(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-02-06
(54)【発明の名称】新規組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 47/32 20060101AFI20250130BHJP
A61K 31/485 20060101ALI20250130BHJP
A61K 47/38 20060101ALI20250130BHJP
A61K 47/36 20060101ALI20250130BHJP
A61K 47/18 20170101ALI20250130BHJP
A61K 47/10 20170101ALI20250130BHJP
A61K 47/26 20060101ALI20250130BHJP
A61K 47/12 20060101ALI20250130BHJP
A61K 9/10 20060101ALI20250130BHJP
A61K 9/14 20060101ALI20250130BHJP
A61P 25/04 20060101ALI20250130BHJP
A61P 25/32 20060101ALI20250130BHJP
A61P 25/36 20060101ALI20250130BHJP
A61K 47/14 20170101ALI20250130BHJP
A61K 47/44 20170101ALI20250130BHJP
【FI】
A61K47/32
A61K31/485
A61K47/38
A61K47/36
A61K47/18
A61K47/10
A61K47/26
A61K47/12
A61K9/10
A61K9/14
A61P25/04
A61P25/32
A61P25/36
A61K47/14
A61K47/44
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024545007
(86)(22)【出願日】2023-01-26
(85)【翻訳文提出日】2024-09-24
(86)【国際出願番号】 US2023061408
(87)【国際公開番号】W WO2023147443
(87)【国際公開日】2023-08-03
(32)【優先日】2022-01-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524281138
【氏名又は名称】トゥレックス・ファーマシューティカルズ・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】TULEX PHARMACEUTICALS INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100156144
【氏名又は名称】落合 康
(74)【代理人】
【識別番号】100221534
【氏名又は名称】藤本 志穂
(72)【発明者】
【氏名】トゥ,ユーシン
(72)【発明者】
【氏名】ファン,インジュン
(72)【発明者】
【氏名】キャサラ,カリヤン クマール
(72)【発明者】
【氏名】ペルマル,アショク
(72)【発明者】
【氏名】チャラムリ,シャンムカ ハリッシュ
【テーマコード(参考)】
4C076
4C086
【Fターム(参考)】
4C076AA22
4C076AA29
4C076DD24
4C076DD38
4C076DD41
4C076DD43
4C076DD45
4C076DD51
4C076DD59
4C076DD68
4C076DD69
4C076EE12
4C076EE23
4C076EE30
4C076EE32
4C076EE33
4C076EE36
4C076EE38
4C076EE49
4C076FF16
4C076FF25
4C076FF31
4C076FF43
4C086AA01
4C086AA02
4C086CB23
4C086GA02
4C086GA07
4C086GA16
4C086MA03
4C086MA05
4C086MA21
4C086MA23
4C086MA41
4C086MA52
4C086NA06
4C086NA12
4C086ZA03
4C086ZA18
(57)【要約】
本開示は、樹脂コアと、1つ以上の活性医薬物質と、セルロースアセテートポリマーを所望により腸溶性ポリマーと組み合わせて含むコーティングとを含むコーティングした薬物イオン交換粒子および顆粒に関する。関連する組成物および製造方法を開示する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)イオン交換樹脂;
1つ以上の活性医薬物質;
所望により、キレート剤;
所望により、造粒剤
を含む薬物-イオン交換樹脂複合体(または樹脂コア);および
b)セルロースアセテート含有ポリマー;
所望により、腸溶性ポリマー;および
所望により、可塑剤
を含むコーティング
を含む、コーティングした薬物-イオン交換樹脂粒子。
【請求項2】
イオン交換樹脂が、ポリスチレンとジビニルベンゼンのコポリマー;例えばAmberlite IRP-69を含む、請求項1に記載のコーティングした薬物-イオン交換樹脂粒子。
【請求項3】
セルロースアセテートポリマーが、セルロースアセテート、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートフタレート、セルロースアセテートプロピオネート、およびこれらの組合せより選択され;例えばセルロースアセテートブチレートである、請求項1または2に記載のコーティングした薬物-イオン交換樹脂粒子。
【請求項4】
腸溶性ポリマーが、フタレート含有ポリマー;セルロースアセテートトリメリテート;ポリメタクリレート;ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート(HPMC AS;Aqoat(登録商標));アルギン酸ナトリウム;アルギン酸;シェラック、およびこれらの組合せ;例えばセルロースアセテートフタレート(CAP)、ヒプロメロースフタレート(ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート;HPMCP)およびポリビニルアセテートフタレート(PVAP)の1つ以上より選択される、請求項1~3のいずれか一項に記載のコーティングした薬物-イオン交換樹脂粒子。
【請求項5】
キレート剤、造粒剤および可塑剤が各々存在する、請求項1~4のいずれか一項に記載のコーティングした薬物-イオン交換樹脂粒子。
【請求項6】
キレート剤がEDTAを含み;造粒剤がポリエチレングリコールを含み;可塑剤がポリエチレングリコールを含む、請求項5に記載のコーティングした薬物-イオン交換樹脂粒子。
【請求項7】
活性医薬物質が、コーティングした薬物-イオン交換樹脂顆粒の総重量に基づいて約1重量%~約99重量%、約5重量%~約70重量%、約10重量%~約30重量%、約15重量%~約25重量%、または約20重量%の量で存在する、請求項1~6のいずれか一項に記載のコーティングした薬物-イオン交換樹脂粒子。
【請求項8】
下記組成:
【表1】
を有する、請求項7に記載のコーティングした薬物-イオン交換樹脂粒子。
【請求項9】
複数の請求項1~8のいずれか一項に記載のコーティングした薬物-イオン交換樹脂粒子(または顆粒);および
医薬的に許容される添加剤
を含む、活性薬物質の持続放出のための組成物であって;
組成物が、液体懸濁液の形態であり、1つ以上の溶媒、ならびに糖、抗酸化剤、緩衝剤、キレート剤、増粘剤、安定化剤、防腐剤、界面活性剤、香料および着色剤より選択される1つ以上の成分をさらに含む、組成物。
【請求項10】
コーティング顆粒が、組成物の総重量に基づいて約0.01%w/v~約10%w/v;または組成物の総重量に基づいて約0.01%w/v~約10%w/v;または組成物の総重量に基づいて約0.1%w/v~約5%w/v;または組成物の総重量に基づいて約0.1%w/v~約5%w/v;または組成物の総重量に基づいて約1%w/v~約5%w/v;または組成物の総重量に基づいて約1%w/v~約5%w/v;または組成物の総重量に基づいて約2%w/v~約3%w/v;または組成物の総重量に基づいて約2%w/v~約3%w/vの量で組成物中に存在し;
活性医薬物質が、約0.1mg/mL~約100mg/mL、例えば約1mg/mL~約25mg/mL、例えば約3mg/mL~約8mg/mL、例えば約5mg/mLの量で存在し;
組成物が、:
キレート剤、例えばEDTA;
緩衝剤、例えばクエン酸;
糖;
1つ以上の増粘剤;
防腐剤;
界面活性剤;および
抗酸化剤
をさらに含む、
請求項9に記載の持続放出のための組成物。
[10]
下記成分:
【表2】
を有する、請求項9に記載の持続放出のための組成物。
【請求項11】
活性医薬物質の25%または30%以下が、1時間以内に放出され;活性医薬物質の60%以下が、2時間以内に放出される、請求項9または10に記載の持続放出のための組成物。
【請求項12】
活性医薬物質が、長時間にわたって先細りになるより高い初期速度で放出され、組成物が、
活性医薬物質の少なくとも1時間、少なくとも4時間、少なくとも8時間、少なくとも16時間、または少なくとも24時間の持続放出;および/または
活性医薬物質の最長24時間の持続放出;および/または
活性医薬物質の8~24時間の持続放出
を提供する、請求項9または10に記載の持続放出のための組成物。
【請求項13】
コーティングした薬物-イオン交換樹脂粒子を製造する方法であって、下記工程:
(a)活性薬物物質とイオン交換樹脂を溶媒中で接触させて、薬物-イオン交換樹脂複合体(または樹脂コア)を形成する工程;
(b)所望により、薬物-イオン交換樹脂複合体を単離し、乾燥する工程;
(c)薬物-イオン交換樹脂複合体を造粒して、薬物-イオン交換樹脂複合体顆粒を形成する工程;
(d)所望により、工程(c)の生成物を、例えば15~25%または15~20%の水分含量まで乾燥し、所望により、生成物を、例えば約400μmメッシュスクリーンを備えたコミルを用いて粉砕し;または所望により、例えば生成物をメッシュスクリーン、例えば20メッシュスクリーンを通すことにより、生成物を所定のサイズまで篩過する工程;
(e)所望により、工程(d)の生成物を、例えば7%未満の水分含量までさらに乾燥する工程;
(f)所望により、工程(e)の生成物を、例えば813μmメッシュスクリーンを備えたコミルを用いて粉砕する工程;および
(g)下記:
セルロースアセテート含有ポリマー、例えばセルロースアセテートブチレート;
所望により、腸溶性ポリマー;
所望により、可塑剤、例えばポリエチレングリコール、例えばポリエチレングリコール3550;および
溶媒、例えば水、アセトン、または水とアセトン
を含むコーティング組成物で先行工程の生成物をコーティングし、
ここで例えば、コーティングを15~20%w/wの重量増加まで適用し、コーティングした薬物-イオン交換樹脂粒子(または顆粒)を形成する工程
を含む方法。
【請求項14】
製造されるコーティングした薬物-イオン交換樹脂粒子が、請求項1~8のいずれか一項に記載のコーティングした薬物-イオン交換樹脂粒子である、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
方法が、下記工程:
(h)工程(g)により製造されるコーティングした薬物-イオン交換樹脂粒子(または顆粒)および懸濁液ベース組成物を組み合わせて、コーティングした薬物-イオン交換樹脂徐放性懸濁液を形成する工程
をさらに含み;
懸濁液ベース組成物が、液体懸濁液の形態であり、1つ以上の溶媒、ならびに糖、抗酸化剤、緩衝剤、キレート剤、増粘剤、安定化剤、防腐剤、界面活性剤、香料および着色剤より選択される1つ以上の成分を含む、
請求項13または14に記載の方法。
【請求項16】
形成される組成物が、請求項9~11のいずれか一項に記載の組成物である、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
約1.0mg/mL~約10.0mg/mLの量でナルトレキソンまたはその医薬的に許容される塩を含む、液状徐放性経口ナルトレキソン懸濁液製剤であって、ナルトレキソンまたはその医薬的に許容される塩が、樹脂、例えばイオン交換樹脂と結合し;
製剤が、下記特徴a)~e):
a)約5~約7時間、例えば約5時間、約6時間または約7時間のT
max;
b)約5~約12時間、例えば約5~約11時間;約6時間、約7時間、約8時間、約9時間、約10時間または約11時間のT
1/2;
c)約1.5~約4時間、例えば約1.5時間、約2時間、約2.5時間、約3時間、約3.5時間または約4時間のC
max;
d)約26~約32hr・ng/mL、例えば約26、約27、約28、約29、約30、約31または約32hr・ng/mLのAUC
t;および
e)約28~約35hr・ng/mL、例えば約28、約29、約30、約31、約32、約33、約34または約35hr・ng/mLのAUC
∞
の1つ以上を有するインビボでの薬物動態プロファイルを提供する、
製剤。
【請求項18】
製剤が、該特徴a)~e)の2つ、3つ、4つまたは5つすべて有するインビボでの薬物動態プロファイルを提供する、請求項1に記載の液状徐放性経口ナルトレキソン懸濁液製剤。
【請求項19】
インビボでの薬物動態プロファイルが、
図4の製剤1または製剤2に実質的に従う、請求項1に記載の液状徐放性経口ナルトレキソン懸濁液製剤。
【請求項20】
平均血漿ナルトレキソン濃度(C
t;ng/ml)と最大血漿ナルトレキソン濃度(C
max;ng/mL)の比が、下記a)~e):
a)投与3時間後で、約0.4~約0.6;例えば約0.4~約0.55、例えば約0.45~約0.5;
b)投与6時間後で、約0.8~約1.2;例えば約0.9~約1.1、例えば約0.95~約1.05;
c)投与8時間後で、約0.5~約0.9;例えば約0.6~約0.8、例えば約0.65~約0.8;
d)投与10時間後で、約0.4~約0.8;例えば約0.5~約0.7;および
e)投与12時間後で、約0.3~約0.7;例えば約0.4~約0.6
の1つ以上である、請求項1に記載の液状徐放性経口ナルトレキソン懸濁液製剤。
【請求項21】
ナルトレキソンの持続放出のための組成物であって、
該組成物が、
a)イオン交換樹脂;
ナルトレキソンまたはその医薬的に許容される塩;
所望により、キレート剤;
所望により、造粒剤
を含む薬物-イオン交換樹脂複合体(または樹脂コア);および
b)セルロースアセテート含有ポリマー;
所望により、腸溶性ポリマー;および
所望により、可塑剤
を含むコーティング;
ならびに
医薬的に許容される添加剤
を含む複数のコーティングした薬物-イオン交換樹脂粒子(または顆粒)
を含み;
該組成物が、液体懸濁液の形態であり、1つ以上の溶媒、ならびに糖、抗酸化剤、キレート剤、増粘剤、安定化剤、防腐剤、界面活性剤、香料および着色剤より選択される1つ以上の成分をさらに含み;
製剤が、下記特徴a)~e):
a)約5~約7時間、例えば約5時間、約6時間または約7時間のT
max;
b)約5~約12時間、例えば約5~約11時間;約6時間、約7時間、約8時間、約9時間、約10時間または約11時間のT
1/2;
c)約1.5~約4時間、例えば約1.5時間、約2時間、約2.5時間、約3時間、約3.5時間または約4時間のC
max;
d)約26~約32hr・ng/mL、例えば約26、約27、約28、約29、約30、約31または約32hr・ng/mLのAUC
t;および
e)約28~約35hr・ng/mL、例えば約28、約29、約30、約31、約32、約33、約34または約35hr・ng/mLのAUC
∞
の1つ以上を有するインビボでの薬物動態プロファイルを提供する、
組成物。
【請求項22】
平均血漿ナルトレキソン濃度(C
t;ng/ml)と最大血漿ナルトレキソン濃度(C
max;ng/mL)の比が、下記a)~e):
a)投与3時間後で、約0.4~約0.6;例えば約0.4~約0.55、例えば約0.45~約0.5;
b)投与6時間後で、約0.8~約1.2;例えば約0.9~約1.1、例えば約0.95~約1.05;
c)投与8時間後で、約0.5~約0.9;例えば約0.6~約0.8、例えば約0.65~約0.8;
d)投与10時間後で、約0.4~約0.8;例えば約0.5~約0.7;および
e)投与12時間後で、約0.3~約0.7;例えば約0.4~約0.6
の1つ以上である、請求項21に記載の持続放出のための組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、2022年1月26日出願の米国仮出願第63/303,354号に基づく優先権を主張し、この内容全体は出典明示により本明細書の一部とする。
【0002】
(発明の分野)
本開示は、一般的に、新規のコーティングした薬物-イオン交換樹脂粒子(コーティングした薬物-イオン交換樹脂顆粒とも称する)および該粒子を含有する医薬組成物に関する。より具体的には、本開示は、投与後経時的に薬物の徐放性(extended release)をもたらすように設計された組成物を提供する。
【背景技術】
【0003】
一定時間にわたって薬物を放出する徐放性医薬製剤は、医薬業界で広く使用されている。このような製剤は、(1)投与頻度の減少による利便性、(2)よりスムーズで一定した血漿中の薬物濃度を提供することによる治療の最適化、および(3)副作用の潜在的な軽減を含む、いくつかの潜在的な利点を患者にもたらす。
【0004】
イオン交換樹脂を使用して薬物-イオン交換樹脂複合体を形成することもまた、当該技術分野で知られている。しかしながら、これらの薬物-イオン交換樹脂複合体にはいくつかの欠点がある。例えば、イオン交換樹脂は、イオン性薬物との複合体を形成し、このような複合体からの薬物の放出を遅らせるために使用されていることが説明されている。しかしながら、多くの場合、薬物放出のこのような遅延は短時間のみである。
【0005】
様々な薬物の持続放出(sustained release)または長期放出(prolonged release)投与形態が知られており、市販されている。しかしながら、コーティングした薬物-イオン交換複合体の粒子から薬物を持続放出するためにコーティングを提供することは、困難であることが判明している。例えば、当該技術分野の様々な組成物は、製造に時間のかかるステップ、および高度な装置による処理パラメーターの慎重な監視を必要とする。さらに、製造には溶媒ベースの溶液によるコーティングという潜在的に危険な工程が含まれる場合があり、摂取前に医薬品から溶剤ベースの溶液を完全に除去しなければならない。
【0006】
様々な先行技術文献は、薬物-イオン交換樹脂複合体をポリエチレングリコールなどの水溶性親水性含浸(溶媒和)剤で処理して、コーティングに水透過性の拡散バリアを提供することを示唆している。しかしながら、これらの薬物は水と接触すると薬物-イオン交換樹脂を膨張させ、コーティング層を破壊して薬物を早期に放出する。
【0007】
同様に、薬物-イオン交換樹脂複合体のコーティングにこれまで使用されてきたアクリレートおよびメタクリレートベースの水性分散コーティング系のポリマーに関連する欠点があった。観察されるこれらの欠点の中には、コーティングの塗布時および硬化中に著しい付着性があり、これは薬物-イオン交換樹脂複合体のコーティングプロセスを複雑にし、および/またはこの望ましくない特性に対抗するために付着防止物質などの更なる成分の添加を必要とする。
【0008】
徐放性(sustained release)剤形の主なリスクは、意図したより速く薬物が放出される可能性があることである。徐放性剤形からのこのような急速な薬物放出は、単回ボーラス量の投与を生じさせ、これは曝露レベルの増加、安全性の問題の可能性および有害事象の原因となる。例えば、アルコールは、多くの徐放性製剤の薬物放出を混乱させることが知られており、エタノールの摂取により全用量が一度に放出されることになる。したがって、アルコール誘発性用量ダンピング(AIDD)は、薬物とアルコールの偶発的な誤用または意図的な濫用により、徐放性組成物から大量の薬物が意図せず急速に放出されることとして定義できる。アルコールとの同時摂取は、薬物の吸収、代謝および/または排泄に影響を与え得るため、問題をさらに複雑にし得る。
【0009】
したがって、新規のコーティングした薬物-イオン交換樹脂粒子およびそれらを含む組成物が、先行技術の問題を克服するために必要である。よって、効率的かつ安全に製造することができ、また1つ以上の薬物の持続放出(extended release)を提供することができるコーティングした薬物樹脂交換粒子およびそれらを含む組成物を提供することが有益である。また、様々な薬物と共に使用でき、特定の速度で薬物を放出するように調整できるこのような粒子および組成物を提供することが有益である。さらに、薬物ダンピング、例えばアルコール誘発性薬物ダンピングに対して抵抗性である粒子および組成物を提供することが有益である。
【0010】
ナルトレキソンは、Revia(登録商標)およびVivitrol(登録商標)などのブランド名を有する処方薬であり、米国食品医薬品局(FDA)により1984年にオピエート中毒用および1994年にアルコール依存症用に50~100mg/日の用量で承認された経口オピオイド受容体拮抗薬である。高用量のナルトレキソン(0.5、1.0および2.0mg/kg)は、自閉症行動と視線回避を逆転させることが示されている(Lensing et al., Neuropsychobiology. 1995; 31: 16-23)。また、自閉症スペクトラム障害(ASD)患者のオピオイド緊張の減少は、処置反応と相関していた(Cazullo et al., Eur. Neuropsychopharmacol. 1999; 9: 361-6)。
【0011】
しかしながら、ナルトレキソン処置の副作用を考慮すると、当該技術分野において、ナルトレキソン処置に関連する副作用を軽減するナルトレキソン製剤を提供することが必要とされている。本開示は、これらのニーズに対処するナルトレキソン製剤を提供する。
【発明の概要】
【0012】
先行技術の問題を克服する、コーティングした薬物樹脂交換粒子(または顆粒)(「コーティング顆粒」または「コーティング粒子」)およびそれらを含む組成物を本明細書で提供する。本開示のコーティング顆粒および組成物は、効率的かつ安全に製造することができ、また1つ以上の薬物の持続放出を提供することができる。本開示のコーティング顆粒および組成物は、様々な薬物と共に使用でき、特定の速度で薬物を放出するように調整できる。さらに、本開示のコーティング顆粒および組成物は、薬物ダンピング、例えばアルコール誘発性薬物ダンピングに対して耐性である。
【0013】
第1実施態様において、本開示は、
a)イオン交換樹脂;
1つ以上の活性医薬物質;
所望により、キレート剤;
所望により、造粒剤
を含む薬物-イオン交換樹脂複合体(または樹脂コア);および
b)セルロースアセテート含有ポリマー;
所望により、腸溶性ポリマー;および
所望により、可塑剤
を含むコーティング
を含む、コーティングした薬物-イオン交換樹脂粒子(またはコーティングした薬物-イオン交換樹脂顆粒)[コーティング顆粒1]を提供する。
【0014】
いくつかの実施態様において、イオン交換樹脂は、例えばポリスチレンポリマーである。いくつかの実施態様において、セルロースアセテート含有ポリマーは、セルロースアセテート、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートフタレート(CAP)、セルロースアセテートプロピオネート、およびこれらの組合せからなる群より選択される。いくつかの更なる態様において、腸溶性ポリマーは、フタレート含有ポリマー、例えば、セルロースアセテートフタレート(CAP)、ヒプロメロースフタレート(ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート;HPMCP)、ポリビニルアセテートフタレート(PVAP);セルロースアセテートトリメリテート;ポリメタクリレート(例えば、Eudragit(登録商標)Lシリーズ、Eudragit(登録商標)Sシリーズ、Eudragit(登録商標)FS、Kollicoat(登録商標)MAE 100P、Acryl-EZE(登録商標)93A、Acryl-EZE(登録商標)MP);ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート(HPMC AS;Aqoat(登録商標));アルギン酸ナトリウム;アルギン酸、シェラック、およびこれらの組合せより選択される。いくつかの実施態様において、腸溶性ポリマーは、セルロースアセテート含有ポリマー、好ましくはセルロースアセテートフタレート(CAP)であり得る。いくつかの好ましい実施態様において、イオン交換樹脂は、ポリスチレンポリマーを含み;キレート剤が存在し、EDTA、クエン酸またはEDTAとクエン酸の組合せを含み;造粒剤が存在し、ポリエチレングリコールを含み;そして、可塑剤が存在し、ポリエチレングリコールを含む。
【0015】
いくつかの実施態様において、本開示は、本明細書に記載のコーティングした薬物-イオン交換樹脂粒子(またはコーティングした薬物-イオン交換樹脂顆粒)、および医薬的に許容される添加剤を含む、活性薬物質の持続放出のための組成物を提供する。いくつかの好ましい実施態様において、組成物は、コーティング顆粒、1つ以上の溶媒、ならびに糖、抗酸化剤、キレート剤、増粘剤、安定化剤、防腐剤、界面活性剤、香料および着色剤より選択される1つ以上の成分を含む、液体懸濁液である。いくつかの好ましい実施態様において、組成物は、糖;1つ以上のキレート剤;1つ以上の増粘剤;防腐剤;界面活性剤;および抗酸化剤を含む、液体懸濁液である。
【0016】
いくつかの更なる実施態様において、本開示は、本明細書に記載の粒子および組成物の製造方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】
図1は、本明細書の実施例2の表5に記載のナルトレキソンER懸濁液製剤についてのインビトロでの薬物放出プロファイルを示す。
【0018】
【
図2】
図2は、ポリマーコーティングが様々なであるコーティングしたナルトレキソン樹脂粒子の薬物放出プロファイルを示す。図中、CABは、表3のセルロースアセテートブチレートコーティング粒子製剤、CABとHPMCP(ヒプロメロースフタレート)は、表6の製剤、EC(エチルセルロース)は表7の製剤である。
【0019】
【
図3】
図3は、表16に記載のナルトレキソンER懸濁液製剤1および2についてのインビトロでの薬物放出プロファイルを示す。
【0020】
【
図4】
図4は、表18に記載の製剤1および2ならびにナルトレキソンHCl 50mg錠についてのインビボでのナルトレキソン薬物放出速度を示す。
【0021】
【
図5】
図5は、表19に記載の製剤1および2ならびにナルトレキソンHCl 50mg錠についてのインビボでの6-β-ナルトレキソール薬物放出速度を示す。
【発明を実施するための形態】
【0022】
第1態様において、本開示は、
c)イオン交換樹脂;
1つ以上の活性医薬物質;
所望により、キレート剤;
所望により、造粒剤
を含む薬物-イオン交換樹脂複合体(または樹脂コア);および
d)セルロースアセテート含有ポリマー;
所望により、腸溶性ポリマー;および
所望により、可塑剤
を含むコーティング
を含む、コーティングした薬物-イオン交換樹脂粒子(またはコーティングした薬物-イオン交換樹脂顆粒)[コーティング顆粒1]を提供する。
【0023】
本開示は、コーティング顆粒1の以下の実施態様をさらに提供する:
1.1 樹脂コアが、ポリスチレンポリマーを含む、コーティング顆粒1。
1.2 イオン交換樹脂が、ポリスチレンとジビニルベンゼンのコポリマーを含む、コーティング顆粒1または1.1。
1.3 イオン交換樹脂が、約8%のジビニルベンゼンと架橋したポリスチレンで構成されるスルホン酸化ポリマーのマトリックスを含む、先行コーティング顆粒のいずれか。
1.4 イオン交換樹脂が、約4.5~5.5meq/g乾燥樹脂のイオン交換容量を有する、先行コーティング顆粒のいずれか。
1.5 樹脂コアの粒子径が、約45μm~150μmを含む、先行コーティング顆粒のいずれか。
1.6 樹脂コアが、球形または不規則な形状の粒子を含む、先行コーティング顆粒のいずれか。
1.7 イオン交換樹脂が、Amberlite IRP-69を含む、先行コーティング顆粒のいずれか。
1.8 イオン交換樹脂と1つ以上の活性医薬物質が、約5:1~1:5、例えば約3:1~1:3、例えば約2:1~1:2、例えば約2:1のw/w比で存在する、先行コーティング顆粒のいずれか。
1.9 セルロースアセテート含有ポリマーが、セルロースアセテート、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートフタレート、セルロースアセテートプロピオネート、およびこれらの組合せより選択される、先行コーティング顆粒のいずれか。
1.10 セルロースアセテート含有ポリマーが、セルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート、およびこれらの組合せより選択される、先行コーティング顆粒のいずれか。
1.11 セルロースアセテート含有ポリマーが、セルロースアセテートを含む、先行コーティング顆粒のいずれか。
1.12 セルロースアセテート含有ポリマーが、セルロースアセテートから本質的になるか、またはそれからなる、先行コーティング顆粒のいずれか。
1.13 セルロースアセテート含有ポリマーが、セルロースアセテートブチレートを含む、先行コーティング顆粒のいずれか。
1.14 セルロースアセテート含有ポリマーが、セルロースアセテートブチレートから本質的になるか、またはそれからなる、先行コーティング顆粒のいずれか。
1.15 腸溶性ポリマーが、フタレート含有ポリマー;セルロースアセテートトリメリテート;ポリメタクリレート;ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート(HPMC AS;Aqoat(登録商標));アルギン酸ナトリウム;アルギン酸;シェラック、およびこれらの組合せより選択される、先行コーティング顆粒のいずれか。
1.16 腸溶性ポリマーが、ジメチルフタレート、ジエチルフタレート、ジアリルフタレート、ジ-n-プロピルフタレート、ジ-n-ブチルフタレート、ジイソブチルフタレート、ブチルシクロヘキシルフタレート、ジ-n-ペンチルフタレート、ジシクロヘキシルフタレート、ブチルベンジルフタレート、ジ-n-ヘキシルフタレート、ジイソヘキシルフタレート、ジイソヘプチルフタレート、ブチルデシルフタレート、ジブトキシエチルフタレート、ジ(2-エチルヘキシル)フタレート、ジ(n-オクチル)フタレート、ジイソオクチルフタレート、n-オクチルn-デシルフタレート、ジイソノニルフタレート、ジ(2-プロピルヘプチル)フタレート、ジイソデシルフタレート、ジウンデシルフタレート、ジイソウンデシルフタレート、ジトリデシルフタレート、ジイソトリデシルフタレート、ポリエチレンテレフタレート、セルロースフタレート、セルロースアセテートフタレート(CAP)、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート(HPMCP)、ポリビニルアセテートフタレート(PVAP)、およびこれらの組合せのモノマーを含む、フタレート含有ポリマーであるか、またはそれを含む、先行コーティング顆粒のいずれか。
1.17 腸溶性ポリマーが、セルロースアセテートフタレート(CAP)、ヒプロメロースフタレート(ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート;HPMCP)、およびポリビニルアセテートフタレート(PVAP)より選択されるフタレート含有ポリマーを含む、先行コーティング顆粒のいずれか。
1.18 腸溶性ポリマーが、セルロースアセテートフタレート(CAP)、ヒプロメロースフタレート(ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート;HPMCP)、およびポリビニルアセテートフタレート(PVAP)より選択されるフタレート含有ポリマーである、先行コーティング顆粒のいずれか。
1.19 腸溶性ポリマーが、セルロースアセテートトリメリテートを含む、先行コーティング顆粒のいずれか。
1.20 腸溶性ポリマーが、セルロースアセテートトリメリテートである、先行コーティング顆粒のいずれか。
1.21 腸溶性ポリマーが、ポリメタクリレートを含む、先行コーティング顆粒のいずれか。
1.22 腸溶性ポリマーが、ポリメタクリレートである、先行コーティング顆粒のいずれか。
1.23 腸溶性ポリマーが、Eudragit(登録商標)Lシリーズ、Eudragit(登録商標)Sシリーズ、Eudragit(登録商標)FS、Kollicoat(登録商標)MAE 100P、Acryl-EZE(登録商標)93A、およびAcryl-EZE(登録商標)MPより選択されるポリメタクリレートを含む、先行コーティング顆粒のいずれか。
1.24 腸溶性ポリマーが、Eudragit(登録商標)Lシリーズ、Eudragit(登録商標)Sシリーズ、Eudragit(登録商標)FS、Kollicoat(登録商標)MAE 100P、Acryl-EZE(登録商標)93A、またはAcryl-EZE(登録商標)MPより選択されるポリメタクリレートである、先行コーティング顆粒のいずれか。
1.25 腸溶性ポリマーが、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート(HPMC AS;Aqoat(登録商標))を含む、先行コーティング顆粒のいずれか。
1.26 腸溶性ポリマーが、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート(HPMC AS;Aqoat(登録商標))である、先行コーティング顆粒のいずれか。
1.27 腸溶性ポリマーが、アルギン酸ナトリウムまたはアルギン酸を含む、先行コーティング顆粒のいずれか。
1.28 腸溶性ポリマーが、アルギン酸ナトリウムまたはアルギン酸である、先行コーティング顆粒のいずれか。
1.29 腸溶性ポリマーが、シェラックを含む、先行コーティング顆粒のいずれか。
1.30 腸溶性ポリマーが、シェラックである、先行コーティング顆粒のいずれか。
1.31 付着防止剤をさらに含み;付着防止剤としては、例えばタルク、モノステアリン酸グリセロール、ステアリン酸マグネシウムまたはカオリンが挙げられるがこれらに限定されない、先行コーティング顆粒のいずれか。
1.32 造粒剤が存在する、先行コーティング顆粒のいずれか。
1.33 薬物-イオン交換樹脂複合体中の造粒剤が、ベンゾフェノン、ブチルフタリルブチルグリコレート、樟脳、α-クレシル-p-トルエンスルホネート、シクロヘキシル-p-トルエンスルホンアミド、ジアミルフタレート、ジブチルフタレート、ジブチルセバケート、ジブチルスクシネート、ジブチルタートレート、ジエトキシエチルアジペート、ジエトキシエチルフタレート、ジエチルアジペート、ジエチレングリコールジプロピオネート、ジエチルフタレート、ジエチルセバケート、ジエチルスクシネート、ジエチルタートレート、ジメトキシエチルアジペート、ジメトキシエチルフタレート、ジメチルフタレート、ジプロピルフタレート、エチルベンゾイルベンゾエート、エチレングリコールジアセテート、エチレングリコールジブチレート、エチレングリコールジプロピオネート、エチルフタリルエチルグリコレート、メチルベンゾイルベンゾエート、メチルフタリルエチルグリコレート、o-またはp-トルエンエチルスルホンアミド、トリアセチン、トリブチルシトレート、トリブチルホスフェート、トリブチリン、トリクレシルホスフェート、トリエチレングリコールジアセテート、トリエチレングリコールジブチレート、トリエチレングリコールジプロプリオネート、トリフェニルホスフェート、トリプロピオニン、トリメリテート類(例えば、トリ-(2-エチルヘキシル)トリメリテート、トリ-(イソノニル)トリメリテート、トリ-(イソデシル)トリメリテート、トリ-(イソトリデシル)トリメリテート)、アジペート類(例えば、ビス(2-エチルヘキシル)アジペート)、セバケート類(例えば、ジブチルセバケート、ジ-(2-エチルヘキシル)セバケート)、グリセロールトリアセテート、アルキルシトレート類(トリエチルシトレート、アセチルトリエチルシトレート、トリブチルシトレート、アセチルトリブチルシトレート、トリ(2-エチルヘキシル)シトレート、アセチルトリオクチルシトレート、トリヘキシルシトレート、ブチリルトリヘキシルシトレート)、植物油類、エポキシ化ダイズ油、エポキシ化リノール油、アゼレート類、ジベンゾエート類、テレフタレート類、1,2-シクロヘキサンジカルボン酸ジイソノニルエステル、アルキルスルホン酸フェニルエステル、オルガノホスフェート類(例えば、トリクレシル(メチルフェニル)ホスフェート、2-エチルヘキシルジフェニルホスフェート)、グリコール類(例えば、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、トリエチレングリコールジ-2ヘキサノエート)トリアセチン、トリエチルシトレート、ジブチルセバケート、植物油、油類、およびこれらの組合せより選択される、先行コーティング顆粒のいずれか。
1.34 薬物-イオン交換樹脂複合体中の造粒剤が、ポリエチレングリコール;例えばポリエチレングリコール3350を含む、先行コーティング顆粒のいずれか。
1.35 薬物-イオン交換樹脂複合体中の造粒剤が、ポリエチレングリコール;例えばポリエチレングリコール3350からなる、先行コーティング顆粒のいずれか。
1.36 可塑剤が存在する、先行コーティング顆粒のいずれか。
1.37 可塑剤が、ベンゾフェノン、ブチルフタリルブチルグリコレート、樟脳、α-クレシル-p-トルエンスルホネート、シクロヘキシル-p-トルエンスルホンアミド、ジアミルフタレート、ジブチルフタレート、ジブチルセバケート、ジブチルスクシネート、ジブチルタートレート、ジエトキシエチルアジペート、ジエトキシエチルフタレート、ジエチルアジペート、ジエチレングリコールジプロピオネート、ジエチルフタレート、ジエチルセバケート、ジエチルスクシネート、ジエチルタートレート、ジメトキシエチルアジペート、ジメトキシエチルフタレート、ジメチルフタレート、ジプロピルフタレート、エチルベンゾイルベンゾエート、エチレングリコールジアセテート、エチレングリコールジブチレート、エチレングリコールジプロピオネート、エチルフタリルエチルグリコレート、メチルベンゾイルベンゾエート、メチルフタリルエチルグリコレート、o-またはp-トルエンエチルスルホンアミド、トリアセチン、トリブチルシトレート、トリブチルホスフェート、トリブチリン、トリクレシルホスフェート、トリエチレングリコールジアセテート、トリエチレングリコールジブチレート、トリエチレングリコールジプロプリオネート、トリフェニルホスフェート、トリプロピオニン、トリメリテート類(例えば、トリ-(2-エチルヘキシル)トリメリテート、トリ-(イソノニル)トリメリテート、トリ-(イソデシル)トリメリテート、トリ-(イソトリデシル)トリメリテート)、アジペート類(例えば、ビス(2-エチルヘキシル)アジペート)、セバケート類(例えば、ジブチルセバケート、ジ-(2-エチルヘキシル)セバケート)、グリセロールトリアセテート、アルキルシトレート類(トリエチルシトレート、アセチルトリエチルシトレート、トリブチルシトレート、アセチルトリブチルシトレート、トリ(2-エチルヘキシル)シトレート、アセチルトリオクチルシトレート、トリヘキシルシトレート、ブチリルトリヘキシルシトレート)、植物油類、エポキシ化ダイズ油、エポキシ化リノール油、アゼレート類、ジベンゾエート類、テレフタレート類、1,2-シクロヘキサンジカルボン酸ジイソノニルエステル、アルキルスルホン酸フェニルエステル、オルガノホスフェート類(例えば、トリクレシル(メチルフェニル)ホスフェート、2-エチルヘキシルジフェニルホスフェート)、グリコール類(例えば、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、トリエチレングリコールジ-2ヘキサノエート)トリアセチン、トリエチルシトレート、ジブチルセバケート、植物油、油類、およびこれらの組合せより選択される、先行コーティング顆粒のいずれか。
1.38 可塑剤が、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、トリアセチン、トリエチルシトレート、アセチルトリエチルシトレート、ジブチルセバケート、アセチルトリブチルシトレート、トリブチルシトレート、Soluphor P、植物油、油類、およびこれらの組合せより選択される、先行コーティング顆粒のいずれか。
1.39 コーティング中の可塑剤が、ポリエチレングリコール;例えばポリエチレングリコール3350を含む、先行コーティング顆粒のいずれか。
1.40 コーティング中の可塑剤が、ポリエチレングリコール;例えばポリエチレングリコール3350からなる、先行コーティング顆粒のいずれか。
1.41 可塑剤が、コーティング全体に分散されている、先行コーティング顆粒のいずれか。
1.42 可塑剤が、コーティング中の固形分の約2.5~約25%w/w、または約5~約15%w/w、または約8~約12%w/w、または約10%w/wを構成する、先行コーティング顆粒のいずれか。
1.43 1つ以上の更なる活性医薬物質、例えば、2~10個の活性医薬物質をさらに含む、先行コーティング顆粒のいずれか。
1.44 樹脂コアが、小分子薬物、例えば10個までの小分子薬物である、1つ以上の活性医薬物質を含む、先行コーティング顆粒のいずれか。
1.45 活性医薬物質が、遊離塩基化合物である、先行コーティング顆粒のいずれか。
1.46 活性医薬物質が、分子上の1つ以上の位置でプロトン化され得る化合物である、先行コーティング顆粒のいずれか。
1.47 活性医薬物質が、コーティングした薬物-イオン交換樹脂顆粒の総重量に基づいて約1重量%~約99重量%、約5重量%~約70重量%、約10重量%~約30重量%、約15重量%~約25重量%、または約20重量%の量で存在する、先行コーティング顆粒のいずれか。
1.48 活性医薬物質が、長時間にわたって先細りになるより高い初期速度で放出される、先行コーティング顆粒のいずれか。
1.49 コーティング顆粒が、活性医薬物質の少なくとも1時間、少なくとも4時間、少なくとも8時間、少なくとも16時間、または少なくとも24時間の持続放出を提供する、先行コーティング顆粒のいずれか。
1.50 コーティング顆粒が、活性医薬物質の8~24時間の持続放出を提供する、先行コーティング顆粒のいずれか。
1.51 コーティング顆粒が、活性医薬物質の最長24時間の持続放出を提供する、先行コーティング顆粒のいずれか。
1.52 コーティング顆粒が、懸濁剤、カプレット剤、サシェ剤、錠剤、チュアブル錠、分散用錠剤または口腔内崩壊錠(ODT)の形態である組成物内に含まれている、先行コーティング顆粒のいずれか。
1.53 活性医薬物質が、樹脂コア全体、例えば樹脂コア内および樹脂コア表面上;コーティング顆粒全体に分散されている(例えば、実質的に均一に分散されている)、先行コーティング顆粒のいずれか。
1.54 医薬活性薬物が、樹脂コアに結合している(例えば、共有結合またはイオン結合によって結合している)、先行コーティング顆粒のいずれか。
1.55 医薬活性薬物が、イオン結合によって樹脂コアに結合している、先行コーティング顆粒のいずれか。
1.56 コーティングが、セルロースアセテート含有ポリマーと、腸溶性ポリマーとの混合物(例えば実質的に均一な混合物)を含む、先行コーティング顆粒のいずれか。
1.57 コーティングが、セルロースアセテートまたはセルロースアセテートブチレートと、腸溶性ポリマーとの混合物(例えば実質的に均一な混合物)を含む、先行コーティング顆粒のいずれか。
1.58 コーティングが、セルロースアセテートまたはセルロースアセテートブチレートと、セルロースアセテートフタレート(CAP)、ヒプロメロースフタレート(ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート;HPMCP)およびポリビニルアセテートフタレート(PVAP)の1つ以上との混合物(例えば実質的に均一な混合物)を含む、先行コーティング顆粒のいずれか。
1.59 セルロースアセテート含有ポリマーと腸溶性ポリマーが、約5:1~約1:5のw/w比で存在する、先行コーティング顆粒のいずれか。
1.60 セルロースアセテート含有ポリマーと腸溶性ポリマーが、約2:1~約1:2のw/w比で存在する、先行コーティング顆粒のいずれか。
1.61 セルロースアセテート含有ポリマーと腸溶性ポリマーが、約1:1のw/w比で存在する、先行コーティング顆粒のいずれか。
1.62 コーティング顆粒の粒子径が、約10μm~約500μm、例えば約50μm~約250μm、例えば約100μm~約410μm、例えば約100μm~約250μm、例えば約150~250μmである、先行コーティング顆粒のいずれか。
1.63 大部分のコーティング顆粒の粒子径が、約150~250μmである、先行コーティング顆粒のいずれか。
1.64 コーティングした薬物-イオン交換樹脂粒子が、球形、多面体または不規則な形状である、先行コーティング顆粒のいずれか。
1.65 コーティングした薬物-イオン交換樹脂粒子が、不規則な形状である、先行コーティング顆粒のいずれか。
1.66 コーティングが、樹脂コアの外表面に結合し、例えば外表面全体を実質的に覆う、先行コーティング顆粒のいずれか。
1.67 コーティングが、セルロースアセテートポリマー単独または腸溶性ポリマーと組み合わせた実質的に均一な混合物を含み、そして、樹脂コアの外表面、例えば外表面全体に適用されるおよび/または存在する、先行コーティング顆粒のいずれか。
1.68 コーティングが、セルロースアセテートまたはセルロースアセテートブチレートと、セルロースアセテートフタレートの実質的に均一な混合物を含み、そして、樹脂コアの外表面、例えば外表面全体に適用されるおよび/または存在する、先行コーティング顆粒のいずれか。
1.69 コーティング顆粒が、セルロースアセテート含有ポリマーおよび腸溶性ポリマーを含む、先行コーティング顆粒のいずれか。
1.70 コーティングが、セルロースアセテート含有ポリマー、例えばセルロースアセテートブチレートと、ポリエチレングリコールとの混合物(例えば実質的に均一な混合物)を含む、先行コーティング顆粒のいずれか。
1.71 コーティングが、セルロースアセテートブチレートとポリエチレングリコールとの実質的に均一な混合物を含み、例えば、混合物が、所望により、薬物-イオン交換樹脂複合体顆粒の外表面に適用される、先行コーティング顆粒のいずれか。
1.72 活性医薬物質が、米国薬局方(USP)43のチャプター<711>に記載のApparatus IIを用いて50rpm、37±0.5℃にて900mL 0.4M KH
2PO
4中で、2時間で20%~45%、および/または4時間で40%~65%、および/または12時間で80%超の速度で放出され;例えば、限定されないが、活性医薬物質の25%以下が、1時間以内に放出され、活性医薬物質の60%以下が、2時間以内に放出される、先行コーティング顆粒のいずれか。
1.73 イオン交換樹脂が、Amberlite IRP-69を含み;セルロースアセテート含有ポリマーが、セルロースアセテート、セルロースアセテートブチレートまたはこれらの組合せを含み;腸溶性ポリマーが、セルロースアセテートフタレート(CAP)、ヒプロメロースフタレート(ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート;HPMCP)およびポリビニルアセテートフタレート(PVAP)の1つ以上を含む、先行コーティング顆粒のいずれか。
1.74 キレート剤が存在する、先行コーティング顆粒のいずれか。
1.75 造粒剤が存在する、先行コーティング顆粒のいずれか。
1.76 可塑剤が存在する、先行コーティング顆粒のいずれか。
1.77 キレート剤、造粒剤および可塑剤が存在する、先行コーティング顆粒のいずれか。
1.78 キレート剤が、EDTAを含むかまたはそれからなり;造粒剤が、ポリエチレングリコール、例えばポリエチレングリコール3550を含むかまたはそれからなり;可塑剤が、ポリエチレングリコール、例えばポリエチレングリコール3550を含むかまたはそれからなる、コーティング顆粒1.77。
1.79
イオン交換樹脂がAmberlite IRP69を含み;
キレート剤が存在し、EDTAを含み;
造粒剤が存在し、ポリエチレングリコール、例えばポリエチレングリコール3550を含み;そして
可塑剤が存在し、ポリエチレングリコール、例えばポリエチレングリコール3550を含む、
先行コーティング顆粒のいずれか。
1.80 樹脂コアが、コーティング顆粒の約70%w/w~約90%w/w;例えばコーティング顆粒の約75%w/w~約90%w/w;例えばコーティング顆粒の約80%w/w~約85%w/w;例えばコーティング顆粒の約83%w/w~約84%w/wを構成する、先行コーティング顆粒のいずれか。
1.81 セルロースアセテート含有ポリマーが、コーティング顆粒の約5%w/w~約25%w/w;例えばコーティング顆粒の約10%w/w~約20%w/w;例えばコーティング顆粒の約12%w/w~約18%w/w;例えばコーティング顆粒の約14%w/w~約16%w/w;例えばコーティング顆粒の約15%w/wを構成する、先行コーティング顆粒のいずれか。
1.82 造粒剤が、コーティング顆粒の約0.5%w/w~約5%w/w;例えばコーティング顆粒の約0.5%w/w~約3%w/w;例えばコーティング顆粒の約1%w/w~約2%w/w;例えばコーティング顆粒の約1.5%w/wを構成する、先行コーティング顆粒のいずれか。
1.83 下記組成:
【表1】
を有する、先行コーティング顆粒のいずれか。
1.84 活性医薬物質が、ナルトレキソンまたはその医薬的に許容される塩を含む、先行コーティング顆粒のいずれか。
1.85 薬物-イオン交換樹脂複合体顆粒が、キレート剤および造粒剤と組み合わせた(例えば結合した)ナルトレキソン-イオン交換樹脂複合体を含む、先行コーティング顆粒のいずれか。
1.86 ナルトレキソン-イオン交換樹脂複合体が、イオン交換樹脂およびナルトレキソンまたはその医薬的に許容される塩を含む、コーティング顆粒1.83。
【0024】
本開示は、先行コーティング顆粒1または1.1~1.86のいずれかを複数含む組成物をさらに提供する。例えば、第2態様において、本開示は、
コーティング顆粒1または1.1~1.86に記載のコーティングした薬物-イオン交換樹脂粒子(または顆粒);および
医薬的に許容される添加剤
を含む、活性薬物質の持続放出のための組成物[組成物1]を提供する。
【0025】
本開示は、組成物1の以下の実施態様をさらに提供する:
1.1 組成物が、懸濁剤、カプレット剤、サシェ剤、錠剤、チュアブル錠、分散用錠剤または口腔内崩壊錠(ODT)の形態である、組成物1。
1.2 組成物が、液体懸濁液の形態である、組成物1または1.1。
1.3 組成物が、コーティング顆粒、1つ以上の溶媒、ならびに糖、抗酸化剤、キレート剤、緩衝剤、増粘剤、安定化剤、防腐剤、界面活性剤、香料および着色剤より選択される1つ以上の成分を含む懸濁液である、先行組成物のいずれか。
1.4 懸濁液中の溶媒が、水を含む、先行組成物のいずれか。
1.5 懸濁液が、懸濁液1ml当たりコーティング顆粒約0.01g~約0.03gの量でコーティング顆粒を含む、先行組成物のいずれか。
1.6 コーティング顆粒が、組成物の総重量に基づいて約0.01%w/v~約10%w/v;または組成物の総重量に基づいて約0.01%w/v~約10%w/v;または組成物の総重量に基づいて約0.1%w/v~約5%w/v;または組成物の総重量に基づいて約0.1%w/v~約5%w/v;または組成物の総重量に基づいて約1%w/v~約5%w/v;または組成物の総重量に基づいて約1%w/v~約5%w/v;または組成物の総重量に基づいて約2%w/v~約3%w/v;または組成物の総重量に基づいて約2%w/v~約3%w/vの量で組成物中に存在する、先行組成物のいずれか。
1.7 医薬的に許容される添加剤が、担体、希釈剤、増粘剤、結合剤、滑沢剤、湿潤剤、崩壊剤、抗酸化剤、界面活性剤、着色剤、香料、防腐剤、甘味剤、緩衝剤の1つ以上、およびこれらの組合せを含む、先行組成物のいずれか。
1.8 組成物が、懸濁液、例えば液体懸濁液の形態であり、活性医薬物質が、約0.1mg/mL~約100mg/mL、例えば約1mg/mL~約25mg/mL、例えば約3mg/mL~約8mg/mL、例えば約5mg/mLの量で存在する、先行組成物のいずれか。
1.9 組成物が、懸濁液、例えば液体懸濁液の形態であり、活性医薬物質が、約0.1%w/v~約2%w/v、例えば約0.1%w/v~約1%w/v;例えば約0.2%w/v~約0.8%w/v、例えば約0.4%w/v~約0.6%w/v、例えば約0.5%w/v、例えば0.49%~0.51%w/vの量で存在する、先行組成物のいずれか。
1.10 組成物が、複数の該コーティング顆粒を含む、先行組成物のいずれか。
1.11 コーティング顆粒が、0.5%w/v~約5%w/v;例えば約1.0%w/v~約3.0%w/v;例えば2.0%w/v~約2.5%w/v、例えば約2.3%w/vの量で存在する、先行組成物のいずれか。
1.12 組成物が、キレート剤、例えばEDTAを含む、先行組成物のいずれか。
1.13 組成物が、緩衝剤、例えばクエン酸、例えば無水クエン酸を含む、先行組成物のいずれか。
1.14 キレート剤、例えばEDTAが、約0.05%w/v~約0.15%w/v;例えば約0.08%w/v~約0.12%w/v;例えば約0.09%w/v~約0.10%w/v;例えば約0.095%w/vの量で存在し;および/または緩衝剤、例えばクエン酸が、約0.1%w/v~約0.8%w/v;例えば約0.2%w/v~約0.6%w/v;例えば約0.3%w/v~約0.5%w/v;例えば約0.4%w/vの量で存在する、組成物1.13。
1.15 組成物が、約0.01%~約0.03%、例えば約0.02%の量で、抗酸化剤、例えば没食子酸プロピルを含む、先行組成物のいずれか。
1.16 組成物が、約0.01%w/v~約0.3%w/v;例えば約0.05%w/v~約0.2%w/v;例えば約0.1%w/vの量で、界面活性剤、例えばツイーン80を含む、先行組成物のいずれか。
1.17 組成物が、溶媒、例えば水を含む、先行組成物のいずれか。
1.18 組成物が、約5%w/v~約40%w/v;例えば約10%w/v~約30%w/v;例えば約15%w/v~約25%w/v;例えば約20%w/vの量で、糖、例えばスクロースを含む、先行組成物のいずれか。
1.19 組成物が、約0.1%w/v~約0.5%w/v;例えば約0.15%w/v~約0.3%w/v;例えば約0.2%w/vの量で、防腐剤、例えば安息香酸ナトリウムを含む、先行組成物のいずれか。
1.20 組成物が、増粘剤、例えばデンプン、キサンタンガム、またはデンプンとキサンタンガムの組合せを含む、先行組成物のいずれか。
1.21 組成物が、デンプンとキサンタンガムの両方を含む、組成物1.20。
1.22 デンプンが、約0.1%w/v~約5%w/v;例えば約1%w/v~約3%w/v;例えば約2%w/vの量で存在し;キサンタンガムが、約0.05%w/v~約0.5%w/v;例えば約0.1%w/v~約0.2%w/v;例えば約0.15%w/vの量で存在する、組成物1.21。
1.23 組成物が、
コーティング顆粒1または1.1~1.84のいずれかに記載のコーティング顆粒;
糖(例えばスクロース);
キレート剤(例えばEDTA);
緩衝剤(例えばクエン酸);
1つ以上の増粘剤(例えばデンプンおよび/またはキサンタンガム);
防腐剤(例えば安息香酸ナトリウム);
界面活性剤(例えばツイーン80);および
抗酸化剤(例えば没食子酸プロピル)
を含む、先行組成物のいずれか。
1.24 コーティング顆粒が、コーティング顆粒1.79に記載のコーティング顆粒である、先行組成物のいずれか。
1.25 1つ以上の着色剤および/または香料をさらに含む、組成物1.23または1.24。
1.26 組成物が、液体懸濁液である、組成物1.25。
1.27 組成物が、液体懸濁液の形態であり、そして、
溶媒が水を含み;
糖がスクロースを含み;
キレート剤がEDTAを含み;
緩衝剤がクエン酸、例えば無水クエン酸を含み;
抗酸化剤が存在し、没食子酸プロピルを含み;
増粘剤がデンプンおよびキサンタンガムの1つ以上を含み;そして
界面活性剤がツイーン80を含む、
先行組成物のいずれか。
1.28 下記組成:
【表2】
を有する、先行組成物のいずれか。
1.29 組成物が体懸濁液であり、懸濁液が、コーティング顆粒中以外にグリセリン、またはポリエチレングリコールを含まない、先行組成物のいずれか。
1.30 活性医薬物質が、長時間にわたって先細りになるより高い初期速度で放出される、先行組成物のいずれか。
1.31 活性医薬物質が、長時間にわたって先細りになるより高い初期速度で放出される、先行粒子のいずれか。
1.32 活性医薬物質が、長時間にわたって放出される、先行組成物のいずれか。
1.33 薬物イオン交換粒子が、活性医薬物質の少なくとも1時間、少なくとも4時間、少なくとも8時間、少なくとも16時間、または少なくとも24時間の持続放出を提供する、先行組成物のいずれか。
1.34 薬物イオン交換粒子が、活性医薬物質の最長24時間の持続放出を提供する、先行組成物のいずれか。
1.35 コーティングした薬物イオン交換粒子が、活性医薬物質の8~24時間の持続放出を提供する、先行組成物のいずれか。
1.36 大部分のコーティング顆粒の粒子径が、約150~250μmである、先行組成物のいずれか。
1.37 活性医薬物質が、ナルトレキソンまたはその医薬的に許容される塩を含む、先行組成物のいずれか。
1.38 組成物が、液体懸濁液の形態であり、組成物が、下記特徴a)~e):
a)約5~約7時間、例えば約5時間、約6時間または約7時間のT
max;
b)約5~約12時間、例えば約5~約11時間;約6時間、約7時間、約8時間、約9時間、約10時間または約11時間のT
1/2;
c)約1.5~約4時間、例えば約1.5時間、約2時間、約2.5時間、約3時間、約3.5時間または約4時間のC
max;
d)約26~約32hr・ng/mL、例えば約26、約27、約28、約29、約30、約31または約32hr・ng/mLのAUC
t;および
e)約28~約35hr・ng/mL、例えば約28、約29、約30、約31、約32、約33、約34または約35hr・ng/mLのAUC
∞
の1つ以上を有する、健常な対象体における薬物動態プロファイルを提供する、先行組成物のいずれか。
1.39 徐放性懸濁液が、特徴a)~e)の2つ以上、または特徴a)~e)の3つ以上、または特徴a)~e)の4つ以上、または特徴a)~e)の5つすべてを有する薬物動態プロファイルを有する、組成物1.38。
1.40 徐放性懸濁液の薬物動態プロファイルが、
図4の製剤1または製剤2について実質的に示されるとおりである、組成物1.38または1.39。
1.41 投与後2.5時間から投与後4時間まで時間にわたる平均血漿ナルトレキソン濃度(ng/ml)が、少なくとも4%;または約4%~約20%;または約4%~約15%;または約4%~約12%、または約5%~約12%、または約4%、約5%、約6%、約7%、約8%、約9%、約10%、約11%または約12%増加する、先行組成物1.38以降のいずれか。
1.42 投与後4時間から投与後6時間まで時間にわたる平均血漿ナルトレキソン濃度(ng/ml)が、少なくとも約80%;または約80%~約120%;または約80%~約110%;または約85%~約105%、または約86%、約87%、約88%、約89%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%、約100%、約101%、約102%、約103%、約104%または約105%増加する、先行組成物1.38以降のいずれか。
1.43 投与後6時間から投与後8時間まで時間にわたる平均血漿ナルトレキソン濃度(ng/ml)が、約40%超;または約15%~約40%;または約20%~約35%;または約20%、約21%、約22%、約23%、約24%、約25%、約26%、約27%、約28%、約29%、約30%、約31%、約32%、約33%、約34%、約35%、約36%、約37%、約38%、約39%、約40%減少する、先行組成物1.38以降のいずれか。
1.44 投与3時間後の平均血漿ナルトレキソン濃度(C
t;ng/ml)と最大血漿ナルトレキソン濃度(C
max;ng/mL)の比が、約0.4~約0.6;例えば約0.4~約0.55、例えば約0.45~約0.5である、先行組成物1.38以降のいずれか。
1.45 投与6時間後の平均血漿ナルトレキソン濃度(C
t;ng/ml)と最大血漿ナルトレキソン濃度(C
max;ng/mL)の比が、約0.8~約1.2;例えば約0.9~約1.1、例えば約0.95~約1.05である、先行組成物1.38以降のいずれか。
1.46 投与8時間後の平均血漿ナルトレキソン濃度(C
t;ng/ml)と最大血漿ナルトレキソン濃度(C
max;ng/mL)の比が、約0.5~約0.9;例えば約0.6~約0.8、例えば約0.65~約0.8である、先行組成物1.38以降のいずれか。
1.47 投与10時間後の平均血漿ナルトレキソン濃度(C
t;ng/ml)と最大血漿ナルトレキソン濃度(C
max;ng/mL)の比が、約0.4~約0.8;例えば約0.5~約0.7である、先行組成物1.38以降のいずれか。
1.48 投与12時間後の平均血漿ナルトレキソン濃度(C
t;ng/ml)と最大血漿ナルトレキソン濃度(C
max;ng/mL)の比が、約0.3~約0.7;例えば約0.4~約0.6である、先行組成物1.38以降のいずれか。
1.49 平均血漿ナルトレキソン濃度(C
t;ng/ml)と最大血漿ナルトレキソン濃度(C
max;ng/mL)の比が、下記a)~e):
a)投与3時間後で、約0.4~約0.6;例えば約0.4~約0.55、例えば約0.45~約0.5;
b)投与6時間後で、約0.8~約1.2;例えば約0.9~約1.1、例えば約0.95~約1.05;
c)投与8時間後で、約0.5~約0.9;例えば約0.6~約0.8、例えば約0.65~約0.8;
d)投与10時間後で、約0.4~約0.8;例えば約0.5~約0.7;および
e)投与12時間後で、約0.3~約0.7;例えば約0.4~約0.6
の1つ以上である、先行組成物1.38以降のいずれか。
1.50 平均血漿ナルトレキソン濃度(C
t;ng/ml)と最大血漿ナルトレキソン濃度(C
max;ng/mL)の比が、
a)投与3時間後で、約0.4~約0.6;例えば約0.4~約0.55、例えば約0.45~約0.5;および
b)投与6時間後で、約0.8~約1.2;例えば約0.9~約1.1、例えば約0.95~約1.05
である、組成物1.49。
1.51 平均血漿ナルトレキソン濃度(C
t;ng/ml)と最大血漿ナルトレキソン濃度(C
max;ng/mL)の比が、
b)投与6時間後で、約0.8~約1.2;例えば約0.9~約1.1、例えば約0.95~約1.05;および
c)投与8時間後で、約0.5~約0.9;例えば約0.6~約0.8、例えば約0.65~約0.8
である、組成物1.49。
1.52 平均血漿ナルトレキソン濃度(C
t;ng/ml)と最大血漿ナルトレキソン濃度(C
max;ng/mL)の比が、
c)投与8時間後で、約0.5~約0.9;例えば約0.6~約0.8、例えば約0.65~約0.8;および
d)投与10時間後で、約0.4~約0.8;例えば約0.5~約0.7
である、組成物1.49。
1.53 平均血漿ナルトレキソン濃度(C
t;ng/ml)と最大血漿ナルトレキソン濃度(C
max;ng/mL)の比が、
a)投与3時間後で、約0.4~約0.6;例えば約0.4~約0.55、例えば約0.45~約0.5;および
b)投与6時間後で、約0.8~約1.2;例えば約0.9~約1.1、例えば約0.95~約1.05;および
c)投与8時間後で、約0.5~約0.9;例えば約0.6~約0.8、例えば約0.65~約0.8;および
d)投与10時間後で、約0.4~約0.8;例えば約0.5~約0.7
である、組成物1.49。
1.54 活性医薬物質の25%以下が、1時間以内に放出され、活性医薬物質の60%以下が、2時間以内に放出される、先行組成物のいずれか。
1.55 活性医薬物質の30%以下が、1時間以内に放出され、活性医薬物質の60%以下が、2時間以内に放出される、先行組成物のいずれか。
【0026】
第3態様において、本開示は、コーティングした薬物-イオン交換樹脂粒子(または顆粒)を製造する方法であって、下記工程:
(a)活性薬物物質とイオン交換樹脂を溶媒中で接触させて、薬物-イオン交換樹脂複合体(または樹脂コア)を形成する工程;
(b)所望により、薬物-イオン交換樹脂複合体を単離し、乾燥する工程;
(c)薬物-イオン交換樹脂複合体を造粒して、薬物-イオン交換樹脂複合体顆粒を形成する工程;
(d)所望により、工程(c)の生成物を、例えば15~25%または15~20%の水分含量まで乾燥し、所望により、生成物を、例えば約400μmメッシュスクリーンを備えたコミルを用いて粉砕し;または所望により、例えば生成物をメッシュスクリーン、例えば20メッシュスクリーンを通すことにより、生成物を所定のサイズまで篩過する工程;
(e)所望により、工程(d)の生成物を、例えば7%未満の水分含量までさらに乾燥する工程;
(f)所望により、工程(e)の生成物を、例えば813μmメッシュスクリーンを備えたコミルを用いて粉砕する工程;および
(g)下記:
セルロースアセテート含有ポリマー、例えばセルロースアセテートブチレート;
所望により、腸溶性ポリマー;
所望により、可塑剤、例えばポリエチレングリコール、例えばポリエチレングリコール3550;および
溶媒、例えば水、アセトン、または水とアセトン
を含むコーティング組成物で先行工程の生成物をコーティングし、
ここで例えば、コーティングを15~20%w/wの重量増加まで適用し、
コーティングした薬物-イオン交換樹脂粒子(または顆粒)を形成する工程
を含む方法[方法1]を提供する。
【0027】
本開示は、方法1の以下の実施態様をさらに提供する:
1.1 工程(a)の溶媒が、水を含む、方法1。
1.2 工程(b)を実施し、薬物-イオン交換樹脂複合体を、ろ過および乾燥によって、例えば流動床プロセッサーを用いて、単離する、方法1および1.1。
1.3 工程(b)を実施し、薬物-イオン交換樹脂複合体を、水分含量が約15%になるまで乾燥する、先行方法のいずれか。
1.4 造粒工程(c)が、下記工程:
(i)工程(b)の生成物を、溶媒(例えば水)、所望により、キレート剤(例えばEDTA)、所望により、造粒剤(例えばポリエチレングリコール、例えばポリエチレングリコール3550)を含む組成物と接触させる工程;および
(ii)工程(i)の生成物を造粒して、非コーティングの薬物-イオン交換樹脂複合体顆粒を形成する工程
を含む、先行方法のいずれか。
1.5 工程(i)を、工程(b)の生成物を組成物と共に噴霧することにより実施する、方法1.4。
1.6 工程(ii)を、高せん断造粒機を用いて実施する、方法1.4または1.5。
1.7 工程(c)が、薬物-イオン交換樹脂複合体顆粒を粉砕する工程、およびサイズにより(例えば篩過により;例えば400μmメッシュスクリーンを用いて)分離する工程をさらに含む、先行方法のいずれか。
1.8 コーティング組成物を、15%w/w~20%w/wの重量増加まで薬物-イオン交換樹脂複合体顆粒上に噴霧する、先行方法のいずれか。
1.9 工程(d)を実施する、先行方法のいずれか。
1.10 工程(d)を実施し、工程(c)の生成物を、15~25%の水分含量まで乾燥する、先行方法のいずれか。
1.11 水分含量が15~25%である生成物を、20メッシュスクリーンを通す、方法1.9。
1.12 工程(e)を実施し、工程(d)の生成物を、7%未満の水分含量まで乾燥する、先行方法のいずれか。
1.13 工程(f)を実施する、先行方法のいずれか。
1.14 工程(f)の粉砕を、813μmメッシュスクリーンを備えたコミルを用いて実施する、方法1.12。
1.15 工程(g)において、コーティング組成物を、未コーティングの薬物-イオン交換樹脂複合体顆粒上に噴霧する、先行方法のいずれか。
1.16 工程(g)において、コーティング組成物が、1つ以上の溶媒を含む、先行方法のいずれか。
1.17 コーティング組成物が、水、アセトン、エタノール、イソプロピルアルコールおよびメタノールより選択される1つ以上の溶媒を含み;例えば、1つ以上の溶媒が、水、アセトン、およびこれらの組合せより選択される、先行方法のいずれか。
1.18 コーティング組成物が、可塑剤、例えばポリエチレングリコールを含む、先行方法のいずれか。
1.19 工程(g)が、先行工程により製造される薬物-イオン交換樹脂複合体顆粒を、溶媒、例えば水とアセトンとの混合物中にセルロースアセテートブチレートおよびポリエチレングリコールを含むコーティング組成物と接触させることを含む、先行方法のいずれか、先行方法のいずれか。
1.20 イオン交換樹脂が、ポリスチレンポリマーを含む、先行方法のいずれか。
1.21 イオン交換樹脂が、ポリスチレンとジビニルベンゼンのコポリマーを含む、先行方法のいずれか。
1.22 イオン交換樹脂が、約8%のジビニルベンゼンと架橋したポリスチレンで構成されるスルホン酸化ポリマーのマトリックスを含む、先行方法のいずれか。
1.23 イオン交換樹脂が、約4.5~5.5meq/g乾燥樹脂のイオン交換容量を有する、先行方法のいずれか。
1.24 樹脂コアの粒子径が、約45μm~150μmを含む、先行方法のいずれか。
1.25 樹脂コアが、球形または不規則な形状の粒子を含む、先行方法のいずれか。
1.26 イオン交換樹脂が、Amberlite IRP-69を含む、先行方法のいずれか。
1.27 イオン交換樹脂およびと1つ以上の活性医薬物質が、約5:1~1:5、例えば約3:1~1:3、例えば約2:1~1:2、例えば約2:1のw/w比で存在する、先行方法のいずれか。
1.28 セルロースアセテート含有ポリマーが、セルロースアセテート、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートフタレート、セルロースアセテートプロピオネート、およびこれらの組合せより選択される、先行方法のいずれか。
1.29 セルロースアセテートポリマーが、セルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート、およびこれらの組合せより選択される、先行方法のいずれか。
1.30 セルロースアセテートポリマーが、セルロースアセテートを含む、先行方法のいずれか。
1.31 セルロースアセテートポリマーが、セルロースアセテートである、先行方法のいずれか。
1.32 セルロースアセテートポリマーが、セルロースアセテートブチレートを含む、先行方法のいずれか。
1.33 セルロースアセテートポリマーが、セルロースアセテートブチレートである、先行方法のいずれか。
1.34 工程(g)のコーティング組成物が、フタレート含有ポリマー;セルロースアセテートトリメリテート;ポリメタクリレート;ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート(HPMC AS;Aqoat(登録商標));アルギン酸ナトリウム;アルギン酸;シェラック、およびこれらの組合せより選択される腸溶性ポリマーを含む、先行方法のいずれか。
1.35 腸溶性ポリマーが、ジメチルフタレート、ジエチルフタレート、ジアリルフタレート、ジ-n-プロピルフタレート、ジ-n-ブチルフタレート、ジイソブチルフタレート、ブチルシクロヘキシルフタレート、ジ-n-ペンチルフタレート、ジシクロヘキシルフタレート、ブチルベンジルフタレート、ジ-n-ヘキシルフタレート、ジイソヘキシルフタレート、ジイソヘプチルフタレート、ブチルデシルフタレート、ジブトキシエチルフタレート、ジ(2-エチルヘキシル)フタレート、ジ(n-オクチル)フタレート、ジイソオクチルフタレート、n-オクチルn-デシルフタレート、ジイソノニルフタレート、ジ(2-プロピルヘプチル)フタレート、ジイソデシルフタレート、ジウンデシルフタレート、ジイソウンデシルフタレート、ジトリデシルフタレート、ジイソトリデシルフタレート、ポリエチレンテレフタレート、セルロースフタレート、セルロースアセテートフタレート(CAP)、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート(HPMCP)、ポリビニルアセテートフタレート(PVAP)、およびこれらの組合せのモノマーを含む、フタレート含有ポリマーであるか、またはそれを含む、先行方法のいずれか。
1.36 腸溶性ポリマーが、セルロースアセテートフタレート(CAP)、ヒプロメロースフタレート(ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート;HPMCP)、およびポリビニルアセテートフタレート(PVAP)より選択されるフタレート含有ポリマーを含む、先行方法のいずれか。
1.37 腸溶性ポリマーが、セルロースアセテートフタレート(CAP)、ヒプロメロースフタレート(ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート;HPMCP)、およびポリビニルアセテートフタレート(PVAP)より選択されるフタレート含有ポリマーである、先行方法のいずれか。
1.38 腸溶性ポリマーが、セルロースアセテートトリメリテートを含む、先行方法のいずれか。
1.39 コーティングした薬物イオン交換粒子が、付着防止剤をさらに含み;付着防止剤としては、例えばタルク、モノステアリン酸グリセロール、ステアリン酸マグネシウムまたはカオリンが挙げられるがこれらに限定されない、先行方法のいずれか。
1.40 腸溶性ポリマーが、ポリメタクリレートを含む、先行方法のいずれか。
1.41 腸溶性ポリマーが、ポリメタクリレートである、先行方法のいずれか。
1.42 腸溶性ポリマーが、Eudragit(登録商標)Lシリーズ、Eudragit(登録商標)Sシリーズ、Eudragit(登録商標)FS、Kollicoat(登録商標)MAE 100P、Acryl-EZE(登録商標)93A、およびAcryl-EZE(登録商標)MPより選択されるポリメタクリレートを含む、先行方法のいずれか。
1.43 腸溶性ポリマーが、Eudragit(登録商標)Lシリーズ、Eudragit(登録商標)Sシリーズ、Eudragit(登録商標)FS、Kollicoat(登録商標)MAE 100P、Acryl-EZE(登録商標)93A、またはAcryl-EZE(登録商標)MPより選択されるポリメタクリレートである、先行方法のいずれか。
1.44 腸溶性ポリマーが、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート(HPMC AS;Aqoat(登録商標))を含む、先行方法のいずれか。
1.45 腸溶性ポリマーが、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート(HPMC AS;Aqoat(登録商標))である、先行方法のいずれか。
1.46 腸溶性ポリマーが、アルギン酸ナトリウムまたはアルギン酸を含む、先行方法のいずれか。
1.47 腸溶性ポリマーが、アルギン酸ナトリウムまたはアルギン酸である、先行方法のいずれか。
1.48 腸溶性ポリマーが、シェラックを含む、先行方法のいずれか。
1.49 腸溶性ポリマーが、シェラックである、先行方法のいずれか。
1.50 コーティング組成物が、可塑剤を含む、先行方法のいずれか。
1.51 コーティング組成物中の可塑剤が、ベンゾフェノン、ブチルフタリルブチルグリコレート、樟脳、α-クレシル-p-トルエンスルホネート、シクロヘキシル-p-トルエンスルホンアミド、ジアミルフタレート、ジブチルフタレート、ジブチルセバケート、ジブチルスクシネート、ジブチルタートレート、ジエトキシエチルアジペート、ジエトキシエチルフタレート、ジエチルアジペート、ジエチレングリコールジプロピオネート、ジエチルフタレート、ジエチルセバケート、ジエチルスクシネート、ジエチルタートレート、ジメトキシエチルアジペート、ジメトキシエチルフタレート、ジメチルフタレート、ジプロピルフタレート、エチルベンゾイルベンゾエート、エチレングリコールジアセテート、エチレングリコールジブチレート、エチレングリコールジプロピオネート、エチルフタリルエチルグリコレート、メチルベンゾイルベンゾエート、メチルフタリルエチルグリコレート、o-またはp-トルエンエチルスルホンアミド、トリアセチン、トリブチルシトレート、トリブチルホスフェート、トリブチリン、トリクレシルホスフェート、トリエチレングリコールジアセテート、トリエチレングリコールジブチレート、トリエチレングリコールジプロプリオネート、トリフェニルホスフェート、トリプロピオニン、トリメリテート類(例えば、トリ-(2-エチルヘキシル)トリメリテート、トリ-(イソノニル)トリメリテート、トリ-(イソデシル)トリメリテート、トリ-(イソトリデシル)トリメリテート)、アジペート類(例えば、ビス(2-エチルヘキシル)アジペート)、セバケート類(例えば、ジブチルセバケート、ジ-(2-エチルヘキシル)セバケート)、グリセロールトリアセテート、アルキルシトレート類(トリエチルシトレート、アセチルトリエチルシトレート、トリブチルシトレート、アセチルトリブチルシトレート、トリ(2-エチルヘキシル)シトレート、アセチルトリオクチルシトレート、トリヘキシルシトレート、ブチリルトリヘキシルシトレート)、植物油類、エポキシ化ダイズ油、エポキシ化リノール油、アゼレート類、ジベンゾエート類、テレフタレート類、1,2-シクロヘキサンジカルボン酸ジイソノニルエステル、アルキルスルホン酸フェニルエステル、オルガノホスフェート類(例えば、トリクレシル(メチルフェニル)ホスフェート、2-エチルヘキシルジフェニルホスフェート)、グリコール類(例えば、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、トリエチレングリコールジ-2ヘキサノエート)トリアセチン、トリエチルシトレート、ジブチルセバケート、植物油、油類、およびこれらの組合せより選択される、先行方法のいずれか。
1.52 コーティング組成物中の可塑剤が、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、トリアセチン、トリエチルシトレート、アセチルトリエチルシトレート、ジブチルセバケート、アセチルトリブチルシトレート、トリブチルシトレート、Soluphor P、植物油、油類、およびこれらの組合せより選択される、先行方法のいずれか。
1.53 可塑剤が、コーティング全体に分散されている、先行方法のいずれか。
1.54 可塑剤が、ポリエチレングリコール;例えばポリエチレングリコール3350を含む、先行方法のいずれか。
1.55 可塑剤が、ポリエチレングリコール;例えばポリエチレングリコール3350からなる、先行方法のいずれか。
1.56 可塑剤が、コーティング全体に分散されている、先行方法のいずれか。
1.57 可塑剤が、コーティング中の固形分の約2.5~約25%w/w、または約5~約15%w/w、または約8~約12%w/w、または約10%w/wを構成する、先行方法のいずれか。
1.58 工程(c)(i)の組成物が、溶媒(例えば水)、所望により、キレート剤(例えばEDTA)および造粒剤を含む、先行方法1.4以降のいずれか。
1.59 造粒剤が、ベンゾフェノン、ブチルフタリルブチルグリコレート、樟脳、α-クレシル-p-トルエンスルホネート、シクロヘキシル-p-トルエンスルホンアミド、ジアミルフタレート、ジブチルフタレート、ジブチルセバケート、ジブチルスクシネート、ジブチルタートレート、ジエトキシエチルアジペート、ジエトキシエチルフタレート、ジエチルアジペート、ジエチレングリコールジプロピオネート、ジエチルフタレート、ジエチルセバケート、ジエチルスクシネート、ジエチルタートレート、ジメトキシエチルアジペート、ジメトキシエチルフタレート、ジメチルフタレート、ジプロピルフタレート、エチルベンゾイルベンゾエート、エチレングリコールジアセテート、エチレングリコールジブチレート、エチレングリコールジプロピオネート、エチルフタリルエチルグリコレート、メチルベンゾイルベンゾエート、メチルフタリルエチルグリコレート、o-またはp-トルエンエチルスルホンアミド、トリアセチン、トリブチルシトレート、トリブチルホスフェート、トリブチリン、トリクレシルホスフェート、トリエチレングリコールジアセテート、トリエチレングリコールジブチレート、トリエチレングリコールジプロプリオネート、トリフェニルホスフェート、トリプロピオニン、トリメリテート類(例えば、トリ-(2-エチルヘキシル)トリメリテート、トリ-(イソノニル)トリメリテート、トリ-(イソデシル)トリメリテート、トリ-(イソトリデシル)トリメリテート)、アジペート類(例えば、ビス(2-エチルヘキシル)アジペート)、セバケート類(例えば、ジブチルセバケート、ジ-(2-エチルヘキシル)セバケート)、グリセロールトリアセテート、アルキルシトレート類(トリエチルシトレート、アセチルトリエチルシトレート、トリブチルシトレート、アセチルトリブチルシトレート、トリ(2-エチルヘキシル)シトレート、アセチルトリオクチルシトレート、トリヘキシルシトレート、ブチリルトリヘキシルシトレート)、植物油類、エポキシ化ダイズ油、エポキシ化リノール油、アゼレート類、ジベンゾエート類、テレフタレート類、1,2-シクロヘキサンジカルボン酸ジイソノニルエステル、アルキルスルホン酸フェニルエステル、オルガノホスフェート類(例えば、トリクレシル(メチルフェニル)ホスフェート、2-エチルヘキシルジフェニルホスフェート)、グリコール類(例えば、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、トリエチレングリコールジ-2ヘキサノエート)トリアセチン、トリエチルシトレート、ジブチルセバケート、植物油、油類、およびこれらの組合せより選択される、方法1.58。
1.60 造粒剤が、ポリエチレングリコール;例えばポリエチレングリコール3350を含む、方法1.59。
1.61 造粒剤が、ポリエチレングリコール;例えばポリエチレングリコール3350からなる、方法1.59。
1.62 コーティングした薬物-イオン交換樹脂顆粒が、複数の活性医薬物質(例えば2~10個の活性医薬物質)をさらに含む、先行方法のいずれか。
1.63 樹脂コアを、1つ以上の活性医薬物質(例えば1つ以上の小分子薬物、例えば10個までの小分子薬物)と組み合わせる、先行方法のいずれか。
1.64 活性医薬物質が、遊離塩基化合物である、先行方法のいずれか。
1.65 活性医薬物質が、分子上の1つ以上の位置でプロトン化され得る化合物である、先行方法のいずれか。
1.66 活性医薬物質が、ナルトレキソンまたはその医薬的に許容される塩を含む、先行方法のいずれか。
1.67 活性医薬物質が、コーティングした薬物イオン交換樹脂複合体顆粒の総重量に基づいて約1重量%~約99重量%、約5重量%~約70重量%、約10重量%~約30重量%、約20重量%~約30重量%、約20重量%~約25重量%、または約22~24重量%;またはコーティングした薬物イオン交換樹脂複合体顆粒の総重量に基づいて約22重量%、約23重量%または約24重量%の量で存在する、先行方法のいずれか。
1.68 下記工程:
(h)工程(g)により製造されるコーティングした薬物-イオン交換樹脂粒子(または顆粒)および懸濁液ベース組成物を組み合わせて、コーティングした薬物-イオン交換樹脂徐放性懸濁液を形成する工程
をさらに含む、先行方法のいずれか。
1.69 懸濁液ベース組成物が、液体懸濁液の形態であり、1つ以上の溶媒、ならびに糖、抗酸化剤、キレート剤、緩衝剤、増粘剤、安定化剤、防腐剤、界面活性剤、香料および着色剤より選択される1つ以上の成分を含む、方法1.68。
1.70 薬物-イオン交換樹脂徐放性懸濁液中の溶媒が、水を含む、方法1.68または1.69。
1.71 薬物-イオン交換樹脂徐放性懸濁液が、懸濁液1ml当たりコーティング顆粒約0.01g~約0.03gの量でコーティング顆粒を含む、先行方法1.68以降のいずれか。
1.72 コーティング顆粒が、組成物の総重量に基づいて約0.01%w/v~約10%w/v;または組成物の総重量に基づいて約0.01%w/v~約10%w/v;または組成物の総重量に基づいて約0.1%w/v~約5%w/v;または組成物の総重量に基づいて約0.1%w/v~約5%w/v;または組成物の総重量に基づいて約1%w/v~約5%w/v;または組成物の総重量に基づいて約1%w/v~約5%w/v;または組成物の総重量に基づいて約2%w/v~約3%w/v;または組成物の総重量に基づいて約2%w/v~約3%w/vの量で組成物中に存在する、先行方法1.68以降のいずれか。
1.73 薬物-イオン交換樹脂徐放性懸濁液が、懸濁液、例えば液体懸濁液の形態であり、活性医薬物質が、約0.1mg/mL~約100mg/mL、例えば約1mg/mL~約25mg/mL、例えば約3mg/mL~約8mg/mL、例えば約5mg/mLの量で存在する、先行方法1.68以降のいずれか。
1.74 薬物-イオン交換樹脂徐放性懸濁液が、懸濁液、例えば液体懸濁液の形態であり、活性医薬物質が、約0.1%w/v~約2%w/v、例えば約0.1%w/v~約1%w/v;例えば約0.2%w/v~約0.8%w/v、例えば約0.4%w/v~約0.6%w/v、例えば約0.5%w/v、例えば0.49%~0.51%w/vの量で存在する、先行方法1.68以降のいずれか。
1.75 薬物-イオン交換樹脂徐放性懸濁液が、複数の該コーティング顆粒を含む、先行方法1.68以降のいずれか。
1.76 コーティング顆粒が、0.5%w/v~約5%w/v;例えば約1.0%w/v~約3.0%w/v;例えば2.0%w/v~約2.5%w/v、例えば約2.3%w/vの量で存在する、先行方法1.68以降のいずれか。
1.77 薬物-イオン交換樹脂徐放性懸濁液が、下記:
キレート剤、例えばEDTA、ここで例えば、EDTAが、約0.05%w/v~約0.15%w/v;例えば約0.08%w/v~約0.12%w/v;例えば約0.09%w/v~約0.10%w/v;例えば約0.095%w/vの量で存在する;
緩衝剤、例えばクエン酸、ここで例えば、クエン酸が、約0.1%w/v~約0.8%w/v;例えば約0.2%w/v~約0.6%w/v;例えば約0.3%w/v~約0.5%w/v;例えば約0.4%w/vの量で存在する;
約0.01%~約0.03%、例えば約0.02%の量の抗酸化剤、例えば没食子酸プロピル;
約0.01%w/v~約0.3%w/v;例えば約0.05%w/v~約0.2%w/v;例えば約0.1%w/vの量の界面活性剤、例えばツイーン80;
溶媒、例えば水;
約5%w/v~約40%w/v;例えば約10%w/v~約30%w/v;例えば約15%w/v~約25%w/v;例えば約20%w/vの量の糖、例えばスクロース;
約0.1%w/v~約0.5%w/v;例えば約0.15%w/v~約0.3%w/v;例えば約0.2%w/vの量の防腐剤、例えば安息香酸ナトリウム;および
増粘剤、例えばデンプン、キサンタンガム、またはデンプンとキサンタンガムの組合せ、例えばデンプンとキサンタンガムの両方、ここで例えばデンプンが、約0.1%w/v~約5%w/v;例えば約1%w/v~約3%w/v;例えば約2%w/vの量で存在し;キサンタンガムが、約0.05%w/v~約0.5%w/v;例えば約0.1%w/v~約0.2%w/v;例えば約0.15%w/vの量で存在する
を含む、先行方法1.68以降のいずれか。
1.78 薬物-イオン交換樹脂徐放性懸濁液が、下記:
コーティング顆粒1または1.1~1.86のいずれかに記載のコーティング顆粒;
糖(例えばスクロース);
キレート剤(例えばEDTA);
緩衝剤(例えばクエン酸、例えば無水クエン酸);
1つ以上の増粘剤(例えばデンプンおよび/またはキサンタンガム);
防腐剤(例えば安息香酸ナトリウム);
界面活性剤(例えばツイーン80);および
抗酸化剤(例えば没食子酸プロピル)
を含む、先行方法1.68以降のいずれか。
1.79 薬物-イオン交換樹脂徐放性懸濁液が、下記組成:
【表3】
を有する、先行方法1.68以降のいずれか。
1.80 コーティングした薬物-イオン交換樹脂徐放性懸濁液が、本明細書の組成物1および1.1~1.55のいずれかに記載の組成物である、先行方法1.68以降のいずれか。
1.81 コーティングした薬物-イオン交換樹脂徐放性懸濁液が、コーティング顆粒中の造粒剤および可塑剤以外にグリセリンまたはポリエチレングリコールを含まない、先行方法1.68以降のいずれか。
【0028】
本明細書で用いる用語「コーティングした薬物-イオン交換樹脂粒子」、「コーティングした薬物-イオン交換樹脂顆粒」および「コーティング粒子」および「コーティング顆粒」は、同じ意味を有すること;すなわち、上記の、
イオン交換樹脂;
1つ以上の活性医薬物質;
所望により、キレート剤;
所望により、造粒剤
を含む薬物-イオン交換樹脂複合体(または樹脂コア);および
セルロースアセテート含有ポリマー;
所望により、腸溶性ポリマー;および
所望により、可塑剤
を含むコーティング
を含む組成物
が意図される。
【0029】
本開示の方法の工程において、本明細書で用いる用語「接触させる」は、示される反応または複合体形成が生じるように、示される成分を、直接または適切な溶媒中のいずれかで互いに接触させることを意味することが意図される。
【0030】
薬物動態プロファイルおよび本願図面に関連して用いるとき、本明細書で用いる用語「実質的に」は、AUCt、AUC∞およびCmaxの値が、プロファイルに示されるAUCt、AUC∞およびCmaxの平均値の±20%以内であることを意味することが意図される。
【0031】
様々な実施態様において、本開示のコーティング粒子または顆粒は、不規則な形状である。しかしながら、粒子または顆粒の一部は、球形または多面体の形状である。したがって、本明細書で用いる用語「粒子径」は、一般的に、(a)球状粒子の直径、(b)粒子の最長軸の長さ、(c)粒子の最短軸の長さ、(d)長軸の長さと短軸の長さの間の任意の測定値(2つの平均を含む)の1つ以上を指すために使用される。様々な実施態様において、粒子径は、粒子の最長軸の長さに応じて決定される。直径は、一般的に、マイクロメートル(μmまたはミクロン)で表される。直径は、例えば光学測定によって、当該技術分野で公知の任意の適切な手段によって決定され得る。
【0032】
本開示のコーティング粒子顆粒は、ポリマーコーティングに囲まれた樹脂コアを含む。薬物樹脂複合体または薬物-イオン交換樹脂複合体は、薬物、例えばナルトレキソンまたはその塩、例えばナルトレキソン塩酸塩を、樹脂、例えばイオン交換樹脂(例えばポリスチレンスルホン酸樹脂)と混合して、薬物のプロトン化と、それに続く樹脂ポリマーと薬物との結合(例えばイオン結合)を促進することによって形成され得る。理論に拘束されるものではないが、薬物は、コアの内およびコアの表上で樹脂ポリマーに結合すると考えられる。様々な薬物が、樹脂ポリマーとの結合に対して様々な親和性を示すことが認識されている。この反応は、薬物が樹脂ポリマーに結合しなくなるまで、過剰の薬物で実施し得る。
【0033】
選択された薬物または薬物の組合せをイオン交換樹脂に結合することは、当該技術分野で公知の方法を用いて達成できる。本開示の樹脂ポリマーに塩基性薬物を結合させるために、いくつかの異なる反応タイプを使用し得る。例えば、樹脂ポリマー(例えば、ナトリウム塩の形態)は、塩または遊離塩基の形態の薬物と反応し得る。あるいは、樹脂ポリマー(例えば、脱プロトン化可能な形態)を塩または遊離塩基の形態で薬物と反応させてもよい。これらの反応は、カチオン性の副生成物を有し得て、これらの副生成物は、樹脂ポリマー上の結合部位に対してカチオン性薬物と競合することにより、平衡状態で結合する薬物の量を減らし得る。
【0034】
このようにして形成された薬物樹脂複合体を、ろ過によって回収され、適切な溶媒で洗浄して、結合していない薬物または副生成物を除去する。複合体は、トレイ、流動床乾燥機または他の適切な乾燥機で室温または高温にて空気乾燥し得る。
【0035】
バッチ平衡化は、細かく分割した樹脂粉末に薬物を負荷して複合体を製造するために用いられ得る。樹脂ポリマーが特定の薬物に結合する能力は、薬物に対する樹脂の固有の選択性、負荷溶液中の薬物の濃度、負荷溶液中に存在する競合イオンの濃度などの要因によって影響を受けることが認識されている。結合速度は、薬物の活性およびその分子寸、ならびに負荷中にポリマー相が膨張する程度によって影響を受ける。
【0036】
通常、できるだけ多くの薬物を樹脂に負荷することが望ましい。薬物が負荷溶液からの薬物の完全な移行は、単回の平衡段階ではないと考えられる。したがって、複数回の平衡化は、イオン交換樹脂への所望の負荷を達成するために必要とされ得る。2回以上の負荷段階を使用し、段階間で樹脂を液相から分離することは、樹脂への薬物の負荷を最大限に達成する手段である。
【0037】
理論に拘束されるものではないが、より高い電荷密度を有する薬物は、一般的に、樹脂に対するより高い負荷容量を示す。同様に、分子量が比較的低い薬物は、分子量が比較的高い薬物より効率的に負荷される。競合イオンが最小限で、負荷溶液中の薬物濃度が高いほど、樹脂への吸着容量も高くなる。
【0038】
様々な実施態様において、樹脂に負荷し得る薬物の量は、薬物-イオン交換樹脂複合体の約1重量%~約75重量%の範囲である。実施態様1および2のいくつかの態様において、薬物-イオン交換樹脂複合体の約10重量%~約40重量%、例えば約15重量%~約30重量%の薬物負荷が達成され得る。
【0039】
いくつかの実施態様において、薬物-イオン交換樹脂複合体は、例えば湿式造粒により、造粒される。典型的には、薬物-イオン交換樹脂複合体を、溶媒(例えば水)、所望によりキレート剤(例えばEDTA)および造粒剤(例えばポリエチレングリコール、例えばポリエチレングリコール3550)を含む組成物と接触させて、薬物-イオン交換樹脂複合体顆粒を、薬物-イオン交換樹脂複合体上に組成物を噴霧し、混合物を、例えば高せん断造粒機を用いて、造粒することにより形成する。適切な造粒剤は、水溶性および水不溶性である。適切な造粒剤の例としては、例えば、ジブチルセバケート、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、トリエチルシトレート、アセチルトリエチルシトレート、アセチルトリブチルシトレート、トリブチルシトレート、トリアセチンおよびSoluphor P、およびこれらの混合物が挙げられる。いくつかの実施態様において、造粒剤は、ポリエチレングリコールを含むか、またはそれからなる。任意の分子量のポリエチレングリコールが用いられ得る。いくつかの実施態様において、造粒剤は、ポリエチレングリコール3550を含むか、またはそれからなる。
【0040】
様々な実施態様において、ポリマーコーティングは、セルロースアセテート含有ポリマーの組合せ単独または1つ以上の腸溶性ポリマーとの組合せを含む。本明細書で用いる用語「セルロースアセテート含有ポリマー」は、少なくとも1つのモノ-、ジ-またはトリ-アセチル化セルロース(すなわち、β(1→4)結合グルコース)モノマーを含むポリマーを意味することが意図される。様々な実施態様において、セルロースアセテート含有ポリマーは、セルロースアセテート、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネート、およびこれらの組合せより選択され得る。いくつかの好ましい実施態様において、セルロースアセテートポリマーは、セルロースアセテートおよびセルロースアセテートブチレートより選択される。いくつかのさらに好ましい実施態様において、セルロースアセテートポリマーは、セルロースアセテートブチレートを含むか、またはそれからなる。
【0041】
いくつかの実施態様において、コーティングした薬物-イオン交換樹脂複合体の粒子および/または顆粒は、腸溶性ポリマーをさらに含み得て、これは、フタレート含有ポリマー;セルロースアセテートトリメリテート;ポリメタクリレート;ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート(HPMC AS;Aqoat(登録商標));アルギン酸ナトリウム;アルギン酸;シェラック、およびこれらの組合せより選択され得る。
【0042】
いくつかの実施態様において、腸溶性ポリマーは、フタレート含有ポリマー;すなわち、フタレート含有モノマーを含むポリマーであるか、またはそれを含む。様々な実施態様において、腸溶性ポリマーは、ジメチルフタレート、ジエチルフタレート、ジアリルフタレート、ジ-n-プロピルフタレート、ジ-n-ブチルフタレート、ジイソブチルフタレート、ブチルシクロヘキシルフタレート、ジ-n-ペンチルフタレート、ジシクロヘキシルフタレート、ブチルベンジルフタレート、ジ-n-ヘキシルフタレート、ジイソヘキシルフタレート、ジイソヘプチルフタレート、ブチルデシルフタレート、ジブトキシエチルフタレート、ジ(2-エチルヘキシル)フタレート、ジ(n-オクチル)フタレート、ジイソオクチルフタレート、n-オクチルn-デシルフタレート、ジイソノニルフタレート、ジ(2-プロピルヘプチル)フタレート、ジイソデシルフタレート、ジウンデシルフタレート、ジイソウンデシルフタレート、ジトリデシルフタレート、ジイソトリデシルフタレート、ポリエチレンテレフタレート、セルロースフタレート、セルロースアセテートフタレート(CAP)、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート(HPMCP)、ポリビニルアセテートフタレート(PVAP)またはこれらの組合せのモノマーを含む、フタレート含有ポリマーであるか、またはそれを含む。
【0043】
いくつかの好ましい実施態様において、フタレート含有ポリマーは、セルロースアセテートフタレート(CAP)、ヒプロメロースフタレート(ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート;HPMCP)、およびポリビニルアセテートフタレート(PVAP)より選択される。
【0044】
いくつかの実施態様において、腸溶性ポリマーは、セルロースアセテートトリメリテートを含み得る。いくつかの実施態様において、腸溶性ポリマーは、ポリメタクリレートを含み得て、例えば、ポリメタクリレートは、メタクリル酸-メチルメタクリレート共重合体(1:1)、例えばEudragit(登録商標)Lシリーズ、メタクリル酸-メチルメタクリレート共重合体(1:2)、例えばEudragit(登録商標)Sシリーズ、ポリ(メチルアクリレート-コ-メチルメタクリレート-コ-メタクリル酸)、例えばEudragit(登録商標)FS、またはメタクリル酸-エチルアクリレート共重合体(1:1)、例えばKollicoat(登録商標)MAE 100Pより選択される。実施態様1および2のいくつかの態様において、腸溶性ポリマーは、アクリル腸溶性コーティングシステム、例えばAcryl-EZE(登録商標)93A、およびAcryl-EZE(登録商標)MPを含み得る。
【0045】
いくつかの更なる実施態様において、腸溶性ポリマーは、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート(HPMC AS;Aqoat(登録商標));アルギン酸ナトリウム;アルギン酸;シェラック、およびこれらの組合せを含み得る。
【0046】
いくつかの実施態様において、ポリマーコーティングは、コーティングされていない薬物-イオン交換樹脂複合体顆粒(すなわち、粒子形態の樹脂ポリマーに結合した薬物)の約1重量%~約30重量%、例えば約3重量%~約25重量%、約10重量%~約20重量%、または約15重量%を構成する。
【0047】
いくつかの実施態様において、バリアコーティングは、可塑剤、例えば本明細書に開示する可塑剤の1つ以上をさらに含み、これは、薬物-イオン交換樹脂複合体の均一なコーティングを容易にし、および/またはバリアコーティング層の引張強度を高め得る。
【0048】
一般的に、可塑剤は、ポリマーコーティングの約2重量%~約50重量%、より好ましくはコーティングした薬物樹脂複合体のコーティング層の約2.5重量%~約25重量%の割合の範囲で用いられるか、または可塑剤の混合物を組み合わせる。好ましくは、コーティング層の約5重量%~約15重量%の範囲の可塑剤は、最も望ましい特定を提供する。
【0049】
適切な可塑剤は、水溶性および水不溶性である。適切な可塑剤の例としては、例えば、ジブチルセバケート、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、トリエチルシトレート、アセチルトリエチルシトレート、アセチルトリブチルシトレート、トリブチルシトレート、トリアセチン、およびSoluphor P、およびこれらの混合物が挙げられる。いくつかの好ましい実施態様において、樹脂コア中の造粒剤およびコーティング中の可塑剤は、各々独立して、ポリエチレングリコールを含むか、またはそれからなる。任意の分子量のポリエチレングリコールが用いられ得る。いくつかの実施態様において、造粒剤は、ポリエチレングリコール3550を含むか、またはそれからなる。
【0050】
いくつかの実施態様において、本開示のポリマーコーティングの放出速度は、少なくとも1時間、少なくとも4時間、少なくとも8時間、少なくとも16時間、少なくとも24時間にわたるものである。いくつかの実施態様において、本開示のポリマーコーティングは、約8~24時間、好ましくは12~24時間にわたる放出速度を有する。
【0051】
本開示のコーティングした薬物-イオン交換樹脂顆粒は、当業者に周知の方法に従って医薬的に許容される添加剤とともに容易に製剤化され得る。特定の実施態様において、これらの製剤は、本開示のコーティングした薬物イオン交換樹脂複合体粒子を含む。いくつかの実施態様において、コーティングした薬物-イオン交換樹脂複合体粒子とコーティングされていない薬物-イオン交換樹脂複合体粒子の混合物は、存在し得る。これらの製剤は、コーティング粒子と非コーティング粒子の適切な割合を含み得る。
【0052】
本開示の製剤は1つ以上の活性医薬物質を含み得ることがさらに想定される。例えば、製剤は、樹脂ポリマーに負荷されて複合体を形成する薬物を1つ以上含み得る。別の例として、製剤は、本開示の第1の活性医薬物質を含む第1のコーティングした薬物-イオン交換樹脂複合体粒子を、第2の活性医薬物質を含む第2のコーティングした薬物-イオン交換樹脂複合体粒子と組み合わせて含み得る。別の例において、製剤は、コーティングした薬物-イオン交換樹脂粒子または顆粒中にない1つ以上の活性医薬物質と組み合わせて、コーティングした薬物-イオン交換樹脂粒子を含み得る。
【0053】
本開示のコーティングした薬物-イオン交換樹脂粒子は、典型的には経口送達のために製剤化される。
【0054】
このようにして製造される樹脂組成物は、将来の使用のために保存し得て、または従来の医薬的に許容される担体と速やかに製剤化されて、経口投与のための最終の摂取可能な組成物を製造し得る。本開示による組成物は、例えば、液体製剤、例えば懸濁液、または固形製剤、例えばカプレット剤、サシェ剤、錠剤、チュアブル錠、カプレット剤、舌下錠、散剤、ウエハー、ストリップ、ゲル(リキゲルを含む)などの形態を取り得る。一実施態様において、本開示の錠剤は、口腔内崩壊錠(ODT)として製剤化される。このような口腔内溶解錠は、口内で約60秒未満で崩壊し得る。
【0055】
コーティングした薬物-イオン交換樹脂複合体粒子および顆粒を含む本開示による組成物は、従来の医薬的に許容される担体または添加剤および既知の技術を用いて製剤化され得る。例えば、本開示の組成物は、希釈剤(例えば、結晶セルロース、ラクトース)、増粘剤(例えば、デンプン、キサンタンガム)、結合剤(例えば、セルロース誘導体およびアクリル誘導体)、滑沢剤(すなわち、ステアリン酸マグネシウムまたはステアリン酸カルシウム、または植物油類、ポリエチレングリコール、タルク、ラウリル硫酸ナトリウム、非晶質シリカ、モノステアリン酸ポリオキシエチレン)、増粘剤、湿潤剤、崩壊剤(例えば、クロスポビドン)、抗酸化剤(没食子酸プロピル、アスコルビン酸、ピロ亜硫酸ナトリウム、ブチル化ヒドロキシアニソール、ブチル化ヒドロキシトルエン)、着色剤、香料、防腐剤、甘味剤、緩衝剤、ならびに当業者に容易に明らかである他の成分を含む、従来の担体または添加剤を含み得る。
【0056】
担体
適切な医薬的に許容される担体としては、脂肪酸エステル、脂肪酸およびその塩、脂肪アルコール類(例えば、ラウリル、ミリスチルステアリル、セチルまたはセトステアリルアルコール)、脂肪アミン、脂肪アミド、グリセリド類(例えば、モノ-、ジ-およびトリ-グリセリド)、水素添加脂肪、糖脂質、ステロイド類、天然および合成ワックス、ポリエチレングリコール(PEG)またはその誘導体などの1つ以上が挙げられ得る。具体的な例としては、水素添加植物油、水素添加綿実油、水素添加ヒマシ油、ステアリン酸、カカオバター、ベヘン酸グリセリル、ジパルミトステアリン酸グリセリル、ステアリルアルコールが挙げられるが、これらに限定されない。モノ-、ジ-およびトリ-グリセリドの混合物、ならびにポリエチレングリコールのモノ-およびジ-脂肪酸エステルもまた、適切な脂肪物質である。適切なワックスおよびワックスのような材料としては、天然または合成ワックス、炭化水素および通常のワックスが挙げられる。ワックスの具体的な例としては、蜜蝋、グリコワックス、ヒマシワックス、カルナバワックス、パラフィン、キャンデリラワックスが挙げられる。
【0057】
ポリエチレングリコールまたはその誘導体は、PEG 200、PEG 300、PEG 400、PEG 600、PEG 1000、PEG 4000、PEG 6000、PEG 8000、PEG 12000、PEG 20000、ポリグリコール化グリセリド、ポリエチレングリコール-ポリオキシエチレン、ポリエチレングリコールポリプロピレン、およびポリエチレングリコール-ポリオキシプロピレンを含み得る。
【0058】
懸濁化剤/増粘剤
適切な増粘剤としては、例えば、トラガカント;キサンタンガム;ベントナイト;デンプン;アカシアおよびセルロースの低級アルキルエーテル(セルロースエーテルのヒドロキシおよびカルボキシ誘導体を含む)が挙げられる。セルロースの例としては、例えば、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、結晶セルロース(MCC)、およびMCCとカルボキシメチルセルロースナトリウムが挙げられる。いくつかの実施態様において、本開示による組成物は、キサンタンガムを、組成物の重量に対して約0.01~約1.0容量(w/v)%、より好ましくは組成物に対して約0.1%w/v~約0.2%w/v、例えば約0.15%w/vの量で含む。いくつかの実施態様において、本開示の組成物は、デンプンを、約1%w/v~約10%w/v、例えば約1.5%w/v~約2.5%w/v、例えば約2.0%w/vまたは約2.1%w/vの量で含む。
【0059】
適切な増粘剤はまた、希釈剤、例えばセルロース、乾燥デンプン、結晶セルロース、リン酸ジカルシウム、硫酸カルシウム、塩化ナトリウム、菓子用の糖、圧縮糖、デキストレート、デキストリン、デキストロース、スクロース、マンニトール、粉末セルロース、ソルビトールおよびラクトースを含み得る。
【0060】
結合剤
結合剤は、組成物に粘着性を付与するために用いられ得て、デンプン、ゼラチン、糖、天然および合成ガム、ポリエチレングリコール、エチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ワックスおよびポリビニルピロリドンを含み得るが、これらに限定されない。
【0061】
湿潤剤
本開示の組成物はまた、湿潤剤を含み得る。最終製剤で有用な適切な湿潤剤としては、グリセリン、キシリトール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコールおよびこれらの混合物が挙げられる。
【0062】
崩壊剤
本開示の組成物は、投与後の分解または崩壊を促進するために、崩壊剤を含み得る。この目的で使用される材料としては、デンプン、クレイ、セルロース、アライン(align)、ガムおよび架橋ポリマーが挙げられる。
【0063】
界面活性剤
本開示の組成物は、1つ以上の界面活性剤を、総製剤に対して最大約5.0%w/v、好ましくは約0.02~約3.0%w/v、例えば約0.1%w/vの量で含み得る。本開示の最終組成物の製造で有用な界面活性剤は、一般的に、適切な均一な組成物のために水性系中の成分の安定化および分散を助ける有機物質である。好ましくは、選択される界面活性剤は、非イオン性界面活性剤、例えばポリ(オキシエチレン)(20)ソルビタンモノオレエート(商品名ツイーン80で入手可能)およびソルビタンモノオレエートである。例えば、様々な実施態様において、本開示の組成物は、ポリ(オキシエチレン)(20)ソルビタンモノオレエートを、総製剤に対して約0.02~約3.0%w/v、例えば約0.1%w/vの量で含む。
【0064】
本開示の製剤中に含まれ得る例示的な非イオン性界面活性剤としては、例えば、アルキルポリ(エチレンオキシド)、アルキルポリグルコシド(例えば、オクチルグルコシドおよびデシルマルトシド)、脂肪アルコール、例えばセチルアルコールおよびオレイルアルコール、コカミドMEA、コカミドDEAおよびコカミドTEAが挙げられる。本開示により製造される製剤中に含まれ得る具体的な非イオン性界面活性剤としては、例えば、ポリソルベート類、例えばポリソルベート20、ポリソルベート28、ポリソルベート40、ポリソルベート60、ポリソルベート65、ポリソルベート80、ポリソルベート81、およびポリソルベート85;ポロキサマー、例えばポロキサマー188、ポロキサマー407;ポリエチレン-ポリプロピレングリコール;またはポリエチレングリコール(PEG)が挙げられる。
【0065】
抗酸化剤
本開示の粒子および組成物はまた、1つ以上の抗酸化剤を、総製剤に対して最大約5.0%w/v、好ましくは約0.02~約3.0%w/v、例えば約0.1%w/vを含み得る。適切な抗酸化剤としては、アスコルビン酸、ピロ亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、没食子酸プロピル、ブチル化ヒドロキシアニソール、ブチル化ヒドロキシトルエン、クエン酸、酒石酸、リン酸、トコフェロール(ビタミンE)、セサモールおよび第3級ブチルヒドロキノンが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施態様において、抗酸化剤は、本明細書に記載のコーティング顆粒1および1.1~1.186に存在する。いくつかの実施態様において、抗酸化剤は、本明細書に記載の組成物1および1.1~1.55に存在する。
【0066】
防腐剤
本開示の組成物は、1つ以上の防腐剤を含み得る。有用な防腐剤としては、安息香酸ナトリウム、安息香酸、ソルビン酸カリウム、エデト酸の塩(エチレンジアミンテトラ酢酸、またはEDTAの塩、例えばEDTA二ナトリウムとしても知られる)、パラベン類(例えば、メチル、エチル、プロピルまたはブチル-ヒドロキシベンゾエート類など)、およびソルビン酸が挙げられるが、これらに限定されない。有用な防腐剤としては、上記に挙げたキレート剤、および他のキレート剤、例えばニトリロ三酢酸(NTA);エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸(HEDTA)、ジエチレントリアミン五酢酸(DPTA)、1,2-ジアミノプロパン四酢酸(1,2-PDTA);1,3-ジアミノプロパン四酢酸(1,3-PDTA);2,2-エチレンジオキシビス[エチルイミノ二(酢酸)](EGTA);1,10-ビス(2-ピリジルメチル)-1,4,7,10-テトラアザデカン(BPTETA);エチレンジアミン(EDAMINE);トランス-1,2-ジアミノシクロヘキサン-N,N,N',N'-四酢酸(CDTA);エチレンジアミン-N,N'-二酢酸(EDDA);メト硫酸フェナジン(PMS);2,6-ジクロロ-インドフェノール(DCPIP);ビス(カルボキシメチル)ジアザ-18-クラウン-6;ポルフィン;クロロフィル;ジメルカプロール(2,3-ジメルカプト-1-プロパノール);クエン酸(例えば、無水クエン酸);酒石酸;フマル酸;リンゴ酸;アスコルビン酸;およびその塩が挙げられる。上記の防腐剤は例示的なものであるが、防腐剤の適合性および有効性を保証するために、各防腐剤は各製剤で評価される必要がある。医薬製剤中の防腐剤の有効性を評価するための方法は、当業者に知られている。好ましい防腐剤は、パラベン防腐剤であり、メチルパラベン、エチルパラベン、プロピルパラベンおよびブチルパラベン、ならびに安息香酸ナトリウムなどの安息香酸塩を含む。好ましくは、メチルパラベンとプロピルパラベンの両方が、メチルパラベン対プロピルパラベンが約2.5:1~約16:1、好ましくは9:1の比で製剤中に存在する。特定の実施態様において、組成物は、パラベンを約0.01%w/v~約0.5%w/v、例えば約0.1%w/v~約0.3%w/v、例えば約0.2%w/vの量で含む。いくつかの実施態様において、本開示の組成物は、クエン酸を約0.001%w/v~約0.1%w/v、例えば約0.01%w/vの量で含む。いくつかの実施態様において、組成物は、アスコルビン酸を約0.001%w/v~約0.1%w/v、例えば約0.06%w/vの量で含む。
【0067】
キレート剤
上記のとおり、適切なキレート剤としては、上記のもの、および他のキレート剤、例えばニトリロ三酢酸(NTA);エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸(HEDTA)、ジエチレントリアミン五酢酸(DPTA)、1,2-ジアミノプロパン四酢酸(1,2-PDTA);1,3-ジアミノプロパン四酢酸(1,3-PDTA);2,2-エチレンジオキシビス[エチルイミノ二(酢酸)](EGTA);1,10-ビス(2-ピリジルメチル)-1,4,7,10-テトラアザデカン(BPTETA);エチレンジアミン(EDAMINE);トランス-1,2-ジアミノシクロヘキサン-N,N,N',N'-四酢酸(CDTA);エチレンジアミン-N,N'-二酢酸(EDDA)が挙げられる。
【0068】
緩衝剤
適切な緩衝剤としては、酢酸およびその塩、リン酸およびその塩;クエン酸およびその塩、およびグルタミン酸およびその塩、ならびに医薬組成物で有用と知られている他の緩衝剤が挙げられる。
【0069】
可塑剤
可塑剤は、機械特性を変化させるためにコーティング材料中に含まれ得る。可塑剤の例としては、ベンジルベンゾエート、クロロブタノール、ジブチルセバケート、ジエチルフタレート、グリセリン、鉱油、ポリエチレングリコール、ソルビトール、トリアセチン、トリエチルシトレート、グリセロールなどが挙げられる。本開示の組成物で用いられ得る可塑剤の更なる例としては、ベンゾフェノン、ブチルフタリルブチルグリコレート、樟脳、α-クレシル-p-トルエンスルホネート、シクロヘキシル-p-トルエンスルホンアミド、ジアミルフタレート、ジブチルフタレート、ジブチルセバケート、ジブチルスクシネート、ジブチルタートレート、ジエトキシエチルアジペート、ジエトキシエチルフタレート、ジエチルアジペート、ジエチレングリコールジプロピオネート、ジエチルフタレート、ジエチルセバケート、ジエチルスクシネート、ジエチルタートレート、ジメトキシエチルアジペート、ジメトキシエチルフタレート、ジメチルフタレート、ジプロピルフタレート、エチルベンゾイルベンゾエート、エチレングリコールジアセテート、エチレングリコールジブチレート、エチレングリコールジプロピオネート、エチルフタリルエチルグリコレート、メチルベンゾイルベンゾエート、メチルフタリルエチルグリコレート、o-またはp-トルエンエチルスルホンアミド、トリアセチン、トリブチルシトレート、トリブチルホスフェート、トリブチリン、トリクレシルホスフェート、トリエチレングリコールジアセテート、トリエチレングリコールジブチレート、トリエチレングリコールジプロプリオネート、トリフェニルホスフェート、トリプロピオニン、トリメリテート類(例えば、トリ-(2-エチルヘキシル)トリメリテート、トリ-(イソノニル)トリメリテート、トリ-(イソデシル)トリメリテート、トリ-(イソトリデシル)トリメリテート)、アジペート類(例えば、ビス(2-エチルヘキシル)アジペート)、セバケート類(例えば、ジブチルセバケート、ジ-(2-エチルヘキシル)セバケート)、グリセロールトリアセテート、アルキルシトレート類(トリエチルシトレート、アセチルトリエチルシトレート、トリブチルシトレート、アセチルトリブチルシトレート、トリ(2-エチルヘキシル)シトレート、アセチルトリオクチルシトレート、トリヘキシルシトレート、ブチリルトリヘキシルシトレート)、植物油類、エポキシ化ダイズ油、エポキシ化リノール油、アゼレート類、ジベンゾエート類、テレフタレート類、1,2-シクロヘキサンジカルボン酸ジイソノニルエステル、アルキルスルホン酸フェニルエステル、オルガノホスフェート類(例えば、トリクレシル(メチルフェニル)ホスフェート、2-エチルヘキシルジフェニルホスフェート)、グリコール類(例えば、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、トリエチレングリコールジ-2-ヘキサノエート)トリアセチン、トリエチルシトレート、ジブチルセバケート、植物油、油類、およびこれらの組合せが挙げられる。
【0070】
着色剤/香料
本開示の組成物は、1つ以上の香料を含み得る。例えば、香料は、天然および人工両方の甘味剤を含む、当該技術分野で周知の1つ以上の甘味剤を含み得る。したがって、更なる甘味剤は、水溶性甘味剤、例えば単糖類、二糖類および多糖類、例えばキシロース、リボース、グルコース、マンノース、ガラクトース、フルクトース、高フルクトースコーンシロップ、デキストロース、スクロース、糖、マルトース、部分加水分解デンプン、またはコーンシロップ固体および糖アルコール、例えばソルビトール、キシリトール、マンニトールおよびこれらの混合物の非限定的なリストから選択され得る。
【0071】
一般的に、甘味剤の量は、容易に抽出可能な甘味剤を用いるとき、最終液体組成物の0.001~約90%w/vであり得る。上記の水溶性甘味剤は、好ましくは、最終液体組成物の約5~約70%w/v、最も好ましくは約10~約50%w/vの量で用いられる。
【0072】
本開示の組成物に含まれる香料は、ミント、例えばペパーミント、メントール、人工バニラ、シナモン、様々なフルーツフレーバー、エッセンシャルオイル(すなわち、チモール、エクリプトール、メントールおよびメチルサリチル酸)などを含み得る。使用される香料の量は、通常、香料の種類、個々の香料および望ましい強さなどの要因に応じて好みの問題になる。香料は、一般に、個々の香味に応じて変化する量で用いられ、例えば、最終組成物の重量の体積当たり約0.01重量%~約3重量%の量の範囲であり得る。
【0073】
本開示の組成物中で有用な着色剤は、二酸化チタンなどの顔料を含み、これは約1w/v%まで、好ましくは約0.6w/v%までの量で組み込まれ得る。また、着色剤は、食品、医薬品、化粧品用途に適した染料を含み得て、これはD&CおよびFD&C染料として知られている。前記の使用範囲に許容される材料は、好ましくは水溶性である。具体例としては、FD&C Blue No.2として知られるインディゴイド染料が挙げられ、5,5'インジゴチンジスルホン酸の二ナトリウム塩である。同様に、FD&C Green No.1として知られる染料は、トリフェニルメタン染料を含み、4-[4-N-エチルp-スルホベンジルアミノ)ジフェニルメチレン]-[1-(N-エチル-N-p-スルホニウムベンジル)-2,5-シクロヘキサジエンイミン]の一ナトリウム塩である。他のこのような材料は、当業者に知られているように使用され得る。
【0074】
投与形態
いくつかの実施態様において、本開示のコーティングした薬物-イオン交換樹脂粒子および顆粒は、投与準備ができた形態、例えばブリスターパック、ボトル、シリンジ、ホイルパック、パウチまたは他の適切な容器で存在する。他の実施態様において、本開示の組成物は、所望により投与のための最終形態を製造するのに必要とされる希釈剤と共に、パック中に濃縮された形態である。更なる他の実施態様において、製剤は、固体形態で本開示において有用な化合物、および所望により、固体形態で本開示において有用な薬物-イオン交換樹脂複合体のための適切な懸濁液ベースまたは他の担体を含む別の容器を含む。
【0075】
更なる他の実施態様において、上記のパック/キットは、他の構成要素、例えば、計量投与装置/デバイス、製剤の希釈、混合および/または投与に関する説明書、他の容器を含む。このような他のパック/キットの構成要素は、当業者には容易に明らかである。いくつかの好ましい実施態様において、本開示のコーティングした薬物-イオン交換樹脂粒子および顆粒は、本明細書に記載のように液体懸濁液中に存在する。
【実施例】
【0076】
実施例1 ナルトレキソン徐放性懸濁液の製造
ナルトレキソンは、様々な製造方法により製造でき、例えばWO91/05768、WO2008/034973、WO2008/138605、WO2010/039209、およびWO2010/039209(これら開示の各々は出典明示により本明細書に組み込まれる)に記載されている。
【0077】
ナルトレキソン樹脂複合体を、表1に示す処方に従ってコーティングした。
【表4】
【0078】
ナルトレキソンは、様々な製造方法により製造でき、例えばWO91/05768、WO2008/034973、WO2008/138605、WO2010/039209、およびWO2010/039209(これら開示の各々は出典明示により本明細書に組み込まれる)に記載されている。
【0079】
精製水を容器に注ぎ、ナルトレキソンHClを加え、溶解するまで混合した。ポリスチレンスルホン酸ナトリウム(Amberlite IRP69樹脂)をタンクに加えて混合した。得られた分散体をろ紙に通し、保持された薬物樹脂複合体を精製水で洗浄した。薬物樹脂複合体をオーブンに入れて、水分が10%未満になるまで乾燥した。
【0080】
表1の処方を用いて、下記表2に要約するナルトレキソン樹脂複合体顆粒を製造した。ポリエチレングリコールを精製水に加え、溶解するまで混合した。得られたPEG溶液を湿潤樹脂複合体上に噴霧し、高せん断造粒機を用いて造粒した。湿潤顆粒を、水分が15%~20%に達するまでオーブン中で乾燥した。部分的に乾燥した顆粒を、約400μmメッシュスクリーンを備えたコミルを用いて、粉砕した。通過顆粒を、水分が7%未満に達するまで乾燥した。
【表5】
【0081】
得られたナルトレキソン樹脂複合体顆粒をコーティングして、下記表3に要約する製剤を形成した。アセトンおよび精製水を容器に加え、よく混合した。ポリエチレングリコールを容器に加え、溶解するまで混合した。セルロースアセテートブチレートを加え、溶解するまで混合した。コーティング液を、表2のナルトレキソン樹脂複合体顆粒上に、流動層プロセッサーを用いて15%の重量増加を達成するまで噴霧した。
【表6】
【0082】
その後、得られたコーティングしたナルトレキソン樹脂を用いて、下記表4に要約するナルトレキソン徐放性懸濁液を製造した。精製水を含むメイン容器にスクロースを加え、溶解するまで混合し、続いて、クエン酸を加えることにより、懸濁液ベースを製造した。デンプンを容器中で分散させ、よく混合した。別の容器で、メチルパラベンおよびプロピルパラベンをプロピレングリコールに加え、完全に溶解するまで混合した。キサンタンガムを防腐剤溶液に加え、均一に分散するまでよく混合した。このガム分散液をメイン容器にゆっくり加え、よく混合した。ピロ亜硫酸ナトリウムおよびツイーン80をメイン容器に加え、溶解するまで混合した。精製水をメイン容器に加えて、最終懸濁液ベース容量を1.2Lにした。900mlの懸濁液ベースに、コーティングしたナルトレキソン樹脂複合体を連続混合下で加えて、ナルトレキソンER懸濁液を形成した。
【表7】
【0083】
実施例2 インビトロでの薬物放出
コーティングしたナルトレキソン樹脂を、実施例1に従って製造した。この実施例において、チェリーフレーバーおよびFD&C red 40を用いて、抗酸化剤としてアスコルビン酸を含む最終懸濁液を製造した。
【表8】
【0084】
精製水をメイン容器に加え、続いて、スクロースおよび、溶解するまで混合した。クエン酸をメイン容器に加え、溶解するまで混合した。その後、デンプンを容器中で分散させ、よく混合した。別の容器で、メチルパラベンおよびプロピルパラベンをプロピレングリコールに加え、完全に溶解するまで混合した。キサンタンガムを防腐剤溶液に加え、均一に分散するまでよく混合した。キサンタンガム分散液をメイン容器にゆっくり加え、よく混合した。アスコルビン酸およびツイーン80をメイン容器に加え、溶解するまで混合した。精製水をメイン容器に加えて、最終懸濁液ベース容量を1.6Lにした。500mLの懸濁液ベースに、FD&C red番号40、チェリーフレーバーおよびコーティングしたナルトレキソン樹脂を連続混合下で加え、ナルトレキソンER懸濁液を形成した。
【0085】
ナルトレキソンER懸濁液を、インビトロでの薬物放出についてUSP装置II、0.4M KH
2PO
4、900mL、50rpm、37±0.5℃を用いて試験した。結果を
図1に要約する。
【0086】
実施例3 コーティングしたナルトレキソン樹脂
ナルトレキソン樹脂複合体顆粒を、実施例1に従って製造した。この実施例において、セルロースアセテートブチレートおよびヒプロメロースフタレートを用いて、ナルトレキソン樹脂複合体顆粒をコーティングした。製剤を表6に従って製造した。
【表9】
【0087】
容器に、アセトンおよび精製水を加え、よく混合した。ポリエチレングリコールを容器に加え、溶解するまで混合した。セルロースアセテートブチレートを加え、溶解するまで混合した。その後、ヒプロメロースフタレートを加え、溶解するまで混合した。コーティング溶液を、ナルトレキソン樹脂複合体顆粒上に、流動床装置を用いて15w/w%の重量増加を達成するまで噴霧した。
【0088】
実施例4 コーティングしたナルトレキソン樹脂
ナルトレキソン樹脂複合体顆粒を、実施例1に従って製造した。この実施例において、エチルセルロース(EC)を用いて、ナルトレキソン樹脂複合体顆粒をコーティングした。製剤を表7に従って製造した。
【表10】
【0089】
容器に、アセトンおよび精製水を加え、よく混合した。Myvacet 9-45を加え、溶解するまで混合した。エチルセルロースを加え、溶解するまで混合した。合計1502gのコーティング溶液を、ナルトレキソン樹脂複合体顆粒上に、流動床プロセッサーを用いて15w/w%の重量増加を達成するまで噴霧した。
【0090】
実施例4に従って製造したコーティングしたナルトレキソン樹脂を、インビトロでの薬物放出についてUSP装置II、0.4M KH
2PO
4、900mL、50rpm、37±0.5℃を用いて試験した。結果を
図2に要約する。
【0091】
実施例5 ナルトレキソン徐放性懸濁液
表8に示す処方に従って、ナルトレキソン樹脂複合体を製造した。
【表11】
【0092】
精製水を容器に注ぎ、ナルトレキソンHClを加え、溶解するまで混合した。ポリスチレンスルホン酸ナトリウム(Amberlite IRP69樹脂)をタンクに加えて混合した。得られた分散液からの上清をデカントし、続いて精製水で洗浄し、最後に分散液をフィルターハウジングを用いてろ過した。湿潤薬物樹脂複合体を、水分含量が約15%になるまで流動床プロセッサーを用いて乾燥した。
【0093】
表8の処方を用いて、下記表9に要約するナルトレキソン樹脂複合体顆粒を製造した。EDTAを精製水に加え、溶解するまで混合した。ポリエチレングリコールを容器に加え、溶解するまで混合した。得られたPEG溶液を湿潤樹脂複合体上に噴霧し、高せん断造粒機を用いて造粒した。湿潤顆粒を、水分が15%~20%に達するまで流動床プロセッサーを用いて乾燥した。部分的に乾燥した顆粒を、813μmメッシュスクリーンを備えたコミルを用いて、粉砕した。通過顆粒を、水分が7%未満に達するまで流動床プロセッサーを用いて乾燥した。
【表12】
【0094】
得られた複合体をコーティングして、下記表10に要約する製剤を形成した。アセトンおよび精製水を容器に加え、よく混合した。ポリエチレングリコールを容器に加え、溶解するまで混合した。セルロースアセテートブチレートを加え、溶解するまで混合した。コーティング溶液を、表9のナルトレキソン樹脂複合体顆粒上に、流動床プロセッサーを用いて15w/w%の重量増加を達成するまで噴霧した。
【表13】
【0095】
得られたコーティングしたナルトレキソン樹脂を用いて、下記表11に要約するナルトレキソン徐放性懸濁液を製造した。グリセリンを容器に加えることにより、懸濁液を製造し、45~60℃に加熱した。メチルパラベンおよびプロピルパラベンを容器に加え、溶解するまで混合した。キサンタンガムを防腐剤溶液に加え、均一に分散するまで混合した(ガム分散液)。精製水、スクロース、EDTAおよびクエン酸を含むメイン容器に加え、溶解するまで混合した。デンプンをメイン容器に加え、および、均一に分散するまで混合した。ガム分散液をメイン容器にゆっくり加え、よく混合した。ツイーン80、着色剤および香料をメイン容器に加え、よく混合した。コーティングしたナルトレキソン樹脂をメイン容器に加え、精製水を加えて、最終懸濁液用量を1.6Lにした。
【表14】
【0096】
実施例6 ナルトレキソン徐放性懸濁液
コーティングしたナルトレキソン樹脂を、実施例5に従って製造した。ナルトレキソン徐放性懸濁液を、下記表12に要約するとおり製造した。グリセリンを容器に加えることにより、懸濁液を製造し、45~55℃に加熱した。メチルパラベンおよびプロピルパラベンを容器に加え、溶解するまで混合した。キサンタンガムを防腐剤溶液に加え、均一に分散するまで混合した(ガム分散液)。精製水、EDTAおよびクエン酸を含むメイン容器に加え、溶解するまで混合した。ツイーン80を加え、よく混合した。デンプンおよびスクロースを一緒にメイン容器に加え、均一に分散するまで混合した。ガム分散液を連続混合下でメイン容器にゆっくり加えた。着色剤および香料をメイン容器に加え、よく混合した。コーティングしたナルトレキソン樹脂をメイン容器に加え、精製水を加えて、最終懸濁液用量を1.6Lにした。
【表15】
【0097】
実施例7 ナルトレキソン徐放性懸濁液の製造
ナルトレキソン樹脂複合体を、表13に示す処方に従って製造した。
【表16】
【0098】
精製水を容器に注ぎ、ナルトレキソンHClを加え、溶解するまで混合した。ポリスチレンスルホン酸ナトリウム(Amberlite IRP69樹脂)をタンクに加えて混合した。得られた分散液からの上清をデカントし、続いて精製水で洗浄し、最後に分散液をフィルターハウジングを用いてろ過した。湿潤薬物樹脂複合体を、水分含量が約15%になるまで流動床プロセッサーを用いて乾燥した。
【0099】
表13の処方を用いて、下記表14に要約するナルトレキソン樹脂複合体顆粒を製造した。EDTAを精製水に加え、溶解するまで混合した。ポリエチレングリコール(PEG)を容器に加え、溶解するまで混合した。PEG溶液を湿潤樹脂複合体上に噴霧し、高せん断造粒機を用いて造粒した。湿潤顆粒を、水分が15%~20%に達するまで流動床プロセッサーを用いて乾燥した。部分的に乾燥した顆粒を、#20メッシュスクリーンに通し、水分が7%未満に達するまで流動床乾燥機を用いて乾燥した。部分的に乾燥した顆粒を、813μmメッシュスクリーンを備えたコミルを用いて、粉砕した。これらの乾燥顆粒を、813μmメッシュスクリーンを備えたコミルを用いて、粉砕した。
【0100】
【0101】
得られた複合体を、表15に示すコーティング組成物を用いて、様々に重量を増やすためにコーティングした。アセトンおよび精製水を容器に加え、よく混合した。ポリエチレングリコールを容器に加え、溶解するまで混合した。セルロースアセテートブチレートを加え、溶解するまで混合した。コーティング溶液を、表14のナルトレキソン樹脂複合体顆粒上に、流動床プロセッサーを用いて15%w/wおよび20%w/wのコーティング重量増加を達成するまで噴霧した。
【表18】
【0102】
得られたコーティングしたナルトレキソン樹脂を用いて、下記表16に要約するナルトレキソン徐放性懸濁液を製造した。精製水、ツイーン80、没食子酸プロピル、安息香酸ナトリウム、EDTAおよび無水クエン酸を含むメイン容器に加え、溶解するまで混合した。キサンタンガム、デンプンおよびスクロースを一緒に混合し、メインタンクに加え、均一に分散するまで混合した。着色剤溶液をメインタンクに混合しながら加えた。コーティングしたナルトレキソン樹脂および香料をメイン容器に加え、精製水を加えて、最終懸濁液容量を4Lにした。
【表19】
【0103】
図3は、表16に記載のナルトレキソン徐放性懸濁液製剤1および2についてのインビトロでの薬物放出プロファイルを示す。
【0104】
薬物動態試験:
試験概要:この試験は、絶食状態の健康な成人(n=18)における非盲検単回投与無作為化3期間3処置3系列クロスオーバー比較バイオアベイラビリティ試験であった。
【0105】
処置:
処置A - 製剤1:5mg/mL経口懸濁液10mL(総投与量=ナルトレキソンHCl 50mg)を、少なくとも10時間の一晩絶食後に投与した。
処置B - 製剤2:5mg/mL経口懸濁液10mL(総投与量=ナルトレキソンHCl 50mg)を、少なくとも10時間の一晩絶食後に投与した。
処置C - 参照製剤:ナルトレキソンHCl 50mg錠(MallinckrodtTM、SpecGx LLC):50mg錠1つを、少なくとも10時間の一晩絶食後に投与した。
分析対象:ナルトレキソンおよびその活性代謝物(6-β-ナルトレキソール)の両方を分析した。
【0106】
結果:
ナルトレキソンおよび6-β-ナルトレキソールについて得られたAUC
t、AUC
∞、C
max、T
maxおよびT
1/2値を表17に示す:
【表20】
【0107】
平均血漿ナルトレキソンおよび平均血漿6-β-ナルトレキソール濃度をそれぞれ表18および表19に示す:
【表21】
【表22】
【0108】
ナルトレキソン製剤1および2ならびに市販製剤(ナルトレキソンHCl 50mg錠;Mallinckrodt
TM、SpecGx LLC)の薬物動態プロファイルを
図4に示す。6-β-ナルトレキソール製剤および同市販製剤についての薬物動態プロファイルを
図5に示す。
【0109】
試験知見:
結果は、全体として、開示の製剤は市販の即放性製剤と比較して良好なバイオアベイラビリティ(約50%高いバイオアベイラビリティ)を示すことを示している。ナルトレキソンについては、製剤1ではCmaxが約65%減少し、製剤2ではCmaxが約75%減少した。これは、即放性製剤の血漿濃度の急激な上昇によって引き起こされる副作用を著しく軽減する。
【0110】
Tmaxは、参照中間放出(IR)錠剤の1時間未満から、製剤1と2の両方で約6時間に遅延し、これは試験製剤の徐放性特性を示している。製剤1および2の有効性の持続時間は、血漿濃度の上昇と下降が遅いため、即放性参照製剤と比較して長くなった。製剤1および2は、経口摂取後約16時間、血漿濃度を0.75ng/mL超に維持するが、参照製剤の場合は約6時間のみである。
【0111】
6-β-ナルトレキソールについては、製剤1ではCmaxが約66%減少し、製剤2ではCmaxが約77%減少した。これは、即放性製剤の血漿濃度の急激な上昇によって引き起こされる副作用を著しく軽減する。ナルトレキソンの血漿プロファイルのパターンと同様に、製剤1および2由来の活性代謝物である6-β-ナルトレキソールは、参照製剤と比較してCmaxが低く、Tmaxが長くなった。しかしながら、製剤1および2ならびに参照製剤では同等のバイオアベイラビリティが観察された。
【0112】
6-β-ナルトレキソールの生物学的半減期は、製剤1および2と参照製剤間で同等である。徐放性製剤1および2の血漿プロファイルは、経口摂取後10時間以降は参照製剤よりも高い濃度を示す。
【0113】
本発明を最も実用的で好ましい実施態様と現在考えられるものに関連して説明したが、本発明は、記載した実施態様に制限させるものではなく、むしろ、添付の特許請求の範囲の精神および範囲内に含まれる様々な改変または同等の構成をカバーすることが意図することを理解されたい。当該範囲は、法の下で許容されるすべてのこのような改変または同等の構成を包含するように最も広い解釈が与えられるべきである。
【0114】
本明細書で参照される特許、書籍、記事および他の印刷公開物の各々は、あらゆる目的のためにその全体として出典明示により組み込まれる。
【国際調査報告】