相支持物は、親水性表面を有する合成重合体である。例えば、これらの重合体は、親水化処理により外表面に(及び存在する場合、内表面にも)ヒドロキシ基、カルボキシル基、アミノカルボニル基、アミノ基又はオリゴエチレンオキシ基又はポリエチレンオキシ基を有する重合体であってもよく、好ましくは、例えば、多官能(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼンなどの多官能モノマーが架橋してなる共重合体の合成重合体である。例示的な合成重合体は、ポリビニルアルコール、ポリスチレン、ポリスチレンジビニルベンゼン、ポリヒドロキシアルキルアクリレート、ポリヒドロキシアルキルメタクリレート、ポリアクリルアミド及びポリメタクリルアミドなどを含む。重合体表面が疎水性を有する場合、親水基を周りの水性液体に曝露させるように、その表面に親水化処理を行ってもよい。
【0072】
幾つかの実施形態において、本発明の固相支持物は無機物の性質を持つ支持物を含み、シリカ及びジルコニアなどを含むが、これらに限定されるものではない。
【0073】
幾つかの実施形態において、本発明の固相支持物は、表面、チップ、毛細管又はフィルタの形をしており、例えば、膜などである。
【0074】
本発明において、本発明に係るポリペプチド、融合タンパク質及び組換えプロテインAは、含まれるチオール基、アミノ基及び/又はカルボキシル基などにより、通常のカップリング技術によって対応する固相支持物に連結する。通常のカップリング試薬は、二環式酸化物、エピクロルヒドリン、CNBr及びN-ヒドロキシコハク酸イミドを含むが、これらに限定されるものではない。固相支持物と、本発明に係るポリペプチド、融合タンパク質及び組換えプロテインAとの間にスペーサー基を導入することで、これらと固相支持物との化学的カップリングを促進することができる。
【0075】
幾つかの実施形態において、本発明に係るポリペプチド、融合タンパク質又は組換えプロテインAは、チオエーテル結合により固相支持物にカップリングする。幾つかの実施形態において、本発明に係るポリペプチド、融合タンパク質又は組換えプロテインAは、そのC末端のシステインによりカップリングする。中でも、該システインのチオール基は、固相支持物におけるエポキシ基、ハロヒドリン基などの親電子基と効果的にカップリングして、チオエーテル架橋によるカップリングを形成する。
【0076】
本発明の単離マトリックスにおいて、固相支持物とカップリングする結合リガンド(例えば本発明に係るポリペプチド、融合タンパク質及び/又は組換えプロテインA)の濃度は、通常、5-20mg/mlであり、例えば5-15mg/mlである。カップリング過程に使用されるポリペプチド、融合タンパク質及び/又は組換えプロテインAの濃度、使用されるカップリング条件及び/又は使用される固相支持物の孔構造を調整することで、カップリングの前記結合リガンドの量を制御する。
【0077】
本発明は、更に、本発明の単離マトリックスを含む、クロマトグラフィーカラムを提供する。通常、本発明の単離マトリックスをクロマトグラフィーカラムに充填する。
【0078】
本発明は、更に、Fc含有タンパク質(例えば免疫グロブリン)の単離方法であって、該方法は、本明細書の何れか1つの実施形態に係るポリペプチド、融合タンパク質及び/又は組換えプロテインAを、Fc含有タンパク質を含むサンプルに接触させるステップを含む、方法を提供する。幾つかの実施形態において、前記方法は、サンプルを、本明細書の何れか1つの実施形態に係る単離マトリックス又はクロマトグラフィーカラムに接触させるステップを含む。
【0079】
具体的には、幾つかの実施形態において、該方法は、
(1)Fc含有タンパク質を含むサンプルを本明細書の何れか1つの実施形態に係る単離マトリックスに接触させることと、
(2)単離マトリックスを洗浄することと、
(3)単離マトリックスから前記Fc含有タンパク質を溶出させることと、
(4)単離マトリックスを洗浄することと、を含む。
【0080】
本明細書において、サンプルは、Fc含有タンパク質(特に免疫グロブリン)を含む様々なサンプルであってもよい。好ましくは、本明細書に係る免疫グロブリンはIgGである。
【0081】
前記方法に使用される、単離マトリックスを洗浄するための洗剤、タンパク質を溶出させるための溶出液、及び単離マトリックスを洗浄するための洗浄液は、本分野(特にプロテインAクロマトグラフィー分野)における通常の洗剤、溶出液及び洗浄液である。例えば、洗剤はPBS緩衝液であってもよい。溶出液はpH≦5の溶液又は緩衝液であってもよく、好ましくは、溶出液のpHが2.5-5又は3-5である。幾つかの実施形態において、溶出液のpHが11以上であり、例えば、溶出液のpHが11-14又は11-13である。幾つかの実施形態において、例えばクエン酸ナトリウム溶液などのクエン酸塩溶液により溶出する。洗浄液は通常、アルカリ性であり、そのpHが13-14であってもよい。幾つかの実施形態において、洗浄液は水酸化ナトリウム溶液又は水酸化カリウム溶液であり、その濃度が0.1-2.0Mであり、例えば、0.5-2.0M又は0.5-1.0Mである。
【0082】
幾つかの実施形態において、本明細書に係る方法は、更に、溶出物を回収して、単離・精製するステップを含む。単離されたタンパク質に応じて、アニオン又はカチオン交換クロマトグラフィー、複合型イオン交換クロマトグラフィー及び/又は疎水相互作用クロマトグラフィーなどにより、更に単離・精製してもよい。
【0083】
本発明は、更に、本明細書の何れか1つの実施形態に係るポリペプチド、融合タンパク質及びプロテインAの、Fc含有タンパク質の単離・精製における応用、或いはFc含有タンパク質を単離・精製するための単離マトリックスの製造における応用を提供する。
【0084】
本明細書に係る配列は下記の通りである。
SEQ ID NO:1(天然Bドメイン)
ADNKFNKEQQNAFYEILHLPNLNEEQRNGFIQSLKDDPSQSANLLAEAKKLNDAQAPK
SEQ ID NO:2(Zドメイン)
VDNKFNKEQQNAFYEILHLPNLNEEQRNAFIQSLKDDPSQSANLLAEAKKLNDAQAPK
SEQ ID NO:3,Z(N3L)
VDLKFNKEQQNAFYEILHLPNLNEEQRNAFIQSLKDDPSQSANLLAEAKKLNDAQAPK
SEQ ID NO:4,Z(N3V)
VDVKFNKEQQNAFYEILHLPNLNEEQRNAFIQSLKDDPSQSANLLAEAKKLNDAQAPK
SEQ ID NO:5,Z(N3Y)
VDYKFNKEQQNAFYEILHLPNLNEEQRNAFIQSLKDDPSQSANLLAEAKKLNDAQAPK
SEQ ID NO:6,Z(N6S)
VDNKFSKEQQNAFYEILHLPNLNEEQRNAFIQSLKDDPSQSANLLAEAKKLNDAQAPK
SEQ ID NO:7,Z(N6L)
VDNKFLKEQQNAFYEILHLPNLNEEQRNAFIQSLKDDPSQSANLLAEAKKLNDAQAPK
SEQ ID NO:8,Z(N6E)
VDNKFEKEQQNAFYEILHLPNLNEEQRNAFIQSLKDDPSQSANLLAEAKKLNDAQAPK
SEQ ID NO:9,Z(Q9I)
VDNKFNKEIQNAFYEILHLPNLNEEQRNAFIQSLKDDPSQSANLLAEAKKLNDAQAPK
SEQ ID NO:10,Z(Q9F)
VDNKFNKEFQNAFYEILHLPNLNEEQRNAFIQSLKDDPSQSANLLAEAKKLNDAQAPK
【0085】
SEQ ID NO:11,Z(Q9M)
VDNKFNKEMQNAFYEILHLPNLNEEQRNAFIQSLKDDPSQSANLLAEAKKLNDAQAPK
SEQ ID NO:12,Z(E15T)
VDNKFNKEQQNAFYTILHLPNLNEEQRNAFIQSLKDDPSQSANLLAEAKKLNDAQAPK
SEQ ID NO:13,Z(E15W)
VDNKFNKEQQNAFYWILHLPNLNEEQRNAFIQSLKDDPSQSANLLAEAKKLNDAQAPK
SEQ ID NO:14,Z(E15L)
VDNKFNKEQQNAFYLILHLPNLNEEQRNAFIQSLKDDPSQSANLLAEAKKLNDAQAPK
SEQ ID NO:15,Z(E15V)
VDNKFNKEQQNAFYVILHLPNLNEEQRNAFIQSLKDDPSQSANLLAEAKKLNDAQAPK
SEQ ID NO:16,Z(E15I)
VDNKFNKEQQNAFYIILHLPNLNEEQRNAFIQSLKDDPSQSANLLAEAKKLNDAQAPK
【0086】
SEQ ID NO:17,Z(E15F)
VDNKFNKEQQNAFYFILHLPNLNEEQRNAFIQSLKDDPSQSANLLAEAKKLNDAQAPK
SEQ ID NO:18,Z(E15S)
VDNKFNKEQQNAFYSILHLPNLNEEQRNAFIQSLKDDPSQSANLLAEAKKLNDAQAPK
SEQ ID NO:19,Z(E15Y)
VDNKFNKEQQNAFYYILHLPNLNEEQRNAFIQSLKDDPSQSANLLAEAKKLNDAQAPK
SEQ ID NO:20,Z(E15D)
VDNKFNKEQQNAFYDILHLPNLNEEQRNAFIQSLKDDPSQSANLLAEAKKLNDAQAPK
【0087】
SEQ ID NO:21,Z(N23V)
VDNKFNKEQQNAFYEILHLPNLVEEQRNAFIQSLKDDPSQSANLLAEAKKLNDAQAPK
SEQ ID NO:22,Z(N23I)
VDNKFNKEQQNAFYEILHLPNLIEEQRNAFIQSLKDDPSQSANLLAEAKKLNDAQAPK
SEQ ID NO:23,Z(N23Y)
VDNKFNKEQQNAFYEILHLPNLYEEQRNAFIQSLKDDPSQSANLLAEAKKLNDAQAPK
SEQ ID NO:24,Z(Q9I,E15T)
VDNKFNKEIQNAFYTILHLPNLNEEQRNAFIQSLKDDPSQSANLLAEAKKLNDAQAPK
SEQ ID NO:25,Z(Q9I,E15W)
VDNKFNKEIQNAFYWILHLPNLNEEQRNAFIQSLKDDPSQSANLLAEAKKLNDAQAPK
SEQ ID NO:26,Z(Q9I,E15L)
VDNKFNKEIQNAFYLILHLPNLNEEQRNAFIQSLKDDPSQSANLLAEAKKLNDAQAPK
SEQ ID NO:27,Z(Q9I,E15V)
VDNKFNKEIQNAFYVILHLPNLNEEQRNAFIQSLKDDPSQSANLLAEAKKLNDAQAPK
SEQ ID NO:28,Z(Q9I,E15I)
VDNKFNKEIQNAFYIILHLPNLNEEQRNAFIQSLKDDPSQSANLLAEAKKLNDAQAPK
SEQ ID NO:29,Z(Q9I,E15F)
VDNKFNKEIQNAFYFILHLPNLNEEQRNAFIQSLKDDPSQSANLLAEAKKLNDAQAPK
SEQ ID NO:30,Z(Q9I,E15S)
VDNKFNKEIQNAFYSILHLPNLNEEQRNAFIQSLKDDPSQSANLLAEAKKLNDAQAPK
【0088】
SEQ ID NO:31,Z(Q9I,E15Y)
VDNKFNKEIQNAFYYILHLPNLNEEQRNAFIQSLKDDPSQSANLLAEAKKLNDAQAPK
SEQ ID NO:32,Z(Q9I,E15D)
VDNKFNKEIQNAFYDILHLPNLNEEQRNAFIQSLKDDPSQSANLLAEAKKLNDAQAPK
SEQ ID NO:33,Z(Q9F,E15T)
VDNKFNKEFQNAFYTILHLPNLNEEQRNAFIQSLKDDPSQSANLLAEAKKLNDAQAPK
SEQ ID NO:34,Z(Q9F,E15W)
VDNKFNKEFQNAFYWILHLPNLNEEQRNAFIQSLKDDPSQSANLLAEAKKLNDAQAPK
SEQ ID NO:35,Z(Q9F,E15L)
VDNKFNKEFQNAFYLILHLPNLNEEQRNAFIQSLKDDPSQSANLLAEAKKLNDAQAPK
SEQ ID NO:36,Z(Q9F,E15V)
VDNKFNKEFQNAFYVILHLPNLNEEQRNAFIQSLKDDPSQSANLLAEAKKLNDAQAPK
SEQ ID NO:37,Z(Q9F,E15I)
VDNKFNKEFQNAFYIILHLPNLNEEQRNAFIQSLKDDPSQSANLLAEAKKLNDAQAPK
SEQ ID NO:38,Z(Q9F,E15F)
VDNKFNKEFQNAFYFILHLPNLNEEQRNAFIQSLKDDPSQSANLLAEAKKLNDAQAPK
SEQ ID NO:39,Z(Q9F,E15S)
VDNKFNKEFQNAFYSILHLPNLNEEQRNAFIQSLKDDPSQSANLLAEAKKLNDAQAPK
SEQ ID NO:40,Z(Q9F,E15Y)
VDNKFNKEFQNAFYYILHLPNLNEEQRNAFIQSLKDDPSQSANLLAEAKKLNDAQAPK
【0089】
SEQ ID NO:41,Z(Q9F,E15D)
VDNKFNKEFQNAFYDILHLPNLNEEQRNAFIQSLKDDPSQSANLLAEAKKLNDAQAPK
SEQ ID NO:42,Z(N3L,Q9I,E15L)
VDLKFNKEIQNAFYLILHLPNLNEEQRNAFIQSLKDDPSQSANLLAEAKKLNDAQAPK
SEQ ID NO:43,Z(N3Y,Q9I,E15V)
VDYKFNKEIQNAFYVILHLPNLNEEQRNAFIQSLKDDPSQSANLLAEAKKLNDAQAPK
SEQ ID NO:44,Z(N3V,Q9I,E15I)
VDVKFNKEIQNAFYIILHLPNLNEEQRNAFIQSLKDDPSQSANLLAEAKKLNDAQAPK
SEQ ID NO:45,Z(N6E,Q9I,E15L)
VDNKFEKEIQNAFYLILHLPNLNEEQRNAFIQSLKDDPSQSANLLAEAKKLNDAQAPK
SEQ ID NO:46,Z(N6E,Q9F,E15V)
VDNKFEKEFQNAFYVILHLPNLNEEQRNAFIQSLKDDPSQSANLLAEAKKLNDAQAPK
SEQ ID NO:47,Z(N6E, Q9I,E15I)
VDNKFEKEIQNAFYIILHLPNLNEEQRNAFIQSLKDDPSQSANLLAEAKKLNDAQAPK
SEQ ID NO:48,Z(Q9I,E15L,N23V)
VDVKFNKEIQNAFYLILHLPNLNEEQRNAFIQSLKDDPSQSANLLAEAKKLNDAQAPK
SEQ ID NO:49,Z(Q9I,E15V,N23V)
VDVKFNKEIQNAFYVILHLPNLNEEQRNAFIQSLKDDPSQSANLLAEAKKLNDAQAPK
SEQ ID NO:50,Z(Q9I,E15I,N23V)
VDVKFNKEIQNAFYIILHLPNLNEEQRNAFIQSLKDDPSQSANLLAEAKKLNDAQAPK
【0090】
SEQ ID NO:51,Z(N3L,N6L,Q9I,E15L)
VDLKFLKEIQNAFYLILHLPNLNEEQRNAFIQSLKDDPSQSANLLAEAKKLNDAQAPK
SEQ ID NO:52,Z(N3Y,N6E,Q9I,E15I)
VDYKFEKEIQNAFYIILHLPNLNEEQRNAFIQSLKDDPSQSANLLAEAKKLNDAQAPK
SEQ ID NO:53,Z(N3V,N6E,Q9I,E15L)
VDVKFEKEIQNAFYLILHLPNLNEEQRNAFIQSLKDDPSQSANLLAEAKKLNDAQAPK
SEQ ID NO:54,Z(N3L,N6L,Q9F,E15I)
VDLKFLKEFQNAFYIILHLPNLNEEQRNAFIQSLKDDPSQSANLLAEAKKLNDAQAPK
SEQ ID NO:55,Z(N3Y,N6E,Q9I,E15L)
VDYKFEKEIQNAFYLILHLPNLNEEQRNAFIQSLKDDPSQSANLLAEAKKLNDAQAPK
SEQ ID NO:56,Z(N3V,N6E,Q9I,E15I)
VDVKFEKEIQNAFYIILHLPNLNEEQRNAFIQSLKDDPSQSANLLAEAKKLNDAQAPK
SEQ ID NO:57,Z(N3L,Q9I,E15L,N23V)
VDLKFNKEIQNAFYLILHLPNLVEEQRNAFIQSLKDDPSQSANLLAEAKKLNDAQAPK
SEQ ID NO:58,Z(N3Y,Q9I,E15I,N23I)
VDYKFNKEIQNAFYIILHLPNLVEEQRNAFIQSLKDDPSQSANLLAEAKKLNDAQAPK
SEQ ID NO:59,Z(N3V,Q9I,E15L,N23Y)
VDVKFNKEIQNAFYLILHLPNLYEEQRNAFIQSLKDDPSQSANLLAEAKKLNDAQAPK
SEQ ID NO:60,Z(N6L,Q9F,E15I,N23V)
VDNKFLKEFQNAFYIILHLPNLVEEQRNAFIQSLKDDPSQSANLLAEAKKLNDAQAPK
【0091】
SEQ ID NO:61,Z(N6E,Q9I,E15L,N23I)
VDNKFEKEIQNAFYLILHLPNLIEEQRNAFIQSLKDDPSQSANLLAEAKKLNDAQAPK
SEQ ID NO:62,Z(N6E,Q9I,E15L,N23Y)
VDNKFEKEIQNAFYLILHLPNLYEEQRNAFIQSLKDDPSQSANLLAEAKKLNDAQAPK
SEQ ID NO:63,Z(N3L,N6L,Q9I,E15L,N23V)
VDLKFLKEIQNAFYLILHLPNLVEEQRNAFIQSLKDDPSQSANLLAEAKKLNDAQAPK
SEQ ID NO:64,Z(N3L,N6E,Q9I,E15I,N23I)
VDLKFEKEIQNAFYIILHLPNLIEEQRNAFIQSLKDDPSQSANLLAEAKKLNDAQAPK
SEQ ID NO:65,Z(N3V,N6E,Q9I,E15L,N23Y)
VDVKFEKEIQNAFYLILHLPNLYEEQRNAFIQSLKDDPSQSANLLAEAKKLNDAQAPK
SEQ ID NO:66,Z(N3V,N6E,Q9I,E15I,N23Y)
VDVKFEKEIQNAFYIILHLPNLYEEQRNAFIQSLKDDPSQSANLLAEAKKLNDAQAPK
SEQ ID NO:67,Z(N3Y,N6E,Q9I,E15L,N23Y)
VDYKFEKEIQNAFYLILHLPNLYEEQRNAFIQSLKDDPSQSANLLAEAKKLNDAQAPK
SEQ ID NO:68,Z(N3V,N6L,Q9I,E15V,N23Y)
VDVKFLKEIQNAFYVILHLPNLYEEQRNAFIQSLKDDPSQSANLLAEAKKLNDAQAPK
SEQ ID NO:69,Z(N3L,N6L,Q9F,E15I,N23V)
VDLKFLKEFQNAFYIILHLPNLVEEQRNAFIQSLKDDPSQSANLLAEAKKLNDAQAPK
SEQ ID NO:70,Z(N3L,N6E,Q9F,E15L,N23I)
VDLKFEKEFQNAFYLILHLPNLIEEQRNAFIQSLKDDPSQSANLLAEAKKLNDAQAPK
【0092】
SEQ ID NO:71,Z(N3V,N6L,Q9F,E15V,N23Y)
VDVKFLKEFQNAFYVILHLPNLYEEQRNAFIQSLKDDPSQSANLLAEAKKLNDAQAPK
SEQ ID NO:72,Z(Zドメイン)4
VDNKFNKEQQNAFYEILHLPNLNEEQRNAFIQSLKDDPSQSANLLAEAKKLNDAQAPKVDNKFNKEQQNAFYEILHLPNLNEEQRNAFIQSLKDDPSQSANLLAEAKKLNDAQAPKVDNKFNKEQQNAFYEILHLPNLNEEQRNAFIQSLKDDPSQSANLLAEAKKLNDAQAPKVDNKFNKEQQNAFYEILHLPNLNEEQRNAFIQSLKDDPSQSANLLAEAKKLNDAQAPK
SEQ ID NO:73,Z(N3L)4
VDLKFNKEQQNAFYEILHLPNLNEEQRNAFIQSLKDDPSQSANLLAEAKKLNDAQAPKVDLKFNKEQQNAFYEILHLPNLNEEQRNAFIQSLKDDPSQSANLLAEAKKLNDAQAPKVDLKFNKEQQNAFYEILHLPNLNEEQRNAFIQSLKDDPSQSANLLAEAKKLNDAQAPKVDLKFNKEQQNAFYEILHLPNLNEEQRNAFIQSLKDDPSQSANLLAEAKKLNDAQAPK
SEQ ID NO:74,Z(N3V)4
VDVKFNKEQQNAFYEILHLPNLNEEQRNAFIQSLKDDPSQSANLLAEAKKLNDAQAPKVDVKFNKEQQNAFYEILHLPNLNEEQRNAFIQSLKDDPSQSANLLAEAKKLNDAQAPKVDVKFNKEQQNAFYEILHLPNLNEEQRNAFIQSLKDDPSQSANLLAEAKKLNDAQAPKVDVKFNKEQQNAFYEILHLPNLNEEQRNAFIQSLKDDPSQSANLLAEAKKLNDAQAPK
SEQ ID NO:75,Z(N6L)4
VDNKFLKEQQNAFYEILHLPNLNEEQRNAFIQSLKDDPSQSANLLAEAKKLNDAQAPKVDNKFLKEQQNAFYEILHLPNLNEEQRNAFIQSLKDDPSQSANLLAEAKKLNDAQAPKVDNKFLKEQQNAFYEILHLPNLNEEQRNAFIQSLKDDPSQSANLLAEAKKLNDAQAPKVDNKFLKEQQNAFYEILHLPNLNEEQRNAFIQSLKDDPSQSANLLAEAKKLNDAQAPK
SEQ ID NO:76,Z(N6E)4
VDNKFEKEQQNAFYEILHLPNLNEEQRNAFIQSLKDDPSQSANLLAEAKKLNDAQAPKVDNKFEKEQQNAFYEILHLPNLNEEQRNAFIQSLKDDPSQSANLLAEAKKLNDAQAPKVDNKFEKEQQNAFYEILHLPNLNEEQRNAFIQSLKDDPSQSANLLAEAKKLNDAQAPKVDNKFEKEQQNAFYEILHLPNLNEEQRNAFIQSLKDDPSQSANLLAEAKKLNDAQAPK
SEQ ID NO:77,Z(Q9I)4
VDNKFNKEIQNAFYEILHLPNLNEEQRNAFIQSLKDDPSQSANLLAEAKKLNDAQAPKVDNKFNKEIQNAFYEILHLPNLNEEQRNAFIQSLKDDPSQSANLLAEAKKLNDAQAPKVDNKFNKEIQNAFYEILHLPNLNEEQRNAFIQSLKDDPSQSANLLAEAKKLNDAQAPKVDNKFNKEIQNAFYEILHLPNLNEEQRNAFIQSLKDDPSQSANLLAEAKKLNDAQAPK
SEQ ID NO:78,Z(Q9F)4
VDNKFNKEFQNAFYEILHLPNLNEEQRNAFIQSLKDDPSQSANLLAEAKKLNDAQAPKVDNKFNKEFQNAFYEILHLPNLNEEQRNAFIQSLKDDPSQSANLLAEAKKLNDAQAPKVDNKFNKEFQNAFYEILHLPNLNEEQRNAFIQSLKDDPSQSANLLAEAKKLNDAQAPKVDNKFNKEFQNAFYEILHLPNLNEEQRNAFIQSLKDDPSQSANLLAEAKKLNDAQAPK
SEQ ID NO:79,Z(Q9M)4
VDNKFNKEMQNAFYEILHLPNLNEEQRNAFIQSLKDDPSQSANLLAEAKKLNDAQAPKVDNKFNKEMQNAFYEILHLPNLNEEQRNAFIQSLKDDPSQSANLLAEAKKLNDAQAPKVDNKFNKEMQNAFYEILHLPNLNEEQRNAFIQSLKDDPSQSANLLAEAKKLNDAQAPKVDNKFNKEMQNAFYEILHLPNLNEEQRNAFIQSLKDDPSQSANLLAEAKKLNDAQAPK
SEQ ID NO:80,Z(E15T)4
VDNKFNKEQQNAFYTILHLPNLNEEQRNAFIQSLKDDPSQSANLLAEAKKLNDAQAPKVDNKFNKEQQNAFYTILHLPNLNEEQRNAFIQSLKDDPSQSANLLAEAKKLNDAQAPKVDNKFNKEQQNAFYTILHLPNLNEEQRNAFIQSLKDDPSQSANLLAEAKKLNDAQAPKVDNKFNKEQQNAFYTILHLPNLNEEQRNAFIQSLKDDPSQSANLLAEAKKLNDAQAPK
【0093】
SEQ ID NO:81,Z(E15W)4
VDNKFNKEQQNAFYWILHLPNLNEEQRNAFIQSLKDDPSQSANLLAEAKKLNDAQAPKVDNKFNKEQQNAFYWILHLPNLNEEQRNAFIQSLKDDPSQSANLLAEAKKLNDAQAPKVDNKFNKEQQNAFYWILHLPNLNEEQRNAFIQSLKDDPSQSANLLAEAKKLNDAQAPKVDNKFNKEQQNAFYWILHLPNLNEEQRNAFIQSLKDDPSQSANLLAEAKKLNDAQAPK
SEQ ID NO:82,Z(E15L)4
VDNKFNKEQQNAFYLILHLPNLNEEQRNAFIQSLKDDPSQSANLLAEAKKLNDAQAPKVDNKFNKEQQNAFYLILHLPNLNEEQRNAFIQSLKDDPSQSANLLAEAKKLNDAQAPKVDNKFNKEQQNAFYLILHLPNLNEEQRNAFIQSLKDDPSQSANLLAEAKKLNDAQAPKVDNKFNKEQQNAFYLILHLPNLNEEQRNAFIQSLKDDPSQSANLLAEAKKLNDAQAPK
SEQ ID NO:83,Z(E15V)4
VDNKFNKEQQNAFYVILHLPNLNEEQRNAFIQSLKDDPSQSANLLAEAKKLNDAQAPKVDNKFNKEQQNAFYVILHLPNLNEEQRNAFIQSLKDDPSQSANLLAEAKKLNDAQAPKVDNKFNKEQQNAFYVILHLPNLNEEQRNAFIQSLKDDPSQSANLLAEAKKLNDAQAPKVDNKFNKEQQNAFYVILHLPNLNEEQRNAFIQSLKDDPSQSANLLAEAKKLNDAQAPK
SEQ ID NO:84,Z(E15I)4
VDNKFNKEQQNAFYIILHLPNLNEEQRNAFIQSLKDDPSQSANLLAEAKKLNDAQAPKVDNKFNKEQQNAFYIILHLPNLNEEQRNAFIQSLKDDPSQSANLLAEAKKLNDAQAPKVDNKFNKEQQNAFYIILHLPNLNEEQRNAFIQSLKDDPSQSANLLAEAKKLNDAQAPKVDNKFNKEQQNAFYIILHLPNLNEEQRNAFIQSLKDDPSQSANLLAEAKKLNDAQAPK
SEQ ID NO:85,Z(E15F)4
VDNKFNKEQQNAFYFILHLPNLNEEQRNAFIQSLKDDPSQSANLLAEAKKLNDAQAPKVDNKFNKEQQNAFYFILHLPNLNEEQRNAFIQSLKDDPSQSANLLAEAKKLNDAQAPKVDNKFNKEQQNAFYFILHLPNLNEEQRNAFIQSLKDDPSQSANLLAEAKKLNDAQAPKVDNKFNKEQQNAFYFILHLPNLNEEQRNAFIQSLKDDPSQSANLLAEAKKLNDAQAPK
SEQ ID NO:86,Z(E15S)4
VDNKFNKEQQNAFYSILHLPNLNEEQRNAFIQSLKDDPSQSANLLAEAKKLNDAQAPKVDNKFNKEQQNAFYSILHLPNLNEEQRNAFIQSLKDDPSQSANLLAEAKKLNDAQAPKVDNKFNKEQQNAFYSILHLPNLNEEQRNAFIQSLKDDPSQSANLLAEAKKLNDAQAPKVDNKFNKEQQNAFYSILHLPNLNEEQRNAFIQSLKDDPSQSANLLAEAKKLNDAQAPK
SEQ ID NO:87,Z(E15Y)4
VDNKFNKEQQNAFYYILHLPNLNEEQRNAFIQSLKDDPSQSANLLAEAKKLNDAQAPKVDNKFNKEQQNAFYYILHLPNLNEEQRNAFIQSLKDDPSQSANLLAEAKKLNDAQAPKVDNKFNKEQQNAFYYILHLPNLNEEQRNAFIQSLKDDPSQSANLLAEAKKLNDAQAPKVDNKFNKEQQNAFYYILHLPNLNEEQRNAFIQSLKDDPSQSANLLAEAKKLNDAQAPK
SEQ ID NO:88,Z(E15D)4
VDNKFNKEQQNAFYDILHLPNLNEEQRNAFIQSLKDDPSQSANLLAEAKKLNDAQAPKVDNKFNKEQQNAFYDILHLPNLNEEQRNAFIQSLKDDPSQSANLLAEAKKLNDAQAPKVDNKFNKEQQNAFYDILHLPNLNEEQRNAFIQSLKDDPSQSANLLAEAKKLNDAQAPKVDNKFNKEQQNAFYDILHLPNLNEEQRNAFIQSLKDDPSQSANLLAEAKKLNDAQAPK
SEQ ID NO:89,Z(N23V)4
VDNKFNKEQQNAFYEILHLPNLVEEQRNAFIQSLKDDPSQSANLLAEAKKLNDAQAPKVDNKFNKEQQNAFYEILHLPNLVEEQRNAFIQSLKDDPSQSANLLAEAKKLNDAQAPKVDNKFNKEQQNAFYEILHLPNLVEEQRNAFIQSLKDDPSQSANLLAEAKKLNDAQAPKVDNKFNKEQQNAFYEILHLPNLVEEQRNAFIQSLKDDPSQSANLLAEAKKLNDAQAPK
SEQ ID NO:90,Z(N23I)4
VDNKFNKEQQNAFYEILHLPNLIEEQRNAFIQSLKDDPSQSANLLAEAKKLNDAQAPKVDNKFNKEQQNAFYEILHLPNLIEEQRNAFIQSLKDDPSQSANLLAEAKKLNDAQAPKVDNKFNKEQQNAFYEILHLPNLIEEQRNAFIQSLKDDPSQSANLLAEAKKLNDAQAPKVDNKFNKEQQNAFYEILHLPNLIEEQRNAFIQSLKDDPSQSANLLAEAKKLNDAQAPK
【0094】
SEQ ID NO:91,Z(N23Y)4
VDNKFNKEQQNAFYEILHLPNLYEEQRNAFIQSLKDDPSQSANLLAEAKKLNDAQAPKVDNKFNKEQQNAFYEILHLPNLYEEQRNAFIQSLKDDPSQSANLLAEAKKLNDAQAPKVDNKFNKEQQNAFYEILHLPNLYEEQRNAFIQSLKDDPSQSANLLAEAKKLNDAQAPKVDNKFNKEQQNAFYEILHLPNLYEEQRNAFIQSLKDDPSQSANLLAEAKKLNDAQAPK
SEQ ID NO:92,Z(Q9I,E15L)4
VDNKFNKEIQNAFYLILHLPNLNEEQRNAFIQSLKDDPSQSANLLAEAKKLNDAQAPKVDNKFNKEIQNAFYLILHLPNLNEEQRNAFIQSLKDDPSQSANLLAEAKKLNDAQAPKVDNKFNKEIQNAFYLILHLPNLNEEQRNAFIQSLKDDPSQSANLLAEAKKLNDAQAPKVDNKFNKEIQNAFYLILHLPNLNEEQRNAFIQSLKDDPSQSANLLAEAKKLNDAQAPK
SEQ ID NO:93,Z(Q9I,E15V)4
VDNKFNKEIQNAFYVILHLPNLNEEQRNAFIQSLKDDPSQSANLLAEAKKLNDAQAPKVDNKFNKEIQNAFYVILHLPNLNEEQRNAFIQSLKDDPSQSANLLAEAKKLNDAQAPKVDNKFNKEIQNAFYVILHLPNLNEEQRNAFIQSLKDDPSQSANLLAEAKKLNDAQAPKVDNKFNKEIQNAFYVILHLPNLNEEQRNAFIQSLKDDPSQSANLLAEAKKLNDAQAPK
SEQ ID NO:94,Z(Q9I,E15I)4
VDNKFNKEIQNAFYIILHLPNLNEEQRNAFIQSLKDDPSQSANLLAEAKKLNDAQAPKVDNKFNKEIQNAFYIILHLPNLNEEQRNAFIQSLKDDPSQSANLLAEAKKLNDAQAPKVDNKFNKEIQNAFYIILHLPNLNEEQRNAFIQSLKDDPSQSANLLAEAKKLNDAQAPKVDNKFNKEIQNAFYIILHLPNLNEEQRNAFIQSLKDDPSQSANLLAEAKKLNDAQAPK
SEQ ID NO:95,Z(N3L,N6L,Q9I,E15L)4
VDLKFLKEIQNAFYLILHLPNLNEEQRNAFIQSLKDDPSQSANLLAEAKKLNDAQAPKVDLKFLKEIQNAFYLILHLPNLNEEQRNAFIQSLKDDPSQSANLLAEAKKLNDAQAPKVDLKFLKEIQNAFYLILHLPNLNEEQRNAFIQSLKDDPSQSANLLAEAKKLNDAQAPKVDLKFLKEIQNAFYLILHLPNLNEEQRNAFIQSLKDDPSQSANLLAEAKKLNDAQAPK
SEQ ID NO:96,Z(N3Y,N6E,Q9I,E15I)4
VDYKFEKEIQNAFYIILHLPNLNEEQRNAFIQSLKDDPSQSANLLAEAKKLNDAQAPKVDYKFEKEIQNAFYIILHLPNLNEEQRNAFIQSLKDDPSQSANLLAEAKKLNDAQAPKVDYKFEKEIQNAFYIILHLPNLNEEQRNAFIQSLKDDPSQSANLLAEAKKLNDAQAPKVDYKFEKEIQNAFYIILHLPNLNEEQRNAFIQSLKDDPSQSANLLAEAKKLNDAQAPK
SEQ ID NO:97,Z(N3V,N6E,Q9I,E15L)4
VDVKFEKEIQNAFYLILHLPNLNEEQRNAFIQSLKDDPSQSANLLAEAKKLNDAQAPKVDVKFEKEIQNAFYLILHLPNLNEEQRNAFIQSLKDDPSQSANLLAEAKKLNDAQAPKVDVKFEKEIQNAFYLILHLPNLNEEQRNAFIQSLKDDPSQSANLLAEAKKLNDAQAPKVDVKFEKEIQNAFYLILHLPNLNEEQRNAFIQSLKDDPSQSANLLAEAKKLNDAQAPK
SEQ ID NO:98,Z(N3L,Q9I,E15L,N23V)4
VDLKFNKEIQNAFYLILHLPNLVEEQRNAFIQSLKDDPSQSANLLAEAKKLNDAQAPKVDLKFNKEIQNAFYLILHLPNLVEEQRNAFIQSLKDDPSQSANLLAEAKKLNDAQAPKVDLKFNKEIQNAFYLILHLPNLVEEQRNAFIQSLKDDPSQSANLLAEAKKLNDAQAPKVDLKFNKEIQNAFYLILHLPNLVEEQRNAFIQSLKDDPSQSANLLAEAKKLNDAQAPK
SEQ ID NO:99,Z(N6L,Q9F,E15I,N23V)4
VDNKFLKEFQNAFYIILHLPNLVEEQRNAFIQSLKDDPSQSANLLAEAKKLNDAQAPKVDNKFLKEFQNAFYIILHLPNLVEEQRNAFIQSLKDDPSQSANLLAEAKKLNDAQAPKVDNKFLKEFQNAFYIILHLPNLVEEQRNAFIQSLKDDPSQSANLLAEAKKLNDAQAPKVDNKFLKEFQNAFYIILHLPNLVEEQRNAFIQSLKDDPSQSANLLAEAKKLNDAQAPK
SEQ ID NO:100,Z(N3L,N6L,Q9I,E15L,N23V)4
VDLKFLKEIQNAFYLILHLPNLVEEQRNAFIQSLKDDPSQSANLLAEAKKLNDAQAPKVDLKFLKEIQNAFYLILHLPNLVEEQRNAFIQSLKDDPSQSANLLAEAKKLNDAQAPKVDLKFLKEIQNAFYLILHLPNLVEEQRNAFIQSLKDDPSQSANLLAEAKKLNDAQAPKVDLKFLKEIQNAFYLILHLPNLVEEQRNAFIQSLKDDPSQSANLLAEAKKLNDAQAPK
【0095】
SEQ ID NO:101,Z(N3L,N6E,Q9I,E15I,N23I)4
VDLKFEKEIQNAFYIILHLPNLIEEQRNAFIQSLKDDPSQSANLLAEAKKLNDAQAPKVDLKFEKEIQNAFYIILHLPNLIEEQRNAFIQSLKDDPSQSANLLAEAKKLNDAQAPKVDLKFEKEIQNAFYIILHLPNLIEEQRNAFIQSLKDDPSQSANLLAEAKKLNDAQAPKVDLKFEKEIQNAFYIILHLPNLIEEQRNAFIQSLKDDPSQSANLLAEAKKLNDAQAPK
SEQ ID NO:102,Z(N3V,N6L,Q9F,E15V,N23Y)4
VDVKFLKEFQNAFYVILHLPNLYEEQRNAFIQSLKDDPSQSANLLAEAKKLNDAQAPKVDVKFLKEFQNAFYVILHLPNLYEEQRNAFIQSLKDDPSQSANLLAEAKKLNDAQAPKVDVKFLKEFQNAFYVILHLPNLYEEQRNAFIQSLKDDPSQSANLLAEAKKLNDAQAPKVDVKFLKEFQNAFYVILHLPNLYEEQRNAFIQSLKDDPSQSANLLAEAKKLNDAQAPK
SEQ ID NO:103,Z(N3V,N6E,Q9I,E15I,N23Y)4
VDVKFEKEIQNAFYIILHLPNLYEEQRNAFIQSLKDDPSQSANLLAEAKKLNDAQAPKVDVKFEKEIQNAFYIILHLPNLYEEQRNAFIQSLKDDPSQSANLLAEAKKLNDAQAPKVDVKFEKEIQNAFYIILHLPNLYEEQRNAFIQSLKDDPSQSANLLAEAKKLNDAQAPKVDVKFEKEIQNAFYIILHLPNLYEEQRNAFIQSLKDDPSQSANLLAEAKKLNDAQAPK
SEQ ID NO:104,Z(N3L,N6L,Q9F,E15I,N23V)4
VDLKFLKEFQNAFYIILHLPNLVEEQRNAFIQSLKDDPSQSANLLAEAKKLNDAQAPKVDLKFLKEFQNAFYIILHLPNLVEEQRNAFIQSLKDDPSQSANLLAEAKKLNDAQAPKVDLKFLKEFQNAFYIILHLPNLVEEQRNAFIQSLKDDPSQSANLLAEAKKLNDAQAPKVDLKFLKEFQNAFYIILHLPNLVEEQRNAFIQSLKDDPSQSANLLAEAKKLNDAQAPK
SEQ ID NO:105,Z(N3L,N6E,Q9F,E15L,N23I)4
VDLKFEKEFQNAFYLILHLPNLIEEQRNAFIQSLKDDPSQSANLLAEAKKLNDAQAPKVDLKFEKEFQNAFYLILHLPNLIEEQRNAFIQSLKDDPSQSANLLAEAKKLNDAQAPKVDLKFEKEFQNAFYLILHLPNLIEEQRNAFIQSLKDDPSQSANLLAEAKKLNDAQAPKVDLKFEKEFQNAFYLILHLPNLIEEQRNAFIQSLKDDPSQSANLLAEAKKLNDAQAPK
SEQ ID NO:106,Z(N3Y,N6E,Q9I,E15L,N23Y)4
VDYKFEKEIQNAFYLILHLPNLYEEQRNAFIQSLKDDPSQSANLLAEAKKLNDAQAPKVDYKFEKEIQNAFYLILHLPNLYEEQRNAFIQSLKDDPSQSANLLAEAKKLNDAQAPKVDYKFEKEIQNAFYLILHLPNLYEEQRNAFIQSLKDDPSQSANLLAEAKKLNDAQAPKVDYKFEKEIQNAFYLILHLPNLYEEQRNAFIQSLKDDPSQSANLLAEAKKLNDAQAPK
SEQ ID NO:107,Z(N3L,N6E,Q9I,E15I,N23I)6
VDLKFEKEIQNAFYIILHLPNLIEEQRNAFIQSLKDDPSQSANLLAEAKKLNDAQAPKVDLKFEKEIQNAFYIILHLPNLIEEQRNAFIQSLKDDPSQSANLLAEAKKLNDAQAPKVDLKFEKEIQNAFYIILHLPNLIEEQRNAFIQSLKDDPSQSANLLAEAKKLNDAQAPKVDLKFEKEIQNAFYIILHLPNLIEEQRNAFIQSLKDDPSQSANLLAEAKKLNDAQAPKVDLKFEKEIQNAFYIILHLPNLIEEQRNAFIQSLKDDPSQSANLLAEAKKLNDAQAPKVDLKFEKEIQNAFYIILHLPNLIEEQRNAFIQSLKDDPSQSANLLAEAKKLNDAQAPK
SEQ ID NO:108,Z(N3V,N6L,Q9I,E15V,N23Y)6
VDVKFLKEIQNAFYVILHLPNLYEEQRNAFIQSLKDDPSQSANLLAEAKKLNDAQAPKVDVKFLKEIQNAFYVILHLPNLYEEQRNAFIQSLKDDPSQSANLLAEAKKLNDAQAPKVDVKFLKEIQNAFYVILHLPNLYEEQRNAFIQSLKDDPSQSANLLAEAKKLNDAQAPKVDVKFLKEIQNAFYVILHLPNLYEEQRNAFIQSLKDDPSQSANLLAEAKKLNDAQAPKVDVKFLKEIQNAFYVILHLPNLYEEQRNAFIQSLKDDPSQSANLLAEAKKLNDAQAPKVDVKFLKEIQNAFYVILHLPNLYEEQRNAFIQSLKDDPSQSANLLAEAKKLNDAQAPK
SEQ ID NO:109,Z(N3L,N6L,Q9F,E15I,N23V)6
VDLKFLKEFQNAFYIILHLPNLVEEQRNAFIQSLKDDPSQSANLLAEAKKLNDAQAPKVDLKFLKEFQNAFYIILHLPNLVEEQRNAFIQSLKDDPSQSANLLAEAKKLNDAQAPKVDLKFLKEFQNAFYIILHLPNLVEEQRNAFIQSLKDDPSQSANLLAEAKKLNDAQAPKVDLKFLKEFQNAFYIILHLPNLVEEQRNAFIQSLKDDPSQSANLLAEAKKLNDAQAPKVDLKFLKEFQNAFYIILHLPNLVEEQRNAFIQSLKDDPSQSANLLAEAKKLNDAQAPKVDLKFLKEFQNAFYIILHLPNLVEEQRNAFIQSLKDDPSQSANLLAEAKKLNDAQAPK
SEQ ID NO:110,(Bドメイン)4
ADNKFNKEQQNAFYEILHLPNLNEEQRNGFIQSLKDDPSQSANLLAEAKKLNDAQAPKADNKFNKEQQNAFYEILHLPNLNEEQRNGFIQSLKDDPSQSANLLAEAKKLNDAQAPKADNKFNKEQQNAFYEILHLPNLNEEQRNGFIQSLKDDPSQSANLLAEAKKLNDAQAPKADNKFNKEQQNAFYEILHLPNLNEEQRNGFIQSLKDDPSQSANLLAEAKKLNDAQAPK
【0096】
SEQ ID NO:111,B(N3V)4
ADVKFNKEQQNAFYEILHLPNLNEEQRNGFIQSLKDDPSQSANLLAEAKKLNDAQAPKADVKFNKEQQNAFYEILHLPNLNEEQRNGFIQSLKDDPSQSANLLAEAKKLNDAQAPKADVKFNKEQQNAFYEILHLPNLNEEQRNGFIQSLKDDPSQSANLLAEAKKLNDAQAPKADVKFNKEQQNAFYEILHLPNLNEEQRNGFIQSLKDDPSQSANLLAEAKKLNDAQAPK
SEQ ID NO:112,B(N6E)4
ADNKFEKEQQNAFYEILHLPNLNEEQRNGFIQSLKDDPSQSANLLAEAKKLNDAQAPKADNKFEKEQQNAFYEILHLPNLNEEQRNGFIQSLKDDPSQSANLLAEAKKLNDAQAPKADNKFEKEQQNAFYEILHLPNLNEEQRNGFIQSLKDDPSQSANLLAEAKKLNDAQAPKADNKFEKEQQNAFYEILHLPNLNEEQRNGFIQSLKDDPSQSANLLAEAKKLNDAQAPK
SEQ ID NO:113,B(Q9I)4
ADNKFNKEIQNAFYEILHLPNLNEEQRNGFIQSLKDDPSQSANLLAEAKKLNDAQAPKADNKFNKEIQNAFYEILHLPNLNEEQRNGFIQSLKDDPSQSANLLAEAKKLNDAQAPKADNKFNKEIQNAFYEILHLPNLNEEQRNGFIQSLKDDPSQSANLLAEAKKLNDAQAPKADNKFNKEIQNAFYEILHLPNLNEEQRNGFIQSLKDDPSQSANLLAEAKKLNDAQAPK
SEQ ID NO:114,B(Q9F)4
ADNKFNKEFQNAFYEILHLPNLNEEQRNGFIQSLKDDPSQSANLLAEAKKLNDAQAPKADNKFNKEFQNAFYEILHLPNLNEEQRNGFIQSLKDDPSQSANLLAEAKKLNDAQAPKADNKFNKEFQNAFYEILHLPNLNEEQRNGFIQSLKDDPSQSANLLAEAKKLNDAQAPKADNKFNKEFQNAFYEILHLPNLNEEQRNGFIQSLKDDPSQSANLLAEAKKLNDAQAPK
SEQ ID NO:115,B(E15L)4
ADNKFNKEQQNAFYLILHLPNLNEEQRNGFIQSLKDDPSQSANLLAEAKKLNDAQAPKADNKFNKEQQNAFYLILHLPNLNEEQRNGFIQSLKDDPSQSANLLAEAKKLNDAQAPKADNKFNKEQQNAFYLILHLPNLNEEQRNGFIQSLKDDPSQSANLLAEAKKLNDAQAPKADNKFNKEQQNAFYLILHLPNLNEEQRNGFIQSLKDDPSQSANLLAEAKKLNDAQAPK
SEQ ID NO:116,B(E15I)4
ADNKFNKEQQNAFYIILHLPNLNEEQRNGFIQSLKDDPSQSANLLAEAKKLNDAQAPKADNKFNKEQQNAFYIILHLPNLNEEQRNGFIQSLKDDPSQSANLLAEAKKLNDAQAPKADNKFNKEQQNAFYIILHLPNLNEEQRNGFIQSLKDDPSQSANLLAEAKKLNDAQAPKADNKFNKEQQNAFYIILHLPNLNEEQRNGFIQSLKDDPSQSANLLAEAKKLNDAQAPK
SEQ ID NO:117,B(N3V,N6E,Q9I,E15L)4
ADVKFEKEIQNAFYLILHLPNLNEEQRNGFIQSLKDDPSQSANLLAEAKKLNDAQAPKADVKFEKEIQNAFYLILHLPNLNEEQRNGFIQSLKDDPSQSANLLAEAKKLNDAQAPKADVKFEKEIQNAFYLILHLPNLNEEQRNGFIQSLKDDPSQSANLLAEAKKLNDAQAPKADVKFEKEIQNAFYLILHLPNLNEEQRNGFIQSLKDDPSQSANLLAEAKKLNDAQAPK
SEQ ID NO:118,B(N3V)
ADVKFNKEQQNAFYEILHLPNLNEEQRNGFIQSLKDDPSQSANLLAEAKKLNDAQAPK
SEQ ID NO:119,B(N6E)
ADNKFEKEQQNAFYEILHLPNLNEEQRNGFIQSLKDDPSQSANLLAEAKKLNDAQAPK
SEQ ID NO:120,B(Q9I)
ADNKFNKEIQNAFYEILHLPNLNEEQRNGFIQSLKDDPSQSANLLAEAKKLNDAQAPK
【0097】
SEQ ID NO:121,B(Q9F)
ADNKFNKEFQNAFYEILHLPNLNEEQRNGFIQSLKDDPSQSANLLAEAKKLNDAQAPK
SEQ ID NO:122,B(E15L)
ADNKFNKEQQNAFYLILHLPNLNEEQRNGFIQSLKDDPSQSANLLAEAKKLNDAQAPK
SEQ ID NO:123,B(E15I)
ADNKFNKEQQNAFYIILHLPNLNEEQRNGFIQSLKDDPSQSANLLAEAKKLNDAQAPK
SEQ ID NO:124,B(N3V,N6E,Q9I,E15L)
ADVKFEKEIQNAFYLILHLPNLNEEQRNGFIQSLKDDPSQSANLLAEAKKLNDAQAPK
【実施例
【0098】
以下、具体的な実施例を参照しながら本発明を更に説明する。なお、これらの実施例は本発明を説明するためのものだけであり、本発明の範囲を限定するものではない。以下の実施例において具体的な条件が明記されていない実験方法は、一般的に、従来の条件に従い、又はメーカーにより勧められた条件に従う。特に断りのない限り、パーセントと部数は、重量で計算する。
【0099】
製造例1:Zドメインミュータント及びBドメインミュータントの製造
突然変異部位を設計した上で、全遺伝子合成、発現及び精製を生工生物工程(上海)股ふん有限公司(Sangon Biotech)に依頼する。
【0100】
発現及び精製の際に、単一の組換えプラスミドにより大腸菌に変換すると共に、LB液体培地で発酵・培養して誘導発現を行う。発酵してから、菌体を収集し、熱分解により細胞壁を破壊し、発現産物を放出して、遠心分離する。単離液体をIgGアフィニティー媒体により精製し、単離液をアフィニティー媒体を経由してサンプルロードし、10mMリン酸塩緩衝液で媒体を洗浄し、pH3.8緩衝液で目的タンパク質を収集し、中性となるように調整し、保存して使用に備える。
【0101】
合成された一部のミュータントの遺伝子結果検証解析図が図1-13に示される。
【0102】
製造例2:Zドメインミュータント及びBドメインミュータントによるアフィニティークロマトグラフィー媒体の製造
得られたZドメインミュータント及びBドメインミュータントを利用して、常用方法によりアフィニティークロマトグラフィー媒体を製造する。例示的な製造過程は、具体的に下記のステップを含む。
【0103】
a. 活性化
高剛性アガロース10gを取り、精製水で洗浄して、吸引乾燥させた。上記アガロース10gを量り、精製水20mLを入れ、水酸化ナトリウム0.2g及びエポキシクロロプロパン10mLを100mLフラスコに入れて、27 ℃恒温で2時間反応させ、活性化したゲルを1L水で洗浄し、活性化したアガロース微小球を取得した。
【0104】
b. 架橋
活性化したアガロース微小球を100mLフラスコに入れ、更に150mg NaHCO3、10mg Na2CO3、150mg NaCl及び10mg EDTAを入れ、均一に攪拌してから、50mLミュータント溶液を入れ、34℃恒温で8時間反応させて、架橋を完成させた。
【0105】
c. ブロッキング
架橋産物に100mLブロッキングバッファー(エタノールアミン溶液)を入れ、水酸化ナトリウムでpHが8.6となるように調整し、26℃恒温で2時間反応させて、残留したエポキシ基のブロッキングを完成させることで、影響を低減した。
【0106】
実施例1
下記方法によって表1のZドメインミュータント及びBドメインミュータントに対して動力学分析を行った。
【0107】
実験の手順は以下のようである。
1) IgGでSeries S CM5チップを架橋した。
a. 10mM酢酸-NaOH(pH5.0)でIgGを5μg/ml、10μg/ml、15μg/ml、20μg/mlまで希釈させた。
b. 作動緩衝液(10mM酢酸-NaOH、pH5.0)、剥離液1(0.5%SDS)、剥離液2(50mMグリシン-NaOH、pH9.5)、ブロッキングバッファー(1MエタノールアミンpH8.5)、活性化剤(0.4M EDC、0.1M NHS)を調製した。
c. Biacore-4000で固定化を行った。
d.架橋結果は下記の表に示される。
【0108】
2)動力学分析
a. 1XPBS(pH7.6)でミュータントサンプルを0μg/ml、1.615μg/ml、2.4375μg/ml、3.25μg/ml、4.875μg/ml、6.5μg/ml、9.75μg/ml、13μg/ml、19.5μg/ml、26μg/mlまで希釈させた。
b. ゲル緩衝液 1XPBS(pH7.6)、再生溶液(50mMクエン酸-NaOH pH3.0)を調製した。
c. Biacore-4000で動力学及び親和力を行った。
【0109】
実験結果は下記表1に示される。表1はBiacoreによるZドメインミュータント及びBドメインミュータントの動力学分析結果を示した。
【0110】
【表1】
【0111】
結果によれば、各ミュータントは対応するZドメイン又はBドメインに対して、そのKD値がほぼ同じレベルであり、解離定数が顕著な変化を示していないため、本発明に係るZドメイン及びBドメインに対して突然変異を起こして取得されたミュータントは、IgGに対する結合力に影響がないことがわかる。
【0112】
実施例2
下記方法によって表2のZドメインミュータント及びBドメインミュータントアフィニティークロマトグラフィー媒体のIgG結合力及び耐アルカリ安定性について評価した。
【0113】
実験の手順は以下のようである。
1) Zドメインミュータント又はBドメインミュータントのアフィニティークロマトグラフィー媒体4.4mLを取り、20%のエタノール、5ml/minの流速でクロマトグラフィーカラムに装填した。
緩衝液:緩衝液A(PBS、pH7.6)、緩衝液B(0.1Mクエン酸ナトリウム、pH3.0)、緩衝液C(1MNaOH)。
サンプル:精製品で1mg/mlのIgGサンプルを調製した(精製品を希釈させる溶液は緩衝液A)。
【0114】
2) 10%ダイナミックローディング量の測定:
設備:AKTA Pure。
測定過程:
a. 緩衝液Aバランスクロマトグラフィーカラム、流速:1.8ml/min。
b. IGgサンプルがカラムを流れない場合、紫外線吸収ピークを検出して、λmaxとし、これにより10%λmaxを算出した。
c. サンプルロード:流速:1.8ml/min、基本流出の紫外線吸収ピークを記録した。
d. 両者を合計して、10%ダイナミックローディング量に対応する紫外線吸収ピークを取得した。
e. 紫外線吸収ピークがステップdにおける紫外線吸収ピークに達するまでサンプルロードを続ける場合、対応する体積が10%ダイナミックローディング量である。
【0115】
3) 耐アルカリサイクル:
室温制御:23±0.5℃。ローディング量の低下に応じて、プログラムのサンプルロード量を更新し、その他のプログラムには変わりはない。
測定過程:
a. PBSバランス:流速:1.8ml/min、体積:1cv。
b. サンプルロード:流速:1.8ml/min、200ml(その後のプログラムは、ローディング量の低下に応じて、サンプルロード量を更新する)。
c. PBS洗浄:流速:1.8ml/min、体積:5cv。
d. 0.1Mクエン酸ナトリウム溶出:流速:1.8ml/min、体積:3cv。
e. 1M NaOHで2h処理した。まず、1.8ml/minの流速で1cv流れて、クロマトグラフィーカラム内に1M NaOH充満させてから、流速:0.5ml/min、体積:60ml、時間:2hに変更した。
f. PBSバランス:流速:1.8ml/min、体積:10cv。
【0116】
4) 上記アルカリ処理プロセスを13回行い、対応するローディング量を記録し、グラフを製作して、結果は表2及び図14、15(Z(N3V,N6E,Q9I,E15L)4)及び16に示される。表2は、各サンプルの10%侵入(Qb10%)におけるIgG能力(ダイナミック結合ローディング量で計算、mg/ml)を示した。
【0117】
【表2】
【0118】
結果によれば、ミュータントの初期IgG結合力はZドメインとの差異が大きくなく、表におけるミュータントの初期IgG結合力は全て130mg/ml以上であり、優れた親和力を有することがわかる。1.0MNaOHでアルカリ処理して24時間後、極一部のミュータントはZドメインよりやや劣るIgG結合力を示すほか、多数のミュータントのIgG結合力はZドメイン及びBドメインより優れる。中でも、ミュータントZ(E15S)4はアルカリ処理して24時間後、43.57%の余剰IgG能力を有する。これらのデータによれば、本発明により選択された突然変異部位はZドメイン及びBドメインのアルカリ安定性を改善できることがわかる。
【0119】
実施例3
表3のZドメインミュータントで製造されたアフィニティークロマトグラフィー媒体で、実施例2を実施し、結果は表3及び図15である。表3は、各サンプルの10%侵入(Qb10%)におけるIgG能力(ダイナミック結合ローディング量で計算、mg/ml)を示した。
【0120】
【表3】
【0121】
表3はZドメインにおける複数の部位で突然変異したミュータントの耐アルカリ性を示している。1.0MNaOHで処理して24時間後、ミュータントの余剰IgG結合力はZドメインに対してある程度で向上され、上記突然変異により耐アルカリ性が向上されたことを示している。中でも、ミュータントZ(N3L,N6L,Q9F,E15I,N23V)6はアルカリ処理して24時間後、依然として63.93%のIgG能力を有する。
図1
図2
図3
図4
図5
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図16
【配列表】
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【国際調査報告】