IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ カリフォルニア マニュファクチャリング アンド エンジニアリング カンパニー リミテッド ライアビリティー カンパニーの特許一覧

特表2025-503981新規なステアリングシステムを備えた高所作業車及び関連方法
<>
  • 特表-新規なステアリングシステムを備えた高所作業車及び関連方法 図1
  • 特表-新規なステアリングシステムを備えた高所作業車及び関連方法 図2
  • 特表-新規なステアリングシステムを備えた高所作業車及び関連方法 図3
  • 特表-新規なステアリングシステムを備えた高所作業車及び関連方法 図4
  • 特表-新規なステアリングシステムを備えた高所作業車及び関連方法 図5
  • 特表-新規なステアリングシステムを備えた高所作業車及び関連方法 図6
  • 特表-新規なステアリングシステムを備えた高所作業車及び関連方法 図7
  • 特表-新規なステアリングシステムを備えた高所作業車及び関連方法 図8
  • 特表-新規なステアリングシステムを備えた高所作業車及び関連方法 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-02-06
(54)【発明の名称】新規なステアリングシステムを備えた高所作業車及び関連方法
(51)【国際特許分類】
   B62D 7/09 20060101AFI20250130BHJP
   B60P 3/14 20060101ALI20250130BHJP
   B66F 11/04 20060101ALI20250130BHJP
   B66F 9/06 20060101ALI20250130BHJP
【FI】
B62D7/09
B60P3/14 A
B66F11/04
B66F9/06 P
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2024544518
(86)(22)【出願日】2023-01-26
(85)【翻訳文提出日】2024-08-09
(86)【国際出願番号】 US2023011595
(87)【国際公開番号】W WO2023146945
(87)【国際公開日】2023-08-03
(31)【優先権主張番号】63/303,042
(32)【優先日】2022-01-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】509345464
【氏名又は名称】カリフォルニア マニュファクチャリング アンド エンジニアリング カンパニー リミテッド ライアビリティー カンパニー
【氏名又は名称原語表記】California Manufacturing & Engineering Company, LLC
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100159385
【弁理士】
【氏名又は名称】甲斐 伸二
(74)【代理人】
【識別番号】100163407
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 裕輔
(74)【代理人】
【識別番号】100166936
【弁理士】
【氏名又は名称】稲本 潔
(74)【代理人】
【識別番号】100189429
【弁理士】
【氏名又は名称】保田 英樹
(74)【代理人】
【識別番号】100213849
【弁理士】
【氏名又は名称】澄川 広司
(72)【発明者】
【氏名】ダイ,マシュー
(72)【発明者】
【氏名】クルーク,ゲイリー
【テーマコード(参考)】
3D034
3F333
【Fターム(参考)】
3D034BA04
3D034BB03
3D034BC01
3D034BC13
3D034BC28
3D034BD03
3D034BD06
3F333AA08
3F333AB03
3F333AC02
3F333AD06
3F333CA06
3F333CA11
3F333CA12
3F333DA02
3F333DA04
(57)【要約】
コンパクトな高所作業車(「MEWP」)用又はその他の車用の車両ステアリングシステムと、車両の操向可能なホイール間の所定のステアリングジオメトリが実現されるように、独立したホイール操向角度を動的に決定する方法が記載されている。このステアリングシステムは、複数の操向可能なホイールの角度差に基づいて複数の独立したホイールの調整を決定する。本システムの独立しているマスターホイールと独立しているフォロワホイールは機械的に連結されておらず、この複数の独立操向可能なホイール間に機械リンク機構がないため、空間効率とステアリングジオメトリの精度が向上する。この独立した操作により、ステアリングアクチュエータを限られた側部コンパートメントに収容しやすくなり、これにより、これまでホイールアセンブリ間の機械的操向接続に使用されていたスペースを機械リフト機構が占有できるようになる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
a.独立操向可能な第1ホイールと、
b.前記独立操向可能な第1ホイールと機械的に連結された第1ステアリングアクチュエータと、
c.独立操向可能な第2ホイールと、
d.前記独立操向可能な第2ホイールと機械的に連結された第2ステアリングアクチュエータとを備え、
前記独立操向可能な第1ホイールと前記独立操向可能な第2ホイールとの間には機械的接続がない高所作業車。
【請求項2】
車両シャーシから伸長すること及び車両シャーシ内に引き込むことができるように動作可能な伸縮自在のリフト機構をさらに備える請求項1に記載の車。
【請求項3】
前記伸縮自在のリフト機構を車両シャーシから伸長させること及び前記伸縮自在のリフト機構を前記シャーシ内に引き込むことができるように動作可能な、伸縮自在のリフト機構のアクチュエータをさらに備える請求項3に記載の車。
【請求項4】
前記伸縮自在のリフト機構の上端に配置され、前記伸縮自在のリフト機構の伸長とともに垂直方向に移動するように動作可能なプラットフォームアセンブリをさらに備える請求項2に記載の車。
【請求項5】
前記車は、車両シャーシを備え、
前記車両シャーシは、i.中央コンパートメント、ii.第1側部コンパートメント及びiii.第2側部コンパートメントを有し、
前記中央コンパートメントは、前記車両シャーシの前部から前記車両シャーシの後部まで広がっている請求項2に記載の車。
【請求項6】
前記車両シャーシの後端またはその近くに独立して取り付けられた方向的な動きがない複数のリアホイールをさらに備え、複数のリアホイール間には機械リンク機構がない請求項5に記載の車。
【請求項7】
第1ステアリングアクチュエータは、第1側部コンパートメントに収納されており、前記中央コンパートメントには存在しない請求項5に記載の車。
【請求項8】
第2ステアリングアクチュエータは、第2側部コンパートメントに収納されており、前記中央コンパートメントには存在しない請求項5に記載の車。
【請求項9】
データ処理用のプロセッサ、メモリ、及びデータを記憶するデータストレージデバイスを備えたコントローラをさらに備える請求項1に記載の車。
【請求項10】
データを入力するためのオペレータ入力デバイスをさらに備える請求項9に記載の車。
【請求項11】
前記プロセッサによる命令の実行に基づきシステムに機械により実行されるステップ:
a.独立操向可能な第1ホイールの第1トー角を表す第1信号を受信するステップと、
b.所定のステアリングジオメトリに基づいて独立操向可能な第2ホイールの目標トー角を計算するステップと、
c.独立操向可能な第2ホイールの第2トー角を表す第2信号を受信するステップと、
d.前記目標トー角と前記第2トー角との角度差を計算してステアリングコマンドを作成するステップと、
e.前記独立操向可能な第2ホイールを転向させるために、前記ステアリングコマンドを前記コントローラから前記独立操向可能な第2ホイールのステアリングアクチュエータに送信するステップと
を行わせる命令を保持するデータストレージデバイスを備える請求項10に記載の車。
【請求項12】
a.車両シャーシと、
b.独立操向可能な第1ホイールと、
c.前記第1ステアリングホイールと機械的に連結された第1ステアリングアクチュエータと、
d.独立操向可能な第2ホイールと、
e.前記第2ステアリングホイールと機械的に連結された第2ステアリングアクチュエータとを備え、
前記車両シャーシは、
i.中央コンパートメントと、
ii.第1側部コンパートメントと、
iii.第2側部コンパートメントとを有する高所作業車。
【請求項13】
前記独立操向可能な第1ホイールと、前記独立操向可能な第2ホイールとの間には機械的接続がない請求項12に記載の車。
【請求項14】
前記独立操向可能な第1ホイールは、前記第1ステアリングアクチュエータに接続されている第1ステアリングヨークを有する請求項12に記載の車。
【請求項15】
前記独立操向可能な第2ホイールは、前記第2ステアリングアクチュエータに接続されている第2ステアリングヨークを有する請求項12に記載の車。
【請求項16】
前記車両シャーシから伸長すること及び前記車両シャーシ内に引き込むことができるように動作可能な伸縮自在のリフト機構をさらに備える請求項12に記載の車。
【請求項17】
前記伸縮自在のリフト機構を車両シャーシから伸長させること及び前記伸縮自在のリフト機構を前記シャーシ内に引き込むことができるように動作可能な、伸縮自在のリフト機構のアクチュエータをさらに備える請求項16に記載の車。
【請求項18】
前記伸縮自在のリフト機構の上端に配置され、前記伸縮自在のリフト機構の伸長とともに垂直方向に移動するように動作可能なプラットフォームアセンブリをさらに備える請求項16に記載の車。
【請求項19】
前記中央コンパートメントは、前記車両シャーシの前部から前記車両シャーシの後部まで広がっている請求項16に記載の車。
【請求項20】
前記車両シャーシの後端またはその近くに独立して取り付けられた方向的な動きがない複数のリアホイールをさらに備え、複数のリアホイール間には機械リンク機構がない請求項16に記載の車。
【請求項21】
第1ステアリングアクチュエータは、第1側部コンパートメントに収納されており、前記中央コンパートメントには存在しない請求項12に記載の車。
【請求項22】
第2ステアリングアクチュエータは、第2側部コンパートメントに収納されており、前記中央コンパートメントには存在しない請求項12に記載の車。
【請求項23】
データ処理用のプロセッサ、メモリ、及びデータを記憶するデータストレージデバイスを備えたコントローラをさらに備える請求項12に記載の車。
【請求項24】
ステアリングコマンドを入力するためのオペレータ入力デバイスをさらに備える請求項23に記載の車。
【請求項25】
前記プロセッサによる命令の実行に基づきシステムに、機械により実行されるステップ:
a.独立操向可能な第1ホイールの第1トー角を表す第1信号を受信するステップと、
b.所定のステアリングジオメトリに基づいて独立操向可能な第2ホイールの目標トー角を計算するステップと、
c.独立操向可能な第2ホイールの第2トー角を表す第2信号を受信するステップと、
d.前記目標トー角と前記第2トー角との角度差を計算してステアリングコマンドを作成するステップと、
e.独立操向可能な第2ホイールを転向させるために、前記ステアリングコマンドを前記コントローラから独立操向可能な第2ホイールのステアリングアクチュエータに送信するステップと
を行わせる命令を保持するデータストレージデバイスを備える請求項24に記載の車。
【請求項26】
車両のトー角が独立している複数のホイールのステアリングジオメトリを決定するシステムであって、
a.データ処理用のプロセッサ、メモリ、及びデータを記憶するデータストレージデバイスを備えたコントローラと、
b.データを入力するための入力デバイスと、
c.前記プロセッサによる命令の実行に基づきシステムに、機械により実行されるステップ:
i.独立操向可能な第1ホイールの第1トー角を表す第1信号を受信するステップと、
ii.所定のステアリングジオメトリに基づいて独立操向可能な第2ホイールの目標トー角を計算するステップと、
iii.独立操向可能な第2ホイールの第2トー角を表す第2信号を受信するステップと、
iv.前記目標トー角と前記第2トー角との角度差を計算してステアリングコマンドを作成するステップと、
v.独立操向可能な第2ホイールを転向させるために、前記ステアリングコマンドを前記コントローラから独立操向可能な第2ホイールのステアリングアクチュエータに送信するステップと
を行わせる命令を保持するデータストレージデバイスとを備えるシステム。
【請求項27】
前記独立操向可能な第1ホイールの前記トー角を調整できるように動作可能なステアリング機構をさらに備え、前記ステアリング機構は前記コントローラと電子的に通信する請求項26に記載のシステム。
【請求項28】
前記独立操向可能な第1ホイールは車両の右側の操向可能なフロントホイールであり、操向可能な第2ホイールは車両の左側の独立操向可能なフロントホイールである請求項26に記載のシステム。
【請求項29】
前記独立操向可能な第1ホイールは車両の左側の操向可能なフロントホイールであり、操向可能な第2ホイールは車両の右側の独立操向可能なフロントホイールである請求項26に記載のシステム。
【請求項30】
前記所定のステアリングジオメトリはアッカーマンジオメトリである請求項26に記載のシステム。
【請求項31】
a.前記独立操向可能な第1ホイールの第2トー角に基づいて前記独立操向可能な第2ホイールのアッカーマン角を決定するステップと、
b.前記独立操向可能な第2ホイールの前記ステアリングアクチュエータを作動させて前記アッカーマン角を達成することができるような電気信号値を計算するステップと、
c.前記電気信号値を補助コントローラから前記独立操向可能な第2ホイールの電気的な前記ステアリングアクチュエータに送信するステップと、を含み、
ステアリングコマンドを決定する請求項30に記載のシステム。
【請求項32】
前記コントローラは、前記ステアリング機構の操作によって前記独立操向可能な第1ホイールが第2方向に転向しているときに、前記独立操向可能な第1ホイールの第3トー角を表す第3信号を受信するようにさらに動作可能である請求項27に記載のシステム。
【請求項33】
前記第3トー角及び前記所定のステアリングジオメトリに基づいて、前記独立操向可能な第2ホイールの第2目標トー角を計算する請求項32に記載のシステム。
【請求項34】
前記第2目標トー角と前記独立操向可能な第2ホイールのトー角との間の第2角度差を計算して、第2ステアリングコマンドを作成する請求項33に記載のシステム。
【請求項35】
独立操向可能な第1及び第2ホイールを有するタイプの車両のステアリングジオメトリを決定する方法であって、
ステアリングシステムは、操向可能なホイールのトー角を表すトー角信号を生成するためのホイール角センサデバイスを備え、
前記方法は、機械によって実行されるステップ:
i.独立操向可能な第1ホイールの第1トー角を表す第1信号を受信するステップと、
ii.所定のステアリングジオメトリに基づいて独立操向可能な第2ホイールの目標トー角を計算するステップと、
iii.独立操向可能な第2ホイールの第2トー角を表す第2信号を受信するステップと、
iv.前記目標トー角と前記第2トー角との角度差を計算してステアリングコマンドを作成するステップと、
v.独立操向可能な第2ホイールを転向させるために、前記ステアリングコマンドを前記コントローラから独立操向可能な第2ホイールのステアリングアクチュエータに送信するステップとを含む方法。
【請求項36】
a.前記独立操向可能な第1ホイールの第2トー角に基づいて前記独立操向可能な第2ホイールのアッカーマン角を決定するステップと、
b.前記独立操向可能な第2ホイールの前記ステアリングアクチュエータを作動させて前記アッカーマン角を達成することができるような電気信号値を計算するステップと、
c.前記電気信号値を補助コントローラから前記独立操向可能な第2ホイールの電気的な前記ステアリングアクチュエータに送信するステップと、
をさらに含む請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記コントローラは、前記ステアリング機構の操作によって前記独立操向可能な第1ホイールが第2方向に転向しているときに、前記独立操向可能な第1ホイールの第3トー角を表す第3信号を受信するようにさらに動作可能である請求項35に記載の方法。
【請求項38】
前記第3トー角及び前記所定のステアリングジオメトリに基づいて、前記独立操向可能な第2ホイールの第2目標トー角を計算する請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記第2目標トー角と前記独立操向可能な第2ホイールのトー角との間の第2角度差を計算して、第2ステアリングコマンドを作成する請求項38に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、新規なステアリング機構及び自動車の制御システムに関する。より具体的には、本発明はコンパクトなステアリングシステムに関し、このシステムは、マスターホイールとフォロワホイールとの間にステアリング連結またはその他の接続を必要としない。このステアリングシステムは、マスターホイールとフォロワホイールのステアリング角度を監視し、マスターホイールのステアリング角度に応じてフォロワホイールのステアリング角度アクチュエータを能動的に調整するように動作可能である。
【0002】
本願は、2022年1月26日に出願された米国仮特許出願No.63303042 の優先権を主張するものであり、この出願は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
米国特許出願「新しいステアリングシステムを備えた高所作業車及び関連方法」
発明者:Matthew DYE、Gary CROOK
【背景技術】
【0003】
背景技術についての議論
高所作業車(MEWP)は、さまざまな高さや場所で作業を行うために使用される。天井グリッドなどの狭いスペースで作業を行う場合、MEWPがその狭いスペースよりも幅広であるか又はより長いフットプリントを有すると、このことによりプラットフォームの許容垂直移動が制限されその作業が困難になる可能性がある。従来のMEWPには通常、車体全体にわたる機械リンク機構で接続されたホイールアセンブリがある。これらの機械リンク機構は、MEWPのシャーシの中央部分のスペースを占有する。その結果、シャーシは必要以上に大きくなる。
【0004】
さらに、機械リンク機構の剛性と制限のために、この機械リンク機構は、複数のホイール間のステアリングジオメトリ(つまり、ホイールの相対角度)を理想的なステアリングジオメトリに従わないものとする。ホイールアセンブリが回転すると、機械リンク機構は、たとえばアッカーマンステアリングジオメトリに従った、ホイールアセンブリ間の理想的な相対角度を実現できない。このことは、転向操作中におけるホイールの横滑りとスカッフィング、ホイールアセンブリの摩耗と裂傷、走行面へのダメージを引き起こす可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、MEWPや同様の小型車両向けに、改良された、効率的で信頼性が高くコンパクトなステアリングシステムと方法が必要である。このような改良されたシステムは、車両の性能と実用性の改善を促進する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
発明の概要
本発明は、高所作業車MEWP用又はその他の車両用の車両ステアリングシステムと、車両の操向可能なホイール間の所定のステアリングジオメトリを実質的に達成できるように独立したホイール操向角度を決定する方法を提供する。このステアリングシステムは、独立したマスターホイールの角度位置と独立したフォロワホイールの角度位置を決定する、改善されたアライメントプロトコルを提供する。一部の実施形態では、アッカーマンジオメトリが使用され、このシステムは、マスターホイールの回転位置を決定し、その位置を独立したフォロワホイールの対応する目標位置に変換するように動作可能であり、両者間の機械リンク機構は不要である。本開示によるシステムは、複数の操向可能なホイールの角度差と電子コントローラにプログラムされた所定のステアリングジオメトリとを提供する電子データに基づいて複数の独立したホイールを調整する。
【発明の効果】
【0007】
本ステアリングシステムを使用する車両(MEWPなど)は、マスターホイールとフォロワホイールの機械的接続がなくなるため、より低いプロファイル、より小さな車両シャーシ、及び/又はより小さな車両フットプリントを実現できる。マスターホイールのアクチュエータとフォロワホイールのアクチュエータ間の機械的接続がなくなるため、マスターホイールのステアリングアクチュエータとフォロワホイールのステアリングアクチュエータの配置に柔軟性が生まれ、さらにコンパクトで効率的な車両設計が可能になる。
【0008】
本発明のステアリングシステム及び方法のさらなる利点は、複数の操向可能なホイール間の機械リンク機構を利用する従来のシステムよりも、マスターホイールとフォロワホイールを所定のジオメトリ(アッカーマンジオメトリ、パラレルステアリングなど)に対してより正確に調整できる。機械リンク機構は、協調して動く一対の操向可能なホイールの動的シフトをステアリングジオメトリに大まかに近づけることができる。ただし、操向可能なホイールのステアリングヨークなどを接続する剛性リンク機構の機械的配置がやや粗雑であるため、理想的なステアリングジオメトリに一致させる能力は限られている。本発明のマスターホイールとフォロワホイールは、電子コントローラ(マイクロコントローラ、PLCシステム、または汎用コンピュータなど)の指示に従って独立して作動するため、独立したホイールアセンブリのより細かく動的な調整が可能になり、マスターホイールのトー角(車両の中心線に対するタイヤの角度方向)の全範囲にわたって、理想的なステアリングジオメトリ(アッカーマンジオメトリ、パラレルステアリングなど)に大幅に近づくことができる。理想的なステアリングジオメトリに近づくことで、機械的にリンクされたシステムに比べて、転向中に車両のホイールが地面で滑ったり擦れたりすることが少なくなる。このことにより、車両の耐用年数が延び、車両が走行する表面の損傷を防ぐことができる。
【0009】
本発明のステアリングシステムは、各ステアリングヨークに機械的に接続され、電子コントローラと電子的に通信する小型電気アクチュエータを利用することができる。電子コントローラは、各電気アクチュエータからの位置フィードバックを使用して、(1)マスターホイールの位置変化及び(2)選択された理想的なステアリングジオメトリに基づいて、フォロワホイールの理想的な位置を計算するように動作可能な機械制御プログラミングでプログラムされていてもよい。例えば、電子コントローラは、センサ(例えば、エンコーダ)からマスターホイールの位置データを受信し、計算された目標角度(例えば、アッカーマンジオメトリに従ったバーチャルピボットセンター上のフォロワホイール軸とマスターホイール軸との交差角度)と、フォロワホイールの位置フィードバックに基づくフォロワホイールの現在のトー角度(例えば、エンコーダによって提供される)との差としてフォロワホイールの位置変化を計算し、その後、位置変化値をフォロワホイールの電気アクチュエータのモータに通信可能な電気信号に変換することができる。このステアリングシステムは、センサーデータ(例えば、エンコーダデータ)及び/又は電子コントローラからの電子入力に基づいて、所定のステアリングジオメトリ(例えば、アッカーマンステアリング)に従ってホイールの角度位置を調整するように動作可能である。
【0010】
いくつかの実施形態では、本発明は、ステアリングシステムのジオメトリ(例えば、アッカーマンジオメトリ)状態を決定するための新規なアプローチを提供する。このシステムは、操向可能な第1ホイールが第1トー角に位置するとき、操向可能な第1ホイール(例えば、マスターホイール)の第1トー角を表す第1信号と、操向可能な第2ホイール(例えば、フォロワホイール)の第2トー角を表す第2信号を受信するように設けられる。フォロワホイールの目標角度(例えば、アッカーマンジオメトリによる)は、車両のホイールベースの長さを表すホイールベース値、車両のホイールベース幅値、及び第1トー角に基づいて計算される。このシステムは、現在の第2トー角と計算された目標角度(例えば、アッカーマンジオメトリによる)に基づいてフォロワホイールの角度変更を決定する。理想的なステアリングジオメトリを実現する本開示の方法は、改善されたアライメント手順を提供し、このアライメント手順は、選択されたステアリングジオメトリに従って、マスターホイールとフォロワホイールとの間の理想的な角度関係に厳密に一致するフォロワホイールの正確な目標角度を生成する。本開示は、好ましいステアリングジオメトリ(アッカーマンジオメトリであってもよいが、これに限定されるものではない)に基づいてステアリングジオメトリを決定するための新規な手順を提供する。
【0011】
いくつかの実施形態では、操向可能なホイール用の電気アクチュエータは、車両の外壁またはその近くに配置されたリニアアクチュエータであってもよい。例えば、電気アクチュエータは、ストローク長が約10mm~約500mmの範囲(例えば、約50mm~約250mmの範囲、約75mm~約125mmの範囲、約100mm、またはその中の任意の値または任意の値間の範囲)のリニアアクチュエータであってもよい。他の実施形態では、電気アクチュエータは、車両シャーシの外壁またはその近くに配置されたロータリーアクチュエータであってもよい。例えば、電気アクチュエータは、角度範囲が約10°~約360°(例えば、約30°~約330°の範囲、約60°~約270°の範囲、約90°~約180°の範囲、またはその中の任意の値または任意の値間の範囲)のロータリーアクチュエータであってもよい。マスターホイールアセンブリとフォロワホイールアセンブリの間、またはマスターホイールアセンブリに関連付けられたステアリングアクチュエータとフォロワホイールアセンブリに関連付けられたステアリングアクチュエータの間には、機械的な接続はない。このことにより、マスターホイールアセンブリとフォロワホイールアセンブリの間にシャーシを横切る機械リンク機構がないため、コンパクトな設計が可能になる。各ホイールアセンブリは、シャーシを横切る機械リンク機構なしで、側部コンパートメントに格納されて完全に収容されている。
【0012】
いくつかの実施形態では、電気アクチュエータは、ホイールのトー角の変化を追跡し、そのようなトー角データを有線または無線の電子通信を介して電子コントローラに提供するように動作可能な電子位置フィードバックデバイス(例えば、磁気位置エンコーダ、光学位置エンコーダ、ポテンショメータなど)を含んでもよい。マスター制御ホイールの位置は、オペレータ制御ハンドルステアリング(例えば、ジョイスティックステアリング機構)、ロッカースイッチ、ステアリングホイール、または他の機構を利用するステアバイワイヤシステムなどのステアリング機構を介して人間のオペレータによって制御されてもよい。ステアリング機構の反時計回りの回転または左への動きは、マスターホイールを所定のトー角に向けて左に回転するように調整することができ、ステアリング機構の時計回りの回転または右への動きは、マスターホイールを所定のトー角に向けて右に回転するように調整することができる。マスターホイールの回転位置は、マスターホイール内の位置検出デバイス(例えば、エンコーダ)によって監視され、電子コントローラに電子的に送信されてもよい。電子コントローラは、マスターホイールの位置の変化と、ステアリングシステムの電子コントローラにプログラムされ選択された所定のステアリングジオメトリに基づいて、フォロワホイールへのステアリングコマンドを計算するようにプログラムされていてもよい。ステアリングアクチュエータのその他の適切なキャリブレーションも使用できる。
【0013】
本発明のステアリングシステムは、マスターホイールのステアリングに関して開ループ制御を利用することができ、(1)マスターホイールの位置の監視、(2)フォロワホイールの位置の監視、及び(3)フォロワホイールのステアリングに関しては閉ループ制御を利用することができる。電子コントローラは、人間のオペレータによって操作されるステアリング制御機構から電子データを受信し、マスターホイールのステアリング方向及びMEWP車両の動きを決定する機械制御プログラミングを含むことができる。フォロワホイールの方向の決定は、マスターホイールアセンブリ及びフォロワホイールアセンブリからのエンコーダデータを使用して決定することができる。マスターホイールアセンブリ及びフォロワホイールアセンブリの両方は、エンコーダ(例えば、光学エンコーダ、磁気エンコーダ、ポテンショメータ、またはその他の正確なセンサー)を含んでもよく、このエンコーダは、機械制御プログラミングに正確な位置データを提供してコントローラがフォロワホイールのステアリング角度を計算できるように動作可能である。いくつかの実施形態では、オペレータによるステアリング入力(例えば、ジョイスティックの方向移動またはステアリングホイールの回転)は、マスターホイールのステアリング角度を正確に監視するために、コントローラによって監視されてもよく、機械制御プログラミングに提供される十分なデータであってもよい。
【0014】
電子コントローラの機械制御プログラミングは、メモリに記憶された機械実行可能命令(たとえば、ソフトウェア、ファームウェア、及び/又はその他のプログラミング)を含んでもよく、この機械実行可能命令は、電子コントローラの1つ以上のプロセッサが操向可能なホイールの位置に関するエンコーダからの入力を受信し、そのようなデータを使用してフォロワホイールのステアリング角度を制御することを可能にする。機械制御プログラミングを実行するコントローラは、マイクロコントローラ、PLCシステム、又は汎用コンピュータであってもよく、マスターホイールの位置デバイスからのフィードバック位置データを使用して、トー角の範囲内の所定の参照点を基準にしてその位置を識別するように動作可能である。たとえば、所定の参照点は、トー角の範囲の中間点(たとえば、ホイールが車両の中央線と平行)とすることができ、ここをゼロ位置とすることができる。トー角のいずれかの側への回転は、ゼロ位置に対する相対値として表すことができる。例えば、リニアアクチュエータの場合、ホイールの位置は、ゼロ位置測定からの伸長または収縮の距離によって決定され、ゼロ位置測定はリニアアクチュエータの中間伸長点であってもよい。ロータリーアクチュエータの場合、ホイールの位置は、ゼロ位置測定からの時計回りまたは反時計回りの回転角度によって決定される。ゼロ位置測定は、ホイールが車両シャーシの中心線と平行になる回転位置であってもよい。機械制御プログラミングを実行するコントローラは、いずれかのフロントホイールアセンブリをマスターとして扱うように切り替えるように動作可能であり、左側ホイールアセンブリと右側ホイールアセンブリの間でマスターホイールを指定するように動作可能である。例えば、オペレータインターフェースは、左側ホイールアセンブリ又は右側ホイールアセンブリをマスターホイールアセンブリとして選択するための選択メカニズムを有してもよい。
【0015】
機械制御プログラミングは、マスターホイールアセンブリのステアリングアクチュエータの中間点とフォロワホイールアセンブリのステアリングアクチュエータの中間点をゼロ位置として認識するようにプログラムされていてもよい。機械制御プログラミングは、マスターホイールアセンブリに関連付けられたエンコーダとフォロワホイールアセンブリに関連付けられたエンコーダによって提供される位置データを利用するアルゴリズムを含んでもよい。たとえば、機械制御プログラミングは、マスターホイールが左に転向するように制御されているとき(たとえば、リニアアクチュエータが伸びている状態)、フォロワホイールを転向させるためのリニアアクチュエータについて次の計算を利用することができる。
y = 0.0168x3 + 0.2869x2 - 0.5817x + 1 ここで、
x =(マスター1/2測定された位置)/(マスター1/2全長位置)
フォロワ1/2アクチュエータ位置=マスター1/2全長位置*y
この例では、機械制御プログラミングは、マスターホイールが右に転向するように制御されているとき(たとえば、リニアアクチュエータが縮まっている状態)、フォロワホイールを転向させるために、次の計算を利用することができる。
y = (0.0168x3 + 0.2869x2 - 0.5817x + 1)-1 ここで、
x =(マスター1/2測定された位置)/(マスター1/2全長位置)
フォロワ1/2アクチュエータ位置=マスター1/2全長位置*y
【0016】
一般に、コントローラは、次の目的のための1つ以上のプロセッサを含んでもよい、
(1)MEWP車両内のエンコーダ、モータ、ステアリング機構、及びその他の電気・電子デバイスから電子データを受信するため、
(2)機械制御プログラミングを実行するため、
(3)1つ以上のプロセッサと電子通信しているハードドライブ、RAM、及び/又はその他のメモリに記憶しているデータの読み出し及び記憶のため、
(4)プロセッサと、メモリと、データを保存するデータストレージデバイスと、データを入力するための入力デバイスと、入力デバイス、メモリ、データストレージデバイス及び1つ以上のプロセッサ間の電子通信を提供するバスとによって一般的に実行されるその他の機能を実行するため。
コントローラは、1つ以上の推進モータ、ホイールアセンブリに接続されたエンコーダ、ステアリング機構及びオペレータインターフェース、伸縮自在のリフト機構のアクチュエータ、及びMEWPに存在するその他の電気デバイス及び機構に有線又は無線で接続してもよい。コントローラは、MEWP車両に組み込まれた各電気デバイスに電子信号を介してコマンドを送信するように動作可能であってもよい。
【0017】
ステアリングシステム及び方法は、MEWP調整可能プラットフォーム車両またはシザーリフトに組み込まれていてもよい。シザーリフトは、伸縮自在のリフト機構を収容する中央キャビティを備えた車両シャーシ、伸縮自在のリフト機構、ベース、伸縮自在のリフト機構を伸長及び降下させるアクチュエータ、及びプラットフォームアセンブリを含んでもよい。伸縮自在のリフト機構は、アクチュエータの作動によって中央キャビティから伸長してもよい。MEWPは伸縮自在のリフト機構を有してもよい。一部の実施形態では、伸縮自在のリフト機構は伸長可能なシザーリフト機構であってもよい。シザーリフト機構は、中央ピボットピンと外側ピボットピンを使用して互いに接続された一連の連結された折り畳み可能な支持部材を含んでもよい。支持部材は、シャーシの中央コンパートメントの内部にピボット結合された最下部の折り畳み可能な支持部材と、プラットフォームアセンブリの下側にピボット結合されてもよい最上部の折り畳み可能な支持部材とを含む。代わりとして、例えば、2020年9月3日に出願された米国特許出願第17/010,735号に開示されているものなどのように、伸縮自在のリフト機構は、シャーシの中央コンパートメントに収納可能で接続可能な伸縮可能なブーム(例えば、テレスコピックブーム)であってもよく、そのブームの遠位端はプラットフォームアセンブリに接続されていてもよい、前記米国特許出願は、この参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0018】
プラットフォームアセンブリは、伸縮自在のリフト機構の上方に機械的に接続されて配置され、伸縮自在のリフト機構の伸長とともにベースに対して垂直に移動してもよい。2019年2月14日に出願された米国特許出願第16/275,854号に開示されているように、プラットフォームアセンブリは、ガードレール、ケージ、又は人間のオペレータが安全に姿勢をとることができるバスケットを含んでもよく、前記米国特許出願は、この参照により本明細書にその全体が組み込まれる。オペレータコントロールは、ガードレール、ケージ、又はバスケット内に配置されたオペレータインターフェースに配置され、取り付けられてもよい。オペレータコントロールには、リフト、ドライブ、及びステアリングコントローラが含まれる。ステアリングコントローラは、プロポーショナルドライブジョイスティック、ステアリングホイール、2軸ロッカーコントロール、又はその他の適切なステアリングメカニズムであってもよい。オペレータインターフェースは、ブーム機能(上下または伸縮、プラットフォームの高さ及びプラットフォーム回転、エンジン始動、及びその他の機能)を指示するための制御機能をさらに含んでもよい。オペレータコントロールは、電子コントローラと電子的に通信してもよい。
【0019】
シャーシは、ホイールを回転させて車両を推進するために、ホイール(例えば、リアホイール)と機械的に接続された1つ以上のモータを収容していてもよい。1つ以上のモータは、例えば、電気モータ、油圧駆動装置、又はその他の適切な装置であってもよい。実施形態によっては、1つ以上の推進モータがリアホイールと機械的に接続されていてもよい。リアホイールは、車両を操向するために使用されないように方向的に固定されていてもよい。各リアホイールは、別個のモータと機械的に接続されてもよく、各モータはコントローラと電子通信し、コントローラは有線又は無線接続を介してモータに電子制御信号を送信してもよい。また、MEWPは、シャーシ内に地上制御パネルを含んでもよく、このパネルにより、リフト機能またはその他の機能を地上から操作でき、サービス技術者、地上要員、又は他の者が特定の状況(例えば、故障、緊急事態など)でMEWPを操作したり、プラットフォーム制御を無効にしたりすることができる。
【0020】
本開示のその他の利点は、以下の詳細な説明から容易に明らかになるが、これは単に本開示の例示であって限定ではない。理解されるように、本開示は他の異なる実施形態が可能であり、そのいくつかの詳細は、本開示から逸脱することなく、さまざまな明白な観点で変更可能である。従って、図面及び説明は、本質的に例示的であり、限定的ではないとみなされるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1図1は、本発明の一実施形態によるMEWP車両の斜視図である。
図2図2は、本発明の一実施形態によるMEWP車両の第1側面図である。
図3図3は、本発明の一実施形態によるMEWP車両の第2側面図である。
図4図4は、本発明の一実施形態によるMEWP車両の斜視図であり、この図ではプラットフォームアセンブリが取り外されて下部構造が露出している。
図5図5は、本発明の一実施形態によるMEWP車両の前面図であり、この図ではシャーシの前板が取り外されて内部構造が露出している。
図6図6は、本発明の一実施形態によるMEWP車両の斜視図であり、この図ではプラットフォームアセンブリが伸長されて上昇している。
図7図7は、本発明の一実施形態によるMEWP車両のシャーシ内部を上から見た図である。
図8図8は、本発明の一実施形態によるMEWP車両のホイールコンパートメントの内部のクローズアップ図である。
図9図9は、本発明の一実施形態による転向操作中のMEWP車両のシャーシの内部を上から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図面の詳細な説明
ここで、本発明の特定の実施形態について詳細に言及する。これらの実施形態の例は添付の図面に示されている。本発明は、これらの図及び本実施形態の特定の実装形態及び例を参照して説明されるが、このような実装形態及び例は本発明を限定するものではないことが理解されるであろう。それどころか、本発明は、請求項によって定義される本発明の精神及び範囲に含まれる代替しえるもの、修正したもの、及び同等なものをカバーすることを意図している。以下の開示では、本発明を完全に理解できるように具体的な詳細が示されている。この文書全体にわたる「本発明」のさまざまな特徴への言及は、請求されるすべての実施形態または方法が、言及された特徴を含まなければならないことを意味するものではない。本発明がこれらの具体的な詳細または特徴なしで実施できることは、当業者には明らかであろう。
【0023】
添付の図面の例示的な図が参照され、図面の複数の図にわたって同様のまたは対応する部分を示すために同様の参照文字が使用される場合がある。
【0024】
図1~9を参照すると、MEWP車両100が示されている。MEWP車両100は、シザーリフト車両、ブームリフト車両、または同様の車両であり、図1ではシザーリフトとして示されている。MEWP車両100は、中央コンパートメント101a、第1側部コンパートメント101b及び第2側部コンパートメント101cを有する車両シャーシ101を含み、各コンパートメントは、MEWP車両100のさまざまな構成要素を収容する役割を果たすことができる。車両100は、縮めているポジションとなっているときに中央コンパートメント101a内に収納されて格納されている伸縮自在のリフト機構105を含む。伸縮自在のリフト機構105は、シャーシ101に結合され、プラットフォームアセンブリ102を支持することができる。プラットフォームアセンブリ102は、伸縮自在のリフト機構105が中央コンパートメント101Aから伸長していくと、プラットフォームアセンブリ102が上昇するように伸縮自在のリフト機構105の上部に接続されていてもよい。
【0025】
図1に示すように、伸縮自在のリフト機構105は、シザーリフト構造であり、この構造は、中央ピボットピン105B及び外側ピボットピン105Cを使用して互いに接続された折り畳み可能な複数の支持部材105Aの組物で構成されている。垂直方向に伸縮可能なアセンブリにおいて、中央ピボットピン105B及び外側ピボットピン105Cは、隣接する複数の支持部材105Aを貫通して複数の支持部材105Aを回転可能に連結する。最下部の折り畳み可能な支持部材105Aは、中央コンパートメント101Aに回転可能に連結され、最上部の折り畳み可能な支持部材105Aは、プラットフォームアセンブリ102の下面に回転可能に連結されていてもよい。図5は、シャーシ100の前面外装パネルを取り外した状態のMEWP100の前面図である。この伸縮自在のリフト機構105は、縮めているポジションとなっている状態で示されている。この伸縮自在のリフト機構105はシャーシ101の中央コンパートメント101Aに収納されていることがわかる。
【0026】
シャーシ101から垂直に離れ互いに離れるように隣接する複数の支持部材105A間の角度関係を調整すると、伸縮自在のリフト機構105が伸長し、シャーシ101に対するプラットフォームアセンブリ102の位置(高さ)が変更される。伸縮自在のリフト機構105の折り畳み可能な複数の支持部材105Aは、リフトアクチュエータ(図示せず)を使用して折り畳んだり展開したりできる。リフトアクチュエータは例えば油圧シリンダ、空気圧シリンダ、電動リニアアクチュエータ、またはその他の適切なアクチュエータなどである。リフトアクチュエータは、コントローラ140と電子的に通信してもよく、オペレータインターフェース102または地上制御装置131を介してオペレータによって制御されてもよい。リフトアクチュエータは、伸縮自在のリフト機構105に選択的に力を加えることで、伸縮自在のリフト機構105の位置を制御する。たとえば、アクチュエータを伸長すると、折り畳み可能な複数の支持部材が上がり、リフトアクチュエータを逆方向に動かすと、折り畳み可能な複数の支持部材105Aが下がる。図6は、シャーシ101から完全に伸長した伸縮自在のリフト機構105を示している。
【0027】
図7~8は、シャーシ101の内部図であり内部構造を示す。実施形態によっては、車両の推進力は、リアホイール104A及び104Bと機械的に接続された電動モータ107A及び107Bによって駆動されてもよい。電動モータ107A及び107Bは、それぞれホイール104A及び104Bの回転を推進するように動作可能である。電動モータ107A及び107Bは、コントローラ140と電気的に通信してもよく、その動作は、オペレータインターフェース102Aを介して入力される開ループコマンドオペレーションを介してオペレータによって制御されてもよい。このような実施形態では、ステアリングコマンドは、ステアリングインプット102Bから電動モータ107A及び107Bに直接ルーティングされるか、またはコントローラ140を介して中継され電動モータ107A及び107Bにルーティングされる。オペレータインターフェース102Aは、ステアリングインプット102Bを含んでもよく、ステアリングインプット102Bはロッカースイッチジョイスティック又は他のメカニズムであってもよい。このメカニズムは、オペレータがステアリングスイッチコマンドなどに基づいて方向を選択し、オペレータインターフェース102Aで提供される速度制御に基づいて速度を調整できるメカニズムである。ステアリングインプット102Bは電気機械式であってもよく、コントローラ140と電子的に通信してもよい。
【0028】
いくつかの実施形態では、ステアリング信号はステアリングインプット102Bからコントローラ140に送信され、その後コントローラ140によって電気アクチュエータ108A及び108Bへとリレーされてもよい。速度は、オペレータインターフェース102Aに備えられた速度制御機構(ダイヤル、スロットルスイッチ、押し下げ可能なパッドまたはスイッチなど)によって制御されてもよい。コントローラ140は、ステアリングインプット102Bを介してオペレータによって指示されたようにMEWPの方向及び速度を追跡させてもよい。リアホイール104A及び104Bは方向的な動きをしなくてもよく、これらは車両のステアリングには使用されなくてもよい。さらに、それらはシャーシ101に独立して取り付けられてもよく、位置合わせされるが機械的には接続されなくてもよい。リアホイール104Aと104Bの間に後車軸がないため、中央コンパートメント101Aに伸縮自在のリフトシステム105を収納するための障害のないスペースをさらに確保することができる。このことにより、シャーシ101のサイズを小さくすることができコンパクトにすることができる。
【0029】
フロントホイールアセンブリ106A及び106Bと、リアホイールアセンブリ104は、シャーシ101の側部に取り付けられてもよい。フロントホイールアセンブリ106A及び106Bはそれぞれ、ホイールアセンブリのステアリングを制御するアクチュエータに接続するためのヨーク(それぞれ109A及び109B)を備えている。ステアリングシステムは独立している2つのステアリングアクチュエータ108A及び108Bを含み、ステアリングアクチュエータ108A及び108Bはそれぞれホイールアセンブリ106A及106Bに別々に接続されている。ステアリングアクチュエータ108Aはホイールアセンブリ106Aと機械的に接続され、ステアリングアクチュエータ108Bはホイールアセンブリ106Bと機械的に接続されている。第1ホイールアセンブリ106Aと第2ホイールアセンブリ106Bの間、またはステアリングアクチュエータ108Aと108Bの間には機械的接続はない。このことにより、中央コンパートメント101Aを横切る第1ホイールアセンブリ106Aと第2ホイールアセンブリ106Bの間の機械リンク機構がないため、コンパクトな設計が可能になる。第1ホイールアセンブリ106Aは第1側部コンパートメント101B内に格納されて完全に収容され、第2ホイールアセンブリ106Bは第2側部コンパートメント101C内に格納されて完全に収容されている。
【0030】
いくつかの実施形態では、操向可能なホイール103A及び103B用の電気アクチュエータ108A及び108Bは、シャーシの外壁又はその近くに配置されたリニアアクチュエータであってもよい。この電気アクチュエータは、ストローク長が約10mmから約500mmの範囲内(たとえば、約50mmから約250mmの範囲内、約75mmから約125mmの範囲内、約100mm、またはその範囲内の任意の値または任意の範囲内)のリニアアクチュエータであってもよい。アクチュエータ108A及び108Bは、アクチュエータ108A及び108Bに制御信号を提供する電子コントローラ140と電子的に通信している。
【0031】
電子コントローラ140は、機械実行可能命令を実行し、アクチュエータ108A及び108B、ブームアクチュエータ、モータ107A及び107B、並びに車両100のその他の電気・電子コンポーネントに制御信号を提供するように動作可能な少なくとも1つのプロセッサ(中央処理装置[CPU])を備えた1台以上の汎用コンピュータであってもよい。このシステムは、汎用コンピュータの機能に必要な、当業者によく知られているその他のコンポーネント(パワーサプライ、ハードドライブ、ランダムアクセスメモリ(RAM)、インターネット接続デバイス、ソフトウェアなど)をさらに含んでもよい。システムは、電子データを受信して処理するためのロジックユニット(ハードドライブに保存され、プロセッサによって実行可能な実行可能命令のパッケージなど)を含んでもよい。機械制御プログラミングは、コントローラ140のメモリに保存され、コントローラ140の1つ以上のプロセッサによってアクセス及び実行される。機械制御プログラミングを実行するコントローラ140は、マスターホイールの電動アクチュエータ108Aのエンコーダから電子データを受信し、マスターホイールのステアリング角度を正確に決定する。フォロワホイール(例:ホイールアセンブリ106B)のステアリング角度は、フォロワホイールの電動アクチュエータ108Bからのエンコーダデータから部分的に決定してもよい。このデータは、フォロワホイール(例: ホイール103B)のステアリング角度コマンドを計算するために、機械制御プログラミングを実行するコントローラ140によって使用されてもよい。
【0032】
コントローラ140は、いずれかのフロントホイールアセンブリをマスターとして扱うように動作可能であり、左側ホイールアセンブリと右側ホイールアセンブリの間でマスターホイールの指定を切り替えるように動作可能である。たとえば、オペレータインターフェースは、左側ホイールアセンブリまたは右側ホイールアセンブリをマスターホイールアセンブリとして選択するための選択メカニズムを備えていてもよい。マスターホイールとして選択されたホイールアセンブリは、オペレータインターフェース102Aの直接制御下に置かれていてもよい。例えば、ホイールアセンブリ103Aは、マスターホイールとして扱われてもよい。MEWPは、マスターホイール(例えば、ホイールアセンブリ103A)のステアリングに関して開ループ制御を利用し、フォロワホイール(例えば、ホイールアセンブリ103B)に関して閉ループ制御を利用してもよい。オペレータインターフェース102上のロッカースイッチの押下(または一部の実施形態ではジョイスティックの左への横方向の移動)は、マスターホイールを所定のトー角で左に回転するように調整することができ、右への移動は、マスターホイールを所定のトー角で右に回転するように調整することができる。マスターホイールの回転位置は、マスターホイールの位置検出デバイス(たとえば、電動アクチュエータ108A内のエンコーダ)によって監視されてもよく、電子コントローラ140に電子的に送信されて、コントローラ140にマスターホイール(たとえば、ホイール103A)の位置データを提供してもよい。次に、機械制御プログラミングを実行する電子コントローラ140は、マスターホイールのステアリング方向の変化、フォロワホイールの位置、及びこの機械制御プログラミング用に選択されプログラムされた所定のステアリングジオメトリに基づいて、フォロワホイール(たとえば、ホイール103B)へのステアリングコマンドを計算することができる。
【0033】
ステアリング入力102Bのステアリング入力によってマスターホイール(例: ホイール103A)の回転が開始されると、マスターホイールの電気アクチュエータ108A及びフォロワホイールの電気アクチュエータ108Bからのエンコーダデータを利用して、フォロワホイール(例:ホイール103B)の目標角度を決定できる。マスターホイールアセンブリ及びフォロワホイールアセンブリのエンコーダは、コントローラ140に正確な位置データを提供するように動作することができ、コントローラ140がフォロワホイール(例:ホイール103B)の目標ステアリング角度を計算できるようにする。機械制御プログラミングを実行する電子コントローラ140は、マスターホイール(例:ホイール103A)のエンコーダからフィードバック位置データを受信するように動作することができ、マスターホイール(例:ホイール103A)のトー角度の範囲内の所定の参照点を基準にしてその位置を特定できる。マスターホイール(例えば、ホイール103A)の位置は、基準点からの伸長または収縮の距離によって決定され、この基準点は、リニアアクチュエータ108Aの中間伸長点であってもよい。フォロワホイール(例えば、ホイール103B)の位置も、基準点からの伸長または収縮の距離によって決定され、この基準点は、リニアアクチュエータ108Bの中間伸長点であってもよい。機械制御プログラミングを実行するコントローラ140は、マスターホイールのステアリング角度が変化するたびに、マスターホイールのステアリング角度とフォロワホイールのステアリング角度に基づいてフォロワホイールの目標角度を計算することができる。コントローラ140によって実行される計算は、各リニアアクチュエータ108A及び108Bからのエンコーダ位置データと、システムの所定のステアリングジオメトリを利用する。これらのホイールステアリングアクチュエータのエンコーダは、リニアアクチュエータデバイス108A及び108Bに組み込まれる可能性があるため、個別には示されていない。いくつかの実施形態では、所定のステアリングジオメトリは、アッカーマンステアリングジオメトリである。
【0034】
図9は、本発明による例示的な転向操作を示しており、所定のステアリングジオメトリはアッカーマンジオメトリである。固定されているリアホイール104A及び104Bは一列に並んでいるが、接続車軸なしで回転するように独立して取り付けられている。ステアリング可能なマスターホイールアセンブリ103A及びフォロワアセンブリ103Bは、シャーシ101の前部またはその近くに横方向に一列に並んで回転するように取り付けられているが、それらの間に接続車軸なしで独立して取り付けられている。フロントホイール間及びリアホイール間に車軸がないため、それらをシャーシ101の側部コンパートメント101B及び101C内に完全に収容できる。この設計により、シャーシ101の中央コンパートメント101Aに、伸縮自在のリフト機構105を収容するためのスペースをとることができる。
【0035】
アッカーマンステアリングジオメトリでは、車両が転向するときにホイールの擦り傷を防ぐために、外側のホイールは内側のホイールよりも小さい角度で回転する必要がある。リアホイールとフロントホイールの軸の中心線は、ホイール軸線A、B、Cで表される。線AとBはそれぞれマスターホイールアセンブリ103Aとフォロワアセンブリ103Bの軸を表し、線Cはリアホイールの一直線となった軸を表す。完全なアッカーマンジオメトリを持つステアリングシステムは、軸A、B、Cが交差する点Dに対して最適な回転動作を行う。マスターホイールが、ステアリング入力102Bによって指示されたマスターホイールアクチュエータ108Aの作動の結果として方向を変えるように転向すると、
(1)マスターホイールアセンブリ103Aのエンコーダが、マスターホイールのトー角(例えば、角度A)の変化を測定してコントローラ140に正確なデータを提供し、
(2)フォロワホイールアセンブリ103Bのエンコーダが、フォロワホイールのトー角を測定してコントローラ140に正確なデータを提供し、
(3)コントローラが目標トー角(例えば、角度B)を計算し、
(4)コントローラ140が、フォロワホイールアクチュエータ108Bに制御信号を送信して、マスターホイールの軸とフォロワホイールの軸がリアホイールの軸(例えば、点 D)で交差してアッカーマンステアリングジオメトリを実現するように、フォロワホイールを現在のトー角から目標トー角(例えば、角度B)に回転させる。
このプロセスは、オペレータがMEWP車両100を運転する際に、オペレータがステアリング機構にさまざまなステアリング入力を入力するたびに、継続的に繰り返される。
【0036】
本発明のステアリングシステムは、操向可能なホイール間の機械リンク機構を利用する従来のシステムよりも、MEWP車両100を駆動し操向する動的プロセスを通じて、所定のジオメトリ(例えば、アッカーマンジオメトリ)に従ってマスターホイールとフォロワホイールのトー角をより正確に調整するように動作可能である。機械リンク機構では、このようなシステムが理想的なアッカーマンステアリングジオメトリに一致する能力がいくらか低くなる。本発明のマスターホイールとフォロワホイールは、電子コントローラ140の指示の下で独立して作動するため、独立したホイールアセンブリのより細かく、より動的な調整が可能になり、操向可能なホイールのトー角の全範囲にわたって、理想的なステアリングジオメトリに大幅に近づくことができる。理想的なステアリング形状に近づくと、機械的にリンクされたシステムと比較して、転向中に車両のホイールが地面で滑ったり擦れたりすることが少なくなる。
【0037】
本発明の実施形態の変形、修正、及び置換並びにその使用は、本発明の範囲から逸脱することなく行うことができることを理解されたい。また、本発明は、本明細書に開示された特定の実施形態、説明、または図解、あるいはコンポーネントまたはステップの組み合わせによって限定されないことも理解されたい。これらの実施形態は、本発明の原理及びその実際の適用を最もよく説明するために選択され、説明されており、それによって、当業者が本発明及びさまざまな実施形態を、想定される特定の用途に適したさまざまな修正を加えて最もよく利用できるようにしている。添付の図面を参照したが、これらの図面は例示的なものであり、本発明の範囲を制限するものではないことを理解されたい。本発明の範囲は、本明細書に添付された請求項及びその同等物によって定められることが意図されている。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【手続補正書】
【提出日】2023-11-27
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
a.車両シャーシと、
.独立操向可能な第1ホイールと、
.前記独立操向可能な第1ホイールと機械的に連結された第1リニアステアリングアクチュエータと、
.独立操向可能な第2ホイールと、
.前記独立操向可能な第2ホイールと機械的に連結された第2リニアステアリングアクチュエータとを備え、
第1リニアステアリングアクチュエータは、第1側部コンパートメントに収納され、
第2リニアステアリングアクチュエータは、第2側部コンパートメントに収納され、
前記独立操向可能な第1ホイールと前記独立操向可能な第2ホイールとの間には機械的接続がない高所作業車。
【請求項2】
車両シャーシから伸長すること及び車両シャーシ内に引き込むことができるように動作可能な伸縮自在のリフト機構をさらに備える請求項1に記載の車。
【請求項3】
前記伸縮自在のリフト機構を車両シャーシから伸長させること及び前記伸縮自在のリフト機構を前記シャーシ内に引き込むことができるように動作可能な、伸縮自在のリフト機構のアクチュエータをさらに備える請求項3に記載の車。
【請求項4】
前記伸縮自在のリフト機構の上端に配置され、前記伸縮自在のリフト機構の伸長とともに垂直方向に移動するように動作可能なプラットフォームアセンブリをさらに備える請求項2に記載の車。
【請求項5】
記車両シャーシは、中央コンパートメントを含み
前記中央コンパートメントは、前記車両シャーシの前部から前記車両シャーシの後部まで広がっている請求項2に記載の車。
【請求項6】
前記車両シャーシの後端またはその近くに独立して取り付けられた方向的な動きがない複数のリアホイールをさらに備え、複数のリアホイール間には機械リンク機構がない請求項に記載の車。
【請求項7】
第1ステアリングアクチュエータは、第1側部コンパートメントに収納されており、前記中央コンパートメントには存在しない請求項5に記載の車。
【請求項8】
第2ステアリングアクチュエータは、第2側部コンパートメントに収納されており、前記中央コンパートメントには存在しない請求項5に記載の車。
【請求項9】
データ処理用のプロセッサ、メモリ、及びデータを記憶するデータストレージデバイスを備えたコントローラをさらに備える請求項1に記載の車。
【請求項10】
データを入力するためのオペレータ入力デバイスをさらに備える請求項9に記載の車。
【請求項11】
前記データストレージデバイスは、前記プロセッサによる命令の実行に基づきシステムにステップ:
a.前記独立操向可能な第1ホイールの第1トー角を表す第1信号を受信するステップと、
b.第1トー角と所定のステアリングジオメトリに基づいて前記独立操向可能な第2ホイールの目標トー角を計算するステップと、
c.前記独立操向可能な第2ホイールの開始の第2トー角を表す第2信号を受信するステップと、
d.前記目標トー角と前記第2トー角との角度差を計算して前記独立操向可能な第2ホイールのための角度調節を決定するステップと、
e.前記角度調節に従って、前記独立操向可能な第2ホイールを転向させるためにステアリングコマンドを前記コントローラから前記独立操向可能な第2ホイールのステアリングアクチュエータに送信するステップと
を行わせる機械可読命令を記憶している請求項に記載の車。
【請求項12】
a.車両シャーシと、
b.独立操向可能な第1ホイールと、
c.前記第1ステアリングホイールと機械的に連結された第1リニアステアリングアクチュエータと、
d.独立操向可能な第2ホイールと、
e.前記第2ステアリングホイールと機械的に連結された第2リニアステアリングアクチュエータとを備え、
前記車両シャーシは、
i.中央コンパートメントと、
ii.第1側部コンパートメントと、
iii.第2側部コンパートメントとを有し、
第1リニアステアリングアクチュエータ及び前記独立操向可能な第1ホイールは、前記第1側部コンパートメントに収容され、
第2リニアステアリングアクチュエータ及び前記独立操向可能な第2ホイールは、前記第2側部コンパートメントに収容されている高所作業車。
【請求項13】
前記独立操向可能な第1ホイールと、前記独立操向可能な第2ホイールとの間には機械的接続がない請求項12に記載の車。
【請求項14】
前記独立操向可能な第1ホイールは、前記第1ステアリングアクチュエータに接続されている第1ステアリングヨークを有する請求項12に記載の車。
【請求項15】
前記独立操向可能な第2ホイールは、前記第2ステアリングアクチュエータに接続されている第2ステアリングヨークを有する請求項12に記載の車。
【請求項16】
前記車両シャーシから伸長すること及び前記車両シャーシ内に引き込むことができるように動作可能な伸縮自在のリフト機構をさらに備える請求項12に記載の車。
【請求項17】
前記伸縮自在のリフト機構を車両シャーシから伸長させること及び前記伸縮自在のリフト機構を前記シャーシ内に引き込むことができるように動作可能な、伸縮自在のリフト機構のアクチュエータをさらに備える請求項16に記載の車。
【請求項18】
前記伸縮自在のリフト機構の上端に配置され、前記伸縮自在のリフト機構の伸長とともに垂直方向に移動するように動作可能なプラットフォームアセンブリをさらに備える請求項16に記載の車。
【請求項19】
前記中央コンパートメントは、前記車両シャーシの前部から前記車両シャーシの後部まで広がっている請求項12に記載の車。
【請求項20】
前記車両シャーシの後端またはその近くに独立して取り付けられた方向的な動きがない複数のリアホイールをさらに備え、複数のリアホイール間には機械リンク機構がない請求項12に記載の車。
【請求項21】
第1ステアリングアクチュエータは、前記中央コンパートメントには存在しない請求項12に記載の車。
【請求項22】
第2ステアリングアクチュエータは、前記中央コンパートメントには存在しない請求項12に記載の車。
【請求項23】
データ処理用のプロセッサ、メモリ、及びデータを記憶するデータストレージデバイスを備えたコントローラをさらに備える請求項12に記載の車。
【請求項24】
ステアリングコマンドを入力するためのオペレータ入力デバイスをさらに備える請求項23に記載の車。
【請求項25】
前記プロセッサによる命令の実行に基づきシステムに、機械により実行されるステップ:
a.独立操向可能な第1ホイールの第1トー角を表す第1信号を受信するステップと、
b.所定のステアリングジオメトリに基づいて独立操向可能な第2ホイールの目標トー角を計算するステップと、
c.独立操向可能な第2ホイールの第2トー角を表す第2信号を受信するステップと、
d.前記目標トー角と前記第2トー角との角度差を計算してステアリングコマンドを作成するステップと、
e.前記角度差に従って、独立操向可能な第2ホイールを転向させるために、前記ステアリングコマンドを前記コントローラから独立操向可能な第2ホイールのステアリングアクチュエータに送信するステップと
を行わせる命令を保持するデータストレージデバイスを備える請求項24に記載の車。
【請求項26】
車両のトー角が独立している複数のホイールのステアリングジオメトリを決定するシステムであって、
a.データ処理用のプロセッサ、メモリ、及びデータを記憶するデータストレージデバイスを備えたコントローラと、
b.ステアリングコマンドデータを入力するための入力デバイスと、
c.前記プロセッサによる命令の実行に基づきシステムに、機械により実行されるステップ:
i.独立操向可能な第1ホイールの第1トー角を表す第1信号を受信するステップと、
ii.所定のステアリングジオメトリに基づいて独立操向可能な第2ホイールの目標トー角を計算するステップと、
iii.独立操向可能な第2ホイールの開始のトー角を表す第2信号を受信するステップと、
iv.前記目標トー角と前記開始のトー角との角度差を計算してステアリングコマンドを作成するステップと、
v.前記角度差に従って、独立操向可能な第2ホイールを転向させるために、前記ステアリングコマンドを前記コントローラから独立操向可能な第2ホイールのリニアステアリングアクチュエータに送信するステップと
を行わせる命令を記憶しているデータストレージデバイスとを備えるシステム。
【請求項27】
前記独立操向可能な第1ホイールの前記トー角を調整できるように動作可能なステアリング機構をさらに備え、前記ステアリング機構は前記コントローラと電子的に通信する請求項26に記載のシステム。
【請求項28】
前記独立操向可能な第1ホイールは車両の右側の操向可能なフロントホイールであり、操向可能な第2ホイールは車両の左側の独立操向可能なフロントホイールである請求項26に記載のシステム。
【請求項29】
前記独立操向可能な第1ホイールは車両の左側の操向可能なフロントホイールであり、操向可能な第2ホイールは車両の右側の独立操向可能なフロントホイールである請求項26に記載のシステム。
【請求項30】
前記所定のステアリングジオメトリはアッカーマンジオメトリであり、前記独立操向可能な第1ホイールの第2トー角に基づいて前記独立操向可能な第2ホイールのアッカーマン角を決定する請求項26に記載のシステム。
【請求項31】
.前記独立操向可能な第2ホイールの前記ステアリングアクチュエータを作動させて前記アッカーマン角を達成することができるような電気信号値を計算するステップと、
.前記電気信号値を補助コントローラから前記独立操向可能な第2ホイールの電気的な前記ステアリングアクチュエータに送信するステップと、を含み、
ステアリングコマンドを決定する請求項30に記載のシステム。
【請求項32】
前記コントローラは、前記ステアリング機構の操作によって前記独立操向可能な第1ホイールが第2方向に転向しているときに、前記独立操向可能な第1ホイールの第3トー角を表す第3信号を受信するようにさらに動作可能である請求項27に記載のシステム。
【請求項33】
前記第3トー角及び前記所定のステアリングジオメトリに基づいて、前記独立操向可能な第2ホイールの第2目標トー角を計算する請求項32に記載のシステム。
【請求項34】
前記第2目標トー角と前記独立操向可能な第2ホイールのトー角との間の第2角度差を計算して、第2ステアリングコマンドを作成する請求項33に記載のシステム。
【請求項35】
独立操向可能な第1及び第2ホイールを有するタイプの車両のステアリングジオメトリを決定する方法であって、
ステアリングシステムは、操向可能なホイールのトー角を表すトー角信号を生成するためのホイール角センサデバイスを備え、
前記方法は、機械によって実行されるステップ:
i.独立操向可能な第1ホイールの第1トー角を表す第1信号を受信するステップと、
ii.所定のステアリングジオメトリに基づいて独立操向可能な第2ホイールの目標トー角を計算するステップと、
iii.独立操向可能な第2ホイールの第2トー角を表す第2信号を受信するステップと、
iv.前記目標トー角と前記第2トー角との角度差を計算してステアリングコマンドを作成するステップと、
v.独立操向可能な第2ホイールを転向させるために、前記ステアリングコマンドを前記コントローラから独立操向可能な第2ホイールのステアリングアクチュエータに送信するステップとを含む方法。
【請求項36】
a.前記独立操向可能な第1ホイールの第2トー角に基づいて前記独立操向可能な第2ホイールのアッカーマン角を決定するステップと、
b.前記独立操向可能な第2ホイールの前記ステアリングアクチュエータを作動させて前記アッカーマン角を達成することができるような電気信号値を計算するステップと、
c.前記電気信号値を補助コントローラから前記独立操向可能な第2ホイールの電気的な前記ステアリングアクチュエータに送信するステップと、
をさらに含む請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記コントローラは、前記ステアリング機構の操作によって前記独立操向可能な第1ホイールが第2方向に転向しているときに、前記独立操向可能な第1ホイールの第3トー角を表す第3信号を受信するようにさらに動作可能である請求項35に記載の方法。
【請求項38】
前記第3トー角及び前記所定のステアリングジオメトリに基づいて、前記独立操向可能な第2ホイールの第2目標トー角を計算する請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記第2目標トー角と前記独立操向可能な第2ホイールのトー角との間の第2角度差を計算して、第2ステアリングコマンドを作成する請求項38に記載の方法。
【国際調査報告】