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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-02-04
(54)【発明の名称】電力変圧器および電力変圧システム
(51)【国際特許分類】
   H01F 30/12 20060101AFI20250128BHJP
   H01F 29/14 20060101ALI20250128BHJP
   H01F 30/10 20060101ALI20250128BHJP
   H01F 27/38 20060101ALI20250128BHJP
   H01F 27/34 20060101ALI20250128BHJP
   H01F 27/24 20060101ALI20250128BHJP
   H01F 27/00 20060101ALI20250128BHJP
【FI】
H01F30/12 C
H01F30/12 A
H01F30/12 K
H01F30/12 N
H01F29/14
H01F30/10 A
H01F30/10 C
H01F30/10 K
H01F30/10 R
H01F27/38
H01F27/34 110
H01F27/24 E
H01F27/00 J
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024565250
(86)(22)【出願日】2023-01-25
(85)【翻訳文提出日】2024-09-19
(86)【国際出願番号】 EP2023051784
(87)【国際公開番号】W WO2023144194
(87)【国際公開日】2023-08-03
(31)【優先権主張番号】2200944.3
(32)【優先日】2022-01-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524278976
【氏名又は名称】アイオネイト・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Ionate Limited
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100189555
【弁理士】
【氏名又は名称】徳山 英浩
(74)【代理人】
【識別番号】100100479
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 三喜夫
(72)【発明者】
【氏名】ウィリアムズ,マシュー
(72)【発明者】
【氏名】ムサビ,サイエド アリ
【テーマコード(参考)】
5E058
5E059
【Fターム(参考)】
5E058BB07
5E059AA10
5E059JL09
(57)【要約】
三相変圧器装置は、第1端と第2端を有する上側コアリムと、第3端と第4端を有する下側コアリムと、第1の一次コイルと第1の二次コイルを含む第1コイルアセンブリと、第2の二次コイルと制御コイルを含む第2コイルアセンブリとを備える。各第1コイルアセンブリの第1の一次コイルおよび第1の二次コイルは、個々の相の上側コアリムまたは下側コアリムの周りに同心状に巻回される。各第2コイルアセンブリの第2の二次コイルおよび制御コイルは、個々の相の上側コアリムおよび下側コアリムのうちの他方の周りに同心状に巻回される。各第2コイルアセンブリの第2の二次コイルは、個々の相の第1コイルアセンブリの第1の二次コイルと直列に接続される。三相変圧器装置はさらに、第1ヨーク部と、第2ヨーク部と、少なくとも1つの転送ヨーク部とを備える。コントローラが、各相の制御コイルに接続され、制御コイルに電圧波形または電流波形を印加するように構成される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
三相電力変圧システムのための三相変圧器装置であって、
三相変圧器装置の各相について、三相変圧器装置は、
第1端および第2端を有する上側コアリムと、
第3端および第4端を有する下側コアリムと、
第1の一次コイルおよび第一二次コイルを含む第1コイルアセンブリと、を備え、
各第1コイルアセンブリの第1の一次コイルおよび第1の二次コイルは、個々の相の上側コアリムまたは下側コアリムの一方の周りに同心状に巻回されており、
三相変圧器装置はさらに、第2の二次コイルおよび制御コイルを含む第2コイルアセンブリを備え、
各第2コイルアセンブリの第2の二次コイルおよび制御コイルは、個々の相の上側コアリムおよび下側コアリムの他方の周りに同心状に巻回されており、
各第2コイルアセンブリの第2の二次コイルは、個々の相の第1コイルアセンブリの第1の二次コイルと直列に接続されており、
三相変圧器装置はさらに、上側コアリムの第1端の各々の間に接続された第1ヨーク部と、
下側コアリムの第4端の各々の間に接続された第2ヨーク部分と、
各上側コアリムの第1端と個々の上側コアリムの第2端との間に磁束が流れるように、そして、各下側コアリムの第3端と個々の下側コアリムの第4端との間に磁束が流れるように構成された、少なくとも1つの転送ヨークと、
各相の制御コイルに接続され、三相変圧器装置の第1の一次コイルと第1および第2の二次コイルとの間のエネルギーの転送に影響を与えるように、制御コイルに電圧波形または電流波形を印加するように構成されたコントローラと、を備える、三相変圧器装置。
【請求項2】
各相の第1コイルアセンブリは、追加の制御コイルをさらに備え、
各第1コイルアセンブリの第1の一次コイル、第1の二次コイルおよび追加の制御コイルは、個々の相のコアリムの周りに同心状に巻回され、
各相の制御コイルおよび追加の制御コイルは、上側コアリムおよび下側コアリムの周りに反対方向に巻回される、請求項1に記載の三相変圧器装置。
【請求項3】
各相の第2コイルアセンブリは、第2の一次コイルをさらに備え、
各第2コイルアセンブリの第2の一次コイル、第2の二次コイルおよび制御コイルは、個々の相のコアリムの周りに同心状に巻回され、
第2コイルアセンブリの第2の一次コイルは、個々の第1コイルアセンブリの第1の一次コイルと直列に接続される、請求項1または2に記載の三相変圧器装置。
【請求項4】
コントローラは、各相の制御コイルに電圧波形または電流波形を印加して、相の各々の第1の二次コイルおよび第2の二次コイルの両端の電圧を制御するように構成された電圧制御回路を備える、請求項1~3のいずれかに記載の三相変圧器装置。
【請求項5】
コントローラは、三相変圧器装置の力率を制御するように構成された力率制御回路を備える、請求項1~4のいずれかに記載の三相変圧器装置。
【請求項6】
コントローラの力率制御回路は、制御コイルの各々のための可変リアクタンスを備え、
力率制御回路は、制御コイルの各々に接続されたリアクタンスを制御して、三相変圧器装置の力率を制御するように構成される、請求項5に記載の三相変圧器装置。
【請求項7】
コントローラは、コントローラが制御コイルに電圧波形または電流波形を印加するためのバックアップ電源を提供するように構成されたエネルギー貯蔵回路をさらに備える、請求項1~6のいずれかに記載の三相変圧器装置。
【請求項8】
各相の上側コアリムおよび少なくとも1つの転送ヨークのうちの1つは、第1平面内に配置され、および/または、
各相の下側コアリムおよび少なくとも1つの転送ヨークのうちの1つは、第2平面内に配置される、請求項1~7のいずれかに記載の三相変圧器装置。
【請求項9】
コントローラは、三相変圧器装置の一次側から電力を引き出すように構成され、三相変圧器装置の二次側から電気的に絶縁されており、あるいは、
コントローラは、三相変圧器装置の二次側から電力を引き出すように構成され、三相変圧器装置の一次側から電気的に絶縁されている、請求項1~8のいずれかに記載の三相変圧器装置。
【請求項10】
コントローラが一次側から電力を引き出すように構成されている場合、コントローラは、三相変圧器装置の一次側と制御コイルとの間に接続され、
コントローラが二次側から電力を引き出すように構成されている場合、コントローラは、三相変圧器装置の二次側と制御コイルとの間に接続される、請求項9に記載の三相変圧器装置。
【請求項11】
コントローラは、一次側または二次側から電力を引き出し、制御コイルに電圧波形または電流波形を印加して、三相変圧器装置の第1の一次コイルと第1および第2の二次コイルとの間のエネルギーの転送に影響を与えるように構成されたAC-ACコンバータを備える、請求項9または10に記載の三相変圧器装置。
【請求項12】
AC-ACコンバータは、非同期AC-ACコンバータである、請求項11に記載の三相変圧器装置。
【請求項13】
コントローラが一次側から電力を引き出すように構成されている場合、エネルギー貯蔵回路は、一次側から電力を引き出して、貯蔵された電力をコントローラおよび制御コイルに供給するように構成され、あるいは、
コントローラが二次側から電力を引き出すように構成されている場合、エネルギー貯蔵回路は、二次側から電力を引き出して、貯蔵された電力をコントローラおよび制御コイルに供給するように構成される、請求項7に従属する場合の請求項9~12のいずれかに記載の三相変圧器装置。
【請求項14】
少なくとも1つの転送ヨークは、
上側コアリムの第2端間に接続され、各上側コアリムの第1端と個々の上側コアリムの第2端との間で磁束が流れるように構成された第1転送ヨークと、
下側コアリムの第3端間に接続され、各下側コアリムの第3端と個々の下側コアリムの第4端との間で磁束が流れるように構成された第2転送ヨークと、を備える、請求項1~13のいずれかに記載の三相変圧器装置。
【請求項15】
第1転送ヨークは、第2転送ヨークから空間的に分離されている、請求項14に記載の三相変圧器装置。
【請求項16】
各相では、各上側コアリムの第2端は、個々の下側コアリムの個々の第3端に接続されている、請求項1~13のいずれかに記載の三相変圧器装置。
【請求項17】
上側コアリムの第2端と個々の上側コアリムの第1端との間に接続された上側磁束戻り経路コア、および/または、
下側コアリムの第4端と個々の下側コアリムの第3端との間に接続された下側磁束戻り経路コア、をさらに備える、請求項1~16のいずれかに記載の三相変圧器装置。
【請求項18】
各相の第1制御コイルは、個々の相の追加の制御コイルと直列に接続される、請求項2に従属する場合の請求項2~17のいずれかに記載の三相変圧器装置。
【請求項19】
電力変圧システム用の変圧器装置であって、
第1端および第2端を有する上側コアリムと、
第3端および第4端を有する下側コアリムと、
第1の一次コイルおよび第1の二次コイルを含む第1コイルアセンブリであって、第1の一次コイルおよび第1の二次コイルは、上側コアリムまたは下側コアリムの一方の周りに同心状に巻回される、第1コイルアセンブリと、
第2の二次コイルおよび制御コイルを含む第2コイルアセンブリであって、第2の二次コイルおよび制御コイルは、上側コアリムまたは下側コアリムの他方の周りに同心状に巻回される、第2コイルアセンブリと、を備え、
第2コイルアセンブリの第2の二次コイルは、第1コイルアセンブリの第1の二次コイルと直列に接続されており、
変圧器装置はさらに、上側コアリムの第1端と上側コアリムの第2端との間に磁束が流れるように構成され、かつ、下側コアリムの第3端と下側コアリムの第4端との間に磁束が流れるように構成された、少なくとも1つの転送ヨーク部と、
制御コイルに接続され、変圧器装置の第1の一次コイルと第1および第2の二次コイルとの間のエネルギーの転送に影響を与えるように、制御コイルに電圧波形または電流波形を印加するように構成されたコントローラと、を備える、変圧器装置。
【請求項20】
第1コイルアセンブリは、追加の制御コイルをさらに備え、
第1コイルアセンブリの第1の一次コイル、第1の二次コイルおよび追加の制御コイルは、前記上側コアリムまたは下側コアリムの周りに同心状に巻回され、
制御コイルおよび追加の制御コイルは、上側コアリムおよび下側コアリムの周りに反対方向に巻回される、請求項19に記載の変圧器装置。
【請求項21】
第2コイルアセンブリは、第2の一次コイルをさらに備え、
各第2コイルアセンブリの第2の一次コイル、第2の二次コイルおよび制御コイルは、上側コアリムまたは下側コアリムの他方の周りに同心状に巻回され、
第2コイルアセンブリの第2の一次コイルは、第1コイルアセンブリの第1の一次コイルと直列に接続される、請求項19または請求項20に記載の変圧器装置。
【請求項22】
コントローラは、制御コイルに電圧波形または電流波形を印加して、第1の二次コイルおよび第2の二次コイルの両端の電圧を制御するように構成された電圧制御回路をさらに備える、請求項19~21のいずれかに記載の変圧器装置。
【請求項23】
コントローラは、変圧器装置の力率を制御するように構成された力率制御回路を備える、請求項19~22のいずれかに記載の変圧器装置。
【請求項24】
コントローラの力率制御回路は、制御コイルのための可変リアクタンスを備え、
力率制御回路は、制御コイルに接続されたリアクタンスを制御して、変圧器装置の力率を制御するように構成される、請求項23に記載の変圧器装置。
【請求項25】
コントローラは、変圧器装置の一次側から電力を引き出すように構成され、変圧器装置の二次側から電気的に絶縁されており、あるいは、
コントローラは、変圧器装置の二次側から電力を引き出すように構成され、変圧器装置の一次側から電気的に絶縁されている、請求項19~24のいずれかに記載の変圧器装置。
【請求項26】
コントローラが一次側から電力を引き出すように構成されている場合、コントローラは、変圧器装置の一次側と制御コイルとの間に接続され、
コントローラが二次側から電力を引き出すように構成されている場合、コントローラは、変圧器装置の二次側と制御コイルとの間に接続される、請求項25に記載の変圧器装置。
【請求項27】
コントローラは、一次側または二次側から電力を引き出し、制御コイルに電圧波形または電流波形を印加して、三相変圧器装置の第1の一次コイルと第1および第2の二次コイルとの間のエネルギーの転送に影響を与えるように構成されたAC-ACコンバータを備える、請求項25または請求項26に記載の変圧器装置。
【請求項28】
AC-ACコンバータは、非同期AC-ACコンバータである、請求項27に記載の変圧器装置。
【請求項29】
エネルギー貯蔵回路をさらに備え、
コントローラが一次側から電力を引き出すように構成されている場合、エネルギー貯蔵回路は、一次側から電力を引き出して、貯蔵された電力をコントローラおよび制御コイルに供給するように構成され、あるいは、
コントローラが二次側から電力を引き出すように構成されている場合、エネルギー貯蔵回路は、二次側から電力を引き出して、貯蔵された電力をコントローラおよび制御コイルに供給するように構成される、請求項25~28のいずれかに記載の変圧器装置。
【請求項30】
少なくとも1つの転送ヨークは、
上側コアリムの第2端と上側コアリムの第1端との間に接続され、上側コアリムの第1端と上側コアリムの第2端との間に磁束が流れるように構成された第1転送ヨークと、
下側コアリムの第4端と下側コアリムの第3端との間に接続され、下側コアリムの第3端と下側コアリムの第4端との間に磁束が流れるように構成された第2転送ヨークと、を備える、請求項19~29のいずれかに記載の変圧器装置。
【請求項31】
第1転送ヨークは、第2転送ヨークから空間的に分離されている、請求項30に記載の変圧器装置。
【請求項32】
上側コアリムおよび少なくとも1つの転送ヨークのうちの1つは、第1平面内に配置され、および/または、
下側コアリムおよび少なくとも1つの転送ヨークのうちの1つは、第2平面内に配置される、請求項30~31のいずれかに記載の変圧器装置。
【請求項33】
上側コアリムの第2端と上側コアリムの第1端との間に接続された追加の上側磁束戻り経路コア、および/または、
下側コアリムの第4端と下側コアリムの第3端との間に接続された追加の下側磁束戻り経路コア、をさらに備える、請求項19~32のいずれかに記載の変圧器装置。
【請求項34】
第1制御コイルは、追加の制御コイルと直列に接続される、請求項20に従属する場合の請求項20~33のいずれかに記載の変圧器装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気エネルギー供給に関し、特に電力変圧システムおよびプロセスに関する。
【背景技術】
【0002】
電気エネルギーは、発電源から電線を介してそれを消費する負荷に供給される。電気は、一般に、使用に安全なものより高い電圧で伝送され、これにより輸送中に高い効率を提供する。変圧器は、電力システム内で使用され、電圧を一定の比率で変換し、電圧レベルを増加または減少させる。変圧器は、100年以上前に初めて発明されたが、大きな進化はない。
【0003】
電力需要が変化するにつれて、変圧器などの既存のインフラストラクチャは、信頼性の高いエネルギーシステムを維持するのに充分ではない。従来、電力は、少ない数の大型同期発電機によって発電され、システムに電力と安定性の両方を提供してきた。電力システム内での非同期可変再生可能発電の増加は、運用安定性に悪影響を及ぼしている。従来の同期型化石燃料発電が失われると、システム内の慣性が失われ、システム全体で少ない数の大型発電機から大量の分散型発電機への変化とともに、ネットワークの脆弱性が高まり、エネルギー価格も上昇した。
【0004】
電力システムの電力品質と信頼性を維持するには、システム内で追加の機器を使用する必要があります。これらは、主に高価な追加機器であり、より複雑で寿命が短いため、より脆弱でコストを要するシステムをもたらす。
【0005】
必要とされる電圧変換を完了できるだけでなく、動的電圧制御、高調波抑制、力率制御などの追加機能も提供できる単一のデバイスを有することが望ましいであろう。以下に説明するように、この機能の一部のみを提供するデバイスが存在する。
【0006】
(変圧器(トランス))
当業者には周知のように、変圧器は、相互インダクタンスを介して一方の回路から他の回路に電気エネルギーを転送する電磁デバイスであり、通常は一次巻線、磁気コアおよび二次巻線で構成される。一次巻線に交流電圧を印加すると、一次巻線に交流電流が流れる。この磁化電流は、交流磁束を生成する。磁束は、大部分が磁気コア内に閉じ込められ、連結された二次巻線に電圧を誘導する。二次巻線は、電気負荷に接続された場合、交流電流を生成する。この二次負荷電流は、一次巻線に再びリンクする自己の交流磁束を生成する。
【0007】
二次電圧は、一次電圧と、二次巻線の巻数と一次巻線の巻数の比との積によって決定される。変圧器は、高電圧と低電圧の間で変換するために一般に使用されるが、これらは、配電周波数において必然的に嵩張る。これらは、高い効率、シンプルな設計、双方向の電力伝送を提供する。しかしながら、その受動的な性質により、伝送される電力の調整が制限され、非効率的な電圧調整資産の導入を必要とする。
【0008】
電力供給網内では、機器が有効にかつ安全に動作するために、電圧を厳しい許容範囲内に維持する必要がある。電圧を動的かつ正確に制御し、電源側と負荷側の電圧を切り離し、正しい電圧レベルを維持することが可能であるデバイスを有することが望ましいであろう。
【0009】
(FACTSデバイス)
フレキシブルAC伝送システム(FACTS)デバイスは、数十年前から市販されている。これらは、全体がパワーエレクトロニクス部品をベースとしたハードウェアデバイスのクラスである。これらは、電気システムに追加され、直列、シャントまたは組合せ構成でシステムに電力を注入または吸収するように設計される。こうしたデバイスは、変圧器に加えてシステムに追加され、非常に高いコストに起因して、主に送電システム内で極めて節約して使用されている。
【0010】
(ソリッドステート変圧器)
ソリッドステート変圧器は、既存の変圧器の代替品である。それは、直列に接続された多数のコンポーネント部品で構成される。これらの部品は、整流器、インバータ、電磁コア、整流器、インバータである。より高い電圧側は、第1インバータに接続され、これは、電力をAC(通常50Hzまたは60Hz)からDCに変換する。そして、整流器は、電力をDCからより高い周波数のAC波形に変換する。これによりデバイスの電磁コアを大幅に小型化、低コスト化できるとともに、電圧変換も提供できる。次の整流器は、高い周波数のAC電力をDCに変換し、最後のインバータは、電力を50Hz(または60Hz)ACに変換する。パワーエレクトロニクスコンポーネントの制御により、力率と追加の電圧制御の両方が提供できる。
【0011】
しかしながら、これらのデバイスは、まだ商用製品ではなく、現実世界で利益を提供できるようになるまでにはいくつかの課題に直面している。これらの技術的課題は、パワーエレクトロニクスの短い寿命と信頼性、そして電力供給網が稼働する電力レベルでの高いコストを含む。
【0012】
(交換器(Exchanger))
交換器は、電圧変換、電圧制御、力率制御、高調波抑制を提供する目的としたデバイスである。それは、3つの独立したシェル型単相電磁コアで構成される。各単相コアは、バックツーバック(逆並列)インバータに接続された制御巻線を有する。インバータは、制御巻線に電流を流すように制御され、電磁コア内に位相ずれの磁界を発生する。デバイスの各相は、別個に制御され、接続されていない。
【0013】
しかしながら、これらのデバイスは、まだ商用製品ではなく、現実世界で利益を供給できるようになるまでにはいくつかの課題に直面している。これらの技術的課題は、効率、重量、コストを含む。
【0014】
(ハイブリッド変圧器)
国際公開第2021/048352号は、電力変圧システムのための変圧器装置を開示する。変圧器装置は、3次元のスター型またはデルタ型に配置された3つの外側変圧器リムを備える。こうした変圧器装置は、変圧器の電圧変更能力を提供するとともに、動的電圧調整、高調波抑制、および力率補正を同時に提供する。こうした変圧器装置は、「ハイブリッド変圧器」と考えられる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0015】
本開示の第1態様によれば、三相電力変圧システムのための三相変圧器装置が提供される。三相変圧器装置の各相について、三相変圧器装置は、第1端および第2端を有する上側コアリムと、第3端および第4端を有する下側コアリムと、第1コイルアセンブリと、第2コイルアセンブリとを備える。第1コイルアセンブリは、第1の一次コイルおよび第1の二次コイルを含む。各第1コイルアセンブリの第1の一次コイルおよび第1の二次コイルは、個々の相の上側コアリムまたは下側コアリムの一方の周りに同心状に巻回されている。第2コイルアセンブリは、第2の二次コイルおよび制御コイルを備える。各第2コイルアセンブリの第2の二次コイルおよび制御コイルは、個々の相の上側コアリムおよび下側コアリムの他方の周りに同心状に巻回されている。各第2コイルアセンブリの第2の二次コイルは、個々の相の第1コイルアセンブリの第1の二次コイルと直列に接続される。三相変圧器装置はさらに、上側コアリムの第1端の各々の間に接続された第1ヨーク部と、下側コアリムの第4端の各々の間に接続された第2ヨーク部と、各上側コアリムの第1端と個々の上側コアリムの第2端との間に磁束が流れるように、そして、各下側コアリムの第3端と個々の下側コアリムの第4端との間に磁束が流れるように構成された少なくとも1つの転送ヨークと、各相の制御コイルに接続され、三相変圧器装置の第1の一次コイルと第1および第2の二次コイルとの間のエネルギー転送に影響を与えるように、制御コイルに電圧波形または電流波形を印加するように構成されたコントローラと、を備える。
【0016】
第1態様に係る三相変圧器装置は、ハイブリッド変圧器装置である。そのため三相変圧器装置は、システムが受ける入力エネルギーの変化に動的かつ迅速に応答して、目標電圧および目標入力力率を有する対応する出力エネルギーを発生することが可能である。特に、この能力により、第1態様の三相変圧器装置は、出力エネルギーをシステムの負荷によって要求されるエネルギーに一致できる。さらに、三相変圧器装置は、双方向に制御でき、このことは、例えば、エネルギー供給網からエネルギーが供給されて一方向に流れる場合や、再生可能エネルギー源から供給されて、システムを反対方向に流れることがあるエネルギーについても三相変圧器装置は応答できることを意味する。例えば、風の変化および/または利用可能な太陽光の変化から生じる局所的なエネルギー発生の変化は、システムによって緩和することが可能であり、固定負荷に対して比較的一定の出力を提供するように処理できる。
【0017】
第1態様の三相変圧器装置は、各相について第1コイルアセンブリおよび第2コイルアセンブリを含む。各相の第2コイルアセンブリは、変圧器のコアリム(各相について上側コアリムまたは下側コアリムのいずれか)の周りに巻回された制御コイルを備える。制御コイルは、コントローラに接続されており、これは、三相変圧器装置の第1の一次コイルと第1および第2の二次コイルとの間のエネルギーの転送に影響を与えるように、制御コイルに電圧波形または電流波形を印加するように構成される。そのため三相変圧器装置は、各相について2つのコイルアセンブリだけが設けられ、その結果、三相変圧器装置の構造が簡素化される。特に、三相変圧器装置には、相当たり4つのコイルだけが設けることができ、コイルは、各相の上側コアリムと下側コアリムとの間で分割される。
【0018】
いくつかの実施形態では、各相の第1コイルアセンブリは、追加の制御コイルをさらに備え、各第1コイルアセンブリの第1の一次コイル、第1の二次コイルおよび追加の制御コイルは、個々の相のコアリムの周りに同心状に巻回される。いくつかの実施形態では、各相の制御コイルおよび追加の制御コイルは、上側コアリムおよび下側コアリムの周りに反対方向に巻回される。そのため各相の制御コイルおよび追加の制御コイルの一方は、個々のコアリムの周りに時計回りに巻回されるとともに、個々の相の他方の制御コイルは、個々のコアリムの周りに反時計回りに巻回される。各相の制御コイルに反対の巻線方向を設けることによって、各相について上側コアリムと下側コアリムとの間で磁力が効率的に転送できる。いくつかの実施形態では、各相の制御コイルおよび追加の制御コイルは、直列に接続される。
【0019】
いくつかの実施形態では、各相の第2コイルアセンブリは、第2の一次コイルをさらに備え、各第2コイルアセンブリの第2の一次コイル、第2の二次コイルおよび制御コイルは、個々の相のコアリムの周りに同心状に巻回され、第2コイルアセンブリの第2の一次コイルは、個々の相の第1コイルアセンブリの第1の一次コイルと直列に接続される。そのため、いくつかの実施形態では、各相について第2コイルアセンブリは、最大3つのコイルを含むことがある。
【0020】
いくつかの実施形態では、コントローラは、各相の制御コイルに電圧波形または電流波形を印加して、相の各々の第1の二次コイルおよび第2の二次コイルの両端の電圧を制御するように構成された電圧制御回路を備える。
【0021】
いくつかの実施形態では、コントローラは、三相変圧器装置の力率を制御するように構成された力率制御回路を備える。いくつかの実施形態では、力率制御回路は、1つ以上の相の制御コイル(または複数の制御コイル)を経由して無効電力を注入または吸収することによって力率を制御するように構成される。このパワーエレクトロニクス式の制御に加えて、いくつかの実施形態では、各相の制御コイルにキャパシタまたはインダクタを接続することにより、磁気回路に追加のキャパシタンスまたはインダクタンスを導入できる。
【0022】
いくつかの実施形態では、コントローラの力率制御回路は、制御コイルの各々のための可変リアクタンスを備え、力率制御回路は、制御コイルの各々に接続されたリアクタンスを制御して、三相変圧器装置の力率を制御するように構成される。
【0023】
いくつかの実施形態では、コントローラは、三相変圧器装置の一次側から電力を引き出すように構成され、三相変圧器装置の二次側から電気的に絶縁されている。いくつかの実施形態では、コントローラは、三相変圧器装置の二次側から電力を引き出すように構成され、三相変圧器装置の一次側から電気的に絶縁されている。
【0024】
いくつかの実施形態では、コントローラは、コントローラが制御コイルに電圧波形または電流波形を印加するためのバックアップ電源を提供するように構成されたエネルギー貯蔵回路をさらに備える。エネルギー貯蔵回路は、キャパシタ、または化学的エネルギー貯蔵器(例えば、リチウムイオン電池)、または当業者に知られているその他の適切なエネルギー貯蔵素子を備えてもよい。いくつかの実施形態では、エネルギー貯蔵回路は、コントローラのための電源(例えば、一次コイルに供給される電力)によって充電されるように構成される。エネルギー貯蔵回路のこの貯蔵されたエネルギーは、制御コイルのための目標出力を満たすために必要とされる、例えば、一次コイルからの入力電力が充分でない場合に利用されるように構成できる。この能力のレベルおよび持続時間は、エネルギー貯蔵回路に貯蔵されるエネルギーの量に正比例する。従って、エネルギー貯蔵回路は、電力の変動に対する三相変圧器の堅牢性を改善できる。
【0025】
この開示によれば、各相についての上側コアリムおよび下側コアリム、第1ヨーク部、第2ヨーク部、および少なくとも1つの転送ヨークは、三相変圧器の電磁コアを形成することが理解される。
【0026】
いくつかの実施形態では、三相変圧器装置の電磁コアは、概ね平面状設計を有する。換言すると、いくつかの実施形態では、各相について上側コアリムおよび下側コアリム、第1ヨーク部、第2ヨーク部、および少なくとも1つの転送ヨーク延長部が平面内に配置されてもよい。例えば、いくつかの実施形態では、各相について上側コアリムおよび下側コアリムは、平行に配置される。第1ヨーク部、第2ヨーク部、および少なくとも1つの転送ヨークは、上側コアリムおよび下側コアリムに対して概ね横断する方向に延びている。ほぼ平面状設計を有する電磁コアを提供することによって、三相変圧器は、製造するのがより経済的で、簡素化された構造を有することができる。
【0027】
いくつかの実施形態では、各相の上側コアリムおよび少なくとも1つの転送ヨークの1つは、第1平面内に配置される。いくつかの実施形態では、各相の下側コアリムおよび少なくとも1つの転送ヨークの1つは、第2平面内に配置される。いくつかの実施形態では、第1平面および第2平面は、同じ平面でもよい。
【0028】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの転送ヨークは、上側コアリムの第2端間に接続され、各上側コアリムの第1端と個々の上側コアリムの第2端との間で磁束が流れるように構成された第1転送ヨークを備える。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの転送ヨークは、下側コアリムの第3端間に接続され、各下側コアリムの第3端と個々の下側コアリムの第4端との間で磁束が流れるように構成された第2転送ヨークを備える。いくつかの実施形態では、各相の上側コアリムおよび第1転送ヨークは、第1平面内に配置される。いくつかの実施形態では、各相の下側コアリムおよび第2転送ヨークは、第2平面内に配置される。いくつかの実施形態では、第1平面および第2平面は、同じ平面でもよい。
【0029】
いくつかの実施形態では、第1転送ヨークは、第2転送ヨークから空間的に分離されている。空間的に分離されているとは、第1転送ヨークおよび第2転送ヨークが分離されて、第1転送ヨークを流れる磁束が第2転送コアヨークを流れないことと理解される。同様に、空間的な分離により、上側コアリムおよび下側コアリムが空間的に分離されることになる。そのため三相変圧器の電磁コアは、2つの部品で提供されることがある。こうした配置により、三相変圧器装置をよりスペース効率の高い方法で提供できる。
【0030】
いくつかの実施形態では、各相では、各上側コアリムの第2端は、個々の下側コアリムの個々の第3端に接続される。そのためいくつかの実施形態では、三相の電磁コアは、上側コアリムと下側コアリムの両方を含む一体型コアとして提供されてもよい。
【0031】
いくつかの実施形態では、三相変圧器装置は、上側コアリムの第2端と個々の上側コアリムの第1端との間に接続された上側磁束戻り経路コアをさらに備える。いくつかの実施形態では、三相変圧器装置は、下側コアリムの第4端と個々の下側コアリムの第3端との間に接続された下側磁束戻り経路コアをさらに備える。そのためいくつかの実施形態では、上側磁束戻り経路および下側磁束戻り経路を設けて、シェル型電磁コアを含む三相変圧器装置を形成できる。いくつかの実施形態では、各相について上側コアリムおよび下側コアリムが平行に配置され、第1ヨーク部、第2ヨーク部、および少なくとも1つの転送ヨークが、上側コアリムおよび下側コアリムに対して概ね横断する方向に延びる場合、上側磁束戻り経路は、第1ヨーク部と転送ヨークとの間に延びるように設けられる。いくつかの実施形態では、上側磁束戻り経路は、上側コアリム部と平行に設けられてもよい。下側磁束戻り経路は、同様の方法で、少なくとも1つの転送ヨークと第2ヨーク部との間に延びるように設けられる。いくつかの実施形態では、1つまたは2つの上側磁束戻り経路および1つまたは2つの下側磁束戻り経路は、3つのコアリムの反対側に設けられてもよい。電磁コアの1つ以上の端における電磁戻り経路の追加により、ゼロシーケンス(零相電流)が独立した戻り経路を流れるようになり、これにより個々の位相電力フロー制御が可能になる。
【0032】
いくつかの実施形態では、各相の制御コイルは、個々の相の追加の制御コイルと直列に接続される。代替として、各相の制御コイルおよび追加の制御コイルは、コントローラによって独立して制御されてもよい。
【0033】
いくつかの実施形態では、各相について第1の一次コイルおよび第2の一次コイルは直列に接続される。いくつかの実施形態では、各相について第1の一次コイルおよび第2の一次コイルは、同じ方向(例えば、両方とも時計回り、または両方とも反時計回り)に巻回される。いくつかの実施形態では、各相について第1の二次コイルおよび第2の二次コイルは、直列に接続される。いくつかの実施形態では、各相について第1の二次コイルおよび第2の二次コイルは、同じ方向(例えば、両方とも時計回り、または両方とも反時計回り)に巻回される。
【0034】
本開示の第2態様によれば、電力変圧システム用の変圧器装置が提供される。変圧器装置は、第1端および第2端を有する上側コアリムと、
第3端および第4端を有する下側コアリムと、
第1の一次コイルおよび第1の二次コイルを含む第1コイルアセンブリであって、第1の一次コイルおよび第1の二次コイルは、上側コアリムまたは下側コアリムの一方の周りに同心状に巻回される、第1コイルアセンブリと、
第2の二次コイルおよび制御コイルを含む第2コイルアセンブリであって、第2の二次コイルおよび制御コイルは、上側コアリムまたは下側コアリムの他方の周りに同心状に巻回される、第2コイルアセンブリと、を備え、
第2コイルアセンブリの第2の二次コイルは、第1コイルアセンブリの第1の二次コイルと直列に接続され、
変圧器装置はさらに、上側コアリムの第1端と上側コアリムの第2端との間に磁束が流れるように構成され、かつ、下側コアリムの第3端と下側コアリムの第4端との間に磁束が流れるように構成された、少なくとも1つの転送ヨーク部と、
制御コイルに接続され、変圧器装置の第1の一次コイルと第1および第2の二次コイルとの間のエネルギーの転送に影響を与えるように、制御コイルに電圧波形または電流波形を印加するように構成されたコントローラと、を備える。
【0035】
こうして第2態様の変圧器装置は、本開示の第1態様の三相変圧器装置の単相実装であることが理解されよう。
【0036】
いくつかの実施形態では、第1コイルアセンブリは、追加の制御コイルをさらに備え、第1コイルアセンブリの第1の一次コイル、第1の二次コイルおよび追加の制御コイルは、前記上側コアリムまたは下側コアリムの周りに同心状に巻回される。制御コイルおよび追加制御コイルは、上側コアリムおよび下側コアリムの周りに反対方向に巻回される。
【0037】
いくつかの実施形態では、第2コイルアセンブリは、第2の一次コイルをさらに備え、各第2コイルアセンブリの第2の一次コイル、第2の二次コイルおよび制御コイルは、上側コアリムまたは下側コアリムの他方の周りに同心状に巻回される。第2コイルアセンブリの第2の一次コイルは、第1コイルアセンブリの第1の一次コイルと直列に接続される。
【0038】
いくつかの実施形態では、コントローラは、制御コイルに電圧波形または電流波形を印加して、第1の二次コイルおよび第2の二次コイルの両端の電圧を制御するように構成された電圧制御回路をさらに備える。
【0039】
いくつかの実施形態では、コントローラは、変圧器装置の力率を制御するように構成された力率制御回路を備える。
【0040】
いくつかの実施形態では、コントローラの力率制御回路は、制御コイル(および任意には追加の制御コイル)のための可変リアクタンスを備え、力率制御回路は、第2制御コイルに接続されたリアクタンスを制御して、変圧器装置の力率を制御するように構成される。
【0041】
いくつかの実施形態では、コントローラは、変圧器装置の一次側から電力を引き出すように構成され、変圧器装置の二次側から電気的に絶縁されている。いくつかの実施形態では、コントローラは、変圧器装置の二次側から電力を引き出すように構成され、変圧器装置の一次側から電気的に絶縁されている。
【0042】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの転送ヨークは、上側コアリムの第2端と上側コアリムの第1端との間に接続され、上側コアリムの第1端と上側コアリムの第2端との間に磁束が流れるように構成された第1転送ヨークを備える。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの転送ヨークは、下側コアリムの第4端と下側コアリムの第3端との間に接続され、下側コアリムの第3端と下側コアリムの第4端との間に磁束が流れるように構成された第2転送ヨークを備える。
【0043】
いくつかの実施形態では、第1転送ヨークは、第2転送ヨークから空間的に分離されている。そのため第1態様と同様に、第2態様の変圧器装置のための電磁コアは、2つの部品で提供されてもよい。
【0044】
いくつかの実施形態では、変圧器装置は、上側コアリムの第2端と上側コアリムの第1端との間に接続された上側磁束戻り経路コアを備える。いくつかの実施形態では、変圧器装置は、下側コアリムの第4端と下側コアリムの第3端との間に接続された下側磁束戻り経路コアを備える。
【0045】
いくつかの実施形態では、制御コイルは、追加の制御コイルと直列に接続される。
【図面の簡単な説明】
【0046】
本発明のいくつかの実施形態を、添付図面を参照して、例としてのみ説明する。
【0047】
図1】本発明のいくつかの実施形態に係る電気エネルギー変圧システムのコンポーネント部品のブロック図である。
図2】本発明のいくつかの実施形態に係る電気エネルギー変圧システムプロセスの単相のブロック図である。
図3】本発明のいくつかの実施形態に係る電磁コアおよび巻線の断面図である。
図4】本発明のいくつかの実施形態に係る電磁コアおよび巻線の2次元単線表現である。
図5】本発明のいくつかの実施形態に係る電磁コアおよび巻線の断面図である。
図6】本発明のいくつかの実施形態に係る電磁コアおよび巻線の断面図である。
図7】本発明のいくつかの実施形態に係る電磁コアおよび巻線の断面図である。
図8】本発明のいくつかの実施形態に係る電磁コアおよび巻線の断面図である。
図9】制御コイルのパルス幅変調を提供するパワーエレクトロニクス方式の回路図である。
図10】同心の一次巻線と二次巻線を備えた標準的な三相変圧器の2次元単線表現である。
図11】本発明のいくつかの実施形態に係る電磁コアおよび巻線の3次元図である。
図12】電圧制御のためのデバイス制御アルゴリズムのコンポーネント部品を示すソフトウェア機能ブロック図である。
図13】本発明のいくつかの実施形態に係る電圧制御の制御戦略を示すソフトウェア機能ブロック図である。
図14】本発明のいくつかの実施形態に係る有効電力制御の制御方式を示すソフトウェア機能ブロック図である。
図15】本発明のいくつかの実施形態に係る相電圧プロファイルを発生するための制御方式を示すソフトウェア機能ブロック図である。
図16】本発明のいくつかの実施形態に係る力率制御のための制御方式を示すソフトウェア機能ブロック図である。
図17】本発明のいくつかの実施形態に係る力率制御を達成するためのパワーエレクトロニクストランジスタの制御方式を示すソフトウェア機能ブロック図である。
図18】本発明のいくつかの実施形態に係るパワーエレクトロニクスへの電磁コア巻線接続の表現である。
図19】本発明のいくつかの実施形態に係るパワーエレクトロニクスへの電磁コア巻線接続の表現である。
図20】本発明のいくつかの実施形態に係る電磁コアおよび巻線の断面図である。
図21】本発明のいくつかの実施形態の単相の回路図表現である。
図22】本発明のさらなる実施形態に係る三相変圧器装置の図である。
【発明を実施するための形態】
【0048】
本発明の実施形態は、変圧器装置、電力変圧システム、およびプロセスを含み、それぞれその電圧および位相を介して自己の有効電力成分および無効電力成分を有する三相の入力電気エネルギーを受け取ること、これらの3つの入力の各々を同時に、所望のまたは「目標」出力電圧および位相に変換し、よって有効電力成分および無効電力成分に変換することを含む(即ち、三相電力を変圧する方法)。
【0049】
3つの入力は、電圧と位相の両方において、絶対的にも相対的にも時間の経過とともに変化するため、システムおよびプロセスは、装置を経由したエネルギーの変換を動的に制御するように動作し、出力される電気エネルギーは、所望の電圧および位相を有するようになり、これら自体は時間経過とともに変化し得る。
【0050】
本発明の実施形態は、電磁コア上の追加の制御巻線を用いて、磁気領域内の3つの相間のエネルギー転送を制御することにより、RMS電圧変換を提供しながら、同時に力率補正および高調波抑制を提供することが可能である。これにより、より効率的でコスト効率の高い解決法を提供し、デバイスの制御メカニズムの入力と出力を電気的に絶縁することも提供する。
【0051】
本発明の実施形態は、ここでは主に電力供給網内の電力分配の文脈で説明されているが、他の実施形態が、例えば、発電、商業および工業、航空、鉄道、海洋、エネルギー貯蔵、電気アーク炉、可変速駆動、電気モータ、およびその他の用途のための電気システムなど、出力電圧および/または力率の制御を必要とする任意の電気システム用途で使用できることは当業者には明らかであろう。ここで説明した電力供給システムおよびプロセスの他の多くの用途は、この開示を参照して当業者には明らかであろう。
【0052】
この明細書では、文脈が特に断りのない限り、用語「信号」は、参照の便宜上使用され、電圧および少なくとも1つの基本周波数(DC電圧の場合はゼロになる可能性がある)によって特徴付けられる電気エネルギーの形式を参照するものとして広く解釈され、信号によって何らかの形式の情報が表現または伝達されることを必ずしも必要としていない。
【0053】
(概要)
図1に示すように、電力変圧システムは、電磁コア(例えば、変圧器装置)100と、パワーエレクトロニクス(例えば、電子回路スイッチングデバイス、インバータなど)104と、コントローラ102とを含む。コントローラ102は、三相電気入力と三相電気出力の監視からの入力信号を有し、これらを使用してパワーエレクトロニクス104に制御信号を提供する。パワーエレクトロニクス104(コントローラ102の一部として提供されてもよい)は、電磁コア100上の制御コイルを流れる電力を制御する。電磁コア100は、三相電気入力と三相電気出力の両方にも接続されており、電圧変換、動的電圧制御、力率補正、および高調波抑制を提供する。コントローラ102およびパワーエレクトロニクス104は、電源106によって電力供給され、これは、デバイスを流れる電力から局所的に電力を引き出す。これは、電磁コア上の巻線を介してもよく、または入力または出力の電力接続を介して行われてもよく、これによりデバイスは自己給電され、エネルギーを節約できる。代替として、制御およびパワーエレクトロニクスは、バッテリーやメイン電源接続などの外部電源から電力供給できる。
【0054】
このデバイスは、三相システム内で動作し、各相は、電圧制御コンポーネント108および力率(power factor)制御コンポーネント110の両方を有する。図2に示すように、各相入力は、電圧と位相角を有し、各出力は、電圧と位相角を有する。コントローラ102は、各相の入力と出力を同時に監視し、電圧制御コンポーネント108および力率制御コンポーネント110に制御信号を提供する制御計算112を完成する。
【0055】
(電磁コア)
図3に、このデバイスの電磁コア(変圧器装置)100を示し、デバイスの断面図として示す。それは、デバイスを流れる三相電力の各相(相A、B、C)について1つずつ、計3つのリム(コアリム)10A,10B,10Cを備える。各リム10A,10B,10Cは、上側コアリム11Aと、下側コアリム11Bとを備える。各上側コアリム11Aは、第1端と第2端とを備える。各下側コアリムは、第3端と第4端とを備える。
【0056】
コアリムは、一端において上側ヨーク12によって接続され、他端において下側ヨーク14によって接続される。各上側コアリムの第1端は、上側ヨーク12に接続される。各下側コアリムの第4端は、下側ヨーク14に接続される。中間ヨーク16(即ち、転送ヨーク)が、上側ヨーク12と下側ヨーク14との間で3つのリム10A,10B,10Cの各々に接続され、磁束が流れるための追加の経路を提供する。こうして中間ヨーク16は、各相の上側コアリムと下側コアリムとの間の各コアリムに接続されてもよい。したがって、中間ヨーク16は、各上側コアリム11Aの第2端と、各下側コアリム11Bの第3端に接続される。コア100は、強磁性材料(しかし、これに限定されない)を含む任意の磁性材料で製作できる。コア自体は、一体構造として形成してもよく、あるいは、磁気コアの異なる領域ごとに同じまたは異なる材料から製作できる複数のコンポーネント部品から構成してもよい。
【0057】
電磁コア100は、材料の積層体を積み重ねて、コアの完全断面を形成することによって構築できる。この方法は、渦電流に起因したコアの損失を低減することに寄与するため、特に大型変圧器に適用可能である。積み重ねられた積層体は、様々な断面幅を有してもよく、円形や長方形など、様々な断面形状にできる。コアは、単一の材料シートを巻いて磁束経路を形成する巻きコアを使用して製造してもよい。こうして本開示で定義される電磁コア100の種々の部分(例えば、上側コアリム、下側コアリム、上側ヨーク12および下側ヨーク14、中間ヨーク16)は、例えば、積み重ね積層体コアまたは巻きコアの個々の部分を参照することがあることが理解されよう。コアは、一般にはユニコア構造と呼ばれる、両方の組み合わせを用いて製造してもよい。低電力レベルのデバイスの場合、コアは、固体断面を用いて製造されることもある。本発明の範囲から逸脱することなく、このコアを製造するために既存の変圧器製造技術または材料が使用できることは、当業者には明らかであろう。
【0058】
図3の単線図を2次元表現で描写した場合、図4のように表示される。図3の単線図は、デバイスのコイルの配置(即ち、磁気回路図)の表現であり、電子回路図とは異なることが理解されよう。
【0059】
図4に示すように、各リム10A,10B,10Cは、2セットの同心円状に巻回されたコイルまたはコイルアセンブリを有する。図4では、各相について第1コイルアセンブリが、個々の相の上側コアリムの周りに巻回され、各相について第2コイルアセンブリが、個々の相の下側コアリムの周りに巻回される。こうして図4では、1つのコイルアセンブリが、中間ヨーク16の上方に巻回され、もう1つが下方に巻回される。他の実施形態では、各相の第1コイルアセンブリは、個々の相の下側リムの周りに巻回されてもよく、各相の第2コイルアセンブリは、個々の相の上側リムの周りに巻回されてもよい。相Aリムの上側コイルは、Aと表記し、相Aリムの下側コイルは、Aと表記する。同様に、相Bおよび相Cのコイルは、B,B,C,Cと表記する。
【0060】
同心円状に巻回されコイルの各セットは、3つの別個のコイル、一次コイル20U,20L、二次コイル22U,22L、および制御コイル24U,24Lを有する。コイルは、その構造の性質に起因して、時には巻線と呼ばれる。この文書の目的では、コイルと巻線という用語は互換的に使用できる。同心円スタック内の各コイルは、直接の電気接続を防止するために絶縁層によって分離される。
【0061】
図3に示すように、各コイルアセンブリ(A,A,B,B,C,C)では、制御コイル(24U,24L)が最も内側のコイルにあり、次に二次コイル(22U,22L)が続き、一次コイル(20U,20L)が最も外側のコイルになる。本発明の範囲から逸脱することなく、同心円状に巻回されたコイルの任意の順序を使用できることは、当業者には明らかであろう。
【0062】
図3の実施形態では、リム上の一次コイルの各ペアは、直列に接続され、同じ方向に巻回される。図3の実施形態では、リム上の二次コイルの各ペアは、直列に接続され、同じ方向に巻回される。図3の実施形態では、制御コイルの各ペアは、直列に接続されてもよく、あるいは、各制御コイルは、独立に接続されてもよく、いずれの場合も反対方向に巻回される。
【0063】
図3の実施形態は、第1および第2の一次コイル、二次コイル、および制御コイルを含み、他の実施形態は、第1、第2、および一次コイルの他の組み合わせが提供されてもよい。この開示によれば、各相は、一次コイル、二次コイル、および制御コイルの各々について少なくとも1つのコイル、最大2つのコイルを有し、その相の組合せコイルアセンブリを構成する必要がある(即ち、相CについてCおよびC)。一次コイルと二次コイルの少なくとも1つは、直列に接続された2つのコイルを有する必要があり、中間ヨークによって分離された上側コイルアセンブリと下側コイルアセンブリが常に存在する必要がある。一例として、電磁コア100は、図20に示すように構成してもよい。この実施形態では、各相についての上側コイルは、一次コイル20Uと二次コイル22Uで構成され、下側コイルは、制御コイル24Lと二次コイル22Lで構成される。2つの二次コイル22U,22Lは、直列に接続される。電磁コアの本実施形態の単相の回路図表現を図21に示す。1つだけの制御コイルが存在し、巻線は、どちらの方向にも巻回できる。
【0064】
こうして本開示に係る各相は、少なくとも4つのコイルを設ける必要がある。いくつかの実施形態では、各相には、第1の二次コイルと、第2の二次コイルと、少なくとも1つの一次コイルと、少なくとも1つの制御コイルとが設けられる。例えば、各相についての第1コイルアセンブリは、第1の一次コイルと第1の二次コイルとを備えてもよい。各相についての第2コイルアセンブリは、第2の二次コイルと第1制御コイルとを備えてもよい。こうして各相の4つのコイルは、各相の上側コアリムと下側コアリムの間で2:2の配分で配置できる。
【0065】
電磁コア100には、合計で最大18個のコイルが存在する。これらのコイルは、標準的な変圧器コイルが巻回されているように、様々な方法で巻回できる。これらは、例えば、https://www.electrical4u.com/transformer-windinq/に記載されているように、ヘリカル式、ディスク式、円筒式、クロスオーバー式を含む。コイルは、任意の形状のボビンを用いて巻回できる。任意の材料が使用できるが、銅線または銅箔が一般に使用される。例えば、500kVA配電変圧器の場合、二次コイルは銅箔で構成でき、一次コイルは円形の銅線または円板で構成でき、制御巻線は銅箔で構成できる。
【0066】
図3に示す電磁コア100での中間ヨーク16(転送ヨーク)は、各上側コアリム11Aの第1端と個々の上側コアリム11Aの第2端との間で磁束が流れるように構成され、そして各下側コアリム11Bの第3端と個々の下側コアリム11Bの第4端との間で磁束が流れるように構成される。こうして転送ヨークは、上側コイルアセンブリと下側コイルアセンブリの両方のための戻り磁束経路を提供する。図3の実施形態では、中間ヨーク16は、各コアリムの中点を共に接続する。このプロセスはAC電力で作動するため、磁束は、時間経過とともに交互方向に流れるが、磁束は、常に両方のコイルアセンブリを通って同じ方向に流れる。磁束が中間ヨーク16を通って戻るとき、図4に示すように、コイルの位置に起因して、上側コイルアセンブリと下側コイルアセンブリからの磁束は常に反対方向になる。こうしてこれら2つの磁束は合算すると、2つの磁束の大きさの間の差になる。
【0067】
電磁コア100は、単一の電磁コアではなく、図5に示すように、2つの電磁コア202,204に分離することもできる。この配置は、電磁気学の観点からは同一であるが、中間ヨーク16は、2つの磁束戻り経路(第1転送ヨークと第2転送ヨーク)に置換される。このため電磁コア配置は、図3の電磁コア配置よりも多くの鋼材を使用するが、コア202,204の製造の容易さおよび互いの相対的な幾何学的配置に潜在的な利点を有する。図5のこの電磁コア配置では、同心状に巻回されたコイルの各セットは、一次コイル20U,20L、二次コイル22U,22L、および制御コイル24U,24Lの3つの別個のコイルを有する。上側コイルは、電磁コア202に巻回され、下側コイルは、電磁コア204に巻回される。
【0068】
電磁コア202,204上の一次コイルの各ペアは、直列に接続され、同じ方向に巻回される。電磁コア202,204上の二次コイルの各ペアは、直列に接続され、同じ方向に巻回される。電磁コア202,204上の制御コイルの各ペアは、直列に接続されてもよく、あるいは各制御コイルは独立に接続されてもよく、いずれの場合も反対方向に巻回される。
【0069】
明確化のため、電磁コア202,204は、物理的に互いの上部に配置される必要はない。これらは、コイル接続が同じままである任意の配置で互いに隣接して位置決めできる。こうしてコアリムに関する用語「上側」と「下側」は、本開示では、図に示すコアリムのラベルとして使用されていることが理解されよう。換言すると、本開示(請求項を含む)で使用する用語「上側コアリム」と「下側コアリム」は、代わりに、各相について「第1コアリム」と「第2コアリム」と称することもできる。
【0070】
シェル型変圧器コア配置を使用した、電磁コア100の単相実装を図6に示す。電磁コア100は、上側コアリム11Aと下側コアリム11Bとを備える。上側コアリム11Aおよび下側コアリム11Bは、前述した三相の実施形態と同様な方法でこれらに巻回された第1コイルアセンブリおよび第2コイルアセンブリを有する。上述した実施形態と同様に、制御コイル(そして任意には追加の制御コイル)がコアリムの周囲に設けられる。電磁コア100は、転送ヨーク部301も備えており、これは、上側コアリムの第1端と上側コアリムの第2端との間に磁束が流れるように構成され、そして下側コアリムの第3端と下側コアリムの第4端との間に磁束が流れるように構成される。こうして転送ヨーク部301は、上側コアリムを流れる磁束のための磁束戻り経路および、下側コアリムを流れる磁束のための磁束戻り経路を提供する。
【0071】
電磁コア100はシェル型コア配置で構成されるため、電磁コア100は、上側コアリムの第2端と個々の上側コアリムの第1端との間に接続された2つの上側磁束戻り経路コア302も備える。電磁コアは、下側コアリムの第4端と個々の下側コアリムの第3端の間に接続された2つの下側磁束戻り経路コア304も備える。当業者には、本発明の範囲から逸脱することなく、1つの上側磁束戻り経路コアと1つの下側磁束戻り経路コア1つだけを使用するコア型コア配置が使用できることは明らかであろう。
【0072】
コア型変圧器コア配置を使用した、分割構成の電磁コア100の単相実装を図7に示す。このように図7の電磁コア100では、第1転送ヨーク部301aが、上側コアリム11Aの第2端と上側コアリム11Aの第1端との間に接続されて設けられる。第2転送ヨーク部301bが、下側コアリム11Bの第4端と下側コアリム11B第3端との間に接続されて設けられる。図7に示すように、第1転送ヨーク部301aは、第2転送ヨーク部301bから空間的に分離されており、そのため第1転送ヨーク部301aを流れる磁束は、第2転送ヨーク部301bを流れない。当業者には、シェル型コア配置が、第1および第2転送ヨーク部301a,301bを含む分割構成でも提供できることは明らかであろう。
【0073】
図3図5は、コア型配置における電磁コア100の三相実装を示す。これら2つの電磁コアは、コアの一端または両端に戻り磁束経路を追加することによって、シェル型コアとして実装できる。一例として、図8は、両端に戻り経路が追加されたシェル型構成の電磁コア100を示す。電磁コア100の両端のいずれかにおける電磁戻り経路の追加により、ゼロシーケンスが独立した戻り経路を流れるようになり、個々の位相電力フロー制御が可能になる。
【0074】
本開示の実施形態に示す電磁コアは、概ね平面設計であることが理解されよう。換言すると、いくつかの実施形態では、各相のコアリムとそれらが接続されたヨークは、平面内に延びている。例えば、図3の実施形態では、各相の上側コアリム11A、各相の下側コアリム11B、上側ヨーク12、下側ヨーク14、および中間ヨーク16は、相互接続されており、全てが同じ平面内に延びている。図5の実施形態では、各相の上側コアリム11Aは、上側ヨーク12および第1転送ヨーク206に接続され、全てが同じ平面内に延びている。図5の実施形態では、各相の下側コアリム11Bは、下側ヨーク14および第2転送ヨーク207に接続され、全てが同じ平面内に延びている。
【0075】
(パワーエレクトロニクス)
パワーエレクトロニクス104は、電磁コア100の制御コイル24U,24Lを通って流れる電力を供給するために使用され、制御コイルに適切なタイミングで電力供給することにより、エネルギーを各相から注入または抽出できる。一次コイル20U,20Lから二次コイル22U,22Lに流れるAC電力に対するこの電力供給のタイミングに依存して、エネルギーは、無効電力または有効電力の形態のいずれかになる。
【0076】
制御コイル24U,24Lが短絡した場合、これらを通してエネルギーが流れなくなり、一次コイル20U,20Lから二次コイル22U,22Lに流れるエネルギーは、影響を受けなくなり、それにより電磁コアは標準固定比変圧器として動作する。これにより、デバイスにフェイルセーフモードを提供し、パワーエレクトロニクス104に障害が発生した場合、制御コイル24U,24Lが短絡して、デバイスは標準変圧器として動作する。
【0077】
パワーエレクトロニクス104は、電子トランジスタのスイッチングを使用して、電力フロー出力を調整する。これらのゲートは、電力フロー変換デバイスの特定のサイズおよび性能に必要とされる電力定格およびスイッチング速度に応じて、様々なタイプにできる。当業者には、IGBT(絶縁ゲートバイポーラトランジスタ)またはMOSFET(金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ)などのトランジスタがこの用途に使用できることは明らかであろう。炭化ケイ素、窒化ガリウムなどの他の技術もこの分野において開発中であり、使用可能である。
【0078】
電磁コア100では、パワーエレクトロニクス104用のトランジスタは、図9に示すように配置され、コントローラ102によってスイッチオンとオフとなり、所望の電力レベルを制御コイルに提供する。直列に接続された2つの制御コイルが相ごとにある場合、図9の出力は、制御巻線24U,24Lに接続され、出力Aは、AとAの制御コイルに接続され、出力Bは、BとBの制御コイルに接続され、出力Cは、CとCの制御コイルに接続される。制御コイル24U,24Lが独立して巻回されている場合は、パワーエレクトロニクスから追加の3つの出力が必要になる。これは、パワーエレクトロニクス回路内のブリッジの数を6に増やすことによって達成できる。相ごとに1つの制御コイルだけがある場合は、図9に示すようなパワーエレクトロニクスが使用でき、3つの出力の各々は、対応する相の制御コイルに接続される。
【0079】
パワーエレクトロニクス104は、各相につき2つのブリッジを含み、あるいは、独立して巻回された制御コイルの場合は、各制御コイルにつき2つのブリッジを含む。ブリッジに加えて、キャパシタおよびコモン中性線(neutral)が全ての相について使用される。いくつかの実施形態では、パワーエレクトロニクス104は、各相または制御コイルごとに2つのハーフブリッジと、キャパシタと、コモン中性線を含むことができる。当業者には、本発明の範囲から逸脱することなく、フルブリッジなど、様々なトランジスタ配置を使用して、デバイスについて同じ効果および所望の機能性を達成できることは明らかであろう。
【0080】
電圧および高調波制御機能では、パワーエレクトロニクス104は、ゼロ有効電力を使用して所望の成果を達成できる。このことは、図9に示すように単一のモジュールだけが必要になることを意味する。電圧、高調波、力率補正機能では、2つのパワーエレクトロニクスモジュールが使用できる。これらは、図18に示すように、バックツーバック(逆並列)モジュールなど、種々のトポロジで接続できる。これらのモジュールは、図18に示すように、デバイスの制御コイルから一次側に接続でき、あるいは同様に、デバイスの制御コイルから二次側に接続できる。一次と二次の電圧が異なるため、接続側は、パワーエレクトロニクスモジュールの電圧および電流レベル要件を変えることになるが、全体電力レベルは同じままである。
【0081】
図18に示す配置では、DCリンクを使用して、2つのモジュール402,404を接続する。この配置で接続した場合、モジュールは、有効電力および無効電力の両方の制御を提供することが可能であり、電圧、高調波、力率の制御を同時に可能にする。
【0082】
402,404間のDCリンクを除去することも可能である。このリンクが除去され、各モジュールが独立して動作する場合、402は、電圧および高調波の制御を提供し、404は、力率の制御を提供することになる。この配置では、404は、デバイス内の電力システムに接続された小型のSTATCOMと同様に動作する。
【0083】
パワーエレクトロニクス104の他の配置を図19に示す。この配置では、2つのモジュール402,404は、制御コイルに別個に接続される。これにより、パワーエレクトロニクス104は、コイルを通じて電磁コア100に接続されるだけであるため、パワーエレクトロニクス104と電力システムとの間のガルバニック絶縁を維持しながら、全範囲の電圧、高調波および力率の制御(有効電力と無効電力による)が可能になる。
【0084】
パワーエレクトロニクス回路にエネルギー貯蔵を追加することも可能である。これは、キャパシタ、またはリチウムイオン電池などの化学エネルギー貯蔵の形態をとることができる。エネルギー貯蔵デバイスは、デバイスを流れる電力を使用してパワーエレクトロニクスによって充電され、エネルギー貯蔵を作り出すことが可能である。この貯蔵は、一次コイルからの入力電力が充分でない場合に目標出力を満たすために必要に応じて利用できる。この能力のレベルおよび持続時間は、貯蔵されたエネルギーの量に正比例する。
【0085】
一例として、エネルギー貯蔵器は、デバイスの電源投入時にトリクル(細流)充電できる。出力電力が、受けた入力電力よりも高い場合、エネルギー貯蔵器を用いてコントローラによって追加のエネルギーがデバイスに注入できる。これにより、上流のエネルギーシステムに影響することなく、デバイスの出力を所望のレベルに維持できる。これは、デバイス内に残っている貯蔵エネルギーがある間に発生することがある。貯蔵器にエネルギーがない場合、デバイスは、エネルギー貯蔵器なしの場合と同じように動作することになる。入力に過剰な利用可能な電力がある場合、コントローラは、後の使用のためにエネルギー貯蔵器を充電することになる。
【0086】
エネルギー貯蔵器は、パワーエレクトロニクス回路によって充電され、必要に応じて制御コイルを通じてデバイスに注入される。
【0087】
トランジスタは、http://www.ti.com/product/TMS320F2808に記載されている100MHzTexasInstrumentsデバイスなどの高速マイクロプロセッサ(コントローラ102)を用いて制御され、デバイスを通る電力フローから電力供給され、電力供給プロセス112(図2に示す)は、不揮発性メモリに保存された構成データとして実装される。マイクロプロセッサは、図9に示すブリッジ回路内のトランジスタをPWM変調する制御プロセスを実行する。制御アルゴリズムは、50kHzの速度、または、制御している電力波形の基本周波数(50Hz)より3桁高い速度で動作する。制御アルゴリズム112は、本発明の範囲から逸脱することなく、より高い周波数またはより低い周波数で動作できる。必要とされる制御の分解能および精度に応じて、より低い周波数が使用できる。より高い周波数が使用でき、使用する制御ハードウェアの能力によって制限されることになる。より高速の制御アルゴリズムは、より迅速でより正確な制御を可能にする。本発明の範囲から逸脱することなく、マイクロプロセッサの代わりに、フィールドプログラマブルゲートアレイ(またはFPGA)などの他の技術が使用できることは当業者には明らかであろう。また、他の実施形態では、コントローラは、配電盤からのローカル制御電力など、利用可能な別個のローカル電源によって電力供給できることも当業者には明らかであろう。
【0088】
(電圧制御)
電力が一次コイル(20U,20L)を流れて、これは、磁気コアを流れる磁束を発生し、二次コイル(22U,22L)に電流を発生する。各相に同心の一次コイルと二次コイルを備えた標準的な三相変圧器では、磁束は、図10に示す経路を通って流れる。通常の配置において、エネルギーの3つの相について利用できる2つの磁束経路だけが存在することが判る。図4から判るように、本発明は、3つの相について4つの磁束経路を提供する(いくつかの実施形態では5つ以上)。
【0089】
デバイスの各相に関して、電力フロー変換デバイスの一次コイルおよび二次コイルの少なくとも1つが分割され、一方が中間ヨーク(上側コイルA,B,C)の上方にあり、もう一方が中間ヨーク(下側コイルA,B,C)の下方にある。例えば、図11は、図3に示した電磁コア配置を用いた、こうした配置の1つの3次元表現を示す。一次側と二次側の上側コイルと下側コイルの巻数は異なる。
一次上側コイル20Uのターン数:P=N・n
二次上側コイル22Uのターン数:S=N・(1-n)
一次下側コイル20Lのターン数:P=N・(1-n)
二次下側コイル22Lのターン数:S=N・n
ここで、0<n<1。
N1は、当該相について一次コイルが有する合計巻数(20U+20L)であり、N2は、当該相について二次コイルが有する合計巻数(22U+22L)である。
【0090】
パワーエレクトロニクス104が、制御コイル24U,24Lでの電力(電圧または電流)を制御する場合、磁束経路から起磁力(mmf)が注入または吸収される。ここで、mmf=NIアンペアターン(At)、N=導体数(または巻数)、I=電流である。
【0091】
制御コイル24U,24Lは、反対方向に巻回されているため、上側コイルアセンブリ(A,B,C)と下側コイルアセンブリ(A,B,C)に印加されるmmfは、反対になる。
【0092】
一例として、電力フロー変換デバイスは、n=2/3、N1=60、N2=30の値を有する。そして、
=N・n=60・2/3=40ターン
=N・(1-n)=30・(1-2/3)=10ターン
=N・(1-n)=60・(1-2/3)=20ターン
=N・n=30・2/3=20ターン
【0093】
制御コイルが短絡した場合、電圧変換は、N:N、または60:30=2:1になる(即ち、一次側の200Vは、二次側に100Vを生成する)。
【0094】
制御コイルを介して磁気回路に追加のmmfが供給された場合、それは、上側コイルと下側コイルを流れる磁束に影響を与えることになる。このmmfがそれぞれ10%変化に相当するものを生成する場合、下記のようになる。
=N・n=60・2/3-10%=36ターン
=N・(1-n)=30・(1-2/3)-10%=9ターン
=N・(1-n)=60・(1-2/3)+10%=22ターン
=N・n=30・2/3+10%=22ターン
【0095】
従って、電圧変換は、N:N、または、36+22:9+22=58:31(即ち、一次側の200Vは、二次側で106.9Vを生成することになる)。
【0096】
n=0.5の場合、上側コイルと下側コイルの両方は同じ巻数を有し、電圧制御方法は機能しない。
【0097】
(高調波制御)
高調波は、AC電力の正弦波内の歪み、即ち、サイクル内のその時点の瞬間電圧の大きさからの偏差である。従って、高調波は、上述した電圧制御と同じメカニズムを通じて制御できる。
【0098】
(力率制御)
力率は、パワーエレクトロニクス104を使用して、制御コイル24U,24Lを経由して無効電力を注入または吸収することによって制御できる。このパワーエレクトロニクス式の制御に加えて、制御コイルを経由してキャパシタまたはインダクタを回路に接続することにより、磁気回路に追加のキャパシタンスまたはインダクタンスを導入できる。これは、サイリスタ(または同様のスイッチング技術)を使用して、回路のスイッチオンまたはオフに切り替えできる。さらに、この追加のキャパシタンスおよび/またはインダクタンスは、コイルアセンブリ(A,B,C,A,B,C)の一部として同心円状に巻回された追加のコイルを使用してデバイスに接続でき、あるいは、電磁コア100上の任意のポイントに設置できる。
【0099】
(制御方法)
コントローラ102は、センサ、例えば、デバイスの入力電力および出力電力にあるライン電圧センサ107a,107b(これらは一次コイルおよび二次コイル上に設置できる)などから情報を受信する。この情報により、コントローラは、入力および出力での電圧および位相角(電圧波形と電流波形との間の角度)を識別できる。そして、コントローラ102は、制御計算112を用いて、出力波形と、目標または「所望の」出力波形と比較する。実際出力と目標出力の差は、デルタ信号を生成し、これが電圧制御回路108と力率制御回路112に提供され、対応する制御信号を発生する。目標波形は、コントローラメモリ内に保存されるが、時間経過とともに変更してもよい。
【0100】
コントローラ102は、制御信号の形式でパワーエレクトロニクス104に命令を提供する。そして、パワーエレクトロニクス104は、パルス幅変調(PWM)方式を用いて、図9のゲートを切り替えることによって動作する。これにより、制御コイル24U,24Lに電気入力を提供し、ゲートを変化する持続時間で開閉することによって、波形が近似される。PWM制御方法は、単純ブースト、最大ブースト、一定ブースト、直接トルク、修正空間ベクトルなどを含む。PWMの使用に加えて、本発明の範囲を変更することなく、転送コイルを経由した電力フロー制御の結果を達成するために他の制御方法が使用できる。これらの制御方法は、これらに限定されないが、オープンループ、クローズドループ、ファジー制御、スライディングモード制御、モデル予測制御、フィールド指向制御(ベクトル制御としても知られる)などを含む。
【0101】
こうした実装の1つを、電圧制御108の高レベル機能ブロック制御図として図12に示す。基準RMS電圧が、実際の測定電圧と比較される。電圧制御が有効である場合、Vrms制御302は、デューティサイクルを生成し、有効電力制御306は、位相基準を発生する。そして、これら2つのパラメータは、位相電圧プロファイル発生器304に提供され、これは、トランジスタゲートを起動するのに必要な信号をパワーエレクトロニクスに提供する。
【0102】
多数のVrms制御302が達成でき、その1つのこうした実装を図13に示す。この例では、PI(比例積分)制御方式が、フィードバックループとともに使用され、位相についてのデューティサイクルを発生する。
【0103】
多数の有効電力制御306が達成でき、その1つのこうした実装を図14に示す。この例では、PI制御方式が、フィードバックループとともに使用され、各位相ついての位相基準を発生する。
【0104】
多数の位相電圧プロファイル発生器304が達成でき、その1つのこうした実装を図15に示す。有効電力制御306からの位相は、120度の最適位相角分離、および測定された位相角で加算される。これらの各々の余弦(cosine)は、Vrms制御302からの各相についてのデューティ成分と組み合わされる。この位相電圧プロファイル発生器304の出力は、図9のパワーエレクトロニックゲートを制御する基準信号である。
【0105】
制御コイルを使用して無効電力を注入または抽出することによって、力率制御が可能になる。これは、制御コイルのPWMを制御して、一次コイルと二次コイルを流れる電力の波形に対して波形を位相シフトすることによって行われる。制御波形がコア内の磁束と位相ずれしていると、転送コイル波形が進んでいるか遅れているかに応じて、無効電力成分の加算または減算を生じさせる。
【0106】
電磁コアが、スイッチング機構(例えば、サイリスタなど)を介して変更できる追加のキャパシタンスおよびインダクタンスを有する場合、力率制御106の1つの実施形態を図16に示す。入れ子(ネスト)になった積分制御ループは、基準無効電力と実際の無効電力との間の誤差を決定するために使用される。これは、使用すべき物理的タップ位置に関連するタッピング位置番号を出力する。このタップ位置番号は、図17の3つの相のうちの1つについて示すように、サイリスタを起動するために使用される。パワーエレクトロニクスは並列で動作し、制御コイルに適用されるPWMを通じて無効電力の連続的な動的調整を提供する。
【0107】
本開示の一実施形態に係る三相変圧器装置の図を図22に示す。変圧器装置は、例えば、図20を参照して上述したように、変圧器コア100を備えてもよい。こうして各相の上側コイルは、一次コイル20Uと二次コイル22Uで構成され、下側コイルは、制御コイル24Lと二次コイル22Lで構成される。上側コイルと下側コイル(コイルアセンブリ)の各々について、コイルは、互いに重なり合うように巻回される。2つの二次コイル22U,22Lは、直列に接続されてもよい。こうして各相は、図21に示す回路図表現によって表現できる。
【0108】
図22に示すように、三相変圧器装置は、デルタ構成を有する一次側の三相電力を、スター構成を有する二次側の三相電力に変換するように構成される。図22の実施形態では、制御コイルは、独立した位相制御のためにスター構成で接続される。一次コイル、二次コイルおよび制御コイルの各々は、本発明の範囲から逸脱することなく、スター構成またはデルタ構成のいずれかで接続してもよい。
【0109】
図22は、コントローラをさらに示しており、これは、図22の実施形態では、二次側から電力を引き出すように構成される。こうしてコントローラのパワーエレクトロニクス(例えば、図22の「パワーエレクトロニクスボックス」が設けられた回路は、前述した図1のパワーエレクトロニクス104に対応する)は、三相変圧器装置の二次側と制御コイルとの間に接続される。こうしてパワーエレクトロニクス(例えば、図1のパワーエレクトロニクス104)は、三相変圧器の一次側から隔離されてもよい。
【0110】
図22に示すように、コントローラのパワーエレクトロニクスは、二次側から電力を引き出し、制御コイルに電圧波形または電流波形を印加して、三相変圧器装置の第1の一次コイルと第1および第2の二次コイルとの間のエネルギー転送に影響を与えるように構成されたAC/ACコンバータを備える。こうしてコントローラは、パワーエレクトロニクスを用いて電圧波形制御および力率制御を実行するように構成できる。
【0111】
図22の実施形態では、AC-ACコンバータは、非同期AC-ACコンバータである。図22に示すように、AC-ACコンバータは、AC-DCコンバータ402と、DC-ACコンバータ404を備える。AC-DCコンバータ402は、二次側からのAC電力をDC電力に変換するように構成される。そして、DC-ACコンバータ404は、AC-DCコンバータ402からのDC電力をAC電力に変換し、そのAC電力を制御コイルに出力するように構成される。こうしてAC-DCコンバータ402およびDC-ACコンバータ404は、上述したように、バックツーバック(逆並列)の構成で提供される。AC-DCコンバータ402とDC-ACコンバータ404との間には、DCリンクが設けられる。DCリンクは、2つのコンバータ間のDC電圧リップルを低減または最小化するために設けられてもよい。こうしてAC-DCコンバータおよびDC-ACコンバータは、各相の制御コイルに電圧波形または電流波形を印加して、変圧器装置の二次側の電圧および力率を制御するように構成された電圧制御回路および力率制御回路の一部を形成する。
【0112】
いくつかの実施形態では、上述したようなエネルギー貯蔵回路が、図22の一部として設けられてもよい。こうしてパワーエレクトロニクス(例えば、図1のパワーエレクトロニクス104)が、二次側から電力を引き出すように構成され、エネルギー貯蔵回路は、二次側から電力を引き出して、貯蔵された電力をパワーエレクトロニクスおよび制御コイルに供給するように構成される。こうしてエネルギー貯蔵回路は、二次側から充分な電力が利用できない場合、力率補正および/または電圧波形補正のために制御コイルへの利用可能な電力を増強するために、制御コイルにエネルギーを供給できる。
【0113】
図22の実施形態は、変圧器装置の二次側に接続されたコントローラのパワーエレクトロニクスを示しているが、他の実施形態においても、図22のパワーエレクトロニクスは、一次側と制御コイルとの間に接続されてもよい。こうして他の実施形態では、パワーエレクトロニクスは、一次側から電力を引き出すように構成してもよく、三相変圧器装置の一次側と制御コイルとの間に接続される。特に、コントローラ(例えば、コントローラのパワーエレクトロニクス)が一次側から電力を引き出すように構成される場合、エネルギー貯蔵回路は、一次側から電力を引き出して、貯蔵された電力をパワーエレクトロニクスおよび制御コイルに供給するように構成されてもよい。
【0114】
図22にさらに示すように、パワーエレクトロニクス(パワーエレクトロニクスボックス)は、複数の回路遮断器(ブレーカ)回路を備える。第1回路遮断器回路が、AC-DCコンバータとコントローラ用電源(図22の2次側)との間に各相について設けられ、第2回路遮断器回路が、DC-ACコンバータと制御コイルとの間に各相について設けられる。第1および第2回路遮断器回路はそれぞれ、過度の電流/電圧が発生時に、コントローラの個々の相を変圧器装置の巻線から隔離するように構成される。
【0115】
図22に示すように、二次側とAC-DCコンバータとの間に事前挿入抵抗器が設けられる。事前挿入抵抗器は、動作時にAC-DCコンバータによって引き出される電流を制御するために設けられてもよい。いくつかの実施形態では、事前挿入抵抗器が使用されるか否かを制御するバイパス回路(事前挿入接触器)が設けられてもよい。
【0116】
さらに、図22の(コントローラの)パワーエレクトロニクスは、複数の短絡接触器を備えてもよく、各短絡接触器は、制御コイルと接地(ground)との間に接続される。こうして各相について、個々の制御コイルを短絡するように構成された短絡接触器が設けられる。制御コイルを短絡することによって、三相変圧器は、バイパスモード(即ち、制御コイルをバイパスする)で動作させてもよく、この場合、デバイスは、上側コイルアセンブリで一次/二次巻線の比率を備えた標準変圧器として動作する。
【0117】
図22の実施形態では、AC-DCコンバータおよびDC-ACコンバータの各々は、コンバータのAC電源側をフィルタ処理するように構成されたフィルタ回路を備える。図22の実施形態では、各フィルタ回路は、キャパシタと、複数のインダクタ(例えば、LCLフィルタ回路)とを備える。各フィルタ回路は、個々の電力コンバータに関連する高周波高調波を低減するように構成されてもよい。
【0118】
図22の実施形態では、コントローラは、コントローラハウジング(パワーエレクトロニクスボックス)内に設けられてもよい。いくつかの実施形態では、コントローラハウジングは、パワーエレクトロニクス用のパワーエレクトロニクスハウジングを備えてもよい。図22に示すように、変圧器コアは、別個の変圧器ハウジング内に設けられてもよく、変圧器コアのコイルとコントローラハウジングとの間に適切な相互接続(例えば、ワイヤ、ケーブル、またはバスバー)を備える。二次側/二次コイルの電圧を測定するために使用される電圧センサのために、接続部が設けられてもよい。
【0119】
図22に示すように、コントローラはまた、コントローラに関連する種々の電圧/電流を感知するように構成された、複数の電圧センサおよび電流センサを含む。特に、コントローラは、AC-DCコンバータへの各相入力における電流および電圧、およびDC-ACコンバータによる各相での電流および電圧出力(即ち、制御コイルへの電流および電圧出力)を感知するように構成してもよい。コントローラはまた、AC-DCコンバータによって出力されるDC電圧を感知するように構成してもよい。
【0120】
図22に示すように、AC-DCコンバータおよびDC-ACコンバータはまた、温度センサを備えてもよい。温度センサはそれぞれ、個々のコンバータを監視して、コンバータが通常温度で動作していることを確保するように構成できる。
【0121】
当業者には、PWM制御アルゴリズム、そして制御方法論およびアルゴリズムの様々な変形例を使用して同じ効果を達成できることは明らかであろう。
【0122】
ここで説明する電力供給システムおよびプロセスは、システムによって受けられる入力エネルギーの変化に動的かつ迅速に応答して、目標電圧および目標入力力率を有する対応する出力エネルギーを発生することが可能であるため、特に有利であることは明らかであろう。特に、この能力により、前述のシステムおよびプロセスは、出力エネルギーをシステムの負荷によって要求されるエネルギーに一致させることが可能になる。さらに、システムおよびプロセスは、双方向であるため、例えば、エネルギー供給網から供給され、一方向に流れるエネルギーについても、また、システムを通して反対方向に流れる可能性のある再生可能エネルギー源から供給されるエネルギーについても、これを実施できる。例えば、風の変化、および/または、利用可能な日光の変化によって生じる局所的なエネルギー発生の変化は、システムおよびプロセスによって緩和することができ、固定負荷に対して比較的一定の出力を提供できる。
【0123】
本発明の範囲から逸脱することなく、多くの変更が当業者には明らかであろう。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
【手続補正書】
【提出日】2024-09-19
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
三相電力変圧システムのための三相変圧器装置であって、
三相変圧器装置の各相について、三相変圧器装置は、
第1端および第2端を有する上側コアリムと、
第3端および第4端を有する下側コアリムと、
第1の一次コイルおよび第一二次コイルを含む第1コイルアセンブリと、を備え、
各第1コイルアセンブリの第1の一次コイルおよび第1の二次コイルは、個々の相の上側コアリムまたは下側コアリムの一方の周りに同心状に巻回されており、
三相変圧器装置はさらに、第2の二次コイルおよび制御コイルを含む第2コイルアセンブリを備え、
各第2コイルアセンブリの第2の二次コイルおよび制御コイルは、個々の相の上側コアリムおよび下側コアリムの他方の周りに同心状に巻回されており、
各第2コイルアセンブリの第2の二次コイルは、個々の相の第1コイルアセンブリの第1の二次コイルと直列に接続されており、
三相変圧器装置はさらに、上側コアリムの第1端の各々の間に接続された第1ヨーク部と、
下側コアリムの第4端の各々の間に接続された第2ヨーク部分と、
各上側コアリムの第1端と個々の上側コアリムの第2端との間に磁束が流れるように、そして、各下側コアリムの第3端と個々の下側コアリムの第4端との間に磁束が流れるように構成された、少なくとも1つの転送ヨークと、
各相の制御コイルに接続され、三相変圧器装置の第1の一次コイルと第1および第2の二次コイルとの間のエネルギーの転送に影響を与えるように、制御コイルに電圧波形または電流波形を印加するように構成されたコントローラと、を備える、三相変圧器装置。
【請求項2】
各相の第1コイルアセンブリは、追加の制御コイルをさらに備え、
各第1コイルアセンブリの第1の一次コイル、第1の二次コイルおよび追加の制御コイルは、個々の相のコアリムの周りに同心状に巻回され、
各相の制御コイルおよび追加の制御コイルは、上側コアリムおよび下側コアリムの周りに反対方向に巻回される、請求項1に記載の三相変圧器装置。
【請求項3】
各相の第2コイルアセンブリは、第2の一次コイルをさらに備え、
各第2コイルアセンブリの第2の一次コイル、第2の二次コイルおよび制御コイルは、個々の相のコアリムの周りに同心状に巻回され、
第2コイルアセンブリの第2の一次コイルは、個々の第1コイルアセンブリの第1の一次コイルと直列に接続される、請求項1または2に記載の三相変圧器装置。
【請求項4】
コントローラは、各相の制御コイルに電圧波形または電流波形を印加して、相の各々の第1の二次コイルおよび第2の二次コイルの両端の電圧を制御するように構成された電圧制御回路を備える、請求項1または2に記載の三相変圧器装置。
【請求項5】
コントローラは、三相変圧器装置の力率を制御するように構成された力率制御回路を備える、請求項1または2に記載の三相変圧器装置。
【請求項6】
コントローラの力率制御回路は、制御コイルの各々のための可変リアクタンスを備え、
力率制御回路は、制御コイルの各々に接続されたリアクタンスを制御して、三相変圧器装置の力率を制御するように構成される、請求項5に記載の三相変圧器装置。
【請求項7】
コントローラは、コントローラが制御コイルに電圧波形または電流波形を印加するためのバックアップ電源を提供するように構成されたエネルギー貯蔵回路をさらに備える、請求項1または2に記載の三相変圧器装置。
【請求項8】
各相の上側コアリムおよび少なくとも1つの転送ヨークのうちの1つは、第1平面内に配置され、および/または、
各相の下側コアリムおよび少なくとも1つの転送ヨークのうちの1つは、第2平面内に配置される、請求項1または2に記載の三相変圧器装置。
【請求項9】
コントローラは、三相変圧器装置の一次側から電力を引き出すように構成され、三相変圧器装置の二次側から電気的に絶縁されており、あるいは、
コントローラは、三相変圧器装置の二次側から電力を引き出すように構成され、三相変圧器装置の一次側から電気的に絶縁されている、請求項1または2に記載の三相変圧器装置。
【請求項10】
コントローラが一次側から電力を引き出すように構成されている場合、コントローラは、三相変圧器装置の一次側と制御コイルとの間に接続され、
コントローラが二次側から電力を引き出すように構成されている場合、コントローラは、三相変圧器装置の二次側と制御コイルとの間に接続される、請求項9に記載の三相変圧器装置。
【請求項11】
コントローラは、一次側または二次側から電力を引き出し、制御コイルに電圧波形または電流波形を印加して、三相変圧器装置の第1の一次コイルと第1および第2の二次コイルとの間のエネルギーの転送に影響を与えるように構成されたAC-ACコンバータを備える、請求項に記載の三相変圧器装置。
【請求項12】
AC-ACコンバータは、非同期AC-ACコンバータである、請求項11に記載の三相変圧器装置。
【請求項13】
コントローラは、コントローラが制御コイルに電圧波形または電流波形を印加するためのバックアップ電源を提供するように構成されたエネルギー貯蔵回路をさらに備え、
コントローラが一次側から電力を引き出すように構成されている場合、エネルギー貯蔵回路は、一次側から電力を引き出して、貯蔵された電力をコントローラおよび制御コイルに供給するように構成され、あるいは、
コントローラが二次側から電力を引き出すように構成されている場合、エネルギー貯蔵回路は、二次側から電力を引き出して、貯蔵された電力をコントローラおよび制御コイルに供給するように構成される、請求項に記載の三相変圧器装置。
【請求項14】
少なくとも1つの転送ヨークは、
上側コアリムの第2端間に接続され、各上側コアリムの第1端と個々の上側コアリムの第2端との間で磁束が流れるように構成された第1転送ヨークと、
下側コアリムの第3端間に接続され、各下側コアリムの第3端と個々の下側コアリムの第4端との間で磁束が流れるように構成された第2転送ヨークと、を備える、請求項1または2に記載の三相変圧器装置。
【請求項15】
第1転送ヨークは、第2転送ヨークから空間的に分離されている、請求項14に記載の三相変圧器装置。
【請求項16】
各相では、各上側コアリムの第2端は、個々の下側コアリムの個々の第3端に接続されている、請求項1または2に記載の三相変圧器装置。
【請求項17】
上側コアリムの第2端と個々の上側コアリムの第1端との間に接続された上側磁束戻り経路コア、および/または、
下側コアリムの第4端と個々の下側コアリムの第3端との間に接続された下側磁束戻り経路コア、をさらに備える、請求項1または2に記載の三相変圧器装置。
【請求項18】
各相の第1制御コイルは、個々の相の追加の制御コイルと直列に接続される、請求項に記載の三相変圧器装置。
【請求項19】
電力変圧システム用の変圧器装置であって、
第1端および第2端を有する上側コアリムと、
第3端および第4端を有する下側コアリムと、
第1の一次コイルおよび第1の二次コイルを含む第1コイルアセンブリであって、第1の一次コイルおよび第1の二次コイルは、上側コアリムまたは下側コアリムの一方の周りに同心状に巻回される、第1コイルアセンブリと、
第2の二次コイルおよび制御コイルを含む第2コイルアセンブリであって、第2の二次コイルおよび制御コイルは、上側コアリムまたは下側コアリムの他方の周りに同心状に巻回される、第2コイルアセンブリと、を備え、
第2コイルアセンブリの第2の二次コイルは、第1コイルアセンブリの第1の二次コイルと直列に接続されており、
変圧器装置はさらに、上側コアリムの第1端と上側コアリムの第2端との間に磁束が流れるように構成され、かつ、下側コアリムの第3端と下側コアリムの第4端との間に磁束が流れるように構成された、少なくとも1つの転送ヨーク部と、
制御コイルに接続され、変圧器装置の第1の一次コイルと第1および第2の二次コイルとの間のエネルギーの転送に影響を与えるように、制御コイルに電圧波形または電流波形を印加するように構成されたコントローラと、を備える、変圧器装置。
【請求項20】
第1コイルアセンブリは、追加の制御コイルをさらに備え、
第1コイルアセンブリの第1の一次コイル、第1の二次コイルおよび追加の制御コイルは、前記上側コアリムまたは下側コアリムの周りに同心状に巻回され、
制御コイルおよび追加の制御コイルは、上側コアリムおよび下側コアリムの周りに反対方向に巻回される、請求項19に記載の変圧器装置。
【請求項21】
第2コイルアセンブリは、第2の一次コイルをさらに備え、
各第2コイルアセンブリの第2の一次コイル、第2の二次コイルおよび制御コイルは、上側コアリムまたは下側コアリムの他方の周りに同心状に巻回され、
第2コイルアセンブリの第2の一次コイルは、第1コイルアセンブリの第1の一次コイルと直列に接続される、請求項19または請求項20に記載の変圧器装置。
【請求項22】
コントローラは、制御コイルに電圧波形または電流波形を印加して、第1の二次コイルおよび第2の二次コイルの両端の電圧を制御するように構成された電圧制御回路をさらに備える、請求項19または20に記載の変圧器装置。
【請求項23】
コントローラは、変圧器装置の力率を制御するように構成された力率制御回路を備える、請求項19または20に記載の変圧器装置。
【請求項24】
コントローラの力率制御回路は、制御コイルのための可変リアクタンスを備え、
力率制御回路は、制御コイルに接続されたリアクタンスを制御して、変圧器装置の力率を制御するように構成される、請求項23に記載の変圧器装置。
【請求項25】
コントローラは、変圧器装置の一次側から電力を引き出すように構成され、変圧器装置の二次側から電気的に絶縁されており、あるいは、
コントローラは、変圧器装置の二次側から電力を引き出すように構成され、変圧器装置の一次側から電気的に絶縁されている、請求項19または20に記載の変圧器装置。
【請求項26】
コントローラが一次側から電力を引き出すように構成されている場合、コントローラは、変圧器装置の一次側と制御コイルとの間に接続され、
コントローラが二次側から電力を引き出すように構成されている場合、コントローラは、変圧器装置の二次側と制御コイルとの間に接続される、請求項25に記載の変圧器装置。
【請求項27】
コントローラは、一次側または二次側から電力を引き出し、制御コイルに電圧波形または電流波形を印加して、三相変圧器装置の第1の一次コイルと第1および第2の二次コイルとの間のエネルギーの転送に影響を与えるように構成されたAC-ACコンバータを備える、請求項26に記載の変圧器装置。
【請求項28】
AC-ACコンバータは、非同期AC-ACコンバータである、請求項27に記載の変圧器装置。
【請求項29】
エネルギー貯蔵回路をさらに備え、
コントローラが一次側から電力を引き出すように構成されている場合、エネルギー貯蔵回路は、一次側から電力を引き出して、貯蔵された電力をコントローラおよび制御コイルに供給するように構成され、あるいは、
コントローラが二次側から電力を引き出すように構成されている場合、エネルギー貯蔵回路は、二次側から電力を引き出して、貯蔵された電力をコントローラおよび制御コイルに供給するように構成される、請求項25に記載の変圧器装置。
【請求項30】
少なくとも1つの転送ヨークは、
上側コアリムの第2端と上側コアリムの第1端との間に接続され、上側コアリムの第1端と上側コアリムの第2端との間に磁束が流れるように構成された第1転送ヨークと、
下側コアリムの第4端と下側コアリムの第3端との間に接続され、下側コアリムの第3端と下側コアリムの第4端との間に磁束が流れるように構成された第2転送ヨークと、を備える、請求項19または20に記載の変圧器装置。
【請求項31】
第1転送ヨークは、第2転送ヨークから空間的に分離されている、請求項30に記載の変圧器装置。
【請求項32】
上側コアリムおよび少なくとも1つの転送ヨークのうちの1つは、第1平面内に配置され、および/または、
下側コアリムおよび少なくとも1つの転送ヨークのうちの1つは、第2平面内に配置される、請求項30に記載の変圧器装置。
【請求項33】
上側コアリムの第2端と上側コアリムの第1端との間に接続された追加の上側磁束戻り経路コア、および/または、
下側コアリムの第4端と下側コアリムの第3端との間に接続された追加の下側磁束戻り経路コア、をさらに備える、請求項19または20に記載の変圧器装置。
【請求項34】
第1制御コイルは、追加の制御コイルと直列に接続される、請求項20に記載の変圧器装置。
【国際調査報告】