(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-02-06
(54)【発明の名称】抗BTLA抗体および癌治療におけるその使用
(51)【国際特許分類】
C07K 16/30 20060101AFI20250130BHJP
C12N 15/13 20060101ALI20250130BHJP
C12N 15/63 20060101ALI20250130BHJP
C12N 1/15 20060101ALI20250130BHJP
C12N 1/19 20060101ALI20250130BHJP
C12N 1/21 20060101ALI20250130BHJP
C12N 5/10 20060101ALI20250130BHJP
C12P 21/08 20060101ALI20250130BHJP
A61K 39/395 20060101ALI20250130BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20250130BHJP
G01N 33/53 20060101ALI20250130BHJP
G01N 33/531 20060101ALI20250130BHJP
【FI】
C07K16/30 ZNA
C12N15/13
C12N15/63 Z
C12N1/15
C12N1/19
C12N1/21
C12N5/10
C12P21/08
A61K39/395 N
A61P35/00
G01N33/53 D
G01N33/531 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024544861
(86)(22)【出願日】2023-01-29
(85)【翻訳文提出日】2024-09-04
(86)【国際出願番号】 CN2023073700
(87)【国際公開番号】W WO2023143565
(87)【国際公開日】2023-08-03
(31)【優先権主張番号】PCT/CN2022/075097
(32)【優先日】2022-01-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524280429
【氏名又は名称】ハイファイバイオ, インク.
(74)【代理人】
【識別番号】100113376
【氏名又は名称】南条 雅裕
(74)【代理人】
【識別番号】100179394
【氏名又は名称】瀬田 あや子
(74)【代理人】
【識別番号】100185384
【氏名又は名称】伊波 興一朗
(74)【代理人】
【識別番号】100137811
【氏名又は名称】原 秀貢人
(72)【発明者】
【氏名】リー ジュイン
(72)【発明者】
【氏名】ジャン チェン
(72)【発明者】
【氏名】シェン ビンキン
(72)【発明者】
【氏名】エイドリアン フランシスコ
(72)【発明者】
【氏名】シュワイツァー リアン
【テーマコード(参考)】
4B064
4B065
4C085
4H045
【Fターム(参考)】
4B064AG27
4B064CA10
4B064CA19
4B064CC24
4B064DA01
4B064DA13
4B065AA01X
4B065AA57X
4B065AA72X
4B065AA87X
4B065AA90Y
4B065AB01
4B065AC14
4B065BA02
4B065BC01
4B065BD14
4B065CA25
4B065CA44
4B065CA46
4C085AA14
4C085AA16
4C085BB11
4C085DD62
4C085EE01
4C085GG01
4H045AA11
4H045AA20
4H045AA30
4H045BA10
4H045CA40
4H045DA76
4H045EA20
4H045EA51
4H045FA74
(57)【要約】
抗BTLA抗体および抗原結合断片が、提供される。また、抗体をコードする核酸、抗体を含む組成物、および抗体を産生する方法、およびそれを必要とする対象において癌を治療または予防するために抗体を使用する方法も、提供される。
【選択図】 なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
単離モノクローナル抗体またはその抗原結合断片であって、
重鎖相補性決定領域1(HCDR1)、HCDR2、HCDR3、軽鎖相補性決定領域1(LCDR1)、LCDR2、およびLCDR3を含み、
これらは以下のポリペプチド配列を有し:
(1)それぞれ、配列番号7、8、153、10、11、および12;
または
(2)それぞれ、配列番号1、2、3、4、5、および6;
ここで、前記抗体またはその抗原結合断片は、BおよびTリンパ球アテニュエーター(B- and T-lymphocyte attenuator)(BTLA)、好ましくはヒトBTLAと、特異的に結合し、前記モノクローナル抗体またはその抗原結合断片は、自然起源でなくてもよい、
単離モノクローナル抗体またはその抗原結合断片。
【請求項2】
請求項1に記載された単離モノクローナル抗体またはその抗原結合断片であって、
配列番号15または13と、少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、
または
配列番号16または14と、少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域
を含む、
単離モノクローナル抗体またはその抗原結合断片。
【請求項3】
請求項1または2に記載された単離モノクローナル抗体またはその抗原結合断片であって:
(1)配列番号15のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、および配列番号16のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
または
(2)配列番号13のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、および配列番号14のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
を含む、
単離モノクローナル抗体またはその抗原結合断片。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか一項に記載された単離モノクローナル抗体またはその抗原結合断片であって、
前記抗体またはその抗原結合断片は、キメラ型のおよび/またはヒト型のまたはヒト化されたものである、
単離モノクローナル抗体またはその抗原結合断片。
【請求項5】
請求項4に記載された単離モノクローナル抗体またはその抗原結合断片であって、
前記単離モノクローナル抗体またはその抗原結合断片は、重鎖相補性決定領域1(HCDR1)、HCDR2、HCDR3、軽鎖相補性決定領域1(LCDR1)、LCDR2、およびLCDR3を含み、
これらは以下のポリペプチド配列を有する:
(1)それぞれ、配列番号7、8、150、10、11、および12;
(2)それぞれ、配列番号1、2、3、4、5、および6;
(3)それぞれ、配列番号7、8、9、10、11、および12;
(4)それぞれ、配列番号7、8、149、10、11、および12;
(5)それぞれ、配列番号7、8、151、10、11、および12;
または
(6)それぞれ、配列番号7、8、152、10、11、および12;
単離モノクローナル抗体またはその抗原結合断片。
【請求項6】
請求項5に記載された単離モノクローナル抗体またはその抗原結合断片であって、
前記単離モノクローナル抗体またはその抗原結合断片は、配列番号141、17、19、21、23、25、27、29、31、33、35、37、39、41、43、45、47、49、51、53、55、57、59、61、63、65、67、69、71、73、75、77、79、81、83、85、87、89、91、93、95、97、99、101、103、105、107、109、111、113、115、117、119、121、123、125、127、129、131、133、135、137、139、143、145、または147と、少なくとも95%同一のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、
または
配列番号142、18、20、22、24、26、28、30、32、34、36、38、40、42、44、46、48、50、52、54、56、58、60、62、64、66、68、70、72、74、76、78、80、82、84、86、88、90、92、94、96、98、100、102、104、106、108、110、112、114、116、118、120、122、124、126、128、130、132、134、136、138、140、144、146、または148と、少なくとも95%同一のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域
を含む、
単離モノクローナル抗体またはその抗原結合断片。
【請求項7】
請求項6に記載された単離モノクローナル抗体またはその抗原結合断片であって、
前記単離モノクローナル抗体またはその抗原結合断片は、以下を含む:
(1)配列番号141のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、および配列番号142のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
(2)配列番号17のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、および配列番号18のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
(3)配列番号19のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、および配列番号20のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
(4)配列番号21のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、および配列番号22のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
(5)配列番号23のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、および配列番号24のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
(6)配列番号25のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、および配列番号26のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
(7)配列番号27のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、および配列番号28のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
(8)配列番号29のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、および配列番号30のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
(9)配列番号31のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、および配列番号32のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
(10)配列番号33のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、および配列番号34のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
(11)配列番号35のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、および配列番号36のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
(12)配列番号37のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、および配列番号38のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
(13)配列番号39のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、および配列番号40のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
(14)配列番号41のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、および配列番号42のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
(15)配列番号43のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、および配列番号44のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
(16)配列番号45のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、および配列番号46のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
(17)配列番号47のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、および配列番号48のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
(18)配列番号49のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、および配列番号50のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
(19)配列番号51のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、および配列番号52のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
(20)配列番号53のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、および配列番号54のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
(21)配列番号55のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、および配列番号56のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
(22)配列番号57のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、および配列番号58のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
(23)配列番号59のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、および配列番号60のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
(24)配列番号61のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、および配列番号62のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
(25)配列番号63のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、および配列番号64のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
(26)配列番号65のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、および配列番号66のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
(27)配列番号67のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、および配列番号68のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
(28)配列番号69のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、および配列番号70のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
(29)配列番号71のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、および配列番号72のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
(30)配列番号73のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、および配列番号74のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
(31)配列番号75のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、および配列番号76のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
(32)配列番号77のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、および配列番号78のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
(33)配列番号79のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、および配列番号80のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
(34)配列番号81のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、および配列番号82のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
(35)配列番号83のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、および配列番号84のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
(36)配列番号85のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、および配列番号86のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
(37)配列番号87のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、および配列番号88のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
(38)配列番号89のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、および配列番号90のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
(39)配列番号91のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、および配列番号92のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
(40)配列番号93のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、および配列番号94のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
(41)配列番号95のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、および配列番号96のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
(42)配列番号97のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、および配列番号98のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
(43)配列番号99のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、および配列番号100のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
(44)配列番号101のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、および配列番号102のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
(45)配列番号103のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、および配列番号104のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
(46)配列番号105のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、および配列番号106のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
(47)配列番号107のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、および配列番号108のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
(48)配列番号109のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、および配列番号110のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
(49)配列番号111のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、および配列番号112のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
(50)配列番号113のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、および配列番号114のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
(51)配列番号115のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、および配列番号116のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
(52)配列番号117のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、および配列番号118のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
(53)配列番号119のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、および配列番号120のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
(54)配列番号121のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、および配列番号122のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
(55)配列番号123のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、および配列番号124のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
(56)配列番号125のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、および配列番号126のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
(57)配列番号127のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、および配列番号128のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
(58)配列番号129のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、および配列番号130のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
(59)配列番号131のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、および配列番号132のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
(60)配列番号133のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、および配列番号134のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
(61)配列番号135のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、および配列番号136のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
(62)配列番号137のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、および配列番号138のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
(63)配列番号139のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、および配列番号140のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
(64)配列番号143のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、および配列番号144のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
(65)配列番号145のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、および配列番号146のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
または
(66)配列番号147のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、および配列番号148のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
単離モノクローナル抗体またはその抗原結合断片。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか一項に記載された単離モノクローナル抗体またはその抗原結合断片であって、
前記モノクローナル抗体またはその抗原結合断片は、ヒトBTLAに約25nM、20nM、15nM、5nM、2nM、1nM、または0.5nM未満のK
Dで結合する、
単離モノクローナル抗体またはその抗原結合断片。
【請求項9】
請求項1~7のいずれか一項に記載された単離モノクローナル抗体またはその抗原結合断片であって、
前記モノクローナル抗体またはその抗原結合断片は、ヒトBTLAのアゴニストであり、およびBTLAに結合する際に、BTLAからの下流シグナル伝達を活性化する、
単離モノクローナル抗体またはその抗原結合断片。
【請求項10】
請求項1~7のいずれか一項に記載された単離モノクローナル抗体またはその抗原結合断片であって、
前記モノクローナル抗体またはその抗原結合断片は、B細胞増殖および/またはT細胞および/または形質細胞活性化を阻害することが可能である、
単離モノクローナル抗体またはその抗原結合断片。
【請求項11】
請求項10に記載された単離モノクローナル抗体またはその抗原結合断片であって、
前記T細胞は、CD4 T細胞、CD8 T細胞、Th1 T細胞、TFH T細胞、αβT細胞、およびγδT細胞からなる群から選択される、
単離モノクローナル抗体またはその抗原結合断片。
【請求項12】
請求項1~7のいずれか一項に記載された単離モノクローナル抗体またはその抗原結合断片であって、
前記モノクローナル抗体またはその抗原結合断片は、ヘルペスウイルス侵入メディエーター(herpes virus entry mediator)(HVEM)へのBTLAの結合を、遮断または消失させることが可能である、
単離モノクローナル抗体またはその抗原結合断片。
【請求項13】
請求項1~7のいずれか一項に記載された単離モノクローナル抗体またはその抗原結合断片であって、
前記モノクローナル抗体またはその抗原結合断片は、炎症性サイトカイン産生を増加させること;複合化薬物の動員を媒介すること;および/または殺癌効果を有する別のmAbまたはその抗原結合断片と二重特異性抗体を形成することが可能である、
単離モノクローナル抗体またはその抗原結合断片。
【請求項14】
請求項13のいずれか一項に記載された単離モノクローナル抗体またはその抗原結合断片であって、
前記炎症性サイトカインは、インターフェロンγ(IFNγ)、インターロイキン-2(IL-2)、C-X-Cモチーフケモカインリガンド9(CXCL9)、C-X-Cモチーフケモカインリガンド10(CXCL10)、インターロイキン1β(IL1β)、および/または腫瘍壊死因子α(TNFα)から選択される、
単離モノクローナル抗体またはその抗原結合断片。
【請求項15】
請求項1~14のいずれか一項に記載された単離モノクローナル抗体またはその抗原結合断片であって、
前記モノクローナル抗体またはその抗原結合断片は、カニクイザルBTLAと特異的に結合する、
単離モノクローナル抗体またはその抗原結合断片。
【請求項16】
請求項1~15のいずれか一項に記載されたモノクローナル抗体またはその抗原結合断片を含む、二重特異性抗体またはその抗原結合断片。
【請求項17】
請求項1~15のいずれか一項に記載されたモノクローナル抗体またはその抗原結合断片をコードする、単離核酸。
【請求項18】
請求項16に記載された二重特異性抗体またはその抗原結合断片をコードする、単離核酸。
【請求項19】
請求項17または18に記載された単離核酸を含む、ベクター。
【請求項20】
請求項19に記載されたベクターを含む、宿主細胞。
【請求項21】
請求項1~15のいずれか一項に記載された単離モノクローナル抗体またはその抗原結合断片、または請求項16に記載された二重特異性抗体またはその抗原結合断片、および薬学的に許容される担体を含む、医薬組成物。
【請求項22】
癌細胞表面上のBTLAを標的とする方法、および/またはそれを必要とする対象において癌を治療する方法であって、
請求項21に記載された医薬組成物を前記対象へ投与するステップを含む、
方法。
【請求項23】
請求項22に記載された方法であって、
前記癌は、固形腫瘍であり、好ましくは浸潤T細胞を有する固形腫瘍であり、より好ましくは浸潤エフェクターT細胞を有する固形腫瘍であり、より好ましくはBTLAを発現しているエフェクターT細胞を有する固形腫瘍であり、最も好ましくはBTLAを発現している浸潤エフェクターT細胞を有し腫瘍微小環境においてBTLAリガンドHVEMが高発現している固形腫瘍である、
方法。
【請求項24】
請求項22または23に記載された方法であって、
前記癌は、黒色腫、肺癌、腎細胞癌、および肝臓癌からなる群から選択される、
方法。
【請求項25】
請求項22~24のいずれか一項に記載された方法であって、
前記対象は、BTLA発現T細胞、B細胞、樹状細胞(DC)、またはナチュラルキラー(NK)細胞を含む、
方法。
【請求項26】
請求項22~25のいずれか一項に記載された方法であって、
前記医薬組成物は、第2の抗癌剤をさらに含む、
方法。
【請求項27】
請求項26に記載された方法であって、
前記第2の抗癌剤は、抗PD1抗体またはその抗原結合断片である、
方法。
【請求項28】
請求項1~15のいずれか一項に記載されたモノクローナル抗体またはその抗原結合断片、または請求項16に記載された二重特異性抗体またはその抗原結合断片を産生する方法であって、
前記モノクローナル抗体またはその抗原結合断片、または二重特異性抗体またはその抗原結合断片をコードする核酸を含む細胞を、前記モノクローナル抗体またはその抗原結合断片、または二重特異性抗体またはその抗原結合断片を産生する条件下で、培養するステップ、
および
前記モノクローナル抗体またはその抗原結合断片、または二重特異性抗体またはその抗原結合断片を、前記細胞または培養物から回収するステップ
を含む、
方法。
【請求項29】
請求項1~15のいずれか一項に記載されたモノクローナル抗体または抗原結合断片、または請求項16に記載された二重特異性抗体またはその抗原結合断片を含む、医薬組成物を産生する方法であって、
前記モノクローナル抗体またはその抗原結合断片、または二重特異性抗体またはその抗原結合断片を、薬学的に許容される担体と組み合わせて、前記医薬組成物を得るステップを含む、
方法。
【請求項30】
対象におけるBTLAのレベルを決定する方法であって、
前記方法は:
a.前記対象から試料を得るステップ;
b.前記試料を請求項1~15のいずれか一項に記載された単離モノクローナル抗体またはその抗原結合断片と接触させるステップ;
および
c.前記対象におけるBTLAのレベルを決定するステップ;
を含む、
方法。
【請求項31】
請求項30に記載された方法であって、
前記試料は、組織試料または血液試料であり、
前記組織試料は、癌組織試料であってもよい、
方法。
【請求項32】
請求項30に記載された方法であって、
前記試料は、T細胞、B細胞、樹状細胞(DC)、またはナチュラルキラー(NK)細胞を含む、
方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願への相互参照]
本出願は、2022年1月29日に出願されたPCT特許出願番号PCT/CN2022/075097の優先権を主張し、その開示は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
[技術分野]
本発明は、単離抗BおよびTリンパ球アテニュエーター(BTLA)モノクローナル抗体またはその抗原結合断片、抗体をコードする核酸および発現ベクター、ベクターを含む組換え細胞、および抗体を含む組成物に関連する。抗体を作る方法、および癌および/または関連する合併症を含む疾患を治療するために抗体を使用する方法もまた、提供される。
【0003】
[電子的に提出される配列表への言及]
本出願は配列表を含み、それは電子的に提出される。電子配列表(065798.8WO2 Sequence Listing.xml;サイズ:148818バイト;作成日2023年1月19日)の内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0004】
BおよびTリンパ球アテニュエーター(B- and T-lymphocyte attenuator)(BTLA)は、CD28免疫グロブリンスーパーファミリーに属する。それは共抑制免疫チェックポイント分子であり、PD-1およびCTLA-4と構造的および機能的な類似性を共有する。BTLAの発現は、免疫細胞(T細胞、B細胞、DC、NK細胞など)に限られる。そのリガンドであるHVEMが結合する際に、BTLAの細胞内ドメインは、2つのホスファターゼ(SHP1およびSHP2)を通じてシグナル伝達し、T細胞およびB細胞における下流のTCRおよびBCRシグナル伝達を阻害する。BTLAは、T細胞分化の間、他の阻害チェックポイントとは異なる発現プロファイルを有することから、複数の抑制性分子を同時にまたは逐次的に遮断することで、T細胞ベース療法を改善しうることが示唆される。従って、BTLAは、BTLA陽性癌を治療し、治癒させる可能性のある、癌免疫療法の理想的な標的である。
【発明の概要】
【0005】
一般的な一態様において、本発明は、BおよびTリンパ球アテニュエーター(BTLA)と特異的に結合する、単離モノクローナル抗体またはその抗原結合断片に関連する。
【0006】
単離モノクローナル抗体またはその抗原結合断片であって、
重鎖相補性決定領域1(HCDR1)、HCDR2、HCDR3、軽鎖相補性決定領域1(LCDR1)、LCDR2、およびLCDR3を含み、
これらは以下のポリペプチド配列を有し:
(1)それぞれ、配列番号7、8、153、10、11、および12;または
(2)それぞれ、配列番号1、2、3、4、5、および6;
ここで、前記抗体またはその抗原結合断片は、BおよびTリンパ球アテニュエーター(BTLA)、好ましくはヒトBTLAと、特異的に結合し、前記モノクローナル抗体またはその抗原結合断片は、自然起源でなくてもよい、
単離モノクローナル抗体またはその抗原結合断片が提供される。配列番号153は、アミノ酸配列CAREDGYPYYTLDX1Wによって表され、ここでX1は、C、A、S、T、またはVから選択されるアミノ酸である。
【0007】
ある実施形態において、単離モノクローナル抗体またはその抗原結合断片は、HCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、およびLCDR3を含み、
これらは以下のポリペプチド配列を有し:
(1)それぞれ、配列番号7、8、9、10、11、および12;または
(2)それぞれ、配列番号1、2、3、4、5、および6;
ここで、前記抗体またはその抗原結合断片は、BおよびTリンパ球アテニュエーター(BTLA)、好ましくはヒトBTLAと、特異的に結合し、前記モノクローナル抗体またはその抗原結合断片は、自然起源でなくてもよい。
【0008】
ある実施形態において、単離モノクローナル抗体またはその抗原結合断片は、
配列番号15または13と、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%同一のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、または
配列番号16または14と、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%同一のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域を含む。
【0009】
ある実施形態において、単離抗BTLAモノクローナル抗体またはその抗原結合断片は:
(1)配列番号15のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、および配列番号16のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;または
(2)配列番号13のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、および配列番号14のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域を含む。
【0010】
ある実施形態において、単離モノクローナル抗体またはその抗原結合断片は、キメラ型のまたはヒト型のまたはヒト化されたものである。
【0011】
ある実施形態において、ヒト化モノクローナル抗体またはその抗原結合断片は、重鎖相補性決定領域1(HCDR1)、HCDR2、HCDR3、軽鎖相補性決定領域1(LCDR1)、LCDR2、およびLCDR3を含み、
これらは以下のポリペプチド配列を有する:
(1)それぞれ、配列番号7、8、150、10、11、および12;
(2)それぞれ、配列番号1、2、3、4、5、および6;
(3)それぞれ、配列番号7、8、9、10、11、および12;
(4)それぞれ、配列番号7、8、149、10、11、および12;
(5)それぞれ、配列番号7、8、151、10、11、および12;または
(6)それぞれ、配列番号7、8、152、10、11、および12。
【0012】
ある実施形態において、単離モノクローナル抗体またはその抗原結合断片は、
配列番号141、17、19、21、23、25、27、29、31、33、35、37、39、41、43、45、47、49、51、53、55、57、59、61、63、65、67、69、71、73、75、77、79、81、83、85、87、89、91、93、95、97、99、101、103、105、107、109、111、113、115、117、119、121、123、125、127、129、131、133、135、137、139、143、145、または147と、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%同一のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、または
配列番号142、18、20、22、24、26、28、30、32、34、36、38、40、42、44、46、48、50、52、54、56、58、60、62、64、66、68、70、72、74、76、78、80、82、84、86、88、90、92、94、96、98、100、102、104、106、108、110、112、114、116、118、120、122、124、126、128、130、132、134、136、138、140、144、146、または148と、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%同一のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域を含む。
【0013】
ある実施形態において、ヒト化単離抗BTLAモノクローナル抗体またはその抗原結合断片は、以下を含む:
(1)配列番号141のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、および配列番号142のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
(2)配列番号17のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、および配列番号18のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
(3)配列番号19のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、および配列番号20のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
(4)配列番号21のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、および配列番号22のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
(5)配列番号23のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、および配列番号24のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
(6)配列番号25のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、および配列番号26のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
(7)配列番号27のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、および配列番号28のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
(8)配列番号29のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、および配列番号30のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
(9)配列番号31のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、および配列番号32のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
(10)配列番号33のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、および配列番号34のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
(11)配列番号35のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、および配列番号36のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
(12)配列番号37のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、および配列番号38のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
(13)配列番号39のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、および配列番号40のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
(14)配列番号41のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、および配列番号42のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
(15)配列番号43のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、および配列番号44のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
(16)配列番号45のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、および配列番号46のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
(17)配列番号47のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、および配列番号48のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
(18)配列番号49のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、および配列番号50のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
(19)配列番号51のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、および配列番号52のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
(20)配列番号53のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、および配列番号54のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
(21)配列番号55のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、および配列番号56のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
(22)配列番号57のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、および配列番号58のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
(23)配列番号59のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、および配列番号60のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
(24)配列番号61のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、および配列番号62のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
(25)配列番号63のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、および配列番号64のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
(26)配列番号65のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、および配列番号66のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
(27)配列番号67のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、および配列番号68のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
(28)配列番号69のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、および配列番号70のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
(29)配列番号71のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、および配列番号72のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
(30)配列番号73のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、および配列番号74のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
(31)配列番号75のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、および配列番号76のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
(32)配列番号77のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、および配列番号78のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
(33)配列番号79のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、および配列番号80のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
(34)配列番号81のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、および配列番号82のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
(35)配列番号83のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、および配列番号84のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
(36)配列番号85のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、および配列番号86のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
(37)配列番号87のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、および配列番号88のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
(38)配列番号89のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、および配列番号90のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
(39)配列番号91のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、および配列番号92のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
(40)配列番号93のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、および配列番号94のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
(41)配列番号95のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、および配列番号96のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
(42)配列番号97のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、および配列番号98のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
(43)配列番号99のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、および配列番号100のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
(44)配列番号101のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、および配列番号102のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
(45)配列番号103のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、および配列番号104のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
(46)配列番号105のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、および配列番号106のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
(47)配列番号107のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、および配列番号108のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
(48)配列番号109のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、および配列番号110のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
(49)配列番号111のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、および配列番号112のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
(50)配列番号113のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、および配列番号114のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
(51)配列番号115のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、および配列番号116のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
(52)配列番号117のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、および配列番号118のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
(53)配列番号119のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、および配列番号120のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
(54)配列番号121のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、および配列番号122のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
(55)配列番号123のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、および配列番号124のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
(56)配列番号125のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、および配列番号126のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
(57)配列番号127のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、および配列番号128のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
(58)配列番号129のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、および配列番号130のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
(59)配列番号131のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、および配列番号132のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
(60)配列番号133のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、および配列番号134のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
(61)配列番号135のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、および配列番号136のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
(62)配列番号137のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、および配列番号138のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
(63)配列番号139のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、および配列番号140のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
(64)配列番号143のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、および配列番号144のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
(65)配列番号145のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、および配列番号146のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
または
(66)配列番号147のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、および配列番号148のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域。
【0014】
ある実施形態において、単離モノクローナル抗体またはその抗原結合断片は、カニクイザルBTLAと特異的に結合する。
【0015】
ある実施形態において、単離モノクローナル抗体またはその抗原結合断片は、ヒトBTLAに約25nM、20nM、15nM、5nM、2nM、1nM、または0.5nM未満のKDで結合する。
【0016】
ある実施形態において、単離モノクローナル抗体またはその抗原結合断片は、ヒトBTLAのアゴニストであり、およびBTLAに結合する際に、BTLAからの下流シグナル伝達を活性化する。
【0017】
ある実施形態において、モノクローナル抗体またはその抗原結合断片は、B細胞増殖および/またはT細胞および/または形質細胞活性化を阻害することが可能である。T細胞は、例えばCD4 T細胞、CD8 T細胞、Th1 T細胞、TFH T細胞、αβT細胞、およびγδT細胞からなる群から選択されうる。
【0018】
ある実施形態において、モノクローナル抗体またはその抗原結合断片は、ヘルペスウイルス侵入メディエーター(herpes virus entry mediator)(HVEM)へのBTLAの結合を、遮断または消失させることが可能である。
【0019】
ある実施形態において、単離モノクローナル抗体またはその抗原結合断片は、BTLAと結合し、および、炎症性サイトカイン産生、例えば、インターフェロンγ(IFNγ)、インターロイキン-2(IL-2)、C-X-Cモチーフケモカインリガンド9(CXCL9)、C-X-Cモチーフケモカインリガンド10(CXCL10)、インターロイキン1β(IL1β)、および腫瘍壊死因子α(TNFα)などを増加させること;複合化薬物の活性を媒介すること;および/または殺癌効果を有する別のモノクローナル抗体またはその抗原結合断片と二重特異性抗体を形成することが、可能である。
【0020】
また、本発明のモノクローナル抗体またはその抗原結合断片を含む、単離二重特異性抗体またはその抗原結合断片も、提供される。
【0021】
また、本発明のモノクローナル抗体またはその抗原結合断片、または二重特異性抗体またはその抗原結合断片をコードする、単離核酸も、提供される。
【0022】
また、本発明のモノクローナル抗体またはその抗原結合断片、または二重特異性抗体またはその抗原結合断片をコードする、単離核酸を含むベクターも、提供される。
【0023】
また、本発明のモノクローナル抗体またはその抗原結合断片、または二重特異性抗体またはその抗原結合断片をコードする、単離核酸を含むベクターを含む宿主細胞も、提供される。
【0024】
ある実施形態において、本発明の単離モノクローナル抗体またはその抗原結合断片、または単離二重特異性抗体またはその抗原結合断片、および薬学的に許容される担体を含む医薬組成物が、提供される。
【0025】
また、それを必要とする対象において癌細胞表面上のBおよびTリンパ球アテニュエーター(BTLA)を特異的に標的とする方法であって、本発明の医薬組成物を前記対象へ投与するステップを含む方法も、提供される。
【0026】
また、それを必要とする対象において癌を治療する方法であって、本発明の医薬組成物を前記対象へ投与するステップを含む方法も、提供される。ある実施形態において、前記癌は、固形腫瘍であり、好ましくは浸潤T細胞を有する固形腫瘍であり、より好ましくは浸潤エフェクターT細胞を有する固形腫瘍であり、より好ましくはBTLAを発現しているエフェクターT細胞を有する固形腫瘍であり、最も好ましくはBTLAを発現している浸潤エフェクターT細胞を有し腫瘍微小環境においてBTLAリガンドHVEMが高発現している固形腫瘍である。前記癌は、例えばBTLA陽性癌でありうる。癌の例は、例えば黒色腫、肺癌、腎細胞癌、および肝臓癌から選択されうるが、これらに限定されない。
【0027】
ある実施形態において、医薬組成物は、第2の抗癌剤治療薬をさらに含む。第2の抗癌剤治療薬は、例えば抗PD1抗体またはその抗原結合断片でありうる。
【0028】
また、本発明のモノクローナル抗体またはその抗原結合断片、または二重特異性抗体またはその抗原結合断片を産生する方法も、提供される。前記方法は、前記モノクローナル抗体またはその抗原結合断片、または二重特異性抗体またはその抗原結合断片をコードする核酸を含む細胞を、前記モノクローナル抗体またはその抗原結合断片、または二重特異性抗体またはその抗原結合断片を産生する条件下で、培養するステップ、および、前記モノクローナル抗体またはその抗原結合断片、または二重特異性抗体またはその抗原結合断片を、前記細胞または培養物から回収するステップを含む。
【0029】
また、本発明のモノクローナル抗体またはその抗原結合断片、または二重特異性抗体またはその抗原結合断片を含む、医薬組成物を産生する方法も、提供される。前記方法は、前記モノクローナル抗体またはその抗原結合断片、または二重特異性抗体またはその抗原結合断片を、薬学的に許容される担体と組み合わせて、前記医薬組成物を得るステップを含む。
【0030】
また、対象におけるBTLAのレベルを決定する方法も、提供される。前記方法は、(a)前記対象から試料を得るステップ;(b)前記試料を本発明の抗BTLAモノクローナル抗体またはその抗原結合断片と接触させるステップ;および(c)前記対象におけるBTLAのレベルを決定するステップ、を含む。ある実施形態において、前記試料は組織試料である。前記組織試料は、例えば癌組織試料でありうる。ある実施形態において、前記試料は血液試料である。ある実施形態において、前記試料は、T細胞(例えばCD4、CD8、Th1、TFH、αβ、γδ)、B細胞、樹状細胞(DC)、およびナチュラルキラー(NK)細胞を含む。
【0031】
[図面の簡単な説明]
前述の概要および本出願の好ましい実施形態の以下の詳細な説明は、添付の図面と併せて読むことで、より理解されるであろう。しかしながら、本出願が図面に示された正確な実施形態に限定されないことを理解すべきである。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1A-1B】HVEM-BTLA遮断レポーターアッセイを通じた、抗BTLA遮断抗体HFB6-2およびHFB6-3の同定を示す、グラフを示す。
【
図2A-2B】FACS結合アッセイにおいて、HFB6-2およびHFB6-3抗体が、HEK293ヒトBTLA(
図2A)およびExpi293カニクイザルBTLA(
図2B)で、ヒトおよびカニクイザルBTLAと結合できることを示す、グラフを示す。
【
図3A-3B】細胞性BTLA/可溶性HVEM遮断アッセイ(
図3A)およびBTLA-HVEM遮断T細胞レポーターアッセイ(
図3B)において、HFB6-2およびHFB6-3抗体が、抗BTLA遮断剤であることを示す、グラフを示す。
【
図4A-4D】HFB6-2およびHFB6-3抗体が、初代TおよびB細胞に結合することを示す、グラフを示す。
【
図5】HFB6-2およびHFB6-3抗体が、初代CD4+T細胞増殖に対するHVEM媒介抑制を逆転させることを示す、グラフを示す。
【
図6】混合リンパ球反応(MLR)アッセイにおいて、HFB6-3がIFNγ産生を増加させ、抗PD1抗体と相乗効果を発揮したことを示す、グラフを示す。
【
図7A-7G】初代解離腫瘍培養(primary dissociated tumor cultures)において、HFB6-3抗体が、単独でまたは抗PD1抗体と併用して、IFNγおよび炎症性サイトカイン産生を誘導したことを示す、グラフを示す。
【
図8A-8B】野生型C57BL/6マウスおよびhBTLAノックインマウスにおける、HFB6-2およびHFB6-3抗体の望ましいPKプロファイルを示す、グラフを示す。
【
図9】ELISA結合アッセイおよびHVEM-BTLA遮断レポーターアッセイにおける、HFB6-2ヒト化抗体の機能プロファイリングを示す、グラフを示す。
【
図10A-10C】HVEM-BTLA遮断レポーターアッセイにおける、ヒト化HFB6-3抗体(ヒト化HFB6-3抗体のHCDR3のシステイン変異体を含む)の結果を示す、グラフを示す。
【
図11A-11B】FACS結合アッセイにおいて、ヒト化HFB6-3抗体バリアントが、HEK293TヒトBTLA発現細胞(
図11A)およびExpi293カニクイザルBTLA発現細胞(
図11B)で、ヒトおよびカニクイザルのBTLAと結合できることを示す、グラフを示す。
【
図12A-12B】FACS遮断アッセイ(
図12A)において、およびCHO.TCRa.hHVEM/Jurkat.hBTLA.NFAT-luc遮断レポーターアッセイ(
図12B)において、ヒト化HFB6-3抗体バリアントが、細胞性BTLAと可溶性HVEMとの相互作用を遮断できることを示す、グラフを示す。
【
図13】システイン変異を有するヒト化HFB6-3抗体バリアントが、初代CD4+T細胞増殖に対するHVEM媒介抑制を逆転させることができたことを示す、グラフを示す。
【
図14A-14C】初代解離腫瘍培養において、システイン変異を有するヒト化HFB6-3抗体バリアントが、IFNγおよび炎症性サイトカイン産生を誘導したことを示す、グラフを示す。
【
図15A-15C】初代解離腫瘍培養において、システイン変異を有するヒト化HFB6-3抗体バリアントが、IFNγおよび炎症性サイトカイン産生を誘導したことを示す、グラフを示す。
【発明を実施するための形態】
【0033】
様々な刊行物、論文、および特許が、背景においておよび明細書全体にわたって引用されまたは記載され;これらの参考文献の各々は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。 本明細書に含まれている文書、行為、材料、装置、物品などの議論は、本発明の文脈を提供するためのものである。そのような議論は、これらの事項のいずれかまたは全てが、開示されまたは請求されるいずれかの発明に関して、従来技術の一部を形成することを認めるものではない。
【0034】
別段の定義がない限り、本明細書において使用される全ての技術および科学用語は、本発明が属する技術分野における当業者に一般的に理解されるのと同じ意味を有する。 そうでない場合、本明細書において使用されるある用語は、本明細書に示される意味を有する。
【0035】
本明細書および添付の特許請求の範囲において使用される単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈上明らかにそうでない場合を除き、複数形も含むことに留意されたい。
【0036】
別段の記載がない限り、本明細書に記載される濃度または濃度範囲などの任意の数値は、全ての場合において「約(about)」という用語によって修飾されていると理解される。従って、数値は典型的には、記載された値の±10%を含む。例えば、1mg/mLの濃度は、0.9mg/mL~1.1mg/mLを含む。同様に、1%~10%(w/v)の濃度範囲は、0.9%(w/v)~11%(w/v)を含む。本明細書において使用される場合、数値範囲の使用は、文脈上明らかにそうでないことが示されない限り、全ての可能な部分範囲、その範囲内の全ての個々の数値を明示的に含み、そのような範囲内の整数およびその値の端数を含む。
【0037】
別段の指示がない限り、一連の要素に先行する「少なくとも(at least)」という用語は、その一連の各要素を指すと理解される。当業者であれば、本明細書に記載された本発明の具体的な実施形態に対する多くの等価物を、通常の実験のみを使用して、認識し、または確認することができるであろう。そのような等価物は、本発明に包含されることが意図される。
【0038】
本明細書において使用される場合、用語「含む(comprises)」、「含む(comprising)」、「含む(includes)」、「含む(including)」、「有する(has)」、「有する(having)」、「含む(contains)」または「含む(containing)」、またはそれらの他の変形は、記載された要素または要素の群を含むことを意味するが、他の要素または要素の群を排除せず、非排他的または開放的であることを意図すると理解される。例えば、要素のリストを含む組成物、混合物、工程、方法、物品、または器具は、必ずしもそれらの要素のみに限定されるものではなく、明示的に列挙されていない、またはそのような組成物、混合物、工程、方法、物品、または器具に内在していない、他の要素を含むことができる。さらに、明示的に反対の記載がない限り、「または(or)」は包括的な「または」を指し、排他的な「または」は指さない。例えば、条件AまたはBが満たされるのは、以下のいずれかの場合である:Aが真(または存在する)かつBが偽(または存在しない)、Aが偽(または存在しない)かつBが真(または存在する)、およびAとBの両方が真(または存在する)。
【0039】
本明細書において使用される場合、複数の記載された要素間の接続語「および/または(and/or)」は、個々の選択肢と組み合わされた選択肢の両方を包含するものと理解される。例えば、2つの要素が「および/または」によって結ばれる場合、第1の選択肢は、第2の要素を伴わずに第1の要素の適用されうることを指す。第2の選択肢は、第1の要素を伴わずに第2の要素が適用されうることを指す。第3の選択肢は、第1の要素と第2の要素が共に適用されうることを指す。これらの選択肢のいずれかが、その意味に含まれ、従って本明細書において使用される「および/または」という用語の要件を満たすと理解される。選択肢のうちの複数が同時に適用されうることもまた、その意味に含まれ、従って「および/または」という用語の要件を満たすと理解される。
【0040】
本明細書において使用される場合、「~からなる(consists of)」という用語、または「~からなる(consist of)」または「~からなる(consisting of)」などの変形は、本明細書および特許請求の範囲全体において、記載された任意の要素または要素の群が含まれるが、指定された方法、構造、または組成物に追加の要素または要素の群を加えることはできないことを示す。
【0041】
本明細書において使用される場合、「~から本質的になる(consists essentially of)」という用語、または「~から本質的になる(consist essentially of)」または「~から本質的になる(consisting essentially of)」などの変形は、本明細書および特許請求の範囲全体において、記載された任意の要素または要素の群が含まれ、かつ指定された方法、構造、または組成物の基本的または新規な特性を実質的に変更しない、任意の要素または要素の群が含まれる可能性があることを示す。M.P.E.P.§2111.03参照。
【0042】
本明細書において使用される場合、「対象」とは、任意の動物、好ましくは哺乳動物、最も好ましくはヒトを意味する。本明細書において使用される「哺乳動物」という用語は、任意の哺乳動物を包含する。哺乳動物の例には、ウシ、ウマ、ヒツジ、ブタ、ネコ、イヌ、マウス、ラット、ウサギ、モルモット、サル、ヒトなどを含むが、これらに限定されず、最も好ましくはヒトである。
【0043】
「右(right)」「左(left)」「下(lower)」および「上(upper)」という語は、参照される図面における方向を示す。
【0044】
また、本明細書において好ましい発明の構成要素の寸法または特性について言及する際に使用される「約(about)」、「およそ(approximately)」、「一般的に(generally)」、「実質的に(substantially)」などの用語は、記載された寸法/特性が厳密な境界またはパラメータではなく、当業者であれば理解されるように、機能的に同一または類似であるそれからのわずかな変形を排除しないことを示すことを、理解されたい。最低限、数値パラメータを含むそのような参考文献は、当該技術分野で認められる数学的および工業的原則(例えば、丸め、測定誤差または他の系統誤差、製造公差など)を使用して、最小有効桁を変化させないような変動を含める。
【0045】
「同一の(identical)」またはパーセント「同一の」という用語は、2以上の核酸またはポリペプチド配列(例えば、抗BTLA抗体およびそれらをコードするポリヌクレオチド、BTLAポリペプチドおよびそれらをコードするBTLAポリヌクレオチド)の文脈において、最大限に対応するように比較およびアラインメントされ、以下の配列比較アルゴリズムのうちの1つを使用するか、または目視によって測定された場合に、同一であるか、または同一である特定の百分率のアミノ酸残基またはヌクレオチドを有する、2以上の配列または部分配列を指す。
【0046】
配列比較では、典型的には1つの配列が参照配列として機能し、それに対して試験配列が比較される。配列比較アルゴリズムを使用する場合、試験および参照配列がコンピュータに入力され、必要ならば部分配列座標が指定され、および配列アルゴリズムプログラムパラメータが指定される。配列比較アルゴリズムはその後、指定されたプログラムパラメータに基づいて、参照配列に対する試験配列(複数可)のパーセント配列同一性を計算する。
【0047】
配列の比較のための最適なアラインメントは、例えば以下によって行われうる:Smith & Watermanの局所相同性アルゴリズム(the local homology algorithm)(Adv. Appl. Math. 1981; 2:482)、Needleman & Wunschの相同性アラインメントアルゴリズム(the homology alignment algorithm)(J. Mol. Biol. 1970; 48:443)、Pearson & Lipmanの類似性検索法(the search for similarity method)(Proc. Nat’l. Acad. Sci. USA 1988; 85:2444)、これらのアルゴリズムのコンピュータ実装(Wisconsin Genetics Software Package内のGAP、BESTFIT、FASTA、およびTFASTA、Genetics Computer Group、575 Science Dr.、マディソン(Madison)、ウィスコンシン州)、または目視(一般に、Current Protocols in Molecular Biology, F.M. Ausubel et al., eds., Current Protocols, a joint venture between Greene Publishing Associates, Inc. およびJohn Wiley & Sons, Inc., 1995 Supplement (Ausubel) 参照)。
【0048】
パーセント配列同一性および配列類似性を決定するのに適するアルゴリズムの例としては、BLASTおよびBLAST 2.0アルゴリズムがあり、それぞれAltschul et al., J. Mol. Biol. 1990; 215: 403-410およびAltschul et al., Nucleic Acids Res. 1997; 25: 3389-3402に記載されている。BLAST解析を行うためのソフトウェアは、米国国立生物工学情報センター(National Center for Biotechnology Information)を通じて公開されている。このアルゴリズムは、クエリ配列内の長さWの短いワードを特定し、データベース配列内の同じ長さのワードとアラインメントされたときに、それが一致するか、またはある正の値の閾値スコアTを満たすことによって、まず高スコア配列ペア(HSP)を特定することを含む。Tは、近傍ワードスコア閾値(neighborhood word score threshold)と称される(Altschul et al、前掲)。これらの最初の近傍ワードヒットは、それらを含むより長いHSPを見つけるための探索を開始するための、シードとして機能する。ワードヒットはその後、累積アラインメントスコアが増加しうる限り、各配列に沿って両方向に延長される。
【0049】
累積スコアは、ヌクレオチド配列では、パラメータM(一致する残基のペアに対する得点;常に>0)およびN(不一致の残基に対する減点;常に<0)を使用して計算される。アミノ酸配列では、累積スコアを計算するために、スコアリングマトリックスが使用される。各方向のワードヒットの延長は、以下の場合に停止される:累積アラインメントスコアが、その達成された最大値から量Xだけ減少する;累積スコアが、1または複数の負のスコアの残基アラインメントの蓄積により、ゼロ以下に達する;または、いずれかの配列の末端に達する。BLASTアルゴリズムパラメータW、T、およびXは、アラインメントの感度および速度を決定する。BLASTNプログラム(ヌクレオチド配列用)は、デフォルトとしてワード長(W)11、期待値(E)10、M=5、N=-4、および両鎖の比較を使用する。アミノ酸配列では、BLASTPプログラムは、デフォルトとしてワード長(W)3、期待値(E)10、およびBLOSUM62スコアリングマトリックスを使用する(Henikoff & Henikoff, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 1989; 89:10915参照)。
【0050】
パーセント配列同一性を計算することに加え、BLASTアルゴリズムはまた、2つの配列間の類似性の統計解析も行う(例えば、Karlin & Altschul, Proc. Nat’l. Acad. Sci. USA 1993; 90:5873-5787参照)。BLASTアルゴリズムにより提供される類似性の尺度の一つは、最小合計確率(P(N))であり、これは2つのヌクレオチドまたはアミノ酸配列の間の一致が偶然起こる確率の指標を与える。例えば、試験核酸を参照核酸と比較した最小合計確率が、約0.1未満、より好ましくは約0.01未満、最も好ましくは約0.001未満である場合、核酸は参照配列と類似すると考えられる。
【0051】
2つの核酸配列またはポリペプチドが実質的に同一であることを示すさらなる指標は、第1の核酸によってコードされるポリペプチドが、以下に説明するように、第2の核酸によってコードされるポリペプチドと、免疫学的に交差反応性があることである。従って、例えば2つのペプチドが保存的置換によってのみ異なる場合、ポリペプチドは典型的には、第2のポリペプチドと実質的に同一である。2つの核酸配列が実質的に同一であることを示す別の指標は、2つの分子がストリンジェントな条件下で互いにハイブリダイズすることである。
【0052】
本明細書において使用される場合、「単離(isolated)」という用語は、生物学的成分(例えば、核酸、ペプチド、またはタンパク質)が、その成分が自然起源である生物の他の生物学的成分、すなわち他の染色体および非染色体DNAおよびRNA、およびタンパク質から、実質的に分離されているか、別個に生成されたか、または精製されていることを意味する。「単離」されている核酸、ペプチド、およびタンパク質は従って、標準的な精製方法によって精製された、核酸およびタンパク質を含む。「単離」核酸、ペプチド、およびタンパク質は、組成物が核酸、ペプチド、またはタンパク質の天然環境の一部でない場合、組成物の一部でありながら単離されている。この用語にはまた、宿主細胞内の組換え発現によって調製される核酸、ペプチド、およびタンパク質、および、化学合成された核酸も包含する。
【0053】
本明細書において使用される場合、「ポリヌクレオチド(polynucleotide)」という用語は、「核酸分子(nucleic acid molecule)」、「ヌクレオチド(nucleotides)」または「核酸(nucleic acids)」と同義であり、任意のポリリボヌクレオチドまたはポリデオキシリボヌクレオチドを指し、それは未修飾のRNAまたはDNA、または修飾されたRNAまたはDNAでありうる。「ポリヌクレオチド」は、限定なく、一本鎖および二本鎖DNA、一本鎖および二本鎖領域の混合であるDNA、一本鎖および二本鎖RNA、および一本鎖および二本鎖領域の混合であるRNA、DNAとRNAとを含むハイブリッド分子(これらは一本鎖、またはより典型的には二本鎖、または一本鎖および二本鎖領域の混合でありうる)を含む。加えて、「ポリヌクレオチド」は、RNAまたはDNA、またはRNAとDNAの両方を含む、三本鎖領域を指す。ポリヌクレオチドという用語はまた、1または複数の修飾された塩基を含むDNAまたはRNA、および安定性のためまたは他の理由のため骨格が修飾されたDNAまたはRNAも含む。「修飾された(modified)」塩基は、例えば、トリチル化塩基およびイノシンなどの特殊な塩基を含む。DNAおよびRNAには様々な修飾がなされうるため、「ポリヌクレオチド」は、自然界で典型的に見られる化学的、酵素的、または代謝的に修飾された形態のポリヌクレオチド、およびウイルスおよび細胞に特徴的なDNAおよびRNAの化学形態を包含する。「ポリヌクレオチド」はまた、しばしばオリゴヌクレオチドと呼ばれる、相対的に短い核酸鎖も包含する。
【0054】
本明細書において使用される場合、「ベクター(vector)」という用語は、中に別の核酸セグメントが機能可能に挿入され、そのセグメントの複製または発現をもたらしうる、レプリコンである。
【0055】
本明細書において使用される場合、「宿主細胞(host cell)」という用語は、本発明の核酸分子を含む細胞を指す。「宿主細胞」は、任意のタイプの細胞、例えば初代細胞、培養中の細胞、または細胞株からの細胞でありうる。一実施形態において、「宿主細胞」は、本発明の核酸分子を用いてトランスフェクトされた細胞である。別の実施形態において、「宿主細胞」は、そのようなトランスフェクトされた細胞の子孫または潜在的な子孫である。細胞の子孫は、例えば後続世代に起こりうる変異または環境影響、または核酸分子の宿主細胞ゲノム内への統合によって、親細胞と同一である場合もない場合もある。
【0056】
本明細書において使用される「発現(expression)」という用語は、遺伝子産物の生合成を指す。この用語は、遺伝子のRNAへの転写を包含する。この用語はまた、RNAの1または複数のポリペプチドへの翻訳を包含し、さらに全ての自然に起こる転写後および翻訳後修飾を包含する。発現された抗体は、宿主細胞の細胞質内に、細胞培養の増殖培地などの細胞外環境へ、または細胞膜に固定されて、存在しうる。
【0057】
本明細書において使用される場合、「ペプチド(peptide)」、「ポリペプチド(polypeptide)」、または「タンパク質(protein)」という用語は、アミノ酸を含む分子を指し、当業者にタンパク質として認識されうる。アミノ酸残基のための従来の1文字または3文字コードが、本明細書において使用される。「ペプチド」、「ポリペプチド」、および「タンパク質」という用語は、任意の長さのアミノ酸のポリマーを指すために、本明細書において互換的に使用されうる。ポリマーは、直鎖状でも分岐状でもよく、修飾アミノ酸を含んでもよく、および非アミノ酸により中断されてもよい。この用語はまた、天然にまたは介入によって修飾されているアミノ酸ポリマーをも包含し;例えば、ジスルフィド結合形成、グリコシル化、脂質化、アセチル化、リン酸化、またはその他の操作または修飾、例えば標識成分との複合化などである。また定義には、例えば、アミノ酸の1または複数のアナログ(例えば、非天然アミノ酸などを含む)を含むポリペプチド、および当該技術分野で公知の他の修飾も含まれる。
【0058】
本明細書に記載されるペプチド配列は、ペプチドのN末端領域が左側、C末端領域が右側という、通常の慣例に従って書かれている。アミノ酸の異性体が知られているが、別段の明示がない限り、表されるのはアミノ酸のL形である。
【0059】
[抗体]
本発明は一般に、単離BおよびTリンパ球アテニュエーター(BTLA)抗体、抗体をコードする核酸および発現ベクター、ベクターを含む組換え細胞、抗体を発現する組換え細胞、および抗体を含む組成物に関連する。抗体を作る方法、および癌などの疾患を治療するために抗体を使用する方法もまた、開示される。本発明の抗体は、以下を含むがこれらに限定されない、1または複数の望ましい機能特性を有する:BTLAへの高い親和性結合、BTLAに対する高い特異性、ヘルペスウイルス侵入メディエーター(HVEM)とBTLAの結合を遮断する能力、B細胞増殖および/またはT細胞および/または形質細胞活性化を阻害する能力、炎症性サイトカイン産生を増加させる能力、および、単独でまたは他の抗癌療法と併用して投与される場合に、対象および動物モデルにおける腫瘍成長を阻害する能力。炎症性サイトカインには、インターロイキン2(IL-2)、C-X-Cモチーフケモカインリガンド9(CXCL9)、C-X-Cモチーフケモカインリガンド10(CXCL10)、インターロイキン1β(IL1β)、腫瘍壊死因子α(TNFα)、およびインターフェロンγを含みうるが、これらに限定されない。T細胞には、CD4 T細胞、CD8 T細胞、Th1 T細胞、TFH T細胞、αβT細胞、およびγδT細胞を含みうるが、これらに限定されない。
【0060】
一般的な態様において、本発明は、BおよびTリンパ球アテニュエーター(BTLA)と結合する、単離モノクローナル抗体またはその抗原結合断片に関連する。
【0061】
本明細書において使用される場合、「抗体(antibody)」という用語は広い意味で使用され、ヒト抗体、ヒト化抗体、複合抗体およびキメラ抗体、およびモノクローナルまたはポリクローナルである抗体断片を含む、免疫グロブリンまたは抗体分子を含む。一般的に、抗体は、特定の抗原に対して結合特異性を示す、タンパク質またはペプチド鎖である。抗体の構造は、よく知られている。免疫グロブリンは、重鎖定常ドメインのアミノ酸配列に基づいて、5つの主要なクラス(すなわち、IgA、IgD、IgE、IgG、およびIgM)に割り当てられうる。IgAおよびIgGは、さらにアイソタイプIgA1、IgA2、IgG1、IgG2、IgG3、およびIgG4としてサブクラス分けされる。従って、本発明の抗体は、5つの主要なクラスまたは対応するサブクラスのいずれかでありうる。好ましくは、本発明の抗体は、IgG1、IgG2、IgG3、またはIgG4である。脊椎動物種の抗体軽鎖は、2つの明確に区別されるタイプ、すなわちカッパおよびラムダのいずれかに、その定常ドメインのアミノ酸配列に基づいて、割り当てられうる。従って、本発明の抗体は、カッパまたはラムダ軽鎖定常ドメインを含みうる。具体的な実施形態によれば、本発明の抗体は、ラットまたはヒト抗体からの重鎖および/または軽鎖定常領域を含む。重鎖および軽鎖定常ドメインに加えて、抗体は抗原結合領域を含み、これは軽鎖可変領域および重鎖可変領域から構成され、その各々が3つのドメイン(すなわち、相補性決定領域1~3;CDR1、CDR2、およびCDR3)を含む。軽鎖可変領域ドメインは、LCDR1、LCDR2、およびLCDR3とも称され、および重鎖可変領域ドメインは、HCDR1、HCDR2、およびHCDR3とも称される。
【0062】
「相補性決定領域(complementarity determining regions)」(CDR)は、抗原と結合する抗体領域である。CDRは、以下のような様々な画定法を使用して定義されうる:Kabat(Wu et al. J Exp Med 132: 211-50, 1970)(Kabat et al., Sequences of Proteins of Immunological Interest, 5th Ed. Public Health Service, National Institutes of Health, Bethesda, Md., 1991)、Chothia(Chothia et al. J Mol Biol 196: 901-17, 1987)、IMGT(Lefranc et al. Dev Comp Immunol 27: 55-77, 2003)、およびAbM(Martin and Thornton J Bmol Biol 263: 800-15, 1996)。様々な画定法と可変領域ナンバリングとの間の対応が、記載されている(例えば、Lefranc et al. Dev Comp Immunol 27: 55-77, 2003;Honegger and Pluckthun, J Mol Biol 309:657-70, 2001;国際ImMunoGeneTics(IMGT)データベース;Webリソース、http://www_imgt_org参照)。UCL Business PLCによるabYsisなどの利用可能なプログラムが、CDRを画定するために、使用されうる。本明細書において使用される「CDR」、「HCDR1」、「HCDR2」、「HCDR3」、「LCDR1」、「LCDR2」、および「LCDR3」という用語は、明細書に別段の明記がない限り、前述の方法、すなわちKabat、Chothia、IMGT、またはAbMのいずれかによって定義される、CDRを含む。例えばKabatナンバリングおよびIMGT独自ナンバリングシステムを含む、ナンバリングシステム間の対応は、当業者に周知である(例えば、Kabat;Chothia;Martin;Lefranc et al. 参照)。
【0063】
【0064】
本明細書で使用される場合、「単離抗体(isolated antibody)」という用語は、異なる抗原特異性を有する他の抗体が実質的に含まれない抗体を指す(例えば、BTLAに特異的に結合する単離抗体は、BTLAに結合しない抗体が実質的に含まれない)。加えて、単離抗体は、他の細胞性物質および/または化学物質が実質的に含まれない。
【0065】
本明細書で使用される場合、「モノクローナル抗体(monoclonal antibody)」という用語は、実質的に均一な抗体の集団から得られる抗体を指し、すなわち、集団を構成する個々の抗体は、ごく少量存在する可能性のある自然発生的な変異を除いて、同一である。本発明のモノクローナル抗体は、ハイブリドーマ法、ファージディスプレイ技術、単一リンパ球遺伝子クローニング技術によって、または組換えDNA法によって、作られうる。例えば、モノクローナル抗体は、ヒト重鎖トランスジーンおよび軽鎖トランスジーンを含むゲノムを有するトランスジェニックマウスまたはラットなどの、トランスジェニック非ヒト動物から得られるB細胞を含むハイブリドーマによって、産生されうる。
【0066】
本明細書で使用される場合、「抗原結合断片(antigen-binding fragment)」という用語は、抗体断片を指し、例えば、ダイアボディ、Fab、Fab′、F(ab′)2、Fv断片、ジスルフィド安定化Fv断片(dsFv)、(dsFv)2、二重特異性dsFv(dsFv-dsFv′)、ジスルフィド安定化ダイアボディ(dsダイアボディ)、単鎖抗体分子(scFv)、単一ドメイン抗体(sdab)、scFvダイマー(2価ダイアボディ)、1または複数のCDRを含む抗体の一部から形成される多重特異性抗体、ラクダ化(camelized)単一ドメイン抗体、ナノボディ、ドメイン抗体、2価ドメイン抗体、または抗原に結合するが完全な抗体構造を含まないその他の抗体断片などである。抗原結合断片は、親抗体または親抗体断片が結合するのと同じ抗原に結合することができる。具体的な実施形態によれば、抗原結合断片は、軽鎖可変領域、軽鎖定常領域、および重鎖のFdセグメントを含む。他の具体的な実施形態によれば、抗原結合断片は、FabおよびF(ab′)を含む。
【0067】
本明細書で使用される場合、「単鎖抗体(single-chain antibody)」という用語は、当該分野で従来知られる単鎖抗体を指し、約15~約20アミノ酸の短いペプチドにより連結された、重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含む。
【0068】
本明細書で使用される場合、「単一ドメイン抗体(single domain antibody)」という用語は、当該分野で従来知られる単一ドメイン抗体を指し、重鎖可変領域および重鎖定常領域を含み、または重鎖可変領域のみを含む。
【0069】
本明細書で使用される場合、「ヒト抗体(human antibody)」という用語は、ヒトによって産生される抗体、または当該分野で知られる任意の技術を使用して作られた、ヒトによって産生される抗体に対応するアミノ酸配列を有する抗体を指す。この定義のヒト抗体には、完全抗体または全長抗体、その断片、および/または少なくとも1つのヒト重鎖および/または軽鎖ポリペプチドを含む抗体を含む。
【0070】
本明細書で使用される場合、「ヒト化抗体(humanized antibody)」および/または「ヒト化抗原結合ドメイン(humanized antigen binding domain)」という用語は、ヒト抗体との配列相同性を増加させて、抗体の抗原結合特性を維持するが、ヒト体内でのその抗原性を減少させるように修飾される、非ヒト抗体を指す。
【0071】
本明細書で使用される場合、「キメラ抗体(chimeric antibody)」という用語は、免疫グロブリン分子のアミノ酸配列が2以上の種に由来する抗体を指す。軽鎖と重鎖の両方の可変領域は、所望の特異性、親和性、および能力を有する1種の哺乳動物(例えば、マウス、ラット、ウサギなど)に由来する抗体の可変領域に、多くの場合対応し、一方定常領域は、別種の哺乳動物(例えば、ヒト)に由来する抗体の配列に対応し、その種において免疫反応を引き起こさないようにする。
【0072】
本明細書で使用される場合、「多重特異性抗体(multi-specific antibody)」という用語は、複数の免疫グロブリン可変ドメイン配列を含む抗体を指し、ここで複数のうちの第1の免疫グロブリン可変ドメイン配列が、第1のエピトープに対する結合特異性を有し、複数のうちの第2の免疫グロブリン可変ドメイン配列が、第2のエピトープに対する結合特異性を有する。一実施形態において、第1および第2のエピトープは、同じ抗原、例えば同じタンパク質(または多量体タンパク質のサブユニット)上に存在する。一実施形態において、第1および第2のエピトープは、重なり合う、または実質的に重なり合う。一実施形態において、第1および第2のエピトープは、重なり合わず、または実質的に重なり合わない。一実施形態において、第1および第2のエピトープは、異なる抗原、例えば異なるタンパク質(または多量体タンパク質の異なるサブユニット)上に存在する。一実施形態において、多重特異性抗体は、第3、第4、または第5の免疫グロブリン可変ドメインを含む。一実施形態において、多重特異性抗体は、二重特異性抗体分子、三重特異性抗体分子、または四重特異性抗体分子である。
【0073】
本明細書で使用される場合、「二重特異性抗体(bispecific antibody)」という用語は、2つまでのエピトープまたは2つまでの抗原にしか結合しない、多重特異性抗体を指す。二重特異性抗体は、第1のエピトープに対する結合特異性を有する第1の免疫グロブリン可変ドメイン配列と、第2のエピトープに対する結合特異性を有する第2の免疫グロブリン可変ドメイン配列とによって、特徴付けられる。一実施形態において、第1および第2のエピトープは、同じ抗原、例えば同じタンパク質(または多量体タンパク質のサブユニット)上に存在する。一実施形態において、第1および第2のエピトープは、重なり合う、または実質的に重なり合う。一実施形態において、第1および第2のエピトープは、異なる抗原、例えば異なるタンパク質(または多量体タンパク質の異なるサブユニット)上に存在する。一実施形態において、二重特異性抗体は、第1のエピトープに対する結合特異性を有する重鎖可変ドメイン配列および軽鎖可変ドメイン配列と、第2のエピトープに対する結合特異性を有する重鎖可変ドメイン配列および軽鎖可変ドメイン配列とを含む。一実施形態において、二重特異性抗体は、第1のエピトープに対する結合特異性を有する半抗体(またはその断片)と、第2のエピトープに対する結合特異性を有する半抗体(またはその断片)とを含む。一実施形態において、二重特異性抗体は、第1のエピトープに対する結合特異性を有するscFv(またはその断片)と、第2のエピトープに対する結合特異性を有するscFv(またはその断片)とを含む。一実施形態において、第1のエピトープは、BTLA上に位置し、第2のエピトープは、PD-1、PD-L1、CTLA-4、EGFR、HER-2、CD19、CD20、CD33、CD3、および/または他の腫瘍関連免疫抑制因子または表面抗原上に位置する。
【0074】
本明細書で使用される場合、「BTLAに特異的に結合する(specifically binds to BTLA)」抗体とは、BTLA(好ましくはヒトBTLA)に結合し、KDが1×10-7M以下、好ましくは1×10-8M以下、より好ましくは5×10-9M以下、1×10-9M以下、5×10-10M以下、または1×10-10M以下である、抗体および/または抗原結合ドメインを指す。ある実施形態において、抗体および/または抗原結合ドメインは、カニクイザルBTLAに結合する。「KD」という用語は、解離定数を指し、これはKdのKaに対する比(すなわち、Kd/Ka)から得られ、モル濃度(M)として表される。抗体のKD値は、本開示に照らして、当該分野の方法を使用して決定されうる。例えば、抗体のKDは、表面プラズモン共鳴を使用することにより、例えばバイオセンサーシステム、例えばBiacore(登録商標)システムを使用することにより、またはバイオレイヤー干渉技術、例えばOctet RED96システムを使用することにより、決定されうる。
【0075】
抗体のKD値が小さいほど、抗体が標的抗原に結合する親和性は高くなる。ある実施形態において、単離モノクローナル抗体またはその抗原結合断片は、ヒトBTLAに約25nM、20nM、15nM、5nM、2nM、1nM、または0.5nM未満のKDで、結合する。
【0076】
本明細書で使用される場合、「IC50」という用語は、本発明のモノクローナルまたは二重特異性抗体、またはその抗原結合断片の、半数最大阻害濃度を指す。IC50は、本発明のモノクローナルまたは二重特異性抗体、またはその抗原結合断片の、HVEMの結合を阻害するための、または細胞内でBTLAの機能を阻害するための、効力(potency)の尺度である。ある実施形態において、モノクローナル抗体またはその抗原結合断片、または二重特異性抗体またはその抗原結合断片は、約10-7M未満、約10-8M未満、約10-9M未満、約10-10M未満、約10-11M未満、約10-12M未満、または約10-13M未満のKDを有する。
【0077】
本明細書で使用される場合、「EC50」という用語は、本発明のモノクローナルまたは二重特異性抗体、またはその抗原結合断片の、半数最大効果濃度を指す。EC50は、特定の曝露時間にわたって、ベースラインと最大値とのちょうど中間にある生物学的反応(すなわち細胞死)を誘導するための、モノクローナルまたは二重特異性抗体、またはその抗原結合断片の、濃度を指す。ある実施形態において、モノクローナル抗体またはその抗原結合断片、または二重特異性抗体またはその抗原結合断片は、約1μM未満、約1000nM~約100nM、約100nM~約10nM、約10nM~約1nM、約1000pM~約500pM、約500pM~約200pM、約200pM未満、約200pM~約150pM、約200pM~約100pM、約100pM~約10pM、または約10pM~約1pMの、EC50を有する。
【0078】
具体的な態様によれば、本発明は単離モノクローナル抗体またはその抗原結合断片に関連し、
前記モノクローナル抗体またはその抗原結合断片または抗原結合ドメインは、
重鎖相補性決定領域1(HCDR1)、HCDR2、HCDR3、軽鎖相補性決定領域1(LCDR1)、LCDR2、およびLCDR3を含み、
これらは以下のポリペプチド配列を有し:
(1)それぞれ、配列番号7、8、153、10、11、および12;または
(2)それぞれ、配列番号1、2、3、4、5、および6;
ここで、前記抗体またはその抗原結合断片またはその抗原結合ドメインは、BおよびTリンパ球アテニュエーター(BTLA)、好ましくはヒトBTLAと、特異的に結合し、前記モノクローナル抗体またはその抗原結合断片は、自然起源でなくてもよい。配列番号153は、アミノ酸配列CAREDGYPYYTLDX1Wによって表され、ここでX1は、C、A、S、T、またはVから選択されるアミノ酸である。
【0079】
ある実施形態において、単離モノクローナル抗体またはその抗原結合断片は、HCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、およびLCDR3を含み、
これらは以下のポリペプチド配列を有し:
(1)それぞれ、配列番号7、8、9、10、11、および12;または
(2)それぞれ、配列番号1、2、3、4、5、および6;
ここで、前記抗体またはその抗原結合断片は、BおよびTリンパ球アテニュエーター(BTLA)、好ましくはヒトBTLAと、特異的に結合し、前記モノクローナル抗体またはその抗原結合断片は、自然起源でなくてもよい。
【0080】
別の具体的な態様によれば、本発明は、単離モノクローナル抗体またはその抗原結合断片に関連し、前記モノクローナル抗体またはその抗原結合断片は、配列番号15または13と、少なくとも85%、好ましくは90%、より好ましくは95%以上、例えば95%、96%、97%、98%、または99%同一のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、または、配列番号16または14と、少なくとも85%、好ましくは90%、より好ましくは95%以上、例えば95%、96%、97%、98%、または99%同一のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域を含む。好ましい一実施形態によれば、本発明の単離モノクローナル抗体またはその抗原結合断片は、それぞれ、配列番号13と、少なくとも85%、好ましくは90%、より好ましくは95%以上、例えば95%、96%、97%、98%、または99%同一のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、および、配列番号14と、少なくとも85%、好ましくは90%、より好ましくは95%以上、例えば95%、96%、97%、98%、または99%同一のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域を含む。好ましい一実施形態によれば、本発明の単離モノクローナル抗体またはその抗原結合断片は、それぞれ、配列番号15と、少なくとも85%、好ましくは90%、より好ましくは95%以上、例えば95%、96%、97%、98%、または99%同一のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、および、配列番号16と、少なくとも85%、好ましくは90%、より好ましくは95%以上、例えば95%、96%、97%、98%、または99%同一のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域を含む。
【0081】
具体的な実施形態によれば、単離抗BTLAモノクローナル抗体またはその抗原結合断片は:
(1)配列番号15のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、および配列番号16のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;または
(2)配列番号13のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、および配列番号14のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域を含む。
【0082】
一実施形態において、本発明は、単離モノクローナル抗体またはその抗原結合断片であって、HCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、およびLCDR3を含み、これらはそれぞれ、配列番号1、2、3、4、5、および6のポリペプチド配列を有する、単離モノクローナル抗体またはその抗原結合断片に関連する。別の実施形態において、単離モノクローナル抗体またはその抗原結合断片は、配列番号13と、少なくとも85%、好ましくは90%、より好ましくは95%以上、例えば95%、96%、97%、98%、または99%同一のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、および、配列番号14と、少なくとも85%、好ましくは90%、より好ましくは95%以上、例えば95%、96%、97%、98%、または99%同一のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域を含む。好ましくは、単離モノクローナル抗体またはその抗原結合断片は、配列番号13のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域;および配列番号14のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域を含む。
【0083】
一実施形態において、本発明は、単離モノクローナル抗体またはその抗原結合断片であって、HCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、およびLCDR3を含み、これらはそれぞれ、配列番号7、8、9、10、11、および12のポリペプチド配列を有する、単離モノクローナル抗体またはその抗原結合断片に関連する。別の実施形態において、単離モノクローナル抗体またはその抗原結合断片は、配列番号15と、少なくとも85%、好ましくは90%、より好ましくは95%以上、例えば95%、96%、97%、98%、または99%同一のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、および、配列番号16と、少なくとも85%、好ましくは90%、より好ましくは95%以上、例えば95%、96%、97%、98%、または99%同一のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域を含む。好ましくは、単離モノクローナル抗体またはその抗原結合断片は、配列番号15のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域;および配列番号16のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域を含む。
【0084】
別の具体的な態様によれば、本発明は、本発明の単離モノクローナル抗体またはその抗原結合断片、または二重特異性抗体またはその抗原結合断片に関連し、前記モノクローナルまたは二重特異性抗体またはその抗原結合断片は、キメラ型である。
【0085】
別の具体的な態様によれば、本発明は、本発明の単離モノクローナル抗体またはその抗原結合断片、または二重特異性抗体またはその抗原結合断片に関連し、前記モノクローナルまたは二重特異性抗体またはその抗原結合断片は、ヒト型のまたはヒト化されたものである。
【0086】
別の具体的な態様によれば、本発明は、ヒト化モノクローナル抗体またはその抗原結合断片であって、重鎖相補性決定領域1(HCDR1)、HCDR2、HCDR3、軽鎖相補性決定領域1(LCDR1)、LCDR2、およびLCDR3を含み、
これらは以下のポリペプチド配列を有する:
(1)それぞれ、配列番号7、8、150、10、11、および12;
(2)それぞれ、配列番号1、2、3、4、5、および6;
(3)それぞれ、配列番号7、8、9、10、11、および12;
(4)それぞれ、配列番号7、8、149、10、11、および12;
(5)それぞれ、配列番号7、8、151、10、11、および12;または
(6)それぞれ、配列番号7、8、152、10、11、および12;
ヒト化モノクローナル抗体またはその抗原結合断片に関連する。
【0087】
別の具体的な態様によれば、本発明は、ヒト化モノクローナル抗体またはその抗原結合断片に関連し、前記モノクローナル抗体またはその抗原結合断片は、
配列番号141、17、19、21、23、25、27、29、31、33、35、37、39、41、43、45、47、49、51、53、55、57、59、61、63、65、67、69、71、73、75、77、79、81、83、85、87、89、91、93、95、97、99、101、103、105、107、109、111、113、115、117、119、121、123、125、127、129、131、133、135、137、139、143、145、または147と、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%同一のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、または
配列番号142、18、20、22、24、26、28、30、32、34、36、38、40、42、44、46、48、50、52、54、56、58、60、62、64、66、68、70、72、74、76、78、80、82、84、86、88、90、92、94、96、98、100、102、104、106、108、110、112、114、116、118、120、122、124、126、128、130、132、134、136、138、140、144、146、または148と、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%同一のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域を含む。
【0088】
別の具体的な態様によれば、ヒト化抗BTLAモノクローナル抗体またはその抗原結合断片は、以下を含む:
(1)配列番号141のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、および配列番号142のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
(2)配列番号17のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、および配列番号18のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
(3)配列番号19のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、および配列番号20のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
(4)配列番号21のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、および配列番号22のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
(5)配列番号23のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、および配列番号24のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
(6)配列番号25のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、および配列番号26のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
(7)配列番号27のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、および配列番号28のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
(8)配列番号29のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、および配列番号30のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
(9)配列番号31のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、および配列番号32のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
(10)配列番号33のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、および配列番号34のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
(11)配列番号35のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、および配列番号36のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
(12)配列番号37のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、および配列番号38のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
(13)配列番号39のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、および配列番号40のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
(14)配列番号41のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、および配列番号42のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
(15)配列番号43のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、および配列番号44のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
(16)配列番号45のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、および配列番号46のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
(17)配列番号47のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、および配列番号48のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
(18)配列番号49のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、および配列番号50のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
(19)配列番号51のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、および配列番号52のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
(20)配列番号53のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、および配列番号54のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
(21)配列番号55のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、および配列番号56のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
(22)配列番号57のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、および配列番号58のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
(23)配列番号59のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、および配列番号60のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
(24)配列番号61のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、および配列番号62のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
(25)配列番号63のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、および配列番号64のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
(26)配列番号65のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、および配列番号66のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
(27)配列番号67のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、および配列番号68のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
(28)配列番号69のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、および配列番号70のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
(29)配列番号71のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、および配列番号72のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
(30)配列番号73のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、および配列番号74のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
(31)配列番号75のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、および配列番号76のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
(32)配列番号77のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、および配列番号78のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
(33)配列番号79のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、および配列番号80のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
(34)配列番号81のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、および配列番号82のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
(35)配列番号83のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、および配列番号84のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
(36)配列番号85のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、および配列番号86のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
(37)配列番号87のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、および配列番号88のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
(38)配列番号89のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、および配列番号90のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
(39)配列番号91のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、および配列番号92のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
(40)配列番号93のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、および配列番号94のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
(41)配列番号95のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、および配列番号96のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
(42)配列番号97のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、および配列番号98のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
(43)配列番号99のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、および配列番号100のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
(44)配列番号101のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、および配列番号102のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
(45)配列番号103のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、および配列番号104のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
(46)配列番号105のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、および配列番号106のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
(47)配列番号107のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、および配列番号108のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
(48)配列番号109のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、および配列番号110のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
(49)配列番号111のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、および配列番号112のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
(50)配列番号113のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、および配列番号114のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
(51)配列番号115のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、および配列番号116のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
(52)配列番号117のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、および配列番号118のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
(53)配列番号119のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、および配列番号120のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
(54)配列番号121のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、および配列番号122のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
(55)配列番号123のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、および配列番号124のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
(56)配列番号125のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、および配列番号126のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
(57)配列番号127のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、および配列番号128のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
(58)配列番号129のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、および配列番号130のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
(59)配列番号131のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、および配列番号132のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
(60)配列番号133のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、および配列番号134のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
(61)配列番号135のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、および配列番号136のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
(62)配列番号137のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、および配列番号138のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
(63)配列番号139のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、および配列番号140のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
(64)配列番号143のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、および配列番号144のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
(65)配列番号145のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、および配列番号146のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
または
(66)配列番号147のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、および配列番号148のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域。
【0089】
一実施形態において、本発明は、ヒト化単離モノクローナル抗体またはその抗原結合断片であって、HCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、およびLCDR3を含み、これらはそれぞれ、配列番号1、2、3、4、5、および6のポリペプチド配列を有する、ヒト化単離モノクローナル抗体またはその抗原結合断片に関連する。別の実施形態において、ヒト化単離モノクローナル抗体またはその抗原結合断片は、それぞれ、配列番号17、19、21、23、25、27、29、31、33、35、37、39、41、43、45、47、49、51、53、55、または57と、少なくとも85%、好ましくは90%、より好ましくは95%以上、例えば95%、96%、97%、98%、または99%同一のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、および、それぞれ、配列番号18、20、22、24、26、28、30、32、34、36、38、40、42、44、46、48、50、52、54、56、または58と、少なくとも85%、好ましくは90%、より好ましくは95%以上、例えば95%、96%、97%、98%、または99%同一のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域を含む。好ましくは、ヒト化単離モノクローナル抗体またはその抗原結合断片は、それぞれ、配列番号17、19、21、23、25、27、29、31、33、35、37、39、41、43、45、47、49、51、53、55、または57のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域;および、それぞれ、配列番号18、20、22、24、26、28、30、32、34、36、38、40、42、44、46、48、50、52、54、56、または58のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域を含む。
【0090】
一実施形態において、本発明は、ヒト化単離モノクローナル抗体またはその抗原結合断片であって、HCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、およびLCDR3を含み、これらはそれぞれ、配列番号7、8、9、10、11、および12のポリペプチド配列を有する、ヒト化単離モノクローナル抗体またはその抗原結合断片に関連する。別の実施形態において、ヒト化単離モノクローナル抗体またはその抗原結合断片は、それぞれ、配列番号59、61、63、65、67、69、71、73、75、77、79、81、83、85、87、89、91、93、95、97、または99と、少なくとも85%、好ましくは90%、より好ましくは95%以上、例えば95%、96%、97%、98%、または99%同一のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、および、それぞれ、配列番号60、62、64、66、68、70、72、74、76、78、80、82、84、86、88、90、92、94、96、98、または100と、少なくとも85%、好ましくは90%、より好ましくは95%以上、例えば95%、96%、97%、98%、または99%同一のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域を含む。好ましくは、ヒト化単離モノクローナル抗体またはその抗原結合断片は、それぞれ、配列番号59、61、63、65、67、69、71、73、75、77、79、81、83、85、87、89、91、93、95、97、または99のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域;および、それぞれ、配列番号60、62、64、66、68、70、72、74、76、78、80、82、84、86、88、90、92、94、96、98、または100のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域を含む。
【0091】
一実施形態において、本発明は、ヒト化単離モノクローナル抗体またはその抗原結合断片であって、HCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、およびLCDR3を含み、これらはそれぞれ、配列番号7、8、149、10、11、および12のポリペプチド配列を有する、ヒト化単離モノクローナル抗体またはその抗原結合断片に関連する。別の実施形態において、ヒト化単離モノクローナル抗体またはその抗原結合断片は、それぞれ、配列番号101、109、117、125、127、129、131、133、または135と、少なくとも85%、好ましくは90%、より好ましくは95%以上、例えば95%、96%、97%、98%、または99%同一のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、および、それぞれ、配列番号102、110、118、126、128、130、132、134、または136と、少なくとも85%、好ましくは90%、より好ましくは95%以上、例えば95%、96%、97%、98%、または99%同一のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域を含む。好ましくは、ヒト化単離モノクローナル抗体またはその抗原結合断片は、それぞれ、配列番号101、109、117、125、127、129、131、133、または135のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域;および、それぞれ、配列番号102、110、118、126、128、130、132、134、または136のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域を含む。
【0092】
一実施形態において、本発明は、ヒト化単離モノクローナル抗体またはその抗原結合断片であって、HCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、およびLCDR3を含み、これらはそれぞれ、配列番号7、8、150、10、11、および12のポリペプチド配列を有する、ヒト化単離モノクローナル抗体またはその抗原結合断片に関連する。別の実施形態において、ヒト化単離モノクローナル抗体またはその抗原結合断片は、それぞれ、配列番号103、111、119、137、139、141、143、145、または147と、少なくとも85%、好ましくは90%、より好ましくは95%以上、例えば95%、96%、97%、98%、または99%同一のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、および、それぞれ、配列番号104、112、120、138、140、142、144、146、または148と、少なくとも85%、好ましくは90%、より好ましくは95%以上、例えば95%、96%、97%、98%、または99%同一のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域を含む。好ましくは、ヒト化単離モノクローナル抗体またはその抗原結合断片は、それぞれ、配列番号103、111、119、137、139、141、143、145、または147のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域;および、それぞれ、配列番号104、112、120、138、140、142、144、146、または148のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域を含む。
【0093】
一実施形態において、本発明は、ヒト化単離モノクローナル抗体またはその抗原結合断片であって、HCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、およびLCDR3を含み、これらはそれぞれ、配列番号7、8、151、10、11、および12のポリペプチド配列を有する、ヒト化単離モノクローナル抗体またはその抗原結合断片に関連する。別の実施形態において、ヒト化単離モノクローナル抗体またはその抗原結合断片は、それぞれ、配列番号105、113、または121と、少なくとも85%、好ましくは90%、より好ましくは95%以上、例えば95%、96%、97%、98%、または99%同一のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、および、それぞれ、配列番号106、114、または122と、少なくとも85%、好ましくは90%、より好ましくは95%以上、例えば95%、96%、97%、98%、または99%同一のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域を含む。好ましくは、ヒト化単離モノクローナル抗体またはその抗原結合断片は、それぞれ、配列番号105、113、または121のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域;および、それぞれ、配列番号106、114、または122のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域を含む。
【0094】
一実施形態において、本発明は、ヒト化単離モノクローナル抗体またはその抗原結合断片であって、HCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、およびLCDR3を含み、これらはそれぞれ、配列番号7、8、152、10、11、および12のポリペプチド配列を有する、ヒト化単離モノクローナル抗体またはその抗原結合断片に関連する。別の実施形態において、ヒト化単離モノクローナル抗体またはその抗原結合断片は、それぞれ、配列番号107、115、または123と、少なくとも85%、好ましくは90%、より好ましくは95%以上、例えば95%、96%、97%、98%、または99%同一のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、および、それぞれ、配列番号108、116、or 124またはと、少なくとも85%、好ましくは90%、より好ましくは95%以上、例えば95%、96%、97%、98%、または99%同一のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域を含む。好ましくは、ヒト化単離モノクローナル抗体またはその抗原結合断片は、それぞれ、配列番号107、115、または123のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域;および、それぞれ、配列番号108、116、または124のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域を含む。
【0095】
ある実施形態において、単離モノクローナル抗体またはその抗原結合断片は、ヒトBTLAのアゴニストであり、およびBTLAに結合する際に、BTLAからの下流シグナル伝達を活性化する。
【0096】
ある実施形態において、モノクローナル抗体またはその抗原結合断片は、B細胞増殖および/またはT細胞および/または形質細胞活性化を阻害することが可能である。T細胞は、例えばCD4 T細胞、CD8 T細胞、Th1 T細胞、TFH T細胞、αβT細胞、およびγδT細胞からなる群から選択されうる。
【0097】
ある実施形態において、モノクローナル抗体またはその抗原結合断片は、ヘルペスウイルス侵入メディエーター(HVEM)へのBTLAの結合を、遮断または消失させることが可能である。
【0098】
ある実施形態において、単離モノクローナル抗体またはその抗原結合断片は、BTLAと結合し、および、炎症性サイトカイン産生、例えば、インターフェロンγ(IFNγ)、インターロイキン-2(IL-2)、C-X-Cモチーフケモカインリガンド9(CXCL9)、C-X-Cモチーフケモカインリガンド10(CXCL10)、インターロイキン1β(IL1β)、および腫瘍壊死因子α(TNFα)などを、増加させることが可能である。ある実施形態において、単離モノクローナル抗体またはその抗原結合断片は、インターフェロンγ(IFNγ)、インターロイキン-2(IL-2)、C-X-Cモチーフケモカインリガンド9(CXCL9)、C-X-Cモチーフケモカインリガンド10(CXCL10)、インターロイキン1β(IL1β)、および/または腫瘍壊死因子α(TNFα)産生を、対照抗BTLA抗体またはその抗原結合断片よりも多く、増加させることが可能である。本明細書において使用される対照抗BTLA抗体は、BTLAと結合し、BTLAのHVEMへの結合を遮断することが可能な抗体でありうる。本明細書において使用される対照抗体の例には、JS004抗BTLA抗体を含みうるが、これらに限定されない。
【0099】
別の一般的な態様において、本発明は、本発明のモノクローナル抗体またはその抗原結合断片、および/または二重特異性抗体またはその抗原結合断片をコードする、単離核酸に関連する。当業者であれば、タンパク質のアミノ酸配列を変更せずに、タンパク質のコード配列が変更(例えば、置換、削除、挿入など)されうることが、理解されるであろう。従って、当業者であれば、本発明のモノクローナル抗体またはその抗原結合断片をコードする核酸配列は、タンパク質のアミノ酸配列を変更せずに、変更されうることが、理解されるであろう。
【0100】
別の一般的な態様において、本発明は、本発明のモノクローナル抗体またはその抗原結合断片、および/または二重特異性抗体またはその抗原結合断片をコードする、単離核酸を含むベクターに関連する。当業者に公知の任意のベクター、例えばプラスミド、コスミド、ファージベクター、またはウイルスベクターが、本開示に照らして、使用されうる。いくつかの実施形態において、ベクターは、プラスミドなどの組換え発現ベクターである。ベクターは、発現ベクターの従来の機能を確立するための任意の要素、例えば、プロモーター、リボソーム結合要素、ターミネーター、エンハンサー、選択マーカー、および複製起点を、含みうる。プロモーターは、構成的な、誘導可能な、または抑制可能なプロモーターでありうる。核酸を細胞へ送達することが可能な多数の発現ベクターが、当該技術分野で知られており、細胞内で抗体またはその抗原結合断片を産生するために、本明細書において使用されうる。本発明の実施形態に従って組換え発現ベクターを生成するために、従来のクローニング技術または人工遺伝子合成が使用されうる。
【0101】
別の一般的な態様において、本発明は、本発明のモノクローナル抗体またはその抗原結合断片、および/または二重特異性抗体またはその抗原結合断片をコードする、単離核酸を含む宿主細胞に関連する。当業者に公知の任意の宿主細胞が、本開示に照らして、本発明の抗体またはその抗原結合断片の組換え発現のために、使用されうる。いくつかの実施形態において、宿主細胞は、大腸菌(E.coli)TG1またはBL21細胞(例えばscFvまたはFab抗体の発現のため)、CHO-DG44またはCHO-K1細胞、またはHEK293細胞(例えば全長IgG抗体の発現のため)である。具体的な実施形態によれば、組換え発現ベクターは、化学的トランスフェクション、ヒートショック、または電気穿孔法などの従来の方法によって、宿主細胞に形質転換され、そこで宿主細胞ゲノム内に安定的に統合されることにより、組換え核酸が効果的に発現される。
【0102】
別の一般的な態様において、本発明は、本発明のモノクローナル抗体またはその抗原結合断片、および/または二重特異性抗体またはその抗原結合断片を、産生する方法に関連し、前記方法は、前記モノクローナル抗体またはその抗原結合断片、または二重特異性抗体またはその抗原結合断片をコードする核酸を含む細胞を、本発明のモノクローナル抗体またはその抗原結合断片、または二重特異性抗体またはその抗原結合断片を産生する条件下で、培養するステップ、および、前記モノクローナルおよび/または二重特異性抗体またはその抗原結合断片を、前記細胞または細胞培養物から(例えば上清から)回収するステップを含む。発現モノクローナルおよび/または二重特異性抗体またはその抗原結合断片は、細胞から収穫され、当該技術分野で知られ本明細書に記載される従来技術に従って、精製されうる。
【0103】
[医薬組成物]
別の一般的な態様において、本発明は、本発明の単離モノクローナル抗体またはその抗原結合断片、二重特異性抗体またはその抗原結合断片、単離ポリヌクレオチド、および/または単離ポリペプチド、および薬学的に許容される担体を含む、医薬組成物に関連する。
【0104】
本明細書において使用される「医薬組成物(pharmaceutical composition)」という用語は、本発明の単離ポリヌクレオチド、本発明の単離ポリペプチド、抗BTLAモノクローナル抗体またはその抗原結合断片、および/または本発明の二重特異性抗体を、薬学的に許容される担体と共に含む、産物を意味する。本発明のポリヌクレオチド、ポリペプチド、抗BTLAモノクローナル抗体またはその抗原結合断片、および/または二重特異性抗体、およびそれらを含む組成物はまた、本明細書に記載される治療用途のための医薬品の製造にも有用である。
【0105】
本明細書において使用される場合、「担体(carrier)」という用語は、医薬製剤において使用するために当該技術分野で広く知られる、任意の賦形剤、希釈剤、充填剤、塩、緩衝剤、安定剤、可溶化剤、油、脂質、脂質含有小胞、微小球、リポソームカプセル化、または他の材料を指す。担体、賦形剤、または希釈剤の特性は、具体的な適用での投与の経路に依存することが、理解されるであろう。本明細書において使用される場合、「薬学的に許容される担体(pharmaceutically acceptable carrier)」という用語は、本発明による組成物の有効性または本発明による組成物の生物学的活性を妨げない、非毒性材料を指す。具体的な実施形態によれば、本開示に照らして、抗体医薬組成物における使用に適した任意の薬学的に許容される担体が、本発明において使用されうる。
【0106】
医薬品有効成分の薬学的に許容される担体との製剤は、当該技術分野で知られており、例えばRemington: The Science and Practice of Pharmacy(例えば第21版(2005年)、およびそれ以降の版))など。追加成分の非限定的な例には、緩衝剤、希釈剤、溶媒、浸透圧調整剤、防腐剤、安定剤、およびキレート剤を含む。1または複数の薬学的に許容される担体が、本発明の医薬組成物を製剤化する際に、使用されうる。
【0107】
本発明の一実施形態において、医薬組成物は液体製剤である。液体製剤の好ましい例は、水性製剤、すなわち水を含有する製剤である。液体製剤には、溶液、懸濁液、エマルジョン、マイクロエマルジョン、ゲルなどを含みうる。水性製剤は典型的には、少なくとも50%w/wの水、または少なくとも60%、70%、75%、80%、85%、90%、または少なくとも95%w/wの水を含む。
【0108】
一実施形態において、医薬組成物は、注入剤として製剤化されてもよく、例えば注入装置(例えば、シリンジまたは輸液ポンプ)を介して注入されうる。注入は、例えば皮下に、筋肉内に、腹腔内に、硝子体内に、または静脈内に、送達されうる。
【0109】
別の実施形態において、医薬組成物は、固体製剤、例えば凍結乾燥または噴霧乾燥された組成物であり、そのまま使用されてもよく、またはそこに医師または患者が、溶媒および/または希釈剤を使用前に加えてもよい。固体剤形には、圧縮錠剤および/またはコーティング錠などの錠剤、およびカプセル(例えば、ハードまたはソフトゼラチンカプセル)を含みうる。医薬組成物はまた、例えば小袋(sachets)、糖衣錠(dragees)、粉末、顆粒、トローチ、または再構成用の粉末の形態でありうる。
【0110】
剤形は、即時放出型であってもよく、その場合、それらは水溶性または分散性の担体を含むことができ、または、遅延放出型、持続放出型、または修飾放出型であってもよく、その場合、それらは胃腸管内または皮下での剤形の溶解速度を調節する水不溶性ポリマーを含むことができる。
【0111】
他の実施形態において、医薬組成物は、鼻腔内に、口腔内に(intrabuccally)、または舌下に、送達されうる。
【0112】
水性製剤のpHは、pH3~pH10の間でありうる。本発明の一実施形態において、製剤のpHは約7.0~約9.5である。本発明の他の実施形態において、製剤のpHは約3.0~約7.0である。
【0113】
本発明の別の実施形態において、医薬組成物は緩衝剤を含む。緩衝剤の非限定的な例には、以下を含む:アルギニン、アスパラギン酸、ビシン、クエン酸、リン酸水素二ナトリウム、フマル酸、グリシン、グリシルグリシン、ヒスチジン、リジン、マレイン酸、リンゴ酸、酢酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸ナトリウム、コハク酸塩、酒石酸、トリシン、およびトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン、およびそれらの混合物。緩衝剤は、個別にまたは全体として、約0.01mg/ml~約50mg/ml、例えば約0.1mg/ml~約20mg/mlの濃度で存在しうる。これらの特定の緩衝剤の各々を含む医薬組成物は、本発明の代替的な実施形態を構成する。
【0114】
本発明の別の実施形態において、医薬組成物は防腐剤を含む。防腐剤の非限定的な例には、以下を含む:ベンゼトニウム塩化物、安息香酸、ベンジルアルコール、ブロノポール、ブチル4-ヒドロキシ安息香酸、クロロブタノール、クロロクレゾール、クロロヘキシジン、クロルフェネシン、o-クレゾール、m-クレゾール、p-クレゾール、エチル4-ヒドロキシ安息香酸、イミド尿素(imidurea)、メチル4-ヒドロキシ安息香酸、フェノール、2-フェノキシエタノール、2-フェニルエタノール、プロピル4-ヒドロキシ安息香酸、デヒドロ酢酸ナトリウム、チメロサール(thiomerosal)、およびそれらの混合物。防腐剤は、個別にまたは全体として、約0.01mg/ml~約50mg/ml、例えば約0.1mg/ml~約20mg/mlの濃度で存在しうる。これらの特定の防腐剤の各々を含む医薬組成物は、本発明の代替的な実施形態を構成する。
【0115】
本発明の別の実施形態において、医薬組成物は等張剤を含む。等張剤の非限定的な例には、以下を含む:塩(例えば塩化ナトリウム)、アミノ酸(例えばグリシン、ヒスチジン、アルギニン、リジン、イソロイシン、アスパラギン酸、トリプトファン、およびスレオニン)、アルジトール(例えばグリセロール、1,2-プロパンジオール(プロピレングリコール)、1,3-プロパンジオール、および1,3-ブタンジオール)、ポリエチレングリコール(例えばPEG400)、およびそれらの混合物。等張剤の別の例には、糖を含む。糖の非限定的な例は、単糖、二糖、または多糖、または水溶性グルカンであってもよく、例えば果糖、ブドウ糖、マンノース、ソルボース、キシロース、麦芽糖、乳糖、ショ糖、トレハロース、デキストラン、プルラン、デキストリン、シクロデキストリン、α-およびβ-HPCD、可溶性デンプン、ヒドロキシエチルデンプン、およびカルボキシメチルセルロースナトリウムを含む。等張剤の別の例は、糖アルコールであり、ここで「糖アルコール(sugar alcohol)」という用語は、少なくとも1つの-OH基を有するC(4-8)炭化水素として定義される。糖アルコールの非限定的な例には、マンニトール、ソルビトール、イノシトール、ガラクトール、ズルシトール、キシリトール、およびアラビトールを含む。等張剤は、個別にまたは全体として、約0.01mg/ml~約50mg/ml、例えば約0.1mg/ml~約20mg/mlの濃度で存在しうる。これらの特定の等張剤の各々を含む医薬組成物は、本発明の代替的な実施形態を構成する。
【0116】
本発明の別の実施形態において、医薬組成物はキレート剤を含む。キレート剤の非限定的な例には、クエン酸、アスパラギン酸、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)の塩、およびそれらの混合物を含む。キレート剤は、個別にまたは全体として、約0.01mg/ml~約50mg/ml、例えば約0.1mg/ml~約20mg/mlの濃度で存在しうる。これらの特定のキレート剤の各々を含む医薬組成物は、本発明の代替的な実施形態を構成する。
【0117】
本発明の別の実施形態において、医薬組成物は安定剤を含む。安定剤の非限定的な例には、1または複数の凝集阻害剤、1または複数の酸化阻害剤、1または複数の界面活性剤、および/または1または複数のプロテアーゼ阻害剤を含む。
【0118】
本発明の別の実施形態において、医薬組成物は安定剤を含み、前記安定剤は、カルボキシ/ヒドロキシセルロースおよびその誘導体(例えばHPC、HPC-SL、HPC-L、およびHPMC)、シクロデキストリン、2-メチルチオエタノール、ポリエチレングリコール(例えばPEG 3350)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルピロリドン、塩(例えば塩化ナトリウム)、硫黄含有物質(例えばモノチオグリセロール)、またはチオグリコール酸である。安定剤は、個別にまたは全体として、約0.01mg/ml~約50mg/ml、例えば約0.1mg/ml~約20mg/mlの濃度で存在しうる。これらの特定の安定剤の各々を含む医薬組成物は、本発明の代替的な実施形態を構成する。
【0119】
本発明のさらなる実施形態において、医薬組成物は、1または複数の界面活性剤、好ましくは1つの界面活性剤、少なくとも1つの界面活性剤、または2つの異なる界面活性剤を含む。「界面活性剤(surfactant)」という用語は、水溶性(親水性)部分と脂溶性(親油性)部分を含む、任意の分子またはイオンを指す。界面活性剤は、例えばアニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、および/または双性イオン性界面活性剤からなる群から選択されうる。界面活性剤は、個別にまたは全体として、約0.1mg/ml~約20mg/mlの濃度で存在しうる。これらの特定の界面活性剤の各々を含む医薬組成物は、本発明の代替的な実施形態を構成する。
【0120】
本発明のさらなる実施形態において、医薬組成物は、1または複数のプロテアーゼ阻害剤、例えばEDTA、および/またはベンズアミジン塩酸塩(HCl)などを含む。プロテアーゼ阻害剤は、個別にまたは全体として、約0.1mg/ml~約20mg/mlの濃度で存在しうる。これらの特定のプロテアーゼ阻害剤の各々を含む医薬組成物は、本発明の代替的な実施形態を構成する。
【0121】
別の一般的な態様において、本発明は、医薬組成物を産生する方法に関連し、前記方法は、本発明のモノクローナル抗体またはその抗原結合断片、および/または二重特異性抗体またはその抗原結合断片を含み、モノクローナル抗体またはその抗原結合断片、および/または二重特異性抗体またはその抗原結合断片を、薬学的に許容される担体と組み合わせて、前記医薬組成物を得るステップを含む。
【0122】
[使用方法]
別の一般的な態様において、本発明は、それを必要とする対象において癌を治療する方法に関連し、前記方法は、本発明の抗BTLAモノクローナルおよび/または二重特異性抗体またはその抗原結合断片を含む医薬組成物を、前記対象へ投与するステップを含む。ある実施形態において、前記癌は、固形腫瘍であり、好ましくは浸潤T細胞を有する固形腫瘍であり、より好ましくは浸潤エフェクターT細胞を有する固形腫瘍であり、より好ましくはBTLAを発現しているエフェクターT細胞を有する固形腫瘍であり、最も好ましくはBTLAを発現している浸潤エフェクターT細胞を有し腫瘍微小環境においてBTLAリガンドHVEMが高発現している固形腫瘍である。前記癌は、例えば、黒色腫、肺癌、腎細胞癌、および肝臓癌から選択されうるが、これらに限定されない。
【0123】
別の一般的な態様において、本発明は、対象において癌細胞表面上のBTLAを標的として細胞殺傷を達成する方法に関連し、前記方法は、BTLAに特異的に結合する単離モノクローナル抗体またはその抗原結合断片、および/または二重特異性抗体またはその抗原結合断片、または本発明の単離モノクローナル抗体またはその抗原結合断片、および/または二重特異性抗体またはその抗原結合断片を含む医薬組成物を、前記対象へ投与するステップを含む。抗BTLAモノクローナルまたは二重特異性抗体または抗原結合断片のBTLAへの結合は、ヘルペスウイルス侵入メディエーター(HVEM)のBTLAへの結合を遮断することができ;BTLAに結合する際に、BTLAからの下流シグナル伝達を活性化することができ;B細胞増殖および/またはT細胞および/または形質細胞活性化を阻害することができ;炎症性サイトカイン産生、例えば、IL-2、CXCL9、CXCL10、IL1β、およびTNFαなどを増加させることができる。モノクローナルまたは二重特異性抗体またはその抗原結合断片は、例えば、複合化薬物を動員する役割を果たすことができ、および/または別のモノクローナル抗体と二重特異性抗体を形成して標的癌細胞の死を媒介することができる。
【0124】
抗BTLAモノクローナルまたは二重特異性抗体または抗原結合断片のBTLAへの結合は、炎症性サイトカイン産生、例えば、IL-2、CXCL9、CXCL10、IL1β、およびTNFαなどを、対照抗BTLAモノクローナルまたは二重特異性抗体またはその抗原結合断片よりも多く、増加させることが可能である。本明細書において使用される対照抗BTLA抗体は、BTLAと結合し、BTLAのHVEMへの結合を遮断することが可能な抗体でありうる。本明細書において使用される対照抗体の例には、JS004抗BTLA抗体を含みうるが、これらに限定されない。
【0125】
BTLAと結合する抗体およびその抗原結合断片の機能的活性は、当該技術分野で知られ本明細書に記載される方法により、特性評価されうる。BTLAと結合する抗体およびその抗原結合断片を特性評価するための方法には、Biacore、ELISA、およびOctetRed分析を含む親和性および特異性アッセイ、および、FACSによる細胞(BTLAでトランスフェクトされた細胞または自然にBTLAを発現する細胞)上の抗体および抗原結合断片のBTLAへの結合の検出を含むが、これらに限定されない。具体的な実施形態によれば、BTLAと結合する抗体およびその抗原結合断片を特性評価するための方法には、以下に記載されるものを含む。
【0126】
別の一般的な態様において、本発明は、それを必要とする対象において癌を治療する方法に関連し、前記方法は、BTLAに特異的に結合する単離モノクローナル抗体またはその抗原結合断片、および/または二重特異性抗体またはその抗原結合断片、または本発明の医薬組成物を、前記対象へ投与するステップを含む。前記癌は、例えば、黒色腫、肺癌、腎細胞癌、および肝臓癌からなる群から選択されうる。
【0127】
本明細書において抗BTLA抗体またはその抗原結合断片に関連して使用される場合、治療上有効な量とは、それを必要とする対象において免疫応答を調節する量の、抗BTLA抗体またはその抗原結合断片を意味する。また、本明細書において抗BTLA抗体またはその抗原結合断片に関連して使用される場合、治療上有効な量とは、疾患、障害、または状態の治療をもたらす量;疾患、障害、または状態の進行を予防または遅延させる量;または、疾患、障害、または状態に関連する症状を減少または完全に緩和する量の、抗BTLA抗体またはその抗原結合断片を意味する。
【0128】
具体的な実施形態によれば、治療されるべき疾患、障害、または状態は、癌である。前記癌は、例えば、黒色腫、肺癌、腎細胞癌、および肝臓癌でありうる。
【0129】
具体的な実施形態によれば、治療上有効な量とは、以下の効果のうちの1つ、2つ、3つ、4つ以上を達成するのに十分な治療の量を指す:(i)治療されるべき疾患、障害、または状態、またはそれに関連する症状の、重症度を減少または改善する、(ii)治療されるべき疾患、障害または状態、またはそれに関連する症状の、持続期間を減少させる、(iii)治療されるべき疾患、障害、または状態、またはそれに関連する症状の、進行を防ぐ、(iv)治療されるべき疾患、障害、または状態、またはそれに関連する症状の、退縮を引き起こす、(v)治療されるべき疾患、障害、または状態、またはそれに関連する症状の、発症または開始を防ぐ、(vi)治療されるべき疾患、障害、または状態、またはそれに関連する症状の、再発を防ぐ、(vii)治療されるべき疾患、障害、または状態、またはそれに関連する症状を有する対象の、入院を減少させる、(viii)治療されるべき疾患、障害、または状態、またはそれに関連する症状を有する対象の、入院期間を減少させる、(ix)治療されるべき疾患、障害、または状態、またはそれに関連する症状を有する対象の、生存を延長する、(xi)患者における治療されるべき疾患、障害、または状態、またはそれに関連する症状を、阻害または減少させる、および/または(xii)別の療法の予防的または治療的効果(複数可)を、強化または改善する。
【0130】
治療上有効な量または投与量は、以下のような様々な要因によって変化しうる:治療されるべき疾患、障害、または状態、投与の手段、標的部位、対象の生理的状態(例えば、年齢、体重、健康状態を含む)、対象が人間か動物か、他の投与薬物、および治療が予防的か治療的か。治療投与量は、安全性および有効性を最適化するために、最適に用量設定される。
【0131】
具体的な実施形態によれば、本明細書に記載された組成物は、対象への意図される投与経路に適するように、製剤化される。例えば、本明細書に記載された組成物は、静脈内、皮下、または筋肉内投与に適するように、製剤化されうる。
【0132】
本明細書において使用される場合、「治療する(treat)」、「治療すること(treating)」、および「治療(treatment)」という用語は全て、癌に関連する少なくとも1の測定可能な物理的パラメータの、改善または逆転を指すことを意図し、それは必ずしも対象にはっきりと認識できるわけではないが、対象において認識できる場合もある。「治療する」、「治療すること」、および「治療」という用語はまた、疾患、障害、または状態の、退縮を引き起こすこと、進行を防ぐこと、または少なくとも進行を遅らせることを指しうる。具体的な実施形態において、「治療する」、「治療すること」、および「治療」は、疾患、障害、または状態に関連する1または複数の症状、例えば腫瘍、またはより好ましくは癌の、緩和、発症または開始の予防、または持続期間の減少を指す。具体的な実施形態において、「治療する」、「治療すること」、および「治療」は、疾患、障害、または状態の、再発の予防を指す。具体的な実施形態において、「治療する」、「治療すること」、および「治療」は、疾患、障害、または状態を有する対象の、生存を延長することを指す。具体的な実施形態において、「治療する」、「治療すること」、および「治療」は、対象における疾患、障害、または状態の除去を指す。
【0133】
具体的な実施形態によれば、癌の治療に使用される組成物が提供される。癌療法のために、提供される組成物は、以下を含むがこれらに限定されない別の治療と併用して、使用されうる:化学療法、抗CD20 mAb、抗EGFR mAb、抗HER-2 mAb、抗CD19 mAb、抗CD33 mAb、抗CD47 mAb、抗CD73 mAb、抗PD-1 mAb、抗PD-L1 mAb、抗CTLA mAb、抗TNFR2 mAb、抗OX40 mAb、他の免疫腫瘍薬、抗血管新生剤、放射線療法、抗体薬物複合体(ADC)、標的療法、他の抗癌剤、および/またはPD1およびPD-L1を含むがこれらに限定されない免疫調節標的を標的とする治療。BTLAに対する抗体は、PD-1、PD-L1、CTLA-4、CTLA、TNFR2、OX40、EGFR、HER-2、CD19、CD20、CD33、CD73、CD47、および/またはCD3に対するパートナーmAbと共に、二重特異性抗体を構築するために使用されうる。BTLA上の2つの異なるエピトープを認識する2つの抗体もまた、BTLAを発現する癌/腫瘍を治療するための二重特異性抗体を構築するために、使用されうる。
【0134】
本明細書において使用される場合、「併用(in combination)」という用語は、対象に対する2以上の療法の投与の文脈において、複数の療法の使用を指す。「併用」という用語の使用は、対象に対する療法を投与する順序を制限しない。例えば、第1の療法(例えば、本明細書に記載された組成物)は、第2の療法を対象に対して投与する前(例えば、5分、15分、30分、45分、1時間、2時間、4時間、6時間、12時間、16時間、24時間、48時間、72時間、96時間、1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、8週間、または12週間前)、投与と同時、または投与の後(例えば、5分、15分、30分、45分、1時間、2時間、4時間、6時間、12時間、16時間、24時間、48時間、72時間、96時間、1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、8週間、または12週間後)に、投与されうる。
【0135】
別の一般的な態様において、本発明は、対象におけるBTLAのレベルを決定する方法に関連する。前記方法は、(a)前記対象から試料を取得するステップ;(b)前記試料を本発明のモノクローナル抗体またはその抗原結合断片と接触させるステップ;および(c)前記対象におけるBTLAのレベルを決定するステップ、を含む。
【0136】
本明細書において使用される場合、「試料(sample)」とは、対象から単離された生物学的試料を指し、以下を含みうるがこれらに限定されない:全血、血清、血漿、血球、内皮細胞、組織生検(例えば、癌組織)、リンパ液、腹水、間質液、骨髄、脳脊髄液、唾液、粘液、痰、汗、尿、またはその他の分泌物、排泄物、または他の体液。「血液試料(blood sample)」とは、全血またはその任意の分画を指し、血球、血清、および血漿を含む。試料は、例えばTreg細胞を含みうる。
【0137】
ある実施形態において、対象におけるBTLAのレベルは、ウェスタンブロットアッセイ、免疫組織化学(IHC)、およびELISAから選択されるがこれらに限定されないアッセイを利用して、決定されうる。相対的なタンパク質レベルは、ウェスタンブロット分析およびIHCを利用することによって、決定することができ、絶対的なタンパク質レベルは、ELISAを利用することによって、決定することができる。BTLAの相対的なレベルを決定する場合、少なくとも2つの試料間で、例えば、異なる時間点での同一対象からの試料間で、同一対象における異なる組織からの試料間で、および/または異なる対象からの試料間で、BTLAのレベルが決定されうる。あるいは、ELISAなどによってBTLAの絶対的なレベルを決定する場合、試料を試験する前にELISA用の標準を作成することによって、試料中のBTLAの絶対的なレベルが決定されうる。当業者であれば、本発明の抗体またはその抗原結合断片を利用して、対象からの試料中のBTLAのレベルを決定するために、どの分析技術を利用すべきかを理解するであろう。
【0138】
対象からの試料中のBTLAのレベルを決定する方法を利用することで、疾患における異常な(上昇、低下、または不十分な)BTLAレベルの診断、および適切な治療上の決定を行うことにつながりうる。そのような疾患には、癌が含まれうる。さらに、対象におけるBTLAのレベルを監視することにより、上記のような疾患が発症するリスクは、特定の疾患におけるおよび/または特定の疾患の進行中のBTLAのレベルの知識に基づいて、決定されうる。
【0139】
[実施形態]
本発明は、以下の非限定的な実施形態をも提供する。
【0140】
実施形態1は、単離モノクローナル抗体またはその抗原結合断片であって、
重鎖相補性決定領域1(HCDR1)、HCDR2、HCDR3、軽鎖相補性決定領域1(LCDR1)、LCDR2、およびLCDR3を含み、
これらは以下のポリペプチド配列を有し:
(1)それぞれ、配列番号7、8、153、10、11、および12;
または
(2)それぞれ、配列番号1、2、3、4、5、および6;
ここで、前記抗体またはその抗原結合断片は、BTLAと特異的に結合し、好ましくはヒトBTLAと特異的に結合し、前記モノクローナル抗体またはその抗原結合断片は、自然起源でなくてもよい、
単離モノクローナル抗体またはその抗原結合断片である。
【0141】
実施形態2は、単離モノクローナル抗体またはその抗原結合断片であって、
重鎖相補性決定領域1(HCDR1)、HCDR2、HCDR3、軽鎖相補性決定領域1(LCDR1)、LCDR2、およびLCDR3を含み、
これらは以下のポリペプチド配列を有し:
(1)それぞれ、配列番号7、8、9、10、11、および12;
または
(2)それぞれ、配列番号1、2、3、4、5、および6;
ここで、前記抗体またはその抗原結合断片は、BTLAと特異的に結合し、好ましくはヒトBTLAと特異的に結合し、前記モノクローナル抗体またはその抗原結合断片は、自然起源でなくてもよい、
単離モノクローナル抗体またはその抗原結合断片である。
【0142】
実施形態3は、実施形態1または2に記載された単離モノクローナル抗体またはその抗原結合断片であって、
配列番号15または13と、少なくとも95%同一のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、
または
配列番号16または14と、少なくとも95%同一のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域
を含む、
単離モノクローナル抗体またはその抗原結合断片である。
【0143】
実施形態4は、実施形態1~3のいずれか一項に記載された単離モノクローナル抗体またはその抗原結合断片であって:
(1)配列番号15のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、および配列番号16のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
または
(2)配列番号13のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、および配列番号14のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
を含む、
単離モノクローナル抗体またはその抗原結合断片である。
【0144】
実施形態5は、実施形態1~4のいずれか一項に記載された単離モノクローナル抗体またはその抗原結合断片であって、
前記抗体またはその抗原結合断片は、キメラ型のおよび/またはヒト型のまたはヒト化されたものである、
単離モノクローナル抗体またはその抗原結合断片である。
【0145】
実施形態6は、実施形態5に記載されたヒト化単離モノクローナル抗体またはその抗原結合断片であって、
前記単離モノクローナル抗体またはその抗原結合断片は、重鎖相補性決定領域1(HCDR1)、HCDR2、HCDR3、軽鎖相補性決定領域1(LCDR1)、LCDR2、およびLCDR3を含み、
これらは以下のポリペプチド配列を有する:
(1)それぞれ、配列番号7、8、150、10、11、および12;
(2)それぞれ、配列番号1、2、3、4、5、および6;
(3)それぞれ、配列番号7、8、9、10、11、および12;
(4)それぞれ、配列番号7、8、149、10、11、および12;
(5)それぞれ、配列番号7、8、151、10、11、および12;
または
(6)それぞれ、配列番号7、8、152、10、11、および12;
単離モノクローナル抗体またはその抗原結合断片である。
【0146】
実施形態7は、実施形態6に記載されたヒト化単離モノクローナル抗体またはその抗原結合断片であって、
前記単離モノクローナル抗体またはその抗原結合断片は、配列番号141、17、19、21、23、25、27、29、31、33、35、37、39、41、43、45、47、49、51、53、55、57、59、61、63、65、67、69、71、73、75、77、79、81、83、85、87、89、91、93、95、97、99、101、103、105、107、109、111、113、115、117、119、121、123、125、127、129、131、133、135、137、139、143、145、または147と、少なくとも95%同一のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、
または
配列番号142、18、20、22、24、26、28、30、32、34、36、38、40、42、44、46、48、50、52、54、56、58、60、62、64、66、68、70、72、74、76、78、80、82、84、86、88、90、92、94、96、98、100、102、104、106、108、110、112、114、116、118、120、122、124、126、128、130、132、134、136、138、140、144、146、または148と、少なくとも95%同一のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域
を含む、
単離モノクローナル抗体またはその抗原結合断片である。
【0147】
実施形態8は、実施形態7に記載されたヒト化単離モノクローナル抗体またはその抗原結合断片であって、
前記単離モノクローナル抗体またはその抗原結合断片は、以下を含む:
(1)配列番号141のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、および配列番号142のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
(2)配列番号17のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、および配列番号18のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
(3)配列番号19のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、および配列番号20のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
(4)配列番号21のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、および配列番号22のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
(5)配列番号23のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、および配列番号24のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
(6)配列番号25のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、および配列番号26のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
(7)配列番号27のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、および配列番号28のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
(8)配列番号29のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、および配列番号30のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
(9)配列番号31のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、および配列番号32のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
(10)配列番号33のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、および配列番号34のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
(11)配列番号35のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、および配列番号36のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
(12)配列番号37のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、および配列番号38のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
(13)配列番号39のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、および配列番号40のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
(14)配列番号41のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、および配列番号42のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
(15)配列番号43のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、および配列番号44のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
(16)配列番号45のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、および配列番号46のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
(17)配列番号47のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、および配列番号48のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
(18)配列番号49のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、および配列番号50のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
(19)配列番号51のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、および配列番号52のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
(20)配列番号53のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、および配列番号54のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
(21)配列番号55のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、および配列番号56のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
(22)配列番号57のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、および配列番号58のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
(23)配列番号59のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、および配列番号60のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
(24)配列番号61のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、および配列番号62のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
(25)配列番号63のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、および配列番号64のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
(26)配列番号65のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、および配列番号66のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
(27)配列番号67のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、および配列番号68のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
(28)配列番号69のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、および配列番号70のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
(29)配列番号71のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、および配列番号72のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
(30)配列番号73のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、および配列番号74のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
(31)配列番号75のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、および配列番号76のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
(32)配列番号77のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、および配列番号78のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
(33)配列番号79のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、および配列番号80のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
(34)配列番号81のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、および配列番号82のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
(35)配列番号83のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、および配列番号84のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
(36)配列番号85のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、および配列番号86のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
(37)配列番号87のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、および配列番号88のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
(38)配列番号89のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、および配列番号90のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
(39)配列番号91のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、および配列番号92のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
(40)配列番号93のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、および配列番号94のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
(41)配列番号95のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、および配列番号96のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
(42)配列番号97のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、および配列番号98のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
(43)配列番号99のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、および配列番号100のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
(44)配列番号101のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、および配列番号102のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
(45)配列番号103のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、および配列番号104のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
(46)配列番号105のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、および配列番号106のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
(47)配列番号107のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、および配列番号108のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
(48)配列番号109のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、および配列番号110のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
(49)配列番号111のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、および配列番号112のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
(50)配列番号113のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、および配列番号114のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
(51)配列番号115のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、および配列番号116のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
(52)配列番号117のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、および配列番号118のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
(53)配列番号119のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、および配列番号120のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
(54)配列番号121のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、および配列番号122のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
(55)配列番号123のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、および配列番号124のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
(56)配列番号125のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、および配列番号126のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
(57)配列番号127のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、および配列番号128のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
(58)配列番号129のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、および配列番号130のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
(59)配列番号131のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、および配列番号132のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
(60)配列番号133のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、および配列番号134のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
(61)配列番号135のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、および配列番号136のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
(62)配列番号137のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、および配列番号138のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
(63)配列番号139のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、および配列番号140のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
(64)配列番号143のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、および配列番号144のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
(65)配列番号145のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、および配列番号146のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
または
(66)配列番号147のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、および配列番号148のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域;
単離モノクローナル抗体またはその抗原結合断片である。
【0148】
実施形態9は、実施形態1~8のいずれか一項に記載された単離モノクローナル抗体またはその抗原結合断片であって、
前記モノクローナル抗体またはその抗原結合断片は、ヒトBTLAに約25nM、20nM、15nM、5nM、2nM、1nM、または0.5nM未満のKDで結合する、
単離モノクローナル抗体またはその抗原結合断片である。
【0149】
実施形態10は、実施形態1~8のいずれか一項に記載された単離モノクローナル抗体またはその抗原結合断片であって、
前記モノクローナル抗体またはその抗原結合断片は、ヒトBTLAのアゴニストであり、およびBTLAに結合する際に、BTLAからの下流シグナル伝達を活性化する、
単離モノクローナル抗体またはその抗原結合断片である。
【0150】
実施形態11は、実施形態1~8のいずれか一項に記載された単離モノクローナル抗体またはその抗原結合断片であって、
前記モノクローナル抗体またはその抗原結合断片は、B細胞増殖および/またはT細胞および/または形質細胞活性化を阻害することが可能である、
単離モノクローナル抗体またはその抗原結合断片である。
【0151】
実施形態12は、実施形態11に記載された単離モノクローナル抗体またはその抗原結合断片であって、
前記T細胞は、CD4 T細胞、CD8 T細胞、Th1 T細胞、TFH T細胞、αβT細胞、およびγδT細胞からなる群から選択される、
単離モノクローナル抗体またはその抗原結合断片である。
【0152】
実施形態13は、実施形態1~8のいずれか一項に記載された単離モノクローナル抗体またはその抗原結合断片であって、
前記モノクローナル抗体またはその抗原結合断片は、ヘルペスウイルス侵入メディエーター(HVEM)へのBTLAの結合を、遮断または消失させることが可能である、
単離モノクローナル抗体またはその抗原結合断片である。
【0153】
実施形態14は、実施形態1~8のいずれか一項に記載された単離モノクローナル抗体またはその抗原結合断片であって、
前記モノクローナル抗体またはその抗原結合断片は、炎症性サイトカイン産生を増加させること;および/または複合化薬物の動員を媒介すること;および/または殺癌効果を有する別のmAbまたはその抗原結合断片と二重特異性抗体を形成することが可能である、
単離モノクローナル抗体またはその抗原結合断片である。
【0154】
実施形態15は、実施形態14に記載された単離モノクローナル抗体またはその抗原結合断片であって、
前記炎症性サイトカインは、インターフェロンγ(IFNγ)、インターロイキン-2(IL-2)、C-X-Cモチーフケモカインリガンド9(CXCL9)、C-X-Cモチーフケモカインリガンド10(CXCL10)、インターロイキン1β(IL1β)、および/または腫瘍壊死因子α(TNFα)から選択される、
単離モノクローナル抗体またはその抗原結合断片である。
【0155】
実施形態16は、実施形態1~15のいずれか一項に記載された単離モノクローナル抗体またはその抗原結合断片であって、
前記モノクローナル抗体またはその抗原結合断片は、カニクイザルBTLAと特異的に結合する、
単離モノクローナル抗体またはその抗原結合断片である。
【0156】
実施形態17は、実施形態1~16のいずれか一項に記載されたモノクローナル抗体またはその抗原結合断片を含む、単離二重特異性抗体またはその抗原結合断片である。
【0157】
実施形態18は、実施形態1~16のいずれか一項に記載されたモノクローナル抗体または抗原結合断片をコードする、単離核酸である。
【0158】
実施形態19は、実施形態17に記載された二重特異性抗体またはその抗原結合断片をコードする、単離核酸である。
【0159】
実施形態20は、実施形態18または19に記載された単離核酸を含む、ベクターである。
【0160】
実施形態21は、実施形態20に記載されたベクターを含む、宿主細胞である。
【0161】
実施形態22は、実施形態1~16のいずれか一項に記載された単離モノクローナル抗体または抗原結合断片、または実施形態17に記載された二重特異性抗体またはその抗原結合断片、および薬学的に許容される担体を含む、医薬組成物である。
【0162】
実施形態23は、癌細胞表面上のBTLAを標的とする方法、および/またはそれを必要とする対象において癌を治療する方法であって、
実施形態22に記載された医薬組成物を、それを必要とする前記対象へ投与するステップを含む、
方法である。
【0163】
実施形態24は、実施形態23に記載された方法であって、
前記癌は、固形腫瘍であり、好ましくは浸潤T細胞を有する固形腫瘍であり、より好ましくは浸潤エフェクターT細胞を有する固形腫瘍であり、より好ましくはBTLAを発現しているエフェクターT細胞を有する固形腫瘍であり、最も好ましくはBTLAを発現している浸潤エフェクターT細胞を有し腫瘍微小環境においてBTLAリガンドHVEMが高発現している固形腫瘍である、
方法である。
【0164】
実施形態25は、実施形態23または24に記載された方法であって、
前記癌は、黒色腫、肺癌、腎細胞癌、および肝臓癌からなる群から選択される、
方法である。
【0165】
実施形態26は、実施形態23~25のいずれか一項に記載された方法であって、
前記対象は、BTLA発現T細胞、B細胞、樹状細胞(DC)、またはナチュラルキラー(NK)細胞を含む、
方法である。
【0166】
実施形態27は、実施形態23~26のいずれか一項に記載された方法であって、
前記医薬組成物は、第2の抗癌剤をさらに含む、
方法である。
【0167】
実施形態28は、実施形態27に記載された方法であって、
前記第2の抗癌剤は、抗PD-1抗体またはその抗原結合断片である、
方法である。
【0168】
実施形態29は、実施形態1~16のいずれか一項に記載されたモノクローナル抗体または抗原結合断片、または実施形態17に記載された二重特異性抗体またはその抗原結合断片を産生する方法であって、
前記モノクローナル抗体またはその抗原結合断片、または二重特異性抗体またはその抗原結合断片をコードする核酸を含む細胞を、前記モノクローナル抗体またはその抗原結合断片、または二重特異性抗体またはその抗原結合断片を産生する条件下で、培養するステップ、
および
前記モノクローナル抗体またはその抗原結合断片、または二重特異性抗体またはその抗原結合断片を、前記細胞または培養物から回収するステップ
を含む、
方法である。
【0169】
実施形態30は、実施形態1~16のいずれか一項に記載されたモノクローナル抗体またはその抗原結合断片、または実施形態17に記載された二重特異性抗体またはその抗原結合断片を含む、医薬組成物を産生する方法であって、
前記モノクローナル抗体またはその抗原結合断片、または二重特異性抗体またはその抗原結合断片を、薬学的に許容される担体と組み合わせて、前記医薬組成物を得るステップを含む、
方法である。
【0170】
実施形態31は、対象におけるBTLAのレベルを決定する方法であって、
前記方法は:
a.前記対象から試料を得るステップ;
b.前記試料を実施形態1~16のいずれか一項に記載された単離モノクローナル抗体またはその抗原結合断片と接触させるステップ;
および
c.前記対象におけるBTLAのレベルを決定するステップ;
を含む、
方法である。
【0171】
実施形態32は、実施形態31に記載された方法であって、
前記試料は、組織試料または血液試料であり、
前記組織試料は、癌組織試料であってもよい、
方法である。
【0172】
実施形態33は、実施形態31に記載された方法であって、
前記試料は、T細胞、B細胞、樹状細胞(DC)、またはナチュラルキラー(NK)細胞を含む、
方法である。
【実施例】
【0173】
[実施例1:カニクイザルBTLAと交差反応する、抗ヒトBTLA遮断抗体の同定。]
この実施例は、2つのマウスリード抗体候補(HFB6-2およびHFB6-3、配列は下記表2~5に記載)を、HVEM媒介T細胞抑制を逆転させるそれらの能力に基づいて、ベンチマーク抗BTLA遮断抗体(本明細書においてJS004と称される)と同程度に、同定したことを説明する。
【0174】
【0175】
【0176】
【0177】
【0178】
HVEM-BTLA遮断レポーターアッセイにおいて、TCR活性化因子(TCRa)とHVEM(BTLAのリガンド)とを発現するように設計されたCHO細胞株が、BTLAとNFAT結合プロモーターによって駆動されるルシフェラーゼレポーターとを発現したJurkatレポーター細胞株と、共培養された。抗BTLA抗体候補のパネルは、HVEM-BTLA相互作用を除去し、ルシフェラーゼレポーターシグナルを回復させるそれらの能力に基づいて、スクリーニングされた(
図1A~1B)。HFB6-2およびHFB6-3は、このレポーターアッセイにおいて、ベンチマークJS004と同程度に、TCR活性化を回復させることができた。
【0179】
図2A~2Bでは、ヒトBTLAを過剰発現するHEK293細胞、およびカニクイザルBTLAを過剰発現するExpi293細胞が、異なる濃度の抗BTLA親抗体と共にインキュベートされた。抗BTLA抗体の標的細胞への結合は、AF647標識抗ヒトIgG Fc 2次抗体を用いて、FACSにより定量された。HFB6-2およびHFB6-3は、ヒトBTLAおよびカニクイザルBTLAに、一桁nMおよびnM未満のEC
50で、結合することが示された(表6)。
【0180】
【0181】
[実施例2:HFB6-2およびHFB6-3は、抗BTLA遮断剤である。]
この実施例は、HFB6-2およびHFB6-3が、組換えHVEM可溶性タンパク質と細胞性BTLAとの相互作用を遮断し、T細胞におけるHVEM媒介TCR阻害を除去したことを示す。
【0182】
図3Aでは、組換えHVEM可溶性タンパク質は、DyLight 650(DL650)蛍光色素を用いて、標識された。ヒトBTLAを過剰発現するHEK293細胞(HEK293.BTLA)は、HFB6-2およびHFB6-3の濃度を増加させながら、4℃で30分間、その後DL650標識HVEMを用いて、さらに30分間、予備インキュベートされた。洗浄後、HEK293.BTLA細胞上のBTLAと結合したままの可溶性HVEMが、FACSにより測定された。HFB6-2およびHFB6-3は、可溶性HVEMと細胞性BTLAとの相互作用を、一桁nMのIC
50で遮断した。
【0183】
図3Bでは、HFB6-2およびHFB6-3の機能的遮断剤活性が、HVEM-BTLA遮断レポーターアッセイで評価された。このアッセイにおいて、TCR活性化因子(TCRa)とHVEM(BTLAのリガンド)とを発現するように設計されたCHO細胞株が、BTLAとNFAT結合プロモーターによって駆動されるルシフェラーゼレポーターとを発現したJurkatレポーター細胞株と、共培養された。HFB6-2およびHFB6-3の適用により、ベンチマークJS004と同様に、用量依存的にルシフェラーゼレポーターシグナルが回復した。
【0184】
【0185】
[実施例3:HFB6-2およびHFB6-3は、初代TおよびB細胞に結合する。]
この実施例は、HFB6-2およびHFB6-3が、それぞれ一桁nMのEC50およびnM未満のEC50で、初代T細胞およびB細胞に結合することを示す。
【0186】
図4A~4Dでは、初代T細胞およびB細胞は、EasySep(商標)Human T Cell Isolation KitおよびB cell isolation kit(STEMCELL Technologies;バンクーバー(Vancouver)、カナダ)を用いて、ヒトPBMCから単離された。単離されたT細胞またはB細胞は、異なる濃度の抗BTLA親抗体と共に、インキュベートされた。抗BTLA抗体の標的細胞への結合は、AF647標識抗ヒトIgG Fc 2次抗体を用いて、FACSにより定量された。
【0187】
[実施例4:HFB6-2およびHFB6-3は、初代CD4+T細胞増殖に対するHVEM媒介抑制を逆転させる。]
図5A~5Bでは、細胞培養プレートは、抗CD3抗体を組換えHVEM-Fc融合タンパク質または対照Fcタンパク質(対照Fc)と共に用いて、4℃で一晩コートされた。初代CD4
+T細胞は、EasySep(商標)Human CD4+ T Cell Isolation Kit(STEMCELL Technologies)を用いて、ヒトPBMCから単離され、CFSEを用いて標識された。CD4+T細胞は、抗CD3およびHVEM-Fcコートされたプレート上に加えられ、抗CD28および抗BTLA遮断抗体およびアイソタイプ一致対照抗体(MGO53)と共に、インキュベートされた。4日後、CD4
+T細胞増殖は、非刺激性CD4
+T細胞に関連するCFSE希釈(%CFSE低)により、定量された。HFB6-2およびHFB6-3は、初代CD4+T細胞増殖に対するHVEM媒介抑制を逆転させた。
【0188】
[実施例5:HFB6-3は、IFNγ産生を増加させ、混合リンパ球反応(MLR)アッセイにおいて、抗PD1抗体と相乗効果を発揮した。]
図6のMLRアッセイでは、CD14
+単球が、1人のPBMCドナーから、EasySep(商標)Human Monocyte Isolation Kitを使用して単離され、GM-CSFおよびIL-4を用いて5日間、未熟樹状細胞に分化され、その後LPSを用いてさらに2日間、成熟樹状細胞(moDC)に分化された。その後、moDCは、第2のドナーからの初代T細胞と、抗BTLA抗体および/または抗PD1抗体の存在下で、1対10の比率で混合された。5日後、上清中のIFNγが、AlphaLISAにより測定された。試験された両方のmoDC:T細胞ペアにおいて、HFB6-3が単独で、アイソタイプ対照(MGO53)と比較して、IFNγ産生を増強した。HFB6-3は、抗PD1と併用して、IFNγ産生をさらに増強した。
【0189】
[実施例6:HFB6-3が、単独でまたは抗PD1と併用して、初代解離腫瘍培養において、IFNγおよび炎症性サイトカイン産生を誘導した。]
肺癌および黒色腫患者からの初代腫瘍組織は、ヒトTumor Dissociation Kit(Miltenyi Biotec;ベルギッシュ・グラートバッハ(Bergisch Gladbach)、ドイツ)を用いて、単一細胞懸濁液内に解離された。腫瘍浸潤リンパ球(TIL)上のBTLAおよびPD1発現は、FACSにより測定された。1×105の解離された腫瘍細胞が、抗CD3(10ng/ml)の存在下で、HFB6-3および/または抗PD1(10μg/ml)と共に、培養された。処理後3日目に上清が収集され、Human Cytokine/Chemokine 48-Plex Discovery Assay(登録商標)(HD48)(Eve Technologies;カルガリー(Calgary)、カナダ)を用いて、分析された。また、処理後7日目にも上清が収集され、IFNγ ELISA(R&D Systems;ミネアポリス(Minneapolis)、ミネソタ州)を用いて、分析された。HFB6-3は、単剤効果を示し、さらに抗PD1と共に相乗効果を示し、複数の肺および黒色腫の初代腫瘍培養において、複数の炎症性サイトカインの発現を増加させた。
【0190】
図7A~7Gでは、肺患者TIL320からの解離された腫瘍組織は、TIL619よりも高い%のBTLA+CD4+T細胞を有する。TIL320において、HFB6-3の単独処理が、IL-2、CXCL9、IL1β、およびIFNγ産生を増加させた。HFB6-3と抗PD1との併用は、IL-2、CXCL10、TNFα、およびIFNγ産生を、いずれかの単剤処理と比較してさらに増強した(
図7B、7D、7E、および7G)。TIL619において、HFB6-3は単剤効果を示さなかった。しかしながら、HFB6-3は、抗PD1と併用して、IL-2、CXCL9、CXCL10、TNFα、およびIFNγ産生を、抗PD1単独処理と比較してさらに増強した(
図7B、7C、7D、7E、および7G)。
【0191】
[実施例7:野生型C57BL/6マウスおよびヒトBTLAノックインマウスにおける、HFB6-2およびHFB6-3の望ましいPKプロファイル。]
この実験(
図8Aおよび8B)では、単回投与(10mg/kg)のHFB6-2、HFB6-3、およびベンチマークJS004が、野生型C57BL/6マウス(静脈内経路、
図8A)、およびヒトBTLAノックインマウス(腹腔内経路、hBTLA KI、
図8B)内に、注入された。1時間、24時間、および72時間後に、野生型C57BL/6マウスでは、血液が採取された。0.5時間、6時間、24時間、48時間、72時間、96時間、および168時間後に、hBTLA KIマウスから血液が採取された。選択された抗体の血漿中濃度は、ELISAにより測定された。
【0192】
HFB6-2またはHFB6-3(10mg/kg)を野生型C57BL/6またはhBTLA KIマウスへ単回静脈内または腹腔内投与した結果、血漿中濃度は少なくとも72時間、>40μg/mlであった(
図8Aおよび8B);これは、効果評価のために3日毎以下の頻度での投与を支持する。
【0193】
[実施例8:HFB6-2およびHFB6-3ヒト化抗体の機能プロファイリング]
HFB6-2の21のヒト化バリアント(例えば、HFB6-2hz1~hz21)が、標準的なヒト化プロトコルに基づいて作製され、得られたヒト化バリアントは、親のHFB6-2の遮断活性を維持しつつ、高親和性結合するものを同定するために試験された。
【0194】
図9では、ヒト化HFB6-2バリアントの組換えヒトBTLAへの結合が、ELISA結合アッセイで評価された。試験されたHFB6-2ヒト化バリアントは全て、ELISAアッセイにおいて、親のHFB6-2の抗体結合親和性を維持した。その中でも、HFB6-2hz16、HFB6-2hz18、およびHFB6-2hz20は、HVEM-BTLA遮断レポーターアッセイにおいて、親のHFB6-2に最も近い機能的遮断活性を示した(
図9および表8)。
【0195】
【0196】
HCDR3上のシステイン変異を含むHFB6-3の45のヒト化バリアント(例えば、HFB6-3hz1-hG4PからHFB6-3hz21-hG4P、HFB6-3hz20-hG4P-C109A/S/T/V)が、標準的なヒト化プロトコルに基づいて作製された。HFB6-3のHCDR3上には非ペアのシステインが存在するため、いくつかのヒト化バリアント上のC109が、A/S/T/Vに変異させられた。HVEM-BTLA遮断レポーターアッセイ(
図10A~10C)において、以下を含むがこれらに限定されない複数のヒト化HFB6-3バリアント:HFB6-3hz6-hG4P、HFB6-3hz13-hG4P、HFB6-3hz20-hG4P、HFB6-3hz20-hG4P-C109A、HFB6-3hz24-hG4P-C109A、HFB6-3hz25-hG4P-C109A、HFB6-3hz24-hG4P-C109S、HFB6-3hz25-hG4P-C109Sが、親のHFB6-3のレベルに近いTCR活性化を回復した。
【0197】
ヒト化抗体配列は、以下の表9~12に与えられる。
【0198】
【0199】
【0200】
【0201】
【0202】
[実施例9:システイン変異を有するHFB6-3ヒト化バリアントの、結合および交差反応性。]
図11Aおよび11Bでは、ヒトBTLAを過剰発現するHEK293(
図11A)、およびカニクイザルBTLAを過剰発現するExpi293細胞(
図11B)は、異なる濃度の選択されたシステイン変異を有するHFB6-3ヒト化バリアントを用いて、インキュベートされた。抗BTLA抗体の標的細胞への結合は、AF647標識抗ヒトIgG Fc 2次抗体を用いて、FACSにより定量された。HFB6-3hz24-hG4P-C109A、HFB6-3hz25-hG4P-C109A、HFB6-3hz24-hG4P-C109S、およびHFB6-3hz25-hG4P-C109Sは、親のHFB6-3と同様に、ヒトBTLAおよびカニクイザルBTLAに、一桁nMおよびnM未満のEC
50で結合した(
図11Aおよび11Bおよび表13)。
【0203】
【0204】
[実施例10:システイン変異を有するHFB6-3ヒト化バリアントの遮断活性。]
この実施例は、選択されたシステイン変異を有するHFB6-3ヒト化バリアントが、親のHFB6-3抗体と同等に、組換えHVEM可溶性タンパク質と細胞性BTLAとの相互作用を遮断し、T細胞におけるHVEM媒介TCR阻害を除去したことを示す。
【0205】
図12Aでは、組換えHVEM可溶性タンパク質は、DyLight 650(DL650)蛍光色素を用いて、標識された。ヒトBTLAを過剰発現するHEK293細胞(HEK293.BTLA)は、選択されたシステイン変異を有するHFB6-3ヒト化バリアントまたは親のHFB6-3の濃度を増加させながら、4℃で30分間、その後DL650標識HVEMを用いて、さらに30分間、予備インキュベートされた。洗浄後、HEK293.BTLA細胞上のBTLAと結合したままの可溶性HVEMが、FACSにより測定された。HFB6-3hz24-hG4P-C109A、HFB6-3hz25-hG4P-C109A、HFB6-3hz24-hG4P-C109S、およびHFB6-3hz25-hG4P-C109Sは、親のHFB6-3と同等に、可溶性HVEMと細胞性BTLAとの相互作用を、一桁nMのIC
50で遮断した(
図12Aおよび表14)。
【0206】
【0207】
図12Bでは、選択されたシステイン変異を有するHFB6-3ヒト化バリアントの機能的遮断活性が、HVEM-BTLA遮断レポーターアッセイで評価された。このアッセイにおいて、TCR活性化因子(TCRa)とHVEM(BTLAのリガンド)とを発現するように設計されたCHO細胞株が、BTLAとNFAT結合プロモーターによって駆動されるルシフェラーゼレポーターとを発現するJurkatレポーター細胞株と、共培養された。HFB6-3hz24-hG4P-C109A、HFB6-3hz25-hG4P-C109A、HFB6-3hz24-hG4P-C109S、およびHFB6-3hz25-hG4P-C109Sの適用により、親のHFB6-3と同様に、用量依存的にルシフェラーゼレポーターシグナルが回復した(
図12Bおよび表15)。
【0208】
【0209】
[実施例11:システイン変異を有するHFB6-3ヒト化バリアントは、初代CD4+T細胞増殖に対する媒介抑制を逆転させる。]
図13では、選択されたシステイン変異を有するHFB6-3ヒト化バリアントが、実施例4と同じアッセイで評価された。HFB6-3hz24-hG4P-C109A、HFB6-3hz25-hG4P-C109A、HFB6-3hz24-hG4P-C109S、およびHFB6-3hz25-hG4P-C109Sは、親のHFB6-3抗体と同様に、初代CD4+T細胞増殖に対するHVEM媒介抑制を逆転させた。
【0210】
[実施例12:システイン変異を有するHFB6-3ヒト化バリアントは、初代解離腫瘍培養において、IFNγおよび炎症性サイトカイン産生を誘導した。]
図14A~14Cおよび
図15A~15Cでは、アッセイは実施例6と同じである。TIL FおよびTIL Oは、肺癌患者からの解離された腫瘍試料である。
図14A~14Cでは、HFB6-3hz24-hG4P-C109Sの抗PD1と併用した治療は、TIL Fにおいて、単剤治療のみと比較して、CXCL9、IL2、IL1β、TNFα、IFNγ、GM-CSF、およびIL-17A産生を増強した。
図15A~15Cでは、HFB6-3hz24-hG4P-C109Sの単剤治療は、TIL Oにおいて、抗PD1またはベンチマークJS004と比較して、IL1β、TNFα、およびIFNγ産生をより強く増強した。
【0211】
当業者であれば、その広範な発明概念から逸脱することなく、上記の実施形態に変更がなされうることが理解されるであろう。従って本発明は、開示された特定の実施形態に限定されず、本明細書により定義された本発明の範囲内での修正を包含することが意図されると理解される。
【配列表】
【国際調査報告】