(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-02-06
(54)【発明の名称】針先の位置特定のための超音波非同期共鳴イメージング(ARI)技術
(51)【国際特許分類】
A61B 8/14 20060101AFI20250130BHJP
【FI】
A61B8/14
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024534657
(86)(22)【出願日】2022-12-12
(85)【翻訳文提出日】2024-08-07
(86)【国際出願番号】 US2022052586
(87)【国際公開番号】W WO2023107745
(87)【国際公開日】2023-06-15
(32)【優先日】2021-12-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-12-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2022-01-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2022-01-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2022-02-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2022-03-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】524219511
【氏名又は名称】イースタン ソノグラフィックス コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】110003579
【氏名又は名称】弁理士法人山崎国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100118647
【氏名又は名称】赤松 利昭
(74)【代理人】
【識別番号】100123892
【氏名又は名称】内藤 忠雄
(74)【代理人】
【識別番号】100169993
【氏名又は名称】今井 千裕
(74)【代理人】
【識別番号】100173978
【氏名又は名称】朴 志恩
(72)【発明者】
【氏名】マティアス、アイザック
【テーマコード(参考)】
4C601
【Fターム(参考)】
4C601EE11
4C601FF03
4C601FF06
4C601GA20
4C601GA26
4C601HH29
4C601HH35
4C601JB05
4C601JB11
4C601JC04
4C601JC16
4C601KK24
4C601KK31
(57)【要約】
第1の時点で第1の超音波パルス信号を送信することを含む針先検出プロセスを実行することができる超音波スキャナの技術を開示する。第1の超音波パルス信号は、隣接する組織及び組織内の針によって第1のエコー信号が生成されるように構成することができる。スキャナは、第1の時点から所定の遅延期間の後の第2の時点に達すると、針からの第1のエコー信号を受信することができる。スキャナは、第1のエコー信号に基づいて、針の位置に対応する針先画像データを生成することができる。スキャナは、組織検出プロセスを実行し、及び/又は、針先画像データ及び組織画像データに基づいて、組織に対する針先の位置の視覚的なインジケータを含む複合画像を生成することができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
超音波スキャナにより実行される方法であって、超音波スキャナはイメージングプローブを備え、前記方法は、
a)前記スキャナにより、針先検出プロセスを実行するステップであって、前記針先検出プロセスは、
a-i)前記イメージングプローブにより、第1の時点で、1つ以上の第1の超音波パルス信号を送信するステップであって、前記1つ以上の第1の超音波パルス信号は、隣接する組織及び前記組織内の針によって1つ以上の第1のエコー信号が生成されるように構成されている、ステップと、
a-ii)前記イメージングプローブにより、前記第1の時点から所定の遅延期間だけ遅れた第2の時点に達したときに、前記針からの前記1つ以上の第1のエコー信号を受信するステップと、
a-iii)前記スキャナにより、前記1つ以上の第1のエコー信号に基づいて、前記針先の位置に対応する針先画像データを生成するステップと、
を含む、針先検出プロセスを実行するステップと、
b)前記スキャナにより、組織検出プロセスを実行するステップであって、前記組織検出プロセスは、
b-i)前記イメージングプローブを介して、1つ以上の第2の超音波パルス信号を送信するステップであって、前記1つ以上の第2の超音波パルス信号は、前記隣接する組織及び前記組織の前記針によって1つ以上の第2のエコー信号が生成されるように構成されている、ステップと、
b-ii)前記イメージングプローブにて、前記隣接する組織から前記1つ以上の第2のエコー信号を受信するステップと、
b-iii)前記スキャナにより、前記1つ以上の第2のエコー信号に基づき前記隣接する組織に対応する組織画像データを生成するステップと、
を含む、組織検出プロセスを実行するステップと、
c)前記スキャナにより、前記針先画像データ及び前記組織画像データに基づき前記組織に対する前記針先の位置を示す視覚的なインジケータを含む複合画像を生成するステップと、
d)前記スキャナにより、前記複合画像をディスプレイ上に表示するステップと、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記組織検出プロセスにおいて、前記第2のパルス信号の前記送信と前記1つ以上の第2のエコー信号の前記受信との間に所定の遅延期間がないことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記針先検出プロセスにおいて、前記第1のエコー信号は、前記第1の時点と前記第2の時点との間には受信しないことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
上記a)からd)までのステップのいずれかを1回以上繰り返すことで、全体としてビデオを形成する複数の複合画像を生成することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記針先の前記位置の前記視覚的なインジケータは、
前記針先の前記位置から前記複合画像の上部に向かって伝播する上部のリングダウンアーティファクトと、
前記針先の前記位置から前記複合画像の下部に向かって伝播する下部のリングダウンアーティファクトと、
を含むダブルリングダウンアーティファクトであることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記上部のリングダウンアーティファクトの最も狭い点及び前記下部のリングダウンアーティファクトの最も狭い点はそれぞれ前記針先の前記位置に対応することを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記所定の遅延期間はユーザーにより調整可能であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記所定の遅延期間は、40~500マイクロ秒の範囲の値であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記所定の遅延期間は、100~400マイクロ秒の範囲の値であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記所定の遅延期間は、前記組織エコーが前記ダブルリングダウンアーティファクトを部分的に隠してしまうぐらいに比較的短く、
前記複合画像中に生じた1つ以上の組織エコーは、信号処理を用いて除去されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記針先検出プロセスは、前記組織検出プロセスの前記1つ以上の第2のエコー信号に与えるゲインよりも大きなゲインを、受信した前記第1のエコー信号に与えるステップを含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記第1のパルス信号は、約5.4MHzの中心周波数を有し、前記第2のパルス信号は、約8.9MHzの中心周波数を有することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記第1のパルス信号の中心周波数、又は前記第2のパルス信号の中心周波数のうちの少なくとも1つは、ユーザーにより調整可能であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記針は、送信機を含まないことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記針先検出プロセスにおいて、
前記第1のパルス信号は、集束パルス信号であり、
前記a-i)、又はa-ii)のうちの少なくとも1つのステップは、2回以上繰り返されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記針先検出プロセスにおいて、前記第1のパルス信号は平面波パルス信号であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記イメージングプローブは、1つ以上のイメージングプローブを含むことができることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記針先検出プロセスは、前記組織検出プロセスを実行する前に1回以上繰り返され、前記針先画像無線周波数データは蓄積及び平均化され、前記複合画像の生成は、前記蓄積及び平均化された針先画像無線周波数データに基づくことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項19】
イメージングプローブと、
ディスプレイと、
プロセッサと、
を含む超音波スキャナ装置であって、
前記プロセッサは少なくとも、
a)針先検出プロセスであって、前記針先検出プロセスはさらに、
a-i)第1の時点で、1つ以上の第1の超音波パルス信号を送信し、前記1つ以上の第1の超音波パルス信号は、隣接する組織及び前記組織内の針によって1つ以上の第1のエコー信号が生成されるように構成されていて、
a-ii)前記第1の時点から所定の遅延期間だけ遅れた第2の時点に達したときに、前記針からの前記1つ以上の第1のエコー信号を受信し、
a-iii)前記1つ以上の第1のエコー信号に基づいて、前記針先の位置に対応する針先画像データを生成する、
よう構成されている、針先検出プロセスを実行し
b)組織検出プロセスであって、前記組織検出プロセスはさらに、
b-i)1つ以上の第2の超音波パルス信号を送信し、前記1つ以上の第2の超音波パルス信号は、前記隣接する組織及び前記組織内の前記針によって1つ以上の第2のエコー信号が生成されるように構成されていて、
b-ii)前記隣接する組織から前記1つ以上の第2のエコー信号を受信し、
b-iii)前記1つ以上の第2のエコー信号に基づき前記隣接する組織に対応する組織画像データを生成する、
よう構成されている、組織検出プロセスを実行し
c)前記針先画像データ及び前記組織画像データに基づき前記組織に対する前記針先の位置を示す視覚的なインジケータを含む複合画像を生成し、
d)前記複合画像をディスプレイ上に表示する、
よう構成されていることを特徴とする、
超音波スキャナ装置。
【請求項20】
前記プロセッサはさらに、前記組織検出プロセスにおいて、前記第2のパルス信号の前記送信と前記1つ以上の第2のエコー信号の前記受信との間に所定の遅延期間がないように構成されていることを特徴とする請求項19に記載の装置。
【請求項21】
前記プロセッサはさらに、前記針先検出プロセスにおいて、前記第1のエコー信号は、前記第1の時点と前記第2の時点との間には受信しないように構成されていることを特徴とする請求項19に記載の装置。
【請求項22】
前記プロセッサはさらに、上記a)からd)までのいずれかの要素を1回以上繰り返すことで、全体としてビデオを形成する複数の複合画像を生成するように構成されていることを特徴とする請求項19に記載の装置。
【請求項23】
前記プロセッサはさらに、
前記針先の前記位置の前記視覚的なインジケータが、
前記針先の前記位置から前記複合画像の上部に向かって伝播する上部のリングダウンアーティファクトと、
前記針先の前記位置から前記複合画像の下部に向かって伝播する下部のリングダウンアーティファクトと、
を含むダブルリングダウンアーティファクトとなるように構成されていることを特徴とする請求項19に記載の装置。
【請求項24】
前記上部のリングダウンアーティファクトの最も狭い点及び前記下部のリングダウンアーティファクトの最も狭い点はそれぞれ前記針先の前記位置に対応することを特徴とする請求項23に記載の装置。
【請求項25】
前記プロセッサはさらに、前記所定の遅延期間はユーザーにより調整可能になるように構成されていることを特徴とする請求項19に記載の装置。
【請求項26】
前記プロセッサはさらに、前記所定の遅延期間が、40~500マイクロ秒の範囲の値、又は100~400マイクロ秒の範囲の値のうちの少なくとも1つの値となるように構成されていることを特徴とする請求項19に記載の装置。
【請求項27】
前記プロセッサはさらに、前記所定の遅延期間が、前記組織エコーが前記ダブルリングダウンアーティファクトを部分的に隠してしまうぐらいに比較的短く、
前記複合画像中に生じた1つ以上の組織エコーが、信号処理を用いて除去されるように構成されていることを特徴とする請求項19に記載の装置。
【請求項28】
前記針先検出プロセスを実行するために、前記プロセッサはさらに、前記組織検出プロセスの前記1つ以上の第2のエコー信号に与えるゲインよりも大きなゲインを、受信した前記第1のエコー信号に与えるように構成されていることを特徴とする請求項19に記載の装置。
【請求項29】
前記プロセッサはさらに、前記第1のパルス信号が、約5.4MHzの中心周波数を有し、前記第2のパルス信号が、約8.9MHzの中心周波数を有することとなるように構成されていることを特徴とする請求項19に記載の装置。
【請求項30】
前記プロセッサはさらに、前記第1のパルス信号の中心周波数、又は前記第2のパルス信号の中心周波数のうちの少なくとも1つが、ユーザーにより調整可能となるように構成されていることを特徴とする請求項19に記載の装置。
【請求項31】
前記針は、送信機を含まないことを特徴とする請求項19に記載の装置。
【請求項32】
前記針先検出プロセスにおいて、前記プロセッサはさらに、
前記第1のパルス信号が、集束パルス信号であり、
前記a-i)、又はa-ii)のうちの少なくとも1つの要素が、2回以上繰り返されるように構成されていることを特徴とする請求項19に記載の装置。
【請求項33】
前記針先検出プロセスにおいて、前記プロセッサはさらに、前記第1のパルス信号が平面波パルス信号となるように構成されていることを特徴とする請求項19に記載の装置。
【請求項34】
前記イメージングプローブは、1つ以上のイメージングプローブを含むことができることを特徴とする請求項19に記載の装置。
【請求項35】
前記プロセッサはさらに、前記針先検出プロセスが、前記組織検出プロセスを実行する前に1回以上繰り返され、前記針先画像無線周波数データが蓄積及び平均化され、前記複合画像の生成が、前記蓄積及び平均化された針先画像無線周波数データに基づくように構成されていることを特徴とする請求項19に記載の装置。
【請求項36】
超音波スキャナにより実行される方法であって、超音波スキャナはイメージングプローブを備え、前記方法は、
a)前記スキャナにより、標的対象物検出プロセスを実行するステップであって、前記標的対象物検出プロセスは、
a-i)前記イメージングプローブにより、第1の時点で、1つ以上の第1の超音波パルス信号を送信するステップであって、前記1つ以上の第1の超音波パルス信号は、隣接する組織及び前記組織内の標的対象物によって1つ以上の第1のエコー信号が生成されるように構成されている、ステップと、
a-ii)前記イメージングプローブにより、前記第1の時点から所定の遅延期間だけ遅れた第2の時点に達したときに、前記標的対象物からの前記1つ以上の第1のエコー信号を受信するステップと、
a-iii)前記スキャナにより、前記1つ以上の第1のエコー信号に基づいて、前記標的対象物の位置に対応する標的対象物画像データを生成するステップと、
を含む、標的対象物検出プロセスを実行するステップと、
b)前記スキャナにより、組織検出プロセスを実行するステップであって、前記組織検出プロセスは、
b-i)前記イメージングプローブを介して、1つ以上の第2の超音波パルス信号を送信するステップであって、前記1つ以上の第2の超音波パルス信号は、前記隣接する組織及び前記組織内の前記標的対象物によって1つ以上の第2のエコー信号が生成されるように構成されている、ステップと、
b-ii)前記イメージングプローブにて、前記隣接する組織から前記1つ以上の第2のエコー信号を受信するステップと、
b-iii)前記スキャナにより、前記1つ以上の第2のエコー信号に基づき前記隣接する組織に対応する組織画像データを生成するステップと、
を含む、組織検出プロセスを実行するステップと、
c)前記スキャナにより、前記標的対象物画像データ及び前記組織画像データに基づき前記組織に対する前記標的対象物の位置を示す視覚的なインジケータを含む複合画像を生成するステップと、
d)前記スキャナにより、前記複合画像をディスプレイ上に表示するステップと、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項37】
前記標的対象物は、金属材料を含むことを特徴とする請求項36に記載の方法。
【請求項38】
超音波スキャナにより実行される方法であって、超音波スキャナはイメージングプローブを備え、前記方法は、
a)前記イメージングプローブにより、第1の時点で、1つ以上の超音波パルス信号を送信するステップであって、前記前記1つ以上の超音波パルス信号は、隣接する組織及び前記組織内の針によって1つ以上のエコー信号が生成されるように構成されている、ステップと、
b)前記スキャナにより、針先検出プロセスを実行するステップであって、前記針先検出プロセスは、
b-i)前記イメージングプローブにより、前記第1の時点から所定の遅延期間だけ遅れた第2の時点に達したときに、前記針からの前記1つ以上のエコー信号を受信するステップと、
b-ii)前記スキャナにより、前記1つ以上のエコー信号に基づいて、針先の位置に対応する針先画像データを生成するステップと、
を含む、針先検出プロセスを実行するステップと、
c)前記スキャナにより、組織検出プロセスを実行するステップであって、前記組織検出プロセスは、
c-i)前記イメージングプローブにて、前記隣接する組織から前記1つ以上のエコー信号を受信するステップと、
c-ii)前記スキャナにより、前記1つ以上のエコー信号に基づき前記隣接する組織に対応する組織画像データを生成するステップと、
を含む、組織検出プロセスを実行するステップと、
d)前記スキャナにより、前記針先画像データ及び前記組織画像データに基づき前記組織に対する前記針先の位置を示す視覚的なインジケータを含む複合画像を生成するステップと、
e)前記スキャナにより、前記複合画像をディスプレイ上に表示するステップと、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項39】
上記a)からe)までのステップのいずれかを1回以上繰り返すことで、全体としてビデオを形成する複数の複合画像を生成することを特徴とする請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記所定の遅延期間は、40~500マイクロ秒の範囲の値、又は100~400マイクロ秒の範囲の値の少なくとも1つの値であることを特徴とする請求項38に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
(関連出願の相互参照)
この出願は、2021年12月10日に出願された米国仮特許出願第63/288,072号、2021年12月23日に出願された米国仮特許出願第63/293,322号、2022年1月5日に出願された米国仮特許出願第63/296,607号、2022年1月14日に出願された米国仮特許出願第63/299,558号、2022年2月8日に出願された米国仮特許出願第63/307,701号、2022年3月11日に出願された米国仮特許出願第63/318,986号、及び2022年6月7日に出願された米国仮特許出願第63/348,160号に基づく優先権を主張するものであり、それぞれの開示内容があらゆる目的で参照により本明細書に組み込まれるものとする。
【0002】
医療用超音波技術には、超音波エネルギーを使用した医療用イメージング、診断、及び/又は治療技法を含むことができる。超音波エネルギーは、腱、筋肉、関節、血管、内臓などの体内構造の画像を作成するために使用することができる。超音波エネルギーは妊娠過程を監視するために使用することもできる。超音波エネルギーは、動的な医療変数(血流など)を測定/画像化するために使用することができる。医療用超音波技法は、医療用超音波検査や医療用超音波診断とも呼ばれる。
【0003】
超音波エネルギー放射は、人間の可聴範囲よりも高い周波数の(例えば、20,000Hzを超える)音波(例えば、超音波)で構成することができる。超音波イメージングは、1つ以上のイメージングプローブを使用して超音波エネルギー(例えば、超音波のパルス)を標的組織に照射することで実施される。超音波パルスは標的組織などの組織により反射され、1つ以上のイメージングプローブによって受信することができる。超音波エコーエネルギー/パルス/信号は、異なる反射特性を持つ場合がある。医療用超音波装置は、超音波エコー信号をイメージング、診断、または治療プロセスに使用する。
【発明の概要】
【0004】
超音波スキャナ装置及び/又はそれによって実行される技法に関する技術を開示する。超音波スキャナは、1つ以上のイメージングプローブを備えることができる。1つ以上の技術には、針先検出プロセスを実行することを含むことができる。針先検出プロセスには、第1の時点で、1つ以上の第1の超音波パルス信号を送信することを含むことができる。1つ以上の第1の超音波パルス信号は、隣接する組織及び/又は組織内の針によって1つ以上の第1のエコー信号が生成されるように構成してもよい。
【0005】
技法には、第1の時点から所定の遅延期間だけ遅れた第2の時点に達したときに、針からの1つ以上の第1のエコー信号を受信することを含むことができる。技法には、1つ以上の第1のエコー信号に基づいて、針先の位置に対応する針先画像データを生成することを含むことができる。
【0006】
技法には、組織検出プロセスを実行することを含むことができる。組織検出プロセスには、1つ以上の第2の超音波パルス信号を送信することを含むことができる。1つ以上の第2の超音波パルス信号は、隣接する組織および組織内の針によって1つ以上の第2エコー信号が生成されるように構成することができる。技法には、隣接する組織から1つ以上の第2エコー信号を受信することを含むことができる。技法には、1つ以上の第2エコー信号に基づいて、隣接する組織に対応する組織画像データを生成することを含むことができる。
【0007】
技法には、複合画像を生成することを含むことができる。複合画像には、針先画像データ及び/又は組織画像データに基づいて、組織に対する針先の位置を示す視覚的なインジケータを含むことができる。技法は、複合画像をディスプレイ上に表示することを含むことができる。
【0008】
1つ以上の超音波スキャナ装置及び/又はそれによって実行される1つ以上の技法に関する技術を開示する。1つ以上の超音波スキャナ装置は、1つ以上のイメージングプローブを含むことができる。1つ以上の超音波スキャナ装置がディスプレイを含む場合がある。1つ以上の超音波スキャナ装置が1つ以上のプロセッサを含む場合がある。少なくとも1つのプロセッサが、針先検出プロセスを実行するように構成される場合がある。プロセッサは、第1の時点で、1つ以上の第1の超音波パルス信号を送信するように構成することができる。1つ以上の第1のパルス信号は、隣接する組織及び/又は組織内の針によって1つ以上の第1のエコー信号が生成されるように構成することができる。プロセッサは、第1の時点から所定の遅延期間だけ遅れた第2の時点に達したときに、針からの1つ以上の第1のエコー信号を受信するように構成することができる。プロセッサは、1つ以上の第1のエコー信号に基づいて、針先の位置に対応する針先画像データを生成するように構成することができる。
【0009】
プロセッサは、組織検出プロセスを実行するように構成することができる。プロセッサは、1つ以上の第2の超音波パルス信号を送信するように構成することができる。1つ以上の第2の超音波パルス信号は、隣接する組織および組織内の針によって1つ以上の第2エコー信号が生成されるように構成することができる。プロセッサは、隣接する組織から1つ以上の第2エコー信号を受信するように構成することができる。プロセッサは、1つ以上の第2エコー信号に基づいて、隣接する組織に対応する組織画像データを生成するように構成することができる。
【0010】
プロセッサは、針先画像データおよび組織画像データに基づいて、組織に対する針先の位置の視覚的なインジケータを含む複合画像を生成するように構成することができる。プロセッサは、複合画像をディスプレイ上に表示するように構成することができる。
1つ以上の超音波スキャナ装置及び/又はそれによって実行される1つ以上の技法に関する技術を開示する。超音波スキャナはイメージングプローブを有することができる。1つ以上の技術では、標的対象物検出プロセスを実行することを含むことができる。標的対象物検出プロセスは、第1の時点で、1つ以上の第1の超音波パルス信号を送信することを含むことができる。この1つ以上の第1の超音波パルス信号は、隣接する組織および組織内の標的対象物によって1つ以上の第1のエコー信号が生成されるように構成してもよい。技法には、第1の時点から所定の遅延期間だけ遅れた第2の時点に達したときに、標的対象物からの1つ以上の第1のエコー信号を受信することを含むことができる。技法には、1つ以上の第1のエコー信号に基づいて、標的対象物の位置に対応する標的対象物画像データを生成することを含むことができる。
【0011】
技法には、組織検出プロセスを実行することが含むことができる。組織検出プロセスは、1つ以上の第2の超音波パルス信号を送信することを含むことができる。1つ以上の第2の超音波パルス信号は、隣接する組織および組織内の標的対象物によって1つ以上の第2エコー信号が生成されるように構成することができる。技法には、隣接する組織から1つ以上の第2エコー信号を受信することを含むことができる。技法には、1つ以上の第2エコー信号に基づいて、隣接組織に対応する組織画像データを生成することを含むことができる。
【0012】
技法として、標的対象物画像データ及び組織画像データに基づいて、その組織に対する標的対象物の位置を示す視覚的なインジケータを含む複合画像を生成することを含むことができる。技法には、この複合画像をディスプレイ上に表示することを含むことができる。
【0013】
1つ以上の超音波スキャナ装置及び/又はそれによって実行される1つ以上の技法に関する技術が開示される。超音波スキャナには1つ以上の画像プローブを備えることができる。1つ以上の技法には、第1の時点で1つ以上の超音波パルス信号を送信することを含むことができる。1つ以上の超音波パルス信号は、隣接する組織および組織内の針によって1つ以上のエコー信号を生成するよう構成することができる。
【0014】
技法には、針先検出プロセスを実行することを含むことができる。針先検出プロセスは、第1の時点から所定の遅延期間だけ遅れた第2の時点に達したときに、針からの1つ以上のエコー信号を受信することを含むことができる。技法には、1つ以上のエコー信号に基づいて、針先の位置に対応する針先画像データを生成することを含むことができる。
【0015】
技法には、組織検出プロセスを実行することを含むことができる。組織検出には、隣接する組織から1つ以上のエコー信号を受信することを含むことができる。技法には、1つ以上のエコー信号に基づいて、隣接組織に対応する組織画像データを生成することを含むことができる。
【0016】
技法には、針先画像データおよび組織画像データに基づいて、組織に対する針先の位置の視覚的なインジケータを含む複合画像を生成することを含むことができる。技法には、この複合画像をディスプレイ上に表示することを含むことができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
本書に含まれる要素およびその他の特徴、利点および開示内容、及びこれらを達成する方法は、添付の図面と併せて本発明の様々な実施例の以下の説明を参照することによって明らかになり、本発明をよりよく理解できるであろう。
【
図1】
図1は、Mモード超音波技法の一例を示す図である。
【
図2】
図2は、僧帽弁の弁尖の動きを示すMモードトレースの例示図である。
【
図3】
図3は、エコー振幅を深さの関数として表示できるAモード技法の表示例を示す。
【
図4】
図4は、本明細書に記載の1つ以上の超音波装置を制御できる例示的な装置のハードウェア構成のブロック図である。
【
図5】
図5は、軟部組織の可視化は良好であるが、針先の顕著性/視認性が比較的劣っているBモード超音波画像の例を示す。
【
図6】
図6は、超音波画像におけるリングダウンアーティファクトの一例を示す。
【
図7】
図7は、Bモード技法の例示的なイメージングシーケンスのブロック図を示す。
【
図8】
図8は、例示的な非同期共鳴イメージング(ARI)技法のブロック図を示す。
【
図9】
図9は、短い水平線の繰り返しで構成されたダブルリングダウンアーティファクトの例を示す。
【
図10】
図10は、合流した外観と両側の「サーチライト」ラインを伴うダブルリングダウンアーティファクトの例を示す。
【
図11】
図11は、下部が不完全に可視化されたダブルリングダウンアーティファクトの例を示す。
【
図12A】
図12Aは、35マイクロ秒の時間遅延を伴う非同期共鳴イメージングで得られた針先画像の例を示す。
【
図12B】
図12Bは、40マイクロ秒の時間遅延を伴う非同期共鳴イメージングで得られた針先画像の例を示す。
【
図12C】
図12Cは、45マイクロ秒の時間遅延を伴う非同期共鳴イメージングで得られた針先画像の例を示す。
【
図13】
図13は、画像の中心における集束パルス、焦点領域、および針先の位置の例を示す。
【
図14】
図14は、平面波パルスの例を示し、針先の位置は画像の中心にある。
【
図15】
図15は、集束パルスの例を示し、焦点領域は画像の中央にあり、針先の位置は画像の右側にある。
【
図16】
図16は、針先の位置が画像の右側にある平面波パルスの例を示す。
【
図17】
図17は、集束波パルス非同期共鳴イメージングのためのイメージングシーケンスを説明するブロック図を示す。
【
図18】
図18は、平面波パルス非同期共鳴イメージングのイメージングシーケンスを説明するブロック図を示す。
【
図19】
図19は、標準的なBモード画像化の典型的なレベルと、非同期共鳴画像化で使用される最大画像レベルでのTGCの例を示す。
【
図20】
図20は、典型的なBモードレベルでのTGCと処理ゲイン乗数1によるダブルリングダウンアーティファクトの視覚化の例を示す。
【
図21】
図21は、TGCがすべてのレベルで最大となり、処理ゲイン乗数15でのダブルリングダウンアーティファクトの視覚化の例を示す。
【
図22】
図22は、例示的な非同期共鳴イメージングの無線周波数データの蓄積および平均化シーケンスのブロック図を示す。
【
図23】
図23は、針先のダブルリングダウンアーティファクトが適切に視覚化されない可能性がある、無線周波数データの蓄積と平均化を行わない例示的な単一画像取得を示す。
【
図24】
図24は、針先のダブルリングダウンアーティファクトを適切に視覚化することができる単一の画像フレームを作成するための、複数の画像取得から無線周波数データの蓄積と平均化を行う例示する。
【
図25】
図25は、80マイクロ秒の時間遅延で取得された針先のダブルリングダウンアーティファクトの非同期共鳴画像を示す。
【
図26】
図26は、180マイクロ秒の時間遅延で取得された針先のダブルリングダウンアーティファクトの非同期共鳴画像を示す。
【
図27】
図27は、400マイクロ秒の時間遅延で取得された針先のダブルリングダウンアーティファクトの非同期共鳴画像を示す。
【
図28】
図28は、1サイクルのパルス持続時間で取得された例示的な針先非同期共鳴画像を示す。
【
図29】
図29は、25サイクルのパルス持続時間で取得された例示的な針先非同期共鳴画像を示す。
【
図30】
図30は、100サイクルのパルス持続時間で取得された例示的な針先非同期共鳴画像を示す。
【
図31】
図31は、5.00メガヘルツの中心周波数送信パルスで得られた針先非同期共鳴画像を示す。
【
図32】
図32は、5.43メガヘルツの中心周波数送信パルスで得られた針先非同期共鳴画像を示す。
【
図33】
図33は、6.58メガヘルツの中心周波数送信パルスで得られた針先非同期共鳴画像を示す。
【
図35】
図35は、針先が画像の中央にあるBモード技術画像の例を示す。
【
図36】
図36は、針先のダブルリングダウンアーティファクトが存在する非同期共鳴画像の例を示す。
【
図37】
図37は、ダブルリングダウンアーティファクトの最も狭い点によって針先の位置が示される複合画像の例を示す。
【
図38】
図38は、別個の画像取得戦略を使用した例示的な複合イメージングシーケンスのブロック図を示す。
【
図39】
図39は、複合画像取得戦略を使用した例示的な複合イメージングシーケンスのブロック図を示す。
【
図40】
図40は、挿入された針の可視化に対するプローブスライスの効果を示す例である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本開示の原理の理解を高めるために、図面に示された例を参照し、具体的な説明のために専門用語が使用される。しかしながら、これによって本開示の範囲が限定される意図はないことは理解されるであろう。
【0019】
標準的な超音波画像を生成するために使用される技術は、「Bモード」(輝度モード)イメージングと呼ばれることがある。この技術により、被験者/患者の解剖学的構造の2次元画像を生成することができる。特定の臨床分野では少なくとも他の2つのイメージングモードが使用されることがあるが、どちらも1次元技法である。
【0020】
「Mモード」(モーションモード)などの技法は、被験者/患者の心臓の壁及び/又は弁の動きに関する詳細な情報を提供するために、心エコー検査で使用することができる。Mモード表示を生成するために、超音波スキャナ装置は超音波ビームを固定位置に保ち、このビームに沿って(例えば、繰り返し)送受信を行うことができる。例えば、エコーの表示は、数秒かけて画面上で左から右へゆっくりと走査する。
【0021】
プローブに対して静止している構造(例えば、被験者/患者の胸壁)は、一定の深さで、したがって水平線として表示される場合がある。プローブに近づいたり遠ざかったりする構造物(例えば、心臓壁)は画面上で上下に動く可能性があるため、
図1に示すように、ディスプレイにはそれらの位置が時間の関数として記録される。
図1は、Mモード超音波技法の一例を示す図である。
図1では、イメージングプローブ/送信機106は、破線で示される視線に沿って向けられたビームを送信することができる。110では、結果として得られるMモード表示には、この視線に沿った組織構造の深さが、例えば数秒間にわたる時間の関数として表示される。Mモード表示では、個々の構造の移動量、移動速度、加速度などの情報を提供することができる。
【0022】
図1は、構造物の相対的な位置と、時間と共にその位置がどのように変化するか(例えば、心室の最大直径及び/又は最小直径、及び/又は弁が開閉するときの2つの弁尖の動き)を示している。
図2は、例えばタイミング基準を提供するために超音波画像画面上に表示される心電図(ECG)トレースの一例である。
図2は、僧帽弁の弁尖の動きを示すMモードトレースの例示図である。
【0023】
もう1つの1次元イメージングモードは、Aモード(例えば、振幅モード)表示である。ビームは固定位置に保持され、スキャナ/マシンはこの視線に沿って送受信を行うことができる。
図3は、エコー振幅を深さの関数として表示できるAモード技法の表示例を示している。Aモード表示/技法は、さまざまなエコーの深さを正確に測定できるなどの理由から、一部の眼科スキャンなどの特定の検査で役立つ場合がある。
再び「Bモード」としても知られる2次元医療用超音波技法について言及すると、この技法は、針配置手順における針先の位置に関する画像ガイダンスを提供するために使用できる。Bモード超音波は、血管などの軟部組織構造の(例えば、優れた)画像を提供する。1つ以上のシナリオで、Bモードでは針先が適切に視覚化されない可能性がある。これにより、臨床医は超音波画像上で標的の血管を見ることができるものの、針先を標的に効果的に誘導できない、又は誘導できない可能性がある状況が発生する。
図5は、軟部組織の可視化は良好であるが、針先の視認性が(例えば、比較的)低いBモード画像の例を示している。
図5のBモード超音波画像はポークベリーファントムのものである。
図5の中央付近に針先が存在するが、画像内の他の高エコー構造と簡単に区別することはできない。
【0024】
1つ以上のシナリオでは、Bモード超音波の「リングダウン」アーティファクトが垂直線として表示される場合がある。垂直線は(例えば、多くの場合)短い水平線の繰り返しで構成されることがり、特定の地点から始まり、画像画面の下部まで進む線となる。短い水平線は、元の地点からの距離が増すにつれて横方向に広がることがある。
図6は、画像深度が30ミリメートルの超音波画像におけるリングダウンアーティファクトの例を示す。
図6では、肺の超音波画像にリングダウンアーティファクトが見られる。これは「Bライン」とも呼ばれ、肺と胸膜の境界面の病変から生じる。これは医療機器などの金属物体によっても生成される場合がある。針は金属で構成されているが、針先は(例えば、通常は)リングダウンアーティファクトを生成しないかもしれない。
【0025】
1つ以上のシナリオにおいて、例えば、Bモード超音波画像内の所定の特徴などは、他のシナリオの中でも、横方向の位置は、超音波トランスデューサの1次元の要素配列上の個々の要素によって受信されたエコーの相対的な強度によって決定することができる。深度位置は、送信機/プローブがパルスを送信してから、プローブ/受信機がその形状/構造/組織からのエコーを受信するまでの経過時間によって決定することができる。画像内の深度位置と、パルスの送信からエコーの受信までの時間との関係は、当該技術分野では「パルスエコー原理」として知られている。Bモード超音波では、エコー受信期間は、パルスが送信されたときに始まり、パルスが送信されてから1つ以上のエコー、または各エコーが受信されるまでの経過時間(例えば、正確に記録される場合があります)となる。これにより、含まれている形状の正確な深度を持つ画像を再現できるようになる。
標準的なBモード超音波では、針先がリングダウンアーティファクトエコーを生成することがあるが、周囲の軟部組織からのより強いエコーによって隠される可能性が高い。これらの理由などにより、針先のリングダウンアーティファクトが視覚化されない場合がある。
【0026】
本明細書で説明するように、以下では非同期共鳴イメージング(ARI)と呼び、ARIは、超音波パルスが送信されてからエコー受信期間が開始するまでの間の時間遅延を使用することができる。例えば、20ミリメートルの画像深度の場合、時間遅延(例えば、通常は40~500マイクロ秒及び/又は100~400マイクロ秒)を使用することができる。時間遅延が終了すると、エコー受信期間が始まる。再び例を挙げると、20ミリメートルの画像深度の場合、軟部組織の音速が1マイクロ秒あたり1.54ミリメートルという定数であり、最大深度往復が40ミリメートルであることを考えると、エコー受信期間は約26マイクロ秒続く可能性がある。
【0027】
1つ以上のシナリオでは、(例えば、事前に決定された)遅延期間の調整によって、複合画像によって表示されるダブルリングダウンアーティファクトの最も狭い部分の深さが変更されない場合がある。
【0028】
1つ以上のシナリオでは、針先のダブルリングダウンアーティファクトエコーが依然として存在する可能性がある最長の遅延期間は、160~500マイクロ秒の範囲になる場合がある。1つ以上のシナリオ、例えば非常に長い/強力なパルス及び/又は特殊な針を使用する場合、より長い遅延期間の後にダブルリングダウンアーティファクトエコーが発生する場合がある。
【0029】
1つ以上のシナリオでは、組織エコーが信号処理によって除去できるほどの弱い、または存在しない場合の最短の遅延期間は、40~200マイクロ秒の範囲となる。例えば、針先を浴槽の水に入れても組織エコーは生成されず、標準的なBモードイメージングではリングダウンアーティファクトが表示される場合があるが、ダブルリングダウンアーティファクトは表示されない可能性がある。
【0030】
1つ以上のシナリオでは、遅延期間が短いほど、針先エコー及び/又は組織エコーが強くなる可能性がある。遅延期間が短いと(例えば、短すぎると)、組織エコーによって針先のダブルリングダウンアーティファクトが不明瞭になる可能性がある。遅延期間が長いと(例えば、長すぎると)、ダブルリングダウンアーティファクトが弱くなったり、まったく発生しなくなったりする可能性がある。ダブルリングダウンアーティファクトの視認性を最大にする最適な遅延期間は、機械の設定と患者の要因によって異なる場合がある。1つ以上のシナリオでは、遅延期間(例えば、事前に決定され、ユーザー/オペレーターが調整可能)は、例えば組織エコーが発生しない範囲で可能な限り短くする場合がある。
【0031】
時間遅延中に、軟部組織のエコーは消散する。1つ以上のシナリオでは、共鳴によって生成されるため、針先からのリングダウンアーティファクトエコーが持続する場合がある。受信したエコーに対して標準のBモード画像再構成を実行し、エコー受信期間の開始を時間ゼロ(0)、例えば超音波パルスが送信されたときに割り当てることができる。針先のダブルリングダウンアーティファクトが視覚化される場合がある。
【0032】
図7は、(例えば、標準的な)Bモード技法のための例示的なイメージングシーケンス/技法702のブロック図を示す。704では、少なくとも1つのパルスをターゲット組織に生成することができる。706では、1つ以上のエコー信号を受信することができる。708では、1つ以上のエコー信号の受信を終了させることができる。710では、受信したエコー信号を使用して画像を構築/再構築することができる。
【0033】
図8は、非同期共鳴イメージング(ARI)技法/シーケンス802の例示的なブロック図を示す。806では、少なくとも1つのパルスを標的組織内に生成することができる。810では、1つ以上のエコーパルス/信号を受信する前に、(例えば、事前に決定された、及び/又はユーザーが調整可能な)時間遅延を観測することができる。814では、1つ以上のエコー信号の受信を開始することができる。818では、1つ以上のエコー信号の受信を終了することができる。822では、受信したエコー信号を使用して、少なくとも1つの画像を構築/再構築することができる。
【0034】
1つ以上のシナリオでは、おそらく典型的なリングダウンアーティファクトは画像内の形状から発生し、画像の下部に伝播する可能性があり、他のシナリオでは、非同期共鳴イメージングによってダブルリングダウンアーティファクトが作成されることがある。ダブルリングダウンアーティファクトでは、2つのリングダウンアーティファクトが針先から発生し、一方は画像の下部に伝播し、もう一方は画像の上部に伝播する場合がある。リングダウンアーティファクトの最も狭い点は、針先にある可能性がある。画像の上部及び/又は下部に向かって伝播するにつれて幅が広がり、例えば「X」型の形状(文字「X」、砂時計などの形状)が作成されることがある。針先は、ダブルリングダウンアーティファクトの最も狭いポイントに位置する可能性がある。
【0035】
「ダブルリングダウンアーティファクト」という用語は、ここで説明する技術に対応する専門用語である。「リングダウンアーティファクト」という用語は、当該分野における技術用語であり、問題の対象物(例えば、針先)から始まる、繰り返される水平線で構成される垂直線を意味する。リングダウンアーティファクトは画像の下部に伝播し、及び/又は深さが増すにつれて横方向に広がることもある。ダブルリングダウンアーティファクトは、針先から発生する少なくとも2つのリングダウンアーティファクトを含むことができる。1つのリングダウンアーティファクトが画像/画面の下部に伝播する場合がある。もう1つのリングダウンアーティファクトが画像/画面の上部に伝播する場合がある。上向きに伝播するリングダウンアーティファクトは、ここで説明する1つ以上の時間遅延によって生成される可能性がある。
【0036】
おそらく標準的なBモードイメージングのリングダウンアーティファクトに似ているが、ダブルリングダウンアーティファクトは、短い水平線の繰り返しで構成されたり、合流して見えたり、部分的にしか視覚化されない場合がある。下側のリングダウンアーティファクトのエッジとほぼ平行な傾斜を持つ両側の「サーチライト」ラインが、ダブルリングダウンアーティファクトの横方向に現れることがある。ダブルリングダウンアーティファクトは、ここで説明する1つ以上の技術及び/又は技法によってカバーされる概念である。
【0037】
非同期共鳴イメージングによって創り出されたされたダブルリングダウンアーティファクトの例を
図9、
図10、及び
図11に示す。
図9は、短い水平線の繰り返しで構成されたダブルリングダウンアーティファクトの例を示す。
図10は、合流した外観と両側の「サーチライト」ラインを伴うダブルリングダウンアーティファクトの例を示す。
図11は、下部の可視化が不完全なダブルリングダウンアーティファクトの例を示す。
【0038】
1つ以上のシナリオでは、パルスエコーの原理が非同期共鳴イメージングのダブルリングダウンアーティファクトに適用されない可能性がある。これは軟部組織エコーに適用される場合がある。時間遅延の増加及び/又は減少に関係なく、ダブルリングダウンアーティファクトの最も狭い点によって針先の位置を正確に特定できる。例えば、非同期共鳴画像は、40マイクロ秒の時間遅延で、そして画像平面内の針先の実際の物理的深さが7ミリメートルの状態で取得され、深さ7ミリメートルに最も狭いポイントがあるダブルリングダウンアーティファクトを含む画像を生成することができる。軟組織の音速定数である1.54ミリメートル/マイクロ秒を使用すると、パルスエコーの原理により、時間遅延を5マイクロ秒短縮または延長すると、ダブルリングダウンアーティファクトの最も狭いポイントの深さがそれぞれ3ミリメートル増加または減少する可能性があると予測できる。
【0039】
1つ以上のシナリオでは、実際には、例えば、35、40、又は45マイクロ秒の時間遅延で取得された画像では、針先の実際の物理的な深さに対応する7ミリメートルの深さでダブルリングダウンアーティファクトの最も狭いポイントが結果として生じる可能性がある(例えば、結果としてすべてが生じる可能性がある)。一方、35マイクロ秒の時間遅延画像では、45マイクロ秒の時間遅延画像と比較して、軟部組織の特徴が6ミリメートル深くなる場合がある。一例を
図12A、
図12B、及び
図12Cに示す。
【0040】
図12A、
図12B、及び
図12Cは、時間遅延を変えた非同期共鳴イメージングで得られた針先画像の例を示している。
図12Aでは、時間遅延は35マイクロ秒であった。
図12Bでは、時間遅延は40マイクロ秒であった。
図12Cでは、時間遅延45マイクロ秒であった。
図12A、
図12B、及び
図12Cでは、ダブルリングダウンアーティファクトの最も狭いポイントは同じ深さのままであるが、水平線として表示される軟部組織エコーは、時間遅延が増加するにつれて深さが減少する。
【0041】
非同期共鳴イメージングで使用できるパルスの種類には、少なくとも集束波と平面波の2種類がある。集束パルスのエネルギーは、焦点ゾーンと呼ばれる特定の深さと横方向の位置に集中させることができる。平面波パルスのエネルギーは、イメージング面の横方向の寸法全体に均等に分散させることができる。画像面内に針先がある集束パルスの場合、針先が焦点ゾーンにあるときにダブルリングダウンアーティファクトの顕著性は最大になる可能性があり、及び/又は、針先から焦点領域までの距離が増加するにつれて減少する可能性がある。平面波パルスの場合、ダブルリングダウンアーティファクトの視認性は、画像内の針先がどの位置にあっても同様になる可能性がある。例えば、他のすべての設定が同一である場合、焦点ゾーン内に針先がある集束パルスは、平面波パルスよりも目立つダブルリングダウンアーティファクトを生成する可能性がある。集束パルスと平面波パルスを使用した場合の針先位置がダブルリングダウンアーティファクトの顕著性に与える影響の例を
図13、
図14、
図15、及び
図16に示す。
【0042】
図13は、画像の中心における焦束パルス、焦点ゾーン、及び針先の位置の例を示す。
図14は、平面波パルスの例を示しており、針先の位置は画像の中心にある。
図15は、焦束パルスの例を示しており、焦点ゾーンは画像の中央にあり、針先の位置は画像の右側にある。
図16は、針先の位置が画像の右側にある平面波パルスの例を示している。最も視認性の高いダブルリングダウンアーティファクトは、焦点ゾーンと針先の位置が一致する焦束パルス画像に現れる可能性がある。最も視認性が低いダブルリングダウンアーティファクトは、焦点ゾーンと針先の位置が分離している集束パルス画像に現れる可能性がある。ダブルリングダウンアーティファクトは両方の平面波画像でよく視覚化され、及び/又は焦点ゾーンと針先の位置が一致する集束パルス画像でのダブルリングダウンアーティファクトほど目立たない場合がある。
【0043】
1つ以上のシナリオでは、複数のダブルリングダウンアーティファクトが存在する可能性がある。針先の位置を示すことができるダブルリングダウンアーティファクトは、「視認性の高い」アーティファクト、及び/又はプローブが針から離れるときに見られる最後のダブルリングダウンアーティファクトである可能性がある。「視認性」という用語は、画像上で特定の形状が周囲の構造からどの程度顕著なのかを示すために放射線科医が使用する用語である。視認性は、例えば、関心のある構造の平均グレースケール強度と周囲のピクセルの平均グレースケール強度の比とすることができる。
【0044】
視認性の高いダブルリングダウンアーティファクトは、例えば、針先がイメージング平面内にある場合に(例えば、その場合にのみ)発生する可能性がある。針の他の位置では、弱いダブルリングダウンアーティファクトが生成される場合がある。このようなアーティファクトは、イメージングプローブを動かすことによって、針先での視認性の高いリングダウンアーティファクトと区別することができる。針の他の位置では、視認性の高いダブルリングダウンアーティファクトが生成される場合がある。これらの位置は、例えばイメージングプローブを動かすことによって、針先のダブルリングダウンアーティファクトと区別できるほど、針先から十分に離すことができる。
【0045】
集束パルスを使用して針先の位置を検出するには、さまざまなシナリオの中で、焦点ゾーンを変えた1つ以上の又は多数の集束パルス非同期共鳴イメージング取得を実行する必要があり(例えば、実行しなければならず)、これにより、画像内の可能性のあるすべての針先位置に近い焦点ゾーンで画像が取得される。次に、画像が処理され、最も視認性の高いダブルリングダウンアーティファクトを含む画像が保持され、おそらく他の1つ以上の画像、又はすべての画像が破棄される。1つ以上のシナリオでは、単一の平面波パルス非同期共鳴イメージング取得により、画像内の針先の任意の位置でダブルリングダウンアーティファクトを生成することが十分可能となる。
【0046】
図17は、集束波パルス非同期共鳴イメージングのためのイメージングシーケンス/技法1702を説明するブロック図を示す。1706では、少なくとも1つの集束波パルスを生成/標的組織に送信することができる。1710では、エコー信号/パルスを受信する前に、(例えば、事前に定めた、及び/又はユーザーが調整可能な)時間遅延を観察することができる。1714では、1つ以上のエコーパルス/信号の受信を開始する。1716では、1706、1710、及び/又は1714の1つ以上を1回以上繰り返すことができる。1720では、受信した1つ以上のエコー信号/パルスに基づいて1つ以上の画像を再構成することができる。1724では、1つ以上の画像を(例えば、より良い/最も良い画像として)選択し、及び/又は、1つ以上の画像を、例えば、あまり役に立たないとして破棄することができる。1728では、1つ以上の画像(例えば、複合画像及びその他の画像)を表示することができる。
【0047】
図18は、平面波パルス非同期共鳴イメージングのためのイメージングシーケンス/技法1802を説明するブロック図を示す。1806では、少なくとも1つの平面波パルスを生成/標的組織に送信することができる。1810では、エコー信号/パルスを受信する前に、(例えば、事前に定めた、及び/又はユーザーが調整可能な)時間遅延を観察することができる。1814では、1つ以上のエコーパルス/信号の受信を開始する。1820では、1806、1810、及び/又は1814の1つ以上を1回以上繰り返すことができる。1822では、受信した1つ以上のエコー信号/パルスに基づいて1つ以上の画像を再構成することができる。1824では、1つ以上の画像(例えば、複合画像及びその他の画像)を表することができる。
【0048】
おそらく、集束パルス非同期共鳴イメージングで単一の画像フレームを作成するために有用(例えば必要)な画像取得回数が多いため、他のシナリオの中でも、平面波パルス非同期共鳴イメージングでははるかに高いフレームレートを実現できる。平面波パルス非同期共鳴イメージングのフレームレートを高くすることにより多くの取得画像を使用することができ、無線周波数蓄積及び平均イメージングによる(例えば単一の)画像フレームを作成できるようになる。
【0049】
1つ以上のパルスと(例えば単一の)エコー受信期間を組み合わせることによって、集束パルス非同期共鳴イメージングのフレームレートを向上させることができる。1つ以上のシナリオでは、医療用イメージング超音波装置に特有のハードウェア、及び/又は患者の安全性に関する生物学的影響の懸念から、パルス繰り返し周波数が制限される場合がある。第1のパルスからのエコーは、第1のパルスと最後のパルスの間の持続時間が長くなるにつれて弱くなる可能性があるため、(例えば、単一の)エコー受信期間と組み合わされるパルスの数は、この持続時間によって制限される場合がある。
【0050】
所定の持続時間のパルスの場合、例えば集束パルスのエネルギーが焦点ゾーンに集中することにより、平面波パルスよりも集束パルスの方が生物学的効果が大きくなる可能性がある。したがって、平面波パルスを使用することで、被験者/患者の安全性や生体効果に関する懸念による制限を受けることなく、より長いパルス持続時間を実現できる。帯域幅はパルス持続時間に反比例するため、パルス持続時間が長くなると帯域幅が狭くなり、例えば超音波パルスのエネルギーを針の共振周波数付近でより密接に分配できるようになる。
【0051】
1つ以上のシナリオでは、非同期共鳴イメージングにおける針先のダブルリングダウンアーティファクトエコーが弱い可能性がある。この弱さは、周囲の軟部組織に比べて針先のリングダウンアーティファクトエコーの強度が低いこと、及び/又は時間遅延中に1つ以上のエコーまたはすべてのエコーが弱くなったことによる可能性がある。例えば、標準的なBモードイメージングと比較して、非同期共鳴イメージングでより高いレベルのゲインを使用することは有用(例えば、役立つ、必要となる、等)である可能性がある。時間ゲイン補正(TGC)は、画像の1つ以上のレベル、またはすべてのレベルで最大値になる。1つ以上のシナリオでは、シーケンスの他のフェーズの中でも、例えば圧縮の前に、処理ゲイン乗算係数15をピクセル強度データに適用することができる。
【0052】
図19は、標準的なBモードイメージングにおける(例えば、典型的な)レベルのTGCと、例えば非同期共鳴イメージングで使用される1つ以上又はすべての画像レベルでの最大のTGCを例示している。1902では、標準的なBモード画像の典型的なレベルのTGCが示されている。1906では、非同期共鳴イメージングで使用される1つ以上の、又はすべての画像レベルで最大のTGCが示されている。
【0053】
図20及び
図21は、典型的なBモードゲイン設定で得られた針先非同期共鳴画像の例を示している。典型的なTGCレベルと処理ゲイン乗数として1を使用することができ、その結果、ダブルリングダウンアーティファクトの視覚化が不十分になる可能性がある。1つ以上又はすべてのレベルでTGCの非同期共鳴イメージングゲインを適切に設定することで、ダブルリングダウンアーティファクトがより顕著に現れる可能性がある。
【0054】
図20及び
図21は、さまざまなゲイン設定で得られた針先非同期共鳴画像の例を示している。
図20では、典型的なBモードゲイン設定、典型的なBモードレベルでのTGC、そして処理ゲイン乗数を1としたもので、ダブルリングダウンアーティファクトの視覚化が不十分になる可能性がある。
図21では、適切な非同期共鳴イメージングゲイン設定、1つ以上のレベル、またはすべてのレベルでTGCを最大にし、そして処理ゲイン乗数15としたもので、ダブルリングダウンアーティファクトは(例えば、十分)視認性が高くなる可能性がある。
【0055】
おそらく、弱いダブルリングダウンアーティファクトエコーを周囲のノイズから区別し、それによってダブルリングダウンアーティファクトの視認性を高めるために、中でも、1つ以上の画像の取得により、無線周波数データを蓄積及び/又は平均化することが役立つ可能性がある。
【0056】
無線周波数データの蓄積及び平均化を実行するために、エコー無線周波数データが取得されたときには、ピクセル強度データの再構成は行わない。代わりに、別の画像取得を実行し、新しく取得した無線周波数データと以前に取得した無線周波数データを合計することができる。このプロセスを、(例えば、事前に定めた)数の画像取得について繰り返し、その後、例えば、合計した無線周波数データを平均化することができる。平均化された無線周波数データを使用してピクセル強度データを再構築し、(例えば単一の)画像フレームを表示することができる。
【0057】
図22は、例示的な非同期共鳴イメージング無線周波数データの蓄積及び平均化シーケンス/技法2202のブロック図を示す。
図22では、例えば10枚の取得画像からの無線周波数データが蓄積され、平均化されて、(例えば単一の)表示画像フレームが作成される。2206では、少なくとも1つの平面波パルスを生成し/標的組織に送信することができる。2210では、エコー信号/パルスを受信する前に、(例えば、事前に定めた、及び/又はユーザーが調整可能な)時間遅延が観察されることがある。2214では、1つ以上のエコーパルス/信号の受信が開始される。2216では、2206、2210、及び/又は2214のうちの1つ以上を1回以上繰り返すことができる。2218では、無線周波数データを蓄積することができる。2220では、無線周波数データを平均化することができる。2228では、1つ以上の画像(例えば、複合画像及びその他の画像)が再構成及び/又は表示される。
【0058】
図23及び
図24は、それぞれ、無線周波数データの蓄積及び平均化を行った場合と行わなかった場合に取得された非同期共鳴画像の例を示している。
図23は、無線周波数データの蓄積と平均化を行わない単一画像取得の例を示しており、針先のダブルリングダウンアーティファクトが適切に視覚化されない可能性がある。
図24は、例えば、単一の画像フレームを作成するために10枚の画像から無線周波数データの蓄積と平均化を行った例を示し、針先のダブルリングダウンアーティファクトを適切に視覚化することができている。
【0059】
おそらく平面波パルス非同期共鳴イメージングのフレームレートが高いため、他のシナリオの中でも、平面波パルスを使用すると、集束パルスを使用する場合よりも、より多くの取得画像を無線周波数データの蓄積と平均化に使用できる。
【0060】
1つ以上のシナリオでは、おそらく第2のパルスBモード画像取得に進む前に、1つ以上の第1のパルス取得イベントが実行される場合がある。これらの第1のパルス取得イベントからの無線周波数データにより、累積及び/又は平均化されて、針先のダブルリングダウンアーティファクトの顕著性を高めた(例えば、単一の)第1のパルス画像を作成することができる。平面波の第1のパルス画像取得の場合、1つ以上の取得イベント、または各取得イベントからの一部またはすべての無線周波数データが平均化プロセスに含まれる場合がある。集束パルスパルス画像取得の場合、無線周波数データは、例えば、同じ第1のパルス焦点ゾーンを含む取得イベントから平均化が(例えば、平均化のみが)なされる場合がある。
【0061】
集束パルスには、ARIの取得を1回以上、または複数回行う必要があり、その後、どの画像にダブルリングダウンアーティファクトの最良の例が含まれているかを確認するための画像処理が必要になる場合がある。このような最良の例示的な画像は、Bモード画像と組み合わせて使用できる。例えば1つのパルスで画面/画像全体をカバーできる平面波技術では、複数のラウンドは必要ない場合がある。
【0062】
1つ以上のシナリオ、例えば、第1の送信パルス信号と第2の送信パルス信号がある場合、第1のパルス信号を集束パルスとすることができる。取得イベントは、様々な焦点ゾーンを持つ1つ以上の集束パルスで構成され、(例えば、単一の)エコー受信期間と組み合わせることもできる。異なる焦点ゾーンを持つ1つ以上の取得イベントからのデータを組み合わせて1つの画像を作成することもできる。画像の重要な部分は、焦点ゾーンに近接するピクセルで構成される場合がある。針先が焦点ゾーンに近づくほど、ダブルリングダウンアーティファクトの視認性が高くなる可能性がある。
【0063】
集束パルスを使用することの少なくとも1つの利点/優位性は、より多くのエネルギーを針先に送ることができ、及び/又は周囲の軟組織に送るエネルギーをより少なくすることができることである。これにより、針先のエコーが強くなり、及び/又は軟部組織のエコーが弱くなる可能性がある。これにより、針先のダブルリングダウンアーティファクトの視認性が高まる可能性がある。
【0064】
1つ以上のシナリオでは、第1の集束パルスを使用することの欠点は、平面波パルスの単一の取得イベントと比較して、画像全体の針先データを取得するために1つ以上の取得イベントが有用となる(例えば、必要になる)可能性があることである。これによりフレームレートが低下し、第1のパルスの無線周波数データの蓄積及び/又は平均化、及び/又は第2のパルスのBモードイメージングに使用できる時間を短くしてしまう可能性がある。これらの1つ以上の取得イベントからのデータを針先画像に結合するには、画像処理の増加が必要になる可能性があり、フレームレートがさらに低下することとなる。
【0065】
1つ以上のシナリオでは、取得イベントごとに1つ以上の集束パルスを使用することで、低いフレームレートをある程度緩和できる。取得ごとのフォーカスパルスの数は、例えば5などの低い数に制限することができる。取得イベントあたりのパルス数が多いと、例えば有効遅延期間が長くなるなどの理由で、以前のパルスからの焦点ゾーンでの針先のダブルリングダウンアーティファクトの視認性が減少する可能性がある。所定の取得イベント内の1つ以上の集束パルスは、例えば1つのフォーカスされたパルスから次のフォーカスされたパルスまで10マイクロ秒のような、短い時間で分離される場合がある。パルス数、送信電圧、及び/又はパルス持続時間のような1つ以上の要因が、とりわけ一般的な医療用超音波装置の電源のようなハードウェア要因によって制限される。
【0066】
1つ以上のシナリオでは、第1の集束パルスを使用することの欠点は、第1のパルスの持続時間が被験者/患者の軟部組織に対する生物学的効果によって制限される可能性があることである。これは、集束パルスが超音波エネルギーを小さな領域に集中させるためである。これにより、例えば平面波の第1のパルスで取得された画像と比較して、最大エネルギー及び/又は面積あたりの電力が増加する可能性がある。
【0067】
1つ以上のシナリオでは、例えば、第1の送信パルス信号と第2の送信パルス信号がある場合、第1のパルス信号は平面波パルスである可能性がある。平面波パルスは超音波パルスのエネルギーを画像の横方向の寸法全体に均等に分散するため、所定の深さにある針先により、針先の1つ以上の横方向の位置、またはあらゆる横方向の位置で同様に視認性の高いダブルリングダウンアーティファクトが作られる可能性がある。取得イベントは、1つ以上の平面波パルスで構成され、(例えば、単一の)エコー受信期間と組み合わせることができる。(例えば、単一の)平面波取得イベントは、画像全体の針先データを提供することができる。針先が画像内のどこかにある場合、ダブルリングダウンアーティファクトが発生する可能性がある。
【0068】
平面波パルスを使用する利点の少なくとも1つは、単一の第1のパルスを使用した(例えば、単一の)取得イベントで画像全体の針先データを取得できるため、比較的高いフレームレートを実現できることである。このような高いフレームレートにより、第1のパルス無線周波数データの蓄積及び/又は平均化取得イベントにかかる時間が長くなる可能性がある。これにより、針先のダブルリングダウンアーティファクトの視認性が向上する可能性がある。2番目のパルスBモード画像取得では、軟部組織の画像品質が向上する可能性がある。
【0069】
平面波の第1のパルスのエネルギーは横方向に均等に広がるため、ビーム開口部の寸法によっては、単位面積あたりの最大エネルギーは、平面波パルスのほうが集束パルスの場合よりも小さくなる場合がある。所定のパルス持続時間の場合、被験者/患者に対する生物学的効果は、集中パルスよりも平面波パルスの方が小さい可能性がある。これにより、例えば平面波パルスのパルス持続時間を長くすることが可能になる。
【0070】
1つ以上のシナリオでは、針先のダブルリングダウンアーティファクトの視認性は、超音波送信パルスとエコー受信期間の開始との間の時間遅延の持続時間によって影響を受ける可能性がある。時間遅延が短すぎると、1つ以上の組織エコーが発生し、ダブルリングダウンアーティファクトが不明瞭になる可能性がある。時間遅延が長すぎると、ダブルリングダウンアーティファクトエコーが(例えば、過度に)弱まる可能性がある。これにより、ダブルリングダウンアーティファクトが適切に視覚化されなかったり、視覚化されることがなかったりする可能性がある。
【0071】
最大顕著性ダブルリングダウンアーティファクトは、(例えば、通常は)組織エコーの可視化をもたらさない(例えば、最短の)時間遅延によって生成される可能性がある。1つ以上のシナリオでは、遅延時間を長くすると、ダブルリングダウンアーティファクトの視認性がさらに向上する可能性がある。有用な(例えば、最適な)時間遅延は、通常、40~500マイクロ秒及び/又は100~400マイクロ秒の範囲である。この範囲は、機械の設定や軟部組織のエコー輝度などの要因によって変わる場合がある。
図25、
図26、及び
図27は、時間遅延が、短すぎる画像、最適な画像、及び長すぎる画像の例を示している。
【0072】
図25、
図26、及び
図27は、さまざまな時間遅延で取得された針先のダブルリングダウンアーティファクトの非同期共鳴画像を示している。
図25は、80マイクロ秒の時間遅延で取得された針先のダブルリングダウンアーティファクトの非同期共鳴画像を示している。この時間遅延が短すぎると、組織のエコーによってダブルリングダウンアーティファクトが不明瞭になる可能性がある。
図26は、180マイクロ秒の時間遅延で取得された針先のダブルリングダウンアーティファクトを示す。この時間遅延は、ダブルリングダウンアーティファクトが適切に視覚化されるようにするために適切である可能性がある。
図27は、400マイクロ秒の時間遅延で取得された針先のダブルリングダウンアーティファクトの非同期共鳴画像を示している。この時間遅延が長すぎると、ダブルリングダウンアーティファクトが弱く視覚化される可能性がある。
1つ以上のシナリオでは、針先のダブルリングダウンアーティファクトの視認性は、超音波送信パルスの持続時間によって影響を受ける可能性がある。標準的なBモード超音波では、他の理由として軸方向の解像度を最適化するため、短い送信パルス(例えば1サイクル)が使用される。非同期共鳴イメージングにおける針先のダブルリングダウンアーティファクトの視認性は、例えば5~25サイクルの範囲のような、より長い持続時間の送信パルスを使用することによって増加する可能性がある。持続時間が長い送信パルスにより、おそらく送信パルスの駆動電力を増加させなくても、針先に供給されるエネルギーを増加させることができ、ダブルリングダウンアーティファクトエコーが強くすることができる。
【0073】
送信パルス駆動電力は、他の理由として、患者の安全性や生体影響に関する懸念により、ハードウェア要因及び/又は規制上の制限によって制限される場合がある。パルス帯域幅はパルス持続時間に反比例する場合がある。送信パルスが長くなると帯域幅が狭くなり、おそらく送信パルスのエネルギーが針の共振周波数の周囲に集中することとなる。パルス持続時間が長すぎると、ダブルリングダウンアーティファクトの視認性が低下する可能性がある。
図28、
図29、
図30は、パルス持続時間を変えて取得した非同期共鳴画像の例を示す。
図28、
図29、及び
図30は、パルス持続時間を変えて取得した針先非同期共鳴画像の例を示す。
図28は、1サイクルのパルス持続時間で取得された針先非同期共鳴画像の一例を示す。この期間は短すぎるので、ダブルリングダウンアーティファクトが適切に視覚化されない可能性がある。
図29は、25サイクルのパルス持続時間で取得された針先非同期共鳴画像の一例を示す。この持続時間は、ダブルリングダウンアーティファクトが適切に視覚化されるようにするためには適切である可能性がある。
図30は、100サイクルのパルス持続時間で取得された針先非同期共鳴画像の例を示している。この持続時間が長すぎるので、ダブルリングダウンアーティファクトが適切に視覚化されない可能性がある。
【0074】
ゲージ、長さ、材料組成などの所定の特性を持つ針は、固有の共振周波数を持つ場合がある。おそらく、非同期共鳴イメージング送信パルスの中心周波数が針の共振周波数と一致する場合、他のシナリオの中でも、針先ダブルリングダウンアーティファクトの視認性が最大化される可能性がある。
図31、
図32、及び
図33は、自由長2.56インチ(6.50センチメートル)ゲージジカニューレ、三重研磨ランセットAベベル、ポリマーハブ、及び20ゲージカテーテルが配置されたステンレス鋼皮下チューブを備えた静脈カテーテル針の例を示している。これにより、非同期共鳴イメージング送信パルスの中心周波数が5.43メガヘルツで、最大強度の針先ダブルリングダウンアーティファクトが発生する可能性がある。送信パルスの中心周波数が5.00メガヘルツと6.58メガヘルツの場合、発生したダブルリングダウンアーティファクトの強度が低下する可能性がある。
【0075】
図31、
図32、
図33は、送信パルスの中心周波数を変えて得られた針先非同期共鳴画像を示す。画像を取得するために、20ゲージのカテーテルが挿入された22ゲージの静脈内カテーテル針が使用される場合がある。
図31は、5.00メガヘルツの中心周波数の信パルスで得られた針先非同期共鳴画像を示している。この中心周波数では、ダブルリングダウンアーティファクトが適切に視覚化されない可能性がある。
図32は、5.43メガヘルツの中心周波数送信パルスで得られた針先非同期共鳴画像を示す。この中心周波数では、ダブルリングダウンアーティファクトを適切に視覚化することができる。
図33は、6.58メガヘルツの中心周波数送信パルスで得られた針先非同期共鳴画像を示している。この中心周波数では、ダブルリングダウンアーティファクトが適切に視覚化されない可能性がある。
【0076】
第1のパルスの中心周波数は、最も視認性の高いダブルリングダウンアーティファクトを提供するように調整することができる。これは、公称外径0.718ミリメートル、公称内径0.413ミリメートルの22レギュラーウォールゲージ皮下注射チューブ針の場合、約5.4MHzにて生じさせることができる。第1のパルスの中心周波数がこの値より大幅に高いか低い場合、例えば、22レギュラーウォールゲージ皮下注射チューブ針の場合、5.0MHz以下または5.9MHz以上の場合、視認性の低下し及び/又はダブルリングダウンアーティファクトが生じなくなる可能性がある。
【0077】
第2のパルスの中心周波数は、より良い/最良の軟部組織画像を作成するために、ユーザー/オペレーターによって調整することができる。適切な浸透を生じさせることができる最も高いの周波数により、より良い/最良の軟部組織画像を生成することができる。これは、Bモード医療用超音波検査で一般的であるように、ユーザー/オペレーターが患者ごとに決定することができる。
【0078】
1つ以上のシナリオでは、第1のパルスの持続時間を長くすると、ダブルリングダウンアーティファクトの視認性が高くなる結果となる可能性がある。第1のパルス持続時間を長くすると(例えば、長すぎると)、ダブルリングダウンアーティファクトの視認性が低下する可能性がある。1~25サイクルの範囲のパルス持続時間により、良好かつ十分なダブルリングダウンアーティファクトの視認性を実現できる。最適な第1のパルス持続時間は、例えば、機械の設定や患者の要因などによって異なる場合がある。
【0079】
1つ以上のシナリオでは、針先のダブルリングダウンアーティファクトが隠れないように、1つ以上の、またはすべての組織エコーを除去するのに十分な時間遅延を使用することが、非同期共鳴イメージングに役立つ(例えば、重要である)場合がある。1つ以上のシナリオでは、別の戦略として、より短い時間遅延の使用を含むことができ、この場合でも、一部の組織エコーがまだ存在し、信号処理が適用される場合がある。バンドパスフィルタを使用して組織エコーを除去し、ダブルリングダウンアーティファクトをより適切に視覚化することができる。この短い時間遅延により、例えばダブルリングダウンアーティファクトエコーの強度を増加させることができる。
【0080】
超音波パルスからエコー受信期間の開始までの時間遅延が増加すると、組織エコーと針先リングダウンアーティファクトエコーの強度が両方とも低下する可能性がある。組織エコーの場合は、より急速な減少が起こる可能性がある。ダブルリングダウンアーティファクトは、組織エコーを受信しない最短の時間遅延で(例えば、通常は)最もよく視覚化される場合がある。例えば、競合する組織エコーがなく、リングダウンアーティファクトエコーが最も強くなる時間遅延によって、最良の視覚化が得られる場合がある。例えば、組織エコーが強い場合及び/又は長く続く場合は、さまざまなシナリオの中で、1つ以上の、またはすべての組織エコーを除去するのに十分な時間遅延によって、リングダウンアーティファクトエコーが大幅に弱まる状況が発生する可能性がある。これにより、ダブルリングダウンアーティファクトの視覚化が悪くなる可能性がある。
【0081】
このようなシナリオでは、他のシナリオの中でも、より短い時間遅延を使用するという戦略が考えられる。これにより、リングダウンアーティファクトエコーの強度を増加させることができる。組織エコーは弱められてもまだ存在し、リングダウンアーティファクトエコーを部分的に隠す可能性がある。エコーにバンドパスフィルタを適用することで、組織エコーを除去し、ダブルリングダウンアーティファクトの視覚化を向上させることができる。バンドパスフィルタは、(例えば、一般に)送信パルスの中心周波数より0%~20%高い中心周波数、バンドパスフィルタの中心周波数の10%~30%の-3dB帯域幅、そして、バンドパスフィルタの中心周波数の30%~45%の-20dBのストップバンドを有する。例えば、中心周波数が5.4MHzの送信パルスは、中心周波数が5.9MHz、-3dB帯域幅が5.47~6.33MHz、-20dBストップバンドが4.86~6.94MHzのバンドパスフィルタと組み合わせることができる。
【0082】
図34Aは、送信パルスの中心周波数が5.00メガヘルツで、時間遅延が短すぎるために組織エコーによってダブルリングダウンアーティファクトが部分的に隠れてしまう可能性があるような、針先非同期共鳴画像を示している。
図34Bは、送信パルスの中心周波数が5.00メガヘルツで、
図34Aの画像を生成するために使用されたのと同じ時間遅延を持つ非同期共鳴画像を示している。中心周波数が6.00メガヘルツ、帯域幅が-3デシベルで5.60~6.40メガヘルツ、ストップバンドのカットオフ周波数が-20デシベルで5.01メガヘルツと6.99メガヘルツのバンドパスフィルタが、
図34Bの画像生成に適用され、1つ以上の組織エコーを除去し、及び/又はダブルリングダウンアーティファクトの視認性を高めたりすることができる。
【0083】
おそらく、超音波針先ガイダンスを最適化するため、およびその他の理由により、ダブルリングダウンアーティファクトが標準Bモード画像内の針先の位置を示す複合画像が作成されることがある。Bモード画像と非同期共鳴画像を(例えば別々に)取得することができる。これにより、取得する画像の種類に合わせて最適化された送信パルス特性を使用できるようになる。Bモード送信パルスは、例えば軸方向の解像度を最適化するために、例えば1サイクルに短くすることができる。例えば、20ミリメートルの深さの軟部組織画像の場合、画像の解像度を最適化するために、より高い中心周波数(例えば8.9メガヘルツ)を使用できる。非同期共鳴イメージング送信パルスは、ダブルリングダウンアーティファクトの視認性を最大化するために、例えば20サイクルなど、より長くすることができる。例えば、針の共振周波数に合わせるために、より低い中心周波数(例えば5.43メガヘルツ)を使用できる。
【0084】
1つ以上のシナリオでは、例えばBモード画像と非同期共鳴画像は(例えば、別々に)取得される場合がある。これらの画像を組み合わせて複合画像を作成することもできる。
図35、
図36、及び
図37は複合画像の作成例を示す。
図35は、針先が画像の中央にあるBモード技法画像の例を示している。
図36は、針先ダブルリングダウンアーティファクトが存在する非同期共鳴画像の例を示す。
図37は、ダブルリングダウンアーティファクトの最も狭い点によって針先の位置が示される複合画像の例を示している。
【0085】
1つ以上のシナリオでは、専用のBモード画像取得と非同期共鳴画像取得のために別々の送信パルスを使用して複合画像を作成することができる。1つ以上のシナリオでは、別の戦略として、単一の送信パルスを使用してBモード画像と非同期共鳴画像の両方を取得することを含むことができる。同じ送信パルスから両方の画像を取得することの少なくとも1つの利点は、フレームレートが向上することであり、集中パルス非同期共鳴イメージングに役立たせることができ、集中パルス非同期共鳴イメージングは低いフレームレートでは妨げられる場合がある。
【0086】
同じ送信パルスからBモード画像と非同期共鳴画像の両方を取得する場合の潜在的な欠点は、Bモードと非同期共鳴画像の(例えば最適な)送信パルス特性が異なるかもしれないことである。同じ送信パルスでBモード画像と非同期共鳴画像の両方を取得する場合は、一方の又は両方の画像タイプに対して最適でないパルス特性が使用されることになるかもしれない。
図38は、別個の画像取得方策を使用する複合イメージングシーケンス/技法3802の例のブロック図を示している。3804では、Bモードパルスを生成/標的組織に送信することができる。3808では、Bモードエコー信号の受信を開始することができる。3812では、Bモードエコー信号の受信を終了することができる。3816では、受信したBモードエコー信号/パルスに基づいてBモード画像が構築/再構築される。3820では、非同期共鳴画像(ARI)パルスを生成/標的組織に送信することができる。3824では、ARIエコー信号を受信する前に、(例えば、所定の及び/又はユーザーが調整可能な)時間遅延を観察することができる。3828では、ARI画像エコー信号受信期間を開始することができる。3832では、受信したARIエコー信号に基づいてARI画像を構築/再構築することができる。3836では、(例えば、ARI画像とBモード画像に基づいて)複合画像を加工し、表示することができる。
【0087】
図39は、複合画像取得方策を用いた複合イメージングシーケンス/技法3902の一例のブロック図を示す。3904では、Bモードパルスを生成/標的組織に送信することができる。3908では、Bモードエコー信号の受信が開始することができる。3912では、Bモードエコー信号の受信を終了することができる。3924では、非同期共鳴画像(ARI)エコー信号を受信する前に、(例えば、所定の及び/又はユーザーが調整可能な)時間遅延を観察することができる。3928では、ARI画像エコー信号受信期間を開始することができる。3932では、受信したエコー信号に基づいてARI画像及びBモード画像を構築/再構成することができる。3936では、(例えば、ARI画像とBモード画像に基づいて)複合画像を加工し、表示することができる。
1つ以上のシナリオでは、超音波スキャナ/スキャニング装置のイメージングプローブ/トランスデューサが1つ以上の超音波パルスを送信することができる。パルスの生成が開始されてから一定期間、(例えば、所定の時間遅延や調整可能な時間遅延により)トランスデューサはエコーを聴取しない。一定時間が経過すると、トランスデューサはエコーの聴取を開始することができる。スキャニング装置は、再構成すべき画像の深度と相関する可能性があるエコー/受信期間を実行/開始することができる。スキャニング装置はエコーを再構成して画像を作成することができる。おそらく、針先が存在する場合、ダブルリングダウンアーティファクトを画像/ディスプレイ上に見ることができる。スキャニング装置は、標準的な超音波スキャンを実行し、及び/又はディスプレイ上に(例えば、複合)画像を表示することができる。
【0088】
図4は、本明細書に記載の超音波スキャナのいずれか、及び/又は本明細書に開示された超音波スキャナ処理/技法のいずれか、を実行するためのプロセス制御装置/ロジックコントローラとして機能することができる例示的な装置のハードウェア構成のブロック図である。ハードウェア構成400は、本明細書で説明する超音波スキャナシステム/装置のいずれかと、有線及び/又は無線通信、及び/又はインターネット/クラウド通信を行うことができる。ハードウェア構成400は、装置の内部サーバーからの情報の配信を容易にするように動作可能である。ハードウェア構成400には、プロセッサ410、メモリ420、ストレージ装置430、及び/又は入出力装置440を含むことができる。コンポーネント410、420、430、及び440の1つ以上は、例えば、システムバス450を使用して相互接続することができる。プロセッサ410は、ハードウェア構成400内で実行するための命令を処理することができる。プロセッサ410は、シングルスレッドプロセッサであってもよく、マルチスレッドプロセッサであってもよい。プロセッサ410は、メモリ420及び/又はストレージ装置430に格納された命令を処理することができる。
【0089】
メモリ420は、ハードウェア構成400内に情報を保存することができる。メモリ420は、コンピュータ読み取り可能な媒体(CRM)、例えば非一時的なCRMとすることができる。メモリ420は、揮発性メモリユニット、及び/又は不揮発性メモリユニットとすることができる。
【0090】
ストレージ装置430は、ハードウェア構成400に大容量ストレージを提供することができる。ストレージ装置430は、コンピュータ読み取り可能な媒体(CRM)、例えば、非一時的なCRMとすることができる。ストレージ装置430には、例えば、ハードディスク装置、光ディスク装置、フラッシュメモリ、及び/又はその他の大容量ストレージ装置を含むことができる。ストレージ装置430は、ハードウェア構成400の外部の装置とすることもできる。
【0091】
入出力装置440は、ハードウェア構成400に対して入出力操作を提供することができる。入出力装置440(例えば、トランシーバ装置)には、ネットワークインターフェイス装置(例えば、イーサネットカード)、シリアル通信装置(例えば、RS-232ポート)、1つ以上のユニバーサルシリアルバス(USB)インターフェイス(例えば、USB2.0ポート)、及び/又はワイヤレスインターフェイス装置(例えば、802.11カード)のうちの1つ以上を含めることができる。入出力装置には、1つ以上のネットワークに通信を送信したり、1つ以上のネットワークから通信を受信したりするように構成されたドライバ装置を含めることができる。入出力装置440は、少なくとも1つの表示装置484と通信することができる。表示装置484は、本明細書で説明した超音波生成画像のいずれかを表示することができる。
【0092】
入出力装置400は、ハードウェア構成400に近接していてもよく及び/又はハードウェア構成400から離れた場所にあってもよい1つ以上の入出力モジュール(図示せず)と通信することができる。1つ以上の出力モジュールは、デジタル信号形式、離散信号形式、TTL形式、アナログ信号形式、シリアル通信プロトコル、フィールドバスプロトコル通信、及び/又はその他のオープン又は独自の通信プロトコル等で入出力機能を提供することができる。
【0093】
カメラモジュール460は、ハードウェア構成400にデジタルビデオ入出力機能を提供することができる。カメラモジュール460は、例えばシステムバス450を介して、ハードウェア構成400の任意の構成要素と通信できる。カメラモジュール460は、デジタル画像をキャプチャすること、及び/又は本明細書で説明する他の画像の中でも、例えばユニバーサルプロダクトコード(UPC)コードやクイックレスポンス(QR)コードなどのさまざまな種類の画像をスキャンすることができる。例えば、被験者/患者の記録は、QRコードなどを介してアクセス可能にすることができる。カメラモジュール460は、被験者/患者記録QRコードをスキャンして被験者/患者の(例えば医療)記録にアクセスし、本明細書に記載の超音波画像の1つ以上を(例えば電子的に)被験者/患者の医療記録に追加することができる。
【0094】
カメラモジュール460には、少なくとも1つのマイク装置及び/又は少なくとも1つのスピーカー装置(図示せず)が含まれる場合がある。カメラモジュール460は、ハードウェア構成400と有線及び/又は無線通信を行うことができる。1つ以上のシナリオでは、カメラモジュール460はハードウェア構成400の外部にある場合がある。1つ以上のシナリオでは、カメラモジュール460はハードウェア構成400の内部にある場合がある。
【0095】
超音波スキャナ480は、ハードウェア構成400と有線及び/又は無線通信を行うことができる。超音波スキャナ480は、本明細書で説明されているように、少なくとも超音波プロービング及び/又はイメージングを提供するように設けられ/構成された超音波スキャナのいずれか1つであってもよい。
【0096】
図40は、挿入された針の可視化に対するプローブスライスの効果を示す一例である。4010には、組織への近位針挿入部を断面を示すイメージングプローブの概略図が示されている。4020には、静脈の上に可視化された近位針の超音波画像が示されている。本明細書に記載の1つ以上の技法により、組織に挿入された針先の検出を容易にすることができる。
【0097】
本開示の対象及びその構成要素は、実行時に1つ以上の処理装置に本明細書で説明するプロセス及び/又は機能を実行させる命令によって実現できる。このような命令には、例えば、JavaScriptやECMAScript命令などのスクリプト命令、実行可能コード、及び/又はコンピュータ読み取り可能な媒体に格納されたその他の命令などのインタープリタ命令を含むことができる。
【0098】
本明細書及び/又は付随する図に記載されている対象及び/又は説明されている機能操作の実施は、本明細書で開示されている構造及びその構造的同等物、及び/又はそれらの1つ以上の組み合わせを含む、デジタル電子回路、コンピュータソフトウェア、ファームウェア、及び/又はハードウェアとして提供することができる。本明細書で説明する対象は、1つ以上のコンピュータプログラム製品、例えば、データ処理装置によって実行するための、及び/又はデータ処理装置の動作を制御するために、有形のプログラムキャリア上にエンコードされたコンピュータプログラム命令の1つ以上のモジュールとして実装することができる。
【0099】
コンピュータプログラム(プログラム、ソフトウェア、ソフトウェアアプリケーション、スクリプト、コードとも呼ばれる)は、コンパイル型言語やインタープリタ型言語、宣言型言語や手続き型言語を含む、あらゆる形式のプログラミング言語で記述できる。スタンドアロンプログラムとして、又はコンピューティング環境での使用に適したモジュール、コンポーネント、サブルーチン、及び/又はその他のユニットを含む、あらゆる形式で展開できる。コンピュータプログラムは、ファイルシステム内のファイルに対応する場合も、対応しない場合もある。プログラムは、他のプログラム及び/又はデータ(例えば、マークアップ言語ドキュメントに格納された1つ以上のスクリプト)を保持するファイルの一部、問題のプログラム専用の単一のファイル、及び/又は複数の調整されたファイル(例えば、1つ以上のモジュール、サブプログラム、またはコードの一部を格納するファイル)に格納できる。コンピュータプログラムは、1台のコンピュータ、または1つのサイトにあるか複数のサイトに分散されているか、通信ネットワークによって相互接続されている複数のコンピュータ上で実行されるように展開できる。
【0100】
本明細書及び/又は添付の図に記載されているプロセス及び/又はロジックフローは、1つ以上のプログラムを実行する1つ以上のプログラム可能なプロセッサによって実行され、入力データに対して操作を行い及び/又は出力を生成することで機能を発揮し、それによってプロセスを特定のマシン(例えば、本明細書に記載されているプロセスを実行するようにプログラムされたマシン)に結び付けることができる。プロセス及び/又はロジックフローは、及び装置は、装置は、FPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ)及び/又はASIC(特定用途向け集積回路)などの専用ロジック回路によって実行され、また、そのような回路として実装することもできる。
【0101】
コンピュータプログラム命令及び/又はデータを保存するのに適したコンピュータ読み取り可能なメディアには、あらゆる形式の不揮発性メモリ、メディア、及びメモリ装置が含まれ、例として、半導体メモリ装置(例えば、EPROM、EEPROM、及び/又はフラッシュメモリ装置)、磁気ディスク(例えば、内蔵ハードディスクまたはリムーバブルディスク)、光磁気ディスク、及び/又はCDROM及びDVDROMディスクが含まれる。プロセッサ及び/又はメモリは、専用ロジック回路によって補完されるか、又は専用ロジック回路に組み込まれることがある。
【0102】
この仕様書及び添付図には多くの具体的な実施形態の詳細が含まれているが、これらは発明の範囲や請求の範囲を制限するものとして解釈されるべきではなく、むしろ、記載されている実施例の具体的な機能の説明として解釈されるべきである。この仕様書で個別の実施形態の文脈にて説明されている特定の機能は、おそらく1つの実施形態に組み合わせて実装することもできる。おそらく1つの実施形態の文脈にて説明されているさまざまな機能は、複数の組み合わせで個別に、または任意の適切なサブコンビネーションとして実装することもできる。形態は、特定の組み合わせで機能すると上述し、及び/又はおそらく(例えば、最初に)そのように特許請求する場合もあるが、特許請求の組み合わせの1つ以上の形態が、場合によっては組み合わせから削除されることがある。請求項請の組み合わせは、サブコンビネーション及び/又はサブコンビネーションのバリエーションの対象としてもよい。
【0103】
図面では操作が順序どおりに描かれている場合もあるが、これは、有用な結果を得るために、そのような操作が図示された特定の順序及び/又は連続した順序で実行されること、及び/又は図示されたすべての操作が実行されることを必要とするものとして理解されるべきではない。説明したプログラムコンポーネント及び/又はシステムは、通常、単一のソフトウェア製品、または複数のソフトウェア製品にパッケージ化される。
【0104】
本明細書に記載された対象の実施例を説明した。請求項に記載された動作は、明示的に別途記載されていない限り、異なる順序で実行しても有用な結果を達成できる。例えば、添付図に示されたプロセスでは、有用な結果を得るために、示されている特定の順序や連続した順序である必要はない。マルチタスクと並列処理により、1つ以上のシナリオで有利になる場合がある。
【0105】
本開示は、図面及び上記記載にて詳細に示され、説明されているが、これらは例示的なものであり、制限的な性質のものではないとみなされるべきであり、特定の例のみが示され、説明されており、本開示の技術思想の範囲内にあるすべての変更及び修正は保護されることを理解すべきである。
【国際調査報告】