(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-02-06
(54)【発明の名称】ヒトの回復睡眠を増大させるカンナビジオール(CBD)およびテルペンの製剤
(51)【国際特許分類】
A61K 31/05 20060101AFI20250130BHJP
A61K 31/045 20060101ALI20250130BHJP
A61K 31/01 20060101ALI20250130BHJP
A61K 31/015 20060101ALI20250130BHJP
A61P 25/20 20060101ALI20250130BHJP
【FI】
A61K31/05
A61K31/045
A61K31/01
A61K31/015
A61P25/20
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024531450
(86)(22)【出願日】2023-01-27
(85)【翻訳文提出日】2024-07-22
(86)【国際出願番号】 US2023011720
(87)【国際公開番号】W WO2023147036
(87)【国際公開日】2023-08-03
(32)【優先日】2022-01-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524197792
【氏名又は名称】ディファインド リサーチ,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110003797
【氏名又は名称】弁理士法人清原国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】ムチョースキー,ポール
(72)【発明者】
【氏名】チャン,エリック
(72)【発明者】
【氏名】ワン,マイケル
【テーマコード(参考)】
4C206
【Fターム(参考)】
4C206AA01
4C206AA02
4C206BA02
4C206BA04
4C206CA08
4C206CA09
4C206CA19
4C206KA01
4C206KA04
4C206KA08
4C206KA17
4C206MA03
4C206MA04
4C206MA57
4C206MA72
4C206NA14
4C206ZA05
(57)【要約】
ヒトにおいて回復睡眠を増大させ、不安およびうつを減少させるカンナビジオール(CBD)およびテルペンの製剤を、本明細書に開示する。
【選択図】
図15A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
睡眠障害を処置する方法であって、
a.CBD、ならびにリナロール、ミルセン、フィトール、リモネン、α-テルピネン、α-テルピネオール、α-ピネン、およびβ-カリオフィレンを含む複数のテルペンを含む製剤を準備するステップと、
b.対象の睡眠障害に作用するように前記製剤の有効量を前記対象へ投与するステップと
を含む、方法。
【請求項2】
CBDが、約150mgのCBDおよびそれぞれ約0.5mgの複数のテルペンを含み、Δ-9-テトラヒドロカンナビノールを含まない、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記対象のREM睡眠または回復睡眠を増大させるステップをさらに含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
REM睡眠の増大のパーセンテージが、少なくとも20%である、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記投与するステップが、少なくとも7夜連続して、就寝の1時間前に1日1回行われる、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記投与するステップが、就寝の少なくとも1時間前にカプセル剤として経口により行われる、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記投与するステップが、4週間であり、徐波睡眠(SWS)+急速眼球運動(REM)睡眠の増大が、4週間にわたり1夜あたり平均50分間増大する、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記投与するステップが、前記対象が浅い睡眠に要した時間のパーセンテージを有意に減少させる、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
不安を処置する方法であって、
a.CBD、ならびにリナロール、ミルセン、フィトール、リモネン、α-テルピネン、α-テルピネオール、α-ピネン、およびβ-カリオフィレンを含む複数のテルペンを含む製剤を準備するステップと、
b.対象の不安に作用するように前記製剤の有効量を前記対象へ投与するステップと
を含む、方法。
【請求項10】
CBDが、約150mgのCBDおよびそれぞれ約0.5mgの複数のテルペンを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記投与するステップが、少なくとも7夜連続して、就寝の1時間前に1日1回行われる、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記投与するステップが、ハミルトン不安評価尺度による前記対象の不安スコアを低下させる、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
うつを処置する方法であって、
a.CBD、ならびにリナロール、ミルセン、フィトール、リモネン、α-テルピネン、α-テルピネオール、α-ピネン、およびβ-カリオフィレンを含む複数のテルペンを含む製剤を準備するステップと、
b.対象のうつに作用するように前記製剤の有効量を前記対象へ投与するステップと
を含む、方法。
【請求項14】
CBDが、約150mgのCBDおよびそれぞれ約0.5mgの複数のテルペンを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記投与するステップが、少なくとも7夜連続して、就寝の1時間前に1日1回行われる、請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、全般的に、疾患の処置のためのCBDおよびテルペンの新規製剤ならびにその使用、より具体的には、睡眠関連障害の処置のための製剤ならびにそれらの使用に関する。
【0002】
不眠症は、入眠の困難、再び眠ることが難しい夜間の頻発する目覚め、朝の早すぎる目覚め、またはすっきりしない目覚めなどの多くの要因により、人々が不適切または不十分な質の睡眠を有する障害である。
【0003】
Consumer Reportsによる1,267名の成人の調査は、アメリカ人のほぼ80%が少なくとも1週間に1回睡眠に問題を抱えていることを示している。不眠症は、最も一般的な睡眠障害であり、不安、うつ、および他の疾患にとって確立されたリスク因子である。不眠症は、入眠の困難、再び眠ることが難しい夜間の頻発する目覚め、朝の早すぎる目覚め、またはすっきりしない目覚めなどの多くの要因による不適切または不十分な質の睡眠の知覚または症状として臨床的に定義されている。不眠症は、不眠症に悩む人々の日中の機能に有意な不全および/または障害をもたらす。臨床的に診断された不眠症の有病率は、近年米国の成人人口の約19%まで増大しており、これは約4600万人を表す。一部の研究は、米国において診断されていない不眠症の比率が、25%(約8000万人)もの高さであり得ることを示唆している1。
【0004】
CBDは、EPIDIOLEX(登録商標)の活性成分であり、2つの希少かつ重篤な形態のてんかん、レノックス・ガストー症候群およびドラベ症候群に関連するてんかん発作の処置に関して、2018年にFDAにより承認された薬物である。2018年に、米国議会はまた、スケジュールIの制御された物質からアサ(0.3%未満のTHCを有する大麻として定義)を除外し、これを通常の農業上の物品とする2018年大麻農業法(Hemp Farming Act of 2018)(the Farm Bill)を可決した。この法案は、アサから得られる分子である、CBDの広範囲での精製、販売、および州際通商をもたらした(2021年における米国での販売では47億円)。その結果、店頭およびオンラインでの小売業者がCBD製品を市場にあふれさせ、このうちの多くは立証されていない治療上の宣伝文句(たとえば不眠症を治療するためのもの)を有した。残念なことに、現在米国の消費者は、厳しい臨床試験がない中で様々な病気を処置するためにCBDを使用している。実際に、米国の成人集団(約2900万人の成人)のうち約14%がCBDを使用したことを認めている(Gallup Survey, U.S. News & World Report)。にも関わらず、アメリカ人が表向きそれを処置するために使用している多くの病気に対してCBDの使用を裏付ける厳密な臨床研究は、決定的に欠如している。FDAの最大の懸念は、深刻な疾患を予防、診断、軽減、処置、または治癒するための立証されていない治療上の宣伝文句をうたうが、新薬承認を得ていないCBD製品の販売である。
【0005】
Consumer Reportsによる近年の調査では、CBDを試したと報告した成人の約40%が、CBD製品を自身の睡眠を支援するために使用したと言っており、彼らの大部分は、それが作用したと信じたと言っていた。にもかかわらず、今日まで、CBDが睡眠生理学に影響するかどうかを決定するための厳密で適切に制御された十分な検定力を有する研究は、科学論文において全く報告されていない。
【0006】
本発明は、これら問題および他の問題を解決しようと試みている。
【発明の概要】
【0007】
本明細書において、ヒトの回復睡眠を増大させるための方法および組成物が提供される。
【0008】
CBD製剤は、不眠症、ならびに疼痛、不安、およびうつを含む他の睡眠障害を処置するための、CBD、ならびにリナロール、ミルセン、フィトール、リモネン、α-テルピネン、α-テルピネオール、α-ピネン、およびβ-カリオフィレンを含む複数のテルペンから構成される。
【0009】
本方法、システム、および装置は、以下の説明に部分的に記載されており、部分的に、この記載から明らかであるか、または本方法、装置、およびシステムの実施により学習することができる。本方法、装置、およびシステムの利点は、添付の特許請求の範囲で特に指摘されている要素および組み合わせにより実現および達成される。前述の一般的な説明および以下の詳細な説明は両方とも単に例示的かつ説明的なものであり、請求される方法、装置、およびシステムを限定するものではないことを理解されたい。
【0010】
よって、本発明の目的は、本出願人らが既知の全ての製品、プロセス、または方法の権利を保有し、これによりその放棄を開示するように、全ての既知の製品、製品の作製プロセス、または製品の使用方法を本発明の中に包有することではない。さらに、本発明は、本出願人らが既知の全ての製品、製品の作製プロセス、または製品の使用方法の権利を保有し、これによりその放棄を開示するように、USPTO(米国特許法第112条、最初の段落)またはEPO(EPC83条)の記載要件および実施可能要件を満たさない全ての製品、または製品の作製、または製品の使用方法を本発明の範囲内に包有することを意図していないことに留意されたい。本発明の実施において、EPC53(c)条ならびにEPC準則28(b)および(c)に従うことが有利であり得る。本出願の分類もしくは他のいずれかの分類、またはいずれかの第3者の以前に提出された出願における出願人の付与された全ての特許の対象である全ての実施形態を明示的に放棄するための全ての権利は、明示的に留保される。本明細書において確約と解釈されるものはない。
【0011】
添付の図面において、同様の要素は、本発明のいくつかの好ましい実施形態において同様の参照数字により同定される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、GABA
A受容体および結合部位を示す円グラフである。
【
図2】
図2A~2Dは、CBD製剤が、試験参加者DR11において(
図2A)REM睡眠および(
図2B)回復睡眠、ならびにDR11の(
図2C)REM睡眠および(
図2D)回復睡眠に要した時間のパーセンテージを増大させることを示すグラフである[
**p<0.01(t検定)。n=処置グループあたり7日間。値は平均値±SEMである]。
【
図3】
図3A~3Bは、CBD製剤が、試験参加者DR11における(
図3A)REM睡眠および(
図3B)回復睡眠に要した時間のパーセンテージを増大させるが、CBD単独では有効性が低いことを示すグラフである。[
*p<0.05(一元配置ANOVA)。n=処置グループあたり7日間。値は平均値±SEMである]
【
図4】
図4Aは、CBD製剤が、REM睡眠のパーセンテージを増大させる傾向があることを示すグラフであり[p=0.06;(t検定)。n=処置グループあたり23名の参加者。値は平均値±SEMである]、
図4Bは、CBD製剤が、Le Reve 1.0からのプールしたデータにおいて回復睡眠のパーセンテージを増大させる傾向があることを示すグラフである[p=0.32(t検定)。n=処置グループあたり23名の参加者。値は平均値±SEMである]。
【
図5】
図5A~5Bは、CBD製剤が、プールしたレスポンダーにおいて(
図5A)REM睡眠および(
図5B)回復睡眠のパーセンテージを増大させることを示すグラフである[
**p=0.001;
****p<0.0001(t検定)。n=処置グループあたり11名のレスポンダー。値は平均値±SEMである]
【
図6】
図6A~6Bは、CBD製剤が、中程度の不眠症を有する参加者における(6A)REM睡眠および不眠症を有するプールしたレスポンダーにおける(6B)回復睡眠のパーセンテージを増大させることを示すグラフである[
**p<0.01(t検定)。n=処置グループあたり7-9名のレスポンダー。値は平均値±SEMである]。
【
図7】
図7は、試験参加者が、CBD製剤が試験参加者の睡眠を良好にするために役立ったと認識したことを示すグラフである[p=0.13;(t検定)。n=処置グループあたり23名のレスポンダー。値は平均値±SEMである]。各処置期間の終了時に、試験参加者は、処置を開始する前のベースライン期間と比較して処置が自身の睡眠に影響したかどうかを決定するためのPGIアンケートを使用した。スコアリングマトリックス:1=処置が助けとなった;2-処置の効果なし;3-処置により悪化した。このデータによって、低いスコアは、睡眠を支援する潜在的利益を示す。この結果は、CBD製剤が、プラセボ対照と比較して良好な睡眠の認識を改善するように見えることを示した。
【
図8】
図8A~8Cは、不安を減少させるCBD製剤を示すグラフである。各処置期間の終了時に、試験参加者は、ハミルトン不安評価尺度
29と題する臨床的に検証された調査に記入した。この評価尺度の各項目は、0(存在なし)~4(重篤)の尺度でスコア付けされ、総スコアは0~53の範囲にあり、<14は軽度の重症度、15~21は軽度~中程度の重症度、22~27は中程度から重度の重症度を示す。この調査に基づき、CBD製剤は、プラセボ対照またはCBD単独と比較して参加者DR13(
図8A)、DR16(
図8B)、およびDR21(
図8C)において不安を減少させる。
【
図9】
図9Aは、CBD製剤が「レスポンダー」において不安を減少させることを示すグラフである。各処置期間の終了時に、試験参加者は、ハミルトン不安評価尺度
29と題する調査に記入した。この評価尺度の各項目は、0(存在なし)~4(重篤)の尺度でスコア付けされ、総スコアは0~53の範囲にあり、<14は軽度の重症度、15~21は軽度~中程度の重症度、22~27は中程度から重度の重症度を示す。この調査に基づき、CBD製剤は、プラセボ対照またはCBD単独と比較して不安を減少させるように思われた[
*p<0.05(一元配置ANOVA)。n=処置グループあたり10名の「レスポンダー」。値は平均値±SEMである]。
図9Bは、レスポンダーの平均不安スコアがプラセボ対照を服用後のノンレスポンダーよりも高いことを示すグラフである。
【
図10】
図10A~10Bは、CBD製剤が、中程度~重篤な不眠症を有する参加者の独立したコホートにおいて(10A)REM睡眠および(10B)回復睡眠のパーセンテージを増大させることを示すグラフである。[
*p<0.05;(t検定)。n=処置グループあたり13名の参加者。値は平均値±SEMである]。
【
図11】
図11A~11Bは、CBD製剤が、臨床試験1および2からの組み合わせデータセットにおいて、(11A)REM睡眠および(11B)回復睡眠のパーセンテージを増大させることを示すグラフである[
*p<0.05;(t検定)。n=処置グループあたり36名の参加者。値は平均値±SEMである]。
図11Cは、CBD製剤が、Le Reve 1.0および2.0から組み合わせたデータにおいて深い睡眠のパーセンテージを増大させる傾向を示すことを示すグラフである[p=0.17(t検定)。n=処置グループあたり36名の参加者。値は平均値±SEMである]。
【
図12】
図12は、実施例の臨床試験の概略的なフローチャートである。
【
図13】
図13A~13Fは、CBD-テルペン製剤が、DR24(
図13A)、DR45(
図13B)、DR51(
図13C)、DR111(
図13D)、DR112(
図13E)、およびDR128(
図13F)のSWS+REM睡眠(回復睡眠)に要した時間のパーセンテージを増大させることを示すグラフである[
*p<0.05(t検定);
**p<0.01(t検定);
***p<0.001;
****p<0.0001(t検定)。n=処置グループあたり15~28日間。値は平均値±SEMである]。
【
図14】
図14A~14Fは、CBD-テルペン製剤が、試験参加者DR51の(
図14A)REM、(
図14B)SWS、(
図14C)SWS+REM(回復睡眠)、ならびにDR51が(
図14D)REM、および(
図14E)SWS、および(
図14F)SWS+REM(回復睡眠)に要した時間のパーセンテージを増大させることを示すグラフである[
**p<0.01;
***p<0.001(t検定)。n=処置グループあたり19~25名の参加者。値は平均値±SEMである]。
【
図15】
図15A~15Fは、CBD-テルペン製剤が、試験参加者DR128の(
図15A)REM、(
図15B)SWS、(
図15C)SWS+REM(回復睡眠)、ならびにDR128が(
図15D)REMおよび(
図15E)SWS、および(
図15F)SWS+REM(回復睡眠)に要した時間のパーセンテージを増大させることを示すグラフである
*p<0.05(t検定);
***p<0.001;
****p<0.0001(t検定)。n=処置グループあたり15~28日間。値は平均値±SEMである]
【
図16】
図16A~16Fは、CBD-テルペン製剤が、試験参加者DR24(
図16A)、試験参加者DR45(
図16B)、試験参加者DR51(
図16C)、試験参加者DR111(
図16D)、試験参加者DR112(
図16E)、および試験参加者DR128(
図16F)において、プラセボと比較して浅い睡眠を減少させることを示すグラフである。
*p<0.05(t検定);
***p<0.001;
****p<0.0001(t検定)。n=処置グループあたり15~28日間。値は平均値±SEMである]
【
図17】
図17A~17Fは、CBD-テルペン製剤が、試験参加者DR24(
図17A)、試験参加者DR45(
図17B)、試験参加者DR51(
図17C)、試験参加者DR111(
図17D)、試験参加者DR112(
図17E)、および試験参加者DR128(
図17F)において、プラセボと比較して総睡眠時間(TST)を増大させることを示すグラフである[(t検定)。n=処置グループあたり15~28日間。値は平均値±SEMである]。「ns」は有意ではない。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の前述および他の特色および利点は、以下の例示的な実施形態の詳細な説明から、添付の図面と併せて読むことにより明らかである。詳細な説明および図面は、限定ではなく本発明の単なる例であり、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲およびそれらの均等物により定義される。
【0014】
ここで、本発明の実施形態を、図面を参照して説明する。ここで、全体を通して、同様の数字は同様の要素を反映している。本明細書中提示される説明で使用される専門用語は、何等かの限定的または制限的な方法で解釈されるように意図されてはおらず、これはこの専門用語が、単に本発明の特定の具体的な実施形態の詳細な説明と組み合わせて利用されるためである。さらに、本発明の実施形態は、いくつかの新規の特色を含み得るが、その望ましい属性に単に寄与するかまたは本明細書中記載される発明の実施に本質的であるものは1つもない。
【0015】
本発明を記載する文脈における用語「a」、「an」、および「the」ならびに同様の指示語の使用は、本明細書中他の意味が記載されないかまたは文脈と明らかに矛盾しない限り、単数および複数の両方を包有するように解釈されるべきである。さらに、用語「~を含む(comprises)」、「~を含む(comprising)」、「~を含む(comprising)」、「~を含む(includes)」、および/または「~を含む(including)」は、本明細書中使用される場合、記載される特色、整数、ステップ、操作、要素、および/または構成要素の存在を明記するが、1つ以上の他の特色、整数、ステップ、操作、要素、構成要素、および/またはそれらのグループの存在または追加を妨げるものではないことが理解される。
【0016】
本明細書中の値の範囲の記述は、本明細書中他の意味が記載されない限り、単に当該範囲内にある各別々の値を個別に指す短縮された方法として扱うように意図されており、各別々の値は、本明細書中個別に記載されているかのように本明細書に組み込まれている。用語「約」は、数値を伴う場合、記載される数値から最大10%の偏差および包含を示すように解釈すべきである。本明細書中提供されるあらゆる実施例または例示的な言語(たとえば「e.g.」または「など(such as)」)の使用は、単に、本発明を良好に例示するように意図されており、他の意味が請求されない限り、本発明の範囲に限定を課すものではない。本明細書における言語を、請求されていない要素を本発明の実践に不可欠であることを示すものとして解釈してはならない。
【0017】
「一実施形態(one embodiment)」、「一実施形態(an embodiment)」、「例となる実施形態(example embodiment)」、「様々な実施形態(various embodiments)」などに対する言及は、記載される本発明の実施形態が、特定の特色、構造、または特徴を含み得るが、全ての実施形態が必ずしも特定の特色、構造、または特徴を含むものではないことを表し得る。さらに、文言「一実施形態において」または「例示的な実施形態において」の反復使用は、同じ実施形態であり得るが、必ずしも同じ実施形態を指すものではない。
【0018】
本明細書中使用される場合、用語「方法」は、限定するものではないが、化学、薬理学、生物学、生化学、および医学の分野の実務者に公知であるか、または化学、薬理学、生物学、生化学、および医学の分野の実務者により既知の方法、手段、技術、および手法から容易に開発される方法、手段、技術、および手法を含む、所定のタスクを達成するための方法、手段、技術、および手法を指す。他の意味が明記されない限り、本明細書中記載されるいかなる方法または態様も、そのステップが特定の順序で実施される必要があると解釈されることを決して意図していない。よって、方法の特許請求の範囲が、ステップが特定の順序に限定されることを特許請求の範囲または記載で具体的に記載しない場合、いかなる点においても順序が推測されることを全く意図していない。これは、ステップもしくは操作フローの配置、文法構成もしくは句読点に由来する単純な意味、または本明細書に記載される態様の数もしくはタイプに関する論理的問題を含む、解釈のあらゆる可能性のある明示されていない根拠に適用される。
【0019】
定義
【0020】
「睡眠障害」は、対象が、たとえば不眠症などの、入眠困難であり入眠し続けることが難しいいずれかの病態であり、不安、ストレス、およびうつによる入眠の困難に関連する病態;不十分な集中(concentrationおよびfocus)をもたらす睡眠困難;加齢に関連する物忘れ、認知症、または他の認知障害による入眠困難;薬物乱用、精神障害、呼吸障害によるか、または周期性四肢運動などの他の睡眠障害による入眠困難;不十分な睡眠衛生などの他の睡眠に関連する問題による入眠または入眠継続の困難、不十分な睡眠衛生は、アルコールまたはカフェインを含む飲料の消費、大量の食事の摂食、または就寝直前の身体的または精神的刺激活動への従事を含む;不十分な睡眠衛生は、不規則な就寝時間、または睡眠環境の中の不適切な温度、不十分な換気、音、もしくは光を含む;ナルコレプシー、および急速眼球運動(REM)睡眠行動障害を含む;アルツハイマー病、パーキンソン病、および多発性硬化症などの神経変性疾患に関連する障害;薬物の離脱症状、特にはアルコールの離脱症状または鎮静剤-睡眠剤の離脱症状に関連する攪乱性REM睡眠障害;ならびに睡眠時無呼吸、交代勤務睡眠障害、および時差ぼけに関連する概日リズムの混乱を含む。
【0021】
用語「不安」は、本明細書中使用される場合、不安および回避行動が優勢である精神障害を指す。このような障害の例として、恐怖症(広場恐怖症を含む)、パニック障害、強迫性障害、外傷後ストレス障害、急性ストレス障害、全般性不安障害、および薬物誘発性不安障害が挙げられる。
【0022】
「うつ」は、病的または臨床的なうつを含み、悲しみまたは高揚感が過度に激しく、予測される事象の影響を超えて継続する場合に通常診断される。症状は、多くの場合、一時的に再発するか、または低グレードの断続的な慢性化をたどり、患者の機能を損なう。双極性気分障害は、一般にうつから始まり、この疾病の経過の間の高揚感の期間を特徴とする。単極性気分障害は、通常6~9か月間続く症候性(syndromal)のうつのエピソードを特徴とする。
【0023】
「REM睡眠」は、急速眼球運動、筋肉の緊張消失、夢の内容、自律機能のゆらぎ(不規則な呼吸、脈拍、体温、および血圧)、覚醒と類似する脳の代謝率、および脱同期したニューロン活性を特徴とする。REMの間にはノルアドレナリン作動性活性もセロトニン作動性活性も存在しない。REM睡眠は、同じ目的(ニューロン活性は覚醒活性のものと類似する)を供給しないが、これはさらに別の役割:モノアミン受容体(特にノルエピネフリン、セロトニン、およびヒスタミンの受容体)の感度の完全な回復を供給し得る。これは、REM睡眠の間でのモノアミン神経伝達物質の放出の休止により達成される(睡眠麻痺をもたらし環境意識を低下させる)。この仮説に関連する他の理論は、REM睡眠が、記憶(特に記憶の固定)および知的な機能に重要であることを主張している。研究から、REM睡眠が集中的な学習経験の間に増大すること、およびREM睡眠の喪失が創作的問題解決能力の低減をもたらすことが示されている。実験から、知覚的技能、たとえば反復の実践を介して学習される技能は、一晩で改善し、REM睡眠が選択的に中断される場合に妨害されることが示されている。他の実験データは、REM睡眠の間に起こる脳の活性化が、脳の発達に重要な役割を果たすことを示唆している。
【0024】
さらにREM睡眠は、神経系の活動性の成長および発達が適切に機能することに関連している。REM睡眠が加齢に関連する変化に抵抗性であるという事実は、神経系機能の維持における役割を示唆すると考えられる。さらに、夢を見る目的(REMの鍵となる識別的特色)はREMよりもさらに十分理解されてはいないが、これについての多くの理論は、REM睡眠の認知-健康の重要性を強固にしている。これらの理論は、夢を見ること(よってREM)が、語義の記憶の長期間の記憶の固定、学習、および苦しんだ経験の回復に関連するという提唱を含む。
【0025】
「回復睡眠」は、睡眠が再活性化において重要な役割を果たすという点での一般的な意味合いである。回復プロセスの根底にある機構は、覚醒時間の間に蓄積する神経毒の中和、覚醒プロセスの間に産生される睡眠誘導性物質の増大に対する応答、神経化学物質の合成、および脳内化学物質の再分布を含む。徐波睡眠(SWS)の間、組織合成、細胞分裂、および成長ホルモン放出の増大が観察される。運動選手は、他より高い割合のSWSを有する。酸素の消費はSWSの間低下し、異化作用の低減が示唆される。SWSは、明らかな代償効果において飢餓後に増大する。甲状腺機能亢進症はSWSを増大させ、甲状腺機能低下症はSWSを低減させ、SWSは、小児の身体が発達するピークの年代の間は高く、老齢期には減少する。最後に、研究から、SWSが強さの成分(intensity component)を有することが示されている。このSWSの強さの次元により、哺乳動物は、睡眠時間を有意に増大させることなく、失われた睡眠を補うことができる。NREM睡眠の間、特にSWSは身体回復に中心的な役割を果たすと思われる。NREMの低い代謝率および低い体温は、明らかに、神経修復を促す環境を提供する。
【0026】
用語「相乗的」は、本明細書中使用される場合、2つ以上の成分を組み合わせて使用した場合の累積的な薬理効果が、それらを個別に試験した際の各効果の合計よりも高い現象を指す。用語「増強する」は、本明細書中使用される場合、活性成分の有効性が、第2の成分と組み合わせた場合に有意に高い現象を指し、ここで前記第2の成分自体は、同じ薬理試験でいかなる有効性も実証しない。増強の一部の例では、前記第2の成分は、薬理効果が測定されないだけでなく、単独でアッセイする場合に反対の効果さえも引き起こし得る。このような事例の一例は以下の通りである:成分Aが、抗不安剤であり;成分Bは不安促進剤であり;AおよびBを組み合わせた場合、上記組み合わせはA単独でみられる抗不安効果よりも高い効果をもたらす。本発明の文脈において、増強は、特別な相乗性の事例とみなされる。よって、用語「相乗性」(または相乗的など)は、本発明の組成物の特性を定義するために使用される場合、本明細書において直前に記載した増強効果もその意味の範囲内に含む。
【0027】
用語「CBD」製剤は、本明細書中使用される場合、薬学的に許容される組成物を指し、過度の毒性、刺激、アレルギー応答、および他の問題となる合併症を伴うことなく、哺乳動物、特にヒトの組織との接触に適した健全な医学的判断の範囲内にあり、妥当なリスク・ベネフィット比でつりあった化合物、物質、組成物、および/または剤形を指す。CBD製剤は、配置異性体(たとえばシス異性体およびトランス異性体)ならびに全ての光学異性体(エナンチオマー)、異性体、およびジアステレオマーなど)、ラセミ体、ジアステレオ異性体、およびこれら異性体の混合物、ならびに溶媒和物、水和物、同形体、多形体、互変異性体、エステル、塩形態、およびプロドラッグを含む。用語「プロドラッグ」は、薬物前駆体であり、投与の後に何らかの化学的または生理的なプロセスを介してin vivoで薬物を放出する化合物を指す(たとえば、プロドラッグは、生理的pHに達する場合または酵素作用を介して望ましい剤形に変換される)。例示的なプロドラッグは、切断後に対応する遊離酸、および本発明の化合物の加水分解性エステル-形成残基を放出する。
【0028】
本開示では、CBD、テルペン、テルペンとCBDの組み合わせ、または組成物の「有効量」または「有効用量」は、対象に投与された後、対象の血流および/または身体組織に到達するCBDまたはテルペンの量を指す。
【0029】
CBD
【0030】
本発明の文脈において、用語「カンナビジオール化合物」、「カンナビジオール」、または「CBD」(文脈が他の意味を明記しない限り互換可能に使用され得る)は、いずれかの天然であるか、半合成であるか、または合成のカンナビノイド化合物を指す。
【0031】
CBDは、他の特定の立体異性体が明記されていない限り、化合物「Δ2-カンナビジオール」を含む。これら化合物は、(1)Δ5-カンナビジオール(2-(6-イソプロペニル-3-メチル-5-シクロヘキセン-1-イル)-5-ペンチル-1,3-ベンゼンジオール);(2)Δ4-カンナビジオール(2-(6-イソプロペニル-3-メチル-4-シクロヘキセン-1-イル)-5-ペンチル-1,3-ベンゼンジオール);(3)Δ3-カンナビジオール(2-(6-イソプロペニル-3-メチル-3-シクロヘキセン-1-イル)-5-ペンチル-1,3-ベンゼンジオール);(4)Δ3,7-カンナビジオール(2-(6-イソプロペニル-3-メチレンシクロヘキ-1-イル)-5-ペンチル-1,3-ベンゼンジオール)、(5)Δ2-カンナビジオール(2-(6-イソプロペニル-3-メチル-2-シクロヘキセン-1-イル)-5-ペンチル-1,3-ベンゼンジオール);(6)Δ1-カンナビジオール(2-(6-イソプロペニル-3-メチル-1-シクロヘキセン-1-イル)-5-ペンチル-1,3-ベンゼンジオール);および(7)Δ6-カンナビジオール(2-(6-イソプロペニル-3-メチル-6-シクロヘキセン-1-イル)-5-ペンチル-1,3-ベンゼンジオール)である。
【0032】
CBDは、カンナビジオール酸(CBDA)、テトラヒドロカンナビノール(THC)、テトラヒドロカンナビノール酸(THCA)、カンナビゲロール(CBG)、カンナビクロメン(CBC)、カンナビノール(CBN)、カンナビエルソイン(CBE)、イソ-テトラヒドロカンナビノール(イソ-THC)、カンナビシクロール(CBL)、カンナビシトラン(CBT)、カンナヒバリン(cannahivarin)(CBV)、テトラヒドロカンナビバリン(THCV)、カンナビジバリン(CBDV)、カンナビクロメバリン(CBCV)、カンナビゲロバリン(CBGV)、およびカンナビゲロールモノメチルエーテル(CBGM)、それらの塩、それらの誘導体、ならびにカンナビノイドの混合物を含み得る。各可能性は、本発明の別々の実施形態を表す。
【0033】
一実施形態では、CBD製剤は、以下の一般式(I):
【化1】
(式中、
R1はアルキルであり、
R2は、5~12個の炭素原子を有する直鎖または分枝アルキル;-OR3基(R3は5~9個の炭素原子を有する直鎖もしくは分枝アルキルもしくは末端の炭素原子でフェニル基により置換された直鎖もしくは分枝アルキルである);または(CH
2)
n-O-アルキル基(nは1~7の整数であり、アルキル基は1~5個の炭素を有する)から選択される)
を含む。
【0034】
一実施形態では、R1は、CH3であり、R2は、5個の炭素原子を有する直鎖アルキル(すなわち-C5H11)である。
【0035】
別の実施形態では、CBD化合物は、カンナビジオールである。CBDは、分子式C
21H
30O
2であり、以下の式(II)に表される。
【化2】
【0036】
式(II)のカンナビジオールは、アサ属の植物のメンバーまたは大麻のいずれかの調製物(たとえば処理された植物物質)からの抽出により得ることができる天然のカンナビジオールであり得る。一実施形態では、天然のカンナビジオールは、アサ(Cannabis sativa)またはその調製物のうちの1つ、たとえばマリファナ、ハシッシュなどから抽出され得る。一実施形態では、天然のカンナビジオールは、たとえば米国特許第6,403,123号およびGaoni and Mechoulam[J Chem Soc 93:217-224 (1971)](両文献は本明細書に参照により組み込まれている)に記載される方法などの方法を使用して、アサから抽出され得る。
【0037】
カンナビジオールはまた、たとえばそれに限定されるものではないが、本明細書に参照として組み込まれている米国特許公開公報第2003/16672号に記載されるものなどの方法を使用して作製することができる、合成のカンナビジオールまたはその誘導体であり得る。
【0038】
一部の実施形態では、本組成物は、CBD誘導体を含む。用語「CBD誘導体」は、本明細書中使用される場合、抗炎症性作用もしくは鎮静作用を有するか、または炎症性疾患、障害、もしくは病態に改善作用を有するCBD誘導体;またはCB(1)および/もしくはCB(2)カンナビノイド受容体に結合するCBD誘導体を意味する。
【0039】
一部の実施形態では、CBD誘導体は、トリグリセリドのレベルを低下させ、脂肪肝を処置することが国際特許公開公報第2015/198077号から既知である(-)-7-ヒドロキシ-CBD;抗炎症性効果を有することがHaj 2015から既知である(-)-CBD-7-酸;ならびに抗炎症性効果を有することが既知であるCBDのジメチルへプチル(heptvl)(DMH)ホモログ(Ben-Shabat 2006; Juknat 2016)、および鏡像異性の(+)-CBDシリーズの対応する化合物から選択される。
【0040】
一部の実施形態では、CBD誘導体は、ヒドロキシル置換基の少なくとも1つがその安定な形態に変換されている構造を特徴とする。一部の実施形態では、CBD誘導体は、キノン環を含むカンナビノールである。一実施形態では、CBD誘導体は、エンドカンナビノイド誘導体である。別の実施形態では、CBDのフェニル基上のペンチル基は、任意選択で置換されてもよい(C1-C18)アルキルから選択されるいずれかの直鎖または分枝アルキル基に置換される。
【0041】
一部の実施形態では、CBDは、アサ抽出物から調製される。一部の実施形態では、用語「CBDまたはその誘導体」は、80%~99%純粋なCBDを指す。一部の実施形態では、用語「CBDまたはその誘導体」は、90%~99%純粋なCBDを指す。一部の実施形態では、用語「CBDまたはその誘導体」は、93%~99%純粋なCBDを指す。一部の実施形態では、用語「CBDまたはその誘導体」は、95%~99%純粋なCBDを指す。一部の実施形態では、用語「CBDまたはその誘導体」は、95%~97%純粋なCBDを指す。一部の実施形態では、用語「CBDまたはその誘導体」は、97%純粋なCBDを指す。本明細書中上記の全ての%は、重量%である。
【0042】
一部の実施形態では、CBDまたはその誘導体は、実質的および/または本質的にテトラヒドロカンナビノール(THC)を欠いている。一部の実施形態では、本明細書中記載される本発明の組成物は、実質的におよび/または本質的にTHCを欠いている。一実施形態では、実質的におよび/または本質的にTHCを欠いているとは、9重量%未満のTHCを意味する。一実施形態では、実質的におよび/または本質的にTHCを欠いているとは、7重量%未満のTHCである。一実施形態では、実質的におよび/または本質的にTHCを欠いているとは、5重量%未満のTHCである。一実施形態では、実質的におよび/または本質的にTHCを欠いているとは、3重量%未満のTHCである。一実施形態では、実質的におよび/または本質的にTHCを欠いているとは、1重量%未満のTHCである。一実施形態では、実質的におよび/または本質的にTHCを欠いているとは、0.5重量%未満のTHCである。一実施形態では、実質的におよび/または本質的にTHCを欠いているとは、0.3重量%未満のTHCである。一実施形態では、実質的におよび/または本質的にTHCを欠いているとは、0.1重量%未満のTHCである。
【0043】
一部の実施形態では、CBDは、合成により調製されている。
【0044】
テルペン
【0045】
テルペンは、式(C5H8)nを有する化合物のクラスである。30,000超の化合物を含む、これらの不飽和炭化水素は、植物、特に針葉樹により主に生成される。テルペンは、炭素の数により、モノテルペン(C10)、セスキテルペン(C15)、ジテルペン(C20)などにさらに分類される。本発明に有用なテルペンは、10個の炭素原子(C10)~25個の炭素原子(C25)を有するテルペンを含む。本発明において有用な好ましいテルペンは、10個の炭素原子または15個の炭素原子を有するテルペンである。好ましいテルペン混合物は、優位な量、すなわち50重量%超のC10テルペンおよびC15テルペンを有する混合物である。さらに好ましい混合物は、優位な量、すなわち50重量%超のC10テルペンを有する混合物である。
【0046】
CBD製剤は、少なくとも8種のテルペンを含み、ここで8種のテルペンは、リナロール、ミルセン、フィトール、リモネン、α-テルピネン、α-テルピネオール、α-ピネン、およびβ-カリオフィレンを含む。リナロール:ミルセンの重量比は約1.0:1.0であり、ミルセン:フィトールの重量比は約1.0:1.0であり、フィトール:リモネンの重量比は約1.0:1.0であり、リモネン:α-テルピネンの重量比は約1.0:1.0であり、α-テルピネン:α-テルピネオールの重量比は約1.0:1.0であり、α-テルピネオール:α-ピネンの重量比は約1.0:1.0であり、α-ピネン:β-カリオフィレンの重量比は約1.0:1.0である。他の実施形態では、リナロール:ミルセンの重量比は1.0:2.0~2.0:1.0の範囲にあり、ミルセン:フィトールの重量比は1.0:2.0~2.0:1.0の範囲にあり、フィトール:リモネンの重量比は1.0:2.0~2.0:1.0の範囲にあり、リモネン:α-テルピネンの重量比は1.0:2.0~2.0:1.0の範囲にあり、α-テルピネン:α-テルピネオールの重量比は1.0:2.0~2.0:1.0の範囲にあり、α-テルピネオール:α-ピネンの重量比は1.0:2.0~2.0:1.0の範囲にあり、α-ピネン:β-カリオフィレンの重量比は1.0:2.0~2.0:1.0の範囲にある。前述のさらなる実施形態では、リナロール:ミルセンの重量比は1:0.9~0.9~1の範囲にあり、ミルセン:フィトールの重量比は1:0.9~0.9~1の範囲にあり、フィトール:リモネンの重量比は1:0.9~0.9~1の範囲にあり、リモネン:α-テルピネンの重量比は1:0.9~0.9~1の範囲にあり、α-テルピネン:α-テルピネオールの重量比は1:0.9~0.9~1の範囲にあり、α-テルピネオール:α-ピネンの重量比は1:0.9~0.9~1の範囲にあり、α-ピネン:β-カリオフィレンの重量比は1:0.9~0.9~1の範囲にある。上記のさらなる実施形態では、リナロール:ミルセンの重量比は1:0.8~0.8~1の範囲にあり、ミルセン:フィトールの重量比は1:0.8~0.8~1の範囲にあり、フィトール:リモネンの重量比は1:0.8~0.8~1の範囲にあり、リモネン:α-テルピネンの重量比は1:0.8~0.8~1の範囲にあり、α-テルピネン:α-テルピネオールの重量比は1:0.8~0.8~1の範囲にあり、α-テルピネオール:α-ピネンの重量比は1:0.8~0.8~1の範囲にあり、α-ピネン:β-カリオフィレンの重量比は1:0.8~0.8~1の範囲にある。特定の実施形態では、リナロール:ミルセンの重量比は1.2:1.0~1.0:1.2の範囲にあり、ミルセン:フィトールの重量比は1.2:1.0~1.0:1.2の範囲にあり、フィトール:リモネンの重量比は1.2:1.0~1.0:1.2の範囲にあり、リモネン:α-テルピネンの重量比は1.2:1.0~1.0:1.2の範囲にあり、α-テルピネン:α-テルピネオールの重量比は1.2:1.0~1.0:1.2の範囲にあり、α-テルピネオール:α-ピネンの重量比は1.2:1.0~1.0:1.2の範囲にあり、α-ピネン:β-カリオフィレンの重量比は1.2:1.0~1.0:1.2の範囲にある。特定の実施形態では、リナロール:ミルセンの重量比は1.1:1.0~1.0:1.1の範囲にあり、ミルセン:フィトールの重量比は1.1:1.0~1:0:1.1の範囲にあり、フィトール:リモネンの重量比は1.1:1.0~1.0:1.1の範囲にあり、リモネン:α-テルピネンの重量比は1.1:1.0~1.0:1.1の範囲にあり、α-テルピネン:α-テルピネオールの重量比は1.1:1.0~1.0:1.1の範囲にあり、α-テルピネオール:α-ピネンの重量比は1.1:1.0~1.0:1.1の範囲にあり、α-ピネン:β-カリオフィレンの重量比は1.1:1.0~1.0:1.1の範囲にある。
【0047】
一実施形態では、8種のテルペンは、リナロール、ミルセン、フィトール、リモネン、α-テルピネン、α-テルピネオール、α-ピネン、およびβ-カリオフィレンを含み、最大応答を誘発した各テルペンの正確な濃度を同定するために、用量反応または用量依存的な方法で投与される。用量反応的方法は、特定の曝露時間の後のテルペンへの曝露(または用量)の関数としての、対象の応答の大きさを説明する。用量反応関係は、用量反応曲線により記載され得る。
【0048】
リナノールは、3位および7位でメチル基によって、ならびに3位でヒドロキシ基によって置換されたオクタ-1,6-ジエンであるモノテルペノイドである。これは、ヒメボウキ(Ocimum canum)のような植物から単離されている。リナロールは、多くの花およびスパイス植物で見出される天然に存在するテルペンアルコールの2つのエナンチオマーを指す。リナロールは、複数の商業的用途を有し、この用途の大部分は、その心地の良い香りに基づくものである。無色の油であるリナロールは、非環式モノテルペノイドとして分類される。
【0049】
ミルセンまたはβ-ミルセンは、アルケンの天然の炭化水素(7-メチル3-メチレン-1,6-オクタジエン)である。ミルセンは、より正確には、モノテルペンと分類される。モノテルペンは、イソプレノイド前駆物質の二量体であり、ミルセンは、南アフリカのAdenandra villosaのエッセンシャルオイルの主要成分であり、またミルセンは、ゲッケイジュ、アサ、およびホップでも見出される。一実施形態では、α-ミルセンは、構造異性体の2-メチル-6-メチレン-1,7-オクタジエンである。ミルセンは、鎮痛作用、抗酸化作用、抗うつ作用、抗炎症作用、および筋肉弛緩作用を有する。ミルセンは、細胞膜の透過性に影響を与え、より多くのCBDおよび/またはテルペン(terpenese)を神経細胞へ到達させる。
【0050】
フィトール(florasol、phytosol)は、3位、7位、11位、および15位でメチル基で置換された非環式ジテルペンアルコール(2E,7R,11R)-3,7,11,15-テトラメチルヘキサデカ-2-エン-1-オールまたはヘキサデカ-2-エン-1-オールである。ジテルペンは、4つのイソプレン単位から構成されており、分子式C20H32を有する。ジテルペンおよびジテルペノイドの例は、カフェストール、カーウェオール、センブレン;およびタキサジエン(タキソールの前駆物質)である。
【0051】
リモネンは、環式モノテルペンと分類される、無色の液体の脂肪族炭化水素であり、1-メチル-4-プロプ-1-エン-2-イルシクロヘキセンである。一般にオレンジの芳香として天然で存在しているD-異性体は、食品の製造における芳香剤である。d-リモネン((+)-リモネン)は、(R)-エナンチオマーである、ラセミ体のリモネンは、ジペンテンとして知られている。リモネンは、抗うつ剤であり得、細胞膜を迅速に透過することにより他のテルペンの吸収を相乗的に促進することができる。この結果は、収縮期圧を増大させ得る。
【0052】
アルファ-テルピネン(α-テルピネン)は、それらの2つの二重結合の位置が異なる3つの異性体のモノテルペンのうちの1つである(その他はβ-テルピネンおよびγ-テルピネンである)。α-テルピネンにおいて、二重結合は、p-メンタン骨格の1位および3位にあり、1-メチル-4-プロパン-2-イルシクロヘキサ-1,3-ジエンとして知られている。これは、揮発油の成分および植物代謝物としての役割を有する。これはモノテルペンおよびシクロヘキサジエンである。α-テルピネンは、カルダモンおよびマジョラムオイル、ならびに他の天然の供給源から単離されている。
【0053】
アルファ-テルピネオール(α-テルピネオール)は、2位で4-メチルシクロヘキ-3-エン-1-イルに置換されたピロパン-2-オールであるテルピネオールである。α-テルピネオールは、2-(4-メチルシクロヘキ-3-エン-1-イル)プロパン-2-オールとして知られており、植物の代謝物としての役割を有する。テルピネオールは、4つの異性体モノテルペノイドのいずれかである。テルペノイドは、官能基、この場合はアルコールの付加により修飾されたテルペンである。テルピネオールは、様々な供給源、たとえばカルダモン、カユプテ(Cajuput)オイル、パインオイル、およびプチグレンオイルから単離されている。4つの異性体:α-テルピネオール、β-テルピネオール、γ-テルピネオール、およびテルピネン-4-オールが存在する。β-テルピネオールおよびγ-テルピネオールは、二重結合の位置のみが異なる。テルピネオールは、通常、主成分としてα-テルピネオールを有するこれら異性体の混合物である。
【0054】
アルファ-ピネン(α-ピネン)は、テルペンクラスの化合物であり、ピネンの2つの異性体のうちの1つであり、2,6,6-トリメチルビシクロ[3.1.1]ヘプタ-2-エンとして知られている。これはアルケンであり、反応性四員環、またはそれぞれ2位、6位、および6位でメチル基に置換されたビシクロ[3.1.1]ヘプタ-2-エンを含有する。これは、多く種類の針葉樹、特にはマツのオイルで見出されている。またこれは、ローズマリーおよびSatureja myrtifoliaのエッセンシャルオイルでも見出される。両エナンチオマーは、自然界で公知である;(1S,5S)-または(-)-α-ピネンは、ヨーロッパのマツでより一般的であり、(1R,5R)-または(+)-α-異性体は、北アメリカでより一般的である。このラセミ混合物は、ユーカリオイルおよびオレンジ果皮油などの一部のオイルに存在する。
【0055】
ベータ-カリオフィレン(β-カリオフィレン)は、多くのエッセンシャルオイル、特にチョウジ油、クローブ(Syzygium aromaticu)の茎および花由来のオイル、アサ(Cannabis sativa)、ローズマリー、およびホップのエッセンシャルオイルの成分である天然の二環式セスキテルペンである。β-カリオフィレンは、通常、イソカリオフィレン(シス二重結合異性体)および開環した異性体のα-フムレン(Humulene)(旧称:α-カリオフィレン)を含む混合物として見出される。カリオフィレンは、シクロブタン環、および9員環にトランス二重結合を有することが注目すべきである。
【0056】
実施形態の説明
【0057】
一般的に、CBD製剤は、不眠症および他の睡眠障害を有する人々の睡眠補助薬として純度の高い(>99.9%)のアサ由来のカンナビジオール(CBD)およびテルペンから構成される。一実施形態では、CBD製剤は、検出可能なΔ9-テトラヒドロカンナビノール(Δ9-THC)を含有しない。このCBD製剤は、疾患の処置のためのCBDおよびCBD製剤の使用と相乗的に作用する複数のテルペンを含む。一実施形態では、CBD製剤は、約150mgのCBD、ならびにそれぞれ約0.5mgのテルペンの、リナロール、ミルセン、フィトール、リモネン、α-テルピネン、α-テルピネオール、α-ピネン、およびβ-カリオフィレンを含み、それらは不眠症の処置のために使用される。一実施形態では、不眠症および他の睡眠障害を処置するための有効量は、約300mgのCBDと、それぞれ約1.0mgのテルペンの、リナロール、ミルセン、フィトール、リモネン、α-テルピネン、α-テルピネオール、α-ピネン、およびβ-カリオフィレンである。他の実施形態では、不眠症または他の睡眠障害を有する個体のそれぞれの有効量は、後述のように変動し得る。
【0058】
一実施形態では、CBD製剤は、約150mgのCBD、ならびにそれぞれ約0.5mgのテルペンの、リナロール、ミルセン、フィトール、リモネン、α-テルピネン、α-テルピネオール、α-ピネン、およびβ-カリオフィレンを含み、それらは不安の処置のためCBDと相乗的に使用される。一実施形態では、不安を処置するための有効用量は、約300mgのCBD、ならびにそれぞれ約1.0mgのテルペンの、リナロール、ミルセン、フィトール、リモネン、α-テルピネン、α-テルピネオール、α-ピネン、およびβ-カリオフィレンである。他の実施形態では、不安を有する個体のそれぞれの有効用量は、後述のように変動し得る。
【0059】
一実施形態では、CBD製剤は、約150mgのCBD、ならびにそれぞれ約0.5mgのテルペンの、リナロール、ミルセン、フィトール、リモネン、α-テルピネン、α-テルピネオール、α-ピネン、およびβ-カリオフィレンを含み、それらはうつの処置のためCBDと相乗的に使用される。一実施形態では、うつを処置するための有効用量は、約300mgCBD、ならびにそれぞれ約1.0mgのテルペンの、リナロール、ミルセン、フィトール、リモネン、α-テルピネン、α-テルピネオール、α-ピネン、およびβ-カリオフィレンである。他の実施形態では、うつを有する個体のそれぞれの有効量は、後述のように変動し得る。
【0060】
一部の実施形態では、本明細書中提供されるCBD製剤は、有効用量あたり約50mg~約4000mgのCBD、あるいは有効用量あたり50mg、100mg、150mg、200mg、250mg、300mg、350mg、400mg、450mg、500mg、550mg、600mg、650mg、700mg、750mg、800mg、850mg、900mg、950mg、1000mg、1050mg、1200mg、1250mg、1300mg、1350mg、1400mg、1450mg、1500mg、1550mg、1600mg、1650mg、1700mg、1750mg、1800mg、1850mg、1900mg、2250mg、2500mg、2750mg、3000mg、3500mg、または4000mgのCBDを含み得る。
【0061】
一部の実施形態では、本明細書中提供されるCBD製剤は、有効用量あたり約0.1mg~5.0mgのリナロールを含み得る。たとえば、本明細書中提供される配合剤は、有効用量あたり0.1mg~3.0mg、0.5mg~3.0mg、1mg~3.0mg、0.1mg~2.5mg、0.5mg~2.5mg、1mg~2.5mg、0.1mg~2.0mg、0.5mg~2.0mg、1mg~2.0mg、0.1mg~1.5mg、0.5mg~1.5mg、1mg~1.5mg/ml、0.1mg~1.0mg、0.5mg~1.0mg、1mg~10mg、0.1mg~5.0mg、0.5mg~5.0mg、1mg~5.0mg、0.1mg~2mg、0.5mg~2mg、1mg~2mg、2mg~4.0mg、2mg~3.0mg、2mg~2.5mg、2mg~5.0mg、2mg~4.5mg、2mg~2.5mg、または2mg~5mgのリナロールを含み得る。あるいは、用量は、有効用量あたり10mg~約100mgのリナロールを含み得る。
【0062】
一部の実施形態では、本明細書中提供されるCBD製剤は、有効用量あたり約0.1mg~5.0mgのミルセンを含み得る。たとえば、本明細書中提供される配合剤は、有効用量あたり0.1mg~3.0mg、0.5mg~3.0mg、1mg~3.0mg、0.1mg~2.5mg、0.5mg~2.5mg、1mg~2.5mg、0.1mg~2.0mg、0.5mg~2.0mg、1mg~2.0mg、0.1mg~1.5mg、0.5mg~1.5mg、1mg~1.5mg/ml、0.1mg~1.0mg、0.5mg~1.0mg、1mg~10mg、0.1mg~5.0mg、0.5mg~5.0mg、1mg~5.0mg、0.1mg~2mg、0.5mg~2mg、1mg~2mg、2mg~4.0mg、2mg~3.0mg、2mg~2.5mg、2mg~5.0mg、2mg~4.5mg、2mg~2.5mg、または2mg~5mgのミルセンを含み得る。あるいは、用量は、有効用量あたり10mg~約100mgのミルセンを含み得る。
【0063】
一部の実施形態では、本明細書中提供されるCBD製剤は、有効用量あたり約0.1mg~5.0mgのフィトールを含み得る。たとえば、本明細書中提供される配合剤は、有効用量あたり0.1mg~3.0mg、0.5mg~3.0mg、1mg~3.0mg、0.1mg~2.5mg、0.5mg~2.5mg、1mg~2.5mg、0.1mg~2.0mg、0.5mg~2.0mg、1mg~2.0mg、0.1mg~1.5mg、0.5mg~1.5mg、1mg~1.5mg/ml、0.1mg~1.0mg、0.5mg~1.0mg、1mg~10mg、0.1mg~5.0mg、0.5mg~5.0mg、1mg~5.0mg、0.1mg~2mg、0.5mg~2mg、1mg~2mg、2mg~4.0mg、2mg~3.0mg、2mg~2.5mg、2mg~5.0mg、2mg~4.5mg、2mg~2.5mg、または2mg~5mgのフィトールを含み得る。あるいは、用量は、有効用量あたり10mg~約100mgのフィトールを含み得る。
【0064】
一部の実施形態では、本明細書中提供されるCBD製剤は、有効用量あたり約0.1mg~5.0mgのリモネンを含み得る。たとえば、本明細書中提供される配合剤は、有効用量あたり0.1mg~3.0mg、0.5mg~3.0mg、1mg~3.0mg、0.1mg~2.5mg、0.5mg~2.5mg、1mg~2.5mg、0.1mg~2.0mg、0.5mg~2.0mg、1mg~2.0mg、0.1mg~1.5mg、0.5mg~1.5mg、1mg~1.5mg/ml、0.1mg~1.0mg、0.5mg~1.0mg、1mg~10mg、0.1mg~5.0mg、0.5mg~5.0mg、1mg~5.0mg、0.1mg~2mg、0.5mg~2mg、1mg~2mg、2mg~4.0mg、2mg~3.0mg、2mg~2.5mg、2mg~5.0mg、2mg~4.5mg、2mg~2.5mg、または2mg~5mgのリモネンを含み得る。あるいは、用量は、有効用量あたり10mg~約100mgのリモネンを含み得る。
【0065】
一部の実施形態では、本明細書中提供されるCBD製剤は、有効用量あたり約0.1mg~5.0mgのα-テルピネンを含み得る。たとえば、本明細書中提供される配合剤は、有効用量あたり0.1mg~3.0mg、0.5mg~3.0mg、1mg~3.0mg、0.1mg~2.5mg、0.5mg~2.5mg、1mg~2.5mg、0.1mg~2.0mg、0.5mg~2.0mg、1mg~2.0mg、0.1mg~1.5mg、0.5mg~1.5mg、1mg~1.5mg/ml、0.1mg~1.0mg、0.5mg~1.0mg、1mg~10mg、0.1mg~5.0mg、0.5mg~5.0mg、1mg~5.0mg、0.1mg~2mg、0.5mg~2mg、1mg~2mg、2mg~4.0mg、2mg~3.0mg、2mg~2.5mg、2mg~5.0mg、2mg~4.5mg、2mg~2.5mg、または2mg~5mgのα-テルピネンを含み得る。あるいは、用量は、有効用量あたり10mg~約100mgのα-テルピネンを含み得る。
【0066】
一部の実施形態では、本明細書中提供されるCBD製剤は、有効用量あたり約0.1mg~5.0mgのα-テルピネオールを含み得る。たとえば、本明細書中提供される配合剤は、有効用量あたり0.1mg~3.0mg、0.5mg~3.0mg、1mg~3.0mg、0.1mg~2.5mg、0.5mg~2.5mg、1mg~2.5mg、0.1mg~2.0mg、0.5mg~2.0mg、1mg~2.0mg、0.1mg~1.5mg、0.5mg~1.5mg、1mg~1.5mg/ml、0.1mg~1.0mg、0.5mg~1.0mg、1mg~10mg、0.1mg~5.0mg、0.5mg~5.0mg、1mg~5.0mg、0.1mg~2mg、0.5mg~2mg、1mg~2mg、2mg~4.0mg、2mg~3.0mg、2mg~2.5mg、2mg~5.0mg、2mg~4.5mg、2mg~2.5mg、または2mg~5mgのα-テルピネオールを含み得る。あるいは、用量は、有効用量あたり10mg~約100mgのα-テルピネオールを含み得る。
【0067】
一部の実施形態では、本明細書中提供されるCBD製剤は、有効用量あたり約0.1mg~5.0mgのα-ピネンを含み得る。たとえば、本明細書中提供される配合剤は、有効用量あたり0.1mg~3.0mg、0.5mg~3.0mg、1mg~3.0mg、0.1mg~2.5mg、0.5mg~2.5mg、1mg~2.5mg、0.1mg~2.0mg、0.5mg~2.0mg、1mg~2.0mg、0.1mg~1.5mg、0.5mg~1.5mg、1mg~1.5mg/ml、0.1mg~1.0mg、0.5mg~1.0mg、1mg~10mg、0.1mg~5.0mg、0.5mg~5.0mg、1mg~5.0mg、0.1mg~2mg、0.5mg~2mg、1mg~2mg、2mg~4.0mg、2mg~3.0mg、2mg~2.5mg、2mg~5.0mg、2mg~4.5mg、2mg~2.5mg、または2mg~5mgのα-ピネンを含み得る。あるいは、用量は、有効用量あたり10mg~約100mgのα-ピネンを含み得る。
【0068】
一部の実施形態では、本明細書中提供されるCBD製剤は、有効用量あたり約0.1mg~5.0mgのβ-カリオフィレンを含み得る。たとえば、本明細書中提供される配合剤は、有効用量あたり0.1mg~3.0mg、0.5mg~3.0mg、1mg~3.0mg、0.1mg~2.5mg、0.5mg~2.5mg、1mg~2.5mg、0.1mg~2.0mg、0.5mg~2.0mg、1mg~2.0mg、0.1mg~1.5mg、0.5mg~1.5mg、1mg~1.5mg/ml、0.1mg~1.0mg、0.5mg~1.0mg、1mg~10mg、0.1mg~5.0mg、0.5mg~5.0mg、1mg~5.0mg、0.1mg~2mg、0.5mg~2mg、1mg~2mg、2mg~4.0mg、2mg~3.0mg、2mg~2.5mg、2mg~5.0mg、2mg~4.5mg、2mg~2.5mg、または2mg~5mgのβ-カリオフィレンを含み得る。あるいは、用量は、有効用量あたり10mg~約100mgのβ-カリオフィレンを含み得る。
【0069】
CBDおよびテルペンは睡眠生理学に影響する
【0070】
CBD製剤を、ヒトにおいて適切に制御された十分な検定力を有する厳密な研究において睡眠生理学に関して試験する。
【0071】
CBD製剤は、純度の高い(>98%の純度)形態のテルペンのリナロール、ミルセン、フィトール、リモネン、α-テルピネン、α-テルピネオール、α-ピネン、およびβ-カリオフィレン[食品グレード(GRAS)、天然、オーガニック、non-GMO、乳製品不使用、グルテンフリー、ビーガン)を含む。動物での前臨床試験は、これらテルペンが、鎮静作用があることを示している5-9が、それらのヒトの睡眠生理学に及ぼす潜在的な効果は確立されていない。重要なことに、これらテルペンは、ヒトの経口消費に関してFDAによりGRAS(一般に安全とみなされている:Generally Regarded as Safe)と指定されており、何十年間も食品添加物として使用されている。
【0072】
多くの公開されている試験は、これらテルペン(ミルセン、α-ピネン、フィトール、テルピノレン、(Terpinolene)、およびα-テルピネオール)の一部が、これらがγアミノ酪酸(GABA)神経伝達物質系を調節する類似の作用機構により鎮静を誘導することを示している(
図1)。GABA
A受容体は、イオンチャネル型受容体およびリガンド開口型イオンチャネルである。その内因性リガンドは、γアミノ酪酸(GABA)であり、これはニューロン活性の低減を介してその効果を発揮する中枢神経系における主要な阻害性神経伝達物質である。
【0073】
GABA作動性テルペンのGABAAの鎮静活性の機構
【0074】
GABAに関して2つの受容体-GABAA受容体(イオンチャネル)およびGABAB受容体(Gタンパク質共役型受容体)が存在する。ベンゾジアゼピンと呼ばれる臨床で処方される鎮静剤のクラスは、GABAA受容体を介して作用する。ベンゾジアゼピンは、不安および不眠症を処置するために広く臨床で使用されている10。実際、特にベンゾジアゼピンのアルプラゾラム(Xanax)、クロナゼパム(Klonopin)、ジアゼパム(Valium)、およびロラゼパム(Ativan)は、米国で最も一般的に処方される薬物である。ゾルピデム(Ambien)は、鎮静剤および睡眠剤として作用する一般に処方される不眠症用の薬物である。またこれは、ベンゾジアゼピンと同じ位置でGABAA受容体に結合することにより中枢神経系でのGABAの作用を増大させることにより作用する。トリアゾラム(Halcion)、およびザレプロン(Sonata)を含む他の一般に処方される不眠症用薬物もまた、ベンゾジアゼピンと同じ位置でGABAA受容体に結合することにより作用する。これら睡眠薬は全て、GABAによる受容体の活性化を増大させ、ニューロンの活性の阻害、鎮静、および催眠をもたらす。
【0075】
上記のテルペンは、GABAA受容体の同じベンゾジアゼピン結合部位を介してそれらの効果を発揮する。これらテルペンの薬理学的プロファイルは、ベンゾジアゼピンのものと類似している。フルマゼニルは、ベンゾジアゼピン結合部位の拮抗薬であり、げっ歯類においてin vitroおよびin vivoにて鎮静に及ぼすこれらテルペンの効果を遮断する8,11,12。ミルセンおよびα-ピネンは、細胞実験においてGABAA受容体の活性を増大させた13。ニューロンにおけるα-ピネンの効果は、フルマゼニルにより完全に遮断される13。げっ歯類において、フルマゼニルは、レモングラスオイル(ミルセン含有量が高い)14、α-ピネン11、およびフィトール12の鎮静効果を遮断した。α-テルピネオールはまた、細胞においてGABAAの活性を増大させ得る15。げっ歯類におけるその薬理作用は特徴付けられていないが、これは、他のGABA作動性テルペンと類似している。フィトールは、GABAを分解する酵素である、SSADHの阻害を介したさらなるGABA関連機構を有し得る16。よって、これは、GABAA受容体の活性化の増大に加え、脳におけるGABAレベルを上昇させることが可能であり得る。
【0076】
テルペンであるリモネンもまた、動物において鎮静を引き起こす。たとえば、げっ歯類での研究は、リモネンが自発運動活性を低減し、睡眠を誘導し、運動協調性を障害することを見出した8。別の試験は、1週間のリモネンの投与の後、脳のGABAレベルが増大し、その効果がGABAAアンタゴニストであるフルマゼニルにより遮断され得ることを示した17。
【0077】
テルペンであるリナロールもまた、げっ歯類において睡眠を増大させる18。リナロールは、GABA部位に結合せず、またはGABAA受容体のベンゾジアゼピン部位に結合しない。にもかかわらず、2014年の研究は、これが、細胞においてGABAAの活性を有意に増強し得ることを示した13。
【0078】
テルペンであるβ-カリオフィレンの鎮静特性は、GABA作動性テルペンとは異なる19、20。げっ歯類において、β-カリオフィレンは、自発運動活性または運動協調性に影響を与えなかった。しかしながらこれは、睡眠を軽度に促進した19、20。β-カリオフィレンが鎮静を誘導する作用機構は、明らかではないが、GABA神経伝達系とは無関係のように思われる。
【0079】
まとめると、前臨床データは、CBD製剤におけるテルペンの全て(リナロール、ミルセン、フィトール、リモネン、α-テルピネン、α-テルピネオール、α-ピネン、およびβ-カリオフィレン)が動物において鎮静を誘導すること、ならびにこれらテルペンの大部分が、大部分の不眠症処方薬も作用する同じ部位の、GABAA受容体上のベンゾジアゼピン部位を活性化させることにより鎮静を引き起こすことを示している。しかしながら最も重要なことに、ヒトの鎮静および不眠症に及ぼすこれらテルペンの効果は確立されていない。
【0080】
CBDは不安を減少させる。
【0081】
いくつかの臨床試験は、CBDが急性不安を減少させ得ることを示している21。社交不安障害を有する参加者および対照を、CBDまたはプラセボ対照を投与するように盲検的に割付した後、シミュレーションパブリックスピーキング試験を行った。CBDは、予想されるスピーチにおける不安、認知障害、および不快感の有意な低減をもたらし、過剰覚醒(hyper-alertness)を有意に減少させた22。THCは、臨床試験において不安を惹起する(不安を促進させる)特性を有することが十分に確立されており、これらの効果は、CBDにより遮断され得る23、24。
【0082】
CBD製剤を使用することの唯一の欠点は、肝障害を引き起こすその潜在性に関する潜在的な安全性の懸念に関する。しかしながら、これら懸念は全て、CBD製剤とは禁忌である、少数のほとんど使用されていない処方薬との併用によるものである。肝障害の問題の観点では、パッケージに警告ラベルを貼ることにより、CBD製剤の副作用を容易に最小限にするはずである。
【0083】
一実施形態では、CBD製剤で見出される特定のテルペン濃度を最適化することにより、CBD製剤に対し優れた有効性を有する睡眠補助をもたらし得る。よって、別のテルペン濃度が本明細書において提供される。
【0084】
一実施形態では、対象または消費者は、彼らに作用する正確な用量を決定する。消費者は、睡眠の指導者による新規のスマートフォンベースのアプリケーションまたは医師により指導される。
【0085】
CBD製剤の主な利点は、優れた安全プロファイルを有するREM睡眠および回復睡眠を増大させる新規の睡眠補助である。回復睡眠の強化に及ぼすCBD製剤の作用を、大げさに言うことはできない。ベンゾジアゼピン系の不眠症処方薬の大部分は、鎮静剤/睡眠剤として機能し、回復睡眠に何らかの作用をも有することは示されていない。これらは単純に意識を失わせ、その有用性を限定する多数の深刻な有害反応を有する。さらに、以下で収集した臨床データに基づき、CBD製剤はまた、不安および/またはうつの処置にも有用である。またCBD製剤は、限定するものではないが、疼痛、自閉症、および他の睡眠関連障害の処置を含む他の適応に対しても有用性を有し得る。
【0086】
剤形
【0087】
一実施形態では、CBD製剤は、消費者が経口摂取できるカプセル剤の形態にある。CBD製剤は、外来物質、殺虫剤、病原性微生物、カビ、残留溶媒、重金属、およびTHCを含むいずれの混入物質をも含まない。分析証明書(COA)は、CBD製剤に関する分析試験を実証した。
【0088】
本明細書中記載される方法は、1日1回、または1日おき、または1週間に1回、CBD製剤の有効量を投与するステップを含み得る。一実施形態では、CBD製剤は、1~2日間、1~3日間、1~12日間、4~8日間、8~12日間、1~24日間、4~24日間、8~24日間、もしくは12~24日間、もしくはそれ以上の間、または本発明に係る別の期間の間、毎日投与される。
【0089】
本発明のCBD製剤は、栄養補助的に(nutraceutically)許容される担体と組み合わせて投与され得る。このような製剤の活性成分は、1~99重量%、またはあるいは0.1~99.9重量%を含み得る。「栄養補助的に許容される担体」は、CBD製剤の他の成分と適合可能であり、使用者に有害ではないいずれかの担体、希釈剤、または賦形剤を意味する。一実施形態では、適切な栄養補助的に許容される担体は、油、植物ベースの油、中鎖トリグリセリド(MCT)オイル、ココナッツオイル、パーム核油、ヘンプシードオイル、オリーブ油、アボカド油、およびそれらの組み合わせを含み得る。
【0090】
特定の実施形態では、剤形は、液体に懸濁されるか、シロップ剤または浣腸剤に懸濁される顆粒剤、ペレット、マイクロ粒子、錠剤、硬カプセル剤として製剤化される。特定の実施形態では、剤形は、経口または粘膜送達のために製剤化されている。特定の実施形態では、剤形は、トローチ剤、キャンディー、ガム、チョコレート、またはクッキーとしてまたはその中に製剤化されている。特定の実施形態では、錠剤またはペレットは、即時放出剤形または徐放剤形または制御放出剤形である。特定の実施形態では、錠剤は、腸溶コーティングされているか、または口で融解もしくは溶解されるか、または粘膜付着性剤形である。
【0091】
特定の実施形態では、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、ペレット、マイクロ粒子、およびフィルム剤などの単位粒子である単位剤形は、腸溶コーティングされているか、または結腸コートでコーティングされ、単位剤形を酸性の胃のpHでの分解から保護し、時間の経過とともにまたはpHで制御された方法またはその両方により膨潤して遠位の腸にCBD製剤を放出し、同様に全身吸収のため腸においてカンナビノイドの一部、および局所的な結腸での薬理作用のため結腸でカンナビノイドの一部を放出し得る。
【0092】
特定の実施形態では、CBD製剤は、半固体または液体の剤形、たとえばクリーム、ローション、軟膏、分散剤、懸濁剤、ゲル剤、フォーム、スプレー、シロップ、液剤、点眼薬、点耳薬、浣腸剤、または経口剤形、または局所剤形、または局所点眼もしくは眼用もしくは口腔もしくは膣もしくは直腸もしくは子宮用の剤形に製剤化される。液体調製物は、液剤、懸濁剤、および乳化剤、たとえば水溶液または水-プロピレングリコール溶液を含む。たとえば非経口注射用液体調製物は、ポリエチレングリコール水溶液の液剤として製剤化され得る。よって、本発明に係る化学化合物は、(たとえば注射、たとえばボーラス注射または持続注射による)非経口投与のために製剤化され得、アンプル、あらかじめ充填されたシリンジ、少量注入用容器において単位用量で、または添加された保存剤を含む複数回投与用容器で提示され得る。本組成物は、油性または水性のビヒクル中での懸濁剤、液剤、または乳化剤としての形態をとってもよく、懸濁化剤、安定化剤、および/または分散化剤などの調合剤を含有し得る。あるいは、活性成分は、滅菌固体の無菌的単離によるか、または使用前に適切なビヒクル、たとえば無菌性のパイロジェンフリー水を含む構成での液剤からの凍結乾燥により得られる散剤の形態であり得る。
【0093】
特定の実施形態では、上述の組成物のいずれか1つまたは上述の剤形のいずれか1つは、睡眠の症状または障害を処置する方法に使用するためのものである。
【0094】
好ましい剤形として、限定するものではないが、いずれかの液体または半固体または固体の剤形が挙げられる。CBD製剤は、局所的または粘膜または経口での送達システムを調製することにより医薬として製剤化され得る。局所的送達システムは、点眼薬、懸濁剤、軟膏、クリーム、フォーム、スプレー、局所パッチの形態であり得る。経口送達システムは、錠剤またはカプセル剤または軟カプセル剤、またはサシェーまたは顆粒剤またはシロップ剤であり得る。粘膜送達システムは、即時放出または徐放もしくは制御放出のためのゲル、ペッサリー、浣腸剤、膣洗浄器具、洗浄液(wash)、フォーム、粘膜付着性ゲルまたは錠剤であり得る。ビヒクルは、任意の許容される溶媒および不活性成分および保存剤、抗酸化剤、および着色剤を含み得る。送達形態は、単回投与または複数回投与であってもよく、ならびに薬学、美容、獣医学の分野、および製剤化の分野で公知であるマイクロ粒子、顆粒、ナノ粒子、マイクロカプセル、リポソーム、ミセルなどであり得る。適切な剤形のさらなる詳細は、たとえばRemington’s Pharmaceutical Sciences, Mack Publishing Co, Easton, Pa, USA (1980)を含むこの分野のいずれかの標準的な参照文献から入手され得る。
【0095】
よって、本発明の一実施形態では、CBD製剤は、溶媒、安定化剤、懸濁化剤、乳化剤、放出調節剤、標的化剤および粘性剤、ならびにそれらの組み合わせからなる群から選択される1つ以上の賦形剤をさらに含む。
【0096】
実施例
【0097】
以下の実施例は、本明細書において請求される化合物、組成物、物品、装置、および/または方法がどのように作製および評価されるかに関する完全な開示および記載を当業者に提供するために提示され、それらは本発明の単なる例であると意図されており、本発明者らが自身の発明であるとみなす範囲を限定するようには意図されていない。しかしながら、当業者は、本開示の観点から、本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく、開示される特定の実施形態に多くの変化を行うことができ、それでもなお同様または類似の結果を得ることができることを認識すべきである。
【0098】
数(たとえば量、温度など)に関する正確性を確保する試みがなされているが、いくらかの誤差および偏差を考慮すべきである。特に示されていない限り、部は重量部であり、温度はセ氏または大気温度であり、圧力は大気圧付近である。
【0099】
実施例:CBD製剤による臨床試験からのデータの概要
【0100】
2つの独立した臨床試験を終了し、睡眠生理学の構造および機能に及ぼすCBD製剤の効果を決定した。これら独立した試験はそれぞれ、CBD製剤がヒトの睡眠生理学に影響するかどうかを決定するための二重盲検プラセボ対照無作為化クロスオーバー治験として実施された。
【0101】
睡眠生理学の一次データを、自身のベッドで快適な状態にある試験参加者から睡眠データを電子的に収集して送信する、「Whoop」(https://www.whoop.com)と呼ばれる非侵襲的な睡眠トラッキングリストバンドから完全に不偏な方法で試験参加者から収集した。リストバンドは、3軸の加速度計、3軸のジャイロスコープ、および心拍センサーから1秒あたり数百のデータポイントを収集する。リストバンドは、入眠潜時、総睡眠時間、睡眠断片化、ならびに各睡眠ステージ[浅い(Light)、深い(Deep)、急速眼球運動(REM)、および覚醒]に要した時間を正確に測定できる。またリストバンドは、血液量の表面的な変化を評価することにより血流を測定することを含む技術である、光電式容積脈波記録法(PPG)を使用してデータを収集する。心拍、心拍変動、および呼吸速度は、全てPPGデータから導出することができ、これら測定値を全て、Whoopの睡眠検出およびステージングアルゴリズムで使用する。Whoopとは無関係に公開された最近の2つの刊行物は、Whoop装置から収集された睡眠ステージに関するデータが非常に正確であり、睡眠クリニックで行われる臨床試験で使用される睡眠トラッキングの絶対的な基準である、睡眠ポリグラフ(PSG)と良好に相関することを示している25、26。
【0102】
データ試験1の概要
【0103】
第1の試験において、参加者(N=23)を無作為化して、プラセボ対照または図面において規定のCBD(Defined CBD)として記載されるCBD製剤(約300mgのCBD、リナロール、ミルセン、フィトール、リモネン、α-テルピネン、α-テルピネオール、α-ピネン、およびβ-カリオフィレンを含む約8mgのテルペン)を、7夜連続して、就寝の1時間前に1日1回服用させた。1名の参加者のデータの例を、
図2A~
図2Dに示す。参加者DR11は、REM睡眠の約0.5時間の有意な増加、回復睡眠(REM睡眠および深い睡眠の組み合わせ)の約0.9時間の有意な増大、ならびにREM睡眠に要した時間のパーセンテージの約7%の有意な増大、ならびに回復睡眠の約9%の有意な増大を示した(
図2A~2D)。実際に、平均して、7日間の処置にわたり、参加者DR11は、プラセボ対照と比較して、毎夜1時間近く余分に回復睡眠の恩恵を受けた(
図2B)。さらに、参加者DR11はまた、処置期間の終了時に臨床的に検証された睡眠調査に回答した際に、プラセボ対照と比較して自身の睡眠の質および持続時間の改善を認識することができた(表1に示す)。
【0104】
【0105】
DR11を含む一部の試験参加者では、CBD製剤は、REM睡眠に要した時間のパーセンテージを約7%および回復睡眠に要した時間のパーセンテージを約9%有意に増大させたが、CBD単独は、REM睡眠のパーセンテージを約4%および回復睡眠のパーセンテージを約2%、ごく部分的に増大させるように思われ、これらの効果は統計的に有意ではなかった(
図3A~3B)。このデータは、CBD製剤に含まれるテルペンが、CBDと相乗作用してその睡眠の恩恵に寄与することを示唆している。
【0106】
第1の臨床試験よからの全ての参加者(N=23)からのプールしたデータの解析は、CBD製剤がREMのパーセンテージを約2%(
図4A)および回復睡眠(
図4Bに図示)を約1%増大させる傾向を示したことを示した。
【0107】
第1の臨床試験からのプールしたデータの解析は、参加者が「レスポンダー」および「ノンレスポンダー」に階層化され得ることを示した。「レスポンダー」からのプールしたデータは、プラセボ対照と比較して、CBD製剤を投与された試験参加者において約4%のREMのパーセンテージの約4%の増加および回復睡眠のパーセンテージの約10%の著しく有意な増加を示した(
図5A~5B)。実際に、「レスポンダー」のみを解析した場合、彼らは、CBD製剤で処置した場合に、回復睡眠の約10%の増大を呈した(
図5B)。
【0108】
より注意深い精査の後、CBD製剤での処置に応答した参加者の、9/11名は、臨床試験の実施前に記入した臨床的に検証された不眠症重症度指数[the Pittsburgh Sleep Quality Index (PSQI)]
27により定義されるように不眠症または閾値下の不眠症を呈していた。CBD製剤を服用した後、PSQIにて中程度の不眠症とスコア付けされた参加者は、プラセボ対照と比較して、僅差で統計上有意性を逃した回復睡眠のパーセンテージの約3%の増加を呈し、回復睡眠のパーセンテージの約6%の有意な増加を呈した(
図6A-6B)。
【0109】
臨床試験の各処置期間の終了時に、参加者は、PGI(Participant Global Impression)
28と題する臨床的に検証されたアンケートの改変版に記入した。PGI評価は、試験のベースラインの期間中の参加者の睡眠と比較して、各処置期間中の睡眠に及ぼす処置の効果に関する参加者の全般的な認識に基づくものである。PGI評価を使用して、参加者は、CBD製剤を服用した後に1.6のスコアを有するプラセボ対照と比較して、1.4のスコアで良好に眠ったことを認識したが、この効果は、統計上有意ではなかった(
図7)。にもかかわらず、実施した事後検定力分析に基づき、この効果は、より多くのサンプル数では統計上有意性を達成するであろう。
【0110】
不安に及ぼすCBD製剤の効果を測定するために、試験参加者は、臨床での状況および研究での状況で広く使用される不安症状の重症度を測定するために開発された第1の評価尺度の1つである、ハミルトン不安評価尺度の改変版に記入した
29。このスケールは、それぞれが一連の症状により定義される13の項目からなり、精神的な不安(精神的な激越および心理的苦悩)ならびに身体的な不安(不安に関連する身体的症状)の両方を測定する。各項目は、0(存在しない)~4(重篤)のスケールでスコア付けされ、総スコアは0~53の範囲にあり、ここで<14は軽度の重症度、15~21は軽度~中程度の重症度、および22~27は中程度~重篤を表す。この臨床的に検証された不安評価尺度に基づき、一部の試験参加者は、
図8A~8Cにおける参加者のデータで示されるように、CBD製剤を服用した後、8、5、および3のスコアで不安の減少を示した。
【0111】
第1の臨床試験からのプールしたデータの解析は、プラセボ対照と比較して、不安に及ぼすCBD製剤の有意な効果を示さなかった。しかしながら、睡眠生理学のデータと同様に、このデータを、「レスポンダー」および「ノンレスポンダー」へと階層化することができた。「レスポンダー」からのデータは、CBD製剤が、スコア15のプラセボ対照またはスコア11のCBD単独と比較して、6のスコアでCBD製剤が不安を有意に低下させることを示した(
図9A)。試験参加者は、試験前にハミルトン不安評価尺度をとるように求められなかったため、CBD製剤から最も恩恵を受けた参加者が最も高いベースラインの不安レベルを有していた参加者であったかどうかは明らかではない。しかしながら、プラセボを服用した「レスポンダー」の平均不安レベルは、「ノンレスポンダー」よりも有意に高く、回復睡眠に及ぼすCBD製剤の効果および不眠症レベルと同様に、高いベースラインの不安レベルを呈した参加者は、CBD製剤から最も恩恵を受けるであろうことが示唆される(
図9Bに図示)。
【0112】
試験2からのデータの概要
【0113】
第1の臨床試験が首尾よく終了した後、第1の臨床試験の結果を、独立した参加者のコホートで再現することを試みた。第1の臨床試験からのデータは、不眠症を有する参加者がCBD製剤での処置から最も恩恵を受けたことを表したが、第2の臨床試験では、臨床的に検証された不眠症重症度指数(PSQI)27により定義される中程度または重篤な不眠症を呈した参加者のみを登録した。
【0114】
第2の試験では、参加者(N=13)を無作為化し、プラセボ対照またはCBD製剤(約300mgのCBD、リナロール、ミルセン、フィトール、リモネン、α-テルピネン、α-テルピネオール、α-ピネン、およびβ-カリオフィレンを含む約8mgのテルペン)を、合計3週間の処置期間の間、少なくとも1週間あたり4夜、就寝の1時間前に1日1回服用させた。
【0115】
第2の試験からのプールしたデータでは、CBD製剤は、プラセボ対照と比較して、CBD製剤で処置した参加者において、REM睡眠のパーセンテージを約2%、回復睡眠のパーセンテージを約3%増大させ、
図10A~10Bに示されるように、回復睡眠は約3%増大し、統計学的有意性に達した。第1の臨床試験と同様に、このデータは、完全に独立した患者コホートにおいて第1の臨床試験がうまく再現されたことを表す。さらに、実施した事後検定力分析に基づき、REM睡眠に及ぼすCBD製剤の効果は、より多くのサンプル数で統計上有意性に達するであろう。
【0116】
2つの臨床試験は、試験参加者が処置を自身で行い、自宅で快適な状態で睡眠データを追跡する分散化された方法で行った。睡眠生理学に及ぼすCBD製剤の効果を、2つの臨床試験からのデータを組み合わせた際に定量化した。CBD製剤は、
図11A~11Bに示されるように、複合データセットでは、試験参加者がREMに要した時間のパーセンテージを約2%、および回復睡眠に要した時間のパーセンテージを約2%有意に増大させた。複合データにおける深い睡眠に及ぼすCBD製剤の効果は、僅差で統計上有意性を逃したが、CBD製剤は、
図11Cに示されるように深い睡眠を約2%増大させた。
【0117】
前述と同様に、実施した事後検定力分析に基づき、深い睡眠に及ぼすCBD製剤の効果は、より多くのサンプル数で統計上有意性を達成するであろう。実際に、検出力分析は、多数のサンプル数において、これら知見の統計上有意性の大きさがおそらく増大することを示し、150名の参加者でのさらなる最終の臨床試験を行う。
【0118】
研究知見の結論および臨床的有意性
【0119】
CBD製剤を用いた臨床データは、これが、人々がREMおよび回復(深い睡眠+REM睡眠)に要した時間のパーセンテージを有意に増大させること、ならびにこれら効果が、不眠症に悩む人々において最も顕著であることを表している。重要なことに、睡眠生理学のパラメータに及ぼすCBD製剤の効果は、2つの独立した患者コホートにおいて再現された。さらに、CBD製剤を服用した参加者はまた、自身の睡眠の質に及ぼす処置の恩恵を認識することができた。
【0120】
REM睡眠および回復睡眠は、良好な脳の健康に非常に重要であると思われており、ヒト集団にこれらがないことは、多くの場合、慢性的な病気および疾患に関連している。たとえば、REM睡眠は、海馬での学習および記憶のプロセスにおいて本質的に重要な役割を有しており、REM睡眠の途絶は、認知障害および他の徴候をもたらし得る30。睡眠中、脳は、ホルモンおよび免疫系を再生および強化する細胞、組織、および神経を修復し成長させることができる。良好な栄養、運動、およびストレス低下に加え、回復睡眠は人々の最適な身体、精神、および感情の健康に必須である。不十分な回復睡眠は、高血圧、糖尿病、肥満、脳卒中、およびうつなどの障害のリスクを増大させる。これはまた、認知低下およびアルツハイマー病にも関連している。
【0121】
CBD製剤は、不眠症を有する人々のREM睡眠および回復睡眠を有意に増大させることが示されているCBDおよびテルペンから構成されており、これら人々は、この処置からの恩恵を正確に認識することができた(彼らが処置に対し盲検であったとしても)。この報告された効果に加え、潜在的な睡眠補助薬としてのCBD製剤の他の主要な利点は、特に多くの深刻な望ましくない有害反応をもたらす、ゾルピデム(Ambien)を含む一般に処方される睡眠薬と比較して優れたその安全性プロファイルである。
【0122】
実施例2:カンナビジオール(CBD)およびテルペンのカスタム製剤を含むカプセル剤であるCBD製剤が睡眠生理学に影響するかどうかを決定するための、二重盲検プラセボ対照無作為化クロスオーバー治験
【0123】
経口投与される小型カプセル剤の形態の新規のCBDベースの製剤は、「Whoop」と呼ばれる客観的な睡眠トラッキング装置により測定した場合、参加者が深い睡眠(SWS)およびREM睡眠に要した時間のパーセンテージを増大させる。Le Reve 3.0と題する研究試験は、CBD製剤またはCBD-テルペンとのラベルを有するカスタム製剤化されたCBDカプセル剤が、睡眠生理学に影響するかどうかを決定するための二重盲検プラセボ対照無作為化クロスオーバー治験である。このカプセル剤は、Δ-9-THCを含有しない。この試験は睡眠生理学の構造および機能に及ぼすCBD製剤の効果を評価するためにのみ設計されており、試験のフェーズは応用可能ではない。
【0124】
Le Reve 3.0試験は、試験参加者が2つの独立した処置(それぞれ4週間(処置1:プラセボ;処置2:CBD製剤)を繰り返す、クロスオーバー設計を含む。プラセボは、CBD製剤カプセルと同じ見た目、匂い、および味である。試験参加者は、最初に、処置アームに関して無作為化され、全ての参加者は、両処置アームを繰り返す。本発明者らおよび試験参加者が両方とも処置に対し盲検化されている二重盲検設計を使用する。各参加者に関するベースラインのデータは、処置開始の2週間前、および各処置アーム後の1週間のウォッシュアウト期間の間に収集される。全試験期間は、
図12に示されるように12週間である。
【0125】
Le Reveの一次データは、自身のベッドで快適な状態にある試験参加者からの睡眠データを電子的に収集し送信する、「Whoop」(https://www.whoop.com)と呼ばれる非侵襲的な睡眠を追跡する手首に着ける装置から完全に不偏な方法で得られる。
【0126】
リストバンドは、3軸の加速度計、3軸のジャイロスコープ、および心拍センサーから1秒あたり数百のデータポイントを収集する。リストバンドは、入眠潜時、総睡眠時間、睡眠断片化、ならびに各睡眠ステージ[軽い(Light)、深い(Deep)、急速眼球運動(REM)、および覚醒]に要した時間を正確に測定できる。またこの装置は、血液量の表面的な変化を測定することにより血流を測定することを含む技術である、光電式容積脈波記録法(PPG)を使用してデータを収集する。心拍、心拍変動、および呼吸速度は、全てPPGデータに由来し得、これら測定基準は全て、Whoopの睡眠検出およびステージングアルゴリズムで使用される。重要なことに、Whoopとは無関係に公開された2つの最近の刊行物は、Whoop装置から収集された睡眠ステージに関するデータが非常に正確であり、睡眠クリニックで行われる臨床試験で使用される睡眠トラッキングの絶対的な基準である、睡眠ポリグラフ(PSG)と良好に相関していることを示している。
【0127】
試験の説明
【0128】
不眠症は、入眠の困難、再び眠ることが難しい夜間の頻発する目覚め、朝の早すぎる目覚め、またはすっきりしない目覚めなどの多くの要因により、人々が不適切または不十分な質の睡眠を有する障害である。CBD製剤は、純度の高い(>99.9%の純度)アサ由来のCBDおよびテルペン(>98%の純度)から構成されるカプセル剤である。CBD製剤は、Δ-9-テトラヒドロカンナビノール(Δ-9-THC)を含有しない。Le Reve 3と題する研究試験は、睡眠生理学に及ぼすCBD製剤の有効性を評価するように設計されている。
【0129】
主要目的は、CBD製剤が睡眠生理学の客観的な測定値に影響するかどうかを決定することである。副次的目的は、CBD製剤が睡眠生理学の主観的な測定値に影響するかどうかを決定することである。
【0130】
主要評価項目は、Whoopと呼ばれる客観的な手首に身に着ける睡眠トラッキング装置を使用して決定される深い睡眠[徐波睡眠(SWS)]および急速眼球運動(REM)睡眠で過ごす睡眠のパーセンテージである。副次的評価項目は、総睡眠時間、睡眠潜時、睡眠障害の数、各睡眠ステージに要した時間、各睡眠ステージに要した時間のパーセンテージ、および参加者の調査を介して収集された睡眠生理学の主観的な測定値である。
【0131】
試験集団:少なくとも3か月間1週間あたり3夜以上での、自己報告の入眠困難(持続的な睡眠までの潜時>30分)および/または睡眠の維持の困難(30分超の覚醒または望ましい覚醒時間より30分超早い覚醒)として定義される慢性不眠症を示す150名の試験参加者を登録する。また参加者は、簡潔な臨床的に検証された不眠症重症度指数に記入し、15超の不眠症重症度指数スコアを有する参加者のみをLe Reve 3.0に登録する。組み入れ基準および除外基準を満たす米国在住の25~70歳の男性および女性を登録する。
【0132】
試験処置の説明
【0133】
Le Reve 3.0は、自宅で快適な状態にある参加者により実施される分散型の試験である。募集、登録、インフォームドコンセント、および試験物質の参加者への分配は、全て医薬品開発業務受託機関(contract research organization:CRO) 83 Bar, Incにより管理される。
【0134】
試験介入は、就寝の1時間前に2つの小型のカプセル剤として経口摂取(p.o.)されるCBD製剤またはプラセボ対照を含む。CBD製剤は、ココナッツオイル(USDAオーガニック認証、non-GMO、乳成分不使用、グルテンフリー、ビーガンのココナッツオイル)に溶解したGMPにより認証された研究所で作製された99.9%超の純度のアサ由来のCBD300mgを含有する植物性セルロース(グルテンフリー、non-GMO、ビーガン、コーシャ認証、ハラル認証)から構成されたGMP標準物質に作製したカプセル剤である。CBD製剤は、同様にGMPにより認証された研究所で作製された低濃度(それぞれ1mg)の高純度の(98%超の純度)の形態のテルペンのリナロール、ミルセン、フィトール、リモネン、α-テルピネン、α-テルピネオール、α-ピネン、およびβ-カリオフィレン[食品グレード(Food Grade(GRAS))、天然、オーガニック、non-GMO、乳成分不使用、グルテンフリー、ビーガン)を含有するカスタム化学製剤である。CBD製剤は、Δ-9-テトラヒドロカンナビノール(Δ-9-THC)を含有しない。CBD製剤で見出される用量でのCBD1およびこれらテルペンの安全性は、良好に確立されている。
【0135】
試験期間
【0136】
Le Reve 3.0が登録を開始してからデータ解析が完了するまでの推定時間は、20週間である。
【0137】
参加者の拘束期間:登録後、全試験のための参加者の拘束期間は12週間である。
【0138】
【0139】
【0140】
【0141】
試験集団
【0142】
この試験に参加する資格を得るためには、個人は、以下の基準の全てを満たさなければはならない:署名済みであり日付を記載しているインフォームドコンセントのフォームを提供していること;少なくとも3か月間の、自己報告の入眠困難(持続的な睡眠までの潜時>30分)および/または睡眠の維持の困難(1週間あたり3回以上の真夜中の30分超の覚醒または望ましい覚醒時間より30分超早い覚醒)として定義される慢性不眠症の存在;不眠症重症度指数スコア>15。
【0143】
25~70歳の男性または女性
【0144】
全試験にわたり自身の手首に睡眠トラッキング装置を身に着けること
睡眠データを毎日収集できるように毎日ブルートゥース(登録商標)を介して睡眠トラッキング装置を自身のスマートフォンに接続することを確保すること
毎夜就寝する前に睡眠トラッキング装置を充電することを確保し、睡眠データが毎日収集できることを確保すること
全臨床試験の期間の間毎日テキスト(SMS)通知を受信し応答する意思があること
試験の処置段階の間、毎週少なくとも4夜の間処置を受ける意思があること
を含む、全試験にわたる全ての試験手法に応じる意思があること
【0145】
参加者が処置を受ける夜に、過度なアルコール摂取(1日に2杯超の飲酒)を控える意思があること。
【0146】
一次面接前に少なくとも一年間無月経であり更年期後であるか、または外科手術により生殖不能であるか、または妊娠する可能性がある場合には、インフォームドコンセントの署名時から試験処置の最後の投与まで有効な方法の避妊を行うことに同意するかもしくは性交を完全に控えることに同意し;1週間あたり4から7夜に午後9時~真夜中までの就寝時間を自己報告し;およびスマートフォンを所有している女性
【0147】
ライフスタイルの考慮
この試験の間、参加者は、試験期間の間1日あたり2回超の標準的なアルコール摂取を控えること;試験期間の間400、g/日超のカフェイン消費の摂取を控えること;試験期間の間午後3時以降のカフェインの摂取を控えること;試験期間の間1日あたりカップまたはグラス5杯超のキサンチン含有飲料(すなわち茶、コーヒー、エナジードリンク、またはコーラ)の摂取を控えることが求められる。
【0148】
6.1 試験処置の投与
【0149】
CBD製剤は、高純度の(98%超の純度)の形態のテルペンのリナロール、ミルセン、フィトール、リモネン、α-テルピネン、α-テルピネオール、α-ピネン、およびβ-カリオフィレン[食品グレード(Food Grade(GRAS))、天然、オーガニック、non-GMO、乳成分不使用、グルテンフリー、ビーガン)をも含むカスタム化学製剤を伴い、ココナッツオイル(USDAオーガニック認証、non-GMO、乳成分不使用、グルテンフリー、ビーガンのココナッツオイル)に溶解した99.9%超の純度のアサ由来のCBDを含有する植物性セルロース(グルテンフリー、non-GMO、ビーガン、コーシャ認証、ハラル認証)で作製された小型のカプセル剤から構成される。参加者は、就寝の1時間前に2つの小型のカプセル剤を服用することを求められる。これらカプセル剤は、合計300mgのCBDおよび8mgのテルペン(それぞれ1mgのテルペン)を含む。CBD製剤は、Δ-9-THCを含有しない。プラセボ対照を含有するカプセル剤は、CBD製剤を含有するカプセル剤と全く同じ見た目、感触、および匂いであるが、CBDまたはテルペンを含有しない。
【0150】
投与参加者は、この試験において、合計300mgのCBDおよび8mgテルペン(それぞれ1mgのテルペンのリナロール、ミルセン、フィトール、リモネン、α-テルピネン、α-テルピネオール、α-ピネン、およびβ-カリオフィレン)を含む2つの小型のカプセル剤を服用し、就寝の1時間前にグラス1杯の水で経口摂取する。参加者は、4週間の試験の処置相のそれぞれに関して1週間あたり最小4夜で試験薬を服用することが求められる。
【0151】
投与
【0152】
投与参加者は、この試験において、合計300mgのCBDおよび8mgのテルペン(それぞれ1mgのテルペンのリナロール、ミルセン、フィトール、リモネン、α-テルピネン、α-テルピネオール、α-ピネン、およびβ-カリオフィレン)を含む2つの小型のカプセル剤を服用し、就寝の1時間前にグラス1杯の水で経口摂取する。参加者は、4週間の試験の処置段階のそれぞれに関して1週間あたり最小4夜で試験薬を服用することが求められる。
【0153】
有効性の評価
【0154】
少なくとも3か月間1週間あたり3夜以上での、自己報告の入眠困難(持続的な睡眠までの潜時>30分)および/または睡眠の維持の困難(30分超の覚醒または望ましい覚醒時間より30分超早い覚醒)として定義される慢性不眠症を呈する150名の試験参加者を登録する。また参加者は、簡潔な臨床的に検証された不眠症重症度指数に記入し、15超の不眠症重症度指数スコアを有する参加者のみをLe Reve 3.0に登録する。組み入れ基準および除外基準を満たす米国在住の25~70歳の男性および女性を登録する。
【0155】
Le Reve 3.0は、完全に分散型の方法で行われる。Le Reve 3.0の一次データは、自身のベッドで快適な状態にある試験参加者から睡眠データを電子的に収集し送信する、「Whoop」(https://www.whoop.com)と呼ばれる非侵襲的な手首に身に着ける睡眠トラッキング装置から完全に不偏な方法で得られる。
【0156】
リストバンドは、3軸の加速度計、3軸のジャイロスコープ、および心拍センサーから1秒あたり数百のデータポイントを収集する。リストバンドは、入眠潜時、総睡眠時間、睡眠断片化、ならびに各睡眠ステージ[浅い(Light)、深い(Deep)、急速眼球運動(REM)、および覚醒]に要した時間を正確に測定できる。またこの装置は、血液量の表面的な変化を評価することにより血流を測定することを含む技術である、光電式容積脈波記録法(PPG)を使用してデータを収集する。心拍、心拍変動、および呼吸速度を、全てPPGデータから導出することができ、これら測定基準を全て、Whoopの睡眠検出およびステージングアルゴリズムで使用する。重要なことに、Whoopとは無関係に公開された2つの最近の刊行物は、Whoop装置から収集された睡眠ステージに関するデータが非常に正確であり、睡眠クリニックで行われる臨床試験で使用される睡眠トラッキングの絶対的な基準である、睡眠ポリグラフ(PSG)と良好に相関することを示している
【0157】
Le Reve 3.0における主要評価項目である有効性評価項目は、Whoopと呼ばれる非侵襲的な手首に身に着ける睡眠トラッキング装置により収集される徐波(Deep)睡眠およびREM睡眠に要した時間のパーセンテージである。
【0158】
Whoop装置で収集されるさらなる客観的な副次的アウトカム測定値は、総睡眠時間、睡眠潜時、睡眠障害の数、各睡眠ステージに要した時間、および各睡眠ステージに要した時間のパーセンテージを含む。
【0159】
PGI19と題する臨床的に検証されたアンケートの改変版を使用して、睡眠生理学の主観的な測定値を追跡する。このデータは、それぞれの4週間の処置期間の終了時に自身のスマートフォンで記入される簡潔な5分間の調査の形態で試験参加者から収集される。
【0160】
実施例2:規定のCBDである、カスタム製剤化されたカンナビジオール(CBD)カプセル剤が睡眠生理学に影響するかどうかを決定するための二重盲検プラセボ対照無作為化クロスオーバー治験
【0161】
概要
【0162】
126名の参加者を登録し、63名が試験を終了した。試験データの最初の解析は、臨床試験の主要評価項目[参加者がSWS睡眠+REM(回復)睡眠に要した時間のパーセンテージ]は、統計学的に有意な陽性の結果を示した。参加者がSWS睡眠に要した時間のパーセンテージの副次的評価項目も同様に満たした。データを独立して解析して、最初の知見を確認する。
【0163】
試験の説明
【0164】
不眠症は、入眠の困難、再び眠ることが難しい夜間の頻発する目覚め、朝の早すぎる目覚め、またはすっきりしない目覚めなどの多くの要因により、人々が不適切または不十分な質の睡眠を有する障害である。規定のCBD(図面においてCBD-テルペンと標識)は、純度の高い(99.9%超の純度)アサ由来のCBDおよびテルペン(98%超の純度)から構成されるカプセル剤である。規定のCBDは、Δ-9-テトラヒドロカンナビノール(Δ-9-THC)を含有しない。Le Reve 3.0と題する研究試験は、睡眠生理学に及ぼす規定のCBDの有効性を評価するように設計されている。この試験は、いずれの疾患も処置、診断、予防、または治癒するようには意図されていない。
【0165】
主要目的は、規定のCBDが睡眠生理学の客観的な測定値に影響するかどうかを決定することである。副次的目的は、規定のCBDが睡眠生理学の主観的な測定値に影響するかどうかを決定することである。
【0166】
主要評価項目は、Whoopと呼ばれる客観的な手首に身に着ける睡眠トラッキング装置を使用して決定される深い睡眠[徐波睡眠(SWS)]および急速眼球運動(REM)睡眠に要した睡眠のパーセンテージである。副次的評価項目は、総睡眠時間、睡眠潜時、睡眠障害の数、各睡眠ステージに要した時間、各睡眠ステージに要した時間のパーセンテージ、および参加者の調査を介して回収された睡眠生理学の主観的な測定値を含む。
【0167】
少なくとも3か月間1週間あたり3夜以上での、自己報告の入眠困難(持続的な睡眠までの潜時>30分)および/または睡眠の維持の困難(30分超の覚醒または望ましい覚醒時間より30分超早い覚醒)として定義される慢性不眠症を呈する150名の試験参加者を登録する。また参加者は、簡潔な臨床的に検証された不眠症重症度指数に記入し、15超の不眠症重症度指数スコアを有する参加者のみをLe Reve 3.0に登録する。組み入れ基準および除外基準を満たす米国在住の25~70歳の男性および女性を登録する。
【0168】
Le Reve 3.0は、自宅で快適な状態にある参加者により実施される分散型の試験である。募集、登録、インフォームドコンセント、および試験物質の参加者への分配は、全て医薬品開発業務受託機関(contract research organization:CRO) 83 Bar, Incにより管理される。
【0169】
試験処置の説明
【0170】
試験処置は、就寝の1時間前に2つの小型のカプセル剤として経口摂取(p.o.)される規定のCBDまたはプラセボ対照を含む。規定のCBDは、ココナッツオイル(USDAオーガニック認証、non-GMO、乳成分不使用、グルテンフリー、ビーガンのココナッツオイル)に溶解したGMPにより認証された研究所で作製された99.9%超の純度のアサ由来のCBD300mgを含有する植物性セルロース(グルテンフリー、non-GMO、ビーガン、コーシャ認証、ハラル認証)から構成されたGMP標準物質から作製された(made to)カプセル剤である。規定のCBDは、GMPにより認証された研究所で作製された低濃度(それぞれ1mg)の高純度の(98%超の純度)の形態のテルペンのリナロール、ミルセン、フィトール、リモネン、α-テルピネン、α-テルピネオール、α-ピネン、およびα-カリオフィレン[食品グレード(Food Grade(GRAS))、天然、オーガニック、non-GMO、乳成分不使用、グルテンフリー、ビーガン)を含有するカスタム化学製剤である。規定のCBDは、Δ-9-テトラヒドロカンナビノール(Δ-9-THC)を含有しない。規定のCBDで見出される用量でのCBDおよびこれらテルペンの安全性は、良好に確立されている。
【0171】
試験期間は、Le Reve 3.0が登録を開始してからデータ解析が完了するまでの推定時間であり、20週間である。全試験での参加者の拘束期間は、登録から12週間である。
【0172】
結果
【0173】
図13A~13Fは、CBD-テルペン製剤が、DR24(
図13A)、DR45(
図13B)、DR51(
図13C)、DR111(
図13D)、DR112(
図13E)、およびDR128(
図13F)がSWS+REM睡眠(回復睡眠)に要した時間のパーセンテージを増大させることを示すグラフである[
*p<0.05(t検定);
**p<0.01(t検定);
***p<0.001;
****p<0.0001(t検定)。n=処置グループあたり15~28日間。値は平均値±SEMである]。参加者DR24は、プラセボと比較してSWS+REM睡眠の約3%の増大を示し;参加者DR45はSWS+REM睡眠の約3%の増大を示し;参加者DR51はSWS+REM睡眠の約7%の増大を示し;参加者DR111はSWS+REM睡眠の約3%の増大を示し;参加者DR112はSWS+REM睡眠の約9%の増大を示し;参加者DR128はSWS+REM睡眠の約13%の増大を示した。
【0174】
図14A~14Fは、CBD-テルペン製剤が、試験参加者DR51における(
図14A)REM、(
図14B)SWS、(
図14C)SWS+REM(回復睡眠)、ならびにDR51が(
図14D)REMおよび(
図14E)SWS、および(
図14F)SWS+REM(回復睡眠)に要した時間のパーセンテージを増大させることを示すグラフである[
**p<0.01;
***p<0.001(t検定)。n=処置グループあたり19~25日間。値は平均値±SEMである]。参加者DR51は、プラセボと比較してREM睡眠の約30分間の増大を示し;参加者DR51は、SWS睡眠の約22分間の増大を示し;参加者DR51はSWS+REM睡眠の約51分間の増大を示し;参加者DR51は、REM睡眠の約7%の増大を示し;参加者DR51はSWS睡眠の約5%の増大を示し;参加者DR51は、SWS+REM睡眠の約13%の増大を示した。
【0175】
図15A~15Fは、CBD-テルペン製剤が、試験参加者DR128における(
図15A)REM、(
図15B)SWS、(
図15C)SWS+REM(回復睡眠)、ならびにDR128が(
図15D)REMおよび(
図15E)SWS、および(
図15F)SWS+REM(回復睡眠)に要した時間のパーセンテージを増大させることを示すグラフである
*p<0.05(t検定);
***p<0.001;
****p<0.0001(t検定)。n=処置グループあたり15~28日間。値は平均値±SEMである]。参加者DR128は、プラセボと比較してREM睡眠の約30分間の増大を示し;参加者DR128は、SWS睡眠の約19分間の増大を示し;参加者DR128はSWS+REM睡眠の約50分間の増大を示し;参加者DR128は、REM睡眠の約13%の増大を示し;参加者DR128はSWS睡眠の約8%の増大を示し;参加者DR128は、SWS+REM睡眠の約18%の増大を示した。
【0176】
不眠症を有すると自己同定し、また臨床的に検証された不眠症重症度指数13において重篤な臨床上の不眠症(>22)を有するとスコア付けされた6名の参加者に、300mgの純度の高いCBD300mgおよび8mgのテルペンを含むカプセル剤、またはプラセボ対照を、4週間の期間にわたり1週間あたり最低4夜、投与した。1週間のウォッシュアウト期間の後、参加者に、第2の4週間の処置期間の間、第2の処置(すなわちCBD-テルペンを有するカプセル剤またはプラセボ対照)を投与した。
【0177】
CBD-テルペンを含むカプセル剤は、臨床的に検証された
14、15手首に身に着ける睡眠トラッキング装置で定量化した場合に、6名全ての参加者がSWS+REM睡眠(回復睡眠)に要した時間のパーセンテージを有意に増大させた(
図13A~13F)。これら参加者における回復睡眠のパーセンテージの増大の大きさは、5~18%で変動したが、これは、1か月の期間にわたる1夜あたり38~51分間の絶対的な増大(1か月の処置期間にわたる回復睡眠の約19~26時間の絶対的な増加)を表した。さらに、CBD-テルペンを含むカプセル剤は、プラセボ対照と比較して6名の参加者全てにおいて浅い睡眠に要した時間のパーセンテージを減少させた(
図16A~16F)が、総睡眠時間には効果がなかった(
図17A~17F)。
【0178】
参加者DR51およびDR128では、CBD-テルペンカプセル剤はまた、REM、SWS、およびSWS+REM睡眠に要した絶対時間、ならびにREM、SWS、およびSWS+REM睡眠に要した時間のパーセンテージを有意に増大させた(
図14および15)。唯一プラセボ対照で1夜あたり平均45分のSWS+REM睡眠である参加者DR51では、CBD-テルペンカプセル剤での処置は、SWS+REM睡眠を1夜あたり平均52分間増大させた(平均して1週間あたり6時間超の回復睡眠の増大または4週間の処置期間にわたり24時間超の増大)(
図5)。同様に、参加者DR128では、CBD-テルペンカプセル剤は、SWS+REM睡眠を1夜あたり49分間増大させた(平均して1週間あたり約6時間の増大または4週間の処置期間にわたり24時間超の増加)(
図14)。この試験の間、いずれの参加者によっても有害事象は報告されなかった。
【0179】
考察
【0180】
ヒトおよび動物におけるCBDの使用は、過去十年で著しく増加している。消費者はCBDを、慢性疼痛、不安、および不眠症を含む様々な一般的な病気を表面上は自己処置するためにCBDを使用しているが、これら病気のいずれかを有効に処置するためのその使用を裏付けている臨床エビデンスはわずかである。さらに、医療実務者は、これら病気を処置するためにCBDを使用すべきかどうかを患者により尋ねられることが増えているが、厳密な臨床研究がない中で、医師は、患者にCBDの適切な使用に関する情報に基づくガイダンスを提供することが全くできない。
【0181】
この事例の系列で、本発明者らは、純度の高いCBDおよびテルペンを含むカプセル剤の毎日の投与が、重篤な臨床上の不眠症を有する6名の参加者がSWS+REM睡眠に要した時間のパーセンテージを有意に増大させることを報告している。SWS睡眠およびREM睡眠のステージの組み合わせは、一般に「回復」睡眠と呼ばれている16。多くの研究が、SWS睡眠およびREM睡眠のステージが、免疫系の強化、細胞および組織再生の増大、脳代謝物のクリアランスの増大、エネルギー貯蔵の補給、ならびに学習、記憶、注意、および実行機能に非常に重要であることを示している16、17。SWSは、覚醒と比較して、心拍、血圧、交感神経活性、および脳のグルコースの利用の減少に関連している16。さらに、SWSの間、ヒトの成長ホルモンが放出され、ストレスホルモンのコルチゾールは阻害される16。特に、SWS睡眠およびREM睡眠に要した時間のパーセンテージは、加齢に伴い減少する17、18。臨床試験は、バルビツール酸、ベンゾジアゼピン、ゾルピデム、ゾピクロン、および向神経活性ステロイドを含む多くの一般に処方される睡眠薬が、睡眠潜時を低減させることを示しており、これら医薬の多くはSWS睡眠およびREM睡眠を減少させる19。
【0182】
この事例の系列で使用されるCBD含有カプセル剤はまた、少量(それぞれ1mg)のテルペンも含む。これら小分子は、一般に植物で見出され、ヒトでの消費に関してGRAS(Generally Regarded As Safe)としてFDAにより現在分類されており、一般に食品の香味添加物として使用されている。動物での前臨床試験は、この試験で使用される高濃度のテルペンが動物において鎮静作用があることを示している8-12,20が、ヒトの睡眠生理学に及ぼすこれらの潜在的な作用は確立されておらず、今後の研究対象である。
【0183】
この試験で使用されるCBD-テルペンを含むカプセル剤は、検出可能なΔ-9-THCを含有しなかった。近年の試験は、THC、CBD、および他のカンナビノイドの複合混合物での処置が不眠症を有する患者において何らかの主観的な睡眠のアウトカムを改善することを示唆しているが21、THCが試験される濃度で多幸感を誘導し心拍を増大させる場合、因果関係をこの試験から推測することは困難である22。参加者がどの処置アームが有効な処置を有していたかを識別できる場合、この試験が真にプラセボ対照であることを主張することは困難である。特に、この試験は、睡眠生理学の客観的な測定値に及ぼすカンナビノイド処置の効果を示さなかった22。
【0184】
まとめると、この事例の系列からの結果は、Δ-9-THCを欠いている純度の高いCBD-テルペン混合物を含有するカプセル剤が、不眠症を有する6名の患者が回復睡眠ステージに要した時間のパーセンテージを増大させることを表している。本発明者らは、この事例の系列の過程においていずれの有害な兆候をも観察しておらず、今日までの現在の研究は、CBDが、特に実証されている深刻な副作用のプロファイルを明らかに有する、一般に処方されている睡眠医薬の大部分24と比較して、比較的良好な安全プロファイルを有することを示している23。この事例の系列で報告される結果を、厳密なプラセボ対照で再現することができれば、現在の結果は、CBDが、回復睡眠を減少させるのではなく強化する、不眠症のための有望な処置としてより安全な代替案を表し得ることを示唆している。
【0185】
公開文献
【0186】
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【0187】
本明細書で言及される全ての刊行物および特許出願は、個々の個別の刊行物または特許出願が、具体的かつ個別に参照により組み込まれるように表される場合と同じ度合いで、本明細書において参照により組み込まれている。
【0188】
本発明は、様々な実施形態に関連して記載されておりが、本発明はさらなる改変が可能であることが理解されるであろう。本出願は、一般的に、本発明の原則に従い本発明の全ての変形形態、使用、または適合を包有し、本発明が属する技術分野において公知で慣習となっている実践内での本開示からの逸脱を含むことが意図されている。
【国際調査報告】