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特表2025-504045燃料タンクから燃料噴射器に燃料を供給するための燃料ホース
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-02-06
(54)【発明の名称】燃料タンクから燃料噴射器に燃料を供給するための燃料ホース
(51)【国際特許分類】
   F02M 37/00 20060101AFI20250130BHJP
   B60K 15/01 20060101ALI20250130BHJP
【FI】
F02M37/00 311H
F02M37/00 321A
F02M37/00 321Z
B60K15/01 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024545031
(86)(22)【出願日】2022-12-21
(85)【翻訳文提出日】2024-09-03
(86)【国際出願番号】 IN2022051113
(87)【国際公開番号】W WO2023148754
(87)【国際公開日】2023-08-10
(31)【優先権主張番号】202241005924
(32)【優先日】2022-02-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521196110
【氏名又は名称】ティーヴィーエス モーター カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】TVS MOTOR COMPANY LIMITED
(74)【代理人】
【識別番号】110000084
【氏名又は名称】弁理士法人アルガ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】クマール,アール ディリップ
(72)【発明者】
【氏名】マニ,ブーバラン
【テーマコード(参考)】
3D038
【Fターム(参考)】
3D038CA29
3D038CC04
3D038CC12
(57)【要約】
本発明は、燃料タンク(102)から燃料噴射器(104)に燃料を供給するための燃料ホース(100)に関する。燃料ホース(100)は、第1のコンパートメント(106)、第2のコンパートメント(108)、および第3のコンパートメント(110)を備える。第1のコンパートメント(106)は、燃料タンク(102)の内部に配置された燃料ポンプ(112)に動作可能に接続される。第2のコンパートメント(108)は、燃料噴射器(104)に動作可能に接続される。第3のコンパートメント(110)は、第1のコンパートメント(106)と第2のコンパートメント(108)との間に設けられる。第3のコンパートメント(110)は、燃料リザーバとして機能する。本発明は、第3のコンパートメント(110)内に設けられ、燃料タンク(102)内の燃料のレベルがあらかじめ決定されたレベル以下であるとき、第3のコンパートメント(110)への燃料の流入を停止する一方向弁(114)をさらに備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料タンク(102)から燃料噴射器(104)に燃料を供給するための燃料ホース(100)であって、
前記燃料タンク(102)の内部に配置された燃料ポンプ(112)に動作可能に接続された第1のコンパートメント(106)と、
前記燃料噴射器(104)に動作可能に接続された第2のコンパートメント(108)と、
前記第1のコンパートメント(106)と前記第2のコンパートメント(108)との間に設けられた第3のコンパートメント(110)であって、前記第1のコンパートメント(106)の直径および前記第2のコンパートメント(108)の直径よりも大きい直径を有する燃料リザーバである、第3のコンパートメント(110)と、
前記第3のコンパートメント(110)内に設けられ、前記燃料タンク(102)内の燃料のレベルがあらかじめ決定されたレベル以下であるとき、前記第3のコンパートメント(110)への燃料の流入を停止する一方向弁(114)と
を備える、燃料ホース(100)。
【請求項2】
前記一方向弁(114)は、前記燃料タンク(102)内の燃料の前記レベルが前記あらかじめ決定されたレベルよりも大きいとき、前記第3のコンパートメント(110)内への燃料の流入を可能にする、請求項1に記載の燃料ホース(100)。
【請求項3】
前記あらかじめ決定されたレベルは、前記燃料タンク(102)の死容積に等しい、請求項1に記載の燃料ホース(100)。
【請求項4】
前記第1のコンパートメント(106)および前記第2のコンパートメント(108)の前記直径は、同じであるかまたは異なる、請求項1に記載の燃料ホース(100)。
【請求項5】
前記第1のコンパートメント(106)、前記第2のコンパートメント(108)、および前記第3のコンパートメント(110)は、一体的にまたは取り外し可能に形成される、請求項1に記載の燃料ホース(100)。
【請求項6】
燃料ポンプ(112)を有する燃料タンク(102)と、
燃料噴射器(104)と、
前記燃料タンク(102)から前記燃料噴射器(104)に燃料を供給するための燃料ホース(100)と
を備える車両であって、前記燃料ホース(100)は、
前記燃料ポンプ(112)に動作可能に接続された第1のコンパートメント(106)と、
前記燃料噴射器(104)に動作可能に接続された第2のコンパートメント(108)と、
前記第1のコンパートメント(106)と前記第2のコンパートメント(108)との間に設けられた第3のコンパートメント(110)であって、前記第1のコンパートメント(106)の直径および前記第2のコンパートメント(108)の直径よりも大きい直径を有する燃料リザーバである、第3のコンパートメント(110)と、
前記第3のコンパートメント(110)内に設けられ、前記燃料タンク(102)内の燃料のレベルがあらかじめ決定されたレベル以下であるとき、前記第3のコンパートメント(110)への燃料の流入を停止する一方向弁(114)と
を備える、車両。
【請求項7】
前記一方向弁(114)は、前記燃料タンク(102)内の燃料の前記レベルが前記あらかじめ決定されたレベルよりも大きいとき、前記第3のコンパートメント(110)内への燃料の前記流入を可能にする、請求項6に記載の車両。
【請求項8】
前記あらかじめ決定されたレベルは、前記燃料タンク(102)の死容積である、請求項6に記載の車両。
【請求項9】
前記第1のコンパートメント(106)および前記第2のコンパートメント(108)の前記直径は、同じであるかまたは異なる、請求項6に記載の車両。
【請求項10】
第1のコンパートメント(106)、前記第2のコンパートメント(108)、および前記第3のコンパートメント(110)は、一体的にまたは取り外し可能に形成される、請求項6に記載の車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両において燃料タンクから燃料噴射器に燃料を供給するための燃料ホースに関する。より詳細には、本発明は、燃料ホースの構造に関する。
【背景技術】
【0002】
燃料タンクは、内燃エンジンを有する車両のための燃料の供給部を保持するために使用される。より小型でより効率的な車両を製造する傾向が高まれば、燃料タンクは、その容積および寸法が制限されることが多い。これらの寸法は、加圧された燃料を燃料噴射器に供給するために燃料タンク内に設けられる燃料ポンプを設置するために利用可能な空間を制限する。先行技術では、燃料タンクの死容積を著しく低減する場所に燃料ポンプを配置するための手段がとられてきた。しかしながら、燃料タンク内の燃料のレベルが、燃料タンクの死容積よりも小さい、それに等しい、またはそれよりもわずかに大きいとき、消費者は問題に直面する。
【0003】
燃料タンク内の燃料のレベルが燃料タンクの死容積よりも小さいとき、燃料タンク内の空気が燃料とともに燃料ポンプによって吸引され、その結果、燃料ポンプと燃料噴射器とを接続する燃料ホースに圧力損失がもたらされる。燃料ホース内のこの圧力損失のために、燃料は燃料噴射器に到達せず、エンジンを失速させ、停滞させ、不点火にさせ、または希薄燃焼させる。
【0004】
燃料タンク内の燃料のレベルが燃料タンクの死容積に等しいかまたはそれよりもわずかに大きいとき、燃料ポンプが回転して燃料ホース内に圧力を発生させるのに十分な時間を得る場合、燃料は、所望の圧力で燃料噴射器に達することができる。燃料ホース内に圧力を発生させることによって、燃料ポンプの1つまたは複数のフィルタにおける毛管作用が高められ、燃料は、必要な圧力で噴射器に供給される。言い換えれば、燃料ポンプは、燃料フィルタにおける毛管作用を加速するように整えられており、したがって、必要な圧力で燃料を供給する。しかしながら、燃料ポンプが回転するのに十分な時間を得ない場合、燃料ホース内に十分な圧力が発生せず、燃料フィルタにおける毛管作用は、必要な圧力で燃料を供給するのに十分でない。たとえば、アイドルスタートストップ(ISS)モードを有する車両では、車両がISSオフモードにあり、燃料タンク内の燃料のレベルが燃料タンクの死容積に等しいかまたはそれよりもわずかに大きいとき、運転者は、電気始動スイッチを使用して始動モータを作動させ、並行して、燃料ホース内に圧力を発生させるように燃料ポンプをトリガする。燃料ポンプが回転して燃料ホース内に圧力を発生させるのに十分な時間を得るとき、燃料ポンプの1つまたは複数のフィルタにおける毛管作用が高められ、燃料は、必要な圧力で燃料噴射器に供給される。言い換えれば、燃料ポンプは、燃料フィルタにおける毛管作用を加速するように整えられており、したがって、燃料を必要な圧力で燃料噴射器に供給する。しかしながら、車両がISSオンモードにあり、燃料タンク内の燃料のレベルが燃料タンクの死容積に等しいかまたはそれよりもわずかに大きいとき、燃料ポンプは、回転して燃料ホース内に圧力を発生させるのに十分な時間を得ない。このため、燃料は、燃料噴射器に必要な圧力で供給されず、エンジンを失速させ、停滞させ、不点火にさせ、または希薄燃焼させる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記を考慮すれば、既存の技術の上述の欠点を克服する必要がありそうである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様では、燃料タンクから燃料噴射器に燃料を供給するための燃料ホースが開示される。燃料ホースは、少なくとも第1のコンパートメント、第2のコンパートメント、および第3のコンパートメントを備える。第1のコンパートメントは、燃料タンク内に配置された燃料ポンプに動作可能に接続される。第2のコンパートメントは、燃料噴射器に動作可能に接続される。第3のコンパートメントは、第1のコンパートメントと第2のコンパートメントとの間に設けられる。第3のコンパートメントは、第1のコンパートメントの直径および第2のコンパートメントの直径よりも大きい直径を有する。したがって、第3のコンパートメントは、リザーバとして機能し、燃料ポンプから燃料噴射器に供給される燃料の一部を貯蔵する。本発明の目的のために、第3のコンパートメントに貯蔵された燃料は、予備燃料と呼ぶことができる。燃料ホースは、一方向弁をさらに備える。一方向弁は、第3のコンパートメント内に設けられる。
【0007】
一方向弁は、燃料タンク内の燃料のレベルがあらかじめ決定されたレベル以下であるとき、燃料タンクから第3のコンパートメントへの燃料の流入を停止する。この状態において、第3のコンパートメント内の予備燃料は、内燃エンジンの適切な機能のために燃料噴射器に供給される。
【0008】
一方向弁は、燃料タンク内の燃料のレベルがあらかじめ決定されたレベルよりも大きいとき、第3のコンパートメントへの燃料の流入を可能にする。この状態において、燃料タンクからの燃料が、燃料噴射器に供給される。
【0009】
1つの非限定的な例では、あらかじめ決定されたレベルは、燃料タンクの死容積に等しい。別の非限定的な例では、あらかじめ決定されたレベルは、燃料タンクの死容積よりもわずかに大きい。
【0010】
一実施形態では、第1のコンパートメントの直径と第2のコンパートメントの直径は同じである。
【0011】
一実施形態では、第1のコンパートメントの直径と第2のコンパートメントの直径は異なる。
【0012】
一実施形態では、第1のコンパートメント、第2のコンパートメント、および第3のコンパートメントは、一体的に形成される。
【0013】
一実施形態では、第1のコンパートメント、第2のコンパートメント、および第3のコンパートメントは、取り外し可能に形成される。
【0014】
本発明の別の態様では、燃料ホースを有する車両が開示される。車両は、燃料タンクと、燃料噴射器と、燃料タンクから燃料噴射器に燃料を供給するための燃料ホースとを備える。燃料タンクは、燃料タンク内に配置された燃料ポンプを備える。燃料ホースは、少なくとも第1のコンパートメント、第2のコンパートメント、および第3のコンパートメントを備える。第1のコンパートメントは、燃料タンク内に配置された燃料ポンプに動作可能に接続される。第2のコンパートメントは、燃料噴射器に動作可能に接続される。第3のコンパートメントは、第1のコンパートメントと第2のコンパートメントとの間に設けられる。第3のコンパートメントは、第1のコンパートメントの直径および第2のコンパートメントの直径よりも大きい直径を有する。したがって、第3のコンパートメントは、リザーバとして機能し、燃料ポンプから燃料噴射器に供給される燃料の一部を貯蔵する。第3のコンパートメントに貯蔵された燃料は、予備燃料と呼ぶことができる。燃料ホースは、一方向弁をさらに備える。一方向弁は、第3のコンパートメント内に設けられる。
【0015】
一方向弁は、燃料タンク内の燃料のレベルがあらかじめ決定されたレベル以下であるとき、第3のコンパートメント内への燃料の進入を停止する。この状態において、第3のコンパートメント内の予備燃料は、内燃エンジンの適切な機能のために燃料噴射器に供給される。
【0016】
一方向弁は、燃料タンク内の燃料のレベルがあらかじめ決定されたレベルよりも大きいとき、第3のコンパートメントへの燃料の流入を可能にする。この状態において、燃料タンクからの燃料が、燃料噴射器に供給される。
【0017】
1つの非限定的な例では、あらかじめ決定されたレベルは、燃料タンクの死容積に等しい。別の非限定的な例では、あらかじめ決定されたレベルは、燃料タンクの死容積よりもわずかに大きい。
【0018】
一実施形態では、第1のコンパートメントの直径と第2のコンパートメントの直径は同じである。
【0019】
一実施形態では、第1のコンパートメントの直径と第2のコンパートメントの直径は異なる。
【0020】
一実施形態では、第1のコンパートメント、第2のコンパートメント、および第3のコンパートメントは、一体的に形成される。
【0021】
一実施形態では、第1のコンパートメント、第2のコンパートメント、および第3のコンパートメントは、取り外し可能に形成される。
【0022】
本発明の実施形態が参照され、その例が添付の図に示され得る。これらの図は、例示的であることを意図しており、限定するものではない。本発明は、一般に、これらの実施形態の文脈において説明されるが、本発明の範囲をこれらの特定の実施形態に限定することを意図するものではないことを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の一実施形態による、燃料タンクと、燃料タンクに動作可能に接続された燃料ホースとの概略図である。
図2】本発明の一実施形態による燃料ホースの斜視図(図2A )および本発明の一実施形態による燃料ホースの分解図(図2B)を示す。
図3】本発明の実施形態による、燃料ホース内に設けられた一方向弁を示す図である。
図4】本発明の実施形態による、燃料ホース内の燃料の流れの方向を示す図である。
図5】本発明の一実施形態による二輪車両の前方部を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本明細書における本発明の様々な特徴および実施形態は、以下に記載される以下のそのさらなる説明から認識されるであろう。
【0025】
図1は、本発明の一実施形態による、燃料タンク102と、燃料タンク102に動作可能に接続された燃料ホース100との概略図である。図示するように、燃料タンク102の内部の側壁には、燃料ポンプ112が配置されている。しかしながら、燃料タンク102内の燃料ポンプ112のこの配置は、限定として解釈されるべきではなく、燃料タンク102内の燃料ポンプ112の他の配置も可能である。燃料ポンプ112は、燃料ホース100を介して燃料噴射器104(図5に示す)に加圧された燃料を供給する役割を果たす。燃料ホース100は、燃料ポンプ112および燃料噴射器104に動作可能に接続される。車両の点火スイッチが始動されるかまたはオンにされたとき、燃料ポンプ112内のモータ(図示せず)が回転を開始し、数秒間動作して燃料ホース100内に圧力を発生させる。燃料ホース100内に圧力が発生したことにより、燃料タンク102内の燃料が、燃料ポンプ112によって吸引され/くみ上げられ、燃料ホース100を介して燃料噴射器104に供給される。
【0026】
図2Aは、本発明の一実施形態による燃料ホース100の斜視図である。図2Bは、本発明の一実施形態による燃料ホース100の分解図である。
【0027】
図示するように、燃料ホース100は、第1のコンパートメント106、第2のコンパートメント108、および第3のコンパートメント110を備える。しかしながら、燃料ホース100内のコンパートメントの数は、限定として解釈されるべきでなく、燃料ホース100は、4つ以上のコンパートメントを有してよい。第1のコンパートメント106は、燃料タンク102内に配置された燃料ポンプ112に動作可能に接続される。第2のコンパートメントは、内燃エンジン内に燃料を噴射する役割を果たす燃料噴射器104に動作可能に接続される。第3コンパートメント110は、第1コンパートメント106と第2コンパートメント108との間に設けられる。第3のコンパートメント110の直径は、第1のコンパートメント106の直径および第2のコンパートメント108の直径よりも大きい。第3のコンパートメント110の直径が第1のコンパートメント106の直径および第2のコンパートメント108の直径よりも大きいため、第3のコンパートメント110の容積は、第1のコンパートメント106の容積および第2のコンパートメント108の容積よりも大きい。第3のコンパートメント110と第1のコンパートメント106および第2のコンパートメント108との直径/容積の差により、燃料が燃料タンク102から燃料噴射器104に供給されるとき、少量の燃料が第3のコンパートメント110に貯蔵され、この燃料は、本発明の目的のための予備燃料と呼ぶことができる。
【0028】
一実施形態では、第1のコンパートメントの直径と第2のコンパートメントの直径は同じである。
【0029】
一実施形態では、第1のコンパートメントの直径と第2のコンパートメントの直径は異なる。
【0030】
一実施形態では、第1のコンパートメント、第2のコンパートメント、および第3のコンパートメントは、一体的に形成される。
【0031】
一実施形態では、第1のコンパートメント、第2のコンパートメント、および第3のコンパートメントは、取り外し可能に形成される。
【0032】
図3は、本発明の一実施形態による、燃料ホース100内に設けられた一方向弁114を示す。図示するように、一方向弁114は、燃料ホース100の第3のコンパートメント110内に設けられる。一方向弁114の構造および動作は、先行技術において既に知られており、詳細に説明する必要はない。図に示す一方向弁は、ストッパ114a、ばね114b、およびケーシング114cを含む。一方向弁114は、燃料タンク102内の燃料のレベルがあらかじめ決定されたレベルよりも大きいときにのみ、第3のコンパートメント110内への燃料の流入を可能にする。燃料タンク102内の燃料のレベルがあらかじめ決定されたレベル以下であるとき、一方向弁114は、第3のコンパートメント110への燃料の流入を停止する。言い換えれば、燃料タンク102から第3コンパートメント110への燃料の流れが停止される。一方向弁114が第3のコンパートメント110への燃料の流入を停止したとき、燃料タンク102は、燃料噴射器104から隔離される。そのような状態において、第3のコンパートメント110内の予備燃料は、内燃エンジンの適切な機能のために燃料噴射器104に燃料を供給する。燃料タンク102内の燃料のレベルがあらかじめ決定されたレベルよりも大きいとき、一方向弁114は、第3のコンパートメント110内への燃料の流入を可能にする。言い換えれば、燃料は、燃料タンク102から第3のコンパートメント110に流れ、その後、燃料噴射器に流れる。
【0033】
1つの非限定的な例では、あらかじめ決定されたレベルは、燃料タンク102の死容積に等しい。別の非限定的な例では、あらかじめ決定されたレベルは、燃料タンク102の死容積よりもわずかに大きい。
【0034】
一方向弁114は、燃料ホース100内の燃料の圧力があらかじめ決定された圧力に等しいときにのみ開くことを理解されたい。あらかじめ決定された圧力は、内燃エンジンが正常に動作するために必要とされる燃料の圧力である。
【0035】
燃料タンク102内の燃料のレベルが燃料タンク102の死容積よりも小さい状態で、燃料ポンプ112が動作したとき、燃料タンク内に存在する空気が燃料とともに吸引され/くみ上げられ、このことは、燃料ホース100内の圧力損失につながる。言い換えれば、燃料ホース内にくみ上げられる燃料の燃料圧力は、必要な圧力よりも低くなる。そのようなシナリオでは、第3のコンパートメント110内の一方向弁114は、閉じ、くみ上げられた燃料が第3のコンパートメント110内に流入するのを停止する。一方向弁114が閉じたとき、燃料タンク102は、第3のコンパートメント110から隔離され、第3のコンパートメント110内の予備燃料は、内燃エンジンの適切な機能のために燃料噴射器104に供給される。
【0036】
燃料タンク102内の燃料のレベルが、燃料タンク102の死容積と等しいかまたはそれよりもわずかに大きく、燃料ポンプ112内のモータが回転するのに十分な時間を得たとき、燃料ホース100内に十分な圧力が発生し、これは、燃料ポンプ112内の1つまたは複数のフィルタ(図示せず)の毛管作用を高め、その結果、必要な圧力を有する燃料が燃料ホース100内にくみ上げられる。燃料ホース100内の燃料の圧力が必要な圧力に等しくなったとき、一方向弁114は、開き、第3のコンパートメント110内への燃料の流入を可能にし、その結果、燃料タンク102からの燃料が、燃料噴射器104に供給される。言い換えれば、第3コンパートメント110内の予備燃料は、燃料噴射器104に供給されない。
【0037】
たとえば、アイドルスタートストップ(ISS)モードを有する車両では、車両がISSオフモードにあり、燃料タンク102内の燃料のレベルが燃料タンク102の死容積に等しいかまたはそれよりもわずかに大きいとき、運転者は、電気始動スイッチを使用して始動モータを作動させ、並行して、燃料ホース100内に圧力を発生させるように燃料ポンプ112をトリガする。燃料ポンプ112が回転するのに十分な時間を得たとき、燃料ポンプ112の1つまたは複数のフィルタにおける毛管作用が高められ、したがって、燃料ホース100にくみ上げられる燃料が必要な圧力になる。その結果、一方向弁114は、開き、燃料が、第3のコンパートメント110内へ、その後に燃料噴射器104に流入することを可能にする。そのようなシナリオでは、車両の始動中に問題に直面しない。
【0038】
燃料タンク102内の燃料のレベルが燃料タンク102の死容積と等しいかまたはそれよりもわずかに大きく、燃料ポンプ112内のモータが回転するのに十分な時間を得ないとき、燃料ホース100内に十分な圧力が発生しない。その結果、燃料ポンプ112の1つまたは複数のフィルタにおける毛管作用は、燃料ホース100内の燃料を必要な圧力でくみ上げるのに十分でない。その結果、一方向弁114は閉じ、それによって、燃料タンク102を第3のコンパートメント110から隔離する。そのようなシナリオでは、第3のコンパートメント110内の予備燃料は、燃料ポンプ112内のモータが所望の速度で回転し始めるまで、燃料噴射器104に供給される。燃料ポンプ112のモータが所望の速度で回転し始めるとすぐに、すなわち車両が動き始めたとき、燃料ホース100内に十分な圧力が発生し、この圧力が、燃料ポンプの1つまたは複数のフィルタにおける毛管作用を加速し、必要な圧力を有する燃料が、燃料ホース100内にくみ上げられる。その結果、第3コンパートメント110内の一方向弁114が開き、燃料タンク102から燃料噴射器104に燃料が供給される。
【0039】
たとえば、車両がISSオンモードにある場合、燃料ポンプ112のモータは、車両が始動されるとき、回転するのに十分な時間を得ない。その結果、燃料ポンプ112の1つまたは複数のフィルタにおける毛管作用が完了せず、必要な圧力の燃料が、燃料ホース100内にくみ上げられない。その結果、一方向弁114が閉じ、第3コンパートメント110内の予備燃料が、燃料噴射器104に供給される。燃料ポンプ112が回転するのに十分な時間を得ない場合でも、必要な圧力の燃料が燃料噴射器104に供給されるので、ISSオンモードで車両を始動する間に問題に直面することはない。燃料ポンプ112のモータが所望の速度で回転し始めるとすぐに、すなわち車両が動き始めたとき、燃料ホース100内に十分な圧力が発生し、この圧力が、燃料ポンプ112の1つまたは複数のフィルタにおける毛管作用を加速し、必要な圧力を有する燃料が、燃料ホース100内にくみ上げられる。その結果、第3コンパートメント110内の一方向弁114が開き、燃料タンク102から燃料噴射器104に燃料が供給される。
【0040】
図4は、本発明の一実施形態による、燃料の流れの方向を示す燃料ホース100の概略図である。燃料は、一方向弁114が開いているとき、燃料タンク102から燃料噴射器104に流れ、一方向弁114が閉じられているとき、第3のコンパートメント110から燃料噴射器104に流れることを理解されたい。
【0041】
図5は、本発明の一実施形態による車両10の前方部を示す。図5は、例示のみを目的としており、「車両」という用語の範囲を限定するものではないことを理解されたい。「車両」という用語は、燃料タンク内に配置された燃料ポンプと燃料噴射器とを有し、燃料ポンプと燃料噴射器とが本発明による燃料ホースで動作可能に接続されているすべての車両を含む。
【0042】
図示するように、二輪車両10は、車両10の異なる部分を支持するフレーム構造を備える。ヘッドパイプ12は、前記フレーム構造の前端部に設けられる。ヘッドパイプ12は、ステアリングシャフト(図示せず)をある範囲で回転可能に支持する。ヘッドパイプ12の上部には、ハンドルバー(図示せず)がステアリングシャフトに回転可能に接続される。ハンドルバーは、車両10を操縦するために使用され、フロントフォークアセンブリ(図示せず)を介して前輪(図示せず)に接続される。
【0043】
フレーム構造の前方部において、燃料タンク102は、ヘッドパイプ12の直後の、内燃エンジンおよび燃料噴射器104を含む発電ユニット14の上方に配置される。燃料ホース100は、加圧された燃料を燃料タンク102から燃料噴射器104に供給するために、燃料タンク102の内部に配置された燃料ポンプ112と燃料噴射器104とに動作可能に接続される。
【0044】
一実施形態では、第1のコンパートメントの直径と第2のコンパートメントの直径は同じである。一実施形態では、第1のコンパートメントの直径と第2のコンパートメントの直径は異なる。一実施形態では、第1のコンパートメント、第2のコンパートメント、および第3のコンパートメントは、一体的に形成される。一実施形態では、第1のコンパートメント、第2のコンパートメント、および第3のコンパートメントは、取り外し可能に形成される。一実施形態では、燃料タンク102の外部に、パージ制御弁(図示せず)が配置される。パージ制御弁は、車両中央平面軸に対して燃料タンク(図示せず)の別の側に配設される。
【0045】
有利なことに、本発明は、燃料レベルが低い状態であっても、かつ/または、車両の燃料ポンプが回転して必要な圧力で燃料を吸引するために燃料ホース内に圧力を発生させるのに十分な時間を得ないときでも、車両の始動を確実にする。たとえば、車両は、ISSオンモードおよび低燃料レベル状態にあるとき、始動の問題に直面しない。本発明により、内燃効率が改善され、それによって車両の全体的な性能を向上させる。
【0046】
本発明をいくつかの実施形態に関して説明してきたが、添付の特許請求の範囲に定義される本発明の範囲から逸脱することなく、様々な変更および修正がなされ得ることが当業者には明らかであろう。
【符号の説明】
【0047】
10 車両
12 ヘッドパイプ
14 発電ユニット
100 燃料ホース
102 燃料タンク
104 燃料噴射器
106 第1のコンパートメント
108 第2のコンパートメント
110 第3のコンパートメント
112 燃料ポンプ
114 一方向弁
114a ストッパ
114b ばね
114c ケーシング
図1
図2
図3
図4
図5
【国際調査報告】