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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-02-04
(54)【発明の名称】非結核性抗酸菌疾患を治療する方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/555 20060101AFI20250128BHJP
   A61P 31/04 20060101ALI20250128BHJP
   A61P 11/00 20060101ALI20250128BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20250128BHJP
   A61K 31/7036 20060101ALI20250128BHJP
   A61K 31/7048 20060101ALI20250128BHJP
   A61K 31/7052 20060101ALI20250128BHJP
   A61K 31/496 20060101ALI20250128BHJP
   A61K 31/133 20060101ALI20250128BHJP
   A61K 31/65 20060101ALI20250128BHJP
   A61K 31/5355 20060101ALI20250128BHJP
   A61K 31/407 20060101ALI20250128BHJP
   A61K 31/546 20060101ALI20250128BHJP
【FI】
A61K31/555
A61P31/04
A61P11/00
A61P43/00 121
A61K31/7036
A61K31/7048
A61K31/7052
A61K31/496
A61K31/133
A61K31/65
A61K31/5355
A61K31/407
A61K31/546
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024563183
(86)(22)【出願日】2023-01-10
(85)【翻訳文提出日】2024-09-09
(86)【国際出願番号】 US2023060392
(87)【国際公開番号】W WO2023133588
(87)【国際公開日】2023-07-13
(31)【優先権主張番号】63/298,124
(32)【優先日】2022-01-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TRITON
(71)【出願人】
【識別番号】524262920
【氏名又は名称】マイクロビオン コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】ベイカー,ブレット ヒュー ジェイムズ
【テーマコード(参考)】
4C086
4C206
【Fターム(参考)】
4C086AA01
4C086AA02
4C086BC73
4C086CB25
4C086CC08
4C086CC12
4C086CC15
4C086DA29
4C086DA31
4C086EA09
4C086EA12
4C086EA13
4C086GA09
4C086MA01
4C086MA02
4C086MA04
4C086NA05
4C086NA14
4C086ZA59
4C086ZB35
4C086ZC75
4C206AA01
4C206AA02
4C206FA03
4C206MA02
4C206MA04
4C206NA05
4C206ZA59
4C206ZB35
4C206ZC75
(57)【要約】
本開示は、ビスマス-チオール(BT)組成物並びにそれを必要とする対象の非結核性抗酸菌感染症及び関連する病態を治療する方法を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
非結核性抗酸菌(NTM)により起こされる対象の感染症を治療する方法であって、前記対象に、BT化合物を含む有効量のビスマス-チオール(BT)組成物を投与することを含む方法。
【請求項2】
前記感染症が肺感染症である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記感染症が肺外の感染症である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記NTM感染症が、NTMの抗生物質耐性株により起こされる、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記NTM感染症が、M.アビウム(M. avium)、M.アビウム亜種ホミニスイス(M. avium subsp. hominissuis)(MAH)、M.アブセッサス(M. abscessus)、M.ケロネー(M. chelonae)、M.ボレッティ(M. bolletii)、M.カンサシ(M. kansasii)、M.ウルセランス(M. ulcerans)、M.アビウムコンプレックス(M. avium complex)(MAC)(M.アビウム(M. avium)及びM.イントラセルラーレ(M. intracellulare))、M.コンスピキュウム(M. conspicuum)、M.カンサシ(M. kansasii)、M.ペレグリナム(M. peregrinum)、M.イムノゲナム(M. immunogenum)、M.ゼノピ(M. xenopi)、M.マリヌム(M. marinum)、M.マルモエンセ(M. malmoense)、M.マリヌム(M. marinum)、M.ムコゲニカム(M. mucogenicum)、M.ノンクロモジェニカム(M. nonchromogenicum)、M.スクロフラセウム(M. scrofulaceum)、M.シミアエ(M. simiae)、M.スメグマティス(M. smegmatis)、M.ツルガイ(M. szulgai)、M.テラエ(M. terrae)、M.テラエコンプレックス(M. terrae complex)、M.ヘモフィルム(M. haemophilum)、M.ゲナベンス(M. genavense)、M.アシアチカム(M. asiaticum)、M.シモイデイ(M. shimoidei)、M.ゴルドネ(M. gordonae)、M.ノンクロモジェニカム(M. nonchromogenicum)、M.トリプレックス(M. triplex)、M.レンチフラバム(M. lentiflavum)、M.セラタム(M. celatum)、M.フォーチュイタム(M. fortuitum)、M.フォーチュイタムコンプレックス(M. fortuitum complex)(M.フォーチュイタム(M. fortuitum)及びM.ケロネー(M. chelonae))、又はこれらの組合せにより起こされる、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記NTM感染症が、M.アブセッサス(M. abscessus)、M.アビウム(M. avium)、又はこれらの組合せにより起こされる、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記NTM肺感染症が、M.アビウムコンプレックス(M. avium complex)(M.アビウム(M. avium)及びM.イントラセルラーレ(M. intracellulare))により起こされる、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記M.アビウム(M. avium)が、M.アビウム亜種ホミニスイス(M. avium subsp. hominissuis)である、請求項5~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記NTM感染症が、バイオフィルム関連NTM感染症である、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記NTM感染症が慢性肺感染症である、請求項1、2又は4~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記NTM感染が、肺粘膜、気管支、肺胞、マクロファージ、及び/又は細気管支中又はその上に位置する、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記NTM感染が、少なくとも部分的にマクロファージ中に位置する、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記マクロファージがTHP-1マクロファージである、請求項11又は12に記載の方法。
【請求項14】
前記BT組成物の前記対象への投与時に、前記マクロファージ中の前記細菌負荷が減少する、請求項11~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記マクロファージが、M.アブセッサス(M. abscessus)及び/又はM.アビウム(M. avium)の1つ以上の株に感染している、請求項11~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記NTM感染症が、アミカシンによる治療に対して耐性である、請求項1~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記NTM感染症が、マクロライド又はアザライド療法に対して耐性である、請求項1~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記対象が慢性の肺病態を有する、請求項1~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記慢性の肺病態が、嚢胞性線維症、慢性気管支炎、肺気腫、気管支拡張症、肺線維症、アスベスト症、肺臓炎、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、又は喘息である、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記慢性の肺病態が嚢胞性線維症である、請求項18又は19に記載の方法。
【請求項21】
前記対象が、投与あたり約30μg~約3,000μgのBT化合物を投与される、請求項1~20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記対象が、投与あたり約100μg~約1,000μgのBT化合物を投与される、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記BT組成物が、1月あたり1回、1月あたり2回、1月あたり3回、1月あたり4回、2週ごとに1回、1週あたり1回、1週あたり2回、又は1週あたり3回投与される、請求項1~22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記BT組成物が、1日1回又は2回投与される、請求項1~23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
前記BT化合物が、前記対象の前記肺に投与される、請求項1~24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
前記BT化合物が、吸入により投与される、請求項1~25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
前記BT組成物が、24か月未満、18か月未満、12か月未満、9か月未満、6か月未満、3か月未満、又は1か月未満の期間投与される、請求項1~26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
前記BT組成物が、1日~56日の期間投与される、請求項1~27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
前記BT組成物が、14日~28日の期間投与される、請求項1~27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
単回1日量後の前記肺内のビスマスの濃度が、約0.03μg/g肺組織~約3μg/g肺組織である、請求項25~29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
28回の1日量後の前記肺内のビスマスの濃度が、約0.3μg/g肺組織~約60μg/g肺組織である、請求項25~29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
前記BT化合物が、BisBAL、BisEDT、ビス-ジメルカプロール、BisDTT、ビス-2-メルカプトエタノール、BisDTE、BisPyr、BisEry、BisTol、BisBDT、BisPDT、BisPyr/BAL、BisPyr/BDT、BisPyr/EDT、BisPyr/PDT、BisPyr/Tol、BisPyr/Ery、ビスマス-1-メルカプト-2-プロパノール、BisEDT/CSTMN(1:1)、BisPyr/CSTMN(1:1)、BisBAL/CSTMN(1:1)、BisTOL/CSTMN(1:1)、及びBisEDT/2-ヒドロキシ-1-プロパンチオールから選択される、請求項1~31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
前記BT化合物が、BisEDT、BisBAL、BisPyr、BisEry、BisTol、BisBDT、又はBisEDT/2-ヒドロキシ-1-プロパンチオールから選択される、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記BT化合物が、BisEDT又はBisBALである、請求項32に記載の方法。
【請求項35】
前記BT化合物がBisEDTである、請求項32に記載の方法。
【請求項36】
有効量のアミカシン、クラリスロマイシン、アジスロマイシン、エタンブトール、リファンピシン、チゲサイクリン、リネゾリド、イミペネム、セフォキシチン、又はこれらの組合せを、必要がある前記対象に投与することをさらに含む、請求項1~35のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
[0001] 本願は、参照により全体として本明細書に組み込まれる、2022年1月10日に出願された米国仮特許出願第63/298,124号の利益及び優先権を主張する。
【背景技術】
【0002】
背景
[0002] M.アビウム(M. avium)及びM.アブセッサス(M. abscessus)などの非結核性抗酸菌(NTM)による肺感染症の発生率は増加しつつあり、治療選択肢は限られている。肺NTMの約80%がM.アビウム(M. avium)と関連している。これらの感染症は、嚢胞性線維症などの慢性の肺の病態を有する患者によく見られ、重度の呼吸器疾患と関連する。現在認められているマクロライド(クラリスロマイシン)又はアザライド(アジスロマイシン)療法は耐性をもたらすことが多く、又は18~24か月になり得て最低で3種の抗生物質を含む治療の継続期間に関連する副作用を伴う。M.アブセッサス(M. abscessus)感染症の治療成績はさらにより問題があるが、その理由は、肺感染症を有する患者の治癒率がわずか25~58%であるためである。そのため、M.アブセッサス(M. abscessus)は「不治の悪夢(incurable nightmare)」と称される。
【0003】
[0003] 薬物毒性と相まった低い治療成績及び長期にわたる治療継続期間のため、強力な抗NTM活性を有する薬物からなる、より有効で安全なレジメンを開発する差し迫った医療上の必要性がある。
【0004】
[0004] 本開示は、NTM疾患の治療に関連するこれらの問題及び他の問題に対処する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
概要
[0005] いくつかの実施形態において、本開示は、非結核性抗酸菌(NTM)により起こされる対象の感染症を治療する方法であって、対象に、BT化合物を含む有効量のビスマス-チオール(BT)組成物を投与することを含む方法を提供する。
【0006】
[0006] いくつかの実施形態において、本開示は、対象のNTM細胞内細菌負荷を減少させる方法であって、対象の感染細胞を、BT化合物を含む有効量のビスマス-チオール(BT)組成物と接触させることを含む方法を提供する。
【0007】
[0007] いくつかの実施形態において、本開示は、治療若しくは予防を必要とする対象の非結核性抗酸菌(NTM)肺感染症を治療するか、又はそれに対する予防を提供する方法であって、対象の肺に、投与期間の間、BT化合物を含むBT組成物を投与することを含む方法を提供する。
【0008】
[0008] いくつかの実施形態において、本開示は、それを必要とする対象の肺におけるバイオフィルム関連非結核性抗酸菌(NTM)感染症を治療する方法であって、対象に、BT化合物を含むBT組成物を投与することを含む方法を提供する。
【0009】
[0009] いくつかの実施形態において、NTM感染症は肺感染症である。いくつかの実施形態において、NTM感染症は肺外の感染症である。いくつかの実施形態において、NTM感染症は慢性の肺感染症である。
【0010】
[0010] いくつかの実施形態において、NTM感染は、肺粘膜、気管支、肺胞、マクロファージ、及び/又は細気管支の中又はその上に位置する。いくつかの実施形態において、NTM感染症は皮膚のNTM感染症である。いくつかの実施形態において、NTM感染症は、皮膚、骨、関節、リンパ系、及び/又は軟部組織の感染症である。いくつかの実施形態において、NTM感染はマクロファージ中に位置する。いくつかの実施形態において、NTM感染は、少なくとも部分的にマクロファージ中に位置する。いくつかの実施形態において、マクロファージ細胞はTHP-1細胞である。いくつかの実施形態において、NTM感染は組織球中に位置する。
【0011】
[0011] いくつかの実施形態において、本開示は、対象のNTM感染症を治療する方法であって、(i)対象由来の生体試料中の細菌感染マクロファージの存在に関して試験すること;及び(ii)試料が細菌感染マクロファージに関して陽性であるという結果の場合、BT化合物を含む有効量のビスマス-チオール(BT)組成物を対象に投与することを含む方法を提供する。
【0012】
[0012] いくつかの実施形態において、本開示は、マクロファージ感染を有する対象のNTM感染症を治療する方法であって、対象に、BT化合物を含む有効量のビスマス-チオール(BT)組成物を投与することを含む方法を提供する。
【0013】
[0013] いくつかの実施形態において、方法は、対象由来の生体試料中の細菌感染マクロファージの存在に関して試験すること、及び試料が細菌感染マクロファージに関して陽性であるという結果の場合、有効量のビスマス-チオール(BT)組成物を対象に投与することをさらに含む。
【0014】
[0014] いくつかの実施形態において、NTM感染症は、M.アビウム(M. avium)、M.アビウム亜種ホミニスイス(M. avium subsp. hominissuis)(MAH)、M.アブセッサス(M. abscessus)、M.ケロネー(M. chelonae)、M.ボレッティ(M. bolletii)、M.カンサシ(M. kansasii)、M.キマイラ(M. chimaera)、M.ウルセランス(M. ulcerans)、M.アビウムコンプレックス(M. avium complex)(MAC)(M.アビウム(M. avium)及びM.イントラセルラーレ(M. intracellulare))、M.コンスピキュウム(M. conspicuum)、M.カンサシ(M. kansasii)、M.ペレグリナム(M. peregrinum)、M.イムノゲナム(M. immunogenum)、M.ゼノピ(M. xenopi)、M.マリヌム(M. marinum)、M.マルモエンセ(M. malmoense)、M.マシリエンセ(M. massiliense)、M.ムコゲニカム(M. mucogenicum)、M.ノンクロモジェニカム(M. nonchromogenicum)、M.ポルシナム(M. porcinum)、M.スクロフラセウム(M. scrofulaceum)、M.シミアエ(M. simiae)、M.スメグマティス(M. smegmatis)、M.ツルガイ(M. szulgai)、M.テラエ(M. terrae)、M.テラエコンプレックス(M. terrae complex)、M.ヘモフィルム(M. haemophilum)、M.ゲナベンス(M. genavense)、M.アシアチカム(M. asiaticum)、M.シモイデイ(M. shimoidei)、M.ゴルドネ(M. gordonae)、M.ノンクロモジェニカム(M. nonchromogenicum)、M.トリプレックス(M. triplex)、M.レンチフラバム(M. lentiflavum)、M.セラタム(M. celatum)、M.フォーチュイタム(M. fortuitum)、M.フォーチュイタムコンプレックス(M. fortuitum complex)(M.フォーチュイタム(M. fortuitum)及びM.ケロネー(M. chelonae))、又はこれらの組合せにより起こされる。いくつかの実施形態において、NTM感染症は、M.アビウム(M. avium)又はM.アブセッサス(M. abscessus)により起こされる。いくつかの実施形態において、NTM感染症は、M.アビウムコンプレックス(M. avium complex)(MAC)(M.アビウム(M. avium)及びM.イントラセルラーレ(M. intracellulare))により起こされる。いくつかの実施形態において、NTM感染症は、M.アブセッサス亜種アブセッサス(M. abscessus subsp. abscessus)、M.アブセッサス亜種ボレティ(M. abscessus subsp. bolletti)、又はM.アブセッサス亜種マシリエンセ(M. abscessus subsp. massiliense)により起こされる。
【0015】
[0015] いくつかの実施形態において、NTM感染症は標準治療抗菌薬治療に耐性がある。いくつかの実施形態において、NTM感染症はアミカシンに耐性がある。いくつかの実施形態において、NTM感染症は、マクロライド又はアザライド療法に耐性がある。
【0016】
[0016] いくつかの実施形態において、BT化合物は、BisBAL、BisEDT、ビス-ジメルカプロール、BisDTT、ビス-2-メルカプトエタノール、Bis-DTE、BisPyr、BisEry、BisTol、BisBDT、BisPDT、BisPyr/BAL、BisPyr/BDT、BisPyr/EDT、BisPyr/PDT、Bis-Pyr/Tol、BisPyr/Ery、ビスマス-1-メルカプト-2-プロパノール、BisEDT/CSTMN(1:1)、BisPyr/CSTMN(1:1)、BisBAL/CSTMN(1:1)、BisTOL/CSTMN(1:1)、及びBisEDT/2-ヒドロキシ-1-プロパンチオールからなる群から選択される。いくつかの実施形態において、BT化合物は、BisEDT又はBisBALである。いくつかの実施形態において、BT化合物はBisEDTである。
【0017】
[0017] いくつかの実施形態において、BT組成物は吸入により投与される。いくつかの実施形態において、BT組成物は対象の肺に投与される。いくつかの実施形態において、BT組成物は、ネブライザー、ドライパウダー吸入、ナノ粒子吸入、定量噴霧吸入、又は当技術分野に公知である任意の他の薬物吸入方法により対象の肺に投与される。いくつかの実施形態において、ドライパウダーは微粒子化されている。いくつかの実施形態において、ナノ粒子は脂質ナノ粒子である。いくつかの実施形態において、ナノ粒子は乾燥ナノ粒子である。いくつかの実施形態において、ナノ粒子は脂質ナノ粒子である。いくつかの実施形態において、単回1日量(single daily dose)後の肺内のビスマスの濃度は、約0.03μg/g肺組織~約3μg/g肺組織である。
【0018】
[0018] いくつかの実施形態において、BT組成物は、1月あたり1回、1月あたり2回、1月あたり3回、1月あたり4回、2週ごとに1回、1週あたり1回、1週あたり2回、又は1週あたり3回投与される。いくつかの実施形態において、BT組成物は、1週あたり1回、1週あたり2回又は1週あたり3回投与される。いくつかの実施形態において、BT組成物は1週あたり1回投与される。いくつかの実施形態において、BT組成物は、24か月未満、18か月未満、12か月未満、9か月未満、6か月未満、3か月未満、又は1か月未満の期間投与される。いくつかの実施形態において、BT組成物は1~56日の期間投与される。
【0019】
[0019] いくつかの実施形態において、対象は慢性の肺病態を有する。いくつかの実施形態において、慢性の肺病態は、嚢胞性線維症、慢性肺炎、気管支拡張症、拘束性肺疾患、間質性肺疾患、肺高血圧、肺線維症、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、肺気腫、又は喘息である。いくつかの実施形態において、慢性の肺病態は、嚢胞性線維症、慢性気管支炎、肺気腫、気管支拡張症、肺線維症、アスベスト症、肺臓炎、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、又は喘息である。いくつかの実施形態において、慢性の肺病態は嚢胞性線維症である。いくつかの実施形態において、対象は免疫不全である。
【0020】
[0020] いくつかの実施形態において、対象は、投与あたり約30μg~約3,000μgのBT化合物を投与される。いくつかの実施形態において、対象は、投与あたり約100μg~約1,000μgのBT化合物を投与される。
【0021】
[0021] いくつかの実施形態において、方法は、有効量の追加の抗菌剤を投与することをさらに含む。いくつかの実施形態において、追加の抗菌剤は、アミカシン、クラリスロマイシン、アジスロマイシン、エタンブトール、リファンピシン、チゲサイクリン、リネゾリド、イミペネム、セフォキシチン、又はこれらの組合せである。いくつかの実施形態において、追加の抗菌剤は、アミカシン又はクラリスロマイシンである。いくつかの実施形態において、追加の抗菌剤はアミカシンである。いくつかの実施形態において、必要としている対象へのBT組成物及び追加の抗菌剤の投与は、NTM感染症の治療における相乗効果をもたらす。
【0022】
[0022] いくつかの実施形態において、BT組成物及び追加の抗菌剤は、同時に、別々に、又は連続的に投与される。いくつかの実施形態において、BT組成物は、追加の抗菌剤と並行して、その前に、又はその後に投与される。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図面の簡単な説明
図1】[0023]アミカシン、BisEDT(可溶性及び不溶性形態)、又はこれらの組合せによる処理後の、M.アビウム(M. avium)株104(MAH 104)、M.アビウム(M. avium)株3388(MAH 3388)、及びM.アビウム(M. avium)嚢胞性線維症患者株DNA00703に感染したTHP-1マクロファージにおける対照に対するマイコバクテリアの生存を示す。
図2】[0024]最小発育阻止濃度のアミカシン、BisEDT(可溶性及び不溶性形態)、又はこれらの組合せによる処理後の、M.アブセッサス(M. abscessus)株19977(B)、M.アブセッサス(M. abscessus)嚢胞性線維症患者株01715(C)、及びM.アブセッサス(M. abscessus)嚢胞性線維症患者株00703(D)に感染したTHP-1マクロファージにおける対照に対するマイコバクテリアの生存を示す。
図3A】[0025]播種の72時間後の未感染THP-1マクロファージの透過型電子顕微鏡画像(TEM)を示す(対照)。
図3B】[0026]M.アビウム(M. avium)による感染の24時間後のTHP-1マクロファージの透過型電子顕微鏡画像を示す(BisEDT処理なし)。
図3C】[0027]M.アビウム(M. avium)による感染の48時間後のTHP-1マクロファージの透過型電子顕微鏡画像を示す(BisEDT処理なし)。
図3D】[0028]BisEDT(BIZ)による処理の24時間後の、M.アビウム(M. avium)に感染したTHP-1マクロファージの透過型電子顕微鏡画像を示す。
図3E】[0029]M.アブセッサス(M. abscessus)による感染の24時間後の、THP-1マクロファージの透過型電子顕微鏡画像を示す(BisEDT処理なし)。
図3F】[0030]BisEDT(BIZ)による処理の24時間後の、M.アブセッサス(M. abscessus)に感染したTHP-1マクロファージの透過型電子顕微鏡画像を示す。
図3G】[0031]BisEDT(BIZ)による処理の48時間後の、M.アブセッサス(M. abscessus)に感染したTHP-1マクロファージの透過型電子顕微鏡画像を示す。
図4】[0032]M.アビウム(M. avium)及びM.アブセッサス(M. abscessus)バイオフィルムのBisEDTに対する感受性を測定するために実施例5に使用されたMBECアッセイの接種、曝露、及び回復工程を示す概略図である。
図5A】[0033]クリスタルバイオレットアッセイによる染色目的による、M.アビウム(M. avium)の接種後にペグ上に形成されたバイオフィルムバイオマスを示す。
図5B】[0034]クリスタルバイオレットアッセイによる染色目的による、M.アブセッサス(M. abscessus)の接種後にペグ上に形成されたバイオフィルムバイオマスを示す。
図6】[0035]マイコバクテリウム・アブセッサス(Mycobacterium abscessus)の抗生物質に対する耐性の正規化ヒートマップ分布を示す。
図7】[0036]SCIDマウスでのインビボ慢性M.アブセッサス(M. abscessus)感染症試験の試験群及び投与スケジュールをまとめた略図を与える。処置群は、ベースライン(初期感染レベルを決定するため)、ビヒクル、吸入BisEDT(200μg/kg/日)、吸入BisEDT(1000μg/kg/日)又は吸入アミカシン(100mg/kg/日)からなっていた。処置は28日間(6日/週)継続し、その後に肺及び脾臓試料がCFU決定又は組織病理のために収集された。
図8A】[0037]SCIDマウスでのインビボ慢性M.アブセッサス(M. abscessus)感染症試験における肺ホモジネートから回復されたコロニー形成単位(CFU)を示す。
図8B】[0038]SCIDマウスでのインビボ慢性M.アブセッサス(M. abscessus)感染症試験における脾臓ホモジネートから回復されたコロニー形成単位(CFU)を示す。
【0024】
定義
[0039] 別途定義されない限り、本明細書で使用される科学技術用語は全て本開示の分野の当業者により通常理解される意味を有する。以下の参考文献は、当業者に、本開示で使用される用語の多くの一般的な定義を与える:Singleton et al., Dictionary of Microbiology and Molecular Biology (2nd ed. 1994); The Cambridge Dictionary of Science and Technology (Walker ed., 1988); The Glossary of Genetics, 5th Ed., R. Rieger et al. (eds.), Springer Verlag (1991); and Hale & Marham, The Harper Collins Dictionary of Biology (1991)。本明細書で使用される通り、以下の用語は、特記されない限り、以下でそれらに属するとされる意味を有する。
【0025】
[0040] 本明細書及び請求項において使用される「含む(comprise)」及びその活用形は、その言葉に続く項目が含まれるが、具体的に言及されていない項目が除外されないことを意味するようにその非限定的な意味で使用される。本開示は、好適には、請求項に記載される工程、要素、及び/又は試薬を「含み(comprise)」、それら「からなり(consist of)」、又はそれら「から基本的になり(consist essentially of)」得る。
【0026】
[0041] 具体的に述べられるか文脈から明らかでない限り、本明細書で使用される通り、用語「又は(or)」は包含的であると理解される。具体的に述べられるか文脈から明らかでない限り、本明細書で使用される通り、用語「1つの(a)」、「1つの(an)」、及び「前記(the)」は、単数又は複数であると理解される。
【0027】
[0042] 本明細書全体を通して、用語「約」及び/又は「およそ」は、数値及び/又は範囲と合わせて使用され得る。用語「約」は、列挙された値に近い値を意味すると理解される。例えば、「約40[単位]」は、40の±10%以内(例えば、36~44)、±9%、±8%、±7%、±6%、±5%、±4%、±3%、±2%、±1%、±1%未満以内、又はそれらの間の任意の他の値若しくは範囲を意味し得る。さらに、語句「約[値]未満」又は「約[値]超」は、本明細書に提供される用語「約」の定義に照らして理解されるべきである。用語「約」と「およそ」は互換的に使用され得る。
【0028】
[0043] 用語「ビスマス」は周期表の83番目の元素、又はその原子若しくはイオンを指す。ビスマスは、金属状態でも、III又はV酸化状態などのイオン化状態でも存在し得る。ビスマスイオンは、アニオンと錯体を形成してビスマス塩を作るか、又は複合アニオンを形成して、次いで1つ以上の追加のカチオンとさらに錯体形成し得る。ビスマスは、硫黄などの他の原子への共有結合も形成し得る。
【0029】
[0044] 本明細書に開示される通り、「ビスマス-チオール化合物」又は「BT化合物」は、1つ以上のチオール化合物上に存在する1、2、又は3つの他の硫黄原子に共有結合したビスマス原子を有する化合物である。用語「チオール」は、-SH基を含む炭素含有化合物又はその断片を指し、一般式R-SHにより表すことができる。これらのチオール化合物は、1、2、3又はそれ以上のS原子を有する化合物を含む。チオール化合物は、アルキル、ヒドロキシル、カルボシクリル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリール、アミノ、及び他の置換基などの他の官能基を有し得る。2つ以上のS原子を有するチオール化合物は、同じ分子の2つのS原子がビスマス原子と共有結合するようにビスマス原子とキレート形成できる。例示的なビスマス-チオール化合物は以下に示される:
【化1】

【0030】
[0045] 投与が企図される「対象」という用語は、ヒト(すなわち、あらゆる年齢群の男性又は女性、例えば、小児対象(例えば、乳児、小児、青年)又は成人対象(例えば、若年成人、中年成人又は高齢成人))及び/若しくは他の霊長類(例えば、カニクイザル、アカゲザル);ウシ、ブタ、ウマ、ヒツジ、ヤギ、ネコ、及び/若しくはイヌなどの商業的に重要な哺乳動物を含む哺乳動物;並びに/又はニワトリ、アヒル、ガチョウ、ウズラ、及び/若しくはシチメンチョウなどの商業的に重要な鳥類を含む、鳥類を含むが、これらに限定されない。好ましい対象はヒトである。
【0031】
[0046] 本明細書で使用される通り、語句「共同投与」は、2種以上の異なる治療化合物のあらゆる形態の投与であって、先に投与された治療化合物が体内でまだ有効である間に第2の化合物が投与されるような投与(例えば、2種の化合物が、患者内で同時に有効であり、2種の化合物の相乗効果を含み得る)を指す。例えば、異なる治療化合物は、同じ製剤中でも、別々な製剤中でも、付随的にでも連続的にでも投与できる。特定の実施形態において、異なる治療化合物は、1時間、12時間、24時間、36時間、48時間、72時間、又は1週間以内に投与できる。
【0032】
[0047] 「共投与」は、あらゆる方法での2種の薬剤の投与であって、両薬剤の薬理作用が患者内で同時に明らかであるような投与を指す。そのため、併用投与は、単一の医薬組成物、同じ剤形、又はさらには同じ投与経路が両薬剤の投与に使用されることも、2種の薬剤が正確に同じ時間に投与されることも要求しない。しかし、いくつかの状況で、共投与は、最も簡便には、同じ剤形及び同じ投与経路により、実質的に同時に実施されるだろう。
【0033】
[0048] 本明細書で使用される通り、用語「組み合わせて」又は「さらなる組合せで」又は「さらに組み合わせて」は、追加の予防剤及び/又は治療剤並びに本開示のBT組成物の使用を指す。用語「組み合わせて」の使用は、予防剤及び/又は治療剤が対象に投与される順序を制限しない。第1の予防剤又は治療剤は、第2の予防剤又は治療剤(第1の予防剤又は治療剤とは異なる)の対象への投与の前(例えば、5分、15分、30分、45分、1時間、2時間、4時間、6時間、12時間、24時間、48時間、72時間、96時間、1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、8週間、又は12週間前)、それと付随的に、又はその後に(例えば、5分、15分、30分、45分、1時間、2時間、4時間、6時間、12時間、24時間、48時間、72時間、96時間、1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、8週間、又は12週間後)投与できる。
【0034】
[0049] 本明細書で使用される通り、障害又は病態を「予防する」治療剤は、統計的試料において、未処理の対照試料に対して、処理された試料において障害若しくは病態の発生を減少させるか、又は未処理の対照試料に対して、障害若しくは病態の1つ以上の徴候及び症状の発症を遅らせるか、若しくはその重症度を低下させる化合物を指す。
【0035】
[0050] 本明細書で使用される通り、用語「予防剤(prophylactic agent)」及び「複数の予防剤(prophylactic agents)」は、疾患又は障害、特に糖尿病性足感染症など微生物(例えば、細菌及び/又は真菌)感染と関連する疾患又は障害の1つ以上の徴候及び症状の予防、管理、又は制御に使用できる本開示のBT組成物などの薬剤を指す
【0036】
[0051] 用語「治療すること」は、対象の病態の少なくとも1つの症状を軽減すること、緩和すること、遅延させること、減少させること、改善すること、又は管理することの1つ以上を意味する。用語「治療すること」は、病態の発生若しくは悪化を停止させること、その発症を遅延させること(すなわち病態の臨床徴候の前の期間)又はそのリスクを減少させることの1つ以上も意味する。
【0037】
[0052] 用語「管理すること」は、上記で定義された治療的処置を含む。管理することは、当技術分野の公知の方法により決定される通り、感染症の定常状態レベルを達成することを含む。定常状態は、感染症の重症度、感染のサイズ及び位置、感染中に存在する異なる微生物の病原体の数、抗生物質寛容性又は耐性微生物病原体のレベル、本明細書に開示されるBT組成物によるなどの治療への反応の程度、バイオフィルム形成及び減少の程度、並びに対象により経験される副作用の1つ以上の評価を含み得る。感染症の管理の間、感染症は、重症度の増加から低下まで、感染の量若しくは程度、対象により経験される副作用の量、又は他の対象転帰徴候において変動し得る。数日、数か月、又は数年などの期間にわたり、感染症の管理の程度は、上記因子の評価により、感染症の臨床経過が改善したか、静菌性であるか、又は悪化したかを評価することにより決定できる。いくつかの実施形態において、感染症を管理することは、そうでなければ薬剤寛容又は薬剤耐性である微生物病原体の治療の成功を含む。
【0038】
[0053] 感染症の「重症度を低下させる」という用語は、任意の測定可能な基準での感染症の臨床経過の改善を指す。そのような基準は、感染症の程度の減少、感染症が急性と考えられるかどうか、感染症を起こしている微生物病原体の数及び正体、微生物(例えば、細菌及び/又は真菌)バイオフィルムの程度/広がり/量、並びに対象により経験される副作用などの測定可能な指標を含み得る。いくつかの実施形態において、感染症の重症度を低下させることは、感染症の臨床徴候及び症状の改善を測定することにより決定される。いくつかの実施形態において、重症度を低下させることは、アウトカムの一定した低下を停止させて安定化された感染症を得て、対象が感染症の首尾よい管理に入るようにすることを含む。他の実施形態において、重症度を低下させることは、実質的から完全な感染症の治療をもたらし得る。
【0039】
[0054] いくつかの実施形態において、感染症及び/又は症状の重症度を低下させることは、患者報告アウトカム(「PRO」)に関連し得る。PRO手段は、患者から引き出され、患者がどのように「彼又は彼女の健康状態に関して感じるか又は機能するか」を決定する対象の健康状態の任意の尺度であると定義される。PROは、DFIにおけるアウトカム及び症状の重症度が減少又は低下されたかどうかを報告する際に特に有用である。そのような症状は、観察可能な事象、挙動、又は感情(例えば、速く歩く能力、食欲減退、怒りの表現)でも、患者にのみ知られる観察不可能なアウトカム(例えば、疼痛の認識、落ち込んだ感情)でもあり得る。いくつかの実施形態において、感染症及び/又は症状の重症度を低下させることは、当技術分野に通常公知である医師評価により、例えば8項目創傷スコアにより決定できる。
【0040】
[0055] 本明細書で使用される「有効量」は、所望の生物学的効果を達成するのに充分である量を指す。本明細書で使用される「治療上有効な量」は、所望の治療効果を達成するのに充分である量を指す。例えば、治療上有効な量は、感染症の少なくとも1つの徴候又は症状を改善するのに充分である量を指し得る。
【0041】
[0056] 語句「薬学的に許容できる」は、過度の毒性、刺激、アレルギー反応、又は他の問題若しくは合併症なしに、健全な医学的判断の範囲内で、対象の組織と接触して使用するのに好適であり、妥当なベネフィット/リスク比に釣り合う化合物、材料、組成物、及び/又は剤形を指すように本明細書で利用される。
【0042】
[0057] 治療の方法に対する「反応」は、数ある中でも、良くない徴候及び症状の減少若しくは改善、感染症若しくはその症状の進行の減少、有益な症状若しくは臨床成績の増加、副作用の軽減、感染症の安定化、及び感染症の部分的若しくは完全な治療、部分的若しくは完全な創閉鎖、創傷サイズの減少、又は完全若しくは実質的に完全な再上皮化を、とりわけ含み得る。
【0043】
[0058] 「抗生物質感受性又は感度」は、細菌が所与の抗生物質により首尾よく治療されるかどうかを指す。同様に、「抗真菌剤感受性又は感度」は、真菌が所与の抗生物質により首尾よく治療されるかどうかを指す。感受性の試験は、カービー・バウアー法、ストークス法及び寒天ブロス希釈法などの当技術分野に公知である方法により実施できる。細菌の殺傷又は細菌増殖の予防における抗生物質の有効性は、ウエハ、寒天、又はブロス培養などの培地上での、それぞれ減少したか又は安定な量の細菌増殖の面積として観察できる。
【0044】
[0059] 「抗微生物剤寛容性」は、抗生物質により殺傷されるのに天然で抵抗する、細菌又は真菌などの微生物の能力を指す。それは、変異した微生物により起こされるのではなく、一過性の休眠した非分裂状態で存在する微生物細胞により起こされる。抗生物質又は薬剤寛容性は、パーシスターと呼ばれる微生物細胞の小さな亜集団により起こされる。パーシスターは変異体ではなく、それらの遺伝的に同一な同胞の大多数を殺傷する抗微生物剤治療から生き残ることができる休眠細胞である。パーシスター細胞は、抗微生物薬物の作用に対して非感受性(不応性又は寛容性)になるような非成長又は極めて緩徐に成長する生理学的状態に入った。同様に、「抗生物質寛容性」は、抗生物質により殺傷されるのに天然で抵抗する細菌の能力を指し、「抗真菌剤寛容性」は、抗生物質により殺傷されるのに天然で抵抗する真菌の能力を指す。
【0045】
[0060] 「抗微生物剤耐性」は、かつて微生物を首尾よく治療できた医薬品の作用に抵抗するその微生物の能力を指す。多数の抗微生物剤に耐性である微生物は多剤耐性(MDR)と呼ばれる。耐性は、3種の機構:特定の種類の細菌における天然の耐性、遺伝子変異、又はある種が別の種から耐性を獲得することのうちの1つにより起こる。変異は、薬物不活性化、薬物結合部位の変化、代謝経路の変化及び薬物透過性の減少をもたらし得る。
【0046】
[0061] 本明細書で使用される通り、本開示のBT組成物に関する用語「抗菌活性」、「抗真菌活性」及び「抗微生物活性」は、特定の微生物を殺傷し、且つ/又はその成長若しくは繁殖を阻害する能力を指す。特定の実施形態において、抗菌活性又は抗微生物活性は、細菌、例えば、グラム陽性細菌(例えば、S.アウレウス(S. aureus))、グラム陰性細菌(例えば、A.バウマニ(A. baumannii)、E.コリ(E. coli)、及び/又はP.エルギノーサ(P. aeruginosa))又はグラム陽性ともグラム陰性とも分類されていない細菌、又は真菌を、標準的な技法に従って(例えば、液体培養中又は寒天プレート上で)培養し、培養物を本開示のBT組成物と接触させ、前記接触後の細胞成長をモニタリングすることにより評価される。例えば、液体培養物中で、細菌は、培養物の指数増殖の中点を表す光学濃度(「OD」)まで成長し得る;培養物は、1つ以上の濃度の本開示のBT化合物又はその異形に曝露され、ODが対照培養物に対してモニタリングされる。対照培養物に対するOD減少は、抗菌活性を表す(例えば、溶解殺傷活性を示す)。同様に、細菌コロニーは、寒天プレート上に形成するようにでき、プレートが本開示のBT組成物又はその異形に曝露され、コロニーのその後の成長が対照プレートに対して評価され得る。コロニーのサイズ減少又はコロニーの総数の減少は抗菌活性を示す。
【0047】
[0062] 「バイオフィルム」は、細胞が互いに、及び多くの場合表面に付着する微生物のあらゆる栄養共生共同体(syntrophic consortium)を指す。これらの接着細胞は、細胞外高分子物質(EPS)で構成されたぬるぬるした細胞外マトリックス内に埋め込まれる。バイオフィルムの形成時に、抗生物質に対する微生物の耐性は、浮遊細菌の耐性と比べて最大1000倍になる。細菌集合体は、バイオフィルム発生を開始することができる、横方向に整列した細胞のクラスターであり、それはより複雑で密な3D構造を有する。いくつかの実施形態において、バイオフィルムは、1つ以上の種の細菌(例えば、シュードモナス・エルギノーサ(Pseudomonas aeruginosa)及びスタフィロコッカス・アウレウス(Staphylococcus aureus))及び/又は1つ以上の異なる門(例えば、細菌、ウイルス及び真菌)を含み得る。
【0048】
[0063] 用語「感染」はその最も広い意味で本明細書において使用され、ウイルス感染など、又は微生物細菌感染、真菌感染若しくは寄生虫感染(例えば、原生動物、アメーバ又は蠕虫類)により起こされるあらゆる感染を指す。そのような感染の例は、参照により本明細書に組み込まれる“Medical Microbiology” (Greenwood, D., Slack, R., Peutherer, J., Churchill Livingstone Press, 2002); ”Mims’ Pathogenesis of Infectious Disease” (Mims, C., Nash, A., Stephen, J., Academic Press, 2000); ”Fields” Virology. (Fields, BN, Knipe DM, Howley, PM, Lippincott Williams and Wilkins, 2001);及び“The Sanford Guide To Antimicrobial Therapy,” 26th Edition, JP Sanford et al. (Antimicrobial Therapy, Inc., 1996)などのいくつかの周知の教科書に見出すことができる。例えば糖尿病性足部創傷中の感染の存在は、常在する微生物の培養ではなく、感染又は炎症の臨床徴候及び症状により定義される。しかし、創傷感染の臨床徴候及び症状の消散の直後に、ほとんどの患者は、依然として根源的な潰瘍(例えば、糖尿病性足部潰瘍)を有し、それは、完全な創閉鎖を促進するには継続的治療を要する。しかし、注目すべきは、多くの創傷専門家が、臨床的に定義された感染の状態に加えて、「臨界的定着」として知られる臨床的にあまり明らかでない病理学的状態が存在すると考えていることである。この状態において、創傷は、高レベルの細菌の亜臨床的存在のために創傷治癒において遅延又は停止され得る。この臨界的定着は、場合によって高「創傷バイオバーデン」と称され、多くの場合多微生物性であり、バイオフィルム産生細菌と関連する;それは、修復の活動性炎症期を誘導又は長期化させて、正常な創傷治癒プロセスを妨げることが示された。そのようなバイオフィルムを構成する細菌細胞は認識することが困難であり、その理由は、それらが多くの場合、生存可能であるが培養可能でない(VBNC)状態で存在するからであり(Pasquaroli 2013)、しかし、それらは表面に付着し、典型的には、それらの浮遊した対応物よりも、抗生物質及び防腐剤に対してより寛容性及び耐性である(Costerton 1999、Nguyen 2011)。したがって、用語「感染」は、臨床的に定義された感染の状態並びに「臨界的定着」を企図する。
【0049】
[0064] 本明細書で使用される「気道表面」及び「肺の表面」は、気管支及び細気管支などの肺の気道表面、肺胞表面、並びに鼻腔内及び鼻洞表面を含む。
【0050】
[0065] 本明細書で使用される通り、エアゾールの「体積中位径」又は「VMD」という用語は、エアゾール粒子の集団の半分がVMDより大きい直径を有する粒子に含まれ、エアゾール粒子の集団の半分がVMDより小さい直径を有する粒子に含まれるように定義された粒径直径である。VMDは、典型的には、レーザー回折により測定される。
【0051】
[0066] 「空気力学的質量中位径」又は「MMAD」は、分散したエアゾール粒子の空気力学的サイズの尺度である。空気力学的直径は、エアゾール化粒子をその沈降挙動の点で説明するために使用され、一般的に空気中で、問題とする粒子と同じ沈降速度を有する単位密度球体の直径である。空気力学的直径は、粒子の粒子形状、密度及び物理的サイズを包含する。本明細書で使用される通り、MMADは、カスケードインパクション及び/又はレーザー飛行時間及び/又はカスケードインパクターにより決定される、エアゾール化粒子の空気力学的粒径分布の中点又は中央値を指す。
【0052】
[0067] 「質量中位径」又は「MMD」は平均粒径の尺度である。任意のいくつかの通常利用される技法を、平均粒径を測定するために使用できる。
【0053】
[0068] 本明細書で使用される通り、「D90」は、粒子直径(微粒子かエアゾール化粒子かのいずれか)の90%値を指す。例えば、D90=1μmの場合、粒子の90%は1μmより小さい。同様に、「D80」は、粒子直径(微粒子かエアゾール化粒子かのいずれか)の80%値を指し、「D70」は、粒子直径(微粒子かエアゾール化粒子かのいずれか)の70%値を指し、「D60」は、粒子直径(微粒子かエアゾール化粒子かのいずれか)の60%値を指し、「D50」は、粒子直径(微粒子かエアゾール化粒子かのいずれか)の50%値を指し、「D40」は、粒子直径(微粒子かエアゾール化粒子かのいずれか)の40%値を指し、「D30」は、粒子直径(微粒子かエアゾール化粒子かのいずれか)の30%値を指し、「D20」は、粒子直径(微粒子かエアゾール化粒子かのいずれか)の20%値を指し、「D10」は、粒子直径(微粒子かエアゾール化粒子かのいずれか)の10%値を指す。
【0054】
[0069] 本明細書で使用される通り、「単分散」は、実質的に均一なMMD及び/又はMMAD及び/又はVMDの粒子を含む一群の粒子(バルク又はエアゾール分散体)を指す。
【0055】
[0070] 本明細書で使用される通り、用語「沈着効率」は、対象とする領域へ沈着した、送達投与量のパーセンテージを指す。そのため、エアゾール化医薬品を肺に送達するための方法及び/又は系の沈着効率は、肺に沈着したエアゾールの質量による量を、系により鼻孔に送達されたエアゾールの総量で割ったものである。
【0056】
[0071] 本明細書で使用される通り、「実質的に」又は「実質的な」は、作用、特性、性質、状態、構造、項目、又は結果の完全又はほぼ完全な程度又は度合を指す。例えば、「実質的に」囲まれている物体は、物体が完全に囲まれているか、又はほぼ完全に囲まれていることを意味するだろう。絶対的な完全性からの、正確な許容できる逸脱の程度は、いくつかの場合では、具体的な状況に依存し得る。しかし、概して、完成の近さ(nearness of completion)は、絶対的で全体的な完成が得られた場合と同じ全体的結果を有するようであろう。「実質的に」の使用は、作用、特性、性質、状態、構造、項目、又は結果の完全又はほぼ完全な欠如を指すように否定的な意味合いで使用される場合に、同様に当てはまる。例えば、他の活性薬剤を「実質的に含まない」組成物は、他の活性薬剤を完全に欠くか、又は他の活性薬剤をほぼ完全に欠くので、それが他の活性薬剤を完全に欠く場合と効果が同じであるだろう。換言すると、成分又は要素又は別の活性薬剤を「実質的に含まない」組成物は、それでも、そのような物品を、それらの測定可能な効果がない限り含有し得る。
【発明を実施するための形態】
【0057】
詳細な説明
[0072] 非結核性抗酸菌(NTM)は日和見病原体であり、大部分は免疫不全の患者又は嚢胞性線維症(CF)、慢性気管支炎、肺気腫、気管支拡張症、肺線維症、アスベスト症、肺臓炎、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、喘息、及び他の基礎的な肺疾患などの既存の病態を有する患者に、ほとんどTBのような肺疾患を起こす。NTM肺疾患(NTM-PD)の年間有病率は、異なる領域において様々であり、0.2/100000~9.8/100000 1、2の範囲であり、全体的な憂慮すべき増加率3、4を有する。状況は、脆弱な集団ではさらに悪い。いくつかの国及び地域の大規模な疫学的調査が、CF患者での3.3~22.6%の高い有病率を報告した一方で、吸入コルチコステロイド療法により治療されているCOPD患者は、NTMの29倍増加したリスクと関連する。
【0058】
[0073] 残念なことに、NTM-PDを治療する有効な薬物レジメンの開発は重要な課題であったが、これは、治療選択肢が多くの場合限定されており、部分的には、NTMがバイオフィルムを形成する能力、長期にわたる治療レジメン、及び薬物関連副作用のために患者転帰が低いことを意味する。
【0059】
[0074] これらの問題及び他の問題に対処するために、本開示は、NTM疾患及び関連病態の治療のためのビスマス-チオール組成物及び方法を提供する。BT組成物は、それぞれが参照により本明細書に組み込まれている国際公開第2020/028558号、国際公開第2020/028561号、及び国際公開第2021/195236号に記載される通り、CF、創傷、及び共感染に関与するものを含む種々の病原体を治療するための非常に有効な抗微生物剤として確立された。
【0060】
使用方法
[0075] いくつかの実施形態において、本開示は、非結核性抗酸菌(NTM)により起こされる対象の感染症を治療する方法であって、対象に、BT化合物を含む有効量のビスマス-チオール(BT)組成物を投与することを含む方法を提供する。
【0061】
[0076] いくつかの実施形態において、BT化合物は本明細書に開示されるBT化合物である。いくつかの実施形態において、BT化合物は、BisBAL、BisEDT、ビス-ジメルカプロール、BisDTT、ビス-2-メルカプトエタノール、Bis-DTE、BisPyr、BisEry、BisTol、BisBDT、BisPDT、BisPyr/BAL、BisPyr/BDT、BisPyr/EDT、BisPyr/PDT、Bis-Pyr/Tol、BisPyr/Ery、ビスマス-1-メルカプト-2-プロパノール、BisEDT/CSTMN(1:1)、BisPyr/CSTMN(1:1)、BisBAL/CSTMN(1:1)、BisTOL/CSTMN(1:1)、及びBisEDT/2-ヒドロキシ-1-プロパンチオールからなる群から選択される。いくつかの実施形態において、BT化合物は、BisEDT又はBisBALである。いくつかの実施形態において、BT化合物はBisEDTである。
【0062】
[0077] いくつかの実施形態において、NTM感染症は肺感染症である。いくつかの実施形態において、NTM感染症は慢性肺感染症である。いくつかの実施形態において、NTM感染症は肺外の感染症である。いくつかの実施形態において、NTM感染症は皮膚の感染症である。いくつかの実施形態において、肺外の感染症は、皮膚、骨、関節、リンパ系、軟部組織、又はこれらの組合せの感染症である。
【0063】
[0078] いくつかの実施形態において、NTM感染症は、バイオフィルム関連NTM感染症である。いくつかの実施形態において、NTM感染症は、浮遊細胞及びバイオフィルムを含む。
【0064】
[0079] いくつかの実施形態において、NTM感染症は、NTMの抗生物質耐性株により起こされる。いくつかの実施形態において、NTM感染症は、標準治療抗菌剤に耐性がある。いくつかの実施形態において、NTM感染症は、マクロライド又はアザライド療法に耐性がある。いくつかの実施形態において、NTM感染症は、アミノグリコシド療法に耐性がある。いくつかの実施形態において、NTM感染症は、アミカシン、クラリスロマイシン、アジスロマイシン、エタンブトール、リファンピシン、チゲサイクリン、リネゾリド、イミペネム、セフォキシチン、又はこれらの組合せに耐性がある。いくつかの実施形態において、NTM感染症は、アミカシンに耐性がある。いくつかの実施形態において、抗菌剤耐性NTM感染症はバイオフィルムを含む。
【0065】
[0080] いくつかの実施形態において、NTM感染症は、M.アビウム(M. avium)、M.アビウム亜種ホミニスイス(M. avium subsp. hominissuis)(MAH)、M.アブセッサス(M. abscessus)、M.ケロネー(M. chelonae)、M.ボレッティ(M. bolletii)、M.カンサシ(M. kansasii)、M.ウルセランス(M. ulcerans)、M.アビウムコンプレックス(M. avium complex)(MAC)(M.アビウム(M. avium)及びM.イントラセルラーレ(M. intracellulare))、M.コンスピキュウム(M. conspicuum)、M.カンサシ(M. kansasii)、M.ペレグリナム(M. peregrinum)、M.イムノゲナム(M. immunogenum)、M.ゼノピ(M. xenopi)、M.マリヌム(M. marinum)、M.マルモエンセ(M. malmoense)、M.マリヌム(M. marinum)、M.ムコゲニカム(M. mucogenicum)、M.ノンクロモジェニカム(M. nonchromogenicum)、M.スクロフラセウム(M. scrofulaceum)、M.シミアエ(M. simiae)、M.スメグマティス(M. smegmatis)、M.ツルガイ(M. szulgai)、M.テラエ(M. terrae)、M.テラエコンプレックス(M. terrae complex)、M.ヘモフィルム(M. haemophilum)、M.ゲナベンス(M. genavense)、M.アシアチカム(M. asiaticum)、M.シモイデイ(M. shimoidei)、M.ゴルドネ(M. gordonae)、M.ノンクロモジェニカム(M. nonchromogenicum)、M.トリプレックス(M. triplex)、M.レンチフラバム(M. lentiflavum)、M.セラタム(M. celatum)、M.フォーチュイタム(M. fortuitum)、M.フォーチュイタムコンプレックス(M. fortuitum complex)(M.フォーチュイタム(M. fortuitum)及びM.ケロネー(M. chelonae))、又はこれらの組合せにより起こされる。いくつかの実施形態において、NTM感染症は、M.アブセッサス(M. abscessus)、M.アビウム(M. avium)、M.イントラセルラーレ(M. intracellulare)、M.フォーチュイタム(M. fortuitum)、M.ゴルドネ(M. gordonae)、M.カンサシ(M. kansasii)、M.アビウムコンプレックス(M. avium complex)(MAC)、M.アブセッサスコンプレックス(M. abscessus complex)(MABSC) M.マリヌム(M. marinum)、M.テラエ(M. terrae)及びM.ケロニ(M. cheloni)により起こされる。いくつかの実施形態において、NTM感染症は、M.アブセッサス(M. abscessus)、M.アビウム(M. avium)、又はこれらの組合せにより起こされる。いくつかの実施形態において、NTM感染症は、M.アブセッサス(M. abscessus)、M.アビウムコンプレックス(M. avium complex)(M.アビウム(M. avium)及びM.イントラセルラーレ(M. intracellulare))、又はこれらの組合せにより起こされる。いくつかの実施形態において、NTM肺感染症は、M.アビウムコンプレックス(M. avium complex)(M.アビウム(M. avium)及びM.イントラセルラーレ(M. intracellulare))により起こされる。いくつかの実施形態において、M.アビウム(M. avium)は、M.アビウム亜種ホミニスイス(M. avium subsp. hominissuis)である。いくつかの実施形態において、M.アブセッサス(M. abscessus)は、M.アブセッサス亜種アブセッサス(M. abscessus subsp. abscessus)、M.アブセッサス亜種ボレティ(M. abscessus subsp. bolletti)、又はM.アブセッサス亜種マシリエンセ(M. abscessus subsp. massiliense)である。
【0066】
[0081] いくつかの実施形態において、NTM感染は、肺粘膜、気管支、肺胞、マクロファージ、及び/又は細気管支中又はその上に位置する。いくつかの実施形態において、NTM感染症は、皮膚のNTM感染症である。いくつかの実施形態において、NTM感染症は、皮膚、骨、関節、リンパ系、及び/又は軟部組織の感染症である。いくつかの実施形態において、NTM感染は、マクロファージ中に位置する。いくつかの実施形態において、NTM感染は、少なくとも部分的にマクロファージ中に位置する。いくつかの実施形態において、マクロファージ細胞はTHP-1細胞である。いくつかの実施形態において、マクロファージは、肺胞マクロファージである。いくつかの実施形態において、マクロファージは、M1又はM1様マクロファージである。いくつかの実施形態において、マクロファージは、M.アブセッサス(M. abscessus)及び/又はM.アビウム(M. avium)の1つ以上の株に感染している。いくつかの実施形態において、マクロファージは、M.アブセッサス(M. abscessus)及び/又はM.アビウムコンプレックス(M. avium complex)の1つ以上の株に感染している。いくつかの実施形態において、NTM感染は、組織球中に位置する。いくつかの実施形態において、感染は、破骨細胞中に位置する。
【0067】
[0082] いくつかの実施形態において、BT組成物の対象への投与時に、マクロファージ中の細菌負荷は減少する。
【0068】
[0083] いくつかの実施形態において、治療を必要とする対象は慢性疾患を有する。いくつかの実施形態において、対象は慢性の肺病態を有する。いくつかの実施形態において、慢性の肺病態は、嚢胞性線維症、慢性肺炎、気管支拡張症、拘束性肺疾患、間質性肺疾患、肺高血圧、肺線維症、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、肺気腫、又は喘息である。いくつかの実施形態において、慢性の肺病態は、嚢胞性線維症、慢性気管支炎、肺気腫、気管支拡張症、肺線維症、アスベスト症、肺臓炎、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、又は喘息である。いくつかの実施形態において、慢性の肺病態は嚢胞性線維症である。いくつかの実施形態において、対象は免疫不全である。
【0069】
[0084] いくつかの実施形態において、NTM疾患を有する対象は、悪性腫瘍及び/又は心血管疾患などの併存疾患にも罹患している。いくつかの実施形態において、併存疾患は、糖尿病、僧帽弁障害、急性気管支炎、肺高血圧、肺炎、喘息、嚢胞性線維症、肺線維症、喉頭奇形、気管奇形、気管支奇形、アスペルギルス症、HIV、気管支拡張症、不整脈、癌(非限定的に、気管癌、気管支癌、前立腺癌、肺癌、卵巣癌、乳癌などを含む)、慢性心不全、虚血性心疾患 COPD、クローン病、シェーグレン症候群、関節リウマチ、汎細気管支炎、全身性エリテマトーデス(SLE)、全身性強皮症、脂質異常症、胃食道逆流症(GERD)、又はこれらの組合せからなる群から選択される。いくつかの実施形態において、併存疾患は、糖尿病、僧帽弁障害、急性気管支炎、肺高血圧、肺炎、喘息、気管癌、気管支癌、肺癌、嚢胞性線維症、肺線維症、喉頭奇形、気管奇形、気管支奇形、アスペルギルス症、HIV、気管支拡張症、又はこれらの組合せからなる群から選択される。
【0070】
[0085] いくつかの実施形態において、BT組成物は、それを必要とする対象に、吸入により投与される。いくつかの実施形態において、BT組成物は、それを必要とする対象に、本明細書に記載される通り、エアゾールの吸入により投与される。いくつかの実施形態において、BT組成物は、対象の肺に投与される。いくつかの実施形態において、BT組成物はエアゾール化されており、対象の肺に投与される。いくつかの実施形態において、BT組成物は、対象の肺に、ネブライザー、ドライパウダー吸入、ナノ粒子吸入、定量噴霧吸入、又は当技術分野に公知である任意の他の薬物吸入方法により投与される。いくつかの実施形態において、ドライパウダーは微粒子化されている。いくつかの実施形態において、ナノ粒子は脂質ナノ粒子である。いくつかの実施形態において、ナノ粒子は乾燥ナノ粒子である。いくつかの実施形態において、ナノ粒子は脂質ナノ粒子である。いくつかの実施形態において、単回1日量後の肺内のビスマスの濃度は、約0.03μg/g肺組織~約3μg/g肺組織である。
【0071】
[0086] いくつかの実施形態において、それを必要とする対象は、投与あたり約30μg~約3,000μgのBT化合物、例えば、これらの間の全ての範囲及び値を含み、約30μg、約100μg、約200μg、約300μg、約400μg、約500μg、約600μg、約700μg、約800μg、約900μg、約1000μg、約1100μg、約1200μg、約1300μg、約1400μg、約1500μg、約1600μg、約1700μg、約1800μg、約1900μg、約2000μg、約2100μg、約2200μg、約2300μg、約2400μg、約2500μg、約2600μg、約2700μg、約2800μg、約2900μg、又は約3000μgが投与される。いくつかの実施形態において、対象は、投与あたり約100μg~約2,000μgのBT化合物が投与される。いくつかの実施形態において、対象は、投与あたり約100μg~約3,000μgのBT化合物が投与される。いくつかの実施形態において、対象は、投与あたり約1000μg~約3,000μgのBT化合物が投与される。いくつかの実施形態において、対象は、投与あたり約1000μg~約2,000μgのBT化合物が投与される。いくつかの実施形態において、対象は、投与あたり約2000μg~約3,000μgのBT化合物が投与される。
【0072】
[0087] いくつかの実施形態において、単回1日量後の肺内のビスマスの濃度は、これらの間の全ての範囲及び値を含み、約0.03μg/g肺組織~約3μg/g肺組織、例えば、約0.03μg/g肺組織、約0.1μg/g肺組織、約0.25μg/g肺組織、約0.5μg/g肺組織、約0.75μg/g肺組織、約1μg/g肺組織、約1.25μg/g肺組織、約1.5μg/g肺組織、約1.75μg/g肺組織、約2μg/g肺組織、約2.25μg/g肺組織、約2.5μg/g肺組織、約2.75μg/g肺組織、又は約3μg/g肺組織である。いくつかの実施形態において、単回1日量後の肺内のビスマスの濃度は、約0.1μg/g肺組織~約3μg/g肺組織である。いくつかの実施形態において、単回1日量後の肺内のビスマスの濃度は、約1μg/g肺組織~約3μg/g肺組織である。いくつかの実施形態において、28回の1日量後の肺内のビスマスの濃度は、約0.3μg/g肺組織~約60μg/g肺組織である。
【0073】
[0088] いくつかの実施形態において、BT組成物は、それを必要とする対象に、1日あたり3回、1日あたり2回、1日1回、1日おき、3日に1回、週に1回、1週おきに1回、毎月1回、又は1月おきに1回投与される。いくつかの実施形態において、BT組成物は、1月あたり1回、1月あたり2回、1月あたり3回、1月あたり4回、2週ごとに1回、1週あたり1回、1週あたり2回、又は1週あたり3回投与される。いくつかの実施形態において、BT組成物は、1月あたり1回、1月あたり2回、1月あたり3回、又は1月あたり4回投与される。いくつかの実施形態において、BT組成物は、2週ごとに1回、1週あたり1回、1週あたり2回、又は1週あたり3回投与される。いくつかの実施形態において、BT組成物は、1週あたり1回投与される。いくつかの実施形態において、BT組成物は、1日1回投与される。いくつかの実施形態において、BT組成物は、週に1回投与される。いくつかの実施形態において、BT組成物は、毎月1回投与される。いくつかの実施形態において、BT組成物は、1月に2回投与される。いくつかの実施形態において、BT組成物は、1月に3回投与される。いくつかの実施形態において、BT組成物は、1月に4回毎月投与される。特定の実施形態において、BT組成物は、1週おきに1回投与される。いくつかの実施形態において、BT組成物は、3週ごとに1回投与される。いくつかの実施形態において、BT組成物は、長期的に、4週オン/4週オフ投薬スケジュールで投与される。いくつかの実施形態において、BT組成物は、長期的に、例えば基礎療法の一部として投与される。いくつかの実施形態において、BT組成物は必要に応じて投与される。
【0074】
[0089] いくつかの実施形態において、BT組成物は、24か月未満、18か月未満、12か月未満、9か月未満、6か月未満、3か月未満、又は1か月未満の期間投与される。いくつかの実施形態において、BT組成物は、1か月~24か月の期間投与される。いくつかの実施形態において、BT組成物は、1か月~18か月の期間投与される。いくつかの実施形態において、BT組成物は、1か月~12か月の期間投与される。いくつかの実施形態において、BT組成物は、1か月~6か月の期間投与される。いくつかの実施形態において、BT組成物は、1か月~3か月の期間投与される。いくつかの実施形態において、BT組成物は、3か月~24か月の期間投与される。いくつかの実施形態において、BT組成物は、3か月~18か月の期間投与される。いくつかの実施形態において、BT組成物は、3か月~12か月の期間投与される。いくつかの実施形態において、BT組成物は、3か月~6か月の期間投与される。いくつかの実施形態において、BT組成物は、1~56日の期間投与される。いくつかの実施形態において、BT組成物は、14~28日の期間投与される。いくつかの実施形態において、BT組成物は、1月あたり1回治療期間にわたり投与される。いくつかの実施形態において、BT組成物は、2週ごとに1回治療期間にわたり投与される。いくつかの実施形態において、BT組成物は、1週あたり1回治療期間にわたり投与される。いくつかの実施形態において、BT組成物は、1週あたり2回治療期間にわたり投与される。いくつかの実施形態において、BT組成物は、1週あたり3回治療期間にわたり投与される。
【0075】
[0090] いくつかの実施形態において、本開示は、対象のNTM細胞内細菌負荷を減少させる方法であって、対象の感染細胞を、BT化合物を含む有効量のビスマス-チオール(BT)組成物と接触させることを含む方法を提供する。
【0076】
[0091] いくつかの実施形態において、細胞をBT組成物と接触させることは、細胞内細菌負荷を、約10分の1~約1000分の1に減少させる。いくつかの実施形態において、細胞内細菌負荷は、約10分の1、約50分の1、約100分の1、約250分の1、約500分の1、又は約1000分の1に減少する。いくつかの実施形態において、細胞をBT組成物と接触させることは、細胞内細菌負荷が増加することを防ぎ、すなわちBT組成物は静菌効果を与える。いくつかの実施形態において、細胞をBT組成物と接触させることは、BT化合物の細胞内蓄積をもたらす。いくつかの実施形態において、細胞をBT組成物と接触させることは、BT化合物の貪食をもたらす。
【0077】
[0092] いくつかの実施形態において、感染細胞は食細胞である。いくつかの実施形態において、感染細胞はマクロファージ細胞である。いくつかの実施形態において、マクロファージ細胞はTHP-1細胞である。いくつかの実施形態において、マクロファージ細胞は肺胞マクロファージである。いくつかの実施形態において、マクロファージ細胞は、M1又はM1様マクロファージである。いくつかの実施形態において、マクロファージ細胞は、M.アブセッサス(M. abscessus)及び/又はM.アビウム(M. avium)の1つ以上の株に感染している。いくつかの実施形態において、マクロファージは、M.アブセッサス(M. abscessus)及び/又はM.アビウムコンプレックス(M. avium complex)の1つ以上の株に感染している。いくつかの実施形態において、マクロファージ細胞は組織球である。いくつかの実施形態において、マクロファージ細胞は破骨細胞である。
【0078】
[0093] いくつかの実施形態において、本開示は、治療若しくは予防を必要とする対象の非結核性抗酸菌(NTM)肺感染症を治療するか、又はそれに対する予防を提供する方法であって、対象の肺に、投与期間の間、本明細書に記載されるBT化合物を含む本開示のBT組成物を投与することを含む方法を提供する。
【0079】
[0094] いくつかの実施形態において、患者の肺に投与することは、BT組成物をエアゾール化してエアゾール化BT組成物を提供すること、及びエアゾール化BT組成物を対象の肺に投与することを含む。いくつかの実施形態において、エアゾール化BT組成物を対象の肺に投与することは、ネブライザー、ドライパウダー吸入、ナノ粒子吸入、定量噴霧吸入、又は当技術分野に公知である任意の他の薬物吸入方法によるものである。いくつかの実施形態において、ドライパウダーは微粒子化されている。いくつかの実施形態において、ナノ粒子は脂質ナノ粒子である。いくつかの実施形態において、ナノ粒子は乾燥ナノ粒子である。いくつかの実施形態において、エアゾール化BT組成物を対象の肺に投与することはネブライザーによるものである。
【0080】
[0095] いくつかの実施形態において、エアゾール化BT組成物は、単一の投薬セッションで1日1回投与期間の間投与される。いくつかの実施形態において、エアゾール化BT組成物は、単一の投薬セッションで1週あたり3回投与期間の間投与される。いくつかの実施形態において、エアゾール化BT組成物は、単一の投薬セッションで1週あたり2回投与期間の間投与される。いくつかの実施形態において、エアゾール化BT組成物は、単一の投薬セッションで1週あたり1回投与期間の間投与される。いくつかの実施形態において、エアゾール化BT組成物は、単一の投薬セッションで2週ごとに1回投与期間の間投与される。
【0081】
[0096] いくつかの実施形態において、単一の投薬セッションの間、エアゾール化BT組成物は、約75分未満、約60分未満、約30分未満、約15分未満、又は約5分未満で投与される。いくつかの実施形態において、単一の投薬セッションの間、エアゾール化BT組成物は、約60~約75分、約45分~約60分、約30分~約45分、約20分~約30分、又は約15分~約20分で投与される。
【0082】
[0097] いくつかの実施形態において、エアゾール化BT組成物は、1週間、2週間、3週間、4週間、1か月、2か月、3か月、4か月、5か月、6か月、12か月、18か月、又は24か月治療期間にわたり投与される。いくつかの実施形態において、エアゾール化BT組成物は、1週間、2週間、3週間、4週間、1か月、2か月、3か月、4か月、5か月、又は6か月治療期間にわたり投与される。
【0083】
[0098] いくつかの実施形態において、本開示は、必要とする対象の肺の中のバイオフィルム関連非結核性抗酸菌(NTM)感染症を治療する方法であって、対象に、本明細書に記載されるBT化合物を含む本開示のBT組成物を投与することを含む方法を提供する。
【0084】
[0099] いくつかの実施形態において、本開示は、マクロファージ感染を有する対象のNTM感染症を治療する方法であって、対象に、本明細書に記載されるBT化合物を含む有効量の本開示のビスマス-チオール(BT)組成物を投与することを含む方法を提供する。
【0085】
[0100] いくつかの実施形態において、本開示は、対象のNTM感染症を治療する方法であって、(i)対象由来の生体試料中の細菌感染マクロファージの存在に関して試験すること;及び(ii)試料が細菌感染マクロファージに関して陽性であるという結果の場合、本明細書に記載されるBT化合物を含む有効量の本開示のビスマス-チオール(BT)組成物を対象に投与することを含む方法を提供する。
【0086】
[0101] いくつかの実施形態において、マクロファージは、NTMの1種以上の病原性種の存在に関して試験される。いくつかの実施形態において、マクロファージは、M.アブセッサス(M. abscessus)及び/又はM.アビウム(M. avium)の存在に関して試験される。いくつかの実施形態において、マクロファージは、M.アブセッサス(M. abscessus)の存在に関して試験される。いくつかの実施形態において、マクロファージは、M.アビウム(M. avium)の存在に関して試験される。
【0087】
[0102] いくつかの実施形態において、本明細書に開示される方法は、有効量の追加の抗菌剤を投与することをさらに含む。いくつかの実施形態において、追加の抗菌剤は、アミカシン、クラリスロマイシン、アジスロマイシン、エタンブトール、リファンピシン、チゲサイクリン、リネゾリド、イミペネム、セフォキシチン、又はこれらの組合せである。いくつかの実施形態において、追加の抗菌剤は、アミカシン又はクラリスロマイシンである。いくつかの実施形態において、追加の抗菌剤はアミカシンである。いくつかの実施形態において、BT組成物及び追加の抗菌剤の投与は、NTM感染症の治療における相乗効果をもたらす。いくつかの実施形態において、BT組成物及びアミカシンの投与は、NTM感染症の治療における相乗効果をもたらす。したがって、いくつかの実施形態において、追加の抗菌剤の有効量は、BT組成物なしに投与される場合NTM感染症の治療において効果がない量であり、BT組成物の有効量は、追加の抗菌剤なしに投与される場合NTM感染症の治療において効果がない量である。
【0088】
[0103] いくつかの実施形態において、BT組成物及び追加の抗菌剤は、同時に、別々に、又は連続的に投与される。いくつかの実施形態において、BT組成物は、追加の抗菌剤と並行して、その前に、又はその後に投与される。いくつかの実施形態において、BT組成物と追加の抗菌剤は組み合わされて、それを必要とする対象に投与される。いくつかの実施形態において、BT組成物及び追加の抗菌剤は、それを必要とする対象に共投与される。いくつかの実施形態において、BT組成物及び追加の抗菌剤は、それを必要とする対象に共に投与される。
【0089】
ビスマス-チオール組成物
[0104] いくつかの実施形態において、BT組成物はBT化合物を含む。いくつかの実施形態において、BT化合物は、BisBAL、BisEDT、ビス-ジメルカプロール、BisDTT、ビス-2-メルカプトエタノール、Bis-DTE、Bis-Pyr、Bis-Ery、Bis-Tol、Bis-BDT、Bis-PDT、Bis-Pyr/Bal、Bis-Pyr/BDT、BisPyr/EDT、Bis-Pyr/PDT、Bis-Pyr/Tol、Bis-Pyr/Ery、ビスマス-1-メルカプト-2-プロパノール、BisEDT/CSTMN(1:1)、BisPYR/CSTMN(1:1)、BisBAL/CSTMN(1:1)、BisTOL/CSTMN(1:1)、及びBisEDT/2-ヒドロキシ-1-プロパンチオールからなる群から選択される。
【0090】
[0105] いくつかの実施形態において、BT組成物は、下記からなる群から選択されるBT化合物を含む:
【0091】
【表1】
【0092】
[0106] いくつかの実施形態において、BT化合物は、BisEDT、Bis-Bal、Bis-Pyr、Bis-Ery、Bis-Tol、Bis-BDT、又はBisEDT/2-ヒドロキシ-1-プロパンチオールからなる群から選択される。
【0093】
[0107] いくつかの実施形態において、BT化合物は、BisEDT又はBisBALである。いくつかの実施形態において、BT化合物はBisEDTである。いくつかの実施形態において、BisEDTは、構造:
【化2】

を有する化合物である。
【0094】
[0108] いくつかの実施形態において、本開示のBT化合物は殺菌効果を示す。いくつかの実施形態において、BT化合物は静菌効果を示す。
【0095】
[0109] ヒトなどの対象に投与される場合、組成物又は化合物は、好ましくは、例えば、本開示の化合物及び薬学的に許容できる担体を含む医薬組成物として投与される。薬学的に許容できる担体は当技術分野に周知であり、例えば、水、生理緩衝食塩水(physiologically buffered saline)、リン酸生理緩衝液などの水溶液、又はグリコール、グリセロール、オリーブ油などの油、若しくは注射用有機エステルなどの他の溶媒若しくはビヒクルがある。いくつかの実施形態において、そのような医薬組成物がヒト投与のためである場合、水溶液はパイロジェンフリー、又は実質的にパイロジェンフリーである。賦形剤は、例えば、薬剤の遅延放出を引き起こすように、又は1つ以上の細胞、組織若しくは器官を選択的に標的とするように選択できる。医薬組成物は、再構成のための凍結乾燥物、散剤、液剤、シロップ、注射などの用量単位形態であり得る。組成物は、局所投与に好適な液体でも存在し得る。
【0096】
[0110] 薬学的に許容できる担体は、例えば、本開示の化合物などの化合物を安定化させ、その溶解度を増加させ、又はその吸収を増加させるように作用する生理的に許容できる作用物質を含有し得る。そのような生理的に許容できる作用物質としては、例えば、グルコース、スクロース、若しくはデキストランなどの炭水化物;アスコルビン酸若しくはグルタチオンなどの酸化防止剤;キレート剤;低分子量タンパク質;塩;又は他の安定剤若しくは賦形剤がある。生理的に許容できる作用物質を含む薬学的に許容できる担体の選択は、例えば、組成物の投与経路に依存する。調製物又は医薬組成物は、自己乳化型薬物送達系又は自己マイクロ乳化型薬物送達系であり得る。医薬組成物(調製物)は、リポソーム又は他のポリマーマトリックスでもあり得て、それは、その中に、例えば本開示の化合物を組み込むことができる。例えば、リン脂質又は他の脂質を含むリポソームは、製造及び投与が比較的簡単である、非毒性の生理的に許容できる代謝可能な担体である。
【0097】
[0111] 薬学的に許容できる担体として作用できる材料の他の例としては、(1)ラクトース、グルコース及びスクロースなどの糖;(2)トウモロコシデンプン及びバレイショデンプンなどのデンプン;(3)カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース及び酢酸セルロースなどのセルロース及びその誘導体;(4)トラガカント末;(5)麦芽;(6)ゼラチン;(7)タルク;(8)カカオバター及び坐剤用蝋などの賦形剤;(9)落花生油、綿実油、紅花油、ゴマ油、オリーブ油、コーン油及び大豆油などの油;(10)プロピレングリコールなどのグリコール;(11)グリセリン、ソルビトール、マンニトール、キシリトール、エリスリトール、及びポリエチレングリコールなどのポリオール及び糖アルコール;(12)オレイン酸エチル及びラウリル酸エチルなどのエステル;(13)寒天;(14)水酸化マグネシウム及び水酸化アルミニウムなどの緩衝剤;(15)アルギン酸;(16)パイロジェン除去水;(17)等張性食塩水;(18)リンゲル液;(19)エチルアルコール;(20)リン酸緩衝溶液;並びに(21)医薬製剤に利用される、塩化ナトリウムなどの塩を含む他の非毒性で適合性のある物質がある。
【0098】
[0112] 製剤は、簡便には、単位剤形で呈することができ、調剤の分野に周知である任意の方法により調製できる。担体材料と組み合わせて単一剤形を製造することができる有効成分の量は、治療されている対象、特定の投与様式に応じて変わるだろう。担体材料と組み合わせて単一剤形を製造することができる有効成分の量は、一般的に、治療効果を生み出す化合物の量だろう。
【0099】
[0113] いくつかの実施形態において、BT組成物は、動物性及び植物性脂肪、油、蝋、パラフィン、デンプン、トラガカント、セルロース誘導体、ポリエチレングリコール、シリコーン、ベントナイト、ケイ酸、ポリマー、タルク、並びに酸化亜鉛から選択される1種以上の担体をさらに含む。いくつかの実施形態において、担体はメチルセルロースである。いくつかの実施形態において、担体はポリ(メチルメタクリラート)である。
【0100】
[0114] 組成物は、例えば、所望の放出プロファイルを与える種々の比率のヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、他のポリマーマトリックス、リポソーム及び/又はミクロスフェアを使用して、その中の有効成分の緩徐又は制御放出を与えるように製剤することもできる。それらは、例えば、細菌捕捉フィルターによる濾過により、電離放射線(例えばガンマ光子)により、オートクレーブ処理、又は滅菌水若しくは何らかの他の滅菌注射用媒体に使用直前に溶解させることができる滅菌された固体組成物の形態で滅菌剤を組み込むことにより滅菌できる。
【0101】
[0115] 懸濁液は、活性化合物の他に、例えば、エトキシル化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビトール及びソルビタンエステル、微結晶セルロース、アルミニウムメタヒドロキシド、ベントナイト、寒天及びトラガカント、並びにこれらの混合物としての懸濁化剤を含有し得る。
【0102】
[0116] 外用又は経皮投与のための剤形には、散剤、スプレー剤、軟膏剤、ペースト剤、クリーム剤、ローション剤、ゲル剤、液剤、パッチ剤及び吸入剤がある。活性化合物は、滅菌条件下で、薬学的に許容できる担体と、及び要求され得る任意の保存剤又は緩衝剤と混合できる。
【0103】
[0117] BT組成物は、活性化合物に加えて、動物性及び植物性脂肪、油、蝋、パラフィン、デンプン、トラガカント、セルロース誘導体、ポリエチレングリコール、シリコーン、ベントナイト、ケイ酸、タルク、ポリマー、塩、並びに酸化亜鉛、又はそれらの混合物などの1種以上の賦形剤又は担体を含む。いくつかの実施形態において、BT組成物は水溶液の形態である。いくつかの実施形態において、賦形剤は、塩化ナトリウム又は塩化カリウムから選択される塩を含む。いくつかの実施形態において、賦形剤は塩化ナトリウムを含む。
【0104】
[0118] いくつかの実施形態において、BT組成物は、散剤、スプレー剤、軟膏剤、ペースト剤、クリーム剤、ローション剤、液剤、パッチ剤、懸濁剤又はゲル剤である。いくつかの実施形態において、BT組成物は液剤である。いくつかの実施形態において、BT組成物はエアゾールである。
【0105】
[0119] BT組成物は、任意の好適な濃度のビスマス-チオール化合物を含み得る。いくつかの実施形態において、BT組成物は、約0.25mg/mL~約15mg/mL、約0.4mg/mL~約15mg/mL、約0.6mg/mL~約15mg/mL、約0.6mg/mL~約100mg/mL、約5mg/mL~約100mg/mL、約10mg/mL~約100mg/mL、約25mg/mL~約100mg/mL、約50mg/mL~約100mg/mL、約0.8mg/mL~約15mg/mL、約1mg/mL~約10mg/mL、2.5mg/mL~約10mg/mL、約4mg/mL~約10mg/mL、約5mg/mL~約10mg/mL、約6mg/mL~約10mg/mL、0.6mg/mL~約6mg/mL、約4mg/mL~約15mg/mL、約6mg/mL~約15mg/mL、約50μg/mL~約750μg/mL、約75μg/mL~約500μg/mL、約100μg/mL~約250μg/mL、約100μg/mL~約150μg/mL、若しくは約75μg/mL~約150μg/mLの用量として投与される;且つ/又は肺に投与されるBT組成物の総量は、約0.25mg~約15mg、約0.4mg~約15mg、約0.6mg~約15mg、約0.8mg~約15mg、約1mg~約10mg、2.5mg~約10mg、約4mg~約10mg、約5mg~約10mg、約6mg~約10mg、0.6mg~約6mg、約4mg~約15mg、約6mg~約15mg、約50μg~約750μg、約75μg~約500μg、約100μg~約250μg、約100μg~約150μg、若しくは約75μg~約150μgである。特定の実施形態において、BT組成物は、約0.6mg/mL~約6mg/mLの用量として投与される。
【0106】
[0120] いくつかの実施形態において、単回1日量後の肺内のビスマスの濃度は、約0.03μg/g肺組織~約3μg/g肺組織、例えば、これらの間の全ての範囲及び値を含み、約0.03μg/g肺組織、約0.1μg/g肺組織、約0.25μg/g肺組織、約0.5μg/g肺組織、約0.75μg/g肺組織、約1μg/g肺組織、約1.25μg/g肺組織、約1.5μg/g肺組織、約1.75μg/g肺組織、約2μg/g肺組織、約2.25μg/g肺組織、約2.5μg/g肺組織、約2.75μg/g肺組織、又は約3μg/g肺組織である。いくつかの実施形態において、単回1日量後の肺内のビスマスの濃度は、約0.1μg/g肺組織~約3μg/g肺組織である。いくつかの実施形態において、単回1日量後の肺内のビスマスの濃度は、約1μg/g肺組織~約3μg/g肺組織である。いくつかの実施形態において、28回の1日量後の肺内のビスマスの濃度は、約0.3μg/g肺組織~約60μg/g肺組織である。
【0107】
[0121] いくつかの実施形態において、BT組成物は、1日あたり3回、1日あたり2回、1日1回、1日おき、3日に1回、週に1回、1週おきに1回、毎月1回、又は1月おきに1回投与される。いくつかの実施形態において、BT組成物は、1月あたり1回、1月あたり2回、1月あたり3回、1月あたり4回、2週ごとに1回、1週あたり1回、1週あたり2回、又は1週あたり3回投与される。いくつかの実施形態において、BT組成物は、1月あたり1回、1月あたり2回、1月あたり3回、又は1月あたり4回投与される。いくつかの実施形態において、BT組成物は、2週ごとに1回、1週あたり1回、1週あたり2回、又は1週あたり3回投与される。いくつかの実施形態において、BT組成物は、1週あたり1回投与される。いくつかの実施形態において、BT組成物は、1日1回投与される。特定の実施形態において、BT組成物は、週に1回投与される。特定の実施形態において、BT組成物は、1週おきに1回投与される。いくつかの実施形態において、BT組成物は、長期的に、4週オン/4週オフ投薬スケジュールで投与される。いくつかの実施形態において、BT組成物は、長期的に、例えば基礎療法の一部として投与される。いくつかの実施形態において、BT組成物は必要に応じて投与される。当業者により認識される通り、投与頻度は、投与量及び投与経路を含むいくつかの因子に依存し得る。例えば、BT組成物がエアゾール投与により投与される場合、100~1000μg/mLなどの低投与量は1日1回又は2回投与され得る;しかし、2.5~10mg/mLなどの高投与量は、例えば、1週あたり1回又は2回投与され得る。
【0108】
[0122] 本開示のいくつかの実施形態において、BT組成物は、ポリソルベート(例えば、ポリソルベート80)中、及び/又は緩衝液(例えば、リン酸ナトリウム緩衝液)中のBT化合物の懸濁剤である。例えば、いくつかの実施形態において、BT組成物は、これらの間の全ての範囲を含む約0.1%ポリソルベート80~約1.0%ポリソルベート80中のBT化合物の懸濁剤である。例えば、BT組成物は、約0.1%ポリソルベート80、約0.2%ポリソルベート80、約0.3%ポリソルベート80、約0.4%ポリソルベート80、約0.5%ポリソルベート80、約0.6%ポリソルベート80、約0.7%ポリソルベート80、約0.8%ポリソルベート80、約0.9%ポリソルベート80、又は約1%ポリソルベート80中のBT化合物の懸濁剤である。いくつかの実施形態において、BT組成物は、約0.5%ポリソルベート80中のBT化合物の懸濁剤である。
【0109】
[0123] いくつかの実施形態において、本開示は、その中に懸濁しているBT化合物(例えば、BisEDT))を含むビスマス-チオール(BT)組成物であって、複数の粒子を含むBT組成物を提供する。いくつかの実施形態において、本開示は、その中に懸濁しているBT化合物(例えば、BisEDT))を含むビスマス-チオール(BT)組成物であって、複数の微粒子を含むBT組成物を提供する。いくつかの実施形態において、前記粒子/微粒子のD90は、4.5μm、又は4.0μm、又は3.5μm、又は3.0μm、又は2.5μm、又は2.0μm、又は1.9μm、又は1.8μm、又はμm1.7μm、又は1.6μm、又は1.5μm以下又はこれらの間の任意の範囲である。いくつかの実施形態において、前記粒子/微粒子のD90は、1.9μm以下である。別の実施形態において、前記粒子/微粒子のD90は、1.6μm以下である。別の実施形態において、前記粒子/微粒子のD50は、2.5μm、又は2.0μm、又は1.5μm、又は1.3μm、又は1.2μm、又は1.1μm、又は1.0μm、又は0.9μm、又は0.87μm、又は0.72μm以下又はこれらの間の任意の範囲である。別の実施形態において、前記粒子/微粒子のD10は、0.9μm、又は0.8μm、又は0.7μm、又は0.6μm、又は0.50μm、又は0.40μm、又は0.39μm、又は0.38μm、又は0.37μm、又は0.36μm、又は0.35μm、又は0.34μm、又は0.33μm以下、又はこれらの間の任意の範囲である。
【0110】
[0124] いくつかの実施形態において、本開示のビスマス-チオール(BT)組成物は、その中に懸濁しているBT化合物を含み、複数の粒子を含み、ここで、前記粒子のD90は約1.6μm以下である。いくつかの実施形態において、ビスマス-チオール(BT)組成物は、その中に懸濁しているBT化合物(例えば、BisEDT)を含み、複数の微粒子を含み、ここで、前記微粒子のD90は約1.6μm以下である。
【0111】
[0125] いくつかの実施形態において、BT組成物は、約0.1mg/mL超の濃度のBT化合物(例えば、BisEDT)、約0.05%~約1.0%ポリソルベート80(Tween 80(登録商標))、約0.05~40mM塩化ナトリウム、及び任意選択で約pH7.4の約2~20mMリン酸ナトリウムを含む。
【0112】
[0126] 種々の緩衝剤が本開示の状況において使用され得るが、当業者にはすぐに明らかになるだろう。例えば、いくつかの実施形態において、好適な緩衝剤としては、クエン酸ナトリウム又はクエン酸カリウム、クエン酸、リン酸ナトリウムなどのリン酸緩衝剤、ホウ酸、炭酸水素ナトリウム並びにNaHPO、NaHPO及びKHPOの組合せを含む種々の混合リン酸緩衝剤がある。いくつかの実施形態において、リン酸ナトリウム緩衝剤が使用される。いくつかの実施形態において、クエン酸ナトリウム緩衝剤が使用される。特定の理論には拘束されないが、気道表面液体pHの変化が、出生直後の嚢胞性線維症における宿主防御の欠陥の原因になり得る。肺pHの変化は、気道表面液体環境に影響し、気道防御を改善し、疾患経過を変化させ得る。したがって、製剤pHは、約5~約10で変化し得る。いくつかの実施形態において、製剤pHは、約5.0、5.1、5.2、5.3、5.4、5.5、5.6、5.7、5.8、5.9、6.0、6.1、6.2、6.3、6.4、6.5、6.6、6.7、6.8、6.9、7.0、7.1、7.2、7.3、7.4、7.5、7.6、7.7、7.8、7.9、8.0、8.1、8.2、8.3、8.4、8.5、8.6、8.7、8.8、8.9、9.0、9.1、9.2、9.3、9.4、9.5、9.6、9.7、9.8、9.9、又は約10である。いくつかの実施形態において、製剤pHは約7.4である。
【0113】
[0127] いくつかの実施形態において、BT組成物は、約7.4のpHのリン酸ナトリウム緩衝液中の約0.5%ポリソルベート80中のBT化合物の懸濁剤である。いくつかの実施形態において、BT化合物は、組成物中に、その間の全ての整数及び範囲を含む約100μg/mL~約1000mg/mLの範囲の濃度で存在する。例えば、いくつかの実施形態において、BT化合物は、組成物中に、約100μg/mLから、200μg/mL、300μg/mL、400μg/mL、500μg/mL、600μg/mL、700μg/mL、800μg/mL、900μg/mL、1000μg/mL、10mg/mL、25mg/mL、50mg/mL、100mg/mL、125mg/mL、150mg/mL、175mg/mL、200mg/mL、225mg/mL、250mg/mL、275mg/mL、300mg/mL、325mg/mL、350mg/mL、375mg/mL、400mg/mL、425mg/mL、450mg/mL、475mg/mL、500mg/mL、525mg/mL、550mg/mL、575mg/mL、600mg/mL、625mg/mL、650mg/mL、675mg/mL、700mg/mL、725mg/mL、750mg/mL、775mg/mL、800mg/mL、825mg/mL、850mg/mL、875mg/mL、900mg/mL、925mg/mL、950mg/mL、975mg/mL、約1000mg/mLの範囲の濃度で存在する。いくつかの実施形態において、BT化合物は、組成物中に、約100μg/mL~約1000μg/mLの範囲の濃度で存在する。
【0114】
[0128] いくつかの実施形態において、組成物重量オスモル濃度は、NaCl又はTDAPSなどの添加剤によりさらに調整されて、所望の重量オスモル濃度が得られる。例えば、いくつかの実施形態において、組成物の重量オスモル濃度は、塩化ナトリウムにより、その間の全ての整数及び範囲を含む約100mOsmol/kg~約500mOsmol/kgの範囲の重量オスモル濃度に調整される。いくつかの実施形態において、組成物の重量オスモル濃度は、約290mOsmol/kg~約310mOsmol/kgである。例えば、いくつかの実施形態において、組成物の重量オスモル濃度は、約290mOsmol/kg、291mOsmol/kg、292mOsmol/kg、293mOsmol/kg、294mOsmol/kg、295mOsmol/kg、296mOsmol/kg、297mOsmol/kg、298mOsmol/kg、299mOsmol/kg、300mOsmol/kg、301mOsmol/kg、302mOsmol/kg、303mOsmol/kg、304mOsmol/kg、305mOsmol/kg、306mOsmol/kg、307mOsmol/kg、308mOsmol/kg、309mOsmol/kg、約310mOsmol/kgである。いくつかの実施形態において、重量オスモル濃度は約300mOsmol/kgである。
【0115】
[0129] いくつかの実施形態において、BT組成物は、緩衝液(例えば、リン酸ナトリウム緩衝液)中のポリソルベート(例えば、ポリソルベート80)中のBisEDTの懸濁液である。いくつかの実施形態において、BT組成物は、約7.4のpHのリン酸ナトリウム緩衝液中の約0.5%ポリソルベート80中のBisEDTの懸濁液である。いくつかの実施形態において、BT組成物は、約7.4のpHのリン酸ナトリウム緩衝液中の約0.5%ポリソルベート80中のBisEDTの懸濁液であって、組成物は、約300mOsmol/kgの重量オスモル濃度を有する(例えば、塩化ナトリウムにより300mOsmol/kgに調整される)。いくつかの実施形態において、BisEDTは、約100μg/mL、250μg/mL、500μg/mL、750μg/mL、1000μg/mL、2.5mg/mL、10mg/mL、25mg/mL、50mg/mL、75mg/mL、又は約100mg/mLの濃度で存在する。
【0116】
[0130] いくつかの実施形態において、BT組成物は対象の肺に送達される。いくつかの実施形態において、BT組成物は、対象の肺に、ネブライザー、ドライパウダー吸入、ナノ粒子吸入、定量噴霧吸入、又は当技術分野に公知である任意の他の薬物吸入方法により投与される。いくつかの実施形態において、ドライパウダーは微粒子化されている。いくつかの実施形態において、ナノ粒子は脂質ナノ粒子である。いくつかの実施形態において、ナノ粒子は脂質ナノ粒子ではない。いくつかの実施形態において、ナノ粒子は乾燥ナノ粒子である。いくつかの実施形態において、BT組成物は、肺送達向けの懸濁製剤である。例えば、BT組成物は、口腔及び/又は鼻腔内のいずれかで吸入により最終的に投与される懸濁製剤である。
【0117】
[0131] したがって、いくつかの実施形態において、BT組成物はエアゾールの形態である。いくつかの実施形態において、BT組成物は、ネブライザーなどの装置によりエアゾール化される。いくつかの実施形態において、エアゾールは、気体中の複数の分散された液滴を含み、前記液滴は、その中に懸濁しているビスマス-1,2-エタンジチオール(BisEDT)を含むBT組成物を含み、BT組成物は、本明細書に開示されるD90、例えば約2μm未満のD90を有する複数のBisEDT粒子/微粒子を含み;少なくとも70%、少なくとも80%、又は少なくとも90%の液滴は、本明細書に開示されるMMAD、例えば、カスケードインパクション又はレーザー飛行時間により測定された約0.4μm~約5μmのMMADを有する。
【0118】
[0132] いくつかの実施形態において、エアゾールは、吸入により、口腔又は鼻腔内に、ネブライザーなどのエアゾール装置を使用して投与される。PARI IC Plusなどの公知のネブライザーは、開示されるエアゾールを、任意選択で緩衝食塩水中の水溶液として投与できる。溶液は、ネブライザーに使用するためのアンプルの形態で対象に提供できる。ネブライザーは再利用可能であり得て、製剤を、約10~15分又はより長時間などの期間にわたり、例えば、45~60分の期間提供するコンプレッサーを含む。APRI Vios Air及びDeVilbiss Pulmo-aideなどの公知のコンプレッサーは投与に好適である。ネブライザーは、製剤を、外用により、粘膜、気管支及び/又は細気管支、肺胞、深部肺胞(deep lung alveoli)などの肺組織に投与する。製剤は、肺粘膜及びバイオフィルムに浸透して、微生物(例えば、細菌又は真菌)バイオフィルムを減少させ、微生物(例えば、細菌又は真菌)バイオフィルムの成長を損ない、微生物(例えば、細菌又は真菌)バイオフィルムの形成を妨げ、浮遊成長(planktonic growth)を減少させ、且つ/又は浮遊成長を阻害できる。
【0119】
[0133] 他の実施形態において、鼻専用エアゾール装置が、製剤の投与に使用され得る。
【0120】
[0134] 散剤及びスプレー剤は、活性化合物に加えて、メチルセルロース、塩化ナトリウム、PMMA、ラクトース、タルク、ケイ酸、水酸化アルミニウム、ケイ酸カルシウム及びポリアミドパウダー、ジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)、ロイシン、ポリエチレングリコール、又はこれらの物質の混合物などの賦形剤を含有できる。スプレー剤は、クロロフルオロ炭化水素並びにブタン及びプロパンなどの揮発性の非置換炭化水素などの通常の噴射剤をさらに含有し得る。
【0121】
[0135] 例示的なBT組成物製剤は、BT化合物粒子/微粒子と非イオン性界面活性剤の中性pH、等張性、緩衝化水溶液である。特定の実施形態において、緩衝液は、NaClが加えられたリン酸緩衝液である。いくつかの実施形態において、微粒子サイズは、約1~5μmのD50である。製剤は、市販の圧縮空気ジェットネブライザーを使用して送達できる。いくつかの実施形態において、製剤濃度は、約0.1μg/mL~約100mg/mLである。
【0122】
[0136] いくつかの実施形態において、本開示は、気体中に複数の分散された液滴を含むエアゾール組成物を提供するが、前記液滴は、その中に懸濁しているBT化合物を含み、少なくとも60%、65%、70%、75%、80%、90%、又は95%の液滴は、レーザー飛行時間及び/又はカスケードインパクターにより測定される場合約0.4μm~約5μmの空気力学的質量中位径(MMAD)を有する。いくつかの実施形態において、少なくとも60%、65%、70%、75%、80%、90%、又は95%の液滴は、これらの間の全ての範囲を含む、約0.4μm~約7μm、又は約0.5μm~約5μm、又は約0.7μm~約4μm、又は約0.7μm~約3.5μm、又は約0.8μm~約3.5μm、又は約0.9μm~約3.5μm、又は約0.9μm~約3μm、又は約0.8μm~約1.8μm、又は約0.8μm~約1.6μm、又は約0.9μm~約1.4μm、又は約1.0μm~約2.0μm、又は約1.0μm~約1.8μmのMMADを有する。いくつかの実施形態において、少なくとも60%、65%、70%、75%、80%、90%、又は95%の液滴は、約0.8μm~約1.6μm、又は約0.9μm~約3.5μm、又は約0.9μm~約3μm、又は約0.9μm~約1.4μm、又は約1.0μm~約2.0μm、又は約1.0μm~約1.8μm、及びこれらの間の全ての範囲のMMADを有する。
【0123】
[0137] いくつかの実施形態において、複数の液滴は、約10μm未満のD90を有する。例えば、いくつかの実施形態において、複数の液滴は、約10μm、9μm、8μm、7μm、6μm、5μm、4μm、3μm、2μm、又は約1μm未満のD90を有する。いくつかの実施形態において、複数の液滴は、約3μm未満のD90を有する。いくつかの実施形態において、複数の液滴は、約1μm~約5μm、又は約2μm~約6μm、又は約2μm~約4μm、又は約2μm~約3μm、又は約1μm~約4μm、又は約1μm~約3μmの範囲のD90を有する。
【0124】
[0138] いくつかの実施形態において、複数の液滴は、連続気相に分散されている。
【0125】
[0139] いくつかの実施形態において、BT化合物(例えば、BisEDT)は、液滴中に懸濁されている。本開示のBT化合物は、従来の溶媒及びエアゾール担体への溶解度がほとんど又は全くない可能性があり、したがって実質的にエアゾール小滴中のBT粒子の懸濁液として存在する。例えば、いくつかの実施形態において、BT化合物(BisEDTなど)は、エアゾール担体への溶解性が1%未満であり、したがって主として(99%超)固体として存在する。
【0126】
[0140] いくつかの実施形態において、液滴は、ポリソルベート80(例えば、約0.05%~約1%)及び任意選択で約7.4のpHの緩衝液(例えば、リン酸ナトリウム又はクエン酸ナトリウム);並びに/又は塩化ナトリウムをさらに含む。
【0127】
[0141] 本開示のエアゾールは非常に狭いMMAD分布を有するが、それは、粒子集団を標的サイズ範囲に集中させる必要性、及び呼吸可能な範囲の外側にある製品若しくは「細粒(fines)」すなわち典型的には0.4μm直径未満の粒子の分率を最低限にするか又は除去する必要性のため有益である。適切なサイズ範囲に狭い液滴粒度分布を作る能力は、初期蒸発速度の制御を与え、高い沈着効率を可能にする。粒子エアゾール液滴サイズの下限の点での制限要因はBT粒径(例えば、BisEDT粒径)である。エアゾール化小滴は、BisEDT粒子(particulate)サイズより小さくはなり得ない。したがって、BT粒径分布、並びにBT粒子サイズ分布の均一性及び一貫した再現性は、吸入目的の安全で有効で効率よいエアゾール化BisEDT医薬品の生成を支持するための重要で有益な特性である。したがって、いくつかの実施形態において、本開示のエアゾールは、3%超、5%超、10%超、15%超、20%超、25%超、30%超、35%超m 40%超、45%超、50%超、55%超、60%超、65%超、70%超、75%超、及び80%超の沈着効率を実現する。いくつかの実施形態において、沈着効率は、肺の深部肺領域への、例えば深部肺胞への沈着を指す。いくつかの実施形態において、本開示のエアゾールは、ネブライザーによるエアゾール化時に沈着効率を実現する。例えば、ネブライザーはジェットネブライザーである。いくつかの実施形態において、ジェットネブライザーは、Pari LC Plusジェットネブライザー又はPari LC SPRINTジェットネブライザーである。いくつかの実施形態において、ネブライザーは、約10~約40psig(例えば、20~25psig)の入口圧力を有する。いくつかの実施形態において、入口流は、約3L/分~約8L/分(例えば、5.2L/分)である。いくつかの実施形態において、排気流は、約3L/分~約8L/分(例えば、5L/分)である。
【0128】
[0142] 肺の肺胞領域は、血流を内腔から分離する最低限の厚さ(0.5μm~2.5μm)を有するので、肺胞上皮に沈着する従来の肺の薬剤は、全身性吸収のために、極めて短い肺滞留時間を有する。したがって、従来の肺の治療は、典型的には、適切なレベルの薬物を組織レベルで維持するために、頻繁な投薬を必要とする。しかし、本開示のエアゾール化粒子は、驚くべきことに、並外れて長い肺内での滞留時間を有し(半減期として測定)、従来の肺の治療に対して減少した粘液繊毛クリアランス及びマクロファージ取込みを有することが発見された。さらに、本開示(the present)のエアゾールの長い滞留時間は、全身作用及び関連する全身の副作用を最低限にする。特定の理論により拘束はされないが、エアゾール化粒子/微粒子が肺内腔上でゆっくりと溶解し、そのため全身曝露が溶解速度律速であると考えられている。さらに、肺滞留時間の増加は、BT粒子/微粒子の連続的な存在のため、微生物のコロニーの著しい減少をもたらす。
【0129】
[0143] したがって、いくつかの実施形態において、エアゾールが肺に(例えば、深部肺胞に)沈着する場合、BT化合物は、少なくとも2日の平均半減期を有する。例えば、BT化合物は、約2、3、4、又は5日の平均半減期を有する。いくつかの実施形態において、BT化合物はBisEDTである。具体的な実施形態において、BisEDTの肺組織半減期は、30時間以上、40時間以上、50時間以上、60時間以上、70時間以上、80時間以上、90時間以上、100時間以上、110時間以上、125時間以上、又は150時間以上である。具体的な実施形態において、肺組織半減期は、吸入による単回投与の後のものである。別の実施形態において、肺組織はラット由来である。別の実施形態において、BisEDTの肺組織半減期は、本明細書の実施例8にあるプロトコルの使用により決定される。
【0130】
[0144] 別の実施形態において、BisEDTの肺組織半減期は、Pari LC plusジェットネブライザーを使用して、ラットに100μg/kg肺の単回投与を与えて、本明細書に記載される製剤をラットに投与する場合、80時間以上である。別の実施形態において、BisEDTの肺組織半減期は90時間以上である。別の実施形態において、BisEDTの肺組織半減期は100時間以上である。
【0131】
[0145] 別の実施形態において、エアゾール化組成物を対象に送達した後、投与量の少なくとも60%、65%、70%、75%、80%、90%、又は95%が、口腔咽頭領域及び誘導気道ではなく、肺に沈着する。具体的な実施形態において、投与量の少なくとも80%は、口腔咽頭領域及び誘導気道ではなく、肺に沈着する。別の実施形態において、投与量の少なくとも90%は、口腔咽頭領域及び誘導気道ではなく、肺に沈着する。
【0132】
[0146] エアゾール化肺治療が、連続的治療のための並外れて長い肺滞留時間及びほとんどから全くない全身性吸収と相まった高い沈着効率を実現する狭い分布を有するエアゾール粒子を有することは、今まで知られていなかった。
【0133】
[0147] いくつかの実施形態において、エアゾール化組成物を対象に送達した後、投与量の少なくとも60%、65%、70%、75%、80%、90%、又は95%は、口腔咽頭領域及び誘導気道ではなく、肺に沈着する。いくつかの実施形態において、投与量の少なくとも80%は、口腔咽頭領域及び誘導気道ではなく、肺に沈着する。別の実施形態において、投与量の少なくとも90%は、口腔咽頭領域及び誘導気道ではなく、肺に沈着する。別の実施形態において、沈着パーセントは、Pari LC plusジェットネブライザーを使用して、本明細書に記載される製剤をラットに投与することにより決定される。
【0134】
[0148] 別の実施形態において、BisEDTの肺組織半減期は、Pari LC plusジェットネブライザーを使用して、ラットに100μg/kg肺の単回投与を与えて、本明細書に記載される製剤をラットに投与する場合、80時間以上である。別の実施形態において、BisEDTの肺組織半減期は90時間以上である。別の実施形態において、BisEDTの肺組織半減期は100時間以上である。
【0135】
[0149] 別の実施形態において、本発明の方法は、対象に、複数の分散された液滴を含むエアゾールを投与することを含む、対象のNTM感染症と関連する嚢胞性線維症(CF)症状を治療し、管理し、又はその重症度を低下させることを含み、ここで、液滴は、その中に懸濁しているBT化合物の粒子を含むビスマス-チオール(BT)組成物を含み、粒子は約5μm未満のD90(例えば、レーザー回折により測定して)を有し、且つ/又は少なくとも70%、80%、若しくは90%の液滴は、約0.4μm~約5μmの空気力学的質量中位径(MMAD)(例えば、カスケードインパクション又はレーザー飛行時間により測定して)を有する。
【0136】
[0150] 別の実施形態において、本発明の方法は、対象に、複数の分散された液滴を含むエアゾールを投与することを含む、対象のNTM感染症と関連する嚢胞性線維症(CF)症状を治療し、管理し、又はその重症度を低下させることを含み、ここで、液滴は、その中に懸濁しているBT化合物の微粒子を含むビスマス-チオール(BT)組成物を含み、微粒子は、約5μm未満のD90(例えば、レーザー回折により測定して)を有し、且つ/又は少なくとも70%、80%、若しくは90%の液滴は、約0.4μm~約5μmの空気力学的質量中位径(MMAD)(例えば、カスケードインパクション又はレーザー飛行時間により測定して)を有する。
【0137】
[0151] いくつかの実施形態において、組成物は、約0.4μm~約5μmの体積平均径(VMD)を有する粒子/微粒子の懸濁液である。いくつかの実施形態において、少なくとも60%、65%、70%、75%、80%、90%、又は95%の粒子/微粒子は、約0.4μm~約5μm、又は約0.6μm~約2.5μm、又は約0.7μm~約4μm、又は約0.7μm~約3.5μm、又は約0.7μm~約3.0μm、又は約0.9μm~約3.5μm、又は約0.9μm~約3μm、又は約0.8μm~約1.8μm、又は約0.8μm~約1.6μm、又は約0.9μm~約1.4μm、又は約1.0μm~約2.0μm、又は約1.0μm~約1.8μm及びこれらの間の全ての範囲のVMDを有する。いくつかの実施形態において、少なくとも60%、65%、70%、75%、80%、90%、又は95%の粒子/微粒子は、約0.6μm~約2.5μm、又は約0.8μm~約1.6μm、又は約0.9μm~約3.5μm、又は約0.9μm~約3μm、又は約0.9μm~約1.4μm、又は約1.0μm~約2.0μm、又は約1.0μm~約1.8μm及びこれらの間の全ての範囲のVMDを有する。いくつかの実施形態において、粒子/微粒子は、5μm、4μm、3μm、2μm、又は約1μm未満のD90を有する。いくつかの実施形態において、粒子/微粒子は、約3μm未満のD90を有する。いくつかの実施形態において、粒子/微粒子は、約1μm~約5μm、又は約2μm~約4μm、又は約2μm~約3μm、又は約1μm~約4μm、又は約1μm~約3μm、又は約1μm~約2μmの範囲のD90を有する。
【0138】
[0152] いくつかの実施形態において、分散された液滴は、約0.4μm~約5μmのMMADを有する。いくつかの実施形態において、少なくとも60%、65%、70%、75%、80%、90%、又は95%の液滴は、約0.4μm~約7μm、又は約0.5μm~約5μm、又は約0.7μm~約4μm、又は約0.7μm~約3.5μm、又は約0.8μm~約3.5μm、又は約0.9μm~約3.5μm、又は約0.9μm~約3μm、又は約0.8μm~約1.8μm、又は約0.8μm~約1.6μm、又は約0.9μm~約1.4μm、又は約1.0μm~約2.0μm、又は約1.0μm~約1.8μm及びこれらの間の全ての範囲のMMADを有する。いくつかの実施形態において、少なくとも60%、65%、70%、75%、80%、90%、又は95%の液滴は、約0.8μm~約1.6μm、又は約0.9μm~約3.5μm、又は約0.9μm~約3μm、又は約0.9μm~約1.4μm、又は約1.0μm~約2.0μm、又は約1.0μm~約1.8μm及びこれらの間の全ての範囲のMMADを有する。いくつかの実施形態において、複数の液滴は、約10μm未満のD90を有する。例えば、いくつかの実施形態において、複数の液滴は、約10μm、9μm、8μm、7μm、6μm、5μm、4μm、3μm、2μm、又は約1μm未満のD90を有する。いくつかの実施形態において、複数の液滴は約3μm未満のD90を有する。いくつかの実施形態において、複数の液滴は、約1μm~約5μm、又は約2μm~約6μm、又は約2μm~約4μm、又は約2μm~約3μm、又は約1μm~約4μm、又は約1μm~約3μmの範囲のD90を有する。
【0139】
[0153] いくつかの実施形態において、複数の液滴は連続気相に分散されている。
【0140】
[0154] いくつかの実施形態において、エアゾールは本明細書に開示されるBT化合物を含む。
【0141】
[0155] 現在開示されている組成物のいくつかの実施形態において、少なくとも60%、65%、70%、75%、80%、90%、又は95%の粒子/微粒子は、約0.6μm~約2.5μmの体積平均径を有する。いくつかの実施形態において、実質的に全ての粒子/微粒子が、約0.6μm~約2.5μmのVMDを有する。いくつかの実施形態において、少なくとも70%の分散された液滴が、約0.9μm~約3μmのMMADを有する。いくつかの実施形態において、組成物は、約0.6μm~約2.5μmの体積平均径(VMD)及び/又は約0.9μm~約3μmの空気力学的質量中位径(MMAD)を有する粒子/微粒子の懸濁液である。いくつかの実施形態において、ビスマス-チオール(BT)組成物は、BT化合物を含む複数の粒子/微粒子を含み、実質的に全ての前記粒子/微粒子が約0.4μm~約5μmの体積平均径を有し、BT化合物はBisEDT又はBisBALである。いくつかの実施形態において、BT化合物はBisEDTである。
【0142】
[0156] いくつかの実施形態において、本明細書に開示される組成物は、ネブライザーによりエアゾール化される。例えば、ネブライザーは、ジェットネブライザー又は振動メッシュネブライザーである。いくつかの実施形態において、ジェットネブライザーは、Pari LC Plusジェットネブライザー又はPari LC SPRINTジェットネブライザーである。いくつかの実施形態において、ネブライザーは、約10~約40psig(例えば、20~25psig)の入口圧力を有する。いくつかの実施形態において、入口流は、約3L/分~約8L/分(例えば、5.2L/分)である。いくつかの実施形態において、排気流は、約3L/分~約8L/分(例えば、5L/分)である。
【0143】
[0157] 医薬組成物中の有効成分の実際の用量レベルは、患者にとって毒性であることなく、特定の患者、組成物、及び投与様式のために、所望の治療反応を達成するのに有効である量の有効成分を得るために変えることができる。
【0144】
[0158] 選択される用量レベルは、利用される特定の化合物又は化合物の組合せ又はそのエステル、塩若しくはアミドの活性、投与経路、投与の時間、利用されている特定の化合物の排泄速度、治療期間、利用されている特定の化合物と組み合わせて使用される他の薬物、化合物及び/又は材料、治療されている対象の年齢、性別、体重、状態、全般的な健康及び以前の病歴、並びに医療の分野に周知である同様の因子を含む種々の因子に依存するだろう。
【0145】
[0159] 当技術分野の通常の技量を有する医師又は獣医は、必要とされる医薬組成物の治療上有効な量を容易に決定し、処方できる。例えば、医師又は獣医であれば、医薬組成物又は化合物の投与を、所望の治療効果を達成するために要求されるより低いレベルで開始し、所望の効果が達成されるまで用量を徐々に増加させることができる。「治療上有効な量」は、所望の治療効果を引き出すために充分である化合物の濃度を意味する。化合物の有効量が、対象の体重、性別、年齢、及び病歴によって変わることが一般的に理解される。有効量に影響する他の因子は、対象の病態の重症度、治療されている障害、化合物の安定性、及び、所望の場合、本開示の化合物と共に投与されている別の種類の治療剤を含み得るがこれらに限定されない。より大きい総投与量は、薬剤の反復投与により送達できる。効能及び用量を決定する方法は当業者に公知である(参照により本明細書に組み込まれるIsselbacher et al. (1996) Harrison’s Principles of Internal Medicine 13 ed., 1814-1882)。
【0146】
[0160] 一般に、本開示の組成物及び方法に使用される活性化合物の好適な投与量は、治療効果を生み出すのに有効な最低投与量である化合物の量だろう。そのような有効な投与量は、一般的に、上述の因子に依存だろう。
【0147】
番号づけされた実施形態
1.非結核性抗酸菌(NTM)により起こされる対象の感染症を治療する方法であって、対象に、BT化合物を含む有効量のビスマス-チオール(BT)組成物を投与することを含む方法。
2.感染症が肺感染症である、実施形態1の方法。
3.感染症が肺外の感染症である、実施形態1の方法。
4.NTM感染症が、NTMの抗生物質耐性株により起こされる、実施形態1~3のいずれか1つの方法。
5.NTM感染症が、M.アビウム(M. avium)、M.アビウム亜種ホミニスイス(M. avium subsp. hominissuis)(MAH)、M.アブセッサス(M. abscessus)、M.ケロネー(M. chelonae)、M.ボレッティ(M. bolletii)、M.カンサシ(M. kansasii)、M.ウルセランス(M. ulcerans)、M.アビウムコンプレックス(M. avium complex)(MAC)(M.アビウム(M. avium)及びM.イントラセルラーレ(M. intracellulare))、M.コンスピキュウム(M. conspicuum)、M.カンサシ(M. kansasii)、M.ペレグリナム(M. peregrinum)、M.イムノゲナム(M. immunogenum)、M.ゼノピ(M. xenopi)、M.マリヌム(M. marinum)、M.マルモエンセ(M. malmoense)、M.マリヌム(M. marinum)、M.ムコゲニカム(M. mucogenicum)、M.ノンクロモジェニカム(M. nonchromogenicum)、M.スクロフラセウム(M. scrofulaceum)、M.シミアエ(M. simiae)、M.スメグマティス(M. smegmatis)、M.ツルガイ(M. szulgai)、M.テラエ(M. terrae)、M.テラエコンプレックス(M. terrae complex)、M.ヘモフィルム(M. haemophilum)、M.ゲナベンス(M. genavense)、M.アシアチカム(M. asiaticum)、M.シモイデイ(M. shimoidei)、M.ゴルドネ(M. gordonae)、M.ノンクロモジェニカム(M. nonchromogenicum)、M.トリプレックス(M. triplex)、M.レンチフラバム(M. lentiflavum)、M.セラタム(M. celatum)、M.フォーチュイタム(M. fortuitum)、M.フォーチュイタムコンプレックス(M. fortuitum complex)(M.フォーチュイタム(M. fortuitum)及びM.ケロネー(M. chelonae))、又はこれらの組合せにより起こされる、実施形態1~4のいずれか1つの方法。
6.NTM感染症が、M.アブセッサス(M. abscessus)、M.アビウム(M. avium)、又はこれらの組合せにより起こされる、実施形態1~4のいずれか1つの方法。
7.NTM肺感染症が、M.アビウムコンプレックス(M. avium complex)(M.アビウム(M. avium)及びM.イントラセルラーレ(M. intracellulare))により起こされる、実施形態1~4のいずれか1つの方法。
8.M.アビウム(M. avium)が、M.アビウム亜種ホミニスイス(M. avium subsp. hominissuis)である、実施形態5~7のいずれか1つの方法。
9.NTM感染症が、バイオフィルム関連NTM感染症である、実施形態1~8のいずれか1つの方法。
10.NTM感染症が慢性肺感染症である、実施形態1、2及び4~9のいずれか1つの方法。
11.NTM感染が、肺粘膜、気管支、肺胞、マクロファージ、及び/又は細気管支中又はその上に位置する、実施形態1~10のいずれか1つの方法。
12.NTM感染が、少なくとも部分的にマクロファージ中に位置する、実施形態1~11のいずれか1つの方法。
13.マクロファージがTHP-1マクロファージである、実施形態11又は12の方法。
14.BT組成物の対象への投与時に、マクロファージ中の細菌負荷が減少する、実施形態11~13のいずれか1つの方法。
15.マクロファージが、M.アブセッサス(M. abscessus)及び/又はM.アビウム(M. avium)の1つ以上の株に感染している、実施形態11~14のいずれか1つの方法。
16.NTM感染症が、アミカシンによる治療に対して耐性がある、実施形態1~15のいずれか1つの方法。
17.NTM感染症が、マクロライド又はアザライド療法に対して耐性がある、実施形態1~16のいずれか1つの方法。
18.対象が慢性の肺病態を有する、実施形態1~17のいずれか1つの方法。
19.慢性の肺病態が、嚢胞性線維症、慢性気管支炎、肺気腫、気管支拡張症、肺線維症、アスベスト症、肺臓炎、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、又は喘息である、実施形態18の方法。
20.慢性の肺病態が嚢胞性線維症である、実施形態18又は19の方法。
21.対象が、投与あたり約30μg~約3,000μgのBT化合物を投与される、実施形態1~20のいずれか1つの方法。
22.対象が、投与あたり約100μg~約1,000μgのBT化合物を投与される、実施形態21の方法。
23.BT組成物が、1月あたり1回、1月あたり2回、1月あたり3回、1月あたり4回、2週ごとに1回、1週あたり1回、1週あたり2回、又は1週あたり3回投与される、実施形態1~22のいずれか1つの方法。
24.BT組成物が、1日1回又は2回投与される、実施形態1~23のいずれか1つの方法。
25.BT化合物が、対象の肺に投与される、実施形態1~24のいずれか1つの方法。
26.BT化合物が、吸入により投与される、実施形態1~25のいずれか1つの方法。
27.BT組成物が、24か月未満、18か月未満、12か月未満、9か月未満、6か月未満、3か月未満、又は1か月未満の期間投与される、実施形態1~26のいずれか1つの方法。
28.BT組成物が、1日~56日の期間投与される、実施形態1~27のいずれか1つの方法。
29.BT組成物が、14日~28日の期間投与される、実施形態1~27のいずれか1つの方法。
30.単回1日量後の肺内のビスマスの濃度が、約0.03μg/g肺組織~約3μg/g肺組織である、実施形態25~29のいずれか1つの方法。
31.28回の1日量後の肺内のビスマスの濃度が、約0.3μg/g肺組織~約60μg/g肺組織である、実施形態25~29のいずれか1つの方法。
32.BT化合物が、BisBAL、BisEDT、ビス-ジメルカプロール、BisDTT、ビス-2-メルカプトエタノール、BisDTE、BisPyr、BisEry、BisTol、BisBDT、BisPDT、BisPyr/BAL、BisPyr/BDT、BisPyr/EDT、BisPyr/PDT、BisPyr/Tol、BisPyr/Ery、ビスマス-1-メルカプト-2-プロパノール、BisEDT/CSTMN(1:1)、BisPyr/CSTMN(1:1)、BisBAL/CSTMN(1:1)、BisTOL/CSTMN(1:1)、及びBisEDT/2-ヒドロキシ-1-プロパンチオールから選択される、実施形態1~31のいずれか1つの方法。
33.BT化合物が、BisEDT、BisBAL、BisPyr、BisEry、BisTol、BisBDT、又はBisEDT/2-ヒドロキシ-1-プロパンチオールから選択される、実施形態32の方法。
34.BT化合物が、BisEDT又はBisBALである、実施形態32の方法。
35.BT化合物がBisEDTである、実施形態32の方法。
36.有効量のアミカシン、クラリスロマイシン、アジスロマイシン、エタンブトール、リファンピシン、チゲサイクリン、リネゾリド、イミペネム、セフォキシチン、又はこれらの組合せを、必要とする対象に投与することをさらに含む、実施形態1~35のいずれか1つの方法。
37.マクロファージ感染を有する対象のNTM感染症を治療する方法であって、対象に、BT化合物を含む有効量のビスマス-チオール(BT)組成物を投与することを含む方法。
38、対象由来の生体試料中の細菌感染マクロファージの存在に関して試験すること、及び試料が細菌感染マクロファージに関して陽性であるという結果の場合、有効量のビスマス-チオール(BT)組成物を、対象に投与することをさらに含む、実施形態37の方法。
39.マクロファージ細胞がTHP-1細胞である、実施形態37又は38の方法。
40.NTM感染症が、M.アビウム(M. avium)、M.アビウム亜種ホミニスイス(M. avium subsp. hominissuis)(MAH)、M.アブセッサス(M. abscessus)、M.ケロネー(M. chelonae)、M.ボレッティ(M. bolletii)、M.カンサシ(M. kansasii)、M.ウルセランス(M. ulcerans)、M.アビウムコンプレックス(M. avium complex)(MAC)(M.アビウム(M. avium)及びM.イントラセルラーレ(M. intracellulare))、M.コンスピキュウム(M. conspicuum)、M.カンサシ(M. kansasii)、M.ペレグリナム(M. peregrinum)、M.イムノゲナム(M. immunogenum)、M.ゼノピ(M. xenopi)、M.マリヌム(M. marinum)、M.マルモエンセ(M. malmoense)、M.マリヌム(M. marinum)、M.ムコゲニカム(M. mucogenicum)、M.ノンクロモジェニカム(M. nonchromogenicum)、M.スクロフラセウム(M. scrofulaceum)、M.シミアエ(M. simiae)、M.スメグマティス(M. smegmatis)、M.ツルガイ(M. szulgai)、M.テラエ(M. terrae)、M.テラエコンプレックス(M. terrae complex)、M.ヘモフィルム(M. haemophilum)、M.ゲナベンス(M. genavense)、M.アシアチカム(M. asiaticum)、M.シモイデイ(M. shimoidei)、M.ゴルドネ(M. gordonae)、M.ノンクロモジェニカム(M. nonchromogenicum)、M.トリプレックス(M. triplex)、M.レンチフラバム(M. lentiflavum)、M.セラタム(M. celatum)、M.フォーチュイタム(M. fortuitum)、M.フォーチュイタムコンプレックス(M. fortuitum complex)(M.フォーチュイタム(M. fortuitum)及びM.ケロネー(M. chelonae))、又はこれらの組合せにより起こされる、実施形態37~39のいずれか1つの方法。
41.NTM感染症が、M.アブセッサス(M. abscessus)、M.アビウム(M. avium)、M.イントラセルラーレ(M. intracellulare)、M.フォーチュイタム(M. fortuitum)、M.ゴルドネ(M. gordonae)、M.カンサシ(M. kansasii)、M.アビウムコンプレックス(M. avium complex)、M.マリヌム(M. marinum)、M.テラエ(M. terrae)、M.ケロニ(M. cheloni)、又はこれらの組合せにより起こされる、実施形態37~40のいずれか1つの方法。
42.NTM感染症が、M.アブセッサス(M. abscessus)、M.アビウム(M. avium)、又はこれらの組合せにより起こされる、実施形態37~40のいずれか1つの方法。
43.NTM肺感染症が、M.アビウムコンプレックス(M. avium complex)(M.アビウム(M. avium)及びM.イントラセルラーレ(M. intracellulare))により起こされる、実施形態37~40のいずれか1つの方法。
44.M.アビウム(M. avium)が、M.アビウム亜種ホミニスイス(M. avium subsp. hominissuis)である、実施形態40~43のいずれか1つの方法。
45.NTM感染症が、バイオフィルム関連NTM感染症である、実施形態37~44のいずれか1つの方法。
46.BT化合物が、BisBAL、BisEDT、ビス-ジメルカプロール、BisDTT、ビス-2-メルカプトエタノール、BisDTE、BisPyr、BisEry、BisTol、BisBDT、BisPDT、BisPyr/BAL、BisPyr/BDT、BisPyr/EDT、BisPyr/PDT、BisPyr/Tol、BisPyr/Ery、ビスマス-1-メルカプト-2-プロパノール、BisEDT/CSTMN(1:1)、BisPyr/CSTMN(1:1)、BisBAL/CSTMN(1:1)、BisTOL/CSTMN(1:1)、及びBisEDT/2-ヒドロキシ-1-プロパンチオールから選択される、実施形態37~45のいずれか1つの方法。
47.BT化合物が、BisEDT又はBisBALである、実施形態37~45のいずれか1つの方法。
48.BT化合物がBisEDTである、実施形態37~45のいずれか1つの方法。
49.BT組成物が、1月あたり1回、1月あたり2回、1月あたり3回、1月あたり4回、2週ごとに1回、1週あたり1回、1週あたり2回、又は1週あたり3回投与される、実施形態37~48のいずれか1つの方法。
50.BT組成物が、1日1回又は2回投与される、実施形態37~48のいずれか1つの方法。
51.BT組成物が、24か月未満、18か月未満、12か月未満、9か月未満、6か月未満、3か月未満、又は1か月未満の期間投与される、実施形態37~50のいずれか1つの方法。
52.BT化合物が、1日~56日の期間投与される、実施形態37~51のいずれか1つの方法。
53.BT化合物が、14日~28日の期間投与される、実施形態37~52のいずれか1つの方法。
54.有効量のアミカシン、クラリスロマイシン、アジスロマイシン、エタンブトール、リファンピシン、チゲサイクリン、リネゾリド、イミペネム、セフォキシチン、又はこれらの組合せを、それを必要とする対象に投与することをさらに含む実施形態37~52のいずれか1つの方法。
55.アミカシンを、それを必要とする対象に投与することをさらに含む、実施形態37~53のいずれか1つの方法。
56.アミカシン、クラリスロマイシン、アジスロマイシン、エタンブトール、リファンピシン、チゲサイクリン、リネゾリド、イミペネム、セフォキシチン、又はこれらの組合せの有効量が、BT組成物なしに投与される場合、NTM感染症の治療において効果がない量である、実施形態55の方法。
57.有効量のBT組成物及び有効量のアミカシンの投与が、NTM感染症の治療において相乗効果をもたらす、実施形態55の方法。
58.対象が慢性の肺病態を有する、実施形態37~57のいずれか1つの方法。
59.慢性の肺病態が、嚢胞性線維症、慢性気管支炎、肺気腫、気管支拡張症、肺線維症、アスベスト症、肺臓炎、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、又は喘息である、実施形態58の方法。
60.慢性の肺病態が嚢胞性線維症である、実施形態58又は59のいずれか1つの方法。
61.対象が、1日あたり約30μg~約3,000μgのBT化合物を投与される、実施形態37~60のいずれか1つの方法。
62.対象が、1日あたり約100μg~約1,000μgのBT化合物を投与される、実施形態37~60のいずれか1つの方法。
63.BT組成物が、対象の肺に投与される、実施形態37~62のいずれか1つの方法。
64.BT組成物が吸入により投与される、実施形態37~63のいずれか1つの方法。
65.単回1日量後の肺内のビスマスの濃度が、約0.03μg/g肺組織~約3μg/g肺組織である、実施形態63又は64の方法。
66.28回の1日量後の肺内のビスマスの濃度が、約0.3μg/g肺組織~約60μg/g肺組織である、実施形態63~65のいずれか1つの方法。
67.治療を必要とする対象が、以前にNTM療法に対して無反応であった、実施形態37~66のいずれか1つの方法。
68.治療を必要とする対象が、以前にアミカシンに対して無反応であった、実施形態37~67のいずれか1つの方法。
69.対象のNTM細胞内細菌負荷を減少させる方法であって、対象の感染細胞を、BT化合物を含む有効量のビスマス-チオール(BT)組成物と接触させることを含む方法。
70.細胞が、M.アビウム(M. avium)、M.アビウム亜種ホミニスイス(M. avium subsp. hominissuis)(MAH)、M.アブセッサス(M. abscessus)、M.ケロネー(M. chelonae)、M.ボレッティ(M. bolletii)、M.カンサシ(M. kansasii)、M.ウルセランス(M. ulcerans)、M.アビウムコンプレックス(M. avium complex)(MAC)(M.アビウム(M. avium)及びM.イントラセルラーレ(M. intracellulare))、M.コンスピキュウム(M. conspicuum)、M.カンサシ(M. kansasii)、M.ペレグリナム(M. peregrinum)、M.イムノゲナム(M. immunogenum)、M.ゼノピ(M. xenopi)、M.マリヌム(M. marinum)、M.マルモエンセ(M. malmoense)、M.マリヌム(M. marinum)、M.ムコゲニカム(M. mucogenicum)、M.ノンクロモジェニカム(M. nonchromogenicum)、M.スクロフラセウム(M. scrofulaceum)、M.シミアエ(M. simiae)、M.スメグマティス(M. smegmatis)、M.ツルガイ(M. szulgai)、M.テラエ(M. terrae)、M.テラエコンプレックス(M. terrae complex)、M.ヘモフィルム(M. haemophilum)、M.ゲナベンス(M. genavense)、M.アシアチカム(M. asiaticum)、M.シモイデイ(M. shimoidei)、M.ゴルドネ(M. gordonae)、M.ノンクロモジェニカム(M. nonchromogenicum)、M.トリプレックス(M. triplex)、M.レンチフラバム(M. lentiflavum)、M.セラタム(M. celatum)、M.フォーチュイタム(M. fortuitum)、M.フォーチュイタムコンプレックス(M. fortuitum complex)(M.フォーチュイタム(M. fortuitum)及びM.ケロネー(M. chelonae))、又はこれらの組合せに感染している、実施形態69の方法。
71.細胞が、M.アブセッサス(M. abscessus)、M.アビウム(M. avium)、M.イントラセルラーレ(M. intracellulare)、M.フォーチュイタム(M. fortuitum)、M.ゴルドネ(M. gordonae)、M.カンサシ(M. kansasii)、M.アビウムコンプレックス(M. avium complex)、M.マリヌム(M. marinum)、M.テラエ(M. terrae)、M.ケロニ(M. cheloni)、又はこれらの組合せに感染している、実施形態69又は70の方法。
72.細胞が、M.アブセッサス(M. abscessus)、M.アビウム(M. avium)、又はこれらの組合せに感染している、実施形態69~71のいずれか1つの方法。
73.細胞が、M.アビウムコンプレックス(M. avium complex)(M.アビウム(M. avium)及びM.イントラセルラーレ(M. intracellulare))に感染している、実施形態69~71のいずれか1つの方法。
74.M.アビウム(M. avium)感染症が、M.アビウム亜種ホミニスイス(M. avium subsp. hominissuis)感染症である、実施形態70~73のいずれか1つの方法。
75.感染細胞がマクロファージである、実施形態69~74のいずれか1つの方法。
76.マクロファージが、THP-1マクロファージである、実施形態75の方法。
77.細胞をBT組成物と接触させることが、BT化合物の貪食をもたらす、実施形態69~76のいずれか1つの方法。
78.細胞内細菌負荷が、約10分の1~約1000分の1に減少する、実施形態77の方法。
79.細胞内細菌負荷が、約10分の1、約50分の1、約100分の1、約250分の1、約500分の1、又は約1000分の1に減少する、実施形態77又は78の方法。
80.細胞をBT組成物と接触させることが、細胞内細菌負荷が増加することを妨げる、実施形態69~76のいずれか1つの方法。
81.マクロファージが、M.アブセッサス(M. abscessus)の1つ以上の株に感染している、実施形態75~80のいずれか1つの方法。
82.マクロファージが、M.アビウム(M. avium)の1つ以上の株に感染している、実施形態75~80のいずれか1つの方法。
83.BT組成物が、BisBAL、BisEDT、ビス-ジメルカプロール、BisDTT、ビス-2-メルカプトエタノール、Bis-DTE、BisPyr、BisEry、BisTol、BisBDT、BisPDT、BisPyr/BAL、BisPyr/BDT、BisPyr/EDT、BisPyr/PDT、BisPyr/Tol、BisPyr/Ery、ビスマス-1-メルカプト-2-プロパノール、BisEDT/CSTMN(1:1)、BisPyr/CSTMN(1:1)、BisBAL/CSTMN(1:1)、BisTOL/CSTMN(1:1)、及びBisEDT/2-ヒドロキシ-1-プロパンチオールからなる群から選択されるBT化合物を含む、実施形態69~82のいずれか1つの方法。
84.BT化合物が、BisEDT、BisBAL、BisPyr、BisEry、BisTol、BisBDT、又はBisEDT/2-ヒドロキシ-1-プロパンチオールからなる群から選択される、実施形態69~82のいずれか1つの方法。
85.BT化合物が、BisEDT又はBisBALである、実施形態69~82のいずれか1つの方法。
86.BT化合物がBisEDTである、実施形態69~82のいずれか1つの方法。
87.BT化合物が静菌効果を示す、実施形態69~86のいずれか1つの方法。
88.BT化合物が殺菌効果を示す、実施形態69~86のいずれか1つの方法。
89.対象が肺感染症を有する、実施形態69~88のいずれか1つの方法。
90.肺感染症が慢性の肺病態である、実施形態89の方法。
91.慢性の肺病態が、嚢胞性線維症、慢性気管支炎、肺気腫、気管支拡張症、肺線維症、アスベスト症、肺臓炎、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、又は喘息である、実施形態90の方法。
92.慢性の肺病態が嚢胞性線維症である、実施形態90の方法。
93.対象が、1日あたり約30μg~約3,000μgのBT化合物を投与される、実施形態69~92のいずれか1つの方法。
94.対象が、1日あたり約100μg~約1,000μgのBT化合物を投与される、実施形態69~92のいずれか1つの方法。
95.BT組成物が、1月あたり1回、1月あたり2回、1月あたり3回、1月あたり4回、2週ごとに1回、1週あたり1回、1週あたり2回、又は1週あたり3回投与される、実施形態69~94のいずれか1つの方法。
96.BT組成物が、1日1回又は2回投与される、実施形態69~95のいずれか1つの方法。
97.BT組成物が、対象の肺に投与される、実施形態69~96のいずれか1つの方法。
98.BT組成物が、吸入により投与される、実施形態69~97のいずれか1つの方法。
99.BT組成物が、24か月未満、18か月未満、12か月未満、9か月未満、6か月未満、3か月未満、又は1か月未満の期間投与される、実施形態69~98のいずれか1つの方法。
100.BT組成物が、1日~56日の期間投与される、実施形態69~98のいずれか1つの方法。
101.BT組成物が、14日~28日の期間投与される、実施形態69~98のいずれか1つの方法。
102.単回1日量後の肺内の濃度ビスマス(concentration bismuth)が、約0.03μg/g肺組織~約3μg/g肺組織である、実施形態97~101のいずれか1つの方法。
103.28の1日量後の肺内のビスマスの濃度が、約0.3μg/g肺組織~約60μg/g肺組織である、実施形態97~101のいずれか1つの方法。
104.対象の感染細胞をアミカシンと接触させることをさらに含む、実施形態69~103のいずれか1つの方法。
105.感染細胞を、BT組成物とアミカシンの組合せと接触させることが、細胞内細菌負荷の減少において相乗効果を示す、実施形態104の方法。
106.治療又は予防を必要とする対象の非結核性抗酸菌(NTM)肺感染症を治療するか、又はそれに対する予防を提供する方法であって、
対象の肺に、投与期間の間、BT化合物を含むBT組成物を投与することを含む方法。
107.患者の肺に投与することが、BT組成物をエアゾール化して、エアゾール化BT組成物を提供すること及びエアゾール化BT組成物を対象の肺に投与することを含む、実施形態106の方法。
108.エアゾール化BT組成物を対象の肺に投与することが、ネブライザー、ドライパウダー吸入、ナノ粒子吸入、又は定量噴霧吸入によるものである、実施形態107の方法。
109.エアゾール化BT組成物が、1日あたり1回、単一の投薬セッションで投与期間の間投与される、実施形態106~108のいずれか1つの方法。
110.単一の投薬セッションの間、エアゾール化BT組成物が、約75分未満、約60分未満、約30分未満、約15分未満、又は約5分未満で投与される、実施形態109の方法。
111.単一の投薬セッションの間、エアゾール化BT組成物が、約60~約75分、約45分~約60分、約30分~約45分、約20分~約30分、又は約15分~約20分で投与される、実施形態106の方法。
112.エアゾール化BT組成物が、1週間、2週間、3週間、4週間、1か月、2か月、3か月、4か月、5か月、又は6か月治療期間にわたり投与される、実施形態106~111のいずれか1つの方法。
113.エアゾール化BT組成物が、6か月治療期間にわたり投与される、実施形態106~111のいずれか1つの方法。
114.予防の治療(treatment of prophylaxis)を必要とする対象が、嚢胞性線維症、気管支拡張症、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、又は喘息を有する、実施形態106~111のいずれか1つの方法。
115.治療又は予防を必要とする対象が嚢胞性線維症を有する、実施形態106~111のいずれか1つの方法。
116.治療又は予防を必要とする対象が、以前にNTM療法に対して無反応であった、実施形態106~115のいずれか1つの方法。
117.治療又は予防を必要とする対象が、以前にアミカシンに対して無反応であった、実施形態106~116のいずれか1つの方法。
118.治療又は予防を必要とする対象が、糖尿病、僧帽弁障害、急性気管支炎、肺高血圧、肺炎、喘息、気管癌、気管支癌、肺癌、嚢胞性線維症、肺線維症、喉頭奇形、気管奇形、気管支奇形、アスペルギルス症、HIV及び気管支拡張症からなる群から選択される併発する病態を有する、実施形態106~117のいずれか1つの方法。
119.NTM肺感染症が、M.アビウム(M. avium)、M.アビウム亜種ホミニスイス(M. avium subsp. hominissuis)(MAH)、M.アブセッサス(M. abscessus)、M.ケロネー(M. chelonae)、M.ボレッティ(M. bolletii)、M.カンサシ(M. kansasii)、M.ウルセランス(M. ulcerans)、M.アビウム(M. avium)、M.アビウムコンプレックス(M. avium complex)(MAC)(M.アビウム(M. avium)及びM.イントラセルラーレ(M. intracellulare))、M.コンスピキュウム(M. conspicuum)、M.カンサシ(M. kansasii)、M.ペレグリナム(M. peregrinum)、M.イムノゲナム(M. immunogenum)、M.ゼノピ(M. xenopi)、M.マリヌム(M. marinum)、M.マルモエンセ(M. malmoense)、M.マリヌム(M. marinum)、M.ムコゲニカム(M. mucogenicum)、M.ノンクロモジェニカム(M. nonchromogenicum)、M.スクロフラセウム(M. scrofulaceum)、M.シミアエ(M. simiae)、M.スメグマティス(M. smegmatis)、M.ツルガイ(M. szulgai)、M.テラエ(M. terrae)、M.テラエコンプレックス(M. terrae complex)、M.ヘモフィルム(M. haemophilum)、M.ゲナベンス(M. genavense)、M.アシアチカム(M. asiaticum)、M.シモイデイ(M. shimoidei)、M.ゴルドネ(M. gordonae)、M.ノンクロモジェニカム(M. nonchromogenicum)、M.トリプレックス(M. triplex)、M.レンチフラバム(M. lentiflavum)、M.セラタム(M. celatum)、M.フォーチュイタム(M. fortuitum)、M.フォーチュイタムコンプレックス(M. fortuitum complex)(M.フォーチュイタム(M. fortuitum)及びM.ケロネー(M. chelonae))、又はこれらの組合せである、実施形態106~117のいずれか1つの方法。
120.NTM肺感染症がM.アビウム(M. avium)感染症である、実施形態106~117のいずれか1つの方法。
121.M.アビウム(M. avium)感染症がM.アビウム亜種ホミニスイス(M. avium subsp. hominissuis)感染症である、実施形態120の方法。
122.NTM肺感染症が、M.アビウムコンプレックス(M. avium complex)(M.アビウム(M. avium)及びM.イントラセルラーレ(M. intracellulare))である、実施形態106~117のいずれか1つの方法。
123.NTM肺感染症がM.アブセッサス(M. abscessus)感染症である、実施形態106~117のいずれか1つの方法。
124.NTM肺感染症がマクロライド耐性NTM肺感染症である、実施形態106~123のいずれか1つの方法。
125.NTM肺感染症がバイオフィルム関連感染症である、実施形態106~124のいずれか1つの方法。
126.投与期間の間、又は投与期間の後に、対象が陰性へのNTM培養転換を示す、実施形態106~124のいずれか1つの方法。
127.陰性へのNTM培養転換に至る時間が、約10日、約20日、約30日、約40日、約50日、約60日、約70日、約80日、約90日、約100日又は約110日である、実施形態126の方法。
128.陰性へのNTM培養転換に至る時間が、約20日~約200日、約20日~約190日、約20日~約180日、約20日~約160日、約20日~約150日、約20日~約140日、約20日~約130日、約20日~約120日、約20日~約110日、約30日~約110日、又は約30日~約100日である、実施形態126の方法。
129.対象が、投与期間前の対象のFEVと比較して、投与期間が終了した後少なくとも15日間FEVの改善を経験する、実施形態106~128のいずれか1つの方法。
130.対象が、投与期間の前の対象の血中酸素飽和度と比較して、投与期間が終了した後少なくとも15日間血中酸素飽和度の改善を経験する、実施形態106~129のいずれか1つの方法。
131.対象のFEVが、投与期間の前の対象のFEVよりも少なくとも5%増加する、実施形態129の方法。
132.対象のFEVが、投与期間の前の対象のFEVよりも少なくとも10%増加する、実施形態129の方法。
133.対象のFEVが、投与期間の前の対象のFEVよりも少なくとも15%増加する、実施形態129の方法。
134.対象のFEVが、投与期間の前のFEVよりも5%~50%増加する、実施形態129の方法。
135.対象が、治療法を受ける前に対象により歩行されたメートル数と比較して、6分間歩行試験(6MWT)で歩行されたメートル数の増加を示す、実施形態106~134のいずれか1つの方法。
136.6MWTで歩行されたメートル数の増加が、少なくとも約5メートルである、実施形態135の方法。
137.6MWTで歩行されたメートル数の増加が、少なくとも約10メートルである、実施形態135の方法。
138.6MWTで歩行されたメートル数の増加が、約5メートル~約50メートルである、実施形態135の方法
139.6MWTで歩行されたメートル数の増加が、約15メートル~約50メートルである、実施形態135の方法。
140.BT組成物が、BisBAL、BisEDT、ビス-ジメルカプロール、BisDTT、ビス-2-メルカプトエタノール、Bis-DTE、BisPyr、BisEry、BisTol、BisBDT、BisPDT、BisPyr/BAL、BisPyr/BDT、BisPyr/EDT、BisPyr/PDT、Bis-Pyr/Tol、BisPyr/Ery、ビスマス-1-メルカプト-2-プロパノール、BisEDT/CSTMN(1:1)、BisPyr/CSTMN(1:1)、BisBAL/CSTMN(1:1)、BisTOL/CSTMN(1:1)、及びBisEDT/2-ヒドロキシ-1-プロパンチオールからなる群から選択されるBT化合物を含む、実施形態106~139のいずれか1つの方法。
141.BT化合物が、BisEDT、BisBAL、BisPyr、BisEry、BisTol、BisBDT、又はBisEDT/2-ヒドロキシ-1-プロパンチオールからなる群から選択される、実施形態106~139のいずれか1つの方法。
142.BT化合物が、BisEDT又はBisBALである、実施形態106~139のいずれか1つの方法。
143.BT化合物がBisEDTである、実施形態106~139のいずれか1つの方法。
144.単回1日量後の肺内のビスマスの濃度が、約0.03μg/g肺組織~約3μg/g肺組織である、実施形態106~143のいずれか1つの方法。
145.必要とする対象の肺の中のバイオフィルム関連非結核性抗酸菌(NTM)感染症を治療する方法であって、対象に、BT化合物を含むBT組成物を投与することを含む方法。
146.対象が慢性の肺病態を有する、実施形態145の方法。
147.慢性の肺病態が、嚢胞性線維症、慢性気管支炎、肺気腫、気管支拡張症、肺線維症、アスベスト症、肺臓炎、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、又は喘息である、実施形態146の方法。
148.慢性の肺病態が嚢胞性線維症である、実施形態145又は146の方法。
149.バイオフィルムが、微生物の抗生物質耐性株により起こされる、実施形態145~148のいずれか1つの方法。
150.NTM肺感染症が、M.アビウム(M. avium)、M.アビウム亜種ホミニスイス(M. avium subsp. hominissuis)(MAH)、M.アブセッサス(M. abscessus)、M.ケロネー(M. chelonae)、M.ボレッティ(M. bolletii)、M.カンサシ(M. kansasii)、M.ウルセランス(M. ulcerans)、M.アビウム(M. avium)、M.アビウムコンプレックス(M. avium complex)(MAC)(M.アビウム(M. avium)及びM.イントラセルラーレ(M. intracellulare))、M.コンスピキュウム(M. conspicuum)、M.カンサシ(M. kansasii)、M.ペレグリナム(M. peregrinum)、M.イムノゲナム(M. immunogenum)、M.ゼノピ(M. xenopi)、M.マリヌム(M. marinum)、M.マルモエンセ(M. malmoense)、M.マリヌム(M. marinum)、M.ムコゲニカム(M. mucogenicum)、M.ノンクロモジェニカム(M. nonchromogenicum)、M.スクロフラセウム(M. scrofulaceum)、M.シミアエ(M. simiae)、M.スメグマティス(M. smegmatis)、M.ツルガイ(M. szulgai)、M.テラエ(M. terrae)、M.テラエコンプレックス(M. terrae complex)、M.ヘモフィルム(M. haemophilum)、M.ゲナベンス(M. genavense)、M.アシアチカム(M. asiaticum)、M.シモイデイ(M. shimoidei)、M.ゴルドネ(M. gordonae)、M.ノンクロモジェニカム(M. nonchromogenicum)、M.トリプレックス(M. triplex)、M.レンチフラバム(M. lentiflavum)、M.セラタム(M. celatum)、M.フォーチュイタム(M. fortuitum)、M.フォーチュイタムコンプレックス(M. fortuitum complex)(M.フォーチュイタム(M. fortuitum)及びM.ケロネー(M. chelonae))、又はこれらの組合せである、実施形態145~149のいずれか1つの方法。
151.NTM肺感染症がM.アビウム(M. avium)感染症である、実施形態145~149のいずれか1つの方法。
152.NTM肺感染症が、M.アビウムコンプレックス(M. avium complex)(M.アビウム(M. avium)及びM.イントラセルラーレ(M. intracellulare))である、実施形態145~149のいずれか1つの方法。
153.M.アビウム(M. avium)感染症が、M.アビウム亜種ホミニスイス(M. avium subsp. hominissuis)感染症である、実施形態150~152のいずれか1つの方法。
154.NTM肺感染症がM.アブセッサス(M. abscessus)感染症である、実施形態145~149のいずれか1つの方法。
155.BT組成物が、BisBAL、BisEDT、ビス-ジメルカプロール、BisDTT、ビス-2-メルカプトエタノール、Bis-DTE、BisPyr、BisEry、BisTol、BisBDT、BisPDT、BisPyr/BAL、BisPyr/BDT、BisPyr/EDT、BisPyr/PDT、Bis-Pyr/Tol、BisPyr/Ery、ビスマス-1-メルカプト-2-プロパノール、BisEDT/CSTMN(1:1)、BisPyr/CSTMN(1:1)、BisBAL/CSTMN(1:1)、BisTOL/CSTMN(1:1)、及びBisEDT/2-ヒドロキシ-1-プロパンチオールからなる群から選択されるBT化合物を含む、実施形態145~154のいずれか1つの方法。
156.BT化合物が、BisEDT、BisBAL、BisPyr、BisEry、BisTol、BisBDT、又はBisEDT/2-ヒドロキシ-1-プロパンチオールからなる群から選択される、実施形態145~154のいずれか1つの方法。
157.BT化合物が、BisEDT又はBisBALである、実施形態145~154のいずれか1つの方法。
158.BT化合物がBisEDTである、実施形態145~154のいずれか1つの方法。
159.対象が、1日あたり約30μg~約3,000μgのBT化合物を投与される、実施形態145~158のいずれか1つの方法。
160.対象が、1日あたり約100μg~約1,000μgのBT化合物を投与される、実施形態145~158のいずれか1つの方法。
161.BT組成物が、1月あたり1回、1月あたり2回、1月あたり3回、1月あたり4回、2週ごとに1回、1週あたり1回、1週あたり2回、又は1週あたり3回投与される、実施形態145~160のいずれか1つの方法。
162.BT組成物が、1日1回又は2回投与される、実施形態145~160のいずれか1つの方法。
163.BT化合物が、対象の肺に投与される、実施形態145~162のいずれか1つの方法。
164.BT化合物が、吸入により投与される、実施形態145~163のいずれか1つの方法。
165.BT組成物が、24か月未満、18か月未満、12か月未満、9か月未満、6か月未満、3か月未満、又は1か月未満の期間投与される、実施形態145~164のいずれか1つの方法。
165.BT組成物が1日~56日の期間投与される、実施形態145~164のいずれか1つの方法。
166.BT組成物が14日~28日の期間投与される、実施形態145~164のいずれか1つの方法。
167.単回1日量後の肺内のビスマスの濃度が、約0.03μg/g肺組織~約3μg/g肺組織である、実施形態145~166のいずれか1つの方法。
168.28回の1日量後の肺内のビスマスの濃度が、約0.3μg/g肺組織~約60μg/g肺組織である、実施形態145~166のいずれか1つの方法。
169.対象のNTM感染症を治療する方法であって、
(i)対象由来の生体試料中の細菌感染マクロファージの存在に関して試験すること;及び
(ii)試料が細菌感染マクロファージに関して陽性であるという結果の場合、BT化合物を含む有効量のビスマス-チオール(BT)組成物を対象に投与すること
を含む方法。
170.NTM感染症が肺感染症である、実施形態169の方法。
171.マクロファージが、M.アビウム(M. avium)、M.アビウム亜種ホミニスイス(M. avium subsp. hominissuis)(MAH)、M.アブセッサス(M. abscessus)、M.ケロネー(M. chelonae)、M.ボレッティ(M. bolletii)、M.カンサシ(M. kansasii)、M.ウルセランス(M. ulcerans)、M.アビウムコンプレックス(M. avium complex)(MAC)(M.アビウム(M. avium)及びM.イントラセルラーレ(M. intracellulare))、M.キマイラ(M. chimaera)、M.コンスピキュウム(M. conspicuum)、M.ペレグリナム(M. peregrinum)、M.イムノゲナム(M. immunogenum)、M.ゼノピ(M. xenopi)、M.マリヌム(M. marinum)、M.マルモエンセ(M. malmoense)、M.ムコゲニカム(M. mucogenicum)、M.ノンクロモジェニカム(M. nonchromogenicum)、M.スクロフラセウム(M. scrofulaceum)、M.シミアエ(M. simiae)、M.スメグマティス(M. smegmatis)、M.ツルガイ(M. szulgai)、M.テラエ(M. terrae)、M.テラエコンプレックス(M. terrae complex)、M.ヘモフィルム(M. haemophilum)、M.ゲナベンス(M. genavense)、M.ゴルドネ(M. gordonae)、M.フォーチュイタム(M. fortuitum)、M.フォーチュイタムコンプレックス(M. fortuitum complex)(M.フォーチュイタム(M. fortuitum)及びM.ケロネー(M. chelonae))、又はこれらの組合せの存在に関して試験される、実施形態169又は170の方法。
172.マクロファージが、M.アブセッサス(M. abscessus)、M.アビウム(M. avium)、M.イントラセルラーレ(M. intracellulare)、M.フォーチュイタム(M. fortuitum)、M.ゴルドネ(M. gordonae)、M.カンサシ(M. kansasii)、M.アビウムコンプレックス(M. avium complex)、M.マリヌム(M. marinum)、M.テラエ(M. terrae)、M.ケロニ(M. cheloni)、又はこれらの組合せの存在に関して試験される、実施形態169~171のいずれか1つの方法。
173.マクロファージが、M.アブセッサス(M. abscessus)、M.アビウム(M. avium)、又はこれらの組合せの存在に関して試験される、実施形態169~171のいずれか1つの方法。
174.マクロファージが、M.アビウムコンプレックス(M. avium complex)(M.アビウム(M. avium)及びM.イントラセルラーレ(M. intracellulare))の存在に関して試験される、実施形態169~171のいずれか1つの方法。
175.M.アビウム(M. avium)感染症が、M.アビウム亜種ホミニスイス(M. avium subsp. hominissuis)感染症である、実施形態171~174のいずれか1つの方法。
176.マクロファージが、M.アブセッサス(M. abscessus)の存在に関して試験される、実施形態169~171のいずれか1つの方法。
177.対象が、1日あたり約30μg~約3,000μgのBT化合物を投与される、実施形態169~176のいずれか1つの方法。
178.対象が、1日あたり約100μg~約1,000μgのBT化合物を投与される、実施形態169~176のいずれか1つの方法。
179.BT組成物が、1月あたり1回、1月あたり2回、1月あたり3回、1月あたり4回、2週ごとに1回、1週あたり1回、1週あたり2回、又は1週あたり3回投与される、実施形態169~178のいずれか1つの方法。
180.BT組成物が、1日1回又は2回投与される、実施形態169~179のいずれか1つの方法。
181.BT組成物が、対象の肺に投与される、実施形態169~180のいずれか1つの方法。
182.BT化合物が、吸入により投与される、実施形態169~181のいずれか1つの方法。
183.BT組成物が、24か月未満、18か月未満、12か月未満、9か月未満、6か月未満、3か月未満、又は1か月未満の期間投与される、実施形態169~182のいずれか1つの方法。
184.BT組成物が1日~56日の期間投与される、実施形態169~182のいずれか1つの方法。
185.BT組成物が14日~28日の期間投与される、実施形態169~182のいずれか1つの方法。
186.単回1日量後の肺内のビスマスの濃度が、約0.03μg/g肺組織~約3μg/g肺組織である、実施形態169~185のいずれか1つの方法。
187.28回の1日量後の肺内のビスマスの濃度が、約0.3μg/g肺組織~約60μg/g肺組織である、実施形態169~186のいずれか1つの方法。
188.BT化合物が、BisBAL、BisEDT、ビス-ジメルカプロール、BisDTT、ビス-2-メルカプトエタノール、Bis-DTE、BisPyr、BisEry、BisTol、BisBDT、BisPDT、BisPyr/BAL、BisPyr/BDT、BisPyr/EDT、BisPyr/PDT、Bis-Pyr/Tol、BisPyr/Ery、ビスマス-1-メルカプト-2-プロパノール、BisEDT/CSTMN(1:1)、BisPyr/CSTMN(1:1)、BisBAL/CSTMN(1:1)、BisTOL/CSTMN(1:1)、及びBisEDT/2-ヒドロキシ-1-プロパンチオールからなる群から選択される、実施形態169~187のいずれか1つの方法。
189.BT化合物が、BisEDT、BisBAL、BisPyr、BisEry、BisTol、BisBDT、又はBisEDT/2-ヒドロキシ-1-プロパンチオールからなる群から選択される、実施形態169~187のいずれか1つの方法。
190.BT化合物が、BisEDT又はBisBALである、実施形態169~187のいずれか1つの方法。
191.BT化合物がBisEDTである、実施形態169~187のいずれか1つの方法。
192.医薬組成物が、その中に懸濁しているBT化合物及び1種以上の薬学的に許容できる賦形剤を含み、組成物が、BT化合物を外用により対象の肺に投与するように製剤されている、実施形態1~191のいずれか1つの方法。
193.組成物がBT化合物を含む複数の粒子を含む、実施形態192の方法。
194.BT組成物が、約0.1mg/mL超の濃度のBT化合物、約0.05%~約1.0%のポリソルベート80、約0.05mM~40mMの塩化ナトリウム、及び任意選択で約2mM~20mMの約pH7.4のリン酸ナトリウムを含む、実施形態193の方法。
195.BT化合物がBisEDTである、実施形態194の方法。
196.対象の肺への局所投与が、BT組成物をエアゾール化して、エアゾール化BT組成物を提供し、エアゾール化BT組成物を対象の肺に投与することを含む、実施形態192~195のいずれか1つの方法。
197.エアゾール化BT組成物を対象の肺に投与することがネブライザーによるものである、実施形態196の方法。
198.エアゾール化BT組成物が、単一の投薬セッションで1日あたり1回投与期間の間投与される、実施形態196又は197の方法。
199.単一の投薬セッションの間、エアゾール化BT組成物が、約75分未満、約60分未満、約30分未満、約15分未満、又は約5分未満で投与される、実施形態198の方法。
200.単一の投薬セッションの間、エアゾール化BT組成物が、約60~約75分、約45分~約60分、約30分~約45分、約20分~約30分、又は約15分~約20分で投与される、実施形態198の方法。
【実施例
【0148】
実施例
[0161] 以下の実施例は本開示を説明するために提供され、それを限定すると解釈されるべきではない。
【0149】
[0162] 実施例1:BT化合物の代表的な合成
[0163] 20℃でシリンジポンプによるチオールの1.25時間の添加によるBisEDTの代表的な合成及び濾過のためのポリプロピレンクロス:BisEDT合成を10gスケールで実施した。1Lジャケット付き反応器に、USP水(480mL、48体積)を入れ、それに続いて70%HNO3(34mL、3.4体積)を入れた。次硝酸ビスマス(10g、6.84mmol)の水(43mL、4.3体積)及び70%HNO3(14mL、1.4体積)中の溶液を20℃で加えた。反応混合物を、95%エタノールの添加のために15℃に冷却した。次いで、95%エタノール(180mL、18体積)をゆっくりと加えた(エタノール添加は発熱性であり、温度は22℃に達した)。次いで、温度を調整して20℃に戻した。これに続いて、1,2エタンジチオール(95%エタノール94mL、9.4体積中4.3mL、7.5mmol)を1.25時間の期間にわたり、バッチ温度20℃で滴加し、その時間の間に黄色の懸濁液に変わった。反応物を20℃で一晩撹拌した。反応混合物をポリプロピレンクロスにより濾過し、95%エタノール(45mL、4.5体積)で洗浄した。ウェットケーキを反応器に戻し入れ、95%エタノール(380mL、38体積)中で、2時間20℃でスラリー化した。次いで、懸濁液を濾過し(同じクロス)、95%エタノール(30mL、3体積)で洗浄した。ウェットケーキを95%EtOH(170mL、17体積)中で、20℃で再びスラリー化し、濾過し(同じクロス)、95%エタノール(30mL、3体積)で洗浄した。次いで、ウェットケーキをアセトン(170mL、17体積)中で、20℃で一晩スラリー化し、それに続いて濾過し(同じクロス)、アセトン洗浄した(20mL、2体積)。アセトン(170ml、17体積)処理を固体に対して反復し、2時間撹拌した。懸濁液を濾過し(同じクロス)、アセトン(30mL、3体積)で洗浄し、45℃で死亡し(died)、45℃で乾燥させて(18時間)、鮮黄色の固体を得た(10.81g 91.0%)。
【0150】
[0164] 15℃でシリンジポンプによるチオールの1時間の添加によるBisEDTの代表的な合成及び濾過のためのポリプロピレンクロス:合成BisEDTを10gスケールで実施し、温度プロファイルをデータロガーにより調査した。エタンジチオールを15℃で1時間にわたり、シリンジポンプにより加え、PP濾過布を使用して濾過を実施した。1Lジャケット付き反応器に、USP水(480mL、48体積)を入れ、15℃に冷却し、それに続いて70%HNO3(34mL、3.4体積)を加えた。次硝酸ビスマス(10g、6.84mmol)の水(43mL、4.3体積)及び70%HNO3(14mL、1.4体積)中の溶液を同じ温度で加えた。次いで、95%エタノール(180mL、18体積)をゆっくりと加えた(エタノール添加は発熱性であり、温度は22.5℃に達した)。次いで、それを15℃に放冷した。それに続いて、1,2エタンジチオール(95%エタノール94mL、9.4体積中の4.3mL、7.5mmol)を1時間かけて、15℃のバッチ温度で滴加した。反応物を15℃で一晩撹拌した。反応混合物をポリプロピレンクロスにより濾過し、95%エタノール(45mL、4.5体積)で洗浄した。ウェットケーキを反応器に戻し入れ、95%エタノール(380mL、38体積)中で、2時間20℃でスラリー化した。次いで、懸濁液を濾過し(同じクロス)、95%エタノール(30mL、3体積)で洗浄した。ウェットケーキを、95%EtOH(170mL、17体積)中で、20℃で再びスラリー化し、濾過し(同じクロス)、95%エタノール(30mL、3体積)で洗浄した。次いで、ウェットケーキをアセトン(170mL、17体積)中で、20℃で一晩スラリー化し、それに続いて濾過し(同じクロス)、アセトン洗浄した(20mL、2体積)。アセトン(170ml、17体積)処理を固体に対して反復し、2時間撹拌した。懸濁液を濾過し(同じクロス)、アセトン(30mL、3体積)で洗浄し、45℃で死亡し、45℃で乾燥させて(18時間)、鮮黄色の固体を得た(10.43g 87.8%)。
【0151】
[0165] 実施例2:M.アビウム(M. avium)及びM.アブセッサス(M. abscessus)細菌株に対するBisEDT及び対照薬のMIC活性
[0166] 試験設計
[0167] マイコバクテリア株を使用して、BisEDT及びアミカシンのMICを決定した。株は、National Jewish Hospitalの嚢胞性線維症患者分離株を含んでいた。ある範囲の高投与量から低投与量の抗生物質を使用して、細菌感受性を決定した。10%OADC(オレイン酸、アルブミン、デキストロース、カタラーゼ)を補った7H10ミドルブルック培地プレート上で、M.アビウム(M. avium)株104、M.アビウム(M. avium)株3388、及びCF患者株DNA00133を対数期まで成長させ(7日)、M.アブセッサス(M. abscessus)株19977、CF患者株DNA00703、及びCF患者株DNA01715は、対数期を達成した(4日)。アミカシンでは、128μg/mlを、10%OADCを補った1mlの7H9ミドルブルックブロスに加え、次いで濃度が1ug/mlに達するまで1:1に希釈した。BisEDTでは、2種類の化合物物理的状態を試験した。最初に、BisEDTをDMSOに可溶化させた(さらに可溶性BisEDTと表示した)。第2に、BisEDTを懸濁液にして、インビボ試験を模倣した(さらに不溶性BisEDTと表示した)。各種類のBisEDTで、16μg/mlを、OADCを補った1mlの7H9ブロスに加え、次いで濃度が0.125μg/mlに達するまで1:1に希釈した。抗生物質を含まない対照チューブも、試験した各抗生物質に含めた。各株で10細菌の種菌を、595nmで光学濃度(O.D.)により測定した。10μlのこれらの種菌を各抗生物質チューブに加え、振盪インキュベーター内で、37℃及び200rpmでインキュベートした。成長が遅い株は、10日間のインキュベーション後に成長を測定し、成長が速い株は5日間インキュベートした。インキュベーション後に、各チューブから100μlを抜き取り、O.D.読取りのために96ウェルプレートに配置した。濁度により、感受性、中間、又は耐性菌を決定した。
【0152】
[0168] マイコバクテリア株のMIC活性:
[0169] M.アビウム(M. avium)株では、128ug/mlに耐性であったCF患者株(DNA00133)を例外として、アミカシンMICを8μg/mlであると決定した。可溶性BisEDTは、全株を4μg/mlで阻害し、不溶性BisEDTは、8μg/mlでアミカシン耐性患者株DNA0133の阻害を示した(表1)。
【0153】
【表2】
【0154】
[0170] M.アブセッサス(M. abscessus)株では、アミカシンによる様々な阻害があった。株19977は32μg/mlで感受性であり、患者由来の株00703は64μg/mlで感受性であり、患者由来の株01715は16ug/mlで感受性であった。表2のデータに示される通り、全てのM.アブセッサス(M. abscessus)株は、アミカシンよりもBisEDT製剤(1~4μg/ml)に対して感受性が高かった。
【0155】
【表3】
【0156】
[0171] 結論:BisEDTは、アミカシンと比べて16分の1~32分の1であったM.アブセッサス(M. abscessus)感染症の治療のためのMICを含み、改善されたインビトロ活性を実証した。
【0157】
[0172] 実施例3:M.アビウム(M. avium)又はM.アブセッサス(M. abscessus)に感染したTHP-1マクロファージのBisEDT処理
[0173] 目的
[0174] インビトロでM.アビウム(M. avium)及びM.アブセッサス(M. abscessus)レベルを減少させることにおけるBisEDTの効能を調査すること。
【0158】
[0175] 試験設計
[0176] THP-1マクロファージは、50ng/ml PMAにより24時間分化させ、それに続いて感染の前に24時間培地中に配置した。分化したTHP-1マクロファージを、M.アビウム(M. avium)株若しくはM.アブセッサス(M. abscessus)株に、1時間、感染多重度(MOI)5で感染させたか、又は感染させなかった。細胞を2回洗浄し、それに続いて200μg/mlのアミカシンにより1時間の抗生物質処理をして、細胞外細菌を除去した。抗生物質工程の後、細胞をもう1回洗浄して、BisEDT(BIZ)又はアミカシンを選択されたウェルに1回加えた(以下のインビトロ投与量参照)。処理は、ビヒクル、アミカシン、可溶性BisEDT(S Biz)、不溶性BisEDT(I Biz)、及びアミカシン+BisEDTを含んでいた。試料調製の時点は、M.アブセッサス(M. abscessus)株では感染の72時間後、M.アビウム(M. avium)株では感染の4及び7日後であった。示される時点で、細胞培地を除去し、溶解のために400ulのHO中0.1%triton x-100に替えた。ウェルを25回ピペット操作して(pipetted)、細胞を破壊し、次いで希釈して、CFU計数のためにプレーティングした。
【0159】
[0177] 結果
[0178] 各M.アビウム(M. avium)株に決定されたMIC(表3参照)を使用して、M.アビウム(M. avium)生存を、THP-1マクロファージ中で決定した(図1)。感染CFUを感染の1時間後に決定し、0日目/薬物前と表示した。図1(第1のパネル)に示されるように、未処理M.アビウム(M. avium)株104(ビヒクル)のCFU数は、4日間又は7日間の期間にわたり増加した。アミカシンによる処理は、各場合で細菌負荷を大いに減少させた。この同じ株の可溶性BisEDT(S Biz;DMSO溶液)又は不溶性BisEDT(I Biz)による処理は静菌効果を与えた。BisEDTをアミカシンと組み合わせた場合、細菌負荷は両期間で大幅に減少した。類似のパターンがM.アビウム(M. avium)株3388に観察された(図1、第2のパネル)。しかし、アミカシンに耐性であるCF患者株00133において、BisEDT製剤のそれぞれが、CFU数を初期感染に類似のレベルに維持するのに有効であったので、静菌効果が観察された(図1、第3のパネル)。
【0160】
【表4】
【0161】
[0179] 各M.アブセッサス(M. abscessus)株に決定されたMIC(表4参照)を使用して、M.アブセッサス(M. abscessus)生存を、THP-1マクロファージ中で決定した(図2)。感染CFUを、感染の1時間後に決定し、0日目/薬物前と表示した。3日後に、未処理M.アブセッサス(M. abscessus)株19977の細菌負荷はTHP-1細胞の内部で増加した。BisEDTは、THP-1細胞中の細菌負荷を減少させた(図2、第1のパネル)。アミカシン処理は、初期感染率よりCFU数を幾分減少させたが、差異は非有意であった。しかし、データにより示される通り、BisEDTをアミカシンと組み合わせると、マクロファージ中の細菌CFU数が、各薬物が単独で投与された場合と比べて減少したので、相乗的な感情(synergistic affect)が得られた(図2、第1のパネル)。両CF患者株において、類似のパターンが得られる-アミカシン処理は静菌性であるが、BisEDTによる処理は、マクロファージ中の細菌負荷を大いに減少させた。BisEDTとアミカシンを組み合わせた場合、やはり相乗効果が観察された(図2、第2及び第3のパネル)。
【0162】
【表5】
【0163】
[0180] 結論-インビトロ試験
[0181] BisEDTは、アミカシン耐性であるM.アビウム(M. avium)の分離株を含む、試験されたM.アビウム(M. avium)の3種の臨床分離株に感染したマクロファージにおいて殺菌性である。
【0164】
[0182] 図1に示されるように、MAH 104では、ビヒクル4とアミカシン4データの間及びビヒクル7とアミカシン7データの間に統計的に有意な差異が見出された(それぞれ、0.0272及び0.0017のp値)。MAH 3388では、統計的に有意な差異が、ビヒクル4データとアミカシンと不溶性BisEDTの組合せ4の間、ビヒクル7データとアミカシンと不溶性BisEDTの組合せ7の間、及びビヒクル7とアミカシン7データの間に見出された(それぞれ、0.0133、0.0085、0.0220のp値)。全ての分析はクラスカル・ウォリス検定を使用した。
【0165】
[0183] したがって、BisEDTのM.アビウム(M. avium)株に対する効果は、アミカシンとの組合せで増大し得る。組み合わせた処理の効果が単独で使用されたいずれかの化合物より大きかったため、相乗効果が観察された。
【0166】
[0184] BisEDTは、インビトロでM.アブセッサス(M. abscessus)株に対しても非常に活性がある。M.アブセッサス(M. abscessus)の臨床的に重要な株に感染し、BisEDTにより処理されたTHP-1マクロファージは、処理の3日後に細胞内M.アブセッサス(M. abscessus)の減少を実証した。
【0167】
[0185] 図2に示されるように、MAB 19977では、統計的に有意な差異が、ビヒクルと可溶性BisEDT群の間及びビヒクルとアミカシン+可溶性BisEDT群の間に見出された(それぞれ、0.0370及び0.0029のp値)。CF患者株1715では、統計的に有意な差異が、ビヒクルと可溶性BisEDT群の間及びビヒクルとアミカシン+可溶性BisEDT群の間に見出された(それぞれ、0.0295及び0.0029のp値)。CF患者株007303では、統計的に有意な差異が、ビヒクルと可溶性BisEDT群の間及びビヒクルとアミカシン+可溶性BisEDT群の間に見出された(それぞれ、0.0466及び0.0029のp値)。全ての分析は、クラスカル・ウォリス検定を使用した。
【0168】
[0186] このように、マクロファージ系において、BisEDTは、単独及びアミカシンとの組合せで、M.アブセッサス(M. abscessus)に対して非常に活性があることが示された。BisEDTは、それ自体で殺菌性があり(M.アブセッサス(M. abscessus)レベルの3対数減少値が、CF患者分離株で観察された)、M.アブセッサス(M. abscessus)に対する効果は、アミカシンと組み合わせた場合に増加した。データは、BisEDTがM.アブセッサス(M. abscessus)を細胞内で殺傷することが可能であることを示唆する。
【0169】
[0187] 実施例4:細胞内NTMに対するBisEDT作用機序
[0188] THP-1マクロファージを、50ng/ml PMAにより24時間分化させ、それに続いて感染の前に24時間培地中に配置した。分化したTHP-1マクロファージを、M.アビウム(M. avium)又はM.アブセッサス(M. abscessus)に、1時間、感染多重度(MOI)10で感染させた。感染細胞を2回洗浄し、それに続いて、200μg/mlのアミカシンにより1時間の抗生物質処理をして、細胞外細菌を除去した。抗生物質工程の後、細胞をさらに1回洗浄して、4μg/ml不溶性BisEDT(BIZ)を選択されたウェルに加えた。処理は、(1)未処理、(2)未処理+MAH 104感染、(3)未処理+M.アブセッサス(M. abscessus)感染、(4)BIZ処理、(5)BIZ処理+MAH 104感染、及び(6)BIZ処理+M.アブセッサス(M. abscessus)感染を含んでいた。試料調製の時点は、感染の24時間後及び48時間後であった。透過型電子顕微鏡TEM試料調製の前に細胞を洗浄せず、存在したかもしれない細胞外細菌を保存した。細胞を、5mM EDTAによる30分間の処理により剥離し、1X HBSSによりクエンチし、2.5%グルタルアルデヒド、1%ホルムアルデヒド、及び0.1Mカコジル酸ナトリウムを有する固定緩衝液に24時間懸濁させてから、電子顕微鏡施設に処理のために提出した。試料は薄片にされ、脱水され、FEIT Titan 80-200 TEM/STEM顕微鏡により可視化された。
【0170】
[0189] 結果
[0190] 図3A~3FのTEM画像に示される通り、BisEDTは、初期に極性領域の完全性の喪失及びより進行した期で細胞壁全体の完全性の喪失により観察される通り、(主として又は副次的に)マイコバクテリア細胞壁に対して作用するようである。マクロファージ感染の2日後に、2種の細菌の間に観察された大きな差異はない。M.アブセッサス(M. abscessus)は、M.アビウム(M. avium)より早くマクロファージからいなくなるようである(3日対5日)。画像の分析から、化合物が、飲作用により、又はエネルギー依存性輸送機構により、真核細胞に入り込むと考えられる。
【0171】
[0191] 実施例5:バイオフィルム成長(biofilm-grown)CF関連病原体に対するBisEDTの効能
[0192] 背景/範囲
[0193] 抗生物質耐性細菌株の発生は、CF患者の慢性感染症の治療に通常使用される抗生物質の効能を減少させた。さらに、これらの細菌株の多くにより形成されるバイオフィルムが、これらの抗生物質の活性も妨げることが示された。薬剤耐性細菌株及びバイオフィルムの両方に対して有効である新規薬物の特定及び開発は、CF患者の慢性感染症の治療のために差し迫って必要とされている。
【0172】
[0194] この試験の範囲は、最小バイオフィルム撲滅濃度(MBEC)アッセイを使用して、CF患者の感染症の治療に現在使用されている抗生物質の性能に対してBisEDTの抗バイオフィルム性能を評価することである。
【0173】
[0195] MBECアッセイ
[0196] この試験では、MBECアッセイは、わずかな改変を加えてInnovotech Procedural Manual, version 2.1に記載の通り従って、研究中の抗微生物化合物の抗バイオフィルム活性を評価した。MBEC値は、各株での各抗微生物剤の最小バイオフィルム撲滅濃度を指す。MBEC値は、回復時の光学濃度(OD)値が対照OD値の10%未満であり、ウェルの目視検査により観察される成長がない最小抗生物質濃度と定義される。
【0174】
[0197] 株
[0198] 8種の微生物種の数種の株を(表5A)、異なる組の抗微生物剤により(表5B)種々の濃度で試験して、各株のMBEC値を決定した。新たな液体培養物を、単一のコロニーから、ミューラー・ヒントンIIカチオン調整(CAMHB)ブロス中で、対数後期まで保存のために成長させた。株を、15%グリセロールストック中で、-80℃で保存した。
【0175】
【表6】
【0176】
【表7】
【0177】
[0199] 手順
[0200] 工程1:接種。賦活のために、7H10培地上でストリークしたマイコバクテリア以外、全ての株を、凍結ストックから、TSAプレート上でストリークし、一晩37℃で成長させた(表6)。プレートから、1つのコロニーを接種のために生物特異的培地(organism specific medium)(OSM)に採取し、シェーカーインキュベーター内で、37℃で、225RPMで、対数中期まで(OD 0.2~0.8)成長させた。対数中期で、培養物をOSM培地(表6)で0.05のODまで希釈した。その150μLを、96ウェルMBECプレート(接種プレート)中の対応する各ウェルに小分けした。その後に、MBECプレートを、37℃で、各種にとって適切な時間、静的にインキュベートした(表7)。インキュベーションの間、バイオフィルムがペグ上に形成した。
【0178】
[0201] 工程2:曝露。インキュベーション後に、バイオフィルムが付いたペグ蓋をPBSで2回洗浄し、200μlの抗生物質希釈液と共に第2の96ウェルプレート(曝露プレート)上に配置した。次いで、曝露プレートを、37℃で18時間インキュベートして、バイオフィルムを抗生物質に曝露させた。
【0179】
[0202] 工程3:回復。最終工程において、ペグ蓋(抗生物質による処理後のバイオフィルムが付いた)を再びPBSで2回洗浄し、各ウェルに200μl増殖培地が入った第3の96ウェルプレート(回復プレート)上に配置して、任意の濃度の抗生物質に耐性があるあらゆる細菌細胞を成長させた。耐性細胞の回復は、プレートリーダーによる、各ウェルの600nmでの光学濃度(OD600)の終点測定により評価した(図4)。
【0180】
【表8】
【0181】
【表9】
【0182】
[0203] 結果
[0204] 抗生物質により試験されたM.アブセッサス(M. abscessus)及びM.アビウム(M. avium)株を、MBECプレートのペグ上のバイオフィルムの形成に関して評価した。バイオフィルム形成を、クリスタルバイオレットアッセイにより評価した。簡潔に言うと、ペグをPBSで2回洗浄し、その後にそれらを0.1%のクリスタルバイオレットを有する96ウェルプレートに10分間浸した。次いで、ペグを再びPBSで2回洗浄し、バイオフィルム形成は紫色の外観により示された(図5A~5B参照)。
【0183】
[0205] M.アビウムコンプレックス(M. avium complex)。M.アビウムコンプレックス(M. avium complex)の5種の株を試験したが、いずれもペグ上にバイオフィルムを形成しなかった(図5A)。したがって、抗微生物剤抗バイオフィルム活性のさらなる評価は、これらの株に関して実施することができなかった。
【0184】
[0206] M.アブセッサス(M. abscessus)。M.アブセッサス(M. abscessus)の6種の臨床分離株、MABS1、MABS2、MABS4、MABS7、MABS9及びMABS11を試験した。8μg/mLの濃度のアミカシン及び4μg/mLの濃度のクラリスロマイシンに対して感受性を示した株MABS4は別として、全ての株が高濃度のイミペネム、セフォキシチン、アミカシン及びクラリスロマイシンに対して耐性を示した。株MABS1、MABS2、MABS9及びMABS11は、32μg/mLの濃度でBisEDTに対しても耐性を示したが、株MABS4及びMABS7は、0.5μg/mL以下の濃度でBisEDTに対して感受性があった。
【0185】
【表10】
【0186】
[0207] BisEDTと、広く異なる有効濃度を有する抗生物質との比較を容易にするために、発明者らは、0~1のスケールでMBEC値を正規化したが、ここで、0は完全な感受性を表し、1は完全な耐性を表す。これをするために、以下の式を、関連する抗生物質の最大及び最小濃度と共に各MBEC値に適用した:
([MBEC]-[Ab]最小)/([Ab]最大-[Ab]最小
【0187】
[0208] BisEDTは、M.アブセッサス(M. abscessus)の2種の株(MABS7及びMABS4)に関して、対照抗生物質と比べて有効であることが分かった。評価された分離株は、対照抗生物質のいずれにもほとんど感受性を示さなかった(図6)。
【0188】
[0209] M.アブセッサス(M. abscessus)データは、実験的反復の間でいくらかの変動性を示した。これは、恐らく、部分的に、ペグ上のバイオフィルムバイオマス中に観察された細胞の様々な凝集によるものである。細胞の凝集は、OD読取り値にも影響した。そのため、プレートの目視検査を実施して、この難題に取り組んだ。様々な結果を有する反復実験のために、最終MBEC値を、反復実験の間に観察された、より高いMBEC濃度に基づいて決定した。6種のM.アブセッサス(M. abscessus)株のうち4種は、32μg/mLより高い濃度でBisEDTに対する耐性を示したが、同じ株は、0.125μg/mLより高い濃度で、それらの回復が、それより低い濃度でのそれらの回復と比較して著しく緩徐であったことも示し、BisEDTが、それらのMBEC値より低い濃度でこれらの株の成長に影響を与えることを示している。
【0189】
[0210] 試験された5種のM.アビウム(M. avium)株のいずれもバイオフィルムを形成せず、したがってバイオフィルムの抗生物質試験は可能ではなかった。
【0190】
[0211] 多剤耐性(MDR)M.アブセッサス(M. abscessus)株のバイオフィルムに対するBisEDTの有効性により、それは見込みのある次世代抗生物質候補となる。
【0191】
[0212] 実施例6:マウスでの慢性NTM感染症に対するBisEDTの効能
[0213] 背景
[0214] BisEDT(プラビビスマン(pravibismane))は、ATP産生を妨げる細菌細胞膜中のエネルギー流に影響する新規生体エネルギー阻害剤抗生物質である。この作用機序は、新たな抗生物質にとってますます一般的になりつつある。発明者らの目的は、マウスモデルでの肺及びM.アブセッサス(M. abscessus)感染症に対する、吸入によるBisEDTの効能を評価することである。2012年以来、生体エネルギー論の小分子阻害剤のコレクションが劇的に拡大した。いまや阻害剤は、臨床試験における全ての新たな抗マイコバクテリア薬の主要な要素(30%超)になり、第3相試験レジメンの65%超に含まれる。生体エネルギー阻害剤は、NTM感染症における効能のためにわずかにしか調査されておらず、耐性NTM感染症のための代替として作用できる。これらの製剤は、以前に耐性であったNTMの株に対する患者クリアランスの転帰を改善できる。
【0192】
[0215] 抗微生物剤の吸入分布は、肺感染症治療のための好ましい適用になりつつある。吸入の利点は、体系的投与(systematic administration)を回避する部位特異的薬物標的、感染の部位でのより高い治療濃度を含み、オフターゲット効果及びなんらかの毒性を減少させる。ラットでの初期の研究は、59ug/kg/日もの高い投与量で、28日の期間の間、動物に対する有害作用なしに高い忍容性を示していた。この研究は、肺NTMの新たな治療を特定することを目的としており、それは、罹患した個人の不快感及び治療費を最低限にして、恐らくは感染症の期間を短縮もするだろう。
【0193】
[0216] 試験設計
[0217] インビボ試験は、慢性M.アブセッサス(M. abscessus)感染症のモデルとなるマウスで実施した。動物は28日間処置し、用量:ビヒクル、低投与量BisEDT、高投与量BisEDT、及びアミカシンに従って群にした。処置終了時に、血液、肺及び脾臓を分析のために収集した。BisEDTはインビボでM.アブセッサス(M. abscessus)に対する強い効能を示したので、さらなる研究を実施して、天然に、及びマウス肺から収集した株由来の両方で、細菌が耐性を発生させる傾向を調査した。組織病理研究をインビボ試験からの肺試料で実施した。
【0194】
[0218] M.アブセッサス(M. abscessus)感染プロトコル
[0219] 全体で60匹の6~8週齢の雌性SCID/Beigeマウスを使用した。マウスをケージあたり4匹までの動物で配置して、感染の前に1週間の順化を割り当てた。
【0195】
[0220] この試験に使用されるM.アブセッサス(M. abscessus)株19977(MAB)の種菌を、非常に猛毒の凍結ストックから、低継代数で作製した。細菌を、7H10培地寒天プレート上で、37℃で、4日後に対数期まで成長させた。コンフルエントになると、光学濃度(O.D.)により決定される通り、細菌を10でハンクス平衡塩液(HBSS)に懸濁させることにより種菌を作製し、段階希釈により定量化して、懸濁液のCFU/mLを決定した。このより高い細菌の濃度で、わずか20μLの種菌が、マウスあたり10細菌を置くために必要であった。
【0196】
[0221] 麻酔
[0222] 感染の日に、ドロップジャー(drop jar)法により、マウスにイソフルランで麻酔をかけた。標準的な片手握りでマウスの首をつかみ、マウスの鼻を、少量のイソフルランマウスを含むガーゼを含むチューブに固定した(is held of a tube)。マウスの呼吸をモニタリングし、速い呼吸が最初に緩徐になると、マウスを直接麻酔から離し、20μLの細菌懸濁液を左鼻孔に置いた。次いで、マウスは液滴中でゆっくりと呼吸する。次いで、各マウスを、完全な意識が得られるまで手に持ち、次いでマウスをそのホームケージに戻した。感染が開始した後、細菌が最終的な処置のための慢性肺病変を確立するために、3週間経過させた。
【0197】
[0223] 各感染が確立された後、12匹のマウスを、処置が始まる前日に安楽死させて、ベースライン細菌負荷を決定した。実験動物の管理と使用に関する指針(the Guide for the Care and Use of Laboratory Animals)(NRC 2011)の勧告に従って、COを使用してマウスを安楽死させた。肺及び脾臓を収集し、ホモジナイズし、次いでCFU計数のために段階希釈した。
【0198】
[0224] 薬物吸入プロトコル
[0225] CH technologiesの鼻専用吸入曝露チャンバーを、この実験に使用した。マウスを、4つの処置群、ビヒクル(BisEDTを含まない緩衝液)、アミカシン(100μg/kg/日)、BisEDT「低」(200μg/kg/日)、及びBisEDT「高」(1000μg/kg/日)に分けた。各処置群は12匹のマウスからなっていた。これらのマウスのうち10匹をCFU決定に使用し、2匹のマウスを組織診断/病理/肺薬物動態に使用した。処置を、全体で28日のコースにわたり週に6日実施した。試験される各薬物の正しいレベルの沈着投与量を作るために、10mLの被験物質を作製した。HBSS中の20mg/mLのアミカシンを作製し、必要となるまで4℃で保存した。8mg/mLの濃度のBisEDT「高」を週に1回作成し、室温で保存した。BisEDT「低」を、処置の日に、8mg/mLから1.6mg/mLに希釈した。各処置は、PariのLC star再利用可能ネブライザーを使用した。動物を拘束し、吸入装置上に配置した。呼吸用ホースを吸入装置に接続し、コンプレッサーをネブライザーに接続した。コンプレッサーからネブライザーへの気流の速度は、8.5L/分のままであり、それは、各マウスが45分にわたり吸い込んだ霧状のフォグを発生させた。
【0199】
[0226] 試料及びデータ収集
[0227] BisEDTによる28日の処置の後、動物をCO及び二次的な心臓穿刺により安楽死させて、BisEDT濃度の定量化のために全血を収集した。CFUマウス由来の肺及び脾臓を、1:1 HO:Dey-Engley中和ブロス中でホモジナイズして、BisEDTを不活性化した。CFUを段階希釈の後に決定した。組織診断用のマウス及び肺の対を分け、一方はホルマリンに、もう一方は秤量され、液体N中に急速凍結させて、BisEDTの組織濃度を決定した。
【0200】
[0228] 脾臓もホルマリン中に置いた。組織診断のための試料は、Veterinary Diagnostic Laboratoryにより処理された。スライドは、一般病理のためにヘマトキシリン-エオシンにより染色され(HE染色)、並びに抗酸染色のためのスライドを染色して肺組織内のマイコバクテリア感染を強調した。
【0201】
[0229] M.アブセッサス(M. abscessus)インビボ試験の投与群及び試験スケジュールを表9及び図7にまとめる。
【0202】
【表11】
【0203】
[0230] M.アブセッサス(M. abscessus)慢性肺感染症試験の結果
[0231] BisEDT投与は、マウスにより忍容性が良好であり、マウスは反応して、処置終了時に正常体重範囲内であった。肺及び脾臓ホモジネートからのCFU回復のデータを、それぞれ、図8A及び8Bに提供する。クラスカル・ウォリス検定を使用して、肺CFUデータは、BisEDTに対する用量依存性反応並びに高投与量群とビヒクル対照との間の統計的に有意な差異(p値=0.0163)を示した。
【0204】
[0232] 図8Aに示されるように、肺ホモジネート中のCFU数の減少により、200μg/kgのBisEDT(低)の、M.アブセッサス(M. abscessus)に感染したマウスへの投与は、静菌効果を提供した。BisEDTは、M.アブセッサス(M. abscessus)に感染したマウスの肺に送達された1000μg/kg(高)で殺菌性である。マクロファージ系において、それは、試験された3種の全臨床株に対してやはり非常に活性(殺菌性)であった。さらに、このマウスモデルでのM.アブセッサス(M. abscessus)に対する活性は、BisEDTがバイオフィルム表現型においてM.アブセッサス(M. abscessus)に対して活性であることを示唆する。
【0205】
[0233] 組織病理
[0234] 上述の通りの28日間のビヒクルかBisEDTかのいずれかのエアゾール雰囲気への吸入曝露の後、肺及び脾臓を、ビヒクル処置及び抗生物質処置マウスから取り除いた。組織診断及び肺組織試料のためのマウスを、先を見越して選択した。それぞれは、それらのそれぞれの肺の対が分けられた。一方の半分は、さらなる組織学的処理を待つ間ホルマリンに固定化し、もう一方の半分は、肺組織中のBisEDTの定量化のためのバイオアナリシスを待つ間、秤量して、凍結した。脾臓も、さらなる処理の前に、ホルマリンに固定化した。
【0206】
[0235] 組織診断用の試料を処理した。組織切片のスライドを調製し、一般病理のためにヘマトキシリン-エオシンで染色したが(HE染色)、各場合で、二連のスライドを、肺組織中のマイコバクテリア感染症を強調する抗酸染色のために調製した。
【0207】
[0236] 実施例7:マウス肺ホモジネート中のBisEDTに対する耐性の評価
[0237] BisEDTはM.アブセッサス(M. abscessus)に対するインビボ効能を示したので、M.アブセッサス(M. abscessus)が医薬品に対する耐性を発生させる傾向を調査するために試験を実施した。第1の試験は、吸入処置を生き抜いた細菌が耐性を発生させたかどうかを示そうと試みた:処置された肺ホモジネート由来の細菌をMIC濃度に曝露させて、成長を評価した。いくつかの試料は、以前に決定されたMICレベルで成長を示すようであり、典型的には処置後の耐性の発生を示した。しかし、この場合、確認用のMIC研究は、細菌のMICが著しくは変化しておらず、M.アブセッサス(M. abscessus)が治療のコースの間耐性を発生させなかったことを示した。第2の試験は、BisEDTの殺菌濃度で天然の耐性が出現するのに要する細菌の濃度を決定しようと試みた。
【0208】
[0238] M.アブセッサス(M. abscessus)マウス感染症由来の肺ホモジネートを37℃で2時間凍結から解凍した。Dey-Engley不活性化緩衝液の作用を減少させるために、マウスホモジネートを1:10で水に希釈してから、試料を、1ug/ml BisEDT(MICレベル)を含有する7H10寒天プレートに再播種した。播種すると、試料を37℃で3日にわたりインキュベートし、プレートコロニーを計数して耐性のCFUを決定した。
【0209】
[0239] コロニー形成単位を、寒天プレート中にBisEDTがない初期の播種から、1μg/mL BisEDTを含有する寒天プレート上の再播種に比較した。決定された耐性のパーセントを表10に提供する。
【0210】
【表12】
【0211】
[0240] コロニー形成単位を、寒天プレート中にBisEDTがない初期の播種から、1μg/mL BisEDTを含有する寒天プレート上の再播種に比較した。比率は、上記表10中でパーセンテージとして表され、BisEDTに対する耐性の発生を示すようであった。
【0212】
[0241] 観察可能なコロニーが真にBisEDTに耐性であり、単に、肺ホモジネート内に依然として存在する不活性化培地又は寒天プレート上のBisEDTの分布のアーティファクトの結果ではないことを確認するために、無作為に選択した分離株を、7H10上で、複数のマウスから成長させてコンフルエンシーに達するようにし、次いで標準的なMIC分析を上述の通り実施した。表11に示される通り、この試験からのMICレベルを0.5μg/mLであると決定した。BisEDTの以前のMICレベルは、1μg/mLであると決定された。一般的に、耐性の著しい変化と考えられるには、少なくとも2 MICレベルの差異が観察されなければならない。そのため、この差異は、耐性の変化とは考えられない。これらの選択分離株のMBCレベルも、耐性の変化を示さなかった。
【0213】
[0242] 結論:BisEDTにより28日間処置されたマウスの間で、長期的なM.アブセッサス(M. abscessus)試験において、耐性の発生はほとんど見られない。
【0214】
【表13】
【0215】
[0243] 実施例8.BisEDT処置に対するM.アブセッサス(M. abscessus)中の耐性の出現の評価
[0244] 耐性の出現を、殺菌濃度のBisEDT及び異なる量のM.アブセッサス(M. abscessus)菌を使用することにより決定する。この手順を使用することにより、細菌の懸濁液中の耐性の自発的な発生を決定する。
【0216】
[0245] M.アブセッサス(M. abscessus)を、7H10寒天上で、37℃で3日間対数期に成長させた。このプレートから、1011の細菌懸濁液をPBS-T(0.05%tween 20を含有するリン酸緩衝食塩水)中に作製した。4ug/mLのBisEDTを含む7H9ブロス又は7H9ブロスのみ(それぞれ900μL)の10本のチューブを作製し、100μLの高細菌懸濁液を1本のチューブに加え、次いで他のそれぞれのチューブに段階希釈した(1:10)。細菌懸濁液を加えて完全に混合した後、チューブを、37℃で、振盪インキュベーター内で、200rpmで3日間インキュベートして、抗生物質が細菌に影響するようにした。100mLの細菌懸濁液をとり、595nmでのEpoch分光光度計での読取りのために平底96ウェルプレート中に配置することにより、光学濃度から細菌成長のレベルを決定した。
【0217】
【表14】
【0218】
[0246] 結果
[0247] BisEDTのMBC又は殺菌濃度(4μg/mL)で、MABは、光学濃度により決定して1010細菌でようやく抗生物質に打ち勝つことができた(表12)。この細菌成長は、抗生物質のない7H9ブロスのみの中で成長した同じ量の細菌と比較できる。MABは7H9ブロス中で容易に成長し、上記の光学濃度に反映された。
【0219】
[0248] 結論:殺菌濃度のBisEDT(4μg/mL)の存在下でのインキュベーションは、化合物に対する天然の耐性が、細菌接種物が1010以上であった場合のみ起こることを実証した。これは、M.アブセッサス(M. abscessus)が、このレベルのBisEDTに対して自発的に耐性になるために、高濃度の細菌が存在することを要することを意味する。
【0220】
参照による組込み
[0249] 本明細書で言及される全刊行物及び特許は、各個別の刊行物又は特許が、参照により組み込まれると具体的且つ個別に示されるように、全体として参照により本明細書に組み込まれる。矛盾がある場合、本明細書のあらゆる定義を含み本願が優先する。
【0221】
等価物
[0250] 主題開示(subject disclosure)の具体的な実施形態が議論されてきたが、上記明細書は説明のためであり限定的ではない。本開示の多くの変形形態は、本明細書及び以下の請求項を見直すと、当業者には明らかだろう。本開示の完全な範囲は、請求項を均等物の完全な範囲と共に、及び明細書をそのような変形形態と共に参照して決定されるべきである。
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図3D-1】
図3D-2】
図3D-3】
図3E-1】
図3E-2】
図3F-1】
図3F-2】
図3F-3】
図3F-4】
図3F-5】
図3G
図4
図5A
図5B
図6
図7
図8A
図8B
【国際調査報告】